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1971-10-06 第66回国会 衆議院 農林水産委員会いも、でん粉等価格対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十六年九月二十日(月曜日) 委員会において、設置することに決した。 九月二十二日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       江藤 隆美君    佐々木秀世君       藤田 義光君    安田 貴六君       渡辺美智雄君    芳賀  貢君       美濃 政市君    瀬野栄次郎君       小宮 武喜君 九月二十二日  渡辺美智雄君が委員長指名で、小委員長に選  任された。 ————————————————————— 昭和四十六年十月六日(水曜日)     午前十一時二十四分開議  出席小委員    小委員長 渡辺美智雄君       藤田 義光君    安田 貴六君       芳賀  貢君    美濃 政市君       瀬野栄次郎君  小委員外出席者         農林大臣官房企         画室長     今村 宣夫君         農林省農林経済         局統計調査部長 中沢 三郎君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林省蚕糸園芸         局畑作振興課長 工藤 健一君         農林省蚕糸園芸         局砂糖類課長  田中 宏尚君         農林水産技術会         議事務局長   加賀山國雄君         通商産業省通商         局輸入企画課長 若杉 和夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  いもでん粉等価格対策に関する件(昭和四十  六年産しょ馬鈴しょ予想収穫量需給事  情、生産費調査及び政府買価格等に関する問  題)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田(義)小委員長代理 これよりいもでん粉等価格対策に関する小委員会を開会いたします。  本日は、小委員長所用のため、指名により、私が小委員長の職務を行ないます。  いもでん粉等価格対策に関する件について調査を進めます。  この際、昭和四十六年産カンショバレイショ予想収穫量及び需給事情生産費調査並びた政府買い入れ価格等について政府から説明を聴取いたします。荒勝蚕糸園芸局長
  3. 荒勝巖

    荒勝説明員 イモ類及びでん粉につきましての基準価格につきまして、いずれ十月の二十日までに、政令のきめるところによりまして価格を決定する方針で、政府はただいま作業を急いでいるわけでございますが、例年の例によりまして、おおむね二十日とはいいながら、十日前後までにはきめるということで、作業を特に急いでいる次第でございます。したがいまして、ただいまお手元に配付してあるかとも思いますが、横書きの「いも類でん粉基準価格関係資料」というものに基づきまして、簡単に最近のイモ並びにでん粉につきましての一般概要の御説明をいたしたいと思います。  まず、一ページをお開き願いたいと思います。一ページのところで、カンショにつきまして、四十六年のカンショ作付面積が十万七千ヘクタールということになっておりまして、まだ完全に十アール当たり収量というものが出ておりませんので、この欄は空欄になっております。  さらに、バレイショにつきましては、北海道だけでございますが、作付面積は七万百ヘクタールということで、これは十アール当たり収量も出ておりまして、一応百七十四万五千トンといろことでございますが、このバレイショにつきましては、いずれ近日中にまた収量改定等があると思われますが、最近多少これよりも好転しておるのではなかろうか、こう思います。  そのこまかいことにつきまして、二ページをお開き願いたいと思いますが、カンショにつきましてはまだ主産県の作況しか出ておりませんのであれでございますが、全国が先ほど申し上げましたように十万七千ヘクタールで、主産県は八万二千三百ヘクタール、これの作況指数が、一応主産県だけが入っておりまして一〇〇でございますが、この辺が少し一〇〇よりは最近の天候概況で悪くなるのではなかろうか、こういうふうにわれわれ見ておる次第でございます。それで作付面積等は、先ほどの一ページにもありますように、やはり年々減少の傾向を示している次第でございます。  次に、四ページをお開き願いたいと思います。これは先ほど申し上げましたカンショの主たる生産県の面積でございまして、依然として鹿児島が、一番下の欄にございますが、最高の面積を持ち、その次が宮崎、こうなっておりまして、あとは長崎、千葉、茨城というあたりが主産県のおもなところでございます。  次に、五ページでございますが、問題になりますバレイショでん粉基礎資料となるのは、全国よりも北海道だけでございますので御説明申し上げますと、作付面積が七万ヘクタール、それで十アール当たり収量が二千四百九十キログラム、それから収穫量が百七十四万五千トン、作況指数が、一応九八ということになっておりますが、これはカンショと反対に、北海道の最近の状況からいたしますと、統計調査部情報あるいは道庁の情報等を入れますと、作況指数が一〇〇を多少上回るのではなかろうか、一〇〇何%という数字になるので、多少イモ収量もふえる、こういうふうに見ておる次第でございます。やはり冷害に強いということをバレイショは示しましたし、また、ビート等も一〇〇%の指数を上回っているやにわれわれ聞き及んでいる次第でございます。面積につきましては、北海道の欄でございますが、作付面積は全体の動きは詳細にはまだわかりませんが、作付面積自身は多少昨年の六万九千から七万というふうに上回ってきておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。ただ、反収につきましては、昨年の十アール当たり収量と比べますと、去年は非常な豊作型でありました関係で、ことし平年反収に比べますと一〇〇%を上回るにもかかわらず、昨年度に比べますと反収が多少減っておることは事実でございます。  それから八ページをお開き願いたいと思いますが、この八ページによりまして、一番下の欄でございますが、大体本年度におきます国内供給可能なでん粉別見込み数量を入れておるわけでございます。これは多少まだ変わるのではなかろうかと思いますが、甘でんにつきましては、一応二十万トンという数字を入れました。これが先ほど申し上げましたように、多少作柄が悪くなるので、二十万トンを場合によっては切るのではなかろうかというふうに理解しておる次第でございます。  それから馬でんにつきましては、作況指数がよくなってきておりますので、十八万トンという数字を置いておりますが、あるいは十九万トンで、国内産原料からつくります甘でん、馬でんにつきましては合わして大体三十八万トンぐらいということになるのではなかろうか。甘でんが一万ぐらい減りまして、馬でんが一万ぐらいふえるということに結果的にはなるのではなかろうか、こういうふうに理解している次第でございます。  小麦でん粉につきましては、これは年々一種の副産物のようなかっこうでつくられておりますが、最近六万トンは大体固まってきているやにわれわれは理解しております。  それからコーンスターチにつきましては、国内産でん粉が多少減ります関係で、あるいはコーンスターチで補わなければならないんではなかろうかということで六十万トンというふうに置きまして、一応国内の総供給量百四万トンというふうに置いておるわけでございます。  次に九ページをお開き願いますと、九ページの欄でも、各歴年の過去三カ年間のでん粉需給の表を一応ここにお示しいたしますが、でん粉は一時、数年前までは相当将来の見通しが強いというふうな状況でございました。その後全体の流れとして、でん粉需給はむしろ横並びといいますか、ほとんど並行線になっておりまして、国民所得の増大とかあるいは人口の増にもかかわらず、でん粉需給はほぼ一定というふうにわれわれ理解している次第でございます。  九ページの上の一番右の欄、四十六年をごらん願いますと、甘でんにつきましては、供給欄でございますが、ごらん願いたいと思いますが、二十万トンがあるいは十九万トンぐらいになるかもわからぬ。さらに馬でんにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、十八万トンと一応ことしの出回り量を考えておりますが、あるいは十九万トンぐらいになるかもわからぬ。さらに、政府が数年前に買いました食管手持ちバレイショでん粉が七万トンほどありますので、バレイショでん粉がことし多少不足ぎみに移行するのではなかろうかと見受けられますから、この四十六でん粉年度中に払い下げするという方針をただいまのところ考えております。それを合わせまして二十五万トン、これがあるいは一万トンぐらいふえるのではなかろうか、こういうぐあいに考えております。  コーンスターチは先ほど申し上げましたように六十万トン、それから小麦でん粉は約六万トン、それから別途外でん五万トンと置いておりますが、これはその他用の需要、たとえば建築材料など外でんでなければならぬ部門もございますので入れまして、合計総供給計画を百十六万トンと置いているわけでございます。  それに対しまして下の欄が消費量といいますか、消費欄でございますが、一応四十六年度の各部門別需給見込み表が十分立っておりませんので、一応まるく入れておるわけでございます。  一番上の欄の「水あめ・ぶどう糖」につきましては一応六十万トンと置いたような次第でございます。どうも水あめブドウ糖につきましての需要が最近少し減少ぎみだということで六十万トンを置きまして、あとの欄の「水産練製品せん維化工でん粉グルタミン酸ソーダ」その他入れまして五十六万トンと置きまして、百十六万トン。これによりましてでん粉年度需給見込みは大体バランスがとれるのではなかろうか、こういうふうに理解しておる次第でございます。  それから次をお開き願いまして、一〇ページでございますが、これは過去、農安法ができましてからの昭和二十八年以来の歴年の毎年度政府のきめます原料基準価格あるいはでん粉政府買い入れ価格といったものの一覧表を設けておりまして、四十五年の欄を考え方のスタートにして今後政府値段をきめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから次、二ページでございますが、これは一応実際の市況におけるそれぞれのでん粉価格推移をお示ししたものでございまして、四十五年度の欄をごらん願いますと、下の欄でございますが、二千四百三十六円という平均値で、大体昨四十五年一年間はこういう価格推移しておるのではなかろうかというふうに思います。政府基準価格は二千百五円、馬でんにつきましては平均が二千七百三十四円で基準価格が二千二百四十円というふうになっております。  それから次に一二ページは、でん粉の主たる消費先ブドウ糖についての最近の価格推移でございまして、四十五年の結晶、精製両方につきましてこういう価格が示してあるわけでございます。  次の一三ページは水あめ値段で、大体こういうふうな価格の体系を示している、こういうふうに御理解願いたいと思います。  一四ページをお開き願いまして、これは後ほど統計調査部長からあらためまして詳細に御説明があるかとも思いますが、カンショ生産費が上の欄で、下がバレイショ生産費でございます。  右のほうから二つ目の欄に第二次生産費というのが出ておりますが、カンショ十アール当たり生産費が二万六千八百四円、百キログラム当たりになりますと千百十一円というのが出ております。これはカンショのほうにつきましては、一応物価の上昇率とほぼ見合ったような生産費上昇を示している次第でございますが、バレイショ生産費につきましては、四十五年度の欄をごらん願いますと、十アール当たりは二万三百三十三円ということになっておりますけれども、百キログラム当たりの欄になりますと五百九十六円で、四十四年度の七百七円に比べますと逆に百キログラム当たりとしては生産費が下がっておる。これは先ほど申し上げましたように、北海道の昨年の異常な豊作であったということを反映しまして、百キログラム当たりはコストが下がっておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。  次に一五ページでございますが、この八月末のパリティを一つの基準にして、それぞれのイモ価格をおきめ願うことになっておりますが、八月で四十五年の欄で二一六・二九、こういう数字が出ておる次第でございます。  以上、大体かいつまんでイモ類並びにでん粉につきましての一般的な概要の御報告を申し上げた次第でございます。
  4. 藤田義光

  5. 中沢三郎

    中沢説明員 統計調査部におきまして、昭和四十六年産カンショバレイショにつきまして、すでに公表申し上げております最新の資料につきまして、作況状況予想収穫量状況を御説明いたします。  カンショにつきましては、先ほど園芸局長から御説明されました九月一日現在以降の予想収穫量を去る十月四日に公表しております。これは主産県の九月二十日現在での調査でございますが、主産県について申し上げますと、九月二十一日公表いたしましたときの作況指数は一〇〇でございましたが、四日発表のものによりますと、平年作に対しまして九八%、二%ダウンしているわけでございます。これは予想収穫量で申し上げますと百七十一万五千トンでございまして、前年より三十八万三千トン、一八%減少しておりますが、作付面積が一七%減少いたしましたことで、先ほど申し上げました作況指数が九八というふうになっておる結果でございます。  主要な地域作柄状況を申し上げますと、関東、東海地方では、虫害の発生あるいは台風影響がございまして、やや不良というふうになっておりますし、また九州地方では、前半では好天候に恵まれたのでございますが、台風十九号、二十三号の影響とか、あるいは潮風害影響もございました関係から、やはり作況はやや不良ということになっておるわけでございます。今日以後の作柄見通しにつきましては、大きな変動はないというふうに見ておるわけでございます。  それからバレイショでございますが、バレイショにつきましては、先ほど園芸局長から御説明申し上げました以降の作況がやや上昇しておるわけでございまして、その結果、前回は九八という作況指数でございましたが、北海道バレイショにつきましては、平年並みを越えましてやや良、指数で申しますと、一〇二ないし一〇五の間におさまる、それもやや上のほうにおさまるのではないかというふうに現在見ておるわけでございます。これは十月の九日に詳細に公表する予定でございます。  都道府県につきましては、収量がもうきまっておりますので、北海道及び都府県の収量を総計いたしましても、全体としてやや良という作況になる見通しでございます。
  6. 藤田義光

    藤田(義)小委員長代理 以上で説明は終わりました。     —————————————
  7. 藤田義光

    藤田(義)小委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま園芸局長並びに統計調査部のほうから、作況概況並びにイモ類でん粉等需給見通し等について説明があったわけですが、きょうは小委員会でありますので、価格決定を前に、重要な点に対して具体的な質問をいたしたいと思います。  まず第一に、昭和四十六年度国産でん粉中心とした需給見通しですが、ことしは北海道冷害あるいは南九州カンショの主産地帯における作付面積激減等がありまして、いまの説明からいいますと、馬でん、甘でん合わせて三十八万トンということになるわけであります。そして四十六年の総需要量はおおよそ前年度同様の百十六万トンということになれば、国産でん粉需要量に対して三〇%ということに著しく低下したわけです。北海道バレイショ等については、将来平年の作況を回復すれば、ある程度でん粉収量の増加は見越すことができると思いますが、とにかく総体的に国産でん粉というものが生産が後退しておる、自給率が低下しておるということは、これはわが国の食糧政策の上から見ても重要な点だと思うわけであります。  昨年も当委員会におきまして、イモ類並びに特に国産でん粉に対する長期見通し、たとえば「農業生産地域指標」からいくと、これは昭和五十二年を目標にして一応の生産目標を示しておるわけでありますが、昭和四十四年を基準年として五十二年にわたる長期目標の中で、いまだに国産バレイショでん粉カンショでん粉生産目標あるいは自給度をどうするかという問題は、明確になっておりません。この際、この点について政府当局から明らかにしてもらいたいと思います。
  9. 荒勝巖

    荒勝説明員 昨年、当委員会でも御審議をいただき、また最後に決議をいただきまして、その中にイモ並びにイモでん粉長期見通しを確立するようにという御指摘がございましたが、その昨年の委員会におきましても私から答弁申し上げましたように、農林省はただいま長期見通しという観点に立ちまして、稲作転換も含めまして、農業生産地域指標作成を急いでおりますという答弁を申し上げた次第でございますが、その結果、昨年の十二月に、いろいろな作物につきまして長期見通しを立てる、その中におきましてイモ類につきまして特掲いたしまして、イモ類という形でそれぞれの長期見通しを立てまして、昭和五十二年には全国イモ類は二十五万一千ヘクタール、二千三百十一キロの平均収量で、生産量といたしましては五十二年には五百八十万トンの生産量を見込むということで、イモにつきましては長期見通しを立てた次第でございます。その中でも、バレイショにつきましては、北海道ということで一つ特掲されまして、大体二百十万トンの収量を前提にした作業をしまして公表した次第でございます。その際、さらに、このイモだけではなくて、でん粉類といいますか、加工農産物につきましても長期見通しという御指摘がありましたが、農林省のいろいろな作業過程で、加工農産物のほうは一応除くといいますか、この作業過程では第一次生産物である農産物についておもなものについてのみ公表するというかっこうになっておりまして、その加工されましたでん粉にまで長期指標をつくることができなかったことにつきましては遺憾に存じておる次第でございます。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうは特にイモ——イモでん粉原料ですが、問題はでん粉を一体どうするのだということを中心に聞きたいと思いますが、地域指標によると、これは基準年昭和四十四年ということになったわけです。ですから、基準年におけるバレイショの場合には作付面積が八万二千七百ヘクタールということになっておる。十アール当たり収量が二千四百六十キロ、したがって、収穫量はこの年は平均よりも、四十四年は冷害でしたから、生産が低下して二百三万トンであります。だから、五十二年の目標をどうするかということになると、面積は七万ヘクタール、生産量については二百十万トン、ですから、五十二年の十アール当たり収量は三千キロ平均ということになると思うのですが、その点はそれでいいのですか。
  11. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘のとおりだと思います。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、二百十万トンの収量を確保した年は、昨年がちょうど二百十六万トンということになっておるわけですから、昭和五十二年には四十五年の実績並みの二百十万トンだということになれば、その中でバレイショでん粉生産というものはどの程度になるかということは、自然にこれは出てくると思うのです。わかるのに指標に出していないわけですから、この二百十万トンを基礎にしてでん粉につきましてはどのくらいの生産量を確保するか、生産目標をどうするということは、これはおわかりと思いますから、この点を明らかにしていただきたい。
  13. 荒勝巖

    荒勝説明員 昭和五十二年度数字を公表しますと、ただいま御指摘のように、昨年のイモ類実績といいますか、北海道バレイショと見合ったような感じがいたすわけでございますが、したがいまして、おのずからそこからでん粉長期見通しも立てられるのではなかろうか、こういう御指摘でございますが、われわれといたしましても、当委員会で申し上げるのもおかしいのですけれども、おおむね昨年の実績みたいなものがやはり長期見通しとしては落ちつく先ではなかろうかというふうな解釈はいたしておりますけれども、具体的な作業というものはまだしてないというのが事実でございます。  実際問題といたしまして、今後北海道農業発達といいますか、今後の発達等を考えますと、やはりバレイショ反収というものは今後ともさらに平均的に向上していくものと理解しておりますし、また一方、昨年の実績からいたしましても、大体全体のバレイショでん粉への振り向けあるいは生食への振り向けというような点を勘案いたしますと、北海道バレイショが全体として比較的安定的に商品化が進んだ年ではなかろうか、こういうふうに理解しておりまして、今後さらに食用のバレイショというものが、特に北海道については、この長期見通しでも今後非常に期待をかけた判断を農林省はとっておりますし、また国民の食生活の向上に伴いまして、バレイショのいわゆる五十二年度需給見通しというものはそうたいへんな違いはないというふうに判断しておりますので、したがいまして、でん粉への振り向け率もおおむね昨年前後というふうな感じになるのではなかろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、具体的な作業にはなっていないというふうに御理解願いたいと思います。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 どうして具体的な作業をしないのですか。去年もこれと同じ問題を局長に質問しているわけですが、去年は、目下地域指標作成中であるので、みだりに園芸局長としてこの問題だけを明確にするのは差しさわりがあるということで、私も了承したわけです。ところが、去年のもう十二月で農業生産地域指標というのは公表されておるわけですから、いまの時点ではもうだれにもはばかる必要はないと思うのです。ただ、地域指標を主管しているのは園芸局ではない、官房であるとすれば、そういう点に義理人情で遠慮しているとすれば、これは官房のほうからそういう点を明らかにしてもらいたいと思う。今村企画室長からでも……。
  15. 今村宣夫

    今村説明員 先生のお話のございましたように、地域指標におきましては、生産というものの長期見通しとしまして、また生産需要長期見通しにおきましても、でん粉需要生産見通しではございませんで、農産物中心需要生産見通しを立てていくということでございまして、でん粉自給率がどうなるかという見通しは行なってないわけでございます。農産物中心に将来の需要供給というのがどういうふうになっていくかということを考えておるわけでございます。  製品でございますでん粉につきまして長期見通しを行なうべきではないかというお話につきましては、これは蚕糸園芸局のほうでよく御検討をいただかなければならないところであると思いますけれども、私も詳しくはございませんけれども、おそらく今後のでん粉需要というものは、非常にでん粉需要先が多岐に分かれておるということもございましょうし、あるいはでん粉歩どまりというふうな問題が今後どういうふうに向上していくかという問題もございましょうし、そういうふうな問題から見まして、でん粉そのものをとりました需要見通しというのは非常に現段階では問題をたくさん含んでいるのではないかというふうに考えるわけでございます。   〔藤田(義)小委員長代理退席安田委員長代理着席
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかく二百十万トンのバレイショ生産されるということは目標で明らかなわけです。このほとんど大部分が化工されてでん粉になるわけですから、二百十万トンの原料生産された、さあそれがどうなるかわからぬということじゃ、これは確実な生産目標ということは言えないと思うのです。だから、その辺に農林省の責任回避があると思うのですね。  それともう一つ、地域指標には北海道のてん菜について何ら触れていないわけですね。これは面積からいってもことしも約五万ヘクタール、てん菜の総生産が二百万トン台になっておるわけですけれども、そこからてん菜糖が約三十万トン程度生産される。それからバレイショの七万ヘクタールに対しててん菜が五万ヘクタールの占有率を持っているということになれば、これも相当大きな作目だと思うのですよ。そういうものは全然地域指標に載っていないわけですね。これはどういうわけなのですか。
  17. 今村宣夫

    今村説明員 蚕糸園芸局長からお答えいただくのが適当かとも思いますが、てん菜につきましては、産地が北海道であるということでございまして、てん菜の生産の振興につきましては大いに力を入れていくということは農林省方針でありまして、決して地域指標に書いてないということがてん菜を軽視しておるということではございません。ただ、てん菜は産地が北海道に限られておるということで、一応地域指標の品目といたしましては、数県にまたがるというふうな観点からの取り上げ方をいたしておるわけでございまして、そういうことで地域指標に入れてないということでございますが、長期見通しにおきまして、五十二年の作付面積は四十四年の一・二倍の七万ヘクタールというふうに見込んでおりますし、生産量は一・三倍の二百八十一万トン程度見通しております。これは第三期の北海道の開発計画において見込まれております五十五年の作付面積の七万五千ヘクタール、三百三十八万トンに対応するものでございますが、最近北海道庁におきまして、北海道におきますてん菜の地域指標と申しますか、そういうものにつきまして道の農業会議に現在諮問をいたしまして、作成検討中でございます。したがいまして、北海道のそういうふうな検討と相まちまして、私どもとしましても十分北海道庁と相談をして遺憾のないようにいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは園芸局長に尋ねますが、バレイショは二百十万トンが五十二年の目標生産量ということになるわけですね。そうすると、結局バレイショでん粉についてはおおよそ二十五万トン、これが二百十万トンの原料基礎にした国産バレイショでん粉生産目標であるというふうに理解してよろしいのですか。
  19. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど答弁申し上げましたように、まだはっきりした作業結果というものではございませんが、われわれの解釈では、反収が四十二年のときには二・五トンであったものを三トンというふうに置きかえまして、今後北海道では反収が上がるので、生産量は二百十万トン。これを用途別に見ますと、今後食用の需要が若干増加するということで、でん粉原料は約百二十六万トン前後というふうに見込んでおるわけでございます。  それで、ただ反収が増大するだけでなくて、われわれのほうでも原々種バレイショ農場等を動員いたしまして、食用バレイショの種の配布と相並行しながら原料バレイショの品質の向上にもっとめておりますので、でん粉用の原料イモ歩どまりも相当向上するのではなかろうか。四十四年の実績では一八・二%であったものが、五十二年には相当向上して一九%台に向上するので、バレイショでん粉生産量としましては、ただいま御指摘のように二十四万トン前後、こういうふうにわれわれとしては考えておる次第でございます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 その辺がおかしいじゃないですか。どうして国内生産の伸びることをおそれているのですか。農林省としても可能な限り国内における食糧農産物自給度を向上させるということが仕事でしょう。そうじゃないですか。ことしの結果から見ても、でん粉国産でん粉が年間需要量の三〇%にこれは激減しておるわけですからね。昨年は四〇%、一昨年は五〇%、毎年近ごろは一〇%ずつ自給度が低下しておるわけなんです。農林省じゃこれはたいへんだということに気がつかなければならぬと思うのですね。では五十二年度長期見通しはどうなんだということになると、いま局長が言ったとおり、十アール三千キロにしても、昨年は豊作で三千百キロの実績をあげておるわけだから、あと六年たって三千キロをあるいは上回るというような平年の状態が来るということは、これは予測できるわけですね。それからでん粉の回収率もいまのお話だと高まるということになれば、少なくとも二十五万トンというものを下回ることはないと思うのですよ。それは喜ばしいことじゃないですか。それを二十四万トン前後とか、食用イモ需要がふえる——ふえる分ぐらいは三千トンを上回る収量の増加で十分これはカバーできると思うのです。われわれが国会で聞いているのは、イモでん粉にしても、一体自給度というものをどこに置いて、それを確保するために努力するのかということを中心に質問をしておるわけですからね。それをはずすような答弁では、これは意味がないのですよ。五十二年まであなたが園芸局長をやっておるかどうか、それはわからぬですよ。わからぬだけに、この際荒勝局長の責任において、当然二十五万トンというものは最低目標でありますということを言明できないことはないじゃないですか。
  21. 荒勝巖

    荒勝説明員 われわれ行政的に毎年、過去数年来、国内におきますバレイショあるいはカンショからできますでん粉類について、販売につきましての行政的指導を行なっている次第でございます。行政府があまり販売にくちばしを入れることにつきましては、いささか問題は残っているではなかろうかと思いますが、やはり国内産でん粉の円滑なる供給といいますか、流通のためにいろいろと販売促進をしている次第でございますが、北海道バレイショでん粉の実際の販売等からいたしますと、われわれからいたしますと、相当無理があるのではなかろうかというふうに考えておりまして、先ほど答弁申し上げましたように、昨年の実績がやっとこ販売がうまくいった一つの実績でありますので、それらを勘案いたしまして、バレイショでん粉に対する需要というものはこの程度ではなかろうかというふうに理解いたしまして、多少、数年前に大豊作面積が多かったときなどには、やはり農安法に基づきまして食管特別会計で七万トンものバレイショを買い入れるほか、さらに関係農業団体で調整保管をして相当無理な保管をするというようなことでは、やはり過剰な形でのでん粉を無理につくることはいかがか。むしろ食用バレイショについての需要が今後非常に期待されますので、そちらのほうへむしろ振り向けていくということで行政を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 それは間違いじゃないですか。米のように国内需要を上回った生産が持続しておるという場合には、これはある程度調整する必要があるということはわかる。しかし、でん粉類の場合は、国内需要が百十六万トンある、それに対して三十八万トンだけしかことしは供給ができないというような状態の中で、余って困るなんという現象はないのです。自分の国で生産された農産物が優先的に消化できないなんということは、これは政府として一番恥じゃないですか。行政能力の欠陥があるからこういうことになっておるわけなんですよ。売れないから困るとか、需要がないというのは、とんでもない話ですよ。そこへ追い込んだのはいまの政府しょう。行政欠陥というものを十分反省して、とにかく自国で生産された食糧農産物については優先的に処理する、なおかつ不足な分については、適法に外国から不足分を輸入するということが順序だと思うのです。それを逆にして、まず輸入農産物優先、不足分は補完的に国内生産で充当する、こういう植民地的なやり方というものが最大のガンになっておるわけですから、これを改める必要があるのではないかということをわれわれは常に指摘しておるわけです。そうじゃないですか。
  23. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘があった点でございますが、われわれといたしましては、国産でん粉の優先消化につとめるよう全力をあげて日夜行政を指導しているのでありまして、まず、先ほど御説明申し上げましたように、需給バランスをつくる際にも、一応国内産イモでん粉供給見込み量を立てまして、そして総需要から足りない分を外国産の系統のでん粉で補うという形で整理いたしております。したがいまして、行政的には、ただいま御指摘もありましたけれども、われわれといたしましては、トウモロコシ自身は自由化されておりますけれども、でん粉用トウモロコシに回るものにつきましては関税割り当て制度を設けておりまして、事実上平均四、五〇%になるような高い関税率を課しまして、いわゆるタリフクォータという行政でございますが、それによりまして輸入トウモロコシのチェックをいたしまして、極力その防衛をいたしておる次第でございます。  なおまた、バレイショでん粉につきましては、バレイショでん粉には一つの固有の用途等がございまして、実際は価格との相関関係も相当あるやに聞いておりますけれども、また実際ユーザーの方々の意見を聞きましても、バレイショでん粉にはバレイショでん粉なりに一つの用途がある。使いやすい用途にバレイショでん粉を優先消化していくというようなことで、われわれはそちらの方向へ向けるようにしているような次第でございます。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 くどいようですが、まず自国で消費される食糧の生産を確保する、それを販売を通じて処理する場合はもちろん国産優先、それで不足の場合には必要量だけを、国内農産物生産あるいは農業所得を阻害しないということを前提にして補完的に輸入する、こういうことでやれば国内農産物、各作物においても少なくとも五〇%以上は国内の自給で確保する、こういう原則が確立されるわけですから、その点を間違いないように行政的に運営してもらいたいと思います。  次に、ことしの価格問題に入りますが、農産物価格安定法が生まれたのが昭和二十八年、それから十八年たつわけですね。満で言えば十七年ですか、その間のイモでん粉価格というのはどの程度上昇していますか。価格動向はどうなっておるか。
  25. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど御説明申し上げました資料をお開き願いたいのでございますが、一〇ページの欄でごらん願いますと、横書きの資料でございますが、まずバレイショをかりに例に取り上げて説明いたしますと、昭和二十八年にできました原料基準価格の設定の際に、いわゆる十貫俵でございますが、三十七・五キログラム当たりで二百二十円の実績でございます。それが四十五年、昨年の基準価格ではバレイショが二百八十八円七十銭。その下の欄にありますけれども、二十八年から三十五年までは歩どまりの表現が政府値段の立て方の際に不正確でございましたので、その後バレイショ自身のでん粉歩どまりの向上に伴いまして歩どまりも多少向上してきている、こういうふうに御理解願いたいと思います。  それからバレイショでん粉につきましては、その下の欄でございますが、農安法によってでん粉政府買い入れ価格が、一応精粉で申し上げますと三十七・五キログラム当たりで千九百五十八円であったものが、四十五年には二千二百四十円というふうになっておりまして、途中でごらん願いますと、昭和三十二年から一たんでん粉自身の値段はちょっと引き下げまして、昭和三十七年まではおおむね横ばいで政府価格はきまっておる次第でございます。その後三十八年以降多少横ばい、三十八年に上げて二年間据え置いて、四十年からまた少しずつ上がってまいりまして二千二百四十円、こういうふうになりまして、こういう傾向値をたどっておるというふうに御理解願いたいと思います。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、馬でんの場合には昭和二十八年が三十七・五キロ当たり千九百五十八円ですね。昨年が二千二百四十円でありますから、十七年間に二百八十二円確かに数字は上がっておるのですよ。そうすると、十七年間で一体何%上がっておるのですか。年率にしてどのくらい上がっておるのですか。
  27. 荒勝巖

    荒勝説明員 全体として一四・四%上がっておるということでございます。  年率につきましては、あとで計算して御説明申し上げます。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 十七年間にわずか一四・四ですからね。これはものによっては同じ農産物の中においても一年に一四・四くらい上がるものがあるわけですね。これでいくと、年率〇・八%ということになる。だから、でん粉イモ類に対しては、政府として、価格政策の面からは、農安法成立以来十七年間全く据え置きを原則にしてやってきたと言っても差しつかえないわけですね。  そこで、ことしの価格決定方針はどういうことになっていますか。
  29. 荒勝巖

    荒勝説明員 具体的に非常に作業を急いでおりますけれども、政府部内で事務的に結論を得るといいますか、きょう、明日あるいはあさってというふうにまだ時間をかけて今後折衝をして、最終的に結論を出したいと思っておりますけれども、いまの段階ではどういう見通しかということにつきましても、まだ具体的にはどうもお答えしにくいというようなかっこうでございます。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 一昨日の十月四日の農林水産委員会において私が農林大臣に対して、農安法に基づくイモ類でん粉価格決定告示の時期は十月二十日までということになっておるが、十一日に農林大臣が訪ソするということになれば、出発前にきめるのか、あるいは十六日にソ連から帰国して、それから二十日までの間にきめるのかどうかということを尋ねたわけです。そのとき荒勝局長は、決定については農林大臣出発前に決定して告示する決定であります——出発の前日の十日は日曜日だから、これはおそらくやらぬと思うのです。そうなれば、九日は土曜日、結局局長の考えとしては、土曜日も半日休みということになるので、八日の晩あたりまでにきめたいという考えじゃないのですか。
  31. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御推測のように、私たちといたしましては、先日の農林水産委員会で大臣が御答弁されましたので、八日、いくらおくれましても九日中にはきめるよう努力してまいりたい、こう思っております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 八日にきめるということは、あさってですからね。明日は参議院の農林委員会いもでん粉委員会が開かれるわけです。何しろこれは日がないのですね。ですから、順序として作業は相当進んでいなければならないのです。きめる前に、農安法の定めるところによっても生産者団体の意見を聞いて、意見を尊重してきめなければならぬということになっておるが、これは毎年指摘する点ですが、政府決定以前に生産者団体に対する意見聴取というものは完全に行なわれていないと思うのですよ。もう年じゅう顔を合わせているから、その間において大体言わずもがなで生産者側の意見も聞いておるし、こっちの感触も伝えてあるということで、毎年これはごまかしておるわけですけれども、ことしは正確にやってみたらどうですか。やる場合も、農安法に示されておる、いわゆる生産者団体、この団体から具体的な価格決定上の意見だけを徴して、それを尊重してきめるというやり方にするか。決定前に農林省の案というものがまとまるわけですから、それをあらかじめ生産者団体に示して、それの意見を徴して、最終的には農林大臣が適正に価格を決定するということにするのか。いずれにしても、これは意見を聞かないというわけにはいかないわけですから、その場合、どういう意見の聞き方をするか。
  33. 荒勝巖

    荒勝説明員 四、五年前だったかと思いますが、やはり農林水産委員会芳賀委員からその点について強い御指摘がございまして、その後農林者としても、一応最終的に政府価格を決定する前に関係団体の意見を徴するということになっておる次第でございます。  ただ、実際問題として、値段がきまる時点が、いま夜中に及んだり、深夜までもめてなかなかきまらない場合等もございまして、具体的に農業関係者の意見を聞く機会が、あるいは多少形式的になる可能性はあるわけでございますが、私の記憶する限りでは、実際問題としまして、最終的に農林大臣の最終決裁をいただきます前に、必ず農業団体あるいは関係団体に来ていただいて意見を聞くことになっておりまして、決して手続上、関係団体の意見を無視しているということにはなっていないことだけは、お含みおき願いたいと思います。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合、単に意見を形式的に聞くにとどめるか、農林省が決定前に案をまとめるわけですから、その案を示して意見を聴取して、その意見を十分尊重して農林大臣が決定するか。どういうやり方をするわけですか。
  35. 荒勝巖

    荒勝説明員 毎年、具体的にある程度農林省の案が固まりました段階で、価格等を十分説明して意見を聞くような形になっておりまして、各団体から、きょう実は持ってきてはおりませんけれども、意見書はもらっておりますが、一〇〇%といいますか、完全に賛成ですというような御意見のものは少ないのではなかろうか。やむを得ませんとか、あるいは不満ながら今後よろしくお願いしますというふうな意見書でございまして、その辺につきましては、意見を聞いたけれども、まあ農林省としてはやむを得ず最終的には原案で踏み切るということが事実でございます。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば米審に諮問する場合も、あらかじめ農林省としての価格上の試算をしたものを示して、そして審議の具に供するということになっておる。だから、ことしはぜひ農林省として最終的にまとめた案というものを生産者団体に示して、それに対する意見を聞く、あるいは生産者団体の独自の意見も聞くという形で慎重にきめる必要があると思うのですよ。そうじゃないですか。何もこっちの案を示さぬで、おまえさんのほうについては大体五〇%しか意見は聞きませんよ、まあひとつがまんしてくれというんじゃ、これは聞いたことにならぬと思うのですがね。
  37. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま芳賀委員から御指摘がありましたように、われわれと関係団体の間で日夜の折衝がございます関係もありまして、あまり形式的に、米審のように資料を配付して意見を聞くというようなかっこうにはなっておりませんが、相当毎日のように関係機関の事務の当事者に来てもらいまして、実はその方を通じていろいろな意見は聞いておる次第でございます。当然農業団体のほうからも大幅な値上げは要求されますが、われわれとしましては、その辺の事情は十分勘案しながら、イモでん粉の将来の健全な発展ということを念頭に置きながら価格を決定している次第でございます。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 では、あまりなれ合い的にならぬように、ひとつ真剣に——生産者団体といったってちゃんと法律にうたってあるでしょう、省令できまっておるわけですね。調整保管団体であるまず全販連ですね、特に農政問題の担当である全中、これらの団体の代表ということになれば、おのずから会長ということになるでしょう。そういう首脳者を呼んで、こういう案が出たが、おまえさんのほうの意見はどうだというようなことで、決定権は農林大臣が持っておるわけですから、そういうルールでぜひことしは明確にやってもらいたいと思います。  そこで、農安法の政令附録第一によるパリティ計算による価格というものが、これが基本になることになるのですが、ことしはパリティの上昇率等については毎月農林省から発表されておりますが、この算定上必要なパリティの変化というものはどうなっていますか。  それからまた、パリティ計算をする場合の分母となる平均パリティ指数、それから分子となるパリティの指数等をどういうふうに採用するか、その点もあわせて説明してもらいたいと思います。
  39. 荒勝巖

    荒勝説明員 まず、先ほどお渡しいたしました資料のパリティの欄、最後の一五ページでございます。四十五年の八月の欄をごらん願いますと、これが二一六・二九というパリティ指数でございます。バレイショの場合を例にとりまして御説明申し上げますと、附録算式第一式でございますが、その場合に、分子に最近似値のパリティを置くということで、四十五年八月末のパリティの二一六・二九を分子に置きまして、さらに、このバレイショでん粉の出回り期間である四十五年の九月から四十六年三月までのパリティをとりまして、それを分母といたしまして、二〇八・〇二というものを分母に置いておきまして、その上昇率といいますか、その結論は一〇三・九八という率でございまして、それを附録式の第一式として適用いたしたい、こういうふうに考えております。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの説明によると、これは昨年と同じ方式ですね。政令に定められておる価格決定年の前年の九月から価格決定年の農林大臣の定める月までの平均パリティ指数を分母にする、そして決定年の農林大臣の定める月のパリティ指数を分子にする。去年も、分母は前年の九月から決定年の三月までの平均パリティ指数、分子は決定年の八月のパリティ指数ということでやったわけですから、いまの説明からいうと、去年と同様の算式で計算するということですか。
  41. 荒勝巖

    荒勝説明員 昨年と同様の計算方式でございまして、政令も全然改定いたしておりません。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると、昨年のバレイショ並びにカンショでん粉政府買い入れ価格というのは、これはもう明らかにされておるわけですから、それを昨年の基準価格に対してパリティ指数を乗ずるというわけですから、それは幾らになるわけですか。バレイショでん粉カンショでん粉、それぞれ三十七・五キロで、あるいは一トンでもいいですよ。
  43. 荒勝巖

    荒勝説明員 でん粉の計算にはまだ歩どまりとかいろいろございますが、バレイショ自身の計算の附録算式でいきますと、昨年、四十五年産バレイショは、具体的には七千七百円で最終的に基準価格をきめましたので、それに一〇三・九八の先ほどの指数をかけますと、八千六円という計算になっている次第でございます。  三十七・五キロでいたしますと、一応昨年が二百八十八円七十銭でございましたので、それに一〇三・九八を乗じますと、三百円四十銭という計算になっております。これは先ほどの八千六円と申し上げましたのを一応まるく押えまして、八千十円というふうに多少四円ほど切り上げまして、それを三十七・五キロに換算いたしますと、三百円四十銭というふうになるわけでございます。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 そうしますと、この附録第一に基づいた、いま局長説明された価格というものは、これが最低の政府案、一番低い政府試算というように考えていいですか。
  45. 荒勝巖

    荒勝説明員 一応法律的に、政令で定むる算式によって算出された価格ということで、パリティ指数で計算されたる金額を基準として、その他附録二式あるいは経済事情を参酌し、かつ再生産確保を旨としてきめるということになりますので、一応基準にはいたしまして非常に尊重せざるを得ない数字であるとは思いますけれども、これが最低であるかどうかにつきましては、まだ今後内部でも議論をいたしてみたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 いずれにしても、これは法律に基づく政令に定められた附録第一算式であればこうなるわけだから、遺憾ながらというわけにも何にもいきませんでしょう。  そこで、毎年議論しておる点ですが、分母となるパリティのとり方についても、これはでん粉価格は一年ごとにきめるわけですから、十二月たつごとにきまるわけですから、一年間の、前年度に対するパリティの変動率というものは、いまのパリティ計算では正しく反映できないのじゃないかということを、これはもう毎回指摘しているところなんですよ。そこでこの際、一年間の変動係数を用いた場合にはどれだけになるかということを示してもらいたいと思います。これはこの一五ページの農業パリティ指数の表を用いてもできると思うのですね。たとえば四十四年の年間の平均パリティ指数と四十五年の年間平均パリティ指数を用いて、これで年間の変化率というのが出てくるわけです。あるいはまた、簡便に行なえば、四十四年に属する——これは詳しくいえば、結局四十五年八月パリティと四十六年八月パリティを用いて、これで前年に対する変化率を求めるということもできるのですね。この答えはそう変わらないと思うのですが、それはどういうことになるのですか。
  47. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま手元にあります計算値で一応計算したものが芳賀委員の御指摘の分とたまたま合うものが一つございますので、答弁申し上げますと、四十六年の八月末パリティを分子とし四十五年八月末パリティを分母としますと、分母は二〇二・四六、分子が二一六・二九で、その結論は、八月、八月のパリティで出しますと、アップ率が一〇六・八三、こういうことになっております。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 それはそのとおりだと思います。それから年間平均パリティにしても、四十四年九月から四十五年八月までの年間平均が、表にもありますとおり一九七・四八、それから四十五年九月から四十六年八月までの平均が二一〇・八九。これでいっても一〇六・七九ですから、整理すれば一〇六・八。局長の言われたのも一〇六・八だから、大体変わりはないと思うのです。  そこで、昨年まで用いましたパリティ方式でいうと一〇三・九八、まるめて一〇四の変化率しか出てこないわけですね。正確に一年間の変化率ということになれば一〇六・八ということになるわけですからして、変動指数においても相当相違が出てくるわけですね。だから、一〇六・八を用いた場合には、ことしの価格は幾らになりますか。一〇四の場合に、いま言われたようなトン当たりで八千十円、三十七・五キロで三百円四十銭ですね。それを正確な指数である一〇六・八でやった場合にはどうなるのですか。
  49. 荒勝巖

    荒勝説明員 あまりどんぴしゃではございませんが、一応一〇六・八二という数字がございます。実はこれは一月−八月、一月−八月をとったもので、それで計算したものでいたしますと、バレイショの場合は三百八円四十銭という数字になっております。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、一トン当たりにすると八千二百二十四円になるのですね。それから三七・五キロにすれば三百八円四十銭。いま局長の言われた数字から見ても、これはやや合致するわけなんです。だから、同じパリティによる算式にしても、いまの政令はインチキなんですよ。一年間の変化率を求めることができないような政令になっておるわけだから、政令を改正しない限りこれは当然正確なものにならないわけです。一年間の変化率を求めた場合には、いまの政府が閣議できめた附録第一は、生産価格を正しく算定できない内容のものになっておるわけですからして、この点は決定までに閣議を開いて政令改正をやればできるわけですけれども、大臣もきょうは宮崎で一日内閣をやっておられるのではなかなか間に合わないかもしれないが、しかし、ことしの価格決定の場合には、そういう政令の附録第一にしても第二にしても、ことさらに農安法の目的に反して、原料イモ価格あるいはでん粉価格を低めに押えるために作用しておるということだけは十分頭に入れて、それを最大限に是正するように努力してもらいたいと思うわけです。  それから次にお尋ねしたい点は、この附録第一が基準になるわけですから、あと附録第二の算式というものは、参考的に勘案事項として用いるということになっておるわけですが、それらの勘案事項のどれ一つを取り上げてみても、価格引き下げの要素になるというようなものは何一つないと思いますが、その点は局長も同一意見だと思いますが、いかがですか。
  51. 荒勝巖

    荒勝説明員 附録第二式の計算でございますが、これにつきましては、結論だけ申し上げますと、一応われわれの計算では、二式で算出されたる金額というものはトン七千四百五十五円ということで、むしろ参酌事項といたしましては計算上引き下げ的要因になっているというように御理解願いたいと思います。さらに、四十六年の推定生産費につきましても、昨年の四十五年の経営パリティを置きかえて計算いたしますと、これも七千七百八十七円というふうに、多少引き下げ的要因になっているというふうに御理解願いたいと思います。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 トン当たり七千四百五十五円というけれども、去年の七千七百円よりも相当下回るわけですが、何を材料にしてこういう低い数字が出るわけですか。
  53. 荒勝巖

    荒勝説明員 こまかい数字に触れますので、担当課長から間違いのないように御説明申し上げたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  54. 田中宏尚

    ○田中説明員 附録第二式では、政省令に基づきまして、過去三カ年の生産価格をまず計算する必要があるわけでございますけれども、これは最近三カ年の加重平均価格で七千三百六十七円と出ているわけでございます。これに対しまして最近時の物価修正をしているわけでございますが、これが卸売り物価指数で四十三年九月から四十六年八月分の四十六年八月という指数でとりますと、一〇一・六%。それから、算式上のカッコの中でございますけれども、ここでは、最近三年間の平均供給量と四十六年の見込み量との差の比率に対しまして弾力性係数をかけたわけでございますが、最近三カ年の平均供給量につきましては、これは実績が出ておりまして、二百二万三千トンと相なっております。次に、推計要素が入ってまいりますのは、四十六年の見込み供給量が幾らになるかということでございますが、これは先ほど作況指数等で話がございましたように、生産量として百七十四万五千トン見込んでおりまして、このうち原料として商品化する率がどの程度であるかという指数を最近三カ年平均でとりますれば、九二・九という指数と相なりまして、結果的に四十六年産イモからでん粉に向けられる量といたしましては、百六十二万一千トンと相なるわけでございます。このほかに、いろいろ議論のある点でございますけれども、政府手持ちの馬でん七万トンが、今年度の全体需給の中で売り渡し可能性というものが相当出てきておりますので、これのイモ換算した四十一万二千トンを足しますと、四十六年度の総供給潜在能力と申しますものは二百三万三千トンと相なるわけでございます。  それから弾力性係数につきましては、従来から用いております〇・七二二という指数を使いまして、以上の諸数値をかけ合わせますと、結果的にただいま局長から御説明ありましたように七千四百五十五円。それから貫にいたしまして二十七円九十六銭という数字に相なろうと思います。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 結局、政府手持ちの七万トンを四十六年の原料イモ供給量に加えるからそういうことになるのでしょう。正確にやれば百六十二万トンが四十六年の原料イモとしての供給量だから、この百六十二万トンから三年間の平均供給量の二百二万三千トンを引かなければならぬわけですね。これはプラス要素になるわけなんです。ところが、これに七万トン加えるから二百三万トン。二百三万トンから二百二万三千トン引くということになるわけですから、わずかであるけれども、これは若干のマイナス要素というものが出てくるわけですね。それに弾力性係数というものをかけるということになる。これは以前もときどき政府としてこういう手法を試みる意図を示したことがあるが、それは正しい方法じゃないじゃないか。なぜならば七万トンというものは、これは農安法に基づいて政策的に政府が買い入れして凍結しているわけですから、ことしは馬でん十八万トンないし十九万トンということになるし、甘でん、馬でん合わせて三十八万トンぐらいです。こういうふうに国産でん粉供給量が極端に低下するということになれば、不足分はまたコーンスターチがとってかわるわけだから、なかなか一回占めた実績というものはもとに戻らぬですから、そういう政策的な見地から、国内でん粉価格を圧迫しない、消流を阻害しないということを前提にして政府の手持ちを加えないと——これは政策的な目的として決してわれわれ反対するわけではないのですよ。その場合も、四十六年度政府が法律あるいは政令に基づいて正しく決定した価格とか消流を阻害するということではいかないわけですからして、その点を混同しないように。七万トン加えれば、これは大きなマイナス要素を使うわけだから、附録第二においては昨年の基準価格を下回るような数字が出るとしても——これは邪法ですからね。こういうことを政府がやろうとしたことは確かにあるが、これを価格決定上に正式に採用してことさらに価格を引き下げるということは、まだやった前例はないのですよ。これは局長のほうが知っているのですよ。ことしもそういうインチキをやらぬようにしてもらいたいと思うのです。このインチキさえやらなければ、附録第二あるいは各勘案事項、それから農林大臣が勘案するrについても、北海道作況指数についても、きょうの説明だと、大体平年作に対する指数一〇二ないし一〇五に好転するという、これはけっこうな話です。とれるにこしたことはないのです。しかし、それにしても、昨年よりも十アール当たり農林省の公表されたものによると六百キロ違うのです。十アール六百キロ去年よりも減収しているわけですから、今度好転したとしても、十アール当たり大体五百五十キロ昨年と相違があるわけです。だから、ことしの価格をきめる作況の実態というものを無視して価格をきめるということはできないと思うのですよ。だから、統計調査部の行なっておる生産費というものを基礎にして四十六年度の推定生産費をはじいた場合においても、どういう数字収量等に使ったかわかりませんけれども、七千七百八十七円という推定生産費価格がいま局長から示されたわけですからね。そういう点は一体どうするわけなんですか。特に四十六年の推定生産費の場合、これは統計調査部長から説明してもらいたいと思うのです。四十五年のは公表されたからわかりますよ。四十六年の推定をやる場合に、北海道におけるバレイショ反収というものは、十アール当たり、先ほど言ったように、六百キロ減収しているわけです。二〇%去年の実収よりも落ちているわけだ。それは百数十戸の調査農家の反収も同じように二〇%なら二〇%減少しておると思うのですよ。そういう収量減少傾向というものを正確に四十六年の推定生産費の中に織り込まないと、これは正確な推定生産費というのは出てこないわけです。こういう点は抽象論ではないわけですからして、明らかに推定生産費の場合、物価修正は一体どうしたとか、収量修正は去年に対してことしはどういう収量を採用したとか、そういう点を詳しく説明してもらわないと、推定生産費がこうなりましたと言われても、了解できないのですが、その辺をもう少し具体的に、資料があれば資料をこっちに示して説明してもらいたい。
  56. 田中宏尚

    ○田中説明員 ただいま局長から御説明いたしました七千七百八十七円と申しますのは、ただいまわれわれが事務的にいろいろな案を検討させられております中の一つでございまして、それでその数字の計算の基礎につきまして若干御説明いたします。  四十五年度実績生産費は、統計のほうで、先ほど来いろいろ資料に出ておりますとおり、公表になっておりますので、それにつきまして地代等を除きます一般の経営費につきましては、農業パリティの経営指数で最近時点に物価修正をいたしまして、それからそれで出てまいります十アール当たり生産費というものを十アール当たり平均収量で割って、キログラム当たりの単価を出しておるわけでございます。いま芳賀委員からも御指摘がありましたように、平均収量のとり方についていろいろ過去にも問題があるわけでございますが、ただいまお話ししました七千七百八十七円の計算の基礎としましては、四十五年の実績では三トン四百十六キロの収量でございますけれども、これは非常に豊作で恵まれた年の収量でございますので、これを修正いたしまして、二千七百五十九キロということで、大体四十四年度実績と横並びの反収でございますけれども、これで反当生産費を除しまして、トン当たりなりキログラム当たり生産費というものを出しておるわけでございます。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 去年は統計調査部調査農家の平均反収はいま言われたとおり三千四百十六キロ、北海道の実収平均収量は三千百キロですからね。これを統計で公表しておるわけだが、十アールで三百二十キロ違うのですよ、調査農家反収といわゆる実収量との差というものが。ことしの作柄は昨年の三千百キロに対して八〇%というふうに統計調査部は公表しておるわけですからして、昨年の実収の三千百キロに対して八〇%であれば、調査農家の三千四百十六キロに対してもやはり八〇%の指数を使うのが正当だと思うのです。そうなれば、それは十アール二千五百三十三キロということになるわけですね。こういう点は正確にやってもらわぬといかないのですよ。数字の魔術で、当然上がるべきものが上がらないとか、あるいは下がるということのないように、生産費を用いる場合には、いつ説明を求められても、数字の上でこうやったからこうなりましたというふうな解明ができるようにぜひしてもらいたいと思います。  もう一つ、生産費の場合ですね、この労働費については、これは農村の日雇い労賃を使うということになっておるわけだからして、ここを修正しなければ実態に合わないわけですよ。だから、たとえば米価方式でいけば全国の製造業の平均労賃、あるいはまた加工原料乳の不足払い法に基づけば主要な生産地の製造業の労賃。こういうことになれば、バレイショの場合には北海道の製造業の労賃ということにこれを置きかえなければ、推定生産費として実態に合致した生産費というものを求めることはできないと思うのです。だから、こういう点はまだ時間的余裕があるわけですから、附録第二式を使う場合においても、確実性のあるものをぜひ算定するようにしてもらいたいと思います。  それから農林大臣が勘案する事項についても、特に冷害対策の問題等もやかましく言われておるし、カンショの主産地である南九州においても毎年二〇%あるいは一八%程度面積が激減しておるわけでありますからして、これも全然カンショ生産されなくてもいい、大豆並みになってもいいというようなことは農林省としても考えておらないと思うのですよ。カンショの場合の生産費を見ると、昨年の基準価格の三十七・五キロ、四百円よりも若干上回っておるわけですね。そういう点から見ても、カンショについてはバレイショ以上に相当大幅な引き上げをしなければいかないのじゃないかと思うわけです。そういう点について今回は、小委員会はきょう一日限りということになっておるわけだから、局長から詰めの答弁として、具体的におおよそ昨年のバレイショカンショ、さらにバレイショでん粉カンショでん粉等についてもどういうことになる見通しであるか、特にでん粉については原料代が上がれば当然上がるわけだし、でん粉の加工経費については、数年前から農林省生産者団体の共同調査の結果に基づいて的確な加工経費を計上するということになっておるわけですからして、これらは正確に反映すると思うのですよ。  もう一つ、ついでですから。でん粉の加工経費を計上する場合に、副産物収入というのがあるでしょう。これはおそらくマイナスにはなっていないと思うのですよ。しかし、実態は副産物といったって、これはなまかすしかないわけですから、なまかすの問題にしても、公害対策の一環として、北海道などにおいてはほとんどの合理化でん粉工場がなまかすのままの処理はもうできないわけですからして、それを乾燥して飼料化するとか、いろいろな方法を用いてこれを工業的に処理しておるわけです。しかし、この製造されたなまかすの製品というものは決して収益は上がらないのですよ。私のところでやっておる合理化でん粉工場においても、毎年なまかすの加工部面においては損失が出ておるわけですからして、そうなると、なまかすを副産物ということになれば、副産物収入というのはマイナスということになるわけです。これは田中課長も北海道調査してそういう事実というものはちゃんと掌握しておると思うのです。だから、昨年までは副産物はプラスとして収入に計上されたが、ことしはその実態というものを十分調査の結果に立って、このマイナスの副産物収入に置きかえるようにしなければ、正確なでん粉価格というものは形成されないと思うのですよ。いま言った幾つかの点に対して局長から具体的に説明してもらいたいと思います。
  58. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま来私なり担当課長から御説明申し上げました計数上の話は、一応いろいろな作業過程におきまして、出ております政令なりその他の手続によって計算されましたる数字を率直と申しますか、そのままなまのままで申し上げた次第でございます。  この原料輸入についてのパリティ・アップの価格あるいは附録第二式あるいは生産費の修正による事項は、すべてこのあとの二つにつきましては参酌事項でありまして、その辺をめぐりまして政府原案の作成について、そのほかのいろいろな資料等も用いまして現在検討中でございまして、まだ具体的に結論を得ていないというかっこうでございます。  さらに加工につきましても、御指摘のように、原料イモから計算されましたるものを適正なる加工賃で計算いたしまして、でん粉値段をきめることになるわけでございますが、加工賃につきましては、私のほうと関係農業団体と共同で調査しておりまして、それほどひどい話にはならないのじゃなかろうかと思います。こういうふうに理解をしておる次第でございます。  なお、ただいま御指摘のありましたえさ用の副産物処理につきましても、われわれのほうといたしましてもいろいろな資料は用意しておりますので、それにつきましても一応検討させていただきたい、こういうように考えております。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 私の言った加工費の関係の副産物ですけれども、これは先ほど農業団体から陳情がありました際の資料によってもプラスになっておるのです。収益上これは若干のプラスになっておりますね。こういう点はおかしいと思うのですよ。だから、昨年の実績から見ても、たとえば合理化でん粉工場でなまかす処理をやっているところと、その部分でプラスになった、そういう収支が出ておる工場があれば、具体的に明らかにしてもらいたい。おそらくそういうところはないのですよ。はなはだしいところはなまかすの処理、加工によって相当の赤字が出るわけだからして、それを補てんするために逆に原料イモイモ代金についても影響を与えるような、そういう工場の決算をしなければならぬというような工場も中にはあるわけですね。そういう実態というものを把握しないで、とにかく副産物だからといって、結局計算上はそれはプラスになるんだというような既成概念だけにとらわれて、こういうプラスの数字を、しかも陳情書にまで持ち出すなんというのは、全く実態を知らぬ者の作成した資料だと思いますね。それに農林省園芸局の各担当課長はじめ専門家が実態を調査しているわけだから、こういうずさんなものは出てこないと思うのですね。その辺はでん粉の加工経費を取りまとめる場合には、その点は荒勝局長にしても田中課長にしても念頭に置いてやってもらわなければいけないと思うのですね。その点について明確にしてもらいたい。
  60. 荒勝巖

    荒勝説明員 加工賃につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、関係団体と共同しまして調査いたしておりまして、われわれのほうと関係団体との間にそれほどひどい大差のある数字になるとは私自身思っていない次第でございまして、これは過去二、三年来一応のルールがお互いにできておりまして、その線に沿ってやっていきたいと思っております。  また、ただいま御指摘がありましたように、副産物につきましては、関係団体のほうからも出ておりますが、われわれのほうの資料等によりましてもある程度、場所によりましてはやはり副産物収入があるものもございますので、その辺等はやはり適正なる形で見込んでまいりたいとは思っておりますが、ただいま芳賀委員から御指摘のありました点につきましても、よく原簿等をもう一ぺん調べ直しまして、適正に処理してみたいと思っております。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 いまのなまかすの問題ですけれども、なまかすのままで処理する工場があるとすれば、それは価格が安くても販売しただけ収入になるのですから、そういう工場が全体の中で何割かあったとしても、でん粉価格をきめるということになれば、公害対策を完全にやってなまかす処理がマイナスになっておるその工場も総合して平均的な経費というものを結局出すわけでしょう。そういうことになるわけでしょう、公害対策の施設をやった工場等はそのまま見るというわけではないのですね。その点を間違えないようにしてもらいたいと思います。  あと、時間の関係もありますので、今後の運営上の大事な点についてだけ若干政府方針を明らかにしてもらいたいと思います。  特に毎年のように原料イモ価格をきめる場合のでん粉歩どまり基準を上げておるわけですね。去年も一六・五から一七%に上げておる。実際田中課長が北海道を回ってみて、いまある原料イモでん粉含有量が逐年向上しておるかということになると、なかなかそういうことになっていないでしょう、なっていないですよ。歩どまり指数だけがどんどん先に上がってしまって、実態はそれに追いついていかぬというのが事実です。ことしは特に六月十三日に北海道の畑地帯に相当強烈な凍霜害がありましたので、豆類にしても、地上に生育しているイモの葉茎にしても、ほとんど被害を受けておるわけですから、生育の遅延とか日照不足とかいろいろな関係で、ことしは昨年に比べてでん粉歩どまりは低下しておるということは事実であります。それはことしの問題ですが、今後このイモ類バレイショにしてもカンショにしても抜本的に品種改良を行なう必要がある。そうして品種の改良を通じて全面的な種子の更新をはかることによって相当の生産性の向上というのは期待できるわけだから、生産性が上がればコストダウンということになるならば、これは政府としては最も好ましいことになると思うわけです。こういう点についてやはり農林省としていま一段イモ類の品種改良とか種子更新等に対しては熱意をもって取り組む必要があるのじゃないか。  それからもう一つは、外国製の農業用トラクターの輸入です。この問題が畑作地帯においては特に要求が強いんですよ。それはたとえば農林大臣の先般の農林委員会における、アメリカにおける日米経済閣僚会議の報告を聞いても、関税の引き下げを行なう。その中に農産物関係では大豆を筆頭にして——大臣の意思としては、大豆関税は無税にするという考えを固めておると思う。そうなると、輸入農産物は関税面においても引き下げを行なうというような傾向になってくれば、結局生産手段である大農機具等についても、できるだけ優秀な耐久力のある能率的な農機具というものを、国産ではまだ不十分であるという場合には輸入しなければならぬということになるわけです。この関税が相当高率なわけですね。だから、一方において大豆の関税を現在よりも下げるというようなことを考えておるとすれば、農業生産手段である大農機具等についても並行的に輸入関税の引き下げということは、これは当然だと思うのです。こういう点について一体どう考えておるか、まずこの点について説明を願いたいと思います。
  62. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 第一点の御質問の品種の改良の点につきましてお答え申し上げます。  御承知のように、特にバレイショにつきましては北海道並びに暖地二期作のために九州のほうに育種の拠点を設けておりまして、北海道におきましては根釧の道立農業試験場に指定試験を置いております。それからもう一つ御承知の恵庭市島松の北海道農業試験場に畑作第二研究室というのを置いております。これがやはりバレイショの品種育種をやっておるわけでございます。今後の育種の目標というのは、御承知のように、またいま御指摘のように、でん粉原料としてのイモにつきましてはでん粉含有量を高めるということが第一でございます。もう一つ、収量を増すということも大きな目的の一つになっております。それからもう一つ大事なのは、病害につきましての抵抗性をつけるということを中心に努力をいたしたわけでございます。これは特に飼料用につきましては、根釧のほうが重点になると思います。飼料用としてあるいはでん粉原料としての育種は、根釧のほうが中心になると思いますが、道南あるいは内地のほうにも向けまして北海道農業試験場の畑作第二研究室で食用あるいは加工用のバレイショの育種をやっておりまして、われわれもそれに相当力を入れているわけでございます。  それから暖地向けのものにつきましては、御承知のように、長崎県に愛野というところがございますが、ここに指定試験を置きまして暖地二期作のためのバレイショの育種に努力いたしておる次第でございます。
  63. 荒勝巖

    荒勝説明員 バレイショ生産の普及につきましては、御存じのように、国として地域特産農業ということから昭和四十五年度までに四カ年間かけまして、バレイショについては百二十一地域を指定いたしまして、国庫補助金としましては四億一千万円を採択いたすほか、他局関係ではございますが、農業構造改善事業とか、あるいは私のほうでは畑作地域集団営農パイロット事業等を引き続き興しまして、生産性の向上をはかっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  その際、われわれといたしましては、この地域特産農業の中に、生産手段といいますか、機械の導入についても補助金を交付し、さらにそれを集める集出荷関係の設備についても補助しておりますが、ただいまの外国産機械についての関税の問題については、いま御指摘がございましたわけでございますので、帰りまして御指摘がありました点についてよく調べてみたい、こう思っております。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 トラクター関係の関税は、これは園芸局でやっているのですか。
  65. 荒勝巖

    荒勝説明員 これは農林省では、一応農業機械関係の関税率につきましては、トラクター自身が搬用機械でもありますので、あるいは間違っているかもわかりませんが、農政局で所管されておられるんではなかろうかと思います。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 これはぜひ内部検討して実行してもらいたいと思います。食糧農産物について自由化は進める、関税は下げる、農業の近代的な生産手段である輸入トラクターはじめ優秀な大農機具については関税は下げない、これは農民としては全く納得のできないことですからね。それほどにして自国の農業を苦しめる必要はないと思うのです。  その次は、だめ押しをするようですが、自由化に関係して精製糖、ブドウ糖あるいは精製でん粉ですね。こういうものの自由化については農林省としては、先日の農林大臣の説明からいうと、現在そういうものについては考えておらぬということでありましたが、担当の園芸局長としてはどう考えておりますか。
  67. 荒勝巖

    荒勝説明員 でん粉類の自由化につきましては、この七月以来各種農産物の自由化作業が相当農林省内部でも検討された中にありまして、でん粉の自由化についてはやはり非常になお慎重なる検討を要するということで、この八月から九月にかけての農林省の内部作業といたしましては、でん粉なりブトウ糖の自由化は今回はいたさないという方針で現在おるわけでございます。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、関税の関係ですが、昨年の二月にトウモロコシ等については関税定率法の改正を行なって、三年間暫定措置として昭和四十八年三月まで弾力関税を適用するということになっておるわけですが、もう来年度は四十七年度ということになっておるわけですからして、これについても三年間の時限でもとに戻すということはないと思いますが、先ほどのイモでん粉長期見通しから見ても、今後相当の期間これらの制度というものはむしろ強化して継続する必要があると思うわけですが、これに対してはどういう考え方を持っていますか。
  69. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいまの輸入トウモロコシからつくられますコーンスターチの系統の関税率でございますが、これはただいま御指摘のように、四十八年の三月末まで一応有効ということで継続されることになっております。この制度を行ないますことによりまして、ただいま、安い輸入コーンスターチ国内産イモでん粉とを抱き合わせ販売することによって、ある程度国内産イモでん粉のほうに寄与しておるのではなかろうかと、私自身そう考えておる次第でございますが、その当時この新しい関税率を採択する際に、関税率審議会におきましても、この次改定する際には抜本的にイモでん粉対策について政府はやるようにすべきであるという附帯決議がつきまして、その関税率審議会だけの文章を読む限りにおきましては、引き続いてさらに延長ということは何らかの形で困難ではなかろうかというふうな趣旨にも読める決議でございますが、農林省といたしましては、この次の改定時期までにさらに国内産イモでん粉の育成、強化のために何らかの多少の手直しといいますか改正すべき点は改正いたしまして、今後引き続き国内産イモでん粉の振興に寄与するよう努力してまいりたい、こう思っております。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 もちろん関税率審議会の機能というものはあるが、局長は関税率審議会のいまの構成メンバーをどう見ているのですか。もちろん、これは大蔵大臣の諮問機関でしょう。この構成員というのはまず外務省の古手官僚ですね。それから財界の代表でしょう。農業関係というのはその中の一割もいないわけですね。米審よりもまだ生産者側あるいは農業関係を代表した審議会委員というのは少ないのですよ。それもまた強力な発言でもやってくれればいいのに、それほどでもないということになれば、関税率審議会なんというものはこれは政府の一つの付属機関にはなっておるが、そういうものの方針とか論議というものはあまり気にする必要はないと思うのですよ。やはり堂々と議論するときは出て行って、それこそ日本の農業を守る、食糧政策から見てこれはこうしなければいかぬというようなことは、やはり農林省の意見くらい、審議会を通じていつでもまかり通るというくらいにひとつやってもらいたいと思います。  それからこのついでですが、コーンスターチ用のトウモロコシの関税割り当て等は、これは農林省の中で園芸局がやっておるわけでしょう。そうだと思うのですよ。そのほか加工原料用としてはコーングリッツあるいはコーンミールあるいはコーンフラワー、こういうものもトウモロコシを原料とするわけですから、この扱いはどこでやっておるのですか。
  71. 荒勝巖

    荒勝説明員 これは経済局の食品油脂課のほうで一応割り当て事務を行なっておる次第でございます。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 それはいいが、これは同じような方針でやっておるわけですか。たとえばコーンスターチ用のトウモロコシについては国会等でもなかなかやかましい。年間の需給計画に基づいて、無税ものとか抱き合わせとか、われわれが見ても相当苦心して関税割り当て等の運営はやっておると思いますが、数量はコンスの原料よりも少ないと思います。経済局で扱っておる原料トウモロコシなんかは、われわれの聞くところによると、こっちのほうは申請をすればもう何でもオーケーだ、むしろたくさん輸入したほうがいいというような気配があるということも聞いておるわけです。そういうことになれば、農林省の中において、同じ原料トウモロコシを輸入する場合においても方針が違うんじゃないかと思うのです。われわれとしては、できるだけ関税制度の運営においても、必要最小限度にいまの制度の中で原料トウモロコシ等の輸入は規制すべきである、こういう方針の上に立っておるわけです。そういう中で、農林省において、これは、事実かどうかは明らかにしてもらえばいいわけですが、経済局関係原料トウモロコシの扱いは非常にゆるやかであるというようなことでは、それがまたコーンスターチ原料に流れぬとも限らぬと思うのです。そういう内容はどうなっているか。これは一元的にできないものかどうか。同じトウモロコシが入ってきて、それを用途によってコンス用とかコーングリッツに使うとかということになるわけでしょう。何ら原料トウモロコシに変わりはないわけですよ。家畜のえさ用については無税で入ってくるわけだし、これは、保税で十分その飼料用に処理されておるかどうかということを確認するために、昔からこれは畜産局で所管しておるわけですが、これは農林省の内部事情ということになるが、この際内容を明らかにしてもらいたい。
  73. 荒勝巖

    荒勝説明員 農林省におきまして、ただいま御指摘のように、私のほうでコーンスターチ用のトウモロコシの割り当てを行ない、それから経済局ではコーングリッツあるいはフラワー等の割り当てを行ない、それぞれの所管業種別に割り当てを行なっておる次第でございまして、さらに畜産局では、自由に家畜用の飼料のほうは輸入されておるような次第でございます。それぞれの局におきまして、行政姿勢でこの割り当てを、園芸局園芸局なりに国内産イモでん粉と競合しないような形で、さらに歩を進めて国内産イモでん粉の振興に寄与するような形でトウモロコシの輸入を進めておる次第でございます。さらに経済局でも、いわゆる国民所得の事情に伴いまして、いわゆるトウモロコシの加工食品向けのお菓子とかあるいはコーンフレークとかというものの需要が非常に伸びておりますので、そちらに対する割り当ては適正に行なわれておるものと私たちは考えておる次第でございます。  この伸び率といたしましては、経済局のコーングリッツあるいはフラワーのほうが食品の加工度の高度化に伴いまして、あるいは伸びておるんではなかろうかと思いますが、われわれのほうは、むしろどちらかといえば、あるいは芳賀委員とは見解を多少異にするかもわかりませんが、われわれとしましては、むしろ押えぎみに、コーンスターチメーカーのほうからはもっと大量のトウモロコシの割り当ての希望が強いのでございますが、相当これは査定いたしまして、国内イモでん粉の優先消化ということをたてまえとして割り当てを行なっておりますので、したがいまして、伸び率は伸び悩んでおるんではなかろうかと思います。  ただいま御指摘のありました、このコーングリッツに割り当てられたるトウモロコシが多少何か横流れしているんではなかろうかというふうな趣旨の御意見がございましたが、あるいはそんなことがかりにあったといたしましても、われわれといたしましては、われわれのほうで割り当ていたしておりますコーンスターチメーカーに対して、不当に流通経路のわからないトウモロコシを入手したような場合には、正規のトウモロコシの割り当ては行なわないという強い行政指導で、また、要綱にもはっきりそれは明記しておりますので、コーンスターチメーカーが不当に流通経路の不明なトウモロコシを入手してコーンでん粉をつくっておるとは思いませんし、またその点の監督は十分に、われわれのほうでも調べておるような次第でございまして、ときどきそういうふうな風聞にも接することがありますので、税関ともよく協力しまして調査しておりますが、ただいまのところそういうようなことはあり得ないのではなかろうか、こういうふうに理解しておる次第でございます。   〔安田委員長代理退席、小委員長着席〕
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、でん粉工場の近代化の問題ですが、これは昨年あるいは一昨年の農林委員会においても、委員会としての特別の議決を行なった中にも入っておるわけですね。それでことしの場合は特にカンショの主要な生産地帯である鹿児島県等においては、既存のでん粉工場の大体四五%程度がもう事業を廃止する、こういう事態になっておるということをわれわれ報告を受けておるわけです。これは近代化が進んで工場の設置数が減るということは望ましいことでありますが、南九州の場合にはそういう形ではないのですね。何ら統合とか合理化とかいうことが進まない状態のままに企業がどんどん減っていくというようなことになると、せっかく生産された原料カンショでん粉としての十分な効率的な処理ができないのじゃないか。季節的な制約もあって非常な不安を持っておるというふうに承知しておるわけですが、この点は農林省としては一体どういうふうに対処するか。特に中小企業近代化促進法に基づくでん粉工場等の設備の近代化あるいは整備統合等の問題についても、ほんとうに農林省として現地指導をやって、十分な裏づけをして促進しているかどうか。その点についてはどういうことになっておるか。むしろ近代化促進法が逆用されるような傾向にあるのじゃないかというような話も聞いておるわけですね。それらをあわせて局長から明らかにしていただきたい。
  75. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘のありましたカンショでん粉工場の合理化の件でございますが、これにつきましては昨年当小委員会におきまして、カンショでん粉についても今後合理化を進めるべきであるというふうな趣旨の決議をいただいている次第でございまして、その当時から私たちといたしましては、カンショでん粉の工場につきましてこの近代化促進法に乗せまして合理化を進めたいということで、ただいま継続している次第でございます。  御存じのように、鹿児島を中心としますカンショでん粉工場は、北海道バレイショでん粉工場のような合理化工場への脱皮が一日も早く実現することをわれわれとしては強く期待しているわけでございますが、御存じのように、イモは年々減っていくにもかかわらず、でん粉工場だけ乱立いたしまして、不当に値段をつり上げてみたり、あるいはたたいてみたりというような形で、いままでこの企業経営のあり方がうまくいってなかったわけでございます。それで近促法に乗せまして、需給バランスに見合ったような形でこの工場経営のあり方について、いろいろな学識経験者の御意見等も聞きながら行政指導をしている次第でございます。  ただいま御指摘のように、ただ合理化が行なわれないまま廃休業する工場がふえているではないかという御指摘でございますが、あるいはそういう面も多少なきにしもあらずで、まだ新しい形での近代化工場のいわゆる方向というものは完全に打ち出されておりませんが、まあこの辺で一応ことしといたしましては、カンショでん粉生産に見合ったような工場経営のあり方に大体落ちついてきたのではないか。大体イモ生産数量と見合って、でん粉工場の操業度も向上いたしまして、経営的にもある程度採算点に乗ってくるのではなかろうか、こういうふうに考えております。また、ことし急に多くの工場がやめられた関係もありまして、どうもイモが少し余るのじゃないかという不安感が農家の方々あるいは関係指導者の方の間に南九州中心にしてあるようでございますが、われわれといたしましては、そういうことのないように需給調整機能を十分行ないまして、その需給バランスは合うものというふうに理解しておる次第でございます。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、公害問題との関連ですが、でん粉工場の廃液処理施設については、北海道などにおいてはでん粉合理化工場の建設に伴って最近は相当完備された処理施設ができておるわけですが、なかなか全面的実施ということには費用もかかるし、簡単にはこれはいかないわけです。しかし、経営は継続していかなければならぬということになるわけですから、しかもでん粉工場の操業というのはおおよそ三カ月間ぐらいに期間が限定されておるわけですから、そういう特殊事情、あるいは工場経営というものは農業協同組合が中心になって行なっておるわけですから、高度の利潤追求の企業ということにはなっていないわけですね。したがって、公害対策としても、政府としても相当重厚な施設費に対する助成とか、あるいは金融措置であるとか、適正な水質基準が保持されるような技術的な指導とか、こういうことは大事なことになっておるわけです。ことし新しい法律に基づいた水質基準等が示されておるわけですが、これは全国的に見て無難にいっているかどうか、そういう点、実態はどうですか。
  77. 荒勝巖

    荒勝説明員 ことしのでん粉の操業が相当各方面でいま開始されておりますが、昨年あたりから公害問題によるでん粉汚水の規制が相当強く強化されまして、昨年はだいぶトラブルがあったやに聞いておるわけでございます。本年につきましては、あらかじめ関係者の方々の間で相当準備もそろいまして、まあカンショでん粉の系統につきましては、むしろ公害処理についても、この際なかなかむずかしいというふうなことで、零細な企業の方々の間にむしろ今回廃業のような形のものが多少出たんではなかろうか。残られたでん粉工場の方々はおおむねこれから操業を続けていかれるんではなかろうか、こう思います。  ただ、公害対策は今後ますますきびしく、それからやかましくなると思いますので、経済的には完全実施ということは当該企業負担においてなかなかむずかしいとは思いますが、われわれとしましては、公害問題の重要性にかんがみまして、公害防止事業団から資金の貸し付けを受けるとか、あるいは農協経営につきましては農業近代化資金の貸し付けを行なうとか、その他いろいろな助成措置を講じ、また一方では北海道中心といたしましては、馬でんのほうにつきましては、さらにえさ化という名目で、筋は違うかとも思いますが、地方競馬協会等からも何がしかの助成をわれわれのほうとしてあっせんいたしまして、公害防止対策につとめてまいりたい、こういうふうに考えております。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 以上で重要な事項について一とおり質問を終わったわけですが、ただ、先ほど来から質疑の中で取り上げました価格決定に対しても、特にことしはカンショについては、主産地の南九州における作付面積減少に伴う大減産、大体十七、八万トン程度しかでん粉が確保できないというような問題、北海道においては戦後最大の冷害によって、水稲はもちろん、畑作全体が大きな災害によって打撃を受けておる。これは農業の所得の面から見ても甚大な影響を与えておるわけですから、一方においては国産でん粉が年間需要の三〇%に低落したというような事実の上に立って、自給度の向上を促進する、あるいはまた生産の確保をはかるということになれば、それを実現できる対応策というものが当然必要になるわけですからして、もちろん生産対策も必要ですが、一番きき目のある価格政策等についても、この際相当積極的な態度で価格の算定に当たってもらいたいと思うわけです。特に今月の十六日からいわゆる沖繩国会といわれる臨時国会が二カ月余にわたって開かれるわけですが、これにはアメリカのドル防衛宣言に基づく、日本にすればドル・ショック、これの経済対応策として大型な補正予算というものを国会に提出して、いわゆる国内における景気浮揚をはかるというようなことも政府の苦しい方針だと思います。そういうことになれば、今度は国内における経済力というものを各産業部門においても向上させるということになれば、農業部門においても、所得が拡大されて、国内における農家の購買力というものが拡大されるというような、そういう経済政策というものも一面農政の中で伴っていかなければならぬと思うわけです。そのようなことを十分基本にして、ことしのバレイショあるいはカンショ原料基準価格、これを原料にしたバレイショでん粉あるいはカンショでん粉価格決定については、ただ単に前年度価格を据え置きにすればいいとか、なるたけ値上がりを押えるというような消極的な農林省の態度でなくて、十分現状の重要な諸問題というものを認識して、生産者からも納得できるような、あるいは農林委員会からも、なるほどことしはよくやったというような評価がされるように十分、担当の局長はもちろんですが、農林大臣に対してもきょうの小委員会の審議の経過というものを局長から十分伝えてもらって、そうして期待に沿った価格決定というものが行なわれるように努力してもらいたいと思います。  これについて局長に、政府代表と言ってはちょっと荷物が重いかもしれぬが、この際政府側として所信のほどを明らかにしてもらって、私の質問を終わりたいと思います。
  79. 荒勝巖

    荒勝説明員 朝来、いろいろ御指摘を受けました点については、われわれといたしましても、価格決定に際しましては、いろいろと参酌し、また採択するものについては取り上げまして、早い機会に価格の決定を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  80. 渡辺美智雄

    ○渡辺小委員長 では、一言ごあいさつを申し上げます。  所用のためおくれてまいりましたが、このたび私が小委員長指名されました。何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)  なお、本日は午後二時三十分に再開をすることとし、これにて休憩をいたします。    午後一時四十九分休憩      ————◇—————    午後二時四十五分開議
  81. 渡辺美智雄

    ○渡辺小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
  82. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 昭和四十六年産カンショ及びバレイショ原料基準価格並びにでん粉及びカンショなま切り干しの政府買い入れ価格等について、政府当局に質問をいたします。ただいまから質問いたしますことにつきましては、言うまでもなく、イモ作農家の経営の安定向上をはかるために、イモ作農家、でん粉生産者及びでん粉需要者、さらには消費者のためにもいろいろ政府で対策を練っていただいて、特にこういったイモ作農家に対する経営安定ということをはかるために、逐次質問をしてまいりたいと思うわけであります。  そこで、昨年の十月の七日、八日にいもでん粉の小委員会が開かれまして、当委員会でもいろいろと論議をされたことでありますが、その節、五項目について小委員会の決議をいたしております。午前中から部分的な答弁もいろいろとございましたが、あらためて昨年の小委員会の五項目決議に対してどのような対策をとり、また本年度閣議決定にあたって臨まんとしておられるか、ひとつまとめて五項目について最初に御答弁をいただきたいと思います。
  83. 荒勝巖

    荒勝説明員 昨年の決議の実行状況につきまして御報告申し上げたいと思います。  まず昨年の決議のうち、第一項、第二項はイモ並びにでん粉の買い入れ価格あるいは基準価格について触れた点でございますが、これにつきましては、その後政府におきまして、原料イモ生産事情等を十分に勘案しながら、また、でん粉及びカンショ、なま切り干しの買い入れ基準価格につきましては、加工経費等の増高を織り込みまして、それぞれ対前年より相当額増加して決定した次第でございます。  例を申し上げますと、カンショにつきましては、原料イモでございますが、四十四年産がトン当たり一万百三十円だったものが、四十五年産におきましては一万六百七十円、バレイショにつきましては、七千四百十円であったものを四十五年におきましては七千七百円、でん粉政府買い入れ基準価格につきましては、カンショでん粉が四十四年が五万四千八百円であったものを五万六千九十円、バレイショでん粉につきましては、五万九千二百円であったものを五万九千七百六十円というふうに、それぞれ適正な価格の引き上げをいたした次第でございます。  それから第三項のいわゆるイモ地域生産目標を設定し、これが増産につとめるというふうな御趣旨でございましたが、三につきましては、先ほど冒頭に御説明申し上げましたように、農林省におきましてすべてのというか、主要な農作物につきましての地域目標というものを設定いたしまして、その中にいわゆるイモ類につきまして北海道南九州を主産地とする地域、地方を四十四年十二月に公表をいたしまして、前年に引き続き今後イモ類生産合理化をはかるため、地域特産農業推進事業によりましてこのイモ類生産の合理化を進めてまいっておる次第でございます。  それから次の第四項目につきましては、いわゆる国内産イモでん粉の優先消化ということと、現行関税率の活用というふうな趣旨の点でございますが、これにつきましては、国内産イモでん粉の優先消化をはかるということで、コーンスターチ用トウモロコシにかかわる関税割り当て制度を引き続いて実施した次第でございます。この間、トウモロコシ等が海外の実勢を反映いたしまして非常に高騰いたしました結果、その販売促進について若干の問題もありましたが、昨年の北海道の馬でん等非常に増産であったにもかかわらず、昭和四十五年度中におきまして国内産イモでん粉の必要量につき全量消化いたしまして、無事にこの四十五イモ年度需給は調整されたものと考えておる次第でございます。  それから、でん粉工場を合理化すべきであるというふうなこと、あるいは飼料資源として回収装置についてのしかるべき措置を講じろという項目の点につきましては、でん粉工場の合理化につきましては、特に合理化の立ちおくれが見られております南九州中心とするカンショでん粉の工場につき、昭和四十五年に中小企業近代化促進法の対象業種として指定いたしますとともに、これに関連した税制金融上の優遇措置を活用いたしまして、その合理化をはかるべく近代化計画を策定してその実行に移しつつあるわけでございます。  なお、農協系の工場につきましても、この近代化促進法の趣旨にのっとりまして、中小企業系と並行して合理化を進めることとしており、農協法等によりましてほぼ中小企業と同じような取り扱いが可能となるように指導しております。  また、排水設備、施設等の設置につきましては、農業近代化資金、公害防止事業団の資金等の融資の道もありまして、これらのあっせんをできる限り措置をいたしておりまして、水質基準の設定に対しては、でん粉の特性につき特に配慮されるよう努力してまいった次第でございます。
  84. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 そこで、イモ原料基準価格問題でございますが、農業団体としても、また生産者としても、生産費、諸物価、労賃の上昇、また原料イモ生産事情等を十分勘案して、再生産の確保がはかれるように決定してくれというのは例年のことでありますし、またことしも強く要望があっておるわけであります。  御承知のように、先ほど局長からも答弁がございましたが、農業団体からのいろいろな要請等も手元にもらっているということでございました。午前中から価格の問題はパリティ等いろいろ審議がされてまいりましたが、農業団体の要求価格の前年度決定に対するアップ率というのが示されております。ごらんいただいておると思いますが、本年度冷害、また、ますます作付面積も減ってくるし、生産も例年一〇%減少するというふうな傾向から、これが価格に大きな問題があるということから、団体としても真剣に積算の基礎をつくってきているわけでございます。ちなみに申しますと、カンショについては三十七・五キログラム当たり四十五年度決定が四百円に対して、四十円アップで四百四十円として要望いたしておるわけでございます。すなわち一〇%アップということになっております。また、バレイショについては、三十七・五キログラム当たり二百八十八円七十銭に対して三百十二円で、二十三円三十銭のアップで、八%のアップ要求。カンショでん粉については二千四百円の要求で、一四%アップ。馬でんについては二千四百七十円で、一〇・四%のアップ。カンショなま切り干しについては千七百十九円で一〇・五%のアップ。こういうふうに団体からは強い要請が出ておるわけでございます。昨今のバレイショカンショ作付面積減少傾向を例年見ますと、四十四年から一〇%ずつ下がっているというようなことから見てまいりましたときに、これはたいへんな問題である。生産調整その他農業のたいへんな転換期に来ているときでもありますし、こういった価格問題が一番の根本原因になっている、かように思うわけです。  午前中からるる計数の審議等ありましたが、これらについて十分検討をしていただいておると思いますが、これらを大いに参酌していただきたいし、また、農業団体の要求に対してもこたえていただきたい、こういうふうに思うし、イモ作農家に対するあたたかい保護をしてもらいたいということを冒頭にお尋ねしたいわけですが、これに対しての局長の御見解、また、いろいろ検討されたことであろうと思いますが、それらについてお答えをいただきたいと思います。
  85. 荒勝巖

    荒勝説明員 朝来いろいろ御指摘がございまして、ことしのカンショバレイショあるいはそれらからできます製品のでん粉についての価格決定に際しましては、いろいろな御指摘の点あるいは御意見等は十分に参酌しながら、政府といたしましては近日中に適正なる価格をきめてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  特にカンショにつきまして、ただいま御指摘がありましたように、カンショ生産は特に南九州におきましては畑作農業の重要な作物でございまして、われわれといたしましてはカンショ昭和五十二年の目標といたしまして、作付面積九万七千ヘクタール、生産量二百十七万トンというイモ生産を見込みまして今後進行してまいりたい、こういうふうに考えております。  しかしながら、カンショにつきましては、南九州という一つの特殊な地帯でありまして、すべての作物が非常によくできるというふうなこともありまして、野菜とかあるいは果樹等の需要の強い作物への転換が動き始めておりまして、今後こういったいわゆる園芸作物等の進行と相並行しながら、イモ作につきましても特に地域特産農業推進事業ということを行なうとと毛に、新品種の普及あるいは近代化を行なうことによりまして、南九州の特殊な土壌地帯を背景としたイモ生産に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  86. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 午前中も問題になった−わけですが、この価格決定にあたって、いわゆる基準歩どまりというのがたいへん大事な要素になってくるわけでございます。歩どまりを上げれば当然原料基準価格というものも上げねば価格は上がったという意味にはならぬわけでございますが、この基準歩どまりというものを、生産費に基づいて昨年並みにしていただきたいというのが団体の強い要請でもありますが、昨年のような価格操作をしてもらっては困るということであります。こういつたことについてもう少し具体的に、どのような御見解であるか承っておきたいのであります。
  87. 荒勝巖

    荒勝説明員 最近におきますカンショ生産の合理化といいますか、生産の技術の向上ということもありまして、また、でん粉工場におけるでん粉歩どまりというものの技術向上等がございまして、年々やはり向上してきておる、こういうふうに理解しているわけでございます。われわれのほうで調べましたいろいろな資料に基づきましても、その実績でございますが、たとえば昭和三十三年、四年ころのカンショでん粉歩どまりは二一・五あるいは二一・八というふうにいまから見れば非常に低い歩どまりでございましたが、最近の時点になりますと、たとえば昭和四十年ころには二四・三%といったふうにその率が飛躍的に向上してまいりまして、四十四年には二五・八、さらた四十五年産イモでん粉実績等を調べますと、二六・四%というふうに全体としてのでん粉歩どまりの向上が見られるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、こういった実績といいますかデータを背景といたしましてでん粉価格基準をきめるわけでございますが、そういった作業に際しましては、適正に政府としてこの原価計算をするというのがたてまえでございますので、こういったでん粉の最近の時点におけるでん粉歩どまりについては参酌して検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  88. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 そこで、例年のことでありますけれども、午前中の局長の答弁で、先ほどから申し上げたような価格決定については、関係農業団体とも事前にはかって政府原案等を検討し、そうして最後に農林大臣の決定を仰ぐというようなことで、局長が知っている限りではそのような処置をしてきた、こういうような答弁があったやに聞いておりましたが、先ほどから伺いますところによると、十月の八日には価格を決定する。もうあさってになっております。十分農業団体の意見が聞けるかどうか疑問でありますけれども、本年は冷害等によって農家はたいへんなショックを受けておるし、特に北海道にしても九州にしても、僻地でどうしてもイモにたよらなければならないというような農家は、今後の見通しについてたいへん不安がっておるわけであります。かてて加えて、今年は特に十三号台風はじめ集中豪雨から二十九号台風に至るまで災害等も連続ございました。こういったことで、ぜひひとつ関係団体の意見を十分聞いて対処をされるようにお願いもしたいし、また、それにしても時間が相当せっぱ詰まっておるようにも思うわけでございますが、その点たついてさらにひとつ十分協議をしてもらいたい、また打ち合わせをしてもらいたいと思うのですが、その見解を、また用意があるか、ひとつお聞かせをいただきたい、かように思います。
  89. 荒勝巖

    荒勝説明員 午前中からお答え申し上げておりますように、従来からこのイモでん粉値段をきめます際には、農業団体及びそのほかの関係団体の意見も十分に参酌しながら結論を出すよう進めてまいりまして、特に加工経費の検討等は合同で調査をいたしておりまして、そう食い違いはないものと考えておる次第でございます。  ただ、でん粉価格決定時におきましては、先ほども申し上げましたように、場合によっては非常に深夜にもなりまして、あるいは多少形式的に御意見を聞くようなことも間々あるかとも思いますが、その辺のことにつきましては、なおわれわれとしましては十分に今後気をつけてまいりたいと思っております。  ただ、予定といたしましては、ただいまの段階では、午前中も申し上げましたように、できますれはこの八日中にはイモでん粉値段をきめてまいりたい。と申しますのは、南九州におきましても北海道におきましても、すでにイモの掘り取りが始まって、相当でん粉のすり込みも始まっておりますので、流通経路に支障を来たさないように、早急にきめたいというふうにわれわれは思っておる次第でございます。
  90. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 局長在任中農業団体ともいろいろ協議してこられたと思いますが、従来団体の意見等を聞いて農林省の原案を修正したということがございましたか、念のためにお聞かせください。
  91. 荒勝巖

    荒勝説明員 従来から形式的には農業団体の意見を最終の段階において聞いて調整したという事例は、実は私の記憶にはないわけでございますが、実態的な農業団体との話し合いの過程で、加工経費の問題とか、そういった原料イモの取り扱いのしかたの問題等につきましては、十分に事務当局ベースで話し合いを行なっておりまして、決して全然抜き打ち的に何かきめたというふうなことはありませんでしたし、また現在もそういう形で常にきめる側と農業団体との間で意見の交換はしておる次第でございます。
  92. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 カンショについては、御承知のように、九州では南九州の熊本、鹿児島、宮崎、また長崎県でも五島列島、特にこれはなま切り干しの生産をやっておりますし、また島原、西彼杵郡の一部、こういったところが主産地であることは御承知のとおりであります。御存じのように、南九州の鹿児島、宮崎等はシラス地帯でイモにたよらなければ——水稲の転作をしてもなかなかこれが転作できないというようないわゆるシラス地帯である。さらには五島列島にしても、イモにたよる以外にない、唯一のこれは主幹作物になっている。こういうようなことから、僻地においてはイモに対する農家の意欲というのはあるにもかかわらず、先ほどからお話ししておりますように、価格の問題、いろいろな諸問題からなかなかこれが不安で将来心配である。  そこで、年々一〇%ずつも低下を見ておる現状でありますが、昨年度局長はこの地域分担の問題については、十月の地域分担の決定時にいろいろと織り込むということで、午前中もこれについての答弁がございましたが、五十二年度のいわゆる目標を立てておられる現在において、もっと具体的に北海道並びに南九州、長崎等について、イモ作農家に対して需要生産との目標、こういったものをひとつ明確に示していただかないと、このままいったんでは、おそらく来年度もまた激減するというふうなことで、たいへんなことになってくるのじゃないか。片っ方では生産調整といっていろいろ指導しながら、こういった作物しかできない農家は、たいへんな苦境に立たされていくということで深刻な問題になっております。こういったことについていろいろ答弁もあったのでありますが、今後この生産調整、地域分担の指標の中に具体的に年度等を明記して、南九州なり北海道イモについてのいわゆる計画、ビジョンを立てていかれる考えはあるのか、どういうふうに思っておられるのか、需給関係を見てどのような計画で今後手直しをして、五十二年度目標に考えていくというふうに思っておられるのか。その点、農家のために納得いくような前向きのお考えをひとつ承っておきたいのであります。
  93. 荒勝巖

    荒勝説明員 昨年の十二月に、農林省におきまして、農業生産地域指標の試案を公表したことは御存じのとおりでございますが、その中におきまして、このイモ類につきまして特掲いたしまして、昭和五十二年の見通しについて地域ごとの予定量を決定している次第でございます。その中におきまして、この南九州は遠隔農業地帯のカテゴリーといいますか範疇の中に入っておりまして、イモ全体の生産量なり作付面積昭和五十二年におきましては二十五万一千ヘクタール、それから五百八十万四千トンという長期見通しの上に立ちまして、南九州では一応作付面積を五万二千ヘクタールと置きまして、百二十三万トンのイモ生産を見込んでおります。それは主として鹿児島、宮崎、熊本といった南九州の数量でございますが、これに基づきまして、南九州イモ類あるいはでん粉生産見通しを立てていただくよう、農林省におきまして——いま南九州と申し上げましたこの地区の県ごとに農業目標を現在策定しつつありまして、四十六年から七年にかけて、六年中くらいには大体でき上がるのではなかろうか、こういうふうに考えております。この県の見通しができ上がりますと、ある程度各県内における農家の方々の生産指標というものが出てくるのではなかろうか、こういうふうに思っております。  ただ、最近の時点におきますカンショ生産で、従来でん粉に対する依存が非常に強く、あるいは養豚用のカンショ等もあったわけでございますが、最近になりまして、カンショを養豚の飼料に使うのは逐次減少してまいりまして、むしろそのほかの購入飼料にたよる傾向が出てまいっておりますけれども、さらにこのカンショにつきましては、生食用といいますか、おそうざい用とかあるいは焼きイモ用というふうな形で、新しい嗜好性が、カンショにつきましては需要が出てきておりまして、南九州におきましても、逐次、この目的がでん粉依存から脱却していくのではなかろうか、こういうふうに思っております。  なお、先ほど申し上げましたように、シラス地帯におきまして、従来イモしかできないといわれておりました南九州におきましても、地域特産農業推進事業で、イモ生産の振興ははかりながらも、たとえば茶園の急速なる拡大あるいは野菜類、くだものの導入等がこのシラス地帯にも行なわれまして、逐次需要の強い作物への切りかえに成功しつつあるのではなかろうか、こういうふうにわれわれとしては理解している次第でございます。
  94. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 そこで、お伺いしたいのですが、局長は、昨年の小委員会では、地域特産農業の推進事業、畑作経営総合改善事業、畑作振興特別土地改良事業、こういったことをもって、これらの推進を積極的にはかって、地域特産の振興を進めていきたい、こういったことを答弁しておられるわけでありますが、事実昨年からことしにかけて、また来年度予算要求等をにらみ合わせて、どのように積極的に振興をはかってこられたか、ひとつこの点も明らかにしてもらいたいと思います。
  95. 荒勝巖

    荒勝説明員 イモ類にかわります、生産合理化をはかるため、農林省といたしましては、地域特産農業推進事業を大いに実施いたしまして、四十二年度から実行している次第でございます。四十五年度までの四カ年間に、地域特産農業推進事業といたしまして、カンショについて七十五カ所の地底を選定いたしまして、国庫補助金としましては約一億六千百万円を採択いたしまして、そのほかの農業の構造改善事業、畑作地域集団営農パイロット事業というようなことで現在事業を実施している次第でございます。さらに、われわれといたしましては、明年度からは、イモ類の特産農作物をさらに一そう推進いたしますために、その地域特産農業振興をさらに発展的に特産物生産団地育成事業というふうな構想でこれが実施をはかってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、このカンショの振興をはかりますために、いわゆる南九州のために黄金千貫という新品種を導入いたしまして、非常に反当収量はふえてまいってきておりますが、現在の段階の普及率としましてはおおむね三〇%ぐらいこの四十五年において普及したのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  96. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 いまいろいろと答弁がありましたが、そういった事業を推進している、まあ十分ではないけれども、幾らか例年に比して前向きの事業を推進してきている、こういうように理解できるわけですけれども、にもかかわらず、例年一〇%ずつの減少をしているという南九州カンショ、こういったことについて、局長としては、その原因については、一番の原因は何で、またどのような原因があってこういうように減少をたどっておるか、こういったことについてどのように把握しておられるか、ひとつ局長の御見解をあらためて承っておきたいと思います。
  97. 荒勝巖

    荒勝説明員 たとえば鹿児島県を取り上げますと、鹿児島県も従来から非常なイモの生産地帯でございますし、現在もイモ生産県としては第一位でありますけれども、実態的にはイモ生産がやはり年々一割前後ずつ下がってきていることは御指摘のとおりでございます。この大きな原因といたしまして、われわれといたしまして、再三にわたりまして南九州方面へ出張しました際に、県内を回って見てまいったりあるいは関係者の意見を聞いたりするわけでございますが、実際問題としましては、やはり土地基盤整備等の事業の推進の過程で、水の利点がよくなるにつれまして、その他の作物へ逐次移っていく、あるいはお茶なりかんきつ類のような永年作物への転換も非常に急速に行なわれてきておる。最近のように笠野原台地の畑作かんがい事業が整備されますと、かつてのイモ作地帯が急速に野菜生産団地として新しい発展を遂げつつあるのではなかろうか、こういうふうに考えております。また、関東近郊の千葉、茨城方面におきましても、かつてのイモ作地帯が一部は相当落花生等その他の畑作物へ転換されるとともに、かん水設備の整備とともに野菜もできるようになり、一部残っているものも焼きイモ用のイモ生産ということで、でん粉用のイモ生産は逐次減っている。さらに、たとえば五局列島等におきましては、むしろ島としてイモでん粉からの脱却という市町村なり県の強い御意向もありまして、転換対策としてほかの作物の導入というふうなことで、われわれのほうに地域特産農業の希望申請も強く出ておりまして、やはり需要の強い作物へさらにいろいろな形で今後転換していくものも相当あるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  98. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 需要の強い作物へ今後転換していくのじゃないだろうか、こういうふうに思うということでありますが、私、ことばのしりをとって言うわけではありませんけれども、このまま推移すると、来年はまた一〇%減る、いよいよ最後にはほとんどこれは壊滅状態になっていくのじゃないだろうか、こういうふうな極端な心配までも起きてくるわけでございまして、じゃ、それでもいいのかということにもなるわけでございますが、このままでいくと、来年度あたりはどんな作付面積、収穫等が考えられるか。また、このままで推移していった場合にどういうことになっていくのか、その点の心配というものについては局長はどういうふうに見通しを立てておられますか、お伺いします。
  99. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど配付いたしましたことしのカンショ面積資料がございます。四ページでございますが、大体全国ベースで本年約十万七千ヘクタールでございますが、来年も大体十万ヘクタール台で推移するのではなかろうか、こういうふうにわれわれ考えております。それでカンショにつきましては、でん粉なり生食用なりというものでそれぞれ強い需要がございまして、国内産甘味資源の一環としてカンショでん粉に対する水あめあるいはブドウ糖等の需要はやはり強く出ておりますので、この需給は今後多少強く残るのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  しかしながら、先ほども申し上げましたように、この南九州あるいは表日本というのは非常に農業上立地条件に恵まれておりまして、最近野菜とかくだものとかいうふうな需要が非常に強いということとともに、土地基盤整備事業が整備されますと、やはりより有利な作物への転換ということも今後考えられるのではなかろうか、こういうふうにわれわれとして考えておる次第でございます。
  100. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 まあ原因にはいろいろ考えられますけれども、先ほどもいろいろ論議されたところでありますが、カンショについて、鹿児島の例等をとりますと、でん粉工場というものがだんだん減少していく。四十五年、四十六年度にかけて約半減した。四五%くらいとも言われておりますが、半減した。農家の方たちはイモをつくっても運搬賃も高くかかる。また農協へ出している農家ももちろんありますが、一般の業者へ出している、工場へ出している農家もたくさんあるわけです。そういった関係から、でん粉工場がどんどんつぶれていく、こういうことで、運賃等にも金がかかるし、なかなか意欲的に生産が進まないというようなのも一つの原因になっております。  こういったことで、逐次お尋ねをしてみたいと思うのですが、カンショの場合、鹿児島の例をとりまして、ここ三年くらいからことしにかけて工場がどのくらいあって、現在実質どのくらい減少しているか。特にことしがひどいわけですが、そういったことについてそちらのほうで把握しておられればお示しいただきたいと思います。
  101. 荒勝巖

    荒勝説明員 南九州のみならず、戦後のある一時期におきましては、日本じゅうイモ生産を、食糧不足に際しまして相当増産ぜざるを得なかったということもありまして、またイモの配給統制撤廃後急激にほかの作物への転換もきかないということもあって、相当でん粉としてこれが処理され、政府が相当大量のでん粉を買い入れ続けざるを得なかったという経緯が戦後についてはあるわけでございます。それが一応一段落いたしまして、いわゆる南九州あるいは南関東というところに最後のでん粉というものが操業を維持してきた次第でございます。  鹿児島に例をとりますと、たとえば四十五年には百九十八工場稼働した。それが四十六年のことしの稼働の見通しは大体百四十七工場あるということで、約四、五十工場がこの間に休業、廃業したわけでございます。これは過去においてイモが非常に大量にあった時代のでん粉工場がそのまま残りまして、多少過大であったということで、共倒れといいますか、中小企業の方々がイモの出来秋になりますと競ってイモの買いあさりを行ない、イモ値段を不当につり上げたような形になりながら、実際はそのでん粉の販売ということになると、そういう高いイモからつくられたでん粉は販売しにくいということで、結果的には共食いという形になりまして、経営が非常に苦しくなってきたということで、昨年の当委員会の決議にもありますように、われわれとしては近促法に乗せまして、でん粉イモ生産でん粉需給を勘案しながら、需給の合った近代化への促進ということでただいま指導中でございまして、この結果本年におきましては、鹿児島のでん粉工場も多少減りましたけれども、大体イモ生産に見合ったでん粉工場の稼働が行なわれることになりまして、経営的には相当今後楽になったのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  102. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 共倒れあるいはまたいろいろと理由によってこういうふうに工場が四十ないし五十も減ったということでございますが、これはやはり行政指導がなってないと私は指摘したいわけであります。言うまでもなく、近促法に乗せてとありましたが、農林省がもっと早く合理化計画等でやって、計画にきちっと乗せた上でやるならいいけれども、一挙にこのように工場がやめますと、いままででん粉工場へ持っていった農家たちは戸惑うし、また運搬費にも相当金と距離がかかるというようなことで、たいへん農家は困っておるわけです。いわゆる残った農協なりまたは業者のでん粉工場は操業が、もちろんウエートがかかってきますから、有利にまた展開していくことは事実でありますけれども、農家にしてみればたいへんな迷惑であります。一挙に減らされたということによっていろいろと戸惑っておるわけです。そういったことがイモ作農家の減産の一つの大きな理由にもなっていくわけです。農林省はいわゆる近促法に乗せたとおっしゃいますが、乗せ方がおそい、また実際、間に合わない、かように思うのですが、近促法に乗せて、そしてどのような手を打たれて、どのような結果が出たのか、あらためてお伺いしたいのです。私は、農林省が合理化計画によってこれをちゃんと計画的にやめさせていくというような行政指導をしてくださるならば、納得がいくのでありますけれども、事実はそれに即していない、こういったことを見るわけです。特に鹿児島なんかでは、都市内にあるところのでん粉工場、これは公害との関係もあるのでいろいろ問題があって、操業を停止したということも十分承知しておりますけれども、市街にある工場ばかりではありません。そういったことで、どのような見解をお持ちであるか、お答えいただきたい。
  103. 荒勝巖

    荒勝説明員 四十五年、昨年近促法に指定したわけでございますが、その後、やはりでん粉工場の数が多過ぎるという判断の上に立ちまして、一日も早く近代化、合理化のための新工場を育成するのが適当ではなかろうかという意見が学識経験者の方々からも出まして、その結果でん粉の——工組系とわれわれいっておりますけれども、中小企業の方々の間で、でん粉供給量に見合った工場にしようということで、積み立て金を積み立てられまして、廃業者に対しては廃業転換奨励金というような形で出し合うということで、相当自主的にこういった近代化が進んできておるんではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  104. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 こういったでん粉工場に対してもっと先手を打った行政指導といったことをやっていただいて、せっかく近促法に乗せていろいろ検討しておられるようでありますから、昨年の後半からことしにかけて一挙に半減するといわれるくらい減るようなことでは、農家の不安はいなめない事実でありますので、十分実態を調査していただいて、北海道とか九州の南のイモ作地帯に対してあたたかい施策をひとつ講じていただきたい、こういうことを強くお願いをする次第であります。  そこで、でん粉工場に対して、工場の廃液処理という問題が例年問題になりますし、こういったことがきびしくなってきまして、工場が閉鎖するというようなことにもなるわけでございます。もちろん水質汚濁法の基準が高いというようなことから、でん粉工場側としても操業停止せざるを得ないという点もたくさんあるわけでございますが、河川の水質を保全するために、でん粉廃液処理施設の設置あるいは副生物なんかの活用の研究、こういったことについては具体的にどのように考えておられるのか。もう少し具体的にお示しいただきたいし、ぜひ助成措置も講じてもらいたい。これは全面助成ということはなかなか簡単にいかないと思いますが、いわゆる技術的な指導あるいは重厚な助成をぜひしてもらいたい、こういうふうに実は思っておるわけです。この点についてさらに御見解を承りたいと思います。
  105. 荒勝巖

    荒勝説明員 イモで粉工場の廃水処理につきましては、でん粉工場が非常に零細であり、季節的操業というようなこともございまして、経済的に非常に困難になっておられることも事実ではないか、こう思います。しかし、公害問題ということもまた一方において重要な問題になってきておりますので、場合によっては農業近代化資金あるいは公害防止事業団資金等の融資、広域営農団地造成事業における補助事業あるいは地方競馬協会から補助、助成等をすることによりまして、こういった排水処理設備の助成策をいろいろと検討している次第でございます。
  106. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 公害防止事業団あるいは競馬協会からのいろいろな貸し付け、助成等を考えているというのですが、現在までに実績がございますか。
  107. 荒勝巖

    荒勝説明員 この競馬協会からの助成ということにつきましては、単なる公害防止という理由で来ているのではなくて、いわゆる副産物、飼料成分を回収するのだ、したがって、それに対する助成をするというか、何らかの形で畜産に裨益するというようなこと等を勘案いたしまして、北海道の馬でん工場を中心にいたしまして、現在までにおおむね二千五百万円前後の補助が支出されておるようでございます。
  108. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 この競馬協会の助成は草地改良その他にもいろいろ利用されてありがたく思っているわけですけれども、でん粉工場等に対してもこのようなことを考えておるということは、実はきょう初めて私は伺ったわけです。これは南九州等のカンショでん粉についても助成をいただくことはもちろんできると思うのですが、これらの手続なり、また要望すれば、どの程度までその要望をかなえていただけるものか、その辺を具体的にこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  109. 荒勝巖

    荒勝説明員 北海道の場合でございますが、当該農協の工場におきまして、このでん粉工場から出る廃液から飼料分を回収して、したがって排出する水のほうはきれいになるというふうな装置を考えてこられ、当該農協からその県なりを通じまして私たちのほうへお話を持ってきていただきまして、当該事業が確かに飼料の再生産に十分役立つという判断、認定がありますれば、畜産局から強く競馬協会のほうに対して要望しまして、この補助が出ることになっておりまして、大体事業費の五分の一程度の補助率になっておると理解しております。
  110. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 次に、国内産でん粉の優先消化をはかるということで、これも例年論議をしてきているところでありますが、競合するところの輸入トウモロコシに対する現行弾力関税制度を昭和四十八年四月以降も延長するということについてですが、ぜひこれは延長していただきたい。いわゆる生産農家が安定するまでぜひ延長してもらいたい。これは南九州、長崎はもちろんのこと、北海道においても要望が強く出ているわけです。また現行弾力関税制度の延期をするにしても、四十七年産イモ類の作付前に決定してもらわなければいけないし、どんなにおそくとも四十八年の二月までにはやっていただきたい、かように実は思うわけです。午前中の答弁で、たしか蚕系園芸局長は、この制度を利用して国内産イモでん粉に寄与しておることは事実であるが、関税率審議会、すなわち政府の付属機関である関税率審議会の附帯決議に抜本的に改正すべきだというようなことがあった、そこでさらに引き続きやることが困難と思われるような意味もとれる、次の改定期までに、ということは来年の十月ということになりますが、手直し、改正すべきところは改正をするというような意味の答弁があったように、私、聞いたわけですけれども、これはどんなことがあってもひとつ延長していただいて、改正はしてもらっては困る。ぜひこれは四十八年の四月以降も延長してもらいたい。もしこれがとられると、甘でん、馬でんにしてもいよいよ壊滅的打撃を受けるし、今後生産農家は、先ほどからるる減収の原因等についてもおもなところをずっと論議してきたところでありますが、たいへんな打撃を受けるわけです。これに対してはどんなことがあってもひとつ延長してもらいたい、かように思うわけです。  そこで、局長は、先ほど申しましたように、手直し、改正すべきは改正してというようなことで、やや関税率審議会の附帯決議に傾斜しているような答弁を聞いたように思うわけで、さっき私もショックを受けたわけですが、この点ひとつはっきりしてもらいたい。これをやられると、いよいよ農家の生きる希望はなくなってくる、かように実は思うわけです。明確なる御答弁をお願いします。
  111. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど私の答弁で、改正すべき点は改正すると申し上げた点につきまして誤解を招きましたことにつきましては、あらためて私から申し上げたいと思います。  私の申し上げた気持ちといたしましては、むしろ国産イモでん粉の発展、向上のためにいろいろとさらにいい点があるならばこれを改正したいという趣旨で申し上げたのでありまして、単なるコーンスターチの導入の関税率審議会の決議の趣旨を前提として、何かむしろ国産イモでん粉の立場からすれば改悪になるようなことを考えておる気は毛頭ございませんので、この点については十分に御了承をお願いいたしたいと思います。  ただ、当時私が関税率審議会に三回ほど出席これは審議未了になりまして、最後の決議は、二月三日にこういう附帯決議が出たわけでございますが、そのときの経緯等からすると、関税率審議会の委員の先生方の御意向は、抜本改正をしろという趣旨は、相当別の意味での抜本改正というふうに私はとっておる次第でございます。
  112. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 いまのことで一応は私も安心しましたが、改悪はしない、心配するようなことは毛頭ない、こういうような答弁でございましたが、局長もいつまでも現在の地位におると思われませんが、こういったことがいろいろまた問題になった場合に、局長は、断固これは延ばすのだ、絶対に延長するのだ、こういう決意であるのかどうか、ひとつ局長のお考え、決意のほどを承っておきたい。
  113. 荒勝巖

    荒勝説明員 従来の関税率審議会の過去におけるこういう決議等からいたしまして、単に単純延長ということではやはり問題は片づかないのではなかろうか、何らかの形で農林省の立場として行政姿勢のあり方というものは十分に明記した上で、それはそれなりに新しい知恵を出して日本農業の発展に寄与するという説明を十分にしないと、単なる単純延長というわけにはいかないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  114. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 当然単純延長ということでなくて、それは十分に踏まえて、現状としては局長も十分御承知なんですから、ぜひともひとつこれは延長の方向へ持っていっていただきたい、特に期待を申し上げておきます。  そこで、私も自由化の問題に一点触れておきたいわけですが、でん粉ブドウ糖及び精製糖の自由化、これがまた一つの大きな農家の不安につながっているし、心配であります。農林大臣も先般日米合同委員会に出席されて、いろいろと協議してこられたわけでありますが、先ほど局長はこの点について、慎重なる検討をしている、今回は自由化はしない、こう言うのですが、今回ということに私はちょっとひっかかるわけです。たしか日米小委員会が一月ですか開かれる予定やに思っておりますが、それまでを今回というふうに言われるのか、今回はいつまでなのか。こういったことがなされますと、これまた農家はたいへんな打撃を受けるわけです。この点についてもう少し詳しく明らかにしていただきたい。
  115. 荒勝巖

    荒勝説明員 このイモでん粉あるいはブドウ糖の自由化の点につきましては、残存輸入制限品目四十品目の中にただいま入っているわけでございますが、この六月以来の作業のあれとしまして、さらにそこから何品目かを自由化するということが政府方針としてきまり、そしてそれに従いましてわれわれとしては作業をしている次第でございますが、先般農林大臣が訪米に際しましての作業過程におきましても、このイモでん粉あるいはブドウ糖等につきましては、作業過程の中で時期尚早と申しますか、自由化についてはなお今後相当慎重な検討を要するというような農林省内部の考え方に従いまして、われわれとしましてはこの自由化作業の中ではでん粉あるいはブドウ糖はまだ入れていないわけでございます。一月に何か小委員会が設けられるとかいうふうに新聞あるいは——多少そういうムードもございますけれども、まだ事務的には何らきまった話ではございませんが、かりに一月に自由化の小委員会みたいなものが開かれましても、その中にはわれわれとしては入れるような作業はただいまの段階では何らしていないということはひとつ御報告申し上げたいと思います。
  116. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 一月の日米小委員会に入れる作業はいまのところしていないということですけれども、まだ一月まで期間もありますし、そういうことがないようにこの問題についてはひとつ慎重に扱っていただきたいし、日本のイモ作農家はいよいよ壊滅的打撃を受けていくような状態にございますので、慎重に対処してもらいたいと思います。  次にお伺いしたいのは、農産物価格安定法第七条に「政府は、第二条第一項の規定により買い入れた農産物等を、当該農産物等の需給事情を勘案し、農産物等の時価に悪影響を及ぼさないように売り渡すものとする。」そしてその二項としまして、「前項の売渡の価格は、買入基準価格及び時価を下ってはならない。但し、左の各号に掲げる場合には、農林大臣の定める価格とすることができる。一 新規の用途又は販路に向けるため必要があるとき。二 試験研究の用に供するとき。三管理上の必要により売り払うとき。」こういうことで売り渡し及び売り渡し価格のことについてあるわけですが、実はこれに関連して、一昨日もまたきょうの午前中も若干触れられましたが、いわゆる政府手持ちの七万トンの放出の問題でございますけれども、本年度十八万トンに七万トン放出して二十五万トンというふうなことで説明がございましたが、この七万トンの手持ちのでん粉を放出するということになりますと、いわゆる抱き合わせによる以外ないわけですけれども、抱き合わせ分がないじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございますが、放出にあたっての問題点、心配ないのか、ひとつその点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  117. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど午前中の御説明でも申し上げましたように、バレイショでん粉がことしは昨年より多少下回りまして十九万トン前後になる。こうなりますと、昨年せっかく北海道中心といたしまして関係方面の御努力によりまして二十五万トンのバレイショでん粉の販売ルートを確保しているにもかかわらず、十九万トンになりますと、六万トンほど逆に市場確保がむずかしくなる。その市場確保がむずかしい間にほかのでん粉がその市場をとってかわってしまうというようなことがあっては、非常に今後禍根を残しますので、われわれといたしましては、政府の持っております六、七万トンのバレイショでん粉を追加放出することによって二十五万トン前後のバレイショでん粉の市場を確保するよう努力してまいりたい、こういうふうに考えております。また、その際の販売価格につきましては第七条の二項のいわゆる前半の部分を適用いたしまして適正な価格で売り渡すつもりでおりますけれども、そのときには当然に安い外国系のでん粉と抱き合わせることによって、国内需要者が引き取りやすいような形にして指導奨励してまいりたい、こういうふうに考えております。
  118. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 そこで、この放出にあたっては、これは昨年も論議したところでありますが、今年度はいよいよこれを放出するという計画になっておりますが、調整団体に対して何にも事前に連絡なしにまた協議もせずにこれを放出されるというようなことがあると、何のための調整団体かということにもなりかねないし、いろいろ問題が起きてくるわけです。この点については、念のために伺っておきますけれども、十分調整団体とも協議をしてやるということでお考えであるのか、明確にしていただきたい。
  119. 荒勝巖

    荒勝説明員 当然に関係調整団体とは協議し、また売却時期、数量等につきましても国内産イモでん粉に悪影響を起こさないような形で実行してまいりたいと思っております。
  120. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 念のためもう一点それに関連してお聞きしておきますが、四十六年産政府買い入れ基準価格を割っては出さないということだと思いますが、その点を明確にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  121. 荒勝巖

    荒勝説明員 当然にそういう形で実行いたしたいと思います。
  122. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 時間の制約が参ったようでありますので、いろいろ準備したものが若干残っておりますけれども、最後に締めくくりとして、いろいろと申し上げたいと思います。  いよいよ十月八日には価格決定をするやに作業が進められているということで、生産者団体もきょうは協議会を開き、いろいろ検討し、また強い要請等が参っております。例年のことといいながら、本年は冷害台風、災害、またかてて加えて生産調整というようなことで、農家はたいへんな打撃を受け、自由化の波にいろいろとまた今後とも心配があるわけでございます。  そこで、農産物価格安定法に基づく本年度カンショ及びバレイショ原料基準価格並びにカンショなま切り干し及びでん粉の買い入れ価格の決定等にあたっては、地域特産農業振興の抜本策をひとつ拡充していただくと同時に、国内供給の増加による自給率の向上をはかる等、長期需給見通しを立てていただいて、イモ作農家の経営安定向上をはかっていただきたいし、また今後とも特段の配慮をお願いしたい、かように思うわけでございます。  私は最後に委員長に一つお願いをいたしておきたいことがございます。  実は例年であればこの小委員会は二日間にわたって委員会を開いてこれを審議しておりましたが、本年度は、御存じのように、きょう一日で審議をせねばならないということで、かなり時間に制約がございますが、明日は参議院のいもでん粉の小委員会、あさってはいよいよ価格を決定せねばならぬというときで、二日間にわたる審議ができない。そうなれば、当然当小委員会としての決議ができないということになるわけでございます。本来ならば、小委員会で決議したものを農林水産常任委員会にかけてこれを決議していただくわけでありますが、それが今年はついに時間的にできない。こうなりますと、今後私たちも若干不安が残るわけでございます。もっとも十一日には赤城農林大臣が訪ソされましていろいろきびしい日程であるし、きょうは一日内閣ということで不在であるというようなことから、訪ソ前に急に決定をするというようなことをいろいろ考え合わせましたときに、もう時間的に余裕がございません。ぜひひとつ、きょう各委員から質疑を出した問題、またいろいろとここで明らかにされた問題等については、るる小委員長から政府にこれを十分趣旨を連絡していただきまして、また政府に示していただき、各委員の質問または生産者団体の意向等が十分今回の価格決定に反映するように御配慮いただきたい、かように実は思いますが、小委員長、どうでございましょうか。
  123. 渡辺美智雄

    ○渡辺小委員長 あらかじめ各派との話し合いをした線に沿って、きょうの委員会の最後に委員長より政府に申し入れをするつもりでおります。
  124. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 では、以上で質問を終わります。
  125. 渡辺美智雄

    ○渡辺小委員長 美濃政市君。美濃委員 最初に通産省のほうをわずらわしたいと思います。  いま日本は為替相場の変動制をとっておりますが、これはいずれば円切り上げの固定レートになると思うのですが、輸出の面は別として、輸入の面で、これは農産物あるいは農産物だけに限らずレートの切り上げ分は輸入安の現象になると思うのです。これに対して通産省ではどういうふうに見ておるか、まずそれを承りたい。
  126. 若杉和夫

    ○若杉説明員 お答えいたします。  円の変動相場制あるいは切り上げというような問題になった場合に、一般的に輸入価格が下がるということは言えると思います。ただし、商品によりましてその状況は区々だと思います。たとえば非常に競争の激しい商品とか、あるいは輸出国のほうが非常に立場が強い商品とか、競争が激しくて価格差があまりない商品というのはなかなか下げにくい面もあろうかと思いますが、一方、マージンがまだかなりあるというようなものその他は価格はかなり下がるといろことは予想しております。  ただし、それによりまして、輸入が本年度大幅にふえるかと申しますと、そうはいかない。もちろん、価格需要との弾性値と申しますか、というものはあるのでございますけれども、一般的に景気が下降段階に入っておりますので、輸入量自身、トータルとしてはさしたるふえは期待できない、こういうのが一般的な見通しでございます。
  127. 美濃政市

    美濃委員 農産物についてはどういうふうに見ておりますか、その中で……。若杉説明員 農産物につきましては、大ざっぱに三つぐらいのカテゴリーがございまして、主要食糧品、それから飼料原料、それから一般食料としまして嗜好品的なものとかその他いろいろなものでございます。そのうちの前二者につきましては、これは一部は食管会計で買い上げておりますし、それからもう一つの飼料は、農家のえさの原料でございますから、こういうものはそう量的に動かない。動かないと申しますのは、切り上げあるいは変動相場制移向という問題があってもそう動かない。ただ、値段はあるいは若干下がるかもしれませんが、量的にはふえない。  第三の、嗜好食品的なものは、やはり消費者に直結しているものがありますので、この部門については、ある程度価格引き下げ効果もあって、若干ふえるだろうというようなのが一般的な予想でございます。
  128. 美濃政市

    美濃委員 ありがとうございました。  でん粉問題で若干質問したいと思いますが、まず私は、非常に需給を心配しておりますので、最初に需給関係についてお尋ねいたします。  いま嗜好食品関係値段も下がりますし、若干輸入量も増加するだろう、こういう通産省の見通しでございますから、私もそこを懸念しておったわけです。一つ一つお尋ねいたしますから、時間の関係もございますので、簡明に掌握している状況をお聞かせ願いたいと思います。  まず、仕上げのり等が今回自由化され、この需要は大体でん粉量にして十万ないし十二万トン、こういわれておりますが、この関係から、やはり自由化すれば、一挙に全部入るとも考えておりませんけれども、輸入量は増加するのではないか、こう見ておりますが、いかがですか。
  129. 荒勝巖

    荒勝説明員 このたびの自由化の作業の一つで、いわゆる仕上げのりが自由化することになりました次第でございますが、われわれといたしましては、この自由化に対処いたしまして、非常に不当にのりが入ってまいりますと、国内産イモでん粉にも非常に悪影響を及ぼすということで、関税率の改定を行ないまして、三十円もしくは二五%のいずれか高いほうということで関税率の改定をいたしまして、この結果、キログラム当たり三十円という関税は、御存じのように、トンに直しますと三万円近いもので、相当な高関税でありますので、実質的にはあまり入ってこないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  130. 美濃政市

    美濃委員 若干しかし、あまりという表現を使っております。さっき申した、たとえばIMFから言われておるように、そうはまいらぬとは思いますけれども、たとえば円が一八・五%切り上げられたということになると、それから起こる輸入安の影響がいろいろ起こりますので、この自由化によってこの関係の輸入量が全然ふえないということがはっきり断定できますか。ふえるのじゃないですか。
  131. 荒勝巖

    荒勝説明員 当初から全然入れないということでは自由化の意義が相殺されますので、多少入るかもわからないけれども、不当に大量には入ってこないという前提で、こういう税率をつけている次第でございます。あるいは多少入ってくるかもわからない、こういう次第でございます。
  132. 美濃政市

    美濃委員 繊維、電機製品等の関係でかなり輸出が落ちておるようでありますが、こういう関係で、包装材の段ボールなんかの接着剤が国内経済上かなり売れ行き不振になっておるという関係、それから菓子類の自由化によってブドウ糖水あめに若干影響が起きてくる。それからせんべい類、こういう菓子類にある程度でん粉が使われておりましたが、これもいわゆる菓子類自由化の影響を受ける。それから糖みつの自由化によって若干でん粉にはね返りがくる、こう思います。  これらは、私どもが言っておるのは、十万トンも二十万トンもと言っておるのじゃないですけれども、政府資料から見ても、ぎりぎりですから、たとえば先ほど申しましたのりで二万トン来ても——十万トン以上の消費があるわけですから、二割入ってくると二万トン、それだけ消費減退になってくるわけです。これらが総合的に——あとまだ品目があるわけですが、まずその段ボールですね。それから菓子類と糖みつの自由化に伴って起きる影響、これはどう見ておりますか。
  133. 荒勝巖

    荒勝説明員 大体過去の実績で、繊維、製紙、段ボール用に回りますのりが大体十二万五千トン、こういうふうにわれわれは踏んでいるわけでございますが、これらを踏んまえまして、きょう午前中の委員会でも申し上げましたように、四十六年度におきますでん粉需給事情といたしましては、過去年々相当な、四、五%の需給が増大してきておりましたが、四十六年につきましては、むしろ横ばいというふうに置きまして多少需給関係を据え置いたところ、こういったあちらこちらで少しずつ悪影響が出てきまして、全体としての需給はおおむね前年同様であるというふうに考えている次第でございます。
  134. 美濃政市

    美濃委員 私は、横ばいから減るのでないかという予想をもってこういう話をしておるわけです。  その次に、石油化学製品のグルタミン酸ソーダ等が増加をする。それから大きく影響があるのでないかと思うのは、コーングリッツですね。これがもう——経済局の消費課長を呼んだのですが来ていないようですが、来ておりますか。これは経済局のほうでは鳴りもの入りみたいなことで、安易にどんどんこれをふやしているわけですね。たとえば四十三年においては、これは上期と下期・で大体年間七万六千トン、四十四年には八万九千トン、四十五年には十一万八千五百トン、ことしの四十六年は、上期ですね、四月一日から十月まで、八万七千二百トン、これはどんどんふえてくるのです。これはビール、それから製菓原料でん粉に、コーングリッツの皮を取ってきれいに粉末状態にしたのがストレートで入ってくるわけですね。これはでん粉にならないで、かなりでん粉需要圧迫だと思うのです。また四十三年から見ると、年々コーングリッツというのはものすごく量が増大して、これは一〇〇%でん粉影響しておるとは申し上げませんけれども、かなりの率がでん粉消費に影響している。この関係説明を願いたいのと、それからもう一つは、こういうふうに総合的に判断すると、でん粉需要の横ばいは保てぬのではないか。いただいた資料では百十六万トンとなっている。私はそんなに大きく減るとは思いませんが、この需給予想の百十六万トンから見ると、へたすると十万トンぐらい需要は減るのではないか。これは経済の動向ですから、はっきり何ぼ減るということはお互いに言えませんけれども、私の予想では、こういう状況を迎えて百十万トンは割れそうだ。その影響は、局長が想像しているように、横ばい傾向の状況推移するのじゃなくて、横ばいからの需要減に転落するだろう。百十六万トンという本日いただいた需給見通しから見ても、これから十万トンぐらい減るんじゃないか、これらの総合影響というものは。こう思うわけですが、いかがですか。
  135. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど申し上げましたように、大体でん粉需給状況は、過去二、三年来どちらかといえば横ばいで、需要は横ばいよりも多少減退ぎみでさえもあるわけでございます。その大きな一理由といたしましては、たとえばグルタミン酸ソーダに対する需要部門なんかは相当大幅に減って、糖みつのほうに切りかわっていったというようなこと等もありまして、需要は何となく停滞ぎみもしくは場合によっては四十四年から四十五年にかけては多少、一万トンばかり減ったかもしれないというふうな数字になっております。しかし、われわれといたしまして、そんなに全体として大きく四十六でん粉年度で基調が変わるとは思っておりませんで、やはりおおむね百十六万トン前後はいくのではなかろうか、こう見ております。かりに需要が非常に強く減退するような事態が御指摘のようにあったといたしましても、われわれといたしましては、外国系のコンスあるいは外でんの輸入に多少制限を加えることによりまして需給バランスを合わしてまいりたいし、またそれでも非常にむずかしい場合には、食管の七万トンについても、払い下げにつきましてはあるいは多少考え方を検討してまいることになるかもしれないというふうに御理解願いたいと思います。  また午前中にも御指摘がございましたが、コーングリッツに対する割り当てが多少ルーズではないか。これは必ずしもそうではございませんで、たとえばコーングリッツ等につきましては、四十六年度の上期には九万トンの割り当てに対しまして下期では八万六千トンというふうに経済局のほうで減らしておられますので、その辺については十分御了解をお願いいたしたいと思います。コーングリッツはコーングリッツなりにそれぞれ強い需要がございまして、でん粉も必要でありますとともに、たとえばビールメーカーでも、でん粉も必要ではあるけれども、コーングリッツも必要であるというふうなかっこうでありますし、また需要先もそれぞれ異にしまして、コーングリッツ等は、言いにくいのですが、たとえばみそ等にも相当回っておりまして、こういったこと等を勘案いたしますと、用途は必ずしも競合関係でなく、むしろ補完関係として今後お互いの産業はそれぞれ伸びていくのではなかろうか、こういうぐあいに考えております。
  136. 美濃政市

    美濃委員 今回の需給表を見て奇異に感ずるのですが、毎年——去年もこうだったと思うのですね。去年の需給推算表にも政府買い入れ七万トンを載っけてやってきたわけですね。ところが、推移してみると、コンスの増大になって、政府手持ちはそのままたな上げされておる。こうしておるけれども、来年もそうなるのじゃないか。どうなんですか。たとえば需要がさっき申し上げたように——そこは私も断定はできませんけれども、たとえば私が予想しておるように、百十六万トンは実際にそういういろいろの影響から需要が減退する、そういう状況によって政府手持ちが七万トン払い下げできなかったということは、これはそれの対応策ですからいいと思いますが、そうでなくて、去年は甘でんの引っ込みで、需給推算からいえば、あの制度をつくったときはコンスは五十万トンであったわけです。そうすると、政府手持ちは財政上の問題もあるだろうし、処理できるのだが、実際に推移してみると、コンス五十万トンはいつの間にか六十万トンとかで政府手持ちはそのままに済まされた。ちょっとうがった言い方で申しわけないのですが、コンス業界と行政とには何かコネでもあるのじゃないかという声も出てくる。推移してみると、コンスの増大で政府買い入れ手持ちは、需給計画を無視されてそのまま済まされておる、こう思うのですが、いかがですか。
  137. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘の点については、多少言い方を変えますと、全然逆でございまして、むしろ政府のほうで馬でんの強硬な払い下げをされると困るというのが、北海道の馬でんを中心とした方々の御意見でございまして、何だかんだ言いながらいままで馬でんを持ち越してきたわけでございます。政府といたしましては、実はだいぶ財務当局方面からも金利、倉敷がかかりまして、馬でんの放出については強い意見があるのでございますが、われわれとしましては、あまり無理なことをして国産の馬でんに悪影響を及ぼさないようにいままで処理してきた次第でございます。ただ、四十六年におきましては、ことし十八万トンか九万トンくらいしか馬でんができませんので、これに対処しまして、過去四十四年、四十五年とおおむね二十四、五万トンの馬でんの国内販路を確保してきた、この経緯を踏まえまして、馬でんとしての市場を二十四、五万トンは確保したい。ことしは十八万トンしかできませんので、たまたま政府にあります七万トンを追加放出することによって、馬でんのユーザーの用途を確保してまいりたいということで、ことしはできますればこれを放出いたしましても、国内の本年産の馬でんに非常な悪影響を及ぼすとは思いませんし、また、むしろそれが北海道における今後の馬でんの市場確保にも寄与するものである、こういうふうにも考えまして、四十六でん粉年度におきましては、できる限り放出すべく努力してまいりたい。ただし、時期、方法等につきましては、今後慎重なる配慮をしながらも、放出について検討いたしたい、こう思っております。
  138. 美濃政市

    美濃委員 いまのお話はそのまますなおに私は聞くことはできません。それは前段で言っておるように、このいわゆる改定を行なって、そのときの需給はコンス五十万トンなのです。五十万トンのワクを押えておれば、これは政府放出ができるが、いま北海道側が要請したというけれども、それはコンスがどんどんふえて、十万トンふえたわけですから、ここ二年ほどの間に。それで市況が低迷しておるから、こういう市況の状態で、手持ちのバレイショでん粉を放出されたら困るということを、北海道農業団体あたりは言ったと思うのです。それは人為的にコンスがふえておるからそうなるのだ。五十万トンで押えておったら、それは可能だったのじゃないですか、もっと早く。私の言っておるのは、需給上いろいろの条件でカンショでん粉や何かが不足してくると、そのものはもう政府の手持ちよりも、われわれの知らないうちにどんどんコンスがふえていく、コーンスターチのあれがふえていくから流通市場が低迷する。だから、こういう市況で放出されたら困るということを言ったと思うのですよ。五十万トンに押えておったら、七万トンはもう去年のうちにでも四十五年産でん粉の消流の過程で処理できた、それを言っておるのです。それをふやしておいて、実はそういう要請があったからと恩に着せて、北海道バレイショでん粉を放出せぬで押えてきたのだというその表現は、私はすなおにいただくわけにはいきません。
  139. 荒勝巖

    荒勝説明員 従来からコンスがふえてまいりました経緯といたしましては、朝来御指摘のありましたカンショでん粉が相当に減少してきておることは事実でございまして、四十四年で二十六万トン強あったものが、たとえば去年は二十三万トンになり、さらにことしは二十万トンに減るということで、このたった三年間でも、これはまことに遺憾でありますけれども、カンショでん粉が減ってまいりまして、その結果、その穴埋めを水あめ用、糖化用のコンス等を振り向けざるを得なかったということは事実でございまして、数量的にはやはりカンショでん粉の減をコンスで補ってきているというふうな感じを持って私たち見ております。  ただ、問題なのは、国内産でん粉が割り高であるということで、ともすればユーザーのほうからいたしますと、安ければ安いほうがいいのだという感覚がございまして、どうしても安いほうのでん粉に飛びつきたがるというのを、それをそうさせずに、多少高目であります国内産イモでん粉と抱き合わせることによって、国内産の馬でんを引き取ってもらっておるというようなこともありまして、まあいろいろな事情もありまして、多少コンスがふえてきておることは事実だと思います。
  140. 美濃政市

    美濃委員 いま割り高ということばを使われたわけでございますが、国民生活から見て一体でん粉は高いと見ているのですか。それからまた、国民経済生活から見て、いわゆる文化国家における農産物の最低は申すまでもありません、限界の最高価格はどのくらいが標準と考えているか。それからものを言ってもらわぬと、高い安いというものさしはどこに当ててものを考えておるか。たとえば米は百グラム三百三十九カロリー、でん粉は同じく百グラム三百三十二カロリー、かんきつ類であっても栄養保全のうちに入るわけです。いろいろあります。肉の価格もあります。何をものさしに高いというのか、これを承っておきたい。これは農政の根幹だと思います。何を標準に高安を論じるか、どういう考え方で高い安いということを言われるか。
  141. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま私の申し上げましたのはカンショでん粉バレイショでん粉コーンスターチ、さらに外国産の直接的なでん粉でありますタピオカ、こういった四系統のでん粉価格の相対関係を申し上げたのでありまして、その間におきまして、たとえばでございますが、国内産の馬でん等につきましては、基準価格のきめ方にもよるわけでありますが、大体実際の市場価格といたしましては、バレイショでん粉がトン当たりにいたしますと約五万円をこえる数字、五−六万円の間の数字になるのではなかろうかと思いますが、たとえばコーンスターチから比べますと、大体トン当たり三万前後、ちょっと安いときでありますが、高いときに三万五千円から、どんな高いときにでも四万円以下に大体おさまる。それに対しましてタピオカでん粉となりますと、さらにそれより下回りまして、トン当たりにしますと三万円前後というふうなことで、企業者の——ユーザーはおおむね企業者でございますので、どちらかといえば、どうしても安いほうのでん粉を強く要望する。同じでん粉であれば、水あめをつくるのにはほとんど歩どまり的には同じなので、原料価格はちょっとでも安いほうを好むという趣旨のことを申し上げた次第であります。
  142. 美濃政市

    美濃委員 これから自由化も高まってくると思います。たとえばタピオカのような生産状況、しかもまことに原始生活で、今日、人たる世界水準の生活もできない。それをいわゆる貿易の力関係でたたき買いしてくるか、それからある面は農産物余剰国の財政力の強い国は、大なり小なりダンピングをしておりますね、余剰農産物処理というのを。そういう価格を標準に、確たる国内経済から見た、いわゆる日本の国内における賃金均衡なりあるいは生活の水準なりというものを勘案しないで、単純にそんなものと比較して高安を論ずるようになると、これは国内農業生産の放棄論になるのではないか、放棄せよということにつながるのではないか。しかも企業の利潤が優先にしても、民族独立要件として、国内で可能な限度においては、国民生活を極端に破壊しない価格であれば、自給していかなければならぬ。生活を破壊する価格ではだめです。その限度は、私はいつも言っておりますが、生活のエンゲル係数の三〇%が目標でなければならぬ、最高目標です。それより安いことが好ましい、それまでは需給価格として位置づけしなければならないのではないかということを言っておるわけです。そういう農政理論を頭から抜いてしまって、企業の利潤や全く条件の違うダンピング価格やそういうものを対象に高安を論じて高いのだときめつけることになれば、これは大問題だと思うのです。高いとそれできめつけるということはどうですか。高いときめつけて、それで日本の農政がやれるのですか、それが蚕糸園芸局の基本なのか、これを承っておきたい。
  143. 荒勝巖

    荒勝説明員 国内産イモでん粉の振興並びに価格安定について、私としましては、今後大いに振興すべきものは振興すべきものと考えております。ただ、要するに、企業の立場からいたしまして、イモでん粉をほしがるときには、非常にタピオカ等一番安い——精製度の悪いものでも水あめになるという意味で、強い希望があるわけでございますが、これらをわれわれといたしましては、何らかの形で年々、しいて言えば、押えつけて、むしろ国内産イモでん粉需給の均衡並びにその販路の確保ということに全力をあげて毎年行政を指導している次第でございます。したがいまして、冒頭御質問がありましたように、われわれといたしましては、何も、安い外国産でん粉を自由化しまして入れることによって、国内イモでん粉の農家経営の不安定を来たすようなことはただいまの段階では考えておりませんで、何らかの形で輸入制限を今後とも厳守いたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  144. 美濃政市

    美濃委員 時間の関係でこの問答はこの程度にしておきます。ですから、私のさっき言ったのは、御答弁は要りませんから、高いという表現は、今後国民生活の均衡価格から見て高いという表現をしてもらいたい。単純に、質的に違うものをもってあれが高いこれが高いという表現は今後十分検討してもらいたいと思います。  それから次に、抱き合わせ販売、抱き合わせ販売といいますけれども、抱き合わせ販売方式にはいろいろ私は問題があると思うわけです。これはいますぐできないから、四十八年まで抱き合わせ販売方式の二次関税方式をとって、とりあえずの対策をやり、その期間に根本的なものをつくる、こうなっておるわけなんですが、あとからでん粉の加工体系の問題もお尋ねしたいと思っておりますが、たとえばブドウ糖ですね、あめですね。これは甘味資源でありますから、いわゆる砂糖類の事業団に追加して、法律によって甘味資源対策によって事業団管理に追加するということも、これはやろうとすれば可能なことですね。したがって、そういう抜本的な制度を持たせませんと、この抱き合わせ制度で今後いくということは、先ほど申し上げたように、多様化した自由化が行なわれていろいろのものが入ってくる、そういう中で、これは抱き合わせ価格の支持価格を国が決定して、それをこういう制度の抱き合わせで推移していくというのは、私は価格制度としても問題があると思うのです。これはどのように考えておるか。これがもう唯一無二のものと考えておるか。今後そういう抜本対策に対して、きょうは確たることは言えぬと思いますが、抜本策を真剣に検討する用意があるのか。
  145. 荒勝巖

    荒勝説明員 一昨年この抱き合わせ制度をさらに拡大、継続するという方針をきめました際に、各方面でこの抱き合わせ制度に対する疑問が提起されたわけでございまして、それが関税率審議会における決議というかっこうになった次第でございます。われわれといたしましても、当然筋道としまして抱き合わせ制度という制度はやはり邪道といいますか、本来の政策的処理をすべき問題としてではなくして、何か便宜的に、困り切ってこういう制度の道を開いたようなかっこうでございますが、現実問題といたしまして、多少筋はおかしいと思いながらも、この制度以外にその当時としてはとる方法がなかった。またこの抱き合わせ制度を始めました当初には、カンショでん粉だけをさしあたりの抱き合わせ制度にしておりましたところ、それでは北海道の馬でんの販売が苦しいということから、バレイショにまで抱き合わせ制度を結局適用を拡大してしまったという経緯もございまして、われわれといたしましては、いまここで急にこの抱き合わせ制度を一切やめてしまって、それぞれ違う方法をとるんだということで、たとえばトウモロコシにつきまして高関税率といって、ただいまでも多少アメリカ方面からは非難されております五〇%ないし六〇%の関税率をそのまま適用して、六〇%の関税をかけて輸入いたしましても、やはり国内産イモでん粉価格的になかなかむずかしい問題が残っております。したがいまして、これを本来の姿に戻して何かの形で抜本的改正をするとなると、結果論としましては、いまのところまだいい知恵がなかなか浮かばない。全部財政負担すればいいのだという御意見も一部にはございますが、そういう形ではやはり政府としてはなかなか長続きしない制度になってくるのではなかろうかという懸念もございますので、われわれとしましては、当面こういうような少し応用動作が広がり過ぎたような形ではございますが、この制度を温存、維持していく以外手はないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  146. 美濃政市

    美濃委員 きわめて消極的な意見だと思うのですが、それしかないですか。いまどうするという確たる答弁はなにだが、局長みずからもあまりいい制度ではないと言っている。抜本改正についてもっと衆知を集めて検討する意欲もないのですか。関税率審議会にかじりついて、この制度の温存以外に方法はないのだ、こういうことですか。
  147. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま申し上げましたように、この制度は確かに、真正面からいって、あまり世に誇るような制度ではないと私自身そう思っております。しかし、いま直ちにこれにかわる知恵なきか、こう言われましても、いま直ちにこれにかわる案はないけれども、何らかの形でさらにいい案を考え出すのがわれわれの仕事でございますので、四十八年の三月末この抱き合わせ制度が切れる際に、もしいい知恵があるならば、われわれとしてもその方向を採択するよう、今後研究は続けてみたいと思っております。
  148. 美濃政市

    美濃委員 次に、価格問題をちょっとお尋ねしますが、農安法の第一算式、第二算式の問題もありますけれども、現実の問題として、どうですか。これはカンショの統計資料によると、カンショを耕作しておる農民の一日当たり労働賃金が四十五年度で八百三十二円、四十四年産では七百五十五円。どうですか、こういう労賃で生産維持ができると思いますか。これは統計調査の統計表に出ておるわけです。あまりにも日本の現実の国民生活とかけ離れた所得にしかならない。この現実からいうと、来年もかなり減るんではないですか。そうすると、結局は、いろいろ言っておるけれども、これはイモでん粉生産が減じて、頭から生産を放棄さしたというのではないが、政策のテクニックで、農民みずからが放棄せざるを得ない条件に追い込まれておるのではないですか。
  149. 荒勝巖

    荒勝説明員 われわれといたしまして、やはりイモでん粉の振興をはかっていくということが本来の任務でございますので、当然にこの価格政策も加味しなければならないと思っております。ただ、価格政策だけでこの家族労働報酬の確保ということをはかりますことはやはり問題が残りますので、価格政策のほかに構造改善事業なりその他いろいろな技術の開発というような点も入れまして、こういった制度を仕組んでいる次第でございます。その結果、たまたまカンショのほうは、南九州中心としまして農家の経営規模が非常に小さい。鹿児島をとりますと、農家自身の全体の経営規模が五、六反しかない。さらにその中でカンショの作付規模となりますと、もうさらに小さな一反、二反というふうな経営規模になってまいるわけでございます。その結果、どうしても経営規模の問題からしまして、機械化なり合理化への軌道になかなか乗りにくいということで、結果的にはカンショは八百三十二円というふうな家族労働報酬になっておりますが、機械化体系が整備され、軌道に乗った農業で、同じイモ仲間でございますけれども、バレイショになりますと、三千九百六円というふうに、また米を上回るような家族労働報酬が出ます。  この計算の根拠といたしましては、われわれといたしましては、バレイショカンショも、従来からいわれておりますように、甘馬一体の計算方法で出しておりまして、不当にカンショを締めつけ、バレイショを不当にまた引き上げるというような政策はとっておりませんで、公平に取り扱ってきておりますけれども、やはり機械化体系といいますか、合理化体系への踏み込みが、北海道の場合は成功し、南九州の場合はその軌道にまだ乗っていないというところに問題があるんではなかろうか。この点につきましては、南九州の方々からすれば、もう少しカンショ価格を引き上げるべきであるという御意見等もございますが、統計調査部等の調査によりまして、いわゆる家族労働の自家労賃評価というものは同じような評価方法で生産費を計算しておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  150. 渡辺美智雄

    ○渡辺小委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  151. 渡辺美智雄

    ○渡辺小委員長 速記を始めて。
  152. 美濃政市

    美濃委員 北海道バレイショの場合も、いま局長から話がありましたように、四十四年度は千六百五十八円で、四十五年度はたまたま反収が、非常にバレイショに適温であって、戦後最高の収量が得られたということで、ぐっとはね上がっておると思いますけれども、その前年度は千六百五十八円です。たとえば農業経営を見るとき、これはやはり一時間労賃もさることながら、農家というものは世帯を持って経営しておるわけです。農家と称するものが独身者や独身労働で農家を形成しておるものはないわけです。日本国内の四十五年度一戸当たり平均所得、勤労所得から全部ひっくるめて百三十万ないし百四十万所得というものが得られなければならぬわけですから、通例二千四百時間の労働時間でそれだけの所得を得るということになったら、まだこの所得で十分とは言えないわけです。また、たとえばきわめて恵まれた、去年のこの統調の書かれてあるとおりの三千九百円であったとして、四千円であったとしても、八時間労働で、二千四百時間というのは三百日ですから、百二十万です。今日もう世帯形成しておる賃金所得だけだって、一時間当たりにすれば六百円ぐらいになっておるわけですからね。農家も世帯を形成しておるのですから、そんなに低い所得では生活ができないわけです。経営構造の問題や何かで、経営が小さくて十分に生産性が発揮できなくて所得の低いのは、これは拡大しなければならぬ。一定の規模にして十分機械化して二千四百時間の労働にかなりの生産性を発揮してやっとここまで——北海道局長が言うようにある程度そういう面は進歩してきておると思います。それでもまだ他産業並みの生計所得には達していないのですよ、米より上だとか下だとかというけれども。  そういうふうに考えて今後やっていかなければならぬと思いますが、いずれにしてもカンショでん粉を、カンショイモをこのままにしておけば、これはやはりそこへ行く前につぶれるのではないですか、そういう意欲はあったとしても。早くしなければカンショというものの生産が壊滅するのではないか、こう思いますから、これはやはりあらゆる面で、国内自給の角度からもひとつ総合対策を進めなければならない、こう考えます。それに対して局長あるいは畑作振興課ではどう考えるか。
  153. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいまの、カンショバレイショの経営上のあり方から家族労働報酬がえらく違ってきているということにつきましては、甘馬一体の原則からいたしますと、はなはだ適当ではないというふうに私たち考えております。これにつきましては、朝来何度も申し上げているように、一日も早く南九州カンショにつきましても、生産性の向上ということをはかるためにも、いわゆる地域特産農業の推進ということをもっと積極的に今後とも進めまして、さらにこの家族労働報酬が均衡のとれるような形に持ってまいりたい、こういうように考えております。  なおまた、先ほども申し上げましたように、南九州では機械化体系での合理化がなかなか乗りにくいというふうな現状にもありますので、またこういった地帯は、ほかの作物でさらに合理的な報酬が得られる機会もありますので、そういった作物の導入とからみ合わせながら、農家経営が十分成り立つように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  154. 渡辺美智雄

    ○渡辺小委員長 畑作振興課長、何かありますか。
  155. 工藤健一

    ○工藤説明員 局長の御答弁でよろしゅうございます。
  156. 美濃政市

    美濃委員 それでは次に、四十五年の加工費の問題。共同調査をしたから、先ほど農業団体の要請と農林省調査にはそう違いはなかろうという表現だったわけです。これはこの時点でありますから、農林省の手元で把握しました加工費をひとつお知らせ願いたいと思います。加工費部分だけでけっこうです。加工費は何ぼか。
  157. 荒勝巖

    荒勝説明員 加工賃につきましては、この価格決定のときまでに中身そのものにはそんなに大きな変化というか、変更は加えられるものではありませんし、われわれといたしましては、従来からほとんどすなおに加工賃を取り入れて決定しておる次第でございますが、多少操業度の見込みというふうな点から、全体のトン当たりの加工賃が変わってくるというふうに御理解願いたいと思います。従来からこの加工賃について農業生産者団体からあとで強い非難を受けた経緯もございませんので、その点については御了承をお願いいたしたい、このように思います。
  158. 美濃政市

    美濃委員 それ以上にいまここで言えませんか。——そうすると、参考にお聞きしますが、農業団体の要請の中にこれは明記されております。これは非常に良心的だと私は思うのですが、大体これにそう遠くない、期待を裏切るような大きな変化はないと解釈していいのですか、いまの答弁は。いま何百何十円ということははっきり言えない。そうすると、共同調査して大きな差はないというのですから、いままで期待も裏切ったことはないというのですから、大体このとおりきまるだろう、こう想定していいのですか。
  159. 荒勝巖

    荒勝説明員 従来から両方で立ち会いの上で共同調査を加工賃についてはしてきておりますので、伝票等に当たって仕切っていく原価計算といいますか、評価方法はほとんど変わりはないと思います。現金支出が明らかに行なわれている系統の加工賃は、ほとんどわれわれもまだ手を入れないし、また評価のしようもありませんし、そのままいただくことになると思いますが、やはり同じ共同調査をいたしましても、政府側と団体側との間で、擬制的な経費というものが多少あるわけでございます。償却費をどう見込むかとか、あるいは金利をいわゆる名目金利にするのか、実質金利にするのか、あるいは不当にといっては失礼ですけれども、多少高い金利を借りている傾向があるとか、そういった管理費が少しおかしいとか、こういった擬制的な、評価の見方によってはお互いに見解を異にするという問題等が一つの問題にはなると思いますけれども、その辺の違いというふうに御理解願いたいと思います。
  160. 美濃政市

    美濃委員 次に、生産対策の話がありましたので、ひとつお伺いしたいと思いますが、これは畑作振興課長さんにお尋ねします。  私どもは、バレイショの病気をなくして増収をはかるために、農林省の原々種農場から、北海道ではいま五十キロ千四百円で原種の払い下げを受けている。これは私の想定ですが、私の想定は間違いないと思うのですが、いわゆる原種農場に対する労務費を予算上本庁がきちっと予算をつけないものだから、手不足で抜き取りが完全に行なわれない。農林省から原種として配布されてくる私どものいわゆる更新用種子の原種というものが、多いときには百株に七株くらい、葉巻き病だとか、黒あざだとか、リングロットだとか、そういう性格の病気におかされているものが混入してくる。これは原々種というのですから、もっと無病の種子を配布してもらいたい。抜き取りすれば、一〇〇%というのは困難かもしれませんが、ちょっと混入率が多過ぎる、こう思うわけですが、これはぜひことしの予算をふやして、来年度はその絶無を期してもらいたい。ことし配布されてくるのは、そういう中でつくられておりますから一年がまんしますけれども、来年その態勢ができなければ私は承知できないと思うのです。これは原種としての価値はないし、価格だってけっこう高いわけですから、原料バレイショであれば六十キロで御存じのような価格であります。その三倍以上原種に金をかけて、しかも無病でないということはまことに残念だと思うのです。この態勢はどうお考えになるか。
  161. 工藤健一

    ○工藤説明員 お答えいたします。  御指摘のようた、バレイショの病気のない健全な種イモ供給するということで、御存じのようた、バレイショ原々種農場が運営されております。試験場等から新しい品種を導入しましてバレイショの原々種をつくります。これは先生御存じと思います。それから道の直営の原種農場というのがあります。それと、これだけでは足りませんので、各優良な農家に委託をして原種をつくりまして増殖をいたします。それから一般農家に配布をする、こういう採種の体系になっていることは御存じと思います。  バレイショの病害には、御存じのように、バイラスによるものと細菌によるものとがございますが、バイラスによるものにつきましては、細菌によるものもそうですけれども、検査をいたしまして無病なものを配布する、こういう形にいたしておりますが、遺憾ながら、細菌によるものにつきましては、無病な種イモ供給いたしましても、土壌伝染等の関係で、原種圃の土壌あるいは一般農家の土壌に黒あざ病等の病菌が残存しておりまして、罹病することが間々あるようでございます。しかし、そういう事態はあるにいたしましても、いま御指摘のように、無病な優良な種イモ供給するのが原々種農場の任務でございますので、御指摘の線に沿いまして、抜き取り等の賃金の獲得と申しましょうか、担当課長といたしましては大いに予算を要求いたしまして、そういう抜き取り等による支障がないように、病気のない種イモ供給して安心してバレイショ生産にいそしんでいただくように、大いに努力をいたしたいと考えております。
  162. 美濃政市

    美濃委員 次に、これは先ほど来お話がございましたが、でん粉の合理化の問題です。特にカンショでん粉について申し上げたいと思いますが、これだけ時代が進んでくると、カンショでん粉等の生産体制がくずれてしまわないうちにいろいろ総合政策を要すると私は申し上げておきました。その一環として、たとえば地域特産推進事業の中で思い切った——これは北海道のような寒地地帯でないものですから、加工条件もよろしいわけでありますから、たとえば鹿児島とか宮崎とかこういうところへ、まず最初のテストは一つからでもよろしゅうございますから、一貫した大規模工場を一つつくるというようなことが必要だと思います。これはでん粉から連続してあめまでつくってしまう。やはりこのくらいの加工工程を考えませんと、乾燥でん粉というのは、概してあの乾燥コストをかけて紙袋に入れて、こっちに持ってきたら、水に溶解してあめにつくったりなにかするわけですから、あのコストというものは商品性の足しにならぬわけです。商品性からいうと、無益なコストと言えるわけです。乾燥して袋詰めにするのは無益なコストである。しかもそういうふうにしてあらゆる原料を何ぼでも過密化しておる集団地域へ持ち込んで、そして人口の過密と公害を起こしておるということは愚でないか。ですから、思い切って大規模工場にして、まず主産県に、最初は一つでいいですからそれをやると、刺激して次に二つできるのですから、まずひとつ思い切って農林業の長期資金等を出して、そして十億や十五億かかってもけっこうです、相当の大規模工場で連続してあめまでつくってしまう、あめにして市場へ供給する。やはりこのぐらいの加工体制に進めませんと、先ほども話がありました、小さい個人がやっておる工場はつぶれる。もういいかげんつぶれたからあとはいいのではないか。そんなものじゃないと思うのです。そのくらい大胆な思い切った加工体制の革新にやはり政策指導は踏み切る意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。そのくらいのことをやらぬければ、これからの合理化とは言えないと思うのです。
  163. 荒勝巖

    荒勝説明員 まさに南九州の鹿児島のカンショでん粉については御指摘のとおりでございまして、むしろ中小企業近代化促進法に乗せたいきさつ等を顧みますと、むしろ役所側のほうで、北海道の合理化近代化でん粉工場を見学することによって、ああいった工場を鹿児島にもぜひつくるようにということで、われわれ自身もそういうことを強く希望し、かつ指導している次第でございますが、また、でん粉全体の生産量からいたしましても、鹿児島のでん粉が減った、減ったというふうにいわれておりましても、まだ依然として宮崎、鹿児島だけでおおむね北海道に近いでん粉生産量がある現状からいたしまして、そういった近代的なでん粉工場の可能性は十分に残されておるというふうにわれわれも考えているわけでございます。したがいまして、そういうことでわれわれも強く指導しておるのでありますが、どういう経緯か、その辺、現地のほうでそういった立ち上がりの姿がまだなかなか見られないということについては、はなはだ残念に思っています。今後ともその線に即して大いに指導強化をしてまいりたい、こう思っております。
  164. 美濃政市

    美濃委員 もう五時になりましたし、具体的な農安法価格対策やその他は芳賀委員から大体質問が尽くされておりますから、この程度できょうは質問を終わりたいと思いますが、先ほど瀬野委員からもお話がありましたように、一日の日程で決議することができませんし、委員長お聞きのように、一面前向きには見えますけれども、背景は非常に消極的でありますから、きょうこの委員会の質疑の趣旨がこれから一日、二日で決定されることしのでん粉価格に反映するように、委員長からひとつ最後の締めくくりをお願いいたしまして、私、質問を終わります。
  165. 渡辺美智雄

    ○渡辺小委員長 この際、小委員長から一言政府当局に申し上げます。  従来、本委員会においては、イモでん粉等価格に関する問題について、結論を得た上、農林水産委員会において決議を行なってきたのでありますが、今回は日時等の関係でこれを行ない得ませんので、本日の小委員会の趣旨を十二分に参酌され、適切な措置を講ぜられるよう申し添えておきます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時四分散会