運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-10-12 第66回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月十二日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊永  光君 理事 山口 鶴男君    理事 吉田 之久君       國場 幸昌君    高鳥  修君       綿貫 民輔君    土井たか子君       中井徳次郎君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君  委員外出席者         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         警察庁警備局参         事官      斉藤 一郎君         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         運輸省航空局長 内村 信行君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         自治政務次官  小山 省二君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局選         挙部管理課長  秋山陽一郎君         自治省財政局長 鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 榮文君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方自治地方財政及び警察に関する件      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。 開会されることになりまして、この臨時国会には、ドルショックに伴います経済不況を克服するための補正予算が提案されることは当然であると思います。新聞等の報道によりますと、本日、補正予算案を閣議決定するというふうに伝えられておるわけでありますが、実は、前々回九月十日に開かれました当地方行政委員会におきまして、私、渡海自治大臣に対しまして、四十年不況を上回る深刻な不況が予想される、これに対して地方財政もやはり非常な苦境が予想されるのではないか、したがって、四十年不況において、当時とった措置、具体的には、地方交付税落ち込みに対して、その穴埋めを一体どうするか、それから地方税減収法人事業税法人所得割り等について相当な減額が予想されるので、その穴埋め対策を一体どうするか、それからまた、景気浮揚対策として公共事業等が見込まれるわけであるが、これに対する地方財源手当てを一体どうするか、さらに、公務員給与改定に伴う地方公務員給与改善のための財源手当てを一体どうするか、ということについて質問をいたしました。これにつきましては、渡海自治大臣から、全力をあげて措置するようにいたしますというお答えがあったのであります。したがいまして、本日、補正予算が閣議決定せられるということになれば、当然、地方財政対策について、計数的にもまとまって、かくかくしかじか措置するということが明確になっているのではないかと思うのでありますが、その点、ひとつ財政局長のほうからでも御答弁いただきたいと思います。
  3. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいま御指摘のとおり、当面の地方財政対策といたしまして、地方交付税落ち込み地方税の減、公共事業の増加に伴います地方負担の増、それから給与改定財源、この四点につきまして、次のような措置を講ずることによりまして地方財政の運営に遺憾なきを期してまいりたいと考えておるところでございます。  まず、地方交付税の減でございますが、これは、国税三税の減に伴いますいわゆる減収分、それから千六百五十億と伝えられるところの所得税減税に伴います減収分減税による落ち込み国税三税の減収による落ち込みと両方あるわけでございます。この中で、所得税減税に伴いまする落ち込み分五百二十八億につきましては、全額国一般会計からこれを補てんすることといたしました。それから減収分、これは大体二千三百三十億余り国税三税の減が立つ見込みのようでございますが、それに伴います減収分七百四十六億につきましては、交付税特別会計預金部資金から借り入れを行ないまして配分をする。したがいまして、交付税特別会計におきまする交付税の額というものは総額が確保されるわけでございます。五百二十八億と七百四十六億合わせまして千二百七十四億の総額は、これを確保することといたしたわけでございます。  次に、地方税の減でございますが、地方税の減は、御指摘のとおり、法人税の減に対応いたしまする法人事業税法人税割りの減が千三百億、それから揮発油税減収に伴いまする地方道路譲与税の減が三十四億立つわけでございます。この千三百三十四億の処理につきましては、このうちの三百三十四億を、都道府県や市町村が財政調整のために積み立て金を持っておりますが、その中から三百三十四億を取りくずしまして、残りの一千億につきましては地方債をもって減収対策とする。すなわち、地方債をもちまして一般財源に充てておりましたものに充てることによりまして財源の振りかえを行なわせようとするものでございます。この地方債一千億のうちの四割、四百億につきましては政府資金をもって充てることといたしております。  それから公共事業地方負担の増が千五百億余り見込まれるわけでございますが、これに対しましては全額地方債をもって充当するということにいたしたのであります。さらにまた、その中の約八割に当たりますところの千二百億というものにつきましては政府資金をもって充当する。そういうことにいたしますと、いわゆる一般公共災害復旧、それから義務教育公営住宅、それから下水道、こういったところはすべて交付団体、不交付団体の別なく、この政府資金をもって充当できるということに相なろうかと思います。  最後に、給与改定財源でございますが、給与改定財源につきましては、前々から申し上げておりまする交付団体分の七百億につきましては、百五十億を節約等によって捻出することにいたしました。残りの五百五十億は交付税特別会計借り入れを行なう。それから不交付団体分の二百一億につきましては、節約等を四十一億立てまして、残りの百六十億につきましては縁故債をもって充当する。こういうことによりまして、当面五千億余り地方財政対策というものにつきましてはある程度手当てというものができたのではないかと私ども考えておる次第でございます。
  4. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、まず、地方交付税の減につきましては、今回の一千六百五十億の国税減税に伴う五百二十八億、並びに法人税一等減収二千三百三十億に伴うところの七百四十六億、合計千二百七十四億は完全に交付税特別会計借り入れ交付税として配分するからこれはよろしい。地方税減収に伴いますものについては、三百三十四億を各都道府県積み立て金を取りくずす、一千億を地方債で見て、うち四百億円は政府資金だ、こういうお話であります。この場合の一千億の地方債、これはどうなんですか。昭和四十一年には特別地方債というのを千二百億出しまして、これについては元利償還を見たという例もあるわけなんでありますが、この地方税落ち込みに対するところの一千億の起債、これに対する元利償還手だては何ら講じていないのですか。あるいは何らかの方法考えておられるのか。その点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  5. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方税減収に対する考え方でございますけれども、ある意味におきましては一種の天災的なものともいえると思うのでございますが、結局どこにしりを持っていきようもない、とにかく景気の全般的な下降、停滞、それにニクソンショック、こういう形で出てまいるわけでございますので、その減収につきましては、私どもといたしましては、まず基本的にはやはり団体みずからの努力によってこれをまかなっていただく、それはいわゆる財調基金の取りくずしということを考えておるわけでございますが、それによって、なお埋め切れないものにつきましては、起債を起こしまして公共事業充当率を上げる、あるいは、すでに単独事業等におきまして一般財源をもとにして積み上げておるものにつきましてその財源を振りかえる、起債をそれにつけることによりまして一般財源を浮かすといいますか、振りかえる、こういう形をとっておるわけでございまして、それ以上に出まして元利補給ということは考えておりません。  なお、昭和四十年に、地方税減収というものが、当時五百十五億でございましたか、ございました。その当時は百十五億を財調取りくずしによってまかないまして、残りの四百億につきましては、政府資金百五十億、政府資金以外二百五十億、こういうことでまかなった例がございます。元利補給ということはその当時も行なっておらないところでございます。
  6. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 四十年不況のときの地方税減収についてやらなかったから今回もやらぬ、そういうお話でありますが、これはまた臨時国会が始まりましてから議論することにいたしまして、今回は政府のとりました措置だけお尋ねすることにしておきまして、あまり突っ込んだ御意見は申し上げないことにいたしておきましょう。  それからさらに、たしか九月十日の当委員会で、国税に対して減税をする、この減税のほうは公共事業に比べて乗数効果は低いけれども、しかし、公共事業の場合は、用地取得その他工事に着工するまでにいろいろ期間がかかるというようなことから、実際の景気浮揚対策としてはむしろ減税のほうが効果がある、こういうふうに言われているわけであります。そういう意味で今回千六百五十億の減税に踏み切ったと思うのでありますが、とすれば、地方税についても当然考えていいのではないかという趣旨の御意見がございまして、これについて渡海自治大臣も考慮してもいいのではないかという趣旨の御答弁をされたように記憶をいたしておるのであります。これは佐々木さんのほうですが、住民税減税のほうは自治省としてはお考えにならなかったのですか。ならなかったとすれば、一体どういうお考えでやらなかったのか、簡単でけっこうですからお答えいただきたいと思います。
  7. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 基本的に、地方税をもって一般的な景気対策を講ずべきかどうかというような問題もあるわけでございますが、まず、財政的に見まして、四十六年度の地方財政の現況からいたしますと、実際には、何らかの財源対策がない限りは地方税減税というものはとうていできないわけであります。それからまた、税務の技術上の問題になりますけれども地方税は、御承知のとおり、住民税の場合、前年所得に対して年度税として課税いたしております。年度内において減税を実施するということは、賦課処分をもう一度やり直すというような手続が要るわけでございます。この手続相当の日数を要することと、それから経費も相当かかります。そういうような事情を考慮いたしますと、年度内減税というのは、これから立法措置を講じて実施をするということは、まず技術的にも不可能に近い。こういうことで、地方税の場合には、いろいろな事情からいたしまして、年度内減税はどうも不可能であるというふうに判断をしたわけでございます。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまおっしゃるような理由は私もよくわかります。ただ、本日の新聞を見まして、所得税減税の内容を拝見いたしますと、年所得五百万あるいは七百万という程度方々相当減税が行なわれるというような案になっているようであります。地方税は、御案内のように、零細な所得の方、所得税を納めておらぬ方もこの負担をする。まあ応益原則ということでそういうことになっているだろうと思うのでありますが、結局、比較的所得の少ない方々相当負担をなされているというのが特徴だと思います。そういうことから考えまして、比較的所得水準の高い方々減税恩恵があり、そうして所得税を納めておらない方々については当然何の恩恵もないわけでありますが、そういう点からいたしますと、一見負担の公平を欠くというような感じ国民の間にあるのではないかというふうに思います。そういうことから、技術的な問題でいろいろ困難な点はわかりますが、地方税減税についても、大臣としても努力をしたいと言われたのでありますから、この点はもう少し御検討あってしかるべきではなかったかという考え方だけ申し上げておきたいと思います。  それから、公共事業に対していろいろ手当てをいたしておるようでありますが、確かにおくれております下水道住宅等国民生活基盤を強化するための社会資本充実という点では、景気浮揚対策一つとして意義あることは私どもも認めるわけでありますが、同時に、社会福祉の面で自治体が、国がいまだやらない、あるいは非常におくれている面について、非常に苦労して社会福祉充実のための諸施策をやっている児童手当とかあるいは高齢者医療負担という問題がございます。そういうようなことは、これまたやはり一種減税と同じわけでありまして、国民に対してそれだけの所得を与える形になるわけですから、乗数効果等考えれば、当然これも景気浮揚対策として忘れてはならない問題だ。特に、諸外国からは、わが国社会福祉はなおざりにして輸出一辺倒政策ばかりやっておるじゃないかという批判が非常に強いわけでありますから、こういうときこそ自治体が苦労して社会福祉充実のために努力をしている、そういった面を忘れてはならぬのじゃないかということを実は過般に申し上げておいたのであります。そういったことに対する配慮といいますか、そういうものはいかがでありますか。
  9. 鎌田要人

    鎌田説明員 結局、国民の資源というものをどのように配分を行なうかという非常に高い次元の政治的な判断の問題にもかかわるのであろうと思うわけでございます。当面の財政措置といたしましては、公共事業の拡大によって景気浮揚をはかるということと、所得税減税によって消費面からの需要を喚起する、こういう政策判断に基づいて国の補正予算が組まれ、それに対しまして地方財政に影響を及ぼすという形になるのでありますから、それに対する対策というものに、先ほど御説明申し上げましたような形で万全を期しておるわけであります。  ただいま御指摘福祉行政福祉施設充実ということにつきましては、やはりそういった社会経済情勢の中で、明年度財政計画というものを立てます際にどのような形でこれを織り込んでまいるか。当面老人医療の問題というものがたちまち出てまいるわけでありますが、そういった面で明年度以降の財政計画の問題として私ども万全を期してまいりたい。当面の財政措置といたしましては、その面については触れられておらない、こういうことでございます。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今後はそういう方面に努力を大いに傾注することが他の国々からの批判にもこたえる道でありますし、また、わが国振替所得が非常に低い。しかも、一人当たりの国民所得につきましても、もう、ほぼヨーロッパ水準に近づいておるわけですね。イタリアを抜いて、イギリスに追いつき追い越すというようなところまでいっているわけであります。では、それらの国々が現にやっております社会保障あるいは振替所得がどのくらいの割合になっておるか。わが国の場合はたしか七%に達していないように記憶しておりますが、ヨーロッパ各国の場合にはいずれも一五、六%ぐらいまでいっておるわけであります。そういう点からも、わが国経済が非常に片寄った形になっているということはかねがね私ども指摘をしてまいったところであります。そういう意味で、これらの問題に触れられておらない、将来の問題ということでございますが、この点は非常に残念であるということを申し上げておきたいと思います。  給与改定でありますが、大臣がおられないので残念ですが一応の財源手当はおやりになったようでありますが、ただ、ここで毎年毎年問題になりますのが、例の地方公営企業に働く地方公務員諸君給与改定の問題です。大都市におきましてはいまなおこの問題については解決されていない状況であると承っております。そうしますと、完全に一年おくれになっておるわけでありまして、これを一体どうするのか。そしてまた、今回の給与改定にあたって、地方公務員諸君給与改定はまたまた一年おくれというようなことになるのですか。そういうことでは私はたいへん不公平な措置だと思うわけでありまして、公営企業職員給与改定は一体どう解決するおつもりでありますか、承っておきたいと思います。
  11. 鎌田要人

    鎌田説明員 公営企業職員給与改定の問題は、実は昔から非常に問題があったわけでございます。公営企業法のたてまえといたしましては、これはもう御案内のとおり独立採算というたてまえをとっておるわけでありますから、結局、企業内のやりくり算段によって給与改定財源を生み出してまいるという、この基本的な考え方というものはどうしても曲げるわけにはいかないというふうに考えておるわけでございます。ただ、現実の問題といたしまして、大都市の、特に交通事業、これはもう御案内のとおり、四十五年度の決算を最近取りまとめたわけでございますが、累積赤字がすでに千六百億をこしております。実はちょっと深刻な感じを持っておるわけでございまして、その中で、たとえばある団体でございますと売り食いができる財産がある。その財産を売り食いして給与改定に充てようとしているところがあります。他の団体におきましてはそういう売り食い財産も何もない。結局、料金改定をするよりほかに給与改定その他の財源というものは生み出せない、こういう絶体絶命のところに追い込まれておられる団体もあるわけであります。私どもといたしましては、ただいま申しましたように、公営企業独立採算のたてまえというものは堅持しながら、その中で給与改定財源というものをどのように生み出されることが可能なのか、料金改定の問題も含めて、やはり根本的に、たとえば車両の通行規制でございますとか、あるいは路線系統の再編成でございますとか、そういった問題もひっくるめて抜本的な考え方をとらなければならない時期に刻々として差しかかっておる。そういった意味での、また一般財政とは違った危機意識というものを持っておるところでございます。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 優先レーン、それから専用レーン等を大いに設置いたしまして、交通規制の面からバスがスムーズに運行できるような対策をとりたいとか、路線系統の再編成をはかるべきだとかいうようなことは以前からいわれておりまして、なかなか解決をしていない問題でありますが、これらの問題につきましては、わが党としましては、都市交通再編会議というような機関もつくりまして、来たるべき臨時国会で十分ひとつ議論をさしていただきたいと思っております。  ただ、ここで指摘をしておきたいのは、いろいろなそういう構想は発表されておるのですが、さっぱりそれが——さっぱりと言っては恐縮かと思いますが、なかなか実行されていない。片や累積赤字はどんどん積もる。そういう中で、同じ地方公務員であります都市交通関係職員給与改定が一年もおくれているという現状はやはり非常に遺憾なことだと思います。幸い政務次官東京都の御出身でもあるわけでありまして、この点については十分な御理解をお持ちだと推察をいたすのでありますが、少なくとも一年おくれが常例化しているというようなことは私はまずいと思うのですね。これはひとつ何らかの形で解決をしなければいかぬと思いますので、骨子でけっこうでありますから、ひとつ次官から承っておきたいと思います。
  13. 小山省二

    小山説明員 公営企業につきましては、いま御指摘になりますような問題がたくさんあるわけでありますが、私は、企業法精神である——精神と申しますか、規定によります独立採算制というものに対して多少の検討の余地があるのではないかと思う。少なくとも、同じ企業といえども公共性が非常に高い企業でありますから、当然そこには、もう少し何らか、公共性を側面から援助する方法企業法の中に強く打ち出されない限り、私は、今後ともこのような状態がずっと永続するような感じを持つわけであります。したがって、現在は政府資金等低利資金援助等考えておりますが、この程度でこらした公営企業というものが立ち直るということは、現在の状況下においては私は困難のように考えます。将来、公営企業法改正と相まってこれらの点については十分検討しなければならない課題であるというふうに承知しております。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 わが党も次官と全く同じ考えでありまして、公営企業法の中に種類がずっと書いてございます。たとえば電気事業のようなものは、私はこれは独立採算原則でよろしいと思いますけれども都市交通でありますとか、水道でありますとか、病院という、いわば公共性の強い——ヨーロッパ各国に行きましても、都市といえば、都市交通をいかにするかということが都市問題の一番の中心でなければならぬわけでありまして、そういう意味から、いま申し上げましたような種類のものにつきましては独立採算のワクからはずす、そうして公共負担については、やはり思い切って公共負担分というものを国なり自治体が見るという形をとらない限りこの問題は解決しないという立場から、公営企業法の一部改正を実は毎年提案をいたしてまいったのであります。残念ながら、与党各位の御賛同をいただけませんで、いまなお日の目を見ていないわけでありますが、次の通常国会等にも私どもまた同じ趣旨の法案をさらに検討を加えまして提案いたしたいと思いますので、どうか政府におかれましても十分ひとつ御参考にしていただきたい、一歩前進をはかっていただきたい、お願いをいたしておきます。  ぼつぼつ時間でもありますから、最後一つだけお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、実は、本年の四月、全国でそれぞれ地方統一選挙が行なわれました。最近行なわれました参議院の選挙につきましても、その収支報告が中央選管から公にされまして、いろいろ国民の話題になっているわけでありますが、私は、そういう意味では、政治をきれいにするということはやはり選挙の浄化から始まると思いまして、選挙収支報告等につきまして国民の関心が集まることは非常にけっこうであると思っております。ただ、そこで私お尋ねしたいのですが、実は、私の群馬県では県会議員選挙収支報告の公表が非常におくれたのであります。しかも、その間に、四月の末に収支報告をいたしまして、四カ月もたってからどうも前の収支報告はぐあいが悪い、間違っておったというので、いわば報告訂正の申し入れがございまして、いろいろ県でも問題になったのであります。と申しますのは、群馬県に群馬観光協会というものがございます。観光事業の振興は、これは当然あってしかるべき問題でありますが、そういう意味から、県ではこの観光協会に対しまして実は相当額補助金を出しているのであります。そうなりますと、公職選挙法百九十九条の「特定寄附の禁止」に当然当たる団体、こう見てよろしいと思うのですが、そこから実は特定の政党に所属する約十名ばかりの議員さんが十万から五万程度寄附を受けたということを収支報告報告された。ところが、百九十九条に気がついたのかどうか知りませんけれども、四カ月もたってからこの訂正報告をされたわけであります。私は思うのですけれども、そうした場合は当然百九十三条に「報告書調査に関する資料の要求」という条項があるわけでございますので、当該の選管が、はたして百九十九条に触れるような団体からの寄付であったかどうかということをやはり厳格に調べて、しかるべき手だてを講じた上に訂正報告を受理するかせぬかということを判断するのが私はしかるべきではないかという気がいたすのであります。ところが、全くそういう資料の要求等もいたしませんで、四カ月もたってから訂正報告をさっさと受理した。しかも、自治省に聞いたら、いや公表前なら訂正報告を受け付けてもけっこうでございますというようなことを自治省のほうで言われたので私どものほうはさつさつと受け付けたわけです、というようなことを言っておるわけなんです。そういうことではこの選挙の浄化というものは行なわれませんし、また、公職選挙法の規定からいっても非常に遺憾なことではないかと私は思うのです。したがいまして、この公職選挙法の「特定の寄付の禁止」というものはやはり重要な条文でもございますので、これに関係して当該の選管が十分な資料を要求いたしまして対処するということが必要ではないかと思うのでありますが、その点自治省選挙部からひとつ御見解を承っておきたいと思うのです。
  15. 秋山陽一郎

    ○秋山説明員 ただいまの先生のお尋ねにつきまして、まず、第一点の、選挙運動費用の収支報告がおくれている点につきましてのお尋ねでございますが、御承知のように、本年は十二年目に一度の、統一選挙と参議院の通常選挙がそれぞれ四月、六月に重なるというような事情がございまして、各選管におきましては、管理事務に多忙をきわめて公表がおくれておる次第でございまして、この点深くおわびを申し上げなければならぬのでございますが、今後におきましては、できるだけ早急に公表ができるように努力してまいりたいというふうに存ずる次第でございます。  次に、第二点の、収支報告書につきまして、寄付者の変更をする件につきましての御質問でございますが、この点につきましては、報告書の内容につきまして、一たん提出されたものにつきまして訂正の申し出があるということにつきまして、選管の処理の問題につきましてのお尋ねであると存ずるのでございますが、この点、県の選挙管理委員会におきましては、その訂正届けが出されました時点におきまして、訂正者から事情を聴取し、調べました結果、結局訂正にかかる事項が事実であることを確認いたしましたので、これにつきまして処理をいたしたわけでございます。  なお、公選法百九十三条の規定によりますれば、必要があれば、報告を求め、資料等の提出を求めることができるとされておることは先生御指摘のとおりでございまして、その点につきまして、資料提出を求めるかどうかにつきましての現地選管の判断につきましては、先ほど申しましたように、提出者の提出にかかる事情を十分聴取した結果、一応その点が事実であるということを確認して処理したものと聞いている次第でございますので、御了承を賜わりたいと存ずる次第でございます。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 全国四十六の都道府県で、県会議員の選挙収支報告の公表が大体いつごろまでに行なわれておるのか。とにかく、全国区の選挙につきましても約二カ月でもって公表されているのですから、県会議員の収支報告なんというものは一カ月もあればどんどんできるはずだと思うんですね。当該選管が公表する気になれば、ですよ。全国の状況はどうですか。参考までにひとつ承りたいのです。  それから、この報告というのは三年間保存して、閲覧もできるということが書いてあるわけですね。それほど国民の監視のもとに置かれることがふさわしいという法文の書き方になっているわけでありますが、それがどうも間違いだというようなことで、訂正の申し入れがあって、それを受理したというのですが、見ますと、群馬観光協会なんというままで報告をしておる人も一人おるのですよ、訂正しないで。それから、固有名詞の名前に訂正の申し入れをした人もあるし、それから、役員一同というような形で訂正の申し入れをした人もあるのです。同じ団体から、初めは同じ名前で幾らもらいましたというので収支報告をされておって、訂正がばらばらなんですね。訂正を申し入れない人もある。訂正も、個人の名前になったものもあれば、役員一同になっているものもある。事実を調べたとすれば、そういったばらつきは出るはずはないと私は思うのです。しかも、ばらつきがあるままで受理をしたということは、私は、どう考えても、公選法百九十三条による資料の要求等をやって厳密に調べたものとは受け取れないわけです。そこに県の選管の姿勢に非常に遺憾な点があるんじゃないか、私はかように思うのですが、その点いかがですか。
  17. 秋山陽一郎

    ○秋山説明員 まず、第一点の、全国における選挙費用の公表の状況でございますが、ここにはちょっと全国の手持ち資料はございませんけれども、近県におきます状況を見ますと、その半分程度は現在公表が済んでおりますが残りの部分につきましては、近いうちに公表すべく現在準備中でございまして、先ほど申しましたように、十二年に一ぺんの二つの大きな選挙が重なったということでございまして、非常に多忙をきわめたためにおくれたところでございますので、この点御了承をいただきたいと思うものでございます。今後におきましては、できるだけ早くそういうものが公表できるように努力をいたしたいと思っておるわけでございます。  次に、第二点の、県の選管のとった調査の点でございますが、選挙管理委員会におきましては、先生の御指摘の百九十三条の規定の趣旨に従いまして、提出者から種々の事情を聴取して、そうして調査することによりまして一応事実が確認されたものにつきまして、訂正はやむを得ないということで訂正をした次第であるというふうに存じておる次第でございますので、御了承賜わりたいと思います。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間がないからやめますけれども、そういうことなら、全部訂正したというのなら話はわかるのですよ。ところが、従来のままの人もある。訂正したけれども特定の人の名前の人もあれば、役員一同というのもある。調査した上で受理したとすれば、私は非常におかしいと思うのですね。初めはみな同じ形で報告されたものが、訂正の段階になってばらばらになるということはおかしいでしょう。それじゃ調査をしたとはいえぬと私は思うのですね。  それからまた、届け出については、報告については期限がありますよ。ところが、公表については法律には期限がない。だからといって、とにかく四月に行なわれた選挙がいまなお公表されないというようなことは、幾ら何でも私はおかしいと思うのですね。やはりこういうものはできる限りすみやかに公表して、そうして一般国民、県民の閲覧等に応ずるということが選挙浄化の上からいっても私は好ましいことだと思うのです。今後そういう点についてはより徹底的な御指導をお願いいたしまして、また日をあらためまして、機会がございましたらお尋ねをすることにいたしまして、きょうはこれでやめておきます。
  19. 大野市郎

    大野委員長 和田一郎君。
  20. 和田一郎

    ○和田(一)委員 前回の委員会のときに地方財政のことについてお聞きしましたけれども、その点についてまた重ねて質問をいたしたいと思います。  まず、一番の大きな問題としては、去年の十月あたりから、各地方団体の税収の非常な落ち込みであるとか、いろいろなことがささやかれておりますし、現実にそうであるということになっております。さらにまた、ドルショック等にプラスされまして、地方交付税の問題または法人事業税等の問題がいわれておりますけれども、前回の委員会で、地方交付税相当落ち込むであろう、そのことについて大蔵省の方々と相談をされた——そのときはまだ結論を私たち聞いておらなかったのですけれども、その点について、まず鎌田財政局長からお答え願いたいと思います。
  21. 鎌田要人

    鎌田説明員 先ほどもお答えしたことでございますけれども地方交付税落ち込みにつきましては、一つ国税三税の減収に伴う落ち込み、それから所得税年度内減税に伴う落ち込みと、二つあるわけでございます。減税に伴います落ち込みにつきましては、交付税で五百二十八億円の減を生ずるわけでございますが、これにつきましては国の一般会計から全額補てんをする。それから減収分の七百四十六億、国税三税の減収に伴う分でございますが、これにつきましては交付税特別会計におきまして借り入れをいたしまして、結果的には両方合わせまして千二百七十四億の落ち込みというものは総額を確保された形で、地方団体には全然影響を及ぼさない、こういうことで処理をしようと思っておるわけでございます。
  22. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それで、各地方自治団体交付税の中間の決定、そういうのを自治省で出していると思うのですが、大体八月か九月ごろにこのくらいやるという交付税の決定がありますね。その点はどうなっていますか。
  23. 鎌田要人

    鎌田説明員 中間の決定ではございませんで、御案内のとおり、普通交付税は八月一ぱいに本決定をするわけでございます。十一月に四回目の配分をいたしますと、それでことしの普通交付税は全部相済みになるわけでございます。でございますから、いまの段階で総額に影響を及ぼすということはとうていできない相談でございますので、ただいま申しましたように、八月に決定をした、その額というものに影響を及ぼさないように総額を確保する、こういうことにいたしておるわけでございます。
  24. 和田一郎

    ○和田(一)委員 八月の決定分の、その額に影響を及ぼさないための措置なんですね。そうしますと、各地方団体の例を二、三私聞いてみたのですけれども、八月の時点で当初予算から相当落ち込んでいる。これは当初予算ですから、各市町村のほうできめた予算、ここではこのくらいであろうという額、それから八月の決定というのは相当落ち込んでいるわけですが、その点はどうなんですか。
  25. 鎌田要人

    鎌田説明員 よく御趣旨がわからないのでございますが、こういうふうに理解をしてお答えをさしていただきたいと思います。交付税総額は二兆五百億、これはことしの当初予算に計上した額はびた一文も割り込まない、こういうことで二兆五百億、そういうことで処置をしたわけでございます。今度は県なり市町村の段階におきまして、当初予算計上の際に交付税をある程度多目にお見込みになった県なり市町村なりの予算編成の段階でございますね。私どものほうは、当初予算を組む前に、来年度の交付税の伸びはこの程度、基準財政需要の伸びはこの程度ということで、ある意味でのガイドラインを一応お示しするわけでございますけれども財源等の関係がございまして、ある程度交付税に多く県なり市町村の段階でお見込みになるだろう。それと、交付税の私どもの段階におきまする本決定の額との間に差異が生じたということをおっしゃっておられるのではないだろうかと思いますが、これは実はいかんともしがたいところでございまして、交付税の算定につきまして、地方団体でそういう過大な算定をされて予算に計上されないように、地方団体に対しまして私ども口がすっぱくなるほど指導いたしておるわけでございますけれども、その点はちょっといたし方がないという感じがいたします。
  26. 和田一郎

    ○和田(一)委員 地方財政計画、そういったものはお出しになるわけですね。そこで大体の伸び率等もお示しになっていらっしゃるわけですね。それに沿ってやったというのですが、それが今度は八月の決定でごそっとおっこってしまった。これは町の名前を言うと、皆さんのほうから電話がいきまして財政当局の役人の方々がびくびくするものですから名前を言いませんけれども、たとえばこういうことなんです。ある市でございますけれども昭和四十五年に七億の交付税の確保があったわけです。ところが、昭和四十六年度は約六億にしたわけなんですけれども、それでも一七%減なんです。一七%減で予算に出してあったわけです。ところが、現実には約五億くらいの決定しかもらえない、そういうことなんですね。ですから、昭和四十五年度よりも伸びを少なく見積もっていながらも、それでもごっそり減らされた、こういうふうに訴えているものが多いわけです。私は四つか五つの市町村を聞いてみたのですが、大体そういうことです。さらに、財政計画等に示されたとおりやってこうなんだ。ですから、交付税総額について、これはどういうことになっていますか。去年と四十六年度の総額は幾らだったでしょうか。
  27. 鎌田要人

    鎌田説明員 四十五年度の地方交付税総額は一兆六千九百二十五億でございます。それから四十六年度は二兆四百六十四億でございまして、その間に三千五百三十九億の増加に相なっております。
  28. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この二兆何がしの、これに差異を生じないようにする、こういうわけですか。
  29. 鎌田要人

    鎌田説明員 そのとおりでございます。
  30. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、地方財政計画のほうでは狂いはありませんか。
  31. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方財政計画には異状はございません。
  32. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もう一つお聞きしますけれども、各市町村の税収の減収についてはどうされるおつもりですか。
  33. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方税減収は、先ほど申し上げましたように、総額で千三百三十四億の減が計画上立つという前提に立ちまして、三百三十四億につきましては、地方団体がこういうときのために積んでおりますところの財制調整積み立て金というものがございます。その中から取りくずしていただき、残りの一千億につきましては地方債をこれに充てることにいたしまして、建設事業で一般財源を当て込んでおりますものを地方債に振りかえることによりまして一般財源を浮かせるといいますか、財源振りかえを行ないたい。その場合に、一千億のうちの約四割、四百億は政府資金をもって充当することにいたしたいというふうに考えております。
  34. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もう一つは、各公共事業の増加に対しての裏打ちですね、これに対してはどうですか。
  35. 鎌田要人

    鎌田説明員 公共事業の裏づけにつきましては、大体地方負担総額が千五百億ちょっとになると思いますが、これにつきましては、全額地方債をもって充当するということと、そのうちの約八〇%、千二百億は政府資金をもって充当するということによりまして公共事業の消化の円滑化をはかってまいりたいというふうに考えております。
  36. 和田一郎

    ○和田(一)委員 次に、先ほども山口先生が触れられましたけれども、公営事業ですね。公営企業の決算がついこの間出ましたけれども、やはり、いつ見ても、病院であるとか、それから公共下水道、それから交通事業、これは大赤字で、ものすごいピンチである、こういうわけです。この点については、これは自治省としてもいろいろ考えていらっしゃいましょうけれども、これはどうなんですか。この解決策について、結局は財政問題だと思うのですがね。お願いします。
  37. 鎌田要人

    鎌田説明員 私は、これは財政措置ということでは限界があるのではないかと思います。やはりもっと根本的に、大都市をはじめとしまする都市交通というものを国全体の交通体系の中でどう位置づけていくのか——当然地方公営企業法の中にもその頭を出してあるわけでございますけれども、いわゆる大都市なら大都市内の交通事業というものを打って一丸といたしましたいわゆるパブリックコーポレーション的なものに移行する、こういう企業形態の問題、それから、これは私どもの中で交通問題研究会というものを持ちまして、いろいろ御意見を拝聴しておるわけでございますが、交通事業だけで採算をとるということははなはだ困難な事態になっておるんじゃないだろうか。やはり、ある程度多角的な経営というものを行なう、こういった問題、あるいは交通政策それ自身の問題といたしましては、こういう公共体の交通というものを最優先で都市交通の面においても確保していただく。そのためには当然街路におきます乗用車等の車両の思い切った規制ということも必要でございましょうし、あるいはまた、路線の再編成ということも必要でございましょう。あるいは、そういうことを前提にいたしまして、ある程度サービスの向上をはかりながらの料金の適正な定め方というものも必要になってくるのではないだろうか。ただ、財政問題だけでこの問題を片づけるというのにしては、少し財政にかかる負担が重過ぎるのではないだろうか。やはり、都市交通というものを、先ほど山口委員からも御指摘がございましたが、日本の都市行政の中でどのような位置づけをするか。極端なことを申しますと、やはり、都市の首長というものがその都市内の交通の規制については全般的な権限を持つというところまでいかないと、大都市交通をはじめとする都市交通の今日のこの非能率、混雑、雑踏という問題はとても片づかない。そのあおりを受けて公営交通というものがこういう窮状になっておるわけでございますので、その根本的なところにメスを入れて考えてまいりませんと、ただ、一般会計から金を出す、あるいは国から金を出すというだけでは片づかない事態になっておるのではないかという感じがいたします。
  38. 和田一郎

    ○和田(一)委員 お説はよくわかるのですけれども、そうしますと、それは大体いつごろできるのですか。
  39. 鎌田要人

    鎌田説明員 これは、自治省にそういう権限を全部集中していただければ非常にありがたいわけでございますが、私どもの役所は公営企業という面からタッチするにすぎない面がございますので、これはやはり企画庁を中心にいたしまして、現在総合交通対策の立案をいたしておる最中でございます。私どもといたしましては、都市交通あるいは公営交通というサイドから、この立案の過程におきましては、積極的に意見を申し上げて、取り入れられるようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。全体的には、政府全体の総合交通政策というもののすみやかな立案というものにまたなければなるまいというような感じを持っておる次第でございます。
  40. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それはそのとおりだと思うのですけれども、先ほどは鎌田財政局長が一人でやるようなお話であった。これは冗談ですけれども……。確かに理想論はそうなんですよ。ところが、昭和四十一年から四十二年、四十三年、四十四年、四十五年を見ますと、もう事業別の累積欠損がすごいのですよ。これは着実に伸びているのです。そういうことになってまいりますと、この間何をやっていたかということになるのですが、確かに、渋滞で走れないとか、片道のお客さんばかりで欠損であるとか、そういうことはあるかもしれない。しかし、この間手をこまねいておったということは実際のところ事実なんです。もう一つ言わしていただきますと、財政再建計画ですか、その一つのワクをはめまして、それに沿ってやれば何とかしてあげるということで、しかも、それもどうも現実性がないような計画ばかりが多い、このように私たちも思うわけなんです。現実には、昭和四十一年には七百八十九億の交通部門だけの赤字があった。四十五年は千六百七億になっておる。倍以上ですよ。ですから、ただいま鎌田さんがおっしゃったような一つのすばらしい構想、それはそれとして、現実を救済する面では何とか考えられないかということですがね。これは加藤さん、いかがですか、御意見は。——平井さんはいらっしゃっていますか。
  41. 加藤隆司

    ○加藤説明員 平井次長はちょっと急用がございまして、私がかわりに参りました。  公営企業の問題でございますけれども、日本だけでなくて、すべての国が非常に困っておる問題だろうと思いますが、昨年の暮れに、OECDにそういうような分析したものがございまして、やはりいま鎌田局長が言われましたように、施設の総合計画、あるいはさらにいけば国土の、都市のあり方とか、そういうようなものを含めて解決しなければならぬ問題が一つあると思いますが、もう一つは価格の問題でございまして、公共性がございますのである程度そういう限界がございますけれども、OEODのレポートによりますと、そういうパブリックセクターの価格というものについて、リーズナブルに、スムーズリーにコストを償うような価格というものを設定したほうがむしろインフレを押えることになるのじゃないかということ、これについては加盟各国から異論も出ておりまして、必ずしも定説ではございませんが、そういう価格の問題、それからいま和田先生が御指摘の財政面からいって十分援助ができるかというような問題、それから第四番目には経営者のいろいろな管理のやり方について合理化をはかる、どういうふうに合理化をはかるかというような問題、こういうようないろいろな問題を含めて検討しなきゃならぬというようなことが書いてございますが、御承知のように、わが国におきましても、補助金とか、地方財政計画上の援助とか、あるいは決算上繰り出し金もかなり出ておりますし、起債もかなり大きな金額が投入されておりますが、そういうすべてのいろいろ関連する施策を含めて解決しなきゃならぬ問題だろうと思っております。
  42. 和田一郎

    ○和田(一)委員 どうですか、鎌田さんも加藤さんも理想を、こうすべきであるということをおっしゃいましたが、現実に、交通はものすごく赤字である。もう一つは、交通はとにかく何とかしよう何とかしようと言っているうちに五年たっちゃったんです。病院もものすごく赤字です。これは政務次官、ひとつこの辺で大英断をなさらないと、病院ですから、人の命ですからね。この点どうでしょう。
  43. 小山省二

    小山説明員 いま御指摘のとおり、単に交通企業だけでなく、病院会計等においても大幅な赤字の出ていることは御承知のとおりでありますが、現在の医療制度のもとにおいて、やはり保険料金の改定を見ません限り、病院会計が健全な姿になるということはむずかしい問題だろうというふうに私は考えております。交通事業についても、この企業の一番中心をなす料金問題がやはり大きな制約を受けている。企業としてたいへんむずかしい条件下にあると思うのであります。しかし、公営という公共性考えると、料金問題のみが企業再建のかぎではございませんが、やはり大きなポイントになっておることは事実であります。私は、これらを考えますと、公営企業というのは再検討しなければならぬ時期が来たのじゃないかという感じを持っております。
  44. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、再検討されるのですか。思うのじゃなくて、再検討されるのですか。
  45. 小山省二

    小山説明員 その問題は私ども自治省の所管でございませんので、政府内において検討されるであろうと考えております。
  46. 和田一郎

    ○和田(一)委員 わかりました。とにかく自治省も今度の決算の中でだいぶ値上げのPRをされているというような印象を受けますけれども、実際問題としてそうなんです。適正な料金改正はぜひ必要だと書いてある。とにかく、この病院にしろ、交通にしろ、病院だって赤字の要因は設備なんですよ。その点をもう少し融資のワクを広げてあげたりすればいいのです。ですから、何でもかんでも独立採算独立採算でやっていくからこういうことになる。これも一つの大きな原因だと思います。いずれにしましても、この点については根本的に改正されるであろうというようないまのおことばですけれども、ひとつ自治省も骨を折ってもらいたいと思います。  時間がありませんけれどももう一つお願いします。この間の成田の問題のときに触れましたけれども、そのときに宮澤行政局長から御答弁をいただきましたいわゆる代執行ですね。一生懸命に千葉県の知事さんがやっているわけですが、成田空港というのは大体千葉県のものじゃなくて、国家の要請に基づくところの空港です。その土地の獲得について、千葉県知事が一人で責任を持って砂をかぶっている。しかも川上さんという副知事さんは告訴されたわけです。そういうことになっておりますけれども、どうなんでしょうか。こういうあり方について政務次官からひとつお答え願いたいと思います。
  47. 小山省二

    小山説明員 現行法規のもとにおいては、私は、やむを得ない処置ではなかろうかというふうに考えております。
  48. 和田一郎

    ○和田(一)委員 現行法規ではやむを得ない、それは私もそう思います。だからやっているのです。しかし、そういう形態がいいかどうかということはどうなんですか。自治体側から見て、その点どうなんですか。
  49. 小山省二

    小山説明員 代執行というような権限は建設省の所管になっておりますので、私ども自治省として、このことに対してどうこうという公式な見解を発表することは差し控えたいというふうに考えております。
  50. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ずいぶん慎重ですが、それでは御意見なりでも聞かしてください。
  51. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 前回、この件につきまして私御答弁を申し上げたわけでございますが、問題は、国がやるような仕事をやる場合に、代執行を知事にやらせるということはどうであろう、こういう御質問でございました。その際に、私は、建設省所管の法律でございますので、私のほうから御答弁申し上げるのはどうかと思いましたけれども、私の感じといたしましては、全般の土地収用法の体系が、都道府県知事が主たる責任者になるというたてまえになっておりますし、そのたてまえの全般を前提にいたしました場合にも、起業者が国なり政府関係機関の場合にも都道府県知事が代執行の責任を負うということについては、少し別の考え方ができるというような感じもいたしますという御答弁を申し上げたわけでございます。その後当時やはり御答弁を申し上げました建設省の責任者……。(「大河内さんはなくなったじゃないか」と呼ぶ者あり)これは、いまお話のように、不幸にして数日前になくなられたわけですが、彼とも話し合いをいたしましたけれども、建設省は、現在の土地収用法のたてまえ全般から申しまして、現状を維持するという考え方に変わりがない、こういう建設省の考え方の披瀝があったわけでございます。
  52. 和田一郎

    ○和田(一)委員 代執行で、過去何年ということは言いませんけれども、大体過去一年くらいにさかのぼって、地方自治体自身の用地取得の場合もあったでしょうけれども、国の要請によって、地方自治体の長は、一生懸命に知事さんが代執行をやられた例は幾つくらいありますか。
  53. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 これは建設省が所管をいたしておりますものでございますので、建設省に聞いてみないと、ちょっと私、いまここで明確に申し上げるわけにいかないと思いますが、おっしゃいますように、起業者が国の場合もございますれば、地方自治体の場合もございますし、電力会社その他民間の事業者の場合もございます。私の大体の感じから申しますと、件数といたしましては、地方団体の起業者の場合の件数のほうが比較的多いのではないかという感じがいたしますが、いまここに数字を持っておりませんので、それ以上お答えいたしかねます。
  54. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、公共的なことなら、電力会社でやろうと鉄道会社でやろうと、そういうもので土地を収用しなければならない場合は、やはりこれは知事が代執行をやるわけですか。
  55. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 土地収用法の規定によりまして、土地が収用できる事業がきまっております。その事業の主体になりますものが国あるいは地方公共団体、場合によりましてはただいまお示しのような公共的、公益的な事業主体、そういう場合に、収用委員会の裁決がございまして、義務者が義務を履行いたしませんと都道府県知事が代執行を行なう、こういうたてまえになっております。
  56. 和田一郎

    ○和田(一)委員 政務次官、土地収用委員会というのがあるでしょう。各県の収用委員会でちゃんときめるわけですよ。だから、それだけの権限でいいのじゃないですか。なぜ知事さんがゲートルを巻いてヘルメットをかぶって先頭に立たなければならないのですか。あなたの意見を聞きたいのです。宮澤さんの発言は聞きました。政府としてどういう考え方なんですか。
  57. 小山省二

    小山説明員 御承知のように、この仕事の主管が建設省でございますから、あまり立ち入って私どもが見解を申し上げることはどうかというふうに考えておるのでございますが、現在、建設省の基本的な考えは、従来どおり行なうという方針に変わりがないといま宮津局長からも御答弁申し上げたような状況でございますので、私ども委員会で、単に個人的とはいっても、そういう問題に見解を申し上げるということは差し控えなければならぬ、こういうように思っております。
  58. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それでは、検討するということもおっしゃりませんか。ずいぶんかたいですね。検討してみるぐらいはおっしゃりませんか。
  59. 小山省二

    小山説明員 重ねてのお尋ねでございますので、その趣旨をよく建設省のほうへ伝達いたしまして、御期待に沿うような方向で建設省にも努力してもらうというふうに努力をいたしたいと思います。
  60. 和田一郎

    ○和田(一)委員 以上で終わります。
  61. 大野市郎

    大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいまから警察に関する件について、新東京国際空港公団総裁今井榮文君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  参考人からの御意見は質疑応答の形式でお聞きいたすことにいたしたいと存じますので、さよう御了承を願います。  門司亮君。
  63. 門司亮

    ○門司委員 いまの和田君の質問とちょっとダブるかと思いますので、多少方向を変えまして、一応自治省に聞きたいのですが、これは成田の強制収用に関する問題として、建設省、運輸省、あるいは国家公安委員会等の関係の大臣がおそろいにならないと、実は、私は、質問の要旨が非常にぼけるような気がするので、ここでお聞きすることがいいかどうかということを考えるわけであります。それはどういうことかといいますと、この土地収用法というものと、それから例の強制代執行ができるといういろいろな関係、いわゆる代執行の問題と、それから地方自治法との関係をこの際明らかにしなければならぬときがきておると私は思うのです。国の代執行に対する問題について、地方の知事が責任を負わなければならないというのは、一応収用法であり、あるいは例の代執行法を見ればそういうことになっております。ところがこの場合に、この成田の場合は公団でありますが、もし、知事が、起業者の要求をいれないで、そして代執行をしないという場合は一体どうなるかということであります。これはどうなりますか。どの省からでもらいから、ひとつ御答弁願っておきたいと思います。
  64. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 あるいは関係各省のほうから別に御答弁があるかもしれませんが、地方自治制度なり地方自治法のたてまえから申しますと、国の事務を地方団体の機関に委任をして執行させているわけでございまして、主務大臣が指揮監督をいたすわけでございます。土地収用法でございますと、建設大臣が指揮監督をいたすわけでございます。
  65. 門司亮

    ○門司委員 いまの宮澤局長の答弁は、自治法の百五十条の答弁であります。その前に百四十六条があります。これとの関係はどうなります。
  66. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 順序から申しますと、私は、まず指揮監督をするというのが順序だと思います。ただいま門司委員が御指摘のような設例でございますと、都道府県知事がやらないという場合には、おそらく、建設大臣が土地収用法の規定に基づいて指揮監督権を発動するというのがまず前提であろうと思います。  ただいま百四十六条の御指摘がございましたが、指揮監督権を発動してやらないという場合には、今度は、主務大臣といたしまして百四十六条を発動するかどうかということが次の問題であろうと思います。
  67. 門司亮

    ○門司委員 いまの百四十六条を発動するかどうかということはそれからだということですけれども、この百四十六条とこの土地収用法、あるいは代執行法というのは切り離すことのできないきわめて重要な問題である。だから、きょうは高辻法制局長官にも来ていただいて、憲法のたてまえから少し議論をする必要がありはしないかと考えておったのだが、高辻法制局長官も参りませんし、各省の責任者が一人もおいでにならないということになると、ここで憲法論議を始めたって始まらぬと実は思っておるのです。そのことは、実は、自治法の百四十六条にも明らかにあるように、内閣総理大臣の知事に対する罷免権であります。いわゆる六項を受けた八項は罷免権である。その次に書いてあるのは何であるかというと、この罷免を受けた知事は二カ年間公職につくことができないと書いてある。こうなってまいりますと、たとえば千葉県の例をとってまいりましても、友納知事は、あの事件の起こったあとすぐ、新聞記者との会見の中で、もうこういうことをやりたくない、代執行など引き受けられないというようなことを言っておる。同時に、殺人未遂として告訴されておりましょう。これは千葉県の仕事じゃないのですね。国の仕事なんです。そして、その責任は全部知事にくる。そして、知事がもし万一罷免をされた場合には、それで何らの手続を経ないでやめなければならぬことは法律にはっきり書いてある。どこにも救済の処置はないのであります。ただ、かろうじて、不服であれば最高裁に訴訟することができると書いてあるが、しかし、内閣総理大臣の処置には影響がない、こう書いてある。そうすると、やめろと言われればやめないわけにはいかない。これは訴訟をしてみたところでどうにもならない。知事は、御承知のように県民の総意によって知事になっておる。その知事が、県民に何らの相談もしないで、国の委任事務に対してこれを履行しなかったからといって結局罷免をされる。そして、あと二カ年間は公職につくことができない。こうなってまいりますと、憲法のたてまえ上からいって、百五十条と百四十六条との関係は、いま宮澤君からちょっとお話がございましたけれども、百五十条の指揮監督権ということについてもいささか問題があろうかと私は考えておる。憲法の条章からいえば、明らかに、地方の公共団体の長に対して指揮監督、命令はしてはならないことになっておるはずであるが、しかし、ここに百四十六条と百五十条との間にそういう字句の書いてあることは事実である。  私がきょうお聞きをしたいのは、こういう問題をただ単にいままでの法律で——先ほどの和田君のお話にも十分尽くされておると思いますが、いわゆる土地収用法の十七条であり、あるいは五十一条であり、四十七条の二であるとか、あるいは四十八条、四十九条、百二条——この百二条というのは最もやっかいな問題でありまするが、御承知のように、ここで問題を起こす最大の原因ができております。いわゆる第二条の二というところが一番問題である。公団が請求すれば知事は例の代執行をしなければならないことになっておる規定がここに書いてある。こういうことを考えてまいりますと、一体知事の責任というものはどこまであるのか、住民の憲法に基づく知事の選択権というのが一体どこにあるのか疑わしい問題になってくる。この法律のできました経緯は、そこに全部書類はありますからごらんになってもよろしいと思いまするが、帝国議会の一番最後の議会で一応原案ができて、第一国会でいまの地方自治法ができた。その当時の会議録は全部ここへ持ってきておりますから、この会議録をずっと読んでみましても、この条項についてはかなりの質問がある。その場合の、当時の内務省の地方局長でありました、例の防衛庁の初代の幕僚長をやっておった林敬三君ですか、林敬三君の答弁を見ますると、規定は一応置いておきます、国の仕事を遂行する上に差しつかえがあるというようなことがあってはなりませんので規定は一応置いておきますが、ほとんどこの条項は適用されないものと考えていただきたい、と、大体こういう答弁をしておるように会議録を見ると書いてある。私もその議会に出ておったわけですから、そういった林君の意見を聞かないわけではない。ところが、今度のような問題が起こりまして、そうして、先ほど申し上げましたように、代執行したということだけで、殺人未遂で、よかれあしかれ知事が訴訟をされなければならないということは私は非常に大きな問題だと考えておる。県民が投票して信頼した知事が殺人未遂というようなことで——刑法の殺人未遂ということになりますと、これは実際は一番悪い犯罪なんですね。人殺しの次ですからね。それでよろしいかということです。したがって、私は、これに関係のある各省の大臣意見をこの際聞いて、この条文を改正する必要があるとするならば、やはり何らかの処置をしなければならぬ、こういうことで実はお願いをしたのでありますが、御承知のように、大臣さんが一人もおいでになっておらない。しかし、幸い政務次官がおいでになっておりますので、もしお話ができるなら、私はいま全体的なものをまとめて、そうして私の気持ちだけを率直に申し上げてみたいと思います。  この地方自治法の百四十六条というもの、あるいは百五十条というものがこういう形で将来遂行されてよろしいかどうか、こういう点について、まず冒頭にひとつ、もし御意見があればこの際聞かしておいていただきたいと思います。
  68. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 自治法の問題でございますので、私から御答弁を申し上げますが、一般論といたしまして、ただいま門司委員が御提示になりました一番基礎には、国の事務を地方団体の長に委任をする制度自身がいいか悪いかということからおそらく出発しなければならないのだろうと思うのでありますが、中央政府、地方団体を含めまして国政全般を考えました場合に、おそらく、機関委任事務制度というものは私は必要であろうと思うのであります。そういたしますと、その場合に、やはり国の事務の執行でございますから、中央政府として、この事務が適正に執行されるように関与する必要があるということが出てまいります。  それでは、その次に、関与の度合いがどの程度であってよろしいか、こういうことであろうと思いますが、御承知のように地方自治法の百四十六条は、裁判所を関与させることによって、国の行政目的と、それからお話のような、住民から選ばれております地方団体の長の立場というものを調和をはかろう、こういう制度であろうと思います。私は、現在の百四十六条の制度というものは決して妥当でないものではない、こういうふうに考えるわけでございます。ただ、いまお示しの具体的な土地収用の問題につきまして、それを一体どういう仕組みで処理をさせるかということは、おのずからこれはまた別の観点からの御議論があろうかと思います。
  69. 門司亮

    ○門司委員 私は、別の観点からこれを議論するわけにはまいらぬと思うのです。事実が関連しておりますので。御承知のように、土地収用法の手続にしてもそうでしょう。今度の場合でも、運輸省が一応建設省に事業認定の申請をする。これは当然のことである。その事業認定を行なう前提としての地目その他に対する所有者の閲覧は、これはこの法律は市町村になっているのです。市町村が行なうことになっているのですね。その次の収用委員会というのは、これは県の仕事になっているのですね。そうして代執行を知事がやるという、こういう仕組みにこの法律自体というものはなっているのですね。これは事務手続でありますから、地元の一番明るい、一番接触をしている市町村が、縦覧をするという、いわゆる閲覧の機関になるということは一応考えられることであります。しかし、これはあくまでも仕事は国の仕事であることに間違いはない。そうしてその閲覧が終わって、承諾するとしないとは別の問題であって、一応地元の諸君に見せた。おまえの土地はこういうふうに使うのだということで一応見せたということの手続が一応済めば、その次は、必要があれば収用委員会にかけて、そして土地収用を決定する。これも国の仕事で、やはり府県がやらないわけにはいかない。そうして、その次の段階になると、法律では、運輸省が、あるいは建設省が知事に代執行を頼むのじゃないのですね。この場合は公団が知事に代執行を依頼するという、こういう形なんですね。そういたしますと、一体、この公団自身というものは、きょう総裁に来ていただいておりますから、この辺聞いておきたいと思うのですが、これは国の機関であるとは言いながら、実際の管理ではないのですね。一つの公団であることには間違いはない。団体でありますからね。この辺が、もし宮澤局長のような答弁があるとするならば、この場合にもやはり事業認定をする建設省なり、あるいは起業といいますか——この場合の起業はむしろ「企てる」という字を書いたほうがよろしいかと私は思いますが、この法律は、字句の解釈が非常にむずかしいのです。「企」という字を書くのか、「起」という字を書くのか、妙なところに引っかかるわけでありますが、ある場合には「企」という字が書いてあって、ある場合には「起」という字が書いてある。字句の解釈が非常にむずかしいわけでありますけれども、全然国の機関といえないわけではないが、しかし言いかえますと、直接の工事を請け負った人であるという、その人の申請に基づいて知事が代執行をやるということは、国の命令系統と別の系統から知事に依頼をし、これを認めていくという形は、先ほど宮澤君からお話がありましたように、私は、国の工事を施行する場合には、やはり国が責任を負うべきではないかと思う。公団の申請によって知事が代執行をするということは少し筋が違いはしないかという気がする。その辺は公団としてどうお考えになりますかね。また、役所のほうとしてはどうお考えになりますかね。
  70. 高橋弘篤

    ○高橋説明員 ただいまの御質問でございますけれども、空港公団という起業者が知事に代執行を請求するという法律のたてまえになっております。その関係でございますので、私のほうからお答え申し上げたいと思います。  御承知のように、土地収用法の第八条の「起業者」というのは、先生からさっきお話しがございましたように、いろいろ「企」とか「起」ということばがあるとおっしゃいましたが、この法律では「起」の起業者だけでございますが、この「起業者」というのは、この法律に書いてございます土地に関する権利を収用したり使用したりすることができる、そういう事業を行なうものをいうわけでございます。そうして、この起業者の事業認定の申請に基づきまして、建設大臣なりまた知事が認定をいたす、そういうことによりまして、この起業者というのは土地を取得する、また使用するということができるわけでございます。したがいまして、事業認定がありまして、その他の手続が逐次行なわれて、最後に収用委員会の裁決がございまして、それによりまして、土地を取得する際に、その土地の所有者、関係者が義務を果たさないという場合におきましては、その起業者が代執行を行なう知事にこれを請求するというたてまえになっているわけでございまして、空港公団がこれを行なうということは、この法律のたてまえからは妥当だということで、私どもそういうふうに考えておる次第でございます。
  71. 門司亮

    ○門司委員 私は、執行が違法に行なわれたということを聞いているわけじゃないのですよ。こういう事件について、そういう法の仕組みがどうかということを聞いているのであって、あなた方も、まさか当事者が、役所が、法律に違反して仕事をやったということはだれも考えていないし、私ども考えていない。だから、法律の説明は聞かなくても、私もある程度いままで少しばかり勉強しているので、どこの条文にどういう字が書いてあるかというくらいのことはわかっているのでありますが、公団総裁に聞きたいのだが、そういう純然たる国の仕事であって、そうしてなるほど国からあなた方が請け負っておられることは間違いない。しかし、知事には、先ほど申し上げましたように、公選された知事というものの一つの立場がある。それを、ある種の団体からあったから、仕事をしていかなければならぬ、そのことのために、さっき申し上げましたような殺人未遂というような事件が起こってくる、そのプロセスといいますか、一つの道程の中で、「起」であろうと「企」であろうと——この場合「起業者」と書いてありますが、その前の段階には何か「企」という字が書いてあるようでありますが、いずれにしても、国家の機関であるということは公団はいえない。だから、その人の申請に基づいて、こういう国の代執行というような、知事にとってはきわめて迷惑な仕事が行なわれるということ自身が私はどうかと考えておるのであります。この場合に、直接に公団側から総裁の意見を一応この際聞いておく必要がありはしないか、こういうことで私は聞いておるのでありまして、率直にひとつ総裁から伺いたい。
  72. 今井榮文

    ○今井参考人 空港公団が土地収用法上の起業者であり、それからまた、代執行については知事に対する請求権者であるという点についての法律上の観点については、ただいま建設省の高橋局長からお話があったとおりでございまして、私どもは、空港公団法によってきめられた土地に空港を建設して管理するという使命を持った公法人でございますが、しかし、御承知のように、成田の新空港問題というのは政治的にも非常にいろいろな波乱を呼んでおる問題でございまして、当然、そういった問題と知事の代執行という問題が関連をしてくるわけでございます。これは、私どもとしては、ただいま申し上げましたように、現在の航空界の情勢から見ても、一日も早く空港をつくらなければならないという立場で現在仕事をいたしておりますが、知事といたしましては、代執行に関しましては、これほど大きな公共事業であるから、すべて知事が代執行権者になるということでなく、できれば国のほうでやってもらいたいというお気持ちを持っておられるようでございます。  先ほどの門司先生のお話の中での、公団が請求すれば当然に知事は代執行をやるのだというふうな点でございますけれども、これはやはり法律的にはそういうふうな形になっておりますけれども、実際問題として、今度の第二次代執行におきましても、門司先生の心配しておられるような点についての知事のいろいろな配慮というものがあったと思うのですけれども、収用委員会の緊急裁決は、私どもの必要とする個所十カ所について決定がなされたわけでございまして、当然、私どもとしては、その十カ所すべてについて知事に代執行の請求をいたしたわけでございます。しかしながら、知事は、過激派学生集団の拠点になっておるところを主としてやるということで、実は、その中から五カ所の選択をなされたわけでございます。したがいまして、残りの五カ所につきましては、二カ所は私どもの交渉によりまして、一カ所は任意に撤去を承諾していただき、また、一カ所については、自然に私どもの手に入るというふうなかっこうで、結局今度の代執行で七カ所は片がついたけれども、まだ三カ所については、知事がどうしても代執行の戒告を出さないということで、現在残っております。知事の希望では、何とかひとつ話し合いで進めてもらいたいという強い希望を持っておるようでございます。私どもはその線で現在努力をしておるということでございまして、知事さんにしてもそういう実行上についてのいろいろな配慮はいたしておるようでございます。
  73. 門司亮

    ○門司委員 私はそういうことを聞いているわけじゃありませんで、どうも答えのほうが少し違ったことになっている。こんな議論をしていたんじゃ、私の時間はあと大体五分ばかりしかないので、どうにもならぬのだが、大臣は一人もおいでになりませんし、これ以上議論を進めることはどうかと思いますが、実際の問題として、代執行法と土地収用法との間にも私は問題があると思うのです。  いまのお話の問題をずっと下げてまいりますと、いま戒告ということばが使われましたが、戒告のほうは代執行法三条に書いてあるのですね。そして、あなたのほうから代執行をやってくれというのは土地収用法の百二条の二ですね。だから、その二つの法律が出てきて初めて代執行がやれるような形になっておる。そういうところに、収用自身だけを見てもそういう問題が残されます。  問題は、先ほどから申し上げておりますような自治法との関係を一体どうするかということであります。これは何といっても国の委任事務——今日の自治法のたてまえ、それから憲法のたてまえからいいますと、地方の自治体というのは完全に独立している。完全に独立しているというと語弊がございましょうが、独立していることに間違いはないのである。そして、その住民の意思に従って知事が生まれてきておる。それを、任命権者でもなければ何でもない総理大臣が罷免を要求することができる。しかも、事件の起こる過程において、公団という、正式な運輸省の機関でもなければ建設省の機関というものでもないと思うそういうところから要請された事項を行なわなければ、結局知事が首になるという、この法律の、三角だかひし形だかわからぬが、ずっと筋を書いてみますと、どうしてもわからぬところが出てくるのです。したがって、きょうはそういうことで各大臣に出ていただきまして、さっきから申し上げておりまするように、各省の大臣、責任者の意見を聞きまして、そして、法律を改正する必要があるならば、こういう際にやはり法律を改正するということにいたしませんと、事件の起こらぬときに、こうなるであろうからこうしておこうというような法律改正はなかなかむずかしいのである。先ほどちょっと申し上げましたように、この法律ができたときにも、会議録をごらんになればわかると思いますけれども、そういうふうに林君はちゃんと答弁をしておる。ただ、一つの国の事業というものが地方の自治体の長の関係で怠られては困る。これはこれだけじゃありません。いろいろな機関委任の事務がございますから、そういうものを怠られては困るということで、最も近い例としては、田川でありましたか、例の朝鮮人の籍の書きかえ問題等でだいぶごたごたしたことがございましたけれども、こういう問題はいろいろ考えて、国の事務の遂行の上に必要な国の干渉は、いわゆる自治法にいう百五十条の適用は、最小限度にこれが適用されることが法のたてまえとしては解釈さるべきではないかということを考える。しかし、百五十条に指揮監督することができるというようなことが書いてありますし、そうしてさらに百四十六条には、ここには十数項目の項目がずっと並べてありますけれども、その中で、言うことを聞かなければ結局総理大臣が罷免できるとある。裁判所というクッションはありますよ。クッションはありますけれども、高裁に訴えて、そして罷免をすることができる。しかし、不服があって、先ほども申し上げましたように、もし知事が最高裁に提訴するといたしましても、内閣総理大臣の罷免の効果は失なわないと書いてあるのですね。これは、いやでもおうでもやめなければならぬことになる。そうなってまいりますと、今日の憲法と地方自治法とこういう国の機関委任に対するいろいろな法令との間を、この際、私は、内閣としてぜひ検討していただきたいということを法制局の長官にきょうお願いしようと思っておりましたが、法制局、どなたか見えていますか——第三部長見えておりますが、これ以上あなたに聞きませんが、そういう意味をひとつ伝えてもらいたいと思うのです。そうしませんと、こういう事件が起こって将来どうなるかということです。私がさっき申し上げましたように、知事やそれから公団の総裁が殺人未遂だということで告訴されているようでございますけれども、総裁のほうは別に選挙された人ではありませんから関心は薄いと思いますが、知事のほうは、何といってもやはり過半数の県民の信頼を受けて知事になっているという現状から見れば、やはり県の最高の指導者だ。その人が最もいまわしい殺人未遂という刑法の告訴を受けなければならないというような事態がここから生まれてくるということは——これは裁判所がどう取り上げるかわかりませんが、そのまま裁判所が取り上げて、そういうことで検察庁が調べるかどうかということは別にいたしまして、非常にこれは大きな問題だと考えます。のみならず、先ほどより申し上げておりますようなことで、ぜひこの際やはりこの問題については真剣に考える必要がありはしないかということです。  そうして最後に、国家公安委員長が来るといっておりましたが、私の時間はこれでもう終わっておりますので、これ以上聞きませんが、一番貧乏くじを引いたのはおまわりさんであるということです。どんなに二階級昇進しようと命が返ってくるわけではございませんので、これはやはり政治を行なう者はよほど考えなければならないことでして、私は、この際、国家警察と府県警察と、いまの警察のあり方についても少し聞きたいと思っておりましたけれども、公安委員長がおいでになりませんので、これで質問はやめますけれども最後に、結論としては、自治省のある程度の決断が必要だと私は考えているんだが、この辺のことを、少しでもお考えがあればお聞かせを願っておけば、私のきょうの質問の一番最後として非常に幸いだと考えておりますが、どうですか。
  74. 小山省二

    小山説明員 国の委任事務について地方の知事が協力する義務といいますか、これは、私は、存続する必要があるように考えておるのでございますが、今回のような事件を一つの契機として、代執行についてはある程度検討の余地があるのではないかと思う。たとえば国または政府関係法人が起業者の場合においては、これが単に知事の権限、代執行権だけでなく、国においても必要によっては行なえるというような二本立てにしておくほうが、将来こうした問題の再発を防げる余地が出てきやしないか。もちろん、これは自治省としての権限外でございますので、あくまで所管の建設省でそういう問題をあわせ御検討いただければ、将来多少とも前進がはかれるのではないかというような感じを持っておりますが、これは、あくまで私ども個人の見解であることを申し添えてお答えにいたします。
  75. 門司亮

    ○門司委員 これで、約束の時間ですから終わります。
  76. 大野市郎

    大野委員長 今井参考人には、御多忙のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  林百郎君。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 これは前回から引き続いている重要な問題ですけれども地方財政財源難がいま容易ならぬ事態に立ち至っているという、この問題についての対策、これは各委員も聞かれましたけれども新聞で見ますと、たとえば県税の収入を補正予算に計上できなくなっておるところが岩手、秋田、福島、栃木、福井、鳥取、高知などがある。それどころか、県税収入を減額補正したところが岐阜、山形などがある。それから税収不足を補うために蓄積していた財政調整資金を取りくずした県が数県あるというようなことが新聞に出ておるわけです。これは容易ならぬ事態だと思うわけなんです。そこで、先ほど大蔵省と自治省との間の最終決定案をお聞きしたわけなんですけれども、これは鎌田さんにお聞きしたのですが、これは最初自治省が言っておったのとだいぶ違ってきましたね。その辺をお聞きしたいのですけれども、たとえば給与改定財源ですね。交付団体の七百億円のうち百五十億円を節約する、不交付団体の二百一億のうち四十一億を節約するというのですが、こんなに百五十億も四十一億も一節約できるなんていうことを自治省が取りきめるということは、来年度の交付税の決定とか、あるいは補助金の決定について、これは自治省自体が、地方自治体が富裕団体になっていて、そうして節約する部分を相当かかえておるということをみずから認めたことになりませんか。これは何を節約するのですか。交付団体で百五十億も節約し、不交付団体で四十一億も節約するというのは、何か節約部分があるのですか。
  78. 鎌田要人

    鎌田説明員 国の財政もそうでございますが、地方の財政も、御指摘のとおり、非常な財源難におちいっておるわけでございます。そういう中で、国からの財源措置の万全を期すると同時に、地方団体は地方団体として、やはりみずからの財政運営の中から捻出するという努力というものも行なうべきであるという考え方を終始一貫自治省としてはとっておるわけでございます。毎年人事院勧告がございまして、給与改定の所要財源に対する措置というものを行なわなければならないわけでございますが、この際に、節約等を立てまして、それで足らざる部分につきましては、交付税特別会計から借り入れをすることによって給与改定の原資分を出してまいる、こういう考え方というものはいわば定着しておると申しますか、そういうことだろうと思うわけであります。  そこで、その節約を何によって見るか。節約といっても、しぼればしぼるほど出てくるわけではない、住民サービスもあることではないか、あるいは首切りにもなるのではないか、おそらくこういう御指摘もおありかと思うわけでございますが、私ども、節約をいままで立てておりますのは、いわゆる物件費でございますとか、維持修繕費、そういったところを中心に節約を立てるという前提でおるわけでございます。したがいまして、たとえば住民サービスに直接関係をいたしますところの社会福祉系統の経費でございますとか、あるいは給与費を割り込むとか、そういったようなことを毛頭考えておるわけではございませんで、いわゆる物件費あるいは維持修繕費、こういったものについて節減を立てていただく。この程度のものでございますれば、私ども、現実に個々の地方団体に、そういうことにつきまして、かねがねから財政の運営についても思い切って節減を立ててもらう、やはり、住民に対してきびしい財政運営の姿勢というものを示すということが必要だということをお願いいたしております。個個の団体でこの程度のものは十分に吸収できるのではないかというふうに考えております。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 最初、自治省考えは、交付団体の七百億円は国から借り入れる、不交付団体の二百一億円は縁故債にするということになっていたのですね。ところが、いまあなたから聞くと、物件費や維持修繕費を節減するというのですが、物件費や維持修繕費で節減するものをこんなにたくさん、二百億近くも地方自治体が持っているというふうに自治省はお考えになっているのですか。いま、地方自治体では、超過負担やあるいは国の公共事業に対する裏負担でもう四苦八苦しているわけですよ。そこへもってきて、自治省のほうから、おまえのところは物件費がまだ百五十億も節約できる、あるいは維持費が百五十億も節約できるというようなことを言えるわけなんですか。すると、結局けちけち運動ですか。具体的にどうしろというんですか。物件費を節減するとか維持費を節減するというのは、たとえば紙を二度使うとか、鉛筆はもう二、三分になってもまだ使えとか、そういうことなんですか。そうでなければ、物件費の節減が百五十億も交付団体から出てくるはずがないじゃないですか。
  80. 鎌田要人

    鎌田説明員 まず、第一に、いまの林委員のおっしゃいましたことで、事実と反しますのは、私ども、最初から七百億なり二百一億をまるまる特会なり——(林(百)委員新聞に出ているじゃないか」と呼ぶ)それは誤報でございます。節減というものは、当然、私どもは前提としてこの問題を考えております。この節減というものにつきましての考え方はいろいろあろうかと思いますが、私ども考え方といたしましては、物件費が大体県と市町村合わせまして六千百七十三億ございます。それから、維持補修費といたしましては、県、市町村合わせまして、八百二十三億ございます。それから国のほうで節減を立てます。国のほうで節減を立てますというと、それに伴いまして、当然地方負担が減る分がございます。そういったもののほかに、大体そういった節減で出しておりますのが百六十五億程度、四十一億と百五十億でございますから、百九十一億でございますが、残り二十六億程度のものにつきましては、財産の売り払いなり、あるいは使用料、手数料等の自然増収、こういったものも見込めるわけでございますので、そういうものを加えまして百九十一億というものを積み重ねておるわけでございます。  なお、この節約のしかたでございますが、これは、私、特に地方団体それぞれくふうをこらしておやりになられると思います。私どもも、県におりまして、財政の苦しいときでございますと、やはり旅費を一等を二等にするとか(「いま一等、二等なんてないよ」と呼ぶ者あり)昔のことでございますが——。あるいは消耗品の購入費につきましても、やはり大量的に、集団的な契約によって単価を浮かすとか、これはもう、それぞれの地方団体は過去において苦しい時代を過ごしてきておるわけでございますので、節減を立てる方法というのは、それぞれの団体においてくふうをこらしていただくも一のというふうに私は考えております。やはり、この地方財政が苦しい。苦しいときでございますだけに、えらく釈迦に説法みたいなことで恐縮でございますが、この節減ということについては、私はやはり一厘一毛の末に至るまで徹底してやっていただきたい。これはむしろ、私ども、地方団体にも率先してお願いいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうことを言えば、たとえば来年度交付税のうちから、本年度の実績から、約二百億節減できたんだから、ひとつ中央財政も苦しいから考えてくれないかというような口実を、自治省自身が大蔵省へ提供することになるんじゃないですか。いままで苦しいから貸した金を返してくれ——今度だって、あなたは事実と違うと言うけれども、私は新聞で発表していることを言っているのです。あなたが新聞で発表していることはみんな誤報だと言うならばそれは話は別ですけれども、六百億だって返してくれといっているんでしょう。返してくれといっているところを、こんなに二百億近くも節減できるなんということを自治省が認めるということになれば、年度間調整からいって、それじゃひとつ交付税交付金から中央に金を貸してもらえないか、いやいやそんな余分な金は自治省は一文もありません、そんなことないじゃないか、あなたの言った一等を二等にしてとか何とかといって——いま一等と二等の汽車があるかどうか、私は寡聞にして知りませんが、それこそ事実と違うと思いますけれどもね。そんなことをあなたがここで答弁すれば、これはみんな大蔵省にえさを提供しているようなもんですよ。それでよかったらいいですよ。  それじゃお聞きしますが、本年度の交付税の伸び率、これは幾らに見て、大体どのくらいに落ちつきそうですが。
  82. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方団体が財政運営について節減をするということと、交付税会計から国が金を借りてくるという話とは全然結びつかない話でございます。この点は、ここに大蔵省の方もおられますけれども、私はそういうえさを与えるようなことを申しておるつもりは毛頭ございませんので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  それから、交付税の増でございますが、交付税の増につきましては、先ほども申し上げましたけれども昭和四十五年度が一兆六千九百二十五億でございます。昭和四十六年度の当初計画額が二兆四百六十四億でございまして、三千五百三十九億の増加になっております。伸び率にいたしまして二〇・九%でございます。これが大体先ほどから申し上げておりますように、交付税の面におきまして、国税三税の減によるいわゆる自然減収、これが七百四十六億、それから、所得税年度内減税に伴いまする減というものが五百二十八億でございまして、両方あわせまして千二百七十四億というものが、この三千五百三十九億の中から減ってまいりますので、伸び率はテン%ぐらいになろうかと思います。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 伸び率がテン%というと、二〇・九%に対してテン%、そこだけどうしてテン%と言うのか。一〇%ということでしょう。そうすると、伸び率は、当初自治省の認めたものより半分になるということでしょう。そうすると、自治省は、ことしの交付税の伸び率は二〇・九%だということで各自治体に予算を組ませたのだから、その責任は自治省が負うべきものであって、大蔵省と交渉して、自治体自体で、おまえのほうでけちけちしろという筋合いのものではないじゃないですか。それは自治省自体が見通しを誤ったということじゃないですか、二〇・九%の伸び率があるというのが、実際は一〇・九%に落ちそうだということですからね。
  84. 鎌田要人

    鎌田説明員 それでございますから、いまの千二百七十四億の交付税の減というものはまるまる確保いたしまして、その問題と、先ほどから申しておりまする給与改定を行なうための財源を捻出するために、地方団体自身もみずからの努力によって節減をされる、その足らざる分を交付税で特別会計から借り入れ措置を講ずる、これは私はもう全くそのとおり筋の通った話でございまして、そっちのほうがあるから節減をするのはおかしいということにはならないと思います。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 それはだんだん聞いていきますが、いまはとりあえずベースアップ分の点を聞いているわけですけれども、そうすると、来年度の伸び率は大体一九・九%、こういうふうに聞いておりますけれども自治省交付税の伸び率ですね、これはどのくらい見ていますか。これは新聞に出ていた数字ですから、自治省は来年度の交付税の伸び率をどのくらいと見ているのですか。本年度は二〇・九%……。
  86. 鎌田要人

    鎌田説明員 そこがたいへんむずかしいところでございます。ただいま御指摘になりました数字は、来年度の自治省の予算要求の中におきまして、交付税の増収、交付税要求の数字をおあげになられたものと存じます。ただ、現実の問題といたしまして、国税三税の減収というものが今年度内においてこれだけひどい落ち込みを示しております。来年度、これは経済の予測、景気の予測にかかわるわけでございますが、おそらく国税三税の伸びというものはそう期待できないのではないだろうかというふうに考えております。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、どのくらい見るのですか。
  88. 鎌田要人

    鎌田説明員 これは、いまの段階では予測が非常に困難でございます。と申しますのは、この十一月決算がどうなるかということは実はまだわかりませんのと、来年度の経済成長率がどうなるのかということと、それから、鉱工業生産指数なりその他の景気を示しまする指標というもの、これがまだ来年度の予測を行なうまでに熟したものがない、こういうことでございまして、現在の段階でははなはだ困難でございますが、それほど伸びは期待できないと私どもは見込んでおります。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 それから地方税減収分ですね。先ほど鎌田さんは千三百三十四億と言いましたね。このうちの三百三十四億を財政調整積み立て金から取りくずす、一千億を地方債で見る、ここまで言いましたね。そうしますと、財政調整積み立て金というのは都道府県でいまどのくらいあるのですか。
  90. 鎌田要人

    鎌田説明員 都道府県で、昭和四十五年度の年度末で七百二十四億九千八百万ございます。それに対しまして、大体九月末の現在で五十七億と四十九億、約百億ばかりのものがその上に積まれる勘定になっておるわけでございます。ただ、県におきましては、今年度は、地方選挙がございましたり、減収手当てをいたしますために、取りくずしのものを九月末現在において三百六十九億ほどすでに見込んでおるようでございます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 まあ、百億積み立てになると思うといいましても、こういうように不況が非常に下降ぎみになっておる。下降ぎみというか、深刻になっておりますし、ドルショックがその上にダブルパンチで来ているときですから当てになりませんが、しかし、いままで積んでおる財政調整積み立て金七百二十四億のうち三百三十四億というのは、半分使っちゃうことになりますね。これから年末までにまだ財政調整積み立て金の切りくずしを考えるとすれば、これは本年度中になくなってしまうのじゃないですか。そういうことは考えられませんか。
  92. 鎌田要人

    鎌田説明員 九月末現在で、大体積み立てます額は、四十五年度の決算が出ているわけですから、それは確実に七百二十五億には積み上げられると私は思います。そこで、問題は、私ここで筆算をやってみたのでありますが、八百三十一億大体九月末で積み立て金が積み上がりまして、その中から三百六十九億というものを取りくずす、こういうことになりますと、四百六十二億程度のものが、いまのまま順調に推移しますと年度末まではころがっていく。そこで今度の財政措置の値打ちがあるわけでございますけれども、税収の減につきましてはそういうことで、一千億の分につきましては起債をつけますので、その分はおそらく財政措置が講ぜられないものとして、財調を取りくずすことを予定しておられましたものはそのまま、積み立てられたままで年度末までいくのではないだろうか。また、私どもも、これは取りくずし額を幾らにするかということにつきましては、中でも非常に検討いたしまして、ただいま御指摘になりましたように、赤字というものが少なくともここ来年、再来年まで続く、景気落ち込みが続くということでありますと、この際一ぺんに取りくずしてしまいますと来年以降は全く裸になってしまうわけでございますので、そういう意味合いにおきまして、やはり私どものねらいといたしましたのは、四十五年度期末大体七百億と見まして、その半分以下にとめようということで三百三十四億円取りくずしを立てた、こういう事情にございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 とにかく、いままで積み立ててきた財政調整積み立て金半分を一挙にこの際使ってしまう。しかも、今後、十二月の補正があって、そのときだって景気が上昇する見込みはいまのところないという情勢と、たとえば東京都あたりで、今度の補正予算で、一般会計の歳入に税収が全然計上されておらない。首都の東京都でね。それから、埼玉県でも補正予算に税収は全然計上されていない。これはもう埼玉県の県財政が始まって以来初めてのことなんですね。それから、福島県では、財政調整積み立て金が十九億あったけれども、そのうちの十五億を切りくずして補正予算をようやく組んでいる。こういう情勢のもとでは、もう財政調整積み立て金は使い尽くしてしまう。あなた、こうはっきり言っておいたほうが、大蔵省の方々もそこにいるんだからいいんじゃないですか。そういう非常に窮迫した情勢にあるので、ひとつ今後いろいろと自治体の財政の窮迫については慎重な考慮をしろと、あなたが言いそうもないから私もあとで言うつもりですがね。自治省がそんな弱腰でいたんじゃ自治体は破壊されますよ。  それじゃ一例を聞きますが、地方税の千三百三十四億、この三百三十四億を財政調整積み立て金から取りくずす、一千億を地方債だと言うけれども、その地方債政府資金縁故債の割合はどのくらいですか。
  94. 鎌田要人

    鎌田説明員 政府資金四百億、縁故債六百億でございます。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 そうでしょう。縁故債六割でしょう。縁故債六割ということは、元利償還政府債よりは非常に大きな負担になるということなんでしょう。これはどうして四、六になったのですか。
  96. 鎌田要人

    鎌田説明員 昭和四十年もちょうどやはり同じような措置を講じたわけでございますが、そのときに四百億ございまして、百五十億が政府資金でございました。三七・五%でございます。今度は四割までふやしたということでございます。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 そのときと比較してわずか三%ふえたということでもって、額が全然違うじゃないですか。六百億が縁故債になるということでしょう。縁故債になるということは、これは利率が非常に高いということですよね。できたら、地方自治体としては、政府資金、ことに財投から借りたいという、これはもう切実な要望ですよ。それを六割も縁故債にするということは、これは地方自治体の期待に全く反しているといわざるを得ないと思いますね。  それから、その次の地方交付税減収分ですね。これは八百億から七百五十億。最初、自治省では、六百億の交付税特別会計からの貸し付け金を返済してもらう、この際、こういう地方自治体の財政が窮迫しているときだから返済してもらうということを言っていたんじゃないですか。これも新聞に出ているところを私は言っているわけなんですけれども、どうですか。
  98. 鎌田要人

    鎌田説明員 その点は事実でございます。この財政対策を詰めてまいります過程で、いまの三百億、三百億と貸してありまする分を繰り上げて償還をしてもらえないかという提案をしたことは事実でございます。ただ、その過程におきまして、御案内のとおり、所得税年度内減税というものが非常に大幅になりまして、五百二十八億という巨額に達しました。これはやはり一般会計からどうしても全額補てんをしてもらう、こういうことで、私どもそれに全力をあげたわけであります。そうしますと、これはむしろ国債の消化状況との関連になるわけでございますけれども、国債の発行規模が六百億までくわえ込むということになりますと、結局八千億をこす、こういうことになりまして、国債の消化自身が非常に苦しくなるということもございました。かたがた三百億、三百億、来年、再来年で返しますのは法律で一応そういう計画になっておるわけでございますので、当面は、私どもは、いまここで措置をいたしました地方財政措置で、それは百点満点というわけにはまいらないかと思いますけれども、少なくとも及第点をいただけると思っておるわけでございます。それでまいります以上、いまの三百億、三百億は来年度以降の財源としてとっておく、こういうことにした次第でございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 及第点といったって、これは借金になるわけでしょう。借金にすることで及第点なんかとてもやるわけにいかないわけですよ。それで、所得税を国の政策として減税するというのは、国の政策なんだから、国がそういう政策をやる以上、それの当然の影響を受ける地方自治体への財政のしわ寄せは国が見るのがあたりまえじゃないですか。だから、いままで貸したのを返してもらって、借金にしなくてそれで埋めるというのはあたりまえのことで、どうしてあなたに及第点やらなければいけないのですか。国が自分でやったことのあと始末を国に負わせることはあたりまえでしょう。  これは自治大臣お尋ねしますが、自治大臣、にこにこしておりますけれども、あなた、六百億を返してもらうという話がどうして途中で消えちゃったんですか。
  100. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 国の行なった政策でございますので、年度内減税五百二十八億は、これは当然補てんすべきであるというので、私たち自治省といたしましても、林さんの御議論とそのとおりでございます。また、しかし、一方から考えましたならば、国税三税の三二%ということが交付税でございますので、国の減税したときにはそれだけの数しか入らぬ。その際やはり地方もその分だけは国と協調をとってまけてくれたらどうだ、国がやったからいつも補てんするとは限らぬじゃないかというふうな議論もございましたが、とにかく、この分は、年度内減税で最初に地方財政計画を立てたのであるから、国の責任で、千六百五十億というものはあくまでも年度内減税をやり、これに伴うところの三二%分は、法律にあるから地方へかぶせるというふうな姿は避けてほしいということを強硬に主張しました。その結果、一般会計で五百二十八億を補てんしなければならないということをのんだのでございますが、最初六百億の貸し金を返還してもらうという要望をいたしておりましたので、合計いたしますと一般会計で千百二十八億という支出を地方交付税のためにしなければならないという状況になりました。それでなくても八千億という大きな国債を出さなければいけないときでございますので、その国債の消化ということも考えて、五百二十八億は補てんすることもなかなか困難だから、ひとつ協力してくれぬかということがございましたので、それでは、六百億を予定しておられるのだから、その分があるから、六百億はこの際法律に書いてあるとおり次年度で返していただいてけっこうでございます、しかしながら、六百億は次年度で返していただきますけれども、補てんは交付税を減らさないように全額やっていただきます、そのために、六百億を返していただいたら、特別会計の借り入れは百二十四億程度でおさまるのでございますけれども、それでは地方が困りますので、特別会計の借り入れ六百億分を含めて借り入れという姿で預金部資金から借りましょうということになりまして、地方には実質上御迷惑をかけないような措置をいたしたわけでございます。  なお、この借り入れ分につきましては、一般会計から金利その他は補てんをしていただきますので、地方には実質的に御迷惑をかけないという姿で、国債の消化等を考えましたなれば、国債規模も最初国が予定しておりました程度でおさまるということで妥協をしたのでございまして、そういう結果が、補てんは、国税年度内減税は五百二十八億、借り入れば七百四十六億、そして前から貸しておりました六百億は法律できめられたとおりの数で来年度並びに再来年度においてやっていく、こういうような措置で妥協をしたわけでございます。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 国の所得税減税に伴う減収分、これは五百二十八億でしょう。これは全額一般会計で国が見る。これはいいのですが、地方交付税減収分、これは一般の不況だとかあるいはドルショックから出てきたもの、それが八百億から七百五十億と見ているわけですね。これを埋めるのに、最初、自治大臣は、六百億の貸し付け金を返してもらって、それで埋めよう、こう言っていたわけでしょう。ところが、それがそうならなくなってしまって、結局これは資金運用部資金借り入れ金になるわけですね。これはどう返すのか、そこのところを聞いていた。五百二十八億のほうはそれでいいのですよ。一般の国の政策からきた不況……。
  102. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いまそこのことを答えたのでございまして、一般会計から最初大蔵省のほうは五百二十八億は補てんせぬ、だから六百億は返しましょう、五百二十八億は補てんしませんから、五百二十八億と、七百四十六億から六百億円引きました百四十六億とを合計した七百七十億ほどは特別会計で預金部資金から借りてください、これが大蔵省の主張だったわけなんです。公債の発行額は大体八千億が限度だ、それ以上の公債発行はできないからどうにもできないということでございましたから、それなら予定しておられる六百億は、法律で規定したとおり、四十七年度、四十八年度で返していただいてけっこうでございます、予定された六百億を、それは補てんをしていただきたい、借金は借金として残しておきましょう、そうすれば国債の発行ワク予定でおさまるじゃないかということで、五百二十八億を一般会計で補てんしていただく、そのかわりに、六百億の返してもらう分をやめまして、しかし、それでは地方団体に御迷惑をかけますので、実際に配ります交付税は減らないように、七百四十八億というものを特別会計で借り入れ金として借り入れさせていただいて、その六百億を返してもらわないで、かわりに借り入れ借り入れ金に対しましては、金利を食わないように一般会計で利子を補給していただくという姿でございますので、五百二十八億を国で補てんさすかわりに国の国債発行の限度というものを考えまして、この際返してもらわずに、特別会計で措置することによって、地方団体には御迷惑をかけないという姿で妥協させていただいた、これが私の経過の説明でございます。
  103. 大野市郎

    大野委員長 林君、時間ですから協力してください。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 もう時間が来ますから……。  どうも自治大臣の言うことは、何で妥協したのかよくわかりません。  もう一つお聞きしますが、この公債発行に伴って、公共事業が拡大されて、その裏負担が約千五百億になりますけれども、この千五百億を、最初自治省としては元利償還を見てやる——特別事業債、これで交渉していたのですけれども、落ちつくところは、もう時間がないから私は言いますけれども、八割が政府債、二割が縁故債、これも結局自治体の借金ということで処理することになったんじゃないですか。
  105. 鎌田要人

    鎌田説明員 公共事業地方負担の増につきましては、私はいろいろの考え方があるだろうと思います。国の景気浮揚策としてやるんだから、地方団体にそれを押しつける以上は、いわば国でめんどうを見るべきだという意見もございましょうし、あるいはまた、他方におきましては、国の財政、地方の財政と申しましても、やはり国民を離れて存在するわけじゃございませんので、国の財政、地方の財政が一本になって、景気浮揚によって国民の生活の繁栄と安定を確保していく、こういう考え方もあろうかと思うわけでございます。私どもといたしましては、ある程度の利子補給ということで最後はしぼってまいったのでありますけれども、利子補給ということになりますと、六分五厘以上の利子補給でございます。それならば、むしろ政府資金をふやしていただいたほうが、利子補給という手間がかからないだけ、そのものずばりでいくわけでありますので、千二百億に政府資金をふやした。そうしますと、先ほど申しましたように、有料道路とか、あるいは工業用水とか、こういったものを除きますと、大体政府資金が全部張りつくというかっこうになります。そのほうがむしろ地方財政としてはベターではないだろうかという判断でございます。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 最初は元利償還とも国で見てもらうという、そういう特別事業債だ。だから、地方自治体には実質的には負担をかけないということで自治省はいっていたはずですよ。それがいつの間にか消えてしまって、政府債が八割になったのがどうこうとあなたはいま弁明していますけれども、最初は元利償還とも国が負うのだ、これは国の政策で、景気浮揚策としてやるのですから、国のほうは公債を幾らでも発行できるわけですけれども地方債のほうは、財政に限度がありますから、そういうわけにいきませんからね。地方のほうは、財政に限度がありますから、国みたいに、不景気のときにはいつでも公債を何千億と発行するというようなわけにいきませんから、そうすると必ず裏負担が出てくるわけですから、元利償還とも国が見てやるということでいっていたはずですよ。それをあなたは、八割は政府債にしたからということですりかえるということは、それは正しくないと思うのです。  時間がありませんからもう二つだけ、これは大蔵省にお聞きしますけれども……。
  107. 大野市郎

    大野委員長 ちょっと御発言中ですが、委員長から申し上げますが、約束の時間が迫っていますので、ひとつこの問題で終結をしてください。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 そうですか。それでは、自治省が大蔵省にあまり弱腰だから、要望を兼ねて聞いておきます。  八月末現在の道府県税を見ますと、秋田県、山形県、それから滋賀県、山口県、愛媛県というようなところは、もう昨年度より法人、住民税が落ち込んでしまっておるわけです。こういう重大な事態になってきている。先ほど言ったように、東京都ではもう補正予算に税収を一文も組むことができないようになってきている。ところが、大蔵省のほうでは、こういう状態で地方自治体が借金をふやして、それで、いまもお聞きしましたように、今度の膨大な景気浮揚策に伴う補正予算地方自治体へのしわ寄せはほとんど地方債でまかなうということになっているわけなんですけれども、大蔵省としては、こういう形で自治体の財政がやっていけるとお考えになっているかどうか、その点をあらためてお聞きしておきたいと思うのです。  たとえば大蔵省のほうは、ドルショックのあった際に、ニクソン声明が八月十六日にあって、それから二十八日の変動相場制に移るまでに、約四十億のドルを三百六十円で買いささえているわけです。これは為替差益金だけでも約千四百億となります。大企業に対しては、わずか十日間で千四百億も一の差益金を見るような、これは大蔵省もいろいろ弁明はしていますけれども、そういう際に、地方自治体が昨年度より法人、住民税が落ち込んでいるとか、あるいは税収入を補正予算の中に一文も組むことができないようになっているとか、あるいは財政調整資金食いつぶして、ことしの年末にはもう皆無になってしまうではないかとか、そういう非常に深刻な事態が起きているわけなんですけれども、大蔵省としては、こういう自治体の財政の危機に対してどういうようにお考えになっていますか。それをお聞きして、時間ですから私の質問をこれで終わります。
  109. 加藤隆司

    ○加藤説明員 ただいまの、自治省は弱腰だというお話でございますが、私どもは、一部の新聞にも出ておりましたように、むしろ、自治省のほうのいろいろな御要望がほとんどそのまま通ったというふうに思っておりまして、これはやはり国のほうも非常にたいへんだ、地方のほうもたいへんだということで、お互いにこまかくいろいろ議論いたしまして、現実的な解決ができておるのではなかろうかと思うわけであります。  第二点の地方財政の危機についてどう思うかという点でございますが、とりあえずは、本年の補正予算の段階におきましては、先ほど財政局長からお話がございましたような対策をとることによって、年度当初に考えておりました地方財政計画は完全に確保できたというふうに考えております。来年の問題になりますと、国のほうもいろいろと、たとえば国税の増収を一つ例にあげて数字的に申し上げてみますと、本年国税は全体で一兆三千億ばかりふえたわけでございますが、今度の補正で、ごらんになっておりますように、約三千億減収がございまして、さらに今後減税などが加わわりますと、来年度の国税の増というものは、おそらく四十五から四十六に伸びた数字を下回るのではなかろうかというような状況にございます。地方のほうはしからばどうであるかということになりますが、これも法人に関係いたします地方の三税は相関関係が非常に高いわけでございますから、そこから類推いたしましても、地方税の増収額の大きさが小さくなるということは相当程度予想されることで、国も地方も相当たいへんな段階を迎えるのだろうと思うわけであります。しかしながら、四十五年度の末ごろから、財投の追加とか、公共事業の促進とか、次々にいろいろな手が打たれてまいりまして、金融政策のほうも何回かの公定歩合の引き下げをやりましたし、今度大幅な年内減税という非常に異例な措置もとられたわけでございますので、こういうようなポリシーミックスの手立てで何とか経済を持ち直すということになれば、来年度半ばころ、あるいは後半になれば何とかめどがつくのではなかろうか。それから、四十七年度予算の編成の過程で、企画庁からも、経済の見通しとか、そういうような問題がおいおいと出てくるかと思いますが、とりあえずは、現段階においては、四十六年度当初予算に考えていた地方財政計画は完全に確保できるというふうに考えておるわけでございます。  それから三番目には、先ほどいわゆるニクソンショックの問題もございましたが、これにつきましては、私は担当外でございますが、やはり国全体の立場から見て、大企業とか、中小企業とか、あるいは国の財政とか、地方財政とか、そういう個々の立場じゃなくて、全般が相互に関連し合っているのではなかろうかと思うわけでございます。もちろん、その点に不公平があってはいかぬし、あるいはいわれているようなえこひいきがあってはいかぬと思いますが、寄り寄りその部分部分の最善を尽くして、全体がよくなるというようなことでああいうような措置がとられたのではなかろうかと思うわけでございます。地方財政は、繰り返しになりますが、とりあえずは本年当初に考えておりました水準は完全に確保できる。(林(百)委員「だって、みな地方債で借金にして、それで償っているじゃないですか」と呼ぶ)とりあえずはそういうことでしのぐということだろうと思います。
  110. 大野市郎

    大野委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時五分散会