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1971-09-10 第66回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月十日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 豊永  光君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君       高鳥  修君   橋本登美三郎君       村田敬次郎君    綿貫 民輔君       土井たか子君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    谷口善太郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         自治省行政局公         務員部長    林  忠雄君         自治省財政局長 鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 九月三日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     山手 滿男君   綿貫 民輔君     島村 一郎君 同日  辞任         補欠選任   島村 一郎君     綿貫 民輔君   山手 滿男君     村田敬次郎君 同月十日  辞任         補欠選任   林  百郎君     谷口善次郎君 同日  辞任         補欠選任   谷口善太郎君     林  百郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。   〔委員長退席大石(八)委員長代理着席
  3. 大石八治

    大石(八)委員長代理 先般、地方行財政に関する実情調査のため、第一班を北海道に、第二班を福岡県、佐賀県及び熊本県に派遣いたしました。  この際、それぞれ派遣委員より報告を求めます。第一班、大野市郎君。
  4. 大野市郎

    大野(市)委員 委員派遣の第一班は北海道について調査を行ないましたので、便宜私からその結果を御報告申し上げます。  この調査目的は、第一に、北海道総合開発現状問題点、第二に、過疎問題、第三に、広域行政問題、第四に、その他行財政上の問題点及び要望事項調査することであります。  派遣委員は、國場幸昌村田敬次郎桑名義治の三委員に私の四名であります。なお、調査室からは、崎川謙三主任調査員石田淳調査員が同行いたしました。  調査は、八月十七日から同十九日までの三日間にわたって行なわれ、それぞれ関係当局から説明を聴取した後、現地調査を行ないました。  第一日は、午後、北海道庁におきまして、北海道総合開発現状問題点及び過疎問題並びに広域市町村圏計画と、それに基づく事業実施状況中心とする広域行政問題並びにその他行財政上の問題点要望事項について道庁当局より説明を聴取し、その後、札幌冬季オリンピック施設である真駒内アイスホッケー競技場及びスピードスケート競技場並びに選手村を視察いたしました。  第二日は、午前、富良野市役所において市当局より富良野地区広域市町村圏の近況について説明を聴取し、午後は士幌高原において現地を展望しつつ、河東郡士幌町当局より同町の過疎対策の概況を聞き、その後、帯広市において市当局より十勝広域市町村圏概要について説明を聴取したのであります。  第三日は、午前から午後にかけて苫小牧東部工業団地視察し、その後、空路帰京したような次第であります。  これらの調査内容の詳細につきましては、時間の関係もありますので省略させていただき、委員長のお手元に提出いたしました報告書を、委員長において会議録に掲載されるようお取り計らいを願い、それによって御一覧いただくこととしたいと存じます。  以上をもちまして報告を終わります。
  5. 大石八治

    大石(八)委員長 代理次に、第二班、上村千一郎君。
  6. 上村千一郎

    上村委員 委員派遣調査の第二班は、福岡県、佐賀県及び熊本県の三県について調査を行ないましたので、便宜私からその結果を御報告申し上げます。   〔大石(八)委員長代理退席委員長着席〕  この調査目的は、第一に、過疎現状とその対策、第二に、広域行政、特に広域市町村圏現状とその問題点、第三に、公害現状とその対策、第四に、その他地方行財政上の問題点調査することであります。  派遣委員は、大石治理事、小濱新次理事中島茂喜委員土井たか子委員山本弥之助委員の各委員に私の六名でありますが、福岡県では、桑名義治委員及び細谷治嘉議員現地参加されました。なお、調査室からは直江鷹郎及び栗山正行の両調査員が同行いたしました。  調査は、八月二十三日から同二十五日までの三日間にわたり、それぞれ関係当局から説明を聴取した後現地調査を行ないました。  八月二十三日は、悪天候のため航空機が延着し、福岡市において福岡県当局より、県勢概要をはじめ過疎問題、広域行政問題及び公害問題等について説明を聴取いたしました。  八月二十四日は、午前唐津市役所において佐賀県当局より、県下の広域市町村圏設定状況及び唐津東松浦広域市町村圏概要説明並びに関係市町村要望を聴取した後、唐津市内中心とした現地視察を行ないました。  午後は、過疎地域である多久市の概要説明を聴取した後、旧三菱鉱業所炭鉱住宅街視察し、次いで、佐賀県庁において県勢概要及び過疎問題その他地方行財政上の諸問題について県当局より説明を聴取いたしました。  八月二十五日は、熊本県庁において、熊本県勢概要並びに過疎問題、広域市町村圏設定状況、その他地方行財政上の諸問題について、県当局より説明を聴取した後、阿蘇一の宮町において町当局より阿蘇広域市町村圏概要説明及び要望を聴取し、午後現地視察を行なった後、空路帰京した次第であります。  次に、今回の調査の結果の詳細につきましては、時間の関係もありますので、報告書に譲り、ここではごく簡単に今後検討を要すると思われる若干の問題点について申し上げたいと思います。  まず第一に、過疎対策についてでありまするが、過疎現象はいろいろな要因が重なり合って出てきた現象でありますために、単に対症療法的な措置で解決できるものではなく、抜本的な対策が必要であります。調査いたしました三県及び関係市町村は、それぞれ適切な計画を策定して、総合的な町づくり、広域的な地域づくりに取り組み、一応の成果をあげつつあります。  しかしながら、過疎地域は、財政力がきわめて貧弱であるのに、道路の整備地域の特性に応じた産業の振興、住みよい生活環境整備など、行政需要が多く、しかもそれには多額経費を要するのであります。このため、第一に、国庫補助の一そうの強化が望まれており、第二に、過疎地域振興計画による事業完全実施をはかるためには、現在の過疎債ワクを大幅に拡大するとともに、過疎債対象事業拡大をはかるほか、交付税措置についても引き続き強化をはかる等の財政措置が強く望まれております。  第二に、広域市町村圏問題でありまするが、三県及び関係市町村のうち、昭和四十四年度に設定を見た圏域につきましては四十五年度から広域的な事業実施しており、関係者の熱意と努力とによって所期の成果をあげつつあります。また、四十五年に設定を見た圏域もすでに本年四月から計画に基づく事業実施を行なっており、それぞれの圏域が創意くふうをこらしながら中核都市周辺市町村とが一体となって豊かな圏域づくり推進しております。しかしながら、事業実施にあたりましては、圏域内事業一体的推進等からいって、従来の一部事務組合方式では限界があり、今後の広域行政要請に対処するためには新しい共同処理方式を早急に制度化することが望まれております。また、実施計画における根幹事業一般財源並びに地方債に大幅に依存しており、地元負担多額なものとなっております。したがって、国の補助負担金を大幅に増額するとともに、交付税措置についても引き続き強化をはかるほか、地方債ワクの大幅な拡大等財政措置の積極的かつ重点的な配慮が強く望まれているのであります。  第三は、公害対策についてであります。近年ますます複雑かつ深刻化した公害問題に対処するため、三県及び北九州市では、公害防止条例の制定、公害の監視、測定体制整備強化など、公害問題の克服につとめております。  しかしながら、これらの総合的な公害防止をはかるためには、今後とも施設整備等多額経費を要し、地元負担も年々多額なものとなっている関係上、国の補助負担金を大幅に増額することが要望されており、特に下水道整備の積極的な推進と、その事業費の大幅な国庫補助が望まれております。また、大気汚染防止対策の上から、低硫黄重油地域割り当て制度等早期実現も望まれておりました。  なお、これら調査内容の詳細につきましては、委員長のお手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取り計らいをお願いいたし、それによって御一覧いただきたいと思います。  以上で報告を終わります。
  7. 大野市郎

    大野委員長 ただいまの報告者のお申し出によりまして、第一班及び第二班の調査報告書は、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました、     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  9. 大野市郎

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上村千一郎君。
  10. 上村千一郎

    上村委員 きょうはいろいろと時間的な制約もございまするので、詳細なお尋ねは後日に譲るといたしまして、要点のみお尋ねをいたしておきたいと思います。  まず、人事院の八月十三日の国会及び内閣に対しまする公務員給与改定に関する御勧告、その内容はもうすでに報道もされておりますので、ここで格別お尋ねをする必要はないかと思いますが、お尋ねを進めていく関係もございますので、結論的なことを私が申し上げまして、間違いがなければ間違いがないというふうにしていただけますれば幸いかと存じます。  結論は、官民給与の比較の基礎となる給与についての改善は、俸給で一〇・三六%、諸手当で〇・七一%、その他で〇・六七%、計一一・七四%、平均八千五百七十八円という結論になって、そうしてその勧告実施時期については、本年五月一日とする、筑波研究学園都市移転手当については本年十月一日から実施する、こういう結論的な御勧告内容になっておるかどうか、まずお尋ねしておきます。
  11. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いまおっしゃられましたとおりでございます。
  12. 上村千一郎

    上村委員 私は、人事院の御勧告というものにつきましては、法制上のたてまえからいって、政府におきましてもあるいは国会におきましてもこれを尊重するということは当然でございますが、この趣旨に沿いまして完全実施をするということが私はたてまえであろう、こういうふうに思っております。でございますが、従来の経過を見ますと、国の財政上の問題から、この勧告は決して勧告どおりに至っておらなかった。いろいろな、政府あるいは国会あるいは人事院総裁をはじめ、御関係当局のお骨折りによって、次第に現在のような完全実施と申しましょうか、経過に相なってきた、こういう経過がございます。本年は、御承知のとおり、非常に大きな、アメリカのニクソン大統領の新経済政策の御発表、あるいはこれに関連するところの円切り上げ要請、ドル・ショックというような問題によりまして、国の財政上の問題につきまして、いろいろと不安と申しましょうか、見通し難というものが叫ばれております。こういう際でございますので、きょう大蔵の御当局もお見えかと思いますし、また、もちろん自治省財政当局、この財源難ということに関連しまして、この勧告に対する実施姿勢というものについて何らかの変化があるかどうか、まずこれを大蔵当局、それから自治当局お尋ねをしておきたいと思います。
  13. 加藤隆司

    加藤説明員 ただいまの国家公務員に関連いたしまして、地方公務員の問題かと存じますが、自治省の計算によりますと、これに要する金額が九百一億でございまして、交付団体分が七百億、不交付団体分はその差額の二百一億というようなことになっております。  これが財源の問題でございますけれども、御承知のような、ただいま先生からお話がございましたが、ニクソンショックのみならず、昨年の九月以降、経済の調子が漸次悪くなってまいりまして、その循環的な問題に伴う問題と、それからニクソンショックといいますか、そういう問題、その後に起こりましたフローティングの問題、こういうようないろいろな要因が重なりまして、ただいまのところ、国の財政のほうにつきましても、いろいろな問題の見通しがなかなか不確定要因が多くてわからないようなことがございまして、ただ給与問題だけを取り上げて議論はできない。実施はもちろんこの前の閣議決定どおりに行なうわけでございますが、財源の問題につきましては、いろいろな他の問題も含めてこの沖繩国会補正が出るかどうか、そういう問題もございますが、全般的な問題をからめて目下いろいろと見通しあるいは計数、それからどういうやり方でやるかというような問題をわれわれのほうといたしましても研究しておりまして、自治省のほうとも密接な連絡をとりまして、おりおり意見の交換などをいたし、早急に方向を出そうというようなことでいま検討中でございます。
  14. 鎌田要人

    鎌田説明員 基本的にはただいま大蔵省主計官から御答弁申し上げたところにつけ加えることはないわけでございますが、私は、特にこの際、地方財政がことしから来年にかけましてたいへんな危機に際会しておる、ある意味におきまして過去に例を見なかったような型の危機に際会しておる、こういうことをあらためて申し上げたい。  いままででございますと、御案内のとおり、人事院勧告は直接地方公務員にそのまま勧告されるわけでございませんで、間に各県の人事委員会勧告というものがもう一つございまして、それに基づいてそれぞれの県が給与改定をやられるわけでございますが、その内容人事院勧告に結果的には準じたものになっておる。それに伴いまする財政需要額は、先ほどの数字のとおりでございます。これは交付税自然増、またある程度地方税自然増というものでまかなえておったわけでございますけれども、それがおそらくことしは無理であろうということになってまいりますと、いかなる方法によって財源を確保するかということが大きな問題になってまいります。結論的には、閣議決定趣旨にもございますように、地方団体国家公務員に準じた給与改定ができますような財源措置というものを適切に講じてまいりたい、こういう気持ちで、その具体的な内容につきまして早急に国庫当局と詰めを行ないたいというところでございます。
  15. 上村千一郎

    上村委員 まずこの問題にしぼりながら大蔵当局お尋ねをしてまいります。いま大蔵当局からのお話によりますと、人事院の御勧告につきましてはこのとおりにやるのだけれども、これが財源措置については非常にむずかしい現状になっておるから、どういうふうな処置をするか目下検討中である、こういうふうに承っていいのか、まずそこからお尋ねしておきます。
  16. 加藤隆司

    加藤説明員 ただいま申し上げましたように、閣議でおきめいただきました国家公務員に準じて行なうという線で、これは確定しておりまして、その財源措置をどうするかということについてこれから検討しよう、そういうことでございます。
  17. 上村千一郎

    上村委員 そうすると、検討をするというわけですが、考えられる可能性から御答弁いただきたい、こう思います。どういう検討をいましておるか、あるいはそれがどういう結果になるにしても、どういう方式、どういう方式というものが一応考えられるか、その点につきましてひとつお尋ねしておきたいと思います。
  18. 加藤隆司

    加藤説明員 この場合、先ほど申し上げましたように、ほかにいろいろな問題がございますので、それとのからみになって、どういうことになるかということを目下検討いたしておるわけでございますが、過去におきましては、昨年も御承知のように、交付税特会借り入れというようなやり方がございます。そういうような例を踏まえながら、ほかのいろいろな財政需要とのからみがございますので、全般の中の一つとして考えていかなければならぬということで、可能性としてはそういうようなやり方が過去にあるということを申し上げたいと思います。
  19. 上村千一郎

    上村委員 いまあなたにこれ以上いろいろお尋ねするのも酷かというふうに思いますが、いまあなたの御感触としては、借り入れ方式でいこうということが一番可能性が強いというふうに御判断をされますか。
  20. 加藤隆司

    加藤説明員 まあ、ほかにいろいろ問題がございますので、可能性の中の一つということで、特に大きいということは目下のところ申し上げられないということでございます。
  21. 上村千一郎

    上村委員 自治省財政局長さんから先ほどお話がございましたが、この地方財源というものにつきましては非常な危機感を持っておる。実は衆議院の地方行政委員会から私ども第二班としまして、九州地区福岡県、佐賀県、熊本県の三県に関連しまして調査視察を命ぜられまして行ってまいりました。そして先ほどここで御報告を申し上げました。その報告書の中に十分書いてあるわけでございますが、一様に地方財源というものについて非常に危機感を持っておられる。たとえば交付税の問題にしましても、御案内のように、所得税法人税、酒税の国税三税にリンクして三二%になっておる。これがふえるというような問題につきましては、ある特定の場合は想定されますけれども、非常な不安を持っておる。こういう状態になると、いま自治省財政局長さんが地方財政上の危機感を訴えられておりますけれども、これは私どもが最近行ってまいりました三県の知事さんも一様に訴えておる、こういう状態です。そこへ持ってきて人事院勧告給与改定財政負担というものが生じてくる。そうすると、これは地方の各自治団体としては非常な心配になるのです。要するに、どういう財源でどうするかということは非常に大きな心配になっておるような気がするから、私はその点を強くお尋ねをするわけです。  それで、もう一点だけ大蔵当局お尋ねしておきますが、いまいろいろとこの財源上の問題については検討しておる、だからいまの段階でははっきりしたことは言えぬ、けれども人事院勧告内容については実施をしていく、こういうふうに承っていいかと思います。そうすると、結論的に、地方財政圧迫するような処置というものはいま大蔵当局では考えていないかどうか。要するに、その点でいろいろな御案がいま進んでおる。ですから、そのいろいろな案の中に、地方財政財源圧迫するような方策というものも入っておるかもわからない。だから、その点についてちょっと重ねてお尋ねをいたしておきます。
  22. 加藤隆司

    加藤説明員 圧迫という意味がどういう意味かということでございますが、先ほど財政局長からもお話がありましたが、本年は皆さま御想像以上の問題をかかえ込んでおりまして、地方財政圧迫するとか、あるいは国と地方財源の取り合いとか、そういうような表現で言えない条件が重なっているのではなかろうかと思うわけです。  昔から内務、大蔵は車の両輪ということもございまして、おりおり自治省大蔵が力を合わせて、国の財政地方財政一緒に合わせて考えていかなければいかぬ。まさに戦後まれに見る、四十年に比べましてもはるかに問題が複雑でございまして、いろいろなむずかしい問題をかかえ込んでおる段階だという認識は両省共通しておりまして、地方財政圧迫するとか、あるいは国のほうの財政地方圧迫するとか、そういうような感覚では処理できない局面だろうと私は認識しております。
  23. 上村千一郎

    上村委員 それはいつも大蔵当局は言われるわけだし、私もそういう答弁をここでした経験があるから何とも言えない。実は私が言おうとするのは、国も非常にえらい状態になっている、だから新聞の報道するところによりましても、国債などを大幅に発行して、この状態を切り抜けていこうというわけなんです。ところが、地方では、国の財政力と比べまして苦しいという度合いがうんと違うわけです。ですから、従来の感覚とはうんと違った状態になっておるだろう、こう思うのです。だから、いま鎌田財政局長から危機感を訴えておると思うのであります。圧迫というようなことばは、ちょっとこれはとりようでしょうが、非常に苦しい地方財政にもっと負担がかかってくるような措置ということは、いまの地方財政上、その財源確保の上からいって非常な限界が来ておるように感じられます。ですから、これ以上あなたに御質問してもいろいろと現段階においてはお答えしにくい点もあるかと思いますので、要望を申し上げてあなたに対する質問を打ち切っていきたいと思うのです。  そういう実情をよく考慮されて、そして地方財政が非常に苦しい立場になっておるから、それを勘案しながら負担のかからないように、いずれかいろいろな部面で全然かからないというわけにいきませんけれども、そういう点を考慮しながら、いま検討中でございますから、検討の資料にしていただきたいと思います。  次に、時間がございませんので、この程度で打ち切って最後にしておきたいと思います。  地方財政上の問題、今回のこの人事院勧告に関連して、地方公務員給与改善措置についての財源についてはどういうお考えを持っておられるか、御質問しておきたい。あわせて、これだけではなくして、地方財源問題について、今後の処置というものについてお考えがありますれば、この際承っておきたいと思います。
  24. 鎌田要人

    鎌田説明員 当面の地方財政の問題といたしましては、私ども四本の柱があるように思うわけでございます。一つは、ただいま御指摘いただいております公務員給与改定財源をどう生み出していくかという問題。もう一つの問題といたしましては、伝えられますように、将来公共事業を再度補正をして拡大される、こういう補正をして拡大されるということになりますと、当然地方負担の問題が増になって出てまいるわけでございまして、これに対する手当ての問題。それから、これはあるいは後ほど税務局長のほうからも説明があるかと思いますが、地方税の収入というものが目に見えて落ちてきております。特に法人関係税の落ち込みがひどい。ある県におきましては、すでに七月末の調定額において前年同期の実績を下回っておる、こういうことになってきております。これは当然国税におきましても減収ということが出てまいるわけでございますから、これが交付税総額に影響を与えるというおそれも状況によっては出てまいろうか。  地方税減収対策あるいは交付税総額確保対策、こういう問題、当面取り上げてみましても、いずれも容易ならぬ大きな問題でございます。来年すみやかな景気の浮揚が実現できないということになりますと、この問題は来年にもまた引き続いてまいるということでございまして、そのような中で地方財政に破綻を生ずることのないように、特に地方団体の負っております重要な使命は、やはりすみやかな住民の生活環境改善ということにあるわけでございますから、そのための財源を確保しながら地方団体財政運営を円滑にやっていくということになりますと、これは尋常一様のことではできないことだろうという意味で、私は非常な危機感というものを感じておる次第でございます。  そういう中の一環といたしまして、公務員給与改定につきましては、これはもう閣議決定趣旨もあるわけでございますから、これが財源確保ということにつきましては、ただいま検討段階でございますので、具体的にこの案でまいりますということをここでまだ申し上げる段階でないことを申しわけないと思うわけでございますが、すみやかにこの適切な財源措置というものを講じてまいりたい。これは大臣以下そういう気持ちで現在大蔵当局と折衝いたしておるところでございます。
  25. 上村千一郎

    上村委員 まだ大臣がお見えでございませんけれども、いろいろと時間の制約もございますので、私は本日はこの程度で質問を終わらしていただきます。
  26. 大野市郎

    大野委員長 山口鶴男君。
  27. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 渡海自治大臣がまだお見えでありませんので、人事院総裁人事院勧告をめぐりまして若干のお尋ねをいたしたいと思います。  今度の勧告は一一・七四%という勧告でございますが、私どもとしますと、人事院もお認めになっておりますが、民間の企業におきまして、春闘の賃上げの幅は定昇を含めまして一六・六%、したがいまして、今回の勧告は、いわゆる民間の賃金の状況というものを正当に反映していないのではないかということをまず考えざるを得ないわけであります。  先ほど上村さんのほうから、景気の現状をめぐりまして、公務員賃金に関連していろいろお尋ねがありましたが、私の考え方をずばり申し上げますならば、このような景気の落ち込んだときこそ思い切って国民の消費支出をふやす必要がある。昭和四十五年の国民総生産七十二兆円、国民消費支出は五〇%を割っているのですね。ですから、わが国の経済はGNP第一主義、民間設備投資主導型、そうして輸出ドライブという形の経済であって、それが今度のような壁にぶつかったということだろうと思います。したがって、いまこそ私は国民消費支出を拡大すべきである、そうすることがわが国の落ち込んだ経済を建て直し、また世界各国からのいわれない民間設備投資主導型あるいは輸出ドライブだというようなことの批判をいわば直していく、そういう意味では、わが国の経済の体質を変えていくということではたいへん意義あることではないかと思っておるわけであります。そういう観点からいきますならば、どうも今回の人事院勧告は少な過ぎるのじゃないかというふうに思います。  時間もありませんから、具体的に一、二お尋ねしたいと思うのですが、人事院公務員の定昇率は四%ということになっておりますが、実態はそれより低いということはお認めになっているわけであります。問題は春闘の四月以降妥結をいたしました分の積み上げ分、この計算の数式を拝見いたしますと、定昇率四%でもって計算しておりますために、春闘の積み上げ分が三・五五%という数字になっております。しかし、実質の定昇率で計算した場合、三・一四%ですが、これで計算をするならば春闘積み上げ分は三・七二%になるはずだ、したがって〇・一七%だけいわば切り下げた形の勧告になっている、かように言わざるを得ないと思います。私は毎年この春闘積み上げ分の計算がおかしいということを申し上げているわけですが、ことしこの定昇率からいってもおかしい、こういうつまらぬ値切った勧告をなぜお出しになったわけですか。
  28. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 改定の幅の問題でございますけれども、私どもとしましては、第一に、四月に支払われます給与につきまして個人別に調査をいたしまして、そして較差を総合的に計算するという基本較差というのがございます。それからそれだけではやはり春闘のいわゆる積み残しという関係で、四月ずっと妥結がおくれまして、その基本較差の中に入ってこないという点がかなりございまして、それをそのままほっておくと、来年には入ってくるわけでございますけれども、やはり適当でないということで、数年前からこれを入れるということでやってまいっております。  ただいま、そういういわゆるあとから妥結をしたという点につきましての幅をどのように見込むかという問題について御指摘があるわけでございますけれども、基本的に申しますと、その関係はいわば来年に残さないように基本較差の中に追加する、こういう性質のものでございます。したがって、計算方式というのは非常にこまかいというものではございません。ただいま御指摘でございますけれども、その計算方式として四月中に支払われなくて、したがって、あとから妥結をしてその会社におきまして平均何%上げたかという関係をつかまえてまいるわけでございます。それがことしは一六・六%ということでございまして、昨年よりは減っておりますが、いわゆる労働省でつかみましたものとほぼ同じでございます。その関係に対しましてそれがどのくらいの事業所があったかという点を調査しますと、全体で二六・一%の積み残し事業所があったということで、二六・一%の積み残し事業所の平均が一六・六%ということであったわけです。  その中からどういうふうに追加分を計算するかという問題でございますけれども、本質的に申しますと、その事業所で平均一六・六%でございますけれども、むしろそれが個人別にきまりますと、その個人別に民間との較差を出しまして、その分を平均したら何%アップになるかというこまかい計算をして、幾ら追加したらいいかというのが一番正しい方法でございまして、そこまで待ってやれば一番いいわけでございます。したがって、個人別にやった場合とそれからただいま計算しております方法とで同じ数字が出ることが、これが理想でございます。現在の段階ではそういうことで三%を引いておりまして、それによってはたして少なく追加しておるかあるいは多く追加しておるかという問題だと思いますけれども、私どもとしましては、やはり基本較差の方法をとっても積み残しの方法をとっても同じ形をとるのがこれは理想だというふうに思っておりまして、三%というのが、最近のわれわれの研究によりますれば、三%引くということが、特に多く追加するのでもなく少なく追加するのでもなく、妥当な追加のしかただというふうに考えておるわけでございます。
  29. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうも私の聞いたことにお答えにならないで、よけいなことを言っておられるわけですが、その積み残し分の計算方法、定昇率四%で積み残し分を計算するのと実際の定昇率であります三一・四%を基礎にして計算したのとでは、答えに〇・一七%の差が出る、本来その分だけはさらに高い勧告があってしかるべきだということを私は数学的に申し上げておきたいと思います。まあ、いろいろ議論いたしましても時間の関係であれですから、このことはそういう指摘だけでとめておきたいと思います。  次は、期末・勤勉手当の問題ですけれども人事院の算術は非常に奇怪であるということを昨年申し上げたわけであります。民間の期末・勤勉手当は加重平均いたしまして四・八七カ月、これに対しまして公務員の期末・勤勉手当が四・七カ月、その差が〇・一七カ月分あるということを人事院もお認めになっておるわけですね。ところが、勧告では〇・一カ月を六月に増額支給しろというのが勧告であります。〇・〇七カ月分だけ切り捨てておられる。昨年はどうだったかというと、〇・〇九カ月分だけ切り捨てておられる。一昨年はどうかというと、〇・〇八カ月分だけ切り捨てておられる。昨年私は佐藤人事院総裁に、私どもが小学校から習った数学によれば四捨五入ではないか、とすれば〇・〇九切り捨てるというのはおかしい、人事院は九捨十入というおかしな算術を使っておるのかということを申し上げた。ことしまた七捨八入というおかしな算術をお使いになっておられる。どういうことなんですか、これは。佐藤人事院総裁、秀才だったろうと思いますが、決して九捨十入というような算術は習わなかったと思うのですが、尾崎さんもそうでしょう。どうなんですか、これは。
  30. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ことしはそういう数字が出なければいいがと思いながら見ておった。ところが、いま御指摘のような数字にまたなってしまった。去年九を切ってまた七ということで、たいへんかっこうがよくないと思います。これはいずれ御批判があるということはもちろん覚悟はしておりました。  そこでもう申し上げたかとも思いますけれども、この特別給の関係では民間と公務員の場合とについてやはり基本的に性格を比較して考える必要があろう。ただいまここに答弁資料がありますが、昭和四十四年の勧告の際にわれわれの文書の中で「民間における賞与等の特別給は、当該企業の景況のいかんにより変動するものであって、必ずしも一般職国家公務員の同種給与ほどの固定性を有するものではないが、」ということを四十四年には書きました。これはおそらくそのときもきっとやられるだろうというつもりで伏線で書いたのだろうと思いますが、もう、一度書いたらよかろうということで実は書いておりませんけれども、基本の趣旨はいま読み上げましたところに十分あらわれておるわけでございます。御承知のように、民間企業は非常に業績が上がったときにはもちろんボーナスはよけい出ますけれども、悪い場合にはこれが減ることもある。現に昭和四十年の場合を見ますと、民間の場合は四・三三カ月分でありましたが、ところがその後四十一年になりまして景気が後退いたしましたために、四・三〇月分というふうに民間のほろは減っている例もあるわけです。公務員の場合は小数点以下二、三位まで、あるいは四捨五入して減るかどうかというそこの問題もまた出てくる。したがって、わがほうの制度は、制度として若干固定性を持つというたてまえからいいますと、そう克明に追随していくと上げ下げが頻繁に起こってこなければならないという面もありまして、非常に大幅に下がれば、われわれとしても国民大衆に対する関係からいってももちろんほっとくわけにいきませんけれども、というような気持ちがここに基本になっておるということだけは御了承をいただきたいと思います。
  31. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 昨年と同じような御答弁をいただいたわけでありますが、かつて〇・一五カ月分というような勧告を出したこともあるわけですね。ですから、そういう意味では〇・〇七を切るのでなしに、〇・一五カ月分を増額支給すべきであるというふうにやれば、これは四捨五入の精神にもやや合致するわけでありますし、それから人事院総裁が言われた、民間の場合は変動がある、公務員の場合はそれがないから、ということについても答えることができるはずではないのかと思います。その点をお尋ねいたしたいのが一つ。  それからさらに、本省の課長級以上については二五%の加算を期末・勤勉手当においてされるのが至当ではないかということを勧告しておるわけであります。いつかテレビで拝見しておりましたら、佐藤人事院総裁は雑草を栽培されるのが非常にお好きだそうであります。御夫婦で雑草の栽培に非常に御熱意を持っておられる。なぜ官僚のエリート中のエリート、言うなれば特殊に栽培された花だけに対して二五%の加給というようなことをお考えになったのか。私はこのあと自治大臣にもお尋ねしたいと思うのですけれども、ラスパイレス方式からいっても、むしろ町村職員のほうが国家公務員よりも非常に低いわけですね。また、私、今度都市問題でヨーロッパ各国を見てまいりましたが、清掃等に従事する現業職員、こういう方々の給与というのは非常に悪いわけです。むしろそういう住民に直結したたいへんな仕事をやっておられる方々、そういう方々に対して報いる勧告が出されてしかるべきだ、私はかように思うのであります。しかも人事院総裁の日ごろの趣味から推しましても、どうも二五%の加給というものについては非常に割り切れない気持ちを感じます。その点についてもお答えいただきたい。
  32. 佐藤達夫

    佐藤説明員 雑草にたとえてお尋ねでございますから、雑草にたとえて申し上げれば、一言にしていえば、要するに、背の高い雑草だからこやしは要らぬとか、こやしは少なくていいというものではないわけです。われわれの精神から申しましても、われわれの基本的な立場は、民間給与との比較ということを鉄則にしております。そういう面からこの問題をながめてみますと、従来の官民比較は月給、いわゆる本俸及びその周辺のものだけを非常に厳重に合わせて、これは確かに民間どおりになっておりますということであったわけですけれども、御承知のように、昨年の報告書でもこれは指摘した問題でございますが、さて今度は、年間給与を総合して公務員と民間とを比べた場合にどうか。その場合には今度は特別給、いわゆる賞与の問題が入ってまいります。そうしてみますと、いままでわがほうは四・七カ月分という特別給をベタにやっておった関係から、たとえば民間の部長級あるいは課長級にあたる人の年間総所得と、公務員のそれに相当する人たちの年間総所得とでは、そこにたいへんな落差があるということが現実あるわけです。これをほっとくということは、これまた公平な意味で、私どもは人材防衛と言っておりますが、ほっとけない、無視できないことであろうということで、昨年一応予告を申し上げて各方面の御意見も聞きながら、本年はぜひこれは断行すべきであろうということに踏み切ったわけです。民間の場合を申しますと、たとえば特別給、すなわち賞与の場合を見ますと、部長級が七カ月分であれば平の係員の皆さんは四カ月分というような非常な傾斜がある。その間に課長、課長補佐が入りますけれども、ずっと傾斜しておるということは見過ごし得ないということで、その考え方を取り入れたわけです。といって、機械的に民間どおりにわがほうを持っていこうというのは、これはまたよほど慎重を要するだろうということで、勧告の面では二五%を頭にしておりますけれども、一方ではもうちょっとなだらかな形でいかなければいくまい、そう思っております。  それからもう一つ、大きな声で申し上げておきたいのは、いろいろおことばを聞いておりますと、山口委員はそういうことばは絶対にお使いになっておりませんからさすがと思いますけれども、大体傾斜配分ということばをよく使われるのです。これは決して配分ではございません。民間では平係員は四カ月分だからわがほうは四・八カ月分、全体は四・八カ月分だけれども係員の皆さんは四カ月分にしますよというようなことであれば配分の問題でございますが、そういう点は一指も触れておらない。プラスアルファとして本省の何々に相当するような人たちについてある程度の底上げをしようというわけです。その原資はどこから持ってくるかというと、おそらく大蔵省あたりが涙をのんでお出しいただくのではないかということになるので、配分の問題では絶対にございませんということだけは、声を大きくして申し上げておきたいところでございます。
  33. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いろいろ御説明いただいたわけです。確かに人材確保ということも必要でしょう。しかし、それならば、いま各省は人材をどんどん人事院の承認の網の目をくぐりまして民間のほうへ供出しておられるわけでありまして、いわゆる天下り云々ということがたえずいつも議論になります。そういう網の目をもっとシビアにされたらいいのではないかと思います。特に人事院総裁の御趣味からいいましても、ほんとうに現場で働いております公務員諸君にむしろ二五%の加算くらいお考えになることのほうが、日ごろ雑草を愛される佐藤人事院総裁のお気持ちに合うのではないだろうかということを感じたわけでございまして、この点私ども、そういった議論をすると長くなるからやめておきますが、こういう高級公務員の方に対してのみ加算をするということについては承服しがたいということを申し上げておきたいと思います。  それから実施の時期でありますが、これは四月実施検討しようということも国会佐藤人事院総裁から御答弁をいただいたこともあるわけでございますが、四月一日の調査をし、しかもそれ以後妥結をいたしました部分につきましては、四月一日にさかのぼって積み上げ分として計算もしておるわけでありますから、当然理論的にいいますならば、四月一日にさかのぼって実施勧告をなさるのが妥当だということはきわめてあたりまえのことだろうと思うのであります。先ほど申し上げましたように、景気の落ち込みがひどい、そういう中で不況対策一つとして考えることは、国民消費支出のやはり拡大だと思います。そういう意味では、水田大蔵大臣も、明年一月一日にさかのぼって減税も考えようかということは当然のことだろうと思います。同じ意味で、何も公務員諸君だけの給与をふやすことだけがいいとは申しませんけれども、少なくとも消費支出の拡大につながることは事実です。そういう意味では、四月一日実施勧告されることがむしろ時宜を得た措置ではなかったろうかというふうに考えざるを得ないわけでございまして、この点四月一日実施をなぜなされなかったか、将来としては一体どうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  34. 佐藤達夫

    佐藤説明員 おことばに何か景気の刺激策のようなニュアンスがうかがわれますが、私の発言の機会はおそらくないと思いますから、その前に一言申し上げておきたいと思いますが、実は大蔵大臣のところに、この勧告のあと、ぜひよろしくとお願いしたとき、まず十月に国会があるでしょう、われわれは、とにかく差額支給というものはみんな一日も早かれと待ち望んでおる、いつも毎年年末まで待たされる、ことしはたまたま十月に国会があるんだからぜひ十月国会にこれをかけていただいて、劈頭に両院を通過、そうして差額は公務員全部が直ちにいただくという形にぜひしてくださいよということを申し上げました。私どもが申し上げるべき筋ではないが、それが景気の刺激策にもなるのではないかと言うと、非常にうまいことを言うなといって私はほめられましたけれども、そういうふうにつながりを持ちながら、実は十月国会でぜひ劈頭に通していただきたいということをまぅ先にお願いしておかぬと、そういう機会がなくなるといけませんので、まずお願いをしておきます。  それから次に四月一日の問題は、これはもうたびたびここでも御議論をいただいたと思いますけれども、私どもの立場としては、一口に言えば、なるほど四月説も一理なきにしもあらず、あるいは近ごろでは多少進んで一理ありというところまでわれわれ検討はしてきております。しかし、何ぶん御承知のように、昭和三十五年までは、なるべくすみやかにということで勧告を申し上げてきた。なるべくすみやかにということは、人事院としては非常に責任のない話です、いつにするか、四月にするか五月にするか、あるいは来年の四月になるかということまでこれは政府国会の責任にお預けしているのですから。それはいいんですが、それが三十五年に至って、もう少しはっきり記述をしろということで、五月一日ということで踏み切ったわけですけれども、当時の速記録等をわれわれずっと緻密に調べつつありますけれども、五月は間違っているじゃないか、こういう声はどこからも出ておらぬ。最近になって、ここ数年来四月がいいんじゃないかという声が出てきた。なるほど虚心たんかいに考えてみれば、いま山口委員がおっしゃったように、四月調査ということなら四月ということも一理なきにしもあらずというようなフェアな態度でわれわれは検討しております。したがいまして、今後重要な問題点として検討を続けていきます。そして一理をさらに越えて二理ある、三理あるという確信を得れば、これはわれわれは景気の刺激になろうとなるまいと、そういうことはわれわれの考えるべきところではないですから、筋として立つことならばこれは踏み切らざるを得ない。そういうかまえできわめて慎重に現在さらに検討をしておるというのが率直なお答えでございます。
  35. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間がありませんから、まあ慎重にもけっこうでありますが、一理もある、二理もあることにつきましては総裁と私の考え方が一致するわけでありますから、ひとつ早急に検討いただきまして、すみやかに四月一日実施勧告を来年はひとつお出しいただくように強く要請をいたしておきたいと思います。  次に、自治大臣お見えでありますから、当面する地方財政の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど鎌田財政局長さんが御答弁になりました四つの柱の問題、私も当然そうだろうと思います。したがって、人事院勧告に基づく給与改定地方公務員実施をする、これは当然な話でありまして、さらに問題は、地方税の落ち込みに対する措置一体どうするか。それから当然国税三税の減収が予想されるわけでありまして、これに対する手当てを一体どうするか。さらに政府が景気刺激策として行なうところの公共投資、これは私は地方の単独事業も大いに必要だと思うのです。それからまた、単に公共事業、社会資本の充実のみならず、社会保障の充実の面でも大いにこの際私はやはり国民消費支出の拡大という意味で力を入れるべきだと思うのであります。そういった各種の景気対策に対するところの地方財源措置一体どうするか、この四つを私は一括して考えるべきときにきていると思う。たまたまあれは七月二十三日だったと思いますが、自治大臣就任直後の当委員会におきまして、ことしはこのまま推移するとちょうど四十年不況と同じような事態になるんじゃないか、その際四十年不況に際してとった措置ないしはそれを上回る措置をやはりいまから考える必要があるんじゃないかということを申し上げ、自治大臣も、当然そういうことが予想されるという旨の御答弁もいただいたわけであります。それがさらにニクソンのドル・ショックによりましてよりきびしい情勢になったわけでありますが、そういう経過から申しまして、先ほど申し上げた四つの柱に対する財源措置昭和四十年不況につきましてはそれぞれの措置をとっておりますけれども、時間がありませんから私はここでは申し上げませんが、自治大臣としてのこれに対する御見解をまず承っておきたいと思います。
  36. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 途中から上がりましたので、いままでの経過その他を承知いたしておりませんけれども、四つの柱ということを言われました。おそらくいま当面します本年度財政に対する措置として考えられるものは、給与改定財源に対する、予定しておりました分に対する不足額が九百一億、このうち交付団体に七百億、不交付団体には二百一億。少なくとも交付団体に対しましては交付税による措置をせなければならない、こういうふうに考えるわけです。また不交付団体に対しましても、これは四十年のときの措置もございましたが、不交付団体ではございますが、税収その他によりまして非常に困難であるというところにおきましては、起債その他の方途も考えなければならないのではないかというふうに現在検討を加えております。  第二の柱といたしまして、おそらく地方税減収対策があげられたのじゃなかろうかと思いますが、これは交付税の確保ということにも関連いたしますが、国税三税の税収減によりまして、当然計算的に出てまいります交付税の予算に計上されております分の減というふうなこと。四十年におきます際は、予算計上額だけは確保するという形で、その差額というものは交付税特別会計の借り入れ金というような形で処理したことを記憶いたしておりますが、もしそのようなことが予測されますときには、本年度の計上しております交付税は、すでに八月三十一日付をもって決定を終わり、おそらく各公共団体におきましても予算に計上されておると思いますので、ぜひともこの分だけは確保するような措置をやっていただきたいと考えております。  なお、国税三税の減収等が起きますときには、当然地方税減収も予測されます。それが現在当初予算に組んでおります額を大きく下回るというようなときは、減収補てん債というふうなもので処置せなければならないのじゃないか、かように考えております。  なお、景気浮揚対策としてとられます公共事業、これは当然地方負担額というものが必要でございます。それらは現在の地方財源の中には一切ないという姿でございますので、きょう閣議におきましても大蔵大臣臨時代理に対し、特にその点を考慮してほしい、万一補正予算を組まれる場合にはその点の考慮を頼むというようなことを発言したようなわけでございまして、ぜひともその点は考慮してやらしていただきたい、このように考えております。  いずれにいたしましても、非常に困難なる時期に、しかも補正予算を組まなければならない。これが消化するのは地方であるという姿でございますので、この地方財政危機を何としても切り抜けるために最大の努力を尽くしたい。目下検討を加えながら努力している最中でございますので、よろしく御支援を賜わりたいと思います。
  37. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣のお考え方をお聞きいたしまして、問題点をすべてとらえておられまして、そのための対策について御検討をいただいておるようでございまして、その点非常にけっこうだと思いました。特に地方財政の問題につきましては非常に造詣の深い自治大臣でありますから、ひとつ先ほど申し上げた給与改定分の措置、特に不交付団体につきましてもことし税収の伸びが非常に落ち込んでおるということから、当然不交付団体に対しましても私は措置する必要があるのではないかという気持ちがございましたが、その点も含めて大臣御答弁いただきましたのでけっこうだと思います。  それから地方税減収地方交付税減収に対する手当て、それから景気浮揚対策に対する地方財源措置、これはひとつ遺憾なきを期していただきたいと思います。四日の日、ちょうど福田外務大臣にお会いしまして、ちょうど四十年不況と同じようなことになった、あのとき福田大蔵大臣がとりました措置につきましてもいろいろ思い出した話をいたしましたが、四十年不況を上回る危機だと私は思っております。四十年不況に際してとりました以上の、特に景気浮揚対策に対する地方財源措置——交付税の落ち込み分を措置する、地方税の落ち込み分を措置する、それから給与改定財源に対して措置をすることば私は当然だと思うのですが、特にその上に景気対策としてとりました分に対する地方財源手当て、さらに公共事業のみならず、この際地方単独事業が必要だ、それからまた社会保障関係の、地方がいろいろ苦労してやっている施策に対する手当ても必要ではないか。この点を落としたら私は今回の地方財政対策は画竜点睛を欠くのではないかと懸念をいたしております。その点について特に御努力をお願いしたいと思います。  そこで、税務局長さんがおいでですから現在の状況お尋ねしたいと思うのですが、私、六月末の道府県税、法人税関係調定額調べを資料としていただきました。法人事業税、これは府県税の中心でありますが、これが昨年は前年に比べて二九・四%も伸びておったのに、ことしはわずか四・六%しか伸びていない。特に神奈川のごときは一・三%しか伸びていない。先ほど財政局長お話では、七月の調べではむしろ落ち込んでおるところもある、こういうことでございましたが、現在税務局として握っております資料、こまかい点はあとで資料としていただきたいと思いますが、概略全国的にどうか、特に落ち込みのひどい府県においてはどうか、御説明をいただきたい。
  38. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 私どものところにはさらに七月末現在の調定額状況が入っておりますが、先生お手持ちの六月末の調定額調べに対しまして、七月はさらに落ち込みが大きくなっておりまして、七月末で前年対比三・一%の伸びというような状況でございます。また前年実績に対して落ち込みのあります県が約六県ございまして、最もひどいところでは、山口県の九四%といったようなところが大きいところでございます。
  39. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういう実情も踏まえまして、ひとつ努力をいただきたいと思うのです。  そこで、大蔵省主計局次長においでをいただきたいと言ったのですが、どうもおいでにならぬようで、主計官がお見えであります。私、一言委員長に申し上げておきたいと思うのですが、当委員会が大蔵省の方を呼びましても、大蔵省の方々はどういうわけかなかなかお見えにならないわけでありまして、主計局次長が当初出ると言っておったのでありますけれども、何か急に出られぬというお話で、どうも地方行政委員会軽視ではないかと思うのです。かつても当委員会で、委員長会議等ありますときに、そういうことじゃ困るからということを言ってほしいと前の菅委員長にも実は申し上げたわけでありますが、何か大蔵省だけが他省の上にあるような顔をしておって、聞けば、主計局長は予算委員会には出るけれどもほかの委員会には出ないというような習慣があるそうです。少なくとも国会政府委員に任命しておるわけですから、政府委員は出る義務があるはずなんです。ですから、何か大蔵省の主計局長だけは別格に扱うような国会運営というものは間違いではないかと私は思う。また国会で出席要求いたしましたならば、大蔵省も喜んで地方行政委員会にも出ていただくということにならなければ困るわけでありまして、この点委員長に善処をあらかじめお願いしておきたいと思います。  その上で主計官お尋ねをいたしますけれども、先ほど上村委員の御質問に対する大蔵省の答弁を聞いておりましたが、どうも地方財政に対する配慮が非常に足らぬじゃないかという感じを強くいたしました。大蔵省としてはどうですか、ただいま自治大臣がお答えになりましたような四つの柱に対して、当然十月十五日から開かれる臨時国会において地方財政対策をするというお考えですか。結局、景気対策をやるといいましても、国がやる分というのは少ないと思うのです。現実には地方がやるわけでしょう。社会資本の充実にしたってそうでしょう。ですから、地方財政対策考えない不況対策なんというものは、私は全く絵にかいたもちだと思うのです。そういう意味で、自治大臣が御答弁になりました地方財政に対する当面の四つの対策、いかがお考えですか。
  40. 加藤隆司

    加藤説明員 先ほどの四つの柱という問題は、われわれのほうも自治省と打ち合わせしておりまして、当然措置されることになりますが、いま自治大臣のお話の中で不交付団体の問題がございました。この点は若干今後の検討が必要ではなかろうかと思います。  景気振興の問題でございますが、もちろん山口先生お話しのとおり、地方団体の活躍の場が非常に広うございまして、財政投融資、国の直轄事業、補助事業あわせて、その中で地方団体が大きな役割りを果たすことはおっしゃるとおりでございます。
  41. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 おっしゃるとおりということですから、おっしゃるとおりに予算を出していただくようにこれは強く要請をいたしておきましょう。  不交付団体については云々と言いましたけれども、いまのような税収の状況では、不交付団体といえども私は非常な苦況に立つことが予想されるので、この点はひとつ自治大臣の意見も十分尊重していただきまして、大蔵省当局においても措置されるように要請をいたしておきたいと思います。  最後に、自治大臣にお尋ねして終わっておきたいと思いますが、この際、私は地方債ワクというものを取り払う必要があるのではないかと思います。地方自治法施行令第百七十四条ですか、「地方債を起こし、……償還の方法を変更しようとするときは、……当分の間、自治大臣の許可を受けなければならない。」こういう規定でございます。私どもは例の地方事務官につきまして「当分の間」というのが二十数年間も続いておる、おかしいということを言ってきたわけでありますが、同じ意味でこの「当分の間」もずいぶん長く生きておるわけでありまして、二十数年間も「当分の間」というのはたいへんおかしいのじゃないか、この際こういう状況に立ち、しかも地方単独の仕事が重要であるというときに、今度の第一次、第二次の景気対策で約千六百億円ばかりだったと思いますが、地方債を上下水道あるいは住宅等償還の可能な事業に対しては拡大をしたわけでありますけれども、同じような意味でこの「当分の間」をぼつぼつ削除する時期に来ているのではないかと思います。これに対するお考え方をお伺いしたいのが一つ。  それから今度の公務員給与改定に対しまして問題なのは、国家公務員よりも水準の低い町村職——ラスパイレス方式で八七%というのですから、一三%も国家公務員より低い。それから現業職員、いわゆる行(二)の職員につきましては、例の清掃法の改正、今度は廃棄物の処理及び清掃に関する法律の中で、清掃事業に従事する職員の資質向上につとめなければならぬという条項がございました。それに関連して前の秋田自治大臣にお尋ねしたのでありますが、現業職員の給与改善については、明年ひとつ抜本的な措置をとりたいと実は秋田前自治大臣がお答えになったわけであります。したがって、私は、今度の人事院勧告地方公務員に——もちろん人事委員会勧告をしてそれで実施になるわけでありますが、この際に現業職員の給与改善については十分な措置自治省としておとりになる必要があるのではないか。町村職の給与改定についても同様ですが、これについてどのような具体的なお考え方がございますか承りまして、質問を終わっておきたいと思います。
  42. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 現在の景気浮揚対策のために起債という姿で仕事を行なうということは非常に重要でございますが、これをもって直ちに自治大臣の許可ということを取りはずすという段階には私はまだない。と申しますのは、御承知のとおり、地方債の原資というものにはいろいろございまして民間銀行で借り入れる場合、あるいは公営企業金融公庫で出す場合、農協資金を利用する場合、また預金部資金の利用ということでやっておりますが、弱小町村におきましては資金調達が非常に困難でございます。また金利負担等も困難であるという関係で、預金部資金の運用資金はできるだけそういったところに回し、資金面におきますそういった調整もせなければならないというところでございます。  なお、山口委員の御趣旨はよくわかっておりますので、能力のある団体が必要なるものを縁故債等によって調達されることに対しては私は極力これを許可する方針で、資金調達に対しましても積極的な方向で自治省といたしましては大蔵省と交渉をするというふうな姿で御趣旨は生かしていきたいと思いますので、御了承賜わりたいと思います。  給与水準の低い地方公務員地方の団体は、私たちは国家公務員給与水準でやれ。したがいまして、どんな低い給与のところに対しましても交付税手当て等は国家公務員給与水準の手当てでこれを実施しておる姿でございますが、低い団体もあることは事実でございます。しかし、おそらくその地方における他の民間企業その他等を考慮しながら町村長さんがきめておられるという姿でなかろうかと思いますので、不当に公共団体の職員だけが低いというふうなことでない給与を出すことによって効率をあげる行政をやっていただくという方向ではやっていきたい。そのための財源といたしましては、国家公務員給与ベース並みに私たちは組んでいくという姿で今後とも臨みたいと思っております。  なお、いまの現業職員の資質の向上並びに給与改定の件につきましては、秋田自治大臣もこの委員会の席上で山口委員の質問に答えて言われたとおりでございます。私もそのあとを引き受けましてそのような措置をいたしたい、かように考えております。  交付税の算入等でそのための現業職員のベースアップ等ができるような姿の措置も、交付税の算定の基準をきめますときにさせていただきたいと思っておりますが、この点は事務当局からお答えさせていただきたいと思います。
  43. 林忠雄

    ○林説明員 大臣の御答弁で尽きておると思いますが、具体的に町村分は昭和四十三年四月一日現在でラスパイレスは八九・四という数字が出ておりますが、三十七年の七七・一、三十八年の八七・二というのに対して逐次向上している傾向を示しておると思いますので、今後もこちらの指導としては、原則として国家公務員給与水準に準じてという指導は続けてまいりたいと思います。現実には地域内の農協だとかその他の公共団体との均衡ということからこういう数字が出ているのではないかと思います。大臣の言われたとおりです。  清掃職員その他の単労の職員の待遇改善でございますが、答弁の正確を期するために実は速記録をたいへんさがしたわけでございますけれども、いま具体的に秋田大臣の速記録が見当たりませんが、従前と同様自治大臣としては、一般の職員も含めて単純労働職員の待遇改善に対しても考慮を払っていくものと存じます。具体的に四十六年度の給与実態調査の数字がまだ明らかになっておりませんので、現実にどの程度の待遇改善ができたかはいまちょっと明らかになっておりませんが、交付税措置といたしましては、四十六年度の交付税措置は前年度に比して標準団体の単位費用で一五・三%増、それから人員の増も見込みまして総額で一九・一%増という交付税措置をしております。これも待遇改善をできるだけやる、こういう趣旨に合わした算定のしかただと心得ております。
  44. 大野市郎

    大野委員長 和田一郎君。
  45. 和田一郎

    ○和田(一)委員 当面の不況対策について質問したいと思いますけれども、山口先生の質問と重複しますけれども、ひとつお答えいただきたいと思います。  まず最初に聞きたいことは、きのうの午後、大蔵省自治省の両省の首脳で当面の問題の切り抜けについての懇談会が行なわれたという報道がありました。その中でちょっとお聞きしたいと思うのですけれども自治省側もいろんなことを要望された。そこにちょうど鎌田財政局長も出ていらっしゃったそうでありますが、懇談会の座上で自治省側としては大蔵省にどのようなことを御要望されたのか、この点についてひとつ伺いたい。
  46. 鎌田要人

    鎌田説明員 きのうただいまお話しになりました大蔵の主計当局と私ども財政当局との会合を持ったことは事実でございます。ただ、この会合は、当面の国の財政、これも当然地方財政にもかかわってくることでございますし、国の財政の当面の収支見通しあるいは明年度の収支見通しがまだ非常に流動的な段階でございますし、ある意味におきましては刻一刻悪いほうに向かっている段階でございますので、そういったことを中央財政の面から、ただいま申しました四本の柱、あるいはまたそうなりますと当然来年の地方財政対策ということも、これはいろんな方法を講じてまいらなければならないわけでございますので、当面の諸問題につきましてお互いに情報の交換、それから問題点の指摘、こういったことでいわばフリートーキングというものを皮切りとしてやりまして、逐次問題を煮詰めていこう、こういうことでございました。きのう具体的にその場で結論を出す、こういった趣旨ではございませんでしたので、お互いに意見の交換にとどまった、こういうことでございます。
  47. 和田一郎

    ○和田(一)委員 先ほど財政局長がおっしゃった四本の柱、これについては自治省側からの要望としては出さなかったのですか、きのうは。
  48. 鎌田要人

    鎌田説明員 自治省側といたしましては、先ほど来ここで議論になっておりますようないろんな案というものについて、こういう考え方もある、こういう考え方もあるということは申し上げております。ただ、それは具体的にこれでいこう、こういうところまで煮詰めるのにはまだちょっと時間がかかる、こういう感じでございます。
  49. 和田一郎

    ○和田(一)委員 主計官お尋ねをしますけれども主計官は出ていらっしゃたかどうか知りませんが、相澤主計局長と平井次長さんが出ていらっしゃったらしいのです。いま鎌田局長は要望じゃなかった、まだこれから煮詰めるんだということだったのですけれども、報道によりますと、要望ということになっているんですね。それはどちらでもけっこうですが、それに対しての大蔵省のお考えはどうでしょうか。
  50. 加藤隆司

    加藤説明員 そういう正式のものとかいうことではございませんで、財政局長もおかわりになりましたし、私のほうの局長もかわりまして、私も新任でございますし、ことしは非常に問題が多いので、前広に双方が目下いろいろ勉強しておるわけでございますが、一回それを一応持ち寄って、資料とかそういうようなものは全然ございませんで、問題の所在をお互いに確かめようというような、何といいますか、相互にそういう勉強をやるというふうな感じのものをお願いしたわけでございます。
  51. 和田一郎

    ○和田(一)委員 とにかくすぐに結論はなかなか出ないと思います。しかしながら、やはり本年度のことでお話しになったようなんで、あまり勉強ばかりされているとおそくなるというふうに考えられます。これはひとつ、いまの主計官のお答えもずいぶん隠していらっしゃるように私は思うのですけれども、大臣、ありますか。
  52. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 和田さんの御指摘、もっともでございますが、実は昨日行なわれました結果報告を、私、まだ——実は昨日十一時ごろ帰ってまいりまして、東北の仙台で行なわれました連絡会議に出ておりました関係で、まだ昨日の報告を局長からも次官からも受けていないので内容はわかりませんけれども、実は補正予算を景気浮揚対策として公共事業中心として組むべきではないかという議論がございました。これに対してだんだんと準備をしておられる各省においては、はたして補正予算を組んでどの程度の事業ができるのであろうか、どれほどの要望があるであろうか、事業主体の建設を中心として運輸、農林その他の官庁でみな調べておられるというふうな状況でございますし、大蔵省大蔵省として、その財源をどうするか、規模をどの程度にやるかということについてもいま検討中であろうと思います。その際、公共事業がきまりましたら、当然必要とするのが地方財源でございます。その地方財源がいま各府県、各市町村枯渇の状態でございますので、建設省その他から、もし補助金を出したなればどの程度の事業ができるかという問い合わせも、工事実施が可能なことともう一つ財源的に可能な面と、両方で知事さんも非常に苦慮されておるのではなかろうかというふうな姿でもございますので、私はこの際、補正予算が組まれるといたしましたなれば、そのあとの財源地方にも要るんでございまして、それをどう考えていただくかということも指摘し、その間の調整のとれた補正予算に対する考え方の準備をする必要があるのではなかろうかということも考えまして、そういった懇談会の席を持っていただきたい。なお、その際に、現在差し迫った、いま御指摘になったように、給与改定の問題あるいは税の減収の問題等、当然行なわれる問題もあるので、あわせて全部のものを忌憚なく問題点として検討するようにということで、あのような会議を持つように私のほうからもなにした次第でございます。  おそらく公共事業に対する補正予算はこれだけにするんだ、それなればこれだけの額をこういうふうな方向で要求するんだというふうなところまで各省まだ煮詰まっておりませんけれども、当然その中の大きな要素として、地方財源の分を全体をきめるために話をしてもらいたいという第一回の会合でございますので、いま私のほうの局長あるいは大蔵省主計官から答えたところが、隠すのではなくして、偽らざる実情であろうかと思いますので、そういうような意味で御了解願いたいと思います。あえて私から申し上げます。
  53. 和田一郎

    ○和田(一)委員 勉強会でなくて、実際問題、のんきな話じゃなくて、作業に入っている、こういうことですか。
  54. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 勉強会ではございません。私ども補正予算を組む上において、金額がこうなればこれだけのものは要りますということも指摘いたしまして、各省の中心になる大蔵省自治省、それに事業主体の意見等も加えて、しぼるというためにも検討を加えて、問題点をお互いに理解し合って進めるという意味でやった会合でございますので、ひとつそういう意味で御理解願いたいと思います。
  55. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その話はそれまでにしておきます。  まあ、いま勉強会をやっていらっしゃる最中でございますので、あまり具体的な返事は出てこないと思いますけれども、四十年のときの対策、大体あれが基本になるようなお話が先ほど御答弁にございました。四十年のときには地方交付税、いわゆる国税三税が落ち込んだ。今回の場合どれくらいの減収になるか、大体おわかりになりますか。
  56. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 まだ私どものほうで資料的に集まっておりますのは、ドル・ショック以前の姿の税収入でございます。またドル・ショック後の企業の経営状況がどうなってくるかという点は、少なくともこの九月決算の数字がある程度見通しが得られませんというと、ある程度の確実なものがつかめないだろうというふうに考えております。
  57. 和田一郎

    ○和田(一)委員 実はある新聞の報道なんですけれども、これは八月十五日の新聞ですからドル・ショック以前ですね。その新聞に、国税三税のうちの所得税が八百億円プラスだ、酒税が百億円プラス、法人税がマイナス二千億円でそのプラス・マイナスが一千百億円の減収である、このようなことが出ておりましたけれども、これはどうですか、その八月十五日くらいの考え方では。
  58. 加藤隆司

    加藤説明員 国税のことでございますので私のほうからお答えいたしますが、担当でございませんので内容承知しておりません。どういう根拠に基づいて書かれたものなのか、おそらく最近は民間でいろいろシンクタンクとか研究機関がございますので、そのあたりで勉強した数字が出たのかもわかりません。
  59. 和田一郎

    ○和田(一)委員 シンクタンクで計算したのでなくて、これは一つの新聞なんですね。しかも権威ある新聞がお書きになっていらっしゃるのですから、あまりそのようにおっしゃらないほうがいいのかもしれませんけれども、とにかくそのような国税減収が見込まれておる、こうなっております。地方税の落ち込みは大体どの程度予測されるか、これもやはりやってみないとどうしようもないわけですよ。先ほどおっしゃったのは、相当落ち込みがあるのでまだはっきりしないというのですが、しかし、ある程度の国税のほうでの計算が出ているのですから、そういったものもひとつ考えていただかないと、先ほどおっしゃった会合にも使いものにならぬのじゃないかと思います。その点ではどうですか。いまのところ全然つかめませんか。
  60. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 地方税の場合には、御承知のように、課税標準が前年標準のもの、現年標準のものとあるわけでございます。したがいまして、私どもがそこから見ます限りにおきましては、大体前年課税標準を用います税、それからその他の間接税等につきましては、大体計画額程度の収入は確保し得るのではないだろうかという現在の段階見通しでございます。しかしながら、法人関係の税になりますというと、まだ私ども、このドル・ショック後の経営状況という点が全然わかっておりません。したがいまして、この国税がたとえば所得税においてどうなるとかあるいは法人税においてどうなるかという点を比べますと、まだまだ私どもでは不確定な要因が多いわけでございます。また法人関係につきましても、おそらく国税三税のほうにおきましても、まだ十分な把握はできておらないわけであります。
  61. 和田一郎

    ○和田(一)委員 まだなかなかお考えがまとまっておらないようでありますけれども、しかし、一昨日ですか、地方債計画が一応、これは発表じゃないのでしょうけれどもできまして、新聞に出ておりました。これは来年度ですが、今年度よりも五三・五%の増であるということになっておりますね。これは当然来年度の国債発行、そしていろいろな公共事業がふえる、それの地方負担分の裏づけということで計画されたんだと思うのですけれども、その点どうですか。
  62. 鎌田要人

    鎌田説明員 一昨日でございましたか公表いたしましたのは、明年度の地方債計画、これは御案内のとおり、国の財投計画の中の一環をなすものでございますので、その財投計画にこれだけのものを織り込んでほしいということで私どものほうで策定いたしたわけでございます。これにつきましては、この全体の規模は概計で一兆六千億というものでございまして、たとえば公共事業でございますと、各省がこの八月末で予算要求を出しまして、それに対応しまする地方負担というものに位しまして一定の充当率をもって積み上げた、こういうものでございます。また、たとえば単独事業でございますとか、あるいは上下水道あるいはし尿、ごみ、こういった施設等につきましては、住民生活の環境をすみやかに改善する、こういったことから、かなり政策的な判断と申しますか、そういうものを加えまして積み上げたわけでございます。ただ、来年度国債がさらに大幅に増発をされ、あるいはそれに伴いまして地方交付税の伸びというものも少ない、こういったようなことになってまいりました場合、明年の地方財政対策の一環としてさらに一兆六千億の上に上積みをすることあるべし、こういうことを備考書きとして私どもは要求をいたしておるということでございます。
  63. 和田一郎

    ○和田(一)委員 わかりました。  それで来年度の国債発行は相当増発される、いろいろな公共事業が行なわれる、そういうことで当然いまの地方債も必要でございましょうけれども、しかし、四十一年度では二九・五%から三二%の交付税の引き上げがあったわけなんです。ですから、結局それだけの公共事業の裏づけとしてはやはり財源として何かの手を打たなければならない。先ほどおっしゃった四本の柱というのは、あれは今年度の話だと思うのですよ。来年度については一体どういうお考えですか。地方交付税の引き上げなのか、それともまた地方債の増発でもやるのか、そういう大きな問題があると思うのですけれども、どうでしょう。
  64. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 先日発表いたしました地方債計画の中には、いま御指摘のような意味地方債は全然入れておりませんことは局長が申し述べたとおりでございます。来年度もおそらく景気の急速なる回復ということも予測できません。しかも一方におきまして、景気浮揚策のために公共事業その他を行なわなければならないという状況もおそらく続くのじゃなかろうかと思います。そうなりましたら地方税の増収は期待できず、交付税の増額も、国税三税の伸びが期待できなかったら、これも多くを期待することはできない。したがって、昭和四十一年度に行なったような措置をやらなくてはいけないというふうなことは御指摘のとおりであろうと思います。  いま言われましたとおり、当時は二九・五%から三二%までに交付税を上げ、その余分に臨時特例交付金という名目で四百十四億ですかの措置がされ、なおその上に特別事業債という形で事業の裏づけになる財源一般財源で当然持たなければならない地方負担分の財源を特別事業債という形でもって措置したという姿でございます。来年度の予算編成にあたりましても、おそらくそれらの措置をあわせ考慮しながら大蔵省とかけ合っていく。なお、その上に来年度は特に沖繩の、いまだ要求はいたしておりませんが、いま調査官も派遣いたしまして財政需要等を調査させ、概算要求を大蔵省にする段階に来ておるのでございますけれども、それらの需要もおそらく多額なものになってくるのじゃなかろうかと思いますが、これらをあわせ総合的な対策考えたい、このように考えております。
  65. 和田一郎

    ○和田(一)委員 また話は変わりますけれども国税のほうの減税は、水田大蔵大臣、五千億だったでしょうか、そのようなことを言っておりますが、結局そういう景気の落ち込みに対して減税で報いるということですね。今度いわゆる住民税の減税というかそういう構想、これは自治大臣としてはお考えございますか。
  66. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私はまだ正式に大蔵大臣の五千億減税、そういったものも聞いておりませんし、おそらく大蔵大臣の正式な記者会見でなしに、お話の中にそういったことも考えたらというふうなことも出たのじゃないか、このように考えておりますので、公式な言としては聞いておりませんが、景気浮揚対策一つとしてそういうふうなことを考えられることは当然でなかろうか、かように考えております。その場合、現在でも所租税の最低課税基準額と住民税の基準額に二十七万円ほどの差額があるということは事実でございますので、当然それに合わしたような減税をやらなくてはいけないだろう、こう考えておりますが、いまのところまだ正式に聞いたものでもございませんし、また地方財源が減税し得るような状態でもございません。だから、そのような点は、いまのところ、積極的に景気浮揚対策、消費者対策の中で私たちが受け持つべき部分をどの程度にきめるべきかは、おのずから国全体の方針等がきめられた上できめていきたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 和田一郎

    ○和田(一)委員 これは確かに中小企業であるとか、それから特に地方へ行きますと、大体中小企業に関連している家庭が多いわけです。そうなってきますと、いまでも首切りを心配しているのがだいぶ出てまいりましたし、それからある大きな企業では、もう来年度は新しくとらないというようなこと、ですから、住民生活にも非常にしわ寄せすることは明らかだと思うのです。そういう面で、国税のほうの減税も当然でございますけれども、やはりそういう一般市民の生活の救済に対しても私は減税が必要だと思うのです。そういう点で、ひとつこれから大いに検討していただきたいと思います。  それと同時に、もう一つ問題になってくるのは、とにかく来年度は十一兆何千億円というような大型な予算になりそうであります。そのほかに国債発行が出てくるというわけですね。公共事業がふえる。そうなってきますと、やはり地方負担分がかかってくる。そこで問題になるのは、各地方団体の超過負担の激増ではないかと思うのです。ですから、そういう事態になるまでに大体どの程度の超過負担が起きるのだからということで、ある程度の基礎的な資料は直さなければならぬのじゃないかと思うのです。その点についてお考えはどうでしょう。
  68. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 超過負担の解消ということは、数年前大蔵省とも話し合いまして、調査の結果、計画的にやってまいりました。本年度もそれに基づいてやっておりますけれども、なお現実に超過負担があるということは事実でございます。この点の解消については引き続き努力いたしたい、来年度の予算の編成にあたりましても、単価の引き上げ等で超過負担ができるだけ解消できますように努力いたしたい、かように考えております。  なお、いま公共事業費で、十一兆の予算の上に国債発行——おそらく国債発行を入れましての総額がそうなる、こういうふうな姿でなにされるだろうと思いますので、この点、それに対応しての超過負担の解消については引き続いて努力いたしたい、かように考えております。
  69. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんので、これで終わりますけれども、またの機会に、これはもう少し線が出てからでも議論をさしていただきたいと思います。
  70. 大野市郎

    大野委員長 門司亮君。
  71. 門司亮

    ○門司委員 私はきわめて簡単に二、三の点だけについて質問をしておきたいと思います。  先ほどからもう話はかなりなされておると思いますが、四十七年度の予算編成についての政府の態度ですけれども、これは私も少しわからぬところがありますので、聞いておきたいと思います。  それば、不景気で税収の落ち込みもある、したがって公共の土木事業というようなものに対する政府のものの考え方が、かなり大幅な予算をとって景気を刺激することのために事業をしよう、こういうことなのです。それと、地方の自治体の現在かかえ込んでおる公共土木事業その他公共施設をなさなければならない仕事はたくさんあるのですね。ところが、ことしの予算編成の政府の方針を聞いてみると、どうもその辺がわれわれにもちっともわからぬのです。税収の落ち込みがあるから、何とか財政措置をしなければならぬということは、それは私はいいと思います。しかし、景気刺激のために公共土木事業をやる、それを地方の自治体が受けてどうしてもそれをやらないわけにはいかない。それに要する費用というものは、地方の自治体では税収が落ち込んでいれば借金する以外にないと私は思うのです。これはなさなきゃならぬ仕事は、景気が不景気であろうとなかろうと地方の自治体はやり得る財政措置をするということは当然なきゃならない。しかし、景気、不景気によって地方の自治体が、仕事がたくさんできた、まあできることはいいかもしれないが、そのために借金を背負ってそれを払わなければならない。どこまでも国の一つ経済施策の中からくる影響を行政上地方の自治体が受けなければならないということは、どうしても私にはわからぬ。だから、大蔵大臣か総理大臣に来てもらおうと思って話をしてみたけれども大蔵大臣はいませんし、大蔵省もきょうは何か主計官しか来られない、こういうことで、はっきりしたことは聞けないと思う。こういうことを一体自治省は受けてよろしいかどうかということです。  地方の今日の自治体の情勢というものは、御承知のように、公共事業が非常におくれておって、公害の問題であれ、環境整備の問題であれ、たくさん問題をかかえ込んでおる。したがって、景気がよかろうと悪かろうと、なすべき仕事はきちんとするというき然とした方針がなければならないと私は思うのです。ところが、国の経済の影響を受けて、地方の自治体がそのことのために、いま何か政府から言わせれば、一つの政策として地方の公共土木をやるというような、何かしらん割り切れない感を私どもに与えておる。だから、きょうは、そういう当局者の総理大臣も大蔵省も、せめて主計局長かあるいは次長ぐらいにでも来ていただいてと思いましたけれども、おいでになっていませんので、ここで詰めて話をしてみようと思ってもしようがないのですけれども、自治大臣、どうですか。私の考え方は、そうでなければ地方の自治体の自主性というもの、主体性というものは全くないのである。そうしてこれは、それなら地方で一般的に景気がよくなれば公共土木事業なんかやらなくてもいいかというと、そうじゃないでしょう。やるべき仕事は、環境整備の仕事はこの際思い切ってやらなければならぬ。こういう点についての自治大臣としての率直な意見をひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  72. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 社会資本の投資というものが非常におくれております。そのためにも、いま門司先生御指摘のとおり、何ものにもましてこれを充実していかなければならないということは私は当然であろうと考えます。したがいまして、各種計画の五カ年計画等を立てまして、国の財政の許す限りにおいてこれを進捗しておるというのが現在の私たちの姿でございます。地方自治体も、この方針に従いまして、おくれておりますところの社会資本の充実ということに対しまして財政の許す限りにおいてこれをやっておるという姿が今日までの姿でございます。  ところが、その国の財政措置の中にはおのずからそのときの国全般の経済情勢によってきめられるべきものがあるんじゃなかろうか、このように考えます。当初計画で予定しております財源その他から現在の国の予算が組まれたのでございますが、その後園の経済情勢の推移をながめておりますと、民間経済の活動というものが非常に思ったよりもいろいろな要素も加わりまして沈んできた。これを刺激するためにはどうしても財政投資ないし社会資本の充実によってやらなければならない。したがって、国家財政を越えて、あえて国債を発行しても事業を興そうという姿で、政府補正予算を組もうとしておるのがその姿でないかと思います。当然そのような姿でございますから、せなければならない事業でございますので、これを受けて地方政府と協力をしてこれをやる。しかしながら、その財源がないから、特別のそれに対する財源を顧慮しようということで、われわれ大蔵当局に当たっておるのが現在の状態でございます。  したがいまして、行なわれます公共事業も、できるだけ今日国の財政が許せばやらなければならない事業を優先的にこれをやっていく。単にいままで考えてないものを刺激のために何でも事業をしたらいいのだというふうな意味でなく、国の財政事情が許すのであれば、当然やらなければならない事業を繰り上げてやっていく、こういう姿が今日の姿ではないかと思います。  そういう意味におきまして、財源措置等は、当然これは地方財源一般財源から出すべきが当然であろうと思いますので、今後これらに対する財源措置等もそういった意味で交渉に当たりたい、かように考えておるような次第でございます。
  73. 門司亮

    ○門司委員 いまの答弁を聞いていますと、政府の言っております景気刺激のための公共投資ではないという解釈をしておいてよろしゅうございますか。この点はいままでの新聞その他を通ずると、非常に不景気だから公共投資でもやって、それで景気を刺激していこう。これは一つの政策だと私は思う。私がさっきから聞いておりますのは、そういう政府の政策に地方の自治体の仕事というものが左右されておるというものの考え方に誤りがあるのではないか。地方の自治体がやるべき仕事は、景気がよかろうと悪かろうとやるという態度でないと——どうも私はいまの答弁を聞いていると、自治省としてはそうお考えになっておるようだが、新聞その他で政府当局の発表しておるのを見てみると、来年度は景気があまりよくないから、景気の刺激のために借金をしてもひとつ公共事業をやっていこう。これは公共事業が従になっておる感じを与えておる。私はこの感じがいけないと思う。また政府自身がこういうことを発表しておることは事実でしょう。だから、その政府のものの考え方と自治大臣のものの考え方とは必ずしも一致していないと私は思う。いまの答弁では、何か自主性のあるようなないようなことに聞こえるのでありますけれども、私は、その辺をもう少し自治省としてははっきりした、計画であろうとなかろうと、地方の自治体自体が、自治省自体が中心になってやるのだ。景気が悪いからひとつ景気刺激のために公共事業でもやろうかというようなこれは政府一つの政策かもしれない、一つの行き方かもしれない。しかし、それを地方の自治体が受けておるというような姿というものは、私がさっき申し上げましたように、よくないと思っておるのです。そういうことになってまいりますと、地方の景気がよければ、景気刺激策をしなければならぬような状態でないとするならば、何も国はめんどうを見なくてよろしいかというと、そういうものではないと私は思う。この際、やはり地方の自治体というものがき然とした態度でなすべきことはなすということでないと、何か新聞その他を通じて見てみると、不景気だから少しこの際お金を出す、そのお金を地方の公共土木のほうに向けて、そうして景気をよくしようというようなものの考え方の上に地方の自治体が要求をなし遂げようとする考え方は、少し間違っていやしないか。その辺を自治省としてはどういうふうにお考えになるかということを、もう一ぺんひとつ御答弁を願っておきたいと思います。
  74. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 地方に、いまも申しましたとおり、社会資本というものが日本は非常におくれておるのでございますから、どんな状況においてもやらなければならないことは地方団体にとりましてもあると思います。しかしながら、やらなければならない仕事であるからどんなことをやってもこの際一挙にやってしまうんだというのでなくして、総体的にやはり財源その他によってその制限を受ける。そのワク内で行なうということは当然あり得るのじゃなかろうか、かように考えるのでございます。その財源その他で制約を受けてやることが、地方税の落ち込みあるいは国税三税の落ち込み等から考えますと、国もあるいは市町村もやりたくても財源的に行なえないという状況でございますが、あえて借金してでも景気を刺激することが必要な時代でございますので、特別の財源措置をして国がやる、それを受けて地方もその財源の裏づけをしていただきましてこれをやる。当然やらなければならぬことでございますから、そういうふうな意味で国の分を受ける、こういうふうな姿で地方が受けていくということでも私はかまわないのじゃないか、こう考えておるような次第でございます。
  75. 門司亮

    ○門司委員 私の考え方とちょっと少し食い違いがあるのですね。そうすると、政府は、不景気だから景気刺激のための公共土木事業じゃない、こういうことですか。私はそういうことでなければならないと思っている。ところが、政府の発表は大体みんなそんなことになって、どうも不景気になるから公共土木事業でもやろう、そのためにはお金がないから借金してでもやろうという、要するに、政府一つ経済政策の一環としての公共土木事業の増加のように見受けられる。それを地方の自治体は、やる仕事はたくさんあるのだけれども、それでもいい、黙って受けておけ、こういう大臣の考え方のように受け取れるのですが、それではあまりにも地方の自治体についてはおかしいのではないか。むしろ自治省の要求としては、景気であろうと不景気であろうと、国は借金をしようとすまいと、そういうことは一切かまわないで、やはり環境整備はこの際やるのだということのために、景気を刺激するということば自身を取り消さない限りは、私はどう考えても自治省は弱いと思うのですね。そういう意味でなくて、国のほうが借金しようとすまいと、国債を発行しようとすまいとかまわない、しかし、お金がないんだから地方の自治体も借金しなければならぬことは当然だ。私は借金することが必ずしも悪いとは言いません。なすべき仕事をなすということであって、悪いとは言いませんけれども、何だかどう考えても、いままでの答弁を聞いておっても、政府の景気刺激のほうが主であって地方の自治体のなすべき仕事のほうが従であるという印象を強く受けるのであって、こういう印象があるとすれば、やはり地方の自治体の事業の今後の遂行の中に問題があろうと思うのですね。  観念の問題といえば観念の問題であって、考え方を変えれば済むのだということであればそれでいいかもしれぬ。しかし、その考え方を変えさせる自治省の姿勢というものが必要だと思うのです。そういうことはどうですか。くどいようですけれども、私はどう考えても、いままでの答弁を聞いておっても、不景気のための地方支出という感じのほうが強く国民に受け取られていると思うのです。なすべき仕事をなすのだという観念よりも、不景気だから公共土木事業でもやってひとつ何とかこの不景気を切り抜けていこう、そうすると、来年の秋かその次くらいには景気は正常は戻るだろう。そういうことを経済雑誌には事実上書いてあるのですね。ですから、どう考えてもその辺の自治省の姿勢というものが私はわからないのです。
  76. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 不景気であろうがなかろうが、なすべきものをなすということは当然でございますので、私たちも来年度の地方債計画あるいは来年度のいまのような財政措置そのものを離れて、環境整備事業に重点を置いて現在の問題解決のために地方債の要求もいたしておるというふうな姿でございますが、しかしながら、いかにやらなければならない仕事がありましても、財政的に制約を受けるということは事実でございますので、財政的な制約なんか考えないでやれ、それが地方公共団体のなにだと言われますが、現実的には、財政的にこれをめんどう見ることがなければ、地方自治体はそれに応ずることができないという姿で、たまたまその財政ワクというものを、国の方策で景気刺激のために財政ワクを越えて借金してでも地方にやっていただく、補助金も出そうという姿でございますので、地方はこれを手伝って、かねがね考えております社会資本充実のために、この際当然やらなければならないものを受けて立ってやることによって国に協力して社会資本の充実をはかっておるという姿で、私は地方にも御理解願いたい、こういうふうに考えております。
  77. 門司亮

    ○門司委員 きょうは大蔵大臣、それからなにも見えておりませんので、私はこれ以上聞きませんが、地方の自治体の要求をしておること、やらなければならないことはよくわかっております。ところが、景気が不景気だからこれを刺激するために公共土木事業をやられるということになると、印象的には、だれが何と言ってもこれは景気刺激のための借金だ。景気刺激のためのいわゆる国の財政政策に対して、地方がやらなければならぬ仕事だからといえばそれまでのものでありますけれども、そのことのために地方の自治体が必要以上に借金をしなければならぬということになると私は思うのです。その辺は少し考えてもらいたいと思うのです。何も防衛庁の費用を一年待ったからといったって、半年待ったからといったって、こんなものはあした戦争があるわけでもあるまいし、戦争しないという日本の憲法を持っているときに、お金が足りなければ、借金しなくても、そこから持ってくればやれるでしょう。しかし、どうも景気刺激のために公共土木事業をやる、それを地方の自治体が受けて喜んでいるようでは——私は自治省としては少し骨のあるところがなければならぬと思うのですがね。ぜひひとつそういう問題はもう少し自治省としてはっきりした態度をとってもらいたい。私はきょう大蔵大臣かあるいは主計局長でもいれば、その辺の大蔵省考え方をもう少し聞いておきたいと思うのですけれども大蔵省からおいでになっておりませんので、それ以上は聞きません。  それであとの問題としては、一つだけ聞いておきたいと思いますことは、御承知のように、この秋の国会は沖繩返還のための国会であります。そうすると、佐藤さんの言うとおりに、四月一日に返ってくる。この間何か党首会談ではむずかしいようなことを言ったそうでありますけれども、いままでそういうことを言われておる。そうすると、来年度の地方財政計画の中には沖繩を見ないわけにはいかぬと私は思うのです。これに対する用意ができておるかどうかということです。どの程度までお考えになっておるか。これはどうせ沖繩国会で聞いてもいいわけでありますけれども、すでに概算要求の締め切りは大体八月で終わっているはずだし、沖繩のめんどうを見るとして、九月一ぱいくらいには何とか始末をしなければならぬ時期だと思いますので、一体どの辺まで沖繩の財政計画というものを織り込んでおいでになるか、それをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  78. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 原則的な現在の状況だけ私から答えさせていただきまして、あとは事務当局から補足させていただきたいと思いますが、先般、御承知のとおり、第三次の沖繩復帰対策要綱を決定いたしまして、大体復帰のための基本的方向というものがまとまったという姿でございますので、いままで出ました一次、二次、三次要綱に基づきまして、いま法令等の整備を進め、来たるべき沖繩国会で御審議賜わりますように準備を進めておるというのが今日までの状態でございます。  そうなりまして、この批准ができ、返ってまいりましたら、来年度の財政は直接国の財政の中の一環として入れなければならないことは、いま門司委員御指摘のとおりでございますので、これにつきましてはいま鋭意その数字あるいは方法等につきまして検討中でございます。  概算要求は八月三十一日を期限としてやりましたが、その分はおそらくあすくらいには発表になると思いますけれども、十一兆何がしの概算要求の中からは各省ともに沖繩に対する概算要求は除いております。金額の積み上げがまだおくれております関係で、大体九月終わりごろに各省ともに沖繩に対する概算要求をするような過程になるのではなかろうかということでございますので、自治省といたしましても係官を、すでに出発しておりますが、現地へ出しまして財政事情その他をいままでも聞いておりますけれども、なお詳細に琉球政府等とも折衝いたしまして、円滑に復帰が実現しますよう万全を期したいというので、最終的な現地調査に行っておる段階でございまして、その結果を待ちまして概算要求を出したい、かように考えておるような状態で、なお、細部につきましては財政局長から答弁いたします。
  79. 鎌田要人

    鎌田説明員 ただいまの大臣の答弁にあまりつけ加えることはないのでございますが、沖繩の特殊な財政需要がかなりございます。経常経費の面におきまして人件費、人間が、警察でも教育でもあるいは一般の職員でも、内地の同等と申しますか、人口なり面積なりあるいは財政力というものを比較いたしまして、同程度の県というものに比べましてかなり規模の大きいところがございます。そういうものがございますと同時に、投資的経費の面におきましては、やはり沖繩を本土並みの水準まで急速に近づける。これは国全体としまして沖繩のすみやかな振興あるいは復興というものをはかってまいるための抜本的な計画が立てられると思いますが、それとの一環におきまして地方負担というものを的確に織り込んでまいる。こういうところが特殊な財政需要として積み込んでいかなければならないところだろうと思います。その辺のところの数字を現在ある程度詰めておりますけれども、なお現地調査の結果を待ちまして早急に積み上げて所要の措置を講じたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  80. 門司亮

    ○門司委員 私が非常に心配しますことは、沖繩の現状は、地方の市町村の財政はかなり苦しいという状態です。それはどういうことかと言いますと、税制の面から見まして、沖繩の現状というのは第一次産業と第三次産業しかないと言っていいくらいです。本土の場合は第二次産業という生産部門をたくさん持っておりますので、わりあいに財政的には同じ類似県としましてもやりいいのでありますけれども、沖繩はそういう実態を持っておらないということ、したがって、税制面からくる税収というようなものはかなり窮屈になっているだろうと思う。そうなってまいりますと、そこに出てくるものがやはり例の交付税の問題とかいうような問題がかなり大幅に考えられることが当然にあろうかと思います。  今度もそういうことを考えての調査団じゃないかと思いますが、この際、私は念頭に置いておいていただきたいと思いますことは、来年の四月一日にかりに返ってくるということになりますと、いま申し上げましたような沖繩の実情の中で一番大きな問題は、かんがいの問題との関連性であります。  これは宮古あるいは八重山、先島を中心としてほとんど農業収入はないと言ったほうがよろしいと思うのです。これは私は現地から持ってきたものを持ってきておりますけれども、一番大きな農業の基礎産業といわれているキビの収入なんというのは、ほとんどないと言ったほうがよろしい。大体キビ畑は全部枯れていると言ったほうが的確だと思う。ここに現物がありますからごらんになってもけっこうですけれども、全く枯れておるもの、伸びておるものでも一節が二センチぐらいしか伸びていない。本来なら二十センチぐらいに伸びていなければならない時期であります。これは向こうから持ってきたものですが、全く枯れてしまっておる。これはまだ芽が出ておりますけれども、節の長さがこれだけしかない。これは上を切って、そしてせめて下の芽の二つ、三つを残して芽の出るようにしておきたいという農民の考え方で、上部を切って根元だけを保存するという、こういう立場をとっております。だから、三つ目、四つ目までの芽は枯れておりまして、これはとても芽の出る気配はない。かろうじて土の中に入っている部分で幾らか芽が出るかどうかというもの。これが本年のキビ作の実態であります。その次のパインの問題にいたしましても、これも農村としては一つの基礎産業ですが、これも大体こぶし大の実しかなっておらないという実情。それからさらに、竹富島等の現状を見てみますと、牛に食べさせる草がない、したがって牛は全くやせておってどうにもならないということ。よけいなことのようでありますけれども現地に行くと、五十ドルでも百ドルでもいいから、買ってくれる人があれば早く持っていってもらいたい、うちに置いておっても食べるものがなくてしまいには死ぬのだろうから、そこまでめんどう見切れないからということで、これは石垣や宮古のような多少大きい島に送られてきておる、したがって、畜産も全くゼロだと言っても差しつかえない。小学校の子供が一握り運動だということで、青い草を一握りずつ学校へ持っていって牛に食べさせておるといっておりますけれども、これでも間に合わない。  こういう実情の中から来年度の沖繩における地方の産業を見てまいりますと、ことに第三次産業にいたしましても、アメリカの兵隊が減るということになると、これもかなり大きな影響があろうと思う。したがって、沖繩の今日までの地方財政、まあ、あそこは国の財政といえないと思いますが、全体の財政の中から最も大きな税源であった二つの部門というものが非常に衰退してくるということになる。農村ではほとんど収入皆無だということになる一そしてここではこれにつられてパイン工場で働いている諸君も、ことしは大体生産が五割減だろうといっておりますので、五割の人間しか必要がない、製糖業はおそらくやれないだろうということになると、ここに働いておる労働者は全部だめだということになってしまう。この実態の中から沖繩の四十七年度の地方財政計画を立てるとすれば、どういう立て方をすればいいか。この実態をひとつ十分見てもらいたい。  かろうじて私どもが何とか本土と違った形で行なわれるのではないかということについては、基地の問題が一つあります。いわゆる基地交付金というものがある。その次に調整金というものが出ております。  基地交付金についての大体の実態調査というようなものは、正確なものはわかりませんが、とにかく地図の上で一応の面積というようなものは出てまいります。ところが、これも現地の実際の状況から見れば、たとえば嘉手納の大きな基地の中にどの村とどの村のものがどれだけあるかというようなことの算定は非常にむずかしいのであります。むろん基地の中に入ってかってに測量するわけにはまいりません。だから、実施段階においても、概略的にこれだけの基地があってこれだけの基地交付金だということがわかっても、町村別に分けようということになると、かなりめんどうな問題が起こる。彼らが占領したときにいさいおかまいなしに、占領中はここからここは基地だということできめたものでありますから、本土の市町村のように町村を対象にして貸借関係あるいは交渉したわけではございませんので、全く一つの基地の中に幾つかの村のものが入っておるというのが現実であります。こういう問題の算定は一体どうなるかということ。  その次に出てくるのが調整金の問題であります。調整金の問題については、いままで私もずいぶんやかましいことを言ってまいりました。防衛庁におまえのほうが所管だからわかるだろうといって聞き、さらに外務省が基地返還の交渉をしているんだから外務省の段階でわかるだろうからということで、外務省のアメリカ局長にもいろいろ話をしてみたが、これもこんりんざいわからない。山中君のところへ、総務長官のところへ、おまえのところは受け持ちだからわかっているだろうと言っても、これもわからないと言う。受けて立つ当面の責任者である自治省はなおわからぬ、こうおっしゃるんだから、いよいよわからぬ。そうすると、そういう沖繩の現実の姿の中の来年度の地方財政計画というものを立てなければならないのは当然であるが、わからないものについて一体どうして財政計画を立てるか。おそらく大臣の答弁は、わからないから暫定予算として一応このくらい見積もっておきましょうということで、あとはその後の実態に即してということになろうかと思いますけれども、それでは私は不見識だと思うのです。やはりある程度の問題がわからなければならない。ことに基地の中にある米ドル資産が一体どれだけあるか、いわゆる調整金の対象になっておる米ドル資産がどれくらいあるかということは、いままでどこを見てもわからない、だれに聞いてもはっきりしたことが言えない。かろうじて六二年でありますか、キャラウェー中将がアメリカの国会で証言したものの中に多少ある。彼は十億五千万ドルというのが大体基地に投資したお金だ、そのほかの役務その他を入れれば十一億八千四百万ドルという証言を彼はしている。それともう一つ、約十億ドルであるという証言をした人が一人いる。それ以外に私どものいままでの調査の中には出てこない。そうすると、六二年からちょうど十年たっておりますので、その間にどのくらいふえているかあるいはどのくらい減額をすればよろしいかというような差し引きの問題等もございましょう。今度石見さんが団長として行って調査するといっておりますけれども一体この問題を調査されるようなことはあるのですか、これはいまの段階では、向こうさんは何と言っても軍の機密だということで教えません。本土でも自治省調査したわけではない。ただ米軍から来たりストを一応防衛庁がもらって、そうしてそれが施設庁に来て、施設庁から自治省に横すべりをしてきているというだけに私はとどまると思う。  だから、こういう問題を考えてまいりますと、来年度の地方財政計画の中の沖繩の問題というのはかなり私は深刻だと思う。こういうものに対して、どの程度の調査とどの程度の数字というようなものがつかまれて、そして一体どの程度概算要求をされるつもりなのか。もしわかるなら、ひとつこの際概略だけでもいいですから、さっきの大臣の答弁で、今月の末まで調べるんだ、いまそのために行っているんだということで、それが帰ってきてからということに私はなろうと思いますけれども、もし心がまえ等があるなら、ひとつこの際はっきりしておいていただきたいと思います。
  81. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 沖繩の基地に関しましての調査は、御指摘のとおり、非常に困難な面がございます。現在私ども、防衛施設庁を通じまして、対象施設の実態の調査をお願いしておるわけでありまして、近いうちに防衛施設庁の調査による資料が私どものところに届けられるということになっております。それに基づきまして、基地交付金なり調整交付金なりの要求をしてまいりたい、かように考えております。
  82. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 沖繩に対する財政、非常に本土と異なった部面がございますので、そういった特殊な問題もできるだけ詳細に検討いたしまして、復帰後の円滑なる行政運営ができますよう措置するように要求をしたいということで、いま苦慮いたしておる。  いま門司先生があげられました第一次産業の農業の問題でございますが、私も宮古、八重山等の市長さんあるいは議員の方々からいろいろ悲惨な状態も聞かしていただきました。抜本策としては、恒久的なかんがい事業対策というものをやらなくちゃならないということは当然でございまして、その意味地方負担というものもその中へ織り込まなければいけないじゃないかというふうな含みの御意見があったように思いますが、これらに対しましては、沖繩振興計画というもので、おそらく法律を立て、各省ごとに国で直轄で行なうとか、あるいは補助事業にいたしましても、相当額の補助金をするというふうな特別な措置を各省ともに所管事業に対して行なわれるんじゃなかろうかと考えております。それによって起きてまいりますところの地方負担は、それらとあわせてぜひとも来年度の予算要求の中に入れられるように、それまでに詰めていきたい、かように考えております。  いまのところ、先ほど財政局長が申しましたように、人件費の問題あるいは社会資本のおくれ等で起きておりますところの本土よりも余分の地方財政計画等につきまして、どの程度の額を積み上げたなればよろしいかということは、これは最大の私たちの要望といたしまして、ぜひとも精査をいたしたいということで、いま現地へ参っておるような状態でございますので、その点できる限りの精密なる資料のもとに概算要求をいたしたい、かように考えておるような次第でございます。  なお、基地関係につきましては、いま御指摘のとおりでございまして、内容、資産等につきましては、いろいろむずがしい点もあろうと思いますが、防衛施設庁等とも連絡いたしまして、最善を期したいと思います。  なお、区画の問題等、どの町村にどれだけのものになるのだという点、非常に不明確になってくるのでなかろうかというふうな御指摘でございましたが、そういうふうなこともあり得ると思います。また、これは私の私見でございますけれども、なにか非細分土地というふうなことばが使われておるのを見ましたが、何でも、基地を借り上げましたときに、実測をいたしまして、実測をいたしたものが帳面に載っております。台帳よりもたいてい、日本でもそうでございますが、なわ延びが出ております。そのなわ延び分はなわ延び分として、実際ある面積でそれらに対する使用料と申しますか土地代を出しておるというふうなことも聞いておりますので、それを各町村が、渡すべき個人がなわ延びでございますからわからぬものですから、一括して町村が受け取っておるというふうなことも聞いたのですが、そういった意味からは、ある程度各町村に対する区画のなに等も知り得るのではなかろうか、こういうような考えを持っておるような次第でございまして、できるだけ詳細を期して概算要求をし、円滑なる返還を期したい、こういうふうに思っております。
  83. 門司亮

    ○門司委員 もう一つだけ最後に聞いておきたいと思いますことは、これは沖特の委員会で十分議論されたことだと思いますが、自治省でぜひ考えてもらいたいことがある。  ドルがこういう問題になってまいりますと、地方の自治体の事業関係というのが非常に行き詰まってまいりまして、御承知のように、あすこは七月が年度ですから、八月でしょう。したがってこの発注をするといたしましても、ドルが不安定である限りにおいては受け手がないということですね。そこで、事業計画に非常に大きな支障を来たしておる。これは各市町村とも実際は弱っておるのです。これは全部市町村といったら市町村ですが、県と市町村しかない。むろん琉球政府もなすべき仕事の処置に困っておるでしょうし、各市町村は予算の執行について非常に迷惑をしている。だからせっかく予算はついたけれども、請負に出そうといったって、一体値段がどうなるか見当がつかないということで、スムーズにいかないのが私は現状だと思う。だから、こういうものに対して自治省は何かいい手はないかといったところで、なかなかいい手も私はなかろうかと思いますけれども、実際はそういうことで、本上の場合なら、四月ですから、八月に事件が起こっても、そういう問題についての多少の目鼻くらいついているかもしれませんが、執行しようといったって全然出せない、受け手もないという、こういう状態現状だと私は思います。したがって、ドルの問題から来る地方の自治体に及ぼす影響というようなものも、ただ単にドルの問題が経済的の、お金の問題だけでなくて、地方の行政の面に非常に大きな支障を来たしておる一面があるということだけは十分私は知っておいていただきたいと思う。同時に、これに対して対策でもあれば、この際聞かしておいていただきたいと思います。
  84. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 そういうふうな事態、当然予測されると思います。直接いま自治省が行政を担当はいたしておりませんけれども地方自治体が本年度の事業等を円滑に実施していただいて、ということは復帰時における私たちの打つべき処置の上に重要なることであろうと思いますので、門司先生御指摘のようなことを、幸いにあす総務長官が現地におもむかれますので、おそらくドル対策のことについて向こうの政府その他にも、これは一般的な問題とあわせて処置されることについての話し合いも起こってくるんじゃないかと思います。その中の一環として、市町村そのものもドル対策によってそういうようなことになるのだという門司先生御指摘のことを、山中総務長官に対して私からもつけ加えて善処願えるように、向こうの手配、そういうものに対する処置等をひとつぜひとも相談してきていただきたいということを申し添えさせていただきたい。いま質問を聞きながらそういうふうに感じましたので、率直に、さっそくそういうような点につきまして、幸い行かれますので、よく御相談願うようにお伝えいたしたいと思います。
  85. 門司亮

    ○門司委員 もう一つだけ聞いておきたいと思います。  大臣のほうからお話のありました土地の問題ですけれども、これも現地はいまのような実態がございます。しかし、帳簿の上と現地は違うのであります。したがって、帳簿の上でここが自分の土地だといっても、現地に連れていってお前の土地はどこだと言えば、さあわからぬ。これは軍がかってに整理をいたしておりますので、原形というものが全くないということです。だから、そういう意味からいえば、地方の自治体の土地の区画の整理だとか、あるいは都市計画整備だとか非常に大きな支障を来たすことは当然であります。だから、これらの問題に対しても自治省は、これは建設省なら建設省の問題といえるかもしれませんが、やはり自治省は関連しないわけにはまいりません。都市計画の問題、区画整理の問題等については、そういう問題もいまから私はほんとうに真剣に自治省中心になって、これらの問題を検討していただきませんと、非常に大きな混乱が起こると思うのです。いままでなわ延びで起ったのは、これは国で取り上げるか、県で取り上げるか、簡単に言えるのであります。しかし、現地に行ってどこがどうだと言われると、だれも——農民の諸君に聞いて実際そうなのですから、図面の上ではここがおれの土地だということははっきりしているけれども現地に行ってみれば、全然様相が変わっているのであって、どこがおれの土地だということは言えません、こう言っている。だから、こういう処置がやはり地方の自治体に全部しわ寄せになって、仕事になってくる。そういうことになっていきますと、いままで類似県云々とされておりますけれども、本土の類似県に似ない必要以上の自治体の財政規模が必要になってくるということが私は言えようかと思います。だから、私は、よく議論をするとすぐ類似県、類似県とこう言われますけれども、類似県と行政上の違いというのが幾つかあるわけであります。  だから、こういう問題をもう少し——幸いあした行かれるというのなら、ひとつ検討してきてもらって、そごのないようにしていただきたいということを要望いたしまして、私の受け持ちの時間が十分ばかり過ぎましたので、この辺で質問を終わらしていただきます。
  86. 大野市郎

  87. 谷口善太郎

    ○谷口委員 先ほど山口君の質問に対する大臣の御答弁の中で、例の四つの問題、そのうち給与改定の分については交付団体、不交付団体を問わず、手当てをしたいというお話だった。ところが、地方税減収落ち込み、それから交付税の落ち込みというこれらの問題については、予算計上額は確保するというふうにおっしゃったけれども、不交付団体にもなさるかどうか、この点をひとつ。
  88. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま山口さんに対する答弁で谷口さんが言われたことは、私が答えたのとちょっと違いますので、もし誤って——私はそう答えたつもりなんですけれども、谷口さんが言われたとおりに答えておったら訂正さしていただきたいと思います。  私が答えましたのは、交付団体に対しましては交付税の増額等で処置さしていただきます、不交付団体は当然自治体でやっていただかなくてはならないのですが、しかしながら、このような状態でございますので、非常にそれが苦しいような、実際不交付団体であっても、税収の増その他を期待しておられた分が非常に落ち込んでおりますので、むずかしいのでなかろうか。そういうふうなのに対しましては、特に起債等の措置も、前のときにもいたしたことがありますが、そういうときには起債等も考えなくてはいけないのでないか、こういうふうにお答えさせていただいたつもりでございますので、その点いまのように、同じようにやるというふうな答えではなかったと思いますので、ひとつ御了承を賜わりたいと思います。  減収補てん債に対しましても同じようにするかどうかということでございますが、減収補てん債に対しましても、いま申しましたような観念で、特に不交付団体といえどもなにしておられるというふうなところに対しましては、ケース・バイ・ケースで御相談さしていただきたいと思います。
  89. 谷口善太郎

    ○谷口委員 それではひとつケース・バイ・ケースで聞いてみます。  聞くところによりますと、これは大蔵省の方も見えていますからわかりますが、東京都に対する事業税、日銀が納める予定額がことしは五十億、すでに第一期分二十五億を納めているということです。これから逆算しますと、日銀の所得は大体四百億前後ということになります。そういう予定だということになります。ところが、この間のニクソン・ドル・ショックによって日銀がドルの買いささえをやった。あの変動相場制に至る二十七日までの間だけでも、政府の言うところでは四十数億ドル買いささえた。これだけを計算しましても日銀の損失は、たとえば五%としましても大体七、八百億円になるということであります。五十億円の事業税を出すとしますと、概算すると大体四百億といま申しましたが、四百億の所得の約倍ほどになるようなそういう損失をしておるわけです。だから、その日銀から出している五十億は、これは出さなくなるし、現に出している二十五億も引き揚げられるというような状況になっている。東京都はそういう苦境におちいっているわけであります。こういう場合はどうしますか。
  90. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 それは日銀の税金は一部でございますので、東京都財政全般を通じて財源措置を必要とすれば御相談に応ずるということになりますので、いまの一つの問題をとらえて、この分に対してこうだというものは私は当然出てこないのじゃないか、かように考えます。
  91. 谷口善太郎

    ○谷口委員 東京都の財政はもちろん非常に大きいです。しかし、五十億円というものがだめになる。全体に及ぼす影響はこれは全く深刻なものがあると思う。しかも取れるはずの事業税が取れなくなる、すでに二十五億円もらっているものを出さなければならぬというような状態になりますと、これは東京都にとっては非常に重大なことになる。  それで、こういう状況になったことの根本原因を考えてみれば、単なる不況とかいう問題でなくて、二十七日に至りますあの期間における日銀のとった態度ですね、これはドルの買いささえをやりまして、むしろドルを思惑するような連中に対して差損の補てんというようなことをやったのだというように国民が言っているわけです。いわば不当なやり方でもって、外国がすでにあの時期には為替相場を閉鎖しているときに、日本の政府、日銀だけがこれをずっと買いささえを続けていって、その中で大商社やあるいは銀行などの差損を補てんするというような政策をとったというので、指弾の的になっている。そういうことから東京都の財政が苦しい状況におちいる。これは一例でありまして、全国的にあのドル・ショックの問題で不況になり、いろいろな点で金融活動が停止するとかあるいは規制されるとか、あるいは製品の価格引き下げが要請されるとかで苦しくなっているということが、地方財政に現在大きな影響を与えておるわけであります。その典型でありますが、特にこういう、いわば国民から非難されるような状況で、政治的な政策でもってやったということで東京都が被害を受けている。これに対して全体を見なければならないことになるのでありまして、それだけに非常にはっきりしているわけです。こういう場合に、やはり政府の政策でこういう結果になったのだから、政府が責任を持つという態度はこの際絶対に必要だと思うのですが、その点どうでしょう。
  92. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 政府の政策によって損失を起こした、そのために事業税が出てこない、だからその分に対しては政府が当然責任をもって考えるべきではないか、こういう御議論ではないかと思いますが、私たちは東京都が地方財政そのものに対して要望がございましたらお話し合いに応じようということでございまして、先ほども申しましたように、個々の問題を通じて、この分に対してこうだというふうなことはおそらく要求もなかろうと思いますし、そういうふうな話し合いはするような考えはいまのところ持っておりません。
  93. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この問題を特にああしろこうしろということは別にしまして、これによってわかるとおり、ドル・ショックの問題がいろんな形で各自治体に影響を及ぼしている。だから、そのことを、いわばケース・バイ・ケースというふうにあなたはおっしゃるから私は言ったわけですけれども、ケース・バイ・ケースということは、東京都の財政全体について東京都から相談があれば応ずるということですね。
  94. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私がケース・バイ・ケースと言ったのは、東京都の個々の問題でなくして——不交付団体は東京もありますし、神奈川もありましょうし、たくさんありましょうから、そのような自治体の財政状態がどのようにして起こったかというようなことを聞かしていただくという意味の各自治体ごとのケース・バイ・ケースというような意味で使わしていただいたのでございまして、そういうふうな必要がございましたならば、東京都とも当然協議に応じなければならない、かように考えます。
  95. 谷口善太郎

    ○谷口委員 その点はわかりました。私もケース・バイ・ケースを、東京都として例をあげたようなそのことを言ったのではないので、これは一例であって、自治体の苦境についての典型を言ったわけですね。だから、東京都の財政状態が苦しいからというようなことで政府に相談をかければ、政府が応ずるとおっしゃるのですから、それでけっこうです。  それでは次に進みます。自治省が四十六年度の地方財政運営通達というのをお出しになっていらっしゃるが、その中で「景気は年度後半に次第に立ち直りをみせる」ということばがあります。もっとも引き続き「一般財源の大幅な伸びを期待することは困難である。」ということばもありますが、同時にまた、八月三十日にお出しになった来年度予算の要求には、交付税自然増が一九・九%だと書いてあります。景気はやはりいいというふうに見ますか。景気の動向についてどう考えますか。
  96. 鎌田要人

    鎌田説明員 景気の動向は非常に悪いと思います。
  97. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私もそうだと思います。だから、もしあなた方がここに書いてあるような考えをまだ持っておられるなら、もっとこさいに聞くつもりでしたが、今度のドル危機の問題ですね、これは私ども非常に容易ならぬ事態だと考えております。単なる普通の、政策上いろんな形態であらわれてくる景気、不景気の変動ではなくて、これは資本主義社会における国際通貨制度の根本的な破綻というような意味を持っておりますから、国際会議の中でどういうふうな解決をやっていくか知りませんけれども、一応の妥結ができましても、もはやIMFのあの体制というものはそうたいした力にはならないということは言えるわけであります。そういう点で、いま日本の企業の落ち込んでいる、したがってまた国民生活の苦しいという問題は容易ならぬ事態にきていると私どもは見るわけです。比較的長期の間は落ち込みあるいは上昇の波は若干あるかもしれませんが、全体としてはもはやそう容易でない事態だというふうに考えなければならぬ。そういうところから見ますと、地方財政の問題は、従来の考え方だけではなく、当面の緊急対策は別としまして、もはや恒久対策としてこの際きちんとした考え方で対処する必要があるというふうに思っているのですが、この点はどうですか。
  98. 鎌田要人

    鎌田説明員 全般的な景気の下降状態の中でこのドル・ショックが起こったわけでございますので、さらにその基本になりまする見方につきましては、これはおのずからまた立場の相違もあろうかと思いますが、少なくとも間違いなしに言えることは、私ども地方財政の運営を預かるものといたしましては、ここ当分異常な景気の低迷という中で財政を運営していかなければならないということははっきりしておると思います。  なお、先ほど御指摘がありました地方財政運営通達、実はこれは四月でございまして、国の景気見通し、毎年予算編成のときに立てておる御案内のものでございますが、これに即応して出したものでありますので、そのような異常な事態というものは予測できなかったということになろうかと思います。  そこで、この地方財政の運営、明年度以降の地方財政対策ということにつきましては、私どももやはりそういった異常な景気の低迷の中で国の財政運営財政政策というものの行くえ毛見届けながら、それとの関連におきまして対策考えなければならないと思う次第でございますが、遺憾ながら現在あまりにも流動的でございまして、現在の段階におきましてこれでいくのだという抜本的な対策を立てるところまでは、まだ私ども検討は及んでおらないというのが実情でございます。
  99. 谷口善太郎

    ○谷口委員 共産党として提案したいと思います。抜本的に恒久対策という意味でなく、少なくとも当面こういうことをやるべきじゃないかという意見を持っております。  それは第一に、交付税率の引き上げであります。これは地方自治体の非常なる要求であります。少なくとも四〇%くらいに引き上げる必要があるだろう。現在の三二%というのは実は四十一年ですか、あのころに上げまして、それから以後これと見合っていろいろな新しい施策の要求が出ております。しかし、新しい施策は出たけれども、税率は一様でありますから、総額では変わらない。もちろんインフレーションがありますから、額の上では若干の上昇がありましたけれども、率は少しも変わらない。こういうふうな状況になってきますと、やはり国との関係交付税率を引き上げるということによって地方自治体の財源をもっとしっかりしたものにする、こういう態度をとるべきだというのが第一点であります。  それから第二点は、現在の地方税——市町村、府県ありますが、大きな税金としましては府県及び市町村の住民税、それから府県の問題では事業税、市町村の問題では固定資産税があります。少なくともこの大きな税金の相当部分、私ども考えによりますと、大体個人でいえば四人家族で所得百四十万円から五十万円以下は免税にすると同時に、それ以上は高率累進の制度を入れるべきだという考えを持っております。そういうことによって地方財政を安定したものにしていく必要があるのじゃないだろうか。これが第二点であります。  第三の問題としましては、地方債の問題でありますけれども、これは先ほどもいろいろ話が出ておりまして、実は大臣のおっしゃったことから話を進めようと思ったのですが、時間がありませんから、私のほうのことだけ言いますが、これはやはり全額財政投融資の金からまかなうというやり方、したがって利子はうんと安くする、ある場合には補給するというような態度をとるべきだと思うのであります。  それからこれも問題になりましたが、「当分の間」というあの条項は取るべきだ。むしろ地方財政上の非常に重要な部分を持っております地方債の問題はやはり地方の自主性を重んじてやるべきである。したがって、地方の自主性で地方が要求するものは全部やらせるという態度をとるべきだということであります。そこで、自治大臣渡海さんはりっぱな人だからそういうことはやらぬと思うけれども、自治大臣が権限を持っておりますと、さっきのことばの中にも片りんがあるので、弱小県に対しては固有財源がないからそこらはいろいろ心配しなければならないというようなことをおっしゃったけれども、あれはことばはよろしいですけれども、そういうように選別して、ここへひとつ力を入れてやろう、ここは力を入れてやらないという、そういう選別する権限を大臣が持っていること自体が、国の地方に対する支配を強めていく一つの条件になるということでありますので、そういうことで当然あの条項は取って、地方自治体がみずから必要とする起債を行なう場合に、国としては責任上これに対して低利な、財政投融資などのように裏打ちをしていくという態度をとる必要があるのじゃないか、こうやって当面非常に展望される不況に対して地方団体の安定をはかるということをやるべきだというのが私ども考え方であります。  もちろん交付税の交付につきましても、現在の自治省がかってに配分をきめたり、あるいは基準財政需要額検討を加えたりすることではなく、やはり民主的な委員会——財政委員会とでも申しましょうか、そういうものをつくってやるべきである。自治省というものができる前にはそういうものがあったのです。だから、もっと地方団体の代表も加えた委員会をつくって、それでもってそこらの問題を自主的にきめていくというやり方をやる必要があるというように考えております。御所見を伺います。
  100. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 地方財政の問題につきまして抜本的に安定策を考えなければならぬ、三点のことをあげられまして要望がございました。私は御意見として拝聴させていただきたい、かように考えます。  交付税率の引き上げ、当然来年度の財政等をながめましてそういうことも議論の対象として考えなくてはならないときに来ておるのではないかと思いますが、いま申しましたように、四〇%に引き上げるべきだというような点につきましては、交付税そのものの制度のあり方ということにつきましても触れる点もあろうかと思いますので、いま直ちに賛成しかねるのでございます。  地方税のあり方につきましてできるだけ課税最低限を引き上げろということでございましたが、そのことに対しましては努力を続けたいと思います。  なお、累進の制度を取り入れろということでございましたが、個々のものにつきましてはある程度の税率の区分というものを認めておるとおりでございますが、本来地方税というものは負担、分担の姿で出ておりまして、所得税のように所得の配分というふうな性格と違う点も考慮いたしまして、御意見として聞かしていただきますが、直ちにそのとおりにせよということに対しましては、いま申しましたような地方税の性格上賛同しがたい点もあるので、御了承賜わりたいと思います。  前に山口委員にもお答えさせていただきましたが、地方債は資金の良質な部分を弱小町村のために確保する、そのこと自身が自治省の自治体に対する支配というような姿があらわれるのではないか、御指摘のとおりであろうと思いますが、これはそういうふうな意味ではなくして、実際において能力のあるところだけが起債ができるという姿でなく、限られた財源のものでございますから、いまのような措置で調整を加えていくということは、私はあり得ることであろうと思いますので、「当分の間」という文字はいま直ちに廃止しようということは考えておりませんので、御了承賜わりたいと存じます。
  101. 谷口善太郎

    ○谷口委員 一々私ども考えを申し上げたいと思うのですが、時間がもうないのですから一、二点だけ申しますが、事業税ですね。ある程度高率累進の制度があるというふうにおっしゃっているけれども、三百万円以上になると一率なんですね。これは法人の場合、三百万円の所得というようなことは、あなた、話になりません。ばく大なものがあるのですね。さっきの日銀の例でいえば、一年間に四百億も五百億もあるというようなことですね。所得三百万円というのとそういう企業と同じ、こういう不合理はやはり直していく必要があると私どもは思うのです。この点はどうかという考え方は私はもう少し追及したいと思うのです。どうでしょう。これはこういう例を見ても非常に不合理だということです。
  102. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 御承知のように、事業税は、事業がその活動を行ないますために地方公共団体との間においてその公共施設の利用その他の行政サービスを受けておるといろ関係から、これに要する経費を分担してもらう、こういう考え方で課税する税でございます。したがいまして、事業税としましては、本来は事業の活動分量に応じて負担をするという考え方をとるべきものであるというふうに考えておりますが、納税者の担税力に応じまして、総合的に納税者の担税力を判断して課税するいわゆる人税としての所得課税というものとはその税の性格を異にしておるというふうに私ども考えております。したがいまして、事業税につきまして累進税率をとっていくということにつきましては適当ではないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  103. 谷口善太郎

    ○谷口委員 その考え方を破る必要がある。あなた方きょうの場合おっしゃらなかったけれども、応益の原則とかなんとか言っておるのだそうですね。こういう考え方は打ち破る必要があると思いますよ。こんな古い考え方は打ち破って、あなた方のことばでいえば応能ですか、能力に相応していくというやり方をとるべきだ。第一、応益の原則、それを言うなら、あなた、大企業の持っておるそこの市なり農村なりの利用度は実に大きいです。それに相応するやり方をやるという方向をとらなければ——税制の民主化という点からいったら、やはり高率累進の制度をとるということは大事だと私どもは思うのです。ここらは渡海さん、あなたはたいへん能力のある方ですが、せっかく自治大臣になられたんだから、地方財政の根本的な改革としてこういう問題にせっかくの能力をそれこそ生かしてもらうということに立ち向かってほしいと私は思う。あなたはさっき交付税の場合、それは上げるということも必要かもしれぬ、検討しなければならぬことかもしれぬというふうにおっしゃったから、そこらも踏まえて、私が四〇%と言ったのはそういう限界を言ったんですが、この問題につきましても、税率の引き上げであるとかいうようなことを含めて基本的にひとつ対処していただきたい、こういうように思います。  どうもありがとうございました。
  104. 大野市郎

    大野委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十九分散会      ————◇—————