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田中国務大臣 一次、二次、三次産業区分を新しく
考え直したい、これは私もそのとおりでございます。このごろは一次にも二次にも三次にも入らない人間も出てまいりますし、経済学者の話を聞いていると、そこらを騒いでいるのは四次産業人口だといわれておるような、どうもこのごろ確かに定義も不明確になっておりますから、高度化の過程において洗い直さなければならぬ。私も賛成であります。
しかし、
沖繩の実態を見ますと、観念論的ではなく、やはり具体的に
考えなければならないわけです。二次産業比率を高めるということをいいますとすぐ公害の問題と結びつけますが、しかし、世界全体を
考えてみても、俗にいわれる一次産業比率の高い国は、後進国として国民所得が低いことは申すまでもないことでございます。二次産業比率が高くなってくると、国民所得も国民総生産も拡大をしていくという傾向にあることも事実でございます。また、都市化
現象が非常に急速に促進せられる過程において、いまいわれる三次産業比率が高くなるということも事実でございます。
いま
沖繩を見ますと、これはいろいろな年次の取り入れ方によって違いますが、いま私の手元にある数字で見ますと、一次産業で見ますと、
本土は、年次が二年ばかり違いますが、四十三年と七〇年をとっておりますから違いますが、人口比率でまいりますと一次産業が一七・四であって、その一七・四の人口比率の一次産業人口の生産所得比率は一〇・六%でございます。ところが、
沖繩においては、一七・四に対比する人口比率が三八・九でありながら、生産所得においては八・八でありますから、
本土の一次産業に比べると約半分しか収入がないわけでございます。
でありますから、こういうものをどのようにして——これは全国の中に占める
沖繩の地位というものをきめて、そしてその中で所得水準を引き上げるための構造改革を行なわなければいかぬということは事実でございますが、やはり私は、先進工業国の一次産業比率が五%ないし六%、アメリカなどは五%を割っておるという事実を
考えますと、やはりまだ一次産業比率、人口比率は下げなければいかぬという感じでございます。そうでなくとも若年労働層は
本土へ全部移ってきておる
現象のところから、一次産業比率を引き下げるということになると、これをどうするのかということでございます。家族ぐるみ
本土へ移住するわけにはまいりません。そして
沖繩県全体の所得を上げるためには、二次産業比率を引き上げるということにならざるを得ないわけであります。
また、三次産業比率は、
本土の四七・三%という人口比率で五二・〇しかあげておらない生産所得に対して、
沖繩は四六・五でありながら七三・三という高い水準をあげておることは、
一つには基地経済であるということも影響があります。ですから、基地経済というものは、基地は縮小の
方向にある、基地経済から自立経済に持っていきながら生産所得を向上していかなければならぬというところに、
沖繩の経済構造をそのように直さなければならないという実態があると思うのでございます。
ですから、私は、公害問題は、これから二次産業比率を上げる、上げても公害を起こさないようにしなければならぬということは、これはもう当然のことなのでありますから、その論はまず別にしまして、純経済的に
考えると、やはり二次産業比率を引き上げるということになるのです。
そういう意味で、
沖繩の持つ用地それから用水それから
交通問題、電力の問題、エネルギーの問題、こういう問題を総合的に拡大をしていく、そのために
沖繩開発のいろんな施策、公庫等もつくられたわけでありますし、
特別措置法もつくられておるのでありますから、そういうことで、まず
沖繩の現在の産業を育てる、
本土水準に引き上げていく、
本土からの
沖繩に対する進出も育ててまいる、それで、
本土からの進出企業と現在ある企業との競合を避けるような
状態において理想図をかいていく、かいていくだけではなく実行する、こういうことが今度の
沖繩返還後の
沖繩の産業
計画だ、こういうふうに
考えておりまして、これから、いままで
沖繩でやっておったもの、アメリカの企業がやっておったもの、それから軍
政府のやっておったものとか、いろいろなものを洗い直して、理想図に向かって着々と
実施計画を進めたい、こう
考えております。