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1971-09-20 第66回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月二十日(月曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 高橋清一郎君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 古川 喜一君 理事 樋上 新一君       宇田 國榮君    小渕 恵三君       坪川 信三君    長谷川 峻君       安宅 常彦君    武部  文君       中野  明君    池田 禎治君       土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  委員外出席者         文部省大学学術         局視学官    遠藤  丞君         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政大臣官房長 森田 行正君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省貯金局長 石井多加三君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   庄司 茂樹君         日本電信電話公         社職員局長   玉野 義雄君         日本電信電話公         社営業局長   遠藤 正介君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂本 朝一君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 九月三日  辞任         補欠選任   土橋 一吉君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     土橋 一吉君 同月十日  辞任         補欠選任   金子 岩三君     細田 吉藏君     ————————————— 七月二十四日  一、有線テレビジョン放送法案内閣提出、第   六十五回国会閣法第一〇二号)  二、逓信行政に関する件  三、郵政事業に関する件  四、郵政監察に関する件  五、電気通信に関する件  六、電波監理及び放送に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件  逓信行政に関する件(放送大学に関する問題等)      ————◇—————
  2. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際申し上げます。  本日、参考人として日本放送協会理事野村忠夫君に御出席いただいております。  質疑の申し出がありますので、これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 私は最初に、大臣が就任をされましてから初めて御質問申し上げるわけでありまして、これから二、三お伺いをする前提となる問題について郵政大臣見解を承りたいと思います。  先般、郵便法改正が当委員会で決定をいたしまして、料金値上げになった。その際、料金値上げの問題にからんで、郵政事業の中における人と人との問題、端的に言えば、労使の問題についていろいろ話し合いが行なわれました。御承知のように、昭和五十年には郵便物数が百四十億通になろう、あるいは昭和六十年には二百億通になるのではないかというように、郵便物数の増加は非常に急テンポに進んでいるわけでありますが、特に郵政運営経費の中で占めるところの人件費の割合というのは八割に達しておるのであり、そういう面から見ますと、人間人間との関係労使関係を抜きにして郵政事業の効率的な運営はあり得ない、このようにわれわれは感じておるわけであります。しかし、残念ながら現実には、国鉄と同様に郵政は、いま現業部門の中で二つ取り上げられておる労使紛争の非常に激しいところであります。これはもう現実に私ども幾らでも例を申し上げることができますが、いずれにしてもそういうような労使紛争を何とかしなければならぬ、これが前大臣見解でもあり、あとで私これは申し上げますが、去年の暮れの紛争の解決の際、そういう申し合わせが労使双方でなされ、具体的には、年を越して二月に二回にわたって大臣依命通達というものが人事局長名をもって各局長あてに出されておるのであります。一体郵政大臣はこの現実をどのようにお考えになっておられるのか。将来労使紛争ということについて、新しく就任された郵政大臣はどのような見解を持っておられるのか、それを最初にお伺いいたしたい。
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、郵便仕事郵政事業のまさに根幹をなすものでございまして、しかもその郵便は、年とともに物量がふえておりますことは御承知のとおりでございます。しかもその郵便事業は、経費の面から申しますと八割が人件費でございまして、そういうことを考えますと、郵政行政におきまして人と人との問題、労使関係がいかに重要な要素をなすかということは、ただいまのお話のとおりだと思うのでございます。  そこでお尋ねは、私の郵政省における労使対策につきましての基本的な姿勢、このことについてのお尋ねであろうかと思いますが、これは何と申しましても、ただいまお話のございました、昨年十二月十四日に労使の間で認められました確認事項、これを踏まえまして、私は第一に、ただいまの時勢に対して、進展を続けております郵政事業、この郵政事業をうまく運営できるというその根幹をなしますもの、その基本をなしますものは、何と申しましても労使の安定でなくちゃならない、正常化でなくちゃならないということを考えておるわけでございます。したがって、この郵政事業のあるいは合理化あるいは近代化ということにつきましては、労使の安定ということを前提としなければならない、したがって、その方面の努力を傾注しなければならないと、かように考えておりますことが第一点でございます。  第二点は、労使の間にいささかの不信感もあってはならない、そういうような思考で努力をしなければならない。労使の間におきましては誠意誠意信頼感信頼感をもって相対処していかなければならない、こういうように考えておりますことが第二点でございます。  第三点は、ただいま申しました二つ努力を重ねてまいりますその過程におきまして、私ども労使双方に対しまして何かと求むべきことは求めてまいる、そうして労使双方におきまして、あるいは違法なあるいは不当な行為がありましたならば、厳にその反省を求めて正していかなくちゃならない、こういうようなことを考えております。  特に申しますれば、私の労使に対する根本的な姿勢はただいまの三点でございます。
  5. 武部文

    武部委員 いま三つのことをおっしゃったわけですが、最初の、労使間が安定をしなければならぬ、これは当然のことであります。二番は、不信感というものを払拭しなければならぬ、これが私は非常に大事なことであろうと思うのです。第三番目の問題は、これはあとで若干、私異論がありますから触れますが、少なくとも労使間というものは相対的なものであります。したがって、片一方のものが、相手に対して求めるものは求めるというような強い態度で出ると、片一方はそれに反発をする、これは当然起こり得ることであります。たとえばこの手元にございます、いま大臣がおっしゃった十二月十四日の確認事項に基づいて、二月九日と二月二十二日に人事局長名でもって通達が全国の長に流されておる。これを読んでみますると、前の井出郵政大臣は、「省の従来からの指導が守られていないというようなことはないと信じているが、もしかりにそのようなことがあるとするならば、それは、親の心子知らずというもので、私の真意からは遠いものである」、こういう文章が出されております。そうして、この一貫して流れておる文章内容をみると、いま大臣が三番目に言われた「組合に対しても求めるべきものは求め、組合の活動についても正すべきものは正し、」こういうことばが載っておるのであります。また、そのあと出されました二十二日の通達を見ましても、やはりそのことはちゃんと後段の文章のほうに書いてある。  私は、先ほど相対的なものであると言いましたが、いまの労使関係というものは、求めるべきものを求め、正すべきものを正すという姿勢のほうが強過ぎるんじゃないか、私はそのように、いろいろな事例を見て感じておるのであります。  また、この通達が逆に地方の段階へ行った場合に、この大臣ことばじゃありませんが、親の心子知らずということに結果的にはなって、十二月十四日の労使間におけるところの確認事項が、むしろ第一線現業段階に行くと紛争のもとになっている。かえってそのことが紛争をかもし出す原因になっておるという事実を私はたくさん知っておるのであります。特にこれからあってはならぬことでありますから、大臣に特にお願いをしなければならぬわけですが、いままで不当労働行為の問題とかいろんなことが取り上げられましたが、現実にいま郵政部内では、職場の中に第二組合ができた、そういうところの管理者がすべて栄転をしておる。こういう事実があるわけです。これは一々私は例を言いませんが、現実に第二組合ができた、分裂をした、そういうところの管理者というものはすべて転勤の事態では栄転をしていっておるという事実、さらには、組合を脱退した者また脱退させられた者、そういう者がほとんど他の者に比較をして、職制昇格をする率が非常に多い、早い、そういう現実の姿があります。いま郵政省給与体系職階制賃金体系をとっておりますから、どうしても級別の定数からいってもワクがある。そこで、昇格をした者が主任になったり主事になったり、職制につく。その者は給与体系の面では優遇をされる。そういうような、すべて金銭的なものがこれにつながっておるわけであります。それと人事権を結びつけた場合には、一体どういうことになるか。現実人間が金銭の面で差別をされたりするということについて弱いということは、これは当然であります。そういうことがあってはならぬのに、現実にそれが行なわれてきた。さらにことばを返せば、労使紛争であおりを受けて三人の自殺者が出ておる、そういう現実の姿があるわけです。ですから、それはいま大臣が言われた、労使間は安定をせなければならぬ、さらに、不信感を払拭しなければならぬ、まことにそのとおりだし、私どもは賛成であります。ぜひひとつ、いま起きておる現実の姿というものを直視をしていただいて、いま私が申し上げたように、労使間はお互いに相対的なものですから、省側がただ単に相手に対して求め、相手に対して具体的にこの文章に書いてあるような、正すべきものは正すというようなそういう態度ばかりではなしに、やはり相手から求められるものについても、郵政省自体がそれに対して応ずるだけの度量というものを持っていかなければならぬ。私は、その中から、労使というものが、現実お互い話し合いの中から安定をしていくだろうと思うのです。あと標準送達速度のことを申し上げますが、このことが根底でなければ、郵政事業前進というものはあり得ないと私は思うのです。何回もこの委員会で、いままでの大臣にも言いました。郵政省局長にもいろいろ話をいたしております。ですから、新しい大臣としてそういう現実をぜひひとつ認識をしていただいて、少なくとも十二月十四日のあの確認事項というものが現場第一線で守られていく、その中から労使がほんとうの意味においての相互不信感をぬぐっていくというかっこうでなければ、私は事業前進というものはあり得ない、このように思うのであります。  そこで、これはいまのは私の意見でございましたからお伺いいたしますが、この二月二十二日に郵人管第五十号というものが流されております。この中には、「団体交渉等コミュニケーションのあり方についても、慎重に検討していくこととし、その結論を得次第、別途指導することとするので、」と書いてありますが、その指導を待ってやれというような通達が流されております。あれから六カ月以上経過をしておるわけですが、この通達後、そういうような指導をなされたのかどうか、それをお伺いいたしたいと思います。
  6. 北雄一郎

    北説明員 お答え申し上げます。  その前に一つ、たいへん恐縮でございますけれども、求むべきものは求め、正すべきものは正すということにつきまして、若干私ども考えておりますのは、実は組合に対して求むべきは求め、正すべきは正すでありますけれども、その趣旨とするところは、要するに組合現実出方が、個々の現場における出方に問題があるというふうに管理者が思いました場合に、この組合はこれだからパートナーになり得ないのだというふうな考え方を持っちゃいかぬ、そういう趣旨でありまして、そういった場合には、あくまで根気よく相対関係の中で、相手方に必要がある場合は反省を求めていけ、あっさりあきらめて、パートナーになり得ないのだ、こういう考え方ではいかぬぞ、こういう趣旨指導をしたわけであります。  それからただいま御質問がございましたコミュニケーションの問題でございますが、これにつきましては、この昨年の組合との確認以来、組合本部と私どもの間で小委員会を設けまして、そして双方意見の交換をしてまいりました。先ごろ、八月の下旬におきまして、その段階におきまして、一応具体的なものをこちらといたしまして相手方に示したわけであります。むろんそれに対しまして、組合のほうからも具体的ないろいろな意見が出ました。ちょうど先月末、今月初めにかけまして全逓のほうが大会を持ったわけでありますが、大会前の段階におきまして、一応本部大会へかけ得るようなそういう具体的な案を出しております。その案につきまして、大会で議論がなされたようでありまして、大会では結局、それを基本にして、なお省との間に詰めていきなさい、こういう結論になったように聞いております。大会も終わりまして、その後私ども本部の間でなお話を詰めておるわけでありまして、できるだけ早い機会に具体的な結論を得て、その実施に移りたいと、かように考えております。
  7. 武部文

    武部委員 いずれまたこれは具体的な例をあげて大臣にもたださなければなりませんが、いずれにしても、いままで出ました郵便事業正常運営を確保するための方策に関する郵政大臣の諮問、これに対する答申、これを見ても、随所に「健全な労使関係の樹立に格段の努力を要望する。」とか、一番最後のほうにまたあらためて「およそ、事業の健全な経営のためには、諸々の施策にもまして、人の問題が重要である。」こういうことが随所に出ておるわけでありまして、したがって、こういう問題が郵政事業の中では私は一番根幹だということを前々から言っておるわけですが、いずれあらためて具体的な例を私は申し上げます。ぜひひとつ労使双方不信感というものがないように、それは先ほど言ったように、一方的な相手の正すべきものだけを正すというような態度ではなしにやってもらわなければならぬ、そういうふうに思うのであります。いずれこの問題はまたあらためてやります。  そこで、大臣二つ質問をいたしますが、最初は、御存じの郵政公社の問題であります。この答申が出ましてから、これは四十四年でありますので相当年月がたっておるわけですが、一体郵政公社というものについて郵政大臣はどのようにお考えになっておるのか。郵政省としてはこの公社答申をこれからどのように取り扱おうとしておるのか、これをお伺いいたしたい。
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 郵政事業公社化の問題でございますが、これにつきましてはただいまお話しのように郵政審議会の御答申をいただきまして、郵政事業公社でやることが好ましいというような趣旨のお答えをいただいておるわけでございます。  そこで、自来、郵政省といたしましては即刻にいろいろ努力をいたしてまいったわけでありますけれども郵政事業は御承知のように郵便のほかに保険貯金という仕事をやっておりまして、これは民間にも類似の仕事がございますものですから、郵政事業部門公社化ということについては、なかなか事が大変革でありますだけにむずかしい問題があったようでございます。しかし私は、その方向は正しいと思っておりますので、明年度の予算の要求には間に合わなかったのでございますけれども、じっくり私みずから真剣に考え直して、できますことならば両三年のうちにはそのようなことが実現できるように努力を重ねてまいりたい、このように考えておりますわけでございます。しかし、その公社化という精神はまことに貴重なものでございますから、たとえば郵便法改正にいたしましてもあるいは貯金保険法改正にいたしましても、そういう精神精神といたしまして法律改正をやるべきだということで、そのような措置を講じてまいったわけでございます。いわば私どもこの仕事に携わっております関係者の意識の問題がきわめて大きいわけでございますから、そういうようなこともよく含んで事業公社化という道についての方向、そのような精神を尊重しながらできるだけの努力を重ねてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  9. 武部文

    武部委員 貯金保険の問題にいま触れられたわけでありますが、私どもが聞いておるところではこの公社化の問題で、いま保険契約高は十一兆、貯金の残高は八兆円、そういうふうに膨大なものでありますが、これについて大蔵省から直接郵政省に対して保険あるいは貯金郵便、この三つ部門公社化について異論が出されたということがございますか。正式に大蔵省が、三部門公社化については反対だということを言ったという事実がございますか。それとも全然そういうことはございませんか。いま大臣見解ですと三部門統合公社化案考えておる、こういうことですが、どうでしょう。
  10. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 大蔵省から正式に、公式に反対されたというようなことは承っていないのでありまして、いろいろ差しつかえがあったというような話は聞いておりますけれども、公式の反対はあっていないようでございます。
  11. 武部文

    武部委員 次に、もう一つお伺いいたします。これはマスコミで知ったわけでありますが、郵政省の中に情報処理基本法調査会というようなものを何かつくって、これから何か情報のいろいろな問題についてやるというようなことをちょっと見ましたが、これは一体どういう内容で何を目的としておるのか、それをちょっとお伺いいたしたい。
  12. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御承知のように、だんだん世の中情報化社会を指向してまいるというように私ども考えておりますわけでございまして、したがって、情報処理重要性はいよいよ加わってまいり、私ども郵政省を担当しております者の責任というものはいよいよ加重されますことを自覚しなければならないと思っておるわけでございますが、そういうようなことも考えつつ、前の国会公衆電気通信法審議されました際に、野党の皆さん方から、公衆電気通信法改正よりも情報基本法をつくることが先ではないかというような御意見もあったやに承っておりますし、これに対しまして当時の大臣が、前向きで検討いたしたいと思っております、それから佐藤総理も、それに類する御答弁をされたやに承りましたので、これは捨ててはおけない、どういう輪郭で情報処理基本法をつくるかということについてはまだ暗中模索ていでございますけれども、とにかくひとつそういうものをつくる方向勉強を進めてみようということで調査会を置いたわけでございます。  しいて申し上げますれば、だんだん通信のメディアというものが分化してまいりまして非常に複雑になってまいりますと、たとえばデータ通信の例をとりましても、一台のコンピューターの中に日本全体の住民の戸籍謄本が簡単に入ってしまうというような時節になるようでございまして、そういうことになりますと、個人個人プライバシーというものが侵されないようにということが非常に大きな問題になるのじゃないかということを考えるわけでございます。しかも、情報の伝達はあくまで自由活発でなくちゃならない。情報の伝送についてその自由を確保し、そうして個人プライバシーを侵さないようにというようなことを心がけなくちゃならぬと思いますし、そういうようなことを基本法にも織り込むことが必要じゃないかと思います。また情報を盛んにいたしますためには、通信技術開発あるいは通信器材生産振興というようなことも特に基本法にうたいまして、国家がそういうような姿勢技術開発でありますとか、あるいは通信器材生産振興でありますとかいうようなことに育成の力を注ぐ必要がありはせぬかというようなことも考えられますわけでございまして、そういうようなことを基本法にはうたうことが必要ではないかと私は考えておるわけでございます。そういうことは基本法でなくてもいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、とにかく情報というものがどんどん今後重要性を増してまいりますれば何か基本法らしきものが必要じゃなかろうかという、まことに申しわけない暗中模索ていでございますけれども、気がいたしますものですから、ひとつ勉強してみよう、国会で御答弁申し上げたような次第もございますから、そういうことも考えつつ、ただいま申しましたようなことをひとつ勉強しようということで調査会をつくることにいたしたわけでございます。
  13. 武部文

    武部委員 確かに公衆電気通信法審議の際に、私どもは、基本法制定が先であって、そのあとからデータ通信の具体的な問題を出すべきだという主張をいたしました。結果的には法律改正が先にいったわけでありますが、その際に私どもは、情報処理基本法の問題として三つの点をあげたわけであります。民主的な運営の問題、あなたがいまおっしゃったプライバシーの保護の問題、平和利用の問題と国民生活向上という、この三つの問題をこの基本法の中には柱として入れるべきだという主張をいたしました。総理も、郵政大臣も、基本法をつくることについては努力をするという答弁でありまして、いまお聞きいたしますと、まあ勉強段階だということでありますが、そうするともう具体的には、日進月歩でどんどん進んでおる、そういう世の中でありますから、基本法制定というものは当然急がなければならぬ、そういう意味一体郵政省の中にどういう構成でおやりになったかわかりませんが、少なくとも郵政大臣としては、国会にできるだけ早い機会基本法を提出するというような御意見があってこういうような調査会をつくられたと、そのように理解してよろしゅうございますか。
  14. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、前向きではございますけれども暗中模索というようなかっこうでもありますわけでございまして、まあなるべくいい結論を早く得て国会に出したいという努力をしておるというように御了承いただきたいと思うのでございます。
  15. 武部文

    武部委員 これはあらためて論議いたします。  そこで今度は、例の郵便法改正の際に問題になりました郵便標準送達速度の問題であります。これを公表するというような話があったわけでありますが、私ども承知しておるところでは、この郵便標準送達速度というものは、別に新しく発生するものでも何でもない、いままでそういうものはちゃんとつくられておった。ただ公表しなかったというだけであります。問題は、これを公表するということに大きな問題があると私は思うのです。そこで最初労使の問題を私が申し上げたのは、ここに関係があるわけであります。この郵便標準送達速度というものを、郵政省はあの国会の際に答弁をいたしておりますし、また参議院では郵便法改正が通過をいたしました際に、附帯決議の中の一項目にこれを加えておるようであります。一体郵政省としては、この郵便標準送達速度というものをどのような形でいつごろ公表しようとしておるのか、それを最初にお伺いいたしたい。
  16. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 お答えいたします。  郵便の送達のダイヤの問題でございますが、さきの国会の御決議もございますので、ぜひつくらなくちゃいかぬというわけで、ただいま鋭意作成を急いでおるわけでございまして、ただいまのところ、一種定形と二種につきまして、ことしの十月末までにそのようなダイヤをつくりたい、こういう目途でいま努力を続けております。
  17. 武部文

    武部委員 確かに郵便というものが、いつ出されたものはいつごろつくということが国民の前に明らかにされる、これは当然サービスの面においても、また公共事業としても、私はよくわかります。ただ問題は、いままでなぜそれが公表されなかったのか。公表しても実効はあがらぬときには、かえってそれが逆な効果を生むということは当然であります。したがって、いままでそういうものが部内ではつくられておっても部外に公表できなかったのは、それなりの理由があるからであります。いろいろ衆参両院の逓信委員会の議事録をずっと私読んでみましたが、その中ではやはり郵務局長答弁も大体それに類したようなことを言っておるのであります。少なくとも現在郵便が遅配をしておる、そういう事実は一体どこから起きてくるのか。ただ単に、何日に投函されたものは、どこどこならば何日で配達されますというようなことを公表するだけでこの問題は片づくような簡単なものじゃないと私は思うのです。少なくともそれには、冒頭申し上げるように八割が人件費、すべてこれは人の力をかりなければ処理ができないという郵便事業の特殊性があるわけです。そうなってくると、一体いま都会で——これは農村ではほとんどそういう遅欠配はないわけであります、都会であります。都市において、一体なぜそういう遅配が起きておるのか、あるいは二号便の配達ができなくて、一号便だけでようやく終わってしまっておるという、そういう事例もあります。それは一体どこに原因があるのか。これはもう言うまでもなく都市の過密化であり、交通難であり、高層建築であり、あるいは人員不足である。そういうようなもろもろの事情が重なってこういう遅配という現象が起きておるのであって、そういうことに目を向けて解決をしないで、ただ単に、何日に出されたものは何日に配達いたしますというようなことを、何ぼきれいなことを言って発表しても、現実にそれが実行できない場合は、郵政省は非常に強い国民の不信を受けるでしょう。同時に、現実に配達しておる配達の諸君は、もっと強い批判を受けるかもしれません。そういう面では、現実にいま求人難で、現実に東京あるいは大阪の外務の諸君というものの出身地は地方であります。地方で二、三年たって、まあそのうちに地方へ帰してやるから何とかひとつここでしんぼうしておれ、こういう結果になる。ところが、外勤の人の職業というものは特殊でありまして、そこの地域をよく知っておるからこそ仕事に役に立つ。それがまた二、三年先になって地方に帰してやるということになると、また新しい人を採用しなければならぬ。定着率がないわけです。また非常に待遇が悪いから、二、三年あるいは四年ぐらいでやめてしまう。そういう定着率が非常に悪いという人的な問題、そういうことをむしろ前提として解決しなければ、この郵便標準送達速度というものを幾ら発表したって絵にかいたもちに終わってしまうという気がしてならぬ。十月末とおっしゃった。あと一カ月しかない。少なくともそういう人的な問題、待遇の問題、定着率の問題、そういうことについてはっきりとした自信があるのかどうか、発表されたあとにそういう混乱が起きるということはないのか、その点はどうでしょう。
  18. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 お答えいたします。  郵便の標準送達日数のとり方の問題が第一点にあろうかと思います。ただいま武部委員のおっしゃいましたように、郵政省内ですでにあると申しますのは、われわれ内部でいっておりますところの規定結束表に基づいたものでございます。しかしこの規定結束表どおりに現実にいかない場合がございます。御承知のように、特に大都市等におきましては、夕方一度に持ち込まれるとか、いろいろな事情で規定結束表どおりいかない場合がございます。今回公表するのは、まあ一般の住民の方にお約束するというのを重点にして発表したいと思いますので、その辺、単に規定結束表どおりでなしに、現実にそれに対してどのように行なわれているかということなどを分析して公表したい、こういうふうにまず第一点に考えております。  それから、そのような方式をとったにしても、ただいま武部委員から御指摘のように、いろいろそれの前提となる問題がございます。それにつきましては、ずっと数年来、郵便局舎の改善の問題、増員の問題、いろいろ手を打ってきておるつもりでございます。今回も、四十六年度予算で成立したものを配賦いたしましたが、特に大都市周辺、そういったととろに重点を置くと同時に、さらに個別に各局の実情を見まして、そして定員配置などを、単に一般能率ではじくのではなしに、ただいま御指摘のように非常に若い外務員が多いところとか、いろいろの事情でまだ配達になれてないとか、そういうようなことをも勘案して定員の配置というものを考えております。そして現在のところ、私ども郵便の運行状況を見てまいりますと、大体正常に運営ているというふうに考えております。もちろん二、三の例外はございますが、大体いまのところ正常、特に去年に比べますと、非常に正常化しておるような感じがいたしますので、これらを踏まえて、この十月の下旬に公表したいと考えております。しかし、公表するまでに全部の手が打ち終わるわけではございませんで、公表した以上はこれを守らなければならないという意味において、来年度予算等につきましては、大都市周辺の郵便の正常運行に重点を置いた要求をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  19. 武部文

    武部委員 井出郵政大臣は、いま私が申し上げた、たとえば定員の問題あるいは職場の環境の問題、そういうものを解決しておるということを待っておるのではとてもだめだから、突貫工事でもひとつ何とかやらなければいかぬということを国会答弁がありました。そういう答弁があった。突貫工事もけっこうですが、その突貫工事の背後に、そういうものの解決をサボっておったのではこれは何にもならぬのですよ。かえって不信感を招くだけなんです。ですから、この答弁をずっと見ておると、たとえば井出郵政大臣は、労使関係における正常化、安定化、こういうことが前提にならなければならぬ、こういうことをはっきり言っておられるわけです。それから郵務局長は、これまた、労使関係の不安定に基づく職場の乱れがあって、これが一番大きな壁だ、こういうことも言っておる。そういうことを片方では解決をしなければならぬのです。ところが、そういう努力がはたしてやってあるだろうか、こういう点について私は疑問を持つのです。井出郵政大臣は、前回この標準送達速度の問題では、たとえば全逓の協力を求めなければならぬ、こうおっしゃっておるけれども、私の聞いておるところでは、いま何にもやっておらぬのです。いまそういう話は一つもない、そういうことではやはりだめなんです。少なくともそういう職員の協力がなければ、この標準送達速度というものは実効をあげないと思うのです。  たとえば私はここに持っておりますが、これは東京郵政局長が七月二十六日に出した「標準送達日数の公表実施のための郵便業務正常運行推進計画の作成について」というもので、こういう文書が流れておるわけです。これを読んでみると、なるほど最初のころには結束の問題とかいろんなことが載っておりますよ。ととろが、この中にやはり相当な部分さっきのような不信感をもたらすようなことがちゃんと書いてある。たとえば「職員の作業態度はどうか(離席、雑談、大声、くわえたばこ、コーラ、牛乳等)」、これは何のことか、私ちょっとふしぎに思うのです。こんなことが標準送達速度と一体何の関係があるか、こういうことを聞いてみたり、「規律を乱した者に対する措置は適正か」「むだなおしゃべりを放任してないか」、こういうことが随所にこの中に出ている。ですから私は、大臣心子知らず、親の心子知らずで、こういうことをたくさん書いて地方へ出す。それを受け取った者は、こっちのほうに主眼を置いてものを考えるのです。労使の安定ということが少なくとも標準送達速度前提だというならば、こういうような末梢的なことを麗々しく通達の中に書いて、かえって地方の段階において無用な混乱を起こすようなことはやはり避けるべきだと私は思うのです。そういう意味で、標準送達速度というものを公表することを郵政省は約束したわけですから、これはされなければならぬでしょう。されなければならぬけれども、それに対するところの手順というものは当然踏まなければならぬ。そうでなければ、私は、これはさっき言うように、かえって混乱を起こすことになると思うので、十月末日ということならばまだ一カ月以上、四十日もあります。十分そういういろんな意見を聞いて、一体都会における郵便局の実態はどうなのか、職員がどういう考え方を持っておるのか、どういう協力体制ができるのか、そういうことを十分この四十日間のうちに把握をして、それに基づいて公表に踏み切るべきだ。私はあまり拙速をしてかえって逆な効果を生むということをおそれるがゆえに、この問題については十分郵政省としてそういう対策を立てた上で公表してもらいたい、このように思いますので、これは要望としてつけ加えておきます。  あと二点ありますから先を急ぎますが、先般行政管理庁長官がたいへんな発表をいたしまして新聞が取り上げておりますが、この中に、郵政省のダイレクトメールを民間に配達を移管するというようなことを考えて、十月ごろには実態調査に行政管理庁は入る、こういうようなことを言っておりますが、郵政大臣はこういうことについてどういうお考えでしょう。私はそんなことはできっこないと思うのです。現実に一体だれが戸々に配達するのか、こういうようなことはほとんど不可能な状態ですが、一体ダイレクトメールと一般の広告とをどういうふうに分けていくのか、技術的に非常に問題があると思います。ただ、行政管理庁がそういうことを独自で言ったのであって、郵政大臣としては何ら相談を受けていないというならそれでけっこうですし、どういう見解でしょう。
  20. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 中村長官のおっしゃっておられます行政の簡素化ということにつきましては、もちろん私どももけっこうだと思うのでございまして、郵政省といたしましても協力しなければならぬわけでございますが、郵政省につきまして例を出しておりますダイレクトメールを民間に移せという中村長官の御意見につきましては、実はそういうことが一カ月ばかり前に新聞に載ったりなんかいたしましたので、私たち中村長官に会いましてダイレクトメールの説明をいたしました。御承知のように、ダイレクトメールは以前は第五種の郵便物ということで相当物が多くて郵政省も配達の上で非常に困ったような時期もあったのでございますけれども、ただいまはほとんど第一種ということになって料金もかなり高くいただいておりますので、自然ダイレクトメールの乱用——乱用というのは語弊がありますけれども郵便でやたらに利用するというようなことはなくなってきておるようでございまして、いま武部先生お話しのように一種を利用いたしておりますそのダイレクトメールが、純粋なダイレクトメールもございますれば、私信とほとんど判別できないようなものも、ダイレクトメールの効果をねらってからでございますか多いようでございます。  そこで、私は長官にその後会いまして、しかくダイレクトメールの判別は簡単でございませんよ、信書に類するものであるということになりますれば、これは当然郵政省のほうで独占的にやらしていただいておる仕事でございますから、民間でおやりになりましても、ときどき検査をいたしまして、違反があればどんどん指摘いたしますよということを申し上げまして、ダイレクトメールの選別が非常に困難である、いわばほとんど不可能に近いようなものであるということを、直接私長官にお目にかかりまして御説明いたしておいたのでございまして、結局、ただいま先生の御指摘のように、移すべきないということに大体私の気持ちも一致いたしておるわけでございまして、そういうような方向で今後努力してまいりたい、かように考えております。
  21. 武部文

    武部委員 それじゃ郵政関係の問題は以上で終わります。  次に、私は放送大学の問題についてお伺いいたしたいのでありますが、文部省来ておりますか。——放送大学の問題につきましては、いままでこの委員会でしばしば質問してきたところですが、先月からいよいよ日本短波放送を通してラジオの実験放送が始まりました。  そこで、まず第一点お尋ねいたしたいことは、この実験放送の教科目、それから週間の実施状況、さらに放送の時間帯、今後の放送計画、これをちょっとお答え願いたい。
  22. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 実験放送の実施につきましては、本年度予算をいただきまして、ラジオにつきましては日本短波放送に、それからテレビにつきましては日本放送協会に委託してこれを実施する予算を計上してございまして、ラジオにつきましては八月十六日から実験放送を始めたわけでございますが、科目といたしましては家政学、文学、経営学、工学の四種類を取り上げまして、月曜日が午後四時から午後四時四十五分まで家政学、それから火曜日の午後七時から七時四十五分まで文学、それから水曜日の午後七時から七時四十五分まで経営学、それから金曜日の午後四時から四十五分まで工学ということで、前期は、——前期と申しますのは十五週にわたって行なう予定でございますので、前期の分につきましてはそのような計画で進めております。
  23. 武部文

    武部委員 始まったばっかりですが、すでにいろいろ評価があるわけです。これはあとで申し上げますが、この利用状況を聞きたいわけであります。まず、どのくらい受講者があるのか。それから初めの見込みですね、受講の見込みを立てておったわけですが、その見込み。さらに受講者の男女性別、年齢、職業、そういうものについてあなたのほうでは把握しておりますか。  それからもう一つは、こういうテキストがありますが、テキストはどの程度発行しておるか、その売れ行きはどうか。この点どうですか。
  24. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 短波放送の聴取者の数というのは、正確に把握しておりません。と申しますのは、この聴取率の調査、非常に人手と経費がかかるということもございまして、組織的な聴取率の調査をいたしておりませんが、逆な意味と申しますか、印刷教材を発行いたしまして、これの売り上げの数から印刷教材を購入しつつ勉強ている人たちの数というのは判断ができるわけでございますが、九月十八日現在で、経営学の印刷教材が約二千三百、工学の印刷教材が千七百、文学が千六百、家政学が千四百という、概数でございますけれどもそれだけの印刷教材の注文がございまして、聴取者のほうに届けております。  なお、当初の見込み、初めての試みでございましたので、印刷教材の購入希望者がどれだけあるかということは非常に判断に迷ったところでございますが、おおむね三千部くらい用意すればいいのではなかろうかという予想を立てておったわけでございますが、その予想からいきますと、かなり希望者の数は下回ったというのが現状でございます。
  25. 武部文

    武部委員 これはあとのことと関係をいたすわけですが、十六日にラジオの実験放送が始まって、その翌日ある新聞が、具体的にこの放送の聴取者と受講生、そういう者からのいろんな意見を聞いてここに書いておるわけですが、昨年の利用希望調査では約八十五万人もいたということが書いてある。これは間違いかどうか。それから、各科目四千部のテキストを用意したということがここに書いてあるわけですが、いまあなたは三千部とおっしゃったが、昨年の利用希望調査では約八十五万人、そういうふうに書いてありますが、間違いですか、これは。
  26. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 昨年度二回にわたりまして放送大学に関しまして世論調査を行ないまして、そのあとのほう、一番最新の分の結果でございますと、一万人の対象を選んで世論調査を行なったわけでございますが、この放送大学が設立された場合、これに登録学生として登録し、そして、ここで大学卒業の資格まで、すべての単位を取って卒業資格を得たいという数は、その一万人のうち七%という数字でございますので、これを全国民の数に割り戻して逆算いたしますと、百二十万程度という数字になっております。
  27. 武部文

    武部委員 いずれにしても、この実験放送が出たわけですが、どうも評判があんまりよくないというようなことを——私は聞いておらぬので、実はきょうの四時から、月曜日は四時からやるようですが、あなた方お聞きになったと思うのだが、この新聞の報道によっても、聴講生ですかにいろいろ聞いてみても、どうもよくないというようなことがここに書いてあります。テキストの棒読みであってだめだとか、いろんなことを言っておりますが、この評判というものについてあなた方はどういうふうに思っておるのか、反響はどうなのか、そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。そこで、そういうところは一体どこに原因があるのか、それをこれからどういうふうに改善していこうとしておるのか、そういう点はどうでしょう。
  28. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 ただいま先生御指摘のように、放送が始まって間もないころから二、三の新聞でいろいろな評価をして、私どももそれを読み、かつまた放送を、毎回全部というわけにはまいりませんが、その時間の許す限り、すべての科目について聞くように努力しておりますが、ある意味で新聞の指摘しているような、講師がテキストを棒読みしておる、これではいままでの大学の講義と同じで、無味乾燥ではないかというような指摘であったかと記憶しておりますけれども、ある意味ではそれが当たっているといわざるを得ないように思います。しかし、私どもといたしましては、この実験放送趣旨そのものは、新聞が取り上げましたように、講義のやり方そのものにいろいろくふうをこらして、よくかみ砕いてわかりやすくやるということ、そういう実験をする、そういう番組をつくるということが一つの目的ではございますけれども、半面、このカリキュラムといいますか、教育内容の編成をするにあたりまして、それぞれの専門の先生方にお願いをしたわけですが、放送という、国民に対して非常に広い層を対象とするわけで、どのレベルのものにすればよいかということが、どの科目につきましても議論を呼んだところでございまして、最初のところでございますので、総論的な部分にどうしてもならざるを得なかったということもあって、特別な新味が出しにくかったという点はあろうかと思います。  この評判がよくないという中身といたしましては、一つはいま御指摘の講義のしかたがわりに平板であるというようなことのほかに、一番私どもとして反省をいたしておりますのは、私ども事務のふなれのせいもございまして、PRの期間も非常に短かったということが非常に大きな原因かというふうに考えておりますので、十二月から始まります後期の分につきましては、これは十分なPR期間をとって周知をはかってまいりたい、かように考えております。
  29. 武部文

    武部委員 私も専門ではありませんから別にそれ以上のことは申し上げませんが、ここにテキストがありますが、これにざっと目を通しただけでも、これを内容として、テレビじゃありませんからただ単にラジオで聞いておったって、これはちょっとやっぱり無味乾燥というか、棒読み、何のことかてんでわけがわからぬというのが私はほんとうのような気がするのです。ですから、始まったばかりですからこれ以上のことを言いませんが、具体的にはあなたのほうで、いわゆるそういう不評判ですね、いまの評判が悪いわけですから、後期の問題として、そういう結果については十分考えて、直すべきものは直していくという考え方のようですね。それならばもう一つお伺いいたしますが、この番組制作の実態の問題であります。番組制作について文部省と日本短波放送との間にはどのような取りきめ、契約、そういうものがされておりますか、契約書があればひとつ示していただきたい。
  30. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 短波放送にこの実験放送を委託する契約のていさいでございますけれども、これは一つは実験番組の制作面、番組制作に関する調査研究ということと、一方ではこの実験番組の放送効果に関する調査研究ということでお願いをいたしております。そして、その内容といたしましては、実験番組としてどういう授業科目を取り上げるか、それから担当講師にはどういう先生方をお願いするかという点にりきましては、両者協議の上で進めていくというやり方をとっております。
  31. 武部文

    武部委員 あなたいま、制作研究、放送効果、科目講師、これだけのことを言われましたね。それで、これは正式な契約書を取りかわしてやっておるわけですか。
  32. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 これは各省、役所によって幾らか契約の形式は違うかと思いますけれども、文部省の従来の委託事業の際の委託契約書のひな形に沿いまして正式の契約書を取りかわしております。
  33. 武部文

    武部委員 そうすると、その契約書はあとで出していただきたい。  そこで、科目の問題はいいのですが、いまその中に講師のことがあったのですが、講師については具体的に、そこにあなたは契約書をお持ちだと思うが、講師についてはどういう文章になっておりますか。
  34. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 実験番組の制作に関する調査研究という一つの柱が委託内容としてございまして、そのうち実験番組の数というのが四科目、それぞれ各二単位分相当のものを制作していただくということを書いてございまして、さらに実験番組の大きな主題としては、この契約書に具体的に、文学、経営学、工学、家政学というふうに表示いたしておりまして、文学の中でも範囲が非常に広うございまして、その中でも、国文学をやるのか、国文学のどういう点をやるのかといった具体的な授業科目と担当の講師については、委託者と協議の上で決定するものとするという表示になっております。
  35. 武部文

    武部委員 そうすると、講師というのは日本短波放送と文部省との間に、講師はだれにするかというようなことの協議がまとまらなければ、これは講師として放送に携わることができぬということになるわけですね、現実には。双方の話し合いがつかなければならない、それは正式の契約上の文書に載っておるわけです。私はこれはたいへん大事なことだと思うのですよ。一体、日本短波放送という放送法に基づいた放送局が、文部省から、たとえ実験放送にしても、講師なら講師について、文部省の了解がないものは講師として番組に出演することはできぬというようなことを正式の契約に載せておるということについては、日本短波放送の自主性というものが全く尊重されていない、むしろ文部省がそういう番組制作にタッチをしておるんじゃないかというふうに私は思うのですが、その点どうでしょう。郵政省はこれについてどういうようなお考えでしょう。
  36. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 放送法上の見解につきましては、郵政省のほうから御説明していただくことにして、私どもといたしましては、予算をいただいて、国の税金を使って、将来つくられるべき放送大学の準備としてどういうことをやればいいかということでございますので、将来とも放送大学ができ、あるいはその準備を進めるにあたって、中核的な役割りをになってくださる、そういう先生方にお願いをしたいという気持ちから、だれでもいいというわけにはまいらぬだろうということで、放送法の問題もございますので、当然最終的には放送局側が決定権を持つわけでございますけれども、その決定までに至るプロセスの間では、双方相談をしながら進めていきたいというような気持ちで契約書にそのように表示したわけでございます。
  37. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省としましても、先ほど文部省のほうからお答えがありましたように、最終的には講師というものは事業者のほうで決定するというふうな考えを持っております。それは放送法の第三条にもありますように、その放送番組の編集の自由というものにつきまして十分に確保されている、そういうふうに考えるわけでございます。
  38. 武部文

    武部委員 いまの問題はたいへん大事な問題だと私は思うのですが、少なくともこれは編集権の問題、前国会で何べんもここで論議をいたしたので、私、ここに議事録を持っておりますが、その中で、編集権の問題、言論の自由の問題というのはたいへん重要だ。だから、この点について、少なくとも文部省が放送番組の番組制作にタッチすることについてはこれはいかぬということを言って、だいぶ編集権の問題で論議をいたしたのであります、局長もよくお聞きのとおり。いま文部省の視学官の答弁によりますと、契約の中に四つ言われたわけだけれども、講師の問題については協議をしてきめる、したがって、文部省がこれはだめだといったらそれは出られぬということを、いま視学官ははっきりと答弁をされたわけです。そうすると、放送法のたてまえからいって、編集責任は被免許人たる日本短波放送にある、こういうことは厳然たる事実です、三条の精神ではっきりしておるのですから。それが現実に、いま文部省の答弁から見ると行なわれない。講師は、文部省がいやだといえばそれで終わりだということをさっきあなたは答弁をされたわけですが、これと電波監理局長意見と違うんじゃないですか、どうですか。現実にそういうもので、文部省が自分のほうがいやだといえばそれは成り立たぬのだから、講師として出演できぬということになれば、これは放送法第三条に違反しておるんじゃないですか、どうですか。
  39. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  私どもとしましては、要するに短波放送放送するということがきまった講師あるいはその内容につきましては、短波放送が責任をもってやるんだということでございますから、少なくとも放送される限りにおきましては、短波放送の責任において放送するということで解釈をしておるわけでございます。
  40. 武部文

    武部委員 文部省にもう一ぺんお伺いしますが、あなたは私のさっきの質問に対して答弁されましたね。ですから、短波放送のほうで、たとえばここに講師の名がたくさん書いてございますが、このことについて文部省がそれはだめだ、それはちょっとぐあいが悪いということになれば協議が成り立たぬわけですから、その人は短波放送のこういう家政学なら家政学の講義に出ることができない、こういうことになりますね、あなたはさっきそういうふうにおっしゃったわけだから。そうすると、郵政省のほうは、成り立った、成り立ってやるんだから、それは日本短波放送の責任でやるんだから、別に放送法の違反でないとおっしゃっても、現実に編集権に対して文部省がタッチをして、放送法第三条の精神がゆがめられておるということになりませんか、いま私どもの問答を聞いておられて。電波監理局長、あなたの三条の答弁、それでいいんですか。
  41. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 契約書に、確かに協議した上で、決定に至るプロセスにおいて委託者側と協議をするという表現を入れてございますが、私どもといたしましては先ほども申し上げたような趣旨から、だれでもというわけにもまいるまい、こういう将来の放送大学を進めていく上に中心的な役割りをしてくださりそうだという方が、私どものいままでの大学行政を通じましての関連からございますので、そのうち特定のこういう人でやってくれということではなくて、こういう範囲の中から先生方の都合もあるだろうし、短波放送としての御意見もあるだろうし、そういうことで特定の人を指名してこれでやってくれというつもりではなくて、こういうような範囲の中からお願いをしてもらいたいということを申し上げてまいったわけでございます。
  42. 武部文

    武部委員 これはたいへん大事なことですから、はっきりしておきたいのです。放送法第三条「放送番組編集の自由」「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」これははっきりしておるんですよ。これは本放送ですね、ですからはっきりいって、編集責任というものは被免許人たる日本短波放送にある、これははっきりしておるんですよ。それをあなたがいま、特定の人ではない、これこれの範囲の中から、これだけ、十人ほど並べておいて、この中からやれ、これは少なくとも契約の中にこういうことを盛るということは、文部省の放送介入ですよ、国家権力の介入になるんですよ。われわれはそれをおそれるがゆえに、前回から何べんもここでそのことについて論争したわけですよ。あなたはおいでになっておったかどうか知りませんが、われわれは少なくとも文部省の介入というものは、国家権力のいわゆる放送の自由への介入だ、それがあってはならぬということを何回もここで論議しておるのです。それが現実にいまこのラジオの実験放送の中に、はっきりと四項目の中の一項目として、あなたのほうは講師の問題を入れておる。これは明らかに第三条の違反ですよ。そう思いませんか。電波監理局長、どうですか。
  43. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  私どもはそういうふうには思ってないわけでございまして、あくまでも先ほども先生がおっしゃいましたように、法律精神に従いまして、放送する講師あるいは内容というものにつきましては短波放送が責任をもって当たるということでございまして、それに至る段階でいろいろ出演者の問題もありましょうし、内容もあるかもしれませんけれども、これは単にこういった教育番組の問題だけではなくて、一般の番組につきましても当然いろいろな過程があるわけでございまして、その過程でこの人はいいとか悪いとかいうのは当然出てくるわけでございますが、最終的に放送内容自体は、あくまでも短波放送自体が責任をもって放送する、そういうことになると思っております。
  44. 武部文

    武部委員 確かに日本短波放送するのですよ。これは文部省が放送しておるのではない。しかし、あとで言うが、少なくとも文部省が国の税金を出して、そうして実験放送をいま依頼しておるのでしょう。予算がありますがね。国の金を出してやっておるのですよ。そのときに契約書を取りかわすわけでしょう。その契約書の中に、そういう講師の選定について、はっきりいえばあなたはあとだんだん説明が変わってきたけれども、文部省として好ましくない者がおれば、それは話し合いがつかぬから日本短波放送はできなくなるでしょう。あなた、さっきそうおっしゃったじゃないですか。協議がととのわなければだめなんだ。とれこれの人間、たとえば十人でも五人でもいいが、そういう人間でやってきて、この中からやれ、文部省の好ましくない者は出さぬわけでしょう。そういうことは放送法第三条の精神からいって違反じゃないか、文部省という国家権力の放送の自由に対する介入じゃないかということを私は言っておるのですよ。電波監理局長のほうは、出てしまったものは、その責任は日本短波放送にある、なるほどそのとおりですよ。しかし、その過程においてそういう事実があったとするならば、これは放送法第三条の精神に違反をしておるというふうにあなたは思いませんかということを私は言っておるのですよ、どうですか。それでもやはりそういう協議がととのわなければ、国の予算を入れて、そうして国の予算でやらせるものについて、文部省の了解を得た講師でなければ放送ができないということは、第三条の精神に違反をしておるのではないか。なるほど結果的に、あなたがおっしゃるように、放送しておるのは短波放送ですから、それが全部編集責任を持っておるといえば持っておるでしょう。しかし、それが文部省の了解を得なければできないという仕組みになっておるというところに問題があるのじゃないかと言っておるのですよ。あとでまたテレビの問題についても言いますが、これは大事なことですからはっきりしてください。
  45. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 私どもこういう仕事にふなれなものですからあれでございますけれども 日本民間放送連盟で放送契約基準という一般的な放送契約に関するひな形のようなものが定められておりますので、それによりましても、甲と乙とが協議の上、甲というのは放送局でございますが、委託者と受託者が協議の上、放送局が最終的に決定するという例文もございましたものですから、それに従って契約書を取りかわしたわけでございます。
  46. 武部文

    武部委員 契約書の中のことをさっきあなたは一項お読みになったのですよ。その契約書の中の項目の中に講師はどうなっておりますかと言ったら、あなたがさつきお読みになったとおり、何べんも言うように文部省がこれに対していけないといえばその講師は放送できないようになっておる精神だということ、そういう内容だということをお認めになったわけでしょう。それは放送法第三条の違反ですよ。そういうふうに思わぬですか。文部省が、この人間についてはだめだ、好ましくないといえば、その者は、これからテレビのことも言いますが、ラジオにもテレビにも出演できないようになるのですよ。どうですか、そういうことをなぜ契約の中に取りかわすのですか、このことなんですよ。
  47. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げているとおりでございまして、あくまでも最終の決定者は放送局側にあるわけでございます。これは別にこういった問題だけではなくて、特定のスポンサーがある番組を出したい、どういう人を使って出したいという契約をしようとしましても、放送局側では、それがだめだということになればそれはできないわけでございまして、あくまでも決定者は放送局であるわけでございます。それで別に問題はないと私どもはそう思っております。
  48. 武部文

    武部委員 いまのあなたの答弁は、私の言ったことと反対のことを言っておるのですよ。放送局側はいいといってやろうと思っても、これは契約で文部省がいいといわなければ出れないようになっておるからということを文部省がいうから、これは問題だといっておるのですよ。なるほど、文部省が何を言おうとも、放送局側が責任を持っておるのです。編集責任、番組制作の責任を持っておる日本短波放送が、自分たちの選んだこれこれの先生方の中できょうの番組は出てくださいというふうにしてやっていく、そのことについて私は異論を言っておるのではないのです。なぜ文部省に協議をして御了解を求めなければこの放送ができないのか、問題はここなんですよ。
  49. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま武部委員より御指摘の問題は、きわめて重大な点でございますし、どうもこちらの郵政省と文部省との答弁におきましても、もう少し研究を要する点があるやに私考えますので、放送大学の問題は文部大臣郵政大臣が共管いたしておりまして、私も責任があるものでありますから、もうしばらく、きょうのところは問題を預けさせていただいて検討を重ねたいと思っております。
  50. 武部文

    武部委員 これは大事なことなんでして、これをおろそかにしていったらまたNHKと文部省の間に、あとで申し上げますが、これからの問題もあるのです。これはもうすでにきょうまた放送されるのですからね、四時から毎週三回ですかやっておるのですから。すでに現実に実験放送が始まっておる、そういう点についてこういう重大な問題で、講師の選定に文部省がいちゃもんをつければその講師は全然出られぬということになれば、端的にいえばそうですよ、そういうことが続くということになればこれは問題なんですよ。そういうことについての意思統一がなされないままに実験放送に入ったということは、私は大問題だと思う。だから、きょうこの委員会が済むまでにひとつ意思統一をして、はっきり答弁してください。まだほかの質問がありますから、私は保留しておきますから、きょうの委員会が済むまでにはっきりしてください。  次に進みます。そこで、今度はテレビの問題です。この問題は、ことしの二月、三月当委員会で、私はテレビの実験放送についてはどうなっておるかということを質問いたしましたところ、西岡文部政務次官から非常に詳しい内容の説明がありました。私は時間の関係で言いませんが、たとえば放送法第三条の問題、それから第九条の二項八号の問題、四十四条第五項の問題、こういうことについて、はっきりした答弁がございました。したがって、文部省とそれからNHKの会長からも答弁をここでいただいたわけでありますが、当時の議事録を読んでみますと、この三つの項目、NHKが主張しておる三つの条件、基本的な原則、それがいま私が言った条文と当てはまるわけなんです。二月、三月からその後今日まで五カ月、六カ月も経過しておるのですよ。このテレビ放送の問題についてどのようになっておるのか、UHFでやる実験局の問題はどのようになっておるのか、それをひとつ文部省からお聞きをいたしたい。文部省よりも、最初に、NHKはこの問題で三つの原則を出され、項目について、私がいま言ったような条文の答弁が文部省からあった。いまNHKとしてはこれについてどういうふうになっておるのか、これを最初にお聞きしたい。
  51. 野村忠夫

    野村参考人 お答えいたします。  この三月の当委員会におきまして表明いたしましたとおり、協会といたしましては、その三原則が前提になりますれば、いつでも番組制作並びに送出に関する調査研究の委託を受けるという態度で、文部省の御提案をお待ちしているところでございます。
  52. 武部文

    武部委員 それならば、文部省にお聞きいたしますが、NHKとテレビの実験放送の契約がいまだになされていない。そうすると、この契約がおくれているという理由は一体どこにあるのか、それを一つ
  53. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 お答えいたします。  ラジオのほうにつきましては、八月から放送開始になったわけでございますけれども、テレビにつきましては、いろいろ著作権の処理の問題、その他いろいろこまかい問題がございまして、まだ事務折衝を進めておる段階で、正式の契約書取りかわしの段階までまいっておりません。
  54. 武部文

    武部委員 事務折衝が続いておるということですが、あの際、申し上げるように、三つの問題については意見の一致を見ておるわけですよ。文部省とそのほかに何か対立点があるのですか。何か意見の食い違いがあるのですか。どういう点で事務折衝が進まぬのですか。半年もたっているのですが、どうです。
  55. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 一つには、これは短波放送の際にも非常にやっかいな問題だったわけですが、印刷教材あたりの製作の費用というものを国の予算で、委託費の中で処理をするのか、あるいはこれは受益者負担と申しますか、購入者のほうに負担してもらうかというような問題、あるいはでき上がった番組をビデオ取りしたものの著作権の帰属をどういうふうに扱うかといったような問題でなお検討する点があるというようなことで、現在までまだ検討中の状態が続いておるわけでございます。
  56. 武部文

    武部委員 私は、それはあまり理由にならぬと思うのですね。そんなことは初めからわかっておることであって、すでに予算というものは、あなたのほうは当時テレビの放送委託について二億一千百二十万円というものをちゃんと実験放送の委託費として予算を要求し、この中で九千四百九十二万円というものがこの間の予算で現実に成立しておりますね。一週四番組、三十週、四十五分番組だということでちゃんときまっておるわけですし、九千四百九十二万円というものが、これは一週四番組で三十回というならば、当然いままでやっておかなければ金が余るでしょう。少なくともNHKがこの実験放送をやるというならば、一体NHKでは何カ月くらいかかるのですか、あなた方が契約されてから送出されるまでの間に。どうですか、NHK。
  57. 野村忠夫

    野村参考人 要員、器材あるいは講師の選定並びに講師の講義内容の決定、テキストの作成等の要因を考えますと、私どもとしては科目によりましては契約から最低三カ月はいただきたいと存じております。
  58. 武部文

    武部委員 時間が経過しましたから、私ははしょりますが、三カ月かかるということになると、いまもう九月ですよ。十、十一、十二、いまから契約したって実験放送がテレビに現実に出るのは一月ですよ。もう予算というものはちゃんとたくさん組んであって、そういうものがいまだに契約が成り立たぬというのは、何かそこら辺にあなたがおっしゃったテキストの教材の受益者負担がどうなるとかおっしゃるが、さっき私は講師の問題で言ったけれども、講師の問題だって西岡政務次官がこの議事録ではっきり言っておるのですよ。講師というのは編集権の問題ですよ。編集権というのは、「番組の編集、送出の責任につきましては、現行法上当然NHKが負う」ということを言っておるのですよ。ということは、番組の編集、送出の責任については、現行法上当然日本短波放送が負うということと同じことなんです。そうでしょう。ですから講師の問題等については、ここで文部省がはっきり言っておる。それがなぜさっき言うような点で契約の中にそういう一項目が入ったのか、私は非常に疑問に思うのです。同じようなことが、今度のテレビの問題についてNHKとの間に話し合いがつかぬ一つの問題点じゃないですか。そういうことは全然載っていないですか、どうですかその点。
  59. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 講師の選定の方法、あるいは授業科目について何を取り上げるか、それをどうやってきめていくかという問題についても、問題点の一つとして残っておることはそのとおりでございます。
  60. 武部文

    武部委員 それでわかりました。あなたのほうは日本短波放送と同じ契約を結ぼうとしておるというふうに裏を返せばとれるのです。そうでしょう。これは西岡政務次官の国会答弁と全然違うのですよ。もう一ぺん読んでみましょうか。ここに書いてあるのです。「番組の編集、送出の責任につきましては、現行法上当然NHKが負う」ということをちゃんとはっきり答弁しておる。講師の選定その他は、番組の編集権の常識ですよ。そういうことがあるにかかわらず、なぜ文部省がそれに対して応諾を与えなければ講師の選定の問題が解決つかぬのか。それをなぜ契約に盛り込もうとするのか。先ほどの日本短波放送と同じことをあなた方は考えておる。だからこそ、この放送法第三条の精神が盛り込まれなければNHKとしてはそれを受けるわけにいかぬということを、前田会長が、国会の議事録を見るとはっきり答弁しておりますよ。それと同じことをあなた方はNHKにもやらせようという意図があって、その間に話し合いがつかぬのではないか。私はそうだと思います。いずれにしても、この問題は重要な問題でして、先ほど保留しておきましたから、はっきりした明快な答弁をいただかなければならぬと思います。  そこで、最後に予算をお聞きいたしますが、文部省は先ほど言ったように、予算は四十六年度成立した予算をいまだに使わないでほうっておいてある。ところが、聞くところによると、あなたのほうは概算要求としてテレビの実験放送に何か相当の額を要求しておるように聞いておりますが、内容をちょっと説明してください。
  61. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 昭和四十七年度の概算要求のうち、放送大学の関係経費といたしましては、本年度に引き続きまして放送大学実施調査会、これは放送大学設立についての基本問題を引き続き検討するための会議でございますが、その経費といたしまして約六百五十万、それから海外の事情調査の費用として約一千二百万、それから実験放送の実施委託の費用といたしまして約四億一千万の要求を出してございます。
  62. 武部文

    武部委員 その四億一千万円というのは、日本短波放送とNHKに実験を依頼をするという予算として組んだわけですね。
  63. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 ラジオにつきましては、本年度に引き続き日本短波放送に委託をするという経費でございます。それからテレビにつきましてはNHKにもお願いいたしますが、NHKの場合、東京と大阪しか受信できない状況でございますので、多少それ以外の北九州であるとか、あるいは東北、北海道地区の民間放送にも、一部放映をお願いしたいというつもりでいたしております。
  64. 武部文

    武部委員 あなた、いま民放に実験放送を依頼するというようなニュアンスのことを言われましたね。そんなことはいまだかつて国会でも、この場所で話が出たことはないですよ。少なくとも大阪と東京のUの波を使って実験放送をするのだ。ここに私たくさん持ってきておりますが、あなたが言ったようなことをだれも言ったことはないですよ。民放というものと公共性を持ったNHKというもの、NHKにいわゆる免許を与えるかどうかということの論争はありましたよ。放送大学に与えるべきか、あるいはNHKに免許を与えるべきか、その論争はいたしました。民放の、みの字も出たことがない。いつごろこんな話が出たんでしょうか。北九州ということをおっしゃいましたね。北九州だけですか。
  65. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 具体的に、どこの地域のどの放送局ということをきめておるわけではございませんが、各地区にそれぞれ放送大学ができました際に、協力をしていただけるような大学を逐次お願いをしたいというようなつもりもございまして、地方の大学の先生方にも出演をしていただきたいということから、その担当の先生方の地元の地域には放送をしてはどうかという考え方で予算も計上してございます。
  66. 武部文

    武部委員 私の申し合わせ時間がたいへん過ぎましたのでやめますが、いまのようなことは、さっき言うように、ここで論議があったことは全然ないですよ。また、文部省からそういうようなことは、いままで全然説明がなかった。そういうような構想はいつごろからそういうようになったのか、私たいへん疑問に思うんですよ。少なくとも公共事業体である、長い歴史を持っておるNHKだからわりあい安くてできるのじゃないかとか、あるいは民放だったらたいへんな金になると、あなた方も試算しているでしょう。そういう中から国の予算を使ってやることだから、一体どの波を使って、現在の施設を使ってやったほうがいいかということについて、いろいろ議論いたしました。しかし、民放というのはNHKと全然違った経営形態でしょう。あなた御承知のように、これは営利事業ですよ。そういうものに実験放送、教育放送というようなものをやらせるのがいいかどうかということは、これは基本的な問題ですよ。あなたのほうは一体いつごろそういうことになったのか、私はたいへん疑問に思うのだが、そういうことの構想は現実に固まっておるのか。この四億一千万の中にはそういう内容を含んで概算要求しているのですか、それを最後にお聞きしたい。
  67. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 民間放送に対する電波料も一部計上いたしてございます。
  68. 武部文

    武部委員 私は、保留したものを除きまして終わります。
  69. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 この際、三十分間休憩いたします。再開は十二時三十五分でございます。    午後零時三分休憩      ————◇—————    午後零時四十一分開議
  70. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続けます。樋上新一君。
  71. 樋上新一

    ○樋上委員 郵政大臣就任後初の質問でございますので、二、三質疑いたしたいと思うのですが、その前に、いまNHKのほう待っていただいているので、私も通告してないのですけれども、ちょっとそのほうを先に進めまして、あとでまた大臣に御質問したいと思います。  NHKさん見えていますね。——先ほど武部委員質問に対しまして、文部省のほうから、私たちとしては初めて聞く民放におけるところの放送大学の問題でございますが、これは私も初めてきょう承ったのでございます。これは非常に事重大だと思いますし、考えてみますと、現下時局におきまして、対外的なドル・ショックの問題などありまして、民放のほうといたしましては、だんだん不況に向いてくるというと、スポンサーのほうが少なくなってくるのではなかろうか。そういうときですから、こういう問題がかりに民放に委託されるということになると、そこにいろんな問題があるのじゃなかろうかと私は思うのです。いわゆる民放はそういった面において、事教育の問題でございますから、こういうことはないと思うのですけれども、もし偏向教育的なものがそこに流されたらどうか、また、いろんな問題で、民放にもそれを制限するだけの抵抗もなく、こういうことが進められていくということ、それからまた、NHKがこれを委託された場合どうなるか、こういったことを考えますと、文部省のほうからそういう予算要求をされている。私は直感したことですけれども郵政省のほうが非常に弱いような感じを持つのですね。郵政省のほうにもこの事前協議がもっともっとあっただろうかと思うのですけれども、どうも文部省のほうの力が、一方的に押されてきているのじゃなかろうか。ですから、こういう問題については郵政省側と文部省が、NHK側はさておいて、もっともっと煮詰めて、この問題を検討していかなきゃならない、こう思うのでございます。  それで、私はこの際要望するのですけれども、この放送大学の問題について、もう一日目をとってじっくりやるべきだ、こういう感じでいる次第でございます。委員長に要求したいのですけれども、どうでしょうか、この問題でこれをやっていますとまた時間をとりますので、別に委員会を開いてこの問題を討議するということに対する要望に対して、いかがお考えになりますか。
  72. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 三十分の休憩中に、私もそのことを心配いたしまして、それぞれ答弁のしかたにつきましてもやや欠くるところありといったような印象を私自身も深ういたしましたので、それぞれ当局とよく話し合いをいたしました結果、後刻、この委員会が終了いたしますまでに名答弁の場が出てくるのではなかろうか、御理解を得るような内容のものでなかろうか、そういう発言の場があると思うのであります。御了解いただきたいと思います。
  73. 樋上新一

    ○樋上委員 質問者が終わりましてから、一度理事会を開いて、この問題を検討するためにもう一日とるか、それともその答弁がまとまるか。理事会を開いた結果、別に開会をして討議するということを要求するのですが、この点どうでしょうか。——それではNHKのほうに先にお伺いするのですけれども、これは郵政省とNHKと両方なんでございますけれども、NHKが放送実施委任の契約の受託者となることは放送法上認められているのかどうか、その点どうでしょう。
  74. 野村忠夫

    野村参考人 私どもこの放送大学の実験放送の受託にあたりましては、前々から明確にしておりますように、放送法第九条二項の八号、調査研究の受託という形で受託できると存じております。
  75. 樋上新一

    ○樋上委員 それについてはどういう内容で契約を結ぶおつもりでございますか。
  76. 野村忠夫

    野村参考人 契約書の具体的内容につきましては、いまだ文部省から提示がございません。事務的に打診が行なわれておることは存じておりますけれども、表現その他についてまだ確定した契約書の提示がございませんので、どういう形の契約に成り立つかは今後の問題だと思います。しかし、私どもは、当初から明確にし、また当委員会でも明らかにされましたように、受託の形式は第九条二項の八号、番組の制作並びに実施にあたっては放送法第三条及び四十四条の五項というものを精神といたしまして実施いたしたい、かように考えております。
  77. 樋上新一

    ○樋上委員 郵政省側にお伺いいたします。
  78. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省側といたしましても、先ほどNHKのほうから御答弁がありましたようなことで、NHKは委託によって放送及びその受信の進歩発達に寄与する調査研究を行なうという項がございますので、その規定によりまして受託をするということを考えているわけでございます。
  79. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、NHKによる放送大学の実験放送はUの実験局で行なわせるのですね。
  80. 藤木栄

    ○藤木説明員 しばしばこの委員会でも御答弁申し上げましたように、Uの実験局でやる、そういうことを考えております。
  81. 樋上新一

    ○樋上委員 Uの実験局で実質的な放送を行なわせるのは私はおかしいのじゃないかと思うのですが、この点どうでしょう。
  82. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  放送大学の実験番組の送信というものは、一般公衆が直接聴取し得るような形で行なわれるものでございますから、このような送信を実験局で行なうことにつきましては、この前の国会でもたしか問題があるという御指摘を受けたところでございまして、このため、郵政省といたしましては、省令の関係規定を、現在整備を準備中でございまして、問題のないようにしたい、そういうふうに考えておる段階でございます。
  83. 樋上新一

    ○樋上委員 文部省のほうへお伺いするのですが、先ほども武部委員からお話が出たのですが、日本短波放送による放送大学の実験放送は、いろんな新聞の評判を見ますと、あまり芳しくない、こういうことなんですが、将来この放送大学の放送は、結局NHKになった場合に、短波放送との契約はどうなるんですか。
  84. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 現段階は、現行法制のままで実験放送を行なうわけでございますので、将来放送大学が設立されるようになります場合には、新しい立法措置等がとられることになると思います。その新しい法案の内容等については、これから学識経験者等の御協力を仰いで内容を練る予定にいたしてございます。
  85. 樋上新一

    ○樋上委員 それじゃ郵政大臣にお伺いいたしますが、郵政省昭和四十七年度の重要施策としてどのようなものをお考えになっているか、その点についてお伺いしたいのですけれども
  86. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 郵政省の所管の予算の、昭和四十七年度に概算要求をいたしております重要事項ということについての御質問であったわけでございますが、一般会計予算におきましては、一、人工衛星を利用する電波研究の推進。二、海洋開発のための通信方式の研究。三、総合的電気通信政策の強加。四、電波監視体制の確立。五、放送大学に関する調査。六、有線テレビジョン放送関係施策の推進。七、要員の確保でございます。  特別会計予算におきましては、一、大都市及びその周辺における郵便送達速度の安定と向上等。その内訳といたしまして、郵便局舎の改善、輸送力の拡充、郵便外務対策、雇用難対策、郵便事業改善のための調査、研究。二、郵便貯金、簡易保険の増強。この内訳といたしまして、郵便貯金の増強等、簡易保険の増強、窓口環境の整備、改善。三、建設予算の確保。  以上でございます。
  87. 樋上新一

    ○樋上委員 郵政大臣は電波法、放送法の改正をするつもりである、討検されているということをちょっと聞いたのでございますけれども、その所信をお伺いしたいと思うのです。  電波法も放送法も、できてから相当年月もたっていることであります。もちろん日進月歩の現状に全くそぐわないところもあると思うのですが、従来より問題視されてい放送法、電波法のどの点を改正されようとするのですか。
  88. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 お尋ねの電波法、放送法の改正の問題でございますが、御承知のようにこの二法の改正につきましては、審議会の答申をいただきまして、それに基づいて、昭和四十一年度であったと記憶いたしておりますが、改正法律案を国会に提出いたしたのでございますけれども、とうとう審議未了で流産をいたしたわけでございます。そういうような経緯もございますから、やはり改正という方向で検討を続けなくちゃならないということでただいまいろいろ勉強中でございまして、できますならば来たる通常国会に提案したいというような目途で、ただいま問題点の検討に当たっております。  内容につきましてはまだ一々申し上げるような段階にはなっていないことを遺憾に存じますけれども、いろいろ改正をしていかなければならない点があるようでございますので、その問題点について検討中でございます。
  89. 樋上新一

    ○樋上委員 この放送法、電波法の改正というものは、これは前からも、いまおっしゃったように相当重大な問題でございます。そしてこれはこの臨時国会に提案されて改正される。それを提案されるのか、それともいまあなたがおっしゃった、最も放送法、電波法の重点的などこを改正するかという二、三お聞かせ願いたいと思うのです。
  90. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 臨時国会ではなくて、御指摘のようにたいへん重大な問題を含んだ両法律でございますから、その改正法律案はそう簡単にできないと思っておりますので、次の通常国会というようにさっき申し上げましたが、そういうような目途でやっております。  内容につきましては、まだどうしようかこうしようか言って、ほんとうにはっきりした問題点の公表にまで至っておりませんけれども、ある程度目鼻をつけておりますので、そういう点について電波監理局長から御説明をさせることにさせていただきます。
  91. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  電波法につきましては、従来、先ほど大臣が申されましたように、四十一年の改正案からのいろいろの技術の進歩もございますし、たとえば電波の範囲といったものの拡張であるとか、あるいは現在行なわれておりまする無線局の検査自体のあり方、あるいはまた無線従事者制度といった問題、ほかにいろいろございますけれども、そういった問題を中心といたしまして現在検討を進めております。  放送法につきましては、この前の国会に提出しました案を中心といたしましてさらに検討を進めておるわけでございますけれども、たとえばマスコミの集中排除といった問題につきましても、どうするかといったようなことを現在検討しておる段階でございます。
  92. 樋上新一

    ○樋上委員 郵政大臣は本年の八月、私的の諮問機関として通信問題懇談会を設置されたようですが、その設立目的はどういうところにあるのですか。
  93. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 昼前の委員会でも申し上げましたように、だんだん情報化社会のビジョンが、将来の見通しができますわけでございまして、通信のメディアもいろいろ分化し発展してくるというようなことが考えられますわけでございます。そういうような見通しのもとに、将来の通信政策のあり方はどうあるべきかというようなことにつきまして、この際私といたしまして大いに外部の有識者の御意見を承って勉強しておく必要があるのだ、そして有効な政策の推進をやるべきである、大所高所に立って、内輪のものよりもむしろ外部の方々の御意見も貴重なものがあるということに考えをいたしまして、そういう方々の御参加を願って大いに御自由に御討議を願って御意見を拝聴しようということで、通信問題懇談会というのを私の相談相手と申しますか、諮問機関と申しますか、ということにいたしまして、御協力を願って私どもも御指導いただきたいという趣旨でつくったのでございます。
  94. 樋上新一

    ○樋上委員 特に諮問項目ということは特別にお考えになっておらない。そうすると、結果について報告がきました場合、それをどう取り扱われるか。通信行政の展望と通信問題懇談会と二つありますね。通信行政展望というのが先に出してますね。それとあなたの私的な通信問題懇談会とどういうように取り扱われますか、この二つの問題を。
  95. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま御指摘にございました通信政策の展望というのは、これはさきに郵政省の課長補佐級の若い連中が百人ばかり集まりまして、約五カ月間にわたって通信政策を各方面から検討、勉強、研さんをいたしましてまとめたものでございまして、私どもから見ましても、なかなか青壮年らしい若さに満ちた斬新な意見がうかがわれるわけでございまして、なかなかの力作であると私は考えておるわけでございます。しかし、いろいろ不十分な点もあるわけでございまして、それがそのまま直ちに実行に移せるものではないというような個所も相当多いわけでございますから、これは有効な、きわめて大切な研究資料といたしまして、ただいま御説明ありました通信問題懇談会のこれまた一つの課題、一つの議題にはなるものと、かように考えております。その展望というまとまった書物ができましたために特に懇談会をつくったというわけではないのであります。これも一つの研究課題にはなるかと考えております。
  96. 樋上新一

    ○樋上委員 いま私は、あなたがそういう私的諮問機関をつくられたということについては反対ではございません。非常に積極的に前向きにいろいろの民間の声を聴取されていくのだという努力は私は非常にけっこうだと思うのです。一方、また通信行政の展望という大きな展望についても、これは一つの研究であるという。新たな通信問題懇談会のほうを重要視されて、展望のほうは参考ぐらいの程度だというのだったら、若い優秀な意欲がそがれるのじゃないか。ですから、ここにいろいろな郵政審議会もございましょう。これとは別個の問題でしょう。私的機関をこしらえられてこれを実現されていく、実施にそれを持っていかれる、これが問題じゃなかろうか。ただ単に参考にそういう機関をこしらえただけで、それのみに終わって、それが一つの参考になって、実施されないということだったら、こんなものは必要ないと私は思う。いま大臣がそれに取り組んで、いろいろと郵政問題について前向きに検討されていこうとするその意欲を私は高く評価する者の一人でございます。この点はひとつよろしく要望しておきます。  それから先ほどもお話が出ましたのですが、郵便の標準送達日数はいつ公表されるかという武部委員質問に対して、十月末ということを御答弁になりましたが、私の党といたしましても、過日大臣に要望書を出しましたときにもこの問題を私たちは非常に重要視しているのでございまして、これに対してもう準備はいろいろできておるであろうと思いますけれども、この実施体制の準備について、多少こまかいところでございますけれども、もう一度具体的にお伺いしてみたい、こう思うのでございます。  第一に、航空専用便の開始は、送達に対してどういうような施策を持っておられますか。
  97. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 郵便ダイヤの公表に先立ってどのような施策を進めておるかという御質問の中で、特に航空郵便の点を御指摘されたと思いますが、御承知のように現在東京を中心にして夜間、郵便専用の飛行便を持っております。これで大体大きな都市間の郵便の送達はかなり早くなっておりますが、さらに、実は夜間だけですと、一ぺんにまとまってだんごになって郵便物が到着するということのためにだいぶ問題のところができておりますので、それを前もって送るというような形でもって、夜間の専用便だけでなしに、普通の旅客便にも、でき得るならばそれを分散して前送したいというような計画を進めているわけでございます。
  98. 樋上新一

    ○樋上委員 それじゃ、外務員の増員及び集配区の増あるいは通区訓練等の体制はすでに整えられておりますか。
  99. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 御承知のように四十五年度予算が成立しまして定員等がきまりましたので、それに基づいて内勤、外勤それぞれ必要な郵便局に増員をしております。それで各郵便局におきましてはその増員を受けますと、外勤については当然集配区を増加するという問題が出てまいります。と同時に、集配区を分割したりしますので、そこでいろいろな配達の訓練をしなければならないというような問題点も、大体この十月末までには各郵便局において四十五年度で新たに施策された問題について対処し得るというような準備をいま進めているわけでございまして、この間、各郵政局の郵務部長会議を開きました情勢によると、おおむねこの十月末までには体制が整うもの、こういうふうに考えております。
  100. 樋上新一

    ○樋上委員 それじゃ、対象郵便物の問題についてまとめてお伺いするのでございますが、どの郵便物について公表されるのですか。たとえば別後納郵便物はどうするのですかという問題。それから書留郵便物についてはどうするのか。三番目は郵便番号記載の有無によって差異が生ずるのかどうか。こういったところをひとつお答え願いたいと思います。
  101. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 先ほど大臣から答弁いただきましたように、一応対象郵便物は今回は第一種定形、それに郵便書簡、それと第二種郵便物、このものに限って公表したいというふうに考えております。したがいまして、別後納郵便物であってもそれが一種定形あるいは第二種郵便物であるならば、それも対象にしなければならないというふうに考えております。また当然それが書留によって出されることがありますので、それも考えに入れなければいかぬというふうに考えております。  それから、郵便番号が記載してあるかないかの問題でございますが、最近郵便番号の記載率も八九%、約九〇%にも向上しておりますので、また、われわれの仕事のしかたが、郵便番号を書いてあるものを前提とした内部の作業の仕組みになっておりますので、当然郵便番号が書かれているものについて何日かかります、こういうふうにつくってみたいというふうに考えております。
  102. 樋上新一

    ○樋上委員 じゃ、その次に対象地域の問題についてお伺いするのですが、郵便局の窓口に日数、差し出し時間等をどう公表するのか、またその場合都市名にするのか、局名にするおつもりですか。この点いかがでしょう。
  103. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 対象地域の問題でございますが、なるべく、これを機会に各郵便局の窓口にできるだけ広く掲示したいというふうに考えておりますが、いま検討中でございまして、どこまでやるということをまだ実は確定してないわけでございます。  それから、あて先の問題ですが、これもいま検討中でして、私どものほうの専門的な言い方をすれば、郵便物の送達をするのに適しているのは郵便局名のほうが適しているわけですが、それですと地域住民の方にはおわかりにくい点もあろうかと思います。また同じ都市名を使うにしても、その都市の中心部と外では、これはまあ内部の郵便の放達の技術的な問題になりますが、一日おくれになったり、いろいろ郵便が通っていく運送上の問題等がありまして、どういうふうに表示していいか、実はまだ結論を出しかねておりますが、要するに今回は百点満点の公表種目というか、公表をするよりは、とにかく地域住民にわかっていただくようなものを中心にしてつくってみたいということで考えているわけでございます。
  104. 樋上新一

    ○樋上委員 いまあなたがおっしゃったように、都市名にするとこれはなかなかいろいろな苦情が出てくると思うのですね。局名にすればこれは確実性がある、こう思うのです。理想論としては局名にされるほうがいい、私はこう思うのですよ。都市名の場合でしたら、いま同じ都市でも中心部と周辺部とありますね、そういうところにズレが出てくるのじゃないか、こういうぐあいに思うのです。私はなるべく局名のほうを、確実性があるのだからそうされるほうがいい、こう思うのです。  なお、その他の問題としては、大量に差し出す郵便物の場合をどうするか、いわゆる災害時、または組合闘争による場合、あるいは日曜休配の場合、そういうときにはどうなるかということでお考えになっておりますか。
  105. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 先ほどあて地を都市名にするか郵便局名にするかについて御指摘がありましたが、いろいろ今度は、あて先をあまりたくさん書こうとすると非常に表が見にくいとかいうような問題がありますし、あまり専門的になりますので、先生御指摘の点はわかりますが、また一方、都市名でもってわかりやすくしたいという要望も強いので、われわれ内部では、都市名のほうがいいのじゃないかという意見が相当強くなってい段階でございます。  それから、いまやや専門的に日曜休配、それから大量差し出し、そういった問題についてお触れになりましたが、そこまでいきますと非常に芸がこまかくなってまいります。したがって、表の中にどのようにそういうコメントをつけるか。日曜日に当たったときは一日程度その表よりもおくれるかもしれぬとか、そういったような何かうまい注書きをつけてみたいというふうに考えております。それから大量差し出しの場合は、御承知のようにどかんと郵便局に大量に持ち込まれたものについてはすぐに処理いたしませんで、他の一般の信書等にあまり影響のないようにいわゆる計画的な配送といいますか、いろいろそういうことをやっておりますので、そういうものについても何らかの注書きをしておいたほうがいいんじゃないかという考え方で目下検討中でございます。
  106. 樋上新一

    ○樋上委員 何と申しましても、先ほどもお話がありましたように、労働組合との協調が根本問題だと私は思うのでございますが、この点、組合との中で円滑に話が進んでいるのですか、この問題について。
  107. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 実はこの問題、かなり技術的にむずかしい問題がございまして、私どものほろの作業の進捗状況がややおくれていた感じがいたします。したがいまして、組合のほうからも内容について教えてほしいという要望はありましたが、実はいろいろ中身がまだまとまっていない段階お話しするのはかえって混乱するということで、ある程度中身がはっきりしてきた時分にお話ししようということでございます。そのために正式にまだ組合話し合いを持っておりませんが、しかし、非公式の場ではそのことについて二、三接触したことはございます。しかし、正式には今後ある程度、先ほど先生御指摘のような点がまとまり次第、早急にまとまると思いますので、その段階からは当然組合といろいろお話ししなければいかぬというふうに考えております。
  108. 樋上新一

    ○樋上委員 まあいろいろこまかいことを申し上げたのですけれども、この郵便料金値上げはなった、けれどもサービスは低下している。過日も、この郵便料金値上げ問題について大阪で公聴会を開いたときも、現在の郵便誤配、遅配、そういうような中に料金値上げ審議したのですけれども、結局は値上げになったのですけれども、それならば、この送達配達日数というものを早く確実にして郵政に対する不信を払拭しなければならない、こういう点におきまして、今度のこの公表になるまであと四十日間という日数がありますけれども、いま私がいろいろ申し上げたこまかい問題をよく検討してもらって、公表した上にはこれを実現してもらいたい、こういうぐあいに私は強く要望するのですけれども、この点大臣いかがです。
  109. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 全く樋上先生の御指摘のとおりだと思うのでございまして、そういう趣旨でダイヤをつくることになっておるわけでございますから、これを機会に、ますます遅配、誤配をなくするというようなことで努力しなければならないと思っております。幸いに、最近従業員がよくお考えいただきまして、遅配の状況は非常に改善されてきているようでございまして、国民のあちらこちらの方から感謝のことばもちょうだいできるような状況になりつつあるようでございます。もっとも、大都市並びにその周辺におきましてはいまなお遺憾な点がございますけれども、国全体としましては非常に改善されておりますようでございまして、従業員の御奮闘には感謝をいたしております。御指摘のとおり、これを機会にさらに一そう勉強いたしまして御期待に沿いたいと思っております。  なお、先刻御指摘のありました、組合とよく話すということ、これは先ほども武部先生から非常に御親切に御指導いただいたわけでございますが、ほんとうにごもっともなことだと思うのでございまして、従業員あっての郵便事業でございます、組合あっての郵便事業であるわけでございますから、協力というよりも、そういう人たちに仕事の遂行をやっていただいておるような仕事でございますから、十分話し合って、御期待に沿うような成果をあげるように適当な機会を見てその話し合いのチャンスをつくりたい、このように考えております。
  110. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、次に多摩ニュータウンのことについてお伺いいたしたいと思うのですが、郵政省は多摩ニュータウンにおいて電電公社によるCATVの双方向通信等の実験を来月早々に設置する。またCCISの調査会調査の一助として、多摩ニュータウンにおいて電電公社に施設並びに設備を建設させて、これを借り受けて、CATV業務を行なわせようとする適格な事業者に貸与させるというような方向でその具体的検討を進められておるということを承っておるのですが、この点について、具体的な方法とは一体どういうようにされるのですか。
  111. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 将来情報化社会にだんだん指向してまいるということはさっき申したとおりでございますが、そういうようなことを総合いたしますと、同軸ケーブルの持っております通信メディアといたしましての使命は非常に大きいということが考えられるわけでございますから、その同軸ケーブル情報システムというものを調査研究しようという趣旨で、ただいまお話しのありましたように、今月の十四日であったかと思いますけれども、省内に、かしら文字をとりましてCCIS調査会というのをつくったわけでございますが、これは非常に将来の可能性が考えられます同軸ケーブルの調査研究をしようということで発足をいたしたわけでございまして、その委員は八十名の多きに及んでおることは御承知のとおりでございますが、これが大体一年ぐらいかかりまして一応の結論を出そう。そうして並行いたしまして多摩ニュータウンにCATVの実験をやってみよう。このCATVの可能性が非常に大きいということはただいま申したとおりでございますので、その可能性あるいは経済性等につきまして実地にあそこでやってみよう。で、CCISの結論が出ますのが、一応の結論でございますけれども、一年くらい後だ。多摩ニュータウンの実験が発足しますのはもっとあとになるかと思いますけれども、CCISの結論が出ましたならば、それをもとにいたしまして多摩ニュータウンの実験をやってもらう。この多摩ニュータウンの実験につきましては、御承知のように、そのケーブルは電電公社の御協力をいただきまして、電電公社から架設してもらうことにしておるわけでございますけれども、相当期待のできる成果があがるのではないか、こういうように考えております。そうしてまたその実験に基づいてCCISの研究もしなければならぬわけでございますから、一年後に一応の成果、CCISの結果が出ましても、多摩ニュータウンの実験と並行して、またCCISのほうも進めてもらわなければなりませんので、結論が出ましてもその後存置いたしまして、実験とともに携えてそちらのほうの研究も進めてもらう、相ともに一緒にいたしまして、何か将来の可能性あるいは経済性についての結論を得たい、こういうことで御指摘のようなことをやりたいと思っております。
  112. 樋上新一

    ○樋上委員 電電公社にお伺いするのですが、郵政省からそういった話が正式にあって了解済みですね。
  113. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  郵政省とは内々御連絡をとりながらこの問題にかかっていることは事実でございますが、まだ正式にそうした御依頼もございませんけれども、正式な御依頼があればその御用に立ちたいと思っております。
  114. 樋上新一

    ○樋上委員 私の聞くところによりますと、公社はその実験施設についてCATV事業者に対して設備を提供する、こういうふうに聞いておりますし、またこれについて一億円の予算を要求されるか、されたということを伺っておるのですが、この点はどうでしょうか。
  115. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  ただいま副総裁が答えましたように、正式の話がございませんので、まだ検討の段階でございます。ただいまのところでもし正式になりますれば、一つの試行役務としてそういうことになろうかと思いますので、そういうごく内輪の検討はいたしておりますが、全くの非公式の段階でございます。
  116. 樋上新一

    ○樋上委員 少し具体的な、電電公社郵政省からこれを受けて立ったらこうやるんだ、ああやるんだという準備と、それからいまおっしゃったように、どういう施設をもってこの事業をやるかということはもう考えていらっしゃるだろうと私は思うのです。ばく然として、正式の話し合いがあったらこれから考えるのではなしに、もっともっと進んでおるのではないかということも私は聞いておるのですけれども、どうですか、ばく然として、これから話があったらやっていくんだというようなことでなしに、もう少し話があるはずなんですが、聞かせていただけますか。
  117. 柏木輝彦

    ○柏木説明員 郵政省のほうの事務的な段取りといたしましては、先ほど大臣からお話がありましたような、公社にこの設備を建設して実験に供する、そういう方向で具体的な内容を検討し始めているわけでございますが、まだ正式な決定には至っておりません。  この関係について少し具体的に申しますと、多摩ニュータウンは現在まだ建設中のものでございまして、ごく一部入居しただけでございます。もちろん、今度はこのニュータウン区域全体にこれを行なうということでございませんで、実験の目的に適した、また実験の必要な範囲でその区域を選定いたしまして、またこれを行なう適格な業者が出てくるということが前提でございます。その辺のことをただいまいろいろ検討しておりますし、また電信電話公社のほうでこの施設を建設し、また特に双方向の実験をするということについては一体どういうものをこの双方向実験設備として行なうことが適当であるかという問題があるわけでございます。これにつきましては、双方向の設備は公社の実験施設全域にわたるということでございませんで、さしあたりその一部についてそういう設備を公社が施設して双方向実験を行なうのが適当な方法ではないかと考えておりますし、またどんなような双方向施設を行なうということについては、ただいま大臣からもお話がありましたように、この問題はたいへんむずかしい問題でございますので、せっかくCCIS調査会というものが設けられておりますので、こちらのほうの関係者の専門的な御意見も十分伺ってその内容も決定していくというような段取りを考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題を詰めながら、なるべく近い将来に公社のほうにも正式な協力依頼ができるように段取りをつけていきたいと考えております。
  118. 樋上新一

    ○樋上委員 先ほど私がお尋ねしたことの答弁がないのですが、一億円の予算要求をされているのですね。
  119. 柏木輝彦

    ○柏木説明員 この工事の金額はおおむね一億円という概算で、電信電話公社明年度の概算要求の中に入っているということでございます。実施の細目につきましては、今後の段取りに合わせました実施計画を立てるということになるかと思いますが、ただいま予算要求の段階といたしましては、概算要求の中に一億円程度の金額が含まれているということでございます。
  120. 樋上新一

    ○樋上委員 だから私は言うのですよ。一億円の予算要求がされているのですから、だからばく然と一億円の予算要求でなしに、もし郵政省から正式の話し合いが出たらああやるのだ、こうやるのだという具体的な腹づもりがなくて、ただ単に——予算要求は、私が言うてから大体来年度というけれども、私はもうもっともっと話が進んでいると思うのですよ。  じゃ、郵政省にお伺いしますが、どういう規模でどういう加入者の——多摩ニュータウンでこれを行なえば、やはり住宅の中から加入者を選ぶのでしょう。電電公社でいわれておる、ある一部を試験的にやるにしても何にしても、郵政省としてはこれを命じたといいますけれども、そこに大体の予算とか、加入者はどのくらいあるか、面積はどのくらいでやるかということは、郵政省のほうも考えておいでにならないのですか。
  121. 牧野康夫

    ○牧野説明員 お答え申し上げます。  もちろんやるにつきましては、計画を十分練りましてやらなければならないのでございますが、ただいまのところ、御案内のとおり、同軸ケーブルによる通信、これを世に称してCATVといい、あるいは新しい有線都市化とかいろいろ申しております。そうしてこのケーブルによってあらゆる需要が満たされ、花と開く情報化社会というようなふうにも喧伝されておりますけれども、事実問題としてそこまでいくにはまだ相当の時間がかかるし、かつまたそれをいかに具体的にし、それをいかにわれわれの生活に有用なものにするには、数々の実験を重ねて、われわれがそれに対する一つの目安を得なければなりません。  そのために、いまここで具体的にどういう加入者をとらえて、どのくらいのスケールで何をやるのかという御質問でございますけれども、われわれの考えておりますものは、現在建っておる多摩ニュータウンの中の約二千七百戸という五区画、六区画にありますものを対象に、一応需要があるならばそういうものを対象に電電公社に基幹設備をつくらせて、そうしてそういうものに、ひとまずそのテレビによるところの画像の情報というものの伝達手段を考えていこう、こういう手でございます。  先生の御質問によりますと、その程度ではまことにあぶない、こういう御質問になろうかと存ずるのでありますけれども、問題が問題なだけに、どういうことが社会的効果を及ぼすかということを実験するための実験なのでありますので、その点だんだんと固めて、CCISの調査会の御意見等もいれながら計画を固めて実行してまいりたい、かよう考えておる次第でございます。
  122. 樋上新一

    ○樋上委員 郵政省のほうは、いまいろんな計画のもとに考えていらっしゃるし、また、もし電電公社のほうにいかれたら、具体的なことはまだ煮詰まっておらない、こういうぐあいにおっしゃっているのですが、新聞の報ずるところによりますと、非常に大きくこれを取り上げていますね。これは八月四日の朝日新聞ですけれども、「映像社会の実験都市 通産省が構想」しておる。「有線TVで買物・診療 多摩ニュータウンに建設」、これだけじゃなしに、今度の多摩ニュータウンというところのこういったCATVの実験都市化、またいま申し上げますところのいろんな情報社会の計画をとらえようとしておる、こういうようにも承っておるのですけれども郵政大臣どうでしょうか。ただ単にそういう大きな問題じゃなしに、通産省がこうやっておる、郵政省がこうやっておる、郵政省も言うておる、通産省もやっておるのじゃ、これは相当大規模なものになるのじゃなかろうかと私は思うのですが、この点はどうなんですか。
  123. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私も通信につきましては技術者でございませんけれども技術者でないだけ樋上先生と同様、非常に将来のケーブルビジョン、CATVについては夢を持っているわけでございまして、将来の可能性というものは非常に洋々たるものがある。新しい情報社会というものが花咲き実みのるというような時期が、このことによって非常に効果的に近づいてくるのじゃないかというような考えを持って、そういうような将来性を描きながらこの実験に大きな期待を持っておるわけでございます。しかし、技術的にいよいよやるということになりますと、一躍そういうような社会に飛躍するわけにまいらないので、逐次一歩一歩前進を続けなくちゃならないというかたい意見も出てくるわけでございまして、そこは政治家と事務当局のニュアンスの違いだというように御理解を賜わりたいと考えております。
  124. 樋上新一

    ○樋上委員 電電公社直営で東京多摩ニュータウン有線実験都市にという郵政省の指示が出ておるのです。それからまた、いろいろと新聞の有線テレビのモデル都市に多摩ニュータウンと、こう出ておる。またここには同軸ケーブル情報システム、CCIS調査会を設け本格的な検討、郵政省CATVの活用をはかる、こういうぐあいに大々的に報じられて、もうこれは実現を、先ほどのお話にもありましたように大きな夢の都市がここに生まれるということに対して、まだばく然としか計画はやっておられない。いろいろと考えていられる、こういうのですけれども、私は老婆心ながら、はたしてそういうものを多摩ニュータウンで望んでいるだろうかどうか。そこまでCATVというものを一般住民が望んでいるか、実験都市としてここに多摩ニュータウンにやられても、はたしてそれをほんとうにこの地域住民が求めているであろうか。単なる実験都市として、郵政省が将来の実験都市として、その一部を電電公社などに命じて、電電公社もそのある一部、何千軒か何万平方メートルか、それを実験都市にされてやられるのか、この点ですよ。実際それは実験してだめだったらもうやめるのか、それともどうしても実験都市としてどんどんどんどん将来広げていくのか、それも積極的に動かれるのか、この問題ですね、これをお伺いしたい。
  125. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 多摩ニュータウンを実験地域としまして選定しようとしておりますのは、地元の要請があったから、地元の希望があったからということでなくて、CATVの可能性に私どもは大きな期待を持っておるわけですから、そこで実験をやってみたい、研究調査をやってみたいということで始めておるわけでございまして、まあそういうことでございます。
  126. 樋上新一

    ○樋上委員 これは私、考えてみますのに、はたして入居者が希望しているか希望していないか、希望していないところはとらない、希望しているところをとるのだということになってきますと、これは私、非常にここに問題があると思うのですよ。もちろん料金が要ることでしょう。加入金も要るし、月々何ぼ要るということがあるわけでしょう。こういうことを計画されるについては、また特別な事業者の申し込みがあるという前提のもとにやられておるのか。電電公社はその事業者にそれを貸与して、そしてやらすのか。実験都市としてやられるのだったら、はたしてその住民がほんとうに金を出さずに実験をやるのか、料金をとってやるのか、この点が問題なんですよ。この点大臣どうですか。
  127. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 適格な事業者が見つかるであろうと想像いたしております。そういう想像のもとに実験を始めたいと思っております。
  128. 樋上新一

    ○樋上委員 遠藤局長にお伺いするのですが、適当な事業者が見つかるだろうといういま大臣のお答えでございますが、適当な事業者が見つかればそれを全面的に委託されるおつもりですか。それとも電電公社が全部いろんな面、予算の面、収入の面まで計算に入れて、それで事業者に委託されるのか、その点お伺いしたいと思います。
  129. 遠藤正介

    遠藤(正)説明員 お答えいたします。  ただいま、まだ私のほうも正式に伺ってい段階でございませんので、非公式の研究課題としてのお答えをいたしますと、私のほうで幹線の線路を提供いたしまして、向こうでいわゆる一方方向のCATVというものをおやりになる場合と、それから双方向通信のようなものをおやりになる場合とあると思うのですが、あとのほうはこれはいわゆる公社が俗に申します直営でやることになろうかと思います。これは現在の法律上、制度上そういうことになろうかと思うのであります。それから前者のほうにつきましては、すでにいろんな形で専用設備を提供いたしております。その一種として試行的にそういうサービスを、いわゆる適当な業者の方に提供して、その方々がどういう形で、どの範囲でおやりになるかということにつきましても、これ自体が一つの実験対象になろうかと思うのでありまして、単に技術的な問題だけじゃなく、そういうコマーシャルベースに乗るかどうかという問題もその中に含まれることになるのではないかと思っております。私どもといたしましては、その二つの種類の仕事に分けて考えるのが一番賢明だろうと思っております。  なお、今後郵政省と正式なお話し合いの中で詰めてまいることになろうかと思います。
  130. 樋上新一

    ○樋上委員 電電公社が昨年の三重県の鈴鹿市の同公社の鈴鹿電気通信学園の構内で再送信と双方向通信の基礎実験を行なわれたと思いますが、その結果はどうなんですか。
  131. 庄司茂樹

    ○庄司説明員 いろいろと先ほどもお話がありましたように、こういうCATVで技術的にどうなるかということは、いろんな問題を今後考える場合にも非常に必要だと思いまして、鈴鹿で同軸ケーブルを引いて、地下に入れたり、架空にしたり、それからまたそういう電送路自体がどういうふうになるかという実験的な双方向あるいは一方通信というようなものも全部テストいたしまして、現在の技術においてこういうものは大体全部やれるというふうな結論を得たのでありますが、先ほども遠藤君その他申し上げましたように、相当こういうものがニーズがあるかどうか、それから経済的に成り立つかという問題は、先ほどもいろいろと御説明申し上げたように思いますけれども技術的には現在において大体やれる、問題ないという実験のために鈴鹿でやったのでございます。
  132. 樋上新一

    ○樋上委員 実験のために鈴鹿市でいろいろおやりになって、今度多摩ニュータウンでこれをおやりになるということですが、多摩ニュータウンでやられるときには実験都市であるけれども、お金を取られるのですか。それともこれは実験であるから、設備費も毎月の金も取らないでやるのかどうか。私は取らないでやってほしいと思うのですが、その点はどうですか。
  133. 柏木輝彦

    ○柏木説明員 ただいま公社のほうからお話がありましたように、この設備には二つの部分がございまして、一つは再放送のための幹線部分を建設してこれを貸与する。それからみずから双方向の施設をつくって実験をする。二つございまして、後者につきましては、公社が主となってやる実験でございますので、これに料金の問題というのはおそらく起こらぬで済むかと思いますが、前者のほうにつきましては、その地域の住民の再放送の受信のために料金を取って行なうある適格な業者というものを想定しているわけでございますので、これに対しまする公社からの施設の専用に準ずる一つの線貸しでございますが、これにつきましては、公正妥当な料金を取るというのが原則かと思います。ただ、どういう範囲でどういうような料金になるかということは、この施設が実験施設であるということも一つ頭におきました合理的な料金にするということになるかと思いますので、その辺のことはこれから慎重に検討をしていきたいと思っております。
  134. 樋上新一

    ○樋上委員 郵政大臣に、ちょっとこれは私は早まったことを言うて老婆心であって、そこまでまだ考えておらぬと言われればそれまででありますけれども、いま適当な料金とおっしゃいましたが、それでは入居者の負担が大き過ぎはしないか、こう思うのですね。それで、これがデベロッパーの住宅の場合は家賃に織り込めるのですけれども、公営住宅の場合には、そういったものが家賃にしわ寄せしてくるのではないか、こう思うのですがどうでしょう。
  135. 牧野康夫

    ○牧野説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問料金を取るとするならば、それがデベロッパーの場合はともかくとして、一般の公営住宅を圧迫をするのではないか。私はそういうようなことも、どの程度圧迫するかというようなことも実験しなければならないのではないか、こういうふうに思いますけれども、確かにその点の関係はあるだろうと思うのであります。それで、実際問題といたしましては、これを事業者に払いまして、電電公社は専用料として事業者から取る、こういう形になろうかと存じます。
  136. 樋上新一

    ○樋上委員 何したところで出す者は住宅の者ですから、事業者に出してもどっちに出してもなんですけれども、任意加入かそれとも何号棟に入った者で、入居する者が選ぶ権利があるのか。また、工事は入居後に行なうのか、この点をお伺いするんですが、なお、双方向通信の立法化がまだ完全ではないと思うのですけれども公衆電気通信法のどの条文に当てはめて、これをおやりになるんだったらおやりになるんですか。
  137. 柏木輝彦

    ○柏木説明員 適格なる業者に対しまして線を貸すということにつきましては、これは公衆電気通信法の一部の本来業務に属するということになると思います。したがいまして、これはいまの公衆電気通信法に基づく一つ公社の本来業務でございますが、こういうことを公社側で一体どういうような条件で今後制度化していくかということにつきましては、いろいろ問題がございますので、これを一つの実験に供したいということでございます。したがいまして、その際のサービス並びにその料金につきましては、公衆電気通信法に基づく試行役務ということで郵政大臣が認可して行なうということにしていきたいと思います。  双方向通信につきましては、これも公衆電気通信法によります公社の本来業務でございますので、公社がこれを行なうということにつきましては、別段法律上の問題も生じないと考えます。
  138. 樋上新一

    ○樋上委員 試行役務の拡大解釈ですね。
  139. 柏木輝彦

    ○柏木説明員 これは拡大解釈でございませんで、現在あります公衆電気通信法に基づく行政措置でございます。
  140. 樋上新一

    ○樋上委員 自主放送、双方向通信の現在の使用効率が低いと私は思いますし、ケーブル設備の償却など、今後は再送信に待たねばならぬ。再送信の経営基盤が現在では確かではない、私はこう思うのですよ、いろいろな点からいいますと。こういう点で、結局これを業者に与えるといっても、加入者がどれだけ見込まれるかというようなことを想像されたことありますか。
  141. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  多摩ニュータウンにおきまするいわゆるCATVの需要と加入者がどの程度あろうかということでございますが、現在この多摩ニュータウンはまだ全部うちが建っておりませんで、ある程度いま建設中であるというわけでございまして、電波の強さから申しますと、東京のテレビの電波が相当強いところでございまして、いわゆる難視聴地域であるというわけにはいかないわけでございまして、どの程度の加入者があるかというのは非常にむずかしいわけでございます。御存じのように、世帯数にしまして大体約十一万世帯くらいのものが多摩ニュータウンに入居するという予定でございますし、建物が建つにつれましてある程度の難視聴もあるだろうということで、私どもとしましては、約二割程度の世帯が難視聴であろうということを考えておるわけでございます。
  142. 樋上新一

    ○樋上委員 この実験結果によって、郵政省はこれを将来公社に本来業務としてやらせるおつもりですか、大臣
  143. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 結果を見ましてきめたいと思っております。
  144. 樋上新一

    ○樋上委員 結果を見て何ですか。結果を見てやらせる……。
  145. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 結果を見てきめたいと思っております。
  146. 樋上新一

    ○樋上委員 何かもう一つ、本格的にやっているのかと思うとやっていないような、両方聞いてみると、まだぼやっとしているようですけれども、この多摩ニュータウンでその試験をやらなければならぬほど、いまの日本の現状から見てこのCATVが伸びていくか、こういうことに私は疑問を持つ一人なんでございます。実験都市にそれをやって、業者からこの加入金など、また月々の料金など取るということは、私はまだまだ早計じゃないかと思うのですが、そんな実験を本来の業務としてやらしてみるというのならば、試験中の間は、ある期間無料でなすべきだと思う、引き受け業者に対しても。そうあるべきだと私は思うのですよ。あまりこっちで何だかんだ——試験しているのは、これは国策で試験されるのでしょう。将来の情報として国策でやられるのだったら、多摩ニュータウンの一部の居住者に対して、最初から設備費だとかまた月々幾らずつ取るのはおかしい。この点はある期間、試験期間は無料でやるべきが妥当だと思うのですが、この点、どうでしょうか。
  147. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 まあ、そういうことも含めて実験するわけでございますが、実験中の料金のことについては、ひとつ検討してみたいと思っております。
  148. 樋上新一

    ○樋上委員 終わります。
  149. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 中野明君。
  150. 中野明

    ○中野(明)委員 いまCATVの話が出ておりますので、私も順番からいきましてCATVのことから先に入りたいと思います。  過日、郵政省の来年度の予算要求の中でCATVに対して助成をする、こういうことで要求が出ておるようでありますが、この助成の要求の内容、どの程度お考えになっているものか、どういう助成のしかたをなさるのか、最初に……。
  151. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省がCATVについての助成策を考えておりますのは、第一に、いわゆるテレビジョンの難視聴の解消ということを促進するためのものでございますが、なお、あわせまして、将来におきます情報化社会の発展と新しい地域社会の形成に寄与するためのものであるわけでございますが、その考え方といたしましては、現在相当広範囲にわたるテレビジョンの難視聴がある地域の中から、難視聴解消の緊急度を第一の要件としまして、その地域においての公益的性格を有するCATVの事業者というものに対しまして、CATV施設の幹線部分につきまして建設費の約二分の一程度、全施設の建設費になりますと、おそらく約四分の一くらいになると思いますけれども、その程度の額を助成したい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  152. 中野明

    ○中野(明)委員 テレビの難視聴というお話なんですが、これは最近、都市の難視聴のためにCATVというのが非常に大きくクローズアップされてきたわけですけれども、御承知のとおり、山間部におきましても難視聴というのじゃなしに、全然見えないところもあるわけです。これについての助成というのですか、現在では山間のテレビの難視聴者は、テレビを見たいために個人で負担をしてやっているわけです。最近NHKのほうで幹線の部分は全部やるようになりましたけれども大臣も御承知かと思いますが、やはり最低六千円くらいは負担をしているわけであります。そして時代の流れに取り残されないようにということで、テレビを見るために非常に苦労をしているわけであります。そういう点についての助成というものは、今回のこのCATVに対する助成の範囲にお考えになっているのかどうか、そこのところを伺います。
  153. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 NHKは御承知のように、放送によりましてあまねく聴視ができるようなことにしなければならないということで、非常に御奮闘をいただいておるわけでございますけれども、民放も、そういう法律はございませんけれども、電波の公共性に基づきまして同じような方針で難視聴の解消にはこれまた協力を賜わっておるわけでございます。  ところが、今度CATVに特に補助金を出すということについては、大きく二つの理由がありますことは、ただいま電波監理局長から御答弁を申し上げたとおりでございまして、その一つは、まさに難視聴解消の非常に大きな役割りを持っておりますから、これに対して補助金を出そうというわけでございます。  このCATVに、難視聴解消のための役割りに対して補助金を出すというのは、実は大都会における高層ビルによっての難視聴でございまして、いわば公害みたいなものでございまして、だれの原因によってそういう難視聴ができておるかという、その加害者と申しますか、そういうのがわかれば、そういう人からお金を取って施設をやっておるわけでございますけれども、だれが加害者かわからないというような、いわば公害みたいなものでございますから、そういうことまでNHKにやっていただくのはお気の毒だ、波の問題でなくて、公害の問題だというような見地から、国のほうからそういうような難視聴解消のための仕事に対しては補助金を出そうというような考えで出しておるわけでございまして、NHKに対しまして、難視聴の解消にたいへん努力をしていただいておるから特に補助金を出すというようなことは現在考えておりません。
  154. 中野明

    ○中野(明)委員 参考のためにお聞きしたいのですが、この都市難視でなしに、自然現象、山とか僻地のためにテレビが見えないというのは、全国で現在大体何万世帯くらいになっているのでしょうか。担当官でけっこうです。  それで、それに対する対策、いま大臣お話しになりましたように、NHKまかせというような感じになっていますが、それに対する対策は郵政省のほうとしてどうお考えになるか、この二点。
  155. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 難視聴の解消については、私も特に力こぶを入れておるつもりでございますけれども、現在、NHK関係の難視聴の世帯から申しますと全国で約八十万世帯あるようでございます。民間放送関係で申しますと、はるかにそれを上回っておりまして、百数十万世帯ということになっておるようでございます。それで、こういうような気の毒な方々、申し上げるまでもなく、いまテレビというものは山村僻地の方々にとりましては非常に生活の大切な器材でございまして、娯楽、福祉、教養、あらゆる面において非常に大きな役割りを持っておるわけでございますから、つとめてテレビの利用を全国民に享受していただくような施策を進めていかなければならないというのが、私ども考え方でございます。  そこで、NHKのやっておりますことは、御承知のように中継局をつくることと、共同施策をやりますこと、この二つでございます。民放も大体そういうようなことでやっていただいておるわけでございますけれども、民放は事業の性質上、NHKのように御無理がいいにくいというようなことでもございますから、NHKには特にお願いいたしまして、つとめて中継所とか、あるいは共同施設をどんどん積極的に、従来もやっていただいておりますけれども、さらにさらに促進してやっていただきたいと考えておるのでありまして、そのことにつきましては特に数日前、私、NHKの前田会長にお願いいたしまして、民放のこともひとつ考え合わせて、民放をおんぶするという気持ちであなたのほうが、積極的にそういうような解消の努力をやっていただきたいということをお願いをいたしたわけでございます。  そういうような奨励をつとめてやりたいと思っておりますし、またいろいろ事務当局とも相談をいたしておるわけでございますけれども、何か難視聴解消の促進をするための事業団でもつくったならば、そして事業団から低利長期の融資を、放送事業者にして差し上げるというようなことでもいたしますと、非常に効果的であろうというように考えておりますけれども、これは大蔵省との関係もいろいろございまして、まだ一応の私どもの単なる構想にすぎませんけれども、あらゆる措置を講じまして、過疎対策の一助といたしましても  この問題には努力をしてまいりたい、こう考えております。
  156. 中野明

    ○中野(明)委員 大臣の先ほどからのお話で、大体大臣のお考えがわかるような気がするのですが、確認のためにもう一度申し上げてみますと、私どもはこの難視を解消するということは、人為的であるといなとにかかわらないで、一応やはり放送事業者の責任、このように精神的、法律の上ではどうか知りませんが、精神的にはそう考えるべきではないか。電波の割り当てを受けて事業を営んでおる。それも半ば独占的といってよろしいです。そういうふうな事業を営んでいる限り、それが人為的である、あるいはそれ以外の理由だということによらず、精神としては極力難視解消に全力を上げるべきだ、そういうような精神で臨んでいかせるべきだ、私はこのように考えているのですが、大臣も大体そのような気持ちでおられるように先ほどもお話の中で感じたのですが、そうとってよろしいでしょうか。
  157. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 方向といたしましては、そのように考えております。
  158. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、大臣も就任なさっていろいろと御用事が多いと思いますけれども、私たちはいま申し上げましたように、電波の割り当てを受けて事業を営んでいる以上は、そういう一つの、裏には義務というものがある、このように理解をしているわけですが、そこから得た利益というものを、極力難視の解消あるいは番組の内容の充実向上に使うというのが本来の考え方ではないか。  ところが、これは以前にも指摘されましたけれども、NHKは別としまして、相当の数の民放では、関連産業というのですか、そういった方面に相当お金をさいて、そして事業をしている。それも放送関係のない事業、観光事業とか、あるいは土地の不動産業とか、そういうところ等にも力を入れているやに聞いており、相当批判のあるところであります。二、三年前に郵政大臣のほうからもそういうことを公表されて、そして勧告とまではいかないでしょうけれども、自粛を要望されたということを聞いているのですが、その後そういう方面についての指導、監督、そういうことをどのような方向努力をなさっているのか、新しい大臣が就任されたので、そういう点に対しての大臣の所見をこの際お聞きをしておきたい、このように思います。
  159. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 一般放送業者、いわゆる民放が関連事業に投資する、そういう仕事をやるということについては、郵政省としましてもあまり好ましくないというふうに考えまして、再免許のときに、大臣から、つとめてそういうことをやらないようにということを勧告をやっておるそうでございまして、そういう方針で指導いたしたいと思っております。
  160. 中野明

    ○中野(明)委員 この問題は今後、最近は特にテレビの番組の低俗化というようなことも相当問題になっておるときでもありますし、大臣が新しく就任なさったわけですから、そういう点、先ほどの御精神、よくわかりましたので、そういう方向指導、監督をしていただいて、それが結局都市だけではなくして、特に山間部でテレビの見えないで困っているところが、NHKよりも民放関係が非常に多いというお話もございました。そのとおりでありまして、そういう方面に力が入ってくれば、それだけ国民全体の文化の向上になる、事業の公共性というものも当然満たされる、こういうことになるわけでありますので、方向を間違わないようにひとつ指導をお願いしたい、こう思うわけであります。  それで、事業団のお話も出ておりましたが、一つの案としてお考えになっておるようでございますが、いずれにしましても、しかるべき方法で難視解消に努力をしていただきたい、こういうことであります。  それで私、ちょっと心配をしておるのでありますが、このCATV、先ほど藤木局長からお話がありましたように、業者に施設、しかも幹線の建設費の二分の一ですか、あるいは全施設に対しては大体四分の一ぐらいにならへんかというお話ですが、助成をする、こういうお話でありますが、こういうことになりますと、これちょっとまた心配が出てくるんであります。というのは、結局政府、郵政省なら郵政省からそれだけのお金を業者に、施設の大半の援助をするということになりますと、そこに発言力というものがかんでこないか。そして、やはり放送業者に対する一つの統制につながらないかという心配をするわけであります。しかも、過日来、現在も継続審議になっておりますCATVの法律、これは業者を許可にかからせよう、こういう内容であります。そうなりますと、お金は応援をしてやるわ、そして許可制にするわと、こうなってまいりますと、CATV業者に対する政府の言論介入という一つの心配を私たちは持つわけでありますが、この辺、助成策を考えるときに検討事項に入ったかどうか、また現在どうお考えになっているか。
  161. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほども答弁申し上げましたように、いわゆる助成というものは難視聴の解消ということを主目的とするわけでございまして、したがいまして、放送されるもの自体は、これは再送信ということでございまして、いわゆる放送事業者というものに対しての助成ということではないわけでございまして、あくまでも施設をつくる事業者と申しますか、施設に対する助成でございますから、その内容自体につきましては私どもとしては全然関係ない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  162. 中野明

    ○中野(明)委員 いま局長お話がありましたが、もちろんCATVは、再送信から自主放送もできます。いろいろの面で施設免許ということになっておりますけれども、国からそれだけ基本的な財産に対して助成が出るということになりますと、国の発言力というものは、その会社に対しては絶大なものになってくるわけであります。その上に許可ということになってきますと、やはり一連のそういうことを私どもはまずもって心配をするわけであります。ですから、あらためてお尋ねをしておるわけでありますが、そうまでしてCATVの事業というものを、助成してまで伸ばさなければならない時期であるかどうか、こういうことも疑問に思っておる一つなんですが、いまお話が出ているように、やはり施設の半分以上の金が国から出ているということになりますと、相当な発言力だと思います。だから、無言の圧力にもなっているだろう、しかも、法律が継続になっておりますけれども、今度通れば許可制になってくる、これは当然郵政大臣の許可権、こうなってくるわけですから、たいへんなCATVの会社に対する発言力だろうと思うわけであります。  ところが、先ほど私が言いました山間僻地の助成ということになりますと、これはその心配はないと思います。経営の主体ははっきりしているのですから、ちゃんと放送会社として経営はやっている。しかしながら、その余分な費用をさいて山間僻地の難視聴を解消するというんですから、そのほうに助成をするというのはぼくは何ら差しつかえないんじゃないか。しかし、CATVの会社自体にその建設費の相当の部分を助成するということになると、その会社に対する郵政省の発言力というものは、もう絶大なものだろう。しかも、その上にまた許可制にする、こうなってくると、いまの無言のうちに威圧を加えるとともに、介入しやすくなってくる、こういう心配をしているわけなんですが、その辺大臣、ちょっと中座しておられたようですが、いまの二点に関して、私非常に心配なところがあるのですが、大臣のお考えをこの際確認しておきたい。
  163. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 施設の免許制にいたしまして補助金を出しますことは、御指摘のとおりでございますけれども放送内容につきましては、再放送についてはもとのほうから出てくるわけでありますし、自主放送にいたしましても、放送の規制を受けるわけでございますから、そんなことはやろうとも思っておりませんし、できることじゃないと思いますので、いささかも御心配要らないと私は考えておるわけでございます。しかし、御意見のような御心配もあり得るわけでございまして、その面は特にひとつ気をつけてまいりたいと思っております。
  164. 中野明

    ○中野(明)委員 発言力が強まることは事実であります。それだけに心配をしておるわけでありますが、これは確かにおっしゃる一面もございますので、これ以上申し上げませんが、そういう心配をしておるということを御承知いただきたいと思います。  それからCATVですが、新宿にケーブルビジョンができまして、その後大阪にもその他のところにもできましたが、公益法人として発足しているのですが、何か業績があまり芳しくないということを私聞いております。一番早かった新宿の現状は、一体どうなっているのでしょうか、いつ採算ベースに乗るのか、現在加入者はどの程度までふえているのか、そこのところを説明していただきたい。
  165. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  いわゆる東京ケーブルビジョンにおきましては、現在おっしゃいますように、新宿地区におきまして約七百七十世帯が加入できるような規模の施設が建設されておりますが、実際の加入者は約三百四十程度でございます。しかし、さらに近く新宿地区での増設というものを見込まれますし、また池袋地区での新設というものも計画されている状態でございまして、おっしゃいますように、こういった新しい事業でございましたので、最初いろいろトラブルがあったようでございまして、思ったほどスムーズにはいっていないようでございますが、大体その問題点といったものも究明されておりますので、今後はどんどんCATVというものが発展するのではなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  166. 中野明

    ○中野(明)委員 いつ企業ベースに乗ると見通しを立てておられるのですか、いまの現状から見て。
  167. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  東京ケーブルビジョンにつきましては、おっしゃいますように非常に初めトラブルがございまして、初めの予定は三年間で二万世帯以上という予定であったわけでございます。おそらく企業ベースということになりますと、一万世帯ぐらいの加入がないと企業ベースには乗らないと思いますが、そういった方向につきましても、いま東京ケーブルビジョンとしてはいままでの問題点を解明して、その再建策を講じてこれから推進しようというところでございますので、おそらくそういった方向に向かってこれから進んでいくだろうと期待しているわけでございますし、私どもとしましても、十分に行政指導いたしまして、発展できるように指導ていきたいと考えておるわけでございます。
  168. 中野明

    ○中野(明)委員 東京もそうですし、大阪なんかも全然話にならぬというふうにも聞いております。そういうふうな事態、こういうやさきに、このCATVに助成を出すというふうな考え方郵政省が持たれるということは、私たちちょっとおもしろくないわけであります。CATV、まあ先ほど牧野さんのお話じゃないですけれども、花開く情報産業ですか、まことにりっぱなお話をなさっておりましたが、それと現実とは全然違うような気もいたしますし、それだけ要望がないんじゃないか、一般家庭においてCATVに対する、有線テレビに対する要望がないんじゃないか、そういうふうにもとれるわけであります。それは、いま局長がいろいろトラブルがあったとかなんとかおっしゃっておりますけれども、大阪においてしかりであります。特に新宿の場合はまだ三百四十世帯というような状態では、これはもう話にもなりませんし、相当の資本を出しております。そこまでして、CATVを助成してまで伸ばさなければならないかどうか、こういうことに私たち、も一つ疑問を感じるわけですし、現在、片方では許可制にしようと法律を継続審議ている最中に、そういうふうな助成をしてまで伸ばさなければならぬか。許可制にするという理由には、結局こういうようなことをおっしゃっております。「各地において同軸ケーブルを用いた有線電気通信設備により有線テレビジョン放送を行なう事業が活発に」なってきた。一つも活発じゃないんです。それで、最初の案でございますけれども、国民の文化的日常生活に必要不可欠だ。途中でこれは文面は変えられたようですけれども、そこまで郵政当局としては判断をしておられて、しかも、それが独占的傾向におちいりやすいから、受信者の利益を保護するために許可制にしよう、こういう理由であります。  このCATV、あまり国民が求めていないような、現在の公益法人ができても遅々として進まないというような、国民が求めていないようなもの、それに対して業者に金を出してまで助成をして、結局今回のこの助成金を出すことによって、一体だれが得をするのか、結局CATVの会社だけが助成金をもらって、国策ですか、新しい技術開発して研究をしている、こういうふうな、何か国民の気持ちとかけ離れたところでやっているような感じを受けるわけであります。それならば、技術の純然たる研究としてどこかに委託をされてやったほうがいいんじゃないか。そういうふうな考え方も持つわけであります。特に郵政省のほうで出された新聞発表の資料ですが、それには、技術的にも解明すべき問題が非常に多く残されている、こういう事業であります。ですから、これとにらみ合わせていきましたときに、やはり有線テレビに対するものの考え方が、あまりにも世間のマスコミあたりが宣伝している夢というような形に乗っけられて、役所そのものもそれで右往左往しているんじゃないかというような感じも受けるわけですが、そこのところを非常に私は、このたびCATVの助成ということに対してはぴんとこないんですが、いま一度、いまちょっといろいろ申し上げてしまったのですが、新宿の公益法人の実例あるいは大阪の実例、そういう遅々として進まない実例、これなんかを見ましたときに、はたして助成をしてまでCATVを国民に押しつけていくべきときであるかどうか、こういうふうに私疑問を持つわけです。大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  169. 藤木栄

    ○藤木説明員 ちょっと大臣のお答えの前に、恐縮でございますけれども、大阪のことを私、申し忘れまして、大阪では現在京阪神ケーブルビジョンというものがスタートしたわけでございますが、現在大阪市内では約四百世帯、それから神戸市の鈴蘭台というところでは約千二百世帯が加入し得る施設が建設されておりまして、現在加入者としましては、大阪市内では四百の施設に対しまして実際は百二十世帯ぐらいでございますけれども、鈴蘭台地区におきましてはその千二百世帯まるまるが現在加入しているわけでございまして、近くさらにその鈴蘭台地区では千二百世帯の加入ができるように施設の増設について現在工事を進めているという状態でございますので、東京と違いまして、大阪のほうは大体予定どおり進んでいるのではないかと思っております。  それから、そのほかの地区におきましても、現在名古屋あるいは福岡には公益法人ケーブルビジョンというものができておりますが、これはスタートしたばかりでございますので、これからというところでございます。  それからそのほかの地区におきましても、すでに計画はいろいろございまして、役所のほうに言ってきているわけでございますが、私どもとしましては、間もなく、現在法案を国会に提出している状態でございますので、そういうことを業者とも話し合っているというようなことで、その要求自体は、私どもとしては相当な数を受けているわけでございます。したがいまして、この施設自体がいいかげんなものをつくって加入者、受信者の不利益にならないようにということで現在提出をしておりまする法案をつくったわけでございまして、私どもとしましては、あくまでもしっかりした施設をつくって、しかも、これが先ほど来申し上げておりますように難視聴の解消ということでございまして、私どもとしましては現在普及しているテレビあるいはラジオも含めまして、放送の受信というものが、私どもの日常生活にとってはまことに有用であると考えておるわけでございまして、これの難視聴を解消いたしまして、できるだけいい画質のテレビの受像ができるように私どもは念願してこういった助成というものも考えているわけでございまして、先ほど申しましたように、助成といいましてもどういう利用者に対してでも助成するということではなくて、あくまでも難視聴をその主目的といたしました公益的な、利用者に対しまして助成をいたしたいというわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  170. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私も大体同じようなことをお答えしようかと思っておったのでございますが、私も中野先生の御意見のように、補助金を予算要求するについてはちょっと考えたわけでございますけれども、いろいろ考えてみますと、ただいま局長が御説明いたしましたように、事業そのものは難視の解消という非常に大切なことでございまして、しかも、営利を目的としない財団法人で、公共的な精神をもってやっていただいているというような事業体でございますし、それから各家庭に支線を引き込むのが三万円程度かかるそうでございますけれども、一万五千円しか取ってはならないという規制も加えておるようでございまして、そういうようなこともかたがた考えまして、ある程度の助成は必要ではなかろうか。しかも、ただいま局長が御説明いたしましたように、東京は東京ケーブルビジョンが非常に難航いたしておりますけれども、それにはそれに特別な理由があることは先ほど御説明いたしたとおりでございますが、大阪はどうやら軌道に乗りつつある。ただ、名古屋、福岡は、まだやっと発足したばかりであるというようなことでございまして、これらの地域は、実績はわかりませんが、全国的に見ますと、ケーブルビジョンの、有線テレビジョン放送の申請は多いのでございます。非常に希望者は多いのでございますけれども、やたらに許しますと公衆が迷惑をこうむるというので、適格な事業者を選定してこれに免許を与えたいということで、ただいま法律案が出してありますようなわけであります。全国的にはそういうような選択ができるぐらいに希望者が多いように私は承っておるわけでございまして、もともと趣旨趣旨でございますから、先生のおっしゃることはよく私どもはわかるわけでございまして、一応私もそういうことを心配してみたのでございますけれども、説明を聞けばなるほどとうなづける点がございますから、助成ということに踏み切って予算要求をいたしておりますようなわけでございまして、さよう御了承願いたいと思っております。
  171. 中野明

    ○中野(明)委員 いま大臣並びに局長から御答弁いただいたのですが、全国的に希望が多い、これにはいろいろ理由があると思われるのです。私たちが感じますのは、結局、これは電波の行政の根本問題だろうと思いますが、東京とか大阪とかいうような大都会では、テレビが何チャンネルも見えて、郡部へ行けば行くほどチャンネルの数が少ない。そういうところから出ている要望が強いのじゃないだろうか、このように思います。  それから、神戸のお話をいま藤木局長が申されましたが、あれも結局、NHKなり民間放送が当然やるべき性質のところじゃないかと、私どもは大体そのように見ているわけです。純然たる大都会の中で、いわば公害的な、ビルの林立による難視聴というふうな見方はしてないわけでございます。それはいろいろ見方があるものですから一がいにいえないと思いますけれども、そういうことで、助成までしてCATVをここで推進させなければならぬのだったらば、法律で規制をする必要はないじゃないかという考えを私持っているわけであります。  なお、公益法人にしましても、これは経営基盤が非常にしっかりした各種の母体の人たちが集まられまして公益法人をつくっているのですから、そういう心配はさらさらない。そういうところに助成をする意味はないのじゃないか。公益法人にしたのもそういうことをやはり心配して、公益法人を行政指導の上で指定されたのじゃないか、私はそう考えるわけです。  ところが、悪くいえば、自分たちがつくった公益法人がなかなかうまくいかないから、企業ペースに乗らないから助成を考えて今度は助成をする、悪く考えればそうとれるわけです。それはものの考え方ですから、いろいろ考えはあると思いますが、私どもうがって考えれば、自分たちが公益法人を一応指定した。ところが、そこがなかなか思うように事業がいかないので、今度は助成を考えて助成金をそこへやる。これじゃ、何かCATVという新しい情報化時代の波に乗っかって、一般の国民が全然知らないところで一部特定の人たちがいい目にあっているのじゃないか、適当にやっているのじゃないかというふうに私たち思えてくるわけでございます。そういう心配をするものですから、いま申し上げたようにいまこの段階において助成をするというのは少し早いのじゃないか。もう少しCATVの状況を見てから助成をされたっていいのじゃないか。せっかく公益法人も、指導をして、そして全国で四カ所モデルをつくられたのですから、その運営の状況を見ながら、それから後において助成を考えられてもおそくないのじゃないか。しかも、技術的にもまだこれからどれほど変わってくるかわからぬということを、この中にも大きくおっしゃっております。そういう段階ですので申し上げているわけであります。  なお、いま一点だけこの問題についてお尋ねしておきたいのは、やはり理由の二番目の終わりのほうに「将来、この施設を全国的に普及し、地域社会における個人、企業等の社会活動に機能すべく定着させる方法」、ですから全国的に普及させる、このように第二のねらいとしておっしゃっているわけなんですが、ほんとうに全国的に普及させるつもりでおられるのかどうか。
  172. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  いま先生がお読み上げになりました趣旨のものは、私どもとしましては、先ほど来牧野監理官が言いました夢開くといいますか、そういった意味における将来における未来像というものを頭に置いての表現でございまして、いまそれがすぐ実現するとは思っておりませんけれども、いずれそういった方向を目ざして開発されていくのではなかろうか、そういう気持ちでございます。
  173. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、全国的に普及するということになりますと、やはり日本の地理的な状況、山が多い、谷が多いというこの現状から考えますと、CATVの事業者というか。施設者に、電波の割り当てをしなければ、同軸ケーブルを張りめぐらすということは、経費の問題でとうてい不可能だろうと思うのです。その辺はどうお考えになっておりますか。
  174. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  全国的にという意味は何も現在のCATVが有線で、同軸ケーブルで全部張りめぐらされるということではございませんで、その地域、地域にそういったものが発生するであろうという意味の全国的でございまして、私どもとしては、マイクロで結ぶとか、あるいは同軸ケーブルで無理してやるということは全然考えてないわけでございます。
  175. 中野明

    ○中野(明)委員 しかしながら、同軸ケーブルを引くということになりますと、相当金のかかる仕事であります。日本の大都会は別として、少しでも郡部のほうに行きますと、相当飛び散っておりますし、その間に同じ行政区域の中でも、まん中に山があったりいろいろのことがあるわけです。そういうときにはやはりCATVの一つ事業者に電波を割り当てれば、高いところから高いところへマイクロで送って、そこから同軸で同じものが送れる、こういうことが可能なんです。ですから、私そのことを、将来そういう時代が来るんじゃないかと思ってお尋ねをしているのですが、そういうお考えは全然ありませんか。もうCATVの事業者はどこまでも小範囲で、同じ行政区域でもまん中に山があろうが何があろうが、それはもうここだけだ、そういうふうな考えで推し進めていかれようとしておるのか。場合によったら電波の割り当ても考えているのか。
  176. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、マイクロで全部結ぶというようなことは考えておりません。
  177. 中野明

    ○中野(明)委員 時間がだいぶずれてきているようでありますので、私いろいろお尋ねしたかったのですが、次にいきたいと思います。  先ほど大臣に申しましたように、難視解消ということについては、今後一そうの御努力をお願いしたい、このように思います。  ではいま一点だけ、簡易郵便局のことについて要望を含めて質問してみたいと思いますが、簡易郵便局が過日の法律改正個人受託も可能になりました。それで最初お尋ねをしたいのですが、個人受託になってから、新しく個人経営の簡易郵便局を設置した数は、現在まで何局ぐらいございますか。
  178. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 去年簡易郵便局法を改正してから八月末日までで六十二局になっております。
  179. 中野明

    ○中野(明)委員 年間の目標は、これは個人も含めましてですが、年間の設置目標はどの程度考えておられるのかということと、それからもう一点は、いままで地方公共団体、あるいは農協、漁協、そういうところが受託をしておったところで、個人に、どう言ったらよろしいでしょうか、肩がわりというんですか、切りかえというんですか、そういうふうになった局は何局ぐらいございますか。
  180. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 四十六年度予算において、簡易局の設置予定数は一応三百になっております。それから四十五年度においても三百でございました。それから、法案成立後、従来個人でなかったものから個人に切りかわったものが七十三局ございます。
  181. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、この七十三局ですが、これはまだ日にちがあまりたっておりませんので、そこまで局長さんのほうでも掌握できてないのじゃないかと思いますが、私たちが聞く範囲、見た範囲では、個人受託になったほうで意欲が増して、非常に業務成績も上がりつつあると、このように見たり聞いたりしているのですが、その辺はどのようにお感じになっておりますか。
  182. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 実は、その方面の正確な調査はしておりませんが、いままでのところ、そういう意欲のある者が申し出て個人に切りかえたという結果からすれば、いまのところはいいのじゃないかという感じがしております。
  183. 中野明

    ○中野(明)委員 それでこの年間の目標は三百局、予算の要求は三百局なんですが、六十二局ということで、これは個人だけのことをおっしゃっていると思いますけれども、大体年間の予算目標三百局は一〇〇%できているのでしょうか。いままでの実績はどの程度ですか。
  184. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 実は四十五年度、法案を提出した時点のときでございますが、結局四十五年度では百六局しか設立できませんでした。それで四十六年度に入ってでございますが、現在までのところ、四月一日から八月末までで四十五局できております。去年のいま時分の時期までは大体十八局しかできておりませんので、去年のベースよりはかなり進んでいるような気がします。しかも、この四十五局のうち三十四局が個人でございまして、八〇%近く占めているということで、三百局完全に完成するかどうかについては疑問がありますが、去年よりは成績がいいのじゃないかというふうに考えております。
  185. 中野明

    ○中野(明)委員 わかりました。  私は、けさほどから大臣にもいろいろ質問がございましたように、労使関係ということで、郵政事業一つの大きな問題として、労使がうまくやっていくということが重大な問題だといわれているとおりでありまして、郵政事業というのは結局人の力にたよらなければならない、こういう点が、事業の性格からして非常に多いわけであります。そのためにどうしても郵政会計というのは現状苦しい。そのために来年の二月から郵便料金値上げということがきまったわけでありますが、そういう点を見てみますと、郵政会計の現状、だからといって郵政事業に課せられた責務というのですか、使命というものは公共性の非常に高いもので、国民の生活にこれはぜひ必要なものである。そういう意味から考えますと、簡易郵便局というものの郵政事業の中に果たしている役割りというものは、その意味においては非常に重大だと私は思います。特定郵便局と比べてみましたときに、やはり簡易郵便局のほうが経費はそれだけ郵政当局としても安くついているのじゃないか、このように思います。そういう状況の中で、簡易郵便局は簡易郵便局なりの責任を果たしているわけでありますが、これは局の性質からして当然やむを得ないことと思いますが、普通局、特定局に比べて、業務の内容というものは非常に幅が狭くなっております。しかし私は、いま申し上げたような理由をいろいろ考えてみますと、やはり郵便料金値上げをしてサービスの向上をしなければならぬという一つの大きな問題も、過日の聴聞会でも出ておりました、公聴会でも各与野党の参考人ともそういう意見でありましたし、国民の声だろうと思うのですが、可能な限り、簡易郵便局の受託範囲というのですか、これの幅を広げて、地域住民の便利に供すべきである、こういう考えを持っております。ちょうどことしから、御承知のとおり国民年金の拠出制の老人年金が支給されることになりまして、年に四回ですか、ところが現在までのところは、これは普通郵便局、特定郵便局では取り扱えることになっておりますが、簡易郵便局では取り扱うことにまだ省令でもきまっておらぬようであります。この一部改正をしたときの趣旨から考えまして、あのときには無拠出の社会保障のお金は簡易郵便局で支払いができるようになったわけでありますが、そういう趣旨から考えまして、ぜひこの拠出制の老人年金も簡易郵便局の窓口で受け取れるようにしてもらいたいという要望が非常に強いわけであります。これは省令で決定できることのようでございますが、この点大臣、どういうお考えをお持ちになっているのか、そういう取り扱いをできるように処置していただけるものかどうか。
  186. 石井多加三

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話のございました国民年金の中でのいわゆる拠出制のものにつきまして、ことしの八月からこれが支給になっていることは御指摘のとおりでございまして、現在簡易郵便局ではこの事務は取り扱っておりませんが、私たちのほうといたしましても、内部的に現在この取り扱いにつきまして前向きの姿勢で取り組んでいるところでございます。  なお、いろいろ事務的な検討の問題がございますけれども、そういった点が整いますれば、でき得れば年度内にでも取り扱いを開始したい、かように考えております。
  187. 中野明

    ○中野(明)委員 いま局長お話でわかりましたが、前向きで取り扱えるように検討しておる最中であるというお話でありますので、ぜひこれは法律改正趣旨からいいましても取り扱えるように大臣のほうからも督励をお願いしたい、このように思います。  なお、この機会にもう一点だけ要望しておきたいのですが、これも同じく簡易郵便局の窓口で、電話料の納入とか、あるいは交通反則金、これはあまりいいことじゃございませんけれども、最近は何か非常にふえているようでありますが、交通反則金の払い込みとか、あるいはNHKの受信料の払い込みとか、そういうことも——山間僻地に簡易郵便局というのは非常に多いわけであります。それが取り扱えるようになれば、非常に地域の住民が助かるという要望が非常に多くありますので、この機会に検討事項の中に入れていただいて、将来の課題として検討をしていただきたい、このように思うのですが、大臣いかがなものでございましょうか。
  188. 石井多加三

    ○石井説明員 ただいまお話しのございました交通反則金の問題、あるいは電話料金問題等でございますが、それぞれ事情がまたございまして、交通反則金は徴収事務だけならわりあい簡単でございますけれども、やはり国庫金ということになりますので、事後処理が、現在の簡易局の取り扱いにはあるいはふさわしくないのではないかというふうに考えておりますが、なお検討させていただきたいと思います。それから電話料金放送料金等につきましてはそれぞれの公社あるいはNHK等の関係もございますので、なお今後検討させていただきたいと思います。
  189. 中野明

    ○中野(明)委員 時間も来たようでありますので、以上で終わりたいと思います。
  190. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 土橋一吉君。
  191. 土橋一吉

    土橋委員 私は、これは日本放送協会の代表の方にも、また郵政大臣にもぜひお答えを願いたいと思うのであります。  と申しますのは、放送法の第一条の規定が、御承知のように第二号において、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」というふうに書いておるわけです。第三条は、放送番組の編集の自由ということで、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というように書いておるわけであります。同時に、四十四条の規定を見ますと、この中でも御承知のように三項の規定は、「協会は、国内放送放送番組の編集に当っては、左の各号の定めるところによらなければならない。」つまり「一 公安及び善良な風俗を害しないこと。」「二 政治的に公平であること。」また、「報道は事実をまげないですること。」四番目に、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」というふうになっておるわけです。これは御承知のとおりだと思うのです。  そうしますと、御承知のように、私も拝見したのですが、六月十七日の日に首相官邸におきまして、内閣総理大臣、当時は沖繩の屋良主席が出席しておりません。ここで要するに沖繩諸島、大東島の協定に関する調印式が行なわれたわけです。同時に宇宙中継によりまして、アメリカのワシントンでもこれをやったといわれております。  この放送につきまして私は郵政大臣お尋ねしたいのですが、この問題について六月上旬に元愛知外務大臣が外国におきまして、たしかパリであったと記憶しておりますが、これは日本国民に大いに知ってもらうというので、宇宙中継で国内放送をやるということを、たしかUPか何かの伝えるところの報道で写真入りで出ておりました。そこです。佐藤政府は、日本放送協会について免許する権限を持っておりますけれども、いま申し上げるように、えてかってに一外務大臣が、日本放送協会の番組委員会がどういうふうに考えておるのか、どのようにこの沖繩協定に関する放送を国内的に重視しておるかということを事前に承知の上で、日本放送協会の番組委員会と打ち合わせて了解をとって、そういう声明を発したのか。そうじゃなくて、佐藤内閣の権限で、そんなものはいつでもおっかぶせてできるというふうに考えて、簡単にそういうことを外務大臣が口走ったのか。この点について、もし詳しく内容を知っておられなければ知っていない、知っておられるとすれば、どういう根拠に基づいてそういうことを声明して、日本放送協会がやるかやらないかわからないことをなぜ放送するのかという問題です。つまり政府の権限によって、日本放送協会が持っておる自主的な放送の自由、政治の不党不偏性、こういうものについて——沖繩が返ってくることは国民で反対する者は一人もいません。どういうしかたで返ってくるか。どういう内容で返ってくるか。これは日米安保条約との関係においてきわめて重大であります。沖繩県民を代表して屋良主席も出席しない。日本共産党はもちろん反対ています。この内容がまことに不都合で、核抜き本土並みの返還という口実を言っていながら、実際は核隠し、基地自由使用、自由出撃の体制をとる協定の内容であったことは皆さん御承知のとおりであります。国論がこの問題については二分いたしております。自由民主党を中心とするこれに賛成する一派の諸君と、国民大多数が非常に不安を持っておる、また沖繩県民全体が反対しておる。こういうように世論が分かれておるにもかかわらず、なぜこういう放送を電波局長郵政大臣は認めたか、なぜこういう放送をやらしたか、そのやらした根拠と法文の明記するところについて説明を、イエスかノーかで簡単に答えていただきたい。  放送局も同じです。日本放送協会が外務大臣の指令を受けたのか、総理大臣、官房長官からそういう要請があって、急遽番組委員会がこれを発議してやったのか、それとも圧力によっていやいややらされてしまったということであるのか、その辺の経過を明確に、私は時間があまりないので、加藤先生とも了解を得て大体一時間ぐらいしかないわけですから、ごく簡単にどういう経過だということだけ私に説明していただきたい。もしそれができなければ、文書をもって本委員会に、委員長を通じて私の手元にはっきりとその経過の内容を説明してもらいたい。
  192. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 当時の外務大臣とNHKとの関係につきましては、NHKがお見えになっておりますから、NHKの方からお答えがあると存じます。  私といたしましてお答えすべきことは、ただいま土橋先生御指摘のように、放送が不偏不党の立場で行なわれるべきことはもちろんであります。沖繩復帰協定の調印式は国家的な行事といたしまして行なわれたもので、これを取材いたしまして事実として報道することは普遍不党の精神に反しない、私はかように考えております。
  193. 土橋一吉

    土橋委員 それなら郵政大臣お尋ねをしたいのですが、当時日本の政局、政治的な状態はどういう状態にあったのか、この内容を私は吟味しなければならぬと思うのであります。御承知のように、国家的な行事だというのは佐藤内閣の主張する内容であって、国民はさように考えていない。第一の問題は、当時参議院選挙がその緒につきまして、参議院選挙が六月二十七日の投票日をもって行なうようになっておったわけです。これは総選挙に匹敵もする重大な選挙であったわけです。そういう選挙を前に自由民主党が、沖繩が返ってきたんだ、佐藤総理努力で沖繩が返ってきたんだ、こういう宣伝をすることは——いま申し上げます世論が二分しておる状態です。その中において、参議院選挙に勝利を目ざそう、参議院選挙において有利な地位に立とうというねらいをもってやったことはきわめて明瞭であって、何らこれについて陳弁する余地はないと思う。その中において、国事だということ、参議院選挙に勝利しよういとう考えで佐藤内閣がこれを放送したとするならば、もってのほかである。そういうように放送法の規定はなっていないわけです。認可権は郵政大臣が与えましても、一度独立した日本放送協会は、この法律の規定によって運営されなければならぬのであって、一総理大臣とか一郵政大臣のえてかってに放送をやらせることはできなくなっているわけです。いかがですか。こういう政治情勢の中においても、これは国事だという口実で正当性があるというのでありましょうか。参議院選挙ですよ。参議院選挙をやっている最中ですよ。もうあと三分の一の期間で、いよいよ二十七日の投票日を控えまして、雌雄を決しようという参議院選挙のさなかに、こういう宣伝をいたしまして、自由民主党の議員をたくさん出すというようなことは、明らかに放送法の規定からいっても不都合千万といわれなければならないし、むしろこれは佐藤内閣として遠慮すべきでありましょう。なぜこういうことをやったのですか。これについて正当性がある理由を説明していただきたい。
  194. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 先刻土橋先生もおっしゃられましたように、沖繩が日本に返ってくることについては全然賛成だ、反対じゃない、ただ、その内容について異論があるんだというようなことでございましたが、その沖繩が日本に返ってくるための国家的な行事でこの調印式があったことは、間違いないわけでありまして、その国家的な行事を放送したということについては、NHKはまさに不偏不党の態度であった、こういうように私は考えます。その辺につきましては、まことに残念ながら土橋先生とは私、見解を異にするわけでございます。
  195. 土橋一吉

    土橋委員 自由民主党を代表して加藤先生いらっしゃいますが、これをお聞きになってわかりますように、この重大な選挙戦を控えて、あともう十日ばかりで投票するというときに、いまあなたがおっしゃった前半の、沖繩が返ってくるということについてはだれも反対をしていないわけです。この協定の内容がどういう性質のもので、日米安全保障条約のいわゆる改悪の内容であるかあるいは改善であるのか、沖繩県民や日本の国民が喜ぶ内容であるかどうかということが検討されなければならない性質を持っておるわけです。内閣総理大臣や首相官邸のやることは、すべて国事だということだけでは済まされない、いま申し上げるように、政治的な内容を含んでおるわけですよ。日本共産党は反対しておるわけだ。参議院選挙において五百万票の票をいただいておる日本共産党が反対しておるわけだ。それならば、この放送をするにあたって、この問題については国民の間で世論が分かれている、しかし、わが党なりわが政府は、一応こういう観点でこれを全国的に放送するという注釈をなぜ加えないのか。それをやらないからして、結局、放送を佐藤内閣、自由民主党が独占している、私物化している、こういうことにならざるを得ないのじゃないでしょうか。日本放送協会の代表の皆さん、どうですか。どういう折衝があって、特に中央放送番組審議会はどういう内容をもって、これを全国的に放送するということを決定したのか、放送協会の皆さん説明してください。
  196. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 この際申し上げます。  本日、参考人として日本放送協会理事坂本朝一君に御出席いただいております。坂本朝一君。
  197. 坂本朝一

    ○坂本参考人 土橋先生の御質問にお答えいたします。  NHKといたしましては、ただいまお話のありましたような沖繩の返還協定というのは、その時期の決定は政府でなさいましたけれども、やはり国家的行事として、報道機関としてこれは当然伝えるべきだという自主的な判断のもとに、放送を決定した次第でございます。
  198. 土橋一吉

    土橋委員 あなたのほうでは、放送法四十四条の規定によりまして、放送番組の編集にあたりましては、ここに書いてある第三項の規定によりまして、少なくとも「意見が対立している問題」——この内容は「意見が対立している問題」なんですね。国論が二分しておるわけですよ。先ほど申し上げたように、日本共産党はまっこうから反対しておる。きわめて危険だということを言っておる。こういう内容を含んだいわゆる調印式と称するものであるわけです。社会党からもいろいろ意見が出ておる。公明党さんもお出しになっておる。おそらく民社党さんも、それぞれ意見はあったと思う。そうすれば、これに賛成するものは自由民主党だけであるわけです。それを代表している佐藤内閣だけであるわけです。なぜそういう内容のものを、国事だという名をかりて放送するのか。もしもあなたが正当に四十四条の第三項、その中の三、四号を研究しておれば、こんなことにならぬのじゃないでしょうか。それでもあなた方は国事だから不偏不党性を持っておるとでも言うのですか。国事ならば常に不偏不党であるという解釈を放送局はしておるのですか。
  199. 坂本朝一

    ○坂本参考人 このことに意見が分かれていることは承知しておりますので、調印式そのものはリアルタイムで中継いたしましたけれども、それに引き続きまして、これについての各政党の代表者の御意見であるとか、その他のいろいろな意見放送番組として編集いたしまして、十一時まで、できるだけ多くのこの問題に対する御意見を国民に伝えたつもりでございます。
  200. 土橋一吉

    土橋委員 私は重ねて同じことを言いますけれども、この調印式の放送にあたりまして、その前にアナウンサーが、この問題については国論が分かれておる、しかし、自由民主党つまり佐藤政府としては、こういう観点からこの調印式を国民の皆さんにお示し申し上げるものだということをなぜ解説を加えなかったか。知らない人が見れば、ああうまいことをやってくれた、あれならば沖繩はちゃんと返ってくるんだ、いいことをやるじゃないか、たまには佐藤政府もいいことをやるじゃないか、こういう印象を与えて、あとで幾らそういうことをやってみたところで、これはいわば放送の——事実は確かにあなた方お映しになりました。私も見ましたけれども、事実は曲げていない。事実は曲げていないが、その事実の中に含まれるところの国民全体に対する沖繩協定に関する思想ということについては、だましておるわけなんです。あとでいかに各党集まっていろいろ論議いたしましても、あの先のテレビがどうだこうだとはいわない。したがって、この内容は明らかに四十四条三項四号の規定に違反をする放送日本放送協会は佐藤政府と組んでやった、私はかように申し上げても過言でないと思うが、郵政大臣どうですか。こういうでたらめなことを佐藤政府はやってよろしいのかどうか。もちろん、あなたは七月の六日に就任をされておりますので、御存じないかと思いますけれども、しかし、元郵政大臣の井出君はなぜこういうことをやったのか。また、佐藤政府もこの放送法の規定を知らないわけはない。知っておって愛知外務大臣もやったとするならば——この法律の規定に違反すれば処罰をされなければならぬ。刑事処罰に値する内容を持っておるといわなければならぬと思うのですが、どうですか。それでもあなた方は参議院選挙に勝利さえすれば手段を選ばないということでおやりになったのかどうか。そうならば私は、まことに遺憾千万といわなければならぬ。ここまで佐藤政府が堕落してくるということになれば、日本法律をいかほどつくっても、国会でどのような正当な論議を展開いたしましても、一片の形骸と化するのであります。いかがでしょうか。今後こういうでたらめは放送しないように、日本放送協会も厳に慎んで、その前にちゃんとわかるように、国論が二分しておるのでありますから、当然解説を加えてすべきではないかというふうに私は思うが、いかがですか。
  201. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私は、先刻お答えいたしましたように、あの放送がある政党に片寄って特に放送されたとは思っていないのでございまして、不偏不党の精神でやったということは貫かれておる、かように考えるわけでございます。政府がNHKとぐるになってあのような放送をやったと決して考えておりません。
  202. 土橋一吉

    土橋委員 私は、もうやってしまったことで、これを取り返すわけにいかぬわけなんだ。したがって、私はこういうでたらめなことで、いわゆる国政という名、わが国の重要な国事という名で行なわれることを将来やってはならないということを、私は厳重にしたいと思うのであります。これは御承知のように、あなたは自由民主党の現在の、第四次でございますか、第三次でございますか、佐藤内閣の構成の閣僚でございますけれども、前任者はこういうことをやっておったということはよく踏まえられまして、こういうことについては、やはり電波局長もそういうでたらめな放送はしちゃいかぬ、いかに内閣といえども、この放送はやはり日本放送協会中央番組審議会はどう考えておるのか、また放送の、いわゆる評議会ですか、これは一体どう考えておるかということを調べた上でさらに折衝をしてみてやるべきことであって、あるいはまた放送局が自主的に天下に声明をいたしまして、国論は分かれておるけれどもこの内容はこういう意味でわれわれは放送したいと思う、なぜそういうことを言わないのか、こういう点がやはり四十四条の三項の四号に明記してあるわけなんだから、これを犯すということは放送局も許されませんし、佐藤内閣もこれをじゅうりんすることは許されないのであります。  時間がありませんので、続いて次の問題に入っていきたいと思うのであります。最近、皆さんも新聞ですでに御承知のように、国有鉄道ではマル生運動というので、いわゆる現在の国労及び動力車労働組合に対しまして盛んに攻撃を加えております。それは、鉄労という、新しい特定の政党がやっておるところの、いわゆる同盟を中心とする労働組合で、まず昇給する場合も昇進をさす場合も褒賞を与える場合も、あるいは抜てき昇給の試験をさせるような場合も、いわゆる新第二組合の鉄労に全部席を譲ってやらせる。現在の労働組合の中心部隊である国鉄労働組合と動力車労働組合は、ほとんどこれをやらせない。そしてこれをいびりちらす、あるいは暴力事件を引き起こす。こういうことをやっているのは、皆さんもうすでに新聞で御承知のとおりだと思うのです。これは、単に磯崎総裁の問題だけではない。佐藤政府と自由民主党はこういう、つまり一九七一年における高度経済成長政策あるいは円・ドル問題等を中心といたしまして、大資本が労働者に攻撃をかけ、中小零細業者に対しまして、倒産とかあらゆる攻撃をかける中でこのような問題が起こってきているから重大であります。きのうの毎日新聞でも朝日新聞でもごらんなさい。これはもう総評あるいは社会党の国会議員とか、弁護士とか地方議員の諸君が百人以上も組織してこの実態を調査しようということがきのうの新聞にも出ております。そして、私も先日沼津機関区や、あるいは静岡の機関区、運転所などへ参りましてこれを調べましたが、全く言語に絶するものであります。  と同じようなことが、郵政大臣のあなたの管轄下において現在もなわれ行ているわけだ。先ほどあなたは、十二月十四日の協定があるからこの問題については善処はできるとか、あるいは四月の初めにやはり井出郵政大臣と全逓の幹部との間に話があるからたいていその線に行くだろう、こういう答弁が繰り返されておりまするが、私は、端的に例を申し上げましょう、六月の下旬に姫路の郵便局で、いわゆるランクをつけて、そうしてバッテンをつける、そういうものが風で飛んできたわけです。それは大村博という労務担当がつくったものです。これはこういうふうになっております。急進分子一覧表というので、これはコピーです。A、B、C、Dと書いてあって、これは日共と書いてある。日共、その次は民青と書いて、人間の頭数が書いてある。郵便は何名いる、集配は何名いる、その他の課では何名いる、合計何名と書いてある。これが風で飛んできた。二階でこれがわかったので、さあ姫路郵便局の全逓労働組合はこの問題を取り上げて、たいへんないろいろな折衝をいたしました。当初はここの局長は知らぬ存ぜぬで——これは向井という局長ですけれども、当初は知らぬ存ぜぬで逃げの一手を打っておりました。これは大村という主事がかってにつくったものだ、私のほうは関係ございません、こういうことを言って逃げておりましたが、私も七月八日におじゃまをいたしまして局長とよく話し合った。そうしたら局長は、大阪郵政局から帰ってきまして、これは悪うございました、私の責任でございましたということを仰せになりまして、きわめて低姿勢で私に陳謝の意を表されたわけであります。この問題は日本共産党の私に陳謝をして済む問題ではないわけです。これは私がそれでようございますと言う性質のものではないわけです。これはもう大臣もよく御承知の憲法第十四条をごらんくださいませ。憲法第十四条には何と書いてあるか。憲法第十四条によりますと、これはわが国の基本的な法律でありますが、法のもとに平等あるいは貴族の禁止なんという規定がございまして、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」これは要するにわが国の憲法第三章の十四条の規定によって明確に保障されておるわけです。続いて公務員の規定二十七条をひとつ皆さん見てください。公務員の規定の二十七条にはどういうことが書いてあるか。これはきわめて憲法二十八条に違反をする、端的にいえばごまかしの国家公務員制度の法律ですけれども、本来ならば憲法第二十八条の規定にのっとった労働運動を郵政大臣は保障しなければならぬわけです。ところが、吉田内閣のときに御承知のようにああいう騒ぎでつまり賃金を五%物価が上がれば上げるという条件でフーバーがつくった、要するに人事院制度から出ておる国家公務員の規定です。この半ばごまかしのような法律の、この国家公務員法の規定によりましても、第三章の一節で「平等の取扱の原則」というのが二十七条に書いてある。これは「すべて国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分、門地又は第三十八条第五号に規定する場合を除くの外政治的意見若しくは政治的所属関係によって、差別されてはならない。」こういうふうに国家公務員についても規定しておるわけです。にもかかわらず、末端の姫路郵便局の大村労務担当主事や、向井局長や、さらには次長など、一体になって、こういうものをつくり上げては日本共産党に攻撃をかける、いやみを言う、こういうことを依然として繰り返しておるわけです。これは、郵政大臣はどういうふうに処置をする考えでおられるのか、またそういうことを依然として推進をされておるのかどうか、イエスかノーかで答えていただきたい。
  203. 北雄一郎

    北説明員 先生ただいま御指摘の姫路郵便局の件でございますが、そういった刷りものを大村という主事がつくったことは事実でございます。またその件につきまして局長が先生におわびを申した、これはやはり自分の部下がそういう好ましくないことをした場合に、職制上の上司といたしまして、申しわけなかった、こういうふうにおわびをしたわけであります。私どもも、先生御指摘のように憲法等の、思想等によりまして差別をしてはならないということは十分わきまえておるつもりでございますし、そのことを管理者すべて存じておるつもりでございます。したがいまして、省といたしまして、あるいは郵便局の管理者といたしまして、そういった思想調査をするとか、あるいは思想いかんによりまして差別をつけるというようなことがよくないことであるということは、十分知っておるものと私ども実は考えておりました。でありまするが、御指摘のように当該局の主事がそういった分類をいたしまして、そういった人数を、各分類の項目ごとに掲記をしたという事実はあるわけであります。本人につきましてよく調べてみましたところが、本人は労務担当をいたしております。したがいまして、労務関係情報というものをやはりおりに触れて上司に知らせる、こういう仕事上の必要性があるわけでございます。その場合に、本人が姫路局の現状を見まして、やはり事実数年前から遺憾ながら若干郵便が混乱いたしております。そういった関係の中で、組合出方が業務運行に相当の影響を及ぼしておるというふうに考えまして、そのことから組合員あるいはその組合員の動向というものにかねがね注意を払ってきたわけであります。ところがその中で、この人間は大体姫路局のはえ抜きの職員でありまして、また姫路局でかつて組合の役員もしたという人間のようであります。したがって、局情を知悉しておるということから、そういった機会に自分がこれまでに見聞したところを一応整理いたしまして、そういったものをプリントいたしまして、そしてその局内における管理者の集まりのときに、先ほど申しましたような意味で労務関係情報として上司の耳に入れよう、こういうことで準備しておったところが、先生がおっしゃったような事態になったわけであります。そういうことでありまして、当該主事としては単に情報を提供するというまでのことでありまして、そのために特に新しく思想の調査をしたというものでもございませんし、それによって個々の人間というものについての扱いを差別するような、そういうことを意見具申するつもりも全然なかったわけでございます。その表におきましても個人の名前等は一切出しておりませんし、その数等も本人が大体このくらいだろうかということで、従来からの本人の個人の見聞によりましての知識というものを、概数をそこに書いた、こういうふうに申しております。そういうことでございます。
  204. 土橋一吉

    土橋委員 委員長もお聞きくださいましてよくわかりますように、いま申し上げるようにわが国は法治国でありまして、本人がいかなる政治的な信条を持とうと、どういう宗教を信じようと、これは官とは何ら関係がないわけです。それにもかかわりませず、いま申し上げました、これは現物です、その写しです、こういうものを作成しておいて、いま北人事局長お話を承ると、これが正当であるかのような一応説明の解釈を加えました。頭では否定をしていながら、実際はこういうものをつくってどうしようというのですか。しかも、これはマル秘です。しかも、その文書はマル秘の印を押しまして、そして二十四名いるというふうにやっているわけです。こんなことまでして、つまり日本共産党と民青同盟に何の恨みがあるわけですか。日本共産党と民青同盟がどれだけの、要するのに、姫路中央郵便局の業務について渋滞をさしたとか、あるいはどういうことをしたという根拠もなしに、本人の思想傾向はこうだということを調べ上げまして、これが昇給、昇進あるいは栄転その他抜てきの試験などに非常に大きな作用をする現実の基礎をつくっておると言っても過言じゃないと思うのですが、これはここだけじゃないのですよ。去年も札幌で問題を起こしまして——これはいまのは兵庫県の姫路郵便局で全逓新聞にも出ております。朝日新聞とか読売新聞の記事も書いておりますけれども、何という不都合なことをするのか。北海道でもこの間、札幌とかあるいは名寄の局でもそのために死人が出る、あるいはそのために東京中央郵便局でもある人が死んでしまっている、こういう事態を引き起こしている。こういうことを平然とやっていながら、先ほどのように十二月十四日の協定で私たちはちゃんと労務体制はできておりますというような答弁郵政大臣がおやりになっておる。これはわが国の基本的な民主主義の原則、憲法の規定を言うまでもないことなんですが、主権在民の基本的方針に反しながら、郵政省の業務的な規定や業務的な内容が、憲法の規定や労働組合法の規定あるいは国家公務員法の規定を上回るような態度でやっておるといわなければならぬわけです。  しかも、北さん、あなたに私はこの前、六十五通常国会におきまして、平郵便局の佐藤治郎という局長、立川郵便局の中野銀造という局長、同時に同じようなことをやっておる小倉の中央郵便局の次長、これらの動向について調べてください、非常によくないことをやっておる。しかも特に平の佐藤治郎なんかは、局長、一度研究してみてください。ああいうふしだらな、しかも、組合員に朝から突っかかっていって、文句を言って、しかも賃金カットをして、おまえ暴力をやっているじゃないか、こういう因縁をつけてやっている。こういう諸君が局長の席におるんですよ。中野銀造にしましても、立川に来て、私が申し上げたように第二組合をつくろうとして盛んにやって、いま半数近い者が第二組合に入ってきている、私はこういう報道を受けておるのです。  そんなことを黙って見ておいて、そうして労務行政が正しいとか、あるいは監視労働をするとか、あるいはちょっとお手洗いに行っても、おまえ長いぞとか、たばこをちょっと吸っても、おまえ二時間のうちに吸えばいいじゃないかというような口実をつけて、たとえばここに小平の郵便局の監視労働の状況が出ております。あるいは杉並の郵便局、練馬の郵便局、至るところであなた方やっておるじゃないですか。特に大阪はひどいですよ。北人事局長は大阪郵政局長をしておるけれども、福島の局へ行っても、東淀川局へ行っても、あるいは大阪中央郵便局へ行っても、そういうことがいま歴然としている。多くの方々が説明しておる。それでもあなたは正しいと言うのですか。そういうことをあなたがやっておって、なお、この問題についてしらを切ろうというのですか。私は郵政大臣及び人事局長のこういう傲慢な、そして国会を欺瞞をするような態度は、私は断じて許すことができません。すなおにやはり憲法の条章やあるいは国家公務員法第二十七条の規定に従いまして、断じてこういうことをやらない、こういうことをやった者を厳重に処分をするという体制をとらない限りは、これはなくならないのですよ。こういう公の場所においては、多くの皆さんが聞いておられまするから、そういうきれいごとで済ませておいても、実際やることはひどいことをやっている。それでもあなた方はそういうことがないと言い切るのかどうか。あるいはすぐこれを処分をするなり、自省をするという態度をなぜとらないのか。この点もう一回、とるのかとらないのか私はお聞きしたい。説明は聞く必要がございません。
  205. 北雄一郎

    北説明員 姫路の件につきまして先ほど申し上げましたのは、その書類を作成いたしました大村という人間の作成の意図というものを御説明したわけでございます。当時そういった問題が上がってまいりましたので、私どもも大阪郵政局長をしてどういう事情か、つまびらかに聴取せしめ、調査させました。大阪郵政局長が、たしか七月の八日であったと思いますが、局長を呼びまして事情を聞きまして、まあそういうことか、しかし、それは非常に誤解を招くことでもある、そういう書類というものは今後ともつくってはならぬ、今回のことについては十分に関係者に注意をするようにということで、翌日局長から当該個人にきびしくその点を注意いたしております。また、こういったことが間々どこかであるんじゃないかというふうに私も心配いたしましたので、その後全国の会議の際にもこの例をあげまして、こういうことはないと思うけれども、してはならないということをはっきり申しております。  それから、小倉、平、立川の件を御指摘いただきましたが、それぞれ若干事情は違うように私ども把握しております。ただ小倉、それから平につきましては、小倉の次長、平のたしか郵便課長であったと思いますが——局長も多少関連していると思いますが——等の言動につきましては、これはやはり売りことばに買いことばというような節があったわけでございますけれども、それにしても若干そのものの言い方に不穏当なところがあったというふうに私ども考えまして、それぞれの郵政局を通じて注意をいたしております。  また、一般的に申しまして、差別人事というようなこともおっしゃいましたが、私どもそういった人事はしてはならぬということを再三言っております。また、してはおらぬつもりでございますけれども現実に昨年組合のほうからそういった事例としていろいろなものを提起されました。それらはそれぞれ話をいたしましたが、去年の十二月にそういう問題についての歯どめがほしいというような話もございまして、そういった昇格というような問題につきまして、問題があると考えた場合には、従来は前国会でも御説明いたしましたが、六人委員会というようなもので処理しておりましたが、もっとはっきりした形でそういった苦情を受け付けようということで、苦情処理に類した一つの制度をつくりまして、そういった中で消化をしていくということにいたしました。すでに今年の十月一日からルールをきめまして発足をいたしておりますので、今後ともそういうことはないように、絶無を期してまいりたい、こう考えております。
  206. 土橋一吉

    土橋委員 先ほどの向井栄二姫路郵便局長は前の高砂局にいるときにも、彼が中心となってつくったいわゆるブラックリストといいますか、そういうものの写しを私は拝見をいたしまして、つまり姫路の局だけではない、前任地においてもこの向井栄二局長さんはそういうものをつくって、全部出身、思想傾向、どういうことをやった、どういう団体へ加盟しておると書き上げた、そういうものをつくった方です。ですから、これが偶然やっておるとは考えられない。したがって、大村労務担当主事がその命を受けてやったものとしか考えられないわけです。こういうことはあなたがほんとうにそういう思想でやってくださるならば私は徹底すると思うのです。これはやはり究明する必要があります。  現在日本共産党は、御承知のようにこの委員会におきましても、皆さんが考えられる以上にわれわれはこの問題について真剣に考えております。これは、これから申し上げる電電公社も同様ですけれども、国有鉄道はすでにそういうことをやっておる。これはもうおそらく重大な問題になってくる。郵政省もそういうことを現にやっておったし、またそういう傾向がなきにしもあらずです。  次に、私は電電公社にお聞きをしたいのでありますが、電電公社は米澤総裁の説明によりますと、うちはそんなことはない、うちではスムースにいっておるというような説明を本委員会においてもおやりくださいました。私は、電電公社は少なくとも七カ年計画などを中心として、かなり真剣な立場に立っておられると存じておりますが、あなたのほうでは、私の調査した範囲から申しますと、まことに遺憾千万、この問題については全逓とどっちこっち言えないというような立場だというふうに私は思うのです。  きょうは二十日ですから、ちょうど問題にしようとしておる武蔵野市の通信研究所がいま職場大会を開いております。あすまでやるわけです。この職場大会を開くにあたりまして——技術協力部の宅内機器研究室というのがございまして、そこの現在の室長さんは新木諒三さんという方でございます。室長補佐というのは児玉正さんという方です。この人たちが非常に不当労働行為をやっておるわけです。  本日開かれておる電通研究所の職場大会において、代議員というのが出まして、それが職場を代表して大会の重要な案件、内容審議し決定をする。つまりいわゆる代議員の選任にあたりまして、特にこの事件のはっきりいたしましたのは九月の六日です。九月六日に急遽宅内機器研究室を中心とする職場集会が開かれまして、そこで野川さんという方が、今度はだれも代議員になる人がいないからそれでは私がなりましょうと言って立ったという。そのときにその集会の場所では何ら異議とか反対をする人がなかったわけです。そこで野川さんという方が結局代議員に選ばれたわけです。  その報告を受けました室長補佐の児玉正さんという方が、これは当時千代田区大手町二の四第二丸の内電話局の九階へ出張されまして、技術部とともにいろいろなジャーナルとかテープとかプリンターなどの現場の試験をするために派遣をされてやっておられたわけであります。ところが、電話がかかってまいりまして、野川さんが職場の代議員になったという報告を受けまするや、この児玉室長補佐は急遽その場を退席いたしまして、職場を放棄しまして、その研究するところに電話があるのですけれども技術調査室の事務室のほうに参りまして、組合の問題について電話が使いたいが、実験室の電話ではちょっと都合が悪いから事務室の電話を貸してください、そう言って入ってきまして、そして通研の内線二三九二に電話をされまして新木諒三さんという室長さんに報告をされております。その内容は野川がきまった、たいへんなことになった、彼が出ると困るとか、野川はあのほうだ、何かわかりませんけれども、こういう符牒が通研の中では通用しておると見えて、あのほうだ、あるいはマル何とかだ、だから非常にいけない、またあいがせ君や岩下君や平君や岩井君、黒崎君など名前を上げ、彼らがいたのになぜ出なかったのか、職場集会にそうそうたるメンバーがおるのに彼らが集会で何も発言しなかったということは、結果的には野川の当選に手をかしたことであり、助けることだ、これではノンポリと同じだ、彼らにはいままでいい評価をしていたが、A、B、C、Dのいいランクをつけておったが、今後勤務評定を考えてもらわなければならないのじゃないかということをこの新木という室長に室長補佐が電話をかけておる。このことはこの技術関係の宅内機器研究室だけではなくて、これは通研のあらゆる職場にこういうことがまかり通っておるわけです。  そのいい例が、昨年の十一月二十九日に死亡したと推定される黒瀬泰之君という、国立の京都大学を出まして就職しておる人なんですが、この人が衛星通信の研究室に入っておった。ところが、労働組合の書記長をいたしまして、それからというものは、ことごとく室長や室長補佐が座敷牢に入れるような状態で、電話がかかってきても連絡をしない、あらゆる方法でいびり散らして、とうとうこの人はテーマを全部取り上げられまして、そして十一月の二十五日に早じまいをしてうちへ帰って、私はもう気分が悪くてつとめることができないと奥さんに言って、うちを出まして、御自分の郷里の京都に参りまして、おとうさん、おかあさんにいろいろ話しております。その内容は、私が労働運動をやっておるために非常に迫害を受けて、もう生きがいがないという趣旨をたくさん話しております。そして三日ほど泊まりまして、二十八日の夜行で東京に帰るときにおかあさんが一万円くれて、「こだま号」の切符も買って、そしてくよくよするんじゃない、いやだったら職場をやめたらいいじゃないかと激励を受けていたんですが、うちへ帰りまして、お嬢さん、奥さんの仲——帰ってまいりましてから子供をあやしながら、どういう関係か、すぐぷいとうちを出まして、そして相模湖で自殺をいたしました。その自殺をした内容について奥さんも言っております。ほんとうに通研の諸君のやり方が非常にひどい、あまりにもひどい、こういうことが奥さんからも言われております。それにもかかわりませず、通研の幹部諸君は、この問題について事ごとに弾圧を加え、そしてこれは自分の事情で死んだのだという態勢をみせかけようといたしておるわけなんです。資料はここにございます。  こういうわけで黒瀬君がなくなられたことと、これは昨年の十一月の二十九日の死亡推定です。これは津久井警察や、また相模湖の地元の方々が埋葬されまして、それを出していろいろ死体解剖もいたしまして、そういう事実をはっきり突きとめたのですが、こういう事態がすでに通研では起こっておるわけです。  で、いま申し上げるように、きょうから開かれておる通研の職場大会に、そういうことで児玉正という室長補佐が八方電話をかけまして、習七日の日にもあらゆる方面に電話をかけまして、そうしてこれを阻止するためにいろいろなことを提言いたしております。たとえば、職場総会は正規の機関じゃないではないか、これを引きずりおろせ、それで先ほど名前をあげました岩井君とか岩下君とか平君とか、そういう諸君がすみやかに職場委員から代議員になったらいいじゃないか。あるいはまた七日の日にも参りまして、そういうことを盛んに各場所に連絡をして、つまり八時半から始まる——研究所が丸の内のいわゆる第二電話局の九階の部屋なんですが、早く来まして、それで九時過ぎまで電話をかけてどんどんそういうことをやった。これはまさに職場離脱じゃありませんか。自分が研究室で研究しなければならぬ、実験をしなければならないのに、事務室に来て、そういう電話をかけている。そういう者が昇給もすれば、昇進をさせる、こういう方針を電電公社はとっておるのであります。副総裁いかがでございましょうか。こういうことが平然といまのあなたの職場でも行なわれて、そして日本共産党や進歩的な労働組合運動の活動家にあらゆる方法で妨害、あるいは昇給、昇進をとめる。特にこの児玉正君はこういうことを言っております。これは、彼が電話をかけた内容をほとんど大体全文あやまちなく速記をしたものでありますが、そういうことが平然として行なわれることについては、職場離脱でもなければ、当然の行動としてやらしておる。それでいま申し上げるように、死人が出てくる。こういう事態を引き起こしていながら平然としておるというのは、どういうわけか。これは電電公社副総裁にお尋ねをしてみたいと思います。あなたはどうお考えになっておるのか。
  207. 秋草篤二

    ○秋草説明員 土橋先生のお話、初めていま私承ったような次第でございますが、日ごろ総裁いつも申しますように、私ども管理者として、組合員に対しては公平無私な、先生先ほどおっしゃったような気持ちで、全く無差別の処遇をしております。また、組合自体の組織の内部に関しましては、私どもがかれこれ言う筋合いではございませんで、組合内ではいろいろと議論もありまた意見もあると思いますけれども、この組織なり人事についても、組合の自主的な民主的な独自の考えによってそれぞれそれなりに成長、発展していると私どもは思っております。私ども組合につきましては、最も健全に、近代的な組合として内部的に運営されていると自信を持っておる次第でございますが、ただいまの具体的な事象につきましては初めて承りましたので、あるいは職員局長から、思い当たる点があるかと思いますけれども、必要によっては御答弁させたいと思います。
  208. 土橋一吉

    土橋委員 私は、いまの黒瀬君の研究した材料をここに一部分持っております。この内容については、私はこの衛星通信の研究は、私にはわかりませんけれども、しかし非常に真摯な努力をしておるということはわかるようです。ところが、労働組合運動をやり始めてから、いわゆるこのテーマ、内容についての研究についても、これが要注意というような印が書いて出てくるわけですね。そしてしまいには人工衛星通信の研究を全部取り上げてしまう。つまり座敷牢に入れるという形をとってしまっているわけですね。そして問題の中心点は、彼はこういうことを主張しておるわけです。つまり、「“高能率通信大容量多目的の国内衛星通信”は、アメリカが世界千七百の軍事基地にはりめぐらしている自動即時網(AUTOVON)と直接結ぶことができるなどの内容をふくんでいます。」衛星通信の軍事化の危険は、これが自主的な研究の確立などを呼びかけているけれども、実際はアメリカ帝国主義の、つまり世界制覇を中心とし、日本の支配を目的とする衛星通信の全体的なつながりをつけようとする、その研究の部分を私たちは研究させられておる。これが研究に対する彼の死ぬる前の大体の内容であります。こういうことについて、なぜ説得をして、たとえばこの人は本来ならばもう技術職あるいは管理職にあるべき人なんです。昭和三十七年の京大卒業ですから、地位からいっても当然なんですが、これはそうじゃなくて、いわゆる一般の職員並みの、一般職といいましょうか、つまり技官なり技術職の一級ではなくて、業務職の一級であります。こういうことをやって、そうして死ぬる前においても、まあいろいろなことがございましたが、詳しくは申しませんけれども、もういづらくてそこにはおれない、また労働運動をやった経験から見て耐えがたいというので死んでいったことは事実であります。これすらも、いま副総裁がお話しくださったように、知らぬ存ぜぬ、そういうことは関係してない、まじめにやっておる、こういうことをあなた方は言っておるけれども、実際は、この職場から出ている新聞なんかを拝見いたしまして、どこにそういうかおりがあるのか。これはあなたのほうの組合の、要するに日本共産党の細胞から出ている新聞です。日本共産党の通研支部から出しておる新聞です。たくさん出ています。これはでたらめなことを書きません。日本共産党でありますから責任をもって、やはり大衆にいまの通研というものがどういう方向へ向かっておるのか、わが国の政治はどういうことになっておるのか、その中で通研はどういう役割りを果たそうとしておるのか、こういう観点から書いたものであります。この中でもここに「通研当局の重大な責任と労働組合の役割り」という題で、黒瀬君をめぐる当局の重大な責任という内容で事こまかに書いておるわけです。こういうことを私はすみやかにやめて、やはり憲法の規定やあるいは公務員法の規定の精神にのっとりまして、まじめに働く人は、共産党であろうとマホメット教であろうと何であろうと抜てきをする、なまけるやつは、自由民主党であろうと佐藤内閣の閣僚であろうと、これはやはり減俸しなければいけません。それで初めて公平であるといわなければなりません。いま、第二組合を育成するために第二組合だけ試験を受けさすとか、第二組合だけ抜てきをしてやるとか、第二組合に入った者はそれこそノンポリだってどんどん課長になっていく、室長になる、こういうことをやっておるがゆえに職場が非常に暗い。言論の自由もない。でありますから沈滞もすれば、お互いにいがみ合いも起こってくる、こういう状況にあるのであります。副総裁どうですか、こういう事実がないとでも言うのですか。こういう事実は一つもないとあなたは答弁するのですか。もう一回、イエスかノーで答えてください。
  209. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、初めて私、いま先生のお話を伺いました。したがいまして、職員局長がおりますので、あるいは思い当たる点があるかと思いますので、答弁さしていただきます。
  210. 玉野義雄

    ○玉野説明員 ただいま土橋先生からお話ございました点でございますが、黒瀬君の件につきましては、いろいろ先生からお話ございましたわけでございますが、研究員としまして研究しておったわけでございますが、四十五年に入る前、過去三カ年間、テーマに対してなかなか報告が出ないということで、まあ三年間いろいろ説得し、指導をしていったわけでございますが、三年たっても出ないという状況でございましたので、それで四十五年に一応テーマを与えても無理であろうということでいろいろ指導しておったわけでございまして、先ほど先生からもいろいろございましたが、私たちとしましては、そういう思想、信条によって区別をするとか、そういうことは考えておりませんので、今後ともそういう点は、私たちもそういう気持ちはございませんので、十分指導ていきたいと思っております。
  211. 土橋一吉

    土橋委員 私はまあ、そういうことでこの場のあれを一応回避しようというお気持ちもわからないではない。それは、これが公になりまして、国会であなた方がそれを認めるということに相なりまするならば、これは米澤総裁をはじめ緒方通研所長等、重大な政治問題でありますから、だからその場所ではそういう答弁でまかり通るかもわかりませんけれども、実際職場が、皆さんが予定されておるようなそういう研究機関にふさわしい自主的な、そして和気あいあいのうちに進むということにはなりません。同時に、この死んだ者はもう帰ってきません。しかも、こういうような、これはおそらく皆さんの研究、専門家を呼んでごらんになったらわかるけれども、三年間研究テーマが何も出ないというようなことを言っているが、研究テーマを出させるようになぜ指導しなかったか。つまり森とかその他の諸君です。そしてどこが不十分であるのか、なぜ討論をしなかったのか。郵政ではそういう職場で話し合いをする機会も設けておると郵政大臣はこの前も答弁がありましたが、なぜそういうことをしないのか。自分たちが正しければ、その研究員たちに対して心から説得をしたらどうですか。つまりあなた方は、アメリカ帝国主義の衛星通信のまねごとやお手伝いをしようという考え方があるから、これに反対する者に対してはことごとにいびり散らしたり、座敷牢に入れたり、外部との遮断をやってみたり、あるいはマル共であるとか、こういう口実をつけて、くさいものにふたをするというようなことをやっておいて、研究しろなんて騒いで——あなた方は百七十億も予算を組んでおいて、通研は二百五百人の人を擁しておるじゃありませんか。茨城県にも第二の研究所をつくって、データ通信やあるいは通信機器などあらゆる問題を開発しなければならないという重大な使命を持っているじゃありませんか。なぜそういうことをやっていながら、こういう問題について真剣に取り組もうとしないのか。この前も私は緒方さんにちょっとお会いしたときにこのことは申し上げておいた。しかし、いまだその内容について明確な説明もなければ、依然として黒瀬君に対しては、全部の悪いものを黒瀬君にかぶせて、緒方及び電電公社の幹部諸君はのうのうとしているじゃありませんか。本人の手記やあるいは奥さんのお話やあるいは京都のおとうさんのお話を聞いてみると、全く何というひどい通研であるか。また、わが党が主宰をして出しておるこの「インピーダンス」というのを見てもわかりますけれども、「衛星通信研究について」というので論文が出ております。だれにもわかりやすく書いていますが、こういうものを見ても、あなた方のやっておられる処置はきわめて不適当である。憲法違反であることはもちろんである。また公務員法違反を公然と行なって、国会において私の質問に対してそういうことはないと言い切ってのがれようとしておるわけです。私はあくまでもこれを追及します。あくまでもこの内容が黒白を決定するまでは、ことごとにこの問題を取り上げて皆さん方の間違ったそういう労務行政、あるいは間違ったアカ攻撃、労働組合の弱体化に私は戦う覚悟を持っております。  以上、時間も参りましたので、このことを披瀝をいたしまして、今後ともさようなことがないようにすみやかに善処をせられ、そうして労働組合員を差別したり、第二組合をつくるためにそういうことをやって、いまからつい二十二年ほど前にもそういうことをやったじゃありませんか、あなた方は。私どもを職場から追放しておいて、そうしてどんどんアカだとかレッドパージという名前で何万という人を追放しておいて組合をつくった。そして今度はまたこの組合が気に入らない、また追放する、また第二組合をつくる、こんなことを繰り返しているじゃないですか。それでも正しいというのですか、あなた方は。それでも日本の政府を担当するだけの資格のある自由民主党といえるのですか。二十二年前にはああいうことをやって、松川事件だとか三鷹事件だとか青梅事件、白鳥事件をでっち上げて、アメリカとぐるになって朝鮮侵略戦争をやったじゃありませんか。いまベトナム戦争をやろうとしている。またこういうことをやって、高度経済成長政策に名をかりて、ドル・ショックといえばまたあたふたするような対米従属的な経済体制、産業体制をとりながら、依然としてこういうことをやっているじゃありませんか。どうですか、郵政大臣、あなた方はこれで正しいといろのですか。私たちは、安保条約をなくさなければいけません。沖繩県の全面的な返還を戦い取らなければなりません。祖国の独立と祖国の真の安全と平和をわれわれは願っているのです。そういう売国的な政策を実施する中において、罪とがもない人、むしろまじめな人、そういう人をアカのレッテルを張って追放してみたり、いびり殺したりして、それでも正しいというのですか、皆さん。私はさような郵政行政あるいは電電公社の労務行政に対しては断固として反対します。委員長さんにもお願いします。こういう不当なことは国会において許されてはなりません。わが国の法が明記しておりますように、あくまでも民主主義の原則、思想の自由、信条の自由、あるいは性別を問わず保障する体制をとらなければなりません。これを強く要求いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  212. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 この際、郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。郵政大臣廣瀬正雄君。
  213. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 先ほど武部委員の御発言に関連いたしまして、たいへん御心配をかけました問題について、このようなことになりましたので申し上げます。  文部省と短波放送との契約では、担当講師につきましては、短波放送が文部省と協議して決定するということになっておるようであります。したがいまして、文部省は短波放送に対して、講師についても希望を述べるということは行なわれると思いますが、両者の協議が整わない場合には、放送法第三条の精神からして、放送事業者たる短波放送が講師を決定し得ることとなるのであります。  以上、御説明申し上げます。
  214. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 武部君。
  215. 武部文

    武部委員 午前中の私の質問に対して、文部省なりあるいは電波局長からいろいろ御答弁がありまして、私は納得しなかったのでありますが、ただいまの大臣の後段の問題については一応わかります。一応わかりますが、今後のことがありますので、重ねてはっきりしておきたいと思うのです。というのは、三月十八日の、私と文部省、NHK、それから電波監理局長とここでやりとりをしたときに、こういうやりとりをいたしたのであります。四十四条の第五項、「法令の定める教育課程の基準に準拠する」というこの問題をめぐって、出演する講師その他について論議をしたわけです。その際にNHKからは、NHK自身が出演する講師を含めて、学識経験者等を集めました委員会にはかった上で、私どもの責任において制作する、したがって、番組制作の責任は放送局、これにある、それは出演する講師を含めて、こういう答弁がありまして、そのあと文部省の政務次官から、文部省としてはNHKの考えに何ら異存はない、こういう答弁がありました。続いて、藤木電波監理局長からいろいろありましたが、文部省の政務次官からお話もございまして、そういった方向自体については私どもとして了承しておる、こういうことが答弁されたわけであります。  したがって、いま大臣がお述べになりました文部省と民放との間にいろいろ話し合いがあって、最終的には放送局自体が講師の問題等をひっくるめて最終決定権を持つのだということについては、私はそれでけっこうだと思うのであります。  ただ問題は、文部省と短波放送との間に契約書を取りかわしておりますが、この契約書の条文の中には具体的に書いてありませんが、この条文に付属をした要領、これがこの条文の中で生きるようになっているわけです。その中にはっきりと「担当講師については委託者と協議の上決定するものとする。」と書いてあるわけですね。そういう問題について文部省のほうから、私の質問に対して、文部大臣がイエスと言わなければその講師はだめだというような話があったので紛争になったわけですね。そういうといはない。したがって、あくまでも放送事業者が最終決定をするのだ、そういうことならば、私は、このことがいわゆる国家権力である文部省が放送の自由に対して介入するということはあり得ない、こういうことになるわけですから、それはけっこうです。それならばこの通達、契約書というのは取りかわしておるわけですから、いま直ちにこれを廃止せよといったって無理な話です。無理な話ですが、現実にはこれからたくさん講師が選ばれるわけですから、選ばれる段階ではいま大臣答弁されたような方向で進む。さらに、これからまたどんなことで契約があるかわかりませんが、その際には、いま大臣がお述べになったようなことを精神として、との契約書の中にはっきりと条文として明記される。もちろん逆に言えば、講師は文部省と協議しなければならぬということを書いてもらっては困るので、そういうことは放送法の第三条に抵触するのですから、そういうことをしないとおっしゃるのだから、これからの契約にあたっては、いま大臣のお述べになったことを十分精神としてくんで文部省としては契約すべきである、このように思いますが、それでよろしゅうございますか。
  216. 遠藤丞

    遠藤(丞)説明員 御趣旨の点十分配慮いたします。
  217. 武部文

    武部委員 了解いたします。
  218. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後四時三分散会