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1971-12-03 第67回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月三日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 古屋  亨君    理事 斉藤 正男君 理事 田中 昭二君      小此木彦三郎君    菅波  茂君       關谷 勝利君    福井  勇君       増田甲子七君    内藤 良平君       小濱 新次君    和田 春生君       田代 文久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 佐原  亨君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         海上保安庁長官 手塚 良成君  委員外出席者         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十二日  辞任         補欠選任   山村新治郎君     森田重次郎君 十二月二日  辞任         補欠選任   和田 春生君     池田 禎治君 同日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     和田 春生君 同月三日  辞任         補欠選任   宮井 泰良君     小濱 新次君 同日  辞任         補欠選任   小濱 新次君     宮井 泰良君     ――――――――――――― 十一月八日  東京都墨田区押上の踏切自動化反対に関する請  願(有島重武君紹介)(第六七九号)  明石・岩屋間道路公団フェリーの深夜利用に関  する請願岡本富夫紹介)(第七八六号)  大都市における総合交通体系確立並びにタク  シー運賃料金改定に関する請願山口シヅエ君  紹介)(第八四〇号)  東京都の個人タクシー運賃料金即時改定に関す  る請願外二件(山口シヅエ紹介)(第八四一  号) 同月十日  札幌市内国鉄高架実現に関する請願地崎宇  三郎君紹介)(第一〇七一号) 同月十五日  東京湾しゅんせつ促進に関する請願石井桂  君紹介)(第一五六八号) 同月十八日  国鉄五能線合理化反対に関する請願津川武  一君紹介)(第一五八九号) 同月二十二日  松本空港整備促進に関する請願倉石忠雄君  紹介)(第一九七八号)  同(羽田孜紹介)(第一九七九号)  同(増田甲子七君紹介)(第一九八〇号)  国鉄業務縮小計画反対に関する請願倉石忠  雄君紹介)(第一九八一号)  同(羽田孜紹介)(第一九八二号) 同月二十六日  松本空港整備促進に関する請願小川平二君  紹介)(第二一〇五号)  同(中澤茂一紹介)(第二一〇六号)  同(原茂紹介)(第二一〇七号)  同(松平忠久紹介)(第二一〇八号)  同(井出一太郎紹介)(第二二六五号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二二六六号)  国鉄業務縮小計画反対に関する請願小川平  二君紹介)(第二一〇九号)  同(中澤茂一紹介)(第二一一〇号)  同(原茂紹介)(第二一一一号)  同(増田甲子七君紹介)(第二一一二号)  同(松平忠久紹介)(第二一一三号)  同(井出一太郎紹介)(第二二六七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二二六八号) 同月二十九日  松本空港整備促進に関する請願向山一人君  紹介)(第二三八一号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五七六号)  同(下平正一紹介)(第二五七七号)  国鉄業務縮小計画反対に関する請願向山一  人君紹介)(第二三八二号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五七八号)  同(下平正一紹介)(第二五七九号)  ラッシュ船運航に伴うはしけ船主保護等に関  する請願外四件(堀昌雄紹介)(第二四七七  号) 十二月二日  ラッシュ船運航に伴うはしけ船主保護等に関  する請願外四件(亀山孝一紹介)(第二六四  九号)  同外四件(塩川正十郎紹介)(第二六五〇  号)  同外九件(砂田重民紹介)(第二六五一号)  同外四件(古屋亨紹介)(第二七九三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月八日  徳島空港の二社就航実現に関する陳情書  (第六一号)  民間航空路安全確保に関する陳情書外二件  (第六二  号)  長距離カーフェリー安全対策に関する陳情書  (第六三号)  国鉄複線電化促進に関する陳情書  (第六四号)  船舶の航行安全に関する陳情書  (第  六五号)  過疎地域路線バスに対する財政援助に関する  陳情書  (第六六号)  鉄道貨物運送の改善に関する陳情書  (第六七号)  国鉄札沼線廃止反対に関する陳情書  (第一〇八  号)  国鉄山陰新幹線早期建設に関する陳情書  (第一〇九号)  国鉄和歌山線複線電化に関する陳情書  (第一一〇号)  野辺地町有戸駅の無人化反対に関する陳情書  (第一一一号)  港湾管理体制確立等に関する陳情書  (第一一二号)  海洋汚染物防止対策に関する陳情書  (第一二五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  海上保安に関する件(新潟港外におけるタン  カー座礁事故に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  ただいま沖繩及び北方問題に関する特別委員会において審査中の案件について、同委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては委員長間協議をいたしますが、来たる六日、午前十時より開会する予定でありますので、御了承願います。      ————◇—————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 海上保安に関する件について調査を進めます。  新潟港外におけるタンカー座礁事故の概要について、丹羽運輸大臣から説明を求めます。丹羽運輸大臣
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 新潟沖タンカー事故につきまして御報告を申し上げます。  去る十一月三十日、午後四時四十分ごろ、新潟沖におきまして錨泊しておりましたリベリアタンカージュリアナ号(一万一千六百八十四総トン、中国人乗り組み員四十七名、一九五八年英国において建造、原油二万一千七百四十二トン積載)が、風浪十五メートルないし二十メートルに押し流され、座礁し、船体中央部付近で折損、船首部船尾部が分離した次第でございます。乗り組み員は、航空自衛隊新潟救難隊ヘリコプターによりまして午後九時四十分ごろまでに全員救助されましたが、この事件積荷原油の一部、約四、五千トン程度流出いたしまして、その後も船首及び船尾部分から少量の油の流出が続いております。  油濁の状況は、同船から北東方面に幅約四十メートル、長さ九キロにわたって特に濃く、さらに海岸に沿って百四十平方キロメートルにわたり薄い油膜を生じております。  事故処理でございますが、運輸省は十一月三十日、現地を管轄する第九管区海上保安本部事故対策本部を設置いたしまして、応急措置に遺憾なからしめるとともに、十二月一日、佐藤政務次官を長とする調査団を現場に派遣し、実情調査に当たらしめました。現在までの事故処理の活動の状況は次のとおりでございます。  十二月一日、関係機関協力のもとに付近航行船舶及び住民に対し事故の周知をはかるとともに、ガス検知を行ない、危険の防止をはかりました。また流出油処理のために、巡視艇消防車ガソリンポンプ等によりまして処理剤五千二百かん散布いたしました。  出動艦艇海上保安庁巡視艦艇が十五隻でございます。航空機四機、自衛隊ヘリコプターが一機、消防署で消防車が十台、新潟市のバキューム車が十台、石油事業者作業員が六十名でございます。  翌十二月二日におきまして、関係機関協力のもとに前日の事故処理作業継続実施処理剤約一万二千かん散布を行ないましたほか、オイルフェンス六百メートルを展張いたした次第でございます。  出動艦艇等は、二日は海上保安庁は同じく十五隻、航空機を五機に増発いたしました。自衛隊ヘリコプターが二機、消防車が十台、県警本部から警察官が三十五名、石油事業者ヘリコプターが一機、作業船が九隻、作業員が百四名、消防車二台でございます。  今後の措置といたしまして、十二月三日からはさらに漁船五十隻を増強し、遭難船からの流出油拡散防止とその処理のために処理剤散布を強力に継続して実施することにいたしております。  さらに、調査団報告によりますと、遭難船をこのまま放置すれば、日本海冬季の激浪により、船体がさらに破れるおそれがきわめて強いので、遭難船から残留油瀬取り船体離礁に特に全力を傾注する必要がございまして、その対策を講じておる次第でございます。しかしながら、冬季日本海は天候不良の上、船首部に約九千トン、船尾部に約七千トンの原油が残留しておりまして、しかも船底はいずれも海底に埋没しておりますので、離礁作業はきわめて困難な模様であり、かなりの日数を要するものと考えられております。  現在までのタンカー安全対策といたしましては、運輸省としては昭和四十一年にタンカー事故に対処するため災害対策要綱を作成いたしまして、その推進をはかってまいりましたが、特に事故発生危険性が高いと考えられる大港湾、狭水道における安全対策及び爆発事故防止につきましては、それぞれ昭和四十五年に緊急安全対策を樹立いたしまして、その推進をはかってきた次第でございます。  今回の事故契機といたしまして、特に次の対策推進することにいたしました。  油濁事故事後処理を完全ならしめるために、処理剤オイルフェンスむしろ等の機材の船舶石油基地等への備えつけにつきまして、その種類、場所、数量等に対する基準を定め、常備させる。なおその際、処理剤オイルフェンス油回収装置に関する技術開発を促進いたします。  第二といたしましては、今後の海上交通事故防止をはかるために、海上交通法早期制定を促進する。  第三といたしましては、運航技術の向上に関する国際的取りきめの推進をはかるために、政府間海事協議機関関係会議に積極的に参加をいたします。  運輸省は、今後これらの諸対策協力推進する所存でありますので、関係各省協力を求めるとともに、今回起こりました事故早期に解決を見るよう全力を投入する覚悟でございます。(拍手)
  6. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で説明は終わりました。  本事故に関して質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 私は質問を半分と意見を半分申し上げておきたいと思います。  当委員会におきましても、昨年海運に関する小委員会をつくりまして、いろいろ、船体構造その他の問題につきまして、あるいはまた大型タンカー製造許可に関する問題等につきまして議論等をいたしておったわけでございます。また海上交通法是非問題等につきましてもいままでいろいろ議論しております。特に狭水道あるいは瀬戸内海等において、大型タンカーが今回のジュリアナ号事件に類するようなことを起こした場合の問題の被害の大きさ、恐怖の甚大さということ等についてもたびたび議論しておったわけでございます。  そういったこと等からかんがみまして、ごく簡単に質問並びに意見を申し上げておきたい、こう思うわけでございますが、ジュリアナ号が今日これほど大きな被害と、また今後海上交通に対する大きな問題点を投げかけてきたということ、並びに新潟県を中心とする沿岸住民の皆さん、漁業関係皆さま方の心痛ということ等も考えますと、まことにはだ寒い思いがいたすわけでございます。  まず私は、今回当局がおとりになったそれぞれの処置は非常に迅速適確で、早くこれに取っ組まれたということに対して深く敬意を表するものでございますけれども、今回のジュリアナ号事故そのものが、これからいろいろな調査あるいはまた警察関係動き等ではっきりしてくると思いますが、はたして防げたのだろうか防げなかったのだろうかということ等も考えなくてはならないと思うわけでございます。  ただいま運輸大臣の御説明を承りますと、ジュリアナ号は、ペルシャ湾から原油を積載してきて、十一月三十日の七時五十三分、新潟に着き、西防波堤灯台二百五十度、三千百メートルに投錨した。そうして検疫水先人待ちのところ、十六時ごろより北西の風十五メートルないし二十メートルが吹いて、転錨のためいかり作業中、走錨圧流されてこういうようになったということを承ったわけでございますが、問題は、十一月三十日の七時五十三分ごろに新潟に着いて、検疫水先人待ちということ、これはわが国海運業界の特性いろいろから見て、なるべく早く検疫あるいは水先人を配置して、早くそれぞれのところに回す、これがまた、一日一万トン以上の船を荷揚げその他をおくらすことによって何ぼの損害になるかということ等もいままで実は議論しておったわけでございますが、午前中にこの仕事が済んでおったらあるいはこういう事故にならなかったのではないかという問題があるわけでございます。朝七時五十分ごろに着いて、夕方十六時過ぎになるまでの間における手続等にどのように進んでおったか、これは今後の港湾関係仕事その他に関連して相当重要なる問題になってくると思いますので、もし御存じなら承りたい、こう思うわけでございます。
  8. 佐原亨

    佐原政府委員 新潟海運局からの報告でございますけれども、当日の朝検疫錨地に着きまして、直ちに水先人要請が行なわれ、同時に検疫要請も当然行なったものと思います。ただ問題は、本船を当初昭和石油沖にあるCハースに着けるということであったわけでありますけれどもCバースが、荒天のためか先着船がおったためか着岸できません。したがいまして、新潟西港C岸壁に着けるべく予定を変更した。ところがC岸壁では先着船がございまして、その先着船をシフトするのに時間がかかった、こういう状況のようでございます。したがいまして、かなりの時間を経過したときに波が荒くなって、パイロットボートも乗船できなくなった、こういう状況のようでございます。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 大体、新潟港に入るという場合は、船舶は何日前、何時間前ぐらいに連絡してくるようになっておりますか。
  10. 手塚良成

    手塚政府委員 私のほうで一番最初港長として入港についての連絡を受けておりますのは、時間はちょっと的確ではございませんが、前日に受けております。前日に、翌日当該事実のあった日の大体昼ごろとそのときは言ってきております。十二時三十分ごろ入港する。そこで水先を乗せて巡視艇の警戒指導どおりやりなさい、こういうことを港長指示をしておりますので、これが新潟へ入港するということは前日受けております。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 ここから先は質問しませんが、そういう場合に私は一つ問題を提起しておきたいというのは、おそらくこれは当委員会の管轄になる気象庁の問題があるわけでございます。たとえば、三十日の午後何時過ぎになると波浪がどの程度になるかとかいろいろな問題があると思うわけです。特に、日本海特性等も考えてやれば、今回のような事故に対しては、まあ防げたかどうかわかりませんが、もう少し考え方があったんではないかという懸念がいたすわけでございます。  そこで問題を変えまして、こういう原油その他を積んだ船、今回は一万一千六百八十四トンというジュリアナ号でございましたが、承りたいのは、このタンカーのような危険物を積んでおる船というのは、私たちから見ますと、五百トンから千トン、あるいは四、五千トンの間にいろいろな種類専用船といいますか、タンカーのようなものがあると思うわけです。たとえば、植物油を積んでおるとか、あるいは非常に燃えやすいものを積んでおるとか、いろいろあると思うわけでございますが、こういうものを積んだ船に対する規制という問題ですね。これは船舶局に承っておきたいと思うのですが、特別な設計をさし、特別な安全施設を講じさすというようなことは、一般の船と違う何か特別の規制を行なっておるか行なっていないかということを承りたいと思うのです。
  12. 田坂鋭一

    田坂政府委員 危険物運搬につきましては危険物、そういうものがひとつ定義がされてあります。それらの定義されました危険物につきましては、安全法の一環でございます危険物運搬貯蔵規則でございますか、規則によりまして、輸送の手段方法等規制されております。この中に特に明確に基準の定められておりませんものにつきましては、特に大臣指示を得てそれを行なうということがまた別にきめられております。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 船舶局長、船をつくるときの基準はどうなっておりますか。
  14. 田坂鋭一

    田坂政府委員 船をつくるときの基準と申しますと船の設備、構造ということかと存じますが、それらにつきましてもその規則におきまして規制されております。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 もう時間がありませんので早くやめたいと思いますが、大臣に一言承っておきたいと思います。  海上安全交通法というものはいまからもう数年前からずいぶん議論されておったわけです。いま大臣事故報告最後に、これからおとりになる処置として三つの問題をおっしゃいました。それぞれもっともなことで、ぜひやっていただかなくてはならない、こう思う事項ことごとくでございます。ただ、私は少し考え方が違うかどうかわかりませんが、海上交通法海上安全交通法あるいは海上交通基本法、いろいろ呼び名はあると思いますけれども日本海新潟港沖合いで起きた今回のジュリアナ号、この問題にからんで、直ちに海上交通法に類するようなものをつくるという理由には私は少し薄いところがあるのじゃないか。といいますのは、いままで海上交通法あるいは基本法の場合、若干性質が違いますけれども、狭水道中心海上交通規制をやらなくてはならないということが中心でございまして、その狭水道をどこどこにするかという問題で、政府と党の間には相当激しいやりとりや厳格な解釈の問題等があったわけであります。それがすぐ、今回の日本海新潟港沖合いで起こったジュリアナ号問題を契機として、海上交通法を直ちに着手してやるのだという理論的根拠というものについては、私は少し薄弱じゃないかと思います。特に大臣海上交通法にこれから取り組んで、これは必要な法律でございますが、やらなくてはならない場合に、漁業補償といいますか、漁業組合との関係が非常に重大な問題になってくるわけでございます。これは東京湾においてもしかり、伊勢湾においてもしかり、瀬戸内海においてもしかり、そういうことでございまして、こういう問題をおやりになる場合は、とくとそういう点に対する配慮というものをされて今後進んでいただきたいということを、これは答弁要りませんが、御要望申し上げたいと思います。  その次に、これはどなたに御質問申し上げればよろしいかわかりませんが、今回中和剤をずいぶん散布されておるようであります。この中和剤が、時間がありましたら中和剤効能とかあるいは生産能力とかあるいは保存期間とか、保存期間が何年たったらどの程度効能が落ちるのか、いろいろな問題等についても御質問したり、あるいはまたそれ以外の原油が海に流れた場合の防止方法等についても言及いたしたいと思いますが、その問題は後日に譲りまして、今回中和剤をずいぶんまいておられます。このまいている方法につきましても、私たちヘリコプターによる方法、船による方法、いろいろな問題、かねがね研究等もいたしておりますが、これについてもさらに効果的な点等についてわれわれの意見も申し上げたい点がたくさんございますが、これもこの席では申し上げません。  最後に、突き詰めて、こういった問題で中和剤散布したあと原油並びに中和剤との関係海底に沈でんしたり、あるいはまた海岸線に流れついたりいろいろなことが起こってくると思います。そこで、一番最初に申し上げました沿岸住民並びに漁業者並びに他の航行する船舶、こういった問題に非常にいろいろな不安や危惧の念あるいはまた困る結果等が出てくるのではないか、こう思うのでございますが、これに対して、それぞれのケースで違うと思いますが、総括的にこういう中和剤をまいて起こったところのあとのいろいろな問題についてどういう処置をおとりになろうとしておるか、あるいはどういう影響が出るかということについて承っておきたい、こう思います。
  16. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの三点につきまして加藤先生からの御指摘でございますが、まず海上安全交通法と申しますか、これを制定をいたしたい。お話のとおり、まずこういったようなタンカーによる事故、これの及ぼす影響の非常におそるべきことは私ども痛感しております。しかし、四面全部海に囲まれているわが国でございますので、これを全部に漏れなく配置するということまで、いまの時代、率直に申しましてなかなかむずかしいことでございます。これを重点的に配置をして、一番危険度の多いところからこれを除去していく、その観点は機動的にこれに対処していくという方法よりない。したがいまして、ただいま御指摘がございましたように、一番狭水道地区といわれているところの東京湾であるとか瀬戸内であるとか伊勢湾であるとか大阪湾であるとか、そういった方面をまず適用の範囲にしたいということが私どものねらいでございます。これは数年前から御指摘のように、ぜひとも早く日の目を見たいといっておる次第でございますが、先生がただいま御指摘いただきましたような漁業との関連が一番大きな問題でございます。それがために今日までおくれていたところでございますが、これは、いま新潟に起こった事件について海上安全交通法——それは理論的には少しおかしいかもしれませんが、あらゆる機会にこれを、私どもぜひ日の目を見たいということで、やはり漁業組合と円満なる話し合いをつけてそれを解決してやらなければどうせできないことでございますから、それを早く促進したい、今回の機会もとらえてやりたいということが私どもの趣旨でございますので、どうしても前提といたしまして漁業組合との話し合いがつくということが前提でございますので、ただいま水産庁長官も非常に前向きになってやっていただいておりますので、先生方の御協力をいただきまして通常国会には出せるように、ぜひとも御鞭撻をいただきたい、こう思う次第でございます。  それから、いまの油の処理剤のいろいろの後遺性と申しますか、後の問題につきましてはまた後刻いろいろ貴重な御意見を承りたいと思う次第でございますが、私どももその点につきましてはいろいろ化学的分析その他によりまして、有毒性のないものを将来使わなくちゃいかぬということで、さっそくいま研究にかからしておりまして、すでに東大の研究室にその研究を委託している次第でございますが、これらの点につきましても、御意見を体しまして善処いたしたいと思っておる次第でございます。  最後に、やはり沿岸住民、ことに漁業に対するいろいろの問題はこれは非常に大きな問題でございまして、油の処理が一応できましても、あと海底に沈でんいたしましてその魚介の温床になる魚礁その他にいろいろな影響を及ぼすのではないか、いろいろな問題がございます。これらはきょうも閣議におきまして農林大臣からの発言にもございましたが、私どもこれはやはり農林省またその他の関係機関十分研究を遂げまして、薬品その他の問題もあり、また現実の問題といたしまして、沿岸漁民また沿岸の人たち処理がほんとうに完全に行なわれるというふうに努力をしてまいりたい、こう思っておる次第でございますから、またいろいろひとつ御助言をお願いしたいと思います。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 最後に、実は昨年の公害国会で当委員会においてもいろいろ議論しまして、特に海洋汚染防止法というものに相当長時間取っ組み、いろいろ海をきれいにするためわれわれは検討し、また汚濁を防止するためにいろいろな方法を講じたわけでございます。そしてまたいろいろな義務を課し、またいろいろな施設をやろうということでいたしました。ところが今回のような事故が一発起こりますと、船やあるいは陸上施設やあるいは海上構築物に対する規制等をやっておりましても、もとの積載物の原油のようなもの、しかもそれが大型のようなものに一気にやられますと、これから流出する——今回の場合は原油でございますが、そしてまた、これに伴って、これを拡大しあるいはいろいろな方向に飛散させないための中和剤その他を投入する、散布するということで海洋汚染防止法をあれほど本気で議論し、こうやってもらっておっても、一回大型船でやられると、それはもう全部パーになって、さらにそれより大きい海洋汚染の結果を招くようなことになるというような気持ちを率直に持ってきたわけでございます。もちろん、海洋汚染防止法が私は無能であった、無策であったとは考えられません。考えたくないわけです。いろいろこの法律に従って、いままでより以上に海をきれいにしていかなければならない、その気持ちが盛り上がっているときにこういう問題が起こって、何かわれわれのした努力、われわれの海をきれいにしようという気持ちが、こういう事故が一発起こりますと吹っ飛んでしまうような印象を持ちまして、三十日以来非常にさみしい気持ちを持っておるわけでございます。どうぞ政府当局には、いま大臣がおっしゃいましたこれからの緊急措置あるいは防止策等、いままでより以上に熱心に取っ組んでいただきまして、小さいそれぞれの立場での一生懸命の努力に水をぶっかけて希望を失わすような行動が起こらないように努力していただくことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  18. 小峯柳多

    小峯委員長 内藤良平君。
  19. 内藤良平

    ○内藤委員 リベリアのタンカージュリアナ号座礁に伴って、新潟の港外で多量の原油が海上に流れ出まして大問題になっております。私はこの問題につきましては、運輸の守備範囲だけではなかなかできない問題じゃないかとも思いますし、新聞の報道なりあるいは先般の本院における公害特別委員会等における政府委員と議員との質疑応答等を拝見しましてもそういう感を深くいたしました。しかしながらこの運輸の委員会の中で、そういう問題であればあるほど、こういう場合においてはいかにあるべきか、こういう観点を含めて若干質問したいと思うわけであります。  第一に、いま加藤委員からもお話ございましたが、昨年の公害国会で、われわれ運輸の側としましては海洋の汚染防止法、これを可決、決定いたしました。あれは結局ビルジであるとかあるいはタンクの掃除したものであるとか、そういうものにある一定の規制を加えて、それを運輸省傘下の海上保安庁中心の役所になりまして監視あるいは防除、また民間の協力を求めながら指導していこう、こういう趣旨であろうと思います。しかしながらこのたびは、とにかく何千トンという大量の原油が海面に流れ出たのでありますから、あの法案の内容に伴って海上保安庁でいろいろ対策を立てておるものから見ますと、あまりにも大きいといいますか、端的にいいまして処置しかねるという状態じゃないかと思うのです。過日の産業公害特別委員会等でも海上保安庁長官は、それらと思わしき御発言があったように聞いておりますけれども、端的に今回のこの事件につきまして保安庁長官として、あなたの担当しておる分野として、この種の問題を十二分にこなし得る問題であるかどうか、そこら辺の率直な見解をお聞きしたいと思うのです。
  20. 手塚良成

    手塚政府委員 いろいろ処理対策につきまして従来御指導願っておりますが、その方針に従っていま実行してみておりますが、やはり本件は、端的に申しますと、わが国で初めて起こったような災害であろうと思います。加えまして、公害の見地からウエートが非常に高い問題として起こっておるということであります。いま船艇あるいは現在考えられますような処理のための資材、そういったものについて現在の国内における最大限のものをもってやっておりますので、そういった量等の問題については、現状ではいけるというふうに私は考えます。ただ、これから問題になるかと思いますが、船の瀬取りに対する体制というような問題あるいは使用いたします各種の除去剤をはじめとしたオイルフェンスその他についての資材につきましては、これは、中和剤に二次公害があるとか、オイルフェンスは波高一メートル以上はもたないとか、いろいろ無理な点がありまして、こういった面についての技術開発を今後十分やらなければ、現状の新潟におけるいろいろな条件下においては、これは端的にいうと非常にむずかしい問題である。しかし、この問題は世界各国でもいま鋭意研究し、やはり悩んでおる問題でございます。そういう点において問題がある。  それから、非常に悩んでおりますのは、他力本願的で、きわめて弱音的にも聞こえますが、気象条件が非常に悪い。雨が降ったり、風が吹いたり、波も高く、非常に天候条件が悪い。この点におきまして、私どもは、現状、ここ三日の間、非常に難渋を重ねております。そういうものを全体として総合いたしますと、これはなかなか簡単な問題ではない、かように考えております。
  21. 内藤良平

    ○内藤委員 私も今日までの状態を見て、これはなかなかたいへんな問題であるとやはり思っております。したがいまして、単なる追及だけで終わってはならぬという気持ちで一ぱいであります。しかし、その前に、この間出ました海上保安庁報告の中にも、外国のタンカーにつきましては、特別の運航の対策をしておるように見ました。たとえば、東京湾であるとか、伊勢湾であるとか大阪湾、あるいは瀬戸内海の西岸であるとか、外国船のタンカーには特別注意を払う、こういう御趣旨のもとに、水先案内人等を強制的に乗船せしめる、こういうような措置もしておるようです。この新潟の場合は、これはリベリアの船であり、戴克民という方は中国人である。そして、新潟のあの海底は砂地であって、テトラポットが沈下しておる。北西の季節風が強い。しかも、新潟港には石油の精製工場があり、年に何べんか大型の船、比較的大きいほうの船が入る、こういういろいろな条件がある。あなたのほうの保安庁では、タンカーに対する特別な配慮、この際水先案内人をジュリアナ号に乗船せしめる、こういう指導なり、措置はなかったんですか。やる気がなかったのか、それともやる気はあったけれども、その他のいろいろな問題があってできなかったのか。事情の詳しい者が乗っておったら、いかに経験が浅い船長でも、そんなにむずかしい操船でもないと私は思うわけです。これは、どうも運輸省関係としては、やはりちょっと欠陥があったんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
  22. 手塚良成

    手塚政府委員 外国船に対して、水先案内人をできるだけ乗せるようにという問題は、これは実は狭水道関係につきまして、昨年来、やや問題の起きそうな事故が起こっておりますので、それを前提にして、昨年十一月緊急対策としてきめました一環として、行政指導をひとつやろうということで、水先人を乗せるようにということを指導しておるわけでございます。これはあくまで、いままでの対象としては、狭水道における外国船、こういうことでやっておりました。したがいまして、今度のような場所については、そういう指導は実はしておりません。ただ、本件について水先との関係がどうなるか、もし水先がおればというようなことを、いろいろ考えていますけれども、原因については、目下調査中でございますので、決定的にはよくわかりませんが、少なくとも一つには、船長として、きわめて初歩的な、荒天気に対する技術といいますか、考え方あるいは措置といいますか、そういったものが必ずしも的確でなかったのではなかろうか、こういうような気が非常にいたすわけでございます。しかし、それにいたしましても、水先を呼んでおる間に天候が変わって、水先が来ないというような実情もございましたので、そういった面については、今後相当考慮していかなければならない、かように考えております。
  23. 内藤良平

    ○内藤委員 だから、運輸省のワク外にはずれる問題が多いと思いますけれども、船の関係として、操船関係等を考えると、われわれしろうとのような者でも、北西の風が強かった場合は、へさきをそっちへ向けて微速前進をするとか、あるいはそっち側のほうにいかりをおろしてやるとか——ただ、砂地だけれども、テトラポットといういぼいぼした大きいものをずっと、海岸が浸食されるからやっておるわけでしょう。そういう地形は、やはり台湾人、中華民国の方にはわからなかったかもしれないですね。だから、そこら辺は、新潟の港の方でも、水先案内でなくても、新潟港の責任者でも注意できなかったものか。事故が起きる前の防御を極力推進したいから、こう言うわけだ。  日本の油の出入りというものはたいへんなものでしょう。ほとんど船で、年間の扱いが四億二千万トンくらいといわれますね。しかも、タンカーを含めて船舶の海難事故は、あるパーセンテージがあるわけだ。すると、タンカーの四億二千万トンをパーセンテージではじき出して、万一の場合は、何万トンの油が日本の港あるいは周辺の海域に流れ出る、こういうことはもう想定されるわけだ。しかし、これはどうして防ぐか。出る前に防ぐ。これはいろいろまた、狭い水道の場合の措置でもあるわけですよ。運輸省としていまここで必要なのは、タンカー船体構造的な面の強化といいますか、これはやはり世界でも一番油を運ぶのが多い日本ですから、タンカー構造の強化ということは必要じゃないか。  時間がありませんから、私、べらべら申し上げますけれども、たとえば液化のガスですね、あれは非常に高圧ですから、船体とタンクが別になっているんじゃないかと思います。こういう場合でありますと、やはりタンカーの場合でも、それに準ずるような構造的なものを規制しなくちゃならぬのじゃないか。これは私、必要なことじゃないかと思うのですね。今回も座礁でしょう。もし船体が割れても、タンクに支障がなかったならば、あるいは油は海底に沈んだかもしれないし、出なかったかもしらぬ。コンテナ船のような考え方もありますし、あるいはラッシュ船のような考え方もありますね。これはひとつ、ぜひ運輸当局として考えていただかなくちゃならぬ問題じゃないかと思います。  それから、この問題で、運輸じゃなくて政府として考えなくちゃならぬというぐあいに思いましたのは、手塚長官から率直にお話があったように、やはりいまの保安庁、運輸省の手に余る。一例でございますけれども、いま五十万トン近いタンカーもできようとしている。このジュリアナ号の例でまいりますと、大ざっぱにいいまして十万トン以上の原油が出るかっこうになる。たいへんなことでございますね。と同時に、はるばる外国から来ました貴重な資源、それを単に中和するだけではあれでしょうから、これは何か回収する方法も考えなくちゃならぬのじゃないか、私はそう思います。その場合に、やはり拡散しないで、うまくこれを捕捉して、それを回収する方法ですね。これは運輸省で考えることかどうか。通産省のほうの関係もあるかもしれません。あるいは技術的には、科学技術庁長官のほうの関係もあるかもしれません。どうもいろいろ、この問題に関連して考えられることが多いわけであります。  実はきょう、本会議でも、緊急質問を私のほうで要求しております。やはり総理という立場といいますか、政府全体でこういう問題——しかも、ほぼ一定の率をもって日本の近海で起こる可能性のある問題ですから、運輸省だけにまかしておかないで、政府全体として取り組む、石油の関係業者もあるいは船舶業者その他もこれに取り組む、こういう考え方がぜひ必要じゃないかと思うわけであります。  中和剤の問題につきましても、これはいろいろ議論があるようでありますので、準備のことも確かにこれは不十分であったと思います。ですから、今後中和剤なりあるいは消火剤あるいはオイルフェンスですか、あるいはそれにかわるべき新規に開発された、油を捕捉するような方策とか、そういうものを整えて備蓄の体制を強化する。同時に、やはり中和剤の性能といいますか成分といいますか効能といいますか、中和剤によっては油がまた凝固して油だまりになって逆に困る場合もあると聞いております。けさの新聞では毒性を持つ中和剤もある、そんなようなこともございますので、いろいろ技術指導、開発なり研究、そういうものを含めた非常に広範な行政的な体制的なものが必要であると私も痛感いたしました。  でございますから、タンカーという、船を持つという場合ばかりではありません、海洋の汚染防止という立場でどうかひとつ運輸省の積極的な、政府部内における御発言なり御対策なり、あるいは関係閣僚に対する働きかけなり、あるいは総理大臣に対する直言なり、そういうものをひとつ早急にやっていただかなくてはならぬ。あしたにもまたこういう事故ができるかもしらぬ。この事故が起こってから瀬戸内海で揮発油でございましたか、五百トンくらいございました。ただ、これは揮発油のせいか蒸発をして、あまり被害はなかったというふうに聞いております。  以上のような考え方でございますが、大臣いかがでございますか。私も建設的な気持ちで申し上げております。ひとつ率直なお考えを伺いたい。
  24. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま内藤先生からるる貴重な御指摘をいただきました。私もほんとうにそのとおりであろうと思っておる次第でございます。  今回、こういった事故が起こりまして、新潟の漁民並びに沿岸の人に非常に不安を与えて、まことに遺憾に思っておる次第でございます。前々から運輸行政全般の一番の基本方針といたしましては、安全対策第一、公害防止というものを重点に置いてやれということを常々言ってきた次第でございまして、先般からもそういったような問題につきまして取り組んでいた次第でございますが、今回この事故が起こりまして、あらゆる方面で、そういった設備の点におきましても、規制の点におきましても、また事故処理の点におきましても、まだ足りない点が非常にあるということを痛感をしておる次第でございます。お話しがございました点は、やはり私ども事故防止、公害防止の点からまいりましても、四海海の日本でございますから、全体を全部画一的に十分配置をするということは実際の問題としてなかなかできませんので、やはり重点的に、事故が起こった場合に及ぼす影響の一番ひどいところからおもにやる、あとの点はできるだけ機動的にこれを敏速に処理できるような体制を整えるということでやった次第でございます。  ことにこの北日本、今回の新潟方面におきましては、外国船でございますし、また聞きますると非常に初歩的ミスと申しますか、先ほどから水先人その他の御質問がございましたが、そういったような風浪時におきましては、やはりしょっちゅう発動機を動かして、とめてはいかぬということはもう初歩的技術である。それをとめたことによりまして、潮に流されて座礁した、こういうようなことでございますので、それらの点、また事後処理といたし費して、いろいろの処理剤散布する、あるいはオイルフェンスを展張するといいましても、大体約一メートル前後の波浪ならば、それがうまくいく、二メートルになるとそれがきかぬというような現在の体制ということでございます。それらの点も、北日本の海の荒いことはわかっておる次第でございますから、二メートルの波浪の場合においても、どういう対策をとるかということを十分急がなければならぬと思いました。それらも早急に対策研究、樹立するようにただいま検討を命じている次第でございます。  また船舶構造、これらもあくまでも、内藤先生が御指摘のとおり、安全が第一でございます。また将来、まだ計画までいっておりませんが、LNG船が日本で建造されるようなことになりますと、やはりそういう点が一番の問題である。タンカーの問題につきましても、これは船舶の技術的なことは船舶局長から御答弁申し上げさせますが、それにつきましては少々の座礁の場合においてはそういった亀裂の生じないような方法がないかということを検討さしている次第でございまして、危険なものはあくまでもやはり認可してはいかぬという方針は私は厳重にただしているつもりでございます。技術的にこれは絶対安全であるということならば、これは許すのにやぶさかではないけれども、そういう点におきましていささかでも安全性を欠くようなものは、いかに経済性の理由があってもこれは許してはいかぬという方針は貫いてまいりたい、こう思っている次第でございます。また、処理剤のいろいろの種類、またその後遺症につきましては、先ほど加藤委員にも答えましたとおり、いろいろ問題がございまして、それらの研究、開発というものがやはりおくれているような状況でございます。  総合いたしますと、やはり御指摘のように運輸省だけではなかなかに容易な問題じゃございません。全体の港湾整備にいたしましても、私ども常に思っている次第でございますが、こういったような大型タンカーが非常に多くなりますと、港湾に入れられない、港外においてシーバースをつくりまして、そこに接岸をさして、そしてあとはあるいはパイプラインであるとか、あるいは小型タンカーによりましてこれを処理するというような方法をどうしてもとっていかなければしようがない。  それから先ほども申しましたが、湾内におきましては、やはり海上安全輸送交通法でございますか、こういったようなものを早く制定をいたしまして、水先人の強制使用であるとか、水路の指定であるとかいうようなものをはっきりさしていかなくちゃいかぬということを考えている次第でございますが、それに従いまして、実は本日閣議で私この事故報告をいたしました際におきましても、各関係閣僚に、これはただに運輸省だけでなく農林はもちろん、通産、科学技術庁その他一体になってこれからの対策を立てるべきであるから協力を願いたいと申しましたとともに、総理大臣に対しましても私直接そのことを申し上げました。総理大臣からも、ひとつそういったような機構その他につきましても考究するようにという話がございました。早急にそれらの点に取り組みまして、国民の皆さまの御不安を除くとともに、先生方のお知恵も拝借いたしまして早急に対策を立てたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  25. 内藤良平

    ○内藤委員 終わりますけれども、これをひとつ契機に、何といっても海国でありますし、石油関係全部買っているのでありますから、また船で運んでおりますから、この種の事故は必ず起こり得る、こういうことを前提にされて、強力かつ緊急の対策を立てられんことを要望して私終わりたいと思います。
  26. 小峯柳多

    小峯委員長 田中昭二君。
  27. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 このたびのタンカー事故によります油の流出という、いわゆる公害も引き起こすような事故を起こしたわけでございますが、わが国がこういう海洋国で、また原材料を輸入しなければならないというようなそういう状態も考えてみますと、こういうタンカー事故というものは当然起こり得る、またいままでも起こりましたし、そういうタンカーの油流出事故というものに対する政府の基本的な考えを一応お聞きしておきたいと思います。簡単に具体的にお答え願いたいと思います。
  28. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 基本的な対策といたしましては、先ほど内藤先生に申し上げましたとおりでございますが、政府が一体となりまして、これからこういったような問題に対処するために関係各官署一体となって行政のあらゆる手を打ち、施設の整備をはかるとともに民間の協力も、いわゆる官民一体となってこれらの対策を講じなければならぬということが基本的な対策でございます。  具体的には、私ども運輸省だけでただいま取り組みましたものは、先ほども報告申し上げましたとおり、まず事故の未然防止のための措置をいかに強化をするかということが第一でございます。それがためには、やはり外国船もしょっちゅう入ってくる次第でございまして、ことに今回の事故かんがみまして、来年の五月に開かれますIMCOの会議におきましては、いろいろこれらの船員の資格の問題、その他いろいろの条件の問題等につきましては、指導的な立場におきまして、私どものほうで発言をいたしまして、国際的にそれらの取りきめもやってまいりたいということが一つでございます。  また、国内におきましては、先ほどから申しました重点事項といたしましては、海上安全交通法制定をできるだけ早く促進をいたしまして、先生方の御協力をいただきましてこれの実施をはかりたい。  また、海上保安方面の艦艇あるいは救命艇あるいは消火艇あるいはまた廃油処理艇というような設備につきましても、十分配備をいたしまして、それらの完ぺきをはかってまいりたい。また処理剤その他の後遺症の除去というような点におきましても、あるいは科学技術庁あるいは厚生省等と協力をいたしまして、それらの問題につきまして遺憾なきよう、科学的研究の結果、毒性その他のないものを指定をいたしまして、それらを使うということを実施をしてまいりたいと思っておる次第でございます。  また、最近の事例に伴いまして石油基地と申しますか、石油の貯蔵量の数に応じまして、石油基地あるいはそれを輸送する船舶におきまして処理剤をどのくらい持たすべきであるか、また、海上保安官署としてどのくらい持ったほうがいいか。また、オイルフェンスその他の機材を、どこの石油基地方面の管区においてはどのくらい持たすべきであるか。また、石油基地においては持たすべきであるかというようなことを具体的に標準をつくりまして実施をさしたい。御承知のとおり、ただいまそういう各基地におきまして、四十三カ所に協議会を設けさしておりまして、われわれもつくっておりますが、さらに具体的標準をつくりまして、これらを早急に実施してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  29. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 今度の事故が起こりまして四日間たったわけでございますが、この問題はいろいろ取り上げられまして、マスコミの批判また専門家等のいろいろな意見、また政府対策、それに対するいろいろな疑問というもの、また、きょうまで行なわれました論議を聞いてみますと、どうもすべてが手おくれといいますか、均衡がとれないといいますか、その場しのぎといいますか、そういう気持ちがしてならない。そしてまた起こりました事故に対しましても、ほとんど無能に近い。いわゆる自然現象というものがその一番重大なポイント、解決するためのポイントになっておるということしかできないような、日本の経済大国としてのこの姿勢をもう少し考えなければならないのじゃないか。タンカーが大型化してくると——先月の二十日には運輸省は四十七万トンのタンカーの建造許可をした。このことにつきましてはここに批判も出ておりますように、運輸省というのは大体安全を第一にするというようなことばをすぐ言うけれども、こういうことを見てみると企業者側に立った事業官庁にしかすぎない。こんな批判を受けるような政府の態度では、私は情けないのです。それはここでただああします、こうしますと言って解決する問題じゃない。また政府の役人の方も、一生懸命やっておられるのでしょうけれども、そのやったことが、また手を下す方法がほんとうに無意味といいますか、役に立たないといいますか、私も現場にすぐかけつけてみまして、その点を一番に感じたわけです。その感じたことが、日にちがたつに従って事実となってあらわれてくる。これを繰り返しておったならば、私は、ほんとうに日本はもう人間が住めないような状態になるのは一番早いんじゃなかろうか、こういうことまで心配せざるを得ないわけであります。でありますから、運輸省の立場に立ってのそういう点を反省しながら、ひとつお答えいただきたいと思います。簡単にお願いします。
  30. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 全体の問題といたしましては、そういったようなタンカー対策の設備あるいは諸般の施設、ことに裏日本方面におけるそういったような問題の設備の不足ということは私どもも考えておる次第でございます。  御指摘の四十七万トンのタンカーの問題でございますが、これは油の需要が非常に多くなってまいりまして、世界の船舶の需要上、その輸送手段といたしまして大型のタンカーを使用するということが一般の趨勢となっております。今回私どもで認可をいたしましたが、すでに私どもで二はいの四十七万トンのタンカーの認可をいたしております。これは外国の船主が使う予定になっている次第でございますが、これを日本の造船会社につくらせることになっております。今回はそれと同じものでございます。またイギリスあたりでは、すでに五十万トンのタンカーにつきましても五隻計画しておるところでございます。運輸省といたしましても、将来は百万トンのタンカーにつきまして、これの安全性というようなものをただいま研究させております。しかし、これらは持ってまいりますものの条件といたしましては、鹿児島湾の喜入港だけに寄港させるということで認可をいたしておる次第でございます。安全性の確保といいますると、飛行機で小型機がいいかあるいはジャンボがいいかという議論と同じになってくるんじゃないか。もちろん安全性が一番問題でございまして、大型タンカーであればあるほどこれは安全性を高めるということが一番その基本になるということで、それらの点につきましては、ただいま田中先生の御指摘のとおり、私らもしろうとといたしましては、そういったものがいいかどうかということを再三にわたりまして指摘をいたしまして、船舶局長から、そういう点はほかのタンカーから比べましてはるかに安全性が高いというあれを得た次第でございまして、認可をした次第でございます。決して企業側であるとか、あるいはまたそういったような安易な気持ちで許したつもりではございません。要するに、今日のタンカーによる万一の流出に対しましては、私どもも非常に関心を持っておりまして、そういう点につきましては、私は御指摘のような安全性第一ということを基本に置きまして、これから運輸行政を進めるつもりでございますので、ひとつ御了解をいただきたいと思う次第でございます。
  31. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 時間がないものですから、ひとつ簡単にやってもらいたいのですが、いまの大臣のお話を聞いておりまして、私は、その安全性というものを運輸省だけでいろいろ研究なさって、自分たちだけわかるような安全性であるということを指摘せざるを得ないのです。まだまだこういう事故が起こるということについての反省が足りないのじゃないか、こういうことだけ一つ要望しておきます。  それで次に移りますが、この事故が発生した時点において運輸省でもいろいろ指示もなさりますし、そのとられた行動を、直接任に当たる海上保安庁とのお話もあったと思いますが、事故の発生を聞かれて第一に打たれた手は、またこの事故に対する基本的な取り組み方はどういうことであったか、一言承りたいと思います。
  32. 手塚良成

    手塚政府委員 やはり流れ出しました油に対する火災あるいはそれの拡大に伴います被害を考慮いたしまして、それの防除をしなければならぬ。防除のために必要な資材というものをどれだけどうするかということを検討し、その手を打ちました。地元におきますところの協力体制、先ほど来おっしゃいます、これは全般の体制を整えての仕事でございますので、対策委員会というのを設置して、全般の協力体制をしく、そういうことをとりあえずやりまして、まず防災それから防除、次に今後流れ出してくるかもしれない残っておる油の防除、こういったことを第一義的に検討して手を打ちました。
  33. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、そういう海上保安庁長官措置に対してはつけ加えることは何かなかったですか。簡単でけっこうです。
  34. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま現地においてはそういう点がございますが、中央におきまして、たとえば通産省あるいは警察庁あるいはまた農林省、防衛庁につきましても、私のほうから直ちに連絡をとらせまして、これらの点につきまして各省協力をして処理に当たっていただきたいということを要請いたしまして、させた次第でございます。
  35. 手塚良成

    手塚政府委員 ちょっと一つ申し落としましたが、乗り組み員が四十七名おりましたので、この人命を早急に救助をするということもいたしました。
  36. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もちろん人命も救助できましたから、その点私はそれで……。  それよりもこの事故に対して運輸省首脳部が集まってどういうことを大体話し合ったのだろうか。こういうときにはもう少し具体的にいろいろな想定をされたと思うのです。その第一の手が間違っておる場合、もしも間違った場合にはこうするとか、そういう第一番の手が打たれないと、今度のようないわゆるあと始末に対する非難を受けなければならない、こういうことを指摘しておるわけです。  もう一回具体的に申し上げますと、海上保安庁長官はいま防除というようなことをおっしゃいましたが、具体的には、私が現場に行って聞いたところでは、本庁の警備救難部長さんですか、派遣されたようでございます、それはそういう防除ということを考えて。ところが、実際あのタンカーに積んである油が一部分流れておる、だから、当然残っておる部分についてはどうするか、そういう指示があっているはずです。ところが、その残っておる油に対する認識が、現場に行ってみますと、また時間がたってみますと、二つの区画のタンクから流れた油であろうと想定されたものが次々に流れ出ているという状況がある。そこで当然そういうことも考えたのでしょうけれども、そのことを考えてみると、残骸の船尾の部分なり船首の部分なりをどうするか、こういうことは手を打たれなかったのですか。
  37. 手塚良成

    手塚政府委員 まず初期の立ち上がりの御質問かと思いましたので、先ほどお答えいたしたわけですが、引き続きまして、問題は、むしろいま御指摘船首船尾部分に残っておる油のほうが量が多い。当初は約四千トン流出を想定いたしましたので、二万一千トン搭載から見ますと、残っているほうが約三分の二以上、八割くらい残っているわけでございます。そこで、それをさらに流さないようにということは当然考えました。しかし、それがどういう現状であるかということの把握をまずしませんと、次の対策が手が打てない。その把握ということをどうするか。端的に船に近寄って見るということがなかなかできないという事態で、それについてはわれわれは一番気をつかい、現在もこれから打つ最大の問題あるいは最大のなすべきことはそこにあるのではないかということで考えております。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕
  38. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこで、私はこういう緊急なときにどうするかということをいま聞いているわけです。そういうことも考えられたということですが、私、現場に行ってその点を聞いてみますと、海上保安庁長官から、残っておる船を何としてでもいいから海に引き揚げろ、綱をつけて引っぱってでもいいからという指示を受けて救難部長は飛んできた、こういうことなんです。そういう現場での指示が、これは問題ですよ。このことはここですぐ答えられない問題だと思いますから保留しておきます。  もう一つは、先ほどから問題になっておりましたが、外国船が指定の沖合いの地域に停泊しておった。その船が風のためにだんだん海岸に近づいてくるというようなことに対する監視体制——私もあそこの新潟海上保安部の信号所に行って、一番初めに発見して手を打った信号係にいろいろ尋ねてみますと、そういうものに対する手は一つも打っていない。結局、成り行きまかせといいますか、だから政府の手は、こういう点で実際こうする、こうするというふうにしてありましても、現場に臨んだ責任者、信号所に詰めておる信号係の人でも——船がまっ二つに割れてSOSの発火信号をするまで、その間、わずかな時間なんです。私は時間帯も全部とっております。それを突き合わせると、いま報告があったのと全部違う。そういうこまかいことが違うことは、それは人間の見方、間違いがあるかもしれませんけれども、そういうしけの中に爆薬みたいなタンカーが漂流しているのですから、信号所で見ていれば、当然わかるはずです。そういう指示はなされていない。そういう点、もしも信号所という役目でほんとうにあぶないという意識のもとにちゃんと見ておるならば、おそらく座礁してまっ二つに割れるということは防げたかもしれない。実際、現場に行ってみますと、潮ふぶきは油を含んで、私が数十分間立っている間にからだがべとべとになってしまいました。また海の汚染された被害についてはどうすることもできない。これはもう相当な損害、また被害になると思いますけれども、そういうものに対する今後の政府の責任ある姿勢並びに補償等に対する対策を講じてもらわなければいけない、こう思うわけです。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕  最後に、現場で不眠不休でやっている人たちが言いますことは、ほんとうに一生懸命やろうと思うのですけれども、そのための方法が、もう投げやり的ですね。天候がこういうふうに悪いのだからどうしようもないのだ、持ってきた資材も何にも役に立たない。また中和剤にしても、いろいろな第二次災害的なことも考えられて、きちっとまこうとしてもまけない、そういう意識がやっている人にあるのです。またまいても、ばっと潮をかぶって、風で吹き上げてきますからまけない。船も寄りつけない。こういう状態を考えてみますと、最初質問に戻りますけれども、もう少し大型タンカーというものに対する対策を考えなければならないじゃないか。海上交通法の問題から私もう少し聞きたいのですけれども、そういう海上交通法をつくらなければならないということが考えられておりますが、そういうものがかりにつくられておりましても、今度の事故を想定した場合に、ほんとうに交通法があることによってそういうことが防げるかどうかということも、今後とも十分検討していかなければならないということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  39. 小峯柳多

  40. 和田春生

    和田(春)委員 時間もたいへん限られておりますので、端的に御質問をしたいと思います。  なお、質問前提として私の考えていることを一言申し上げたいのですが、今回の事故は、専門的に見ますと多少特殊性があるわけでありまして、一般的な大型タンカー安全対策というような面についてはあまり参考になることはございませんし、そういう角度から取り上げたのではいたずらに政治的議論にすりかえられてしまう可能性があると思うのです。ただ、油が実際に流れ出まして、防災対策という面においては、たいへん不幸な事件ですけれども、多くの貴重な教訓を残していると思いますので、まずその点にしぼって御質問を申し上げたいと思うのです。  最初に、海上保安庁長官にお尋ねいたしますけれども、九管本部長を責任者といたしまして、事故対策本部を現地につくっておられるわけでありますが、刻々の現況について本庁のほうに報告が入っておりますでしょうか。
  41. 手塚良成

    手塚政府委員 大体一時間間隔で対策本部長から連絡をするというマニュアルにしておりまして、さらに午前七時と十二時と夕方の五時、この三回にはオーバーオールの報告を聞く、こういうような体制で現況把握につとめ、報告さしております。
  42. 和田春生

    和田(春)委員 それでお伺いしますが、事故が発生をいたしましてから、人命救助のほうはもちろん何よりも優先しなければなりませんので別の問題といたしまして、最初の防災対策に着手したまでの時間はどれだけかかりましたか。
  43. 手塚良成

    手塚政府委員 防災対策そのものでございますが、十七時に対策本部の設置をいたしております。対策本部長に九管本部長を任命しております。それから六分に七尾、伏木等に船艇集結のための指示を出し……。
  44. 和田春生

    和田(春)委員 途中ですが、ぼくの質問のしかたが悪かったのですけれども、そういういろいろな本部をつくるとかじゃなくて、具体的に、たとえば一番最初オイルフェンスを張りだしたのは何時か、中和剤投入開始をしたのは何時か、そういうふうに、一番最初に油の流出を食いとめ処分をするという具体的な防災対策に着手した時間をお聞きしているのです。
  45. 手塚良成

    手塚政府委員 いま資料がございますので、ちょっと時間を調べたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  46. 和田春生

    和田(春)委員 それじゃ、きょうは急な質問でございますから、後ほどそういう点を資料をもって提出をしていただきたいと思います。また次の機会に重ねて質問をしていきたいと思います。  そこで、資料を整える場合に私の要求する内容を申し上げたいと思うのですが、まず事故が起きた、そこから油は流れ出したわけですけれども、実際その油の流出というものに対して具体的な対策をとった時間ですね。本部をつくったとか、船を結集したとか、飛行機を飛ばす手配をしたとかいうことじゃなくて、一番最初オイルフェンスを張りだした時間、あるいはまた中和剤を投入しだした時間、それは一体何時であったか、その間何時間。その間に流出した油の推定量、これは確実にはわからぬと思いますが、大体どれだけの油が流出したか。次に、最初に防災対策に着手したときに一体海面に広がった油膜の面積は推定どれぐらいであったか、これが一つであります。その次に、大体一時間ごとに報告をされておるというお話でございますが、七時と十二時と午後が五時でございますからそれでもけっこうでございますので、その後の各時間ごとに、その間に油膜が海面上どれだけの面積に広がっていったか、その時間にどれだけのフェンスが張られ、どれだけの中和剤が投入をされたか、そういうようなことを具体的にひとつ調査をして、ここでは無理だと思いますが、知らしていただきたい、こう思うわけです。  そこで、そういう資料は追って提出をしていただくことにいたしまして質問を続けたいと思うのですけれども政府はしっかりやれ、けしからぬ、こういうふうに言っておっても解決をしないと思うのです。私はこの種の問題を今後どういうふうにしたらいいかということを考えていくためには、できることとできないことのけじめをはっきりさせて、従来考えていることでできないということがほぼ確実であるならば新たな手を打つ、そういう具体的な研究と計画というものを進めなければならないと思う。  そこで、今度の場合には突発に起こったわけですからかなり手おくれになっている。そうして、防災の面でも海上がしけておったとかあるいは波が高かったとか、いろいろな理由があると思います。あるいは現地に準備しているフェンスまた中和剤の量が少な過ぎたので、輸送に手間どったとか、そういういろいろな理由があると思いますが、かりにそういう点を解消したとすればどの程度に食いとめられるとお考えになるか、まだそこまでは研究しておられないか、その点お伺いしたい。
  47. 手塚良成

    手塚政府委員 御質問の趣旨がなかなかむずかしいと私は思うのですが、災害というものにつきまして、その前提なり条件が非常にたくさんございます。どのぐらいの船がどういう状態でどれだけの破口が出てどれだけの油が出る、そうしてそのときの気象状態、海象状態がどういう状態であるかというようなことが具体的になかなか想定がむずかしい。そこで私どものほうは、絶えずいろいろなケースを想定しながら、いまお話の出ましたような限度というものを把握するようにつとめております。  そこで、非常に概括的な言い方でございますけれども、気象状態が、今度のような波でなくて、一メートル程度の波、もちろん、天候はいまのような雨が降ってないという状態、それから主として湾、狭水道を一応想定する。そうした場合に、われわれが、たとえば、オイルフェンスとか油除去剤を備蓄するにつきましては、現在やられておりますような程度の災害、油の流出等にいたしましても現在流れ出しておるぐらいな程度、こういうものを一応想定をしながらそれに対処をしたいというふうなことを検討しております。  しかしこれも、いま申し上げましたように、それにいかなる条件といかなる内容をどの程度に盛り込むかというのは、これは非常に私どもも悩んで、検討を絶えず続けておる。最近のように、一つの船のタンクサイズが大きく変わってくるというような状態も、これはまた新しい大きな一つの前提要件として、これにいかに対処していくかということを考えなければならぬと思います。また、いま私どもの防除体制だけではなかなかこれは処理できない、その限度を越えるという場合が多うございますので、そういう場合の処理体制としての、まあ大きなことばでいえば国をあげてのそういった関係官庁の協力体制、当然その中にはまた民も加えるというようなことも必要だと思いますが、そういった全体の体制づくり、こういうようなことも一つの考え方でございます。それやこれを総合いたしまして、いまお話の冒頭にあったかと思いますが、限度というものはどこだということを検討しておるという状況でございます。
  48. 和田春生

    和田(春)委員 一般論をお伺いしたのですが、具体的にお伺いしてみたいと思うのです。  今度の事故の場合に、あんなに風が吹いていない——たいしたしけじゃないのですけれども、あれだけの風浪がなかったとすれば、もちろん走錨して遭難するという事故もなかったと思いますけれども、かりにもっとないでいる状態で、風速も弱い、波も、おっしゃるように一メートル以下であったという状況で、ああいう事故が起きて油が流れ出したとすれば、あの状況においてほぼ満足に食いとめられたとお考えですか。新潟でいま起きた場合ですね。
  49. 手塚良成

    手塚政府委員 これはなかなか実験というようなこともいままでやりたくてやれない内容でございますので、当たらないかもしれませんが、まずやるべきこととしての内容から考えまして、いわゆる拡散の防止をやれる。そうしてその中に一応当初想定いたしましたような油の流出量が三千四百——現在いわれております六千というような状態であるということで、その中の拡散を防止し、オイルフェンスの中の油を除去し、それから残っておりますのは、船からのさらに流出防止するという手だて、こういうもののそれぞれにつきましてどの状態になったであろうかという推定になるわけで、オイルフェンス等につきましては現在現地に約六千メートル送っておりますが、これで大体こと足りるのではなかろうか。当時の手としては、さらに木材等の収集も手配をし、いざとなれば出し得るような状態にもいたして、それ以上の予備的なことに備えるということもやっております。  それから、流れ出しました油につきましては、当初四千キロリットル、四千トンという想定をいたしましたので、これに対応いたします油除去剤は四万かんというのを想定いたしまして、それを現地に早急に送るという手だてで、逐次当日の夜から輸送を開始してやっておるという状態であります。これはまた、その拡散状態というのを防止するのがうまくどの程度に時間をかけてやり得るかということにもこれはかかってくるかと思いますが、現在この四万かんに対しては、さらに広がる公算、あるいは持久戦になる公算等も考慮して、七万かんの調達可能という状態にいたしております。  それから、残った船首船尾部分からさらに油が流れ出るという問題に対するその辺のところについては……(和田(春)委員「要点だけでいいですよ」と呼ぶ)
  50. 小峯柳多

    小峯委員長 要点だけどうぞ。
  51. 手塚良成

    手塚政府委員 これはサルベージ会社等との関連で手を打つということ以外に手はなかろうというような状態で、いろいろな前提といろいろな内容のコンバインになりますので、適切なお答えになっておるかどうかわかりませんが、そういうような考えでございます。
  52. 和田春生

    和田(春)委員 あまり説明は要らないんです、ぼくは大体わかっていますから。
  53. 小峯柳多

    小峯委員長 どうぞ簡潔に答弁してください。
  54. 和田春生

    和田(春)委員 端的に私はお伺いしたいのですが、もし、ないでおったとすれば防災対策流出防止、拡散の防止処理ということがほぼ満足すべき状態でできたと思うか思わないかということを聞いたわけなんです。ですから、思うなら思う、思わないなら思わないでいいんです。その点をお伺いしたいんです。
  55. 手塚良成

    手塚政府委員 ないでおったという前提で、いま申し上げる複雑なことがなければおおむねやれるんではなかろうかと考えます。
  56. 和田春生

    和田(春)委員 その場合、いつもなぎとは限らないわけです。しけてきた場合には、そうすると、お手上げになるということが考えられるわけです。さらにオイルフェンスやあるいは中和剤というものをどの港にも、いかなる事故が起きても差しつかえないくらいに十分に備蓄しておくなどということは、これは資金と人手と効率の面からいってできない相談になると思うのです。そうすると、必ずしもいつも完全に防げるとは限らない、こういうふうになってくると思うのですね。しかも、中和剤が毒性を含んでいるということはいま初めてわかったことではない。前からいわれていることです。そういう中和剤というものは、大規模な事故に対する防災の手段として考えられているのではなくて、もともとは小規模なものを手っとり早く処理するということから出発した手段であるということも明らかであります。いまのように膨大なものを使いますと、かりに一万トン、二万トン、三万トンという油が流れ出た。それを中和剤処理するということになると、とんでもない量のものを持ち込まなくてはいけないということで、実際上不可能になってくると思う。そういう点を私は考えると、この辺をもう少し詰めてもらって、いま考えられているオイルフェンス中和剤では処理できない事故が十分起こり得るのだという前提に立った場合に、かわるべき手段は何か、これを考えないと、私はほんとうの防災にならないと思う。そういう点についての研究は進んでおりますか、進んでおりませんか。
  57. 手塚良成

    手塚政府委員 お答えは短くということでありますので……。たとえば、当初の油が手早くやれた場合に回収をするということが非常に効果的でございます。回収船については、御承知のとおり、出光のようなある種の程度までのものはでき上がっております。それについて私どもはまだ不満足だと考えますので、いま手元に二トンくらいの船での実験を昨年以来重ねて、何とかそういう回収の効率を上げるものはなかろうかということをやっております。  それから油除去剤につきまして、二次公害というものが非常に昨年来強くなってきております。瀬戸内、明石等でたびたび少量のものを使ってみた結果としても、そういう問題が出てきております。そこで、全体にいま流れております種類、四十三種類等につきまして、これの研究依頼をしかるべき権威のところにお願いしております。その中には水産庁の水産研究所等も含まれております。そういうことで、これの新しいものを何とか見つけ出す、こういうようなことをやっております。  そのほかに、いまのオイルフェンスが波高一メートル以上はなかなかむずかしいということはわかっております。二メートル以上ということになりますと、上下から漏れてなかなか展張そのものも容易ではないということもわかっております。そういうものの代用として何を考えるかということで、サンフランシスコ等の、流れ出ました油の対策でやりましたのは、木材を運んだり枯れ葉を入れたり麦わらを入れる、こういうようなことをやったということも今度考えまして、やはり材木の手配あるいはそういったむしろを集めるというようなことも考えてやっておるということで、中央では何がしかの手はつけていると思いますけれども、今後さらに一そうそういうものは強化しなければなるまいというふうに考えております。
  58. 和田春生

    和田(春)委員 そういう非常に抽象的な研究状況ではまことに心もとないと思うのです。それから油を回収するといいましても、それはフェンスであろうと材木であろうと、とにかく拡散を防いで、そういうことができ上がって初めて回収ということが可能になるわけなのです。風が非常に強い、風浪が高い、潮流が速いということになりまして、拡散をしていけば回収船なんというものは役に立たないわけですね。そこで、すでに英国あたりではそういう点を考えているのですが、これから運輸大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、油を燃やすということになれば、大気中に亜硫酸ガスそのほかで大気汚染という問題が起こるかもわかりませんけれども、いざとなった場合に爆撃をする、あるいはこれを焼き払う、こういう手を積極的に打たなければならないという事態は必ずくると思う。私はいままでの外国の経験とこれまでの実態から見まして、よほど画期的な新技術と、それを処理する薬剤が開発されない限り、つまりはそこに行くことが、一時的に大気汚染が起こっても、継続する第二次公害ないしは残っていくいろいろな問題を処理するということのためにはやむを得ない手段としてやることを考えなくてはいけない。そうなりますと、これは当然外国船が事故を起こした場合には国際的な関係にもなるわけですけれども、その場合にはやはりタンカー事故防災の特別立法なり何なりをやる。そうして、同時に自衛隊との協力も必要になってくると思うのです。そういう点まで政府は突っ込んで検討されているかどうかをお伺いしたいと思います。
  59. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのそういったようなタンカーの爆撃の問題でございますが、海洋汚染防止法におきましては、その被害度のはなはだしい場合におきましてはそれもやむを得ぬという規定もございます。現に、アメリカあたりではそういった態度をとっておる次第でございます。私のほうもその方向でいま研究さしておる次第でございます。
  60. 和田春生

    和田(春)委員 そういう点につきまして、やはり海上の状況というのは陸上と違いますから、非常手段に訴えなくてはならぬということがしばしばあると思います。特に、日本の近海というのは、国際的に見ましても、しけたりそういう悪い状況に直面することが多いところですから、やはりこういうものが沿岸住民並びに漁民ないしはその他もろもろのところに悪い影響を及ぼさないためには、かなり思い切った強硬な手段をとるという前提を立てないと、いつも政府は善処したい、善処したいということで、事故が起きたときには追いまくられる。二度と今後起こさないようにいたします、善処いたしますということの繰り返しになると思いますので、その点を特に要望をしておきたいと思います。  時間が来ましたので、最後に一問でございますが、私はこの運輸省報告書に実は疑問を持ったのです。「海難の概要」というところに「転錨のため錨作業中、走錨圧流され」と書いてある。しかし状況を見ますと、エンジンがかかっていなかった。エンジンをかけずに船は転錨できるわけはないのです。これは何か間違いじゃないかと思うので、やはり船長の重大なミスがあると思うのですが、その点いかがですか。
  61. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 報告書は、私帰ってきたばかりでまだ見ていないのですが、きょう私がこちらへ帰ってきたときは、いかりを揚げて移動する。常識的にはエンジンがかけられるのが常識論ですが、エンジンはかけていないというふうにお聞きしたのですが、現場に行っていろいろ事情を聴取した結果、エンジンを一基かけておった、こういうことが判明しておりますから、もしそうなっておれば訂正いたします。
  62. 和田春生

    和田(春)委員 十七メートル程度の風では、エンジンをかけておって転錨をするというのは、いかりを揚げて船の停泊位置を変えるということなんですから、船を動かすということなんです。エンジンは当然スタンバイされておるはずです。いかりが揚がれば直ちに前進がかかるというのは当然なんです。だから、「転錨のため錨作業中、走錨圧流され」たということは船の常識にはないわけなんです。エンジンがかかっていずに走錨するということはあります。あるいは非常な暴風雨でエンジンの力が風浪の力に負けて走錨するということはあり得ます。しかし、「転錨のため錨作業中、走錨圧流され」たというのは、こういうふうに政府の文章に書きますと、今後の事実とあるいはこの船舶の責任という関係で問題があると思いますので、これはひとつ十分検討して、用語については事実関係で慎重にやっていただきたい。同時に、これは要望でございますけれども、日本の近海の状況をよく熟知していない未熟な外国船も入ってくるわけでございます。そういう外国船の安全対策というものについては、港湾の設備とともに、先ほども同僚委員の強制パイロット等の意見もございましたけれども、的確な情報の提供とかあるいは錨地の指定においては慎重にやるという対策がなければならぬと思いますので、その点については格別の善処を希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 小峯柳多

    小峯委員長 田代文久君。
  64. 田代文久

    ○田代委員 時間がございませんので二点だけ質問いたします。  今度の事故は全く重大な事故ですね。大体こういう事故に対する予知、予見、これは政府としては十分——現在におきまして政府のいういわゆる高度経済成長政策あるいはエネルギー政策のもとに、重油の輸入というのは想像に絶するような量にふえておるわけですね。ですから、政府としては当然それに対する基本的な安全対策を講ずべきである。ところが、現実においてはこういう被害が起きておるわけですね。しかもまた、われわれがたいへんだと思っているきのう、これは少量といわれるかもしれないけれども、少量では済まされない、神戸沖でまたタンカー事故が起こっておる。こういうことになりますと、三十数万トンというような大型タンカーができ上がるというような現状の中で、われわれの不安あるいは関係地域漁民の方々の不安というものはたいへんなものだと思うのですね。  私は、第一番に、大臣なり政府は、今度のこういう重大な事故に対していつも後手後手で、事件が起こってから何とか手を打つ。いま打たれている手なんか全くこそくな、実際におかしいような手しか打たれておらないということは事実なんです。それで一方においては、大量の重油を輸入するということとマッチしないような、安全対策はいままで全く放置されておる、あるいはなおざりになっておったということについて、大臣は責任を十分とられるのかどうか。その点についての考えをはっきりしていただきたいと思うのです。現状のままでは国民なり関係漁民は安心しておれないと思うのです。  そこで質問いたしますが、第一、ことしは大体二億二千七百万トンキロの重油が輸入される。これは実にばく大な量なんですが、さらにこれが今後ふえるという中での輸入の基地対策ですね、あるいは近海漁港、港湾を含めて、たとえば原油の陸揚げに必要な地域の選定、ですから、こういう災害が起こって、あるいはあれが万一大都市の近郊で火災が起こったらこれはたいへんなことになると思いますね。そういう点では、たとえば原油の陸揚げの地点を選定するという場合においても、非常に慎重な配慮をしなければ、ただ経済的なメリットだけを考えてやるとこれはたいへんなことになると思うのです。そういう点では、原油の陸揚げというようなときについても、万一のことがあっても被害を最小限度にするというような安全の観点から選ぶ必要があります。  それからタンカーをやたらに大型化されておるわけですね。こういうタンカーを、単なる経済的な効果、メリットから三十万とかあるいは四十万とかそういう形にされるのかどうか。こういう大型タンカーに対して、これを許可するという場合においてこれに制限を加える。そういう安全対策の観点から再検討されるのかどうか、そういう点。  それから二次公害が起こるといま警告されております中和剤の再検討の問題。それから海洋汚染防止法の全面実施、施行を前にして、同法に荷主を含めた防止義務を加えるというようなこととか、あるいは海上保安庁の行なう業務範囲をもう少し拡大させるようにするとかいうような改正を行なう必要があるのではないか、このように考えますが、今度の問題を重大なる教訓として、政府の指導監督、日本全体の経済あるいは社会の発展の観点から、今度の教訓の中で、大臣がさっき言ったいままでの対策が非常になおざりになっておったということを第一に認められた上で、今後のこういう基本的な対策をどういうように考えておられるかということをまずお答え願いたいと思うのです。
  65. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、燃料の革命によりまして、もう石炭の燃料としての価値が下がり、原子力の発電ができるまでは、やはり石油によるてん補ということが必要になってまいりますので、これからますます石油に対する需要が非常に多くなる。しかも、日本といたしましては、その原油の生産国でございませんから、したがいまして、海上輸送によることが非常に多くなってまいりますので、御指摘のように海上輸送によるそれらの量がふえてまいりますれば、大型化というような問題もできてまいりますが、それに伴いまする安全施設事故防止、それから港湾船舶構造あるいは乗務員の資質の向上、その他全般にわたりまするところの安全施設の強化というものは、当然必要なことでございまして、これは御指摘のとおり、私も運輸行政を担当いたしましてから、まず運輸行政の基本というものは、安全を一番の基本としなければいかぬということを常々考えており、また提唱し、関係方面にもこれを呼びかけている次第でございます。ただいま御指摘のような点を、今回の不幸な事故かんがみまして一そう各方面を督励いたしまして、安全第一主義に徹しまして、そうして国民の不安を除去したい、こういうふうに思っている次第でございます。
  66. 田代文久

    ○田代委員 海上保安庁、何かないですか。
  67. 手塚良成

    手塚政府委員 いま具体的な御質問、御指摘がありましたので、簡単に申し上げます。  船舶の大きさに伴って、無制限的にそれの交通を認める、その制限の有無ということが一つあったかと思います。造船のほうの観点は別といたしまして、私どもるほうからしますと、湾内あるいは瀬戸内、こういったところにつきましては、これ以上大きな船が中まで入り込むことは、必ずしも適切ではなかろう。CTSその他の考慮を払って、何がしかの制限を設けるべきではなかろうかという基本的な考え方に立っております。  それから、中和剤について、二次公害の問題がある。これは、私どももかねがねそういうことを聞きもし、研究もしております。いまやっております研究のある種の結論が、来年の二月ぐらいには出るかと考えておりますので、その結論を待ちまして、いま使用しております内容、種類あるいは備蓄の量、それから使い方、そういったものについては根本的な再検討をし直したいと思っております。また、それによる業界の行政指導も強力に関係官庁と連携の上にやりたい、こういうふうに考えております。  それから、荷主を含めた防止義務等を強力に進めるべきではなかろうかというお話につきましては、ただいま一部そういった線で大臣からもお話があったと思いますが、私どもも、従来、地方に大型タンカー事故防止連絡協議会というものを設けて、関係業界の方々も入れてやっております。その中でこういった問題をやはり検討しまして、何がしかの基準をつくりながら、行政指導しておるということであります。今回の事故に徴しまして、この制度をいささか検討し、その結果、特にこういった荷主に対する自主的な防衛対策というものを強力に推し進めたい、かように考えております。
  68. 田代文久

    ○田代委員 これは早急に手を打っていただかないと、またこれに輪をかけた災害が起こる危険がありますから、ちゅうちょするところなくやっていただきたい。  最後に、この一点だけですが、今度の事故処理について、被害者、特に漁民の方々に対して、とにかく原因が究明された上でなければこれの補償ができないとかなんとかいったら、これはもう漁民の方々は上がったりになりますから、そういう原因が最後に出てきたという段階でなくて、現時点において、この年の瀬を漁民の諸君はどうして越せるか、それに対する融資あるいは被害補償、これは責任の所在が明らかでないからできないということであれば、当然、政府がつなぎ融資なりあるいは何らかの中間的な補償によって、こういう被害者の方々の生活保障をしてやる義務があると思うのですね。ですから、そういう点についての御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの漁民に対するいろいろの御配慮、そのとおりでございまして、実は本日の閣議におきましても、農林大臣からその点の発言がございました。  この補償につきましては、船主がPI保険あるいはトバロップ等の保険に加入しておりまして、大体におきまして相当額の保険金は、この事故による保険金の担保はある次第でございます。しかし、これは外国の船主でございますので、外務省を通じましてこれらの補償が十分取れるように私ども措置をしてまいりたい。その間におきまするつなぎ融資その他の点につきましても、農林大臣と十分相談をいたしまして、漁民の不安をなからしめるように、万遺憾なきよう、そういう方面では強く措置をするつもりでおりますので、御了解をいただきたいと思います。
  70. 田代文久

    ○田代委員 おそらく県からも一強い要望があると思いますが、十分な善処をお願いして終わります。
  71. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会