○門司
委員 私が非常に
心配しますことは、沖繩の
現状は、
地方の市町村の
財政はかなり苦しいという
状態です。それはどういうことかと言いますと、税制の面から見まして、沖繩の
現状というのは第一次産業と第三次産業しかないと言っていいくらいです。本土の場合は第二次産業という生産部門をたくさん持っておりますので、わりあいに
財政的には同じ類似県としましてもやりいいのでありますけれ
ども、沖繩はそういう実態を持っておらないということ、したがって、税制面からくる税収というようなものはかなり窮屈になっているだろうと思う。そうなってまいりますと、そこに出てくるものがやはり例の
交付税の問題とかいうような問題がかなり大幅に
考えられることが当然にあろうかと思います。
今度もそういうことを
考えての
調査団じゃないかと思いますが、この際、私は念頭に置いておいていただきたいと思いますことは、来年の四月一日にかりに返ってくるということになりますと、いま申し上げましたような沖繩の
実情の中で一番大きな問題は、かんがいの問題との関連性であります。
これは宮古あるいは八重山、先島を
中心としてほとんど農業収入はないと言ったほうがよろしいと思うのです。これは私は
現地から持ってきたものを持ってきておりますけれ
ども、一番大きな農業の基礎産業といわれているキビの収入なんというのは、ほとんどないと言ったほうがよろしい。大体キビ畑は全部枯れていると言ったほうが的確だと思う。ここに現物がありますからごらんになってもけっこうですけれ
ども、全く枯れておるもの、伸びておるものでも一節が二センチぐらいしか伸びていない。本来なら二十センチぐらいに伸びていなければならない時期であります。これは向こうから持ってきたものですが、全く枯れてしまっておる。これはまだ芽が出ておりますけれ
ども、節の長さがこれだけしかない。これは上を切って、そしてせめて下の芽の二つ、三つを残して芽の出るようにしておきたいという農民の
考え方で、上部を切って根元だけを保存するという、こういう立場をとっております。だから、三つ目、四つ目までの芽は枯れておりまして、これはとても芽の出る気配はない。かろうじて土の中に入っている部分で幾らか芽が出るかどうかというもの。これが本年のキビ作の実態であります。その次のパインの問題にいたしましても、これも農村としては
一つの基礎産業ですが、これも大体こぶし大の実しかなっておらないという
実情。それからさらに、竹富島等の
現状を見てみますと、牛に食べさせる草がない、したがって牛は全くやせておってどうにもならないということ。よけいなことのようでありますけれ
ども、
現地に行くと、五十ドルでも百ドルでもいいから、買ってくれる人があれば早く持っていってもらいたい、うちに置いておっても食べるものがなくてしまいには死ぬのだろうから、そこまでめんどう見切れないからということで、これは石垣や宮古のような多少大きい島に送られてきておる、したがって、畜産も全くゼロだと言っても差しつかえない。小学校の子供が一握り運動だということで、青い草を一握りずつ学校へ持っていって牛に食べさせておるといっておりますけれ
ども、これでも間に合わない。
こういう
実情の中から来年度の沖繩における
地方の産業を見てまいりますと、ことに第三次産業にいたしましても、アメリカの兵隊が減るということになると、これもかなり大きな影響があろうと思う。したがって、沖繩の今日までの
地方の
財政、まあ、あそこは国の
財政といえないと思いますが、全体の
財政の中から最も大きな税源であった二つの部門というものが非常に衰退してくるということになる。農村ではほとんど収入皆無だということになる一そしてここではこれにつられてパイン工場で働いている諸君も、ことしは大体生産が五割減だろうといっておりますので、五割の人間しか必要がない、製糖業はおそらくやれないだろうということになると、ここに働いておる労働者は全部だめだということになってしまう。この実態の中から沖繩の四十七年度の
地方財政計画を立てるとすれば、どういう立て方をすればいいか。この実態をひとつ十分見てもらいたい。
かろうじて私
どもが何とか本土と違った形で行なわれるのではないかということについては、基地の問題が
一つあります。いわゆる基地交付金というものがある。その次に調整金というものが出ております。
基地交付金についての大体の実態
調査というようなものは、正確なものはわかりませんが、とにかく地図の上で一応の面積というようなものは出てまいります。ところが、これも
現地の実際の
状況から見れば、たとえば嘉手納の大きな基地の中にどの村とどの村のものがどれだけあるかというようなことの算定は非常にむずかしいのであります。むろん基地の中に入ってかってに測量するわけにはまいりません。だから、
実施の
段階においても、概略的にこれだけの基地があってこれだけの基地交付金だということがわかっても、町村別に分けようということになると、かなりめんどうな問題が起こる。彼らが占領したときにいさいおかまいなしに、占領中はここからここは基地だということできめたものでありますから、本土の市町村のように町村を対象にして貸借
関係あるいは交渉したわけではございませんので、全く
一つの基地の中に幾つかの村のものが入っておるというのが現実であります。こういう問題の算定は
一体どうなるかということ。
その次に出てくるのが調整金の問題であります。調整金の問題については、いままで私もずいぶんやかましいことを言ってまいりました。防衛庁におまえのほうが所管だからわかるだろうといって聞き、さらに外務省が基地返還の交渉をしているんだから外務省の
段階でわかるだろうからということで、外務省のアメリカ局長にもいろいろ話をしてみたが、これもこんりんざいわからない。山中君のところへ、総務長官のところへ、おまえのところは受け持ちだからわかっているだろうと言っても、これもわからないと言う。受けて立つ当面の責任者である
自治省はなおわからぬ、こうおっしゃるんだから、いよいよわからぬ。そうすると、そういう沖繩の現実の姿の中の来年度の
地方財政計画というものを立てなければならないのは当然であるが、わからないものについて
一体どうして
財政計画を立てるか。おそらく大臣の答弁は、わからないから暫定予算として一応このくらい見積もっておきましょうということで、あとはその後の実態に即してということになろうかと思いますけれ
ども、それでは私は不見識だと思うのです。やはりある程度の問題がわからなければならない。ことに基地の中にある米ドル資産が
一体どれだけあるか、いわゆる調整金の対象になっておる米ドル資産がどれくらいあるかということは、いままでどこを見てもわからない、だれに聞いてもはっきりしたことが言えない。かろうじて六二年でありますか、キャラウェー中将がアメリカの
国会で証言したものの中に多少ある。彼は十億五千万ドルというのが大体基地に投資したお金だ、そのほかの役務その他を入れれば十一億八千四百万ドルという証言を彼はしている。それともう
一つ、約十億ドルであるという証言をした人が一人いる。それ以外に私
どものいままでの
調査の中には出てこない。そうすると、六二年からちょうど十年たっておりますので、その間にどのくらいふえているかあるいはどのくらい減額をすればよろしいかというような差し引きの問題等もございましょう。今度石見さんが団長として行って
調査するといっておりますけれ
ども、
一体この問題を
調査されるようなことはあるのですか、これはいまの
段階では、向こうさんは何と言っても軍の機密だということで教えません。本土でも
自治省が
調査したわけではない。ただ米軍から来たりストを一応防衛庁がもらって、そうしてそれが施設庁に来て、施設庁から
自治省に横すべりをしてきているというだけに私はとどまると思う。
だから、こういう問題を
考えてまいりますと、来年度の
地方財政計画の中の沖繩の問題というのはかなり私は深刻だと思う。こういうものに対して、どの程度の
調査とどの程度の数字というようなものがつかまれて、そして
一体どの程度概算要求をされるつもりなのか。もしわかるなら、ひとつこの際概略だけでもいいですから、さっきの大臣の答弁で、今月の末まで調べるんだ、いまそのために行っているんだということで、それが帰ってきてからということに私はなろうと思いますけれ
ども、もし心がまえ等があるなら、ひとつこの際はっきりしておいていただきたいと思います。