運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-12-06 第67回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会農林水産委員会商工委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月六日(月曜日)     午前十時八分開議  出席委員  沖繩及び北方問題に関する特別委員会    委員長 床次 徳二君    理事 金丸  信君 理事 國場 幸昌君    理事 二階堂 進君 理事 湊  徹郎君    理事 毛利 松平君 理事 久保 三郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 中川 嘉美君    理事 門司  亮君       天野 光晴君    池田 清志君       石井  一君    宇田 國榮君       小渕 恵三君    大石 八治君       大野  明君    大村 襄治君       加藤 陽三君    木野 晴夫君       佐藤 文生君    正示啓次郎君       關谷 勝利君    田中伊三次君       田中 龍夫君    谷川 和穗君       藤波 孝生君   三ツ林弥太郎君       箕輪  登君    武藤 嘉文君       山下 徳夫君    豊永  光君       井上 普方君    石川 次夫君       川俣健二郎君    木島喜兵衞君       武部  文君    美濃 政市君       斎藤  実君    二見 伸明君       小平  忠君    田畑 金光君       米原  昶君  農林水産委員会    委員長 藤田 義光君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 千葉 七郎君    理事 斎藤  実君 理事 小平  忠君       鹿野 彦吉君    森下 元晴君       山崎平八郎君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    美濃 政市君       鶴岡  洋君  商工委員会   理事 小宮山重四郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君       石川 次夫君    岡田 利春君       中谷 鉄也君    米原  昶君  運輸委員会    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 斉藤 正男君 理事 田中 昭二君       石井  一君   小此木彦三郎君       佐藤 文生君    關谷 勝利君       細田 吉藏君    久保 三郎君       宮井 泰良君    和田 春生君       田代 文久君  建設委員会    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 葉梨 信行君    理事 阿部 昭吾君 理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       金丸  信君    砂原  格君       浜田 幸一君    藤波 孝生君       山下 徳夫君    井上 普方君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    柳田 秀一君       新井 彬之君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         通商産業大臣  田中 角榮君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         農林大臣臨時代         理       山中 貞則君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      中村 寅太君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         人事院事務総局         管理局長    茨木  広君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 井川 克一君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         社会保険庁医療         保険部長    穴山 徳夫君         農林大臣官房長 中野 和仁君         農林省農地局長 三善 信二君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   加賀山國雄君         食糧庁長官   亀長 友義君         林野庁長官   松本 守雄君         水産庁長官   太田 康二君         通商産業省通商         局長      山下 英明君         通商産業省企業         局長      本田 早苗君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         通商産業省公益         事業局長    三宅 幸夫君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省船員局長 佐原  亨君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁長官 手塚 良成君         気象庁長官   高橋浩一郎君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外出席者         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案(内  閣提出第一号)  沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律  案(内閣提出第二号)  沖繩振興開発特別措置法案内閣提出第三号)  沖繩における公用地等暫定使用に関する法律  案(内閣提出第六号)  国家公務員法第十三条第五項および地方自治法  第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の  地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出承認第一号)  沖繩平和開発基本法案細谷治嘉君外十六名提  出、衆法第一号)  沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  (川俣健二郎君外十六名提出衆法第三号)      ————◇—————   〔床次沖繩及び北方問題に関する特別委員長委員長席に着く〕
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより沖繩及び北方問題に関する特別委員会農林水産委員会商工委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  内閣提出にかかる沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件、細谷治嘉君外十六名提出にかかる沖繩平和開発基本法案及び川俣健二郎君外十六名提出にかかる沖繩における雇用促進に関する特別措置法案、以上の各案件を一括して議題といたします。     —————————————  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案  沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案  沖繩振興開発特別措置法案  沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案  国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件  沖繩平和開発基本法案  沖繩における雇用促進に関する特別措置法案   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  3. 床次徳二

    床次委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。武藤嘉文君。
  4. 武藤嘉文

    武藤委員 最初に、私どもこの国会でいろいろと論議を聞いておりますと、あるいはまた、沖繩へ参りまして、公聴会でそれぞれの御意見を聞いておりますと、何か野党側の方々は、平和で豊かな沖繩県として返ってきてほしい、こういうことをおっしゃり、何かわれわれ与党側は、平和ということでなくして、ただ豊かな沖繩が返ってきてもらいたい、こういう何か平和ということばは忘れておるようにおっしゃいますけれども、私は決してそうでない、こう思っております。  ただ、基地があるとすぐ戦争の脅威を受けるというような飛躍した意見には、私は同意はできませんけれども、実際問題として、基地というものは、返ってくるまでは、アメリカ側にもいろいろお家の事情があるわけでございまして、在郷軍人会その他においては、基地ということだけでなく、沖繩そのもの返還にも反対している人もあるわけでございます。そういうことを考えれば、アメリカとしても、やはり返すときにはある程度の基地のままで返さなければならないということは、私は理解できると思うのです。特に最近のニクソン・ドクトリン以来のアメリカ考え方、やってきておること、こういうものから想定をいたしますと、必ず返還後においては基地縮小というものは当然加速度的に進んでいく、特に海洋博が行なわれることになりました一九七五年には、ほとんどの基地がなくなり、VOAなんかもなくなるに違いない、私はこう信じております。そういう意味からいって、私は、平和な沖繩というものは必ず近いうちに実現するのだ、だから、それよりも心配なのは、豊かな沖繩県がはたしてどういう形で実現できるか、この点にもっとわれわれは真剣に目を向けていかなければならないのではなかろうか、また、国会論議も、でき得るならばそういう点にもっと集中をしてやるべきではないか、こういう考え方を私は持っておりますので、その考え方に立ちまして、これから二、三の点につきまして、それぞれ御質問を申し上げたいと存じます。  まず、総務長官お尋ねを申したいと思いますけれどもアメリカ施政権下にありました沖繩というもの、その結果は、GNPにおいて現在においても基地経済にその三割以上が依存をしておる、また、産業別県民所得を見ておりますと、基地中心としたいわゆる第三次産業——七十何%というものが第三次産業による県民所得である。こういう考え方からいたしますと、はたして将来豊かな沖繩県としての自立経済というものが、ここ数年来に実現するのであろうか、こういう点を非常に私は危惧をいたしておるものでございます。  確かに、今度の沖繩振興開発特別措置法案によりまして、沖繩振興開発につきましての十カ年計画を来年度からつくっていただくことになっております。そして、法案を読ましていただきますと、その必要とするあるいは産業基盤整備、あるいは社会といいますか生活環境整備、こういうものに対しまして、いろいろと本土法律との関係においてのものが列記されておるわけでございます。しかしながら、現実沖繩へ行ってみますと、はたしてその列記しているものがどういう形で行なわれていくのか、その振興開発計画沖繩県がまず案をおつくりになって、本土政府が一体となってこれに御協力をしながらつくっていくことになり、最終的には総理決定をするということになっておりますけれども現実にそれがはたして、十カ年といいますけれども、たとえば海洋博がもうすでに四年先にはあるわけでございます。一体この振興開発計画、どういうようなスピードで、どういう形で進んでいくであろうかということにつきまして、担当である総務長官のお考え方といいますか、沖繩県がおつくりになるのだから何もないということじゃないと思います。何かこちらとしてもお考え方はあるだろうと思います。そのお考え方並びにそれと海洋博決定をいたしましたが、これから三年間に海洋博がりっぱに成立をするような形での思い切った公共投資をしなければならない、あるいは海洋博をただ単なる沖繩が返ってくるだけのみやげでなく、これをやはり一つのてこといたしまして、沖繩経済発展のために活用しなければならない、そういう点はどういうお考え方、どういう構想をお持ちになっておられるのか、もし承れれば承りたいと思うわけでございます。
  5. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩未来像を十カ年にわたっていま明らかにするということは、きわめて困難なことであります。たとえば一例を人口にとっても、琉球政府企画局において苦心の末つくり上げた沖繩側振興開発計画の十カ年目は、人口において百五万ということに一応なっておりますが、ことしの国勢調査でもって九十四万五千百十一名が沖繩の実人員である。今日までの沖繩施政権下人口伸びから見て、ややその伸び停滞をしておる、それは出生率停滞ではなくて、本土流出というような形における在籍人口停滞であることが明らかになっております。  こういうことを念頭に置きますと、十年後においてなおかつ人口がふえていく沖繩、いわゆる過疎にならない沖繩というものをどのように設定していくか、これはやはり沖繩の中における人口雇用労働力の吸収に貢献する産業というものが、既存企業あるいは将来の本土資本、外資を含めて、誘致がはかられなければなりません。こういうようなことから、自由貿易地域というものもなお復帰後は残し、さらにこれを大きく育てていきたいという願いを持っておりますし、また、沖繩振興開発計画によって指定された指定業種に対する税制上、金融上のいろいろの恩典を加えることによって、沖繩に立地しやすくなるように、特別償却等についても、たとえば税制上いろいろな手当てをしておりますが、現在は海外投資損失準備金しかありません租税特別措置法の中で、自由貿易地域損失準備金というようなもの等も新しく起こすことにしております。  こういうようなことを考えておるわけでありますが、それだけではまだ沖繩の反面における、お話のようなアメリカ財政事情、あるいはまたアメリカ国際戦略というものの変化によって、少なくとも沖繩基地の能力あるいは規模というものが縮小に向かうことは間違いありません。そのようなことを踏まえますと、やはり三次産業中核をなす基地経済依存率というもの、七三%をこえる経済依存率というものをどのように転換していくか、ここに大きなかぎがあると思います。  したがってわれわれは、復帰記念行事として、国際博覧会条約に基づく海洋博も検討して、すでに先月末の理事会においてこれが受理されました。四カ月間他の国からの競合申請がなければ決定をすることになっておるわけであります。われわれとしては、それに従って沖繩を、日本における最南端の亜熱帯的気候風土を持つ、そしてまた海洋県である特殊性を生かして、単にそれを行事にとどめず、それに対する関連の公共投資社会資本の充実、道路港湾等は、これは全額国庫でやることになりますが、そのようなものを踏まえて、沖繩県海洋博契機として、沖繩が大きな観光立県の国になるように、どの県にも増して目ざましい観光立県の実があがるように、こういうこと等をつなぎ合わせながら、新しい三次産業のままの範囲内における新しい職業分野の中に無難に移動できるようにということを念頭に置いておるわけであります。しかし、不幸にしてその移動が円滑にいかないような場合、あるいはまた失業者というものが出るおそれがあるわけでありますから、これらについては特別離職者の手帳を発給して、その要件を満たした者については再就職に至るまでのあらゆるめんどうを見たいということを念頭に置いて、いま法律にもそれを明記しておるわけでございます。  これら直接、間接あるいは短期、長期の展望の上に立って、沖繩をぜひとも過疎と貧乏の県にしてはならないのだということをきびしい前提として踏まえておりますので、今後新生沖繩県が作成されるであろう沖繩の新しい計画については、われわれ本土側としても、干渉するのでなくして、現地事務局中心に十分に共同体的な作業で御加勢を申し上げるということをしなければならないだろうと思っておるわけであります。
  6. 武藤嘉文

    武藤委員 いまのお話を聞いておりますと、海洋博というものは、どちらかというと、それによって観光立県としていきたいという総務長官お話かと思いますけれども、これは後ほどまた通産大臣にもお聞きをしたいと思うのでございますが、私どもは、そういうことだけではなくして、現在沖繩経済として将来ともにどんどん発展をしていくという可能性を秘めたものはほとんどないと言っていいんじゃなかろうか。そうすると、たとえば海洋博によって海底の鉱物資源の開発なり、あるいは原子力発電によってやるか、あるいはその他いろいろの方法がございますけれども、海水を利用していわゆる水資源を確保する淡水化の問題、あるいは潮流を利用して電気を起こすというようなことも、いろいろ海洋産業の中では考えられておるようでございますけれども、私はやはり海洋博が行なわれるのを契機に、あそこにそういうものの研究センターなんかを設けて、そしてそういう産業一つ中核地帯として沖繩というものを考えていく。私は観光というものもけっこうかと思いますけれども、ただ観光観光だけでは、なかなか沖繩の百万の人間は——将来百万になる、現在九十四万、いずれにしても、この人口をまかなっていくわけにはいかないのじゃなかろうか、こういうことを思っておるのでございますけれども担当大臣といたしまして、そういう点、海洋博に対してもう少し観光という面だけでなく、一つ経済発展、しかも新しい産業である海洋開発、こういうものと沖繩とを結びつけていく、そういう点に何かひとつお考えをいただきたいと思うのでございますが、その点はいかがでございましょう。
  7. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほどお尋ねが第三次産業のウエート、しかもあるいはまたその中核をなす基地経済というものからの展望から話ありましたのでお答えをいたしました。しかしながら、他面においては、せっかく世界で初めて海洋博覧会が催されるわけでありますので、私たちは憲法第九条によって国際紛争を武力で解決できない国家でありますので、その国に残されたわずかな——世界の人類、世界国家指導国の地位に立てる分野は、ただいま御指摘のありましたほかに宇宙開発分野もまだ大きいと思います。わずかな金ですでに人工衛星を打ち上げた数少ない国の一カ国になっておりますし、そしてそのほか御指摘のありました原子力平和利用、そしてまた、われわれが海洋国家として全国民が海というものを知っていながら、世界国民を含めて、海の中について、その底なり深い海中なりあるいはその利用なりについてまだほとんど手つかずであるという、その巨大な、陸地よりも広い世界の海に対して、いわゆる海洋開発への挑戦という三本の柱がわが民族に残された、英知の切り開きということによって求められる新しい国際的な貢献の場であろうと考えます。その意味においては、海洋博を単なるお祭りの場としてその施設をあとに観光のために残すというだけでなくして、その施設構想の中には、当然日本海洋国家としてすぐれた科学技術を持つ国として、世界に先がけて新しく海洋というもの、そういうものに取り組んでいく姿勢を示す機会であるし、その海洋博を通じて、日本海洋開発がいまアメリカよりかおくれておりますが、こういうものを一挙に取り返して、海洋博契機として、沖繩日本海洋開発センターに将来なり得るような構想も当然中に含んで考えているわけでございます。
  8. 武藤嘉文

    武藤委員 時間もございませんので、次に、海洋博の一応現在いろいろ準備を進めていただいておるのは通産省でございますので、通産大臣海洋博につきまして二、三の点をお聞きしたいと思います。  まず第一に場所の問題でございますけれども、五月の二十五日でございますか、次のBIEの理事会が予定されておると聞いております。そこにおいては当然登録をしなければならないという点から考えますと、あるいはまた、これから工事をどんどん進めていかなければならないということを考えますと、いずれにしても場所は早急にきめなければならないのではなかろうか、こう思いますけれども、その場所をおきめになるにつきましては、当然沖繩現地の意向というものも十分尊重されなければなりませんが、一体これはいつ、だれが責任をもって最終的におきめになるのか、あるいは場所を選定する上においては、どういうことが中心となって選定の基準になるのか、それから、海洋博規模は大体どれくらいなのか。また、いま総務長官海洋博契機として海洋開発産業のこれをひとつ拠点にしていただきたいということを申し上げましたが、私は、いま担当しておられる通産省として、将来たとえば国連などに働きかけまして——国連の中には開発機関がございます。たとえば国連海洋開発センター沖繩に設けるのだというようなことまでぜひ国連にでも働きかける意思はあるのかどうか、その辺につきまして御意見を承りたいと思います。
  9. 田中角榮

    田中国務大臣 沖繩海洋博の問題につきましては、国際事務局申請をいたしました。そして競争相手がないという見通しでございますので、沖繩決定をするという見通しでございます。  なお、この海洋博世界におけるこの種博覧会最初のものであるということが一つございますし、なお沖繩返還記念事業でもあるということもございます。なお、記念事業というだけのことではなく、海国日本として、この種のものを契機にして、日本がおくれておる大陸だなの問題とか、海洋開発そのもの一つのきっかけにいたしたいという考えがあるわけでございます。  先般もこの席から申し上げましたが、まあ、やり方といたしましては、大阪万博のように国民的な盛り上がりを待ちたいということで、大阪でやったと同じような機関を設けることを考え、その前提といたしまして日本商工会議所会頭永野さん等を中心にした懇談会をいま発足せしめていろいろ会合等をしていただいておるわけでございます。  なお、場所はどうするのかということでございますが、非常に海のきれいなところでございますが、将来的な問題もありますし、輸送やその他いろいろな立地的な条件も当然考えなければなりません。現時点においては数カ所、五、六カ所から希望が述べられております。おりますが、これはできるだけ円満に解決できること、円満に解決できるということになれば、できるだけ早くきめてしまうということになると思います。そこらがむずかしいところでございます。琉球政府にきめてもらえば一番いいのですが、どうも琉球できまるようなことはないと思います。琉球側では、これは本土政府のほうできめてくれ、こういうことでございますから、琉球側の意向、地元の意思もしんしゃくをしながら、本国政府中心になって、懇談会等の意見を聞きながらきめるということになると思います。できるだけ早い機会にということでございます。  規模はどうかということでございますが、一説には五百億程度はどうしても考えなければならないだろうというのが常識的な線として出ておりますが、どうせやるんだからできるだけ大きくやりたいという考えもございます。また将来これをどう利用するか、恒久的なものにどれだけのものが残せるのかということを考えることによって、規模や投資額も変わってくるわけでございますので、いまここで全貌を明らかにするようにはなっておりませんが、準備期間も短いということで、できるだけ早く進めたいということでございます。  また、国連等に対してどういう要請をするかという問題、そこまではきめておりません。おりませんが、これは国連をはじめ各国の協力や理解も得たいという考えでございます。
  10. 武藤嘉文

    武藤委員 そうすると、いまのところは、いつまでにきめなければならないという、確かに正式登録は五月でございますけれども、いまおっしゃいますように競争相手もございません。大体内定しておるわけでございますから、そういう点でやはり場所は、その辺からしんしゃくいたしますと大体いつごろまでにきめなければならぬというめどはあると思います。いつまでにはきめなければならぬというめどはお持ちだと思いますので、ひとつそのめどを承りたいと思いますことと、規模は五百億ということでございますけれども、これは直接の規模というふうに判断を一これも一つ構想の中でございますが、直接の投資額が五百億であるという考え方でいいのか、その点もう一度お聞きしたいと思います。
  11. 田中角榮

    田中国務大臣 めどをいつにするかということでございますが、これは早いほどいいわけでございます。もうすでに予算編成期にも入っておりますし、年内編成を急いでおる状態でございますから、できるだけ早いことが望ましい。大阪もどうもスタートがおそかったので、最後の半年間は戦争のような状態で、間に合ったからいいようなものの、たいへんな状態であったことは御承知のとおりでございますから、早いほどいいというのですが、まだ沖繩側の体制も整っておりませんので、予算編成の時点において来年度の支障を来たさないような予算を計上する、そして、予算が通過をするまでにはということでございますから、できれば年度中にきまることが望ましいということですが、これは拙速を旨としてごたごたが起きてもかないませんから、これは沖繩現地と一体的になって、できるだけ早く、そのためには各党の御協力、皆さんの御協力も得たい。地域別に運動などがなるべく盛んにならないように、いま通産省でも指導をいたしておるわけでございます。  規模も、現在いろいろ検討せられておる規模がおおよそ五百億といわれておるだけでございまして、先ほども申し述べたとおり、いろいろなプロジェクトがきまってこないと積算ができないということでございます。場所によって公共投資の単価も違ってくるわけでございますので、およそ五百億と考えてスタートしていいと思うのです。
  12. 武藤嘉文

    武藤委員 時間もございませんので、次に私はもし総理がお見えになれば総理にお願いをしたいと思っておった点を二点。これは通産大臣からはなかなかお願いをしていただくには、担当の大臣でありますだけにむずかしかろうと思いますので、総務長官にお願いを申し上げたいと思います。そしてぜひ総理にお伝えをいただきたいと思うのでございますが、それは、まずいまのお話にありました予算でございます。——総理にお願いできますか。  総理に最後に二問だけぜひお願い申し上げたいと思いますことは、いまいろいろ私が話題にいたしておりますのは、海洋博の問題でございます。そこで、海洋博総理にぜひお願いを申し上げたいと思いますことは、大体海洋博沖繩に内定をし、来年五月には正式登録になるだろうといわれておるときに、残念ながら四十七年度の概算要求の中では、たしか通産の八億の金だけしかないわけでございます。これから三年間しかないというときに、これではとてもたいへんではなかろうか、そう思いますと、何とか四十七年度の予算の中においても、通産省だけでなく、たとえば建設、運輸両省あたりにおいても予算づけをぜひお願いを申し上げたい。  もう一つは、何とか発足しようとしておるのでございますから、これに伴いまして万博と同じように関係閣僚協議会というものを設置をしていただくとか、あるいは担当大臣を設けていただくとか、こういうことは私は内閣として早急にお願いをすべきことではなかろうか、こう思いますけれども、その点につきましての総理の御意見を承らしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  13. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 通産大臣山中総務長官からおそらくお答えしただろうと思います。ただいま政府におきましても、いま御指摘になったような方向で予算編成その他の諸準備にかかるべきだ、かように思います。もちろん多額の金額を要するものでありますが、一ぺんにそれを予算化できなくとも、着実に実行のできるような、そういう方向で予算編成もし、諸準備を進めるべきときに来ている、御指摘のとおりでございます。同感でございます。十分注意するつもりでおります。
  14. 武藤嘉文

    武藤委員 閣僚協議会のことと担当大臣のことを……。
  15. 田中角榮

    田中国務大臣 計画の進展の過程において、閣僚協議会等設置するよう考えております。  それから予算は、正式要求以外に、この計画の進展の過程において予備費等十分対処できると考えておるわけでございます。
  16. 床次徳二

    床次委員長 関連質問でありますので、これを許します。國場幸昌君。
  17. 國場幸昌

    國場委員 それでは山中長官に……。  沖繩の民生を安定化し、過疎化を防止するためには、企業誘致というのが必須条件であることは御案内のとおりでございまして、沖繩基地経済から脱却させ、そして企業を勃興させて就労の場を安定させるということは、御案内のとおりでございます。沖繩人口の減少率を見ました場合に、一九六九年、いまから二カ年半前でございますが、そのときに九十七万八千名という人口が、昨年九月には九十四万五千名、去る六月には九十二万五千名、そういうような過激な減少率を来たしております。  そこで、この企業誘致問題に対しましては、今日までアメリカのほうから、かけ込み外資だとかいろいろいわれております中にも、何らの条件をつけずして外資導入の申し込みがたくさんあったわけなんです。一つ例にとって申しましても、アルコアのアルミ企業に対しての申し込み、これも政府の、いわゆる通産省の国内企業育成のためにということで、五社合併いたしまして、合弁会社をつくって沖繩に売り出すということでキャチフレーズをあげてやったのですが、これがなかなかうまくいっておらない。と申しますのは、御案内のとおり沖繩は先行投資すべきところの水あるいは電気、道路、港湾、こういうようなたくさんやらなければいけない問題がございますが、本土においてのこのアルミ一トンのコストに対して、沖繩においては二万円は高くなる。そしてその条件を満たすためには、政府は抜本的な対策をもってそれに対するところの援助策を講じていただきたい、こういうようなことを言いながらも、しかしこれはいざ実行という段階になりますと、その半額、一万円しか減少できない、こういうことでございますが、私は、これに対しまして政府はいかような考え方を持ち、また川崎重工にしましても、条件が合わないから引っ込んで、とうとう沖繩を飛び越してシンガポールに行ってしまった。今日まで外資導入の問題は、たくさん申し込みがあったのですが、本土からの企業進出というのは一つもございません。これに対してもいわゆる政府としてはいかような考え方をお持ちでありますか、どうか通産大臣、ひとつそれに対しての御答弁をいただきたいわけでございます。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 沖繩アルミの進出につきましては、四十五年十二月に会社を設立をしておるわけでございます。その後少し計画がおくれておるというような状態で、進出を中止をしたのではないかというようなうわさがございますが、慎重にボーリングをやっておるということでございまして、進出を中止をしたわけではないのでございます。  なお、製品を出すことが半年ばかりおくれたわけでございますが、これらの計画に対しては、琉球政府と企業者側との間に意思の疎通が十分はかられておるはずでございます。  なお、いま御指摘になりましたとおり、二万円程度製品が高くなるということがございますので、これらに対しては長期低利の金融上の問題とか、税制上の問題その他いろいろな問題で二万円のコスト低減というものに対しては具体的に考えております。でございますから、この進出は計画どおり進出をせしむるという考え方でございます。
  19. 國場幸昌

    國場委員 いろいろ申し上げたいことがございますが、時間でございますので、あとで担当省におきましていろいろお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  20. 床次徳二

    床次委員長 千葉七郎君。
  21. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 私は沖繩本土復帰に伴いまして、今後の沖繩県の振興の計画並びに沖繩復帰に伴う臨時措置法等の問題につきまして、政府の所見をお伺いいたしたいと思います。なかんずく農林水産業関係を主といたしましてお伺いをいたしたいと思いますが、その前提となる問題につきまして二、三お尋ねをいたしましてから本題に入ってまいりたいと存じます。  沖繩本土復帰をするという問題でありますが、その実態はどのようにお考えをされておるのか、まずこの点を総理大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
  22. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 沖繩の祖国復帰、これは何を意味するか、こういうようなお尋ねかと思いますが、これは申し上げるまでもなく施政権の返還、ただいまアメリカが持っている立法、司法、行政についての施政権、これを完全に日本に返して、本来あるべき沖繩県の姿、それを取り返そうと、こういうのでございます。その間にいろいろいままでの状況において一つ変わった点は、いままでアメリカが施政権を持っていた、それが形の上では軍基地、強力なるまた密度の高い軍基地がある、そういうことではないだろうか。それをただいま本来の日本の県であるべき姿、そういうことにするというために施政権が返ってくる、同時に諸条件を本土並みにするという、そういうことで、この問題を解決、それに取り組む、こういうことが私どもに課せられた一番大きな仕事のように思っております。過日、本会議においての決議、それなぞもさような意味でとり行なわれた、かように私は理解しておる次第でございます。
  23. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 沖繩日本復帰をする、日本返還をされるということは、ただいまの御答弁によりますと、日本から離れておったいわゆる立法、司法、行政、この施政権が返還をされるということだ、こういう御答弁であります。確かに私もそのとおりだと思うのであります。しかし、返還の実態というものは、いわゆるあなたのおっしゃる失っておった領土が返ってくる、これが実態ではないかと思うのであります。失っておった領土、すなわち奪われておった土地が以前の所有者に返ってくるということが、返還の実態ではないかと思うのであります。しかし今度の沖繩返還は、その土地が決して以前の所有者には返ってこないというのが、今度の返還の実態ではないかと思うのでありますが、その点についてはいかがお考えでありましょう。
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 千葉君にお答えいたしますが、どうも端的に、ただいまのお尋ねについて質問と私の答弁がかみ合わないと、これは答弁にならないように思うのですが、何だかどうも私、お尋ねの点をつかみかねております。そういう意味で率直にお話し願って、こういう点がどうだ、こういうような御指摘が願えれば、それについて私の所感も答える、かように思って立ち上がったのでございますが、どうぞ御遠慮なしに率直にひとつお話しください。
  25. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 つまり私の言いたいことは、今度の返還ということは形だけの返還であって、実質的な領土の返還ではないということを申し上げたいのであります。  というのは、この返還前提は、従来の米軍の基地はそのまま米軍に使用をさせますという前提のもとに立っておる。したがって、奪われておった土地は以前の地主には返ってこないということが前提であります。でありますから、あなたのおっしゃるように、今度の沖繩返還は失っておった領土が日本に返ってくるのだということにはならない、こういう点を申し上げたい。つまりこの返還協定というのは全くのごまかしの返還協定だ、返還だ、こういう私は事実を申し上げたいのであります。それに対する御所見をお伺いをいたしたい。
  26. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いろいろ問題があると思います。これは、申し上げるまでもなく、この沖繩、これがさきの戦争で奪われた領土だ、そういう感はいたしますし、またいわゆるサンフランシスコ条約第三条にいたしましても、一時、恒久占領、こういうような点を指摘したこともございます。それが県民の反対によりましてようやく、沖繩は本来日本の領土である、ここに住む者は日本国民だ、こういうような感覚、そういう本来の主張が通って、そうしてただいま祖国復帰がかなう、こういう形であります。ところが、もうすでにその地域については、密度の高い軍基地が建設されております。私どもはこれを直ちにいまの状態をすっかりなくすること、これは考えてもおりますが、さようなことはできる相談ではない。だからただいまのところでは、最小限度われわれのがまんのできるのは、一日も早く日本に、祖国に沖繩県を迎えることだ、そこに施政権の返還を実現することだ、かように思っております。そうしてただいま御指摘になりましたような諸点については、これに日をかしていただいて、時間をかしていただいて、これを解決していく、これがわれわれのこれからとるべき姿ではないだろうか、かように思う次第でございます。
  27. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 この問題につきましては、いままでもしばしば議論をされておりますので、私の持ち時間は四十五分でありますから、この問題をいつまでも議論をしておるわけにはまいりません。したがって私は、この問題につきましてはこれで打ち切りにいたしますが、私のこれからの質問につきましては、私がいま申し上げました私の考えに立って御質問を申し上げたいと思うのであります。  そこで、沖繩返還後におけるいわゆる豊かな沖繩県つくり上げるためには、まず何と申しましても直ちに着手をしなければならない問題は、いわゆる農林水産業の振興が最も重要な、最も急がなければならない問題だと思うのであります。  そこで、この農林水産業の振興を進めてまいりますためには、何としてもこの米軍の基地が、現在三百五十二平方キロですか、そのまま米軍に使われるということになっておったのでは、この農林水産業の振興に大きな支障を生ずると思うのであります。したがって、この米軍基地返還につきましては、政府は全力をあげて取り組んでいただかなければならない。そのために、過般二十四日の衆議院の本会議におきましても、いわゆる非核兵器、基地縮小するなんというような決議案でありますから、ちょっと理解に苦しむ決議案でありますけれども、内容的に見ますならば、沖繩のこの軍事基地は、米軍基地はすみやかな将来において返還の措置をとるように政府が努力をしろ、こういう決議のようであります。それに対しまして総理大臣は、この決議の趣旨を尊重をして、そしてその実現のために全力をあげて努力をする、そういうことを国会においてお誓いになったようであります。私は出席をいたしておりませんでしたから、したがってテレビでその総理大臣のことばを聞いたわけでありますが、国会においてそういう誓約をなされた総理大臣の、何と申しますか、今後のその決意、米軍基地縮小に対するその措置をどう実行してまいるかという点につきまして、総理大臣の御所信をお伺いをいたしておきたいと存ずます。
  28. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 豊かな沖繩県づくりにつきましては、いろいろの見方がございます。内地と比べる場合に、本土と比べる場合に、ずいぶん社会的投資がおくれておる。それもいままでのところは、軍基地である、そういう形で、本来狭い島々がその軍基地のために一そう狭められておる、自由に使えない、これが産業振興、ことに御指摘になりました農水産業等については最も大きな、むずかしい隘路になっておる、このことは御指摘のとおりであります。私が申し上げたいのは、やはり近代農業としては水資源の確保、同時に、沖繩としてはりっぱな港湾を持つことがどうしてもその基盤であるだろうと思いますが、それにもましてやはり狭い島嶼でありますから、これが島民に返される、そういうことで耕作面積が広がる、こういうことが望ましいことは申し上げるまでもないことでございます。  しかし、私は今回の祖国復帰に際して何度も繰り返して申し上げたところでございますが、米軍は今度は日米安保条約のワク内にとどまる、そういうことになるのだ、したがって行動その他に非常な制約を受けますから、いままでのとはその本質が変わってくる、その性格の変わりや、同時にまたあり方にも変化を来たすんではないか、かような意味で十分に話し合いができるんではないか、絶えず米軍との交渉を持つことによりまして基地縮小、整理をはかっていく、これが私の考え方であります。  また私どもは、このことを考えながらも、本土の場合においても同じようなことが言われた。これは占領下において非常に密度の高い基地でありましたが、今日の状態では日米安保条約のワク内において、日本の自衛隊の充実、同時にまた経済力等の発展によりまして、全部を米軍に依存するということのないようになってまいりました。私は沖繩においても同様なことが期待できるんじゃないだろうか、かように思いますので、今後のわれわれの努力、これは日米安保条約のワク内においてその行動を制約する、またそういう意味合いにおいて米軍もあってほしいというわけで、絶えず連係を緊密にすることによって、ただいまのような基地の整理統合、これが可能ではないだろうか、かように期待するものでございます。
  29. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 ただいまの御答弁によりますと、沖繩返還によって沖繩駐留の米軍の性格が変わってまいるんだということでございます。としますと、返還前の沖繩駐在の米軍と、それから返還後の沖繩駐在の米軍の性格が全然異なる、こういうふうに理解ができると思います。  そこで伺いたいのは、返還前の沖繩駐在の米軍の任務なり性格なりはどういうこと、どういう内容でありますか、その点もひとつお伺いいたしておきたいと思います。
  30. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私が申し上げるまでもなく、千葉君も御承知のとおり、アメリカ施政権下にあって、アメリカの領土、領域内にある米軍とほとんど同じような感じで運営されていたのではないか、かように思っております。したがいまして、すでに撤去されました毒ガス兵器、あるいは今度核兵器も返還時にはなくなるという、これがニクソン大統領と私との確約でもありますが、そういう事態が目に見えてはっきりするだろうと思いますし、またすでにB52、これはなくなりましたが、いわゆるこの沖繩基地にして他の地域に発進する、こういうような場合には事前協議の対象になりますので、私どもがその事前協議を受けた場合にどういうような返事をするか、そのときの環境にもよりますが、われわれはどこまでも平和な日本をつくる、本土を守る、こういう立場に立ってその事前協議に応酬するわけでありますから、そういうことなど考えますと、いままでのような自由発進のできるような基地ではないし、またさらに、いままでもこの委員会でしばしば問題になりましたが、外国の兵隊の訓練をする、こういうような問題は性格的になくなるだろう等々考えると、よほど変化を来たすのではないか、かように思います。
  31. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 私は、現在沖繩に駐留している米軍の性格なり任務なりというものは、アジアにおける米軍の戦略を遂行していくために沖繩に米軍が駐留をしておる、これが沖繩駐留の米軍の任務だと思うのであります。そのアジアにおける米軍の戦略というのは、これはどういうことか、これは申し上げることは差し控えます。しかし、今度沖繩日本に返ってきまして、そしてその後における米軍の沖繩駐留の任務というものは、いわゆる安保条約に定められた任務を背負ってくるものだと思うのであります。安保条約に定められた日本駐留の米軍の任務というものは、まず第一に日本の平和に寄与するということが安保条約の第六条で定められておる。そして、それに並んで極東の平和と安全に寄与する任務もあわせて持つんだ、こういうふうに規定されておるのであります。したがって、現在沖繩に駐留しておる米軍の性質ももちろん変わってくるわけであります。したがいまして、安保条約に定められました日本駐留の米軍の性格が変質をするというならば、現在の沖繩に駐留をしておる米軍の量なり質なりが、そのまま必要かどうかということが大きな問題になってくるのではないかと思うのであります。そこに大きな変化が生ずるのではないか。現在の日本の国内に駐留している程度の量なり質なりで十分日米安保条約第六条に定められた任務を遂行していく上においては、その任務なりが十分果たされる、もちろん私たちは日米安保条約そのものを否定しております。しかし、かりにこれを認めるとしても、返還前の米軍の量なり質なり、あるいは基地の広さなり、そのまま日本に必要だというふうには私は考えられない。しかし、この問題につきましては議論をしておりましたのでは時間をとりますから、ただ私の考え方を一応申し上げておきまして、次に進んでまいりたいと思うのであります。  農業の振興あるいは水産業の振興、その前提となる問題は、従来米軍によって収用されておりました農地なりあるいは海面なり、その行為に対する土地を提供して収用された人々の損害に対する補償の問題が前提となってくるのではないかと思うのであります。現在沖繩で米軍に収用されました土地のつぶれ地に対する補償の要求、これは件数にいたしまして一万四千四百八十六筆になっております。面積にいたしますと四十八万二千四百二十六坪、請求額は三十七億ドルほどの請求額となっておりますが、これは主として米国の軍隊によって通路として使用されたり、あるいはその他の必要な用地として収用をされまして、そして従来、補償されないままになっておった。それに対して、補償の請求を収用された地主から起こされておるのでありますけれども、事実上補償されていない。しかし、今度の返還協定によりまして、政府アメリカに対する請求権は放棄をいたしております。したがって、この未解決のままで放置されておる農地のつぶれ地に対する補償、これはアメリカにかわって日本政府が当然補償しなければならぬ、こういう義務が出てくるのではないかと私は思います。いままでこの委員会におきまして、しばしばこの補償の問題等につきましては論議をされておったのでありますが、主として人間関係の補償の問題が論議をされてまいっております。つぶされた農地に対する補償問題につきましては、やや議論が行なわれておらない。そこで私は政府にこの問題に対する所見をただしておきたいのでありますが、このつぶれた農地に対する補償、これに対しまして政府は責任を持って補償しなければならぬと思うのでありますが、それに対する御見解をお伺いいたしておきたいと思うのであります。
  32. 山中貞則

    山中国務大臣 これは本委員会においても、やはり人身問題ばかりでなくて、諸請求権の内容について議論が行なわれたところであります。したがって、これは一応つぶれ地も含めて大部分は調査の必要があるわけであります。琉球政府自体も確認できないようなケースが多うございますので、入り会い権の問題等もございますし、それらの問題を含めて調査を共同で国のほうが積極的に推進していくことによって、たびたび答弁をいたしておりますが、予算措置で済むものもあり、あるいはまた立法をすることによって措置をしなければならないものもあり、前提としては本土政府に請求権がありということではありませんけれどもアメリカ軍が支払わないものにかわって本土政府が支払う措置をとるということを申し上げているところでありまして、これは農林水産関係については、農林省もまた担当大臣たる私は、直接防衛施設庁において予算を要求し、今後処理してまいりますけれども、それについては沖繩の実態、沖繩県民の声というものを応援と申しますか、理解し、それを推進するための努力をしてまいりたいと考えるわけでございます。
  33. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 なお、この米海軍の演習による漁場の制限によりまして、漁業の操業が制限をされる、押えられる、そういうことに対する漁民からの請求も従来放置されて顧みられなかった実態にあるようであります。件数にいたしますと、千八百四十件ほどになっておりまして、その金額は二百十六億ドルほどになっておるようでありますが、この海軍の演習による漁業補償につきましては、これも同様に日本政府において調査の上に補償するという立場に立たれておるかどうか、これもあわせて御答弁をお願い申し上げたいと存じます。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 漁業関係ではケースが三つに分かれると思います。一つは、ただいまお話しの米海軍の海上演習あるいは実弾射撃訓練等によって漁業海域なり操業を制限されたことに対する沖繩漁民の立場からいえば、請求権というもの、さらにまた本来制限さるべきでない地先というものが、軍用地先によって制限されたことに伴う操業上あるいは魚獲上の損害、あるいはまた那覇軍港に米原子力潜水鑑が入港した際、コバルト汚染があったということのうわさが流れたために関係漁協の諸君のとりました魚が売れなかったり、値下がりをいたしましてその被害を受けたケース、こういうものに分かれると思いますが、それぞれこれは国において適正なる調査の上措置をするつもりでございます。ことにコバルト汚染魚による損害等については、佐世保の方式等が一ぺん前例もございますので、それらを前提として念頭に置きながら処理を進めてまいる覚悟でございます。
  35. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 補償問題につきましては、ぜひ御答弁にありますように、政府の責任においてこれは十分善処をしていただくように、特に要請をいたしておく次第であります。  時間がありませんからどんどん進むことにいたしまして、次に農地の問題につきましてお伺いをいたしたいと存じます。  復帰に伴う特別措置に関する法案によりますと、その第百八条におきまして「沖繩県の区域内にある小作地については、農地法第六条第一項の規定は、この法律の施行の日から起算して六月間は、適用しない。」こういうことに相なっておるわけであります。この第六条第一項は、これは私から申し上げるまでもなく、その居住する町村内あるいは町村外における小作地の所有の面積の制限でありますが、これは六カ月間適用しないということになっておりまして、そしてしかも六カ月以後におきましては、沖繩の在村地主の所有の小作地の面積の制限は、大体一ヘクタールを目標としている、このように伺っておるのでありますが、それに間違いありませんか。農政局長でけっこうですが、農林大臣なら、なおけっこうです。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 そのとおりでございます。
  37. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 その一ヘクタールに所有の制限をするという根拠は何でありますか。それをお伺いいたします。
  38. 山中貞則

    山中国務大臣 本土平均が一ヘクタールであるというのも根拠でありますが、沖繩においては、地域によって平均保有反別のばらつきが大きゅうございます。沖繩本島の内部においては、中部が、保有反別の平均は軍用地の関係で、先ほど来お話しのとおり低くなっておりますけれども、北部のほうで大体〇・八ヘクタール前後になっておりますし、南部でもそれに準ずる保有反別の平均が出ておりますが、さらに宮古、石垣、大東諸島等においては、平均保有反別が一ヘクタールもしくは二ヘクタール、五ヘクタールというふうに非常にばらつきが多うございまして、小さな島にしては、ちょっと意外な感がありますが、その平均保有反別から見ますと、やはり小作地の所有制限も本土平均の一ヘクタールというものを適用して差しつかえないだろうということで、その根拠をもって適用するわけでございます。
  39. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 私の調べたところによりますと、沖繩の農家一戸平均の経営規模というのは大体〇・八ヘクタールになっております。日本本土内の在村地主の小作地の所有は一町歩平均といいますけれども、これは東北地方等の農家の経営規模を標準にして考えますというと、国内の、本土内の小作地保有の一町歩平均程度を沖繩に当てはめるということは、これは少し過大に過ぎるのではないか、このような感じがするのであります。  四国、九州地方等の在村地主の小作地の所有の上限を見ますというと、香川県は〇・六ヘクタールであります。愛媛は〇・七ヘクタール、高知〇・七ヘクタール、徳島も〇・六ヘクタールでありまして、したがって、四国の小作地所有の制限面積は平均いたしまして〇・六五ヘクタール、こういう面積になっております。また、九州の制限面積を見ましても、九州では平均〇・八ヘクタール程度になっております。したがいまして、沖繩の在村地主の小作地の所有面積を一町歩に制限をするということは、少し過大に過ぎるのではないか。多くとも沖繩の一戸平均の農家の経営面積程度にとどめるべきではないかというふうに私は考えられるのでありますが、農林大臣の御所見をひとつお伺いいたしたいと存じます。
  40. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、先ほど私、概略のばらつきを申し上げましたが、沖繩北部、中部、南部、宮古、八重山と分けますと、沖繩北部においては一戸当たりの耕地面積が〇・八三ヘクタール、沖繩中部においては先ほど申し上げましたとおり、軍用地の関係で〇・四ヘクタール、沖繩南部においては〇・七七ヘクタール、宮古においては、一・三八ヘクタール、八重山においては二三七ヘクタール、ことに大東等においては、さらにもっと規模が大きゅうございます。しかしながら、これは農林水産委員の千葉先生御承知のとおり、県知事が農地法に基づいて一ヘクタールの制限範囲の中で、その地域における耕地面積の実態に応じて配分をすることができるわけでありますから、当然これは原則としての一ヘクタールを示したものでありますので、それらの実態にそぐわない地域等、すなわち中部等が典型的なものでありますが、そういうものについての配慮は実施上なされるものと思います。
  41. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 不耕作地主の過保護にならないように、ひとつ十分考慮をしていただきたいと存じます。  時間がありませんからどんどん進みます。  沖繩には製糖会社等が相当広大な農地を所有しておりまして、それを小作人に無料で貸し付けをしている。そしてそこでサトウキビの契約栽培等を行なっておる。こういう経営が行なわれておるようであります。日本沖繩返還になりますれば、当然これは日本の農地法が適用されまして、いわゆるいまの制限の小作地以上の土地は当然これは国が買収をするなり、あるいは小作人に解放するなり、こういうことになるわけでありますが、ところが私、沖繩に参りまして、その耕作の実態をいろいろ聞いたのでありますが、本土の農地法によって土地が解放されて、小作人がその耕作しておる土地を買い受けをするということになりますと、その買い入れの資金の問題、それからその資金を政府の自創資金等によって借り入れをしたといたしましても、それに対する利息の支払いもしなければならぬ。それから、これは当然農家個々の所有地になりますから、したがって税金も納めなければならぬ、こういう結果になるわけであります。  そこで、この製糖会社の農地を小作しておる農民の中には、従来のとおり契約によってサトウキビを耕作をするということ、それが継続できるのならばあえて土地を買う必要はない、こういう考えを持っておる人も相当数あるようであります。そういう農家も相当数あるようであります。したがいまして、そういう農家に対しましては、この土地の買い入れの資金、いわゆる自創資金なりその他の資金なりに対しましては、金利等の支払いについては特別の措置を講ずる必要があるのではないか、かように考えられるわけでありますが、そういう点に対する配慮は考えられておりますかどうか、お伺いをいたしたいと存じます。
  42. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、御承知のように農地法の趣旨がいままでは地主に——いままではというのは農地法施行前あるいは戦前という意味でありますが、地主によって土地を保有されて、いわゆる小作米を納入させられていた。小作料の納入というものがそれと引きかえであった。いわゆる幾ら働いても自分のたんぼではない、いわゆる大地への投資あるいは意欲というものが伴わない営農形態であるということ、これが間違いであるというので、自作農創設はそういう趣旨を体して施行されたものでありますから、会社有の土地を、これはやはり現実には、会社のほうも耕作料は取っておるようでありますが、それを、いま農地法によって国が買収をして、耕作者に渡すという場合に、御承知のような三十年、五分五厘という条件で、本土においても、これはきわめて農民にとって、いわゆる自作農たらんとする者にとって、小作人から自作農への喜びを得たいという者にとって、過酷な条件ではなかったと思うわけであります。もちろん、自分の所有物になるのでありますから、愛着と同時に固定資産税等の対象になることもこれは当然のことでありますけれども、その意味において、もしいまのほうがいい。しかしながら、これは製糖会社が持っておりましても、直営圃場でない限りは、農地法によって一ヘクタール以上は持てないわけでありますから、そうすると、国が一ぺんもちろん国有にいたします。そして、耕作を希望する方には、その耕作者に対して適正な賃借料を前提としてその耕作を引き続き認めていくという処理がとれると思いますので、大体そういう方はないように私は承知いたしておりますけれども、そういうケースがあってもだいじょうぶであると考えます。
  43. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 この農地問題につきましては、もっともっとお伺いしたいことがたくさんあるのでありますが、時間がありませんから、次に移ることにいたします。  食糧管理の関係につきましてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、沖繩における米の生産は一万トンと聞いております。しかして、消費量は全体で十万トンと聞いておりますが、一万トンの生産される米で、販売、流通に乗る米は三千トン内外と聞いておりますが、この特別措置法案によりますと、第百十条で、「食糧管理法第三条、第四条ノ二及び第八条ノ二から第八条ノ六までの規定」それから「第九条第一項の規定」等は「当分の間、適用しない。」こういうのであります。これはどうも、私、法律の性質からいって少しあいまいではないかというような感じがするのであります。「当分の間」というようなあいまいな規定というのは、ちょっと法律としてはどうかと思うのでありますが、ともかく「当分の間、適用しない。」というのでありますが、その「当分の間」とは、一体どれぐらいの期間をさすのでありますか。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、沖繩における食管の特例を設けます期間を五年といたしておりますから、それを受けて、その「当分の間」は五年であります。
  45. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 当分の間が五年なら五年と規定すべきじゃないかと思うのですが、それはそれといたしまして、そこで、第百十一条の問題でありますが、「政府は、当分の間、」これは五年間の間だと思いますが、「予算の範囲内」でこの沖繩で生産をされた産米を農業協同組合をして買い入れをさせる。こういうふうに理解をしたわけであります。そこで、この農業協同組合が、政府の定めた買い入れの一定価格を下らない価格で買い入れをしたり、それを売り渡す仕事をしたり、それに対して生じた損失の補てんに充てるための交付金を交付する、こういう規定になっておるようであります。  そこで、まず第一にお伺いをいたしたいのは、この一定の価格であります。これは第二項によって定められておるようであります。いろいろな——なかなか読んでみてもちょっと理解しがたいようなくどい規定になっておるのでありますが、いずれにいたしましても、第二項の定めによって、農林大臣が一定の価格を定める、こういうことになっておるようでありますが、これは本土の食糧管理法の定めによって定められた米価審議会において決定をされて、それに基づいて政府が定めた買い入れ価格で買うべきが私は至当ではないかと思うのであります。農林大臣が、これはこれこれの定めによって一定の価格をきめるのだ、こういうことになっておるのでありますが、これは明らかに沖繩県の農民に対する差別待遇だと私は思うのであります。沖繩県本土に返ってくる、本土並みに返ってくるのだ、これは佐藤総理大臣が一枚看板にしているのであります。しかるに、米価問題についてもこれは差別をしておる。農林大臣が、こんなごちゃごちゃしたことで——これは米価審議会の決定を経てということが書いてない。そうして農林大臣が定めて、一定価格で買い入れる、こういうのでありますから、したがって、こういう差別待遇はやめるべきだと思うのであります。しかも、流通に乗る米の量はわずかに三千トンでしょう。このわずか三千トンの米を買い入れるのに、差別をした価格で買うということは、私は、法の前に平等といういわゆる憲法にも違反する問題ではないかと思うのでありますが、それに対する御所見をお伺いいたしたいと思います。
  46. 山中貞則

    山中国務大臣 これは差別をいたしておりませんで、現在沖繩では八万トンの消費に対して——私は八万トンと思いますが、生産者から農協を通じてあと払いシステムのもとに出されますものが約四千トンであると思います。これについては、大体沖繩の米の品質は四等の中から五等ぐらいのものが大部分であることは現地でも認めておられます。そういたしますと、現在の価格は極端に低い価格ではございません。これは双方——ことしも琉球政府は買い入れ価格を相当に引き上げられたわけでありまして、その価格をもってそのまま本土との間にあと払い制度というものを認めていこう、そのための法律上の例文でありますが、予算などに定める範囲内ということでありますけれども、これは大豆なたね交付金等と同じように、それは約束事でありますから、その金額を支払ってまいるわけであります。したがって、沖繩の農協関係者等ともよく相談の上詰めたことでありまして、これは他面において、沖繩の基幹作物はどうしても本土のまねのできないもの、優位なものをつくらなければならぬということになりますと、どうしても、キビ、パインということになりますので、新しく本土に戻りまして転作奨励金等を出します場合の対象に、これは農林省との間に合意いたしまして、サトウキビ、パインというものも、その転作の対象にしたいということも新しく追加したいと考えておりますので、農業の新しい沖繩におけるあるべき姿というものに逐次沿っていただくような配慮をいたしておるということにすぎないわけでありまして、五年を経過した後は、逐次本土にさや寄せしていく期間というものがまたございますので、それはそのときにおいて、沖繩の米作の現状というものを踏まえながら進めてまいりたいと考えております。
  47. 床次徳二

    床次委員長 時間が参りましたので、それで終わっていただきたい。
  48. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 聞きたいことが山ほどあるのですが、時間、時間と言われますので、もう一点だけ聞きましてやめることにします。  この百十一条ですね。この米の取り扱いによって生じた損失の補てん、これは「当分の間、予算の範囲内」でということはないと私は思うのです。当然政府にかわって、そして農協に対して米の買い入れ、配給の仕事をやらせるのでありますから、したがって、「当分の間、予算の範囲内」で「交付金を交付することができる。」という、こういう規定はもっとはっきりきめるべきじゃないかと思うのであります。損失を生じたら、これは政府が負担をする。「予算の範囲内」で「交付金を交付することができる。」というようなことではなく、はっきり規定すべきだと思うのでありますが、この点をお伺いをいたしまして私の質問を終わります。
  49. 山中貞則

    山中国務大臣 これは答弁でもちょっとお話ししたとおり、法律の例文でありまして、先ほど大豆なたね交付金等の例を引きましたが、そういうふうに表現はしてありますが、沖繩においてその操作を農協がやったことによって起こった損失というものの言い方ではなくて、損失の出ないように国のほうで予算の措置をとりますということを言っているわけであります。
  50. 床次徳二

    床次委員長 新井彬之君。
  51. 新井彬之

    ○新井委員 私は、今回の連合審査の機会を与えられたことを非常に喜びとするわけでございますけれども、非常にたくさんの問題、その問題をたった三十分間でやらなきやならないということについては、非常に遺憾に思うわけでございます。特に今回のこの法案は慎重審議をしていかなければならないということは、みんなが言うことでございますけれども、それが政治的な配慮によって秒読みの段階に入っておる。こういうことではほんとうの審議はできないのじゃないか、このようにまず申しておきたいわけでございます。  初めに、総理にお伺いをしたいわけでございますが、先ほども答弁があったわけでございますけれども総理は施政方針演説の中で、「沖繩が核抜き本土並みで返還されることは、アジアの緊張を緩和するのみならず、日米修好百年の歴史に、さらに輝かしい一ページを書き加えるものであります。」また「外国の施政権下に置かれてきたこれら同胞の方々に対し、ほんとうに御苦労をおかけいたしました、と申し上げる以外のことばを知らないのであります。この上は、その御労苦に報いるためにも、一日も早く円滑な復帰を実現し、明るく豊かでそして平和な沖繩県を建設することが、われわれに課せられた使命であると信ずるものであります。」こういうぐあいに言われておるわけでございますが、いままでいろいろ審議を尽くされた中で、先ほども答弁がありましたが、結局沖繩を、沖繩の県民の方の心を心として今回の返還をしなければならない、そういうようなお気持ちはあると思いますけれども、最終的な目標というものを一つ持たなきゃならない。たとえて言いますと、沖繩をほんとうに基地をなくして平和な住みやすい島にするんだ、それが最終目標なんだ、そういう一つの目標に立ち、その決意に向かっていままで言われておるのか、それとも、まあそうじゃなくて今後の成り行きを見ていくんだ、そして安保条約の範囲内でそういうぐあいに規制もされるんだし、そして私としてもまあ何とか縮小の方向で、相手もあることだけれども状況によってやっていこうと言われるのか、その点をひとつはっきりお答え願いたい。そしてもう一つ、先ほど言いましたように、沖繩の県民の心をほんとうに心としてやるんだ、この二つをまずお伺いしたいと思います。
  52. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日本の安全を確保する、その方法といたしまして、私は平和に徹する外交を展開するが、同時に日本日本の防衛のために必要な自衛隊を持つ、こういうことをきめてスタートしております。そうしてその自衛力の不足分は、いわゆるアメリカとの間の日米安保条約、それによって補っていく、こういう考え方でただいま日本の平和、安全、その確保に向かっておるわけであります。沖繩が祖国に復帰すれば、当然本土と同じその立場において沖繩の防衛もわれわれの任務だと心得ておりますし、ただいまある米軍基地も、本土における米軍基地と同じような使命に変わるべきものだ、かように思っております。  私は、在来からの考え方で、沖繩でいわゆる太平洋戦争、その当時、ずいぶん激戦が展開され、同時にまたその後引き続いてアジアの戦略的なかなめ石としての米軍基地整備された、こういうことに対してはたいへん残念に思っております。しかしながら、ただいま祖国に復帰すれば、私が申し上げるように本来のあるべきその姿、これが沖繩県民の心でもありますし、日本国民として当然の権利を日本政府に対して持つという、これが沖繩県民の真の心ではないだろうかと思うのでありますが、同時に米軍基地もさような観点で本土と同じような基地であるべきだ、かように私は考えておるのであります。私どももずいぶん長い間、米軍の司令部が本土にあることについては不満を持っておる、しかし日本本土にあった米軍司令部、その司令部はハワイに帰ってまいりました。私は、またニクソン・ドクトリンが出てからずいぶん戦術的にも変化は来たしておると思います。したがって、沖繩がいままで自由に使われた当時とは変わった状況に置かれるのではないだろうかと思います。ことにわが国の安全という観点から見るならば、ただいま沖繩が米軍基地として、米軍が他のアジアの地域に有する米軍基地と自由自在に連絡がとられておるこの姿では、日本の安全の確保においてこれはたいへん憂慮にたえないものもある、かように私は思いますので、今後は安全保障条約のワク内にそれをとどめる、もっと具体的に申しますならば、いままで米軍が、アジアの戦略的なかなめ石としてのその役割りを、今後は返還することによって安全保障条約のワク内にとどめる、こういうことでございますから、これは量的にも質的にも変化が当然あるべきだ、かように実は思っておるわけであります。ただ、返還のその際に直ちにそのことを実現することはできない、ただいま経過的な措置としてさような状態を認めざるを得ない、こういうことがいかにも残念でございます。しかしながら、ただいま御指摘になりました二つの点、沖繩同胞の心を心とし、同時にまた米軍基地のあり方等についても、私どもはただいま申し上げたような基本的考え方でこの問題と取り組む、こういうことを重ねて申し上げておきます。
  53. 新井彬之

    ○新井委員 ただいま総理から答弁をいただきましたけれども、私の聞きたいことは答弁に出てないように思います。私も沖繩のほうに行ってまいりまして、少なからずいろいろな方に御意見をお伺いしてまいったつもりでございます。今回、沖繩のほうから、もう最後の日本本土政府に対しての沖繩県民の叫びとしての建議書、これは総理ももうお読みになった、このようにおっしゃっておりますけれども、その中で書いてあることは、私はほんとうに納得できることである、このように思うわけでございます。確かにいまの時点において米軍はすぐ出ていけ、相手のあることですから、それはなかなかいえないことかもわかりませんけれども、そのアジアの緊張緩和という一つの問題にしても、アメリカはいま中国が国連加盟をしたというようなことで大きく転換になっておるわけでございますけれども、やはりそういうような世界の平和を目ざすという努力をする。アメリカが政策を転換したからわれわれもそれに乗っかってこういうようになっていくというのではなくて、私は日本の立場というのはほんとうにこれからの世界平和のかなめ石じゃないか。沖繩をそんなに、パシフィク・キーストンというような立場において守るのではなくて、もっと大きな見地に立って日本がそういう使命を持っているんだ。だから私は、日本がそういう使命を持っている中で、その総理になる人というのは少なくともそういう見識に立たなければならぬ、こういうぐあいに感じておるわけでございます。  私がなぜこの土地問題についてそういうことを聞くかと申しますと、建設委員会というのは御存じのように、いろいろなものを建てるあるいはまたそれに対してほんとうに豊かな建設をしていかなければならぬということでございます。ところが、まあいろいろ指摘をされておりますように沖繩基地というのは、本土は〇・〇八%、ところが沖繩においてはもうそれが非常なパーセンテージを占めている。それも重要な地域というのは米軍基地が占めておるわけでございます。そうしてまた米軍基地がC表によって返ってくるわけでございますけれども、そういうのが非常に少ない。そしてまたB表で返されるのも自衛隊に肩がわりされようとしている。だから、最終的にやはり総理が、沖繩はほんとうに本土並みなんだ、基地もほんとうに少ない、住みやすいことにしなければならぬのだ、こういうぐあいに基本的に考えなければこの問題はほんとうの沖繩県民の心をつかんでいるとは言えない、このように私は申し上げておきたいと思います。  時間がないから次に進みますけれども、おとといの質問に、安里委員だったと思いますけれども、その質問に対しまして外務大臣が、この暫定措置法案において五カ年を経過した後あるいはまたこの返還後において自衛隊を派遣する場合に、今後新たに米軍が撤退するとそのあとを自衛隊が使用する場合がないわけではない、そういう際は本土の土地使用の手続に従って基地を入手するというような答弁をされておりますけれども、これは当然土地収用法をさして言っていると思いますが、建設大臣、土地収用法で自衛隊が施設を使用することは可能でございますか。
  54. 西村英一

    ○西村国務大臣 土地収用法第三条第三十一号によりまして、やはり国の事業であれば土地収用法の対象になります。自衛隊の使うところの施設は国の重要な事業でございますから、土地収用法の対象になると思います。
  55. 新井彬之

    ○新井委員 いま建設大臣がそういう答弁をされましたけれども、建設大臣はこの土地収用法が提案されましたその提案理由の内容を御存じですか。
  56. 西村英一

    ○西村国務大臣 ちょっと質問の……。もう一回お願いします。
  57. 新井彬之

    ○新井委員 この土地収用法は明治三十三年にできまして、その後昭和二十六年に改正になっておるわけでございます。いろいろな社会の変化ということもございますが、そのときの土地収用法がこういうわけで、こういう法律をつくるんだという提案理由の内容を御存じですか。
  58. 西村英一

    ○西村国務大臣 旧収用法につきましては、旧憲法下でありましたので、軍備の施設その他いろいろなものが入っておったわけでございますが、二十六年の改正のときに、そういうことを省いて新憲法のもとで新しい収用法をつくったのでございます。そのいきさつ等については、私からいろいろ申し上げるよりやはり法制局長官がよくその経過を知っておると思います。私も書いたものは読んでおります。読んでおりますが、なお法制局長官が正しい解釈をすると思います。
  59. 新井彬之

    ○新井委員 私の聞いている質問とちょっと違うのでございますが、これは時間がありませんから私のほうで申し上げますと、このときに土地収用法が提案されまして、その提案理由の説明があります。法律というのは、どういう意味でこの法律提出されたかということは非常に大事な問題でございまして、その内容が時によって変わるということはこれはとんでもないことです。そういうわけで、このときの提案理由の説明には軍事に関する事業、そういうものについてはこれは適用されないということがはっきりしておるわけです。まあそういうわけですけれども、いまそういうぐあいにできるということはどういうことなんですか。
  60. 西村英一

    ○西村国務大臣 それは法律でございますから、時代の変遷とともに変わるのは当然じゃなかろうかと私は思います。憲法それ自身がやはり変わったのでございます。その憲法のもとにおいて、その解釈でもって新しい収用法が変わるのは当然と思います。
  61. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お尋ねの点は、土地収用法改正の際の提案理由の説明を中心にした御質疑のようでございます。まあ提案理由の説明にいま御指摘のようなことがあったかどうか、むしろ逐条説明か何かのときに出ていたことがあったような気がいたしますが、これは二十六年の際に、従前の土地収用法に「国防其ノ他軍事ニ関スル事業」というのがありまして、そのほかにも陵墓とかそういうようなものもございましたが、これはいわゆる旧憲法下におけるような軍事ないしは国防に関する事業というようなものが新憲法のもとでは考えられませんので、こういうものをあげることは不適当であろうという話がたしかあったと思います。  しかし、それが現在の自衛隊法に基づく自衛隊、これと同視されての御質疑だと思いますが、これはわが憲法上、旧軍におけるようなものと違った現行憲法下で、これについてはいろいろな御批判も意見もあるようでありますが、国会で制定された自衛隊法、そうしてまたそれにのっとって法律を執行している政府としては、憲法下における自衛隊というものは適法な存在として、申し上げるまでもないことでありますが、かねてから考えておりまして、そういうものが土地収用法上の規定から読めなければ話は別でありますが、先ほど建設大臣がおっしゃいましたように三条の三十一号にその根拠がございます、というのが私どもの解釈でございます。
  62. 新井彬之

    ○新井委員 この問題についてはもう時間がありませんから保留して、また今後おりがあるときによく聞きたいと思います。  沖繩の土地利用についてお伺いしたいと思いますが、沖繩の土地利用計画を策定するにあたっては今後の沖繩基地のあり方をどう見るか、さっき私がお伺いしたわけでございますが、それによって基本的に変わってくるわけでございます。沖繩経済はまだ土地に依存する経済がかなりの部分を占めており、その重要部分二五・八%が非経済利用目的に供される状態で、はたして住民の生活及び福祉の向上をはかることができるのかどうかということです。沖繩振興開発特別措置法案規定によって政府は四十七年度以降十カ年の振興開発計画を策定することにしておりますけれども、その計画の内容の第一に土地の利用計画が掲げてありますけれども、この土地の利用計画は、たとえば今後十年間にほとんど基地が撤去されるものとして作成されているのか、また、基地は今後漸次縮小されると思われるけれども、その部分がいつごろと計画的に把握をされてできているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  63. 山中貞則

    山中国務大臣 これは総理からも本会議、委員会で答弁等がございましたように、本土沖繩が返ってまいりますと対米折衝で、ことに国会の決議等もございましたから、それを踏まえて、沖繩の民生上あるいはアメリカが主張してもそれは客観的に見て不急不要になりつつあるというようなものについては積極的に返還の交渉を続けていく、こういうことを言っておるわけであります。しかしながらいまここで、たとえば嘉手納空港が昭和五十一年には返るんだというようなはっきりした見通しはなかなか立てにくうございます。したがって、ことに沖繩本島における経済開発の前提としての土地利用計画を立てます場合に、ここらが大きな障害になることは私も否定いたしませんし、また市町村単位においては徹底的な、根底的な障害になっていることも否定できないところでありますので、これをいま直ちに計画の中で明示することは不可能に近いことでありますけれども、これはやはり復帰後、住民の希望あるいは市町村単位、県単位、そして国全体の姿勢というものを通じて、やはり基地経済というものの立場の上に立ったものでなくして、平和経済に移行さしていくということが前提であるならば、土地利用計画もすみやかに、軍の基地の撤去あるいは縮小ということに向かって計画つけていかなければならぬことであると考えます。
  64. 新井彬之

    ○新井委員 いま総務長官から答弁いただいたのですけれども、私はこの返還協定のときに、当然C表に入らなければならなかった土地が入ってない。だから要するに、だれが責任を持って、ほんとうにそういう問題をチェックしてやっているのか、そこをはっきりしないと、いつも相手があることだからということで、いまみたいなことであれば、何もできなくなってしまうと思います。  公明党が沖繩基地総点検をやったのはもう御存じのとおりでございますけれども、この中で返ってくるのは非常に少ない。しかしこれはA表の中に入っておりますけれども、当然C表に入るべき性格のもの、われわれ当然そう思うわけでございますけれども、それが入ってない。たとえて言うならば、すでに撤去されたメースB基地、このメースB基地は一九六九年十二月現在においてすでに撤去は完了しており、現在は使われていない。この四基地ある中で、一基地は返ってくるようになっておりますけれども、あとの三基地が、こういうのもどんどん請求しなければならぬ、あるいはまたすでに撤去されたハーキュリーズ基地、これも公明党が四十四年十一月に総点検をした際においてもう現在すでに使われていない、こういうようなことになっております。また日本人オフリミットの海水浴場、日本に返ってくるわけでございますから、当然米国人と日本人との差別、そういうようなことがあってはならぬ、こういうことで、これは当然返ってきた段階において沖繩人自身の手にゆだねなければならない施設だと思いますけれども、こういうものも金網が張ってある、そうしてその中へかってに入れば刑務所へ行ってしまう、そういうような状態であってはならぬ。だからこういうことも今後沖繩の総合開発、要するに総務長官沖繩日本のハワイにしなければならぬというようなことも言ったようにお伺いしているわけでございますけれども、そういうところもあります。それからまた、現在使われていない基地、これは金武ブルービーチ訓練場、読谷補助飛行場、非常に面積もありますけれども、過去五年間全く使用されていない。あるいはまたベトナム戦地専用の訓練基地、こういうものは当然ベトナム戦のグリーンベレーの訓練用地でありますから、これは特殊部隊の撤退とともに返還されなければならぬ。こういうことが結局はおざなりにされて、話し合いをするというようなことを言っておるわけでございますけれども、こういうことも徹底的に調査して、ほんとうにだれが見てもこれは返すべきじゃないかということを、総務長官、ほんとうにやる気ありますか、どうですか。
  65. 山中貞則

    山中国務大臣 やる気もありますし、たとえば渡嘉敷のミサイルの撤去したあと等は国立青年の家ということに、交渉の整わない前から本年度予算化をいたしておりまして、結局はC表に入りました。あるいはまたB表の注に牧港住宅街があります。これは将来県庁所在地となるべき重要な都市である那覇市の都市計画を著しく阻害しあるいは県民感情、国民感情に対して思わしくない地域でありますので、特別にB表の注で、A表に掲げられた地域でありますけれども、これについては代替施設つくりさえすればアメリカは撤去する用意のある旨の含みのある注をつけてもらうことも担当大臣として外交当局にお願いをいたしました。また、キッシンジャーと会いまして、特別補佐官と私との間で大きな前進、解決を見たものがありますが、これは外交当事者でございませんので発言をいたしませんが、いずれにしても私に課せられた立場からのできるだけの努力はしてきたつもりであります。しかし外交はやはり外務省の専管事項でございますので、私はお願いをし続けてまいりまして、その幾つかは希望がいれられておりますが、今後とも、総理の姿勢を例にとったのでありますが、その御発言を前提として外務省ともども沖繩県民のための、願望に沿って、ただいまあげられた地域の中で私も同感するものが幾つかございます、そういうものについて積極的な努力を傾けていかなければならぬと考えます。
  66. 新井彬之

    ○新井委員 では、もう一つ具体的に聞きますが、那覇市内の軍用地は同市の総面積の三〇%を占めているといわれておりますけれども、同市の都市計画上大きな障害となっている。那覇市においては、たとえば天久米人住宅地域、この面積は百八十ヘクタールありまして、推計世帯数が千八百八十、人口密度が一ヘクタール当たり二十四人、こういうところがありますけれども、これを公園とか住宅地、学校用地、文化センター等に利用する計画を持っておりますけれども、こういう一つのあれも机上のペーパープランになるおそれがある。また、東部海岸においては埋め立て可能地が約一千万坪あるといわれておりますけれども、内陸部が演習場のため現状では埋め立てができないところもあり、工場誘致といっても簡単にはいかない、こういうふうにいわれておりますけれども、こういうようなことについて、机上のいろいろ案が練られたときに、それは必ず実現するのだということでやっていけるのかどうか、それをまず聞いておきたいと思います。
  67. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいまの那覇市の住宅街の件は、先ほど申し上げましたB表の注の牧港住宅街のことであります。呼び方をそういっているだけで、所在地はおっしゃったようなところでありますし、上ノ屋地区とも呼んでおります。それらについては先ほど御答弁いたしたとおりでありますが、さらに埋め立て可能な面積あるいは東海岸に中部市町村の願望である大型港の建設、あるいはフリーゾーンの建設のための埋め立て、こういうようなことを考えますと、積極的にその軍用地先の解除、そういうものを働きかけますし、またそれは可能でありますので、そういう努力を背景として沖繩の内陸部のみならず、お話のように埋め立て可能な地域には新しく土地を造成していく努力というものに伴って対外折衝も進めていきたいと考えております。
  68. 新井彬之

    ○新井委員 私はまだまだいろいろのことをお聞きしたいのですけれども、これ以上質問ができませんので、問題の提起をしておきたいと思います。  いろいろと問題がございますが、きょうも環境庁長官に来ていただいておるわけでございますけれども、これからも非常に投資をつぎ込んでの開発が行なわれますけれども沖繩の方が困っていらっしゃることは、豊かな沖繩をつくるにおいてやはり公害が伴ってはならぬというような問題があります。それからまた道路等の交通整備の問題であるとか、あるいはまた水資源の開発、これからの開発によって水の問題もだいぶあるわけでございます。それから住宅及び生活環境施設、防災及び国土の保全、それから土地の値上がりの問題、これも新聞に載っておりますけれども日本本土の業者が覆面で土地を買いあさっている問題、それからまた外人が沖繩に持っておる土地の問題、そういうような問題が多々ありますけれども、これはほかの委員に譲るといたしまして、そういう問題をひっくるめて総理に最後に一言お伺いしておきたいと思うのです。  そういう個々の問題について、今後誠心誠意努力をしていただきたい、このように要望するわけでございますけれども、それについてのお考えを答弁いただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま最後に言われるように、沖繩の同胞の心を心として、そうしてあたたかくお迎えしろ、かようなお話、また、この返還当初において、なかなか実現しない事柄、それが幾多もある、不満、そういう問題についてもこれはひとつ積極的に取り組め、さような御鞭撻がございました。私は、ただいまの問題にいたしましても、沖繩が祖国に復帰する、施政権が日本に返ってくる、ほんとうに施政権が返ってきたのだという、そういう実際的処遇を与えなければ、これが日本に返ってきたということにならないと思いますし、また県民の方も非常に失望される、今日沖繩同胞の中に復帰不安がある、かような表現がされております。私は、この点についてもっとわれわれの積極的な努力、これを理解してもらわなければならない、かように思います、これは口先だけではないのだ、実際にそれを行為、行動で示せ、こういうことがただいまのお尋ねの、また同時に御意見の主たる点ではないだろうか、かように思います。私も同感でございますので、一そうそういう意味におきまして、実際的な問題と積極的に取り組む、そうしてほんとうに同胞のしあわせをもたらすようにこの上とも努力したい、これを念願しておることを申し上げておきます。
  70. 新井彬之

    ○新井委員 それでは終わります。
  71. 床次徳二

    床次委員長 渡辺武三君。
  72. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 与えられておる時間がきわめて短うございますので、単刀直入に、これから豊かな沖繩県建設のために主役となって働かなければならない建設大臣、並びに所管の山中総務長官に主として御質問を申し上げていきたいと思います。特にお願いをいたしておきますが、ときどき建設大臣ピンぼけな御答弁をなさいますので、ひとつよくしっかり聞いておって、的確な答弁をお願いをしたい。さらに山中長官は、よく言えば懇切丁寧、悪く言えば冗長に過ぎるというふうに考えられますので、その辺もあらかじめ最初にお願いをしておきたいと思います。  本朝来の新聞を拝見をいたしますと、公用地の暫定使用法案、これについて、自民党与党の中で、期間の五年間を二年間に修正をしたい、政府・与党間でこのような案がどうも考えられておるようでございますが、その理由の一つといたしまして、期間を短くしても、その二年間にもしもそれらがうまくいかなかった場合は、土地の収用法を適用すればいいのだ、このようなお考え方のようでございます。先ほどの新井委員の質問にも関連をいたしますが、本来的にこの土地収用法がはたしてそのような土地を収用するのに適用できるのかどうか、先ほど来の御答弁では、適用できるのだ、法制局長官も、迷答弁でも、しんにゅうのかかった迷答弁をどうもなさっておるようであります。つまり、第三条の三十一号を適用するのだ、こういう御答弁でございましたが、一体第三条第三十一号というのは何が書いてあるのか、ちょっと読んでみますから、よく聞いておってください。「国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、試験所その他直接その事務又は事業の用に供する施設」これが三十一号なのですよ。この中のどの文言が適用されるのですか、建設大臣。
  73. 西村英一

    ○西村国務大臣 自衛隊の施設はその国の事業、こういうところが適用されると思っております。
  74. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 自衛隊のあれは国の事業ですか。
  75. 西村英一

    ○西村国務大臣 自衛陸の使っておる施設は国の事業でございます。
  76. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 一年間にどのくらいの利益があるのですか。
  77. 西村英一

    ○西村国務大臣 もう一回……。
  78. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 だから先ほどからよく聞いておってくださいと言っておるのですよ。事業だとおっしゃるならば、一年間にどのくらいの利益をあげておられますかと聞いておるのです。
  79. 西村英一

    ○西村国務大臣 国の事業でございますから、国の事業で利益をあげるということはないわけでございます。
  80. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 国の事業ならば利益はあがらないのが当然だ、こうおっしゃるのですか。
  81. 西村英一

    ○西村国務大臣 当然とか当然でないとかいうことではなしに、自衛隊の施設は国の事業であるという解釈をしておりますから、したがって、収用法の適用対象になる、こう申しておるのでございます。
  82. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 そのときどきに、しごくわけのわからない答弁をして、そうしてこの重要な土地収用の問題を遂行をしていって、それでいいのですか。
  83. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 法文上の根拠をあげての御質疑でございますので、やはりそれにお答えするために、まず防衛庁設置法の仕組みから簡単にお話をしたいと思います。  防衛庁設置法の四条によりますと、「防衛庁は、」途中を略しますが、三自衛隊「を管理し、及び運営し、並びにこれに関する事務を行うことを任務とする。」というのが防衛庁設置法の四条の一項にございます。それからそれを受けまして、五条の三号に「所掌事務の遂行に直接必要な庁舎、営舎、演習場等の施設を設置し、及び管理すること。」これが所掌事務、「防衛庁の権限」のところにあるわけでありますが、そういうことから、ごらんになりますように、これを事務というか事業というかはともかくといたしまして、ただいま法文上は「事務」と書いてありますが、そういうことと土地収用法の三条の三十一号を対比してごらんになりますと、おのずから歴然とするのではないかと思います。それ以上の説明は、ただいま必要なのは条文上の根拠だと思いますので、それだけ御指摘をいたしたいと思います。
  84. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 よくごらんをいただきたいと思うのですがね。「国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、試験所」これははっきりしてますね。「その他」の項に「直接その事務又は事業の用に供する施設」、つまりこれらよりもウエートの小さいものというのが「その他」ということではないでしょうか。本来的にもっと大きなものであるならば試験所や研究所等も具体的に固有名詞であがっておるのだから、当然その前段にそれらが明確に記載されていなければならないのだ。それが「その他」というところで、しかも試験所や研究所よりも大きな施設が「その他」の中に隠されておる、こういうことなんですか。
  85. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 御指摘の点は、ごもっともな御質疑だと思いますが、三条の三十一号にありますのは、通常のものをあげたわけでありまして、そうでなければ「その他直接その事務又は事業の用に供する施設」というのが必要でないわけでありますが、ここに演習場等を入れることは、まあ通常のものでは少しばかり違うところがございますので——違いますというのは、普通にある「庁舎、工場、研究所、試験所」というようなものとは同一ではない、それは先ほどあげました防衛庁設置法の五条の三号には「所掌事務の遂行に直接必要な庁舎、」ということがありまして、「営舎、演習場等の施設を設置し、及び管理すること。」いわばここにもあります庁舎の先に、引き続いてそういうことばがあるわけでありますが、それこそは、まさにその他直接その事務の用に供する施設であることは明らかなことではないかということで、いまから十六年ほど前にこの点についての解釈が、私どものところから見解が出ているわけでございます。
  86. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 時間がどんどん過ぎていきますので、本来的に土地収用法案を主管しておられるのは建設大臣なんだ、したがって、建設大臣が十分に、これは重要な法案ですから、内容に至るまで御存じなければいけないのです。一々内閣法制局長官がかわって答弁しなければならぬというようなことでは困るわけです。だから、先ほどから御存じですか、どの文言を適用されるのですかと、こう聞いているのですが、国の事業だから当然だというようなしごくわかったようなわからないような迷答弁でごまかされておられるというところに、非常に今後大きな問題があるのではないかというふうに考えます。  次に進みます。  この軍事基地の問題に関連をいたしまして、沖繩の小さな島々、先ほど総理のことばで言えば、本来狭い島の面積が、軍事基地によって一そう狭められておるというようなことばをお使いになっておりましたが、この沖繩の市町村の中では、その市町村の面積の中で八〇%から九〇%までに及んでおる軍事基地を有しておる市町村がある。こういうように見ていきますと、これから本来建設行政を行なっていく上において、この建設行政を遂行する上においても、やはり軍事基地縮小ということが必要になってくるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、その点建設大臣どうなんでしょうか。
  87. 西村英一

    ○西村国務大臣 もちろん建設行政、なかんずく都市計画その他いろいろな事業を行なう場合に、そういう基地がなくなってくれることは、非常に私としてもけっこうなことだと思います。しかし、それは私としては現在の状態で、復帰された状態で考える以外にいろいろな計画を立てようがないわけでございまして、徐々に基地が返ってくれば、それはまたその時点において、いろいろな施設考えなければならぬ、かように考えております。
  88. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 本来的に、豊かにして明るい沖繩を建設するのだ、こういうのがキャッチフレーズなんですよ。そういう将来ビジョンを達成するために建設行政をこれから遂行していかんとなさる建設大臣が、一つの市町村の中で八〇%から九〇%に及ぶような基地がある、そういう状態の中では、本来的な治山、治水にいたしましても、道路にいたしましても、あるいは公園にいたしましても、これはなかなか問題があるのだろう、こういうふうにお考えになれば、当然建設行政を遂行する上からも、基地縮小ということが必要ではないか。現状あるのだからしようがないのだ、こういうことではないのですよ。これから建設をしていく上において、建設大臣としての建設行政を進める上の方向からも、基地縮小ということが必要ではないでしょうか、こういうふうにお尋ねしておるのです。
  89. 西村英一

    ○西村国務大臣 もちろんあなたのおっしゃるとおり、基地縮小されて、完全ないろんな施設ができるということ、建設大臣としても熱望いたしておる次第でございます。
  90. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 さらに付言をいたしておきますが、米軍の基地は、これはその地方自治団体に幾ぶんかの、名目は私よくわかりませんが、使用料か何か地方自治団体に納付をされておるようでございますが、これが自衛隊の基地となりますと、おそらくそういうものが一銭も入らない。地方自治団体に納付がされないというような状態、これは本土の横須賀基地等で調べましても、あの横須賀市にあれだけの膨大な基地がありますが、ほとんど税の面から見ると、そういうものが入っていないようでございまして、したがいまして、基地をかかえる市町村というのは一様に財政的な負担をしいられておる、こういう面があるわけですよ。したがいまして、これから新しい沖繩を建設していこうという一つのビジョンを掲げまして、建設行政を遂行するにあたっても、そのような基地が膨大にあるということは、税収の面からもこれはたいへんなことなんです。担当市町村にとってみれば、面積の八〇%もとられておる、しかもいろいろな施設はあるのだけれども、税収はない、こういう状態ですから、そういう面からもやはり建設行政を進める上において、建設大臣はもっと閣議で大いに基地縮小について、いまお述べになった方針によって主張をしていただきたいと思うわけでございます。  さらに、都市計画事業についてお尋ねをしていきたいと思いますが、沖繩における都市計画区域は総面積の一体何%くらいあるのか、あるいはその区域内に住む総人口は一体どのくらいになっておるのか、おそらく本土と比べて相当過密になっておるのではないかと思いますが、このような過密の沖繩の都市計画街路、これらのまた改良率、これを本土と比べまして一体どの程度になっておるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  91. 西村英一

    ○西村国務大臣 現在沖繩におきまして都市計画区域が九カ所ございます。しかしその面積、そこにおける人口というようなものについては、数字がありますから、政府委員から説明させます。
  92. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お尋ね沖繩の都市計画区域面積、それからその区域内の人口関係につきましては、まず沖繩におきまして都市計画区域がきめられておりますところの市町村は那覇、コザ、宜野湾、具志川、それから石垣、平良、名護、浦添、美里、この九つの市町村の区域にかかわる区域が都市計画としてきめられております。この都市計画区域の面積は五万五千七百ヘクタールでございまして、沖繩の総面積に対しまして二三%でございます。次に、この区域内の人口は六十万四千人でございまして、これは沖繩の総人口に対しまして六四%でございます。  ちなみに本土関係につきましては、本土の都市計画区域面積の総面積に対する割合は二〇%でございまして、また区域内の人口本土の総人口の七六%でございます。  それから、お尋ねの都市施設関係整備水準でございまして、たとえば街路の関係で申し上げますならば、沖繩の街路の整備水準は改良率が一六・二%、舗装率が八・五%でございまして、参考までに本土の改良率を四十六年度末の推定で申し上げますならば、沖繩の一六・二%に対しまして二八・五%、それから舗装率は八・五%に対しまして二二・八%でございまして、街路をとってみましても非常に整備水準が低いということが申し上げられるかと思います。
  93. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 お答えをいただきましたように、本土に比較いたしまして、いわゆるきわめて著しいおくれをとっておると思います。現行の沖繩の都市計画法によりますと、この土地区画整理事業を除く都市計画事業は、すべて七〇%の琉球政府が補助をしておるようでございます。しかしながら、本土復帰に伴いまして、これからわが国が国として補助をする。こういう割合は、御承知のように、道路整備緊急措置法の施行令によりまして街路は三分の二、さらに都市公園の場合は都市公園法施行令第十四条によりましてこれは三分の一、こういうふうに減少をしてしまうわけでございます。よって、本土並みにこれは一日も早く整備をしなければならないわけですが、この差額、この補助率等を考えてまいりますと、本土並みの水準に達するにしても非常に困難が伴うのではなかろうか。したがって、少なくとも本土並みに整備がされるまでは全額を国が負担をすべきではないか、かように考えるわけですが、その辺はどうお考えでしょうか
  94. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私が補助率全般について大蔵省と折衝してまいりましたので、私から答弁をいたします。  都市計画関係では、街路事業は本土一般においては三分の二でございますが、沖繩においては県道は十分の十、市町村道も十分の八にかさ上げをいたします。土地区画画整理については本土三分の二に対して沖繩十分の九、市街地再開発については本土三分の二を沖繩十分の八、都市公園については本土が三分の一を沖繩二分の一、なお、沖繩においては摩文仁あるいは小禄の旧海軍壕等について全額、十分の十の国庫による戦跡公園の建設をいたしております。下水道等については、公共については同じでありますが、流域下水道については本土の二分の一に対して沖繩が三分の二、都市下水路については本土と同じというふうに一応こまかく刻んで、旧北海道開発、旧奄美開発等のかつて存在した最高の条件を適用してまいるつもりでございます。
  95. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 二十数年にわたる異民族支配下にある沖繩の人々に、われわれ本土に住む者としてやはり何らか報いてあげたいという気持ち、そういう気持ちからも補助率を幾ぶんか上げるということではなくて、できるならば全額を国庫が支出をしてやる、こういう気持ちでひとつやっていただきたいと思うわけでございます。  次に、住宅建設についてお尋ねをしたいと思いますが、沖繩もやはりごたぶんに漏れず、きわめて住宅難が喧伝をされております。かりに五年間に本土並みの住宅水準に一致させるためには、きわめて多くの公営住宅が多量に建設をされなければならないわけでございますが、いまの沖繩の公営住宅法によりますと、土地の取得造成費というものが補助の対象になっております。ところが、復帰に伴いまして、この補助の対象がなくなりまして起債に切りかわる、こういう形になるわけでございます。このことによりまして、事業主体の負担額がこれまた大幅に地方公共団体の財政を圧迫をしてくると思うわけでございますが、何とかこの辺の救済策を建設省としてお考えになられないかどうか、あるいは土地取得のために国が起こします地方債に対しましても、長期、低利の特別措置が講じられなければならないんではないか、かように考えるわけですが、御見解を聞いておきたいと思います。
  96. 西村英一

    ○西村国務大臣 抑せのとおりでございます。住宅公営の事業主体、なかなか財政も非常に逼迫しておるのでございまするから、地方債につきましては、これは自治省でございまするが、建設省といたしましては、その起債の充当率も一〇〇%にしたい、また起債の中の政府の直接の金もひとつ一〇〇%にしたい、こういうことでいま自治省と折衝をいたしております。自治省はさらに大蔵省、三者折衝して御希望のようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  97. 山中貞則

    山中国務大臣 用地の取得については、本土にもございます用地の先行取得の制度を沖繩でも活用してもらうべく、自治省のほうで予算要求の起債の中に入れてございます。
  98. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 さらに次に進みますが、沖繩においては、法律上必要な諸資格等がそれぞれ法によって原則的に認められておりますが、行政面における資格、たとえば建設会社の工事請負者の登録というようなもの、これは指名入札等に必要だと思いますが、こういうものの沖繩におけるこれまでの経歴だとか、あるいはその他本土のそれと同様に進められておりますこの登録資格、こういうものを、沖繩の経歴その他いろいろな問題点が打ち切られて新しく審査をされるというようなことを聞いておるんですが、その辺はどうお考えでしょうか。
  99. 西村英一

    ○西村国務大臣 復帰と同時に、現在沖繩の建設業法で登録を受けておる会社は、そのまま本土の建設業法で登録を受けたものとみなしてやっていくつもりでございます。二年間はそういうつもりでやっていきます。二年たちますと、内地も先般建設業法の改正によりまして、登録から認可制になりましたので、そのときはこれは許認可を受けることになりますが、復帰の時点におきましては、現在の登録を内地で受けたと同等に取り扱うつもりでございます。
  100. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 そうしますと、今後沖繩における政府工事等をやる場合にも、沖繩の業者もその入札をする資格がある、こういうことなんでしょうか。
  101. 西村英一

    ○西村国務大臣 もちろんでございます。そのとおりでございます。
  102. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 それでは、次の問題に移りたいと思います。  御承知のように、政府沖繩予算を組んでおりますが、この予算の執行にあたりまして、援助金の送金というものを為替相場でやろうとしているように伺っております。本来沖繩の援助要求というものは円でございまして、政府予算もまた円建であるわけでございます。したがいまして、本来ならば円そのものの額で交付をされるというのが筋であろうかというふうに思うわけでございますが、この変動為替相場を適用をなさるおつもりなのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  103. 山中貞則

    山中国務大臣 これは変動相場制に移行したことによって、ドル圏に生活し、その生活物資を本土に仰ぐ、本土依存するという沖繩の特殊な形態を踏まえて、その為替差損というものを見なければならない、生活物資の暴騰を避けなければならないという措置をすでに十億と一億とったことは御承知でありますが、さらにこれを復帰まで四百四十品目に広げてやらなければならないということで作業をいたしております。近く、少なくとも十二月末までの分ぐらいについて閣議決定をいたしたいと存じておりますが、それについて、大蔵省側からただいまお話しのようなことがあったことは事実であります。それは大蔵省の言い分としては、為替差損の生じたものは全部見ろ、そうして円で送金をした場合に為替差益が出た場合には、琉球政府が自由に使ってしまうんだということは問題だという財政当局の言い分は私もわかりました。わかりましたけれども、やはりこれは日米琉三者において合意をした援助金の性格にも根底を発しますし、したがって、そのようなドル送金という形でもって相打ちにすることはよろしくないということで、大蔵省もその点は了解をいたしまして、現在では円建て送金をいたしておるわけでありますが、ただ、現実に発注その他はドルで行ないますから、現在琉球政府の執行する事業について差益の生ずることは事実であります。その点については、琉球政府との間で対策庁と十分相談の上、もちろん大蔵も了解をとった上のことでありますが、琉球政府がどうしても復帰までに使わなければならない金があるという場合において、それの財源に充てていくことにしようではないかということで、少なくとも、本土から沖繩に送ります場合にチェックするという刺激的なことはやらないということで話がついた次第でございます。
  104. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 本来円建てによって予算が組まれておるわけですから、この変動為替相場移行によって、沖繩の物価というものが異常に高騰をしたという特殊事情があるわけですから、いたずらに官僚ベースによってそうして為替差損が出る、差益が出る、その分だけ差し引けというような、そういう行政を行なわないように、ひとつ十分あたたかい目で沖繩のためにやってあげていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  105. 床次徳二

    床次委員長 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————    午後一時七分開議
  106. 床次徳二

    床次委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。  質疑を続行いたします。三ツ林弥太郎君。
  107. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 沖繩の農林水産の振興の前提条件、基地の問題、また農地の問題等、午前中論議されましたので、私のほうは振興について若干御質問をいたしたいと思います。  政府沖繩復帰政策要綱の主眼は、本土との格差を是正する、こういうことであろうと思いますが、格差是正の方法はいろいろあるわけであります。そこで、沖繩復帰に伴って、沖繩県におきます農水産業の振興、ことに農業の位置づけ、こういう問題が本土の農業なり経済全般にもそれ相当の影響力を与えてまいるだろう、こういうふうに考えますが、今回提案されました沖繩振興開発特別措置法案によりますと、沖繩振興開発計画沖繩県知事の案をもとに策定される、こういうことになっております。昨年七月策定されました沖繩経済十カ年計画によりますと、琉球政府基地経済ないし農業経済から脱却を目ざして、工場誘致等による工業立県をはかろうとする意向が非常に強いようであります。  一方沖繩は、従来から自然的環境から考えて農林水産業が大部分、主力でありますが、今日の沖繩農業は、今年の干ばつ、台風の被害というきびしい自然的、経済的立場に置かれまして、本土に比較して五十年ぐらい立ちおくれている、こういうふうにいわれておるわけであります。しかも沖繩の地理的条件等ながめてまいりますと、沖繩の中南部が大体従来から農業地帯でありますが、「沖繩の工業立地条件と工業適地」、こういうふうな印刷物もいただいておりますけれども、その資料によりますと、これまた中南部に工業を立地しよう、こういうような考えでありますので、こういうことになりますと、工業か農業かということになりますが、農業を振興するにいたしても、工業との関連において相当な障害なり問題が起こるんじゃないか、こういうふうに考えますので、こういうふうな条件を考えて、基本的に政府沖繩農業について計画中にどのように位置づけするのか、振興をはかるのか、伺いたいと思います。
  108. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩の農家戸数は三五%にも達しておりまして、本土に比べて著しくそのウエートが高いわけであります。ことに沖繩本島を除く離島においてはほとんどが農業であり、そしてまた四面海でありますから漁業であるということであって、農業の振興ということを絶対に沖繩発展前提条件から、柱からはずすことは不可能でありますし、そうしなければ沖繩本島を除くその他の島嶼の繁栄というものははかれないと思います。したがって、沖繩の今後の設計図を描きます場合に農業の位置というものは、ことに沖繩本島以外において大きな柱にならなければなりませんので、今日の状況から考えて、基盤整備その他から始まって、キビ、パイン等の問題等の今後の振興策等、沖繩の農業の基幹となるべきものについて十分の配慮をしていきたいと考えます。  沖繩本島も含めていまはべたにキビとパインでありますけれども、やはり本島中南部等においては、これは都市近郊農業というような形態も逐次それぞれの農家の創意くふうによって変わりつつはありますけれども、そういうことも加味しながら、やはりある意味の方向づけをしてまいって、生産性の高い農業ということも、単にキビやパインとオウム返しに言っているわけでなくて、そういうところにも配慮して、収益性の高い農業を設計していかなければならぬだろうと考えているわけであります。
  109. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に、いま大臣が言われましたように、沖繩農業の主力というのはサトウキビとパインだということでありますが、この沖繩農業の独自性といいますと私もサトウキビとパインだろう、こういうふうに考えます。サトウキビは農業総生産額の四割以上、作付面積は総面積の六割余、作付農家数は全農家の八割以上、これは本土における米以上に重要な作物であります。これによって砂糖は年間四千万ドル、百四十億円、パインは二千万ドル、七十億円でありますが、しかも米と異なって、砂糖の国内自給率は欧米諸国に比べて低い水準にあり、国内における過剰生産という事態はなく、選択的拡大の作物に入ると思います。このサトウキビを原料とする製糖業は沖繩の製造業の中でも重要な産業となっておるのでありますが、したがってサトウキビ及び製糖業の振興育成は沖繩振興開発にとって欠かすことのできないものであると考えるわけであります。沖繩農業の独自性の育成、ことにこのサトウキビ及びパイン作の振興の方策、これについてお伺いをいたしたいと思います。  さらにこれにつけ加えまして、ことしの沖繩産糖の買い入れ価格について政府考え方、それにまた本年の大干ばつによりますサトウキビに対する対策をあわせてお伺いいたしたいと思います。
  110. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩のサトウキビの依存度というものは、ただいまあげられました統計の数字が示しているとおり、切っても切れない基幹作目でありますし、また沖繩の亜熱帯に立地する条件を最大に生かして、本土にまさる営農形態を樹立するためには絶対にサトウキビを捨てられない。ただいまおっしゃったように需給の面から考えても大いに増産、振興していい基幹作目でありますから、そのような考え方で取り計らってまいりたいと思いますが、ことしの干ばつ、これは根から枯れていく、根こそぎ枯れていくわけでありますから、全く手きびしい被害を与えたわけでありまして、宮古群島においては九〇%もの被害に達し、八重山はそこまで達していなかったのですけれども、台風二十八号の追い打ちを受けたためにさらに収穫が減少しまして、八重山においても九〇%の減となりました。これについては近く決定いたします沖繩産糖の糖価安定事業団による買い入れに関する価格の決定について、十分にその災害というものを配慮してまいりたいと考えておりますが、他方において車の両輪である企業、すなわち企業なくしてキビ生産農家は成り立ちませんし、また生産農家なくして企業は成り立たないわけでありますから、この反当一トンぐらいしか生産がされないだろうという現状、そういうことから考えて、このままでいきますと、主として宮古、八重山離島の工場は操業停止という状態になります。これではまた地域の雇用事情その他、収入にとって甚大な影響がありますので、これが操業を続行させるための手段として約十億ほど企業に対する資金の手当て等も、いま財源その他等について相談中でありますが、生産者並びに企業両面のこの台風、干害の対策を手当てをすることによって、引き続きキビ生産農家が意欲を失わないように、そうして価格決定の際もそれらの被害の現状を念頭に置いて配慮をしながら決定をいたしますと同時に、臨時糖業助成費等の金額配分等についてさらに予算上の配慮も加えてまいりたいと存じます。
  111. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に、私はことしの一月に沖繩の農業について調査をいたしてまいりましたが、また過般沖繩現地における公聴会に参加をいたしまして——宮古島の公聴会です、出席された参考人の方々大部分が、沖繩の開発問題、ことに農業関係について強い意見を述べられておりますし、また強い要望も出されているわけであります。ことに私どもが感じましたのは干ばつと台風ということでありますが、この干ばつと台風に対して対策をひとつ何とかしなければいかぬだろう、こういうことであります。この干ばつによって農業経営に自信を失ったという方もございますし、宮古島の農家の収入は六百ドルぐらいで、生活がもうできないんだ、住民に働き場所を提供してほしい、またサトウキビ生産の振興を強力にひとつ推進してもらいたい、こういうふうな意見等が出されておるわけでありますが、そこでこの干ばつと台風に対する対策についてひとつお伺いをいたしておきたいと思います。  また、これに関連をいたしまして、沖繩は御案内のように年間二千三百ミリの降雨量がございます。本土は千六百ミリでありますが、この豊かな降雨量は利用されないで全部海に流れてしまうようなことでありますので、台風の被害も毎年来ますけれども、干ばつも例年のごとくこの農業を脅かしますが、どうも干ばつが襲ってくるといっても、単なる天災じゃなくて、何とかすれば何とかなる、実はこういうふうな考え方でありますが、かんがい施設整備をはじめとする農業生産の基盤整備が緊要じゃないか、こういうふうに考えますので、これについてお伺いをいたしたいと思います。  時間がだんだんなくなってまいりますので、次に、沖繩におきます土地改良事業の実施がおくれておりますので、沖繩の農民が一日も早く生産性の高い農業を安心して営めるような、ひとつ思い切った飛躍的な財政資金を投入する必要があるのじゃないか。現地を見まして、これは非常にたいへんなことだから、よっぽど思い切って農業関係についてはお金をつぎ込む必要がある。その際、自然条件、耕地の整備状況、特に農業用水の確保、農業用水の開発、貯水池等、用水施設及び畑地かんがい施設の設置、農道の整備、草地の開発等の事業の推進を特にはかる必要がある。どのようにお考えでありますか。当面四十七年度の予算についてはどういうふうにお考えでありますか。またこの土地改良事業の計画というか、年度計画というか、こういうふうなこともどういうふうになっておりますか。これをひとつお伺いをいたしたいと思います。
  112. 山中貞則

    山中国務大臣 キビの災害、ことに干害というものはきわめて重大な脅威をもたらすことは、もう昭和三十八年にもそういう災害が起こったわけでありますけれども、今回の災害で決定的な証言となったわけでありますけれども、これはやはり離島において、ことに宮古、石垣を中心として水というものをどこかに求めなければならない。幸いにして宮古には、三十八年の干ばつのあとアメリカのハワイ大学の調査によって、伏流水が奇跡的に存在することが確かめられましたので、いま、それをくみ上げてレインガンその他の処置をとりながら、畑地かんがい的なものをどのようにしたらいいかということで予算措置もいたしておりますが、すでに上野村において国営パイロット事業をことしから着工いたして、その実験に取りかかっておりますし、石垣島においては宮良川をはじめとする表流水があの大干ばつの中にも絶えたことはない流れを形づくっておりますから、これをやはり人為的に利用できなかったということが、換言すればある意味本土政府の責任ともなるかと思いますので、これらの問題は来年度予算において十分の措置をして、二度とこのようなことの起こらないようにしたいと考えます。  なお、サトウキビについても、台風に強い品種の開発あるいは矮化病等を防ぐための研究等に、サトウキビの原々種農場設置ということを考えて、ことしから来年の予算にかけて、調査費で適地を探すということにして、その手当てをしたいと考えておるわけであります。  なお、土地改良を重点においてやるということについての御意見に対しては私も賛成でありますが、来年度の予算要求でございますので最終的な決定でありませんが、一応基盤整備について要求いたしておりますのが四十四億三千五百万円ということであります。それは、中身は大体いま指摘されたようなことが柱になっておりまして、畑地帯の総合整備に五億七千万、農道整備に七億七千万、基幹かんがい排水に一億一千万、干ばつ対策をひっくるめて十三億四千万、さらにもっとその根本である水源開発調査に三億一千万、それから農業施設事業、小規模農道整備事業等でありますが四億三千万、畜産自給飼料基盤整備その他に一億九千万というような一応の予算要求をいたしておりますので、これの確保に努力を傾けたいと存じます。
  113. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 時間がございませんが、最後に沖繩の水産業ですが、これは非常に立地条件がよろしい。しかし長い間放置をいたしておりましたのでずいぶんおくれておるわけでありますので、この際、沖繩産業の振興の基本方針についてお伺いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  114. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩は漁場の中にそれぞれの島が存在しているといっても過言ではないのでありますが、しかしその七〇%近くをくり舟という前近代的な状態の操業に依存せざるを得ない現状が残念ながら事実でありますし、また沖繩の使用可能の漁港というものは本土に比べて著しく低い。したがって、漁港整備五カ年計画を新しく立てまして、本土並みの漁港整備の水準に到達するために沖繩に全力投入をしたいと考えておるわけであります。  なお、漁船は先ほど申しましたような実情でありますので、大型化、近代化はもちろんのことでありますが、このくり舟漁船の近代化、大型化をぜひとも推進しなければ、最悪の場合は遭難等の事態をも避けられないことになりますので、これをさらに一方の重点として、現在コメ資金で二分五厘の低利融資をいたしておりますので、復帰後もそれを引き継いで、振興開発金融公庫からくり舟の近代化、大型化に対する資金の供給をはかって、急速に、沖繩の県内自給はもちろんのこと、高級魚介類の本土市場への進出というようなことにもさらに積極的な援助をはかっていきますならば、沖繩の漁業の前途はすべて明るいものであると私は考えておるわけでございます。
  115. 床次徳二

    床次委員長 石井一君。
  116. 石井一

    石井(一)委員 離島における交通問題というのはまことに深刻なものがあり、本土のわれわれが考える以上に交通体系の樹立ということは重大な問題であろうかと私は考えます。そこで、交通問題を読んでおりますといろいろな問題を指摘したい問題がございますが、時間の関係がございますので、海運、陸運並びに航空関係について一点ずつお伺いをしたいと存じます。  まず、海運の問題でございますけれども、あの沖繩列島の中に八十六の大小の港湾がある。そうして三十回の台風が押し寄せてくるということが記録に出ておりますから、百二十日間は台風の中に巻き込まれているという状態でございますけれども、運輸当局としては港湾の整備の基本的な計画をどういうふうに青写真を立てておられるのか。大体のことは承知いたしておりますが、簡潔にお答えいただくのと、特にサンゴ礁を中心にした非常に固い岩礁に取り巻かれている島が多くて、この開さく事業というものは非常に高くつく。これは相当計画的に長期的な展望を持たなければ合理的な開発というものは進まないと思いますが、この点についても一言お触れをいただきたい、こう思います。
  117. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま沖繩の海上と申しますか、島嶼におけるところの交通の問題につきましての御質問でございますが、御指摘のとおりと私ども考えている次第でございまして、本土沖繩の間の海上交通、また島嶼間の海上交通、これを、旅客並びに貨物の運送の確保をはかるということは最も大事なことでございまして、これらの計画をまず第一番に立てなくちゃならないというふうに考えている次第でございますが、それはやはり沖繩振興開発計画の一環といたしまして港湾の整備をしていかなければならぬと思っている次第でございます。したがいまして、那覇本島はもちろんでございますが、石垣島、八重山群島あるいは宮古群島の方面におきましても、やはり十分な港湾の整備をしていかなくちゃならないというふうに考えている次第でございまして、それらの点につきましてはただいま具体的に沖繩北方対策庁並びに琉球政府と連絡をとっておりまして、重点的にそれらのことを行ないたい、こういうふうに思っている次第でございます。  また、いまのいろいろの岩礁の開さくの問題でございますが、これらもやはり交通が増加するに従いまして船舶の規模の拡大も考えなくちゃならない。それらのものもただいませっかく勘案している次第でございますが、それらと見合いまして、水底の深浅の状況等を十分に調査いたしまして、そうしてそれらの開発、開さく計画も立ててまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  118. 石井一

    石井(一)委員 次に、運輸大臣、陸運の問題でございますが、ほとんどの交通を自動車交通によっておるようでございますから、今後もバス路線の変更であるとかあるいはそれに対する補助率というような問題、これはいろいろと施策を打ち出していかなければいけない問題があるようでございます。その問題はさておきまして、国鉄を持っていくとかあるいはモノレールを建設するとかいうふうなことが現地からは希望として出ておるようでございますけれどもこういう計画に対してはどのような御所見をお持ちでございますか。
  119. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 沖繩における鉄道あるいはモノレールの建設につきましては、今後沖繩における総合的な交通網の整備をするという観点から、輸送需要の動向、各輸送機関経済的効果について十分検討した上にその方向を定めたい、こういうふうに思っている次第でございます。ただいまのところは、沖繩の一番主要輸送機関でございますハス事業を整備いたしまして、そうして沖繩県民の輸送の確保につとめてまいりたいというふうに思っている次第でございますが、将来の問題といたしましては十分検討してまいるつもりでございます。
  120. 石井一

    石井(一)委員 次に、那覇空港の返還の問題でございますけれども、これは運輸省の管轄のもとに返還されてくるわけでございます。目玉商品ともいわれておりますけれども、非常に重要な問題だと思います。しかしながら、米軍の使用なり自衛隊の使用というものをも同時に暫定的に続けられていくようでございますし、運輸省が管轄をしていく面においていろいろの問題点もあろうかと思いますけれども、現在までのところその引き継ぎの打ち合わせその他についてどういうふうに進んでおるのか、また今後返還時期までにどのように詰めていかれるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  121. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 御承知のように、那覇空港につきましては、米軍の空軍基地にありまするところの飛行場の部分を日本返還することになりまして、滑走路、着陸帯あるいは誘導路あるいはエプロン、それから管制施設等を返還することになりまして、これらにつきましては返還と同時に私どもが一切の業務を引き継ぐことになっておりますので、すでに十二月の三日でございましたか、私のほうから管制要員その他を沖繩に一応派遣をいたしまして、その地理的習熟をはかっておる次第でございますが、それからあと残りは、復帰三カ月前までにたしか百四十数名送りまして、別に管制通信官も送るというようなことをいたしまして、そうして準備の万全を期そう、こういうことでございまして、あるいは土地の借り上げ等につきましても、それらの事務手続をする者もすでに送っておりますというようなことで、万全を期して、返還時に支障を来たさないような体制をとってまいるつもりでございます。
  122. 石井一

    石井(一)委員 なおもう一点、第十一海上保安本部の設置の問題でございますけれども、海域の広さから考えましても海岸線の長さから考えましても、地域としては横須賀に次ぐ大きな地域でありますから、これを設置すべきであるという要望も強く、また来年度の予算にも計上されておるようでございます。いつごろこの設置ということが実現するのであろうか。昔何か山中長官の記者会見その他でも、それは確定的であるというふうな発言があったことを私記憶いたしておりますけれども、所管の運輸大臣なりあるいは総務長官から、この第十一管区海上保安本部の設置に関してどういう見通しを持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  123. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの第十一管区海上保安本部を設置することにつきましては、すでに政府部内では決定済みでございます。したがいまして、運輸省といたしましてもそれらの沖繩の海上交通の安全業務をはかるためにすでにいろいろな手段を講じておりまして、具体的に申しますると巡視船三隻、巡視艇五隻、その他で十一隻、それとまた航空機二機、それからまた水路測量、航路標識の維持管理というようなことをするために、すでに四十七年度といたしまして経費二十八億九千万の予算要求もいたしておりまして、返還と同時にこれらの業務を行ないたいということでせっかく進んでいるところでございます。
  124. 石井一

    石井(一)委員 時間が参りましたので、総合交通体系の樹立の中に、島嶼県である沖繩に対しても強力な交通運輸行政を推進されますことを切望いたしまして、質問を終わらしていただきます。
  125. 床次徳二

    床次委員長 次は、斉藤正男君。
  126. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 総理がお見えでございますので冒頭伺いたいと思うわけでありますけれども、御承知のように四十六都道府県、沖繩が返ってまいりますと四十七でありますけれども、国営の交通機関というものが全くないのが沖繩だけであります。しかも、現にある沖繩の交通機関というものは、その規模はきわめて零細であり、そしてまた老朽であり、低能率だと思うわけであります。したがいまして、あらゆる施策を総合的に全力投球をしなければ、本土並みの沖繩が実現するにはたいへんなことであろうというように思うわけでありますけれども、国営交通機関のない沖繩の交通体系の確立については、異常な決意をもって臨まなければならないというように考える一人であります。総理の所見を伺いたい。
  127. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 交通体系を整備すること、その際に国営のものがないという、これは、国営というものも昔の国営といまの状態ではずいぶん違っておりますので、どういうのが能率的なものか、必ずしも国営が能率的だと、こうは言えないのではないだろうかと思います。だいぶん昔の話ですが、あるいは私の経験から見ましても、沖繩に東西を結ぶ地方鉄道があった。それが戦争によって取り上げられた、その前の存置されておる時分は国の補助を受けていた、こういう経験があります。まあそれから見ると、その当時でもなかなか沖繩ではうまく運営できなかった。その当時から見ると、いまは人口の面から見ても、当時は五十万、いまは百万だ、かようにいわれておりますから、よほど変化はある、かように思います。しかし一方でその交通整備にずいぶんじゃまになるだろうと思える基地、軍基地、そういうものもある。こういうことを考えると、交通整備をするのがなかなかむずかしいのじゃないか。また、最近の交通機関として自動車の時代になってきた、こういうことを考えると、昔の蒸気機関車の時代ではない、ディーゼルカーのときでもない、あるいは電車の時期でもない、そういうことも考えなければならない、かように思いますので、地域住民の交通をまかなうのにどういう組織が一番よろしいか、これは十分考える必要があるのじゃないか、かように思っております。私は、民間ではなかなかむずかしいだろうから、いまの国のものを要望される、そういう意味からは、おそらく地方自治体の経営するものが望ましいとか、そういうものについて中央政府がどういうように援助できるか、こういうことなども一つあるだろう。しかし鉄道ばかりが問題ではございません。本島における道路整備、交通事情、さらにまた離島と本島との間を結ぶ諸航路、さらにそれがヘリコプターやあるいは航空機の時代でございますから、そういうような広範にわたって各種交通機関を動員する体制、そういうものが望ましいのじゃないだろうか、かように思います。  これはまあ私のわずかな経験からいまのような議論を申し上げるので、ただいま一つの何か体系めいたものを考えておるわけではありません。いずれ沖繩県が誕生し、同時にまた県知事が出てくれば、そういうものを中心にしていろいろこれらの交通機関整備について考うべきじゃないか、かように思います。
  128. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は、いまここで総理と国営交通機関の論争をやるつもりはないので、御答弁の最後のほうに、総合的にいろいろ検討して重点を置いてやりたいというような意味のお答えがございましたので、これは了といたすものであります。しかし、私はいまから数点にわたって沖繩の交通体系の現状と問題点を指摘をいたしますので、最後にまた総理から見解をお尋ねしたい。直接総理お尋ねすることはあまりありませんけれども、時間中しばらく私のやりとりを聞いておいていただいて、最後また所感を述べていただきたいと思います。  まず、港湾関係について伺うわけでありますけれども、この港湾整備計画の策定につきましては、沖繩七十余島七十五港は沖繩開発にあたり重要な役割りを持つ、政府は各港湾の機能に応じ、長期的見通しに立った港湾整備計画を策定し、計画整備をはかる云々というようなことが沖繩復帰準備概要の中にも書かれております。先ほど同僚石井委員からもお尋ねがございましたけれども、この七十余島七十五港にわたるこの膨大な数の港湾整備にあたって、一体政府本土における新港湾整備五カ年計画との関連をどのようにお考えになっておられるのか。このことは現地へ行ってみればおわかりのように、一、二の港湾は別として、大多数の港湾が非常に設備の悪い貧弱なものであります。また先ほどもお尋ねがありましたけれども、台風常襲地帯というようなことから、接岸その他につきましてもきわめて不十分な設備しかありません。こういう観点から考えたときに、一体本土における新港湾整備五カ年計画との関連をどういうように位置づけておられるのか、まず承りたい。
  129. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの御質問の沖繩七十七港、そのうちに避難港三つ入っておりますが、七十七港の港湾整備につきまして、ただいま私ども実行しております五カ年計画の中でやるのか、あるいは外でやるのか、こういうような御質問と思う次第でございますが、ただいまのところは五カ年計画の一環としてやってまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。私どもといたしましては、この港湾計画を、先ほども御質問にお答えをいたしましたとおり重点的に、本土沖繩間の運輸の確保をはかるための重要港湾、また並びに沖繩諸島間におけるところの港湾の整備ということにつきまして、重点的にこの整備を行なってまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  130. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 本土の港湾整備五カ年計画をそのまま適用して、重点的にやっていきたいというお答えでありますけれども本土整備計画をそのまま適用したんでは、おくれている、特に開発が必要な沖繩の港湾整備にはならないわけであります。やはり本土沖繩の格差が歴然としている今日、その本土整備計画そのままを適用していったんではこの格差は埋まらない。そういう意味で私は承ったわけでありますけれども、港湾局長でもけっこうでございますから、もう少し具体的なお答えをいただきたい。
  131. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま申しましたのは、現実にいま沖繩北方対策庁並びに琉球政府と内々、ただいまいろいろの向こうの要求を聞きまして、具体案を練っているとところでございます。そのいま現時点におきまする観点を言った次第でございまして、お話しのように、沖繩の港湾の重要性、そして非常におくれていることは私どもも十分認識しておりますので、それらの点につきましてさらに費用が要るようになりましたならば、五カ年計画を改定するということは決してやぶさかでないつもりでございます。
  132. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 沖繩の港湾整備のために、本土の港湾整備の関連法律なりあるいは五カ年計画を変えるということが考えられる。したがって、特に沖繩の港湾に重点を置き、本土との関連においてこれを考えた場合には、港湾整備関係する法律も変えなければならぬし、また整備計画を変えても沖繩の港湾整備のために重点的な努力をする、こういうようにとってよろしいか。
  133. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 そのとおりだと思います。
  134. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 それならまた伺いたいわけでありまするけれども、この港湾工事の費用に対する助成率であります。沖繩の特殊事情にかんがみ国庫補助率について必要な措置を講ずる、こういうことがやはり考えられているようであります。必要な措置ということばは非常に都合のいいことばでありますけれども本土の港湾整備の助成率よりも高い助成率をもって当たっていくということは当然だろうと思うし、またその計画があるやに聞いております。その具体的な内容につき伺いたい。
  135. 山中貞則

    山中国務大臣 予算の補助率については私のほうで取りまとめましたので、私から答弁いたします。  これはほとんど港湾については、地方港及び避難港も含めて、特定重要、重要港はもちろんのこと、十分の十の全額補助でまいりたいと考えます。したがって、本土において十分の四である係留施設や臨港交通施設、港湾施設用地あるいは水域外郭施設等についても、沖繩においては十分の十の補助で事業が行なわれるということになります。
  136. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 補助率が幾ら高くなっても、あるいは満額補助をいたすといたしましても、やはり一番必要なのは、重点的にあるいは機能別にというようなことがいわれておりますけれども、その重点港がどこであるか、あるいは順位をつければこれが一だ、これが二だ、これが三だということにはなると思いますけれども、やはり補助率を上げると同時にその適用範囲を広げていく。先ほどお話がありましたように、いろいろな事業別について十分の四も十分の十にするんだということはわかります。しかし港別にでも、これもやはりなるべく重要な多くの港についてこれを適用していくということが必要であろうと思うわけであります。したがいまして、先ほど運輸大臣から答弁がありましたけれども沖繩の港湾開発のために必要とならば、本土法も改めることもやぶさかでないというだけの決意があったわけでございますので、この点はひとつ要望いたしておきますけれども、適用港についてもあるいは適用項目についても最大限の努力をして、国庫補助の一〇〇%にするような努力を今後なおやっていくべきだというように思うわけであります。  次に、港の資格、港格についてお尋ねをいたしますけれども沖繩法に基づきますと、沖繩法の港格を尊重して本土法による指定を行なっていきたい、こういうことでありますけれども、現行沖繩法による港格の指定と政府が指定しようとする港格については、若干のズレがあるように聞いておるわけであります。たとえば那覇港については沖繩法では特定港湾に指定をされていると思うし、また泊、平良、石垣あるいは渡久地、運天、こういう港につきましては重要港湾に指定をされているというように思うわけですけれども、こういう問題について本土法を適用するにあたってズレがないのかあるのか、現行沖繩法で指定をされている港格はそのまま受け継いでいこうとしているのかどうなのか、承りたい。
  137. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの港格につましては、沖繩本土との間におきましてはその規格と申しますか、採択の基準が異なっております。たとえば船舶の出入量であるとか、その他いろいろの問題につまして異なっておりますので、必ずしも沖繩の港格をそのままに本島の港格に直ちに適用するということにいかない港も出てくる次第でございます。それらの具体的のこと、詳しいことにつきましては、御必要でございましたらば港湾局長から説明させていただきたいと思います。
  138. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 補足させていただきます。  現在の琉球政府の港湾法の港格の指定の方法と本土の港湾法の指定の方法は、若干異なってございまして、現在の琉球政府の港湾法によりますと、政府が所管する港は特定港である。御承知のように那覇港はそうでございますが、それ以外にことしの七月に金武湾と中城湾が指定されております。そのほかの重要港湾の形は、本土法と同じでございます。その他地方港湾、それから避難港は一緒でございます。  那覇港につきましては、現在那覇港と泊港というふうに分かれておりますが、将来はいずれ、那覇新港もいま建造中でございますが、この三港が一緒になった場合に、内地でいえば、特定港という名前でなくて、特定重要港になるかどうかという点が一つの問題点があろうかと思います。これは厳格に現在の基準を適用しますといささか問題がございますけれども、そういう管理上の違ったものを一緒にする、そういうふうな特殊事情もございまして、関係方面と十分現地の御希望に沿うように努力いたしたいというふうに考えてございます。  なお重要港湾につきましても、採択基準につきましてはかなりの格差がございますけれども、できるだけ現地の現在実施されている法体系をそのまま引き継いでまいるように努力いたしたいというふうに考えてございます。
  139. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 港湾行政につきましては大体以上で終わります。  次に、海運関係について伺いたいと思うわけでありますけれども世界沖繩本土沖繩沖繩本島と数多くの離島といったようなことを考えましたときに、海運関係の仕事が沖繩に占める位置というものは非常に大きいと思うのであります。今日の現状からこの海運関係を見てみますと、琉球資本によるものがトン数にして一万九千七百四十七トン、本土資本のものが一万七千五百四十三トン、アメリカ資本によるものが何と五方五百四十一トンというような形で、本土と特に沖繩との間の海運が運航されております。このうちアメリカ資本による五万五百余トンというのはエバレット・オリエント・ライン、アメリカン・メール・ライン、この二社でありまして、これは当然軍需物資の輸送というようなことが行なわれておるわけでありますから、復帰後は別な角度で検討をされるべきだというように思いますが、本土資本の一万七千五百四十三トンというものと、沖繩資本の一万九千七百四十七トン、この対比から考えましたときにいろいろな問題点が出てくると思うわけであります。  すなわち、お尋ねしたい第一点は、日本内航海運組合総連合会と沖繩航路運賃同盟並びに先島航路運賃同盟は、両同盟を中心とした輸送秩序の維持をはかるために話し合いをしたい、あるいはしている、今後も続けていくであろうというようなことがいわれておるわけでありますけれども沖繩復帰した暁も、この日本内航海運組合総連合会へ沖繩航路運賃同盟や先島航路運賃同盟は加入しないのかどうなのか、相変わらず全国組織である日本内航海運組合総連合会の傘下に入らないのかどうなのか、そしてまたその行政指導はどのようにされようとしているのか、非常に重要な問題だと思いますので、伺いたい。
  140. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの海運の問題でございますが、御承知のとおり外国船舶につきましては、沖繩復帰になりますると、カボタージュの問題がございまして、これは問題がないと思う次第でございますが、本土沖繩を結ぶ海運につきましては、ただいまお話がございました沖繩運賃同盟、先島運賃同盟と日本との間の問題につきましては、沖繩のただいまの海運同盟を圧迫をしないような措置を講ぜなくてはいかぬということが根本でやっておる次第でございます。いま御指摘のようないろいろの交渉をしているようでございますが、その基本方針でただいま進んでいる次第でございます。しかしいま御指摘日本海運同盟には参加をするということになっているそうでございます。
  141. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 この際一番問題になるのはやはり本土海運資本の沖繩進出であろうと思うわけであります。政府の資本を拝見いたしますと、沖繩船主のみで海運組合を結成する意向があればこれを認める方針だ、こういうことで、非常におおらかな、沖繩特殊性を尊重するというような見方が出ておりますけれども、このことがはたして沖繩海運を、沖繩資本の海運業を育成することになるかどうか、問題点はなきにしもあらずだと思うわけであります。そういう点まで考えてこういう考え方を出しているのかどうなのか。大臣でなくてもけっこうです。大臣でないほうが具体的でいいかもしれません。お答えください。
  142. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問にございましたように、返還後は、沖繩地域につきまして海運組合を組織することを認める方針でおります。その場合にほかの地区、本土の地区と同じように沖繩の海運組合もやはり日本全体の総連合会の一部に入ることになるというふうに存ずる次第でございます。
  143. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 どうも初めてそういう見解を伺いました。沖繩の海運団体といえども当然日本内航海運組合の総連合会の傘下に入って、その中で言うべきことは言い要求するものは要求していくという中に、政府沖繩海運資本に対する保護助成という態度が両々相まっていかなければ、この立ち直りなり伸展はないというように考えますので、そういう線でぜひ配慮をいたすべきだと思います。  次に離島航路の助成について伺いたいわけでありますけれども、七〇年現在三百一航路がございまして、何と九十四万一千九百八十一人を輸送しているのであります。沖繩の県民は一人一度は必ず船に乗って航海をした、こういう数になっておりますが、しかしその主要航路の内容を調べてみますと、会社組織が十、団体組織が二、自治体運営が九、個人三十七ということで、個人の経営するものが三十七航路もあるわけであります。しかも月間航路回数を調べてみますと、一カ月に二回しか運航してないという航路があるかと思えば、一カ月に二百七十五回も運航している航路もある。まことに大小種々さまざまであり、複雑であります。これを一口に補助育成するといいましても、どこから手をつけていいのやら、どれがどうなのやら、実態すら把握できないような状態のものも、残念ながらあるわけでありますが、一体復帰後は本土の助成制度を全面的に適用したい、集約の進んだものに対しましてはなお本土の助成率を上回ってやりたいというようなこともいわれておりますけれども、一体、どういう方向で手をつけようとしておられるのか、これもまた局長からひとつお答え願いたい。
  144. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘のとおり、現在の沖繩列島内のいわゆる離島航路は、相当な数にのぼっておりますし、また事業者もいわゆる個人もございますし、法人でも非常に、要するに中小企業でございます。実は、琉球政府におきまして、航路補助等の助成を現在行なっておるのでございますけれども本土返還後は、日本の離島航路整備法を適用いたしまして、現在琉球政府が行なっておりまする補助のレベルよりも、相当程度レベルアップした航路補助をやってもらいたい、かように運輸省といたしましては考えております。したがいまして、今後予算におきまして、そういった面で強力に推進してまいりたい。  なお、ただ補助をやりっぱなしということでは進歩がございませんので、できましたら、やはり適当な単位に集約、統合させまして、その場合には補助率を一般の場合よりも上げるということで、企業基盤そのものも徐々に強化していきたい、かように考えておる次第でございます。  なお、ただいま申し上げましたのは、列島内の離島でございますけれども、それと並行いたしまして、沖繩列島の幹線でございまする沖繩本島−宮古−八重山というような先島列島の航路もございます。これにつきましては、現在三業者おりますけれども、これにつきましても、もし必要があれば航路補助も行なえる体制にいたしますし、また船が古くなれば、財政資金を投じまして代船をつくるという方向で育成していきたい、かように考えておる次第でございます。
  145. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 大幅助成の条件として集約なり、合理化が前提のようであります。もちろん、集約あるいは合理化、場合によっては統合といったようなこともあり得ると思いますけれども、その際、本土の助成措置よりも上回ったものをやるというように聞いたわけでありますけれども、パーセントからいきますと、一体、この離島の振興のために、離島航路の助成をどの程度まで考えているのか、具体的にひとつお答え願いたい。
  146. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  助成の度合いでございますけれども、いわゆる集約をした場合には、欠損の八割程度を助成する。それから、集約しない一般の場合には七割五分、それから特に返還の過渡期におきまして——本来ならば補助はできないようなたぐいのものもございますけれども、しばらく過渡期の間は、現在琉球政府が補助しております分につきましては、補助率は落ちますが、四割ぐらいに考えておりますけれども特別にその助成を続けていきたい、かように考えております。これは過渡的な措置でございます。  以上でございます。
  147. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 海運関係は以上で終わりますが、次に陸運関係を伺いたいと思います。  先ほどもちょっと触れましたけれども沖繩におきましては、陸上交通は、自動車が唯一無二の交通機関であります。しかも、十二万九百十八台米軍が使っている車両を含めますと、プラス五万台ということでございますので、人口に対する車の保有率は本土よりもはるかに高い、実際数は高い、こういうことになります。しかし、その内容を分析してみますと、やはり非常に零細であり、老朽であり、非能率であります。たとえばバスをとってみますと、十七業者が八百六十二台持っておりますけれども、法人組織は七社で八百三十台、何と個人十人が三十二台のバスを個人経営で運営しているのであります。タクシーにつきましては、八百三十七業者、三千八十三台ありますけれども、法人が二百十一社、個人が十三社、一人一軍の個人が六百十三人もあるわけであります。これは、本土ではちょっと、個人のバス経営なんというのは想像できないし、またタクシーにつきましても、個人経営十三社三十五台、一人一車のいわゆる個人タクシー六百十三台といったようなことは、沖繩のバス、タクシーの非常に特殊な現象であろうというように思うわけであります。  特に、このバスの車齢これを調べてみますと、沖繩本局においては平均が八・一歳その他の離島では何と十四・五歳、宮古群島では十二・二歳、八重山では十一・一というように、たいへんな老朽バスが走っているわけであります。離島の平均は何と十一・二年でございますから、本土では想像もできない老朽バスが走っているということになる。本島と先島を平均いたしましても、平均車齢は八・四年になっている。これではまさに、老朽化もはなはだしいどころではなくて、本土とは比較にならぬと思う。自動車局長いらっしゃいますけれども本土の民間バスの平均車齢と沖繩のバスの八・四年という平均車齢あるいは離島の十一・二年という平均率齢とを比較しても、いかにも古いと思う。本土との比較においてどのようにお考えになっておりましょうか。局長でけっこうです。
  148. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  沖繩におけるバスの車齢が、本島並びに離島を平均いたしまして八・四年であるということは、先生御指摘のとおりでございます。これに比しまして、本土は、全部を平均いたしますと五・二年ということで、沖繩よりも本土のほうが車齢が非常に短いと申しますか、ほとんど償却期間内に車の交代が行なわれておるということでございまして、沖繩の車両が非常に悪くて、これの改造につきましては、私ども相当考えなければならない、かように考えております。
  149. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 お答えのとおりでございまして、たいへんなぼろ車が走っていて、しかも、これが唯一最大の陸上における交通機関だということになってまいりますと、これが助成あるいは振興対策というものは、かなり具体的に、早急に、しかも重点的に行なわなければどうにもならぬと思うわけであります。  そこでちょっと伺いますが、老朽車両の代替購入費の補助を具体的にすればどういうことになるのか。たとえば車齢十六年から二十年のものは三十一台でございますが、さらに車齢十一年から十五年のものが百九十二台、要するに十一年以上のものを合計いたしますと二百二十三台あるわけであります。ここらあたりは一挙に更新をしてあげなければどうにもならぬと思うんだけれども、具体的にどのような補助を考え、そしてまた、車齢どの程度のものまでは更新させようとされておるのか、具体的な方針を承りたい。
  150. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  沖繩におきまする車両は非常に古いものでございますので、特にその中で最悪の状態にある車両の取りかえを急いでやりたいと思っております。したがいまして、私どもは、四十七年度予算要求におきまして、ただいま先生おっしゃいました二百二十数台の車、平均車齢十三年をこえているものでございますが、これを集約等による減少を見込みまして約二百台を取りかえたい。二百台の垣両につきまして、本土の現在行なわれております過疎バス等の助成措置に沖繩の特殊事情を加味いたしまして、二百台のものにつきまして要する経費、そのうち予算要求といたしましてただいま折衝中のものは、国家の補助金といたしまして約三億八千万円を要求をいたしております。それから同額を沖繩の今度新設を予定されております公庫からの財投によって期待をしておる、こういう状況で同じ三億八千万の財投を期待しておる、こういうことでございます。
  151. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、約二百台について予算措置としては財投で三億八千万ということでありますけれども、来年度においてこれが実現した場合は、二百台全部というわけにはいかぬと思いますけれどもどの程度の更新ができるとお考えですか。
  152. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  ただいま申し上げました数字は私ども予算要求としてただいま折衝中のものでございまして、したがって、まだ確定いたしておりませんが、これの獲得については最大限の努力をしたいと思います。ただ、いま全体の営業バスの台数が約八百六十台ほどございますが、これを全部このまま更新するということは、バス事業の集約等もございますので全数にはわたらないと思いますけれども、この数を、企業の集約それから路線の統廃合等を行なった上で必要なものの取りかえを漸次やっていきたいということで、私どもこれを三年間と申しますか、復帰後少なくとも三年程度の間に全部の更新が、おそらくこれは全部で六百台あるいはそれに近い数になると思いますが、それの更新ができるように期待したいと思っております。
  153. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 次に、車検制度のあり方について伺います。  御承知のように指定検査人制度を設けて、「指定検査人及び指定検査人の業務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす」というような規定をいたしまして、指定検査人というのは公務員だ、こういう規定をいたしております。御承知のように指定しようとする事業所が四カ所ございますが、このうちもちろん指定検査人そのものはここでいう公務員とみなすというものであろうと思いますけれども、このどこまでが公務員とみなすのか、たとえば沖繩自動車検査所には所長を含めて十七人がいて、五人の補助員と十一人の事務員がいるわけであります。行って調べてきてそういうことになっております。このうちだれまでがこの刑法の適用を受ける公務員なのか、その点は明らかでございましょうか。
  154. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  現在、指定検査人として指定を受けておるものは六カ所六人でございます。そして、そのほかに先生御指摘のようなこれに対する補助の職員がおるわけでございますが、法令上公務に従事する者とみなされるものは、いわゆる指定検査人として指定を受けている六人でございます。
  155. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 その六人の、たとえば那覇自動車検査所ですね、これは十七人いますね、指定検査人として指定されている人とそれから補助員五名とあと十一名は事務員ですね、十七人全部がそうなるのですか。
  156. 野村一彦

    ○野村政府委員 補助者を除きました指定検査人として指定をされております六人の方、このうち法人がございますが、そういう本人だけでございまして、使用人は含まれておりません。
  157. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこでもしこれが間違いであれば幸いでありますけれども、ちょっと伺いたいのですが、法文の解釈からいくと指定検査人だけでなくて、事務員は抜けるかもしらぬが、補助員はやはりこの法の解釈の中へ含まれるというように思うのですが、一人だけで間違いありませんか。
  158. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  失礼しました。指定検査人とそれから業務に従事する者でございますので、いわゆる補助員として雇用されておる者も公務に従事する者とみなされるものでございます。失礼いたしました、訂正いたします。
  159. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで、名義のみで実際には職場にはほとんどいない経営者、株式四分の一を持ち、重役として給料はもらっているが、そこにはいない、本業は別にあってほかのところで仕事をされているというような方があったらたいへんですけれども、そのようなことは聞いておりませんか。
  160. 野村一彦

    ○野村政府委員 現在琉球政府におきましてこれらの指定検査人の監督をやっておるわけでございますが、ただいま先生の御指摘のような他業を兼務しておるかどうかということにつきましては、私ども詳細に存じておりません。
  161. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 これは正式な機関ができるまでの過渡期的措置としてデリケートな問題があると思うのです。むやみに法規、法律で締めつけるわけにもいかぬでありましょうし、そうかといって自動車の検査ですから本土の検査に近づけなければならぬ、近づけるというよりも同等でなければならぬ。この辺はよく配慮をしてやっていただきたいと思うわけであります。  時間がございませんので、最後に海上保安と気象について伺いたいと思うのでありますけれども、外務大臣、那覇港と金武湾港の港長業務は、那覇港については現在はなお米軍が持っておるし、金武湾港についてがガルフ社という会社が持っておるわけなんですけれども、これらは交渉の過程においてその港長業務というようなものは返還時には返ってくるということが明らかになっておられるのでありましょうか。
  162. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 はっきりそういうふうにきまっております。
  163. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこでちょっと伺いたいのですが、海上保安のいわゆる第十一管区の新設につきましては、明らかに海上保安庁法を改めてその七十八条において第十一管区を設定しました。ところが気象につきましては沖繩管区気象台等というようなことで、正式な管区気象台でもなければ、単なる地方気象台でもない、まことにあいまいな規定になっておりますけれども、海上保安庁法を改めて第十一管区を設定するならば、運輸省設置法を改めてこの管区気象台に昇格をして十分な機能を発揮すべきだと思うのですけれども、なぜこのような差別をつけたのか、大臣。
  164. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 沖繩気象台にいたしました理由につきましては、他の管区気象台と規模の点におきまして、人員の点におきまして、いろいろの設備の点におきまして非常に差がございますので、しかしながら沖繩は御承知のとおり台風の通過地点でございます。わが国全体からいたしましても非常に重要な地帯でございますので、名称は地方を削りまして、それで沖繩気象台といたしまして、権限は管区気象台と同じ権限を与えることによりまして、その差を埋めるということでもっていたした次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  165. 床次徳二

    床次委員長 大体予定の時間が来ましたので、簡潔にお願いいたします。
  166. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 最後に、いまのお答えですね。だからこそ地方気象台でなくて、海上保安庁が十一管区を設定したように沖繩管区気象台としてなかったかということをお尋ねしたわけであります。  総理、短時間でありましたけれども沖繩の運輸行政というのはたいへんですよ。かつて運輸官僚として経験を持たれたあなた、先ほどごあいさつがありましたけれども、私は国営運輸機関沖繩に置くことが沖繩の運輸行政の開発になるということを言っているのじゃないのです。零細な、旧式な、しかも複雑なものをどうするかということに焦点を合わせたわけでありますけれども、いまの私と関係者とのやりとりを通じて、なお一そう覚悟を改めていただかなければならぬと思うのですけれども沖繩運輸行政進展のために決意のほどを一言伺って終わります。
  167. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど来関係省庁とのいろいろ質疑応答、これは私も静かに伺っておりました。沖繩の置かれておるその地位にふさわしいお尋ねであったと思っております。これは何と申しましても多数の島々からでき上がっている沖繩県でございます。そういう意味において、最も大事なのが港湾であり、航路であり、また、ただいま最後のお尋ねでありました気象であり、これらの問題が一番大きな問題だと思っております。また、その間において、いろいろ陸上交通機関としての最近のあり方、いわゆる自動車交通についても詳細にわたってお尋ねがありました。私は、そういう意味でたいへん有益なるお尋ねであり、私どもは今後取り組むべき問題についての御示唆があった、かように思っております。  私は、沖繩の方々が、先ほども特殊なものについて特別な中央政府の助成、補助も必要とする、こういう点も申し上げております。どうか集約化あるいは合理化等にも積極的に乗り出されて、より安全な、しかも効率的な交通機関整備、これに努力されんことを心から望むものであり、中央政府もそれに対応する援助は惜しまないものでございます。これをこの機会にはっきり申し上げておきます。
  168. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 終わります。
  169. 床次徳二

    床次委員長 田中昭二君。
  170. 田中昭二

    田中(昭)委員 今回沖繩返還されるにあたりまして、私たちが喜んで迎え入れるとともに、沖繩の県民の皆さんとともに、喜んでもらえるようにすることが大事なことであると思いますし、また、そのための努力をすることについては、だれびとも異論はないと思います。運輸関係の問題にしましても、ただいまの質疑者の質問もありましたように、まだまだ港湾、海運につきましても、また海上保安の問題につきましても、海洋日本国がいままでの守備範囲の相当な拡大による責任、こういうことも考えられます。また、陸上交通ではただいまの質問のほかにも、まだいわゆる県民の皆さんが、すぐあしたから、返還のその日から問題になります陸上交通の問題としましては、いわゆる本土と違った交通法の適用を受けなければならない。同一民族が違った交通法規によって差別をされたような状態で、暫定的とはいいましてもそのような立場に置かされる。これは国連におきますいろんな取りきめにつきましても、私は妥当でない、こういうふうにも思いますが、しかし、何ぶん時間も限られておりまして、私たちも土地提供の今度の使用法案につきましては反対でございますけれども総理は重大なる決意でこの返還に、事に当たっておられます。そういう立場に立ちまして、返還になった場合に県民の皆さんに直接かかわる法律規定等をひとつ、そのようになった場合のことを想定しながらお尋ねいたしていきますので、どうか前向きの明確な答弁をお願いする次第でございます。  そこでまず私は、復帰にあたりまして政府が那覇空港の全面返還ということをいっております。こまかい問題でございますが、まずその問題から入っていきます。その返ってくる空港の区域の中で、聞くところによりますと、運輸省、防衛庁がそれぞれ使用する、所管するということのように聞いておりますが、まず、その両省の所管する空港の中の面積はいかがなものでございましょうか。
  171. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま、返還になる那覇空港の面積は大体二百五十万平方メートル、こういうふうに承っております。お尋ねの自衛隊の使用、民間航空の使用の区分につきましては、まだ決定をいたしておりません。これはただいま両省のうちにおきまして協議中でございます。
  172. 田中昭二

    田中(昭)委員 運輸大臣から民間が使う分だけはきまっておるけれども、それが大体二百五十万平方メートルですか、そういうふうにいまお答えがあったわけでございます。自衛隊のほうはわからない——運輸大臣はわからぬかもしれませんけれども……。  そこで、いま大臣がおっしゃった二百五十万平方メートルというのですが、聞くところによりますと、三百万平方メートルとも、いろいろうわさされておるのです。こういうことで、はなはだあいまいです。また、その境界線さえはっきりしてない、あやふやである、このようにいわれておりますが、これでは沖繩の県民もたいへん不安が多いのではなかろうか。また、そういうあやふやなことでは、政府に対してさらに疑惑を持つようなことになっては困ります。それを排除する上におきましても、大体返還される空港の面積は三百万平方メートルに近いのか、それとも約二百五十万、どちらかもう一回お答え願います。
  173. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 お答え申し上げます。  私どもただいま聞いておりますところでは、返還される区域、その那覇空港の部分が二百五十二万平方メートル、約二百五十万平方メートルというふうに聞いております。それで、大体の概要を申し上げますと、いま那覇空港のフェンスがございますけれども、大体におきまして、多少の出入りはございますけれども、その西側でございます。ただし、その中でも、いわゆるナイキの基地とか、エンジンテスト工場、エンジンの修理工場、ライフルレンジあるいはビーチリゾート、こういったようなものがございまして、そういうものは抜けるというふうなことが大体の内容でございます。
  174. 田中昭二

    田中(昭)委員 政府の事務当局のほうも、いいかげんなことを言わないようにしてくださいよ。この空港がどの広さ返ってくるということについては、ここで初めて、この関連法案で審議されるわけですから。あなたのほうの事務当局から、三百万平方メートル近い区域であるということを発表しております。  これはまた後ほど指摘することにしまして、大臣、私が最初に言いましたが、沖繩が返ってくるのですから、それの目玉商品として那覇空港が返ってくるのですから、その境界線ぐらいはっきりしてもらわなければ困る。私は、ことばの上だけではわかりにくいと思いますから、いま大臣のほうに地図を差し上げます。これは政府からいただいた地図でございます。この地図によって私少し確認しておきたい。  この赤線で引きました範囲が大体返還を予定されておる境界、面積です。この中に、これでいえば上のほうに斜線を引っぱった部分がございます。これは自衛隊のほうで、少しは違うかもしれませんが、大体この辺が自衛隊が使いたい。それからもう一つは、塗りつぶした点がございます。聞くところによりますと、これが、塗りつぶした一番大きな点が、米軍のミサイル基地だと聞いております。もちろん、これらは全部米軍のA表によって残ります基地であります。上と下、両方ではさまれたようなかっこうでこの那覇空港が返ってくる。ここでございます。でありますから、いまの二百五十万にしましても、斜線の部分を除いて二百五十万なのか、含めて二百五十万なのか、それをもう一回防衛庁の長官のほうからお答え願いたいと思います。
  175. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 施設庁長官から詳しく御説明をさせます。
  176. 田中昭二

    田中(昭)委員 簡単でいいです。含むか含まないか。
  177. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 お答えします。  ただいま運輸省のほうからお話のありました約二百五十万平方メートルという中には、ナイキのサイトは含まれておりません。
  178. 田中昭二

    田中(昭)委員 含まれてないとすれば、大臣、聞いておいてくださいよ、含まれてないとすれば、それを含めば三百万になるかもしれませんね、大体ですから。とにかく二百五十万よりふえることは間違いない。  そこで、もう一つ重大なことは、先ほど私が——赤で塗りつぶされました四カ所の地点かここに、地図にございます。私が聞いたところでは、この一番大きな塗りつぶした点は、米軍のミサイル基地だと聞いております。こういう——これは間違いないと思いますが、両方から重要な基地ではさまれたような空港が返ってくる。これはたいへん県民としても危険な状態を想像せざるを得ない。これは私はたいへんな重大なことではないかと思います。ミサイル基地があるということを確認しながら、ミサイル基地があるという想定といいますか、そのもとでひとつ総理と、それから大臣のお答えをいただきたいと思います。
  179. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 那覇空港に自衛隊を配備する予定は持っておるわけです。いま直接お尋ねではありませんが、確かに民間航空と自衛隊と共用するというわけですから、内地でも共用の場面ではいろんな不都合もありますし、いろいろあります。特に、私はまだ就任早々でありますが、これは既定の事実として一応計画を立てておるようでありまするが、四年先に海洋博が行なわれるんですね。これは三百万から四百万の人が見ると通産省では控え目に言っておりますが、かりに百万人がこの那覇空港へおり立つ、三分の一弱が。としますると百六十人乗りが、ちょっと算術をやってみただけでも一日四十機ぐらいがおり、また戻さにゃなりませんから飛び立つというようなことになることを考えますと、これは容易ならぬことだなというようなことを実際思っておるわけであります。今後、調整の上で、なお十分検討をしながら、ひとつ配備をしていきたいと思っております。  なお、那覇空港が返ってまいりますると、所管は当然これは運輸省になりまするので、運輸省の指図のもとで自衛隊が共用と、こういうことになるわけであります。
  180. 田中昭二

    田中(昭)委員 総理、もう少ししまして一緒にお答え願いたいと思いますが、大事な問題ですから。いわゆる那覇空港というのは返還の目玉商品として宣伝されて、たいへん期待を持っておるわけですから。  そこで、私もう一回確認しておきますが、いま、この示しました地図でいきますと、斜線の部分は二百五十万平方メートルに入ってない。そうしますと、私がここで引きましたこの赤線の区域にはまだこの米軍の塗りつぶした面積が入っておる。これが入っておるか入ってないか、これはまだわからない。だから私が問題にしておるのです。  いま防衛庁長官は、運輸省と自衛隊が共用するようになっておるというような御発言がありました。ところが、この審議が始まって私たちの同僚議員が外務大臣に質問したときには、その自衛隊にもう一枚米軍も加わった三者の共同使用は絶対ありません。それじゃ三者でないということは、二者はあるということですか。その辺の、どうも私は閣僚の意見の統一を欠いておるような感じがする。違うようなことをおっしゃっておりますがね。——ちょっと待ってください。まだ私発言中です。その上に、同僚議員に対して外務大臣は、完全無欠に全面返還とおっしゃったのですよ。こういう状態で完全無欠ですか。基地の中に米軍のミサイル基地があるというようなことで完全無欠ですか。そういう立場に立って外務大臣のお答えをいただきたいと思います。
  181. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、いわゆる那覇空港地域の中で、那覇空港、つまり那覇空港として使用されておる部分です、これはわが国に完全に返ってくる、こういうことを申し上げておるわけでありまして、そこで、その空港をわが国はどういうふうに使うかということになりまするときに、三者使用かというお話がありますが、米軍が返還後に使用することはありませんと、こういうことを申し上げ、つまりわが国の民間と、それから自衛隊と、この二者が共用をする、こういうことを申し上げておるわけであります。
  182. 田中昭二

    田中(昭)委員 私、ことばじりをとるわけじゃございませんけれども、あなたは先日——いま二者で共用するというようなことをおっしゃった。しかし、P3が撤去されたかされないかという論議をしたときには、そのような意味ではおっしゃってないのです。ずっと内容を見てみますと。一カ所だけではないですからね。それは一応指摘しておきます。大臣ですから、そのときそのときによって政治的な判断と御答弁なさっておるようでございますから、無理でございますから……。  次に、私は、一歩譲って、那覇空港に対しては自衛隊の使用はやめなさいという県民の強い要望があるのです。そういう感情を無視して自衛隊と共用するということについて、運輸大臣は、防衛庁長官でもいいですが、そういう住民感情を考えるならば、こういうふうに——ほんとうならば、民間で使いたいというような申し入れを——申し入れといいますか、意見があるのかどうかお聞きしたいと思います。簡単にお願いします。
  183. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 民間航空といたしましては、もちろん、自衛隊飛行場とは分離したほうが望ましいことは、これはもう言うまでもないことでございますが、沖繩には自衛隊の飛行場は一つもないというような現状でございます。現状といたしましてはやむを得ぬことではないか、こう思っておる次第でございます。
  184. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 関連して申し上げますが、現在こちらに戻ってまいりまする那覇空港二百五十万平米という形になりますると、民間との共用におきましても、民間機が一日に大体三便程度というような状況下ならば、これは共用は当然可能である。だから私は、将来四年ぐらい先になった時点では、これは当然考慮されなければならぬというふうに思うのでありまするが、現時点ではまあまあ共用はスムーズにいくものというふうに思っております。
  185. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま運輸大臣は簡単に現状からしかたないという。そんなことではこの関係法案の審議は、ほんとうにやる必要はないのじゃないですか。返還されるのですから、このときこそ、あなたたちは日本国民の代表者です、返還のときにあたってこそ——米軍が広大な軍事基地を使っておりますし、また使ってない飛行場もあると聞いております。そういうものを自衛隊と共用させてくれ、させるべきだ、なぜそういうことが言えないのですか。初めからそんな答弁をするのであれば、私もこういう内容に入るのではなくて、別な問題から入っていかなければいけないようになってくるのです。だから対米追従、弱腰外交、こういうふうに非難されるのです。総理、いかがでしょうか。沖繩が返ってくるのですから、このときこそ沖繩県民の立場に立つならば——それは相手が受け入れぬと言うかもしれませんよ。しかし、広大な軍事基地を持って飛行場もたくさん持って使っているのですから、そういうところを自衛隊と一緒に共用しなさい、なぜそういうことが言えないのですか。お尋ねします。
  186. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 先ほど私が申しました点でございますが、もちろん、民間の空航を支障するようなことになるということでございますると、これは重大な問題でございますが、ただいま内地におきましても、国土の狭い点、また飛行場の少ない点ということからいたしまして、名古屋の空港あるいは仙台の空港、われわれ民間の飛行場でございますが、自衛隊の共用を許している次第でございます。また、自衛隊の管理をしておりまする空港に対しましても、民間の飛行場として使用しておる場所も相当ございます。そういうようなことでございまして、ただいまの御指摘の点につきまして、いろいろ感情の問題がございますが、民間航空の安全ということを第一にしまして政府部内で十分協調してやってまいりますれば、当分の間はそれで差しつかえないと思いまして、私ども同意をしておる次第でございます。
  187. 田中昭二

    田中(昭)委員 それじゃ一歩譲って、百歩譲って、自衛隊との共用ということは——よく考えてくださいよ、いま大臣、あなたのいうことが、運輸大臣の言うことが一番はっきりしない。いま現在わが国の本土でも自衛隊と共用しておるところがございます。私が言うまでもなく千歳空港、たいへん困っておるのです。航空の安全をというならば、そういう姿はいけない。私が、しろうとが言うまでもないのです。専門家が全部言っております。周知の事実であります。そういうことを考えてみますと、あなたたちがいつも航空の安全というようなことをおっしゃる、航空の安全面からもそれではまずいのですよ。ですから、ここでもう那覇空港は共用するということに立つならば、千歳のようなことになっては困る。千歳の二の舞いは絶対させませんという確信あるお答えを、これはひとつ大臣のほうからいただいておきたいと思います。
  188. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 私ども空域の問題、空港の問題につきましては常に防衛庁と折衝しております。その間におきまして、いろいろやはり訓練の利便その他もございますが、それらの点につきましては、ただいまでは民間航空の安全を基調といたしまして、防衛庁のほうも非常にその点で理解を示しておりまして、そうして、ただいま空域の設定につきましても、私どもの主張どおり通っている現状でございます。したがいまして、それらの点につきましても、私は民間航空安全を第一、主といたしましてこれからの防衛庁との折衝もその態度で臨む次第でございます。政府部内でございますので、その点におきまして必ず協調が得られると確信をしておる次第でございます。
  189. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御質問のとおり、民間航空に支障があったのではこれもたいへんなことで、十分われわれのほうとしてもその調整に応じたいと思っております。現時点では、さっきも申し上げましたように、沖繩は、北海道より民間航空の使用度数というか、機数というか、それが少ないことが予想されますので、共用でいこう、当然、海洋博その他で事情が変わってくれば、これは将来にかけて十分検討しなければならぬと思っております。御趣旨の点は十分体して話し合いを進めてまいりたいと思います。
  190. 田中昭二

    田中(昭)委員 那覇空港の現状からの、それから将来に向かってのいまお話がありましたから、私はそのとおり受け取っておきたいと思います。将来においては自衛隊との共用は考えなければならないということがあり得るというような意味で一応納得しておきたいと思います。しかし、やはりこういう既成事実を想定しておりますと、県民の方たちから県民無視である、住民感情無視である、そういうふうにいわれることはたいへん残念です。そこで私は、何らかのここに歯どめ策というふうなものがなかろうか、また、那覇空港を民事優先を確保するという何らかの方法はなかろうか、また所管大臣にそういう方法を何か考えていただくということはできないものか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  191. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま御指摘がございました御趣旨を体しまして、あくまでも民間航空安全を第一といたしまして、飛行場のこれからの、たとえばいろいろのターミナル設置、あるいはまた管制塔の施設その他につきましても十分御意見を体しまして、民間航空第一を旨といたしましてやってまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  192. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう抽象的なことでは困るのですよ。それで、私考えてみたのですけれども、いつも役所のなわ張りといいますか、いままでの状況から考えてみますと、自衛隊が共用する部分の、先ほど言いました二百五十万と自衛隊が使う分は別でございますから、それも含めて運輸大臣の所管にする、一応それは土地、敷地だけですから、敷地とか建物を一応は運輸大臣の所管にする、こういうふうにしておけば、運輸大臣の行政財産みたいにしておけば歯どめになるのではなかろうか、こうも考えるわけでございます。ですから、こういう点はひとつ検討していただきまして、ここでいま言えということは無理だと思いますから、検討していただきたいと思います。  最後に、那覇空港が返ってきた場合に、二種空港に指定するというふうな方針を聞いておりますが、現状は国際線も相当乗り入れもしておりますし、また南の玄関口にも当たりますし、そういう状況を考えてみますと、私は国際空港として取り扱うべきではなかろうか、こう思いますが、その点はどうでしょうか。簡単にするのかしないのかで……。
  193. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまのところは飛行機の離発着の状況、現在から近くの将来を見通しました状況からいたしまして——沖繩日本本土になる次第でございます。国際線の需要状況、いままでは国際線でございましたが、それが国内線に変わってまいりますので、非常にその点が少なくなってくるというようなところからいたしまして、第二種空港もやむを得ないもの、こう思っておる次第でございます。
  194. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、もう少し事務的なことも考えてお答え願いたいと思いますよ。二種空港に指定しましても、本土にある二種空港とはちょっと違うのでしょう。私が事務当局から聞いたのでは、一種空港にしたいんだ、そのために空港整備の負担も全額国のほうで見てやりたい。そういう意味でいえば二種空港じゃないのです。いま一種の国際空港は、全額国庫負担なんです。そういう国庫負担で空港整備をしてあげたいということは、ちゃんと開発法案にも出ているじゃないですか。それは間違いありませんね。
  195. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 空港の整備につきましては、第一種空港並みに全額負担することはもうすでに政府部内で決定しております。したがいまして、その方向で進みますとともに、あるいはまたランウエーその他につきましても、将来のそういった国際事情考えまして、また大型機が飛べるように保安施設その他も十分配慮してまいりたいということでただいま進んでいる次第でございます。
  196. 田中昭二

    田中(昭)委員 ということは、実質は空港整備については一種空港、いわゆる国際空港、名前はどうでもいいと思いますが、そういうことだということで確認しておきます。  最後に、ひとつ総理、私、先ほど地図を示しまして申し上げたわけですが、見ていただけたかと思いますが、こういう状態で飛行場が返ってきます場合に、両方に米軍の危険なる基地があるということにつきまして、総理としての所見をお伺いして終わりたいと思います。
  197. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いままでの米軍基地をそのまま今度は引き継いだ、自衛隊で引き継ぐ。どうも空港のすぐそばにナイキの基地があるという、これが目に見える、そこまで那覇空港を守るというか、その必要があるかどうか、そこらにもなお検討を要するものがあるのではないだろうかと私も思います。ただいま、そばの山中総務長官とも、さような点で私語していたような次第でございます。将来長くこの姿を維持すると、かようにはどうも言いにくい。われわれは、やはりそのときどきにふさわしいような状況に変更していくのが望ましい姿ではないだろうか、かように思っておりますので、この際はどうもやむを得ないと思いますが、将来の問題として十分検討してみたい、かように思っております。
  198. 床次徳二

    床次委員長 岡田利春君。   〔床次委員長退席、金丸(信)委員長代理着席〕
  199. 岡田利春

    岡田委員 私は、沖繩問題の質問に入る前に、一点だけこの際総理お尋ねいたしたいと思うわけです。  御承知のように、今日アジアでは、依然としてベトナム戦争が継続されております。これはアジア人の平和に対する願いにかかわらず、まだ終息段階とはわれわれは思えないのであります。しかもインド、パキスタンの両国の紛争状態は、今日全面的な宣戦布告なき戦いに突入して、これまたアジア人にとって不幸なできごとと申し上げなければならないと思います。政府は先般来印パ両大使を呼んで、在留邦人の身分の安全保障、あるいはまた国連においてはアメリカの決議案に同調する等の態度をすでに見せておるわけです。私はこの際、印パ戦争に対する政府の統一的な見解と、今後のわが国のこの問題に対処する方針について伺っておきたいと思う次第です。
  200. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私からお答えを申し上げます。  この印パ問題につきましては、私ども政府として非常に憂慮をいたしております。そこで、この印パ戦争の現況をまず申し上げたいのでございますが、昨年の十二月にパキスタンにおきます総選挙がありました。その総選挙を契機といたしまして、パキスタン内部に混乱が生じてきておるのであります。だんだんとそれが高じてまいりまして、三月の時点になる。そうすると、なかなかこれは容易ならざる事態だ、こういうふうに判断されたわけでありますが、やがて雨季になりまして、十月まで戦争の状態というものが鎮静化してきておる。ところが、十一月二十一日、雨季明けになりますと、東パキスタンの印パ国境におきまして武力衝突が起こるという事態があり、その成り行きを憂慮しておりましたが、去る十二月三日に至りまして、これが西パキスタンにも影響を及ぼしてきておるのであります。  東パキスタンの戦況は、これはこまかい地図でおわかりにならぬかもしれませんが、南部のパキスタンの軍事基地ジェソール地区というのと、それから北部のパキスタンの軍事基地ラングプールというところを中心にいたしましての武力の紛争が起こっておる。それが西パキスタンにも波及して、今度はカラチ軍港の砲撃というような事態まで発展しておるわけであります。  そういう事態に対しましてわが国はどういう措置をとっておるか。まず第一に、居留民の保護の問題であります。この居留民の保護につきましては、三月の中旬にダッカにおります居留民の引き揚げを指導いたしまして、大かた引き揚げをいたしたわけであります。日本航空の協力を得たということを、この際御報告申し上げます。それからさらに戦争が激化するに伴いまして、逐次、在留居住民団に対しましては、情報の提供並びに適切な措置をとることを要請してまいりました。それからさらに今月に入ってからの西パキスタンにおける戦闘の波及、これに対しましては、全面的にこれらの邦人に対しまして、インド駐在あるいはパキスタン駐在の大使館を中心として適切な措置をとっておる。そして最後の手段といたしましては、飛行機の手配、それから万一飛行機が使えない場合の食糧だとか、医薬品だとか、そういうようなことの手配、これに万遺漏なきを期しておる、こういうふうな状態でございます。  そこで第三には、わが国のこの問題に対する処理方針でございますが、これは紛争が激化しようという三月ごろから、わが国はこの難民の救済、つまり東パキスタンからインドに流入いたしました一千万といわれる難民、これに対しまして、累次にわたって救済接助の措置を講じております。同時に、基本方針といたしまして、この印パ戦争の発生に至らないように両国が自制をするようにという要請を、総理大臣から累次にわたって両国の首脳に対して発出をいたしておるのであります。  そこで、この紛争を回避するにはどういうふうにするか。総理大臣から直接両国の首脳に呼びかける、これはもとより大事なことでございますが、同時にこの問題は非常に多角的な利害関係を含んだ問題でありますので、それで、これは国連においてこの問題に介入するほかはあるまい、こういうふうに考えまして、国連がこの問題に取り組む以前から、わが日本は、先頭に立ちまして安全保障理事会、個別的にではありまするけれども、この安全保障理事会の会合の発動ということを要請してまいりましたが、私どもの要請、これも相当影響力はあったと思います。  その要請のもとにというところまでは申し上げかねますけれども、とにかく安保理事会が開催されるということになりまして、去る十二月の四日に安保理事会開会、その席で、わが国は、アメリカやイギリスやイタリア、ベルギーなどと協議をいたしまして、正式の安保理開催要求をいたしたわけであります。この安保理開催の正式九カ国要求を受けまして、安保理が同日開催されました。  その同日開催の安保理におきまして、まずアメリカが即時停戦、それから両軍の撤退、また国連によるオブザーバーの派遣という決議案を出した。ところが、これはソビエトロシアのビート発動によりまして否決に相なっております。その他もろもろの決議案が出ましたが、収拾のための有効なる決議ができません。  そこで一たん休憩になりましたが、五日の午後六時に再びこの会議が開催になりまして、ソビエト提案、これはどちらかというとインド寄りになる提案でありますが、これが否決に相なりました。それからわが国と八カ国が提案いたしました即時撤兵、停戦の決議案これはソビエトのビートによって否決になっております。また中国案は、どちらかというとパキスタン寄りの態度、姿勢になっておりまするが、これもまだ結論に至らず投票延期、こういう事態になっておるわけであります。  そういうふうに、わが国が直接総理大臣から両国の首脳に対して折衝を行なう、同時に国連におきまして、わが国も先頭に立ってこの平和的処理を提唱しておる。基本の方針とするところは、両国の首脳が良識をもって戦闘という事態を避けられたいということが一つ。  それからもう一つは、この戦争の背景にあるものは何だというと、これはいろいろこんがらがった政治関係があります。多角的な大国間の利害関係が伴っておりまするけれども、もう一つの理由は、これは難民の問題なんです。一千万といわれる難民の処理、これが解決されないと戦争の根源というものは除かれない。この問題に、力ある国々は思いをいたすべきである。そこで、わが国は、力あるそれらの国々に対しまして、何とかして難民の問題の解決をしようじゃないか、そして力ある国は応分の協力をしようじゃないか、そういう呼びかけをいたしております。今後ともそういう方針をもってこの問題には対処していきたい、かように考えております。
  201. 岡田利春

    岡田委員 いまの大臣の答弁では、結論的に言うと、わが国は、この印パ問題については中立の立場をとるということに尽きるのではないかと思うわけです。したがって、両国に対しては、この紛争期間中これらにかかわる援助はわが国としては行なわないということになるのではなかろうか。もし、難民その他の避難民等の問題があるとするならば、これは国際赤十字社を通じてわが国が積極的にこれに対処をする、いわゆるこのような方針になるのではないか、こう私は、いまお話を聞いて受けとめたわけですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  202. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 そのとおりの御理解でよかろうと思います。
  203. 岡田利春

    岡田委員 沖繩問題の協定に関する部分でありますが、佐藤・ニクソン共同声明の四項で、特にベトナム問題に総理は触れられておるわけです。この中では、米国の努力に影響を及ぼすことなく、そのときの情勢に照らし十分協議するとの意見の一致を見ております。したがって、この意見の一致に基づいて、返還協定締結にあたっては、十分ベトナムの情勢等についても米政府と討議をし、そうして認識が一致されたのではないかと私は判断をいたすわけです。この点については、実質どのような話がなされたのか、また、今日の情勢で具体的な話はなされていないのか、この機会に見解を明らかにしていただきたいと思います。
  204. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 おそらく共同声明第四項の話じゃないか、こういうふうに思います。この共同声明四項におきましては、ベトナム戦争の早期終結を期待する、もしこの期待に反しましてベトナム戦争が沖繩返還時までには終息しない、そういう事態があったならば日米間で再協議しましょう、こういう趣旨かと私は思っております。ところが、いまだその再協議はいたしておりません。また、これからも再協議をする考えはありません。と申しますのは、ベトナム戦争は、あの声明以来漸次下火になってくる、戦闘は鎮静化の方向であります。そうしてこの間、アメリカ大統領による撤兵の計画の発表があった、こういうような状況でありまして、沖繩返還の時期がいつになりますか、これはまだ未確定ではございまするけれども、今後の見通しといたしまして、この条項に基づき沖繩問題に関して日米間で再協議をするという事態には至るまい、さように確信をいたしております。
  205. 岡田利春

    岡田委員 しかし、ベトナムでは、南ベトナム軍がカンボジアに二万の軍隊が進出をする、いわばベトナム戦争は今日インドシナ戦争へと発展しているという受けとめ方も私はできるのではないかと思うわけです。したがって、今度アメリカが撤収計画を発表いたしておりますけれども、この一部変更も行なわれておる模様でありますし、さらにまた、ベトナムにおける情勢を私はそう甘く判断することはできないのではないかと思うわけです。したがって、返還沖繩基地からこのベトナムに、アメリカの空軍が直接戦闘行動として出撃することはもうあり得ないんだ、もちろん事前協議のその場合、もしあるとしてもそれは対象にもならないのだ、こういう理解になるのではないかと思うのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  206. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いまお尋ねのような事態は、全く想像しておりません。つまり、インドシナ半島の情勢によりまして沖繩返還協定の変更、こういうものがあり得る、さような事態はゆめゆめ予想しておりませんです。したがいまして、そういう仮定の見通しに立ちましてのことは私どもとしては考えておりませんが、いずれにいたしましても、返還後におきましては、もうわが国の施政権下沖繩島全体が入るわけでありますから、この沖繩島から自由出撃というようなことは絶対にあり得ない、こういうことはとくと御了承願いたいと存じます。
  207. 岡田利春

    岡田委員 私がお伺いしておるのは、自由出撃ではなくして、もし出撃する必要があるとせば、その場合といえども事前協議の対象にはならない問題ではないのか、こう聞いているわけです。もし出撃する必要があるという場合には、これは事前協議の対象になる事項なのかどうかということを聞いているわけです。
  208. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありまして、いかなる地域でありましても、自由出撃だというような際には事前協議の対象といたします。
  209. 岡田利春

    岡田委員 もしそういう事前協議の対象になったとすれば、当然これはもう答えは初めからノーときまっているものではないのか、いかがですか。   〔金丸(信)委員長代理退席、床次委員長着   席〕
  210. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ベトナムのそういう場合を頭に置いての質問であるとすれば、私から言う得ることは、理論的には事前協議に対しましてはイエスもノーもある、こういうふうにお答えするほかないのでありますが、まず、いま岡田さんの頭にベトナムがあるというのですが、そういう事態は想像しておりませんです。しかし、まあ事前協議でありまするから、イエスもありノーもあるわけでありますが、なるべくわれわれといたしましては、わが国が外国の、外国間の紛争に巻き込まれるというようなことのないように細心の注意を払いながら最終的な判断をする、かように御理解を願います。
  211. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大体私がニクソン大統領と共同声明をしたその第四項に関する問題であります。当時は、沖繩からベトナムに発進している、こういう状態のもとに置かれてこの返還問題と取り組む、こういう状態でありますから、ただいまのベトナム情勢がどういうことになるだろうか、返還するという段階でそのことだけはやはり一項考慮の余地を残しておいてくれ、こういうことであの共同声明ができたのであります。  しかし今回、沖繩返還協定について、実施にあたって協定を結ぶ際において、何らそれについての問題は起こらなかった、これは先ほどから外務大臣が答えておるところでありまして、私どもも、その点をはっきりすれば、岡田君も御了承いただけるのじゃないかと思っております。当時は相当の心配があった、しかし返還協定をしよう、こういうところへ結びつけた。そして私どもがいざいよいよ祖国復帰、その協議をしてみますと、ベトナム条項は何ら相談の項目にならなかった、そこであの協定ができたこういうのが現状でございます。したがいまして、この返還、祖国に復帰した後は、ここからインドシナ半島へ出かける、こういう場合にはもちろん事前協議の対象になる、こういうことでありますし、その場合に、私どもも戦争は早目に終結さるべきものだと思いますし、また、沖繩の米軍基地がいつまでもさような状態で続けられることは困りますから、十分そのときの状況によって私どもはこの事前協議にこたえる、かようにいたしたいと思います。
  212. 岡田利春

    岡田委員 いま総理が、その場合には当然事前協議にこたえる、こう言われておるわけですが、論理的に進めれば、岩国からでも横田の基地からでも三沢からでも、同じ安保条約の適用下でありますから、当然出撃をしたいという場合には、事前協議の対象になるということになるではないか。事前協議の対象になるということは、安保条約でいう極東の範囲に明確にこのベトナムが含まれる、含まれるから事前協議の対象になるといわざるを得ないのではないか、私は論理的にこのように考えるわけです。そうお思いになりませんか、いかがですか。
  213. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ベトナム地域はいわゆる極東の範囲ではないだろう、ただ周辺地域というような観念に入る、こういうことが心配される、かように私は思っております。したがって、本土の場合だと比較的に対応性がはっきりしておりますが、沖繩の場合は、いままで沖繩からベトナムに救援に出かけておりますから、そういう継続性がある。そういうところで明確に祖国復帰、その時期から一線を画す、こういう態度でなければならない、かように思っているのです。
  214. 岡田利春

    岡田委員 同様、共同声明の四項に韓国、台湾条項があるわけですが、この問題についてはすでに議員から質問もされておりますけれども、私は特に伺っておきたいのは、今日、日中国交回復というのは全国民的な要望になっていると理解しなければならないと思います。したがって、台湾の問題というのは、もはや日華条約があるとはいえ、中国の内部問題という認識に立たざるを得ないのではないのか。私は、このように考えてまいりますと、この共同声明の触れておる内容は、単なる軌道修正というよりも、もうこの意味は失ってきていると解されることが至当ではないか、こう思うのですが、総理の見解はいかがでしょうか。
  215. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 最近の中国問題はよほど変わってきております。国連に中華人民共和国が迎えられたとか、あるいは安保理事会の常任理事国になったとか、こういうようなことでよほど変わっております。しかし、変わってはおりますが、問題は武力的な紛争が国内問題にしろありましても、これは日本にとりましてまことに重大なものだ、かように私は思います。それは中国の問題だから心配するな、かように言われましても、私どもはどうも対岸の火災視するというわけにはいかないだろう。だから、そういうことだけは率直に私は申し上げる。ただ、いま申し上げますように、今度沖繩が祖国に復帰をすると、その関係において今度は事前協議の対象になりますから、いままでとは変わりまして、よほど明確に一線が画される、かように理解してしかるべきではないだろうか、私はかように思います。
  216. 岡田利春

    岡田委員 時間がありませんから次に入りますが、内閣は七〇年の三月十日に、沖繩は戦後二十数年間にわたってわが国の施政権の外にあったため生じた格差を是正し、豊かな沖繩県の建設を期する、こういう決定がなされているわけです。しかし、今回出されている法案の内容等を検討したり、いままでの議論をいろいろ検討してまいりますと、私は、やはりどうもこの中には、単に普通本土経済開発という方針、方向とは違って、端的に言えば、ある程度民生の安定を期しながら沖繩の米軍の基地を温存していく、こういう考え方が非常に強いのではないか、あるいはまた、最近の動向を見れば、沖繩の開発に名をかりた大企業の利潤追求中心主義の経済開発、こういう傾向が強まっているのではなかろうか、あるいはまたさらに、沖繩がそういう動向から判断して、東南アジアに対するむしろ経済進出の基地に変化していくのではなかろうか、こう実は率直に受けとめざるを得ないわけです。したがって、事実は政府のそういう方針とは違って、そういう方向に傾斜をしつつあるのではなかろうか、また、そういう危険性はやはり私はあると思うわけです。この点について、私は、基本的に、ほんとうにどう受けとめておられるのか、率直にひとつ見解を承っておきたいと思うわけです。
  217. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいままでの沖繩本土との格差、これはずいぶんあると思います。そしてその原因が、米軍の軍事中心の占領政策の延長だということにあろうと、あるいは異民族の支配下に過ごした、こういうことであろうと、その原因は何にしろ、とにかくたいへんな格差のあることは、私どもも率直に認めるべきだと思います。この点については、だれも異存のないところだろうと思います。ただ、その格差を今後どういうような方向で埋めていくか、そこに具体的な方法としていろいろ考えられることがある。  ただいままず第一は米軍基地——ただいまの沖繩経済基地経済だとわれておる。基地依存度の非常に高い経済だといわれております。これは確かにいままでの状態はそのようだと思っております。しかし私は、いまの米軍基地がこのまま持続されるとは思いません。これは北海道において岡田君も経験なすったことだと思うし、当時ずいぶん密度の高い、これは部分的ではありますが、米軍基地があった。それが順次縮小され、そして軽いものになってきた。さらにまた、東北地方でも三沢の基地、これなどはずいぶん大きいものであります。これも最近は変わってまいりました。よほど軽くなってきている。問題は、千歳や三沢について申すばかりではなく、国内においてはよほど変わっている。東京周辺の横田基地にしても、一時に比べればよほど、格段の相違だと思います。ただいま板付の基地も変わってきた。岩国の基地が従前同様だ、こういうようなことがいえるのではないだろうかと思っておりますが、そんなことを考えると、私は、基地のあり方もこれから整理統合され、縮小さるべきだ、米軍の司令部がハワイに帰ったことによってよほど変わってきておる、こういうこともこれから考えていくべきだろう。だから、基地そのものは、時間はかかるにしろ、よほど私どもが期待するようなその基地が整理統合される、さように考えてしかるべきだろう。ただ問題は、どのぐらいの期間にさような状態になるか、本土基地の整理状況から見まして二十数年かかる、こういうようなことでは、今日までの苦労に対する私どもの努力が足らないということになりますから、これはよほど早足で、かけ足でこの沖繩基地の整理統合について積極的にわれわれは取り組まなきゃならぬ、かように思います。  また経済開発の場合に、もうすでにそういう一部があらわれておりますが、この大企業のもとに沖繩資本が制圧を受ける、こういうようなことがないように、沖繩本土との資本の競合あるいは中小企業に対する育成強化、そういうものが十分考慮されなければならないこと、これは当然でございまして、これは私が申し上げるまでもないことだと思います。しかし、経済のあり方も、基地経済から脱却することと同時に、農業や水産業だけにたよってきたその経済形態が、今度はもっと二次産業部門、そういう方向にも向かっていくだろう。そうして、その場合に、資本が、相当要る、技術が要る。そういうようなことが一体どういうように消化されるか。こういうような問題には当面するところだと思っております。これが石油産業であるとか、あるいはアルミ精錬産業であるとか等々の工業が、これから工業基地として適当なところではないかといわれておるゆえんでもあります。  次は、これはひとり沖繩だけの問題ではありませんが、本土自身が考うべきことだと思っておりますが、いわゆる東南アジア諸地域に対してわれわれが発展をしていくその場合に、いわゆる経済侵略、さような意味において発展をするというようなことがあってはならないと思います。これはもちろん発展途上国に対する援助をいたしますけれども、その方向で十分理解を受けるというそういう立場で協力することが必要だろう、かように思います。
  218. 岡田利春

    岡田委員 長官にお尋ねしますけれども一つ振興開発法案の期限は十カ年になっているわけです。したがって、この十カ年の目標というのは一体どこに置いているのか、十年後の沖繩経済開発のビジョンというものは一体どこに置いているのか、あらゆる面の水準を本土並みに置いているのかどうか。とのことをやはりある程度原則的に明示をする必要があると私は思います。この点について、第一点、お答えを願いたい。  それから第二点は、沖繩開発庁設置法でございますけれども、この中に、現地には総合事務局を設ける。しかも、八局がこの中に含まれるように提案されておるわけですが、占領下一九五〇年の五月に、北海道開発法に基づいて北海道開発庁が設置されました。ところが、その翌年に、現在の北海道開発局が設置されたわけです。その年の四月には保守、革新の激しい選挙がありまして、社会党の知事が当選をしたその結果だろうかといわれた非常に問題の開発局が設置された。こういう一経過を思い起こさざるを得ないわけです。しかし、北海道の場合には、農林、建設の三省に限られたわけですね。ところが、ここの場合には、八カ所もこの中に含まれておるというのは、私はどうも親切過ぎて便宜主義に走り過ぎているのではないか、こう思わざるを得ないし、むしろこのものごとの考え方は、さらに沖繩自治に対する支配権の強化、本土の支配、こういう印象もぬぐ、去ることはできないと思うわけです。私は、たとえば百歩譲っても、この面は北海道開発庁並みにすべきではないか。あとの関係は所管大臣が違うのでありますから、合同庁舎の中に一緒におればできるわけですよ。この点についてどうなのか、この機会に見解を承っておきたいと思います。
  219. 山中貞則

    山中国務大臣 十カ年計画のあるべき未来の姿について本土並みということは当然のことでありますが、しかしながら、この振興開発法の総則においても、格差是正ということばを私は使っておりません。すなわち、一体何が本土並みかといえば、財政規模の類似県並みにするのか、あるいは人口の類似県並みにするのか、いろいろの問題が伏在しましてかえって議論を混乱させる。したがって、沖繩沖繩として、今日までの基礎的条件の改善につとめるということを大前提として、そうして沖繩が持っておるさらに付加価値的な、有利な、最南端であり、亜熱帯性の気候を持っておるその条件を最大限に生かすということでありますから、本土の各県のどこ並みというようなことを念頭に置かないで、沖繩の新しい理想像というものを描いていきたいと考えておるわけであります。  さらに、十カ年ときめましたのは、一応琉球政府計画も十カ年というものが立っておりますので、十カ年で区切りますが、昭和二十八年に返りました奄美大島の場合も、前・後期に分けた十カ年の復興開発計画と、前・後期に分けた振興十カ年計画とが、五カ年計画がそれぞれ進行いたしまして、合計二十年の実績をいま持っているわけであります。しかしながら、ここで二十年の計画を立てることは、沖繩基地の問題その他を考えましても、これをあまりに長期視過ぎる展望ではかえって理想像に過ぎるのではないか、あるいは理想像がかけないのじゃないかということを心配いたして、一応十年ということで琉球側とも合意をはかって詰めてまいりたい、こういう願いからでございます。  さらに、沖繩に置かれる総合事務局規模あるいは機構等についての御意見でありますが、これもたびたび御議論のあったところでありますけれども、北海道開発の場合と根本的に違う点は、沖繩のためにのみこれが置かれるのであって、北海道の場合は、北海道の資源というものの開発のためにそれが行なわれますけれども、目的は全国家的な目的を付与されていた。したがって、沖繩の場合においては、知事が原案作成権を北海道と違って持っておるわけでありますから、その意味において自主性というものをそこなわないような運用をしていかなければならぬ。また、事務局規模、人数その他については、現在琉球政府の職員であります諸君を国家公務員と県の公務員とに分けなければなりませんが、その過程において、やはり琉球政府側の内々の話として、沖繩で世帯を持っておる諸君とか女性とかいうものは、国家公務員にかりになることを希望しても本土に移ることを希望しない。したがって、そこらの点をよく出先の事務局の機構等の中で相談をして、現地国家公務員になる道も開いておいてほしいというような意見等もありまして、それらの点は、今後十分に自治権を侵害することのないようなあり方について相談を進めてまいるつもりでございます。
  220. 岡田利春

    岡田委員 時間がありませんから反発の時間がありませんが、しかし北海道の場合といえども、公取の事務所もあれば財務局もあれば海運局もあるわけですよ。別途に北海道は同じ行政範囲にそういう局を設けられているわけです。どうも大臣の認識と私の認識は違うようです。私は、そういう点についてむしろ指摘をしておきたいと思います。  そこで通産大臣に、時間がありませんから一つになりましたけれども沖繩の電力会社、この点は法律の中に明確に定められておるわけです。ところが、この電力会社は、米国から、民政府から引き継がれて現物出資をする。しかし、これは離島の場合には発送電を含んでおりますけれども、残念ながら、本島の場合には、配電会社については、そのまま民間経営にゆだねるというたてまえになっているわけです。本土の電力行政の場合から見ても当然これはおかしいし、この沖繩電力株式会社をつくる場合には、配電も含めて一元化の会社にすることは当然ではないか、こう思うわけです。  しかも、同じこの本島だけで五つの配電会社があって、あの狭い本島で電力料金についてはずいぶんばらつきがあるわけです。高いところと安いところがあるわけです。これをこのまま放置をして、この法律によって特殊法人の沖繩電力株式会社をああいう形でつくるということは、これは現在の電力行政からいっても納得できない問題ではないか、こう私はいわざるを得ないと思うのです。  しかも、電気料金は、まあアメリカの傾向と同じで、電灯料金安の電力料金高であるということはいえますけれども、しかし、そこで直接電力会社から米軍基地に供給されておる電力は、一般供給とほぼ同じ量の電力が米軍基地に供給されておるわけです。この値段は一番安いわけです。大体四円九十六銭であります。こういう面から見ても、電力料金の価格を据え置くということが、一応は電灯料金が安いから名目は立つようではあるが、その構成内容からいっても相当大きな問題がある。  また、現在の政府構想からいえば、当然大幅な電気料金の値上げは避けられないだろう。電気技術基準に照らし合わせてみても、送電線の全面的な張りかえを相当しなければならないというのが実情である。この場合、一体電力会社、配電会社に融資をするだけで電灯料金に影響なくできるのかどうか。たとえば北海道で農電を北電に移管する場合には、政府が三分の一、道が三分の一、民間の受益者が三分の一で、ここ数年間かかって移管をしてきておるという経過もあるわけです。私はそういう意味からいっても、当然九電力プラス電源開発株式会社プラス沖繩電力株式会社という一線上に並べたわが国の電力行政の中に位置づけてしかるべきじゃないか。なぜ一体これができないのか。まあ聞くところによると、この配電会社というのは、できるときにいろいろな利権がからんでこういう五つができたということも、ほんとうかうそかわかりませんけれども、聞いているわけです。勇断をもってひとつこれは処置すべきである、こう思うのですが、いかがですか。
  221. 田中角榮

    田中国務大臣 沖繩における電力料金は御承知のとおりでございまして、本土とほぼ同じということでございます。電灯料金に対しては本土より多少安いということでございます。電力料金においては多少高いということでございますが、これはまず本土並みに近いことでございますが、しかし本土並みに近いということにはそれなりの理由がございます。東京電力の重油価格七千円のものが沖繩では四千円で入るということでございますから、何らかの処置を講じない限りにおいては、沖繩の電力料金が本土復帰後上がるという傾向にあることは事実でございます。ですから、これはもう電力とかガスとか水道料金は、上げるということよりも下げなければならないという方向で施策を行なうべきでございますから、これは安定的に固定をさせるための諸般の対策を行なうことになっておるわけでございます。  現在琉球電力公社から五つの配電会社その他のものが配電を受けておるわけでございますが、復帰と同時に、沖繩電力株式会社が設立をされて、公社の役目をそのまま引き継ぐわけでございますし、いまの離島発電もこれに統合するようになっております。なお、八重山電力というような小さなものがまだ引き継ぎまでには統合することがきまっておらないものもございますが、こういうものも、引き継ぎ後可及的すみやかに統合せられるべきだという考えでございます。  しかし、これから安定的な電力料金を確保していくためのいろいろな助成策——現在においても長期低利の金を貸したり、いろいろアメリカ軍が、またアメリカ政府が、いろいろな施策を行なっているために、いまの電力料金が構成せられておるわけでございますから、これも、もうすでに何回か御答弁をしたと思いますが、ここにたくさんの助成措置を考えております。これは簡単に申し上げると、資金の援助、それから国税関係、それから登録免許税の免除、それから沖繩電力株式会社に対する設立当初における資本金の出資、それから設備の特別償却、地方関係の減税見込み額約四億円、不動産取得税の免除、減税見込み額約三千万円、そのほか固定資産税の税率の特例等々、各般の施策を行ないますから、万全の対策を行なうということでございまして、時間があればこれを全部読みますが、その必要はないと思いますが、この電力料金を安定的に確保してまいりますための諸般の政策は万遺憾なきを期す心組みでございます。
  222. 岡田利春

    岡田委員 大臣、いま言われたことは、いま民政府所管でありますから、これはほとんどもう行なわれておるわけですよ。いま大臣の答弁された内容は、現在民政府のものですから、ほとんどそれは税金その他についても別に問題がないわけですよ。ですから、いまその政策をとっても、さらに大きく改善されるということにはならない。むしろそれ以上に援助をしなければならない。技術基準に合わないような面については補助金を出さなければならない状態ではないのか。だから特殊法人にするのではないか。こういう点についてやはり思い切ったことを考えなければならないし、特に最も原料としておる、燃料としておる重油価格についても非常に低いわけですよ。こういう点を考え合わせなければ、いま幾ら大臣が言われてもこの問題は解決しない。ですから私は、特殊法人であって九電力とは違うのであるから、その場合には積極的な財政援助をむしろするという姿勢が必要ではないか。  それと、いま大臣が言われた五電力は含むのではないか——含まれていないんですよ、法律は。なぜ含まないのか。これはいつまでも含まない方針なのか。含むとするならめどをいつに置いているのか、このくらいのことをこれだけの法律を出すならば明らかにしなければならないのではないかという点なのです。
  223. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいま通産大臣の答弁せられましたことのほかに、お話のありました、ただいまの御指摘である原料重油の関税免除等ももちろんいたします。  なお、五配電会社の件でありますが、これは本島に五つの配電会社があるということで、それぞれ利潤もあげ、あるいはまた料金もぱらついておる。この点は、はなはだ公益事業として好ましいものでないと思っております。したがって、昨年来五社を統合せしめて、それによってこの電力供給公社の事業というものを、場合によっては沖繩県の同意を得て引き継いでもらおうかという構想も持っておりまして、民間五社も直接お会いしたり意向を伝えたりなどして、その意向に沿うように努力しておったのでありますが、どうも一社それに対して合意せざる社がありますので、いまのところの時点の見通しでは、復帰までにかりに合併があり得ても、四社しか合併しないのじゃなかろうか。当初の構想は、民間配電五社が本来のあるべき姿として、公益事業であっても、自分たち五社が一本に統一して沖繩電力としてこれを受け取りたい、もちろん四千万ドルぐらいの代償は財源措置をしてくれるかわりに、自分たちがそれに対して支払いはするというような意向もありましたけれども、最終的にはこの統合が不可能であるということがわかりました。  琉球政府には、これを全部無償で渡しますから、しからば県営でいかがでしょうかということまでやってみたのでありますが、県営はどうもむずかしそうだということで、結局は国でめんどうを見てくれ、こういうことでございましたので、特殊法人として沖繩電力株式会社をつくることにいたしました。しかしながら、やはり沖繩の未来にとって電源開発、発送電というものは非常に大きなウエートのあるものでございますから、沖繩側の意思がどうしても入る必要がありますし、そこで、当初出発のときは、ほとんど九九・九九国が資本を持ちますけれども沖繩県が若干の株主としての発言権を行使するために出資をしてもらいまして、そしてこの特殊法人に参加してもらう姿でいきたいと考えます。それなら公社でもいいではないかということにもなりましょうが、将来はやはり民営の会社が統合し、その受け入れが整うならば、それらが逐次日本航空の株式等の処理の例に見られるように、あるいは本土の電源開発会社の例に見られるように、それぞれ株式を買い取っていく道も閉鎖しないでおこうというのが会社にした理由でございます。
  224. 岡田利春

    岡田委員 時間がありませんからこれでやめますけれども、いま言われておる問題は、私は経済開発の基本問題だと思うんです。また、現在の石油行政の場合でも、統一価格で、しかも専用一社が輸送会社を担当し、管理価格でありますから、どういう離島であっても統一価格で行なわれている。これが復帰と同時に価格の値差が生まれてくる。エネルギー全般についてやはり問題があるわけですね。問題の北部のほうは電灯料金は高い。過密地帯は電気料金が安い。これをこのままの形において、はたして政府が答弁している経済開発ができるか。基本が確立されないで、それはできないんです。特にすみやかなる解決と、それに対する間違いのない対策を、時間がありませんから残念ですが、私は要請しておきたいと思います。  それともう一つ、私が検討していただきたいのは、沖繩の場合には軍事基地経済依存から転換をしていくのでありますから、そういう意味では、私は産業経済の再開発という側面があると思うわけです。残念ながら事業主体である事業団構想というものは、今回の場合に出されておりませんけれども、私は、やはり内陸工業団地をつくる、あるいはまた、現在の進出企業が足踏みしておる現状等も分析をすると、やはり事業団主体における工業団地の造成等を積極的に考えるべきではないのか、私はそう思うわけです。産炭地のような再開発の場合には事業団がやっている。その中でやはり成果をあげているわけです。そういう意味で、やはりその事業団構想がもしできないとするならば、沖繩県開発公社、これに対して政府が積極的な援助をするというような具体的な基盤整備の具体的な施策をもう少し充実する必要があるんではないか。私も、時間がありませんから、この問題もひとつ特に要望をいたしておきたいと思います。  そうして最後に私がお伺いしておきたいのは、沖繩のエネルギー問題に関係いたしまして、特にエッソがいま一つの権益を持っているわけです。いわゆる民政府との契約に基づいて一括石油製品は納入をする。しかも、石油審議会でこれらを調整をする、管理をするということになっておるわけでありますが、この権益については一体このまま認めていくつもりなのかどうか、この点についてこの機会に見解を明らかにしてほしい。  さらにまた、尖閣列島については政府の見解がすでに出されておりますけれども、この石油資源の開発ということが非常に大きな問題になってきている。国府及び中国からも尖閣列島問題が提起をされ、先般、愛知外務大臣と国府の大使の間にも、この問題について接触が行なわれておるわけです。しかし、復帰と同時に、この地域の開発を政府は進めるつもりなのかどうか。要するに、政府の見解であれば、これはもうわが国の固有の領土である、こういう見解に立っておるわけでありますから、復帰と同時に、わが国の鉱業法に基づいて、わが国の手によってこの開発に若手をするという考え方に立っておられるのかどうか。この二点だけを明僚にしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  225. 山中貞則

    山中国務大臣 エッソの現在一括納入のそういう特殊な権益というものは、復帰と同時に、本土のそれぞれの法律のもとでなくなることになります。したがって、自由市場になるということでありますので、先ほどお話のありました要望でありましたけれども、離島まで均一の価格でエネルギーが供給されていることは非常に重要でありますので、その方式をとり得るために、琉球政府に財源措置として法定外普通税を課することができる。それを財源として離島、本島のプール価格を維持できるように措置をしているところでございます。  なお、尖閣列島については、これはあるいは外務大臣の答弁になるべきことかもしれませんが、領土について、わが国はいかなる国とも論争する意思はない、明確な日本領土である、こういっておりますが、その尖閣列島の水面下の地下の鉱物資源にいたしましても、これは現在琉球政府においては職員も少のうございますし、それらの鉱区権、鉱業権設定等の事務も難渋いたしておりますので、膨大な件数の許可をしなければなりませんが、これは復帰と同時に通産省とよく相談をいたしまして、通産省が積極的にそれらの事務を協力、指導することによって、すみやかに沖繩県の人たちの出願しておられるものを最終的に受け付けて、そして開発に対する具体的な姿勢を示し、もし、国際的にこれが大陸だな論争等で議論になりますならば、それはそのときまた、開発の手段方法等のことで国際的な話し合いが行なわれることでありましょうが、日本自体としてわが国が、領土の下にある資源としての開発に対する姿勢は、何ら遠慮することなく進めていくべきであると考えます。
  226. 床次徳二

    床次委員長 米原昶君。
  227. 米原昶

    米原委員 私は、まず総理にお聞きしたいんです。  沖繩経済復興に対する政府の基本姿勢について、総理は、すでにこの沖繩特別委員会でも、数回にわたって、平和で豊かな沖繩経済の復興について語られました。私それを伺っておりまして、まことにむなしい感じを禁じ得なかった。というのは、この委員会でも何回か問題になりましたが、何としても軍事基地がほとんどそのまま維持されている。返還される一部のものも結局自衛隊の基地ですね。そうしてこの軍事基地の問題だけではなくて、実際にも、沖繩本島の水道の水の三の一はいま軍事基地のために使われている。電力も四割が基地のために使われている状態です。つまり、土地も水も電気も自由にならないという面が非常に多いわけです。そしてそれだけでなくて、那覇軍港をはじめ港湾、道路など重要な社会資本も、アメリカ軍に奪われているといってもいい状態です。そういう現実があるものですから、幾ら平和で豊かな経済復興といわれても、この軍事基地の問題が、解決の方向がはっきり出ない限り、まことにむなしい感じがするんです。  それだけでなく第二に、そういう状態のもとにおける産業の復興の問題ですが、第二次産業中心沖繩産業復興、振興をはかるということはいっておられますが、現実にはそれがどんなものになろうとしているか。けさの毎日新聞にも、沖繩の誘致される産業について「公害事業は花ざかり」、こういう見出しで記事が出ております。つまり、第二次産業といっても、いまある沖繩の中小企業をさらに何とか助成してそれを発展させるとか、無公害の産業を積極的に誘致するとか、そういう方向じゃなくて、現実に入ってきようとしておるのは、すでにかけ込みで入ってきたアメリカのガルフ、あれなんかは私現地に行ってみまして、六十年間の地上権の設定、一坪二十セントですね、驚きました。一坪が七十円もしない。そういう形で基地並みのやり方で、これは布令にそうきまっておるそうですが、そういう形で奪われている。そこへもってきて、きょうの毎日新聞も指摘しているように、アラビア石油とか三菱石油とか、まあ沖繩アルミのほうは、最近のドル・ショック、経済不況の中で、何か出ていくことをたじろいでいるそうでありますけれども、いわゆる公害企業ですね、こういうものが、むしろいたたまれない公害企業が、その中で本土から乗り込んでいく形勢さえ出ております。いままで基地の苦しみを受けてきた沖繩県民が、さらに公害の苦しみを受けるというようなことを許しちゃならぬと思うのであります。  沖繩開発の計画については、沖繩県の知事が発議権を持っておるんだということはいわれておりますけれども、実際のその決定権は総理にあるわけです。しかもその審議会のメンバーは行政機関の職員が過半数占めている。結局これは政府の言いなりになるのであって、事実上は自治権を奪うものだと思うわけなんです。開発庁とか、その那覇につくられる総合事務局にしましても、実際上はいろいろりっぱなことは言われるけれども、県知事の権限を大幅に縮小しようとしているのじゃないか、こう考えます。そういう点でおっしゃることがうつろに聞えるのです。真に平和で豊かな沖繩の建設のためにはどうしても基地の撤去の方向を明らかにし、そうして公害をふりまくような大企業の優遇はやめにして、沖繩の農林漁業、中小企業その他の無公害の平和企業を誘致する、そういう方向を優先させなければならないのじゃないか。そして何よりも自治を大切にすることが第一だと思うのです。沖繩県民の自主的、民主的な開発計画沖繩県民自身に責任を持ってつくらせて、もちろんそのつくる過程で援助することはいいと思いますが、そして大幅に政府が財政援助を与えるということが根本でなくちゃならぬと思うのです。いままで出ております開発三法にしましても、これでは平和で鶴かな沖繩開発の道とはまっこうから対立するものではないかと私は感ぜざるを得ないのです。この点について一般的な考え方、基本的な総理考え方をもう一度聞かしていただきたい。
  228. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 だいぶん共産党本来の主張と私どもの主張とはかけ離れておりますから、お気に召さない点もあるだろうと思いますが、私どもは現在あるがままの姿をそのまま永続しようというのではございません。私どもはこれから平和な豊かな沖繩県づくりをしよう、それにはどういうことをしたらいいか、まず手始めにただいま御審議をいただいておるような諸法案を成立させようというのであります。皆さん方のほうはもっと時間をかけないで端的にやる処置があるんじゃないのか、こういうことでしばしば意見を求められますが、私どもは最善を尽くしてようやくここまでこぎつけたんだ、これが私どもの返事であります。でありますから、その立場の相違からいろいろの御意見が出ていること、これはもうけっこうでありますけれども、そういう意味で、私どもももちろん反省もし、鞭撻も受ける、そういうことで取り組んでまいりますが、どうもうつろだあるいはナンセンスだといわんばかりの言い方では、政府もこれでは努力のしかたについても非常に意気を沮喪せざるを得ないのです。どうかそういう言いう方をされないで、とにかく政府考えていることもさらに皆さん方の御鞭撻を得て、そのうつろだ、こう言っているものなら、ここをこう直せばそれが実があるようになるんだ、こういうような点を御指摘願いたいと思います。私は何度も繰り返して申しますが、いまはいまある状態をいつまでもそのまま持続しよう、こういう考え方ではございませんし、できるだけ早く軍基地をなくする、そうしてまた農業、水産業だけではなくて、新しい産業も興らなければならない、そういう場合に大企業優先あるいは公害企業優先だとかさような意味ではなくて、最近の科学技術をもってすればいわゆる公害企業といえども公害の起こらないようにも処置できるのだから、そういう点を改めて、そうして皆さんがしあわせになられるような、豊かになるようにその方向で努力したいと思いますので、どうか御鞭撻はけっこうです。また御叱正もけっこうですが、どうも相手にならないような言い方はされないようにお願いしておきます。
  229. 米原昶

    米原委員 議論をしていても時間がきょうはたいへん少ないので、具体的なことで聞きましょう。  現在の状態をいつまでも継続するつもりはないと言われておりますけれども、つまり現在の状態を続けようとされる点があまりにも多いのですよ。その具体的な問題から、ひとつ今度は外務大臣にお聞きしたいと思うのです。  いわゆる愛知・マイヤー書簡の中に、いまの状態をいつまでも続けるつもりじゃないと言われたけれどもアメリカ企業の特権を続ける約束をなさっているわけだ。これは具体的に相当訂正すべき点があるのじゃないか。そういう問題として聞くわけですが、この書簡の第二項の私有財産のところで、沖繩におけるアメリカ企業によっていわゆる適法に取得された賃借権を日本の法令のもとで保護するということが一つ。それから第三項で、国、県有地で現在アメリカの企業が使用している国、県有地の一年間継続使用をきめて、その後どうするかについては関係当事者の間できめることとしております。こういう規定がいろいろ問題を引き起こすと思うのです。この規定沖繩にあるすべての外国企業に適用されることになるのかどうかということ、つまりいまある企業の大部分はアメリカ施政権下において、いわゆる布令に基づいて一応適法のものになっていると全般的には見えると思うのですね。そういう布令に基づいて取得された私有財産、そういうものはこの書簡の趣旨によって今後も一般的に保護される、そういうことに理解していいですか。
  230. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 この書簡は、沖繩返還にあたりまして米系企業を、この企業の運営に断層ができては困るじゃないか、米系企業といえども今日まで沖繩沖繩県の福祉の向上に貢献してきた企業である、その立場を尊重しようというきわめて具体的、常識的な措置を講じたいのがこの書簡でございます。  この書簡の前提としては、佐藤総理とニクソン大統領との共同声明、こういうことがありますが、私どもが見て、きわめて常識的、妥当な措置をとっておる、こういうふうに見ておるわけです。現に御指摘の私有財産の問題これは適法に取得した私有財産あるいは賃貸借権、これは保護される。それから国有財産につきましては、それに対する賃貸借、この関係は一年間はそのまま存置するわけです。しかしこの一年の間に、その後にこれをどうするかという問題につきましては関係者の間において協議しよう、こういうふうにいたしておるわけです。この手紙のとおりにやっていこう、こういう方針でございます。
  231. 米原昶

    米原委員 それではもっと具体的に聞きましょう。  資料をお渡ししておきましたが、マネング社というアメリカ企業があります。この会社は、那覇市、宜野湾市、美里村、佐敷村、二市二村にわたって合計十九万六千坪の膨大な用地を使用しております。そして五百棟の住宅を主としてアメリカ人向けに貸している住宅業者であります。ところがこの会社の用地は、もともとはアメリカ軍の基地であったわけです。沖繩戦以来住民を追い出して、アメリカ軍がかってに有刺鉄線で囲い込んでしまった土地であります。五一年にはアメリカ沖繩住宅公社が住民地主の意向を無視して、米軍人、軍属用の住宅をそごに建てました。つまりいままでは軍事基地だったのですが、今度はそういう住宅公社というものをつくってそこに渡してしまった。ところが今度は六三年に公社から民間の一営利企業であるマネング社に使用権を与えております。このときに地主たちは、それまでは軍でかってにやられたので、賃借も何もなかったわけですが、途中でいわゆる賃借の形をとっている。少し金をもらっていたらしいけれども、これが一営利企業に渡されるというのでびっくりして、地主は公社理事長のエドワード・A・シェイ氏に対して、直ちに土地を返還してほしい、復元補償してほしいという要求をしましたが、この陳情を無視して、土地の使用権をマネング社に与えてしまったわけであります。これはアメリカ権力をかさに着たアメリカ企業による土地の強奪じゃないか、私はそう思うのです。そうしていまでもマネング社に対して、その土地使用の不当性を追及して、直ちに土地を返還せよという要求をする地主が、一部は裁判で争ってもおります。  そこで、この愛知外相書簡に出てくる適法に取得された賃借権というのは、マネング社のような場合にもあてはめるつもりであるかということなのです。アメリカの占領軍をかさに着たこういう土地強奪、これを適法なものと認めるのかどうか、ずいぶんこれはおかしいと思うのです。軍事基地から住宅公社というものをつくって、その次は——住宅公社のほうはまだ公的機関かもしれないが、これが今度はいきなり私的な営利企業に渡されているわけですね。こういうやり方、これは実を言うと、布令にも違反するのじゃないかと私はだいぶ疑っているのですが、こういうやり方を認めると、たいへんなことになると思うのですが、この点どうでしょう。
  232. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま具体的なマネング社というお話でござますが、いま資料を伺ったばかりでありまして、私この内容は存じません。しかし、申し上げ得ることは、この資料で国有地、県有地、私有地とあります。この中で愛知書簡によりまして、県有地、国有地です。これにつきましては、一年間はとにかくお貸しをするということになろうかと思います。そしてその後をどうするかということは、その一年の間に検討する。この問題いまちょっと関係者から伺いますと、市当局、県当局においてもいろいろ御意見があるようですから、それを総合いたしまして、県有地、国有地の問題は解決をする、こういうことになろうと思います。  私有地の問題は、これはもう適法にできたという契約内容でありますれば、それはもとより尊重されるべきものである、そういうふうに考えます。
  233. 米原昶

    米原委員 ところがこれ、適法かどうか非常に問題があります。大体このマネング社が住宅公社の土地の使用権を入手したいきさつそのものにずいぶん疑惑があります。第一に、住宅公社の五百むねの建物の入札に応じたのは、調査してみますと、初め私も知らなかった、マネング社ではないのです。別名の会社であります。パシフィック・アーキテクト・エンジニア社、これは東京にあります。この社に落札している、入札の形をとった。一括でないと買えない。そうしますと、膨大な何万坪なんというと、当時の沖繩の一般の人が、地主がそんな金出せない、一括でないと払い下げないという条件がついていますから。結局こういうアーキテクト・エンジニア社というのに入手しているということになっている。ところがこのマネング社というのは、このパシフィック・アーキテクトという会社が入札した六月三日以降に急いでつくり上げた会社であります。そのときはなかった会社なのです。そうして外資導入認可を七月六日に外資導入委員会で受けている。それで八月一日に公社の資産を、土地を受け継いでいるのです。しかし、調べてみるとこのパシフィック何とかというこの社長のエドワード・A・シェイという人ですが、これがマネング社の最大の株主になっているのですね。つまり会社は一つのものなのです。名前を変えた、異名同体の会社です。そうして布令を私ずっと研究したのですが、どうしてもこれは布令第十一号違反なのです、このやり方は。そうしてパシフィックという社が、こういう賃貸借が布令ではできない会社なのだ、そのために別の名前の同体の会社をつくった。私たち調べてみますと、事務所の所在地も電話番号も同じところにある、会社の名前は二つある、同じところにあるのです。そしてその後マネング社の代表者となった。これが裁判に出てくる男ですが、ジョン・F・ウルフというのは、入札の当時は民政府の法務官をしていて、この落札の問題に立ち会っている法務官なのです。これが乗り込んで土地を取っているわけですね。  これはそれだけではないのです。マネング社のいま日本人の支配人になっている安次富勲という人も、この住宅公社の用度課長をしておりまして、この売り渡しに関係している。実にこれはあきれた不正事件があるのではないか。そして布令十一号からしても、パシフィックという名前では買えない。そのために急遽、急いで別の名前の会社をつくって買い取ったということが大体明らかになっております。そういう点からしましても、パシフィック社は公社から資産を引き継ぐにあたって、そういうインチキをやっておるということがわかっております。  もう一つ、裁判の中でも——これは裁判に一部かかっております、一部の地主。この中ではっきりわかってきたのは、マネング社は三十四万ドルで落札したわけですが、実は日本人で金を持っていた人がいました、湧川商会という。四十万ドルで入札している。ところがそっちのほうにはおりないで、マネング社に落ちている。このあたりもおそらくそのいきさつに不正事件があるのではないか、布令違反ではないかと思うのです。この点は全然調べておられませんか。
  234. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま具体的な問題であるマネング社につきましては、そこまで詳しい調査はいたしておりません。しかしいずれにいたしましても、これは適法に、この私有地につきましては、契約が成立しておらなければならぬわけでありますから、適法に成立した契約であるかどうか、これは政府といたしましても十分調査いたしまして、最終的処置をしたします。
  235. 米原昶

    米原委員 問題は適法というより契約ができていない、契約をするというのを拒否しておるわけです、一部の地主は。それで裁判でも一部争っている。私はその地主に三日前に沖繩に行って会ってきたわけです。その陳情書も総務長官あてに出ております。契約していないわけなんです。こういうのは契約に応じられないと拒否する態度をとってきているわけです。何ももともとがかってに取られた土地です。それがそのまま——まずアメリカ軍とか公社なら、一応無理にしてもと思っていたのですが、個人の営利企業にこれが売り渡されたというので、もう応じられない。大部分の地主は金もないし、裁判するのに金がかかりますから、結局一方的に向こうがきめた地料をもらっているという状態で、実は不法なんだ、そういう性質のものなんです。ですから、この問題はぜひ解決してもらいたいと思うのです。こういうものを適法ということになりますと、これは全くめちゃくちゃなことを愛知さん約束したということになりますよ。  さらにお聞きしたいのは、県有地、国有地の問題です。那覇市自身は軍事基地として三分の一を取られておる、宜野湾市も三六%が基地に取られておる都市です。そのためには都市計画も不可能なありさまですが、その上この広大なマネング社の用地があって、住民の苦しみを一そう増大させているのであります。たとえば那覇市の松山地区のマネング社用地は一万四千坪、その中にたった十数戸の米人の住宅しか建っていない、一万四千坪の土地です。ところがその隣には那覇商業高等学校があります。ところが運動場面積が、そのマ社に取られておるために、基準の三分の一です。女子の学生は、便所の数が少なくて、冬になると生徒が便所の前に行列をつくっている、こういう状態です。その隣にある泊小学校でも同様の土地不足の状態です。  そこで、那覇市では市長はじめ各界の人々結集してマネング社用地開放促進協議会、こういうものを市の有力者全部加わって、商工会議所から、市長から全部加わって、そういうものをつくって運動をやっておるわけです。この松山地区には国有地が四千七百坪、県有地が千八百坪、那覇市有地が四百坪が含まれております。公共のために使用さるべき国県有地、那覇市有地がアメリカの一営利会社のために使われている。だれが見ても不当なことであります。しかも国県有地に関しては米財産管理局からマネング社と契約を結んでおりますが、その契約は二十年の期限で、一九八三年までのものとなっております。ただしその九戸の中には、資料も、そこに差し上げた資料の中に書いてありますが、施政権が日本返還になった場合にはこの契約を打ち切ることもあり得るということをちゃんと書いてある。だから、おそらくこの愛知書簡があんなふうに書かれてなかったらこれは解決していた、そういう問題です。わざわざ一年間は国県有地はやはりそのまま賃借を引き延ばすことになっております。ところがもう一つ、本院の議員として出ておられます西銘議員が秘書をやっておられた時代に那覇市が市有地をマネング社に貸すという契約をしたわけですが、その契約も去年の六月に切れている、すでに契約は。そして現在の平良市長が去年の八月にマネング社に対して市有地の返還をすでに要請しております。契約が切れているのです。それも全然こたえてないという、こういう状態で、那覇市の都市計画をつくる上からも、このマネング社が一番高台のいいところをとっている。全く困っている。そういう点からしましても、どうしてもこの問題は政府アメリカと交渉してもらわなくちゃならぬ具体的な問題じゃないかと思うのです。私、先ほど原則論としてずいぶん違うという話はありました、自民党政府と。しかしこういう具体的な問題、当然自民党政府アメリカと交渉して解決していただきたいのです。この点についてお答え願いたいと思います。
  236. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま問題になっておる土地が、これが国有地である、あるいは県有地である、そういう際におきましては、これが国や県との間に適正にできた法律関係でありますれば、これは一年間は尊重されると、こういうことになるわけですが、その一年の間にその後の措置をどうするかということは、これは十分検討して適正な結論を得たいと、こういうふうに考えます。特にいま御指摘の土地につきましては、那覇市内の非常に大事なところだ、こういうお話と承っております。市当局のほうからもいろいろ御意見があるようですから、十分協議をいたしまして、この愛知書簡の線によって措置する、こういうふうにいたすべきものと考えます。ただこの契約自体が適正でないのだということでありますれば、これはもう問題外でありまして、この点もいま御意見もありまするから、適法のものであるか適法のものでないか、その辺も十分検討する、こういうふうにいたしたい。
  237. 床次徳二

    床次委員長 米原君に申し上げますが、間もなくお約束の時間が来ますので、簡潔にお願いいたします。
  238. 米原昶

    米原委員 適法なものであるかないか。もしも布令を原則として適法なものとすれば、布令そのものに違反した疑いが非常に多い。そういう点がさっき言いました異名同体の会社をつくってやっているというような形ですね。もちろんこれはいろんな逃げ方をするかもしれません。実態から言いますと、これは全く不当なものです。問題は、私たちが考えるのは、アメリカの企業の特権を守るために住民の財産権をこのように奪っているこの実情を今後も継続するというのでは、これは正しくないと思うのです。あるいは都市計画ができなくなる、教育もできない、こういう問題がここにからんでいるわけでありますから、そういう意味で私は愛知書簡というのは、そういう点であいまいな弱点がある、そういうふうに考えるわけです。私は、まあ政府としては一応霧笛の線ということを言われるでしょうが、実は一つずつの企業について調べていくと、いろいろ軍の権力に乗っかって全く不当なやり方が方々であるのですよ。私、きょう時間がないから、一番ひどい例の一つとしてあげているのですよ。そういう意味ではぜひこの点も根本的にひとつ考えて、措置を政府はとるべきだ。何よりも日本国民の権利を守る、財産権を守る、あるいは教育、都市計画、そういうものを可能にするような措置をとられないと、最初に申しましたが、幾ら豊かな平和な経済復興と言ったって、この状態を続けていくんじゃだめだ、こういうふうに考える次第であります。  私は、以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
  239. 床次徳二

    床次委員長 和田春生君。
  240. 和田春生

    ○和田(春)委員 きょう私は、沖繩日本復帰するに関しまして、もっぱら海の関係について船員並びに船舶、港湾関係の具体的な問題を、限られた時間でございますが、お伺いをいたしたいと考えております。運輸大臣あるいは総務長官には後ほどまとめてお答えをいただきますので、最初はまず船員局長にお伺いをしたいと思います。  沖繩復帰をいたしますと、一般的な労働法は別といたしまして、船員法、船舶職員法、船員職業安定法、船員保険法等が適用をされるわけでございますが、これらの諸法律の適用と実施、運用について、さしあたって問題があるのかないのか、あるとすれば、どういうところにあると見ておられるか、その点船員局長お尋ねをしたいと思います。
  241. 佐原亨

    ○佐原政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘の船員法、船舶職員法、船員職業安定法、この三つは本土法とほぼ同じ内容を持った沖繩法が現在施行されております。復帰と同時に本土法を即時適用することにいたしておりますが、あまり大きな問題はないかと思います。ただ船員保険法だけは沖繩には現在ございません。船員といえども陸上の労働者と同じように労働災害保険法あるいは失業保険法あるいは厚生年金保険法、こういったものに加入しておるわけでございます。その場合復帰と同時に船員法上の船員には船員保険法が適用になるわけでございますが、そのあたりの問題につきましては、所管省である厚生省のほうで適宜考えておるものと承っておりますので、特に大きな問題はないかと思います。  ただ、非常に小さい問題でございますけれども、たとえば船員法につきましては、沖繩の船員法は総トン数二十トンまでを適用範囲としております。本土法のほうは五トン以上の船舶、漁船を含めまして——ただし、政令でもって段階的に特殊な業種に属する十トン以上まで現在適用しておりますので、その差がございますけれども、問題になります十トンから二十トンまでの特殊な漁船は実態的には沖繩には現存しておりませんので、実態上は問題はない、こういったようなことになっております。  それから船舶職員法でもって若干配乗表に本土との格差がございます。たとえば船舶職員法上、本土法では二十トン未満の漁船でございますけれども、四十馬力以上の漁船には丙種機関士を乗せることになっておりますが、沖繩の場合には特殊な制度として小型船舶機関士でよい、こういうことになっております。こういった差がございますが、その場合は即時適用になりましても、二年間は小型船舶機関士のままで乗船できるように措置するつもりでございます。二年の間に丙種機関士の免状を取得していただいて平常の姿に返るこういったようなことを想定しております。  船員保険法につきましては所管省からあとで答えていただくと思いますが、大体そのようなことで、法律上の問題はないかと思います。船員職業安定法上の問題では、先生前に御質問なさいました例のCFシャープ社の問題がございますが、これはまたあとでお答えさしていただきたいと思います。
  242. 和田春生

    ○和田(春)委員 いま大体沖繩にも本土の船員関係法と似たような法律があるので、たいして支障はないということでございますけれども、そのボーダーラインのところにいろいろ問題が生じるわけで、いま船員局長指摘をされました小型の機関士、丙種機関士の取り扱い等につきましても、よほど積極的にてこ入れをして講習や免状取得について便宜をはからないと、復帰したために従来の職場を失う、こういう船員が若干でも出てまいりますと、何のための復帰かわからない、こういうことになるわけでありますから、そういう点についてはきめのこまかい行政指導と措置を希望しておきたいと思います。  そこで、いま船員局長も触れた船員職業安定法との関係ですけれども、この件については、過般の通常国会においても、山中総務長官にも私からお伺いをしたわけです。この件については、その後もわれわれとしては的確に事実がつかめないのですが、依然としてアメリカ軍の、占領軍の権力をかさに着て、悪いことばでいえば人買いであるとか、船の昔からの慣用語でいけばボーレン、つまりもぐりのあっせんによってピンはねをやる。そして乗り組んでいった船員については責任を持たない、そういうことをアメリカの商社やアメリカ人がやっているという事実は、あとを断っていないようでございます。  こういう点について、もし復帰をいたしますと、文字どおり日本の船員職業安定法が適用されるわけでありますから、そういういいかげんなインチキな就職紹介や人身売買に類するような、人をだまくらかして連れていって、事故が起きて死んでみて初めてわかるというようなでたらめなことは許しておくわけにはいかない。そういう点についての実態把握と完全な職業安定法の適用ということについて、現地との間にどういう連絡をし、どういう準備を進めてきているか、そういう点についてお伺いしたいと思うのです。
  243. 佐原亨

    ○佐原政府委員 本年の一月にNBCという船会社に属するユニバース・パトリオット号が事故を起こしまして、死亡者の中に沖繩船員が十名入っておったという点が前国会で問題になりまして、和田先生御質問なすったことは御存じのとおりでございますが、その後いろいろ琉球政府関係者とも連絡いたしまして、とりあえずは、その事故者に対する補償問題につきまして、沖繩の船員法、あるいは沖繩に琉球海運というのがございますが、この琉球海運が準用されておるところの内地における一洋会の労働協約に基づく補償額、こういったものを払わせるように措置いたしまして、この点は全部完済済みになっておるはずでございます。  それから、その後、和田先生御存じのCFシャープ社がじかに職業紹介業務をやっております点につきましては、琉球政府を通じまして、必ず沖繩の船員職業紹介所を通すように、そこで労働条件その他をチェックする、こういうように措置してございます。この点は本土と同じような措置をとらしておるわけでございます。  それで、その実態は、四十六年の十月現在でございますけれども、外国船に乗っておる沖繩船員の総数が四百八十三名ございます。そのうち、ことしの二月以降沖繩船員職業安定所の窓口でチェックして乗船した者が二百六十六名ございます。したがいまして、その差の約二百二十名というものは職業安定所の窓口を通さずにすでに乗船しておる数でございますが、この者につきましても、先般来の事故以来、同じように沖繩の船員法あるいは労働協約上の補償額を補償するようにということで、船主方面に徹底をさせておりますので、一応先生御心配になる点は、完全ではございませんけれども、できるだけの措置はとった、このように考えております。
  244. 和田春生

    ○和田(春)委員 できるだけの措置をとったつもりであるということですけれども、実は本土におきましてもこの問題についてはかっていろいろな不祥事件もあったわけです。そこで、それを解決するために、法律上の制度としてではございませんが、実際上の扱いとして、運輸省と外務省と海員組合と窓口で十分連絡をいたしまして、労働契約に海員組合が介入して、災害補償その他を含めて十分しっかりした契約が結ばれている、こういうことが確認をされたものでない限り、外務省の窓口ではパスポートの発給を差し控える、そういうことを通じてもぐりのいいかげんなやつを追放するということに実績をあげてきているわけでありまして、今日ではまずほとんどそういういいかげんなものはないわけです。しかし、われわれの知っているところによると、そういうような経験を経てきている本土においてさえ、なお、外国船の船長であるとかあるいは幹部職員が直接国内の知っている者に働きかけてくる、そして裏から人を乗り組ませよう、そういう傾向があるわけです。現に沖繩では、いま船員局長もお認めになったように、二百名をこえる職安の窓口をくぐらない沖繩籍の船員の諸君が外国船に働いている。これをチェックするというのはなかなかたいへんだと思うのですけれども、こういう点について、本土でとられてきたのと同じような措置を、復帰前から、政府現地の海員団体と協力をしてとる御意思があるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  245. 佐原亨

    ○佐原政府委員 ただいま御指摘本土でやっているような方法をとったらどうか、こういう点でございますが、この点も琉球政府と連絡いたしまして、CFシャープ社を通じまして、船会社であるNBCのほうとたとえば全日本海員組合の沖繩支部と労働協約を結ぶ意思があるかどうか、それから沖繩出身の船員だけで労働組合を結成して、それと労働協約を締結する意思があるかどうか、こういった点を目下照会中でございます。連絡によりますと、来年の一月中に回答がある、こういう運びになっておりますので、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  246. 和田春生

    ○和田(春)委員 問題はCFシャープ社だけの問題ではなくて、今後またそういうことをやろうとする者がある可能性があるわけですし、ほかにもあるらしいのです。ただ、なかなか実態がわからない。アメリカ占領軍という権力のベールの中に包まれ込んでいる、そういうようなことがいわれているわけです。したがって、この点についてはほぼ十分な手を打ったつもりだというようなことに満足することなく、事は人身に関係することでありますから、そういう点ではひとつ厳重な措置をとるとともに、海員組合等とも十分に協力をしながら、わけのわからないうちに不当な扱いを受けることがないように十分努力をしてもらいたい、こういうふうに考えるわけであります。  次に、船員保険法の問題について質問をしてみたいと思いますが、御承知のように、これは船員法の適用船員が即船員保険法の適用船員という形になるわけでありまして、船員法のほうでは本質的に見て決定的な問題になる点はないようでございますけれども、船員保険法は総合的な保険法として沖繩においては目新しいものでございますが、その適用対象の把握、また復帰の際に船員保険法が適用されるようになったときに、直ちに円滑にこれが移行できるような事前の準備、こういう点について十分な手を打っているかどうか、あるいは問題点があると思われるかどうか、これは厚生省のほうに——どなたですか、保険局長、船員保険課長、どちらかに答えていただきたいと思います。
  247. 穴山徳夫

    ○穴山政府委員 社会保険庁の医療保険部長でございます。  いま先生御指摘のように、本土のほうには、こちらのほうには船員保険法という総合立法がございますが、ただいま沖繩のほうは総合立法がございませんで、各法に分かれているわけでございます。そこで、私どもは、現在復帰に備えまして、たとえばいまの向こうの社会保険庁の職員にこちらへ来ていただきまして研修をやりましたり、あるいは私どものほうから職員を派遣いたしまして準備を指導しましたりいたしますと同時に、船舶関係者その他関係者に新しい船員保険法の趣旨あるいは手続その他の周知徹底を現在はかっているところでございまして、なお復帰までの間に、私ども復帰の際いささかも混乱することのないように、十分準備を整えていきたいと思っております。
  248. 和田春生

    ○和田(春)委員 抽象的なお答えではなく、具体的にお伺いしたいと思うのですが、明年四月一日もしくは七月一日というふうに復帰の時期が想定されているわけですけれども、かりに七月一日に復帰をするようになった場合に、船員法の適用船員を船員保険法において一〇〇%掌握をするということは、本土でもなかなかやっていないのだから、そこまでは無理なことは言わないけれども、どの程度まで把握することができる見込みですか。万遺漏なきを期しているというのではなくて、またその際に残る者がどれくらいあると思われるか、その点の見当がついておったらお聞かせを願いたい。
  249. 穴山徳夫

    ○穴山政府委員 お答えいたします。  ただいま被保険者になり得ると思われる数が大体四千五百人と私どもは推定しているわけでございまして、この四千五百人につきましては、復帰時には私どもとしては大体把握できるつもりでおります。
  250. 和田春生

    ○和田(春)委員 いまの説明のとおりひとつ確実に実施をされるように望んでおきたいと思います。  ところで、船員保険法が全部適用されまして、年金部門あるいは失業保険部門、こういう点については金銭給付でございますから、事務機構がしっかりしておれば問題はないと思う。一番問題になるのは、これは船員のみならず、他においてもそうでしょうけれども、医療保険の分野だと思うのです。この点について、本土でも国民皆保険といいながら、実は医療機関が不足をしている。つまり医療の供給体制が欠如しているために、被保険者であるという名ばかり、保険料は取られるけれども実体的なサービスを受けられない、こういう面があるわけです。この点については、沖繩本土に比べまして、医療の供給体制においてかなりの格差があるということは疑い得ない事実だと思います。そのために本土からも医師の派遣等が行なわれてきている、そういう過去の経緯もあるわけです。本土の場合には無医村があるとか、あるいは港湾で医者がそこに非常にいなくて不自由であるといっても、陸続きでありますから、多少の手だてを講ずれば間に合わせることができるという場合もある。沖繩の場合には離れ島であります。そういう点について、船員保険医の指定その他医療の供給体制という点を整備をしなければ、船員保険法を適用しても、仏つくって魂入れずということになるわけですが、それについてはどのような手を打っておりますか。あるいは必要な保険医は確保できるとお考えでございますか。
  251. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 お答えいたします。  沖繩の医療供給体制は、先生御指摘のとおり、本土の水準に比べますと、医者の数におきましても半分以下、看護婦等も大体三分の一近い水準でございます。したがいまして、復帰後におきまして、この供給体制をいかに早く整備するかということは非常に大事な問題だと私どもは認識をいたしております。これを充実しますためには、大きく申し上げて二つの方向があろうかと存じます。  一つは、やはり沖繩における医療施設整備いたしまして、本土に留学をしているような方々ですらも喜んで帰って勉強ができるような、そういう医療機関整備ということを、やはり充実する必要があると存じます。このためには現在の政府立の病院というものについて、さらにその設備なり建物等の整備をはかりますとともに、将来、慢性疾患といたしましてたいへん困難な問題の予想されるらいでございますとか、あるいは精神、結核、こういうものにつきましては国立に移管をいたしまして、厚生省の手で運用してみたい、かように存じております。  それから、さらに、民間の機関につきまし七は、やはりこれは開発金融公庫というものによって民間施設整備ということにも助長をはかりたい、こういうことで医療機関整備そのものをまず充実することが第一点でございます。  それから第二の点は、医療関係者の確保、並びにただいま御指摘のような特に僻地の問題があろうかと存じます。医療関係者につきましては、医者についてはただいま申しましたような整備ということと相まって、定着率を高めたいと考えております。また看護婦等につきましては、現在の養成力をさらにふやしますとともに、先ほど来申し上げました国立の機関にも新しく養成施設をつくる、こういう計画によりまして早急にこの人員の増加というものを現地ではかりたい、かように考えておるわけでございます。  しかしながら、沖繩にございますところの無医村あるいは僻地というものの医療の確保は、これは言うべくしてなかなか容易な問題ではないと私どもは存じます。ただいますでにヘリコプター等も、そういう目的のためにも使用できるということで配置をされておりますが、さらに私どもは、陸の続いておりますところでございましたならば、患者輸送車というものを配置いたしまして、親もとになるような病院と患者との連絡をはかる、こういったようなこともはかり、また僻地用の専門家をこちらからも派遣をする、こういうことも引き続き実施をしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。また島につきましては、やはり診療艇、診療センターという船をそういう目的のためにあつらえまして、これによってやはり定期の巡回なり、そういったことをはかりたい。いわば医師の確保ができなくても、できるだけ医療の確保をはかるというような線で努力をしてまいりたい、そういう計画を立てているような次第でございます。
  252. 和田春生

    ○和田(春)委員 沖繩自体の医療機関、医療施設が不足をしているわけですから、政府としてもたいへん御苦心のあることはわかるわけです。しかし、船員保険法の場合には、船員の勤務の特殊性から、乗船中の傷病については、普通傷病についても三カ月間は災害補償として扱われる。こういう点については実態的にやはり医療というものが十分に供給確保されないとこれは意味をなさなくなるわけですから、いま御説明の程度においては、私はなかなか十分にいかない点があると思います。しかし、時間もございませんので、こまかくここのところで取り上げて論及することは避けますけれども、これは格別の努力を願わなくてはならないと考えますので、その点を特に要望いたしておきたいと思います。  船員関係の問題については一応その程度にいたしまして、次に海運局長にお伺いをいたしたいと思いますが、沖繩本土との航路についてでございます。  この点について、御承知のように沖繩本土の航路はいま同盟が結ばれておりまして、自主的に統制をとっておるわけでございますけれども、少なくとも日本施政権下にありませんから、外国航路の扱いになっているわけです。ところが、これが復帰をいたしますと、旅客定期航路事業につきましては、海上運送法によって免許事業になるわけなんです。それを見越して、現在本土の企業において鹿児島まで延びている航路を那覇まで延ばす、あるいは奄美大島の航路を那覇へ延ばす、新しく本土沖繩との航路を開くとか、そういう形で、従来従事をしていなかった船舶をここに就航せしめまして、旅客輸送の事業に当たらんとする傾向があるやに聞いているわけであります。具体的なそういう計画の幾つかについても資料を入手しているわけですが、外国航路でありますから、これらを政府の免許によって規制するわけにはいかない。そこで、言うなれば、かけ込み配船で、復帰の前に実績をつくっておいて、そうして復帰をしたら、その実績をもとにして免許をしろという形になりますと、この本土沖繩間の航路に非常に過当競争が生じたり混乱を招く危険性があると思うのです。復帰をすれば本土沖繩に差をつけないというのはあらゆる面において当然かもわかりませんけれども、脆弱な沖繩の海運業に対しましてこういう形で混乱を持ち込みますと、これまた何のために復帰をしたのかわからない、復帰をしたことによって甚大な打撃を受ける、それによって船員の労働条件等についても非常に悪い影響が起こってくるのではないかということは沖繩船員の側からも心配をされているわけであります。そこで復帰前の、特にこの本土沖繩間の旅客輸送の事業に関してのかけ込み配船、こういうようなことについてどういう規制の措置をとろうとしておられるのか、また、そういう点について琉球政府とどのような連絡をしておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  253. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  復帰後は、いわゆる国内の定期航路になりますので、免許制が適用されるわけでございます。それまでに、どさくさと先生おっしゃいましたけれども、どさくさの間に入り込もうという話をちょっと聞いておりますけれども、実は本土沖繩の間の航路には、いわゆる沖繩航路同盟というのがございまして、一応その航路同盟で自主的に解決するという組織がまずございます。それから政府といたしましては、おっしゃいましたように復帰前は外国航路でございますから、単なる届け出でいいわけでございます。したがいまして、そういった免許とか許可とかいう権限もございません。しかしながら、私どもといたしましては、御指摘のように、やはり配船につきましては需要と供給の関係等ございますので、やはりこれが適当な関係になければ、船腹の過剰を来たしまして、運航している船社が経済的に弱る、こういうことでは公共の輸送に向かないということでございますので、私ども行政指導でございますけれども、そういったどさくさまぎれに、たとえ届け出制でありましても、そういうところへ出てくることはないように、もちろん、琉球政府のほうとも御連絡いたしまして、行政指導でもって防いでいきたい、かように考えております。現在のところ、まだ出てきておるのはございませんし、出てくるといううわさは聞いておりますけれども、来ましたら、そういうことで指導でもってとめさせる、こういう方針でいきたいと思っている次第でございます。
  254. 和田春生

    ○和田(春)委員 ともかく、いまは外国航路でございますから、同盟といっても、航路同盟は自主的な組織ですから、盟外配船を強行しようと思えばできるわけです。また、行政指導をやりましても、どさくさのかけ込み配船を考えまして、行政指導に従わないという形になりますと、これまた実体的になかなか規制しにくい、こういう問題もあるわけであります。そこで、復帰前にも、日本政府現地琉球政府とは十分連絡をとって、そういう行政指導に従わないで、強硬にその盟外配船をやるとかそういうようなところについては、復帰後も免許を与えないぞ、こういうようなやはり強い態度で、航路の秩序と復帰の際の混乱を生じないような措置を考えていただきたいと思うわけですけれども、その点はいかがですか。
  255. 山中貞則

    山中国務大臣 これは行政指導のことでありますから、法律事項に書いてございませんが、しかし、他面、閣議決定にかかる対策要綱の中で明確にしてございますので、ただいまのような御心配は、復帰前も復帰後も当分の間、一定期間、まあ五年ぐらいと考えておりますが、沖繩の現在の運賃同盟加盟各社以外のもののなぐり込みということは認められない。いわゆる閣議決定に反する行為を行政指導として認めるわけにいかぬということがとれると思うのです。ちょっと短い文章ですから読んでみますと、「沖繩関係貨物航路については、復帰後一定期間、沖繩航路運賃同盟および先島航路運賃同盟の本土および沖繩船社による現行輸送秩序を極力尊重し、安定した輸送力の確保を図るものとする。」こういうふうにはっきりなっておりますから、閣議決定に基づいてやる行政指導でありますから、強烈に展開してもらってけっこうであると思っております。
  256. 和田春生

    ○和田(春)委員 そういう閣議決定もありますけれども、旅客輸送につきまして具体的に計画を立てている、こういう関係筋もあるようでございますので、なお十分な御留意をお願いをいたしたい、このように考えます。  次に、港湾整備の問題について、港湾局長にお伺いをしたいと思うのですけれども沖繩に行って、あそこの港をごらんになったらわかると思うんですが、かなりの費用を取っておるわけです。たとえば、入港する旅客船の乗客からは、一人五セントというような金額も取っておるわけでございまして、聞くところによれば、那覇市等はこの港湾からの収入でかなり黒字をあげている、こういうことでございますが、港湾施設ということになると、まことにお寒い限りである。いま埋め立てがどんどん行なわれておりますけれども、上屋一つない、休憩所一つない、安全施設も全く欠如している。私もつい最近見てきたわけですけれども、まことに惨たんたる状況でありまして、かっこうだけは新しい近代港湾ができそうな青写真になっている。これはまことに困るわけです。こういう点については、特に利用者のためのサービス、また安全施設の確保という点については、本土でも欠けてはおりますけれども、さらに、積極的な行政指導と政府の措置を必要とすると考えるわけです。  こういう点について、港湾局長、今日考えている対策並びに今後の方策について、時間もございませんので、要点的でよろしゅうございますから、ひとつ回答を賜わりたいと思います。
  257. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 御指摘のように、沖繩の港湾の、特に旅客施設あるいは船員または港湾運送事業者に対するいろいろな厚生施設は、確かに非常におくれていると思います。  具体的に申しますと、いま考えておりますのは、旅客施設につきましては、来年地方債で、これは港湾の機能施設の一部といたしまして、起債のあっせんをして、とりあえず二棟を那覇につくりたい。それから安全施設、船員あるいは港湾労働者というものに対する厚生施設等につきましては、内地でも各港でやっておられますけれども、それと同じじゃなくて、それ以上に港湾管理者のほうも積極的に、用地の提供であるとかあるいは資金の提供、そういう意味整備を進めさしたいというふうに考えております。  なお、現在の沖繩の港湾の管理機構は、管理する部門と建設する部門が違っておりますので、これを一緒にしてもらいまして、あわせてやっていきたい、そういうふうに考えておる次第であります。
  258. 床次徳二

    床次委員長 和田春生君、お約束の時間が来ましたので、終わっていただきたいと思います。
  259. 和田春生

    ○和田(春)委員 なお、この港湾関係については、いろいろな問題点があることは、政府当局においても、現地を見ている限りで把握をしていると思います。それから、沖繩については、これは海上保安庁の所管ですけれども、海難救助体制等につきまして、非常に立地条件が悪いという意味で、航空機の整備あるいは救助艇の整備等におきましても、今後日本政府が責任を負っていくという形になりますと、かなり拡充をしなければならない問題があると思います。いまはなお、相当強大な米軍がおりますから、救難施設並びに手段というものについて肩がわりをしてもらっている点がありますけれども、やはり日本政府みずからの努力でこれをやっていかなくてはいけない、こういう面があるわけであります。  そういう点も含めまして、最後に運輸大臣に一括してお伺いをしたいのですが、私は、時間が非常に限られておりますから、さらっと流したわけです。しかし、これを全部掘り下げていきますと、具体的に、こまかい問題で非常にたくさんの問題がある。しかも、陸と違って、海の場合には、そういう点が見のがされていきますと、関係者がたいへん不自由をこうむったり、復帰したことが意味をなさない、かえって、そのことによって手続とか法律の面がめんどうになるけれども、実体的には利益が何もこない、こういうことがあるわけであります。そういう点で、ひとつ格別に本庁の各機関を督励し、出先の機関とも十分連絡をとり、また運輸省だけではなく、総理府並びに琉球政府とも十分な連絡のもとに措置をとっていただきたい、こういうように考えるわけでございますけれども、その点につきまして、総括的に運輸大臣の所見並びに総務長官のお考えを承りまして、私の質問を終わることにいたしたいと思います。
  260. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま御質問いただきました船員関係法令の適用の問題、復帰後の海上保安体制の問題、最近の本土旅客航路事業者の沖繩進出の問題、港湾の諸施設の問題等、適切また非常に御貴重な御意見を承りまして、一々ごもっともと私は思う次第でございます。本日これから、沖繩の方々を迎えるにあたりまして、いささかもそういう方面で不利にならないように、非常に安全で、そうして前よりはよくなるように、海運行政一般につきまして、ただいまの御指摘の点を十分心得まして、強力に指導してまいる所存でございます。
  261. 山中貞則

    山中国務大臣 大体、私も同感でございますが、第十一管区海上保安本部の設置ということは、同時に、お話しのように、現在アメリカの飛行機等にたよっておるような漁船の緊急の場合等にも役に立つわけでございますから、そういうことも前提としつつ、なお、こまかな船員保険等の掛け金給付の実態、これは一長一短ございますが、しかし、現物給付に移ること等は大きな前進でもございますので、これらの点で、場合によっては零細船主の負担増加等、やはり見のがしてならない増加等もございますから、これらについては、船主に対する今後の運営資金の問題等について、金融公庫等において十分に配慮してまいらなければならない業者も多いだろうというような点も考えておるわけでございます。
  262. 和田春生

    ○和田(春)委員 終わります。
  263. 床次徳二

    床次委員長 岡本富夫君。
  264. 岡本富夫

    ○岡本委員 総理は、沖繩返還にあたって、豊かな平和な沖繩づくり、こういうことをたびたび言っておりますけれども基地が二〇%もある、それからその経済が七三%も基地経済依存しておる、こういうことではたして沖繩県民が平和で豊かな生活ができる沖繩になるのかどうか、非常にこの点について疑問を持つわけでありますけれども、そこでまず私、端的にお伺いしたいことは、将来も米軍基地をこのまま認めるのかどうか、またこのまま残しておくという考え方があるのか、これからまずひとつお聞きしたいと思います。
  265. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 時期的にはいろいろ問題があると思いますが、ただいまの状態がいつまでも続くとは私は思いません。そのうちに十分米当局とも話をして基地の整理廃合、これは必要なことだ、かように思っております。
  266. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、私ども商工委員会で調査に参りました。そのときに皆さん方の御意見を承りたい、こういうように商工委員長から——与野党で行ったわけですけれども、そうしますと、私たちの生活をどないしてくれますのや、こういう答えが返ってきておるわけです。  そこで、私いま提出されているところのこの法案を見ましても、ほんとうに十年先、十五年先のビジョンを持って、そうしてこういうようにやっていくのだというところの、ほんとうに百万県民が豊かで十分生活できるというそういう計画のもとに、そういう法案であるのか、行き当たりばったりであるのか、その点について非常に懸念されるわけであります。  そこで、先ほど総務長官からの答えでは、ちょっと聞いていると、ビジョンを持ってそれに合わしてやっていくのだというような話がありましたけれども、もしもそれならば、いま総理が、基地は将来なくしていくのだ、こういうことであれば、その基地のあと地利用、この基地についてはこうするのだ、この基地についてはこうするのだ、こういったところの計画を立て、そしてこちらから自主的にこの基地はこうしてはずしてもらいたいのだ、これはこのくらいにしてもらいたいのだというようなアメリカに対するところの交渉、こういうところのあと地の利用計画、こういうのがあるのかどうか。また一次産業、二次産業、三次産業をこれからどういうようにやっていくのだというところの、そして十年後にはこうなるのだと、はっきりしたところのプロセス、これがあればひとつお示しいただきたいのです。
  267. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの段階で軍基地、そのあと地をどういうようにする、こういう計画を述べることはなかなかむずかしい状態でございます。その点は岡本君も御承知だろうと思います。先ほど申しましたように、このままじゃないのだ、われわれは一つの希望を持ち、整理統合していくのだ、こういうことを申しておりますから、これはひとつその線でただいまのような基地利用計画等はやっていただきたいと思います。これが総務長官からの最初の第一次十カ年計画、この開発計画、そういうものにものっておると私は考えております。  ただいまお話しになりますように、現地に出かけられたら、今日の状態では基地経済にたよっている、かような状態でありますから、われわれ一体どうしてくださるのですか、こういうような声が出るのも当然だろうと思います。私は、基地経済はそれなりに評価はいたしますけれども、本来あるべき姿ではない、かように考えますので、こういうためにもやはり沖繩の一番おくれているものは何か、それのことを考えるとやはり産業基盤整備ができていない。けさほどから港湾整備は一体どうするか、水資源の確保はどうだ、電源のエネルギーの確保はどうするのだ、こういうような基本的な話がずいぶんかわされております。そういうような基礎的条件が整えられること、私はこれがまず第一だろうと思います。その上で沖繩に適した産業、そういうものも見つけ、そういうものが根をおろしていく、こういうような状態であってほしい、かように思います。具体的なことについて……。
  268. 岡本富夫

    ○岡本委員 もっとしろうとにわかりやすい、特に沖繩の皆さんはいままで二十数年間本土になかった異民族の支配下にあり、また日本法案についてもなかなかおわかりにならぬところの点もあろうと思うのです。したがって、もっとわかりやすい、十年後にはこうするのだ、そのためには水資源についてはこうする、あるいはまた港湾、交通の問題はこうするのだというようなはっきりしたものを立ててやらなければいかぬ、こういうように示してもらわなければならないと私は思うのです。  先ほどからいろいろ審議されておるのを聞いたり、また答弁を聞いておっても、結局はその根本的な、十年後にこうなって、大体県民所得はこうだ、こういうような非常にむずかしい状態であろうと思いますけれども、そういったプランをきちっと立てなければならぬ。これについてもう一ぺん担当大臣である総務長官、あなた、よくむだ口をきくからむだ口をきかないで、時間がないから率直に答えてください。
  269. 山中貞則

    山中国務大臣 これは現時点において計画をそのままつくることが不可能とは言いません。たとえば基地の問題等をどう扱うかの問題にも関連がありましょうが、しかし、これはやはり復帰後選ばれた新しい沖繩県知事というものの原案作成権を法律で認めておるわけでありますから、それの作成をして原案作成者の意向が——事前にアウトラインが本土政府のほうででき上がっているというようなこと等もまた問題点が生じてきましょうから、したがって、少なくとも四十七年度予算が十カ年計画の初年度としてそのアウトラインの第一歩になるという考え方では組んでいきたいと思いますが、全体の計画をいまここで本土政府で全部つくってしまうということは法律の趣旨にも反しますし、したがって、法律としてもそのような沖繩県知事の作成権等を認めておりますので、それをやはり待って最終的に両者協議の上できめることであろうと考える次第であります。
  270. 岡本富夫

    ○岡本委員 それは詭弁ですよ。やはり一次産業、二次産業、三次産業の軸になるのはこうだ、それから今後政府からこういうように応援するのだというようなやはり一つのビジョンというものを出して、そしてたとえば基地にしましても、われわれ公明党で総点検して、この基地はすぐ返るようになっておる、大体いけるのだというようなものに対してはこういうようにしたい、こういうふうにしたらどうですかという一つ意見と申しますか、それに対してやはり沖繩県の皆さんがこれはこうしてもらいたいのだ、これはこうしてもらいたいのだというような意見の積み上げでできなければ、やはり平和で豊かな沖繩県というものはできない、私はこう思うのです。今度新しい知事が任命されて、その知事ができてから、それから考えるのだというような、それであるならば、いま法案を審議しているのとギャップが出てきたらどうするのですか。  したがって、やはりもう少しいろいろ類型を考えなければならぬと私は思うのです。こういう型はどうだ、こういう型はどうだ、そうしてやはり政府主導型、これだけの援助をいたしましょう、そうですか、これはこういうふうにしましょうというような開発計画でなければ、ほんとうの沖繩県民の皆さんが要求なさっておるものではないということをひしひしと向こうへ行って感じた。ということは、毎年二万なり三万なりの人たちがどんどん本土へ流れたりあるいはほかへ流れていくということは、非常に本土政府に対して不信を持っているということなんです。ですから、いかに口で豊かで平和な沖繩県づくりと言ったところで、これはほんとうに一つの表題にすぎない。こういうことを私は特に指摘をし、そこで、最後にその点について聞きたいことは、絶対沖繩過疎地帯にしないか、これをひとつ確約してもらいたいのです。
  271. 山中貞則

    山中国務大臣 将来の、十年後の目標なら目標像というものをなぜ示さないかというお話でありますが、琉球政府のほうでことしを初年度とする十カ年計画をつくっておる。これは私どもちゃんと持っております。しかしながら、このとおりにはたして設計をしていいものかどうかについては、初年度の違いもありましょうし、いろいろありますし、したがって、それをいまここで示すということについてはなかなか問題があるところでありますから、これは琉球政府の作業に対する本土政府の協力ということは当然なければなりませんけれども、やはり何といわれても、復帰後の新しい沖繩県の主体性というものを前提にしてやらなければならない作業ではないかということを考えておる次第であります。
  272. 岡本富夫

    ○岡本委員 過疎地帯に絶対しないかということのこの答えはなかった。  それからもう一つ、なぜ私がこんなことを言うかといいますと、商工委員会でもこれは問題になったのですが、国内の中小企業対策にしましても、現在まではただ金融と税制だけと、こういうようなことでは、ほんとうにドル・ショック、いろんな問題があって、中小企業の基盤というものはできない。それについて通産大臣からも、確かにそうだ、やはり一つの方向づけというものを今後つくらなければならぬ、それは調査して、またいろいろと計画を立てようというような答えもいただいておるわけです。したがって、やはり——特に沖繩はいまほとんど中小企業、零細企業です。しかも焼け野原から自分たちで立ち上がった。そういうことを考えますと、やはりひとつある程度の方向づけ、そしてまたそれを相談もしていくというようなビジョンがなければならないと私は思うのです。ひとつその点についてもう一ぺん答えてもらいたい。これは総務長官に……。
  273. 山中貞則

    山中国務大臣 過疎県にしないかといっても、これは五年間に人口が一〇%以上流出する地域を過疎というわけですから、それを法律沖繩から本土に来てはならぬということはできません。したがって、そういうことにならないように努力をするということでなければならぬと思いますし、あくまでも計画の全貌については沖繩県知事が作成する原案というものを尊重して、それから計画を立てていく。ただし、初年度の予算となるべき来年度予算については、十分その初年度にたえ得る内容にしなければならぬと考えます。したがって、補助率や各種の政策の展開等については、この法律の中にそれぞれのほうに分かれて持っておるつもりでございます。
  274. 岡本富夫

    ○岡本委員 何かこうはっきりしないですね。それで、もう一ぺん念を押しておくから、過疎地帯にしないということを、そこをはっきりしてもらいたい。  それからもう一つは、沖繩基地経済から産業経済に移行しなければならぬのでありますが、そこでけさの毎日新聞を見ますと、松下あるいはまた沖繩アルミ、こういう企業進出が後退ムードだというような報道をされておりますけれども、これは基幹産業というものはやはり少しはつくらなければならないと思うのです。私は、大企業全然だめだというわけにいかないと思うのです。そうなりますと、こういう基幹産業と思われるものに対してどういうように指導していくのか、あるいはどういうように指導しているのか、これをひとつお聞きしたいと思うのです。これは通産大臣ですね。
  275. 田中角榮

    田中国務大臣 沖繩アルミが設立をせられ、そしていまボーリング中でございます。当初の計画よりも多少おくれてはおりますが、進出が実現するようにいま努力をいたしております。また、この沖繩アルミの中心になるのは日本軽金属でございますが、電力料金が長期安定的であることが望ましい、またそうでないと、コストが本土よりも高くなるということでは進出ができないわけでございますので、重油その他、復帰後高くなるようなことのないように特段の措置を考えておるわけでございますので、長期安定的な電力も確保するということで当初の計画どおり進出をはかるという状態でございます。  松下電器の話はこれは話でございまして、まだ具体的に土地を買収したということではないようでございます。——これは買収したようでございますから、この買収した問題については総務長官から、詳しく知っておるようでございますからお答えをいたします。  なお、本土と比べまして沖繩の一次産業比率は非常に高いのでございますし、一次産業比率が高いとどうしても二次産業比率が低いということでございます。その意味で二次産業比率を高くするためには、まず沖繩の企業を育成強化をすることが第一であり、本土からだけ企業を持っていきますと沖繩現地企業が圧迫を受けるようでは困りますので、まず現地企業の育成強化を前提とする。それから本土沖繩との競合が行なわれないように、本土からの企業進出を促すための諸般の政策を前提として進めておるということでございます。
  276. 山中貞則

    山中国務大臣 松下電器は、昨年十二月糸満町に買収を完了いたしておりますが、しかしながら、その後のドル・ショック、弱電業界のかかえておる問題等で一応早期な進出について検討中のようでありますけれども、敷地もすでに大規模な買収を終わっておりますから、通産省と相談の上、やはり予定どおり出ていってもらう。ことに雇用需要に非常に貢献をいたしますので、そういう点を努力したいと思っております。  なお、公害も伴わない、そして雇用需要に貢献するものとして、やはり造船などは一つの大きな考えなければならない企業の一つでありますが、川崎重工がやはりドル・ショック等によって進出を一応断念をいたしましたので、かわりに現地企業である糸満造船所あるいは那覇の造船所等と本土の企業とタイアップした形による沖繩における相当な規模の造船所を建設すべく、開発金融公庫等において手当てをしたいと考えておる次第でございます。
  277. 岡本富夫

    ○岡本委員 やはり計画を立て、そしてそれに対して企業も指導し、豊かな沖繩県づくりのためにはこうもしていく、これもしていくのだというやはり手段、方法というものを講じて、それを検討していかなければならぬと私は思う。さいぜん通産大臣は松下の問題でも、ちょっと土地を買ってないとか——ぼくは見てきたのですからね。そういうことを考えますと、やはり真剣に沖繩問題について取り組んでない、そういう証拠であると私は言わざるを得ないのです。  そこで、時間があれですから、この問題ばかりやっておってもなんですが、環境庁長官にお聞きしたいのですけれども、わが国が公害列島、もう世界に冠たる公害列島だ。沖繩をそういう勘にしてはならない。それは第二次産業、第三次産業観光都市もしようというような話もあるわけですから、そこで、それについてのあなたの所見を一ぺん伺いたい。
  278. 大石八治

    大石国務大臣 どうもわが日本の本局が公害で埋もれておりますことは、おっしゃるとおりでございます。われわれ何とかして直す計画でございますが、この前車のわだちは沖繩において二度と踏ませないように、そのような心がまえで努力してまいる決意でございます。
  279. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたは、今度通産省関係沖繩対策についてのこれをごらんになったかしらん。たとえば、「沖繩振興開発金融公庫の融資について」これを見ますと、電力会社あるいはまた配電会社、こういうところに対する貸し付けは金利が五%、それから融資比率は八〇%です。ところが、公害防止については、この利子は高い。六・五%から七%。しかも融資比率は七〇%以内。産業には、非常に金利が安くたくさん貸す。公害防止には、金利が高くて少ない。これでほんとうにあなたが言うところの公害防止ができるのかどうか。これは通産省から出てきておるから、ぼくは特にきょうは大蔵大臣にもこの点を確かめたいと思ったのですが、通産大臣、これをごらんになったと思うのですがね。——本土においては、中小企業では公害の融資利率は無利子、中小企業振興事業団あるいはまた中小企業金融公庫、これは公害に対しては無制限と、制限ないんだと、一〇〇%貸すと。こういうようなところを見ますと、これはちょっと、沖繩をほんとうに公害から守ろうという考えがないんではないかと私はこれから判断するわけですが、それについてお答え願いたい、簡単に。
  280. 大石八治

    大石国務大臣 四十七年度の予算の問題は、沖繩振興開発金融公庫貸し付けの要求でございまして、まだこれは決定しておりません。しかし、来年のうちに本土に返ってまいりますれば十分に検討いたしまして、決して不公平のないような、もっとより有利なものにかえたいと考えております。
  281. 岡本富夫

    ○岡本委員 そういういいかげんなこと言っちゃいけませんよ。これは、要求だから、要求はこうだけれども本土に返ってきたらもっとふやすんだと。大体、予算の要求というものは大蔵省にはよけい出して削られるんです。ああふやしてやろうというのは見たことない。だからね、あなた、この問題については、これはもう訂正をする、そういうように要求すると、通産大臣とそれから大蔵大臣も。それでなかったら、あなた一生懸命にアドバルーン上げて自然保護だなんていったところで現実はこうなってないじゃないですか。きついこと言って悪いけれども、その点ちょっと……。
  282. 大石八治

    大石国務大臣 これは実はまだ通産省と打ち合わしておりませんので詳しいことわかりませんが、予算でございますから、まだきまっておらないと申したわけでございます。しかし、来年度本土に返ってくれば、何としても通産省とも十分に連絡調整をいたしまして、決して不公平のないような、むしろ有利なものにかえてまいる決意でございます。その点だけははっきり申し上げます。
  283. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは融資比率はもう一〇〇%、それから金利も安い、こういうようにしないとほんとうに沖繩の公害はなくなりません。この点について要求しておきます。  そこで、時間がありませんから、最後の問題は、沖繩を平和で豊かな昂にする、この第一条件にはやはり基地の使用、米軍が使用したりしないようにする。そのためにはやはりアジアの緊張を防がなければならぬ。それについて、日中国交回復については特段の力を入れなければならぬ。また北鮮に対しても回復について特段の力を入れなければならぬ。こういうのがこれはあたりまえであろうと私は思うのです。そこで日中あるいは日朝と回復するためには、やはり経済の交流が必要であろうと私は思うのです。ところが、経済問題について、輸銀の使用について、いままで佐藤総理は、ケース・バイ・ケースで考えるとか、あるいはまた通産大臣は前向きに取り組む、こういうようなことを言っておりますけれども一つの事例をあげますと、この間倉敷レーヨン、クラレですか、これが北鮮向けのプラント輸出をしようとしたときに、それをとめたのは外務当局です。外務省は大臣の言うのと次官の言うのとちょっと違うように私は思うのですが、これについて、やはり大事な問題でありますから、きょうは確かめておきたい。外務大臣に御答弁いただきたい。
  284. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 クラレの社長がこの間参りましたが、プラント輸出のお話は承っておりませんです。
  285. 岡本富夫

    ○岡本委員 承っておりませんということは——新聞で報道されておりますがね。そうすると、クラレのほうから何にも言わないのに、「共産圏に対する信用供与は大きな問題をかかえており、政府としてケース・バイ・ケースで対処する方針だが、北朝鮮については他の共産圏への政治関係も含んでおり、非常にデリケートだ」こういうような外務次官のあれが出ておるわけです。あなたはこれについては全然関知しておりませんか。
  286. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 クラレの社長が来ましたのは、技術者を数名日本によこしたい、それを承認してくれぬか、こういうお話でございます。それに対して私は、これは法務省とも相談し、慎重に対処いたしますと、こういうふうにお答え申しております。
  287. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、もしもクラレからビニロンプラントの輸銀の使用は、申請があればこれは許してもよい、こういう考え方ですね、これについて。
  288. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま慎重にというふうに申し上げたのです。きょうは、岡本さんも御存じのとおり、午前十時に韓国において非常事態宣言をしておる。非常事態体制に入ったということを宣言をいたしておるわけです。韓国との関係について十分の慎重な配慮を払わなければならぬ。そこで、入国そのものにつきましても慎重に対処したい、こういうふうなお答えをいたしたわけであります。
  289. 岡本富夫

    ○岡本委員 慎重慎重言うて、これは、私はそういう態度から見ましても、ほんとうに日中国交回復にあるいは日朝国交回復に寄与していこう、そして平和な、沖繩基地から発進しないような状態にしなければならぬという努力が非常に少ないように思う。この点について、もう一度あとで答弁いただきたいのですが……。  そこで、私、非常に時間が短いので、まだあと自由貿易港あるいは大型快速船を国営で本土沖繩との間の輸送をしてもらいたいとか、あるいは沖繩の物価対策あるいはまた公害対策、もっとこまかい問題でありますけれども、あるいは地場産業の対策、中小企業の在庫品の差損金の問題、あるいはまた生命保険の掛け金の差損金の問題あるいは経過措置、ここに出ておりますけれども、この経過措置、「一定期間」と出ておりますけれども、これを見ますと、砂利採取法でありますと、これは一定期間とはどのくらいと聞くと三カ月、これは現地ではやはり一年見てもらわないとものにならない、こういうこともあるわけです。ですから、この経過期間についても見直しをしなければならぬだろう。こういうことを、次のレギュラーのメンバーに譲りますけれども、最後に一つ、未承認国、特に社会主義国に対するところの輸銀使用について、慎重に慎重にと言うておるよりも、そういう弱腰ではほんとうの自主外交はできないと思うのです。ひとつもう一ぺん外務大臣の勇断と決意を承りまして、終わります。
  290. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、先ほど日朝のことを申し上げたのです、日朝のお尋ねでございますから。日中関係につきましては、かねてから申し上げておるとおり、これは国交の正常化をはからなければならぬ、この問題にはまっ正面から取り組む、そのためには政府間交渉を始めたいと、こういう非常にはっきりした姿勢を進めておるわけであります。その間において輸銀使用というようなお話がありました。輸銀使用というのは、たとえばフィリピンから要請がある、それ全部認めるわけじゃないのです。事案を検討いたしまして、これはよかろうじゃないかというようなものにつきましてケース・バイ・ケースで判断をするわけでありまして、そういう関係でありますので、そういう日中間の国交に対する姿勢からいたしまして、日中間の輸銀使用という問題につきましても、これはケース・バイ・ケース。しかし、何といたしましても、いままではうしろ向きというか、そういう形のケース・バイ・ケースであったことは、私は否定をいたしませんけれども、これからは前向きのほうのケース・バイ・ケースということで対処していきたい、かように存じます。
  291. 床次徳二

    床次委員長 時間が参りましたので簡潔にお願いします。
  292. 岡本富夫

    ○岡本委員 これで終わりますけれども、ケース・バイ・ケースというのはどういうことなのかどうもわかりにくい。たとえばビニロンプラントにしましても、これはココムの品目でもない、相手国の民生安定に資するところの品物です。プラントです。こういうことを考えますと、こういうものが外務省でとめられるということはちょっとおかしいように思うのですね。それから全部とめるんじゃない、あるいは全部承認するんじゃない、こう言うけれども一つ承認していなかったらこれは全部になるのです。その点も考えますと、この外務当局の考え方はちょっとおかしいと私は思うのですが、時期尚早だなんと言っておりますけれども、これについて総理に最後のお答えを願って終わりたいと思います。
  293. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 日中間につきましては、これからケース・バイ・ケースで前向きに対処していきたい、つまりわれわれが友好関係にある国々です、これと同じような態度で臨みたいと、こういうふうに考えておるのです。しかし、そのケースというのがなかなか出てこない。今日、日中間におきまして輸銀使用のケースの要請というものがないんですから、これはもう何をか言わんということになりますが、ケースが出てまいりますれば先ほど申し上げましたように前向きで対処いたしますと、非常にはっきり申し上げておるわけであります。
  294. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど外務大臣からお答えいたしたので、岡本君にもおわかりではないかと思いますが、日中の問題は、私どもも中華民国とだけつき合うというのではなくて、北京とも友好関係を、正常化を結ぼうと、ただいま努力している最中でございます。したがって、そのほうの問題については、輸銀資金の使用につきましてもいままでとは事変わると、これは外務大臣がお答えしたとおりであります。ただ、具体的な問題がございませんから、したがって、それが審議の対象にならない、こういうことであります。また、それが審議の対象になりましても、金額は全部相手方の言いなりになるというわけのものでもございません。これはもちろんわが国にはわが国の立場がございますから、そういう観点でやはり輸銀資金は公平に使わざるを得ないということで、これが一カ国にまとまるようでは困りますから、それらの点もあろうと思います。  したがって、日中間の関係についてはただいま疑問のないお答えをいたしたのでありますが、北朝鮮の問題、日朝の関係、これは先ほども申しますように、ただいま韓国において非常事態宣言を本日行なったと、こういう事態でございますから、新しい事態が起きておる際にこういう問題について慎重であるのは当然のことだ、かように私は理解いたしますので、岡本君におかれましても、われわれが慎重な態度でそういう問題と取り組む、これはひとつ御了承いただきたいと思います。
  295. 岡本富夫

    ○岡本委員 終わります。
  296. 床次徳二

    床次委員長 松浦利尚君。
  297. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私がきょうの連合審査の最後でありますし、主として建設委員の立場から建設行政、復帰後の沖繩の開発、こういった問題について、総理以下関係閣僚の御答弁をわずらわしたいと存じます。  まず最初に、西村建設大臣にお尋ねをするわけでありますが、この沖繩関係道路の問題であります。御承知のように、政府は現在の米軍施政下にある道路日本政府が引き継ぐというその対米支払いとして千四百六十万ドルを計上いたしておるわけであります。二十二路線の約二百三十キロ、これを対米支払いの対象として一千四百六十万ドルを計上いたしておるわけでありますが、これを計算をしてまいりますとどうも一メートル当たり三万五千円というたいへんべらぼうな額になります。私たちが現地を調査してみましても、軍用一号線にいたしましても、四車線のアスファルト舗装あるいは側溝もない、日本道路構造令から比べればたいへんお粗末な道路であります。こういった事実を見ましたときに、どうしてもこの内訳について路線別に明らかにしていただかなければならぬと思います。大蔵大臣なり総理大臣は常々言っておられますが、この支払いは国民の血税でありますから一銭一円たりともむだに使うことはできないと私は思います。少なくともこういった一メートル当たり三万五千円というべらぼうな対米支払いをするという道路でありますから、この際二十二路線の明細をそれぞれ明確に御答弁いただきたいと、かように思うんです。
  298. 西村英一

    ○西村国務大臣 対米支払い額の三億二千万ドルの中に千四百六十万ドル、道路のために入っておるということでございます。これは道路復帰とともに、軍用道路二百三十キロ分の金でございますが、その評価につきましては、これは大蔵省でやったものでございますから大蔵省のほうから答弁されたほうが適当と思っております。
  299. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大蔵省が答弁をしてもらう前に、さらに建設大臣にお尋ねをしておくんですが、日本復帰をいたしますと、日本道路構造令に従って沖繩道路は一次改良、二次改良を当然しなければならぬと思うのです。これに一体幾ら必要とするか。日本復帰したあと日本が手を入れなければならない、本土道路並みに一次改良、二次改良しなければならぬと思うのですが、その総額は幾らぐらいになると予定しておられるのですか。それもあわせて御答弁いただきたいと思うのです。
  300. 西村英一

    ○西村国務大臣 この二百三十キロのものにつきましては、大体用地を買っていないのでございまして、用地の買収費が要るわけでございます。また、これは借地をいたしておりますから借地料が要ります。用地の買収費は、約二百三十キロで三百八万平方メートルぐらいでございまして、試算をしてみますと百九十八億となっております。それに今度借地料三十三億円、それにこの賠償の支払い額千四百六十万ドル、五十三億円を足して試算をしてみますと、キロメートル当たり約一億ちょっとぐらいじゃないかと私は思っております。しかし、日本で四車線の道路をつくるということになりますと、これは全国平均になりますけれども、おおむね三億——二億七、八千万から三億、これは土地の値段によりますから。二車線にいたしましても約二億ぐらいかかるのでございまして、やはりとんとんぐらいじゃないか。この買収、それから補償費、それから支払いの金額というようなものは、これは非常に事情が違いますけれども、約とんとんぐらいじゃないかというような気がいたしておるわけでございます。
  301. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 大蔵省としましては、協定に従いまして日本政府に引き継がれます基地外の道路、路線が二十二路線ございますが、延長二百三十キロメートルにつきまして評価したわけでございます。評価は路盤及び土工事、改良工事、それから舗装、それから橋梁がございまして、全部で五十五カ所に橋がございます。こういう三種類につきまして一つ一つその道路の延長、幅員、構造、それから建設年次などを調査いたしまして、結局、再調達現価から経過年数に応じまする減価償却相当額を引いて計算したわけでございます。その結果、全体で千四百五十七万ドルになったわけでございますが、各路線につきまして、したがいまして、土工事、舗装、橋梁それぞれ差異がございますが、キロメートル当たり単価、これは橋梁まで全部含めまして平均いたしますと、キロメートル六万三千三百八十五ドル、三百六十円で換算いたしまして、メートル当たりでは約二万二千円でございます。
  302. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 外務大臣、一般常識として、福祉、交通等のこういった設備は、施政権者が行なう当然の責務だと私は思うのです。それは私は、当然有償でなくて無償で引き継がれるべきだ、こういうように思うのです。  現実に、これは調査室のつくった資料ですけれども、第六十一国会の本特別委員会会議録十九号の一四ページに、当時の内閣法制局の真田第一部長、この人が、「一般常識論としては、アメリカが施政権を行使している間に、施政権者の責務として当然住民福祉のために行なった民生上の行為は、ガリオア等特別事情がない限り、無償ですなおに引継いで然るべきではないか」こういうように考える、こう言っておられるのです。だとするならば、住民福祉の立場の道路ですね、こういったものは当然無償で——施政権者としてのアメリカが行なった行為でありますから、これは日本に無償で引き継がれるべきだ。それにわざわざこういった多額の金を出す必要性はないのではないか、このように思うのです。その点、外務大臣どういうように考えられますか。
  303. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私どもは、今度引き継ぐ資産に対しまして有償、無償という考え方はとらないのです。資産は引き継ぎます、これに対して支払いを行ないます、そしてその総額は三億二千万ドルであります、こういうことなんです。  そこで、三億二千万ドルは一体どういう根拠なのか、こういうことになりますが、アメリカから引き継ぐ資産、これを一応一億七千五百万ドル、こう見る。それから軍労務者の労働条件の改善、これで七千五百万ドルと一応これを算定する。そうすると二億五千万ドルになるわけです。ところが、全体としてアメリカは非常に多額の要求をしたのです。まあ相手のあることでありまするから、これはどうしても妥協しなければならぬ。そこで核抜きの問題が入ってくるわけです。そういうようなこともまた考慮いたしまして、総額三億二千万ドルとする。つまり、資産の承継に見合う分とそれから軍労務者の待遇改善に関する分との合計額二億五千万ドルに七千万ドルを上のせをする、そういうことにいたしたわけでありまして、これは松浦さんと意見は非常に行き違うわけでございますが、私どもは買い取りという観念はとらないのです。どこまでも資産は資産として引き継ぎます。また、そういうものに見合いまして、それを見当といたしまして——その他の読みも考慮しますが、総額三億二千万ドルの支払いを行ないます、こういう考え方をとったわけでありまして、したがって買い取る、買い取りとなれば、資産を評価いたしてぴしゃっとそういかなければなりませんけれども、おおよその資産引き継ぎの見当をつけまして、また軍労務者に必要な額の見当をつけ、その他アメリカの多額の要求がある、それとの見合いをとりまして、三億二千万ドルで妥結をした。高度の政治判断からそういたしたわけでありまして、この行き方は、交渉に当たりました私といたしましては、日本のほうに分のある妥結であった、そういうふうに考えております。
  304. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大蔵大臣から外務大臣に移られて内容が変わってきたと思うのです。やはり調査室のこの資料から調べてみますと、あなたは、第六十五国会の衆議院決算委員会の会議録十四号二二ページで、こういう発言をしておられるのです。「資産引き継ぎについて、日米共同声明第九項の中に財政及び経済上云々というのがあるが、こういったものが基礎になって政治的配慮に基づいてやるのか。」こういう質問に対しまして、あなたは大蔵大臣ですよ、いまは外務大臣ですが、「これは政治的配慮のもとに総額をきめて中身を理由づけをするというものではない。払うべきものは払う、払うべからざるものは払わない、どこまでもそういう考え方で積み上げをして総額が出てくるという性格のものである。」あなたは明確に答えておられるのです。いま言っておられることは、政治的な配慮、高度な政治的な配慮、こういうことですが、ここで言っておられることは、あくまでも大蔵大臣として非常に的確に答弁しておられるのです。政治的な配慮でなくて、あくまでも具体的に積み上げて出すのだと言っておられるのです。どっちがほんとうなんです。
  305. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は前に大蔵大臣をしておりましたが、そのときも、資産買い取りということは申し上げておりません。資産を承継するというふうに申し上げておるのです。それで、総額の支払いが一体幾らになるのか、こういうことです。それにつきましては、これはある見当を持たなければならぬという趣旨のことを申し上げておるわけでありますが、その見当というのはただいま申し上げたとおりです。資産の承継それから待遇の改善、さらに高度の政治判断から七千万ドル、こういうふうになった。そういう基本的な考え方におきましては、私、大蔵大臣当時からそのように考えているということを反復いたします。
  306. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、先ほどから言っておるように、大蔵大臣は明確に答えておられるのです。あなたですよ。「払うべきものは払う、払うべからざるものは払わない、どこまでもそういう考え方で積み上げをしていくのだ。」しかもその前に、政治的配慮のもとに総額をきめて中身を理由づけるというものではありませんと言っておるのですよ、ここに。  私は、国会というのは、やはりこうしてやりとりして、まじめに議論をし合う場だと思うのです。前に言ったことが、大蔵大臣で言ったことは、こうでごさいました——そのときに質問した人は、このことで納得したと思うのですね。国民もそう思った。ところが、同じ方が今度は、外務大臣になったら立場が変わってきて、前に言ったことと全然違うことを答弁なさるのですね。これでは国民国会を信用しなくなるじゃないですか。前に言っていることが間違いだったら間違いだったと、あなたここで訂正すべきだと私は思うのです。訂正して、こうなりましたと言って明らかにすべきだと思うのです。その点どうですか。
  307. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 申し上げておるとおり、私は資産の買い取りということは申し上げておりません。資産の買い取りじゃないのです、承継だと。それに対しまして支払いが行なわれる、そういう観念になるわけです。  政治判断は用いない、そういうようなことを私は申し上げておりますけれども、それは三億二千万ドルという額はきまった、その大体の見当はどうだ、こういうことになると、先ほどから申し上げているとおり、資産を一億七千万ドル見当引き受けました、また、軍労務者の待遇改善のために七戸五百万ドル要ります、その他多額の要求があるものですから、それを高度の政治判断から七千万ドルとした、こういうことでありまして、内容はちゃんとそういうふうに整っておる。  内容が少し、七千万ドルというところで荒っぽいじゃないかという御議論がありますれば、そのとおりでございますけれども、これはどこまでも、資産を買い取るという観念はこれには入っておらないのです。入っておりますのは、資産を承継する、それに対して三億二千万ドルというその他の要因を含めての支払いが行なわれる、そういう観念をとっておるのだということを御理解願いたい。
  308. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 資産を承継するとかどうとかということは、大臣の答弁のとおり、資産を承継するということばでもよろしゅうございます。しかし、それはどういう形であっても、あなたはここでちゃんとそういうふうに言っておられるわけですよ。こう言っておられるのです。形が承継であれ、買い取りであれ、私はそのことをここで議論しようとは思わない。あなたが言うように、承継でもいいのですよ。しかし、承継であっても、明細はちゃんと明らかに、払うべきものは払う、総額をきめて中身をくっつけるのじゃなくて、ちゃんと積み上げていくのだということを、あなたは言っておられるわけですよ。内容は承継でも買い取りでも、そのことであなたを責めておるわけじゃないのです。この第六十五国会における決算委員会のあなたの御答弁についてもっと明確にしてくれと、つじつまが合わないからはっきりしてくださいと、こう申し上げておるのですよ。
  309. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私の考え方はただいま申し上げたとおりでございますが、その三億二千万ドルという考え方はどうかというと、積み上げ的な考え方になっておるわけです。つまり資産承継分に見合う一億七千五百万ドル、それから軍労務者の待遇改善分に見合う七千五百万ドル、それからその他核問題等配慮して七千万ドルと、こういうふうにいたしたわけでありまして、七千万ドルという最後の分が大ざっぱであるという御批判を受ければ、その御批判は甘んじて受けますが、ちゃんとそういうような積み上げ的な考え方に基づきまして三億二千万ドルときめてある、こう御理解願いたいのであります。
  310. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、これはまた道路とちょっと飛びますけれども、ここに、一九七〇年会計年度の琉球水道公社の決算書を持っているのです。この決算書によりますと、一九七〇年六月三十日現在の固定資産合計、これが三千四十九万三千八百六十二ドルになっているのです。ところが、この水道公社の財産継承については、もう四千七百三十万ドル、これだけ対米支払いをするのですね。しかも、この琉球水道公社の一九六八年設立から今日までの純利益ですね、純利益というのは、これは沖繩県民が払った金ですね。沖繩県民が水道を使うことによって払った、その払ったことによって得たこの琉球水道公社の当期純利益というのは三百四十万七千三百ドル、これだけ純利益をあげているのですよ。財産を継承したというなら、私たちはどうもふに落ちないのは、この決算書に出てきておる資産の総額と支払う資産の総額とに非常に開きがある。おそらく米軍が今日独占している、米軍が単独で使用しておった施設をそのまま継承するからその分がプラスされた、こういうふうに言われるでしょうけれども、しかし、実際的にこれだけの多額の純利益をこの水道公社はあげておるわけですよ。  そういうふうになってくると、一体この資産の継承という考え方、これがどういう根拠で、どういう形でなされておるかというのを、この際明細をここに全部出してもらって議論させてもらわなければならぬと思うのです。そうしなければ、私たちは、なかなかこの国会でも了解できないと思うのですね。その点について、この際大臣のほうでそういった資料の全部をここに御提出をいただきたい、こういうふうに思うのです。
  311. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは、その資産の評価に当たりました大蔵省のほうからお答えを申し上げますが、一応その概略の表につきましては、参考資料としてお配りしてあるはずなんですが、お手元にありませんですか。(「きてない」と呼ぶ者あり)そうですか。政府委員のほうからお答え申し上げます。
  312. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 琉球水道公社の貸借対照表につきましては、先般資料としてお出ししております。  お手元の年次報告書と同じだと思いますが、一九七〇年六月三十日現在、資産の部の固定資産の合計三千四十九万三千八百六十二ドルとございますが、私どもの評価は、先般も申し上げましたように、再調達価額から、わがほうの税法の減価償却に従いまして減価償却相当額を控除して出しておりますので、その間に開きがございます。約二百万ドルばかりございます。それからもう一つは、これは一九七〇年六月三十日現在の評価でございますので、その後復帰時点までに明らかに資産が増加すると見込まれる分が、福地ダムその他米軍の所有施設の引き継ぎ、これを含めまして千四百二十万ドルございますので、この千四百二十万ドルと約二百万ドル合わせまして千六百万ドルぐらい、わがほうの評価が多くなっているわけでございます。  それから、あと利益剰余金がございますが、これは累計いたしまして、先生おっしゃいましたように三百四十万七千ドルございますが、これは結局いろいろな設備その他に変わっているわけでございまして、私どもは、復帰時点現在におけるこの水道公社の資産の価値自体を評価したわけでございます。
  313. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それは委員長に善処いただきたいと思うのですが、いま言った資料を全部出していただいて、資料が出たあと、この問題をまた当委員会で、私がするか、またほかの人がされるか、別ですけれども、この問題に限って議論をさしていただく、そのことで、この問題について保留をさしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  314. 床次徳二

    床次委員長 資料につきましては、先ほど政府から答弁のありましたごとく、調製いたしまして御配付いたすようにはからっているようでありますので、これは理事会にはかりまして処理いたします。
  315. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総理に、この際総理考え方お尋ねしておきたいと思うのですが、先ほど総理は、沖繩基地依存経済だ、こう言われましたね。私は、なるほど外面的には基地依存経済だ、こういうふうに思うのです。しかし、実際に基地からの一方的な受益者で沖繩県人はないのですね。むしろ基地から来る最大の被害者であり、むしろ基地をささえておる被害者であるといってもいいと思うのです。基地経済を必要としたのは、沖繩県人でなくて、私は基地だと思うのです。そういった意味では、今度の沖繩復帰の問題をめぐって、確かに防衛とか外交とかという議論もあるでしょう、しかしその前に、四分の一世紀にわたってこうした異民族の支配に泣かされてきた沖繩ということを考えてきますと、何といっても、私は人権という問題が前面に出てこなければいかぬと思う。そういった意味について私は総理の基本的な考え方を、先ほどからいろいろの方が質問されて御答弁いただいたのですが、お聞かせいただきたいと思うのです。
  316. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 沖繩の状態は、これは通常の状態でないことは御指摘のとおりであります。これが、さきの戦争の際に本土防衛の第一線になった、激戦が展開された。その後におきましても、いわゆる講和条約が締結されましてもやはりその状態が引き続いている。ある程度緩和されたといっても、その状態が引き続いておる。そうしてさらに、場合によりましてはもっと強化もされた。こういうような状態で今日まで来ておると思います。  したがって、住民から申せば、いま御指摘になるように基地の公害、また基地から受ける人権の剥奪、侵害等々の幾多の事例もあります。しかし、片一方から見ると、やはりあの土地で、これは幸いだとかしあわせだとか申すわけじゃございませんが、とにかく雇用の面においても、大多数の者が就職することができた。これがいわゆる基地経済、それに依存している、こういうことだとは思います。私は、それがいいんだというわけじゃございません。だから、いいとか悪いとかいう判断は別にして、いまある姿そのものを、先ほど申したように、その基地経済依存しているんじゃないか、かように思います。  この事柄がいわゆるつくられた基地経済だ、米軍基地、そのもとにおいて初めて出現したものでございますから、いま言われるように、これは人権が侵害されている、そういうものを回復することが大事じゃないか、かような御指摘、これも私は別に異存を唱えるものでもありません。私どもがいま沖繩の祖国復帰を心から願って、施政権をアメリカから日本に移すという、それは一体何を意味するのか。ただいまのような戦時状態、それが続いて、本来日本の領土であるべきもの、またそこに住む人は本来日本人である、それがアメリカ施政権下において生活をしておる、そういう不自然な状態を本来ある姿に変えようという、そういう取り組み方をいましておるわけであります。でありますから、ただいまの今日の現象、それがそのまま続いて、あるいは美化されて、あるいはそれが法制化されて固定化する、こういうようなものはなかなか私どもも受け入れにくい。したがって、そこらで過日の本会議の決議等もあったわけでありまして、基地の整理縮小、これについて積極的に取り組めとか、あるいはまた、最も格別にわれわれが日本人として感情的にも許せない核、核兵器は、これを撤去をしろとか、幾多の問題を提起しておるのであります。だから、それらの点をお考えになると、全然別な方向にやっておるわけじゃない。私は、大体時期的なスピードの問題ではずいぶん相違があるようでございますが、私どもも皆さんと同じような方向でただいま活動しているんだ。かように御理解をいただきたいと思います。
  317. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 建設大臣にお尋ねをいたしますが、御承知のように、沖繩では何といってもつぶれ地の問題が一番重要な問題ですね。御承知のように市町村道は、市町村にとっては一番このつぶれ地の問題が、いま暗礁に乗り上げておる問題なのです。御承知のように昭和二十七年に旧道路法、本土でいう大正七年か八年かだと思うのですが、その旧道路法に従って道路法を昭和二十七年ですかに施行いたしまして、それと同時に、市町村が実際に市町村道を認定したわけですね。ところが、戦後のどさくさにまぎれまして、実際に認定路線として取得したその土地を補償したあるいは賠償したというのは、都市計画に従った道路以外は全然ないわけですね。しかも、その市町村のつぶれ地というのが、国道、軍道等に比べて約三倍近くの市町村道がある、こういわれておりますね。ここに、これは建設省からいただいた資料ですが、つぶれ地面積の調査が、六五年一月現在琉球政府においてなされております。その面積を見ますと六百五十三万四千七百平米、政府関係つぶれ地の約三倍に当たっておるわけですね。しかも、これはすべての道路台帳なりあるいは状況、こういったものが全く不明である。そういったことで、いま市町村が困っておる一番最たる問題です。  こうした市町村のつぶれ地の問題、しかも、これを認定路線にすると補償の問題が起こってくるというので、市町村は認定路線にすることを渋っておりますね。ですから、市町村道として法定路線に認定路線として出ておるのは、全国八・四キロに対して沖繩は二・四キロくらいしかないですね、認定されておる道路は。それほど市町村道というのは、極端に言うと不明確のまま放置されておる。このことが市町村の財政にとっても非常に大きな問題になっておるのです。これを復帰後どういう形で政府のほうでは、市町村に負担をかけないように、これが市町村道つぶれ地に対する補償、こういったものを考えておられるのか、その点をこの際明らかにしにおいていただきたいと思うのです。
  318. 西村英一

    ○西村国務大臣 御案内のように、道路につきましては軍道と軍営繕政府道及び政府——日本政府道といえば県道でございますが、それと市町村道の三種類あります。軍道それから政府道等につきましては、おおむねそのつぶれ地もわかっておりますが、正直に申しまして、市町村道は非常に入り組んでおって、正確にわかっていないのであります。したがいまして、今後市町村道につきまして、建設省としては調査をしなければなりません。調査をしました暁におきまして、市町村道と申しましても、結局講和後に市町村でもってやったものと、講和前にあるものと、そういうようなものをやはり色分けしなければ、これの補償についてどうこうするということはいまは言えないのでありまして、今後復帰になりましたら、主として市町村道について鋭意調べたい。軍道と政府道とはおおむね補償の程度もわかっています。その面積もわかっておりますが、残念ながら市町村道は、ああいう正確なデータを持っておりません。
  319. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総務長官、その点について明確にお答えいただきたいと思うのです。
  320. 山中貞則

    山中国務大臣 これはいま建設大臣が答えられたとおりであって、琉球政府においても、政府道については掌握をしておりますが、地代は払っていない、市町村においては掌握もされてなく、地代も払われていないというのが、残念ながら現状であります。
  321. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総務長官、私が聞いておるのは、現状はそうだから、復帰以後それを地方に、市町村に負担にならないように解決をする方策としてどういうふうにお考えになっておりますか、こういうことを総務長官にお聞きしたいのです。
  322. 山中貞則

    山中国務大臣 これはつぶれ地の、道路になっておるわけでありますから、道路に賃借料を払うのはおかしいわけでして、したがって、国道については、買収費用等も逐次組みながら、賃借料を払ってまいることになるわけでありますが、県道、なかんずく市町村道については、先ほど建設大臣の話にありました、講和前のいわゆる米軍等の手によってなされたものか、あるいはそれ以前の日本軍のものも一部あると聞いておりますけれども、その後市町村自体の手によってなされたものか、そこらのところも明確でありませんし、それらを調査の上、琉球の市町村ともよく相談をしてきめたいと思います。
  323. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私が聞いているのは、市町村にこのことを負担させると、沖繩の市町村はまいってしまうわけですよ。ですから、これをお荷物でしょわせないようにするのに具体的にどう考えておられるか。お荷物させるのか、それともお荷物させないように政府自体でぴしゃっとしようとするのか、そういったことをお聞きしておるのです。
  324. 山中貞則

    山中国務大臣 これは市町村道のつぶれ地全体を政府が補償するというふうに一がいに言い切れない点は、先ほど申しましたとおりでありますが、それに対する財政措置というものは、これはやはり市町村に対して配慮をしなければならぬと考えます。
  325. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、この道路の問題一つをとってみましても、復帰後のこういった市町村道のつぶれ地の問題、こういった問題をめぐって、やはり相当市町村に対する負担というものはふえてくると思うのです。この際市町村に負担をさせないということで、私は善後措置を講じていただきたい。このことを政府に要望として申し上げておきたいと思います。  その次に、通産大臣お尋ねをするのですが、先ほども質問がありましたけれども、実は一九七〇年七月に発表いたしました科学技術庁資源調査所の沖繩における水資源開発に関する報告書、これが通産大臣の手元にいっておると思うのです。これは間違いなくいっておるのです。これは政府機関が行って調査をした水資源に関する報告書でありますから。この内容を見ますと、この沖繩本島の塩谷湾あるいは屋我地湾ですね、こういった湾を締め切って淡水化をする。そしてさらに現在建設中の福地ダム、これを合わせても供給水量は日量四十五万トンにしかならない。現在日量約二十万トンの上水道が使われておるわけでありますが、これがさらに水利用がふえて、上水道用水が三十万トン近く必要になる。すでにガルフ等の石油精製工場が十万トンの水を必要といたしておりますから、工業用水の供給量というのはもう限界に来ておる。塩谷湾等を淡水化で締め切ってみても、もう限界だ。しかも供給単価はトン当たり二円から五円、これを淡水化その他をした場合には、水の価格というのはトン当たり約八十円近くかかる。問題にならない。そういうことが、実はこの一九七〇年七月の科学技術庁、水資源に関する報告書で政府提出されておるわけですね。  こうした水の問題を考えてみますと、実際に沖繩復帰したあと、一体沖繩にどういう企業がどういった形で進出をしていくのか。私は、水を利用する企業というのは、進出は不可能だと思いますね。現に、先ほどからお話がありましたように、もう水をあまり必要としない集積回路、松下、ナショナルですね、これも土地は買ったが進出を取りやめておる。あるいは沖繩アルミも一応出渋っておる。宇部興産の石灰石、セメントについては、御承知のように外資の問題で進出を一応取りやめさせた。  こういった事実を見ますと、一体企業誘致をして沖繩産業を興隆させるんだとこういうが、具体的にどういう構想通産省にあるのか、非常に疑問に思うのです。ただ絵にかいたプランだけで、何ら実行を伴わないことのアドバルーンを上げておるのじゃないかという気がしてならないのです。その点については、通産大臣から簡単にひとつ答弁してください。
  326. 田中角榮

    田中国務大臣 沖繩は、水の問題が非常に重要な問題であるということは、御指摘のとおりでございます。水に対しては、いま、ダムをつくったり、また長期的な計画、調査を行なっておるわけでございますが、東側及び西側の水系を全部合わせると、おおむね四十万トン程度の水は確保できるという計算にはなります。そのうち十万トンの工業用水を確保すべく計画をしておるわけでございますが、この四十万トンだけを確保したとしても、将来の沖繩の水は、本土に比べてそれほど潤沢でないわけでございます。まあしかし、沖繩は台風の常襲地帯でもございますし、新しい立場で水をためるということを考えなければならないということでございまして、水の問題とは正面から取り組んでまいらなければ、沖繩の二次産業比率の向上という問題の根本的解決にはならないというわけでございます。
  327. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間がなくなりましたから、あまりこのことで具体的に大臣と議論ができません、またの機会にしたいと思うのですが、ここで佐藤総理に、私は直接御答弁いただきたいと思うのです。  御承知のように、復帰ショックをやわらげるために一定期間——これは五カ年間とこういうふうに長官から言っておられますから、五カ年間、いろいろな税制措置、優遇措置をずっと存続させておるわけですね。五カ年間過ぎたら取っ払ってしまうわけですよ、そういう恩典というのは。特例措置というのはなくなるわけですね。極端に言うと、いま直ちにそういった特例措置をやらなければ、沖繩の県民に対して復帰ショックが非常に急激にいくから、一応五カ年間だけはそういった措置をして、五カ年たったら取っ払ってしまうということになりますと、いまとたんに苦しむのが、ただ五カ年先に延びたというだけに終わってしまうと思うのです。ですから、沖繩の問題というのは、復帰した時点からすぐ始めなければならぬと思うのです。  ところが、御承知のように、この前琉球政府のほうから産業開発計画が、十カ年計画が出されました。ところが、基地問題が全部なくなる。基地のない経済、あるいは労働人口、就業人口、県民人口が百万から一つも減らないという形になっておるからということで、これを一応突っ返されましたね。私は、そういった問題は、五年先に起こることはもう直ちに始めなければいかぬと思うのですよ。ですから、特例措置がある間に、具体的にどういうことを政府はなさろうとしておるのか。ただ地元の開発審議会にかけて、そのプランが上がってきたらどうのこうのではなくて、具体的にこの五カ年間に一体総額幾ら、沖繩の人たちに対して援助をしようという気持ちがあるのか、その点を総理のほうから明確にお答えいただきたいと思うのです。
  328. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 具体的計画だとか、あるいは金額等のお尋ねですが、ものの考え方構想、この特別税制を引き継ぐとか、あるいは沖繩について特に考慮しなければならない、こういうものが、いままでアメリカ施政権下にあっただけに、私どもとして考慮せざるを得ない。それは一応五年間という、こういう制限、期限がついておる。その間に十分の効果をあげて、沖繩の人たちも本土の制度になじめるような、そういう効果があがってきたら、これはもう五年間でよろしいのですし、また、五年間にわれわれはそういうことをやらなければならないのです。とにかく、いつまでも長く本土と分かれた別々な法制下のもとで、また税制下のもとで沖繩の方があってはいけない。これはやはり本土と同じような、本土になじめるようなそういう状態をつくる、こういうことだと思っております。したがいまして、これは片一方で、税制もさることですが、金融その他でおそらく十分の手助けをしなければならない、かように思います。  そして、ただいま県の要望書を突き返したと、かようなことを言われますが、さようなことはございません。私どもも、県の要望書は要望書として、ちゃんと私どもの手元にありますし、これは山中君みずからもそのことは認めておりますから、突き返すようなことはしませんから、そうしてどうか一日も早く皆さんとともども沖繩の方も本土の制度になじむように、なじめるように、それだけの効果があがるように、ひとつわれわれは努力したい、かように思います。  この際に具体的にはっきり申し上げることができないことはまことに残念に思いますけれども、ただいま五年間の暫定期限を設けているのは、いま申し上げたような気持ちからその期限を設けた、かように御理解をいただきたいと思います。
  329. 床次徳二

    床次委員長 お約束の時間が来ましたので、簡潔に結論をお願いします。
  330. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総理にこの際要望申し上げておくのですが、沖繩は、県民所得本土に比べて六〇%ですね。五カ年間で本土並みに——かりに特例措置を設けて、五カ年間に取っ払って本土並みの県民水準にならなかったら、それだけ沖繩県民というのは、やはり五カ年先に苦しむことになるのです。いま政府は、GNPの一%を東南アジアの援助向け計画等に出す、こういったこともあるわけでありますから、私はこの際沖繩にも、産業基盤整備その他について大量の投資を政策が主導して行なうべきだ、このように思いますね。  これは私は、きょう思い出して読んだのですが、沖繩壊滅のときにあの大田司令官、この方が海軍の次官に対して打電をしておりますね。「一木一草焦土ト化セン。「沖繩県民カク戦ヘリ。県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」こういった有名な打電を大田司令が発しておられますね。私はそういったことを考えますと、ただことばの中で美辞麗句を並べてみても解決はしないと思うのです。やはり政府が思い切って産業基盤なりその他の投資をする、そして五カ年間たったら本土の各県と肩を並べてスタートラインに立って、一緒に同じレベルで進めるという状態をつくっていただきたいと思うのです。そのためには、琉球政府あるいは復帰してきた沖繩県に対していろいろと指導をすることもいいでしょうけれども、やはり県民に負担をかけないように、政府政府の資金を、援助を積極的に行なっていただきたい、このように思います。  最後になりましたから、総務長官お尋ねをしておくのですが、これはきのう総理府の方にもお見せいたしました「本土復帰沖繩経済に与える影響」、いわゆる復帰ショックとは何か、マル秘扱いになっていますね。これはたいしたマル秘じゃないと思いましたからお見せしたわけですが、これの最後にこういうふうに書いてあるのです。「米軍基地の存在という事実が永久に存続するのであればともかく、一時的な姿であるという前提に立てば、米軍施設が早晩消滅し、かわって平和で永続性のある建設的な産業沖繩に立地しなければならない。」こう総理府がいっておられますね。だとすると、琉球政府が、屋良主席が建議をしておる、県民が期待しておる、基地がなくなっても平和的な産業沖繩に維持していく、沖繩県民の生活を平和産業の中に維持していくということは、総理府自体認めているわけでありますから、そういう意味では、この一時的というのは、私は五カ年間だと思うのです。法律では五カ年だそうですから、この総理府の文書でいう一時的というのは五カ年間だと思うのですが、そういう意味では、私は早急に、基地がなくなった段階における沖繩経済復興、こういったものもぜひ政府主導で努力していただきたいというふうに申し上げて、最後に総理の答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  331. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 総務長官から、お名ざしですから、あるいは後ほど、私の説明の足らないところを補足するかと思いますが、昨ほど来、また昨日来いろいろ御審議をいただいておりまして、この交付金あるいは中央政府からの助成、それにいたしましても十分の十、完全に中央で持ちます、こういうふうなものがございまして、これは他の府県にないような特別な処置が講ぜられておる。そのことはすでにもう御承知のことだと思います。私は、沖繩におきまして何よりも一番不足しておるのは地域住民のための公共投資ではないか、かように思いますので、そういうものが港湾の整備であったり、あるいは道路であったり、あるいはエネルギー資源であったり、あるいは水資源であったりする。そういうものについての負担、これは県民の負担を中央政府がかわるというような立場からも、十二分にわれわれが本土のつとむべきつとめを果たさなければならない、かように私は思っておる次第でございまして、これが皆さん方の今回の合同審議を通じて明らかになった点ではないだろうかと思います。  なおかつ、ただいまは、もっと積極的にやれ、こういうような御鞭撻をいただいておりますから、それらの点は、具体的な問題として、今後各委員会を通じて、また政府の施策等についての御批判もいただくようなことになるだろう、かように思います。  私のお答えするところは、ただいまのもっとやれという、それについての答えだけにいたしておきます。
  332. 山中貞則

    山中国務大臣 基本的には、沖繩事務局が、そのような、何もしないで復帰をしたならば大混乱におちいるだろうということを前提にして、いろいろ想定をいたしましたものがその書類でございます。その末尾に、基地は永久にあるものではない——これは私ともそう思いますし、またそれを縮減し、将来はそういう状態を来たすための努力をすべく、国会においても決議がありました。総理も、その姿勢を踏まえて国会の決議にこたえる努力をすると言っておられますから、なるべくそのような沖繩未来像というものの実現が早まるように努力をしなければならないと考えます。
  333. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 最後に、委員長にお願いをいたします。  この「本土復帰沖繩経済に与える影響」、これと、「沖繩県民の生活行政に関する調査」、これはいずれもマル秘扱いになっておるのですが、たいした文書でありませんので、これを本委員会にぜひ資料としてお出しいただきたいと思うのです。
  334. 床次徳二

    床次委員長 御要望は政府に伝えまして善処いたします。  これにて本連合審査会は終了いたしました。(拍手)  明七日は午前十時から内閣委員会、地方行政委員会、大蔵委員会との連合審査会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時十八分散会