○
床次委員長 本
会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時十一分休憩
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〔休憩後は
会議を開くに至らなかった〕
————◇—
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衆議員
沖繩派遣議員団報告書
衆議院
沖繩派遣議員団の
派遣概要を左記のとおり
報告いたします。
昭和四十六年十二月
衆議院
沖繩派遣議員団団長
衆議院議員
床次 徳二
衆議院
議長 船田 中殿
目 次
第一
派遣議員団の構成
第二
派遣の
目的
第三
派遣日程
第四
意見陳述者及びその
意見要旨
1 第一班(
沖繩本島)
2 第二班(先島諸島)
第一
派遣議員団の構成
団長 衆議院議員
床次 徳二
衆議院議員 金丸 信
衆議院議員
國場 幸昌
衆議院議員 二階堂 進
衆議院議員 湊 徹郎
衆議院議員 毛利 松平
衆議院議員
久保 三郎
衆議院議員
細谷 治嘉
衆議院議員 中川 嘉美
衆議院議員 門司 亮
衆議院議員 天野 光晴
衆議院議員 池田 清志
衆議院議員 石井 一
衆議院議員 宇田
國榮
衆議院議員 小渕 恵三
衆議院議員 大石 八治
衆議院議員 大野 明
衆議院議員 大村
襄治
衆議院議員 木野 晴夫
衆議院議員
佐藤 文生
衆議院議員
佐藤 守良
衆議院議員
田中伊三次
衆議院議員
田中 龍夫
衆議院議員 谷川
和穗
衆議院議員 西銘 順治
衆議院議員 藤波 孝生
衆議院議員
三ツ林弥太郎
衆議院議員 箕輪 登
衆議院議員 武藤 嘉文
衆議院議員
村田敬次郎
衆議院議員 森 喜朗
衆議院議員 山下 徳夫
衆議院議員 豊 永光
衆議院議員 井上 普方
衆議院議員
石川 次夫
衆議院議員
川俣健二郎
衆議院議員
木島喜兵衞
衆議院議員
武部 文
衆議院議員 美濃 政市
衆議院議員 山口 鶴男
衆議院議員
伊藤惣助丸
衆議院議員 桑名 義治
衆議院議員 斎藤 実
衆議院議員 二見 伸明
衆議院議員 小平 忠
衆議院議員 田畑 金光
衆議院議員 東中 光雄
衆議院議員 米原 昶
第二
派遣の
目的
沖繩復帰に伴う
関係国内法案について
現地沖繩各界代表者から
意見聴取のため
第三
派遣日程
十二月一日(水)
時 分
七・三〇 東京国際空港発
一〇・一〇 那覇空港着
(
沖繩本島班)
一一・〇〇 各界代表から
意見聴取(立法院)
(先島諸島班)
一一・〇〇 那覇空港発
一二・〇五 宮古空港着
一三・三〇 各界代表から
意見聴取(平良市役所)
十二月二日(木)
(
沖繩本島班)
一〇・〇〇 各界代表から
意見聴取(立法院)
(先島諸島班)
九・〇〇 各界代表から
意見聴取(平良市役所)
一四・〇五 宮古空港発
一四・五五 那覇空港着
(両班合同)
一六・〇〇 那覇空港発
一八・二〇 東京国際空港着
第四
意見陳述者及びその
意見要旨
1 第一班(
沖繩本島)
意見陳述者及びその
意見の要旨は次のとおりである。
一 琉球
政府立法院議員 桑江朝幸君
(一)
沖繩県民が一日も早く祖国に帰りたいという心情に水をさすようなことがあってはならない。返還協定をやり直せという論議は、基地の状態も、経済の状態も、米軍の治外法権も、現状のまま辛抱してよいということになる。
(二) 反戦平和、即軍事基地撤廃の単純な議論には疑問を抱く。基地経済にかわる県民の生活手段を具体的に講じないままに、基地経済から脱却をはかれというのは、県民の生活手段を奪うに等しい。
沖繩返還の後、基地の整理、縮小と、それにかわる産業の振興は国の施策として実現されることと信じている。
(三) 新生
沖繩県の出発にあたって、
国会、官界において
沖繩の声がかき消されることのないよう
特別に配慮してほしい。
(四) 大阪・鹿児島と
沖繩との間に、国の全額負担によって、定期快速船を就船させてほしい。
二、
沖繩県祖国
復帰協議会会長 桃原用行君
(一) 悲惨な戦争体験から我々は、一切の軍事基地を撤去し、平和憲法の下に帰るために返還運動を行なってきたが、返還協定は米軍基地を認め、自衛隊を配備するなど
沖繩に再び玉砕を求めるものであり、協定のやり直しを要求する。
(二)
沖繩の経済的な建て直しのための公共投融資等十分な措置は、自治権を尊重した形でとるべきである。
(三) 基地労働者、基地業者は、米軍に土地を取り上げられた犠牲者であるから、特段の措置がなされなければならない。また、たばこ産業の労働者と農民、製塩業者についても理解を深めてもらいたい。
(四) 円の平価の切り上げが行なわれた場合、通貨の切換えに際し
沖繩はどうなるのか疑問が残る。がまんをしろというのでは県民の生活設計は根底からくつがえされる立場にあることを理解願いたい。
三、元琉球
政府行政副主席・元琉球大学教授 赤嶺義信君
(一) 返還協定は、核抜き本土並み、七二年返還が一応貫かれたものとして評価する。
(二)
復帰関連七法案は大本において適当かつ妥当のものであり、すみやかに可決されるよう訴える。
(三) 振興法案は、
沖繩公庫法案、開発庁法案と相俟って、振興開発について国の特段の措置を
規定し、住民生活及び住民福祉の向上を意図したものであることは明らかであるが、振興計画の策定実施にあたっては、県民意思を最大限に尊重する等の配慮を要望する。
(四)
特別措置法案は、
沖繩への考慮がかなり親切、細心に払われており、同法案の審議成立を望む。
(五)
公用地等暫定使用法案については、返還協定の実施及び民生経済の面から見てやむを得ないと思われるが、地主との契約をたてまえとし、また暫定期間はなるべく短期間とし、さらに正当な損失補償、基地の再編、整理統合が行なわれるべきことはいうまでもない。
四、
沖繩経営者協議会専務
理事 新里次男君
(一) 返還協定は国民主権を
沖繩県民に回復させることに本質があり、基地の問題等返還に伴う条件は、
復帰を実現した後、全国民的な論議の中で審議していくべきであるという理解に立ち、返還協定には賛成である。
(二)
復帰関連法案については、ショックや摩擦を防いで、すみやかに国内の法律体制や社会制度の中へ組み入れようとするものであり賛意を表する。経済の開発にあたっては、かつての本土府県の失敗を繰り返すことのないよう理想的な経済開発を進めたい。
(三)
公用地等暫定使用法案については、国家主権を防衛する立場から一日も空白があってはならない等の
理由により認めざるを得ない。
(四) 海洋万博をぜひ実現するとともに那覇空港を国際空港として位置づけてもらいたい。
五、
沖繩人権協会事務局長 金城 睦君
(一) 米軍によるさまざまな人権侵害がほとんど補償されることなく放置されているか、補償されても、全く不十分なのが実態である。国内措置として補償することもなくこれらの請求権が放棄されたことに抗議する。
(二) 現実の裁判のやり方も、法論理的にも、憲法上の裁判ということには絶対になり得ないし、
沖繩の裁判を
日本がそのまま承継するということは
日本の主権の名において許されない。少なくとも刑事事件については、奄美方式によるべきである。
(三)
公用地等暫定使用法案は、使用期間が五年という長い期間であること、土地収用法で許されないことを公用地という名目でやろうとしていることなど、
沖繩を差別するものであり憲法違反である。
(四) 尖閣列島その他
沖繩周辺陸海域の地下資源の開発は
沖繩の主体性、
沖繩の利益をそこなうことがないよう処置されたい。
六、那覇市議
会議員 金城重正君
(一) 祖国は、二十六年間異民族支配のもとで呻吟してきた百万同胞にこたえるため、
沖繩県民に
復帰してよかったという安堵感を与えてほしい。
(二) 返還協定は、日米双方の理解と信頼の結晶である。
(三)
復帰関連法案は、県民にとって少々の不満の点はあるかもしれないが、すみやかに成立を見て、本土の体制の中に
沖繩が入ることによって、花も実もある
沖繩県の指針が得られるものと信じている。
(四) 琉球
政府も那覇市も財政的貧困のため、住宅、道路、港湾、都市計画が遅滞しているが、開発庁法案、振興法案が日の目を見ることにより、新生
沖繩県発展のため万全の体制ができるものと信じている。
七、那覇市役所
復帰対策室長 赤嶺幸信君
(一) 平和で豊かな住民福祉のための平和憲法のもとに、一日も早く
復帰できることを願っていたが、返還協定の審議にあたっては、県民不在の結論が出されていると解釈せざるを得ない。
(二)
公用地等暫定使用法案は、財産権の不可侵を
規定した憲法第二九条に抵触するものであり、米軍基地の存続を正当化し、自衛隊の配備を容易ならしめるものである。本土にくらべ、膨大な米軍基地の存在により、県民の生活は圧迫され、人権は無視されてきたが、軍事基地の維持強化を
目的とした本法案には反対の意を表せざるを得ない。
(三) 自衛隊の配備については、
沖繩県民は、悲惨な戦争の経験から、生きる本能として自衛隊を軍隊であると考えており、これを実現させてはならない。
(四)
沖繩の道路は、用地の取得がなされないまま道路として使用されているものが相当あるので、この問題は、
復帰と同時に解決されなければならない。
八、
沖繩同盟副書記長 当山方宏君
(一)
佐藤訪米反対、返還交渉粉砕、また核抜き返還等多くの主張のある中で、交渉なきところに返還はあり得ず、また
沖繩返還に際しては、核を否定し、基地の自由使用の排除と本土並み基地縮小を主張してきたが、このたびの返還協定は非核三原則をなしくずし、VOAなどを認めるものなので、支持することはできない。
(二) 自衛隊の配備については、
日本をとりまく国際情勢は、六千八百名という規模の自衛隊の配備を必要としないし、また、第二次大戦における残酷な戦争体験、さらに戦後四半世紀に及ぶ異民族支配の中で、基地があるための人権問題の苦しみの体験から反対するものである。
(三) 通貨の切り換えは、住民生活の安定のためにも、一ドル三百六十円のレートで早期に実施せられたい。
(四) 労働問題、社会保障問題等については、建議書を参考にしてほしい。
九、
沖繩市町村軍用地地主会連合会副会長 赤嶺慎英君
(一)
沖繩の軍用地が引き続き米軍の使用に供されるならば、
日本政府は、個々の地主と新たな賃貸借契約を締結すべきである。
(二) 現行の軍用地料は、平均の単価が十六セントという安い軍用地料であったため、莫大な損失を強要されてきた。
(三) 地主会連合会の試算によると、
沖繩の軍用地料の要求額は二三一億円になる。この要求額であれば、連合会長と
日本政府の間で地料の折衝を進めてもよいという権限を与えられている(一村を除き)ので、要求額が認められれば、契約してもいいということに通ずる解釈も成り立つ。もちろん契約の段階からは地主個人の権利である。
(四) 収用された土地、地主の居所不明の土地、非細分土地等の問題については、十分研究の上、
国会の審議にわれわれの要求を反映してもらいたい。軍用地地主が堂々と権利を回復して濶歩できるような法律をつくっていただきたい。
十、
沖繩県労働組合協議
会議長 仲吉良新君
(一) 返還協定については、
復帰の主人公である
沖繩県民の
気持ちを
政府が体して、協定の
内容をつくりあげたとは思わない。
(二)
沖繩の現在の民主的諸権利、制度は、米軍が与えてくれたものでなく、二十六年間の戦いの中から確立したものであるが、
復帰の名のもとにこれがなくなっていこうとしている。法案については県民の声に耳を傾け、県民の声にそって修正してほしい。
(三) 教育
委員の公選制は定着しており、任命制にすることは反対である。
(四)
地方公務員法の適用は労働基本権を守る立場から反対である。
(五) 軍労働者が、本土並みにならないで、権利の制限を受けることのないよう配慮してほしい。
(六) 公務員労働者の現号俸を保障し、民間労働者を含めて年休の買上げ制度を残してほしい。
(七) たばこ企業、通関業の労働者の
雇用について配慮するとともに、
復帰に伴い失業者の発生が想定されているので、県民のためになる産業を開発するとともに、失業に対する
特別措置法を制定してもらいたい。
(八) 開発庁法案で、総合事務局が
沖繩に置かれるようになっているが、この業務を県にさせるよう修正してほしい。
十一、コザ市商工
会議所
理事 福山利雄君
(一) 基地
関係事業は昨年のコザ事件以来収入は大きく落ちこみ、ほとんどの業者が安定した事業に転業したいという意欲を持っているが、
沖繩の経済開発が具体化されていないので、転業の方途が見つからない。コザ地区の経済の混乱は、国家行政がいまの
沖繩にないことによるものであり、このような国家行政の不在は一日も早く埋めなければならない。そのためにも一日も早く
復帰を実現してほしい。
(二) 自衛隊の
沖繩移駐は公共の福祉を守るために当然である。
(三) 新全総の中で
沖繩が独立のブロックとして取り扱われ、重点的な開発を受けるという
復帰対策要綱の決定を歓迎するとともに、そのような構想を推進する
沖繩開発庁、
沖繩振興開発金融公庫の設置を歓迎する。
(四)
復帰が七二年四月一日に実現し、長期開発計画が早急に策定され、基盤整備が行なわれることを念願する。そのためには、
関係七法案を
承認し、返還協定の批准の交換の一日も早からんよう努力ありたい。
十二、豊見城村村長 又吉一郎君
(一) 本土の
沖繩化をはかり、安保条約を実質的に変更し、
日本の軍国主義を進めようとする返還協定を認めることはできない。
(二)
公用地等暫定使用法案は、憲法に違反し、私有財産権を侵す土地強制収用法案である。
(三) 地域開発計画の策定にあたっては、県民が主体的に参加できる保障がなければならないが、振興法案においては、県民主体の開発計画にはほど遠いものである。
(四)
沖繩公庫法案については、公庫の資本金に対する国の支出の積極的
規定がなく、しかも、役員は、主務大臣が任命することになっており、
沖繩経済に対する中央の支配を強めるための機関でしかない。
(五)
沖繩の開発には、基地も核もない環境で平和産業が伸展しなければならず、そのために、五年間に三十億ドル必要であり、国庫支出が保障されるよう協力願いたい。
以上の
意見を
意見陳述者から聴取した後、
派遣議員から
意見陳述者に対し
意見に関して質疑が行なわれたほか、憲法第九五条の適用、琉球
政府建議書の裁判の効力に関する事項と琉球
政府の
沖繩復帰対策要綱要請書との
関係、
沖繩振興開発審議会の構成、地籍
調査、軍用地の開放と地域開発、たばこ耕作、通貨切り換えと物価問題、通貨切り換えと賃金問題、医介輔・歯科医介輔、道路の通行区分、生活必需物資価格安定資金、核抜きの確認方法、CIA基地等について質疑が行なわれた。
2 第二班(先島諸島)
意見陳述者及びその
意見の要旨は次のとおりである。
一、宮古商工
会議所
理事 平良恒四郎君
(一)
復帰関連法案(次(二)の二法案を除く。)の早期成立によって、豊かな
沖繩県づくり、更に先島の振興に取り組んでほしい。
(二) 公用地
暫定使用法案及び
防衛庁特別措置法案の成立なくして、
復帰の実現はあり得ないと確信するので、これらは万やむを得ない措置である。
(三) 返還協定の不備、不満な点は、一日も早い
復帰を実現してこそ逐次是正していけると確信する。また、将来、基地の縮小に
政府の努力を要望する。
(四) 自衛隊の配備は、自分の国は自分で守るという立場、更に災害救援の観点から当然である。
(五)
防衛庁特別措置法案は、基地周辺の整備など県民福祉の向上を図る立場から、その成立を希望する。
二、
沖繩県祖国
復帰協議会宮古支部長 池村正義君
(一) 日米共同声明路線による返還協定のやり直しを求める。
(二) 米軍基地の存続、自衛隊の配備を行なおうとする公用地
暫定使用法案には反対である。
(三) せっかく育ってきた
沖繩の教育
委員の公選制を任命制に切り替えることは反対である。
(四) 経済開発に関して
地方自治権を侵害せず、平和産業の開発を支柱とする開発法案を制定されたい。
(五)
復帰にあたって、俸給額が(変動相場制移行後の)ドル換算率によって減俸されることのないよう要求する。
(六) 戦時中、強制疎開者が帰国途上遭難した”さかえ丸事件”等の補償問題を解決されたい。
三、上野村村長 下地一弘君
(一) 返還協定の衆議院における可決を歓迎する。
(二) 軍用地地主及び基地
雇用員の生活を無視する基地の即時全面撤去論には賛成できない。
(三) 核抜きについては、日米相互の信頼の上に立った返還協定を信ずる。
(四) 特に
沖繩においては、災害救助の観点から、他府県並みに自衛隊の配備は必要である。
(五) 基地の完全撤去など要求が完全にいれられなければ、
復帰が遅れてもよいとの
意見には反対である。
(六) 一日も早く
復帰して、干ばつ対策の充実を図るとともに、公共投資の増大による所得格差の解消、先島、宮古の振興を図られたい。
(七) 軍用地の地料六・八倍の要求が
了解されれば、(その継続使用について)合意に達したと見るべきであり、更に、地主には反対者はいないとも聞いている。
四、平良市教育
委員長 下地 博君
(一) 返還協定可決の報に、県民多数が本土
復帰ができるという安心と喜びを持ったと確信する。
(二) 二十六年間、米国の施政権下にあったことに伴う教育、社会福祉等の格差解消、商工業対策、災害対策の充実、ドル・ショックによる県民生活の不安の解消の問題は、早期
復帰によってのみ早く解決できる。
(三) 振興法案、開発庁法案及び
沖繩公庫法案は、
沖繩が長い間待ち焦がれていた適切な法案であり、全面的にその成立を願いたい。
(四)
特別措置法案は、教育
委員について任期満了までその職にあるものとみなすよう修正すべきである。
五、前石垣市助役 牧野 清君
(一) 明治五年の”分島問題”にみられるように、国際間の話合いは国際情勢によって変り易いものであるから、付属の諸法案も含めて、一日も早く返還協定を批准するに必要な手続を急ぐべきである。
(二)
復帰関連法案については、大綱として妥当な線である。
(三) 選挙の余波が教育の場に影響する教育
委員の公選制を、
復帰後は本土並みに任命制とすることに賛成である。
(四) 教育施設の整備拡充をお願いしたい。
(五) 自衛隊の配備は、先島が
日本の最南端であること、災害救援の面、また、基地経済の肩代りという面から必要である。
(六) 台風、干ばつに対する災害対策について、
特別の法的措置を講じられたい。
(七) 社会、厚生面について、戦時中、台湾へ疎開中、遭難した者に対する配慮をされたい。
六、平良市議
会議員 垣花恵栄君
(一) 返還協定の強行採決は、遺憾である。
(二)
公用地等暫定使用法案には違憲性があるので、反対である。
(三)
沖繩振興審議会の構成は、
地方自治の侵害になるおそれがあるので、適当な構成にせよ。
七、
沖繩教職員組合八重山支部書記長 前津 武君
(一) 返還協定は、前文の性格から見て反対である。
(二) 憲法制定の原点に立ち、自衛隊の配備には反対である。
(三) パイロット訓練飛行場は軍事基地化するおそれがある。
(四) 米資産の有償引継ぎは、施政権の買い取りであるので反対である。
(五) VOAについて立法院の決議、電波法から見て即時撤去させよ。
(六) 教育
委員会の公選制は、教育の独立を守るための最良の制度であるから、存続させよ。
(七) 公務員の身分を完全に保障されたい。
(八) 農業基盤の整備、長期低利の営農資金等の制度等を講じられたい。
八、建設業 西里松太郎君
(一)
復帰促進の観点から返還協定の議決に賛成する。
(二)
復帰関連法案については、大綱について賛成である。
(三)
沖繩の産業開発計画は、気象的、地理的
実情に即して立てられたい。
(四) 先島の糖業、パイン、畜産、水産の振興開発を図られたい。
(五) 海洋博の分会場を先島に設けられたい。
(六) 地元業者にできる工事は地元建設業者に優先的に指名入札させられたい。
九、宮古地区労働組合協議
会議長 奥平玄孝君
(一) 世界平和を願望し、一切の軍事基地を否定する。
(二) 職務に専念できるよう公務員労働者の完全な身分保障を早急に講じられたい。
(三) 労働条件については既得権を認められたい。
(四) 地公法、教公二法等の
沖繩への適用については、県民の意思を十分に反映されるよう慎重な配慮を望む。
十、宮古原水協
理事長 花城恵喜君
(一) 返還協定の採決は認められない。
(二)
公用地等暫定使用法案は、米軍の強制接収を合法化し、自衛隊を配備し、地域開発の障害となるものであるから反対である。
(三) 開発三法案は、資本家に奉仕するものであり、自然破壊を生じ、知事権限の縮小、県の
特別会計の吸い上げを図るものであり、反対である。
(四) 対米請求権の放棄は、米軍人軍属の犯罪肯定につながり差別的である。また、見舞金という形で補償することは問題である。
(五) 米の文化センターの買い取りは血税の浪費である。
(六) 教育
委員会の公選制は全国に広める価値がある。
(七) 一ドル三百六十円の交換レートを維持されたい。
(八) 公務員の既得権を認められたい。
(九) 先島の干ばつに対し、かんがい施設の完備を早期に実現されたい。
以上の
意見を
意見陳述者から聴取した後、
派遣議員から陳述者に対し、
意見に関して質疑が行なわれたほかサンフランシスコ平和条約第三条に対する評価、開発庁設置と自治権の尊重、
政府の円・ドル交換措置に関する決定、生活必需物資価格安定資金等ドルショック対策の効果、基地経済からの脱却による経済開発、離島における生活・所得水準の本土並み向上策、過疎化防止策、製糖会社に対する救済措置、先島における害虫の防除策、西表の開発と自然保護、本土資本の土地買占めの現状、外資企業の権益保護、教育水準の現状、医療保険制度等について質疑が行なわれた。
(注) 右の
意見の陳述中
特別措置法案とは
沖繩の
復帰に伴う
特別措置に関する
法律案(
内閣提出第一号)、
改廃法案とは
沖繩の
復帰に伴う
関係法令の
改廃に関する
法律案(
内閣提出第二号)、振興法案とは
沖繩振興開発特別措置法案(
内閣提出第三号)、
沖繩公庫法案とは
沖繩振興開発金融公庫法案(
内閣提出第四号)、開発庁法案とは
沖繩開発庁設置法案(
内閣提出第五号)、
公用地等暫定使用法案とは
沖繩における
公用地等の
暫定使用に関する
法律案(
内閣提出第六号)、
防衛庁特別措置法案とは
沖繩の
復帰に伴う
防衛庁関係法律の適用の
特別措置等に関する
法律案(
内閣提出第七号)、返還協定とは琉球諸島及び大東諸島に関する
日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について
承認を求めるの件(条約第一号)をいう。
—————————————
〔
沖繩派遣議員団の現地における
意見聴取に関する
記録は附録(その一)に掲載〕