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1971-07-23 第66回国会 衆議院 文教委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十六年七月十四日)(水曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りであ る。    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 櫻内 義雄君    理事 谷川 和穗君 理事 山中 吾郎君    理事 鈴木  一君       有田 喜一君    稻葉  修君       小沢 一郎君    塩崎  潤君       床次 徳二君    西岡 武夫君       野中 英二君    堀田 政孝君       松永  光君    森  喜朗君       吉田  実君    渡部 恒三君       川村 継義君    木島喜兵衞君       小林 信一君    楯 兼次郎君       三木 喜夫君    有島 重武君       多田 時子君    山田 太郎君       山原健二郎君    安里積千代君 七月十四日  丹羽兵助君が議院において、委員長補欠選任  された。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年七月二十三日(金曜日)委員会におい て、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  文化財保護に関する小委員会       久保田円次君    塩崎  潤君       谷川 和穗君    野中 英二君       松永  光君    森  喜朗君       吉田  実君    川村 継義君       山中 吾郎君    有島 重武君       鈴木  一君  文化財保護に関する小委員長  久保田円次君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 谷川 和穗君    理事 西岡 武夫君 理事 山中 吾郎君    理事 山田 太郎君 理事 鈴木  一君       稻葉  修君    小沢 一郎君       塩崎  潤君    野中 英二君       堀田 政孝君    松永  光君       森  喜朗君    吉田  実君       川村 継義君    三木 喜夫君       有島 重武君    多田 時子君       山原健二郎君    安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君  出席政府委員         文部政務次官  渡辺 栄一君  委員外出席者         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部大臣官房審         議官      奥田 真丈君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省体育局長 渋谷 敬三君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十四日  辞任         補欠選任   櫻内 義雄君     丹羽 兵助君 同月十五日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     中山 正暉君 同月二十三日  辞任         補欠選任   渡部 恒三君     小沢 一郎君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     渡部 恒三君 同日  理事櫻内義雄君同月十四日委員辞任につき、そ  の補欠として西岡武夫君が理事に当選した。 同日  理事正木良明君同月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として山田太郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 七月十四日  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部を改正する法律案  (川村継義君外五名提出、第六十五回国会衆法  第九号)  大学基本法案鈴木一君外三名提出、第六十五  回国会衆法第一〇号) 同月二十一日  国立大学医学部付属養護学校設置に関する請  願(辻原弘市君紹介)(第七五号)  交通遺児に対する奨学資金給与制度新設に関  する請願鈴木善幸紹介)(第一一四号)  幼稚園教育振興に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第一一五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十一日  各種学校制度確立に関する陳情書外一件  (第一〇号)  へき地学校教員等確保に関する陳情書  (第一一号)  公立文教施設整備に関する陳情書  (第一  二号)  宮崎県に国立医科大学等新設に関する陳情書  (第五八号)  義務教育及び社会教育施設整備等に関する陳  情書)  (第五九号)  国立高知大学医学部増設に関する陳情書  (第九三号)  群馬大学工学部第二部設置に関する陳情書  (第九四号)  公立文教施設整備に関する陳情書  (第九五号)  公民館整備充実に関する陳情書  (第九  六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  国政調査承認要求に関する件  閉会中審査に関する件  文教行政基本施策に関する件  請 願  一 国立大学医学部付属養護学校設置に関する    請願辻原弘市君紹介)(第七五号)  二 交通遺児に対する奨学資金給与制度新設に    関する請願鈴木善幸紹介)(第一一四号)  三 幼稚園教育振興に関する請願鈴木善幸君    紹介)(第一一五号)      ――――◇―――――
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  このたび、皆さまの御推挙によりまして、はからずも文教委員長重責をになうことになりました。まことに光栄の至りに存ずる次第であります。  もとより文教行政にはうとく、委員会運営につきましてもふなれな私ではございますが、練達たんのうなる委員各位の御協力と御指導をお願いいたしまして、万遺憾なきを期し、円満なる議事運営努力をいたしたいと存じます。何とぞ御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。  簡単ではございますが、委員長就任のごあいさつにかえさせていただきます。(拍手)      ————◇—————
  3. 丹羽兵助

    丹羽委員長 この際、御報告申し上げます。  長らく本委員会で御活躍をされておりました前委員長八木徹雄君が去る七月四日逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。ここに委員各位とともに故八木徹雄君の御冥福を祈り、つつしんで黙祷をささげたいと存じます。御起立を願います。   〔総員起立黙祷
  4. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御着席願います。      ————◇—————
  5. 丹羽兵助

    丹羽委員長 理事補欠選任の件についておはかりいたします。  理事でありました櫻内義雄君及び正木良明君の委員辞任に伴い、理事が二名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。  それでは、西岡武夫君及び山田太郎君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  7. 丹羽兵助

    丹羽委員長 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  文教行政基本施策に関する事項  学校教育に関する事項  社会教育に関する事項  体育に関する事項  学術研究及び宗教に関する事項  国際文化交流に関する事項  文化財保護に関する事項 以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めることをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、国政調査承認要求書の作成並びに提出手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ————◇—————
  10. 丹羽兵助

    丹羽委員長 文教行政基本施策に関する件について調査を行ないます。  この際、高見文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高見文部大臣
  11. 高見三郎

    高見国務大臣 私は、教育改革等重要な課題をかかえているこの時期に文部大臣重責をになうこととなりました。まことに任重くして力の足らざるを痛感しておりますが、幸いに国民各層の御支援と文教委員各位の御協力を得て、この責任を果たしてまいりたいと存じます。  時代要請国民期待にこたえて、教育改革推進をはかることは、一九七〇年代の最大政治的課題一つであると考えます。  来たるべき時代は、すべての国民が生涯にわたり、家庭学校社会を通じてその能力開発し、繁栄の中にみずから正しく生きる豊かな人間性をつちかうことが強く要求されております。  また、国際化が進む中で、わが国の伝統ある文化の上に新しい時代を開く力を持つ国民育成をはかることは、国民全体の重要な課題であると考えます。  文教行政をあずかることとなりました私といたしましては、このような時代要請国民期待にこたえるべく最大努力をいたす考えでありますが、このたび中央教育審議会から、「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」の答申をいただきました。  私は、今後学校教育行政についてはこの答申趣旨実現に重点を置く所存でありますが、特にこの機会に日ごろ考えておりますところの一端を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  まず、中央教育審議会答申趣旨実現するための文部省体制整備を行なう必要があると存じます。その第一歩として、先ごろ文部省内に教育改革推進本部を発足させ、今後における教育改革の総合的な推進をはかることとしたのであります。さらに初等中等教育改革につきましては、先導的試行その他教育研究開発を総合的に推進するための組織を設けて、研究成果を積極的に行政に取り入れる体制確立したいと存じます。また、高等教育改革とその計画的な充実を企画実施するための体制整備をはかってまいりたいと存じます。  初等中等教育刷新充実につきましては、当面、幼児教育普及充実特殊教育振興をはかるとともに、新しい学校体系開発を目ざす先導的試行のための準備を進め、課題解決を着実にはかってまいりたいと存じます。  特に小学校就学前の幼児教育は、人間形成の基礎をつちかうものとしてきわめて大切であり、これが充実をはかることは緊要な課題であります。このため、幼児教育中心である幼稚園拡充を計画的に推進するとともに、私立幼稚園に対する助成等についても各種施策を講じていきたいと考えます。また、さまざまな心身の障害を持つ者に対して、それにふさわしいあたたかい教育機会を与えていくことは、国民のひとしく念願するところであり、特殊教育内容研究を促進するとともに、養護学校拡充特殊学級増設等施策を一そう推進してまいりたいと存じます。  次に、高等教育につきましては、現在の大学あり方について提起されているさまざまな問題の解決をはかるとともに、さらに大学を新しい時代に即応したものとするため、高等教育改革と計画的な整備充実を、国民的合意のもとに、一歩一歩進めてまいる所存であります。  特に筑波新大学放送大学等新しい構想に基づく大学の創設につきましては、積極的に取り組みその実現を期してまいりたいと考えております。  また、国民教育に対する期待にこたえるためには、このような制度面改善のほか、教員の資質の向上処遇改善がきわめて重要な課題であります。教職員給与改善につきましては、去る第六十五回国会におきまして国立及び公立義務教育学校等教育職員給与等に関する特別措置法の成立を見たところでありますが、今後、教員免許制度の再検討新任教員実地修練及び高度の専門性を付与するための再教育実施と相まって、教職員処遇抜本的改善努力を注ぎたいと考えております。  このほか、私立学校に対する助成の強化及び奨学事業充実を一連の総合施策として、年次的に実施することができるよう具体的な検討を促進いたしたいと存じます。  このような学校教育における重要な課題のほか、社会教育振興体育スポーツ普及充実学術及び文化振興国際交流推進等の当面する課題につきましても、積極的な施策を講じ、その進展をはかってまいりたいと存じます。  次に、沖繩教育についてでありますが、長い間の念願であった本土復帰が近く実現の運びとなりましたことは、まことに御同慶にたえないところであり、今日まで本土との一体化に尽くされた教育関係者努力に対しましては、深く敬意を表するところであります。  今後、引き続き諸般の施策を積極的に進め、復帰準備に遺憾なきを期するとともに、教育水準充実向上をはかってまいる考えであります。  以上、教育改革の問題を中心として、日ごろ感じておることの一端を申し述べましたが、長期的展望に立って教育刷新のための基盤の確立に誠心誠意当たる決意でございますので、文教委員各位の格段の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして就任のごあいさつといたします。(拍手
  12. 丹羽兵助

    丹羽委員長 次に、渡辺文部政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺政務次官
  13. 渡辺栄一

    渡辺政府委員 今回文部政務次官を拝命いたしました渡辺栄一でございます。  まことに微力でございまして、この中教審答申を踏まえました重要な文教行政時代に、その任にたえ得ないものと思いますが、皆さま格別の御指導、御協力をいただきまして、幸いに文教にはたいへん造詣の深い高見大臣を迎えておりますので、一生懸命やってまいりたいと思います。委員皆さま格別の御指導をお願いしたいと思います。(拍手
  14. 丹羽兵助

    丹羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川和穗君。
  15. 谷川和穗

    谷川委員 この教育改革のたいへん大事な時期に私どもは前委員長を失ったわけでございますが、まことに哀悼の念禁じ得ないものを感ずるわけでございます。  新大臣は、かつてこの衆議院文教委員会委員長として御活躍をなさいましたが、特に最近では、たとえば大臣が、著作権法のときの小委員長としてなされた御努力だとか、あるいは先般の国会で成立いたしました教特法の前身の、あの三十六時間にわたった審議の中で示されました委員長としての御指導だとか、いろいろ私ども記憶いたしておるわけでございます。特に新大臣委員長当時残された一つの大きな仕事は、国会法だとかあるいはいままでの院の慣習にはなかったラウンドテーブル方式を、この文教委員会の中で確立されたことだったというふうな感じがいたしております。そういう意味で新大臣は、大きな御抱負を持ちながら、この重大な教育改革の時期に大臣に御就任になられたわけでございまして、私どもといたしましても、やはりこの教育改革全体が国民的合意の上にこそ成り立つものだということを前提に、高見大臣の御就任を満腔の敬意とそれから御期待を申し上げる気持ちをもってお迎えをいたしたい、こう考えておるわけでございます。  先ほど大臣の御就任のごあいさつの中にもございましたが、特に大臣は、新しい時代ということに触れられて、来たるべき時代は、すべての国民が生涯にわたり、その能力開発し、繁栄の中にみずから正しく生きる豊かな人間性をつちかうことが強く要求されておる、こういうふうに述べておられます。今回の中教審答申は、もちろん諮問そのもの学校制度に関する諮問でございましたから、答申内容としても学校制度中心にいたしておりますが、しかし新大臣の御抱負の中にもございました生涯かけての教育、俗にいわれておりまする生涯教育ということばについて大臣はどのようにお考えになっておられるのか、その辺をまず最初にお伺いいたしたいと存じます。
  16. 高見三郎

    高見国務大臣 中教審答申にも指摘いたしておりますとおり、人間形成というものは、学校においてのみならず、人間の生涯を通じまして家庭、職場、地域社会等人間が生活するありとあらゆる場において行なわれるものであると存じます。生涯教育とはそのような観点に立って学校教育家庭教育社会教育等を総合的にとらえ、それぞれの役割り、分担を明らかにいたしまして、それぞれの役割りに応じ、教育あり方考えてみようとするものであります。
  17. 谷川和穗

    谷川委員 一口に学校教育社会教育家庭教育と、こういうふうに俗に分けていわれるわけでございますが、やはりこれだけ社会の価値の基準が激しく変動するような社会におれば、われわれとしては、教育の持つ新しい役割りというものをここで新たに期待をしなければならないところに来ているんじゃなかろうか、こういうふうな感じがいたします。特に先進諸外国と同じところへ入らざるを得なくなってきておるような日本の今日の社会においては、特にそういう意味ではいま大臣が述べられたような意味で生涯教育というものはまことに大きな問題になりつつあると思いますが、もう少しこれに加えまして、それでは文部省としてはどういう観点で具体的にどのような施策から手をつけていくか、どのような施策を推し進めようとしておられるか、この辺のことについてもう少し詳しく御説明いただきたいと存じます。
  18. 高見三郎

    高見国務大臣 私は、まさにこの生涯教育という観点に立って学校教育改革並びに家庭教育及び社会教育振興を総合的に進めてまいりたいと存じます。特に社会教育の面につきましては、自発的な学習の場を提供いたしまして、広く国民がみずからの魂をみがきあげる機運を醸成するために図書館の整備充実をはかりたいと存じております。また、今年度画期的な前進を見ました公民館整備充実をさらに進めていきたいと考えております。また、自己のからだに自信を持つ青少年の育成は今後きわめて大事であると考えておりますので、そのために体育スポーツ振興に国も意を用いたいと考えておるところでございます。
  19. 谷川和穗

    谷川委員 生涯教育万般の問題につきましては、後ほどまたさらに詳しく二、三お伺いしたい点がございますが、いずれにいたしましても四年間にわたるたいへんな労作といいますか、長期にわたっての検討の結果、あれだけ広範多岐にわたる学校教育制度改善を含んだ中教審答申というものがなされたわけでございます。この中教審答申の中にも触れておるわけでありますけれども、そのたまを受けたのは文部省でありまするから、文部省自体組織の中に、この中教審答申をそしゃくし、政策として新たに組み直し、立て直し、そうしてこれを外へ出すという、文部省自体組織体制整備が必要だというふうに考えますが、何かこれについて文部省において格別この文部省自体組織体制整備についてお考えがあるのか、あるいはすでに手をつけられておることがあるのか、その辺がございましたら御報告をいただきたいと存じます。
  20. 高見三郎

    高見国務大臣 御指摘のとおり、今回のように長期にわたりまして、幼児教育から高等教育に至る学校教育全般改革整備を進めてまいりますためには、全省をあげてこれに取り組む文部省自体組織体制整備しなければならないと考えます。まずは関係部局のほうの改革を、全省的な立場に立ちまして総合的に調整しつつこれを計画的に推進してまいることが何よりも大切であると存ずるのであります。  この観点に立ちまして、先ほど文部省内に教育改革推進本部を発足さしたのでありますが、今後はこれを中心といたしまして中教審答申実施の手順を考えてまいりたいと存じております。
  21. 谷川和穗

    谷川委員 いま大臣がいみじくも全省的というおことばをお使いになられましたが、全省的というのは文部省あげてというふうに私お伺いいたしました。  私は、先ほど最初に申し上げさしていただきましたように、第三の教育改革とかいろいろいわれておりますが、この教育改革自体は、いずれの国においてもそうだと思いますが、わが国におきましても、もちろんこれはやはり国民的な大きな合意の上に成り立ってこそ初めて完成し得るたいへんな大事業だと思っております。  その意味から言いますると、政府の中では、文部省だけの仕事ではないということはもちろんだと思っております。それから政党の中では、文教を担当する一部局といいますか、政務調査会の中の一つの部門だけでやるべきものではない。やはり政府としては、政府あげて全体が取り組むべき問題であろうと存じまするし、さらには、政党の中では政党全部で、もっと端的にいえば、政党をこえたような国民的な大きな力というものが生まれてくることが期待されなければいかぬだろうと思っております。その意味では、今後各種の、たとえば閣議の中だとかあるいは来年度予算編成の中だとか、その他いろいろなところで、高見文部大臣、私は、高見文部大臣は言うならば剛球投手でいらっしゃる、こう思っているわけでありまして、相手のどまん中へたたき込むようなストレートな剛球を、ひとつ次から次へと投げていただきたいと思っておるわけでございます。しかし、それにつきましても、くどいようでございまするが、国民的な合意を取りつけていく、常に、文部省が何を考え、何をしようとしているかということを、言うならば広報、広く知らせる、多くの方々に知っていただく、こういうことがたいへん大事なことだと思います。  私はそこで、いま文部大臣が、文部省の中に、全省をあげて、全省的に教育改革に取り組む推進本部をつくったと、こういうことを言っておられますので、重ねてお伺いいたしますが、この教育改革推進のための広聴及び広報——非常にむずかしいことばで、広聴ということばは、広く聴く、それから広報、こういう二つことばを使っておられるようでありますけれども、これについてもどのような基本的な姿勢で、この広聴、広報国民合意を取りつけていく努力をなさろうとしておられるのか、この辺のことをお尋ねいたしたいと存じます。
  22. 高見三郎

    高見国務大臣 谷川委員指摘のとおり、これは国民的合意の上に立ってのみ今後この仕事はなし得ることであると考えておりまするし、一文部大臣の手によってできることではない、佐藤内閣の手によってもできることではない、国民各層の御支持、御理解がなければとてもこの仕事はできないと存じておるのであります。したがって、内閣全体の問題として取り組むことはもちろんでありまするが、相願わくは政党政派を越えて、ひとつ皆さん方御一致の御協力のもとにこの仕事を進めてまいりたいと考えております。  そこで、推進本部における一番大きな問題は、教育改革推進のための広報活動、これはどこでもいわれていることでございますけれども、それと同時に、実は広く国民各層の御意見を聞く広聴活動というものを二つの柱として、これを主たる任務にいたしたい。それがなければほんとうに実り豊かな教育改革の成就はない、かように考えておりますので、この観点に立って広聴あるいは広報には特段の力を注ぎ、国民合意のもとに教育改革を進めてまいりたい。これは非常に時間のかかる問題でありますけれども、ぜひ皆さん方合意の上に立ってこれを進めてまいりたいということを念願をいたしております。
  23. 谷川和穗

    谷川委員 中教審学校教育学校制度についての諮問を受けてからすでに足かけ五年、その間にわが国も非常な勢いで社会変革を遂げつつ生々発展をしておるわけでございます。もちろんその間に、われわれとしては振り返って考えて見ましても、大学紛争のごとき文教政策立案の上で避けることのできないような大きな事件にも出くわしたわけであります。あの大学改革のときに、多くの若いエネルギーがいろいろな意味で爆発をいたしましたが、あの若いエネルギーが現在の高等教育に対してぶつけた幾つかの質問といいますか、疑問というか、あるいは問題点の提起というか、こういうものはまだ何一つ手がつけられていない時期でもございます。さらに高等教育の問題ばかりでない、小さな子供たちの成長加速現象というような、先進諸国においてでなければ見られないような、低開発地域の国々とまた全然違ったような現象も確かに波となってわが国に押し寄せてきておる。こういうことで教育改革は、いずれにしても手がけなければならない時期に入っておったということは国民すべてが感じておると思います。その中で文部省は、いままで中教審答申待ち、中教審にいろいろ諮問をしている時期だから、中教審答申を待ってから改革に手を染めたい、こう言ってきたわけであります。しかし、いよいよ中数審の答申も出た、それを最初に受けとめられた大臣高見大臣でいらっしゃる。当然われわれとしましては、もうすぐ八月の予算の最も基本的な編成期に入ってくる。当然大臣は、この中教審から投げられたボールを受けとめられて、文部省を全省的に指導されて、現在精力的に来年度予算編成の骨子について取り組んでおられることだと思います。この時期にあたって、来年度の予算編成にあたって基本的な姿勢、基本方針について、現在大臣のお感じになっておられるままをここでお伝えいただいてけっこうなんでございますが、これについてさしあたり一体どんなものから取り組んでいこうとなすっておられるのか、その辺を御答弁いただきたいと存じます。
  24. 高見三郎

    高見国務大臣 答申に示されました課題は、いずれも長期的な展望に立って真剣に取り組み、逐次その解決をはからなければならない事柄でありますが、まずは人間形成の基本をつちかうものという立場からきわめて大切であり、また国民がひとしく望んでおります幼児教育充実、なかんずく幼稚園拡充整備をまず取り上げていきたいと存じております。これがために目下幼稚園拡充整備について計画の樹立を急いでおるところであります。また、特殊教育につきましても、養護学校拡充特殊学級増設等施策を一そう推進し、心身の障害を持つ子供たちにあたたかい教育機会を与えられるよう力を注いでまいりたいと考えております。それと同時に、いままでずっとやってまいりました私学の振興、過密過疎対策等、すでに着手されております施策につきましては、これをさらにさらに前進させていかなければならぬ、こういう考えでこの予算編成に取り組みたい、かように考えております。
  25. 谷川和穗

    谷川委員 中教審答申そのものが学校制度学校教育についての諮問であって、それに対する答申であったということでございますので、私がいまから申し上げることは、何か聞き方によっては中教審批判というようなことにもなりかねないのでありますが、そういう意味でなくて、率直に私は感じるのであります。今度の中教審答申が、教育改革がすべてであるといいますか、そういうふうには私ども感じておらないわけでございます。特に政党の側からいえば、中教審の今回の答申の中に幾つかまだカバーしなければならない問題点をカバーしておらぬのじゃなかろうかと思われる点があります。たとえば私どもは、いま社会的な問題になっておる医学教育の問題なんかについても、やはりこれは中教審がこの時点でもっと具体的に何かものを言ってよかったのではなかろうかということを卒直に感じております。もちろんこの問題については、中教審の中でも、これは格別に大きな問題を含んでおるので、別途考えるというように分けて考えておられるようでありますが、しかし私どもはそう思っておりますし、それから日本の教育の中に占める私学の位置づけについても、もっといまの時代をつかまえて将来に対する施策を打ち出していただいてよかったのじゃなかろうかと思います。さらには、先ほどちょっと議論に出ました生涯教育の問題についても、いまやもう学校だけの教育にまかせては教育が目的を達する時代はある意味では去りつつあるような社会であるというように私どもは基本的には判断をいたしております。しかし、来年度予算編成でもってあれもこれもというわけにはとてもいかないことだと思いますし、中教審答申が出て文部省の中に推進本部ができて、まずこれから取りかかるという時期でございますので、特に最初の一年は大事だと思います。大臣の強力な省内指導力を大いに期待をいたします。  それから、この際にこれは私見を申し上げて全く恐縮でございますが、思い切って来年度予算で——どうせ来年度予算には国内景気を刺激し、さらにはドルを減らさなければならない、国債発行まで考える、こういう時期だというふうにわれわれ伝え聞いておるわけでございます。大蔵省あたりから出てくる予算何%ワク伸ばし、前年度比一五%伸ばしというようなことだけでなくて、この際国民的合意を取りつけて大きな教育改革に取り組もうというような時期でございますので、人に対する経費、消費的な経費についてはどうか存じませんが、もっと物として残る資本的な経費、学校教育施設あるいは社会教育施設、とにかく資本的経費については、この際思い切って、国債を発行するような事態であればその中から前取りして文部省でワクを取りつけるというようなお考え、御発想で、ひとつ大いに、来年度予算については大臣剛球投手としての御指導力を期待申し上げたいと思っておるわけでございます。  それについて一、二点、将来の問題でございますが、感ずることは、これはよけいなことかもしれませんけれども文部省内部の体制の問題でございます。先ほどから推進本部はできた、こういうお話をお伺いいたしておりますが、しかしいろいろ文部省仕事を調べてみると、大学局は大学局で、学術振興仕事国立大学運営、管理、経営という大きな仕事を一緒にかかえて持っておる。初中局は初中局で、地方のやっておる仕事も一緒になって、初中局が中心になってやっていかなければならぬ問題をかかえておる。管理局は管理局で、建物の管理だとか新しくつくる仕事、さらには私立学校に対する仕事文部省という役所は、それぞれの部面において仕事の非常に多い役所のような感じがいたします。したがって、とかく日々の仕事に手一ぱいになるようなことがあるのではなかろうか。もし教育改革ということで、これが明治の初期あるいは戦後、そして今回、第三の教育改革といわれるぐらい大きな問題であるならば、できる限り文部省の中でそういう仕事を担当する者の仕事をほかの分野へなるたけ分けて持っていけるような体制を、ぜひひとつつくり上げていくべきじゃなかろうかということを感ずるわけでございます。  もう一つは、文部省に奉職されておられる方々は、皆さんそれぞれ非常に努力して仕事をしておられるように感じますが、これまた仕事の量が多いせいかもしれませんけれども、たとえば広く海外を見てくるとか、あるいは時代の非常に新しい移り変わりに敏感に反応するとか、あるいは国力の将来の伸長について常に新しいものの見方をするとか、あるいは、さらには国内の多くの教育に対して関心を持っている各界各層の人々と接触するとか、そういう時間が比較的文部省というところは少ないのではなかろうかという感じすらいたしておるわけでございまして、第三の教育改革と呼ばれるこの時期においては、やはり文部省自体、できるだけ外の他方面と積極的に接触されて、そして国民が何を望んでおるか、国家の行くえがどうなろうとしておるか、世界全体がどういうようなところへ進みつつあるか、ということを常に的確に把握し、それに反応を示していただきたい、こういう感じがいたしております。  それでは、同僚議員の質問もございますので、最後に具体的な問題として、高等教育改革のいわば最初の第一弾として出てくるのだろうと思いますけれども、新構想大学の創設について、大医の所信表明でも触れておるところでございますが、筑波新大学及び放送大学、これは両者ともに全く違った性格をそれぞれに持っておると思うのでありますけれども、現在どの程度まで検討が進められておるか、これを最後にお尋ねいたします。
  26. 高見三郎

    高見国務大臣 前段の谷川委員の御発言は、実は私も切実に感じておるところであります。ことに医学教育充実の問題につきましては、何としてもし遂げなければならない問題だと思います。御承知のようにただいま総定員法のワク内でこれを処置するということはなかなか容易な問題じゃございません。あるいは場合によれば特別立法等の措置も講じなければならないかもしれない。しかし、何にしてもこれは大切なことである。同時にまた、文部省内の機構の問題につきましても、これは大臣ができますととかく機構いじりをやりたがるといわれがちでありますけれども、この問題はやはり真剣に取り組んでいかなければならない問題じゃないか。いままでの行き方ではたしていいのだろうか、私もまだいま成案を持っているわけではございません。これは谷川委員の御所見と基本的には全く一致いたしておるということを申し上げておきたいと思うのであります。  御質問のありました筑波新大学につきましては、七月十六日に筑波大学創設準備調査会からこのあり方について報告をいただいたところであります。この報告は、東京教育大学の移転を契機といたしまして、これまでの制度にとらわれない、新しい構想に基づく大学の創設を目ざし、その研究教育体制、管理運営体制教員確保の方策、施設環境計画等について適切な提案がなされておるところであります。今後これに沿いまして諸般の準備を進め、その実現を期してまいりたいと存じております。  放送大学につきましては、近くラジオによる実験放送を開始する予定でございますが、今後テレビ利用による実験を含めていきたいと思います。これはよほどその準備に万全を期さないと無意味な結果になるおそれもあります。この準備については、今後十分な検討を加えまして万全を期したい、かように考えておるわけでございます。
  27. 丹羽兵助

  28. 山中吾郎

    山中(吾)委員 新大臣の高い御識見を含んだごあいさつをお受けいたしまして、その識見が現実の文教行政推進の中に具体的にあらわれることを心から期待をいたしたいと思います。   〔委員長退席、河野(洋)委員長代理着席〕 そのあいさつの中で、その一枚目の裏のほうに「私は、今後学校教育行政についてはこの答申趣旨実現に重点をおく所存であります」と、このいわゆる中教審答申実現に重点を置かれるということが就任のごあいさつの中の柱になっておるように思います。そこで、私もこの大事業が正しく推進できるように、批判もし協力もいたしたいと思うのです。そこで、各論的なものでなくて、いま理事会におきましても、閉会中に中教審問題を中心として審議することを私要望したのでもありますし、まず基本的な考えを、間違いなく進んでいけるために、大臣にお聞きしておきたい。  この文部広報の中にも「第三の教育改革」という大きな見出しのもとに、一つの自負を持ってこの教育改革というものを出しておられるようでありますが、この教育改革の方向は、大臣がしっかりと確信を持って、国民に訴え、または国民合意を求める方向についての明確なるものをお持ちにならなければいけないと私は思う。方向を一つ間違えばそれは改悪になる危険もあるのでありますから、その改革の方向というものを端的に大臣からのお答えを願っておきたい。
  29. 高見三郎

    高見国務大臣 これは非常にむずかしい問題であります。中教審答申を全部読みこなすだけでも、おそらく山中委員も非常にお骨折りだろうと思いますけれども学校教育の体系というものは少なくとも中教審のあれで示されておる。ただこの問題は、時代要請というものを踏まえなければならぬと思っておるのであります。御承知のように、非常に変革の激しい時期でありますので、よほど長期的展望に立っての判断をしなければならぬのじゃないだろうか、こういう意味でこの問題と取り組んでまいるわけであります。さらには、学校教育のみならず、教育全般につきまして、改革ということばが必ずしも当たっておるかどうかわかりませんけれども、前進をしなければならぬ。御承知のように、日本の教育改革の歴史を見ますと、それぞれの社会的な背景があって教育改革というものは実現をしたのであります。今度は平常時における改革であります。その意味において一番大切な問題は、やはり国民合意であろう。国民が何を望んでおるかということをまず的確に把握することが一番大事な問題ではないか、かように考えておるのであります。その上に立って、私は謙虚にその御意見を伺って、その上に立って改革を進めていきたい、こういう考え方で臨んでおるわけでございます。
  30. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私も一通り読みましたけれども、方向が明確に受け取れないのです。大臣も、いまその方向については非常にむずかしいと言ってお答えになっておりませんが、これは方向が一番大事でありますから、次の機会までにもう少し具体的に大臣の——そこに人生観も入ると思いますが、それから、この答申の解釈も人によって違うと思いますけれども、それをひとつしっかりと大臣が読んで、われわれが審議する重要な参考として、大臣のこの改革の方向をここで大胆率直に示しておいていただきたい。いまは求めません。この次の機会に……。そうでないと、東京に行くつもりで青森行の汽車に乗ったりしてしまえば、これは改革も何もない。中身に部分的にいいものがあっても、全体としては国家百年の大計のために禍根を残すのですから、お願いしておきたい。  そこで、この第三の改革という大目標というか看板を掲げられたので、私は静かに考えてみたのであります。そこで大臣にこの一つ一つについてお聞きしておきたい。私は、教育改革といった場合は、第一は教育機会国民に拡大されておることが一つ改革としていえるんだと思うのです。第一は教育機会の拡大。第二には教育水準の引き上げ。これも改革だと思うのです。それから第三は、これは今度は政党によってだいぶ違うかもしれませんが、教育行政の民主化、これも改革の柱だと思うのです。第四に、期待される人間像とかいうことばをいわれておるように、人間形成にもし現実にひずみがあれば直すとか、人間性開発という意味において全面的に発動する方向にその中身が出ておるかどうか。考えてみると、四つの柱が完全に充実されておればこれは百点満点の改革だ。しかし、この中にどれが改革だというものが入っていなければ、明示されていなければ、改革でも何でもないんだ。あるいはうしろ向きになっているかもしれぬ。そして、この中教審答申を自分の読み方をきめて読んでみましたが、不明確なんですね。どこを見ても不明確である。  そこで私は——三十分ぐらいでやめますが、要点だけを質問しているんですけれども、第一の教育機会が拡大されておるかどうか。これを見たときに、明示されていないんですね。この第三の教育改革の説明に、第一は明治初年の改革、第二は戦後の改革といわれている。あのときの改革というのは教育機会の拡大ということが柱になっておるはずであります。明治初年の学制頒布も、初めて義務教育をしたのです。四年制の義務教育を全国民に開放したというところに改革の柱があった。戦後敗戦のあと六年の義務教育を九年にしたというところに六・三制の改革の一番の柱があったわけである。それなら、第三の改革といわれるなら、九年を高等学校まで十二年にするとか十年にするとか、教育機会を拡大するという目標、到達点の明示がなければ、六・三制をいじくるだけじゃないかという批判が出るのだ。義務教育を三年延長しなければ、六・三制のままでは不合理なことは明確である。ところが、第三の教育改革には第一の柱の教育機会拡大がどこにもない。到達点がないのだ。それではいじくったことになり、批判が出ることになると思うのであります。その意味において、これは答申なんです。答申であって、われわれはどう国民のものにするかということを考えるときには、その点も機会を拡大するという方向でもっと国会において論議をし、国民の意見も聞いていくべきであり、それがなければ私は改革でないと思うのです。この点どうも不明確なんです。その点の第一点について大臣の心がまえをお聞きしておきたい。
  31. 高見三郎

    高見国務大臣 御意見のとおりであります。教育機会均等という問題は、これはもういつの時代にも要請される……。
  32. 山中吾郎

    山中(吾)委員 機会の拡大です。
  33. 高見三郎

    高見国務大臣 機会の拡大という問題は、いつの時代にも要請されることでありまするし、ことに人間形成の面にかつて経験したことのない新しい課題が数多く投げかけられておる際であります。教育はこれまでの延長であってはならないという認識に立って答申はなされておる、私はかように考えております。したがって、今回の改革の基本的なねらいは、教育がそのような課題に真剣に取り組み、国民一人一人がその生涯にわたって自己の可能性を最大限に発揮できるよう教育の全体系を整備すること、また量の拡大に応じまして質の改革をやらなければならぬ、かように考えておるのであります。これは現在の制度が悪いんだときめつけてかかるわけにはまいりません。六・三制の制度は、それはそれなりに戦後の教育役割りをりっぱに果たしてきたと考えておるのでありますが、質的改善、すなわち教育内容や方法の刷新をはかることが何より大切な問題じゃないか、かように考えておるわけでございます。一挙に改革をするという性質のものではなかろうと思う。いろいろなものを研究開発し、その積み重ねの上に立って、段階的によりすぐれたものを実現しようとするものであり、今日の時代に適合したあり方ではないか、かように考えております。  また、今回の改革は、平常時において行なわれるものであるという点、これは中教審は第三の教育改革と申しておりますが、これは私見でございますけれども、実は明治十八年から二十二、三年ごろ、やっぱり平常時におきまして、憲法制定までの期間においての教育改革は確かにあったと思うのであります。それも権力政治下における教育改革であった。民主政治下における教育改革とは性質が非常に違う。あくまでも国民の皆さんの合意、与野党ともにひとつ御理解、御協力を願ってこの教育改革を進めていかなければならない、かように考えておるのであります。したがって、今回の教育改革は、第一に平常時において行なわれる改革という点が一つの特異な点であるということは申すまでもないことであります。  それから、明治以来の教育というものは、どこかの国の教育制度に範を求めたという点があるわけでありますが、今回は、もちろん諸外国の制度を十分に検討いたしましたけれども、よその国の教育制度というものに依存することなく、どこまでもみずからその方途を開発しなければならないという考え方であるという点が、明治初年、第二次大戦後の教育改革と大きく違っておるところじゃないだろうか、私はかように考えております。  中教審はこれらの事情をも深く考えて、第三の教育改革という提言をされたのでございますので、御趣旨の点はよく体して十分の配慮をいたすつもりでございます。
  34. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣の答弁は雑然としてわからない。私は、第一には、教育改革と表明するに値するのには、義務教育の拡大、すなわち国民に対する教育機会の拡大という要素がなければ改革ということばは使えないのだ、歴史的にそういうときしか改革ということばは使っていない。明治の改革もそうである。戦後の改革もそうなんです。そこで、戦時中と平時と違うというならば、戦時中のときには、最初に六年を九年にするとして、あとで整備していくというやり方をとった。いまは平時だから、十年の後に九カ年を十年にするとか十一年にすると明示していくのが平時のやり方でしょう。その到達目標がこれにはないのだ。したがって、いじくるだけだといわれておるのだから、少なくとも第三の改革というなら、一年でも科学技術が進歩して、そしてわれわれが文明社会においてさらに多くの情報を収集しなければならぬ、人間性を養うには九年では足らぬのだ、一年でも二年でも多くしなければならぬということの責任のある表明がまずあって、二十年後でもいいから、平時だから十年後でも、先導的試行でここへ持っていくという明示があれば、私は改革に値すると言っている。ないじゃないかと言っている。ないじゃないか。だから問題は、エネルギーをうんと使っても結局六・三制の九カ年義務教育のままで、あとでいろいろ批判が残る。エネルギーを浪費して論議を重ねて、政治不信を残すだけになっては何の意味もないので、私はこの問題は、答申はあったけれども、すでに予測の中に、十年後に高等学校の進学率は九〇%になると言っているじゃないか。それならば、十年後に義務教育化するのだ、日本の義務教育は十二年にするという明示があって第三の改革をなぜ出せないかと言っている。それを御検討願いたい。  その次に、第二に教育水準向上という点については、幼児教育充実だとか、あるいは教員養成を最高の学歴ランクに持っていくとか、そのことは、ここにいろいろあるこの中身については私はここで論議しません。その各論において論議したいと思いますが、その第二の条件だけがここに出ておるのだが、しかも非常に雑然としておる。雑然としておるので、この点についてもなお部分的に発想したものが全体としてアンバランスにならぬように検討すべきものが相当あるではないか。大学の問題、幼稚園の問題、後期中等教育の問題その他の問題の中身のいわゆる教育水準を高める、質の向上という点の第二の点についていま大臣が雑然と答えられた。私はわけがわからなかった。その点を整理して、この問題、この中にあることについてもう少し整理をしてお互いに検討すべきであります。私はイデオロギー的に反対などいたしません。しかし、ほんとうに教育政策として論議をするときには、この幼稚園から大学のいわゆる現状の教育機会の中における質の向上の点について非常に疑問のあるものもあるのだ。その点を率直に検討すべきものがあることを申し上げておきたい。  第三に、教育行政の民主化という点を見てみましたが、どうも戦後民主化という方向にいったところが、朝鮮事変以降だんだんと官僚化してきた、権力支配というものが多くなったというものに対して何か是正があるかというと、その点が一つもないではないか。国民のための国民によるという教育行政教育基本法の十条に基づいた方向に近づいているのでなくて遠ざかっているのではないかという疑問があるのです。たとえば教育委員会制度の公選制の問題も、反対賛成は異論があってもいいと思いますが、その全体の方向として民主化の方向に進んでいるかどうか。学校の重層的な組織化、官庁化、教育機関を官庁化するようなところもある。その点の疑問も非常にあると思うので、整理をしてくださいよ。また戻らないで、第一の義務教育の拡大という点は、先ほど申し上げたように検討してください。第二の教育条件のところは、幼稚園その他わかりました。あとで論議をしたい。第三の教育行政の民主化の方向に何かいいところがありますかどうか、その点についてお答え願いたい。
  35. 高見三郎

    高見国務大臣 教育行政の民主化と一口におっしゃいますが、私は教育行政というものは民主化の方向をたどらなければならぬ。したがって、国民的な合意をとりつけるための広報、広聴活動というものに特に力を注いでまいりたい。その意味において推進本部もつくりますし、場合によれば開発センターというような形、あるいは文部省内の機構改革というようなものも考えなければならぬと思っております。単に文部省が戦前の教育監督機関であるというような意識はいまの文部省にはございません。また、そうあってはならないことなんであります。その意味においては、これから皆さんの御意見も十分拝聴いたしまして、なるべく御趣旨に沿うように文部省あり方というものを検討してまいりたい、かように考えておるところであります。
  36. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その点は、大臣の政治的感覚、方向についてはよくわかりました。その方向で検討したいと思うのです。そうしてその背後に、やはりまたいま問題になった国民教育権、正しく言えば国民教育を受ける権利、あるいは国民の学習権と言ったほうがいいと思いますが、その点についての見解の相違もあるようでありますから、国会の中で大いに率直に論議をして、いま大臣の言った方向の誤りのないようにその推進検討をするということを要望しておきたいと思います。  最後に、人間形成のひずみというものを直す方向にこの改革がいっているのかどうか、科学技術の発達による機械の人間支配とか、ちょっと断片的にいろいろありますが、その点について非常に抽象的であるので、この人間像についてあるいはイデオロギーも入ったりして、人間の全面発達を阻止するような、あるいは人間形成のひずみをむしろ増長するような方向の危険がここにある。あるいは歯どめがないという感じを持っておるのです。第四の改革の柱として、それを読んだときにも一つの疑問がある。  一例だけここで大臣の見解を聞いて次の審議の参考にしておきたいと思うのです。たとえば公害問題がある。こういう公害が発生した問題を前面にして、これからの教育あり方はどうしたらいいかということの一つの大きい反省があって、教育改革というものがそこへ出てこなければならない。そういうものが一つ感じられない。人間のエゴイズムあるいは経済合理主義、利潤追求の合理主義だけで、自然を破壊し、人命を奪っていき、人類の生存の条件、国民の生存の条件までもそこねていくというときに、やはり教育あり方教育人間像を根本的に検討しなければいかぬじゃないか。それが教育改革の動機にならなければいけない。その動機が見当たらないじゃないか。もしそうならば、人命尊重という、それを国民の哲学にするような何か原点があり、あるいは公害問題を人間形成の立場で解決するのには、坂田前文部大臣と私はごく簡単に一間一答したことがあるのだけれども大学を卒業して、公害産業の初任給は倍でも、公害産業には私は就職しませんというような人間をつくる。そこに新しい教育改革としての人間像があるのじゃないか。あるいは大実業家になりたいという青年も、私は公害産業ならばそういう経営者には絶対ならないという青年をつくる、そういうことがこういう改革の中の理念としてうたわれてくるならば、私はこの点における改革一つのものについて評価をいたしたい。そういうものがなくて、抽象的な何も感じないものばかりである。自然を愛するという国民性、これは日本人の国民性だと、坂田前文部大臣は胸を張って、私と同じ意見で、そういう国民性を養っていこうということを私に言ったことがある。しかし、最も自然を愛する日本の国民、世界じゅうで最も自然を破壊しているのは日本人じゃないのか。そうすると、日本の伝統的な文化の中に自然を愛する国民性が何かによってそこなわれている。何だろうか。悩みながらそれを探求することが動機で教育改革が出なければいかぬじゃないか。そうすると、現代利潤を追求する資本の論理である経済合理主義が、学問から、医者から、あらゆるものまで入っていってしまったところに、伝統的な文化の風土が自然を破壊する方向にいっている。そうすると、教育改革のときに、人間像をどうすべきかということが痛烈に出るのではないか。そういうことが少しも出ていないんじゃないかということを感ずるのであって、そういう点も含んで、この中教審答申に対して大胆に批判もし、大胆にやはり建設的な意見も加えていかなければ、このままでは私は改革に値する改革ではないのだ、むしろ方向がどこか間違っているのではないかとさえ思うのであります。その点も大臣、簡明な考えだけでけっこうです。私は時間を延ばす気はありません。
  37. 高見三郎

    高見国務大臣 山中委員の御発言全く同感でございます。これにつきましてはもう真剣に取り組まなければならぬ。私も実はまことに不勉強でありまして、中教審答申、全部が全部詳細に承知しているわけではございません。これから皆さんと一緒にひとつそういう勉強の機会もつくっていっていただきたいものだ、かように考えております。  率直な感じを申し上げますと、確かに文章であらわしますと、自然を愛する人間性、豊かな人間の形成をするのだと申しましても、さて具体的にどうするかということになると、なかなか容易な問題ではないと思う。しかし、やらなければならぬ問題ではあるということは、これは国民の共通した念願である、かように考えます。そこで、ただいま御指摘の問題につきましては、今後十分心して、御意見も率直に伺いたいし、私の考えも率直に申し上げて、お互いにひとつ話し合いの上で何とかいい目標を定めたいものだ。ただいまのところは、実は就任早々で、それ以上のことをお答え申し上げますと勇み足になるおそれが多分にございます。さようにひとつ御了承いただきたいと思います。全く同感であるということだけを申し上げておきます。
  38. 山中吾郎

    山中(吾)委員 最後に質問をして終わりたいと思うのです。  そういうことでありますから、先入主を持たないで、イデオロギー的偏見を持たないで、日教組の諸君の批判も耳を傾けてすなおに聞くべきものがこれはあると思うのです。これは一つの形式的建議で、答申が出たからそれにかじりついていくということは、これは担当の行政官はある程度そういうことはありますが、政治家はそういうことがないようにしていきたいと思うので、大臣にも要望しておきたい。  そこで、具体的に、大臣がきょうあいさつに言われた所信の中に、文部省内に教育改革推進本部を発足させ、これでやっていくと書いておられる。私はこの点についていろいろの疑問点をもっと創造的に発展をさせるためには、文部省内の部長、課長が寄ってこれを検討するということでは、この是正というものはできないであろう。そこで、中教審は任務をもうこれで果たしたと思います。もうほとんど任務完了した。中教審はいつ廃止をされるのか。それが一つ。  それから、この答申中心として再検討も加えて推進をしていこうとするときに、文部省の中というのではなくて、日本の国家百年の大計なのでありますから、文部省内外を前提とした——内閣に置くのか国会に置くのかそれは別としまして、教育の現場、行政、学識経験者、最近いわれる民主的な三者構成も含んで、この答申推進——審議会か協議会か知りませんが、その審議の中で、国民不在と非難されたものを、国民の意見を反映するような、もっと大きな検討を含んだ推進機構を持つべきではないかと私は思うので、この点検討されるように、大臣に質問の形でお聞きしておきたいと思うのであります。
  39. 高見三郎

    高見国務大臣 御質問の第一は、三者構成の問題、何か審議会でもつくったらどうだという御提案でありますが、これも確かに大切なことだと思います。しかし、さしあたりましては文部省内に推進本部を設けまして——まず手順をきめなければならぬ、その手順をきめますために推進本部をつくったわけであります。私がつくったのではございません。これは坂田前文部大臣がつくったわけであります。これはこれでいいと私は思っておりますが、同時に一番大事な問題は、やはり国民的な合意を取りつけるということになると、どうしても各界各層の御意見を率直に聞く機会を数多く持つということを私は考えざるを得ないだろうと思う。その上に立って、中教審も四年間、二百四十回余にわたる慎重な審議をされたこの答申それ自体には私は非常な敬意を表しておるのであります。ただ、これをそのままうのみにして、改革の方向はこれだけだというような考え方を持とうとは思っておりません。しかし、基本的には、中教審答申というものがいかに努力が払われたものであるかということだけは十分評価しなければならぬ、かように考えております。  それから中教審を、もうこれで任務が終わったのじゃないか、解散したらどうだという御意見のようでありますが、これは文部省設置法の二十六条に基づいて設置されまして、「文部大臣諮問に応じて教育学術又は文化に関する基本的な重要施策について調査審議し、及びこれらの事項に関して文部大臣に建議する。」ことを任務としておるのでありまして、昭和二十七年に発足したのであります。今回の答申をはじめ二十二の答申を今日までいただいております。今回答申を得たからこれで任務が終わったという性質のものではないと考えております。いますぐこれを廃止するというような考えは持っておりません。現在中教審委員が二十二人おりますが、七月三日をもって任期満了の方もあります。それらの補充等の際において新しいことを考えていくということで、中教審中教審としての大きなこれからの使命を果たしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  40. 山中吾郎

    山中(吾)委員 中教審設置法に基づいたものであるから、これはやはりそのまま存続ということは大体わかりました。それはそれとして、またいろいろの諮問にこたえる機関でしょうから、機構の改革は別として、設置法律に基づくものでしょうから、よくわかりましたが、この答申はすでにこの限りにおいてはそこから離れたのであって、われわれ国会の手に移り、国民の手に移っていくわけですから、たとえば湯川博士を会長にするくらいの雄大な、一つ国民全体の参加と選択ができて、そうして結論が出るような、新しい答申をいかに創造的に発展さすかという再検討も含んでやる機構というものがぜひ必要では、ないか。そうでなければ、いまの批判を見ておりますと、これは日の目を見ないのではないかとさえ私は思うのであります。ことに義務教育の拡大というようなことが改革の目標としてこの答申には出されていないのです。やはりそれがあって初めて六・三制の検討意味があるのであって、そういうものを含んで検討するということになる新しい国民的機構が要るんだというので、大臣検討を、これは一定の試行期間も要るでしょうが、新聞を見ますと、高見大臣中教審答申推進大臣だという名前もついておりますから、これは文部大臣最大の責任だと思うので、中身を検討し、しかも修正すべきものはするというぐらいの大胆な立場においていかなければならぬとすれば新しい機構も検討すべきではないか。きょうは答申の中身じゃなくて入り口で論議をしたのであって、方向に誤りないようにと思いまして、そして今後大臣がさらに答申について吟味をされて、自信のある識見を出していただくことを要望するために質問を申し上げたわけですから、今後の御検討を願いたいと思います。  終わります。
  41. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 山田太郎君。
  42. 山田太郎

    山田(太)委員 まず、私といたしましては、足かけではありますが五年ぶりに文教委員にカムバックいたしまして、非常になじみ深い、なつかしい気持ちでおります。幸いなことに、農林水産でともに励まし合った先輩の高見大臣を迎えたことは非常にうれしい気持ちであります。まず祝辞を申し上げておきたいと思います。また同時に、委員長に同じ農林水産の最古参ともいわれる丹羽先生を迎えて、これもともに御同慶の至りだと存じております。  そこで、先ほどから先輩の山中委員から、中教審答申等の問題を通して骨子ともいうべき質問も数々ありましたので、私なりに、多少重複の点も承知していただいて、同時に大臣と同じく——大臣は先ほど就任早々であるからというおことばもありましたが、その点においては同じ立場といたしまして、やはり初歩的な問題もあると思います。しかし、この点だけは聞いておきたいという大きな問題もありますから、その点数点をお伺いして、あと同僚委員の関連質問を含めて具体的な問題、副教材の点、それから時間があれば教員の過不足の問題についてお伺いしてみたいと思います。  そこで、先ほど山中委員もお話しになりましたが、確かにマスコミ等で、高見大臣中教審答申推進大臣であるというふうに非常に期待をされておるようですし、ある意味においては、これからのやりがいのある文部大臣としての戦いといいますか、実行力のある大臣として、誠実味のある大臣として非常に大きな責任を背負われていると思います。  そこで、まず文部大臣にお伺いしたいことは、この中教審答申と全く同意見であるやに聞いておりましたけれども、先ほどの所信表明といいますか就任あいさつの中で、このように言われております。「私は、今後学校教育行政についてはこの答申趣旨実現に重点を置く所存であります」、それからその次の段では「中央教育審議会答申趣旨実現するため」、「趣旨」と「重点」とこうあるわけでございます。また、先ほどの御答弁の中にも、このたびの中教審答申教育改革のすべてであるとは思っていない、また同時に、四年の努力には敬意を表するが、しかしその点においてはというふうな、何かチェックポイントがあるようなそういうふうにも受け取れたわけでございます。  そこで、大臣といたしましてこの中教審答申と同意見であるかという点ですね。まだ就任早々で勉強不足だというおことばはありましたが、しかし、その点については一番大事な問題でございますから、同意見であるのか、あるいはもしこの点とこの点についてはもっと検討を要するものがあるというふうにお考えになるならば、その点をまず示していただきたいと思います。
  43. 高見三郎

    高見国務大臣 山田委員とは農林委員会で御一緒であり、丹羽委員長文部大臣の私もどっちかといえばどろくさい委員長大臣ということになったわけであります。非常にお親しくしていただいているわけでございます。  いまの御質問の中教審答申を、どこが悪くてどこがいいんだというようなことを申し上げる私は段階じゃないだろう。ただ中教審答申は、御承知のように非常に抽象的な表現が多いのであります。これは山中委員にお答えいたしましたように、これからひとつ皆さんと御一緒に、これを具体化していくにはどうすればいいかとかいう問題を真剣に考えていかなければならぬだろうというのが私のいまの率直な考え方なんでありまして、中教審が四年にわたります非常な御努力の結晶でありますから、これはこれとして十分尊重をいたさなければなりません。  ただ、この進め方につきまして、これは皆さんの御意見も十分拝聴いたす機会を得たいと思います。私の考えもまた、委員会等の席が必ずしもいいか悪いかは別といたしまして、大いに討議討論をする機会を得たいものだと考えておるわけであります。いますぐこの点をこうしなければならぬなどというには中教審答申というものがあまりにも——あまりにもということばは非常に言い過ぎでありますけれども、やや抽象的過ぎる、具体的なものが比較的少ないという点については、これから、私どもこの答申をいただいたのでありますから、今度は国会の場におきまして、主権者である国民の負託を受けておるお互いとして、ひとつ十分に御相談も申し上げ、合意の上に立ってこの仕事を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  44. 山田太郎

    山田(太)委員 そういたしますと、これからよく検討していくというお答えが主だったように思います。そこで私といたしましては、この点少し具体的なことに立ち入って恐縮ではございますけれども、前文部大臣の坂田さんが「中央教育審議会答申を受けて」という表題で、一応大まかな点であるけれども、年次別に分けて大臣としての意見を表明なすっておることは御承知のとおりです。そこでは、一例を申し上げますと、先導的試行について、これは昭和四十九年度から実施するという目的のもとに諸準備昭和四十八年度中に完了したいとか、あるいは幼稚園教育普及充実については、昭和四十七年度から十年計画で、しかも五年以内には五歳児は全部就園できるようにしたい、あるいは先ほど就任のごあいさつの中にありました、ことに重点を置きました幼児教育の問題と同時に、特殊教育拡充整備、これについても四十七年から十年計画を立てるとか、そのほか二、三あります。全部列挙する必要もないと思いますので、そういうふうな点についてこれから検討するのだとおっしゃればそれまででございますけれども、やはり一番大事な一つの骨子ともいうべき問題じゃないかと思いますので、その点についての大臣としての御所見もやはり承っておく必要があると思いますので、お伺いしておきたいと思います。
  45. 高見三郎

    高見国務大臣 坂田文部大臣中教審答申を受けられましたときの談話、この談話は私もそのまま受けとめております。それはそういう手順でいかなければなるまい。やり方につきましては、これからの皆さんとのお話し合いの上で、いろいろ方法があると思いますけれども、手順は大体これでいくより方法はないだろう、かように考えております。そういう意味におきまして、手順につきましては大体この方向でこういう年次計画で進んでいくという方向で文部省としてはおるわけでありますが、ただそのやり方についていろいろな御意見はあるだろうと思います。ぜひ十分お聞かせをいただきたい、かように考えるわけであります。
  46. 山田太郎

    山田(太)委員 坂田前文部大臣のおっしゃったいわゆる中教審答申を受けての年次計画、手順、それはそのままやっていきたい、ただそれを実施する場合の具体的な問題については考えていきたいと思うというお答えだったと思います。  そこで、次にもう一歩進めて、先ほど山中議員からもお話があったことでございますけれども、この点はことに大切な問題でございますから、四ページの最初のほうでこのようにおっしゃっています。「高等教育につきましては、現在の大学あり方について提起されているさまざまな問題の解決をはかるとともに、さらに大学を新しい時代に即応したものとするため、高等教育改革と計画的な整備充実を」——大事な点はその次です、お聞きしたいところの本題は。「国民的合意のもとに、一歩一歩進めてまいる所存であります。」こうおっしゃっておるわけです。これは変な言い方かもしれません。といって決して底意地悪い質問で言う意味じゃありませんが、この、高等教育については国民的合意のもとに、このように先ほどの就任のごあいさつでおっしゃった。いろいろほかの問題は国民的合意のもとにということがうたわれてないといいますか、特別強調されてないのではないかというふうな感じを受けるのは私のひがみかもしれませんが、その点についてどういうふうなお考えなのか、大事な問題なので聞いておきたいと思います。
  47. 高見三郎

    高見国務大臣 これは表現があるいは悪かったのかもしれません。私は、教育制度の改革全体を含めまして国民的合意というものがきわめて大切であるということを強調いたしたいのであります。ことに高等教育の問題につきましては、それぞれの大学はそれぞれに非常に苦労しておられます。東京大学改革試案等を見ましても、非常な御苦労をしておられると思います。それはそれで尊重しなければならぬ。ただ、できるだけこれは国民全体の納得のいく形において、大学は自治区じゃないか、大きなお世話であるというようなことでないような意味においての国民的合意というものを取りつけていきたいということを言っておるのであります。また、私ども高等教育制度を改革いたします場合におきましても、政府・与党がこう考えるからこれが一番いいんだというようなものの考え方はいたしたくない、謙虚な気持ちで国民の皆さんの御意見を伺いたいものである。しかもそれはできるだけ長期的展望に立っての改革であります。そう急いできょうあすというようなことでなしに、坂田文部大臣が言われましたように、年次的計画を立てて、その計画に基づいて事柄を進めてまいる、かように考えておるわけであります。
  48. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、そうすると、何も国民的合意のもとにというのは高等教育改革の問題だけじゃない。これは全般の問題だ。ことに中教審答申については全般的な問題だ、こう理解してよろしいのですか。そうしますと、これはこれまでの質問の中にもあったかもしれませんが、年次計画は前大臣のときの年次計画を踏襲する、これはわかります。そこで、先ほどの長期展望、大臣の言われた長期展望というものは大体何年くらいを目安に置かれた長期展望ですか。
  49. 高見三郎

    高見国務大臣 これはいろいろな見方があることだと思いますけれども、私ただいま考えておりますのは、大体今後十年ということを目標にしております。しかし、事柄によりましては十年では解決のしない問題もあるわけでありますから、一応の目標を今後十年というところに置いておるつもりでございます。
  50. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、先ほどの国民的合意のもとにという問題についてでございますが、これは多少ニュアンスは変わってくるかもしれませんが、中教審答申を受けてそれを実施する上においては、いろいろな法改正もしていかなければならないのは当然だと思います。そこで、非常に残念なことでありますが、これまで大学立法とかあるいはごあいさつの中にあります教特法の問題、これについて世間でいういわゆる強行採決というものがあったわけであります。こういう点について、国民的合意のもとにという点はあとからもう一ぺんお伺いするとして、その点についてはどのようなお考え——これはやはり国民的合意のもとにというふうな問題にもならぬと思いますので、皮肉な言い方じゃないのですよ。その点について大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。
  51. 高見三郎

    高見国務大臣 大学法の成立当時、私は文教の筆頭理事をいたしておりまして、まことに申しわけない審議の結果になりましたことを遺憾に思っております。教特法の場合も同じことがいえるわけであります。できることならばああいう醜態を国民の前にさらしたくない。ことに教育という問題に関しては、少なくとも超党派的にお互いが相談し合って、できるだけ最良の道をお互いに謙虚に探求するという姿勢でもってまいりたい、かように考えておる次第でございます。ただ国会運営が、私の権限じゃございませんけれども、まことに遺憾なことが続きましたことは、私も同僚議員の各位にまことに相すまぬことだと思っております。私自身としては、できるだけ各界各層の御意見、また各党の御意見もすなおに受けとめていきたいものだ、かように考えておるわけであります。
  52. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、もう一点お伺いしておいて同僚の関連質問に移って、そのあと具体的な問題を一、二点お伺いしたいと思います。  この段においての最後の問題は、先ほど「できることならば」ということば一つありました。強行採決等は「できることならば」ということばがちょっと気にかかりますが、それはまずおいて、「国民的合意」というものはどのようにして——「国民的合意のもとに」進めていきたい、この「国民的合意のもとに」という点は非常に抽象的なことばでありますが、非常に重要なことばであります。ことにこのような重大な、教育改革ということばが妥当かは別といたしまして、やはり全国民のコンセンサスの中に立った実践がなければ、国民協力がなければ、あるいは教職員協力がなければなまじ実現するものじゃないと思います。  そこで、具体的に申し上げれば、これは私見ではございますが、テレビ等を通して文部省教職員あるいは一般の方々等が論じ合う機会をどんどん設けていったり、あるいは教育の大きな変化について国民合意を得るために、全国的なキャンペ−ンを各市町村に至るまで繰り広げていくようなことも必要だと思いますし、また同時に、この「先導的試行」にいたしましても、やはりいろいろ実験的な問題も要るでしょう。科学的な分析も要るでしょう。ただ、その結果を評価する場合に、三者の評価だけではなしに、それに至るまでの道中というものも、ただ単に教育改革推進本部のみにおいて云々するのでなく、ここでもやはり文部省教職員あるいは一般の学識経験者等も含めたそういう推進のやり方というものもいわれるわけですが、こういう問題の具体的な御構想というものはこれから検討する段階であって、いま考えてないとおっしゃるのか、あるいはこの点まではいま考えておるんだということがあれば答えておいていただきたいと思います。
  53. 高見三郎

    高見国務大臣 ただいまのところは推進本部というもので検討をさしております。これは行政機構の中における総合調整、こういう意味であるのであります。いま御提言になりましたような国民に対するPR、これは私が広報ということばのほかに広聴ということばを特に使いましたのは、広く聞くという意味を持っておるのでありまして、広く国民皆さん方の御意見を伺う機会をつくりたいものだ。幾つかの例をおあげになりましたが、なるべくきめこまかにそういうことをやってみたい、精力的にそういうことをやってみたいと考えておるのでありますが、何さま正直に申し上げますと実は就任早々で、何のことだかわけわからずにその日その日を送っておるというような状態でありまして、具体的にその日取りをどうこうするというところまで申し上げる段階に至っておりませんことはまことに申しわけございませんけれども、御了承いただきたいと思います。
  54. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 関連質問を許します。有島重武君。
  55. 有島重武

    有島委員 大臣の御就任お祝いします。  いまの山田委員の質問に関連いたしまして、中教審から答申が出た、答申は出たけれどもこの答申の範囲内でさらに検討をすべきなのかどうかというのが問題じゃないかと思うのです。ですから中教審にさらにこの答申についての事後処理の問題がまだ残っておるのか、あるいはもう答申したのだから中教審に関しては全く事後処理がなくて、これは文部大臣のもとに戻っておる、こういうことにぴしっとなっておるようなんだけれども、その点ちょっと歯切れが悪いところがあるのです。そういたしますと、文部大臣の手に渡されたのだからあとは実現あるのみという前提の上に、それを具体化する上で御相談をしていきたい、そういうようなニュアンスに私には聞えてくるわけなんです。先ほどから、山中先生にしても山田先生にしても、心配しているのはまさにその辺じゃないかと思うのです。この答申そのものに対してまだ国民が十分に知ってもいない。それから大臣もまだこれから勉強なさるそうでございますが、そういうものを実施の段階にすぐ突入しながら考えていくというこの点を私はたいへん心配しているわけです。それでいまのような質問があったと思うのでございます。  ですからここではっきりと大臣から伺っておきたいのは、中教審答申そのものを一つのたたき台として、ここに国民合意を求めるという作業をやろうと思っておるのか、これを確認しておきたいのです。そうではなしに、なしくずしみたいに、これをもらったのだからこういう形で出す、具体的に執行段階において意見を求めるというようなことでなしに、一つのプラン段階で、これをみんなでたたき台としてもう一ぺん国民的な合意を求めていく。その二つあると思うのですけれども、私たちが望むのは、プランの段階でもう一ぺん——これは国民がこなしていないであろうということは大臣も大体お察しになると思うのです。私どもも正直、全文克明に検討し切れないでいるというのが実情でございますから、そうだと思うのです。  もう一点、教育改革ということが何べんか行なわれた。今度は三べん目だというふうにいわれておりますけれども、いままでの教育改革が一行政機関である文部省だけで行なわれたためしはほとんどないのじゃないかと思うのです。このたびの場合には、中央教育審議会文部大臣諮問機関であって、それよりもう一つ幅を広げた審議をどうしてもしなければならないのじゃないか。そういうことを私ども期待しておるわけなんです。ここで教育改革推進本部文部省内につくるということ、これは全く別な話でございまして、これは実施段階の話であろうかと思うのです。このことは混乱してはならないことではないか、そのように思うわけでございます。  それからもう一つ、これはちょっと大きな問題になるかと思いますけれども、こういった教育改革ということについて、今度は国家行政教育改革に果たし得る役割りはどういうものか。いま全面的に文部省がやるような、あるいは全面的に国家行政だけでやってしまうような、そういうようなニュアンスがこの中には十分入っておりますし、いまの大臣のお話を聞いていても、それが非常に判然としないわけです。ですから、教育内容改革ということが教育改革であろうと思いますけれども、さらにさかのぼっていえば、いま国民生活ということに関して、国民生活に果たし得る国家行政役割りというようなことがそのまま縮小してこの教育の問題に集まってくるのじゃないかと思います。非常に基本的な問題でございますけれども、これは大臣の御所見を十分に賜われるんじゃないかと思うわけでございます。以上三つの問題でございますが、お願いします。
  56. 高見三郎

    高見国務大臣 中教審答申は、中教審としては一応任務を終わった、かように理解していいだろうと思います。これを受けとめまして、文部省としてはこれをどう具体的に推進していくかということについては、国民的な合意を得なければならぬ、それについては、中教審答申自体が非常に難解な文章なものですから、広報、広聴活動を十分に徹底させまして、中教審の意図するものは何であるかということをまず国民に御理解していただかなければならない、こう思っておるのであります。  それから、教育において国家行政が果たす仕事ということは、これは教育基本法が示しておりますように、教育諸条件の整備ということが何としても大切な問題になってくると思います。教育条件の整備ということを狭く解釈すれば、外的条件さえ整備すればそれでいいんじゃないかということになるのでありますけれども、実は教育というのは御承知のように憲法によって保障せられております。国民教育を受ける権利を持っておる。その権利を持っておる国民に対して政府は、これは主権在民の政府国民の負託を受けて国民の委託のもとに行政を行なうのでありますから、行政オンリーという性質のものではないことは有島さん御承知のとおりであります。ただ、公教育における場合には、やはりある程度の国の内容的な関与というものは当然行なわれていいのじゃないか、またそれが行政の責任である、私はこういうふうに理解をいたしております。そういう意味から申しますると、有島さん非常に次元の高いお話なのでありますけれども人間の個性を最大限に発揮させるためにどういう形の教育体系がいいかという、教育全般にわたっての体系については中教審答申を出しておるのでありますから、私どもとしては、これをできるだけ尊重しながら、しかも国民の皆さんに御理解を求めて推進をしていく。推進の責任はもとより文部省にあるわけでありますが、同時にまた、これをやりますにはいろいろな制度の整備をしなければなりません。法律改正ということになりますると、国権の最高機関である皆さま方の御同意がなければ、これは国民的合意とは申し上げられないことになるわけであります。そういう意味において条件整備のための諸法令の改正というようなものは当然国会審議をわずらわさなければならぬ。その他の問題につきましても、私はフランクにひとつ皆さんと御相談を申し上げたい、かように考えておるということを、山田先生なり山中先生なりにも申し上げたわけなのであります。さように御承知おきを願いたいと思います。
  57. 有島重武

    有島委員 いまのお答えで大臣のお考えは大体わかりましたけれども、いまのお話ですと、国民の負託を受けて行政が行なわれる、そうしてまた、それに伴って公教育の権限が生ずる、それはけっこうなのでございます。ただし、その国民の負託ということと、それからこのたびの中央教育審議会答申ということが一致しておればいまのお答えで十分であろうかと思うのです。国民全体のいまの要望というものが、中央教育審議会答申にほんとうに反映しているかどうかということを検討しないと、いまのお話はつながらない、そういうことを心配しているわけでございまして、それは先ほどの山中先生のお話も同じことだろうと思います。そこのところをよく御理解していただきたいわけでございます。私たちとしては、これは一つの要望になりますけれども中央教育審議会答申そのものを、もう一度フランクに検討する場をつくらなければならない、また、これをつくることを文部当局としてもむしろお望みになって積極的な姿勢を示されますように、これを心から御要望申し上げる次第なんです。  以上でございます。
  58. 山田太郎

    山田(太)委員 もうしばし時間をいただいて、最初お断わり申し上げた副教材の問題に簡単に触れてみたいと思います。これは大臣の御答弁でなくてもけっこうな点も多いと思いますので、この点まずお断わりしておきます。  そこで、担当の局長にお伺いしたいのでございますが、昨日の各新聞の朝刊に、副教材の問題についての学童に与える影響というものを骨子として、あるいはその副教材を売る商社の販売方法等をからめて各紙とも報道されておるわけでございますが、その点について、いまわかっている範囲内のことでけっこうですから、どのような状況であるのか、その点をまずお伺いしておきたい。
  59. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 昨日新聞に載っておりました件は、教材等をつくっております学習研究社という会社につきまして、消費者連盟のほうから公開質問状と申しますかを公正取引委員会等に出したというふうなことであるというように思われるわけであります。その際、定価の二重価格の問題その他ございますけれども文部省の関係といたしましては、学校の場を利用して、あるいは学校の先生の手をかりて、そういうふうなものの売り込みと申しますか、販売が行なわれるという点に一番問題があるわけでございます。特定の会社に対しまして学校ないし教師が便宜をはかるということ自体、その点が問題になると思います。その場合にも、学校ないしは生徒に対しまして非常に便益の面が強いというふうなことがございました場合には、これはある程度許されてしかるべきだと思いますが、一般的に申しまして、特定の会社に対しまして学校ないし教師がその便益をはかるということはこれは避けなければならないということでございます。  ただ、実際につきまして私ども詳しく承知しておりませんものでしたから、その該当の会社を私のほうに呼びまして実情を調査いたしましたところ、そういうふうな販売の方法につきましては、前から順次是正につとめておるということでございました。まだ若干僻地その他の不便なところにおきましてそういうふうなことをやっておる、これもできるだけすみやかに解消したいというふうな回答でございました。その点ひとつお答え申し上げます。
  60. 山田太郎

    山田(太)委員 ほんとうに概略的な御答弁だったと思います。この点は商社個々を問題にするつもりはありません。そこで一番の問題点は、やはり児童の家庭の環境がそれぞれ違うということです。経済的にもあるいは構成上も違います。それがいろいろな副教材によって差別感を受けたり、あるいはひがむ子供をつくるということが非常に懸念されるわけであります。したがって、その点は昭和三十九年の大臣の通達が出ております。この大臣の通達によって、昨年でございましたか、参議院の公明党の多田議員からこの副教材の問題について質疑がなされております。そのときにこのような答弁が出ております。当時の宮地局長の答弁でございますが、現在の副教材の状況については、恐縮ではありますが、十分調査しておりません。来年調査するための予算の概算要求を出しておる、そこでこれによって調査を行なっていきたいというふうな答弁ですが、この点についてはその後どうなっておりますか。
  61. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 国会で前の初中局長がそういうふうな御答弁を申し上げたことは私ども承知いたしておりますけれども、たいへん遺憾なことでございますが、予算要求をいたしましたけれども、予算が実現をいたしませんでした。したがいまして、私どもその答弁の趣旨に沿いまして来年度も引き続きましてその実現努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  62. 山田太郎

    山田(太)委員 この予算要求の問題について、副教材の調査については予算が要る、その予算を四十六年度の予算要求のときやったけれども実現しなかった、この副教材の影響は非常に大きいということをいま大臣のお留守中にお話ししたわけなんですが、この予算の要求はひとつ強力にやっていただきたいと思うのですが、大臣の御答弁をひとつお願いいたします。
  63. 高見三郎

    高見国務大臣 副教材の問題については、たしか多田先生であったと思いますが、御質問があったのを私も聞いておったのであります。予算要求いたしますと申し上げて、確かに予算要求いたしましたけれども、実は予算は残念ながらつかなかった。今年も要求するつもりであります。この問題は非常に大事な問題でありますから、何とかして大蔵当局に納得してもらって、ことしこそ実現をしたいという考え方でおるわけでございます。
  64. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、その強力な努力をまず要請して、これは局長にお伺いしたいのですが、副教材の中に、やはりどうしても教育の上において必要な副教材もあると思われるわけですが、その点について全然必要ないものか、あるいは必要なものもあるというふうにお考えであるか、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  65. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 副教材の中にはいろいろなものがあると思いますけれども、やはり現在の教育のもとでどうしても必要なものというのはあると思います。たとえば英語を勉強するのに字引きが必要だというのはこれは当然のことでございます。そういう意味におきまして、どうしても必要になってくるような教材があるということは御指摘のとおりでございます。
  66. 山田太郎

    山田(太)委員 そういたしますと、義務教育の段階においてどうしても必要な副教材というものは、やはり父兄負担を解消する、あるいは軽減する、教科書の無償配付もその観点から出たわけですから、副教材も、どうしても必要なものは国において、文部省において、予算的な措置なりあるいはその他の方法を講じていくという御意向があっていいのではないかと思うのですが、この点については、局長が答えられないならば大臣、しかしこれは局長でも答えられることだと思うのですが、その点はいかがですか。
  67. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 私は仰せのとおりであると思います。そのやり方、それから順序等につきましては、これはいろいろな方法があると思います。たとえば学校に備えつけまして十分利用のできるものもあると思いますし、あるいは全部の児童に対してそのめんどうを見なくても、特にこれは貧困家庭の子供から順番にやっていくというものもあろうかと思います。そういうものを、やり方、それから順序等を総合的に考えまして、どうしても必要なものはやはり国あるいは地方公共団体でめんどうを見るというような趣旨からこの問題の解決をはかるということをやってまいりたいと考えております。
  68. 山田太郎

    山田(太)委員 ただいまの岩間局長の御答弁で、どうしても必要な副教材というものはある、その副教材に対しての国としての措置、これは学校で備えつけてやれるものと、それから学校で備えつけることができない、個々に渡さなければいけないもの、個々に渡さなければいけないものも、それをまず貧困家庭のほうから始めていくとか、あるいはそれに準じた方法をとって支給していくようにしたい、このような御答弁だったと思いますが、これでいいですね。  そこでもう一点だけ。もう時間がありませんので簡単に、いまいわゆる過疎県、過疎地帯というよりも過疎県においての教員の採用について、私の知る範囲は、島根県なり鳥取県なりあるいは青森県でございますが、おそらく他の過疎県においてもそうだと思いますが、大体七月ないし八月に採用試験をやっております。そうしてその任用決定が大体二月になっております。第一次、第二次と分けている県もあります。大体二月になっております。その間が非常にあいております。七月に採用試験をやって、そうして二月の任用、そうすると、採用試験を受けた側のほうから申しますと、間が非常にあいておりますので、採用になるやらならぬやら、任用になるやらならぬやらわからないままで数カ月の長い間置かれる、そのために他の会社や工場等に就職してしまう。ことに社会科の先生あるいは家庭科の先生、これは余っておりますが、数学とかあるいは工科系統の教員は非常に不足している。したがって、そのような大事な専門教科でありながら他の免許を持っている教員がそれを担当している。免許以外の科目も担当しておるという実情が非常に多いわけです。そうでなくてさえ過疎県においては、いろんな面においておくれているわけです。ことにこのような重大な教育の面において、このような差がおのずから出てきておるわけです。東京なり大阪なりあるいはその周辺はいざ知らず、これはいっぱいです。だけれども、過疎県においてはそのような状況になっております。この点の実情が文部省においてまず把握されておるかどうか。免許以外の教科を担当する教員、どの科目はどうだ、この科目はどうだ、何々県においてはこのような状況であるという点が、ちゃんと把握してあるかどうか。ぼくの知る範囲では、まだ明細は把握してないと聞いておりますけれども、把握してなければ把握してないでけっこうです。それはごまかさないで、ありのまま一度答弁していただいて、もう一ペんお伺いします。
  69. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 ただいま御指摘のとおり、正確な把握はいたしておりません。ただ、免許状の中で助教諭の免許を持っておる者はどのくらいかとか、あるいは新採用の教員がどの程度か、そういうふうな資料はございますが、ただいまの先生の御質問に正確にお答えするようなものは、ただいま手元に持っておりませんけれども……。
  70. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、ぼくの要望もし、また同時に実施してほしいことは、これは人事権ですから任命はもちろん県教委でしょう。しかし、県によって非常な差が出てくる。アンバランスになっておる。ところが、隣の県では実は数学の先生が一名余っておった。それを知らないままで、その数学の先生になれなかった人は他の会社に就職する。このような例が事実あるわけです。そういう点を防ぐという意味でなしに、前向きの方向で、これを文部省内において、やはり人事権はないとしても、任用権はないとしても、しかし教育行政を担当する立場から、これは全国的なその過不足をちゃんと文部省で掌握して、そしてそれを不足の県に教えてやるとか、通知してやるとか、前向きでそれを防ぐ、それをカバーしていく、そのことを行なってもらいたいと思うのですが、この点についてはどうですか。
  71. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 確かにいい御提案だと思いますので、これは教育長の集まりがございます、そういうところでひとつ相談をしまして、まあいままでもやっていたことはやっていたと思いますけれども、それを組織的にやるというようなことは、おそらくなかったんじゃないだろうかというふうな感じもいたしますので、そういうことを組織的にやるということをひとつ進めていきたいというふうに考えております。
  72. 山田太郎

    山田(太)委員 以上で私の質問を終わりますが、どうか高見大臣とこれからひとつともどもに相携えて国の文教行政のために働きたいと思います。どうも御苦労さまでございました。
  73. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 鈴木一君。
  74. 鈴木一

    鈴木(一)委員 新しい大臣にお伺いするわけでありますが、ふだん同じ文教委員会でしょっちゅう、もっとしっかりしろというわけでおしかりを受けておったあなたが大臣になられて、いまここで攻守ところをかえて質問するのは、なかなか質問しにくいわけであります。しかし、きょうはセレモニーみたいなもので、みなさんが各党やりますので、私も、簡単でございますがあなたに二、三お尋ねしたいと思います。  これはよけいなことかもしれませんけれども佐藤内閣の命脈もそう長くないと私思うのです。中共問題を含めて、だいぶがたがたしてきておる。頼みにしておったアメリカも、ああいうふうな形で飛び越えて中共と手を結ぼうというふうな段階になっていますので、せっかく高見さんも待望の大臣になられても、その抱負経綸、手腕をふるう時間があまりないのではないかということを心配しておるわけです。これはまことによけいなことですが……。  そこで、きょうのごあいさつを拝見しますと、中教審答申から説き起こして、幼児教育から高等教育教員給与改善私立学校の立て直し、沖繩問題と、一応問題のある点は全部載っておるわけでありますが、この短いだろうと思われる任期において、何をあなたは重点を置いておやりになるのか、まずその点をお伺いしたいと思う。これはあなたに皮肉なことを聞くのではなくて、あなたのためを思って聞くわけでありますから……。
  75. 高見三郎

    高見国務大臣 命脈が長いか短いかは、医者でありませんからわかりませんが、私は、任期がどうであろうと、中教審答申を受けました段階において、私の任務は少なくともこの中教審答申をどういうスケジュールで、どういう形に持っていくかという、おそらくスケジュールの設定ということが精一ぱい私の任期中の仕事ではないか、かように考えておりますので、さよう御了承いただきたいと思います。
  76. 鈴木一

    鈴木(一)委員 率直なお答え、けっこうだと思いますが、しかし一国の文教行政をあずかる文部大臣として、中教審答申が出てきたその背景と申しますか、もっと具体的に申しますと、それでは戦後の、あるいは戦前も中には含まれるかと思いますが、いまの教育のどこに改めなければならないような欠陥があるのかどうかという、過去のあるいはまた現在の状況に対する相当の批判というか、そういうものの上に立って仕事をおやりにならないと、とんでもない結果になると思うのであります。先ほど大臣は、なったばかりでまださっぱりわからないということでございましたが、それをほかの畑から来たあなたじゃないし、前々からもう文教のボスといわれたあなたですから、相当の抱負経綸はあるはずなんで、また、いままでのことに対する十分な反省、御検討もあると思いますので、具体的に初等、中等、それから高等、この三段階の教育について、どういう点が改めなければならないかということを、率直にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  77. 高見三郎

    高見国務大臣 これはたいへん広範囲な質問で、どこをどう改めなければならぬかと聞かれましても、いますぐどこをどう改めなければならぬという御返事はいたしかねます。いたしかねますが、まあ戦後二十五年の間の教育がいろいろなひずみを生じておるということは、これはもう国民の各階層ともに理解をしておるところであろうと思うのであります。  そこで、幼児教育についても、中教審答申をいたしております。幼年学校なんということばは、何か昔の幼年学校を思い出させるようなことばで、あまり感心いたしませんけれども、科学技術の革新が行なわれておる今日の急激な変化に対応するだけの教育制度というものは考えなくてはならないということは考えられるのであります。ただ、幼児教育一つを例にとりましても、たとえばいまの幼稚園というものが小学校教育の先取り教育であったのでは、かえって子供にふしあわせになるということを考えますと、やはり就学年齢の引き下げというような問題が一つ課題になってくるだろう。これは今度、先導的試行という形式においてやろうということであります。これは高等教育におきましても、御承知のように高等教育というものがいろいろな紛争を起こしました。あれは私の率直な感じから申しますると、やはり起こるべくして起こったことだともいえるのじゃないか、これはおとなの私どもも反省しなければならない問題も多分にあると思います。  そこで、高等教育あり方というものにつきましても、筑波だとか放送大学だとかいうような新しい構想のもとに、大学あり方というものはおそらく多種多様なものになると思いますが、多種多様なものになってもいいから、ひとつ新しい構想に向かっていき得る大学というようなものも考えてみなければならぬ、こういう考え方でおるわけであります。このことたるや、鈴木さんがおっしゃったように、おまえいつまで文部大臣をやるつもりだと言われたらそれだけのことなんですが、せめてそういう形のスケジュールだけは何とか在任中に皆さんと御相談して組み立ててみたい、こういう考えでおるわけであります。
  78. 鈴木一

    鈴木(一)委員 これは私の意見でありますけれども、確かに制度の面でも、二十五年たった今日変えなければならぬものも多々あるだろうと私は思います。ただ、その制度を改正するために中教審の出した答申をたたき台にして、それに対するスケジュールをあなたが組まれるということもけっこうだと思いますけれども、それはそれとして、何か私は、いまのこの教育全体について欠けているものがありはしないかという感じがするわけです。これは制度の問題とはまた別ですよ。それは何かというと、やはり民主主義というふうなものの精神というものが、ほんとうに教育の中に生かされてないんじゃないかという感じがするわけであります。これは見解が相違するかもしれませんけれども、たとえば日本の近代化の始まりであった明治維新を見ましても、富国強兵というようなことで、ぼやぼやしておったら列強の植民地になりはしないかというような心配もあって、極力経済成長というふうなものに、富国強兵の名のもとに重点を置いてきた。したがって、先進国であるヨーロッパを見習おうということでやったわけでありますけれども、そのヨーロッパの国をささえておる民主主義というものは一応置いてきぼりにして、もうめちゃくちゃに経済成長に邁進した。これが私は、明治維新から戦前の、戦争に負けるまでの日本の姿であったと思うのですね。その結果ああいうふうなさんたんたる敗戦に終わって、そして民主主義ということに——これはアメリカから教わった借りものかもしれませんけれども、気がついて、そしてここで民主教育というものを取り上げた。ところがまた、ある程度緒につきかけてきたころ、経済成長第一主義というふうなことで、そっちのほうに重点が置かれて、肝心の人間形成をされるべき民主教育というふうなものが、わかり切ったことのように、いまさらそんなことを言う必要はないのじゃないかというふうな空気の中に軽視されて今日まで来たというととが、日本の教育最大の欠陥じゃないか。したがって、人間形成というものはされるいとまもなく今日まで来ている。小学校へ入ると、いかにして大学を出るかということにもう専念されてしまって、教師もそのためにくたびれ果てているというのが、私はいまの日本の教育の実際じゃないかと思うのですね。もっと民主的な教育というふうなものが徹底しておるならば、お互い苦労している選挙だって、もっと私はりっぱにいくと思うのですね。いま違反でとやかく言われている人たちの選挙を見ても、役所の線のほうから来たからそれに協力しなければ商売がうまくいかないだろう、あるいはそれに協力すれば自分たちの関係しておる利益も向上するだろうというようなことで、そういうことはやってはならぬことだということを批判せずに、無条件にそういうものに従っていくという風潮がいまだにあるわけですね。ですから、縦割りの線では命令伝達がうまくいっていても、市民社会的な民主的な秩序というものが日本には一つもない。公害の問題一つ取り上げても、いまに始まったことではないと思うのですよ、公害というものは。どんどん人間にとって悪いものを煙なりあるいは水なりにしていままで捨てておったのですよ。しかし、それもしかたないものだというようなことできて、やっといまここで気がついた。これはやはり市民社会的な秩序、民主主義による秩序というものがあれば、もっともっと前に防止し得たものではないかと私は思うのです。これはあげれば切りがないわけですよ。したがって、制度の改革も大事ですよ。大学問題なんかも私は大事だと思いますよ。けれども、それと並行してもっと大事なものがここに忘れられておるのではないかという感じがするわけでありますが、大臣どう思いますか。
  79. 高見三郎

    高見国務大臣 鈴木さんのおっしゃるとおりでございます。私も実は、これは私見でありますが、物が豊かになり魂が貧しくなっておるというのが今日の日本の世相じゃないか。これはどこの国でもそういう現象が起こってくるのではないかと思います。物が豊かになり同時に魂が豊かにならなければ、人間のほんとうのしあわせはあり得ないと考えておるわけでありまして、その意味から申しますと、ただ制度の改革だけで一ぺんにものが解決するものではないということは言うまでもない。一番大切な問題は、やはり人間関係、社会における人間の相互信頼というものが一番大切な要件ではなかろうか。また教育の基調をなすものも、私はそこから出発しなければならぬのじゃないか。私は、幼児教育というものに特に力を入れたいと思いますのは、社会生活の第一歩を踏み出す集団社会における子供のしつけというものが非常に大切な問題ではないか。価値観が非常に変動しております、その変動に対応し得るだけの精神的豊かさというものを子供に持たせる、子供にしつけておくということが、今日の教育において一番重要な問題じゃないかという点においては鈴木さんと全く同感でございます。
  80. 鈴木一

    鈴木(一)委員 同感だというお話ですが、単に幼児教育だけでそういう問題を解決するのではなくて、やはり生まれてから死ぬまで一人で生きれるわけではありませんし、集団社会の中にお互いが生きておるわけでありますから、その中における正しい権利義務というふうな観念をお互いがはっきりと持ち合って生きていくというような教育を、それは決して上から押しつけるのではなくて、各人それぞれみずからがそういうふうなことを強く感じ社会生活をするようなふうに教育を持っていかなければいけないと思うのでありますが、最近の教育を見ておると、ただ命令を上のほうからどんどん伝達するというだけで、下の現場の教師なりあるいは教育者のさまざまな苦労とか希望とかいうようなものが、はたして教育行政の面に強く反映しているかどうかということをお互いに反省しなければならぬと私は思うのであります。そういう点はどう思われますか。
  81. 高見三郎

    高見国務大臣 お話のとおり、確かに現場との間に非常に隔たりがあるということは、私は率直に認めざるを得ないと思いますね。  それから問題は、生涯を通じて社会生活の中における秩序というようなものは自然につちかわれなければならぬのでありまして、これは幼児教育であろうと高等教育であろうと同じことであるのであります。私が幼児教育の問題を取り上げましたのは、子供の時分からそういう社会生活になれさせることが必要である、こういう意味で申し上げたのでございまして、私は、現場の意見などというものもひとつ十分に聞いてみたい、かように考えております。
  82. 鈴木一

    鈴木(一)委員 いずれにしましても、制度の改革にだけ力を入れるというのではなくて、そうした一つの基本的な、集団生活の中における人間あり方というようなものについて、もっともっと重要視して、これを教育の面で生かしていくというふうな姿勢をとっていただきたいと思います。  委員長との約束の時間も十分過ぎましたので、あともう一つだけ聞いてやめます。  新聞を見ますと、大臣が日教組の代表とお会いになるというふうなことも出ておりましたが、これは私は会ってけっこうだと思います。しかし、この種のことは、大臣就任するといつでもそういうふうな話が出て、一回くらい会ってあとはそのままになっておるわけであります。やはりこれは好ききらいは別です、私も日教組あまり好きじゃないです。けれども、現にここにそういう大きな団体があるのですから、やはりこれとは大いに折衝し、意見の交換もし、みぞがあったらできるだけ埋めるような努力をなさったほうが私はいいと思うのであります。ただ、高見さんは教師というものをどういうふうにお考えになっておるのか、あなたが描いておる教師像というのはどういうものかということをお伺いしたいと思います。  私もこういうことについていろいろ考えていますが、何しろもともと浅学非才であるために、はっきりした像をつかむことができないでおるわけでありますが、ただ、あまりにも労働者だというて強調することもいかがかと思います。というのは、だれかに使われてベルトコンベヤーの前で流れ作業をしておるような人たちと学校の先生とが、そういう意味の労働者だというふうに規定してしまうことも少し行き過ぎではないか、オーバーではないかと私は思うのです。しかし、労働は神聖である、いかなる人も労働しておるという面では労働者だと思いますけれども、普通の一般の工場で働くような労働者というわけにはいかないと思うのです。しかし、さりとて経済のことはかまうな、聖職だというてこれを攻めていくこともこれもいささかオーバーだと思う。あまりにもそこに何か使命感を負わせ過ぎて、人間としてちょっと無理ではないかと思うのですね。だからどっちの発想も、裏から見るとオーバー過ぎて似たところがあると思うのです。どっちもセンターラインをオーバーしてぶつかってくるものだから、なかなか教育行政がうまくいかない。現場の先生たちの意見も教育になかなか反映し得ないでおるという感じがするわけであります。  しからば、さりとてどういうのが教師像だというと、私は、そう気ばらなくても、肩に力を入れなくても、案外足元にあるんじゃないかという感じがするわけです。文部大臣、そういう点はどうですか。また、そういう点を十分踏まえて日教組と会われないと、ただ会ってお義理で二、三回時間を費やしただけで、あとああいう連中に会う必要はないということになってしまうと思うのです。やはり会うなら会うなりに、あなた自身も一つの教師像というものを持ち、教師たちの団体はかくあるべきだという考え方を持って臨んでいただかなければ、せっかく会っても意味ないと思うのです。その点どうなんでしょうか。
  83. 高見三郎

    高見国務大臣 たいへん次元の高いお話なんですが、私は率直に申し上げまして、いままでのいきさつがどうであろうと、同じ教育の現場の仕事をしておられる先生あるいは教育仕事に携わっております文部大臣とが、初めから意見が対立して合わないということは望ましい姿であるとは思っておりません。しかし、教育の中における教師の占めておる位置というものは非常に高いのであります。これだけは間違いのない事実です。何と申しましても教育者の与えます影響というものは、その子の生涯を支配する影響力を持っておるということを考えますと、教師というものはきわめて高度の専門職であるということはいえるだろうと思うのであります。この観点に立って、私は教育者団体とも謙虚な態度で話し合ってみたい。意見が合わないところも必ず出てくるだろうと思います。意見が合わないからかってにしやがれというような、そういう気持ちは毛頭持っておりません。意見の合わないところは意見の合わないところでいたし方ありませんが、できるだけ合意を得られるような、こちら自身がまず謙虚な態度で臨まなければならぬ。教育に占めておる教師の位置というものを非常に高く私は評価をいたしております。そういう気持ちでお目にかかりたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  84. 鈴木一

    鈴木(一)委員 これでやめますけれども、現場の教師の中には、日教組の組合員である人の中には、相当民主主義というものを大事に考え、民主的な教育に生涯をささげたいという人がたくさんおるわけですね。ですから、そういう点も十分ひとつ踏まえて、単なるイデオロギー的な対立から簡単にものを処しないように、あなたの才腕に期待いたします。と同時に、あなたがやることは中教審の制度改正の路線を敷設することだというふうに先ほど言われましたけれども、これはあまりあせらぬほうがいい。ゆっくりやってください。多くの人たちの意見を十分聞いてその上でおやりになっても、決しておそくはないし、かえってそのほうが、急がば回るほうがいい成果をあげると思いますので、その点ひとつ十分配慮していただきたいと思います。  これで終わります。
  85. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 山原健二郎君。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 文部大臣、初めて質問するわけですが、ここに七月十日の朝日新聞があります。「何をするのか 改造内閣の閣僚にきく」というので、高見文部大臣に対しまして「教育の現状をながめて、今いちばん欠けているものは何か。」「文相 人格を形成するための教育が、ほとんどされていないことだ。これは政府が悪い。高度経済成長策には、人間の魂をみがきあげようという理想がない。いうなれば、人間を“資源”としてだけ確保しようとする方向が強すぎる。」これは冒頭に出ているわけですね。私は、これを見まして、かなりすがすがしい気持ちになったわけです。たいへん気持ちのいい発言だと思うのです。共産党が大臣を評価するのはきょう初めてでありますけれども、この気持ちには変わりがないわけですか、お伺いしてみたいのです。
  87. 高見三郎

    高見国務大臣 これは私は政府が悪いと申し上げたのじゃなくて、政策が悪かったという意味であったのであります。しかし、政策が悪かったということは、長い間の自民党政府が責任を負わなければならぬという意味においては、私は自民党自身が謙虚に反省をしなければならぬという考え方には変わりはございません。
  88. 山原健二郎

    ○山原委員 率直な気持ちを聞かしていただいてたいへんありがたいわけですが、政策を実行するのは政府でありますから、それが悪いということになると、これは文部行政が悪かったということにつながっていくわけですから、確かに私もその点は、先ほどからの質疑応答を聞きながら、やはりそういう感じをみな共通して持っている点があると思うのです。特に六〇年代の教育政策そのものに問題があったということは、これははっきりしておると私は思います。特に国民の要求と異なる教育政策が行なわれてきたのではないか。特に私たちが要求している教育というのは、憲法または教育基本法ですね、特に教育基本法の第十条に基づいて行なわれる教育というものを要望しているわけでありますけれども、それと違った文部行政というものがあったのではないだろうか。それを文部大臣が率直に反省をされたのではないかというふうに受け取るわけでありますが、その点はいかがですか。
  89. 高見三郎

    高見国務大臣 歴代の文部大臣それぞれ非常に御苦心をなすって今日まで来たわけであります。教育基本法の第十条というものは、これは忠実に守らなければなりませんが、場合によると、山原さんとちょっと意見の相違を来たすかもしれませんが、昨日の参議院の予算委員会で、教育権は一体だれにあるのだという御質問がございました。私は、国民にあるのだとお答えしたのでありますが、実は憲法には、教育を受ける権利は国民に与えられているものでありますが、教育をする権利は教師も持っておるし、また父兄も持っておるし、社会も持っておる。その環境整備をやることが文部省仕事である。ただしかしながら、環境整備と申しましても、公教育における環境整備というものの中には、少なくとも憲法の定めておる、憲法の理想とする国家目的に沿うような内容的なものを含んでおる、この点山原さんと意見を異にするかもしれませんが、私はそういう考え方でおるわけであります。
  90. 山原健二郎

    ○山原委員 昨日確かに参議院の予算委員会において岩間議員の質問と大臣の答弁とをお聞きしておったわけであります。教育権はどこにあるかということに対して大臣の答弁は、国民全体にあるというお答えであったわけですね。ところが、それがもう一つ前進をしていきますと、国民の代表する機関、政府というものがちらりと顔を出してくるわけですね。そういう感じを抱いたわけです。ところが、今度の教科書裁判におきましても、また基本法第十条におきましても、やはり国民教育権というものは確認されておると私は思うわけです。そういう点で、そこらあたりのところから意見の食い違いが出てくるような感じを抱いたわけですけれども国民教育権があるということ、このことについてはどうですか。その辺、私のいま申し上げたことについて見解を伺っておきたい。
  91. 高見三郎

    高見国務大臣 これはいろいろな見解があることだと私は思います。しかし、少なくとも公教育は、国民からその固有の教育権の負託を受けて、国民の意思に基づいて国民のために行なうべきものである。これを達成させるためには国民の総意を教育に反映させることが必要でありますけれども、価値観がいろいろ崩壊、分裂しておる中にあって、国民の間に教育理念や目的について見解の鋭い対立が現にございます。そういう際に国民の一般的教育意思を適法な法的手続によって——法的手続として反映し得るものは、議会制民主主義のもとにおきましては国会である。そこで制定されました法律にこそ国民の一般的教育意思が表明されておるものであると解すべきである。したがって、法律に基づいて運営される教育行政機関が国民教育意思を実現できる唯一の存在であるということは、仙台高裁の判決の一部であります。私はその意味から申しますと、家永裁判にあらわれたことだけで、直ちに教育権に行政が介入すべきでないという結論は導き出せない。これはおそらく山原さんとは意見の相違を来たすことだと思いますけれども、私自身はさように判断をいたしておるのであります。
  92. 山原健二郎

    ○山原委員 主権者としての教育権というものを基本法第十条は確認をしているばかりでなく、教育権の独立ということもこれは確認をされているというふうに考えているわけですね。だから、家永教科書裁判にしましても、それだけその点は明確になっておりますし、それから、単に教科書裁判だけでなくて、元文部大臣の田中耕太郎さんの教育権に関する論文を見ましても、これはいま持ってきておりますけれども時間の関係で申し上げる余裕はありませんからおきますけれども、その点がかなり明確に書かれているわけです。その点については見解の違いというものは出てくると思うのです。しかし、これはまたおりを見ましてこの点については論議をすべき問題であろうと思いますから、ここでは一応おきたいと思います。ただ、大臣が基本法第十条を守っていく気持ちに変わりはないということを申されましたので、その点それで了承していきたいと思います。  次に、きょうの所信表明でも出されました中教審の問題ですけれども中教審の中身に入るというようなつもりは全くありませんが、中教審答申というものがきわめて独善的だ、また、きわめて非科学的であり、非教育的であるということを私は非常に感じているわけです。たとえばこの前文の中においてもこういうことが書かれているのです。「およそどのような改革も、それに伴う障害を克服する熱意と勇気なしには、その実現を期しうるものではない。当面の利害から現状維持を固執したり、現実に目をおおって観念的な反対だけを唱えたり、実行を伴わない改革論議に時を移したりして、教育がますます時代の推移から取り残されるようになる危険を深く考慮し、」というこの書き方ですね。こんなことをいままで主張してきた者はいないのですよ。いないにもかかわらず、こういう論法でもって前文が書かれている。言うならば、実際にどこのどなたがこういう主張をしてきたか知りませんけれども、私たちの関知するところでは、こういう空論に立った教育改革論というものはなかったわけですね。それを持ってきて、それに対置する形でこの前文が書かれているというところを見ましても、中教審答申というものがきわめて独善的な立場をとっているということを考えざるを得ないのですけれども文部大臣、その点についてお答えができますか。
  93. 高見三郎

    高見国務大臣 中教審答申、これはこういう意味であろうと思うのです。日本の教育改革というものが、御承知のように一つの政治家、一つの政治的イデオロギーあるいは一人の学者というようなものによって行なわれたものではない。そこで正常の姿において教育改革をやろうという場合には、これくらいな決意をしなければならぬという意味の表現であろうという意味において私は評価をいたしております。ところが、山原さんも御承知のとおり、明治の学制改革にいたしましても、終戦後の学制改革にいたしましても、非常に大きな社会的な背景があって初めてできたことなんですね。そこを考えていきますと、やはり正常の状態において教育制度を改革するということには相当の勇気を要することであろう。それをこの前文では強く主張をしておるというように理解すべきじゃないか。独善というおことばがございましたけれども、これは私は必ずしも独善じゃなかったと思いますことは、二百四十数回にわたる会議をやり、七回にわたる公聴会、あるいは聴聞会を何回かやって、その間に原案を相当修正をいたしておる部分があるようであります。私は詳しいところは存じませんけれども、あるようであります。必ずしも一ぺんに独善的だときめつけるわけにいかないだけの努力中教審は払ってこられたということを、私は評価しなければならない、かように考えております。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 この中教審答申の重要な部分の中に、ありもしない論拠を引っぱり出して、これは当を得ないものだから、それに対置するがごとき論法で中教審の前文が書かれるということ自体の中に、そういう議論がいままであれば別ですけれども、ないものを、わざわざ捏造して、それに対置するような形で出してくるということに対して、私は非常に独善的な態度を感じたものですから、その点を指摘したわけです。  たとえば、大臣が言われている幼児教育の問題にしましても、現在幼児教育についての教育学的な定説があるのでしょうか。たとえば五歳からやられるというけれども幼児教育について何歳からやるか、あるいはその中身をどうするかということについて、今日まで専門的に教育に携わってきた者、そういう者の中からはたして定説があるのだろうか。そういうものは現在ないわけですね。ないにもかかわらず、ここで中教審答申の中には、それが正しいことであるかのようにぽんと出てくる。こういうところにも独善性を感ずるわけですね。  たとえば、私のところへ、これはたまたま一昨日でありましたか、要請が来ておりますが、日本応用心理学会という、私まだお目にかかったことはありませんけれども、この要望書を見ますと、今度の中教審答申につきまして、「特に幼児教育制度の改変に関しては幼児の発達研究の成果・地域性なども考慮し幼児及び児童研究推進及び教育内容充実をはかることが急務である。したがって教育制度の改革に関する立案・策定は慎重になさるべきことを強く要望する。」というのが来ておるのですね。おそらくこれは児童心理その他の問題で相当研究されておる団体だと思うのです。その団体からも、そういう定説のない問題をぽんと出してきてこれを実行に移すなどということに対する不安というものがやはり出ているわけですね。それをお伝えしておきたいのです。  それだけではありません。七月九日の毎日新聞を読みますと、文部省幼児教育懇談会におきましても結論が出ていない。国も研究する必要があると、文部省幼児教育研究懇談会においてもそういう問題が出てくる。にもかかわらず、一方では四十七年度に予算をつけて四十八年度から実施をするということになってくると、学問的な定説もなければ教育学的な固まった意見もない段階で、実施だけが先行していくということになりかねないわけですね。それはもっと研究をし、関係者の意見を十分に参酌をし、吸い上げ、そして改革意見というものが出てくれば別ですけれども、そんなことが一切ないにもかかわらず、ぽんと実施ということが出てくるということについて、これは疑問を持つのが当然のことなんですね。実際に四十八年度からこんな状態の中でやられるとするならば、たいへん乱暴な教育改革だと私は思うのですけれども、これは大臣がお答えができなければ、局長からでも御意見を承っておきたい。簡単でけっこうです。
  95. 奥田真丈

    ○奥田説明員 お答えいたします。  中教審答申の中におきましては、まず先導的試行としまして四歳から小学校の低学年までを一つ学校としてやる幼児教育というものを試行としてやってみろ、こういうことと、それから幼児教育の積極的な振興普及充実策として一項掲げられております。幼稚園教育につきましては、現在の制度におきましても幼稚園というものが学校として位置づけられておりまして、そして教育要領も定められておりまして、四歳、五歳の子供が入って教育を受けておるわけでございますが、その現状の制度に即して五歳児で就園を希望するものはすべて就園させるよう、これが中教審答申の中に出てきております幼稚園教育の積極的な普及充実策の一つでございます。したがいまして、幼児教育としてあるいは五歳児の成長発達に即する教育内容に関する研究が不十分であるという面につきましては、現行の中においての制度の研究と、さらにまた、新たな角度から人間の成長発達の中の四歳、五歳の発達段階における研究、これが学校教育としてあるいは家庭教育として、社会教育としてどのように受け持つべきか、こういうような面の研究につきましては、いろいろとなされるべき面は多々あると思います。そういう点は、学会等におりましてもまだ十分な成果が得られておりませんので、新しい観点からの幼児の教育という点について、中教審先導的試行ということでもって今後慎重に、あらゆる学問——教育学のみならず、心理学あるいは医学、生理学等、あらゆる学問を総合的に応用して、そして研究者と現場の学校幼稚園と、それから教育養成担当者が三者一体となって研究開発して、どのような幼稚園教育、新しい意味幼稚園教育をしていったらいいかということを研究しろということを答申として述べられておると思います。
  96. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がないようですから、最後に、先導的試行といっても、これは実験ではないわけでしょう、実際に実行していくわけですからね。だから、そういう意味でいろいろの危惧の念が出てくるのは当然のことなんであります。  それから、今度の中教審答申というものが非常に教育を新しく、よく改善していくかのような宣伝がなされておりますけれども、私はそんなものではない。六月十一日に発表されましてから、まさに四面楚歌でしょう。ほとんどの団体が反対意見、あるいは少なくとも批判意見ですね。全野党が反対しておるような状態です。しかも、新聞関係にいたしましてもほとんど批判的であるという状態です。これはもう学会その他をあげてみれば切りがないくらいの状態で、賛成をしておるというところが実はないわけですね。そんなものが国民的合意に達するはずもなかろうし、国民の願望にこたえたということもいえないと私は思うのですよ。そういうものが出てきておる。しかも、相当数の回数をかけて会議が開かれたと言われておりますけれども、これは私たちがむしろ賛成ではないOECDのロビンス報告を見ましても、たった八日間の公聴会なんというものは全く話にならないということなんかも出ておるわけです。しかも中教審そのものの構成から見ましても、実際に大きな企業の財界の代表は入っておりますけれども、学会あるいは日本学術会議あるいは日本教育学会あるいは労働組合の代表が入っていないというような構成の中でつくられた答申だということ、そういうことを考えますと、まさにこの答申というのは、これは党人大臣の一諮問機関にすぎないということを考えますと、これがはたして日本国の教育改革に資するだけの能力を持ったものであるかという疑問すら出てくるわけでございます。そういうことを私は非常に感じておりますので、今後の討議の中でその点については一つ一つ検討していきたいと思うのです。  たとえば教員の定数の問題、これは教育計画の設定においては一番の中核になるものですけれども、これについても改善の方法はなされていないのです。十年間に九%増というのが出ておりますけれども、実際計算してみると、これは実質上は増にはならない。教師一人当たりの生徒数を計算してみると、全く現在の状態と変わらないという結果が出てくるわけですね。  それから、佐藤総理が本会議におきましても、また予算委員会におきましても答弁しておりますれけども教育の父兄負担を軽減していくんだということでも、これを見ますと、実際に国立大学の授業料は十年後には実に二十万円、私立大学が四十万円という金額になるような資料が出ているわけですね。これなど考えますと、いままで政府が宣伝してきたような父兄負担を軽減するなどというものではなくして、実際は受益者負担という形で非常に国民に負担を押しつけていく内容すら持っているのではないかというふうに感ずるのですが、この授業料の問題についてはどうなるのか、一つだけ伺っておきたいのです。  そういうことを含めまして、こういう答申について、この答申を実行するなどということではなくして、教育改革をやるとするならば、先ほども皆さん方から出ましたような、全く国民的な合意を得るような大討議を起こして検討していくのが正しいのではないかというのが私ども考え方でございます。  最後に考え方を申し上げまして、いま父兄負担の問題で授業料の問題を出しましたが、実際に私の言ったようなことにこの図面ではなっているわけですね。これはどうなんですか、そのことだけ伺ってみたいのです。
  97. 奥田真丈

    ○奥田説明員 中教審が試算いたしました参考資料の中の図表に基づいていまの御質問が出ておると思いますが、この図表は国立及び私立大学の授業料等を含みますところの受益者負担額の水準というものを考えて出されたものでございます。これは現状並びに諸外国の水準なども考慮いたしましてつくられたものでございますが、この中で国民一人当たりの消費支出に占めますところの受益者負担額というものは、国立では約二〇%、私立では約その倍の四〇%になるようにその水準が考えられております。これはあくまで仮定でございます。  こういう仮定をつくりまして試算されたものでございますが、これによりますと、いまお話しのように、昭和五十五年度におきましては受益者負担額の水準が国立では二十四万ぐらい、私立では四十七万ぐらいと算定されるわけでございますが、これはその算定のもとになりますところの国民所得の伸びというものを十分に考えなければならないわけでございます。現在に比しまして、昭和五十四年度までには国民所得が相当伸びるわけでございます。年率約一三・九%の割りで伸びていきます。したがいまして、そういう国民所得の増大の中においてのいまここに図表であがっております金額でございます。しかし、これはあくまで試算でございまして、今後の施策におきまして授業料等の受益者負担の水準をどのように考えるかということにつきましては、私学助成の方策とかあるいは奨学事業等の施策とも関連が深うございます。そういう問題は今後における行財政上の重要な課題として慎重に検討が必要なものでありますが、一応この図表の上におきましては、いま申しましたような数字になっておるわけでございます。
  98. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。      ————◇—————
  99. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会の協議により、文化財保護に関する調査のため、小委員十一名よりなる文化財保護に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認めます。  それでは、小委員に       久保田円次君    塩崎  潤君       谷川 和穗君    野中 英二君       松永  光君    森  喜朗君       吉田  実君    川村 継義君       山中 吾郎君    有島 重武君       鈴木  一君 以上十一名の方々を指名いたします。  なお、小委員長には久保田円次君を指名いたします。      ————◇—————
  102. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 これより請願の審査を行ないます。  今国会委員会に付託されました請願は全部で三件であります。  請願日程第一より第三までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  各請願内容につきましては、文書表等によりすでに御承知のことでありますし、さらに先刻の理事会におきましても慎重に御検討願いましたので、この際、紹介議員からの説明聴取等はこれを省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  それでは採決いたします。  請願日程中第三の請願は、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  106. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 なお、念のため御報告申し上げます。  今国会委員会に送付されました陳情書は、お手元に配付いたしましたとおり全部で九件でございます。      ————◇—————
  107. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、川村継義君外五名提出公立義務教育学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案鈴木一君外三名提出大学基本法案並びに文教行政基本施策に関する件、学校教育に関する件、社会教育に関する件、体育に関する件、学術研究及び宗教に関する件、国際文化交流に関する件及び文化財保護に関する件、以上の各案件につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託されました際の諸件についてはおはかりいたします。  まず、委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  委員派遣を行なう必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認め、さように決しました。  次に、委員会において参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認め、さように決しました。  次に、本日設置いたしました文化財保護に関する小委員会につきましては、閉会中もなお存置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、小委員及び小委員長の人選につきましては、先ほど委員長が指名いたしましたとおりとし、委員辞任に伴う小委員及び小委員長補欠選任、小委員及び小委員長辞任の許可及びそれに伴う補欠選任並びに小委員会において参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十分散会