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1971-07-23 第66回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月十六日(金曜日)委員長の指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  野菜生産出荷安定に関する小委員       安倍晋太郎君    江藤 隆美君       仮谷 忠男君    坂村 吉正君       中尾 栄一君    別川悠紀夫君       松野 幸泰君   三ツ林弥太郎君       山崎平八郎君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    千葉 七郎君       斎藤  実君    二見 伸明君       合沢  栄君  野菜生産出荷安定に関する小委員長                 仮谷 忠男君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君    理事 熊谷 義雄君 理事 松野 幸泰君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 千葉 七郎君 理事 斎藤  実君    理事 小平  忠君       江藤 隆美君    鹿野 彦吉君       小山 長規君    中尾 栄一君       中垣 國男君    藤本 孝雄君       別川悠紀夫君    村田敬次郎君       森下 元晴君    安田 貴六君       山崎平八郎君    渡辺  肇君       角屋堅次郎君    田中 恒利君       芳賀  貢君    長谷部七郎君       松沢 俊昭君    美濃 政市君       瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君       二見 伸明君    合沢  栄君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  伊藤宗一郎君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     福田 勝一君         防衛庁経理局監         査課長     後藤 真平君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 松井 三郎君         法務省人権擁護         局調査課長   井手 昭正君         外務省経済局外         務参事官    小山田 隆君         大蔵大臣官房審         議官      植松 守雄君         文部省体育局学         校給良課長   高石 邦男君         厚生省公衆衛生         局結核予防課長 林   弘君         農林大臣官房         参事官    大河原太一郎君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農政局長 内村 良英君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   加賀山国雄君         食糧庁長官   亀長 友義君         水産庁長官   太田 康二君         通商産業省通商         局輸入企画課長 若杉 和夫君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   山本 秀夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員異動 七月十五日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     村田敬次郎君   草野一郎平君     藤本 孝雄君   坂田 道太君     安田 貴六君 同月二十三日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     芳賀  貢君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     中澤 茂一君 同日  理事丹羽兵助君同月十四日委員辞任につき、そ  の補欠として渡辺美智雄君が理事に当選した。 同日  理事小沢辰男君同月十五日委員辞任につき、そ  の補欠として熊谷義雄君が理事に当選した。 同日  理事安倍晋太郎君同日理事辞任につき、その補  欠として松野幸泰君が理事に当選した。     ――――――――――――― 七月二十一日  米価物価統制令適用廃止反対に関する請願  (青柳盛雄紹介)(第三〇号)  同(田代文久紹介)(第三一号)  同(寺前巖紹介)(第三二号)  同(土橋一吉紹介)(第三三号)  同(林百郎君紹介)(第三四号)  同(不破哲三紹介)(第三五号)  同(松本善明紹介)(第三六号)  同外二件(松浦利尚君紹介)(第三七号)  同(津川武一紹介)(第三八号)  同(田中恒利紹介)(第七九号)  同外一件(武部文紹介)(第八〇号)  同(津川武一紹介)(第八一号)  同(戸叶里子紹介)(第八二号)  同(松平忠久紹介)(第八三号)  同(辻原弘市君紹介)(第八四号)  同外一件(小宮武喜紹介)(第二二八号)  同外二件(斎藤実紹介)(第二二九号)  米の生産調整対策並びに総合農政推進に関する  請願鈴木善幸紹介)(第一二一号)  米の生産調整奨励補助金早期支払いに関する  請願鈴木善幸紹介)(第一二二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十一日  食糧管理制度明確化に関する陳情書  (第二四号)  有害農薬に関する陳情書  (第二六号)  異常低温による農作物の被害対策に関する陳情  書(第二七号)  野菜の価格安定に関する陳情書  (第二八号)  にしん刺網漁業者救済対策に関する陳情書外  一件(第二九号)  グレープフルーツ輸入自由化に関する陳情書  外一件(第  三〇号)  同外四件(第  一〇八号)  棚田地帯の再開発に関する陳情書  (第三一号)  米の生産調整等に関する陳情書  (第六五号)  南九州桑芽枯病被害対策に関する陳情書  (第六六号)  台湾産ポンカンの輸入規制に関する陳情書  (第六七号)  水源県の造林事業推進に関する陳情書  (第六八号)  食糧事務所出張所の存置に関する陳情書  (第一〇四  号)  昭和四十六年産米政府買入れ価格に関する陳  情書(第一〇五号)  消費者米価物価統制令適用除外反対等に関す  る陳情書  (第一〇六号)  奈良県に林業労働者通年就労奨励制度適用に関  する陳情書(第一〇  七号)  旧樺太東方海域のつぶかご漁場解放に関する陳  情書(第一〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会中審査に関する件  農林水産業振興に関する件(果樹自由化問  題等)  請 願   一 米価物価統制令適用廃止反対に関する     請願青柳盛雄紹介)(第三〇号)   二 同(田代文久紹介)(第三一号)   三 同(寺前巖紹介)(第三二号)   四 同(土橋一吉紹介)(第三三号)   五 同(林百郎君紹介)(第三四号)   六 同(不破哲三紹介)(第三五号)   七 同(松本善明紹介)(第三六号)   八 同外二件(松浦利尚君紹介)(第三七号)   九 同(津川武一紹介)(第三八号)  一〇 同(田中恒利紹介)(第七九号)  一一 同外一件(武部文紹介)(第八〇号)  一二 同(津川武一紹介)(第八一号)  一三 同(戸叶里子紹介)(第八二号)  一四 同(松平忠久紹介)(第八三号)  一五 同(辻原弘市君紹介)(第八四号)  一六 同外一件(小宮武喜紹介)(第二二八号)  一七 同外二件(斎藤実紹介)(第二二九号)  一八 米の生産調整対策並びに総合農政推進に     関する請願鈴木善幸紹介)(第一二一     号)  一九 米の生産調整奨励補助金早期支払いに     関する請願鈴木善幸紹介)(第一二二     号)      ――――◇―――――
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事安倍晋太郎君から理事辞任したい旨の申し出があります。これを許可したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  委員異動に伴う理事欠員が二名、並びにただいまおはかりいたしました安倍晋太郎君の辞任により、現在三名の理事欠員となっております。つきましては、その補欠選任をいたさなければなりませんが、これは先例によりまして、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に 熊谷義雄君 松野幸泰君 渡辺美智雄君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 藤田義光

    藤田委員長 この際、赤城農林大臣及び伊藤農林政務次官より発言を求められておりますので、順次これを許します。赤城農林大臣
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 このたび、はからずも農林大臣を拝命いたしまして、農林行政を担当することになりましたので、この機会に一言所信を申し述べたいと存じます。  私は、常々農業及び農村の健全な発展なくしては、経済の成長と社会の健全な進展を期することができないと考えております。このたび、農政責任者となるにあたり、この考えのもとに農政推進に最善の努力を尽くす覚悟でありますので、何とぞ委員各位の御理解ある御協力をお願い申し上げます。  申すまでもなく、今日の農業は、内外のきわめてきびしい環境のもとに置かれております。すなわち、内には長期を要する構造改善の過程において米の生産過剰、物価公害等の問題があり、外には経済国際化進展に伴って、農産物自由化要請がますます強まっている等、農業は、種々の困難な問題に直面しております。  このような問題に対処して農業の健全な発展をはかるためには、国政の重要な一環としての総合農政を本格的に推進してまいらなければならないと存ずるのであります。その際、国民経済一環としての農業役割りを考慮すべきことは当然でありますが、同時に農業前途についての不安感を解消し、農家農村信頼を得ることが農政基本的姿勢でなければならないと存ずるのであります。  このため、まず、わが国農業が諸外国の農業に負けないようにその体質改善をはかることを目途に、構造政策価格政策生産性の向上を通ずる競争力強化に役立つよう進めることが重要であり、経営規模拡大、高能率な生産組織広域営農団地育成等を通じて意欲的に農業を営もうとする農家中心生産性の高い近代的な農業を確立するようさらに一段と努力を重ねてまいる所存であります。なお、このような農政方向に沿うよう農地制度につきましても、そのあり方を研究してまいりたいと考えております。  米の生産調整及び稲作転換対策につきましては、米の需給均衡をはかるため農家の方々に種々御苦労をわずらわしているところでありますが、幸いにも関係者の御協力により、本年度は転作もかなり進展し、生産調整目標数量が達成される見込であります。米の生産調整及び稲作転換対策の実施にあたりましては、単に米の減産という観点からのみでなく、農産物需要の動向と各地域の特性に応じた農業生産の再編成という観点から、生産から流通消費までを含めた農産物供給体制総合的整備推進してまいる必要があると思います。また、食糧管理制度につきましては、現在必ずしも実態に合わない面もあり、情勢変化に即応して再検討する必要がありますので、関係方面の意見を十分承って、慎重にその研究を進めてまいる所存であります。  消費者物価対策につきましても、国民の台所を預かる農政役割り重要性を十分認識し、生鮮食料品価格安定のため、需要に見合った供給確保をはかるとともに、流通加工合理化等国民生活の安定のための施策強化していく必要があると存じます。  以上のような農政推進にあたって、農家生産生活の場である農村が豊かに発展し、近代的な社会として確立されることが必要であり、さらに、現在の都市化の進む社会において、緑の農村を健全に維持していくことは、悪化しつつある社会全体の環境の中できわめて意義深いことであると存じますので、今後このような見地からも、明るく住みよい近代的な農村の建設につとめてまいりたいと存じます。  林業につきましては、増大する外材輸入代替材の進出による木材価格の低迷、過疎化進展による労働力の不足など、諸情勢はきわめてきびしいものがありますので、今後とも林道等生産基盤強化林業構造改善木材流通加工合理化林業従事者就労安定等施策強化を期するとともに、国土の保全国民保健休養等森林の持つ公益的機能の発揮、国有林経営合理化などに力を注ぐ所存であります。  次に、水産業につきましても、資源の制約、国際規制強化公害進行等の諸事情のもとで増大する需要供給が十分対応できないなど幾つかの問題をかかえておます。これに対しましては、海洋新漁場開発等水産資源の総合的かつ計画的な開発をはかるとともに、漁港等漁業生産基盤整備沿岸漁業構造改善流通合理化等を今後とも積極的に推進して、国民たん白食料確保漁業従事者の福祉の増進をはかってまいる所存であります。  以上、今後の農政を担当するにあたりまして所信一端を申し述べた次第でありますが、今後とも本委員会及び委員各位の御支援、御協力をお願いいたしまして、私のあいさつといたします。(拍手
  7. 藤田義光

    藤田委員長 次に、伊藤政務次官発言を許します。
  8. 伊藤宗一郎

    伊藤政府委員 今回農林政務次官を拝命いたしました伊藤宗一郎でございます。  きわめて不敏な者でございますので、委員長はじめ委員各位の御親切な御教導と御理解のある御鞭撻を心からこいねがっております。どうか、よろしくお願い申し上げたいと思います。(拍手)     —————————————
  9. 藤田義光

    藤田委員長 引き続き、質疑申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
  10. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、ただいま農林大臣所信表明をお伺いをいたしたわけでありますが、農政が当面する課題が各般にわたって述べられたわけでありますけれども、特に赤城農政が今日当面する最大の課題といわれる農産物自由化の問題につきましては、外部的に自由化要請がきわめてきびしくなっているという程度の表現にとどまっておるわけでありまして、具体的にどうするのかということが明らかにされておりませんので、貿易の自由化の問題を中心にして若干の御質問を申し上げたいと思います。  特に私は、さきに政府が突如実施したグレープフルーツ自由化についての果樹農民の怒りを新農相に対する質問最初に申し上げねばならないことをたいへん残念に思いますし、同時に、そこに国際化にあえぐ日本農政の姿があると思うわけでありますが、赤城農林大臣は、農民の心情を理解する数少ない農政のエキスパートでありますが、率直に申し上げまして、あれほど強く果樹農民反対をし、果樹関係団体国会、あげてグレープフルーツ自由化については一定の歯どめ処置要請しておったのでありますが、参議院選挙が終わった直後、なぜ自由化に踏み切ったのか、まずこの点を明らかにしていただきたいと思います。
  11. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 参議院選挙とからまって自由化をしたという時期につきましては、私は、まことに時宜を得なかった、こう考えております。  しかし、自由化要請といいますか、自由化につきましては、私も、農林関係ばかりでなく世界的な情勢からいいまして、自由化の趨勢だということはよく認識しています。また、国際的に見ましても、自由化ということが、経済面から見て国際の協調、平和に寄与する、こういうような観点から、自由化方向というものは、私もあってしかるべきだ、こういうふうに考えております。  ただ、国内的に見まするならば、何といたしましても、農業関係生産は、国際的に考えまするならば、立ちおくれの傾向にございます。でありますので、国内体制国際競争力を維持するような基盤ができて、その後に自由化ということに踏み切るのが順序であるかと私は考えておりますが、しかし、国際情勢変化といいますか、自由化を進めよ、こういう情勢が非常に急激に進展したということが一つ。それからもう一つは、日本経済面から見ましても、円の切り上げ、こういうことが社会経済といいますか、国民経済に非常な混乱を起こす、こういうような見通しから、内外情勢から、自由化の進度といいますか、進め方が非常に促進された、こういう事情のもとに六月中に数品目、グレープフルーツを含めて自由化をした、こういうふうに私は認識をいたしております。
  12. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣も、参議院選挙の直後にやったことはあまり芳しくない、こういうことを言われたわけでありますが、私は、自由化そのもの内容につきましても、幾つかの疑問があるわけでありますが、問題は、いま大臣の言われました自由化やり方であります。  大臣はこの所信表明で、農政に取り組む基本的な態度として、「農業前途についての不安感を解消し、農家農村信頼を得ることが農政基本的姿勢でなければならない」こういうふうに書いております。私も全く同感でありまして、今日農家というのは、もう自分一代で、むすこにまで農業をやらせたくない、こういう人々が一ぱい満ち満ちております。一体それはどういうことなのかということでありますが、私は農政に対する不信というものがその底流に非常に強く出てきておると思うのです。  グレープフルーツ自由化の問題は、私はいまさらここでこまかく経過を申し上げたくはありませんけれども、この経過の中には、農政に対する不信を巻き起こすようなことが幾つかあります。たとえば、まず最初に、長谷川農林大臣が、いつもここで問題になりますが、四十四年の十月八日に佐賀で行なわれましたかんきつ研究大会大臣祝辞で、こういうことを言っておりますね。「要はアメリカ全土日本みかんを買ってくれるんであるならば、輸入する、その実現を見ることが出来るんであるならば、その実現をみた翌年から私の方は、あなたの方のみかんを買いましょうということであります。」アメリカ全土温州ミカンを全部買った翌年から日本ミカンを買うのだということを農政の主体である農民の前で言明をせられておるのです。それを四十四年十月八日に言って、九日目の四十四年十月十七日に、政府グレープフルーツを四十六年の末までに自由化をするという決定をいたしました。これは明らかに一つ農政に対する不信を巻き起こしております。引き続いて、一年たたないうちに、四十六年末を繰り上げて四十六年四月にするという閣議決定をやっております。ここでも不安はさらに一そう高まってきております。さらに、その間、六十三、六十四、六十五の三国会におきまして、与野党関係議員予算委員会並びに当農林委員会におきまして、倉石農林大臣と、この問題については十数回に及ぶ質疑をいたしておりますが、倉石農林大臣は、季節関税の設置とアメリカに対する温州ミカン解禁州の拡大前提であるということをおっしゃっております。この国会答弁にも明らかに違反しております。  さらに、私ども議会人が特にこの際はっきりさしておかなければいけないのは、去る六十五通常国会の最後の五月二十一日、本農林委員会におきまして、与野党一致果樹農業振興に関する決議を採択いたしました。この決議前提には、日米経済会議の申し合わせによって、対米温州ミカン解禁州の拡大と見合ってグレープフルーツ自由化を実施すべきであるという政府に対する注文をつけておるわけであります。これは衆参両院決議であります。こういう決議に対して今後農林省は、政府は、この国会決議というものをどういうふうに取り扱われていくのか。われわれはこれからも幾つかの問題について、国会として、委員会として、場合によれば与野党一致で多くの決議を採択していくと思うのでありますが、これらの問題がこういう形で取り扱われるということに対して、私は議会人として、政府に対して、はなはだ遺憾の意を表明せざるを得ないわけでありますが、この点について、大臣所信を承りたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 前から、長谷川大臣のときも、あるいは倉石大臣のときも、グレープフルーツ自由化は、日本ミカンアメリカに輸出する、そのために、禁止している州が多いので、解禁州を拡大してそれと見合って、こういうことを言われておったことは私も承知しております。でありますので、これが前後してしまったので、この点につきましてはさらに一そう解禁州の拡大ということに努力を進めて、あるいは前大臣の約束されたといいますか答弁されたような趣旨に沿うように、あるいはまた本委員会決議一端に沿うように努力いたすつもりであります。委員会決議無視というようなことも御指摘ありましたが、まことにこれは遺憾だと思います。しかしその趣旨内容というものにつきましては、十分私も承知していますので、その趣旨に沿うように努力をする、こういうつもりでおります。
  14. 田中恒利

    田中(恒)委員 私はいまの御答弁だけでは不十分でありますが、これは赤城大臣が就任をされる以前のことでありますけれども佐藤内閣の閣僚として、特に国会との関係でありますから明確にしていただきたいわけであります。私は再び——国会決議については一字一句につきまして、果樹農業振興に関する決議についても、きわめて簡単な文字をめぐって与野党の間で相当詰めた議論をいたしたわけであります。結論的には今後内容について参酌せられて努力をせられるでしょうけれども、実際面では国会決議を無視して政府は処置されたわけでありますので、こういうことは二度と再び起こらない、政府としてはああいうことを二度と再びしないということをこの際大臣のほうからはっきりとこの委員会言明をしていただきたいわけでありますが、いかがでございますか。
  15. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そのつもりでおります。またそうでない場合にはよく情勢変化、国内的、国際的の情勢変化を見まして、よく御了解を得た上に処置していきたい、こう思います。
  16. 田中恒利

    田中(恒)委員 この自由化の問題につきましては、大臣もいま申されましたように、国際的に自由化に対する情勢が非常に進展をしてきた。特に七十億を上回るといわれる日本の外貨の蓄積の問題から、円の切り上げ問題が出てきて八項目の問題が出てきておる。こういうところから急激に農産物その他を含めた自由化問題が当面の急務になってきておるわけでありますけれども、私どもはどうもこういう問題は非常に業種的には弱い農業に対して一面的に強く迫られておるような感じがしてならないわけであります。政府国際競争力を持つ幾つかの商品部門についてもっと大胆に自由化をやらなければいけないなら、ばやるべきであって、農業中小企業製品等に対してやりやすいからやっていく、こういう姿勢では困るわけであります。  このやり方の問題でありますけれども、いま第四次自由化目玉商品といわれる電子計算機自由化の問題をめぐりまして、きょうの新聞にも報道されておりますが、内容はさておきまして、電子計算機業界と通産省とが自由化の問題の取り組みについてはあらかじめ事前に相当打ち合わせをして、事務当局の間においても関係六社との間に相当な詰めをやって、最終的に通産大臣が結論を出した、こういうやり方をとっておるようであります。私はこのやり方が必ずしもいいとは申しませんが、少なくともグレープフルーツ自由化に見られる限りにおいては、政府関係団体との話し合いも——関係団体の意思を無視して一方的にやったと思うのであります。今後農産物については重要な幾つかの品目が自由化の日程に上がっていると聞いているわけであります。私は新農林大臣にぜひ要望いたしたいわけでありますが、今後の重要品目の自由化の取り扱いについては、生産者団体、農業関係組織等と十分話し合って、聞くべきことは十分聞き、処置すべきことは処置をしていくという相互理解の前提の上に立って、自由化に対する方策を担当大臣として決定をしていただきたいと思うわけでありますが、こういうルールで今後自由化と取り組むお考えがあるかないか、この際お尋ねをしておきたいと思います。
  17. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自由化に取り組む態度といたしまして、私も農業団体のみならず各方面の意見等を十分聞いた上に態度をきめていきたい、こういうふうに考えております。
  18. 田中恒利

    田中(恒)委員 農業団体各方面と十分意見を聞いてということでありますから、、ぜひそういうふうに今後この問題については取り扱いを進めていただきたいと思うのであります。  さらにグレープフルーツの問題と関連して、外務省にお尋ねをいたしますが、七月十二日ワシントンで牛場駐米大使がグレープフルーツ生産者の有力議員を招いて、六月三十日に実施されたグレープの自由化の祝賀会を持っておる。その際出席した上下両院議員並びに政府高官、これはグレープフルーツの問題を投げかけたトレザイス国務次官補が出ておるわけでありますが、グレープフルーツにひっかけてオレンジジュースの早期自由化の注文をされておる、こういう共同通信の報道がなされておるわけであります。こういうことは事実かどうか、まずお聞きをいたしておきたい。
  19. 小山田隆

    ○小山田説明員 お答えします。  わが国の経済の成長に伴って、各国からわが国の自由化に対する要望が非常に強いことは、いま赤城大臣からも述べられたとおりでございます。特にアメリカはその自由化について非常に強い関心を示しております。  このような状況にかんがみまして、政府といたしましてはわが国の自由化努力、これを機会あるごとに米国の政府あるいは米国の議会関係者にいわゆるPR、周知せしめるという努力をしております。あれはグレープフルーツ自由化の祝賀会ではございませんので、わが国はこれだけいろいろと努力をして、国際的な環境の中で自由化努力をしてきたということを周知せしめるための会合なんでございます。牛場大使の招宴というのもそういう趣旨でもっておやりになったものと思っております。  なお、その際にオレンジあるいはオレンジジュースの自由化についての話が出たかどうか、これはそこまで詳しいことはいまのところ承知しておりませんけれども、いずれにしろオレンジ、オレンジジュースというものにつきましては、アメリカはかねがね自由化してほしいという強い要望をしている品目でございまして、別にあの際新しく問題が出たというものではございません。
  20. 田中恒利

    田中(恒)委員 今度自由化したのはグレープフルーツを含めた二十品目をやっておるわけですが、二十品目の趣旨徹底を全部やったわけじゃないでしょう。グレープフルーツ自由化関係する上下両院の議員を招いてやっておるわけでしょう。何でグレープフルーツに焦点を合わしてそういう説明をしなければいけないのですか。その他のものだってたくさんあるでしょう。そこへもってきてオレンジジュースまでやってくれという注文を受けておっかぶさってきておるのでしょう。そういう外交のやり方というのは私どもわからないわけであります。国内でこれほど猛反対をしておるのに、骨を折りましたが、あなた方の御注文どおりやりましたよ、こういうことをわざわざワシントンで日本の大使館がやる必要ないと思うのですよ。そういうふうなアメリカとの外交姿勢に今日の自由化の問題をめぐる基本的な問題があるような気がしてならないのですが、どうですか。
  21. 小山田隆

    ○小山田説明員 いま御説明申し上げましたように、あれは決してグレープフルーツ自由化の祝賀会、そういうとんでもないものじゃございませんので、日本自由化努力をこの際アメリカに周知徹底せしめるというための会合の一つだと思っております。
  22. 田中恒利

    田中(恒)委員 どうも日本の外務省はニクソンの訪中もわからないような調子で、そこへもってきてこのグレープフルーツの問題でわざわざ、周知徹底でしょうが、外電で祝賀会と報道せられているのですね。そういうように受け取られるようなことをやるのが、私どもの感度とは全然度が合わないわけですよ。そこへもってきておまけがついて、オレンジや果汁までひっかぶさってくる、こういうところにたいへん問題があるような気がしてなりません。  通産省に、なおこまかい点ですが御質問しておきますが、通産省はグレープフルーツ自由化はいわゆるAA制、自動承認制と、AIQ、自動割り当て制の中で、AIQで処理される、こういうように聞いておりますが、そのとおりですか。
  23. 若杉和夫

    ○若杉説明員 お答えいたします。グレープフルーツにつきましてはAIQ制度でいま運用しております。
  24. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこでAIQの性格でありますが、これは輸入割り当て制、いわゆるIQから一挙に自動承認制、AAに移行することによって予想される輸入量の急激な増大が国内産への甚大な影響を防ぐために、IQとAAの中間でしばらく輸入の状況の推移を見守っていく、こういう形でこの制度が仕組まれた、こういうふうに聞いておるのですが、そのとおりでありますか。
  25. 若杉和夫

    ○若杉説明員 お答えいたします。そういう趣旨でやっております。
  26. 田中恒利

    田中(恒)委員 そういたしますと、このグレープフルーツの問題についてはたいへん関係者が心配をいたしておるわけでありますが、たとえば三十八年のバナナを自由化いたしたときに、当時百社でありました取り扱い商社が一挙に七倍の七百社になっておりますね。三十九年、レモンは二十七社の割り当て当時の商社が二百五十社にふくれあがっておりますね。いまグレープフルーツはこれまで百二十一社が通産大臣から割り当てを受けておったわけでありますが、この自由化によりまして、特に三井物産、三菱商事、東食、丸紅ですね。さらにダイエー等スーパーマーケット、いわゆる大手商社の進出が非常に激しいということが最近の状況であります。現在アメリカの港湾ストの関係で輸入が多少とまどっておるようでありますが、秋から明年のグレープフルーツの出回り期には相当激しい買い付け競争、輸入競争、そして輸入量の拡大というものが心配をされておるわけでありますが、こういう場合国内で乱立合戦、これはバナナでもう経験済みでありますが、こういう問題が起きることが予想されるわけでありますが、こういう場合に通産当局としてはどういう行政指導をとられるおつもりなのか。いま申し上げました国内におけるナツカンやミカン等に甚大な輸入量によって影響を受けないという前提でこういう仕組みに取り扱われておるとすれば、何らかの通産当局のお考えがあってしかるべきだと思うのでありますが、この点をお聞きをいたしておきたい。
  27. 若杉和夫

    ○若杉説明員 通産省といたしましては、グレープフルーツにつきましては関税その他の対策もありますし、かなり嗜好性の強い食品であるということで自由化いたしまして、非常に急激な増大及びそれによって国内産が甚大な被害をこうむることはまずあるまいという判断でございます。
  28. 田中恒利

    田中(恒)委員 判断は、あなたのところは判断すればよろしいのですけれども、あなたのところの判断はしばしば合わないのですよ。レモンのときだってそうでしょう。経験済みですよね。たいしたことはないと通産大臣が言われておるけれども日本のレモンは壊滅したじゃありませんか。そしてさらに必要なことは、農林大臣も言われたが、農民が安心して農業をやるようなことを考えなければいけないわけですよ。そうしたらいまナツカン地帯、ミカン地帯、リンゴ地帯、あげてこのグレープフルーツの問題を中心にしてたいへんな心配が起きておるわけなんですよ。きょうも御承知のように全国の果樹農民果樹農業危機突破の大会が持たれておる。抗議の大会が持たれておるのですよ。こういう国民の不安に対して、貿易の取り扱い上の仕組みの中で完全自動制ではない仕組みに乗せておるのですから、何らかの処置を私はとってしかるべきだと思うのです。大体この貿易の自由化というのは、単に消費者に安いものが入ってくるというような単純なものではなくて、通産省一番御承知のとおり、一体この貿易の自由化でだれがもうけてだれが一番損するのかということになると、やはり貿易商社の暗躍というものがここに動いてくるわけなんです。これに対して何らかの規制処置を、あるいは農林省の立場からいえば、国内における果樹の需給というものに対して、輸入をしながら需給が満度にとれるような体制を、農林省も通産省もとるべきだと思うのです。たとえば生産者団体等のほうからは、農畜産物の輸入の窓口を生産者団体に一元化をしてくれ、こういう声もあがっておるわけです。こういうことについて御検討をせられる意思があるかどうか。どうですか。
  29. 荒勝巖

    荒勝説明員 今回のグレープフルーツ自由化に伴いまして生産者団体で、たぶんきょうの決議の中に輸入窓口を何か生産者団体に一元化というふうな御趣旨決議があるのではなかろうか、こう思っておりますが、私どもといたしまして現在の時点において、今回グレープフルーツ自由化されておりますので、これを何らかの形でいわゆる自由化の利益を阻害するような形で、そういう形で何か検討するということは、実際問題としてあるいはむずかしいのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  30. 田中恒利

    田中(恒)委員 重ねて、局長でけっこうですが、グレープフルーツだけではありませんが、これから農産物の輸入量の増大ということが考えられるわけでありますか、そういう場合に国内の農産物に非常に打撃を与える、こういう事態が生じたときにとるべき処置、こういう点も、当然今日この自由化をめぐるきびしい幾つかの問題を前にしてお考えになっておられると思うのです。緊急関税の発動の問題は、大蔵委員会ですでにグレープフルーツ季節関税設置の際に大蔵省当局は言明しているわけでありますが、農林省としてはこういうことが発生した場合にどういう処置をおとりになるか。この点もこの際明らかにしておいてもらいたいのです。
  31. 荒勝巖

    荒勝説明員 大蔵省とは、関税局と本件については打ち合わせを行なっておりますが、いわゆるグレープフルーツ自由化され、かつ今後異常な形で日本に輸入されることが起こり、その時点において明らかに日本産の果樹農業に甚大な悪影響も及ぼすというふうに判断をする事態になりますれば、われわれから大蔵省に申し込みをする、こういう形になっておりまして、いまの時点で具体的にどういう条件になったら緊急関税の発動をするというふうなことは、まだきまっていない次第でございます。
  32. 田中恒利

    田中(恒)委員 緊急関税の発動は農林省と大蔵省で相談してやられるわけでしょうけれども、私は貿易の自由化の問題をめぐってやはり歯どめ処置というものについてはっきりとした幾つかのものを明らかにしていただきたいと思うのですよ。私は前の委員会のときにも議論をしておったのですけれども大臣に申し上げておきますが、農業基本法の十三条には、「輸入に係る農産物との関係の調整」という条文があるのですね。ここでは明確に、いろいろな施策をやってもいわゆる国内の農業生産に重大な支障を与えるような状態が起きた場合には、関税率の調整、輸入の制限その他の処置をとらなければいけないということは明記をされておるわけです。私は当然農林省としては制限、場合によっては輸入ストップ、こういう処置をとるべきだと思う。そういう事態が、私は幾らあなた方がだいじょうぶだ、だいじょうぶだと言われても、これまでの経験からしてだいじょうぶだといったら大体逆になる結果が出てきておるのがしばしばあるわけでございますから、やはりこの最悪の事態を想定しての処置を明確にして農民の不安をなくしていくことが私は親切な農政の姿だと思うのです。ですからそういう事態の場合には大蔵省は緊急関税をやるといっておるのです。農林省の場合ははっきりと輸入の制限と輸入ストップをやる、こういう点を明確にしていただきたいと思うのですが、この点は農林大臣から御意見をお聞きをしておきたいと思います。
  33. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 輸入と日本の国内の農産物との関係につきましていろいろな方法があると思います。関税も一つの方法として対処する手段だと思います。ただ輸入を禁止するかしないかということにつきましては大きな問題でございますので、その手段をとるかとらないかということはいま明言いたすことはできませんが、いろいろな方法によりまして、国内農産物に対するしわ寄せといいますか、そういうものに対しまして対処する方法は講じていきたい、こう思っております。
  34. 田中恒利

    田中(恒)委員 そういたしますと、この農業基本法第十三条の「輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。」というこの条文はどうなるわけでありますか。
  35. 荒勝巖

    荒勝説明員 その基本法の精神に基づきまして、ただいま大臣からもお話がありましたように、今後そういう異常な事態が生じた場合にはいろいろな方法で一つの対策をやっていくということだと思いますが、具体的には今度、私たちのほうでグレープフルーツ自由化に伴いまして関税ということで季節関税制度を設けて、四〇%の関税を設けまして、国内産のかんきつの出回り期の約八〇%に相当する時期について、いわゆる十二月一日から五月末までの間六カ月間は四〇%の関税をかけて日本のかんきつ農業の保護にあたる。あとの六月以降十一月までは、国内産のかんきつも一、二割程度の段階でございますので、かりに相当安いかんきつが入りましても、われわれとしてはあまり日本のかんきつ農業には影響はない、こういうふうに考えておりまして、そういう基本法の精神を生かしながらあれこれと施策を講じてまいりたい、こういうふうに思っております。
  36. 田中恒利

    田中(恒)委員 それはよくわかっておるのですよ。私がどうもよくわからないのは、やはり農業基本法の第十三条の規定ですよ。第十三条にはいろいろな施策をとるということも書いておるのです。これは「第十一条第一項の施策をもってしてもその事態を克服することが困難であると認められるとき又は緊急に必要があるときは、関税率の調整、」いま言われた緊急関税ですね、「輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。」こういうふうに書いておるのですよ。だからその十一条の第一項には、いま局長の言われたように「生産事情、需給事情物価その他の経済事情を考慮して、その価格の安定を図るため必要な施策を講ずる」ということが書いてある。これをやってもなお問題が解決できない場合には輸入の制限等やっていくのだ、こういうふうにはっきり具体的に書いておるのですよ。これをここではっきりとやると言えないわけですか。
  37. 荒勝巖

    荒勝説明員 いま直ちに輸入制限をするとかしないとかいう議論ではございませんで、そういうような異常な事態が生じた場合において、基本法の精神は十分にわれわれも判断しながら、別の方法によりまして国内産果実に重大な悪影響のないような方法を検討いたしたいということを先ほど大臣が申し上げたと私は理解しておる次第でございます。
  38. 田中恒利

    田中(恒)委員 農業基本法は制限法であるからその精神に基づいてやればよろしいということのようにも聞こえるのですけれども、この問題に国際的な常識として認められていることですよ。経済局長きょうは言ってないのですけれども国際的にもこういう場合には輸入の調整や、国によってはストップをやるということは、国際的常識として認められておることなんです。農業基本法は制限立法だが、そのとおり具体的に書いておるわけでありますから、これはちょっとおかしいのです。基本法は農業の憲法ですから、この憲法ではっきり書いている具体的な問題は、私はやってしかるべきだと思うのですよ。重ねてひとつ農林大臣にお答えいただきたい。
  39. 小暮光美

    ○小暮説明員 御指名でございますのでちょっとお答えをしますが、繭糸価格安定法の改正等の場合にも当委員会でいろいろ御検討いただいたことがございますけれども、御指摘のように国際的に、たとえばガットの第十九条といったような規定がありまして、緊急事態に対処することはそれぞれの国が行ない得ることであるというのが国際的に確立した考え方でございます。ただそういった議論の際にも常に申し上げておるのでございますが、海外におけるきわめて異常な市況の変動、あるいは予想を越えた急激な数量の増大といったようなそういう事態によって巻き起こされた国民経済的な脅威、こういうものを緊急に避難するために、それぞれの国は随時適切な措置がとれるというのがものの理解でございます。したがいまして、それらの事態に即して判断するということであろうかと思います。
  40. 田中恒利

    田中(恒)委員 次へ移ります。  農林大臣にあらためてお尋ねをいたしますが、大臣は就任の記者会見におきまして、特に農産物自由化の問題について話し合いをせられておるわけでありますが、先ほどもお話がありましたように、自由化についてはその方向を否定はしないが、やり方にはいろいろな方法がある、特にアメリカに要求する問題もある、こういう積極的な姿勢も示されております。まあ中心自由化一つ方向をお認めになって国内の農業の体力を強くしていく、国際競争力をつちかっていく、そういうことは必要である、こういうように言われておるわけでありますが、大臣も御承知のように、日本農業の体質を変えなければいけない、生産性を高めていかなければいけない、しかし現実に今日残され、九月末に予想されます二十八品目等につきましては、いずれも国際競争力に耐え得るにはほど遠い現実であることも事実であります。これをいまから国際競争力に耐え得るような生産性の高い農業に変えるとおっしゃっても、その方向はそうでありますけれども、そうきょうあすに変わるものではないわけであります。したがって、その過渡的な処置をどういうふうな進め方でとられていくかということが、この自由化の取り組みについて私どもがいま一番問題になしければいけない点だと思います。そういう点につきましては、姿勢をこの所信表明にも明らかにされていないわけでありますが、この点につきまして具体的にどういうふうにやれば、このきびしい自由化のあらしの中で、一方で体質改善を進めながら、一方で国際競争力に耐え得るような農業をつくっていくものがあるのか、大臣のお考えになっている点をお示しをいただきたいと思うのです。
  41. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話しのように、国際競争力を強めていくということは、きょうあすにそれができるというふうには私も考えておりません。しかし農業そのものからいいまするならば、やはり国際競争力がなければ、自由化品目の農業のことばかりでなく、全体の農業としてやっていけない、こういう意味で申し述べたのでございます。でありますので、緊急にといいまか、自由化する品目等についての当分のアフターケアといいますか、そういうことにつきましてはいろいろな施策によってこれに措置をしていく、こういうふうに考えております。ただし、その体力を国際的に強化するということはいますぐできるというものでないことは御指摘のとおりでございます。そういう方向をもってやっていく、こういうつもりでございます。
  42. 田中恒利

    田中(恒)委員 それで、この際自由化の問題で農家の皆さんや団体や私どもがさてどうなるのかと心配しておりますものは、九月末に予定をしておりました四十品目、二十八農産物の非自由化品目を十品目程度さらに自由化をする、農林水産物については七品目程度なるんじゃないか、こういう報道がなされておるわけでありますが、その中で特に牛肉とオレンジと果汁、この三つが農産物目玉商品といわれているわけであります。この牛肉、オレンジ、果汁は成長部門でありまして、これまで農家が非常に骨を折って生産拡大したり、牛肉等についてはなかなか思うようにいかないという状態になっておるものでありまして、これが自由化されるということになると、もうあと残るのは米麦だけでありまして、農産物全体が一括ネガ業種という形で農林省は出しておりますが、実質的には一括全部の自由化、こういう状態になろうかと思いますが、牛肉とオレンジと果汁の自由化について大臣はどのような決意で九月の日米経済会議に臨まれるおつもりか、この点をひとつこの際大臣所信と決意を聞いておきたいと思うのです。
  43. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 オレンジ及び果汁及び牛肉につきましては、自由化することにつきまして非常に影響力が強い、こういうふうに私どもも考えております。でありますので、オレンジ、果汁等につきましては自由化の予定はありませんが、今後もこれら品目の自由化果樹農業に与える影響の重要性にかんがみまして、慎重に検討していきたい、こう思っています。  また牛肉でございますが、ご承知のようにいま農林省といたしましても役牛よりも肉牛の増産、肉牛に畜産関係としても力を入れておるところでございます。ことに肉牛につきましては、その経営がほかに収入源の乏しい農山漁村の地帯の所得源ともなっておる部門でありますこと、あるいは牛肉は需要の確実な伸びが期待される半面、その需給事情は将来にわたって国際的にも逼迫するおそれが大きい、こういうような事情もありますので、牛肉の輸入自由化につきましては諸般の対策を十分検討しながら、これまた慎重に対処していく。いま、どういうふうに日米経済会議に臨むかということにつきましてはっきりした意見を申し述べる段階ではまだございませんが、御指摘の品目等につきましては慎重に検討しまして対処したい、こう考えております。
  44. 田中恒利

    田中(恒)委員 なかなか重大な問題でありますし、国際問題にも関連することでありますから、しかも内容については大臣が十分御承知の事項でありますので、私どもはこれらの品目等を含めて農林水産物の自由化については、この際赤城農林大臣農政に対する愛情と識見をひとつ、ぜひ発揮をしていただきたい、このことを特にお願いをいたしておきたいと思います。  なお私は、この際時間がございませんので、二、三の提案を示しつつ、農産物自由化に対する農政のあり方について農林当局の御意見を承りたいと思います。  一括して申し上げますが、第一は果樹価格安定支持政策の確立についてであります。本問題は私も数度にわたってこの委員会で議論をいたしたところでありますが、わが国の農産物の中でリンゴとミカンを除いたら、ほとんどの主要農畜産物は直接的、間接的な価格支持の体系の中に入っておると思います。価格政策のあり方についてはいろいろ議論をせられておるようでありますが、大臣所信表明にも従来になく価格支持政策というものに対して一定の役割りを持たすようなお話をいま承ったわけでありますが、私も構造政策経営規模拡大生産性の向上という施策と並行して価格支持政策というものはやはり大きな役割りを果たしていくと思います。特に果樹価格政策の対象外になったものについては、今回本格的に具体的な成案をとるべきだと思うわけであります。特に日本のくだものは、外国等で見てまいりますと、なまの消費量というのはほぼ国際水準あるいはそれを上回る部面もあるわけでありますが、加工というものがたいへん立ちおくれております。そこで年間のくだものの消費というものがとれない。たとえば十一月と十二月と一月の三カ月で年間消費の半分くらいを占めている。なまのミカンやリンゴ等の出荷時期でありますこの時期に食べておるのであって、あとの時期はあまり食べない。外国ではほとんどコンスタントにくだものの消費か行なわれておる。これをやるためには、一つ加工を充実をしていくという措置がどうしても必要になるわけであります。この加工、また価格問題というのがたいへん困るわけでありまして、端的にいえば、ぼろミカン、ぼろリンゴあるいは捨てるようなものを加工に回すとたいへん値が安いということで、むかないわけであります。ちょっとなまの価格がよかったら全部むいていくということになるわけでありますので、この辺の価格支持政策というものを思い切ってこの際打ち立てていくことがどうしても必要であると思います。この点について御意見をお聞きしたい。  それから第二は、消費をどう拡大をしていくか、この政策をやはり思い切って打ち出さなければいけないと思うのです。これはいろいろあると思いますけれども、従来からいわれております学校給食、なまの出荷時期においてはなまのミカンやリンゴ、あるいはなまのものがない場合にはいわゆる加工、特にいま問題になっております純正食品としての一〇〇%ジュース、こういうものを政策需要としてどんどん給食にしていく。アメリカ等ではくだものが非常にだぶついてくると、百億円程度政府が買い上げて学校給食に回すということをどんどんやっておるわけですね。こういったようなことをこの際思い切って農林省、文部省は取り上げてみる必要があると思うわけであります。この点も御意見をお聞きをいたしたいわけであります。  それから第三は貿易の問題であります。温州ミカンの対米輸出というものは、大臣も今後その解決のために善処をしていく、こういう御意見でございましたが、ぜひ積極的にやっていただきたい。同時にアメリカだけではなくて、ヨーロッパ等に対しても必要であると思いますし、さらに戦前は特に日本ミカンなどは朝鮮、満州に大半が輸出をされておったわけであります。いま中国の問題がやかましくなっておりますが、これはそう簡単にミカンの中国輸出なんかができる客観情勢にありませんけれども、将来の課題としてはやはり近い国に持っていく。特に私は当面、ソビエトに対するナツカン、あるいは場合によれば稲の転換作物としての疎菜等は、シベリア等については近いわけでありますから、何か思い切って輸送できないかと思うわけであります。こういうソビエト貿易等について、この際特にグレープフルーツで困るナツカンの問題は、ぜひ何かのルート、いま沿岸貿易でありますが、公団貿易なり政府間貿易の対象として乗せていく、こういうことを、ぜひやってみる必要があると思うのです。こういう新しい外国市場の開拓というものについて、本格的に力を入れていただく必要があると思うのです。  第四に、非常にたくさん申し上げますが、品種改良を含む技術開発の問題であります。やはり日本の、特に果樹の品種改良、たいへんおくれております。技術屋に聞きますと、たとえばわせ、ミカンにしてもリンゴにしてもその他にしても、もっと早くつくっていく、あるいはおくて、もっとあとに出荷をしていく、こういうものもやる気でやればやれないことではないという意見をしばしば私ども聞くわけでありますが、そういう体制がどうもとれていない。  いまナツカン園の再開発で、ナツカンからアマナツヘ、あるいはハッサクとか、こういう方面に変わる品種改良、改植が行なわれておりますけれども、苗木なんかでも十本の苗木の中で三本も四本も全然違った苗木が出てきております。こういうものは育種圃場が非常に少なくて、いま二十町歩程度でありますが、こういうものでは仕事にならないというわけであります。せめて百町歩なり、二百町歩なり圃場をつけないと、いわゆる品種改良というものは、二千か三千個の中に一つ新しい品種が出てくるわけでありますので、相当の規模のものが必要だというのです。そういうものがいま日本の試験場等には整備されていないわけであります。これはきょう、あす解決する問題ではありませんけれども、やはり長期的には日本果樹の品種改良というものに対して、力を入れていくということが今日必要になっておると思いますので、こういう点も御意見をお聞きしておきたいと思うのです。  それから、このグレープフルーツ自由化に伴って、特に問題になっておりますナツカン園の再開発事業も農林省はおやりになっておりますが、このナツカン園の基準のとり方が現地におきましてたいへん問題がある。たとえばいま労働力が不足しておりますから、木を切って新しいこの品種を植える。これはナツカン園開発事業の対象にはならない、根を抜かなければいけない。根を抜くということになりましたら、これは労働力がたくさんかかるわけでありますから、根を抜かなくたりて、木を切ればあとは木は腐って自然に抜けるわけでありますから、そういうことは必要はないのでありますが、そういう基準が幾つかあります。あるいは単位になる面積にいたしましても、相当広い果樹園なんかというのは急傾斜地の段々畑になっているところがだいぶありますから、農林省の一団地という基準に合わないわけであります。こういうものをこの際思い切って緩和をしていく、こういう処置が必要だと思いますので、非常に時間の関係で一括して申し上げましたが、御答弁をお願いをいたしたいと思うのです。
  45. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 非常に現実に沿うたりっぱな御提言が数々ございました。その点につきまして、事務当局から答弁いたしますけれども一つだけ私はソ連の貿易、ナツカンその他果実類あるいは野菜まで含めて輸出するというか、そういう方法をとったらどうか、こういう御提言がありました。御指摘のとおり、沿岸貿易でバーター制でミカンとかリンゴとかそういうものをやっております。しかし、これは本格的な関係でやっているわけでもありませんが、日ソ貿易会議ですか、貿易交渉、こういう貿易交渉等におきましてもソ連向けの果実の輸出につきまして、その拡大をはかるべく鋭意努力していますが、私も機会を見てこれは努力いたしたいと思います。お話しのように、ソ連ばかりでなく、イギリス等におきましては、非常にミカンなどは貴重なものとして愛好されております。またヨーロッパ等につきましても、そういう方向拡大をはかりたい、こう思っております。  なお農林省といたしましても、四十六年度におきましては、農業者団体がソ連市場を果実の輸出等について調査に行くというようなことも聞いております。それに対してある程度の助成もして、こういう方向推進したい、こう考えております。いまお話しのソ連との果実の貿易等につきまして、一そう御趣旨に沿うように私自身も考えておりますから、機会をとらえてはそういう方向に進めていきたい、こう思っております。  その他の御提言等につきましては事務当局から答弁さしていただきます。
  46. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御質問の中で、大臣の御答弁になりましたあとにつきまして補足的に御説明さしていただきます。  ナツカン園の再開発事業につきましては、われわれかねてから、このグレープフルーツ自由化があるということから、四十五年以来この予算を組みまして再開発の事業を相当やってきたのでありますが、御承知のように、ただいま御指摘のありました、われわれといたしましてはいわゆる抜根するということに重点を置いてきたのであります。やはり、これはこれなりに意味がございまして、木を切ったまま根っこを圃場に残しておきますと、そこから病害虫の発生の一つの原因ともなり、また土壌上あまりよろしくないという技術的な判断もございまして、なるべく抜いてしまってきれいに整地したほうがいいということを常に条件にしておったわけでございますが、やはり農家労働力の不足ということからしますと、たいへんな労働力を要する事業でありますので、四十七年度の事業の検討に際しましては、その辺をもう少し検討してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、かねてから常に当委員会で果実の価格安定についての御指摘がございます。確かに、農産物の中で、ただいまの段階では果実についてのみ価格安定が何ら行なわれてないということも事実でございますが、なかなかその仕組み方がむずかしいということで、われわれといたしましても、現在これらの点につきまして、特に今後ジュースの将来の発展あるいは加工果実の今後の動向ということを十分に念頭に置きながら、何らかの形でその安定をはかってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  47. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 ただいまお尋ねの品種改良の問題でありますが、果樹関係の試験研究は、先生御指摘のように、米麦等に比べますと確かにまだ努力しなければならないと思っております。  ただ最近、品種改良の問題につきましては相当力をいたしておりまして、たとえば長崎県の口之津に久留米の試験室をつくりまして、晩生のかんきつをやっておりますし、それから中国の安芸津に支場をつくりまして、ネーブル等を中心にいたしました品種改良、それから古くからございます興津の支場でもかんきつ類の試験研究等を重点的に進めております。今後とも、外国産の優良技術等に対抗できるようなものをつくるという努力を相当前向きにいたしていきますが、ただ先生御指摘のように、果実類はちょっと時間がかかるものでございますから、少し長い目でさらに強化いたしたい、かように考えております。
  48. 高石邦男

    ○高石説明員 学校給食につきましては、ことしの四月八日付で学校給食の内容の基準の改善ということの一項目に「果実の使用を考慮すること。」ということを示したわけでございます。一方、国内産の果実の確保という観点から給食用物資流通改善対策事業費を今年度新たに計上いたしまして、その資金を利用いたしまして、日本学校給食会及び都道府県の学校給食会に交付して、果実の確保をはかっていくということを措置したわけでございます。したがいまして、今後国内産の果実の消費は増大するであろうというふうに思っております。
  49. 田中恒利

    田中(恒)委員 終わります。
  50. 藤田義光

  51. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 グレープフルーツ自由化問題並びにイグサのけい肺病の問題、さらに物価統制令の適用除外の問題等について質問をいたします。  時間の関係で、午前中はグレープフルーツ自由化問題にしぼって農林大臣質問いたし、午後一時から再びイグサのけい肺病問題、さらには物価統制令適用除外の問題等について質問をいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  本日は、全中、全販連、日園連等の主催で果樹農業危機突破全国生産者大会が開かれ、共立講堂において二千数百名に及ぶ生産者代表等がかってない盛り上がりを見せて、今回の自由化問題について抗議大会を開いております。このことは昨年来からいろいろと問題とされてきたことでありますが、今日グレープフルーツ自由化がこのような状態で政府閣議決定をするというようなことで、去る六月三十日に強行策に出た。しかも、参院選後にこのようなことが行なわれ、唐突にしてわれわれも全く驚いたわけであります。生産者、農民は、政府の暴挙だ、こう言って激しい憤りを見せていることは皆さん御承知のとおりであります。私もあらためて農林大臣にお伺いしたいのでありますが、長谷川農林大臣また倉石農林大臣をはじめ、昨年来私も数回にわたってこのグレープフルーツ自由化問題について質問してまいったところでありますけれども、そのつどいわゆる米国の各州に対する温州ミカン解禁拡大ということを約束して、その履行ができない限りは自由化をやらないということで答弁をいただいてまいったわけでありますが、このような姿で抜き打ちに自由化が行なわれたということで、生産者が政治不信を抱いておるのはまさに当然であります。こういったことからあらためて大臣に、このような強行に踏み切った政府の率直なお考えまた経緯をお伺いいたしたい。まず最初にこのことをお尋ねする次第であります。
  52. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど田中さんにも答弁いたしましたが、グレープフルーツの由自化につきましては、温州ミカンアメリカでの輸入解禁州を拡大する、こういうものと見合ってやりたいということを前の農林大臣も言っておったということを承知しております。でありますが、国際的な関係、国内的な関係からグレープフルーツ自由化に踏み切った。ただ踏み切った時期等が参議院選挙後に踏み切ったということにつきましてはいろいろ疑惑も受けておりますので、この時期はあまり当を得たものではなかったのではないかと私も考えております。正々堂々といつでもやるべきときにはやる、こういう態度がしかるべきものだと私も考えておりますが、しかし先ほど申し上げましたように、国際的、国内的な事情もありまして、参議院選挙後に自由化に踏み切った、こういうふうに私は了解いたしております。  さらにまた前の農林大臣等が言われておりました温州ミカンアメリカにおける解禁州の拡大ということは、前後いたしましたが、その拡大につきましては努力を重ねて進めていきたい。これも相手方のある問題でございますから、必ずしもそれが実現するとは考えておりませんが、しかし実現するように最大の努力を払う、こういうふうなことで園芸局長も前にその交渉等に出向いておりましたが、今回もそういうことのためにその交渉をさらに推進するためにアメリカへも派遣することをきめております。そういうような努力をいたすことを申し上げて私の答弁にかえます。
  53. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 蚕糸園芸局長アメリカへ派遣するということでありますが、前回も派遣をされたにもかかわらずその成果を見ることはできませんでした。そのようなことでお茶を濁して、はたして温州ミカン解禁州の拡大ができるかどうか、こういうふうに私は思うわけです。  そこで先ほどからいろいろ答弁もあったことだと思うのですが、今回のグレープフルーツの抜き打ち自由化による生産者等の損害というものの責任は政府にある、かように私は思うのでありますが、この点大臣はどのように認識をされておるか、あらためてお伺いをしたいと思います。
  54. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 大会がありまして、大会の要望等もこれからも聞くことになっていますが、それが政府の責任だ、政府が損害を与えた、こういうふうにばかりも考えておりませんが、影響するところ相当ありますので、損害補償というような考え方でなく、前向きの考え方で措置をとっていくということを、ただいま鋭意検討させております。
  55. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 損害賠償ということでなくて、影響するところも相当あるから、前向きの考えで検討していくということでありますが、前向きの検討ということは、どういうことがいろいろ検討されていくわけですか、具体的に御説明をいただきたい。
  56. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま検討中でございますから、具体的にどうこうということは申し上げられませんが、こういう方向ということは局長のほうから御説明申し上げたいと思います。
  57. 荒勝巖

    荒勝説明員 今回のグレープフルーツ自由化対策の一環として、先ほど私から御答弁申し上げましたが、四十四年にグレープフルーツ自由化の方針がきまりましたので、四十五年度予算あるいは四十六年度予算におきましてグレープフルーツ自由化対策ということで、先ほど申し上げましたようにナツカン園等再開発事業とかあるいは国内産果実の近代化あるいは合理化のためにミカンの倉庫あるいは高級雑かん類のための低温貯蔵庫の設置、さらに果実加工需要拡大緊急対策補助金によるみかんあるいはリンゴのジュース工場の新設、こういった一連の助成事業を講じてまいりまして、かんきつ類の生産から流通あるいは消費に至る加工、こういった近代的な事業を推進してまいっております。今回の自由化で、さらに従来以上にこのナツカン園等の再開発につきましては、農業関係方面の御意見も、この際ナツカン園を急速に改植して別のかんきつ類に転換したいという御希望が非常に強いように見受けられますので、われわれといたしましては、このナツカン園の再開発事業につきましては全力を尽くしてまいりたい。ただいま現在の段階で、 いわゆる普通、ナツカンと称せられる伝統的な古い型のナツミカンがございますが、これが一万ヘクタール程度ございますので、これの再開発をどうするかということで、県によりましても多少考え方が違っておりまして、やはり伝統的なナツミカンについて多少残しておきたいという希望の県もありますし、この際思い切って相当改植したいという御希望もありますので、その辺の、一万ヘクタールをどういう割り振りで年度区分でやっていくかということ等を検討してまいりたい、こういうように思っております。  さらにまた、今回のグレープフルーツ自由化に伴いまして、従来原料果実をジュース工場等に回すためのいろいろなジュース工場対策をやってまいりましたが、その原料果実自体について従来あまり検討いたしておりませんで、副産利用的な考え方でやってまいりましたが、だんだん果実の加工形態による摂取が今後相当伸びるということが見込まれますので、われわれといたしましては、その辺の取引の安定ということも含めまして、何らかの形で価格問題をも検討してみたい、こういうように考えております。
  58. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あわせてお伺いしますが、生産者代表は、いま基本的な問題について若干触れられましたけれども、今回のグレープフルーツ自由化に伴いまして、大体五つのことを強く要求いたしております。果樹についての基本政策の確立ということと、第二にはオレンジ果汁の自由化の阻止、第三番目にはグレープフルーツ自由化に伴う補償という問題、四つ目には果実及び加工品の価格安定制度の確立、五つ目に果実関係農林予算の大幅拡充、こういったことを農民の皆さん方が強い要求として出されております。これらを含めましてどのような考えであるか、さらにひとつ御説明をいただきたい。
  59. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 まだ、きょうの大会の決議というか、要求等を私見ておりませんので、ここでお答えする段階ではございませんが、いまのお話のありました中で、グレープフルーツによる損害補償、こういう考え方に対しましては、私は必ずしも同調できませんで、前向きの方法によってやっていきたいということは、先ほども申し上げたとおりでございます。いまお話を聞いたところでは、その他の要求等は相当もっともな点があると思います。でありますので、後ほどまた大会の代表者とも会うことになっておりますから、よく要求の内容を聞きまして、対処していきたい、こう考えております。
  60. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣も新しく就任されたわけで、実にいま生産調整に伴って、米、果樹、畜産、いわゆる農政のビッグ…スリーの一つといわれる重大な成長部門の果樹についてたいへんな心配をされておるわけでありますので、大臣は十分承知のことであると思いますが、どうかひとつ、本日の大会によっていろいろ決議がされてくると思うのでありますが、これらの問題について前向きの方向でいろいろ検討していくということでございますので、ぜひそのようにひとつ対策をとっていただくようにお願いする次第でございます。  次に、このグレープフルーツ自由化の問題のあとに来るいわゆるオレンジの輸入自由化ということが最近とやかくクローズアップされてまいっております。グレープフルーツが十両ならオレンジは横綱といわれるほどにこれがまたたいへんな心配でありまして、この自由化が八月ごろではないかというようなことが新聞等にもちらちらしておりますが、このことについては、どのような考えであるか。これは絶対に自由化をさせないというお考えであるか。大臣の御見解を承りたい。
  61. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自由化品目につきましては、慎重に検討しなくちゃならぬと思っております。ほかのものを含めてでございますが、いま御指摘のオレンジとかジュースという問題等につきましては、十分なお検討を続けていきたいと思います。いまやらないとかやるとか、こういう結論にはまだ達しておりません。十分御趣旨あるいは御指摘の考え方等もいれまして検討していきたい、こう思っております。
  62. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 輸入業者は五月から参議院選後の自由化を見越して、もうすでに米国フロリダ、カリフォルニア、南アフリカ共和国等へ出張、商談に出かけておるということが報道されておりますし、自由化前にはグレープフルーツをほとんど取り扱っていなかったところの物産あるいは商事等の関係、あるいはその他の商社等が積極的に輸入競争に割り込みをかけておるということは事実でありますが、こういったことによって、この輸入業者の輸入によって乱売が行なわれるという心配が起きてくる。もうすでに三百円のグレープフルーツが百五十円近く、百六、七十円で売られるというようなことでたいへんなことが予測されております。これらについては、どのように政府は検討されているか、お伺いしたい。
  63. 荒勝巖

    荒勝説明員 グレープフルーツ自由化ということが、当初四月末でありましたものが六月末に延びました関係もありまして、輸入関係の方々に多少一時的には思惑による輸入ということも、四、五月ごろにはそういう情報に接しておりました。六月の自由化とともに、今度はほんとうに自由化になったのだということで、商社の方も相当海外と接触を始められたようでございますが、ただ残念なことに、七月早々からアメリカ太平洋岸の港湾荷役の労働争議ということによりまして、現在の段階では、向こうで多少買い付けられたグレープフルーツ日本に、船に乗せて輸入することができないというような事態になりまして、この七月以降グレープフルーツ自由化がありましたにもかかわらず、ちょうど贈答のシーズンとも重なりまして、グレープフルーツの市価は、比較的、むしろ自由化以前よりも高値に推移しておるという現状でございます。今後大体この八月一ぱいをもって今シーズンのグレープフルーツが、アメリカにおきましても多少在庫が減ってまいりますので、明年以降の新しい収穫時期からのグレープフルーツ日本農業との関連において重大な意味を持ってくるのではなかろうか、こういうふうに考えておりまして、これらにつきましては、さらにわれわれといたしましてもいろいろな情報をとりながら善処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  64. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の約束がありますので、最後に一点大臣にお伺いをいたしたいと思います。  検疫体制の問題でありますが、グレープフルーツ自由化ミカンどころのみならず果樹類までこれを食い荒らすという害虫も出ておりまして、これらの上陸ということがたいへん今後輸入によって心配されておるわけでありますが、この検疫体制というものが今後たいへんな問題になってくると思うのです。現在でも手薄なところへこのような自由化拡大されてまいりますと、たいへんな人手または労力を要するわけでございまして、そういう体制がどうなっているか、この点についてお伺いをいたします。
  65. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この植物防疫の関係は、御指摘のとおりよほど考えなくちゃならぬ問題だと思いますが、その点につきましては局長からひとつ詳しく御答弁申し上げます。
  66. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  植物防疫の問題は、申し上げるまでもなく有害な病虫害が入ってくることを防止しているわけでございまして、現在までも植物防疫の実施につきましては、きわめて厳重にやってまいりました。今後もグレープフルーツ自由化に伴いまして、グレープフルーツの輸入量が増してくると思われますが、検疫につきましては従来と同様厳重な検疫を行ないたいと考えております。  そこで、数量がふえれば検疫の人数がよけい要るのではないかというような問題も出てまいるかと思います。そこで、検疫体制の整備につきましては、今後も予算措置その他で努力してまいりたいと考えております。
  67. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省御承知のように、横浜の植物検疫所の外国農産物の検疫体制は、実際もう手をあげている、こういって頭をかかえておるのが実情でございます。自由化が強行された場合、農林省農政局のほうへも、国内に病害虫が上陸する心配はないか、自由化対応の検疫体制など現在かなり心配であるというような意味のことを過去に聞いておりますし、いろいろこの植物検疫所と農林省側とに意見の食い違いというか、相違があるようにも私感じております。このようなことで、もし害虫が日本全土に蔓延したならば、これはもうたいへんなことになってくる、こういったことを懸念するわけです。この害虫駆除のためにどうしてもチェックするということになりますと、果実の中に発見されますところの虫等の防疫のためにやはり相当グレープフルーツ等の商品価値がだめになってくるという懸念もありますし、また自由化で輸入数量が今後秋ごろふえてまいりますと、現在はアメリカの港湾ストライキで輸入の足がずいぶん伸び悩んでおりますけれども、秋には相当量入ってくることが予想される。そうしますと、実際に検疫がどうなるかということが心配であります。一々チェックはできないじゃないか。一たん病害虫が侵入してまいりますとたいへんなことになるし、これは果樹農家のみならず全国の農家がたいへん恐怖感に襲われるということになります。ただいまの答弁でも、どうも事足りない、心配でありますが、こういったことについて徹底的な検疫体制をひとつ強化しなければならぬ、そうしてまた季節関税等によって制限をするなりいろいろな対策をとっていただかなければたいへんなことになるのじゃないか、かように思っております。いま答弁がありましたが、大臣、最後にこの決意をお聞かせ願って、午前中の質問を一応終わりたいと思います。
  68. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話の点、ごもっともだと思います。従来も検疫体制の整備ということに力をいたしておったんでございますが、こういうときでもございますので、御趣旨のとおり検疫体制の整備強化に一段とつとめていきたい、こう思っております。
  69. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では、午前中の質問をこれで終わることにいたします。
  70. 藤田義光

    藤田委員長 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後一時三十九分開議
  71. 藤田義光

    藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
  72. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 午前中に引き続き、農林大臣並びに関係当局、また厚生省、労働省にも関連して質疑を行ないたいと存じます。  午前中グレープフルーツ自由化問題について質疑をしてまいったのでございますが、時間の制約がございますので、現在社会問題になっておりますイグサのけい肺病について、当局の御見解をただしていきたいと思います。  御承知のように、最近とみにイグサに対するけい肺病の問題が騒がれておりますが、すでに熊本大学医学部の公衆衛生学教室の野村教授、私も先般お会いしてまいりましたが、この野村教授からも指摘されておりますように、けい肺病は一時に起こるのではなくて、十年、二十年と年数を重ねるにつれてけい肺病が悪化するということで、すでに統計等も発表されております。資料もここに持っておりますが、時間の関係で省略いたしますけれども農家がたいへんな生産調整によって成長部門であるイグサに転作しているやさきに、このような問題が社会的にクローズアップしてまいりまして、心配をいたしております。  御存じのように、全国的には一万一千ヘクタールの作付面積があり、熊本においてはすでに全国のちょうど五〇%、すなわち五千五百ヘクタールが作付されておりまして、今後相当の量に伸びていく傾向にあります。こういったことから、最近生産の向上に伴って、どろ染め粉じんの問題がいろいろとやかくされてまいったわけでございますけれども、まず質問の順序として、全国の生産量等についてどのように把握しておられるか、まずその点について最初にお伺いをいたしたいと思います。
  73. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米の生産調整に伴いまして、イグサの作付等も非常に進んでおります。実は私もイグサのほうは大臣になる前に畳表なんかに関係しておりまして、そのほうでよく承知しておるのでございますが、いま住宅が非常に増設されておるに伴いまして、その需要もふえておると思います。作付面積その他のことにつきましては、局長からひとつ答弁いたしますから、御了承願います。
  74. 荒勝巖

    荒勝説明員 イグサの作付面積につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、住宅の増加あるいは国民所得の増大に伴いまして、非常に畳表に対する需要が旺盛でございます。したがいまして、私たちのほうでもこのたびの稲作の転換に対しまして、大いにイグサヘの転換を奨励いたしてまいった次第でございまして、四十五年度におきましては、一応農林省で掌握しております面積といたしましては、作付面積が九千五百四十ヘクタール、それから生産量は九万九千二百トン、五年前に比しまして生産量は一三%の増加を来たしております。  以上でございます。
  75. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全国民が畳を必要とするわけでございますが、現在全国的に需要に対して生産の割合というものはどのようになっておりますか、この際明らかにしていただきたい。
  76. 荒勝巖

    荒勝説明員 大体、御存じのように、イグサはほとんど日本の内地でつくられまして、それが供給源になりまして、需要があるものですから、実際は需給がとんとんというのが実情だと思います。ただ今後における住宅の増加、その需要増というようなものを見込みますと、イグサの将来の見込みは、大体五十二年には十四万トン前後ではなかろうかというふうに推定いたしまして、われわれのほうではこれを目標に生産振興をはかりたい。また稲作転換でも、約千五百ヘクタール前後の転換増によって生産の増加を見込めますので、五十二年にはおおむね生産量は十四万トン、作付面積にいたしますと一万四千ヘクタールということで、こういう方向で面積の確保をはかってまいりたい、こういうように考えております。
  77. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま数字が発表されましたが、一万四千ヘクタールを確保したいということで、また今後需要に対する生産はかなり必要であるということが明らかにされたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、生産調整によって農家はイグサに転作をし、反当おおむね現在平均二十五万円、それに生産調整費を入れてかなりの収入になるということで、最近では福岡を初め熊本県でも北部ではイグサの栽培が、あるいは干拓地における栽培等が行なわれ、すでにもう試験栽培等も進んでおります。そういったことで今後かなり伸びてまいるわけですが、この生産量の増大に伴って、御承知のように、このイグサは原始的なやり方でありますけれども、どろ染めということをしております。このどろ染めによる粉じんが農家の方たちのけい肺病となってたいへん心配され、特に肺病と併発した場合等はこれの対策が全然ないということで懸念をされて、農家もたいへん心配しておられるわけです。しかし生産調整によってどうしても農家収入を増し、転作を要求されておる関係から、今後イグサの生産は、けい肺病を心配しながらも生産にいそしまなければならないということになってまいっております。現在刈り取りが先月から進みまして、まつ最中でございます。このイグサの収穫にあたっては、干天で干したり、あるいは貯蔵したり、あるいは選別をする、また織るということで、年間約二百日くらいの稼働がなされるわけでございます。この間たいへんに粉じんを吸う。もちろん県のほうでも指導されましてマスクをつける。ところがこのマスクも干天のあの暑いさ中でありますので、マスクの精度を高くすればするほど呼吸が困難になって、なかなかマスクをつけてやることができない。また織る場所等においても、換気扇あるいは通風をよくしろということでまさにきめ手がない。そんなことを一々気にしていたのではなかなか仕事が進まぬということもありまして、農家は粉じんによって今後けい肺病が起きてくることになるということで、たいへん心配されておるわけです。このどろ染めば、御存じのようにイグサのしわが寄らないということと、畳本来の色沢が全部均一に保証されるということから、このようなどろ染めによって行なっておりますが、この根本解決には、何といってもこのどろ染めにかわる化学薬品によるものを開発すべきであるということがいわれております。この問題についてどのように政府は対策をとっておられるか、またどのように考えておられるか、この点を明らかにしていただきたい。
  78. 加賀山国雄

    ○加賀山説明員 お答えいたします。  試験研究関係の問題ですので私からお答えいたしますけれども、先生いま御指摘のように、イグサの収穫後その色沢あるいはその品質を保つために、現在どろ染めというどうしてもしなければならないような工程がございます。そのどろ染めというのは、御承知のように、珪酸分を含みましたどろで染めるわけでございますが、その珪酸が遊離いたしまして、ただいま御指摘のような収穫から乾燥、それから畳表を織るというところでほこりとなって出るわけでございまして、それを作業に従事しておられる農家の方々がお吸いになりまして、御指摘のけい肺というような問題になっております。われわれといたしましては、将来イグサが相当伸びるということもございますし、かなり重要な農産物であるということも考えまして、染め土と申しますか、どろ染めのときに使うものにつきまして、けい肺の原因にならないようなもっといいものはないかということで研究しておりますが、正直に申しまして、まだ十分な研究は進んでおりません。なお岡山大学とか広島あるいは熊本県の農業試験場等においていろいろ研究がされておったわけでございますが、御指摘のように最近科学の進歩が非常に急速でございますので、何か現在使っております珪酸を含むものにかわるようなものがないのか。それからもう一つは、そういったものを使いましてもできるだけたくさん使わないでやるような方法、たとえば活性剤を使うとかあるいはその他何らかの方法によって展着剤等も使いまして少量のどろで済むような方法がないのか。そういうことにつきましてさっそく研究を促進する必要があるというふうに考えておりまして、たまたま本年におきましては、少額ではございますが熊木の大学のほうに研究費を出しまして、鋭意その問題につきまして研究推進してまいりたい、かように考えております。
  79. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 赤城農林大臣、いまの件についてお聞きのとおりですが、大臣もイグサに対しては従来から関心がおありなんですけれども、ひとつこのように問題になりましたイグサのけい肺病——畳はこれはもう日本人がいわゆる北海道から沖繩に至るまでどの家庭でも使うという、長年親しまれてきたものでありますし、今後もずっと需要が増していく、日本人に切っても切り離せないものであります。そういったことから、地域的な特産物であるといっても全国民がこれを使用するわけでありますし、それにしては生産調整によっていませっかく農家が収入を上げようとして一生懸命イグサに精力的に栽培に励んでいる、こういっておるやさきでもあります。さっきからグレープフルーツの問題で御指摘ありましたように、米に次いで畜産、果樹というビッグ・スリーといわれるこの柱に対して、イグサもまた農家が大いに今後生産調整の転作として進めていかなければならぬ作目であります。こういったものについて政府がいまも答弁ありましたように、まだ正直申して研究していない。けい肺病も過去にときどきずいぶん問題になったことがありましたのですが、まだ研究をしていない。そして最近熊大の研究室に若干の研究費を出していま促進をしている。今後何かかわるべきものを開発していく努力をするというような程度の答弁でありますが、大臣も今回新しく就任されたわけですが、この西日本におけるイグサ栽培に対して研究費をうんと使い、早急にひとつけい肺病対策のためにもイグサ対策をしていただだきたい、科学的などろ染めにかわる薬品を研究開発していただきたい、かように思うのですが、大臣ひとつ国民のために決意を明らかにしていただきたい、かように思います。
  80. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米の転換作物としてもたいへん転換政策には寄与しているイグサの問題でございますから、この増産対策にはこれからも力を入れていきます。またけい肺病の研究等もしていないというわけではございませんで、研究をしているのでございますが、何にいたしましても科学的な問題でございますから、まだ結論に達していませんが、この研究もさらに進めて万全を期するように処置したい、こう考えております。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、今後研究をさらに進め力を入れていきたい、万全を期していきたいという答弁でございますが、早急にひとつそのように対策をとっていただきたい、そして農家が安心して営農できますように指導していただきたい、かように思うわけです。  なお技術会議のほうにお願いしておきますが、このイグサとともにネキリムシというのが最近ものすごく蔓延しておりまして、熊本でも八代郡の一地方では全滅した個所が数カ所ありますし、全般的に一割から二割の被害をこのネキリムシによって受けております。こういったことで減免の処置をしてくれというような問題とか、今次災害についてもいろいろ四千万以上の災害が起きておりますが、そういった減免処置ということも出ております。ネキリムシの対策についてもこういったことと合わせまして研究していただきたいということを要望しておきます。  さらにイグサ生産によるけい肺病につきまして厚生省はどのように実態を把握しておられるか、さらに農林省は営農上の対策はどうしておられるか、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
  82. 林弘

    ○林説明員 お答えいたします。  熊本県におけるイグサ染土によるけい肺に関する熊本大学の報告書に対する意見でございますで、熊本大学の調査によりますれば、イグサ作業に伴う粉じん発生と呼吸器障害との間には関係があるということが指摘されております。しかしこの件に対します疫学調査につきましては十分とは考えられない面もございますので、目下県を通しましてその実態を調査中であります。したがいましてイグサの染土による呼吸器障害発生の本体については今後とも研究してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  83. 荒勝巖

    荒勝説明員 御存じのように、イグサにつきましては御指摘がありましたように、このイグサの農業上の生産段階につきましては稲作とそれほど変わらないのでございますが、問題がいわゆる刈り取ったあと仕上げに入る、いわゆるどろ染め工程におきまして、衛生上といいますか、けい肺病の懸念があるということでございまして、われわれといたしましても極力技術会議等にお願いいたしまして、化学染料による方法の一日も早い開発をお願いいたしておりますが、その間イグサ生産というものをやめるわけにもまいりませんので、それにつきましては当初お話がありましたように、あるいはマスクをかけてということ等もございますが、実際問題として非常に不便といいますか、実際的でないというふうに私たちも感じております  したがいまして、ただいまわれわれのほうでも熊本県等にも本年三カ所の地域特産によります補助事業でそういう施設を設けておりますが、この仕上げ過程におきます施設等につきまして、少しでも衛生的であるような環境の建物あるいは工場等をつくりまして、極力そういうことのないようにやっていきたいと思いますし、今後とも各方面と注意いたしまして何とかしてどろがあまり空気中に飛散しないように、適当な展着剤等もあわせ一緒に検討してみたい、こういうふうに思っております。
  84. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいまの答弁で厚生省もまた今後ひとつ研究していきたいということで、実態を十分把握しておられないような状態でありますが、まことに残念であります。時間の制約の関係でこれ以上追及ができませんが、ひとつ早急に実態を把握して対策を立てていただきたい。  さらに労働省にお伺いしたいのですが、イグサをじん肺法にぜひ入れていただきたいということが地元の強い要望であり、またイグサ生産者の強い願いでもあります。われわれもぜひこれを適用することにより、定期診断、病気の補償、こういったことを考えてやるべきである、かように思うのですが、この点について労働省当局の御見解を承りたい。
  85. 山本秀夫

    ○山本説明員 おっしゃるとおりわれわれは前向きに進んでまいりたいと思います。労働者につきましてはすでに措置がしてございますが、農家の方々につきましてはこれまであまり進めておりません。関係省庁とよく連絡をいたしました上で、補償等については万全を期したいと考えております。
  86. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係でイグサ問題は以上で一応終わりますが、ぜひひとつじん肺法にこれを適用するべく早急に検討していただきたい、かように要望申し上げ、最後に、農水委員会になかなか機会ございませんもので、今次災害のことで一言追加してさようにお願い申し上げ、また大臣の御意見を承っておきたいと思いますが、二十一日夜から昨日二十二日にかけまして九州北部と中国西部に雷を交えたところの集中豪雨が襲いまして、新聞紙上で御存じのように熊本、長崎両県を中心に大きな被害が出ております。局地的な豪雨は二十二日から二十三日にかけて全国各地に及ぶことがいろいろ予想されております。熊本県においても総額二十一億四百五十一万三千円という被害が出ておりまして、農林水産業被害だけでも、施設、こういったものが九億二千五百万、それから農産物の被害が十五億四千八百万、こういうふうに被害が出ております。災害救助法の発動はされておりますが、さっそく天災融資法の発動を早急にやっていただきたい。地元からも、こういったたいへん苦しい状況にあります。また死者も出ておるような災害でございますので、激甚地の指定も早急にお願いしたい、かように思うのですが、大臣この点について、ひとつ罹災者に対してあたたかい決意のほどを伺いたい、かように思います。
  87. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 被害がありましたこと、全くお気の毒でございます。いまお話しの天災融資法の発動等につきましても、急速に実態を調査、把握しまして、その上できめていきたいと思います。
  88. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。
  89. 藤田義光

    藤田委員長 美濃政市君。
  90. 美濃政市

    ○美濃委員 最初にお尋ねしたいことは、今回赤城さんが農林大臣に就任されて、私としては非常に従来の実績からいうといい実力大臣が就任されたと思って喜んでおるわけです。しかし本日の所信表明をお伺いいたしますと、依然としてかわりばえがない。ここに問題があろうかと思うのですが、まず第一に、今日社会主義国家は当然でありますけれども、EECの農政を見ても、国際化進展に伴って農産物自由化要請がますます強まる、こういういわゆる国際経済とそれぞれの国の農業とが日本のような状態で論じられておるところはちょっと珍しいのではないかと私は思うのです。そのことはたとえば日米経済会議、円切り上げの問題あるいは自主規制の問題、こういうものを見ておりますと、日本の工業製品を輸出超過になるように売っていくと、それを受ける国はかなわぬですから、やはりその調整をやれとか、いわゆるガットの条約に従って売っただけのものを買えとかいう問題が必ず出てくると思うのです。そうすると農業問題も大切な民族独立の要件でありますから、国内で生産できるものは国内で自給するという政策を立てて、ただその農産物価格国民経済を非常に圧迫するような高いものではいかぬですから、それを規模を拡大して消費者の基準生活に合う価格に下げなければならないという政策は、これは当然だと思うのです。ただ、その自給という原則をはずして、工業製品が売れる限り、たとえば円の切り上げはできない、あるいは自主規制もあまりいやだ、農産物だけでは——一部は通産物資もありますけれども、これを自由化して、たとえば日米間の貿易収支の均衡をはかるのだということになってくると、これは問題は別だと思うのです。たとえば今回のグレープフルーツの問題にしても、そこには必ず名目的な自由化をして関税で規制したり、あるいはその他の内政措置で規制をして、現実にいわゆる日本の工業製品の輸出超過という問題が解消されぬければ、問題の解消にならぬと思うのですね、その裏にはそれがはっきりくっついておるわけですから。そうすると、あれに努力する、これに努力するといってみても、結局はそこに貿易自由化を持ってくるということになってくると、単にガット協定に基づく名目自由化ではないわけですから、具体的な取引条件、日本国際市場から非難されておりますいわゆる貿易超過、国際収支の余剰というものをそこで解消しなければならぬということになると、これは私どもから言わせれば、経済成長政策で過大になった工業製品を売る過程において農業を犠牲にするのだ、私は必然的にそうなると思うのです。日本の現況から見て足りないというものはない。米は余っておる。その他の食品は、国内生産と輸入を合わせれば足らぬというものはないわけですね。そこで、国際収支の帳じりを、農産物自由化して、その輸入量を増大して、国際収支の日本側のいわゆる輸出超過分を、相手の国が納得するようにバランスシートをとっていくということになると、そこにはある程度の輸入量が必然的に起こってくる、こう判断するのですが、これはどういうふうにお考えになっておるか。  それからまた、今日、たとえばEECを見ますと、工業製品の輸出に日本ほど力を入れておりませんから、大臣御存じだと思いますけれども、国内市場価格、これは国民消費生活から見た、いわゆる消費者も納得できる支持価格をつくって、その支持価格に達するまで課徴金をかけておるわけですから、この課徴金は日本の円にすると数千億円の課徴金が財政収入になっておる。ですから、その支持価格を下回った農産物国際市場から入ってくるという心配は、EECの農民にはないわけですね。ただ問題は、マンスホルト・プランでいわれておるように、農業規模が非常に小ざいですから、その支持価格で他産業との均衡所得にならないから、その均衡所得は価格政策ではいけないから、経営の拡大でいくというのがマンスホルト・プランでしょう。国際競争だとか、そんなことをEEC農政の中で——EECを一週間歩いてきました。ベルギーのEEC本部でも聞きましたけれども国際競争だとか、国際化進展に伴って農業がどうだとか、そんなことはEECの農民は心配もしていないし、そんな農政はEECに行ってみてもなかったわけですね。そうすると、日本で現在、きょうは大会も開かれ、グレープフルーツの問題が非常に問題になっておりますけれども、これらの一連はやはりそこに問題があると私は思うのですね。この決着をつけてかからぬと農政の上で、あるいは農政を飛び越えた国全体の、民族独立の要件である食糧の自給というものをきちんと踏まえた政策化をしないと、国際収支の余剰——貿易自由化によってある程度の余剰になる、あるいは日本の工業生産がもっと伸びていくと、それはもう食糧を全部買っても工業生産が上回るかもしれません、こんな情勢でいくと。そういう国の政策の一つの大きな基本をつくって、それに基づく農政でなければ、絶えずこういう表現で、農民のいわゆる不安を解消しと表現されますけれども、不安の解消にもならないし、農家農民信頼して農業を職業として定着することはできない、こういうことになるのではないかと思うのです。この点の基本的なお考えをまず最初に承りたいと思います。
  91. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 最初農産物の自給の問題が出ましたが、私も、独立国であり、日本として戦争になるからなんということではなくて、やはり国民の食糧は国民がまかなうというような自給体制というものは必要だと思います。そういう関係から、自給体制は進めていくという方針に変わりはありません。  しかし、貿易の自由化によって自給体制がそこなわれるか、こういう問題でございますが、それにはやはり生産性の問題といいますか、国際間におきましての日本農業の弱さがございます。御承知のとおり、ヨーロッパあるいはアメリカ、ソ連等と違いまして、何といたしましても日本農業は小農形態でございます。これを大農にするという考えは私は持っていません。持っていませんが、規模等を拡大したり構造を改善しまして、少なくとも抵抗力を持つ、そういう形にしていくということは私は必要だと思います。  そこで、自由化の問題にも関連しますが、お話しのとおりに私も実は考えてはおるのでございます。自由化の目的によって、自由化の目的に沿うような形に持っていくべきが至当である。たとえば工業生産物などにつきましては、自由化をすることによって国際収支の均衡などもお互いにとり得るし、農産物につきましては自由化の目的に沿うウエートが非常に低いのだ、こういうふうに私は考えています。しかし、これももう数年前からガットその他の規定で自由化品目というものがきまってきておりますので、いまさら根本的に立ち返って自由化の品目等の問題をくつがえしていくということは、国際的に非常に困難だと私は思います。でありますので、その点は品目だけじゃなくて、ほんとうはウエートを考えて自由化というのはすべきだとは考えますが、いまといたしまして、それも国際間でなかなかむずかしいことでございまするから、できるだけ自由化の目的に沿うようなウエートを持つような方向に全体としては向けていくべきであって、農産物自体におきましても日本農業を阻害しないような品目というものを選んで自由化に沿うていか、ざるを得ないのじゃないか、こう考えております。確かに工業生産物がたとえばアメリカ等に相当輸出できる、あるいは農産物日本のほうへ相当輸出されるということになっては、日本のほんとうの国益にもならぬわけであります。ただ日本の状態は、御承知のとおり、日本農業の形態が零細農業であると同時に、国際的に見ますると、一面においては先進国であると同時に、また一面においては後進国とのつき合いも多くなってきているわけであります。後進国等につきましても、いまのように農産物等を日本に売りたい、こういう要望が非常に強いのであります。こういうことで日本は板ばさみというか、先進国からもあるいは後進国、ということばが悪いかもしれませんが、そういう方面からも、貿易の面ではさみ打ちを食っている、こういうような状況であると思います。でありますので、この間に処して、やはり日本の立場、ことに私どもの担当している農業の立場を強める、こういうことが、長い目で見まして、そう長い目でなくても、これは非常に大事なことだ、こういうふうに考えております。でありますので、農業に対する基本姿勢といたしましては、何といたしましても日本農業を体力の強いものにしていくということが一番大切なことだ、こういうふうに基本姿勢としては考えて、その方向に沿うていろいろな面から施策を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  92. 美濃政市

    ○美濃委員 大臣のいまの話、大体わかるのですが、私の考えはちょっと違うのです。農産物は大切な、一日三食欠かすことのできない、国民生活のエンゲル係数が三〇%、これは文化国家で三〇%とECでは聞いてきました。それをこえると、やはり文化国家の水準にいかないわけです。問題は、私は、農産物の需給価格の焦点は、やはり国民の所得、エンゲル係数から文化国家としての価格体系でなければならない、これはやはり私は原則にすべきだと思うのです。海外の価格には非常に私は無理があると思うのです。ダンピング価格があり、あるいは砂糖のごとき、発展途上国の貿易の弱さにつけ込んで、自国の、文化水準の高い国で、たとえば日本でサトウキビで砂糖が生産されたとしても、あるいはECでサトウキビが気象的に耕作可能であったとしても、均衡所得、基準労働の中で現在の国際糖価でできっこないわけですから、結局発展途上国を搾取する貿易であるかあるいは過剰国のダンピング価格があるというのでありますから、そういうのを国際価格と言ってみたって、これは当たらぬのでありますから、やはり農産物価格は、その国その国の国民の基準生活価格を維持しなければなりませんし、それを維持するための、そうしてなおかつ農民にはこれまた他産業並みの所得でなければ、こういうふうに世の中が発展してきますと、低い水準で農業だけ働けといったって、そうはならぬわけでありますから、そこの、他産業の均衡所得と国内の国民生活の基準価格生産価格とする接点を構造政策で求めていくのが私は正しい農政でなければならないと思うのです。だから、いまの自由化された国際貿易システムの中で、繰り返しますが、工業製品が売れたその国際収支の超過輸出分を何か買わなければ、相手方の国はちょうど日米経済会議のようなことになるわけですから……。それをやはり農産物で輸入するのだ。工業生産の超過輸出なんですから、工業製品を買えばいいのですね。いかなる形態の農民の所得も価格政策だけで守るということは財政上できないことなんでありますから、もちろん構造政策生産性は高めなければならぬのですが、生産性を高めるのは、やはりダンピング価格国際間において貿易力の弱い国の、非常に不正常な安い価格国際価格が形成されておるようなものの価格を対象に、国際価格なんだ、これと競争させる、競争価格なんだというものではないと私は思うのです。そういう問題はある程度現在の政府でもやっていないとは私は言いません。いろいろな価格制度を設けて、あるいは支持価格制度を設けてやっておるわけですから、ある程度のことをやっているのですけれども、今回は特に日米経済会議をめぐって非常にその点が心配になってきた。巷間伝わっておるところでは、九月の上旬の日米経済会議には、さらに、この残してあります十八品目のうち、農林省事務当局レベルのこれを自由化した場合の検討などはもう抜きにしてしまって、閣議で抜き打ちに決定してしまって、牛肉とか雑豆類とかトマト製品、こういうものをおみやげに持っていくのではないかという話を私どもは聞くわけです。また新聞にも一部そういうニュアンスみたいなものが報道されてくるわけですね。そうなってくると、日本の工業製品が売れて国際収支が黒字である限り、日本農業生産を否定した政府姿勢になってくる。国内自給を否定した行為になってくるのではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  93. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 大きな立場から言えば、輸出振興ということで日本の貿易関係では進めてきたわけであります。しかし私は、輸出ということよりも、ほんとうはもう少し変わってきて、輸入を差し控えるというふうに相手方にも協力させるようなことで、輸出振興、輸出振興の一本やりでいかないような情勢ではないかと思います。そういう点ですから、全体の経済関係というものも、日本の立場からいえば国際的によほど転換しなくちゃならぬような時期だ、こう見ていますが、それはそれといたしまして、近く日米間の経済会議が開催されます、その経済会議アメリカ自由化要請に応じて日本でみやげ品を持って臨むというような態度は、私はとるべき態度じゃないと思います。しかし自由化の残存品目もございますので、その品目の軽重等につきましては、国内的にも、あるいは閣僚会議等におきましてもいろいろこれから論究しなくてはならぬ問題もございまするし、また向こうへ行きましても日本事情——おっしゃるとおりのような日本農業をめぐっての国際関係のことやら、日本の国内の農業関係等もよく向こうにも理解させる、こういう態度で私は臨むつもりでございまするし、またそうしたいと思っております。
  94. 美濃政市

    ○美濃委員 いまの大臣の決意は了解できるわけです。そうすると、ここまできた話ですから、前段に申し上げたように、単に農林大臣だけでなくて、私は、赤城大臣経済閣僚として実力大臣だと尊敬しているわけでありますが、いま日米間で問題になっております円の切り上げの問題あるいは日米間の最近の非常な日本の超過輸出の問題等は、基本的には、私の考えに対して大臣は間違っておるという表現ではないわけですから、いまの答弁も私は了解できますが、やはり日本の秩序を守る自給の原則は民族独立要件としてくずさないということを基本とするということになると、日本の貿易の超過解消を、向こうは輸出の規制なり円の切り上げをして日本の商品を割り高にせよという要請がいろいろあるわけですが、これはどの方向で解決されていきますか。日米経済会議に臨む日本経済閣僚としての基本的構想は、方向としてどこらでまとまるのですか。何かまとめていかなければ——このままでいけば、日米間の貿易収支は日本側の二十億ドルくらいですか、超過輸出になるだろう。それではアメリカも片貿易で承知できないということなんですから、この接点はどこらに求めていくことになりますか。
  95. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この接点は非常にむずかしいと思いますが、円の切り上げ問題については、私は、国内的にはこう考えておるのです。円の切り上げということによりまして日本経済に相当混乱を来たすおそれもありますので、これは切り上げしない方向がいいと思いますが、しかし切り上げしないで——国際関係日本の貿易収支が黒字である、日本の金のほうも相当ふえてきた。それで、これを日本農業から見まするならば、輸出ということもさることながら、やはり日本の国内において購買力をふやす。円の切り上げというのは不景気対策という面もありまするから、経済がよくなってきてないのをとめる、こういうことでございますから、それをとめるということについてはやはり国内の購買力を養う。その購買力を養うのに農村、こういうものの購買力というものを相当培養していくということが円の切り上げを阻止する面でもあり、また一面におきまして円の切り上げによって景気が後退するということを差しとめる意味も持っておる。こういう意味におきまして、私は、円の切り上げを阻止するための自由化ということだけではなくて、経済が落ち目になってきたのを押える、こういう意味も私は持っていると思います。そういう意味ではやはり農村の購買力を養う。その購買力を養う方面に財政支出あるいは金融等も回すようなことにして、そうして私の目途としている国際競争力、この国際競争力もおっしゃるとおりどことの競争力というような対象もありますが、一般的にいって国際競争力を養えるような農業の体制、こういうものを整えるのが筋道だ、こういうふうに考えているわけでございます。
  96. 美濃政市

    ○美濃委員 どうもそこがちょっとニュアンスが違うのです。私はやはり農業国際競争力ではなくて、農産物価格農業生産性、それから非常に高い日本流通体系の改善といったやはり国民生活の毎日の食糧、そこに重点を置くべきであって、もちろん、そのことが——国際競争にうちかつだけのものがたとえばできたとしますか、日本農業国際競争力が強くて海外から入るものに負けない価格になったと仮定しても、今回日米経済会議で起きているような問題、いわゆる日本国際収支の黒字、輸出超過に対する二つ三つの条件をあげておるわけですが、この問題は、そういう状態になれば、日本はどんどん工業製品を輸出していって、最後は国際手形の決済がつかなければ金でやりますから、たとえばいまのようにいわゆる為替管理をして日本銀行の金庫に手形が山になっても、これはやはりたいした——どっちかというと円で決済して輸出した受け取り手形が現実の経済の循環行為に働かないで日本銀行の金庫に眠っているとしますと、どちらかというと、一面これは国内に円増発のインフレ要因になって、あまり経済的な効果というものにはならないわけですね。あるいは膨大に、いま七十億ドルくらいの黒字だというが、これを金で決済要求をして金を積んでみても、金そのものは積んだというだけであって、現実の発展する経済効果はない、借金したり国際収支の赤字よりはけっこうだけれども、そういうふうになると私は思うのです。そういうところに日本の貿易と、これを取り巻く輸入国との国際収支をめぐる一つの問題があると私は思うのです。だから、日本が七十億ドルの黒字だからアメリカはああいうことをいうのですが、今日、日米間が反対の貿易収支の状況であったら、なんぼアメリカでも私はああはいわぬだろうと思うのです。つまり、日本が年間アメリカから二十億ドルも輸入超過になっておるということだったら、円を切り上げろとか、売る物を少し制限せよとか、私はなんぼアメリカでもそうはいわぬのじゃないかと思うのですが、そういういわゆる一般の体制、いま大臣の言われた国内需要を喚起するような政策、これはけっこうだと思いますけれども、そのことだけで解決はちょっとめんどうだと思いますし、また、あくまで私は農産物国際競争というものは——現時点、流通も悪いし、ことしの春の物価総合審査をしたときも、大体日本の食糧品全体をさす消費価格というものは、総理府統計で、国民一人当たり平均所得の三二%という表現をされておりましたね。そうすると、ちょっと高いですね。これはやはり一面、生産価格が高いだけでなくて流通も悪いわけですけれども、これはやはり高いと言わざるを得ないわけですね、文化国家として。やはり消費者に迷惑がかかっておる、こういうことになるわけです。消費者の生活が、基準が三〇%をこえるということは好ましくないわけですから、そうすると、こえた部分だけはやはり基準よりも消費生活が食生活で圧迫されておる、こう言えるわけですから、こういう面の当面改善をしなければならぬが、端的に私は、やはり農産物価格を、国際競争という表現については、私が申し上げたように考えるべきであって、その中から日本の国の物価なり、日本国民生活を守っていくべきであって、単に外国農産物と比較して国際競争ということはどうかと私は思うのです。  それから、時間の関係で、あとの質問者も控えておりますし、中間に予定の時間もかかっておるようですから、最後にお尋ねしたいと思いますが、九月上旬開かれる日米経済会議また日米経済閣僚会議、これには、日本農産物の、いま二十八品目あるいは九月末に予定しております自由化する予定品目、十七品目、これは軽々として、自由化しておみやげに持っていかない、まあ、自由化しても影響がない、そうさしたる影響がないという品目も私が見てもあるようであります。しかし、もう壊滅に瀕するものもあるわけですから、その品目を耕作しておる地域、壊滅に瀕する地域もあるわけであります。そういうものは絶対におみやげにぶら下げていくようなことはあり得ない、これはそういうふうにきょうの大臣答弁、お考えとして受けとめてよろしゅうございますか。この点だけをもう少し明確にきちっとしておいてもらいたいと思います。
  97. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自由化のいままでのいきさつからいきまして、自由化をとめる、こういう気持ちは私は持っておりません。ただ、自由化に対する、日本農業に対する影響力といいますか、そういうものを十分検討、考慮して、その品目等についてはなお検討していかなくちゃならぬ、これとこれはやらぬ、これとこれはやる、こういうことをいままだ決定しておりませんので、私もまだ研究も十分していませんから、研究の上、対処していきたい、こう思っております。
  98. 美濃政市

    ○美濃委員 終わります。
  99. 藤田義光

  100. 小宮武喜

    小宮委員 私は、新大臣が、いままでの歴代の大臣より一番農業農民を愛するということを伺っておりますので、その立場から、ひとつ大臣に今後の農政について若干の質問を申し上げたいと思います。  まず大臣は、就任の第一声として、現在の食管制度の問題については、やはり時代に合わなくなっておる。したがって、時代に即応したものに改めたい。しかし、あわてることはしないというようなことを就任の第一声で言われておるわけですが、大臣のこの食管問題についての所見をひとつ正式にお聞きしたいと思います。
  101. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 申すまでもなく、食管制度は、米の統制の一つの方法でございます。米の統制の歴史を見ましても、あるいは米穀法の時代のときもありましたし、あるいは米穀統制法という時代もありました。戦争に入りまして、食糧管理法と、こういう法律になりました。やはり法律ができるのには、そのときの環境あるいは政治情勢あるいは農村情勢等もあると思います。でありますので、食管制度ができました当時におきましては、少ない米を人々に平等に配給できるような仕組みで食糧管理法というものができたことは御承知のとおりだと思います。しかし時代もだいぶ変わりまして、米が多くなって、その多くなったものを配給する、こういう時代になってきています。でありますので、現在におきましても、米の生産の調整政策というようなこともとられているように時代も変わりました。しかし根本的には、私は米というものは手放しにして、野放しにして、統制というもののない自由取引の制度にするということは、これはたいへん危険といいますか、食生活を守っていくのに対しまして危ぶんでおります。でありますから、全然これを野放しにして、自由販売というような形、取引所でも設けて、そうしてやるというようなことになりまするならば、相場の変動もございまするし、あるいはまた生産者にとりましても、生産の目標が立たない、こういうことでございますので、野放しにしていくということは、私は、これはとるべき政策ではないと思います。しかし、何としましても主要食糧でございまするから、生産面におきましても、消費面におきましても、安定した対策というものを講ずるのが至当だと思います。そこで現在におきましても、そういう制度下にありまして相当食糧管理法の効用といいますか、効果は私は保っておると思います。しかしこまかいことにつきましては、いろいろ食管制度の中でも変質を来たしている面もございます。ですから、食管制度を改正する、こういうような気持ちは私は持っていません。持っていませんが、だんだん変質しておる社会情勢に応じて、食管制度のものも洗ってみたい。研究してみたい。こういうような形で、食管制度の研究会といいますか、そういうものを設けて、いろいろ学識経験者等の話も聞いたり、社会情勢に応じてどういうふうに運用していったらいいのか、こういうことを検討してみる一つの段階かと、十年ほど前に農林省にそういう研究会を置いたことがございました。置きましたが、資料が非常にたくさん出ましたけれども、どうこうするという結論は出ませんでした。そういうこともありました。今度もこの研究会におきましてどういうふうに改正するんだとかということを目途として研究をやっているのじゃなくて、ひとつ洗ってみよう。情勢に応じてどういうふうに食管制度が運用されておるか、これを洗い直してみよう、こういうつもりで研究会を設けていく、こういうような気持ちでおります。
  102. 小宮武喜

    小宮委員 それではさらに、大臣はやはり就任翌日の記者会見で、生産米価の問題にちょっと触れられております。その中で大臣が言われていることは、農民感情を考慮して、合理的な範囲で生産米価を来年度から引き上げたい、こういうふうに私承っておるわけです。また水田大蔵大臣もこの問題について、米の減反政策を進める以上、その補償として適当な水準で生産米価を引き上げることは理屈にかなっておるというようなことを言われておるわけですが、この発言は、大臣がそのとおり言われたのかどうかは私もちょっと自信はないのですが、そのような意味のことを言われておりますので、そうであればことしは、来年の生産米価については引き上げるということの公約だとみなしていいかどうかということを質問したいのです。
  103. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 総合農政などということばがございますが、物価もやはり総合的に考えていかなければならぬと思います。物価全体を上げるということにつきましては私も賛成いたしません。賛成いたしませんが、私などの考え方からすれば労働賃金もやはり労働力の売買なんだ。やはり物価一つだと思うのです。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 労働賃金も相当上がっている。農村における労働賃金だって上がっている。こういう時代において米価だけは押えるのだ。ほかのものは情勢に応じで変わっておるにかかわらず米価だけは押えるのだ。こういうようなことは農民だけは特殊部落、農業だけは特殊部落みたいな感じを農民に持たせると私は思います。ですから、こういう現状で押えるのだ、こういうような考え方は改めたらいい。情勢に応じて弾力をもって米価においても手を加えるべきだ。しかしそれが直ちに大幅に上げるというふうにとられては困りますが、そういうことから私は発言をいたしました。これは、私の考え方は当然だと思うのです。それだけは何年も押えておく。ほかのものは動いているのですから。そういう観点から生産米価はある程度弾力をもって決定すべきだ。ただしこういうときでございますから消費者米価には手をつけない、現状のままでいくような形がこれは物価対策からいっても必要だ、こういうような意味のことを記者会見に言ったわけでございます。これに対していろいろ反対の意見もあるようでございますし、また賛成の意見もあっちこっちあるようでございます。しかし私はそういう方針はとりたい、こう思っております。
  104. 小宮武喜

    小宮委員 時間がございませんのでいろいろ小さいことについては省略します。いま消費者米価の問題に触れられましたが、やはりこれについても大臣は結局物統令から適用除外をしてもいまのように過剰米が非常に七百万トンもあるという状況の中では消費者米価は上がらぬというようなことを言われておりますね。この問題についてもいろいろさきの通常国会でも物統令を除外した場合どうなるかという問題がありましたけれども、それはさておいて、大臣が、いま消費者米価を物統令からはずしてもいまのような状態では消費者米価は上がらぬということについてもう一度正式にひとつ見解をお聞きしたいと思います。それと同時に、物統令をはずす場合の時期が十月ともいわれ、また十一月ともいわれ、いろいろなことをいわれておるのですが、いつからはずすようになるのか、その点もあわせて大臣のお答えをお願いしておきたいと思います。
  105. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま食管制度もございます。食管制度もありますので、その食管制度におきまして供給のほうの生産のほうが相当生産過剰といいますか、こういう時期でございます。こういう時期でございますので、米の少ないときと違いまして物統令の除外をしても、これは見通しでございますが、見通しとしては消費者米価が上がるという見通しは私は持ってないわけであります。私心理的に上がる上がる、こういうような心理的影響はないわけではないかと思います。しかし事実面として供給が過剰な時代でございますから、需要に対して供給が過剰な時代でございますから、物統令の適用を除外したからといって私は消費者米価が上がるという見通しは持ってないと見通しを申し述べたわけでございます。
  106. 小宮武喜

    小宮委員 農林省として円対策の八項目についていろいろ検討を急いでおるようでございますが、何か今週の金曜日ですか、この円対策についての各省の具体的な対策を持ち寄って検討するようになっておるというふうに伺っておりますけれども農林省の円対策に対する具体策についてひとつお聞きしたいと思います。
  107. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 八項目の円対策の中の自由化の問題を中心として検討しておるわけでございますが、お話しのように、この間各省の官房長会議がございまして、各省ともいままでどういうふうな進行状態か、こういう経過の話し合いがあったのでございます。これは官房長から答えさせてもいいのですが、そういう話で、しかしどれとどれをどういうふうにしてという具体的なこれからの対策ではなくて、いままでの経過を一応話し合って、そしてこれは各省とも大いに協力していくことにしよう、こういう話し合いだ、こういうふうに私は報告を受けております。
  108. 小宮武喜

    小宮委員 それで政府としては、この残存輸入制限品目を大体今年末か来年の四月ごろまでには全品目にわたって自由化しようという方針のようでございますが、これについて特に農林物資に関して自由化のスケジュールで九月もありましょうし、いろいろ段階的にありましょうが、現在わかっておる範囲内で、農林物資の自由化のスケジュールについてもしわかっておればひとつ御説明を願いたいと思います。
  109. 小暮光美

    ○小暮説明員 現在まで政府部内で方針が確定いたしておりますのは、本年の九月末までにあと二十品目を自由化しようということがございます。その中に農林物資がブラッセル関税表で一税目となるものが十四品目、それから一税目になりません、俗に枝番といっておりますものが三品目含まれております。それ以外のものにつきましては現在政府として確定した方針はございません。
  110. 小宮武喜

    小宮委員 先ほどからも非常に問題になっておりましたこのオレンジ、こういったものはどうなりますか。
  111. 小暮光美

    ○小暮説明員 ただいま九月末までに自由化を予定しておる品目数を申し上げました中にオレンジは入っておりません。
  112. 小宮武喜

    小宮委員 九月末までの中には入っておらないかもしれませんが、いま先ほど申し上げましたように、今年末か来年の四月末までに全品目にわたって自由化するというふうになれば、早晩近々のうちに、やはりこういったものをすべて自由化するという考え方ですか。それともそういったレモンとかオレンジとかいうようなものは農民に非常な打撃を与えるので、やはり相当圧力があっても、こういった農村に非常な打撃を与えるような品目については大臣としてはやはりあくまでがんばって自由化しないという考えがおありですか、どうですか。
  113. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは慎重ということばを使うと総理大臣みたいになってしまいますが、慎重に十分検討いたしたいと思います。
  114. 小宮武喜

    小宮委員 この自由化に対して、大臣、こういうようなことを言われているわけですね。この自由化を防ぐには生産性を高めて国際競争力を持った近代農業体質改善をはからなければならない、これはごもっともなことでございますが、しかし、非常に言うはやすく行なうはかたしという昔からのことばがございますが、すぐそういうようなことばをややもすれば安易に使われるのですが、これはなかなかむずかしい問題だと思うのです。そうすると、またこれに対してそれもやらなければいけないということで、たとえばグレープフルーツの場合も同様ですが、自由化による目先の損失については、損失補償というものは考えないということを言われておるわけですね。だから、具体的にいえば、いまのようにたとえばそれなら国際競争力を持った近代農業に脱皮するための具体的な構想はどういうような構想があるかといえば、これはまた非常に時間がかかるので言いませんが、やはり自由化に対して、一つはそういう長期的な対策と、一方では当面する対策と、二つの面が考えられなければならぬというように私は考えます。そういった場合に、目先の損失補償をしないと言いますけれども、これも前の倉石農林大臣のときですね、真偽のほどは別として、たとえばグレープフルーツ自由化によって影響を受けるミカン類の生産者、加工業者に対して、価格安定制度をとる方針のもとに、来年度予算で十億程度の救済資金を支出する考えであるというようなことを承っておるわけですが、その考え方があったのかどうかは別として、もしそういうようなことを前の倉石農林大臣が考えておったとすれば、一番農業を愛する赤城農林大臣としては少しもの足りないというような感じを持つわけです。やはりそういった意味では、そういった長期的な対策と、目先というとおかしいですが、やはり影響を受けるそういった農民に対しての補償とか救済、名前は別にしても何らかの措置を講ずべきではないかと考えるのですが、どうでしょうか。
  115. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 価格面からいいまするならば、国際競争に対抗できるような農業体質改善、こういうことが目途でございます。いま急にそれが自由化に間に合うという問題でございませんが、これは農業の永久性、恒久性というものを考えますると、どうしても国際経済の中に日本農業も入っていますから、そういう方向で体質を改善していく、こういう目標を持って進みたいということでございます。また、直面している自由化の問題に対しまして、それでもって事足れりというふうには私も考えておりません。やはり恒久的なものと同時に、いま問題になっておる自由化に対しまして、それに対しまする対策ということも研究しております。また農林省内におきましても研究させております。それが十億になるか幾らかということは言いませんが、ただ、その考え方として、救済だ何だという、何か農民の主体性を認めないでいつでも救ってやるのだ、救済するのだ、また農民のほうでも、ことばは悪いが、何か無視されて救済されているのだという感情を持たせるのは私は悪いと思うのです。そういう意味におきまして、うしろ向きじゃなくて、前向きに、たとえば振興対策というようなことで当面の措置も講じていくべく事務当局にも検討させておりまするし、これは事務当局ばかりでなく、財政当局などともいろいろ打ち合わせをしなくちゃならぬ問題もございます。捨てておくわけじゃございません。そのほうがまず先でございます。そういう考え方で進めております。
  116. 小宮武喜

    小宮委員 グレープフルーツ自由化によって大体どれくらい日本に入ると思っておりますか。たとえばある人は三万トンと言い、ある人は十万トンと言い、いろいろな見方があるわけですが、それによって日本農民の受ける影響も非常に違うと思うのですが、輸入自由化によってグレープフルーツが輸入される数量は大体どれくらいと見込んでおりますか。これは園芸局長でもけっこうです。
  117. 荒勝巖

    荒勝説明員 自由化以前の四十五年度におきましては、グレープフルーツとオレンジとを一緒にして約七千トンの割り当てをしておりまして、輸入実績といたしましては大体二千五百トン以下、二千二百五十トンと記憶しておりますが、そういう程度のグレープフルーツが昨年度において輸入されております。このグレープフルーツが完全に自由化されました現在において、今後どのくらいの量が輸入されるかという見通しにつきましては、従来のくだものが自由化されたときにはやはり相当輸入量がふえておりますので、われわれ事務当局といたしましては、最低この一年間に、四十六年度において一万トンを下回らない数量が輸入されるものと思っております。ただ、今後将来の問題といたしましては、アメリカがカナダ等に輸出しております輸出実績等を見ながら、また日本における嗜好性の強いこういうくだものの将来の需要といたしましては十万トン前後になるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  118. 小宮武喜

    小宮委員 今後の自由化の対象品目の中には、畜産とか園芸なんか、わが国の今後の総合農政の立場から見て非常に大ものが入っているわけですが、したがって、自由化された場合に総合農政との関連はどうなるのか。もちろん総合農政に支障を来たすようなことになりはしないかということも考えられるわけですけれども、今後自由化が全部されたとした場合の総合農政との関連について・ひとつお聞きしておきたいと思います。大臣でなくてもけっこうです。
  119. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実は総合農政の名前どおりに総合農政が進んでいるかどうかということも疑問だと私は思うのです。現在の段階におきましては、総合農政が米を通じての総合農政ということだけで、全体の総合農政について成案といいますか、こういうふうにやるのだということまでまだ固まっていないと思います。また、総合農政ということばを使うとすれば、私は総合農政ばかりでなく、総合国政の中に農業というものも入っておると思います。そういう意味におきまして、この自由化の問題も、総合農政から、総合国政の中で論じられておると私は思うのです。しかし問題は、自由化の問題に一番接触点が多いのは農業でございます。そういう意味におきまして、自由化の影響というものも農業全体にございまするし、国政全体からも見なくちゃなりません。そういう意味におきまして、自由化の問題も先ほどから御論議がありましたとおり、大きな面からこの影響力あるいは農業を——こういうことに対して対抗できる体質、あるいはまた対抗できないものも出てくるかもしれません。そういうものを、これこそ総合的に検討いたしまして、日本農業の体質をよくしていくという意味におきまして、自由化の問題も非常に強い関連があると私は思っています。
  120. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、先を急ぎますので……。その場合、結局、午前中の答弁にもありましたように、たとえば国内のミカンが出回る十二月から五月までの六カ月間はグレープフルーツの関税二〇%を四〇%に上げておりますね。こういう関税関係について、たとえば完全自由化になった場合に、こういう保護政策は取っ払ってしまうのか。農林物資に対する関税の問題を、これは大蔵省のほうにお聞きしたいと思います。
  121. 植松守雄

    ○植松説明員 いま、自由化された場合にそれに伴う関税政策はどうなるかというお尋ねでございます。これはもとより、個々のケースによって具体的に合理的な関税のあり方を考えなければならないわけでございます。  一般的なパターンを申し上げますと、たとえばいままでの例で申しますと、従来クォータによって保護されておった場合には、いわば関税率は二の次でございます。しかしそれが自由化されますと、マーケットプライスに影響を及ぼす要因として関税が重要な意味を持ってくるということになるわけでございますから、本来の関税政策が重要になってくるわけでございます。そこで従来の例といたしましては、自由化に伴いまして関税を上げておるものも、もちろんございます。それからまた、中にはクォータによって相当保護されて、自由化されると同時に、まだ引き下げても十分国際競争力があるということで従来の関税よりも下げておるという例もないではございません。また最近のように非常に複雑な事象に関税を機動的に適用するためには、単純に関税率を上げるということだけで対処するのは必ずしも適当でない。  そこで、関税上のいろいろなくふうがございます。たとえば一つは、関税割り当て制度というものがございまして、国内の需給を勘案いたしまして、一定の限度までは関税を下げる、場合によったら無税にする。しかし、あまり過大に無税ないし低関税の物資が流入するということになりますといろいろな影響が出てまいりますから、いわゆる二次税率と申しまして、高い関税率で保護するというようなやり方、これは国内の生産者といわば消費者の利益を調整するための一つの方法でございます。それから、スライド関税と申しまして、価格の変動に応じまして関税率を操作していくというようなやり方もございますし、一定の、たとえば基準価格、保証価格といったようなものを前提にいたしまして、それとの差額について関税を徴収していくといった差額関税という方法がございます。  いずれにいたしましても、ケース、ケースによりまして、こういった関税のいろいろなパターンをにらみ合わせて適切な対応を講じていくということになるかと思います。自由化のねらいといたしまして、やはり消費者に外国の良質の商品を提供するということが大きなねらいでございますから、クォータを取っぱずした見返りとして単純に関税を引き上げて、その効果を減殺してしまっても、これは意味がございません。やはりいろいろな方面をにらみ合わせながら、消費者の利益、それから生産者の保護という各種の観点を考え合わせながら適切な方法をとっていかなければならない。それはやはりケース、ケースで十分に考えていかなければならない、こういうふうに思っております。
  122. 小宮武喜

    小宮委員 時間がございませんので、次に移ります。  私は、悪臭公害について、これは非常に緊急を要する問題でございますので、環境庁、農林省、法務省に対して質問したいと思います。  この悪臭公害については、さきの通常国会で悪臭防止法が成立を見ましたけれども、この悪臭の測定基準や防止装置の改良などの諸準備のために、法律の施行までにはやはり二年ぐらいかかると見られておりますが、その間は全くお手あげの状態になるというように私は考えております。その例を一つ申し上げまして、皆さん方の所見を承りたいと思います。  と申しますのは、公害の発生源は、長崎県の佐世保市にある二つの飼料工場でございます。この二つの飼料工場が同一敷地内にあって、それぞれ、昭和三十九年と四十一年から、魚の骨やはらわた、鶏の羽毛、これを原料にして鶏とか豚の飼料をつくっております。ところが、そのどちらも熱処理をする場合に非常に悪臭を放って、地元では、とにかく頭が痛い、吐きけを催す、中には病院に通院しておる人もおるわけです。特に夏などは、もう地元では洗たくものもふとんも干せない。いわゆるにおいがしみ込むわけです。また、隣に国立の佐世保工専がございますが、ここも夏は、くさいから窓を締め切って、蒸ぶろ授業をやっておるという現状でございます。この数年間、地元の住民は非常に悩んでいるのです。  ところが、この地元の住民たちも、いままで県とか市に対策を要望して、いろいろ訴えてきておるのです。しかし市のほうも、何とかしましょうということで善処は約束するけれども、具体的な措置は何らなされていない。県のほうも、そのうちに悪臭工場を県下のどこか一カ所に集めてやろうといっておるけれども、これもまだ計画の段階で、何も具体化されておらぬ。住民たちは、これではもうどうにもこうにも、県にも市にもまかせておられぬ、みずからひとつ悪臭を追放しようではないかということで、悪臭追放住民会議を結成して、そこでデモをやったり、抗議集会を持ったり、いろいろやっているわけですが、そのたびごとに工場側と地元側と感情的な対立がだんだんエスカレートしまして、今月の八日には住民の人が、あまりにおいがするものだから、その工場に行ってガラスをたたき破ったという事件が発生して、その人は器物損壊で、いま佐世保署で取り調べを受けておるのです。そこで地元の人は、今度は九日の日には、人権擁護委員会に、おれたちの人権はどうしてくれるんだということで訴えておるのです。  この問題について私も、昨年の十月の下旬にこの工場に参りまして、いろいろ企業主とも話し合ってみました。ところが、その企業主が言われることはもっともなところがあるわけです。保健所なんかも来ていろいろ文句は言うけれども、金の問題はこうしろと言う人は一人もおりません。ただ、くさいからけしからぬじゃないか、出ていけと言うだけでは、われわれもどうにもなりません。自分たちも早くどこかに移りたいということを漏らしておりました。しかし、そういうふうに申しても、その問題は現在までそのまま推移してきて、いまのような状態にまで発展しておる。  私しみじみ感じますのは、公害問題で悪臭防止法という法律ができても、たとえば第八条第一項の改善勧告あるいは改善命令にしましても、はたしてそれだけで解決できるのかどうか。大企業ならいざ知らず、中小企業という名にはほど遠く、まだこの人たちは小企業、零細企業なのです。そういうような人たちの悪臭公害というものはほんとうにいまの政治の中で解決できるのかどうかということを私はしみじみ感じております。またこの問題については昨年の十一月十日の本委員会でも私はこの畜産公害、悪臭公害問題を取り上げておりますけれども、いまの実態の中ではどうにも解決できないという問題が横たわっております。これを思いますと、私は、この公害問題についてもいまのような事態でほんとうにこのような悪臭公害、特に養豚、養鶏に関するこの悪臭公害にしても、小企業、零細企業の場合にはたして追放できるのかどうかということを、もう金につながる問題だけに、私はしみじみ感じてまいっております。その場合にあまりにも政治の貧困と政治の矛盾を私は感ぜずにはおられません。そういった意味で、ただいまから質問しますけれども、たとえばいまの悪臭防止法が一年先に法律が施行するまでこの問題についてはこのままいまのような問題を放置しておくのかどうかという問題です。現在でもこういうようにエスカレートして、もうすでにガラスをたたき割るという事件が起きておる。そうするとこれはいつ不測の事態が起きないとも限らない。私はそれを非常におそれておるのです。したがっていまあまりにも政治が策がなさ過ぎるのではないかということを感じておりますので、そういうような立場から環境庁に質問しますが、このような状態を今後法律が施行するまで放置しておくのかどうか。私は法律は施行しても、第八条の第一項によって禁止命令を出しても、私はこの問題の根本的解決にはならぬと思うのです。それではやめましょうという場合に、この工場はおそらく長崎県下、佐賀県下を含めて一カ所ですし、魚の骨、はらわた、鶏の羽根などを処理している工場ですから、それではそれを山の中や海の中に捨てていいかというと、そうもなりません。やはりそれを禁止した場合には何らかの措置が必ず必要になる。そのような問題もあるだけに、この問題はただ、いまのままで放置しておくのかどうかという問題と同時に、私は時間がありませんから法律施行の問題については申しませんが、とにかくいまのままで放置しておくのか、何らかの解決策はないのかどうかということを環境庁に質問します。
  123. 松井三郎

    ○松井説明員 お答えを申し上げます。  ただいま御質問がございましたように、先般の国会におきまして悪臭防止法が制定されまして、この六月一日に公布されたわけでありますが、ただいま御指摘のとおりこの施行は一年以内で政令の定める日から施行する、このようになってございますので、現在環境庁といたしましては、本法の早期施行をはかるために一番もとになりますところの悪臭物質の指定あるいはまたどのような基準でこれを規制するかというような基準等につきましての政令、省令というものの準備を鋭意準備しておるわけでございます。またただいま御指摘ございましたように、一年後に施行されましても、非常に規模の小さいような事業につきましては、罰則を伴うような改善命令はなお本法施行後二年間はこれを行使することができない、こういうようなことになってございます。それではその期間環境庁としてはどのようにするのかということでございますが、われわれはこれは非常にむずかしいことではございますが、現在悪臭に関する規制といたしましては、悪臭防止法のほかにへい獣処理場等に関する法律とかあるいは清掃法等がございますので、関連法規を積極的に適用しましてこれらの悪臭防止をはかっていくとともに、関係行政地方機関に対しましては行政指導で解決できるものは極力行政指導で指導するように、このように指導いたしたいと思っておるところでございます。  なおまた、この法律が施行されましても、ただいま御指摘になりましたような小規模な事業に対しましてははたして実効があるのかどうか、こういう問題もございますので、われわれといたしましては、現在正直のところ、この悪臭防止施設につきましては、大きな工場につきますところの施設というものは近時相当開発が進んでおるわけでございますが、何ぶん小規模事業に適するような低額な防除施設の開発が非常におくれておるというのが残念ながらいまの実情でございます。したがいましてわれわれ環境庁といたしましては、まずこれらの小規模事業の悪臭防止技術並びにその施設の改善研究開発というものを急いでおります。また同時に、これらの事業者が独自に悪臭防止施設の設置、改善をするためのいろいろの資金でありますとかあるいは税制上の措置につきましては、極力この特別の制度を適用するように、関係各方面と協力されまして、その措置を講じておるわけでございまして、たとえば、この悪臭防止法の施行にあわせまして、中小企業近代化資金等の助成法に基づくところの融資対象を悪臭防止施設に適用することとしております。また中小企業金融公庫及び国民金融公庫における長期低利の融資につきましても、この悪臭防止施設につきましては融資できるような措置を講じております。また今後におきましても、現在公害防止事業団におきましては、こういういろいろな業種を団地化いたしまして共同の防除施設なりをつくる場合に、いろいろな融資なり増資をやっておりますので、さらにこれらのワクをはかるとともに、税制につきましても、悪臭防止施設の償却でございますとか耐用年数につきましては特別の措置を講ずるように積極的に考えておる一わけでございます。  なお、御指摘にありました工場につきましては、御指摘のございましたように非常に困難な問題でございますが、環境庁といたしましても現地の地方公共団体と十分協力いたしまして、なるべく早く解決するよう努力いたしたいと思いますので、御了承願います。
  124. 小宮武喜

    小宮委員 ここの悪臭防止施設をするためには、私は佐世保市の収入役とお会いしましたところ、いま最新鋭の設備がこれはスエーデンにあるそうですが、まだ世界に三つか四つしかないそうです。二億かかるという話です。だから問題は小企業、零細企業の場合はやはり金の問題になるのですね、いろいろな問題はあるにしても。だからそういった点が私はこの法律の非常な盲点であり、また政治の盲点ではないかというふうに考えますので、どうか前向きにこの問題を早急に解決するようにひとつ善処方を要望いたしたいと思います。  またこの問題については、農林省としてもいろいろな悪臭公害が、養豚、養鶏の場合にはもうすでに昨年十一月十日に本委員会で私が取り上げましたように、各所で起きております。その場合にもまたいまのように法律をたてにとってそのような改善命令、禁止命令を出すということでなくて、やはりそういった養鶏業家、養豚業家に対しても、そういう者は非常に村八分にされてうしろ指をさされておるような状態が現在でも何カ所かありますので、そういうような場合に、農林省としても、悪臭公害に対しては養豚家、養鶏家の立場に立ってそういったような問題を早く解決するような措置を、現行の制度の中で非常にむずかしいとは思いますが、これも何はさてあれ先立つものは金なのです。農林省としても、そういうような問題については現に悪臭公害、畜産公害の問題、いろいろ出ておりますから、そういったものを法律にとらわれずにやはり前向きの形で、あたたかい政治の中でこの問題を解決するようにしていただきたいということを考えますが、農林省では、いまのような場合にどういうふうな解決策をお持ちなのか。いま環境庁からお話がありましたような立場で前向きでやるために、そういった立場でどのように解決策をお持ちであるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  125. 増田久

    ○増田説明員 畜産公害が各地に起きていろいろと問題を起こしていることは御指摘のとおりでございます。われわれの調査におきましても、昨年度の九月現在で全国で四千五百カ所においてこういう問題が起きておるということを承知しておるわけでございます。ただいま先生のおっしゃったような化製場の場合でございますけれども、おそらくかつては人里離れた郊外であったのだろうと思いますけれども、養豚、畜産業の場合もおおむね郊外であった、そこへ急激に都市化してきた、われわれのほうが先住者なんだというようなことで、非常にそういうことが重なってかえって感情的になっているという問題が各地に起きているわけでございます。しかしながら、もう現実に都市化しているわけでございますので、われわれといたしましては、昨年度から団地造成ということで基本的にはそういうところは移転していただくということで、これを国の補助金に組みましてやっているほかに、公庫の金で移転資金というワクも設けたわけでございます。しかしながら、なかなか移転はむずかしいけれども、施設で何とかならないか、こういうものにつきましては、たとえば近代化資金あるいは改良資金、そういったものでごめんどうを見てやっているわけでございます。特に本年度は近代化資金で、従来は公害施設だけ単独には貸せなかったのでございますが、今年度からそういうことの措置をとっているわけでございますが、問題は、先生の先ほど御指摘されましたように、経営に対して施設費がかかり過ぎる、そうすると経営的に合わない場合が起こり得るという問題が実は各地に起こってくるわけで、そういう点にわれわれとして非常に苦慮しているわけでございます。それは結局融資条件の問題であったりあるいは補助条件の問題になったりするわけでございますので、そういう点については来年度予算等におきましても十分配慮したい、かように考えておるわけでございます。
  126. 小宮武喜

    小宮委員 それじゃ最後に法務省に伺います。  いまのように、この問題について人権擁護委員会にいろいろ提訴しておるし、また長崎の法務局の人権擁護課でもこの問題についてはいろいろな調査もし、やっておるようでございますが、いまのような、そういうような地元の住民から悪臭公害に対して人権擁護の立場からいま訴えておるわけですが、それに対してはどのような措置をとるのか。  さらにこの際お聞きしておきたいのは、これは被害者という立場の方の人権擁護もそうでございますが、今度は逆にいえば、その人たち、先ほど言った加害者といえばあれですけれども、そういうような零細企業の場合、やはり加害者の立場に立つ人たちの中でも非常に——これもいろいろ申し上げましたが、罪人扱いにされたり村八分にされておるというような事態があちらこちらで出ております。今度の飼料工場の場合も、私は非常に心配しますのは、この前も新聞に出ておりましたが、公害企業として大阪から追われた企業主が、これが移ったけれども、実際はそこで従業員もだれもついてこなかったということで自殺した例がございます。そういった意味では、このような事件がさらに発展していくと、こういうような企業主の場合に、企業主、従業員を含めて、住民との間に対立が激化した場合にいろいろな不祥事件が起きるかもしれぬ。またそういうような問題も、もう不幸な事態が起きるかもしれぬ。これに対して人権擁護の立場から、被害者の人権はもちろんそうでございますが、加害者の場合の人権も、非常に、村八分されておる、罪人扱いされておる、冷たい目で見られる、そういうようなことについても、われわれ聞いて非常に同情する点がございますけれども、そういうような、御参考のために——加害者の立場に立つ人たちも、おれたちというのは人権はないのかというようなことも率直に訴えておりますし、双方の立場からの人権擁護に対して法務省はどのように考えておられるのか、ひとつ御参考までにお聞きしておきたいと思います。
  127. 井手昭正

    ○井手説明員 お尋ねの事件につきましてはただいま先生からお話のありましたように、目下長崎の地方法務局あるいは長崎の人権擁護委員連合会あるいは協議会等で調査を進めております。この人権問題あるいは人権侵犯事件といいますのは、御指摘のとおり私人間の事件につきましては、人・権と人権の衝突の場合、これがもうほとんどでございます。ただいま問題になっております畜産公害の場合も同様であるというふうに考えております。したがって、人権擁護機関といたしましては、被害者の立場も十分踏まえた上で相手方に対して自発的に被害を排除するために啓発、説得という方向努力しておるわけでございまして、具体的事件に応じましてそれ相応の適切な措置をとってもらいたいというふうに考えております。  なお、長崎県下におきましては、この畜産公害というものが人権擁護の立場から非常に問題になりましたので、県下の人権擁護委員全員がこの実態を、つい最近でございますが調査いたしまして、緊急を要するものが百件以上にのぼっているという報告を受けております。それに対して人権擁護の機関としては、できるだけの、潤滑油的な役割りでもって各関係官庁と協力しながら、忍耐強く被害の排除、軽減あるいは減少していく、なくなしていくといったような方向努力したい、かように考えております。
  128. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、再質問については次の委員会に譲りまして、時間が来たようですから、私はこれで質問を終わります。
  129. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 松沢俊昭君。
  130. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 ベテランの赤城農林大臣大臣に就任されましたので、農業団体等の幹部の人たちもだいぶ期待と希望を持っているというふうに私は見ているわけなんであります。ただ、その期待と希望というのは、いままでの農政というものがやはり非常にきびしいものであった、それに対するところの軌道の修正を、赤城さんであるならばおやりになるのじゃないか、こういうようなものであろう、かように考えるわけなんであります。  そこで私は最初にお聞きしたいのは、「農村の健全な発展なくしては、経済の成長と社会の健全な進展を期することができない」と考えている、こういうお話が所信表明になされておるわけなんであります。そこで、昨年の暮れだと思いますけれども農業の地域指標、ガイドポストですね、これが発表になっているわけなんであります。また最近では、自立経営の指標というものが農林省で案をまとめておられる、こういうことも新聞では見ているわけなんであります。じっと所信表明を聞いておりますと、その中でやはり一番大きな問題といたしましては、農地法というものに何か手をつけられる、それから食管の問題に、また研究会などをつくって手をつけられる、こういうふうなこともここに触れてあるわけなんでありますが、いまやはり農民が一番困っているというのは、大臣も御承知のように農地法の改正もあったわけなんでありますけれども、要するになかなか規模の拡大が行なわれていないという状態になっていることは御承知のとおりだと思います。したがって、そういう農地法をさらにまた改正をやったからといって、規模がすぐ大きくなるというようなことは期待できないんじゃないか、こういうことを私は考えるわけであります。  また食管の問題にいたしましても、いろいろと消費者米価の据え置きや生産米価の据え置き、あるいはまた消費者の米価に対しましては物統令の適用除外、あるいはまた数量の面におきましては五カ年間の計画で生産調整をやるとか、あるいはまた買い入れ制限、古米の計画的な処理、それから自主流通米の味の面も考える、実はこういうようなことでいろいろの手というやつが打たれてきているわけなんでありまして、この上で食管というものに手をつけるということになれば、一体どこを手をつけなければならないのか、私は非常に疑問に思うわけなんであります。  そういう意味におきまして、全体から見ますと、新大臣所信表明の冒頭に出しておられました「農業及び農村の健全な発展」というのは一体どういうようなものが健全な発展なのであるか、どういうふうにお考えになっているか、まず冒頭にそれをお伺いいたしたい、こう考えるわけなんであります。
  131. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農業の健全な発達がなければ日本経済発展しないということは、いままでの例を見ても松沢さん御承知だと思います。日本経済がここまでよくなったということは、農業方面において、日本の米はいま供給超過になっていますが、米なども自給できた、こういう安心感で、そのために日本経済的には輸入し、そしてそれを加工して輸出するような経済体制ですから、工業等におきましても、農業がほんとうによくいっていたということが日本経済の伸展に寄与した、こういう事実がございます。それと同じように、やはり農業の健全なる存在が経済発展に非常に寄与する。特にまた民族的にいきましても、農民の心理といいますか農民の気持ちというものは、ものを育てていくといいますか、まきつけて育てて収穫する、こういうような農民の精神、こういう精神は、ただできたものをつぶしていけばいい、消費していけばいいというような考え方と、農民の心情というものとは違います。でありますから、農村がほんとうに健全でやっていける、安定してやっていけるということは、国民経済面におきましても、あるいは民族精神といいますか、そういう面におきましても大事なことだと思います。そういう意味におきまして、農村の健全なる発展というものは経済にも日本の民族にも大きく寄与するものがある、こういうことを述べたわけであります。  ついでに立ちましたから、冒頭の御意見の農地法の改正問題あるいは食管の改正の問題に答弁したいと思います。  私は、農地法を改正するとか食管の法律を改正するとか、こういう意図はいま持っていません。しかし、農地につきましても農地法が改正されました。あるいは農地の規模拡大というものも思うようにはいっておりません。しかしながら、私がかつて農地管理事業団の法律を出しましたが、その法律は参議院のほうで通過いたしませんでした。しかし、その実態は各県等におきましても農地保有合理化法人というようなものができて、そして、あの農業基本法に述べたような趣旨に各県とも進めておりまするし、あるいは農業年金の制度の中で不在者の土地所有者の土地を買う、こういうような制度も設けられましたので、農地管理事業団の趣旨というものは相当生きてきて進んでおります。でありますので、この際農地法を改正しようということは別に考えておるわけではございませんが、土地の経営規模拡大というようなところにつきまして農地法が支障があるとは考えません。ある面もあると思いますが、しかし私の考えは、農地の所有というものに重点を置かなくて、所有権はそのままでも農地というものを効率に農業面で利用できるようなこと、そういう方向には進めていきたい。それには、ほかと比較しますとどうかと思いますが、工業においては工場団地とか工業団地とか、あるいは住宅が不足すれば住宅の増設、こういうことで住宅団地というようなものもほかでやっております。ですから、所有権を離れて、所有はそのままにしても利用を大きくできるような関係農業団地というような構想を持って、農業の経営が拡大するような方法を進めていくのにどういうふうにやったらいいか、こういうことは私も考えています。それが直ちに農地法の改正ということには結びつきません。でありますが、農地法につきましても、これも古いといいますか戦争前からの法律でございます。その後幾度か改正されました。で私は、官庁といいますか、われわれは立法府におるわけでありますが、立法府は法律をつくる、官庁はつくった法律をいつまでも守っていく、それが忠実な官庁の仕事であると思います。それが悪いとは申しませんが。でありますが、その事態に即しないものでも、できたものはいつまでも必ず守っていくというのが、これは官庁というか行政府の責任といいますか、立場だと思います。われわれは、やっぱり時代の趨勢に応じては法律も改正し、あるいは法律もつくる、こういう立法府としての仕事があると思います。そういう意味におきまして、必ずしも農地法を改正しないとは言いませんが、しかし、改正したばかりでありまするので、いま改正する必要は私はないと思います。農地法の適用が現状に即しておるかどうかということを先ほども申し上げましたが、一応洗い直してみる、あるいは運用の面も考えてみる、こういうことから農地の研究をするということでございまするから、農地法を改正する前提でその研究をしている、こういうことでないことを御了承願いたいと思います。御承知願いたいと思います。  また食管制度も、すぐ、研究会をやると、食管制度を改正するのだとか、食管制度をやめるのだろうとか、こういう考えを持つ向きもないわけではなかろうと思います。しかし、私が先ほど申し上げましたように、食管制度の根幹というものは、米に対しての統制というものはなくすることはできないものであると私は思っています。米と統制というものはくっついておる。その統制のあり方がどういうあり方でやっていったほうがいいのか。一つの技術面でもありまするし、方法論でありますから、これはあると思います。ですから、米穀法の時代において米の統制をした時代もありましょう。あるいは米穀統制法の時代で米の統制をしておった時代もありましょう。現在のように食糧管理法というような観点から統制をしておる、こういうときもございます。しかし、この食糧管理法も戦前から戦争中にかけての法律でございます。その運用というものが、その時代と違った現代の時代におきまして、はたして適しておるかどうか、こういうことは検討する必要があると私は思います。でございまするので、食糧管理法の運用、食糧管理法を時代に即してよりよく運用していくというためにはどうしたらいいか、こういうような研究も、捨てておくよりも研究をしていくことのほうがよろしい。こういうような観点から、食糧管理につきましても、管理法というよりも食糧管理、あるいは法とすればその運用、こういうことにつきましての研究を進める。これは前大臣からの引き継ぎでもございますが、私もそれはそうしてよかろう、こう思いますので、そういう研究機関、研究会というようなものを設けるというようなことにいたしておるわけでございます。所信表明で触れたのもそういう意味でございまするから、そうおとりくだされば幸いだと思います。
  132. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 大体大臣の考え方はわかりましたが、私の新潟県なんかの場合におきましても、たとえば新潟市の近郊で十二町歩程度一まとめにして、一人の労働力で完全機械化のばらまきで水田栽培をやっておる、こういう場所もあるわけなんであります。そういうのがやはり大臣の考えておられるところの新しい農業の考え方なのじゃないかというぐあいにも実は考えられます。もちろん所有は共同でやっておるわけなんでありますが、ただ、まあその場合私の心配しまするのは、いま出かせぎが百二十万といわれておるわけなんであります。あるいは農業をば脱農した状態の労働者というのがすでに二百万をこえておる。ほとんどはやはり農村の出身であるわけなんであります。要するにこれらの人たちというのは安定したところの職業についておらない。そういう問題が解決されないまま、ただ農業の近代化だけを考えていくということになると、非常に矛盾が起きてくるのじゃないか。つまり、新大臣に対するところの農民の期待というものは、そういうものを現実的に解決してくださるのだろうという期待というのがむしろ大きいのじゃないか。その点一体どうお考えになるか、再度御質問申し上げたいと思うのです。
  133. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ですから、先ほどから申し上げましたように、一つ農業団地構想という中には、この出かせぎも近くで働けるようなことにするとすれば、その団地というものの中にも——工業導入法ですか、こういう法律もできています。たとえば農産物加工工場、公害のないような工場でも近くに置くことによって農業者の出資をしてもよろしいと思います。労働力を提供してもいいと思います。職場に一緒につとめてもよろしいと思います。そういうような形でこの農業団地というものがつくられるようなこと。私は農工一体ということばを一時だいぶ使いましたが、農工一体という形で、これは裸のままで農業と工業と競争させようといっても、農業の性質からいって工業となかなかやっていけないと思います。しかし、農業と工業とが、あるいは生産者と消費者とが対抗してけんかし合うというような性質のものでもなく、そういうものを総合して、ともに生きていくといいますか、共存できるような、ことに農業中心としてやっていけるような農業の立場を確保していく、こういうことが必要だと思っています。でございますので、出かせぎとか、あるいは農業も機械化して相当労働力も節約され、余っております。私の村なんかでも、農業外の仕事に従事しない者は、百五十軒くらいあっても二軒か三軒くらいで、あとはほとんどほかから収入も得て、出かせぎ的なこともあるし、近くの仕事場にも行っている、こういうことでございまするから、そういう労働力も、また農業の資金も、それから農業の資産も、これを有効的にお互いに利用できるような、これは一つの理想図でございますが、そういうような方向へ持っていきたいという考えを持っておるわけであります。
  134. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 具体的に御質問に入りたいと思いますけれども、米の生産調整が行なわれまして、ことしは七百六十万トンが政府が責任をもって必要とするところの米だ。自主流通米が百八十万トンですか、それから政府米が五百八十万トン。そして、要するにそういう米を必要とするには生産調整で二百三十万トンをやはり調整してもらわなければならぬ。結果的には、何か新聞報道によりますと一〇七%、目標を七%上回ったところの状態が出ておる、こういうことを聞いておるわけなんであります。そうなりますと、七百六十万トンの必要な米が約十七万トンですか不足になるということになるわけであります。ところが、各県においては一〇〇%以上達成したのもありますけれども、しかし一〇〇%を下回っているところの県もたくさんあるわけなんであります。私の新潟県なんかの場合におきましては、六〇%を実は割っておるわけなんであります。そこで、農林省のほうでは昨年の暮れに農業の地域指標というものを出されたわけなんであります。よく見ますと、やはり単に非協力という立場よりも、協力することができないというところの地帯、それがやはり成績があがっておらない、こういうことになっていると思うのです。その要するに成績のあがっていないところの地帯の余り米というものを計算いたしますと、大体十七万トンちょっとになるのじゃないか、こういうことになるわけです。そうなると、府県間調整というものをやってしまえば、政府の考えているところの政府の必要とするところの七百六十万トンにちょうどなるじゃないか、こういう数字になると私は思いますが、そういう点で政令改正——私たちはこの政令改正というのは食管法違反だという立場をとっているわけでありますが、しかし政令というものは出ているわけでありますが、その政令の改正によって買い入れ限度数量というのができる。割り当てが行なわれ、そうしてその結果いまのような状態のものが出た場合、府県間調整というのは政令の中にはできないことになっているようでありますが、現実具体的な問題としてそういう問題がこの秋に出てくるわけなんであります。しかも新聞なんかを見ますると、関西、大阪におきましては、すでに余り米というものを予定しての正米市場というものを考えて業者が動き出している、こういう状態でありますので、そうなると、食管の根幹といわれるものがくずれてしまうわけなんであります。研究会を開いて研究されている前に、もうすでに事態は進行していく、こういうことになると思いますが、こういう点につきまして大臣はどうされるのか、お伺いをいたしたいと思うわけなんです。
  135. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 買い入れ予約限度数量等につきましては、その数量を決定する前に、府県知事等の意見を聞きましてその調整をいたしたことは、御承知のとおりでございます。その結果、各府県ごとに実際に不均衡の結果も出ているやに聞いております。しかしそれとは別に、また買い入れのほかに余剰の米ができているというような面もあると思います。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 そういう面につきましてはどういうふうな措置をとるかということにつきましては、農業団体等と話し合って検討する、こういうことに進めてきておるわけでございますので、そういうふうな進め方をいたしたいと思います。ただ、それがほんとうのやみ米的に流れておるというようなことにつきましては、これはそういうことがないように管理をしていかなければならないと思います。  なお、こまかいことにつきましては、食糧庁長官のほうから答弁いたさせます。——ないそうです。
  136. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 いま大臣質問したわけなんでありますが、答弁がないというわけなんであれですけれども、実際新聞に出ておりますとおりの、私がいま申し上げました——時間がありませんから私のほうで数字を申し上げましたのですが、大体そういう数字になるんじゃないですか、どうですか。
  137. 亀長友義

    亀長説明員 本年の生産調整の見込みにつきましては、新聞でも報道されておりますが、二百三十万トンをこえて二百四十七万トンくらいになるだろうということに相なっております。もちろんこれも八月一日の確認を見なければ最終的なことは申せないというふうに思います。  それから予約限度数量に基づく受け付け状況でございますが、これも当初七百六十万トンというものを十五万程度割るであろうというふうに考えております。これも二十日の締め切りがまだ最終め集計ができておりませんが、大体においてさような傾向をとるということはいえるだろうと思います。  御指摘の府県間の調整の問題でございますが、これは現在の政令でも各人別に割り当てをして、その範囲内で各人が予約をして政府に売るということでございますので、県別に調整をするために特に政令を改正するということは私ども考えておりません。また七百六十万トンが十五万トン程度買い入れが不足をしたといたしましても、現在の食糧管理の実情からいたしますれば、特にそのために配給上支障があるというふうな性格のものでもなかろう、かように考えておる次第でございます。  正米市場の御指摘がございましたが、関西方面でそういうものが報道されておりますので、私どもが現在調査をいたしました段階では、そういうふうな、将来できれば自由米を扱いたいという者たちが勉強会的なものを考えておるというような状況であるという調査の結果でございますが、この点につきましてはなお私どもも十分な監視をしながら、食糧管理の観点から誤りのないように努力をしていきたいと考えております。
  138. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 さっき、十五万トンぐらい予約申し込みが不足している、こういうことでありますが、末端では、たとえば農協あたりでは全量を買い上げる、こういう立場をとっているわけなんですね。ですから、末端の農家のところにきているものは、申告用紙がありまして、あなたの政府に売り渡すところの米は幾らで、あなたが出されるところの米は幾らだと、大体計算してくれまして、そこへ判こを押せということでやってきているわけです。だから、全部買い上げてもらわれるという受け取り方を農民はしているわけなんです。でありますから、十五万トン下回ったとか上回ったとかいうことは生産農民からするなら、何も関係ないということなんです。ただ中間にいる人が上げたり下げたりしているだけにすぎないのでありますから、末端の生産農民は全部買い上げてもらわれる、こういう考え方でいるわけなんであります。  ところで今度は、実際上それを買い上げすることができるかどうかという問題なんであります。そうなると、一千トンや二千トンであれば問題ないと思いますけれども、ここで十五万トンも、しかも一県において、新潟県なんかの場合においては五万トンを上回ると思います、五万トンを上回るような数字を、それを農協が責任を持って買いましょうといってもこれは保証の限りでない。こうなるわけです。そうなると、もし万が一のことがあったら農協そのものはつぶれてしまうわけなんです。だから、単位農協のほうとしては、これは非常に真剣な状態に立っているわけなんであります。だから、あなたは心配ない、心配ないと言っておられますけれども、確かに七百五、六十万トンの米というものは出回るわけなんでありますから、そういう面においては心配ないということになると思いますけれども、単協が心配だという問題が一つ起きてくるわけなんです。  それからもう一つの問題は、よく調べてどうするとかいっておりますけれども、これは六月二十八日の日本農業新聞に出ておりますけれども、ちゃんと正米市場の復活を目ざして近畿の穀類問屋協組が毎日の相場を発表する。七月から米のあっせんをやっていく。余り米を含め、月に一万俵ずつ取り扱っていく。責任者の名前もちゃんと出ているわけなんです。ということになりますと、これはこの秋になりますと、余り米をめぐっての争奪戦になると思う。そういう中で、結局大臣が、統制というのはやはり必要なんだ、ただ現実のあり方をどうするか、こういうことを言っておられますけれども、そういうことを言っているうちに、もう統制はぱあになってしまうのではないか。やはりこういう心配というものが私はあると思うのです。しかも物統令から消費価格というものをはずすということになるわけなんですから、勢い投機の対象にこの米がなるということだけは間違いないのではないか。こういうものを防がなかったならば、食管の再検討もくそもないのではないか。この辺はやはり十分考えながらやっていただかなければならない問題なのであろう、こういうふうに私は思うわけであります。そういう点で私は大臣に御質問をしておるわけなんでありますが、やはり府県間調整というものをやって、自主流通米に準ずる取り扱いで進めてもらわなければたいへんな時期に入るのではないか、こう思うのですが、どう処理されるのかお伺いしたいと思うのです。
  139. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 操作の技術的な問題でもありますから食糧庁長官から答弁いたさせますけれども、現在の調整段階で九九%は政府のほうで米を握っておる、こういう状態でありますから、私の見通しでは投機にならないと思いますけれども、そういうような現実がありまするならば、十分監督したり管理のあやまちを来たさないように進めていきたい、こう考えております。
  140. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私、大臣に聞きたいのは、生産調整協力だとか非協力だというのはあまりいないのですよ。やはり米以外にたよるものがないところは成績があがらなかったと思うのですよ。米以外に何か転作ができるとか、あるいはまた新潟県なんかの場合においても、町村によっては一〇〇%やっておるところがあるわけです。それはそのほうがいいということでやっているわけでありますから、それはそれでいい、こう思うのですけれども、全体的にいうと、たとえば新潟県なんかの場合においては、やれやれと言われてもやはりそう成績があがらないというわけですね。要するに、そういう状態が結局全国的に十七万トン程度の余り米というものが生じてきたところではないか。だから、それは協力しないのだから、そんなものはほったらかしておいていいということでは困るじゃないか、それは要するに立地条件なんだから。それからまた政府が昨年十二月ですかに示されましたところの農業の地域指標なんかを見ましても、やはり米どころは大体どの辺だ、そういうようなところが残っているわけなんですね。そういうことを考えた場合においては、何かもっと適切な措置はやはり講じてもらわなければ——そのことを実は新大臣にみんなが期待しているのではないかと私思うのですが、その点、府県間調整は、政令でできないことになっているからできません、やりません、こういう官僚的な答弁を聞くために質問しているわけではありませんで、やはり十二分に農業問題を御認識しておられるところのベテランの大臣として御質問をし、また御答弁をいただきたい、こういうわけなんでありますから、もう少し詳しく御答弁を願いたいと思います。
  141. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほどから申し上げていますように、府県間の均衡というか、実績面で不均衡が出ているというようなことはお話のとおりだと思います。これにつきましては、やはり予約買い付けの数量の割り当てといいますか、そういう目標が適当でないといいますか、そういう面があったと思います。でありますから、これは来年度におきましてそういうことしの実績を勘案して均衡といいますか調和がとれるようなことにしたいと思います。しかしお尋ねのことは現在においての話だと思います。現在におきましてそういう割り当てが不均衡だから余剰米がたくさん出た。むしろ新潟県なんか出ないほうなんでしょうけれども、その中においても不均衡はあると思いますが、そういうことにつきましての余剰米のことにつきましては先ほど申し上げておりますようにどういうふうな方法でこれを処理していくかということは農業団体等ともよく実情を聞いて相談の上で決定したい、こう思っています。いまのところはそういうふうな考え方でおります。
  142. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それから、これは長官に聞きますけれども、正米市場というものは食糧管理法違反になりませんか、どうですか。
  143. 亀長友義

    亀長説明員 正米市場というものは戦後ございませんので、定義いかんにもよりますが、戦前あったような正米市場というものは現在の食管法のもとでは想定もしてないし、法律的に見てもこれは違反であろう、かように考えております。
  144. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 そうすると、これは私だけ見ている新聞でございませんでして、おそらく長官も見ておられると思いますが、二回も連続で新聞発表をやっているわけですね。ちょっと読みますと、近畿穀類問屋協同組合の組合長の梶原悦三という人が、七月中旬から正式に自由米の取引事務所を開設することを発表したと出ています。そして場所も大阪市の西区にちゃんと事務所が正式にスタートする、こういうことになっているわけですが、これは監督官庁でありますところの食糧庁の長官がわからぬというはずはないと思うのですよ。この動きはわかっておられると思うのです。それに対して、要するにどう監督をしてこられたのか、それをお伺いしたいと思うのです。
  145. 亀長友義

    亀長説明員 昨年も同じような話が東京でもございまして、調査をいたしました。もちろん、現在でもくず米とかいうふうな一部自由取引が許されているものがございます。しかし、通常の米は自由取引を許されておりませんので、いわゆる現物取引のそういう市場というものは法律上違反ということになるわけであります。ただ、この出来秋を迎えていろいろ蠢動しておるというようなことでございまして、計画をしただけでは食管法違反とは言いがたいのでございまして、現物を取引をしておるという事実がなければ、これは現実に違反を構成しないわけであります。頭で考えていろいろ客集め的な宣伝等のきらいもあるようでありますが、その点だけで私どものほうで何とも言いがたいわけであります。もちろん、私ども、そういうことにつきましてはそれぞれ出先等を通じて注意を喚起いたしておりますが、現在まで当事者の説明では、今後自由米等というものがあるいは実現するかもわからぬ、すでにくず米はそういうものの対象になっておる、そういうことに関して取引上の勉強会を主催しておるのである、かような説明を現在行なっておるのであります。しかし、現物の取引に関する事実をまだつかんでおりませんので、現在の段階ではこれを刑事的にどうこうという段階ではございません。しかしながら御指摘の点につきましては、今後もなお調査を進めてまいりたいと考えております。
  146. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それから、米の話ばかりやりまして申しわけないのですけれども、自主流通米ができてから余ますの問題がだいぶ問題になっておりますので、北海道あたりでは昨年は一俵について一キロも入れるという状態が出たということを聞いているわけであります。これは食糧庁のほうでは直接関係しておられないような、要するにそういう状態になっているわけです。各県で産米改良協会というのがありまして、要するにその産米改良協会の指導であって、直接食糧庁の指導ではないんだ、こういうことをいっておりますけれども、産米改良協会の事務局に末端の食糧事務所の職員がなっているとか、あるいは事務所がそこにあるとかというのが大体の状態になっておるわけなんです。そうなると、やはり関係がないということには私はならないと思うのです。やはり関係あるわけです。これも新聞に出ていますけれども、五百グラムから六百グラムぐらい余ますを入れるべきだという指導がいま末端で行なわれているわけでございます。こういうものについての、六十キロ一俵というそういうことで検査をやれということになっておるわけですから、そういう動きがあることについて、末端のほうに指示を出してもらって、そういうことでないのであって、六十キロ一俵で検査をやって買い入れをやるんだということを明確にやはり食糧庁の立場でやってもらわないと、この余ます問題の解決はできないんじゃないか、こう思いますが、この点どうでしょうか。
  147. 亀長友義

    亀長説明員 いま御質問のように、この余ます問題は、各地で自県産米を販売しようという趣旨でやっておるわけでございまして、御指摘のように食糧庁をやめた者が、一たん県庁をやめた者が行ったりしておりますが、そういう意味で、私ども食糧行政ときわめて関連はございますけれども、私どものほうで特に余ますを入れなさいという指導をいたしておるわけではございません。慣行的にそういうものが各地の産米買い入れの結果として出てきているということでございます。ただ、私どもとしては、あまりその競争が極端になって、要するに、余ますをよけい入れる過当な競争が行なわれるということは好ましくないので、そこらは適正に考えるようにというふうにかねがね注意も喚起をいたしております。御承知のように六十キロ、これはもちろんそれで検査に合格するわけでございますが、これが輸送、配給等の間におきましては、各地の産米の品質によりまして、かなり量目にも変化が起きてまいるというものもございます。そういうリスク等をカバーする意味で行なわれておるわけでございまして、これはまた産地によって差があるのが当然だろうと思いますが、とかく何でも多いほうがいいんだというような競争につきましては、私どもとしましても今後十分注意を喚起して、極端な競争が行なわれないように指導してまいりたいと思います。
  148. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 時間がきましたので終わりますけれども、余ます問題は、やはり正米取引所ができるような動きがあると同じように、これから非常に活発になってくると思うのです。そういう点で、やはりいま言われましたように、責任をもってそういう競争が起きないような指導をやってもらいたいということと、それから、大臣から非常にいい答弁がございましたが、ぜひひとつ農業団体と御相談されまして、余り米の問題は、いま統制撤廃を前提にしながら動いているところの取引所ができているようでありますが、そういうもののえさにならぬように、できる限りやはり政府米に準じた取り扱いをやるように御協力いただきたいということをお願いしまして質問を終わります。
  149. 藤田義光

    藤田委員長 長谷部七郎君。  長谷部君に申し上げます。関連質疑でございますから簡単にお願いします。
  150. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 ただいまの松沢委員質問に関連して若干お尋ねいたしたい、こう思います。  最初に、これはお願いでございますが、六月十三日に発生いたしました北海道の凍霜害の被害の概況並びにその対策について、ひとつ私の質問が終わりました際に、当局から御説明をいただく、こういうことでひとつお願いを申し上げておきたいと思うのです。  私は、端的にしぼりまして、米の需給の見通しについて承りたい、かように考えるわけであります。  四十六米穀年度における国内米の需給計画表を私いただいておるわけでありますが、この中で、食糧庁長官にお尋ねしたいのは、第一点、四十五年産米の現品までの買い入れの実績並びに今後の見通しについて、ひとつ承っておきたいと思うのであります。なお、巷間承るところによりますると、西日本の災害等、作柄が予想以上に悪かったがために、四十五年産米の買い入れについては、当初の見通しを確保することが困難視されておる、こういう話も承るわけでありますが、その辺ひとつ詳しくお伝えをいただきたい、こう思います。
  151. 亀長友義

    亀長説明員 四十五年産米の買い入れ数量は、四十六年の六月末現在で六百七十七万四千トンでございます。これを本年の予算編成当初に予定をいたしました七百四万トンと比較をいたしますと、約二十六万トンの減少に相なっておりますが、これは西日本のほうが予定ほどの買い入れが行なわれなかった、こういうような事情でございます。
  152. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 次にお尋ねをしておきたいことは、ことしの需給計画によりますと、主食用の払い下げ予定は、政府米で五百六十七万トン、自主流通米で百六万三千トン、合わせまして六百七十三万三千トンの計画になっておりますが、これも伝え聞くところによりますると、主食用の需要は当初計画よりかなり伸びておる、こういうぐあいに承っておりますが、これにつきましても、実績と今後の見通しについてひとつ承っておきたいと思います。
  153. 亀長友義

    亀長説明員 御指摘のように、需要につきましては六百七十七万三千トン主食を予定いたしておりますが、四十五年の十一月から最近の五月までの概況を見ますと、約十五万四千トン程度現在までの段階で売却が増加をいたしております。特に年明けてから三、四月ぐらいまでの三カ月ぐらいの間の売れ行きが増大をいたしておりますが、今後、六月以降の見通しにつきましてはまだ何とも申し上げかねますけれども、本年度に入ってから売り上げが増加をしておるのは、いわゆるやみ米等がほとんどなくなっておる。例年に比べてはるかに少ない。かような事情でこの十五万トンの増加になっておったのではなかろうかというふうに観測をいたしております。本質的な需要の増加になるのかどうかという点に関しましては、私どもまだ早急な決断は早いのじゃないかということで、いろいろこの要因は今後も分析をしてみたいと考えております。
  154. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 従来のやみ米が正規のルートに乗ったということの理由によって増加をしておる、こういう見方でございますが、これは自主流通米なりというものが今後続いてまいりますならば、やはりこういう傾向というものは当然続いていくものじゃなかろうか、かように考えるわけでありますが、いずれにいたしましても、政府米で伸びておるのか、それとも自主流通米で伸びておるのか、その内容についてはどういうぐあいになっておるのか承っておきたいと思います。
  155. 亀長友義

    亀長説明員 昨年と比較をして一応検討するほかないものと思いますが、昨年と比較をいたしました時点では、先ほど申し上げました十五万三千トンの増加の内訳を申しますと、政府米では九万八千トンの減少でございます。自主流通米で二十四万五千トンの増加でございまして、差し引き十五万三千トンの増ということに相なっておる次第でございます。
  156. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 四十五年産米だけに限ってみますと、買い入れが二十六万トン現在予定よりも下回っておる反面、需要の面におきましては、政府米並びに自主流通米相殺いたしまして、約十五万四千トンの需要増、これがこのまま今後続いてまいりますと、六月以降十月までは私の見るところでは約三百万トン、政府米、自主流通米含めまして六十万トンの需要と見まして六月以降十月まで約三百万トン、五月までの実績の三百九十一万七千トンを合わせますと六百九十一万七千トンになりまして、当初の主食用の需要の六百七十万トンを約二十万トン以上上回るということになるわけであります。そうなってまいりますと、当初食糧庁は十月三十一日現在の四十五年産米の持ち越しを百九十六万九千トンに踏んでいるわけでありますが、買い入れの減少と需要の増大に伴って、この米穀年度末における四十五年産米の持ち越しは約百五十万トン前後ではなかろうか、かように私は推定をしております。こうなりますと、需給操作に必要な百万トンを除きますと、年度末の持ち越しは約四、五十万トンということになりまして、わが国一カ月の消費にも満たない、こういうことになるのじゃなかろうかというぐあいに思いますが、これに対する政府の見解をひとつ承っておきたいと思います。
  157. 亀長友義

    亀長説明員 お答え申し上げます。  四十五年産米消費見通しあるいは新米穀年度における持ち越しの見通しにつきましては、大体いま先生の御指摘のとおりのような数字であろうと私どもも現在の段階で推定をいたしております。具体的に申せばおおむね百五十万トン前後ということでございます。そこで、御承知のように生産調整あるいは今後の需給見通しの計画では、毎年度百万トンを古米で持ち越して、それを新米と混入をして翌年度において消費をする、翌年度の新米で百万トンを残して次へ送るという計画でございますので、そういう計画から申せば約五割増の余裕があるということになるわけでございまして、そういう基本的な計画の線から申しますと、多分に余裕があるというふうに私ども考えております。また、新米穀年度においては、別途四十六年産米の新米の買い入れというのも例年に見合ったものがあるわけでございまして、そういう観点から申しますと、端境期の操作あるいは四十七米穀年度の需給という点に関しましては、多少の作況変動がありましても、私ども不安がないもの、かように考えております。
  158. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 私の推定した米穀年度末の繰り越し約百五十万トン、これを肯定されたわけでありますが、今米穀年度はそれでよいとして、私は少し先を見越しまして四十七米穀年度について考えてみたいと思う。先ほどの松沢委員に対する御答弁にもありましたように、生産調整は二百三十万トンに対しまして一〇七%の実績があがっておる。数量にいたしまして二百四十七万トン。そういたしますと、当初計画より十七万トン余がよけいに減産される、そういうことに相なるわけであります。と同時に、いま一つことしの米の作柄でありますけれども、北海道をはじめとする東北、北陸の冷害等によるところの減産額というものは、新聞発表によりますとおおよそ八十四億円と出ております。これはかなり作柄が持ち直したとは言いながら、北海道における最近における連日の低湿というものはかなり私は稲作に被害をもたらすであろうと思われます。したがって減収は間違いなし。なお全国的に銘柄米と称する良質米の作付が普及いたしております。これは皆さん御承知のとおり良質米はいままでの量産主義に比べまして反収は落ちてくる。これはしろうとでもわかる。いままでの実績から申しまして反収は下がる。なお、ただいまもお話があったように、自主流通米それから政府米合わせまして一カ月二、三万トンずつの主食用の需要増が予想される。こうやって総合的に考えますと、ことしの米の一千百六十万トンという生産確保ということは非常に困難になってくるのじゃないかというぐあいに私は心配をするわけであります。いわんやこの一千百六十万トンの中における予約限度量として割り当てました政府米五百八十万トン、自主流通米百八十万トンの確保というものは、先ほどの長官の御答弁にもありましたように、すでに予約段階で十七万トン減少しておる。こういうことから考え合わせますと、来年度の米の確保というものは需要に見合うだけはないのじゃないか、こういうぐあいに思います。幸いにいたしまして四十五年産米の繰り越しが百五十万トンあったといたしまして、ようやく四十七米穀年度は私はとんとんぐらいの状態で推移するのじゃないか、かように実は考えておるわけであります。そうなりますと、やはり今年度行なわれましたところの予約限度量の割当、なお四十七年産米においても実施しようとしておる生産調整という問題については、かなり変化が来るのではないか、かように私は考えるわけであります。  こういう需給の推算から申し上げまして、これは大臣にお答えいただければけっこうでありますが、私は数字というものを根拠にして考えてまいりました場合、今度の予約限度量の割当というものは撤回してもいいのではないか、食管法に違反してまでも予約限度量の割当を強行して需給を窮迫させる必要はないのじゃないか、こういうぐあいに考えるわけであります。いわんや農家の売り渡す米については、予約限度量をもしやめることができないとするならば、余り米と称される農家の売り渡し米についてはこの際政府が買い上げるという措置を断行してもいいのではないか、かように考えるわけでありますが、新大臣の御見解を承っておきたい、こう思うわけであります。
  159. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 数字的にたいへん御検討の結果を承りましたが、米の生産調整という面は米の需給の調整ということに大きな目標があったわけであります。この需給が破れてしまうということになると、これは食管法があってもなくてもいいというような結果になって混乱を来たすと思います。また、農家生産も非常に不安定になる。こういうことで、消費者に対しましても生産者に対しましても、米の需給のバランスをとるということがいま非常に大事な段階であると思います。そういう意味におきまして、買い入れ予約限度という面で需給の調整ということをしておるわけでございますが、まあできれば——これはできませんが、生産調整という形ならばなおいいと思いますが、これはむずかしい問題でございますので、買い入れ予約の調整ということで進めてきたわけでございます。でございますので、そのバランスが保てるようになお続けていきたいと思います。  また余剰米が出たような場合につきましては、先ほどからお話し申し上げているように、農業団体等ともよく協議をいたしまして、その措置をとっていきたい、こう思っております。
  160. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 時間があればまだまだお尋ねもしたいのでございますけれども、四十五年の十月三十一日現在における古米七百二十万トンという米を抜きにして、四十五年産米、四十六年産米というものに限って需給の推算をしてまいりますと、予想以上に生産調整が行なわれたという実績から照らしてみまして、決して楽な需給の見通しではないというぐあいに考えます。したがいまして、私は、予約限度量の七百六十万トンというものについては、当局におきましてやはり再検討をする必要があるのではないか、かように実は考えておるわけでありますが、ひとつ重ねてこの点につきましてお尋ねをして、終わりたいと思うわけであります。
  161. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 数字の問題でございますので、その予定の数量が需給のバランスをとれないということであるとすれば、これは検討して、バランスがとれるようなことで予約数量の限度等もきめていきたい、こう思います。
  162. 藤田義光

    藤田委員長 大河原大臣官房参事官
  163. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 六月十三、十四日の降霜によります北海道の農作物被害状況について、状況なりあるいは対策等について報告申し上げます。  六月十三、十四日の、お手元の資料にございますが、北海道の道北と道東に強い降霜がございまして、生育初期の豆類、バレーショ、野菜等について相当な被害があったわけでございます。雑穀をはじめといたしまして、飼料作物なりバレーショ、野菜等について被害があったわけでございます。  金額といたしましては十八億七千八百万円というのが統計調査部の調査として把握されております。  被害がございました直後におきましても、農林省関係課長を現地に派遣いたしまして、実態をつぶさに承知したわけでございますが、その後の状況は、天候の回復に恵まれまして、若干平年を下回っておりますけれども、相当程度回復してきたわけでございますが、最近の低温でまた今後の生育が懸念されるという状況になっております。  対策につきましては、状況報告の際にも申し上げましたように、現地に担当課長を派遣しまして、再播種その他の指導を行なったわけでございますが、道庁と十分な連絡をとりながら、現地の農家の御意向もございますので、収穫期においての被害を見まして、所要の対策を講じたらいかがかというように考えております。
  164. 藤田義光

  165. 斎藤実

    斎藤(実)委員 私は、ただいま北海道におきます農作物の被害の報告がございましたが、特に東北、北海道の農業災害対策についてお尋ねをいたします。  御存じのように、わが国は世界有数の自然災害発生国でありまして、毎年のように冷害が起きております。本年も、去る四月中旬から五月上旬にかけまして、東北地方を中心に襲った低温あるいは降霜、こういったことによって水稲、果樹、桑等を中心に約八十四億にのぼる膨大な被害が出ております。六月中旬には、北海道中心部に凍霜害が発生をし、豆類を中心に二十数億の被害が出ております。このほかにも、九州の熊本、長崎の集中豪雨をはじめ、各地に局地災害が発生しておりまして、甚大な被害をこうむっていることは御存じのとおりです。特に北海道におきましては、史上例のない異常低温、五月の二十日現在でございますけれども、十二・九度、こういった低温でございまして、稲作の成長も非常におくれております。すでに畑作には病虫害も発生し、冷害が必至だ、こういうことをいわれております。したがいまして、私は、この冷害に対する適切なる予防、そしてまたこれに対応する対策が非常に重要だと思うわけでございます。  そこで伺いたいことは、この冷害等の災害発生予防体制、これの整備についてであります。人体の医学の分野におきましても、人間が病気になった後において投薬あるいは注射の処置をする以前に予防、健康管理等を強化して、人体が不幸な事態にならないように、回避のためのいわゆる予防医学が重要であると同様に、農業災害の場合におきましても、農家が不慮の災害をこうむる以前にその発生を予測し、これを防止する措置の強化が絶対に必要だと思います。こういったことは、最近の科学技術の進歩をもってすれば決して不可能ではない。要は、政府が十分なる予算措置を講じてこの問題に真剣に取り組もうとする姿勢が私は大事だろうと思います。ところが最近における政府の動きは、気象観測に携わる観測員の削減をしたり、あるいは農業気象観測所の整備充実を見送るという、まことに時代の要請と逆行する方向をとっているというのが実情でありまして、今回の冷害に際しても、気象予報とその告知方法が不十分であるとして関係方面から強い不満が出ております。これは単に天災というよりも人災である、政治の貧困であると私は断ぜざるを得ません。この際政府は、今後の気象観測等、予防体制の強化、冷害等農業災害予防の試験研究体制の整備強化等について、どのような姿勢をとってそしてこれに取り組もうとする方針であるか、まずこの点についてお尋ねをしたい。
  166. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 冷害の歴史も古いのでございまして、昭和の初めごろには東北の大冷害がございました。これは農業恐慌時代でございますが、たいへんな冷害であったことがございます。その冷害を避ける予防体制もだんだん整ってきております。しかし今般北海道等におきまして冷害が出ておることは、まことに残念でございます。お話しのように、気象庁の長期予報及び中期の予報等に基づきまして、農林省といたしましても、地方農政局とか都道府県を通じまして、基本的な技術指導を早期に行なうとともに、急激な気象の変化に際しましては、そのつど県、市町村、普及組織等を通じまして、災害の予防、被害の軽減の指導を行なっておるのでございます。それにまた、国立あるいは公立の試験場等におきまして、耐冷性品種、これをいままで育成してまいりましたが、これが非常に効果がありまして、東北等におきましても、あるいは北海道等におきましても、耐冷性品種を植えるといいますか、非常に育成も進んでおりますが、なお、耐冷性品種の育成とか栽培技術等の研究等をいままでも実施しておるのでございますが、さらに鋭意この実施を期していきたいと思います。  そのほか、歯しろにつきましての低温苗しろ、それの被害防止等のため規模の大きい共同育苗施設の整備等につきましても、昭和四十六年度から計画的に補助を行なうことといたしております。  また、果樹生産の安定のために花粉共同開葯貯蔵施設の積極的な導入もはかっております。  なお、凍霜害予防のための重油燃焼器具につきましては、農業改良資金によりましてその導入を促進する措置をとっております。  天災であるが人災であるというふうにいわれているときでありますので、この冷害を、お話しのようにできてからよりも予防的にこれが起きないような措置をいままでもとっておりますが、今後とも十分その措置をとっていくように進めていきたい、こう思います。
  167. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いま大臣から答弁がございましたように、災害発生予防体制をいままでやってこられた、これからも整備を充実をしていくという答弁がございましたけれども、これはほんとうに災害対策のかなめでありまして、ぜひともひとつ前向きの取り組みをお願いしたい。  それから災害が起きた場合に、じゃその対策について敏速果敢に処理をしてもらいたい。これが今日まで非常におくれておると私は指摘をしたい。いまさら私が申し上げるまでもありませんけれども、今日までの政府の措置を見ますと、長期間にわたる調査、これは調査はけっこうだと私は思いますけれども、非常に長い間調査がかかる。そしてやっと重い腰を上げるということで、まことに実施機関も各省各局多岐にわたっておるわけです。したがって、必ずしも被害農家要請にこたえるような連携のとれたものがなかなかなかったんゃじないか。これが冷害等によって農業被害と農家の士気の回復をおくらせる大きな原因ではないか。過去にも大災害が発生した場合には全国をあげてその対策が論議され、政府も敏速に各般の施策をとってきた例もあるわけですから……。ところが今回の東北の冷害については、政府が天災融資法の発動を決定したのが六月十四日、自作農維持資金の災害ワク配分を取りきめたのが七月五日という、テンポが非常におそい。このために被害農家が自殺の道を選んだ、農業に希望を失って、出かせぎを余儀なくされているという現状であります。これでは、農家にとってせっかくの施策が何ら効果のない施策だったと言っても私は過言ではないと思う。被害を受けた農家政府の救済の手を鶴首しているわけでありますから、今後災害における対策の敏速化についてどういう姿勢をおとりになるのか、大臣からお答えをいただきたい。
  168. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、災害が起きないようにすることがまず先決でございますが、災害が起きた場合にはできるだけ早く被害の実態をつかむということが必要だと思います。ところが、御承知のように実態をつかむにあたりましても、つかんでいるうちに被害の状況が非常に多くなったり何かするようなことも、農作物でございますから、あります。しかし問題は、一日も早く被害の実態を把握する。そうしませんとその対策も早くできませんから、早く実態を把握する。その実情に応じまして、農作物等に対する技術指導によりまして被害の軽減ないしは早期回復、こういうことを進めていく。それから、いまお話がありましたように天災融資法の早期発動、自作農維持資金の災害ワクの設定、農業共済金の仮渡し、この農業共済金の仮渡しはいままでよく災害でやっているのですが、そういうことを行ないまして被害農家の救済につとめておるわけでございます。また農業用施設等の施設被害につきましてはすみやかに査定、それも現地査定が必要でございますから、査定をすみやかにいたしまして災害復旧事業を行なうこととしておりますが、緊急を要するものにつきましては応急工事の実施措置もとっておるところでございます。いま申し上げたように、災害対策につきましては従来もできるだけすみやかに各般の措置を講じているところでございますが、被害の実態に応じまして一そうその迅速化、これに努力してまいりたいと思います。
  169. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次に農業災害保険制度の確立についてでありますが、今回の冷害の特色は果樹、畑作等に大きな被害が出ているということでありまして、これらの被害救済の方法は必ずしも十分ではありませんし、特に保険制度については果樹が試験実施中、畑作については調査中ということで、米麦、蚕繭、家畜等について非常におくれているわけです。この際、農業災害保険制度について考え方を明確にひとつお示しをいただきたいと思います。
  170. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 災害の保険の問題でございますが、果樹につきましては私も前に手をつけ始めたのですが、試験をずっと続けておりました。この果樹共済を本格的に実は四十八年度から実施する、こういう方針で四十七年度の通常国会等に法律を提案したい、こういうことの準備を進めております。  また、北海道の畑作作物の共済制度化につきましては、その品目が多様にわたっておる、ばかりでなく、作付面積、作柄及び価格の変動が大きいなどの理由によりまして、共済制度を仕組むことには困難な問題がありますが、稲作転換との関連もあり、内地におきまする同種作物も含めて、この検討を鋭意進めて、また続けておるわけでございます。
  171. 斎藤実

    斎藤(実)委員 特に今回の東北等の冷害においては自殺者が非常に多いというのが特徴であります。過去にも農村の不況あるいは冷害等で自殺をする人もなかったわけではないと思いますけれども、本年のように東北だけでもすでに十人の自殺者を出すというようなゆゆしき事態を招いたということは、人間尊重という立場から非常に重要な問題だと思います。これらの農家の自殺者の階層を見てみますと、第二種兼業農家等の零細経営者ではなくて、むしろ中間層に多いということがいわれておるわけです。最も多数を占める階層で、これらの農家が数年前までは米の増産を奨励されて政府施策を忠実に守ってきたわけです。米作に精進をしてきたのでありますけれども、政策転換によって米価据え置きあるいは減反、休耕、買い入れ制限等をしいられる。農業農政の将来に不安を抱いたやさきに今回の事故が起きてきた。ですから、こういった問題について、これは大きな政治責任があるのではないか、政府・自民党の農民無視の場当たり的な農政にあるのではないか、私はこういったことから、その原因がどこにあるのか、大臣からひとつ御答弁をお願いしたい。
  172. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、私から申し上げるまでもございませんが、農業の手直しとか農業の計画というものは、たとえばほかの工業などと比較しますと、相当長期を要するわけでございます。災害も人災というふうにいわれる向きも非常に多いのでございます。しかし、いま技術、科学の進歩によりまして、人災とまでいわれるような天災に対しましても相当措置を講じつつ、前向きで進めておるわけでございます。  農業に対する不信感というものにつきましては、率直にいいますと日本経済が相当伸びて経済成長をいたしました。それで、世界の工業国としては第二位だ、第三位だというような形になって、日本の総生産といいますか、それを上げて、国民に所得を分配するというような進み方をいたしてまいりましたので、農民から見ましても何か農村農業を軽視しているのじゃないか、たとえば食糧なども安い国から買えばいいのだ、日本ではつくらなくてもいいのだというような声が一時相当ありました。こういうようなことから、農村が軽視されているという考え方を農民も持っておったと思います。またある程度持っておるのじゃないかと思います。農業は国のもとだと言っていたように、農業でばかり日本をささえておるわけでもございません。しかし農業というものは先ほど申し上げましたように、日本の民族の生々発展のためにも必要でございまするし、これに対しまして経済成長によって日本の財政その他も伸びてきたのでございまするから、そういう面も考えて、農業に対して決して軽視しているのではない、こういう姿勢をとって、財政的にも金融的にも農業のほうに相当金が回るようなことにしていかなければならぬと思います。  それからまた私も農民の一人でございますが、やはり自立自主といいますか、そういう態度を強めていただきまして、そういう強め方によって予算あるいは金融の流れというものが有効に、またこれが農業発展のために使われるというようなことでもあるというふうに私も考えます。  そういう面で両々相まって、農業日本の民族のためにも産業のためにも大事なものであり、これは滅びるものではない、滅ぼしてはならない。それに対して政府としても措置をとっていくんだ、こういうようなことで、農民不信感がありとするならば、この不信感を払拭していきたい、こういうふうに考えております。
  173. 斎藤実

    斎藤(実)委員 特に本年の天候が不順で、先ほど北海道の冷害の報告もございましたけれども、気象庁発表の長期予報によれば、これは全国的に低温であり、これが冷害に発展をし凶作になるのではないかといわれておりますけれども、どうか政府関係機関の総力を結集して、いまから十分な対策を確立するように要望しておきます。  次に水産問題について大臣にお尋ねいたします。  わが国の漁業の中で北方漁業は大きな比重を占めております。だんだん狭められてまいりまして、特にカニは大陸だな問題で難航しております。特に赤城大臣は漁業問題について深い造詣を持っていらっしゃいますので、サケ・マスについてもソ連の規制によって非常にきびしくなってきておる。さらにまた本年オホーツク海の産卵ニシンの禁猟という、わが国の北洋漁業にとって容易ならない事態になってきております。したがって、大臣所信表明の中にも、資源の制約、国際規制強化等、十分対応できない幾つかの問題をかかえておる、こういうように述べられております。それじゃ具体的にこの北方漁業を一体どう打開をしていくのかという表明がありませんし、私はこの問題について若干お尋ねをしたい。  今日まで北洋漁業の権益をわれわれは守ってまいりましたし、日ソ間に横たわる漁業に関する諸問題の解決の方策を早急に見出すべきだ。いままでのような小手先の消極的な取り組み方では、毎年漁業問題について押せ押せムードで、せっぱ詰まってからこちらから出かけていくというような態度であります。ですから特に漁業問題に熱心な大臣にお伺いいたしますけれども、漁業に関してのどういう体制と、今後これをどう打開をしていくかという進め方について私はお尋ねをしたい。大臣みずから日ソ漁業交渉の事前にソ連に出たけていって積極的な交渉をする必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、農林大臣のどう打開をするかという方途と決意のほどをひとつお尋ねをしたい。
  174. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 北洋の漁業につきましては大体サケ・マス、カニというような問題が主でありますが、御承知のようにカニが日ソ漁業条約の中の日ソ委員会からはずされました。はずされましたから、モスクワ、東京というように交互に漁業委員会が開けることでなくて、カニについてはモスクワで会議を開く、こういうことでもう二年続けてきたようなわけでございます。そしてまたいまお話しのように、カニにつきましてはソ連側は大陸だな資源を強硬に主張しておりますし、日本は公海資源だ、こういうことで、交渉に入る前にその問題ばかりを言い争ってきておったのがこの二年間のカニの交渉の様相でございます。それでその次には、取り締まりをソ連だけでやるのか、いやそんなことではいかぬ、お互いにその国、その国の船についての取り締まりはその国でやるべきだというようなことの争いがあったわけであります。そういうことでカニの分配論というようなことがおくれてしまった。おくれてしまって、船がもう出るころになってまだ交渉を続けておって、妥結できない、こういう状況でございますから、私は、その前段の問題、大陸だな資源だとか公海資源だとかいうようなことは、なかなか向こうも日本の主張にも譲れないし、向こうの主張にも日本も同調するわけにもまいりませんから、そういうものはたな上げして、そしてほんとうに分配論というようなことに入るのがいいと思います。  そういう点で私は前段の問題などは、早く私でも、また漁業関係で相当の力と権威を持っている日本の代表団の方が行きましてそういう問題を解決しちゃって、あとは代表団で話をしたらいいんじゃないか、こう思います。  またサケ・マスにつきましては交互に東京、モスクワで開きますから、来年はモスクワでサケ・マスの日ソ漁業委員会も開けるわけでございます。ですから来年はサケ・マスもカニも一緒にモスクワで開かれるわけでございますが、サケ・マスにつきましてはことしは出なかったようでございますが、ソ連は、いままでカニは母船漁業をやっていますが、サケ・マスは母船漁業をやっていませんでしたが、ことしは出る、こういう前提で向こうの割り当ても要求してきたわけであります。しかしだんだんソ連側も母船によるサケ・マス漁業も進出してくるのじゃないかという見通しがございます。そういうことでありますというと、こちらが押されぎみ、こういうような形にもなります。しかしこれは両方の事情というものもまあわかりきっているほどわかっているのでございますから、お互いに胸襟を開いて事前に分配論に入るまでのアレンジをするといいますか話し合いをする、こういうことが必要であると思います。でありますので、私が行くか行かないかということはきめてはおりませんけれども、その本格的な交渉に入る前に、私なり、あるいは私でなくても相当な人が行ってまず場をつくっちゃって、つくっておいてから代表や委員会の折衝に入るようにしたらいいんじゃないかといま考えております。
  175. 斎藤実

    斎藤(実)委員 御承知のように、産卵ニシンがオホーツク海において全面禁漁になったわけですけれども、この全面禁漁がことしだけなのか、あるいは来年度から復活の見通しがあるのかどうか、これについてお尋ねをいたしたいと思います。
  176. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 産卵ニシンのオホーツク海における禁漁問題でございますが、ニシンの資源が、これは世界的にもう減っております。御承知のように、北海道等におきましても、かつては非常にニシンがとれたのでございますが、あるいはまた樺太等におきましてもニシンの資源が減っている。北洋でもございますが、北のほうの国々でも減っておる、カナダ近くに少しあるだけ、こういうことでありますので、産卵ニシンの禁漁を協定したのは、ニシンの資源が非常に世界的にも減っておるということでございますので、卵を持ったニシンだけはお互いに禁漁しようじゃないか、ただし卵を持っていないニシンについては何らこれを禁漁の約束はしていませんし、両方でとればとれるのでございます。日本におきましても、なかなか向こうまでそのものをとりに行くのはたいへんなことだと思いますが、いままでの実績でいいますと、産卵ニシン、カズノコを持ったニシンが六割ぐらい、四割ぐらいが普通のニシンをとっておった。その普通ニシンについては禁漁になってはおりません。その約束はしておりません。産卵ニシンについての約束でございますが、それにつきましても資源の回復を待ってと、そのために調査船を出す、こういうことに約束しておりますので、調査船を出してその資源がそう減らない、あるいは資源の維持ができるということであれば、産卵ニシンの禁漁というものもお互いに解除できることにはなっていますが、しかし見通しとしましては、そう一年、二年ということではないと私は見ております。でありますので、普通のニシンはお互いに禁漁にはしておりませんが、産卵ニシン、抱卵ニシンともいっておりますが、それにつきましてはしばらく禁漁というようなことに相なるという見通しでございます。お尋ねをいたします。  ニシンの全面禁漁によって打撃を受けたのは漁業者だけでなく、水産加工業者が大きな打撃を受けておるわけです。それで政府としても必要に応じて金融上の措置等を講ずると、こういっておりますけれども、この加工業者に対する対策が急務ではないか。特に零細企業が非常に多いし、しかもその転換というものはなかなか容易ではない。具体的にどういう措置をとるのか。転換をするにしても当然設備もまた必要でありましょうし、運転できるまでの運転資金というものも当然これは必要だ。全くこれは加工業者にとっては、もう被害者ですから責任はないわけですから、これに対してやはり何らかの前向きな施策というものが私は必要ではないかと思いますが、これについて御答弁をお願いいたします。
  177. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 抱卵ニシンの全面禁漁によりて、これを他に転換する、ことに加工をしておる人々でございますが、転換とか兼業加工部門の拡充等に伴う必要施設、資金につきまして、漁業近代化資金を優先適用する方針であります。いま必要資金量等は現在地元におきまして検討中でありますので、これを待って善処したい、こう思っております。
  178. 斎藤実

    斎藤(実)委員 漁業近代化資金については、これは設備資金でありますけれども、運転資金についてはいかがですか。
  179. 太田康二

    ○太田説明員 御承知のとおり、従来運転資金等につきましては系統金融等で融通することが最もふさわしいということで、系統金融で手当てをいたしておるのでございます。今回の場合、これにつきまして確かに加工業者の受けた被害がかなり大きいというようなことで、実は道庁自身でいろいろ検討もされておるようでございますので、近々のうち私のほうに道庁としての考え方もお持ちになるようでございますので、よく道庁とも相談をいたしたい、かように現段階では考えております。
  180. 斎藤実

    斎藤(実)委員 防衛庁来ていますか。  では簡単にお尋ねいたしますけれども、五月二十八日から六月五日までの北海道周辺、日本海におきまして、日米合同演習がありまして、漁網が切断されたという事件が発生しました。これに対して防衛庁はどういう考えを持っていらっしゃるのか、まず最初に簡単にお答え願いたいと思います。
  181. 福田勝一

    ○福田説明員 お尋ねのとおり、日米合同対潜訓練等におきまして、相当数の漁網を切っているという事実があるわけでございますが、これに対しましては被害状況を的確に把握いたしましてしかるべき補償をしなければならない、かように考えている次第でございます。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
  182. 斎藤実

    斎藤(実)委員 被害総額は幾らですか。
  183. 後藤真平

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  被害の額でございますが、北海道関係につきましては七月の十六日、北海道庁を通じまして二千百三十四万円の賠償請求が出てございます。青森県関係につきましては、青森県の漁業協同組合連合会を通じまして七百六十五万円の賠償請求が出されております。目下その内容について調査中でございます。なお、山形県関係にも一隻ございますが、現在まで賠償請求は出ておりません。
  184. 斎藤実

    斎藤(実)委員 これは補償についてはいつ解決をするつもりですか。
  185. 後藤真平

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  一応八月の末ないしは九月の初旬をめどにしまして、目下作業中でございます。
  186. 斎藤実

    斎藤(実)委員 私は特に防衛庁に質問したいことは、マス漁の最盛期ということがわかっていながら、どうして日米合同演習をこの時期にやらなければならなかったか、そういったこと。それから事前の連絡あるいは通報等も非常に不備な点があったというふうに私は理解しているわけです。愛される自衛隊を望んでおりながらこういったことになったということについては、私は防衛庁としても責任があると思う。今後こういったことを二度と繰り返すということは非常に問題だ。この点について今後どうされるのか、最後に答弁をお願いしたいと思います。
  187. 福田勝一

    ○福田説明員 お答えいたします。  今回の日米対潜合同訓練でございますけれども、これにつきましては、米側の都合等がございまして、どうしてもこの時期でなければ訓練ができないといった事情がございましてやらしていただいたわけでございますけれども、今後はこういった漁業の最盛期の時期等につきましては、できるだけそういう海域を避けるように、また、そういう漁業の最盛期におきましても漁船の操業に当たっているようなところをできるだけ避けるような、そういう計画を事前に十分調査をいたしましてやらしていただきたい、かように考えておる次第でございます。もちろん、今回の合同訓練にあたりましても、それぞれ水産庁、海上保安庁さらに海上自衛隊の地方総監部を通じまして、関係道県に通報さしていただいておるわけでございますが、一部の道県におきましては、それが必ずしも漁業関係者へ十分連絡をされなかったというふうに聞いておるわけでございます。そういった点につきましても、私ども十分通報できるような時間的な余裕を考え、今後はそれぞれの漁業関係者への連絡も十分的確に行なわれるようにやっていくようにいろいろ検討を加え、内部的にはもちろんでございますけれども、外部の関係の機関等へもそういった情報等を出しておるという次第でございます。
  188. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛庁のことですから、よけいな口出しをする必要もないのですが、去年ソ連のほうで魚をとる地区それからとる時期、そこで演習をするという話がございました。それで、漁業者のほうからもそれはけしからぬ。ちょうど私ソ連に行っていたときなものですから、ソ連に交渉したところが、ソ連のほうでも、そういう国民感情とか日本の漁業まで害して演習をするのはとりやめようということで延期した例もございます。でございますので、漁業者のほうでそういうことがありましたらば私のほうにも連絡願って、私のほうからまた防衛庁のほうにも連絡いたしていきたいと思いますので、そういうことも念のために私のほうからも申し上げておきます。
  189. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 二見伸明君。
  190. 二見伸明

    二見委員 時間がありませんので、簡単にお尋ねします。農林省にお尋ねします。  おそらく農林省ではまだ調査も終わってないと思いますけれども、六月から七月上旬にかけての梅雨前線による被害と、それから七月の中旬に各地で発生した集中豪雨による被害、それから降ひょうによる被害が五月から七月までずっと発生しておりますけれども、それぞれについての被害の金額だけ、県からの報告でけっこうです。
  191. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 ただいまのお話でございますが、お話しのように、ただ県報告の段階の数字があることをお答え申し上げます。  それぞれについて申し上げますと、まず六月二日から、つゆ明け宣言がございました七月十二日までの被害につきましては、総額百二十五億ということになっております。このうち大部分が施設災害でございまして、御案内のように、農地、農業用施設あるいは治山施設等九十五億、その他二十九億が農作物被害でございます。  次に、つゆが明けました集中豪雨の関係につきまして、現段階で把握いたしております数字を申し上げますと、御案内のように、きのうも南九州等で非常に降りましたので、被害がふえる見込みでございますが、四十三億ということになっておりまして、これは施設災害が二十四億、農作物が十九億ということに相なっております。  最後にひょう害の関係でございますが、七月中のひょう害の被害額が三十億二千三百万円、約三十億ということに相なっております。
  192. 二見伸明

    二見委員 これらの被害について、大臣に天災融資法の発動をお願いしたいわけでありますけれども、県の報告ですから、農林省の統計部の調査によると大体被害金額というのは二、三割減るのがいままでの通例です。ところが天災融資法を発動する場合、大体三十億という目安がございますね。二割減ってきた場合には——たとえば梅雨前線のもので農作物の被害は約三十億円です。梅雨前線、集中豪雨、ひょう害というものを個別にした場合には、三十億という農林省のいままでの目安からいくと、天災融資法はへたをすると発動をされないおそれがあるのではないか。その点を私は大臣に考えていただきたいと思うのですけれども、もし個別に天災融資法を発動することが無理な場合、これらのものを一括して天災融資法の発動ということを考えていただけるのかどうかということ、これは前例がありますので私は申し上げるのですけれども昭和四十年の五月下旬から六月上旬の暴風雨と六月、七月の降ひょうと一括して被害金額が六百八十六億円、これに対して一括して天災融資法を発動した事例がありますから、一括して天災融資法を発動していただけるのかどうか。どうしてもこれは分けなければならぬというようなお考えをとられるのでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  193. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 天災融資法の発動の対象となります天災は、同一の気象条件のもとに発生した災害を一天災として指定すること、こういうふうになっておりますので、異なる気象条件のもとに発生した災害を合併して天災融資法の発動をするということには非常に困難があると思います。しかし、こういういま御指摘のような例もあるとのことでありますので、事務当局にその例などもなお調べさしていきたいと思います。  とにかく天災融資法の発動につきましては、被害の実態及び資金需要等を把握しての上での天災融資法の発動ということになりますので、この点、十分検討することとしてみたいと思います。
  194. 二見伸明

    二見委員 もう一つひょう害、降ひょうによる被害についての考え方ですけれども、御存じのように降ひょうというのは全国どこでもあるわけじゃなくて、どちらかといえば関東農政局の管轄内が非常に多いわけですね。関東中部、東北、東北も福島あたりまでが非常に多いんじゃないかと思います。局地的なものです。しかもその被害というのは、先日の被害ですとスイカ畑が全滅したりたばこの畑が全滅したりという、個々の農家にとってみれば甚大な影響があるわけですけれども、そういう降ひょうによる被害については、農林省は今後とも三十億円というあの基準を厳守しなければならぬのか、弾力的な運用ができるのか、その点はいかがでしょうか。
  195. 小暮光美

    ○小暮説明員 御承知のように降ひょうというのは、災害として特殊の形がございますので、これにつきましてはきわめて局部的に非常に深い被害が発生することがございます。したがいまして、ひょうなら必ず金額が少なくてもやるという趣旨ではございません。ただいま大臣がお答えになりましたように、被害の態様、そういうものを十分正確に把握いたしまして、これに特殊天災という考え方が適用できるような形でございますれば、そういう前例もございます。
  196. 二見伸明

    二見委員 終わります。
  197. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 合沢栄君。
  198. 合沢栄

    合沢委員 私質問いたしますが、貿易の自由化、特に農産物の海外からの輸入の状況でございますが、近年非常に農産物がわが国に多く輸入されておるようでございまして、調べてみますと、三十五年に八億八千三百万ドルですか、約三千億程度のものが、四十五年度には三十二億四千八百万ドル、一兆二千億近い輸入額になっているようでございます。そしてなお近年が特に多いようなので、四十二年だけで約九百万ドルふえている。四十三年度は前年度に比べて一億五千万ドル、四十四年は二億九千万ドル、そして四十五年度は五億五千万ドル、約二千億というように前年度に比べてふえておるわけでございまして、近年農産物の輸入が急激にふえているというような状況にあるわけでございますが、しかもそれが貿易の自由化といったようなことで、急速にさらに今後一そう農産物のわが国への輸入がふえてくるというような傾向にあると思うのでございます。これはわが国の工業サイドの輸出がきわめて順調にいっている、その結果わが国のドルの保有が多くなるというようなことからして、アメリカをはじめとして海外からの自由化要請が強い、それらが最も弱い、まだ海外に対する対応力のできていない日本農業に大きな圧力になってきているというように考えるわけなんです。工業サイドの輸出の犠牲を農業が受けているというような感じがしてならないわけなんです。このままいくとたいへんなことになるんじゃないかという心配を私するわけなんですが、大臣はこのような情勢についてどのようにお考えになっておるか、お聞きしたいと思うわけであります。
  199. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農産物の輸入が非常にふえておるような情勢でございますが、基本的には先ほどから申し上げておりまするように、輸入をしないでも済むというような果樹あるいは農産物生産の体質強化ということを考えておるわけでございますが、直接的な問題といたしましては、自由化によりまして関税措置を講じたり、または講ずることといたしておるのでございます。説明を申し上げますと、いままでやっておるのでは、関税の引き上げをしておるものについては、生きている馬とか生きている牛、精製植物油、ハッカ油、デキストリン、こういうものは関税の引き上げをしております。それから原料関税の引き上げは、ソーセージとか原料の羊肉とか馬肉等もしておりますし、季節関税の採用は、いま問題になっておりますグレープフルーツなどを対象としております。  関税割り当て制度の採用につきましては、魚粉とかハッカ取り卸し油、木炭、差額関税の採用は、生きている豚とか豚肉とか、こういうもので関税措置をとっているものもあります。  そういう面その他も考えまして、輸入の量を制限することではございませんが、輸入を適当に調整できるような方針をとっておるわけでございます。
  200. 合沢栄

    合沢委員 私が大臣にお聞きしたいのは、輸入の調整程度のことで、特に関税程度のことで、はたして日本農業が現在のような低い生産性のもとで守れるのかどうかということをお聞きしたわけなんです。工業サイドがどんどんきわめて堅調な輸出の伸びを示していると、必然的に農産物の輸入がふえてくるという現在のような状況なわけなんです。現在でも関税措置をやっておりながら、このように対前年度比ほとんど倍近い数字でふえてきているわけです。現在でも関税を使っていると思う。しかし、ふえている。しかもグレープフルーツをはじめとして次々に九月までに品目の自由化が相当行なわれようとしているわけなんです。体質の弱い日本農業、特に今日では生産調整でもって農業全体が深刻な状態にあると私は思うのです。このようなときに単に貿易の自由化だけで、関税だけでもって調整みたいなことをやっていけるのかどうか、きわめて不安なんです。このような輸入の増加をすることは日本農業を根本的に破壊に導く大きな要素になってくるだろうというように考えるわけなんです。全く日本農業は工業サイドの犠牲になってきているといってもいいのではないかと思います。このように大臣お考えになりませんか。
  201. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農業が弱い立場にあるということは御指摘のとおりでございます。しかし、ものによっては日本がいいものを生産するということになれば、国内の需要が何も外国のものを買ってまで食べなくてもいいというような情勢になります。体質強化というような基本的な問題は別にいたしましても、日本のくだものとか日本の畜産物とか、こういうものを日本で使う、こういうような体制、これは体質が改善しない前でも、相当りっぱなくだものもできておるのでございますし、そういう方向に持っていけば、外国から入ってくるものだけをみんな食べなければならぬということにもなりませんから、合沢さんが憂慮するように、工業の生産物が向こうへ出るから、それに見合って農産物がどんどん日本に入ってくる、日本で過剰になるほど、あるいは輸入が相当限度をといいますか、天井知らずに入るというふうにも見ておりません。でありますので、現在におきましても、品種の改良とか流通方面とかそういう方面を考えまして、日本でできるものを日本でさばいていくというか食べていくというような体制を進めることはできると思います。また進めたいと思います。
  202. 合沢栄

    合沢委員 ぜひそういうふうにお願いしたいのでありますが、現実はさっき申し上げましたように三十五年が三千億、四十五年が一兆二千億、四倍の数字でもって輸入がふえてきておる。さらに貿易の自由化が一そう促進されるというような傾向にあると思うのです。特に最近問題になっておりますグレープフルーツの問題でありますが、グレープフルーツ自由化につきましては、一昨日の予算委員会をはじめ、きょうも朝からだいぶ質問があったと思いますが、私もほんとうに憤りを感じるわけであります。このことはもう大臣よく御承知と思うのですが、長谷川農林大臣生産者を前にして、アメリカへの温州ミカンの輸出の拡大と相まってグレープフルーツ自由化をするのだということを約束しておるわけなんです。しかも衆議院でも参議院でも同じような趣旨決議もしている。また与党の農林部会でもこのことは決議して申し出ておる。それが参議院選挙が済んだ、二十九日の閣議で、しかも一日と日をおかずに翌三十旧から直ちに自由化する、実施するといったようなことは、全く農民不在の措置ではなかろうか、まさに暴挙もはなはだしい。電算機等の今回の自由化経過を見てみましても、通産省は関係の業界と緊密な連絡をとりながら、これの自由化についての検討をしておると思う。グレープフルーツの問題はきのう、きょうに始まった問題ではなくて、御承知のように四十三年から始まっておるわけです。ずっと団体もこれに反対し続け、また国会でもこのことは言ってきておるわけです。私は、自由化するそのものはやむを得ないとしても、それならばやはり温州ミカンアメリカに行ける、実質的な温州ミカンの輸出を拡大するということが前提にならなければならぬと思うが、何にも行なわれておらぬ。努力はあったでしょうが、何ら行なわれておらない。全く貿易というものが不平等というか、こっちだけが損をする。互恵平等というようなものは全然考えられていないと思う。しかも団体にも何らの相談もなくして、事前のアフターケアについての措置もなくして、一方的に抜き打ち的なこういった措置に対して、私はほんとうにこれでよかっただろうかというように考えるわけなんです。腹の底から憤りを感じるわけであります。先ほども果樹の危機突破の大会があったあとで、代表の方々が党に陳情に来られまして、ほんとうに憤りをぶちまいておりました。その方は山口の方でしたが私は、ナツミカンをつくっておる、どうにもならない、どうしてくれるのだということを強く言っておりましたが、ほんとうにそんなことでよかっただろうかと思う。こういった措置については、赤城農林大臣は今後おそらくしないだろうと私は思うのですが、やむを得ぬというように大臣お考えでしょうか、正しい措置とお考えですか、あるいは間違った措置とお考えですか、大臣の所感をお聞きしたいと思います。
  203. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 間違ったとは思いませんが、そういう情勢から、時期等につきましては、非常に誤解を受けるような、参議院選挙が終わったあとというような時期は適当でなかったと私は思います。それからまた体制が整って自由化してもいいということが前提であったわけでございますが、その前提がまだできないときに自由化というのに踏み切ったという点につきましても前後撞着しておるというか、そういう感じもいたします。それからもう一つ温州ミカン等の対米輸出についての解禁州を拡大するということと見合ってということで進めてきたにかかわらず、一方的にグレープフルーツ自由化をしたということについても、あと先を違えたというようなことも考えられます。しかしこの自由化の趨勢といいますか、これは国際的にも、日米間におきましても、あるいは金の引き上げ問題等につきましても切迫した事情でそういうことに踏み切らざるを得なかったと私も考えておりますので、これはまあいたしかたないといいますか、それはそれなりに理由があった、こういうふうに考えています。でありまするので、アフターケアもできないではないかというような御意見でもございますが、こういう点につきましては、私どものほうといたしましても、財政当局ともいろいろ話を進めておりまして、アフターケアに万全を期すというまでにいくかいかないかは別にいたしまして、そういうこともいま検討して進めておりまするし、また解禁州の拡大ということにつきましても、政府としてもその努力をしてきましたが、さらに人を派してその努力を進めたい。また、ほかの話になりますが、自由民主党におきましてもそういう努力をするべく人を派遣するという話も進めておるようでございます。どういうふうになっておるか、まだその結論は聞いておりませんが、そういう措置をとるようなことに考えておるようでございます。
  204. 合沢栄

    合沢委員 大臣はやむを得なかったと言っておられますが、私はお聞きしたいのですが、やむを得なかったというのはどういう理由か、どの辺がやむを得なかったのか。なぜこの六月にしなきゃならぬのか、九月にしてもいいじゃないか。その間にやはり納得のいく理由を、私は、関係団体を通じて農民に示すべきであると思う。そういった相談も全然なしに抜き打ち的にやった。選挙の前後は別です。大臣所信表明の中で非常にいいことを言っておると思うのです。一番大事なことは、「農業前途についての不安感を解消し、農家農村信頼を得ることが農政の基本」だ、こういったことを言っておられます。まさにそのとおりだと思います。しかしへあれだけ長い間かかって団体が反対してきた、国会反対してきたその中で、抜き打ち的にやるということは、私は、決して大臣のおっしゃる「農家農村信頼を得る」ゆえんではなかろうと思う。こんなことをやっておったのではほんとうに農村の方は政治を信用しない、一そう政治に対する不信が高まってくると思う。私は、大事なことは、大臣のおっしゃるように、信頼を得ることだと思う。そういうことのためにはやむを得なかったということがあってはならぬと思うのです。私は、これに対する事前の相談が必ずあってしかるべきだと思う。やむを得ないということで今後もやられたら、私はたいへんだと思う。特に大臣、このグレープフルーツはともかくとして、あとにもつと大きな前門のトラ後門のオオカミというような、オレンジあるいは果樹の問題が控えておるわけです。特にこのオレンジにつきましては、私の聞くところによると、世界の農業機構の調査によると、一九七五年には世界的な過剰は四百万トンというようなことを聞いておるわけです。こういったものが輸入されると、しかもいま言ったような、やむを得ないということで抜き打ち的に行なわれるということがあるならば、さっき大臣は、いいものをつくればいいじゃないか、くだもの等もいいものをつくってということをおっしゃいましたが、私は今日の日本果樹の現状から見てとうてい太刀打ちできないだろうと思うのです。後ほど私は農林省にお聞きしたいと思っておるのですが、ほんとうに今日の日本果樹生産費が、アメリカ等をはじめとしてその他の国々の生産費と比べてどんなぐあいか。太刀打ちできる状態にあるかどうか。決してそういった状態でないと思うのです。そういった中で、やむを得ないからというようなことで抜き打ち的にやられるということはたいへんなことだ。日本農業をつぶすというような結果になると思うのです。今後こういう点についてはひとつ十分御考慮をお願いしたいというように思うわけでございます。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕  なお、これに関連して、私はもう二、三お尋ねしたいのですが、この六月十二日に駐米大使の牛場大使が、グレープフルーツ自由化されたというようなことで、それを記念してアメリカの議員の方を招待して昼食会を催しておるようでございます。私は、どうも新聞紙上で見る限りにおいては、ほんとうに外務省は日本温州ミカンの対米輸出を拡大するようなことをやっているのだろうかどうだろうか、何だか日本グレープフルーツ自由化されたことを喜んでおるような気がするわけでございます。しかも、その席で、彼らから果樹あるいはオレンジの日本への貿易の自由化まで要請されているというようなこともあっておりましたが、このことは、私はもちろんですが、全国の関係農民に対してきわめて不信を与えておるだろうと思うのです。こういう点については真相を究明すべきと思うのですが、農林省のほうでそういったことについて真相を究明されておるかどうか、お聞きしたいと思うわけでございます。
  205. 荒勝巖

    荒勝説明員 先般ワシントン発の共同電ということで、ただいま御指摘がありましたような新聞記事が入っておりますが、私たちのほうで外務省に問い合わせいたしましたところ、この記事につきまして、日本もたいへん苦労してグレープフルーツ自由化をやったのだ、したがって、これを機会に大使がアメリカのかんきつ関係の議員の方々を昼食会に招待されまして、その際日本温州ミカン解禁州の拡大について大いにPRしようということで、そういう趣旨で開かれたというふうに私たち聞いております。その間、アメリカ側もかんきつ関係の出身の議員の方々でありますので、お互いにいろいろミカンのことについて雑談が行なわれたかとも思いますが、趣旨はそういう意味で会合が開かれたというふうに聞いております。
  206. 合沢栄

    合沢委員 たぶんそうだろうとは思うのです。しかし、もう少しお聞きしたいのは、やはりこの際、農林大臣農民に約束した温州ミカンの対米輸出をふやすというような問題、この問題についての経過は、一生懸命やった。農林省局長も行かれましたが、外務省なりがどの程度真剣になって温州ミカンの対米輸出の問題をやったのか、その経過は明らかにすべきだろうと思うのです。まだしてないと思う。そういった経過がもしおわかりならば、ここでひとつ明らかにしてほしいというように考えるわけです。
  207. 荒勝巖

    荒勝説明員 日本の国内におきまして、グレープフルーツ自由化問題が、四十四年の十月にアメリカ側と協議が行なわれて以来、非常に重大な問題になって、いろいろ国内でもやかましいということは、外務省も十分承知しております。したがいまして、外務省も本件グレープフルーツ問題につきましては、機会をとらえて十分アメリカ側と話をされておるやに聞いております。特にこの五月の段階におきまして、ワシントンの牛場大使がアメリカの農務大臣を訪問して、日本側の立場をよく説明するとともに、解禁州の拡大についてさらに突っ込んだ意見を話されたやにわれわれ聞き及んでおる次第でございます。
  208. 合沢栄

    合沢委員 それから、局長も近く対米輸出の拡大の問題でアメリカに行かれるそうでございますが、今後の見通しはどうなんですか。温州ミカンアメリカに実質的に輸出が拡大される、そういった見通しはどうなんですか。
  209. 荒勝巖

    荒勝説明員 先般私が本件の解禁州の拡大の問題で四月に訪問いたしました際にも、従来、アメリカ側からのいろいろな連絡によりますと、非常に態度はかたいというふうにわれわれ聞いておりましたし、また、あらかじめこの一月に私のほうの果樹課長並びに農政局の植防担当課長、二人を事前にアメリカへ出しまして、帰りましてからの経過報告を聞きましても、アメリカ側としては日本側の温州ミカンについては、いわゆるかんきつかいよう病についての心配感を非常に持っておりまして、そう簡単になかなかさらに従来の数をふやすということについては非常に難色を示しておったやに聞いております。ところが、私が四月に参りました際にはかいよう病についての心配感は依然として持ちながらも、グレープフルーツ自由化ということも相まって、アメリカ側でも本件について何らかの形で検討をするのではなかろうかというふうな感触を得て帰っておりますので、今回日本側としましてグレープフルーツ自由化をすでに実施もいたしておりますので、再びアメリカへ参りますればあるいはもう少し進展した話になるのではなかろうか、こういうふうに感触を得ておる次第でございます。
  210. 合沢栄

    合沢委員 それから局長は先ほどどなたかの質問に答えて、このグレープフルーツ自由化された場合には大体十万トン程度が輸入限度じゃなかろうかというような御答弁があったかと思うのですが、もう一度その点を、今後自由化された場合の入荷される見込みの数量、それから及ぼす影響といったようなものについてお聞かせ願いたいと思うのです。
  211. 荒勝巖

    荒勝説明員 グレープフルーツにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、四十五年度におきましては約二千二百五十トン程度の割り当てのもとに輸入が行なわれております。で、日本に本来的にグレープフルーツというこれ自身の作物、ミカン類がございませんので、ほんとうに国民の嗜好にどのように今後マッチしていくのか、その辺については断定的なことは申しかねますが、自由化が行なわれました現在におきまして、関係方面の方々の意見も聞きあわせますと、初年度は大体グレープフルーツで一万トンをこえる数字が入るのではなかろうか。ただ今後の問題として、やはり年々相当増加して将来においては十万トン前後になるのではなかろうか。またカナダもおよそグレープフルーツというものが全然ない国でございますが、人口も少ないのですが、食生活関係からいたしまして現在アメリカから十数万トンのグレープフルーツが入っておるというようなこと等も勘案いたしますと、十万トン前後の数字に将来はなるんではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。また、このグレープフルーツ日本に今後入ってくる過程で、私たちふだんからいろいろ検討しておるのでございますが、日本のいわゆる従来からのナツミカンというものが、普通ナツカンといっておりますが、これがやはり最近の国民生活の向上といわゆる食味の変化といいますか、そういうことで、最近何とはなしにあまり国民生活上評判がよくないといいますか、あまり売れ行きが芳しくない。このことはこの五年から十年前にリンゴも同様でございまして、戦前日本国民消費の主流を占めておりました国光あるいは紅玉、こういったリンゴが非常にこの五年ほど前から売れ行きが悪くて相当問題になったのでありますが、その後リンゴの改良が非常に進みまして、デリシャスとかあるいはゴールデンとかあるいはフジ、陸奥、こういう新品種への切りかえが成功いたしましたところ、やはり需要が非常に旺盛になった。こういう例もありまして、普通ナツミカン需要につきましては今後やはりいまのままでは将来の需要の伸びというものは期待し得ないのではなかろうか、こういうように考えておりまして、グレープフルーツ自由化等を契機といたしまして、この従来からの普通ナツミカンに多少の影響が出てこないとはいえないというふうに感じておる次第でございます。
  212. 合沢栄

    合沢委員 レモンが自由化されてからレモンの産地は完全につぶれたようなかっこうになっておるのですが、グレープフルーツ自由化によって直接影響を受けるのはやはりいまのお話のようにナツミカンだろうと思うのです。しかし、ナツミカンだけではなくして、アメリカグレープフルーツの出荷の状態を見てみますと、十一月から翌年の七月ごろまでずっとグレープフルーツが出ておるわけですね。したがって、ナツカンだけではなくて、その他のものにも相当影響があるのではないか。その理由はレモンの場合は、日本への輸出が大体総輸出量の三八%ぐらいになっている。それが自国の価格を維持するために安く出しておるわけなんです。レモンは向こうの産地では年々上がっておるわけなんです。手取りも小売りも上がっておるというような数字が出ておる。ここ四、五年ずっと上がっております。ところが、グレープフルーツはここ四、五年全然上がっていないというような状態になっておるわけです。したがって、いま十万トン程度の輸出といったが、私はやはり自国の国内価格を上げる、そういった操作の面から、十万トンがさらに上回ってくるという可能性がうんとあるのではなかろうか。特にバナナの自由化の際には、農林省はおそらく二十万トンから二十四、五万トンぐらいの輸入ではなかろうか、こういうように言ったと思うのですが、今日バナナの輸入は八十五万トン近くなっておるということなんです。そういったアメリカ国内におけるところのグレープフルーツ自体の相場の関係から相当安く入ってくる可能性がある。そうした場合には、これはひとりナツミカンだけではなくて、温州ミカンをはじめとしてその他の果樹にも相当大きな影響があるものだというふうに私は判断をするわけでございます。そういう判断が間違っておるかどうか、私の意見が間違っておるかどうか、お聞きしたいと思います。
  213. 荒勝巖

    荒勝説明員 グレープフルーツ自由化によりまして、今後輸入量がふえてくることは私たちも十分認めておる次第でございますが、ただわれわれの現在の時点におきます判断と、それからさらに国民のいわゆる消費動向といいますか、初めはグレープフルーツになじまなくても、あるいは日本人の食生活の嗜好にマッチして今後ふえていくこともあり得ると思うのですが、その辺の推定になりますと、どうもまだはっきりしたことがわからない。ただ、アメリカのカナダヘの輸出状況とかあるいは日本のくだもの関係の方々の意見を聞いてやっておるのですが、温州ミカンにはグレープフルーツがそんなに直にひどい悪影響を与えるものとはわれわれ考えておりません。ただ将来、現在の日本のかんきつの総生産量が温州ミカンが二百五、六十万トンで、そのほかのいわゆるナツミカン類を含む雑かん類が四、五十万トン程度、約三百万トンで、四十五年度はその程度でございましたが、将年十年後の日本ミカン生産量は約五百万トン近い、四百九十万トンを予定しておりますが、そういう生産の増強が行なわれる過程で、あるいは国内のかんきつにグレープフルーツが悪影響を及ぼしたのか、それとも価格がさらに安定して安くなっていったのか、その辺の関連については今後のことでございますので、はっきりしたことが申し上げかねる、ただ直に温州ミカンに悪影響があるとはわれわれ現在では思っていない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  214. 合沢栄

    合沢委員 私は国民の食料が非常に洋風化してきているといったような面から見ますと、アメリカグレープフルーツが必ずしもすっぱい、酸度の強いものでもないというようなこともございますし、相当の打撃を受けるだろうというように、実は心配をしているわけです。  そこで、お尋ねしたいのですが、大蔵省の方、おられますか——いないのですね。では、農林省のほうにひとつ希望を申し上げておきたいと思うのですが、季節関税と別に関税定率法の九条の二ですか、これの適用についての考え方を、もし大蔵省と相談しておれば、お聞かせ願いたいと思うのです。
  215. 荒勝巖

    荒勝説明員 今度のグレープフルーツ季節関税を設けます際に、この三月の通常国会におきまして、大蔵委員会におきまして、関税定率法の改正の際に、附帯決議がなされております。そのときも、やはり重大な悪影響を及ぼすと思われるときには、何らかの緊急関税の適用を行なうことという附帯決議がなされております。その根拠が、ただいま御指摘になりました関税定率法の法律でございますが、われわれ大蔵省の関税局との話し合いでは、あらかじめ想定して仮定の上に立っております場合はこういう措置をするということになっておりませんので、国内産のかんきつに重大な悪影響を及ぼすような輸入数量が増大したような場合ということで、その時点において重大だというふうに農林省が考えて大蔵省に協議する、そういうことで、そういう事態を踏んまえて、あらためてきめるということになっておりまして、あらかじめ想定は、まだ何らそういう意味でとりきめはされていない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  216. 合沢栄

    合沢委員 関税定率法の場合は、輸入量の増加によって著しく値段が下がった場合というのですが、それ以外の国内の流通の過程において非常に暴落をするというようなことがあり得ると思うのですね一そういった場合等も含めて、今後この関税定率法による九条二項の運用ということについて、ひとつ慎重な配慮を願いたいというように考えるわけでございます。  それから最後に、大臣にお尋ねしたいのですが、先ほども申し上げましたが、オレンジ、それから果汁の自由化の問題ですが、これは非常に大きな問題だろうと思うのです。まさにグレープフルーツと違って、温州ミカンをはじめとしてすべてのくだものに重大な影響がくると思うのです。これは果汁だけでもたいへんな問題だというように心配しておるわけです。どうもオレンジはまあいいとするなら果汁はというようなことになるのではないかという心配も実はしているわけです。どちらを一つとってみてもたいへんであるというように考えるわけです。局長アメリカに行かれて、温州ミカンを今度は受け入れよう、そのかわりオレンジをとかあるいはジュースをというようなことになったらたいへんだと思って実は心配をしているわけなんです。そういうことの絶対ないようにお願いしたいわけなんです。  米の生産調整といったような事態でもって、農業はほんとうに重大な危機に来ている。しかも、果樹については選択的拡大という名のもとに政府も進めてきておるわけなんです。農家の方々も多くの借金をして、国営のパイロットとかあるいは県営パイロットとかいったことで、大きな借金をして、まだ整理がなっていない、幼木だというところもたくさんあるわけなんでございます。そういうときに、果汁にしろオレンジにしろ、今後輸入されたらたいへんでございます。ほんとうに日本果樹はまいってしまう。壊滅的打撃だと思う。そういう点を十分に考慮されて、ここはひとつはっきりと果樹農家信頼を得るためにも、私は、赤城農林大臣が、オレンジなり果汁については絶対に輸入しないと——これはもとより何十年もというわけじゃないのですが、やはり日本の果汁が海外の果汁に対抗し得るといったようなそういう時期までは輸入の自由化をしないのだという、ひとつ明確なる御発言をお願いしたいというように考えるわけでございます。
  217. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 明確に発言することは私としても困難でございますが、お話の趣旨は私も十分頭に置いて慎重に対処したいと思います。
  218. 合沢栄

    合沢委員 終わります。
  219. 藤田義光

  220. 津川武一

    津川委員 きょうは大臣所信表明に接し、赤城さんならではのところもないわけではないというふうに思っておるわけでございますが、その中で「農業前途についての不安感を解消し、農家農村信頼を得ることが農政基本的姿勢でなければならない」と申されておりますので、細部のことは後日事務当局に尋ねるとして、きょうは農政の責任と大臣の決意、態度を端的にお伺いしてみます。  グレープフルーツ自由化に対して、きょう農民の決起大会に行ってみたり、党に陳情に来た人と話をしてみたり、私の県の人たち、農民と話をしてみたりしている間に、いろいろな意見が出ました。倉石さんが選挙最後の五、六日前に愛媛に行って、農協の皆さんが十分に自由化までに時間があるような意味にとれる記者会見をしたあと、選挙を終わってすぐ自由化。佐藤さんと倉石さんの政治的生命はそれぞれの選挙区に出かけていってもこれはとってもらわなければならぬというような発言があったりした中で、自民党の総務をしているある国会議員が、実にすみませんでした、恥ずかしいと思いますという発言をして、農民の共鳴を得ておるわけであります。いろいろな態度がある中で、大臣信頼を得るということでありましたので、古い証文で恐縮ですが、あなたが四十六国会でレモンの自由化のときに話しておる発言を、いまどうお考えになっておるか聞いてみたいと思うのです。「レモンの場合は前にも自由化したこともある、それをまた戻したこともある、」「いまのオレンジだとか、あるいはグレープフルーツ、こういうものにつきましては、」その自由化は「私は敢然としてちゃんと押えてゆきます。」これが自由化したときの赤城農林大臣その人の委員会における答弁であったわけです。これはどう考えておられますか。これからあなたが農政をやっていく上において、農民信頼を得ることが一番大事なので、このことを農民が覚えているのです。態度をひとつ明らかにしてください。
  221. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農政責任者でございまするから、まずもって農民信頼を得る農政あるいは姿勢をもっていかなくてはならぬということは私も強く考えておりまするし、その責任をもって農政をあずかっておるわけでございます。  いま具体的の問題が出ましたが、レモンの自由化のときに、日本のレモンの栽培関係を私もずいぶん検討しました。これがほんとうにアメリカのレモンと対抗できるかできないかということもいろいろ検討したわけであります。農林省としても補助を出しておりました。補助を出しても、ある段階におきまして、広島等の一部、あと少しでございましたが、そういうところでやっているのに、これは対抗するのにもなかなか困難な立場である、こういうような情勢の判断もいたしましてレモンは自由化した、こういうことでございます。ですから、これは自由化しなくてもなかなかレモンとしては対抗できなかったのではないか。それよりはミカンのほうなどに力を入れたほうがよろしかろう、こう考えたわけでございます。それで、グレープフルーツの問題、そこに出ていますが、これは先ほどからもお話がありましたように、長谷川農林大臣も言ったようでございますが、私のときから、グレープフルーツ自由化ということは、日本温州ミカン等の解禁州をアメリカにおいて拡大する、こういうことが前提だ、こういうことを私は考えましたから、それに対しては断固反対する、こういうようなことを言っておったわけでございます。ところが、世界の情勢も変われば、また日本の国内情勢も変わります。政治も刻々に動いているし、経済も相当流動しておるのでございますから、自由化というような清勢は、これは国際的平和という点から考えましても、国内的にあまりナショナリズムが強くなって、そうして防壁をつくってそこで対抗していくということが、世界の平和にとってもいいことかどうかということも私は深く考えるわけであります。というのは、大東亜戦争、あるいは世界戦争になりましたが、あのときの原因なども深く考えてみまするというと、アメリカ日本の移民を非常に排撃いたしました。移民反対、こういうことで城壁を築いた。大ざっぱでありますが、それが満州に日本が進出する、満州事変も出てくる、満州事変から日華事変、大東亜戦争になった。こういうことも考えますときに、いま原水爆ができているときに、世界戦争あるいは対立というものもだんだん解消してくると思いますが、経済的に非常に対立をし、経済の摩擦が強くなるというようなことは、大きく考えればやはり世界平和のためにもならない。こういう観点からやはり自由化というものもやむを得ない、あるいはそういうような大勢がこれは世界の趨勢でもあるというふうな感じを一つ持っておるわけでございます。  それと同時に先ほどから申し上げました経済、貿易の不均衡というものが生じてきて、日本では非常に外貨が黒字になっておるというような状態でございます。それに対して国際的に通貨の安定というような問題も起きております。ですから、アメリカ日本に対して円の切り上げをしてくれということでなくて、日本独自の考え方からして円の切り上げをするというようなことが、日本経済に相当混乱を巻き起こすのじゃないか、こういうような考え方から見て、日本の考え方としてそういう面から見て、この自由化に対処する場合には、自由化というものも一つの方法であるが、同時に日本経済発展したこのときに、やはり日本農村の購買力ということも養うことが、景気後退に対する歯どめにもなる、こういうことで円の切り上げという問題も、自由化の問題と同時に、日本農村における購買力を増していくという方面に財政金融の作用を相当働かせる、こういうことも必要だというふうに私はいま考えるわけでございます。そういう点で自由化も趨勢である、またそういうような時期である、こういうようにいまは考えております。ただし何といたしましても体質の弱い農業農村でございます。でございまするから、できるだけ農産物等に対する自由化というものは阻止したいという考えは持ってまいってきておりました。しかしいまそういうことをいっておられる時期ではございませんから、自由化方向に私は協力していきますが、農産物につきましてはほんとうに慎重に考えなければいかぬ。だから私は前には国際会議にも出ませんし、またジュネーブのいろいろの自由化の協定などもありますが、そういう協定などにおきましても、私は率直に申し上げるならば、ただ自由化品目を並べて幾つ自由化する、こういうことはほんとうは筋に合ってないと思うのです。自由化するについてのウエートというものがございます。お互いに自由経済にしていく、貿易の自由化をするということにつきまして、その自由化に対してお互いの経済に寄与するウエートというものが、品目の中にほんとうはあると思うのです。そういうウエートをつけて自由化をするのが本筋でなかったかと思いますけれども国際的な協定の中におきましてそういうところまで検討しませんで、品目だけで自由化をするというような形になってきましたので、その結果が日本でもどうしても貿易品目で農産物自由化の対象になる品目の中に多いのでございます。御承知のとおりだと思います。そういうふうな国際関係からなってきておりますので、いま品目だけで何品目を自由化していくか、残存品目は幾つぐらいにするかということでこれは動いておるわけでございます。これもそういうふうな経過で、いまさら基本的に改めるということも国際的にこれはできません。できませんから私は農林大臣といたしましては、その品目につきまして影響の最も少ないものから——これは農産物でございますから、ほんとうはどれもこれもみな自由化したくないものばかりでございますが、そうもいっておられませんから、品目の選定につきましては他省とも検討し、考え合わせ、あるいはまた省内におきましても十分慎重に検討いたしまして、残存品目の中でどういうものをこれからの自由化の品目の中に入れていくかということにつきましては慎重に検討していきたい、こういうのが私の現在の態度でございます。
  222. 津川武一

    津川委員 そこで事は農民とあなたとの信頼度にかかわるわけです。あなたはいまいろいろ弁明されましたけれども、四十六国会答弁したときと情勢が変わって、自分の見通しが誤った、すみませんでしたというお気持ちがあるのだったら、農民信頼を得られると思うのです。このお気持ちがあるかどうか。  もう一つ、さらにその議事録によりますと、グレープフルーツとオレンジの「自由化なんという場合には相当筋を通して、」させなければならない、これがあなたの責任大臣としての答弁であります。時間がありませんから、どのように筋を通されたかは担当局長なりを通してもいいですし、あなたから私にお手紙をいただいてもよろしいですから、この経過を私知りたいと思う。そうでないと農民との信頼関係が確立されない。それが一つ。  第二番目には、あなたから、敢然としてちゃんと押える、これほど実にいいことばが出てからグレープフルーツ自由化された。そこできょうあなたはオレンジの果汁の自由化に対してやるともやらないともきめていない、これから慎重に考える。合沢さんの質問に対してはなるべく御趣旨に沿うようにと言っている。きょう来た農民たちにあなたの話を伝えました。そうしたら農民は、あれだけ言ってもグレープフルーツ自由化になったんだから、いまの大臣答弁だとオレンジも果汁も、そしてきょうは牛肉まで話に出ました。牛肉も自由化される、こう農民が不安を持っております。あなたはきょうはしなくもその不安を解消することがあなたの基本方針だと言ったわけでございますが、このオレンジと果汁と牛肉——きょう来た農民はフジ製糖のてん菜糖がだめになったあとに、岩手県と青森県の知事の行政と農林省の指導によって肉牛を入れている。これがまた一たまりもなくやられるのかというわけであります。そこであなたのほんとうのお気持ち、あのときの気持ちといまの気持ちと比べてすみませんという気持ちがあるのかどうか。ジュースとオレンジと牛肉がだいじょうぶなのかということを、ひとつ農民に不安ないように、はしなくもきょう所信の中で言ってくれて私感激しているわけでありますが、このあなたの方針を通じてお答え願いたいと思います。
  223. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 どうも三段論法で責められるようでございますが、私はグレープフルーツ自由化のときにタッチしたわけでもございませんが、しかし、この後のオレンジとかジュースとか牛肉とかという問題でございますが、これは農林省関係でもございますが、農林省だけの問題でもございません。これは国全体の問題でもありますし、国と国との折衝問題もございます。だから私がいかに勢いよく敢然としてなんと言ったって、できるかできないかもわかりませんが、私は皆さん方の御趣旨、考え方というものも十分頭に置きながら、いまの段階におきましては善処する、対処する、こういうことを申し上げる以外にはないのでございます。ここで私が口だけで敢然となんて言っても、敢然と結果ができなかったときにはこれはうしろ向きになってしまいますから、そういうことはあまり勇みはだで申し上げることはできません。やはり慎重にやるというほか、いま申し上げることはできません。
  224. 津川武一

    津川委員 そこでグレープフルーツの貿易の自由化との関連と、ミカンの輸出ですが、いまアメリカミカンを輸出するときにアメリカさんが来て、ここに温州ミカンなら温州ミカンを植えろ、まわり四百メートルに雑かんを植えちゃいけない。雑かんの中には温州ミカンよりももっといい伊予かんが入っておる。これをアメリカ自身が来て指導しておる。そして農協で検査するときにも、また検査する。それから段ボールに入れたものもまた抽出して検査して、一つでも悪いものがあれば全部だめにしてしまう。その輸出するものがまだ完熟してないもので、一つだめなために全部だめにされると売りものにならない。屈辱的な検査を受けて、まわりにいいものを植えられないで、不合格のときに非常に損害を受ける形です。これが温州ミカンに対する向こうの条件なんです。こういう条件を付せられて、あなたたちが温州ミカンを輸出するからといっても、数がふえて出ていかない、そういうものを条件にしている。これが一つ。これだけ農民大会を開いて現地であれだけ言ってみた、条件が変わってきた。かつてレモンを一回自由化してまた取りやめた。あなたの古い証文をもう一回出してむずかしいことは言いませんが、条件ができたらやる、条件ができてない。したがって、いまの段階においてはそういう条件ができる、温州ミカンができるように——向こうへ出そうといっても出ていかない防疫体制です。かりにでも一時でもいいから、グレープフルーツ自由化をもう一回とめて、体制整備に当たるべきだというのがあなたの責任ある態度だと思うのですが、これが一つ。先ほどのオレンジジュース、牛肉、これに対して慎重に考えていただく、これはよろしい。しかし、いまのあなたのお気持ちは何であるかということを明らかにしていただくと、農民があなたを信頼するし農政が進むと思うのです。いまのままだと農政が進まないと思うのです。この点お答えいただきます。
  225. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農民果樹農民ばかりではございません。しかし、その一角において不信をいただくということは、やはり大きな問題だと思います。だからしてグレープフルーツ自由化を撤廃して、そして温州ミカンの交渉に当たれといっても、これは無理というものでございます。これは前後いたしましたけれども温州ミカンのほうは温州ミカンのほうでその開拓を進めていきたいと思います。その際におけるいろいろ植物防疫のことについて御注意もありましたが、あなたのほうでよくおっしゃる屈辱的ということがございますが、私は自分自身が屈辱的な気持ちを持って外国と折衝していることはございません。そういうことばは自分を卑下するもので、私は屈辱的なんというようなことで——ソ連の交渉でも日韓の交渉でも、ずいぶん対外交渉もやりましたが、屈辱的なんということは言ったことはございません。それはみずからを下げるものだと私は思います。そういう意味で、屈辱的というようなことを言われないように、温州ミカンアメリカ解禁州を広げていくということに対しても折衝させたいと思います。そういうことにつきましては、よく御理解願いたいと思います。
  226. 津川武一

    津川委員 大臣、あなたは農民温州ミカンを輸出しようと思って栽培しているときに、古いものはいかぬ、新植して持ってこいと言われて、それでやられたときに、農民の感情覚えていますか。覚えてなお屈辱でないと言うならいいけれども、わからないで屈辱と言っているのか、この点ひとつ答えていただきたい。  もう一つ、こういう検査が植物防疫法にあるかどうか。植物防疫法によれば規定外のものは公聴会を開いて大臣が委嘱すれば外人は検査できますけれども、そんなことはやっていないと思う。こういうことに対して、日本農民の気持ちをどう代表するか、これが一つ。  ついでに、ミカンのことが出てきましたので、駅のことで苦情が出ているのです。皆さんが応援してくれて駅の隣に選果場をつくって、ベルトコンベヤーで貨車に積んでいる。それが今度、国鉄の貨物取り扱いが廃止になるわけです。青森県の藤崎の駅でリンゴの貨物取り扱いが廃止になる。隣に持っていけというが、隣のほうは雨で置くところがない。段ボールだから凍ってしまう。こういうことで、国鉄は五百トン以上ないと農産物扱わないという気持ちなんです。こういうことに対して、このことを御存じかどうか、国鉄と交渉するつもりがあるかどうか、これが一つ。  時間、時間と盛んに言うから、まとめて言います。  もう一つ斎藤委員が話をしたあの日米合同演習です。青森県の農民や北海道の農民が防衛庁に交渉に行ったら、いつ出てくるか私らもわからないのだ、アメちゃんに聞かなければわからないのだ。わかっておるならばそのときに網を据えないのだが教えてくれと言っても、われわれに自主性がない。今度レアード国防長官でしょう、沖繩でしょう。もっともっとあそこに多くなってくるわけです。これに対してあなたが農業、漁業を守るという点で防衛庁とはっきりと交渉をする、この決意があるかどうか。斎藤委員が話した北海道の一千何百万、青森の七百万、交渉してこれは削られます。二けた三けた要求して十五万円しかもらっていなかったのが四十一年。こういうことに対して、あなたは農林大臣としてはしなくもこういう所信を表明してくれたから、私はこの所信に対してあなたに質問していくわけです。この国鉄の問題と日米合同演習の問題を答えていただきます。
  227. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほども合沢さんでしたか、斎藤さんでしたかに答えたんですが、演習の問題から申し上げます。  私は農林大臣でも何でもなかったです。なかったですが、おととしソ連で日本の漁業区域で演習するというようなことでございましたから、私はソ連に交渉しまして、その演習を中止したり、区域をそこから避けてもらった、そういうような事情もございます。そういうこともありますので、漁業の点につきまして、漁業が非常な被害をこうむるようなところで合同演習でもその他でもするということは差し控えてもらいたいと思います。でございまするから、そういうことがありましたら、やはり私のほうにも話してもらえば、私のほうから防衛庁にも話をし、防衛庁もそういうことはアメリカともいろいろ話ができると思いますから、そういう手続をとって、そういうことがないようにいたしたいと思います。  国鉄のその問題、私もあまり聞いておりません。聞いておりませんから、よく調べて、いろいろ支障があるようでありますならば、国鉄とも交渉いたします。  なお、植物防疫のことにつきましては、なかなかこまかくて、技術的なことで、私も知らぬ面がございますから、もし必要がございましたら、事務当局から答弁いたさせます。
  228. 津川武一

    津川委員 一言だけ。大臣、防疫のアメリカのそういう屈辱と考えないとあなたは言うけれども農民は屈辱と考えているから、農民にこれをうつさないように、あなたはやはり考えていただきたい、これだけを言っておきます。
  229. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 屈辱ということばを使われるあなた方の態度というのは、私は態度として気になります。何でも政府がやったもの、ほかのやったものは屈辱的だ、屈辱的だということは、自分を卑下したことで、私はそういうことでなくて、あなた方の言うような自主独立の気持ちを持っていまずから、いままで韓国と交渉しても、ソ連と交渉しても、屈辱的な交渉だなどという気持ちは持ちません。そういうことで屈辱的ということばを言ったのでございますから……。しかしそういうふうにとられないようにいたしたいと思います。
  230. 藤田義光

    藤田委員長 以上で、質疑を終了いたします。      ————◇—————
  231. 藤田義光

    藤田委員長 請願の審査に入ります。  今国会において本委員会に付託になりました請願は、全部で十九件であります。  本日の請願日程第一から第一九までの請願を一括して議題といたします。  各請願内容につきましては、請願文書表等によりましてすでに御承知のことと存じます。また、先刻の理事会におきまして慎重に検討いたしましたので、この際、各請願についての紹介議員からの説明等は省略し、直ちに採決したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  先ほどの理事会で決定いたしましたとおり、本日の請願日程中、第一八及び第一九の両請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました両請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  235. 藤田義光

    藤田委員長 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、食糧管理制度明確化に関する陳情書外十六件でございます。  右御報告いたします。      ————◇—————
  236. 藤田義光

    藤田委員長 この際、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  内閣提出、土地改良法の一部を改正する法律案  農林水産業振興に関する件  農林水産物に関する件  農林水産業団体に関する件  農林水産金融に関する件  農林漁業災害補償制度に関する件 以上の各案件につきまして、閉会中もなお審査を行ないたい旨、議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長への申し出に関する手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  ただいま議長に申し出ることに決しました閉会中審査案件が付託になり、その調査のため、委員を派遣する必要の生じました場合には、その調査事項、派遣委員、派遣期間、派遣地並びにその承認手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、おはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置されております野菜生産出荷安定に関する小委員会につきましては、閉会中もなおこれを設置し、調査を続けたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任補欠選任並びに小委員会において参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、その人選等所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時六分散会