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田中国務大臣 共産党の考え方、端的に、大企業中心、自民党の悪い
政策をそのまま押しつけているという断定に立っての御
発言でございますから、この際明確にしておきたい、こう思います。
それは、
政府も非常に努力をしておるのですし、
沖繩返還を契機にして二十五年間の穴を埋めようということで、通産省も最大の努力を傾けておる、この誠意が
沖繩県民百万に伝わらないということになると、これはたいへんでありますし、あなたのいま御
発言になったような気持ちに解されることは遺憾でございますから、申し上げるわけでございます。
これは来年度の貸し付け規模を見ても、六百六億の要求でございますが、この中に中小企業と大企業と分けられるものを簡単に数字で申し上げると、大企業に類するもの百三億円であり、中小企業の大ワクは百三十六億円、数字で言うわけではございませんが、こういうものである、これは数字上非常にはっきりしたことでございます。
もう
一つは、
沖繩でいま一番問題になっておりますのは、基地も縮小しなければならない、基地経済から脱却しなければならない、まさに敗戦経済から自立経済へ、そして
国際経済へと、三段飛びした内地の二十年前と同じような感情に立っておるのが
沖繩の県民皆さんだと思います。それはしかし、現実的に基地経済から離れて自立経済というものになるには、働く場所を提供しなければならないわけであります。働く場所を提供しないで、青い空、きれいな水といっておっても、
沖繩の県民所得はレベルアップしないのであります。ですから、そういう
意味で、万全な公害対策を行ないながら、どういうふうにして働く場所を提供するかということが一番の問題なのでございます。私が間々申し上げておりますように、
沖繩の問題は、三次産業比率は、
本土の四七・三に比べて四六・五であり、もうこれは限度一ぱいでございます。しかも、
本土が所得比率で五一・六なのが、
沖繩はほぼ人口比率は同等でありながら、所得比率は七三・三という高い比率をあらわしておるのでございますから、三次産業としての所得を上げることは、もう限界一ぱいでございます。そうすると、
一体沖繩の所得を上げ、
沖繩の労働力を
沖繩でもってほんとうに定着をさせるにはどうするのかということを、数字を基礎として具体的
政策を立てなければだめなんです。そうすれば、
本土の三五・一%に比べて一四・六という低い二次産業比率を
本土並みに上げる以外にはないじゃありませんか。そうすれば、その中で
一体どうするのか、付加価値の大きいような投資を進めなければならない。そのために、特例法等で
沖繩の小業を倍加するような
政策を進めておるわけでありますが、
沖繩の企業だけでもってこれを全部まかなうわけにはまいりません。そうすれば、少なくとも
沖繩で吸うたばこだけではなくて、
沖繩でつくって
本土の別なところに送るたばこ工場もつくるべきである、産炭地に対する
施策と同じことを要求されたじゃありませんか。そうすれば、平均する基幹産業や基礎産業も
沖繩に投資をせざるを得ないのであります。その中の
一つが
沖繩アルミ工場であり、
沖繩に対する松下の進出でございます。ですから、この
沖繩アルミの総投資額は九百三十一億円ということを予定しておるのであって、千億、二千億というような投資が
沖繩にやられなければ、先ほど申し上げたように一〇・七という非常に低い二次産業の所得水準を
本土並みにはできないのです。まだ、日本は高い高いといっておりますが、西ドイツの人口内における一次、二次産業比率の率を比較すれば、二次産業比率は西ドイツははるかに高いという事実もございます。
私は、そういう
意味で、この
沖繩アルミというようなものを持っていくから、自民党の、大企業そのままの、
本土の公害企業を持っていくのだというようなことでは、
沖繩の県民所得を増大をして
本土との格差を埋めるということにはならないわけでありますから、こういうものも持っていきますし、知識集約産業も持っていきます。そのためには、松下にも早く具体的な計画を立てるようにと慫慂をいたしておるわけでございます。そういう事実を
十分理解をいただいて、
政府が
沖繩に公害を持っていくのだなどというようなことではなく、
本土で重化学工業ということが中心だったために公害が多過ぎた、こういう現状に徴して、
沖繩は理想的な産業青写真をかいてこれを実行しよう、そのための具体的な制度改革をお願いしているのだということで、通産省が何も考えておらない、それはもう
本土のものそのまま引き延ばすのだというような、イージーな
沖繩の産業
政策を考えているものではないということだけ明確にしておきたい、こう思います。