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1971-10-07 第66回国会 参議院 農林水産委員会いも、でん粉対策小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月七日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————  昭和四十六年十月五日農林水産委員長において  本委員を左のとおり指名した。                 河口 陽一君                 初村滝一郎君                 川村 清一君                 鶴園 哲夫君                 宮崎 正義君  同日農林水産委員長は左の者を委員長に指名し  た。                 河口 陽一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         河口 陽一君     委 員                 初村滝一郎君                 川村 清一君                 宮崎 正義君    委員以外の議員        議     員  柴立 芳文君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        環境庁水質保全        局企画課長    河野 義男君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (いもでん粉価格対策等に関する件)     —————————————
  2. 河口陽一

    委員長河口陽一君) ただいまからいもでん粉対策小委員会を開会いたします。  いもでん粉価格対策等に関する件を議題といたします。  昭和四十六年産カンショバレイショ予想収穫量及び需給事情生産費調査並びに政府買い入れ価格等について、政府から説明を聴取いたします。
  3. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいまお手元に差し上げました園芸局で作成いたしました資料につきまして、北海道並びカンショ生産地帯カンショイモ類生産状況、並びに本年におきますイモ並びにでん粉需給事情、さらに価格考え方、こういった点につきまして御説明申し上げます。  まず一ページをお開き願いたいと思います。まずカンショでございますが、作付面積、一番左の欄にありますが、年次別生産状況が出ております。で、これは農安法といいますか、こういった法律ができて以来、いろいろな価格政策を立案して以来の経過的な数字でございます。それで、この資料ごらんになりますとわかりますように、カンショにつきましても年々生産面積が減ってまいりまして、四十六年におきまして約十万七千ヘクタールという作況統計面積が出ております。あとカンショにつきまして十アール当たり収量あるいは収穫量がまだ十分掌握されておりませんで、近日中に公表されることになると思いますが、大体この平年作況に比べますと、九八前後ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。当初はよかったんでございますが、最近になりましてどうも作柄あまりよろしくないという動向のようでございます。  次にバレイショでございますが、これはバレイショにつきましてもでん粉すり込みます北海道バレイショについてのみ表現いたしております。作付面積も、これはだんだんとおおむね平均しておりまして、多少年によって上がったり下がったりというかっこうでございます。それに対比いたしまして、十アール当たり収量北海道農業技術の発達あるいは品種改良と、いろいろないい条件がそろいまして、収量につきましては年々少しずつ増大しておりまして、昭和二十八年この農安法をつくったころと比べますと、大体最近においては倍もしくは倍以上の反収ができかけてきておる次第でございます。それで、大体収穫量を百七十四万五千トンと、こういうふうに置いておりますが、これは作況指数が夏の八月三十日の統計数字でございますが、その後の調査によりますと、作柄は相当その後よくなりまして、逆に、一〇五くらいの作柄が出るんではなかろうか、こういうふうに考えております。で、この数字は一応九八ぐらいで出ておる数字でございますが、一○五に向上してきたと、こういうふうに思います。ただ去年、四十五年度は非常な好天候に恵まれまして、反収がそこにありますように三千百キログラムという数字でございましたので、四十五年度は下から二番目の欄にございますが、これには及びませんが、相当いい数字がことしも期待できるんではなかろうかと、こういうふうに理解しております。  二ページをお開き願いたいと思います。二ページのところで、まだ、全国計が四十六年で先ほど申し上げましたように、十万七千ヘクタールということで出ておりますが、作況指数等は出ておりませんが、主産県計で、このでん粉を主としてつくるであろうと思われる県、あるいはイモ切り干しをつくるであろうと思われる県が、次のところでまた申し上げますが、八万二千三百ございまして、作況指数が一応一〇〇とこのデータは出ておりますが、大体先ほど申し上げましたように、九八ぐらいではなかろうかと、こういうふうにいまの主産県ではなっておりまして、したがいまして、試算収穫量というのは百七十四万トンというのがもうちょっと下回りまして、百七十二万トン前後と、こういうふうに御理解願いたいと思います。  次の四ページをお開き願いたいと思います。四ページに、いま申し上げました主産県の名前を特掲いたしましてこういうふうに出しております。一番下にあります鹿児島県がカンショにつきましては作付面積が一番大きくて三万八千二百ヘクタールでございますが、その次に、ここにありますように長崎県あるいは宮崎県というあたりが主たるカンショ産地あと大きな県が多少、茨城とか千葉等も、あるいは三重、愛知等もありますが、最近のカンショ需要動向からいたしまして、このでん粉生産カンショ生産をほとんどやめられまして、むしろ食用カンショ、特に焼きイモ等カンショを多く栽培するようになってきておりまして、大体カンショもこのでん粉以外の産地につきましてはおおむね今後安定してくるのではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。  それから次に五ページをお開き願います。これは北海道と都府県でございますが、春植えバレイショといいまして、春まきまして秋収穫するバレイショのことで、北海道につきましては四十六年で先ほど申し上げましたように七万ヘクタール強ということで、十アール当たり収量がここに出ておりますが、作況指数の欄が、四十六年の欄がございますが、九八となったのが一〇五前後になるのではなかろうかというふうに、まあわれわれ最近の天候等、またすり込み状況等から判断いたしますと、一〇五も場合によっては最後の実数高はもう少し上回るかもわからない、こういうふうにいま考えておる次第でございます。  それで、四十五年と対比いたしますと、四十五年は収穫量が非常に多かったというようなことで、まあこんなふうになる。十アール当たり収穫量が先ほど申し上げましたように三千百キログラムということで、相当去年はよかったわけでございます。  それから次に八ページをお開き願いたいと思います。ここにでん粉の年々の、まあイモでん粉のみならずいろいろなでん粉につきましての年々の供給事情一覧表昭和二十八年以来を経過的に出しております。それで、なお甘でんにつきましてはイモ生産量が減る過程で、あるいはまたある時期には丸ビル三ばいというような政府食管特別会計による買い入れ保管がありました過程も経まして逐次減ってまいりまして、四十五年が二十三万トンの、甘でんにつきましてでん粉ができておりまして、ことしは二十万トンというふうにここでは一応入れましたが、先ほど作柄あまりよろしくないということで、まあ十九万トン前後ではなかろうか、こういうふうに考えておりますが、これは統計的にまだ確定いたしておりませんが、大体十九万トン。  それから馬でんにつきましては年々むしろ増大ぎみに、年によりましては非常な豊作に恵まれまして、四十三年のように三十二万トンのでん粉をつくった年がございますが、おおむね最近は二十四、五万トン程度に安定してきておるというふうに考えておる次第でございます。この四十六年の十八万トンは、先ほど申し上げましたように、作況の回復によりまして十八万トンが十九万トンぐらいになるのではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、小麦粉でん粉というのは、いわゆる麩をつくる副産物としまして残りでん粉が出てくる、小麦粉から数を取りまして副産物としてでん粉が出てまいりますが、これは年々大体まあ最近一定量に限定されまして、六万トン前後になっておるわけでございます。で、これは主として水産練り製品の、高級なかまぼこ用途としては使われておるようでございます。  次にコンスターチでございますが、これは輸入トウモロコシを入れまして、それをすりましてでん粉と分離する。むしろ、日本におきましては、最近新しい産業の一つでございますが、これは、国産のイモでん粉の増減に合わせまして年々調整をして、輸入ワクを、タリフクォータという二重税率制度を用いまして輸入をいたしておりますが、大体ことしの見込みも六十万トンくらいに置いている、合計国内供給を大体百四万トンというふうに理解しておる次第でございます。それから次に、一番右の欄に「甘しょ生切干」というのがございますが、これも年々カンショでん粉と同様に減ってきてまいりまして、ただいまでは、長崎県を中心に、あと多少の県で、離島あるいは同じ内陸でも離れたところで、多少つくっておられますが、主として長崎県の離島が一番多い、こういうふうに御理解願いたいと思います。これにつきましては、十分な生産見込み量がまだ出ておりませんが、三万トンを若干割るか割らぬかという感じでおるわけでございます。  次に九ページをお開き願いたいと思いますが、この過去二、三年来のでん粉需給事情を申し上げますと、でん粉年度で計算しておりますが、大体、最近におけるでん粉需給事情につきましては、一時は百二十万トンをこえる時期もあったわけでございますが、最近のでん粉に対する消費減退というような感じがわれわれはいたしておりまして、むしろ低下というよりも最近は横ばいぎみである。ほかの国民所得増大、あるいは食糧に対する増大、あるいは国民人口増大というようなことにもかかわりませず、でん粉に対する需要は、食品としては横ばい。全体としてでん粉質食糧に対する需要はやはり国民の食生活の高度化によって減りつつあるのではなかろうかという背景でございますが、米ほどひどい減退ぶりは示していないようなかっこうになっております。それで、先ほど申し上げましたいろいろなでん粉を入れまして供給欄はつくられているわけでございますが、四十四年、四十五年、四十六年というふうに推移してまいりまして、四十六年の欄で申し上げますと、まだ推定でございますが、甘でんが先ほど申し上げましたように二十万トンと申し上げましたが、これが、大体これで数字が多少確定するときには十九万トンくらいになるんではなかろうか。そのかわり、馬でんが十八万トンとありましたのが十九万トンぐらいということで、まさに甘・馬同じといいますか、甘・馬一体といいますか、カンショバレイショも大体十九万トンぐらいというふうに御理解願いたいと思います。そのほかに馬でんの欄の下のほうに七万トンという数字が入っておりますが、食管特別会計がたしか昭和四十三年に買い入れて保管しておりましたバレイショでん粉が七万トン手持ちがあるわけでございますが、その七万トンを去年のバレイショも二十四万トン、おととしの四十四年も二十四万トンくらいバレイショがあったわけでございますが、バレイショ販路確保という意味もありまして、やはり小ユーザーといいますか、大きな需要者が馬でんに対してある程度固定需要があるわけでございますが、固定需要があるにもかかわらず、馬でんの供給を減らしますと、結局そのユーザーがほかのでん粉に変わってしまうということでは非常に今後の馬でんの販路確保という観点からもいろいろ問題が出てまいりますので、七万トンの食管手持ち馬でんをこの際でき得れば適当な機会に適当な方法で払い下げをいたしたいということで供給欄に二十五万トンを入れておるわけでございます。それからコンスターチは、先ほど申し上げましたように六十万トンくらい。それから小麦でん粉につきましては六万トン、それから外でん五万トンというのを入れておりますが、これは十分な確定的な数字じゃございませんで、あとで申し上げますが、消費量を全部で百十六万トンと見込みまして、そのしわ寄せを外でんに五万トンというふうに置いておるわけでございますが、われわれの感触では大体四万トン前後は固定需要が最近出てきておる。これはあまり食用といいますか、糖化用とか、食用ではなくして、建築材料用でん粉であったり、あるいは特殊なのり用の一種の化工でん粉でございますが、そういった固定需要が、タピオカでなければ困るというようなものも、そういう産業も出てきておりますので、五万トンくらいを置いておるようなかっこうでございます。  それから消費の欄、消費という字句が抜けておりますが、水あめブドウ糖が大体六十万トンぐらいではなかろうか。最近の甘味関係動向等から判断いたしますと、やはり水あめブドウ糖に対する依存度は、和菓子に対する減退等もありまして、逐次減ってきておるようなかっこうでございます。で、一時は非常に多くの水あめメーカー国内におりましたが、逐次最近減ってきておる、こういうふうに御理解願いたいと思いまして、一応六十万トンというふうに置いた次第でございます。そのほか水産練り製品、まあかまぼこと御理解願いたいのですが、水産練り製品、織維・製紙・段ボール用のり化工でん粉、ビールに多少、それからグルタミン酸ソーダにも多少、食用その他にまた若干あるということで、総合計五十六万トンくらいの総消費量があると見まして、合計百十六万トンの大体でん粉需給見込みを本年立てておりまして、このように食管手持ちの七万トンを放出するという前提に立っておるわけでございます。  なお申し忘れましたが、四十五年産イモでん粉につきましては、北海道の馬でん、それから南九州の甘でんも含めまして、無事大体販売は終わりまして、一部バレイショでん粉が多少残っておりますが、これも大体十月中には全部昨年産でん粉販売終了となるのではなかろうか、こういうふうに思っております。  次に十ページでございますが、これは二十八年以来のイモ並びにでん粉につきましての、あるいは切り干しにつきましての年次別基準価格についての経緯でございまして、四十五年の欄で、右の欄にございますが、昨年はカンショは三七・五キログラム当たりで四百円、それからバレイショは二百八十八円七十銭というふうに置いた次第でございます。それからでん粉政府買い入れ価格につきましては、カンショでん粉で、三七・五キログラム当たりで二千百五円、それからバレイショでん粉は、精粉につきましては二千二百四十円、カンショ切り干しにつきましては千五百五十五円、こういうふうになっておりまして、一番下の欄に告示月日を示しておりますが、昨年は十月の十三日の日に告示をいたしておる次第でございまして、経緯的にごらんになりましても、大体最近は十月十日前後にきめることになっております。非常に早い年あり、おそい年もありますけれども、イモの出回り時期の早々でございますので、十月十日ごろにきめるのが最近の慣例というふうになっておる次第でございます。  次に十一ページでございますが、これはでん粉のそれぞれの実際の市場価格を四十二年以降の月別に、でん粉年度別に表現いたしておりまして、カンショでん粉につきましては、ここにごらんになりますとわかりますが、大体昨年の四十五でん粉年度は年間合わせて大体平均的に、まあ多少のでこぼこはございますが、平均としては三十七・五キログラム当たりで二千四百三十六円の市場価格を形成しておると、こういうふうに思います。四十二年以来平均値で多少年々上がってきておると、こういうふうに御理解願いたいと思います。それからバレイショでん粉も同様でございまして、これも多少出回り期とそれから端境期との関連もございますが、平均しまして二千七百三十四円という市場価格を形成しておりまして、基準価格の二千二百四十円に対しましてやはり多少若干上回った価格販売されておる。次にコーンスターチにつきましても大体同様でございまして、四十四年、四十五年と大体コーンスターチ値段はおおむねカンショでん粉値段とほぼ同じというふうに御理解願いたいと思います。バレイショでん粉はいわゆる甘味資源以外の用途にも相当利用される機会があるものですからこういうふうに値段が多少カンショでん粉よりも高いと、こういうふうに御理解願いたいと思います。  それから次の十二ページにつきましては、カンショバレイショでん粉のそれぞれの最終的なブドウ糖ユーザーであり——まあ水あめも大きなユーザーでありますが、そのブドウ糖水あめ価格動向というものが敏感にでん粉価格に市況としてははね返ってまいりますので、ここで一応資料として配付したわけでございますが、多少ブドウ糖につきましても値上がりをしておる。それから水あめにつきましても世の中の物価、賃金等関係もございますが、水あめにつきましても多少値上がりぎみというふうで実際確たるあれにはなっておりません。  次に十四ページでございますが、これは統計調査部が出しました四十二年度以降のカンショバレイショにつきましてのそれぞれの生産費を表示してあるわけでございますが、まあ四十五年度との対比がことし問題になりますが、一番右から二つ目の第二次生産費という欄を見ていただきたいのでございますが、第二次生産費の一番下の四十五年度の欄、これがカンショの昨年の生産費で、十アール当たり、反当が、——上の欄が反当でございまして、これが二万六千八百四円、百キログラム当たりに換算いたしますと千百十一円というふうになっておりまして、四十四年度に対比いたしますと多少生産費が上がっておる。主として人件費とか、それから肥料代とか、そういったものが上がっておるんではなかろうかと思います。次のバレイショ生産費でございますが、北海道中心生産費でございますが、四十五年度の欄を同様に見ていただきたいと思いますが、十アール当たり生産費といたしましては二万三百三十三円ということで、四十四年度に対比いたしましてやはり若干生産費は上がっておりますが、百キログラム当たり生産費ということになりますと五百九十六円というふうに非常に安くなっておるわけでございます。これは四十五年度が異常な農作であったということで五百九十六円というふうに生産費が安くなっておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。  それから次に十五ページをお開き願いたいと思いますが、これがいわゆるイモ価格をきめます際に基本となるべき指数でございますが、四十五年の八月末。パリティで二一六・二九という数字が出ておりまして、これが今後の算定の基礎となるものでございます。  以上、非常にはしょりまして簡単に概略を御説明申し上げましたが、この間当委員会におきましていろいろお話がありました際に政府側から、できますればこの十日までに本年のイモでん粉価格をきめたいということで作業を非常に急いでおりますが、まだ十分に政府原案というものの確定が現在の時点ではできておりませんで、多少手間どっておりますことについて、この席をかりまして御報告申し上げておきます。
  4. 河口陽一

    委員長河口陽一君) それではこれより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 川村清一

    川村清一君 質疑といいましても小委員会でございますから、私の発言中にもし関連質疑のある方はどの会派の方もなすっていただき、また他の委員発言中にも私もまた発言さしていただくというようなかっこうで、あまり型にはまらない、窮屈な審議をしないように小委員会の運営をしていただきたいということをまず委員長に御要望申し上げます。  そこで私の第一にお聞きいたしたいことは、これは基本的な一番問題な点なんでございますけれども、この間の農林水産委員会におきまして、米の価格の問題その他農作物の価格の問題について赤城農林大臣にいろいろ委員会において質問をなされましたが、大臣の答弁は、やはり需給のバランス、こういったようなものを第一に的確に取り上げていかなければならぬといったようなことを強調されておったわけであります。そこで私、毎年イモ並びにイモでん粉の問題について質問申し上げ、そうしてそのつど資料についても御説明をいただいておるわけでございますが、何としても理解しがたいのは、イモの場合は米と全然事情が違うということであります。米は需要供給との関係がきわめてアンバランスである、非常に米が余って困るということから米に対する農政の転換というようなことをなされ、政府は行政上いろいろ苦慮されておるわけでございますが、このでん粉に関しましては需給関係はきわめてアンバランスでありますけれども、米と全く反対で、これは余って困るのでなくて足りないわけであります。  ただいまの御説明によりましても、若干減っておるとはいいながらやはり横ばい関係で、でん粉使用量というものは——年間大体百二十万トン近く、昨年は百十一万五千トン、一昨年は百十方八千トン、これは生産ですか、需要関係におきましても昨年百十六万トンですね、どのくらいの数字が守られているわけでありますが、これに対して生産のほうは馬でん、甘でん、こういうものを全部込めましても約半分である。ことしは先ほどの説明によりますというと、甘でんの生産見込みは大体十九万トン、馬でんのほうは大体これも十九万トン、それと合わせて三十八万トン、そこに小麦でんぶん約六万トンを入れても四十四万トン、こういうふうな実情です。手持ちの七万トンを放出いたしましても五十万トンそこそこで、需要のほうはこれはまあ百四万トンになっておりますが、若干これよりふえるのじゃないかということ、いずれにいたしましても百万トン以上であります。そうしますと、需要量に対して生産量というものは五〇%を割るわけなんです。われわれの常識といたしましては、やはり日本で使うものは日本の手でつくるという、これが原則にならなければならないのであって、いろいろ努力して生産につとめたけれども、なおかつ需要に対して供給不足の分は、これは外国輸入に待つ、これが原則であり、また経済の原則でなければならないと考えておるわけであります。すなわち、国内生産し、足らざるものを外国品によって補完する、こういう考え方を持っていかなければならない、かように考えておるわけであります。ところが、このでん粉関係に至りましては逆でありまして、むしろ主体輸入品である、いわゆるコーンスターチで足りない分を国内製品でもって補完していくという、まるであべこべな需給関係によってでん粉需給事情というものが推移しておる。そこに大きな問題があるのではないかと思うわけであります。  そしてこのでん粉生産する地域というのは、言うまでもなく、馬でんのほうは北海道バレイショによるものであり、甘でんのほうは南方鹿児島宮崎県を主体としてカンショ生産されておる、こういうふうな事情です。それで原料になるバレイショあるいはカンショというものを考えてみるときに、これは生産地である北海道あるいは鹿児島宮崎、北の端と南の端、非常に気象条件北海道のほうは悪い、鹿児島宮崎のほうは気候がいいが土地条件はきわめて悪い。まあ南方地帯でございまして、米をつくりたいのでありましょうけれども、米をつくれない。したがってカンショよりつくれないのだ。これは鹿児島宮崎の農民の置かれておる宿命的な立場なんです。一方北海道のほうは、この間の委員会北海道委員会といわれるように、各委員から発言されました。みんなことしの未曾有といっても過言でないほどの大冷害を受けている。したがってこの北方地域の農業におきましては、このイモというものが、バレイショというものが非常に重要な意味を持った作物であるということは言うまでもないわけであります。ただいまの局長の説明によりましても、与えられた資料では、馬でんのほうは十八万トンとなっております。しかし、その後の模様によって十九万トンにふえた。ところが米とか豆とかいうものは、同じ畑作のものであっても、豆などは、われわれこの間しさいに調査してまいりましたが、九月十五日現在の数量よりも最終的の十月十五日現在に至りますとずっと低下しておる。これははっきりしておるのです。ですから、これは米をつくりたくてもつくれない特殊な地域として、一番安全作物はこれはイモなんです。バレイショなんです、てん菜とともに。ところが、この一番安全作物であるところのバレイショ作付面積というようなものも、年々これは減っていっている。これは明らかにこの資料に示されておるわけです。しかしながら、農民の非常な努力によって、技術の改良によって、十アール当たりの収穫というものはふえていっておる。ですから反別は減りましても、全体の収量についてはたいした低下もなく、大体横ばいの数量をあげておりますけれども、しかし、考えてみると、北海道の農業をほんとうに安定させるためには、このイモ生産というものをもっともっとあげていいはずなんです。これ足りないんですから、もっともっとあげていっても決して困らないんです。ですから、政府としては、北方の安定作物として、これの生産を奨励すべき作物だろうと私は思うわけであります。農民の方も安心してイモづくりにもつと精を出してしかるべきである、かように考えておるのであります。  ところがこの北方地域における、北海道イモの作付というものもだんだん減っているという一体この原因はどこにあるか。そしてイモしかつくれないところの鹿児島宮崎県の農民もイモをやめておる。稲に転換しておるのかというとそうでもない。米はつくれないところなんです。イモしかつくれないところでイモづくりをやめておるということは、一体これはどういうことなのか。常識的に考えてみてもわからない。国全体の経済の中で考えてみても、国民生活というものとの関連の中でこれを推しはかっていくならば、もっとイモをつくらして、そうして甘でん、馬でんの生産をあげていく、これがしかるべき農政の方向でないかと私はそう確信しているわけでございますが、なぜ一体北海道イモの作付反別も減り、そうして鹿児島宮崎におけるイモの作付反別も減っていっておるのか、そこに問題がある。何かがある。何かがあったならば、これを是正していくことがこれが政治でなければならないと思うわけであります。農政の言うならば根本でなければならないと私は確信しておりますが、しかし、実際は逆の方向に進んでおるというところが私には理解しがたいのであります。  そこで農林省といたしましては、この情勢というものをどう把握されておるのか。なぜ一体足りないのにイモづくりを減らしていっておるのか。それをどうとらえられておるのか。それに対してどういう処置をおとりになろうとして、いま現在とっていらっしゃるのか。この点について私はまずお聞きいたしたいのであります。
  6. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 多少前後いたしますが、農林省のとっておりますイモ類対策につきましての経過的な御説明を申し上げたいと思います。  まず昨年の十二月に農業生産の地域指標の試案というものを農林省で公表した次第でございますが、その際にやはりイモ類につきましては日本農業のやはり相当根幹をなす農作物であるということで、この主要指標の一つといたしまして、今後、昭和五十二年におけるこのイモ生産の見通しというものを数字であらわしているわけでございます。  それでイモ類の状況を申し上げますと、大体作付面積を全体として二十五万一千ヘクタール、五十二年の見通しで。それで十アール当たりも二千三百十一キロという平均値でございますが、それで生産量を五百八十万トンというふうに大体の予想を立てまして、これに基づいて、これは御存じのように、地帯別の農業指標でございますが、これをさらに、この指標を中心といたしまして県別の農業生産の目標というものを各県ごとにいまつくっていただいている最中でございまして、おそらく早いところは本年じゅうに、おそい県でも来年じゅうぐらいには大体出そろうのではないかということでやっておられると思います。特に北海道につきましては、今後におけるバレイショ生産中心北海道に移行するという考え方の上に立ちまして、しかも反収も今後伸びていきまして三トン、まあ収穫予想は天候とは無関係平均的に三トンぐらいには五十二年にはなるだろうという前提に立ちまして出しておりまして、大体二百十万トン前後の北海道におけるバイレショの生産というものは見込んでおるわけでございます。そのほか南九州あるいは北九州というふうに、カンショ生産地帯につきましてもそれぞれ大体数字を、ワクをつくっておる次第でございまして、このイモ作経営の将来性につきましては、まあいままでは多少減ってきたような傾向はございますが、今後安定的に推移すると思われるようなことで出しておる次第でございます。これを目標といたしまして北海道でも、寒冷地農業の特殊事情というものを背景といたしまして、イモ類、特にバレイショでございますが、バレイショあるいはビート、牧草、こういったものを含めまして、いろいろな作物を総合いたしまして北海道でも地域指標の検討をただいま道庁を中心としてやっていただいておられるのではないかと思います。  今後、ことしの冷害にもありましたように、私もたびたび担当者といたしましてこのイモ類には携わっておりますが、やはり冷害には非常に北海道バレイショが強い。ことしもほかの作物が——豆類、米類は悪かったにもかかわらず、一〇四あるいは一〇五というふうな作況指数、ビートも御存じのように一〇五とかいうふうな数字が予想されておりますが、冷害に強いということもありまして、今後こういった北海道におけるバレイショ生産につきましては、われわれは今後も推進してまいりたいと思っております。特にでん粉につきましてのみならず、いわゆる北海道バレイショが逐次内地におきます食生活の改善、変化といいますか、そういった過程食用バレイショとしての北海道に対する依存が今後非常に強まってきておるというふうにわれわれは理解しておりまして、したがいましてでん粉のみならず食用バレイショとしての北海道を、まあバレイショといたしましては基地としてわれわれは今後強く期待してまいりたいと思っております。したがいましてわれわれといたしましては、北海道をも含めまして全国に八カ所の馬鈴薯原原種農場というものを設けまして、いい原々のいわゆる種イモをつくりまして農家の皆さん方に配付しているわけでございますが、その中でもでん粉バレイショに戦後一貫して全力をあげてまいりまして、その結果反収も上がり、歩どまりも最近は十九をこすというふうな歩どまりの状況になっておりますが、今後はさらに食用バレイショとしての適品種の育成に全力をあげましてイモ生産増強につとめてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。  それから次に南九州イモカンショ地帯の点でございますが、これにつきましては、従来はシラス土壌あるいはボラ、コラ地帯といった地帯は非常に土壌条件が劣悪である、また、台風等の来襲も激しいというふうなことで、気温には恵まれながらも水不足というふうなこともありまして、イモにたよる以外に手はなかったということで、従来南九州、特に鹿児島宮崎方面ではそういった生産が行なわれてきた次第でございますが、最近における農業生産農業技術といいますか、農業の発展に伴いましてイモ作以外の果樹、特にミカン類でございますが、ミカンとかあるいはお茶その他野菜類といったふうな園芸作物への需要が非常に今後期待されるし、また農業技術的にも基盤整備とかあるいはかん水設備、あるいは施設園芸の発達、こういったこともありまして南九州ではより高度の太陽を利用いたしましてその他の畑作への転換がわりあいにスムーズにただいま進んでおる次第でございまして、宮崎におきましても、かつてはイモしかつくれなかったような宮崎におきまして、最近は京浜地区における野菜の大生産基地としての将来の見通しが立てられるに至っておりますし、また鹿児島におきましても、この典型的なシラス地帯におきましても畑地かんがいが整備されまして、今後いろいろ高度な野菜なり蔬菜その他園芸作物の発展も期待されておるわけでございます。  その中にありましても、なおやはり九州におけるカンショ生産につきましては、だんだんカンショでん粉とともにさらに食用バレイショ、焼きイモとかお蔬菜用に使うイモ類への依存度も高まってきておりますので、われわれといたしましては、今後とも南九州のこのイモ生産は続けてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。特に長崎中心といたしました離島におけるイモ生産につきましては、なかなか従来はその他の作物への転換もむずかしいというふうなこともありまして、イモ切り干し——水もないのででん粉にもできないというふうな地帯がございましたが、われわれといたしましてもそれではいつまでも農業経営としては、農家としてはお気の毒ではないかというようなこともありまして、この二、三年来いろいろな農業技術者を派遣いたしまして、最近この離島中心といたしまして地域特殊農業の発達、発展、推進ということを前提といたしましてより有利な他作物への転換ということをただいま推進中でございます。以上でございます。
  7. 川村清一

    川村清一君 いろいろ御説明を承りましたが、それで農林省といたしましては、一つのイモに対する指標をつくって将来に明るい展望を切り開くように努力されておるというようなお話でございまして、五十二年度の見通しといたしましては作付面積を二十五万一千ヘクタールにまで伸ばしたい、十アール当たり数字を二千三百十一キロ、これまでに持っていきたいといったようなお話でございますが、ところで二十五万一千ヘクタールというこの作付面積は、北海道それから南九州カンショ地帯、これには大体どのくらいの割合になっておりますか。
  8. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 北海道の場合にはバレイショというふうに特掲はいたしておりませんが、全部バレイショとわれわれ考えておるわけでございます。面積的には七万ヘクタールを頭に置きまして、反当十アール当たりでございますが、三千キロ、いわゆる三トン農業というものを五十二年度の目標にいたしまして、大体基準的には二百十万トンのイモ生産を期待しておる。これは豊凶がありまして、多い年にはあるいは二百五十万トン以上もとれる年もあると思いますし、あるいは二百万トンを割る年もあるかと思いますが、平均値で二百十万トンの生産を見込んでいるわけでございます。  それから、南九州につきましては大体五万二千ヘクタールを念頭に置きまして、大体反当のイモ収量を二千三百九十八キログラムとこう置きまして、大体百二十三万トンの生産を見込んでおる次第でございます。  北九州につきましては二万九千ヘクタールというものを前提に置きまして千九百八十二キログラム、これは北九州になりますと南九州よりもどうしても反収が落ちてまいりますのでこの千九百八十二キログラムということで、五十五万七千トンというふうな低量を置いておりまして、そのほか東北とか等とそのほかの数字はなっている次第でございます。
  9. 川村清一

    川村清一君 それでは私の質問をしていることと全然合わないんです。私は北海道というのは言うまでもなく寒冷地である。そこで寒冷地の農業を樹立するという立場に立っていろいろお尋ねをしておるわけであります。米は非常に危険性のある地域も非常に多いので、ですからイモをもっともっとつくらしたらいいじゃないかと、つくったってこれはもう実際でん粉生産量が少ないんだから、需要量に対して半分以下なんだから、もっともっとつくったらいいじゃないか、つくらすべきじゃないかという、こういう観点について質問をしている。  そこで、局長はそういう考え方のもとに明るい展望を持った計画を立てておるというからそれを聞いてみましたら、北海道については七万ヘクタールであると、そうして反当三千キロである、五十二年になりますと。それじゃ現在どうかと、現在は四十六年において作付面積は七万百ヘクタール。一番多いこの四十年の年には九万二千八百ヘクタールつくっているわけです。そうして十アール反当収量でございますが、ことしは冷害のために若干減りましたが、昨年は三千百キロ現に収量しておるわけであります。そうすると五十二年を待たずして現在そうなっているんです。現在と何も変わっていないじゃないですか。それで私の質問にお答えになったと局長は判断なさいますか。私はこの数字では足りないんではないか、もっともっとやらせたっていいじゃないか、北海道の農民が安心してもっとイモの作付反別をふやし、そして生産をあげ、そしてでん粉をもっとつくってもやれるような農業をすべきではないのかということを申し上げておるわけであります。非常にその点は、そういう観点について農政を進めておるというようなお答えでありますので、それをさらに分けてお尋ねしたところが、何も変わっていたい、全く同じですね。これじゃおかしいじゃないですか。
  10. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 私がただいま申し上げましたのは農産物の生産の長期見通しの目標を申し上げたのでありまして、過去におきまして北海道バレイショ生産という経験値でございますが、この作付面積等も年々ふえたり減ったりしながらきておるわけでございます。過去におきましてこのイモ生産が非常に過大であった昭和四十三年でございますかとか、こういった二百三十万トンをこしたような年もあるわけでございますが、こういった年の経験値等からいたしますと、この年には結果的には非常に豊作で、北海道の農業の方々も喜ばれたのは非常によかったわけでございます。それでわれわれといたしまして、やはりこのイモあるいはでん粉につきましても適切なる需給バランスを合わしていきたいということで、いろいろな作業をいたしておるわけでございますが、当時二百三十万トンのイモができまして、でん粉がまた北海道の場合三十二万トンのでん粉がとれたという、まさに史上空前の記録であったわけでございます。しかしこの年には結果的には政府が最低価格といいますか、この北海道バレイショでん粉を先ほど御説明いたしましたように、七万トンの政府によっての買い上げ保管をせざるを得なかった。さらに別途ホクレンを中心といたしまして農業団体で七万トン前後の次年度繰り越し自己調整保管をするような結果になりまして、これは行政機関のみならず、関係者の間でこのでん粉の対策に、非常にあと始末に苦労をしたということと、それからさらになまイモの、生食用バレイショまで当時非常な、暴落とまでいきませんが値下がりをいたしまして、やっぱり需給バランスを合わした適切なる計画ということが必要ではなかろうかということで、このイモ生産の見通しをつくったわけでございまして、反収は三トンにまで上がっていくということになりますと、やはり二百十万トン前後がこの需給バランスとしては大体適切ではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。  さらにバレイショでん粉のことにつきましても、これは一つの独特な固定需要というものがございまして、水あめあるいは糖化メーカーのほうから言わせますと、何となくなじみにくいというようなことで、これはバレイショのほうはより高級なでん粉といたしまして、いわゆる水産練り製品、カマボコとか、あるいは加工でん粉、まああれを中心といたしますが、加工でん粉のほうへ振り向けるようになっていまして、それぞれの固定需要というものを大体われわれといたしましては現在のところ二十五万トンが限度と、こういうふうに考えておりまして、こういった指標をつくった次第でございます。
  11. 川村清一

    川村清一君 需給のバランスということをおっしゃっておるわけですから、その需給のバランスの点、それを出発点に私も議論しているわけなんで、かりに北海道が大豊作で三十二万トンもできて困ったことがあるといったようなお話があったわけなんです。それが三十二万トンじゃなくて、かりに三十五万トンといたしましょうか、そうして甘でんのほうもうんとできて、かりに二十五万トンといたしましょうか、それで六十万トンでしょう。しかし実際の需要量は百二十万トン近くあるわけでしょう。そうできたといたしましても、それでももう五〇%そこそこでないですか。国内で使われるでん粉の大体半分が国内生産でん粉でまかなわれる。こんなものないでしょう。あるとすれば木材くらいなものです。木材は国内生産では需要を五〇%をもう割っています。そうなりますというともう外材が主体で、足らざるものを国内産で補完しておる、ここに林業の最大の問題があるわけです。この何といいますか、びっこの形になったこの木材の需給事情というものを早急に改善しなければならないというわけで、みんなが一生懸命になっているわけでしょう。  このでん粉だってそうではないですか。百二十万トン現在必要量がある。それで、馬でんのほうも甘でんのほうも、もう最高生産されても六十万トン程度である。約半分はコーンスターチに依存しているということで、まあいま局長は、それぞれ需要者のほうで使用の目的によって固定したものがあると、逆に言えば、馬でんのほうはぜひこのほうの業者は使いたい、コンスのほうをぜひ使いたいということ等があってこういう結果になっておるんだ——暗に、あんまりでん粉をつくられては困るんだ、コンスの需要希望者もいるんだからその希望に即応してコンスの輸入を、これをやはりまあ現在程度は認めなければならない、こういうような考え方を基本にしてあなたはおっしゃっているんじゃないかと思うわけであります。しかし、このコンスの需要状況というものをこの資料で見ますというと、これまたこっちのほうは年々ふえていっている。なぜ一体コンスのほうがふえて国内生産でん粉のほうが減ってきておるのか。これは、私は、一にかかってこれを使っていろいろなものを製造している業者は、まあ経済価値というものを考えて、どっちのほうが付加価値があるか、どっちのほうがもうけが多いかという判断のもとに、コンスを使ったほうが利益があるのでコンスを使うということで、この需要がふえていっているんではないかと、かように考えるわけであります。  したがって、農林省が考えていらっしゃるそういう考え方でいくならば、私どもの言っておる南方の特殊土壌地帯においても、イモ生産というものは決してふえません。作付面積もふえない。それに対して、局長の話によると、その地域は果樹をつくったりあるいは野菜をつくったりというようなことで補ってまいりたいというようなお考えでございます。それがもしできるとするならば、これは果樹とか野菜とかいうものは利益度も高いですから、また需要も多くなると思いますので、やっていけると思いますが、北海道バレイショは、それじゃバレイショをやめてどうするのか。むしろ、米をつくるのをやめれ、やめれという、現在あなた方は政策をとっていらっしゃる。米をつくるのをやめたら何をつくる。最も安定した作物とすればイモかてん菜か酪農しかないでししょう。豆も危険だ。豆はとてもこれ以上にふやすということは危険でしょう。バレイショなら安定しており、そして、国全体の立場から考えていっても、まだまだつくってもよろしい状況の中にあるわけでしょう。ところが、胸を張ってお答えになっているそのおことばの中には、五十二年になっても現在よりも一つも進歩しておらない。一体どうすればいいんですか。なぜ一体、もっとつくらせないんですか。つくってもらっては迷惑なんですか。そうして、足りないものは政府が買い上げするので困るというようなお話がある。ですから、農政の行き方を、考え方を根本的に変えなければこの問題は解決しないんではないかと、私はそう判断せざるを得ないわけであります。で、コーンスターチについてどういうお考えをお持ちなんですか。この際、はっきりお聞きしておきたいんです。
  12. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 私たち毎年、コーンスターチといいますか、原料トウモロコシの輸入割り当てを行なって年々実行している次第でございますが、ただいま御説明いたしましたように、年間におけるでん粉需給見通しというものをある程度立てまして、そしてことしならことしで、四十六年で百十六万トンぐらいだろうという前提に立ちまして、そしてその前提からことしのカンショでん粉生産見込みは幾ら、それからバレイショでん粉生産見込みは幾ら、あるいは小麦でん粉生産見込みは幾らというふうに、国内でん粉生産見込み量を立てまして、その残りの分をコーンスターチなり、その他タピオカ等の外国でん粉輸入割り当てをしていくと、こういう形で実行しておるんでございまして、あくまで国内でん粉の優先消化ということは、たてまえはいささかもくずしていないわけでございます。このことから関連いたしまして、コーンスターチ等につきましても原料でありますトウモロコシは本来、ずいぶん前だと思いますが自由化されておるわけでございますが、その中にありましてえさ用とか、あるいはその他の菓子用のトウモロコシとはまた別にコーンスターチ用の輸入トウモロコシにつきましてはタリフクォータ制度というものを設けまして実質的に輸入ができないような仕組みに実はしているわけでございます。それで、いろいろな計算方法はございますが、実質的に輸入トウモロコシに対する関税率は、もし持ってくるとすれば、自由に持ってくるとすれば平均五〇%前後、場合によっては六〇近くまで、非常に輸入トウモロコシ値段が高いときは四〇前後というような形で、平均五〇%近い、実質的には禁止関税に近いような形で輸入トウモロコシの実質上の輸入制限をいたしておりまして、そういう形でこの需給バランスを合わしておるわけでございます。  コーンスターチ企業につきましては、ご存じのように、非常に一時まあすべてコーンスターチでなければ、今後のでん粉コーンスターチ時代が来たんだと言わんばかりの勢いで非常に多くのコーンスターチメーカーが、中小企業まで含めまして、あるいは内地におきますカンショでん粉生産メーカーの方々までこのコーンスターチでん粉をつくるということで非常に乱立しかけた時代があるわけでございます。それではたいへんだということで、やはり国内産のイモでんが最優先であるということから、私のほうで、企業は許可制ではございませんが、事実上許可制に近い形でその後この出てくるのを押えまして、そしてだいぶんこれは押えるときにもトラブルがあったわけでございますが、われわれとしましては押えまして、最近はその中からさらに二、三社は脱落されてまたやめていかれる方もふえておるんではなかろうかと、こういうふうに思っておるわけでございますが、あくまで御質問がありましたように、われわれといたしましては、国内イモでん粉の優先消化ということをたてまえとしまして、残り不足分をコーンスターチに依存するという考え方は堅持しておると、こういうふうに御理解願いたいと思います。  さらに北海道イモの件でございますが、この三トンという目標を、われわれといたしましてまあ過去二、三年前ではまことに夢のような話だと思いますが、三トン時代というものを想定いたしまして北海道バレイショを大いに推進してゆきたいと、こういうことについてはいささかも考え方は変わっておりませんし、また北海道ではバレイショだけではございませんで、ビート等、やはりわれわれ園芸局所管として、非常に寒冷に強い、寒冷地農業の典型的なバレイショ生産とビート生産につきましては今後ともあくまで生産を堅持し、かつ大いに発展させていくという前提で御理解願いたいと思います。バレイショについては面積がふえてないことがあるいは御不満かとも思いますが、まあ技術の向上ということで、われわれといたしましては大体現在程度の面積で、反収の増加によっていわゆる農業の合理化という線で今後北海道イモ経営が定着できるように持っていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  13. 川村清一

    川村清一君 いろいろ御説明を聞いておるのですが、ちっとも了解できないんです。局長のお話では、やっぱり需給バランスということを原則として考えておる、そして今年のでん粉需要は大体百四万トンであると、そこでこの百四万トンというものを目標にして、それでは甘でんは幾らか馬でんは幾らかという目標を置いてつくってもらっておるのだと、こういうようなお答えなんです。そこで、甘でんは先ほどの説明で約十九万トン、馬でんのほろも十九万トン、合わせて三十八万トン、さらに国内でん粉として小麦でん粉が六万トン、これ入れて四十四万トン、そうしてこのアメリカ輸入のトウモロコシ原料のコーンスターチが六十万トン、それに現在政府手持ちの七万トンを放出する、それで需給のバランスをとると、こういうようなお考えで、そういうようなことに努力しておるのだということなんです。私の言っているのは、百四万トン要るんだから少なくともこれの七割、八割程度は国内でん粉によってまかなうのが当然ではないかということを言っているんです。そうしてなお足りなかったならばこれをコーンスターチによってまかなう、これが原則でしょう。どうも話が合ってないような気がしてしようがないわけです。これは何と強弁なされようと、コーンスターチ輸入によって国内産甘でん、馬でんが圧迫されておる、これは否定できないでしょう。それを何とか理屈をつけてあなたは私にお話をされておるわけなんです。  私も農林水産委員をもう六年もやっておりますから、毎年これを議論して、コーンスターチに対するいわゆる関税措置などもよく知っておるわけです。四〇%の関税をかけてもなお国内でん粉では競争ができないといったような事情がある。こういったようなことからこれはもう圧迫を受けまして、とてもやはり価格的に成り立たないというようなことから、北海道バレイショでん粉作付面積昭和三十二年には九万ヘクタールであります。これが現在七万ヘクタールで二万ヘクタール減っておる。そうしてあなたのおっしゃる五十二年の見通しも現在と同じ横ばいの七万ヘクタール、カンショに至りましては昭和三十一年には三十八万六千ヘクタールつくっているんですよ、それがもう四分の一近い十万ヘクタールしかいまはつくってないんですよ。なぜこれ減ってきているんですか。減らせということをあなた方は指導しておるんではないと思うのです。指導しておらないとは思いますけれども、現に減っている。この事実をどうわれわれは理解したらいいのかというところに問題がある。ここから農政の考え方を発展さしていかなければならないのではないかと私は思うわけです。米のように余ってしようがないというならしかたないですよ。そこで生産調整、押しつけ減反を政府は強行しておるではありませんか。わが北海道におきましては、ことしの押しつけ減反々別は五万四千ヘクタール、しかし農民は協力いたしまして約五〇%増の八万ヘクタール減反しておるわけです。米をやめて何をつくらせるのですか。イモ、ビート、酪農、そういうものしかないでしょう。にもかかわらずイモのほうの反別は一向にふやさない、こういう政策をとっている。米つくるのはやめれという、それでは北海道の農業どうしようとおっしゃるのですか園芸局長。
  14. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) まずカンショが減りました原因の一つの大きな理由といたしまして、先ほど申し上げましたように戦後確かに人間の食糧でございましたが、途中から主として家畜用の、特に養豚用のイモに大きく需要先があったわけでございますが、その後トウモロコシ自身の自由化によりましてえさとしてのトウモロコシが大量に入るようになってまいりまして、イモよりもトウモロコシのほうが使用の仕方が簡便であるというようなことから、相当農家におきましてもイモを豚には使わずにトウモロコシに依存するようになられたのがカンショ生産減退の大きな一つの理由ではなかろうかと、こういうふうに思います。さらに人間も生イモをだんだん食べなくなったというふうな食生活の動向もからんでいると思います。  それから北海道バレイショの件でございますが、先ほど来申し上げておりますように、われわれといたしましては北海道バレイショ生産ということについてはいささかも後退するような気がまえは持っていないのでありまして、今後大いに振興してまいりたいということにつきましてはひとつ十分に御理解をお願いいたしたいと思います。私たちいろいろ日本農業の中で各農作物を見ておりますと、北海道におきます最近のバレイショ生産、あるいはビート生産というものは、もうあと一息でいわゆるヨーロッパの水準にまで近ずくのではなかろうかと、戦前から入っておりましたが、戦後こういった農業生産に対する各方面の御協力を得た関係で、このバレイショとビート生産につきましてはもう機械化体系の中に十分に乗りまして、われわれとしては北海道におけるこのバレイショ、ビート生産はまさに定着し、今後さらに発展するものというふうに理解しておる次第でございまして、もう少しで国際競争力も十分出てくるのではなかろうか、これほどの農業生産が安定したのはまあほかの農業でも数少ないのではなかろうか、こういうふうに理解しておる次第でございます。  ただバレイショについて面積がふえないのははなはだ遺憾であるという御指摘で、これにつきましてもわれわれとしましてはもう少し面積もあるいはふやしてもいいのではなかろうかという気分さえ持っておりますが、現在の技術水準からいきますと、まだまだ反収が伸びる、反収が非常な勢いで最近伸びてまいりまして、これは先ほど申し上げましたように、品種の改善もありますし、機械化体系による技術の向上もありますし、土壌基盤の整備もありまして、いろいろな各方面の技術が集中的にここへきまして実力を発揮いたしまして反収が非常な形で伸びてきておりますので、ここ当分やはり反収増による、逆に言えばヘクタールあたりの農家所得の向上というところにわれわれといたしましては重点を置いて、今後この北海道バレイショ農業の推進をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございます。昨年は豊作にも恵まれました関係かとも思いますが、しかし北海道においては最高の家族労働報酬をバレイショ生産ではあげられまして、まあ例として申し上げるのはおかしいのでありますが、一日当たり家族労働報酬三千九百円というまさに予想外と言いますか異例の家族労働報酬をあげられるような、成果もあげるチャンスがバレイショには出てきておるというふうに御理解願いまして、こういった諸条件を今後堅持しながらわれわれとしてはバレイショ生産を維持してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  15. 川村清一

    川村清一君 それではあなたは園芸局長でございますので、ぜひお聞きしておきたいのでありますが、北海道バレイショ反収が非常に上がった。これは農民の努力によるものであります。たいへんな努力によって技術水準が上がりましたし、機械化されました。合理化されました。そういう点で生産性が高まってきておる点はこれは私もよく知っておりますし、決して否定しないわけであります。しかしながら、作付反別が減っておるということは、これまたたいへんな問題でしょう。水田面積が減っていくのでしょう。それじゃ北海道は水田を除けば畑作と酪農しかないわけですね。酪農も確かにふえていっていますよ。ふえていったって、酪農品は、これはふやそうと思えばほんとうにたいへんな投資が必要になってくるわけです。そこで、豆、てん菜、そしてイモ、これはあなたの所管のものになってくるわけでありますが、このイモの反別はふやさない、水田の反別は減らす。減った分は何をさせようとあなたお考えになっておられるのですか。北海道の農業に一体何をつくらせようとなさっておられるのか。この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  16. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) われわれのほうといたしましては、昨年の稲作転換対策事業におきまして、北海道の水田面積を減らすという農林省の基本方針にのっとりまして、われわれといたしましては、やはり北海道におきましてはただいま御指摘のように、バレイショ栽培への転換、あるいはビート生産への転換、その他多少豆類への転換、こういうことも十分考慮に入れまして、それぞれ転換奨励金を出しますとともに、そういった生産設備の振興については、地域特産農業の振興をはかりますために、北海道バレイショにつきましても相当の補助金を出しまして、北海道バレイショ生産については依然として強い姿勢で臨んでおるわけでございます。ただ、ご存じのように先ほど来私も申し上げておりますように、需給バランスをくずして不当に過大な生産量をあげた場合には、関係者の方がかえって御迷惑になるという一つの経済的な観点から、この辺についてはむしろ今後バレイショ自身については経営の安定というところに重点を置きまして反収増も今後相そろえて機械化体系にのせていきたいというふうに考えている次第でございます。
  17. 川村清一

    川村清一君 論理がちっとも一貫しておらないのですね。あなたのおっしゃっているその部面だけはよく了解できるのですよ。私の聞いていることは、米を減らせ、水田を減らせという農林省の指導目標、それに即応して北海道の農民は水田を減らしておるのです。そこで、減らしたけれども、何をやらせようとしておるのか、バレイショをつくることに転換作物として奨励しておる、指導しておるというようなただいまのお答えです。しかし、あなたのおっしゃっていることはちっとも、実際は全くそれはうそでしょう。五十二年になってもいまと同じじゃないですか。七万ヘクタール。だから私は、バレイショをふやさないならば何をふやすのですか、米の減った分をどこへ持っていくのか、ビートをやらせるのか、全部酪農、牧草、畑にするよう指導するのか、何をさせるのか、それをお伺いしているのですよ。そういういろいろな議論はいいです、何だかかんだか抽象的なことはいいですから、それは、イモはやらせないのか、これ以上つくっちゃ困るからやらせないのか、これはみんなビートをやらせるのだというならそれでけっこうですから、何をやらせるのか。米の水田面積の減った分は何をやらせるのか、これははっきりしてくださいよ、あなたの所管なんだから。
  18. 宮崎正義

    宮崎正義君 関連。さっきからよくおわかりにならないで、私も長く聞いているうちに飽きてしまいましたので、たとえばトウモロコシをどれだけ増産してどれだけやるのだと、イモをつくっていれば今度は豚のえさにトウモロコシを輸入したほうが簡便で安くてうまくいくからこのように転換していくのだというようなお話もありましたけれども、それならばその時期において日本でトウモロコシをどうしてつくっていったらいいのか、そして昭和二十年代から昭和三十年代にかけての増産計画というものはやはり同じように日本でも、たとえばトウモロコシならトウモロコシをこのように増産計画をして、それで輸入しているものを日本の農業の中においてつくっていくのだ、こういうふうな農業政策があれば文句ないわけなのです。いま川村委員が先ほどから言っておられることは、酪農やれば酪農やってもうまくいかない、米やれば米減らせというし、今度はジャガイモをつくればつくったでその面積は減っていく。技術的に農家の力によってその数量はふえてきたけれども、このまま放置していったらどうなるのか、日本農政の根本の姿勢というものを尋ねながら、具体的にどうすればいいのか、何を北海道でやればいいのかということを聞いているわけなのです。
  19. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。  全体計画のお話なしにいきなりイモだけに入ってしまったものですから、私自身答弁がまことにつじつまが合わなくて申しわけございませんでした。地域見通しの全体からまいりますと、北海道で確かに水稲は四十四年を起点といたしまして二十六万六千ヘクタールの水稲を逆に十八万六千ヘクタールに減らすと、五十二年にはそう減らすという見通しが立っておるわけでございます。それに対しまして、麦類は北海道で現在一万三千ヘクタールしかございませんが、これをわずかではございますが二万五千ヘクタールにふやす。それから、イモ類では、先ほど申し上げましたように、八万三千の北海道イモ類面積を七万ヘクタールにする。それから、豆類につきましては、現在十一万六千ヘクタールが四十四年にございますが、それを五十二年には十五万六千ヘクタールにふやす。それから、野菜につきましては、北海道で四万七千ヘクタールあるものを五十二年には五万四千に若干ふやす。それから、くだものにつきましてもわずかでございますが、七千ヘクタールを九千ヘクタールにふやす。それから、牛でございますが、北海道で四十四年で乳用牛で四十三万五千頭を九十八万二千頭にふやすということで、その結果飼料作物の関係といたしまして、北海道で四十四年にいわゆる飼料作物として三十三万六千ヘクタールであったものを三十九万九千ヘクタールにふやしますほか、牧草地への転換ということで十二万ヘクタール現在北海道で利用面積がございますが、さらにそれを二十七万六千ヘクタールにふやすというようなことで、主要な作物につきましてそういった全体計画の中でイモ生産増強をはかっていきたい、こういう考え方でございます。
  20. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 暫時休憩いたします。    午後零時九分休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  21. 河口陽一

    委員長河口陽一君) いもでん粉対策小委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  22. 川村清一

    川村清一君 午前中にいろいろお尋ねいたしまして、まだ理解できないことがたくさんありますが、同じ問題でやりとりしておっても先に進めませんので、いいかげんにこの問題は終わりたいと思うのでありますが、先ほど最後に全体的な計画の発表を受けたわけでございます。そこで、走り書きに数字書きましたが、不明な点もございますので、先ほど局長がおっしゃったあの資料をいただきたいと思いますので、委員長のほうからひとつそのようにお取りはかりを願いたいと思います。  なお、若干、先ほどの数字についてお尋ねをし、私の意見も述べたいのですが、この北海道イモにつきましては、むしろ五十二年度におきましては作付面積が減るようなかっこうになるわけであります。そして豆類が十一万六千ヘクタールから十五万六千ヘクタールと四万ヘクタールもふえる、こういうような計画でございますが、この計画につきましては私としては理解ができないわけであります。言うまでもなく、豆類は北海道畑作の主要作物であることは間違いございませんけれども、寒冷地作物としては必ずしも適しておらない作物でございます。ですから、これを四万ヘクタールもふやすという政策がはたして妥当なものであるかどうかということに非常な疑義を持つわけでございます。それから、てん菜についての数字が先ほどお述べになっておらなかったのではないかと思うわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。それから飼料作物をふやすことは、これは当然でありますけれども、その中に放牧地をふやす、これも酪農を盛んにしますことは当然でございますけれども、しかしながら、放牧というのは、私の理解するところでは草地を造成するということだと思うわけでありまして、現在の水田なり畑作耕作地をつぶしてここに草地をつくるというのではなくして、現在の国有未開地とかあるいは民有未開地、そういうようなところを草地改良して放牧地をつくるべきだろうと、かように理解するわけでございます。こうして考えてみますというと、米を二十六万六千ヘクタールから十八万六千ヘクタールに約八万ヘクタールを減らそうというこの計画と、これを畑作に転換していく場合の計画の数字というものがあるのかどうかという問題についても、資料をいただいてから十分検討して、さらに御質問いたしたいとかように考えております。  いまはイモに関する小委員会であって、豆について議論することは省略いたしますけれども、それにしても、一応十一万六千ヘクタールを十五万六千ヘクタールに豆の反別をふやすということについて、北海道の適地適作という農業から考えて一体妥当なのかどうか、これに対する局長のお考えをいま一度聞きたい。
  23. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 先ほど申し上げましたように、豆類につきまして、私たちのほうといたしましては十一万六千から十五万六千にふやす計画を求めておる次第でございます。それで、このうち、大体豆類がふえますけれども、稲転で二万ヘクタール前後の大豆を考えるということが一つあるわけでございます。北海道におきまして、豆類というものが三年ないし四年に一度くらい大冷害を受けまして、寒冷地農業としていささか適格性が欠けておるのではなかろうかという懸念はわれわれも十分に持っておる次第でございますが、また逆に、北海道の寒冷地農業のローテーション農業の一つとして、やはり四年に一度か五年に一度はどうしても豆類を導入いたしまして、しかもその中で根粒菌を土壌の中に育成していくというようなことは、やはり北海道の畑地農業といたしましては欠くべからざる農業であるということは認識しておるわけでございます。したがいまして、北海道でいわゆる国民食糧増産という観点で豆類をつくっていただくという観点ではなくて、北海道農業の一つの畑作ローテーション農業の一環として豆類はやはり畑作物には欠くべからざるものだという営農体系の問題として豆類の導入を考えたことが基本的な姿勢でございまして、さらにまあ大豆等、特に大豆でございますが、国内でも年間三百万トンを輸入しておりながら、その大豆がほとんど搾油用とえさに回っておりまして、国民食品であります大豆から加工されまするみそ、とうふあるいは納豆、こういった系統はやっぱり日本産の大豆が一番適しておりますので、そういった大豆につきまして、稲作転換の一環として北海道に多少でも分担をしていただいたらいかがかということで、北海道において豆類の増産はございますが、これは主として大豆を中心として考えておる次第でございます。で、大豆につきましては、大豆なたね交付金等もございますし、最近の大豆に対する見直しという点もございまして、いずれまた十月末に大豆価格の決定もございますが、われわれとしましては、なお一そう価格面の効果も十分に織り込んだ姿勢でまたお願いをいたしたいと考えておる次第でございます。  それからビートにつきましては、簡単でございますが、実はこの長期指標の問題といたしまして、これは複数の県といいますか、県間にまたがる作物のみを長期見通しとしてあげた次第でございまして、いわゆる一県だけといいますか、一地方だけの作物はそれが非常に重要な作物であってもこの際は一応まあはずすといいますか、それは除外したということでビートは取り上げておりませんが、われわれも北海道庁に、現在北海道農業の長期見通しを道庁でやっておられますが、その中にビートは十分織り込むように内々連絡しておりまして、大体、四十四年で五万八千六百八十五ヘクタールの収穫面積があったわけでございますが、このビートにつきましては五十二年の長期見通しの一環として大体七万八千ヘクタールぐらいということが事務方同士の作業として現在検討されておる数字でございまして、まだ本件ビートにつきましては未確認の数字というふうに御了解願いたいと思います。道庁としまして将来まだ多少プラスマイナスの作業の過程で何か出てくるのではなかろうか。しかも十アール当たりの収穫につきましても、四十四年は三千五百三十五キログラム——三トン半という数字でごさいましたが、この五十二年におきましては三・九と、まあ約四トン近い数字反収増を期待しまして、先ほど申し上げましたように、ビートも十分に、北海道農業における日本でたった一つの地帯でございますが、最大の努力をささげてこの振興に寄与してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  24. 川村清一

    川村清一君 詳しいことはまた機会を見てこの問題については大いにお話し合いをしたいと思います。  ただいま豆類の増反計画につきましては、これは稲作転換の中の大きな問題とし、そして特に大豆をつくらせるように指導をするというお話、これは北海道の畑作のローテーション作物という立場から豆を主要作物として取り上げることについては、別段否定するものではございません。大豆の国内需給関係を見ますというと、これは問題にならないほど需給関係はアンバランスでございますので、大豆を北海道に耕作するということは、これはまた決して反対を唱えるものではないものであります。しかしここで私が特に申し上げなければならないのは、また申し上げるまでもなく局長十分御承知だと思いますが、大豆が一体なぜこんなに減ってきたのか。もう全需要量に対して国内生産はわずか五%か六%しかないというような状態になってきたのは原因がどこにあるかということ、これをひとつ率直に考えていただかなければならないわけであります。言うまでもなく、大豆には交付金制度がある、これも承知しております。しかし、いかに交付金制度があったにいたしましても、大豆の国内の支持価格が非常に低い。その低いために、大豆が自由化されて国外の大豆がどんどん入ってくる。その国外価格日本政府のきめておる支持価格との差があまりにもなさ過ぎるというようなことから、したがって交付金制度において予算がそこにつくられておっても、ほとんど予算を使わないで済むというような状態、それほどかように大豆の国内の支持価格が低いわけであります。したがってこれが原因して大豆を耕作しておらないのだということをぜひ御理解をいただかなければならないと私は考えるわけであります。  それから豆類をこうやってふやすということになりますれば、この大前提として雑豆の自由化の愚は絶対に政府はやらない、こういう不退転の決意のもとにこの政策をやらなければ、これまたこのとおりにはいかないということをぜひ考えてもらわなければならない。これは局長がきめることではないでありましょうけれども、局長はひとつ、雑豆の自由化というものがいま大きな問題になっておる時点でございますので、絶対しない、こういう決意を持っていらっしゃるかどうか、この点をこの席で明らかにしていただきたい。  さらにイモにつきましても、私は八万三千ヘクタールを七万ヘクタールに減らすと、こういう政策に対しては絶対承服できないわけであります。北海道の寒地農業確立という点からいっても、これは減らすどころかふやさなければならない、当然ふやしてしかるべきところの作物であります。これを減らすということについては絶対に納得いかない。いずれまたこの点についても質問をいたしたいと思います。総じてこの性格は決して変更できないものかどうか、私はいろいろな客観的な情勢の中において、いま発表されております五十二年度におけるところの計画というものをやはり修正しなければならないものではないかと考えておりますが、その意思が絶対ないのかどうか、これをお聞きいたしたいと思っておるわけであります。  その次に、なぜ一体、安定作物であるところのイモ——バレイショあるいはカンショ作付面積が減っているかということは、要すれば、これは一にかかって価格の問題に結びついておるわけであります。要するに生産費と所得が補償されるようなそういうような価格で形成されるならば、生産費・所得というそういう表現を使わなくても、農安法にきちっときめられておるような「農産物の生産の確保と農家所得の安定に資することを目的とする。」というこの法律の趣旨に基づいて価格が形成されておりますならば、反別は絶対私は減らない、ふえこそすれ減らないと、かように考えております。農家の方々は、そういう意味において価格がどう形成されるかということに強い関心を持たれておると思うわけでありますが、この点について局長はどうお考えになられるか、まずこの点についてお答えをいただきたい。
  25. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) まず、長期見通しの作業について変更を今後するのかどうかということでございますが、昨年一年かかりまして農業生産の地域指標というものを、稲作転換作業と相並行しながら、昨年の十二月末に農林省としては一応のガイドポストといいますか、目標をつくったわけでございます。これは絶対的に変更しないというのはおかしいのかもわかりませんが、ただいまの段階では、この指標を目標といたしまして——この指標、ガイドポストをつくる過程では各都道府県の協力も十分得て全国ベースの数字をつくったわけでございますが、これに基づいて各都道府県は、現在その地域地域に、県ごとに即しまして、もっと具体的な応用動作も含めて地域指標の目標をつくっておられます。それは、先ほど申し上げましたように、年末から来年にかけまして、各都道府県ごとに逐次出てくることになると思います。県によりましては、さらにその目標に基づきまして、稲作転換も含めて市町村別の計画をつくらせる都道府県もあるやに聞いておりますが、そういうことでございますので、現在、本件指標に基づいての作業が進行中でございますので、ここ当分の間、一応ガイドポストを目標に進められていくことになるのではなかろうか、こういうふうに思っております。それが一つでございます。  それから次に、豆類の自由化の件でございますが、ことしの日米交渉に際しまして、農林大臣が現地へ、アメリカヘおいでになられまして、いわゆる牛肉とオレンジとそれからオレンジジュースは自由化しないということは、はっきりと向こうに明言されて断わられて帰っておられるわけでございますが、さらに衆議院農林水産委員会あるいは参議院農林水産委員会での大臣の御答弁にもありましたが、豆類の自由化については自分としてはしたくない、またしない方向の部類に入れておきたいというふうな御見解の表明がございまして、その線に従いまして、われわれとしては現在いろいろと検討をさしていただいている次第でございます。  またイモ価格の点でございますが、われわれといたしまして、イモ価格の決定に際しましては、各方面の御意向を聞きながら価格の決定をいたしておりまして、最近二、三年来は年々、一応適切な価格水準で価格をきめさしていただいている次第でございます。御存じのとおりに、イモ並びにでん粉価格の決定に際しましては、一応パリティ指数を基準といたしまして、さらに需給事情等を反映して、かつ再生産を確保することを旨として価格を決定するという経緯をたどっているわけでございます。そういう線で、今週じゅうに値段をきめさしていただく予定にいたしておりますが、イモ自体につきましては、パリティも多少年々上がっておりますし、それから人件費等も上がっておりますので、その辺を考慮に入れながら決定さしていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  26. 川村清一

    川村清一君 イモの問題でございますが、これはでん粉の自由化というものもやはり問題に出ておったわけですね。それでいま、コーンスターチの六十万トンの輸入によって日本イモでん粉というものが非常な圧迫を受けておる。これは言うまでもないわけでございます。  コーンスターチ輸入が減るならば、もっとこれはふえていいわけであります。ところが農林省のほうは、イモでん粉がこれ以上国内生産がふえては処理に困るということをまず原則にして、七万ヘクタールという北海道イモの作付反別というものをつくられているわけですね。ですからわれわれの立場からいうならば、国内食糧必要量は国内生産でまかなうというたてまえをもって考えるということからして、何とかして国内でん粉生産をもっと上げて、そうしてコーンスターチ輸入量を減らしていきたい、こう考えるのが当然の考え方だと思うわけであります。ところが政府考え方は、イモのほうはこれは作付面積を減らしても反収が上がっておるから、生産性が高くなってきておるから、でん粉数量は若干上がるわけであります。上がるけれども、いわゆる百二十万トンの中に占めるところの国内生産でん粉のシェアというのは、これはたいして変わらないのですね。全体比率の中においてやはり五〇%程度である。そこで、この五〇%からそれ以上占めるコーンスターチというものの輸入を減らすということは、これは一向考えないのかどうか。これ以上もっと減らしていく、こういうようなことを政策として考えられないかどうか。この点をひとつお聞きしたいのであります。
  27. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) でん粉の自由化につきましては、大臣がアメリカへ行かれます前に、ことしの七月、八月ごろの農林省内部におきます作業の過程で、でん粉あるいはでん粉からつくられますブドウ糖につきましては、現在の段階では、直ちに自由化することはいろいろ問題があり過ぎるということで、われわれの作業の過程で、今回の自由化の対象品目からは見送るということで作業を進めてきた次第でございます。したがいまして、アメリカでも大臣は一言も、でん粉の自由化については発言も何もされておりませんし、日本内地におきますわれわれ農林省内部でも、でん粉の自由化の作業は現在何ら検討していない、こういうふうに御理解願いたいと思います。  それからコーンスターチの問題でございますが、朝来申し上げましたように、われわれといたしましては年間の需給計画を先に立てまして、そのうちカンショでん粉なりバイレショでん粉の出産状況の大体の大まかな見通しを先取りいたしまして、そして残りの、足りない点がありますれば、それをコーンスターチなりその他の輸入でん粉に割り掛けておるということでございまして、先にコーンスターチ輸入があってバレイショなりカンショでん粉の割り当てが出てくるのではなくて、むしろ、国内生産を優先で、しかもその消費の優先消化ということを前提として作業を進めておりますことをひとつよろしく御理解願いたいと思います。今後その作業につきましては、われわれといたしましては、コーンスターチつまり輸入トウモロコシ輸入ワクの設定につきましては、なお今後とも慎重にいたしまして、上期、下期の二期にわたる割り当てをいたしておりますが、極力、国内でん粉の優先消化を前提といたしまして、残りをコーンスターチでアジャストする、こういう線の行政は今後ともなお従来以上に慎重にいたしたいと思っております。
  28. 川村清一

    川村清一君 そのおことばを聞いている限りにおいては私も了解できるわけですよ。しかしそのことばをまた今後別な角度から考えてみますというと、年間の需要量がある。コーンスターチを先に考えるのではなくして、国内でん粉生産というものをまず先に考えて、見通しを立てて、そうして足らざるものをコーンスターチによって補完していく、この原則でもってやっておるのだと、その意見には全く賛成なんです。しかし実態はそうなっていないと私は思うのですね。もしあなたがそうおっしゃるのならば、もっと意欲的に、積極的に国内でん粉生産をふやすところの行政指導を行なうべきじゃないのか。いま馬でんのほうは一九万トン、将来はもっと大きく見てもまあ二十二、三万トン、三十万トンになんかなったらたいへん困る、迷惑だというようなことを言外にほのめかしておっしゃっておるわけです。そうではなくて、ふやせるだけふやしていく、馬でんにおいてもカンでんにおいても。そして全体の需要量の見通しがあるわけですから、まあことしはこうであっても来年はさらにふやすんだ、明後年はさらに国内生産をふやすんだ、ふやしていって足らざるものをコーンスターチで補完していく、こういうほうに志向していくならば必然的にコーンスターチ輸入というものは減ってくるわけですね。ところがいただいた資料によると、コーンスターチというものは大体固定しているわけですね。こういう行政の姿というものを改めて、国内生産第一主義の立場に立ってやれないかということですね、またやるべきでないかと思うのです。現在国内の大きな経済問題になっております繊維問題に例をとるならば、アメリカのほうはアメリカ生産の繊維が日本の繊維の輸入によって非常な経済的な打撃を受けているから日本の繊維の輸出を減らせ、政府間協定によってもっともっと減らせ、日本の繊維業者がつぶれてもかまわないから減らせと言わんばかりに強圧が出てきているではありませんか。そのためにいまや自民党佐藤内閣はよたよたしているような状態です。こういうような態度を農政になぜ出せないのですか。いわゆるコーンスターチ輸入によって日本の農業がよたよたしている、だからコーンスターチ輸入をもっと規制せよ、減らせ、減らせといわなくてもこっちをふやしていけば自然に減っていくわけですから、そういう処置がどうしてとれないのか私にはわからないわけだ。それは日本製品が高いからだ、向こうのほうが安いんだからという業界の需要希望がそこにあるからそうなっていくんだという一つの経済の原則からいえばそうなるかもしれない。しかしそのまま減らせと、その推移と比べていくとするならば、一体農林省の行政の指導というものは、日本の農業を守り、日本の農民の生活を守るという立場でもって行政を志向しようとしているのか。アメリカから入ってくるものを押えるわけにいかぬ、そのために日本の農業がどうなってもこれはしかたないんだという。大豆なんか的確にそう出てきているわけではありませんか。こういう点についての反省を行ない、そして農政の転換をはかれというのがわれわれの要求なんですが、これは局長にこういう政策上の問題をお聞きすることは少し無理だと思いますけれども、大臣もいらっしゃいませんので、農林省の中でも最もはっきりしておる局長であると思って、令名の高い荒勝局長さんにあなたのお考えを別に私はお聞きしたいのです。どうですか。
  29. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) このコーンスターチ輸入量の増大の件でございますが、私たちの立場からいたしますと、年々逐次やはり輸入トウモロコシからできますコーンスターチに対する規制は強化してきているものと私たち自身考えておるわけでございます。昭和三十年ごろだったと思いますが、トウモロコシが一応全部自由化したわけでございますが、その当時、飼料用トウモロコシについては〇%、飼料以外のトウモロコシについては単純に一〇%の基本関税をかけるということで自由化した次第でございますが、ところがコーンスターチ——トウモロコシからでん粉ができるというのは、当時あまりだれも考えていなかった時代でございますが、そこでだんだんふえてきたということで、昭和四十二年ころだったと思いますが、コーンスターチ輸入トーモロコシについてはさらに基本関税のほかにタリフクォーター制度を設けまして二〇%の関税でいくということで事実上の輸入制限をしたわけでございます。  ところが二、三年のうちに単なる二〇%前後の輸入関税では、さらにそれを越えてでも入ってきまして、国内産のイモでん粉に悪影響を反ぼすということと、それから先ほど申し上げましたように、これを前提といたしまして相当多数のいわゆる中小のコーンスターチメーカーの乱立等がございましたので、昭和四十五年度の関税定率表の改正に際しまして、大体平均いたしまして五〇%前後の——これは弾力関税でございますので、はっきりしたことは申し上げかねますが、二次税率として五〇%前後の関税率がかかる。そして国内イモでん粉の引き取り糖化メーカーに対しては抱き合わせで優先的に配給するということで、ほとんどこの輸入トウモロコシからできます甘味用のコーンスターチにつきましては、事実上輸入を、自由販売の道を封じまして、国内イモでん粉を優先的に引き取り糖化メーカーのみに安いトウモロコシを割り与えるということで、国内イモでん粉の優先消化を前提といたしまして、この抱き合わせ販売方法を現在とっておる次第でございます。  従来までのいきさつ等からいたしますと、十分にこういう輸入トウモロコシの制限によりまして、国内産のイモでん粉をつくっておられます農業団体との間の呼吸といいますか、連絡は十分に行なわれてきておるものとわれわれは考えておる次第でございます。それで、今後、これが三年間ということになっておりまして、四十八年の三月末で一応暫定期間が過ぎるわけでございますが、これらの今後の取り扱いについてはさらにイモでん粉関係の将来のあり方も十分に考慮いたしまして、新たなる対策を打ち出さねばならないのではなかろうか、こういうふうに考えて目下内々検討中というふうに御理解願いたいと思います。
  30. 川村清一

    川村清一君 その辺の処置をとられたことも十分承知した上に立って私は質問しておるのでございますので、どうかさらに前進するような角度から行政を進めていただくように私は強く要請しておきたいと思います。コーンスターチの暫定関税率につきましては、これは昭和四十八年で切れますので、それで廃止することなく、それ以降も必ず存続してやるような措置を強力に行なってもらいたいということを強く要望しておきたい、かように考えますし、さらにまた関係団体とも十分話し合いの上といいますけれども、何といってもこの六十万トンというコーンスターチ輸入が固定化しておるということは、逆の立場から言うと国内生産を圧迫しておるようでございますから、それはそのまま放置することなく、できる限りいろいろな行政的な手を打つことによってコーンスターチ輸入を少なくさしてもらいたいという希望を私は強く述べておくわけであります。やりようによっては幾らでもできるでしょう。アメリカはもう繊維品の輸入に対して一〇%の課徴金を課する、こういうガット違反のめちゃくちゃな政策さえとっておるではありませんか。ほんとうに政府イモづくり農民のことを考えたならばやれないこともないわけでありますから——これはまあ局長に聞いてもしかたありませんが、いずれ大臣にこういうことをお尋ねしたいと思います。  この問題で幾らやりとりしておってもらちがあきませんので、この辺でこれは打ち切りまして、またほかの委員から質問あるかと思いますが、価格の問題についてお尋ねをいたします。  きてバレイショカンショバレイショでん粉、それからカンショでん粉価格につきましては、特にイモの原料基準価格につきましては、これは農安法の第五条の定めるところに従って政令でその価格を算定することがきめられておるわけでございますが、施行令の第二条にはこのように書かれておる。「甘しょ及び馬鈴しょごとに、附録第一の算式によって算出される価格を基準とし、毎年農林大臣の行なう生産費調査の結果による生産費、附録第二の算式によって算出される価格及び経済事情を参酌し、再生産を確保することを旨として定めるものとする。」、こういう規定がありまして、そしてこの政令のあとに附録第一の算式と附録第二の算式があるわけでありますが、結局附録第一によってパリティ指数の計算からことしの基準価格というものをきめられるわけでありますが、これについてちょっとお尋ねいたします。  この附録第一に、まあことしのきめようとする価格はP1ということになるわけであって、イコールP1——これはまあ昨年の価格でありますが、それに掛けるI0分のI1というものがあるわけであって、この分母のI0というのは、これは具体的にいえば価格決定年の前年の九月から価格決定年の農林大臣の定める月までの各月のパリティ指数平均値となっておりますが、そうすると、分子のI0というのはこれは何月になるのか。それから分母のI0というのは何月から何月までのパリティ指数平均値になるのか、これちょっと事務当局から御説明願います。
  31. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 一応この附録算式の第一式につきましては、このI1というのは四十六年八月末のパリティでございます。それからI0というのが四十五年九月から四十六年三月末までの平均のパリティ指数でございます。それからP0というのは、前年のイモ政府がきめました価格でございます。
  32. 川村清一

    川村清一君 そうすると、ちょっと聞き漏らして失礼ですが、分母のI0と分子のI1についてもう一度言ってくださいませんか。
  33. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 分母から申し上げます。分母が、ことし採用しようとしている計算の根拠となりますあれとしましては、四十五年九月のパリティと四十六年三月までに至る間の平均値でございます。分子が四十六年八月末の最近時のパリティでございます。
  34. 川村清一

    川村清一君 P1もわかりますし、P0もわかりますが、分母になる、というのが四十五年の九月から四十六年の三月までのパリティの平均であって、分子のI1というのが四十六年の八月末ということになれば非常に不合理だと私は思うわけでありますが、何で一体分母のほうは四十五年九月から四十六年の三月までですか。そうすると四月、五月、六月、七月というこの間におけるパリティの上昇というものは考えないんですか。これはどういうわけなんですか。
  35. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) この方程式の分母となります点は、昨年のイモの出回り期間、大体昨年の九月から本年の三月ごろまでの間に出回りますイモの物価上昇といいますか、パリティを出しまして、四十六年八月末というのは、ことしのイモの出回る一番最近時のパリティを採択しておるわけでございます。したがいまして、昨年のイモの出回り期間に比べてことしのイモの出回りの最近時点においてどれだけ値上がりしたかを表現している数字でございます。
  36. 川村清一

    川村清一君 四十五年の九月はイモの出回り期だということはわかりますよ。それをことしの三月までで切ってしまって四月以降を全然考慮しないで、そうして分子にことしの八月のパリティを持ってきたということは納得いかないんですが、どうしてこれ三月で切っちゃうわけですか。それ以後はどうするんですか。
  37. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) つまり、昨年のイモの出回り期に対しましてことしのイモの出回る最近時点のパリティということで、その間における一種の物価上昇率を比較してみた、こういうことでございます。三月というのは、昨年の九月からイモが出回り始めるわけでございますが、イモすり込み期間を見ますと、北海道バレイショ等では一応八月ごろから始まりまして、八月、九月、十月、おそくとも十一月の半ばまでには全部すり込みが終わってしまうのですが、場合によりましては春ずりという場合もありまして、三月までときたまバレイショが売れ残ったりいたしますとそれがまたでん粉用に回ってくるという、多少昔の習慣でございますが、過去二、三年前そういう習慣がございましたので、三月ごろのイモずりを前提にいたしまして、三月までなまイモが出回るのだという仮定の上に立ちまして九月——三月というイモの出回り期間を分母にとりまして、そうしてことしのイモが出回ってくるときとの比較の物価上昇率を算出してみた、こういう方程式でございます。
  38. 川村清一

    川村清一君 それで妥当だとお考えになられますか。——そうすると、昨年つくったイモは九月らことしの三月まではあった、でん粉をつくるための作業はここまで続けられておったと。しかしこれは原料イモ基準価格ですから、その分子になる八月というのはイモ生産される月である。そうすると、この八月までの、ことしのイモをつくるまでの生産費その他、農業パリティ指数の物価の上昇とかそういったようなものは、これはどういうように考えていますか。考えないのですか、これは。
  39. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) この分子に当たります四十六年八月末というイモの出回り直前のパリティというものが、一番われわれとしては可能な限り算定できます最近時点のパリティでございまして、まあ場合によっては九月のパリティをとってもいいのではございますが、十月十日前後までにきめるということになりますと、どうしても八月末、パリティが九月末までには間に合いませんで、どうかすると十月の初めにまでかかる場合もございますので、一応八月末ということで大事をとったパリティの表現でございまして、これがこういう最近の日本の経済情勢からいたしますと、まあ年々パリティが多少上がってきておる、あるいは月ごとにも上がってきておるといろ現在時点の判断からいたしますと、この八月末パリティというものが、あらゆるデータからいたしますと、最近時点においては最高のパリティ表現をとることに、結果的には表現することになっておるものと理解しております。
  40. 川村清一

    川村清一君 四月、五月、六月、七月という期間はイモをつくっているわけでしょう。一体そのイモをつくっておる期間というのはどう考えておるか。全然考慮しないのですか、これは。
  41. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) これはイモの生育期間のパリティではございませんで、どちらかというと出回り期間のパリティの物価上昇率を考慮してきめているような計算方法でございます。
  42. 川村清一

    川村清一君 そうすると、イモをつくっている期間の物価の上昇は全然考慮しないということですか。
  43. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) あるいはそのイモの生育期間ということになりますと、ことしの、四十六年四月から八月までのパリティを分子にとってくるということも考えられますが、それを取り上げますと、かえってこういう物価上昇のときには、農家の方としてはあまりもうけといいますとおかしいのですけれども、計算上低く出てくるということで、八月末パリティがまあ実際的には最高ということで、この八月末パリティがイモ価格を決定するには農家側としては比較的有利な数字ではなかろうかというふうに理解しております。
  44. 川村清一

    川村清一君 これははっきりお聞きしておきたいのですがね。この附録にあるこの方程式では、これは政令ですから政府が変えない限りずっと同じものがあるわけですが、このI0というものにどういう数値を使うか、I1というものに何を使うかということは、その年々、あなた方の考え方によって変わるのですか。
  45. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 四十一年に議員立法で農安法が修正されましたとき以降この方程式を用いることになり、かつそれ以来P1とかP0、あるいはI1、I1は大体政府としては同様の計算方法をとっておるものと理解している次第でございます。
  46. 川村清一

    川村清一君 それはまたあとで質問しますが、昨年聞いたときにはそういうことになっていないのだな、確かに。この分母は九月からたしか七月までとなっておったと思うのですけれども、去年も三月で切っていますか。
  47. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 本件は昨年も全く同様の計算方法をとりまして、附録第一式につきましては昨年も全く同様の計算で、分母は九月−三月であり、それから分子は最近時点の八月ということで、計算いたしておる次第でございます。
  48. 川村清一

    川村清一君 それじゃもう一度お尋ねしますが、政令の第二条にある「附録第二の算式によって算出される価格及び経済事情を参酌し、再生産を確保することを旨として定めるものとする。」と、こうありますですね。そうすると、附録第一で算出される価格を基準として、それに生産費、それから附録第二の算式によって算出される価格及び経済事情、これを参酌して再生産を確保することを旨として定める、こうきまっているわけですね。そこで附録第二で算出される——これも計算してみなければならないわけですね。
  49. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) はい。
  50. 川村清一

    川村清一君 これはどういうことになりますか。
  51. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) これも従来と全く同様の計算方法をとるべく現在作業をいたしておりますが、この附録第一式と第二式との間には法律的取り扱いを異にいたしておるのでありまして、法律の買い入れ価格のところでございますが、先ほど第五条の一項でお尋ねがありましたように、「農業パリティ指数に基き算出した価格を基準とし、」ということで、附録第一式はあくまで基準でございます。これが一つの歯どめになっていると思います。それに対しまして附録第二式のものが、「物価、需給事情その他の経済事情を参酌し、」ということが附録第二式に出ておりまして、さらに生産費を参酌してきめる、いわゆる附録第一式は基準となるべき価格を表現し、第二式は参酌であり、生産費をさらに参酌して再生産を確保してきめるというように、あとのほうの二点は参酌事項、こういうように御理解願いたいと思います。
  52. 川村清一

    川村清一君 それでは生産費のこの計算でございますが、これはどういうようにして生産費は計算されておりますか。それと農安法生産者団体とよく話し合うということになっている、こういう法律ですね。そこで生産費の評価にあたっては、これは生産者団体と農林省が調べるにしても、生産者団体は当然調べるでありましょうが、これは一致した形でそういうように計算されることが当然だと思うのですが、これはどうですか。
  53. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) まずこの価格をきめます際に生産費というものが、先ほど法律的にも参酌をしてきめることになっておりまして、これにつきましては、農林省で毎年統計調査部のほうで、ある程度一般的なそれぞれの農産物につきまして生産費を調べております。その中でもバレイショ並びにカンショにつきましては、価格決定の重要なる一つの参酌要因となりますので、いろいろこまかい調査をお願いしているわけでございますが、いまたとえばことし四十六年のイモ値段をきめますということになりますと、四十五年のイモ生産費というものが出てきているわけでございます。そのイモ生産費を根拠にいたしまして、これにバレイショが出てまいりますと、それを四十六年に置きかえますために多少の修正をするわけでございます。それで大体、生産費のうち経営的な要因を占めますものにつきましては、この農業パリティ指数のうち、経営指数で物価修正をするわけでございますが、四十六年度の価格を推定するに際しまして、それで多少物価値上がりを織り込むということが一つと、それから地代等につきましては物価上昇率とは関係ございませんで、実際の地代を織り込んだり、年によっては、二、三年前までは公定地代を織り込んだりするわけでございます。さらに副産物収入等はそれからさらに差し引きまして、そうして差し引き生産費を出してくる、こういうことでございます。さらに、その年によりまして収量は当然豊凶の差があるということで、バレイショ等につきましては昨年は非常な、史上最高の反収であった、ことしは平均反収ということで、その反収修正をいたしましてこまかく計算をするわけでございますが、そういう修正をいたしまして、ことしの見込み生産費ということで参酌さしていただくことになるわけでございます。
  54. 川村清一

    川村清一君 そうして、ことしの生産費は十日ごろ出されるというのですから計算されましたね。ことし幾らですか。
  55. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 統計調査部統計から出しましたいわゆる四十五年度の生産費は、ただいまお手元に配付いたしました一四ページのバレイショの欄を御参考にしていただきたいと思いますが、四十五年の百キログラム当たりの欄でございますが、そこに一応五百九十六円という生産費が出ているわけでございます。これは昨年の生産費で、非常に安く出ている費用でございます。それに対しましてことしは、それを先ほど申し上げましたように、農業パリティの経営指数で物価修正し、反収で計算し直しますと、一応われわれのほうの計算では、トン当たりでございますが、七千六百二十九円という数字が出てくるわけでございます。したがいまして統計数字よりも、去年の四十五年の実績に比べますとだいぶん高く、去年五千九百五十二円でございましたのが、ことしは七千六百二十九円というふうに、約千七百円ほど生産費が上がってきている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  56. 川村清一

    川村清一君 それは十アール当たり幾らになりますか。
  57. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 十アール当たりにいたしますと、昨年の実績だと、十アール当たり生産費が二万三百三十三円というのが統計調査部の十アール当たり生産費でございます。これは一四ページの一番下の欄の上の欄に二万三百三十三円というのが出ておりますが、これがことしの物価修正をいたしました推定生産費だと二万一千四十九円となるんではなかろうか、こういうふうに思っております。
  58. 川村清一

    川村清一君 百キロ当たり昨年の五百九十六円に対してことしは幾らになりますか。
  59. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ことしは七百六十三円でございます。収穫はトン当たりにしますと七千六百二十九円でございますので、端数繰り上げすると七百六十三円。
  60. 川村清一

    川村清一君 これは生産者団体といろいろ協議するような法のたてまえになっておりますが、生産者団体のほうで調査された数字はもちろん農林省のほうに出ておると思いますが、大した違いはございませんか。
  61. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) まことにあれでございますが、この生産費調査につきましては、農林省の統計調査部中心といたしましてこれが独自に調査しまして、全国ベースでございますが、北海道でん粉用ということで北海道だけを前提にいたしましてバレイショ生産費調査いたしております。カンショにつきましては、全国ベースで調査いたしまして、これは農業団体との共同調査はいたしておりません。ただ、あとから御質問があるかと思いますが、バレイショでん粉の加工経費につきましては、団体と共同で、まあ立ち会い調査に近いような共同調査をさせていただいておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。したがいまして、団体から出ております、北海道農業中央会もしくはホクレンで独自でお調べになりました生産費と私どものほうで調べました生産費との間には年々それぞれ開きがある、必ずしも同一でない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  62. 川村清一

    川村清一君 この政令の附録第二の一番しりのほうに「備考」として、「甘しよ又は馬鈴しよの生産価格供給予想量及び供給量は、農林大臣の行なう農家経済調査生産調査等により、物価指数は、日本銀行の卸売物価指数調査によるものとする。」、こう書いてある。これは政令ですから、これはけしからぬと言ってもしようがないと思いますけれども、この「物価指数は、日本銀行の卸売物価指数調査による」というところがちょっとひっかかるんですが、一体農家で生産するために、ここに、一四ページに掲げているいろいろなものを使うわけですね。たとえば、防除費、建物費、農具費、畜力費、労働費、肥料費とか、こういった生産に必要なこういうものの価格というものが卸売価格でもって計算の基礎になるということにこれはひっかかるわけですが、この辺はどうお考えですか。大体日本の物価指数を見ましても、卸売価格というものは、まあ最近は横ばい程度とこうずっと来まして、消費者の価格のほうがむやみに上がってきているわけですが、そこで一体生産者は、肥料にしましても、あるいは農具にしましても、こういったようなものは一体卸売価格でもって購入して、そうして農耕に当てておるかどうか、この辺に問題があると思いますが、これはどうおとらえになっていらっしゃいますか。
  63. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) したがいまして、先ほど御質問がありました生産費のほうにつきましては、農業パリティ指数による修正を行なうことによりまして、毎年御存じのように生産費自身が、農家の記帳によりまして生産費を出しまして、が、前年度の分はそれで出るわけです。しかし、ことしの分はそれが間に合いませんので、これからようやく受け付け——収穫を終わったばかりでございましてわかりませんので、それは経営パリティ指数というものをやはり出しておりますので、それによって物価上昇率を掛けて出すということで、生産費のきめ方ではまあそれが一番妥当ではなかろうかというのが政府のほうの考え方でございます。  それから附録第一式のほうは、御存じのようにこれは多少方程式には問題があるにしましても、パリティ指数によって算出していくという出し方をいたしております。附録第二式につきましては、農業ではさることながら一般的な経済事情というのは、一体世の中はどうなっているんだということを勘案する、判断するということになりますといろいろな資料もございますが、われわれとしましては一応日銀の卸売物価指数というものは一つのやはり参酌事項でございますので、これで特に基準とするということになりますと、いろいろ問題は残るかと思いますが、一応日本経済の動向を表現しているというふうなものとしては日銀の卸売物価指数を一応一つの参考にお借りしていくということと、それからイモ需給事情というものも参酌事項になっておりますので、そのときそのときにおける供給量というふうなものを見込みまして一種の需給率かもわかりませんが、供給量を出してそれを係数的といいますか、価格に全部表現して出していくと、こういうふうにしているわけでございます。
  64. 川村清一

    川村清一君 一番問題があるのはこの附録第一の公式です。これに対してまだ問題があります。もう少し質問いたしますが、しかしこれはこれとしてまず認めるといたしまして、このパリティ指数の計算から出てきた数字そのものをいわゆるP0という昨年の価格、それにパリティ指数のまあこうずっと上昇してきた平均値ですね、それとことしの八月、これを当てはめて、そうして去年の価格にそれを掛けて出すと、これだけでもしきまるとするならばこれは一つのまあ低いとか高いというもの、また計算のパリティ指数のとり方に問題があると思うんです。これは一つ妥当な数となると思うんです。ところがそのあとに附録第二であるとか、あるいはまた経済事情を参酌する、需給関係を参酌するといったようなことになってくれば、これは一体だれがそれを参酌するか、この事情はこうだという客観的なあれがありますか。だれも認めるような、経済事情はこうなんだと、だからこの出てきた数字をこういうふうに是正していくんだといったようなことは、一体あなた方がきめたものはこういう科学的に絶対間違いないんだという客観的なものがありますか。
  65. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 法律で、パリティで算出されたる価格を基準としと、こういうふうにこれで一つの歯どめになっておるわけでございます。あとの附録第二式にも生産費はあくまで参酌事項、いわゆる参酌でございますので、ときと場合によりましてはいわゆる上げ要因になってみたり下げ要因になってみたりということは当然にあり得るんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  66. 川村清一

    川村清一君 それでははっきりお尋ねしますが、この附録第一の公式P1=P0×I1分のI0というこの算式で出されてくる数字は幾らですか、あなたのほうの計算でいくと。
  67. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ことしのバレイショでん粉について申し上げますと、附録第一式の価格は一応パリティの方程式で出しますと八千六円という計算を出されております。昨年は七千七百円がバレイショ価格でございましたが、それがことし算出いたしますと八千六円で、これを、まあ一応政府といたしましては通例端数を四捨五入いたしまして八千十円というものがことしのバレイショの一応パリティ指数で表現されたる基準となるべき価格と、こういうふうに理解している次第でございます。
  68. 川村清一

    川村清一君 わかりました。さてこれはあくまでも基準でありますから、この基準よりは——これに生産費とか運賃とかが入りますからこれより低くなることはないわけですね。
  69. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) その附録第一式できめたものはあくまで基準となるべき価格政府は考えておりまして、これからあと附録第二式はあるいは生産費を参酌してきめるわけでございますが、少しあるいは先回っての答弁になるかもわかりませんが、附録第二式の計算された数字はむしろ引き下げ要因となると七千四百五十五円。基準となるべき附録第一式の価格よりも引き下げ的要因になっておる。それから四十六年の推定生産費も物価修正等はいたしましたが、七千六百二十九円ということで、現在の段階では参酌すべき価格はいずれも基準となるべき価格よりも若干下回っておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  70. 川村清一

    川村清一君 失礼ですが、第二式で計算されました数字は幾らでしたか。
  71. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 第二式で計算されましたる価格が七千四百五十五円でございます。それから四十六年の推定生産費が七千六百二十九円でございます。
  72. 川村清一

    川村清一君 そうするとどうも話がおかしくなってくるわけですがね。私も実は昭和四十年からこの委員会に参りまして、私の出た当時は附録第二しかなかったのですね。そうして同法を議員立法でこれを改正いたしましてそれから附録第一を基準にするというお話があった。附録第一のどういう数字を当てはめるかということに対しては私自身もまだ問題があるわけですが、一応この附録第一というものでやってきたわけです。そうしてこれをあくまでも基準とするということで八千十円というものが出てきた。ところがこれで計算するんならいいけれども、ところがこれを引き下げ要因として——この附録第二というものがあって、これが引き上げ要因なら話はわかるけれども、引き下げ要因としてあって、そしてこれに対していわゆるいろいろな経済事情であるとかあるいは需給関係であるとか、経済事情はどうで需給関係がどうだ、こう言ったところでそれは科学的にこうなんだと、それもないままに附録第二の算式によって七千四百五十五円というものを出してきてそれを引き下げ要因とすると。そうするとどうも局長の話を聞いておるというと、せっかくパリティで出した八千十円よりもだいぶ下がるような気がするんですが、その辺はどういうことになりますか。
  73. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 毎年われわれといたしましてはこういった、計算上は一応基準となるべき附録一式の価格を基準としながらも参酌事項を十分に尊重しながら値段をきめてきているわけでございますが、そのときそのときによりまして計算いたしますと多少事情が変わってまいるわけでございます。たとえばこのバレイショだけ申し上げたんでございまして、多少片手落ちでございますので、カンショにつきましても同様なことを申し上げますと、カンショにつきましては附録第一式の価格が一万一千百円というふうになるわけでございます。それに対しまして参酌価格となります附録第二式の価格は一万三千二百十円というふうになりましてカンショの場合は上がってくるわけでございます。と申しますのは、需給事情等で相当カンショの場合は逼迫ぎみというのがここに反映してくるわけでございます。それから四十六年の推定生産費が一万九百三十円、こういうふうになってまいるわけでございます。  以上、カンショバレイショそれぞれのイモ値段につきましてこれらの事情を勘案しながらなおかつ何となく先ほどから問題になっておりますカンショバレイショ一体の原則、いわゆるカンバ一体の原則を適用しながら値段をきめてまいりたい、こう思っております。
  74. 川村清一

    川村清一君 あなた方役人、頭がいいから何とかかんとか言って納得させようとつとめられておるんでしょうけれども、どうも納得できないんですね。法律は、これは議員立法でございますし、議員立法でなくともこれは法律となった法律は立法府におけるわれわれがつくったわけでありますが、法律には法律制定の趣旨があるわけでございます。この農安法の立法の趣旨は、「米麦に次いで重要な農産物の価格が適正な水準から低落することを防止し、もってその農産物の生産の確保と農家所得の安定に資することを目的とする。」と、こういう目的に基づいて立法されておるわけであります。でありますから、価格形成というのは、これはこういうような算式によって出すことをあなた方は出すわけでありますが、その場合に、そこへ出てきた数字というものがまず適正な水準から落ちないように、そして農産物の生産の確保、つまりイモでん粉生産の確保、これをつくっておる農家所得の安定、これが目的である。この目的に沿って価格が形成され、基準価格というものをつくってまいらなければならないと、そうわれわれの立場から判断するわけであります。ところが、どうもお話を聞いておるというと、パリティ計算で出てきたその数字、その数字に対して需給のバランスであるとかあるいは経済事情であるとかいうものを勘案して、そして修正して出すと、こういうことなんであります。  そこで、需給のバランスあるいは経済事情という要素から考えてみますというと、けさほど来私と局長との間で長い時間をかけて議論したんでありますが、政府のお考えの中にはどうもでん粉あまりできては困るんだと、こういうような考え方、そしていまいろんな物価問題といったようなものが出ているおりから、できるだけ引き下げたいと、こういうような問題等があって、どうもわれわれが要望するような価格が出てこないというような感じがしてしようがないわけでありますが、せっかく基準とするものが出たならばこれをあくまで尊重する。——尊重ということをあなたがおっしゃっておったんですから。あくまで尊重するということは、この価格をできるだけ維持すると。少なくともこれを引き下げるようなことはしない。これを維持し、さらに生産費や所得を補償するという立場からこれをできるだけ上げていくと、こういう考え方のもとに基準価格をきめるべきでないかと、さように考えるわけであります。ところが附録第二といったようなものをつけて  この附録第二は何かというと、これを引き下げる要因になる、わざわざ引き下げる要因になるものをきめておいて、そして下げようと努力されるその根拠が私どもにはわからないわけです。この点どうなんですか。
  75. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 私たちといたしましては、直ちにいま下げるとか上げるとかいう議論を申し上げておるのではございませんで、やはり法律なり政令できめられましたる手続によって計算いたしました数字をただそのまま申し上げた次第でございまして、これから政府部内におきまして相当なやりとりの上、最終的な判断をもって農林大臣におきめ願うことになっているわけでございます。したがいまして、従来からこの基準となるべき附録第一式で出ました価格はあくまで法律上われわれが基準として守らなければなりません数字でございますので、これは当然に尊重させていただきたいと、こう思っております。ただ、そのときにやはり基準をそのままどんぴしゃとるかとらないかという判断に際しまして、特に法律上の用語といたしまして、再生産の確保を旨とするということが書いてありますので、それは生産費を少なくとも下回ってはならないということで、下限といたしましては生産費は少なくともみなければならないというふうな方法論を内部的にはとるわけでございます。
  76. 川村清一

    川村清一君 ひとりでやっているとどうかと思いますので、私もこの辺でやめますが、どうも局長は、それは法律、政令に基づいて行政を行なうわけですから、そのとおりやっていったものに文句をつけるのもいかがかと思いますが、しかし政令はあなた方のほうでつくったので、うまいぐあいにやられるわけでございますから、このまましょうございませんが、まず生産費の算定につきましては、あなたのほうの機構の中でいろいろ調査されます、しかし生産団体のほうは生産団体のほうでいろいろと実際の営農を通して積み上げられておるわけでありますから、これをひとつ十分尊重して、そこにそごのないようにしていただきたいし、特にでん粉の加工費についてはどういうことになりますか。これは両方で調査してぴしっと合うようなことにならなければちょっと納得できないのですが、その点は心配ないわけですか。
  77. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 加工費の調査につきましては、特に馬でんにつきましては北海道の農業生産団体と一緒になりまして、ほとんど共同調査に近い数字を用いることになると思います。ただ現金支出というふうな、そういう非常にはっきり支出価格がわかりますものにつきましては、ほとんど私のほうでは手直しといいますか、修正はいたさないのでありますが、多少査定要因となり得るような減価償却費とか、あるいは金利というものは、実質借り入れ金利とかまた償却費については多少見込みのしかた等がございますので、その点まあ多少手直しをすることになるかもわかりません。ただ問題なのはそれ以外にでん粉の歩どまりをどう見るかというところが一つのやはり問題になるわけでございます。それでわれわれのほうでバレイショでん粉を例にとりますと、例年の計算で、このごろ最近の品質の向上ということもありまして、バレイショでん粉の実際歩どまりというものは一八・七、八%——一八・七から一八・八%というのが最近二、三年における最近時点の現実的な歩どまりでございまして、実際に適用いたしております歩どまりは、去年までの例でいきますと一七%という数字を適用しておりますので、一・七、八%以上も実際の歩どまりと原価計算の歩どまりの間に開きができておりますので、この辺なんかも一つの検討事項になるんではなかろうかと、こういうふうに思っています。
  78. 川村清一

    川村清一君 それでは要望を言っておきますが、その歩どまりの問題もそうなんですよ。私が初めてこの問題に当たった四十年ごろはたしか一六%、それが今度一六・五%になって、昨年は一七%。しかし、実際はいまのお話のように一八もあるじゃないか、一九もあるじゃないか、だからして、農民のほうはそうやったってそれだけの収入増があるじゃないかといったようなことをおっしゃるわけであります。ところが、それではかりに減った場合にはどうするかというと、減った場合には減らしていって、多くなった場合には決してそれは見てやらないわけでありますから、こういう問題等もありますが、とにもかくにも結論的に言って、基準価格というものを絶対にひとつ尊重してもらいたいということ。それから生産費につきましては、これはもう農家の生産団体が実際の経営の中から出した数字というものを十分にひとつ尊重してもらいたいということ。それから加工費につきましては、これはもう一緒にやっているわけですから、当然それをそのまま見てもらいたいということ。  それからしいてもう一点要望として申し上げておきたいことは、この附録第一のパリティのとり方でございますが、このP0という昨年の価格、これは昨年の八月そこへぽかっと出てきたものではなくて、いわゆる昨年の八月のそのものは、ことしの例で言うと、分子が昨年の八月であって、そして分母はおととしの九月から昨年の三月までと、こういうことになるわけですね。そこにやはり私は問題があると思うんです。で、昨年のこのP0の出し方は、さきおととしの九月から昨年の七月まで、そして分子はおととしの九月から昨年の七月まで、ここの一つの物価指数の変化の中で昨年のP0というものが出てくるわけですよ。そしてことしのP1というものは、昨年の九月からことしの七月まで、これを一つの分子とし、そしておととしの九月から昨年の七月まで、この指数の変化、これを分母として、結局昨年の一つの動き——八月までの一年間の動きと、昨年の九月からことしの七月までの物価の動き、この中からP1というものが生まれてこなければならない。そうすることが最も理論的な行き方でないかと私は判断するわけであります。  まあこれらの問題についてはまたあらためて質問する機会もあろうかと存じますが、きょうは私の質問はこのぐらいで終えて、次の方にやっていただきたいと思いますが、要すれば、農安法の目的、趣旨というものからはずれないように、あくまでも農産物生産の確保と農家所得の安定、ここに目的を置いたところの適正な価格というものをきめてもらいたい。原料の基準価格をきめ、さらに加工費を十分に入れてでん粉価格というものをきめてもらいたい。こういう要望を強く申し上げまして、一応私の質問は終わりたいと思います。
  79. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま多くの点につきまして、生産から加工その他農業全体についていろいろな御指摘をいただきまして、われわれといたしまして、今後いろいろな価格をきめ、あるいはイモでん粉生産振興に当たるに際しましては十分にそれらの点を念頭に置きながら行政の円滑な推進をはかってまいりたいと思っております。
  80. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 朝から川村先生が多様にわたって御質問をされたのでありまするが、私は特に、きょう北海道の太田さん、奈良さん並びに宮崎県の長友さんから説明のあった全国農業協同組合中央会の資料に基づいて局長の忌憚ない御意見を伺いたいと考えます。  まず質問に入る前に、長崎県の離島が非常に過疎になりまして、将来イモ作をどういうふうに転換しようかと苦慮しておったわけでありますが、局長の非常に熱心な御指導のもとにいま養蚕に切りかえられておる。したがって長崎県としてもこれを農政の柱として鋭意やっておるわけでありますから、一そうこの点を大いに将来ともに御指導賜わりますよう、まず冒頭にお願いをいたしたいと思います。並びに、養蚕を進めていくわけでありますが、最近また生糸の値段が変動しつつあるということで農家も非常に心配しているようでありまするが、この点についてもあわせて御指導願えれば幸いだと思います。  そこで質問に入りますが、この資料の第三ページ、「記」の1、いも生産者の生産安定のために国内イモでん粉の優先消化を前提とするいも類の生産目標を明確にせよ。こういうふうになっておりまするが、その点についての御見解。  四ページの三番、でん粉ブドウ糖及び精製糖の自由化は絶対にやってもらっちゃ困る。——そこは政府当局もそういう考えであると思いまするが、さらにこれに対する御意見を聞かせていただきたい。  四番目の、国内でん粉の優先消化をはかるために競合輸入トウモロコシに対する現行弾力関税制度を四十八年四月以降も延長してもらいたい。そして輸入トウモロコシ販売調整措置を強化してください。——こういうふうになっておるわけでありまするが、その御意思があるかどうか。  さらにまた現行弾力関税制度の延期は四十七年産イモ類の作付前にきめてもらいたいという要望がありますが、以上の点について局長の御見解をお聞きしたいと思います。
  81. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) このまず第一項の御質問でございますが、「いも類の生産目標を明確にすること。」ということでございますが、これにつきましては朝以来御答弁申し上げておりますように、農林省といたしましてはこのイモ生産の不安をある程度解消するために、農業生産の地域指標の試案を作成いたしまして、各地帯別のイモ生産目標をある程度明確にしている次第でございます。この生産目標を前提といたしまして各県別にただいま都道府県ごとの生産目標が、作業が急がれておるものと期待しておりまして、来年じゅうにはおおむね県別の生産目標は出そろうものと、場合によってはさらに市町村ごとの生産目標も県によりましてはできるものとわれわれ期待しておる次第でございます。その際、その生産目標を前提といたしまして、われわれといたしましては国内産のイモでん粉の優先消化ということについてはいささかも考えておりませんで、あくまでそういう線で実行してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから次に第三項の「でん粉・ぶどう糖および精製糖の自由化は、絶対に行なわないこと。」という点でございますが、国内イモ作あるいはイモでん粉というものも国内の農政上非常に重要な作物という前提に立っておりまして、これを軽々に自由化するということはなかなか問題が多過ぎまして非常に困難であるという前提に立ちまして、イモでん粉の自由化あるいはブド糖の自由化ということにつきましては、六月以来の農林省内部あるいは政府部内における作業の過程でも、直ちに自由化することはきわめて困難であるということでその自由化についてはなお慎重な態度を要するということで、ただいまそういう段階でございます。ただ精製糖の自由化の点につきましては、精製糖をかりに自由化いたしましても精製糖企業には何らかの形で悪影響を及ぼすことになるかとも思われますが、それによって国内産のいわゆる国産糖といわれる砂糖類にはいささかも悪影響を及ぼさないように措置いたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございまして、糖価安定事業団によります国産糖の買い上げ制度というものはあくまで堅持して、かりに精製糖の自由化が行なわれましても悪影響がないというふうにいたしたいと思っております。なお精製糖につきましても、手ぶらで自由化するということになりますと、一つの企業ではございますが、やはり国民経済、消費生活上重要な商品でございますので、かりに自由化いたしましても関税あるいは糖価安定事業団によります課徴金の徴収方法の弾力的な運営を行なうことによりまして、自由化による悪影響は極力これを防止いたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから第四の国産のイモでん粉の優先消化のための輸入トウモロコシにつきまず弾力関税制度は、ここに書いてありますように四十八年三月末をもちまして一応三年間の暫定措置ということで当時衆参両院におきまして関税定率法が通過している次第でございまして、四十八年四月以降の措置につきましてはただいま実は、今後検討すべき事項というふうに考えておる次第でございます。  ただ、いずれにいたしましても先ほど来の私からも答弁申し上げましたように、輸入トウモロコシの取り扱いの規制につきましては年々その強化度を加えてきている次第でございまして、かりに四十八年三月末をもちまして失効いたしましても、私たちといたしましては、輸入トウモロコシによって国内産のイモでん粉が悪影響を及ぼされることのないように今後これらの取り扱いについてはさらに何らかの改定措置を加えて、さらに今後引き続き実行してまいりたいと、こう思っております。ただ関税、この四十五年の四月に関税定率法が通ります際に、一月の関税率審議会におきまして、現在の五〇%前後のトウモロコシに対する弾力関税制度というものがはなはだ不合理だという御趣旨の審議会の意見がありまして、四十八年四月以降についてはもっと抜本的な改正を農林省事務当局は考えるべきであるというふうな附帯決議をつけられておりますが、われわれとしてはいまの制度をそのまま延長ではなかなか関税率審議会の説明はむずかしいと思いますが、これを何らかの形で一般農業の中における国産イモでん粉の発展という観点から、さらにこれにつきましていろいろな改定すべき点は改定いたしまして、はかるよう努力してまいりたいと思っております。  なお、四十八年四月からイモのいまの制度は失効するわけでありますが、四十七年産イモ類の作付前までに、この要望書には書いてありますが、われわれといたしましては現在もいろいろ検討いたしておりまして、新しい制度は当然になるべく早い機会にわれわれとしては試案を作成いたしまして、関係各位の御意見を聞いた上で関税率審議会に臨むようひとつ努力いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  82. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 そうすると弾力関税制度は四十八年の四月で失効するわけでありますが、いまの説明を聞きますと新しい方法を考えるというような御答弁があったわけでございますが、その新しい方法を農家の方々に事前に知らせるという意味にとってよろしいのですか。
  83. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) この現在の弾力関税制度をつくります際にも私ちょうどその改正のときに当事者であったわけでございますが、やはり各農業団体の方々の間、あるいはそのほかの衆参両院の議員先生方からもいろいろな御意見がございまして、その辺の意見をとりまとめてああいう案をつくったというようなかっこうになっておるわけでございます。そのときにも、いわゆる抱き合わせ制度というのは本来国内イモでん粉の健全なる発展にとってはあまり好ましい案ではない、もっと本来の筋を通した案を出すべきであるという御意見が一番これは筋の通った御意見というふうにわれわれ期待しておりまして、また一方ではあんな——あんなと言っては失礼ですが、弾力関税制度によってもう輸入トウモロコシを制限するのはおかしいと、自由にしたらいいじゃないかという御意見も、これは両極端の御意見でございました。両極端の御意見を十分に参酌しながら、結局現実的な行政措置としてはやはりこういう弾力関税制度による以外にないということで、当時関係団体とも相当意見の交換も行ないましたし、最後の場合にはあの弾力関税制度については何ら異論を申しませんというふうな念書まで実はいただきましてそしてようやく国会の御審議の協力を得られたと、こういうふうに私自身理解しておりますので、当然に今後改正するに際しましても、農林省だけの単独で暴走するというようなことはいたしませんで、十分に御意見を聞いて改定いたしたい、こういうふうに思っております。
  84. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次にカンショ、特にカンショ糖、カンショなま切り干し価格についてお尋ねをするわけでございますが、けさほど来いろいろと説明があったわけでございますが、ここに書いております資料は大体カンショにおいては価格安定法の政令附録算式によって私は積算したものと了解をいたします。  御承知のように農産物の価格安定法に基づいて、やはり農産物の生産の確保と農家所得の安定することが目的でありまするから、生産者団体とよく納得のいくような線でひとつ取りきめをしてもらいたいと思うわけでございます。ちなみに、大体私の資料から判断してみますると、昨年のカンショの団体側の要求が四百二十一円、それを四百円にしたように聞き及んでおります。またカンショのなま切り干しの場合には、昨年の要求額が千六百三十二円、これに対して千五百五十五円にきめているようであります。これはいずれも要求額の九五%強になっているようであります。私は、特に南九州長崎県の離島等は過疎地帯にあって人件費そのものが非常に高くなっておるというような立場からいたしまして、生産原価が相当高くつくというふうに考えるわけであります。そこで、少なくとも私は、去年の九五%強というパーセントを一・二%やはり上げてやる必要がありやしないかと、これは私の個人的な考え方でございまするが、いずれ近く、ここ両三日のうちに政府決定をやるやに聞き及んでおりまするが、十分この点を配慮していただいて価格を決定してもらいたいということでございます。この点について局長の御見解を賜わりたいと思います。
  85. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) このカンショバレイショ等につきまして、なまイモ並びにでん粉につきましては、まあ生産量も非常に大きいものですから、経済的な効果という意味でいろいろな意味を持っておるわけでございますが、カンショなま切り干しということになりますと、なま切り干しにつきましては、当然その原料となるべきカンショにつきましては、カンショでん粉並み、同じ原料基準価格は採択さしていただきたい、こういうことでございますが、加工賃とか、そういったことになりますと、主産地が主として長崎県の離島、五島を中心とする離れ島、陸の離れ島もまた多少ございまして、なかなかその経済効果というよりも、むしろ現在カンショ以外に何ものも作物転換が困難な地帯というようなことで、われわれといたしましても、これについては慎重な配慮を払ってまいりたいと、こう思っております。しかし、いまのままでは今後の農家の生きる道はないということで、昨年来このカンショなま切り干し生産から新しい農業への発展ということで、あるいは桑園の造成、あるいは大豆栽培、あるいはその他の野菜への転換等いろいろの転換対策をわれわれとしては講じながらきているわけでございますが、今年度も、しかし、なま切り干しが当然に出荷されますので、長崎県を中心といたしますなま切り干し生産農家に何ら悪影響のないように、しかも販売ルート等につきましても従来以上にその系統農協による出荷体制の確立ということを前提に置きまして指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  86. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 非常にわかりのいい答弁を賜わりましてまことにありがとうございます。  そこで、最後にこの政府買い入れ基準価格が決定をいたしまして売買するようになるわけでございますが、最近非常に売買時において値引きをされるというような動きがあるわけです。こういう点を聞き及びますので、農林省は特に大蔵省と、これは境のものですから大蔵省とよく相談をして、そういうことのないような行政指導をひとつやってもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 河口陽一

    委員長河口陽一君) せっかくの機会ですから、私から要望を申し上げておきたいと思うのです。  それはイモ生産農家の意見でありますが、先ほど来御議論のあったように、きめこまかい試算の上にイモ価格あるいはでんぷんの価格というものが決定をされる。ところが、試算をされた結果は、昨年でいえば、イモ価格が二百八十八円七十銭ですが、この金額が農家手取りにならぬ。そういうことからいろいろその試算をした事情を聞いてみたところ、まあ金利とか、倉敷とか、あるいは一番大きな問題はマージンの問題、そういう問題が試算をされておらぬために、でんぷん価格が決定された中からそういうものが差し引かれるために、イモ価格二百八十八円七十銭に食い込む。こういう声があるので、先ほどお伺いいたしましたところ、まだことしのでんぷんなりイモ価格の試算中との御答弁がありましたので、これから計算する上において特にお願いをいたしたいのは、単協が二%、それから県連が約一%、全販が一%というマージンがそれぞれ課せられるわけです。そのマージンがこのイモ価格に食い込む最大の要素をなしておるといわれておりますから、この際でんぶんの価格はこれらのマージンを——流通過程でこれらを取り扱う手数というものは当然かかるのですから、でんぷん価格にはそれらもひとつ考慮してことしのでんぶん価格というものをおきめいただくように御高配をいただきたい。これは希望で申し上げておきます。直ちにここで御答弁なさることにはいろいろ支障があると存じますから、意見として申し上げておきます。  次に宮崎君。
  88. 宮崎正義

    宮崎正義君 午前中来たいへん熱心な私どもの同僚川村委員の質問、それにことこまかくまじめにお答え願っていられて、長時間にわたってお聞きをしましたので、私二、三質問をいたしまして、なるべく重複を避けるようにしてまいりますけれども、中には大事な要点になりますと触れる点も出てくると思いますけれども、その点御了承を願いたいと存じます。  まず最初に、先ほど歩どまりの問題が出ておりましたけれども、ことしは御存じのように、鹿児島におきましても、宮崎におきましても、また北海道におきましても、片っ方はやはり同じように長雨とか暴風、台風等で相当痛めつけられておりまして、そうしてその作況状態も非常に低下しておりますし、また一方北海道におきましては、御存じのように冷害で相当痛めつけられておりまして、ジャガイモだけで考えていきましても、その被害面積が四万九千四百三ヘクタール、これがバレイショの被害面積になっております。これは道庁で調べたものでありますけれども、そうしてその被害見込み額が二十一億三千九百十一万三千円というふうに、被害の面があらわれております。また鹿児島のほうにおきましても、相当な被害額の被害を受けております。新聞等で報道になっております一つの例をとっていきましても、何と言うんですか、肝属郡ですか、吾平というところでは、農協の組合員の人が、千五百人の組合員の人がおります。そのサツマの生産額が年間一億円、約一万トンの、米を抜いて、畜産物に次ぐ重要産物として、これを唯一のたよりにしている。そういう農協直営のでん粉工場がこれを加工して出荷している。ところが、先ほど来やりとりしておりますアメリカの輸入でん粉で市場が一蹴されてしまうような形態になってきている。このままでいけば成り立っていかないところの問題が起きて、転作しようにもシラス地帯では、なかなか転作も骨が折れるというふうに出ておりますが、先ほど局長のお話ですと、野菜とかお茶とか、そういうものに切りかえて、宮崎方面は相当成果をあげているということでありますが、いずれにしましても、このでん粉工場の閉鎖の点を取り上げてみましても、昨年は百九十四の工場から百四十七の工場に減ったというふうに出ておりますし、このままいきますと、ますますでん粉工場は減っていくだろうというふうにも、鹿児島のほうではこういう報道をしております。かてて加えて、先ほど申し上げましたように、全体において、台風にやられ、集中豪雨にやられてきて、生産減退しているところへもってきて、製品があまりよくない。すなわち歩どまりもよくないというふうに思うわけです。  北海道の場合も同じように、九月の五日、六日ごろ、十日近く、私もずっと北海道のほうを回ってみました。清里というところ、あるいは小清水というところは、いまだにジャガイモの花が盛りでございます。一面花が咲いております。そしてすでに掘り起こして収穫しているところを今度は実際に当たってみますと、非常に奇形のバレイショが出てくる。そして種イモにもならないだろうというような現場も私は見てまいりました。花がどっさり咲けば、いいジャガイモが出るんだという、そういうふうな話もありましたけれども、ところが、当然もう収穫のときに、いまだに花が花盛りであるというような形態で、その畑を掘ってみました。掘ってみましたらば、こんなちっぽけなやつだとか、このぐらいのやつは——局長、見てください、これぐらいのイモが五つか六つ、あとはちっちゃいのが二つか三つついているという形態、こういうふうな状態を見ていきまして、先ほど歩どまりのお話がありましたけれども、この歩どまりがどのぐらいになるかということを非常に農家の人たちは憂えておりました。  こういう点から考えまして、またもう一つ申し上げたいことは、一番最初に説明がありましたように、八月三十日の道庁の資料で調べてありますものが九八ぐらいだと、こうおっしゃって、そして全体では一〇五ぐらいになるというお話でありました。でん粉というふうなことになって、また歩どまりということになってくると、私は作柄が一〇五まで上がってくるんだという安易な考え方から、北海道にしましても、九州の方面にいたしましても、安易な考えの上で作業を進められ、価格を決定されて、標準価格をきめていくというようなことでは、私は相ならぬと思う。この点どうなんでしょうか。
  89. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 御答弁申し上げます。  従来私たちのほうは、こういう原価計算をいたします過程で、でん粉の歩どまりにつきましては非常に慎重なる検討をいたしまして、歩どまりのみならず、ライマン価等あるいは試験場等のデータを集めまして検討している次第でございます。従来歩どまりの経緯等から申し上げますと、四十二年以降非常に安定的に歩どまりが推移してまいりまして、四十二年には、北海道の馬でんでございますが、一九・一、それから四十三年には一八・五、四十四年には一八・二、それから四十五年には一八・七というふうに、操業度は、その歩どまりは、技術の向上、イモ品質の向上ということもありまして非常に向上してきているわけでございます。これが昭和三十三年前後だと一五・一、三十四年には一五・八、三十五年には一五・七、三十六年には一四・六というように一四、五%の歩どまりだったものが、最近は一八%を大体下回らないというふうになってきている次第でございます。それに対しまして、織り込み歩どまりといたしましては、昭和四十年には二八・五という歩どまりで、過去五年間で一六・五%でまいりましたが、昨年初めて一七%という歩どまりに上げまして、なるべく実態に近づけたいということで、整備さしていただきました次第でございまして、四十五年の実績から申し上げますと、北海道の歩どまりは一八・七%の実績歩どまりがあった、それに対して織り込み歩どまりは一七%であったということになっておる次第でございます。ことしどうするかということにつきましては、まだ、現在、慎重に各方面の情報等をとりながら検討さしていただいているわけでございまが、この九月二十日現在におきまして、各方面から、たしか現在もうすでにでん粉すり込みが入っておりますので、ライマン価等を集めますと、大体ライマン価が例年よりも〇・五%ぐらい低いというふうな話でござまして、ライマン価等から勘案いたしますと、本年の歩どまりは、昨年ほどではないにしても、大体、まあ昨年がかりに一八・七ということで先ほど御説明申し上げましたが、昨年ほどではないが、多少〇・数%ぐらいは下がるかもわからないというような報告で、この程度のことは当然ことしの北海道の気象状況からすると、去年ほどのことは出ないが、そんなに悪いものではないというふうに判断している次第でございます。  それから、バレイショ作柄は、先ほど申し上げましたように、統計調査部の報告、あるいは北海道でん粉をすっておられます方々の報告によりますと、昨年ほどの大豊作ではないが、大体、当初一時、七、八月ごろ心配しておったような事態ではなくて、最近まあしり上がりといいますか、だんだん見込み数量もよくなって、統計調査部の一〇五%前後という非公式連絡よりも、場合によっては、よくなるんではなかろうかというような判断もわれわれは現在いたしておるような次第でございます。  それからバレイショの花につきましてちょっと御示唆がございましたが、われわれのほうの判断でも、まあ農林一号というバレイショは、ともすれば例年八月末から九月の初めごろに咲く場合もありまして、一番花のおくれとしてはおそい時期のものだというふうに理解をしておりますが、ことしは先生ごらんになりましたように、多少やはり気象等によりまして、花の盛りは一週間ないし五日前後おくれているやに聞いている次第でございます。
  90. 宮崎正義

    宮崎正義君 局長は北海道にお行きにならないのじゃないかと思うのですが、実際は歩いてみますとたいへんなんです。報告が九八から一〇五くらいにだんだんよくなって、前回最初に報告されたものよりかだんだん変わってきたというふうな知らせを受けたお話だけでございますので、実際ごらんになりますとよくわかるのじゃないかと思うのですが、ジャガイモをつくっている地域というのは、もう大体大々的につくっているところというのはさまっているわけです。そのきまった地点で、私はその地点を見てきてからの話でございますので、だいぶその見込みが違うようにも考えられますし、また平均反収ということ、これもとらえ方というものが問題だと思うのです。本農水委員会でも平均反収についてやりとりがありましたけれども、この平均反収の出し方にも相当議論の余地があると思うのです。私は平均反収の議論なんかその次にしてきょうは抜きにしておきますけれども、この見方から案画をしていくというふうなことも、私はこの際御注意を申し上げて、実態をよく知って、個人差が非常にあるということ、またその産地であるその地域においても相当な違いがあるのだという、そういうことを承知しておかれた上の私は指導なり、あるいは育成なりをしていかなければいけないのじゃないかと、こういうふうに思うわけです。ですから、実際その土地にいる者と東京で考えてやられるようなものとはちょっと違うんじゃないか。ですから、その点を一応念のために申し上げておきたいと思うのであります。  ですから、今後の集計につきましても、その点を御考慮をなさってから、あいつがああいうことを言ったということを御考慮に入れられて、そうして先ほど来からやりとりしておりましたその基準価格におきましても勘案をされなければいけないんじゃないか、こう思うわけです。そういうまた痛めつけられた農家の人たちが現金収入もなくて困っているという実態等も踏んまえられてから、工賃の問題にしろ、あるいは運賃の問題にしろ、原料の問題にしろ、税制の負担額の問題にしろ、そういうものを勘案されて物価指数の参酌をするという、参酌ということはそういうところを参酌しなければいけないのじゃないかと思います。先ほど委員長もお話がありましたように、二百八十八円七十銭で昨年のバレイショはきめたけれども、そこからさらに実際その手元には入ってこないのだということ、そういうことなんかもまことに大事なことだと思います。こういうふうなことも添えて、私は歩どまりの問題、あるいは基準価格の問題についてはこれ以上申し上げませんけれども、この点をひとつしっかり御考慮の上で御配慮を願いたい、こう存ずるわけですが、いかがでしょう。
  91. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま御指摘いただきましたように、私たち極力精細に現地のニュースなり、情報あるいはデータ等につきましてはとっているつもりでございますが、いずれにいたしましても東京におりましての話で、北海道から出てこられる方々の感触とは、あるいは私の話しぶりからいたしますと、多少感触が違うのじゃないかという点につきましては、十分に今後心がけまして、なお詳細なるデータをとりまして行政に間違いのないように実行いたしてまいりたいと思っております。なお、その基準価格あるいはその他のでん粉価格のきめ方につきましても、十分に当委員会の御意見等は尊重いたしながら、政府としては適正な価格をきめるよう努力いたしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  92. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、でん粉工場が、先ほどの鹿児島の例をとりましても、一部分の約五十工場も閉鎖しているような状態でございますが、日本全国でどのようになっているか、閉鎖及びその負債額等それらがわかれば幸いですが。
  93. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 特にカンショでん粉工場につきましては、このイモが、きょうお話し申し上げましたように、かつて全国に散在というよりも全国にございまして、そして最大面積がある時期には四十万ヘクタール近い面積もありましたのが、十分の一に減ってきた現状からいたしますと、でん粉工場もそれに伴いまして相当当時日本じゅうに乱立したわけでございます。その後やはり自然に淘汰され逐次減ってきておったわけでございますが、最近とみにこのでん粉工場の合理化と、先生方もカンショでん粉工場をごらんになるとおわかりになると思いますが、もうほんとうに近代的なりっぱなブタ小屋よりもなおきたないようなカンショでん粉工場が全国にありまして、相当古く老朽化したでん粉工場があるものですから、こういうものを近代化して何とかしたいということから、近促法にのせてカンショでん粉の工場の合理化をはかっていかなければならないというふうになったわけでございます。  それで、まあ四十三年には私たちの統計では全国で六百七くらいありましたでん粉工場が、四十五年には三百五十九に減ってまいりまして、さらに四十六年には二百九十から三百くらいというふうにことしの操業工場を予想しておるわけでございます。それで、ことしまた五、六十工場減ったものですから、まあいろいろ問題にはなっておりますけれども、さらにそのうち近促法を適用している県というものがございまして、そういうものは四十五年には三百四工場あったわけでございますが、ことしはもう少しさらに二百台に落ち込むのではなかろうか、こういうふうに判断している次第でございます。  で、馬でんの工場につきましては、これも北海道に主として昔あったわけでございますが、四十三年には全部で二百三十七工場ございまして、そしてそのうちホクレンを中心とする近代的な農協経営の合理化近代化工場というものはそのうち四十二あったわけでございます。それに対しまして旧式の在来型といっておりますが、在来のでん粉工場は逐次減ってまいりまして、全体として二百三十七から四十四年には百九十二、それから四十五年には百三十二、四十六年には本年は全部で大体百三十工場というふうになって、これも馬でん工場は約半減となっているわけでございます。それに対しまして合理化近代化工場のほうは、四十三年には四十二あったものが四十四年には四十四になりまして、これが全部現在合理化工場として存在しているわけでございます。  北海道の場合は、バレイショ生産につきましても、技術の向上等ございまして、いわゆる基盤といいますか、ルートに乗ったと。さらにでん粉工場につきましても、この大型の合理化工場というものができまして、精糖工場にまさるとも劣らぬようなりっぱな工場ができまして、これによって北海道バレイショ並びにバレイショでん粉のあり方というものは安定したのではなかろうかと、こういうふうに判断しておりますが、カンショでん粉のほうはどうももう一つ軌道に乗りかね、かつまたなかなか近代的な工場経営というものをつくり出すにはいろいろ問題点があり過ぎまして、われわれといたしましても、鹿児島あるいは宮崎の各県の方々にはぜひ北海道を見学し、かつまた北海道のような近代化工場をつくるならば農林省として大いに応援するが、というお話をしておりますが、もう一つ日の目を見ずに現在なんとなくまあ縮小しておりますことにつきましては、われわれも非常に遺憾に存じておる次第でございます。
  94. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま局長のおっしゃるとおり九州方面はただ痛めつけられて減っていくだけで、非常な窮状であるということは私も承知しております。  それからさらに北海道の件はお説のとおり、近代化工場等がずいぶん発達しまして生産量なんかにおきましてもすぐれておりますけれども、これがまた一面考えますと公害という問題になってまいります。昔はその廃液のでん粉がまたこれは肥料にもなったというぐらいに、分散されてあったわけですが、一面助かっていたわけですが、ところが今日では集中化されて、いまのお話のように合理化され、近代化されてその工場が大きくなってきて、出すものも、排出物も多くなってきて、他に影響を与えていることが、すなわち公害問題として随所に取り上げられてきているわけであります。これで泣かされているのはやはり国民全体であり、つくられている人自身もこの公害問題には泣かされているわけであります。こうした実情を見まして、きょうは環境庁の人も、課長さんも来ておりますが、これに対するでん粉工場の河川の水質を保全をしていくためにもこのでん粉の廃液処理施設のことをどのように環境庁としては取り上げていくかという点をお伺いいたしたいと思います。
  95. 河野義男

    説明員(河野義男君) 水質汚濁防止法によりましてでん粉工場から出る廃液につきまして規制をいたしておりますが、でん粉工場につきましてはでん粉工場の実態を考慮いたしまして暫定基準を定めておるわけでございます。暫定基準は一律基準にくらべましてゆるやかな基準を一定期間適用するわけでございますが、その期間に処理施設を整備し、あるいは処理技術を開発いたしまして排出基準に適合した汚水の処理をしていく、こういうふうに考えているわけでございます。
  96. 宮崎正義

    宮崎正義君 できたばかりでございますから、全国の現場を見ていらっしゃいと言ってもなかなか容易じゃなかろうと思いますが、いまお話がありましたように、北海道なんか、これは数少ないのです。まことに近代化されまして非常に少なくなってまいりました。調査しようと思えば、やる気になれば一日か二日あればできることなのです。実態の把握ということが何よりも大切じゃないかと思うのです。そのためにできた環境庁でありますし、長官みずからがあっちへ飛びこっちへ飛びして、いまばさんばさんと大きく手を打っておられる。まことにみごとな活躍をなさっている。そういうふうな面から考えまして実態調査というものをすみやかにやっていただいて、そしてその万全な公害防止ということに力を入れていただきたいと思うのです。と申し上げますのは、飲み水としての湖のそばにあるでん粉工場が廃液を出しておるためにモが枯れて魚がいなくなってしまう。しかもその水をわれわれが飲まなければならぬということになっている。そういうふうな事態も随所にございます。なお、いまは北海道のことを申し上げましたけれども、九州の場合におきましても同様のことが言えるわけであります。こういう点につきまして実態調査の上に、どう助成をしていくか、補償してあげるかということになるだろうと思うのですが、この点について詳細に、いま私の申し上げたように、個々にこういうふうにやるのだというお考えがあるかどうか。
  97. 河野義男

    説明員(河野義男君) 公共用水域の環境基準の設定、それからそれを維持達成するための排出基準の上乗せ基準の設定、そういった問題になるわけでございますが、現在公共用水域につきましては、四十七の検査水域は政府が環境基準を設定することになっております。それ以外の公共用水域につきましては、都道府県知事が環境基準を設定することになっております。環境庁といたしましては、まず公共用水域の汚染の著しいところ、またそのおそれのあるところを優先して取り上げて環境基準を設定し、またそれを維持達成するための上乗せ排水基準の条例の制定を急いでおるわけでございます。個々の公共用水域につきまして環境基準を設定し、あるいは上乗せ排水基準を定める場合には、当然その河川の実態を調査した上で行なってまいるわけでございます。現在環境基準につきましては八十二水域設定されておりますが、必要あるところにつきましては環境基準設定を促進してまいりたい、かように考えておるわけでございまして、そのための調査を現在いたしておるわけでございます。
  98. 宮崎正義

    宮崎正義君 私がそのお考えの中に一つ入れていただきたいことは、関係の知事に一任をするということでなく、やはり積極的に乗り出していって、そうして手の届かないところを指導して、適切な考え方をきめさしていかなければならないというふうに思うわけです。と申し上げますのは、私は洞爺湖の湖水の問題なんか三回くらいもう取り上げているわけです。これがいまだに片づいていない。これは年限からいきますと、もう四年も五年もなるはずですが、いまだにこれが解決されていないというような——これ指定になっております。確かにいまおっしゃられた指定水域になっておりますけれども、いつもこうやって質問をして答弁をしていただくと、すみやかに、すみやかにという声だけは聞くわけなんですが、回答のことばだけはすみやかなんですが、実際がひとつもはかがいっていないというか、こういうところに国民は泣いているわけです。したがいましてこういう点も留意をしていただかなければならない。こういう見地から、直ちに、まかしておくからということではなく、行っていただきたい、こう私は要請するわけですがね。
  99. 河野義男

    説明員(河野義男君) 洞爺湖の問題につきましては、現在北海道庁におきましてでん粉工場からの排水の処理も含めまして汚濁防止対策の基礎資料を得るために調査が行なわれておるわけでございます。そういった調査をもとにし、また積極的に北海道庁を指導いたしまして、洞爺湖の環境基準の設定あるいは汚濁防止につきまして取り組んでまいりたい、かように考えております。
  100. 宮崎正義

    宮崎正義君 どうもありがとうございました。もうけっこうでございます。なお、きょう申し上げましたことをどうかひとつお忘れなく、一日も早く実行していただきたいということを要望しておきます。  いろいろ私もでん粉問題等には問題点を持っているわけですが、先ほど川村委員のほうから北海道の五十二年までの畑作の計画等も伺いました。その中の、このビートなんかも相当量ふやすという話を伺っておりました。五十二年になりますと、七万八千百ヘクタールですか、四十五年が五万八千六百八十五ヘクタールというふうにいわれておりまして、これだけの、早く言えば増産計画といいますか、非常にけっこうだと思いますが、ビートの製造限度量というものを、やたらにビート、ビートと言って、ふやしていきますと、これまた加工していくのにどんなふうになっていくのか、加工工場とにらみ合わして、また需給の問題に関連して、どれだけの計画を立て、どれだけを限度にしていこうとしての五十二年に対する考え方であるかどうか、こういう点をちょっと伺っておきたいと思います。
  101. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 国内甘味資源の振興の一つといたしまして、北海道のビート生産ということにつきましては、われわれは非常に力こぶを入れておる次第でございます。したがいまして、この北海道のビート農業も北欧から輸入いたしまして以来五十年をこえる年月を経たわけでございますが、最近二、三年の北海道のビート農業の発展は、非常にこれも安定的に推移いたしてきておりまして、昨年はバレイショと同様に北海道の好天候に恵まれまして、大豊作であったわけでございまして、このてん菜糖のあれも大体去年は四トンをこしたようなかっこうになっておるわけでありますが、現在の平均的な水準としては三・五トンくらいが平均的な数値ではなかろうかと、こういうふうに考えております。しかも、ことしの冷害におきましても、このバレイショと同様にビートのほうがさらに安定的な地下——いわゆる根菜類ということで、地下に農作物ができるということもありまして、冷害にもかかわりませず、いまのところ作況予想も一〇五を上回る、場合によりましては平均指数よりもずうっと上回って、さらにもっとよくなるんではないか。やっぱり九月、十月の天候が最後の仕上げでございますので、それまでにはもっとよくなるんではなかろうかというふうに、われわれ判断している次第でございます。そういうこともありまして、地域指標にはビートの生産拡張面積は入れませんでしたが、私たち農林省といたしましては、道庁に強く申し上げまして、ビート農業の発展ということにつきましては、今後大いに努力してまいりたい、面積も大いに、てん菜糖の面積は先ほども申し上げましたように、七万八千ヘクタールにいっても十分だということで、振興をはかってまいりたいと、こういうふうに思っております。  で、この工場をどうするかという御意見でございますが、むしろわれわれといたしましては、現在、ほぼ各工場とも整備を終えまして、昨年は根室に日甜を中心といたしました大新鋭工場が一つ新設されたわけでございますが、ことしはホクレンが北のほうに、従来の磯分内にありました工場を日甜から譲り受けまして、移転というよりも改築に近い工場を一つつくられまして、新年度から操業開始ということで、大型化  日本のビート工場は従来少しまあ腰がふらついておったという、表現はおかしいですが、十分なものではなかったので、ヨーロッパ並みの大型の工場が少なかった。むしろヨーロッパに比べますと、中小工場だということで、それでは操業度が悪くて、さらにコストも高くなるということで、こういう装置産業につきましては極力大型化であるほどコストが安くつくということで、この国内産のビート生産で、でき上りました砂糖につきましても貴重なる国民の税金あるいは糖価安定事業団の課徴金によりまして国内産砂糖産業の保護をはかっている観点もありまして、やはり一日も早く合理化目標価格に近づけることがわれわれの努力でございまして、年々多少ではありますが、最近の一般の物価の一割も上がる情勢下においては、なかなか引き下げるということは困難ではありますが、少なくとも合理化目標価格には近づけていくという努力を年々いたしておりまして、これは一日も早くヨーロッパ並みのビート農業にまで達成すればもうそういうことも可能ではなかろうか。これはバレイショと同様に、もうヨーロッパ並みの国際水準に近づいているというよりも、もう大体到達したというふうにわれわれは理解している次第でございます。  この観点から工場の新設ということになりますと、まだまだ増設ということについては、ただいまの段階ではわれわれは考えていないのでございまして、将来面積収量の増加がありましても、現在の工場の手直しで救えるというふうに理解しておる次第でございまして、またさらにいろいろな北海道農業生産のあり方等から、根釧原野にさらに大ビート地帯をつくるというような時代にでもかりになりますれば、またそこであらためて検討ということになるかと思いますが、現在の地域での生産であります限りは、おおむね現在の工場のあり方でまかなえるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  102. 宮崎正義

    宮崎正義君 将来の見通しの、先ほどお伺いしたのですが、限度収量というものはどれくらいに押えておられますか。
  103. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま申し上げましたように、昨年は四トンをこしたのでありますが、ただいまの見通しでは、五十二年の見通しを三・九トンというふうにおいておるわけでございます。ことしは大体三・五トンくらいというふうに理解しております。  で、ことし稲作転換で、多少ビートを稲転のあとへ実験的に入れたわけでございますが、実験的に入れた地帯は、まあこれは普及員等が付きっきりで指導したこともありますが、非常に好成績で、四トンをはるかに上回ると、場所によっては七トンとれた、八トンとれたというような報告等も来ておりまして、本年度本ビートの収穫終了後におきましてはそのデータを十分に取り寄せまして、来年以降この水田あと地帯にビート農業を入れていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  104. 宮崎正義

    宮崎正義君 だいぶん時間もたちましたので、私はまだほかにもございますが、最後に希望、要望等を申しまして終わりにいたしたいと思います。  先ほど来の法律の問題の上からさんざん川村委員もおやりになっておられましたけれども、その中において希望を申し上げたいのは、あくまでも算定方法というものは、農家の今日まで与えられてきておる資本の利子だとかあるいは運賃だとかあるいは家族の労働評価だとか、あるいは租税公課、諸負担等、そういうものが各農家では当然算定基準の中に入れられての計算でなければなりませんし、法の上では先ほどもありましたけれども、日本銀行の卸売物価指数によるという、これを参酌してやっていかれるということでありますが、あくまでも実態に即した、現在の農家の生活の立場の上に立ってのやはり参酌でなければならないと思うのです。そうしませんと広く農家の生産意欲を落としていくという形になってまいります。したがいまして農産物価格安定法の根本の目的、それを参酌されてから、農家が安心した価格において次の年も仕事ができる、こういうふうにしむけていかれることを希望して私の質問を終わりたいと思います。
  105. 河口陽一

    委員長河口陽一君) この際おはかりをいたします。  委員外議員柴立芳文君から発言を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 御異議ないと認めます。柴立芳文君。
  107. 柴立芳文

    委員以外の議員(柴立芳文君) たいへん貴重な時間で恐縮でございますが、私、小委員会の皆さん方と荒勝局長の間での質疑応答の中で大部分承知をいたしたわけでありますが、二、三わからぬ点がございますので、この際お許しを得てお聞きをいたしたいと思います。  まず、私、この小委員会の先生方の御発言の中で、私は鹿児島県の大隅半島のほうから出ておりますものですが、先ほど宮崎委員のほうからもいろいろ例を引いてお話いただいたわけでありますが、全くそのとおりでございます。そこでまず第一に局長にお尋ねいたしたいのは、まあ長期目標と申しますか、生産目標というふうなものを、先ほど川村委員のほうからの御質問の中で、五十二年度を目標にしてお話があったわけでありますが、この計画と申しますか目標を見ますというと、まあ従来の経緯につきましては私も県会に長くおりましたので十分承知をいたしておりますので省略さしていただきますが、今後の問題については北海道の馬でんを、作付七万ヘクタールで十アール当たり反当三トンとして二百十万トンを限度収量に持っていきたい、こういうふうに御説明になり、南九州の私のところでは五万二千ヘクタールを目標にして二・四トン程度の生産を目標にして百二十三万トン、こういうふうな御説明があったわけであります。そうしますと、まず第一に作付面積も問題でありますけれども、南九州を熊本、宮崎鹿児島とした場合に、現在の四十六年度の推定の作付面積は五万三千六百三十ヘクタールですから、現在ではまだ反当二千キログラムになっておりません。したがって、二・四トンというふうな目標のもとに百二十三万トンくらいを目標にしている、こういうふうなことで私もよくわかったわけであります。したがって、その場合、昭和五十二年度のでん粉の総合需給の総量と申しますか、四十六年度の推定では百十六万トンくらいで、コンスが六十万トンというふうに推定をされておるわけでありますが、先ほど百二十万トン程度の需給見込みを言われたように聞いておるのでありますが、その場合にコンスの使用推定量をどういうふうに見ておられるのかという点であります。  それから、時間がありませんので一ぺんにお願いいたします。その場合に、現在四十五年度の平均でん粉価格の場合に、三十七・五キロ当たり、甘でんで二千四百三十六円という数値が出されておるし、馬でんで二千七百三十四円、コーンスターチで二千三百六円ということでありますが、この場合にいま御説明にあった、総合的に考えますと、農産物価格をそのまま維持していくというような推定のもとに関税というようなものも——いろいろな御意見も御発表になりましたように、生産に対しましてはいまの、何と申しますか、関税審議会の意向等もこれあり、というようなお話でございましたので、そういう点も問題はあろうとしても、支障のないような処置をしていきたいというふうな御意見のように聞き取ったわけであります。したがってまあ大体推定ができるわけです。その場合に、コーンスターチのいわゆる価格というものをどういうふうに見ておられるか。そしてコンスの価格というものが関税等の問題を現行のままに考えた場合に、それとひとしいような対策を練っていただいた場合に、コンスの原料、いわゆるトウモロコシの値段というものがどういうふうな価格で入ってくるというふうにお考えになって推定されているのかという問題であります。その点お聞かせ願えれば幸いだと思います。  それから価格についてでございますけれども、先ほど川村委員のほうからのいろいろな御意見によりましてよくわかったわけでありますが、私どもが全国農業協同組合中央会からいただきました政令附録第一による推定値の中で、分母が、四十五年の九月から四十六年の八月までの平均パリティ指数と三月までの平均パリティ指数が、八月までのものをとった場合においては分母が大きくなっている。三月までのなら小さくなっているというふうな、これは専門的な数値だろうと思うのですが、どうしても私にはこれがよくわからないのです。ですからそれが簡単にわかれば教えていただきたいと思います。  それから価格の問題についてでございますけれども、初村委員からもお話がございましたように、政令附録第一による一式算定値というものが基準であるのだ、ただしそれに附録第二式と申しますか、それに生産費というふうなものを勘案してきめたい、こういうことで、従来と変わらないと思うのでありますけれども、その場合に馬でんの場合におきましては、むしろ引き下げの要因が出てくるのだ、こういう説明でございます。  先ほどもお話にあったのですけれども、私はどうもこの日銀の卸売物価指数という平均値を出されるということについて、非常に実情にそぐわないと思っております。先ほどもお話があったんでありますけれども、農家は生産して、いわゆる基準価格、標準価格をきめていただく。それで、農家がほかのものを買う場合はみな小売り価格で買っているわけですね、農家からみるというと。実際いえば売るものはこういうふうな算定値の中で計算をされている、標準価格をきめられる。そして農家が買うものはほとんど卸売り価格でなくて小売り価格で買っている。これがまあ実態だと思う。そこでどうしても、いまの経済成長の発展の中で生産費を要するに附録二式に加えればバレイショも下がる要因が出てきます。これは一つの数値から出されるのでありますけれども、その数値がどうも理解できないわけです、私は。そういう点がございます。  それから先ほど北海道の議会の方から、例外的なものを加味してほしいという陳情がございました。お聞きのとおりでございます。また先ほどは川村委員のほうから、南九州におけることしの集中豪雨や台風が二回まいりました、そういうふうなことについてもお触れいただいたわけです。したがっていまの初村委員の御意見じゃございませんけれども、過疎の問題、そして農政の問題に発展するわけですけれども、どうも農政と過疎とはうらはらであることは御承知のとおりであります。米は生産制限する、そしてそのかわりにイモをつくるというふうなことに対して、もう少し農政の面から考える必要があるのではないか。過疎というものに対する問題、まあ局長からいえばこれは別な問題だとおっしゃるかもしれない。しかし私どもは農家の経済面からいって、食えないからどうしてもそっちのほうに出かせぎにいく。そして過疎の現実がスピーディに運ばれているということは御承知のとおりであります。  そこで価格の問題について、私はやはりそういう点の農政上の問題、過疎の問題、そういう点は、私は委員会が地方行政委員会に属しておりますので、先般来、この沖繩の復帰に伴う奄美の振興計画の改定について質問いたしたのでありますが、その中でいわゆるサトウキビの価格の問題について、昨年度百六十円かけていた。非常に少ないのじゃないかというようなことで、ことしは製糖工場が操業中止というところも出てまいりました。まことに問題が多いのであります。まあ沖繩の場合は砂糖工場も非常に大きい規模になっておりまして、いわゆる近代化、合理化ということで、局長のお話によりますと、大型の工場に切りかえていきたい。それに対して鹿児島県なんかが協力するならば援助をしたいというふうな発言まで伺ったわけです。そこで、そういう観点から、価格の問題についてはそういうことも勘案していただきましてひとつおきめ願いたい。これは要望であります。  さらにまた公害の問題について、宮崎委員のほうからいまお話がございましたが、私はこれはどうも昔からでん粉工場をよく知っておりますが、水質汚濁による水質の公害というふうなことが騒がれておりますが、もう少し国や県が協力をしていただきまして、第一次食糧の加工産業におきます廃液というようなものは、近代工業の工場の廃液と違って、これは私はいろいろ試験場とかあるいは農林省が県とタイアップしていただきまして、何とかこの公害対策というよりも、そのものをば利用していくという方面にひとつ進めていただきたい。そういうふうなことがいま必要ではないのか。でん粉工場の場合も大型になっていく、あるいは水質をきれいにしていくという操作だけではなくて、それをいわゆる魚、川魚、そういうふうなものを養っていく飼料にするような、化学的に変化させるようなふうに考えられないかどうかという点、これは質問でありますけれども、以上三点について御見解を承りたいと思います。
  108. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) まず第一点から申し上げますと、このコーンスターチを含む将来の需給計画はどうかという御意見でございますが、われわれのほうの農林省で発表いたしました農産物の地域指標ということで、これはあくまで第一次農産物のいわゆる原料といいますか、ほんとうの農産物自身の植栽の面積を大体知らせるというようなことでつくったものですから、いわゆる二次加工といいますか、加工農産物についての需給計画というようなことでは、今回のあれでは公表はいたしていないわけでございます。これにつきましては、衆議院の委員会でもぜひでん粉自身のいわゆる長期の需給見通しをつくるべきではないかという御指摘もあったわけでございますが、これは単なるでん粉だけというわけにはいきませんので、今後将来のほかの農産物、まあ砂糖につきましても同様でございますし、あるいはその他ほかのトマト製品等、いろいろ勘案して、あるいは農林省内部で検討することになるかもしれませんが、現在の段階ではそういう作業はいたしていないということでございます。  それで、しかしそれとは無関係な話でございますが、われわれといたしましてはでん粉の将来の長期の見通しというものについては、まあ過去五年ほどはある程度ピッチが上がって、このでん粉消費量が非常にふえてきたのでございますが、最近でん粉への依存度が何となく低下ぎみといいますか、全体としてのでん粉消費水準は横ばいもしくは下回ってきている。行く行くは大体百三十万トン、五十二年には百三十万トンいくかいかないかという感じを持っているわけでございまして、こういうことでわれわれといたしましてはバレイショでん粉につきましては、大体先ほどから御指摘ございましたが、バレイショでん粉の一つの固有用途として、大体二十五万トンくらいが販売するにはちょうどいい。バレイショでん粉は、ともすればどうも甘味用というか、水あめにはあまりなじまないというか、どうもあめ屋があまり好まないような傾向がございまして、これはやはり非常に好まれておりますいわゆる魚からつくりますかまぼこ、あるいはそういった水産練り製品の系統に一番好まれておりますので、この辺を中心に今後販路を確保してまいりたい。さらに加工でん粉等いろいろな複雑な処理過程を要するでん粉には、バレイショでん粉は比較的高級だといわれておりますので、そちらの方向を中心に振り向けるという指導方針を立てておりまして、大体二十五万トンくらいできますれば、それが一番需給バランスとしては合っているのではないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。あとバレイショは非常に食用への依存度が今後高まってまいりますので、今回の農林省の試案でも、内地のバレイショに対する期待よりも北海道食用バレイショヘの依存度というものを今後強めていくという考え方を持っているわけでございます。  それからコーンスターチをどう考えておるかということにつきましては、実はまだそこまでの試算も何もしていないのでございますが、われわれといたしましては、必要量を国内でん粉でまかなうという前提で、不足分を輸入コンスターチあるいはタピオカでん粉に依存するという考え方を立てているわけでございますが、最近のコンス工場のあり方からしても、どうも企業としては減っていくほうが多いように見受けられておりまして、今後あまりコンスの大増産計画というものは出てこないのではないか。むしろコンスターチからもっと加工度の高い食用以外の接着剤とか、さらにそのほか私どもとしてはわけのわからないいろいろな工業生産物の加工にコンスターチが向くのではないだろうか、こういうふうに考えている次第でございます。  先ほどちょっと御質問もございましたが、コンスの値段でございますが、最近の時点だと、大体トウモロコシが一トン六十ドルくらいで入ってきているわけでございます。これでコンスターチをつくりまして、一六%の関税を前提といたしますと、トンあたり四万円というふうに考えられるわけでございまして、ただトウモロコシの値段が非常に国際商品でありまして高低がありまして、昨年高いときにはトウモロコシの値段は八十三ドルもいたしまして、これでつくりますでん粉値段は五万円をこえる、こういうふうに御理解願いたいわけでございます。そういうふうにコンスターチ値段は今後起伏はありますけれども、五十二年ということになりますと、外国のトウモロコシは国内産の農産物と違いまして大体過去そんなに上回ってこない。むしろ国際商品として変動きわまりない相場商品でございまして、上がったり下がったりいたしますので、どうなるか五十二年の見通しはわかりませんが、まあいずれにいたしましても、五十二年には八十ドルと六十ドルの間のどっかの地点にあるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。最近トウモロコシに対するえさの需要が強いので、アメリカのみならず南アフリカ、あるいはメキシコ、最近では日本が東南アジア方面に開発輸入を今後行なうというようなことになっておりますので、トウモロコシの供給は今後なおふえていくのではなかろうか、こういうようにえさ用トウモロコシを含めてふえていくのではなかろうかと考えております。  それから値段を建てるに際しまして、冷害を大いに加味する、あるいは南九州では集中豪雨を十分に配慮してもらいたいという御意見でございますが、まあカンショにつきましても、われわれといたしましては、決して南九州カンショはやはり南九州においては現在の時点においては欠くことのできないシラス地帯の一つの重要な農産物として十分尊重しておりますので、これについてはなお今後とも地域特産農業推進事業等の事業を大いに導入することにより、あるいはさらにもっと大きな広域産地形成事業というふうな事業を投下することによって、南九州カンショでん粉の存続、発展をはかっていきたいと、こう思っております。  なお稲作転換対策事業では、われわれとしましては稲作からカンショヘの転換につきましては、従来と同様に三万五千円の転換奨励金を支払うことによってカンショの増産ということは十分われわれとしては受け入れる用意のある予定でございます。  それからこの第一次産業の廃液利用の点でございますが、まさに私たちもただいまの御意見と同様でございまして、北海道におきましてはすでにこの廃液を公害防止という観点で、ただ単なる回収するというだけでなく、すでにえさ化——家畜のえさ化という利用をはかることによって——そういった回収装置を設けることによって多少コストは高くなっている点もございますが、逐次設備の整備とともにこのでん粉産業が公害から何となく守れるように逐次なりつつあるというふうに理解しております。その中でも相当な——まあこの二年間ほどの間に地方競馬協会から、われわれのほうからごあっせん申し上げまして助成金を出すことによって、廃液のいわゆるえさへの利用化ということで、まあ有効なたん白質を回収してこの廃液を利用する方向でいま盛んに進んでおりますので、今後こういうことについてカンショでん粉につきましてもさらに進めてまいっていきたいと、こういうふうに考えております。
  109. 柴立芳文

    委員以外の議員(柴立芳文君) 要望を二つだけ申し上げて終わります。  まあ局長さんが先ほどから、コンスは、国内産を中心にして考えて、不足分を充てるとおっしゃるのだけれども、どうも国内産の馬でんにしても甘でんにしてもたいへん下降線をたどって、コンスのほうが上がっているという推移から見まして、やはりこの問題については南と北の端というようなことを十分お考えいただいた上での長期展望というものを立てていただきまして、そして安心してつくれるようにお願いを申し上げたいと思いますが、さらにことしの支持価格、標準価格等の決定等につきましては、すでに事務当局から配付されたもので、第一式のパリティによりますと、四百十円、四百十六円、二百九十六円、三百円と、こういうふうに出ている。それからいわゆる附録第二式の生産費というものを加味されるわけでありますが、少なくともいまの物価指数、賃金の上昇、そういうふうなものは現実に農家にとりましては、過疎の地帯におきましては、極端な労賃の値上がり、そして物価指数におきましても御承知のとおりでございまして、いわゆる日銀の卸売物価指数というふうなものが、私ども生産農家側からいいますというとよく理解できない。したがってその辺十分御配慮いただきまして、十日前後に農林大臣が決定されるということでありますので、十分ひとつ御配慮願って、まあ何とか見通しのつく、希望の持てるひとつ標準価格を決定していただきたいということを御要請申し上げまして終わります。ありがとうございました。
  110. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会