運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-08-10 第66回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月十日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 湊  徹郎君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    天野 公義君       加藤 陽三君    中山 利生君       堀田 政孝君    木原  実君       横路 孝弘君    桑名 義治君       受田 新吉君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 西村 直己君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 宮崎 清文君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 八月十日  辞任         補欠選任   鬼木 勝利君     桑名 義治君 同日  辞任         補欠選任   桑名 義治君     鬼木 勝利君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 総裁に承りたいのでありますが、新聞の書いているところによりますと、十三日に勧告をする、こういうことのようでありますが、実はあとのこの委員会を開く都合もございまして、まあ、おそらく中身は書いてしまってあるのだろうと思いますから、十三日というふうに受け取ってよろしゅうございますか、お出しになる日は。
  4. 佐藤達夫

    佐藤説明員 十三日に出すつもりで準備をいたします。
  5. 大出俊

    大出委員 何べんか総裁にすでに質問を重ねてきておりますが、この四月一日実施という私どもの主張でございますが、この件に関しまして、いささかなおあいまいな点があるように思いますが、きょう御出席を賜わっております総務長官は、人事院勧告に四月一日実施ということを明らかにすれば蛮勇をふるって完全実施をしたい、こういう実は明快な御答弁をいただいているわけでございます。したがって、当時は尾崎給与局長もその席に御参席でございましたから、とくとお聞きのところだと思いますが、となりますと、人事院勧告に四月一日と書くか書かぬかということで、数ある公務員皆さんが、四月一日ということで六千何がしよけい収入があるかないか、こういうこれは分かれ道でございまして、そういう意味でひとつ総裁決断のほどを、四月一日実施に関して承りたいわけであります。佐藤説明員 先ほど、あいまいな点があるというおことばがございましたが、実際あいまいな点があると私どもも自認いたします。四月実施云々の問題も、この間来申し上げておりますように、私ども一理あるというところで現在検討を続けておるわけであります。率直に申しまして、二理、三理というところまではまだ到達はしておらない。その意味であいまいな点があるというおことばをちょうだいしているわけであります。しかし、われわれの態度としては、後退はもちろんしておりません。
  6. 大出俊

    大出委員 これまたたいへん微妙な御発言なんですが、ここにおいでになる方はひとしく公務員方々ばかりですからね。これはたいへん注目をしておるところでございまして、皆さんのところの関係の職員の皆さんからも、四月一日やるのかやらぬのかといって、顔を合わせるたびに質問が出る状況でございます。したがって、いまのお話によりますと、一理ある、しかし、二理だ三理だというところがまだはっきりしない、だからそこがあいまいだ、こういうことをお認めになっておるわけでございます。  そこで詳しく承りたいのでありますが、なぜ一体四月実施に踏み切れないのかという点、理由をひとつ克明にしていただきたいのでございます。
  7. 佐藤達夫

    佐藤説明員 申すまでもありませんが、その実施期日の問題は、最初はなるべくすみやかにということで相当長い間続いてきて、それが五月になってもう十年こえたわけですが、そういうようなことで、一応五月実施実施期日をきめるとすれば五月ということで、十年以上続いて一種の安定をしてきた一つ制度になっておるわけです。これを変えることは、やはりこれは、給与の世界からいえば一種の憲法改正のようなもの、相当根拠がありませんと軽々しくこれを変えるということは、これは納税大衆を含む国民大衆に対して、われわれは納得していただかなきゃならぬという立場を持っておるわけであります。そう軽率には踏み切れない。しかし考えてみると、全然これは問題にならぬことじゃない。初めは一理なきにしもあらずということを私は申し上げておったのですが、この間は一理あるというところまでいったわけです。ただ、二理、三理まではちょっと間があるというので、あいまいだというおことばを受けたわけです。そういうかまえで、これは重大な検討課題としてわれわれは今後も熱心に検討を続けてまいりたい、そういう気持ちでございます。
  8. 大出俊

    大出委員 どうも理由がさっぱりはっきりしないのですが、きょう二理あったことにしていただいて、勧告を出すときに三理あるというようにされればいいじゃないですか。政府の側は、蛮勇をふるって実施したいと、こう言っているわけですから、いかがですか。どうもたいした理由はないようなんですが、重ねて承りたい。
  9. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ただ、理論闘争申し上げるのにはちょっと早過ぎますから、それは御遠慮申し上げますけれども山中総務長官がおっしゃったことは、私の立場からすると、これは当然のことでして、人事院勧告を申し上げた以上は、これは完全に実施していただくべきものと考えておりますので、その辺のあらわれとして非常にうれしく拝聴をする次第であります。
  10. 大出俊

    大出委員 長らく総裁が五月実施をずっと言ってこられまして、ある時期には悲憤憤慨をされて、なぜ一体これだけ人事院が五月実施を言っておるのに政府筋は五月実施をしないのか、まことに遺憾であると声を大にして言われたことがある。今回は、山中さんだからという気もするのですけれども、そこにおいでになっているところで言い方は恐縮なんですけれども、あえて人事院がお書きになればということで、蛮勇をふるってというところまで言っておられる。給与担当大臣としては相当困難なことを覚悟の上で言っておられる。だから、これはやはり総裁立場からすれば、たいへんこれはどうも恐縮だ、そこまで言っていただいてということになるわけです。いまの経緯からすれば。にもかかわらず、さて残った人事院の腹のうち、総裁気持ちの中で、理論闘争をする時期ではないから避けたいとおっしゃるのだけれども、もの言わぬというのは腹ふくるるわざでございまして、ここまできて理論闘争を避けたいというのがどうも私にはわからぬ。明確な理論があれば言っていただいたほうがはっきりしていい。この間から何べんも承っておるのですが、一理あるというのだから理屈はまず一つある。二理、三理がないというのだけれども一理というのは何であって二理、三理というのは何だというところまではっきりしていただきたい。あえて避ける気はありませんから、理論闘争やってください。
  11. 佐藤達夫

    佐藤説明員 あるほうのことなら、理論闘争には打って出てこっちから吹っかけてもいいわけですけれども、ないほうのやつは、理論闘争に乗ってくるまで率直に言っていかないのですから、これから一生懸命勉強いたします。そしていずれ理論闘争をお願いしたいと思います。
  12. 大出俊

    大出委員 避けたいというあなた言い方をされるのですから、ないものは避けるも避けないもない。そうでしょう。それでは、五月実施のほうに理論闘争になるところの根拠があるのかということを聞いてみたら、あなた方、とうとう五月実施理論についておっしゃらないから、ないのですねと私は念を押して、それでは四月実施理由があるではないかと言ったら、一理あるということになった。そうでしょう。いまさらここで五月実施理由をあらためて理論づけしようとは思わないというお話が実は先般あった。五月実施のほうの理屈はないことになった。全くない。四月実施のほうが一理まずある。これが二理が出てきて三理が出てくるということでしょう。二理のほうに行こうじゃないですか。しかし理論闘争々避けるとあなたおっしゃる。これはひきょう千万。私は理論闘争をあえてやってくれと申し上げているのですから。それはおやりにならぬですか。  それは、納税国民立場を考えてなんてことをおっしゃっておるのですけれども、それではいままで人事院勧告というのは、五月実施をさんざっぱら出してきて、何も毎年毎年、納税国民のことを考えて実施しなかったわけじゃない。政府の政策でしょう。いま予算がなくてもあっても完全実施すると言っておるでしょう。先般大蔵省の皆さんに出ていただいて、金がありますかと言ったら、ないというのです。しかし、あるなしにかかわらずやると総務長官おっしゃった。そうでしょう。そうすれば、納税国民に対するものの考え方というのは、これはお互いに卒業した上のやりとりをしておるわけですよ。それは理由にならぬ。それじゃ一体公務員は税金払ってないようなことをおっしゃっておるけれども、そうじゃない。何で長い間、昨年まで完全実施ができなかったのか。どれだけ損をしてきたのか。生活にたいへんな支障を及ぼされつつ今日に至ったかということは、人事院総裁が一番よく御存じだ。そうすれば、私の推測で残るのは、どうも去年五月実施をしたばかりだから、ことし四月実施というのはいかに何でも政府の側もあるからと、その辺しか私は理由がないような気がする。違いますか。
  13. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもは、理屈一点ばりですべてものごとを考える立場で、それがまたそれなりに御批判を受けているわけです。その辺についても理屈理屈として、やはり先ほど触れましたのは、納税大衆を含む一般国民各位に御了解、御納得いただけるようなことでないと、われわれの仕事はまたつとまらぬという立場があるわけです。組合の方々は上げ幅が少ないという点を不満をいつもお述べになりますし、大蔵大臣は頭が痛いとかなんとかいうようなことで、結局いい顔はされないという中で、われわれがやはりたよりにしているのは、国民大衆納得していただけるかどうかということをいつも思い込んでおりますので、一理あるという程度で軽々しく飛び出すべきことではあるまい。二理、三理ぐらい固めて、そして打って出て、そしてもちろん政府側の御賛成は当然のことでありますけれども国会でも皆さん御賛成していただいて、首尾よくこれが成立していくというようなことであるべきではないかと思うのです。ですから、たまたま横っちょのことを言いましたけれども、本心はやっぱり筋の立っていることをしたいということに尽きるわけでございます。
  14. 大出俊

    大出委員 ちょっと待ってください。四月実施が筋が立たぬというわけですな。あなたはいま、筋の立ったことをしたいとおっしゃる。そうなると、四月実施というのは筋が立たぬということになる。立たぬ理由を言ってください。
  15. 佐藤達夫

    佐藤説明員 言わないと申し上げれば、ないとすぐ直訳されますし、いまのように、すべて簡潔に翻訳されますと、これはニュアンスというものは全然吹っ飛んでしまって、情けない話になると思うのです。そういう情けないものではないという立場でまいりたいというふうに考えております。
  16. 大出俊

    大出委員 二つ聞きますが、納税国民納得する、しないという問題。いままで五月実施というふうにお書きになったのは、納税国民納得するおつもりで五月実施をお書きになったのだと思う。納得すると思って人事院が五月実施とお書きになったものが、去年まで実施されなかった。そうすると、人事院責任というのは一体どうなるかというと、納税国民納得するはずだということで五月実施をお書きになっていながら、五月実施ができない。やれ十月だ、九月だ、八月だ。八月と閣議がきめたのを私ども苦労してひっくり返してきたりした。そうでしょう。その間の納税国民納得するはずにもかかわらず政府実施をしなかった。人事院の数回の勧告にもかかわらず。国会もそうでございましょう。それが長年続いてきた。いまになって、四月調査をやっているのだから四月一日実施をやろう、にもかかわらずそれが納税国民納得しないのですか。いささか理不尽ですよ、その考え方は。毎年毎年おくらされてきた。やっと完全実施になった。しかも調査は四月からやっている。そうすると、だからこの際四月実施をすると言って、ひとつもおかしくないでしょう。五月実施ならなぜ納税国民納得して、四月実施なら納得しないのですか。直訳じゃないのですよ。過去の歴史があるのですから。そこらどうおとりになりますか。
  17. 佐藤達夫

    佐藤説明員 納税者を含む国民大衆国民各位と申し上げましたが、納税大衆ということばのほうが便利でございますので、納税大衆ということばを拝借いたしましたが、私どもが先ほど来申し上げました基本的な立場は、たとえば官民格差に厳格に基づいて勧告申し上げているということもやっぱり納税国民方々納得を得るゆえんだろう、常にそういう点に頭を置きながらやっておりますよということをただ申し上げただけで、たとえば勧告がいままで完全に実施されなかったという場合におきましても、これははたして国民各位のその現実に対する考え方はどうだろうかということを、たとえば新聞社説などをわれわれしょっちゅう見ている。幸い新聞社説では、最近のことではありましたけれども完全実施をしろという社説が出ているわけです。そういう意味で、はあ、なるほどそうかというようなことできておるわけで、その気持ちを申し上げただけで、あまりそこへ深入りされると、われわれとしても、あなたのベースに巻き込まれてまた足取りが乱れますから、そういうわきの問題として、周辺の問題として申し上げたにとどまるのでございますということを御了解いただきたいと思います。
  18. 大出俊

    大出委員 それはまわりにあることを言ったのですから、周辺の問題だと言ったのですから、まん中にはそれじゃ何があるのですか、理由は。
  19. 佐藤達夫

    佐藤説明員 まん中はわれわれの権利であります。
  20. 大出俊

    大出委員 理由を承りたいのですよ。どういう理由があって四月実施をなさらぬとおっしゃるのですか。なさらぬとはおっしゃっていないのだけれども、どうも二理、三理が見つからぬとおっしゃっているのですな。理論闘争は避けたい。避ける必要はないと言ったらあなたは何と言ったかというと、ないものは闘争できぬと言う。それなら最初からないと言えばいいものを、持って回って理論闘争はこの際避けておきたい。それでは今度は公務員皆さんのほうが納得しないでしょう。事相手人事院なんですからね。そうでしょう。そこのところはやっぱり納得するように説得していただかぬと、私もここで質問をしていますが、公務員皆さん気持ちに立って私は質問をしている。  そうしますと、私もなぜ一体人事院は二理、三理が見つからぬのかという点について、明確にそれじゃ納税国民納得しないのだと言い切っているのかどうか、そこを詰めたら、それはもうあまり言わない。まわりの話だ——理由がないじゃないですか。そうでしょう。たまたま人事院勧告五月実施と出してきたんだけれども、それについて社説等は、政府実施しないのはよくない、完全実施をしろ、そういうように納税国民は五月実施を支持してくれた、こう思ってという、そういうことでしょう。それはまわりの話だという。納税国民納得しない理由も聞いた。それなら何が残るんですか。まん中は何があるのですか。われわれの権利——権利といっても、勧告権人事院にあるのですが、それも正当な理由がなければ、四月実施をしないといっても公務員の諸君は納得しない。そうでしょう。だから、そこのところの説得するに足る理由を明確にしていただきたいと、さっきから申し上げておる。何べんも言っているんですよ。いかがですか。
  21. 佐藤達夫

    佐藤説明員 つらつら考えるのでありますけれども、私が老練あるいは老獪なる政治家であるとすれば、そういう四月実施はどうだとお尋ねになられたときには、これは重要な課題でございます、十分検討いたしますということで、ずうっと私は二年も三年もやれたと思うのです。しかしそれが正直者の弱いところで、つい初めは一理なきにしもあらずというようなことを申し上げ、それから今度、率直に言って一理あるというようなところまでいって、二理、三理はございませんというようなところまですっかりさらけ出して申し上げた。それをまた攻撃されては、これはまた私も、ひるがえってもとに戻って、老獪なる立場のほうに行ったほうがいいかなと、つらつらそういう気持ちを起こしておるということだけを御参考までに申し上げておきます。
  22. 大出俊

    大出委員 総裁、そうあなた、人生の大先輩がからめ手から攻めてはいけませんよ。ものの言いようがなくなってしまう。私も公務員皆さん立場があって、ここにおいで公務員も、家に帰れば奥さんや子供さんから、おとうさん、ことしは四月実施になるのですかとこう聞かれるに違いない。人事院につとめている皆さんだってそうだ。だから、そういう立場で承っておるのに、もうものを言わぬという感覚でからめ手からものを言われて横を向かれたのでは、これは議論にならぬじゃないですか。総裁、これから先はおこりますか。二理、三理をいま見つけておるわけですか。  しからば角度を変えてお聞きしますが、ことしの勧告では四月実施とはお書きにならぬのですか。
  23. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先刻来申し上げましたようなことで、熱心に検討を続けておる段階でございます。
  24. 大出俊

    大出委員 そこで老獪な答弁に戻ったわけですか。少ししつこいというような顔をなさっておるけれども、この点はことしの勧告のポイントだから聞いておるのです。せっかくお隣に総務長官も笑っておいでになるが、勧告が出れば実施するとおっしゃっておるのですから、これは一にかかって人事院責任なんです。実施するしないは、勧告権を持っておる人事院の、しかもこれは人事院総裁決断にかかっておるわけです。だから、しつこいようですけれども、繰り返し申し上げておる。私も長い間質問をしてきておるのですから、総裁がそこまで言えばわかったと言わざるを得ぬのですが、そういうわけにはいかぬのです。いかがですか。そこにもう少し先がないですか。お答えはそれきりですか。
  25. 佐藤達夫

    佐藤説明員 その程度でございます。
  26. 大出俊

    大出委員 コンニャク問答であり禅問答になってしまうといけないのですがね。人事院総裁勧告権がありまして、山中総務長官にはございませんので、これは先般総裁があえてそうおっしゃいましたから、これだけ私が一生懸命に総裁に詰めて、もう一言何かおっしゃっていただけぬかと思っておるのですけれども、いま真剣に検討中であるというところなんですね。そうでしょう。最終的に十三日には勧告が出る、こういうことですね。四月一日と書いてあればそれでいいですよ。皆さん非常に喜んで、担当大臣である総務長官も、蛮勇をふるってとおっしゃっておる。閣議はおそらく四月一日にきめてくれるだろうという気になる。こういう結果書いてなかったら、これはどうなるかということですよ、もう一つは。いま真剣に検討中なのですから、まだ三日ありますから、いまここで即答は求めませんけれども、書いてないとなったときに、書いてないじゃないか、それで理由が何にもなければ、これは納得のしようのないものができ上がる。何か書いてなければないように、なるほどこうこうこういう理由だったのかということになって、それじゃしかたがない、来年まで待とうということになれば、これも一つ理屈かもしらぬ。書いてあることが望ましい、みんなそう思って待っているわけだから。ただ、十三日に出る勧告を読んでみたら書いてなかった、なかったが何も触れてないということになっていると、これはやはり納得しようにもしようがない。  まず今度の勧告で予測されるのは、一等級、二等級の皆さんなんかに管理職手当、つまり特別調整額なんというものがほうり込まれて手当の増額というのが出てきますと、原資は別ワクだって、やはりおさまらぬものが出てくる。だから全般的にこうなったのだということが一つないと、やはり私は、たくさんの公務員方々を説得をする、御了解を願う、こういかないと思う。そこらまで考えるから何かそこに——人事院というのは最近は必ず何かやるのですね。官民比較をやってみたら、公務員のお年寄りのほうはかなり高いというようなことをぽんと言ってみたり、そのうちに今度は天下りがうんとある、これはてっぺんのほうも民間に比較しても、公務員のほうが次官だ局長だというのがどうも給料が安過ぎるというようなことをぽんと言って、一年くらいたつと安過ぎるからというので上がってくる。一年前の予告制度というものですね。これは最近三、四年人事院総裁がおつくりになったルールですよ。そうでしょう。だから、そこらのところはそこらのところで、一般公務員皆さんが、なるほどと納得するようなことが書いてあるか。さもなければ、そこらはどうも総裁らしいところがないと、何の理由もなしに書かなかったじゃ事は済まぬ。ここらまで実は考えているのです。だから、いま鋭意検討中、せっかく検討中、熱心に検討中と三つあるのです、総裁のあなたが言っていることばは。ともかく結論は検討中である、これは間違いがない。だから勧告は十三日にする。勧告権をお持ちなんだから、いまここで言えとは言わないけれども、書いてないとすると、鋭意検討の結果こうだとかなんとかなければ納得せぬだろうと思うのですよ。そこらいかがでございますか。
  27. 佐藤達夫

    佐藤説明員 昭和三十五年以来やっていることの弁明を書かなければならぬかとも考えませんけれども、やはり将来の問題としてのお取り上げだろうと思うのです。そうなれば、先ほど来もういろいろなことばを使って申し上げましたことによって、われわれの立場はもうはっきり、とにかく国権の最高機関である国会でこうやって申し上げているのですから、われわれの片々たる報告書の二行か三行、いまの予告編からいえばというようなこともございましょうけれども、そこまでにいかなくても、ここでこれほど、たびたび何回もいろいろ御説明し、われわれの態度を述べておるわけです。これが一番はっきりするのじゃないかというふうに考えております。
  28. 大出俊

    大出委員 私は新聞関係皆さんのようなセンスでないものですからわかりかねるのですけれども人事院皆さんの中には、そういうことはあらかじめ予告する必要はない、そのときに書けばいいのだということを言う人も、いるようでありますが、尾崎さん横向いて笑っておられるけれどもそこらはやはりたくさんの公務員を相手にしているのですから、あけてびっくり玉手箱みたいに、どういう音色が出るかなんということを楽しんじゃいけませんよ。やはりそこは一理ある、一理なきにしもあらず、いや一理ある、理論闘争はいま避けたい、納税国民がと、さあその先は、納税国民まわりの話だ、中身だと、こういう話になってきたわけですから、だからやはりそこの二理、三理というのは、人事院がお立てになろうとすれば幾らもある。皆さんがおっしゃらぬものをここで私が言ったってしょうがないけれども、そこのところはやはりそういうふうに考えて全体を納得させる。公務員皆さんだって御家族を持っているんですから、そこまでやはり人事院が配慮すべきだろうと私は思う、正直言って。四月調査をやっているのですから、四月一月から実施したっておかしくない。十二分の十一、十一カ月分なんていう計算をせなければならぬ理屈はない。だから一理あるということになると思うのですよ。だからそれならば、これはタイミングを少しおきたいという考え方総裁の頭の中に芽ばえてきたのだとするならばそうやってもらえばいいし、決断がつくならばこの際四月一日とお書きいただけばいいし、これは人事院勧告権がある限りやむを得ぬことだと思う。いずれにせよ、納得のいくようにお出しいただきたい、出し方をされたい、こう私はお願いしているわけですけれども、おわかり願えますか。
  29. 佐藤達夫

    佐藤説明員 よく御趣旨はわかりました。
  30. 大出俊

    大出委員 総裁、どうも御趣旨はわかりましたで先をおっしゃらぬと困るんですね、いまのところは。  ところで一時金ですけれども、これはこの間私、端数を切ってくれるなということを申し上げましたが、この八九だとか〇九だとかというのをなぜお切りになるかということをしきりに申し上げたんですけれども、予告編というおことばもいま出ましたが、予告編の中に、民間のえらい方々のほうが手当も多いのだと書いてありました。その予告編は今回は実現をするんですか。絵になりそうですが。
  31. 佐藤達夫

    佐藤説明員 そういう厳粛な事実が確かにある。ことしも念のために調べましたけれども、依然としてそれはもうはっきりした事実としてとらえておるわけでございます。したがって、ほってはおけないという気持ちで取り組んでおるわけでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 ほってはおけないという気持ちでとらえておると、こういう御答弁でございますから、そうならば、これは絵になるということですな、ことしは。となりますと、どういうふうにこの予告編をお移しになるんですかね。つまり管理者の皆さんには管理職手当がございますね。特別調整額がございますね。ここらのところはどういう処理をなさるおつもりでございますか。
  33. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それがわれわれの苦労の頂点でございまして、まあいま胸つき八丁のちょうど坂道にかかって、大いに苦心惨たんして何かいい案をひとつつくりたいという立場に立って勉強しておるところでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 これは給与局長に承りたいのですが、この特別調整額なるものは、管理職手当なんというものは、パーセンテージでどのくらいあるのですか、いまの率からいきますと。二五%くらいありますか。
  35. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 最高限は二五%でございますが、二五%、二〇%、一六%、一二%、それに一〇%という段階になっております。
  36. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは最高限のところでお考えになるとすると二五%くらいのところをお考えになる、たとえば一等級、二等級というと課長さんでございましょうね。そこから先の次官だ局長だというのは前回俸給表でいじっておられますが、これも関係はありますが、つまりこれは、課長補佐の方もあれば係長の方もおありになる。たとえば核家族四人世帯で三十五歳、六の九という方もいる、あるいは二人世帯もいる、こうなっているのですから、そこらのところ、官民格差の面で一時金ということで線を引くとすれば、どの辺に線を引くべき筋合いだとお考えでございますか。
  37. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 従来、月給面で官民格差をいろいろと調査をして、詳しい調査をしてまいっておるわけでありますけれども、それはそれでなるべく詳しく埋めていくという形で考えてきておりますけれども、さらにやはりその年間の給与もいろいろ調査してみますと、また月給面だけで埋めるのでは官民の格差がやはり相当問題点が残るといったような点がだんだんはっきりしてまいっておりますので、そういう格差の残り方という点を十分検討いたしまして、そして、どの辺からほっておけないか、当面ほっておけないかということを、現在いろいろ検討しておるというところでございます。
  38. 大出俊

    大出委員 どの辺からほっておけないか、つまり本俸と手当と一時金、こうあるわけですね。どの辺までならほっておけて、どの辺までならほっておけないかという点、私はここに関心を持つわけです。たとえば一等級、二等級あたりまで考えておられるとすると、そのあと、ではどうするんだ。課長さんまでいいにしても、そこから下の課長補佐はどうするのだ、係長はどうするのだということになるわけですね。四等級なら四等級というのは一体どうするのだ。二人世帯あたりのところだって、俸給表の中だるみだってあるわけですよ。ただ公務員の分布からいきますと非常に多い。ある意味では、総裁の持論であるちょうちん型ですから、その現実の配分という面で非常にむずかしくなる。だからそういう意味で、一体どこに線を引くかによって非常に不満が内向するという問題だって出てくる。一等級、二等級に手をつけて、管理職手当、つまり特別調整額を使って特別手当、一時金をふやした、そこまではいいとしても、そこから先のやり方いかんによっては、こんなものはただで済ませられるかということになるのです。そうすると、そこらあたり、たとえば級別定数という問題もありましょう。これは大蔵省との関係が非常に濃い。定数のワクをどういうふうに考えるかという問題も出てきましょうし、中だるみをどう埋めるかという問題も出てまいりましょう。初任給との関係もありましょう。原資全体にからんでまいります。そこらの問題全部をならして、どこまでは本俸でやっていける——この官民格差の面から見て、本俸だけでは調整できないというお考えだから一時金で見ようというお考えになると思うのですが、それをどこまでという線の引き方が非常にむずかしい。へたな引き方をすれば、その面でたいへんな混乱が起こると思いますから、そこら全体をながめて、どう調整をしてどう全体を納得していただくかという概略の考え方を聞いているわけです。いかがでございますか。
  39. 佐藤達夫

    佐藤説明員 問題点は、おっしゃることばの中に、いろいろひしひしと感ずるものがあるわけですが、先ほど申しましたように、目下取っ組み合いの格闘中でございますので、もしもこれをやるとすればこういうふうにやったほうがいいじゃないかというお気づきがあれば、ちょうどいい機会でございますから、詳しくお教えおきをいただきたいのであります。
  40. 大出俊

    大出委員 これは勧告権総裁のほうにありましてね。さっきの話もそうなんですが、さっき、四月実施についてこの際いいお考えがあれば全部言っていただきたい、こうおっしゃられれば私は全部しゃべったのですが、いきなり管理職手当の、つまり上のほうの方々の特別手当のほうにいい考えがあればなんというのは、総裁少しえてかってです。あなたの都合のいいことばかり言ってはだめです。  この問題と四月実施という問題がある。だから片一方のほうは、上のほうの一等級、二等級あたりにばんと手当をよけい出した、ところが四月実施のほろはしらばっくれてという言いぐさはありませんが、四月実施については一理あると言ってくれたと思ったらならなかった。冗談じゃない。こんな上のほうのことについてこういうことをされては困るということでまた事件が起こる。だから考え方を聞かせていただきたいと言っているんで、私がここで、級別定数をこの辺で埋めておけとか、この辺の中だるみはこう直しておけと言っても、そのとおりおやりになりはしないだろう。そうでしょう。私がここで提案すればおやりになるというお約束があれば、こまかく説明しますよ。それこそ一時間かかってもやります。だから、まず概略をそちらでおっしゃってくださいよ。どう考えているのか。
  41. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それはいま取っ組み中でございますので、いろいろお考えがございましたら、お教えいただければたいへん幸いであるということを申し上げているので、もちろん、そのとおりこちらで扱わしていただきますというような僭越なことは申し上げません。大出案というものは全部こっちで先取りしてしまうというようなことはございません。おそらくいろいろいいヒントをお持ちであろう、それを期待しているわけでございます。
  42. 大出俊

    大出委員 第一ヒントから始まって、ここで何かみたいに第二ヒント、第三ヒントとみんな言ってしまって、大出がああ言ったからというので、だからやりましたなんて言われたら、これはたまったものじゃない。そうでしょう。そういうわけにはいかない。やはりある品物は全部店先に並べていただいて、四月一日実施もここにある。四月一日実施をやるかやらぬか。一等級、二等級のやつもここに並べて、いろいろ取りそろえて、中だるみの問題も毛ある、級別定数の問題もある、その上でどうするかというお話がなければ、議論のしようがないじゃないですか。だから私が聞いているのは、専門家である尾崎さんに承っているのは、とこで本給と手当と——本俸だけを考えたのではどうにもならぬ。たとえば本俸ということになるとすれば、調整額なんというのは、これは本来基準内賃金じゃない。そうでしょう。そうなると、あなた方がこれを考えるのなら、そこを入れなければいかぬ。そこまで入れなければ手当ははじけない。そこらまでお考えなのか、まずそこを承りたいのです。
  43. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 民間の特別給がどの程度支払われているか、平均月給に対しまして何カ月分支払われているかという点は、毎年一つのルールに従いまして調査をいたしまして、それで四・何カ月分ということで、公務員におきましてもそれに追いつかせていただくということでやっておるわけでございます。  それで当面の問題は、そういうふうにやってまいりますと、年間給与として相当な格差があるところにおいては残る。月給だけやっておったのではどうしても官民間で常識的に非常な格差が残っていくという点が、もうはっきりと見えてきておりますので、そういう点をどういうふうに措置したらいいか。いま御指摘でございますけれども特別調整額のようなものを使うことがいいかどうかといった、そういう問題も技術的にいろいろございまして、現在妥当な方法はどういうふうにやったらいいものかという点で非常に苦心をして検討しているところでございます。
  44. 大出俊

    大出委員 それが、いま総裁がお答えになっている、いろいろ取っ組み合いをやっているということですね。各官庁のいろいろな思惑もございましょう。だから課長さんなら課長さんのところまで本俸、扶養手当、調整手当、いわゆる基準内ですね。これが手当の算定の基礎ですわね。これに特別調整額を入れる。いまの局長答弁からすればそうなるわけですね。それがいいか悪いか、そういうことですな。そうした場合におのおの官庁相互間のいろいろな問題がありましょう。級別定数のワクだっていろいろあります。官庁によって違う。そこらのところもあります。職員分布が違うところもある。うちのほうは都合いいがうちのほうでは都合が悪いというところもある。それがいま総裁もおっしゃられるように、取っ組み合いの中身で、たとえば二五%をとらないで二〇%を考えるとか、いろいろあると思うのです。全部入れてしまうということだってあるのですから。その場合にそこから下のほうの問題が出てくる。管理職じゃないわけですからね。  だから、そういう点が問題の焦点だろうと思うのですが、私は、いまのままでここで管理職手当なんというものを算定の基礎に入れられると、そして一般の方が待望している四月一日にならないということになると、せっかく人事院が苦心してお出しになった結果に対して、人事院を責めるということになりかねないと思いますので、そこでしつこいようですが聞いているのです。めったにこんなところまでものを言わないのだけれども、冒頭に四月の問題について、総務長官に承れる筋じゃないから、総裁にだいぶくどく聞いているわけです。何かそこに納得し得るものがないと全体としてうまくいかぬ、こういうかっこうになりやせぬかというふうに思いますので、実はくどく念を押しているわけでございます。これ以上くどくは聞きませんが、そこらのところを十分御配慮いただいておやりいただかぬと、もし昨年の予告編を本年実施されるというんならばたいへんな問題になりやせぬかという心配がありますので、その辺の念を押しておきたい、こういう気持ちです。いずれにしても取っ組み合いのけんかはけんかとして、何がしかそこのところをやらなければならないという立場にある。それだけは間違いない事実ですか。
  45. 佐藤達夫

    佐藤説明員 何とかして解決すべきであろうという気持ちで、先ほど来申しましたとおり臨んでおるわけであります。
  46. 大出俊

    大出委員 あろうなんですか。これは十三日にお出しになる勧告ですからね。あるんじゃないのですな。まだそこのところはきまってないのですか。
  47. 佐藤達夫

    佐藤説明員 きまってないという言い方は、少ししらばっくれ過ぎていると思います。
  48. 大出俊

    大出委員 しらばっくれては困るんで、しらばっくれずに……。では、きまっているということですな。局長もそうすると、しらばっくれて答えていたわけですな。いままでしらばっくれてて、ぼくに提案しろなんて……。総裁、それはあなた、きまっちゃっていて、取っ組み合いのけんかだなんて言うが、けんかになっては困るから私のほうは言っているわけなんですからね。だから、いまさら配慮のしようがないというのか。あるいは、あけてみたら、なるほどいろいろ考えておったということになるのかわかりませんが、大体皆さんのお考えというのはその辺にあって、これは予告編を実際のものにする。一等級、二等級あたりのところで線を引いて、特別調整額を算定の基礎にする。つまり、本俸、扶養手当、調整手当特別調整額というあたりにしよう。給与局長、何となくうなずいておられるから、そうなんでしょう。そしてそのほかに、そうなると問題が出てくるから、そこの先をどういうふうに組み立てれば全体が納得するか、たいへん苦心のあとがあった。あったんですよ。これはしらばっくれないでくださいよ。そうでしょうな。
  49. 佐藤達夫

    佐藤説明員 取っ組み合いというのは、しらばっくれている問題とは全然次元の違う問題で、いまおことばにありましたように、一番無難な、皆さんに比較的納得していただけるような方法は何かというところで取っ組み合いをしているので、この際ぜひ何かあればお示し願いたい、そういうことにつながるわけであります。
  50. 大出俊

    大出委員 勧告に入れなくても、級別定数というのは勧告に書くものじゃないから、見当がつきますね。だから、きめるものはきめて、書くものは書いたけれども、あと人事院がやり得る範囲で大蔵省と相談をするとかいろいろ考えている、こういうことになりますね。  ところで、承りたいところだけ承っておきたいと思うのでありますが、次に俸給表そのものなんですけれども、九日ですから、きのうの朝の毎日新聞を見ますと、一一・七%アップ、こういうのがある。この一一・七%というのは、ここに書いてある中身からすると、公労協が定昇別で一一・七%、こうなっているんですね。  そこでひとつ私承りたいんですが、一一・七%というのは公労協並みになりますか。尾崎さんいかがですか。いや、この新聞がほんとうだというんじゃないですよ。私の言っているのは、新聞が一一・七%というふうになっているけれども、——総裁、笑っておられるけれども、この新聞中身を見ると、公労協並みで一一・七となっている。だから、まず念を押したいのは、客観的にものを言っていただけばいいんですよ。何も人事院が一一・七を出すと言っているんじゃないんだから。尾崎さん、ながめて見て、一一・七というアップ率は、公労協の定昇別のアップ率になりますか、こう承っておるわけです。
  51. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 公労協の場合には、仲裁裁定といたしまして八%プラス二千三百円という形になっておるわけでございますけれども、一応向こうのパーセンテージに直しますと、一一・六六%あるいは一一・六八%という形になっておりますので、パーセンテージとしてはそれよりも高いという言い方が成り立つかと思います。ただし、現在の公務員給与に一一・七%をかけました金額は、公労協の七千二百九十四円の金額よりはおそらく高くなるはずであります。でございますから、高くなるかどうかという点は、金額によるか、あるいは率によるかという点によって答えが違ってくるということになるかと思います。
  52. 大出俊

    大出委員 そうなると、これはどうしてもひとつ承っておかなければいかぬのですけれども、この次の勧告、つまり十三日に出てくるであろう勧告の基礎になっておる公務員ベースは七万三千円と見ちゃいけないのですか。
  53. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 昨年の金額は、四月におきまして六万三千三百六円ということになっておったわけでございますので、それ以後一二・六七%のベースアップがございましたし、定期昇給、新陳代謝がございまして、約一五%上がっておりますので、現在御指摘のとおり約七万三千円ということになっております。
  54. 大出俊

    大出委員 そうすると、私もおか目八目でもないことになるわけでありまして、七万三千円、ここにちょっと狂いがあるのですがね。  二、三承りたいのですが、俸給表全体のつまり総合較差、これはおそらく、去年三十七歳何がしですから、本年は三十八くらいだろうと思います。そしてかりに一〇・五%というのを本俸に出した。いつも人事院はそういう分け方をなさるから分けてみた。そうすると、本俸で一〇・五%。そうなると、はね返りで〇・五%くらいになる。扶養手当、これはあとで承るのですが、ことし三百円上げるのか五百円上げるのか、私わかりませんけれども、大体配偶者千七百円を、どう間違ったって三百や五百上げなければかっこうがつかぬ。あとで質問したときに人事院は答えられない。だから上げるだろうと思うのです。それを入れると、これは〇・三%くらいになる。これが扶養手当。調整手当、これは沖繩も予測されておる。そうすると、お医者さんの調整手当、これは去年は〇・八なんですね。これが初任給調整手当をどのくらい見るかという問題があります。〇・二くらい見るということになりますと、本俸の一〇・五、はね返りの〇・五、扶養手当〇・三、お医者さん、初任給調整手当を沖繩等に配慮されて上げておられるわけですから——上げるであろうということですね。上げておられると言ってはまずいでしょうが、これを〇・二%と見ると、一一・五という数字になります。これはこのままでは、とてもじゃないが一一・七にならない。  そこで承りたいのですけれども、一一・七ということになりますと、八千五百四十一円ですね。そうすると、これは公労協並みにならないですよ。人事院がいままでいろいろ言っておられることを考えていくと、一一・五くらいのことになる。これが、毎日新聞新聞勧告を出しておる一一・七%、あの中身というのは、いま私が言ったようなことになる。毎日新聞がかってに——総裁は笑っておられるけれども、ぼくだって長年やっているんで、しろうとじゃないんで、この数字でいけば、毎日新聞が一一・七と書くのは無理もないと私は思うんです。今回は一一・七と書いた。そうでしょう。七と書くだけの理由はある。  そこで尾崎さん、わけがわからぬ、わけがわからぬとおっしゃるが一一・七ならば七万三千円で計算すれば、これは八千五百四十一円。ちゃんとここに計算してあるのですから。そうでしょう。これは公労協並みにならない。それでは公労協並みになるのは一体幾らかというと一一・八七。一一・八七になると八千六百六十五円。ここまでいくと、どうやら公労協並みだと言えそうだという数字になる。それは売り値、買い値で——尾崎さん首を振っておられるけれども、私の言い方が少し高いと思って首を振っておられるのでしょうけれども、これはあたりまえですよ、四月一日にするとかしないとか言っておられるのだから。そうなると、少なくとも昨年来の例からいくと、この一一・八七をこえなければ、これはどうも満足なことしの人事院勧告にはならぬ。幾らことしの春闘がダウンしたといったって、そういう数字が出てこないような官民比較をやっておられるなら、私もあえて人事院体制打破と言わざるを得ぬと実は思っておる。その前提になる一一・七というのをいま聞いてみたのです。一一・七というのは、だから公労協並みになりません。お認めになりますか。尾崎さん、どうですか。
  55. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 仲裁裁定は、先ほど申し上げましたように、私どもとしましては、一一・六六%あるいは一一・六七%と聞いておりますので、パーセンテージから申しますと一一・七、それより高いのではないかという気持ちがいたしますけれども、いずれにいたしましても、私どもの結果は調査の結果として算出されるものでございまして、公労協の関係を直接考えてやっているわけではないわけでございます。むしろその結果によって、公労協はどうであったかということを逆に考えるという気持ちでいつもおるわけであります。
  56. 大出俊

    大出委員 いつも総裁からそういう答弁を聞いていますが、ここ数年来、人事院勧告がそういう意味で公労協を下回ったことがない。これは故意か偶然かわかりませんが、昨年の一二・六七もそうであった。ですからそういう意味でいま一一・六七と聞いているとおっしゃる。一一・六七で計算をすると八千五百十九円でございまして、明らかに公労協を下回る。一一・七にしてみますと八千五百四十一円でございまして、これまた間違いなく下回る。そうなると、これはどうしてもやはり一一・八七くらいのところにいかないと——これは故意か偶然かわかりませんが、公労協を下回ったことはない。だからその辺が書いてしまってなければおかしいということを実は申し上げたい。それを下回っちゃおかしいということを申し上げたい、こういうわけでございますがね。御所感がありましたら、総裁、承っておきたいのです。
  57. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大出委員の御追及ぶりにまことに感嘆して聞きほれておったわけです。かつまた、うなずいておったわけです。
  58. 大出俊

    大出委員 それでは質問になりやせぬじゃないですか、そういうことを言ったんじゃ。だが理屈があるはずだということを、三日後に控えている勧告でございますから、私はあえてこんなことを申し上げるのですけれども、まことにどうも残念な節々があります。  そこで扶養手当でございますが、少し先取りしてものを言いましたが、間違いなく上がる、こう考えてよろしゅうございますな、尾崎さん。
  59. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 扶養手当は、民間の最近の動向が、初任給が非常に高まっておりますので、その関係だろうと思うのでございますけれども、扶養手当をやはり少し増額するという傾向が最近見えております。ことしも調査をしておりますので、その結果によって処置したいという気持ちでおるわけであります。
  60. 大出俊

    大出委員 しらばくれた答弁なさるのですね。これはどうなんですか。三百円上げるのですか。五百円上げるのですか。そのまん中新聞辞令の四百円なんですか、配偶者は。
  61. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 最近は民間の傾向としまして、配偶者の点が非常に上がってきておるという点が見受けられます。ことしもそういう関係で、結果が出たところで勧告を申し上げたいというふうに考えております。
  62. 大出俊

    大出委員 結果が出たところでといったって、書いてしまっておいて何を言っている。  そこで、なぜ私はこういうことを申し上げたかというと、これは御参考までに申し上げておきたいのですが、人事院はことしは標準生計費、これを——実は資料を忘れてきましたのでこんな紙で申し上げて申しわけないのですけれども、これは標準生計費が一三%アップという言い方をされているように思いますけれども、まずそれはどうなんですか。
  63. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 ことしの四月におきましての標準生計費は、東京の場合と全国平均の場合とはやや違いまして、最近、東京の生計費の上昇が全国よりもやや低い感じで毎年きております。東京の関係は一〇%をむしろ割るというのが、去年もそうでございましたが、ことしもそういう感じになっておるわけでございます。全国の場合には、大体一般の生計費の上昇が一三%程度になっておりますので、生計費の標準の場合も、それを反映いたしまして大体一三%程度ということになるはずでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 この間私は、四十三年でしたか、労働省がやりました賃金センサス、つまりモデル賃金ですね。あの例をあげまして、秋田、山形、神奈川、東京、こうずっと並べてものを言ったことがあるのでありますが、したがって、私がいま承っておるのも、全国を承っておるわけでございます。したがって、一三%と見ていいのじゃないかという気がするのであります。そうなると一三%を基礎にして少し承りたいのですが、核家族四人世帯三十五歳、この辺のところを中心にすると、人事院の標準生計費は昨年六万一千百円、こういう数字が出ておるわけですね。だから六万一千百円を一三%ふやしてみると、六万八千四十三円。これは今年いわれるところの一三%増。これ間違いがあるとすると、人事院のほうが間違っている勘定になる。昨年の例から申し上げているのですから。六万一千百円の一三%増、六万八千四十三円、四人世帯生計費、こういうことになります。そこまでいいですな。そこで、四人世帯三十五歳で、俸給表で言うと六の九。六の九は五万九千四百円、現行俸給表の行政(一)表で。そうすると、五万九千四百円におおむね一三%上乗せをしていくとどうなるかといいますと、一三・一%足らずになりますけれども、ちょうど割り切れる数字がありません。だから五万九千四百円の一三・一%程度のものを足しますと、七千八百円ということになります。現行俸給表の六の九、三十五歳、四人世帯五万九千四百円、これに七千八百円を足しますと、六万七千二百円という数字が出る。これに扶養手当を——これは平均して四人世帯ですから四人でとりますと、現行の扶養手当は二千七百円。そうしますと、六万七千二百円に二千七百円を足しますから六万九千九百円、こういう数字になる。それに調整手当の平均支給率がございます。これを入れなければおかしなことになる。だから調整手当の平均支給率三%を見ますと、これに二千百円を足すことになる。合計七万二千円。これから共済、税金等を引かなければなりません。おおむね一割引かなければならぬ、生計費ですから。そうすると、これから共済、税金その他七千二百円を引きます。そうすると六万四千八百円という数字が出てくる。これが生計費に使える金。そうすると、四人世帯の人事院の標準生計費のほうからいって、もう一ぺん言いますが、昨年の六万一千百円に一三%をふやす。そうすると、六万八千四十三円が今年の四人世帯の標準生計費の筋合いである。そこでもう一ぺん数字を申し上げますが、四人世帯、現行俸給表の六の九で五万九千四百円、これに一三・一%を上乗せをすると、七千八百円になりますので、合計六万七千二百円。扶養手当二千七百円加えるから六万九千九百円。三%調整手当の平均支給率を見ますから、二千百円を足して合計七万二千円。これから共済、税金等を差し引きますから、一割と見て、七万二千円の一割、七千二百円を引きますと六万四千八百円、こういう数字になる。そうしますと、四人世帯というところをとりまして、核家族をとりまして、人事院のいわゆる標準生計費に追いつかないことにもなりはせぬかという。片や六万八千四十三円、片や六万四千八百円。だからそうなると七千八百円では、とてもじゃないがこれは足りない。だからこの面でいって、八千円以上積んでもおかしくはない、こういう数字が出てきますね。給与局長どうですか、この辺のところ、標準生計費というものをどうお考えになっているかをこの際ひとつここで聞いておきたいのですが、どうですか。例をあげてください。
  65. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 ただいま四人世帯の標準生計費につきまして給与面のいわば見合いにつきましてお話があったわけでございますけれども、御指摘のように、昨年の六万一千百円に一三%程度を加えますと六万八千円程度になろうかと考えますが、それではこういう標準生計費の見合いはどういうところが適当であるかという点が一つでございます。ただいま御指摘の場合には、六等級九号俸というようなことをおっしゃっておられますけれども、その該当年齢の実際の金額は、特別昇給その他で大体一号俸上がって十号俸になっておるという事実もございます。また、そういう四人世帯の対象になる到達年齢というのが何歳であるかという点もございまして、その辺の見合いが、非常にかっちりとした数字には必ずしもなっていないという点はございます。しかし、一応かりに六の九あるいは六の十、こういうものとの見合いにつきまして従来いろいろ検討をしてきておりますので、本年もそういう見合いといたしまして、本俸面でどうであるか、あるいは扶養手当その他でどうであるかという点において、現在いろいろチェックいたしておるわけであります。
  66. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 大出君に申し上げますが、総務長官は十二時半からよんどころない仕事があるということであります。他の委員質問時間もありますから、よろしくお願いします。
  67. 大出俊

    大出委員 きょうは総務長官にお聞きおきいただければいいつもりでおります。どうせ人事院は、勧告権はわがほうにございますというのでありますから、したがっていまの点の決着をつけておきたいと思います。  私がなぜこれを取り上げておるかというと、人事院のいまの方式について、私は今度の勧告の結果ぐらいのところで一ぺん考えてみる必要があるような気がするのです。先ほど幾つか数字をあげたのも、そういう意味で申し上げておるわけでありまして、到達年数という問題が、旧来いわれている初任給決定の方式というのが一つある。どうもそれはワクに入らない。たいへんな上昇をしている。にもかかわらず、旧来の形が今日まで人事院のあり方になってきている。となると、はたして普遍妥当性を持っているのかどうかという点で、人事院勧告がはたして公務員の賃金を正当に上げてきているかという問題、あるいは将来に向かって上げていくだろうかという問題、ここらがことしあたり非常に大きな問題になってきているという気がするわけです。そういう意味で見合わないではないかということで、私はいまここで表に出してみたわけです。これは大きく政策的なものも含みますので、長年この方式をおとりになってこられた総裁に、そこらのところをどうお考えになるか、念のために承っておきたい。
  68. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私は見合わないものではないという立場で信念を持って今日まできております。しかし御批判は御批判として謙虚にこれを承っていって、もしもそういう点がわれわれの検討の結果見つかるならば、たとえばつまらぬことではありますけれども、対応等級のとり方がおかしいではないかとおっしゃれば、なるほどと思う点は改めてきております。そういう態度で今後も臨みたいと思います。
  69. 大出俊

    大出委員 総務長官一つ別な角度で承っておきたいのです。  毎年人事院勧告が出て、これを閣議決定なさる際に、いつも行政整理という形のものがたいへん長々と一ぱいついている。これはどこの所管になるのですか。一体どうしてあれがいつもくっつくのですか。人事院勧告されて、何月実施閣議がきめるとたんに、そこに一ぱいひっついてくる。これはいつもやっておるわけですけれども、これは一体どこの所管になるのでございますか。
  70. 山中貞則

    山中国務大臣 これは行政管理庁長官でございます。昨年は私としては、そのような形で一つの文章にまとめることについて異議を唱えたのでありますけれども、しかし閣議というものは、一方において給与完全実施であるならば、一方においては能率の向上その他についての意見がほかの閣僚からあり得ることです。そこで結局は一本の形になったのですけれども、これは行管の専管事項ですから、昨年きまった方針というのは向こう三カ年にわたってきめております。したがって、ことしはそのようなものはつかないだろうと思いますし、いい悪いは別にして、本日の閣議ですでに行管の昨年きめた方針に基づく第一年度の各省別の割り当ては決定をいたしました。したがって、ことしはそのようなことはないと思います。
  71. 大出俊

    大出委員 これは所管がそういう意味で違うことはわかっておりますから、どこの所管でしょうかと承ったのですけれども公務員皆さんの側からすると、いままでは完全実施もしないのに、たとえば九月実施を八月にすると言ったとたんに、長々と機構改革で、やれ何%人を減らしてどうのこうの、地方公務員もこれにならってなどということになるから、完全実施もしないで何だということになるのですね。非常に神経を刺激するのです。省当たりというようなことも、これは何か知らぬけれども、一生懸命働いている公務員諸君からすれば、きわめて形式的、きわめて対国民的で、政府公務員の給料を上げる言いわけであるというふうにしか受け取れぬのですね。ですからこれは、長官のいまお答えいただいたことで決着がついておるようには思いますけれども、どうかひとつ、機構改革をおやりになるならなる立場で、所管の行政管理庁がそれ一本で真剣に対国民ということでお考えいただくべきであって、かつ公務員賃金は賃金一本で、今日置かれている公務員の生活の現状等を——法律に書いてあるのですから、生計費の実態を、本来ならば政府が先に別な調査をしてしかるべきだとさえ思っているわけであります。しかも完全実施というのは去年初めてなのであります。だからそういう点でさい然と分けて対処をしていただきたい。これはお願いしたいのです。くどいようでございますが、いかがでございますか。
  72. 山中貞則

    山中国務大臣 ことしは、いま言いましたように、きょうの閣議できまったわけですから、分かれておるわけです。方針は昨年きまったことであります。きょうの決定についても、実質人員整理を伴うようなことになる役所、あるいは新規採用を著しく困難にするような役所等については、行管と別途協議するという条件つきでやっておりますから、計面上の整理ではありましても——これは所管外でありますけれども、それによって出血整理を伴うようなことにはならない、公務員の一人一人の生活権あるいは生存の問題に及ぶというような実質上のことではないというふうに見ておるわけであります。  私がことし一番心配しておりますのは、完全実施をやります場合に、景気の落ち込み等によって相当膨大な法人税を中心とした減収が生ずるであろう、このような中にあって、依然として景気は回復の足取りが重うございますし、それらの点に関連をして、財政当局も相当思い切った転換と申しますか、年度途中において財政運用の方針を変えなければやっていけないような環境にあると率直に見ております。そのときにおいて、財政当局を含めて完全実施を現実に直ちに決定させるという昨年からの私の方針を実施するにしても、十三日に勧告がありますと、その次の閣議は火曜でありますから、すぐに土、月できめろというわけにはいかぬでしょう。そうすると、金曜日の閣議は一応例年夏に一回だけ休みますから休みになりまして、再来週ということになるのではないかと思いますが、それまでの間には、私と大蔵大臣が中心になって、今日の国家財政の歳入の現況その他をしさいに検討をし、そして国の完全実施の基本方針は実施をする。そのことについては、大蔵省も、どのような苦労をして実施するかについて、むしろ国民の前に明らかにしたほうがよろしい。すなわちそれが政府の義務、国民に奉仕する国家公務員に対する政府の姿勢であるということを内々話し合っておるわけであります。勧告がありましてからは、当然表向き話し合いを開始するつもりでおります。
  73. 大出俊

    大出委員 二つだけ承りたいのですが、一つは、先般いろいろ問題になりましたが、勧告が出た、さて閣議決定、今度は国会という問題が出てまいりますね。いつもどうも半年かそれ以上だというふうに延ばされて給与法改正が国会に出される。昨年も長官は、何とか災害その他を含め早い国会にきめてしまいたい、こういう相当前向きな御意思がありましたが、結果的になかなかそういかない。本年は沖繩国会がございます。これだけは避けて通れない道筋だと思います。そういう意味で、なるべく早い機会をとらえて、懸案になっておりますから、何とかそういう待たせ方をしないでも、閣議できめたらその方法を考えたらいかがかという点を昨年はいろいろ論じたわけでありますが、そこらとからんで、十三日に出て公務員諸君の手に入る時期、ここらをどう見通しておられるのか、承っておきたいのです。
  74. 山中貞則

    山中国務大臣 これは沖繩国会に臨む私ども政府の方針並びに与党の国会運営の方針その他があるようであります。しかしながら、年来の私のそういう考えでもあるし、閣議決定もなるべく早い機会に決定をして、まず完全実施を安心させておくことも心理的に必要なことである、こう思ってやっておるわけでありますから、これが法律の通過ということは、最も近い国会に提出すべきが当然の責務だと私は思っておりますので、沖繩国会は沖繩関連法案以外は出さないという一応の話し合いが行なわれておるようでありますけれども、しかし、やはりこの公務員給与については、すでに閣議でやることをきめておるならば、沖繩国会であるからといって、国会が開かれているのに、金を出してやる法律を、ただ沖繩に関係がないという理由だけで提案しないということは、給与担当大臣として忍びないことでありますから、これは今後私のほうで責任をもって、沖繩国会に提案できるように、政府・与党の中において努力したいと考えております。
  75. 大出俊

    大出委員 これは、たとえばいわゆる防衛二法が先般の国会を通っていないわけでありますが、これを急ぐということになれば、相当期間のある次の国会へということになる。設置法の改正なんかも入っておるわけでありますから。ところが一方、沖繩関係のほうで沖繩に事務所を持とうという限りは、これまた設置法とからんでくる。そうすると、設置法とからむそのほうの問題は沖繩関係法案で一括。そうして、そうでない、たとえばいわゆる防衛二法式なものは別にということにするのか。あるいは、これも設置法の改正だから、一国会に設置法の改正を二つ出すわけにいかぬと思いますから、そうなるとこれはどうなるのか、わからぬ点がたくさんあります。ありますが、もう一つ承りたいのは、沖繩の公務員皆さん給与の扱いなんです。これは私は次の国会で機会をいただいて、給与を長らくやってきた者の立場として少し詳しく承りたいことがある。  たとえば、俸給体系が違いますから、しかも最近二回も勧告が出ておりますから、ここで人事院勧告がこっちで一ぺん出る。来年までに——までにというか、来年のある時点までに、もう一ぺん向こうで勧告が出るのかどうかという問題がまず一つある。この間の段階で調べてみれば、三十三歳か四歳くらいのところでクロスしている。若いところは向こうのほうが高いし、こちら側のほうは逆になっている、こういうことです。だから、こっちへ持ってきてこっちの給与法ということになれば、若いところは向こうが落ちる、これは間違いない。上のほうは上がる。一体この次の人事院勧告は何%出るのかということと、もう一つは、向こうでもう一ぺん勧告が出るとすればどうなるのか。それによって同じ給与法でもたいへんな違いが出てくる。そこらのところをどう処理するのかということでたくさん問題が出てくる。ここらのところは、人事院も基本的に調査されているのではないかと思いますが、この際私は、長い時間は要りませんが、私もそれなりに調べてはおりますが、総務長官の側で沖繩を担当しておられますから、まずこの辺どうお考えになっておられるかということ、人事院で御調査になっておるとすれば、人事院の守備範囲でお考えになって、現状をどういうふうに受け取っておられるか、将来どういうふうにすべきかという点を少しこの際承っておきたい。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 単にこれは給与ベースの問題のみならず、退職金の計算の問題とか、あるいは共済の掛け金と給付との関係とか、たくさんあります。これは全部いま寧日なく努力を続けておるところでありますが、いずれにしても、沖繩の方々が持っておられる既得権というもので本土よりも出ているところ、いまの給与体系で言うならば、初任給から若年層においてやや現地が高いという点は、やはり既得権とみなさざるを得ないだろうと思います。上昇する分野の点については、これは本土並みにやるということであります。それがやはり沖繩の労苦に報いる当面の措置だと思います。来年度予算の要求にあたっては、これらの点を十分考えて、それらの内容に合致するような配慮のある予算を組みたいし、また琉球政府の職員たるべき者として県の職員に残る者、あるいは町村の職員に分かれる者、いろいろありますから、こういう問題等についても、すべていま言ったような考え方でもって——ただ、掛け金をかけない期間でも給付は全額同じようにせいというのは、共済の理論でむずかしいところですから、いまここらのところは議論をしておるところでありますけれども、要するに、沖繩の人たちの身分も待遇も現在より落っこちることがないように、そういう人がないように配慮をしております。
  77. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもの守備範囲にもこれは当然入ることでございますので、いま総務長官がお答えしましたような点をもあわせて、関係各省大いに努力してやっておりますが、たとえば私ども立場としては、個別的に一人一人をつかまえてデータをとろうじゃないかというところまで掘り下げていま検討を進行させております。
  78. 大出俊

    大出委員 そうすると、たとえば人事院の側は、これはほかともからむわけです。たとえばいわゆる公企体、電電公社なんかの場合でも、これは向こうのほうがだいぶ高いのがありますからね。そうするとこれは、特別調整額みたいな形でかかえていくのかどうかという問題などもある。だからそういう意味で、人事院が何かの方針をお立てになる気があるのかどうかという点ですね。沖繩の公務員給与について、人事院という立場でどういうふうにするというふうな方針をお出しになる気があるのかないのか、ここらも承っておきたい。
  79. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 ただいま御指摘がございましたように、給与水準としましては、こちらの勧告あるいは向こうの勧告がどういうかげんになるかという点が一つございますけれども一般的に申しますと、下のほうが向こうが高く、上のほうは低いという状況になっておるわけでございます。そして給与決定といたしまして、たとえば民間の給与に対して相当高いような感じがいたしますので、実際には、初任給決定におきまして、経歴などをほとんど見ないで初号から決定をしておるというような事情がこちらとは違っております。しかし全体の体系そのものは、大ざっぱに申しますと、六、七割はまあ似たようなものでございますし、あと二、三割というところが、こまかいところで若干違っておるという点がございますので、この辺の関係をこちらでどういうふうに見ていくかという点が問題でございます。  いずれにせよ一番の問題点は、最初から国家公務員になったという形で計算をいたしますとどうなるかという点が、まず国家公務員とのバランス上問題でございます。そういう関係から申しますと、いま申し上げましたように、従来の経歴につきましてどうであるかという点が一番問題になりますので、そういう履歴書を現在作成していただいて、それに基づいて実際に計算をした結果どうなるかという点を調査をしておるところでございます。その結果、下がり方あるいは上がり方という点がどうなるかという展望をつかみまして、その上で復帰時点におきましてどういう措置を講じたらいいかという点を検討するという段取りになるわけでございます。
  80. 大出俊

    大出委員 これは論議の場所としては、皆さん調査中でもう相当進んでいるようないま言い方をされておりますが、たとえば私なら私のほうから質問を申し上げたときに受け答えいただけぬと、これは議論にならない。だから、総務長官の範囲なり人事院の範囲なりで、どの程度おやりになっておるかということがはっきりしてきませんと、問題の取り上げようがないのですね。実はつけ加えていまの質問をしているのですけれども、そうしますと、皆さんなりの考えが大体筋はできてきている。したがって、その点についての議論は、たとえば途中採用の人たち一つつかまえてみても違うわけですから、そこらをこまかく詰めませんと、やはりこれも復帰不安の一つですから、沖繩国会でというわけにもまいらぬと思う。膨大な法律を七百件もお出しになるところで政治的な問題とからんで論議もできない。でき得ればこういう問題はなるべく場所を得て、早い機会に論議する必要があると私は思う。担当の委員会であり、担当の人事院でありますし、また担当の総理府でございますから、やはりそういう意味でもうその時期は来ていると判断してよろしゅうございますか。
  81. 山中貞則

    山中国務大臣 基本的な方針は先ほど申し上げましたとおりです。ただ、これを人事院給与体系の中でどのような機関の特例法として逐次ならしていくか。また一方においては、沖繩が復帰しますと、これは隔遠地手当の最も手厚い対象の地域になると思いますし、また減税その他から考えますと、本土のほうがずっと所得税に関する限りは恩典がありますし、それらの点を万々配慮しながら、現在の人たちの受けている待遇、給与というものがそれ以下にならないように、あるいは現在の本土の体系でそのまま引き継いだ場合においては給与の上がる人たちについては、当然その恩典は均てんするようにという基本方針をきめておりますから、これに従って人事院との間に相談すべきことは、これは中立性を侵すことになりませんから、十分に協議をしたいと思います。
  82. 大出俊

    大出委員 わかりました。それじゃ終わります。
  83. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤惣助丸君。
  84. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 人事院総裁にお伺いします。  ただいままで大出委員から細部にわたる質問がございましたので、私からはやはり同じような質問になると思いますが、老獪なる答弁でなくて、率直に、簡明にお願いしたいと思います。  やはり何といっても今回の勧告の内容についてでありますが、新聞の報道によりますと、五月勧告であるというようなことがいわれております。そこで、人事院総裁はこの内閣委員会で去る七月二十三日ですか、総裁みずからがおっしゃったことに、五月という理由は積極的にない、四月実施一理ある、こうおっしゃったわけですが、四月実施一理あるというそのことが、何らかの形で今回の勧告に表現されるお考えですか。
  85. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いまのおことば、これは速記録にはっきり出ておりますけれども、五月のいままでのやり方については、特にその正当性をむきになって主張しようという、そのかまえの勉強をしているわけでもないという意味で、非常に遠回しで申し上げたのであって、四月説も一理あるというところに重点を置いておとりいただけば、それでけっこうでございます。先ほど来大出委員にお答えしましたようなことで、とにかくきわめて重大な問題でありますので、私どもは、慎重にしかも重大な関心を持ちながら、この検討を続けてまいっておりますし、今後もその態度を堅持してまいりたい、そういう心組みでおるわけでございます。
  86. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私たちは毎回、この人事院勧告については政治的な配慮をやめて、純粋に理論的に考えてやるべきだ、こう申し上げてきております。そして四月調査といって四月から始まっているわけですから、当然四月から実施されるよう勧告すべきだ、このことは申してきております。したがいまして、財政的な問題もあるでありましょうけれども、もうすでに総務長官は、人事院の四月勧告があれば考えるということも、国会において言われているわけです。それがなぜ五月というような方向で勧告がされるのかという疑問が残るわけであります。  そこで長官にも伺いたいわけですが、先ほど言いましたように、もし人事院において四月勧告があれば、その勧告に従って完全実施するという態度は変わりがないか、総務長官にまず伺いたいと思います。
  87. 山中貞則

    山中国務大臣 これは政治の姿勢でありますから、昨年から人事院勧告完全実施する方針を政府は定めたわけです。それから後退することはないわけであります。  ただ、私がそういう意味答弁をしたことで、あとは人事院、おまえさんの番だ、人事院さえうんと言えば完全にすぐできるじゃないかというそういう責め方は、やはり私が聞いておりまして、ある意味で非常に酷であります。私としては原則論を言っているわけでありまして、やはり人事院が自主的に検討される客観的な基準というものは、勧告にあらわれてきたものは、これは万難を排し、努力して完全実施しようというのが担当相の責任であり、また政府の明確になった姿勢であるというふうに思っておる点においては変わりがありません。
  88. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 人事院総裁に伺いたいのですが、まあ酷であるということでありますから、そのことに関連して総裁に聞く考えもありませんけれども、ただ、先ほど言いましたように、五月でなければならないという理由はない、四月実施一理あるということでありますので、何らかの形で、この点は今後考えるというんではなくて、やはり勧告の中に盛り込むべきだ、こう思います。いかがですか。
  89. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先ほど一理と申しましたけれども、これが二理、三理ということで、もう絶対間違いがないという踏み切りがつきますれば、確信を得ますれば、これはもう善は急げでありますから、そのときはもちろん適当の処置をとるべきだ、こういうふうな心がまえ、考えを持っておりますけれども、まだ二理、三理のところまでいっておらないということが現在の事実でございます。
  90. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それじゃ二理、三理までいけば四月勧告ということになるわけでございますね。
  91. 佐藤達夫

    佐藤説明員 四月一日実施は絶対に正しいという確信を得れば、これはやはり迷うところなく結論に従って処置しなければならぬ、これは当然であると思います。
  92. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 正しいという立場に立てば勧告するというお話ですが、じゃいまでは正しくないと考えているわけですか。
  93. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いままではとにかく、五月一日が正しいという信念に基づいて、もう十年やってきて、そうしてこれで完全実施をしていただきたいということをしつこく申し上げて、山中総務長官完全実施をしてくだすった方でありますけれども、言うわれわれとしては、過去の長い一つの沿革を持っている。その沿革としては安定した沿革と申し上げてよろしい。それをとにかく改めるということになりますと、先ほどちょっと申し上げましたけれども、たとえば給与職の守備範囲からいえば憲法改正と同じことだ、軽々しくそれは言い出すべきかどうか。やはり確固たる信念を得て、信念を得た暁においては断固としてこれを実施に移すという筋合いのものであろう、そういう考え方が背景にあるわけでございます。
  94. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いずれにしても、四月調査から毎回やっているわけでありますから、四月に実施することが当然だと思います。その点十分配慮した上で勧告をしていただきたいと要望いたしておきます。  次に、アップ率でございますけれども人事院の昨年の勧告では、民間の春闘相場が一六・六%、定昇込み九千五百二十二円ですね。また、昨年の一八・三%、定昇込み八千九百八十三円、労働省調べ、民間大手百四十五組合平均、こういうものが昨年発表されております。そういったものよりも、今回のアップ率というものがたとえば一一・七%だとすれば、だいぶ下回っているわけです。そしてことしの民間企業、三公社五現業を見てみますと、いずれの場合も昨年よりも低いわけです。しかしながら引き上げ額では上回っているという実情があるわけですね。こういう点から見ますと、公務員給与の場合も同じような裁定がなされるんじゃないか、こういうふうにいわれているわけでありますが、そうなりますと、一一・七%以上のアップ率でなくちゃならぬと考えるわけですが、その点はいかがですか。
  95. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもは、かねがね申し上げておりますように、とにかく七千の事業所をシラミつぶしに足でたずねて、そして五十万人近い民間従業員の一人一人の給与を調べて、それから積み重ねてきた水準による官民格差でございますから、この調査はおそらく世界的に見ても一番進んだやり方であろうという信念を持っておりますし、また、かくして得ました数字は絶対間違いない、他のいかなる調査よりも信頼すべき数字であるという信念を持って今日まで来ております。さればこそ、勧告を出しました以上は、これをそのまま実施していただきたいという迫力を持ってお願いしてまいってきたわけであります。したがいまして、いまおあげになりましたいろいろな資料がございますけれども、これはわれわれとしては基準にするには当たらない、われわれの調査こそが世界第一の信頼すべき調査であるという誇りを持って臨んでおるわけでございます。その点、御了承願いたいと思います。
  96. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 しかし、毎回民間給与調査して、そういったものを資料にしているわけでありますから、そういったいままでの一つの慣例から言いましても、当然一一・七%以上になるというふうに私は考えているわけであります。その点について、十三日、あさって出るでしょうから、また、そういった勧告が出ましたときには、それなりの理由を明らかに伺いたいわけでありますが、私は当然そうなるものと確信しているわけであります。  時間の関係もありますので、同じような問題でありますが、二、三質問したいと思います。  特別給の問題でありますが、これは昨年人事院が説明の中でいろいろ言っております。そして、いろいろ問題がありますが、特に私が伺いたい点は、職務段階による段階支給についてどのように考えているのか、まずそれを聞きたいと思います。
  97. 佐藤達夫

    佐藤説明員 その点は昨年の報告書で指摘いたしまして、一種の検討の予告のようなことを申し上げたわけであります。その後、ことしもさらに民間の調査をやりまして、やはりその結果においては、これは厳然たるそういう官民の間の大きな違いがあるということを確認いたしました。したがいまして、これはほってはおけないことだという信念を持って問題の解決に取り組んでおるというわけで、先ほど大出委員にもお答えしたのでありますが、とにかくこれについては、いろいろ御批判もすでに昨年来聞いております。御要望もあるところでありますので、それらの点で最も合理的な一つの方式を考えたいということで、これは一番最後の難問と申し上げてよろしいと思います。目下取っ組んでおる最中でございます。
  98. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 職務段階による支給方法というのは、民間はとっているわけですが、公務員の場合については、そのままストレートに導入した場合には問題があるということだと思うのです。それはやはり民間の場合は、業績そのものがはっきり営業成績にあらわれるという一つの実態があるわけです。しかし公務員の場合は、いま局長とか部長、いろいろな段階によってその業績で評価できるものがなかなかないんじゃないかと思います。そういう点から見ても、このような段階的な支給のしかたはやるべきじゃないと私は考えます。まずその点について総裁に伺いたい。  さらに中だるみの是正問題についてです。これも、年々初任給が上がっておりますけれども、どうしてもその中等級ぐらい、中間の方々は、いままでの例から見ますと非常に中だるみ現象がある。特に三十五歳から四十歳または四十歳前後、こういった方々の中にそういう現象が出てきている。しかし、そういった年齢層の方々、お子さんを持つ職員の方々は、非常にお金のかかる時代でもあるといわれていますね。ですからそういう点は早く、中だるみといいますか、そういったものを是正する必要がある、このように考えるわけですが、その点も伺いたいと思います。
  99. 佐藤達夫

    佐藤説明員 前の点はもうしつこくは申し上げませんけれども、大体年間の所得という面から民間、官庁側を比較いたしますると、中堅以上の公務員の面は、給与そのものをとらえればこれは合っております。これは合わせてきたわけでありますが、その他特別給を含んでの年間所得ということからこれを比較いたしますとたいへんな差がある。それを埋めるためには給与をうんと上げるかという問題ともつながってまいりまして、やはり向こうが特別給のほうで始末をしておるならば、こちらもそれに応じて特別給のほうで始末をするのが合理的であろう、そういう出発点から出ておることであります。  それから中だるみの点は、おっしゃるとおりでございまして、ことに、去年から初任給が上がる、ことしも初任給だけはあまり変わらない傾向で来ておるわけで、したがいまして、中だるみの辺の人々をいかにすべきかというのは非常な苦労はあります。しかし、これはやはりわれわれとしては、従来無関心でおれない問題でございます。いまのおことばにもございますように、これにはやはり大きな重点を置いてひとつ処置しなければならない、これはその態度で臨んでおります。
  100. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最近の航空機事故の実態を見てまいりますと、航空保安要員の確保が、航空局あるいはまた自衛隊も含めてたいへん問題になっております。一つはやはり優秀な人をそこに要員として置かなければならないわけでありますが、その処遇が非常に悪いということで優秀な人が集まらないという一つの現象があります。これについて、予算上定員があっても現実に人がいないなんというようなことが、結果としてあらわれているわけです。それは一つはやはり給料が安いわけでありまして、さらに他の公務員との関係から見た場合に、給与面では考えられないかもしれませんけれども、やはりそういった大事な保安要員等については特別な扱いをする必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。この点について総裁の所見を伺いたいと思います。
  101. 佐藤達夫

    佐藤説明員 実は航空事故が起こりますたびごとに、われわれの立場としても、いまのお話のような点にさらに反省をしてまいっております。たとえば、いまの管制官などなり手がないという話、一体志願者の数と採用人員ではバランスがどうなっているか、そこまで突っ込んで調べておって、われわれが調べたところでは、大体九倍か八倍くらいの志願者もあるわけなんです。しかし、給与面は給与面としてもちろんこれは大いに考えなければならぬ。そこで、御承知のように、ことしの四月に、われわれとしては先取りと申しますか、先回りをいたしまして一応措置はいたしましたけれども、まだこれで十分とは言えないのじゃないか。いまのお話もありますし、もう一つわれわれとしてはふんばってこの優遇のほうへ力を入れなければなるまいという気がまえを持っておりますし、そういうふうにしたいと思っております。
  102. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最後に、住宅手当が前回新設されました。これは制度をつくることがたいへんなことでありましたけれども、次は、やはり新設された以上は現状に即して進めていかなければならぬ、改善していかなければならぬというふうに考えております。扶養手当にしても相当力が入っているようでありますが、なお一そう住宅手当の問題についても検討する必要がある、私はこう思うのでありますが、その点いかがですか。
  103. 佐藤達夫

    佐藤説明員 扶養手当のほうはことし調べておりましたが、それによってある程度の数字が出ると思いますので、数字が出れば処置をしなければなるまいという気持ちでおります。住宅手当のほうは、昨年、住居手当——ここにおる山中総務長官は、一年早かった、一年早かったといまでも言っておられますけれども、しかしそれにもかかわらず、われわれとしては踏み切ったおけです。したがいまして、ことしは運用の実績のほうはあと追い調査をやっておりまして、さらにいろいろな問題がございます。お耳にも入っております。これは今後また新たなる意気込みをもってその検討に取り組もうという態勢でおります。
  104. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ただいま、相当総務長官から圧力のあったようなお話があったわけでありますけれども、やはりそのことは、勧告にも同じようなことを考えられるような気がします。そういう意味総務長官に最後にお伺いしたいのですけれども、今後そういうような政治的発言、圧力とまではいかなくても、そういうことは差し控えてもらいたいと思いますし、どうか人事院勧告については理論的に純粋な面から勧告してほしいと私は要望するわけでありますが、重ねて総務長官から、勧告があった場合のいろいろな問題点や、また決意を聞いて、終わりたいと思います。
  105. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの問題は速記録に残りますから、ちょっと訂正しておきますが、どうも佐藤総裁も奔放きわまる発言をしますから巻き添えを食っちゃったわけですが、私がそういうことを言ったのは、人事院勧告があって完全実施するというが、われわれが言っていることになおまだ肯綮に値する点が残っているだろう、それならば勧告以上のものをおまえさんのほうで政治的な決断でやったらどうだ、上乗せしてもいいじゃないかという意見があったわけです、事柄は別にしても。そのときに、私のほうでいじってもいいというなら、ことし初めて勧告された住居手当というのは、その基準のとり方の指数その他から見て、はたしてことし勧告されるべきであったかどうかについては私は疑問に思う。しかし、それはそのまま実行するのですから、だからいいところだけ上乗せして、疑問に思うところは目をつぶれというわけにいかぬから、疑問があるところは切り込みますよ、ということを言っただけです。したがって、何ら圧力はかけておりませんし、少しでも圧力をかけるようなことがあったら、すぐにそれはわかることです。この佐藤さんという人は、山中から圧力がかかったということをすぐ公的に言いかねまじき人ですから、厳にそういうことは慎んでおりますし、結論としては、勧告完全実施することにおいて非常な財政困難がことしは予見されますが、責任をもって閣議決定にすみやかにこぎつけたいということを申し上げておきたいと思います。
  106. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 人事院総裁、ただいま明確に総務長官からお話がございましたから、どうか勇気を持って八月十三日のときには、いまからでもおそくはありませんから、前向きで勧告を出してほしい、そのことを要望しておきます。
  107. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 受田新吉君。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 長官は時間がないようですから、長官だけに取り急ぎまして十分間だけお尋ねいたします。  山中先生は、こうして引き続き改造内閣にお残りになり、唯一の残留閣僚として活動していただくわけですが、皆さんの期待も大きいわけですから、御健闘願いたい。特に給与担当国務大臣も引き続き御苦労願うわけで、官職の職務と責任に応じた適正な給与実施されるように御苦労願いたい。そのことでお尋ねをいたします。  第一に、あなたは給与担当国務大臣の重責をになっておいでになるのですが、一般職及び特別職にわたっての給与担当国務大臣了解さしていただいております。ところが、一般職の中に検察官というのがありまして、これは検察官の給料に関する法律が別個にありまして、そこで、この四月一日から、一般職である検事は、初任給五万四千円プラス初任給調整手当を二万三千円、合計七万七千円という給与をもらうということになっておる。この事実は非常にけげんなことでございまして、検事、もちろん判事を含むのですが、一般職の該当の分は当然山中先生の御所管であると私は感じます。ただ法案が法務委員会に出ている関係があるのですが、根っこは一般職です。関係の方で説明ができればまず説明していただいて、長官に高度な判断をしてもらってけっこうなんですが、一般職である検事は、そういう手当二万三千円ですから、司法研修期間を過ぎると、四月一日から合計七万七千円ほどもらっている。こういう専門職としての非常に高いものが出ている。お医者さんにもそういう傾向が漸次出ているが、専門職として見られるはずの教職員は、先般、例の教特約、特別措置法で四%程度の増額措置がされた法律が出ましたが、これも一般職なんだ。   〔委員長退席、湊委員長代理着席〕 一般職が人事院と総理府を離れて、よその省でかってに給与をきめてくださるという、この乱れた給与体系について、私は非常に遺憾の意を表明したいのです。これは長官にお尋ねしたあとで、人事院総裁に、こっぴどく御要望、おしかりを申し上げなければいけない。つまり責任回避をしておられるところを詰めますが、しかし、一般職と特別職と両方を担当しておられる山中先生の段階で——検事は非常に優遇されている。人が来にくいということでやっているということになれば、教員はより人材が得られないで、教員志願者が非常に少ない。大学の教育学部を出た学生の就職が、ごく少数の採用者しかないようなところは漏れる人が非常に多いのだけれども、もともと優秀な人が教員の世界に入学をしない。教育学部の生徒は、とかくどこの学部にも行けない人がやむなく入るという人もちょいちょい出てきておるというこのことを思うときに、よい教師を獲得するためには処遇を十分改善する。検事の処遇を改善したと同じように、教育にも専門職という立場の特別俸給表を適用させるように、人事院にこの際こそ圧力をかけて——人事院はこのことを怠けている。当然教職員は人事院の御所管事項である。御所管事項であるにもかかわらず、文部省のほうから別に法律をぽこんと出させて、総理府からは法律をお出しになっていない。私は、一般職の俸給表の適用を受ける人は全部総理府から法律を出していただくべきだと思うのです、検事も教職員も。こういうふうにして、特別職、一般職を通じて総務長官のところで大局をつかんでバランスをとっていただかないと、他省でかってなことをやって、ある官職は非常に優遇されている、ある官職は非常に冷遇されているという片手落ちが起きないように、長官の聡明さと、長期にわたる御勤務によるところの強大な政治信念で、あらゆる職種を通じて——公平の原則が国家公務員法にも書いてあるのです。性別とか門地とかにかかわらず、公平に給与は支給されなければならぬという原則をひとつ総務長官の手でよく調整をしてもらいたい、これをお願い申し上げたい。  それと、かねてもう一つあるのです。地方公務員は、地方公務員法第二十四条と二十五条に給与の規定のことがありまして、国その他の民間などの給与に準ずとなっておりまして、結局国を基準にするという基本的なものがある。にもかかわらず、東京、横浜、そういうふうな都とか大きな府県、大きな市とかいうところは、国家公務員よりも、数字をお示し申し上げるまでもなく、三割以上高い給与が出ているところが各所に見られる。たとえば同じ東京都に住んでいて、地方公務員と国家公務員は三割以上の給与の違いがある。横浜市に住んでいる国家公務員である出先の機関の職員と横浜市の職員とでは、三割も市の職員のほうが処遇が改善されておる。同じ国家の公務、同じ公共の福祉に協力してあげる人が、こんなに大きく給与のバランスがくずれているということは、私は問題だと思うのです。どこにその原因があるか。もし法律に間違いがあるならば、その間違いを改廃する責任一つまり国家公務員関係するというなら給与関係するのですが、地方公務員法の規定が、こんなふうに国家公務員給与よりもむしろ著しくおかしいところにいくような傾向があるならば、地方公務員給与に関する法律は、国に準ずるところはもっと強大にするということは、人事院総裁政府勧告する権限があるわけですから、人事行政の勧告権、それから法律の改廃要求権、そういうようなものをひとつ発動される。国家公務員法二十二条に人事行政の適正を期する勧告権がある。二十三条には、国家公務員に関する、給与関係するいろいろな法令を改廃する要求権が人事院にある。そういうものをひとつ生かされて、聡明で熱心な山中総務長官をして在任中にどうか——いろいろな職種で給与のバランスがくずれている。同じ公務に従事しながら、都につとめる職員、つまり国家公務員が都へ流れていくと急に三割月給が上がる。都から国家公務員にいくと急に三割下がる。横浜だって同様。大阪だって同様。こういう傾向を、せめてバランスができるだけ公平にいくような配慮を、ひとつ総務長官、あなたの手で大所高所から適正な答えが出していただけるように私は御努力を願いたい。非常に残念な現象が出ているのを、私、長官にもっと事前に通告して差し上げればよかったのですが、通告が一部出て一部漏れておって、聡明な長官として即断でたいてい間違いのない答えをいただくのですが、きょうは時間的にちょっと余裕がなかったのです。この次でもけっこうですが、きょうアウトラインだけポイントを言っていただいて、次回に明細な御答弁をいただくということにいたしましょう。
  109. 山中貞則

    山中国務大臣 初めに、御激励感謝いたします。  検事の問題については、これは先生は普通職のように言われたのですが、特別職だと思います。特別職の場合においては検察官の——いま専門家から、一般職になっておるという説明がありましたので、私の勉強不十分でございますが、しかしながら、検察官の俸給は、法改正の場合は、法務省が人事局と相談をして国会に出すという形をとっております。これは自衛隊等についても同じだと思うのでありますが……。  教職員の問題について、教特法の場合に四%のアップをする。また超勤の問題をそれでどう処理するかという問題は、文部大臣人事院総裁が密会の上、私に相談もなくどうも決定しかかっておることを聞きましたので、公務員給与担当大臣としての私が知らない間にそのようなことが進められることははなはだ遺憾である、文部大臣人事院総裁に陳情し、意見を交換することはけっこうでありますけれども、私の耳を通らないできめるということ、意見を聞かないできめるということはおかしいではないかということで、文部省に対して——人事院は自由ですけれども、文部省に対して、労働省も含めたどのような形でセットされるものかということで、一応は、おくれましたけれども私も参加して、そういうことでやむを得ないだろうということで、最終的には私も関与をしたわけであります。   〔湊委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、今後はそのように所管省だけで突っ走るということがないようにしたいものだと思っております。  また、現実に地方においては深刻な問題であり、市の職員や県の職員、ことにまた国の職員と市の職員、そういうものを比べますと、大体地方自治体の給与が高いことが普通なようであります。その現象に対して、やはり交付税等で交付団体で措置さるべきところは若干の是正もされると思うのですけれども、不交付団体等における待遇については国はいかんともチェックしがたい。かといって、地方自治体の首長をはじめ市の職員、そういうようなものと同じようにその地域の国家公務員だけを高く遇するということは非常に困難である。この点はずいぶん前からの問題としてやはり全国各地において問題が提起されているところでありますから、自治省も含めて、これらの現象については、一挙にはできないにしても、公務員給与体系というものはなるべく均一になすべきものであろうということについては、私も同感でございます。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 長官、これはあなたのような的確な判断力を持つ閣僚が存任中に、こういう問題の処理をはかっていただかないと、優柔不断な閣僚では事が成り立たない。そういう意味で、いま教員の給与も——国家公務員である教員は一般職なんです。その給与をきめるのに、文部大臣人事院総裁がこそこそ秘密協定を結ばれるというようなことになれば、国の統制が乱れる。給与担当国務大臣というのは歴代文教のことも担当しておられる。私も昭和二十九年当時、当院の人事委員長を承っておりまして、当時、文教関係は少なくとも人事院が全部それを握って、当時、三好というなくなられた大臣が、公務員給与の問題について、安藤文部大臣との間で給与担当国務大臣として十分それをリードしたのです。私はよく知っておる。ところが最近は、どうもそういうところに特別なものができる、このような感じがあるということになると、これは問題であって、私は、人事院総裁が気がねなしに、かつての法制局長官時代に国家公務員法をつくられた人事院総裁のおられる間に、ひとつ人事院が権威を持って、各省ばらばらのかってな要求を、給与担当国務大臣と十分はかりながら、大局から名案をお出しになるというところへ持っていっていただきたい。  私はその意味において、最近の給与は、いささか各省ばらばらに群雄割拠で、法務省は法務省で、検事や判事に大いにきげんをとろうと思って、その処遇改善ばかりに力を入れる。文部省は、ちょっとなまぬるいやり方をして上げ方がにぶいけれども、文部省の権威を示そうとして人事院総裁にこそこそ相談をされる。人事院が承認しなければ法律にならぬものですから、総裁のところに一応行くわけです。しかし、大局から各省の職種別の給与の全体のバランスをとっていく、広くにらんで間違いなくいい答えが出せるのは、特別職と一般職の給与の総括的責任者である給与担当国務大臣でなければならぬと思うのです。ここが終局を握っていなければならない。ここがいやと言えば、法務省の今度の検事の二万三千円という初任給調整手当——ことし初めて出たのです。とんでもない高いものが出ておる。七万七千円になっておる。判事と同じように、つまり給与を出さぬと判事や検事になり手がないということでやっておるということです。こういうような特別措置が各所で出ていることを、せめてこの内閣委員会で、せめて人事院総裁給与担当国務大臣とががっちり連絡を願って、政府側給与担当国務大臣にすべての給与関係の総元締めをやってもらう。それから、ちょっとさっき話が出たが、人事局長と文部大臣とかってにこそこそされたのですか。
  111. 山中貞則

    山中国務大臣 文部大臣人事院総裁と……。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 さっき人事局長と言われたが、どういうことですか。
  113. 山中貞則

    山中国務大臣 人事院です。人事局長は私の部下ですから……。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 あなたのお話では人事局と言われたから、あなたの部下の局長かと思ったが、それならよかろう。そういうところが部下との関係ならわかっていると思ったんですが、よし、それなら遠慮なく長官がんばってほしい。そこをすかっと、あらゆるものに公平を期するような御努力をお願いしたいと思います。  それから最後にもう一つ。参議院でお尋ねがあっておったようですが、私も直後にこの委員会があればお尋ねしようと思ったことで、例の有給休暇を利用した週休二日制を原先生がやっておられて、現にやっておられるようです。横浜市では、市役所の職員に八日間、七月、八月の間に有給休暇のほかに特別の措置の休暇を与えておる。有給休暇と別ですよ。そういうように夏は、職員の能率増進のために、レクリエーションのために、大いに元気をつけるために休みを多く与えておる傾向ができておるのですが、有給休暇の範囲内ですから法律違反とは言えない。しかし、その有給休暇もなかなかとれていないという現状の中で、暑い夏を、特に小学校や中学校の子供は夏休みで家におる、おとうさんも、家族や子供と一緒に土、日を海水浴に行くとかいう一家の団らんを大いに楽しませてあげるという心づかいからも、この週休二日制というのはおもしろい案だと思うのです。けれども、これは実際は公務員の勤務に関する大事な問題であるだけに、この根元は労働省ではなくして総理府がやらなければならぬ、総理府総務長官に相談もなしにかってにやろうとするとなれば、国家公務員法違反をやってもわからぬようなことになる危険もあるわけで、その点においては、国家公務員法を担当する国務大臣として、労働省のあり方を、閣議などで——いい思いつきであるならばこれを他の省にも公平に与うべきだ、労働省の職員だけが恩典に浴するということになると、これはまたさっきの給与と同じような不公平が出る、やはりこういう公務員の服務に関する問題、給与に関する問題は、総務長官が総理大臣にかわってすかっと握っておかれぬと、群雄割拠、内ゲバが至るところで発生して、内閣の根本にも触れる問題になってくる可能性なきにしもあらずと懸念するのであります。そういう意味で、すでに長期にわたって総理府総務長官としての人事に関する大事なお仕事をされているだけに、あなたが発案され、労働省から言われたのを、あなたがそれを採用して、いい思いつきだ、原君、おれがひとつ閣議にはかってやろう、そのときには君も大いにやれ、そういうのなら筋が通る。主客転倒の傾向があると思うのですが……。
  115. 山中貞則

    山中国務大臣 私は特定の役所と特定の大臣を相手にしてものを言わない立場を前提として答弁させていただきますが、まさにおっしゃるとおり、国家公務員の休暇のとり方等につきましては、たとえ有給休暇の限度内のことであっても、その態様等について特別なことをやろうとすれば、これは民間にも波及もしますし、上が率先行なうということになるわけでありますから、やはり統一された形で行なうべきが至当だと思いまして、新聞記事で見ました段階で、直ちに人事局長から公的に給与担当大臣として、一省のみがかってにやることについては問題がある、いい悪いは別である、統一してやるならやる、やらないならやらないという検討すべき事柄であるので先走らないようにという公式な連絡はさせました。もちろん労働省の——これは役所の名前が出ましたが、その役所のほうとしては、大臣の意向なので表に出たけれども、自分たちも、政策としてそれを自分たちの省だけでやるつもりではいない、こういうことでありました。しかしながら、これが著しく国家公務員の服務の態様、あるいはこれが民間に悪影響を及ぼすものなのかどうなのか、これらは模様を見る必要もあると私は思ったわけであります。いいことならば、これは将来そういう方向に持っていかなければなりませんし、しかしながら、たとえば総理府などは、ことに沖繩関係等は、休暇どころか毎日夜になってもやらしております。病人続出しておりますけれども、先頭に立って私も最後までランプをつけてがんばっておるわけでありますが、そういう休暇のとれる役所というものはほとんどないのではないかと思いますけれども、私としては、おっしゃるように、こういうものは、基本的には国家公務員の服務のあり方、休暇のとり方等につきましては統一さるべきものと思量いたします。しかし、あえて私が閣議の席で、ふだん多言でありますけれども、このことについて私がものを言いませんのは、これがいい結果を生むか、あるいはどうなのかという、せっかく一大臣が決意をしたことでありますからもう少しその模様を見ようかという気持ちがあるわけであります。しかし根本的には、ばらばらにやっちゃいかぬということについては、私もそのとおり考えておりますし、一応人事局長立場からものは言わしておるわけであります。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、少し時間が過ぎておるから次回にまたゆっくり。御苦労さんでした。局長にあと答弁してもらいます。  人事院総裁、この国家公務員法という法律で実に基礎的な大事な権限を人事院に与えられて、人事院は、公務員の罷業権、団体交渉権にかわる大役をお持ちいただいておる非常にりっぱな規定だと思うのです。公務員の側から見ると、これがあるために自分たちは罷業権もないし団体交渉権も正式に持てないんだという悲しみを一方で持っておるのですが、私は原則としては、罷業権というものについては、これは国家公務員として、人事院がかわってやってあげる立場でいいと思うのですが、団体交渉権というものは、形は認められないのであるが、実際的には公務員団体の対政府交渉というものが尊重されるような形でいけるような、実質的には団体交渉権が効果を生むような姿が好ましい。また人事院総裁公務員代表者との交渉の際にも、できるだけその要望を聞いて実質的な団体交渉権の成功だという方向に導いてあげるようなしかたというものは、私はうるわしい行き方ではないかと思うのです。法律的には認められないが諸君の言うことは十分わかった、人事院もこう考えておる、両方が十分みがき合いをしていいものを出すようにしよう、実質的団体交渉の成功、こういう気持ち総裁お持ちいただいていいのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  117. 佐藤達夫

    佐藤説明員 一つ一つ青紫に当たる御指摘で、私自身いままでやってきておりますことは、まさにおっしゃるとおりのことをやってきておるつもりであります。これは組合の代表者の方にお聞きいただけば、おそらくそれに近いことを言ってくれるだろうと思います。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 人事院総裁のお気持ちがよく出ておるいまの御答弁だと思います。そういう方向へ持っていってやって、公務員が他の民間会社等の従業員と比べて非常にさびしい思いをしている面を、実質的に人事院がその公務員の要求を代弁する。総裁が、形式は諸君には権限はないが実際は団体交渉の成功があったと同じような効果を生ましめる努力を、御自身でいまおっしゃっておられたことについて私非常にうれしく思います。  そこで総裁、あなた御自身がもし人事院総裁をおやめになるというようなことがあったならば、国家公務員法をつくられ、これを一番よく知り、そしてそれのいいところを生かそうとする立場の力がおられないということになったとしたならば、非常に私、寂蓼を感ずるのでございますので、人事院総裁として御在任中に、どうか健康に十分留意してもらって、この大事な、いま人事院勧告完全実施政府が約束しており、もし人事院が四月実施ということに答えを出されるならば四月にしようという方向へも進んでおるというような段階に、全天下の国家公務員が、佐藤人事院総裁のもとに、佐藤人事院総裁にお預けしたわれわれの要求を、罷業権もない、団体交渉権もないが、実質的にはそのわれわれの要求を総裁がひっさげてやってくれるんだという大きな期待を持てるようやってもらえるように御努力をお願いしたい。国宝ともいうべき人事院総裁の御健闘を切に祈る次第でございます。  そこで、その総裁にお尋ねすることがあるのですが、総裁、私がいま長官にお尋ねしたようないろいろな問題点が、公務員間にアンバランスの点であらわれているのですね。非常に私不愉快な現象だと思うのですが、同じ公務に従事しながら、都庁の職員なり横浜の市役所——近くでいえばまあそういう例を引きます——につとめているほうが三割以上も給与がよいのだ。国家公務員であるという誇りを感ぜよといったって、国家公務員であろうと、ほかの地方公務員であろうと、公務に従事する点においては同じなのですから、その地域社会では同じような形態の勤務をする官職の職務と責任において、できるだけ公平な処遇が与えられるようにしなければならない。  学校の先生をもう少し優遇する手はないかなと私思うのです。優秀な教師を獲得するためには、処遇の改善というものがやはり一方に要るのです。専門職としての処遇の改善という意味から言うならば、初号において二号ほど優遇されているけれども、その後においては特別昇給の制度もない。教諭給であれば一本化でありますが、もう二十年以上もたてば頭打ちになる。高い号俸のところは昇給間差が非常に低い。そういうもので生涯を終わっていくという教職員の立場というものを考えると、そこに給与上の魅力を失って、人間づくりというとうとい使命を持つ仕事だけれども給与が安いからよそへ行こうかという感じになって、自然に人材が教育界から離れていくという懸念があるのですね。これは何とかして教育優先の原則を国政の上に確立するために、いま教特法という特別措置の法案が文部省から出されて一応通っておりますけれども、これを本格的に当委員会で審査する法案として、ひとつ一般職と同じように勧告の中へ一緒に入れていただいて、そしてここで一緒に審査するかっこうになりませんかしら。途中で思いつきで正月ごろに勧告されたりすると、何だか別ワク扱いのような形になって、教育公務員は治外法権のような印象を与える危険もあるのです。できるだけ一般職として一括整理する。  特に検事の問題はさっき指摘しました。これは総裁もたいへん弱っておられる問題であるようですけれども、特別法で検察官の給与に関する法律みたいな始末の悪い法律ができているのです。この始末の悪い法律を一括整理して、適当でない法律はあなたのほうで総裁の御権限を持って——この二十三条にこう書いてある。「人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない」。この検察官の給与の法律などというものは、これはいささか独裁的なにおいがしますよ。検察官は全く一般職から分離して、完全に一般職からはずす。国家公務員法から検察官をはずそうじゃないですか。これは一般職に置いている意味がないですよ。なぜ一般職の中に残しておるのかという問題なのです。残すなら残すらしく、検察官なら検察官の給与法をどうかする。それからいまの勧告の中へ検察官を吸収するとなれば、これは一緒に勧告してもらうべきだ、かように思うのですが、始末の悪い職種であるならば一般職から削るか、あるいは残すならばいま言うたようなやり方でやるか、ここですかっとしたものをつくっておく。あいまいもことして何だか不明朗なかっこうが国家公務員の中に残っているというのは、私、非常に不愉快なのです。何となれば、検察官の給料だけが五万四千円に別に二万三千円の調整手当を加えている。本俸が五万四千円になっているけれども、それだけでも一般職の中では非常に優遇されている。それに初任給調整だ。これはもちろん年限によって、五年くらいたつと、五年目ぐらいでこれが本俸へずり込むようになっているのですけれども、その最初の号俸が非常に高いところにあるし、それから調整手当が二万三千円という特別なものがことしから出た。一ぺんに二万三千円ふえた。これは他の公務員とのバランスの問題で基本的な疑義があるのです。いま私が指摘した点に誤りがあるならば誤っておるとおしかりをいただき、要求の筋が通れば名案だとお答え願って、それでそれに対する御処置をお願いしたい。
  119. 佐藤達夫

    佐藤説明員 昔のいわゆる人事委員会時代からのベテランでおられますから、この検察官問題の沿革は、私と同様に詳しく御承知のはずでございます。したがいまして、いまの潔癖な筋論から言うと、おっしゃるとおりの面があるということも承知しております。ただ、実質的に私どもやはり十分関心を払っておりまして、たとえば先ほど御指摘いただきました初任給調整手当が高過ぎるのはどういうわけか。これはやはり、司法試験の合格者の年齢が上がってきておるという点や、弁護士の関係などの調整からそういうことがあるということを突きとめるぐらいの関心を払っております。とにかくこれは非常に重大な問題でありますから、御指摘のとおりの立場として、やはりわれわれとしては問題意識を持ち続けていきたいという気持ちでおります。  学校の先生の話の教職調整手当四%、これも御承知のように、昭和三十九年にいわゆる超勤問題をきっかけとしてわれわれが指摘した問題なんです。そのしりぬぐいという面が主としてありますために、これを別立ての形で行なったわけですが、しかしそれにしても、私どもの提出いたしました意見書による四%は、普通の超勤にかわる四%というような、超勤手当的な性格のものではなしに、これは本俸そのものが四%ふえるという点では非常に画期的な大きな意味を持っておるので、それが優遇の面においても相当意味を持っておると思います。ただ形は、御指摘のようにそれだけ切り離した形でいきますけれども、なお周辺の問題との調整問題が残っておりますから、それとあわせてきれいな形の勧告の文章として今後提案いたしたいと思っております。その後の給与の引き上げその他優遇方法については、もちろん従来の態度を堅持して、おっしゃるように、教員の優遇に力を尽くしてまいりたい、こういう気持ちでおります。  先ほど来、文部大臣とこそこそという話が非常にエスカレートをしてしまいましたけれども、真相を申し上げますと、われわれが教職調整額について意見書を申し出る用意ができた、ところがこれは、普通の給与勧告の場合のように、官民格差に基づいてという問題とは別な問題になるから、予算の上の手当は十分文部大臣やってくださいよということで、予算の手当のほうの話をお願いしたので、こそこそでも、ごそごそでも、何でもありませんから、その点はここで弁明しておきます。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 総裁、二人だけで話されるとこそこそになるのですよ。それで、そういうときには山中さんでも一緒に連れていかれて、三人で話せばこそこそじゃない。こそこそというのはキツネとネズミと書くのです。ですから、堂々と給与担当の国務大臣をそばに据えて、そして文部大臣と三人でお話しされるというようにされたら、こそこそこそと三つも続けば世間の批判が薄くなるということになるわけですから、私としてはできるだけもっと幅を広げて、二人だけでなくて、関係者ができるだけ参加されるような形に話を進めていかれるほうがいいと思います。  そうでないと総裁、いま給与上本俸の扱いだとおっしゃるが、あれは超勤のかわりという性格を持っていますよ。事実、超勤をそのほうへ代がわりさせる印象を持った法案ですから、超勤の分が四%、本俸が四%、合わせて八%上がっておるというなら改善がされたと言えると思うのですけれども、本俸だけで四%。それなら超勤のほうはどうなっているか、本俸に計算されるなら超勤分はどうなっているのか、その問題が残っているのです。周辺の整理の問題があるといまおっしゃったのは、それかもしれません。  それから、いま、検察官の場合は、年齢の高い者がおるということで、その分については、前歴計算をやって別途特別の規定を設けておかれれば、過去の経歴を基礎にした上でやられるということであればいい。だからもう、大学を出て二年ほどたって司法研修を終えて就職した者の場合は、大体一番スムーズにいった場合は非常に優遇されておる。年齢を加えた者は優遇されていないじゃないかということについては、過去の経歴をもとにした規定を人事院でおきめになる。これは人事院規則で検事の場合やれますか。——やれませんか。そうなると、われわれが審査ができぬ法案があるということはしゃくにさわってしようがないので、これは何とか合同審査か何かで今後やらなければいけませんね。  委員長、検察官は一般職の公務員です。したがって一般職の公務員はここで審査すべきものです。法務委員会は判事との関係でかってにやれるのだが、同時に、人事院の所管の一般職の公務員ですから、検察官の給与法が審査されるときは当委員会で連合審査をしていく。こういうふうにしなければ独走する傾向がありますから、委員長において、ひとつ今後そのように審査のお計らいをお願いしたいと思います。
  121. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 受田君にお答え申し上げますが、その点は従来も当委員会において論議の対象になったこともございます。したがいまして、理事会において審議の結果善処をいたしたいと思います。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 お願いしておきます。  次に、約束の時間がもう五、六分残っておりますが、防衛庁長官への質問は一時からだそうですので、一点だけにします。  総裁公務員の諸君の声を聞くと、公務員である諸君が生活保護の適用を受けて出産手当をもらっておる、生活困窮者としての扱いを受けて出産手当を二百七円で済ましておる職員が非常に多い、こういう現状を承ったわけです。これははなはだけげんな話ですけれども、ちょっとお調べいただきたいと思います。生活困窮者が対象になる生活保護法の中の出産手当の適用を受けておる下級公務員がたくさんあるのです。つまり、民生委員会から民生局の措置を得て出産手当二百七円という自己負担の一番低い分をもらうような制度、これは国家公務員として生活困窮者の生活保護法の適用を受ける。このワクは徐外してもらって、何かの形できちっと出産手当というものに対する特別の制度を設けられるか、あるいは給与を改善されるかして、こうした人々が——子供さんを生むのもつらいという気持ちを持った若い方々が多いという実情をお調べになっておられるかどうか。もしそれがお調べができておればお答え願いたいし、そうでなければ次の機会にお答え願いたい。
  123. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私ども官民比較で民間水準をとらえてやっております以上は、理論的に言いますと、民間に生活保護を受ける人があるならば公務員の側にもあるはずだという理屈にはなりますけれども、これは冷たい理屈でございまして、私ども給与については生活給的な面に大きな意味を持たせておりますために、いま御指摘のような点は、給与勧告のたびごとに相当立ち入って、これはプライバシーの侵害になるという批判もあるかもしれないぐらいに立ち入って調べておりまして、そういう人がいるかいないか——実際上は非常に減ってきております。滅ってきておりますが、それは理論的にあり得ないとも言い切れないのであります。しかしわれわれとしては、重くこの辺に意を用いて——ことに行政二表の方々について一番そういう点が深刻なんです。これは十分意を用いてやってきておるという態度だけは十分御認識をいただきたいと思います。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 これで終わります。      ————◇—————
  125. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、西村防衛庁長官より発言を求められております。これを許します。西村防衛庁長官
  126. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 私といたしまして初めて内閣委員会出席をいたしますので、一言委員長並びに委員各位にごあいさつを申し上げます。  実は先般、非常な大きな事故を起こしまして、前長官退任をされましたあとを受けまして、不肖私、防衛庁長官の職に任ぜられたわけであります。自衛隊並びに防衛のあり方については、御論議もきわめて多い時期であります。また、国民各位を代表される各委員方々、御審議の過程を通じて、十分の御叱正なり御批判なり、あるいは御指導なりを賜わりますように、不肖でございますが、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。      ————◇—————
  127. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。
  128. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 ただいま西村長官から御懇篤なごあいさつがございましたが、私、尊敬する西村先生が防衛庁長官に再度御就任なさいましたことを、心からお祝い申し上げるものでございます。と同時に、非常に困難な時局でございまして、いろいろ御心労のことも多かろうと思いますが、どうぞ国民の期待にこたえて御健闘あらんことを切にお願いする次第でございます。  長官に対して基本的なことをお伺いしたいと思っておるのでございますが、その前に先般の事故につきまして、きょうのテレビで見ますと、いよいよあしたから自衛隊の航空機の訓練を再開せられるようでございます。去る四日の連合審査会のあとで関係各省が協定をおつくりになったとか新聞で拝見いたしましたが、その新しい協定の中で、自衛隊の訓練の空域及び自衛隊の訓練の態様というふうなものはいままでとどう変わったかということを、まずお聞かせを願いたいと思います。
  129. 久保卓也

    ○久保説明員 先般、航空交通安全緊急対策要綱が出されたわけでありますが、われわれのほうでは、訓練を長く中止をしておくのはかえって危険でもありますので、また自衛隊の本務が訓練でもあるという点にもかんがみまして、この緊急対策要綱にのっとってすぐできるものについてはなるべく早い機会に実施をいたしたい。そしてまた、この対策要綱を実施するについていろいろの手続が必要なものについては、内容を運輸省と協議しながらその手続が済み次第逐次拡大をしてまいりたい、こういうふうな基本的な考え方であります。  ところで、この安全対策要綱によりますると、御承知のように航空路の最低安全高度というのがありますが、それの千フィート以下から下のところは通ってよろしいということがあります。そこで、いわば航空路の下をくぐって訓練空域に出られるようなところを選定をする。それからもう一点は、なるべく陸上を避けて海上に訓練空域を求めるということをいたしました。そういたしますると、格別の手続はとりませんでも訓練の再開が可能になります。ただ、たとえば航空路の一部を変更いたしましたり、あるいは航空路の中で回廊を設けるというようなことをいたしますると、これは運輸省との協議はもちろん必要でありますが、それ以外にICAOのほうに連絡をしなければいけません。連絡後約二十八日間のNOTAM周知期間というものが必要でございます。そういうような関係でその分はおくれますので、そういう手続を必要としない範囲のものをまず選んでみたいということでございます。そういたしますると、陸上の訓練空域は非常に大幅に、ほんの数カ所程度に限定されまして、第一段階といたしましては海上のほうに大幅にとっていくということで、空域の面積の面から見ますると、航空自衛隊をとってみると、従来の約七割程度になります。しかし、これは面積でありまして、高度の面でもいろいろの制約を設けておりますので、おそらくそれよりもだいぶ下回るということになります。  それから、海上に訓練空域をとるということは、結局、往復の時間にむだをつくるということにもなりますので、訓練の実際というものは相当に減少する。しかしながら、第一段階としてはそういったことでやるほかしかたがないのではなかろうか。  なお、海と陸につきましては、いま申し上げた航空路の下をくぐっていくということで、大体低高度の訓練が多いものですから、これは、空が設定をいたしました一部陸上、それから大部分海上の訓練空域を使って使用が可能であるということで、われわれとしましては、明日から海と陸の訓練は、いま言いましたこの対策要綱に基づいて再開をいたしたい。  それから航空自衛隊の分につきましては、この訓練空域について運輸省と最終的な調整の段階に入っておりますが、なるべくこれは官報で告示をいたしまして、できれば来週の早々にも再開をしたい、かような考え方であります。
  130. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 いま陸海のほうにつきましては、私なるほどそうだろうと思うのです。航空路の千フィート下というのは、いままではさまっていなかったのですか。横断する場合に千フィート以下は下を通れということは。
  131. 久保卓也

    ○久保説明員 最低安全高度の千フィート以下を通るということは、従来の規定どおりであります。ただ、従来は、ジェット機でありますから、そういった低いところを通らないで、むしろ航空路を一定の基準でもって横断をしておったということでありますが、横断ということは非常にあぶないということで、下をくぐっていくということになります。そういたしますと、これまた問題が全くないではないので、従来、低速の飛行機が有視界飛行でこの安全高度以下を飛んでいる場合がありますが、その分の混合という問題が出てまいります。この点につきましては、さらにまた具体的な問題としまして運輸省とも協議をするし、われわれのほうでも、ジェット機が主として通るような経路と申しますか、そういうものを特定したほうがよろしいのではないか、こういうふうに考えております。
  132. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 今度事故が起こりましたけれども、いままで事故が起こるまでの、航空交通管制についての運輸省と自衛隊といいますか、防衛庁との協定というのは、いつごろできたものが適用されておったのですか。いままで事故のあったときまでに適用されておった協定といいますか、航空交通の安全を確保するという点についての申し合わせというものは、何年くらい前にできたものですか。
  133. 久保卓也

    ○久保説明員 一般的に申しますると、いま問題になっておりまする三十四年にできました両大臣間の覚え書きが基本であります。そのほかには、この航空法に基づきまして委任された事項については運輸省の統制を受けまするし、それから法律の除外例のあるものについては、運輸省とその基準について協議をすることになっておりますので、これは、個々の問題について協議されたものが防衛庁の訓令の形となってあらわれているということですから、これはたぶん数がたいへん多いのではなかろうかと思っております。
  134. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 私、疑問に思いますのは、ここ数年間、航空機の性能が非常によくなっておるわけですね。私は六年半前まで防衛庁におったわけですが、あの当時は国内線にはジェット機はなかったわけですよ。航空自衛隊のほうの航空機の性能も非常に向上している。国内線の航空機にも727のようなものがどんどん飛び出すということになりますと、やはり飛行機の性能に応じてそういうふうな行政がついてきていると言っちゃいけませんが、先行性を持ってそういう問題に取り組まれなければいけなかったのではないかなという気がするものですから、そういうことを伺ったわけでございます。これは過ぎ去ったことでございますからとやかくは申しませんが、今後は、そういうふうに先々を見越して、航空交通管制についても行政が先行してもらいたいというふうに考えるものでございます。  その次に、昨日の新聞で見ますと、西村防衛庁長官が、来訪したアメリカ大使に対して米軍との調整について申し出をされて、アメリカ大使がこれを了承したというふうに記事が出ておりました。現在アメリカ空軍との航空交通管制についての話し合いということはどういうふうになっておりますか、これは防衛局長から伺います。
  135. 久保卓也

    ○久保説明員 米軍との関係は、これは運輸省が所管いたしておりますので、地位協定に基づきまして運輸省と米軍が、おそらく日米合同委員会の席で協定なりその後の仕事の進め方について協議しているはずでありますが、今日、この緊急対策要綱が出ました以降のあり方につきましては、御承知のように、総理府の中のこの連絡委員会の中に外務省も入れておりますので、したがって、仕事のしかたとしましては、運輸省と防衛庁とで自衛隊機の運航方法について協議ができますれば、その協議に従って、米軍もそれにのっとった運航をしてもらうようにこちらから働きかけたい。その場は、やはり同じく日米合同委員会の場になるであろうと思います。なお、この点については、御承知のように、総理大臣防衛庁長官も米大使に協力を求め、快諾を得ているというふうに私は聞いております。
  136. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 もしおわかりでしたら、現在の米空軍の訓練空域はどこだということをお示し願いたい。  では、それがわかるまで……。新聞で見ますと、雲上の有視界飛行をやめるというふうに出ておりましたが、一体雲上の有視界飛行をやめて自衛隊機の訓練に差しつかえないのでしょうか。
  137. 久保卓也

    ○久保説明員 現在、夜間における雲上の有視界飛行は運輸省側からの要請によってやめておりますが、昼間においてもやめてほしいということであります。この点は、民間航空国際機構、ICAOの勧告にあるようでありますが、私どもといたしましては、雲上有視界飛行というのは、やはり高々度におきまする訓練上必要であろうと思うのです。しかしながら、雲の形態が高低あるいは幅その他いろいろ複雑なものでありますので、何フィート以上はよろしいというふうになかなかきめにくいような実情にあるようであります。したがってこれは、下から有視界飛行で上がってくる飛行機と、雲上の何千フィートか上を通っておる有視界の飛行機との衝突を防止するという趣旨でありますが、私どもとしてはたいへんつらいわけでありますが、一応原則的にはICAOの勧告に従って私どもも承知をしている。しかし、どうしてもこの分は例外として認めてほしいというものがあるかどうか、これは私ども内部で検討いたしております。しかし原則として、現在の事故防止の観点からその方針に従いたい、こういうことであります。
  138. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 事故を防止することは、これは最大の要請でありますから、ぜひそれをやってもらわなければいけない。ただ、そのために雲上の有視界飛行を、夜間はいまやめていらっしゃるが、昼間もやめるということになりますと、自衛隊の採用する飛行機、どういう飛行機を持つかということまで考え及んでもらわなければならないと思うのです。その辺は非常に大事な問題であり、あなた方のほうでもよくお考えになっておるんだろうと思いますから、私これ以上は申し上げませんけれども、自衛隊の本来の任務を達成する上に、雲上の有視界飛行を全面的にやめるということはできるんだろうかなという気が私はしてならないのであります。その点だけを申し上げておきます。とにかく事故の防止が最大の要請でありますから、これはぜひ考えてもらいたい。  米軍のあれはわかりましたか。
  139. 久保卓也

    ○久保説明員 いま手元でわかっておりません。したがいまして、後刻調べてお知らせいたします。
  140. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 航空交通管制の問題でもまだまだありますけれども、一応この程度にいたしまして、西村長官にお伺いいたします。  長官は御就任になりましたときに、自衛隊の原点に立ってわれわれは今後自衛隊の運営をやっていかなければいけないということをおっしゃいました。まことにごもっともなことばであると思うのでありますが、いま長官は、そういうことばを発せられますにつきましては、自衛隊の原点に立って自衛隊を見た場合に、どういう点に一番問題があるというふうにお感じになっていらっしゃいますか、お伺いいたします。
  141. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 自衛隊の原点に立つという、ただ単なることばでございますが、実はその原点とは何ぞや。結局、自衛隊のよって立つ基盤というものは、自衛隊法に定められたる目的であります国土の安全、平和、独立を守る、こういうことであります。それを具体的に適用してまいりますと、国土、すなわち国民全体としての生活の安全でございます。したがって、生命や財産を万一にも傷つけていくようなことがあれば、自衛隊本来の原点がくずれるわけであります。その基盤をしっかり第一義的に考えていこう。言いかえますれば、それによって、国民から信頼される、また国民とともにある自衛隊、こういう原点からものを考えてもらいたい。ただし、時代は移っておりますから、その時代にふさわしいいろいろな訓練なり装備なり、これはまた別の問題でありますが、心がまえとしてはそういう点であります。  このような考えに立ってやってまいった場合に、私は率直に委員の各位、加藤さんを通じて申し上げたかったのでありますが、さっきのお話のように時代が非常に動いてまいっております。経済も大きくなり、すべての生活が変わってきております。特に空に国民の生活が相当広く入っておる、こういう諸事情もあり、また大型化し、あるいは両方が非常なスピードを持っておる、近代的なものになっておるということを考えると、うっかりするとマンネリズムに入ってなれを起こしていやしないか。このなれをやはり原点に立って、ことに今回のシビアな事故というものをほんとうに深く日常動作の中にしみ込ませていくことがやはり大事ではないか。言いかえますれば、これは教育の問題でもあろう。したがって教育というもの、特に規律、あるいはいろいろな面での教育には、非常な物的でないそういう面においての教育にやはり重点を置かなければいかぬ、そんな考えでございます。
  142. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 大体お考えになっているところはよくわかりました。  次にお伺いいたしたいのは、中曽根元長官がたびたび当委員会で御発言をなさったわけでございまして、私どもは中曽根長官の考えておられるところは大体知っておったわけでございます。その中で私が一番気になっておりましたのは、国防の基本方針を改定したいということを何回かこの席でもおっしゃったのであります。いまの国防の基本方針が時代にそぐわなくなったというようなことでございましたが、これは非常に大事な問題だと思うのですが、西村長官はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  143. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 私もかねて在野でございましたときに、前長官の御意見等は紙上等で承っておりました。なるほど、安保の自動延長その他いろいろな諸情勢が変わる段階において国防の基本方針を見直そうということも意義はあるけれども、しかし、これ自体は、非常にやはりいろいろな考え方があるかもしれませんし、そこで私どもは、特に長官になりましてからも、増原前長官の御意見も承り、また今日私が長官といたしまして、現在の段階では、国際情勢等から見て、これを特に取り上げて積極的に改正するというまだ段階ではない、理由もない。したがって私どもは、現在の国防の基本方針、これを基盤にしてやってまいることがよろしいと思っております。ただ、時代が非常に変わってまいる過程において、長い時間をかけて慎重にこういうものを絶えず研究していくという姿勢はやはり必要かと思います。
  144. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 その点はわかりました。これからいろいろ長官にお尋ねいたします前に伺っておきたいと思ったわけでございます。  きょうはその問題をその辺にしておきまして、次にお伺いいたしたいのは、実は増原長官にお伺いしたがったのでございますが、先般アメリカのレアード国防長官が見えまして、総理にもお会いになり、中曽根、増原両長官にお会いになったようでございますが、その来訪されたことにつきましていろいろな記事が出ましたが、その中で国民として非常に関心を持ちましたのは、アメリカ当局が日本の核武装をすすめたとか、あるいは日本に第七艦隊の一部の肩がわりを要請したというふうな記事がアメリカ側の推測として出たわけでございます。これは日本、アメリカ両政府とも直ちに否定をされましたので、そんなことはなかったのでございましょう。なかったのでございましょうけれども、こういう推測記事が出るということについては、それなりにやはり背景があると私は思うのです。  現在ヘルシンキでアメリカとソ連との間でSALTの交渉をやっております。戦略核兵器の制限の交渉をやっております。ABMにつきましてはほとんど話がまとまったように伝えられております。私もABMについてはおそらくまとまるであろうと思う。そうなりますと攻撃的な兵器についての話し合いに入るわけでありますが、いずれにいたしましても、現在の米ソの戦略的核兵器力というものがほぼ均衡しておる。まとまればこれが均衡してまとまるに違いないということは、これは一般の推測するところであります。日本にとりましては、その場合に、中共という隣国が核兵器の開発をやっておる、もしも中共が実戦的な核装備をいたしたということになりますと、アメリカとソ連との間における戦略核兵器のパリティを、均衡を破ってでも、日本に対してほんとうに核報復をやってくるだろうかという、これはきわめて原始的だといいますか、素朴な疑問をだれでも持つだろうと思うのでございます。  レアード国防長官が離日されますときに記者会見で述べられた内容の中でも、米国は核のたてはこれを維持していくのだということを言っておられます。しかし、私がいま申し上げたような背景を考えて、日本国民の間に、ほんとうにそうだろうかなという一抹の不安といいますか、疑念というものはやはり残ると私は思うのです。私はやはり、政府当局としてこの点についてはっきりとした言明を国民にされ、国民を安心させられる必要があると思うのでありまして、この点について西村長官からはっきりしたお答えをいただきたいと思うのであります。
  145. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 レアード国防長官がおいでになって、そうして前長官、前々長官に会われた。しかしその際に、核の問題、これは全然触れてないということははっきりした事実でございます。また、わが国といたしましても、御存じのとおり、非核三原則の政策というものを今後ともはっきり堅持して、核兵器は一切保持はしない、この姿勢は厳然として守って国民の御同意を得てまいりたいと思うのであります。特に、ただいまお話ししましたような四囲の情勢から、一部御不安がある向きは推測できるかもしれませんけれども、私どもとしては、国の安全は、何と申しましても、第一義的には国内の民生を中心にした国民の理解、安定。それから第二には外交、外交で十分緊張緩和の諸条件を醸成する。その中において国内の自衛というものは国民の期待に沿うようにやってまいりたい。こういう中におきまして国の安全を保つのでありますから、非核三原則を堅持しておって差しつかえない、こういう論拠に立っております。
  146. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 政府責任のあるお答えをいただきまして、私も非常に安心したものであります。  次に第七艦隊の肩がわりの問題でございますが、これはレアード長官の記者会見の内容として伝えられたところによりますと、こういうことを言っておりますね。これは、琉球、小笠原の海域において、日本の海上自衛隊が米太平洋艦隊の肩がわりを期待するかという記者の質問に対して、「仮説に立った質問で答えにくいが、米第七艦隊の責任は継続する。もちろん、日本の造船などの工業力はよく知られているが、かりにそうした肩代わりできる自衛力をつくるにしても数年間かかり、現在の第七艦隊の能力にまで持っていくのにも数年間はかかる。米国大統領は、この地域において今後も、海軍力、航空力とも存在を継続することを予定している」。ここまではいいのですが、その次に、「一方、中国、ソ連がどう動くかについても、ソ連の海軍力は次第に増大しつつあるので、通常兵力による抑止力の増加が必要であり、地上はもちろん海上兵力もいる」ということを言っておる。確かに私などの調べた範囲でも、極東におけるソ連の海軍力というものは増大していっておる。いまやソ連は沿岸艦隊の性格を脱して、まさに大洋艦隊としての性格を持とうとしてきつつあると私は思うのでございます。第四次防衛力整備計画、新防衛力整備計画ですかの内容として中曽根長官がこの委員会で発言なさったところでは、新しい防衛力整備計画では、南鳥島から琉球列島を結ぶ線から日本にかけての海域では、潜水艦の容易な跳梁を許さない程度の海上自衛隊の力を保持したいという発言をなさっていらっしゃる。これは見方によりますと、米第七艦隊の一部の肩がわりだという見方をされてもやむを得ないような面も一面あるのじゃないかと思うのでありますが、日本の海上自衛隊が今度新しい防衛力整備計画でそれだけの力を増強した場合に、米第七艦隊との関係はどうなるんでしょう。第七艦隊の力はそのままでいいんだ、あるいは減らしてもいいんだということになるのかどうか、その辺をひとつお答えをいただきたいと思うのであります。
  147. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 私どもは、第七艦隊の一部の肩がわりということは、全然考えておりません。これは自衛隊の任務、それから能力からいたしまして、そういう考えはないのであります。ただ、海上自衛力といたしましては、対潜能力というものはやはりある程度向上しなければならぬ。そういうところを根拠にして四次防が一応案として計画されておる、こういうふうに考えております。
  148. 久保卓也

    ○久保説明員 加藤先生御承知のことを私申し上げるわけでありますが、第七艦隊はタスクフォースである。機動部隊であり、打撃部隊であり、火消し部隊であり、西太平洋地域に何か事があった場合にそこにはせ参ずべき部隊であります。したがいまして、いわゆる潜水艦の掃討の部隊というものは、第七艦隊と別個に西太平洋の米海軍の中に入っておるわけであります。ですから、潜水艦が第七艦隊を攻撃しようとする範囲において、第七艦隊はその潜水艦を攻撃するということになります。したがって、われわれのほうは、日本周辺海域において、海上交通の保護をはかるために潜水艦の出没を押えていこうということであります。いわば座ぶとん部隊的なものであります。そういう意味で言えば、相当程度海上部隊が整備されましても、打撃部隊である第七艦隊の肩がわりをするということは、これは質的に任務が異なりますので、肩がわりをするということはありません。ただ何となく第七艦隊のほうで気強くなるということはありましょうけれども、質的にもまた量的にも第七艦隊の肩がわりをすることはありませんので、かりに四次防、五次防で相当程度海上部隊ができましても、われわれとしては、一般的な、全般的な抑止力としての第七艦隊の勢力というものは、アジアにおいていわゆるプレゼントすることが望ましいと考えております。
  149. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 非常に明快な答弁でよくわかりました。その点はそれでけっこうです。  その次に、レアード国防長官の訪日につきまして、昨日か一昨日かの新聞で、アメリカが日本に対して、アメリカの兵器の装備の調達をふやしてくれという申し入れをしたという記事が出ておりました。確かにレアード長官の記者会見の内容につきましても、「近代的な装備の提供という面で援助し、真に日本が自衛力を保持するようになることを期待する」ということも言うておる。「陸上自衛隊の古い装備では、アジアの他の諸国と対抗することは、とてもむずかしい」、こういう発言もしておるわけであります。アメリカが近代的な装備の提供をしたいということは、これはまあ一つの問題である。同時に、レアード長官の「陸上自衛隊の古い装備では、アジアの他の諸国と対抗することは、とてもむずかしい」という、アメリカの国防当局の責任者の見解というものは、これは日本の国民に相当関心を呼び起こし、不安を与えておると思うのです。この点についての御意見はどうでしょう。
  150. 久保卓也

    ○久保説明員 長官の前に、事実関係を申し上げておきたいと思います。  レアード長官は、総理に会われましたときにも、防衛庁長官に会われましたときにも、北海道を視察されて、第七艦隊を検閲されたわけでありますけれども、その際に、装備が非常に古い、すでにもう自分の見たこともないような兵器が非常によく効率的に動いておるということに半面感心しながら、半面古い兵器であることに驚いて、こういった兵器ではアジアの諸国にかなわないのじゃなかろうかという感想を漏らされたことも確かであります。したがって、こういった兵器の更新と申しますか、そういうものは単に陸だけでなくて海、空についても同じであろうと思うということで、防衛庁側としてもそういったことを一つの問題とすべきではなかろうかということを、いわば助言されたわけであります。私どもも単に陸海空の兵力の増大ということを必ずしも考えておりません。海上兵力だけは艦艇がもう少しふえるようでありますけれども、陸なり空なりについては、全般的な量の中で質の改善をしていく、古い兵器を新しい兵器にかえていくというような方向で今後進めてまいる予定であります。
  151. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 お聞きしたいことは、レアード長官が「陸上自衛隊の古い装備では、アジアの他の諸国と対抗することは、とてもむずかしい」。これはほんとうに言われたかどうか知りませんよ。知りませんが、レアード長官の記者会見の内容として新聞に伝えられております。私も大体近隣各国の陸上装備を私なりに調べてはおりますけれども防衛庁当局としてこのレアードの言い方を肯定なさるかどうか、まずそれをお聞きしたい。
  152. 久保卓也

    ○久保説明員 英語でどう言ったか、私も同席をしておりましたが、耳に入っておりませんので実はわからないのですが、アジアの諸国にかなわないという趣旨のことを言われたわけであります。  そこで、私思うのですけれども、自衛隊は警察予備隊発足当初からの兵器をそのまま温存をしておる。もちろん除籍をしていったのも相当あるわけでありますが、それがそのまま残っておる。ところが、韓国でありますとか、あるいはベトナムでありますとか、そういったところは、かつて戦争をした、あるいは現在戦争をしているということで、古い兵器がどんどん新しい兵器に更新されたのではなかろうか。もちろん米側からの供与品ではありましょうけれども、そういった意味で、米側からもらったものについてはわがほうはたいへん古く、それらの国はたいへん新しいものを持っておる。少なくとも、何かコンペティションのようなものをやれば、わがほうはかなわぬというような趣旨に受け取れたのでありますが、全般的には、私も韓国の装備、台湾の装備を調べてもらうように言っておりますが、まだ返事をもらっておりませんのでわかりませんが、古い装備が相当ある、また陸海空を通じてそれらの国より新しい兵器というものもある、これは確かであります。
  153. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 まあその辺くらいまでしか言えないのかもしれないのでありますが、とにかく自衛隊が営々として努力をしていわゆる力を整備してきておるわけでありますが、アジアの各国にとても対抗できないようなんだという言われ方は、私は心外なんです。それはいいでしょう。  その次に、「もちろん、これからも日米が共同で生産をしていく種々の仕組みは、今後も続けていく予定になっている。たとえば戦車、ファントム・ジェット機の共同生産については、話合いが続いている」ということを言っておりますが、ファントムについては共同生産と見るかどうか問題でしょうけれども、話がわかるのですが、戦車について共同生産をやっておるのですか。
  154. 久保卓也

    ○久保説明員 これは御本人の誤解であろうと思います。ちょうど戦車については、第七師団で古いM41ですかを見て——わがほうの六一型の新戦車も九十ミリの大砲を積んでおりますから、世界的にいえば一番新しい戦車じゃありません。そういったことから、またもう一つは、西独とアメリカがかつて戦車を共同生産しようとしたことがあります。そういうことの背景で、戦車という名前を代表的に思いついたのかもしれませんが、わがほうでは四次防の中で新しい戦車をつくることになっておりますけれども、そういった情報がおそらくレアード長官の耳に達していなかったからであろうと思います。
  155. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 日本に対してアメリカの装備の調達の増加を要求したという点は事実なんですか、どうなんですか。
  156. 久保卓也

    ○久保説明員 格別その点についてはございません。
  157. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 それじゃ、レアード関係はこの程度にいたしておきます。  第四次防について少しお伺いしたいと思うのでありますが、西村長官は、中曽根長官当時に原案をつくられました新しい防衛力整備計画について、これを検討しようとなさるお考えはございますか、どうでございますか、その点をまず第一にお伺いをいたします。
  158. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 まだ十分なる事務的な引き継ぎと申しますか、説明は承っておりませんが、基本的には大体着任以来聞いております。したがって私は、基本については、これを検討し改めるということは必要ない、かように思っております。ただ、今回の事故等にかんがみて、安全であるとかあるいは教育、そういう面から反映させなければならぬ点があればこれを反映させていかなければならぬ、こういう考えでございます。
  159. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 そこで、そういう前提で長官がおいでになるなら話を進めていきたいのでありますが、第四次防衛力整備計画——中曽根長官は新防衛力整備計画と言っておられましたが、これはやはり必要だと思うのです。思うのですけれども、その内容はほとんど装備の計画なんですね。自衛隊をどういうふうに装備していくかということに主眼が置かれた計画のように私は思っておるのであります。ほんとうに自衛隊の総合的な力を考えますならば、単に装備だけでなしに、たとえば教育、訓練の計画などについても、この装備の計画とマッチしたものがつくられなければいけないのではないか、そういうふうに私は思うわけであります。どんなに新しい兵器を採用いたしましても、これが十分に使いこなせなければ何にもならないのであります。いま第四次防衛力整備計画とマッチするような教育、訓練の計画を防衛庁自体はお立てになっておるのですかどうですか、その点をお伺いいたします。
  160. 久保卓也

    ○久保説明員 一応、四次防というものが装備なり予算なりを中心にして組まれておることは確かでありますし、また、本来ならば、防衛力整備計画としましては、もっとも深みのある後方関係も含めたものであろうという反省もいたします。しかしながら、一応今回のような案の中で、われわれのほうでは、人員の募集でありますとか、要員の養成でありますとか、そういったもののラフな計画はできております。しかし、これをもっと具体的に、たとえばスキルのレベルその他まで詰めたものは必ずしも十分でない。むしろ四次防ができたところでそれとあわせて対応ずることだけを一応考えておりますので、その中で検討してまいる、かような推移の過程であります。
  161. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 私はこの点は非常に残念に思うわけであります。やはり、そういうふうな装備を中心とした計画をつくると同時に、これにマッチするような教育、訓練、あるいは人事補充というような計画も、精細なものがつくられなければほんとうの力にならぬのじゃないか、そう思うのであります。四月の委員会でも申し上げましたけれども、ソ連軍艦に対する誤認行動の事件にいたしましても、今度の空中接触の事故にいたしましても、どこかやはり私は、教育、訓練という面で欠けている点があるのではなかろうか、足りない点があるのではなかろうかということを思わざるを得ないのであります。指揮、統率の能力といいますか、指揮官が末端の者にいかに正確にその意図を伝達するか。もっと大きく言えば、長官の意図が末端まで正確に迅速に伝達できるかどうかというふうなところに力を入れて、私は新しい防衛力の整備を進めなければならないと思うのであります。古い話でありますが、有名なモルトケも、およそ規律のない軍隊というものは有事におやて役に立たぬだけでなしに、平時においては国民にとって有害な存在であると言っておりますが、そのとおりだと思うのであります。もっと防衛庁全体の計画として、教育、訓練、人事、規律というふうなものに確たる計画をお立てになっていただきたいということを私は熱望するものでございます。  話は少し小さくなるのでありますが、この空中接触の事件がありましたときに、私も非常に熱心にテレビを見ておりました。ところが、あの事故を起こしました市川君が、警察へ出頭します際に、制服でなしに半そでのポロシャツのようなものを着て警察に出て行きましたね。これはおそらくテレビを見ておられた国民の中では、相当多数の方が何か残念な気持ちを持たれたんじゃないかと思うのですが、あのときは制服を着てはいけないのですか。制服がなかったんでしょうか。
  162. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 先生も御承知のように、自衛官につきましては、自衛隊法第五十八条の規定によりまして、長官の定めるところにより、制服を常に着用しなければならないことになっております。しかしながら、この場合におきましては、ちょうど市川二曹は事故にあたりまして、かなり被服に損傷もあったようであります。そこで、そのまま病院に入りまして、その病院から警察へ出頭したわけでございます。その過程におきましては、制服を取り寄せる余裕もありませんし、したがって、とりあえず私服を借りて警察に出頭した。さらに申しますと、警察に出頭するそのことは、別に隊務の遂行ではございませんので、必ずしも制服でなければならないということもないと思いますし、したがいまして、今回の場合は別に服制違反であるというふうには考えておりません。
  163. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 それは規則にどうこうという問題では私はないと思うのです。ただ、警察へ出るようなときも、私は私と同意見の国民の方も多いと思うのですが、自衛隊員は自衛隊員らしくぴしっと制服を着て警察へ出てもらいたいという感じを私は持つものであります。この辺は長官にもよくお考えをいただきたいと思います。  その次に、四次防にも関連するのでありますが、二カ月ぐらい前に自衛隊が朝鮮海峡へ機雷を敷設する計画を持っておる、そういう記事が出ておりました。防衛白書でいっておる専守防衛国家という構想、——もちろん海峡封鎖ということも戦略的意義は十分あります。皆さんも御承知のとおり、この前のサンフランシスコの平和会議で、朝鮮海峡と津軽海峡、宗谷海峡、対馬海峡というものを、日本海沿岸の国々だけの軍艦の通行を許そうというようなソ連の提案もあったくらいでありまして、戦略的に非常に重要であると私も考えるものであります。ただ、四次防でこれらの海峡に機雷を敷設するということと、日本の専守防衛という構想とどういうふうに関連づけて考えたらいいか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
  164. 久保卓也

    ○久保説明員 専守防衛ということは、わが国土の防衛及び国土周辺防衛ということになろうと思います。したがいまして、その範囲において海峡を機雷によって封鎖することが日本の防衛上直接きわめて必要であるといったような事態が生じました場合には、やはり機雷で封鎖をするということは、専守防衛の範囲に入るのではなかろうか。わが国が遠くの国に出かけて、そこで威力を振るうというような形ではありませんので、言うならば身を縮め皮をかぶるという形の一つのあらわれではなかろうかというふうに私は考えます。
  165. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 意見はありますが、あなたの話も一つの見解だと私は思います。これは了承いたします。  その次に、これも五月ごろの話でしたか、沖繩返還に伴いまして、自衛隊を沖繩に配備する協定を防衛庁と米軍との間で結ばれたということでありますが、これはどういう根拠に基づいて結ばれたものでありますか。
  166. 久保卓也

    ○久保説明員 根拠と申しますのは、たとえば安保条約でありますとか、あるいは返還協定の第何条に基づくものであるとか、そういう意味での根拠というものはございません。自衛隊の沖繩への配備は、当然自衛隊あるいは日本政府自身がきめ得ることでありますが、しかしながら、きめるにあたって、配備をするにあたりまして、たとえば米軍に提供されている施設の中から自衛隊用の場所を提供してもらうというような形がありますとか、あるいは米軍の提供された後のこの施設について通信施設を設けてもらう。これは来年の返還以降の問題でもありますが、そういったことがあります。それから返還後六カ月間の領空侵犯措置は米側にやってもらうというようなこと。あるいは四十八年の七月一日までは防衛任務をわがほうは持てませんというようなこと、したがって米側にやってもらうということ。そういったような双方に関連のある事柄がいろいろありますが、日米の双方の便宜上、それを文書の形にして確認をしたということでございます。
  167. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 その趣旨はわかりましたが、これは閣議決定を経てやっておられるものですか、どうなんですか。
  168. 久保卓也

    ○久保説明員 内容自身は防衛庁の将来における計画自身でありますが、予算の面あるいは外交上の関係もありますので、外務大臣大蔵大臣、官房長官、防衛庁長官の四人の方々に内容については御説明を事前にやっておりまするし、同様に事前に、閣議では決定なり了解ではありませんで、長官から趣旨の報告はされたというふうに思っております。
  169. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 そうしますと、これは沖繩が返還になった後においても日本政府が拘束をされるものですか、どうですか。
  170. 久保卓也

    ○久保説明員 返還後に拘束されるといいますか、拘束ということばが問題でありますが、六カ月間はわがほうの領空侵犯の措置がやれない。そこで米側にやってもらうとか、あるいは四十八年の七月一日までは防衛任務は引き継げないというようなこと。これはわがほうとしてもその点を確認したいし、米側にその点はやってもらわなければ困るということで、行政上のお互いの確認というような程度で、拘束というとことばが強いというのが法制担当者の意見であります。
  171. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これはもし提出をしていただけるものだったら、私だけでもいいですが、いただきたいと思います。  それからもう一つ伺いたいことは、沖繩におる米軍の問題ですが、沖繩におる米軍の性格、任務等から考えまして、沖繩の米軍というものは、私は、本土と違いまして、将来とも増減をし得る可能性があるのではないかと思うのです。米軍のふえたり減ったりに応じまして自衛隊の配備というものが影響を受けることになるのでしょうか。
  172. 久保卓也

    ○久保説明員 自衛隊の任務というのは沖繩そのものの防衛ということでありまするし、米軍の任務というのは、日本を含めた極東の安全と平和に寄与するということにあろうと思います。そこで極東の情勢に応じて米軍の増減というものはあり得ようと思います。しかしながら、日本の自衛隊は沖繩の防衛だけでありますから、米軍と一応関係はないということになろうと思います。
  173. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 それはたいへんけっこうな答弁で、私も了承いたしました。  最後に、一つ長官にお聞き願いたいのですが、前の中曽根長官のときも話をしておいたのですが、きょうも午前中ここで給与改定の問題についての審議がございました。近く人事院から給与改定の勧告が出るようであります。昨年の例によりますと、給与改定が実施せられたのは十二月でありますけれども、五月にさかのぼって実施せられたわけであります。きょうは同僚議員から、四月から実施するようにという強い御要望が出ておりました。どうなるかわかりません。また、秋の沖繩返還協定を審議する国会に出したらどうかというような御意見も出ておりまして、これは秋の、十月からの臨時国会に出れば、昨年よりか早く給与改定が施行されるかもわかりません。いずれにいたしましても、私、申し上げたいことは、長官も御承知のとおりに、現在、自衛官の給与の計算におきまして、食糧費というものの相当部分を実際上差し引かれておるわけであります。昨年は十二月に施行になりまして、五月にさかのぼって給与改定が実施せられたわけであります。ところが、その間の食糧費というものはどうにもならぬわけなんですね。いまさらよけい食わすというわけにもいかないわけですね。去年聞いておりますと、その金額が七億円余りなんです。ことしはどういうことになるかわかりませんけれども、これはやはり長官とされましては、自衛隊員に対する思いやりをもって、何とかほかの公務員と同じように給与改定の実質が各隊員に報われるようにぜひ御配慮をいただきたい。  事務的にはいろいろ困難な問題もあるようでございます。私も役所におりましたから大体の事情はわかります。事務的な困難な問題はありますけれども、隊員だけが取り残されないという点について給与の面での改正措置ができればこれは一番いいのですが、私は別に給与の問題だから給与の面で措置しなければいかぬとも思いません。実質的に隊員が給与改定に取り残されなかったのだという自信が持てるような措置を、ぜひとってやっていただきたいということを長官にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  174. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 私、着任早々でありますが、隊員に対する糧食の支給、これに対しての還元と申しますか、そういうような問題で自衛隊に対してひとつ実質的なめんどうを見てやれというたびたび御熱心な御討議があったそうであります。なかなか実行上、事務的には困難な点があるのではないかというふうに聞いておりますけれども、ひとつ前向きな検討を急いでやってみたい、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  175. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 ありがとうございました。終わります。
  176. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤惣助丸君。
  177. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 防衛庁長官に伺います。  去る四日の連合審査会におきまして佐藤総理はじめ防衛庁長官、また運輸大臣から、いろいろな角度で、今回の自衛隊機の接触事故はおおむね自衛隊側にある、したがって今後は民間優先に考えていく、こういう趣旨の答弁がなされ、さらに参議院においても同趣旨の答弁が繰り返されてまいりました。私はその総理並びに大臣の姿勢については、なるほど、決意はかたいなあというふうに感ずるわけでありますが、ただ問題は、今後の訓練飛行を再開するにあたりまして、いま少し現状をよく認識した上で、この点が問題だったのだという点を明らかにし、そして今後取りきめが次々と行なわれるわけでありますけれども、そういうことに対しては前回にあったような結果のないようなものにしていただきたい、こういうふうに考えるわけであります、したがいまして、私はいまからいろいろ申し上げますけれども、どうか長官には、国民に対してもう一歩姿勢を正す、あるいはまた政治責任をここで明らかにしながら、新しい取りきめなり、また新しい訓練飛行の諸問題に対して取り組んでいただきたい、こう思います。  まず第一に伺いたい点でありますけれども、先ほど防衛局長から答弁がありましたが、きょうの閣議を経ていよいよ明日から訓練飛行を再開するということでありますが、それに先立ちまして、防衛庁長官は昨日ですか、アメリカの駐日大使マイヤー氏と懇談をした。そのときに、今回の事故を通しアメリカに協力を要請したということでありますが、具体的にはどのようなことを約束なさったのか、その点について伺いたいと思います。
  178. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 御質問にそのままお答えする前に、姿勢の問題にちょっと触れておきます。  あれだけの事故を起こしましたことは、まことに申し訳ないと思います。もちろん、遺家族関係等については、再々申し上げるような措置はとらなければなりませんが、同時に、自衛隊を統轄する私といたしまして、きょう一応安全の対策が閣議で報告されましたのを機会に、一つは人事におきまして空幕長の交代がございました。新しい空幕長が新任されまして、航空としては新しい気持ちでひとつやってもらうということになり、いま一つは、私としまして、全隊員に向かいまして、あくまでも国民とともにあり、国民に安心のいくような形での国民の自衛隊であるというふうな趣旨で所信を表明いたしました。  さて、この中で与えられたる訓練区域等に従って明日から、プロペラが中心ありますが、安全度の高い海と陸だけは訓練を再開する、航空自衛隊のほうは順次準備整い次第やらせていただく、こういう姿勢でございます。さらに昨日マイヤー大使もおいでになりまして、これは外務大臣のほうを通して正式には協力を求めるべきことでありますが、私からも、日本の自衛隊あるいは民間航空と、こういうような形で航空安全を考えるから、ぜひ米軍機におきましても御協力を願いたい、こういう要請をいたしました。技術もかなり進んでおる国でございますから、できる限りの御協力はいたしますと、そして事柄はこれは外務省の手を通しての交渉になっておるのが現在の段階でございます。
  179. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そこで伺いたい点は、この日本の混雑する航空路について、一つは運輸省と防衛庁との間に覚え書きをかわした。またその覚え書きを受けて中央協定を結んだ。さらにその中央協定から松島基地、百里基地というような各基地に対して地方協定を結んだ。さらにまた、日本とアメリカの政府の間におきまして、その覚え書きに関連いたしまして、航空交通管制という取りきめが米軍との間に行なわれた、こういう夢実があるわけであります。  最初に申し上げました覚え書きにおきましては、一つは自衛隊機が緊急発進の場合には優先権を与えると大ざっぱに述べられております。ところがこの覚え書きを受けて、特に覚え書きの第五条にありますこの自衛隊の優先権というものを、中央協定によって、これをさらに緊急時におけるスクランブル以外に訓練飛行にまで及ぼした。さらにまた、各基地についての地方協定については、いわゆる訓練空域以外のローカル飛行についても優先権を与えている。これが今回の大きな事故になった理由であります。そしてまた米軍との間においては、いま申し上げました航空交通管制について、詳しく米軍に対しても優先権を与えているのであります。  さらに問題な点は、いままで明らかになっていない点でありますが、この「運輸省の航空行政と自衛隊の業務との間の調整に関する覚書」、それに対して防衛庁から各基地、各レーダーサイトに通達を出しております。そして覚え書きの解説でさらに自衛隊優先の取りきめをここに述べてあります。たとえばこの通達の中の第二条の中には、「自衛隊の各基地における計器進入手順、最低気象条件等を告示する権限は運輸大臣にあるが、自衛隊の欲する方式を定め、告示してもらうために現法律上可能な表現をもって合意されたものである」、こういう一つの通達が各基地に出ているのであります。またこの通達の中には、通達の第六条でありますが、「領空侵犯に対する措置をとる場合の航空機に対する航空法の適用除外は現在自衛隊に規定されていない(適用除外を増すことを検討中)ので、当該航空機について飛行の禁止区域、最低安定高度、曲技飛行等の規定を免かれたい場合は一年に一回程度包括的許可を運輸大臣から得て実質的に航空法の適用除外と同様な効果を収めることとした」、こういうようなことが書かれてあります。さらに第七条には、「外国航空機の乗入れ許可(航空法第一二八条)等については運輸大臣の権限であるが、自衛隊はそれらの航空機の航空法違反を領空侵犯として所要の措置をとる責任昭和三三年空乙般命第六号)を有するので、その資料としてこれに関連する許可があった時は速かに防衛庁に通報することとした。なお防衛上の問題点がある場合にはあらかじめ防衛庁長官に協議があることになっている。ただし実際上資料として必要がない時は、相互の協議により通報を省略する」。さらにいろいろありますけれども、「あとがき」として、「この覚書に関連して空乙般命第一三号の別添文書「航空交通管制に関する取極第三附属書」が日米両国政府間に取り交されたので参照されたい」、こういうことが書いてあります。  といいますことは、一つは、自衛隊機のスクランブル以外の一切の訓練飛行をそれぞれの中央協定、地方協定において取りきめをなしておいて、さらに空乙般命第一三号の別添文書「航空交通管制に関する取極第三附属書」、すなわち米軍機の優先権をここに明確にしているわけであります。このことは、正式な文書は機密性が多いのかもしれませんけれども、外務省に要求いたしましたならば、「航空交通管制」、これだというように申しまして、外務省から取り寄せました。そしてこれには「昭和二十七年六月および三十四年六月日米合同委員会において次のように合意された」。そしてこの中で問題になります点は、一つは「第三国航空機の日本領空への飛来を許可するときは日本政府は当該航空機の経路、空港、時期を含めて在日米軍と相互に意見の一致をはかっている」、すなわちこれは全部米軍に通報することになっているわけであります。さらに昭和三十四年六月の合意として、大体五項目にわたって取りきめがしてありますが、その二番目には「防空任務に従事する軍用機に対しては交通管制上、最優先権を与えることに同意している」。すなわち、米軍機の一切の訓練飛行を含めて、日本の空を自由に飛んでよろしいという取りきめがこの第三附属書でございます。  したがって私は、今回の事故は自衛隊機によって発生した、自衛隊機の現司令官のこういうような一連の取りきめの中から今回の事件が発生した。同時に考えられますことは、米軍の訓練飛行等によっても、今後これも放置しておいたならば、やはり同じような事故が起きるかもしれないという可能性の問題であります。  したがいまして、総理はあのときに、覚え書きは破棄すると、こうはっきり申されております。さらに中央協定についても再検討する。しかしながら、覚え書きを破棄したときには、それを受けて中央協定があるのであります。さらにまた中央協定に基づく地方協定がある。さらに覚え書きについての通達がある。さらにこのような附属取りきめがある。さらに空乙般命ですか、こういうようなものの中にきわめて明確に、いわば米軍及び自衛隊の航空の優先権があるわけであります。したがいまして、私が申し上げたいことは、それを民間優先、国民優先の航空行政に変えるということを明確におっしゃっている以上は、これらの取りきめは同時に破棄すべきだ、このように考えるわけでありますが、その点についてどのように考えますか。
  180. 久保卓也

    ○久保説明員 覚え書きに関連した各種の文書というものは、もちろん一セットのものであります。そこで覚え書きにつきましては、緊急対策要綱の中で、白紙に戻して航空交通の安全の見地から再検討する、そして早急に結論を出すと申しておりますので、これらはすべて同じ運命をたどるものと思います。
  181. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 防衛庁長官いかがですか。
  182. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 すでに総理の答弁、また緊急対策要綱に基づきまして、これを一切白紙に戻して航空安全の見地からすみやかに結論を得るというのが、現在のきまりました方針でございます。  御存じのとおり、スクランブル、言いかえれば緊急発進、これは自衛隊の当然の任務ではございます。またこれに対する訓練も必要であります。それから、覚え書き、協定にありました大規模な演習という問題が一つ問題になるわけであります。いずれにいたしましても、これらを含めましてすみやかに結論を得ていくというわけでありまして、私どもは、航空安全の立場からは、あくまでも国民の生命あるいは財産というものを尊重いたさなければなりません。また民間航空も、当然公益性をもって国民の大量輸送をはからなければなりません。しかし、一面におきまして、国土の防衛というものも、これまた国民の、国会の御了承をいただいた自衛隊の任務であります。この任務もまた遂行できるような、国民の御納得いただく調整をしていかなければならぬ段階でございます。
  183. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 同じ運命をたどる、もちろん航空安全の立場から考える、しかしながら国民を守る防空という観点からも検討しなければならぬということだろうと思いますが、そこで伺いたい点は、空幕といいますか、制服の間で、一般命令として空乙般命というやつが出ているわけであります。これは空幕長あるいはまた制服の中での命令書であります。この命令書の中にこまかい取りきめがある。たとえば先ほど申し上げましたように、外国から来る航空機に対しては、たとえばその所定の航空路をはずれた場合には緊急発進をする、その取りきめは空乙般命第六条によってそれをするのだということが出ているわけであります。したがいまして、この空乙般命のいままで出た分についての資料を私は要求したいわけであります。外国から日本に来る場合、海上においてはたかだか二十マイルという幅の狭いところを通ってくるわけでありますが、それが初めて来る場合、あるいはなれない飛行士によって日本に来る場合においては、それはしばしば空路をはずれることがあるかと思います。そのたびに、来ることがわかっておっても、その洋上航空路何マイルかわかりませんけれども、そのときにスクランブルをかける。こういったことは、ほかの国であるかどうか私はわかりませんけれども、何時何分ごろ、どこからどういう飛行機が飛んでくる、こういう連絡は必ず運輸者にあるはずであります。しかしながら、その飛行機がはっきり通報によって航空自衛隊に明らかになった場合であってもスクランブルをかけるというのが現在のこの行き方であります。私はこの行き方には大きな疑問を持っているわけであります。したがいまして、先ほど防衛局長が、同じ運命をたどると言いますけれども、そうしますと、その空乙般命も含めてすべて破棄されるということに解釈してよろしゅうございますか。
  184. 久保卓也

    ○久保説明員 私のほうで了承しております、たとえば大洋航路は幅が百マイルであるし、日ソ航路が幅が五十マイルであるというふうに聞いておりますが、もしそういうことであれば大体その中に入っているので、そこからはずれることはあるまいと思いますが、いずれにせよそういった問題で民間航空のフライトプランはわれわれのほうで了承しておりまするのに、何らかの手違いでスクランブルをかけるようなことは、これは避けるべきであろうと思いますので、こういう点はもう少し事務的に運輸省のほうと詰めてみたいと思います。
  185. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 防衛局長、この覚え書きに関する通達、ごらんになったことございますか。私はこれを見ましてがく然としたわけでありますが、わかっておってもスクランブルをかける。おそらく外国から初めて日本に来る場合に、少しくらい軌道をはずれたからといってスクランブルをかけられて、そしていわばたいへんな威嚇を受けるようなかっこうになるわけであります。こういう点は、私はこの書類上で見たわけでありますが、実際にいままでやられてきたかもしれません。しかもそれは、運輸大臣に報告はされていないような、省略してもよろしいというような項目も、先ほど申し上げた中にあるわけであります。したがいまして、この点は私、問題提起すると同時に、それらも含めてぜひ廃棄して、新たな一つの飛行体制といいますか、またはスクランブルの問題について検討していただきたい。そのことを要望いたしますが、その点いかがですか。
  186. 久保卓也

    ○久保説明員 繰り返しますように、航空安全の見地からそれら関係のものすべて検討し直します。
  187. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 先ほど大臣からお話ありましたが、明日からですか、訓練飛行を再開する、そういうお話であります。その場合は千フィートという低い高度をとってプロペラ機から始めるということでありますが、そこで私が申し上げたい点は、いままでのこの訓練状況からいって非常に大きな問題があるわけであります。たとえばここに一つの、峰岡基地の防衛空域、訓練空域というのがあります。これを見てまいりますと、ほとんどが訓練空域であります。たとえば松島上空はアンバー7ですね。それ以外のところはほとんど訓練空域であります。この訓練空域にも大きな問題があります。そうしてこの訓練空域の中でどういう訓練をしたのかということを私は調査したわけであります。それによりますと、この訓練といいますものは、一つは有視界飛行訓練、編隊を組んで、その隊長が飛行プランを航空管制に届けただけで訓練をするローカル訓練ですね。これと、レーダーサイトを通してやる訓練と、二通りあることは防衛局長よく存じていると思います。ところが、この訓練状況を調べていきますと、こういうことになっております。  いままで松島航空自衛隊による訓練というのはどういうことになっているか。それは、峰岡レーダーサイトと大滝根レーダーサイト、それから佐渡のレーダーサイトと、この三つのサイトを使って飛行訓練をしているわけですね。そして一ソーティー一飛行訓練回数ということになっておりますが、この私の調査では、昭和四十六年の四月から四十六年の七月の間約四カ月間、この間に大体一飛行隊の訓練飛行時間というのは五百時間ということになっております。そしていままでその五百時間の間にどのくらいレーダーサイトとの訓練をしてきたかという実態を申し上げますと、九十二ソーティーであります。飛行訓練回数が九十二ソーティー。もっと具体的に申し上げますと、一飛行隊においては一カ月五百時間やる。それが四カ月間ですから、二千時間をいままでやってきているわけであります。ところが、そのうちの九十二ソーティーのみしかレーダーサイトとの合同演習はしなかった。すなわち、レーダーサイトを背景にすれば、異常接近であるとか、あるいはまた事故というものが絶対にない。すなわち、常に自衛隊のバッジシステムの中でその訓練飛行を追尾してくれるわけですね。そして追尾されながら訓練をする。しかしながら、この場合は九十二ソーティー、時間にして大体七十五時間くらいだそうであります。したがいまして、千九百二十五時間は全部、どんなに航空路がこんでおっても、松島分遣隊、あるいはまた第一航空団の飛行プランによって有視界飛行をやった。その結果がこの間の事故になったということになるわけであります。少なくとも千九百二十五時間は、この間のような事故になるような要素があったということになるわけであります。  したがいまして、私が申し上げたい点は、今後の飛行訓練については、千フィートの差をつけて飛べというようなことを指示したと言っておりますが、それはいままでに、運輸省との取りきめがなくとも航空自衛隊の中で自発的にやってきていることなんです。たとえば、先ほどもお見せいたしましたが、あの中にABCDという一つの訓練空域があります。その訓練空域に対して、ここの訓練空域に行く場合には何メートル、ここの訓練空域に行く場合には何メートル、そういう指示がちゃんとあります。たとえばこの地図で見ますと、佐渡島のほうのABCというこの訓練空域に行く場合には、ABCについては大体一万フィートの高さで飛んでいけ、それからDゾーンに入る場合——この間のあのエリアです。そこに行く場合には一万二千フィートで飛んでいけ、こういうふうに明確になっているわけです。したがって、今回の訓練飛行を開始したとはいっても、その高さというのはこれは書いてあると同じじゃありませんか。それではたして事故が防げるかどうかということであります。私がここで問題にしたい点は、こういうような一つの訓練飛行については、レーダーサイトによる訓練以外は国内訓練は一切行なわない、こういう行き方をすべきだと思うのです。有視界飛行は、少なくとも飛行場あるいは国内においては、その訓練飛行というものはやらない、こういう一つの原則をつくるべきだと思いますが、その点どう考えますか。
  188. 久保卓也

    ○久保説明員 他の訓練空域に行く場合に一万フィート、一万二千フィートと書いてありますのは、これは航空路なんかもありまして、その航空路の最低安全高度というのが、たとえば五千フィート、七千フィート、八千フィート、こういった比較的低いものであります。ところで、民間航空機は二万フィートなり二万数千フィートで参りますので、比較的民間機の通らない空域を、あるいは時間帯を選んで通すというのが、従来の指導方針であります。ですから、その一万フィート、一万数千フィートというのは、今度とろうとしている最低安全高度以下の飛行ということとはちょっと筋が違うわけであります。いずれにせよ、従来民間航空機が比較的通らない高度を選んで通しておったけれども、今度は民間機が全く通らない、最低安全高度が千フィート以下のところを通そうということですから、その点は違うだろうと思います。  それから航空交通の安全というものは、自衛隊機と民間機の分離、いわゆる分離交通をはかればよろしいわけで、混合交通であると地上も同じでありまして、やはり危険がある。そこで、分離交通を行なうためにはどうすればよろしいか、たとえば航空路に自衛隊機専用の回廊を設ける、あるいは航空路を通るときに地上の管制官の指示を受けて通るというようなことで分離交通が可能であります。したがいまして、陸上の空域について有視界飛行を全く禁止するということは、私は必ずしもそこまでは必要ではなかろう。しかし、それをやるためには、やはりるるおっしゃっていますような交通安全の見地から、航空局と私どもの調整が必要であろうと思います。  第二点のバッジとの連係の問題でありますが、原則としてはバッジと連係させることが好ましいし、そういう方向で進めるべく新しい方針を打ち出しました。  ところで、ここで一つ難点がありますのは、現在のバッジのキャパシティーというのは、要撃機の能力といいますか、要撃機の機数に応じたキャパシティーしか与えておりません。したがいまして、訓練機についてはバッジがそれを処理するキャパシティーがない。ところが、一般の要撃機、つまり航空総隊の飛行機が飛行する場合には、たとえば天気のいい場合にはみんなどっとといいますか、同じように飛行するということで、たいへん機数がふえてまいります。ですから難点は、バッジのキャパシティーの中でどのように訓練機に余裕を与えてやるかということでありまして、この点は、手で動かす手動の機能も加えてまいりますと相当程度向上するのではないか。また場合によっては、総隊のほうの訓練をある程度縮小しても、訓練機のバッジとの連係、コンタクトを進めるべきじゃないか、そういうような方向で、趣旨としてはいま伊藤先生が言われたような方向で具体的な数字を詰めておる最中であります。
  189. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤君に申し上げます。伊藤君の質問がさらに継続されるなれば、桑名氏は次の機会にでも御質問願う、こういうようにお願いしたいと思います。
  190. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは……。
  191. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際西村防衛庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。西村防衛庁長官
  192. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 それでは私から武山事件につきまして再調査の結果を御報告いたします。  七月二十三日当委員会におきまして御指摘ありました武山第一教育団における隊員間の傷害致死事件につきまして、七月二十七日江藤人事教育局長及び渡辺教育課長を現地に派遣して調査いたさせました結果を御報告いたします。  第一に事実関係でありますが、すでに本件は訴訟手続中のことでもございますので、その内容については報告を省略させていただきます。  第二に、逮捕手続の遅延につきましては、本件は重要犯罪であり、一般的には強制逮捕すべき事案でありますが、営内居住隊員であるため、証拠隠滅、逃亡、自殺のおそれがなく、身柄の管理が容易であり、加えて加害者が少年であることから、身柄拘束については慎重に配慮する必要もあり、即時逮捕は避け任意捜査を進めたものであります。しかしながら、逮捕が遅延した点は否定し得ません。疑念を持たれるに至ったことについては遺憾に存じます。  第三番目に、被害者に対する臨床尋問について御指摘がございましたが、警務隊としては、被害者の病状について慎重に配慮し、二十六日に病状が小康状態となり、医師から短時間であれば可との判断があったので、おかあさん立ち合いの上、三分間で問題を二問にしぼり、暴行事実の有無、加害者がS二士であることに間違いないかについて事情を聴取したものであります。  四番目に、病院選択の問題につきましては、もよりの病院として市民病院と加藤医院がございますが、市民病院は、夜間医師不在あるいは満床を理由に従前断わられた事例もあり、当時改築工事中の事情もありましたので、被害者が緊急を要し、かつ加藤医院は県指定の救急病院であることから、その医院に入院をいたしたものでございます。  第五に、国家賠償法の適用の問題は、事実関係をさらに詳細に調査し、関係機関の意見を聴取し、誠意をもって検討することといたしたいと存じます。  報告を申し上げます。
  193. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 桑名君。
  194. 桑名義治

    桑名委員 いま大臣のほうから、武山第一教育団における隊員の傷害致死事件についての見解が述べられたわけでございます。そこで加害者に対する事実関係につきましては、現在公判中でもございますので、これ以上の問題については、私はもう触れたくはないと思いますが、逮捕手続の問題につきまして、社会通念上、この種の事件を起こした場合には即刻強制逮捕に踏み切るというのがこれは当然だ、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、いまの大臣の御説明の中で、法律的には問題はなかった、しかしながら、社会通念上、少年犯についてではあっても即刻にこの種の問題については逮捕すべきであった、こういうことで遺憾の意を表されたわけでございますが、今後このような事件があってはならないとは思いますけれども、しかしながら、不測の事態というものは考えられないところに起こるわけでございますので、今後この問題について厳重な態度で臨んでいただきたい、このことを申し添えておきたいと思うわけでございますが、さらにこの点について大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  195. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 こういう事件を二度と繰り返さない、こういう意味でも単に航空事故だけでございません。今後気をつけてまいるつもりでございます。今回の武山の事件につきましても、取り扱い上必ずしも万全でなかったという点については十分おわびする、反省すると同時に、今後もこういうことについては厳正にやってまいりたい、こういう考えでございます。
  196. 桑名義治

    桑名委員 次に、被害者に対する臨床尋問の問題でございますが、これは医者の許可を受けて、そして非常に短時間に二点のみを尋問した、こういうお話でございます。そこで、この問題につきましては、いわゆる人道上の問題と、もう一つはこれがどれだけのいわゆる証拠力を持っておるかという、この二点について質問をしたわけでございますが、あとの問題についての言及はございませんので、この問題について一応の見解をお伺いしておきたいと思うのです。
  197. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 その時点におきましては、医師が、一応病状が小康状態である、したがって短時間であれば尋問も差しつかえないであろうというようなことでございましたので、警務隊としては、当然行なわなければならない手続もあり、事情をよく判断しながら行なったわけでございます。しかしながら、その時点におきまして被害者がどういう心理状態にあったかということにつきましては、私その時点にいませんでしたので、これをはっきりいたしませんが、したがいまして、その証拠能力につきましては、これは公判廷で裁判官が判断することになろうかと思います。
  198. 桑名義治

    桑名委員 次に病院の選択でございますが、市民病院は一部改造中であった、そして県の指定病院である加藤病院を選定しておる、こういうお話でございました。しかしながら、加藤病院は病院というのじゃなく、医院ということで、またベッドもないというような実情の病院でございました。実際に自衛隊といたしましては、緊急の場合にはヘリコプターでも使えるわけでございますので、完全ないわゆる総合的な病院を選択し、そこで切開手術をすべきではなかったか、この点について私はまだ一部の疑惑を抱くわけでございますが、この点についての見解を明快にお願いしたいと思います。
  199. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 今回の措置につきましては、若干、部隊のほうで従来の惰性に流れて措置をしたような感じもいたします。このような重大な傷害事件につきましては、今後十分配意して行なうべきものであろうと思います。もちろん、自衛隊にあります緊急輸送用のヘリコプター等も十分活用いたしまして、今後できるだけの措置をいたすべきものと戒心いたしております。
  200. 桑名義治

    桑名委員 次に、隊側が遺族に対してとった措置でございますが、こういった事件を起こしながら、被害者の両親のほうに嘆願書を持ち出す。嘆願書というものは、当然加害者に対して非常に有利な表現を用いなければならないわけでございますが、そういった悲嘆にくれておるときに嘆願書を持ち出す。あるいは事実関係に疑問を抱いておる父母が、その事実をもう一度明快に説明をしてほしいという要求をしたときに、五月九日に参るという手紙が来たにもかかわらず、忙しいのでそれが来れなくなったので、隊のほうに来れば警務隊のほうで明快な説明をする。こういうふうなことも一部投げやり的な感じがするわけでございますが、そういった態度が遺族の心証を非常に害した、こういうふうに私は考えるのでございますが、この点について、隊側が遺族に対してとった措置がはたして万全であったかどうか、再度御意見を伺っておきたいと思います。
  201. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 今回、部隊の幹部がきわめて温情的な態度で加害者に対して嘆願書を出したということは、部隊の幹部の心情からすればそれもいいと思いますが、この際嘆願書を出したことがはたして適当であったかどうかということにつきましては、これは反省する必要があると思います。  さらに、この嘆願書を公開したということにつきましては、著しく被害者の名誉を傷つけたということも言えると思います。さらに、部隊が多忙のために十分な事情の説明を欠いておったということについては、確かに、第一教育団は毎月入隊の制度をとっておりまして、毎月毎月新しい隊員が入り、毎月終了者が出ていくという非常に多忙なところでございますので、実情は、幹部といたしましては、連絡の日時になかなか思うように参れなかったという点はございますけれども、なおやはり今後もう少し誠意を持って遺族との連絡に当たる必要があると思っております。
  202. 桑名義治

    桑名委員 これらの問題は、ただ単に事務的な問題ではなくて、そこに横たわっておるいわゆる人間性の問題、人間尊重の問題、その意識がどういう形であらわれるかというところに問題がある、私はこういうふうに考えるわけでありますが、さらに国家賠償法の適用の問題でございますが、先ほど法務省と検討中というお話でございましたが、この問題については、こういった隊員に対するいわゆる保護、あるいは人命尊重、そういう立場からも十二分な配慮を今後ともしていただきたい、このように要望しておきたいと思います。いずれにしましても、この種の問題が今後二度と起こらないように、ひとつ十二分な配慮をとりながら、そうして信賞必罰というその線が明確になって、さらに隊内が一そう明朗の度を増し、そしてまじめな隊員がまじめに隊務に服することができるように十二分な配慮をしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  203. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤惣助丸君。
  204. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 先ほどまで、訓練飛行機の問題点について私いろいろ提案しているわけでありますが、民間航空路の下を千フィートで飛ぶというようなことは、レーダーサイトの技術専門家の間ではいままでもいわれておった問題でありまして、それを今度は世間に公表したというふうにしかすぎない問題であります。そこで、いままでの訓練空域の設定については、平面的なものしかないわけであります。レーダーサイトにおります技術者間の意見は賞に尊重して、そのような方々も含めてこういう問題については検討すべきだと私は思います。そして、訓練空域の設定とか、または今後の民間航空路との問題については、平面的ではなくて立体的に明確にする必要が断ると考えるわけでありますが、その点についてどうお考えでありますか。
  205. 久保卓也

    ○久保説明員 その点はおっしゃるとおりでありまして、空の使用方法そのものも立体的に使用する必要がある。それから、飛行機を管制する、コントロールするやり方もやはり立体的にする必要がある。問題は、運輸省のほうにいたしましても、私どものほうにいたしましても、施設、キャパシティーの問題と人員の問題であります。そこで私どものほうでは、航空総隊と一緒の問題ではありますが、その両方を含めてそれを総合的に解決する。先ほども長官が申されましたように、もし必要であるならば、四次防の中にそういったものを取り入れるということも積極的に考えていくべきであろう、かように思います。
  206. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 運輸省の方、来ていらっしゃいますか。——運輸省に伺いたいのですが、現在の日本の空の航空路の幅は十マイルですね。非常に狭いわけですよ。やはり民間航空路を考えた場合に、また最近のジェット機の多い時代を考えますと、これを少なくとも二十マイルぐらいにすべきじゃないか、こういう意見がありますが、その点についてどう考えられますか。
  207. 金井洋

    ○金井説明員 御指摘の十マイルですけれども、二万四千フィート、七千三百メートル以下につきましては十海里、幅十八キロですけれども、二万四千フィート、七千三百メートル以上につきましては三十二キロ以上の幅でございます。ただこれは、もちろん保安施設の精度、あるいは設置されておる間隔、そういうものによっても違いますけれども、そういう航空路の幅とか訓練空域等を含めまして現在関係省庁と協議中でありますので、これは変える必要のあるところは変えるということで前向きに検討いたしたいと思っております。
  208. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そこで伺いたいのですが、航空路の幅を広げるということは原則だと思います。そこで航空法第百三十七条ですか、これには、御存じのとおり、一切の統制を防衛庁に委任しているというところがあります。これは、すべて飛行する場合には、運輸省の許可あるいは承認、これを受けなければならないのに、防衛庁は受ける必要はないということが百三十七条に取りきめてあります。私はこういう問題について、いままでの論議を通じて必ずしも明確に百三十七条を改正すると——ただ抜本改正をするという話は聞いておりますが、じゃあどこをどうするのか。一番問題になっている点は百三十七条であります。この点については一日も早く改正すべきじゃないかと思うのです。しかもこの問題については、決して予算が伴うとは考えられない面もあります。ですから次の沖繩国会には、法律の中で一番基礎になります、こういう自衛隊に一切の権限を与えた、あるいはまた優先権を認めたようなものは、前向きで改正するように提出すべきだと思いますが、その点いかがですか。
  209. 金井洋

    ○金井説明員 御指摘の航空法百三十七条の件でございますけれども、これは運輸大臣防衛庁長官に管制権の委任をしております。ただし運輸大臣は統制するということになっております。これは、管制方式だとか、自衛隊の管制官の訓練あるいは試験、そういうものを運輸省のものと同じにするとか、あるいは随時、適時に監査をして、そして所定の方法でやっておるかどうかということを統制しております。したがいまして、共用飛行場につきましても、それを全部委任を廃止するかどうか、廃止する必要があるかどうかということはもちろん今後検討する必要がありますし、それから共用飛行場につきましても、民間と自衛隊が使っておるわけでございますけれども、そういうあり方をどうするか、そういうことについてももちろん検討しなければなりませんけれども、いますぐそういう一切の委任をやめるべきであるということは、必ずしもいますぐは言えないのじゃないかと思います。もちろん、そういう百三十七条の、この全部を含めまして航空法の抜本的改正を検討するわけでございますけれども、次の沖繩国会までには、とても残念ながら人員的にも——それから、どうせやる以上はもっと抜本的にやらなければいけませんので、これは何か委員会的なものをつくってやろうというふうに考えておりますので、次の沖繩国会あるいは通常国会には非常にむずかしゅうございます。ただし、もしこれができない場合でありましても、通常国会において、航空法の改正がどのような方向で進められておるかということの報告は必ずいたしたいと思います。
  210. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これはきわめて大事なことなんですがね。ただ、自衛隊のほうにいたしましても、訓練飛行をやる関係から、やはり大もとの原則論、法律というものが明確でなければ、今後安全な訓練飛行はできないわけであります。したがいまして、人間が足りなかったら、ふやせばその問題は解決しますし、さらにこの問題は急を要する。しかも総理は、大改革を前向きでやる、こういうことも発言されているわけでありますから、これは法体系の整備の上で一ぺんにやるということではなしに、こういうわかっている問題については前向きに早く手をつけるべきだ、私はそのことを申し上げたいわけであります。  といいますのは、御存じのように、航空管制については中央協定がある。この中央協定も再検討する。覚え書きを破棄すれば、中央協定は覚え書きに基づいてるるわけですから、これも同時に破棄の方向で検討されているわけであります。それが航空法との関連において、その問題がおくれることになりますと、ますます暫定的な、いいかげんな訓練空域やまたいろいろな問題でやりにくくなる。事実関係が先行してしまって法律があとになる、こういうことではなしに、やはり上のほうから早くきめて、早くつくって、そうして予算を伴う分についてはあとにするにしても、抜本改正の中での一番大事な法律については前向きで検討する、こういう必要があると私は思います。もうあまり時間がありませんから、その点ひとつ答弁を願いたい。  それからもう一つは、バッジの問題でありますが、現在二百六十億円を使って、防衛庁は全国にADDCを四カ所、それからSSをほかに二十数カ所持っているわけでありますが、この航空管制についてはいまアメリカでも検討されております。そして近い将来においては、民間と軍の間で、同じ管制の中で航空管制をやるということが検討されているというふうに私は専門家に聞きました。したがいまして当然私は、このバッジシステムをうまく運用して、現在の自衛隊と民間の航空管制を一元化すべきだと思います。その点について伺いたいと思います。
  211. 金井洋

    ○金井説明員 最初の御質問ですけれども、航空法の改正がもとであるということでございますが、確かにそのとおりでございまして、航空法の改正とか協定、あるいはそういうことすべての協定に基づく覚え書きあるいは協定、そういう一連のことを含めまして前向きで検討いたします。
  212. 久保卓也

    ○久保説明員 バッジの機能というものは、おっしゃるように、自衛隊機も民間機も総合的にコントロールできる機能を本来持っております。そこで、アメリカだけでなくて外国でも、そういう方向に進む計画があるやに以前聞いたことがあります。ところで現在は、もちろん自衛隊機、しかも総隊に属する飛行機だけでありますが、運輸省のほうで考えておられる長距離レーダーによるコントロール、これは現在の二カ所を八カ所にするというお話でありますが、これができました場合には、やはり同様の一種のバッジの組織になろうかと思うのです。その場合に両方の組織の二本立てがよろしいのか、あるいはこの前からも、今度の国会で問題になりました管制の一元化ということの中でどういうふうに処理していくか。これは技術的な分野も相当ありまするし、組織の問題もありましょうから、今後の大きな課題であろう。いずれにせよ、運輸省がやるにせよ、防衛庁がやるにいたしましても、日本の上空を飛んでおる飛行機につきましては、すべて下からコントロールできるという体制にいずれなろうかと思っております。
  213. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 現在、事故防止には、自衛隊機にはSIFという一つのシグナルがついております。一部の民間機にはついておりますけれども、ついてない飛行機が多いのであります。そこで私が申し上げたい点は、現在の自衛隊のT1、T33、これなんかにもついてないわけですね。またプロペラ機にももちろんついてないわけでありますが、そういうものにもすべてこのSIFのシグナルをつける必要があると思いますが、その点はいかがですか。
  214. 久保卓也

    ○久保説明員 主要な飛行機には現在ついておりますが、下からコントロールし得る航空機について、ついてないものがあれば、これは明年度あるいは翌年度、いずれかのうちで取り上げてみたいと思います。
  215. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今回の飛行訓練は、次の四次防におけるファントムの乗員の養成、あるいはまた沖繩返還に伴う飛行隊の派遣等に数多くのパイロットが必要なために、あるいはまた民間パイロットにいろいろな面から送るために、相当訓練飛行がきびしく、また長時間にわたって行なわれてきたことも事故の大きな原因でもあるわけであります。  そこで伺いたいわけでありますが、現在の訓練飛行を再開するにしても、プロペラ機というところから始める。そしてその次に、T1とかT33とか、あるいはまたF86F、さらにまたF104J、こういうふうにいくだろうと思いますが、そういう計画が、法律の体系がおくれますとたいへんおくれる。そこで私が申し上げたい点は、やはり四次防の一つの計画であります。これも四次防の計画によって、ファントムが入ってきた。しかしながら、パイロットの養成が間に合わないということで、飛行機はあるけれどもパイロットがいないという現象が、このままいけば起きることは必然であります。そこで申し上げたい点は、私は四次防などという三次防の二・四倍近い膨大な費用が現在考えられておりますけれども、それは行なうべきではないという立場からいつもものを言ってきました。したがって今回の事件を通し、または今後の四次防計画についても、これはできる範囲で大幅に手直しする必要がある、また手直ししたほうが現状に沿う、こう思うわけでありますが、その点いかがですか。
  216. 久保卓也

    ○久保説明員 これは初めに長官からもお話があったと思いますけれども、保安施設の関係で増強する必要があるかどうか、それから訓練が相当制約されるということによって訓練時間が延びるのか、あるいは飛行機の機数に影響があるのか、そういったことについては早急に結論を出したいと思っております。四次防はおそらく年末にはつくられると思いますけれども、いまの計画では、それに間に合うように検討してまいりたいというつもりでおります。
  217. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これはレーダーサイトの司令官や技術者等に聞いてまいったわけでありますが、現在のまま、先ほどの航空法の抜本改正などを含めて今後検討されていく中にあって、必ずしも訓練飛行は十分にいかない。たとえば洋上訓練をするにしても相当の体制が必要である。たとえば無線機をつけたヘリコプターをつくるとか、あるいは長距離用の救難機、こういったものを先にやらなければ洋上での訓練は十二分にできない、こういう一つの話もございます。そこで当然考えることは、いま申し上げましたように、大幅にパイロット養成がおくれるということであります。私はおくれることが政府責任だとは考えません。むしろあわてずにゆっくりやるべきだ。そして実情に沿った、四次防を大幅に手直しすることがやはり一番いいのじゃないか、こう私は考えるわけです。久保防衛局長はそれに間に合うようにとおっしゃいましたけれども、間に合うようにするためには、やはり一飛行隊が一カ月五百時間ぐらいずつとって、しかも何操程もの訓練飛行をやらなければパイロットが一人前にならないわけでありますから、それは理論上無理になってくるわけであります。そういう点について防衛庁長官から、これは大きな政治判断になりますから、最後に伺って質問を終わりたいと思います。
  218. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 四次防の問題について、そういう御議論も一つの御議論でございます。したがいまして、私は着任以来申し上げているのは、基本的な構想はくずさぬけれども、しかし今回の大きな事故に顧みて、それは十分反映しなければならない、こういうような考えでやってまいりたいと思っております。
  219. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 四次防についてそのことを反映させるということは、大幅な手直しも考えているということでございますか。
  220. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 まあ先ほど加藤委員からも、教育とか人的要素とか、そういう面もそれは考えていくということも必要な段階にも入るだろうと思います。
  221. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 終わります。
  222. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 和田耕作君。
  223. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 長官にお伺いいたします。  今度の事故で、この前の連合審査でいろいろとお伺いをしたのですけれども、全日空機は正常な時間で正常な高度を正常な航空路を飛んでおったということは明らかになったように思うのです。そうなりますと、私はあのとき無謀ということばを使ったのですけれども、やはり航空自衛隊のほうの無謀な演習訓練によって起こされた事故であるというこの事実については、長官お認めになるのでしょうか。
  224. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 今回の自衛隊機の行動がはたしてどういう形で、たとえば航空法あるいはそれに基づくところの自衛隊の内部の諸規則、あるいはそれ以外の当然注意すべきような常識に触れているかどうか、この判定は、何と申しましても捜査当局と事故調査団の結論を待ってみたい。いずれにせよ、大きな部分は自衛隊の行動によって起こされたという点は認めざるを得ないと思います。
  225. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は、日本が自衛隊を持つということは必要であるし、持つ限りはりっぱな自衛隊を持たなければならない、この意見を持っておりますけれども、今回の事故によって、自衛隊、特に航空自衛隊のほうの士気に関してどのような影響があると長官はごらんになっておられるか。
  226. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 私はけさも全自衛隊員に向かいまして——この全隊員と申しますのは、単に自衛隊におります者ではなくて、全国に散在しておる自衛隊員にマイクを通して呼びかけました。これは単に航空だけではなくて、海上におきましても鑑艇を持っております。陸上においても各種の火器を持ち、車両を持っております。こういうような意味で、やはり国民のすべての安全を守るための自衛隊が安全を汚すようなことがあっては基盤をこわす。そういう意味で、規律の維持あるいは安全の点検等は細心にやれ、こういう趣旨であります。しかし、一方におきまして自衛隊は組織でございまして、また比較的青年の隊員が多くおるものでございます。したがいまして、そういう意味では士気というものは当然考えなければなりません。  ただ私は、その際にも申したのでありますが、国民と遊離したような形での勇ましさ、それだけでは自衛隊はほんとうの勇気——勇気というものは真の勇気でなければいかぬという意味から、国民のそういう立場を考えて、国民のために、あるいは国民とともにある自衛隊だという中からわき出るような意味での士気向上をお互いにやってまいりたい。根のある士気向上でございますね、そういうような形でいけばよい。特に航空自衛隊におきましては、当面の責任者でありますから、いろいろな意味でのショックは受けております。しかし、特に現象としてあらわれるのは、事故の問題もありますが、同時に訓練空域の窮屈さというものがあります。この訓練空域については緊急対策でありますから、時と場合によると、今後落ちついた考え方のもとにさらに再調整はしなければならぬと私は思います。その場合でも、国民の安全ということを第一に考えて再調整するわけでありますが、いずれにせよ、従来自由に使えておった空から見れば、ある程度の制約は免れない。それは覚悟しなさい。この中でお互いにほんとうに血と汗とくふうを重ねることによって練度を増すことも、また将来自衛隊が国民の期待に沿うゆえんなのだ、こういうふうな気持ちで、士気の高揚と申しますか、規律維持、任務の遂行を指導してまいりたいと思っております。
  227. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私はこの数年間、自衛隊の北海道その他の基地を見学した。また、いろいろな議論を通じまして、日本の自衛隊というものは、アメリカとの安全保障条約の関係上、一応のかっこうのとれるものを持っておればいいのだというような考え方があったと思うのです。したがって、私がいままで見た限りでは、何かおざなりのものである。サラリーマン化しておる。いろいろ給与その他の要求はあるけれども、実際に戦う自衛隊としてのそういうふうな空気が感ぜられない。率直に言って私はそういう感じを持ったのです。ところが、今度こういうふうな事故が起こりまして、航空自衛隊の一部の人たちが相当きわどい演習をしておるという問題が出てきた。特に外国方面からは、日本の軍国主義化とかいろいろな要素が指摘されておる。つまりこれを一言で申しますと、日本の自衛隊には相反する二つの要素を持っておる可能性がある。一つは、サラリーマン化して、安保条約のていさい上、これくらいの数は必要だというようなことを政府関係の大部分の人は考えておられる。その中で、いまのような軍国主義化といわれるような芽もなきにしもあらずという二つの面が自衛隊の中にあるような感じがする。前者は圧倒的であり、後者は部分的でありますけれども、今後どういうふうに発展していくかわからないような要素もあるというふうな判断を私は持っておるのですけれども、長官はどういうふうにごらんになっておりますか。
  228. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 なかなかこの二つの問題というのはむずかしい問題でございます。率直に申しますと、世の中はきわめて平和であります。そして経済成長も高い。自衛隊員も人間であります。家庭へ帰れば、やはりそのムードの中へ浸りたい気持ちもありましょう。しかし、一方において隊として法律により任務を与えられて、しかもその隊の任務というのは、時と場合によれば、緊急事態にはすべてを忘れて遂行していかなければならないというシビアな任務を課されておる。特に航空機のような場合には、非常に速度の速い近代的な武器を使っているわけであります。したがって、訓練は厳密に、科学的にやらなければならない。その一種の二律背反的なものを調節して、国会の御意思を受けてコントロールしてまいるのが私の責任だと思います。したがって具体的には、非常に前線の直接隊員に接する若い指導官と申しますか、指揮官と申しますか、そういうところまで私ども気持ちを徹しながら、一面において厳格に、一面において愛情を持って、両面から若い青年隊員を間違いないように指導してまいりたい、こう考えております。
  229. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはまあ仮定の問題ですけれども、当然日本の空の安全、国民の安全という面から民間優先という考え方は貫いてもらわなければならないけれども、民間優先優先ということであまり締めつけておると、自衛隊の一部からは、それに対して反発のような感じが出てくるというような観測もあるのですけれども、この要素を長官はどの程度に評価しておりますか。
  230. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 先般来、国民の御憤激はわかります。自衛隊なんか要らないじゃないか、また憲法上は、ことばがはたして正しいかどうかわかりませんが、軍事優先ということばでたいへんなおしかりを受けました。まさにその瞬間においては、そういうお気持ちはわれわれ十分あり得ると思います。しかしわれわれは、あくまでも法律に基づいた隊務の遂行であります。また一方において、増大された近代的な交通を求める国民の経済生活も当然であります。これは両立をさしていかなければならない。したがって私らとしては、この両立の中から調整をする、これがわれわれのシビルコントロールの大きな使命ではないかと思うのであります。ただ、民間事業が優先をするというようなふうに間違えられたら、これはたいへんなことでございまして、運輸大臣にもお願いをいたしております。ただ、民間の需要があるから、飛行場の滑走路ができたらすぐジェット機を飛ばしてルートをふやせばいいんだというような、形だけのもし民間優先であれば、これはたいへんなことになる。やはりわれわれにはわれわれの隊務の遂行をさせていただく。と同時に、民間事業が近代的なものを入れていくという調節を十分はかっていくことが政府全体の責任ではないか、こう思います。
  231. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 自衛隊の一部で無謀な一つの反抗のような気持ち、あるいはそういう動きは今後心配ない、絶無であるというふうに長官は御判断になりますか。
  232. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 たくさんな自衛隊員の中でございますから、個人の思想としてはいろいろな——率直に申しますと、これでは訓練ができないとか、あるいはいまの世の中の動きを嘆くような面を持つ人も、それはたくさんの隊員の中には個人としてはあり得るかと思います。しかし私は、少なくとも全自衛隊、あげて隊としては、あくまでもこの段階をよく反省し、何と申しましても国民の生命、財産を守るというのがわれわれの任務であります。それをこわすようなことはいけない。ただし、自衛隊のものはあとからついていく、そしてすべて民間が先へ行くのだという、あとからしょぼしょぼつくというような形のものではないんだ。あくまでも国土防衛の任務と、また民間を中心にした諸活動、国民生活の諸活動というものとは相並列していくのだ。一たび非常な事態があった場合には、われわれ中核体としてその場合には一身をささげるだけのやはり基本的なものは持っていなければならぬ。私はきょうの訓辞も、ただ勇気ではない、ほんとうに真の勇気というものをよく見詰めてくれ、こういうふうに自衛隊に呼びかけたわけであります。
  233. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょうのある新聞にも載っておるのですけれども、この前の各省の一局削減のときに、防衛庁はさっそく教育局を廃止した、こういうふうな考え方だからいけないのだ、こういう記事が一つあったのですけれども、私これは一つのポイントだと思うのです。現在日本の自衛隊の問題は、いま長官もおっしゃられたように、一つの違った要素が入ってくる可能性を持っている。一つはおざなりのものであり、一つは軍国主義的なものであるという一つの可能性は持っていると思うのですけれども、この問題について、りっぱな平和日本、世界の中の平和な日本の専守防衛の自衛隊をつくるということになれば、教育の問題、そういう意味でのつまり新憲法というものをしっかり踏まえた、憲法の精神にのっとった教育というものを組織的にやらなければこの達成ははかられない、そういうふうに、私はこの前、中曽根さんのときにもそのことを申し上げたのですけれども、憲法の精神に基づく専守防衛のこの自衛力というものを、実際の実のある教育をどういう方法でやっておるのかということを中曽根長官に質問したことがあるのですけれども、それはごもっともなことであるし今後検討するというような趣旨の答弁があったと思いますけれども、この問題については、長官、今後の問題でこの事件を契機にして特にお考えをしていただかなければならぬと思います。  特に最近、ソ連のイズベスチヤと思うのですけれども、日本の自衛隊の中には下士官以上の人たちが半分くらいはおる。つまりこれは有事のときに、この下士官以上の指揮官を養成しておけば、いつでも大規模な軍隊をつくり上げることができるのだという趣旨の記事があった。私はこの問題については、私がいままで判断したところでは、人を採用しようと思っても集まらない、入った人がたまっていく、これが年数を食ってきて下士官になってきた、こういうふうな意味の、軍国主義とは反対の意味、つまりサラリーマン化した軍隊という形が、下士官以上のものが半分近くおるということの理由だというふうに思った。その二つの面があると思うわけです。こういうふうなことがあるだけに、今後長官の一番大きな責任一つは、この矛盾に満ちた自衛隊、しかもいろいろな制約のもとにある自衛隊というものをりっぱな自衛隊に育てていくというこの任務は、非常にむずかしい問題だというふうに思うのですけれども、教育の問題について何か長官としての抱負はありますか。
  234. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 まあ、人は堀、人は城、人は垣という武田信玄のことばがあります。いかに近代装備をしましても、人というものがやはり自衛隊についても基本になる。しかも自衛隊というものは集団組織であります。したがって、集団社会の中においてのお互いの規律と情愛がなければ意味がない、こういうような観点から、私はやはり、人事の配置とか、またはそのもとになる教育、これに対してはできるだけ努力してまいりたいと思うのであります。  特に私としては、自衛隊というものは、武力実動しないことを最大念願とするわけであります。国の安全は、外交、経済、民生の安定等々の諸条件の中で中核体としてやってまいるという気持ちでございますから、われわれは訓練は一生懸命やります。ちょうど、悪い例であるかもしれませんが、刀であれば手入れをしてさびの出ないようにして、そうしてさやにおさまってきちっといるべき場所にある。これが間違えば、たとえ訓練しても、村正という悪い刀になってはいけない。そういうような気持ちの中で、従来与えられてきましたいろいろな教育を専門にやっておられますから、防大はじめそういうところで、よく時代に合った教育の方法を絶えず検討し、くふうしていかなければならぬ。基本は変わらなくても、やはりそこに時代に合った要素を入れながらいきませんと、集まってくる隊員は時代の子であります、時代の人たちでありますから、それに合ったように誘導しないと、ただ上から押えつけただけでも、これは教育効果はない。ここいらのところを十分考えつつ、りっぱな、少しでも国民の御期待に沿うような自衛隊に育成してまいりたい、こういう考えであります。
  235. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 かっこうだけの軍隊、自衛隊であれば、これは必要ではない、あるいはまた軍国主義の芽を持った自衛隊であれば、これも必要でないというような空気が、国民の中に、今度の事故を契機にしてかなり広がりつつあるという感じが私はするのです。いままで自衛隊を非常に高く評価しておった人でも、そういうふうな感じを持っておる人もふえつつあるのではないかという感じがするのです。そういう時期でありますので、ぜひともいまの教育の問題を通じて、平和憲法のもとでの、世界の中での日本、平和なしには生きられない日本の中の自衛隊をつくり上げるための確固とした教育方針をつくるだけでなくて、これを徹底するような方法を講じてもらいたい、これが一点です。  そこで、航空自衛隊の訓練の問題に移っていきたいと思うのですけれども、あの事故の直後、この前連合審査でも総理にお伺いしたのですが、当分の間訓練を中止するというりっぱな御決定をなされた。これは、当分の間というのはわからないということですけれども、現在の段階でいつごろ訓練を再開するかということの見通しについてお伺いしたい。
  236. 久保卓也

    ○久保説明員 あくまでも閣議できまりました航空交通安全緊急対策要綱にのっとって訓練を再開するということであります。したがいまして、この中の航空路の最低安全高度から千フィート以下の空域を使っての訓練、それから海洋を主としての訓練という二つの柱を立てますと、まず低高度の場合には、陸の部隊、海の部隊は大体低高度を使っておりますので、これはきょうの閣議でこの対策要綱がきまりましたので、明日から再開をいたしたい。それから航空自衛隊につきましては、空域を設定しました場合には公示するということを対策要綱の中に入れております。それから運輸省との調整も必要でありますので、今週の早い機会に運輸省との調整及び公示を終えまして、できれば来週早々に航空自衛隊については再開をいたしたい、かように考えております。
  237. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その二つの訓練のしかたについて、ウェートはどちらにかかりますか。
  238. 久保卓也

    ○久保説明員 ウエートというのはなかなかむずかしいのでありまして、ただ航空交通の安全という見地から申しますと、あとのほうがウエートが高い、こういうことは申せましょう。
  239. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この事故が起こってから、総理あるいは西村防衛庁長官の御発言、御答弁を聞いておりますと、洋上訓練に主力を注いでいくというような印象を受けるのですけれども、そう受けとってよろしゅうございますか。
  240. 久保卓也

    ○久保説明員 訓練の早期再開という観点からいたしますと、陸上については、御承知のように網の目のように航空路が走っております。したがって、これを調整するには相当時間がかかります。またこの対策要綱の中で、回廊をつくるとか、あるいは運輸省側の管制官の許可を得て航空路を横切るとかいうような方向が示されているわけですけれども、これをやるには若干時間がかかる。したがいまして、航空路の調整が比較的容易である、あるいは航空路を横切らなくて済むというような海域を求め、その海域での訓練ならば、これは対策要綱にのっとってやれるという意味で、第一段階、つまり来週早々にやるというのは、全部ではありませんが、大部分が海上であります。そして運輸省との最終的といいますか、航空路の総合的な調整、回廊の設定、そういうふうなことが行なわれれば、これは陸上にもある程度設定ができるということであります。
  241. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 現在の航空自衛隊の基地、たとえば浜松あるいは松島、百里という地理的な配分から考えますと、海上訓練ということになれば、長官は、この前日本海を考えているというお話だったんですけれども、日本海ではとても飛んでいけない。太平洋ということになる。太平洋ということになりましても、御案内のとおり国際路線が非常にふくそうしておるという状況のもとでは、なかなか洋上訓練というのは困難じゃないかと私は思うのですけれども、その問題についてはどうなんですか。
  242. 久保卓也

    ○久保説明員 おっしゃるとおりであります。きわめて困難でありますが、その中で日本海のほうは、ソ連航空路を除きますと比較的すいておりますので、これはできるだけフルに活用してまいりたい。しかしながら、そうは申しましても、太平洋岸の飛行場から参るのには相当時間がかかりまして、面積はありましても、効率と申しますか、活用度がそれほど大きく期待できないかもしれません。そこで、太平洋岸のほうにつきましては、おっしゃるように国際航空路があるわけでありますが、二万四千フィート以上でジェット機が飛んでいるとしました場合に、たとえば二万三千フィート以下あるいは一万九千フィート以下というふうに高度を限定しまして、その範囲内で訓練を行なうというようなことをあわせて考えておりますので、相当の制約はありますが、とにかくやれるところは、さしあたってはそこしかないということで踏み切った。そこで、面積の面から見ますと、訓練の停止の前に比べれば、面積の面では七割程度の面積を得ることができますけれども、いま言いました高度の面でありますとか、それから遠くへ出かけなければいけないというような点を加味しますと、第一段階の再開によって得られる訓練の度合いというものは従前のほぼ半分くらいというふうになります。そのように、たいへん制約されるということになっております。
  243. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 F86Fにしても、T33にしても、あるいはF104にしても、航続時間は非常に少ないという問題があるので、海上訓練ということは望ましいけれども、非常に困難な要素が——いまおっしゃるように、訓練の時間にしても約三割、四割方滅ってくるということにもなってくるわけですね。そこで、こういう太平洋岸のような錯綜した航空自衛隊の基地を日本海の沿岸のほうに移すおつもりはないのか、そういう御計画は検討しておられないのかという問題です。
  244. 久保卓也

    ○久保説明員 日本海側に飛行場がほしいという気持ちは、従来からないではございません。ただし、要撃機の観点からいたしますると、日本海側は必ずしも適当とは申せません。なぜかなれば、レーダーサイトで、敵と申しますか、相手の飛行機を探知してこちらの飛行機を上げる場合に、日本海側ではあまりに短過ぎるということであります。むしろ太平洋岸から上げたほうが会敵、向こうの目標機に会うチャンスが多いということでございます。能率がそれだけ高くなるわけであります。したがいまして、日本海の、部分的にはそういう希望がないではないのですけれども、大勢としては、やはり太平洋側にあることが望ましいんじゃないかということであります。  それからもう一つ、現状では、いまのように太平洋側の海域で訓練をするには非常に支障がありますけれども、これは航空路の再編によって打開が可能であるというふうに私は思っております。なぜかなれば、たとえば羽田へたくさんの航空路が集中してまいります。ちょうど車の軸のように羽田へ参ります。大阪も同じであります。そこで私が言うのは、太平岸にたとえば百マイルなら百マイルの非常に大きなパイプをつくってもらいます。パイプをつくって、すべての飛行機はまずそこへ入ってもらって、そのパイプから羽田へ入る、大阪に入るということになりますと、ここで矩形の空間ができます。そういうことで、訓練をすることは比較的可能になるんじゃないだろうか。ですから、やはり訓練と民間航空の安全とが並立する、あるいは少なくとも民間航空の安全を第一義にするというためには、そしてその間に航空自衛隊の訓練が行なわれるためには、やはり航空路の再編成をどうしてもやっていただかなければならぬということを考えております。方向としましては運輸省も賛成でありますが、ただ航空路をどういうふうに設定するかについては、これからいろいろむずかしい問題があろうと思います。
  245. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題と関連しまして、いま騒いでおる成田空港がいよいよ来年動き出してくると、空の安全の問題と自衛隊の訓練空域の問題、あるいは羽田のほうの過密が緩和されるという、利害いろいろあるわけです。成田空港の開設の問題は、いまの問題と関連して防衛庁としてはどういうふうにお考えになりますか。
  246. 久保卓也

    ○久保説明員 これは下総の基地とか百里の基地があります。海上自衛隊ではさらに厚木の基地もあるわけですけれども、いまの航空路の面から言いますると、羽田を含めて関東の東部分は航空路がたいへんふくそうしておりまして、おそらく運輸省といたしましても、特別管制区といいますか、有視界飛行でも管制官の許可を得て飛ばなければいけないという空域に指定するのではなかろうか。そういたしますると、海上自衛隊であれ、航空自衛隊であれ、訓練は相当支障されます。特に関東の東部分については支障が出てまいります。しかしながら、どうもこの稠密な航空路について自衛隊のほうで相当自由に使うということはやはり遠慮せざるを得ないということで、やむを得ざれば、たとえば下総の相当部分を厚木に移すとか、百里の場合にはいきませんので、訓練のしかたというものを相当に考えるということで、与えられた限られた空域の中でどういうふうに効率的に訓練を続行するかということがわれわれの事務的な課題になって、いま勉強しておるところであります。
  247. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 長官、この日本海の問題で、この前どういうところがあるかといえば日本海があるというふうになったのですけれども、日本海の空域は今後あまり積極的に利用なさらないような御意向のようにいま当局の言明があったのですけれども、この問題、長官どういうふうにお考えになりますか。
  248. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 専門筋でこの問題はできる限り検討してもらいたいと思いまするが、ただ、日本海空域にも私どもは使える場所があるのではないかということで、当日はそういう御答弁を申し上げました。
  249. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今後、日本の航空路、特に国際航空路、国内航空路ともに非常にふくそうしてくる。全般的に見て、太平洋ベルト地帯の上空から南のほうは非常に民間機がふくそうしてくるので、やはり今後自衛隊が訓練するおもな場所を、いろんないまおっしゃるようなことはあるとしても、北の日本海のほうへ移していくということが、私は戦略的に見て妥当だと思う。戦略というのはソ連とかいうことじゃないのですよ。訓練の大きな計画から見て、それは必要だという感じがするのですけれども、これは困難ですか。
  250. 久保卓也

    ○久保説明員 もちろん日本海は可能な限り使っていくわけです。海域としましては、太平洋側に比べて非常に広い海域がとれますので、日本海側は特にこれを活用してまいりたい。ただ、技術的に申しますると、たとえば浜松の航空隊が日本海に出ます場合には、日本アルプスを越えていかなければならない。しかも反面、現状でございますと、航空路の最低安全高度の千フィート以下を飛んでいこうということでありますから、山に非常に接近をすることになる。ですから、われわれの見地からしますると、きわめて安全な飛行ということは言いにくい。しかも、それはいまの民間の安全という見地から忍んでまいろうということであります。そういうことで相当な制約がある。それから太平洋岸で使えるのであれば、またそれは場所があるわけでありますが、それを使えばそのほうが時間的に節約できますので、まずそこを使って、それで空域が足りない部分は日本海のほうに持っていこう。たとえば小松だとか千歳でありますとか、そういうところは当然日本海を十分に使える予定になっております。
  251. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 アルプスを越えていくという話があったのですけれども、つまり私が言いたいのは、浜松とか松島とか百里とかいう基地は、一カ所くらいは何とか太平洋岸の間隙を縫ってできるかもわかりませんけれども、二、三カ所は日本海のほうへ移していく。そうしないと、いまの一時間半くらいの航続時間で、むろんアルプスを越えて日本海の上で訓練をして帰ってくるということはできない。これは危険のあるなしにかかわらず、時間的にできない。そういうふうな意味で、もし日本海をお使いになるということを検討するとすれば、また自衛隊のほうで、民間航空路との錯綜を避ける、危険を避けるということを本気にお考えになるならば、やはり重要な航空路の幾つかを日本海沿岸に移していく、こういうふうなことを検討なさってしかるべきだと私は思うのですけれども、この点はどうでしょうか。
  252. 久保卓也

    ○久保説明員 有事の場合と平時の場合と区別する意味で、平時においては訓練第一であるという見地からいたしますと、日本海側を使ったほうが訓練空域が得られるということで、そのほうが望ましかろうと思います。ただ、いかにも従来自衛隊の施設を新たに設けることがたいへん困難であるといった状況、これは自衛隊のみならず、一般の飛行場を設置する場合もそうでありましょうが、そういった問題があるものですから、計画者である私自身は、従来は何となく気乗りがしておらなかったということでありまして、ただいまの御提案は、一応われわれの将来の問題として考えさせていただきたいと思います。
  253. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は私この前総理にも申し上げたのですけれども、お互いにここで議論をしている問題は、この場限りで主張したりあるいは説明したりする問題じゃないのですよ。やはりほんとうに民間機との錯綜を避ける、危険を避ける、また自衛隊としても一生懸命に訓練をやるということを考えてみると、これは相当の投資が必要です。飛行場をつくることについても相当の困難な問題があるでしょう。あるでしょうけれどもそこらの問題について腹をきめないと、先ほどから私申し上げているように、役に立つ自衛隊、しかも民間の航空路とは危険をあまりかもし出さないような状況で訓練するという二つの問題を解決することは非常に困難である。いつまでもこういうような問題を起こしてくる可能性がある。こういうことでいま申し上げているわけですけれども、日本海のほうもいまの段階でできるだけ利用するということは、これは千歳なんかの場合は言えるでしょう。しかし、いま問題になっている松島、百里、浜松の場合は、そんなものは技術的に言い抜けにすぎないという問題があるわけです。しかも一応この地域が問題になっているということですから、それくらいと言ったら失礼ですけれども、つまり日本の自衛隊の根本的なあり方と民間航空の安全という問題を考えた場合に、当然そういうふうな問題を考慮すべき問題だと私は思うのです。その点、長官どうでしょうか。
  254. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 そういう問題は少し長期の問題になりますから、私らとしても十分検討してみたいと思います。
  255. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの四次防との関係なんですけれども、四次防についての評価の問題について、私どもいろいろ意見を持っております。持っておりますけれども、四次防を計画どおり、いまのいろいろな施設、あるいは訓練の内容、あるいはいろいろな面から見てそのままの計画を遂行していくということになると、たとえばファントムの問題もあり、その他のいろいろな問題が出てくるということを考えましても、現実の問題として非常にむずかしい問題がある。私は、四次防を遂行する立場から考えても、いまの航空自衛隊の基地の問題は考えてみなければならない問題があるのじゃないか。そういうふうな意味の四次防の手直しというのですか、そういうことは必要じゃないのか。これは一つの例ですけれども、そういうふうに思うのですが、長官どのようにお考えになるのですか。
  256. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 四次防は、すでに原案はできております。しかし、これから各機関で検討はされなければなりません。また、われわれといたしましても、基本的にはこれは変えることは必要ないと思いますが、ただいまのような航空安全というような観点からのものは、十分検討を加えなければいかぬというふうに思っております。
  257. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 次に、シビリアンコントロールの問題ですけれども、これは今回の問題と直接関係があるかどうかは別として、四次防という重要な計画をつくり上げる場合に、シビリアンコントロールというものがどのように働いておるか、私非常に疑問に思っているのです。この問題について、四次防の作成の過程においてシビリアンコントロールがどのように働いたかということについてお答えをいただきたい。
  258. 久保卓也

    ○久保説明員 書類を持ってまいりませんでしたので、具体的に明確にお答えしにくいわけでありますが、作成の当初、一昨年であろうと思いますが、長官からこういう方針で四次防をつくるようにというおおよその基本的な方針が示されまして、それに基づいて各幕僚監部から主要な計画が上がって、それをそのつど長官もしくは次官を中心とする会議でもってチェックをし、また幕僚監部に返す、そういうことを何回も繰り返しながら、最終的には長官のところで会議を開いてまとめたということで、長官なり、あるいはそれを補佐するシビリアンスタッフの意図というものは、私は十分織り込まれておったというふうに思っております。
  259. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 防衛庁長官としての、あのときは中曽根さんですけれども、中曽根さんが一つの構想を示して、そして事務的な案をつくり上げるきっかけにしたということはわかりますけれども、中曽根さんが四次防をつくるという一つの構想をつくる場合に、中曽根さん個人の防衛庁長官としての発想というわけでしょう。
  260. 久保卓也

    ○久保説明員 資料を持っておりませんので、具体的にお示しできないわけでありますが、長官自身の御発想もありましたし、そしてまた、長官を補佐するスタッフとしての案を長官と審議をして、長官の手元でそれをまとめた。したがって、長官御自身の一人の意思だけではなくて、内局のスタッフをあげての案がまとまったというふうに私は了解いたしております。
  261. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それは当然ですね。つまり長官あるいは長官を補佐する内局のスタッフがあの一つの構想をつくったということはわかるのですけれども、私が申し上げるのは、長官がそういうような案をつくる前に、いまある、非常に不備なものだと思いますけれども、国防会議というものがある。あるいはその他閣議というものもある。そういうふうな場で、どのような構想が四次防としてふさわしいものであるかという検討を、一回もなさっていないですね。やったことがありますか。
  262. 久保卓也

    ○久保説明員 それはやったことはないと思いますし、そういうことが現在の防衛体制のまずい面であろうと私はかねがね思っております。
  263. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 つまりシビリアンコントロールというのは、防衛庁の中の防衛庁長官のスタッフ——せびろを着ておると俗に言うのですけれども、このような人たちが制服を着ている人たちをコントロールするという意味じゃないのですね。この意味がないことはない。しかし世間から見れば、同じ穴のムジナだというふうにも考えられる。それにしても私は、意味がないという重要な一つの面だと思います。もっと重要なことは、日本の民主政治という揚がら、そういう四次防なら四次防という一つの重要な防衛計画の立案の一番の踏み台になる問題については、方針については、何らかの形のそういうふうなものがまず第一に中心にならなければならぬ。そういうワク組みができて、そしてこのワク組みを、穴を埋めていくために、制服の、あるいは技術者の意見を導入していくということが、シビリアンコントロールというものの一番眼目でなければならない。  現在、国防会議は非常に不備なものであることは、私も承知しております。また、あの法律の条文から見れば、単なる諮問機関ではないと私は思うのですけれども、内局でつくったものを具体的にする前に国防会議の場で検討をしていく。国防会議という場で、民間の、あるいはいろいろな人たちの意見を聞く場も与える、そういうふうな作業をなぜしなかったのか。シビリアンコントロールの一番かなめの点は、民主政治というものが防衛の計画に対して発言をしていく。二段階になるかどうか、前後は別として、次に防衛庁の内局が制服に対してコントロールをする、こういう二段になるべきなんですね。しかし、この重要な四次防という国際的にもいろいろと問題を起こしておる問題についての立案の過程で、まだ一回も国防会議という形の審議をしてない。これは私は非常におかしいと思うのですが、どうですか。
  264. 久保卓也

    ○久保説明員 防衛庁原案について、確かにそういう点がないのは一つの問題であろうと思います。ところで三次防のときには、基本的な考え方というものは、四十一年のたしか十二月でありましたかに国防会議閣議で決定され、それに基づいた兵器の装備の数字的なものが四十二年の三月にきまりまして、おっしゃるような二段階の形をとりました。  今回の防衛庁原案の場合はそういった手続がとられておりませんが、あるいは政府の案をきめる場合に、基本的な方針をまず国防会議閣議できめ、さらにその内容を具体的なものとしてその後にきめるということは、方法としては考えられると思います。この点についてまだ国防会議事務局と打ち合わせをしたことはございませんけれども、御趣旨は十分伝え、検討してみたいと思います。
  265. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いま私がこういうふうな議論をするのは、防衛庁で一つの方針をつくって、それに対する技術的な肉づけをいろいろして、さあこれでどうですかという形で閣議へ出しても、国防会議へ出しても、ほとんど発言がないのはあにりまえですね。そういう形でやるべきじゃないということなんです。大綱、方針をきめる場合には、もっと民主政治の場合で大綱、方針がきめられて、そしてこれがずっと当局へ下がっていって肉づけがされて、再びそれを民主政治の場で検討をするという形ですね。民主政治の場、議会の問題は一応別にしまして、当然議会の問題は一番最終的にあれしなければなりませんけれども、全体の政府の場でその問題を検討するということは当然だと私は思うのです。こういうふうな防衛計画の立案についての不備な問題がある。中曽根長官の場合には、一応いろいろ国防の基本方針について一段階検討したようですけれども、そういうような問題については四次防とは別個の形で行なわれて、四次防という問題については、先ほどからおっしゃられたとおり何ら検討されていない。こういう問題も今後はよく検討しなければなりません。もし本気でそういうことになれば、たとえば航空自衛隊の問題でも、こういうファントムの訓練をどうするのか、いまの運輸省の関係の空中の統一管制の点を考えるとどうなるのかという問題になってくる。あるいは外務省の側からすれば、最近の新しい変化の問題が当然いろいろ入ってくる。かりにそれが防衛庁の計画の線に戻ってくるにしても、そういうような審議の場が持たれてないということは、これはいけないことなんですね。私はそういようなに考えるのですけれども、長官どうでしょう。
  266. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 お説はよく理解できるところでございます。もちろんこれは防衛庁としての一つの原案でありますから、これからの過程におきまして、国防会議なり国防会議懇談会、あるいはその以前においての事務的な十分な説明というものの中で、いまのようなことをできるだけ補ってまいりたい、こんな気持ちであります。
  267. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは、西村長官は初めてじゃないのですから、よく御存じだと思いますけれども、いままでの国防会議の審議過程を見てみますと、重要ないろいろな問題についての審議の時間がわずかに一時間、一時間半、こういうのが圧倒的に多いのですね。そのはずなんですよ。こういうようにかちっと具体的にできたものを、さあこれで審議しろといっても、しょうがないのです。他の問題でもそうですけれども。そういう問題については、四次防の再検討ということばは私は使いませんけれども、四次防の手直しというような形ででもいまの国防会議の問題を、新しい状態、つまり事故が起こったとか、あるいは沖繩が返ってくるとか、あるいはニクソンが訪中するとか、いろいろな新しい要素が出てきておるわけでございますから、そういうふうな目から国防会議をもっと充実したような形のものでこれを検討していく、これは私は必要だと思うのですけれども、長官どうでしょう。
  268. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 国防会議という形でいくか、あるいは国防会議委員の懇談会のような場でも実質的に同じでございますが、むしろ私はそういう問題も議論はやらなければいけないと考えております。
  269. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これで質問を終わりたいと思いますけれども最初に申し上げたとおり、いま西村長官の直面している課題というのは、非常に困難な課題だと私は思います。そういうことですから、こういう席上でいろいろ当座を何か言い抜けすればいいというようなけちな考えにならないで、いまのむずかしい問題とまともに取っ組んで、そして国民の安全という——安全という意味はいまの航空の安全という意味ですけれども、安全を中心とした、しかも役に立つ自衛隊というものをつくるためにどうしたらいいのかということに取り組んでいただきたい。先ほどの、基地を日本海岸に移すということも、私は一つの提案だと思うのですけれども、そういうふうな点がたくさんあると思うのです。そういう目で見れば、このことをひとつ要望いたしまして、私の質問を終わります。
  270. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 東中光雄君。
  271. 東中光雄

    ○東中委員 去る七日の日に航空交通安全緊急対策要綱が出されまして、「「運輸省の航空行政と自衛隊の業務との間の調整に関する覚書」については、航空交通安全の見地から白紙にもどし」というふうにきめられたようでありますが、長官そうでございますか。
  272. 久保卓也

    ○久保説明員 さようであります。
  273. 東中光雄

    ○東中委員 航空交通安全の見地から白紙に戻すというのは、原則的にこの覚え書きを変えるということだと思うのですが、この覚え書きのどこが航空交通安全の観点から見てぐあいが悪いということになったのか。非常に大きな問題になって社会的に喧伝されている、だから白紙に戻すというだけではないと思うのですが、内容的にどこが問題になっているか。
  274. 久保卓也

    ○久保説明員 問題の発想が、この覚え書きが三十四年でありまして、その後の民間航空の交通量が非常にふえたということを背景にして見ると、もう一度これを再検討といいますか、白紙に戻した上で再検討する必要があるであろうという発想であったわけでございます。具体的にどこがどうこうというふうに問題になった、また御指摘を受けたわけではございません。しかしながら、特に総理の御趣旨を推測いたしまするに、領空侵犯措置、スクランブルの分については、これは関係者、多くの方々は、問題がないように見受けておるところでありますが、大規模な訓練についてやはり一般の民間機よりも先に発進することはあり得る、つとめてそういうことをするということが書いてあります。この辺が今日の実情に合うものであるかどうかということを再検討する必要があろうということが一つの大きな問題であろうと思います。覚え書き自身については、そこが一番大きな問題で、あとは、SARP協定、中央協定とか、あるいは地方の協定とか、こまかく見てまいりますと、あるいは先ほど伊藤議員から御質問がありましたように、不適当なところがあるかもしれないので、そういうところは改めてまいりたい、そういうことでございます。
  275. 東中光雄

    ○東中委員 この覚え書きによりますと、いま言われた自衛隊機に対する優先権を与える場合に、スクランブルの場合とあわせて「別に協議して定める大規模な演習に参加する航空機」この点をいま言われたと思うのですが、同じ覚え書きの第五条の二項では、航空交通の指示を自衛隊の航空機に対しては特に行なわない場合があるというふうな特別の扱いがありますね。一定の条件がついていますけれども。もちろんこういうものも、交通安全の立場から見てぐあいが悪いという対象の中に入っているのか、入っていないのか。
  276. 久保卓也

    ○久保説明員 まだ実は運輸省と具体的に協議しているわけではございませんので、どこの条文がどういうふうにまずいかということを具体的にまだ申し上げられません。しかしながら、全文について白紙に戻して再検討するということだけは確かであります。
  277. 東中光雄

    ○東中委員 従来の演習についてのいわゆる包括的許可というのがあります。たとえば最低安全高度以下の高度の飛行について、防衛庁長官からの申請に対する許可、いわゆる包括的許可ですが、これはこういうのだったら全く形式的で何も意味がないのじゃないか。一年間包括的に許可を得ているというかっこうになっているわけですが、これが結局いま言われておる自衛隊機の軍事優先ということが問題になっている中心点の一つだと思うのですけれども、そういう問題を含めて全部検討するということ、原則的な問題としてこの軍事優先をやめてしまうということで白紙に戻すということを言われておるのかどうか。どうもこの調子でいくと、また表現は変わっても同じものが出てくるのではないかという感じが非常に強くするわけですけれども、その点は、これ全体を見て、軍事優先という原則を貫いておったのに対して、その原則を変えていくということなのかどうか、いかがですか。
  278. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 私どもは、航空安全ということは何といっても第一義であります。したがってそのために国民の生命を失うようなことはしない。ただ軍事ということばが、いまの日本の憲法上妥当であるかどうか。表現は私は必ずしも受け取らないのでありますが、先ほど来申し上げますように、われわれの憲法に基づき、国会の御意思に基づいた大義というものがあります。同時にまた民間の公益性を持った輸送事業もあります。これは並列であります。そこをどう調整するかということでありまして、優先であるとかどうとかという問題ではないのです。
  279. 東中光雄

    ○東中委員 事は航空、現実には飛行機が飛ぶことなんですから、並列ということはないわけなんで、どっちか先になるわけです。だからそういう点で、いまのような協定は、重要なものについては優先という原則が出されておったと思うのです。しかし、それは並列的にと言われても、実際上そうなるかということになれば、問題が非常に起こるのじゃないか、こう思うわけです。この覚え書きは一応白紙ということにされたわけですが、それのもとになっておるあの日米合同委員会における第三付属文書、いわゆる合意書でありますが、この問題について、「米側の協力を求めるものとする」ということにこの対策要綱ではなっておるようでありますが、先日の質問に対して佐藤総理は、もう口火はマイヤー大使に私自身から切ってあるのだ、こう言われておるわけですが、これについて外務省のほうでどういうふうにその後進んでおるのか、明らかにしていただきたい。
  280. 吉野文六

    ○吉野説明員 御指摘のとおり、総理よりすでにマイヤー大使に対して協力を求めておりますし、また関係大臣、すなわち西村大臣及び木村大臣代理から、それぞれやはりマイヤー大使に同様な協力の要請をしております。また事務的にはすでに米側と、今後われわれ国内の詰めと並行しまして協議していくということで先方も同意しております。したがって、具体的に緊急対策要綱のもとに関係各省がどのようにこの問題を詰めていくかということに従いまして、さらに米側と協議していくということでございます。
  281. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど久保防衛局長が、大規模な演習に参加する自衛隊航空機についての優先問題が白紙にする一つの問題点だ、こう言われておるわけですが、この第三附属書、いわゆる「航空交通管制に関する合意第三附属書」ですが、それの第三章二のd項によりますと、もっとはっきりとした規定になっておるようであります。「次に述べる航空機について、航空交通管制承認の最優先権を与えること」。そうしてその口では「あらかじめ計画された戦術的演習に参加する航空機」、こうなっておりますから、これは覚え書きどころではなくて、もっと大きな——大演習という大はありませんし、それから「最優先権」というふうに書いてある。覚え書きは「最」はついていないわけです。ただの「優先権」になっているわけです。これは単に表現の問題だけでなくて、やはり内容、思想の問題がずいぶん違うものを持っていると思うのですが、この第三附属書の第三章方針、特に問題になっている二のd項、これは防衛庁にももちろん直接関係することでありますが、どうお考えになっているのか。
  282. 吉野文六

    ○吉野説明員 合同委員会の合意第三附属書の内容につきましては、先ほど申し上げましたとおり、今後もわが国内の具体的な航空交通安全対策の進捗と見合いまして、具体的な事項として一々米側と協議しその協力を仰ぐ、こういう方針でございますから、具体的にそういう事態が国内の関係省の合意によって必要となってくればそのつどこれを行なう、こういうことになっております。
  283. 東中光雄

    ○東中委員 この「航空交通管制に関する合意第三附属書」というのは、国内の問題に大いに影響してきますけれども、アメリカと日本政府との間で結ばれた、むしろアメリカとの関係で日本政府がこれに拘束されるという性質を持っているものではないのですか。
  284. 吉野文六

    ○吉野説明員 御存じのとおりこの合意は、すでに過去においても二回にわたって改正されておるわけでございますし、また、いずれにせよ、最後の合意は昭和三十四年六月にできたものでございますから、それから、日本の国内の航空交通管制も、また防空体制も根本的に変わっておるわけでございますから、このような新事態にマッチしたようなラインで今後米側と協議し、必要ならば修正を加えていく、こういうことにわれわれは考えております。
  285. 東中光雄

    ○東中委員 この協定の末項では、「日本国政府並びにアメリカ合衆国政府は、本協定の遵守を期するため、適当な機関をして実施方式を設定せしめることにつき相互に確認する」という条項がありますね。だからむしろ論理的には、いまアメリカ局長の言われているのは逆なんじゃないですか。こういう対外的な協定があって、その範囲で今度は現にそのあとでこの覚え書きがつくられているわけですし、だからむしろ日本政府としては、このアメリカとのいわば拘束力を持っている合意書を変えるという方向が先に出されてでなければ、むしろこの拘束される合意書と違ったことをやっている。事情が変わってきたから違ったことをやっているということになるわけですけれども、この内容自体は拘束される内容のものなんだから、どういうふうな方向でいま変えていくのか、そこのところがはっきりされなければ、防衛庁と運輸省との話ができなければアメリカとの話ができないという、そんな性質のものではないのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  286. 吉野文六

    ○吉野説明員 この点につきましては、すでに木村外務大臣代理が先般の合同審査会におきまして答弁しましたように、われわれとしては、この日米間の合同委員会の合意というものは、その後の事態の変更によりまして、だいぶ実質的には中身が変更しておるわけであります。したがいまして、そういう新しい事態に合わせて変更していくということは可能でありますし、またそのように米側にも協力を求める所存でございますが、しかし何ぶんにも、わが国の国内航空管制を行なっておる担当官庁及び防衛の任務を帯びております防衛当局、これらの間にいかに実質的な合意が今後できるか、こういうことによりまして、初めてアメリカに対してこれに協力するように要求することができるわけでございます。  御指摘のように、この合意は一応形式的にはそのままになっておるわけですが、実質的にはすでにだいぶ内容は変わっておりますから、さらにそういう新事態に合うように、今後もしできるならば手直しをしていきたい、これがわれわれの方針でございます。
  287. 東中光雄

    ○東中委員 この第三附属書によりますと、先ほど申し上げた第三章二のa項では「航空交通の保安管制が、日本国の防空に必要とされる場合は、防空責任担当機関が保安管制を行うことを認めること」、こうなっております。しかもこの「防空責任担当機関」というのは、定義の項目で、在日米軍と防衛庁をさすのだ、こういっているわけです。私はこれは二重に非常に奇妙な協定だと思うのですが、航空管制を行なう権利を在日米軍が必要なときには取ってしまう、そういう点で主権の問題が出てきます。非常にそういう点では従属的な内容だということでありますが、今度は防衛庁と運輸省が本来なら担当する日本の航空管制のことについて、いわば防衛庁と運輸省とのことについて、日本政府がアメリカとこういう合意書を結んでいる。いわばこれは全く内政に関することです。防衛庁が保安管制を行なうことを認める、日本国の防空に必要とされる場合は、防衛庁が保安管制を行なうことを日本政府が認める、これはまさに純然たる内政に関することですから、そういう意味ではきわめて屈辱的である。こういう内政に干渉する内容を持っているものが、なぜこういう合意書になってそのまま残っておるか。実態と違うと言われるなら、どこが実態といま変わっておるのか、いま協力を求めると言われているのは、どういう方向でこの協定の内容を変えていくということを言っておられるのかどうか、そういう点ひとつ外務省の考え方を明らかにしていただきたい。
  288. 吉野文六

    ○吉野説明員 ただいま御指摘の保安管制というのは、結局日本の空が緊急事態になったような事態を想定しているわけでございますが、御存じのとおり、今日の日本におきましては、そのような場合に防空の任に当たるのはわが防衛庁の責任でございますから、当然そこに書いてあります保安当局というのは日本国政府、こういうことに現在の時点においては読むべきものだとわれわれは考えております。いずれにせよ、この合意自身は昭和三十四年にできたわけでございますから、当時の日本の防空体制はやはり大部分はアメリカ空軍に負っていたわけでございますから、当時の事態としてはそのような合意になったわけでございますが、現在においては事態は変わっております。したがって、そのように読みかえることによりまして、十分今日におきましてもこの合意は意味があるわけでございますが、しかし必要であれば、われわれはこれも先方の同意を得て修正しなければいかぬという場合には修正いたしたいと思います。
  289. 東中光雄

    ○東中委員 これは意味があるというのじゃなくて、拘束力があるのではないですか。日本政府を拘束している文書ではないのですか。
  290. 吉野文六

    ○吉野説明員 御存じのとおり、これは合同委員会の合意でございますから、その範囲内においてさらに新たな合意ができない限りは形式的に拘束されるわけでございますが、しかしながら、先ほど申しましたように、事態は変わっておりまして、大部分の日本の防空ということはいまわが防衛庁が引き受けているわけでございますから、したがって、その範囲内において実質的にその合意の該当個所は、実は有名無実ということになっておるわけでございます。
  291. 東中光雄

    ○東中委員 「日本国の防空に必要とされる場合」ということの内容は、さっき局長が言われたように、緊急の場合だとおっしゃったですね。緊急の場合はいままで一回もなかったですよ。現在がどうだというようなことはないのです。協定が結ばれてから一回もなかった。緊急の場合が起こったというときには、在日米軍と防衛庁が一切の航空管制を行なう。緊急の事態だということになったときは、この協定が生きてきて米軍が航空管制を行なうということになれば、日本政府はそれに拘束される、こういうことではないのですか。事態が変わったと言われるけれども、一回もこの条項が適用される段階はまだ来ていない。平常時のことを書いているわけではないわけでございます。そうではございませんか。   〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
  292. 吉野文六

    ○吉野説明員 御質問のとおり、このような緊急事態はいまだかつて発生したことがなく、今後もおそらく発生しないことをわれわれは願っておる次第でございますが、いずれにせよ、わが国の空の防衛自体は防衛庁が今後ますます引き受けていくわけでございますから、そういう事態になりましたならば完全に——もちろん緊急の度合いにもよりましょうが、米軍が防空管制を全部取ってしまうということは、われわれとしてはあり得ないと考えておる次第でございます。
  293. 東中光雄

    ○東中委員 あなたはあり得ないとおっしゃいますけれども、ここには「保安管制を行うことを認めること」と書いてある。「認めること」と書いてあるのですから、要するに認めているのですから、あり得るもあり得ないも、アメリカ側がそれをやろうと思ったらやれるという規定をしているのじゃないですか。しかも、これは先ほどは緊急事態ということでありますけれども、ここではこの規定自体でいえば、「日本国の防空に必要とされる場合は」と、非常に解釈の範囲というのは拡大して、そういう内容になっている。必要な事態が発生したということまでも書いてない。「防空に必要とされる場合」ですね。防空に必要とする場合であるかどうかの判断、これはどこがやるのですか。アメリカ側がやることになるんじゃないですか。そしてそういう航空管制をやって保安管制をやるということになった場合には、この条文によって日本政府は拒否できない。これが存在する限りは、認めているんだから。そういう事態が起こらないことを希望する、そしてまず起こらないだろうと思う、そういう期待を持っているということ、このことは、この合意書自体からいえば、法的にはそういう拘束力を持っているということになるんではないですか。いかがですか。   〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  294. 吉野文六

    ○吉野説明員 結局、先ほど申し上げたことを繰り返すことになるかと思いますが、要するに、日本の防空を実質的にどこがやるか。米軍がやるのか、わが防衛庁がやるか、こういうことになるわけでございまして、現在すでにわが防衛庁がやっておるわけでございます。したがって、将来はますますわが防衛庁がやるわけでございます。いまの規定も、御存じのとおり防空当局というのは一応形式的に二つあるわけでございまして、その二つが同時に発言権を有するのでございます。しかしながら、将来におきましては、米空軍の日本における存在が少なくなればなるほど、その発言権が少なくなるわけでございますから、しかも実際上、御存じのとおり防空問題はすべていま防衛庁がやっておるわけでございますから、さような事態はわれわれとしては起きないと考えております。
  295. 東中光雄

    ○東中委員 だんだん少なくなっていくとおっしゃいましたけれども、しかし緊急の事態になったらどんどんまたふえてくるかもしれないですね。そういうのが安保条約の持っている基本的な構造なんではないのですか。いま少なくなっているということと、実際そうなっているということと、今度体制がそうなっていないということとは同時にあり得ることなんですから、合意書が示している体制というのはこういう形で入ってこられる体制だ。現状とは合わないようになってきつつある、しかし情勢が変わればまた米軍が入ってきて保安管制をやれるという体制でもあるということになると思うのですが、結論的にいえば、こういう条項をなくす、現状に合わないからなくす、こういうふうに言われておるのか。現状に合わないがそのまま置いておく、別にたいしたことないのだということで置いておくのか、そこのところがはっきりしないわけですが、いかがですか。
  296. 吉野文六

    ○吉野説明員 まあ、あえて理屈を述べるわけでございませんが、米空軍が日本本土から撤退すればするだけ、今後再び日本に入ってくる場合には、事前協議で一応日本は国内に入ることをノーということも言えないことはないと思います。しかし、このような事態は、米軍も好んで日本を守りに来るわけでございますから、すなわちおそらく安保条約第五条のような事態でございましょうから、そういうような場合にはまた別個考えなければいかぬ問題かと思いますが、要するに、通常の防空任務はもはやわが防衛庁が全面的に果たしているわけでございますから、したがって、その意味でこの文書の該当個所は事実上もはや効力がない、こういうように受けとめて差しつかえないと思います。
  297. 東中光雄

    ○東中委員 事実上もはや効力がない、だから今度米側と話をしてなくしていくということなのか、事実上効力がないということでそのまま温存していくということなのか、どっちなんです。
  298. 吉野文六

    ○吉野説明員 そこら辺は、先ほどたびたび申し上げましたように、関係各省とまず日本の今後の航空交通管制をどのように具体的にきめていくかということとの関連において考えさしていただきたいと思います。
  299. 東中光雄

    ○東中委員 今度の対策要綱では、「協力を求めるものとする」と書いてあるのですが、これは協力を求めるだけじゃだめなんで、アメリカの合意が取りつけられなければ、アメリカの承諾を得られなければこれはそのまま残っていくという性質のものだといわざるを得ぬのですが、そうでございませんか。
  300. 吉野文六

    ○吉野説明員 理論的にはいま先生のおっしゃられたとおりでございますが、実際には、われわれは、今後アメリカの協力を求めることによって、新しい事態にふさわしい新たな合意を重ねていくわけでございますから、その限りにおいて、それと矛盾するような規定自体は無効になる、こういうことになるわけでございます。
  301. 東中光雄

    ○東中委員 要するに、協力を得て改定をするようにしていきたいというふうにいま言われていると思うのですが、そういう趣旨に理解してよろしいですか。
  302. 吉野文六

    ○吉野説明員 実質的にはそういうことになるかと思いますが、要するに、新たな事態にふさわしい新たな合意を日米間で行なっていく、こういうことになるだろうと思います。
  303. 東中光雄

    ○東中委員 もう一つ、同じく第三章の同じ項目のj項ですが、「在日合衆国軍の要求にもとづき、民間、軍を問わず、すべての航空機関に優先する空域制限(高度制限)を航空交通管制本部をして提供せしめること」というのがありますが、この条項はどうでございましょうか。
  304. 吉野文六

    ○吉野説明員 この点につきましても、先ほど私が御説明したとおり、わが国の航空交通安全緊急対策の具体的な発展に合った形で、必要ならば新たな合意をしていく、こういうことになるだろうと思います。
  305. 東中光雄

    ○東中委員 この具体的内容は、結局、ブルー14なりあるいは横田エリア、それから岩国エリアといわれているあの米軍専用管制空路なりあの管制空域を設定するということの合意書の内容がああいう空域の設定という形で現にいま有効に働いておる、そういう関係になっておると思うのですが、そうじゃございませんか。
  306. 吉野文六

    ○吉野説明員 その点は、別に地位協定の三条なり六条なりによりまして、ともかくわが国は米側に、必要な基地や、それに見合う飛行場ないしは航空交通管制管理権その他を与えているわけでありますから、必ずしも御指摘の空域制限とは同じものではないとわれわれは解釈しております。
  307. 東中光雄

    ○東中委員 地位協定に基づいてこういう協定ができているのじゃないですか。全然地位協定と別個になっているのですか。安保条約、地位協定、そして合意書、こういう体系になって、そして日本の空の非常に広範な地域を米軍の優先的な管制下に置く、そういう義務を負っている、こういうことではないのですか。
  308. 吉野文六

    ○吉野説明員 先ほども申し上げましたように、米側の横田エリアないしは岩国エリアの点につきましては、これは安保条約ないしはこれに基づく地位協定の関係上、わが国は、米側に提供した飛行場なり基地に対する必要な飛行場管制管理権を先方に与えているわけでございます。この点につきましては、すでに昭和三十四年六月の合意書の第一項におきまして、その点が前提として書いてあるわけでございますから、この第三附属書というものはその前提で合意されているわけでございます。
  309. 東中光雄

    ○東中委員 だから、まさにこの前文に書かれておりますように、安保条約の見地から、安保条約の体系の中の一つとしてこういう合意をしている、こういうことなのですから、この合意書によって具体化されていくということになっておるわけでしょう。安保条約あるいはそれに基づく地位協定、そしてこの合意書という関係、合意書自身が安保条約に基づいてつくられている合意書でしょう。だから、当然、安保条約の廃棄といえばずいぶん大きな問題になりますけれども、いま航空交通管制関係の問題だけについて言えば、この合意書のいま言いました空域制限等を航空交通管制本部をして提供せしめるというこの細目を、合意書を破棄していくということになるべき性質のものではないんですか。
  310. 吉野文六

    ○吉野説明員 先ほど御説明しましたとおり、安保条約それから地位協定、それに基づきまして各種の合同委員会の合意ができているわけでございますが、また地位協定そのものに基づきまして基地ないし飛行場の提供をやっておるわけでございます。それから、この第三附属書につきましては、これはもっぱら航空管制に関する合意でございますから、そういう見地からこの問題を見ていただきたい、こういうようにわれわれは考えます。
  311. 東中光雄

    ○東中委員 だから、いま航空交通管制のことだけについてお聞きしているわけなので、安保条約はいろいろな体系、海の問題もあれば陸の問題もあれば、その他いろいろな問題があるでしょう。しかし、いま航空管制について言えばこういう形で具体化されているわけですから、これについてのいま申し上げた三章二のa項、d項及びいま申し上げているj項、この条項は、日本の航空管制についてアメリカ側が決定的な優位を持っているという条項になっているから、いまそうでないと言われるのだったらこういう条項は廃棄すべきなんだし、廃棄しないで、いま発動してないからということで温存していくのだったら、これは現在あの悲惨な事故が起こって大きな世論がわいておるときだから検討すると言われているだけで、肝心のこういう条項については手をつけようとされていないというふうにいわざるを得ないわけなのですが、そこの点、いま申し上げたような日本の航空交通管制に対してのアメリカの支配権というものを設定しているこの合意書の三つの条項をなくしていくという方向で交渉されるのかされないのか、その点をはっきりと答えておいていただきたいと思います。
  312. 吉野文六

    ○吉野説明員 先ほどから御説明いたしておりますとおり、航空交通安全緊急対策に基づく各省の細目の具体的事項がきまりましたら、その基礎において米側と必要な新たな合意をしていきたいと考えております。したがって、わが国の航空交通安全を最優先の項目といたしまして、われわれといたしましては交渉してまいりたいと考えております。
  313. 東中光雄

    ○東中委員 最後に、時期を設定してやっておられるのかどうかですね。これは緊急対策要綱なんですから、だから各省から意見があがってくる、それまでいつまでも待っているということなのか。期限を切って緊急にやるということでやっておられるのだったら、いつまでにそういう対米交渉をやるというのか。そこらの対策要綱で出されておる方向ですね、どうでございましょう。
  314. 吉野文六

    ○吉野説明員 この交渉は、実はすでにもう米側と開始しておるわけでございまして、各省の協議と並行に今後も敏速に取り進めていきたいと考えております。
  315. 東中光雄

    ○東中委員 この点については、質問終わりでございます。  最後に、防衛庁に全然別のことですが、一つだけお聞きしておきたいのです。能勢のナイキ基地の問題ですが、設置についてはその後どうなっておるか、お伺いしたいと思います。
  316. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 能勢町のナイキ基地の問題につきましては、昨年の六月に地元の町議会で反対の決議があったわけですが、われわれその原因としては、やはりナイキというものの機能その他が十分地元に理解されていないということがその大きな原因である、こういうふうに考えておるわけです。そこで地元の希望者によるナイキ基地の見学、こういったことについて必要な協力をしまして、なるべく地元の方にナイキというものを理解していただくという方向で努力をしてまいったわけですが、その結果、地元の方々の中にも、ナイキというのは別に公害的なものでないというようなことから、これについて協力してもいいんじゃないかという方々も出てきております。しかしながら、全体としてはまだわれわれのほうで具体的な用地の取得を交渉するという段階まできておりませんので、地元の情勢を今後ともよく見た上で、適当な機会があれば用地取得の交渉をしたい、こういうふうに考えております。
  317. 東中光雄

    ○東中委員 地元では先般いわゆる招待飛行をやられて、高校生も含めて十五人単位で約百人もの人を見学飛行に防衛庁が招いた。一定の集合場所をきめておいて、そこへ行くと自衛隊差し回しの乗用車があって、名神高速を走って小牧基地まで飛んで、そして自衛隊の輸送機で今度は入間基地まで行って、さらに小松基地まで飛んで、そして築城基地まで行ってナイキの見学をやっておる。ずいぶんあっちこっち飛行機で飛び回っておるわけです。そして夜は酒保でビールのもてなしを受けたり、基地内で一泊したり、高校生も含めてですが、こういうことをやられたということを地元で言っておるわけですが、実際自衛隊としてはそういうことをやられておるわけですか。
  318. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 このナイキ基地の見学は、関係者の希望によりまして、その場合は郷友会とか隊友会が主催したような形で申し込んでおられたわけですが、そこで、いまおっしゃったような経路によって、入間基地、それから築城基地のナイキを見学した、こういうことでございます。その際、この汽車賃を防衛庁のほうで払ったんじゃないかというようなことがございますが、そういう事実はございません。これは主催をした郷友会、隊友会のほうで実費を徴収しておりますから、その中から汽車賃等は支弁された、こういうふうに聞いております。  部隊として協力したのは、輸送機の搭乗あるいは部隊の中に宿泊をするというようなこと、それから隊食を支給するということでございまして、この部隊の中の宿泊料あるいは隊食の食費でございますが、こういったものは実費を徴収をしておる。それからビールにつきましては、これは説明に当たった担当の者が、説明の終わったあとで部隊の中の酒保で簡単にビールを一緒に飲んだということで、その費用についてはそれぞれが分担をしたということに報告を受けております。  以上のような状況でございます。
  319. 東中光雄

    ○東中委員 これは全く切りくずし、引き抜きの、非常にフェアじゃない、何とか個人的利益誘導でナイキを設置するというような感じを実際受けますね。こういう形で、町議会で決議し、周辺の市議会がほとんど決議し、黒田大阪府政が実現して大阪府も反対だといっているのですが、そういう中でやはりこういう切りくずしをなお続けていかれるつもりなんですか。どうなんでしょう。
  320. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 われわれが希望者をそういうことでナイキ基地に案内をし、見学してもらうということは、切りくずしというふうにとられるのはたいへん遺憾でございますけれども、要するにナイキというものがどういうものかということを知らないで反対している方が非常に多い。したがって、真実をありのままに理解してもらうということのためにやっておるわけでございます。
  321. 東中光雄

    ○東中委員 ナイキの基地を見たからといって、ナイキがわかるわけはないでしょう。いわんや酒保でビール飲んだらナイキがわかるというわけじゃないでしょう。しかも高校生も三名か入っておったということなんですが、こういうことで、地方議会や地域住民の代表機関として決議をしていることについて、ナイキを設置したような、芝生があるきれいなところを見たからといってナイキがわかるわけはないのです。ナイキの設置に反対だと言っている人たちは、きれいであるか、きれいでないか、芝生がよくはえているか、はえていないか、そんなことで判断しているわけでないことは、これは明白なことなんですから、そういう点について、やはり地元の意思をもっと正確に判断をしてやられるべきだと思うんですが、こういう招待戦術で、基地の設置の反対を自治体できめているのを変えていくような方向をとるのがいいかどうか、今後どうお考えになるか、ひとつ長官の御意見を聞かせていただきたい。
  322. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 ナイキをいずれにしても配置をしなければならないということについては、立場の相違がある方は別として、国民の大多数は御理解願えると思うのです。ただ、できるだけそれを住民の御納得をいただくという、まあ方法論の問題ですね。その方法論について、そういう形がいいかどうか、これはやり方の問題であり、また受けるほうの、あるいは見学をなさろうという方の御意思にも十分よってまいる。言いかえればケース・バイ・ケースでこういう問題は扱っていくのがいいんじゃないかと思います。
  323. 東中光雄

    ○東中委員 もう質問時間がありませんから終わりますけれども、いま大阪能勢町に設置されようとしておる第四高射群のあのナイキについて、地元の町議会、それから周辺市議会ほとんど全部ですね。それから京都府及び大阪府が反対の意向を示しているわけです。それでもなおこういう方向を続けていかれるのかどうか。そのやり方の問題も含めて、なおやられる、設置するという方向で、一般的にナイキ基地の問題ではなくて、この具体的な問題についてどういうふうに考えておられるか、お聞きしておきたいのです。
  324. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 まあ一般論としては、けさ以来自衛隊の姿勢というものを申し上げましたが、そういう中でこういう諸問題は解決してまいりたい、こういう考えでございます。
  325. 東中光雄

    ○東中委員 一般論はわかっているのです。具体的な問題として、第四高射群の能勢の設置についての方向として、依然としていまとっておる方向でいくということなのか。それは検討する、あるいは別の適地を考えるという方向とか、いろいろあると思うのですが、そういう点はいかがなんでしょう。
  326. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 まあ私も具体問題になりますと、着任早々でございますから、よく諸般の状況を私自体が勉強してみましょう。
  327. 東中光雄

    ○東中委員 では関係のところはどうでしょう。
  328. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 ただいま申しましたように、われわれとしては、能勢町にナイキ基地を設置したいという方針については変わりございません。しかしながら、あくまでも地元の理解と協力を得た上ということでございますから、地元の意思を無視して一方的に強行するとか、そういうことは毛頭考えておりません。
  329. 東中光雄

    ○東中委員 では質問を終わります。
  330. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 横路孝弘君。
  331. 横路孝弘

    ○横路委員 初めに運輸省のほうにお尋ねしますけれども、航空交通安全緊急対策要綱というのが八月七日に発表されましたが、ここでいろいろ言われている、たとえば特別管制空域ですね。ターミナルにおける特別管制空域、あるいは航空路における特別管制空域の問題、あるいはICAOから前から勧告を受けていたVMC・オン・トップの問題、こういう問題が提起をされたわけですけれども、こういう問題について私たち委員会で前から議論をしてきましたし、また皆さん方のほうでも、航空交通管制運営懇談会の中のニアミス防止、異常接近防止の分科会の中で、いろいろと四十三年来議論されてきたことだろうと思うのです。別に事新しいことではない。それが現在まで実現できなかった一番大きな原因というのは、運輸省の立場で考えられて一体どこにあるのか。金井技術部長のほうからお答えをいただきたいと思います。
  332. 金井洋

    ○金井説明員 御指摘のとおり、四十三年以来いろいろ防衛庁との間で協議してまいりましたけれども、雲上有視界飛行の禁止だとか、あるものはすでに実現しておりますけれども、他のものについてはまだ実現に至っていなかったということは御指摘のとおりであります。これにつきましては、いろいろ防衛庁のほうにも防衛任務あるいはその他の業務がありますので、そういうものを調整して、そしてまだ具体的な措置に至っていなかったのではないかと思います。ただし、この間防衛庁としてももちろん前向きで検討していただいておったわけですけれども、いま申し上げましたように、まだどのようにして具体的にそれを実行するかということまで至っていなかっにのではないかと私は思っております。
  333. 横路孝弘

    ○横路委員 これからやろうといういまその時点にあるわけですけれども、過去のことをとやかく言うのはなるべく言いたくはないわけです。しかしこれから航空機の衝突事故をぜひ避けていく。防衛庁あるいは自衛隊のいろいろな体質というのは議論されてきたわけですけれども、その点をひとつどうしても防衛庁に指摘しておかなければならないと思うのです。いま航空局のほうから話があったわけですけれども、この自衛隊機と民間機との空中衝突の問題については、従来から指摘をされてきている。どこに問題点があって、何をやればいいのかということは、これはもうみんなが十分承知していたのです。それは防衛庁でも承知していた。そしていま運輸省のほうから答弁があったように、航空交通管制運営懇談会の第一回ニアミス防止の分科会が四十三年十一月八日に開かれて以来、何回となく議論されている。その中でなぜ実現できなかったかという一番大きな理由というのは、その議事録を読んでみると、やはり防衛庁にあったと思うのです。つまり、安全ということよりも訓練第一ということを考えてきた姿勢というのが、今度の事故に結びついている。これは何回も指摘をされていることでありますけれども、やはりここで一度指摘をして、これからの反省の一つの材料にしてもらいたいと思うのです。  たとえば第三回の懇談会の議事録を見ると、特別管制空域に指定した航空路を横断するような問題についても、事前に許可を要するようなことについてはやはり因るというようなことが空幕のほうから出ているし、いまICAOのほうから勧告があって、これは絶対禁止しなければならぬといわれていた夜間、雲上の有視界飛行、これについても、空幕のほうではたとえばどういう発言になっているかというと、これは絶対非常に困ります、夜間の要撃訓練を実施する場合にこれを全面的に禁止されると支障があるのだという発言をして、運輸省の航空局のほうから、ICAOでは夜間のVFRさえ禁止している、この地域ではわが国だけがこれを守っていないのが実情である、しかもVMC・オン・トップだけでもやめたい、禁止しているのに、夜間の空中衝突が防止できるのかという非常にきびしい指摘を空幕は受けている。受けながらも、しかしながら訓練のために必要だということで、四十三年から会議だけはやったけれども、現在まで実施されなくて、そして事故を起こして、ようやく皆さんのほうでは運輸省と話をして、じゃそれもやめましょう、訓練空域のほうは別だけれども、そのほかの地域ではやめましょうということになったわけです。この議事録を見ると、これはほかの問題すべてについて、航空局のほうから提起された問題を全部訓練ということを名目にし防衛庁のほうではねている。防衛庁といいますか、ここへは空幕と海幕が出ているわけですけれども、はねてきたわけですね。ですから今度の事故というのは起こるべくして起こったとみんなが指摘しているのは実はそのことなんで、みんなが中身を十分承知しながら、しかも何をやればいいかということまで十分承知をしながら、訓練、つまり軍事優先ということでそのことをけっ飛ばしてきた。やはりいままでの防衛庁のほうの姿勢というものが今度の事故に結びついているということが、この議事録を見れば一目瞭然なわけです。ですから、これからやろうというときにこういう指摘はできるだけしたくないわけですけれども、しかし今後のいろいろな——これから自衛隊のニアミスの問題について御質問をしていきたいと思うのですけれども、そういう一つの姿勢として、従来の反省というものをどういうぐあいにお考えになっているのか、防衛庁長官から、まず初めにそのおことばをいただきたいと思います。
  334. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 過去は過去といたしまして、もしそういうことがあれば、至らない点はまことに残念でありました。今後十分そういう国民の航空の安全という中でトレーニングをする、こういうことは当然のことだと思います。
  335. 横路孝弘

    ○横路委員 そういうことでこれからやろうということで皆さん方お考えになっているところですから、これはこのくらいにして……。  実はニアミスの問題、運輸省のほうで公表されている数字というのは非常にわずかなんです。昨年の十二月に交通安全のほうで質問したときに、最低その五倍から十倍くらいはあるだろうというのが運輸省のほうのお答えでした。そこで自衛隊のほうにお尋ねしたいのですけれども、このニアミスについて、ニアミスが発生した場合にどういう指導を各パイロットにしているのか、それが本省におられる皆さんのほうでどういう仕組みを通して掌握できるような体制になっているのか、それがあるのかないのか、これをお答えいただきたい。
  336. 久保卓也

    ○久保説明員 ニアミスにつきましては、それぞれの幕僚監部に一応委任されておりまして、幕僚監部から各部隊を指導している、各部隊は個々のパイロットを指導する、こういう経路になっておりまして、具体的にニアミスの防止対策というものを、実はこれはまずかったと思いますけれども、内局の主要な課題として取り上げておらなかったという点があります。  そこで、具体的な問題としましては、空幕なり各幕僚監部からそれぞれの通達、それから安全のための調査資料あるいは種々の会議、それから特定の監察、総合的な監察、そういうものをすべて空幕を中心としてやっております。そういう材料をもとにして具体的な指導を各部隊の幹部が個々のパイロットにやっておった、こういう経路であります。
  337. 横路孝弘

    ○横路委員 民間の飛行機の場合、キャプテンからキャプテンレポートというのを、ニアミスの場合、提出をさせるようになっているわけですね。それが運輸省のほうに来るようになっている。そこでニアミスの原因は何かということでその対策を考える、こういうことになっているわけです。そういうキャプテンレポートのようなものは、おたくのほうでは出さぜるようなことにはしていないわけですか。
  338. 久保卓也

    ○久保説明員 それは幕僚監部から通達が従来も出ておりまして、その通達によって部隊がパイロットの申告に基づいて幕僚監部に報告する。また、昨年は運輸省の通達をもとにして、同じフォームによってパイロットから報告を求めて、それを選別をして、つまり検討をして、これはニアミスであるという判断をしたものを運輸省に連絡をしている、こういうかっこうになっております。
  339. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、四十四年度、四十五年度、四十六年度の一応ニアミスとして報告された件数というのは何件になっていますか。
  340. 久保卓也

    ○久保説明員 私の手元にありますのは、空幕で民間機とのニアミスであるということを判定した数字でございまして、これは再々国会でも御答弁しているとおりであります。したがって、その前提になっている、つまり報告の総数については、私いま把握しておりません。
  341. 横路孝弘

    ○横路委員 その報告している数字をちょっとおっしゃってください。
  342. 久保卓也

    ○久保説明員 いま把握しておりませんということを申し上げたわけですから、いま数字を申し上げるわけにいきませんけれども、後刻調べてお答えいたします。
  343. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、結局いまのニアミスについて、運輸省、それから各航空会社、自衛隊含めて、きちんとそれを一つのところで掌握をして、その原因を追及をして対策を立てるという、そういう仕組みが実はいままで全然ないんですよ。だから、それをちょっと指摘をするために数字を聞いているのだけれども、それは、いままで発表されたものは、四十四年度、要するに四月から三月三十一日までですが、四十四年度は何件、四十五年度は何件、四十六年度は何件という数字です。
  344. 久保卓也

    ○久保説明員 私どもで把握しておりますのは四十四年度が七件、四十五年度が十三件、四十六年度はいま手元に持っておりません。
  345. 横路孝弘

    ○横路委員 一応その上がってきたものを判断をして、これはニアミスだというものを運輸省に報告をする、従来こういう仕組みになっていたということですね。それ以外にやはり運輸省のほうから指摘をされるというものもあるわけですね。これは運輸省のほうにお尋ねしたいのですけれども、管制のほうから上がってくるのがありますね。東京管制センターなり管制のほうから、こういうニアミスをしましたという報告がある。各空港のターミナル管制から上がってくるのもある。航空会社から上がってくるのもある。自衛隊のほうから上がってくるのもある。これはそれぞれどういう指導を従来していたのですか、運輸省としては。どういう要請をしていたのですか。
  346. 金井洋

    ○金井説明員 まずニアミスですけれども、航空路で管制部がキャッチしたものは管制部から本省の管制課に上がってきます。それから空港エリア、空港周辺で起こったニアミスについては空港長が集めて、それを地方航空局、長に集めて、それから本省に上がってきます。それからさらに、エアラインのパイロットが経験したものについては、キャプテンレポートとして管制部及び管制課に上がってきます。それから自衛隊のものにつきましても、ニアミスがあったならば、本省の管制課あるいは管制部のほうに報告をしていただくということになっておりました。
  347. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、ちょっと具体的なケースをあげたいのですけれども、運輸省のほうから報告されているものですね。運輸省のほうから報告されている、たとえば四十五年度のものを見ますと、四十五年の二月二日に日本航空のボーイング727と自衛隊のT33が浜松上空一万九千フィートでやはりニアミスがあったという報告があって、そうして運輸省の処置として浜松基地に対して厳重に警告をしたという報告であります。四十五年二月九日、これはやはり日本航空ボーイング727と自衛隊のT33が河和上空でニアミスをしたというので、浜松基地に対して厳重に警告をしたということになっております。四十五年二月十七日、日本航空のボーイング727と自衛隊のT33、これが焼津の上空、やはりエンルート上でニアミスがあったというので浜松基地に対して厳重に警告をしたということは、運輸省から私たちのほうに出している報告に載っておるのです。ところが、自衛隊のほうから、四十四年度と四十五年度中のニアミスについてどういうのがあるのか知らせてくれということで私のほうで資料をいただいたら、こういう——まだほかにたくさんありますよ。まだほかにたくさんあるけれども、全部落ちているのだね。そこがよくわからない。  運輸省のほうで浜松基地に対して厳重警告したというものでさえ、防衛庁のほうの本庁で掌握していないということになると、やはりこれは、防衛庁のほうでニアミスをきちんと掌握をして、そうしてその原因をつかまえて対策を講ずるという点での処置が従来非常に不十分であったのじゃないかということを感ずるわけですが、四十五年度のケースだけでまだほかに三、四件あります。運輸省のほうからは厳重警告したといいながら、防衛庁のほうからの、いまおっしゃった七件、十三件ですね、この中には入っていない。そうしてまた、この防衛庁のほうから出てきているやつで逆に運輸省のほうに入っていないのもあるのですよ。これはまたあとでお尋ねしますけれども、どうしてそういうことになるのか。つまり、運輸省のほうから浜松の航空自衛隊の基地に対して警告をしたものでさえもおたくのほうで掌握していないというのは、一体どういうことなのか。これはどうですか。
  348. 久保卓也

    ○久保説明員 いまの疑問は、私どもも同じく疑問にするところでありまして、この前の委員会でお答えいたしましたように、会社側のキャプテンレポートをもう一度慎重にわれわれは見直して再検討してみたいと思うわけです。それからなお一つつけ加えておきますが、四十六年の数字は五件であります。今日まで五件であります。  そこで、卑近な例、まずい例を申し上げて恐縮でありますが、暗い道を女性が歩いておりまして、うしろからわれわれがついていきますと、女性は恐怖を感じるかもしれません。私は恐怖を感じません。これと同じことがやはり民間機と自衛隊機で起こっておるのではないだろうかと思います。つまりIFRとVFRというものの接近した場合の基本的な相違であります。IFRだと正道をまっすぐ飛んでいる。ところが横からあるいは正面からVFRの飛行機が来たというので非常に恐怖を感じて、ニアミスのレポートが上がってくる。ところが自衛隊機、VFRのほうは、自分の意図的な行動——意図と申しますか、自分のわかっておる行動をやろうとしますから、かりに千フィート近く接近しても、自分はこわいと思わない。そこでニアミスが出てこない。そこでレポートの内容が非常に違ってくるのではないか、基本的には私はそう思います。いつも会社側から、おそらく管制部、空港事務所あたりから部隊に報告なりが参っておるようでありますが、それを調べたところでは、いま申し上げたような事情で、それはニアミスでないというふうにパイロットが判断をした。あるいはパイロットの判断では千フィートのつもりであったけれども、民間航空機のほうのパイロットは数百フィートの近くであったという感じを受けた。御承知のように、何も基準がないところでの距離の測定というものはきわめてわかりにくいものでありますから、そういったものの判断の相違があるであろう。いずれにしましても、そういう面は不合理でございますので、運輸省と私どもで協議をして、何とかニアミスの実態がはっきりわかり、それに対する防止対策を考えるというふうに持ってまいりたい、かように思います。
  349. 横路孝弘

    ○横路委員 どうもいつもそういう例でごまかしますけれども、夜道を歩いているときだって、別に女性のうしろを歩いているからといって女性が恐怖を感ずるのではなくて、その歩き方が問題なのですよ。どたばた走っていって近づいたり、突然暗いところから出るから女性が恐怖を感ずるのだ。全部女性が恐怖を感ずるのじゃないのです。つまり民間機のうしろを飛んでいる自衛隊機の飛び方が問題なのですよ。それはいろいろキャプテンレポートを見てみると、それを目標にして訓練している以外の何ものでもない、そういう飛び方をしているのですよ。問題はむしろそこにあるのです。民間機が恐怖を感じてニアミスだと感じ、自衛隊のほうがニアミスだと感じない、そこに私は問題があると思っておる。自衛隊出身のいろいろな日本航空や全日空のパイロットの人の話を聞くと、そうやって少しおどかしてやれなんていって近くに寄っていったというようなことをしておるわけです。そういうことをやったという人がたくさんいるわけですよ。そこがだから問題なんです。片方はニアミスと感じ、片方はニアミスと感じない、これじゃもう処理のしようがないじゃありませんか。そのニアミスがなぜ起きたのかということの原因を追及して対策を考えるということはできないじゃありませんか。いまのようなこのスピード時代に、三百フィート、五百フィートの差はたいしたことじゃない。それは、自衛隊機のように小回りのきく飛行機ならいいかもしれないけれども、民間機のような大きい飛行機は、そんな小回りはきかないわけですから、そこでみんなパイロットの人が恐怖感を感じているわけですよ。そこを何ともお考えにならない。いまのような例を出して話をなさる、そういう姿勢が一番問題だと思うのです。そこをきちっと掌握する方法はないものだろうか。そこをやはりこれから考えていかなければならないじゃないかと私は思うのですよ。だから皆さんのほうで、運輸省のほうで、あるいはそういう民間航空のキャプテンレポートでもって上がってきている、厳重注意した、これは間違いないですね、運輸省の技術部長さん。たとえば四十五年の二月二日、二月九日、二月十七日の例、これは全部浜松のほうに抗議していますね、おたくのほうで。
  350. 金井洋

    ○金井説明員 はい、しております。
  351. 横路孝弘

    ○横路委員 して、その結果はどうなっているのですか。
  352. 金井洋

    ○金井説明員 聞いておりません。
  353. 横路孝弘

    ○横路委員 それもまた問題だと思いますが、運輸省のほうに同情する理由もないわけじゃないので、それはあとでお話ししますけれども、結局、厳重警告されているようなケースも上がってこない、そういう仕組みというものを皆さん方、これからどうなさろうとしますか。佐藤総理が閣議でニアミスは全部おれに報告せいと言った。そんなことを言うと、ますますこれはきちんとそういうような体制をとっておかなかったら、ニアミスレポートなんて上がってきませんよ。航空会社がつぶし、自衛隊がつぶすことになる。自分たちにミスのあるようなニアミスについて報告しないようになる。事実が隠されるようなことになる。だからできるだけ事実を隠さないで、みな処罰なんということは考えないで、ともかくニアミスのケースというのはレポートさせるように、これは制度としてつくっていかなければならないのです。どうですか、どこに問題があると思いますか。
  354. 久保卓也

    ○久保説明員 一つの問題はこういうことであります。ニアミスが何であるかということがよくわからないということ、つまり主観的な判断になっているということ、それから相対関係であるということが一つの分野であります。もう一つの分野は、航空路をVFRで飛ぶときには五百フィートの差を設ける、こういうことでありますが、航空路を横切る場合に五百フィートの差でありますと、あるいは正面から向き合ってくる場合にも五百フィートの高度差でありますから、非常な接近感というものを感じるでありましょう。そこでジェット機とジェット機の間で五百フィートというとほんのわずかの距離でしかない、時間差でしかないということから、恐怖感というものは当然出てまいります。この問題については、この緊急対策要綱の中にもありますように、少なくとも航空路の中では訓練では飛ばない。特定のたとえば計器飛行による訓練なんかは別でありますけれども。あるいは航空路を横切らないといったようないろいろな対策をとることによってニアミスを起こさないように努力する、つとめるという心理的な精神的なものではなくて、空域を分けるという分離交通を行なうということによって、その対策は相当に立ってくるというふうに思うわけです。しかしながら、なおVFRで飛ぶ余地が残されておりますから、いま言われたように、ニアミスの報告を義務づける、あるいはそれの実態をどう把握するか、その実態の把握の度合いによってまたおのずから対策も立てられるというふうに思うわけです。
  355. 横路孝弘

    ○横路委員 それは恐怖感だけじゃないのです。五百フィートでしょう、時間にしたらほんのわずかなんです。やはりそれは衝突の危険性なんです。ですからニアミスレポートを見ると、相手の飛行機のパイロットの顔が見える、一瞬衝突したと思って目をつぶったというようなケースがたくさんありますよ。このスピードの飛行機でパイロットの顔が見えた、それは恐怖感という問題で片づけられる問題じゃないのですよ。現実にやはり衝突が起こる危険性がある、まさにあったということが言えるわけなんです。だからそれは、こういう対策が進められれば、これからはニアミスというものは確かに少しずつ少なくなっていくでしょう。そうしなければならない。しかし現実にこれからだって起きる可能性はあるわけですから、そういうものをきちんと掌握する体制というものを防衛庁のほうでやはりやられるということと、それから従来のこういうケースですね。いままで皆さんのほうで知らない、厳重注意を受けたけれども全然掌握をしていない、そういうケースについて、やはり時間がたっていますから、それはなかなか無理かもしれないけれども、厳重警告を受けたあとどういう処理をしたのか、その点について、やはりもう一度調査することがこれからニアミスをなくしていく対策として必要じゃないかと思いますが、どうですか。
  356. 久保卓也

    ○久保説明員 これは再々申し上げておりますように、実態の把握がまず対策の前提になりますので、われわれが自衛隊内で把握している、空幕で把握しておるもののみならず、会社とも連絡をして総合的な調査をやってみて、その上で対策を考えてみたい。いま御提案になったことは、私どもが現在考えていることでもございます。
  357. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで運輸省にお尋ねしたいのですけれども、これは別に自衛隊ばかりじゃないのです。たとえば、いま交通安全の委員会で少しお尋ねしてきたのですけれども、日本航空なんかの場合でも、キャプテンレポートを全部運輸省に上げているかというと、その中で選んでいる。特に民間機は自衛隊に遠慮している。パイロットを供出してもらっているから、自衛隊の関係になるとそこで押えちゃって、口頭で、電話くらいで済ましているというケースがある。たとえば日本航空のほうのキャプテンレポートでは十五件あります。ところが運輸省のほうに報告されているのは二十八件ですね、四十五年には。この中では日本航空の関係は九件しかありません。中で落ちているのがあります、現実の問題として。だから日本航空なり全日空なり東亜航空の関係を、やはりきちんとニアミスをレポートさせる体制というものを、運輸省としても各民間会社に指導すべきだというように考えますが、いかがですか。
  358. 金井洋

    ○金井説明員 日航の報告と運輸省の報告が違うじゃないかという御指摘でございますけれども、今回の空中衝突以後、日本航空をはじめエアラインに対して、ニアミスの件数が、未報告のものがどのくらいあるのかということを報告するように指示しましたところ、追加報告されて、九件が十五件になっているということでございます。これはもちろんありのままに全部報告されるように指導しておったわけでございますけれども、いままで当方の指導も十分ではなかったということでございます。  そのまず第一は、ニアミスのレポートの様式をきめていなかったということ。パイロットはレポートに記入するのを非常におっくうがりますので、これはできるだけ簡潔にして、要領を得たものを様式的にまずきめるということと、それからさらにエアラインに対しましては、いかなるレポートや報告内容であっても、これは昇給だとか処罰とかそういうものには全然無関係であるというような指導が十分でなかったと思います。この点につきましては、御指摘のように、ニアミス防止ということは、レポートが上がってくることがまず第一でございますので、これを書かせるように、できるだけ全部ありのままに書いていただけるようにこれから指導したいと思います。
  359. 横路孝弘

    ○横路委員 ですから、事故が起きてから、ほかにもあるのじゃないかということを運輸省のほうで言ったところ、実はこういうのもありましたということで報告をしてきたということでしょう。ですから、やはり皆さんのほうに航空会社に対する気がねがある。やはりきちんとそこのところを指導するようにしてもらわなければ困ると思うんですね。交通安全で朝田さんが参考人に出ておりましたので私も要望しておきましたけれども、ひとつ運輸省のほうの指導も——各航空会社はやはり隠したがる。これは運輸省のほうの管制の関係もやはり同じことが言えるので、自分のミスだとどうも報告をしたがらないということで、アメリカなんかのケースも、あそこはニアミスというものは、きちんと事故調査並みにいろいろな制度的なことをやっていて、その上でなおかつきちんと報告された数の四倍はあるだろう、こういうようなことがいわれているわけですけれども、その辺のところはまず実態を把握し、原因を追及するという体制をとってもらいたいと思うのです。  そこで、これは運輸省のほうに対してお願いになるわけなんですけれども、ニアミス関係は、従来、こういうような自衛隊のほうでもきちんと上がってこない。航空会社のほうでもきちんと上がってこない。なぜそういうふうなことなのか。あるいは厳重警告をしたあとどうなったかといっても、それはわかりませんという。なぜそうなるのかというと、やはりニアミスについての対策の姿勢というのは不十分だ。いま実際運輸省のほうでやっているのは、管制と航務の関係の人間が、専従じゃなくて、ニアミスだけ軍門にやっているのではなくて、ほかの仕事もやりながらその仕事をやっているという体制でしょう。これはやはりほかの外国並みに、本来ならば、事故調査課と同じように、ニアミス防止のための課なら課というものを設けて、それに専従する人間を配置をして、そして一つ一つのニアミスについてきちんと自衛隊を調べるなら調べる、管制のほうにミスがあるならば、そのミスがどこに原因があるのかということを調べるという体制を運輸省としてもとるべきだと私は思いますが、いかがですか。
  360. 金井洋

    ○金井説明員 御指摘のとおりでございますので、今回の事故にかんがみまして、ニアミスその他すべての保安業務の監察制度というものを確立して、厳重に資料あるいは対策なりを整えて防止につとめたいというふうに考えております。
  361. 横路孝弘

    ○横路委員 人員的に組織的にきちんとそれ専門の人間を配置をする、あるいは課が無理だったら事故調査課の中に何かニアミスの係みたいなものをつくるというようなことをお考えになっていないのですか。それをやらなかったら、ほかの仕事をやりながらレポートを受けたときだけやるというようないまの体制では、やはりこれからのニアミス防止ということを行政としてきちんとやっていくことにはならないと私は思うのです。
  362. 金井洋

    ○金井説明員 先ほど申し上げましたように、保安業務あるいはニアミスというものを含めまして専属の監察を担当する専門家、こういうものを専属に置きたい、こういうことでございます。
  363. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、最後になりますけれども、問題はやはり人なんですね。人がいるかいないかという問題です。これからこういう航空路についての特別管制区域を設ける、あるいはターミナル特別管制区を追加をしていくということになって、それだけの要員が要る。あるいはVOR一つつくるにしても現地に行って調査をし、あるいは無線なら無線の保守をやるという関係の人間というものが必要だ。ところが、その要員というものがはたして確保できるかどうかということについて非常に大きな疑問があるわけなんですけれども、運輸省のほうから、要員を当面これから養成していくのにはやはり時間がかかるというので、防衛庁そのほか含めて郵政省等に、人間を出してくれという要請をしておりますけれども防衛庁長官、これはたぶん運輸省のほうから要請が行っていると思いますけれども防衛庁としては協力されるお気持ちがあるかどうか。
  364. 西村直己

    ○西村(直)国務大臣 私のほうも、航空安全につきましてもプロジェクトチームと申しますか、内局の防衛審議官を含めて一つの対策の機構をつくっております。その中でいずれその要請に対してどの程度御協力できるか検討したいと思います。
  365. 横路孝弘

    ○横路委員 それで、行政管理庁の方、お見えになっておりますね。きょう何か閣議決定がされたそうでありまして、やはり運輸省のほうも他省並みに人員の削減だということになりましたね。長官は国会で、航空関係については別ワクで特別の配慮をせざるを得ないだろう、それをいたしますということをこの間の合同審査会の席上で楢崎委員質問にきちんと答えていたと思うのですね。ところがきょう閣議決定されたものを見ると、やはり一・六五五%、それは一番低いところには押えてあるけれども、いずれにしても削減という方針がきまっている。ことにあれは、四日でしたか、一週間もたたないうちに、別ワクでやりますと言いながらこういう削減をきめる。一体、航空関係にどんな配慮をなさったのですか。答弁したことが一週間たって変わってしまうということでは、ほんとうに政府として航空行政を考えているのかどうか、安全対策を考えているのかどうか、私たち議論していてもほんとうにむなしさを感ずるだけなんです。きちんと答弁をしたことは約束を守ってもらわなければ困ると思うのです。一体どうなってこういうような決定になったのですか。
  366. 河合三良

    ○河合説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の点でございますが、別ワク外特別の配慮をするという答弁があったということでございますが、これは今回の航空の整備五年計画を三年計画に短縮いたしました関係で予備費支出が必要になりました。この関係で、特に予備費の支出によりまして定員の増を見ております点、また航空保安関係職員につきましては、第三分類を第四分類に分類を下げております点、そういう点におきまして特別の配慮をいたしたということであります。
  367. 横路孝弘

    ○横路委員 それはおかしいですよ。つまり、ことし予備費の関係で八十五名でしたか、認めただけで、来年からのものは別だということですね。そうすると、事故が起きたからことしだけは当面人間をふやしてやろう、来年からはほかの省並みに人間を減らしなさいよ——これは運輸省のほうから聞くと、特別管制区域からこの五カ年計画をやるための人員というのは、無線から照明から全部入れて二千数百名必要だそうですね。それだけの増員をかちとらなければならないところを、人をふやしてやらなければならないところを、人を減らせ。この委員会でも何回か議論がありましたけれども、行管の勧告というのがあります。大体、研究員の人が足りないから、この辺のところはもうちょっとふやしてやらなければならぬという勧告をしょっちゅう出しておる。一方でそういうことをやりながら、一方では人間を減らすということでは、やはり理屈に合わない。あのときの答弁では、ことしの分だけなんということじゃないですよ。四日の衆議院の連合審査会で、これからどうなるのかという質問に対して、定員削減のワク外でやりますという答弁のように私は聞いている。ですから、そういうようなお答えなら、これはやはり大臣を呼んできてほんとうは議論しなければならぬところだと思うのです。そうすると、来年度からは全然そういうことは関係なしに一般他省並みに定員削減をやっていく、こういうことですね。
  368. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 横路君に申し上げますが、私もせんだっての委員会の楢崎君の質問を伺っておりました。その答弁は、横路君がいま言われたこととややニュアンスを異にします。既定の計画は計画として、別に別ワクで、こういうように言っておったように私は記憶をしております。この計画とは別に、今年度並びに来年度、将来については増員をいたします、かような答弁であったように存じますので、この点は、別途行政管理庁長官を呼ばれることはまた別に御協議はいたしますが、基本的にはいまの河合局長答弁とは必ずしも矛盾しない、かように私は理解しておりますが、その点はさらに御究明を願います。
  369. 河合三良

    ○河合説明員 ただいまお答えいたしました削減の率を下げたという問題につきましては、これは最低の一%という職種分類に入れております。一%削減するという趣旨の職種に分類いたしました。と申しますことは、これはその職種に属するものをすべて一%削減するという意味ではございませんで、その職種に属するものの中でも、削減のきわめてしにくいもの、あるいはそれと比べまして程度の若干軽いもの、いろいろございますので、そういうものを全部含めまして一%。私も運輸省当局から、この三年計画、少なくとも来年度におきましては、運輸省の管制官につきましては事実上削減いたさぬというようなお話を承っておりますし、その辺のところは各省庁の御判断におまかせしている次第でございます。また、ただいま委員長からお話がございましたように、将来の増員問題につきましては、これは必要なところには大いに増員を見ていくという方針は、先日大臣の御答弁申し上げたとおりでございまして、こういう重要な問題につきましては、そういう見地から、行政管理庁といたしましても鋭意検討いたす所存でございます。
  370. 横路孝弘

    ○横路委員 第二次五カ年計画の繰り上げ実施の問題ですね。その要員と、今度八月七日にきめた対策要綱に基づいてさらに要員というのは必要になってくるわけですね。この繰り上げの問題と別にまた必要になってくるわけですよ。ですからそこのところを、たとえばニアミスならニアミスの関係をきちんと調査する体制をとる、専従を置くということになりますと、やはりそのための人員も必要になってくるわけです。ですから、その辺のことを十分運輸省のほうと話をされて、他省並みというようなことで何かきょう閣議決定されたようであります。千六百五十五人、大体他省並みという低いところに押えたけれども、削減をするという方針がきまったようなんですが、運輸省の中で調整するといったところで、ほかのところはどこでも人が足りない。航空の関係だって、管制ばかりじゃなく無線の関係、照明の関係、やはり要員が不足なわけなんです。だから、そこのところをぜひ考慮されていっていただきたい。私はきょうの閣議決定に非常に不満を持っているわけですけれども、将来的な検討としては、増員を認めるという方向でぜひやっていただかなければ困ると思うのですね。これは、運輸省のほうもおられますが、たとえば今度の場合、八十五名だって、要求全部認めたわけじゃないでしょう、行管のほうで。たしか百五十名近い要求を削って八十五名ということですね。さらに、組合のほうはどういうことを言っているかというと、さらにその倍、三百四十五名必要だ、こう言っているわけです。実際に現場で働いている人は三百四十五名必要だ、運輸省のほうは百五十名で要求した、行管で認めたのは八十五名だ、それでなおかつ特別の最大の配慮をした、こういうことでは、私たちはその姿勢というものを疑わざるを得ないわけです。その辺のところを再度確認して、一律にはやらぬ、増員はできるだけ認めていくという方向でやっていくという姿勢を重ねてもう一度明らかにしてもらいたい。
  371. 河合三良

    ○河合説明員 ただいまお話しの現在の段階におきます予備費の査定は、八十五名に査定いたしておりますが、もちろんこれは運輸省当局と十分お打ち合わせしてきめたものでございまして、当面これでいけるというふうに御理解いただいたわけでございます。  それから、八月七日の新しい問題につきましては、今後の問題として、もちろん前向きに慎重に検討していく所存でございます。  また、定員削減に関しましては、これは原則的に申しますと、できるだけ現在の仕事の簡素化、合理化によりまして、余剰の部分の定員を集めまして、それをさらに今度は緊急のほうに回していくということで、行政需要の消長に応じた定員の配置がえという考え方でございますので、必要なところにはできるだけ十分に人を回していくという方向で検討いたしていく所存でございます。
  372. 横路孝弘

    ○横路委員 慎重に検討するなんて、総理大臣のまねをなさらぬでください。結局何もやらぬということですからね。その最後のところの、必要なところには人を配置するということでやっていっていただきたいと思います。  これで終わります。
  373. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、来たる十六日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会