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1971-12-17 第67回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十七日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 古屋  亨君    理事 箕輪  登君 理事 斉藤 正男君    理事 田中 昭二君 理事 河村  勝君       石井  一君    唐沢俊二郎君       菅波  茂君    關谷 勝利君       増田甲子七君    阿部 助哉君       金丸 徳重君    内藤 良平君       宮井 泰良君    田代 文久君  出席政府委員         内閣官房長官 三原 朝雄君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁長官 手塚 良成君         気象庁長官   高橋浩一郎君  委員外出席者         環境庁大気保全         局特殊公害課長 松井 三郎君         水産庁漁政部長 田中 慶二君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十七日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     阿部 助哉君 同日  辞任         補欠選任   阿部 助哉君     井岡 大治君     ――――――――――――― 十二月六日  ラッシュ船運航に伴うはしけ船主保護等に関  する請願宮井泰良紹介)(第二八六五号)  同(宮井泰良紹介)(第二九一一号)  同(浦井洋紹介)(第二九八四号)  同(沖本泰幸紹介)(第二九八五号)  同(小林政子紹介)(第二九八六号)  同(田代文久紹介)(第二九八七号)  同(谷口善太郎紹介)(第二九八八号)  同(寺前巖紹介)(第二九八九号)  同(土橋一吉紹介)(第二九九〇号)  同(林百郎君紹介)(第二九九一号)  同(東中光雄紹介)(第二九九二号)  同(松本善明紹介)(第二九九三号)  同(米原昶紹介)(第二九九四号)  同(渡部一郎紹介)(第二九九五号)  同外六件(井岡大治紹介)(第二九九六号)  同外六件(井岡大治紹介)(第三〇四一号)  同(沖本泰幸紹介)(第三〇四二号)  同(渡部一郎紹介)(第三〇四三号)  同(伏木和雄紹介)(第三〇四四号) 同月十日  ラッシュ船運航に伴うはしけ船主保護等に関  する請願田代文久紹介)(第三〇九四号)  同(松本忠助紹介)(第三〇九五号)  同(松本忠助紹介)(第三一四一号)  同(小此木彦三郎紹介)(第三一九二号)  同(沖本泰幸紹介)(第三一九三号)  同(小峯柳多君紹介)(第三一九四号)  同(田代文久紹介)(第三三〇四号)  同(藤山愛一郎紹介)(第三三〇五号) 同月十六日  ラッシュ船運航に伴うはしけ船主保護等に関  する請願斉藤正男紹介)(第三三四五号)  同外四件(寒川喜一紹介)(第三四二八号)  同(久保三郎紹介)(第三五五七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月九日  西鉄の運賃値上げ反対に関する陳情書  (第一七二号)  米子空港整備促進に関する陳情書  (第一七三号)  関西国際空港泉南沖設置反対に関する陳  情書外一件  (第一七四号)  国鉄新幹線の直方駅停車に関する陳情書  (第一七五号)  国鉄阿佐東線の一部営業開始に関する陳情書  (第一七六号)  国鉄山陰本線東浜・出雲市間の中小駅の無人化  反対等に関する陳情書  (第一七七号)  身体障害者運賃割引制度による国鉄、私鉄の連  絡乗車船券発売継続に関する陳情書  (第一七八号)  国鉄木次線駅無人化等に関する陳情書  (第二四四号)  国鉄貨物駅の集約化に関する陳情書  (第二四五号)  高知市の国鉄土讃本線高架化に関する陳情書  (第二四六号)  国鉄山陰線駅無人化反対等に関する陳情書  (第二四七号)  国鉄札沼線廃止反対に関する陳情書  (第二四八  号)  長崎新幹線建設促進に関する陳情書  (第二四九号)  四国新幹線の実現に関する陳情書  (第二五〇  号)  関西本線複線電化促進に関する陳情書  (第二五一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  航空に関する件(新関西国際空港に関する問題  等)  海上保安に関する件(海洋汚染の防止に関する  問題)      ――――◇―――――
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  航空及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。石井一君。
  3. 石井一

    石井(一)委員 私は、去る九月十日の本委員会において関西国際空港建設問題について取り上げました。その節に、住民不安が非常につのっておるので、すみやかに調査中間報告をしていただきたいということを御要望いたしましたし、できればその実地飛行に対する措置もとっていただきたい。それらの問題について、運輸当局がその後三カ月の間にいろいろと措置をとっていただいたことに対しまして、この席をかりまして御礼を申し上げる次第でありますが、その節、政府委員から回答をいただきました点で、できれば十二月中に航審答申を得て閣議決定にまで持ち込みたい、そういうのが当局としての希望だ、こういうお話がございましたが、ひとつ、その後三カ月、関西国際空港に関する航空審議会での審議状況はどういうふうになっておるか、まず御報告をいただきたい、こう思います。
  4. 内村信行

    内村(信)政府委員 先般先生から御指摘ございまして、三回にわたりまして航空機を飛ばしまして騒音調査をいたしました。  それから、その航空審議会の模様でございますが、私先般、先ほど先生おっしゃいましたように、できれば私ども希望といたしましては十二月中に答申を得て、建設の方向に踏み切りたい、こういうことでお話を申し上げておったわけでございますが、審議会は非常に慎重に、事柄事柄でございまして、相当大きなプロジェクトでございますから、これは慎重に考えなければいかぬということで、皆さま慎重なる審議を重ねております。したがいまして、私ども十二月中ということで希望いたしましたけれども、その希望は無理でございます。  そこで、私どもも、むしろそういうふうに無理やりに予算に合わせるというふうなことよりも、この際、もうほんとうに客観的な立場に立って御審議を願って、これがいいということをほんとうにお思いになった段階において報告をするということのほうが至当であるというふうに考えまして、残念ながら答申の運びにはならなかったわけです。  そこで、現在まで審議会といたしましては総会一回、そのほかに関西国際空港部会を二回ほど開きまして、まず関西空港が必要であるかどうか、つまり、その需要の点から見てどうか、伊丹のみでさばき切れるかどうか——、さばき切れない。それからもう一つは、伊丹騒音というものが、関西空港ができることによって軽減できるかできないかというふうな角度からの検討がございまして、その結果、必要性があります、それから、伊丹騒音も軽減できるであろう、こういうふうな結論に達せられました。しかし、公害問題というのは相当大きな問題でございますから、一体騒音被害というものがどういうふうに及ぼすか及ぼさないかというふうなこと、さらにその他の問題につきましても、これからさらに慎重に検討して結論を出したい、こういうふうな状況でございます。  それから、特にいままで主として御研究いただきましたのは騒音問題でございます。騒音問題につきましては、この三回の騒音調査も含めましていろいろ御審議をいただきまして、まあ結論としてこれならだいじょうぶというところまでいっておりませんが、少なくとも相当海上に出せば騒音被害というものはなくなす可能性があるのだというふうな御認識はいただいております。  以上でございます。
  5. 石井一

    石井(一)委員 騒音問題はあとで取り上げるといたしまして、この審議会の今後の審議の見通し、並びに、前回も答申の時期は十二月、ちょっとずれたわけですが、皆さん方としては答申をいつごろまでに期待されておるのか、その点お伺いしたいと思います。
  6. 内村信行

    内村(信)政府委員 私どもといたしましては、御存じのように現在の伊丹空港がもうキャパシティーがフルになりまして、パンク状態が迫っております。したがいまして、つくるとなれば早期に建設に着手しなければいかぬということで考えておりますので、その意味においてはなるべく早く結論を出していただきたいというふうに希望しておりますが、一方、これは先ほど申し上げましたように非常に大きなプロジェクトでございまして、地元住民問題もございますし、公害問題もございます。したがいまして、これはやはり慎重にすべきだ。つまり、期限をつけないで納得のいくまで審議をさしてもらいたいというのが審議会の御意向でございますので、私は、当然、そういうことでございますと、これは審議会におまかせして御納得いくまで審議をしていただきたい、こう思っております。
  7. 石井一

    石井(一)委員 慎重に審議するということは、それでは、たとえば審議会自体現地まで出ていって、現地住民の声を吸い上げるとか、あるいは実際に建設を予定されておるところまで行って、騒音その他の公害問題などについて調査する、そういうことも含まれておるわけですか。
  8. 内村信行

    内村(信)政府委員 これはまあ審議会のほうでおきめになることで、私ども事務当局としてはどうこうというふうなわけにはまいりませんけれども、聞き及んでおりますところでは、少なくとも騒音につきましても、実際にどれくらいの騒音感じとしてあるだろうかというふうなことは、現地へ行って実際に聞いてみたい、こういうふうな御意向はあるようでございます。  それから、公聴会を開くかどうか、これはまあ別でございますが、いろいろな方法でもっていわゆる皆さん方の御意見を聴取する方法はありますので、いろいろな方法でもって御意見はできるだけ聴取したい、こういうふうな御意向はあるやに感じております。
  9. 石井一

    石井(一)委員 それから、現在までの三回の審議会の審査の経過で、必要性なり海上建設ということに対する可という青信号は出ておるようでございますけれども、要するに、規模だとか位置という問題についてまだ何らの確答も出ておらない、こういうふうに私理解いたしておりますが、規模についてはいろいろのものを調べておりまして大体私なりに理解しておりますけれども、私が問題にしておりますのは、この審議会位置決定までするのか、具体的に二案とか四案とかある案の中の一案をしぼって、ここが確かに最適地であるとか、位置決定までを審議会としてはされようとしておるのかどうか、この点はいかがですか。
  10. 内村信行

    内村(信)政府委員 諮問は、新関西空港位置及び規模についてでございますから、その意味において位置というものは決定されると思います。ただ、これも審議会のほうの御意向でございますから一点にしぼられるか、数点にしぼってこの中でやるとおっしゃるか、そこまではまだ確かめておりません。
  11. 石井一

    石井(一)委員 もうちょっと突っ込みたいのですが、それじゃもし一点にしぼられて答申が出てきた場合には非常に当局としてやりやすいわけですか。もし一点にしぼられずに答申が出てきた場合には、どういう段階を経て決定に至るわけですか。
  12. 内村信行

    内村(信)政府委員 その場合には、おそらく公共団体その他の御意向もあると思いますので、その辺をいろいろ打ち合わせをしながら進めたいと思っておりますが、私どもといたしましては一点にしぼっていただきたいというふうに考えております。
  13. 石井一

    石井(一)委員 それで、これに対するこれまで運輸省内において調査室などをつくられて回顧な費用をかけていろいろ調べられたそういうデータというものは、すべて審議会に対して提出して、あらゆるデータというものをお与えになった上でこの審議をされておるわけでありますね。
  14. 内村信行

    内村(信)政府委員 そのとおりでございます。ただ、審議の過程上まだそこまでいっていない点につきましては出しておらぬものもあるかと思いますが、考え方としては全部出して御審議いただいておるわけであります。
  15. 石井一

    石井(一)委員 次の問題に移りますが、先ほど騒音調査飛行を過去三回やってかなり自信を深めたというふうなお話でございましたけれども、必ずしも地元住民の気持ちとしてはそうでない面もまだ残っておるようでございますけれども、まず最初にこの間やりました三回の実地飛行に対して運輸当局はどういうふうに受けとめられているかということ、それから第二点は、しからば三回で十分だとお考えになっておるのか、あるいは今後もこういう実地飛行をさらに繰り返していこう、こういう御計画があるのかどうか。
  16. 内村信行

    内村(信)政府委員 いままでやりました飛行に対する受けとめ方でございますが、ボーイング747、いわゆるジャンボ、これを使って二回、それからボーイング727ですか、これを使って一回、合計三回やっております。  そこで各候補地が三カ所ございまして、泉南、ポートアイランド、それから明石沖、その辺に三カ所選びまして、十八ないし十九の地点で騒音測定したわけでございます。その結果、大体私どもの想定をしておりましたとおりである。と申しますのは、陸岸には七十ホンの騒音というのは大体において起きないのではないかというような感じが私どもの受けとめ方であります。それから沿岸部等でも、実際に見聞きした方々に御意見を伺ってみたわけでございますが、これは何も関係のない住民方々の御意見を伺ってみましたら、大体納得していただいておるのではないかというふうに感じております。  それから今後さらに実地調査をやるかどうかという御質問でございますけれども、これにつきましては現在いろいろな声といたしましては、いままでは一定の風向きしかやっていないが、もっと南風の場合にやらないとわからぬというような御説もございます。そういったこともやはり考慮に入れる必要があると私は思っておりますので、審議会におきましてもそういうふうなことから考え南風の場合にやるとかあるいは時期的に不可能でございましょうけれども、もう少したった時期を選びまして、そういった南風の場合にもやるとかいろいろな調査をもっとやってほしい、こういう御意向でございますし、私どもももっとやってみたい、こういうふうに考えております。
  17. 石井一

    石井(一)委員 私ども、いま御答弁ありましたように確かに費用もかかることだし、たいへんだろうと思いますけれども、やはり住民納得のいくというところまで、これは非常に重大な点でありますから繰り返していただきたいということをお願いいたしておきたい、こう思うのです。  第一点の、要するに当局としての結果の受けとめ方でございますけれども、三回やったけれども騒音というものは非常に小さいとい声も一部にはあるかもわかりませんけれども、たとえばマスコミあたり取り上げ方にいたしましても、まだまだ音の高さにおいても疑義があるという書き方をいたしておりますし、特にその調査時期と前後して反対派の動きというものも非常に激しいものがあるわけでございますし、それから役所がやると何となく色めがねで見られまして、やはりそういう危険がありそういう疑いがあるからこういう行為をやっておるのだというふうにとられる向きもあるわけなんです。したがって、自己満足というたらたいへん失礼な言い方になるかもわかりませんけれども、やったらこれくらいのホンだからだいじょうぶなんだということでなしに、今度はこの結果をもって住民側に対して納得のいく対話の場所というものをやはりつくっていただいて、現実の結果がこうであったのだ、科学的にこうなんだというふうなことをもう少し——ただやってこれでよかったということでなしに、さらにそれに対してそういう働きかけということをしていただきませんと、なかなか大都市圏内にこういう大きなプロジェクトを持ってくるということにはむずかしい面があると思うのですが、この点いかがですか。
  18. 内村信行

    内村(信)政府委員 確かに先生指摘のように、私どもといたしましては大体陸岸では七十ホンにならないのではないかというふうに受けとめておるということをお話し申したわけです。現実測定点におきます測定結果から見ますと、中には若干こえている場所もないではないわけです。これはどういうわけかと思っていろいろ分析したわけですが、と申しますのは、三回が三回こえているわけではないので、一回こえたけれども二回こえてないとかそういうばらつきがだいぶあるわけです。そこでそういった調査をしてみますと、中にはほかの騒音がたまたま入った、そういうケースがございますし、あるいは飛行方法が若干この場合にはコースをはずれる、あるいはエンジンをそこでふかしたというふうなこともあるというふうな意味で、特殊事情もあるようでございます。  そこで、そういったものを総合して考えますと、先ほど申し上げたようなことになっておりますが、まだその点につきましては皆さんの御疑義を必ずしもはっきり聞いたわけではないと思いますので、そういった意味も含めましてさらに今後も調査をまた続行いたしたい。しかも、その際にはガラス張りで皆さん方に全部周知して、あるいは大阪府、兵庫県、神戸市なりの皆さん方が自由に実際に観測をしてみる、測定をしてみるというふうなことをしていただいて、ほんとうに皆さまに御納得のいただけるような方法を購じてまいりたい、こう思っております。
  19. 石井一

    石井(一)委員 空港必要性というのは十分認めるわけですし、そういう答申も出ているわけですけれども、それよりもっと必要なのは住民の理解と協力ということでございまして、成田のような騒動は繰り返したくないわけでありますから、私がいま申しましたいわゆる騒音に対する疑いというものが一番大きいわけですから、これに対してはなお一そう慎重にやっていただきたい。実地飛行もさらに加えていただきたい。それからその結果は、やはり納得のいくような形で、公聴会なり話し合いの場なり説明会なり、あるいは報告書というふうな形で周知徹底をしていただきたいということを、特にこの席でお願いをしておきます。  そこで、環境庁のほうからだれか来ていただいておりますか。——航空機に対する騒音対策でございますけれども、大きな羽田であるとか伊丹というふうな飛行場での航空機に対する騒音公害に対する住民の悩みというものが非常に多いのですが、環境庁は基本的に航空機騒音に対してどういう考え方基準、規制をもって臨んでおられるわけですか。
  20. 松井三郎

    松井説明員 お答え申し上げます。  御案内のように近時航空機によりますところの問題が生じております。一部、空港周辺におきましては深刻な問題を生じておるような段階でございまして、環境庁としましては問題地航空騒音のいろいろな対策の目標となるべき何か環境上の基準が設定されなくてはならぬ、かようなことを考えまして、九月二十七日に環境庁に設置されておりますところの中央公害対策審議会におきまして、航空機等特殊騒音環境基準がいかにあるべきか、これを現在諮問いたしまして審議されているような現状であります。  なお、一部被害の非常に激しい大阪国際空港並び東京国際空港につきましては、何が望ましい基準であるかということ以外に、現在の被害現状をどのように解消したらいいか、こういう場合の基準になるべき指針というものをまず早急に御審議をいただくようにお願いいたしまして、現在審議中でございます。
  21. 石井一

    石井(一)委員 そうすると、まだはっきりした基準というものは出ていない、こういうことなんですね。まあ境環庁ができましてからそう期日もたっておらないわけですから、そういうことであるかもわかりませんけれども、たとえば、航空機騒音に対する国際的な基準とかなんとかというのはないのですか。
  22. 松井三郎

    松井説明員 お答え申し上げます。  一機ごとの音の基準でございますね、これにつきましてはいろいろ研究されまして、アメリカ等におきましては騒音証明制度というのがございまして、ある一定の大きさの音の出るような飛行機は飛ばせてはいけない、こういうふうな基準はあるわけでございます。なお、国際機関であるICAOにおきましても、この一機の騒音の大きさの基準というのがどのようなものであるべきかということについて勧告を行なっているわけでございますが、人間が受ける側に立ちまして、どの程度の大きな騒音になりましたら環境条件として望ましい音であるとか、あるいは許容限度はどのようなものであるかというようなことにつきましてはいろいろ各国で研究がなされておりますが、はっきりした環境基準のような、政府がはっきりしたものとしてこれを設定しておるというような現状にはなお至っておらないような状況でございます。
  23. 石井一

    石井(一)委員 先ほど航空局長の御答弁の中に、この間の騒音調査の結果、ほとんど七十ホン以下で、一部それよりオーバーしたところもあるけれども、大体まあ受忍限度といいますか、そういうものであったという御答弁がございましたけれども、この七十ホンというのは一体どういう根拠からそういう結論が出てくるわけですか。
  24. 内村信行

    内村(信)政府委員 それははっきりした基準ではございませんけれども、まあ大体外国におきましてはその辺をめどにやっているんではないかというふうな大体の感じでございます。
  25. 石井一

    石井(一)委員 環境庁のほうにお伺いしますけれども、この航空機騒音の場合ですね、七十ホンというのを一体どういうふうにお考えになりますか。
  26. 松井三郎

    松井説明員 新国際空港がもし陸地部で、この騒音が七十ホン以上及ばない、こういうことでございますと、現在主要な国際空港状況から見ますと非常に騒音の少ない空港であることは間違いございませんが、しかしながら航空機騒音は他の一般の騒音と違いまして、非常に間欠、断続音である。工場騒音のようにある一定の音が断続的に生ずるものではなしに瞬間的なものである、あるいは衝撃性が強い、こういう音そのもの独自性がございますほかに、一方人間の受ける側としましては、これはまあ音の大きさのみではなしに、飛行の回数でありますとか、あるいは周囲状況でありますとか、たとえば、及ぼす範囲が住宅であるか工場街であるかというような周囲の地域的な環境状況でありますとか、あるいは夜間、昼間、こういうことも考慮に入れる必要があると思うわけでございます。ただ音の大きさ、何ホンであればどうであるかという問題につきましてはいろいろむずかしい問題がございますので、現在このような許容基準といいますか、このようなものを中央公害対策審議会におきまして御審議をお願いしておるわけでございます。なお、これにつきましては早く答申をいただきますようにお願いしておりますが、まだございませんので、環境庁といたしましては、現在の段階では、どの程度の音が妥当であるかという結論は出しておらないような状況でございます。
  27. 内村信行

    内村(信)政府委員 先ほどの七十ホンの根拠でございますが、補足させていただきますと、英国の商務省で何か調査をいたしましたウィルソン報告というものがあるようでございます。それによりますと、七十ホンというのは、大体人間にとりまして静かと判断されるか、あるいはそうではないかという大体ボーダーラインというふうな感じのところであるというふうな感じでございます。
  28. 石井一

    石井(一)委員 環境庁におかれてはなお一そう、まだ審議会答申などを待たれる必要があろうかとも思いますけれども公害問題、特に航空機騒音問題は非常に関心の高い問題でありますので、ひとつ権威ある一つの基準というものを打ち立てていただきたい。御答弁を聞いておりますと、まだ多少自信のないようなところを伺うわけでございますけれども、きょうは時間もありませんし、またこれ以上突っ込んでもあれですから、そういう点を御要望いたしておきたい、こう思います。  それから航空局長、私、この前の九月十日の委員会の質問で、位置なり規模は年内にきまるのだ、予算規模はこういうふうになっているけれども、しかる後に予算要求をして、来年十月に公団の設立に踏み切るのだ、こういうことでございますけれども、残念ながらその答申がいまだ慎重審議の過程である、こういうことでございますけれども答申が出てない現在でもやはり公団の設置の要求をされるかどうか、この点いかがですか。
  29. 内村信行

    内村(信)政府委員 その問題でございますけれども、私どもといたしましては、結論から申し上げますと、やはり要求をしたい、こう思っております。なぜかと申しますと、まずこの関西空港でございますけれども、設置の必要性があるかどうかという問題でございますが、これにつきましては、大阪府あるいは兵庫県、神戸市、大阪市、この四者で共通の懇談会をつくっておられますけれども、そこでもって統一見解といたしまして、先般、九月ごろでございましたか、月はちょっと忘れましたが、関西空港は必要なんである、それから公団の設置も必要である、ただしこれは公害のないものでなければいかぬ、こういうふうな条件がついておりますが、基本的にはそういう意味関西空港が必要であるというふうな御見解を賜わっておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、この公害があるかないかというふうなことを含めまして、これは審議会にいま御審議を願っているわけでございますけれども、これは審議会結論は当然急がすべきではない。この点については慎重に御検討をいただいて、その結果に待つべきものだと思っております。  ただ問題は、かりに年度途中におきましても、審議会において結論が出まして、どこそこにやるべきであるという結論が出まして、また地元公共団体その他も合意されるというふうなことになりました場合に、これはやはり早急に直ちに着手していかなければいけないわけです。と申しますのは、それがおくれますと、またその建設時期がおくれまして、そのために現在の伊丹方々にも御迷惑をかけますし、あるいは大阪を中心にして航空機に出入りされる方にも御迷惑をかけるということで、一刻も早くつくらなければならぬという情勢が客観的にあるわけです。ただ問題は、そのときに予算的措置ができるかというと、予算上のシステムとして、現在でなければできない。そこに食い違っておるものですから、その辺私どもは実際問題としてやりにくい点はございます。しかし、やはり審議会の御答申なりなんなりも、来年度一ぱいはかかるとは思えないわけで、それ以前には何らかの答申が出るであろう。それを直ちに実行に移すためには、やはり予算の段階において何らかの手続を行なってまいりたい、そういう意味合いから私は要求したいと思っております。
  30. 石井一

    石井(一)委員 相手の、大蔵省のあることでありますし、まず答申の出てないときに、いかに制度上の問題があっても、予算要求するということはいかにも審議会を無視するというようなことにも理論的にはなり得る面もあると思うのですが、その議論はとめまして、要するに四十七年度に公団が認められなかった場合はどういう影響を受けるんですか。
  31. 内村信行

    内村(信)政府委員 やはりこういった仕事は直接役所でもってやるというのはなかなか法律もはかどりませんし、うまく進捗しないと思います。したがいまして、やはり建設に着手するということになれば、公団のようなものをつくりまして、もう少しフレキシビリティーに動き得る体制をつくらないとそれができないということになりますので、やはり半年ないし一年、相当建設がおくれるのではないかということが懸念されるわけでございます。
  32. 石井一

    石井(一)委員 地元公共団体の協力ということに関して、私この前かなり時間を費やしておるわけでありますけれども、これはもう繰り返しません。その後三カ月にいろいろと調査その他を進められておる間、地元での動きで大きく変わったところがあるというふうな点で何か察知しておられるところがございますか。
  33. 内村信行

    内村(信)政府委員 その辺は特段にはわかっておりません。
  34. 石井一

    石井(一)委員 要するに地元住民は、非常に賛成で活発に動いている人もありますし、反対でやっきになっている人もございます。そういう声だけが耳に届いてくるんじゃないかと思うんですけれども、大部分は中立でどうしていいかわからない。事情がわからない。内容もわからない。だから、そういう意味では賛成でも反対でもない、中立なんですけれども、消極的反対とでも申しますか、できるだけ不安だけは解消してもらいたい、私はこういうことだと思います。そういう意味では非常に重要な時期にも差しかかっておるわけですし、非常に大きなプロジェクトでもございますので、私きょうの質疑を通していろいろなことを申し上げましたけれども、要はやはり住民の理解、協力を得られる体制をつくられぬ限り、どうも当局というのは中央集権的にものをきめて持ってくる、こういう考え方では私は関西空港というのはできないと思うのです。そういう意味で、これからますますむずかしい最後の詰めの段階に入ってきておるわけですけれども、そういうことを特に配慮されてひとつ最後の詰めをしていただきたい、こういうことを強く要望いたしておきます。  その他こまかい問題もいろいろ御要望いたしましたが、それらをすべて住民の不安解消のため実行していただきたい。こういうことを御要望いたしまして、時間が参りましたので、終わらしていただきます。
  35. 小峯柳多

  36. 阿部助哉

    阿部(助)委員 新潟の海で起きました船の油の被害で、住民はいま年の瀬を迎えてたいへん困っているときであります。そういう点でこの委員会で時間を与えていただきました点、委員長はじめ委員方々に敬意を表する次第であります。  まずこの問題が起きまして、付近の沿岸住民はたいへん困っておるのでありますけれども政府現状をどのように把握しておられるのか。窓口が一体どこなのか。これがなかなかわからぬわけであります。原油と中和剤によって死の海となりましたが、ジュリアナ号に残っておる原油の処理、また生業を奪われた漁民や多くの関係者の状況を、いま政府はどのように把握しておられるのか。まず現在までの政府の総括をお伺いしたいと思うのであります。
  37. 手塚良成

    ○手塚政府委員 今度の事故が起きましたにつきまして、まず事故処理という観点から措置をとらなければならぬということで、当時流出しました油の除去、その後現在船首部分、船尾部分に残油がありますが、その残油の抜き取り、こういう面についての措置、これは非常に重要な措置でございますが、特にその船首部につきまして、いま残っておるものを最大限の努力をして抜き出そうということを、私のほうは最大の使命として実施をしております。  それからいろいろいわれます水産関係への被害等の問題につきましては、これは水産庁のほうでいろいろ調査団を派遣をされてその面についての実情の把握、今後の措置等をお考えになっておるやに私のほうは聞いております。
  38. 阿部助哉

    阿部(助)委員 油の処理のほうはあなたのほうでおやりになっておる。漁民の被害のほうは水産庁でやっておるらしいということでありますが、これは広域沿岸における今日までの最大の事故だろうと私は思うのであります。イギリスの近くに起きましたトリー・キャニヨン事件、あれはそう沿岸近くではなかったといわれておりますけれども、今度の場合沿岸の近くに起き、そして住民をいまたいへん困難な立場に追いやっておるというときに、皆さん海上保安庁の答弁けっこうですけれども、これだけでは住民は安心できない。本来ならば、当然対策本部等をつくって、各省ばらばらの体制を一本化して処理をしなければならない。何かこれからこういう問題が起きるかもわからぬ新しい問題であるのに、各省にいろいろ聞いてみてもそれぞれがばらばらなんです。私は内閣の官房副長官にその点をお伺いしたいと思うのですが、いま全体をどのように把握しておられるのか、お伺いしたいと思うのです。
  39. 三原朝雄

    ○三原政府委員 阿部委員の御説ごもっともだと思っておりますが、政府におきましては、いま海上保安庁から答弁申し上げましたように、海上保安庁に本部をつくって各省庁とも連絡は保持さしておるわけでございます。しかし事故が起こりましたので、政府において対策本部を設置する必要がないかというようなことも検討をしたのでございますけれども、この事故が重要であるとかあるいは軽いとかいうようなものではございません。そういう立場からではございませんが、とりあえずは各省庁においてそれぞれ対処しておる体制で進んだならばよかろうと判断をいたしまして、本部は設置いたしませんでした。しかし当面する事故に対しましては、海上保安庁が油の処置をする一方、農林省の水産庁関係におきましては、漁民の漁業に与える諸般の影響を調査し、また将来の魚族保持あるいは海藻保持というような点についても調査、検討を進めております。なおまた環境庁におきましては、将来のそうした散布薬品等の問題等についても、今回の問題を貴重な一つの事故として、そういう立場から将来検討を進めるというふうなことでやっております。  そこで、いま阿部委員の申されますように、当面いたしましてそういう調査をいたしておる間にきおましても、年末を控えてこの関係住民方々が、特に漁民の方々の越年の問題もございます。そうした補償が完全に行なわれるまでの対処が必要でございまするので、そういう点につきましても、農林関係等を中心にいたしまして現地市町村と連絡をとりながら、その対処をいま進めておるところでございます。そういう事情でございます。
  40. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、この問題でいま保安庁に対策本部を設けたというお話でありますけれども、各省どこを呼んで聞いてみましても、意見はばらばらで統一されていない。もう一ぺん政府はこの事態の重大さというものをお考えになってやってもらいたい。たとえば、いま油の抜き取りをやっておる。それはやっております。だけれども、一体住民被害調査というようなものをどんな形でやっておるのか。水産庁はなるほど漁連と話をしております。しかし、この人たちだけが被害者なのかというと、そうではないでしょう。それに対して一体どのような指示をし、調査をしておるのか。これは皆さんの水産庁から来た調査項目であります。県段階へ行ってみると、なるほど農林部は漁連関係の調査はいたしております。しかし、そのほかの調査は私のところは関係がないということでやられていないというような形で、まず私はこの問題が起きた政府の責任というものをもう少しお考えをいただかなければならないと思うのであります。そういう点で漁連等のほか、漁民また関係住民被害調査、その補償というものに対していまどのようにお考えになっておるか、まずお伺いしたいと思います。
  41. 三原朝雄

    ○三原政府委員 被害問題につきましては、運輸省を窓口にいたしましていまその実態の調査をいたしておることは御承知のとおりであります。そこで、この事故によりまする被害については、当然船主なりあるいは荷主等からその補償、責任をとらせるわけでございますが、しかし当面いたしまして、先ほど申しますようにとにかく越年の時期を迎えておるというような事態、それからその他住民の受けておられまます諸般の問題等につきましては、いま申し上げましたように船主なり荷主が負担すべきもの、そしてその他一般行政等につきましては政府自体でどう処置するかというような点は、実態を把握した上で処置いたしたいということでございます。しかし、当面しての越年資金等につきましては、そういう補償の問題が明確にきまりません時点におきましては、政府としてとりあえず緊急措置をいたしたいということで進めておるのでございます。
  42. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さんのほうからお伺いしますと、やはりみんな船主だ、保険だという形でおっしゃるのでありますけれども、私は民間の保険を云々する前に、まず政府自体の政治責任、これを明確にすべきだと思うのであります。その上で、政府がこれをおやりになればいい。その意味は、もうぼりばあ丸であるとか、トリー・キャニヨン事件のそのあと、海上事故というものは非常に危険である。ことに今日のようにタンカーがこれだけ数を増し、大型化しておる。そういうことに対して一体どれだけの政府対策をお立てになっておったのか。このたびの新潟のあの事故を見ましても、政府には全然対策がなかったといってもいいのではないか。もし、これよりもっと大きな事故が起きたときに、一体どのようにされるのか。なるほど日本のいまの高度成長は石油産業を中心にしてなされてきた。しかし、そのタンカー一つ一つを見ても、一つ一つが危険を持っておる。しかも、数もこれだけふえておる。その中で、一体政府はどのような御指導をなすってきたのか、対策を立ててきたのかということになると、全く野放しのままやってきたというところに私は大きな責任があると思うのであります。まあPI保険だとかトバロップだとかクリスタルとか外国の保険に依存をしておるようでありますけれども、これはまた別の問題であって、まず第一に政府ははきっりとその対策を立てる、指導する、こういう責任があったろうと思うのであります。まずその責任でこの住民に対処すべきではないのか。私時間がないから申し上げまするけれども、この海上汚染防止法の審議の過程を見ましても、運輸省は石油産業、そうして通産省は船主、この側に立ってなかなかこの意味がまとまらなかったという経過を見ましても、いまのこの石油産業の発展、そうしてタンカーの増加、こういうものを見てまいりますと、港湾の不備等を考えていけば、こういう解放が起きるであろうという予測のもとで十分な対策を何一つ立てていないというところに問題があると私は思う。保険の問題は、あとで政府が保険組合等々との話し合いをおやりになるのは当然のことでありますけれども、その前にまず政府責任においてこの海をもとどおりのきれいな海に皆さんがなさる努力をすべきだと思うのですが、いかがですか。
  43. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 運輸省は昭和四十一年の十一月に、タンカーの大型化に伴う災害対策要綱、こういうものを策定いたしました。その内容は、狭水道における安全対策、原油輸入基地港湾の新設、船舶の安全性の強化、救難体制の確立、海上消防体制の強化、こういうものをつくりまして鋭意努力中でございましたが、まだその実現を見ない過程にこの問題が生じたのであります。したがって、今回の事故を契機といたしまして、油濁防止の事後処理、そのための機材整備に関する基準の設定、機械の開発促進、海上交通安全法の促進——この海上交通安全法というのは次の通常国会に成案を得て、当委員会の御審議を得て早急に運営したいと、かように考えております。  いずれにしても、タンカー事故によって沿岸漁民に多大の被害を与えているのは御指摘のとおりでございます。個々の漁民に会って被害状況をつぶさに掌握するのが最も賢明な方法でございましょうが、御承知のとおり、漁民には漁業権によってその生活権が保障されております。したがって、漁業に従事している人はすべて、新潟でいうと新潟県漁連、下部にわたると新潟市漁業協同組合の組合員でございます。そこの機関を通じておのおの関係の被害状況調査するのが最も適切である、そういう観点から水産庁が主体になって現在も調査中でございます。その各県から出ている調査の詳細については、水産庁からお答えいただくのが適当かと存じます。
  44. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまも次官のお話しのように、もうやらにゃいかぬということだけはわかっておったわけです。しかし、いま対策を一生懸命立てておりますということだけであって、今日まで石油産業はどんどん伸びてきておる、タンカーは数をふやしてきておる。こういったいままでなかったということだけは間違いはない。だから何もあそこで対策が講ぜられなかったということは間違いない。その責任をお考えになりその責任を認められるということがまず第一であって、これから来国会でどうするこうするということはこれは当然のことであって、私そんなことは聞いていない。問題は、この事件に対していままで対策を怠ってきた、住民にあれだけ大きな被害をかけたということに対して、政府が責任をおとりになるかどうかということを私は聞いておるので、簡単でけっこうです。
  45. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 当然政府は責任を感じ、先ほど官房副長官からお答えがあったとおり、最終的な漁民に与える被害、それに対する万全の対策を立てている現状でございます。責任ないとは申し上げていないつもりでございます。
  46. 阿部助哉

    阿部(助)委員 次官が非常に忙しそうでありますし、私の時間もないので副長官になるだけ話をして放免しろということでありますので質問いたしますけれども、いまのようにこの被害を受けておるのは漁民だけではないのですね。また漁連に加盟している組合員だけではないのです。それをいま調査をしておるというけれども、漁連を通じてだけではだめなんであって、皆さんの水産庁からの調査項目も私いただいております。県へ行って調べてみても、全く限られた範囲内だけ、漁連の要求だけをいま取り上げているというのが現状なんでありまして、自治体に対する指導もない。そうして大体いまのところ次官は政府の責任をお認めになりました。だけれども、いままでのやり方は、どうも保険が何とかするんだろうみたいな形で、保険にまかしておる。、それでは困る。もし保険がなかった場合一体どうなるんだ。まず国がこの対策を立て、補償をし、めんどうを見、そうしてその分は当然これは保険に対して皆さんが要求されるという姿勢に立たない限り、住民被害はよくならない、私はこう思うのでありますので、この点をまず副長官にはっきりと御答弁を願いたいと思うのです。
  47. 三原朝雄

    ○三原政府委員 阿部委員の御意見、ごもっともとして拝聴をいたしておりましたが、確かにいま申されましたように、漁民だけではございません。一般の地域住民にも相当な被害を与えておる。しかも、それは広域にわたって被害を与えておりまするし、なお各省庁あるいは地方自治体との関係が緊密ではないぞという点も御指摘がございましたので、政府におきましては十分その点を配慮いたしまして、御意思に沿いながら万全の措置を進めてまいりたい、こう考えております。
  48. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この問題は、現地に行ってみていま一番困りますのは、被害者が、一体どこまでが被害の範囲なのかわからない。責任の範囲は、一体国に責任があるのかないのか、全部保険会社、船主の責任なのかどうか、これもわからない。被害の金額はといえば一体何年魚がとれないのか、もとどおりの海になるまで幾らなのか、この算定がまたむずかしいという、どれもこれもが不確定なわからないという現状であります。せめて私は住民の要求、住民の苦痛を訴える場所くらいを一本化して——しかも、先ほど申し上げましたように沿岸における最大の事故であります。そして、これからさらにタンカーがふえていくということになれば、さらに大きな事故が起きないという保証は何もない。あるいはこれが前例になるかもわからない。そういう複雑でありむずかしい、しかもまた一面、保険等の国際的な問題もかかえておるということになれば、まず第一に、先に政府がそれの体制をおとりになることが必要だ。そうでありませんと、いまのような各省ばらばらのやり方で、いまのこの海をもとどおりにする、そうして住民の生活を安定させるということは不可能じゃないか。官房副長官お話をいま私も了解いたしますが、ぜひそういう体制を早急におとりになっていただきたいということで、官房副長官に対する質問をあれして、ほかに移しますから、どうぞ……。  私は海上保安庁のほうにお伺いしたいのですけれども海上保安庁は、あの船は新聞等では港外だ、こう言っておるのですけれども、明らかに港域の中で起きた事故なんですね。新潟港の港域は、河口港でありまして、あの河口だけではなしに、もう少し広範囲に、東港まで港域となっておる。当然港長からいろいろな指示がなされなければならないと私は思うのであります。そして、あの船は朝の七時ですかに港域に入った。当時の風は陸のほうから吹いておった。ところが午後になってから風は海のほうから吹くようになってきた。そしてあの事故の直前に船は向きを変えようとしたところがやられた。しかし、その間風のことの連絡も一つもなければ——大体あの荒い海にあの辺に停泊をすれば事故が起きるということは予想されたと思うのです。そういう点で、私は港長の責任というものもあるだろう、こう思うのですが、その辺はどうなんです。
  49. 手塚良成

    ○手塚政府委員 御指摘のようにあの船は十一月三十日の午前七時五十三分、西防波堤灯台二百五十度、三千百メートルというところに投錨いたしました。この投錨いたしました地域は、いわゆる港則法でいうところの港域の中であります。しかし入ってまいりましたのが、まだ検疫を受けてない、そしてこれから水先人を待っておる、こういう状態で入ってきております。通常そういう状態の際はまだいわゆる港長権限が一〇〇%動かないという状態で一応あります。  気象の伝達通報という問題を御指摘がございましたが、この点につきましては、私どもの従来のたてまえといたしまして、やはりそういう警報の伝達要領がきまっております。海上警報発令というのが、二十七日の午前三時、強風警報発令という形で新潟気象台から出ております。さらにそれが、二十八日の二十一時には強風警報が更新をされておりまして、これを私どものほうでは、二十七日の分についてはその日の八時十八分、同じく四十八分、九時四十八分、三回、和英両文で放送いたしておりますし、二十八日の分につきましては二十八日の二十一時十八分、同じく四十八分、二十九日の九時四十八分というふうに、規程により三回も放送をやっておる。それからさらに、信号所というところにこういったものの警報の吹き流し気象警報標識というものを掲揚いたしておりまして、当日も午前七時以降同標識を掲揚中でありました。なおまた、こういう気象の変化等に対応するための伝達方式の別な一つとしまして、新潟港災害事故防止対策協議会というのがありまして、これは関係各会社の代理店等も中に含めておりますが、こういう代理店等にそういうつどの警報を個別に伝達をするということもやっておりまして、当時このジュリアナの代理店に対しましてもそういう伝達をやっておる。その後、乗り組み員の供述によりますと、気象警報は受信をしておるというふうな供述をしておるように、ただいまのところ報告を受けております。
  50. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま海はたいへんよごれておるわけです。中和剤をおまきになった。ところがこの中和剤が岩船の沖まで流れて、ここへ持ってきておるのは岩船のであります。それが、底びきをやれば網にこれくらいずっとついてまわる。これはコールタールみたいになって、ごらんになればわかりますが、非常にきたない。そこで、もう最近は魚もだんだん寄りつかなくなってきて、いままでですと、定置網にサケが大体二百本くらいかかるのが、五日には百本になり、二、三日前にはもう十四、五本くらい、これくらいしかかからない。大体魚が寄りつかなくなってきている。皆さんはこの海をどうやって回復をされるのか。大体中和剤というものが海をよりよごすというくらいのことはおわかりになっておったのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  51. 手塚良成

    ○手塚政府委員 この中和剤につきましては、今回、十八リットル入り二万九千かんほどを投入いたしました。中和剤について二次公害ということがいわれております。私どももこの二次公害については相当前々から慎重に検討、調査を続けてきておりまして、現在の段階ではまだ最終的な結論は出ておりません。水産庁の関係におかれましてもこれは出ておりません。私どもは、中間報告的な検討の結果に基づきまして、これはいかなる種類のものを使っても何がしかの毒性があるということはわかっておりますので、大体使う場所、使い方それからまた銘柄が非常にたくさんございますが、その銘柄の中でも現在わかっておる範囲で毒性が一番少ない、こういうものを使う、こういう配慮をし、使わなくてもよくなる時期には使わない、こういう過程をとるようにしてきております。今回の場合も一応いままでの過程ではそういった基準に従ってずっとやってきておるつもりであります。  問題は、これを使わないほうがよかったのではないかというような御議論がよくあり、また事件の最中に中止をしろというような御意見も出ました。しかし、私どもは、これを使う場合は、使っても災害が二次災害よりは大きいおそれが多分にあるという場合に限り使いたいということで、今回もそれを適用しました。つまりもしあれをあの時期に使わなかったならば、おそらく火災、爆発のおそれが非常に多い。先ほど先生もおっしゃましたように、あの場所というのは人家の密集した地域に非常に近うございますので、かつての英国のトリー・キャニヨンの場合、あるいは昨年十二月のサンフランシスコ湾の場合よりは条件が非常に違っております。そういう意味におきまして、私どもといたしましてはこの際には使うべきではなかろうかということで使いました。そして八日ごろになりまして流出油が非常に少なくなった、こういう時期におきましてはこの使用を全面的に中止をいたしました。現在も流出油が若干ずつございますが、これに対しては除去剤ではなしに、まだ開発中ではありますけれども、タフネスその他いわゆる油の吸着剤というもので極力カバーをするというような方法をとってまいっております。
  52. 阿部助哉

    阿部(助)委員 家屋の密集地帯、これに火災が起きたらたいへんだということで皆さんはお使いになった。そうしますと、火災を防止する点では意味があっただろうが、火災の危険のない沿岸のほうではそのために大きな被害を受ける。しかし、それは緊急の場合でしかたがなかった、こうおっしゃるのでしょうけれども、それは認めるにいたしましても、その被害に対してはやはり責任を負わなければいかぬ。沿岸の北のほうの遠くの人たちは火災の心配はない。だけれども、新潟の密集地帯の火災を防止するためにはこれはやむを得かった。そうすると、その沿岸の被害を受けた人たち、この人たちに対する救済というものは当然考えられることだと思うのですが、いかがですか。
  53. 手塚良成

    ○手塚政府委員 今回の災害の防除につきましては、私ども地元におきまして災害対策本部をつくりました。対策本部には公共団体、あるいは消防署をはじめとし地元の会社、関係団体というものは全部入っておられます。それから民間でも民間対策本部というのをおつくりになって、関係の皆さんがこれの処理に当たられた。またそれとの関係をも持ちながら私ども対策本部は動いたわけでございますが、その対策本部の結論全体といたしまして、やはりその際には使うべきであるという声が出まして、そういった指示に従っての対策本部としての措置をとったということでありまして、私どもは、あの際総意をあげてやるのにはああいう措置が一番適切であるということであったと思います。ただ、これを使えばそういう別な観点の問題があるということは、その被害の比較考量の問題であろうかと思います。やはり当時といたしましては、そういった若干の二次公害的な問題があるにしてもそれ以上の大きな被害を予想されるほうを防止すべきである、こういうことであったと思うのであります。  二次公害は、先ほど申し上げましたように極端にいいますと、世界じゅうでもどういうようにしたら一番いいのかということがわからぬというのが現状であります。それならば油をそのままに放てきしておくかということになるが、油自体でもこれはやはり魚類に影響はあるわけであります。それと、しからばいまの除去剤を使った場合の被害とが、一体どちらがどうなんだということ自体でも現在世界じゅうで解明をされておりません。私どもは鋭意それを解明したく努力をしておる最中であります。しかし、いま前段申し上げましたような過程とそういう比較考量のもとに今回は使うべきではなかったか。なおまた、これを使うことにつきましては、やはり水産業界等の一部の御意見も入っておる。現に、この問題と関係のない地域におきまして、やはりこういう油の流出の問題があります際に、漁業関係の皆さんが直接みずからこういった除去剤をお使いになっておるという事例もありまして、非常にその辺が区々であることは、われわれの場合といたしましていまだ何がしかの問題があると思っておりますが、しかしそういったことが世界の現状であり、私ども現状である。そこで今回の事故のあと始末、今後の対策という意味で先ほど政務次官も申しましたように、こういった意味の解明、今後の技術の開発、こういうことに力を入れなければならぬ、こういう反省をし、これに努力をいたしたい、かように考えております。
  54. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなた私の質問に答えていないわけです。これから解明するとか、また使用する場合にいろいろ相談なすった。だからどうだ、こうだと言うけれども、私のお伺いしていますのは、そういうことではなしに、私はそれはわからぬけれども、火災の危険があったから中和剤をまくことによって火災を防ぐことが必要だった。かりにこれを私が認めたとしても、それによってこの中和剤の被害が、現実にあれを見てわかりますように、また現実に魚が寄りつかなくなったように、火災の危険のなかった地帯、ずっと北のほうに向かって被害を受けておるとすれば、その被害に対する救済というものをしなければならないだろう、こういうのが私の質問なんでして、中和剤の研究をこれからする、また災害防除の対策を立てるなどこれは当然なことでありまして、私はそれを聞いておるのではないのです。
  55. 手塚良成

    ○手塚政府委員 今回の災害に伴いますところの被害につきましては、これはやはり補償をしなければならないということは間違いないと思います。これをだれがどういうふうにするかということがやはり問題であろうと思います。今回の災害はやはり海洋汚染防止法によりますところの一種の海洋汚染であります。そこで第一義的には海洋汚染防止法によるところの責任がとられなければならないということになると思います。この汚染防止法によります責任主体は原因者であります。三十八条、三十九条にそういうたてまえが明定されております。その責任者は船舶の所有者ということになっております。おそらく船舶所有者にさらに代理店という問題、あるいは荷主という問題がいろいろからんでまいると思いますが、やはり責任主体はそういうことになると思います。したがって、そういうところが当然今回の影響について補償の責めに任じなければならない。ただ先生は、おそらくそれは非常に広範なところへ流れていく、あるいは後々非常に長期にわたって問題が起こる、それらの問題はどうなるか、こういう御疑問があるかと思います。それは今回のものと因果関係がきわめて明白であれば、そういう関係はいまの原則に従って処理されるというふうに私は理解をいたしますが、具体的にどの時期にどういうふうなかっこうになっていくかということについては、やはり将来相当研究を要する問題ではなかろうかと考えております。
  56. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたおっしゃるのは被害が明白になる、これはなかなかむずかしい問題です。そういう点、また被害を受けておる人たちがあるいは零細な漁民であり、あるいは住民であるという場合に、これはもう公害一般についてこれまたいえることであろうと思うのでありますが、これは常にむずかしい。しかも、それを裁判で争うなんということになりますれば、零細な人たちは結局泣き寝入りをせざるを得ない。しかも、いま皆さんはっきりおっしゃっておるように、害があるかないかわからぬみたいなことをおっしゃるけれども現実に油も害を出す、同時にまた、中和剤も二次公害といわれるほど害を出すだろうということは、これは大体学説は一定しているだろうし、これは現実だと思う。火災防止のためにまいたとしても、火災は防止をしただろうけれども、それによって受ける被害はまずやはり国が、住民が安心して生活できるようにめんどうを見る、そうして最終責任はやはり船主ないし荷主であるとかいうところに請求されるというたてまえをとらない限り、住民は救われないのじゃないか。  私は、まず第一に、海はいつどうやってもとどおりの海にするつもりなのか、それをお伺いしたいのです。
  57. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 中和剤を使用したことは、あの時点で第二次公害を防止する意味で漁民の了解のもとにやったことであって、決して海上保安庁が単独でやったことではございません。第二次災害を防ぐため、私はやむを得なかった処置だろうと考えております。ただ、私の経験からちょっと申し上げますが、いまお持ちいただいたボールですね。油の固型になったもの、これは御承知のとおり、インド洋でタンカーが油をたれ流した場合でも同じようなボールができて、日本の小笠原列島等に漂流している事実から見ても、中和剤のためにだけそういうボールができるのではなくして、塩分を含んだ水で急激に撹乱されると、必ず油はそういう固型になるのでございます。同時にまた、そういうボールは海の水圧の関係から、大体底に沈まずに表面もしくは五メートル前後を漂流するというのが常識とされております。もちろん沿岸に打ち上げられるのも当然でございます。したがって、中和剤のためにそういうボールができて沿岸に被害を与えている、すべて中和剤がその原因であるということは言いがたいのではないか、かように考えております。これは私の体験から基づいたお話ですから、参考にお聞き取りいただきたいと思います。同時にまた、中和剤によって生ずる被害が出た場合は、当然油による被害と同様に、それも補償の対象として考えるのは当然でございます。  それから、いま長官から海洋汚染防止法によって船主も責任があるんだ、これもそのとおりでございます。したがって、運輸省としては荷主並びに関連業界、これらの方にも十分話し合いをしまして、当然責任をとりますという確約も、またそういう文書もいただいております。さらに、それでなおかつ漁民に与えた被害が補えない場合は、当然政府がこれに対処して、しかるべき配慮をするものと、かような考え方に立っています。
  58. 阿部助哉

    阿部(助)委員 漁民が了解したとか——あすこの漁連へ行っても中和剤をまくことに反対したと、こう言っておるのです。しかし、その問題は私は別にします。また、次官から中和剤でなくともどうだということを学説を発表されましたけれども、それは私にはそういうあれはよくわかりません。この漁探を見ましても、これは明らかに、皆さんごらんになればわかると思いますけれども、中和剤をまいたのが沈下している、そういう点がはっきり写っています。そういう点で、中和剤の害なのか、私にはそれははっきりわかりません。油だけでこうなるのかわからぬが、とにもかくにも、いま沿岸の住民は困っておる。  そこで、水産庁のほうだろうと思うのですけれども、水産庁はとりあえず六億九千万ですか、融資をきめられたようでありますけれども、これはどういう根拠できめられたのか。時間がないので、ごく簡単に……。
  59. 田中慶二

    田中説明員 水産庁といたしましては、年末でもございますので、とりあえずの融資につきまして利子補給をするというふうなことで折衝を重ねてまいりまして、先般閣議でそのことを申し上げたとおりでありますが、その算出の基礎も、また漁業被害状況、そういう点も不十分でございまして、一応年間の統計によりまして年間の漁獲高の大体四カ月分、冬季四カ月分に相当するものという推定値をもちまして算出をさせたわけでございます。
  60. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういたしますと、これはこの人たちだけが被害者だ、こういうことなんですか。漁連の関係から六億九千万の要求が出ておる。それでいままでの水揚げ高を割ってこれを出された、こういうことでありますと、漁連の関係でとりあえず融資をされるという点はわかるのです。しかし、被害者はこれだけだというふうに政府のほうは見ておられるわけですか。
  61. 田中慶二

    田中説明員 私どもといたしましては今回の漁協系統融資に伴う利子補給のワクの設定というふうな意味でそういう金額を出したわけでございまして、融資に伴う利子補給を受けるものは被害漁業者を対象にしておりまして、その被害金額と申しますか、推定の被害金額を積み上げたあるいは推定をいたしましたそれとは……。
  62. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから対象はだれかと聞いているのです。
  63. 田中慶二

    田中説明員 被害漁業者でございます。
  64. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは政府のほうにお伺いしますが、漁連に加盟しておる人たちだけが被害者ではないのですね。皆さんのほうはこの人たちだけが被害者だというふうに見ておられるわけですか。実は水産庁から県のほうに指示したという調査要項を見ても、そうなっておるのですよ。
  65. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 私は直接、間接の二通りの被害者があるのじゃなかろうかと思います。それによって、たとえば魚が食料に供されない。そうすると勢い、新潟に住んでいる住民に高い価格の魚を他の面から運搬しなければならぬ。そうすると、間接的には新潟に住んでいる住民被害を与える。そういう間接、直接の二つの被害があると思いますが、先ほど来水産庁からお話があったのは直接の被害を対象としたものだろうと私は判断しております。
  66. 阿部助哉

    阿部(助)委員 間接被害のほうは。
  67. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 間接被害となると、一般住民にも、もし高い価格のそういう鮮魚が供給されたとなると、間接的には被害がある、かように判断しています。しかし、直接の被害と間接の被害となると、先ほど水産庁からお話があったように、私も最初に申し上げたように、少なくとも水面を利用して漁業を営んでいる者は全部組合員として登録されて、正規の組合員の権利を持っているわけです。したがって、そこから出てくる被害額の要望なり対応策というものは当然直接被害者全体の総意と判断して差しつかえないのじゃなかろうか、かような見解を持っています。
  68. 阿部助哉

    阿部(助)委員 市民が高い魚を食べなければいかぬ、また魚が食べれなかった被害、これもほんとう被害者と思うのですが、そこまで私は広げていないのであります。私は申し上げたいのは、たとえば内水面の被害、三面川というのは日本一サケがとれるところだそうであります。今年は大体二万本のサケを予想し、そうしてその大半が年末、年の瀬を控えて売られる。ところが今日、売ったのがみんな返ってくるという始末である。その上に、最近はサケはのぼってくるのが非常に少なくなったという被害がある。もう一つは、いま生活で一番お困りになっておるのは、この魚をかついで行商をしておる御婦人の人たちがたいへん多い。この人たちはいま行っても、もう汚染された魚だ。特に私のところは、阿賀野川のあの水俣病の宣伝が前に浸透し過ぎるくらい浸透しております。したがって、公害の魚だといわれると、においもしない、何もしなくとも、北海道から持ってきた魚までが、これはもう魚は油で汚染されておるんだ、中和剤で汚染されておるんだということで商売ができなくなっておる。この人たちがほんとうはいま一番年の瀬を迎えて困っているわけです。こういう問題が除外をされるのではないか。さっき言った内水面の人たち、これはたいへんな漁穫量をあげておるわけでありますが、この人たちがこれから除外されるのではないか。私は、市民が高い魚を食べなきゃいかぬとかあるいは魚が食べられないという被害もあるけれども、そこまでまず手を伸ばすよりも、とりあえず、とにかく、この油の汚毒によって生活ができなくなったきておるこの人たちに対して、政府はどういう調査をし、あるいは自治体に向かってどういう調査を命じておるのか、これが一つもいま指示されていないというのは一体どうなんだろうということをいまお伺いしたいのでありますが、この問題にどう対処されるのか、お答えを願いたいのであります。
  69. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 私はよりもほんとうは水産庁のほうの担当になると思うのですが、お話の点は二点あると思うのです。  一点の前段の河川にのぼる魚がというお話ですが、これは当然漁業協同組合の漁業権の中に含まれていますから、当然直接被害の対象にして計算されているんじゃないか、こう判断いたします。漁業権に入っていますから、当然それは漁業協同組合の会員です。間違いございません。そういうことはありません。  それから、いわゆる新潟でいうかつぎ屋のお話ですね。後段のほうは、これは間接的な被害だと私は思います。したがって、もしそういう間接的な被害調査の対象から除いていくということになると、これは適当じゃなかろうかと存じます。したがって、これも含めて間接、直接と大まかですが、分けて当然被害額として計上されるべきもの、かような判断をいたします。
  70. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はそれが入っていない、こう思っておるんですが、政府のほうでこれを入れる、当然だと、こうおっしゃればその点は了解をいたします。内水面の問題。  と同時に、かついで売っておられる人たち、この人たちの生活が年末を控えて一番困っておるわけであります。そういう点で、いままで出てきた要求は大体漁連を通してきておるわけでありまして、私は貸し付けの金額をさらにふやしていただいて、こういう人たちをも融資の対象にすべきである、とりあえずすべきである。その上で、先般申し上げました根本的な、海をきれいにする、そのための経費をどうするか、対策をどうするかという問題がありますが、とりあえず補償の問題、融資の問題としてはこの人たちも入れるということをもう一度ひとつ確認をしておきたいと思うのです。
  71. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 私じゃない、水産庁のほうなんですが、決して逃げるつもりございませんが、先ほど官房副長官からお話しあったように、関係庁との連絡機関もございますので、運輸省としては、水産庁に対しても当然間接的な被害者としてその中に含むべきものだという希望なり考え方を申し述べて、含ませるように努力する所存であります。
  72. 阿部助哉

    阿部(助)委員 水産庁のほう、どうです。
  73. 田中慶二

    田中説明員 御質問の最初の三面の内水面の問題につきましては、私ども被害漁業者であれば、これは今度利子補給の対象にしたいということで、ただいま補助金の交付要綱について大蔵省と協議をいたしておりますが、そういうふうなことで協議を進めてまいりたいということを考えております。  なお、後者の問題、いわゆる間接の問題でございますが、今度のこういう利子補給の措置、先ほどからお話がございましたように、外国のタンカーによって大規模な災害が起こった。しかも、それが一都道府県以上にまたがっているというふうになると、あるいはまたこれも問題の解決がかなり長引くであろうというふうなことから、こういうふうな措置といたしまして初めての特例の措置を開いたわけでございますが、この際やはり参考にいたしましたのは天災融資法等によるこういう助成措置を参考にいたしたわけでございます。天災融資法等におきましても、そういう間接の災害を受けたものに対しましては、そういう助成措置をするとかいう措置がございません。これはなかなかむずかしい問題であると思います。しかしながら、私どもといたしましてもさらにそういう実態をよく把握いたしまして、その被害程度等も、これは先生お話しのように、非常に把握しがたい点があるわけでございますが、そういう点もよく調べまして何らか善処をするように県当局とも相談をしてまいりたいというふうに考えております。
  74. 阿部助哉

    阿部(助)委員 さっぱりわからないですがね。明らかにとの油が流れ出してから被害を受けておるわけです。被害の金額はこれから皆さん調査をされるのであって、被害を受けておる点は間違いない。漁業組合だってこれから何年間魚がとれるかとれないかわからぬという点では、被害の金額というものは私は簡単に出てこないと思うのです。同じように行商をしておる方々被害を受けておるという事実は、これは明らかなんで、いま融資の対象にこれを入れるか入れないかというものを、そんなに頭を悩ます必要は何もないじゃないですか。被害の額がわからないという点ではみなわからないのです。それをどういうふうに調査をするかというのはこれからの問題なんです。その点簡単でいいからもう一ぺん……。
  75. 田中慶二

    田中説明員 先ほども申し上げましたように、天災融資法等の例を参考にいたして考えてまいりますと、利子補給というふうな助成措置を対象にいたしますものは、やはり直接被害のものになるというふうに考えられますので、私どもといたしましても今回はそういう措置をとったわけでございます。
  76. 阿部助哉

    阿部(助)委員 直接被害というのはどういうふうに——何が直接なんです、何が間接なんです。その点はっきりしてください。これも直接被害なんです。
  77. 田中慶二

    田中説明員 海の汚染によりまして魚がとれなくなりまして、そういうことで生計が立たなくなっておる。しかし、そのとった魚をさらに販売をすることによりまして、それによってまた生計を立てておるというふうに流通段階が分かれてまいるわけでございますが、私どもがいま直接と申しましたのは、そういうことで第一次に、魚がとれなくなる、あるいは悪臭の魚しかとれないというふうな実態によって被害を受けておるというふうに理解をしております。
  78. 阿部助哉

    阿部(助)委員 やはりこれも、この油が出たために汚染だ。阿賀野川の水俣病の問題があるだけに、私のあの新潟の地帯では、すぐに敏感にこれが反応を示すわけです。そういう点で一番困っておるところに手を差し伸べないという手は、私はなかろうと思うのです。時間がないから終わりにしますけれども、またこれからいろいろな被害が出てまいります。ここで地元の人たちの示した、産卵に来る魚の種類ですけれども、何月から何月までどういう魚がやってくるというけれども、いまのように海の底がこう汚染されておれば、おそらく来ないだろう、また三面のアユはおそらく来年は全滅をするだろう、こういう心配をしております。そういう調査をただ、きまっておる漁連等を通ずるのはけっこうですが、同時にこの調査はもう少し民主的に公開でひとつおやりをいただきたいと思うが、いかがですか。
  79. 田中慶二

    田中説明員 この点につきましては御趣旨に沿ってできるだけ、ことばは悪いのですが、ガラス張りでやっていきたいというふうに考えます。
  80. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この問題調査も非常にむずかしい、また被害の範囲もむずかしい、また責任の範囲もむずかしいというむずかしい問題であります。  ただそのときに、最後にお願いをしておきますけれども、どうも日本の役所にしても、日本のタンカーが外国で事故を起こした場合、日本の船主が困るだろう、日本の荷主が困るだろうという観点で問題に対処していくとすれば、私は、これは大きな間違いだろうと思う。これは資本家の側にだけ立った考え方になり、住民の立場ではなくなると思うのです。しかもこれは近海のこういうところで起きた、ある意味では日本では最大の事故、最初の事故であります。それだけにこの被害程度——まあ最終的には保険会社に要求するにしても、トリ・キャニヨン号の事件のときの例を見ましても、必ずしも要求額が満たされるとは限らないわけであります。そういう点からいけば、まず政府がこの住民に十分な補償をし、その上に立っていろいろな保険のほうに請求をするというたてまえをどうしても皆さんにおとりいただきたいということと、もう一つは、私もう時間がないのでやめざるを得ませんけれども、一日も早くもとどおりの海にする。そのために一体何をすべきか。一番あれなのは、農民が農地を復旧するのと同じように、むしろ皆さんができなければ、経費をもって漁民にある程度手伝ってもらう。自分の海なんですから、みんな真剣です。そういう点で皆さん、もう少し話し合いをし、総意を出して、一日も早くもとの海を取り返すという点で格段の御努力をお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  81. 小峯柳多

  82. 宮井泰良

    宮井委員 去る四日、千葉県木更津市牛込海岸に油が流れ着きまして、養殖ノリがほとんど全滅、約八億数千万にのぼる被害が出た事件につきまして、読売新聞に詳しく報道されております。それによりますと、明原丸の犯行と見られるような事実が述べられております。私は、この説が非常に納得できるように思うのでございます。そこで、係員をペルシャ湾に派遣した、このように伺っておりますが、白か黒かは判明しないけれども、黒の範囲に入っているということであると受け取ってよろしゅうございますか。
  83. 手塚良成

    ○手塚政府委員 事件は現在捜査中でございますので、私どものほうから黒というような言い方は差し控えたいと思いますが、今度の、汚染のありました事実はきわめて明白であります。そうして、その後の捜査によりますと、大量の油を流したという事実は、陸上その他、いろいろな船を多数調べた結果といたしまして、一応この明原丸が十二月一日に大量の油を流しておるという事実は明白でございます。私どもは、相当な因果関係があるのではなかろうかというふうに非常に重視をいたしておりますので、先生の御指摘のように、昨日、係官を現地に派遣しておる、こういう事情でございます。
  84. 宮井泰良

    宮井委員 そこで黒の範囲に入っている、このように私は受け取っておきます。  そこで具体的にお聞きしますが、明原丸が流出した油、これは何トンでありましたか。
  85. 手塚良成

    ○手塚政府委員 内容といたしましては、これもきわめて詳細に調べる必要がありますので、目下なお捜査を継続中でありますが、一応十二月一日午前六時五十分に、この明原丸の一等航海士から川崎海上保安署あてに船舶電話でもって油の漏出を通報しております。これは海洋汚染防止法による義務でありますが、それによりますと、午前四時三十分ごろ燃料補給中C重油約二キロリットルをオーバーフローさせ、現場処理中であるという通報が参っております。
  86. 宮井泰良

    宮井委員 二キロ、すなわち二トンであるということだと思います。それでは、それに対しまして中和剤は何かんまいておりますか。
  87. 手塚良成

    ○手塚政府委員 なおその際の通報で川崎保安署から巡視艇が現在に急行しておりますが、急行して現認したところによりますと、その処理中の模様は、作業船五隻、作業員七十五名を動員いたしまして、油処理剤を七百かん、むしろ一千枚、オイルキャッチャー五ケース、五百枚、こういうものを使用しつつある、同日午後八時三十分ごろそういう作業を完了した、こういうふうになっております。
  88. 宮井泰良

    宮井委員 そこでお伺いしますが、この中和剤というものは流出した油の量の何分の一くらいまくものか、その点をお伺いします。
  89. 手塚良成

    ○手塚政府委員 これは原理原則が非常にむずかしゅうございますが、大体私どもが一応の基準考えておりますのは、油の二割というふうに考えております。ただ、これはやはり海面上の事情いかんによりましていろいろな場合がある。たとえば、今回の新潟のように非常に海が荒れておる、風が強いというような状態におきましては、こういうような使い方ではとうてい十分ではないという実情もありますし、また原則はいまのようなことでありますけれども、処理をする作業員自体のやり方なり何なりがございますので、その使った量から判定するというようなことがもしかりに考えられるとするならば、それだけでは十分ではなかろうというふうに考えております。
  90. 宮井泰良

    宮井委員 私が保安庁から実際に聞いたところによりますと、五分の一が普通であると聞いておりますが、これはどういう見解か。見解が違うようですが、どうですか。
  91. 手塚良成

    ○手塚政府委員 五分の一、二割です。五分の一ということは二割です。
  92. 宮井泰良

    宮井委員 二割ですね、了解。二トンの油で中和剤を二割として、何かんくらい普通使ったらいいか。せんだっての明原丸の事故では何かんが普通ですが。
  93. 手塚良成

    ○手塚政府委員 二キロの二割でございますから、これは四百リットルということになります。中和剤は一かん十八リットルでございますから、計算上だけからいけば約三十かん弱くらいでよろしいかと思います。
  94. 宮井泰良

    宮井委員 三十かんで大体二割。海上保安庁の計算でいまますと三十かんでよろしいという中和剤をなぜ七百かんもまいたのですか。
  95. 手塚良成

    ○手塚政府委員 これは現在その内容を捜査中でございます。現在手元では明白ではございません。
  96. 宮井泰良

    宮井委員 捜査中として保安庁長官は逃げますけれども、そんなことでは私はどうも納得がいかない。七百かんものばく大なものを使ったということを考えていきますと——一かん十八リットルで七百かん、先ほどのとおりです。一万二千六百リットル、二割といたしましても、少なくとも二十トン以上は油が流れているんじゃないか。二トンというのは、これは一けた数字が違うのじゃございませんか。
  97. 手塚良成

    ○手塚政府委員 これは先ほど申し上げましたように、川崎海上保安署に対する現場の船の乗り組み員からの通報ということで申し上げたわけであります。内容自体が、いま申し上げましたように化学処理剤の使用の対象あるいは船舶における流出をした模様、そういった総体的な内容からこういうものは割り出すべきであると考えて、目下鋭意捜査中でございます。
  98. 宮井泰良

    宮井委員 それをいまごろ捜査中というのは、私は保安庁としてものんきである、このように考えざるを得ません。私は実際はもっと多く油が流れているんじゃないかという疑惑を持たざるを得ません。また、先ほど議論があったと思いますが、毒性が強いといわれておるのに、もし必要以上にそういったものが、報告のとおり七百かんまかれていたとしたら、これはどうなりますか。
  99. 手塚良成

    ○手塚政府委員 これは先ほど新潟の場合に処理剤の二次公害お話を申し上げましたけれども、これは極力使うべきではないということを考えております。したがいまして、この場合でも、むしろ一千枚あるいはオイルキャッチャー五ケースというような二次公害のないとされております吸着剤を使うような努力もしておるようでありますが、なおこの油処理剤を使っておる。これは現場においていろいろ乗り組み員がそういった事情を無視して早急に処理をしようというふうに考えてやったのではなかろうかと思いますけれども、従来いろいろな場合にこういうのを使うような慣例が一部にありますので、そういうことを考慮しながらやったかというふうに思います。先生おっしゃいますように、私は二キロリットルが正しいかどうかということについて申し上げておるつもりはございません。しかし、これはただいまいろいろ検討して捜査をしていきます内容といたしまして非常に重要なポイントでございますので、こういう御疑問の点があるのも私どもは一部考えておりますが、的確なることを申し上げる段階ではないと思って、さように申し上げたわけであります。
  100. 宮井泰良

    宮井委員 その点を私ははっきりしてもらいたいと思います。それがはっきりしてまいりますと、後々にこれは非常に重要な問題になってまいりますから、この席で、後ほどわかり次第発表してもらいたい、資料ももらいたいということをつけ加えておきます。  そして、ここに一つの例としまして、一連の事件が起きましたが、山口県須佐沖では三十トンの油が流れ出まして、中和剤を使ったのは三百七十かん。これはほぼ海上保安庁のとおりであると思います。いわゆる二割。あるいは明石においては八トンの油が流れまして、八十七かん使っておる。これも大体いいと思いますが、千葉においては、いま言いましたように、二キロの油で七百かんも使った。どのぐらいまけというふうなことは指導されていないのですか。どうですか。
  101. 手塚良成

    ○手塚政府委員 一応基準としまして、私どもの部内で使います場合は、先ほど申し上げたようなことにしておりますし、一般の場合にもそういうような指導はやっておるつもりであります。しかし、これはやはり被害の直後におきましては、皆さんそれぞれ自主的にお使いになることが非常に多い。いま例におあげになりました先般の山口県のタンカー福正丸の乗り上げの場合も、これをまく、まかないということについては、私どもの知る限りでは現場におきまして漁協と協議をされておった。その上で御指摘のような三百七十かん使用しておる。漁船自体も二十三隻出動されまして自身で散布をしておられる、こういうような事態でございます。こういう散布につきまして、二次公害がある内容でありますので、これをどうするかということについてはやはりその処理剤そのものについて明確なる内容、被害の起こる起こらないの程度、そういったような問題を科学的に的確につかむ必要がある。その上で処理剤そのものをどうするかということ、あるいはそういうものを知った上で使う場合の基準をどうするかというようなことなどを今後さらに一そう詰めていかなければならぬということを痛感いたしております。
  102. 宮井泰良

    宮井委員 そこで私は先ほどの議論に戻りますが、この七百かんも中和剤をまいたという時点で、これはおかしい、油の量が多いのではないかという追跡調査をしておったならば、わざわざペルシア湾まで係員を派遣しないで済んだはずだ。なぜむだなことをされたかということをお伺いしたいと思います。
  103. 手塚良成

    ○手塚政府委員 この木更津の漂着事件が起きましてから、私どもといたしましては巡視船艇十三隻、海上保安官百二十名を動員いたしまして、法令違反被疑事件ということで捜査を開始いたしました。千葉海上保安部に捜査本部を置き、さらに一週間後におきましては、第三管区本部に統合捜査本部を置くという、われわれの公害違反事犯としてはかつてない大捜査陣をしきました。そしてこの間各種の試料の採取、分析、それから航行船舶の捜査、情報収集、こういうようなことに相つとめました。今日まで捜査をしました船舶なども七百数十隻、陸上の工場あるいは排水口等の調査も百数十カ所という大量のものをやって、やはりこれはシラミつぶしにやる必要がございますので、陸上も海上も調べる必要がありました。だんだん調べまして九日ごろに至りまして、最も大量に流した船がこの船であるという事実、今度はこの船の油の分析、同質性というものを判定していくということになり、さらにそのときの模様を、出帆後の現在におきましては早急に向こうへ到着する前に乗り組み員その他から聴取をする、こういう筋で今日まで進んできておるわけでございます。
  104. 宮井泰良

    宮井委員 あとからだんだんこの明原丸というものがどうやら犯人でないかというようなことになってきたから、ペルシャ湾へ行った、こういうふうなことであると思いますが、中和剤自体が海の資源に対してどういう影響を与えていくか、流された油がどんなものであったかというふうなことは厳重に調べておいて、私はあたりまえであると思います。事件があったらその関連性というものを調べていく、そういったものは私は捜査の第一歩ではないか。そのように感ずるわけですが、手ぬかりがあったとしか私は思いようがないのでありますが、その点は政務次官、どのようにお考えでございますか。
  105. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 第一点の油の流出に対する処理剤の量が多過ぎるじゃないか。私もお話を承っていささか疑問を感じます。これは責任の所在を明らかにして、事実関係を明確にしたいと思います。  第二点の、中和剤が海洋資源に与える影響でございますが、これは主として海上保安庁よりも水産庁で調査研究部の第一課が担当してやっておりますが、新潟の例にかんがみまして、当方からもそういう科学的な何か明らかな資料がないかということを再三申し入れたのですが、水産庁にもいまだかくかくの被害を与えるという明確な資料がないようでございます。現在取り締まりの任に当たっている保安庁と水産庁とにおいて、鋭意どの程度被害があるものかということを、おそまきながら調査中でございます。
  106. 宮井泰良

    宮井委員 その点これから技術開発にしっかり取り組んでもらいたいと思います。  その次に牛込海岸に大量の油が流れ着いたということを、海上保安庁はいつどのような形でキャッチされたわけでありますか。
  107. 手塚良成

    ○手塚政府委員 十二月四日の早朝に千葉県の木更津沖のノリ養殖場の、今度被害を受けました関係の漁協から木更津海上保安署に通知がございまして、その通知を受けたことによって事件を知ったということでございます。
  108. 宮井泰良

    宮井委員 それでは漁民から通報があるまで海上保安庁は全くそれを発見できなかったのですか。
  109. 手塚良成

    ○手塚政府委員 本件につきましては、たとえば明原丸のほうにつきましては、これは事実関係からいきますと一日の事故でございまして、そういう関係はそれとして調べて、先ほど来申し上げたような措置をとったわけでございます。  ここの、木更津のノリの現場の問題につきましては、その通報を受けまして事実を知ったというのが事実でございます。
  110. 宮井泰良

    宮井委員 それでは、一日から四日まで監視のために航空機が空から監視しておると思います。巡視艇は海からやっておると思いますが、どのようなコースを飛びあるいはどのようなコースを行き、そのときに異常があったのかなかったのか、どのような報告がその時点で入っていたか、お聞きしたいと思います。
  111. 手塚良成

    ○手塚政府委員 明原丸かと思いますが、この事件の起こっております一日におきましては、午前九時半から十二時までシコルスキーが飛んでおります。それから二日に午前九時半から同じく十二時までビーチが監視のために飛んでおります。これは私ども公害多発海域におきますところの一般的な監視のしかたで、午前、午後に二回ずつ飛んで、異常を認めた場合に船艇と連携をして取り締まる、こういう体制でございますが、ヘリコプターにつきまして、ビーチにつきまして、一日、二日は午前だけ飛んでおります。午後の部につきましては、実は新潟へこのシコルスキーを急遽派遣せざるを得ませんでしたので、午後は監視をしておらないというのが実情でございます。  このシコルスキーが飛びましたときのコースを調べておりますが、非常に海岸寄りといいますか、通常のコースを少し内側のほうに寄って飛んでおるようでありまして、このシコルスキーからの事実の監視の結果というものについては、特別な被害の結果報告はなされていないというのが実情でございます。
  112. 宮井泰良

    宮井委員 異常なしという報告が入った。そこで、まだ問題があるのですが、長官からいま出ましたが、新潟へ行っておったからこれはお昼ごろからは捜査もしていないし、普通のときならもっと十分できた、こういうふうにとってよろしいですか、長官
  113. 手塚良成

    ○手塚政府委員 少なくとも午後の部というのをやっていない事実がございますので、それは二回が一回になっているということはございます。  ただ、この二日などはシコルスキーがございませんで、ビーチで飛ぶというような補充的なことはやっておるわけですが、この辺、シコルスキーの準備が多数ございますれば、こういった面についてはより入念にできたであろうということは想定されます。そういう意味において、羽田という場所、東京湾という場所公害多発地域であるということはよく考えておりますので、実は今年度、年を越しまして二月には、ここに四十六年度でとりましたベルを一機増強する予定になっております。
  114. 宮井泰良

    宮井委員 政務次官、このように新潟へ応援に行っていたから手抜かりになっているということですから、これは非常に弱体である。うんと予算を要求して、りっぱな飛行機を備えてもらいたいと思いますが、どうですか。
  115. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 御指摘のとおりだろうと思います。したがいまして、明年度の予算要求においても、いまお話のあった同型のヘリコプターはじめ、約八億程度の大型のヘリコプターも予算要求に出ております。いずれ予算が決定次第、当委員会に御審議いただくことと思いますが、直接あるいは間接に委員の各位の御指導なり御支援を得て、社会問題化しているこの公害問題を、何とかよりよい環境をつくるために私どもも努力する所存でございますので、特段の御支援をこの席をかりてお願いする次第です。
  116. 宮井泰良

    宮井委員 そのような完備をしてもらいたいということと、あと先になりましたけれども、監視体制が非常に弱体である、もうお話にならないといわねばならぬ。八億も被害が出たのですから、その幾ぶんかは海上保安庁で持つべきではないか。このくらいの気持ちで私はおるわけであります。  そこでこの次に、読売新聞の報道によりますと、「千葉海上保安部で東京湾を航行中の船舶から情報を収集した結果、十四隻の船が『一日から四日にかけて、扇島シーバース付近で大量の油のかたまりが数キロの帯状で流れていた』と証言」ということが載っているのですが、これは事実ですか。
  117. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私どものつかまえておる数字とはちょっと違うようでございますが、流出をしました船というのは、この明原丸一隻ではございません。
  118. 宮井泰良

    宮井委員 質問の要旨は、この牛込海岸に大量の被害が発生して、海上保安庁は漁民の通報を受けるまで知らなかったから、その辺はどうであったかということを、一日から四日の間付近を航行中の船舶から後ほど事情を聴取した。そうすると、扇島シーバース付近で大量の油のかたまりが数キロの帯状で流れておったということが、その時点で十四隻の船が航行しておったから、それがわかった。これはそうなんですか、と聞いているのです。
  119. 手塚良成

    ○手塚政府委員 これは十四隻のみならず、その一連の関係として、その直後から数日の間、二百六十六隻という船の調査と事情聴取を行なっております。
  120. 宮井泰良

    宮井委員 そうしますと、後ほど海上保安庁はこの事情聴取をしたというのですから、その当時その付近を航行しておった船から何の通報もなかった、このようにとってよろしゅうございますか。
  121. 手塚良成

    ○手塚政府委員 船自体からは、通報はきておりません。
  122. 宮井泰良

    宮井委員 通報がきていないとするならば、海洋汚染防止法第三十八条第二項では通報の義務というものがあります。それを知っていて怠ったのか、それとも通報の義務を知らなかったのか、これはどちらなんでしょうか。
  123. 手塚良成

    ○手塚政府委員 通報者というのでは、先ほど申し上げました、油が流れました直後において明原丸は川崎海上保安署に通報している。これは汚染防止法第三十八条による通報だと思います。それ以外にも、私が申し上げましたような連中が一部見ておるというようなことを言っておりますが、その見ておるような状態が通報の条件に該当しておるのかどうか、この辺はいろいろ問題があるかと思います。これは先生も御承知のとおり、三十八条には通報の義務といたしまして、油の量、濃度あるいはその広がりの模様というものがどういう状態であるかということによって通報義務が発生するように書いてありますので、その辺、厳格なる意味の、法律上でいうところの通報義務に該当しておるかどうかということについてはさらに十分調べなければならぬ、かように考えております。
  124. 宮井泰良

    宮井委員 通報の義務があったかなかったかこれから調べなければならないと言われるのですが、八億の被害が出るような油が流れ着いて、付近を航行していた船がそれを知らなかったということは絶対なかったと私は思います。せっかく法律ができても、これは行政指導が行き届いていないのじゃないかというふうに思いますが、その点はどうですか。
  125. 手塚良成

    ○手塚政府委員 この海洋汚染防止法は昨年成立いたしまして、全面施行は来年六月までになっておりますが、いま申し上げるような通報義務等は現在すでに施行になっておるということであります。したがって、この内容を十分周知徹底をするということはもう当然必要なことであります。法的にいけば、これを知らないということは言いわけにならないわけでありますが、現実問題としてやはりそういうものがあるということは事実でございます。私どもは、こういうものをまず周知をさせるために去年は日本全国大々的な講演会、周知会を開きました。非常に反響を呼んで多数の方にお集り願いました。さらに七月から八月にかけまして、海をきれいにする月間運動というのをやりまして、これはいろいろな講習と同時に、この法律の周知の措置をとっております。その後、各地方の出先におきまして、やはり機会あるごとに船の安全の問題等々兼ねまして、こういう問題の周知につとめるということに鋭意努力はいたしておりますが、なおまだ早々でございますので、必ずしも十分徹底していない面もあると考えております。
  126. 宮井泰良

    宮井委員 そこで、もう時間がなくなりましたので、もっとやりたいのですが、二百何十隻という海上保安庁で調べた船が、扇島シーバース付近であるいは海上で大量の油が流れておったと証言したことがもし事実であるとするならば、断言はできませんけれども犯人は明原丸であるという線が強くなる、こう私は考えるのですが、いかがですか。
  127. 手塚良成

    ○手塚政府委員 先ほど申し上げたノリ事件と重要な関連性が強いというふうに目下私ども考えておりまして、徹底捜査をする必要がある、こういうことで異例とも考えられますような捜査員の海外派遣というようなこともあえてやっておりますし、周辺いろいろ傍証を固めなければなりません。海洋汚染被害との因果関係の追及ということは非常に困難な面も考えなければなりません。いろいろ、分析などというのも単純な分析ではいけないという面もありまして、非常に手数がかかるが、本件については徹底的に公正に、中立的にやっていきたい、かように考えております。
  128. 宮井泰良

    宮井委員 最後に、これだけ言って終わりますが、明原丸が犯人だという線が強くなってきた。もし、犯人だと仮定した場合においては、先ほど言いましたように七百かんも中和剤をまいておった。あるいはその他のいろいろな、海上保安庁の捜査の弱体であるというふうなところ、あるいは通報の義務などもやっていなかったというふうなところから見まして、私は明らかに海上保安庁の初動捜査にミスがあったというふうに考えるわけでありますけれども、その点の見解はどうですか。
  129. 手塚良成

    ○手塚政府委員 先ほど御指摘もありましたような監視という面について、ヘリコプター等が端的に言いますと必ずしも十分ではないということから、そういう面でのつかまえ方がおそいというようなことは、明らかにこれはあるかというふうに思います。  ただ、それ以後の過程におきましては、先ほどるる申し上げましたような状態でございまして、その中に何がしかおそい早いの問題はあるかとも思いますが、まずわれわれできめられておる手順に従い、また本件の重大性を十分認識いたしまして、非常に大がかりな、かつてないような捜査をやっておるというのが事実でございまして、今後とも先ほど申し上げましたように厳正に、徹底的にこれを捜査いたしたい、かように考えております。
  130. 宮井泰良

    宮井委員 終わります。
  131. 小峯柳多

    小峯委員長 田中昭二君。簡潔にお願いいたします。
  132. 田中昭二

    田中(昭)委員 時間をいただいておりますので、超過しておりますけれども、簡単に……。  ただいま新聞報道等で運輸省関係の運賃値上げが盛んに報道されております。これはやはり佐藤内閣始まって以来、物価の高騰ということについては国民は悩まされてきたという現実がありまして、ことさらにまた最近一挙に運輸省関係の公共料金を値上げしたいというような状況になっておりますが、ほんとうにこういう値上げの要望を受けて運輸省としてはどういうお考えなのか。まあいろいろな言い方はあると思いますが、報道されておる中にも、集中的値上げ攻勢だ。そういう状態が出てきますと、これは国民生活に及ぼす影響も、その集中豪雨的なものに見合う状態がなければたいへんなことになるのじゃなかろうか、私はこう思うのですが、まず運賃値上げに対して次官のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  133. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 その交通機関の特に大衆に与える影響というのがきわめて大きい交通機関と、大衆的でない場合の交通機関との多少の差はあっても、利用者側にとっては値上げということはできるだけ避けたいし、また政府も、物価その他の国内情勢を判断した上、値上げは極力押えたいというのが基本方針でございます。しかしながら、値上げすることによってその施設なりあるいは安全が確保されるという場合、万やむを得ない場合は利用者にもその一端を負担してもらわなければならぬ、かような考え方に立って、タクシーなり、バスなり、航空料金なりを検討していきたい、かように考えております。
  134. 田中昭二

    田中(昭)委員 政府が昨年ですか、一年間公共料金の値上げをストップしたという中でも、徐々に運賃値上げが行なわれてきた。こういうことを考えてみますと、政府が公共料金の抑制を言うことによって、さらにその反面値上げをもり立てておる、値上げを前進させているといいますか、そういうことがある。皮肉なことにそのストップ令が、抑制施策が値上げムードを起こしておる、こういう見方があるのですが、これに対していかがですか。
  135. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)政府委員 真実を伝えるのが報道機関の義務でございます。しかしながら反面、見通し等の状態を国民に知らしめて、それに対する理解なりあるいは認識を新たにさせるのも、私は報道機関の義務だろうと思うのです。したがって、値上げが、あるいは時と場合においては政府考え方と異なる場合も報道されることはあるいはなきにしもあらずだと思いますが、そういう報道機関を媒体にして住民に何か値上げムードをあおっておるのだ、あるいはそういう感覚なりニュアンスのことが伝えられるのだということがあるとすれば、もっと慎重に扱わなければならぬものと存じます。
  136. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの御答弁では私はたいへん不満であります。とにかく値上げということは慎重にやってもらわなければならないということでございますが、それはそれとしまして、また最近運輸省関係の中で航空燃料税というような新税を創設しようというようなことが報道されております。これはある程度予算の要望の中にも組み入れられておると聞いておりますが、この航空燃料税を新設するということについてはいろいろな経過があると思います。その経過を簡単に、それに対する御所見、これが第一です。  二番目は、新税の創設について反対しておると思います。その反対のおもなる理由はどういうものか。時間がありませんから簡単に。三番目は、これに対して自治省からいわゆる空港整備の関係について要望がある、こういうふうに聞いております。  この三点を、ひとつ局長のほうからでけっこうでございますから、簡単に言ってください。
  137. 小峯柳多

    小峯委員長 簡潔に願います。
  138. 内村信行

    内村(信)政府委員 まずその経過を申し上げます。  経過につきましては、来年度の予算編成にあたりまして、私どもはその特別会計の財源を確保する見地から、従来は着陸料を値上げするということを考えておりました。それに対しまして、今般大蔵省のほうからそれにかわるべき燃料税を設けたらどうであろうか、こういう趣旨の要望がございました。と申しますのは、ただいま揮発油税というものがございます。これは航空燃料については特別措置法によって免税になっております。そのほかに、現在ジェット機はほとんどガソリンでございませんで、灯油のようなケロシンというものを使っております。それについてはそもそも揮発油税法において税は非課税になっております。したがいまして、たまたま今回はガソリン税の特別措置の免税の期限が切れますのを機会に、ガソリンについても免税措置をやめると同時に、ジェット燃料のケロシンについても税金をかける、これを空港整備特会の財源にしたい、こういうふうな申し出があったのが経過でございます。  それに対しまして、いい点、悪い点、いろいろなことがございましょうか、これは私どもから考えればいわゆる金を徴収する手段、方法で、着陸料であろうとあるいは燃料税であろうと、そう大きな差はないと思っております。しかし、航空会社筋の反対する理由といたしましては、着陸料の場合はもっと融通性があって、上げたいときに上げたいような量で上げられる、また下げようと思えば下げられる。そういうふうに、航空界の情勢によって融通性がとれるけれども、税金になりますと、これが法定される関係上、そういった融通性がなくなるというようなことも一つの理由のようでございます。  それからもう一つ、自治省の問題でございますが、これにつきましてはその中から一部譲与税というものを地方自治体に譲与してもらいたい、こういうふうな要望があったわけでございます。私どもといたしましては、これに対してそう全面的に反対するわけではございませんが、空港関係、いわゆる航空関係と申しますか、そういうもの以外にこの譲与税が使われては困る。いわゆる地方自治一般のために使われるのでは困るので、たとえば、空港騒音の防止対策でございますとか、そういったような空港のために使われるのであればこれは話し合いの余地があるというのが現在の考えでございます。
  139. 田中昭二

    田中(昭)委員 簡単にということでたいへん要領を得ないお答えだったと思います。  もう時間がありませんから、最後に。今度の新税については、たいへん不況下にそういう過重な負担を受けることは業界はいやだということは、いままで航空運賃を十年間上げられなかった、ということは、いろいろな需要の増加等もありまして、それなりに企業努力でやってきた、そういうことだろうと思います。  それから次の反対は、政府がいろいろ計画を立てましても、それがすぐ変更になる。長期的な展望に立った施策であり計画でない、そういう朝令暮改的なあいまいな政策の変更によりましていわゆる着陸料を新税と振りかえるというようなことに対して、もう少し当局はきちっとした態度をとってもらわなければならない、こういうことがありまして、これを考えてみますと、航空業界の中にはたいへんこのことで問題が起こってはこないか。  というのは、いわゆる燃料税をかける、その油、いわゆる国際線を飛ぶ日航関係の使用するものにはかからない、国内の全日空その他の航空会社のものについては税金がかかっていく、そういう背景。さらに国際線については、国際航空運送協会の協定で来春は値上げが予想されておる。名前をはっきり申し上げますと、日本航空あたりは来年は必ず運賃値上げがあるだろう。少なくともそれがあるならば、国内のほうも何か運賃を上げるような一つのステップをつくっておかなければならない。そこで新税創設というようなものによって運賃を上げてもらいたいというような一連の——これは航空局長が昨年からことしにかけていろいろお話しになっている中にそういうことがあるのです。そういうことを考えてみますと、一、二の企業のために政府が運賃値上げをしてもらいたいというための新税創設であるならば、これは私まだまだ議論をしていかなければならない、こう思うのです。  きょうはもう時間がありませんからやめておきますが、私はずっと航空関係で指摘している中に、ことしの「ばんだい号」事件、ああいう事故があった。あのときも、いわゆる企業の弱体化をもたらすような援助料の、いわゆる三十数億の割り当てを会社にしたために、そういうことが企業にハッパをかけるような形になって、そうして事故が起こったのではないか、こういうことも指摘しておったわけです。そのあと、いわゆる全日空機事故があった。それも最近になってみますと、これは飛行機が航行する上において、自衛隊機の完全な犯罪的なミスがあったというようなこともはっきりと明らかになってきておりますし、政府の指導者が最終的な段階になってくると、この沖繩国会でも論議されましたが、末期的症状になるといろいろな事故が起こる。何かそれが現実に陸海空において、海の汚染にしろ、鉄道の事故にしろ、航空機の事故にしろ、狂気じみたような世相をかもし出しておるのじゃなかろうか。どうかひとつ賢明なる佐藤政務次官も、いわゆるその責任者の一員として、大臣を補佐する立場でありますし、そういうことを考えてみますと、当局が運賃値上げを進めるような結果になるようなことはひとつ十分考えていただいて、運賃値上げについては強力な抵抗、そういう処置をお願いしたいということで私の質問を終わりたいと思います。
  140. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十九分散会