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山口政府委員 事故の起こりました場合に、前の大臣あるいは中曽根大臣からいろいろ申し上げましたのは、特に各全事業者につきまして部内的な
監査あるいは
検査というものを十分にやりまして、いわば
設備の総点検をいたしまして、そして
事故防止につとめるということをやらしておりまして、役所の側から
監査に行くということとやや
性格を異にいたしております。役所の中の
監査につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
それから、
単線区間でございますが、先生御承知のとおり、まだ全国的に
単線区間は非常に多うございます。特に、
国鉄のほうがむしろ多いぐらいでございますが、
単線区間が多いわけでございまして、
私鉄につきましてもまだ
単線区間が相当ございます。ただ、私
ども単線区間と複線区間というものの保安を考えます場合に、問題は幾つもあると思いますが、
単線区間の安全という面で何が一番こわいかということになりますと、やはり
一つの区間に二つの
列車が入り込むということによりまして衝突をする危険があるということでございまして、これを防止するというのがいわゆる閉塞の考え方でございます。閉塞の考え方というのはある区間を閉塞区間にいたしますと、その区間には二つの
列車が入らないようにする。これは
両方から入るということもございますし、あるいは追突という形で入るということもございますが、いずれにしても
両方から入らないようにするという考え方が閉塞の考え方でございます。これは
単線も複線も同様でございまして、その閉塞の考え方によりまして、そして衝突の
事故を防止するということでございます。その
意味では
単線も複線も全く同じでございます。
それから、さらに私
ども事故を防止するために、この閉塞と
信号というものと結びつけて考える。そして閉塞をやったにもかかわらず
信号機の取り扱いを間違うというようなことがあってはいけないということで、閉塞と
信号機を連動させまして、片一方を青の形にすれば
信号も当然青の形になるということにするというのが第二点。
それから、さらに今度は
信号機と転轍、ポイントとを閉塞といいますか、連動させるということによりまして、ポイントは右のほうへ開いているにもかかわらず
信号は左のほうに行けといっているというようなことをなくするということによりまして安全をはかるということでございます。
ATSはさらにこれに付加をいたしまして、先ほど申しましたように、乗務員がそれを間違った、その
信号を間違ったといってもだいじょうぶなようにし、あるいは失心をした場合にもだいじょうぶなようにするというような補助的な手段が
ATSでございます。
私
どもそういう点で考えてみますと、
単線区間であろうと複線区間であろうと安全の基本には変わりないのでありまして、
単線だから危険だ、複線だから安全だということではないと考えております。ただ、非常に
列車回数が多くなってまいるというような区間におきましては、複線区間は非常に能率も高いわけでございますから、その
意味ではゆとりのある
列車運転というものができるわけでございまして、そういう
意味で私
ども複線の区間のほうが何といっても鉄道としては望ましいわけでございますから、そういう方面に指導してまいる、こういうことでございます。