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1971-10-04 第66回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月二十二日(水曜日)委員長の指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  いもでん粉等価格対策に関する小委員       江藤 隆美君    佐々木秀世君       藤田 義光君    安田 貴六君       渡辺美智雄君    芳賀  貢君       美濃 政市君    瀬野栄次郎君       小宮 武喜君  いもでん粉等価格対策に関する小委員長渡辺  美智雄君 ————————————————————— 昭和四十六年十月四日(月曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 仮谷 忠男君 理事 松野 幸泰君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 千葉 七郎君       安倍晋太郎君    大村 襄治君       鹿野 彦吉君    佐々木秀世君       中垣 國男君    安田 貴六君       山村治郎君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    美濃 政市君       瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  委員外出席者         行政管理庁長官         官房審議官   楠田 脩一君         農林政務次官  伊藤宗一郎君         農林大臣官房長 中野 和仁君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農林経済         局統計調査部長 中沢 三郎君         農林省農政局長 内村 良英君         農林省農地局長 三善 信二君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         食糧庁長官   亀長 友義君         食糧庁業務部長 森  重弘君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         労働省職業安定         局業務指導課長 関  英夫君         日本国有鉄道貨         物局長     泉  幸夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十月四日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     山村治郎君   森下 元晴君     大村 襄治君   松沢 俊昭君     中澤 茂一君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     森下 元晴君   山村治郎君     小沢 辰男君   中澤 茂一君     松沢 俊昭君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、赤城農林大臣が本委員会出席機会に、近く十一日から赤城農林大臣訪ソされるということを報道を通じて承知しておるわけでございます。現職大臣として赤城農林大臣訪ソされるのは、当然、難航いたしましたことしの日ソ漁業交渉最終段階において、赤城さんが当時佐藤総理要請を受けて特使として日ソ漁業交渉の打開に当たられたという経緯から見まして、今回は現職大臣として日ソ漁業交渉問題の大局的な話し合いソ連責任者といたしたい、こういうことが主目的であろうというふうに判断をいたしておるわけであります。しかし、赤城農林大臣ソ連側にも非常に信頼のある大臣でありますし、同時に、日ソ間の問題ということになりますれば、当然漁業交渉問題以外に、一般貿易の問題あるいはシベリア開発問題等々が政治的な日ソ間の重要な問題でありまして、こういった経済問題全般についても話し合いが行なわれるんじゃないかというふうにも予測されるわけでございますが、従来からの日ソ漁業交渉の最近の状況を見てまいりますと、いわゆる政治ベースにおける全体的な話し合いということを前提にしなければ、なかなか漁業交渉の解決がむずかしいという時点に来ておると私は思うのでありまして、そういう意味では、今回の赤城訪ソ成果というものが非常に注目もされ、また関係業界からは大きな期待を持たれておるというふうにも判断をいたしております。  私はたまたま今回、列国議会同盟の地域会議日本国会代表の一人として、中南米からヨーロッパを回る機会ソ連訪問をいたしまして、特に日ソ漁業交渉問題でイシコフ漁業相と会見をいたしたい、こういうことを強く要請をしておりました。ところが、中南米に私が参りました際に、イシコフ漁業相も同時に中南米に参っておりまして、あるいはペルーであるとかあるいはチリであるとかいうところに参っておりまして、それぞれペルーチリ話し合いをして取り決め等もやってきたように承っております。   〔委員長退席渡辺(美)委員長代理着席〕 特にチリの場合においては、同じホテルに泊まったわけでございますが、これはそういう点から見て、中南約のイシコフ漁業相訪問を含めて、ソ連で彼と会うことを非常に期待しておったわけでありますけれども、残念ながらサマータイムということで漁業省渉外局長と会う。これはペルーチリ等にもイシコフ漁業相に同行した人でありまするけれども、それと約一時間半、日ソ漁業交渉問題あるいは領海大陸だなあるいは海洋法会議等の広範な問題について話し合いをしてまいりました。その際に私は、赤城農林大臣訪ソされるというふうなニュース等大使館等を通じて出ておりましたので、その点を渉外局長見解をただしたところ、赤城訪ソソ連側としては心から歓迎をする、そしてその成果に大きな期待を寄せておるという見解表明等がございました。  この機会に、赤城農林大臣から、今回の訪ソ目的というふうなものについてまず御答弁をお願いいたしたい、こう思います。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいま角屋さんが述べたようなこと等について訪ソするつもりでございます。  実は日ソ関係には、根本的ないろいろな問題もございまするし、いまのお話のように、根本的でなくても、やや根本的な貿易問題とかあるいはシベリア開発の問題とか、こういう問題があります。ありますが、今度訪ソする目的は、いまお話しのように、サケマス漁業問題あるいはカニの問題、昨年等はこちらでそういうふうに予想しなかったニシンの問題なども出ましたが、そういう漁業の問題。交渉の問題につきましても、政治的といいますか、大局的にあらかじめ問題の話し合いというものを済ましておきませんと、実際に漁業委員会などが開かれた場合に、そういう前提問題等について相当時間をとっていますので、そういう前提問題等についてよく話を詰めておきたい。こういうつもりで、お話のとおり昨年からのいきさつもありますので、そういうことで行きたいと思っておるわけであります。  貿易の問題とかシベリア開発の問題とかあるいは平和条約の問題とか大きな問題もあるのですが、そういうことを話し合うところの期間がないと私は思っています。十一日からで十六日にはもう帰ってくるつもりでございまするから、そういうことはまた別の機会話し合いしたいと思います。しかし、時間があればそういう問題にも触れたいと思いますけれども、主として漁業の問題について話してみたいと思います。  サケマス等につきましては、来年は不漁年でございますので、この不漁年に対処してどういうふうな態度向こうが出るのか、また私のほうとしての態度というものも話して、そういうことも漁獲量の問題だけ等について委員会では話せるような下準備をしたい。カニ等につきましても、御承知のように、大陸だな資源論争公海資源論争といつでも繰り返しておりますから、そういう問題はたな上げと申しますか、去年あるいはおととし等におきましても、これは事実上たな上げのような形に、うやむやのうちにたな上げになったのですが、そういう問題もたな上げならたな上げにはっきりさしておいて、漁獲量や船の数等は委員会等においてきまるような下準備をする、こういう目的で行くことにいたしておる次第でございます。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 いまの大臣お話では、日程等関係もあって、主として日ソ漁業交渉の政治的な大綱の問題について話し合いたい、こういう御答弁のようであります。  そこで、おそらくそういうことになれば、イシコフ漁業相あるいは場合によっては日ソ漁業交渉のときの向こう側モイセーエフ代表等中心的に話し合うということであろうかと思いますが、当然、佐藤総理とも事前に話し合われるときには、コスイギン首相にも会うというふうなこともあり得るのじゃないかと思いますが、その辺のところはどういう段取りであられるのか。  さらに、日ソ漁業交渉問題の政治的な話し合いをする場合に、日ソ漁業条約の問題は、条約期限の十年はすでに来ておりまして、これが引き続き有効に働いておるわけでありますけれども、私どもも含めまして、業界等におきましても、いわゆる日ソ漁業条約の改定問題ということが当然一つの問題になるわけでありますけれども、こういう日ソ漁業条約の改定問題というふうな点も、大局的な見地から話し合いの議題に予定されておるのかどうかという点等についても、もう少しお話しを願いたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、向こうへ行きまして時間があり、また向こうコスイギン首相などが会うような段取りができますならば、私もコスイギン首相とかあるいは副総理等とも話し合いしたいと思いますが、これは向こう都合にもよりますので、そこまでは向こうへ行ってからでないとわかりません。その際には先ほど触れましたような問題等にも触れたいと思います。主としてはイシコフ漁業大臣のほうからは、角屋さんのお話しのように訪ソを歓迎する、だから向こう都合がちょうど十一日からお目にかかれるのだ、こういうようなものですから、こっちの日程もそれに合わせたわけでございます。でございますから、どうしても漁業の問題を中心に話し合うという機会になると思います。  そこで、日ソ漁業条約の改定問題でございますが、御承知のとおり、十年の期限が切れましたときに、実は私も大臣ではございませんでしたが、会ったときに、延期するなら延期するということをはっきり態度といいますか政府方針としてきめてもらいたいということを再々いわれたことがありました。ただ、条約にこの十年の期限が切れたならば当然延長になるということだけで延長するということでなくて、一つの宣言的なことをしてもらいたいという希望はありました。しかし、その後、向こう側として、この日ソ漁業条約を改定するという意向は昨年あたり、一昨年あたりにはもうなくなってきております。日本としてこの条約を改正するというふうなことにつきましていろいろ検討もありますけれども、運用の妙を得てこれはやっていったほうがいいのではないかと私も考えております。条約にちょっと筋どおりに行っていない面も少しあると思いますが、条約の改正問題にはそう触れるという考えを持っておりません。  ただ、申し添えますと、漁業の問題と関連します北方安全操業の問題がありますから、安全操業の問題につきまして一時ようやく向こうも非常に乗ってきたのでしたが、最近の状況から見ますると、停滞しているというか、それほどの乗り気でないような感じも受けます。でございますので、この安全操業問題等につきましても、外務省やその他と打ち合わせた結果、イシコフ漁業大臣向こうの窓口になる、こういうふうになっておりますので、この問題等については相当話し合いをしたい、こう思っております。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 安全操業等の問題についてもぜひこれを含めて日ソ漁業交渉問題の中でお話し合いをして、日本側のそれぞれの要請にこたえるような努力をしてもらいたいというふうに希望しておきたいと思います。  同時に、漁業問題が中心ということに相なりましても、当然現職赤城農林大臣が行かれるということになりますれば、これは時間の範囲は別として、シベリア開発その他経済全般の問題にも触れられると思うのでありますが、その際にことし日本に参りましたアルヒーモフソ連貿易次官が、いわゆる日ソ貿易発展のための輸銀資金の利用ということを大蔵大臣等に申し入れた経緯がございますが、これらの問題についても政府部内のある程度の意向等もまとめていかれるのではないかというふうにも判断をするわけですが、その辺のところはどういうふうにお考えでございましょうか。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、ソ連機構縦割り機構でございますので、漁業相と話しているうちにそういう問題までも話をしてもそれはむだでございますが、いまの政府シベリア開発の個々の問題等についての保証といいますか、輸銀資金の使用とか、そういういろいろの問題がございます。この間ソ連経済担当大臣も来まして、そういう話もしたようでございます。こういう問題につきましては、近く日ソ経済委員会が開かれることになるようでございますので、そこでお互い意向等も少し詰めて、そうしていまのお話のようなことがはっきり出てくれば、私のほうでもそういう点では協力したい。こういうことは、もし経済関係の閣僚なんかに会った場合には言うつもりでございます。しかし、経済委員会というものがありますから、そこでいろいろ論議されてからでも私は時期的に間に合うといいますか、進めてもよろしかろう、こういう考えを持っております。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 さらに一点。来年度以降の国際海洋法会議に臨む領海その他の基本的な態度問題等についても、当然これは漁業問題の重要な項目として話に出るのではないかと思いますが、そういう点は日本側としては、御承知の従来領海三海里、ソ連は十二海里、私もいろいろ渉外局長ともやったわけでございますけれども、それらの問題については、日本側としてはどういう方針でこれらの話し合いに臨まれるか、こういう点についてもお話を願いたいと思います。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 七二年にジュネーブで海洋法会議がございますのは御指摘のとおりでございます。そこで領海の問題とかあるいは専管水域の問題とか、海洋における漁業もいろいろ違ってきましたから、問題が出ると思います。その会議においてきめないとわかりませんが、領海問題等につきましては、会議のほうの大体の考え方領海についても十二海里という考え方のように私も聞いております。そういうことでございまするから、海洋法会議等におきましても大体その線で日本代表も臨むというふうに私は考えております。  さらに、海洋法関係全体からいいますと、ソ連日本はこういう点では非常に利害が一致しているといいますか、共通の点があると思います。でございますので、こういう問題が出ましたときには、やはり共通の問題は共同で対処していく、こういう方向話し合いをしたいと思っております。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 国際海洋法会議に臨む日本ソ連との態度については、大臣も仰せのように、共通部面を私も持っておると思います。ただ、ソ連渉外局長と話し合ったときも、中南米等で二百海里を主張している国々も相当あるわけでありますが、中南米の場合には、最近の動向はいわば南米民族主義方向がございまして、そういう方向の中で出ております二百海里説に対して、ソ連側として政治的にどう対処をするかというふうな点が一つの問題のように私は会談の中で看取してまいりました。そうなりますと、その点に関する限りにおいては日本側ソ連側出発点は同じであっても、いわゆる結着点において意見の相違が起こるかもしれないということを私申し上げたところが、いや、それらのところはできるだけ歩調を合わしていきたいということを渉外局長は言っておりましたけれども、そういう問題等については、出発点においては私は共通部面を持っておると思います。しかし、政治的判断あるいは各国の領海に対するさばき方という点ではいろいろ複雑な問題が私、出てこようかと思いますが、それは参考までに話の内容の一部をお伝えしたにとどめておきたいと思います。今回の赤城農林大臣のいわゆる漁業問題を中心にした訪ソは、日ソ漁業交渉に対する従来の交渉のあり方というものに対して新しい性格で日ソ漁業交渉に臨むという第一歩であるというふうに私ども判断をするわけでありますが、そういう判断のもとにおいて赤城農林大臣訪ソがなされる。そしてその成果がどうかということが国民からも関係業界からも期待されておる、こう思うわけでありますが、そういうふうに判断をしていいかどうか御答弁を願いたいと思います。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 制度として新しい漁業交渉路線がこれでできるというふうにまでは思っていませんが、しかし、従来の交渉の経過を見ていますと、相当政治的にきめていかなくちゃならぬという分野が非常に広くなってきています。事務的にだけではいかないという分野が広くなっておりますので、そういう面で今度の交渉がよく話し合いができるようなことになれば、今後もわざわざお互い政治的代表なんかが行かなくてもできるような路線一つ開けるかとも思いますが、これは向こうとの話し合いの結果を見てみませんと、いま即断はできませんが、そういうふうな方向にだんだん持っていきたい、政治的に相当きめることはきめていくという前提というか先例というか、そういうものをつくっていきたいとは私は考えております。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 理事会の約束の時間もありますので、私、日ソ漁業交渉に行かれる赤城訪ソの問題だけに限って大臣の所信をお伺いいたしましたが、いずれにいたしましても、ことしの日ソ漁業交渉経緯にかんがみましても、赤城訪ソの持つ意味というのはきわめて重要なものであろうと思いますし、大臣、たいへん御苦労でありますけれども日本国益に基盤を置きながら——相手側もこういう点では原則論あるいは国益の点ではなかなかシビアなものを持っておることは、いままでの日ソ漁業交渉からも明らかであります。相手側から信頼されておりましても、肝心のことになるとなかなかちょうちょうはっしの場面も起こるかと思いますが、十分成果を得て帰国されますように特に期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  14. 渡辺美智雄

  15. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林大臣に御見解を承ります。  まず最初に、ただいまもお話がございましたように、十一日から十六日の帰国予定訪ソされる農林大臣、たいへん御苦労でありますが、私といたしましても、今回の下交渉において十分な成果を得ていただきますように、特に日ソ漁業条約の問題、また安全操業の問題、今後におけるいろいろ北方領域問題等もあるわけですが、当面の問題についてひとつせっかく努力をしていただいてお帰りいただきますように心からお願いをすると同時に、御希望を申し上げておく次第であります。  きょうは、大臣が時間の制約があるので、きまりました時間の範囲内で、去る九月の十三日から十七日に至る間、当委員会北海道の主として冷害並びに北海道農業全般にわたって調査をいたしてまいりました。私も、今回の北海道冷害は初めてのこういった時期に調査に参りまして、各地からいろいろな意見を聞き、また道庁からもそれぞれ要望なりまたは要請等を承って実は帰ってまいりまして、深刻に北海道冷害のひどいことを身に感じてまいりました。時間の関係がございますので、きょうは北限農業という問題にしぼって大臣にお伺いいたしたい。  その問題の最初に、まず今回の北限農業に関連あることでございますが、大臣から、今次北海道庁から七百五十億に及ぶ被害、こういわれておりまして、その後の天候回復によって現在のところ霜もおりてない、こういうことから若干の収穫期待されるような状況が少しは見えてきておりますけれども、これら膨大な被害に対して、北海道に対する冷害対策大臣としてはどのようにお考えであるか、まず冒頭そのことを承りたいのであります。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 北海道は、日本農業からいいましても、農業基地として非常に重要性を持っておると思います。そういう重要性がある北海道に異常な災害が発生した。稲作等についても、この間の作柄状況では五八ですか、こういうふうな状況であります。しかし、先ほど申し上げましたように、北海道農業基地として日本で非常に将来性もあり、また大切なところだと思います。でございますので、このたびの災害についての対策は、直面する対策あるいはまた恒久的対策という二つの面があろうと思いますが、現在の制度法律等においてきまっておることにつきましては最大限にその適用をしていく。また適用で間に合わないというような面がありまするならば、個別的にいろいろ検討も続けておりますから、その検討を続けた上で対処していきたい。また恒久的な問題につきましては、稲作も、北限といわれておりますが、栽培方法あるいは技術的な方法、あるいはまた土地改良等も進めまして、それに適地適作のような、農林省指標できめたような形もできつつありますから、北限でやめるというわけにいきませんので、それに適したような作付あるいは栽培、その他土地改良等も進めると同時に、また畜産基地としても非常に重要なところでございますので、そういうほうもあわせて推進していきたい、こう思っております。要は、災害に対しまして北海道の農家が再生産でき、また災害の痛手を一日も早くいやしていく、こういう対策をとり、将来につきましても、農業基地として、生産の指標に従ったような形で北海道農業というものを進めていきたい、こういうふうに思っております。
  17. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 大臣からいまいろいろ答弁がございましたが、私は北海道冷害に対してどのような対策をお考えであるかということを中心にお伺いしたわけです。いまも若干そのあとの問題に触れられましたけれども、さらに大臣に明確にお伺いしたいことは、北海道農業の位置づけということについて、この機会にもう一度明らかに見解を承りたいのであります。  北海道全域を襲いましたところの今度の大型冷害は、ビートなど一部を除きまして農産物、特に米作に多大な影響を与えております。ついに被害総額では三十一年をしのぐところの戦後最大という冷害となったわけでございます。北海道は、開拓使以来、この重苦しい災害宿命のように背負ってまいりまして、これまでも四年に一度はこういった冷害に見舞われるということでございまして、今年はそれが特にひどかったわけでございます。このように容赦なく襲ってくるところの冷害にいつまでも落胆ばかりしていられないわけでございます。ここで本気になって北限地北海道農業考え直すときがきたんではないか、かように私は思うわけです。御承知のように、北海道はもともと米作に適した土地ではなかった、こういう時代もあったわけですが、品種改良などの種々のくふうをこらして、現在では米の収穫は四十六都道府県中トップで、年間販売額は平年作のときでも千五百億円、いままではわが国にとって無視できぬ巨大な存在であることも十分承知をいたしております。日本食糧基地とまで言われる成長を遂げたこの北海道、また一世紀の間開拓に命をかけた先人たちの底知れぬ努力があったことも十分わかります。こうした農民の努力とはうらはらに、いつも冷害で苦しまねばならないという北海道の悲劇、また米をつくる以外に生きていけない日本農業、また特に北海道はこういった状況でございまして、政府はこのような北限農業宿命ともいうべき冷害を背負っている北海道のこういった状態に対して、あすの農業また北海道農業の位置づけ、こういったことをここらで真剣に考えてやるべきときではないか、かように実は思っておるわけでございます。言うまでもなく、何も北海道米作をやめろ、こういうわけではありませんが、農家の方たちの実情を見ますとかわいそうでなりません。こういったことについて、北海道に対するあたたかい今後の位置づけというものについて大臣はどのように考えておられるか、見解を承りたいのであります。
  18. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど北海道農業の位置づけ等について大まかな話を申し上げたのでございますが、もう少し具体的に申し述べたいと思います。  ただいまお話しのように、北海道における主要作物の生産の見通し、伸び率等のこまかい統計もございますが、それは別として、農林省としては昨年十二月に農業生産の地域指標の試案というものを御承知のとおり公表いたしました。この中で北海道は、今後ともわが国農業において重要な役割りを果たす地域として位置づけておりまするし、その点災害がありましても変わってはおりません。そういう位置づけをしております。すなわち、土地条件の優位性を生かしながら、草資源に依存するところの多い乳用牛あるいは肉用牛の飼養等、これは従来からも考えておりましたが、普通畑作の生産を中心として北海道農業の発展をはかることといたしたい。四十四年度から五十二年の間に乳用牛の頭数は二・三倍になっていますが、御承知のとおり、全国で最も高い伸び率を示しておりまするし、五十二年の生乳生産量は全国の三割、こういうのが見込まれております。また肉用牛も大幅に増加をはかることとしております。また、いまお述べになりました米につきましては、転作を推進しまして、五十二年には現在の七割程度に減少させることとしております。農林省といたしましては、この地域指標に描かれておりまする農業生産の姿が実現されるよう、各般の施策を講じてまいる考えでございます。  また農業生産の地域指標におきまして、北海道は現在農業団体等の意見を聞いて、道内の地域別農業指標の作成を進めております。国全体の指標の上に、北海道という地域における指標の作成をいま進めておりますので、国もこの作成と、それを実現する施策の推進について十分な協力を行なう、こういう考えでございます。
  19. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 そこで大臣にさらにお伺いいたしますが、今回の調査においても、北限における稲作農家の方たちからいろいろ注文、また現地でもお話があったわけですが、こういった冷害に見舞われて北海道米作が破綻するのじゃないかということでいろいろ心配もしているということで、私もいろいろ懇談したわけですけれども、当然日本の食糧としての米は重大なウエートを占めておるわけですから、今後開発をして、またさきの話のように、ガイドポストによっていろいろ指導していかれることは当然でありますが、農家の方たちはいろいろ不安であり、こういった冷害が次々参りますと、出かせぎに行ったり、あるいはだんだん離農する人たちが多くなってきている現状で、農家の一戸当たりの離農者の数も年々ふえております、戸数も減っておる。戸数よりも実際に離農する住民の数がずっと多いというような現状で、減っているのも事実であります。こういったことをずっとつぶさに見てまいりましたときに、北海道北限地帯の米づくりということがいろいろ現地でも問題になっておりました。そういったことから、これは何としてもこれにかわる作物、こうなりますが、価格保障とか共済制度というようなことがいろいろ関連して、なかなかこれがうまくいかないというようなことでございます。いずれにしても、米作北限、こういった問題については真剣に取り組んで、農家が安心するような方策を打ってあげなければならぬのじゃないか、かように実は思っております。  こういったことから、現在この農畜産業が危機に面している現状から、現実を踏まえて、北海道における北限地帯の米づくり、こういったこと、これにはたいへんいろいろ問題のあることも承知しておりますが、これに対しては政府は基本的にはどのようにお考えであるのか、さらにひとつ大臣の御見解を承っておきたいのであります。
  20. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 北海道稲作でございますが、御承知のように、北海道稲作では、一戸当たりの経営面積が内地よりも非常に大きい、そしてまた耕地が集団化してます。したがって、機械化も進んでおります。こういうことから、生産性の高い稲作経営というものが育ってきておりまするし、これを育成し得る可能性がきわめて高い、こういう状況であるのは申し上げるまでもありません。したがいまして、寒冷地帯ではございますが、品種は改良されておりまするし、栽培法も改善されておりますが、さらに改善し、土地改良等寒冷克服技術についても引き続きその改良が見込まれております。生産の安定性の向上と品質改善についても今後期待されるところが少なくない、こういうふうに見ております。でありますので、今後の北海道稲作につきましては、適地適産、生産力の高位安定化をはかることを基本とし、引き続き品種改良栽培法の改善、土地改良の推進等をはかるなど、地域の実態に即してきめのこまかい対策を講じていく、こういう考えております。
  21. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 大臣から適地適産、引き続き改善をはかっていくというような意味お話でございますが、そこで、もう少しそれについてお伺いしますけれども、そういった状況でございますし、大臣もよく御承知だと思うのですが、北海道のこういう状況に対して、北海道に対するいわゆる農業地図、すなわち、農林省は昨年もガイドポストを発表されたのですが、北海道に対する農業地図というものをもう一度検討してみる考えはないか、また当然検討すべきではないか、こういうふうに実は私は思うわけです。  今年の冷害状況を見ましても、四年に一回ということで大きな冷害がやってきておりますが、今後もこういったことは必ず予想されるわけでございます。そこで、私は具体的に、北海道におけるところのきめこまかい農業地図、こういったものを長期的に考える必要はないか、こういったことを真剣に検討してやるということが、北海道農業者に対するあたたかい政府の当然の手である、かように思うわけです。こういったことについて大臣、ひとつ御見解を承りたいのであります。
  22. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のような方向北海道における地域指標等も道庁その他農業団体等と調査研究して早く進めたいと思っておりますが、なお、官房長からその点について御説明申し上げます。
  23. 中野和仁

    ○中野説明員 先ほど大臣がお答えになりましたとおりでございますが、農林省としまして、昨年の暮れに地域指標北海道分をつくりました。それは道一円のものでございますので、やはり北海道の中でもこまかく地域区分をする必要があろうかと思います。そこで、北海道庁は現在農業団体等の意見を聞きまして、道内の地域別の農業指標をつくろうということをやっております。また農林省もそれに十分応援をしなければならぬということを考えておりまして、今度の冷害機会にあるいはもう少しこまかく検討すべきところが出てくるかもわかりませんが、その辺を入れましてできるだけ早くそういう道内の地域区分ができるような方向に持っていきたいと考えております。
  24. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 ただいま大臣と官房長から答弁がございましたように、たびたび見舞われる北海道冷害に対して——今回は特に大冷害でございました。地元の実情を聞くにしても忍びないものがございます。どうかひとつ農業団体等の意見を参酌されて、いま答弁がありましたように、ぜひきめのこまかい長期的な農業地図をつくって、北海道農業が今後ますます発展するように対策をとっていただきたい、このように検討をお願いしたい、かように思います。  もう一点大臣にお伺いしておきますが、今回の冷害を見ましても、米については共済制度適用されますけれども、畑作の共済制度がないために農家はたいへん苦しんでおられます。北海道農業の将来というものを考える上で、重要なものが畑作であることはもう当然でございます。米についてはいろいろな角度から手厚い保護がございますが、畑作については全く皆無といった状態でございまして、畑作物について今次冷害もかなりひどいものがございます。現地でアズキ、菜豆等いろいろたくさん見せていただきましたが、特に北見また網走、すなわちこういった冷害のひどい地方においては畑作農家もその被害が深刻であるので、今後どういうふうにするかということでたいへん心配をしておられて、早く決着をつけて出かせぎに行きたいということを地元では言っておられました。畑作農作物について共済制度がないということで、今回の冷害や凶作に見られますところの状態を見て、現金収入がないのでどうしても今後農業をやるにしても不安である、また畑作物の価格というものが変動がなかなか激しいために不安であるというようなことも現地ではいろいろ陳情しておられました。こういった中で畑作農家というものがいわゆる米作偏重の農政のいわば犠牲をしょっているというような意見もございまして、いろいろわれわれも現地で事情を聞くにつれて同情をいたしたわけであります。  こういったことから、畑作について共済制度ということについて考えてやらなければたいへんではないか、こういうふうに思うのですが、こういったことについて大臣はいかなる御見解であるか、ひとつ御見解を承っておきたいのであります。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 全国的に見ましても、米のほうはおかげさまで生産過剰というようなことになって非常に進みました、畑作農業というものがとかくおろそかにされてきた傾向があると思います。でありますので、農業の生産方向としても畑作農業というものを全体的に振興いたしたい、こういう基本方針を持っておるわけであります。  ただ、ただいまお話しの、したがって畑作物についても共済制度考えてはどうか、こういうことでございますので、私ども考えておるのでございますが、御承知のように、保険制度というものはなかなか制度技術的にむずかしい問題がございます。畑作物につきましても品目が多様にわたっておるのみならず、作付面積とか作柄及び、いまお話しのように、価格の変動等が大きい、こういう理由などがありまして、共済制度を仕組むには保険制度の面からなかなか困難な問題があります。ありますが、地域農業振興との関連もありますので、いま結論は出すわけにはまいりませんが、鋭意検討を続けておる、こういう段階でございます。そういうふうに御了承願っておきたいと思います。
  26. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 それでは、時間の関係大臣に対する質問は以上で、午後また事務当局に質問をいたすことにして、一応終わります。
  27. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 芳賀貢君。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 この際農林大臣に対しまして、北海道冷害対策の問題並びに農安法に基づいてイモでん粉の価格決定の時期が迫っておりますので、この二点についてお尋ねをいたします。  北海道冷害対策の問題については九月二十日の当委員会におきましても、対策の基本になる点については農林大臣方針を尋ねたところであります。また先日十月一日に衆議院の災害特別委員会がありまして、その際も関係各省から対策の内容について質疑を行なったわけでありますが、この際臨時国会を前にいたしまして農林大臣が十一日に訪ソされるわけでありますので、第一の点は、臨時国会に対して政府は景気浮揚策を中心とした少なくとも七千億に近い補正予算を提出される用意をしておるわけですが、この中で北海道冷害対策並びに今年各地に頻発いたしました災害対策等に対して予算上どのような方針で補正を出されるか、その内容についてお尋ねいたします。
  29. 中野和仁

    ○中野説明員 補正予算の関係でございますが、現在まだ大蔵省と折衝をしておりますが、その中で先ほどお触れになりました公共事業によります景気浮揚策ということで、農林省といたしましても農地関係、林野関係、水産関係について相当額の予算を盛るつもりで準備をしております。その中で北海道についての公共事業費も相当ふやすというつもりでただいま大蔵省と話し合いをしているところでございます。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 きょう聞きたいのは、具体的な内容なんですよ。抽象的に準備をしているとか、財政当局と相談をしているという程度のことは前回も聞いておるわけですから、農林省として具体的にどういう内容の方針を立てて要求をするのか、あるいは要求を出したのか、その内容について明らかにしてもらいたい。
  31. 中野和仁

    ○中野説明員 農林省としましては、総額、たしか私の記憶しておりますところでは約五百億くらいの要求をいたしたはずでございます。ただ、全部通るわけではございません。若干査定はございますけれども、相当額のあの要求が通るという見込みでいま折衝をしておるわけでございまして、まだ最終的に確定をいたしておりませんので、ここで数字が幾らということはまだ申し上げる段階まで至っておりません。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは五百億の概算要求の中身ですね、たとえば局別あるいは事業別にどういう中身になっておりますか。
  33. 中野和仁

    ○中野説明員 ちょっと、私、いまここにこまかい数字を持ってきておりませんので、後ほど申し上げたいと思います。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、さっそく取り寄せてください。これはきょう通告してあるでしょう。冷害問題については、こういう内容のことを質問するということを言ってあるはずです。いまなければ、やむを得ぬです。早速取り寄せて、委員会を通じて明らかにしてもらいたいと思います。  次に農林大臣にお尋ねしますが、先般、大臣に質問をしました際にも、冷害対策の柱として、一つは法律に基づく共済金の適正な早期支払い。第二は、冷害ですから施設災害というものはないわけです。したがって、対策中心はどうしても金融対策ということになるわけですが、その場合、現在の天災融資法並びに自作農維持資金法等については、これは災害対策の重要な柱として処置しておるわけですが、天災法についてはちょうど昭和三十九年に赤城さんが大臣の際に相当大幅な改正を国会において行なっておるわけです。その後見るべき改正というものが行なわれていないわけですが、相当の年月がたっておるわけでありますし、天災資金の目的として来年の再生産に必要な資金を融通するということになっておるわけですから、再生産確保の立場からいっても、現行法に基づく天災融資法の普通被害農家あるいは特別被害農家、あるいは激甚災害法に基づく特別融資の内容についても実態に合致しない点があるわけです。ですから、この点については農林省においても実態がよくわかっておるわけですから、今度の臨時国会を通じまして、やはり政府側から法律の必要な個所については改正を行なうということで進むべきだと思うわけであります。また、自作農維持資金の場合には、災害の場合には生活資金という形で融資を行なっておるわけでありますが、これも貸し付け最高限度については農林漁業金融公庫の業務方法書の改正によっても行なわれるということになっておりますが、しかし、法律の内容上、金利の問題あるいは償還年限の問題等についてはやはり根本的な手直しが必要であるというふうに思うわけであります。したがって、この天災融資法並びに自作農維持資金法に対して適正な改正を加えるという点についてはぜひ政府が臨時国会に提案すべきだと思いますが、この点は農林大臣としていかように考えておられますか。
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいまお話の天災融資法におきまする貸し付け限度額でございますが、災害によって当該年の収入が減少し、そのため翌年の再生産に必要な現金、経営費が不足しますることは当然見込まれております。その不足額を、貯蓄やその他の収入によりがたいものに対しまして、その一定部分を低利融資によって援助しようとするものでございますが、現行の貸し付け限度額が、農家経済の現状に即した限度額であるかどうか、これにつきましては、お話しのように、改正後相当期間もたっておりますし、農家経済の状況も変わっております。それに今次災害についての状況もございます。でございますので、いま申し上げましたような状況から、農家経済の実態を把握した上に検討してまいりたい、こう思っております。  では、法律改正をすぐやるのかということでございますが、いま申し上げました検討の結果をまって、いろいろ相談する向きもありますが、検討をまって判断したいと思っております。  なお、自作農維持資金につきましては、貸し付け限度額の引き上げについての要望が、芳賀さんはじめその他からもずいぶんあります。これは別に法律の改正ということの必要は、芳賀さんもよく知っておるようでございますが、制度の運用等によりましてできることでありますので、このたびの被害状況及び資金需要の実態等につきまして、いま北海道庁等についても調べさしております。調査中でありますので、これは法律改正をまたなくても、その調査の結果をまちまして早急に検討していきたい、こう思っております。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、災害によって本年度、各制度資金の借り入れの中から償還すべきものが相当あるわけですが、この制度資金の延納措置の問題です。これは従来の事務的な扱いということになると、借りた件数のすべての制度資金の借り入れ分について一件一件延納の手続をしなければならぬということになっておるわけです。おおまかに言えば、いまお話がありました天災資金あるいは自作農維持資金、あるいは制度資金の一つである近代化資金等、これらの種類は限定されておるわけですが、連続する災害によって同種の資金を災害ごとに借り入れをしておるわけですから、借り入れ件数ということになれば、一農家の場合にも十件あるいは十五件に及ぶということになるわけです。この延納の扱いは、事務的には、ほとんど農業協同組合が窓口になって、町村と協議して行なうことになるわけですが、これが非常に繁雑をきわめるわけです。ですから、この際、一括償還繰り延べの措置というものを農林省において十分研究をして実施すべきでないか、こういうふうに考えておるわけですが、この点は農林大臣としてどう考えておりますか。
  37. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、すでに借り入れた金の延納の問題でございますが、この問題につきましては、新しく借り入れさして延納という方法も前にもとっていた例もございます。それで、いまお話しのように、たくさんの資金の引き出しがあるわけですが、その引き出しを一括して延納したらどうかということのお話でございますが、資金の性格といいますか、みんな同じようなものですけれども、成り立ちやいろいろ違っておりますので、いま直ちに一括して延納という手を打つかどうかについては、検討しておりますが、資金の成り立ち等について技術的にいろいろあると私は思っております。しかし、これからの検討事項でございまするから、お話しのようなことも頭に入れて、延納につきましての検討を続けさしてまいりたい、こう思っています。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 この一括延納の場合でも、いろいろな方法があると思うのですよ。たとえば一番望ましいのは、各制度資金の当年度償還分を一括して延納できるような手続をとらせる。もう一つは、種類別ですね。自作資金とか近代化資金とかあるいは天災資金ですね、この資金の種類別に各被害年度の償還残高というものがあるわけですから、それらを一括して種類別の延納手続をさせる。そういうような幾つかの方法があるわけですからして、これは大臣から事務当局に十分指示をされて、方法論ですからどうやればできるかということを案出すればいいわけですからして、ぜひこれは速急にやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  39. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話しのように、資金別等によって——先ほど申し上げましたいろいろな資金の成り立ちの経緯等もございますが、資金別にきめて、そしてそれを全部延納なら延納というようなきめ方もあると思います。でありますので、その方法論等につきまして、なお十分検討さしていきたいと思います。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、救農事業の問題ですが、これは十月一日の災害特別委員会においては、建設省並びに北海道開発庁の当局からはやや具体的な説明がありましたが、残念ながら農林省のほうからは内容にわたる説明が乏しかったわけです。ですから、この際、一番肝心な農林省として、冷害対策の救農事業というものをどういう規模でどういう内容のものをやるか、たとえば農地局あるいは林野庁それぞれ分かれておると思いますが、この際具体的に内容を示してもらいたいのです。
  41. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 こういう大災害でございまするから、救農事業、ことに救農土木事業というものは必要だと思います。もっとも北海道におきましては、冬場一般の土木事業なんかもちょっとやりにくいような状況でございますが、冬場でも行なえるような農林省としても考えられるものがございます。たとえば農道、圃場整備、それに関連しての耕土の運搬とか客土、こういうものが中心となると思いますが、そういう事業を救農土木事業として行なっていきたい、そして労賃の確保ができるようにしたい。圃場整備その他新規地区の採択等もやって、その事業の範囲農林省としてやれる範囲を広めていきたい、こういうことも考えております。  なお、具体的な問題につきまして農地局長からも答弁させます。
  42. 三善信二

    ○三善説明員 救農土木事業につきましては、現在、いま大臣が申されましたように、いろいろと具体的な検討をしているわけでございます。北海道庁と私ども二回にわたり具体的な内容をいろいろ打ち合わせまして、それに基づいて作業をいたしているわけでございます。ただ、北海道の場合の救農土木事業につきましては、時期があまりおくれますと、現実の効果というのが非常に薄れる危険性もございますので、道庁といろいろと相談しております中で、私どもは早急に道単の事業をまず始めてもらう、それから既存の事業でございますか、現在やっている事業もあるわけでございますが、そういうのをできるだけ早く充当する、そのあと補正予算でいろいろと要求いたしておりますが、そういった新しい事業の内容が出てくるということにしたいと思っております。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕  事業の内容としましては、まず施行の方法につきまして、現在相当範囲が大型の機械でやっておりますので、またできるだけそれを人力施行と申しますか、そういうふうに切りかえるように指導してまいりたいと思います。  それから四十六年度の予算の新規採択の地区等は、もうすでにきまっておりますが、できれば新しい地区についても採択をしていくようなことをやっていきたい。  それから農道等につきましては、採択基準と申しますか、一定の基準でないと土地改良事業は始められませんので、基準を緩和するというようなことをやっていきたいと思います。  いずれにしましても、冬場の事業でございますから、農道、圃場整備でも耕土運搬とか、客土とか、そういうのが中心になりますし、要は被害を受けました、冷害を受けました北海道の農民の方々にできるだけ多く現金収入の道を与えるということがおもなねらいでございますから、そういうかっこうで現金収入もできるだけ多く与えるというような、こういう点も北海道庁と相談をしながら進めてまいりたいと思っております。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 この冷害対策が単に金融対策に偏してしまっては、あとにまた大きな負債が残るわけですからして、できるだけ冬季間働いて生活維持を行なうという意欲のある農家に対しては、十分その働く場所と機会を与える必要があると思うのですよ。  そこで、問題は、地元市町村からそういう希望を積み上げてきて一定の予算を計上してやるようにするのか、あるいは政府からつかみで下におろして、そのワク内において事業をやるのかということで、相当内容が違ってくると思います。とにかく今次の災害は七百五十億の総被害額ということになっておりますし、被害農家は十一万二千戸ということになっておるわけです。全部の農家が救農事業に出動するということは、これはできませんが、たとえばその半分にしても約五万戸の農家が出動する、三分の一にしても約三万戸以上の、三万人以上の農民が稼働するということに当然なるわけです。だから、一体どのくらい被害農家が救農土木事業に参加できるかという、そういう見通しと、一人当たりどのくらい平均的に賃金を得させるかということも大事だと思うのですよ。北海道の季節的な制約がありますからして、十月一ぱいは、これは災害で皆無であっても、収穫を終わらせる必要があるからして、年内にということになれば、十一月から十二月中旬ごろまでということに限定されるわけです。それから年が明けてということになれば、これは機械で除雪すれば仕事はできるとしても、全般的に仕事ができる条件ということになれば、三月から四月にかけての融雪期ということになるわけですからして、そういう点を考えると、おおよそ五十日間程度というものが稼働日数ということになると思うわけです。賃金についても、いままでのように、非常に零細な賃金では、これは救農事業をやった効果が薄れるわけですからして、いまの経済事情からいえば、少なくとも一日平均三千円程度の賃金というものが確保できるということで計画を立てる必要があると思うわけです。それと一日三千円で五十日といたしましても、一人十五万円の賃金収入ということにしかならぬわけですが、農家の場合はやはりその程度が平均的な目標であるというふうに思われるわけです。だから、たとえば三万人ということになれば四十五億ないし五十億円が必要である、五万人ということになれば、七十五億ないし八十億円ということに当然なるわけですからして、そういう点を十分正確に見通しをつけて、補正予算等に計上する種類のものについては財源措置を完全に行なう、あるいはまた北海道または当該市町村が起債の特例措置によって単独事業を興してやるような場合においても、そういう基本的な方針、基準に基づいて事業が確実に実施せられるように指導をする必要があると思うわけです。そういう点についてもう少し具体的に農林大臣から方針をお示ししてもらいたいと思います。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 後ほど農地局長からも御説明を申し上げますが、いまの基本方針として、下から上がってきたものを採択していくのか、それとも上から金額等をきめてそれを下に流していくというふうな方向にするかということでございますが、これは予算の要求等もありますから、下から上がってきたというよりも、これくらいの予算でもって救農土木対策をしたのがいいかという予算の見積もり要求をして、そして具体的な土地のどこにどういうふうにやるというのは、それはすぐあとに続いてくる問題だと思います。でございますので、予算の積算というようなことから考えますならば、いまお話のようなことを考慮に入れまして予算を編成し、要求し、そして予算ができましたのを個所づけする、こういうような運びにするという考えでございます。  なお、こまかいことにつきまして、農地局長からも考えを申し述べさせていただきたいと思います。
  45. 三善信二

    ○三善説明員 この救農土木事業につきまして、内容についていろいろ北海道庁と打ち合わせいたしていると申し上げましたが、その打ち合わせしております際に、北海道庁としましては、いろいろ市町村の実情等もかなり調査をした上で私どもに相談に来ていると思っております。しかし、末端の御要望どおり確実にいくかどうか、これは予算の問題でもございますし、できるだけそういう要望を受けて私どもやっているつもりではございますけれども、やはり予算の性格上必ずしもそのとおりにはまいらないという面もあろうかと思います。  それから労賃の問題でございますけれども、これも一応私ども要望を受けております。ただ、現実の問題としまして北海道庁から詳しくそういう点を聞いてみますと、いまオリンピックを前にして北海道では地下鉄の工事かなんかやっているそうでございますが、その地下鉄の工事に冬場相当行きたいという希望者が多いようでございまして、そういうことも関連しまして、労賃は現実には相当上がっているというような現状ではないかと思います。しかし、私ども土地改良事業でやります場合に、御承知のように、非常に軽い労働、軽労働といいますか、それは単価は非常に安くなっておりますが、そういったあまり安い単価ではなく、できるだけその労賃単価も引き上げるような方向でいま大蔵その他とも折衝をいたしておりますし、また北海道庁ともいろいろそういう問題についても話し合っているわけでございます。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 あと重要な問題としては共済金の支払いの問題、さらにまた冷害の実態から見て、政府に売り渡す米についても規格外なり、あるいは等外上の特別買い入れの問題等があるわけですが、これについては、共済の関係は経済局の川村保険業務課長が先月の下旬から現地に出張して十分具体的に現地の事情を掌握して帰ってこられましたし、また統計調査部のほうは作物統計課長の福島課長が現在北海道の地域を調査しておるわけですから、いずれ調査の結果等を基礎にして適切な取り扱いが行なわれると思いますが、ただ問題は、共済の被害認定は異常災害ですから、最終的に農林大臣が認定をされることになるわけですが、その場合共済の損害評価の方法として一・七ミリの縦目ふるいの上に残ったものを、これは収穫量とみなすということになっておるわけですが、それを特別措置によって搗精歩どまりあるいは被害粒の混合率というものを十分的確に把握して、そうして政府に売り渡しできる規格の収穫というものを基礎にして被害の認定をやるということになっておるわけでして、これはどうしても共済の被害認定と統計調査部の減収調査の結果と、それからもう一つは、食糧庁が災害対策として規格外の米を買い入れ、その規格の告示というものを早く行なわれないと、なかなか共済だけが先行するというわけにいかないわけです。ですから、この三者が呼吸を合わして、一定の方針に基づいてできるだけ早期に方針を打ち出すということが一番望ましいわけですが、従来これがちぐはぐになって、たとえば規格外の買い入れにしても十一月に入らなければ決定ができない、それを待たなければ共済のほうも認定ができないというようなことになるわけですからして、従来のそういう欠陥をこの際早期に改めて迅速に実行できるようにすべきだと思いますが、この点はいかがですか。どういうふうにしたら、いつごろやれるかということについても見通しがあれば示してもらいたいと思います。
  47. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 統一を欠くようなことにならないように私も指示し、相談させます。御趣旨のような方向で、そうして早急に金の払い出し等ができるようにしたいと思いますが、なお、各局の担当がありますから、事務当局から答弁させていただきたいと思います。
  48. 小暮光美

    ○小暮説明員 御指摘のように、食糧庁の買い入れの方針、私どものほうの損害評価、それぞれの基礎となる統計調査部のほうの現状の把握というものが三者円満にまいることが一番必要だと思っております。ただ、それぞれ制度の向きが違いますから、その決定に若干の時間のズレがあることも絶無ではないというふうに思いますので、私どものほうといたしましても、買い入れ基準の決定がおくれないようにきめてもらいたいと思いますが、万が一若干のズレがございましても、その段階で、損害評価の特例措置を最終的にとります場合、支障のないように、あらかじめ関係農業共済団体等を指導いたしまして必要なデータの収集その他は万全を期しておきたいというふうに考えます。
  49. 亀長友義

    亀長説明員 北海道冷害によります等外米、規格外米の政府買い入れにつきましては、検査規格等につきまして私どもとしてできるだけ早くこれを例年の例も参考にしながら用意をいたすつもりでございます。  また同時に、出回り数量につきましても、出先機関、府県等を督励いたしまして、できるだけ早期に把握をいたすよう努力をいたしてまいるつもりでございます。何ぶんにも出回り数量のいかんということが財政負担としても一応の見通しをつけるめどになりますので、規格の設定の問題と同時に、食糧庁といたしましては、出回りの見込みというのをできるだけ早期に把握いたしたい、かような方向努力をいたしておる次第でございます。
  50. 中沢三郎

    ○中沢説明員 統計調査部におきましても、収量といたします玄米の品質といたしまして、縦目ふるい一・七ミリ以上のものを収量として取り扱ってまいりましたが、それ以下のものであっても、可食分として政府買い入れ分につきましては従来もこれを収量として算定いたしてきておりますので、その分につきましては今後同様に取り扱いたい、こういうふうに考えております。
  51. 芳賀貢

    芳賀委員 以上でおおよそ重要と認められる点については大臣にお尋ねをいたしたわけですが、最後に、前回九月二十日の委員会においても申し上げたわけですが、激甚災の指定の時期、これはもう激甚災害であることは間違いないことですが、ただ、発動の時期が、従来三十九年、四十一年、四十四年の例を見ても、いずれも十二月上旬あるいは下旬ということになっておるわけです。この点については手続上の問題として、水稲については十月十五日現在の最終的な収穫高というものが判明する時点で被害金額というものが農林省において出されるわけですから、それ以上早くするわけにはいかぬと思うわけです。そうしましても十月十五日に被害調査が終わって、おそらく十一月一日に公表するということになれば、公表の時点で政府として中央防災会議にかけて激甚災並びに天災融資法の指定の発動はできると思うのです。そうやればいままでよりも一カ月ないし一カ月半程度激甚災害指定が早まる、それによって諸般の対策が順調に進むということになるので、今回はぜひ最短距離の時点でこの激甚災害並びに天災法の発動をきめる必要があるんじゃないかというふうに考えるのですが、これはもう大臣はたびたびの経験を持っておられるわけですから、ぜひそういうことでやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  52. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私もお話しのとおり、できるだけ早くやるべく考えております。天災融資法などは基礎資料がまとまらなくてももうやらざるを得ない、当然やるべきだというふうに考えておりますが、しかし、いまのお話のように、手続もありますから、手続を至急進めて、できるだけ早い機会に発動をする、こういうふうに考えております。
  53. 中野和仁

    ○中野説明員 先ほどの補正予算の件でございます。ちょっとこの機会に申し上げさせていただきたいと思います。  補正予算につきましては、補正予算の規模全体を幾らにするかということと、それから年度内減税の問題が起こってきておりますので、総額がまだきまっておりません。そして補正予算の内容が幾らになったかというのはまだ説明し得る段階に至っておりませんが、先ほど私がちょっと申し上げましたように、農林省の大蔵省に対する要求と言いましょうか、そういう腹づもりといたしましては、五百億ぐらいでございまして、その中身は、農業基盤整備といたしまして約三百二、三十億、それから林業関係が七十五億ぐらい、それから水産、これは漁港でございますが、これが約五十億ぐらい、そのほか海岸事業、それからなお災害復旧事業として相当額というような考え方で、その中に当然北海道の救農土木的な考えも入れまして、いま折衝しておるわけでございますが、最初に申し上げましたように、まだ全体のワクがきまりませんので、どれくらいになるかということはまだ申し上げられない段階でございます。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、ことしのイモでん粉の価格の問題ですが、もう示された時間があまり残っておりませんが、重要な点だけについて農林大臣にお尋ねします。  いまの農産物価格安定法によるイモでん粉の価格決定の時期は、政令によって十月二十日までに農林大臣が決定して告示するということになっておるわけですが、農林大臣は十一日に訪ソされて十六日に帰朝されるわけですから、行く前にきめることもできるし、帰ってから二十日までにきめることもできるわけですが、この際農林大臣の予定として、いつをめどにしておられますか。
  55. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 従来の例もございまするし、ぎりぎりのときもありましたが、十月十日ぐらいまでにはきめるように準備させておきますから、私のおるおらないにかかわらず、そういうふうに進めさしたいと思っております。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、きょうの委員会以外には、渡辺美智雄理事を小委員長にした小委員会がすでに設けられておって、これは六日の日に開会することになっておるわけですが、それにはおそらく大臣は出席できないと思うのです。できれば来てもらったほうがいいのですけれども……。  そこで問題は、最近の自由化の問題あるいはドル・ショックによる円切り上げの問題とか、いろいろ対外的に複雑な要素が加わっておるわけですが、ことしのカンショ、バレイショの基準価格並びにカンショでん粉、バレイショでん粉の買い入れ価格決定についての特に基本的な、ことしはこういう方針できめるという大臣のお考えがあれば、ここで示してもらいたいわけです。
  57. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 六日はちょうどいわゆる一日内閣ですか、そういうものがありまして、こっちにおりましても出席はできません。が、事務当局も十分研究、検討中でございますから、いまお尋ねのような点につきましては、園芸局長から答弁させます。
  58. 荒勝巖

    荒勝説明員 大臣からお答えがありましたように、例年値段につきましては十月の十日前後にきめておりますので、ことしもそれに間に合うように、できますればそれよりも早い時期にきめるよう努力したいと思います。  それから価格の決定方法等につきましては、各方面から資料を集めまして、国内産のイモでん粉の農家経営の安定に間違いのないような価格のきめ方を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣にお尋ねしておきたいことは、一つは自由化の問題に関係してですが、これは先般の二十日の委員会においても、自由化品目の選定は、これはアメリカの容喙は受ける必要がない、自分の国できめるという明確な態度でおられるわけですが、それはいいといたしまして、とにかくトマト加工品を含めて四ないし五品目程度はいずれ選定しなければならぬというような考えも持っておられると思います。その内容は別といたしまして、たとえばイモでん粉に関係のある、特に直接的にはブドウ糖ですね。これは甘味資源法あるいは糖価安定法にも示されておるわけですが、たとえば将来精製糖あるいはブドウ糖を、そういうことはないと思いますが、自由化するというような場合には、これは当然農安法等の関係というものが生じてくるわけですし、これがまた国内のイモでん粉に相当大きな圧力を加えるということになるわけですから、これに対する、自由化問題の立場から見たでん粉ですね。外国から製品としてのでん粉の輸入の問題、あるいはまたでん粉を原料として製造されるブドウ糖ですね。そういうような関係についてはこの際明快にしておいてもらいたい。
  60. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話しのように、四ないし五品目はきめておりません。いずれきめなくちゃならぬと思いますが、きめる場合にどういう対策を講ずるかということもあわせてきめ、予算要求等もいたしたいと思います。そういうきめ方によりまして、国内において価格安定的な制度がありますものがその品目になるような場合には、その安定対策の中に組み入れて、そして支障といいますか、そういうものがないようにする考え方でおります。  たとえば自由化品目とは違いますが、大豆なりにつきましても不足払い制度がございますし、あるいは肉類等につきましてもそういう制度がございまするし、いまの甘味資源等についてもそういう制度がございます。いま肉類をやるとは言いませんが、そういうような場合にはその制度の中に組み入れて、そうして国内の生産者あるいは消費者に支障がごく少ないような形で進めたい、こういう基本方針だけ申し上げておきます。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると、やる場合もあるということですね。やらないんなら、そういう場合は何も想定する必要はないわけですからね。そうじゃないですか。絶対これはやらぬということであれば、これは何もいまあなたの言われたような事態を考える必要はないわけですから。その点はどうなんですか。
  62. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 概括的にお話し申し上げたので、二十八品目について、残存品目について皆さんにその対策というものの概略を御提示していたとは思います。そういう線の中での話でございます。いまの精製糖につきましては、やるかやらないかまだきめておりません。やる場合にはそういうことになる。やらない場合にはもうその問題は抜きになってしまいます。いまきめておりませんから、そこまでどうも、追及でもないが、お尋ねになってもちょっと答弁しかねる、こういうことなのでございます。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、先般大臣が言われた雑豆については、アメリカへ行くときかばんの中には入れてあったと思うのです。しかし、向こうに行って、信念を吐露されて、いやそういうものは日本政府自身がきめるんで、おまえさんたちの干渉は要らぬということで帰られたから、かばんに何が入っておったかは全然わからぬわけですが、そのときの報告にあわせて、雑豆については自由化しないほうに傾いているという、なかなか含蓄のある話をされたわけですから、これはわれわれとしては雑豆は自由化しないというふうに受け取っておるわけです。ですから、雑豆並びにいま話に出ました競合する製品のでん粉ですね、それから精製糖、ブドウ糖、これらはいまの時点では、農林大臣としては自由化対象として全然考えておらぬ、そういうふうに受け受っていいわけですか。
  64. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 芳賀さんが、品目は聞かないと言うものだから、私も聞かないと思って、いろいろな問題をちょっとしゃべり過ぎたのですが、ポケットに入れては行ったが出さない、で、日本へ帰ってきてからいろいろ検討する中からは少し遠くなっているような感じです、雑豆なんかは。その他はあまりここでまだ申し上げる段階ではございませんから、しばらく検討させていただきたい。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、これは昨年からの課題になっておるわけです。園芸局長、よく記憶にあると思いますが、昨年も傾向的にバレイショでん粉にしてもカンショでん粉にしても国内の生産が毎年のように減退して、昨年はもうすでに自給率五〇%を下回ったということになっておるわけです。これは、政府の間違った施策が国内のイモでん粉の生産の減退あるいは自給度の低下を来たしておることは疑う余地がないわけです。しかし、無制限にどんどん国内生産というものを総体的に減退させるということは、これは農業の面からも食糧問題の点からも問題があるのではないか。この辺で農林省として明確に、単にこれはイモでん粉に限るわけではありませんが、価格問題との関連でありましたので、国内のバレイショあるいはカンショでん粉の生産目標というものを政府として明らかにして、そして自給度についてはたとえば五〇%の現状であれば六〇%以上に回復させるとか、そういう点を責任を持って明確にすべきであるということで昨年は議論したわけですが、昨年の場合は、農林省内部において農業生産の地域指標の作業を進めておるので、それが公表されるまでは、なかなかイモ類でん粉についても政府として責任のある数字を出せないというのが荒勝園芸局長答弁であったわけです。その後ちょうど一年経過しておるわけですが、当時の答弁の理由としては、地域指標の中にもイモ類でん類の問題は全然載っておらぬというようなことで今日に至っておるわけですが、この際ことしの作柄あるいはイモ類の作況、これもわかっておるわけだから、あるいはまたそれを原料にしたバレイショでん粉、カンショでん粉等の生産見通しというものは明らかになっておるわけですから、こういう事態はたいへんなことだと思うわけでして、したがって、この際農林大臣として、根本的には畑作物の中心であるイモ類あるいはでん粉に対する国内の生産目標あるいは自給度というものをどの線に目標を置いて実行するかということを明らかにしておいてもらいたい。
  66. 荒勝巖

    荒勝説明員 昨年当委員会におきましてイモ並びにイモでん粉の将来の需給計画の問題につきまして御質問がありました際に、私から、これはただいま農林省で地域分担の問題として作業中でございますという答弁を申し上げたわけでございますが、その後昨年の十二月に農林省で、農業生産の地域指標の試案というものを公表いたしまして、その際にイモ類につきまして、いわゆる全体として昭和五十二年には生産量として五百八十万四千トンのイモ類の生産を考えておる、作付面積としては二十五万一千ヘクタール、こう申し上げたわけでございますが、その中で遠隔農業地帯として北海道一つ特掲されておりまして、これで北海道はカンショがございませんのでバレイショだけでございますが、二百十万トンを昭和五十二年の目標ということで農林省としては試案を決定した次第でございます。これに基づきましてただいま各都道府県で、それぞれの地帯別に農林省が公表したものをさらに県別に農業計画の指標をつくっておられるやに聞いておりまして、先ほど官房長からもそのような御趣旨の答弁がございましたが、北海道におきましても、そのほかいろいろな作物につきまして北海道昭和五十二年の地域指標の目標として農林省指標を示しましたので、このいろいろな指標中心としまして農業計画の策定をされておられるものと理解しておる次第でございます。その結果、来年の早々にでも北海道であるいはおきめになるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  それで、われわれといたしましては、このでん粉のほうにつきましてもこの地域指標を頭に入れながら、今後のでん粉の需給計画を策定しなければならないと思いますが、最近におけるでん粉の需給事情はおおむね年間百十万トンから百十五万トンくらいで、一時の五年ほど前に比べますと、むしろ需要は減退ぎみになってきている次第でございます。こういったでん粉の需給の事情を背景といたしまして、われわれといたしましてはその需給事情並びに価格等を今後きめていきたい、こういうふうに考えております。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、バレイショ、カンショ、いわゆる原料イモを基礎にしたでん粉の生産目標というものは説明されておらぬわけですが、これは非常に大事な点ですから、でん粉の生産目標あるいは自給率の維持をどこに置くかという点についてもあわせて説明してもらいたいと思います。
  68. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま今後のでん粉の将来の需給計画というものはまだ十分策定をし終えていないわけでございますが、ただいま申し上げましたように、でん粉の将来の見通しとしてはおおむね百十万トンからそんなに多く上回るものとはわれわれ考えていないわけでございますが、ただ、北海道のバレイショは今後ともやはり寒冷地農業の基幹をなす作物として、バレイショあるいはでん粉というものの需給は当分の間おおむね現状維持でいくのではなかろうか。むろん北海道のバレイショは食用バレイショあるいはそのほかの加工用の——加工用と申しましても、ポテトチップとかの食用等でございますが、そういった方向へのバレイショの需要が非常に強まってくる。さらに、面積の点ではむしろ足踏み程度だと思いますが、反収の増加が年々非常に飛躍的に見込まれておりまして、おおむね三トンという反収を見込んで、われわれとしては今後この推進をはかっていきたいと思っておる次第でございます。ことしのような冷害の年におきましても、北海道の寒冷地農業の有力な一つであるバレイショあるいはビート等につきましては、作況がほかの作物に比べると非常に安定的に推移しているということ等も考慮いたしまして、われわれとしましては、北海道のバレイショ農業は今後とも推進してまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば昭和四十四年のバレイショでん粉、カンショでん粉の生産量が約五十四万トン、当年度の一年間の需要の総計が百十六万三千トンということになっておるわけですから、四十四イモ年度は約五〇%の自給率を保っておったわけです。それが昨年の四十五年は国産でん粉が四十七万四千トン、需要は四十四年と同じで大体百十六万トン程度ですから、昨年は自給率が四〇%に下がっておるわけです。ことしは、特にカンショでん粉は面積の減で去年よりも三万トン程度出回り不足の見込みですから二十万トン、それから北海道のバレイショは、農林省の統計でも九八の指数ですから、去年の二十四万四千トンに対して十八万トンのでん粉の出回り見込みということになると、これは六万四千トン昨年よりも生産の減ということになるわけであります。そうしますと、ことしは国産でん粉は合わせて三十八万トンということになり、需要の見通しは前年と同じ百十六万トン程度ということになっておるわけですから、ことしはどうしても自給率三〇%ということになるわけですね。ここ一二年、毎年毎年自給度が一〇%ずつ減退しておる。こういうような低下現象というものを自然の成り行きということで放任するわけにはいかぬと思うのですよ。最悪の事態でも、やはり一年間の需要に対して少なくとも五〇%程度の国内の自給率を維持するということでなければ、単にこれはイモでん粉だけではなくて、畑作物全体についても総体的に自給率がどんどん低下しておるわけですから、それに追い打ちをかけるように自由化の問題あるいは円切り上げの問題ということになれば、いまの政府には農政はまかしておけないということに当然なるわけです。これは小委員会においても当然議論しなければなりませんが、この際一番責任のある農林大臣として、このような現状を踏まえて、このイモでん粉の生産目標並びに自給率の維持ということに対してはどういう目標でやる、この点だけは決定前にぜひ明確にしておいてもらいたいと思う。
  70. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 イモでん粉ばかりじゃございませんが、日本農業が自給を中心とし、あるいは余ったものを輸出するとか足らないものは輸入するというたてまえでございまするから、自給率というものも——これは計画経済でございませんから、国がみんなそのとおりというわけにはまいりませんけれども、目標というものは立てていきたいと思います。でん粉等につきましては、私も残念ながらこまかいことは承知しておりませんが、目標というものを十分検討の上立てていきたい、こういうふうに考えています。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 残余の問題は六日の小委員会において詳細に論議したいと思いますが、この際せっかくの機会ですから、四十六年におけるバレイショ、カンショの作況、作柄の状態あるいはイモでん粉の需給見通し、需給計画並びに統計調査部で公表されましたバレイショ及びカンショの生産費の動向、こういうものについて一とおり説明を願いたいと思います。
  72. 荒勝巖

    荒勝説明員 後ほど統計調査部長のほうから詳細にわたって生産状況の御説明がございますが、その前に、ことしのでん粉のほうの需給状況等を御説明申し上げたいと思います。  ことしのカンショでん粉につきましては……。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 資料をもらってますから、ページをひとつ……。
  74. 荒勝巖

    荒勝説明員 九ページをお開き願いたいと思いますが、カンショでん粉につきましては、逐次ほかの作物への転換、野菜とかくだもの等に転換いたしまして面積が減りました関係で、生産のほうがことしは大体二十万トン前後ではなかろうか、こういうふうに考えております。それからバレイショでん粉につきましては、一応ことしの冷害状況等もございまして、あとで統計調査部のほうから御説明がございますが、九八%という作況を前提といたしまして、十八万トンのバレイショでん粉というふうに考えたわけでございますが、われわれその後の状況からいろいろ勘案いたしますと、もう少しバレイショの作柄が回復しておるやに聞いておりまして、したがいまして、でん粉のほうも十八万トンを多少上回るのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。それからコーンスターチにつきまして先ほど御指摘がございましたが、トウモロコシを入れましてでん粉をつくるわけでございますが、大体六十万トンぐらいを入れてみたい。小麦でん粉は大体六万トンぐらい、それからタピオカ等の外国のでん粉を五万トンぐらいということで、ことしのいわゆる生産見込み量を百九万トンというふうに考えておる次第でございますが、そのほかに、バレイショが非常にでき過ぎた年に買い入れました——食糧管理特別会計で約七万トンのバレイショでん粉を保有しておりますので、これをこの際、国内産の馬でんの不足分を補うということで七万トンほどの分を放出することによりまして、バレイショでん粉は総供給量を二十五万トン、こういうふうに置きまして、大体百十六万トンくらいのでん粉の年間供給計画を出てている次第でございます。  需要欄のほうでは、大体水あめ、ブドウ糖のほうも、最近どうも水あめ、ブドウ糖というものに対する需要が多少減退ぎみでございまして、大体六十万トンくらいではなかろうか、こういうふうに考え、それからさらに、その他の水産練り製品あるいは化工でん粉、グルタミン酸ソーダ等、その他の需要先を考慮に入れまして、五十六万トンということで、需給バランスを百十六万トンと履いている次第でございます。  以上でございます。
  75. 中沢三郎

    ○中沢説明員 バレイショの生産量につきましては、八月三十日に北海道の予想収穫量を公表しております。先ほど先生からの御質問にございましたように、作況指数で申し上げますと九八という指数でございました。しかし、その後、予想しておりましたところの疾病がわりあいに平年より少ない関係もございまして、現在最終的に十月の九日に発表する予定で作業を急いでおりますが、この九八という指数よりも相当好転する見込でございます。指数ではいまの段階でまだ申し上げられませんが、この数日中にはっきりする予定でございます。  それから、カンショ及びバレイショの生産費につきましては、去る九月二十九日に公表してございます。  原料カンショについて申し上げますと、十アール当たりの生産費は二万六千八百四円でございまして、前年よりも千百八十七円、四・六%の増ということになっておりますし、百キログラム当たりで申し上げますと、千百十一円でございまして、前年比二・七%増ということになっております。  原料バレイショにつきましては、十アール当たりで二万三百三十三円、前年比で申し上げますと千八十三円の増、五・六%アップということでございます。百キログラム当たり生産費では五百九十六円でございまして、前年産より一五・七%の減ということになっております。  これらの主要な費目変化につきまして簡単に申し上げますと、カンショにつきましては、労働費、肥料費、労務費でほとんど八五%を占めておりまして、この大きく占めております三つの経費の変動が、先ほど申し上げました増減に大きく影響しておるわけでございます。バレイショにつきましては、同様でございますが、労働費はわりあいに他の作物と比べて低うございますが、労働費と農薬薬剤費、賃借料、農具費等の増加によりましてただいま申し上げましたような数字になっておるわけでございます。  これらの結果、収益性について申し上げますと、カンショにつきましては、十アール当たり粗収益で二万三千九百八十二円、前年よりも五・五%増加しております。十アール当たり所得で見ますと一万二千三百二十八円で、前年比四百三十八円、三・七%アップということでございます。  それからバレイショについて申し上げますと、販売価格を見通した関係もございまして、十アール当り粗収益で二万六千五百十六円、前年よりも六千百一円、大幅に二九・九%も増加しておりますが、十アール当たりの所得で見ますと一万二千六百六十円でございまして、これも四千七百八十七円、六〇%と、こういう大幅な増加になっております。   〔委員長退席渡辺(美)委員長代理着席〕  以上、簡単でございますが、生産費及び収益性の指標について若干御説明申し上げました。
  76. 渡辺美智雄

  77. 美濃政市

    美濃委員 最初大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、今回訪ソをされるにあたりまして、従来大臣安全操業でいろいろ計画ですかお話ですか、されました赤城試案というものは、今回の訪ソでどの程度お考えになって、あるいはあの実現を期そうといろ意図で訪ソされるか、あの赤城試案と今度の訪ソ関係はどの程度になるか、これをちょっとお伺いしたい。
  78. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知でありましょうが、赤城試案と俗にいわれておりますのは、地域的にいうと歯舞、色丹周辺であったわけであります。そして、向こう領海は十二海里であり、日本領海は七海里でありますから、領土問題に両方とも触れ合うというと話がきびしくなりますので、おおむね三海里の辺に直線を引いて、そこまでは日本の船も入るのだ、入ったものには拿捕などをしないのだ、こういうふうな構想で出したのが赤城試案であったわけであります。ところが、最近の漁業状況あるいは拿捕される場所等につきまして、私の試案を出した当時と相当変化を来たしております。でありますので、地域的にいえば歯舞、色丹の周辺ということでは、私はまずいと思います。やはり漁場が変わってきた、あるいは、したがって拿捕の件数も場所的に変わってきた、こういうことでございますので、地域的にはもっと広い範囲において話を進めていきたい。  それから、三海里ということをはっきりきめるということになると、向こうではまだ日本が領土権を主張しているのだというふうにとりますから、安全操業の問題を逃げるというような形になると思います。ですから、はっきり沿岸から三海里ということじゃなく、三海里の近く、おおむね三海里というようなことで線などは引くべきだ、こう考えております。しかし、これも相手方のある話でございますから、向こうもようやく何年前かにコスイギンが検討しようというので乗り出した、それから話を続けておるのでございますが、そしてまた、外交方面その他一切をイシコフ漁業大臣を窓口として交渉の相手方にするということになっていますから、漁業大臣話し合いはしたいと思います。  大体の構想においては、向こうも少し乗り気でなくなっているときでありますから、また戻して乗り気になるように、前向きに、向こう話し合いをするような引き出しといいますか、引っぱり出す、こういうようなことで話してみたいと思います。ですから、今度行ったときに解決するとは私も予想はしていませんが、前向きで私のような構想に従って話し合いが進めば非常にいいのじゃないか、こういうふうに考えております。
  79. 美濃政市

    美濃委員 幅を広げてという話は、この前の赤城試案は歯舞、色丹の二島周辺でありましたが、四島周辺に幅を広げて話し合いをしたいというふうに受け取ってよろしいのでございますか。
  80. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 あまり二島だ、四島だと言うとうるさい問題もありまするから、四島とは言いませんが、四島の方向へ幅を広めて話していきたい、こういう考えであります。
  81. 美濃政市

    美濃委員 それでは産卵ニシンについてどういう考えで臨まれますか。これは非常に難航しましたが、あれが引き続きああいうふうに固定化するのか、ことしは試験期間で、両方で試験船も出しておるはずだが、その結果もありましょうが、産卵ニシンについての今回の交渉に臨む方針を、できる範囲でお聞かせ願いたいと思います。
  82. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この前に御報告申し上げましたように、去年の話し合いは、資源の回復を待つまで、産卵ニシンといいますか、抱卵ニシンといいますか、それだけはお互いにやめておこうじゃないか、一般のニシンの漁獲は、これは当然やっていいわけだというような話し合いでございます。ですから、去年といってもことし話したばかりでございますから、資源の回復ができたろうというようなこともまだ言いかねる時期でございまするから、この問題はことしの四月にきめたのをいま踏襲していくよりほかないのじゃないか、私はそう考えておりますので、両方ともあまり問題として提起されることにはならないのじゃないか、こういう予想でございます。また問題が出れば、私のほうでもそれに対処して考えていくことでございます。
  83. 美濃政市

    美濃委員 この問題について最後にもう一つ聞いておきたいと思いますが、サケマスについて、出漁期から見てもうちょっと交渉の妥結を早める必要があると思います。出漁期直前、あるいは船を用意して乗り組み員も準備して、そして交渉がきまらないから出れないという場合があるわけですが、ぎりぎりああいう時期まで持っていかないで、そう特別に期限を早くするという意味でもないですが、今回の訪ソで、これから先もう少し交渉の妥結を早めるということを考える必要があると思うのですが、そういう点、どういうふうにお考えですか。相手方のあることですから、なかなかこちらの思うようにもいかぬでしょうが、交渉にあたっては、せっかく現職大臣が行くわけですから、明年の交渉をいまきめるわけではないのですが、話し合いの中で、交渉の決着をつける時期等についてもう少し出漁時期等を勘案してきめる必要があると思うのです。いかがでしょうか。
  84. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 おっしゃるとおりでございます。そういう意味で行こうと思っているわけであります。出漁時期に、船を用意した、乗り組み員もきまっちゃった、それで出漁時期が延びていく、そういうことでは非常に支障があるわけでして、委員会が権限を持っているわけですけれども、出漁時期あるいは出漁に支障などを来たさないように委員会等で話が進まるように、その下ごしらえといいますか、予備会談といいますか、そういうような意味で行こうと思います。そういう支障を排除したい、こういう意味ですから、いまお話しのとおりの方向で話を進めてみたい、こう思っておるわけであります。
  85. 美濃政市

    美濃委員 次に、北海道冷害対策で、なるべく先ほどの芳賀委員の質問に重複しないように、残された部分、若干質問いたしたいと思います。  まず第一に、二十日の委員会で、畜産、特に酪農関係の飼料作物の質的被害は、道庁と十分相談して的確に把握いたしますということだったと思うのです。ところが、今回発表された七百五十億の中には質的被害が、その後どうなったのか、入っておりません。これは各町村の被害額算定方法を私は調べてきたから、間違いないのです。単に量的被害額のみが、なま牧草一トン当たり千五百円ないし千八百円の損害額で計上されております。質的被害が全然加味されていない。大ざっぱにいって北海道の酪農を主体とした粗飼料作物の質的被害というものは行政把握ができていない。大体の推定でありますけれども、五十億は下らぬだろう、こういうように見ております。きょうはもう時間の関係で、前回申し上げておりますから繰り返しませんが、この被害を把握して的確な飼料対策をしなければならないわけです。どうしてこれが進まないのか。また、前回委員会で約束したことが、道庁との間に約束がそののとおり動いていない。これをひとつ、どうなったのか、どういう連絡をしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  86. 増田久

    ○増田説明員 前回の委員会で、九月末までということでお話し申し上げたと思っておりますが、その後まだ道庁で調査中で、近々にわがほうに連絡する、こういうことでございますので、その結果を待って、飼料対策については万全を期したい、かように考えておるわけでございます。
  87. 美濃政市

    美濃委員 そうすると、最終被害額には間違いなく打ち合わせをして把握して入れて、対策に入れる、こう考えてよろしゅうございますか。間違いなくそれはできますか。
  88. 増田久

    ○増田説明員 私のほうでは実は被害総額をどうだということを主としてやっておるのじゃなしに、飼料対策としてどれだけの実態の被害があり、どれだけのえさの需要があるか、こういう点に重点を置いて調査をしているわけでございます。そういう意味で、総額に入れるかどうかという点については、実はまだ畜産局としては考えていなかったわけでございますが、とにかくその調査をもとにしてわれわれの飼料対策をやる、こういうことに考えているわけでございます。
  89. 美濃政市

    美濃委員 ちょっといまのはおかしいのじゃないですか。把握した額は被害額に入れないと、特に酪農はいま建設途中ですから、設備投資でかなり高額の負債を持っておるわけですね。ですから、被害額に計上して、やはりかわるべきえさ対策の資金は天災融資その他の対策にしなければならぬが、被害額に出てこないと、天災融資の算定から除外されてしまうのじゃないですか。天災融資、自作資金というのはいずれも被害額から算定されるものですから、どうもちょっと局長の言う飼料の要るか要らぬだけの調査だということについては問題があると思うのです。その資金対策はできないのじゃないですか、被害額の算定から除外されて。そうして要るか要らぬの需要額だけ調べているのだ、そういうのはどうかと思うのですが。
  90. 増田久

    ○増田説明員 当然天災融資法等の対象の問題等もあるわけでございますので、被害額等につきましては、これは道とよく相談いたしまして、善処したいと思っております。  なお、私が先ほど申し上げましたのは、統計調査部といいますか、統計の手法を用いた方法ではなかなかむずかしい。そういう意味で、前回も申し上げましたとおり、行政的ベースでの調査ということに若干の差があるのだろうと思いますけれども、そういう点は道とよく相談して善処したいと思っております。
  91. 美濃政市

    美濃委員 次に、制度資金の繰り越し延期の問題ですが、これは先ほどの質疑を聞いておりまして、まだちょっと明確でなかったので、もう一回お尋ねしておきたいと思います。  これはもう検討するでなくて、制度資金は、農林漁業資金、農業近代化資金、その他の制度的に貸し付けられておる資金は、どうしてもことしの被害額から見て、総額繰り越し延期をする必要がある。私の言う繰り越し延期というのは、これは前に中間据え置きをしまして、ことしの分は償還延期をしよう。残る償還年限に一年延期した分をあと——たとえば個々によって償還年限が違うのですが、十年のものもあれば十五年のものもあるのですが、その年限にことし延期した分を足して、そして十年であれば十年間で払わす。こういうことをやったことが過去にあるわけですけれども、これはもう一年分の償還金があとの残存年限に計算されますから非常に端数が出て、利子計算から受託金融機関は事務上も全く重大な被害をこうむるわけでありまして、これは単純に償還年限を一年先に延ばす、こうしてもらえば、元金の計算上にそういうものが生じませんから、一年単純に償還年限を延ばすわけですから、一年単純に繰り延べ延期をしてもらいたい。これはどうしてもやらなければならぬと思うのです、これだけの被害額になれば。請求しても支払うわけにいきませんし、まれそれをすることによって、たとえば私の考えは——さっき大臣の答えは、新たな金を出して払える者は払えるようにするがというふうに聞いたのですが、これは私の聞き違いか知りませんが、たとえばそういう措置をとるよりも、新たな資金を貸してまたどうこうというよりも、単純に一年間償還年限を繰り延べる、これが事務上も制度上も一番やりやすい措置なんです。新たな資金を出して払う者が払うこともけっこうですけれども、そうするとまた証書の件数がふえるわけですね。さっき芳賀委員も話しておりましたが、多い人になると十五通も十六通も書いて、どの金をどれだけ借りておるのか、借りている農民自身がわからなくなってしまうわけです、何本も証書を書きますと。ですから、単純に延ばして、あと恒久対策で、どうしても負債整理はその次の段階でやらなければならぬと考えておりますが、きょうは恒久対策でありませんから、ここまでいきませんが、とにかくこれは単純繰り延べ措置を、方針を早くきめてもらいたい、こう思うわけです。
  92. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 経済局長から答弁させますけれども、私、さっき申し上げたのは、前にそういうことをやったことは私、経験あるものですから、新しく金を出して延期したという結果をもたらすというようなことをやった記憶があるものですから申し上げたのでございますが、経済局長からよく御答弁申し上げます。
  93. 小暮光美

    ○小暮説明員 御指摘の趣旨は、延納等をやりますときに、農家の手続もたいへんですし、あるいは窓口になる農協の手続もたいへんだろうということであります。その他につきましては、私どもも十分気にいたしておりまして、いろいろ具体的にうまい方法はないかということを、農林漁業金融公庫にも、あるいはその他の機関にも研究させようと思っております。  ただ、一律に一年、法律か何かで延ばしてしまえば手続は要らぬじゃないかとおっしゃるのですが、この点は国の特別の機関ということでの農林漁業金融公庫が扱っておるものもございますし、本来農協の自分の資金であるものを使って、これに国なり県なり利子補給をしておるというような形のものもございます。ですから、資金の性質なりその源泉なり制度のたてまえなり、国がたとえば利子補給するというところに意味があるという仕組みであったり、原資を用意するところに国の責任があるというものがあったり、御承知のように、制度の趣旨がいろいろございますので、これは一律、無差別に一年延ばせばいいということにはならない。もう一つは、どこまでも特別の融資でございますので、借入農家の資金事情というものをやはり勘案したのだということがたてまえとして必要なわけでございます。ただ、それらの制度の趣旨を十分生かしながら、具体的にはたとえば申請書といったようなものをいろいろな機関に一々生産者が書いて出さなければならぬということにしないで、一つのものと出せば、あとは写しをとって、できるだけあちこちにこれを提出して差し上げるといったようなことまで含めて、御指摘の趣旨がなるべく生きるように、事務的に各般のくふうをいたしてみたいというふうに考えております。
  94. 美濃政市

    美濃委員 きょうは意見にとどめておきますが、あと確定被害額が出た時点までに臨時国会になりますから、機会があると思います。  いま局長の言われた被害を受けておる農家は、あの借金この借金という区別はないわけですよ。あなた方から見れば、あの借金この借金と思うかもしれないけれども被害農家というものは負債がある以上、どの負債も負債なのでありますから、机上で、あなた方がテーブルプランであの負債はどうだ、この負債はどうだといじくり回すようなものではないのでありますから、重ねて要請しておきますが、単純延伸ができるようにひとつ検討してもらいたいと思います。答弁は要りません。きょうそれができる、できぬでここで問答しても、おそらく局長も全部やりますとはいま言えぬでしょう。ですけれども、農家にしてみれば、あなた方がそういう机上で考えているようなものではないわけなんです、負債に色分けはないのですから、被害を受けておる農家は。あなた方は何かエゴイズムで、ああでもない、こうでもないとすぐ講釈をやりたがるものだけれども被害農家はそういうことでないのだから、単純に全部の制度資金が延伸できるように極力ひとつ検討してもらいたいと思います。  それから次に、救農土木工事の問題ですが、これはたとえば土地改良その他をやる場合、農地局関係の仕事をやる場合、これはやはり凶作でも一通り収穫作業をしなければならぬわけですね。その収穫作業が終わって土を入れる工事が夏工事で設計されたのでは、非常にどうもならなくなるのですが、そういう関係は今回はどう調整されようとしておりますか。やはり予算単価は夏工事ですか、しばれるとか雪が降るという条件は入らないのかどうなのか。
  95. 三善信二

    ○三善説明員 救農土木事業の客土とかあるいは耕土運搬とか、それはおそらく、やはり冬場の工事になりかかりますので、積雪があったり、また凍ったりしておりますので、実はなかなかやりにくい点が現実問題としてはあろうと思います。そのやりにくい点の中でやりくりをしていま申し上げましたような事業をできるだけやりたい。機械作業みたいなところもできるだけ人力の工事に切りかえてやるとか、そういうことで、現実には道庁でもいろいろと市町村の実情等も調べてもらっているわけでございますから、そういう実態に即応しながらできるだけスムーズにやれるようにやりたいと思います。  労賃の問題でございますけれども、先ほども芳賀先生に私、お答えいたしましたように、できるだけ高いようにという要望がございます。そういう要望も踏まえまして考えたいと思いますが、何しろ予算単価的なものも予算になるとございますし、それに完全に縛られるということではなくて、できるだけの配慮をしていくというようなことでやっていきたいと思います。
  96. 美濃政市

    美濃委員 次に、米の政府買い入れ、それから豆類等の——これは豆類等も規格外が非常に多く出回りますから、一号規格は五等、それから二号規格に等外上という下位等級を設定して非常に量が多くなります。平年であればその必要はないのですけれども、量が多くなりますから、流通の便をはかるべきであると思うのであります。これは従来十二月に入るまできまらぬことがあるのですが、とにかく全くスローモーションで十二月に入ってきまるのでは、被害農家の苦しみの現況とは全く合わない条件になるわけです。これはもうできるだけという表現ではなくて、十月中にこれらの見通しは決定さるべきものである、こう思うわけです。これもいろいろ役所の都合があるけれども、役所の都合だけで被害農民の立場が勘案されないのでは、全くこの面で経済的にもあるいは実質的にも苦しむわけですから、冷害農民の現況、そういう冷害状況になっておる農民の経済現況をどうせやるのなら可能な限り早期に決定して救済してやろう、これがやはり政策の要諦でなければならぬと思うのだ。役所の都合で期間があまり長引いてしまうということについては、全く現地においては農家の救済が非常におくれるし、あるいは早く落としたものが、出荷時期におくれてしまってから規格がきまるということではならぬと思うのです。もうちょっとそれらの方針を、何月何日ということは言えぬでも、大綱の方針だけはひとつ被害農民が安心できるように前向きに、もう少し期日等について明確にしてもらいたいと思います。これは大臣、いかがでしょうか。
  97. 亀長友義

    亀長説明員 豆類の検査規格につきまして、御指摘のような不順天候、不良の状態でございますので、私どもも現在の一−四等、規格外という等級区分につきまして臨時特例を設けるべきであろうという基本的な考え方は園芸局と相談をして一応見ておるわけでございますが、何ぶんにも出回りの実態というものの把握がまだ十分でございませんので、この点をできるだけ早く促進をして、御指摘のように、できるだけ早い措置をとりたいと考えております。
  98. 美濃政市

    美濃委員 豆類ではなくて、米の買い入れをやっているわけだ。食糧庁が買う米の基準……。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
  99. 亀長友義

    亀長説明員 米の買い入れ等につきましても、私どもとして従来の事例もございますし、それらを参考にしながら措置を講ずるという方向検討いたしております。  規格の設定につきましても、昨年来の事例もございますし、大体それに準じた方向でできるだけ早く出回りの実態を把握したいということで、現在道庁とも打ち合わせを進めておる次第でございます。
  100. 美濃政市

    美濃委員 早いという時期は、どう解釈すればいいのですか。早いおそいというのは、従来の例で言うと、十二月にきめたこともあるのです。十二月に入ってからきまったことがあるので、それより十日早くても、ことしは努力して早くきめた、こうなりますが、私の言っているのは、もっとスピードを上げて、十月末ごろにはもうそういうものが全部きまるようにできませんかと聞いておるのです。早いという表現でなしに、期日で、できるならばもうちょっと明確にしてもらえれば幸いだと思う。
  101. 亀長友義

    亀長説明員 この期日の問題は、十月末ということもございましたが、どうも最近だんだんおそくなってきておるように、私、従来の資料を見ておりますので、この点はやはり少なくとも前にやったようにできるだけ早く推したいというふうに考えております。ただ、御承知のように、財政負担という問題がどうしても伴いますので、北海道はもちろん最大の被害県でございますが、内地の県にもかなりございます。できるだけ早くその実態を把握して、少なくとも昨年のようにおそくなるということはないように努力をいたしたいと思いますが、何ぶんにも米の出回りと関係のある問題でございますので、具体的な日をいまここで明言をいたすわけにまいりませんけれども、いずれにしても出回りの状況を早く把握するということが第一と考えております。また、従来十月末であったのが、昨年あたりは十二月というふうに、ここ二、三年、一年ずつおそくなってきておりますので、ひとつことしは大災害でございますから、昔に戻して早くやりたい、かように考えております。
  102. 美濃政市

    美濃委員 これは若干こまい問題でお尋ねしたい事項がございますが、大臣都合があるようですから、午後に政府委員に質問する時間を保留いたしまして、一応終わります。
  103. 藤田義光

    藤田委員長 津川武一君。
  104. 津川武一

    ○津川委員 大臣訪ソされるそうで御苦労さまでございます。いい成果が得られるように私ども期待しております。  そこで、行かれるについて一つ質問してみたいと思いますが、それは安全操業のためにも歯舞、色丹の返る交渉を始めるということであります。この間日本の共産党とソ連の共産党が会談をいたしまして、私たちは平和条約を結んで歯舞、色丹を返還したらどうだと主張した。向こう側の共産党では歯舞、色丹の問題については当面の外交問題として考えよう、こういう話し合いをしたのでございます。これは政党間のことでございますので、これを国家間の問題に進められないかということでございます。  御承知のとおり、十五年前に鳩山首相がソビエトにみずから出かけていって、国交を回復する、国交を回復したあとに平和条約を締結する交渉を続ける、平和条約ができ上がったら歯舞、色丹を返す、この三つのことを共同宣言しておるのですが、共同宣言と同時に国交は回復された。そこで今度は、平和条約の締結と歯舞、色丹の返還でございますが、政府・自民党はこれまで、択捉、国後は日本のものである、それを承認しなければならないというふうなことで、これはサンフランシスコ条約の第二条(c)項でも放棄してあって、それを無理にたてにとって平和条約の締結を拒否しておる、進まない、この状況であるわけです。  そこで、大臣に端的に、国内のこういう方針を、平和条約が結ばれるようにひとつまとめる、この考えがあるのかどうか。ソ連に行ったら、そういう交渉をして、安全操業のためにも歯舞、色丹が返れるような交渉を始めてみる腹はないか。始めてみるべきだと思うのでございますが、この二点を答えていただきます。
  105. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお話のとおりの経過は私も承知しております。それから内輪話のようなことになりますが、宮本書記長がいろいろ党側として話をされたということも私は新聞等を通じてよく承知しています。また向こうに出ていくために、総理に了解を得るために話をしました。そのときにも、総理も、すぐに平和条約ということにはいろいろ問題がまだ残っているかもしらぬが、平和条約ができるような態勢で話し合いができたらば話し合いもしてみてくれぬかと、こういうことを言っておりました。  でありますので、平和条約の問題はいわゆる領土の問題だけですから、それがきまれば、平和条約というのは締結をいつでもできるはずです。そこで、宮本書記長などがお話し合いをされた今度のことなども頭に入れ、そうしてまた向こうの情勢などもサウンドして、平和条約ができるようなムードをつくるようにという話し合いもしてくれという佐藤総理の話もありますから、そういうことも十分頭に入れながら、そういう機会があれば——私は漁業だけが主でございまするから、その機会があるかどうかは別として、機会があればそういうふうな進め方もしてみたい、こう思っております。
  106. 津川武一

    ○津川委員 大臣方針はよくわかりましたが、いきなり平和条約というふうなわけにはいかないだろうからその回りを探る、こういう態度でなく、平和条約を締結することを前提としていろいろな話し合いをするのがいまの情勢だと思うのですが、重ねて大臣意向を聞きます。
  107. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ことしの訪ソ目的平和条約を締結するための交渉だということならば、私は当然そういうようにしますが、何しろ今度は漁業の問題が中心なものですから、大体向こうの首悩者と一、二は会うことにはなっていますが、ほんとうに首悩者とどこまで会って話をするかということは、向こうへ行ってからでないと、時間の都合もあるものですから、それはいまはっきり申し上げられないわけであります。でありますので、平和条約締結のための特使ということでもあれば、もうぶち当たってやるわけなんですが、漁業の問題を中心として、まあ片手間でもないのですが、ほんとうはそれが一番大きな問題なんですが、そういうふうな行く目的、目標がお話ししたようなことなものですから、十分あなたの意見も頭に入れてはおきますが、そういうことに御了承を願っておきたいと思います。
  108. 津川武一

    ○津川委員 次に、円・ドルの問題やら貿易の自由化と日本農業関係でございますが、かなり影響を受けるかと私たち考えているわけであります。そこで、向こうの大国、特にアメリカの農産物の輸入で、大豆が関税を今度はゼロにしたので、かなり大きな打撃を受けると私は思うのです。農林省の計画でも、これから転作物として大豆を三七〇%にも持っていく、こういうことなので、この関税をどう考えているのか、大豆の振興対策をどう考えているのか。  その次には、今度の豚肉の輸入でございますが、来年一月一日からは関税をかけるから、日本の豚の生産者にはあまり影響ないかと思いますが、この十、十一、十二月の三カ月が関税なしなものだから、私はかなり打撃を受けるかと思うのです。輸入されるものから日本の農産物を守るのにどうするかという点、個々のことはまた後刻尋ねてもいいですが、大臣方針を聞かせていただきたい。  もう一つ輸入するもので、トウモロコシ、マイロなどという飼料がございます。畜産もやはり今度の転換作物の重要なものであって、肉牛などに対してはかなり大きな予算をこれから、——この間の予算要求を見ますと大きく出ておりますし、そこで、この円が高くなりドルが安くなることによって下がる飼料というものの利益をこのまま生産者にやる必要があると思う。こういう方針があるのかないのか。  もう一つ去年のことで、アメリカで飼料の不足があったりするとたいへんな値上がりをして、畜産生産者は困ったわけです。そこで、一国からだけ主にして輸入するといういうことになりますし、また飼料は自給できない状態にあるので、多国間からの輸入ということも考えていかなければならぬ、こういうことで、輸入との関係について大臣方針を聞かせていただきたい。  輸出に対しては温州ミカン、これがなかなか入りづらくなるだろうし、合板、魚のかん詰めなどという輸出の先頭を切っているものたちがかなり影響を受けると思います、課徴金の問題で。これはやはり守らなければならない、課徴金もかけることをはずさせる。円・ドルの関係日本が犠牲にならないようにすると同時に、こうしたことの輸出ができるようにどう援助するのか、損害を受けたときに、これは国において補償すべきだと私は思うのですが、そうしたことに対して大臣方針を聞かせていただきます。
  109. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 大豆の関税を引き下げるという方針は、アメリカでも宣明したわけでございます。これは関税引き下げ品目三十品目と、こういうふうに大蔵大臣も予定しまして、その中の一つということで、関税の引き下げというととを向こうでも話の中で私は大豆のことを言ったわけであります。それで、それにつきましては御承知のように、関税審議会もありますし、あるいは法律として国会にも出さなくちゃなりません。でありますので、三十品目一緒にしてやはり均衡がとれたような形での検討をいま進めておりますので、その検討をまってきめていきたいと思います。  では、国内対策として大豆についての生産その他はどうだということでございますが、御承知昭和五十二年の生産目標の中に、稲作転換によっての十六万ヘクタールを含めて二十四万ヘクタール、約五十万トンの増産をはかる、こういうことにしております。この生産の目標の実現につきましては、関税引き下げによる影響に対処しまして、大豆なたね交付金暫定措置法という法律が御承知のとおりあります。これによって生産農家に対する不足払いの充実をはかるほか、米の生産調整奨励金の支払いによる水田大豆の積極的な導入と相まちまして、地域特産農業推進事業等を実施しまして、大豆作物の生産性向上をはかる、こういう考えております。  それから円の切り上げ問題あるいはアメリカの現実の課徴金の問題で、農産物に対する輸入あるいは輸出に対してどういうふうに考えているか、たとえばトウモロコシその他えさ等につきまして一国からのみ輸入するというような方針はいかがなものであろうか、こういう御指摘であります。これは向こうでもハーディン農務長官の個別会談のときに、日本の新聞に方々から輸入するというようなことがあるのは、おれのほうの日本への輸出は減らされてしまうのか、こういう話が出ました。だから、方針としては、日本としてもこれは農産物ばかりじゃない、日本は原材料を輸入して、それを加工して輸出するという日本の体制だ、その体制から見ても、一国から特別のものだけを独占的に輸入するというふうな形は私はまずいと思っておる。ですから、一般のものもそうだが、工業資材なんかもそうだが、原材料でもそうだが、農産物についても、私は、多角的というか、分散して輸入するという方針は私ども考えておるのだと、こうはっきり言っておきました。ただし、いま畜産を非常に力を入れているさなかにこれをなくしてしまうとかあるいは激減する、こういうようなことにはアメリカに対してもならない、私は、こういうふうな見通しをしている、こういうことをはっきり言っておいたわけであります。  それから輸出の問題でございますが、たとえば温州ミカン等の輸出につきましても、前に報告いたしましたように、解禁州の拡大、こういうことは引き続き要求しておりますし、この間の会談の外務大臣の冒頭発言の中にもそれを入れさせておきました。そういうことで、個別会談になったときにも、これはグループフルーツの見合いに考えておるので、決してオレンジとの見合いに考えておるものじゃないのだから、私のほうでは貸しのようなつもりでおるのだから、ぜひ拡大をしてほしいというようなことで、これはいろいろ向こうの手続等の問題もあるようでございます。ですから、明言はいたしませんでしたが、その点は十分考慮する、こういうことでございます。  それから、その他マグロのかん詰め等なども返品が非常に多いのでございまして、これなども不当でないかという話もしたのですが、これも管轄が向こうの厚生省であったので、農林大臣向こうでよく話すということでございました。  それで、国内対策として、こういうようなことに対してどういう対策をとるのかということでございますが、御承知のように、この間景気浮揚対策として、中小企業等に対しましても、相当この国際通貨の問題で、あるいは倒産とかあるいは不況になる向きがあるので対策を講じたわけでございます。その中に、そういうマグロかん詰めの輸出など、あるいは合板関係で輸出しているものなどもございますが、これは中小企業の範疇には入らないのです。範疇には入らないが、中小企業対策と同じような方針対策をとって、そうして金融の面などでこの救済策をとるべきだ、こういうことで、あの中小企業対策が、あのとき二、三日おくれましたが、当局、ほかの各省と相談いたしまして、これも決定いたしておるわけであります。  そういうふうな方針で、農産物の輸出などにおきまして、こういう通貨の問題やら課徴金の問題で被害を受けるものについては同じような方針対策を講じていきたい、こう思っております。
  110. 津川武一

    ○津川委員 もう一問。詳しいことは同行した荒勝局長から午後伺うとして、最後の問題は、こういうドル・ショックと関連して出かせぎが非常に困難になるという問題です。来年度予算にかなり出かせぎ対策費を出しているようでございます。出かせぎの改善互助事業だとか、出かせぎ者の福祉センターだとか、いろいろなことを計画されているようですが、大臣、たとえば一つの職業安定所で七百人の求人に対して二千人殺到している。私は雇用が少なくなる、賃金が低くなる、使う側が安全の装置、施設をしないでやる、かなり事故が起きるかと思うのです。そこで、来年度の予算に計上するのでは間に合わない。私は、ドル・ショックの影響をすぐ受けているから、これこそ補正予算で組むべきだと思うのです。内容については午後聞きますけれども、この農林省考えに、ようやく乗り出した出かせぎ対策を補正予算で組む腹があるかどうか、それがいま必要だ、こう考えているのですが、この点大臣に答えていただきます。
  111. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話しのような見通しを私も持っております。ですから、先ほどちょっと触れましたが、中小企業などの対策も講じて、そしてそれが中小企業が破産とか参ってしまうというようなことじゃないこともありますが、同時にこの出かせぎ等につきましても、就労の機会を少なくしないということも含めまして、中小企業対策ども補正予算に十分組んでいきたい、こういうことでございます。  それで、出かせぎの問題につきましては、一般的に言いますならば、製造業、この方面の求人数は減ってくると思います。こういう状況だし、ドル・ショックのこともありますし、いかに中小企業対策を講じても……。逆に建設業の就労に依存する割合が今度は大きくなってくる。こういう予想をされておりますが、どうも建設業の就労条件というのは、あまりいままでもよくないようでございます。冷害等の影響でこの方面にはむしろ増加することが予想されていますので、この点につきましては、出かせぎ者の適正な就労をはかることとし、また直接的な農林省の施策といたしましては、農業委員会系統組織を通じまして実施しておりまする農業就業近代化対策事業、これにおいて重点的に出かせぎ対策を実施するよう指示をしたところでございます。さらに今後の出かせぎ対策を一そう充実させるために、労働省なども就労対策、就務条件というものにつきまして特に研究をいたしておりますが、なお四十七年度の予算要求等についてもいま所要の検討を行なっておるところであります。  その前に補正予算をどうか、こういうことでございますが、それに間に合うようでしたら補正予算の要求もいたしますが、大体今度の補正予算は、まあ景気浮揚策というようなことで、公共事業等を主とした予算の組み方が多いのでございます。でありますので、公共事業等がどんどん進むようなことになりまするならば、それにこの出かせぎの人々の労働力も吸収し得るような機会を十分とれるように農林省としても指導していきたい、こういうふうに考えております。
  112. 津川武一

    ○津川委員 出かせぎの状況が最近急激に変わりまして、老齢者が出てくる、女が出てくるで、通常予算でいくと、予算が実施されるのはと聞きますると一年後、かなり急激な変化があるので、大臣はまだ補正予算で組むということを指示していないようですが、行かれる前に検討させる必要があるかと思うのです。この点重ねて答えていただきたいのと、八面六臂の大臣ですから、ソ連に行ったら、平和条約が締結できるような、そういうことも十分考えて、ひとつ行動していただきたいことを要請して、最後の一言だけ答弁を求めます。
  113. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 補正予算も、先ほど申し上げましたように、もう相当編成が進んでおります。進んでおりますが、関係局長あるいはその他においても、いまのお話のようなことも含めて、中小企業の就労条件もありますけれども、なお話し合いをさせるようにはして行きます。
  114. 藤田義光

    藤田委員長 午後二時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後一時四十一分休憩      ————◇—————    午後二時四十分開議
  115. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。小宮武喜君。
  116. 小宮武喜

    小宮委員 まず最初に、私は現在農林省調査を進めております長崎南部地域総合開発事業計画について若干質問いたします。  まず、私はこの計画を促進していただくという立場から質問するものでございますが、この開発事業の構想、青写真についてまず説明をいただきたいと思います。
  117. 三善信二

    ○三善説明員 長崎南部地域の総合開発の全体的な構想でございますけれども、御承知のように、諌早湾の湾の入り口を締め切りまして、そこに潮受け堤防をつくります。そうすることによりまして、中の水を淡水化いたしたい。  まず水の利用といたしましては、その淡水化した水を、一つは周辺の多良山山ろくあるいは島原半島の一部の畑地かんがいに使いたい。もう一つは、この水を利用しまして長崎市、諫早市の都市用水に供給をしたい。それから、この締め切りました堤防の中、淡水湖の中に、現在の計画では約六千ヘクタールくらいの農用地を造成いたし、その中で営農計画をつくりまして、地元増反ないし入植者を入れるという計画でございます。  なお、付帯しまして、この淡水湖には水産の振興のために養殖事業を行なう。それから締め切りました潮受け堤防の外側には、ノリの養殖を新たに始めるような施設をつくる。そういった多目的な計画をいたしているわけでございます。
  118. 小宮武喜

    小宮委員 それで、その調査は大体いつ終わるのか。大体四十七年度中に調査は完了するのかどうか。まずお答え願いたい。
  119. 三善信二

    ○三善説明員 ただいま申し上げました多目的のこの開発構想というものは、四十五年度から新しい調査として始めてまいっております。今年度も引き続きやっておりますが、来年度、四十七年度までで営農計画等の調査を終わりたいというふうに考えております。
  120. 小宮武喜

    小宮委員 そうすると四十七年度のその調査費はどれくらい必要とされておるのか、お答え願いたい。
  121. 三善信二

    ○三善説明員 四十七年度は来年の予算要求でございますから、四十六年度より少し多く、私ども要求としては約一億近くの要求をいたして調査をやりたいと思っております。
  122. 小宮武喜

    小宮委員 一億で四十七年度までに調査完了の自信はございますか。その一億というのは、いま大蔵省に要求しておる段階ですか。それとも、もう大蔵省の内定を得ておるという段階ですか。
  123. 三善信二

    ○三善説明員 一億といいますのは、現在要求をいたしている額でございます。来年度の予算の要求の額でございます。ことしが大体八千万円で調査をいたしておりますので、大体この程度あれば来年度の調査は完了できるというふうに考えております。
  124. 小宮武喜

    小宮委員 それではただいまの答弁で、大体調査は四十七年度までに完了する。それで四十七年度の調査費としては一億で大体完了するという自信、見通しを持っているわけですね。  そうしますと、あとの実施計画ですね。結局事業実施は四十八年度からやるわけですか。それで事業実施計画についても、たとえば四十八年度から実施をして、いつごろ終わるというその見通しについてもひとつ御答弁を願いたい。
  125. 三善信二

    ○三善説明員 来年度、四十七年度に調査が終われば、さっそく四十八年度から実施設計という段階に入りたいと思っております。もし実施設計に四十八年度で入りますれば、大体干拓の事業というのは十年近くは当然かかりますので、大体その辺を予定して事業もやっていくことになろうかと思っております。
  126. 小宮武喜

    小宮委員 なろうかでは困るのです。実際はやりますということを言ってもらわなければ困るのですよ。それはともかくとして、この開発事業について、これは長崎でも非常に大きな問題になったのですが、この地元漁民の中では、以前二、三年前ほどは反対意見も幾らかやわらいだようですけれども、依然として絶対反対あるいは条件つき反対という方々がまだ相当おられるわけです。この人たちをどうして説得するのか、またその説得させ得る自信があるのかどうか、その解決策についてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  127. 三善信二

    ○三善説明員 ただいま先生が申されましたように、この干拓の調査、実施設計、着工という段階に一応予定としては先ほど申し上げましたように考えておりますが、やはり一番問題なのは、先生が言われましたように、漁業補償の問題でございまして、現地には主としてノリの養殖者十二漁協ございまして、現在その漁協の一部では、やはりこの干拓の計画に対して反対を続けているというのが実情でございます。したがいまして、私どもはその漁民の方の了解を得られなければ事業を進めていくというわけにはまいりませんので、現在県とともどもに、その漁民の方々の了解を得べく鋭意努力いたしているわけでございます。その県のほうで漁業者の方の対策としまして、私どもも相談に乗っていろいろやっておりますけれども、第一はやはり先ほど申し上げました淡水湖の養殖事業を希望する方には、そういった点で新しい漁場を与える、それから潮受け堤防の外側のところでは、ノリの養殖を新しくできるような施設を講ずるとか、あるいは埋め立てました農用地の中に、希望があれば入植等をある程度は認めていくとか、そういったいろいろな対策考えながら県と一緒にやっておりますが、いずれにしましても早急にこれが解決というのはなかなかむずかしいことかとも思いますし、今後とも努力して、ぜひ漁業補償、漁業者の方の了解を得て、工事が始められるように進めてまいりたいと思っております。
  128. 小宮武喜

    小宮委員 この関係漁民の中では、初め長崎干拓の場合は、いわゆる米を中心にしてつくろうということで計画されたわけですね。したがって、現状ではその目的が変わってきた。結局多目的に変わってきたということで、当初の申請を白紙撤回すべきじゃないのかというような意見漁業団体の中では相当出されておるのです。それに対して県自体も、どのような考え方を持っておられるか知りませんが、私が漏れ聞くところによれば、そのような白紙撤回ということになれば、この開発事業は御破算になるというようなこともちょっと私、心配されるのですが、その点について、この漁民を説得する場合の話し合いとして、結局そういうように白紙撤回にして話し合いをするというようなことは、もしそうなった場合は、農林省としてはこの開発事業の計画は御破算にするというふうに理解していいのかどうか、ひとつ農林省の所見を承っておきたいと思います。
  129. 三善信二

    ○三善説明員 ただいま申されましたように、そういった漁民の方、漁協の代表者の一部にはそういうことを言っておられる方もございます。いわゆる白紙撤回しろという要望もあります。非常に厳密に形式的に申しますと、白紙撤回するかしないか、それは都道府県知事が免許を農林大臣に与えたことになっておりますので、それは都道府県知事の権限であると言ってしまえば非常に簡単なことでございますけれども、やはり私どもとしましては、地元の農民の方の要望もございますし、県当局もこの開発計画は非常に熱望しておりますので、そういった白紙撤回というようなことをいまの段階でやるべき筋合いのものではないのではなかろうかというふうに、考え方としてはそういう意見を持っております。
  130. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、この開発事業に関連して被害をこうむるというか、影響を受ける関係漁民はどれくらいおりますか。
  131. 三善信二

    ○三善説明員 十二漁協で、漁協の組合員の数が、正確には覚えておりませんけれども、約千三百人と思っております。
  132. 小宮武喜

    小宮委員 この千三百人の人たちに、この開発事業が終わってしまうと、結局仕切りの外側でノリ養殖をやりたい人はやらせる。そうすると、中にできる淡水湖の中では、やはり淡水漁業希望する人は淡水漁業として、たとえばウナギだとかドジョウだとか、そういった淡水養殖もやらせる。中にできる造成地は、何か以前県下で募集して必要な人にそこに入ってもらうというような話を聞いたのですが、この場合はやはり漁業をやめて農業一本でもやりたいという人に対しては、そういった関係漁民に対して優先的にその土地を使わせるし、淡水漁業もやらせる、あるいはノリ養殖もやらせるというふうに理解してよろしいですか。とにかくこの影響を受ける漁民の人たちをまず優先的にやるというふうに考えていいですか、
  133. 三善信二

    ○三善説明員 一つは淡水湖の養殖の問題ですが、一つは潮受け堤防の外のノリの浮き流しの漁場の創設、それから最後の新しく造成をいたします農地の中で漁業者を優先的に入植させるかどうか、こういう御質問のようでございますが、もともと造成する予定でおります農用地は、畑として利用する予定にしておりますけれども、現在六千ヘクタールというふうに考えておりますが、ことし、来年の調査をしてみまして、この淡水湖の水量がどの程度都市用水かんがい用水に向けられるか、こういった問題もございます。といいますのは、やはり淡水湖にしますけれども、全部が淡水化できるというわけでもございませんし、そういった塩分の問題等も含めて淡水湖の一つの規模というものも考えていかなければならないと思います。そういった場合に、六千ヘクタールの農用地が現実に確実に造成できるかどうか、あるいは多少それを縮少するというようなことも当然考えられるかもしれません。そういうことで、計画でありますから、今後の調査をまってそれが確定していくわけでございますけれども、入植します場合に、一応私どもの現在の考え方では、この造成されたところには新規の入植と地元の増反、地元で半農半漁の人もおられますでしょうし、また純然と農業をやっておられる農業者の方もおられますし、そういう地元の増反という意味に相当使いたいという希望希望といいますか、計画を持っております。したがいまして、いずれにしましても、だれをここに入れるかということは都道府県知事がきめることになっておりますし、きめる場合に一定の基準に従って——都道府県の開拓審議会というものがございます。そういうところで入植者の選定等をいたしますので、希望があれば全部、しかも優先的にここへ入れるようにできるかどうか、はっきり私からいまの段階ではまだお答えできませんし、やはり一定基準に基づいた選考方法をいたすわけでございますから、そういう方向で要望は十分考慮しながら、そういう開拓審議会の選考会等で対処していくというようなことを考えることは必要かと思います。
  134. 小宮武喜

    小宮委員 いまの淡水湖の規模で、先ほど抽象的に言われたのですが、たとえば長崎市に一日どのくらいの送水を考えておられるのか、それによっていろいろ、たとえば一日何万トン、あるいはそのほかの周辺の地域にもこれくらいずつ送水したいということによって淡水湖の規模がきまるわけでしょう。そこのところをもうちょっと具体的に説明してください。
  135. 三善信二

    ○三善説明員 現在の計画では、都市用水としまして一口十五万トン程度を供給するような計画に考えております。それからもう一つは、農業用水として二十五万トンという計画を考えております。
  136. 小宮武喜

    小宮委員 そうしますと、やはり一番問題になるのは、この開発事業をやる際に、いま言われたように、千三百人の漁民の方々を犠牲にしてやるということについては問題があろうし、絶対避けなければならぬというふうに考えております。その意味では、結局県がやるにしても、だれを募集して入れるか、県に権限があるにしても、やはり農林省としてもこういった開発事業によって犠牲を受ける漁民の方々、これは私は今後の生活保障の立場からも、ぜひ優先的に希望者には——おらぬなら別ですが、おる場合は優先的に入れる考え方でこの問題には取り組むべきだというふうに考えておるのです。特に四十七年度中に調査完了ということになりますと、そして四十八年度着工ということになりますと、四十八年度の予算要求は、もう来年の夏くらいからやらなければいかぬわけですから、その意味では、やはり四十八年の三月まで、四十七年度中に調査を終わってみても、実際は工事着工はむずかしいのです。そういった意味で、これは県が買収について漁業団体との交渉に当たると思うのですけれども漁業補償についてもやはり十分配慮してもらわなければいかぬし、また今後の生活保障についても十分配慮してもらわなければいかぬ。そういった面についての農林省としての立場からやはり行政指導をすべきだというふうに考えるのです。特にわれわれはそういった意味で、今回のこの開発事業と取り組んでいただくわけですけれども、あくまで漁民を犠牲にしてその開発事業を進めるということでなくて、当然生活の保障ということを十分考えてこの件については取り組んでもらいたいということを特に私からも希望しておきたいと思います。  次は、国鉄当局に質問したいと思います。  私が聞くところによりますと、国鉄当局では貨物業務の合理化をはかるために、長崎本線の喜々津駅の貨物取り扱いを近々廃止するように聞いておるのです。この点についてですが、このことは事実なんですか。
  137. 泉幸夫

    ○泉説明員 国鉄の貨物輸送は、御案内のとおり、現在十年来横ばいで推移いたしておりまして、たいへん皆さん方に御迷惑をおかけしておるわけでございますが、この原因はいろいろございまして、産業構造の変化でございますとかあるいは道路輸送の整備等交通機関が多様化したという問題もございますけれども、やはり国鉄の貨物輸送そのものが在来型の輸送、国鉄しか輸送機関がなかった時代の輸送が現在まだ大半を占めておるような実情でございまして、そのために荷主さんに非常にサービスも悪いし、また国鉄といたしましても非常にコストがかかっているというのが現状でございまして、逐次これを近代的な鉄道らしい大量あるいは中、長距離の輸送に徹するということで、政府の御指導を得ながらその方向に向かって前進をしておるようなわけでございます。そのためにも、現在全国に二千五百ばかり貨物駅がございまして、平均いたしますと六キロないし七キロおきに貨物駅があるような実情でございます。これはまさに牛馬車時代の遺物でございまして、何とかこれを現在の時代にマッチした姿に近代化するあるいは合理化するということによってよりいいサービスが提供できるという観点から、逐次実施をいたしておるわけでございます。  いまお尋ねの長崎線の問題でございますけれども、長崎線全体につきましては、来年度営業の近代化ということで、全面的に計画を地元にお示しいたしまして実施する予定でございますが、いま御指摘の喜々津駅でございますけれども、喜々津駅は特殊性がございまして、来年浦上新線の開業が予定されておるわけでございます。目下着々工事が進められておるわけでございます。  御案内のとおり、浦上新線は、喜々津から浦上までバイパスする計画でございます。浦上、喜々津から分岐するわけでございますので、ちょうど現在喜々津の貨物を扱っておりますところに新線ができる。あそこから新線が分かれていくと、どうしても安全側線等々、最小限度の保安設備をつくる必要がございまして、そのためにどうしても現在の貨物扱い場所が支障するわけでございます。そういうことから、長崎線全体の近代化よりも一歩早めまして、来年の一月から何とか廃止をしていきたいということでございますけれども、まだ地元といたしましては、今日ただいまのところ正式に御提案を申し上げておるわけではございませんで、来月になって地元によくお話を申し上げて御理解、御協力を得たい、こういうことで準備を進めておるわけでございます。  なお、喜々津駅は、貨車の数にいたしまして平均いたしますと一日二、三車程度の扱いでございまして、諌早の駅から線路キロにいたしまして六・五キロの距離でございますので、諌早の駅を当面改築、改修をいたしまして、何とかそこで取り扱っていただくということでお願いをする予定にいたしております。  以上でございます。
  138. 小宮武喜

    小宮委員 国鉄のこういった計画はコンクリート化されてしまってからでは間に合いませんので、特に質問するのですが、いまの喜々津駅の合理化を、貨物取り扱いをやめて合理化したにしても、荷物の取り扱いをやめて引き込み線をやめるだけの話で、実際は合理化につながるようなメリットがあるのかどうかということについて、非常に疑問を持っておるのです。それはいままで人間が五人も六人もおったところを無人駅にするというなら、合理化のメリットはあるかもしれぬが、ただ引き込み線のあるやつを引き込み廃止で、ただ、いままで荷物を扱っておった人がちょっとそこに仕事が減るというだけで、ほんとうにメリットがあるかどうかということで疑問を持っておるのです。そういった意味の説明によれば、そういうような合理化のメリットよりは、むしろあそこを拡張するために貨物取り扱いを廃止するというふうに私、ちょっと聞こえたのですが、そうですか。
  139. 泉幸夫

    ○泉説明員 ただいま申し上げましたので御理解いただけなかったと思いますけれども、ちょうど貨物線の駅が浦上新線にひっかかるということでございますので、長崎線全体の貨物駅の集約及び貨物輸送の近代化に先がけて、来年一月から工事の都合上先にやらしていただきたい。それで長崎線上に点在いたしております貨物駅を統合することによりまして、長崎線全体の貨物輸送のレベルアップをはかりたい。現に九州では鹿児島本線あるいは豊肥線あるいは久大線等々、すでに実施を見ておるわけでございますけれども、長崎県全体の貨物駅の整理統合によりまして、長崎線全体の貨物のスピードアップあるいは到着時間の明確化ということは、全体としてやることによって初めて得られるわけでございますけれども、ただ、特殊事情がございますので、設備上のやむを得ない事情によりまして少し早く喜々津についてはやらしていただきたい、こういう趣旨でございます。
  140. 小宮武喜

    小宮委員 喜々津駅の貨物の取り扱い量は年々減っておるわけですか。
  141. 泉幸夫

    ○泉説明員 大体四十年以降、数字を見ますると、横ばいで推移いたしております。
  142. 小宮武喜

    小宮委員 喜々津駅の貨物取り扱いを諫早のほうに移すというようなお考えのようですが、いまの国道三十四号線、あそこは一本しかありませんから、長崎から諌早に通ずる国道としては非常に混雑をしておる。またさらに諌早駅も、ぼくらが見るところでは、もうすでに構内の敷地の事情も周囲の状況から見ても、あそこを拡張する余地はあまりない、拡張することはなかなか無理だというようにぼくらは判断しておるのです。国鉄のほうでは、まだ諌早駅のほうは拡張する余地は十分あるというふうに判断されておるのかどうかですね。その点の見解をちょっと聞きたいと思います。
  143. 泉幸夫

    ○泉説明員 諫早駅の、私も具体的に土地勘はございませんのでわかりませんが、調べましたところによりますと、荒荷線を延長することによりまして十分収容できるということで、そのほうの手配はいたしておるわけでございます。
  144. 小宮武喜

    小宮委員 御存じのように、喜々津駅はちょうど長崎と諌早の中間にあるわけですね。いま言われたように、長崎バイパスの分岐点でもあるし、あそこはいわば長崎県でも交通の要衝というふうにいって差しつかえないと思うのです。特にここでは、御存じのように、多良見町、ある辺一体は長崎県でも非常に有数の農村地帯です。しかも御存じのように、伊木力ミカンの産地として県外にどんどん搬出、出荷しておるわけですから、その意味であそこの貨物取り扱いをやめるということになりますと、これは農業をやっておられる方々、かんきつに従事しておられる方々から見ても、非常に大きな被害を受けるのです。それと同時に、あそこの町は大村湾に面しておりますから、やはり漁業も非常に盛んなところなんです。そういう意味では、この農業漁業の立場からも、あそこの貨物取り扱いをやめるということは非常に被害を受けるわけです。それと同時に、この農業とか漁業とかいう立場だけではなくて、ちょうど喜々津駅の隣接したところに、たとえば中小型船とか漁船の舶用エンジンをつくる神戸発動機という工場がありますが、ここらあたりも、現在の銑鉄あるいはコークスあるいはれんが、こういったものの搬入をするし、今度できた製品を、またディーゼルエンジンあたりを全部発送しなければいかぬわけです。搬入、搬出の非常にあそこは重要なところなんです。ここでもそのために非常に生産に支障を来たす。そればかりか諌早ということになりますと、コストが高くなる。道路は、国道三十四号線は非常に混雑しておる。私はいつも通るからよく知っている。そういうような中で、この喜々津自体はいまでも新しい都市計画構想のもとにあそこに長崎市内の青果市場を誘致するとか、あるいはあらゆる商工団体のいろいろな団地も造成をしておるわけです。私に言わしめるならば、喜々津駅の貨物扱いを取りやめるどころか、むしろ今後この喜々津駅はますます整備拡張しなければいかぬというふうにすら考えておるのです。そのようなやさきにこの喜々津の貨物取り扱いを廃止するということは、むしろ時代に逆行する現実を無視したやり方だと言わざるを得ません。私はもともと何も合理化に反対をする男じゃないのです。しかし、少なくともこの喜々津駅の貨物取り扱いの廃止だけは取りやめるべきだというように私は考えておるのです。そういった意味で、再度国鉄当局にこの問題についてひとつ再考をお願いしたいというように考えますが、どうでしょうか。
  145. 泉幸夫

    ○泉説明員 現在の時点におきましては、先ほど申し上げましたように、現在の貨物扱いそのものは、もう工事上の物理的な理由で浦上新線の開業までに何とかしなければならないという切迫した事情があるわけでございますので、何とか先に廃止をさせていただく。そしてその分については当面諌早において扱わしていただくということでございませんと、浦上新線が完成できないわけでございますので、その点は御理解を願いたいと思います。  将来の問題といたましては、実は佐賀県におきましても同じような問題がございまして、佐賀駅の高架化に関連をいたしまして、あの周辺の、佐賀駅の貨物を含めまして佐賀の貨物駅を鍋島というところに集約をいたしまして、そこに何十万トンのりっぱな扱い設備をすることによりまして、長崎本線、佐賀線、あるいは北へ行っております、ちょっと名前は忘れましたが、玄海灘のほうへ行っている線がございますね、その辺の貨物駅約十七駅ばかりを集約させていただきまして、鍋島に近代的な拠点駅、トラックとの結合のいい、あるいは荷役に近代的な機械の使えるような近代的な貨物駅をつくることにいたしておるわけでございます。長崎の周辺の問題につきましても、現在私どもそういう計画を持ち合わせておりませんが、いずれ新しい流通革新の時代に即応したものを長崎周辺にいずれはつくらなければならないと考えておりますが、そのときにはまたいろいろと御指導をいただきまして、長崎の地区にも近代的な巨大な貨物駅をつくるべきじゃなかろうか。そのときにはひとつ私どもも十分御協力申し上げたい、かように考えておりますが、当面、先ほど申し上げましたように、新線建設にからみまして何とかひとつ御理解を願いたい、かように思っておるわけでございます。
  146. 小宮武喜

    小宮委員 その喜々津駅の貨物取り扱いを廃止するというのは、それでは、長崎新線ができるまで、あそこがじゃまになるからその期間だけだというふうに理解していいですか。
  147. 泉幸夫

    ○泉説明員 当面先にやらしていただくというのはそういうことでございますが、四十七年度に長崎線全体の、佐賀地区は先ほど申し上げましたけれども、長崎県内におきますところの一応の集約計画をいま現地局において立てております。その中で、いま先生の御指摘のございましたような構想と結びつくところまでいくかどうかはちょっと疑問がございますけれども、先生がおっしゃるようなことで、喜々津周辺に将来の流通基地的なものができるならば、当然長崎、諌早を含めた意味でそういうものが考えられるという意味で申し上げたわけでございます。
  148. 小宮武喜

    小宮委員 あなた、そう言うけれども、一ぺん廃止したら、次にそれをまたもとへ戻すということはなかなかやらぬのです。だから、その意味で、長崎新線ができるまでの間というならばまだ理解できぬこともないのです。したがって、その意味では、私は絶対に反対だからやはりやめてもらわなければいかぬと思うけれども、かりに一歩譲ったとしても、将来のそういうような状況、たとえばあそこの多良見町、喜々津一帯は今後急速に発展することは目に見えて明らかでありますから、そういうような意味では、むしろ将来の、この二、三年の状況等も十分見きわめた上でその方針を打ち出すということならはっきりしています。だから、それまでは現状のままでやって、そして二、三年してみて——貨物の取り扱い量がふえることはもう明らかだと思うのですね。これは私が見ておるから間違いないです。ですから、ふえた場合は当然やるということで、ただ長崎新線が通るから、そこにどうも入り込むから、その間だけはひとつ一時中止させてくれぬかということなら話はわかるのですよ。しかし、あなたはそう言っても、四十七年の長崎県全体のいろいろな見直しをやるといっても、国鉄当局も変なところの合理化ばかりやっておるけれども、片一方では大きな赤字線をどんどんつくってみたり、やっていることは支離滅裂です。そういうような立場から、この問題についてはひとつ局長さん、一ちょうこの問題は将来この二、三年の状況を見きわめた上で方針をはっきりします、したがって、今回の場合は長崎新線ができるまでの一時的な措置としてやりたいということをひとつ答弁してくれぬですか。
  149. 泉幸夫

    ○泉説明員 現在の輸送量の推移等々から見まして、いますぐ先生の御指摘のような形になるかどうかは若干疑問がございますので、そういう必要性のあるまでは現在のシステムをできるだけ近代化させていただきまして、その中でスピードアップなり到着時間の明確化をはかるということでひとつ御理解願いたい。  なお、将来発展いたしましたときには近代的な拠点駅をつくるということでひとつ御理解願いたいと思います。
  150. 小宮武喜

    小宮委員 これは文書交換しておかなければどうもならぬですね。ここの問題をやめてみたって、国鉄の赤字はどうにもこうにもならぬ。しかし、それまでやるなら、具体的に月に幾らの合理化のメリットがあるのですか。実際、メリットということのじゃまになるということだけでしょう。どうですか。
  151. 泉幸夫

    ○泉説明員 まだこれは正式に申し上げていいのかどうか、私、貨物局長でございますので、現地の実情をつぶさに必ずしも聞いておるわけではございませんけれども、かりに浦上新線ができましたと同時に、新しい信号方式なり運営方式を採用することによりまして無人化することができますなれば、現在十人の人間がおりますが、これが全部転用できる、合理化できる、こういうことでございまして、貨物駅がもしそういうふうにわずかでもございますならば、人間がどうしても張りつく。御案内のとおり、貨車は自分でやることができませんので、ポイントを切りかえたりいろいろなことで、荷役線に貨車を入れなければならぬ、あるいは列車に連結しなければならぬ。中間駅でそういうことをやることは非常に手の込んだ仕事でもございますし、また危険な仕事でもございますので、そういう意味から、労働の保全という面からもできるだけ集約していきたいというふうに考えておるわけでございますが、無人化いたしますれば、十人の荷役が浮くということは計算上出るわけでございます。
  152. 小宮武喜

    小宮委員 もうあまりやりとりしませんが、私は何も無人化しろと言っておらぬのです。この問題は、そういった地域の経済に非常に貢献しておる貨物取り扱い駅を、ただ国鉄の合理化ということだけで各地域経済に非常な支障を来たすような、また不便を来たすようなことは、やはり国鉄としては公共事業という立場からも私は避けるべきだというふうに考えておるのです。  そういった意味で、これ以上あなたと二人でやり合ってみてもらちがあきませんのでやめますけれども、とにかく私としては喜々津駅のこの貨物取り扱い廃止の件についてはひとつ十分、ここでいまいろいろ意見は伺いましたけれども、また国鉄当局に持って帰って、いまのように廃止をしないような方向で、前向きの検討を強く要請しまして、私の質問を終わります。
  153. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 瀬野栄次郎君。
  154. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林省当局にお尋ねをいたしますが、午前中農林大臣に対して北海道冷害問題等で質問してまいりましたが、今年は、北海道のみならず全国的にも山間部、高原地帯では冷害が発生をいたしております。実は私のほうの熊本県阿蘇郡、特に山田という地方は北海道に準ずるような被害が起きております。また富士山ろくの高原地帯でも、特に山梨県下でありますが、三割は減収である、ひどいところによっては五割減収、こういうことがいわれまして、穂首いもちまで併発をいたしまして、かなりの害を受けております。特に山梨県下等では、二十八年、二十九年以来の冷害である、こういって農家もいろいろたいへん心配いたしております。熊本県の阿蘇地方、または富士山ろくの山梨県下、あるいは東北六県の山間部、また各地においてもこういったことが大なり小なり言えるわけでございますが、こういった日本全土にわたっての、北海道以外の地点の冷害については農林省はどのように把握をされておられるか、この点についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  155. 中沢三郎

    ○中沢説明員 お答え申し上げます。  九月十五日現在の作況につきましては過日公表いたしたわけでございますが、水稲に例をとって申し上げますと、全国的な低温が、そういういま御質問にございましたような高冷地における冷害となってあらわれているのは事実のようでございますが、現在のそれらの把握状況は、北海道を除きましては十月十五日現在で全国的な被害状況把握をする予定になっておりまして、現在のところ全般的に申し上げる段階にないわけでございます。ただ、たとえて申し上げますと、先生の御質問の中にございましたように、熊本県の山田の地帯につきまして、先般熊本県の作況指数を発表したわけでございますが、その作況指数を部分的に地域別に申し上げればあるいはお答えになるかと存じますが、現在の段階では、この作業がまだ進んでございません。ただ、山田の地帯がかなりの、冷害のみならず台風の被害が多うございまして、特定の、阿蘇盆地地方では特に八九%程度の作況ではないかというような情報が現在入っているという段階でございます。
  156. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 十月十五日の作況によって最終的にいろいろ被害状況がわかるということで、現在把握を完全にしていないような話でありますが、県側としても、高原地帯を持っている県はやはり今回は冷害に相当悩んでおるわけであります。地元県からも陳情に来ていることも事実でありますし、当然十月十五日の作況によってまた明らかにされてくることでありますけれども、今年は北海道が特に冷害で大被害を受けたわけでありますが、ややもすると各県の冷害を忘れがちであるということになっては相ならぬ。やはり高原地帯では冷害でかなり打撃を受けて、肥料、農薬代、またいろいろな支払い等にもたいへん困窮し、早く検査を終えて出かせぎに行きたいという希望も多いわけでございますので、こういう事情をよく掌握されまして対策をとってもらいたい。特に、北海道のみならず、北海道に準じてこれらの冷害を受けた地帯に対しては対策考えておられるのか、そういった方針についてお伺いをいたしておきます。
  157. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありました、いわゆる高冷地の稲作につきましては、先生御指摘のとおり、非常に冷害が心配されているわけでございます。ただ、現在天候がやや回復ぎみでございますので、これが刈り取り時まで持続すればある程度の作柄の回復は期待できるのではないか。その意味でも、十月十五日現在の収穫見込み高を見て、それから被害の実情に応じてしかるべき対策北海道と同様にとらなければならないというふうに考えております。
  158. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 被害状況が把握された上で北海道同様の対策をとらねばならないということでございますので、各県においても高原地帯の冷害が今回はかなりひどく出ておりますので、それらもあわせて、ぜひひとつ、必要あれば、午前中の議論の中でも話が出ましたように、補正予算等あるいはまた今後の対策等に十分配慮していただきますように、重ねてお願いをいたしておく次第であります。  次に、行政管理庁のほうにお伺いいたしますが、実は米の検査問題についてお伺いするわけでございます。  いまから私がお伺いする行政管理庁並びに食糧庁に対しては、今回の冷害等で農家が、減収ということで農業収入が減ったために、早く検査を終えて出かせぎに行きたいというような希望がたいへん強く、それに対して検査員がなかなか充足できないというような問題等が、あちこちで陳情があるわけでございます。そういうことについて逐次質問してまいりますが、最初行政管理庁長官に、今回生鮮食料品の価格安定対策中心とする農林省機構改革というようなことについて諮問をされて、いわゆる流通庁というようなものをつくったらどうかというようなことでいろいろ諮問をされておるやに聞いておりますが、こういったことについての内容についてお考えをまず最初に承りたいのであります。
  159. 楠田脩一

    ○楠田説明員 ただいま御質問の流通庁の問題でございますが、これは実は私どもの行政監察局におきまして、ただいま野菜の生産、流通に関する行政監察を実施中でございます。これと関連いたしまして、行政監理委員の方々から流通対策についての御意見を伺いたいということで、先月の半ばごろから検討を始めていただいておるわけでございます。その間、関係者のほうからいろいろ意見を聞いたり必要な資料の説明を受けておりまして、まだ現在検討中でございます。したがいまして、いまの段階では具体的にどういう内容になるか、まだ御説明申し上げる段階に参っておりません。
  160. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 そういったことについて諮問をされたことは事実でありますね。
  161. 楠田脩一

    ○楠田説明員 正式の諮問と申しますより、ただいま申しましたように、行政監察を実施いたしておりまして、これと関連いたしまして委員さん方からもひとつ意見を出してもらいたいということで、事実上の御意見聴取ということでございます。
  162. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 このことについては事前に赤城農林大臣等ともいろいろ打ち合わせをされて、農林省意向を打診されておられるのか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  163. 楠田脩一

    ○楠田説明員 ただいま申しましたように、行政監察につきましては、これを実施するにあたりまして、長官の名前で農林大臣に監察の実施の通知をいたしております。監理委員会に対する意見の聴取につきましては、格別長官から農林大臣に連絡は申しておりません。
  164. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 それでは次に、食糧庁長官にお伺いいたしますが、今回食糧庁の出先であります食糧事務所、出張所、こういったものを廃止して、いわゆる支所と本所にするという構想が発表されておりますけれども、これらの考え方、構想についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  165. 亀長友義

    亀長説明員 私ども、今回食糧事務所の組織の再編整備計画というものをきめまして、これを四十七年度から実施をいたすことにいたしておりますが、この基本的な考え方は、御承知のように、食糧庁は各県に食糧事務所さらに郡単位に支所、その下に出張所というのが大体において村々にございまして、非常な数におよんでおるわけでございます。再編整備計画の考え方は、この村単位にあります出張所を整理して支所に統合をするというのが中心でございます。したがいまして、従来の三段階制から二段階制に移すということを中心にいたしております。  このような計画を立案いたしました趣旨は、最近における食糧事務所、特に出張所における職員数は定員削減というのを逐次進めてまいりまして非常に小さな出張所が多くなってきておる。また半面、事務処理の面からいたしますと、過剰米の処理でありますとかあるいは生産調整にも御協力を申し上げるとか、あるいは買い上げにつきましても、従来のように持ってくれば全部買うという制度から、政府で限度をきめてその範囲内で予約をした数量だけを買うとかというふうに、かなり芸のこまかい仕事が出てきておるわけでありますが、一方におきましては、各地におきましても道路、交通事情等も従来とはかなり変わってきております。また町村につきましてもかなり合併が進んでおる。また農協につきましても合併が進んでおる地区もございます。かような点を総合的に判断をいたしまして、第一線機構として支所というものを中心に運営をしていく。出張所の職員は原則として支所に配置をして機動的な運営に当たる、かような考えで発足をいたした次第でございます。
  166. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 再編計画についてただいま答弁がございましたが、現在食糧庁のこういった検査員は、実働何名の中で検査員として従事している者がどのくらいいるか、明らかにしていただきたいと思います。
  167. 亀長友義

    亀長説明員 食糧事務所の職員の中で農産物検査官、これは四十六年七月一日現在で二万三百七十一名でございます。
  168. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 こういった機構改革で食糧庁の出先の検査員等が今後自然減をしていくわけです。たしか昨年度は百名増員したように聞いておりますし、来年度もその構想があるようにも聞いております。今年度は増員はしなかったようでありますが、自然減で逐次減ってくるのではないかと思います。また機構改革によって検査員の首切というようなことにはならないと思いますが、その点の問題等、補充についてはどのようなお考えであるか、お聞きしたいのです。
  169. 亀長友義

    亀長説明員 御承知のように、政府職員につきましては定員削減計画がございまして、すでに第二次計画に入っておると思いますが、食糧事務所の職員も当然政府全般の公務員削減計画の適用を受けるわけでございまして、そういう面からは年々定員の数を削減していかなければならないという立場にございます。しかしながら、私どもはこの際にいわゆる出血、首切りをするというようなことはやらないというたてまえになっておりますので、私どももちろんその中で運用をしていかなければならない。したがいまして、原則的には高齢による退職、自然退職というものの数でその定員削減に対応していくということに相なるわけであります。したがいまして、新規の採用というものはできるだけ差し控えないと、そのような対応ができないという事情でございます。  ただ、どうしても新規採用を必要としなければならぬ——定員削減の要請にはもちろん応じるけれども、自然退職者が相当出た場合にまで補充をしないというわけにはいきませんので、私どもとしては新規採用につきましても、現地の実情に応じて必要最小限度の補充はやむを得まい、かように考えております。  しかしながら、これは公務員の一般削減に伴う諸問題でございまして、今回、先ほど御質問の二段階制の問題は直接定員の問題とは関係がございません。したがいまして、二段階制によりますところの特別の行政整理あるいは出血だとかいうことは、全然関係のない話だというふうに考えております。
  170. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 今回の食糧事務所の機構改革によりますと、今後五カ年間において計画をされるということでございます。そうしますと、市町村単位に置かれている食糧事務所の出張所、たしか二千七百九十五カ所とか承っておりますが、こういったことを四十七年から逐次五カ年計画で郡単位の支所に整理統合していくということになりますと、いままで出張所にいた四名あるいは十名という人たちが一支所に統合してまいりますと、かなりな、百名以上になるようなことになるのじゃないか。そうすると、建物の問題とかいろいろな場所の問題等が問題になってくる、こういうように思いますが、こういった五カ年計画による食糧事務所の再編計画には、そういったものを含めましてかなりの予算が要ると思うのでございますが、その辺の構想はどのようになっておりますか、あわせて伺いたいのであります。
  171. 亀長友義

    亀長説明員 私ども当面五十三の新支所の発足を今年度中にいたしたいと考えております。これはパイロット的な意味もございまして、すでに建物等の予算措置も講じてございます。今後五カ年間を一応目標にいたしますが、もちろんそれには御指摘のような庁舎整備の問題もございます。また庁舎整備の必ずしも必要じゃないところもございます。いろいろな地域がございますが、これらにつきましては、予算の必要なものについては逐次年次を追って予算措置を講じていくという考えでございます。当然これは吸収に伴いましてそのような十分な施設は講じていきたい。またそのための予算獲得もいたしたい、かように考えております。
  172. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 そこで、食糧庁長官にお尋ねしますが、最初行政管理庁にお尋ねいたしましたわけですけれども、行政管理庁としては、将来生鮮食糧品等の値上がり、あるいはまたこういった流通という問題に今後重きを置かなければならないということから、仮の名前でありますけれども、流通庁あるいは農林省を食糧省にしたらどうかということまでいろいろ新聞等にも取りざたされておりますが、いろいろそういった方向考えられておるわけでございます。またこれにはいろいろな内部の農林省自体の検構という問題もありますし、これには相当な英断をもって臨まなければならぬということも当然でありますが、いずれにしても検討をしていかなければならぬことは、これはだれが見ても当然であると思います。  そういったことと考え合わせまして、今回の食糧庁のこの食糧事務所の統合という、いわゆる再建計画というものは、いわば行政管理庁のこういった構想に対して先手を打ったということで、いろいろ批判も出ておるわけですが、そういった面との関係はどのようにお考えであるか。食糧庁としても将来のあり方ということについては、今後の食管問題、米一辺倒から、やはり大きく農業も転換をする時期に来ておることを考えたときに、五カ年計画でこういったことを進めるということについて、行管との関係考え合わせてどのような判断をしておられるか。その辺の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  173. 亀長友義

    亀長説明員 結論から先に申し上げますようでありますが、今回の二段階制の措置と、行政管理庁の流通庁とかいうお話がございましたが、そういうものとは無関係であるということを最初に結論として申し上げておきたいと思います。  現在私どもが計画いたしました二段階制は、現在の食管制度のもとにおける合理的運営として考えたものであります。したがいまして、将来食管制度がどういうふうに改編されるかということとは関係がございません。したがいまして、流通庁とかあるいは農林省、食糧省とかいうことばを新聞に拝見しますが、私はそういうようなことが行なわれる前に、現行の食管制度というものが一体変わるのかどうかということが、まず検討されなければならぬと思います。  それから流通庁というお話でございますが、流通行政の中身としてどのようなことをお考えになるのか、あるいは従来の食糧事務所の職員がそういうものに従事をするような流通行政ということをお考えなのかどうか。組織よりも行政の中身のほうを先に知りたいと考えております。しかしながら、その点は必ずしも明確でないようでございますし、私どもの所管をいたしております食管制度にいたしましても、やはり食管堅持という声もなかなか多うございまして、そうしかく簡単に私どもの力で扱えるものではなかろうというふうな気もいたしますので、最初に返りますが、二段階制の措置とはあくまで現行制度下におけるものでございまして、行監委員会のほうから出ておるいろいろなお話とは無関係でございます。
  174. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 この点については、行管のほうもいずれこういった意見等がまとまり、また諮問その他の結果等も明らかにされてくるときが来ると思いますので、そういった時点においてまたいろいろ論議することにしまして、いまの食糧庁長官の御意見は一応承っておきたいと思います。いずれにしても、今後米一辺倒から生鮮食料品等の流通問題または今後の農林省内部のいろんな機構問題とか、いろいろ論議する点があるわけでございますが、これはまた後日に譲ることにします。  次に、先ほどの問題で、今回の冷害で農家も米の検査等について早く検査をしていただきたいという要望がたいへん強い。先般も新潟県からも強い要望がございましたが、何しろ冷害によって農家が痛めつけられたので現金収入を得たい。これといってすぐ救農土木が実施されるわけでもなし、早く米の検査を終えて出かせぎに行きたい、そして農外所得をふやしたいということなんですけれども、なかなか検査員が足らない、検査がスムーズにいかない、またこれは補充するにもなかなか人がいない。聞くところによると、支所あるいは本所から若干応援はできるというふうに聞いておりますが、事実、検査はかなりおくれていて、農家の要望にこたえていないという面があります。  こういったことで、生産された米に対しては早く検査を終えて、農家の出かせぎあるいはまた農外所得を得るための仕事に従事できるような配慮をするべく努力をしていただきたいと思うのですが、これらの農家また農業団体の要望に対してどのように対策考えておられるか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  175. 亀長友義

    亀長説明員 本年は冷害の年でございますので、農家の御希望につきましては、私どもも十分にできるだけ親切に配慮をするよう指導をいたしておるわけでございます。しかしながら、検査員の定員と申しますのは、これは大体時間的に一生懸命働いても一日には限度がある、また人員にもおのずから限度があるということでありまして、先ほどもお話がございましたが、支所からの応援検査あるいは出張所相互の間で応援検査をやる、あるいはまた事実上非常勤の職員に手伝ってもらうというふうないろいろな方法を講じておるわけでございますが、いずれにしましても農家とよく相談をして適切な検査計画を立てて、これによって促進をする。その検査計画の中に農協を通じて農家の希望が反映するようにするというのが第一の方法かと存じますので、現在検査計画の充実ということを通じまして、農家の出かせぎ等の要望にもできるだけ応じるように指導をいたしておるという実情でございます。
  176. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農業団体とも打ち合わせの上適切な検査計画を立ててということでございますが、当然のことでありまして、特に冷害地でその要望の強い県は、農林省でも十分承知のことだと思いますので、そういったところについては支所あるいは本所からの応援体制をフルに使っていただいて、これらの要望にこたえてひとつ早期に検査が済んで、農家の出かせぎあるいはまたいろいろの農外所得を得るための仕事に従事できるように十分な配慮をしていただきたい。特に冷害の年にあたりまして強くお願いをいたしておく次第であります。  それからもう一点、米の検査に関して、御存じのように、検査がきびしいといわれておるカナダあたりでも、米の測定機械というものを使っていろいろとやっているわけです。最近私が見聞している中にも、いろいろ機械が開発されておるのでありますが、米の測定機械というものを使って、いわゆる検査の補助として使う、またこれを測定機械によって検査するというようなことも、将来これは当然考えられるのではないかと思います。現に水分検査なんかをする機械はもう開発されておりますし、最近では一等、二等、三等と等外米等を区別するのに、検査員が見て等級をきめたのと機械のデータがほとんど間違いないという数字が出ているデータも私、承知をしておりますが、そういった機械が現にあるわけです。こういったものは将来人員不足、また今後の検査をスムーズにしていく、また効率的にやるためにも、またこれらの機械が開発されますと、これは農協にしても生産者にしてもいろいろこれが利用できて便利であるとも思うわけです。こういったものについて、すでにカナダ等で大いに利用されておるわけですけれども日本においてもこういったものを考える、またこういったことについての利用をどういうふうにお考えであるか、この機会に食糧庁のお考えを明らかにしていただきたいと思うのであります。
  177. 亀長友義

    亀長説明員 現在の米の検査の格づけと申しますか、そういうものは数値で表現できる項目、たとえば容積重、水分といったものと、数値で表現できないもの、充実度、粒型、光沢などのいわゆる形質に属するものと、大体大ざっぱに分けて二つに分かれるわけでございまして、前者の数値で表現できる項目につきましては、たとえば容積重、水分等につきましては、機械器具の計測が可能でございまして、こういうものはすでに機械器具を取り入れて検査を行なっております。ただ、形質に属するもの、充実度、粒型、光沢などにつきましては、日本では生産者も非常に小規模である、肥培管理の態様もいろいろであるというふうな事情から、産地、品種、銘柄等も非常に多岐に分かれておりまして、こういうものを機械器具で判定をするということは困難な事情であります。したがって、現在では標準品というものを設けまして、これと比べてみる、いわゆる比較鑑定の方法によっておるわけでございます。そういう面では、御指摘のように、非常に肉眼判定的でないかという御指摘はあると思いますが、現在の段階では全面的に機械にたよるということは、いま申し上げた事情できわめて困難な事情にあります。機械を利用できる項目については、すでに取り入れている分野もございますし、今後もまたそのような分野を取り入れることができるならば、取り入れたいと思います。もちろん、いまの時代は科学の時代でございますから、われわれのできないと思ったことでもできるようなこともございますし、そういうふうな機械器具等の開発等もだんだんできてまいることでございましょうから、基本的な方向としては、ただいま先生御指摘のようなことで、できるだけの努力をいたしてまいりたいと思っています。
  178. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 最後に若干お尋ねいたします。  実はことしの三月でございますけれども、福島県下等を中心として東北各県、またこれは全国的にも言えますけれども、米に対してコクガが発生した。私が調査し、またある試験場でずっと三月以来検討してまいりました。ここに写真を写してきましたけれども、これは明らかにノシメマダラメイガまたはノシメコクガというような虫ではないか、こう思うわけですが、異常な発生をいたしまして、これでかなり被害を受けているわけです。  農林省としては、六月にたしか通達を出して、これらの防除、倉庫薫蒸等について指示をし、いろいろ対策を立てておられるやに聞いておりますが、実はこれも六月、私、質問をする予定でありましたが、この虫というのが三月をはじめ年に四回発生をする。現在まで倉庫に入庫している米については一応の薫蒸をやっているので、現在はこういった発生が見られないかもしれませんが、今回再び四十六年度産米を入れますと、また虫の異常発生が考えられるというようにも思えるわけでございます。三月以来、私、慎重に検討してまいった問題でありますが——時間の制約があって早くやめてくれということでございますが、どうかひとつ重要な問題であるので、若干時間をいただいて——この六月にこういったものに対しての通達を出されたという内容について、どのようなことで通達を出されたのか、まず最初に明らかにしていただきたいと思います。
  179. 亀長友義

    亀長説明員 低温倉庫以外の一般倉庫では、六月以降害虫が発生をすることが多いわけでございまして、私どもとしましては、六月それから最盛期の八月の二回にわたり定例的に薫蒸を実施いたすことにいたしております。本年はむしろ全国的に低温のために、虫害の発生の条件は少ないのではないかというふうに考えるわけでございます。  実は、御質問もあるということで調べてみたのでありますが、現在のところ貯穀害虫の被害の報告というものは出ておらないような状況でございますが、福島県というお話でございまして何か具体的な事例があるようですから、ぜひともあとでお伺いをいたしまして、調査の上善処をいたすようにしたいと思います。  六月に出しました通牒につきましては、業務部長からお答えいたさせます。
  180. 森重弘

    ○森説明員 例年私どもが薫蒸を実施いたしますのは、年に二回ぐらいを標準としてやるということでございまして、雨季になります前に一ぺん、六月ごろが最も繁殖の時期であるということで例年やっております。もちろんそれ以前に発生する場合もございますが、御案内であろうと思いますけれども、私どもの第一線の検査官が倉庫の保管の監督をやっております。農協等を通じてその保管状況については逐次連絡があるはずでございまして、必ずしも六月にやらなければならないということでもございませんが、その点につきましては、虫が発生いたしましたら、申請がありまして、その申請に基づいて薫蒸してよろしい、こういう具体的な、弾力的な取り扱いをしております。
  181. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 食糧庁の回答はいつも、何かしらん明快でないので、私、いつも満足できないわけですけれども、現に地方ではそういった報告をしているということを聞いているわけです。また現にたいへんな騒ぎで薫蒸をやっておるわけです。またその薫蒸のいわゆる煙が民間に害を及ぼして、いろいろ公害として騒いでいることも事実であります。これは福島県のみならず、かなりの県でこういったことが起きております。そうなりますと、貴重な国民の税金で買った米をたいへんな虫にやられ、しかもこの虫が配給米の中に入りますと、ウジ虫みたいな小さなものですが、食べるほうもたいへんな不快なものを覚えます。そういったことから、これらの原因をはっきりさせて、そして米の品質に影響を及ぼさない薫蒸をするなり、適切な処置をしていかないと——一説には、農薬が比較的使われなくなったので虫が発生してきたのじゃないかということですが、かといって、今度はこの害虫をとりたてていろいろいえば、また農薬をうんと使わなければならぬということになってくる。そういうようないろいろな問題がからんでくるということで、これは実に心配であり、また消費者としても不快な問題であります。そればかりか、政府が保管をしている米の量そのものがたいへんに減ってまいりますし、また保管料等を考えましたときに、使えないあるいは配給に適しないような米に対して保管料を払っていくということにもなりかねない。  さっき長官は、一般倉庫については例年とか、こう言っておりますが、もちろん米には若干虫がつく、これはもう常識でありますが、今回は特に異常発生しているというところに問題がある。その具体的な事例があればとおっしゃるから、後ほど申し上げてもけっこうですが、私、現に採取した虫を部屋のほうでもいま養っておりますが、これは年に四回かえるわけです。もう少し経過を見て、私、検討してみたいと実は思っておるわけですけれども、確かに六月に通達を出されて、薫蒸を若干、あちこちでだいぶあわててやっております。もちろん定期的な薫蒸もありますが、今回は特に重点的に薫蒸をやられておる。  そこで、若干、発生をしないというような状態が現在見られますけれども、四十六年度産米を倉庫へ入れますと、また再び新たな発生をするんじゃないか。そうすると、これはたいへんな国の損害になってまいります。そういったことから、食糧に関することであり、慎重にいろいろ対策を立て、検討されておることはよくわかりますけれども、やはりこういう場で明らかにしておかないと、いつまでもこれがはっきりしないということで、あえて私はきょうこれを取り上げたわけですが、福島県等の事務所あたりからも報告が来ておるはずです。長官はよくそれを見ていただいて、これの対策について真剣に——一回発生して終わりじゃないのですから、年に四回発生するわけで、学者もそのように言っていますし、確かにノシメコクガに間違いないというふうにいわれております。これの習性から見ましても異常な発生をするわけです。そういった面で保管、管理ということについてもひとつ厳に注意していただきたい、かように思っております。  そういったことで、今後食糧庁長官として、もうこれ以上こまごまと追及はいたしませんけれども、実はこれが実態、また損害等のことについていろいろ聞きたかったわけですが、資料をお持ち合わせのようでもなさそうでありますので、次の機会にまたいろいろとお伺いすることにいたしまして、早急にひとつ対策を立てて検討をしていただく、各県に照会をするなり、その実態を明らかに検討していただいて、御配慮いただきたいと思います。その点について長官、最後に一言、いろいろお考えを述べていただきたいと思います。
  182. 亀長友義

    亀長説明員 食糧庁は米麦の保管というのは仕事の中でも一番重要な仕事であります。したがいまして、これにつきましては、食糧事務所を督励いたしまして、最大限の努力はいたしておるつもりであります。また、私どものほうから、何かそういう被害はないのかというて、いつも聞いておるのでありますが、現在までのところ、本年は低温でもありというようなことでございまして、あるいは私ども調査が不十分なのかもしれませんが、なお御指摘のようなことについては十分注意を払いたいと思います。  それから福島県のほうで何か例があるのかどうか。私のほうで食糧事務所にも聞きましたが、現在のところ、はっきりした、判明した事実がないということでございまして、実はきょうも先生の会館に人をやったのでございますけれども、先生御不在でよくわからなかったようでございます。具体的な事例につきましては、ぜひとも私どものほうにお教え願えれば、さっそく調査の上、善処をいたすつもりでございます。
  183. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 またそんなことを言う。会館にやったけれどもと言うけれども委員会に来ているのに、会館におるわけないじゃないですか。こちらに来て朝からずっと連続出席をいたしておりますので、部屋のほうへおいでになれば、また私も具体的な例を示してあげてけっこうです。  ことしは低温だったからとおっしゃるけれども、何も北海道並みにどこもかしこも低温じゃなかったわけです。三月のあのまだ寒いような時期に発生しているわけで、年に四回発生するわけですから、低温とはあまり関係なく、庫内の温度によって、これが発生が相当多い少ないはありますけれども、かなりの温度を持っております。いわゆるはい積みがずいぶん高くなっておりますので、中になるほど温度が高いということからこういった異常発生するわけでございますから、ひとつ十分検討していただきたい。  具体的な例をとおっしゃったので、後ほどそれじゃ私のほうから示してあげたいと思いますので、十分調査をしていただいて、これが福島県のみならず東北各県、また全国的にも——各県全部調べたわけではありませんけれども、おそらくそういった傾向があちこちに見られる、こういうように思います。どうしてもこれの原因を早く追及していただいて、適切な、米の品質等に影響のない薫蒸をしていただく。また民間にも薫蒸による公害が発生がないように、一般倉庫の老朽化した、空気の漏るようなところでは特に注意をしていただいて、ひとつ国民の大事な食糧を十分責任を持って保管していただきたい、かような意味から申し上げるわけでございます。  以上で、時間が参りましたので、質問を終わります。
  184. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 津川武一君。
  185. 津川武一

    ○津川委員 米の減反、北海道冷害、農政の行き詰まりから出かせぎはふえていると思います。一方、ドル・ショックで出かせぎ者に対する求人が少なくなってきており、この点でかなり問題が出てきております。そこで、冬型の出かせぎを間近にして政府当局がそれに対する準備をしていること、考えていることをきょうはお尋ねして、十二月なり一月、実際に出かせぎがまた最盛期になったときに実態についてお尋ねしたいと思っております。  そこで、減反、農政上の行き詰まり、冷害で出かせぎを求めておる数がどのくらいになっておりますか。去年とことしの比較などまじえながら教えていただきたいと思います。
  186. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  ドル・ショックあるいは冷害等によりまして、出かせぎがふえる、一方求人が減りそうだということは御指摘のとおりだと思います。ただ、現在まだ求人等も進行中でございますし、出かせぎ者のほうも、どれぐらい出かせぎに出るということは必ずしもはっきりしておりませんので、数字的なことを申し上げられるところまで資料を持っておりません。ただ、農林省調査によりますと、一年間の出かせぎ者は大体昭和四十年四十一万人でございます。そこで、昭和四十一年ぐらいまではかなり出かせぎがふえていったわけでございますが、四十二年、四十三年、四十四年あたりは出かせぎが減ったわけでございます。それが四十五年、四十六年と出かせぎがふえてまいりまして、出かせぎ者は約四十万人というふうに把握しておりますが、ことしその数がどうなるかということをお答えできるところまでまだ明確な資料その他を持っておりません。
  187. 津川武一

    ○津川委員 一昨年、荒川の新四ツ木橋の架橋工事で八人一緒に死んだとき、七人出した村が悉皆調査をやってみたら、政府が握っておったよりも二倍半あるのです。いま農政局長はまだ握っていないと言うけれども、秋田の湯沢では、去年七百の出かせぎ者の申し込みがあったのが、もう二千になっておる。私たちの五所川原のあれで、昨年の求人が三千三百、ことしは千三百、こういうふうな実態になっているのです。行政をやる政府がまだ握っていないというのは、これはどういうわけなんです。人が足りないのですか、機構が悪いのですか。握るためにどうすればいいか、方針を承りたい。
  188. 内村良英

    ○内村説明員 現在出かせぎ者を出しておる県は二十二県あるわけでございます。したがいまして、青森、秋田、岩手等、非常に出かせぎ者の多いところにつきましては、職安等が求人をするというようなことで、すでに私ども断片的な数字はわかっておるわけでございますが、先ほど申しました四十一万人に匹敵する数字が何人になるかというようなことは、二十二県にもわたることであり、まだ明確な数字は持っておりません。
  189. 津川武一

    ○津川委員 職安なんか通じない数がかなりある。特に高年齢層——職安に行くと、おまえ出ていかなくてもいいからなどと言われると、職安に行かない。それから女子、これも職安に行かない。こういう人たちをつかまえなければ施策が立たない。  そこで、これをつかまえる方法、その人員——いい方法があるのか、これは農林省と労働省と両方に答えていただきます。
  190. 内村良英

    ○内村説明員 出かせぎ者の実態把握の問題については、これは非常にむずかしい問題がございます。ただいま先生から御指摘がございましたように、高齢者あるいは一部の女子等は把握していないじゃないか。それ以外に、税金の関係等で農家が出かせぎに行ったということを世間に言いたくないというような気持ちもございまして、出かせぎ者の把握というのは非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、農林省といたしましては、四十七年度に出かせぎ実態調査というようなことをやって、なるべく統計調査部がつかんでいる以外の数字をつかめるような努力をしてみたい。ただ、これにつきましては、なるべくつかまれたくないというような農民の心理も一部にあるようでございますので、非常にむずかしい面もあるかと思いますが、最大限の効力をしてみたいというふうに考えておるわけでございます。
  191. 関英夫

    ○関説明員 お答え申し上げます。  ただいま農政局長からお答えがございましたように、この出かせぎ者の実態把握、あるいは公共職業安定所による把握ということには現実にいろいろ困難な問題がございますが、私どもできる限りこれを公共職業安定所の紹介に乗せたい。そうすることによって、いろいろいま問題になっております賃金不払い等の問題の解決に資することができる、こういうことで安定所の利用をできるだけおすすめする。あるいは巡回職業相談をするとか、あるいは農林省関係機関との連絡あるいは市町村との連絡によりまして、できるだけ把握につとめておるところでございますし、また出かせぎ者台帳というようなものを整備して把握していとうという努力をしておるわけでございますが、ただいま農政局長からもお話のありましたような問題点がございまして、今日まで必ずしも十分とは言い切れないと思いますが、今後ますます努力したい、こういうふうに考えております。
  192. 津川武一

    ○津川委員 農林省からも労働省からも聞いた話は、ここで何十回も繰り返した話なんです。これじゃ話にならない。だから、収入の問題なんかで問題がある、職安に行かない。だから、つかまえなければならない、対策に欠ける。この対策を私は聞いているのです。いままで繰り返したことなんかはもういいかと思うのです。これを抜本的につかまえる対策が労働省はあるのか。それがための人員なんというのは特別にふやさなければならぬと思われるのか。その機構などについてもう一回答えてもらいます。
  193. 関英夫

    ○関説明員 公共職業安定所の機構あるいは人員問題の現状につきましていろいろ問題があろうかと思います。しかし、これは役人の数をふやせばよろしいというふうに必ずしも言い切れない面がございまして、私ども市町村とかあるいは農業委員会とか、その他いろいろな農業団体、そういうところとの連絡、あるいは出かせぎ者自身に、公共職業安定所に申し込んだからといって必ずしも税金その他で不利になるわけではない、そういうこととは関係なしに就労経路は安定所を通していただくということを十分周知させる、こういう努力をすることが一番大事だというふうに考えて、今後とも努力していきたいと思っております。
  194. 津川武一

    ○津川委員 そのことに私は何も異議を申しているのじゃなくて、それでつかまえられないものをどうしてつかまえるのか、これを具体的に聞いているのです。あなたたちの努力は買いますよ。買いますけれども、どんなにやってもつかまえられない問題がある。それをつかまえるのが国政じゃないか、こういうことなんです。この点をひとつ答えていただきたい。  もう一つ、あなたたちのほうからいただいた災害の発生、四十六年三月現在で一千六百二十五件の未解決分があるのです。こんなものを残しておくところに私は問題があると思うのです。こういうものがいつでもなくなっている状態こそ国政だと思うのですが、こういうことに対して一つ対策があるのかないのか。この点で、先ほど話をした国家公務員の定数削減の問題で、こういう第一線に当たる人たちの削減をやるのかやらないのか。やっちゃいけないと思うのです。この点も合わせて答えていただきます。
  195. 関英夫

    ○関説明員 第一線の職員の定数の問題につきましては、国の人員削減の大きな方針の一環として、公共職業安定所も例外とは言い切れないと思いますが、そういう中にあって、たとえば業務のやり方、先ほど申しましたような関係機関との連絡その他によって私どもできる限りつかんでいきたいと思います。  ただ、この問題につきまして、たとえば法律的に強制するとかいうような形でこれを把握するということにはいろいろ問題があろうかと思います。繰り返しの答弁で恐縮でございますが、やはり出かせぎ者自身の自覚もお願いする、あるいは関係の役所が必要によってできる限り協力して完全把握につとめる、これが正しい道ではなかろうかというふうに考えております。
  196. 津川武一

    ○津川委員 これも労働省からいただいた資料ですが、労働災害の発生は昭和四十五年に三十六万件、うち死亡者は約六千人。一人が死亡すると六十人けがしている。青森県や秋田県で出している出かせぎ者の死亡、けがが大体同じ数です。二十人出ると、二十五、六人けがしているというのです。私は労働災害の実態からいうと、こんなはずはないと思う。死亡者は明らかに世間の問題になるから出るが、けがは隠れている問題である。労働組合がしっかりやって団体交渉なんかできるところの職場においては三十六万対六千、出かせぎの場合は一対二ぐらいになっています。私はこれは把握が足りないからだと思うのだけれども、この点はどうでございます。これは把握する方法はありますか。
  197. 吉本実

    ○吉本説明員 先生のただいまおっしゃいました労働災害の問題でございますが、いわゆる死亡者ははっきりわかっておるが、そのほかのけがのほうの把握が足らないのではないか、こういう問題でございますが、おそらく先ほどの御判断は、私どもの監督署でいろいろ把握しました範囲でございます。したがいまして、それ以外に、同じ期間でございますが、労災補償の保険制度のほうの関係で申し上げますと、なおこれ以上にある。つまり実際に災害にかかって労災保険の対象になり、給付を受けられるという人は、まだこれよりも上回っているというような実態でございまして、そういった形での把握は可能かと思いますが、先生のいまおっしゃるような範囲のものにつきましては、そちらのほうからの把握ということも十分心がけていかなければいけないんじゃないか、こういうふうに思っております。
  198. 津川武一

    ○津川委員 職安を経過しなかったり、労災をかけてなかったりする職場、ここで死亡事故が起きると表面に出るのですが、ここでけがをしたときには表面に出ないのです。だからこういうことになる。国が援助、保護すべきところはそこなんです。そこに対する対策が欠けていやしないか。繰り返して同じことを質問しているんです。これを把握してこれに対する対策をつくらなければならぬ、どうするか、こういうことなんです。職安を通じなかったり労働災害適用してなかった職場におけるけがなどというものを、どうしてつかまえるのか。ひとつ方針を明らかにしてください。
  199. 関英夫

    ○関説明員 公共職業安定所は求人を受けあるいは求職の申し込みを受けて職業紹介をするということをたてまえといたしておりますが、これは必ずしも安定所を利用しなければならないというふうに現在法律的に強制されている問題ではございません。そういう意味で、安定所以外のルートで現実に多くの人が就職し、あるいは人を求めております。要するに、それに問題がなければよろしいけれども、非常に問題がある場合に、それでは国の施策として欠けるではないかというお話だと思いますが、特に出かせぎの場合には就労地が家と遠く離れておる、あるいはふなれな建設業という非常に危険な仕事につく。それだけによけい国としてできる限りの把握をして、そしてそういう問題が起こらないようにする。これは先生のおっしゃった国の必要な施策だと存じます。しかしながら、そういう施策を進めます場合に、求人求職の関係を強制するわけではないという大原則はどうしても変えるわけにまいらぬと私は思います。したがいまして、何べんもお答えするようで恐縮でございますが、出かせぎ者自身にも安定所の利用をできるだけしていただくというふうに呼びかけるとともに、いろいろな機関でいろいろな立場から把握がなされておるわけでございますので、相互にそれを密接に利用し合ってできる限り把握していくということに今後とも努力いたしたい、こういうことでございます。
  200. 津川武一

    ○津川委員 それから賃金不払いですが、この間の法律改正で、元請が建設業に関する限り責任を負うような体制になっているのですが、まだ一つの強制効力を持っていないので、実際に下請の下請で賃金不払いで泣き寝入りしている人たちがある。ここでまた景気浮揚のためにかなり事業を始めると思うのですが、これを労働省が、指導だけでなく、かなり払わせるようなかっこうにする、払われない場合は、法を改正してでもやるという気持ちが必要だと思うのですが、それに対して答えていただきます。
  201. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  賃金不払いの問題でございますが、この問題は、基本的には当然事業主の支払い義務でございますから、事業主に対する監督指導というものを強化してその補てんを必ずさせる、こういうのが筋道だと思います。  ただ、その点について建設業等なかなかむずかしい問題がある。そういう点は従来も申し上げましたと思いますが、たとえば雇い入れる通知書をきちっとさせるとか、あるいは公共事業でございますれば、通報制度を利用するとか、あるいは若干出かかっておりますが、業者団体によります補償制度をやるとか、そういう指導面の強化をはかっていかなければならぬ、かように存じているわけでございまして、さらにそれを法律をもって支払いを別な形でやるというところは、やはり賃金の支払いそのものは事業主であるわけでございますので、その点までは現在の段階では考えておらないというのが実態でございます。
  202. 津川武一

    ○津川委員 そこで、死亡ですが、私は医者です。往診中に自動車事故で死ぬと、自動車災害と労災と両方適用になる。出かせぎ者が労働災害で死んだときには、労働災害しかこない。使用者は出していない。そこで、この間ある労働組合が建築業者を全部回って、死んだとき幾ら出すか、二百万出すと言うんです。こういう意味合いの指導というものは労働省、政府がやるべきだと思うのですが、死んだときのお見舞金はどうなっておりますか。
  203. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  労働者が業務上で災害になった場合には、当然労災の保険金が支払われるわけでございまして、政府としましてはそのような形でございますが、一般的になお、各事業場におきまして、それ以外の見舞金というような形で支払っておるということも事実でございます。その辺に関しましては、監督機関のほうが、いろいろ申告制度でございますので、そういった点についての申告もございまして、いろいろ関係のところには、一体どうなのか、特に事業主自身がはっきりしないといったような問題もございまして、そういった点のことをきちっとさせる、こういうふうな指導でやっているわけでございます。
  204. 津川武一

    ○津川委員 この間山形県の出かせぎ者が民事訴訟を起こして、一千七百万ばかりの慰謝料をとっておりますが、あれを労働省で検討してみたことがありますかどうか。あれをどう考えておりますか。
  205. 吉本実

    ○吉本説明員 労災保険の金額につきましては、先般労災保険法を改正しまして、現在その施行の段階でございまして、さらにそれの給付を上回るというところまでは、現在の制度自体としてはまだ検討しておらないということでございます。
  206. 津川武一

    ○津川委員 時間の約束がありますので、これで最後にしますが、農政局長、あなたがはしなくもさっき言ったお金の問題なんです。出かせぎ者の収入を農業外収入としてとらえると、農民がひどい目にあう。これを労働賃金としてとらえる。そうすると、基礎控除ができてくる。普通のサラリーマンの月給と違って、出かせぎ者にはそれぞれ出かせぎ労働をあげるための費用がかかる。この費用を基礎控除の中に経費としてみなすとまた違ってくる。そうなってくると、全部申告するのです。一例を申しますと、一日千六百円で百五十日かせいだ労働者は、出かせぎ者は二十四万円あります。これをそのまま農業外収入とすると、十六万八千円の課税額になる。これを給与所得にすると十一万二千円になる。二〇%の出かせぎ経費を見ると八万九千円になるのだ。こうすれば、あなたが悩んでいる問題がすぐ解決するのだ。問題はこれだけなんですよ。  したがって、第一の問題は、出かせぎ収入を農業外収入として認定してこれからいろいろなことをすること。それに必要な基礎控除は全部やること。ここで健康保険やいろいろなものが出てくるので、特にいろいろなものを全部ここから控除額として取っていく、こういうことが第二。第三番目には、やはり、うちから離れて生計を別にしておる。うちにいれば一日二百円で済むものが、こっちの飯場に来ると、そうはいかない。いろいろな経費がかさむ。この経費を盛ると、十六万八千円から八万九千円ということになって、これだと出かせぎ者が喜んで申告して、農政局長が言った悩みも解決するわけなんだけれども、これを労働省も農林省考えて、これは大蔵省にも要求しなければならぬし、地方自治体の財政にも関係するので、この政策を私は考えていくべきだと思うのですが、これは局長ひとつ方針を聞かしていただきます。
  207. 内村良英

    ○内村説明員 ただいま先生から御指摘のありました、農外所得の扱いをすること、必要経費を認めるということでございますが、これにつきましては、農協中央会その他のいわゆる農林関係の諸団体からそういうような要望が出ております。それにつきまして現在私どももいろいろ検討中でございますが、確かに、自分の住んでいるところと離れて外に出て暮らす、家族と離れて暮らすということは、経費がよけいかかります。これは他のサラリーマンの場合も、いわゆる単独で赴任している人の場合には同じようなケースがあるかと思います。そこで、経費がよけいかかるということは確かにそうでございますが、問題は、必要経費の引き方等が問題だと思います。  すなわち、一律に出かせぎ控除ということで十万円引くということになりますと、一月出かせぎをした人、あるいは三月出かせぎをした人、あるいはほとんど一年じゅう出かせぎしている人というようなことで、経費の実態が違うわけでございます。それについてはパーセントでやったらどうかというお話も出るかと思います。それらの点につきまして、現在農林省においていろいろ検討中でございます。ただ、これは財政当局、大蔵省ともいろいろ話をしなければならない問題がたくさんございますので、現在検討中でございます。
  208. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、局長考え方は、出かせぎの収入を農業外収入とみなさないで勤労所得とみなして、必要な経費は、いま一律に言えないけれども、認めるという方向農林省考えている、こう解釈してよろしいですか。
  209. 内村良英

    ○内村説明員 現在いろいろな問題をいろいろな観点から検討中でございます。これは先生も御承知のとおり、税法の関係においても非常に複雑な問題でございます。したがいまして、現在慎重に検討中でございます。
  210. 津川武一

    ○津川委員 慎重はけっこうでございますが、経費と認める方向で大蔵省と折衝するつもりなのかどうか。農林省のほんとうの腹……。
  211. 内村良英

    ○内村説明員 農林関係の諸団体からも要望がある事項でございますので、税法上の取り扱い等も十分慎重に検討して、前向きにやってみたいと思っております。
  212. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  213. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十八分散会