運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-08-10 第66回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月十日(火曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  七月二十三日     辞任         補欠選任      佐藤  隆君     玉置 猛夫君  八月四日     辞任         補欠選任      加瀬  完君     足鹿  覺君      藤原 房雄君     田代富士男君  八月九日     辞任         補欠選任      足鹿  覺君     加瀬  完君      田代富士男君     藤原 房雄君     —————————————    委員長異動 七月二十四日若林正武委員長辞任につき、そ の補欠として玉置猛夫君を議院において委員長選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         玉置 猛夫君     理 事                 寺本 広作君                 増田  盛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 柴立 芳文君                 原 文兵衛君                 若林 正武君                 神沢  浄君                 小谷  守君                 杉原 一雄君                 上林繁次郎君                 藤原 房雄君    国務大臣        自 治 大 臣  渡海元三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        建設省住宅局市        街地建築課長   高瀬 三郎君        自治政務次官   小山 省二君        自治大臣官房参        事官      佐々木喜久治君        自治大臣官房参        事官       立田 清士君        自治省行政局公        務員部長     林  忠雄君        消防庁長官    降矢 敬義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事選任に関する件 ○地方行政の改革に関する調査  (地方行財政及び消防行政に関する件)     —————————————
  2. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  3. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) それでは速記を起こして。  ちょっとごあいさついたします。  私、このたび委員長選任されまして、委員会の運営にあたりましては円滑、公正を期してまいりたい所存でございます。皆さまの御支援、御協力を特にお願い申し上げます。   —————————————
  4. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 理事選任についておはかりいたします。  去る七月二十三日の本委員会におきまして、理事三名を選任いたしましたが、あと一名の理事につきましては、後日これを指名することになっておりました。  この際、あと一名の理事選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事寺本広作君を指名いたします。     —————————————
  6. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 当面の地方行財政及び消防行政に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 占部秀男

    占部秀男君 大臣はじめ行政局長さんにもお伺いしたいのですが、御存じのように十二日か十三日には公務員人事院勧告が例年のとおりあるわけであります。これはもう大臣御存じのように、国家公務員給与引き上げということになりますと、同時にまあ地方公務員もそれぞれ県市町村の条例をつくって同じような方向給与引き上げになるわけであります。そこで、次の委員会ではこの給与問題についてじっくりお伺いしたいと思うのですが、まだ人事院勧告が出ていない前でありますから簡単に二つだけお伺いしたい。  一つは、引き上げ内容についての傾向といいますか、新聞の伝えるところでは二・何%かの引き上げの率で、内容的には何か中級のところに今度はだいぶ厚くすると、こういうようなことが民間企業とのかね合いからいわれておるということが書かれてあったのですが、自治省としてはやはり地方給与引き上げ行政指導をする場合に、人事院勧告内容と同じような傾向のことを指導されるのかどうか、またどういうようなことが今度の人事院勧告内容の特徴であるか、まあ御存じだったらそういう点について。
  8. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいまの占部委員の御質問でございますが、内容等につきましては私も新聞等承知するのみでございまして、いま人事院でもっぱら作業が行なわれておるのじゃないかと思います。したがいまして、その内容の出ましたいかんによりまして対策も異なってくるんじゃないかと思いますが、国家公務員に準じて行なうというのが大体地方公務員の場合もたてまえになっておりますし、いま指摘されましたような中級のところを引き上げるのだと、あるいはそのほかに扶養手当等増額等考えられておるとかなんとかというようなこともちょっと聞いておりますが、そういった方向であれば、地方公務員におきましても、これは各府県の人事委員会等がもちろん御論議されることであろうと思いますが、私といたしましても、内容によりましては当然国家公務員に準じてそのようにやっていただきたいと、原則論としてはそう考えております。
  9. 占部秀男

    占部秀男君 もう一つ財源の問題ですが、これはもう毎年のように地方財政措置の問題が考えられるわけですが、自治省のほうでいまお考えになっておる、あの新聞で見られるような引き上げですとどのくらいの財源が必要で、さらにどういう形でこれが処理されるか、こうした問題についてお伺いしたいと思います。
  10. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 具体的な措置等、あるいは引き上げ率が大体このくらいになりましたらこのくらいの地方財源が必要であろうということにつきましては事務当局から答えさせますが、いま占部委員から御指摘がありました給与財源の問題でございますが、大体当初の地方財政計画におきまして給与改定のための保留財源として千六百七十億、これは大体八%アップ、五月より実施という線で大体八%くらいになるのじゃないかと考えておりますが、その程度財源保留がなされておりますけれども、人事院勧告がかなりこの内容を上回ることは事実であろうと存じます。  従来の例で見ましたら、もう占部委員とっくに御承知のとおり、国がベースアップをいたしますときには必ずそれだけの国家財源が必要でございますので国家予算に組み込まれます。その際に、それの財源となる所得税法人税等国税補正によって見積もられるというのが従来の例でございます。国税三税がありますと交付税がある。したがいまして、その交付税地方給与改定の大きな財源一つになる。それと国税三税が増額になるということは、まあ地方にも法人税関係増収があるという姿で、この自然増並びに経費節減等でやっておったのでございますが、本年度は御承知のとおりの経済状況でございまして、法人税関係地方税の伸びというものがほとんど期待できないのじゃないか。もう一つ、国のほうも、したがいまして給与改定財源に、はたして国税三税を財源として充てるかどうかということが非常に困難でないかということが考えられます。  その場合、単にできるだけの経費節減は行ないましても、これをまかない切れない不足分に対しましては、何らかの処置をもって地方国家公務員に準じて行なえるだけの財源賦与はぜひともせなければならないと、このようなふうに私は考えております。その方法をいかにするかは、今後、国家公務員財源措置その他補正財源あり方等をながめまして具体的に検討いたしたいと、このように考えております。まあどういうふうな検討事項があるか、その他は事務的に答えさしていただきます。
  11. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 新聞に報道されておりますように、今年度の給与改定の率が一一・六%ないし一一・八%というような数字であるとするならば、その中間をとりまして二・七%ということで試算をいたしますと、昭和四十六年度の一般財源所要額といたしましては約二千五百億要ることになるわけであります。先ほど大臣から申しましたように、すでに措置している額が千六百七十億ということになっておりますので、不足財源が約八百億ということに相なるわけであります。  このうち交付団体、不交付団体に分けてみますというと、交付団体分が約六百億、不交付団体分が約二百億というような不足が生じてくるということに相なります。したがいまして、昨年度と同様な節約を約百億見込むといたしましても、税の自然増収というものがほとんど見込めませんので、おそらく交付団体におきましては約五百億の新たな財源措置が必要であろうというふうに考えておるわけであります。ただいま大臣から申しましたように、これに対応いたします国の財源措置等についてまだ的確な見通しが得られておりませんが、もし交付税等による財源措置が行ない得ないというようなことでありますならば、交付税会計等借り入れ措置等も行なって、必要な財源措置は講ぜざるを得ないであろうというふうに私ども考えております。
  12. 柴立芳文

    柴立芳文君 私は、過疎対策その他の問題について、大臣並びに関係各省質問をいたしたいと思いますが、その前に委員長にお断わりをいたしたいと思います。二十分という時間でございますが、多少答弁が長引いたら、あとのほうに少し回していただくように、あと大臣が見えられましてから少し答弁をしていただくような処置をお願いいたします。
  13. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) できるだけそのようにいたします。
  14. 柴立芳文

    柴立芳文君 去る六十六臨時国会におきまして、当地方行政委員会におきまして自治大臣所信表明をいただきました。  その所信表明の中で、「七〇年代は内政充実の年代といわれ、過密過疎等地域対策、」等について「行財政上の措置を適切かつ積極的に講じ、地域社会の総合的な発展国民福祉の向上に万全を期してまいる」覚悟であると述べております。  また所信表明の全文の中で、この中で「過疎」ということばが五回ほど出ておるのであります。したがって、過疎対策については緊急的な諸措置を講じてきており、今後も強力に推進するつもりだと言われておるのでありますが、「根本的な過疎対策として実効ある総合的施策検討をいたしてまいる所存であります。」と言われておりますが、このことは、大臣認識並びに積極性については承知いたしたところであります。  ただ、そこで、質問の第一点といたしまして、今後検討していくということばがございまして、どういうことを検討されるのか、ことばだけでは対策になりませんので、その具体策について大臣所信をお伺いいたしたいと思いますが、それは具体的な考え方ないし方策についてお伺いをいたしたいのであります。たとえば過疎地域振興のための特別措置として過疎地域対策緊急措置法が制定されましたことは承知いたしておりますが、その中で、第一点といたしまして財政措置としてはまあ九条から十一条まで書いてございます。また行政措置としては十三条から十六条まで列記されております。まあ金融措置も出ておりますが、税制措置以下最小限実施されてきておることは承知いたしておるのでありますけれども、これらの対策過疎現象をとらえてのまあ歯どめ策というふうにしか私は解釈しておりません。私が考えまするに、市町村特殊性に応じてもう少し法に幅を持たしてやる方法考えられないかどうかということが第一点であります。日本経済発展に伴う都市農山村の社会経済情勢の著しい変貌に対して積極的な前向きの対策をお持ちであるだろうと私は考えておるのでありますが、その点についていわゆる検討をするという意味と、いわゆる歯どめ策でなくて、積極的な農山対策という面に過疎対策を持ってくるという意味の御見解があるかどうかお伺いをいたしたいのであります。  質問の第二点でございます。三つ申し上げますけれども、過疎地域指定基準の問題でございますが、現在ではまあ御承知のとおり、人口減少率五カ年間に一〇%以上、財政力指数〇・四となっておるのでありますが、この基準に達しないボーダーラインの市町村に対しまして都道府県がある程度過疎措置法に準じて方策を講ずることができるように処置すべきではないかということ。その場合、都道府県に対する財源措置を考慮すべきではないだろうかと、こういうふうに私は考えております。この点が第一点。  質問の第二点の第二番目でありますが、現在過疎地域における最も住民生活に直結している困難な問題、この問題について輸送機関確保対策であります。もちろん、いまの法でも書いてございますけれども、特に現象としまして、いなかにおける乗り合いバス——バスの問題、従来まあ五回通っていたものが一回にするとか、あるいは廃止するというバス会社経営の問題から起こる現象、そういうふうなものに対する問題を過疎のほうで具体的な処置をする方法考えていただきたい。ということは、特に公営企業というようなものを助長していくという考え方を具体的に進める意思はないかという点であります。  もう一つは、やはり輸送機関確保の問題で、国鉄ローカル線維持確保の問題。これはまあ運輸省、国鉄の問題になるのでありますけれども、まあ現在の人口移動あるいは過疎地域における足の問題というのは非常に大きな地域開発に問題があると思います。したがって、国鉄赤字解消からいう、いわゆるローカル線の廃止の問題ということは、ひとつの合理性からいうと一つの筋だと思うのでありますけれども、過疎対策としてどうしてもローカル線維持考えていく必要があるのではないかという点についての御見解伺いたい。  次に、一番の問題は医療の問題だと思うのです。まあ私の県あたりからいたしますと、たいへん老人の比率が高くなっている、全国比にすると。それは決して老人が長生きをわが県ではするわけではないので、若い方がいなくなったという現象から起こっている。医療問題と老人対策、この問題が非常に過疎地域においては社会問題になっているということであります。したがって、僻地に勤務する医師の養成につきましては自治省としても相当苦心されまして、今回、自治医科大学ができましたことは慶賀にたえないところでありますが、しかし、この自治医科大学あと七、八年しなければものにならないということであります。したがって、その間、どういうふうにこの医療対策をお考えになっているのか、人口減に対しまして人道上の問題も起こっております。また、いままで過疎地帯に開業しておりました医師が都会に出ていく、診療所がありましても医師確保できないということは全国過疎地域至るところに聞いておるわけであります。やはりその機能を発揮できないなど数多くの実例がございますので、悲惨な事情等大臣以下御承知だと思うのです。これらの対策について、行政措置として法第十四条に明記されている対策は講じておるのだと言われるかもしれない。しかし、実態としてはなかなか困難な実情にあることは大臣以下御承知のところであると思いますので、この点は明確にしていただきたい。人道上の問題だと思いますのでお願い申し上げたいと思うのであります。そうして農山過疎地域わが国経済発展しわ寄せをあまりにも私は受けておると思う。日本経済は非常に進んできた、そうしてそのしわ寄せ農山村、特に過疎地帯が受けておる、文化的生活とはおよそ反対の方向になっておるということを自治大臣としては率直に把握していただきたい。こういうふうに私は思いますので、老人対策等とともに万全の措置を積極的にしていただきたいということを申し上げたいのであります。  質問の第三点、総合的な過疎対策に対して自治省は専任の係官を置かれまして、ある程度積極性を示しておられるのであります。しかし、私は、この医療の問題や交通の問題について各省に陳情ないし要望に参りますというと、たとえば厚生省の医療対策建設省代行道路の場合等について陳情いたしますと、現行規定ワクにしばられましてなかなか進まない、話が通らないということが感ぜられるのであります。各省連携が全く欠けているのではないか、こういうふうに私は見ております。これらの連携協調対策について自治大臣はどういうふうにこういうふうな問題を今後進められていくつもりなのか、これをお伺い申し上げます。  質問の第四点としまして、いままで過疎地域の困難な実態の一部を申し上げてまいりましたけれども、何といいましても過疎地域市町村抜本的再建対策がなければますます農山村は衰微の一途をたどる、都市と農村のひずみは大きくなり、長い目で見た場合、日本の将来に大きな悪影響を及ぼすことは明白であると私は思っておる。そこで、大臣所信表明で申された過疎対策については、行財政上の措置を積極的に講じ抜本的な対策を講ずる意味において、第一点、過疎債ワク昭和四十七年度においては一千億程度にされる意思はないかどうかということであります。すなわち四十六年度の二百四十億の三倍以上なんですけれども、これは私は認識上たいへんほかの予算措置と比べて当然だと考えておるのです。もう一つは、過疎債元利償還金地方交付税への繰り上げ率をさらに引き上げて、辺地債並みの八〇%並みにしていただきたいということは当然な要求だと思うのでありますが、これに対する大臣あるいは関係局長所信をお伺い申し上げたいのであります。このことについては昭和四十六年度の過疎市町村過疎債平均値は二千三百万円ということになっておりますが、かりに四十六年度の二倍とした場合には四百八十億になりますが、こういう場合におきましても千四十八の全国過疎法にかかる市町村がございますが、これの平均値が四千五百八十万程度しかならない。したがって、この程度では過疎地域環境を整備したり、あるいは青少年に魅力のある環境をつくり、あるいは農山村建設ができるかどうかということ、これはいまの人口移動の激変あるいは都市への激増という点からいきますと、思い切ってここで平均一億ぐらい市町村に対して過疎債ワクを広げて、そして二割行政、三割行政といわれる、いわゆる農山村はそういう行政にしかなっていない。したがって、その市町村に対応した方策をやらしてみるというふうなことが大事なことじゃないかと私はここで思うのであります。  鹿児島県の例をここで出して恐縮でございますけれども、私の県では昭和四十七年度に充当を希望している額は総額で五十一億円ということになっております。この額は私のほうの過疎法に該当する七十二で割りますと平均値七千二百万になっておるのであります。しかしこれは、やはり自治省指導で四つの柱から指導されておって、四十六年の実績から勘案して、市町村にもこの程度というふうに県がやるから、そういう五十一億程度にしかなっていないのであって、やりたいことはたくさんある。青少年はどうしても残したい、農業を確保したいという点が農政にまでこれが響いているという実態から考えまして、私はこの辺で歯どめ策としてではなくて、根本的な過疎対策をひとつ自治大臣にしていただくということにおきまして、過疎債あるいは辺地債ワクを思い切って増額をする方策をいわゆる閣議でも提案していただきまして、地方自治自主性を盛り上げていく、市町村の自覚を促す方途がいまの場合は最善だと、こういうふうに考えております。したがって、この辺で、これと同時に抜本策としまして、部落の再編成というふうなことを、金をかけずに、部落を再編成する。道路も舗装してやろう、過疎債によってしなさいという、そういうふうにしていくその時期であると私は考えているのでありますが、これらの私の考え方について大臣並びに関係局長の御見解をお伺い申し上げたいと思います。  過疎の問題について以上申し上げて、次に、大臣並びに税務局長に一点だけお伺いを申し上げたいと思います。  現行市町村税のうちに木材引取税というのがございます。このことについては、お話を聞きますと、いままでもいろいろなところで論議されていると聞いておりますけれども、私も長い間地方自治体関係しておりました関係で、この税制が実施された当時の状況については多少承知をいたしておるのであります。地方財源が極度に不足した時代でございまして、当時木材が値段が上がっておりまして、大臣も長い政治生活の中でございますから私は十分そういうときの状況については御承知だろうと、かように考えておるのでありますが、その当時、税制が行なわれた当時と今日とは全く逆な現象になっておるということです。したがって、それはどういうことかといいますと、わが国木材の需給が外材が五五%になっておる。内地材が、国産材が四五%、これはもう御承知だと思います。そして林政は、いま申し上げました過疎の問題からいきまして、労働力不足という現象の影響を非常に受けておる、あまり機械化合理化ができない産業の一つであります。したがって、労働力不足等に加味して、国有林経営をはじめとして、まことにきびしい現況にあることは大臣も御承知のとおりであろうと思います。そういう際に、国産材にだけ課税をして、そして外材はどんどん自由に輸入をしておる、それが五五%になっておる。この税制が制定されたときは外材は入ってきておりません。一部南方から合板の輸入がなされていた程度、したがってほとんど国産材日本木材はまかなっていた当時であります。そういう時代に制定された税制であるということを申し上げておきたいと思います。そういう現況の中での課税は今日不当であると私は思っております。外材自由貿易の中で何の課税もなくどんどん輸入されておる。不況にあえぐ国産材から、市町村財源充当とはいえ木引税が徴収される。どこから見ても当を得ていない。もし当を得ていると言うならば、はっきりとその課税正当性を明らかにしていただきたいと、かように考えておる。  したがって私は、私の案として、まことに恐縮でございますけれども、四十七年度からこの木材引取税はひとつ撤廃していただきたい、こういうふうに考えます。そのかわり年限をきめて、関係市町村に対しまして、かわり財源として臨時特別交付金か、これができないとするならば市町村税減収補てん債の制度をばつくっていただきまして、なお、補てん債元利償還金については普通交付税処置をしていただきたいと、こういうふうに考えております。これらの方策処置される時期であると私は考えているのでありますが、大臣局長見解をお伺いいたしますと同時に、外材輸入についての問題は別途考慮すべき問題であると、こういうふうに申し添えて私の見解を申し上げて御見解をお伺いしたいと思うのであります。  最後に、お礼と要望を申し上げたいと思います。  七月下旬の私ども鹿児島県の集中豪雨並びに今回の台風十九号に対し、政府並びに国会、各政党から災害見舞い災害の視察をしていただきまして、県民にかわりまして敬意と謝意を表します。死者六十七名、重軽傷百名の人的損害や、あるいは住家の倒壊・半壊・流失、公共施設損害農林農作物など甚大な被害で、集中豪雨と合わせまして約二百億の被害を出したのでありますが、県及び災害を受けた市町村は、その対策のために資金需要が多額にのぼっておることをひとつ御認識いただきまして、地方交付税の繰り上げ交付及び特別交付税増額について特別の措置を講じていただくように要望とお礼を申し上げて私の質問の要旨を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  15. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 広範にわたる御質問でございましたので、あるいは漏れております点がございましたら後刻事務当局からでも補足させていただきますし、また御指摘を賜わりたいと思います。  過疎対策でございますが、法を制定いたしていただきまして、この法に基づきまして、今日施策をしなければならない焦眉の急でございます過疎対策の一そうの推進をはかっていきたい、これが私たちの基本的な考えであると、所信表明でも申し上げたとおりでございます。いま柴立さん御指摘のとおり、法に規定されておるものは当面の問題を解決するだけの問題であって、抜本策になっていないという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、私たちも結局総合的な施策をもってこれの抜本的な解決をはかること、これは一番大きくは、私は、現在政府が取り組んでおります国土の再開発という部面で、日本の国土をその特性を生かした姿で生かしていくという姿の中で私は考えていくことがまず第一であろうと、こう考えております。  第二といたしまして、私たち自治省におきましても、広域市町村圏というものを本年度で二百四十、来年度なお指定をふやしまして大体三百四、五十、これで全国の大体都市周辺地域を除きまして網羅できるんじゃないかと思いますが、この広域市町村圏の整備計画を拡充することの中におきまして、地方都市を中心として、その域内にある過疎地帯を含めた各市町村が、同じく都市の生活と格差の少ない生活ができるように総合施策を立てていくという方向で、私たちはこの問題の解決の推進に当たりたいと思っております。なお根本は、過疎地帯の特性、特徴を生かしながら産業を振興し、人口を定着さすという姿に持っていくことが根本ではなかろうかと考えております。こういったことを行なうことは、県あるいは市町村におきまして特定の産業を持っていくということは、やすいようでございますが、なかなか困難であろうとも考えますので、中央におきまして、それら過疎地域の特性を生かした産業を指導し育成していくような何らかの方策指導できるようなものをつくったならどうかというふうな意味でも研究を加えておるような次第でございますけれども、根本は、私は、過疎地域の特性に合った産業を育成する方向指導、充実をはかっていく、こういった三点で総合施策を邁進いたしたい、このように考えておりますので御了承願いたいと思います。  いま具体的な問題についてでありますが、順次お答えさしていただきますが、まず最初に指定基準の問題でございますけれども、御承知のとおり、最初予定いたしましたものは七百七十余りでございましたんでございますが、国勢調査の結果、千四十八町村ですか過疎地域に指定され、その数は全国地方公共団体三千二百五十七の数の約三二%に当たる数であるという姿でございますので、現在この基準をさらに引き上げるというようなことはいまのところ考えておりませんので、一応それが適当ではないか、こういうふうに考えておりますが、なお、そのボーダーラインの市町村におきまして、県において実態に即してやっておられることはまことにけっこうなことであろうと思います。県に対しましても、過疎対策のための交付税というものも地方債計画の中に組みましてやっていただいておりますので、それらを御利用願って、そういうふうな面で、その法律には当てはまらないが、なおボーダーラインにあるところは、する必要があるという観点に立ってやっていただくことはまことにけっこうであると思うのです。これを財政的に中央が裏づけする制度を制度的に考えるかどうかについては、私直ちには何でございますが、その具体的な例によりましては、中央からあるいは起債とか特別交付税とかによって必要であれば検討さしていただくことはやぶさかでない、このように考えておりますので御了承願いたいと思います。  次に、輸送機関確保ということが最も必要である。御承知のとおりでございます。国鉄の赤字ローカル線の廃止ということは考えなければいけない。私たち常々国鉄の赤字路線の廃止に対しましては反対的な立場に立っております。国鉄の赤字再建ということは必要でございますが、国鉄の使命というものは、国民の足を確保するという使命でございますから、その根本を離れて単に赤字再建をすることにだけ重点を置いた赤字線の廃止、ローカル線の廃止というふうなことを考えるのでなくして、国民の足を確保するという観点に立って、その上での赤字対策ということを考えていただきたい、本来転倒してはならないという意味で、御趣旨の線に沿いまして今後とも運輸省当局とも折衝してまいりたい、そのような態度でお願いをしてまいりたい、こう考えております。  なお、バスでございますが、運輸省におきまして、現在民間バスに対しまして、過疎地域に対しまして特定の条件のもとに補助を出しておりますが、これらの補助は民間企業に対するものでございますから限度がございましょうし、また一定のきびしいワクもあるようでありますので、たとえ補助をもらっても打ち切らざるを得ないということが続出しておるということは御承知のとおりでございます。現在、市町村がそれにかわりまして代替バスの運行というふうなことをやっておりますが、いま御指摘ありました、これを公営化する道というふうなこともこれは一案かと思いますが、この点も御趣旨の線に沿いまして検討さしていただきたい、このように考えます。  医療対策でございますが、医療確保ということは、法にもうたわれておりますし重要なことは御指摘のとおりでございます。私たちもそのために医師の養成大学、この間、八月二日に起工式をあげさせていただき、来年四月一日開校で努力いたしておりますが、これが早急に間に合わぬということは事実でございまして、現実の問題は、実際において医師不足で困っておるということは御承知のとおりでございます。法に基づきまして、県のほうの対策といたしましても、あるいは機動力をふやしての巡回診療をやるとか保健婦の拡充をはかるといった線で現在やっておりますけれども、今後とも厚生省当局ともよく連携をいたしましてそれらの拡充をやっていただく、このように考えております。  私、実は厚生政務次官をやっておりました当時、自分の県のことを申しましてまことに恐縮なんですけれども、私の県で一番おくれておるというと語弊がございますが、但馬地区でございます。その地区に豊岡病院という組合立の病院が、しかも兵庫県の太平洋地区でない、おくれている但馬地区だけが国立病院がない、県立病院もない。ここに小谷委員もおられますが、御承知のとおりであります。そのおくれておる但馬地区が自分たちでつくった豊岡病院、自分たちでつくったものですが、過疎地域に対しましても巡回診療を、自分らの組合の組合員に対して巡回しているんだという姿でやっておる。しかも出先の各町村の診療所等はいずれも組合病院である。組合病院は、ある一定の市や町村でつくるものですから制度的にも医師にも行っていただける。しかも国民健康保険料はそうよそに比べて高くない。一ぺんあの地区をながめてこい、地域医療というものは、広い地域を国民医療の名においてやるのじゃないかということで、政務次官当時よく厚生省に申しておりましたが、そういった総合病院的な制度等も組み入れさせていただきまして、今後とも巡回診療等を拡充し保健婦の人員を拡充することによって、ぜひとも現在の医師不足というものをできるだけ解消に持っていくようにしていきたい。これは厚生省とも密接に連絡をとりながら今後強力に進めていきたいと思います。  次に、各省との連携でございますが、建設省あるいは厚生省は自治省ほど取り組んでおらぬじゃないかという御指摘でございました。この点、私も率直にその御指摘を肝に銘じまして、今後各省との連絡に当たらせていただきたいと思います。実はあの法律ができましてから各町村で総合計画というものを立てていただき、現在八千億ほどの総合計画が各過疎地帯から出てまいりましたが、これをいかに推進するかということにつきましては、自治省だけでなく各省にそれぞれ協議をせなければならないという姿になろうかと思います。その際、具体的な問題を連ねて各省に御協力願うという姿で、いま申し上げたような趣旨で生かしてまいりたい。このように質問を受けながら考えておりましたので、今後できるだけ注意してまいりたいと思います。  なお、市町村の財政が根本であるけれども、現在の二百四十億というような過疎債では少ないじゃないか、御指摘のとおりでございます。百三十億の四十五年度の額から二百四十億まで引き上げ、これはべらぼうに大幅な引き上げでございますけれども、いま御指摘のあったように、少なくとも来年度は千億くらいにしなければいけないと言われましたが、八千億十年計画というふうな過疎対策のいまの総合計画を見せていただきましたが、二百四十億というふうなものがいかに少ないかということは御指摘のとおりでございます。いま一千億以上にせい、私は数字はここで確約はいたしませんが、いま申されました姿でぜひとも四十七年度におきましては過疎債ワクをひとつ大幅に引き上げていき、これら市町村の計画、それをそのまま受け取るべきかどうかということはこれからの調査も必要であろうと思いますけれども、その実行の線に沿うた姿で地方財政計画に組み、交付税の算定等もあわせまして考慮していきたい、このように考えております。  なお、交付税に組み入れる過疎債の率、本年度は五七%から七〇%に引き上げさしていただきました。なお辺地債と比べて一〇%差があるじゃないか、辺地債並みの八〇%にせい、こういう御議論でございますが、本年度七〇%にまで引き上げさしていただきました。その一〇%差をつけました理由というのは、辺地債はあくまでもその辺地の部落に対するものであるから、もう全額に近いだけ交付税に繰り入れてやるべきではないか、こういう姿でございます。過疎債はその市町村に対して出す、また現在過疎を含んでおる市町村というものの財政状態も個々まちまちであるというふうな点、幾ぶん広義な対象でながめるような点から一〇%落とした七〇%ぐらいじゃなかろうかということで差がついたと聞いております。それにも私は一つの理由はあると思いますが、なお将来ともに八〇%にすべきであるという御要望もございますので、現在七〇%に引き上げましたが、なお将来の検討といたしまして、引き上げ方を検討さしていただきたいと思います。  次に、集落の問題、国庫補助として二億をつけていただきました。これに対しましては、何といいましても実際行なうところの受け入れの住民の方々の御協力が必要でございます。いま、いろいろ御議論がございましたが、現在こそその再編成に乗り出すべきではないかというふうな御議論でございましたが、私たちも今後ともに住民の方々の御協力を願い、この額を大幅に、国庫補助制度も住民の要望にこたえて増額していくという姿に持っていきたい、かように考えておりますので、今後とも御協力を賜わりたいと思います。なお、漏れておる点がございましたら御指摘願います。  なお、木引税の問題でございますが、できた当時は非常に木材の景気がよかった、現在は悪いんだ、もう早速廃止すべきだという御議論でございましたが、私は木引税ができたとき、戦後シャウプ勧告等によりまして税制がやられましたときに、私は木材がもうかっておるから税を取ったんだというのではなくして、固定資産税を市町村の基本の財源として市町村に与えた。その固定資産税の取り方について、山林というものは立木に税を立木税として取ることができない。いかなる方法で取るか、そういう検討のもとで固定資産税のあり方としてできたのが木引税の本来の姿ではなかろうかというふうに解しております。今日まで木材引取税をやめろやめろ、しかしながら、実際におきましては非常にその把握が各市町村において困難であるというふうな点から、長い間やめろと言われていたけれども、りっぱな山林を持っておるところの町村でありますけれども、この税金をとりますとほかに税収がない、固定資産税が取れない、しかも立木税として取るわけにいかない、そういうような観点から、しかも限られた町村でそれを廃止することが非常に大きな不安を与えるということから、今日まで、率は下げてまいりましたが、撤廃に至らずに至ったという姿じゃないかと思います。  この点、幾ぶんか税の根本的な性格のあり方について、柴立さんと私と意見を異にしておりますが、しかしながら、いま御指摘のとおり、現在木材が非常に不況になり、またこれを奨励するために何かの方法で金をむしろ渡さなければいかぬ。税金を取るよりも、その金で振興策を考えなければいかぬというのが山村町村の姿であるという現状は私も承知いたしております。二、三年来、この税金をいかにするかということにつきまして種々苦慮しておるのであります。いま財源補てん債、これをやったらいいじゃないかという、金額は町村にとりましては大きいんですけれども、総額といたしましては、国全体の財源といたしましては小さいのでございますから、御指摘のようなことは直ちに行ない得ると思うのでございますが、なぜ今日までできなかったかと申しますと、財源補てん債というものは柴立さんも言われましたように、年度を切って、いつかはなくなるものであり、これはあくまでも激変緩和の措置でございますので、永久にあるところの、何かの姿で固定資産税にかわるべきところの永久の財源として渡す方法はないかどうか、これらの検討を重ねたためにおくれておるというのが現状でございます。しかしながら、いま言われたような状態もよくわかっておりますので、代替の税金を取ってないということ、不均衝のある点もよく認めておりますので、これらの均衝を考えながら、ぜひとも四十七年度においては何らかの形において善処いたしたい。目下検討中でございますので御了承お願いいたしたいと思います。
  16. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 実は質問の焦点を、新産都市が実施されてから相当月日も経ておりますので、この時点で地方行政のサイドから、特に自治省地方行政指導、誘導しその他の行政を進めてこられたわけですから、そのサイドから新産都市計画が今日段階においてどのような——よい点と悪い点という分け方をしますけれども、どういう点で成果があり、どういう点で欠陥があったかという点を実はきょうの質問の中心に置きたいと思います。しかし、いま柴立さんからちょうど質問があったことも、いま私がそのことで質問しようということの重要な中身の一環をなしておりますので重ねて質問することを避けますが、幸いいま質問があり答えがありましたからそのことを確認をしていきたいと思うのであります。  ちょうど私が富山へ帰っておりましたら、八月六日に県の過疎対策協議会がございまして、その総会に私が出席してあいさつを述べたのですけれども、その総会の決議が実は私の手元にあります。それは過疎地域対策に関する要望ということでありますが、前書きの段階では、抜本的対策要望する。これは渡海大臣所信表明の中でも抜本的長期展望に立って対策をとると言っておるわけですから、ことばの面では一致するわけですけれども、要望する内容は三点あります。  第一点は、いま柴立さんが質問された、つまり過疎地域対策緊急措置法に規定する過疎地域の要件緩和について。そのことは大臣答弁によって七百七十の予定が千四十八にもなったし、現状ただいまは要件を緩和する意図はない、こういうふうに答弁されたように受けとめますが、はたしてそうかどうか、私の受けとめ方が間違っているかどうかその点を確認したいこと。  第二点は過疎バスの運行確保対策の確立ということが実は出ておるわけです。これに対して大臣は、国鉄の赤字路線の問題できわめて明確な態度をお示しになったので、年来、私が本会議でも交通問題で質問したときに総理並びに所管の大臣からも答弁をいただいたわけでございますが、これは非常に重要なことで、大臣がいまその点についてきっぱりと、このことについては地方公共団体等に負担をかけるべきものでない、こう断言があったのですが、これははたしてそのように受けとめていいかどうか。  なぜ、このことについてしつこいように質問をするかというと、私の県は新産都市県でもあり、いま問題になっているのは、富山県は一県一社で、私鉄が一社であるわけなんですけれども、これが各方面の線をいま来年の四月一日からはぐると言っているわけです。私は富山の郊外におりますが、その郊外をつなぐ、大正末期から今日まで長い間住民から親しまれたその線も来年の四月からはぐる。これは経営が赤字だから——論理は簡単であります。そうしますと、これをどうするかということで地域住民の間でいま非常に激しい住民反対闘争も起こっておりますが、一面また、反対の怒りが県知事や市長のところへいっているわけであります。で、要するに、それは県や市町村がめんどうを見ろと、たとえば公営にしろとか、公社をつくれとか、私鉄に赤字補てんをしてやれとか、三つの方法だと思うんですが、こういう要望が出ているんで、非常にきびしい情勢にあります。でありますから、いま大臣所信表明したように、これは住民、県民の足を守る大切なものであるから、断固たる行政上の指導をとっていくんだという意味であるとするならば、これは大臣のいまの答弁から見て、国鉄のみならずと、こう言いたいのであります。国鉄のみならず、県民の足を今日まで確保してまいりました私鉄関係に対しても、これは大臣答弁になかったんでありますが、当局のだれかから私鉄の場合はこうするんだという、こういうふうにひとつ加えていただいて、大臣答弁の再確認をしていただきたいと要望します。  第三点の要望は、集落整備事業に対する国庫補助制度の確立。これは大臣もいまの質問に対する答えとして、大幅に増加をしていきたい、このようにおっしゃっていたのでありますが、はたしてそうなのか。私の県でも、もうすでに山から一部落があげて平地へ下ってきたのもありますし、いま十六戸のある部落があげて山から下へおりるということを決定しておりまして、分校もろとも下るというような事象も起こり始めていることですから、そうしたことに対して、それはあくまでいまの世の中は個人主義が基礎になっておりますから、そのエゴの上に立つ限りはこれはきわめてむずかしい問題でありますけれども、しかし過疎現象を、後ほど論ずる政策的な失敗——あなた方はきらいますから、しわ寄せだとか、こういうようなきれいなことばがたくさんありますから、そういうしわ寄せという表現をとるか、いずれにしても、その結果から起こる過疎現象でございますから、これは地域住民のいわゆる怠慢とか、そういうことから起こったこととは断じがたい。でありますから、そこに対する国庫補助の問題等についての配慮がきわめて重要だと思いますので、ただいまの大臣答弁はきわめてばくとしておりますが、それは省内では相当煮詰めた御検討をいただいているのかどうか。  私、率直に言って、これは私の要望書じゃございませんので、先ほど申したように富山県過疎対策協議会の要望書、要望三点について、もう一度大臣答弁とあわせて自治省見解を明確にしてほしいと思います。
  17. 立田清士

    説明員(立田清士君) ただいまのお話のうち第一点と第三点について私のほうから申し上げてみたいと思います。  第一点の過疎地域の要件の点でございますが、先ほど大臣のおっしゃったとおりでございますが、御承知のとおり、昨年過疎法の適用を受けました市町村が約七百七十五ございます。それから本年、昨年の国勢調査の結果、新たに過疎地域になりましたところが二百七十四ございます。したがいまして、あわせまして一千四十九の市町村でございますが、その後市町村の合併等がございまして、一団体減少いたしまして、現在は、先ほど大臣がお答えいたしましたとおり、一千四十八の市町村になっております。全国市町村数で、先ほどお答えがございましたとおり、三二%になっております。そこで、そういうように非常に過疎地域に該当いたしますところがふえてきておるわけでございますので、そういう点で、なお過疎地域の法律の要件に該当しているところと、していないところとの実態的な問題については、なお今後私たちとしましても研究をしていかなければならないとは思っておりますが、現在のところは先ほど大臣のお答えのようなことに考えております。  それから第三点の集落整備事業でございます。先ほど大臣からお答えいたしましたとおり、本年度は、集落整備事業につきましては、国庫補助金が二億円新たに措置されることになったわけであります。ただいまお話がございましたとおり、集落整備事業はこれからの過疎対策の大きな柱の一つになろうかと思いますし、過疎地域におかれましても、市町村で集落整備を現にやっていらっしゃるところ、あるいは現在やろうとしていろいろ準備をしておられるところ、あるいはもう計画も固まって実施の段階にきておりますところ、いろいろございます。そこで、集落整備事業は、いずれにいたしましても、特に集落整備の中でも集落地帯の移転を伴う事業になりますと、ただいまお話がございましたとおり、そこの地域住民の方々の理解と御協力がないとできないわけでございまして、その上でこういうふうな集落整備事業をおやりになるということになりますと、私たちのほうといたしましても、その市町村の計画に基づいて行なわれる場合におきましては、もちろん県の段階でもいろいろな措置を講ぜられるとは思いますが、国の段階においてもそういう事業が円滑に遂行できるように措置をしていきたい、そう考えておるわけでございます。したがいまして、現在では集落整備事業については、もちろん過疎債等の措置もあるわけでございますが、やはり集落整備事業というものの推進のためには国庫補助制度が必要であろうと考えまして、四十六年度から国庫補助制度が創設されたわけであります。なるほど金額的にはそう大きな額では現在のところございませんが、先ほど大臣のお答えのとおり、私たちの気持ちとしては、できるだけ地方団体の計画に即応いたしまして、それが円滑に遂行できますように財政的な措置の充実をはかっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど大臣のお答えしたことと同じであります。
  18. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 交通関係の問題についてお答えを申し上げたいと思います。  特に、過疎地域におきます交通事業につきましては、いろいろな社会環境の変化に伴いまして、その事業の経営が非常に困難になっておりますことは御指摘のとおりでございます。バス事業につきましては、すでに民間バスにつきましてもその赤字に対する補てん措置というものが講ぜられておるわけでありますし、また国の補助に対応いたしまして、地方交付税の面におきましても私どもも措置をいたしておるわけでありますけれども、現実には、現在の補助制度のもとにおいては、この赤字路線を維持していくということがきわめて困難であるという状況に対しまして、地方団体もいわば国の補助額に対応する補助額以上のものを支出せざるを得ない。それによって赤字バス路線を維持してもらうというような対策を講じておるわけでありますけれども、こうした情勢が次第にその範囲を広げてまいっておるということは事実でございます。各県とも同じような問題があるということを私ども承知いたしております。したがいまして、現在の民間赤字バスに対する補助制度につきましては、その補助内容につきまして十分再検討をされまして、現実に路線を維持していくことが可能な補助制度にしてもらうということが必要であろうというふうに考えておりまして、この点、運輸省にも強く私ども申し入れをしておるところでございます。  また、民間バスが路線を廃止して、市町村がその代替のバスを何とか維持しなければならないというような状況に立ち至っております地域につきましては、これは市町村営のバスとしていわば行政バスを走らせておるというような状況に相なっております。こうした市町村が実施いたしておりますバスにつきましても、これは地方としての財源措置というものを講じなければならないであろうというふうに考えまして、これは必要な措置を特別交付税等措置していかなければならないというふうに考えておりますけれども、国としてもこれに対応して何らかの補助制度をとるべきではないだろうか、こういうことで私どももそうした補助制度の創設につきまして努力をいたしたいというつもりでおります。  それから国鉄の問題でございますけれども、国鉄につきましては、これは国の交通の大幹線としての意味を持つ国鉄路線の問題であり、国の公共企業体として維持しておる国鉄路線につきましては、これは国の立場で、単に赤字の財政再建という観点からではなしに、国民の足を確保するという観点に立って、その路線についてどういう考え方をとるべきかということについて十分国の立場での検討もしていただかなければならないわけでありますが、地方団体といたしましては、地方の必要な交通路線を確保する必要があるわけでありますし、そういう意味におきましては、地方意思が十分反映される財政再建の措置でなければならないというふうに私ども考えておるわけであります。こういうことで、国鉄の問題につきましては、国が第一次的にその財政再建措置については十分責任をもって対処すべきである。そうしてまた路線の存廃の問題につきましては、地方意思が十分反映されるような姿でその問題に対処してもらいたいということを強くこれは関係省庁に申し入れしているところでございます。  それから私鉄の問題につきましては、やはりいまのバスの問題と同様な事態が次第に起こりつつあるということは私どもも承知いたしております。この点につきましては、やはりその所管が第一次的には運輸省の問題であり、そうしてまた民間企業としての経営が行なわれている現状からいにしまして、直ちには私どもそれに対応してどういう措置をとるかということはここで申し上げにくいのでありますけれども、考え方といたしましては、現在の交通事業が社会環境の変化によりまして、いままでの経営基盤というものが次第に失われつつある、それに対応して何らかの行政措置をとるべきであるというふうな考え方を私ども持っております。そういうような観点から、今後、国のほうで総合交通体系というような問題を議論する過程におきましても、やはり企業の基盤が失われつつある、しかしながら国民の足を確保しなければならない、こういう使命を持っておる交通事業につきましては、やはり行政としてのそれに対応する措置が必要であるというふうに私ども考えておるわけでありまして、こういうような意見を十分反映をさせて、総合交通体系というものについて、今後国のほうとして明確な路線が決定されますように強く働きかけてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  19. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 参事官のほうの答弁ですけれども、結局、努力する、やらねばならないということですが、この点まことにけっこうなんですが、しかし事態は非常に急迫しているわけです。先ほど申したように、私、私鉄ではいまのところ三つの線——総キロ数はちょっといまメモがありませんが、相当にわたってこれをはぐった。こういう状態にあるわけですけれども、そうした一つの緊急性に対応するような行政的な反応の示し方というものは急いで検討されねばならないんじゃないかということです。  もしそれについて確信ある答弁をいただければひとついただきたいということと、もう一つ、私たちもおととい交通問題で民間のいろいろな人を呼んで議論をしてみたのですが、何か客観的な事情の変化ということが、経営基盤の総くずれという問題に関連して、要は赤字が出るということなんですが、それが六〇年代のあらゆる政策の結果と言わなければならぬと思います。どれが悪い、どれがいいと言えないわけですけれども、あらゆる政策の何かずっと集まった、公害でいうと終末処理みたいな形になっているのです、いまのところは。  そういうことでたいへんな状態になっておるわけですが、ただある一つの意見として、七〇年代になると逆にそうした、かりに軌道の上を走る電車、そういうものが重視される時期がくるのじゃないか、そういうような意見が出てまいりまして、その意見もよく考えてみるとそうとっぴではない。どんどん自家用車がふえてくる、自動車屋がどんどん繁盛してきた、しかしそれがまたいろいろな意味で公害だけでなしに、交通その他の問題で非常な問題を起こしておるわけですから、もうそろそろ自粛段階に入ってくる時期がくるのではないか。そうなると、東京都でも東京の都電車をはぐったあとで、いまさらのように、都電があったらよかったなあという話がぼつぼつ出始めているところに、何か一つの近代化ということからすれば、ものさしから見ればどうか知りませんが、そうした方向が出てきているのではないか。そういうことを運輸省を中心にして何か議論めいたことが思索的に行なわれておるとすれば聞かしていただきたい。二つの点、参事官のほうからお願いいたします。
  20. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 地方鉄道の問題につきまして、先ほど申しました国鉄の問題あるいはバスの問題に比べますと、そうした事態の急迫性という認識がやや私どもに欠けているような感じがいたしまして、私鉄に対する措置につきましてはまだ私ども運輸省のほうからも具体的な問題としての提示も現在のところございませんし、十分検討しておるという段階にはまだまいっておりません。その点はまことに私ども申しわけなく存じておりますけれども、やはり私鉄につきましても、こうしたバス問題と同じような問題が必ず起こるであろうということは私どもも十分考えられるところであるというふうに考えておりますが、まだこの点につきましては運輸省のほうと十分な話し合いをしている段階ではございません。  また、都市交通におきます軌道の問題につきましては、確かに公害の面という観点から見ますならば、その点ではこのバスなり自動車なりに比べますというと、非常にすぐれた点があるわけでございます。しかしながら、現在の路面交通の状況から見ますならば、交通信号機が一町ごとにあるという状態におきましては、この路面電車は十分にその機能を発揮することは不可能でございます。そういう意味におきまして、大都市等におきましてはすでに路面電車の撤去が進められておりますが、なおこの軌道を残すということになりますならば、おそらく専用軌道をもってしなければ、この路面電車は交通機関としての使命の達成が困難であろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いまの段階におきましても、この路面電車の場合はまず現在の大量輸送機関としての定時性を確保していくという点がきわめて困難であります。そういう意味におきましては、軌道による電車の復活ということはきわめて困難ではなかろうかというような感じがいたしております。まあそういうことで、私ども大体大都市におきましては路面電車を撤去するという方向で進んでおりますけれども、残し得る面がありますれば、その点は乗客の需要といったようなものも考え合わせながらその点は検討してまいりたい、かように考えております。
  21. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 まだ私鉄関係のことは、そうした急迫した状況として把握していないということは非常に遺憾だと思いますね。たいへんな状況にあります。ほかの県はどうか知りませんが、私の県は、かなり私も歩いておりますから赤字路線は掌握しておりますが、私鉄のことについては、ほかの県は知らぬが、私の身のまわりはたいへんなんです。富山市郊外ですから、そういうところでさえ、いま大きな問題になっているわけですから、とりわけ私のおるところは大体ベッドタウン、住宅団地なんです。そういうところは、結局、どんどん新しい団地づくりが始まっているわけですが、一つの私鉄路線を——唯一のとは申しませんが、相当の期待を持って集まってきておる団地でございますから、それがはぐられるということになると、これは一体どうなるか。また土地を売ってほかへ行こうかという話もちらほら出るくらいですから、結局都市計画全体にも大きな影響を与えていると、与えるであろうということを考える場合に、とりあえず省としては実態を掌握する、そしてまたすみやかに適切な措置を運輸省と協力してとっていただくということがきわめて重要だと思います。そのことを一応提起して、その点は打ち切ります。  本論に入る前に、いま幸い過疎問題に入ったわけですけれども、先ほどの立田さんの答弁等から見て、私また、いまからもう一つの問題を出しますが、それはおたくの耳にもすでに入っていると思いますが、富山は御承知のように十五の新産都市一つであります。私は条件つきで、その当時民間におりましたから、県の総合開発審議会の委員として賛成の演説をしたつもりであります。それは地域格差、つまり指定された地域と指定されない地域との地域格差、その次は地域内の行政水準、一般行政水準の低下と申しますか、一般行政水準というのは、御承知のとおり下水道や水道やあるいは学校、保育所、幼稚園あるいは遊園地その他の一般的な行政水準が、新産都をつくるということに財政が重点を向ければおのずから格差が出るだろう。そうした問題等を指摘しながら、さようなことの起こらないように県当局が強力なる——調和のとれたということばは公害問題でやかましく言っているからあまり使いたくないのでありますが、そういうバランスのとれた計画を推進してもらいたい。そのことを前提にして、私は新産都市に賛成すると言ったのでありますが、数年たった今日、私の言ったことが実は危惧でなくてほんとうになってきてしまった。  そこで、新産都市地域の中に入った過疎地帯といったほうがいいと思います。山村振興法の適用を受けて細々ながら生き長らえてきた山村地帯が、新産都に入ったために山村振興法の適用、思典が除外された。そのために、これは一体どうなるのかといいながら、新産都ができたからその波及的効果、何かありがたいうまい汁でもと思っておったのだが何にもないじゃないか、こういうのが率直な住民の声であり、同時にまた、行政を担当する町村長の声であります。そのことが、県では山村振興議員連盟とかいうのをおつくりになったわけですけれども、まあ自治省にも陳情にあがっていると思います。だから具体的な行政指導としてこれをどうするかということになるわけですが、地元のほうからはそうした該当山村、非常に新産都の恩典の少ないところ、そしてまた逆に、今日のいまの過疎現象のあおりを食っているというところ、そういうところは新産都から抜けさしていただきたい、そして山村振興法等をもろに受けさせていただいて、もう一度歩き直してみたいという要望が七月の二十三日ごろに意見としてまとまって、省のほうにもあがっていると思いますが、これは単なる十五の新産都市地域全体の中で富山だけの問題とは私は思いません。でありますから、省当局としては、こうした問題に対する基本的な指導方針、一般的な指導方針というものは確立されておらなければならぬと思いますが、それはいまの時点でどのように統一をされているのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  22. 立田清士

    説明員(立田清士君) ただいまのお尋ねは、新産業都市の区域内におきまして、いわゆる過疎的なところがある場合におきます各種の法律の適用の関係の問題であろうかと思います。いまお話のとおり、同じ区域の中におきましても、拠点的な地域と、それからそうでない地域とやはりございますけれども、その場合において、特に拠点的な地域でない地域において過疎的な現象過疎的な地域になっているところにつきましての問題だと思います。この間の拠点的な地域と、それからそうでない地域につきましては、やはり一体的な総合的な連携した開発ということが必要であるというふうに私たちは考えております。そこで、過疎対策にもいろいろございますことは、ただいま御指摘のとおりでございまして、過疎法につきましては、新産地域の有無にかかわらず、新産地域になっておりましても過疎法は適用されております。それから辺地の関係の整備法につきましても同様、新産地域の有無にかかわらず適用されております。  そこで御指摘の点は山村の場合であろうかと思います。山村につきましては、やや所管的には経済企画庁等が中心になっておやりになっておるわけでございますけれども、私たち地方行政の面から考えました場合においては、同じ広い意味過疎対策という面からは、やはりそういう地域について、そういう山村的なものがありました場合には、やはりそういう点の適用について検討する必要があるのではなかろうかというふうに私たちは考えておるわけでございます。なお、この点につきましては、いろいろ経済企画庁のほうにおかれましても、現在のところは新産区域については山村振興法は適用されておりませんけれども、その間の調整をどうするかということにつきまして、現在経済企画庁のほうでもいろいろ御検討になっているというふうに聞いております。したがいまして、まあ私たちのほうといたしましても、そういう広い意味過疎対策という点につきまして、その間において、先ほど申しましたような関係の均衡というものをどうとれるかどうか、なお関係のところともいろいろ、ただいまそれぞれ地元のほうからそういう御要望の次第もございますので、お話し合いをしてみたらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  23. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 時間の制限もございますので、本論の問題等については時間切れになれば資料の提出要求という形で私は締めくくりたいと思いますが、もう一点でございますが、これは七月二十八日、自治省地方財政上の立場から四十七年度予算で改善、配慮してほしい事項をまとめ、各省庁に対し事務次官名で要請したというこの事実はあるわけですね。これは事実あるわけでしょう。あるわけですね。  そこで、この事実の中で私は、やはり自治省があくまでも地方自治体を守っていこうという非常に太い一貫した腹がまえのあることに敬意を表するわけですが、たとえば中身を、この新聞で紹介しているのを見ると、「国がやるべきことを地方の負担でやるべきでなく、社会資本の整備など国がすすめる事業に対しては国はもっと国庫負担を強化せよ」、かなりきつい表現をとっているようであります。また、項目をあらためて、国鉄の問題は先ほど出ましたが、これについては「政府関係機関の事業実施に必要な資金は、本来国の責任において調達されるべきものである」、言いかえれば、市町村など公共団体におんぶするのはけしからぬということですね。これも私は同感であります。医療の問題等も先ほど質問があったのですが、これも「国の責任において、早急に必要な制度を確立せよ」、これはまあ他人まかせという感じがします。その他、項目別に「住みよい環境づくりの推進」とか「国庫補助負担金制度の改善」その他が取り上げられているわけですけれども、これはひとつ私らの手元にも資料としていただけるかどうか、まずそれをお聞きします。
  24. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 資料として提出いたします。
  25. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 この主張の中で非常に私傾聴に値するのは、社会資本の整備をひとつ国、地方一体になって一生懸命やらなければならないというまあ柱でありますね、この柱は私は非常に大事だと、このように理解します。同時にまた、その際、社会資本の整備という場合は、ナショナルミニマムか何かきちんとあって、どうも自治省はこの線まで考えておったのだけれども、そこまでこない、だからけしからぬ、しっかりやれというのか、このミニマムがどうなっておるかということですね。そうしないと、ただいいものはいい、悪いものは悪いということになってしまうから、やはり社会資本の整備、段階的な整備、五カ年計画とかなんとかいうのは自治省にはあると思いますが、それはどういう形でいま行なわれているのか。私、この委員会に初めて入ったからめくらめっぽうの質問やりますけれども、それがひとつあるのかないのか。ナショナルミニマムというのがあって、あっての上でこのような主張をなさっておるのかどうか、その辺のところをお聞きしたい。
  26. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 社会資本の整備につきましては、御指摘のとおり、その事業の実施にあたりまして国と地方公共団体が協力をしてやらなければならないということは当然のことであります。それに対応いたしまして、どの程度の整備を目標としてやるか、いわばナショナルミニマムの設定の問題でございますが、実はこの目標設定の作業を昨年から私ども作業を進めております。昨年の秋に、一九七〇年代に達成すべきいわば地方行政水準の目標、いわば地方財政の長期ビジョンというものを一応策定をいたしました。これは一般公共事業、それから地方の単独事業、公営企業を含めまして、一九七〇年代に地方がどれだけの投資を行ない得るかという、いわば投資可能額の算定をいたしたわけであります。この数字が百十一兆円ということで一応計算をいたしました。これはどちらかというと、将来の行政施設水準の目標設定の第一の段階で、この七〇年代において地方財政が最も効率的に運営した場合において調達可能な財源というものを算定をいたしまして、これはいわば地方の生活環境施設の整備を重点にいたしまして資金配分をした場合に、どれだけの施設水準が達成できるであろうかということを試算をいたしたものでございます。したがいまして、この百十一兆円の数字の場合には、地方行政水準として、いわばミニマムの行政水準を達成すべき目標というものがまだ十分設定されておりません。  したがいまして、現在、その第二段階といたしまして、そうした施設水準の目標を設定をした場合にどれだけの金が要るかという計算をいまやっております。これはまだ算定の段階でございますので的確な数字をあげることができないのでありますけれども、おそらく百四十兆ないし百五、六十兆くらいの数字になるのではなかろうかというふうに考えております。この場合には、どうしてもそれに対応いたします百十一兆円とその数字との間において、その財源をどのようにして確保すべきかという財源調達の方法が同時に計画されなければならないわけであります。その点がまあ非常に作業としてはむずかしいところでございます。でき得る限りこの作業を早く仕上げまして、それに対応する財源措置というものを考えてまいりたい、このように考えている次第であります。
  27. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そうすると、その作業はどうですか、めどはいつごろつきますか。
  28. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 私どもとしましては、でき得る限り、この秋ぐらいまでに作業を一応終了させたいということでやっております。
  29. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 先ほど新産都の問題を中心に置いてと言っておりましたのですが、枝葉の問題から入ってきたわけで、要するに、本論に入ろうと思うと時間がございませんので、ここでしぼっていくと、二十八日各省に出された自治省の要請にしましても、結論的に言えば社会資本の整備が立ちおくれている、ひとつ財政的にも行政的にもそれぞれ各省庁のほうで御努力いただきたいということになると思います。  過疎問題、いろいろ先ほど論じたこと、これは突き詰めていけば、まあGNPくたばれと私は言いませんがね、何かそうしたことと非常に関連がある。しかもGNPの牽引車になってきたのは、やはり計画としては地域開発計画、新産都市計画等あたりが非常に重要な役割りを果たしてきた。ところが、結果的にはこういう問題が起きてきているというふうに私理解するわけですが、これは現象的なとらえ方であって、総括的に見て、先ほどお尋ねしたように、これ時間が規制されておるけれども、きょうはごく簡単に骨組だけをお答えをいただければいいわけですが、できればあと資料等御提出いただければいいと思いますが、つまり新産都が始まってから、まあ始まった当時は私の県も目をおおうぐらいな状態で陳情が始まっておったことも承知しておりますし、県内でもまた、入れてもらいたい、入れてもらいたいということ等も私耳にしておりますし、当時の知事が非常に怒りをこめてぐちを漏らしていたことも承知しております。そういうことで、とにかく新産都市の指定を受けたわけですけれども、しかし、今日の時点で非常に政府の計画どおり進んだと思われる点等もありましょうけれども、おしなべて、平均的にこの新産都の結果、こうしたいいところが出てきた——国政の面では、あるいは住民の皆さんには、このような生活環境の改善なり教育水準の向上なり、さまざまな面でこういう結果があらわれたというところがあれば、大綱的にお示しいただきたいし、また逆に、そのことが、きょうあげた過疎問題、僻地問題、過疎バスの問題等、社会資本の立ちおくれ等、どれをとってみてもそれらのこととは私、無関係ではないと思いますが、これはばらばらのとらえ方でありますから、これをやはり一応系統的にまとめて見解を表明していただければ幸いだと思います。  私、いまここで資料持っておるのだけ申しますから——その点は私ら持っておりますからいいと思います。というのは、国立国会図書館から出されている「地域社会の変貌と住民生活」、この中で「地域開発の課題と主体」というので、特に東北に焦点を合わせてこれに書いてあります。これは私たち傾聴に値するものがたくさんありますし、特に秋田の——秋田は新産都市でありますが——秋田港を中心としたそうした問題にも相当なメスを入れておりますから、この資料は私、傾聴に値する。これは私、手に持っているのだということを念頭に置いて、そうでない一般のほうで資料整備していただければ、すでに発行されたもの等があればそれをお示しいただければいいのでありますが、その辺のところを、まあ変な質問になりましたが、答える側もたいへんお困りでしょうけれども、第一点の、骨組として、いいところと悪いところ、そしてそれを補完するものとして資料等の提出をいただけるかどうか、そのことをひとつお答えいただきたい、こういうわけです。
  30. 立田清士

    説明員(立田清士君) たいへんむずかしい御質問でちょっと私からお答えするのもいかがかと思いますが、また新産都市については経済企画庁等が中心になっていま進めておられる点もございますので、その点あるいは私のお答えが不十分かと思いますが、あらかじめ御了承いただきたいと思います。  まず最初に、新産業都市につきましては、いまお話のとおり、三十年代の後半からこの事業が進んできておるわけでございますが、ちょうど四十五年が中間的な目標年次になっておりますが、工業開発の点については、目標年次としてはたしか五十年だったかと記憶しております。したがいまして、そういう意味では、全体的には新産業都市の建設はまだ完全に途中の経過にその面ではあろうかと思いますが、すでにこれは十五新産都市がございますことは御承知のとおりでございますが、それぞれの地域によっていろいろその事業が順調に進んでおるところ、それから必ずしも計画どおりまだ現在の時点では進んでおらないところ、いろいろあろうかと思います。それを平均的に見ますると、多少個々の地域におきましては差がございますけれども、全般的に見ました場合には、ある程度の事業というものは進んできているという点があろうかと思います。ただその結果、人口等におきましても計画の最終的な人口までそれが到達できるかどうかという問題はわからないわけでございますが、若干の増加を来たしておるというようなこともあろうかと思います。  ただ総合的に、いまの段階でその効果がどうであるかということにつきましては、まだ一がいに断定はできないのではないかと思います。と申しますのは、もう少したちませんと効果の面ではすぐそれが把握がなかなかむずかしいのではないかというふうに考えられます。ただ、現在のところ、そういう地域的な差はございますが、一般的に今度は、その当初、計画をされた当時とだいぶ情勢の違ってきている場合もございまして、たとえば先ほどお話のとおり、いわゆる事業の中にも、地方団体の行ないます事業でも生産関連の事業と生活関連の事業が大きく分けましてあるわけでございますが、その間の生産関連の事業が比較的先に進んできておると。そこで生活関連については、これからそういう意味では生産関連事業とのバランスをとっていく必要があるといったような点ももう一つ別な面としてはあろうかと思います。  それから、申し上げるまでもなく、当初予定していたことと若干違ってまいりまして、やはり公害の問題、公害防止の問題あるいは環境保全の問題という問題等も出てきておるかと思います。それから用地の取得についての、さらに用地自身の取得が必ずしも容易でない面もあるといったようなそういう面もあろうかと思いますが、ただいま申しましたとおり、そういう何といいますか、事業そのものとして全体的にプラスの面あるいはマイナスの面、両方現象的にはいまの段階では起こっているかと思います。ただし、御承知のとおり、この新産の方式と申しますのは一つの拠点開発方式でございまして、一昨年でございましたか、新しい全総計画におきましても、従来に引き継いだ、多少構想的には全国の構想と違いましても、位置づけられたようなかっこうに実はこれはなっておるかと思います。そういうふうな段階にあろうかと思います。  なお、その次の資料の点でございますが、私のほうもちょっと不勉強ではございますけれども、大体いままで経済企画庁等でその実施状況等について、たしか毎年そういうものをお出しになっているというものがあろうかと思いますし、それから先ほど御指摘のとおり、地域ごとに全部の、十五地域全部あるかどうかちょっとわかりませんが、たとえばこのうちの特定のところにつきましてそういう研究をされたようなものもあるように承っております。なお具体的な、どういうものが資料としてあるかという点につきましては、なお後刻私らのほうももう少し勉強いたしまして御連絡を申し上げたい、そういうふうに思います。
  31. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そこでね、資料等を点検される場合に、整理する一つの視点として、たとえば図書館で出てきているのによりますと、東北全体の開発計画という中で、東北は日本の食糧基地だということを大黒柱にしながら開発計画を立てたけれども、その大黒柱が総合農政とかなんとかいって根こそぎにむしばまれているという現状でございますから、ここに一つ大きな狂いが生じているわけですね。それからこれは秋田の場合を指摘しているわけですけれども、秋田の場合は教育の場合にどうそれが反映してきておるかというのをこれいま非常に端的にとらえております。人づくり、人間開発だということで、秋田県では総合計画の中における人づくり、教育については非常な力点を置いている。しかしこの人づくりたるや何であるか、これはもう図書館自身がそういう視点ではっきり書いておるわけですが、それは人的資源、労働力をいかにつくるかということに焦点を合わしてきておるから、つまり本来的な教育の姿でないということをはっきりここで批判しているわけです。これは私の県で、有名な三−七教育の問題が大きく取り上げられて、われわれが追い詰めたら、いまの知事が、若干三−七から四・五対五・五まで下がりましたけれども、これはやはりあくまで今日進められてきている新開発計画に沿う教育をやろうとしたわけですから、結果的には、それはまずかったということですから、一つの新産都計画なり地域開発計画の大きな私は見通しの誤りだというふうに思います。  そうしたことを一、二指摘することによって、非常にやつがいでしょうけれども、われわれが今後勉強する資料をいただいて、きょうここでこの問題は決着がつく問題でございませんし、かつまた、この問題は、地方行政の面で財政的にも非常に大きな負担をかけるし、同時にまた、一般行政水準とはいいますけれども、生活環境の中における下水道や水道の設置なり道路舗装の問題等が非常におくれを来たしているという事実は明らかなんですから、そういう点をわれわれ政治に携わるものとしては、これに対する対策、今後の見通し、住民に対するそうしたことを明らかにしていくことが責任だと思いますから、そうしたことを皆さんの側も私らの側も一致しながらよい面を伸ばし、結果的にはまずい公害だとか立ちおくれの問題等につきまして、自治省各省に要請されたように、社会資本の整備に努力してもらいたいというようなことなどを含めて、われわれはやらなきゃならぬわけですから、そういう意味で資料提出方をお願いしたいと思います。  委員長、時間きたでしょうね——もう五分間だけ。  それで、これは全然問題が違うんですけれども、私が手にしたのはどこからかの情報をとったのでなくて、最近新しい雑誌で「時代」という雑誌が出ておりますね。この「時代」という雑誌で「情報整理室」というのをつくっているわけです。この中に私たちの気のつかないような問題をたくさんとらえているわけですが、この「時代」という中で幾つか地方行政上問題点となるようなものがあるんです。頭の痛いモーテルの問題とかそういうのあるわけですが、いまとらえようというのは、これはモーテル問題というものじゃないですから、これは取り上げませんが、これは佐賀新聞の六月十一日のスクラップをしているわけですね。この十一日のスクラップによると、「役場職員が体験入隊」「自治労県本部「非常識」と抗議へ=自衛隊久留米駐とん地」と、こう書いてあるわけです。佐賀県佐賀郡の話であります。全部で六町ありますが、「役場職員百三十五人が、七月から十一月にかけて陸上自衛隊久留米駐とん地第四特科連隊に〃体験入隊〃する。」ということが決定されたということなんです。そこで、体験入隊の中身。何を訓練するのか。大体一人にとって「二泊三日。基本教練(敬礼、きをつけなど)、業務管理訓練、体育、それに」、今度が問題です、「防衛論理学」というのがあるわけですね。727に体当たりせいというのは論理学の一つだと思いますが、そういったような防衛論理学を教えると、こうあるのですが、この事実等について点検し、調査し、指導された経過等があるならばお聞きしたいと思います。
  32. 林忠雄

    説明員(林忠雄君) 地方団体で、その団体の地方公務員の研修をどういうふうな内容でどうするかということは、各地方団体の自主性にまかしておりますので、当方からその科目とかその他内容について点検し調査しというようなことはございません。この佐賀県の問題も、ただいまおっしゃいましたように、この佐賀新聞というのの切り抜きを送ってもらいまして私たちも初めて知ったわけです。
  33. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは、直接手を下さなくても、行政指導の立場からどう考えておいでになるか。  佐賀の場合は、十二日の新聞で、これは抗議の結果撤回しているという。ところが、実は佐賀の問題じゃない。すでにいままで四日市にもあったし、ところどころあるはずであります。でありますから、研修の自由だということでございますが、中央で地方行政指導される側に立たれるわけですから、ああしろ、こうしろという、べからず、べからずの指導はなくても、何かそういった見解表明等は、あなた方そういうことは得意ですからね、おやりになっているのか、やっていないのか。やっていないとすれば、それでいいのかどうかということですね。何かそういうやり方がいいのかどうかという見解くらいは委員会の席上お述べになってもいいと思いますから、それをお聞きしたいと思います。
  34. 小山省二

    説明員(小山省二君) 体験入隊の是非に関しましては、私ども、その目的であるとか内容であるとか実施条件でありますとか、それらの条件を検討いたしませんと、一口に可否を論ずるわけにもいかないと思いますが、いまお答え申し上げましたとおり、今日まで自治省としてはこのような相談を受けておりませんので、その内容について十分なまだ検討もいたしておりませんので、今日この場におきまして私どもの考え方、つまりいいか悪いかということについてのお答えはできにくい状況下にございますが、十分ひとつ内容検討いたしまして、自治省として適切な指導をすることが適当だと考えますれば、そのように指導をいたしたいというふうに考えております。
  35. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それで、深追いはしたくありませんが、政務次官閣下のおっしゃったことですから、そこらあたりでやめたいと思いますけれどもね。ただ、佐賀の問題は六月ですから新しいですけれども、その他のところにまだあるわけですね。でありますから、これはいままで承知しておらなかったので、いま直ちにどうこうというわけにはいかぬという答弁は、ぼくはきわめて遺憾な答弁だと思うのですね。そうじゃないと思うのですよ。だから、もう少しこの問題を掘り下げていただいて、しかるべく統一見解を出していただきたい。  私は、民間労働組合を含めた労働団体の県の責任者になっておりましたので、民間の労働組合の中でも、会社側がこういう計画をやります、新入社員を、富山ですから金沢に入隊させると。そして訓練をさせると。大体、いまの若い者はなっておらぬと。だから、軍隊に入れてたたき直すのだというのが社長の弁であります。しかも私、どれだけ経費が要ったかという経費を調べてみますと、今日はやりの民宿に泊まったようできわめて安い。汽車代全体を総合してみると、総経費はどう見ても私は割り出せない。そうしますと防衛費の中が幾らか食われているわけですね。防衛庁はお金が足らぬで困っているのですから、そういうところへ乗っかっていって、民間まで食い込んで他人のめしを食っているようなことじゃだめですよ。いわんや町村長、町村会が、そういうところへ入って、自分の息子たちを預けて他人のめしを食わせているということでは、これは税金のむだづかいかどうか知りませんが、ぼくはやっぱりすっきりしませんね、そういうのは。  いま、河田さんがにこにこ笑っていますけれども、ぼくはきょうは憲法までは出しません。出さぬけれども、大体こういうやり方はけしからぬと私は思います。自治省は、政務次官、いま、すみやかに検討するということだから、ひとつすみやかに検討して、直ちに佐賀にどうしろ、どこにどうしろということでなしに、こうした問題についての自治省としての地方自治行政の振興のたてまえ上、こうしたことは好ましくない、好ましい、いずれでもよろしい、皆さんの統一ある見解を出していただくことを期待いたします。これで終わります。
  36. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、これからお尋ねをしたい問題は、消防行政、そして大震災害対策について何点かお尋ねをしたい、こう思います。  消防庁は、来年度の重点施策として、林野火災に備えての航空消防力の強化、これを進める方針をきめたようですけれども、その構想についてお伺いしたい、こう思います。
  37. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 本年四月の呉の火災に際しまして、空からの消火というものをある程度試みたわけでございますが、この問題は、すでに三年前から消防研究所を中心に検討してまいったわけでございます。  一つは消火薬剤の問題、それからそれの散布のしかた、それからヘリコプターを使ってのやり方でありましたので、その薬剤を収納する袋の開発、こういうことについて検討してまいったわけでございまして、九州の久住高原で若干実験を試みたわけでございます。そこで、私たちもヘリコプターによる空中消火というものをもっと早く実用化しなきゃいかぬ、まだ実は薬剤を収納する袋の開発をもう少し進めなければいかぬと思っておりますし、それから同時に、そういう体制をとる場合に、ひとつは航空機、特にヘリの問題でありますが、それの所有の問題と、それから薬剤の備蓄保管の問題がございます。私たちはヘリコプターにつきましては、来年も大都市を中心に三機くらい考えておりますが、全体を考えれば防衛庁のヘリコプターを利用する、向こうも協力をするということでございます。そこで、あとは薬剤をどういうかっこうで備蓄をするかということと、薬剤を収納して散布をする、その袋の開発をもう少し急がなければいかぬ、こういうことで、消防研究所及び私たちのほうの薬剤の備蓄の問題を来年の予算の中にぜひ考えたいと思っております。  それからもう一つ、これは私たちの構想の中に、カナダで開発されております森林火災用の特殊な航空機がございます。これは現在カナダあるいはフランス等で実際用いられております水陸流用の飛行機でございます。これは実際に映画を私たちも見ましたし、また向こうのエージェントの人も来まして説明も聞きました。映画を見た限りにおいては、あるいはいままでこれを実際の火災に用いたところではかなり効果をあげているようでございます。これを一回チャーターをしてみようかと、こういう気がいたしておりまして、そういうことを予算の中でいま検討しているところでございます。
  38. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、来年度はこういう航空消防力の強化をする、こういうことなのですが、まあまだいまのお話からするといろいろと問題点があるように思います。そこで全体の問題としまして、全国的にいってどのくらいのヘリを用意したらいいか、あるいは飛行機のほうはどの程度まで備えればいいか、そういった大きな面ですね、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  39. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 飛行機を、あるいはヘリコプターをどの程度備えたらいいのかということでありますが、率直に言ってまだそこまでの検討をいたしておりません。と申しますのは、ヘリコプターにつきましては、いま大都市で東京、大阪それから神戸、京都その他名古屋も来年あたり考えておりますが、普通の市町村でこれを持つといっても維持費が相当かかるし、また関西地方では京都、大阪、神戸が一緒になってあの辺をやるというしかけになっておりますが、私どもそういうふうにやろうと思っておりますが、全国的に考えますと、私たちは個々の市町村に持つ、あるいは県に持つといっても、機動力の問題を考えれば、私はやはり自衛隊が災害について協力をするというたてまえになっておりますし、あそこのヘリコプターをやはり使うというのが一番いいのではないかと思うのであります。  それからもう一つは、ヘリコプターにいたしましても、小さなヘリコプターではあまり大きな重い薬剤の水溶液を下げることができません。いまバートルという一番大きな輸送機で下げられますのは最大限二・五トンであります。まあこれが一番大きなものでありますが、そういたしますと、こういうものは災害の救助、援助ということで自衛隊と協力してやるというほうが一番実際的ではなかろうかと私は考えております。ただ、いまの新しい森林火災用の特殊の飛行機を一回チャーターしてみたいというのは、ある程度日本の空域を考えまして、地域考えてブロックに、一ブロックあるいは二ブロックぐらいに実際そういうものが配置されれば望ましいとは思っておりますが、それは相当の金もかかりますし、一回チャーターということをやってみた上でヘリコプターとかみ合わしてうまくいくかどうか、その辺も実際検討してまいりたい、こういうことで実態的な、どういう配備にどうするかというところまでの構想はまだ考えておりません。
  40. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまのあなたのお話を聞いておりますと、何か非常にばく然としていると私は思うのです。いま私が聞いたのは、これから来年度の消防庁の方針が航空による消防力の強化、だんだんそういうふうに移行してくるのだと、消防力というものはこう考えていいと思うのです、方針をそこに置いておるわけですから。だとするならば、これはやはり全国的にこのいろいろな地域的な問題があろうとは思います。だけれども、その地域的なものを加味した上で、航空消防力というものはこの程度保有していかなければならない、最終的にはこういうやはり目安というものをつけた上でなければ私は何にもならない。場当たり主義ではないか。何も重点施策という問題ではないのじゃないか。私はこういう感じがするのですが、これは意見の相違か知りませんけれども、その点、私はそう思いますけれども、どうですか。そうじゃなければ進みませんよ。
  41. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 一つの大きなビジョンということになれば、まさにそうだろうと思います。しかしこれには、もう少し詳しく申し上げますと、薬剤散布の機械のほかに訓練の問題がございます。  先般、東京湾の埋め立て地で、ある実験をやりましたときに、ある報道関係のヘリコプターが約百メートルくらい上空で撮影といいますか、そういうことをやろうとしたときにも相当の上昇気流によってあおられているという問題もございます。現に自衛隊の方々もわれわれの訓練に参加していただいて実際やっていただいた場合にも、そういう未開発の問題もまだございます。  したがいまして、全国的な網の目をかぶせるようなかっこうで航空消防——もちろん火災を消すだけでなくて、災害の情報とか、あるいは救急とかいうおおよそ消防活動全体を含めるようなそういう大きな構想のもとに、航空消防体制を全国的に整備するためのビジョンというものにつきましては、もう少し時間をかしていただきたい。こういう気持ちでおりまして、いずれ、もとより全国的な、国民の災害を守るという見地からの確立を考えたい、こう思っております。
  42. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、航空消防力の強化ということはまあ当然のこと、これから大いに力を入れていかなければならない問題だろうと思います。と同時に、御承知のように、ことしの四月に呉市で相当大規模な火災がありました。で、このときの状況を見ますと、ベテランの消防士がのこぎりやあるいはおのを握ったままなくなっておる、こういう状態であったわけなんです。航空消防力の強化は当然であるけれども、地上におけるこういう問題と取り組むいわゆる体制、去る四月にはこういう例があるわけですから、これらに対処するいわゆる体制、機動力、そうしてまたこれらに対処するだけの特殊消火隊といいますか、こういうような体制についての構想といいますか、こういうものをお持ちになっているのか。ついこの間まざまざと、言うならば、こういう不手ぎわな原始的な姿を露呈したわけですが、その点についてどう反省し、どう今後対処していくか、こういうことは当然考えられているとこう思いますが、その点お聞かせ願いたい。
  43. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 林野の火災につきまして、それが防止のためいろいろな措置がありますが、いま御質問のありました火災に対しての防御措置というものを、あの火災を契機にして私たちさらに考えている点を申し上げますと、一つは、いま先ほど御指摘ありましたような空からの消火というものをぜひ開発し実用化しなければならぬ。しかしながら、それまでの間につきましても、現に情報の伝達というふうな問題、あるいは人海戦術から機動力に変えていくという問題がありまして、こういうものや、たとえば携帯無線あるいは無線の整備、あるいは人の足を機動力に変えるという、特殊工作車でウニモクと称しておりますが、というものがございまして、そういうものの配備を重点的に考えていきたい。もとよりそれは数カ町村が相協力して山を守る、広い面積でございますから、そういうことで、ある二、三の市町村を一括いたしまして森林対策、火災防止の、あるいは火災防御のための特殊事業といたしまして、いま言ったようなウニモクの配備とか、あるいは携帯用の水槽とか、それからジェットシューターという特殊な、背負ってそれで火を消して歩くという機械とか、そういうようなものを配置をいたしたいと思っておりますし、またオートバイにいたしましても、もっと軽いオートバイ、消火用のオートバイ、それに消火器を積んでまいりますが、そういうふうなオートバイの開発とか、こういうものについて考えていきたいと思っております。それからもとより小型の軽量ポンプ、こういうものを移動水槽とあわせて防御用の機材として市町村に配備をするということが一つでございます。  それからもう一つは、どうしても消火薬剤というものを一応市町村で備蓄するということには多少量の問題もありますし、さらにこの薬剤が高うございますので、県全体として、火災多発地帯には、ある地点地点で、県でこういう防災消火用の薬剤を備蓄しておくという制度を何とか確立いたしたい。いまは何とか多少それぞれの県で若干やってあるところがございますが、これを全県的な制度の中で備蓄制度をぜひ拡充していきたい。そこには、ある場合には薬剤のほかに特殊な機材を多少——ブッシュクリーナーとか、そういうふだん使わないものを備蓄をしてまいりたい、こういう考え方を持っております。
  44. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 時間が幾らもございませんので、いまのお話から、やはりいまおっしゃったようなことは当然やっていかなきゃならない問題だと思います。だけれども、これはただ話ということ、あるいは計画ということではならない。現実にそういう体制がつくられていかなきゃならない。そこでやはりこういう例を踏まえた上で、いつごろまでにそういう体制をつくっていくんだという、やはりこういうめどというものをつけていかなければならぬと思うのです。そういうめどについてはお考えになっているのかどうか、ずいぶんしつこく突っ込むようですけれども、こういう例があったわけですから、そのままにしておったんでは、また第二のこういう問題、第三の問題、これを防ぐためにはやはりそういう体制を急がなければならぬ、そういう意味でいま突っ込んで聞いているわけです。
  45. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) ただいまの問題は林野火災というものに対しまして出火防止、それから出火をした場合の消火、こういうものを含めました林野火災対策というものにつきまして、私たちは全国的に大体多発地帯というものは過去の経験から見ますと約百カ所と推定されます。これは林野庁ともいろいろ御相談しておるわけでございますが、それにつきまして、昭和五十年度を目途にして、この多発地帯につきましては先ほど申し上げましたようなことをぜひ実行いたしたい。これを年次計画でやっていきたいと思っておりますし、また来年度は二十カ所ぐらいをこういう事業の目標にいたしたい、こう思っております。
  46. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは、次の問題に移ります。  いままでにこの山火事の例を見てみますと、昭和四十五年にはその発生件数は七千六十三件、そして死亡者が六十六人、四十一年度を見ますと四千三百三十六件、死者は三十五人、こういうふうにこの四十一年と四十五年を例にとってみますと大幅に増加している。こういう状態なんですね。その原因はいろいろあるでしょう。しかし非常に最近は山が開放されて、そしてレジャー等で山に入っていく。そういう人たちが不注意のために山火事を起こすという問題も相当例があるわけですね。そうなると、ますます今後そういった例がふえてくるという可能性は十分あるわけで、そうなると、これらの人たちに対するいわゆる対策というか、そういうものが必要になってくる。それらについてはどのように考えておられるのか、またいままでにどのような手が打たれてきたのか、その点ひとつお聞かせを願いたい。
  47. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 山が開放されましてレジャーのために人が山に入る、その結果、森林火災を起こしやすい。現にたばこの投げ捨てによる火災が山において起きておる。たとえば山菜ブームで都市の人が日曜に山に行って、そのまま山菜をとりながら、たばこを捨てるということで現に小さな火事を起こしていることも私は聞いております。この点につきましては、いろいろ御案内のとおり、林野庁と協力いたしまして、看板を立てるとかパンフレットをやるとか、あるいは森林火災の多い期間には特に力を入れて森林巡視、監視というものを林野庁方面で担当していただいてやっておるわけでございます。そういうことでありますが、さらに多発期間におきましては、一定の山の地域を限って火気の使用を禁止するというようなこともぜひやらなければならぬと思っております。  現在、御案内のとおり、火災警報発令中におきましては、多少火気の使用を禁止するという規定はございますけれども、そうでなしに、そういう警報が発令されていようといまいと、やはり多発期間におきましては、一定の山の地域は火を使わせないというふうなことで規制しなければならぬ、こう思っております。非常に従来から比べまして、いまの条例あるいは法律による規制というようなものを除きますと、あまり進歩していないじゃないかというおしかりは先般も受けたわけでございますが、何といいましても、たばこを吸ってそのままのみ捨てるという火災につきましては、やはりたばこの取り扱いをそれぞれの人が注意をしてもらうということを強くやる以外に、だれも見ていないところでございますので、私たちとしても、あるいは消防当局としても非常に困っておる問題でございます。一つは、地元の方々は山火事のおそろしさ、山を愛するという気持ちが非常に強うございますから、そういうことはほとんどやらないと聞いておりますが、都会の方々は、たまたまレジャーに行って漫然とそういうことをおやりになる。  そこで、日本消防協会のほうともいろいろ話をいたしまして、都市の美化運動とあわせて、町で道路にのみ捨てる、ぽんぽんのみ捨てる、あのきたないたばこののみ捨てを何とか都市の美化というものでやめようじゃないかと、こういう運動を来年何とか展開いたしたいということで内々相談をしているところでございますが、そういうことでレジャーに行く方の火に対する注意を都市を中心に喚起いたしたい、こう思っておるところでございます。
  48. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ほんとうに時間がなくなったので急いで先にいきたいと思います。  その前に、いまの問題ですけれども、いま申し上げたように四十一年と四十五年までの間、どんどんふえているわけですからね。いまますます公害が激しくなってくる、都市におられない、そういう都市の人がどんどん山に出かけていく、そういう可能性はこれから十分あると同時に、またそういう傾向が強まってくることは間違いない。そういうことを考えた場合に、これはやはりおそろしい山火事というものを防ぐためにはいいかげんな考え方ではいけない。たばこの吸いがらを捨てるという簡単なものごとというか、そういう考え方ではならないと同時に、十分それに対処できるだけの対策というものを真剣にやはり考えていかなければならぬ、こういうふうに私は思います。今後何らかのひとつ対策を十分検討されることを望みます。  そこで、次にお尋ねしたい点は、大都市における防災対策についてお伺いいたしたいと思います。  防災関係者のほとんどが、過密都市ではいまの消防力では大火を防げない、こう言っております。また、東京都を例にした場合に、東京都民は避難する場所がない、非常に悲観的な意見ばかりなんです。で、そういう状況の中で、大地震六十九年周期説、これによりますと、あと七年後には危険な時期に入ると、こういうことになるわけです。この問題はいままで国会の内外で論じられてきたわけでございますけれども、そこで、その後これらの問題についての対策はどのように進んできているのか。この点ひとつお聞かせ願いたい。
  49. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) ことしの二月のロスの地震をきっかけにいたしまして、消防審議会が四十五年の三月に出しました答申というものを中心に中央防災会議が開かれまして、中央防災会議におきまして、ことしの五月の二十五日に大都市震災対策推進要綱というものを決定いたしました。これは各般にわたる、各省全部にわたる対策を要綱としてまとめたわけでございますが、これに基づきまして大体八月の末ごろまでに、たとえば無線通信の関係ならば郵政省が中心になり、出火防災であれば消防庁が中心になるというふうに、それぞれの主管ごとに項目を分けまして、それに関係省が入って具体の案をさらにまとめ、それで必要があるものについてそれぞれ予算の措置を講ずるということで対策を進めているところでございます。
  50. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最近ちょいちょいと東京都に地震があるわけですが、この東京都の防災会議の地震部会の調査報告が発表されたわけです。そこで、もし関東大震災級の大地震が起こった場合、江東地区のデルタ地帯は五十数万人の死者が出る、こういうふうに言われております。で、そういうおそろしい調査結果が発表されておるわけでございますけれども、その原因といいますか、なぜそれじゃあそういう多くの死者が予想されるのかというその原因については、避難場所がない、あるいはまた、その避難場所に行くまでの行程が非常に長過ぎる。中には十二キロぐらい行かなければ避難場所には到達できない、こういうような問題があるわけですね。そこで、これから避難通路だとかそういう問題について真剣ないわゆる検討をなされていかなければならぬと思うのだけれども、しかし、実情はどうかといえば、私があえて申すまでもなく、そのような東京都は過密な状態、その中でそういった問題をどう解決し、これに対処するかということは非常にむずかしい問題です、現実的に。その現実的な立場から私はお答えをいただきたい。その点どういうように考えておられるか伺いたいと思います。
  51. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 東京都の防災会議におきまして、御指摘のように広域避難地というものを四十六カ所指定したわけでございますが、そこに行く道のりというものは長いところでは十二キロぐらい確かにございます。それでは、実際の地震が起きた場合の避難の道程としては長過ぎまして、したがって、学者によっていろいろ御意見がございますが、大体四キロ前後というのがいま言われておる意見のようでございまして、そういうことをもとにしてさらに避難地について検討をするということでございます。したがって、都市計画事業において公園、緑地というものを拡充をしていく、あるいは工場あと地というものをふだんは公園あるいは緑地帯として使い、同時に、非常の場合には避難地になるというようなことで、新しい観点からさらに防災会議におきまして広域避難地の検討を始めておるわけでございます。  いずれにいたしましても、いま御指摘がありましたように、冬季毎秒十二メートルぐらいの風が吹けば江東地区では五十六万人ぐらいの死傷者が出るだろうというふうに言われております。それは主として二次火災の火災の問題が中心になっております。そこで私たちは、避難場所の確保と同時に避難路の確保が大事なことでございまして、その点については、一つは耐火構造の建物で避難地を囲むという問題もございます。同時にまた、避難路には消火貯水槽というものを一定の距離のもとに配置をいたしまして、そこで火災、火煙から人命を保護するというようなことを、避難路を確保するという見地から貯水槽の配置についてもう一回練り直す、こういうことを実際考えてもらっておりますし、私たちも来年の予算では特に耐震性の貯水槽、しかも、いままで最大四十立方メートルぐらいのものでありますが、それを百立方メートルぐらいの大きなものを考えられないだろうか。そうすれば、それは避難路の確保に役立つと同時に、飲み水にも役立つというようなことで、そういうことを実際の避難路の確保対策としてぜひ考えてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  52. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その点ですけれども、実際に現在の過密は極度に達しておると言って過言じゃないと思っているんです。東京都のような過密の状態の中で、いいかげんなものをつくっても何にもならぬわけですから、理想的ないわゆる避難場所というのはできるのかどうか。これは一つ大きな問題ではないかと思います。その点ひとつお聞かせを願いたいと同時に、東京都では、これらに対処する方法として防災拠点をつくるという計画があるわけです。そこで当然こういう方向に進めていかなければならぬけれども、何といっても、あと七年後には危険な状態の時期に入るといわれている。ですから、急がなければならない。そこで完成までの年数、それから財源の問題、こういう問題についてはどのように考えておられるのか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  53. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 広域避難地につきましては理想的なものをつくれるかという御質問でございますが、いずれにいたしましても、現在都が指定しておる以上の避難地を必要とすることは大体識者の指摘するところでございまして、これはそういう目標に向かって、しかも、先ほど申し上げました新しい都市づくりの中でこれを考えていく。少なくとも、現在よりも毎年空地、避難地として適する緑地、公園というものをふやしていくという努力を続けていく以外に、理想的につくれるかと言われましても、そういう方向で努力をして毎年ふやしていくというのが現実のやり方ではなかろうかと、こう思います。同時に、そこに至る避難路というものを確保するという措置をあわせて考えていきたい、こう思っております。  それから江東防災拠点の問題でありますが、この点は建設省のこの問題を担当した審議会というものの答申に基づきまして、デルタ地帯に六カ所ぐらい防災拠点をつくるということで話が始まっておりますが、いま手をつけようと思っておりますのは、そのうちの白鬚地区であることは御案内のとおりでございます。この点の実際の計画につきましては、まだ最終的なものがまとまっておりませんで、ある程度、都有地もあり買収が済んだところもございますけれども、土地の買収の問題、あるいはどういうふうにしたら一番いいかという最終的な都市計画案としての決定の段階にはまだ至っておりませんので、私たちのほうから詳しく申し上げるわけにはまいりませんが、そういう意味で財政的にもまだ財政措置をどうするかということについての確立されたものがないようでございますが、なお財政局のほうで財政の問題についてお答え願えれば幸いだと思っております。
  54. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 東京都の江東地区の防災事業につきましては、現在まだ私どものところに具体的な事業計画というものが提出されておりませんので、実施事業の内容、その実施年度等につきましては、まだ的確な所要財源というものの見通しを立てるまでには至っておりませんが、一般的には、いずれにしましても市街地の改造をやらなければなりません。あるいは道路、避難緑地等の建設、それに伴う相当広大な用地買収事業といったようなものが必要であろうというふうに考えております。したがいまして、都の一般財源はもとよりのこと、国庫補助制度等につきましても十分の措置が必要であろうと思いますが、特に地方債による資金措置が相当必要ではないだろうかというふうに感じております。したがいまして、それぞれの事業の実施年度に対応いたしまして、都の財政事情等を勘案しながら、十分こうした地方措置等については考えてまいるつもりでございます。具体的な話し合いはこれからであるというふうに考えております。
  55. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 政務次官いかがでございますか、その財源的な問題については。
  56. 小山省二

    説明員(小山省二君) 防災事業につきましては、先般、知事も大臣をたずねてまいりまして協力方の依頼等もございまして、私どももこれらの事業についてはできるだけ前向きに検討して、財政経費の面でも御援助申し上げようというふうにお話をしたわけでございますが、防災事業につきましては、私どもとしても重点事項としてこれを取り上げまして、できるだけこの事業を遂行するに必要な財源措置を強化していきたい、こういう面で来年度の予算編成にあたっても十分ひとつ留意していきたいというふうに考えております。
  57. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それで、この防災拠点の問題でございますけれども、東京都でことしの二月四日だと思いますが、江東区が大震災で火の海になった、こういったことを予想した上でいろいろなモデル野外実験が行なわれた。この対象になったのはネズミだということなんでございますが、それで、ほんとうは安全なはずであるネズミがこの中で全滅をした、こういうことがあったわけですね。それで、これについての日本建築学会の報告内容、これについてひとつお答え願いたい。
  58. 高瀬三郎

    説明員(高瀬三郎君) ただいまおっしゃいました調査でございますが、東京都が建築学会に委託いたしましておやりになった調査でございます。私どものほうとしては直接関係ございませんので、はっきりした内容については承知しておりませんが、御指摘がございましたように、ネズミが非常に高温で死んだということにつきまして私ども承っております。  で、この実験のやり方につきましては、委員会がつくられまして、いろいろ白鬚地区の防災拠点というものを前提にいたしました模型実験をやったというふうに聞いております。したがいまして、一方は川に面した地区というのが前提にございまして、細長い地域でございますが、そこの模型実験をやったということで、二月四日にいたしました。局地的な実験といたしましては、われわれがいままで四十三年、四十四年にかけましていろいろ建設省、東京都、学会というような各団体一緒になりまして共同でやりました実験と違いまして、壁を——壁をと申しますか、建築物を一重と考えましてその実験をなさった。それから当日は風もあったようでございます。そういうような結果、拠点内のいわば温度が七十度程度にまでなってしまった。したがってネズミが死んだ、こういうようなふうに報告を受けております。  その理由でございますが、やはり実験でございますから、現実のものとはだいぶ条件が違うと思いますが、一つ考えられました実験の考え方としまして、建物の間に空間がある、空域がある、道路が中に入っているというような想定で実験の模型をつくったわけでございます。したがいまして、そういうところから熱がどんどん入っていったということが考えられるわけであります。それから前面に空地をとれ、要するに、拠点と、それからその密集市街地と申しますか、木造市街地とをできるだけ離せということを従来の実験でやっておりますが、この実験ではそれをできるだけシビアな状態でということで、あまり空地をとらないということを前提にして実験した。こういうようなことでございまして、熱風が入りやすいような形の構造だったということに大きな原因があるのではないかというふうに考えております。  私どもいままでいろいろやってまいりましたが、結局は一重の壁で囲むということは、輻射熱に対しては一応それで十分耐えられるということはわかっておりますが、やはり上からおりてくる熱というか、こういったものについてはどうも二重でないと無理ではないかというのがいままでも、従来の実験でもある程度わかっておった。したがいまして、こういう具体の地域としての形をつくって実験をやったという段階で、やはりこれは二重構造のほうがいいんじゃないかというような結論がわれわれは得られたと思うのです。それからなお、防災拠点の周辺をできるだけ不燃化するということも大切なんだということもこのたびの実験で非常に痛感をいたした次第でございます。
  59. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まだまだ研究の余地があるということでございますね。十分に、時期的にいっても大切な時期を迎えて、危険な時期を迎えてきているわけですから、その研究を急がなければならぬと、こう思います。  そこで、先般、消防力の基準、これが十年ぶりに改正された。こういうことなんですが、都道府県にはこの指導通達がすでに出されているようでございますが、その内容を、いわゆる指導通達の内容についてひとつお聞かせ願いたい。
  60. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 消防力の基準は、御指摘のように約十年間制定してからたったわけでございまして、その間に消防機器の性能が非常に向上したということ、それからもう一つは、地方における道路その他の状況によりまして、消防活動の実態がかなり変わってまいりました。そういう反面、石油貯蔵所をはじめとする危険物あるいは中高層建築というものが続出いたしましたので、そういうことの状況を踏まえまして十年ぶりに消防力の基準を改正したわけでございまして、それを六月に都道府県のほうにも流しまして、市町村指導に当たっていただきたいということにいたしたわけでございます。  その一つ内容を申し上げますと、従来、積雪寒冷地帯におきましては、特別に消防力の基準というものについてはなかったのでありますが、これはその地域における消防活動というものが積雪寒冷地帯におきましてはかなり阻害されますので、ある程度増強するということでこれを設けました。それから、市街地あるいは密集地に該当しない、人口まばらなところにおける消防力をもっと強くしなければならぬということで、その消防力の強化をはかったわけでございます。それからその次は、中高層建築物につきましては、はしご車等の整備がどうしても必要であります。現在、これまでは十八メートル以上の中高層建築物を対象にしておりましたが、これを十五メートル以上の中高層建築物というものが半径一・五キロ以内の範囲に十以上ある場合には、十五メートル以上のはしご車を必ず配置しなければならぬというふうにいたしました。  それから危険物施設に対する化学消防車を増強する基準をつくりました。従来は、およそ消防法別表に書いてあります危険物全体の製造所とか貯蔵所とかいうものをひっくるめまして、そしてそれが五百以上あれば化学消防車一台というような式でやっておりましたが、そういうことをやめまして、石油類、いわゆる危険物の第四類に該当する危険物の種類、貯蔵所とか製造所とか、そういう石油類を扱う危険物の施設というものの数をとらえまして、それを最低五十から順番に大きくいたしまして、そうして化学消防車の配置基準を増強したわけでございます。  それから、反面、冒頭にも申し上げましたように、たとえば東京都というものの区部の消防を考えましても、道路がよくなってまいりますし、また機械の性能、整備もよくなってまいりまして、一つの区だけで独立して考える必要はないので、相互応援というものを十分に果たせる体制になっております。こういう市街地に配置される消防ポンプにつきましては、活動の実態を踏まえまして整備の基準をある程度引き下げるということをやったわけでございます。密集地についても同様のことをやったわけでございます。そういたしまして、この市街地、密集地については応援体制という実態を十分踏まえますと同時に、化学車、はしご車につきましては都市実態に合うようにいたしました。反面、積雪寒冷地帯、あるいは密集地、市街地のない、人口まばらな地帯につきましては消防ポンプの増強をはかる、こういうことで基準の改定をいたしました。
  61. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、その消防力の基準の改正、これはけっこうなことだと思う。いままでのでは時代に即さない、そういうことで十年ぶりにこれが改正された、こういうように思います。そこで、いままでも消防力の基準というものはあったわけですね。そこで、いままでそれは充足されておったかどうか、これは問題だと思う。いままではどうなんですか、各都道府県では消防力基準に到達しておったのかどうか、この点どうですか。
  62. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) たとえば消防ポンプについて申し上げますと、充足率は六四%になっております。それからたとえば、反面、化学車というようなことになりますと、これは二五〇%というふうになっておりまして、したがって充足されておるものもあり、化学車のようにばく大に、基準が古うございますので、非常に充足率の高いものもあったわけでございます。
  63. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、計画倒れでは何もならぬ、こう思います。そこで、いままでいわゆる基準に達しておらなかった、こういうことなんですけれども、これから、この改正によれば、まだまだ相当な金もかかるでしょうしね。ますます基準に到達するにはむずかしくなってくる、こういうことが考えられるわけですね。で、そういったものを現実に即した体制、ということは、いわゆる基準に到達するということなんです。その到達させるためにはどういう手を打っていかなきゃならないか、こういう問題が残ると思う。計画倒れではならない。そこで、そういった点についてどういうふうに考えておられるか。どうしても到達さしていかなきゃならぬと思うのですね。
  64. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) この消防力基準を六月に制定いたしまして、この示達をいろんな機会を通じて行ないました。そこで、現在十月末を目途にいたしまして、各市町村を単位とする一もちろん県でそれを締めくくるわけでございますが、五カ年計画というものをこの基準に基づいてそれぞれつくってもらうということで、いまその作業をしておるところでございます。そういう目標を、地元の市町村、県とわれわれの間で相談して五カ年計画をつくる。その目標について、われわれのやる補助の問題とか、起債の問題とか、そういうものを充実していきたい、こう考えております。
  65. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは十年前にできた消防力基準、そのときにもやっぱり同じように、そういうふうに都道府県検討されたと思うのです。今回もやはり当然それはやらなきゃならぬ、打ち合わせもやらなきゃならぬ。だけれども、お互いに話し合いだけで終わってはならないし、また計画だけで終わってはならない。やはり実のあるものにしていかなきゃならぬということなので、過去十年間を見た場合に、それにはそういう話し合いを進めてきたけれども、とうとう目標に達しなかったというのが現実なわけですね。ですから、今度の新しい基準については、これが達成されるように真剣ないわゆる検討、配慮というものが必要じゃないか、こう思います。これは意見として申し上げておきます。  そこで最後に、先般、渡海新大臣が震災対策特別措置法の立法化を考えておると、こういったことを言っているわけですね。そこで、いわゆる震災対策特別措置法というものは、その内容についていまどの辺まで進んでいるかどうか、おわかりであればひとつお聞かせ願いたい、こう思います
  66. 小山省二

    説明員(小山省二君) 大臣がそのような立法化に踏み切っておるかどうかは、私どもいままで大臣から御相談を受けておりませんので現在では承知いたしておりませんが、もしそのような大臣が御答弁をされたといたしますれば、大臣自身何らかきっと構想をお立てになっておると思いますので、できるだけひとつ大臣からお話を承りまして、次回でも構想の一端を御答弁できるようにいたしたいと思います。
  67. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣は十二時半ごろ来られるんですか。
  68. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) もうおそらく来られぬかもしれませんよ。
  69. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 こういった点を聞きたかったものですからね。ですから、十二時半ごろに来られるというから、それはちょうどいいなと思っていたわけです。これは来られないとなればどうにもなりません。  いまの政務次官のお話ですけれども、大臣がこういったことを言われたということは、これはもう公のことですよ。で、政務次官がいまどき、大臣がそういったことを言ったとすればというような話は私はおかしいと思う。当然表裏一体の関係であって、もうそういった問題については政務次官ががっちりと大臣以上に握っているぐらいな姿勢がなければ私はまずいと思う。それだけまだまだのんびりしておったと、こう言わざるを得ないと思う。七年後にはもう危険な状態に入るというんですからね、のんびりしていられませんよ。急がなきゃならない。あらゆる体制をつくり上げていくためにほんとうに真剣に取り組まなきゃならぬ。こういう時期がきているわけですから、私もそういう意味でいままで質問をしてきたわけですからね。それは政務次官としては、私は、少し不勉強である、こう思います。  いままでいろいろとお尋ねしたわけでございますけれども、時期的に考えて、いろいろなこれから問題点があると思います。そういった点は早急にほんとうに計画だけでなくて、東京都とか大阪とか、そういう過密したところに対応できる、対処できるだけのあらゆる施策を講じていかなきゃならない、こう思います。そういったことをひとつ強く最後に要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  70. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 政務次官の御答弁に補足させていただきたいと思いますが、実は正直に申しまして、私たちも特別立法の制定というようなことは何も聞いておりません。新聞を見ましても、書いてあるのはちょっと小さく一カ所書いてあるだけであります。  要するに、私たちは、先ほど申し上げましたように、大都市震災対策推進要綱というものを定めましたが、たとえばこの中に「経済秩序等の早期回復」というようなものも書いてあります。それから災害対策基本法の中にも一部モラトリアムのような規定のあることは御案内のとおりでございます。したがいまして、必ずしも総合立法ということでなしに、災害対策基本法の中に震災のことも含めてありますし、大都市震災対策推進要綱、あるいは中央防災会議でまとめました防災基本計画というものの中にも震災対策を新しくひとつ取り上げたわけでありますので、そういうものに基づいて各省がそれぞれ自分の所管するものについて必要な措置を講ずるということになっておるわけでございます。もとより、それぞれ各省はこの対策推進要綱に基づいてやるということになっておりますが、その過程におきまして、何らかの意味で法律措置を講ずることが具体的な措置を進めるについて必要であればわれわれは考える。しかし、いま政務次官が御答弁なさいましたように、総合的なものを考えるかどうかということにつきましては、私たちもまだ聞いておりませんので、そういうことで正直に御答弁申し上げたわけであります。
  71. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 本件に対する調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十四分散会