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1971-12-03 第67回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月三日(金曜日)    午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 金丸  信君 理事 國場 幸昌君    理事 二階堂 進君 理事 湊  徹郎君    理事 毛利 松平君 理事 久保 三郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 中川 嘉美君    理事 門司  亮君       天野 光晴君    池田 清志君       石井  一君    宇田 國榮君       小渕 恵三君    大石 八治君       大村 襄治君    加藤 陽三君       木野 晴夫君    佐藤 文生君       佐藤 守良君    正示啓次郎君       關谷 勝利君    田中伊三次君       田中 龍夫君    谷川 和穗君      三ツ林弥太郎君    箕輪  登君       武藤 嘉文君    村田敬次郎君       山下 徳夫君    豊  永光君       井上 普方君    石川 次夫君       川俣健二郎君    木島喜兵衞君       武部  文君    楢崎弥之助君       堀  昌雄君    美濃 政市君       山口 鶴男君    伊藤惣助丸君       桑名 義治君    斎藤  実君       二見 伸明君    小平  忠君       田畑 金光君    東中 光雄君       米原  昶君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         通商産業大臣         大蔵大臣臨時代         理       田中 角榮君         労 働 大 臣 原 健三郎君         自 治 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 西村 直己君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         外務政務次官  大西 正男君         外務省条約局長 井川 克一君  委員外出席者         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   大野  明君     加藤 陽三君   西銘 順治君     正示啓次郎君   石川 次夫君     堀  昌雄君   武部  文君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     武部  文君   堀  昌雄君     石川 次夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案内閣提出第一号)  沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案内閣提出第二号)  沖繩振興開発特別措置法案内閣提出第三号)  沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案内閣提出第六号)  国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)  沖繩平和開発基本法案細谷治嘉君外十六名提出衆法第一号)  沖繩における雇用促進に関する特別措置法案川俣健二郎君外十六名提出衆法第三号)      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  沖繩復帰に伴う関係法案について、現地沖繩各界代表者から意見聴取のため沖繩派遣されました議員団を代表いたしまして、派遣の概要について申し上げます。  当派遣議員団は私が団長となり、当委員会委員四十八名で構成され、一昨一日及び昨二日の両日にわたり、沖繩本島及び先島諸島の二班に分かれ、現地沖繩各界代表者二十二名の意見をつぶさに聴取してまいりました。  詳細については衆議院沖繩派遣議員団報告書議長提出いたしますので、それをもって御了承を願います。     —————————————
  3. 床次徳二

    床次委員長 この際、おはかりいたします。  議長提出いたします衆議院沖繩派遣議員団報告書は、当委員会の今後の審査及び調査の参考になると存じますので、これを会議録に掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔衆議院沖繩派遣議員団報告書は本号(その二)に掲載〕      ————◇—————
  5. 床次徳二

    床次委員長 次に、内閣提出にかかる沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件、細谷治嘉君外十六名提出にかかる沖繩平和開発基本法案及び川俣健二郎君外十六名提出にかかる沖繩における雇用促進に関する特別措置法案、以上の各案件を一括して議題といたします。      ————◇—————
  6. 床次徳二

    床次委員長 この際、西村防衛庁長官から発言を求められております。これを許します。
  7. 西村直己

    西村(直)国務大臣 先般楢崎委員堀委員から御指摘がありました件について御答弁なり釈明なりをさせていただきます。  私の発言でございますが、一カ月余ほど前でございまして十分な記憶はございませんが、ただ、それらにつきまして、委員各位また国会を通して非常に御心配、御迷惑、いろいろ誤解を生んでいるという点については、私が不明であり不徳であるという点は深くおわびを申し上げる次第であります。  そこで、ちょっと当日のことを記憶をたどってまいりますと、朝の閣議あとでございまして、当日は記者方々も四、五名しか集まっておりません。普通の通例の閣議事項報告して、それから雑談懇談に移りまして、そしてそれで予算委員会に入りました。その際にジョークを交え冗談を交えていろいろな話が出たことはあったと思いますが、しかし、あくまでもそれは私としまして、またその関係方々も、まあほんとうの親しい間柄のジョークを交えての話であるというふうに受け取って帰っておられた次第でございます。したがって、新聞記者会見としては私は懇談前で終わっておりまして、そうして特にそれをはっきり申し上げ、さらに夕方もう一ぺん私は、万一いろいろな問題があって——私の記憶をたどってみると、二十数社の方を夜にかけまして再度記者会見いたしまして、一切私はそういうことについては発言しなかったから、ひとつオフレコ扱いであるということを確認をさせていただきまして、それは了解をされまして帰ったわけであります。それが今日までの経過であります。  ただ非常に問題が、そういうふうに誤解なり御批判を生んでおりますことについては、私が不明であり不徳であることを、十分ここでこの席を通しておわびをしてまいる次第であります。
  8. 床次徳二

    床次委員長 堀昌雄君、質疑を許します。
  9. 堀昌雄

    堀委員 いま西村長官お話を伺っておりますと、まことにおかしな問題が、公の場でますますはっきりしてまいりました。  その第一は、あなたは記憶がはっきりしないと、こう言っておられますね。防衛庁は、すでにこの前も楢崎委員指摘をしておりますように、それらの会見については、テープにとって文書に残してあるというのが慣例ではないのですか。あなたはそれを見なかったのですか、それじゃ。どうなんですか。そこからひとつ始めてください。
  10. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私の記者会見発言は、私から申し上げるよりも、内容的には私がどうというより、扱った官房長が来ておりますから、その内容等を明らかにさせていただきたいと思います。
  11. 宍戸基男

    宍戸政府委員 長官閣議出席されましたあと、恒例的に会見をなさいますが、その際に官房から広報課長が立ち会うことにしております。一カ月ばかり前の十月二十六日の長官発言が問題になっておりましたので、私広報課長から詳細、当時の状況を聞きました。  そのことについて申し上げますと、当日の会見状況でございますが、長官は、中国加盟について、国連表決が行なわれる直前であったために、記者から国連中国問題について報告はなかったかというふうな質問を受けられまして、それに対して国連の件は何もなかった、閣議あと外務大臣表決は早まるだろうと言っていたというふうに答えておられます。そのほか運輸大臣から近鉄の事故の報告があったとか、あるいは総務長官から秋の叙勲の報告があったとかいうふうなことについてお話をしておられます。以上が閣議後の会見の正規なメモに残っております。  その後、そういう会見が一段落ついたところで雑談に移っておられまして、雑談の中で、先日楢崎委員から御指摘になりましたようなことが断片的にかわされた、冗談としてかわされた、雑談としてかわされた模様でございます。それは笑い話の中でかわされておりますので、雑談の中でかわされておりますので、立ち会っております広報課長も正確には記憶いたしておりませんし、また正規な会見発言でありませんので、メモをとるような状況でもありませんので、メモに残しておりません。  先日お尋ねになりましたテープにつきまして申し上げますと、テープはときどきとることがございます。その日のことも、よく調べてみますとテープにとったようでございます。しかしテープ磁気テープでございますので、次に使いますとすぐ消えていきます。で、現在では、次々に使っておりますので、当日の状況テープに残っておりません。正規なメモは、先ほど申し上げたようなものが残っている、こういう状況でございます。
  12. 堀昌雄

    堀委員 なるほど、それはテープはまた次に入れれば消えるでしょう。しかし、実はこの前、倉石さんが発言をされたときの問題も、同じように懇談というか、雑談の中での発言であったわけでありますから、私は、政府がそれらの問題について慎重を期すのならば、当然公式の記者会見だけでなくて、懇談雑談についてもテープをとる——テープをとるというのは一体どういう目的なんですか。西村長官テープをあの懇談の際もとったといまはっきり答弁をしておるのですが、それはとるのは一体何の目的でとってあるのですか、ちょっとお答えをいただきたい。
  13. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私、就任以来、別にそういうテープが存在していることも全然聞いてもおりませんし、私自体は知りませんです。テープのことは。
  14. 宍戸基男

    宍戸政府委員 テープをとる理由でございますが、ずっと以前からとっておりますが、記者会見等の場合に、いろいろな発言がありますが、これはわれわれ事務当局のほうからの便宜もございますし、また会見される記者皆さん方便宜もありまして、おくれて来られる方等もありますので、テープにとりまして、あとおくれて来た方々がそれを聞かれる、また出席しない事務当局も聞くというふうな便宜のためにとることもあります。そういう理由でございます。
  15. 堀昌雄

    堀委員 いま、あとから来た記者皆さんに聞かせるためにということであったようであります。さっき西村長官は、そのときは四名ないし五名しか出席をしていなかった。それでテープをとってあるということは、少なくともそのテープあとから来られた方に回して聞かせたのか、あるいはそれを筆記したものによって皆さん方了解を得たのか、いずれかだと思うのですが、それではその実情はどうだったのですか。
  16. 宍戸基男

    宍戸政府委員 正規な会見のとき、もちろん記者皆さん方おられました。それから、少しおくれて来られた方もおられたわけです。テープはいつものようにとりまして、そして、おくれて来た方々も、正規な会見状況テープで開かれ、かつ、終わりごろはもう冗談話笑い話が入っておりますから断片的でございますけれども、その辺も聞かれたという状況でございます。
  17. 堀昌雄

    堀委員 じゃ、官房長に聞きましょう。断片的には何を話したのか。あなたもテープを聞いておるはずだから、断片的なことをひとつ言いなさい。
  18. 宍戸基男

    宍戸政府委員 先ほど申し上げましたように、正規な記録は、雑談冗談メモいたさないのが常識でございますから、そのメモは、現在見ましても、その辺のいま御指摘のようなことは残っておりません。  それからテープは、先ほど申し上げたように消えておりますので、それを正確に照合することはできませんが、当時の、一カ月ばかり前の記憶では、先ほど申し上げましたように、楢崎委員が御指摘になりますようなことばが、冗談的に笑い話の中に断片的に聞こえているということが記憶に残っている、こういう状況でございます。
  19. 堀昌雄

    堀委員 それでは、その断片的な中身をもう少し確かめますから……。  まず、私どもがここで提起をしたのは「いや、何もなかったが、大体中共国連に加入することは、事態をますます悪くする。」ここのところは断片的に言ったんですか。あなた、そこのところはどうなんですか。はっきりしなさい。
  20. 宍戸基男

    宍戸政府委員 私もそれは正確に記憶いたしておりません。
  21. 堀昌雄

    堀委員 そうすると(「何言うか」と呼び、その他発言する者あり)まあいいです。次へ行ってまたやり直すから。  「国連というものは、小国大国も同じ票を持っておる。いわばいなか信用組合のようなものだ。いなか信用組合は一万円も出せば会員になれる。みんな一票をもらえる。」この項はどうなんですか。
  22. 宍戸基男

    宍戸政府委員 もともと、先ほど申し上げましたように、テープ笑い話の中で入っておりますので、われわれもそれを正確に聞いておりませんし、正確に記憶いたしておりません。よく西村大臣冗談言われますので、いつものような冗談だなというふうに私は、当時受け取りました。ただ、しいていまから記憶をたどれば、国連云々とか、一票とかいうふうなことは、当時聞いたなという程度記憶しかございません。
  23. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと総理にお伺いをいたします。  あなた、いまのやりとりをお聞きになっていてどうお考えなのですか。私たちがこの問題を非常に重要視をいたしておりますのは、いま日本は、総理はこれまで国連中心主義ということで何回も御発言になっておるわけです。その国連に対してきわめて重大な発言を、たとえ懇談の中でも現職の国務大臣がしておるということは、これは佐藤内閣にとっては重大な問題だと私は考えておるわけです。いまのあの官房長答弁は、あれは一体、あんなあいまいなことで、総理や私たちがいる前でものごとがごまかせるはずがないにもかかわらず、ごまかそうとしておる態度は明らかではないですか。総理から一ぺん、これらについてははっきりしたことを答えるように、総理大臣としてひとつ官房長に命じていただきたいと思います。
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 過日のこの席における西村君の記者会見のその場の話、これは私もまことに重大だと思って、昨日西村自身から私は実情を聴取いたしました。  そうすると、先ほど西村君がこの席で答えたように、まあ何ぶんにも古いことですから十分の記憶はございませんということでありますが、ただいま官房長からもいろいろ報告がありました。私は、皆さん方が御不満であり、いろいろこの問題をめぐって御意見を持たれておる、このことは私も同様でございますので、実は私自身が、先ほど申すように西村君から直接昨日聞いたばかりであります。まあその趣旨から申しまして、とにかく過去のことをいまさら言ってみても、もう済んだことだ、十分記憶のないものをとやかく言ってもしかたがないように思う。しかしながら、どうも国務大臣というものは、発言を気をつけてもらわなければ困る。ただ単に冗談だろうが何だろうが、言うべきことと言ってはならないことと、これがあるはずだ。それらの点は十分、国務大臣ともならば区別して判断されるだろうから、そういうことを十分考えた上で発言されるようにと、こういうことを実は申して、昨日別れたばかりでございます。私は、ただいまのことを考えながらも、とにかく片言隻句、これを慎重にやらないことには、いろいろの誤解を受ける。ましてや、ただいま日本の当面する問題としては一番大きな問題だ。何といってもアジアの問題で中国の問題、中国日本との関係、この国交の正常化をはかろうというそのやさきに、これについての考え方があまりにも軽率ではないか、ことにまた、国連中心にしてのわが国の外交が展開されている。そういう場合に、国連を誹謗するがごとき、あるいはほとんど意味のないものかのようにこれを言うことは、それはたいへんな間違いだ、こういうことで十分注意をするようにいたしたわけであります。  私は、それらの点について、ただいまのようなお話のありましたことをまことに遺憾に思います。私は、これからも国務大臣すべてが同じような気持ちでその発言を慎重にする。もちろん事実は事実として報告する、そういうことではじめて記者会見も役立つ、かように思いますので、ただ口封じをするだけが目的ではございませんが、私はその点でもっと正確に、また善悪、ことにジョークというような事柄で済ませる問題ではないのだ。絶えず公の立場でわれわれは行動する、そういうことに心がけなければならぬということをよく注意したような次第でございます。
  25. 堀昌雄

    堀委員 いま総理もはっきり言っておられるけれども、この中に書いてあることは、実際問題としてこれはジョークというようなものではないのじゃないですか。ちょっと私がお願いをした答弁でない答弁総理から出ましたから、引き続き官房長からこの最後までを聞くことにします。それでは、何かまずいことが起こると、おれにも権利があるといって騒ぎ、あげくの果てにはそろばんでなぐり合いをするようになる、ここのところはどうですか。はっきり言いなさい。
  26. 宍戸基男

    宍戸政府委員 たびたび繰り返すようで恐縮でございますけれども、先ほど申し上げたような状況でございますので、一字一句記憶いたしておりませんし、記録も残っておりません。いまお話しのような点は、私は正確には記憶いたしておりません。
  27. 堀昌雄

    堀委員 正確に記憶をしてないというなら、記憶がないというわけじゃないわけですね。大体そろばんでなぐり合うなんというような話は、いまごろ聞けばそんなに簡単に忘れるような話でないと思うのです。正確でなければ、不正確でもいいから答えなさい。(発言する者あり)
  28. 床次徳二

    床次委員長 静粛にお願いいたします。
  29. 宍戸基男

    宍戸政府委員 断片的なテープ、笑い声を交えたテープ状況でございますので、いまお読みになりましたようなことがずっと論理的に明確に取りかわされているわけではなかったということで、正確に記憶していない、そういう断片的な話がテープの中で聞こえてきたという程度記憶しかございません。
  30. 堀昌雄

    堀委員 断片的なところだけ、あなたのほうから言いなさい。
  31. 宍戸基男

    宍戸政府委員 いまお示しになりましたようなことについては記憶がございません。
  32. 堀昌雄

    堀委員 さっきから聞いておると、要するに国連のことについては記憶がない。それから、小国大国もというのも記憶がない。信用組合の話はそれでは記憶があるのですか。
  33. 宍戸基男

    宍戸政府委員 先ほども申し上げましたけれども、国連云々というふうな話は出ておったように記憶いたしております。それから、一票云々のような話が途中で出ておったようにも記憶いたしております。それから信用組合の点はどうも記憶がさだかでございません。そういう状況でございます。
  34. 堀昌雄

    堀委員 その次に、それでは、国連もまたそのとおりだ、中共が入ってくれば国連はますます悪くなるかもしれない、決してよくなるとは考えられない、何も私は字句を一字一句言っているわけじゃないのですよ。言った内容の話をしているのだから、それでは、国連とここにいう中共、中華人民共和国との関連。この二つについては断方の中に発言があったのですか、なかったのですか。答えてください。
  35. 宍戸基男

    宍戸政府委員 そういうお話でございますと、中国かあるいは中共でしたか、正確でございませんが、そういう御発言はあったようでございます。いいとか悪いとかいうことについては、私記憶いたしておりません。
  36. 堀昌雄

    堀委員 それではモルジブの国の話は、これは記憶があるでしょう。これは非常に珍しい名前の国でもある。
  37. 宍戸基男

    宍戸政府委員 モルジブでしたか、私聞きなれない名前なものですから、その辺は何か変な名前の国のことをおっしゃったなという程度記憶しかございません。(発言する者あり)
  38. 床次徳二

    床次委員長 静粛にお願いいたします。
  39. 堀昌雄

    堀委員 西村長官、いまこれは第三者がテープを聞いたという中でのいまの話です。それでもいまこのぐらいにはっきり答えておるわけです。あなた自身は、いまさっきこういうふうに言っておられます。要するに、記憶をたどると懇談雑談の中でジョーク冗談を交えて話をした、はっきりあなたは言っておられるわけです。冗談とは一体何であったのか、ちょっと答えてください、冗談中身を。
  40. 西村直己

    西村(直)国務大臣 記者会見済んであと雑談でございますが、私も、したがって相手の方々少数でありますが、きわめてリラックスな中でお話ししましたから、私としてもほとんど記憶はなくて、昨日か、楢崎委員から御指摘あって、いろいろ記憶をたどってみた次第でありまして、あまり深いことは私は存じていない次第であります。
  41. 堀昌雄

    堀委員 あなたはそれでは総理に何を報告したのですか。あなたが総理報告されたこと、総理からいま私はお話を聞けば、大体この問題について総理お答えになっておるわけだから、あなたが総理にどう報告したのか、ここで明らかにしてもらいたい。
  42. 西村直己

    西村(直)国務大臣 はっきり申し上げます。まず第一に、私は総理には、とにかく私の言動について国会でいろいろ御批判いただくというのは非常に残念遺憾なことであります。また国会を通じても私はそれは申し上げたいと思います。経過をずっと申し上げまして、当日は少数の方であって、ほんとうに普通のことを話したのだが、それで記者会見は終わって、それで懇談ですがということの中で、いろいろそういう気持ちを話したように思うが、それはもうほんとうにあれしております。記憶も十分でございませんが、ただし念のためにさらに夜ももう一ぺん、そういうようなきょうの会見は、あの会見だけであとは別にオフレコである、内容はないのだ、こういうこともして、各社とも御了解をいただいてお別れをしたわけであります。各社ともしたがって別に何もない、夜の記者会見ではほかのお話をやはりいたしましたけれども、もし私の発言でもっていろいろ誤解を生むような懇談の中であれば、それはもうなかったことにいたしましょう、こう言ってお別れをしたわけであります。別に発言記憶はないわけであります。
  43. 堀昌雄

    堀委員 あなたが夜の記者会見で、午後ですが、記者会見で、誤解を生むことがあるということを言った以上は、誤解を生む原因がなければおかしいじゃないですか。誤解を生む原因ですね、あなたいま総理に話した中で、ジョークと言ったというけれども、ジョーク中身を言ってないじゃないですか。あなたがジョークだ、冗談だという以上は、冗談中身を言わなければおかしいじゃないですか。それが信用組合を引き合いに出した国連の話じゃないですか、それが冗談以外にこの中には冗談になるような部分がないじゃないですか、はっきりしてください。あなたいま自分で私の質問に対して、ジョーク冗談を交えて言った、あとから、皆さんにただ二十数名の記者に出てもらって、そうして誤解を生むようなことが一つあったから、それを取り消したい、要するにオフレコにしてくれ、それでオフレコになった。オフレコになれば問題は済むわけではないじゃないですか。あなたが話したことが問題なんじゃないですか。われわれはその問題を聞いているわけです。あなたがいま総理に言ったことの中で、いま私がお伺いしておるところを、誤解を生むというのは、何が誤解を生むおそれがあったのか、はっきり答えてもらいたい。
  44. 西村直己

    西村(直)国務大臣 何しろ一カ月以上前のことでありますから、私も正確な記憶はないわけであります。ただしたがって、防衛庁のほうの記録も調べてもらいました。私自体が見るよりも、とった責任者連中がどういうことと——正規の発言が残っております。したがって経過としては、私はいろいろな雑談の中には、いろいろな話が出ますから、そういう中でいろいろな問題が出た場合には、ひとつそういうことはもう私はないことなんだ、御了解はいただいておきたい、こういう意味でございます。
  45. 堀昌雄

    堀委員 そういうことはないことなんだというのは、何かなければそういうことはないことなんだと、いまあなた自分で言っているけれども、私が尋ねておることに正確に答えてもらわなければ、幾らでも時間がたつだけではないですか。問題は、何か問題があることだけははっきりしているわけです、ここであなたの答弁の中で。冗談の問題、誤解を生むおそれがある、そういうことはないことにしてくれ、そういうこととは何か、誤解を生むというのは、一体何が誤解を生むのか、冗談とは何か、はっきり答えてください。
  46. 西村直己

    西村(直)国務大臣 雑談でございますから、それ以外にもいろいろな話が出ておりますから、私は一括してそういうことを申し上げたので、記憶は十分でありません。雑談で、軽い気持ちでお互いに少数の方でやっておりますから……。
  47. 堀昌雄

    堀委員 しかし、冗談というのなら、その日の冗談というのは一体何か、言ったらいいじゃないですか。あなた、誤解を招くおそれがあるというのは何か、そういうことは取り消してもらいたいという、そういうことというのは何か、そこを私は聞いているのですよ。たくさん話したからわからぬなんということじゃないじゃないですか。因果関係があるじゃないですか。あなたが自分で答えているのだから。誤解を招くおそれがあるというのは一体何か。そういうことはやめてもらいたい、取り消してもらいたい、オフレコにしてもらいたいという、そういうことというのは一体何か。これが冗談関係があるんでしょう。それと冗談関係ないんですか、あるんですか。
  48. 西村直己

    西村(直)国務大臣 再々申し上げますけれども、記者会見が終わりまして、そうして雑談に移りまして、少数の方と雑談をしましたから、その内容は私はほんとうに一カ月の間忘れておった。したがって、最近になっていろいろ思い出してみますけれども、そういうことは一々覚えていないということです。
  49. 堀昌雄

    堀委員 総理大臣、私はものごとを論理的に考えたいと思っているのです。いま私が西村長官とやりとりをしておる中で、西村長官は自分から最初にはっきりとジョーク冗談を交えて言った、こう言っておられるわけですね。だから、それは冗談だという以上は、冗談であった何かをあなたはお聞きになったと私は思うのです。これが第一点。  第二点、誤解を生む、そういうことはなかったことにしてくれ、これもいずれも適切でない発言があったから誤解を生む、そういうことはないことにしてくれということであることに論理的な間違いがないと思うのですよ。そのことを、そこまで自分で話しながら、一国の国務大臣がしらを切って逃げ切ろうなどということは、これは重大な問題ですよ。総理、あなたは総理大臣として、閣内における国務大臣がこのようなことで責任を回避しようとしておることを黙っておられるはずはないと私は思います。一体、総理はこの部分についてはどういうふうにお聞きになったのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  50. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほどもお答えいたしましたように、私は事柄がまことに重大だ、かように思うから、西村君に来てもらいまして、西村君から直接聴取いたしました。しかし、ただいま言われる点については、これは冗談も交えて私は記者会見をいたしましたということでございましたから、冗談とは一体どの点か、ここまでは実は私自身も押さなかったのです。これは、私自身がしばしば記者会見をいたします際に、しばしば冗談を交えて話しすることがあります。そういう事柄を一々——私もその経験がありますから、君はこの点が冗談だったのか、どういう冗談を言ったのか、そこまで私が聞けばお答えができますが、私も自分自身記者会見から、記者会見をする以上、みんなかたい気持ちでその間を過ごすわけでもないから、時には冗談も出るだろう。だから、そういうものに責任をとるという、そういう態度は必ずしも望ましいことではない、こういうように私は思います。  そこで、ただ冗談では済ませられることと済ませないことがあるぞ。どうも国務大臣というものは、そういう意味で冗談であっても冗談の話はしてはならないことがあるのだ。そういう点は、自分で十分その事柄をわきまえて発表すべきではないか。私はその中身をあえて聞かないけれども、かくあってほしいんだ。今後ひとつ注意してほしい。こういうことで、実は私自身もいま言われるように論理的にいわゆる取り調べるという立場ではないものですから、いまのような点がどうだろうか、かように思いながら——ことにいま言っているようにアルバニア案の採決前の事柄でございますから、私もあまりとやかくは言わないというのが私としての処置でありました。その処置が不十分じゃないか、こう言っておしかりを受ける、これについては私も反省はいたしますけれども、ただいまの実情はそのとおりでございます。
  51. 堀昌雄

    堀委員 それでは、西村長官、そこまでは聞かなかったと総理もおっしゃっておりますが、今度は国民が聞いておるわけですから。総理が聞かれたのはそこまででしょう。じゃ、いまの冗談中身は何か、誤解を生むおそれのあるものは何か、そういうことはなかったことにしてくれという、そのそういうこととは何かを国民を代表して私は聞いておるわけですよ。国務大臣として、国務大臣の責任において国民の前に明らかにしてもらいたい。
  52. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私も予算委員会が迫っておりますから、短い時間でありますし、きわめて少数の方ですから、そういったような親しさをもって、お互いに——官房長に言わせると笑い声が入っておったというが、私はそういう意味でいろいろな雑談はときどきします。それを一々——私もいろいろな方に会いますし、長い時間たっております、月日もたっておりますから、別に私は事こまかにそれが何であるかということは記憶はいたしておらないのであります。
  53. 堀昌雄

    堀委員 よろしゅうございますか。あなたが言ったことは、聞いておる人間が四名か五名、あわせてあとからテープを聞いた人を含めれば、たくさんの人が聞いておるわけでしょう。あなたは、それはオフレコになっておるから、わからないのだからしらを切って逃げよう、こういう考えかもしれません。しかし、それじゃあなたは一体国務大臣として自分の発言に責任が持てないのですか。どういうことなんですか。あなたは忘れさえすれば何でも言っていいということなんですか。少なくともさっき官房長は、国連中国の問題については話をした、こう言っておる。ジョークというのは、少なくともこの経緯から見れば、信用組合を引き合いに出したというのがジョークである以外に冗談はないじゃないですか、この場合には。これまで私が言っておるのに思い出さないというのは、意識的に思い出さないということ以外にないじゃないですか。国務大臣西村さん、あなたはすでにこれで三回目、国務大臣になっておられる。この前、平泉長官は、ああいう事故が起きました、これはあなたの発言の問題とは違って、長官として部下の問題に対する責任だったけれども、直ちに総理に口頭で辞職を申し出られたとわれわれは新聞で承知をしておるわけですよ。初めて国務大臣になった人が、まだ十分の任期を重ねないうちにでも、自分に責任があると感じればそのような態度をとっておられるわけです。あなたがここでしらを切るのは、国務大臣として残りたいからしらを切っておるのですか。政治家としてのあなた自身の考えなんですか。どうなんですか、一体、そこは。
  54. 西村直己

    西村(直)国務大臣 別にそういう問題を私は考えて言っているわけじゃございません。記者会見で正式のお話をして、雑談でございますから、私もほんとう少数の方と雑談申し上げた、こういうことでございます。ただ、そういうような中からいろいろな問題が出やすいといけないというので、私としても気をつけていかなければならぬし、また、そういうことがうわさに出てきたということならば、私としても不明のいたすところで、おわびをしなければならぬ、こう申し上げている次第であります。
  55. 楢崎弥之助

    楢崎委員 関連。この問題は、単なる放言、食言あるいは冗談では済まされない問題が含まれておるわけです。そして、この問題には白か黒かがあって、灰色はないわけです。あなたがうそを言っておるか、私がありもしないことを言っておるか、二つに一つなんです。だから、うそを言ったほうがやめなくちゃいけない。あなたがやめるか、私がやめるかです。灰色では済まされない問題です。いいですか。そして、これは十月二十六日の記者会見であって、一カ月前です。鮮度が古いとか、あるいは古いからさしみのつまにならないとかいうような考え方があるかもしれませんが、こういう考え方の人を私は古い政治感覚の人だと思うのです。それもあとで明確にしたいと思う。決してこれが古い問題ではないということを私は事実をもって立証したいと思います。あなたはいま、覚えがない、あるいは忘れたとおっしゃる。単なることばならば、忘れるとか覚えがないということで通るかもしれません。しかし、この発言の中にはあなたの思想性が出ておるのです。あなたのものの考え方あるいは評価が出ているんです。それをもしあなたが忘れるとするならば、あなたは、大臣どころか衆議院議員としての資格もありませんよ。単なることばじゃないんです、これは。あなたは先ほどちょっと言われましたが、二十六日の夜、二十数人関係者を集められて、そしてあれはなかったことにしてくれ、オフレコにしてくれということを頼んだら、新聞記者はそれを了承したとさっきおっしゃいましたね。したがって、朝のあなたの発言オフレコではなかった。少なくともオフレコということばをあなたが言ったかどうか知りませんが、あなたのことばでは言ったと言うんだが、その時期は夜の記者会見の時期であります。なぜあなたはオフレコにわざわざしたのですか。なぜしたんです。その内容が明らかにされると都合が悪いからオフレコにされたのですか、どうなんですか。
  56. 西村直己

    西村(直)国務大臣 朝の記者会見あと雑談も、もちろんこれは雑談でございます。したがって、それはそれなりですけれども、ただ少数の方しかいらっしゃいませんから、私としては、やはり夜にも大ぜいお集まりになってから、その機会をとらまえてそういうふうに申し上げたわけでありまして、もう午前の雑談であることは、当然立ち会った方々懇談のうちで、リラックスの中でお話し合いをいたしました。
  57. 床次徳二

    床次委員長 関連質疑としてお許ししたのですから、簡潔にお願いします。
  58. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたは二十六日の夜そういう催しをなさった。それから後、各社の政治部長に集まっていただいて、懇談会の機会を持たれたことがありますか。
  59. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私も衆議院議員でございますので、前から各社の政治部員さん方とはときおりおつき合いはさせていただいております。
  60. 楢崎弥之助

    楢崎委員 二十六日の夜なさったことは、あなた自身が明らかにされましたが、そのあくる日、あなたは政治部長に集まっていただいた記憶はないですか。それもお忘れになりましたか。そしてまた、二十六日の当夜と同じことを、あれはなかったことにしてくれという要請を、各社政治部長にお集まりいただいて再びなさったという記憶はありませんか。
  61. 西村直己

    西村(直)国務大臣 まあ政治部長さん方とは私もちょいちょいおつき合いが各社ございますし、したがって二月に一ぺんか三月に一ぺん、ときどき集まっては雑談をさせていただいております。したがって、そこでそういうことを頼んだとか、そういうことはございませんです。
  62. 楢崎弥之助

    楢崎委員 もう一度思い出してください。二十七日ごろ、あくる日です。一月や二月に一度の話をしておるんじゃないんです、私は。あくる日にそういう機会をつくられた覚えはないですか。
  63. 西村直己

    西村(直)国務大臣 政治部長さん方、出られた方もあるし多少欠席なすった方もある、覚えておりませんが、そのころとにかく久しぶりだから集まりましょうということで、そういう会があったことは事実でございます。
  64. 楢崎弥之助

    楢崎委員 やっと記憶がだんだん鮮明になられたようであります。あなたは二十七日、各社政治部長にわざわざお集まりをいただいて、二十六日の夜、関係記者防衛庁詰めの記者に言われたと同じことをあなたは言われた。なぜ、それほどまでに二十六日朝のあなたの記者会見内容を表に出ないように、あなたは異常な熱意でそういうことをされたのか。ということは、その内容がやはり重大だからでしょう。それほどの努力をされたその内容は、あなたは重大であると考えたからそうされた、それをあなたは忘れられたのですか。
  65. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私のやっております、まあ政治部長会見なんていうものじゃございませんが、政治に関係させてもらっておりますから、ときどきやっております。したがって、そのころちょうど、やろうじゃないかといって、前から計画しておった。お忙しい方ですから急に集まれといったって集まれるものでございませんので、そのころちょうど——その前であるかあとであるかは記憶ありませんが、とにかく政治部長さんと夜会食をして、ゆっくり三時間ぐらいめしを食っていろいろ話したことはたしか覚えております。ただ、日取りその他は覚えておりません。
  66. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それではもう一度お伺いします。  二十六日の夜、それから二十七日、こういった会見でなぜオレフコにされたのですか、あとから。
  67. 西村直己

    西村(直)国務大臣 朝は雑談でございますから、当然これは、率直に申しますと懇談雑談、オレフコであります。しかし、私どもは、よくそういうことでも、ちょうど今回いろいろな政治情勢も変わる時期であるから、まあ夜集まろう、そうして集まりました際に、けさ雑談でいろいろ言っておったけれども、正規にはこういう気持ちだが、どうぞそういう点を御了解をさらにいただいておく、雑談でございますから、当然これは裏をひっくり返せば懇談あるいはオフレコ、こういうことばが出るのは当然だと私は思いまして、そういうふうにお話しをしたわけでございます。
  68. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ちょっと事態を明確にお伺いしますが……
  69. 床次徳二

    床次委員長 関連質問ですから、簡潔にお願いします。
  70. 楢崎弥之助

    楢崎委員 当日のテープを筆写した方はだれですか、広報課の。
  71. 宍戸基男

    宍戸政府委員 広報課長が立ち会いまして、広報課員がメモをつくりました。金子三佐だと思います。
  72. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そのテープを、先ほどおっしゃいましたとおり、記者会見に間に合わなかった新聞記者の人が聞きに参りましたですね。どうですか、その事実は。
  73. 宍戸基男

    宍戸政府委員 おくれてきた人が聞いております。
  74. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、一応その内容は広範囲にわたって明確になっておるはずであります。  外務大臣にお伺いいたしますが、モルジブという国はどこにあって、どのくらいの人口か御存じですか。
  75. 井川克一

    ○井川政府委員 モルジブという国は、一九六五年七月二十六日に独立いたしまして、人口が約十一万、国連加盟が六五年九月二十一日で、インド洋に所在しておる国でございます。
  76. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そのとおりであります。外務大臣でも御存じないようなそのような国を、わざわざ西村長官記者会見の中で出されておる。それを忘れたとおっしゃいますか、西村さん。それも忘れたとおっしゃいますか。そんな外務大臣も知らないような国の名前をあなたはあげておる。それでもあなたは、そのことも忘れたとおっしゃいますか。
  77. 西村直己

    西村(直)国務大臣 モルジブという国であるかどうか知りませんけれども、小さい国があることは私もうすうす知っております。
  78. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、あなた、知っておるかどうか聞いておるのではないですよ。あなたはモルジブという国の名前をあげておるのです、記者会見で。あげたことも忘れましたかと私が聞いておるのです。
  79. 西村直己

    西村(直)国務大臣 何しろ短い時間の雑談でございますから、私としては、それはもう雑談でございますから、別に記憶は十分ございません。
  80. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私が、この発言が単なる食言でない、あるいは単なる放言ではない、単なる冗談ではないと、非常に重視する一つの問題点を新しく出してみたいと思います。それは、いまから約一週間前です。政府・自民党の領袖で、国連外交の最高の衝に当たった有力議員の発言であります。私は、その方の責任を追及するわけではありませんから、名前は申し上げません。講演をされた内容の一部を御披露いたします。たくさんありますが、この問題に関連のあるところを指摘してみたいと思います。  「とにかく国連は、もはや一株の悪徳株主が強い株主総会のようなもので、アルバニア決議が通ったときは支持派の代表が興奮してこう手を振って踊りまくるような、まあいままでの国際会議などでは見られないような状況であった。」「日本やアメリカが中国の加盟阻止を続けてきた結果、日本のマスコミはもちろん世界じゅうが中国をもてはやして、実力以上の超大国に仕立てあげてしまっていることだ。一方オマールなど、皆さんどこにあるかも知らないと思うが、人口八万といった小国が自己顕示欲が強いというかナショナリズムにかられており、米ソへの反感もあって、中国に前もって親を通じておこうという潮が流れている。こういう状況をそのままにしておいていいかどうか。中国へ、中国へとなびくような状況をそのままにしておいていいか。」——途中を省きます。「いずれにしても、八万くらいの人口の国が、一億の日本と同じ表決権を持ち、千四百万人の国の存在が否認されることはもはや耐え忍びがたい。国連外交は思い切るべきだ。」いいですか、「国連外交は思い切るべきだ。もともと国連憲章は日独を敵国扱いしているし、加えて五大国とはいまやすべて核武装国。ヤルタ体制の再現である。われわれはこうした主張を国民の中に広げていきたいと思っている。中国中国とばかり浮かれている状況をこのまま放置できないと思う。」  いいですか、ここにあらわれておる思想は、まさに、西村さん、あなたが言っている思想と次元が似ておるのですよ。これは一週間前の講演内容です。いいですか、この中にはおそらく私は——佐藤内閣の主流派とあえて言いたい。主流派は、いままでの国連中心の外交方針から、中国国連に加盟した後の国連外交については、いわゆる軌道修正をする、つまり脱国連外交の方向へという考え方があるのではないかと私は思わざるを得ません。ということは、表面では総理は、この国会でしばしば明らかにされておるとおり、国連中心の外交方針は変わらないとおっしゃっているし、中国の加盟を歓迎するとおっしゃっておるけれども、しかし腹の中はそうではない。これが腹の中だ。つまり二枚舌外交と申し上げる。口と腹と違うものが佐藤内閣にあるのではないか。そういう意味で私は、この発言はまことに重大である。そしてしかも、いま私があえてこの放言があるいは記者会見が、冗談あるいは放言で済まされないという理由は、いま私が申し上げたとおり、これは佐藤内閣国連外交の一つの軌道修正と関係があるのではないか。しかもその軌道修正とは何か。中国国連に加盟した後の国連は、これをだんだん軽視していく、そして中国を侮辱するという内容も含まれている。そういう評価をあなたはしている。西村さん、その思想性がそこに出ているのだ。しかもあなたは、いままさにこの特別委員会にかかっておる重要法案である公用地暫定使用法の提案者である。しかも、沖繩県民とともにわれわれが不安を訴えておる沖繩への六千八百人の自衛隊の配備、これをあなたは指揮する長官である。そういう観点から、中国に対するあなたのこの評価、これは重大な関係が当委員会の審議上ある、このように私は思うわけです。したがって、この問題は単なる冗談では済まされない。私はこのような長官を任命された佐藤総理の責任も重大であろうと思う。これは単なる灰色の問題では済まされない。私は、白か黒かこの際はっきりしていただきたい。あなたがそのようなうそを言うことによって、官房長までうそを言っている。そして、これはそのとき立ち会った新聞記者あるいは新聞社にも、あなたは大きな迷惑をかけることになるのです。喬冠華中国代表が国連で言ったように、もしあなたが男ならここで態度を明確にすべきである。佐藤内閣のためにもあなた自身でその出処進退を考えるべきである、このように私は思います。
  81. 西村直己

    西村(直)国務大臣 内閣の方針でございます国連外交、加盟国尊重、大事なことでありまして、また私は、米中等の接近は、この国会を通じましてもしばしば緊張緩和に非常に役に立つべきものだ、こういうふうに御説明なり御答弁なり申し上げておる次第でありまして、私自体は、そういうことをこの国会におきましても発言をしばしばいたしておるのであります。
  82. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私がいまお答えしたいのは、楢崎君が五日前の事件といって読み上げられました。私はその話は聞いておりませんが、私どもは、いままでの国連中心外交方針、これの軌道修正はいたしておりません。そのことをはっきり申し上げたいのです。これはたいへんな重大なる事柄だと思いますので、これだけははっきりしておきたい。  その例といたしましては、昨日パキスタンのヤヒア・カーン大統領の代理者が見えました。そうしてただいまの印パ紛争についていろいろアピールを行なわれました。それに対して、私は外務大臣とともにその代理者に接受して、そしてまずわれわれの認めておる国際的平和機構、国連に働きかけること、また日本はそのことを心から願っておる、こういう話もし、同時にまた、難民の救助等についても、国連中心にして、そうして各国提携してその救済に乗り出す、こういう考え方だから、この点も了承してくださいという話をしたばかりであります。いまの一週間前という、いかにも重大なる事態の変更があったかのように言われるが、私は昨日、ただいまのようにパキスタンの代表と話をしたばかりでありますから、ただいまの方針は変わっておらない。このことだけを申し上げて、ぜひ誤解のないようにお願いいたします。
  83. 床次徳二

    床次委員長 他にも関連質問の申し出がありますので、ひとつ簡潔にお願いいたします。
  84. 堀昌雄

    堀委員 いま楢崎委員から政策の部分についての話がありました。私が取り上げておるのは政策以前の話であるところの、はっきり言ったことを言わなかったと言って、これだけ論理的にはっきりしておりながら逃げ切ろうという態度にあるわけです。いま防衛庁長官の下には自衛隊二十数万人の人間がいるのでしょう。これがみな防衛庁長官にならって、自分たちの行動について責任を持たない、発言について責任を持たなければ、一体これはどういうことになるのですか。私は、この問題は防衛庁長官としての職責から見ても、政治家としても、国務大臣としても、自分が発言したことに責任を持たないようなことが政府の中に行なわれることは、これは重大だと思うのです。納得ができないわけであります。  関連質問があるそうでありますから……。
  85. 床次徳二

    床次委員長 伊藤惣助丸君より関連質疑の申し出がありますので、この際これを許します。伊藤惣助丸君。
  86. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最近の冷凍食品は火にかければその鮮度が戻る、こういわれております。西村防衛庁長官発言がこのたぐいの発言であり、いままでの論議にもありますように、これが事実とすればたいへんな重大な失言であると私は思います。  そこで一番最初に、堀委員が確認した件について私も再度確認したいと思います。堀委員は、冒頭にあたりまして楢崎委員指摘したこのメモについて、宍戸官房長はその点はどうなのか、こういう点について質問したわけでありますが、官房長は、そのような指摘——指摘というよりもそのような発言があったということを明らかに認めております。その点についてもう一回官房長に、この指摘のあった点について、このような発言があったということを再度確認したいと思います。
  87. 宍戸基男

    宍戸政府委員 先ほど申し上げましたけれども、閣議後の定例会見閣議の模様を発言しておられます。そのメモは残っております。御指摘のような発言については、メモは残っていないということでございます。記憶によって御説明をしたわけでございますが、一たんそういう正規の閣議の模様のお話が済んで一段落したところで、雑談的に、断片的にそういう御指摘のようなことが——全部ではございません。論理的にずっとお話しになっているわけじゃありません。先ほど私がお答え申し上げましたようなことを私は記憶いたしておりますし、記憶いたしてないことは記憶いたしてないとお答え申し上げましたとおりでございまして、そういう状況で残っていた、それを聞いたということを申し上げました。そのテープはすでにございませんので、私も、いま御指摘のようなことが正確にあったかどうかは存じていない、記憶していないわけでございますが、御指摘になりますと先ほど申し上げました程度のことを思い出すということでございます。
  88. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それではもう一回、この当時の雑談における発言の趣旨について、すでに新聞等において明らかに公表されておりますので、この点もう一回読み上げますから、この中のどこが違うか、それをそれでは伺いたいと思います。「中共国連に加入することは、事態をますます悪くする。国連というものは、小国大国も同じ票を持っている。いわばいなか信用組合のようなものだ。いなか信用組合は一万円も出せば会員になれる。みんな一票をもらえる。何かまずいことが起こると、おれにも権利があるといって騒ぎ、あげくの果てには、そろばんでなぐり合うようなことになる。国連もまさにそのとおりだ。中共が入ってくれば、国連はますます悪くなるかもしれない。決してよくなるとは考えられない。動揺して国連中心がはたして続くかどうか疑問だ。アメリカは大国だが、モルジブなんかひどい国だ。土人国だ。こういうのも一票持っているんだ。」こういうことでございますが、この中のどこがうそか、その点について伺いたいと思います。
  89. 宍戸基男

    宍戸政府委員 せんだっての委員会で、楢崎委員記者会見の要旨だということでお配りになりましたので、私もそれを拝見いたしました。伊藤先生からいまそれを読み上げられたわけでございますが、私は、せんだってお配りになりましたメモによって、こういうことがいわばうわさといいますか、お話しになっているのだなということを承知いたしました。そこで、一月前の記憶をたどってみますと、こういうふうに論理的にずっとお話がいっているわけではございません。私の記憶によってずっとたどってみますけれども、そういうふうなことではなかった。笑い声とか雑談の間にいろいろな話が聞こえておったというふうに、これをもって思い出すわけでございます。その思い出すのも、先ほど御指摘がいろいろございましたが、中国とか中共とか、あるいは国連とか小国とか一票とか、何か私の聞きなれない国の名前とかいうふうなことが断片的に聞こえておったなということを思い出す、その程度でございます。   〔発言する者あり〕
  90. 床次徳二

    床次委員長 御静粛に願います。
  91. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ただいまの私の質問について、官房長は正確に答弁しておりません。しかし、すでに前段において、楢崎発言のこの断片的な発言についてはほぼ認めていらっしゃいます。私は、その前提に立って質問をしない限り水かけ論になると思います。そこで、問題は、先ほど来防衛庁長官もそうでありますが、テープがないのだから、証拠はないのだから、忘れたのだから、こういうような発言ばかりであります。しかし、私たちがたとえば裁判の席上において証拠にする場合、テープの問題は、これは状況証拠になるけれども、公開されたメモあるいはまた速記というものは重大な証拠になるといわれております。あなたがテープがないと言おうと何と言おうと、このようなメモが新聞にも出、そしてまたそれについて何らそれは言っていないという否定がない限り、既定の事実があったと国民は受け取っております。  そこで私は伺いたいのでありますが、このような重大な発言、そしてまた否定できないというような、ただ単に忘れた忘れたというような長官のそういう態度、それをきびしく私は追及するわけでございますが、同時に、私は、これから申し上げることも含めて防衛庁長官に質問し、また総理の責任についてその所信を伺いたいと思うわけであります。  防衛庁長官は、去る十月十一日、丸の内の外人記者クラブで演説しました。その内容は、簡単に申し上げますと、これまでの政府の見解は、憲法第九条に違反し、自衛隊法上もいかなる場合でも海外派兵はできないというものであったわけであります。ところが、あなたの発言には、災害派遣という名目であるとはいえ、要するに海外派兵の道を開く重大な発言をあなたは行ないました。そして多くの国民に疑惑や不安を高めました。この点については、佐藤総理が先月の三十日にこの委員会において、はっきりとそのような海外派遣、派兵はしない、こういうふうに否定なさいました。要するに防衛庁長官のそのものの考え方、発想というものは、今回のこの国連の誹謗、いわゆるいなか信用組合のようなものだという、こういうような発想というものがそれが軌を一にしている、そこが私は問題であると思います。  さらに、これは朝霞の自衛隊の刺殺事件であります。これはつい最近、その事件の真相が明るみに出ました。現職自衛官が手引きをして、元自衛官とはかって自衛官を殺害した、こういう重大な事件が発生しているわけであります。このような事件は、自衛隊始まって以来の大事件であります。しかも現職の自衛官はまだほかにいる、このような疑いさえもある事件であります。このことについて西村長官、あなたはこうおっしゃっていますね。この事件の今後の処置などについては、まだ情報程度で、十分な内容報告を聞いた上で考えたい、いずれにしても自衛隊員が関係していたことは残念だと言っております。  このような重大な事件が起きたときに、このような重大な事件が自衛隊内部から発生したということについては、まずもって長官、あなたはその責任をどのように感じているか、またあなたは、いち早く責任を明らかにして次の手を打つべきが防衛庁長官だろうと私は思います。そしてまた今度のことについては、長官はいまだにその責任あるいはまた明確な今後の処置について発言していないのであります。まず長官に、その点についてどのような、私がいま申し上げました中でお考えなのか、伺いたいと思います。
  92. 西村直己

    西村(直)国務大臣 朝霞の自衛官の事件は、まことに申しわけない事件であります。元自衛官三名の中に現職の自衛官——これはもちろんやめてはおりますが、現役のときにそういう事件に関係したことは捜査当局から聞かされまして、私も非常に申しわけない。内容等については、捜査当局におまかせはいたしておる次第であります。一昨々日でございますか、参議院の本会議を通じましても国民の皆さまに深くおわびをした次第でございます。またこの席を通じましても、非常に申しわけないということを申し上げる次第であります。  そこで、起こりました事件につきまして、われわれも直ちに謙虚な反省を加えまして、まず第一は、全実施部隊関係諸機関に対しまして、次官名の異例な強い通達を出して、その内容中心関係陸幕を中心会議、全国集めまして、幕僚長等を中心に厳重な示達をやらしております。  主として、第一は、何と申しましても隊員は、自衛隊というものは国民に奉仕をしていく、国民に信頼度を高めていかなければ存在意義がない、そういう意味で第一は規律の厳守であります。  また第二番目には、できる限り共同生活をやっております中心になる指導者が、身上把握なり生活把握なりをしっかりしていくというようなことを、先般の九月の最高幹部会でも私はそれを中心に話したのでありますが、まだ十分な浸透ができてない結果、そういう結果が出たことは申しわけないと思います。  また隊員の教育、訓練、募集の反省、こういうようなこともあわせて今回検討なり何なりをいたしております。  かたわら基地は、やるべき警備はやはりしっかりしていく、こういうようなことで、今回の事件は、心から国民の皆さまにおわびをしておる次第であります。
  93. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、その朝霞事件の問題について説明しろと言っているわけではなくて、やはり政治問題として考えた場合、防衛庁長官としての責任ある態度を伺ったわけでありますが、ただ申しわけないと言うだけでありまして、何ら前向きの長官の誠意ある、責任ある答弁がなかったようでございます。  そこで、私は外務大臣に伺いたい。このメモに関する限り、私は、たとえ閣僚が冗談だとは言っても、先ほど来の総理発言ではございませんけれども、冗談では済まされない。さらにまた、それが事実であれば重大なことだ、こう総理もおっしゃっておりましたし、さらにまた現在アジアの問題、中国の問題があるときに、国連を誹謗するような発言は間違いだ、このように総理は先ほど明確におっしゃいました。そこで外務大臣に伺いたいわけでありますけれども、私たちはこう認識しております。日本の外交は国連中心外交である。ところがこの断片的な雑談の中から見てまいりますと、西村防衛庁長官は、いわゆる国連中心というものではなくて、国連を誹謗し、むしろ中国国連参加に対して批判し、そのことによって国連が今後は混乱する、いなか信用組合と同じようになるのではないか、こういうような一つの発言について、私は、閣僚でありますからその外交をそのように転換する考えがあるのかないのか、またこれからの日本の外交はどうあるべきなのか、それを明確に外務大臣から伺いたいと思います。
  94. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 日本の外交政策はどこまでも平和に徹するということでなければならぬ、こういうふうに思います。その手段といたしまして国連の存在、私はこれは貴重なものだというふうに考えております。私は、近い将来はいざ知らず、何とかして国連が強大化されて、世界は一つというような時期が来ることを政治家として希望をし、期待をいたしておるわけでありまして、そういう際に国連に対してこれを誹謗するというようなことがもしありとすれば、これははなはだ遺憾なことであるというふうに考える次第でございます。  また第二に、中国国連参加、これにつきましてはしばしば申し上げているとおり、わが国は中国国連参加、これは歓迎する、こういうふうに申し上げているのです。これはきわめて明瞭なことである、かように考えております。
  95. 床次徳二

    床次委員長 伊藤君に申し上げますが、関連質問がなおありますから、簡潔にお願いいたします。
  96. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理に伺います。  そういたしますと、どこまでも平和に徹し、国連中心の外交をやる。アルバニア案では負けたけれども、国連できまった以上はそれを尊重して、国連に対する中国の加盟を尊重していくという、前向きのいま外務大臣からの発言があったわけであります。それに対して防衛庁長官の、雑談とはいえこういう発言があったということは閣内不統一ではないかと思う。その点について、総理は、あらためて日本外交のこれからのあるべき姿について簡潔に答弁願いたいと思います。そしてまた、その場合、やはり西村防衛庁長官発言というものはきわめて重大であると私は強く感ずるわけであります。
  97. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日本の進むべき外交方向、方針というか、これはもう先ほど外務大臣の答えたとおりであります。これを私もそのとおり絶えず申し上げておる。ただ、まことに残念に思いますのは、野党の諸君は、私が平和に徹すると言うと必ず笑われる。それだけはやめていただきたい。(「いまは笑わない」と呼ぶ者あり)いまは笑われない。そのとおり、けっこうです。だから私は、平和に徹する外交を展開する、これが基本的な方針であり、中華人民共和国の国連加入、これは歓迎しておる。私どもの提案した案は敗れましたが、しかし、アルバニア案と私どもの案との相違はただ一点、台湾、中華民国の処置の問題であります。これだけが違うのだ。中国国連に迎えること、また同時に、安保理事会の常任理事国にすること、これは同様であります。その点をいかにも別なものであるかのような言い方は、これは事態を十分正確に認識していただいてない、かように私は思いますので、この際にはっきり申し上げておきまして、誤解のないようにいたしたいと思います。  次に、防衛庁長官の問題であります。これは冒頭に私が申し上げましたとおり、昨日、防衛庁長官を私は招致し、実情を聞き、同時に十分戒めてございます。これは厳重訓戒だ、かように御了承いただきたいと思います。
  98. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、総理に、国民の前に、厳粛にこの問題について態度を明確に答弁願いたいと思います。  それは、西村防衛庁長官は、御存じのように、全日空機問題で責任をとってやめた増原前防衛庁長官あとを継いで就任いたしました。しかしながら、先ほど来私が指摘いたしましたように、プレスクラブにおけるところの自衛隊の海外派遣発言——総理は否定なさいました。また、中国国連復帰問題に関して、アルバニア案が国連で可決された翌日の十月の二十六日に、(「当日だよ」と呼ぶ者あり)当日ですね。当日に、この国連を誹謗する、いなか信用組合のこの発言があったわけであります。これは日本の国際的信用を著しく傷つけたと私は感じております。さらにまた、現職自衛官の犯行による自衛官刺殺事件、これなど考えてみますと、西村防衛庁長官は、きわめて不謹慎きわまりない発言をしていらっしゃる。そしてまた、その責任の重大さというものは、前増原防衛庁長官にまさるとも劣るものではないと私は思います。総理は、今回のこの事件の責任と、たび重なる不謹慎の発言を繰り返す西村防衛庁長官の責任を今後どのように考え、そしてどう処断なさるのか、それを伺っておきたいと思います。
  99. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国民の前に国務大臣として当然あるべき姿、これは冗談だとかあるいはユーモアを交えたとかいうようなことで過せる問題ではないと思います。どこまでもこれは厳粛な記者会見でなければならない。そういう点で誤解を受けるようなことがあってはならない。だからこそ、先ほど来いろいろ皆さん方の御意見も伺いつつ、私自身も昨日は叱責したような状況でございます。(「きょうは」と呼ぶ者あり)きょうはまた、皆さん方からこの問題について重ねてのいろいろの御意見がございました。この御意見も、私は謙虚に承っておる次第でございますし、また、このうしろにいます西村君御自身が、皆さん方の御意見を十分胸に刻み込むような思いで聞いておられることだと思います。私は、こういう事柄が今後の政治のあり方として必ず国民の信頼をかち得る、とり得る、つなぎ得るゆえんだろうと、かように思います。
  100. 床次徳二

    床次委員長 門司亮君より関連質疑の申し出がありますので、この際、これを許します。門司亮君。
  101. 門司亮

    ○門司委員 私は、きわめて簡単に、率直に、総理にお伺いをしておきたいと思います。  いままでにかなり詳細に案件内容等についてはお話を願っておりまするので、これ以上私から内容について聞くこともないとは、私限りにおいてはそう考えておりますので、総理からひとつ十分にはっきりした御答弁をこの際願っておきませんと、いま審議いたしております沖繩復帰に関しまする法律は、一応まあ自民党の暴挙と言って差しつかえのないことで成立はするであろうということだけは、これはまあ時間的にそう考えられます。しかし、そのものを受けて立っておりまする、最も沖繩の住民の個々の人たちに対する関連した法案が、いまここで審議をされております。その審議の過程の中で、私どもがいま政府に要求いたしておりまする核抜きをはっきりしろということ、あるいは基地の現状では認めがたい、これは一体将来どうなるんだということを政府に迫っておる。またもう一つの問題は、VOAというような、日本に、本土にない施設を沖繩に認めようとする行き方、しかも、この行き方は、アメリカの強い要請だということがいわれておる。これらの問題は、あげてアジアの平和のためにはきわめて重要な、日本の地位が変わることになりはしないかということ、いわゆるアメリカが、沖繩をアジアにおける彼らの戦略的のかなめ石として重要視しておった、それをそのまま日本が引き継ぐというような状態になるであろうということは、佐藤総理とニクソンさんとの会談の中に、これははっきり書かれておる。沖繩における基地の機能その他をそこなわないことだ、こう言っておりますから、まあアメリカの肩がわりだといわれてもしかたのないことだと私は考えておる。  こういう実情の中にあって、そうして一方には、中国国連に加盟をいたしてまいりました。アジアの問題が大きく変ろうといたしておりまするときに、何を好んで日本が、中共の、少なくともアジアの脅威にいままでなっておった沖繩の実態をそのまま引き継ぐというようなことが一体できるのかということである。したがって、その中にあって、政府の、しかも、この問題に対して最も重要な関係を持つ自衛隊の派遣——自衛隊の派遣国会の審議を経なくともよろしいと私は考えておる。これは防衛庁長官の行政的の一つの行為として行なわれるものである。非常に大きな重大な自衛隊派遣の権限は、防衛庁長官にあるということである。同時に、それを確保することのための公用地の五年間の強制的の存続というようなことは、あげて日本沖繩における軍事基地の確保と、軍事的にきわめて重要であった、繰り返して申し上げますが、アメリカの基地の肩がわりをするであろうということは、私どもだけが議論していることではないと私は考えておる。このことは、中国をはじめとしてアジアの国々はもとより、世界のいずれの国も、この問題に対して注目をしておることだと私は考えております。  そういう時期に、中国国連加盟というものが、先ほどからしばしば言われておりまするような、きわめて不純——不純ということばはいかがかと思いまするが、論理的でない。何か国連というものがおかしいんだというような長官発言が、しかも二十六日という国連の採決の日でありまして、私は、タイム的に考えてまいりましても非常に重大な時期だったと考えておる。これがアルバニア案が決定されませんずっと半年も前のことなら、それはそのときの感じとして一応受け取ってもよろしいと思いまするが、すでにそういうことになっておるのと、アルバニア案との相違は、いま総理から申されましたように、基本的の問題ではない、ただ、台湾の処置をどうするかということだけが違っておるということになると、国連に対する政府の意思というものはすでに十分に固まっておったと思う。その政府の意思が十分に固まって、国連中国の加盟をすることを歓迎しよう、理事国にもこれを推薦しよう、こういう時期に、一閣僚が、私は繰り返しはいたしませんが、聞き捨てにならない発言をするということは、いかにも私は、佐藤内閣のアジア外交政策というものを疑わざるを得ないのであります。  一体総理は、どうお考えになっておるかということである。私は、佐藤内閣が、アジアにおけるほんとうの平和のためにどうすればいいかということについて、国連の加盟等も認める時期だ、そうしてこれを理事国としてりっぱに国連に迎えて、ほんとうにアジアの平和を維持していこうとされるお考えがほんとうであるとするならば、総理自身が、西村発言に対しましてはもう少し確固とした態度をこの機会に示されなければ、(「そうだ」「そのとおり」と呼び、その他発言する者あり)沖繩の問題等に対する審議は非常にむずかしいのではないかということであります。われわれが政府の態度に対して疑心暗鬼を持ちながら、そうしてこれを審議するというようなことは、私ども野党の立場だけではございませんで、沖繩の住民はもとより、国民全体が、政府の言っていることと、今度のこの沖繩の処置ということばを使えばおこられるかもしれませんが、沖繩の処置に対しまする法案との関連性を考えてみますると、どうも政府の真意というものは、アジアの平和に徹するという佐藤総理の考え方とはいささか違っておるのではないかという感じを与えることが、私は非常に危惧されるのであります。  この問題が明確になりませんと、今後のこの法案の進め方にも、やはり私ども考え方を変えなければならぬようなことが、より以上強い態度をとらなければならぬようになるかもしれない。こういうことを考えてまいりますと、ぜひひとつこの際、いろいろな関連性もございましょうし、また総理の立場もございましょうが、ひとつ日本の明るい豊かな沖繩をあなた方がこしらえるんだというその基礎の上に立って、御答弁をわずらわせれば非常に幸いだと考えております。
  102. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 門司君にお答えいたします。  私は、西村発言、これが重大な問題であるということは、昨日も私みずからが承知してこれをいろいろトレースしたということでもおわかりだと思いますし、また、今朝来、各党からこの問題についていろいろきびしい御批判があり、またそれについて私は答えておりますから、あまり多くを申し上げることはないように思います。ただしかし、この問題を私自身は各党の皆さん方の御意見を謙虚に聞いている、そういうことだけはひとつ御了承願いたいと思います。  ところで、ただいまの沖繩の祖国復帰、これについて、このことがいかにもアジアの平和に逆行するかのような言い方をされる方がありますが、私は、これが日本に返ってくることがアジアの平和に必ずプラスになる、かように実は思っておるのです。ただいま問題は中国の問題だ、台湾の帰属をめぐって中国は一つだという、また正統政府は北京政府だ、あるいは台湾にもあるとかいうようなことで議論されておりますが、沖繩の施政権がアメリカにある限り、この台湾と沖繩の米軍とが一体として行動することは、これはもう火を見るよりも明らかであります。  私は、沖繩日本に返ることによって、いわゆる日米安保条約のワク内にその行動が限定されるというそのことは、何といっても中国にとりましてもこれは幸いになることじゃないかと思うのでありまして、この点がどうしてわかっていただけないかと私はしばしば思うのであります。私どもは、アメリカから施政権が日本に返ってきて、核抜きあるいはVOAあるいは基地はそのままじゃないか、こういうことでいろいろ皆さん方からお尋ねがあり、これにいろいろ答えております。暫定的な措置だ、そういうことでしばらくしんぼうしてくださいということを申し上げておりますが、何よりも大事なことは、基本的にアメリカが自由に使える基地、それが今度返ってくれば、安保の範囲内に施設、区域が提供される、またその行動もそのもとにおいて制限を受ける、いわゆる事前協議の問題であります。そういうことで制約を受けるのでありますから、これは必ずアジアの平和、これを前進さすことになるんだ、かように思っております。  そしてわが国のあり方については、いまさら申すまでもなく、平和に徹する日本の外交のあり方、これはもう誤解のないところだと思っておりますから、この点がさらに中華人民共和国におきましても日本のあり方を十分理解していただく、そのことによって、平和共存への道はたどれると私は確信をするものであります。(発言する者あり)ただいま、西村発言から意外な答弁をするんだというような不規則発言がございましたが、私は、その不規則発言もさることだが、ただいま申し上げるように、いまのこの委員会で審議されている問題はここにあるのでありますし、同時にこれから発しての西村発言の追及だ、かように思いますので、これは一体だと思いますから、どうか私がただいま申し上げるような実態について、はっきりした考え方を申し上げておきますので、誤解のないようにお願いいたします。  なお西村君の問題については、私も謙虚に皆さま方の御意見は伺っておきます。
  103. 門司亮

    ○門司委員 私もこれでやめようと思っていましたけれども、何か誤解だと、こう言いますから、私どもの聞いていることも、ひとつ総理誤解しないように聞いておいてもらいたいですよ。私どもは、何も返ってくることがよろしいのだということについて別に反対しているわけでも何でもない。ただ、返ってくるにいたしましては、その態様等があまりにもわれわれの考えていることと違うのであって、沖繩の百万の島民の人に安心が与えにくい。ほとんど基地も変わらなければ、VOAもあるじゃないか、公用地等についても強制的に使われるじゃないか、あるいは基地の態様等についても、核があるかないかというようなことについてもきわめて不確定であって、したがって、それだけ不安を持っておる。こういうものをなくするということのために、私どもは、沖繩の審議をどうしてもかなり日数をかけ、時間をかけて、そうしてほんとう沖繩が返ってくることがよかったというようなことにしなければ、これは国会としても政府としても、私は沖繩の諸君に対しては済まないと思う。返ってくることだけを前面に押し出して、そしてその内容がこれとうらはらのようなものがあって、もし沖繩の百万の国民を裏切るようなことがあってはならない。それを考えてまいりますと、どう考えても、いままで出ておる法案をずっと並べてきて、そしてそれを信頼せよと、いま誤解しないようにと言われておりますけれども、政府のほうで、私どもがそういう心配をしているということを十分にひとつ誤解しないで聞いておいてもらいたい。  その上に立って西村発言を聞いてみますると、どうも政府は、返ってくることが先決で、豊かな沖繩をこしらえるのだと言われておるが、その腹の中には——こういうことばを使えばあるいはあとで私は取り消してもけっこうだと思っておりまするが、佐藤総理がときどき言われておりまするように、安保条約の網をかけておるからどういう事態であってもよろしいんだということは法理論的にはわかります。しかし、その実態になってイエスかノーかということが問題になってまいろうかと思います。西村発言のようなことが、内閣の意思の中にどこかにある。ことに、最も重要なイエスかノーかというかなめになっておりまするのは、何といっても、具体的に、私は防衛庁意見だと考えます。その防衛庁意見でなければならないかなめの長官が、いかにも中国を敵視するようなものの考え方があっては、非常に困りはしないかということを実は私は申し上げているのでありまして、その点についての一つの政府のまとまった総理大臣の見解をただしておるのでありまして、どうか私の言っていることも誤解しないで聞いておいて、答弁を願いたいと思います。
  104. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろん防衛庁長官も、自分の担当する範囲においては責任をもって行動はいたします。しかし、事柄の性質上、事前協議の対象になる、そうして日本が戦争に巻き込まれる危険が多分にある、こういうような重大問題は、防衛庁長官長官にまかすわけにはまいりません。総理自身の責任においてこれは処理されること、そのことをはっきり申し上げておきます。
  105. 床次徳二

    床次委員長 あと関連質問がありますので、簡潔にお願いします。
  106. 門司亮

    ○門司委員 これは私は、何もそのことを聞いておるわけではありません。私も知っております。国防会議議長はあなたでありまして、総理大臣もあなたであって、別に防衛庁長官がどんなにしゃちほこ立ちしたからといって、かってに軍を動かすわけにはいかないかと私は思います。これも論理的にはそうなんです。法律的にはそうなんです。しかし、ものが法律のとおりに運用され、国際社会で条約がそのとおりに運用されておれば、戦争など起こるはずがないのであります。  私が危惧いたしますのはそのことであって、法律が法律のとおりに動いておれば何も問題はない。しかし内容が、それを取りきめをする段階でその点を十分ただしておきませんと、間違った解釈の中からくる行為というものは往々にして戦争を導き、いろいろな問題を導いておるのであって、よけいなことのようでありますけれども、今日まで世界のどこの条約を見てみても、何を見ても、おまえの国と戦争するぞなんというような条約を結んだ国はどこにもありはしない。みんな平和条約をずっと結んで、その平和条約を結んでいるのが裏切られて戦争になるのでありまして、私どもは、必ずしも法理論的にこれでいいのだという総理答弁にはなかなか承服しがたいのであります。したがって、少しくどいようでありますけれども、もう一度総理からそういうものを前提にして、絶対にそういうことをさせないのだというあかしをひとつどこで立てていただくかということを、この審議をする問題について非常に重要な問題でありますので、御回答願っておきたいと思います。
  107. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま同じようなことを申しますが、これはもう門司君、十分法制は明らかなようだし、また機構も明らかなようですから、多くを申し上げる必要はございません。防衛庁長官の単独でいろいろなことがきめられる、さようなことはございませんから、御心配のないようにお願いします。
  108. 床次徳二

    床次委員長 この際、東中光雄君より関連質疑の申し出があります。この際、これを許します。東中光雄君。
  109. 東中光雄

    ○東中委員 総理にお伺いしたいのですが、西村長官に対して注意をした、叱責をした、厳重訓戒をした、こう言われたのですけれども、いわゆる西村発言内容については、昨日西村長官にお聞きになったけれども、内容は忘れておるということで、よくわからなかった、こう言われておるわけであります。わからないけれども叱責をした。これは論理的にはどうもおかしいわけであります。この内容が、先ほど来、堀あるいは楢崎両委員から指摘をされました。宍戸官房長は事実を肯定しています。ちゃんと言わないけれども、全項目について肯定をしています。そういう状態で、この事実が全部西村発言の中にあったということで、事は国連の問題、中国の問題、基本的に総理の言われている方向と違う発言をされているわけですから、しかも、まさに全く違う方向の発言をされているわけですから、そういう閣内不統一の事実がきょうの審議で明らかになっている。ゆうべの段階で叱責されたことと違った状態が起こっているわけですから、叱責だけでは済まない問題ではないかと思うのですが、この内容が全部認められておるという立場で、なお叱責だけで済まされるのか、はっきりとした閣内不統一に対しての処置をとられるかどうか、重ねてお聞きしておきたいと思います。
  110. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど来お答えしたところで、東中君も誤解なしに私の答え、私の考え方を把握していらっしゃると思います。私は、西村防衛庁長官から当日の模様を聞きました。また私自身も、しばしば記者会見をいたします。そういう際に、ユーモアを交えることもありますし、冗談を申すこともありますし、あるいはとんでもない方向の話をすることもあります。しかし、そのあとで一つの作文になってみると、本来の本旨でないような表現にまとまることもしばしばございます。  そこで私は、西村君にいろいろな話をしたわけです。とにかく大臣、そういう立場において放言もよろしいが、どうも厳重に、慎重に発言をしないと、意外な影響を国民に与えるのだ、これは大事なことです。これは国務大臣なんだ、こういうことで叱責をしたわけでございます。ただいま言われるような内閣不統一の状態ではございません。もしも私のこの注意を西村君が聞かないなら、それこそ言われるとおり内閣不統一、こういうことになりますけれども、そうじゃないのです。自分も考えがそこまで足らなかったということで、これは十分戒心するということでございますから、この点では、いわゆる不統一ということばは当たらない、さように御了承いただきたいと思います。
  111. 東中光雄

    ○東中委員 これは表現の問題ではないわけです。先ほども指摘されましたように、思想の内容が問題になっているわけです。明らかに表現のしかたは、冗談というような形をとったり、いろいろな卑俗な例をとったりしているかもしれません。その中で出ておる思想がいま問題になっているのです。表現がまずかったからもう少しうまく言ったらいいのだ、気をつけて言えばいいのだというような問題ではなくて、内容はこういうことだから、これが問題になっているわけであります。  時間がありませんから西村長官にお聞きしたいのですが、これだけ問題になっているのです。責任をとっておやめになる、みずから責任をとってその進退を明らかにされる、こういう意思はおありかどうか、最後にお聞きしておきたい。
  112. 西村直己

    西村(直)国務大臣 けさからしばしば申し上げますように、私の発言中心になりましてたいへんな御迷惑なり疑惑なりあるいは御批判なりが出ていることは、十分私は承っておりまして——ただ事柄が記者会見あと雑談でございます。しかしそれにしましても、たいへんな問題がそういうふうに論議されるということ自体は私の不明であるということは、重々おわびを申し上げる次第であります。
  113. 堀昌雄

    堀委員 いま総理は、謙虚にわれわれの話を聞くと、こうおっしゃいましたね。いま西村防衛庁長官は、規律を厳守する、朝霞の問題について規律を厳守する——自分の発言に責任を持てない者が、一体人にそれを求める権利がありますか。これはきわめて重大な問題であります。  さらにもう一つは、いまるる述べられたようなものの考え方は、そんなにすぐ切りかえるわけにはいかない問題であります。われわれはいま各党こぞって、野党四党が、西村長官の責任を明らかにすることを求めておるわけでありますし、当委員会には、きわめて問題があるという公用地の暫定使用に関する法案を長官が提案をしておるわけであります。このような自分の発言に責任を持てないような無責任な長官のもとで審議を継続するわけにはわれわれ野党はまいらない、こう考えるわけであります。委員長の善処を要望いたします。
  114. 床次徳二

    床次委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  115. 床次徳二

    床次委員長 速記を始めて。  ただいま堀君から委員長に対して御要請がありましたが、この問題につきましては、理事会におきまして善処いたしたいと存じます。
  116. 堀昌雄

    堀委員 一応発言を終わります。
  117. 床次徳二

    床次委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————    衆議員沖繩派遣議員団報告書  衆議院沖繩派遣議員団派遣概要を左記のとおり報告いたします。   昭和四十六年十二月       衆議院沖繩派遣議員団団長           衆議院議員 床次 徳二    衆議院議長 船田  中殿    目 次 第一 派遣議員団の構成 第二 派遣目的 第三 派遣日程 第四 意見陳述者及びその意見要旨  1 第一班(沖繩本島)  2 第二班(先島諸島)    第一 派遣議員団の構成        団長 衆議院議員 床次 徳二           衆議院議員 金丸  信           衆議院議員 國場 幸昌           衆議院議員 二階堂 進           衆議院議員 湊  徹郎           衆議院議員 毛利 松平           衆議院議員 久保 三郎           衆議院議員 細谷 治嘉           衆議院議員 中川 嘉美           衆議院議員 門司  亮           衆議院議員 天野 光晴           衆議院議員 池田 清志           衆議院議員 石井  一           衆議院議員 宇田 國榮           衆議院議員 小渕 恵三           衆議院議員 大石 八治           衆議院議員 大野  明           衆議院議員 大村 襄治           衆議院議員 木野 晴夫           衆議院議員 佐藤 文生           衆議院議員 佐藤 守良           衆議院議員 田中伊三次           衆議院議員 田中 龍夫           衆議院議員 谷川 和穗           衆議院議員 西銘 順治           衆議院議員 藤波 孝生          衆議院議員 三ツ林弥太郎           衆議院議員 箕輪  登           衆議院議員 武藤 嘉文           衆議院議員 村田敬次郎           衆議院議員 森  喜朗           衆議院議員 山下 徳夫           衆議院議員 豊  永光           衆議院議員 井上 普方           衆議院議員 石川 次夫           衆議院議員 川俣健二郎           衆議院議員 木島喜兵衞           衆議院議員 武部  文           衆議院議員 美濃 政市           衆議院議員 山口 鶴男           衆議院議員 伊藤惣助丸           衆議院議員 桑名 義治           衆議院議員 斎藤  実           衆議院議員 二見 伸明           衆議院議員 小平  忠           衆議院議員 田畑 金光           衆議院議員 東中 光雄           衆議院議員 米原  昶    第二 派遣目的  沖繩復帰に伴う関係国内法案について現地沖繩各界代表者から意見聴取のため    第三 派遣日程 十二月一日(水)   時  分   七・三〇 東京国際空港発  一〇・一〇 那覇空港着  (沖繩本島班)  一一・〇〇 各界代表から意見聴取(立法院)  (先島諸島班)  一一・〇〇 那覇空港発  一二・〇五 宮古空港着  一三・三〇 各界代表から意見聴取(平良市役所) 十二月二日(木)  (沖繩本島班)  一〇・〇〇 各界代表から意見聴取(立法院)  (先島諸島班)   九・〇〇 各界代表から意見聴取(平良市役所)  一四・〇五 宮古空港発  一四・五五 那覇空港着  (両班合同)  一六・〇〇 那覇空港発  一八・二〇 東京国際空港着    第四 意見陳述者及びその意見要旨    1 第一班(沖繩本島)  意見陳述者及びその意見の要旨は次のとおりである。 一 琉球政府立法院議員 桑江朝幸君  (一) 沖繩県民が一日も早く祖国に帰りたいという心情に水をさすようなことがあってはならない。返還協定をやり直せという論議は、基地の状態も、経済の状態も、米軍の治外法権も、現状のまま辛抱してよいということになる。  (二) 反戦平和、即軍事基地撤廃の単純な議論には疑問を抱く。基地経済にかわる県民の生活手段を具体的に講じないままに、基地経済から脱却をはかれというのは、県民の生活手段を奪うに等しい。    沖繩返還の後、基地の整理、縮小と、それにかわる産業の振興は国の施策として実現されることと信じている。  (三) 新生沖繩県の出発にあたって、国会、官界において沖繩の声がかき消されることのないよう特別に配慮してほしい。  (四) 大阪・鹿児島と沖繩との間に、国の全額負担によって、定期快速船を就船させてほしい。 二、沖繩県祖国復帰協議会会長 桃原用行君  (一) 悲惨な戦争体験から我々は、一切の軍事基地を撤去し、平和憲法の下に帰るために返還運動を行なってきたが、返還協定は米軍基地を認め、自衛隊を配備するなど沖繩に再び玉砕を求めるものであり、協定のやり直しを要求する。  (二) 沖繩の経済的な建て直しのための公共投融資等十分な措置は、自治権を尊重した形でとるべきである。  (三) 基地労働者、基地業者は、米軍に土地を取り上げられた犠牲者であるから、特段の措置がなされなければならない。また、たばこ産業の労働者と農民、製塩業者についても理解を深めてもらいたい。  (四) 円の平価の切り上げが行なわれた場合、通貨の切換えに際し沖繩はどうなるのか疑問が残る。がまんをしろというのでは県民の生活設計は根底からくつがえされる立場にあることを理解願いたい。 三、元琉球政府行政副主席・元琉球大学教授 赤嶺義信君  (一) 返還協定は、核抜き本土並み、七二年返還が一応貫かれたものとして評価する。  (二) 復帰関連七法案は大本において適当かつ妥当のものであり、すみやかに可決されるよう訴える。  (三) 振興法案は、沖繩公庫法案、開発庁法案と相俟って、振興開発について国の特段の措置を規定し、住民生活及び住民福祉の向上を意図したものであることは明らかであるが、振興計画の策定実施にあたっては、県民意思を最大限に尊重する等の配慮を要望する。  (四) 特別措置法案は、沖繩への考慮がかなり親切、細心に払われており、同法案の審議成立を望む。  (五) 公用地等暫定使用法案については、返還協定の実施及び民生経済の面から見てやむを得ないと思われるが、地主との契約をたてまえとし、また暫定期間はなるべく短期間とし、さらに正当な損失補償、基地の再編、整理統合が行なわれるべきことはいうまでもない。 四、沖繩経営者協議会専務理事 新里次男君  (一) 返還協定は国民主権を沖繩県民に回復させることに本質があり、基地の問題等返還に伴う条件は、復帰を実現した後、全国民的な論議の中で審議していくべきであるという理解に立ち、返還協定には賛成である。  (二) 復帰関連法案については、ショックや摩擦を防いで、すみやかに国内の法律体制や社会制度の中へ組み入れようとするものであり賛意を表する。経済の開発にあたっては、かつての本土府県の失敗を繰り返すことのないよう理想的な経済開発を進めたい。  (三) 公用地等暫定使用法案については、国家主権を防衛する立場から一日も空白があってはならない等の理由により認めざるを得ない。  (四) 海洋万博をぜひ実現するとともに那覇空港を国際空港として位置づけてもらいたい。 五、沖繩人権協会事務局長 金城 睦君  (一) 米軍によるさまざまな人権侵害がほとんど補償されることなく放置されているか、補償されても、全く不十分なのが実態である。国内措置として補償することもなくこれらの請求権が放棄されたことに抗議する。  (二) 現実の裁判のやり方も、法論理的にも、憲法上の裁判ということには絶対になり得ないし、沖繩の裁判を日本がそのまま承継するということは日本の主権の名において許されない。少なくとも刑事事件については、奄美方式によるべきである。  (三) 公用地等暫定使用法案は、使用期間が五年という長い期間であること、土地収用法で許されないことを公用地という名目でやろうとしていることなど、沖繩を差別するものであり憲法違反である。  (四) 尖閣列島その他沖繩周辺陸海域の地下資源の開発は沖繩の主体性、沖繩の利益をそこなうことがないよう処置されたい。 六、那覇市議会議員 金城重正君  (一) 祖国は、二十六年間異民族支配のもとで呻吟してきた百万同胞にこたえるため、沖繩県民に復帰してよかったという安堵感を与えてほしい。  (二) 返還協定は、日米双方の理解と信頼の結晶である。  (三) 復帰関連法案は、県民にとって少々の不満の点はあるかもしれないが、すみやかに成立を見て、本土の体制の中に沖繩が入ることによって、花も実もある沖繩県の指針が得られるものと信じている。  (四) 琉球政府も那覇市も財政的貧困のため、住宅、道路、港湾、都市計画が遅滞しているが、開発庁法案、振興法案が日の目を見ることにより、新生沖繩県発展のため万全の体制ができるものと信じている。 七、那覇市役所復帰対策室長 赤嶺幸信君  (一) 平和で豊かな住民福祉のための平和憲法のもとに、一日も早く復帰できることを願っていたが、返還協定の審議にあたっては、県民不在の結論が出されていると解釈せざるを得ない。  (二) 公用地等暫定使用法案は、財産権の不可侵を規定した憲法第二九条に抵触するものであり、米軍基地の存続を正当化し、自衛隊の配備を容易ならしめるものである。本土にくらべ、膨大な米軍基地の存在により、県民の生活は圧迫され、人権は無視されてきたが、軍事基地の維持強化を目的とした本法案には反対の意を表せざるを得ない。  (三) 自衛隊の配備については、沖繩県民は、悲惨な戦争の経験から、生きる本能として自衛隊を軍隊であると考えており、これを実現させてはならない。  (四) 沖繩の道路は、用地の取得がなされないまま道路として使用されているものが相当あるので、この問題は、復帰と同時に解決されなければならない。 八、沖繩同盟副書記長 当山方宏君  (一) 佐藤訪米反対、返還交渉粉砕、また核抜き返還等多くの主張のある中で、交渉なきところに返還はあり得ず、また沖繩返還に際しては、核を否定し、基地の自由使用の排除と本土並み基地縮小を主張してきたが、このたびの返還協定は非核三原則をなしくずし、VOAなどを認めるものなので、支持することはできない。  (二) 自衛隊の配備については、日本をとりまく国際情勢は、六千八百名という規模の自衛隊の配備を必要としないし、また、第二次大戦における残酷な戦争体験、さらに戦後四半世紀に及ぶ異民族支配の中で、基地があるための人権問題の苦しみの体験から反対するものである。  (三) 通貨の切り換えは、住民生活の安定のためにも、一ドル三百六十円のレートで早期に実施せられたい。  (四) 労働問題、社会保障問題等については、建議書を参考にしてほしい。 九、沖繩市町村軍用地地主会連合会副会長 赤嶺慎英君  (一) 沖繩の軍用地が引き続き米軍の使用に供されるならば、日本政府は、個々の地主と新たな賃貸借契約を締結すべきである。  (二) 現行の軍用地料は、平均の単価が十六セントという安い軍用地料であったため、莫大な損失を強要されてきた。  (三) 地主会連合会の試算によると、沖繩の軍用地料の要求額は二三一億円になる。この要求額であれば、連合会長と日本政府の間で地料の折衝を進めてもよいという権限を与えられている(一村を除き)ので、要求額が認められれば、契約してもいいということに通ずる解釈も成り立つ。もちろん契約の段階からは地主個人の権利である。  (四) 収用された土地、地主の居所不明の土地、非細分土地等の問題については、十分研究の上、国会の審議にわれわれの要求を反映してもらいたい。軍用地地主が堂々と権利を回復して濶歩できるような法律をつくっていただきたい。 十、沖繩県労働組合協議会議長 仲吉良新君  (一) 返還協定については、復帰の主人公である沖繩県民の気持ち政府が体して、協定の内容をつくりあげたとは思わない。  (二) 沖繩の現在の民主的諸権利、制度は、米軍が与えてくれたものでなく、二十六年間の戦いの中から確立したものであるが、復帰の名のもとにこれがなくなっていこうとしている。法案については県民の声に耳を傾け、県民の声にそって修正してほしい。  (三) 教育委員の公選制は定着しており、任命制にすることは反対である。  (四) 地方公務員法の適用は労働基本権を守る立場から反対である。  (五) 軍労働者が、本土並みにならないで、権利の制限を受けることのないよう配慮してほしい。  (六) 公務員労働者の現号俸を保障し、民間労働者を含めて年休の買上げ制度を残してほしい。  (七) たばこ企業、通関業の労働者の雇用について配慮するとともに、復帰に伴い失業者の発生が想定されているので、県民のためになる産業を開発するとともに、失業に対する特別措置法を制定してもらいたい。  (八) 開発庁法案で、総合事務局が沖繩に置かれるようになっているが、この業務を県にさせるよう修正してほしい。 十一、コザ市商工会議理事 福山利雄君  (一) 基地関係事業は昨年のコザ事件以来収入は大きく落ちこみ、ほとんどの業者が安定した事業に転業したいという意欲を持っているが、沖繩の経済開発が具体化されていないので、転業の方途が見つからない。コザ地区の経済の混乱は、国家行政がいまの沖繩にないことによるものであり、このような国家行政の不在は一日も早く埋めなければならない。そのためにも一日も早く復帰を実現してほしい。  (二) 自衛隊の沖繩移駐は公共の福祉を守るために当然である。  (三) 新全総の中で沖繩が独立のブロックとして取り扱われ、重点的な開発を受けるという復帰対策要綱の決定を歓迎するとともに、そのような構想を推進する沖繩開発庁、沖繩振興開発金融公庫の設置を歓迎する。  (四) 復帰が七二年四月一日に実現し、長期開発計画が早急に策定され、基盤整備が行なわれることを念願する。そのためには、関係七法案を承認し、返還協定の批准の交換の一日も早からんよう努力ありたい。 十二、豊見城村村長 又吉一郎君  (一) 本土の沖繩化をはかり、安保条約を実質的に変更し、日本の軍国主義を進めようとする返還協定を認めることはできない。  (二) 公用地等暫定使用法案は、憲法に違反し、私有財産権を侵す土地強制収用法案である。  (三) 地域開発計画の策定にあたっては、県民が主体的に参加できる保障がなければならないが、振興法案においては、県民主体の開発計画にはほど遠いものである。  (四) 沖繩公庫法案については、公庫の資本金に対する国の支出の積極的規定がなく、しかも、役員は、主務大臣が任命することになっており、沖繩経済に対する中央の支配を強めるための機関でしかない。  (五) 沖繩の開発には、基地も核もない環境で平和産業が伸展しなければならず、そのために、五年間に三十億ドル必要であり、国庫支出が保障されるよう協力願いたい。  以上の意見意見陳述者から聴取した後、派遣議員から意見陳述者に対し意見に関して質疑が行なわれたほか、憲法第九五条の適用、琉球政府建議書の裁判の効力に関する事項と琉球政府沖繩復帰対策要綱要請書との関係沖繩振興開発審議会の構成、地籍調査、軍用地の開放と地域開発、たばこ耕作、通貨切り換えと物価問題、通貨切り換えと賃金問題、医介輔・歯科医介輔、道路の通行区分、生活必需物資価格安定資金、核抜きの確認方法、CIA基地等について質疑が行なわれた。    2 第二班(先島諸島)  意見陳述者及びその意見の要旨は次のとおりである。 一、宮古商工会議理事 平良恒四郎君  (一) 復帰関連法案(次(二)の二法案を除く。)の早期成立によって、豊かな沖繩県づくり、更に先島の振興に取り組んでほしい。  (二) 公用地暫定使用法案及び防衛庁特別措置法案の成立なくして、復帰の実現はあり得ないと確信するので、これらは万やむを得ない措置である。  (三) 返還協定の不備、不満な点は、一日も早い復帰を実現してこそ逐次是正していけると確信する。また、将来、基地の縮小に政府の努力を要望する。  (四) 自衛隊の配備は、自分の国は自分で守るという立場、更に災害救援の観点から当然である。  (五) 防衛庁特別措置法案は、基地周辺の整備など県民福祉の向上を図る立場から、その成立を希望する。 二、沖繩県祖国復帰協議会宮古支部長 池村正義君  (一) 日米共同声明路線による返還協定のやり直しを求める。  (二) 米軍基地の存続、自衛隊の配備を行なおうとする公用地暫定使用法案には反対である。  (三) せっかく育ってきた沖繩の教育委員の公選制を任命制に切り替えることは反対である。  (四) 経済開発に関して地方自治権を侵害せず、平和産業の開発を支柱とする開発法案を制定されたい。  (五) 復帰にあたって、俸給額が(変動相場制移行後の)ドル換算率によって減俸されることのないよう要求する。  (六) 戦時中、強制疎開者が帰国途上遭難した”さかえ丸事件”等の補償問題を解決されたい。 三、上野村村長 下地一弘君  (一) 返還協定の衆議院における可決を歓迎する。  (二) 軍用地地主及び基地雇用員の生活を無視する基地の即時全面撤去論には賛成できない。  (三) 核抜きについては、日米相互の信頼の上に立った返還協定を信ずる。  (四) 特に沖繩においては、災害救助の観点から、他府県並みに自衛隊の配備は必要である。  (五) 基地の完全撤去など要求が完全にいれられなければ、復帰が遅れてもよいとの意見には反対である。  (六) 一日も早く復帰して、干ばつ対策の充実を図るとともに、公共投資の増大による所得格差の解消、先島、宮古の振興を図られたい。  (七) 軍用地の地料六・八倍の要求が了解されれば、(その継続使用について)合意に達したと見るべきであり、更に、地主には反対者はいないとも聞いている。 四、平良市教育委員長 下地 博君  (一) 返還協定可決の報に、県民多数が本土復帰ができるという安心と喜びを持ったと確信する。  (二) 二十六年間、米国の施政権下にあったことに伴う教育、社会福祉等の格差解消、商工業対策、災害対策の充実、ドル・ショックによる県民生活の不安の解消の問題は、早期復帰によってのみ早く解決できる。  (三) 振興法案、開発庁法案及び沖繩公庫法案は、沖繩が長い間待ち焦がれていた適切な法案であり、全面的にその成立を願いたい。  (四) 特別措置法案は、教育委員について任期満了までその職にあるものとみなすよう修正すべきである。 五、前石垣市助役 牧野 清君  (一) 明治五年の”分島問題”にみられるように、国際間の話合いは国際情勢によって変り易いものであるから、付属の諸法案も含めて、一日も早く返還協定を批准するに必要な手続を急ぐべきである。  (二) 復帰関連法案については、大綱として妥当な線である。  (三) 選挙の余波が教育の場に影響する教育委員の公選制を、復帰後は本土並みに任命制とすることに賛成である。  (四) 教育施設の整備拡充をお願いしたい。  (五) 自衛隊の配備は、先島が日本の最南端であること、災害救援の面、また、基地経済の肩代りという面から必要である。  (六) 台風、干ばつに対する災害対策について、特別の法的措置を講じられたい。  (七) 社会、厚生面について、戦時中、台湾へ疎開中、遭難した者に対する配慮をされたい。 六、平良市議会議員 垣花恵栄君  (一) 返還協定の強行採決は、遺憾である。  (二) 公用地等暫定使用法案には違憲性があるので、反対である。  (三) 沖繩振興審議会の構成は、地方自治の侵害になるおそれがあるので、適当な構成にせよ。 七、沖繩教職員組合八重山支部書記長 前津 武君  (一) 返還協定は、前文の性格から見て反対である。  (二) 憲法制定の原点に立ち、自衛隊の配備には反対である。  (三) パイロット訓練飛行場は軍事基地化するおそれがある。  (四) 米資産の有償引継ぎは、施政権の買い取りであるので反対である。  (五) VOAについて立法院の決議、電波法から見て即時撤去させよ。  (六) 教育委員会の公選制は、教育の独立を守るための最良の制度であるから、存続させよ。  (七) 公務員の身分を完全に保障されたい。  (八) 農業基盤の整備、長期低利の営農資金等の制度等を講じられたい。 八、建設業 西里松太郎君  (一) 復帰促進の観点から返還協定の議決に賛成する。  (二) 復帰関連法案については、大綱について賛成である。  (三) 沖繩の産業開発計画は、気象的、地理的実情に即して立てられたい。  (四) 先島の糖業、パイン、畜産、水産の振興開発を図られたい。  (五) 海洋博の分会場を先島に設けられたい。  (六) 地元業者にできる工事は地元建設業者に優先的に指名入札させられたい。 九、宮古地区労働組合協議会議長 奥平玄孝君  (一) 世界平和を願望し、一切の軍事基地を否定する。  (二) 職務に専念できるよう公務員労働者の完全な身分保障を早急に講じられたい。  (三) 労働条件については既得権を認められたい。  (四) 地公法、教公二法等の沖繩への適用については、県民の意思を十分に反映されるよう慎重な配慮を望む。 十、宮古原水協理事長 花城恵喜君  (一) 返還協定の採決は認められない。  (二) 公用地等暫定使用法案は、米軍の強制接収を合法化し、自衛隊を配備し、地域開発の障害となるものであるから反対である。  (三) 開発三法案は、資本家に奉仕するものであり、自然破壊を生じ、知事権限の縮小、県の特別会計の吸い上げを図るものであり、反対である。  (四) 対米請求権の放棄は、米軍人軍属の犯罪肯定につながり差別的である。また、見舞金という形で補償することは問題である。  (五) 米の文化センターの買い取りは血税の浪費である。  (六) 教育委員会の公選制は全国に広める価値がある。  (七) 一ドル三百六十円の交換レートを維持されたい。  (八) 公務員の既得権を認められたい。  (九) 先島の干ばつに対し、かんがい施設の完備を早期に実現されたい。  以上の意見意見陳述者から聴取した後、派遣議員から陳述者に対し、意見に関して質疑が行なわれたほかサンフランシスコ平和条約第三条に対する評価、開発庁設置と自治権の尊重、政府の円・ドル交換措置に関する決定、生活必需物資価格安定資金等ドルショック対策の効果、基地経済からの脱却による経済開発、離島における生活・所得水準の本土並み向上策、過疎化防止策、製糖会社に対する救済措置、先島における害虫の防除策、西表の開発と自然保護、本土資本の土地買占めの現状、外資企業の権益保護、教育水準の現状、医療保険制度等について質疑が行なわれた。 (注) 右の意見の陳述中  特別措置法案とは沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案内閣提出第一号)、改廃法案とは沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案内閣提出第二号)、振興法案とは沖繩振興開発特別措置法案内閣提出第三号)、沖繩公庫法案とは沖繩振興開発金融公庫法案(内閣提出第四号)、開発庁法案とは沖繩開発庁設置法案(内閣提出第五号)、公用地等暫定使用法案とは沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案内閣提出第六号)、防衛庁特別措置法案とは沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措置等に関する法律案内閣提出第七号)、返還協定とは琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)をいう。     —————————————   〔沖繩派遣議員団の現地における意見聴取に関する記録は附録(その一)に掲載〕