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1971-09-16 第66回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月十六日(木曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員の異動  九月一日     辞任         補欠選任      加瀬  完君     松井  誠君  九月二日     辞任         補欠選任      松井  誠君     加瀬  完君  九月九日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     今泉 正二君  九月十一日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     高橋 邦雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 寺本 広作君                 占部 秀男君     委 員                 片山 正英君                 柴立 芳文君                 高橋 邦雄君                 神沢  浄君                 小谷  守君                 杉原 一雄君                 上林繁次郎君                 藤原 房雄君                 中沢伊登子君    国務大臣        自 治 大 臣  渡海元三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        警察庁警備局調        査課長      山田 英雄君        厚生省医務局総        務課長      木暮 保成君        自治大臣官房長  皆川 迪夫君        自治省行政局長  宮澤  弘君        自治省財政局長  鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君        消防庁長官    降矢 敬義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査  (地方行財政等の当面の諸問題に関する件)  (新東京国際空港用地第二次代執行に伴なう警  備問題に関する件)     —————————————   〔理事寺本広作委員長席に着く〕
  2. 寺本廣作

    理事寺本広作君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  本日、玉置委員長が所用で出席できませんため、私が委託を受けましたので、委員長職務を代行させていただきます。  地方行財政等の当面の諸問題に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 占部秀男

    占部秀男君 政治資金規正法の問題について大臣にお伺いしたいと思うのですが、十六日付の官報ですか、法の二十条に基づき、昨年の一年間の政治資金あり方の問題について公表、発表があったのですが、あれによりますと、いずれにしても収支が三百三十二億円ですか、前年度に比べて二三%もふえておる。これは非常に最近にないふえ方だと思うのであります。昨年は選挙がなかった年でそれだけふえておるわけですから、おそらく本年は、これはもう地方選挙参議院選挙等もあったので、一そうふえるのじゃないかと思うのですが、今後も私はおそらくふえていくんじゃないかと考えておりますけれども、自治大臣見通しなり見解をお伺いしたいと思います。ふえていく趨勢になるかどうか。
  4. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 本日の官報で掲載になっております報告数字でございまするが、あれは四十五年度の数字でございます。本年も統一地方選挙並び参議院通常選挙等があったから昨年に比べてふえるのじゃないか、こういうふうなおことばでございましたが、四十四年暮に総選挙がございましたような関係の分が四十五年度に食い込んだと思われるような点もございますけども、それらを合わしましても、正当なる政治活動といいますか、そういった面では、政党活動が従来に比べまして逐年活発化しつつあるという状況にある点を考えましたなれば、今後とも政治活動に伴うところの政治資金というものもふえてくる傾向にあるのじゃないか、かように考えます。
  5. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、政治資金がふえる一方というようないま大臣の御答弁で、私もまあそう考えているわけですが、そこで問題になるのは、御存じのように、寄付は、これは法の十二条で明らかにされておりますように、出した氏名金額その他を明確に報告書の中に入れなくちゃならぬわけですが、会費賛助会員その他はそうでなくて済むわけであります。ところが、この今回の公表を見ますと、後者のほうが六五%もあって、前者の氏名その他明確にしなければならないものが三 ○何%、こういうぐあいになっておるということで、非常にこれはどうも不明朗な出所不明の金がますますふえていくのじゃないか、こういうふうに一般にはいわれておるわけです。  特に、その中には、今度のあれを調べてみますと、これはまあどこの党。どこの党というわけじゃありませんが、二千万円以上出しておる団体の、どこへいったかということを調べてみると、やはり何か三十二、三あるのですが、そのうちの十八までは国民協会関係を通じて、率直に言えば、現在の政府の与党である自民党さんのほうへ流れておる。国民協会関係以外の自民党さんのほうの各派閥と言っちゃ悪いのですが、そういう方面へのものと比べると、おそらく九〇%近くは二千万円以上の多額の寄付金がそういう方面に流れておる、こういう結果が出ているわけなんですね。そういうことを考えてみると、これはどうもやはり出所不明の、あとの六五%の大勢もわかるわけであって、したがって、こういうふうな国民疑惑を生む、政府と財界とのつながりというようなそうした疑惑を生む私は原因になっているのじゃないか。ますます不明朗のそうした点が、今後とも私は国民疑惑を強く深めていくのじゃないかと思うのですけれども、この点について大臣はどうお考えになっておられますか。
  6. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 政治を正常化し、国民信頼を得るということは最も必要なことでございますので、かねがね政治資金あり方等についても議論なり研究されて選挙制度審議会からも答申をいただき、これに対する政治資金規正法案審議等も願ってまいったところでございますが、いまだにその結論が得られずに至っていることは占部君御承知のとおりでございます。  本年度の数字の中で寄付金が三五%、残りの六五%が会費その他において公表と申しますか、一括して報告されておる金額になっておるという姿で、個別的に分けられてないということで不明朗でないかという御指摘でございます。当然のことであろうと思いますが、四十四年度の二八%に比べまして、寄付金の額が三五%にわずかながら上がってまいりまして、まあその点透明度が増したと申しますか、寄付金支出が幾ぶんかでもふえてまいったのでございますけれども、選挙制度審議会政治資金に対する答申の中にも、一方においては、いま御質問の中でありましたような、一つの法人の政治資金支出し得る金額制限というふうな点もございましたが、一方の点では、また政治資金明確化公表化というふうな点、まあ大別しまして二つに分かれておったのじゃないかと思います。御指摘の点もあろうと思いますが、このような点、まあいままでの審議等も十分検討いたしまして、答申もあることでございますので、成案を得て透明化を期せられるように、またその分だけにいたしますか、全般のものについていたしますか、そういう点もあわせながら慎重に検討させておる最中でございますので、御指摘の趣旨に沿いまして、できるだけ政治信頼というものを増すためにも透明化するように努力してまいりたいと、かように考えております。
  7. 占部秀男

    占部秀男君 いま大臣の御答弁があったわけですが、これは大臣もわれわれも、四、五年前の政治資金規正法のときにはお互いにタッチした仲ですからもうあまりこまかくは申し上げませんが、いずれにしても、あのときに佐藤総理は、自分の政治生命をかけてもこの改正をするのだと言ったことがだんだん後退してしまって、ついに実現を見なかったという形になっておるわけです。  しかも、あのときの選挙制度審議会答申というものは、そのまま現在あるわけですね。したがって、あの答申内容は、いま大臣の言われたように、一つには、すべての会費その他、寄付金等公開二つには、団体ごとによる寄付金額制限、これがまあ中心であったと思うのですが、これが実現されておれば、今日幾ら政治資金がふえたとしても、国民の間にはガラス張りで問題は起こらないのではないか。それが依然として今日なされてないというところに、つまり政治資金規正法の抜本的な改正がそのままになっておるというところに問題があるわけです。  そこで、大臣は、いま前向きのお答えはあったのですが、どうもやはりここがはっきりしない点がある。一体、大臣政治資金規正法改正しようとする積極的な意思がおありなのかないのか。この点をひとつ簡潔に私は答弁をしていただきたいと思います。これは開会中じゃありませんから時間の制約もありますので、あまり長い御質問はしないつもりですが、その点をひとつ明確にしていただきたい。
  8. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 率直な御質問でございますので、私も率直に答えさしていただきたいと思いますが、意思があるかないかという御質問でございますが、当然、現在私が果たすべき職務一つとして、なさねばならない重要なる責任ある問題であると考えております。  ただ、いままでの経緯等にかんがみまして、また政治資金金額制限規正等が、現在の選挙制度審議会審議されております選挙制度あり方、それ等にも問題があって、今日までおくれてきたんじゃないかということも考えあわせまして、慎重に目下検討させていただいておりますので、私は、私がこれに取り組む、実行しなければならない重大なる責任ある立場であるということを自覚しております。  これをもってお答えにかえさせていただきたいと思います。
  9. 占部秀男

    占部秀男君 大臣から積極的な御答弁をいただいてありがたいと思うんですが、私はこの問題は、やはり国会の中で、多年地方行政関係について携わった者が責任者になっておるとき、つまり国会で、渡海大臣は、言うまでもなく地方行政ベテランですよね、自民党さんの内部でもベテランだ。やはりそういう方が大臣のときに、こういう問題は決着をつけなきゃならぬと私は思っておるんです。  特に来年は、これは好むと好まざるとにかかわらず——そういうことを言うと、どうも大臣には申しわけないかもしれませんが、佐藤内閣の命脈もあまり長くはないということから、来年はもう総選挙があるんじゃないかということは、いろんな内外の政治的な情勢から、これはもう大方がそういう見通しを持っておるわけなんです。やはり総選挙前にこうした問題ははっきりと決着をつけて、今度行なわれる総選挙は、国民にとっては政治資金面では気持ちのいいガラス張り選挙ができるようにしていくのが、私は自治大臣責任ではないかと思うんです。  そこでこれは、あるいはきょうは御答弁はなかなかできがたいかもしれませんが、少なくとも、この秋の国会沖縄国会ですから、これはとにかくとして、次の通常国会には勇気をふるってこの政治資金規正法改正案国会へ出すと、このぐらいのところまで持っていかなきゃならぬと私は思うんですけれども、大臣のひとつ御意見をお伺いいたしたい。
  10. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 先ほどお答えいたしましたとおりでございます。  総選挙云々の件は、私からお答えするのもどうかと思いますので、いま占部委員の御要望の線は十分承知の上、今後とも、さきにお答え申させていただきましたように、責任ある立場で検討し、この問題の解決に当たらしていただきたいと思いますので、御了承をお願い申し上げたいと思います。
  11. 占部秀男

    占部秀男君 通常国会に出せるかどうかという問題をきょう大臣にお聞きすることも、これはそれ以上は出ないと思うんです。  そこで、これはまたこの次の臨時国会のときにひとつお聞きするとして、私はもう一つ、いま自治省考えておられる改正内容についての考え方の問題なんですが、大臣御存じのように、選挙制度審議会から答申が出ているわけですが、今度原案を出される場合には、やはり答申を尊重した原案を出してもらいたい。特に公開の原則、さらに寄付金あるいは会費その他の収入制限の問題、こういうような問題はすんなりとあの内容をとったひとつ改正案を出してもらいたいと思うんですが、きょうはこまかい点については申し上げません。次の秋の国会のときにゆっくりお伺いしたいと思うんですが、大方針としてはどうお考えになっておりますか、内容について。
  12. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 答申の線は尊重しなければならないことは当然でございます。ただ、従来の三回の国会にわたりまして御審議願いました審議経過等十分勘案の上、また現在御審議願っております第七次選挙制度審議会選挙あり方も、金のかからない選挙の方策、抜本的対策ということで御検討願っておりますので、それらも検討の上、法案の作成を慎重に検討さしていただいておるのが現在の状態でございますが、答申を尊重しながら、いまのような点を考慮し検討さしていただきたいと思っておりますので、御了承を願いたいと思います。
  13. 占部秀男

    占部秀男君 これは、最後に念のためにお伺いしておきますが、前回の答申があるわけですね。そこで、もう一ぺんこの問題について選挙制度審議会答申を求めるようなことは万々ないと思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
  14. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いまのところ考えておりません。
  15. 柴立芳文

    柴立芳文君 私はきょうは奄美群島振興計画中心にしてお尋ねいたしたいわけでありますが、たいへん局地的な問題で、議員の各位には御迷惑な点があるかもしれませんけれども、御了承をいただきたいと思います。  なお、委員長にお願いいたしますが、私は与えられた時間、三十分ということでございますので、私の発言は三十分以内にいたしますが、御答弁によりましては多少長くなるかもわかりませんので御了承を得たいと思います。  その前にちょっと先般八月十日の当委員会で私が質問いたしました問題で、時間が切れまして再質問できませんでしたので、その点について、木引税のことについて再度簡単に御質問申し上げたいと思います。  この前私が、木引税は理論的にも客観的にも廃止すべき段階であると主張し、だから撤廃する意思はないかというふうなことを大臣質問したわけです。その際に、市町村減収分に対してはいろいろ自治省のほうで補てん等の措置をしていただきたい、こういうような要請をいたしたわけでありますが、これに対しまして渡海大臣のほうから、御答弁の中で、この税は、固定資産税市町村の基本の財源として与えた際に、立木税として取ることができないので、木引税の形で既存のものができたものと解しておる。私、柴立大臣とは根本的な性格あり方について異なっておると、こういうふうにこの前の会議録にもちゃんと載っておるのであります。したがいまして、そういう意見に対しまして多少私も検討いたしておりますので、この問題につきましては税務局長に五つばかり質問を申し上げますので、全く簡単でようございますから、どうだということでひとつ御答弁を願いたいのであります。  まず第一点は、この木引税はだれが一体負担しているという解釈を税務局長はおとりになっているかということであります。これは木材業者なのか、あるいは山林所有者なのか消費者なのか、そういう三つだろうと思う。この中でだれが一番負担しているというふうに受け取っておられるかということが第一点。  第二点は、固定資産税との関連において大臣が言われたものですから、固定資産税の法律も私は調べてみたのでありますけれども、土地、すなわち宅地とか工場用地とかその他の用地、田畑、山林、原野、そういうものから一定の課税標準によって課税しておる、こういうふうに大略なっておる。したがって、土地だけの問題であって、土地に定着していると申しますか、そういうふうなものに対しては、これは取らないんだと、こういうふうに理解をいたしておりますが、立木の売却に際して、個人から所得税として徴収されているのは御承知のとおり、だから、その他の土地から生産されるもの、いわゆる果実、そういうふうなもので、こういう土地から生産された果実課税されているものがほかにあるかどうか、こういう点についてお尋ねをいたしたいのであります。そして、この木引税流通税的なものということに大体解釈されておるのでありますけれども、流通課税的なものというのはどういうことをさしているのかということについてひとつお教えいただきたいのであります。  次に、現在、木引税が取られている市町村、このことを全部調べ上げてみたわけでありますが、私のお聞きしたところでは、八千万ぐらい取っておられるというふうなところもあるやに聞いておりましたけれども、四十四年度の徴収実績を調べてみますと、そんなに大きいところはございません。三千二百万程度が最高になっておる。さらに、その税率の占める割合というのは、非常に大きいところが一カ所ありますけれども、その他はほとんどそう大きくない、三〇%程度が七カ町村ぐらいだ。したがって、ほとんどの町村が零細な税収になっておる、それが二十六億ぐらいになっておるんじゃないか、こういうふうに私は理解をいたしたわけであります。  そういうふうな中で、私も山村の町村長に当たってみたんでありますけれども、人件費もなかなかむずかしいんです。したがって、課税がむずかしいので、なかなかこれは困難だと、したがってざる法的なもの、なかなか取れないのだ。あがっているのは国有林、そういうようなところから搬出している木材が占めるように私は考えておるのであります。したがって、ざる法というふうには申し上げませんけれども、たいへんむずかしい、徴収の業務の中でむずかしさがある。そして、それは脱税と言えばおかしいのですけれども、漏れているものもあるし、町村によっては、そういう人件費をかけて徴収するよりも、しないほうがよろしいというふうなところまできているという町村も多いということをここで申し上げておきますが、そういう事実があるかどうかひとつお尋ねいたします。  第四点は、まあ外材わが国木材需要の大体五五%、こういうぐあいになっておりますが、国有林をはじめ国産林と申しますか、わが国で生産される木材が非常に圧迫されている、これは御承知のことだと思う。また不況の中におきまして、外材自由貿易で無制限と申しますか、課徴金も取らない、あるいはまた関税もとらない、自由に入ってくるというふうな中で、この国産材課税をしておることが現実に即しておるんだというふうに自治省はお考えになっているのか、税務局長はお考えになっておるのか。  その四点について、まず第一にお尋ねをいたしたいと存じます。
  16. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 木材引取税は、御承知のとおり、素材生産引き取りにあたりまして、その引き取り者に課すという税のたてまえになっております。木材引取税は、御承知のとおり、山林所在市町村における林野行政費等との関連において、そうした応益面に着目して課税をするというような考え方になっておりますので、その木材引取税負担というものは、当然これはその素材生産の経費的なものとして税負担を課する。こういう観点から、やはり木材木材引取税負担は当然引き取り行為を通じて、最終的には消費者に転嫁されるであろうということを予想して課せられた税であります。  しかしながら、この税の性格から見て、現在の木材価格あるいは製材価格等の推移から、必ずしもこの税が完全に消費者に転嫁されるかどうかという点は、そのときどきの経済情勢により、必ずしもこの税が考えているような形での転嫁は行なわれない場合もあるということは考えられるわけであります。しかしながら、たてまえとしましては、最終的には消費者に転嫁されるであろうということを予想した税であるということが言えると思うのであります。  それから固定資産税との関連の問題でございます。ただいま申しましたように、木材引取税はやはり山林所在市町村において、いわばその市町村の住民にとりましても大きな所得源にもなっている。したがって、市町村としては素材生産というものについて、それぞれ相当行政費支出をしながらやはり林野行政を行なっておるというのが実態でございますから、そういうこの林野との関係におきまして、相当大きな山林がありながら、市町村に公共的な費用を全然負担をしないという考え方もおかしいのではないか。こういう観点からの税でありますから、現在この流通課税の形態をとって木材引取税というものを創設しているわけでございます。  この場合に、税負担との関係において、立木段階課税をするのが適当なのか、あるいはこの立木素材として引き取る段階において課税したほうが適当なのかということになりますというと、やはり木材生産実態から見ますならば、その立木がいわば流通過程に入るという段階で、一時的に負担を求めるのが適当ではないだろうか、こういう観点からつくられておる税であるというふうに考えられるわけであります。そういう意味では、一面、固定資産税との関係においてこの木材引取税というものの存在も考えられるわけでありますけれども、課税の形というものは、現在は、ただいま御指摘のように流通課税的なものであるということでございます。  それで、これと同じように、土地からの生産された果実について課税をしている、たとえば木材のように課税されているものはほかにあるかということになりますと、直接の果実に対して課税をしているというものはないように思われますけれども、ただ固定資産税そのものは、その性格からいいますと、どちらかといいますと、収益課税的な性格を持っているということが言えるだろうと思います。流通税というものはどういうものかということでございますけれども、これはもう御承知のとおりでございますけれども、流通過程を通じまして、そこに担税力が見出される場合において課税をしておるのであります。こういう税でございます。最終的には、そうした流通過程を通じまして、その最終の税を負担をするというものは、最終段階消費者ということを想定しておるということが言える。  それから木材引取税比率の問題でございますが、御指摘のとおり、木材引取税課税しております市町村は、市町村数からいいますと約三分の二ぐらいの市町村——二千三百ぐらいの市町村木材引取税課税しておる。その中で、木材引取税収入額が百万円未満というふうな非常にいわば零細な税収しか見込めないという町村が千七百ぐらい、百万円以上の市町村が、したがいまして約六百ぐらいの市町村が百万円以上ということになっております。したがって、この百万円以下の零細な収入しか木材引取税に期待ができないというようなところにおきましては、確かに、徴税費等から見まして、相当いわば不経済な税になっておるというような点が見られないわけではございません。その点におきましては、私どももこの木材引取税徴収等につきまして、相当指導していく必要があるだろうというふうに考えておりますが、またそういうところでは徴税費がなかなかまかなえないというようなところもあって、むしろ課税するのが適当ではないのではないかというふうな議論のあるということも私ども承知いたしております。  ただ、比率から見まして、市町村税収入中に相当高いウエートでこの木材引取税を取っておるという町村もありますわけで、現在、四十四年度の実績を見ますと、一番多いところで約三千九百万円の税収をあげているところが一番大きいところでございます。これが市町村税収入の三五%であります。それから、その次が約千三百万円ぐらいの税収入で、市町村税中に占める比率が三三%というような町村もございます。また、比率から見ましても相当高いところといいましても、六百ぐらいの町村が比較的高いということが言えるかと思います。ただ、こういう市町村は、いわば過疎地域的なところにありますわけで、そういう意味では、ほかに適当な税収がないという意味で木材引取税というものについては依存度が相当高い。しかも、他に税収入のない過疎地域にあるというところに、やはり財政上の問題があるだろうというふうに考えております。  それから外材の問題でございますけれども、確かに外材につきましては税負担がない。そこで内国材と外材との間に、その意味での負担の不均衡があるではないかということになりますと、確かにそういう御指摘のような問題があろうかというふうに考えておりますが、ただ木材引取税自体が、やはりその市町村との応益関係によって課税をされているという観点から、この現在の木材引取税というものは外材との関連において課税をするということよりは、むしろその市町村との関係において課税をしておるということであるわけでございまして、若干外材関係におきましては税負担に問題があろうかというふうに考えております。
  17. 柴立芳文

    柴立芳文君 いま税務局長さんから懇切な御答弁をいただいたわけでありますが、これは論議しますと時間がかかりまして、私はほかのことが言えませんのですが、この税が創設されたときから、学者その他で、消費者に転嫁される課税であるので疑問があるというふうな論説も非常に多いわけです。そのときは、まだ外材もほとんど入っておりませんでしたし、全然客観情勢としては、まあ金持ちである山主からもらうというふうな感じなどもあったと思うんです。しかし現在は、これは大臣にお聞きしますが、流通の問題の中で政府自体がマージンというか、税金として取るというふうな、物価政策からいきましても、流通機構をどんどん減らして、そして物価を安定させようというふうな時世にある。これは全く当時の理論と現在とはたいへんな違いだということは、この前も答弁の中で、大臣も御理解いただいていると思うんであります。  そこで私は、外材が石油に次いでおる、二番目だと、そして過疎に悩み、過疎も自治省のほうではいろいろ御心配くださっておる。そして、あまり機械化、合理化されない産業の一つである。しかし、その目的は、治山治水をはじめとして非常に山林の場合は大きい目的を持っておる、国土保全の問題。そういうふうなこともこれあり、したがって、まあ国産材相当圧迫しておるということは間違いないということなんです。したがって、このことについては、私は税金を取るなら外材から取りなさいというふうな議論はしたくないんですけれども、それはまあ別の問題として、外材に対して何も取ってないで、国産に対しては、固定資産税といえども、これはもう考慮する時代にきておるんだと、私はこう思っている。したがって、どうもいまの税務局長さんの御説明では、理論的にも納得しがたいんであります。  したがって大臣は、私のこの前の質問に対しまして、四十七年には何らかの形において善処したいという旨のお答えをいただいておるんです。しかし、この何らかの形の善処ということばは、まことにあいまいと申しますか、また一方からいうと要領のいい御答弁なんです。しかしこの際、従来の市町村の財源確保はもう確実に何とかしてやってほしいという観点におきまして、特に、この国税が二兆数千億円というような時代、そして、おかげで過疎債等も相当計上したいというようなことでございますし、その自治省の予算操作の中で、補てんの問題は解決され得ないことはないと私は確信するのです。二十五、六億円の問題だし、そしてたいへん長い間問題になっておりました経過も知っておりますが、そういうふうなことでございますので、この際、大臣としては、四十七年度から撤廃したいんだというふうにお答え願えませんか。  そしてですね、私が申し上げるまでもなくて、これは政治、経済というのはどんどん進んできておる。そして変化の中で、経済の成長の中で、不合理な税制というふうなものは前からあって、現在はさらにその不合理性が明確になってきているのだというふうに私は考えますので、これは責任者としての自治大臣が、まず私は撤廃いたしたいんだと、しかし前の制度もありますから、そういうようなところにもかけますけれども、私はこうしたい、存続するならば存続したい。そして四十七年度から撤廃したいというふうにまずお答え願ってですね、大臣責任をひとつ明らかにしていただきたいということをお願い申し上げまして、御答弁をお願いいたします。
  18. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) この税金は、前に私、この点では柴立さんと意見を異にするんですと申し上げました点は、確かに前の御質問のときに、前は非常に木材業者がよかっだんだ、よかったから出ていったんだと。いまは非常に外材にもう押されて悪くなっておるのだと、だから、当然環境が変わってきたという点について、私たちはそう考えていないんですと、市町村も、特に財源の少ない市町村の固定資産にかわるべき固定した税源としてあったんである、業者がもうけておられるから取ったということでないという意味で御意見が違うのだということを申し上げたんでございますが、この点御了解願いたいと思います。  いま、この税金は、現在の状態から見てもう撤廃するほうがいいと、だから撤廃するという方針を言えということでございますが、前に御意見の違いましたように、私は二十六億円でございますから、現状において埋めるということは、私は行政措置上なし得ることであろうと思う。しかしながら、財政措置で埋めるということは、単年度、単年度のこれは暫定的措置でございまして、税源であるということは、永久に続くまあ固有の財源であると、過疎市町村に対しては。そのために取られた税金であるという、一方のことを考えながら、しかも現在におきまして、この税金が本来の税の意図を離れて、外材等の圧迫等からも、経済流通の面から考えましても、むしろその山村の産業そのものにも影響を及ぼしておるというふうな状態でございますので、何とかこの税金を考え直さなければならないという状態は認めるところでございますので、昨年来からその固定した永続性のある税源である点と、現在のこの税金をやめたほうがいいんだという状態等をいかに調整さすべきかという点に苦慮しておるような状態でございます。しかしながら、苦慮しておるからというて、慎重に取りはからってしないということは、やらないということになりますので、四十七年度におきましては何らかの措置をいたしますということを言明いたしたような状態でございまして、困難なるがゆえに、現状に変更を加えないのだということは四十七年度ではいたしません。  しかしながら、いま申しましたように、単に単年度だけの解決をもってしては解決にならない性格のものも持っておりますので、その点につきましては、撤廃するんだと、ここで言明せいという点は、ひとつこらえていただきたいと、かように考えております。それらの調和さすべき点を求めながら、現在考えておるというのが状態でございますので、四十七年度には処置はいたしますということでひとつごかんべん賜わりたいと思います。
  19. 柴立芳文

    柴立芳文君 大臣のほうでは、非常に市町村をかばわなきゃならない状態でございますから、御答弁はよくわかるのですが、しかし、全体的な国の税制の問題において善処していかなければならない段階だということは御了解いただいておるようでありますし、ただしかし、青森県の知事さんあたりもこの問題については撤廃しなさいというような陳情書がきていたり、税に対する批判というものはあなた方がお考えになっているよりも、何らかの形が出れば、こういうあいまいな手数のかかる税金は整理してほしいという声はだいぶあるということをひとつ御了解いただきたいと思います。  次に、奄美群島振興計画の問題でございますけれども、自治省は、いつでしたか、四十七年度の地方行財政の重点施策の中の地域開発の推進ということで、奄美群島振興計画の補完という意味で補完をいたしたい、こういうふうな発表が新聞紙上その他であったわけです。  したがって、鹿児島県並びに群島の市町村としましては、物価や賃金の上昇に伴いまして、またわが国の一般会計並びに財政投融資の著しい上昇、そういうようなこともありまして、本年度、昭和四十六年度に私どもは改定計画を、客観的な情勢もこれあり、お願いをいたしてきたところでありますけれども、諸種の事情で四十七年度に回してくれというふうなことで、ことしに改定していただくものと私は解釈をいたしておるのであります。四十七年度は大幅な改定が行なわれるものと私ども地元民や県、関係市町村は大きな期待を持っております。決定するまでにはまだいろいろな曲折もあろうかと思いますけれども、現在のところ、自治省自体の改定計画の大綱、これについてお尋ねを申します。  その前に、奄美の人口の減少率でありますが、名瀬市を除きまして、各市町村とも激減をいたしておる。二十万以上ありました人口が四十五年度の十月の国調では十六万四千人というふうなことでございまして、過疎法の適用をほとんど受けておるということになっておりまして、このことの事実を前にしての話が一つでございます。もう一つは、いつになりますか、四月と言ったり、七月と言ったりしておりますけれども、沖縄がいわゆる復帰されます。その復帰計画が、いま日本国民責任のもとに、政府でも第三次の決定を、まあ第三次分が九月三日に閣議で決定されたと報ぜられておるのであります。自治省もその分野で御検討中だと聞いておりますが、いずれ沖縄国会開会されることによりまして全貌が明らかになるわけであります。この二つの事実というものを前提にして質問を申し上げますので、ひとつそのつもりで御答弁をお願いを申し上げます。  質問の第一点は、まず、国が百三億でしたか、五カ年間、国費として決定されました分、この分に対して、いかほどの上のせを、どういうふうなものに対して上のせするんだというふうなことで大蔵省やそういうところと御折衝になっているのか。自治省自体の五カ年計画を四十七年度、四十八年度の二カ年間に国費の上のせをすることについての明細をここでひとつ局長さんからでもいいから御発表願いたいと思います。
  20. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 奄美の復興事業といたしましては、ただいま二つの事実を前提にして質問をすると、こういうお話でございました。私どももそういうことを頭におきながら検討を続けてきたわけでございまして、御承知のように、現在の五カ年計画は四十四年度から四十八年度までの五カ年でございます。ただいま三年目に入っているわけでございますが、先ほども御指摘がございましたように、最近におきます人件費あるいは資材費というようなものの値上がりというものを考えますと、現在ございます計画自身を達成いたしますためにも、なお財源的に不足を生ずるという事態が予想されるわけでございます。  さらに第十番目に、最近の著しい社会経済情勢の変化というようなことを考えますと、たとえば空港のジェット化でございますとか、あるいは港湾の大型化というようなものもぜひ必要だと思われるわけであります。  それからさらに、先ほども御指摘がございました沖縄の復帰、これが目前に迫っているわけでございまして、政府といたしましてどのような行財政上の措置を講じますか、まだ最終的にははっきりいたしておりませんけれども、おそらくかなりのてこ入れをすることになろうと思うのでございます。そういたしますと、大体地理的、風土的にも似通ったところでもございますので、沖縄に比べまして奄美がたいへん落ち込むようなことがあっては、これはそもそも振興計画を続けてまいりました趣旨に反するわけでございます。そういうことで、昨年以来、県当局とも相談をしながら検討を続けてまいりました。四十七年度の予算要求から、ただいま申しましたような趣旨を実現をしたいという考え方を明らかにいたしているわけでございます。  そこで、具体的な項目、額についての御質問もございましたわけでございます。現在の五カ年計画によりますと、大体二百五十億弱の事業に対しまして国費が百三億ということでございまして、あと四十七、四十八両年度で国費として残っておりますのが約四十億でございます。しかし、それでは先ほど申しましたような三つの点を実現するためにははなはだ不十分でございます。そこで、それに加えまして、国費といたしまして大体五百四十一億円のものを要求をいたしたい。国費で五百四十一億円のものを申しますと、事業費といたしまして約百億円になるわけでございますが、それを四十七、四十八両年度にわたって上積みをして要求をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。  項目の中身といたしましては、額はいま申し上げましたとおりでございますが、大体産業基盤の整備費の関係、港湾でございますとか、道路でございますとか、そういうものが三十一億ばかりでございます。それから産業の振興が八億七千万円というようなものが大きな項目でございます。具体的な事業といたしましては、先ほどもちょっと申しましたように、奄美空港のジェット化の事業、あるいは名瀬の港湾を大型化するというようなものが、おそらく重点事項として入ってくるだろうと思います。これは来年度の予算要求としてただいま大蔵省に出しているわけでございまして、これを計画の改定というか、補完というか、ことばはいろいろあろうと思います。また、財政当局自身は、こういうような要求に対しましては必ずしもこれを容易に受け入れる態勢ではございませんけれども、先ほど来、私の申し上げておりますように、三つの点を考えまして、ぜひこういうことを基礎にして四十七、四十八年度の事業をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  21. 柴立芳文

    柴立芳文君 ただいま局長さんのほうから大綱について御説明をいただきましたですが、その中に、大蔵省関係が非常にむずかしいと思われることがあると、こういうふうなおことばも少し出たかと思うのでございますが、いまお話によりますと、五十四億程度の国の上のせをしたいということ、そうしてそれは産業基盤と産業振興上の問題、そういうような事柄に尽きるわけでございますが、百三億に五十四億を加えますと、大体国費が百五十七億ということに相なるようでございます、国費の場合は。五十四億というのは国費の上のせという意味でしょう。そうしますと、百三億でしたから五十四億だけは上のせをしようというふうに解してよろしいと思う。そうすると百五十七億くらいになろうかと思うのですが、まあ大体国費だけで五〇%強の上のせですね、パーセントで言いますと。  これは私は、少なくとも七、八十億上のせしていただけるものだと思っておったのですけれども、少し少な過ぎると思っているのは、なぜかと申しますと、一般会計の伸びというのは、これは一がいに比較はできない点もあります。しかし、大体一八%くらいがこの三年間に伸びておりますね。そうして、いまからも伸びると想定をいたしますと、大体一八%の五倍です。それが伸びるわけですよ。そうしますと、この五〇%強の伸びというのは年間にすれば一〇%。しかし、これは統計の、産業基盤の問題等、いろいろな問題とすると一六%くらいになっているはずです。それは承知いたしておりますけれども、まあ端的に言いますと、そういうふうなことがあるのだ。  したがって、百三億をきめた段階における日本経済と現在の三年目を迎えました日本経済の考え方のワクですね、そのことはたいへんな違いであり、物価指数、労賃の指数、そういうものも考えますと、これは当然たいていの場において考える大きな要素であるということは銘記していただかなければ困ると思うのです。そうしませんと、せっかく沖縄はいま返ってきますけれども、多少十五、六年の歳月は過ぎましたけれども、同じような条件のもとでせっかく新しい復興計画、振興計画でやってやろうというのが、いままでたいへんお世話になったことは間違いない。間違いないんだけれども、この振興計画の今回の前期における後半は、これはむしろ大半ほかの予算に比較して制約を受けているのではないかという地元民の印象すらあるということ、そのことは十分ひとつ理解をしていただいて、そうして進めていただくことを、私はここで強くお願いを申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、具体的に二、三申し上げておきますが、質問の第二点の二でありますけれども、奄美群島振興信用基金についてお尋ねをいたします。これは予算の執行並びに産業の振興には金融が裏づけられなければなりません。いま局長さんのお話によりますと、公共事業並びに産業振興のための上のせをいたしたいということでありますが、これにはやっぱり金融のワクを広げてもらわなければならないわけであります。  そういう意味におきまして申し上げておきますが、いわゆる保証業務と融資業務をしていただいておる奄美群島振興信用基金制度、まあ今日まで非常にお世話になったわけでありますけれども、現在、昭和四十六年度の保証、融資、合わせて総資本金は十二億八千万ということになっておりますが、その内訳は保証基金が五億四千万、融資基金が七億四千万と私は承知をいたしておるのであります。  まず、保証業務についての件で、現在一億九千七百万円程度の残存債権があるわけでありますが、そのうち約八千万程度が事業主倒産等によりまして古くから不良債権だというふうにいわれておるのであります。この不良債権はもう回収不能じゃなかろうかというふうになっておりまして、数字にあらわれているものと実際上の基金というものは八千万の相違があるように思います。したがって、今度の改定等に対しまして、実際の五億四千万から八千万円差し引いた四億六千万円程度で従来機能しているわけでありますから、この機能をすっきりとした形にしていただきたい、まあこういうふうに考えます。そうしませんと、いろいろ保証の問題等につきましては、一般普通の保証は大体五倍から六倍程度の融資をいたしておるわけであります。奄美の場合は七倍と、もちろん多くを貸していただくことはけっこう、けっこうですけれども、健全な運営を基金自体がするためにほかから補てんをしなければならないという事態が起こるのです、こういうことから、したがって、この機会にすっきりしたものにしていただきたいというふうなこと、いわゆる八千万を基金から除去して減資する、そしてこの八千万の補てんについて考えていただくわけにはいかないだろうかということでございます。そうすることによりまして、まあ五・五倍が普通だとしますと、七倍は少し伸び過ぎているのだというふうなこともございますけれども、そういうふうな点について御考慮いただきたい、こういうふうにお願いを申し上げておきます。  次に、融資業務の問題でございますけれども、これは大臣、一番初めから非常に多かったわけでありますけれども、この三年間ぐらい二千万程度になっておるわけであります。これをもう少し上げていただくことによる——これは直接融資していただいているわけでありますから、事業費その他多くなりますというと、当然融資の対象も多くなるというふうなことから御考慮いただきたいのだ。約一億ぐらいは、この際、出資金ですか、出捐金ですか、ことばは出捐金か出資金か知りませんが、あれば出資をしていただきたい、こういうふうに私は考えているのであります。またその不足分を鹿児島県から転貸してやっておりまして利ざやの問題等もございます。こういうふうなのは小さい問題でございますから申し上げませんけれども、多少そういうふうな不足のものがあるから、転貸先に六分五厘であなた方が鹿児島県に貸して、そのまま貸していくと、そうしてその融資の場合においては低利でやっていく。だから農林中金、あれは何というのですか、農林漁業金融公庫、ああいうふうなところには長期低利の制度があるわけですね。したがって、奄美ではこの金庫におかげをもってたいへんお世話になった。なったけれども、そういうふうにほかの金融機関が長期低利なものを政府のてこ入れによってなされているということ、そういうふうな面を十分今回の機会に御検討を願いたい、こういうことなんです。保証業務、実際の貸し付け業務、こういう点についてもう少し奄美の人々が、少しワクを広げていって金融ができるような形に、この機会にひとつ八千万円の問題とあわせてお願いを申し上げたい、これは金融関係質問であり、要望でございます。  なお、開銀の関係としましては、船舶とか電力関係に御助言をいただいておるのでありますが、この関係も大型の船になるというふうなこと等もございまするし、電力関係はあとで申し上げますので、そのときにその融資等のことについてもお願いを申し上げたいと思います。  以上、金融関係について局長の御見解を承りたいと思います。
  22. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 信用基金についての御質問でございます。  初めに、保証業務の関係でございますが、ただいまおっしゃいますように、不良債権というものをかかえておりますことは事実でございます。沿革的に申しますと、一つは復興金融公庫の関係がございます。もう一つはガリオアの関係がございます。復興金融公庫のほうの問題は、御承知のように債権の整理と申しますか、そういう方向で、取れないものは取れないというように決着をつけるというような手続を現在進めているわけでございますが、御指摘の問題は、むしろそのガリオアのほうの問題でございます。私も、すでにもう長い年月かかっておりまして、しかも、いまに至っても回収することがなかなかむずかしいということでございますと、これはやはりもう整理をすべき時期に立ち至っているのではないか、こういう判断をいたしております。  ただ、まあこういう席で申し上げるのが適当であるかどうかわかりませんが、整理をいたしますと、今度はその債務を負っております組織なり団体のほうの税務経理上の問題も多少あるようでございまして、そういう立場から申しますと、むしろ基金が債権を切り捨てしないほうが望ましいというような声も中にはあるようでございますが、しかしそれは一部の声だろうと思います。私はやはり現段階におきましては、そういう不良債権、債務の関係は整理をすべき段階だろうと思います。ただ、これをいたしますと、先ほどもお話がございましたけれども、減資をするということは現在の法律上ちょっとこれが不可能のようでございまして、減資という手続をとりますためには、法律制度を改正をしないといけないようでございます。実はその辺もあわせて検討をいたしておる段階であります。  それから出資金の問題でございますが、これにつきましても年々努力をいたしてきているわけでございますけれども、まだ必ずしも十分ではございません。来年度は出資金五千万円増の要求をいたしております。しかし、おそらくこれでも柴立委員のお気持ちからいたしますと、まだ十分でない、こういうお気持ちかと思うのでございますけれども、私どもも群島の自立経済の復興という問題は、国からいろいろ産業その他に助成金を出すことも必要でございますけれども、やはりその金融ベースで自主的な自立が活発に行なわれていくようにということが、今後の一つのポイントだろうと思っておりますので、出資金の充実ということにつきましては、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  なお、開銀の問題につきましてもちょっとお触れになったわけでございますが、これも関係業界が開銀から円滑な融資を受けられますように、私どもとしても引き続き努力を続けていきたいと思います。
  23. 柴立芳文

    柴立芳文君 時間がございませんのでちょっと先へ進めまして、キビの問題については農林省の所管でございましょうから、どうも質問を申し上げにくいわけでございますけれども、主管が自治省でございますので、これは農林省との折衝がなされておると、かように考えておりますが、どうもキビの問題につきましては、御承知のとおり、昨年度少し上げていただいた、百六十円くらいトン当たり原料を上げていただいたわけです。これは二%足らずということで、価格が物価指数その他生活の向上等から考えまして、たいへん低いということ、さらに台風で昨年度たいへんやられまして、二回も大きな直撃を受けたものでございますから非常に減収をいたしておりまして、拓南製糖という製糖会社あたりが操業を中止をするという事態に立ち至りました。  したがって、農民はキビをつくっておって、運賃が、ほかの工場に持って行くにはどうも、ほかの蔬菜で方々で問題が出ておりますとおり、同じことが言えると思うのでございますが、この問題はそういう問題と違いまして、いわゆる基幹作物であるというふうなことから申し上げたいのでありますが、まあ根本対策としては、沖縄が復帰する、沖縄もいわゆる軍需産業と申しますか、そういうふうなものから、いわゆる平和産業にかわっていく過程の中に、キビ作というものは当然論議されるでしょう。その中で大きな根本策を立てていただくということに相なろうかと思うのでありますけれども、この問題は、そういうふうなすでに製糖工場が操業を中止しなければならないように原料が災害でやられ、減収になっておるというようなことを、十分御認識いただいていると思いますけれども、このことは十分な対策を農林省ととっていただいて、そして根本対策を立てていただくというふうなことについて、大臣に強くこれはお願いを申し上げておきたいと思います。  そして、具体的な問題といたしましては、製糖工場が中止した場合の補償等についても親切なひとつ御高配をいただきたい、かように私は考えておるのであります。いわゆる、私は、こういう問題はたいへん糖業そのものの合理性あるいは自由化問題からしますと、保護を受けていることも当然承知をいたしておりますが、しかし過疎の対象としてのキビ作、このことを自治省としては、過疎対策としても、一応自治大臣にお願いをしなければこれはいけないのだというふうに私は認識をいたしておるのです。先ほどから人口の推移を申し上げましたとおり、働けど働けど金にならずに、やはり名瀬市あたりにはつむぎその他があるので集まってくるというような現象が、ほかのところにも同じようなものとして出ておる。それは非常に深刻であるということを御認識願って、もう少し積極的に自治省としては農林省あたりとキビ作の根本対策について御高配をいただきたい、こういうふうに考えておるのであります。糖価安定事業団への財政資金の交付というふうなこと等とは直接関係はございません。しかし、製糖工場もある程度の犠牲を払っている。そしてキビ作農家も非常に努力をしているという事実は認めていただきながら、そして、それが成り立つような方向で善処をお願い申し上げたい、かように考えております。  次に、沖縄復帰との関連において二、三の点についてお聞きをいたします。  先ほど局長さんのお話で、空港のジェット機使用についての整備、これを急ぎたいということは、これは非常に緊急な問題だと私も考えております。一つは、地理的、歴史的なものが示しますように、鹿児島、奄美大島そして沖縄、このごろは東南アジアあるいは台湾が問題になっておりますけれども、そういうふうな南方に行く基地としての問題として、やはり飛行機、船というふうな問題をこれは当然考えてもらわなければならないわけであります。したがって、この際、早くジェット機が発着できるようにしてもらう、そうして各島にはローカル線としての機能を持ってもらうような形で進めてもらう。  船の場合にも私は同じだと思う。いま五千トン級の船が来ておりますけれども、地元では一万トン級にしてくれ。要するに、いまからカーフェリーの時代になってくる。その場合に、名瀬に寄港できないということはまことに奄美大島のためには不利である。これは当然だと思うのです。したがって、沖縄復帰に伴ういわゆる海の新幹線ということもおそらく今度の沖縄復帰計画の中に示されるでしょう。これは当然だと思う。したがって、その場合に、名瀬に寄港していただくのだというふうな構想で進めてもらうことを強く私はここでお願いを申し上げ、御意見を聞きたいのであります。  その点については、いわゆるいままでの大島だけの問題としての構想から、その南に沖縄があるのだ。沖縄の問題は、大衆というものは鹿児島というものを経過をして通るのだということは間違いないのですが、戦前もそうでありましたし、現在も毎日沖縄の琉球海運が運航しておるのです。私は、奄美大島の観光客があまり多いので、したがって、いまの琉球海運を名瀬に寄港さしてくれとお願いまでいたしました。ところが、あれは外国だからとても乗せられないと、途中まではいいだろうと言っても、関税その他の障害がありまして乗せてくれないのです。しかし、四月か七月には日本に返ってくるわけですから、その点は十分沖縄との往復のために名瀬に寄港していただくことはこれは当然だと思うし、船舶行政としても、これは海運局ですが、自治大臣に十分なる御高配をいただきたいということであります。  次に、電力の問題について申し上げておきます。いままでの奄美の振興計画の中で電力の問題が私は一番おくれておると思うのです。日本の経済の発展は電力から始まっておる。これは基本であります、産業振興の。現在も、御承知のとおり、本土の二倍以上の電力料金を払っておる。沖縄は、本土の計画によりますと公社ができると明記されておる。おそらく沖縄が復帰しますと、現在のや方でもそうですけれども、安い電力料金になるでしょう。沖縄はそういうふうな状態になる。奄美大島は現在でも二倍以上の電力料金を払っておるという事実をどうしても早く解消していただきたい。島民の経済のためにも、工場誘致をして工業化するためにも電力料金が二倍以上あったら何の仕事も参りませんよ。そのことは、私がいままでも申し上げてきたとおりでありますけれども、そのことは大島電力にいま四つの企業体が合併されよう、大島電力と九州電力と合併する、その基本については了解ができていると県議会でも発表になりました。しかし私は、二倍以上の電力料金を払っている大島に無条件で九州電力が合併するか、いわゆる経済ベースから考えても疑問を持っておる。それについてどうしても国や県の力でてこ入れをしていただく、そのことが電力が早く安くなる。このことを一日も早くやっていただきたい。それが産業振興の第一歩である。  こういうふうに私は考えておりますので、大島電力を九州電力が吸収合併するときのネックというものをいまから——来年の四月はなるだろうということは予測はできておりますけれども、一日も早くやってやることが振興のためになるだろうということは、万々私から申し上げなくても御承知だろうと思う。しかし、それはなされていない。実行していただかなければならぬわけでありますから、このことを特に私は大臣や局長さんに、吸収合併のときのネックを取りはずすがための行政措置、あるいは財政措置というものが何よりも必要性があるということをここで申し上げておきたいのであります。  それともう一つ、沖縄の復帰計画の第三次分までの中に、軍用道路等は沖縄の場合は主要地方道に編入するというふうに出ております。私はこれに便乗するわけではありませんけれども、事情も違いますが、いま局長さんや大臣がつぶさに見ておられるかどうか知りませんけれども、奄美大島の笠利から古仁屋というところまで名瀬を通っていく幹線があるわけです。それは主要地方道になっております。この道路はこんなに長くなってもまだ改良舗装が遅々としておくれておる。よく調べてみますと、十分の十の補助金に対しては国道並みなんです。しかし、ワクがあるものですから、国道に直ちにしていただきまして、国道のほうからやっていただくというふうな形をとっていただけないかどうかということ。そして幹線だけはりっぱにしていただきたい、こういうふうに私の意見として申し上げておきます。そうすることによって、改良舗装整備が急がれるというふうに私は考えていることを申し上げて、御所見をお伺いをしたいのであります。  もう一つ、運輸関係の問題でございますけれども、先ほども話しましたように、空と海、この問題はどうしても沖縄との関連において新しい観念から考えていただく。観光ルートというふうなものも、いま与論という島あたりには入り切れないほど人が入って、町自体がもうごめんだ、とにかく来てくれるなというぐあいに相なっておる。これはどういう現象か私よくわかりませんけれども、学生、若い者が一ぱい夏には参りまして六、七千人いる。与論島に一万以上の人が住んでいる。水の問題がことしは非常に問題になりました。観光客が来るということでございますので、新しい観光ルートとしての国際的なもの、こういうふうなものをジェット機と船、そういうふうなものによってやっていくという観光開発もこの振興計画の中でひとつ取り上げていただきたい。こういうことをお願いを申し上げるわけであります。  奄美群島の開発につきましては、いろいろお世話になっておりますけれども、時代が変わりました。時代が変わりまして、新しいチャーミングな地域としての場面も出てきておる。そういう点を十分御勘案をいただきまして、少なくとも沖縄復帰が来年の四月か七月に大々的に国民責任のもとにおいて行なわれる。それはけっこうです。しかし、奄美群島が谷間にならないようにひとつ十分お考えをいただかないと、せっかくのいままでの御好意が無になるということをここで、この改定に際して申し上げておきたいと思うのであります。  なお、最後に、時限立法である本法は四十八年度で終わるわけでございますが、今後の問題につきまして非常に自治省とされましても御検討をいただきたいわけです。それはまだ鹿児島県の意思も出ておりません。しかし、何と申しましても、いま時代の中で改定がもう少し大きく行なわれ、沖縄もこうだし、それにつれて奄美もこうだということになりますと、いまみたいな方法が一番いいのです。ただし、制約を受け、景気の刺激的なもの、そういうものが付加されない。この中には、いわゆるマイナスの点もあるわけでございます。したがって、その年々に行なわれる政府の施策というものに影響を受けないというマイナス点もございますので、この問題は非常に大きな今後の問題に相なろうかと思います。したがいまして、いま申し上げましたことを御答弁いただいた中で、私の申し上げたようなことを十分御検討いただきまして、弾力のある一つの試みというものをしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  まず、私の申し上げましたことについて御答弁をお願いいたします。
  24. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 幾つかの点についての御質問でございますが、最初にキビ作の問題でございます。御指摘のように、生産者の最低価格でございますか、それが年々多少ずつ引き上がってはおりますけれども、必ずしもそれも十分であるとは思われないわけでございますが、これは御承知のように、国全般の甘味資源の対策の一環でございまして、そういう点で、農林省のほうといたしましても、いろいろな方面からの検討の結果だろうと思っております。  ただ私どもは、先ほども御指摘がございましたように、奄美群島の産業、いろいろいままでこういうものがいいのではないかという検討をいたしましたけれども、結局はサトウキビとつむぎというものがやはり主要な産業とならざるを得ないわけでございます。そういう点から申し上げますと、先ほど過疎対策というお話もございましたが、やはり奄美群島の自立経済ということを考えます場合は一番目玉でございます。その点につきましては、私どもも従来から農林省のほうとも接触をいたしておりますけれども、なお努力をいたしていきたいと思います。  砂糖工場の閉鎖という話も私ども聞いております。これはたとえば地元のほうとされても、一つの工場を維持するだけの集荷ができなかったというような事情もございますので、そういう点では、地元の農業従事者の方々にも御努力を願わなきゃならぬ点があろうかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、群島の目玉の産業でございますので、重点を置いて各省とも折衝してまいりたいと考えております。  それから船舶、航空機というような関係の御質問で、鹿児島、奄美、沖縄というものを一体的に考えるべきではないか、私どもも全くその点については同意見でございます。後におっしゃいました観光にいたしましても、奄美群島自身を独立の観光圏と考えるのではなくして、やはり鹿児島、奄美、沖縄というようなものを一体にした一つの観光圏、観光ゾーンというものを考えていくべきであろうと思います。空港にいたしましても、港湾にいたしましても、そういうような見地から整備を急いでいかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。  三番目に、電力のお話がございました。これも御承知のように、いろいろな経緯がございまして、一部公営電気でやっておりましたものを、本年度中には全部大島電力に統合する予定になっておりますが、それを来年度には九州電力に統合する、こういう運びになっております。その際に、御指摘のように電力料金がほぼ二倍くらいの差がございます。これを一挙に解消できるかどうかということが非常に大きな問題だろうと思っております。私どもも、これはむしろ今後精力的に折衝しなければならない問題だと思っておりますけれども、大島電力の九州電力への吸収に際しましては、開銀の融資でございますとか、そういうようなものをてこ入れにいたしまして、まあなるベく早く料金が平準化するようにやっていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。  それから次に、道路のお話がございました。これも御指摘のように、大島本島の背骨になっております一番中心の主要地方道が奄美群島の振興事業の対象外になっておりまして、奄美にいらっしゃいます方々の印象では、これが一番おくれているということになっております。建設省当局にも折衝いたしまして、まあいまのところは五十年ないし五十一年で整備を完了するというふうな話にはなっておりますけれども、これではあまりにおそ過ぎるということで、先ほどおっしゃいましたような国道昇格というようなお考えもあろうかと思います。  国道ということになりますと、道路法の現在のおそらく適用から申しますと、なかなかあの道路を国道にするということは簡単ではないように思われるのでございますが、しかし、先ほどちょっと御指摘のございましたように、沖縄につきましては、復帰に伴って国道を幾つかつくっていこうということでありますれば、私どもはやはり鹿児島から沖縄をつなぐ国道の一つのルートというような感覚で道路法を適用していけば、国道にするということも法律上あながちむずかしいことではないのではないかと実は考えております。国道にすることによって整備が進みますならば、これが一番主要の道路でございますので、早く整備をしなければならないという観点から、お示しのようなお考え関係当局と今後折衝を続けていく重要なポイントにしていきたい、こう思っております。  それから最後に、四十八年度以降この奄美群島の振興事業をどういうふうに考えるかと、こういう御質問でございました。これは、先ほども御所見の中にございましたように、県当局自身がただいまいろいろ検討をいたしております。私どもも県の当局とさらに詰めて考えてまいりたいと思っております。  まあ計画を延ばすとか延ばさないとかいう形の問題は別にいたしまして、いずれにいたしましても、沖縄につきまして、国が今後相当なてこ入れをするといたしますならば、奄美群島につきましても国としてさらに私は考えていかなければならない点が多々ある、こういうふうに考えているわけでございます。
  25. 柴立芳文

    柴立芳文君 いま局長から御答弁いただきまして、たいへん御理解をいただいていると思っておりますが、これは大臣ひとつ、私はあの沖縄に便乗したというふうな形で話を申し上げているのじゃなくて、沖縄の前に、同じような形で奄美大島は返ってきたのだ。だから、その点で非常におくれている。そういう面は、沖縄がこんなに進んで、先に復帰した奄美大島がたいへん取り残されているというのは、これは政治の上で非常に大きな私は過失だと思います。この点はひとつ大臣のみずからの力によって、沖縄の復帰は明らかにされませんけれども、私の仄聞では相当思い切ったものがやられる。それに便乗という形ではないが、谷間になさらぬような形ですべての問題を解決していくという形を特にお願い申し上げたい。沖縄はまた数年たったら自治省の所管になるわけでございますから、その辺どうかひとつよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  26. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 御要望の点、十分承知して善処いたしたいと思います。
  27. 寺本廣作

    理事寺本広作君) 本件に関する午前中の調査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時六分開会   〔理事寺本広作委員長席に着く〕
  28. 寺本廣作

    理事寺本広作君) それでは、ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行財政等の当面の諸問題に関する件を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  29. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 私は大きく分けて二つの問題について質問をしたいと思います。しかし、それは基本的には共通する問題に結果的になると思います。  一つは、八月十日の地行委員会において資料要求いたしました自治財第七六号、昭和四十六年七月二十八日日付の次官が各省に対して出された「昭和四十七年度の地方財政措置について」と、このことについてであります。いま一つは、それよりちょうど一カ月後にいわゆるドル・ショック、ニクソン声明の処置の問題がございました。これと地方財政との問題についてと二つになると思います。  最初の、これは通達というのか通牒というのか知りませんけれども、次官の各省次官に対する地方財政措置についての連絡事項等についてでございますが、これは毎年こうしたものを予算編成の過程においてお出しになっておるのかどうか、従来の慣例は承知いたしておりません。とりあえず、私は、初めて地行委に入りましてこの通達を手に取りましていろいろ読ましていただき、検討を加えました。その中で、まあ特に明年度の地方財政は、最近における経済の動向に照らし、予断を許さない深刻な状況にあります。だからということで、地方財源の大幅なる増強、あるいは国庫補助負担金制度の改善合理化、財政秩序の確立など、国の側における措置を必要とするということについて、各省庁に対する要望として出されているもののように理解するわけであります。  これは七月二十八日時点では、昨年から打ち続く経済不況、経済不況から起こる地方財政の貧困ないし混乱、そうした問題とあわせ兼ねて、逆に国民のさまざまな要求というのが多様化し、いよいよ重要な段階に入っておるというとらえ方であろうと思いますが、その辺のところ、文章に表現されておるところではおよそ理解できますけれども、自治省としてこうした次官に対する連絡、通達を出すに至った経緯と、そうしてその考え方の基底にあるものは一体何であって、各省庁にどのような期待をしているのかということをざっくばらんにお聞かせをいただきたいというのが第一点でございます。  そこで、あわせて、その後すでに一月半経過をいたしておるわけでありますから、各省庁の予算編成の作業もかなり進んでいるだろうと思うし、そうした中で、自治省がいわゆる地方行財政がたいへんだからといって、親心から各省庁に対する働きかけがその後行なわれただろうと思いますが、そうしたこと等についての手ごたえと申しますか反応、そういうものはどのように掌握しておいでになるかということが第二点になると思います。  そこで、先ほど申しました大きく分けて第二点の問題であるところのドル・ショックの問題が地方財政に大きな影響を与えるであろうことは、私たちも、しろうとといえども十分わかります。そこで、これについて具体的な問題は、後ほど分けて質問いたしますけれども、最初に渡海大臣に対して、いま申し上げた最初のは次官通達でありますけれども、おそらく大臣の指示に基づいて行なわれたものでありましょうから、つまり経済不況と地方財政の問題、そうしていま引き続くドル.ショックによるところの、つまり地方財政の混乱とそれに対処する来年度の地方財政計画、こういうことを大臣立場から大まかに分析と、それに対処する見解を冒頭に自治大臣にお伺いしたいと思います。
  30. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) まず最初に、四十六年七月二十八日付の各省事務次官に対する四十七年度の通達の件でございますが、詳細は後刻各事務当局から述べさすことにいたしますが、このような通牒は、予算概算要求を各省がされる際に、例年事務次官通牒といたしまして、自治省の来年度に対する地方行財政の方向等を示しまして御協力を願っておるような次第でございます。  御承知のとおり、地方行政は、広範かつ多岐にわたる行政を扱っておりまして、地域住民の要請を反映し、地方自治を展開していく使命を持っておるのでございます。そういうふうな点から、各省ごとに出される要求にも非常に全般にわたって関連してまいりますので、このような通達を毎年出しまして各省に御協力を賜わっておるような次第でございます。  そういう意味で、四十七年度の状態を考えますときに、現在は、七十年代は内政の年代といわれておりますが、地方道、下水道、廃棄物の処理施設等各種公共施設の水準というものは、わが国は非常に立ちおくれておって、その整備の促進が強く望まれておることはもう杉原委員も十分御承知のことであろうと思います。その上に、最近におきましては過密、過疎対策の問題、公害の問題、交通対策の問題並びに教育、社会福祉対策等につきまして抜本的な施策が望まれるなど、地方団体に対する責務はいよいよ重要なものとなっておるのでございます。  一方、いま御質問の中にもありましたように、来年度の財政をながめてまいりますと、景気の下降が考えられまして、交付税並びに地方税も多くを期待することができない、一方に、多額の財政需要を必要とするのに、歳入面においては多くを期待することができないという姿でございます。そのために地方団体の運営にあたりましても、不要不急とするところの事務を整理する、機構の簡素化をやる、増員の抑制をやる等行政事務の広域的処理を考える等によりまして、財政運営を効率的に運用し、行政の合理化をはかることによって、社会資本の充実という要請と財政が非常に苦しいというこの両方をできるだけ調和した来年度財政運営をやっていただきたいということを背景として、最も必要とする重点的な方向に対しては、国庫補助等の負担金を増額する等各省にお願いするとともに、また不要不急の人員増を地方自治体に及ぼすようなことの施策はできるだけ避けていただくというふうな方向で、各種にわたりまして各省に対し次官通牒の形で出さしていただいたような次第でございます。全般的な要綱に共通した点と、また各省ごとの別々の点とを分けまして通達を出さしていただいておりますが、詳細な点につきましてはいずれ事務当局からそれぞれの質問について答えさしていただきたいと思います。  毎年このような通達を出しておりますが、各省におかれましても、この点も十分加味しながら概算要求を願っておるというのが通例になっておりますので、ことしもそういうふうなことを加味しながら各省の施策を検討されて概算要求をされておると、このように期待しております。なお、それらの施策につきましては、各省ごとに私たちと関係ある分につきましては、これから予算編成に至るまで十分協議連絡し、こちらの要望を入れていただくように、あらかじめ連絡協議をいたしておるような状態でございます。  ドル・ショックの件でございますが、国の財政事情も非常に景気が下降しておりますので、地方財政が来年度も悪いであろうということを考えておりました中に、八月十六日、あのようなアメリカの新経済政策が出されたような状態でございまして、それによりまして、一そう景気が深刻になってくるということは予想されるところでございます。したがいまして、来年の財政計画を待つまでもなく、本年度の対策としても非常に憂慮すべき状態でないかというふうに受けとめております。アメリカの新経済政策と前後いたしまして、八月十三日であったと思いますが、人事院の勧告が出されました。政府はこれを受けまして、八月二十四日に勧告案のとおりこれを実施する方針であるという旨の決定をいたしたのでございますが、国家公務員がそのような姿で勧告案どおり実施されましたなれば、これに準ずる地方公務員も当然準じて措置してもらわなければならない。そのためには、地方に措置できるような財源措置をわれわれとして十分考えていかなければならない、こういうふうな問題がまず起こってまいりました。そこへドル・ショックによりまして景気が非常に下降をし、民間の投資計画あるいは経済界の活動が非常に沈滞してまいりますので、これをてこ入れするためには、社会資本の充実と公共事業を実施するという形で景気の浮揚策を立てなければならないというふうな情勢にまいりまして、公共事業を中心とする補正予算を組まなくちゃいけないのじゃないかというふうな状態に内々進められておるというようなことは御承知のとおり。  その場合、国が公共事業を行ないます場合、当然これの裏づけとなるところの地方負担、これが必要となるのでございまして、現在の財政計画の中からはこの地方負担を見出すべきものが考えられませんので、何か新しい措置をもってこの裏負担考えなければならないという問題が起きております。また景気の下降によりましては、交付税そのものも、三税の三二%という額になっておりますが、はたしてこれが予想されるまでのものが入り得るかどうかというようなことが非常に危ぶまれているような状態になっておりますが、万一にも、そのようなことが起こったなれば、これに対する対処もせなければならない。一方、地方が当初予算に組んでおります税収、これも控え目に組んでおったと思いますが、現在の法人税関係の税収入なんかをながめておりますと、それすらも期待できないような状況が出ております。たとえば法人事業税におきましても、四十四年度から四十五年度に対する伸び率を見ますと、大体二九%余りの伸び率の税収入がございましたのが、本年七月末現在では、わずか三%程度の伸び率にとどまっている。それでは現在の税収入が期待できないのではなかろうかというような姿でございますので、これらの対策もかみ合わせて考えなければならないのかというような点、本年度の予算からして、すでにそういう問題を含んでおりますので、これらに対処するために交付税の増額、あるいは地方債の拡充等によりまして、必要なる地方財源だけは確保していただかなければならないと、目下慎重に検討を進めておるような状態でございます。  さらに、来年度におきましては、いま申しましたような状態がそのまま続きます上に、沖縄の返還ということが考えられますので、沖縄の返還に伴うところの地方財政の需要額というものも、また相当額にのぼるのじゃないか、かように考えられます。このための財源確保につきましては、関係当局とも連絡の上、十分地方財政に支障を来たさないように最大の努力をいたしたいと思いまして、目下作業を進め、検討を加えているというのが現在の状態でございます。
  31. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 一応大臣から、総括的な観点から御答弁をいただいたわけで、特に私、非常に傾聴に値すると思うことは、この各省に対する連絡通達の内容、それが各新聞社がとらえているように、社会資本の充実という点に力点を置かれていることが高く評価されているわけですが、大臣答弁の中でも、上下水道の問題等を含めて、そういった方向に努力される意思が明らかになったことを非常に多とするところです。ある新聞が不況対策に対する政府の景気浮揚——浮き上がらせるための財政予算措置等の問題について、かなり批判と期待を込めた社説を書いているわけでありますけれども、そのことは大臣のいまの答弁の中で、かなりこたえているというように、私、善意に解釈していいと思うのでありますが、新聞等では、不況対策を大義名分として財政の膨張を当然視し、その放漫化を黙認するようなことになってはなるまい、これは一本くぎをさしたような形であります。  しかしながら、こうした景気の下降、ドル・ショックの反撃、こうした状況の中で来年度の予算を組む場合にこのような提案をしております。来年度予算では、不況対策もさることながら、文字どおり国民福祉に重点を置いた予算編成を心がけることが何よりも重要だと思われる。これは私たちの気持ちを遺憾なく表明していると思います。大臣答弁も、その点で意見の一致を見ているのじゃないかと思いますので、この景気がだんだん下り坂になり、ドル・ショックの反撃がある、こうした状況下における四十七年度予算編成にあたって、地方行財政の指導に当たる自治省としては、そうした基本的な観点、ただいまの大臣答弁どおりの観点に即して進められることを冒頭期待したいと思います。  そこで、最初に二つに分けておりますので、第一点の自治財第七六号の次官連絡の通達について、先ほどぼくが質問したことは、大臣答弁でほぼ尽きていると思いますけれども、なお具体的に補完する点がまだあるのではないだろうか。その点について、どなたか御答弁をいただきたいと思います。
  32. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この自治財第七六号の趣旨なり、あるいはただいま御説明ございました、そのねらいとしておるところにつきましては、大臣から御答弁があったわけでございますが、各省庁がこれをどのように受けとめて予算編成、概算要求の段階に反映しておるかどうかという点につきまして若干補足をいたしたいと思います。  ただいま申し述べましたような趣旨でこの通知を各省に申し入れ、さらに財政局長名をもちまして各省官房長に対しまして総括的な事項、あるいはそれぞれの省の所管の具体的な事項につきまして、かくあるべきではないか、あるいは現実に地方に過重な負担をしいるというようなことのないようにといったようなことで申しておるわけでございます。  たとえば一つの例といたしまして、各省が具体的にこれをどのように要求の中で織り込んでおるかどうかということにつきましては、これから私どものほうで各省の概算要求の内容を聴取をいたしまして、その段階におきまして全貌が明らかになるわけでございますが、現在の段階におきましても、一つの例として申し上げますと、たとえば文部省が人口急増地域の文教施設、これにつきまして補助率アップを要求いたしておる、あるいは厚生省がごみ処理、あるいは屎尿処理等のいわゆる一般廃棄物、これの補助単価あるいは事業量の適正化、こういったことを予算要求の内容として出しておられるということを聞いておるわけでございまして、そういった趣旨におきまして、私どものねらいとしておるところ、あるいは希望をいたしておりますところが、各省の要求の段階では逐次具体化されつつあるのではないかというふうに考えております。
  33. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは、特にいま財政局長のほうから出された通達というのですか、何というのですか、お互い役所のことばでは。通達というと上から何かくるような気がするのだけれども、普通はどうなんですか、これは。
  34. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) まあこういうものにつきまして、各省、御案内のとおり、同列の関係でございますから、何と申しますか、申し入れという形ということで御理解いただけばいいのじゃないかと思います。
  35. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 役所ではそういうことばで……、申し入れと受け取っていいですね。
  36. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 申し入れということでお受け取りいただいてけっこうだと思います。
  37. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そうしますと、いま財政局長から各省に対して申し入れられた、これは幾つかの項目別になっておりますが、第1の3。おわかりですね、第1の3ですから五ページになると思います。ここで「地域交通、国民健康保険、教育改革等」こうあるわけですね。その中の「(1)最近における交通をめぐる諸問題に対処するため、都市地域においては、高速鉄道網、バス輸送網等の整備、自動車交通の規制、公共輸送機関の優先通行等の路面交通の調整および道路整備を積極的に推進し、また、過疎地域においては公共交通機関による交通輸送の確保のための」——これ特に大事ですから、念を入れておきますが、「公共交通機関による交通輸送の確保のための措置および道路整備を強力に実施する必要があるので、これらの対策について抜本的な検討を加えられたいこと。」と、こう書いてあるわけですね。この具体的な中身等について、若干、自治省自体がこの問題に対してどういうビジョンを持っているか、あるいは運輸省等を動かしながら、それをどう実現したいかというたくましい意図、考え方、そうしたものを実はお伺いしたいわけです。  そこで、答えをいただく前に、それを抽象論争では困りますので、私、具体的な問題を二、三提起しながら、この問題についてのお答えをいただきたいと実は思うわけです。  国会閉会中でございますから、私まあ地方行政委員になった関係等もあったりして、各市町村長をたずねて、いろいろあいさつを兼ねて要望、意見を伺ってまいりましたが、この中で、そんな山奥でない町長ですけれども、まっ先に私は訴えたことは、通学バス援助費——通学バスをどうするかと、こういう問題です。それはすでに文部省と一体となって行政指導されたと思うけれども、町村の合併、同時にまた、そのことの最大のリミットということで、学校の統廃合という問題がわが県など急速に進んだわけです。ところが、地域住民はそのことに対していろいろな角度から、感情的な問題もありますが、かなり反対のあちらこちらのろしを上げたわけですけれども、その場合に、最大のやはり納得する方法、手段として通学バスの問題が提起されたと思うんです。それで、まあそういうことで一応落ちついて、通学バスができて、子供さんたちがバスによって通学するということで、当面、子供たちも父兄たちも落ちつきを見せておったんでありますが、最近、町長などでは、これに要する経費ですね、このことで非常に荷が重くなって、実はぐちをこぼしているわけです。でありますから、この間も町長に会いましたら、こういうバスに乗って来ると子供がだんだんと足が弱くなって、町対町の連合運動会などで、そのバスのある学校の生徒は負けちゃうと、これは非常に合理的ではないと思いますが、そういう実例等もあげておりまして、これから歩こう、歩こうという方向を出そうというようなことを町長は言っているわけです。しかし私は、そうたいして基本的な問題を踏まえていないと、結局苦しいから、苦しまぎれのぐちだと思うんです。  そういうことがありますから、こうした地方財政を、町段階ですが、圧迫する交通路線の問題、通学バスということの中にいろいろありますよ。たとえば私企業のバス会社に契約をして、年間幾らというお金を負担しながらやっているのと、町自体がバスを四台も五台もかかえてやっている——人口二万ほどの町ですが、そういう町もあります。いずれにしても、そういうことでかなり困っているという事実があるわけです。こうした問題に対して、これは町の問題ですから、それはおまえのところでかってにめんどうを見ろ、それこそ自主性だと、こういうことで冷たい御返事になるかもしれませんが、それでは私、あまりにもかわいそうだと思うし、どうしたらいいか答えようがないわけです。自治省のほうで、そうしたことに対して、直接その町長に私が答えますから、必ず皆さんのおっしゃったことをそのまま答えますから、ひとつ私を通してその町長に答えてほしいのです。
  38. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 結論から申しますと、通学バスについては、自治省としてはあらゆる手段を講じてめんどうを財政措置として見てまいりたいと思っております。現に、今年度の普通交付税の措置におきましても、単価の大幅な引き上げを行なっておるわけであります。金額にいたしまして四十七億円というものを普通交付税の計算で基準財政需要に入れておるわけでございます。  その具体的なやり方といたしましては、やや技術的になるわけでございますが、遠距離通学の小中学校いずれも、小学校でございますと四キロ以遠、中学校でございますと六キロ以遠の児童、生徒につきまして、一人当たり一定の単価を乗じます。あるいはスクールバス、スクールボートにつきましても、一台当たり、従来でございますと百万円見ておりましたものを百二十万円に引き上げる。あるいは寄宿舎に入っておりまする児童、生徒につきましても、一人当たり三万六千円いままで単価で見ておりましたものを四万八千円に引き上げる、こういったようなことを交付税の措置として実は見ておるわけであります。  ただ、おそらく私は町村長さんが苦しんでおられますのは、そういう金の問題もさることながら、この通学バスというようなものを、大げさに申しますと、どのような経営の主体で、どのような運行の系統で運営したらいいか、民間の路線バスというものに委託をして行なう、あるいは民間業者に委託をして行なう、あるいは市町村みずから直営でやられる、そういったところに伴いまする、いわば通学バスの運営と申しますか、経営、こういった点についていろいろ御苦心があるやに伺っておるわけでございます。財政的な面といたしましては、私どもできるだけ実情に即して、この子供さん方がどんな僻地、辺地でありましても、国民として標準的な水準の教育の機会を得られるということにつきましては、関係各省ともども、自治省ももとより財政措置の面で及ぶ限りのことをいたさなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  39. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 どうもありがとうございました。  さて、また同じ地方交通の問題でございますが、今度は範囲を広げまして、具体的といいますと、具体的には、私、富山ですから、富山のことしか申し上げられませんが、いま、きょうも県会が始まっておるわけで、きょう県会のところで、ある軌道沿線の市町村長さん総あげで、もう陳情の時間になって、もうやっております。  それはどういう陳情をしておるかと申しますと、一つの具体的ケースでございますが、このことと同様なケースはまだほかにあるわけですけれども、それは名前を明らかにいたしますと、加越能鉄道というのがあるわけです。県がかなり出資をしておる企業でございます。ところが、そこのいま申し上げた路線が赤字だから、これをはぐりまして、バスでもって代行するというのが会社側の意見でございます。そこで市町村長等が住民とともに期待していることは、引き続き軌道の上を電車を走らしてもらいたい、こういう要求であります。そこで、県がここに示している態度は、それは困難だろう、現に赤字が出ているし、年間六千万か七千万の赤字が出ている状態だから困難だ、だからバス代行という会社側の要求をのまざるを得ないだろう、これが大体県の県会において示された見解であります。そうしますと、私たちはいずれをとるかということになります。  総合運輸交通政策というものは、やはり長期ビジョンに立ってものを論ずるべきだと思いますが、私、いまこの赤字になった理由は自治省でも十分御検討いただいておると思います。それは最大の理由は、やはりモータリゼーションの問題、その次は過疎化の問題、人口が一方に片寄ってきてしまったといったような、人口の流動、移動の問題がこうした問題を起こしていく大きな要因になっていると思います。そこで、原因はとにかくとして、将来をずっと考えた場合に、自動車が普及したからこれはそろばんに合わない。合わないからやめるという論理の展開のしかたは、私、長期展望を持ったものの考え方ではないだろうと思います。  そこで、しからばどうするかということになると、かなり議論があるわけで、富山県としては交通研究会等を組織して、十分学者の意見を聞くということに実はなっておりまして、ちょうど自治省の立田参事官が、その際、研究会の要員として要請をされておられるわけですが、十日の日に会合があって、本人に聞いてみましたら行けなかったそうですが、立田参事官が出席する場合、立田参事官個人の意見を述べるわけにいかぬと思うのです。やはり自治省としての省内での相当の討論——結論が出なくても、相当の討論を持っていかないと、おそらくそういうところへ出て発言はできない。少なくとも、ほかの学者やそういう人の発言と違って、立田さんの発言はきわめて重大な示唆と影響力をぼくは持っていると思いますから、その際、自治省は、どう現在省内で意見を統一されているかということ、これは立田さんの問題じゃなくなると思うのです。もうすでに自治省の問題だと思います。  私、しろうとで考えた場合に、軌道としてそのまま継続してほしいという住民の意思は非常に大事だし、当を得ていると思う。なぜかと申しますと、本県は雪が降ります。バスで代行するというけれども、町中にバスが入った場合に、道幅が六メートルないし七メートルであります。両側の屋根の雪をおろしたら、それはある研究会に臨まれた学者——学者じゃなく実務担当者だと思いますが、雪には雪の対策をとればいいのじゃないかと、それはそのとおりです。しかし、私たち長年雪の中で生活した者にとっては、一メートルないし一メートル数十センチ降った場合の雪を始末する場合に、屋根から雪をおろしたらもう終わりですよ。その学者がどういうつもりでそういうことを言っているのか知らないけれども、非常に現在の除雪能力では困難だと思う、そういうこともある。  あるいはまた、ラッシュ時の問題があります。通勤、通学のラッシュ時——七時ないし八時、あるいは五時ないし六時、この間のバス運行をどうするかということになりますと、いま私がおる居住地のところは、これも私鉄の線が走っているのですが、これも来年の三月で廃止をすると言っておるわけです。私は町内会長をしております。自治大臣、いつか表彰してもらいたいと思うのですが、参議院議員で町内会長しておるのはぼくぐらいだ。町内会長しておるから、いまその廃止反対運動の組織化をしておるわけです。この線あたりでも、私も車を持っておりますけれども、できるだけ電車に乗っています。その電車に乗っていると、七時と八時の間は三台の電車が連結している。この三台連結をしている七時のラッシュ時の状態をバスで代行した場合にどういう形になるか、しろうとでもわかるんです。そういうことができるかどうかという問題があります。いわゆる雪の問題とラッシュ時の問題。軌道でなければならないというのが、地域住民の切なる要望であり、結論であります。  そうすると、いま資本主義の世の中でありますから、私たちの見解と遠いですから、結果的には赤字が出るからどうにもならぬという問題が出ますから、小谷委員からもお聞きしましたが、兵庫県の一角では、赤字の分は県や町でめんどうを見るという実例もあるわけです。それからまた、公社にしたらどうだろうというのが、いま私の申し上げた加越能の沿線の市長、町長の要望です。市長、町長とも、きょう県会へ行って、集団陳情をやっておるわけですが、公社にしてくれと言うのです。県も一株入ってくれ、こういうことを言っておるんだが、県はいやだと言う。バス代行でしなさい、こう言っておるわけです。バスで代行しなさいと言っておれば、県はふところ手で議論をすることが可能なんです。しかし、県は無責任ではないでしょう。道路事情も整備するとか何とか言っておりますが、そんな簡単な問題じゃないというのが、私も長年住みなれた富山でございますから十分承知しておる。でございますから、いま申し上げた赤字を補てんしていただくか、地方公共団体で公社化でその赤字の分を分担しあっていく。もちろんこれは税金の問題になりますけれども、そういう方法でいくのか、公営企業でいくのか、これは地財法にも明らかに示されているんですから、そういう方法でいくのかどうかということであります。そのほかいい方法はないんじゃないですか。  おしなべて、いま申し上げたように、そういうふうになった原因を追及した場合に、私は逆にそれをとめていったら過疎化対策をどうするかという問題に返ってくるわけです。その場合に、何やらセンターつくったとかいうことなどで済まされない。私はやっぱり過疎地帯もよく車で訪問しますが、結局道路事情がよくなる、バスが継続的に動いている、こういう状態がやはり過疎化のただ一つの命の頼みの綱だろうと思う。それが私の県の山奥ではバスが切られてしまった。そこで村が経営してバスをやりますが、そういうこと等も考えた場合に、こうした地方交通機関をどうするかということ。これは運輸省の方はきょう出席を私は断わったんです。運輸省の意見は聞きたくない。やはり地方行政を担当、指導される皆さんの領域が非常に多いんです、財政的な問題等含めて。だから、特にその問題にしぼってお聞きしたいのでありますが、いま申し上げたように、そうした軌道をはぐろうとする、また事と次第によってはバス路線も間引くし、かつ廃止をする、こういう赤字をもって、至上命令とする私鉄企業ではそうならざるを得ないという現状では、自治省は地方公共団体をどう激励し、どうそれに対処する方向を与えていくか。こういうことなんですが、この程度の説明でわかりますね、ひとつ明快な御答弁をいただきたいと思います。
  40. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 御指摘になりました地方の交通機関の確保の問題、まことにむずかしくなりつつある問題でございます。で、いまお話のございました、そういうものに対して抜本的にどう考えておるかというお話でございますが、実はこれはただいま運輸省、経済企画庁が中心になりまして、総合交通体系の中で地域交通をどうするかという角度から、政府部内の意見も取りまとめておる段階でございます。したがいまして、自治省として、まだここで御説明申し上げる独自の案を用意できない段階でございます。  ただ、先ほどもお話のございましたように、地域交通の問題はきわめて重要な問題でございますので、単に経済的な観点から経営を考えられるということになりますと、死活の問題になりますので、この点につきましては、私たちは今度の予算に対して、少なくともバスを廃止した場合に、それを地方公共団体がかわって何らかの形で運行しようという場合には、これに対して運営費の補助をしていきたい、こういう考えで予算の要求をいたしております。また私鉄、いわゆる地方の軌道については、運輸省でことし新しく予算要求としまして、全体的に赤字があって、しかも代替バスにかえることができない、こういうようなところに対して補助金を出す、こういう要求をいたしております。それらの点をあわせて当面の措置を講じながら、将来の構想としては、先ほど申しましたように、総合交通体系の中の一環としてこれから深く研究していかなければならない問題であろうかと思います。  お話のありました、したがって経営のあり方、公営企業でやるのか、あるいは公社でやるのか、こういった問題については、まだ結論を求めかねておる状況でございます。
  41. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは、その程度しかどうしてもなかなか皆さんはお答えいただけないと思いますから、その問題はこれで一応とめておきますが、しかし皆さんは、政治をなさる場合に、あくまで住民の意思を大事にするということが皆さんのたてまえでございますから、その辺のところ十分御理解いただきたいことと、同時にまた、赤字だからはぐるという地域で、赤字ながらも乗っておる人がおるわけですね。それは利用者の側ですけれども、利用者の乗っておる者はどういう者が乗っておるかと、私もよく乗ってみるんですけれども、それは昼間はお年寄りと子供ですよ。通勤時におけるそれは、どういう人かというと、マイカーを持たない人なんです。こういう人というのは、結局それをたよりにしているわけですね。でありますから、マイカーも持てる、元気で運転免許も取れるという人は、それはいまの場合は対象として除外されてもしかたがないと思いますが、いま乗っている人は、この交通機関をそれこそ命の綱にしているというこの現実ですね。これは私はそろばんの問題ではないような気がするわけです。そうかといって、人情論で経済の議論できませんので、これはやはり高い次元に立った自治省なり国の政治の中で、先ほどおっしゃった総合交通対策などの面で十二分の努力をひとついただきたいところだと私は思います。何でもかんでも都合悪くなると国へ持ち込んでくるという考え方も、これは住民運動としてもどうかと思いますけれども、しかし、そういうやはりあたたかい配慮が望ましいのではないかと思います。  次に、大きな問題の二番目のドル・ショックの問題でございますが、これは先ほど大臣から総括答弁をいただきましたので、突っ込んでドル・ショックから起こる地方財政への圧迫、それに対する自治省の地方財政指導の当面の対策というようなことなどお聞きする予定でございましたが、それを集約いたしまして、実は昭和四十七年度の地方財政計画を伺うという形にして、それを具体的な要望書に沿うてお答えをいただくことが結果的に答えになるのじゃないかと私思います。  それはどういうことかと申しますと、きょう、私、東京へ参りまして、机の上に四十六年の九月十三日の日付の要望書で、発信者は全国市議会議長会であります。とき、たまたま、その中における地方財政委員会委員長は、私と同じ県の氷見市議会議長の酒井治七郎氏が担当して、会並びに議長の連名で要望書が出ております。この要望書に沿うて簡単にひとつお答えをいただきたいと思いますが、全体で九つありますので、たいへん長引きますから私内容を読みません、御承知だと思いますから。  第一点の「都市税制基盤の拡充強化について」ということでございます。これも幾つかの項目に分かれておりますが、国、地方を通ずる税源の再配分なり、法人税、所得税の一部を都市に移譲するなど、自主財源などの強化などを含めた道路の問題、消防施設の問題等について要望が出ているわけですが、個々にわたってなかなか答弁も困難と思いますが、皆さんの行政の指導の観点から、これだと思われる点についての答えをいただければと考えます。第一点だけについて答弁を求めます。
  42. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 項目が非常に多くなっておりますので、都市税制の拡充強化の問題について私の考え方を申し上げたいと思いますが、確かに、指摘されますように、最近におきます都市の財政需要というものが非常に膨張しておるということは事実であります。したがいまして、私どもも都市税制を強化するという方向で税制改正というものを何らかの形で実現をしたいということで種々検討をいたしております。ただ、まだ具体的にどうするかというところまではいっておりませんけれども、考え方としましては、との都市税制の強化について何らかの結論を近い将来出していきたいというふうに考えております。  なお、税源配分の問題、これは国と地方の間、あるいは府県、市町村間の問題がございますけれども、特に府県、市町村間の問題につきましては、その税源配分についていろいろな観点からの議論はあるかと思いますが、それ自体、地方財源の全体の強化ということには必ずしもつながらないという問題がございます。そういう意味では、なおこの地方税制全体がいいのかどうかという観点からこれは検討する必要があるだろうと思います。なかなか早急には結論は得られないだろうと思っておりますが、ただ、いまこの要望書にありますように都市税制については何らかの強化策をとってまいりたいと、かように考えております。
  43. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 では、局長は近い将来とおっしゃるけれども、大体あなた方はそういうことをよく口にされるわけだが、来年度には間に合わないのですね。その辺はどうですか。
  44. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 私どもの気持ちとしては、できる限り早くいたしたいという気持ちでおりますけれども、諸般の経済情勢等から見て、それが来年実現できるかどうかという点につきましては、ここで具体的に申し上げかねるのじゃなかろうかと、かように考えております。
  45. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは、第二項の「地方交付税制度の改善について」、「激増する都市財政需要に対処し、地方交付税率を据置くとともに、」——現在三十二でしたね。「地方の固有財源たる性格を明確にするため、特別会計への直接繰入方式を採用すること。」その他とありますが、これについてはいかがですか。
  46. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 財政関係につきまして八項目ほどあるわけであります。私は、実は、これを持って議長会からお見えになられましたときに、一番大事なことが抜けておりますね、ということを実は申し上げたわけです。一番大事なことが抜けておりますと申し上げましたことは、先ほど大臣からもるる御説明申し上げましたように、当面の地方財政、来年度の地方財政、今年度の地方財政、これらが、非常な極端なことを言いますと、地方財政の歴史でも過去に例を見なかったような質的な問題のあるむずかしい段階にさしかかっているということで、このいまのそういう当面並びに来年度の地方財政対策というものについての強い危機意識に立っての要望というものが、この中に盛られておらないということを申し上げたわけですが、そのときにはまだ比較的ニクソン・ショックの影響というものがなかなかつかめない。それが地方財政にどういう波及効果を及ぼしていくのか、なかなかおつかみになれない段階でありましたために、それについては、あらためてわれわれも検討して持ってまいる、こういうお話がございました。で、私どもといたしましては、当面の四つの問題点、あるいは明年度の地方財政——おそらくたいへんなこれは混乱におちいると思いますけれども、そういうものについての対策というものをまず第一にこの地方団体としても取り上げて、政府に対しても、私どもも含めまして、政府に対する万全の措置というものを強く要望していただきたいという気持ちを実は持っておるわけであります。  で、前置きが長くなりましたけれども、そういう観点から、この地方交付税制度の問題につきましても、私どもはまずこの総額の確保ということについては万全の措置をとってまいりたいと思いますし、また特別会計への直接繰り入れということにつきましても、これは毎年私どもは国庫当局に対しまして要望しておるところでございます。引き続きその実現をはかってまいらなければならないと思っておるところでございます。また交付税の具体的な算定につきましては、やはり生活環境の整備、あるいは都市環境の整備、あるいは過疎等の地域対策、こういった面に応じまして所要の改正を加えてまいっておるわけでございますけれども、さらにまた、時代の要望、国民の要望に即応した内容の適正化をはかってまいりますことは、これは当然のことだというふうに考えておる次第でございます。  なお、この八項目の点に関連いたしまして、たとえば地方債制度の改善という問題がございます。これもまことにそのとおりのごもっともなことでございます。私どもは来年度の地方債計画として一兆六千六百億の要望をいたしておるわけでございますが、その中において考えておりますことと全く軌を一にするものでございます。また国庫補助負担金制度の改善合理化、超過負担の解消、あるいは零細補助金を廃止して一般的な財源に振りかえてまいる。こういった点、あるいは同和事業等につきましてのやはり超過負担の問題、こういった点、いずれも私どもこれから努力をしてまいらなきゃならない点の要望がございますので、これらにつきましては、できるだけすみやかな機会にその実現をはかってまいりたいというふうに考えております。
  47. 小谷守

    ○小谷守君 杉原委員の御質問関連して、簡潔にお伺いをしてみたいと思いますが、午前中も奄美群島の問題に関連して御質問がございましたが、私はこの過疎地というものを何か過疎という静かな姿、そういう現象でとらまえるだけではまずいのではなかろうか。いま過疎地に向けて過密地帯から非常に逆流してくる姿、そういう非常に激しい流動が起こっておるように思うのであります。  一例は、午前中もお話がございました。たとえば奄美群島の与論島では、一万人もの人が来てたいへんであったというふうなお話がございました。大型レジャーの時期であります、いま夏が終わったわけでありますが、私どもの地元、たとえば瀬戸内海に淡路島という島がありますが、この島をひとつまないたに上げて考えてみましても、二十年ほど前にはこの島の人口は二十三万でございました。ところが、二十年たったいま、昨年秋の人口調査では十七万、約六万の過疎現象がここに起きておる。ところが、一昨年の調査でありますが、この島に向けて京阪神から、過密地帯から殺到するレジャー人口は、一昨年の調査では約二百万、昨年は万博がありましたから五十万ぐらいはふえておるでございましょう。こういう過密地帯から過疎地帯に向けての激しい流動がいま起こっておるわけです。国鉄はこれに拍車を加えるように、ディスカバー・ジャパンというような看板をあちこちに出しまして、これにまた拍車をかけておるように思います。  そこで、その過疎地帯ではどういう現象が起きておるか。たとえばいま淡路島を取り上げましたが、ここに洲本という町があります。中心の町でありますが、人口約四万。たとえば洲本警察というものを取り上げて考えてみますと、ここの警察は、寝起きしておる四万人そこそこの定着した人口、固定した人口から割り出した定員であります、約七十名。おまわりさんの数は七十名。兵庫県でも一番成人病の多い警察です。そして非常に窃盗の検挙率の低い警察です。昔はそういうことなかったんです。ところが、土曜、日曜をピークにして、どんどん入り込んでくるレジャー人口、これの応接にもうまいってしまう。雑踏の警備、交通の整理、そういうことでくたくたになっておる、非番も何もないのです。成人病が非常に多い。また、こそどろなんかを追っかけておるいとまがない、こういうことだろうと思うのです。窃盗の検挙率は年々落ちておる。まあ一例をあげますと、そういうこと。そうしてレジャー客が立ち去ったあとには何が残るか、たいへんなごみの山です。美しい海岸も山もたいへんなごみです。もうかる者はだれか、これは一握りの観光業者、旅館、食べもの屋、みやげもの売り屋、タクシーの業者、この程度がせいぜいもうかるくらいでありまして、大部分の住民は、これによってたいへんな迷惑をこうむる、また、残るものも、一つは自然の破壊です。あたりかまわずキャンプを張って、そうして、そこらじゅういためておる。たいへんな迷惑が残されていくわけであります。  そこで、お伺いしたいのでありますが、このレジャー人口を規制するというふうなことはできないと思います。これはもうできないと思いますが、せめてこれによって起こるところの迷惑に対して、大臣は、広域的な見地で何らかの御配慮を願わなければならぬと思うのであります。たとえば一番困っております問題は、末端自治体の、第一線自治体、過疎地でございますから非常に貧弱な町村です。そこの清掃費ではまかない切れぬ状況、したがって、これらの迷惑料に対して何らかの財政上の援助をぜひはかっていただきたいと思うのであります。交付税の算定の基準なんというものも、古いものを墨守するなんというふうなことは、もう時代に対応できないと思います。私は交付税の中にこういう要素を組み入れてお考え願うこともけっこうだと思うし、あるいは別途の補助金を構想されることもけっこうだと思います。  私は、渡海自治大臣に、ぜひ四十七年度の予算から、ここら辺については特別な配慮を、勇気を持ってひとつ断行願いたい、このように思いますが、御所見はいかがでありますか。
  48. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在の移り変わりつつある社会の世相を端的にとらえられまして、示唆ある御意見、まことに私も実態どおりだと思いますので、現在でも、私は詳しい事務的なことは存じませんけれども、たとえば熱海なんかにおきまして、熱海に定着する人口と、常時おりますところの熱海の観光客を受け入れての人口と、これは相当な開きがある。いまの清掃施設、下水道、上水道の施設、それらはすべて観光客を受け入れる姿として、費用も要りますし、算定されておる。したがって、そういった入ってきますものに対する要望というものもある程度加味した財政的な措置が行なわれなければならないのじゃないかと思います。これらは定着した観光客でございます。  しかしながら、過疎地域にありますやつは、時期的にも、いま小谷委員指摘のとおり、一時的なものでございまして、やや等閑視されておるのではなかろうかと思いますけれども、定着したところに行なわれております例もありますことでありますので、そういった点も考慮に入れながら、レジャー的に、季節的に参ってきますそれらの都市に対する、また都市に限らず、地域に対する行政措置を何かの形で見るような、もし、なければ検討を加えさして、ぜひ実現さしていきたい、かように考えます。  なお、詳細につきましては、財政局長からお答えさせます。
  49. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 清掃施設につきましては、御案内のとおり、まずつくる金というものが要るわけでございます。つくってからあと、それを運営するための経費が必要なわけでございます。で、建設につきましては、ただいま大臣からも御説明ございましたように、その地域の特殊性というものによりまして、当然、常住人口と混入人口というものが流動しているところがある。それにつきましては、それに見合う施設の整備ということにつきまして、これは地方債と交付税の措置になりますけれども、実情に適する措置を考えてまいりたい。経常的経費につきましては、これは処理能力等を勘案いたしまして、やはり普通交付税で万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  50. 小谷守

    ○小谷守君 大臣から明快なお答えをいただいて感謝いたします。  なお、私は、過疎地における迷惑の一つの例として清掃問題を申し上げたのでありまして、清掃問題だけではございません。もうたいへんなはかり知れぬ迷惑を残していっていると思うんであります。私が申し上げましたのは、俗なことばで一種の迷惑料とも称すべきものを御考慮願いたいと、こういう趣旨でございますので、よろしくお願いいたします。
  51. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは、先ほど財政局長が答弁されたわけですけれども、私が読み上げないところまでさっさとおっしゃったわけですけれども、しかしそれが、どれとどれが、どうということになりますと、私ちょっと取り違えているかもしれませんけれども、間違っておればそちらのほうでまたあとで補正しながらやってもらえればいいと思いますけれでも、いま国庫補助負担金、地方債制度の改善の問題についても触れられたと私は理解します。なおかつ、同和対策事業の問題も若干触れられたわけですが、この要望書によりますと、「公共用地の先行取得に対する財政措置の充実について」という項目があるわけです。加えて、ついでですから「水田の取得にかかる地方債の利子補給について」、「地方公営企業の健全化」、「自治体病院の経営健全化」、これらの問題は私は要求しておりませんから、まだ答弁として出ていないと思いますが、その辺おそらく私は取り違えてないと思いますから、私のいま申し上げた点をもう一ぺん提起いたしますから、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  52. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 公共用地の先行取得につきまして、この御要望の中では、一つは、地方交付税法に定める土地開発基金費の措置を恒久的な制度とするとともに大幅に増額することということと、それから公共用地先行取得事業に対する起債の発行条件を改善し、政府資金の大幅導入という御要望がございます。で、土地開発基金費の措置を恒久的な制度とするかどうかということにつきましては、御案内のとおり、この土地開発基金——早急に公共用地の先行取得に資するということから、四十四年、四十五年、四十六年の三年度にわたりまして約二千八百億ほどの財源措置をしてまいったわけでございます。  問題は、先ほどからお読みになっておりますように、地方交付税の総額というものが、ここにまいりまして非常に先細りになっております。で、明年度この地方交付税の総額というものの伸び、これはおそらく予想外に低いものになるということもそろばんの中に入れてまいらなきゃならないだろうということになりますというと、ある程度、恒久的な措置ということになりますと、この財源の状況がどうであろうと、これはばんとして一本の柱になってしまうわけでございますので、恒久的な措置として取り入れるということにつきましては、その次の用地の先行取得債、起債の面でどれだけ入れるか、あるいは建設省所管で都市区域につきまして例の都市開発資金、こういったようなものがございましたり、用地の先行取得につきましては、あるいは義務教育でございますと義務教育施設債の中にも入っておりますし、いろんなところへ分かれて入っておりますので、そういうものとのふくらみぐあいとのかね合いで検討したいということで、特に取り上げて申し上げた次第でございます。  なお、先行取得債の発行条件でございますが、これは現在縁故資金でございますので利率が高うございます。できるだけ政府資金を大幅に導入をするということと、それから、その次に御指摘になりました水田取得債の問題でございますが、これも現在単年度二千億くらいの規模で出しているわけでございますが、そのうちの一千億につきましては農協系統資金を通ずるものでございまして、これについては利子補給の道がございます。できるだけ農協系統資金の活用、利子補給、こういうものとも結び合わせて考えてまいったらどうであろうか。  それから、地方公営企業の健全化につきましても三点ほど御要望が出ておりますが、この公営企業債のワクの拡大、政府資金量の増額、これも明年度私どもがすでに要求いたしているところでございます。それから利率の引き下げにつきましても、御案内のとおり、たとえば上水道、下水道あるいは工業用水あるいは一般の交通事業、こういったようなものにつきましては、あるいは政府の利子補給を入れ、あるいは公営企業の売り上げ金の一定率のものを公営企業金融公庫が受け入れまして利率の引き下げを行なっているところでございます。明年度におきましても、市場債等につきましてこの利率の引き下げをはかってまいりたい、あるいは上下水道等につきまして償還期限の延長というものをはかってまいりたい、こういうことを明年度の私どもの努力目標といたして、現在関係各省と折衝いたしているところでございます。  また、公庫の政府保証債につきましても、四十六年度、五年ぶりに政府保証債のワクの拡大を行なったわけでございますが、来年度、これも現在の四百七十八億につきまして、現在一千億の要求をいたしております。まあ目標どおり満度をとれるかどうか、これはこれからの資金需要との関係もあるわけでございますが、大幅な増額をはかってまいりたいということを考えております。  それから上水道、交通事業等の資本構成の健全化のため資本支出に対する国庫補助制度を確立すること。資本支出に対する国庫補助ということまではまだ割り切っておりませんけれども、建設費に対する助成といたしましては、たとえば地下鉄につきまして、国、地方団体で五〇%程度の補助率になっておろうかと思います。それから上水道につきましても、例の水田開発あるいは広域上水道というものにつきましては、厚生省のほうで補助の道を開いておられるわけでございます。資本支出に対する国庫補助制度というものの内容をもっと分析をして見なければならないかと思いますが、そういった形でやはり国民の生活に密接に関係をいたしまするものにつきましては、あらゆる機会を通じて、条件の是正をはかりまして、終局的に国民負担の重くなることを避けてまいりたいという気持ちでおるところでございます。
  53. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そこに要望書あるんですね。
  54. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) はい。
  55. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 その8のところですね、病院の問題。赤字のことでたいへん騒いでいるんですが、医療制度にからんでここに要望書が出ているんですが、これはどうでしょうか。
  56. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 病院事業に対しましては、現在、四十五年度で申しますと、特別交付税を約七十五億円、これは病床割りでございますとか、あるいは看護婦の養成施設、あるいは救急医療施設、こういったものに対しまして、これはいわゆる病院会計でなしに一般会計からの支出のめんどうを見る、こういう意味で特別交付税を出しているわけでございます。この大幅増額という、この大幅の内容でございますけれども、私どもやはり病院企業の経営健全化という面から見まして、一般会計と病院会計との負担区分で理屈のつくものにつきましては、できるだけ交付税のベースに乗せて、今後とも引き続いて検討してまいりたい。  それから病院債についてでございますが、病院の起債でございますが、これは現在償還年限は二十五年、それから利率は全部政府資金でございまして六分五厘というところでございます。当面の問題といたしましては、これもこれからの折衝ものでございますが、病院事業の償還年限について、明年度ひとつ期限の延長ということを打ち出してみたい、これもこれから折衝いたします。ただ、「病院事業に対し新しく国庫補給金制度」というのが実はよくわからないのでありまして、これにつきましては、卸要望の内容をもう少し詰めて聞いてみまして、その上に立って判断をさしていただきたいというふうに考えておるところでございます。  それから「医師の確保と看護婦の充足対策として養成機関の設置、待遇改善に対する助成等について、抜本的措置を講ずること。」ということがございます。まあこの辺の問題になりますと、厚生省でございますとか、あるいは文部省でございますとか、そういったところの、これこそまた抜本的な施策というものを立てていただきたいという気持ちが私どもは別途あるわけでございまして、関係都道府県のたいへんな熱意によりまして、現在建設の緒につきつつありますところの自治医科大学といったものは、これはまことに異例の措置でございますけれども、私どもがこの問題に、単なるいわゆる役所の縦割りというものを越えて、国民医療という、特に僻地、辺地の医療の確保というためにたいへんな努力と熱意を持っている——てまえみそになるかもしれませんが——ということの一つの例と申せるかと思います。  それから四番目の「診療報酬制度の改正、報酬単価の是正を早急に実現すること。」、これは私どもの所管でございませんけれども、厚生省に対しましては、私どもの立場からまた意のあるところは伝えてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  57. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 一応、経済がだんだん停滞していると、そうしてまたドル・ショックがかぶさってきたと、こういう状況の中で四十七年度の地方財政、地方行政はどうあるべきかということについての質問をしているわけですけれども、ただいまは要望書ということで便宜それを利用して答弁をいただいたわけですが、これが四十七年度の地方財政計画を浮き彫りにするすべてのものではない。なぜかと言うと、要望書自体は市議会議長会が出している要望書でございますから、一部に片寄っていると思いますが、しかし、ある程度そうした点の大体輪郭は明らかにすることができたと思います。  これで、一応私の質問を終わるわけですけれども、ただ、最後に、渡海大臣の決意表明も実はあったわけですけれども、きのう、私、富山を出て「はくたか」で新潟を通って東京に出るわけですが、途中で長岡で四分停車でございますので「新潟日報」を手に入れたわけですけれども、この中で、すでに皆さんが御承知のように、全国知事会が地方制度調査委員会等を開いて、十三日検討を加えた結果、この来年度予算編成で地方財政の強化策など緊急要望をまとめて、おそらく自治省、大蔵省その他に参ったと思います。これは県政を担当する側からの要望でありますし、先ほど申したのは市議会議長会の段階における要望書であります。こうしたものが次から次と出て参っていると思います。  ただ、いずれにしろ、問題は、東京都の九月補正予算編成をめぐって収入その他を検討した結果等が新聞でいろいろ伝えられているところを見ましても、たとえば法人二税などのごときは一八%を大体見込んでいたにもかかわらず、現在六%にとどまったんだと、だからことしは三百六十億円の減収になる。加えて、今回のドル・ショック騒ぎで、さらに法人二税の伸びが落ち込む心配が出てきたということもあからさまに書かれているわけですけれども、こうしたことが、より具体的なきびしい状況で進行するだろうと思います。  「新潟日報」に伝えられている——新潟の地方課が十四日現在の各市町村の財政力指数を一覧表にまとめているわけですが、これを見ましても、これはまとめた時点はもっと早い時点でございましたけれども、県平均は〇・四四四で前年度より ○・〇〇九以下、年々下がっていることが明らかになったという事実等も指摘されているわけですから、住民の要求の多様化とあわせ兼ねて、逆に、こうした収入面の大きな問題が折り重なっている重要な時期でございますから、かじとりをされる自治省におきましては、大臣中心として、住民の要求を満たすことを最大の眼目に置きながらも、不足財源の問題等についての十分なる御配慮をいただきたい。  予算編成の過程でもございますし、渡海大臣の御努力を特に最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いま「新潟日報」の記事を取り上げられまして、知事会から十三日要望があったということでございますが、あのときには、長野県の知事さんが、いま知事会の地方制度調査委員会委員長をされております関係で、知事会の代表として、その他、六団体と申しますか、市長会、町村会、それから都道府県議会議長会並びに市議会議長会、町村会議長会、六団体あわせて御要望がございました。単に自治省だけでなく、大蔵省その他関係各省にも御陳情願い、最後に私お目にかかったような状態でございました。  その状態は、四十七年度の予算要求もさることながら、当面する問題としてベースアップに伴います財源、大体われわれが試算いたしておるところ九百一億——九百億ほどの財源不足と考えておりますが、そのうち不交付団体二百一億を引きましても、交付団体分としても七百億の財源を必要とするが、その給与費はぜひとも交付税増額の形で措置していただきたいというふうな要望でございました。なお、ドル・ショックによるところの景気の沈滞、景気刺激のために行なわれる公共事業等で補正予算が組まれる場合には、それらの公共事業に伴うところの地方財源をぜひとも確保していただきたいということが二点でなかったかと思います。それと、現在、いま指摘されましたように、景気の下降によりまして、予定しておりました地方税の減収というものが相当額にのぼっておりますので、これら減収に伴うところの地方財源の不足を何らかの形で措置していただきたいということがおもな要望でなかったかと思います。  いずれも、もっともなことでございますので、私たちも御要望の線に沿うよう最大の努力を現在いたしておるところでございますので、せっかく各地方団体におきましても、各方面に強力に実情を述べられて御援助賜わりたいということを申し合わしたような状態でございまして、いま財政局長が、冒頭に、質問に答えまして、地方財政はまさに未曾有の危機であると、こう申して差しつかえないというふうな状況にあるのじゃなかろうかと思います。  過去におきましても、昭和四十年度のあの不況時、四十年度にとられた年度途中におけるところの措置、また引き続いての四十一年度の措置等もございましたが、それ以上の地方財政の苦しさというものが現況でないかと、かように考えておりますので、当委員会におかれましても、ぜひともこの未曾有の危機におきまして、従来ともいろいろとこの委員会におきまして御支援賜わっておるのでございまするが、格別の御援助を私からもお願いいたしまして、お答えにさせていただきたいと思います。
  59. 神沢浄

    ○神沢浄君 私は、きょうの議論の中にもすでに幾たびか触れられておりますように、もうすでに不況基調にありましたわが国の経済に加えて、ドル・ショックというようなたいへん大きな経済変動のさなかで、地方財政がそれによる影響で非常に危惧と不安にさらされておるというような見地に立って、いまたまたま大臣の最後のお話の中に、全国知事会の要望に触れられておられましたが、その点について、私は、より具体的に自治省考え方というようなものをお伺いをするために質問をいたしたいと思うのです。  第一に、ただいまも触れておられましたように、いま私どもの手元に配付がされておりますが、人事院の勧告が行なわれました。それによると一一・七四%、こういうことになっているようであります。地財計画によると八%ですから、これはいろいろ試算によって結果が違うようですが、大体それによって増加するところの人件費の見込みというのはほぼ七百億くらいになるようであります。これにこたえる地方自治体とすれば、財源は地方税の収入と交付税ということになると思うのですが、そこで、まず地方税について見ましても、きょうの議論の中でもしばしば出ておりますように、たとえば一つの例を一番影響が激しく出るというように見られる法人税にとってみますと、私どもが聞き及んでおるところによりましても、七月末において法人住民税は昨年に対するところの伸び率が一〇三・八%というようなことになっているようであります。ところが、前年の同月においては約一三〇くらいにはなっておるというようなことであります。事業税についてもほぼ同じような傾向にある。こういう状況の中で、これはもう税収見通しというものは、非常にこれは暗たんたることにならざるを得ないと思うのですが、そこで一点として、局長さんでけっこうでございますけれども、大体地方税全般にわたって自治省としてはどのような見通しに立っておられるのか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  60. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 税収見積もりにつきましては、いま非常に見通しの困難な情勢にあるわけでございまして、確かに、御指摘のとおり、法人関係の税は、まだドル・ショック以前におきまして、すでに、ただいま御指摘ございましたように、前年対比三%強程度の伸びしか示しておらないという状況で、これがドル・ショック後どういう収入状況になるかという点は、まだ決算にあらわれてきているところがございませんので、まだその見通しをつけることは困難でございます。したがいまして、多数の法人の決算期でございます九月決算というものが、ある程度見通される段階になりませんと、的確な税収見通しが立てられないという状況でございます。その他の個人関係の税あるいは消費税関係の税収入は、大体七月末段階におきましては、まずまず私どもが当初見込みました税収入程度は確保し縛るような徴収状況になっておりますけれども、これもドル・ショック後におきまして、いろんな方面での不況というものが深刻化してまいりますと、これまたどういうふうな状況になるか非常に判断がむずかしいところでございます。ただ、当初予想しましたように、年度の後半におきましてやや経済が好転するという見通しはもう全く得られない状況にございますので、税収入としましては、七月末でとりましたものからさらに悪化すると言うことができましても、それがどれだけかということは、もうしばらく日時の経過を待たなければ的確にお答えすることはできないと思います。
  61. 神沢浄

    ○神沢浄君 次に、交付税についてでありますけれども、今年度の地財計画においては、たしか二兆四百六十四億ですか、こういうことになっているようですが、これまた、いまの法人税などの問題が端的に示しておるように、交付税の全体ワクというものが確保できるのかということは非常に問題の点だろうと思うわけです。むずかしいような聞き方をして申しわけないですけれども、全体ワクが確保可能かどうか、可能でない場合にはどんなような予想になるかというふうな点をちょっとお聞きをしたい。
  62. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在、地方税の中で法人事業税が昨年度は約三〇%、二九・幾らですか増収になったのに、ことしは三・八%しかない。たしか先生の述べておられました三・八は六月じゃないか、こう思うのですが、それが七月に決して好転している状態でないというふうなことをながめましたら、国税のほうの法人税等も相当減収になるのではなかろうかと思うのです。はたして予算に組まれております予算額が確保できますかどうか、いま御質問にございましたとおり疑問視されておる点もございます。いま組まれております三税の三二%というのが予算に組まれております交付税の額でございます。その額を八月三十日付で府県並びに市町村にそれぞれ本年度の額を通知いたしておるのが現在の状態でございまして、もし法人税が予算計上どおりに収入が入らない場合には、当然その三二%でございますから、交付税の額も自動的に減ってくるということも考えられますですが、すでに決定通知もいたしておりますし、そのようなことがございましても、交付税の額は予算どおり決定していただくように、そういった場合においては何らかの措置を考えていただきたい、こういうようなつもりで財政当局とも折衝いたしたい、かように考えておる状態でございます。しかし、現在まだ全然その見通しも立っておりませんので、具体的なことはわかりませんけれども、さようなことが起こりました場合においても、交付税額だけは現在決定いたしておりますものを減額することのないような措置でぜひとも措置いたしたい、かように考えております。
  63. 神沢浄

    ○神沢浄君 このようにお聞きをしてまいりますと、税収についても見込みは非常にないわけですし、交付税についてはいま大臣お答えで、どのような場面になりましても全体ワクの確保に御努力いただけるということで、これは地方自治体にとってたいへんありがたいことだと思うんですが、しかし、いずれにしましても、そのような情勢のもとでは七百億の人件費等に対する財源対策の問題というのは、やっぱりこれは解決にはならないと思うのでありまして、したがって、いまこの時点でもって、きわめて具体的にどうこうお答えを求めましても無理かもしれませんですが、しかし、おおむね考え方といいますか、それらの予想される情勢に対応しまして、地方自治体の指導はどういうふうに進められるかというふうな考え方の大綱というようなものをひとつ示していただけたらと、こう思います。
  64. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 給与のベースアップにつきましては、毎年必要な部面を地方税の増収、それから交付税の増額と、その上に経費の節約ということでまかなってきたのが従来の例でございます。いま申し上げましたように、地方税の増額は期待することができない、交付税の増額も期待することはできないというのが現在の状態でございます。経費の節約も限度がございます。したがいまして、その不足分は、これはたしか四十年度でございましたか、四十一年度でございましたか、ございましたように、私たち交付税特別会計に借り入れする等の処置を考えまして、給与ベースアップが国に準じて地方団体でも行なわれますように措置いたしたいと目下鋭意努力中でございますので、ぜひとも、そういった方向で善処いたして、地方公共団体にできるだけ迷惑をかけないように処置いたしたい、かように考えます。
  65. 神沢浄

    ○神沢浄君 同様な趣意の内容になると思うんですが、いま私どもの承知をいたすところでは、国は景気浮揚策ということで、新聞などでもって私どもが知るところでは一兆五千億、こういうふうに言っておるわけですが、国債発行をして、これを主として公共事業に投資をする、景気刺激をする。こういうような構想が出ておるわけなんですが、これに対しまして、これまた地方公共団体にとってたいへんなことになると思うんですが、私は四十六年度分をもっても私なりの試算をしてみたのでありますけれども、それによりますと、四十六年度は国の直轄分が五千四百億、それから地方施行分が一兆一千七百億、これに対するところの地方負担が六千三百億というようなことになっておりますので、このうちの地方施行分のそれぞれその負担を国と地方の場合を分けてみますと、国の負担率が大体六五%、地方の負担率が三五%ぐらいの数字になっております。これを一兆五千億に対して試算をしてみますと、国の直轄分が四千八百億ぐらいになりまして地方施行分が一兆二百億になって、これに対して地方が負担をしなければならないのはやっぱり五千五百億くらいの数字が出てくるようであります。  そうしますと、この五千五百億というのは、いまの人件費増の問題もさることながら、全然地方としてはから財源の問題になってくるわけですから、何ら打つ手なしということにならざるを得ないと思うんですが、この五千五百億の地方負担に対して、どのような自治省としては構想を持たれて対応されるのか、この点をひとつお聞きをいたしたいと、こう思うんですが。
  66. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ちょっと数字が、どの点でとられましたか、私なりに調べたんですが、とにかく、大体御指摘のように、公共事業で約三分の一程度が地方負担として必要になるのでなかろうかと。したがいまして、もし五千億くらいと、追加されます公共事業を予定した場合においては、千六、七百億の地方負担が必要になるのでなかろうかと、かように考えます。これはあくまでも概数でございまして、実際そういったことが行なわれるときじゃないとわかりませんし、はたしてその公共事業が全部本年度に実施されるか、あるいは債務負担のような行為で実施に移されるか、それによっても地方負担は本年度の分は変わってくると思いますが、いずれにいたしましても、現在の地方財政計画の中には、その地方負担をまかなうところのものがないことは事実でございますので、交付税額あるいは地方債等の措置によりまして、地方負担のできるような姿のもとに、その公共事業の決定をしていただきたいと思いまして、よりより関係当局と事務的な折衝はさしておるのが現状でございますが、詳細につきましてはまた御質問に応じまして事務当局からお答えさせます。
  67. 神沢浄

    ○神沢浄君 大まかな考え方においては了承するわけなんですが、そこで、災害によりますと、これはもう地方が全然負担の能力も持っていない場合には、いわゆる高率補助の方法というものがとられているわけなんです。現状のような経済変動も、これはまた一面からいえば、地方にとっては災害と同じようなものでありまして、財政上のまことに不測不慮の大災害ということにこれはなるわけだと思うのです。そういうふうな見地からして、この負担率を災害並みに高率に引き上げていくというふうな、こういうふうなお考えをもって対処をされたらいかがかというふうな考え方もあるわけなんですが、その辺の御見解などを聞かしていただきたいと思います。
  68. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 公共事業費の拡大に伴います地方負担の増をどういう形でまかなってまいるか。ただいま大臣からもお答え申し上げたところでございますけれども、まず一つはワクの問題、どのくらいの事業分量になるだろうか、それを具体的にどういう形で補ってまいるか、ただいま御質問になりましたようなその方法も一つだと思います。  ただ問題は、国と結局地方の財源関係で、かつてございました、ある程度国に財源的な余裕があって地方に財源が乏しい、こういったことから地方財源を高めるための措置もとられた時代もあるわけでございますが、今度の一般的な景気の不況、それからニクソン・ショックによります税収の落ち込みという問題、これは国、地方全体を通じての問題なものでありますから、そこで、どのような形で具体的にこの地方負担をまかなってまいるかということにつきましては、私ども非常に苦慮をいたしておるところでございます。  一方の考えといたしましては、やはり本来ならば税収が伸び、あるいは交付税が伸び、それによってまかなえるわけだから、国による財源措置というものを講ずべきだ。こういう意見も当然成り立つわけでございましょうし、他方におきましては、やはり国、地方を通じて公共事業の拡大をはかって景気のすみやかな浮揚をはかるということだから、国も地方もそれぞれ借金政策で、こういう考え方も成り立ち得るだろうと思います。その両方の考え方の幅の中におきまして、この地方の負担というものをできるだけ軽減するということを考えてまいりたいということで、いませっかく、ない知恵をしぼりまして国庫当局と交渉いたしておる最中でございます。  この考え方の方向といたしましては、できるだけ地方の負担というものを緩和する方向で金が回っていく、それによって、公共事業を実施するのは地方団体が実施するのが大半でございますから、地方団体が事業の消化ができるようにするということに基本を置いてやってまいりたいというふうに考えております。
  69. 神沢浄

    ○神沢浄君 大体大綱的なお尋ねをいたしたわけでございますけれども、いまこの時点で、より具体的にと言っても無理かもしれませんから差しおきます。なお事態の推移を待ちながら、後日お伺いしてまいりたいと思います。
  70. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 昨年から不況が続いておりまして、やや好転かといわれておりましたところ、これにニクソン・ショックで、地方財政に対する影響というものにつきましては、これは多方面にわたっております。その面につきましては、いまいろいろお話がございました。こういう観点から私も二、三の問題についてお伺いしたいと思います。  きょうは成田空港で痛ましい惨事があったように聞いておりますが、そのことについては後ほど報告があるようなんで、地方財政のほうにすぐ入りたいと思いますが、先ほどからもいろいろな問題について、現時点において政府考え方等についてお話がございました。私もようやくこの公害問題等が非常に問題になりまして、昨年は公害国会等開かれました。いままで生産第一主義でまいりました日本の政治につきまして、ここでひとつ大きくわれわれの生活環境というもの、社会資本の充実ということについて政策転換をしなければならないと申しますか、そこに思いをいたさなければならないということで、国民の関心も非常に高まったわけでありますが、こういうことで社会資本の充実という、こういう方向につきまして、政府当局におきましてもいろいろ施策を講じようとしておるやさきに、こういうドル防衛の問題が起きたという、こういうことで私どもが一番心配することは、せっかくこの生活環境の整備という、こういう大事な問題に力を入れようというこのやさきに景気が落ち込む。当初の計画というものが一体どうなるのかという、結局、企業優先といいますか、現在、企業の危機感というものが非常にあおられておりまして、そちらのほうにまた再び頭がいってしまって、当初、公害国会等開きましてこの環境整備については相当議論されました。それに対しても非常な努力を払う決意をお互いに固めたところが、このたびのドル・ショック等のためにまた再び元の姿に返る、こういうことになってしまったんではならないと、こう思うわけであります。  いずれにしましても、日本の国は輸出を中心とした貿易国といたしまして、どうしても輸出優先とか、また企業体質の改善、経済力の強化という、こういうことに力が入り過ぎるという、どうしても国際経済の中にありまして、節度ある調和というものがなければならないと、こう思うわけでありますけれども、そういう点いろいろ考え合わせるにつけまして、現在の不況というものが、われわれの当初考えておりましたものにどういう影響を及ぼすのか、こういう点いろいろ考えてみたいと、こう思うわけであります。  最初に、昨年の十月、地方財政の長期ビジョン、これを策定いたしまして、それらのものにこたえるといいますか、地方財政の長期ビジョンにつきましては当委員会でもいろいろ議論になりました。これも、こういう不況というものが、ニクソン・ショックのようなものがあまり私どもの頭になかったときに、ビジョンの設定の前提として、長期安定成長といいますか、そういうものが一応念頭の中にあった時点での考えがもとになっていると思うのであります。四十五年から五十五年の十一年間に年率の成長率一二・三%、実質九・二%、こういうものを見込んでの考え方ですから、これは当然このたびのこの経済的な大きな変動というものが、このせっかく立てられた地方財政の長期ビジョンというものに大きな影響があるのではないかと、このように考えるわけでありますが、この点につきましては、昨年からやや不況ぎみでありましたので、いろいろ改定といいますか、作業がなされているようでありますが、その辺の事情についてまずお聞きしたいと思います。
  71. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) ただいま御指摘になりましたように、社会資本の整備充実というものが非常に立ちおくれていると、特に地方団体が国の補助負担というものを伴わないでなおやっていかなければならない事業、こういったものがかなり多きにわたるわけでございます。そこで地方団体全体として、いわゆる社会資本の整備充実というものを計画的に長期的に実施してまいるということになると、一体どれくらいの額、どれくらいの財政投資というものを行なえば、いわゆる大国たるの名にふさわしい国民の生活水準というものが維持されるに足る行政投資の何といいますか、所要量というものを策定いたしましたのが、とのいわゆる長期ビジョンであったわけでございます。その前提になっております経済成長率、これの見方は御指摘のとおり、経済社会発展計画において見込んでおりました率というものを基礎に置いて策定をいたしておったわけでございます。で、このいわゆるニクソン・ショック以来の事態、これによりまして、わが国の経済の回復、成長というものがどういうサイクルでなされるのか、ちょっといまの段階では予測がつかないというのが実情ではないかと思います。  ただ問題は、長期的に見まして、やはり地方団体がやらなければならない仕事の量というものはこれはあるわけでございます。また経済の成長率、もちろん経済社会発展計画等において用いられております率それ自身、こういうものが見返されるかどうかという時点もあろうかと思います。けれども、現在の段階におきましては、長期の一応前提に立っておりますので、長期的に見て経済の伸びというものがどういうふうになり、それに伴って生ずる財政収入がどうなり、それとの見合いで社会資本の充実のための投資をどういうふうに持っていくかという基本的なスタンスと申しますか、考え方というものにつきましては、もう少し時間をかけて、私ども改める必要があるのかどうか、あるいは期限をもう少し延ばす必要があるのかどうか、そういう点については検討したいと思いますけれども、私ども、ただいまの財政計画を年々立ててまいります前提といたしましては、またああいう長期ビジョン的なものを頭に置きながら、苦しい財政の中でできるだけ財源の調達をいたしまして実施してまいりたいという気持ちでいるわけでございます。
  72. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 こういう経済変動がありまして、まだ一カ月、二カ月のことでありますから、具体的にどうこうということは無理なことだろうと思うのでありますが、多くの犠牲を払って、そしてまあ生活環境の整備というものが非常に立ちおくれておる。その重要性というものにつきましては、この中にも詳しく書いてあります。まことにこのとおりだと思うのでありますが、せっかく立てたものが、こういうことのために、ドル・ショックのために大きく変更される。その基本的な姿勢というものに、何ら変わりはなく、貫き通すという強い信念があればよろしいと思うんでありますが、基本的な考え方といいますか、その点についてお伺いしておるわけです。  この長期ビジョンでは、経済成長の過程で見込まれる資金配分というものを民間部門から公共部門への転換が必要だと、こういう考え方が示されておるわけであります。ドル防衛を反映して、不況の長期化というものが予想される今日の中にあって、どうしても企業援助の要望が強まっている今日、そちらのほうにどうしても力が入るようなことになりはしないかという危惧があるわけで、これは当然立ちおくれた地方道や下水道、公害の大きな原因ともなっておる下水道につきましても、せっかく策定したビジョンでありますので、そういう社会情勢の中にありますけれども、この考え方には変わりはないかどうか。具体的な問題になりますといろいろなことがあると思いますけれども、基本的な姿勢といいますか、その点、大臣にお伺いしたいと思います。
  73. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 生活環境施設等の社会資本のおくれが非常に叫ばれまして、そのほうの要望が強くなったときに景気が下降してきたために、その計画が狂うんじゃないかという御指摘でございましたが、私は杉原委員の御質問の中にも答えましたように、景気が下降したときに浮揚対策として行なう公共事業というものも、ただ単に経済を伸ばすためのものじゃなくて、公共事業の中には、いま申しましたように、社会福祉関係のものも多々あるのでございますから、十分それらを踏んまえまして、景気浮揚のためにする公共事業の実施におきましても、ただいま申されましたような生活環境施設というものに重点を指向して実施してまいることによって、御指摘のようなことのないように善処していきたいと思います。  このたびとられました景気浮揚対策の一環として、地方債計画にも九百四十億と七百五十億でしたか、合計千六百九十億の増加がございましたが、これらも上下水道並びに住宅と生活環境施設、住民に直結する分にこの起債ワクを向けることによりまして景気の浮揚対策に応じるとともに、いま申されましたような環境施設の充実にも充てるという方向で、いま地方債の配分をいたしておるような状況でございまして、景気が下降したために社会資本の充実が特におくれるというふうなことのないように、来年度におきましても公共事業の重点をそういった方面に指向しながら実施いたしてまいりたい、かように考えておるような次第であります。
  74. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 具体的な問題になりますと、いろいろございますが、一番公害で叫ばれました公共下水道の普及率が非常に低い、これを一〇〇%にしようという、そのためには大体六十年度までに二十兆を必要とするのだという、こういうことで、その一つ一つを見ますと、実に社会資本の充実のために、どうしても最低限これだけはしなければならないというものが長期ビジョンの中にあると私は思うのでありますが、これからどういうように社会が進展するかわかりませんけれども、大臣のその強い決意を貫き通していただきたいと、こう思うわけであります。  次は、いずれ臨時国会が開かれますと、具体的な問題についてはいろいろ議論されると思いますが、いつも問題になります点について二、三ちょっとお伺いしたいと思うんでありますが、先ほどもいろいろ説明がございましたが、四十年度の不況、これがやや今日の状況と相通ずるものがあるということで、いろいろ説明がございました。四十年の不況のときには、法人税を中心とする国の歳入見込みに千七百億の欠損があった、こういわれております。交付税総額も当初予算額より五百億不足することが明らかになって特別措置が講じられ、その穴埋めをしたということがいわれておりますが、これが後に出世払いの問題として、その後の地方財政論議の焦点になりまして、国との貸借の可否とか、また地方交付税の固有財源論、または譲与税特別会計ですか、これを直入にしろとか、こんなことがいろいろな議論を呼んだ。先ほどもちょっとお話がございました。また昭和四十一年の特別事業債の償還をめぐって国が責任を持って元利負担するかどうか、これがきまるまで二年ほど要した。こういうことで、何とか落ち込みに対しては対策を講ずるというお話でございましたけれども、四十年の不況時にもこういうことでたいへん議論を呼びましたので、これらの推移というものはいろいろ議論の的になったわけであります。  こういう問題になりますと、いつも自治大臣と大蔵大臣の間でいろいろ話し合いがなされるようなんでありますけれども、われわれから見ますと、非常に不明瞭といいますか、はっきりしないうちにものがきめられる、こんな感じがするわけでありますけれども、このたびのこの不況を控えまして、この財政的な裏づけ、いろいろなさなければならないと思うんでありますけれども、何にいたしましても、大蔵省、自治省の間のいろいろな話し合いがなければなりません。こういう問題についても、将来に疑問の残らないといいますか、疑義の残らないように、ものごとをはっきりしなければならぬ、このように思うわけでありますが、この点について、どのようにお考えでしょうか。
  75. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 四十年度のときに行なわれました措置等を例にあげられましての御質問でございましたが、いまの不況対策、あのときにとられましたようなことも勘案しながら、国庫財政当局と折衝を重ねておるというふうな姿でございます。不明朗な点をできるだけなくしろということでございましたが、私たちが財政当局ときめましたことは、逐一国会に出しまして、御審議を賜わるという姿になって出てくるんじゃないかと思いますが、その際には、将来に禍根を残すことのないよう、御指摘の点十分考慮いたしまして、責任を持って政府として措置するような姿で、将来にわたる問題の残らないように、できるだけ善処してまいりたい、かように考えております。
  76. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 このたびのドル・ショックによりまして、いろいろな問題を惹起しておるわけであります。法人課税の軽減、これを望む声が非常に多い。こういうことでいろいろな対策がこれから講じられると思うんですが、いずれにしましても、税収の伸びが大きく停滞することは間違いないと思います。これが地方交付税に大きな影響を及ぼす。さらにまた、沖縄本土返還に伴って地方交付税の財源が必要になってきますし、そのほか、また、いろいろな問題等を考え合わせますと、増加需要が何点か考えられるわけであります。こういうことを考えますと、来年度の予算編成にあたりまして、地方交付税の引き下げが地方財政の大きな焦点になるのではないか、こんな考え方をするわけでありますけれども、この辺の問題につきましては、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  77. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いま引き下げとおっしゃいましたが……。
  78. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 あ、引き上げです。
  79. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) これは、おそらくそういったことも来年度の地方財政計画で考えなくちゃならないんじゃないかと、こう思っておりますが、以前のときには、二九・五%から三二%に引き上げたというふうなこともございましたが、大体、地方交付税制度で国税の中の三二%と、これは国税と地方財源とのあり方、そのためにとられた地方交付税制度の率ということになりましたら、それらの配分等も、国と地方とのあり方等ともあわせて考えなくちゃならないんじゃないかという点もございます。四十一年度のときも、そのために、あるいは特別事業債とか、あるいは特別交付金とかいうふうな形もとられましたような状態でございますので、どのような措置にしますか、目下検討中でございますが、その一環として、地方交付税率の引き上げも当然議論の対象になろうかと思いますが、それらの措置を考え合わせながら、総体として来年度地方財政に万遺憾なきを期していきたいと、かように考えております。
  80. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、過日ちょっと新聞で見たのでありますが、建設省が都市計画事業の推進をはかるために、財源の強化措置として、都市計画税の税率を引き上げるというような、こういう意向が出ておりまして、こういう問題について自治省と折衝するというようなことがちょっとあったのでありますけれども、私は、こういう増税の姿というものに対しては反対する立場なんでありますが、自治大臣としてどうお考えになっていらっしゃいますか。この点について、すでにお話があったかどうかわかりませんが、どうお考えになっていらっしゃるか。  それから、住民税の減税については、われわれの期待どおり、来年も実施されると、こう思っておるのでありますが、住民税の減税についても、あわせて大臣の所見を伺いたいと思うのであります。
  81. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいまの都市計画税の問題でございますが、先ほど杉原さんからの御質問の中に、市議会並びに町村議会からの第一点といたしまして、都市税制の基盤の拡充強化ということがございましたが、現在の都市の財政需要の増高、ところが都市財源というものが、固定資産税とそれから住民税というふうな比較的伸び率の少ない、そのかわり安定したという姿の税源に限られております。一方、固定資産税は、地価がどんどん高騰しますが、直ちにその時価に応じて引き上げることが困難なような状態がございまして、都市財源が非常に不足いたしておる。そのために都市税源を充実しなければならないということは目下の急務でございまして、地方税制調査会におきましても、この都市税源の充実につきまして格段の処置をすべきであるということも、まあ具体的な線まであげて答申があったような状態でございます。  その中の一つに、おそらく、いま申されました都市計画税の税率引き上げ等考えたらどうかということがあげられたのじゃなかろうかと、かように指摘しておりますが、その後の状態からながめましたならば、むしろ減税せよというふうな声があるような——景気浮揚対策のためにも、消費景気というものを生み出すためにも減税しろというふうな声もあるような状態になっておりますので、直ちに都市計画税を引き上げることがよいかどうかということをいま検討中でございまして、都市計画税は固定資産税に準じまして行なわれておりますが、その都市計画税そのものが、現在、評価額の上げ方を、毎年毎年上げていくという姿でやっておりますので、そういった点ともにらみ合わせながら検討していきたい、かように考えております。建設省からのお話では、いまのところ、まだそこまで具体的なものはまいっていないと思っております。  ただ、都市計画の法案が実施されまして、線引き等が行なわれまして、都市計画区域がある程度具体化しておるという姿でございますので、との意味からは、いままでのように都市計画が実施されなくても、都市計画を実施しておる町村が、都市計画が、実際事業が行なわれない地区にまで都市計画税をかけざるを得ないというふうな姿が、線引きという姿である程度明確化されて、都市計画実施区域と、そうでない区域が明瞭になったという点で、あるいは税率その他についても検討の余地のあるときにきておるのじゃないか、こういうような考えも持っておるのでございまして、しかし、いま御指摘になりました建設省からの案につきましては、まだそこまで進んでおりません。
  82. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 住民税の件についてはいかがですか。
  83. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 住民税の減税につきましては、地方財源の不足のときでございますが、住民税は、でき得る限りやはり物価の上昇等とも引き合わせながら、課税最低限の引き上げのために尽くしていきたいと、かように考えております。
  84. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いろいろ問題がございますが、時間もおそくなりましたので、いずれにしましても、本年、内政の時代とこういわれるときであり、生活環境の整備は急務であります。自治省がせっかく英知を集めてつくられたこの長期ビジョン、先ほど大臣のお話がございましたけれども、今日まで生活第一主義といいますか、経済の大きな発展のために個人の生活が大きくゆがめられた、大きく取り戻す政策転換の大事なときであると、こう私どもは考えるわけでありますけれども、そういう観点からいたしましても、この当初の計画を、少しぐらいの波をかぶるいろんなことがあろうとも、どうかひとつ力強く実施していただきたい、このように要望する次第であります。最後に、大臣からその決意のほどをお伺いしまして終わりたいと思います。
  85. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 御要望の線に沿いまして、内政の時代といわれる年代でございますので、社会資本充実のために邁進さしていただきたいと存じます。
  86. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 次は、救急医療体制のことにつきまして、二、三お伺いしたいと思います。これは、過日特別委員会でもいろいろあったようでありますが、本年も悲しいことに事故者がやはり打ち続いておりまして、早くにもう死者一万名を突破するという現況であります。こういうことからいたしまして、今日までも、この交通安全対策につきましていろいろ議論されてまいりましたが、それはさておきまして、本日は、この救急医療体制という、ここにも一つ大きな問題があろうかと思いますので、二、三の問題についてお伺いしたいと思います。厚生省の方、いらしていますね。  人命尊重ということは、佐藤総理大臣もしょっちゅう使うことであり、だれも異論のない、われわれ人間として、最もわれわれの守らなければならないことと思うのでありますが、この生命を守るという立場から考えますと、今日までの交通事故をよく見ますと、救急医療体制の充実というものがもっと進んでおれば命をとどめることができるという、こう考えさせられることがしばしばあります。こういうことについて、私どももいろいろ気がついたことがあるわけでありますけれども、こういう観点からしまして、現在の救急医療体制というものは決して十分ではないと私は思うわけでありますけれども、厚生省は、この点についてはどうお考えになっていらっしゃるか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  87. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) 交通事故等の救急患者につきましては、救急告示病院、診療所という制度を発足させまして、事故発生の患者をそこに搬送して治療する、こういう体制をとってまいったのでございます。それが現在約四千六百の病院、診療所がこういう役割りをになっていただいておりますけれども、交通事情の悪化にかんがみまして、そういう体制だけでは不十分であるということを考えまして、昭和四十二年から全国に百十一カ所の救急医療センターを国立、公立病院を中心にいたしまして整備していく、こういう計画を立てて推進をしてまいっておるわけでございます。この計画は本年度で大体達成できるところまでまいっておるわけでございます。  一方、救急病院、診療所の整備と同時に、医師の養成ということがどうしても必要になるわけでございます。特に、交通事故の患者の場合には、頭を負傷する場合が非常に多いわけでございまして、そういう観点から脳神経外科医の必要が多いわけでございます。救急医療センターの整備と同時に、脳神経外科医の研修ということを始めまして、これも本年までずっとやってきており、将来さらに強化をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。それから頭部を傷害した場合はもちろんでございますが、交通事故の患者の場合には、外科的手術を要する場合が多いわけでございます。そういう観点から、どうしても手術に伴います麻酔科の医師もふやさなければならないということがあるわけでございまして、この点につきましても、救急医療センターの整備と並びまして、麻酔科の医師の養成を続けてまいっておるわけでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、救急医療センター百十一カ所の整備は本年で大体できあがるわけでございますが、昭和四十二年度に立てました計画のときから見ますと、交通事情はさらに悪化をいたしておりますし、一方、高速道路等ができまして、インターチェンジの配備が変わってまいっておるというようなこともございますので、さらに救急医療センターの網目をこまかくするという意味合いから、本年度よりサブ救急医療センターを整備していく、人口十万の都市に一カ所ずつ、これは総計八十カ所ぐらいになる予定でございますが、サブ救急センターの整備を本年から着手をしておる次第でございます。
  88. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 救急医療センターが本年で百十一カ所できるということでございますが、とにかく車の急激な増加といいますか、道路の整備がそれに相伴わない、いろいろなことがございます。交通事故は一向に減らないという、こういう現実は現実であります。いろいろなことがあると思いますが、きょうは時間もありませんので、そういういろいろな角度からお聞きする時間もございませんから、二、三の点にしぼってお伺いするわけでありますが、東京消防庁の岡村先生の調査なんかを見ますと、やっぱり交通外傷患者の救急車で輸送された五万二千のうち、五万人が民間の病院といいますか、中小病院で、実に九五%を占めている。設備の整った総合病院といいますか、公立病院といいますか、そういうところではパーセントを見ますと五%という、こういうデータが出ておるわけでありますが、よく最近は交通遺児等、交通事故でなくなった痛ましい様子が報ぜられておりますけれども、十分な設備のある病院に入ることができれば、そこに搬送されれば助かったのではないかというような、しばしば新聞等にも報じられております。決して民間の中小病院のことを云々するわけではありませんけれども、この救急車で輸送するときに適切な判断といいますか、その外傷に応じた病院であれば、もっと死亡率というものが何とかなるのじゃないかという、こういう岡村先生のデータ等からしみじみ感ずるわけでありますが、こういう点については厚生省等はどうお考えになっていらっしゃるのか。
  89. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) 岡村先生の調査は私どももちょうだいをいたしまして、中を拝見いたしておるわけでございますが、残念ながら、岡村先生の調査のような傾向が私どもあるというふうに考えております。まあ、岡村先生の調査の場合には死者を追求しておられるわけでございまして、もよりの病院にすぐ運べたことによって命が助かったというような事例は載っていないわけでございますけれども、それにいたしましても、岡村先生の調査の結果、私どもも今後十分頭に入れて対策を講じていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。  それで、ただいま救急告示病院、四千六百カ所くらいあるわけでございますが、そのうち国公立の病院、診療所が七百四十五、それから私的の病院、診療所が三千八百四十一というような割合になっております。これは日本の病院、診療所が私的の病院が多く公的病院が少ないというようなことの反映でもあるわけでございますが、そういう関係からしまして、私的な病院、診療所に搬送されるという場合が多かろうと思いますが、私どもも、先ほど申し上げましたように、百十一カ所の救急医療センターでは足りないということで、サブセンターの整備に着手をいたしておるわけでございますが、できるだけ今後網目をこまかくしてまいりたいというふうに考えておるような次第であります。
  90. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ、サブセンターの増強等によりまして、設置によりましてこういう問題が早く解決されるよう祈るわけでありますが、何せ交通事故は毎日四十数人ですか、死傷者が出るというような今日でありますので、急を要することであり、また現在の行政機構の中で考えなければならない何点かがあるのではないかという考え方を持っておりますが、これはやはり岡村先生の調査を見ますと、やはり交通事故でなくなった人の八割は頭に傷を受けた人という、これはまあ交通事故ですから頭だけでなくて、全身いろいろな支障があるだろうと思いますけれども、特に死亡者は頭に傷を受けておる、これが致命傷になっているということが多いようであります。  こういうことから、どうしても総合病院のような、またその頭部の傷を受けた者に対する応急処置のできる病院でなければ、運んだからいいということではないのじゃないかという、それを裏づけるといいますか、裏づけると言っても過言ではないと思うのでありますけれども、警視庁の第三方面本部の調査によりますと、これは管内で九月二日現在、交通事故の死者が四十九人、そのうち二十九人が死亡の原因は頭を打ったというけがであると言われております。そのうち十二人までが脳外科でない、脳外科の施設のない救急病院に運ばれて専門的な治療を受けないでなくなったと、これはある地域のある期間でのことであるかもしれませんけれども、一応こういうデータが出ております。  こういう事故の場合に、脳外科のある救急病院に運ばれれば、まあそのうちの何割かは助かったのではないかと、こう考えるわけでございますけれども、このことにつきまして警視庁の第三方面本部が東京消防庁に「協力方要請」ということで要請をしているわけでありますけれども、これ、中を読むとたいへん長くなりますからあれですが、いずれにしても、事故に応じた適切な救急病院に運んでもらいたいという要請でありますが、実際に事故に立ち会った人、またはそれの救急業務に当たっておる人の間にこういう問題があるということについては、いささかこれは考えてみなければならないことだと思うんでありますが、消防庁の方はいらっしゃいませんか。——こういう問題についてはどうお考えになっていらっしゃるのか、この点ちょっとお伺いしたいと思いますが。
  91. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 救急事故がございましたときに、出かけていって、どういう病院に運ぶかということについては、いろんな考え方がございまして、もよりの病院に運ぶとか、あるいは本人がどうしてもという場合には、そこの病院に運ぶとか、あるいは特殊な施設があればそういう医療施設に運ぶとか、いろんな考え方がございますが、それは結局二つの問題がございます。  で、結論から申し上げますと、そのケースケースによるわけでございますが、一つは、救急隊員に、症状を見て直ちにそれを判断をするということを要求することは、少なくとも医学的判断ということになりまして、やはりこれは非常に酷な場合がございます。  それからもう一つは、運ぶといたしましても、救急病院の状況がどうなっているかということが救急隊員に十分知らせてなければなりません。知らせるといっても、その事故が起きたときに、その瞬間において、どこの病院に医者がおり、また病棟があいておる、手術の準備ができておる、こういうことをかけつけた救急隊員に無電で知らせるしかけがあるわけでございまして、管制センターとの間において、どこの病院はどういう状況になっているということがわかり、特に管制指令センターには、東京の場合にはドクターがおるわけでございまして、ドクターの指示によってあいておる病院に運ぶ。こういうしかけでございますので、救急隊員の独自の判断でそこに運ぶというわけにはまいらないわけでございまして、考え方としては、やはりドクターの指示に従ってあいておる病院に運ぶというのが、これが基本の考え方でございまして、先ほどありました警察のほうからの申し入れにつきましても、そういうことを前提にして、人命を少なくとも救助をするというたてまえのもとに、できるだけ適切な病院に運ぶと、こういうことで救急を運用しているところでございます。
  92. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 第三方面の本部長が消防庁に要請しているのは、いま長官もおっしゃったように、管制センターから病状に応じて適切な指示があってものごとが進んでおればこういう要請はなかったんじゃないかと思うんですが、現実に、運用の面に問題があるのか、実際この要請によりますと、「初期的段階において専門医師の処置をうけることが、なによりもたいせつなことだと痛感させられるのであります。つきましては頭部損傷が予想される事故者の救急活動にあたりましては、できるかぎり脳外科のある病院に収容するなどの措置を強化していただくよう格別のご配慮を」云々とありますが、やはり実際警察の立場で、事故の現況からして、脳外科のある病院にまっすぐ運ぶことができれば命を取りとめることができたんではないかという判断のもとに書かれたと思います。  いま、長官のおっしゃったように、その病状によって何がどうかという、その判断をするということは、救急隊員に対してそこまで要求することは酷かもしれませんけれども、少なくともいろんな経験を経て、いろんな問題に携わっておる方々がやはり救急隊員となっていると思うのであります。また数名の中の一人は、やはり過去のそういういろいろな経験がある方だろうと思いますから、そこには適切な判断というものがやはり出てくるんじゃないかと思うのでありますけれども、やはりある程度そういう問題については、現在の判断のしかたといいますか、救急隊員の処置のしかたにもう一歩考慮があってしかるべきだと、こういうことだと私は思うのでありますけれども、現在、長官のおっしゃるような、ちゃんとやっているのだという、そう言えばそれまでのことでありますけれども、やはり現場に携わっておる方がこういうことを言うからには、やはりもう一歩考慮しなければならない数点、何かがあるんじゃないかと私はこう思うわけでありますが、そういう点については、管制センターがあるからちゃんとやっているんだというのじゃなくて、岡村先生のデータからいたしましても、当然この警視庁第三方面本部の要請というものは、適当といいますか、こういうことがあり得ると私は思うのですが、その点どうですか。
  93. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) ただいまお話がございましたように、救急隊員が経験を積んで、その事故現場を見て、自分の所見として救急指令センターに事故者の症状を報告するわけでございまして、救急指令センターにおきましては、一定の病院の病棟、医者の状況、こういうものが一目わかっておりますので、したがって、それに基づいて当然指示しているわけでございまして、問題は、いまの脳外科のお話になりますと、たとえば東京都の救急病院や救急診療所は現在五百三十一あるのでございますが、そのうち脳外科のある病院というのは五十四ということでございます。したがって、その症状によって一定の指示をするわけでございますが、もとより、医学的判断によって指示をする場合に、いま報告されたところによって、それが脳外科的な手術なり診察を必要とするときに、そういう判断で当然指示するもの、これが救急の本旨だろうと思います。  しかしながら、実際は、いま申し上げたような救急医療病院の体制の問題もありますし、また、その疾状によっては、報告を受けたときに直ちにそれを判断しかねる場合もありますので、その場合には、もよりの病院に至急運びまして、そこで医者の判断によって、あるいは転送をするということにもなりかねないわけでございます。そこはわれわれといたしましては、救急業務は、結局、人命をいかに保持し、早く回復させるかというのが使命でございますので、御指摘のようなことも十分頭に置いて運用しておると考えておりますが、今後もそういうことになお留意して運用すべきものと考えております。
  94. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 救急病院の絶対数が足りないということが根本的な問題でありまして、脳外科の設備を整えたところがたくさんあれば問題はないだろうと思うんですけれども、きょうの当番の医者はどこで、それは脳外科の施設があるかどうかという、そういう点についても事前にわかるわけでもありますし、また管制センター等によっていろいろな指示も仰ぐことになるわけでありますし、そういう点で、運用面で一歩も二歩も前進させることができるんじゃないかと、こう思うのです。それから救急医療病院が公立の病院が少ないという、そしてまた、私立の病院が多いということについていろいろ問題があるように聞いておるわけでありますが、その点について、いまここで、どうこうということはちょっと時間もありませんのでできませんけれども、いずれにしましても重症の患者を診療するという、いま生死をさまよう人のために治療をしなきゃならない大事なときでありますが、そのときに、こういう十分な施設の整ったところで十分な診療ができないということはまことに残念なことと思います。  現在もまあ地方自治体の病院、またいわゆる公立病院といいますか、こういうところで救急医療病院になっていないところもあるように聞いておりますけれども、やはりそういういろんな救急患者に対する診療のあり方、または、これは根本的な医療制度の問題にもなってくるんだと思うんでありますけれども、お金のことや医療費の問題にもつながることだと思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、これだけ交通事故の多い今日でありますから、救急医療病院について日本全体として総当たりをして、どこにどういうものが、どうなければならないかという、こういう総点検というものは必要じゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、こういうことについて、いままでなさったことがあるのか、また、なさってなければ、する気持ちでいらっしゃるのか、この点についてはどうですか。
  95. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) 救急医療施設でございますが、これは先ほど申し上げましたように、現在四千六百でございまして、そのうち国公立病院が七百四十五、私的病院、診療所というものが三千八百四十一ということで、まあ私的病院のほうにウエートがかかっておるわけでございます。この点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、病院、診療所自体が私的病院、診療所が非常に多いということで、一部やむを得ない面があるわけでございますけれども、しかし救急医療という分野は、やはり国公立の病院が主として引き受けるべきだというふうに私どもも考えておるわけでございます。  そういう観点からいたしまして、百十一カ所の救急医療センターを国公立あるいは日赤、済生会等、公的医療機関に付置をしてまいったわけでございますけれども、この百十一カ所の計画が達成される時点におきまして、私ども各県ごとに救急医療センターの配置状況を調べまして、やはり網の目の荒いところがあるという判断をいたしたわけでございまして、そういう点からいたしまして、サブセンターを全国で八十カ所ほどつくりたい。こういう計画を立て、本年度を初年度としまして、その整備に取りかかっておるわけでございます。そういう意味合いからしまして、サブセンターの整備を急いでいかなければならないと思いますが、一方、救急医療センターということになりますと、先生のお話にもございましたが、高度の手術ができるということが、設備的にも人的スタッフの上からも必要でございまして、この数を非常にふやすということができないという実態もあるわけでございます。  そういう観点から、一つは搬送のほうといろいろ御相談をして、くふうをしていかなければならないと思いますし、もう一方、私どものほうで考えまするに、病院間の連係というものをこの際進めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。日本の病院相互の間の連係というものは、残念ながらいままでのところほとんどない。救急患者に限りませず、一般の疾病の場合にも病院間の連係というものは必ずしもないのでございます。そういう観点からいたしまして、休日の急患対策をはじめといたしまして、こういう交通事故の患者さんの取り扱い、さらに地域全般の医療の分担というような観点から、医療機関の連係を深めるような施策を講じていきたい、かように考えておる次第であります。
  96. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 自治大臣、いまいろいろお話ありましたように、公的な医療機関も少ないという、自治体病院も——これは自治体病院は総合病院としてやはりその地域では最も信頼されておるわけでありますれども、またいろいろな観点からその病院が建てられているというその地域性から考えて、必要があって当然建てられたことだと思うのでありますが、こういうことから、自治体病院がすみやかに救急病院となるように、医療機関の、また医師等の対策を十分にしていくことも一つの方法だろうと思います。  それから、いまお話でございましたが、病院間の連係ということでありますが、これは欧米諸国等に見られるような、自治体病院と開業医との間に競合のないように考慮がなされて、イギリスなんかそうでありますね。今回、自治医大ができるということで地元の医師会の反対があったということは、競合の面が出てくるからではないかと思います。やはり自治体病院は自治体病院のビジョンといいますか、性格といいますか、こういうものがはっきりしておれば開業医との間のトラブルはなくなるのじゃないか。こういう点は、現在明確になっていないというふうに考えるわけでありますけれども、こういう点考え合わせるにつきまして、救急病院だけでは決してないのでありますが、全体的に医師の不足とかいろいろな問題出ておりますけれども、きょうは救急病院のことを中心議論したわけでありますが、救急病院につきましても、自治体の病院がすみやかに指定病院となり、総合病院としてその救急病院の、救急患者に対して十分の処置のできるような体制を早急にとることが大事じゃないかと、このように考えるわけであります。  自治医大建設等も非常に積極的に取り組んできた自治省といたしまして、今日これは自治省だけでできる話でありませんけれども、こういう考え方というものはぜひ必要だと、こう思うのでありますが、その点についていかがですか。
  97. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 自治体病院は、各自治体の状態に応じまして、その自治体の地域におけるところの医療の万全を期するためにつくられている病院だろうと思いますが、こういった公的な病院であります自治体病院が、いま言われましたような意味におきまして、救急病院としての活動が行なわれることはまことに望ましいことであると思いますので、できるだけそういう方向でもっていくように努力もいたしたいと、かように考えております。  しかし、各地域の自治体病院もそれぞれの差がございまして、はたして救急業務そのものを完ぺきに行なえる病院ばかりに限っておらぬと思いますので、公的な部面におきますところの救急業務というものに協力するということは、公的な病院でございますから当然でございますけれども、救急病院として整備したものに直ちになり得るということは、その地域におきまして、それに相応するような他の機関があるときには、それにゆだねる等の措置も行なわれているのじゃなかろうか、かように考えます。厚生省におきましては、それらの配置等について十分に考えていただいていると思いますが、それらの不足した場合に、公的な病院として御協力しなければならないことは当然のことであろうと思いますので、そういうふうに処置していきたいと思います。  なお、自治、医大の件についてお話ございましたが、自治医大は、御承知のとおり、現在、医師の不足から、特に山間僻地の公的なそういう診療所、病院等におきまして医師の不足を来たしておりますので、しかも国のほうにおきまして、医師の絶対数が足らぬ、養成機関が足らぬということが根本ではございますけれども、それだけでなく、養成された医師も都市へ都市へというふうに集中されまして、地方の過疎地域になりますと無医地区等が多いという姿で、せっかく公的な医療機関をつくっておきましても医師が確保できないという状態でございますので、そういった公的な医療機関に、過疎地域にも医師が確保できるように、それを目的としてつくったのが自治医大でございまして、そういった医師が確保できるように、万全の養成機関としての実をあげていくように自治医大を本年から始めましたですが、そういった方向で医大の目的達成のために努力してまいりたい、かように考えております。
  98. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから救急体制といいますか、過日、飛行機事故がございまして、これはまあ全員死亡という痛ましい惨事がありましたが、死体の搬出ということがあったわけでありますが、これがまあ死傷者ということになりますと、たいへんなことになると思います、百六十二名。また、いま大震災に備えてということで、いろんな角度から、建設関係といいますか、消防関係については検討されておるようでありますが、一度に多くの事故者を出したような提合には、その救急体制を一体どうするのかということも大きな問題だろうと思います。この点については、消防庁としてもいろいろと対策は講じられておると思いますが、まあ時間もありませんから大まかなところで考え方、基本的なことだけをお伺いしたいと思います。  さらに、東京では救急車が一日数回出動するということで、隊員の不足というようなことも聞いておるわけでありますが、この点についてはどうなっておりますか。この二点をお伺いしたいと思います。
  99. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 最初の、集団的に傷病者が発生した場合の救急体制でございますが、これは昭和四十年の六月に消防庁、厚生省、警察庁、日本医師会等の関係機関が協議いたしまして、都道府県及び市町村に協力体制の通達を出しておりますが、基本的な考え方は、災害対策基本法に基づく地域防災計画の中に集団発生傷病者救急計画というものをつくりまして、それによって、御指摘のような場合には、全体として医師会その他関係者が動くような仕組みをつくってございます。で、たとえば多少例を持ってまいりましたが、山口県のような場合にも非常に詳しい出動体制が医師会及び知事あるいは薬剤師会、歯科医師会等と協定を取りかわし、また市町村も同じような協定を取りかわしてございまして、これによって集団的に発生した傷病者の事故に対して救急を展開するということにしておるわけでございます。  それから救急隊員の不足の問題でありますが、大都市におきましては比較的充実されてまいりましたが、御案内のとおり、最近、大都市近辺の衛星都市におきましては人口の急増に伴っていろんな財政需要が起こりますが、救急という問題も、交通事故はもとよりありますが、普通の急病というものがはるかに交通事故を上回って、救急需要ということになっておりまして、これは人口の増に伴って当然考えられるわけでございまして、この点は多少現在不足を来たしておるような状況でございます。  救急隊員の養成につきましては、都道府県の消防学校及び消防大学校において、救急課程というものを四年前くらいから設置いたしまして、ここの課程において救急隊員の養成をやり、また随時地元の医師会等とはかりまして救急隊員の教育をして、これに従事をさせるというようなことで、漸次この充足をはかってまいらなければならぬと、こういうふうに考えております。
  100. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最後に、まあいま二、三点いろいろ述べてまいりましたとおり、過疎地においても、もちろん救急医療体制が非常に不足しておる。都市においても、まあ事故の場合に適切な病院に行けばもっと何とかなるものも行けないでおる場合もあります。それから、いまお話がありましたが、交通事故が非常に広域化しておるというこういう現況は、非常に問題が山積しておると思います。まあこういうことで、救急業務に対しましては、相当その人命尊重という面からいきまして力を入れてまいらなければならないところだと思います。  こういうことから、この救急医療体制の強化をはかる、まあその中にはいろいろなことがあると思います。救急自動車の整備とか、その補助率を上げる必要があるんじゃないか。それから、いまお話がありました隊員の不足、こういう問題もあるようであります。これらのことを総括いたしまして大臣にお伺いしたいと思います。  さらに、大臣の所信表明の中にも、この消防団員の士気高揚をはかるための処遇の改善ということをおっしゃっておりまして、非常に力強いおことばだと思いますが、これらのこともあわせて、最後に、御所見をお伺いしまして終わりにしたいと思います。
  101. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在消防業務の中で、救急業務というものが非常に重要な業務の一環として出てきたことは、いま御指摘のとおりでございます。私たちもこの救急業務のなお一そうの充実につきまして、今後とも善処してまいりたいと、かように考えておるような次第でございます。  なお、消防団員の処遇の改善でございますが、現在各地におきましても、いろいろな状況上、すでに消防団員だけをもってしては消防業務が行なえない。一定地域、特定地域におきましては、できるだけ常備の消防職員を充実しなければならないというようなことで努力いたしておるような状態でございますが、消防署ができましても、それに勤務いたしますところの消防職員が、非常に志望者も全国的にながめますとまだ少ないという状態でございます。これは重要なる業務でございますので、勤務条件、初任給の引き上げ等も考えながら、これらの職員の給与改善をはかることによりまして、処遇の改善をはかることによりまして、その充実を期してまいりたい、かように考えておりますので、せっかく善処いたしてまいりたいと、かように考えております。
  102. 寺本廣作

    理事寺本広作君) 地方行財政に対する本日の調査はこの程度にとどめます。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  103. 寺本廣作

    理事寺本広作君) それでは速記を起こしてください。     —————————————
  104. 寺本廣作

    理事寺本広作君) 新東京国際空港用地第二次代執行に伴う警備問題に関する件を議題といたします。  警察庁当局から報告を聴取いたします。警備局山田調査課長。
  105. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) ただいま国家公安委員長はじめ警察庁幹部、執行中の警備活動の仕事で忙殺されておりますので、私からかわりまして御報告申し上げたいと思います。  なお、今次第二次代執行につきましては、御承知のように、三人の殉職者を出すという治安上憂慮すべき事態を見ております。その間の経緯を含めまして御報告申し上げたいと思います。  このたびの成田の国際空港用地につきましての第二次代執行は、九月十一日に送達されました千葉県知事の代執行令書、これは駒井野団結小屋、木ノ根青年隊団結小屋、天浪団結小屋、一坪運動地、この四カ所、関係者七十二人に対する九月十六日から九月二十九日の間に代執行を行なう、そういう令書に基づきまして、知事の警備要請により本日早朝から実施したわけでございます。当初、極左暴力集団をはじめといたしまして、反対運動が現地にほぼ五千人規模で展開されるという情報に基づきまして、警備体制といたしましては、千葉県警において五千人規模の体制をとる必要があるという判断で、警視庁から二千人、関東管区各県から管区機動隊千人、管区内の一般部隊千五百人、それに千葉県の制服五百、私服三百を加えまして、五千三百人の警備体制で臨んだわけでございます。  その個所ごとの代執行状況、警備状況について申し上げますと、駒井野につきましては、けさ七時七分代執行宣言を行ないまして、八時五分執行開始いたしました。現在、最後に残りました放送塔を除去し終わりまして、地下ごうが堀られておりますので、その間の点検を行なっております。夕刻ごろまでには、これについて代執行を終了する、そういう予定で現在進めております。天浪につきましては、六時四十五分に代執行宣言をいたしまして、七時一分執行を開始いたしました。駒井野と天浪、いずれも火炎ビン、投石、たいへん激しい抵抗がございました。天浪につきましては、地下ごうに残っておる若干の者を除きまして、これも本日夕刻ごろまでには執行を終了する予定で活動をしております。木ノ根につきましては、七時二十四分に執行宣言いたしまして、七時三十分執行を開始いたしました。午後一時四十九分代執行を終了しております。一坪運動地につきましては、七時五分執行宣言をいたしまして、八時四十分から執行を開始いたしました。午前十一時十二分に執行を終了しております。以上申し上げましたように、四カ所のうち二カ所についてただいま代執行を終了し、他の二カ所、駒井野、天浪の両団結小屋につきましても、ほぼ終了し得る見通しを得ておる段階でございます。  この間におきまして動員されました反対勢力は、千八百人の極左暴力学生集団を中心にしまして、最盛時三千五百人を数えました。現在は、学生千七百人が現地に所在いたしまして、数十人ぐらいのグループに分かれまして、現地の警察部隊に対する投石、火災ビンの攻撃、あるいは道路にバリケードを設置する、あるいは飯場その他いろいろな建物に対して火炎ビンを投てきして炎上させる、そういったゲリラ活動を展開しております。目下の主要な警備活動は、この千七百人の学生に対処して、そのゲリラ活動を規制、検挙するという点に重点が向けられております。  検挙者は、二時現在で二百三十六名、うち女性が二十八名でございます。内訳のおもなところは、駒井野団結小屋が百二十九名、木ノ根団結小屋で七十八名、天浪団結小屋で二十九名の検挙をしておるわけでございます。その間におきまして、二時現在で死傷者でございますが、警察官につきまして死亡三、入院の重傷三十二名、負傷八十八名計百二十三名を数えております。この点につきましては今後数としては多少増加するのではないかと思っておりますが、以上が代執行警備に関する現在までの概況でございます。  警備方針といたしましては、代執行の円滞な実施、これをはかることを基本にしまして、各種のゲリラ行動が予想されておりました。そのゲリラ行動の規制、検挙を的確に行なうことに重点を置いたわけでございますが、遺憾ながら、早朝、周辺のゲリラ活動に対処する部隊に予想以上の激しい破壊的な殺人行為、ゲリラ行為が展開されまして殉職者を見たわけで、はなはだ残念に思っておるわけでございます。  以下、その点の経緯を特に取り上げて申し上げますが、神奈川県の一般部隊、堀田大隊二百五十名の編成でございましたが、この部隊について殉職の発生を見たわけでございます。この神奈川県部隊は、周辺警備を任務とする部隊でございまして、空港用地の北側の部分、東峰十字路というところがございますが、そこを中心とした警備の任務でございまして、六時五十分ごろ現地に到着したわけでございます。編成が三つの中隊からなっておりまして、東峰十字路を中心として道路沿いに警備配置につき、付近の検索を実施しておるという段階でございました。その活動を開始した直後、周辺の山林、深いやぶがあるわけでございますが、その中から、三方向から二百人、二百人、百人といま見ておりますが、白ヘルをかぶりました集団が竹やり、火炎ビン、投石という凶器を主といたしまして部隊に襲いかかってきたわけでございます。もちろん、規制活動に当たったわけでございますが、人数の点、あるいは突然のあらわれ方、激しい凶器の使用ということで、部隊は十字路から両側の道路沿いに後退したわけでございます。その後退の過程において、学生多数に一人一人の警察官が囲まれて激しい暴行を受け、その間において死者、重傷者が出たものと現在認めております。こまかい事実関係については調査中でございますが、殉職者がいずれも胸骨骨折、あるいは後頭部骨折、顔面その他に高度のやけどを負っております。  三人の殉職者の氏名を御報告申し上げますと、神奈川県の第二機動隊堀田大隊第一中隊第一小隊長、神奈川警察署の外勤課勤務福島誠一警部補、四十七歳、いま死因その他直接的な死因も解剖によって確認中でございますが、胸骨骨析が認められます。それから、同じく第一中隊第一小隊第一分隊長柏村信治巡査部長、これも同じく神奈川警察署勤務でございますが、三十五歳、顔面やけど、頭部頭蓋骨骨折でございます。それから、同じく一中隊一小隊第一分隊員森井信行、二十三歳、神奈川警察署勤務、頸部やけど、頭蓋骨骨折でございます。まあ同じ小隊員に殉職三名の発生を見ておりますが、その部隊の位置その他から見まして、小人数でおったところに多数の学生が襲ったという状況であると、いま考える次第でございます。  まあ私ども、この周辺のゲリラ活動につきましては、十分に留意しておったわけでございますが、事前にヘリコプターによって上空からも学生の動向の視察にも当たったわけでございますが、結果的には深いやぶ、やぶの中のひそんでおる者を確認できなかったという問題が原因であろうかと思いますが、まさに殺人的行為を、現場において殺人を展開したという、白昼公々然たる警察官への攻撃行為、まことに治安上憂慮すべきものと考えております。この三人の殉職を貴重な教訓、経験として、今後の極左暴力集団の警備に万全を期してまいりたいと思っておりますので、どうか、このような極左暴力集団の暴力行為に対して、厳正な御批判を賜わり、われわれのこれから行なってまいります彼らに対する断固たる取り締まりにつきまして、御理解と御支援をいただきたいと思うわけでございます。  まとまらないままの簡単な御報告でございますが、以上で御報告にかえさしていただきたいと思います。
  106. 寺本廣作

    理事寺本広作君) それでは、本件に対する調査は本日のところこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。