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1971-11-15 第67回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十五日(月曜日)     午後一時十一分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 金丸  信君 理事 國場 幸昌君    理事 二階堂 進君 理事 湊  徹郎君    理事 毛利 松平君 理事 久保 三郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 中川 嘉美君    理事 門司  亮君       池田 清志君    江藤 隆美君       小渕 恵三君    大石 八治君       大野  明君    大村 襄治君       佐藤 文生君    正示啓次郎君       關谷 勝利君    田中伊三次君       田中 龍夫君    谷垣 專一君       谷川 和穗君    箕輪  登君       森  喜朗君    森下 國雄君       山下 徳夫君    豊永  光君       井上 普方君    石川 次夫君       川俣健二郎君    木島喜兵衞君       武部  文君    美濃 政市君       山口 鶴男君    伊藤惣助丸君       桑名 義治君    斎藤  実君       田畑 金光君    東中 光雄君       米原  昶君  出席国務大臣         法 務 大 臣 前尾繁三郎君         文 部 大 臣 高見 三郎君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         通商産業大臣  田中 角榮君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         労 働 大 臣 原 健三郎君         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 西村 直己君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         人事院事務総局         管理局長    茨木  広君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         農林政務次官  伊藤宗一郎君         自治政務次官  小山 省二君  委員外出席者         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   天野 光晴君     江藤 隆美君   藤波 孝生君     森下 國雄君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     天野 光晴君   森下 國雄君     藤波 孝生君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案(内  閣提出第一号)  沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律  案(内閣提出第二号)  沖繩振興開発特別措置法案内閣提出第三号)  沖繩における公用地等暫定使用に関する法律  案(内閣提出第六号)  国家公務員法第十三条第五項および地方自治法  第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の  地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出承認第一号)  沖繩平和開発基本法案細谷治嘉君外十六名提  出、衆法第一号)      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件、及び細谷治嘉君外十六名提出にかかる沖繩平和開発基本法案、以上の各案件を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。湊徹郎君。
  3. 湊徹郎

    湊委員 関連法案質疑に入る前に、過般、國場委員から話もございましたように、今年に入ってから、年初以来、干ばつ台風、続いて季節はずれの台風が今日また見舞うというふうな形で、いわばダブルパンチ、トリプルパンチの連続のような状態にございますが、実は沖繩におきましては、本土と違いまして災害関係の諸法令あるいは制度適用がございませんために、いろいろと今日まで処置等についても手おくれといいますか、おくれを見ておるような状況であります。  干ばつ中心にしては、過般第一次の措置がとられたわけでありますが、続く災害といたしまして、特に台風二十八号による甚大な被害がございました。その措置中心にして、その後第二段の対策を進めておられるというふうに伺っておりましたが、その処置内容についてまずお尋ねをしたいと思います。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 先週の月曜に琉球政府予算当局から正式な説明を受けまして、精力的に詰めたわけでありますが、参議院の予算委員会、当委員会等において約束いたしました先週一ぱい、土曜日に決定をいたしました。  その内容を申し上げますと、総額本土政府措置するものが三億八百三十万三千円でございます。そのうち、緊急住宅に関するものは仮設住宅、これが琉球政府要求は百九十三戸でございましたが、この中には米軍がすでに建てました四十戸も入っておりましたので、これは合意の上削除いたしまして、百五十三戸ということで合意を見た次第であります。さらに家屋の補修も要求がありましたが、これは琉政のほうとしても要求はしたものの確認が非常に困難であるということで、琉政のほうで措置できる金額である、すなわち六百八十八万五千円でありますから、これは琉政のほうで措置することになりました。  それから農作物対策では、パイン対策水稲対策についてそれぞれ種苗補助というものが要求がございました。これは当初、干ばつの際にも種苗補助については二分の一の補助を見たところでありますので、今回も二分の一の補助ということで、ただし本島のほうから種苗を採取して送ることになりますので、すなわち種もみの種苗、それからパイン等でございますから、いずれも海上運送の費用が要ります。それらも入っているわけでございます。  次に、利子補給として琉政要求と少し違いましたのは、生活資金融資することに対する利子補給並びに農家負債償還延期に伴う利子補給、これを十分の十で見てほしいという要求でありました。しかしながら、この二つ制度とも本土法にございませんために、大蔵省としても予算査定のしようがありませんので、したがって、これの必要な資金として、琉球政府がこのような行為を行なうことについて、すなわちその内容査定をしない。したがって、その生活資金融資と旧債の償還延期に伴う利子については、国のほうで一応の査定は二分の一でありますが、金額琉球政府特別交付金として三千万を組みました。これは琉球政府が自由に生活資金並びに営農資金農家の旧債借りかえ延期に伴う利子補給にお使いになるという結果になるわけであります。したがって、この三千万円は率でいいますと十分の七ぐらいと、二分の一から比べると高い率になっておるわけでありますが、ここらの内容琉球政府のほうが独自に処理をするということになるわけであります。したがって、項目を変えて措置をしたということになります。ただし、これらはいずれも琉球政府要請と前提が違いますのは、来年三月末までという査定がしてございますので、金額については若干要請額と差がございます。  そのほかに、利子補給分としては家畜対策に三十三万六千円、かつぶしがぬれたことによって、それに伴うかつおぶしのぬれ損の救済が九万円しいうようなことになっておるわけであります。  さらに開拓者住宅については、特殊な環境の中でございますので、開拓者住宅について七千八百二万七千円を措置をいたしました。これは恒久住宅を建てるための資金でございます。単価等について若干の違いがございますが、大体要求どおりできると思います。  救農土木事業については、これも三月末一ぱいまで救農土木事業を行なうということで四千八百九十五万を措置いたしました。  さらに、公共土木施設災害がございます。これについて琉政要求は一億五千三百十一万三千円でございましたが、災害査定官現地に派遣をして精査いたしました結果、九千八百二十二万一千円、ただし、これは十分の八補助ないし三分の二、それぞれ学校や医療機関等において若干の補助率の差はございますが、おおむね十分の八補助でございます。したがって、この残りは琉政の負担ということになりますが、これは公共土木災害でありますから、現在琉政公共土木予算がついておりますうち、これは将来の問題として復帰時点において繰り越し等の事態が生ずるおそれも相当ありますので、資金の操作の面はできるであろうと考えておる次第でございます。  以上、概略の御説明をいたします。
  5. 湊徹郎

    湊委員 現地要請にこたえて精力的にお骨折りをいただいた点、感謝をいたします。しかしながら、先ほど申しましたように、沖繩においでは災害に関する財政措置、特に本土における激甚災害制度もございませんし、金融に関しては、天災融資法あるいは自創資金制度もございません。そのために今年のような異常災害については、いろいろ対応策のおくれあるいは資金手当てが思うにまかせなかった点があったようでありますが、いずれ本土復帰いたしますというと、これは当然本土制度適用になるわけでありますけれども、しかし、その諸制度適用するにあたっての実際のやり方、さらには、今回も若干お考えになったようでありますが、予算に関する特例措害等について、今後の恒久対策といいましょうか、そういう点についての考え方お尋ねしたいと思います。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 相反する現象でありますけれども、やはり天候というものは皮肉なことをやりまして、干害で根こそぎ枯れるまで痛めつけたあと、またさらに、台風による水と風の影響で、また全滅状態になるという、まことに悲惨な状態にありますし、また今回の時期はずれの台風も、沖繩本島等において大体十度以上の、二十度ないし三十度の倒伏がサトウキビに見られるとおり、また若干のいわゆる収穫操業に悪影響のある現象が、すでに速報で入っております。  これらのことを考えますと、やはり干ばつ対策としては、すでに二度にわたって処置いたしました緊急対策あるいは恒久対策のはしり、こういうものをすみやかに恒久的な施策として、これは水をためる施設さえあれば、あるいはくみ上げて注ぐ施設さえあれば解決できる問題でありますから、この問題は二度と沖繩干ばつが起こらないように措置することは可能だと思うのです。また一方、台風の問題は、これはとめる手段はありませんけれども、この台風によって受けました被害というものは、先ほど私が説明いたしましたとおり、本土にはない制度でありますが、生活資金あるいはまた農家負債の延納に伴う利子補給というようなことに一歩を踏み出したことによって、将来は沖繩人々農家累積負債に対してどのような措置をすべきか、これは開拓農家等負債整理等も念頭に置きながら処理をしていって、そして、新しい農業未来図を描く場合に、やはりキビとパインは一番おそろしいのが干害でありますし、その次はもちろん台風でありますから、この二つに耐えられる施設とさらに品種の改良、こういうものを重点に置いて、いま干害のために何千名という人が現金収入を得るために土地を離れておりますので、それらの人々農業ささえ柱として自分たちの家庭に帰ってこれる環境をすみやかにつくらなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  7. 湊徹郎

    湊委員 次に、法案関係に入りますが、これはいずれの法案とも関連はございますけれども最初に、主として振興開発法関係についてお尋ねしたいと思います。  第一点は、新全国総合開発計画及び新経済社会発展計画との関係でございますが、復帰対策要綱の中で、復帰後に新全総についても所要の改定を加えるし、また発展計画の場合は組み入れを行なうのだ、こういう点が明らかになっております。さらに第二点として、新全総の取り扱い上、沖繩を一ブロックとして扱うのだ。その場合の第三点として、基本的な方向としては、国土に占める沖繩価値を明確にしていく、二番目には、亜熱帯地域特性を生かしていくのだ、三番目には、地域発展と豊かな社会建設を目ざすのだ、こういうことが明記してございます。  そこで、まず最初経済企画庁長官にお伺いしたいのは、この改定ないし組み入れの時期をいつごろに予定なすっていらっしゃるかということであります。
  8. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまお話しのとおり、沖繩復帰いたしますと、すみやかに新全総の一部に組み入れることになっております。その時期といたしましては、当然復帰後、直ちに国土総合開発審議会、これを開催いたしまして、そこで答申を得たものを閣議決定する段取りになると思います。しかしながら、それを待たずに、その国土総合開発審議会諮問をいたします諮問案というものを年度内に成立させたいと思いまして、いま沖繩北方対策庁中心にいたしまして、私ども経済企画庁関係省庁とせっかく作業をしておる段階でございます。また当然、この際には、昨年九月に琉政が策定いたしました長期経済計画、この内容を十分尊重して、これを取り入れていくという立場をとっております。  また、新経済社会発展計画につきましては、当然、御承知のような、非常に国際経済情勢も流動しております。また、わが国経済政策も基本的に転換の時期に至っておりますので、これに対する見直しを来年にかけてやろうとしております。その中で経済社会発展計画の前書きにも述べておりますとおり、この沖繩価値というものを十分認識いたしまして、この社会発展計画の中に取り入れていくという態度でございます。これはおそらくまだはっきりきめておりませんが、来年春ころからこの補正作業に取りかかりたい、こう考えていま準備作業中でございます。
  9. 湊徹郎

    湊委員 新全総経済社会発展計画はそれぞれ関連しているわけでありますが、特に最近、国際的にはニクソンの新経済政策の発表、あるいは中国問題をめぐる国際緊張緩和傾向、さらには通貨調整問題等、非常に国全体の政策を大きく転換する必要のあるような問題が出ておりますし、国内においても、昨年来、公害問題あるいは交通の問題、さらに環境問題ということで、この発展計画、新全総とも、いずれ近い時期に手直しをする必要があるというふうに私は考えております。  その場合に、単に従来のように沖繩一つブロックとして追加する、あるいは現在の既往の計画に組み込むのだというふうなことでなしに、せっかく返る機会でありますから、新全総発展計画ともに、ひとつ沖繩を含めたものとして検討をしていただきたいというふうに考えておりますが、ただいまのお話を伺いますと、新全総のほうは、実は復帰を待たずして準備がかなり進んでおる、発展計画のほうは、来春早々にでも手直しにかかりたい、若干時期的にずれるようでありますが、その点、再度お尋ねをいたします。
  10. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知のとおり、新全総、これはもちろんその中で新しい一つの見方をとっております。すなわち、もうすでにわが本土で起こっております環境問題、これについては、現行の新全総の中で、環境問題についての将来の展望というものを非常に明確に打ち出しております。したがいまして、その基本的方向は、もういまさらこれを改定する必要がないくらいでございますが、しかしながら、その後におけるいろいろ経済社会情勢の変化もございますから、その実施段階でその面をもう一度再検討して、それに新しい具体的な方向を与える必要がありはしないかという意味で、いまその改定作業準備中でございます。  また、新経済社会発展計画は、御承知のとおり、すでにもう経済社会情勢が非常に急進展いたしましたので、当然これは見直すべき時期に来ておりますが、その際には、また沖繩がわが本土に加わってまいりますその価値というものを十分認識して、全体の方向の中で沖繩のあり方を考えるという面で、その間に矛盾のないような調整を行ないたいと思っております。
  11. 湊徹郎

    湊委員 実は、今度振興開発法に基づいて沖繩振興開発計画が定められるわけでございますが、いろいろな長期計画が現在ございます。特にいま問題になった新全総経済社会発展計画のほかに、各省それぞれ個別の長期計画を現在持っております。道路、あるいは治山治水あるいは住宅生活環境施設交通安全施設等々、いろいろな長期計画がございます。それに琉球政府自体がおきめになった長期経済開発計画、これは当然全般の問題について尊重すべきことでありますが、そこら辺の相互関連と、それから実際に調整をする場合にだれがどういうふうな形で調整をするのか、これはあるいは総務長官お答えをいただくことになるかと思いますが、お尋ねをいたします。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩における社会資本整備というものは非常におくれておりますから、これについては補助率等で原則十分の十という考え方をもって相当多額の投資をしてまいりますが、それといま湊君の質問されました本土港湾とかその他の五カ年計画、それぞれの長期計画との関係というものは当然そこに問題が起こってくるわけであります。したがって、これは総理府復帰後は開発庁というものがその中心になって総合調整をいたしますが、少なくともこの沖繩が急速に高密度な投資が必要であるということから考えますと、たとえば漁港あるいは住宅等については、琉政側の当初十年であった計画も縮めて五カ年でこれを達成しようというようなことも、いまそれぞれの農林なり建設なりにおいて策定して予算要求しておりますから、当然本土のそれぞれの五カ年計画等長期計画は、それが組み入れられたことによって実質的に改定をしなければならないということに結果相なるであろうと考えておりますが、いまのところ金額をどれだけにして改定するかという問題にまではまだ進んでいないわけであります。
  13. 湊徹郎

    湊委員 ただいまのお答え関連して、この振興開発計画性格でありますが、これは一種の新全総あるいは経済社会発展計画両方をセットにした沖繩版みたいなものであるというふうに理解していいかどうかということが第一点。  それから第二点は、十年を目途にいたしまして長期展望をこれによって示そうということでありますが、いわゆる長期ビジョンを示すところの一種マスタープランなのか、あるいは具体的財政的な裏づけまで伴う一種実施計画のようなものにお考えになっておるのか。  その二点についてお尋ねをいたします。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 性格はまさにあなたの質問されたとおりのものと見ていいと思いますが、それと具体的な本土の新全総あるいは社会開発計画との組み入れについては、経企庁長官からの御答弁のあったとおりであります。  さらに、この法律の予定しております十カ年計画というものは、これは実施計画マスタープランのいずれかということでありますが、これはやはり初年度はその第一年度となりますから実施計画初年度になりますが、この法律で明示されたとおり、それは復帰後の新しく選ばれた沖繩県知事というものが原案を作成して審議会にかける、その案を基礎として具体的なものは計画は立てられますので、その時期において沖繩現地の意向あるいは要望というものを十分に原案作成者中心にそれを基礎として固めていかなければならぬと思いますが、これはやはりきっちりその時期においては十カ年後に到達すべき目標、それへの到達する過程、そういうものが予算においてもあるいはまた政府の全体のそれに対する姿勢においても、明確に示されていかなければなりませんし、そうなるであろうと考えておる次第であります。
  15. 湊徹郎

    湊委員 振興開発計画そのものはまさに新しくできるであろう沖繩県知事原案作成をする、こういうことでありますが、その基本的な点、あるいは計画構成要素になるような若干の問題についてこの機会お尋ねをいたしたいと思います。  第一番目は、これは振興開発計画もそうでありますが、従来の考え方も、基本的に地理的及び自然的な特性というものを生かしていくのだ、そしてそれに即した振興開発をはかることが沖繩のために一番よろしいのだ、こういうことがずっと貫かれて言われております。  そこで、まず地理的な特性ということでありますが、これは一種日本の縮図みたいなものと考えていいような気がいたします。といいますのは、沖繩の置かれておる位置の有利性、それから長い海岸線、数多い離島、こういうことが地理的な特性でありますが、戦後日本発展経過をたどってみますと、戦前常識からすればまあ悪条件といわれる三つの、つまり国土は狭いし、資源はないし、人口だけが多い、これじゃとてもこの狭い土俵のワクの中では話にならぬというのが、大体戦前、大方の人の常識であったのでありますが、それが戦後見るとおり二十数年にしてここまで発展をなし得た、その原動力は何かということになりますと、日本海洋国家ということで、いろいろ外国との取引、貿易等に有利な地位を占めておる。同時に、海岸線を有効に利用することによって、特に臨海地域というのがもう超高度にむしろ活用されて公害等が発生しているといわれるほどになった。それの裏づけになる輸送革命といわれるようなことが実は起爆力といいますか原動力になっておるような感じがいたします。  そうなりますと、沖繩の場合もそういう地理的な優位性というものを具体的に計画の中に織り込んでいくことが振興開発きめ手になるであろう、そういうふうになると、新全総の場合もひとり国土全体に占める沖繩の位置づけというふうな国内一種ネットワークだけでなくて、これもしばしば話に出ておるのでありますが、東南アジア地域等を特に考えて、一種の国際的なネットワークまで張りめぐらし、それを機軸にしていろいろな計画を設計していくということが必要であろうと思います。  そうなりますと、これは港湾あるいは空港漁港も含めて、さらに島内の連絡、道路網整備というふうな交通通信施設整備沖繩振興開発のいわばきめ手ではなかろうかというふうに思うのでありますが、これに関する運輸大臣の所見を承りたいと思います。
  16. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの湊先生の御質問でございますが、沖繩地理的条件わが国と似ておりまして、四囲が海に囲まれておりまして海岸線が非常に多い、離島が多い、そういう点につきまして、あるいは港湾あるいはまた空港整備が必要だろうというような御質問の趣旨と思う次第でございますが、御説のとおりでございまして、確かに沖繩地理的条件は非常にわが国と酷似しておりまして、それにつきまして、私どもといたしまして、ただいま総務長官からお話がございましたが、沖繩開発計画が樹立されまして御要望が出ましたならば、直ちにそれを受けまして、そうして可及的すみやかに十分な整備をいたしたいという今日心がまえで準備を進めているところでございます。  御承知のとおり、港湾避難港も合わせまして七十七港湾ございます。そのうちで特定港が三つ、重要港が五つ、あとは一般の港湾でございますが、それらにつきましても、あるいはまた琉球政府並びに開発庁のほうから御依頼がございましたらば、もし御必要でございましたら技術並びに資金の援助も国でやるということにいたしまして、直轄事業といたしましてこれもやろうというようなこともただいま考えているところでございます。もとより、再三総務長官からお話がございましたとおり、あくまでも地元の御意思ということによりまして私どもは出てまいりたいという、こういう考えでございます。  また、空港につきましては、御承知のとおり、那覇空港が今回日本の民間空港といたしまして返還をいたされます。また、離島には七つ空港がございます。  那覇空港整備は、もとよりこれは御承知のとおり、沖繩本土を結ぶ非常な重要な意味を持っている空港であるばかりでなく、また、将来国際線としても重要な地位になる次第でございまして、ただいまのところでは国際港としての利用度数がまだ非常に少ない次第でございますので、私どもは、返還の暁に地元の御要望も入れまして第二種空港といたしまして整備をいたしたい、こういうふうに思っている次第でございますが、その整備につきましては、国が、政府が全力をあげましてやってまいりたい。  また、離島の七空港につきましては、YS11が離発着が可能な空港はもとより早急に整備をいたしまして、YS11によりまして、そうして離島間の航空の利便をはかってまいりたいと思っている次第でございますが、YS11が使えないような、地理的条件によりまして、滑走路その他によりまして使えないような空港につきましては、これはSTOL機を使いまして、そうして空港の便利をはかっていきたい。しかし、STOL機を航空に使います場合におきましては、非常にやはり運営上、ときによりますると赤字の出るおそれもある。それらにつきましては、やはり政府におきましてその赤字対策につきましても万全の処置を講ずる、こういうふうなことでせっかく努力をしているところでございます。
  17. 湊徹郎

    湊委員 第二点は、自然的特性ということでありますが、これについても、毎々いわれておりますように、亜熱帯の地帯である。それから非常に雨が多い。もちろん台風災害も伴うわけでありますが、まあ本土に比べると約二倍に近い二千数百ミリという年間雨量を数える。ところが、なかなかその水をため込む施設もなければ、集水面積も狭い関係等もあって、せっかく降った雨が馬の背を分けるようにたちまち海に流れ出してしまう。それで干ばつというふうな現象になる。ここら辺の手を打つことが必要であろうと思っております。  そこで、この亜熱帯の特性に即した代表産業として当然農業ということが考えられるわけでありますが、現在総合農政ということで、北は北海道からいずれ沖繩に至る日本全体の農業地図をかき上げながら、それをガイドポストとしながら今後の農政を展開していこうという段階に現在なっておるわけであります。その場合に、北海道、これは一種の亜寒帯地帯、したがって、酪農である、あるいは雑豆である、ビートであるというぐあいに、わりあいに地域的に地域特産を固定しやすいわけであります。同様に、亜熱帯に属する沖繩、これも現在キビとパインと肉牛が主軸である。将来はあるいは内地市場を目標にした高級野菜等も当然考えられる。ただし、これには植防上のいろいろな問題はございますが、わりあいに地域としては特定しやすい南と北の両はじをぴちっと押え込むことによって、本土は適地適産といいながら、極端にいえばどこで何でもつくれるという状態でありますから、文字どおりこの日本全体の農業地図をかき上げるに絶好のチャンスであると私は思っております。そういう観点からこの沖繩農業というものをどう位置づけていこうとするのか。  それともう一つは、基本的にかんがい設備等はもちろんでありますけれども、土地改良、圃場整備、農道の整備、ほとんど沖繩はできておりません。それだけの態勢もまだ不十分であります。そういうふうになりますと、その種の農業生産基盤を整備いたしてまいります場合に、現在本土でやっておるような農業構造改善事業、これについても沖繩の場合は特殊なやはり型といいますか、そういうものを想定し、考え実施することが必要ではなかろうかというふうに思いますが、その点まずお伺いをしておきたいと思います。
  18. 山中貞則

    山中国務大臣 農業中心とした沖繩の自然的な条件を生かすという問題は、まさにこれが一つの基本の柱になるわけであります。でありますから、大体いまお話しになったようなことで尽きると思うのでありますけれども、すなわちキビとパインというものは亜熱帯ほどよろしい。日本の場合には熱帯は存在しないわけでありますから、その有利な条件というものが一番生かしやすいのは、まさに亜熱帯農業の確立ということにあると思うのです。沖繩でいま本土の一応の機関になっております模範農場というところが、一生懸命いろいろな研究をしたり、沖繩未来図をかいたりしておりますが、そこで一応沖繩においては農業地図をかいておるわけであります。若干水田等について私と意見の相違するところがありますが、沖繩における米というものは年間四千トンくらいしかありませんし、いわゆる売りに出す分ですね、そういうことを考えますと、米作振興というのは沖繩の場合にはもう一ぺん考え直せ、そのかわり現在の水田の転作に対する補助金等の対象にキビとパイン、これを永年作物とみなして五年間の特例措置沖繩にも適用するようにしようじゃないかということで、その手当てもいたしておりますが、そのようなことを念頭に置きながら、キビ、パイン中心にして、それと有機的に結びついた肉用牛生産というものが必要であります。そのキビ、パインをつくるにあたっては、台風の問題も先ほど触れましたが、一番おそろしいのは干ばつでありますし、反収を上げるにしても歩どまり、ブリックスの向上にしても、いずれもこれは水が必要でありますので、畑かんということを基本的な基盤整備の中軸に据えて、安心できる、小さい島であっても水が得られるわけでありますから、そういう意味における施設を恒久的なものとして定着させたいと考えておるわけであります。  肉用牛は現在のところまだ若干試行錯誤的なところがありまして、品種改良の面についても、あるいはまた頭数等も二万四千五百頭しかおりませんし、これではちょっとまだ底辺として不足しておりますので、キビやパインの梢頭部あるいはしぼりかす等を有効に利用することによって非常に有望でありますし、またピロ等の駆除をすでにことしから予算で開始いたしましたところ、その効果きわめて顕著でありますので、それらを引き続き実施しながら沖繩における天然の雨と、それからあたたかいという牧草育成に最も有利な条件を生かしていかなければならぬと考えるわけであります。  したがって、沖繩においてキビとパインとを主軸に据えて、そうしていま申し上げましたような肉用牛等の関係、さらにまた将来コールドチエーン等が定着いたしますることを前提として、沖繩におけるメロンあるいは野菜、そういう単年生の作物等でキビとパインと併作できるようなものについて重点的な指導をしていかなければならぬと考えております。  植物防疫等については、すでに沖繩本島ではウリミバエというものがいないということによって本土にメロンの出荷が可能になりましたため、次は久米島でこれを退治しよう、そうして宮古、石垣というふうに逐次ウリミバエ、ミカンコミバエ等の駆除につとめて、そうして有利な条件で収益の高い農業が営めるようにというようなことをいま念頭に描きながら、逐次その計画を進めておるところであります。
  19. 湊徹郎

    湊委員 次に、振興開発上の若干の問題についてお尋ねしたいと思います。  第一番目に、沖繩経済の構造問題であります。これについては、すでに過般、細谷委員質問に対して通産大臣からお答えもあったのでありますが、現在の沖繩は、所得構造から申しますと、一次産業は九・八%であるけれども、一方、働く就業構造のほうは二九%。これはいずれも四十四年の数字である。反面、第三次産業は非常に多うございまして、所得の点からいくと七割をこえておるし、就業人口から見ても、軍労務者を含めて五四・一%。それに比べて、第二次産業は就業が一六・七%で所得が一七・七%。そこで、一種の基地経済の状態からいかにして脱却をしていくかということが将来の開発戦略の機軸になっていくだろう。それに対して、通産大臣は、過般、産業構造の高度化政策、公害を伴わないような形の企業の誘導をやって、逐次第三次産業の比率を減らしながら第二次産業を大いに振興していきたい、第一次のほうは自然に減っていくだろうというふうな趣旨の御答弁をちょうだいしたわけでありますが、考えてみますと、従来、常識的に、第三次産業の比重が高くなるというのは経済の発展段階のこれは象徴なので、第三次産業は高ければ高いほど文明国家であり、経済的に発展している国家であるなどという考え方がございましたが、この第三次産業というのは実は非常にくそとみそと一緒にしたといってはおかしいのでありますが、最近の知識——通産大臣のことばをかりれば知識集約産業、情報知識産業、こういうものもおそらく第三次産業でございましょうし、あるいは小売り屋さんから小さなサービス業からかなり幅がある、そういうものをもとにして、それでこれからの経済政策、産業政策をひとつひねり出そうというのは、どだい無理な話であると私は思います。  そういう点から考えて、これは総理府統計局も関係があるのでありますが、経済企画庁等も、従来の牧歌的な時代の一次、二次、三次産業という、こういう素朴な振り分け方からもう少し突っ込んで、そして、基礎資料を整備していくことが必要ではなかろうかというふうに考えます。この点はエンゲル係数についても御同様でありまして、食うや食わずでもって、あるいは身の回りを整えたりあるいは遊び回ったりということになれば、総生計費の中の飲食費の部分は減っていく、減っていけば生活水準は高いのだ、文化国家であるなどというのも、これもおかしな話である。  そこら辺の基礎的な問題について、これは経済企画庁長官に、ひとつ産業区分のやり直し、それから第三次産業は特に再評価をして再整理をして、そして政策の根拠として役立つような形にひとつつくり直した上でいろいろとお使い願いたい。ただし、統計の継続性ということもありますから、一ぺんにやると去年の分につながらないというのでも困りますので、そこら辺は、内訳としてもう少し厳密な意味で御準備いただきたいというふうに思いますが、企画庁長官とあわして通産大臣の御所見を承りたいと思います。
  20. 木村俊夫

    木村国務大臣 いま御指摘のとおり、最近、第三次産業と申しますか、むしろ一次、二次、三次という、こういう大分類がはたして現在の経済社会情勢に適応するかどうかという疑問がまずございます。  そういう意味におきまして、こういうような時期になりますと、私は、むしろ一次、二次、三次という産業分類を再び洗い直しまして、これは仮称でございますが、まず、知識情報産業あるいは都市開発産業のごときは、これは一つの四次産業として見直すべきではないか、こういうようなことを基本的に考えております。  いずれにいたしましても、時代の進歩とともにそういうような一つの先導的産業というものが生まれてくるのは必至でございますから、そういう意味におきまして、これは非常に大まかな話でございますが、そういう産業分類をあらためてひとつ見直す意味において、新経済社会発展計画の中でこういう面も取り上げていきたい、こう考えております。
  21. 田中角榮

    田中国務大臣 一次、二次、三次産業区分を新しく考え直したい、これは私もそのとおりでございます。このごろは一次にも二次にも三次にも入らない人間も出てまいりますし、経済学者の話を聞いていると、そこらを騒いでいるのは四次産業人口だといわれておるような、どうもこのごろ確かに定義も不明確になっておりますから、高度化の過程において洗い直さなければならぬ。私も賛成であります。  しかし、沖繩の実態を見ますと、観念論的ではなく、やはり具体的に考えなければならないわけです。二次産業比率を高めるということをいいますとすぐ公害の問題と結びつけますが、しかし、世界全体を考えてみても、俗にいわれる一次産業比率の高い国は、後進国として国民所得が低いことは申すまでもないことでございます。二次産業比率が高くなってくると、国民所得も国民総生産も拡大をしていくという傾向にあることも事実でございます。また、都市化現象が非常に急速に促進せられる過程において、いまいわれる三次産業比率が高くなるということも事実でございます。  いま沖繩を見ますと、これはいろいろな年次の取り入れ方によって違いますが、いま私の手元にある数字で見ますと、一次産業で見ますと、本土は、年次が二年ばかり違いますが、四十三年と七〇年をとっておりますから違いますが、人口比率でまいりますと一次産業が一七・四であって、その一七・四の人口比率の一次産業人口の生産所得比率は一〇・六%でございます。ところが、沖繩においては、一七・四に対比する人口比率が三八・九でありながら、生産所得においては八・八でありますから、本土の一次産業に比べると約半分しか収入がないわけでございます。  でありますから、こういうものをどのようにして——これは全国の中に占める沖繩の地位というものをきめて、そしてその中で所得水準を引き上げるための構造改革を行なわなければいかぬということは事実でございますが、やはり私は、先進工業国の一次産業比率が五%ないし六%、アメリカなどは五%を割っておるという事実を考えますと、やはりまだ一次産業比率、人口比率は下げなければいかぬという感じでございます。そうでなくとも若年労働層は本土へ全部移ってきておる現象のところから、一次産業比率を引き下げるということになると、これをどうするのかということでございます。家族ぐるみ本土へ移住するわけにはまいりません。そして沖繩県全体の所得を上げるためには、二次産業比率を引き上げるということにならざるを得ないわけであります。  また、三次産業比率は、本土の四七・三%という人口比率で五二・〇しかあげておらない生産所得に対して、沖繩は四六・五でありながら七三・三という高い水準をあげておることは、一つには基地経済であるということも影響があります。ですから、基地経済というものは、基地は縮小の方向にある、基地経済から自立経済に持っていきながら生産所得を向上していかなければならぬというところに、沖繩の経済構造をそのように直さなければならないという実態があると思うのでございます。  ですから、私は、公害問題は、これから二次産業比率を上げる、上げても公害を起こさないようにしなければならぬということは、これはもう当然のことなのでありますから、その論はまず別にしまして、純経済的に考えると、やはり二次産業比率を引き上げるということになるのです。  そういう意味で、沖繩の持つ用地それから用水それから交通問題、電力の問題、エネルギーの問題、こういう問題を総合的に拡大をしていく、そのために沖繩開発のいろんな施策、公庫等もつくられたわけでありますし、特別措置法もつくられておるのでありますから、そういうことで、まず沖繩の現在の産業を育てる、本土水準に引き上げていく、本土からの沖繩に対する進出も育ててまいる、それで、本土からの進出企業と現在ある企業との競合を避けるような状態において理想図をかいていく、かいていくだけではなく実行する、こういうことが今度の沖繩返還後の沖繩の産業計画だ、こういうふうに考えておりまして、これから、いままで沖繩でやっておったもの、アメリカの企業がやっておったもの、それから軍政府のやっておったものとか、いろいろなものを洗い直して、理想図に向かって着々と実施計画を進めたい、こう考えております。
  22. 湊徹郎

    湊委員 ただいまの御答弁にも触れておられましたが、公害の問題に関連して、沖繩における環境政策について、環境庁長官にこの機会にひとつお尋ねしたいと思います。と申しますのは、環境庁発足以来まだ日がたっておりませんし、自然保護から現実に生じた公害防止策まで、全般的な体制を整えていくということはなかなかたいへんだろうと思う。そういう点から考えて、この沖繩というのは願ってもない一種のモデルケースとして、これからの環境政策をひとつ沖繩をモデルにしてお考え願いたいと思うからであります。  そこで、過般も細谷委員質問関連して、健康で快適な生活環境を確保していきたいのだ、こういうお話がございましたが、その具体的なものさし、言ってみれば生活環境確保基準のようなものを早急につくって——ものさしなしに自然環境の破壊はいかぬ、どうじゃと言うても始まらぬと思いますので、そこら辺で、一種沖繩をモデルにした環境地図と申しましょうか、地域区分ごとにその種の規制基準を含めてお考え願いたいものだ、こういうふうに思うわけであります。  一例を申しますと、たとえば西表島の大半のごとく、一切手を触れさせないで自然環境をそのままに保全していかなければならぬ地域もございます。また、多くの海岸線に見られる景勝地のごとく、自然の景観をそこなわない範囲で、最低限の施設だけはチェックしながら、よかろうというふうな地域もございます。また、海中公園等、あるいは名護、恩納、南部戦跡、それから先島のかなりの部分にございますが、将来、健全な宿泊施設等を含むレクリエーションの場として、これまたある程度のチェックをしながら、むしろ開発を認めていく地域もございます。また、農業振興地域に対応するような、本島北部のほうであるとか、あるいは八重山、宮古のように、農業的利用を原則として、あまりスプロールをさせないようにあらかじめ手を打っていかなければいけぬ地域もあります。あるいはいまからもう公害防止施設を並行させ、あるいはむしろそれを前提として、工業的あるいは都市的な開発を、先ほど通産大臣も言われましたように、総体の方向として二次産業の比重を高くしなければいかぬことは当然のことでありますから、その場合の公害防止施設というものを前提にして考えていかなければいけない地域、これは中城であるとかあるいは金武湾、大浦湾、さらに中南部等にもございます。それから、すでに那覇その他の基地の町の多くに見られるように、都市計画をきちんとやって、あるいは場合によっては再開発をやって、適正な生活環境をむしろ取り戻していかなければいけない、こういう地域もございます。そういうものを地域ごとに振り分けながら、一つ環境政策の目安というものをこの際沖繩をモデルにしてつくっていただきたい、こう思うのでありますが、お考えはいかがでございますか。
  23. 大石武一

    大石国務大臣 沖繩の将来の非常に健康で、明るい、豊かな生活環境をつくることは、湊委員とともに、同じような考えでわれわれも今後の行政を進めてまいりたいと考えております。  沖繩日本に返還されますと、これはいわゆる経済開発が盛んに行なわれることになります。ことに、いままでのような非常に経済開発のおくれた、所得水準の低い沖繩としましては、当然急激な経済開発が非常に希望されることでございましょうし、それに非常に力が入ることは間違いないと思います。これは非常にけっこうなことでございますけれども、同時に、そのような急激な経済の開発ということが必ず、おそらくは必然的に、公害問題あるいは自然破壊ということを大量に引き起こすことは、いままでの経験によって間違いないところでございます。したがいまして、このような経済開発とわれわれの生活環境との調和ということをどのようにしてまとめ上げるか。調和というのは、人間尊重の立場からの自然環境と経済開発の調和でございますが、それが調和をどのような観点から押えてまいるかということが、私は一番重大な問題だと思います。こういうことにつきましては、いわゆる新全総とも新しい今後のやり方を相談し合いまして、ほんとうに公害のきわめて少ない、自然環境のよく保護された沖繩をつくることが一番大事ではなかろうか、こう考える次第でございます。  ことに沖繩は、御承知のように、いろいろ第二次産業が盛んになってまいりましょうけれども、いわゆる観光産業といったようなものが必ず経済開発の中の大きな地域を占めると私は思います。そう考えますと、やはり観光の基本というものは、何と申しましても、明るくて健康で清潔な環境が何よりも大事でございますから、そういう意味でも、自然環境を破壊しない、公害のない沖繩をつくることが、今後の経済開発の上にとっても大事だと思う次第でございます。  ただ、私どもは、先ほどお話の一部にありましたように、自然環境整備ということにつきましてはいろいろ考えておりまして、自然保護法といった仮称のもとに、次の通常国会には、日本国土全体の自然環境を守り得るような、あるいは保護するような、あるいは利用、活用できるような、そのような法律案提出いたしたいと考えておりますが、沖繩につきましては、私は別なものの考え方が必要だと思います。それは、日本のいままでの経験にありますような、あのようなすべての開発のやり方は、今後これを適用してはならないと思うのです。沖繩の全体の地形、立地的条件、すべてのものを考えますと、内地とは変わった一つの新しい形の開発のしかたがあると思います。そういうものを中心に、十分に政府なり沖繩の県が中心となりまして、その正しい開発のしかたにこれは協力をしなければならぬと思うのでございます。それを、急激な経済開発を急ぐあまりに、安易な、内地のような開発におちいってはならない。そういう点で、沖繩がどのように自然環境を保護し、保全し得るか、公害を防ぎ得るかということは、十分に基本的に考えることが大事である。そういう点からいたしますと、私は、いつか発表いたしましたように、日本国土全体の環境はどのような程度まで保たなければならぬかというような観点から、環境容量というようなことばを使っております。そういうことを十分に調整いたしまして、そうして正しい日本国土全体のあり方、自然環境の保護のしかた、開発のあり方を検討しなければならぬと思うのでございますが、こういうものもできるだけ早く調査を進めまして、御希望のような豊かな沖繩をつくってまいりたいと念願する次第でございます。
  24. 湊徹郎

    湊委員 次に、厚生大臣と文部大臣にお尋ねをいたしますが、沖繩の場合、生活環境施設あるいは保健衛生施設社会福祉施設、いずれをとりましても、本土との間に非常な格差が実はございます。児童関係施設、あるいは老人関係施設、いずれもそうであります。なかんずく医療体制をどういうふうに整備するかということは、特に離島をかかえた沖繩にとって、社会福祉関係の最大の問題であろうというふうに思っております。  そこで、いま申し上げましたようなそれぞれの施設に関しては、各省年次計画をお持ちでございますが、その年次計画に対して、それは補助率、負担率の特例もございますけれども、そうじゃなくて、施設全体を整備するための沖繩のための計画というものを特にお考えいただきたいというふうに思うのでありますが、その御用意がございますかどうか。  第二点は、医療の問題に関連して、琉球大学にこれはぜひとも医学部を設置して、不足する医療担当者の養成を急ぐ、同時に、関連して看護婦さんであるとかあるいは各種の衛生検査技師のような方の整備も進めていかなきゃいかぬ。同時に、四十余の人の住む離島を持っておる現況から考えて、公的医療機関の一つの医療網といいますか、これを計画的に整備することが必要であろうと思います。  教育関係施設についても全く御同様で、プールとか体育館はほとんどの学校が持っておりません。また、教員室さえなくて、教室を仕切りながらウナギの寝床のようなところで先生が仕事をしている学校も数多くございます。そういう公立文教施設整備、これについて、両大臣からひとつはっきりした今後の方針を伺いたいと思います。
  25. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 沖繩社会福祉関係社会保障関係また保健衛生関係、これは本土に比べまして非常におくれております。すべての水準は本土の半分以下と大ざっぱに言い得るのじゃないか、かように考えます。ところで、これらの問題は、沖繩の経済の発展とは関係なしに、直ちにでも本土並みにいたすべきであろう、かように考えます。  したがいまして、生活保護のごときは、本土復帰と同時に本土並みの基準によって生活保護を実施をいたしたい、かように考えます。さようにいたしますると、ただいまの生活保護の基準を本土の基準に合わせてみますると、沖繩全体が四級地に該当いたしておりますが、その中で二級地あるいは三級地に引き上げるというところも相当多くなってまいりまするので、生活保護を受ける数また内容は、本土復帰とともに非常に大幅に上がってくる、かように御承知をいただきたいと存じます。  また、社会福祉施設、いわゆる老人施設あるいは子供の施設等も非常に少のうございまして、本土状態からながめまするとこれまた半分程度だと判断をいたしておるのでありますが、これらは、建物を建てると同時に、その施設に働く人たちの養成も必要であります。これらの社会福祉関係施設本土で五カ年計画考えておりますが、それと同様に沖繩振興計画の中に——沖繩振興は十カ年計画ということになっておりますが、少なくとも五カ年以内に大体本土並みの水準に合うようにいたしたい、かように考えております。  また医療関係も、ベッド数からだけ見ましても本土の六割、また、施設あるいは医者、看護婦等の数は、本土の四割あるいは三割程度のものもあるわけでございます。医療施設につきましては、できるだけ国立病院、公立病院等の充実をこの十カ年計画の中において計画をいたしまして、そして医師の養成、看護婦の養成——少なくとも看護婦の養成は五カ年内に本土並みのものにいたしたい、かように考えております。医者の養成は相当年数を要しますので、ただいま湊委員のおっしゃいますように、沖繩に国立の医学部を設けてそして医者の養成をいたし、沖繩に落ちついてもらえるお医者さんを養成をいたすように、山中総務長官また文部当局とも相談をいたしまして、大体その方向に進んでおることを申し上げておきたいと存じます。
  26. 高見三郎

    ○高見国務大臣 学校教育が設備等において非常におくれておるという御指摘は、そのとおりであります。実は本土と比較いたしますと、小中学校の達成率、本土におきまして九一%になっておりますが、実は六三%しかございません。これは今後五年間にこれを解消するという方向で進んでおるのであります。  ことにプールにつきましては、まことにお粗末でありまして、実は小学校、中学校合わせまして二十九カ所、高等学校では一カ所という状態になっておるのでありますが、来年度予算要求におきましては、小中学校合わせて十一カ所、高等学校三カ所を要求をいたしておるのであります。  それからいま医療の問題が出ましたが、琉球大学に医学部を設けるということは、すでに総理府に設置されております医学部設置問題懇談会でその方向が決定をいたしておるのでありまして、山中長官のところで、とりあえず保健学部をつくることが必要であろうということで、保健学部は発足をいたしておるのであります。しかし来年度は、これは総理府要求をいたしておるのでありますけれども、医学部の設置調査費を要求をいたしております。  問題は、沖繩に定着してくれるお医者さんをどうしてつくるかという問題、それから沖繩の琉球大学に行ってくれますお医者さんをどうして確保するかという非常にむずかしい問題をかかえておるのでありして、この問題につきましては鋭意努力をいたしておりますし、また日本医師会のほうでも武見会長が非常に努力をいたしてくれておるのでありまして、必ず実現をするということを申し上げておきたいと思います。
  27. 湊徹郎

    湊委員 時間があまりないようでございますので、暫定使用法、改廃法あるいは特別措置法、それぞれについてお尋ねをしたいと思っておったのでありますが、まず主として特別措置関係、これは改廃法も当然関連してまいりますが、それの基本的な点について考え方をお聞きをしたいと思います。  過般の審議でも六百一本も関係法律がある。条文数が百五十七条特別措置法にある。おまけに政令委任事項も多い。それから法令適用に関する特別措置ということで各省関係分が百三条もある。そういう形でなかなか審議は容易でないんじゃないか、こういう話がございます。しかし、本法の性格考えてみますと、本来実体的に新しい法令をつくって本土全体の法体系を変えていこうという形ではなしに、むしろどちらかといえば既存の本土法体系、これは千六百ぐらいおそらくあると思いますが、その中に沖繩法令をいかにして移しかえ——いずれは本土法体系の中に吸収していくんだが、ここしばらく経過的なテクニックとしてひとつ考えよう、こういう性格のものであろうと思っております。したがって、本土法体系、特殊な地域立法は別でありますが、それに見合うだけの本数が本来は必要なはずである。しかし、そのままかぶせても間に合うものもあるから、しぼりをかけてみたら六百一本になった、こういうふうに理解してよろしいかどうか。その点が第一点。  それから、そういう性格でありますから、類型別、手続別にある程度検討してみますと、いろいろなスタイルのものがこの特別措置法の中にございます。  そこで、まずこれは私の考えを申し上げまして、あるいはその辺が違うという御意見があればお伺いしたいと思うのでありますが、第一番目は、本土法沖繩法を比べたときに、内容的に見て同じであるか、あるいは同種のもので、その中でそのまま移しかえが可能なものは即時適用をはかっておるし、また発足の時期がいささか向こうとこちらが違う、形は同じだけれども実体が幾らか違うというふうなものについては、暫定期間を置いて、いわゆる暫定措置として移しかえをはかっておる。それが第一類型。  第二類型は、内容的に両者の間に違いがある。だけれども本土法のほうが沖繩県民にとって有利なもの、たとえば所得税法のごときものはそうでありますが、これは手続的な調整がつき次第早期に適用する。もちろん中には即時適用のものもある。それから、同じ内容の違うもので、本土法のほうが沖繩県民に不利になるようなもの、逆に沖繩法令が有利なものにつきましては、まずできるだけ沖繩法令、いわば既得権の保護という観点から沖繩法令を尊重して、段階的に本土法に移行をしていこう。また、ある種のものは、当分の間特例措置として残していく、食管制度であるとかあるいは税制の相当部分がその中に入っておると思います。  三番目の類型は、本土にはあるが、しかし沖繩にはない、こういうものも非常にございます。農地法であるとかあるいは県民税、電気ガス税等はその例でありますが、そういうものについては適用はするけれども、激変緩和措置という意味で暫定期間をとってつないでいこう。それから二番目には、各種の地域立法がそうでありますが、ある種のものは沖繩適用対象から初めからはずして、そして新しく沖繩に有利なものを、振興開発法とか設置法というものはそうでございますが、そういうふうにしていこう。  それから四番目には、沖繩にはあるけれども本土にはない、こういうものも数多くございます。これについても既得権を保護していくという観点から、できるだけ特例措置で救っていく。たとえば所有者不明土地のような、本土にない制度がございます。それから沖繩県民に不利なものはこの際廃止をする。  そういうようなふうに分けて考えてまいりますと、かなりよく、簡単に言えば、沖繩に不利なものについては、なるべく特例、暫定で救い、有利なものは即時適用して救っていこう、こういうのがこの特別措置法全体を通ずる一つ考え方である、こういうふうに私は理解しておりますが、それでよろしゅうございますか。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 これは分類のしかたによって、分け方は幾つもあると思います。しかし、湊君の考えられるような角度から分類をした場合には、そのような形の分類で誤りはないというふうに思います。
  29. 湊徹郎

    湊委員 それじゃ一、二の問題について特別措置関係で申しますが、法務大臣にお尋ねをしたいと思います。  十条から三十条にわたって裁判の効力の承継等の規定がございますが、沖繩の裁判制度は、いわば異民族の支配下においてある程度かってにやられたじゃないか、だからそういうものを無原則で引き継ぐべきではない、こういう意見がございますが、その点はいかがですか。
  30. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 今回、沖繩につきましては、いわゆるやり直し方式というのではなしに、引き継いでいく方式をとったわけであります。と申しますのは、二十数年間にわたって一つの法秩序ができておる。また、その法秩序はかなり国内と一体化が行なわれて、最近では同一といってもいいくらいな法制体系になっておるわけであります。また、沖繩人が裁判したものが大部分である、そういう点からいいますと、そのまま引き継いだほうが混乱を起こさない、こういう関係から、今回はそういう措置をとっておるわけです。
  31. 湊徹郎

    湊委員 ただ問題は、数多い裁判の中に、いろいろあとに問題を残すようなものも出てきやせぬかというふうな感じもあるのでありますが、したがって、かりに引き継ぐといたしましても、特に刑事裁判の関係あるいはアメリカの民政府裁判所で行なわれた民事裁判、これらについては、ある程度再審理と申しますか、場合によっては再裁判をする、そういうふうなチャンスというものを与える必要はないかどうか、その点についてお尋ねをいたします。
  32. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 特別の再審制度というものを認めましたら、これは全部やり直しになる、こういうことになるのでありますし、今回は平和的に譲渡されていったというのでありまするから、現在国内法で認められておる再審制度は、これは当然できますが、それ以外は再審を認めないほうが逆に法的安定性がある、かように考えておるわけであります。
  33. 床次徳二

    床次委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後二時二十七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕