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1971-08-02 第66回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月二日(月曜日)    午後一時四十分開会     —————————————    委員異動  七月二十三日     辞任         補欠選任      小笠 公韶君     柳田桃太郎君  八月二日     辞任         補欠選任      沢田  実君     塩出 啓典君     —————————————    委員長異動  七月二十四日田口長治郎委員長辞任につき、  その補欠として柳田桃太郎君を議院において委  員長選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 安田 隆明君                 上田  哲君                 水口 宏三君     委 員                 源田  実君                 世耕 政隆君                 田口長治郎君                 細川 護煕君                 山本茂一郎君                 山崎  昇君                 塩出 啓典君                 峯山 昭範君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  西村 直己君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁経理局長  田代 一正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事選任の件 ○連合審査会に関する件 ○国の防衛に関する調査  (自衛隊機全日空機に対する空中衝突事故に  関する件)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会開会いたします。  最初に一言ごあいさつを申し上げます。  私は、このたび、はからずも内閣委員長選任せられました。本委員会につきましては経験も浅いことでございますし、その上微力でございますので、さだめし皆様方に御迷惑をかけることも多大であろうと考える次第でございますが、ただ誠意をもって公明に委員長の職責を果たしたい決意でございます。どうか格別の御指導協力を賜わりますよう、お願いいたします。  田口委員長から発言求められておりますので、これを許します。
  3. 田口長治郎

    田口長治郎君 私、二期にわたりまして内閣委員長をつとめさせていただいたわけでございますが、最も不適格な委員長と自分でも考えておりますが、その間、皆さん方の非常な御同情、御支援によりまして、何とか無事につとまりましたことを、この席を借りまして簡単でございますが、お礼を申し上げる次第でございます。(拍手)     —————————————
  4. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、理事選任を行ないます。  ただいま理事に一名の欠員を生じておりますので、その選任を行ないたいと存じます。  その選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議がないと認めます。  それでは、理事町村金五君を指名いたします。
  6. 町村金五

    町村金五君 どうぞよろしく。(拍手)     —————————————
  7. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、連合審査会に関する件についておはかりいたします。  全日空機自衛隊機衝突事故について、運輸委員会及び交通安全対策特別委員会連合審査会を開催することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 異議はないと認め、さよう決定いたします。  連合審査会開会の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  暫時休憩いたします。    午後一時四十三分休憩      ——————————    午後十時三十三分開会
  10. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動についてお知らせいたします。  本日、沢田実君が辞任せられ、塩出啓典君が選任されました。     —————————————
  11. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 自衛隊機全日空機に対する空中衝突事故に関する件を議題といたします。  西村防衛庁長官から発言求められておりますので、これを許します。
  12. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 委員長はじめ委員各位につつしんでごあいさつ申し上げます。  私、このたび、はからずも防衛庁長官を拝命いたしました。きょうの午後、天皇の御認証をいただきました次第でございます。  今般、航空史上未曾有の大きな事故、また自衛隊にとりましてもたいへん大きな最大事故を起こしまして、多数のとうとい人命を失いましたことに対しまして、なくなられた方、並びに御遺族、また国民各位に対しまして深くおわびをする次第でございます。  ことに、今日非常に近代的な、すべての状況が進んでいる中に、特に空の交通輸送事情というものが非常にふくそうしておる中におきまして、ああいう最大事故を起こしました。これに対しましては、それぞれの機関がそれぞれの原因を探求されますが、同時に政治責任としましても、前長官が職を辞されたあとでございます。したがいまして、私としましても、これに対しまして深い責任を感じながら、今後の、国民に対して期待されると申しますか、国民に奉仕する自衛隊、こういう考え方で自衛隊最高指揮官総理大臣のもとに運用にあずからしていただきたいと思うのでございます。きわめて未熟な者でございますが、委員長はじめ委員各位の御指導なり御鞭撻なり御嚮導を賜りたいと思う次第でございます。  重ねて遺家族の方々に対し、心からおわびを申し上げると同時に、なくなられた方に対しましての御冥福を心から祈る次第でございます。  なお、事故状況等につきまして、先般来政府に対しましてお求めがあったように伺っておりますが、諸般事情からおくれておったことに対しまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。
  13. 上田哲

    上田哲君 ただいまのごあいさつの中にもありましたように、世界史上最大事故が起きました。  三十日に事故が起きましてから、国会隣衛庁長官がその報告をされる、所信を表明されるのが四日目の本日が最初であります。就任早々長官ではありますけれども、この事故概要について御報告をいただきたいと思います。
  14. 西村直己

    国務大臣西村直己君) お求めがありましたので、自衛隊機全日空機との接触事故に関しまして、報告を申し上げる次第であります。  去る七月三十日、岩手雫石上空におきまして発生いたしました航空自衛隊機F86Fと全日空機ボーイング727との接触事故は、全日空機に搭乗していた乗客、乗員百六十二名が全員死亡されるというわが国航空史上最大惨事となり、まことに遺憾にたえないところであります。  増原前長官は、この事故報告を受けて、即日現地に向かい、八月一日まで事故の実情を調査し、遺体捜索収容輸送、並びに遺族方々に対する輸送支援等救難作業に全力をあげるべく現地指揮をとられるとともに、なくなられ九方々の御冥福をお祈りし、かつ遺族方々に直接お目にかかり、お見舞いおわびを申し上げられた次第であります。  次に、この事故概要について申し上げます。事故の経緯につきましては、いまだその全容を正確に把握することはできない段階でございますが、現在までに把握している状況について申し上げます。  事故機である市川二等空曹の操縦するF86F機は、編隊長機である隈一等空尉の操縦するF86F機とともに、七月三十日十三時二十八分、編隊飛行訓練のため松島基地を離陸し、以後訓練を実施しながら北上、その後盛岡市西北において右旋回して南下いたしました。この時の編隊長機は高度約七千七百メートル、これは約二万五千五百フィートで左側前方を、また市川機は高度約八千六百メートル、すなわち約二万八千五百フィートで右側後方を、それぞれ速度〇・七二マッハで飛行しておりました。さらに十四時三分ごろ、岩手雫石町付近で、太平洋側へ出るため左旋回中、隊長機市川機全日空機が近づくのを認めたので、これを避けるため、急遽市川機に対して「上昇、右旋回せよ」と指示し、みずからも右旋回を行ない、再び市川機確認しようとしたところ、市川機全日空機空中接触し、両機は墜落したものであります。  接触事故の通報を受けた防衛庁は、直ちに中央救難対策本部を設置し、この事故救難遺族対策事故防止対策等につきましてできる限りの措置をとるとともに、岩手駐とん部隊内に現地救難対策本部を設け、陸、海、空各自衛隊をあげて、七月三十日には、人員三千六百六十名、車両四百七十両、航空機八十機、翌七月三十一日には、人員五千三百二十名、車両四百八十両、航空機八十機を派遣し、警察及び地元の県、町、消防等協力して、遺体捜索収容輸送及びその際の警護、遺族輸送、機体の発見等救難活動を実施し、七月三十一日十五時三十分には、全遺体収容を終了いたしました。遺体収容輸送にあたっては、細心の注意をもって丁重に扱いました。引き続き、八月一日には、人員千四百四十名、車両百八十両、八月二日には、人員四百五十名、車両八十両、航空機四機を派遣して輸送現場警備等を実施いたしました。  また、なくなられた乗客の大部分が吉原遺族会方々であるため、静岡県富士市に遺族との連絡本部を設け、遺族各戸を弔問するとともに、ほとんどの遺族宅に各一名の連絡員を常駐させ、現地との連絡を伝達するなど、誠意を込めた援護に当たっております。その他全国各地遺族宅についても同様な援護を尽くしております。  また、なくなられた方々に対しましては、とりあえず見舞い金としてお一人百万円あて送り、弔意を表した次第であります。  以上が事故概要自衛隊救難活動状況であります。  この事故原因究明につきましては、総理府に設置された事故調査委員会調査及び警察捜査の結果を待つよりほかないのでありますが、この惨事自衛隊機訓練飛行がもとになって起きたものであることは明らかであります。この事実を直視するとき、私は、とうとい生命を失われた百六十二名の方々につつしんで哀悼の意をあらわすとともに、その御遺族に対しましてはもちろんのこと、広く国民の皆さまに対して深くおわびを申し上げる次第であります。  なお、遺族方々に対する諸般措置につきましては、関係各省庁とも調整の上、今後誠意をもって当たる所存であります。  また、防衛庁といたしましては、飛行訓練実施要領訓練空域等の再点検を実施するため、全自衛隊に対して飛行訓練を一時停止させました。本来、飛行訓練の諸基準の順守が事故防止基本であることにかんがみ、この際、その指導監督を徹底させるとともに、当面の対策といたしまして、  一 自衛隊飛行訓練は、主として海上において実施するなど、訓練空域の再編成を早急にはかる。  二 訓練飛行に際しては、レーダー部隊と連携し、他の航空機所在の把握につとめるとともに、特に航空路横断の際には民間機安全確保を徹底する。  などの措置をとることにいたしました。  さらに、将来にわたる長期の対策について、一そうの努力を傾注していくことが必要でございます。現在、わが国上空は何ぶんにも航空機が錯綜している状態でありますので、空の交通整理については、政府全体として総合的に再検討を加え、根本的な空域の再編成を行なうことが急務であると考えるものであります。  現在、自衛隊は今回の航空事故に関連し、きびしい批判を受けておるのでありますが、自衛隊といたしましては、あくまでも襟を正し、謙虚に反省をしておるのであります。しかしながら、今回のような事故を契機として国民自衛隊に対する信頼感が弱められるならば、まことに憂慮すべきことであります。したがって、自衛隊はいかにあるべきかという原点に立ち返り、そのよって立つ基盤を徹底的に総点検し、真に国民の期待する自衛隊の育成に懸命の努力をして行く所存でございます。  なお、本事故に関し、格段の御協力、御支援をいただきました警察及び地元の県、町、消防、その他の関係方々に対し厚くお礼を申し上げ、報告を終わる次第でございます。
  15. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) それでは、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 上田哲

    上田哲君 ただいま防衛庁長官から、事故概要ということで御報告いただきました。この委員会事故発生直後から防衛庁責任者出席求めてつぶさに御報告を承りたいと申し上げたのに対して、はなはだ理解しがたい理由を連ねて、ようやく今日にしてこの機会を得たということについても不満を持つわけでありますが、ただいまの御報告を承っていて、まことに私はさらに大きな不満を表明しなければなりません。連合審査の予定もありますし、はなはだ時間が狭められておりますから、きわめて基本的な問題についてのみ御見解をただしたいとは思いますけれども、ただいまの御報告を承っておりまして、自衛隊が、ごあいさつの中では、責任を痛感する、申しわけないとおっしゃるけれども、実際には、私の印象では、車両を何台出した、兵員を何人出して遺体収容につとめたということを盛んにおっしゃっておりまして、ほとんど具体的に原因については反省をつまびらかにされておらぬ。その点については後に具体的に御質疑を申し上げるけれども、はなはだ自衛隊防衛庁反省はいまもって具体的に表明されておらぬという点について異議を、不満をまず申し述べておきたいと思います。  そこで、防衛庁長官の御報告の中に、これは自衛隊機が引き起こしたものであって、はなはだ申しわけないのだという一節はあります。ひとつ基本的に伺っておきますけれども、この事故こそは、単に二つの飛行機が同様の責任を分かち合いながら空中衝突をしたというのではなくして、自衛隊機が、通常に運航されている民間定期航空路に、同じ高度で、しかも許されていない角度で、その他もろもろのあるべきでない理由によって侵入をして、一方的に引き起こした事故である、全日空機側には責任はないのであるということをお認めになりますか。これは防衛庁長官
  17. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 最初に、この報告着任品々でございますから、一部やや事務的であったことにつきましては、今後私の気をつける点でございますが、ことに車両何台等はきわめて事務的で、むしろほんとう誠意を持って自衛隊としても反省しながら救難活動に従事した点を申し上げたいという気持ちでありますので、お許しを願いたいと思います。  それからこの事故原因でございます。おっしゃるように、そういう面が私はあるのではないかと思いますが、ただ、事柄はあくまでも現在、総理府に設置されました事故調査委員会調査、これが主力になると思います。あくまで冷静に、しかも科学的に細密に調査されることと期待いたしております。と同時に、刑事責任の面から警察等捜査もございますが、そういう面はもちろんございますが、しかしいずれにせよ、今日まで一応推移された形におきましては、私たち自衛隊隊機衝突原因があるのではないかというふうに察しておる次第でございます。
  18. 上田哲

    上田哲君 重ねてお伺いしますが、全日空機にはいまのところ責任はない、こういうふうに断言されますか。
  19. 西村直己

    国務大臣西村直己君) その点は、私どもにつきましては、ことに私の場合におきましては、当時の状況は第三者として、一国会議員として新聞報道について見ておりましただけであります。したがいまして、私といたしましては、長官就任いたしました現在におきましては、事故調査委員会調査、これに中心を置き、かつ警察警察の面において刑事面捜査をなさると思いますので、そういう面によって結果を受けとめてまいりたい、こういう考えでございます。
  20. 上田哲

    上田哲君 不満であります。はなはだ就任、日が浅いということはありますが、時間がないから私は結論だけお伺いしておくわけです。きわめて端的に言って、ぶつかったほうの片一方は正常に定期航空路をきちんと、いわば線路の上を走っている。これが確認をされていますか——確認をされています。そうすれば、ぶつかったほうにおきましてどういう原因であったかどうか、今後の究明の問題はあるてありましょうけれども、少なくとも全日空機責任があるかどうかということを御確認になっているかどうか、はっきりお答えを願います。
  21. 西村直己

    国務大臣西村直己君) その点につきましては、繰り返して申し上げますように、私どもは、あの空中において瞬間的に起こった事故ではございますが、いろいろな状況というものがこれから明らかになってまいると思います。したがいまして、形の上におきましては自衛隊機原因があるということも察しますが、しかしあくまでも事故調査委員会調査、これに主力を置いて、冷静にしかも私はこれを謙虚に受けとめてまいりたい、こういうふうに現在は御答弁を申し上げる次第でございます。
  22. 上田哲

    上田哲君 全日空機には責任なしと見ていいですか。
  23. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は、全日空機責任が全然あるとかないとかいうそういう決断を下す前に、私どもは一日も早くこの調査委員会主力にした結論を待ちたいと、こう思うわけであります。
  24. 上田哲

    上田哲君 いまの御答弁はすっきりしておりません。明らかにこれは事実関係で明らかにしなければならぬところでありまして、そういう御答弁の裏には、全日空機にも何分かの責任があるのである、——これは明白な事実なんですけれども、そういうふうな発想に立って、今日防衛庁当局事故についての発表が行なわれているというふうに私たち考えざるを得ない根拠を持ちます。それでもよろしいですか。
  25. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私どもは、今日起こされたる事態に対しましては非常に責任を感じております。ただ、あくまでも事故原因そのものにつきましては、こうしたわれわれの信頼し得る事故調査委員会、これを中心にしたものでひとつはっきりしたものを国民の前に明らかにし、われわれはそれを謙虚に受けとめる、こういう姿勢でまいりたいと思います。
  26. 上田哲

    上田哲君 御答弁ほんとう反省の立場に立っておりません。その意味では、これほど明白な事故に対して、いわば線路の上を走っているものにかってにぶつかっていった。まことに飛行機の高度からいっても、入り方からいっても、これは明らかに全日空機には責任がないということを明言されないことは、この点作為があるというふうに言われてもしかたがないと思います。はなはだ言い方が、御答弁のしかたが不明確であるという点を、就任早々ではあられますけれども、その点だけははっきりして国会に御答弁に立たるべきであるという点について、不満を表明しておきます。そういうふうな問題の発想の根底には、一つの例をあげるならば、隈一尉があの事故の直後、一々ほかの民間航空機のことを考えていたのでは訓練はできぬという発言をされる、あるいは上司が、もう疲れているから報道関係に対して質問をするなということでもって言った。これは録音がとれております。全国民が聞いております。こういうふうな状況に端的にあらわれていると思います。こういう姿をどうお考えですか。
  27. 西村直己

    国務大臣西村直己君) いままでのそうした報道を通じての私も状況は聞いております。しかし、事柄が何と申しましても国民全部関心を持って御心配いただいている事柄だけに、こうした科学的な調査というものをはっきり待って、私としてはさらにその点を冷静に謙虚に受け止めたい、こういう考えでございます。
  28. 上田哲

    上田哲君 具体的に伺っております。事件直後の隈一尉の、このことは御報告になっていないはずはない。隈一尉の言動、その上司言動、このことをどうお考えになりますか。
  29. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は、今日の段階におきましてまだ直接それを聞いているわけではございません。そういう言動があったということは、私自体もマスコミを通しましては拝見はいたしております。
  30. 上田哲

    上田哲君 それをどう思われますか。
  31. 西村直己

    国務大臣西村直己君) これに対しましては、そういうような発言も大きな心証になるかもしれません。しかし同時に、またせっかく設けられました調査委員会……
  32. 上田哲

    上田哲君 調査委員会なんて関係ないですよ。防衛庁長官はその発言をどう思われますか。
  33. 西村直己

    国務大臣西村直己君) いろいろなそういう材料を中心に、おそらく結果が出ると思います。一日も早くこの結果が出て、私が……
  34. 上田哲

    上田哲君 発言についてどう思っているか、隈一尉の発言について。あなたはマスコミで御存じだというのだけれども、その発言をどう思うかと言っている。
  35. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もしこれが事実であるとすれば、遠慮するなというような発言は、これは非常に残念な発言だと思います。
  36. 上田哲

    上田哲君 民間航空機のことを考えていては訓練はできぬではないか、あるいは上司が、もう疲れているからしゃべらせるな、こういうことについてはまことに間違っている、遺憾であると、こういうふうにお考えになるわけですね。そうですね。
  37. 西村直己

    国務大臣西村直己君) その点はそのとおりです。
  38. 上田哲

    上田哲君 このことは許しがたいことです。このことは許しがたいことですが、私どもは、たとえば隈一尉あるいは市川機隈機、こういう具体的に直接的に事故を引き起こした当事者のところにだけ問題がしわ寄せされるということがたいへん間違いであると思っております。問題の責任所在は、つまり軍用機優先という訓練計画に基づいてこの飛行機は飛んでいたのであります。  市川機は、編隊の通例からして、編隊長機あとを追尾するのが当然なことであって、免責されるということではありませんけれども、当然責任隈機にあります。隈機は地上からの誘導に、責任を持って誘導されておるわけです。基本的には訓練計画の上にある。訓練計画がなくて、かってに飛んだということになれば、これは防衛庁自身の重大なミスになりますが、基本的に訓練計画ということに問題が入っていく、こういうことでよろしいですね。
  39. 久保卓也

    説明員久保卓也君) けっこうであります。
  40. 上田哲

    上田哲君 いいですね、防衛庁長官。そうしますと、そういう訓練計画をつくるに至っている防衛計画防衛体制基本的にそこにこの事故原因求められるべきであるということになろうと思います。市川隈機ということの技術的な問題ではなくて、基本的にその訓練計画に、いまお認めになったが、その訓練計画基本にある防衛体制そのものに問題が所在するというふうに考えます。
  41. 久保卓也

    説明員久保卓也君) どういうように関連づけるか問題でありまするけれども、いまの訓練計画というものはきわめて技術的なものでありまするし、防衛体制防衛計画というものはきわめて広範囲なものであり、次元が相当違うのではないかというふうに私は感じます。
  42. 上田哲

    上田哲君 非常にこれは不謹慎な言い方ですが、訓練計画というものと防衛体制というものと完全に遊離しているんですか。
  43. 久保卓也

    説明員久保卓也君) ですから、これはどういう観点でとらえるかを少し議論しませんと、その点だけで議論すれば、非常に何といいますか議論がずれてくるのではないかと思うのです。といいますのは、訓練計画というのは何時から何時までどういうところで訓練をやるのだ、どういう方面の訓練をやるのだ、編隊をやるのだというようなのがその口の直接の計画になりまするし、それからもっと大きく言うならば、たとえば要撃戦闘あるいは対地支援戦闘訓練である。その点をとらえて言うのであるのか、どういうような点を問題にするかによって、この防衛体制なり防衛計画の関連が出てくるので、ちょっと一がいに比較するのは、焦点がぼけるような感じが私はいたします。
  44. 上田哲

    上田哲君 非常に許しがたい御答弁でありますけれども訓練計画基本的な防衛体制関係のないところで行なわれているはずがない。そんなことなら防衛庁というのは何をやっているのかということになる。基本的に、防衛体制そのものの問題としてこうした訓練計画が引き起こした責任考えるお気持ちでありますか、防衛庁長官
  45. 久保卓也

    説明員久保卓也君) どうも、もう少し焦点をしぼっていただきますとお答えがしやすいと思いますけれども、いまの御質問ですと、ちょっと、直接関連がないとは申しませんけれども、直接の関連がないような印象がいたします。
  46. 上田哲

    上田哲君 時間がないから飛ばしているので、ベテランであるあなたがそんなことを言っちゃいけない。結論を、一言でけっこうです。今回の事故訓練計画に基づいているのだとお認めになった。それは防衛体制そのものを検討するのでなければならないと思うんです。防衛体制そのものの問題としてこの事故考えると思うか、思わないかです。思わないなら思わない、ピントはずれなんて失礼なことを言わないで、そう思うか、思わないのか、はっきりしてください。
  47. 久保卓也

    説明員久保卓也君) もし私のことばが言い過ぎであれば御容赦いただきたいと思いますけれども、たとえば私ども発想からいたしますると、防衛体制の中で、防空とか対地支援というのが当然の前提となってまいりますので、その限りにおいては、特にいまの訓練計画がどうこうということにはならない。もし防空とか対地支援戦闘をなくすということになれば、当然教育訓練そのものも意味がなくなってくるわけでありますが、そんな点でいかがでしょうか。
  48. 上田哲

    上田哲君 そんなことを聞いているんじゃありませんよ。だから基本的なかまえとして、防衛庁長官から一言伺う。今日の防衛体制基本構想が間違っているからこういう訓練計画が出てくる。だから、基本的な防衛体制というものを検討するというところまで立ち戻るかどうか。そうしないでこの問題を解決しようとされているのかどうか。
  49. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 幾らかわかってまいりましたが、そういう意味では、基本的な防衛体制ということは、これはこれで検討されてしかるべきでありまするけれども、これと直接に関連をして、いまの訓練計画あるいは訓練体制というものを再検討するということではなくて、防衛体制をそれはそのままに維持しながら、訓練体系の中で、民間交通の安全との併存、あるいは安全第一義をどういうふうにして生かしていくかというふうな理解のしかたをしたいと思います。
  50. 上田哲

    上田哲君 まことに不満です。そういう問題に対して今日世論が、国を守ると言っている自衛隊が人を殺したではないか、こういう問題になっているのに対して、テクニカルな技術論的な解釈で問題を解決しようとされる態度がいまもにじみ出ている。だから、自衛隊事故に対してどのくらい人を出したか、車を出したかという最初の御説明になってくるのです。国民は、いま事故を起こした二人の自衛官の供述と防衛庁が発表されている発表の内容の食い違いすら、この事故の真因を隠蔽しようとする意図ではないか、全日空機にも半分の責任があるような形にしようとするのじゃないか、そういう疑念すら持っていると思います。こういう声に対して、そういうふうなかまえということが非常に問題になってくるのだと思う。今日まで、高度はフライトレコーダーが出てくればどうしようもないから、高度についてはお認めになっておられるが、具体的に、私はいままで院内で一生懸命やっておりましたから、この二、三時間のことは知りませんが、いまだに基本となっておる訓練計画、あるいは三沢基地で十分にとらえられていなければならない、「ばんだい」事件なら出ていたはずのレーダーのビデオ等も出ていない。そのこと自体を考えてみると、まことにそういう隠蔽の意図というものがあると言われてもしかたがないのじゃないかと思う。もしそうでないとおっしゃるならば、根本的にこの事故について何らかの隠蔽の意図あるいは作為というものがないと明言されるかどうか。ひとつその証拠に、訓練計画とレーダーのビデオをしっかり提出されるかどうか、この二点を明快にお答え願いたい。
  51. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 隠蔽する意図はさらさらございません。そこで、いまのレーダーの航跡は差し上げられると思いますが、聞いたところによりますと、事故が十四時三分か五分でありますが、十三時五十七分で消えている。その理由は何であるか。これは消えているということがすぐ誤解を招きますので、その理由現地にいま制服の人が調査に行っております。  それからもう一つ隠蔽であろうというふうな誤解を招きやすいのは、私どもが得ました情報は、御承知のように隈一尉からのみの情報でありまして、市川二曹とはコンタクトいたしておりません。そういうことで、しかも当日の状況がいろいろふくそうして、確かな情報がなかなか入ってこなかった。そういう情報をうまくつかめなかったことについての批判は当然受けますけれども、そういう面での、たとえば二つの飛行機編隊のありようというものが、少しずつわれわれの発表が変わっているということで、変に思われるかもしれませんけれども、隠蔽の意思はありません。作為の意思はありません。
  52. 上田哲

    上田哲君 訓練計画とビデオは出しますね。
  53. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 出します。
  54. 上田哲

    上田哲君 時間が非常になくなっているので急ぎますけれども訓練計画とビデオを出すということを確認をされましたから、ぜひそのことを守っていただきたい。  もう一つの——たいへん時間がありませんから飛ばしますが、いろいろいま疑惑の目を向けられていることに、普通はどっちかが明らかに悪くない場合だって、ダンプカーとバスがぶつかって、そのときに完全に警察当局は当事者をすぐ留置します。今回二人の当事者が警察に逮捕されたのは一日後です。こういう形は警察側にも問題があるだろうし、そのことはそれ自体問題にしようと思うけれども自衛隊側から何らかの圧力と言ってはおかしいけれども、何らかの意図を示されたということはないだろうと思うけれども、明確にお願いしたい。
  55. 久保卓也

    説明員久保卓也君) これは御承知のように、私も警察の出身でありますが、そういうことは絶対にいたしません。警察庁の捜査一課長、それから警察庁の刑事局長、これは私ども、あるいは私どものほうの次官がそれぞれ連絡しながらやっておりますが、こちらからお願いするとか、要望するということはさらさらありません。もし要望したとすれば、むしろそういうことから疑惑を招くわけで、われわれが事故を起こしておきながら、さらに恥の上塗りをするはずはございません。
  56. 上田哲

    上田哲君 時間がほんとうにないから——二機はスクランブルをかけていたのではありませんか、全日空機に。
  57. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、隈一尉の訓練計画に従ってやっているということで隈一尉の証書と隈一尉の訓練計画のみしか知りません。したがって、そのときに本人がどういうふうに考えたか、神のみぞ知る。知るよしもないわけでありまして、そういうことは絶対にないと想像いたしております。それを証明するのは、スクランブルをかけていたと想定されるものはございません。
  58. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 時間がありません。
  59. 上田哲

    上田哲君 一問にします。この報告を伺っておりまして、いろいろ不満がありますけれども飛行訓練を一時停止させました。そのあと何をやるかといえば、今度は主として海上でやるのだ。海上でできるなら初めから危険なところに入ってくる理由はもちろんない。何のためにあそこに入ったのかということは、まさか自衛隊がかってに入ったなんということはないでしょう。神のみぞ知る。スクランブルやったのかもしれぬ。何のためにあんな時間にあんな航空路に入ったかということをはっきりしてもらわなければ、あなたのほうでお隠しになるのか、あるいは、あなたのほうでお隠しになるんでなければ、かってに上で、やっていることを放任してしまうということになる。何でそこに入ったかということをひとつはっきりしていただきたいということと、海上でやればいいのですよ。明らかにそれに入る理由があったのだ。そういう事実に対しては何ら問題にしないで、海上でやりましょう。レーダー部隊と連携し、他の航空機所在の把握につとめる。いままで把握してなかったのですか。データ一ぱいあるけれども、きょうは時間がないから連合審査のときにじっくり出すけれども、そういうことも全部ありません、ありませんということをあちらで言っているのじゃありませんか。そんなことをいまごろ言っているということはたいへんおかしいことになる。そういう問題にもお答えいただくが、そういうものの一つの結論として、この機会に、こんないいかげんな一項、二項なんというものを役人の答弁のような形で出される事態ではない。百六十二人もの人が死んでいて、そういうこの機会に、日本の防衛体制基本、ここから訓練計画も出ている。どう言ったって国民はそう思っている。自衛隊に殺されたと言っている。そういう声に対してどう答えるかという立場からするならば、精神論としても、少くとも防衛体制基本に戻って検討しようということでなければ、何が愛される自衛隊でありますか。そういう立場で、この機会に運輸省あるいは米軍、航空会社その他とすみやかに話し合いをもとに戻して、これからの防衛体制の再検討、基本的な再検討、四次防の再編成、こういう問題に立ち入られる決意があるかどうか、このことを、いま二つ三つ続けて申し上げたことと合わせて、政府委員でもけっこうだが、最後には防衛庁長官から、これは技術論ではありませんから、しっかりお答えをいただきたいと思います。
  60. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 航空路になぜ入ったかという問題は、実は私どものほうが知りたいわけでで、再々申し上げるように、十分にパイロットコンタクトしておりませんので、これはわかっておりません。したがいまして……。
  61. 上田哲

    上田哲君 かってにそういうことが行なわれることがあり得るわけですか。
  62. 久保卓也

    説明員久保卓也君) それが現にあったわけでありますから、あり得たでありましょう。ですから、こういう対策をとるためにも、この事故原因を私ども自身が知りたいわけであります。  それからレーダーとのコンタクトでありますけれども、これは従来総隊、つまり戦闘任務といいますか、そういう要撃任務を持っている部隊は、すべてレーダーとコンタクトをいたしております。しかしながら、訓練部隊の一部はレーダーとのコンタクトはできておりません。  それから防衛体制その他の問題で再検討する必要はないかということでありますが、この事故に関連をして防衛体制を検討するということじゃなくて、やはり国際環境の変遷と相応じて防衛体制の検討をする、あるいは四次防の検討をするということでありまして、むしろ事故という問題に関しては、言うならば自衛隊の体質、そういったものも再検討する必要がある。分野が少し違った面で、国民を前提にした防衛庁自衛隊といったような面で反省、検討すべきではないかというふうに考えております。
  63. 上田哲

    上田哲君 体質とは何ですか。——  それじゃ、防衛庁長官、四次防についての考え方。
  64. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私も、自衛隊というものはあくまでも国民のためにあるものだという前提と申しますか、本質に立ち戻って、言いかえますれば、先ほどの報告にも、その原点に帰って、国民自衛隊だ、こういうたてまえから、あらゆる角度からものを見てまいりたいと思います。事柄が、四次防をどうするかは、私は着任早々でございますから、これはこれなりに国際情勢の変化等に対応して一応つくられたもの……
  65. 上田哲

    上田哲君 その事故とどうですか。
  66. 西村直己

    国務大臣西村直己君) しかしながら、これは事故そのものと四次防とを直接結びつけるべきものではない。むしろ最初に申し上げましたような事柄基本にして、そうしてその中において四次防というものを現在の情勢その他に合わせていきます。したがって、四次防をすぐどうするという答えはいまの段階は差し控えたい、こう思います。
  67. 上田哲

    上田哲君 終わります。
  68. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 非常に短時間でございますので、端的に申し上げますが、まず初めに、新大臣にこういうことを申し上げて私はどうかと思うのですが、この防衛庁責任者といいますか、長官責任という問題について私はお伺いしたいのですけれども、今回の事故が起きて、きょう新長官就任された西村長官からいま概況の説明があったわけでありますけれども、要するに今回のこの委員会に、前の増原長官は、私たちがさんざん請求をしておったにもかかわらず、わが内閣委員会にも全然出席もせず、何らの処置もせず、国民に対して一言もものを言わないでやめちゃった。ただやめればいいというものではないと私は思うのです。大臣の責任というものは一体どこにあるのか、私はこれは問題だと思うのです。この点についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。実は防衛庁自身がこういうふうな問題についての報告というものがあまりにもおそ過ぎる。大臣、大臣はまだ聞いていないと思いますが、この間——人間尊重ということもよく防衛庁は言うのです。しかしながらこの間P2Vというのが墜落しました。このことは大臣も聞いていますね。このことについてすらまだ報告がない。あのときだって十一名の人命をなくしたはずです。われわれ内閣委員の皆さんはみんな心配しているわけです。片一方では人命尊重とかなんとか言いながら、そういうことをやろうなんという姿勢が全然ないということは私はほんとうに遺憾だと思うのです。こういうふうな姿勢について、長官はどういうぐあいにお考えですか。
  69. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 失われました人命に対して、閣僚がやめたからそれだけで責任が回避されるというふうには私は考えておりません。今回の事故そのものも、私自体もまた今後も重い責任をしょっていかなければならぬというふうに考えております。今回の事故につきまして報告がおくれたことにつきましては、その間にはいろいろ諸般の、救援その他の状況もあったと思います。しかし一面におきまして、国民を代表される各位が御心配して、また報告を熱心にお求めになることも当然であります。したがいまして、今後こういうような場合におきましては、われわれ気をつけて処置をしてまいりたい、そういう方向につとめたいと考えております。
  70. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あまりもう言いませんけれども、前の長官も、少なくとも一言、これはこうだったんだということを私ははっきり発言すべきだと思いますけれども、この点についてもあと答弁求めたいと思います。それからこの報告ですがね、私はこの報告を読みまして、いま同僚委員から指摘もありましたので、それ以上は言いませんが、実はこれに指摘しておりますことの一つ一つが——皆さん方はこの報告書をつくった。しかしながら、現場の皆さんはこの報告書のとおりに考えていらっしゃるかどうか、これはどうなんですか。要するに、私はどことは指摘はしませんが、この報告書というのは一体どういうふうな意味があるのか、これは要するに公文書ですから、これはそれだけの私は効力があると思うのです。現実の問題として、最後にいろいろなことが書いてあります。たとえば、自衛隊飛行訓練については、主として海上において実施する、また、レーダーサイトの問題についても関連をして、特に航空路の横断の問題とか、それから航空機の安全の問題等については掌握すると、こういうぐあいに書いてありますけれども、これは現実にこれからほんとうに実施しようとしているのかどうか。私は現実にこの二、三日間、ずっと自衛隊の皆さんと現地で相談してきました。そのときの答弁では、皆さんの話では、もう全然こんなことは考えていない。現場のいわゆる制服の皆さんと、皆さん方のお考え方とはずいぶん話のズレがある、私はこう思うのですが、この点についてはどうお考えですか。
  71. 久保卓也

    説明員久保卓也君) これは、この起案をする場合にいろいろ検討しました私ども事務当局でありますので、御報告いたしますけれども、この面は、幕僚監部、空幕で検討された事柄をここに述べたわけでありますから、第一線部隊まではまだ方針なり方向というものは伝わっていなかったろうと思います。
  72. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それならば、あなた、そういうことを言うなら、飛行訓練のあり方ということについて行管庁から、昭和三十六年に指摘されておりますですね。昭和三十六年に指摘されております。そして皆さん方もそれに対して答弁を出しているのです。十年間たっているのです。あの勧告文の中には、今回事故を起こした民間航空路線の幹線ともいうべき仙台−札幌線ですね、この幹線の名前すらちゃんと明記されて入っております。にもかかわらず、こういうような事故がさらに起きているわけです。そういうことから考えてみると、私は皆さんの趣旨がほんとうに末端まで行き渡るかどうかということについては問題だと思うのです。こういう点については、今後どういうぐあいに、事故未然防止という点から考えてみて、今後皆さん方はどういうぐあいにそれを徹底していかれるか、またこういうような問題についてはどういうように考えていらっしゃるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  73. 久保卓也

    説明員久保卓也君) よい方針をつくったり、よい手段をつくることは容易でありますけれども、一番むずかしいのは、個々の人間にそれを実行させることであり、担保させることであります。それが必ずしも機械的にできないところにむずかしいところがあるわけで、そこで私どもは、いま考えておりますのは、昨年四月以降、空幕で安全に関する総点検を実施いたしまして、膨大な資料をつくっております。これは私もまだ十分検討いたしておりません、正直な話。そこで、この内容の中で、自衛隊内部で採用し得るもの、それから他官庁にお願いするもの、これの区分けをし、なるべく早急なそれの実施をするということが必要であります。しかしながら、それについては若干時間がかかる。  それから、先ほど上田委員からもおしかりを受けたわけでありますが、当面の応急策といたしましては、確かに十分なものは出ておりません。ただ、いま運輸省とよりより話を進めておりまして、運輸省と一緒にならないと、これは安全対策ができませんので、そういう点についての対策を早急の間に、これは総理府が音頭をとってくれて進んでまいるということになろうと思いますので、一〇〇%、百点満点のものができるという自信はございませんけれども、相当前進するというように私ども考えております。
  74. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間がないそうでありますので、まとめて言いますが、一つは航空管制のあり方の問題ですね。この点についてはいまいろんな問題が提起されております。続いて起こった二つの航空機事故から、要するに航空管制の一元化という問題が大きく取り上げられております。その中においても、いわゆる民間優先という点が大きくいわれておりますが、この点については、あくまでも民間優先を貫かれるつもりかという点がまず第一点です。  それから、大臣にもう一つお伺いしたいんですが、遺族に対する処置の問題ですね。これは私はいろんな問題がずいぶんあると思うんですが、何といいましても、きょうの夕刊等を見ましても、いまだに、いわゆる身元引き取り人というのですか、はっきりしていない人がおりますね。これはやっぱりこの報告の中には相当丁寧に扱ったというのをわざわざ入れておりますが、しかしながら私はこれは非常に疑わしい点もある。現実に現場へ行って見ておりましても、非常にたいへんな状況でした。わざわざここに一行入れるだけの値打ちがあるかどうか、ほんとうに疑問だと私は思います。そういうことも考え合わせて、これはいままで遺家族の皆さま方に対してはどういう処置をとってきたかということと、これは事務局でけっこうです。しかし、今後遺家族の皆さま方に対してどういうふうな処置をしようとしていらっしゃるのか、また遺族補償等の問題についてもやはり一刻も早く私は処置すべきだと思うのですが、こういう点についてはどういうぐあいに考えていらっしゃるのか、以上の点について御答弁願いたいと思います。
  75. 田代一正

    説明員(田代一正君) 遺族方々に関しましては、先ほど長官から御報告いたしましたように、とりあえず見舞い金として百万円差し上げることにいたしました。今後の遺族の補償等に関連する諸問題につきましては、関係各省で早急に調整いたしまして、誠意をもって当たるという考えでおるわけでございます。
  76. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 民間航空の安全をはかることは、何と申してもこれは第一義でございます。したがいまして、従来率直に申し上げますと、行管庁の勧告もあった、また従来も空の、ことに今日のように航空輸送状況が非常に過密と申しますか、ふくそうし、しかも大型化しておる、また非常に速度も上がっておる中におきまして、いかにしてこれを整理するか、そうして民間航空の安全をはかるかということにつきまして、行政官庁間の私は連絡、必ずしも十分でない。これは私、大臣としては、できる限りこういうものを密にしていくべきじゃないか。悪いことばで申しますと、官庁のセクショナリズムでもし阻害されておったらこれはたいへんなことでございますので、そういうものについては、政治の立場から十分指導をしてまいりたいと思うのであります。なお、遺家族につきましては、私どもはもう政府をあげまして万全の措置考えてまいりたいと思う次第でございます。
  77. 中村利次

    ○中村利次君 まず、長官報告についてでありますけれども、これは防衛庁長官就任されたばかりでありまして、事実関係についても十分の御承知がないということは当然でございましょうけれども、しかし、少なくとも長官報告されるこの報告書に、この衝突事故の事実関係について、私はやはり必要最小限度の報告すら行なわれてないと思うのです。そういう意味では、もっと事実関係についての、いま少しのやはり突っ込みがほしかった。事実を、少なくとも国民の皆さんが現状においてまあまあというぐらいの報告はほしかったと思います。しかし、そういう立場から、お答えできないようなことはないと思う点について、非常に時間がございませんので、簡単に質問したいと思いますけれども、有視界飛行の自衛隊機等は、これは管制本部に飛行プランを通報しなくてもよいということになっておるそうでありますけれども、これは事実ですか。
  78. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 計器飛行方式ではありませんから、有視界飛行の場合には着陸の場合と離陸の場合の時間だけを通報するそうであります。
  79. 中村利次

    ○中村利次君 それでは、有視界飛行の場合には管制本部に飛行プランを通報しなくてもよいということになっておると確認をいたします。  そうなりますと、自衛隊機が有視界飛行をやって訓練をする場合、管制本部に飛行プランを通報する必要はないわけでありますから、したがって、その場合にはいわゆるこういう衝突事故が起こる可能性がきわめて強いと思われますけれども、そういう点についてはいかがですか。
  80. 久保卓也

    説明員久保卓也君) これは、このいい悪いは別にいたしまして、計器飛行方式とそれから有視界飛行方式という二つの方式があるわけで、計器飛行方式の場合には、常に飛行中は下からコントロールされております。しかしながら、御承知だと思いますけれども、この計器飛行方式の中でも、天気のいいときには計器飛行方式でなくて視認をしながら飛行しなさいという、VFRと申しますか、有視界飛行と同じことになるわけで、そういう分野が残されているということが一つ。  それから有視界飛行というのは、これは自衛隊機だけではなくて民間機にもございます。御承知のように、小型機などが相当動いているのが、ああいうのが有視界飛行方式で、管制機関の許可を得なければ有視界飛行方式を全然認めないというような形、これは運輸省で考えております特別管制区、そういったものを逐次設定していきたいという新しい方策を考えているようでありますが、そういうような新しい方向を打ち出せばともかくとしまして、全般的には、いま言いましたようなのが現在の航空法上のたてまえでございます。
  81. 中村利次

    ○中村利次君 どうも時間がなくてあれですけれども、小型民間機の場合には、これは今度起きた事故には関係がないわけですよね、非常な高空でありますから。  それでは、まだまだこれはお尋ねしたいことがありますけれども、今度のこの衝突事故が、自衛隊機が航空法の規定を無視したという事実についてはどうお考えでしょうか。
  82. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 航空法に違反していると思います。
  83. 中村利次

    ○中村利次君 航空法に違反した事実についてお認めになったということになりますと、航空自衛隊訓練計画とその訓練指導、これは、むしろそうなりますと、今度の事故が決して偶発的なものではなくして、そういう訓練指導訓練計画はどうなっておりますか。まあ、それと別の次元の問題として、実際の訓練指導そのものが非常に免険なものであったということはお認めになりましょうか。
  84. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 非常に危険であったということになりますか、少なくとも十分でなかったということは、私、考えます。
  85. 中村利次

    ○中村利次君 時間がなくて、どうもこれは十分に尽くすことができませんけれども、少なくとも有視界飛行の訓練をやって、管制本部に飛行プランを出さないで、そうして航空法の規定を破った自衛隊機が、計器飛行によって正規の航空ルートを通っている全日空機衝突をしたという事実があるわけでありますけれども、これはやはり私は航空自衛隊訓練計画訓練指導が、国民にとってまことに不信感を買うきわめて危険性があると思いますね。そういう点につきまして、時間がございませんけれども、もう少し明快な解明を——全く申しわけないという立場でいらっしゃるのか、あるいは何か釈明の余地があるという立場をおとりになるのか、そういう事実関係についてはっきりお答えをいただきたいと思います。
  86. 久保卓也

    説明員久保卓也君) その点については釈明の余地がありませんので、申しわけないと思います。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 西村防衛長官基本的姿勢について二、三の問題でお伺いしたいんです。  どういう姿勢であなたは登場されたか。これは事態を隠蔽し糊塗する、そういう方向をとるのか、あるいは真に軍事優先をやめて人命尊重をやるのか、これは国民が厳重に監視しているところであります。そういう中で私はお聞きしたいんでありますが、第一に、先ほどの隈一等空尉発言とも関連するのでありますが、市川二等空曹が、このたびの脱出につきましては、機上衝突によってもう座席は燃えたと、したがってパラシュートで脱出したんだと、こういうふうに言っているわけでありますが、これはどういうふうに考えておりますか。
  88. 久保卓也

    説明員久保卓也君) いろいろ議論が示されているようでありますが、またこの点については、本人の証言のみならず、機材の点検その他警察あるいは事故調査委員会結論をもって見るべきであろうと思いますけれども、われわれのほうに連絡をされたところによりますると、飛行機の前半の部分、前の部分が下に落ちて、その中に座席とそれからイジェクションシートといいますか、ボタンを押すと飛び出る、いわゆるベールアウトするときの飛び出すいすがそのまま残っているし、それから飛び出させる炸薬がそのまま使わずにあったということでありますが、したがいまして、これはぶつかった衝撃によって、何らかの原因によって本人が機体から離れたというふうに見るべきであろうということを空幕のほうで言っております。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 政府が派遣した調査団の報告によりますと、座席は全然燃えていない。さらにきょうのニュース版に伝えられているところによりますと、雫石町の鶯宿の会社員のこれは長男の九歳の司君の証言によるというと、衝突前に黒いものが飛び出して、それから白いものが開いたと、それでそのあと数秒後に爆発が起こったと、こういうことを現に伝えているわけですね。こういう事態がはっきりしていると思うんです。こういう中で、どうなんですか。自分の命を救う、そういうことのために、これは演習機をほんとうに放棄して脱出したということはもう明らかだと思うんです。こういう事態について、一体人命尊重の立場からどう考えるか、これは長官の御答弁を願いたい。
  90. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 事実認定の問題だと思います。したがいまして私は、ただいま局長からある程度の推測はありますが、しかしこれは防衛庁側の推測ではいけないのでありまして、それぞれの残されたる資料、材料、状況に基づきまして判断をしていただいて、それに冷静に従うと、こういう考えでございます。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、現地で荒井勇次郎という松島航空基地の司令に会ったわけですが、そうしますというと、事前脱出ではなくて、座席からはい上がり、奇跡的に脱出に成功したのだというふうにこれは語っているわけですが、こういうことは全くその後のいろいろな客観的な証拠から考えるというと、まことにこれは事実を捏造するような方法で語られているということに気がついて、こういう点について、これはどうなんですか。こんな断定ができるわけですか。一昨日です。三十一日の段階でそういうことを行なわれた。いかがですか。
  92. 久保卓也

    説明員久保卓也君) その段階では、本人の証言が新聞に出ておりましたけれども、それ以外の情報は私ども持っておらないわけで、おそらくその司令についても同断であったろうと思います。  なお、事実関係で申せば、いまの関係と、それから九歳の例をお話しになりましたけれども、あれは、黒い豆のようなものが落ちてきた二、三秒後に爆音がしたということでありますが、音は一秒間に三百四十メートル走るわけでありますから、その辺を計算されればおわかりになるわけであります。したがいまして、そういった点はおそらくは問題はなかったろうと思いますけれども、いま即断することは適当ではなかろうと思います。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは米軍の町田の墜落のときに、操縦士だけ逃げて非常に多くの国民の反撃を買った。そういう事態が今日も残っているんだ。  もう一つの問題、時間がありませんからお聞きしますが、今度の事故の大きな根源として、これはどうしても安保条約によってアメリカが日本の空を支配しておる。そうしてその一部が自衛隊によって最近非常にこれはもう広範に使われている。その残りの舞台がこれは民間航空機によって使用されている。こういう最も根本的な点を明らかにするということが絶対必要な段階にきておると思う。これは私がくどくど申すよりも、今日もうあらゆる報道機関がこのことを分析しております。こういう点について、長官としてはこの事態に対して対処する考えがあるのかどうか、この点を、これは明確にお聞きをしておきたいと思うのであります。
  94. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 先ほど来私どもといたしましては、今回の事故に省み、より一そう国民のための自衛隊、この姿勢でまいりたいと思います。安保条約その他につきましては、これは国際情勢のわれわれとしてはわれわれなりの判断、また国会各位の御賛同を得て、そうしてこれは堅持をしてまいりたい。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 米軍のそういう事態についても、どうですか、規制を加えるかどうですか。
  96. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 米軍の関係につきましては、現在総理府の中で運輸省と私どもが協議をいたしておりますが、そこへ外務省も参加いたしておりまして、運輸、防衛と協議がととのえばその線に沿って米側にもまた要請をいたしたい、こういうことで進んでおります。
  97. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) これで質問を終わりますが、本日の質問の中で、いまの質問に関連はいたしておりますが、上田理事の質問の中で、米軍と運輸省と航空会社等と自衛隊の航空訓練体制の再検討について話し合いを始めるべきではないかという質問がありましたのに対して答弁がまだされておりませんが、当局から必要な答弁をしていただきたいと思います。
  98. 久保卓也

    説明員久保卓也君) この航空交通安全の観点から航空管制をどうするか、それが民間、航空自衛隊、米軍機、それをそれぞれどういうふうに適用するか、したがってそれは当然演習の場合にもそのルールというものが適用されると思いますけれども、そういうような過程の中で検討されていくということで、まだ具体案は出ておりませんが、米軍も含めて、交通のルールの確立をやろうということで現在進んでおります。
  99. 上田哲

    上田哲君 話し合いを始めるわけですか。
  100. 久保卓也

    説明員久保卓也君) いま申し上げましたように、さしあたっては運輸省と自衛隊とで話し合いをいたします。その結果一つの方向が出れば、その結果によって、米軍もそれに従ってほしいという要望をいたします。この要望の場は日米合同委員会の場のようであります。
  101. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時三十九分散会