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1971-09-03 第66回国会 衆議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月三日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 小沢 辰男君 理事 澁谷 直藏君    理事 谷垣 專一君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君       秋田 大助君    有馬 元治君       井出一太郎君    大橋 武夫君       梶山 静六君    小金 義照君       斉藤滋与史君    橋本龍太郎君       勝澤 芳雄君    川俣健二郎君       小林  進君    後藤 俊男君       島本 虎三君    山本 政弘君       古川 雅司君    渡部 通子君       寒川 喜一君    土橋 一吉君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         労 働 大 臣 原 健三郎君  委員外出席者         警察庁警備局参         事官      斉藤 一郎君         環境庁大気保全         局企画課長   竹内 嘉巳君         環境庁水質保全         局企画課長   河野 義男君         法務省人権擁護         局調査課長   井手 昭正君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省社会局長 加藤 威二君         労働省労政局長 石黒 拓爾君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君         労働省職業安定         局長      住  榮作君         建設省計画局建         設業課長    吉田 公二君         消防庁防災管理         官       古郡 良秀君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     真鍋  洋君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 委員の異動 九月三日  辞任         補欠選任   八木  昇君     勝澤 芳雄君   寺前  巖君     土橋 一吉君 同日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     八木  昇君   土橋 一吉君     寺前  巖君     ————————————— 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件(日本国有鉄道  における労働問題等)  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤俊男君。
  3. 後藤俊男

    後藤委員 きょうは、国鉄労働組合なり、さらに動力車労働組合の最近における不当労働行為の問題について、順次具体的に話を申し上げながら国鉄の見解をお尋ねいたしたい、こう考えておるわけですが、入る前に、国鉄磯崎総裁出席を強く要求しておったわけでございますが、どうして磯崎総裁出席できないのか、その点の御説明をいただきたいと思います。
  4. 山田明吉

    山田説明員 実はちょうど来年度予算の編成期に入りましていろいろな問題をかかえておりますわけでございます。特に国鉄財政状態が非常に悪くなっておりますので、いろいろな施策をやらなければいけないのでございますが、それにつきまして地方機関の長を呼びましていろいろな意見を聞くことをやっておりますが、たまたまきょうそれに当たりまして、私が残るよりも総裁——実は部内的な仕事ではございますけれども、そちらのほうにとられまして、それで私がかわってこちらへ伺った次第でございます。
  5. 後藤俊男

    後藤委員 いま山田総裁から話がありましたけれども、この前要求したときも総裁出席がなかった。さらにまた、今回もいま話がありましたようなことで出席できない。こういうことでは、われわれといたしましても非常に残念でございますし、特に副総裁承知のように、現在国鉄職場において多くの問題が発生しておるわけなんです。それは、総裁ともあろう者がきょうはひまで遊んでおるわいという日はないと思います。日曜でない限り何かの仕事はあると思うのです。きょうはこういう仕事があるから出席できない、きょうはこういう仕事があるから出席できない、そういう考え方に立つならば、いつになりましても国会出席ということはあり得ない、理屈の上からこういうことも言えるわけでございます。きょうのところは山田総裁総裁にかわって答弁をしていただく、今後は、総裁出席要求をいたしました場合にはぜひひとつ出席をしてもらう、これを冒頭強く要請をいたしておきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、国鉄のほとんど全国的な職場においていろいろな問題が起きておりますことは、副総裁も十分御承知だと思います。さらに最近暴力事件が非常にふえておる。さらに警察官の逮捕公安官逮捕、こういうところまで進んでおる暴力事件がたくさんあることも十分御承知だと思います。  そこで私は最初にお尋ねいたしたいのは、ことしの春闘におきまして、国労なり動労においてはかなり長期間にわたって春闘が行なわれた。その一番最後の幕引きにおいて、副総裁国労なり動労責任者と、いわゆるマル生運動を通じて不当労働行為は一切行なわない、今後はそういうことをやりません、こういう紳士的な約束ができておるというふうに私は承っておるわけでございますけれども、その点いかがでございますか。
  6. 山田明吉

    山田説明員 いまお話がございましたように、ことしの春闘は、残念ながら国鉄始まって以来という規模でいわゆる違法なストが行なわれまして、これ自体につきましてもわれわれ非常に残念に思っておるわけでございますが、そのストが行なわれている間、私自身も組合執行部とはパイプを通じて話をしていたことも事実でございます。私どもは初めから違法なストは認めるわけにいかないということで、当時一刻も早くそういう違法状態を解消するように再三説得をいたしておったわけでありますが、そのいわゆる話し合いの中においていろいろな話題が出たことも事実でございます。  それで先生がおっしゃいましたマル生運動云々につきましては、これはその際も、それからその以前のたしか国会の場におきましても、私たびたびはっきり申しておりますことは、マル生運動というのは、国鉄破産状態であるという経営状態認識の問題であり、その認識の上に立って国鉄再建をどうすべきかということを、個々国鉄に職を奉ずる職員が自分の責任でどうあるべきかを考え哲学である、それがマル生運動、いわゆる生産性向上という名前で表現されている一つ哲学であるというふうに申しております。したがいまして労働問題とは別個のものであるというふうに私ども割り切っております。したがいまして、春闘のときにおきましてもマル生運動を含めていろいろな話題が出たことも事実でございまして、その結論を別に協定めいたものにはいたしておりませんけれども労使関係がぎくしゃくすることは国鉄にとってもきわめて望ましくないことであるという点は、中川委員長もこれは同感でございました。その点で私どもも、マル生運動とは別個の問題としてでも、労使問題の正常化については、当局としても従来、それから今後とも正常化には努力するつもりであるというようなことは申した事実はございます。
  7. 後藤俊男

    後藤委員 いま副総裁の言われましたそのマル生運動がどういうものであるかということを別に私はお尋ねをしたわけではなしに、春闘の一番最終幕引きにおいて先ほど私が言ったようなことが話題になりまして、そのことはお互いに確認し合ったのではないか、このことをお尋ねをしたわけでございます。そのことを含めていまの返答で、そういう話も十分しました、こういうことだと私は受け取って話を進めたいと思います。  そこで具体的な問題から始めますけれども、いま国鉄におきまして功労章表彰というのがあります。功労章ですね。三十年の永年勤続表彰ではなしに、功労章表彰があるわけでございますけれども、これはどういう人に対して表彰をされるのか。時間があまりありませんので、簡潔でけっこうでございますが御説明いただきたいと思います。
  8. 山田明吉

    山田説明員 ただいまお話がございました永年勤続に対する表彰制度は従来ございました。これは非常に歴史が長うございまして、端的に申しますと、長年つとめたというだけではございません。もちろんその操行、成績がよくなければという前提はございますけれども、いわば勤続に対する表彰制度でございました。しかし、最近のいろいろ目まぐるしい国鉄のこういう内部的な状態のもとにおきまして、そういう単一の表彰制度では足りないのではないかということで設けたのが功労章制度でございます。
  9. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、その功労章表彰制度ですね、これは組合との関係につきましては私はきょうは触れませんけれども、たとえば、現在国鉄職場の中には国労もあれば動労もあれば、さらに鉄労でございますか、いろいろな組合があるわけでございますけれども、どこの組合所属しておるかということも功労章表彰一つ考え方の中に入るのかどうか。たとえば、おまえは成績は非常にいいけれども国鉄労働組合所属しておるから、功労章をやりたいけれどもやれぬのだ、おまえは少々成績が悪いけれども鉄労におるから表彰してやろう、あるいは動労におるからどうだ、こういうふうに組合所属によってそういうような考え方功労章表彰の中の考え方に入っておるのかどうか、この点お尋ねします。
  10. 山田明吉

    山田説明員 組合所属によって差別することは考えておりません。
  11. 後藤俊男

    後藤委員 いま山田総裁組合差別によってそういうことを考えておらない、こう言われますけれども、それならひとつここで具体的に問題を提起いたしますけれども静岡鉄道局関係で、たとえば沼津機関区で申しますと、昭和四十六年の七月の十五日に功労章表彰があったわけですね。そのときの所属組合員数を参考までに申しますと、動力車労働組合が百六十六名、国労が五百九十四名、鉄労が三十五名。この沼津機関区において三名の功労章表彰が行なわれておるわけです。ところがこの人数で考えてみましても、三名あるものなら、大体動力車所属しようと国労所属しようと鉄労所属しようと、いま山田総裁が申されたような考え方によって表彰されるならば、だれが見たってなるほどそうだと常識的に考えられる表彰が行なわれるわけでございますけれども、その実績というのは、沼津機関区におきましては、功労章三名が全部鉄労から表彰者が出ておるわけなんです。いま申し上げました動労が百六十六、国労が五百九十四、これが全部ゼロ、全部成績が悪い。鉄労が三十五名の中から三名の功労章表彰が出ておる。これが四十六年の七月十五日の実績なんです。さらにまた静岡運転所で申しますと、動力車が四百四十七名おるわけです。国労が四百七十名、鉄労が七十九名、この中でもやはり功労章の三名の表彰が行なわれておるわけです。ところが動力車国労所属組合員は全部ゼロ、鉄労関係だけが三名、これが実績なんです。それから、さらに今度は浜松機関区のことを申しましょう。浜松機関区におきましては、動力車労働組合組合員が四百二十名、国労が二百四十八名、鉄労が九十七名です。この浜松機関区におきましても功労章表彰が三名ですけれども、これが全部動労国労はゼロ、鉄労が三名です。それからさらに富士電車区で申しますと、動力車が五十三名、国労が六十五名、鉄労が二十名、ここは職場も小そうございますから一名の表彰ですが、これも鉄労動力車国労はゼロ、これが実績なんです。これはまだまだあるわけですが全部いま申しましたようで、二俣機関区にいたしましても豊橋機関区にしましても、あるいは中部天竜機関区、伊那松島機関区にいたしましても、静岡局管内を全部集計いたしますと、いま申しましたようなことの集計になるわけなんです。  それじゃ、山田総裁組合所属云々によってどうこうということはないというふうな話があったわけでございますけれども、いま言ったように沼津にしても静岡にしても浜松にしても富士にしても、大多数の職員動労国労におるわけです。それらが全部成績が悪い、功労章表彰に達せず、残りの鉄労傘下のわずか数十名の中から全部表彰をしておる。はからずもそうなったということなら、一カ所くらいはそういう場所があってもそれは考えられぬことはございませんけれども静岡管内が全部そういうかっこうでやられておるわけなんです。この実績を踏まえて、山田総裁としてはどうお考えになりますか。
  12. 山田明吉

    山田説明員 功労章表彰地方機関長にまかせておりますので、一々個々の人選を本社がやっておりませんが、いま結果的にたまたま鉄労職員表彰を受けているという実績を申されましたが、私ども先ほど申しましたように所属組合によって差別をつける考えは全然いたしておりません。これは本社もそのとおりでございますし、地方もそのとおりでございます。それで、国労動労にも優秀な職員はいると思いますが、それ以上に優秀な職員がたまたま鉄労所属していたということでそういう結果になったんであろうと思います。
  13. 後藤俊男

    後藤委員 山田総裁、たまたまそうなったということなら、これは静岡鉄道局管内職場によって——全部私は資料を持っておるわけなんです。その中で一カ所か二カ所、そういうふうに結果的になったんだという話ならわかるわけなんです。それをとやかく言うつもりはないのです。すみからすみまで、静岡鉄道管理局功労章表彰というたら、もう国労やら動労におったら一切あきませんよ。あなたは成績は非常に優秀だけれども、残念ながら国労におるので表彰できません、動労におるので表彰できません。あなたは少々成績が悪いけれども、幸い鉄労におってくれるので表彰しましょう、こういうことで、先ほど言うた沼津から、静岡から、浜松から、富士から、二俣から、豊橋から、中部天竜から、伊那松島から、これは実績が全部そうなっておるのですよ。全部がそうなっておることを、たまたまそうなったんだということが言えますか。十のうち十までがそうなっておる。たまたま結果的にそうなったんですというようなことは、これは詭弁にすぎぬわけなんです。なぜ一体こうなっておるか。なぜ一体こういうふうな表彰が行なわれておるか。このことによって国鉄職場がどれくらい暗くなっておるかということをあなたは考えたことがありますか。たまたまそうなったということでは、この話は通りませんよ。十のうち一つか二つそうなったということなら、これはだれだって考えられぬことはないわけですけれども、十のうち十まで全部そうしておいて、たまたまそうなったんです、そんな話が一体どこにあります。あなたも、おそらく静岡功労章問題については知らぬということはない、よく御存じだと思うのです。なぜ一体、局長なり現場長あたりがこういうことをやっておるのか、その点についていかがですか。
  14. 山田明吉

    山田説明員 繰り返すようでございますけれども、その所属組合によって差別をつける指導はいたしておりません。したがいまして、全国的に大体三千人くらい、毎年功労章をやる一応のワクを考えておりますが、その表彰を受けた者がどういう所属になっておるかというようなことは統計もとっておらない、お話しいたせばそういうことで、案分とかなんとかいうような方法はもちろんとっておりませんし 所属組合によってやるということは、重ねて申しますが、いたしておりません。鉄労がたまたまと申し上げましたが、功労章の趣旨からいいまして、中堅の指導者層が大体選考の候補にあがってきていると思われますが、そこの標準と申しますか、選考範囲で結果的にそうなったんだと申し上げる以外には、私ども別意図があるわけではございません。
  15. 後藤俊男

    後藤委員 それじゃあ山田総裁、別に何の意図もなしに各機関区が全部結果的にそうなったんだとおっしゃるのですか。組合所属とかそういうことは全く考えずに、功労章制度に基づいて表彰される、それは何の意図もなしにやりました。ところが結果的にこういうふうになって、どこの機関区、どこの電車区も、八割から九割占めておる動労国労からは一人も表彰者なし、わずか一割か二割の鉄労から表彰者が全部出ておる。これは静岡とか浜松とか一部だけではなしに、静岡管内が全部そうだと言っても私は間違いないと思うのですよ。あなたの言われることは常識的に通りませんよ、そんなことを言ったところで。そんな話が一体どこにあります。たまたまそうなったんだということだが、たまたまそうなったような客観情勢があるなら、私もあえてとやかく言うつもりはないわけです。  それでは、その問題はそういうことにしておきまして、これは業務機関を一々説明いたしておりますと時間を食いますから説明しませんけれども、少なくとも静岡鉄道局管内における各機関区なり電車区、これの功労章表彰実績だけ見ましても、先ほど言いましたように八割、九割の動労国労は一切なし、功労章は全部鉄労。さらにまた、その表彰当時は国労動労でありましても、表彰を受けてしばらくすると脱退をして鉄労に行く。動労国労を先に脱退して表彰を受けておられる人もあるし、表彰を受けてから脱退をして鉄労に行かれる人もある。この背後というのは非常に問題があるわけなんです。だから、功労章の問題についてはこういう実績があるということを私はここではっきりいたしておきます。  その次に、抜てき昇給の問題があるわけです。この抜てき昇給というのはどういう考え方でおやりになっておるのか、これをお尋ねします。簡潔でけっこうです。
  16. 真鍋洋

    真鍋説明員 抜てき昇給でございますが、それぞれ機関長は人事考課をいたしておるわけでございますけれども、一年間の勤務成績を見ました中で特に優秀であるというふうな評価をいたしました者を現場長がそれぞれ上部機関に上申をいたしまして、それで抜てき昇給の数をきめております。
  17. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いま話がありました方法でやられたと思うのですが、それでは浜松機関区の抜てき昇給実績御存じですか。
  18. 真鍋洋

    真鍋説明員 抜てき昇給は各管理局でまとめておりますけれども、それを本社でとりまして個々に審査、審議いたしておるわけでございませんので、その統計は現在持ち合わせておりません。
  19. 後藤俊男

    後藤委員 この抜てき昇給についても、私は静岡局管内の各業務機関実績を全部持っております。これを全部調べてみたわけなんです。これは一々は申しませんけれども、たとえば浜松機関区で、昭和四十六年八月一日に抜てき昇給が行なわれておると思うのです。これにつきましても、先ほど申し上げましたように、職場の中における構成人員から考えてみても、当然常識的に考え——人員構成比によってそのとおり案分されるとは私は言いませんけれども、だれが考えてもなるほどそうだという抜てき昇給を実施するのなら話はわかるわけでございますが、これはほとんどが鉄労なんです。私は何も鉄道労働組合がいい悪いと言っておるわけじゃないのですよ。さきに申し上げましたところの功労章にしても全部鉄労抜てき昇給にしても全部鉄道労働組合所属組合員山田総裁、あなたはこれらをお考えになって、これで現場で適切にうまくやっておる、公平にやっておるとお考えになりますか。これは一々説明してもいいわけでございますけれども、一々説明申しません。  さらに、次の問題をもう一つ申し上げますと、運転関係助役試験があるわけです。この実績を見ましても、ほとんど全部が鉄労所属組合員でないと合格しておらぬわけなんです。国鉄労働組合なり動力車労働組合所属の人は、何ぼ試験を受けましても合格をしておらぬ。しかも現場長なり助役あたり家庭訪問をして、おまえ、助役試験を受けるんなら、国労あるいは動労脱退をしなさい、それを脱退しない以上は何ぼ試験を受けても合格しませんよ。これを昼夜を問わずやっておるわけなんです。そのことはあとの話にするといたしまして、この助役試験の問題にしても、ここに私はこの実績を持っておるわけでございますけれども、ほとんど全部が鉄労ばっかりです。ほとんど鉄労。そうなりますと、先ほどから言いましたように、功労章表彰にしましても、抜てき昇給にしましても、助役試験にしても、動力車労働組合所属なり国鉄労働組合所属組合員は全部ゼロ、こういう実績が出ておるわけなんです。これもはからずも、たまたま結果的にそうなったのだと山田総裁おっしゃるのですか。その点お尋ねします。
  20. 山田明吉

    山田説明員 先ほどから申し上げておりますように、所属組合がどうかということによっての差別は一切いたしておりません。それでむしろ——先生のおことばをお返しするようでございますけれども組合員の数がこれくらいあるから、これは案分とまでいかなくても云々とおっしゃいました。私ども、そういう案分という、つまり組合員の数がどうあるということすら毛頭頭になく、一視同然に見て、その中で昇給なり表彰をいたしているわけでございます。
  21. 後藤俊男

    後藤委員 それじゃ山田総裁、あなたは現場のほうの現場長なり管理者がやっておることを全然知らぬわけなんですよ。いまの話を聞いてみますと、功労章にしても、抜てき昇給にしても、助役試験にしても、組都所属どうこうとか、そんなことは毛頭考えずにきれいな気持ちで公平無私にやっております、そんなことをあなたおっしゃるならば、たとえば静岡鉄道局管内の各業務機関運転所長機関区長電車区長、これは全然あなたと考え方が違っておりますよ。いま私がその実績説明いたしましたのは、たとえば功労章表彰にしても、一人もないとは一体どういうことなんですか。片方で八百も九百もおり、片方に三十人か四十人しかおらぬ組合員の中から三名全部が表彰される。抜てき昇給にしても非常に微々たるものだと思いますけれども、これが全部、鉄労所属組合員でないことには抜てき昇給が行なわれておらぬ。さらには運転関係助役試験にいたしましても、おまえそんなこと言うなら一々言ってみよとおっしゃるなら、私はここに実績表があるからいつでも説明はいたしますけれども動労国労所属の人は、助役試験を受ける前からオミットされておるわけなんです。受ける前から不合格なんです。この三つだけ申し上げましても、あなたがいま組合所属がどうとか、そんなことは一切考えずにきれいにやっておりますというようなことは通りますか。これが結局不当労働行為のいわば労働者に対するあなた方のえさとして使われておるわけなんですよ。そのえさとしてばらまいた実績が結果的にこうなっております。まだまだたくさんあるのですよ、資料を出せというなら。だけれども功労章にしても、あるいは抜てきにしても、助役試験にしても……。   〔発言する者あり〕
  22. 森山欽司

    森山委員長 静粛に願います。
  23. 後藤俊男

    後藤委員 山田総裁がそういうふうにやらしておりますというのなら、私は話はわかるわけなんです。いま動労なり国鉄労働組合運動方針マル生運動に反対しておる、こんな労働組合があっては国鉄再建はできぬ、だから断固としてこれを分裂さしてしまえ、そんなものは抜てき昇給も一切できないし、助役試験合格もさせない、さらには功労章制度表彰もやらない、こういう方向で国鉄総裁現場長に指示して、現場長がそれに基づいてやったのだ、その実績があなたが説明された実績であるというのなら、事のいい悪いはあとの問題にしましても、話としては筋は通るわけなんです。そうではなしに、あなたは、そんなことは一切やっておりません、やっておりませんと言われるけれども実績がこうなっておるじゃないですか。実績がこうなっておるものを、あなたはどういうふうに弁解されますか。あなたはやっておらぬと言っても、実績がこうなっておるわけなんです。だから山田総裁、あなたは最初から、いま現在も同じ答弁をしておられますけれども、この実績を見てどうお考えになるかということなんです。あなたが専売かあるいは電電公社か、向こうの副総裁なら、私はとやかく言いません。あなたは少なくとも国鉄の副総裁じゃないですか。国鉄の副総裁だったら、国鉄現場長がいま言いました抜てき昇給にしても、助役試験にしても、あるいは功労章表彰問題にしても、あなたが思っておるような方向で全部が実施をされておらない。その実績が、いま説明した実績としてあらわれておるわけなんですよ。それで、あなたがもし先ほど言われたように、そういうことは一切考えておらぬと言うのなら、一番最近における、いま言いました功労章抜てき昇給と、さらに助役試験については、全部一ぺんやり直してもらう。この前実施した分については全部御破算にしてもらって、もう一ぺんやり直してもらう。それがあたりまえのことじゃないですか、あなたの思っておるようにやっておらぬのですから。あなたの思っておるとおりにやっておらぬどころか、いま言いましたように、これらをえさにして分裂工作が現場長を先頭に、助役あたりが必死になって行なわれておる。その裏にはさらに激しい不当労働行為が行なわれておる。それでは一体、春闘の最終段階でそういうことが話題になって、お互いに紳士的にひとつやっていきましょう——私は山田総裁というのはりっぱな紳士だと思っておるわけですけれども、それとまるっきり反対じゃないですか、職場における動きというものは。  では、この実績に対しまして、山田総裁考えとは全然違いますが、どういうふうに対処されますか。その点お尋ねします。
  24. 山田明吉

    山田説明員 先ほどから申しましたように、四十六万人の職員がおりますが、その中にそれぞれ自分の信念に基づいて所属組合を選んでと申しますか、組合所属しておる職員もございますし、もちろん所属してない職員もございますが、私どもは、いまの表彰の問題にしましても、助役試験の問題にいたしましても、四十六万人の職員を全部同等に見てやるように考え、かつ指導いたしておるわけでございます。たまたま——たまたまと言って、さっきおしかりを受けましたけれども、その結果をその所属組合に引き当てたらそういうことになったという点を御指摘になっているわけでございまして、私ども指導いたしております理念、それからそれを受けてやっておりますいろいろの現場における表彰なり試験の問題、これは職員を同等に見てやるべきであるということには、もういささかも私は信念として変わっておりません。
  25. 後藤俊男

    後藤委員 それは山田総裁としてはそう言うよりかは言い方がないかもわかりませんけれども、私はあなたが言われることをすなおに受け取って、ほんとうにそのようにやっておられるならとやかく言うつもりはないわけなのです。ある程度これはおかしいじゃないかと首をかしげる程度のことなら、これまた話はわかると思うのです。ところが、あなた考えてみなさいよ。静岡鉄道管理局の中に十幾つの現場があるわけです。片方動労国労は九百人からおる。片方鉄労は四、五十人から百人ぐらいしかおらぬ。各業務機関八百人から九百人おるところがゼロですよ。それがたまたま沼津静岡だけならあなたのおっしゃることも通るかもしれませんけれども、そうではなしに、業務機関全部が動労国労には成績のいいやつはおらぬ、鉄労だけがよろしいということで、一名ないし三名の功労章表彰が行なわれておるわけですよ。また抜てき昇給しかりですよ。さらに助役試験しかりですよ。次から次へと全部試験制度のものを考えてみると、これらを何かの道具に使っておる。何かの道具とは一体何かといえば、国鉄のいわゆる動労国労脱退慫慂の一つえさにしておるのですよ。その結果が今日のような国鉄職場の中になって、それが原因となって、あなたも御存じのような暴力問題があちらこちらで起きているわけなんです。ただ私はここで山田総裁にもはっきり申し上げたいのは、国鉄職場でいうと、あなたはそれは雲の上の人かもしれませんが、あなたが思っておるように現場長の職制が動いておらぬわけです。まるっきり反対の、逆のことをやっておるわけなんです。これでもあなたはいわゆる国鉄の副総裁ということでやっていけるわけなんですか。そんなやり方が一体どこにありますか。たとえば私は、この中で抜てき昇給だけがはからずもそうなっていたというのならまだ首を少しかしげるくらいですけれども抜てき昇給から助役試験から功労章から全部がそうなんですよ。そんなことが、はからずも結果的にはそうなりましたということでは通りませんし、あなたとしては、組合所属は全然考えずに公平無私で、四十六万人全部を公平に扱って、わが子のように扱って、その中できれいにやっておる、こう言われますけれども、そんな気持ちは現場長の頭には毛頭ないわけなんですよ。功労章実施にしても、助役試験にしても、抜てき昇給にしても、こいつはどこの組合所属しておるかということがまず第一番の問題になっておるわけなんです。そしてそれをえさにして、家庭訪問をしたり職場で呼びとめたりして不当労働行為がどんどん行なわれておる。静岡鉄道局管内におきましても、数えれば切りがないほど不当労働行為が行なわれておるわけなんです。とにかく国鉄の当局の方針としては、一口に言わせると、不当労働行為はやり得だ、徹底的にやれ、とにかく動労なり国労を分裂さしてしまわぬことには、鉄労に過半数を占めさせぬことには国鉄再建はできぬ、そういう悪らつなる考え方のもとに——それは静岡鉄道局だけではございません。九州の端から四国のすみまでやられておるわけなんです。私はその一つ実績として、いま申し上げましたところの、あなた方がおやりになった静岡管内実績説明したのですよ。あなたはいつまでたちましても、そんなことはやっておりません、公平にやっておりますということを答弁できますか。全部の職場がそういうようになっておるわけなんです。いかがですか。
  26. 山田明吉

    山田説明員 繰り返すようでございますけれども組合所属によってうちの職員の処遇を変えろという指導はいたしておりません。その結果を所属組合に当てはめてみてそうなったという御指摘の数字になっておるわけでございますが、国鉄組合は、御承知のように大きな組合が三つございまして、そのどの組合を選ぶかにつきましては、これは全く職員の世界観なり、あるいは人生観なりによって各人が選んでいるわけでございます。われわれの施策が結果的にどの組合にどんなふうになったかということは、繰り返すようでございますけれども、全く結果でございまして、先ほどから申しておりますように所属組合のいかんによって取り扱いを異にするということは、今後も毛頭考えるつもりはございません。
  27. 山本政弘

    ○山本(政)委員 関連。ちょっと山田さんに確認したいのですけれども、あなたのほうで現場長に対してそういう指導をしておらぬということを確認してようございますか。
  28. 山田明吉

    山田説明員 所属組合によってその差別をするなという指導は従来からもやっておりますし、今後もやるつもりでございます。
  29. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ労政局長にちょっと質問いたしますが、ここに一つ文書がある。田端の機関区長岩下定寛という人が出しておる。「お願いは、最近生産性運動に反対ということで一部の人が騒いでおりますが、田端機関区で生産性向上に反対したときの姿を考えて下さい。」そのあとがたいへんです。「本社や首都圏本部に目をつけられることになりませんでしょうか。」、これはほかにもう一点あるわけですけれども、「以上、二点をお願い申上げましたが、良識ある皆様方の御判断を期待しております。」、これが組合に対する不当労働行為になるかならぬか、局長の御判断を答弁していただきたい。
  30. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 お答え申し上げます。  具体的事案につきまして個々の発言あるいは文書が不当労働行為になるかどうかという問題につきましては、直接お答えすることは控えますけれども、一般的に利益をもって誘導しあるいは威迫または脅威を与えるということによりまして組合運動に影響を与えるということは不当労働行為になる疑いが濃いというふうに裁判等ではなっております。
  31. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ副総裁お尋ねいたしますが、「本社や首都圏本部に目をつけられることになりませんでしょうか。」ということは、いま局長が言った利益誘導になるのかあるいは脅迫になるのか、私はよくわかりませんが、そういうことになりはしないかということを、あなたに対してどういうお考えを持っているか答弁をお聞きしたいのです。
  32. 山田明吉

    山田説明員 実はその書面、いまここで初めて伺ったわけでございますけれども、一般的に現場長なりあるいは職員の先輩格としていまの国鉄を一体どうしたらいいか、このままでいいのだろうかどうか、われわれひとつ考えてみようじゃないかという呼びかけは全国的にやっております。そういう一環の発想で出たものと考える次第でございます。
  33. 山本政弘

    ○山本(政)委員 発想で出たかどうか。私言っているのは、「一部の人が騒いでおりますが、田端機関区で生産性向上に反対したときの姿を考えて下さい。」、こう言っている。そのあとに、目をつけられることがないだろうか、そうして「良識ある皆様方の御判断を期待しております。」、これを家族に出しているのですよ。つまり昇給問題とか功労章問題とか助役試験の問題について、あなたがお答えになっているような考え方がこれに明瞭に出ているわけでしょう。そう思いませんか心生産性向上というものを考えてくださいということだけならまだ話はわかる。だけれども、目をつけられることになりませんかというのは、脅迫じゃないですか。これはなりませんか。これは常識からいったらそうなるのですよ。もう一ぺん確認いたします。
  34. 山田明吉

    山田説明員 それは、それを読んだ者あるいは受け取った者の受け取り方のニュアンスの相違かと思いますが、私はそれで脅迫という意図でやったものとは考えません。
  35. 山本政弘

    ○山本(政)委員 あなたはそう思うかもわかりませんが、受け取った側に対するニュアンスの違い、まさしくあなたはそう言った。受け取った側が脅迫というふうにとらえて受け取る場合だってありますよ、これは。そうでしょう。その点どうなんです。
  36. 山田明吉

    山田説明員 私はただいま申しましたように、それでもって脅迫の意図があるとは考えられないと申し上げたわけでございます。
  37. 山本政弘

    ○山本(政)委員 労政局長は公正な立場から言っていると私は思うのですよ。労働省は公正な立場から言っているわけです。第三者としての判断だ。受け取る側のほうも第三者として判断するだろうと私は思う。つまりこれに類似した文書というものは、この考えからいけばあなたのほうで幾らでも出せるということになる。しからば幾らでもエスカレートできる可能性があるということですよ、いまの答弁だったら。つまり後藤委員が聞いたそのときに、かりに何十カ所あるところで何百人おろうと、それがすべてゼロだ、こう言っているのです、あなたのおっしゃりようは。そしてこれに対してもこういう考えを、つまりそれを裏づける考えというものをあなたはお出しになっている。それが現場のほうに実は浸透しているのですよ。あなたの考え方が、労働省が判断をするような考え方ではなくて、国鉄の当局として組織分裂をはかっていこうという考えがそこにあるじゃありませんか。そこで、だからこんなものが出てくるのですよ。身分や待遇に格差をつけて、そして片一方では家族の者にはこういうものを出している。ノーマルな考え方ですか、これは。ノーマルな考え方かどうか、それだけ聞かしてください。
  38. 山田明吉

    山田説明員 私は、いまの国鉄再建に全職員が取り組んでおりますその努力の一つのあらわれと解しております。
  39. 山本政弘

    ○山本(政)委員 じゃ行き過ぎではないわけですね——委員長、行き過ぎじゃないかどうか答弁さしてください。
  40. 山田明吉

    山田説明員 先ほどそのニュアンスのいろいろな差があると申したわけでございますけれども、それがほかの手段なり表現で、先生御指摘になります脅迫とか利益誘導ということになりますと、これは私どもは当然不当労働行為のそしりを免れませんので、それは当然これから控えるべきだと思いますが、いまお読みになりましたその文章のニュアンス、私が伺いましたそのニュアンス、これはやはり現場長として国鉄の現状を職員に訴えるその手段の一つとして使ったのだろう、こういうふうに解釈いたしております。
  41. 山本政弘

    ○山本(政)委員 手段として使ったかどうかということが問題ではなしに、「目をつけられることになりませんでしょうか」ということを家族の方が受け取ったときにどう判断するかということが問題なんですよ。つまりあなたの頭は常識的でないということになるのですよ、そういうことになれば。これがそういうことで、生産性向上ということでやり得るということならば、この文章というものは幾らでもエスカレートすることができるということですよ。私がほしいのは、後藤委員が聞いたときでも、それならば実情を一ぺん調査してみるというくらいの謙虚さがあっていいでしょう。一つもあなたには反省の態度がないのですよ。この文章だって事実を調査してみるくらいの謙虚さがあっていいことなんだ。すべてをよしとするという、そういう基本的な態度というものが要するに無用な労使の摩擦を生んでいるということをあなた方はお気づきにならぬのですか。
  42. 後藤俊男

    後藤委員 さらに、いま山本委員から話があったことも重大でございますし、先ほどからあなたは非常にきれいごとの答弁できょうの委員会を乗り切っていこうと、こういう気持ちだと思うのです。それじゃ通らぬと思うのですよ。  ここに国鉄管理者のメモというのをはからずも手に入れたわけなんです。国鉄管理者はこういう方針でやりなさい、これは全部こまかに書いてあるわけなんです。少しこれを読みますと、「運転部に国労動労のみとはおかしい。鉄労もあるべきだ。五名でも第二組合をつくれ。」、これははっきり書いてあるわけなんです、管理者メモの中に……。これはあなたは知って知らぬふりをなさっておるのだと私は思いますがね。  それから、さらにあとのほうになりますと、「国労管理者登用試験通すな。」ということが書いてある。(発言する者あり)
  43. 森山欽司

    森山委員長 質疑を続けてください。   〔発言する者あり〕
  44. 森山欽司

    森山委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  45. 森山欽司

    森山委員長 速記を始めて。  では、国鉄当局に申し上げます。きわめて重大な問題を審議しておる際でございますので、慎重に対処せられるように注意いたします。  後藤君。
  46. 後藤俊男

    後藤委員 山田総裁先ほどの話の続きですが、山本議員の言った問題も一つの大きな問題として、これからさらにこの問題は追及していくことになろうと思いますけれども、ちょうどここに、私の手元に管理者メモというのが手に入っておるわけなんです。少なくとも国鉄職場における管理者はこういう心得でやっていきなさいよ、これがずっと各職場に流れておるわけなんです。その中には、初めからしまいまで読んでおりますと時間がかかりますから読みませんけれども、ひどいところになりますと、運転職場国労動労だけはおかしい、三名でも五名でもいいから第二組合をつくらなければいかぬと、これははっきり書かれておるわけなんです。さらにまた、管理者登用試験については国労動労は通すな、これは管理者メモの中にはっきり書いてあるわけなんです。そうなると、先ほどからあなたがきれいごとのように、そんな差別はいたしておりません、いたしておりませんと言っておられますけれども職場における管理者というのは、この管理者メモ、いわゆる管理者の方針に基づいて先ほど言った功労章から、抜てき昇給から、助役試験をやっておるわけなんです。その結果がはからずも、当然の結果としてさっき言ったような結果が出ておるわけなんです。それをあなたは知らぬ存ぜぬと、それで一体通りますか。先ほど山本君の言ったところの書面といい、さらにこの管理者メモの内容といい、やりたいほうだい、したいほうだいじゃないですか。これは労働関係の法律もくそもない、とにかくやればいい、とにかく動労国労をぶっつぶせ、それが管理者のメモとなってあらわれてきておるわけなんです。そうなってくると、あなた方の考え方とこの管理者メモ、この内容を検討して実績があがった、その実績を見てみると全然違うわけなんですよ。  さらに私は労政局長にも一言お尋ねしたいのですが、先ほどからの話で中身は大体わかったと思うのです。例にあげましたのは功労章問題、抜てき昇給問題あるいは管理者の登用問題、助役試験運転関係の問題、これらはあなたのほうでお調べになってもわかるとおり、その実績というのは全部が先ほど言った組合に片寄っておるわけなんです。これらが不当労働行為えさとして十分使われておるわけなんです。その使う方針は何かというと、この管理者メモの方針に基づいて電力区長もやっておれば駅長もやっておれば機関区長電車区長もやっておる。それをやらぬことには、先ほどの書面じゃございませんけれども現場長成績があがらぬ、第二組合をつくると現場長成績があがって、次から次へと栄転をしていく。これが総裁以下副総裁から、常務理事から、各現場長にずっと一連のつながりを持ってやられておるのが現場における不当労働行為なのです。それが次から次へと証拠が出てくるわけなのです、いかに山田総裁がきれいごとを並べてみたところで。こういうことについて、いわゆる日本の労働問題、労働行政を所管する労働省としてはどういうふうにお考えになっておるのか。いかがですか。
  47. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 お答え申し上げます。  最近国鉄におきます労使関係が必ずしも明朗でないあるいは円滑でないという批判がしばしばなされております。これはどの企業におきましてもそれは好ましくないことでございますが、特に国鉄のような非常に大きな企業体でありかつ公共性の強いものにつきましては、その点は関係者の最も反省すべきところである、なかんずく不当労働行為にわたるようなことは、これはなしてはいけないということは、労務管理の一番基本の基本でございます。そういう点につきましては、当局側が一そう世の中の批判を受けることのないように御注意がなされるということを、私どもかねがね要望しておるところでございます。
  48. 山本政弘

    ○山本(政)委員 労政局長、このメモはこう書いてあるのですよ。いまさっきの助役試験、「部長と各現場長との個々面接。脱退が出なければ、その系統の助役試験はとめる。」とこう書いてある。「現場長は総務系統からもってくる。運転部に国労動労のみとはおかしい。鉄労もあるべきだ。五名でも第二組合をつくれ。」、もう一つ昇給抜てき、三項八号活用」「昇格、処分者登用するな」、昇格の処分者は別といたしまして「試験、日常行動監視、面接強化。国労管理者登用試験通すな。」、こういうことが書いてある。これは事実だったらば不当労働行為になりますね。
  49. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 所属組合のいかんによりまして、特定の組合に属するかいなかによって不利益なる取り扱いをするということは、不当労働行為でございます。
  50. 後藤俊男

    後藤委員 それならいまあなたが言われた、組合所属いかんにより差別扱いをするのは不当労働行為だ、そう言われるわけですが、そうなったら、先ほど私が言いました静岡鉄道局管内電車区から機関区、運転支所、これは全部不当労働行為ということに該当するわけですね、その実績がこうなっておりますから。いかがですか。
  51. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 個別の具体的事件につきまして不当労働行為になるかいなかにつきましては、その状況等によりましていろいろ考慮すべき要素が多々ございます。私どもその詳細を調査する手段を持っておりません。そしてまた、これにつきましては裁判所なり労働委員会というものが詳細な調査の上判断すべき立場でございますので、私ども個別の具体的事案について、これが不当労働行為に当たる、当たらないというお答えをいたしますのは、制度のたてまえから遠慮させていただきたいと存じます。
  52. 後藤俊男

    後藤委員 制度のたてまえから、ここで不当労働行為であるかないかは言いたいけれども言わずにおきます、そういうことですか、そういうことですね。そういうあなたの気持ちなら、私はそれ以上言いたくないことを言えとは言いませんけれども、いずれにいたしましても、先ほどの話なり管理者メモの話ですね、これはくどいようなことを私言いましたけれども、これらに基づいて総裁から常務理事から現場長から局長から、ずっと一連のつながりを持ってやられておるというのは間違いのない事実なんです。その結果がやはり明瞭に出ておるわけなんです。ですから、これらの問題についてまだまだ短時間でどうこう結論のところまではいきません。  さらにもう一つの問題として、きょうは警察庁来ておられますか。——静岡における逮捕の問題、勾留の問題ですね。これは何月何日何時にどうこうということは私は言いませんけれども現場におきまして、公安官組合員に手錠をかけて自動車にほうり込んで警察に連れていく。警察は、それを待ってましたとばっかりに二日か三日勾留されて、かなりの問題が起きておると思うのです。どうも私は、最近の警察庁というのは、労働運動のたてまえからいえば中立でなければいかぬと思うのですが、そうではなしに、具体的問題でいいますと、国労なり動労内における、あるいは鉄労との関係で暴力問題が起きたときには、どうも国労動労に対してその扱いが公平を欠いておるような感じを全国的に私は印象として受けるわけなんです。だからまず第一番に警察庁にお尋ねいたしたいのは、労働運動のたてまえから警察庁としてどういう態度をとるべきであるか、今後どういう方針で臨もうとされておるか、この点が一つと、さらに先ほど言いましたところの静岡組合員逮捕の問題ですね。この問題について当時のいきさつはどうであって現在どういうことになっておるか、この点をひとつ簡潔お尋ねいたしたいと思います。  それから次には、これは警察庁にお尋ねするのはどうかと思うわけでございますが、山田総裁お尋ねします。沼津における組合旗の問題ですね。あの春闘の前でございますか、組合の事務所の上に国鉄労働組合組合旗を立てておいた。ところがその日の午前中でございましたか、管理者のほうからそれを実力行使で取りはずそうとして行った。ところがそこに組合員がおりましてそれを守ったわけですけれども、さらに第二回目として、夕刻には数名の管理者がその事務所を襲って組合旗を三枚でございますか、取り上げていった。取り上げたが最後、それを全部管理者のほうで保管しておる。われわれははからずも二、三日前に調査団で調査に行きましたときに、その日にお返しになっておる。こういうふうなこともやられておるわけなんです。こういう問題についてどういうふうにお考えになっておるわけですか。たとえば国鉄管理者として、組合旗が上がっておる場合にはそれは全部取ってしまえ、その旗は取り上げてしまえ、こういうような方針で進んでおられるのか、どういうことになっておるのか。その辺の説明をいただきたいと思います。
  53. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 二つお尋ねでございますが、第一点の警察がどういう態度でもって臨んでおるかという点でございます。これは申し上げるまでもなく正当な労働運動に警察が介入することはない。労使のいずれの側にも片寄らないように、警察としてはあくまで厳正中立な立場をとってこれに臨むというのが基本的な態度でございます。ただ、労働運動であっても、いわゆる正当性の限界を越えて不法な事態に立ち至った場合に、警察としましては法の定めるところに従って、犯罪が起きそうならこれを予防する、あるいはこれを鎮圧する、あるいは犯罪が起きたということであれば捜査する、その過程において、状況によって必要があれば逮捕もするということがあり得る。これはむしろ警察としては法に定められた責務であるというふうに考えております。  それから第二点の静岡における具体的な事案のお尋ねでございますが、これは静岡では、国鉄関係の不法事案で現在まで警察が認知しておるものは八件ございます。いまお尋ね逮捕云々の問題ことに鉄道公安職員との関連で逮捕があったという問題は、六月三十日に静岡運転所で事件がございました。国鉄の公安職員が被疑者を二人傷害容疑で現行犯逮捕して警察に引致した。それを警察が法の手続に従って逮捕したという問題。もう一つは、七月七日に沼津の車掌区におきまして同じように鉄道公安職員が一人を傷害現行犯ということで逮捕しまして警察へ引致、警察では捜査を遂げて処理をしたという事案でございます。
  54. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いまの警察庁の方にお伺いしたいのですけれども、いま傷害事件ということは別としまして、私の記憶によれば、鉄道公安官というのが国鉄の労使の紛争に介入するようになったのは昭和二十八年でしたか、夏期手当のことで新潟の局内で問題が起きた。そしてそのことに端を発して介入してきた。それから、自来紛争のあるごとに、公安官が入ってくるようになってきた。しかもいまはそれがエスカレートして常時入ってくるようになった。しかし、少なくとも鉄道公安職員の職務に関する法律によれば、私は本旨というのは第一条によってそういうものではないだろうという理解をしております。だからいまのエスカレートした状態というのは誤りであるのかどうだろうか。私は、少なくともそれは本来あるべき姿ではない、こう思うのです、つまり法律の第一条に照らしてみて。その点は少し最近は非常な行き過ぎがあるのではないだろうかと思うのだけれども、傷害事件とかなんとかいわれる以外でも非常に安易に公安官が導入されているという気がしてならないので、その点についてお考えを聞かしていただきたいと思う。
  55. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 警察が労働運動に関連してどういう態度をとるかということは、ただいまお答え申し上げたとおりでございまして、原則としては厳正中立で労使のいずれの側にも加担しないということでございますが、労働運動が正当性の限界を越えて不法な事態に至った場合には、警察がこれに対して先ほど申し上げたような関係でもって対処する。鉄道公安官の場合は、いまお話しのように特別な法律によって職務権限を持っておるわけでございますが、これは警察と不可分な捜査権を持っておりますので、鉄道公安官先ほど申し上げた事例のように逮捕した者は、三条でございましたか法律によって警察に渡さなければならないということで、引き渡すということは引き継ぎになりますので、その後警察の立場において責任をもって処理する。エスカレートしておるという御指摘に対して、どの程度公安職員なりあるいは警察が、労働運動の場合に、あらかじめこれに備えて出るかということは非常に微妙な問題でございまして、その個々の場合によって慎重に判断して警察の責務を果たすようにということを私ども考えております。公安職員も、これは一応国鉄の組織下にございますが、おそらく警察権行使ということに関する限り、同様な判断をしておられることと考えております。
  56. 山本政弘

    ○山本(政)委員 山田さんにちょっとお伺いしたいのですが、要するに公安官の任務というのは三点あると思う。第一点は警備の任務、第二点は営業、事故調査処理の任務、第三点は犯罪捜査の任務。警備の任務の中には交通秩序の維持、施設の警備、旅客、公衆の保護、国鉄財産の保護となっておる。その三項の中に、どれをさがしても労働運動弾圧だとか、あるいは不当介入の任務というものは書いてないですね。しかも、私は現地に行って見たからそう申し上げるのですよ、新鶴見に行って見たから。すでに予防的措置として最近は公安官が常時待機をしておるんですよ。これは私はいまの三項、つまり公安官の任務からいって妥当なことではないと思うのですよ。その点についてあなたはどうお考えになっておるのかお伺いしたい。
  57. 山田明吉

    山田説明員 公安官が正当な労働問題に介入すべきでないことは、先生のおっしゃるとおりでございます。これは私どももそういう指導をいたしております。  それから現実にいま新鶴見のお話がございまして、新鶴見では不幸にして傷害事件が起きまして、これは日常の業務運営の正常な仕事という点からいいますと、非常にかけ離れた状態でございますので、そういう意味で、予防的な警備体制をとるという意味で公安官が出ているわけでございます。
  58. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私はきょう関連質問しようと思いましたけれども、十五分だそうですからあと三分しかございません。ですから、この新鶴見の問題はあとに残します。このあとで、次の委員会でじっくりひとつ質問さしていただきたいと思うのですけれども、しかし私をして言わしむるならば、要するに、傷害ざたが起こったとかなんとかいうことは現実にあるでしょう。しかし、その問題を起こさしたのは一体だれだといったら、いまさっき後藤委員が申し上げたようなことから、あるいは私が申し上げた田端の機関区のようなこと、これが各現場に全部あるわけです。そういう中からむしろ問題を起こしたのは国鉄当局だといわざるを得ないと思うのですよ。これは次の委員会でもう一ぺんあなた方に対して質問したいと思いますけれども、私はそう思っておる。現実にそういう問題があります。ですからきょうは、島本さんがお話しあるそうですから、これは問題として残しますから、お願いいたします。
  59. 山田明吉

    山田説明員 後藤先生から組合旗のお話がございました。組合活動にある程度の便宜を供与するということは全国的に行なわれておりまして、それで沼津におきましても、組合事務所その他を管理施設の中で供与いたしておりますが、その付近に闘争時に組合旗を多数立てていたという事実がございまして、これで構内で組合活動をすることがもう何でも自由だというふうに私ども考えておりませんので、非常に目に立つから撤去してくれということを申し入れて、なかなか組合側で自発的にとってくれないので、やむを得ず一応それをおろして保管をしていたというような状況でございます。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまの後藤委員の質問に関連して警察庁にちょっと見解をお尋ねいたします。  静岡運転所の事件で、現行犯で公安官逮捕して警察が引き継ぎを受けた、こういうお話。それで事実は、聞いてみますと、詰め所で同僚のいざこざがあった。同僚のいざこざがあって、その結果、酒を飲んでいたとかいないとかいうことはお互いに水に流して、まあ問題にしないようにしようではないかといってお互いに握手をして別れた、その本人が運転所長のところに行って、私はいまなぐられた、けがをしたという申告をして、直ちに運転所長公安官に連絡をして、公安官現場に来たときには、その相手側は卓球場で卓球を見ていた。そこえ公安官が来て、どいつだどいつだ、こいつかと言って、そのまま手錠をはめた。そして出ようとしたところを、皆が手錠はけしからぬじゃないか、ひど過ぎるということで抗議をした、こういう経過になっているわけです。一体そういう逮捕のしかたというものがあるでしょうか。両方の取り調べをしたわけじゃないです。おれはなぐられたという申告に基づいて運転所長が公安に電話して、公安が来て大衆の、職場の皆がおる前で手錠をかけた。私は、これはどうも公安官がその任務を逸脱している行為だ、こう思うわけでありますが、ちょっと御見解だけ関連でお伺いしたいと思います。
  61. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 ただいまの事件は、御説のとおり公安官が現行犯逮捕いたしまして、そうしてそれを、先ほども申し上げましたが、法の定めるところによって警察官に引き渡すということで警察官に引き渡した、そういう関係で、私ども部報告を受けて承知しておりますが、私ども承知しておるところでは、ただいまお話しのような事案があって、そうして公安職員が被害者の届け出で現場に行って被疑者を現行犯逮捕した。その際——そもそも現行犯逮捕と申しますのは、現に犯罪が行なわれておる際に逮捕するというのが最も典型的な現行犯でございますが、法律の定めによりますと、現に犯罪が行なわれておる場合、それから犯罪がもうすでに終わった場合、その場合も入るわけです。それから、犯罪が終わってだいぶ間がたっても定の条件がある場合入る。したがって、現行犯で、現に犯罪を行なっておるという、いまやっておるところをつかまえるというのは典型的でございますが、終わっても、法の規定に従ってかなりの間がある場合も入ります。そこで公安職員逮捕された具体的な状況は詳細に私存じておりませんが、結果的に、時間なり場所なり、それから被害者が被害を受けた状況なり、そういうものを総合的に判断して、刑事訴訟法でいう現行犯逮捕ができるのだということでなさったのだと思いますが、それを警察が引き渡しを受けた。ただいま私どもが報告を受けておる限りでは、適法な現行犯だということで警察も逮捕した。その後引き続いてやって措置をしたという状況でございます。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 再度御質問いたしますが、あなたのほうが受けている報告をもっと詳細に、現行犯逮捕で適正であるのかないのかということを調査をして、ひとつ資料として次の機会にお出し願いたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 関連。当局の態度で、いままで皆さんがいろいろ聞いた中で、現地を私も調査した中で、これでいいのだといういままでの副総裁の答弁に最後まで納得できない一つのことがあります。いまの後藤委員の質問に関連して、このこと一つだけは労政局長並びに副総裁のほうからはっきり御答弁願いたい。  これは、五名でも第二組合をつくりなさいというメモを持っておった。そのメモの中には具体的な事実として、遅参、早退、ポカ休のチェックの強化、それから給料日の早帰り、その他保線や電気などの勤務状態は駅からスパイして報告せよ、こういうものまではっきり書いておった。私が入ったその現場の中は、いわゆる組合が違っておった。その組合、大きい組合は二百八十九名、小さい組合は十名、その十名の中の一人が、管理職でもないのに、いわゆる動力車労働組合の個人個人の勤務状況や勤務時間、休憩時間、こういうようなものをそれぞれチェックしておった、そしてそれを助役に報告しておった、助役はそれを受けてその個人に注意した、こういうような一連の関係は、これは当局そのものの指示としか思えないような一連の関係があるのです。これは望ましいことでしょうか。こういうようなことはすべきことじゃないことでしょうか。労政局長、それから副総裁の明確なる答弁を願いたい。
  64. 山田明吉

    山田説明員 先ほどから管理メモとおっしゃいますが、私ども業務上のものとしては心当たりがないわけでありますが、いま先生がおっしゃいました、そういう何と言いますか、端的に申しましてスパイ行為と申しますか、そういうことまで考えているとすれば行き過ぎではないかと私は思います。もちろんそういう指導はいたしたこともございません。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 そうじゃないのです。管理職でもない者がそれぞれ組合員の動向を調査し、チェックして、それを助役という管理職に報告する、それを受けてその大きいほうの組合の一人一人を呼び出して注意する、またしたような事実も認めました。そういうようなのが望ましいのか望ましくないのか。望ましくなかったら、今後注意すればいいのです。労政局長、こういうことが現にあったのだ、これは望ましいのかどうなんだ、今後どうするのだということを聞いているのです。現に私は調査して、そのとおり認めたのです。そうだということを認めたのです。そんなことは望ましくない、どうだと聞いているのです。
  66. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 出勤退社等を厳重に注意するということ自体は、これはどうということはございませんけれども国鉄労使関係のような場合におきまして、いわゆるスパイ行為と目されるような行為ということは望ましいことではございません。
  67. 後藤俊男

    後藤委員 もう時間が少し延びましたので、これで終わりたいと思うのですが、ただ先ほどから各委員がいろいろな問題につきまして提起したわけなんです。まだまだたくさん資料はあるわけなんです。きょうはこの社会労働委員会も、時間の関係でこの問題についてはほんの入り口程度でございまして、これから徹底的に不当労働行為、暴力、これらの問題につきまして追及をしていこう、こういう立場に立っておるのだということだけはひとつ胸に置いていただきたいと思うわけです。  それから、さらにこれから民社党なり共産党の代表の皆さんから同じ国労におけるこの問題が出てくると思いますが、どういうふうなお話が出るのか、これはもう予測できませんけれども勝澤委員先ほど言いましたように、たとえばこういうことが言えるわけです。静岡運転所なら運転所で暴力問題——暴力問題というとおかしいが、まあ暴力問題が起きた場合に、ここ十年、二十年、二十五年、三十年前におきましては、現場長は、わが子と同じようにかわいがって、そういう問題があっても、なるべくそれが問題にならぬように、こういうような方向で愛情をもって職員に接してこられたのが現場長の姿であったと私は考えておるわけなんです。ところが現在はそうではなしに、とにかく暴力問題をでっち上げる、それによって動労国労が、これは暴力をふるいよる組合だぞ、こういう印象をさながら与えんがためのでっち上げ暴力事件というのが全国至るところにたくさんあるような印象を私は受けておるわけなんです。私が持っております資料だけでも三十件くらいあるわけなんです。  さらに私は警察庁のほうへも申し上げたいわけなんですけれども、あなたは先ほどりっぱに、こういう問題につきましては中立的な立場で、しかしながら法のワクを越えた問題につきましては、それはそれなりにやるのです、こういう話がありましたけれども先ほど申し上げましたように、静岡運転所におけるこの暴力問題、先ほど勝澤議員からお話がございましたように、もうやった者同士は、悪かった、いやいやおまえじゃないおれも悪かったんだということで和解しておる問題を、こうやって暴力問題にしておるわけなんです。そういうふうな情勢もございますから、ぜひひとつ今後の問題として御検討いただきたいし、さらに不当労働行為のその他多くの問題につきましては、われわれは今後も引き続いて追及をしたいと考えております。  最後にただ一つ山田総裁簡潔に御答弁いただきたいのは、あなたといたしましては不当労働行為は一切やっておらない、こう言い切っておられるわけなんです。万一現場不当労働行為の問題が——だれが見ましても、なるほどこれは不当労働行為だという行為が明らかにあった場合には、そのことをやりました管理者に対しましてはどう処分されるか、この点だけ一口明確にお答えいただきたいと思います。  それから、さらに委員長にお願いしておくわけですが、労働大臣が途中で来られるという話でございましたので、われわれも待っておったわけでございますけれども、なかなか御出席がない。ですから、あとから労働大臣が御出席になりましたら、これは時間を考えていただく、このことをお願いいたしたいと思います。
  68. 山田明吉

    山田説明員 先ほどから各先生からいろいろ話がございました中で、私申しましたように、不当労働行為をいたしているつもりはございません。万一そういうような事態が出てまいりました場合には、これはケース・バイ・ケースになると思いますが、当然その責任者については適当な処分はいたすつもりでおります。
  69. 後藤俊男

    後藤委員 それでは終わります。
  70. 森山欽司

    森山委員長 田畑金光君。
  71. 田畑金光

    ○田畑委員 まず国鉄のほうにお尋ねいたしますが、六十六国会の七月二十四日に、この委員会でわが党の西田八郎委員からも質問いたしましたが、国鉄職場内に、労働組合活動に関連して、暴力行為、つるし上げ、いやがらせが頻発しております。国鉄はこの状況をどのように把握していらっしゃるのか、その後の状況についてひとつ御報告を願います。
  72. 山田明吉

    山田説明員 いま御指摘のございますように、暴力行為が最近出てまいりましたことをたいへん遺憾に存じておりますが、個々の事案について御説明いたしたほうがよろしゅうございますか——大体いま残念ながら警察事件になっているものもございますし、また警察で捜査中のものもございまして、私どもはこの事態をなるべく早く正常な状態にいたしたいと考えておる次第でございます。
  73. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、八月二十五日に静岡鉄道管理局の中における暴力事件調査を現地でやってきましたが、これによれば、国労関係では暴力十件、小暴力十八件、つるし上げ十件、いやがらせが十四件、動労関係については暴力四件、小暴力二件、つるし上げ一件、いやがらせが四件発生しているわけです。この中で静岡地検にすでに書類が送検されているものは国労関係が三件、関係警察署あるいは鉄道公安室で捜査中のもの四件、動労関係では鉄道公安室の中で現在捜査中のもの二件があります。また私は一昨日北海道の名寄機関区に行ってみましたが、ここでも七月の七日と八日に日中、就業時間中傷害事件が起きておるわけです。  これらの一連の事件を私がしさいに検討してみると、五月二十日の例のストライキ以降にこのような暴力事件が集中的に発生しておる。もう一つは、このストライキの処分が発表された七月七日以降に暴力事件が発生しておる。当局はこのような一連の暴力行為の発生に対して、これら傷害事件の背景なり性格なり動機等についてどのように把握しておるのか、これを明らかにしていただきたい。
  74. 真鍋洋

    真鍋説明員 全国的に傷害事件としてあがってまいっております件数は、大きいもので——どものほうは大きいものしか報告を受けておりませんけれども、十管理局、十件以上にのぼっております。これにつきましては、お話しのように、五月二十日の闘争の不参加者あるいはこの前後におきます組合脱退者に対するいやがらせ、あるいはこれに対しますつるし上げ等の暴行事件が中身としては全部でございます。また、七月に入りまして春闘の処分発表をいたしましたが、その時点でもこれに対します抗議闘争がございました。これに対しましてもストに参加しなかった者あるいは脱退した者についての傷害事件が大小とりまぜて起こっておるのが実情でございます。
  75. 田畑金光

    ○田畑委員 暴力を受けておる者を大きく分けてみると、管理者、もう一つ鉄労所属組合員、さらに生産性運動の受講者、スト不参加者が被害を受けておるわけです。なかんずく静岡関係を見たときに悪質な事件は、五月の二十「日沼津機関区で発生し、目下沼津の警察署で捜査中の、検修科長が労働組合員に突き飛ばされ、腰部挫傷及び腰椎捻挫で全治十日間の傷害事件、これは朝の八時二十五分、就業直後に起きておるわけです。また八月十三日には沼津機関区において、運転課長が進行中の列車に向けて押される、こういう危険な行動もあるわけです。また七月七日の夜の二十一時三十分から二十一時三十七分、北海道の名寄の機関区の運転助役室では、十数名の職員が運転助役室に侵入して、運転当番の西村助役をスト破り第一号に乗ったという言いがかりで、これまた休業、加療十日間の暴力事件というものが起きておるわけです。これらの事件を振り返ってみたときに、管理者職員の間にこのような傷害事件が発生しておる。一体国鉄の管理、指揮系統はめちゃくちゃじゃないか、命令系統もない、こういうことで国鉄業務の正常な運営ができるのだろうか、私は深く疑問を持つわけです。こんなことはいまごろ、民間企業ではどこをさがしてもないのじゃないかという感じがするのですが、」体国鉄当局としては、このような管理者職員間の正常な関係をはかるためにどのような努力を今日までしてきたのか、また今後どうしようとするのか、これを明確にお答えを願いたいと思うのです。
  76. 真鍋洋

    真鍋説明員 労使間の正常化につきましては、平素から管理者には、組合別に無関係に、できるだけ相互の信頼関係ということを基礎に人間関係を深めるようにしなさいというような指導を、これは数年来続けてまいっておりまして、特に最近におきましては、組合間の移動というものが起こるということの関連で職場が暗くなっております面がたくさんございます。そういったことにつきましてもできるだけ管理者は姿勢を正しまして、組合差別先ほどお話のございましたようなそういった危惧のない形での職員への意思の浸透をはかりなさいということで指導いたしております。  たいへん残念ながら、五月二十日のような違法な大きいストライキがございましたので、これとの関連で批判勢力と申しますか、そういったストに参加しないというような職員が全国的に各現場で出てまいっております。それらに対しましてのトラブルがこれまたその後も続発しているというような状況でございますけれども、私どもといたしましては、できるだけ正しい姿勢で労使間の正常化というものをはかりまして、明るい職場に一日でも早くなるように指導いたしたいと思っているわけでございます。
  77. 田畑金光

    ○田畑委員 副総裁、あなたのお考えを……。
  78. 山田明吉

    山田説明員 いま世間でもいわれておりますコミュニケーション、これが大切だと考えております。昔は、さきほども後藤先生からお話があったかと思いますが、いわゆる大家族精神、国鉄一家というような表現が使われるほど労使というような観念を越えて一体化しておりましたが、最近その点が、労使関係も相当事務的になってきていることは事実でございます。そしてコミュニケーション、人間同士の対話というようなことで、現場長はつとめて部下職員との面接の時間をふやし、そうしてお互いに心を、気持ちを通わせることがまず先決だというような考えで、いろいろな指導をやっている次第でございます。
  79. 田畑金光

    ○田畑委員 この暴行、傷害あるいはつるし上げ、いやがらせの最大の被害者は、組合運動を異にしておる鉄労所属組合員であることは事実です。非常に事件が多いので、私は一々を取り上げることはいたしませんが、悪質な事件としては、八月十日の沼津機関区構内で起きた沼津機関区電気機関士滝口滝太君にかかわる事件です。同君は、乗務の仕事を終わり、十日の朝六時二十四分ごろ当直助役の帰着点呼を受けた直後、数名の者に囲まれて全治二週間の傷害を受けておるわけです。  また、七月八日の十三時五十五分から十四時三十分までの間、これは名寄の機関区の構内で起きた鉄労所属の斉藤検査長、奥村検査長に対する暴力事件。斉藤検査長については十三時五十五分ごろDL器具室で、部屋の中で作業中、約十名の動労組合員が入り込んで、おまえはベースアップをどうするつもりなんだ、こういうようなことでつるし上げを受けて、入院加療十日間、休業加療七日間の傷害を受けておる。  これらの事件をしさいに見るならば、これは明らかに労働組合を異にしておるがゆえの憎しみであるとか憎悪であるとか敵対行動、こういう形で集中的に出てきているわけです。しかも就業時間中に行なわれている。いやがらせの内容に至っては、まことにこれは数限りがない。鉄労所属職員に対する中傷、誹謗、こういう手紙がたくさん来たり、あるいは悪質のビラを鉄労所属組合員の住宅の周囲に張りめぐらしたり、黒ワクのはがきを送ったり、私はその一部だけを持ってきましたが、こういうのが鉄労所属組合員のうちにじゃんじゃん送られてくる。また中にはこういうような、だれそれがしの告別式、本日午後一時、施主は鉄労、こういうもの等が張りめぐらされておる。特に私が心配することは、勤務中の鉄労所属の乗務員を取り囲んでホームまでついていって、旅客の前で悪口雑言する。やがて乗務員として国鉄に乗り込む、安全輸送をやらなければならぬ人がたにそういう心理的な圧力を加えておる。私は遺憾だと思います。  ことに非常識なことは、七月十七日、夜の二十一時、水戸鉄道管理局の列車課の電話番号による死亡電報事件。これはあなた方は知っているのか知ってないのか。鉄労所属職員芝光雄の自宅に「ミツオ、キュウシス、スグコイ、ミトテツドウキョクレツシヤカ」、こういう死亡電報が届けられたので、これを受け取った家族は色を失って隣近所の人たちと車を連ねて列車課へ行ってみたら、これは悪質ないやがらせであったということがわかったわけです。私は、このような暴力行為なりいやがらせなりつるし上げなり、これが続発しておるが、一体管理当局、国鉄当局はこれらの事実を知っておるのか、知っていないのか。知っておるとすれば、こういうような行為に対してどのようなことを今日までやってきたのか、これをここで明らかにしてもらいたい。
  80. 真鍋洋

    真鍋説明員 現在起こっておりますいやがらせあるいは傷害事件等、すべてのケースにつきましてこまかく私ども承知しておるわけではございませんけれども、大きい事件につきましては報告を受けております。これは、本来組合員がどの組合に加入するかというのは全く本人の自由意志でございまして、これによりまして、いやがらせをやりましたり、あるいは村八分行為を行なうということは、全く私どもとしても困ったことだと思っているわけでございます。これにつきまして、私どもとしましては、現在の国鉄の置かれております状況から見まして、できる限り、組合員別ということではなくて、職員管理者とが一体となりまして国鉄再建に邁進するようにということでの基本的な姿勢を出しておりまして、これに基づきまして、各管理局とも各現場長にそういった指導を落としております。ただお話がございましたように、個々の傷害事件が起こってまいっておりまして、これにつきましては、全く暴力行為ということは、そういった労働問題以前の問題であるということで、徹底的に、暴力の危険のあります現場につきましては、暴力追放をまずみんなの自覚でやりなさいということで指導いたしております。また、そういった危険のございます数カ所の現場につきましては、局の管理者あるいは公安職員等を配置いたしまして、そういった不祥事件が起こらないようにということで、警備体制あるいはそういった管理者側からの秩序維持に当たるというようなこともやっておるわけでございます。
  81. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの職員局長の答弁を聞いても、あなた方は大きな事件は把握しておるけれども、私が述べたようなことはあまり承知していないような、そういうことですが、私は現地の調査を通じ感じたことは、やはり仲間意識ということもあって、暴力を受けても黙っておるという人もあろうし、あるいはまたそれを直ちに報告、通報しないという場合もあるし、管理者もまた自分の責任ということも感じてかどうか知らぬが、上司のほうにすべてを報告するという努力がなされていない。先ほどコミュニケーションということばがあったが、こういう面においてもコミュニケーションの行き詰まりがあるわけです。沼津機関区のごときは、確かに鉄労所属組合員は少数なるがゆえに、乗務に行く、乗務から仕事を終えて帰る場合、一人で行動しなければならぬ場合がしばしばあるが、その一人で行動するような機会に、多くの者が取り囲んで暴力行為をやっておる。そこで現認ができない。こういうような巧妙なからくりで暴力行為が行なわれているわけです。なるがゆえに、ようやく国鉄の当局も、そのような職場には公安官を二名、あるいは局からも二名、夕方の五時からあくる朝の七時まで警戒に当たらしめておる。そうしなければ生命の危険があって仕事に行けない、仕事が終わって帰るにも帰れない、こういう事態なのです。  そこで副総裁、よく聞いてもらいたいのですが、私は今回のこれらのできごとを通じて感じたことは、鉄労所属組合員に対して、君はベースアップをもらうのかもらわないのか、こういう詰め寄り方をしている。ベースアップというのは、ストライキの結果かちとったのだという認識国鉄の一部の職員の人々の中に強くあるということですね。生産性運動には絶対反対だ、それもけっこうでしょう。しかし私は、急変する歴史の流れに盲目的に、ただ反体制運動だけを唱えて、一体世の中の進歩というものがあるのかないのか、私は非常に疑問を持っておりますが、確かに四十六万国鉄職員の圧倒的な多数は、良識ある人方、ほんとうに一部の人方の中に、いま言ったようなはね上がり行為があるわけです。国鉄職員の給与というものについては、これは本来労使の団体交渉によってきめるべきものだし、また国鉄当局には、それぐらいの財政能力も考えた当事者能力というものが付与されて、国鉄職員の給与については団体交渉できめるのが望ましいし、将来はそうあるべきだと思うのです。ただ、現実の問題として見るならば、三公社五現業の給与決定は、最終的には結局公労委の調停、仲裁の段階を経なければきめられない現実の実態があるわけですね。そういう実態にもかかわらず、一部の少数の、特にこれは若い人方の中に、ストライキによって国鉄のベースアップはかちとっているんだと、こういう認識がいまだ流れておるというようなことは、労働組合組合員の教育の面も大いに努力しなければなりませんが、もう一つ私は、国鉄労働組合員は、組合員である前に職員であるということ、組合員であると同時に職員であるということ、国鉄に入社すれば当然職員としての教育なり教養なり常識なりを付与する、あるいは教育するというのは、国鉄当事者であるあなた方の責任だ、こう思う。ところがそういう面において徹底をしていないところに、一部青年組合員の中に精神的な荒廃という実態が生まれておる。こういうことを考えてみますならば、職員としての良識を持たしめるために国鉄当局はどのような努力をしてきているのか。今日この日本の社会において、いいですか、暴力の危険性を感じなければ仕事もできぬなんという、そんな職場があってよろしいのですか。この点についてひとつ国鉄総裁の所見を承っておきます。
  82. 山田明吉

    山田説明員 御指摘のように四十六万人の職員、当然これは志を立てて国鉄につとめて、国鉄仕事をやるつもりで国鉄職員の道を選んだわけでございますから、当然何よりもさておいて良識のある善良な国鉄職員であるべきだと思います。現実の問題として、一部いろいろな思想を持った職員がいることも、これは否定はいたしません。しかしまあ、私ども親と申しますと口幅ったいわけでございますけれども、そういう職員職員である以上は、不肖な子ながらやはりこれは親の責任だと思いますので、その点につきましては、先生が御指摘になりますように良識をもって国鉄を守る、そういう気概を植えつけてまいる必要があろうかと思います。それには職能教育はもちろんのことでございますし、日常、作業、仕事を通じまして管理者指導訓練、これについても意を用いているところでございまして、これからもその努力は続けてまいるつもりでございます。
  83. 田畑金光

    ○田畑委員 私は労働大臣にお尋ねをいたしますが、暴力はいかなる場合であっても、どんな組織の中でも許されないことだ、ましてや民主主義のにない手である労働組合運動の中でそのようなことがあるということはまことに恥ずかしいきわみだと、こう思うのです。労働法を見ても、暴力行為を正当な行為と認められる場合は絶対にあり得ない。今日までの数多くの貴重な最高裁の判例が多々ありまするが、いやしくも労働組合運動に関連して暴力行為を認められるような、あるいは寛大であるような、そういう判例は一つもない。今日国鉄の中の、場所を限定しますと沼津機関区であるとか北海道の名寄の機関区、しかもこれは限られた地域であり、限られた職場でありますが、その中において白昼就業時間中公々然と暴力行為が行なわれておるというようなこと、こういう事態があるということを労働大臣は御存じなのかどうか。そしてまた、このような官公労の組織の中に、まだ、なおかつ終戦直後の民間労組の中に起きたような事態があるということ、これは私は労働行政の大きな怠慢であるし、無策であるし、これを拱手傍観するならば、いかに原労働大臣が肩張っても、おれは国際級の大臣だなんというようなことは通用しないわけでありますが、こういう問題について、労働大臣としては、やはり日本の全体の労働運動の質的な転換と向上をはかるのがあなたの使命であるとするならば、こういう問題についてはもっと労働者教育の面等において助言なり協力なりすることが大事なことだと思うのですが、大臣の所見、そうしてまた今後これについてどのように取り組んでいこうとするのか、これを明らかにしていただきたい。   〔発言する者あり〕
  84. 森山欽司

    森山委員長 静粛に願います。
  85. 原健三郎

    ○原国務大臣 田畑さんにお答え申し上げます。  いま現在、国鉄において職員間に暴力事件が生じておるということを私は承知いたしております。それで、そのことははなはだ遺憾千万であると存じます。私としては、国鉄職員諸君がもっと民主的に、かつ組合活動のあり方を十分認識して、そして国鉄の使命を自覚してやっていただきたい、そうしてそういう行動をとられることを非常に期待するものであります。組合には民主的組合活動を期待するし、国鉄当局に対しましては、こういう暴力行為が発生しないように今後十分配慮されることを期待し、できたら、お説にもありましたように助言もし、注意も喚起いたしたいと思っております。そうして再びそういう暴力行為のなきよう、国鉄と労働省とも連絡をとって万全を期していきたいと考えておる次第であります。
  86. 田畑金光

    ○田畑委員 法務省の人権擁護局長出席を求めていますが、私が先ほど来例示いたしましたこの黒ワクのはがきであるとか、死亡通告の電報であるとか、あるいはこのような告別式のポスターであるとか、こういうようなことは、私はこれこそ人権の侵害これに過ぐるものはない、こういう感じがするが、このようなことは、なるほど人権擁護局が動くのには問題を提起しなくちゃならないと思うけれども、あなた方もこれらの問題は承知しておると思うのだが、承知するならばやはり承知したで、このようなことは慎むように人権擁護局としても出先の機関指導、督励をして御努力をなさることが当然じゃないか、このように私は考えますが、ひとつあなたの所見を聞かしていただきたいと思います。
  87. 井手昭正

    ○井手説明員 先生の御指摘のとおり、必ずしも全部の事実について了知しているわけではございませんけれども国鉄組合員相互間における暴力的行為、あるいはいま御指摘のありましたようないやがらせの文書、こういったもの等についてはある程度の状況を把握しております。この種の事件につきましては申告もあまりございません。他の事件に比べますと比較的少のうございますが、事件の性質上、事案の深刻にして非常に複雑なものが多いので、調査を行なうにあたりましても特に慎重を期する必要があることは、これは言うまでもないものでございます。しかし人権擁護機関としては、申告がありますればもちろん、かりに申告がなくとも情報等でこれを知り得た場合には、人権侵犯と考えられる事案につきましては積極的に取り組みまして、心の啓発をはかる、基本的人権の尊重、こういった面について十分な努力をなしていきたい、このように考えております。
  88. 田畑金光

    ○田畑委員 これは国鉄の副総裁にお答えをいただきますが、私は職場から暴力行為の追放なしには国鉄の業務の能率的な運営であるとか輸送の安全の確保はできないと思うのですね。先ほど申し上げたように、国鉄職員といえば、地方に行けばりっぱな社会的な地位の人方であるし、世間もそういう目で見ているわけなんです。その国鉄職員の名を汚すようなごく限られた反戦青年委員会に所属するような、そういう思想的にもイデオロギー的にも独断で動いておる諸君が国鉄職場を破壊しておることはまことに私は遺憾だ、こう思うのですね。その意味において、私は職員の教育の面というものは一番大事な問題じゃないかと思う。一体国鉄職員の教育について今後何を重点に置いて努力なされようとするのか。また最近ようやく国鉄も暴力行為についてはきびしい姿勢をだんだん示してきておることも、私は現場管理局長なり部長なりあるいは現場管理者の諸君と会ってみて、これらの人方のことばの中、姿勢の中にも、だんだんと従来の国鉄一家ということで悪いことでもまあまあというようなことでなくして、悪いことは悪い、職場の規律を確立していこうという努力の芽が出てきたことも私は率直に認めていいと思いますが、この種暴力事件について過般の新鶴見事件について見るならば、判決を待たずして皆さん方はきびしくその量刑に応ずる措置、懲戒処分をとっておられる。元来今日までのこの種事件については、国鉄当局は日鉄法によって、刑事起訴になれば初めて休職、判決を待って処分、こういうことをなされたが、新鶴見事件については従来の方式をとらずして懲戒処分に付された。態度が大きく変わってきたわけですが、これ等についてはどうして今回従来の慣行をやめて懲戒処分に付されたか、このあたりの事情もひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  89. 山田明吉

    山田説明員 前段の職員の教育の問題でございますが、これは先ほどから申し上げておりますように、国鉄を何とかして再建する、その意欲をかき立てるような教育、指導、これは今後とも徹底化してまいるつもりでございます。  それから、最近の暴行事件に関連した処分でございますが、今回特にきびしくしたというような、私どもそういう意識ではございませんで、刑事事件に該当した者は、従来ともケース・バイ・ケースで即刻国鉄法の規定によりまして懲戒免をした例もございますし、今回もたまたまそういう例に当たったわけでございます。今後ともその事件の内容によりまして処分は公正厳格にいたしたいと考えております。
  90. 田畑金光

    ○田畑委員 私は警察庁にお尋ねいたしますが、先ほどあなたの答弁を聞いて、あなたの答弁はそれでよろしい、こう思います。労働運動に関連する事件の処理は慎重の上にも慎重を期すべしというのが当然の社会的な通念である、こう見ておるわけです。ただ同時に、私が申し上げたように、労働運動の中において暴力行為が許される場合というのは絶対にあり得ないというきびしさも、またこれそうだと私は確信するわけです。最近の一部のはね上がった職場の青年労働者、こういう常識のない諸君については、やはりその傷害行為に対しては厳固として秩序を守るきびしい態度が必要である、このように私は判断するわけです。いまのような国鉄の中における地域的な、あるいは職場においても限られたところではあるが、このような暴力行為がばっこするということになってくると、これは国鉄を破壊するものだ、私はこのように心配するわけであります。     〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕 そこで警察当局に対して強く申し上げたいことは、希望したいことは、労働組合運動という名がつくと、ともすれば警察は非常に消極的になりがちだ。これは私は沼津機関区等における暴力事件の捜査を見ますならば、公安職員の捜査の面等は、技術的な、能力的な、そしてまたその他国鉄一家というような、いろいろな制約もあって機宜に適した措置がなされていない。また警察は、国鉄の内部に起きた問題であるから公安職員の取り扱う問題だ、こういうような関係で両者の連携がなされていない。実際、問題が警察に出てくる、あるいは告訴する、告発するというのが相当な日にちがたって初めてなされておるわけです。その間に証拠の隠滅がなされる。いろいろお互い申し合わせがなされる。こういうようなことなどを見ますると、やはりこの種暴力行為に対しては、警察としてもあくまでも慎重の上に慎重を期するのであるが、厳正に対処する姿勢がなければならぬ、こう考えておるわけです。あなた方は、私は先ほど来幾つかの事例を申し上げましたが、これらの問題についてどのように報告を受けておるか。またあなた方の部下が第一線において治安の維持のために、秩序の維持のために努力しておることに対し、あなた方はどのように考えていらっしゃるか。同時に私は、これらの問題については時期を失することなく適正に処理することを強く求めますが、あなた方の考え方をお聞かせ願いたいと思うのです。
  91. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 先ほどお話がございましたように、国鉄の労働運動に関連して暴力行為がたいへん数多く発生しておりまして、五月二十一日以降現在までに集団暴行傷害、そういった不法事犯が私どもの手元に報告があったもの全部で五十四件ございます。この中で負傷者が出ておるのが五十六人あるという状況でございます。警察としましては、その中で、ただいままで三十一件を捜査をして検挙し、なお残りについては継続して捜査をしておる。警察のこの種事件に対する基本的な態度は先ほども申し上げましたように、労働行為が正当なる限り警察は何ら関与するものではございませんが、不法な事態になる、暴力行為を伴うということになった場合には警察の責務としてもこれに対処する。その際、ただいま御指摘があったように、関係機関、たとえば鉄道公安職員との連携を十分保っていく、あるいはまた時期を失するということがないようにするといったいろんな配慮は十分やりまして、この種暴力行為でもって労働運動の自由が害されることのないようにするということは、警察としてつとめなければならない仕事であるというふうに考えております。ただ実際の問題としまして、個々の事案でたいへん状況、ニュアンスが違いまして、事案一つ一つ類似のものはございません。したがって、あれを逮捕したのにこれはどうして逮捕しないのかといったような場合が出てくるかと思うのでありますが、そもそも捜査というものは任意に捜査するというのが原則であって、事案の必要に応じて逮捕するということでございますので、たいへん技術的な事柄で恐縮でございますが、そういう技術的な面から見て、いかにも警察が緩慢なように見受けられる場合もあるかと思うのでございますが、労働事件であるからといって警察がなすべき義務を怠るということのないようにつとめてまいりたいというふうに考えております。
  92. 田畑金光

    ○田畑委員 最後に、私はひとつ国鉄の副総裁にもう一度申し上げたいのですが、いまのような状況で国鉄再建ができるのかできないのかということですね。私は外から見ておりまして非常に心配をしておる一人なんです。八月二十三日、国鉄の監査委員会は国鉄再建に関する監査報告を運輸大臣に出しております。これを見ますと、財政再建二年目に入る四十五年度の国鉄は、旅客、貨物とも伸びは前年度に対して四%増、国内輸送量に占める国鉄のシェアは引き続き低下、営業収入は前年度より千十七億増に対し、営業経費も人件費の大幅増加などにより千二百四十三億ふえておる。その結果、営業外の損益を加えると純損失が千五百十七億、年度末の繰り越し欠損金が五千六百五十四億にのぼる。これは民間会社ならば破産宣告がとっくにされているわけですね。それでものうのうとして総裁以下四十六万の職員国鉄で働いていらっしゃる。まあそれだけ国鉄は国民経済、国民生活にとって大事な機関であり組織であるということです。国鉄がいまのような経営状態を続ければ、四十六年度はおそらく償却前に赤字が出て、累積赤字は八千億になんなんとするであろうということも指摘されておるわけです。そこでこの国鉄監査委員会も、国鉄再建計画達成のためには、旧態依然たる業務執行体制の改善、輸送近代化によるコストの低減、広域的な配置転換の実施を提言しておるわけです。  ところで、私は、何といっても国鉄再建のためには、どの組合がどうとかこうとかいうのじゃなくして、もっと労使関係が安定しないと国鉄再建はとうてい不可能事だ、こう思うのです。スト発生の状況も、私統計的に調べてみましたが、四十四年に十一件、四十五年に六件、そうして四十六年には五月二十日の十七時間のあのストライキということになっておるわけです。私は、国鉄の立て直しは何といっても国鉄の体質改善、人の体質改善、それが出発点だ、こう考えるのです。その上に立って初めて国の援助なり利用者である国民の負担なりを要求すべきだと思うのです。みずから処理すべき、自立自助の精神に立って国鉄の立て直しについて国民の世論に支持されるようなこともできないで、ただあげて国鉄の経営の赤字を国の財政や国民の負担に求めるということは、これは筋違いだと思うのです。しかし国鉄が真に自立自助の精神に立って国民の支持が得られるような体質改善ができるならば、われわれは、今後の国鉄というものはますますその使命にふさわしい企業体としてこれに協力するにやぶさかでないし、国民もそうだと思うのです。  そういうことを考えてみますと、結論として申し上げたいことは、いまのような国鉄のあり方というものを、国鉄総裁以下四十六万が一体となってやっていけるような、そういう体制をつくり上げることが先決である、こう考えるわけです。どうぞそういう意味において、その国鉄の中に恥ずべき暴力行為があちらこちらと頻発しておる。そして仕事もできない。仕事の最中に暴力を受けるかもしれない。私も八月二十五日の夕方五時過ぎに沼津機関区に行って、機関区の構内の中にある鉄労の分会の事務所に参りましたが、私が参りますと写真をとる。窓の前で立ってにらみつける。周囲を徘回する。こういういわば身の危険性を感じたわけでありますが、そういうような中で仕事をしょっちゅうやらねばならぬ、そういう人方の身を総裁なり副総裁考えてもらいたいと思う。この問題についてはそういう意味において真剣に解決に取り組んでいただきたい。このことを強く要望し、副総裁の所見を承って私の質問を終わります。
  93. 山田明吉

    山田説明員 国鉄再建について非常に適切な御示唆をいただきましてありがとうございました。先ほどから申し上げておりますように、ほんとうに破産状態であるといわれている経営状況でございまして、これの立て直しには、もちろん管理者職員一体となって、これから大いに努力してまいりたいと思いますので、なお今後御指導をいただきたいと思います。
  94. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長代理 土橋一吉君。
  95. 土橋一吉

    土橋委員 私は、時間が非常に短いので、ぐたぐたした答弁はお断わりして、私が申し上げることについてイエスであったのかあるいはノーかというような方法で答弁をお願いしたいと思うのであります。  そこで最初に、これは副総裁お尋ねをいたします。国鉄職場にはいろいろな職場がございますが、汚損職という職場は、従来ならば大宮工機部であるとかそういう車両の修理工場、建設工場で一般に行なわれておりますが、しかし普通で考えてみるならば、たとえば検修をするとか、あるいは乗務をするとか、あるいは保線をやるとか、こういう激務が非常に多いように思うわけです。そういう職務は汚損職といわないのかどうか、また汚損職になぜしないのか、簡単に答えてもらいたいと思います。
  96. 山田明吉

    山田説明員 私ども、汚損職という名称は用いておりません。
  97. 土橋一吉

    土橋委員 いまは用いていないかもわからない。しかし、そういうことによって一定の手当を出したり——それはあなた方がよく研究していないので、古い規定にはみな汚損職ということを書いておるわけです。でありますから、これは勤務時間に関係しておるから私はお尋ねするわけです。つまり国鉄職員は、特に保線とか、あるいは乗務とか、あるいは洗浄をするとか、あるいは工場などにおいて車両の組み立てをするとか、こういう場合には汚損職、つまり被服が非常によごれたり切れたり、あるいは油がついたりする、こういうことの意味だと私は思っているわけです。したがって、一般国鉄労働者の皆さんの仕事は汚損職であるというふうに私は考えておるが、それについてどういうふうに考えておりますか。汚損職でないと考えるのか、それともホワイトカラーで仕事ができるというふうに考えておるのかどうか、それだけ簡単に答えてもらいたい。副総裁はどう考えているのか。
  98. 真鍋洋

    真鍋説明員 実情を申し上げます。国鉄職場には、お話がございましたように、たとえば機関区でございますと、従来庫内係といっておりましたようなSL時代の庫内……。
  99. 土橋一吉

    土橋委員 私の申し上げるのがイエスかノーか、あるかないか、それだけ答えてもらえばよろしいのです、時間がないから。
  100. 真鍋洋

    真鍋説明員 副総裁先ほど申し上げましたように、汚損職という形での職務はございません。
  101. 土橋一吉

    土橋委員 私は、長い間国労労働組合の皆さんや動労の皆さんが、非常に困難な国鉄職場において奮闘されておることに対して心から敬意を払うものであります。そこで、最近起こっております暴力事件と称する問題について、一、二私は副総裁からお聞きをしたいと思います。  先ほどの答弁をずっと伺っておりますと、副総裁は、知らぬ存ぜぬ、そういうことはやっていない、不当労働行為はゆめゆめやっていない、こういうような趣旨の答弁をいたしております。しかしながら、国労の方々や動労の皆さんのいろいろなお話を聞きますと、現に静岡運転所の例をとってみますと、局長はじめ課長などが、第二組合を結成するためにいろいろ狂奔をしながら、しかもその会合には酒、ビールを持って出てくるとか、あるいは金品をまき散らす、こういう行動を執拗に繰り返しているわけです。  たとえば、日にちをあげて具体的な例を話しましょう。ことしの八月の九日、静岡市の中にある竜宮という料亭に、これは律月という所長が入って、そしてそのほかに車両課長あるいは、特によくない男は総務課長をしております鈴木君というのですが、そのほかに夏賀丁六という事務助役、これらが第二組合の運動をいろいろやっておるわけです。不当労働行為をやっておる。先ほど八月と申しましたが、三月の九日でした。訂正しておきます。  続いて四月の十五日、同じく竜宮において律月所長はじめ両課長、これは鈴木とか井上君のようですが、費用も出しております。ここでは第二組合の幹部の方といろいろ懇談をしながら、この内容の促進をいろいろやっておるわけです。  続いて六月の十五日、これは講習室で所長はじめやはり両課長が臨んで、第二組合の諸君といろいろやっておるわけです。さらに六月の二十五日——その前に五月の二十五日もございます。ここは、静岡市稲川町の魚藤という旅館において、やはり律月という所長やいま申し上げた井上とか鈴木という課長、あるいは夏賀という助役が入って、そして労働組合の、いわゆる第二組合の促進方をやっておるわけです。  こういう事実が厳然としてあるわけです。こういうことについてあなたは先ほどから不当労働行為はやっていないということを言明しておるが、それでも不当労働行為はやっていないと言うのかどうか。やっていると言うのか、やっていないと言うのか、簡単に答えてもらいたい。
  102. 山田明吉

    山田説明員 結論から申しますと、私先ほどから申しますように不当労働行為はやっておりません。  いま具体的な事例の御指摘がございました具体的な日時、場所、これは私つまびらかにいたしませんが、これも先ほど田畑先生の御質問にお答えしましたように、管理者職員の間のコミュニケーションをはかるという指導をいたしております。それで、そういうグループの会合に呼ばれた場合には、おそらく積極的に出ていく例は至るところにあると思います。
  103. 土橋一吉

    土橋委員 何かコミュニケーションというようなおかしげなことばを使っていますけれども、事実は、要するに第二組合の拡大強化のために金品を供与したりビールを持ち込んだり、あるいは料亭などにおいてのいろいろな費用を調達しておるということは厳然たる事実であります。でありますから、私はあなたの説明国会を冒涜するものであるというふうに考えざるを得ないのであります。  そこで、いま問題の中心点は、いわゆる自由民主党佐藤内閣や資本家が高度経済成長政策のための生産性向上原理などを振り回して、低賃金政策やあるいは所得政策を中心とする労働組合に対する締めつけあるいは合理化、さらに首切り、こういうようないわゆる独得の方法で彼らは労働者階級、労働組合に襲いかかっておる、その一つとして私はこの問題を取り上げたいと思うわけです。でありますから、あなた方の不当労働行為もさることながら、この問題については、いま申し上げるような不当労働行為が至るところに、随所にあるわけです。でありますから私は、そういうことについて——厳としてやはりこれは佐藤政府あるいは労働大臣の責任でもありましょう。また佐藤総理の責任でもあります。特に自由民主党の諸君の全責任においてこういうことをやらせないようにやるべきであって、一総裁とか一大臣で解決のできない状態にまで来ているわけです。これは先ほど井出委員もおられたけれども、郵政大臣をしておりまして同じようなことを繰り返しておるわけです。これは全逓の中においても全電通においても、同じようなことを繰り返しておるわけです。したがって、この問題は単に磯崎総裁とかあるいは山田総裁がどうだこうだという問題にとどまらないわけです。なぜこういうことをするのか、どういう目的を持って一体そういうことをやるのか。これは明らかに生産性向上原理を振り回しながら労働組合に対する攻撃を一手に引き受けてやっておるのだと言っても私は過言でないと思うわけです。こういうことは厳として慎む必要があると思うわけです。  その厳たる証拠、歴然たる証拠がここに一つあるわけです。これは沼津機関区、要するに機関区で出しておる。これはおそらく第二組合がつくったものじゃないかと思うけれども、この内容を読み上げてみると、これは機関区の管理者が出すようなしろものじゃないわけですね。たとえばここにこういうことを書いておるのですね。「一部の過激分子に操られ時代の流れ」というようなことを書いて、そして、その滅びゆく者の姿こそまことに醜いというような、そういう書き出しで、これをことしの八月三十日の沼津機関区という名前で出しておるわけだ。それで、その一番下のところで、国労の全国大会に対して非常な中傷、誹謗を行なっておるわけです。これはおそらく書いている人は、第二組合の幹部諸君が書いておるのではないかと思うのですが、これは機関区で出ておるわけです。現物があるから見てください。なぜそういうことをするのか。しかも、あなた方がいままで答弁したことと同じような趣旨のことをここに書いてあるわけです。そうすれば、いまの暴力事件であるとか第二組合のでっち上げ事件であるとか、すべてこれはあなた方の責任じゃありませんか。イエスかノーかで答えてもらいたい、現物がここにあるのだから。
  104. 山田明吉

    山田説明員 いまお持ちの資料、私目を通しておりません。それで先生が御推定でお話しになった——どもの受け取り方が間違っておったらあれですが、当局の手でなくて、だれか当局的な考えで書いたんではないかという御指摘、それでありますと、私ども管理権の及ばない範囲でございますので、それは各人のやはり思想的な見解の披瀝と解釈せざるを得ないのではないかと思います。
  105. 土橋一吉

    土橋委員 これは「機関区」と書いてあるのです。機関区から出している要するにニュースなんです。これは八月の三十日のこともさることながら、八月の十六日の内容においても大体同じようなことを書いておるわけですね。特に不都合な内容は、この八月の五日の内容なんかが、不当弾圧、不当処分だといって平和を振りかざしながらまことにけしからぬというようなことがずっと書いてあるわけです。これは官側としてまことにゆゆしき問題で、思想攻勢を、つまり国労動労の諸君にかけておる内容であって、許しがたい越権行為である。即時これを停止して検討する必要があるというふうに私は考えておるのだ。あなたの答弁は非常に長たらしいので、もう時間が七分くらいしかないから簡単にやりますが、先ほどの、たとえば沼津機関区の動労に対する組合旗強奪事件にしましても、あるいは静岡運転所における森本君事件と言われておる二名の若い労働者逮捕事件、これらの問題にしても、実際は現行犯ではないのだ、すでに話し合いがある程度ついてわかっておる、まあ常日ごろの友人だからそんなことはあまりしないと言っていながら、その人が、要するに所長のところに行って、それで所長とそれからたしか鈴木課長、井上、こういう諸君が相談をして鉄道公安と連絡をとって、鉄道公安は直ちに来ておるわけだ。もう事件は時間の関係から見ましてかなり前の、おそらく二時間くらい前であったと思うのですよ。ところが、急遽これを現行犯だというので逮捕したわけなんだ。現行犯というのはどういう状態か、準現行犯というものはどういう状態のときをさすといっておるのか、副総裁、あなた方は知っておるのかどうか、そういうことについて知っておるのか、知らないのか、簡単に答弁してもらいたい。
  106. 山田明吉

    山田説明員 専門的にはたいへんむずかしい内容でございますので、知っているとは申し上げる自信はございませんが、大体常識的な範囲で承知しているつもりでございます。
  107. 土橋一吉

    土橋委員 いま副総裁お話しになったように、きわめてあいまいな態度で、しかも約二時間近くもたっておるといわれておる、大体事件が正午のちょっと過ぎに起こっておるわけなんだ、逮捕したのは一時半前後であったと思う。なぜ手錠なんかかけて逮捕するのか。しかも、それがすぐ静岡の南警察へ連行して取り調べしておるわけなんだ。そのために玉井君のおとうさんは卒倒して、それから数日のうちに死んでしまった、それに見舞いにも行かないという状態でいまやっておるわけです。こういう不都合なことを繰り返しつつ、これが暴力事件だ、暴力事件だといって、沼津機関区でもあるいは静岡運転所でも大々的に宣伝をして、これをやっておるわけなんだ。ある委員はこれを取り締まれというようなことを発言しておったけれども、彼らがそういう挑発行為をやったり、官側がそういうことをやっておった、たまたまそういう事件が起こったということに名をかりて国鉄暴力事件、つまり国鉄労働組合動力車労働組合が暴力団体であるかのように仕組んでかかっておる仕事なんです。総裁はこういうことについてどう考えておるのか、イエスかノーか。
  108. 山田明吉

    山田説明員 特定の組合を先入主でこうだときめつけておるようなことはございません。
  109. 土橋一吉

    土橋委員 これは先ほど後藤委員お話ございましたように、至るところに、静岡管内はほとんど昇給、あるいは栄進、あるいは抜てき、あるいは試験というようなものは、全部鉄労の諸君が優先的にやられておる、国労動労はほとんどむしろ悪い立場に置いてきておるわけなんだ。でありますから、事実ははっきりしており、ます。いま申し上げるように、不当労働行為の宴会政策をやったり、懐柔政策をやったり、あるいは脅迫政策をやりながら、一方においては暴力をやった、暴力をやったとでっち上げておるわけなんだ。私は断じてこういうことは許してはならないと思うのですが、特に全逓においてもそういうことをやっておる。井出委員がいまいませんけれども、再々国会においても私は追及しておる。労働大臣は、一体こういう問題について、先ほどのようにきれいごとじゃなしに、厳然たる態度をとってなぜ忠告しないのか。  現に、国鉄、全逓、全電通、そういうところに、至るところで権力をかさに着て、そうして不当労働行為やそういういかがわしい行動が、公社の名前において、郵政大臣の名前において、電電公社の総裁の名前において行なわれることは、いま申し上げましたように、一九七〇年代における自由民主党と佐藤政府のいわゆる所得政策や、あるいは生産性原理を中心とする労働組合に対する一そうの攻撃、つまり合理化、赤攻撃、分断政策あるいは懐柔政策、あるいは弾圧政策、労働運動におけるでっち上げ事件、暴力事件、全部これは自由民主党が全責任を負わなければいかぬ、現在の佐藤内閣が全責任を負っていかなければならないと思うのであるが、労働大臣は一体どう考えておるのか。私が申し上げるように責任をもってこの問題を善処する考えであるのか、そうでないのか、イエスかノーで答えてもらいたい。
  110. 原健三郎

    ○原国務大臣 イエスかノーで答えるには、内容非常に多岐にして重大な問題でございますので、ちょっと一言、二言。  われわれは、労働省といたしましても佐藤内閣としても、労働者に対して所得政策を押しつけたり、賃金の締めつけをやったり、赤攻撃とか等々、そういうことをやったためしはございません。そういう考えでやっておるのではございませんで、なるべく労働者が豊かな生活をするように、そういう配慮のもとにやって、だんだん賃金においても時間においても福祉施設においても、勤労者の生活が向上しておることは歴然たる事実であります。  次に、国鉄は国民生活にも重大な影響があるし、日本の経済にも影響がありますし、公共性もあるし、これは国鉄がその使命を十分達成するために労使がもっと相互信頼してやる必要があることを私どもは痛感いたします。  次に、法律で禁止しておる不当労働行為の発生は好ましくないことは言うまでもありません。私としては、不当労働行為の防止について、当局の一そうの配慮を期待いたしたい考えであります。しかし、使用者の行なった具体的行為が不当労働行為に該当するかどうかは、公労委、裁判所において慎重な事実認定に基づいて行なわれるものでありますので、政府がそれが不当労働行為であるとかないとかいうようなことは、とかくの意見を述べることは差し控えておきたいと思います。
  111. 土橋一吉

    土橋委員 私がイエスかノーで答えていただきたいと申し上げたのにかかわらず、何か原稿を読んで、わけがわからぬ答弁を労働大臣はしておられるわけだ。これはまことに私は遺憾であって、私はそのために時間を刻々と損をしている。わが党に対する余分な攻撃をこういう面にまでかけようとは思わなかったけれども、日本共産党は反対です。いま申し上げるようにイエスかノーで答えてくれというのだから、私はそんなことを知っているとか知らぬと答えればよろしいのです。  そこで私は、時間がもう来たようですけれども、今後このような事案が起こったときには、これは佐藤内閣の責任において、そのような、たとえば課長であるとか、区長とかあるいは助役とか、あるいは局長であるとか、厳然たる処分をする必要があると思うわけです。  いまから二十二、三年前、あのレッドパージ事件が起こった当時、皆さんもよく知っておったと思うのであるが、御承知のように下山事件、松川事件、青梅事件、あらゆるでっち上げ事件をつくって、そうしてあれは共産党がやったのだ、あれは労働組合の赤がやったのだ、こういう宣伝をして、彼らがまんまと朝鮮侵略戦争をやることに当時の吉田内閣は協力した。当時の自由民主党の幹部諸君は協力した。今日また、御承知のように安保体制下において日本の経済がどうなるのかということについて、いわゆる生産性向上運動、所得政策を中心に、また再び労働者階級に、労働組合に襲いかかろうとしているのが現状であります。でありますから、私はこういうわが国の将来の運命にかかわるような重大な問題について、ただ知らぬ存ぜぬとか、適当な答弁でその場をお茶を濁そうというような態度については、まことに遺憾千万といわなければならぬ。私はやはり謙虚に、副総裁であろうとあるいは労働大臣であろうと、こういう起こった事案については、誠心誠意国鉄労働者、つまり動労やあるいは国労の諸君たちに相すまない一そうして第二組合をかばうあまりに金品を供与したり、せっかく昇進すべき人も昇進しない、昇給もしない、また試験も受けられない、こういうような事態を天下公知において行なうということは、国家の権力を乱用するにもほどほどであって、また自分の職務を乱用するにもほどほどであって、これは刑事問題として、少なくとも私は刑事上の処罰を受けるに値するものじゃないかというふうに考えておるわけです。おのれの職務を乱用して、そして国鉄四十六万の労働者に暗い職場を与えるようなことをやっているというような、それでしかも(「委員長もう時間」と呼ぶ者あり)時間は来ましたけれども、大臣が少し長く話をしたので私は……。  そういうわけでありますので、今後そういうことがないように、厳重に労働大臣もまた副総裁も善処せられんことを要望して、イエスかノーか、善処するのかしないのか、簡単にお答えしていただきたいと思う。
  112. 山田明吉

    山田説明員 誠心誠意をもってこれからの問題に取り組んでいくつもりでございます。
  113. 土橋一吉

    土橋委員 終わりました。
  114. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長代理 後藤俊男君。
  115. 後藤俊男

    後藤委員 先ほどから長時間にわたりまして民社党なり共産党、社会党と、一つの問題を各党が取り上げて、しかも連続的に行なったということは最近珍しい問題だと思うのです。それくらい今日国鉄職場における暴力問題なり、その他多くの問題が注目の的になっておるんだ。このことに対する端的な表現であるといっても間違いないと思う次第でございます。  それで、午前中いろいろ言いました問題に対する資料の要求を国鉄山田総裁にお願いするわけです。  第一には、静岡鉄道局管内における功労章抜てき昇給、さらには管理者の登用試験、これの一番最近における実績調査の上お出しをいただきたい、これが一つでございます。  その次には、公安官組合運動に対する方針と申しましょうか、公安官組合運動に対してどういう考え方であるべきであるか。先ほども話が出ましたように、直ちに手錠をかける、二時間前の問題を現行犯だといって逮捕をする、そして警察庁に渡す、勾留する、こんなケースは最近にも昔にもなかったと思いますけれども、だから鉄道公安官として、いま申し上げました組合運動に対する方針はどうあるべきであるか、これも口頭ではあいまいでございますので書面をもってお出しをいただきたいと思います。  その次には警察庁関係でございますが、おられましょうか——これは委員長を通じてひとつお願いをしたいのですが、警察庁関係としまして、やはり静岡なり浜松暴力事件で、かなりわれわれも疑問を持つ点がございますので、警察庁として、一体労働運動に対しましてどういう方針で対処すべきであるか、これにつきましても書面をもってひとつ御提出をいただきたいと思う次第でございます。  次には、先ほど勝澤議員のほうから話がありました静岡暴力事件の問題です。先ほど土橋さんからも話があったんじゃないかと思うのですが、当時の、六月三十日でございますか、二名を逮捕して警察官に渡した。現在取り調べ中ということになっておるかどうかわかりませんけれども、当時の公安官がとりましたところの情勢、これもひとつ書面をもって詳細に御報告をいただきたいと思います。  あわせて警察庁のほうへも、この問題につきまして、公安官から引き継がれてその後どういうことになっておるのか、これにつきましても書面をもって詳細に報告をしていただくように委員長を通じてお伝えをいただきたいと思います。  最後に、これは労働大臣に、先ほど御不在でございましたのでお尋ねするわけでございますが、いまも話がありましたように、警察庁の調べにおきましても五十数件の暴力行為が行なわれておる、これは事実でございます。さらに、山田総裁の話を聞いてみましても、こういうことをなくして労使が一体の形になって国鉄再建に努力したいのだ、こういうふうな話もございました。そこで私は一歩突っ込んで、それなら一体なぜこういうふうに至るところに暴力事件が起きておるのだろうか、この原因は一体どこにあるのだろうか、これが私は問題じゃないかと思うのです。  暴力事件の起きますことには、それは皆さん御承知のように鉄道の労働組合運動方針にも暴力事件というのは肯定しておるとは思いません。さらに動力車労働組合にしましても、国鉄労働組合運動方針にしましても、暴力事件につきましてはやるべきではないのだ、これはもう全部否定をいたしておると思うのです。にもかかわらず国鉄の多くの職場で五十数件、こまかく言えば百件に達するような暴力事件が行なわれておるという原因は一体どこにあるか。これは私は一〇〇%全部が全部そうだとは言いませんけれども、やはり暴力の起こる前には個人的な感情が先ばしると思うのです。その感情の中には一体何が入っておるかといえば、あなた方の、当局の、いわゆる管理者不当労働行為というのが大きなウエートを占めておるのではないか。これは各職場調査に行きまして痛切に感じるわけなんです。ですから、先ほど労働大臣も今後の職員の教育とかいろいろ言われました。さらに山田総裁といたしましても、こういうようなことのないようにひとつやっていきたいと言われますけれども、そういう気持ちがありとするのならば、直ちに不当労働行為を一切やめてもらう。これは何ものにもまさる一番大事な問題じゃないかというふうに私としては考えておるわけなんです。ですから、ぜひひとつ、まだまだ次の委員会では引き続いて多くの資料で追及はする決意でございますけれども、全面的にきょうの委員会を通じてあなた方のほうとしては不当労働行為は一切やっちゃおりません、やっちゃおりません、これ一本で通しておられますから、次の委員会には現実問題を資料としてわれわれも十分追及する決意でございますけれども、ただ私は、各党のきょうのいろいろな意見を聞いた結果として、さらに職場調査した結果といたしましては、こういうような今日の事態を引き起こしておるおもなる原因は何かといえば、不当労働行為そのものがいろいろな面で感情的に職員の中へ入っておる。ですから、まず第一番にはこの不当労働行為を一切やめてもらう、これが私は一番大事なことであろうと思いますし、われわれは強くこの点を要求する点でございます。  そこで労働大臣、最後に、いま申し上げましたような点から考えまして、先ほど土橋委員の話に対するノーかイエスかの答えの中で何か御回答があったように思うわけですけれども、だれがどの方角から見ましても、国鉄職場における管理者側の不当労働行為というのはもう歴然たるものなんです。ですから日本の労働行政指導の最高の責任者である労働大臣として、国鉄総裁に、職場における不当労働行為は一切やめなさい、やっちゃいけませんよと、これを労働大臣の責任においてひとつ厳重に申し入れをしていただくことが今日大臣としての適切なる手段ではないかというふうに私は感じるわけでございますが、時間も十分以内で終わりますので、先ほど要求いたしました資料に対して、山田総裁のほうから、出すか出さないか、ノーかイエスかの話と、最後に労働大臣の、私が言いましたことに対するお考えを聞かしていただきたい、そうして私の質問を終わりたいと思います。
  116. 山田明吉

    山田説明員 御要求の資料、できるだけ早く調製いたしまして提出いたします。
  117. 原健三郎

    ○原国務大臣 いまお話がありました暴力が不適当なものであり、よくないことはお説のとおりであります。この暴力の原因が個人的感情によることが多く、その個人的感情のもつれというのが不当労働行為から出ておる、当局の不当労働行為による、こういう御説でございます。それで不当労働行為というのは、私が国鉄総裁不当労働行為をやめるべしという通達を出さなくても法律の禁止するところであります。法律によって不当労働行為の発生を禁止いたしております。でありますから、この不当労働行為をやらないということは当局もよく御存じのことであるし、それは当然やるべきつとめであります。ただ問題は、国鉄当局はこの不当労働行為をやっていないと、こう言っておるが、やったという、この争点が非常にむずかしいのでありますが、私ども労働省といたしましては、使用者の行なった、すなわち国鉄当局の行なった具体的行為が不当労働行為に該当するかどうかという点に話がなりますが、そういうことについては公労委、裁判所において慎重な事実認定に基づいて行なわれるものでありますので、政府がとかく、どれが不当労働行為である、それは不当労働行為でないということをただいま申し上げることは差し控えておきたいと思いますので御了承願います。
  118. 後藤俊男

    後藤委員 いまの大臣の答弁に対しまして、まだまだ言いたいことはたくさんございますけれども、時間の関係で、きょうの委員会はここで打ち切っていただいて、次の委員会で引き続きまた質問をさせていただく、こういうことで終わりたいと思います。
  119. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長代理 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時五十三分休憩      ————◇—————    午後二時五十五分開議
  120. 森山欽司

    森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を続けます。田邊誠君。
  121. 田邊誠

    ○田邊委員 沖繩問題については、次回の委員会でいろいろと質問をいたすことに理事会で決定を見ておるわけですが、ただその中で、沖繩が復帰をするについて制度的にも実態的にもかなり大量の失業者が起こるであろうということが予測をされ、いわばこの失業者、離職者対策というものが沖繩復帰に伴う諸事業の前提条件になるであろうということが当然いわれておるわけであります。そういった点から見て、政府は次の沖繩国会に向けて予測される大量の失業者に対してどういう手当てを講ずるかということが緊急の問題として取り上げられなければならないと思うわけです。われわれとしては、四万人とも想定されるこの失業者群あるいは離職者群、これらに対して当然いままでのような考え方だけではこれに対処できないというふうに思っておるわけでありますから、何らかの特別の措置が必要になってくると思うわけであります。過去にも炭鉱の離職者あるいは本土におけるところの駐留軍の離職者、そういったものに対するところの措置については、それぞれ特別措置法等をつくって対処してまいったわけでありまするが、沖繩の復帰前後から発生するところのこれらの失業者、離職者に対してやはり特別な立法措置を講じてこれに対処しなければならないであろうというように思っておるわけであります。  ひとつ、沖繩国会に向けてのいろいろな施策を講ずる前提として、この離職者対策に対して政府がとるべき施策についてお伺いしたいわけでありますけれども、きょう閣議のあとの沖繩関係閣僚協議会において第三次の復帰対策要綱が決定をしたと思うわけでありますけれども、この中においても、この離職者対策については特別の立法措置を講ずべきである、こういうことがいわれておるやに承っているわけであります。労働大臣、この際、この離職者に対して特別立法をもってこれに対処する、こういう心がまえがおありであるかどうか、それに対してあなたの緊急の御努力をお願いしたいと思うわけであります。私、社会、公明、民社をそれぞれ代表する立場でお伺いしたいと思いますが、所信のほどを承りたいと思います。
  122. 原健三郎

    ○原国務大臣 ただいま田邊先生から御質問の、この沖繩復帰に伴う沖繩の離職者が出るという問題でございますが、労働省といたしましてもこれを非常に重要視して、万般の対策をいまだいぶ研究を進めてきましたし、ただいまお話がありましたように、きょうの沖繩関係閣僚会議においてもその第三次要綱が決定したので、その中においても離職者対策をうたっております。  それで、いわゆる大蔵省その他関係閣僚が話し合っております一つは、この沖繩関係の予算はいままでの既存の政府の予算と別ワクで、要求にも二五%以上各省ともよけいに要求してはならぬということを閣議で申し合わせしておりますが、沖繩関係の予算は別ワクで大体御希望のとおりに応ずる用意がある。これは大蔵大臣も言っております。しかもほかの要求は、二割五分までという要求は、八月末までに提出せよ、沖繩は九月末までに提出せよ、こういうふうに分けて考えております。それを踏まえまして、私どもといたしましては、少なくとも石炭離職者に対する援護対策より劣るようなことはございません。  また開発就労事業の沖繩実施についても、本土とは別ワクにして、十分御期待に沿うようにやりたいと思っております。  第三の法形式でありますが、独立法にできればしたほうがいいと思っておりますが、いまの御趣旨の点をよく踏まえて、関係省と最後の決定をして、御期待に沿うようにいたす考えであります。よろしくお願い申し上げます。
  123. 田邊誠

    ○田邊委員 私が第二、第三で質問することの御答弁も緒にいただきましたので、あえて申し上げないのでありますが、やはり形だけを追うのじゃなくて、問題は中身でありますから、中身を重視してもらわなければならないと思うのですが、しかし大蔵当局の従前のような考え方でいきますと、たとえば開発振興法等の中に一括して入れることによって予算措置も狭められる、いわば対応する措置も考え方が非常に狭くなるというおそれもありますので、できれば単独の特別立法をもって対処することが望ましいというふうに私も思いますので、ぜひひとつ大臣も、これは立法措置の問題もありましょうから、早急にこれに対しては関係の山中担当大臣等とも相談をされて対処されることを私は切望するわけであります。  それからその中身は、いま大臣もお話しになりましたように、当然過去におけるところの駐留軍の離職者、あるいは炭鉱離職者等の一時的に大量に発生する離職者に対するところの措置をやってまいった経験もございますし、また事業的に見た場合には、産炭地の振興法等の過去の経緯もありますから、これらも踏まえて、いわゆる人に対する問題、それから事業に対する問題、これをどう調和させるかということも踏まえて、それに対して適切な措置をとっていただくと同時に、過去の例を下回らない、しかも沖繩の特殊な事情もその中に当然加えて対処される、こういうふうに私は再度確認しておきたいと思うのであります。  それから失業者が起きた場合に、この国内法では、この春の通常国会において中高年雇用促進法が成立をしたわけでありますからして、そういった面から見ますと、当然開発就労事業等が予定されまするわけでございますけれども、聞くところによりますと、今年度たとえば五千人予定をしておるところの開発就労事業の中に沖繩も含めたいというふうに、一応財政当局も言っておるというふうに聞いておりますが、もちろんこんなことはけしからぬ話でありますから、われわれとしては当然別のワクでこの失業者に対応するところの事業は起こしてもらうということは理の当然だろうと思うわけでありまして、いま大臣から大体その旨の御答弁がありましたけれども、さらにひとつ私の質問に対して、賛成であろうと思いますけれども、確認の意味で御答弁をいただきたいと思うわけであります。
  124. 原健三郎

    ○原国務大臣 お説のとおり、さいぜんも申し上げましたように、開発就労事業等においては本土と別ワクでやる。さらに今度の第三次の沖繩復帰の要綱を見ましても、各般にわたって非常に根本的、思い切った施策をやって、沖繩当局においても、わが本土の各省においても全部意見の一致を見たということ、きょうきまりましたけれども、等々を踏まえまして御期待に沿うように、予算もかなわ思い切って出すということを大蔵省も言っておりますし、佐藤総理もそれを指示しております。沖繩については別ワクにして積極的にやるように、これは閣議において総理の指示もいただいております。そういうわけで、さらにそれを進めて単独法にするという意見、私ども労働省としては単独法がいいと思っておりますが、関係各省の意見もありますので、もう少し煮詰めて御期待に沿うように善処いたします。
  125. 田邊誠

    ○田邊委員 ひとつぜひ、時間的な制約もありましょうから、直ちにこれに対して、以上三つばかり申し上げた点をもととしまして、沖繩の離職者対策に対して後顧の憂いのない、万全の措置をされるように心から期待申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  126. 森山欽司

    森山委員長 山本政弘君。
  127. 山本政弘

    ○山本(政)委員 浦賀造船所の問題に入る前に、少しばかり時間をいただきたいと思うのですけれども、最近東京の中心部で、地下で酸素が欠乏しておるという問題がある。そして現に二人の人が、三菱建設の現場員の人が二人、工事中、最高裁の新築現場でなくなっておる。あるいは参議院の地下の一階の冷却機室で秋山さんという人ですか、この人がやはり同僚と二人して地下の機械室へ行って倒れそうになった。そのほかにも神田のすし屋の店員が倒れたということで、たくさんそういう事例があるわけであります。そうしてここで見てみますと、ほとんど大きな建物といいますか、赤坂のプリンスホテルそれから国立国会図書館、衆・参両院それから外務省、最高裁、農林省、大蔵省、文部省、東海ビル、砂防会館、全国市町村会館、社会文化会館、そういうところがやはり同じような危険性がある、こう言われておる。これは私ども技術上のことはよく知りませんけれども、圧気工法というのですか、そういう工法上の問題とかあるいは地下の水のくみ上げでそういうふうな現象が起きるということを聞いているわけでありますが、そのことに対して一体労働省としてはどういう対策をおとりになろうとしているのか、あるいは現実にとっておるのか、その点をまずお伺いしたいと思うのであります。
  128. 原健三郎

    ○原国務大臣 いまお尋ねにございました酸素欠乏症といいますか、最近非常に各方面で問題になってまいりました。それで労働省では前から酸素欠乏症予防対策要綱というようなものをつくりまして、関係事業場に対して周知徹底をはかってきたところでありますが、そんな要綱だけではまだどうも事故防止にまでいきませんので、一そう実際の効果を期するために、中央労働基準審議会の答申もありましたので、今度はさらに進んで酸素欠乏症防止規則というのを制定することにいたしております。この酸素欠乏症防止規則は今月、九月中にも公布施行すべく作業を進めておるところでありまして、この規則は労働基準法に基づいてつくるものでありますから、かなり効果が出るのじゃないか。それは九月中に施行したいと思います。なお詳細はひとつ事務当局から答弁させます。
  129. 山本政弘

    ○山本(政)委員 この酸素欠乏、死の空気というのですか、そういうものが発生するのが東京の地下の二十メートルから二十五メートルぐらいのところである。しかも本来ならば二〇%ぐらい必要なところが一〇%以下だ、こういうふうになっておるわけであります。しかも地下鉄のトンネルなんかではクラックが入って、そうしてそこからそういう危険な空気が漏れて出てきておるということで、地下鉄なんかにもしそういう現象が起こればこれはたいへんなことになるだろう、こう思うのであります。いま規則をおつくりになる、しかもそれは基準法に基づいておつくりになると言うのですけれども、この基準法に安全管理というのがあります。この安全管理の中にはいろいろなことが書いておりますけれども、それからもう一つは、安全基準というのがあります。五十九条以下ですね。そして安全管理については、これは一条からありますけれども、このことについてひとつ具体的に、安全基準もしくは安全管理という条文について補足あるいは補完をする。そして私は、事例としては、これはもういまここに安全基準の条項が書いておりますし、それから安全管理に対しても条項が書いておるけれども、ここに書かれておるものよりかはるかに頻度というものは酸欠の問題というのは大きいのではないか、また今後しばしば起こり得る問題ではないだろうか、こう思うのですけれども、ここのこの条文について、これを補完をするといいますか、補充をするというか、強化をするとかいう、そういうお考えはないのか。私は、当然この安全基準についての条文についても補完をすべきだろうし、安全管理についても補完をすべきことがあるんではないか、こう思うのですけれども、その点についてお伺いいたしたい。
  130. 岡部實夫

    ○岡部説明員 ただいまお尋ねの酸素欠乏の問題でございますが、先ほど大臣からの御答弁にございましたように、いま私ども中央労働基準審議会の答申を得まして、新しい規則をつくるということで進めております。その中身は、ただいま先生の御指摘にございましたように、労働基準法の安全衛生に関する基本的な規定を命令に譲っている部分が相当ございますので、それを受けての命令の形で規則をつくりまして、その中で、酸欠が発生するおそれのあるような場合の予防のための各種の措置あるいはそれを予防するための作業等についての具体的な規定、こういうものを置くつもりでございます。たとえは、酸素欠乏症が発生するおそれのある特定の作業場、これはいま御指摘のように、地下鉄の各種の作業場とか、あるいは潜函工事をやりますいろいろな作業場とかがございまして、これは十数カ所について具体的にこの作業場を指摘する。空気中の酸素濃度の測定、測定器具の備えつけについて定める。たとえば空気中の酸素の濃度を一八%以上に保つように定める。それから空気呼吸器等の呼吸用具のその保護具、あるいは命綱、退避用具等の備えつけをする。また作業開始前にそれらを点検するとか、それから作業前及び作業後の人員点呼、それから危険な作業場所の関係者以外の立ち入り禁止とかいうようなこと。さらにそういった状況についての作業教育をやる、安全を含めました教育をやる。それから特定の作業につきましては、そういう危険な作業場所におきまする作業主任者を明定いたしまして、この危害予防につとめるとかいうことをしたい。さらに全般的には、実は労働省は特別の事業場等は監督するということになりますので、たとえば地下鉄の工事によって、たまたまそれが工事現場以外のところで酸欠の事故が発生するというような例もございます。そこで私どもは、基準法の五十四条に、命令で定める危険な作業をする場合等についての事前通告の制度がございますので、これを規則の中にさらに具体化いたしまして、そういう危険のおそれのある事業については監督署に二週間前に通告をしてもらうことにいたしまして、通告を受けた場合には、関係のたとえば消防庁その他の関係機関にも通報をいたしまして、危険の防止に寄与する、こういうことで進めてまいりたいと思います。  なお、基準法自体に規定してございまする安全衛生の各種基準につきましては、目下さらに新しい安全衛生立法をつくるという作業の中で検討を進めてまいる、こういうことにいたしたいと思っております。
  131. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たいへん失礼いたしました。これは基準法ではなくて、私の言ったのは、労働安全衛生規則の安全基準でした。これも含めてひとつお考えを願えるということですね。
  132. 岡部實夫

    ○岡部説明員 基準法、安全衛生規則を含めまして、検討いたしたいと思っております。
  133. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たいへんありがとうございました。ただ、労働省だけでもちろん不十分だと思います。管轄からいえば自治省もあるでしょうし、それから、将来の都市計画ということからいえば建設省あたりも関連をするんだと思いますが、九月中というお話をいただきましたけれども、ひとつぜひ早くそういうことをやっていただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  昭和四十四年の六月三十日に住友機械と浦賀重工が合併をいたしました。それ以前に、旧浦賀重工株式会社と全造船の浦賀分会との間では、それまでは非常に労使の関係がスムーズに行なわれておったわけでありますけれども、合併後急速に労使関係が悪化をしてきたという事実があるわけであります。これは合併という事態がもたらした必然的な結果だと私は思うのでありますけれども、しかし、その中から実は、一連の不当労働行為が出てきておる。一つは、会社側のほうであらゆる機会を通じて組合に対する支配介入をやってきている、これが第一点。第二は、組合活動家に対する不利益差別取り扱いが出てきておる。第三は、特定グループに対する便宜供与が出てきておるということであります。  まずお伺いいたしたいことは、一般的な問題として、そういうものが出てきた場合に対して労働省としては一体どういう処置をおとりになるお考えか、まずこのことを冒頭にお伺いしたい。
  134. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 一般に労働省といたしましては、労使関係については当事者の自治にまかせるというのが原則でございます。そうしてその自治では間に合わない事項が出てきて、特に不当労働行為等が出た場合には、労働委員会の手続によってその排除をはかるというのが原則でございます。なお、しかしながら、事案の性質によりましては、私どものほうで事情を聴取し、あるいは時に忠告、指導を行なうということもございます。
  135. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は、それでは一つ具体的な事例をあげて労働省の見解をお伺いいたしたいと思うのでありますが、たしか大阪の地方委で、四十年の八月でしたか、こういう、これは何といいますか、専門語では判決というのですか、判定というのですか、出ておりますが、技術教育でない研修会は不当支配介入ではないかということで、従業員に対する技術教育ではなくて、いわゆる思想教育、しかも講義の内容が組合執行部や方針に対する非難を含み、その上組合活動を妨害する具体的な方法を教授している場合には明らかに不当労働行為である、こういうふうな決定がたしか三菱製紙の事件に関して出ていると思うのであります。だとするなら、浦賀ドックというのは明らかにそういうことに抵触をしているのではないだろうか。ここにこれだけの資料がありますが、浦賀ドックは実は会社主催の研修会をやっております。場所は浦賀の清和寮、これは会社の寮であろうと思います。あるいは艤装員クラブ。あるいは箱根の産業人教育協会の研修会に出しておる。あるいは東京における極東事情研究会に会社から組合員を出しておる。その中で、ここに「極東事情研究会の概要」というのがありますけれども、この概要の「目的と活動」の中には「左翼勢力の戦術を分析研究し、特に職場組合に浸透を策す左翼勢力の謀略的動きに対し広く警告を与え、同時に健全なる労使慣行の確立、健全なる働く産業人としての若年層の育成に努力しております。」というのがあるわけであります。そして現実に浦賀の人たち、ここにはっきりしたノートがありますけれども、この中には「有志同好会発足の趣意書」というのがありまして、これがテキストになっておるわけであります。冒頭にあるのを読みますと、   ここに招介するのは〇〇社における「有志同好会」発足の趣意書である。   ここでは、かつて組合執行部を左翼勢力で占められ、下部にも多数の極左的活動家がおり、極左路線によって組合指導せられていた。   かかる状況の中にあって、会社、組合の将来を憂慮する声が盛り上がり、“一部の活動家まかせで無関心の状態のままで放置しておいてよいのか”“自分達の職場、自分達の組合は自分達で守る”という意識の中から有志勉強会が発足している。 ということで、ここに、どのようにして有志勉強会をつくり、そして〇〇同好会というようなものをつくっていくか、そしてそういうことによる行動が日本国憲法、労働基準法に違反をしていないという指導をやっておるわけです。これが一つ。  もう一つは、「特別研修会テキスト」として、産業人教育協会から出ておるのであります。これはあえて申し上げますが、私どもの党の名もあげられておる。そして一、二読んでみますと、「組合の資金カンパ及び財政問題をとり上げて極左派をたたく方法」とか「職場組合の中に健全な活動家をいかに養成し、いかに訓練していくか」こういうことが実は書かれておるわけであります。そういうものを実際に見ますと、いまの会社のやり方というのは、先ほどの大阪の地労委の決定ではありませんけれども、明らかに研修会という名をかりて思想教育をやっておるとしか思えない。しかも組合員を参加させておる。これは組合に対する重大な干渉であり、支配介入であると私は思うけれども、このことに対して一体どう労働省はお考えになっておるのか、このことをお伺いしたいと思います。
  136. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 不当労働行為の中でも、不利益処分と違いまして、支配介入の不当労働行為というのは諸般の情勢すべてを総合的に考え、手段、方法、内容等も考えなければなりませんので、これはなかなかむずかしい問題でございます。私どもとして申せますことは、組合の中に組合の現執行部を批判するグループができるということ自体は労働者の自由であるけれども、経営者がそういうことを積極的に推進するということは、支配介入のおそれがあるというふうに考えている次第でございます。
  137. 山本政弘

    ○山本(政)委員 重ねて念を押すようでたいへん申しわけないですけれども、いま申し上げた産業人教育協会あるいは極東事情研究会の参加者の資料から私は写したのですが、こういう実態があれば明らかに違法ですね。
  138. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 労働者あるいは組合員がそういう第三者の行なう講習、研究会等に参加するということ自体は、これは自由でございます。会社が支配介入するということが禁示されているわけでございます。
  139. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たいへん慎重なお答えで私はちょっと困るのですけれども組合員をしてこういう会合に参加せしめるということはどうなんですか。
  140. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 組合員が参加することを放置するあるいは承認をするという場合と、業務命令をもって参加させるという場合と異なると存じます。それから参加した先が使用者の意を受けてそういうことをやるとかいう場合と、知らないで参加させたらばたまたまこういうことをやったという場合と、両様ございます。ただいまの事件につきましては私具体的に存じませんので直ちにどうこうということは申せませんから、先ほどのお答えをもってお答えとさせていただきたいと存じます。
  141. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たいへん慎重で私もなかなか困るのですけれども、つまり会社が強制をしなくとも、いざなって、あるいは職制を通じて、そういうことをさせる、かりにそういうことがあったとすれば、それは違法ですね。
  142. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 会社が支配介入する場合には、会社の社長もしくは管理者みずからが支配介入する場合と、それから第三者をしてそういう影響を受けしめるという支配介入の手段もあるかと存じます。
  143. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いまおっしゃった二つの場合のいずれとも支配介入に当たるかどうか、つまりいずれとも不当労働行為という名に値するかどうかということですね。
  144. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 会社がみずからやりました場合には、これは明白でございますが、第三者の手を通してという場合には、認定その他がむずかしい場合があるかと存じます。しかし第三者の手を通せば全部安全であるということではございませんで、場合によれば不当労働行為になる場合があると存じます。
  145. 山本政弘

    ○山本(政)委員 もう一つ、こういうのがあるわけであります。これは日にちを明確にしたほうがいいかもわかりませんけれども、ことしの八月十一日であります。浦賀造船の業務課長の竹中という名前の人に呼ばれて、これはおそらく私は第二組合の母体だと思うのでありますけれども、そういう動きに対して参加しろということで署名が行なわれた。その人はたまたま実は署名しなかったわけだけれども、その竹中課長に呼ばれて、どうして署名をしないのかといって追及をされた。本人はもちろん返事をしないで署名を拒否したわけでありますけれども、この竹中課長の行為というのは支配介入に当たるかどうか。
  146. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 おそれ入りますが、不注意でどういう署名であるか聞き漏らしましたので、ちょっとお教えいただきたいと思います。
  147. 山本政弘

    ○山本(政)委員 もっと詳しく申し上げますと、浦賀民主化総連合、分会の人たちは俗に民連と言っておるようでありますけれども、その民連に参加をしろという署名が実はドックの中で行なわれておった。それに対して本人は署名をしなかったわけであります。ところがそこの業務課長の竹中という人がその人を呼んで、どうして署名をしないのかということで追及をされたということであります。
  148. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 労働組合の内部に現執行部を批判するグループというものができるということ自体は、労働者の自由でございます。しかしながらその組合内部においてそういう二つの意見があるという場合に、一方の意見を使用者が特に加担をして応援をするということは、非常にしばしば不当労働行為になるおそれのある行為だと存じます。
  149. 山本政弘

    ○山本(政)委員 まだほかにも実例はありますけれども、時間が四十分だそうですから、次に移りますけれども、第三点目の特定グループに対する便宜供与ということで実は問題が出てきている。  それは、横須賀に小川町というところがありますけれども、そこに横須賀商工会議所の会館がある。一般の人が借りにいってもこれは当然使わせない。もちろん商工会議所でありますから、会社とかあるいは商店とかというものの会合に使われるのが本来の筋だろうと思うのでありますが、ことしの四月二十一日に商工会議所の会館に住友重機械工業浦賀造船所さまという名前がちゃんと出されて、四階のホールで、先ほど申し上げました民連の結成総会が実はあったわけであります。  そこで、新議長に選ばれた人の就任のあいさつにも問題があると私は思いますけれども、それは省きまして、一般的には組合員が借りても借りられないような商工会議所のホールに対して、会社側が民連という、私をして言わしむるならば第二組合だと思いますけれども、第二組合を目ざした、これは名前を申し上げたほうがいいかもわかりませんが、二八会民主化グループ、むつみ会という、いずれも第二組合をつくろうとしているグループでございますが、この二つが一緒になる結成総会であったのでありますが、これに便宜供与をするということは、先ほど局長のおっしゃることからいえば、私はあり得べからざることだと思うんだけれども、実際にこういうことがあった。これは要するに一方のグループといいますか、そういうことに対する便宜供与になりはしないか、そしてそれは不当なものではないだろうか、私はこう思うわけですけれども、その点はいかかでしょう。
  150. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 労働組合または労働組合の中の一部のものが行事をする場合に、その会場を借りるための便宜を供与するということ自体が直ちに不当労働行為にはならないと存じます。たとえば例は違いますけれども、レクリエーションのための会場の便宜供与ということは、もちろん会社がしばしばすることでございます。したがいまして、便宜供与自体が直ちに不当労働行為とは申せないが、たとえばその会場費まで会社が出すということになりますと、これは不当労働行為の疑いがだいぶ濃くなると考えております。
  151. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私が現地に行って、そして造船所の所長の長井さんという方にお会いしたわけであります。一時間半あるいは二時間くらいお話したかもしれませんけれども、そのときに私はこの件を指摘いたしました。     〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕 これはおかしいのではないかという話をしました。そうしたら所長自身は、会社は関知しておりません、こういう話だったのです。私はよく調べてひとつ返事をくださいということで帰ってまいりましたけれども、その返事がここに、田邊さんあてに来ております。ところがこれには借り受け名義人は、ある種会場を使用する場合は会社の人がなる、つまり商工会議所を借りる場合はなるようになっておりますので、個人的に依頼された当時の業務課副長がそれをやった、こういうふうに書いているわけであります。それはそれとして、私がそのときに長井所長に質問をしたのは、それでは一つのグループを組合内部でつくろうとしておるその人たちに対してあなた方が便宜供与したのではないかということに対して、会社は知りません、こういう話をした。そこで私は逆に、それではあなたは最高責任者で知らないかもしらぬけれども、課長とか副長とかいう人がそういうことをやったということに対しては一体どうなんだ、これは調べてみますということでこういう返事がきたわけでありますが、その際に私は、それでは片一方に対して便宜供与するということはあり得るのですね、これはイエスという返事であります。ところが浦賀の分会、つまり第一組合の人が、それならばもしあなた方に課長さんを通じて商工会議所の大ホールを借りたいといった場合には、一体その便宜をはかっていただけるのですか、そうしないと片手落ちになるのではないかという話をしたわけであります。そうしたら、それはできませんというお返事だった。そうすると、片一方にだけ便宜供与をやって片一方には便宜供与をやらぬということになるわけです。少なくともそこには非常に片手落ちの面があるだろうと私は思います。そしてむしろ極端な言い方をするならば、会社のほうがつまりそういうグループの発生というものを望んでおるがゆえに、その人たちには商工会議所の大ホールを世話するけれども、第一組合の人は会社に対して批判的であるがゆえに借さない、こういうふうな感じも実はあるのではないかという感じがしてならなかったわけでありますけれども、私は一方に対して便宜を与えて片一方にやらぬということは、やはり問題があると思う。そのことに対して一体局長はどういうふうにお考えになっているかお伺いいたします。
  152. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 先ほども申し上げましたように、会場を借りる便宜を供与することだけとりまして、そのこと自体が直ちに不当労働行為になるかという点につきましては、なかなか微妙なものがあると存じます。しかしながら、組合の中が割れておりますようなときに、片一方に便宜を供与し、片一方に供与しないということは、そのほかの事情を総合いたしましていろいろと不当労働行為があるのではないかとか推定する一つの根拠にされる場合もあるということで、会社としては慎重に扱われるべきではなかろうかと考えます。
  153. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ことしの春闘にあたって、会社は、ここにあり、ますけれども、たくさんのビラを実はまいておるわけであります。こういうビラをたくさんまいて、組合員に対して、春闘というようなことで、かりに時間ストであれ何であれやるということはいかぬというようなことを、文書としてあれこれ流しておる。しかも、いまさっき申し上げたように、箱根あるいは東京あるいは浦賀の市内で研修会をやっておる。その研修会の中身というのは、先ほど申し上げたようなことである。しかも、ここにありますけれども、岩崎社長のあいさつというのはたいへん勇ましいあいさつをなされておる。研修会の劈頭にあたってのあいさつでありますけれども……。そういうことを見ておると、非常に私は緻密に計算をしながらやっておるような気がしてならないわけですね。それだけ緻密な人がホール一つ借りることについては簡単に、一つのグループだからということで、何ら思想的なものを考えないで、そうですがと言って貸すようなことは私は決してやらぬだろうと思うのです。緻密であるがゆえに、課長の下の副長というような人の名前を使って、その人が仲立ちになって——私は副長、これはたしか課長の下の副長だろうと思うのです、副長という名前からすれば。本来ならそういう人がストレートに商工会議所に電話をかけて借りるというようなことはできないと思うのですよ。浦賀ドックだからということで横須賀商工会議所は貸すのだろうと思うのですね。つまりそれだけ浦賀におけるドックが商工会議所に対して、そういうものを借りるときですら非常な権威を持っているということだろうと思う。その権威で結局会社の副長くらいの人の名前を使って借りるというようなことは、つまり意図的にそういうことをしたのではないのだ、あれは要するに副長の個人的な名義で借りたのだという逃げ口上をつくるために私は副長の名前を使って借りることになったのだと思うのですね。ですから、そういうことを考えると、組合員だって勘ぐりたくなるだろうし、私自身が少なくとも客観的にこの問題を取り上げて、そうして調査した限りでは、そこまで緻密なことを考えている会社が、単に商工会議所を借りるというようなことに対して非常に無配慮に私はやることはないだろうと思うのです。そういうように考えていくと、やはり民連だから便宜をはかる、そして第一組合だから便宜をはからないということが明らかにあるのじゃないだろうかと思うのです。もちろんそういうことに対してあなたに対してどうお考えですかと言われても、事実が調査をされてないからはっきり御回答はできないかもわかりませんけれども、しかし、一般的にこういうことがあった場合には、私は労働省としては、一般的でけっこうですよ、あった場合にはこれは考えるべきことではないだろうかと思うのですが、再度御質問いたします。
  154. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 先ほども申し上げましたように、個々一つ一つの行為をとりましたときに、それのみをもって直ちに不当労働行為と言えるかどうかにつきましては、なかなかむずかしい問題があると存じます。しかしながら組合の中で激しい意見対立があるというような場合には、疑いを避ける意味からも会社としてはきわめて慎重に行動されることが望ましいと考えております。
  155. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、四月二十一日に借りて、四月二十一日にその借りた場所においてその民連というものの結成、つまりこれは第二組合に発展をするだろうし、すでにきのう、おとといあたりはそういう動きが出てきているわけであります。そういうことを考えると、やはり貸すべきではなかったというふうに考えていいですね。どうですか。それはつまり組合をつくるのですよ。これはあなたのレクリエーションではなくて、明らかに組合、民連というものの結成総会であります。つまり批判派の結成総会ということを知りつつ、当日であるということを知りつつ借りることに手をかしたということですから、本来ならば常識的に考えて、客観的でけっこうなんです。不当であるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  156. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 私ども個々の行為について、それが望ましかったとか望ましくなかったとか判定すべき立場にはございません。  ただ、一般論として、先ほど申し上げましたようなところから、きわめて慎重に行動することが望ましいと申し上げたわけで、それをもっておくみ取りいただきたいと存じます。
  157. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ第三番目の組合活動家に対する不利益差別取り扱いについてお伺いいたしますが、私は第二番目のお答えについては、おくみ取りをいただきたいということで、たいへん立場としておっしゃりにくいから、くみ取るということばの意味深長さというのを私は理解して、次の問題に進みたいと思うのですけれども組合の代議員はいま九十二名、この中には実は民連を組織しようとしている人たちも入っているわけであります。そうして分会の人はいま四十名おります。九十二名中四十名。そこで四十名の人が賃金の実は差別を受けておる。プラス・マイナス・ゼロから、従前に比べて全部がマイナスであります。それで上司の人は仕事はできるけれども、思想が悪いから上げないのだと、こうはっきり明言しているのですよ。これは私は差別だろうと思うのですけれども、この点はどうお考えでしょう。私がたいへん残念なのは、きょう浦賀ドックの方々がお見えになっていないから、突き詰めた議論というのはできませんけれども、まずその点についてきょうはお伺いしたいと思います。
  158. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 特定の組合に属しているからまたはいないから、あるいは組合の中の相反する二つのグループのいずれかに属しているからまたはいないからという理由をもって賃金等の労働条件に差別をつけることは、不当労働行為になるおそれが多分にございます。
  159. 山本政弘

    ○山本(政)委員 会社の重役である北村久寿雄さんという人は、こう言っているのです。いまの世の中は資本主義の世の中だ、社会主義はいまの資本主義を否定するものだ、だからこれを支持するたとえば——ちゃんと社会党の名前が入っているのですね。たとえば社会党など支持する者は会社をつぶすやつということになる、企業を守るために極東事情研究会へ派遣して組合対策をやるのは当然だ、こう言っているのです。またある課長、これは、会社をつぶそうとする思想を持った者は差別するのはあたりまえだ、こう言っている。これはちょっと私は幾ら何でも行き過ぎだと思うのです。かりに団交の席上で言うにしても、これだけのことを言うのだったら、よほどの考え、ウルトラな考えを持っている人だと思うのです。しかも北村さんというのは私は昔公労委の事務局長というふうに理解しているのだけれども、こういう人がこういうことをやる、他は推して知るべしじゃないかと私は思う。  まず第一点お伺いしたいことは、この北村久寿雄さんの発言というものをどう理解されるか。第二点は、北村さん並びにその課長の言っている、会社をつぶそうとする思想を持った者は差別するのがあたりまえであるということに対する労働省の見解をお伺いしたい。
  160. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 最初のほうの、社会党だから差別をするというような考え方は、これは労働組合運動と直接関係はないとも申せるわけでございますけれども、はなはだ適当でないお考え方ではないかというふうに考えます。  それから第二点は会社をつぶそうとする者というお話だったように承りますが、会社をつぶそうとする者ということになって、具体的な行動になった場合には、会社もこれを排除するということは、これはやむを得ない点があるのじゃないかと思います。   〔発言する者あり〕
  161. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 静かにお願いします。
  162. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それではもう一ぺん第一点に戻りますが、七月二十二日の団体交渉の席上で組合——私が申し上げたように、いま資料をお見せしましたけれども、この資料、そういう事実によって生産や安全に関係のない、反共団体の研修会に組合も参加させるのはおかしいではないかという質問に対して、そして中止をせよという申し入れに対して、当日の団交の席上で会社は、企業防衛上当然の行為だと主張しておったけれども、その後、竹原勤労部長はこう言っておるのであります。組合から言われたからやめるわけではないけれども、極東事情研究会の研修には行かせない、こう言っておったのであります。そう明言をした。ところが八月の十六日、つまり約一カ月くらいたった十六、十七日の両日に、東京で極東事情研究会の主催する若年労働者指導講習会が開催されることを聞いて、当日池之端の弥生会館で組合の人がおったところが、他の組合の人たちが三名これに参加をしておる。これはおそらく私は自分の意思ではないと思います。ちゃんとこれは写真をとってある。しかも会社のタイムレコーダーもちゃんとこういうふうになっておる。これは不当支配であるかないか、どうお考えか聞かしてもらいたい。しかもそこの中に明白に参加者のノートがある。分裂支配をここにちゃんと教え込んでいるのですよ。社会党のことも書いておる。これは不当支配でないか、あるいは介入でないか、この点はっきりお答え願いたい。
  163. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 山本さん、時間の関係を見ながらひとつ結論を頼みます。
  164. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 先ほども申し上げましたように、第三者が途中に介在しての行為というものは、非常にこれは微妙でございます。それに、自由意思であるかどうかという問題も加わります。したがいまして、いまおっしゃった限りのことで私ども不当労働行為であるかどうかということを判定することは非常にむずかしいと存じます。
  165. 山本政弘

    ○山本(政)委員 参加させるなと言ったことに対して、組合が言ったから参加させないというのではないけれどもと言って、そのときはやめたのですよ。組合に言われたからやめさせるのではないですよと言ったことは、実は組合員の派遣に対して、要するに会社側が指導しているということ、これは事実でしょう、その裏を解釈をするならば。これは考え方からいえば当然のことだと思うのですよ。  委員長のほうから注意がありましたから私はこれでやめますけれども、しかし同時に質問を保留をさせていただきます。そしてこれは、この次にひとつ会社側も参考人として一ぺん呼んでいただきたいと思うのです。これはひとつあと理事会のほうでおはかりいただきたいと思うのですけれども、こういう数々のことが出ているところに実は問題がある。私は、局長のおっしゃるように、組合の人たちが自分なりの考えで別のグループをつくることはあり得ると思うのです。それを不当労働行為というわけには私はいかぬと思うのです。それは組合員の自由意思ですから。しかし少なくともいま申し上げた一連の事実というものは、使嗾、教唆をしているということなんですよ。これはあとで必要なら全文差し上げますが、要するに会社のビラから、岩崎社長の発言からいって、まことに不当きわまる。ぜひこの次までに実情を調査して私のところに調査結果を御報告願いたいと思うのであります。聞きましたら来月の十一日ですか、社労委があるそうでありますから、そのときまでにひとつ御報告をいただきたい。同時に、あらためて私はそのときにその調査の報告によっては再質問させていただきたい。
  166. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 非常に複雑な事件でございますが、私どもできるだけ調査をいたしまして御報告をいたします。
  167. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 小林進君。時間の関係がありますから、長くなしに……。
  168. 小林進

    ○小林(進)委員 いまの山本委員の質問に関連をいたしまして、実は私もこの問題について、岡山の玉島の住友重機の不当労働行為の現地の調査をしてきたのでございます。そのあらましはそこにおいでになる労政局長にも若干私は御報告いたしておきましたし、管理、衛生の問題に関係して、そこにいらっしゃる基準局長にも私は御報告いたしておきました。しかし私もこの国会の中で十数年労働問題を扱ってきておりますが、これくらい露骨に、しかも巧妙に組合の分裂工作をやっている経営者というものは初めてなんであります。あんまり巧妙で、しかも露骨で、そして労働者と経営者の中間にいるような者をじょうずに使嗾しながら、やはり経営者でないような形で分裂工作をやっておる。だれが一体これをやっておるのかといったら、この住友重機の重役の中の北村何がしだという。何だといったら、私がかつて三十六年ごろスイスに行ったら、スイスのどっかの駐在員にいた。それから中労委か公労委に行った北村何がしなどというのが、もっぱらその作戦の総本部をつとめている。何だといったら、いまも言うように労働省にいたというのであります。私は関連ですからいいですけれども、一体、労働者の利益を守る、それを擁護する立場が労働省なんだが、その労働省の中でめしを食って、しかも聞いたら、東大の末弘教授が労働省にお入りになったときに、中労委の委員長をおやりになったときの因縁か何かで労働省に連れていった。いわゆる末弘学説を尊奉しなければならぬその北村何がしが、こういう労働者の分裂と弾圧の先頭に立っているということは、それが現役であろうとOBであろうと、私は労働省全般の名誉に関する問題じゃないかと思うのでありまして、労働省で養成する官僚とかめしを食った官吏は、一体そういう不当なことをする素地があるのかどうか。私は今後の労働省それ自体のあり方として大いに参考にしなければなりませんから、これはひとつ労働大臣から、労働省で養成された高級官僚のその姿勢について、所見を承りたいと思うのであります。  それから第二の問題といたしまして、関連ですから私はここで申し上げるのでありますけれども、玉島の不当労働行為、一人一人の労働者がどう具体的に不当労働行為をやられたかという、聞くも涙の物語が書いてある。ちょっと読み上げても時間がかかるから一例ですが、課長が私を仲間に入れようとして、私がだまって聞いているのをよいことにして、投票日三日前、これは役員選挙の三日前でしょう。おまえの職場で働いてくれそうな、いわゆる当局側に寝返って働いてくれそうな人を課長のうちへ呼んで、飲ませるから、おまえ、ひとつ大いにやってくれ、その領収書を持ってくれば金はちゃんと出してやるよ、こうはっきり言われた。こういうふうな労働者の不当弾圧の一人一人の陳述書が、山ほどここにある。こういうようなことをやって組合の分裂工作をはかっているのであります。これを一々申し上げて回答してもらってはたいへんですから、一人一人の陳述書を労政課長にそっくりおあげいたしますから、あなたはこれに付せんをつけて、これは不当労働行為であるかどうか、一つ一つ書面で私のところに御回答いただきたい。局長さん、あなたがおいでにならなければ、労政課長の森山さんでよろしゅうございますから、付せんをつけて私のほうへひとつ回答を出していただきたいと思う。これが不当労働行為でないとおっしゃるなら、私もひとつ四つに組んで、今度は労働省を相手に戦わなければならないと思うのでございます。
  169. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 小林さん、関連ですから。時間が五分ほど過ぎており、ますので、適当に……。
  170. 小林進

    ○小林(進)委員 委員長に御協力存申し上げることにいたしまして、それでは問題がたくさんございますが、いま労働大臣から労働、厚生官僚、官僚OBの姿勢のあり方についてお伺いしておきたいと思いますと同時に、私はいま一つ申し上げますが、いま日本の経済から申し上げまして、アメリカのドルの問題や課徴金の問題がありまして、住友重機なんというものは将来アジア、中国の方向へ商売をねらっているのでございましょうけれども、私どもは率直に言いますけれども、こんなことで一つの新しい造船の道が開けていくなんてお考えになりましたらたいへんな間違いでありますから、これは労政局長のほうから経営者を呼んで、おまえのようなそういう労働行為をやっていたら、おまえの会社自体が輸出産業ともどもまいってしまうよという警告をひとつ私は発しておいていただきたいと思うのであります。私ども労働者を弾圧してその方面に商売を伸ばそうなどという企業に対しては、社会党の面目にかけても抵抗しますから、私もやるのですから、今度は党と企業との対決で争いますから、いまの問題もひとつ労政局長からしかるべく経営者側に忠告を与えておいていただきたいと思います。
  171. 原健三郎

    ○原国務大臣 言うまでもなく労働省及び労働省の役人、われわれともども労働者の福祉繁栄をこいねごうてやっておるところであります。その労働省出身者の北村何某が非常に不当労働行為をしいておるというようなことがもしありとするならば、やはり同じことをやりましても労働省出身者ということはよけいに目につくことでございますから、慎重にやっていただければしあわせである、こう思っております。
  172. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 先ほどの最初のお話の、付せんをつけてお返しするというのにつきましては、私ども上々の具体的事案について、現に地労委にかかっている事案でございますから、裁定のかわりをするというようなことは差し控えさせていただきますので、その限りでできるだけ資料をつくります。
  173. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 古川雅司君。
  174. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 本日は、新しい都市公害として注目をされております酸欠空気の問題につきまして、これはすでに大きな社会問題になっておりますが、これを政治責任の問題として発展させていくために、二、三当局の御見解を承ってまいりたいと思います。  本日は環境庁、それから消防庁、そして建設省からもそれぞれ責任ある立場の方々においでをいただいておりますので、順次質問を進めさせていただきたいと思いますが、それにいたしましても委員長、酸素ならぬかなり委員の欠乏症でございますが、このまま質問を始めてよろしゅうございますか。
  175. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 どうぞ進めてください。時間のほうも足りないようですから、どうぞひとつ……。
  176. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 酸欠空気につきましては、すでに新聞等で盛んに報道されておりますので、くどくど申し上げるまでもないわけでございますけれども、ことに七月二十六日、三宅坂の最高裁の新築工事現場で作業員が二人死んだのも酸欠空気が犯人であります。先ほど山本委員からの質問に対しまして、労働省のほうから御説明がございましたけれども労働省労働基準局がようやく酸素欠乏症の防止規則を定める運びになりました。先ほどの御説明でございますと、これまでにいわゆる酸素欠乏症の予防要領というようなものをつくって、それにのっとって防止対策を進めてきたという御説明がございましたが、まず最初にお伺いしたいのでございますが、今日ここに至ってこの防止規則を制定しなければならなかった、これまでの要領では防止策にはならなかったその相違点についてまず御説明をいただきたいと思います。
  177. 岡部實夫

    ○岡部説明員 ただいま御指摘の酸素欠乏症の予防対策要綱は、昭和四十二年に通達の形で各出先機関——基準局、監督署に通達をいたしております。この酸素欠乏症の事例は、オリンピック関連工事のときにいろいろな潜函工事、新しい工法等が行なわれたときに、いろいろ事例として把握したわけでございますが、そのときに必ずしも十分な事態の解明がなされておりませんで、そういう事例を一時専門家の手にゆだねていろいろ解明をしてきた、それで四十二年のときに一応酸素欠乏症の予防対策ということの要綱を出したわけでございますが、それといま進めつつありますものとの相違は、要綱につきましてはそういった事例について、そういうことが起こるから一般的な注意を喚起する、こういうようなことでございます。いま考えておりますのは、測定について具体的な酸素の濃度の点を数字ではっきりさせる。そのほか工事の事前通告等を明定するとか、特定の危険のある場所を明定するとかいうことで、より具体的に、かつ数値を入れまして、はっきりと予防のための措置を講ずる、こういうところが違ってまいっております。
  178. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 今回公布を準備しております防止規則は、あくまで工事関係者の労災事故防止がおもなねらいであるかと思います。しかし酸欠空気につきましては、いまの御答弁の中にありましたけれども、今日に始まったことではなくて、すでに昭和三十七年ごろからその危険性が指摘されておりました。昭和医大の山口裕助教授によりますと、すでに四十年ころから労働省に対して再三にわたってこの問題の解決、防止策について意見を具申してきていたということを聞いております。これまでの要領からさらに今回こうして規則をつくるまでに至ったわけでありますが、この点すでに労働省からいただいております資料によりますと、この酸素欠乏症の発生状況は、昭和四十年から四十六年、四十六年はまた一件となっておりますので、これは何月までの数字か私まだ説明を伺っておりませんが、百二十四件、死亡が百三十五名、こういう事故がこれまで重ねられてきたわけでございまして、今回の規則をつくったことも、一応その公布するに至った努力は評価するにいたしましても、おそきに失したという感を免れないのでございますが、その点の責任についてどのようにお考えでございますか。
  179. 岡部實夫

    ○岡部説明員 ただいまも先生の御指摘の中にございましたように、実は酸欠の問題については相当前から、いまおっしゃいました昭和医大の山口先生にもお願いをいたしまして、実はいろいろな御研究を願って、その結果四十二年には対策要綱ということで出したわけでございますが、実は単なる通達の形でこれを出しておったということにつきまして、その実効が十分期せられなかったということもございましたので、特に最近酸欠の、特に東京都内の地下鉄の工事が非常に多数行なわれる、それが東京砂礫層という特別な砂礫層がございますために、各所に酸欠のおそれのある、あるいは現実に酸欠による事故が発生したという事態に至りましたので、単なる通達ということで規制するだけではもう足りない。そこで本年の四月に、規則で正式にきめていく、それは法律に基づく規則といたしまして、当然罰則のかかる規則でもって規制していくことが実効があがる、そういうことで所定の審議会に諮問をいたしまして、七月に答申を得たわけでございますので、直ちに規則を制定してまいる、こういたしましたので、御指摘のようにもう少し早く規則というような形でやるべきであったとも思われますが、最近の事情によりましていち早く規則に切りかえるということであったわけでございまして、今後はこの規則の実施にあたって実効があがる方法を十分考えてやってまいりたい、こう思っております。
  180. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 規則による規制によってかなり事故防止に資することができるという、そういう期待を持って規則の制定の準備をなさっていらっしゃるとの御答弁でございましたが、先ほど私申し上げましたとおり、これは工事関係者の労災防止策という、これが中心のねらいになっていると思います。これはあくまでもこの酸欠症が発生するおそれのある特定の作業場所についての規定であるというふうに見られますが、肝心のいまいわゆる酸欠空気が噴出をいたしておりますビルの地下室とかあるいは地下街、地下鉄あるいは一般民家、古井戸、そういった点についての酸欠事故防止策や安全対策はこの中には盛り込まれていないわけでありますけれども、この点は労働省がつくった防止規則だという点で当然だとお考えでございますか。
  181. 岡部實夫

    ○岡部説明員 お答え申し上げます。  今度考えております規則は労働基準法に基づく規則ということでございますので、労働基準法は直接には事業主が守るべき基準をきめる、こういうことでございますので、この規則が直接規制いたしますのは、いま御指摘の事業主が行なうべき規制が中心になっておるわけです。そこで、ただそれでは実効があがらないじゃないかという御質問だろうと思いますが、事実上私ども労働省は工場、事業場を監督するということが中心でございますので、一般に事業場でないような個所で起こる事故については、どうも労働省自体では防ぎようがない。そこで過般来各地にいろいろな、先ほど御指摘にありましたような事故が起こりましたので、七月二十日に関係各省の方に集まっていただきまして、今後の進め方等についての検討をいたしましたり、それからなお、この規則の中に、酸欠の起こるであろうおそれがあると思われるような工事を行なう場合には事前に監督署に通告する、これは基準法の中の事前通告の規定をここで具体的にこの工事に関してさらに示すものでございますが、その事前の通告を受けました場合に、必要により関係各省の機関等にも連絡をいたしましてやることにしたい、こういうようなことで具体的な実効があがる措置は考えてまいるつもりでございます。
  182. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この酸欠空気の問題が最近重大な社会問題になってきたということは、これは特定の作業場所に限らず、一般の民家あるいはビルの地下街、そういうところに発生をしてきたということに焦点があると思います。したがいまして、ただいまの局長の御答弁からもう一歩進めて御見解を承りたいのでございますが、こうした工事関係者の労災防止以外の、いわゆる都市公害として見た酸欠空気の防止対策については、一体どこが最高の責任を持ってこの対策を講ずべきであるとお考えでございますか。労働省のサイドからでけっこうでございます、御答弁をいただきたいと思います。
  183. 岡部實夫

    ○岡部説明員 一般に酸欠が起こりまする個所は特定の事業場ということに限らない、こういうことは御指摘のとおりでございまして、そういう場合には、もし公害ということの中に入り得るとすれば環境庁等が具体的に何らかの手段を講ずるということになろうかと思いますが、ただその場合に、私どもはそういう酸欠が起こるであろうという原因は工事等から出てまいる、したがいましてそれについては私どものほうで把握をいたしまして、あるいはいろいろな酸欠事故等について、それぞれ関係の省庁がありまして、そちらにも通報をいたしまして、結局連絡を密にしながら、総合的な力で、それぞれの機関がそれぞれの分野で部署を担当しながらやっていく、こういうことになってまいると思っております。
  184. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 連絡を密にしながらというおことばのあとに、それぞれの立場でそれぞれの角度でというような表現がありましたので、どうもばらばらだという感を免れないのですが、公害と認めれば環境庁が主体性をとって、各省との連絡をとりながら、この防止策を責任をもって進めていく、このように承ってよろしゅうございますか。
  185. 岡部實夫

    ○岡部説明員 一般の不特定の多数住民に対しまする危害があるような酸欠の事故につきましては、環境庁においても十分対策を講じていくということが望まれると思いますし、私どももそれを期待をしたい。そのために私どもが知り得た事情等については環境庁にも十分連絡をしながら、環境庁がその立場でこの問題をまた取り上げていく、こういうことを期待しておるわけでございます。
  186. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 消防庁からおいでをいただいておりますが、最近の事故続発によりまして、特に東京都内で事故発生後の救急処置、そしてまた発生個所の総点検、調査を進められているようでございますが、今回の労働省における防止規則の制定と相まって、この酸欠空気の防止対策についての御所見を伺いたいと思います。
  187. 古郡良秀

    ○古郡説明員 消防庁といたしましては、去る七月二十六日に起こりました最高裁判所の工事現場におきます事故にかんがみまして、直ちに各消防署に東京消防庁から指令いたしまして、それぞれ圧気工法であるとかシールド工法が行なわれております工事個所を検討して調査いたしました。その結果は、工事現場が現在のところ百六十四個所ございます。それで測定器の関係もございまして特に中心となっておりました千代田区、港区、この方面の地下室であるとか井戸、こういうところを調べましたところ、三十個所の酸素濃度が二一%以下で危険であろうと思われる個所が発見されたわけでございます。  消防庁といたしましても、こういう結果をもとといたしまして、特に救急事故が出ておりまして、これに関連いたしまして、消防職員も酸素欠乏の障害を受けるという事態が出ておる関係から、直ちに各地方公共団体に対しまして、この酸素欠乏に対する消防活動についての注意事項等を出してございます。ただ、現在のところは東京消防庁が非常に力を入れてただいま御報告申し上げましたような調査をしておりますが、まだ全般的な結果は出ておりません。中間報告ということで私たち聞いておるわけでございます。今後もう少し検討してみたいと思っております。
  188. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 新聞報道によりますと、東京消防庁か非常に積極的にこの事故対策に当たっていらっしゃるわけでございますが、ことに一般人に被害者が出たのを重視をいたしまして、町内会あるいは自治会、ビルの管理者を通して酸欠空気の噴出個所を発見した場合には直ちに届け出るように呼びかけているというような処置もおとりになっております。こうして工事関係者だけではなくて、一般の民間人までが酸欠空気で倒れるという事故が起こってまいりまして、さらに酸欠空気の発生のおそれのあるところを今後調査したり、その対策を講じていくということになりますと、消防庁の中でまず人員の上でそうした対策に当たるだけの十分な陣容があるのかどうか。そしてまた、私先ほどからの質問の中で、政府のどの省庁に最高の責任をとらせるべきであるかということはまだ結論は出しておりませんけれども、実際にこうして対策に踏み出した消防庁として、この酸欠空気の防止策に今後とも対応できるものかどうか。その点も一点伺わせていただきたいと思います。
  189. 古郡良秀

    ○古郡説明員 現在、消防庁におきましては調査官一人それから係長一人、係員一人、三名が担当ということで行なっております。ただ、先ほど申し上げましたように、消防庁自身というよりもむしろ現場の東京消防庁という組織が非常に強力でございます。こういう東京消防庁とも協力いたしまして、消防庁といたしましてはこれを指導しながらいろいろ対策を練りたい、こう考えておるわけでございます。
  190. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 こうした実際の危険個所の発見やあるいはそうした酸欠空気の噴出個所に対して立ち入り禁止の規制をしたり、あるいはパイプでそのガスを排出したり、そういった作業に実際当たっていくことについては、これは消防庁が今後とも担当していくわけでございますか。あわせて、それに必要な測定器具あるいはそうした装備等について一体現状はどうなっているのか、それに対処できるだけの装備を持っているのかどうか、その点も御答弁いただきたいと思います。
  191. 古郡良秀

    ○古郡説明員 消防庁といたしましては、消防の職務は救急を要する者が出た場合に救急活動を行なうという立場で酸素欠乏に対処しておるわけでございます。それで酸素欠乏が発生いたしました場合に、その救助を行ないます器具等につきましては装備されております。しかし測定器等につきましては、先ほど申し上げましたように現在まだ十分ではございませんで、十個あるだけでございます。ですからまだ必ずしも十分とは申せません。
  192. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この酸欠現象のメカニズムにつきましては、山口助教授等も強く主張いたしておりますとおり、すでにはっきりいたしております。これは言うまでもなく地下鉄とか上下水道あるいは高速道路、また高層ビルの建設工事で使われるいわゆる潜函シールド工法の圧気工法が直接の原因の一つであるというふうに結論されておりますが、こうなりますと、建設省としての見解をここでひとつ伺っておきたいのでございますが、この原因説については、当然はっきり認識をし、建設省としてはお認めでございますか。
  193. 吉田公二

    ○吉田説明員 建設省といたしましては、従来のいろいろの経過等承知しておりまして、潜函工法等が原因の一つであるということについては承知しております。
  194. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そのように御承知いただいておるということになりますと、当然この、圧気工法に改善の手を加えなければならない。建設省が、特にこの工事現場等につきましては責任をもってこの酸欠空気の発生を防ぐ方策を指導しなければならないその責任ある立場にあると思うのでございますが、その点についてはこれまでどういう措置をとってこられましたか。
  195. 吉田公二

    ○吉田説明員 建設省の立場はどちらかと申しますと二つございまして、一つは建設業の指導監督という立場でございます。もう一つは発注主体という立場、この二つがあるわけでございますが、建設業の指導監督という立場におきましては、こういった現象がかなり見られてまいりました六月末から内部で検討いたしまして、実は最高裁の事件が起こりますちょっと前でございますが、七月の二十日ごろにこういった現象の非常に大きな原因になっておると思われる建設業界の中の土木工業協会でございますとか鉄道建設業協会、こういった方の代表者においでいただきまして、シールド工法等の圧気工法が原因と考えられる事態がかなりある、そういうことを十分承知してもらって、工事を行なう場合に、影響の及ぶ範囲と想定されるところにこういった酸欠空気の漏出等起こっている現象等というものをできるだけ把握するように、把握した場合に関係者に注意を喚起する心それから受注者の立場といたしましては、工法の選択その他いろいろあるわけでございますので、こういうおそれのある地域で工事をやります場合に、その圧気の圧力でございますとか、工法そのものについても発注者側と十分相談してできるだけそういう害が少ないように、そういう点について配慮するよう口頭でこれは指導したわけでございますが、その後ああいった事件がございましたあとに、今度はまた工事の施行主体という立場で、施行と申しますか、原因者であると同時にまた被害者になる立場もあるということでございまして、私どものほうといたしましては、建設業界全般につきまして加害的立場とそれから直接の工事関係者におきます注意とこの二つについて、これは一応通達の形で、さきに口頭で申したと同じような内容で注意を喚起してございます。今後とも機会を見てそういった趣旨が浸透してまいるように指導してまいりたい、かように考えております。  また発注主体といたしましての、たとえば建設省そのものの事業あるいは建設省関連の公共事業を実施しております都道府県、公共団体でございますとかあるいは関係公団、こういうところに対しましても、こういう趣旨を十分に考慮した上で、特にいまの検出の問題その他あるわけでございますが、測定の問題等あるわけでございますので、そういった対策についての費用については、これは工事費の上で見ていくというようなことも実際上指導通達を出しておりまして、総合的にできるだけ発注者の立場、また建設業者の立場につきましても対策として万全を期してまいりたい、かように考えております。
  196. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この圧気工法につきまして、これはかっては大阪のガス爆発事故があったわけでございますが、そういう機会をとらえて建設省は圧気工法を奨励してきた——奨励したというような事実はございますか。特にこうした地下工事につきましては、圧気工法以外とり得ないということになりますと、その改善策ということが問題になるわけでございますが、ただいまの御答弁では指導をしているというようなことで、非常に軟弱な感を受けるわけでございます。その点いかがでございますか。
  197. 吉田公二

    ○吉田説明員 市街地におきます大きな工事におきまして、特に地下の工事におきまして比較的道路の関連する工事なんか多いものでございますから、建設省が指導するというよりも、一般的に交通と両立させるという立場で、できるだけシールドで実施していくほうがいいんじゃないかという声はかなり従来あったわけでございまして、この間にこうした問題の本質についてかなり、まあそういったものよりも実態的な通念が、要するに交通との両立という面でシールドを希望するという空気は確かにあったということは認められるわけでございます。  ただ、シールド工法をやる場合におきましても、地盤、地質その他との関連において、その圧気の圧力というものがどこまでが必要であるかとか、そういう問題は今後の検討にまつ点もあるわけでございまして、工法その他私どもの実施します仕事につきましては十分検討をしてまいるつもりでございますが、なおその建設業一般と申しましても、これは私ども発注主体としてやれるものと、それから建設業者の指導という二つの面がございますので、私どもが直接やれる立場と、それから建設業者におきましてはその辺の問題についても十分わきまえて、発注主体と協議をしていくというようなこともやるようにという指導をしているわけでございます。
  198. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 酸欠空気の噴出は、実際問題として工事現場から一キロメートルくらい離れたところででも現に起こっております。これによって受ける被害者が出てきているわけでありますが、この責任の所在はどこにあるとお考えでございますか。  もう一回言いましようか。工事現場から一キロも離れたところで、現に酸欠空気が噴出してきているわけですね。工事の主体者がいるわけですけれども、この場合、被害者が出ますね、それに対する責任者は一体だれだとお考えになりますか。
  199. 吉田公二

    ○吉田説明員 ただいまの点、非常にむずかしい問題だと思うわけでございます。と申しますのは、そのメカニズム自体がかなり複雑でございまして、それがどういう経路を通ってどういうふうにというものを一般的に追及して原因者というものが直接に結びつけられるかどうか、この点は今後検討をしてまいらなければいけないと思っております。私、これは感じで申しわけないのでございますが、一種のパブリックニューサンスと申しますか、に近い感じでございまして、ただ個々の主体としてはできるだけそういう現象の防止につとめていくという形をとっていくしかないんじゃないかというふうに考えております。
  200. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 建設業者がこの圧気工法をとる場合、あらかじめその届け出を義務づけるというような方法考えられるわけでございますが、この点、酸欠空気の噴出の可能性のある、そうした危険性のある地帯について、まずそのある地帯を建設省当局でどうやって察知できるか、そうしてまたその圧気工法をとることを届け出ることを義務づけることができるかどうか、その点見解を承りたいと思います。
  201. 吉田公二

    ○吉田説明員 ただいまの点でございますが、建設業者の指導監督という行政の限界もございまして、どちらかと申しますと、工事そのものはむしろ発注主体のほうで内容をきめて、建設業者はそれを請け負うという形態が一般でございますので、その点について私どもとしては、そういう可能性がある場合には工法上の詰めを十分にするようにという一応指導を言っているわけでございますが、現在のところでは、そういう圧気工法をやる場合の届け出というものは制度的にもございませんし、今後検討してまいりたいというふうに考えている段階でございます。
  202. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この酸欠空気が噴出をするおそれのあるところには、圧気工法を行ないます場合、事故を防止するために専門家はこういう指摘をいたしております。一つはこれに薬液を注入するという方法、それからもう一つはコンクリートの巻き立てを早目にやるということ、そういったことをあげておりますが、これは非常によけいな経費を要するということで、建設の発注者としても、あるいは公共事業の場合これは非常に経費の問題もありますので、いろいろ問題の引っかかりはあると思いますが、ここまでひとつ考えて、この防止策はそこまで進めるべきとお考えかどうか。そうしてまた、先ほどの御答弁で、建設業者に対して工事法の届け出を義務づけることを考えてみたいという御答弁でございましたが、現にこうして事故が続発しているわけでございまして、二年も三年もお考えいただいたのでは困るわけです。どうお考えになっているのか、その点もうひとつ、くどいようでありますが、御答弁いただきたいと思います。
  203. 吉田公二

    ○吉田説明員 先ほど労働省のほうからの御答弁の中にもございましたが、建設省としてのアプローチのしかた、もちろんこの点につきましては十分私どもあほうでも検討してまいるつもりでございますが、そのほかに工事そのものの内容というものは、建設業者の立場できめるというよりは、むしろ内容的に発注主体に依存している面が多うございまして、そういう意味で、そういう工法をとった上での報告等につきましては、労働省のほうでもそういう実態把握を御検討でございますので、その点むしろ私どもは、工法そのものをきめるよりも建設業者の指導監督という行政の限界がございますので、その点は関係各省御相談してまいる面もあるのじゃないか、かように考えております。
  204. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そうしますと、工法そのものについての指導ないし必要とあれば今後の規制については、むしろ建設省より労働省が主体となってこれに当たっていくという意味でございますか。労働省、いかがでございますか。
  205. 岡部實夫

    ○岡部説明員 工事の届け出につきましては、私どもは基準法の五十四条に基づきまして、危険が予想される工事現場については、その工事を始める前に事前に通告するということが法律上根拠がございますので、それに基づきまして、今度の規則の中でそういった工事を始める前に監督署に届け出るということをきめようと思っております。その中でいまの工法をどういう形で入れていくか、それは当然、いま酸欠の事故の原因の多くがたとえば地下鉄工事等の圧気工法によるということもございますので、何らかの形で取り入れてまいりたい。労働省、監督機関が把握した場合には、それを関係省庁に通報いたしまして、それぞれが予防措置を講ずるようにしてまいるということでございまして、規則を大体この月の半ばごろまでにある程度の案を固めてまいりたい。それで実施にあたりましては、関係各省の担当官に寄っていただきまして、具体的に実施について関係各省の連絡をどうするか、また具体的にどういう通報手続をとっていくかというような行政の手段につきまして密接な連絡をとる、こういうことでやってまいりたいと思います。
  206. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 先ほど建設省のほうでは、責任問題については非常にむずかしいということをお答えになりましたけれども、いまの労働省の局長の御答弁を聞いておりますと、こうした工事が原因の一つになって作業の従事者以外の一般の民家等で被害が起こった場合には、これは御答弁からすると、当然責任は労働省に及んでくると思うのでございますが、その点責任をおとりになりますか。
  207. 岡部實夫

    ○岡部説明員 一般に公衆災害的なものはいまのお話のようなケースがあろうかと思います。具体的なその事案によるわけでございますが、一般論といたしますれば、その工事と相当因果関係が確実につかまれる場合には、当然その工事主体の責任ということになろうかと思います。ただ、現実の場合に、その因果関係といいますか、その災害の要因とその工事の結びつきが明確にされるかどうかというようなところがあろうと思います。ただ、私どもはそういう事態を避けるために、まずその工事から発生するそういう公衆災害を未然に防ぐために事前の通報制を考えて報告をとるようにして、それで防いでまいるということをまず第一に考えていくべきだ、こういうふうに思っておるわけでございます。
  208. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 環境庁にお伺いをいたします。  先ほど、ことに労働省からのお名ざしで、この問題の究極的な解決、特にこれから新しい都市公害として浮かび上がってまいりますと、当然環境庁が全体を掌握してこの解決に当たっていくことになると思いますが、まず最初にその辺の見解からお伺いしていきたいと思います。環境庁が全体的な責任をとって防止策をおとりになりますか。
  209. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 お答えいたします。  公害という観点に立ちますと、環境庁が当然行政の責任を持つという姿勢をとっておるわけでございます。ただ、いまお話いただきましたような都市公害という概念がまだはっきり固まっておるわけでもございません。少なくとも現在公害対策基本法に公害という形で、私ども行政の対象として、あるいは環境行政の中において対策として取り上げるものとして、事業活動等によって相当範囲にわたって人の健康なり生活環境を侵害するというときには、当然私どもはこれを公害という立場において取り上げなければならないというふうに考えております。ただ、現在問題となっております酸欠空気の問題の場合、従前私どもが伺っておりました限りでは、地下水であるとかあるいはマンホールであるとか、古井戸であるとか、いわば人の生活環境といいますか、生活する場所ということに直接つながってくるケースが非常に少ないということ、それから人体被害につきましても、特定の作業場あるいは職場といったような、いわゆる不特定多数の一般国民に対するものでないというようなことから、実は環境庁としては積極的にこれを公害の問題という意識で掌握はしていなかったわけであります。たまたま、と言ってはたいへん申しわけございませんが、最近一般市民の方にもこれらの被害が出てくるというようなことを承りますときに、私どもとしては当面、地下水のくみ上げに基因した地盤沈下からの影響というふうにも想像されるわけでありますけれども、その限りにおきましては、地盤沈下という公害の関連としてこの問題を検討していかなければならないのではなかろうか。あるいはまた、これが地下水のくみ上げの地盤沈下という要因以外に、建設作業等の工法から、その結果として酸欠空気の噴出というような問題が生活環境を脅かし、あるいは国民の健康を阻害をするというようなことにつきましては、当然一般論として私どもはこれを未然に防止をするということが必要でございます。その限りにおいては、直接的には建設省なり労働省あるいは消防庁なり、それぞれ関係の行政機関と十分御連絡をとりながら、事前にそれらが防止できればそれにこしたことはございませんし、少なくとも一般国民に対しての健康被害なりあるいは生活環境を侵すというような状態については、環境庁といたしまして十分関心をもってこの問題を、先ほど申しましたように、当面のところは地下水くみ上げの地盤沈下との関連で検討の対象としてやっていきたい。ただし、現在のところ、大気汚染防止法それ自体は、汚染物質というような形による大気汚染という観点からの法規制でございまして、当面所管しております各法律の中でこれに該当するということになりますと、地盤沈下問題ということを中心にしながら検討を進めなければならないのではなかろうか。まだ各都内の三十カ所というようなデータその他についても十分承知していないということについて、申しわけございませんけれども、現在のところ、一般的な私どものこの問題に対する考え方ということについて、とりあえずお答えをさせていただきたいと思います。
  210. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 環境庁がこのことについては一番おくれておるという感を強くしたわけでございますが、大気汚染防止法の中の規定にないから、大気という点では掌握ができないというようなお答えでございました。そのままでいいのかどうかですね。これは法的な手直しをする必要まで検討できるかどうか。  それからもう一つ、地下水のくみ上げによる地盤沈下という点を、この現象のメカニズムの一つとしてお認めになったわけでございますが、これにいたしましても、これは根本的に取り組むとすれば、いわゆる地下水の回復ということも考えられると思います。専門家に言わせますと、大体夏場で一メートル地下水が低下をして、それが夜の間に大体五十センチ回復する。夏場を過ぎまして秋になりますと、その季節の間に大体三メートルぐらい回復ができるのだ、そういう専門家のお話でございました。これを、こうした冷房等に地下水をくみ上げておりますポンプ室から今度は——これは金はかかりますよ。だけれども、この酸欠空気の防止策の一つとしていわゆる水を注ぎ込む、注入するというような方法で酸欠空気の発生を防げるのだという、そういう説もあるようでございます。この辺についてはどうお考えでございますか、技術的な問題になりますが。
  211. 河野義男

    ○河野説明員 酸欠空気現象につきましては、先ほどから御指摘がございましたように、地下水の過度のくみ上げによる地下水位の低下と、それから圧気工法とが結びつきましてそういう現象が発生するというふうにいわれておるわけでございます。地下水の採取の規制につきましては、現在、工業用水法、それからビル用水法、これによりまして規制を行なっておるわけでございます。それ以外にも上水道あるいはかんがい用水も、相当な水量が地下水にその水源を置いておるわけでございます。したがいまして、今後その地下水の規制のあり方につきまして、酸欠現象も含めまして検討を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  212. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 環境庁にもう一度お伺いいたしますが、現にこうして酸欠空気による事故が数件発生をしているわけでございますが、結論として、この防止対策について環境庁が中心になって今後当たるお考えがあるのか。たとえば、これは東京に限らず、ほかの再開発のどんどん進んでおります大都市でも、特に東京と同じような地盤の地層の形を持っているところにおいては十分発生の可能性があると思います。東京に限らないと思うのでございますが、そうした全国的な実態の調査を環境庁がおやりになれますか。環境庁が主体性をもってこれに当たることができるかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  213. 河野義男

    ○河野説明員 地盤沈下対策といたし、直して、現在、地下水の水質規制を行なっておるわけでございますが、酸欠空気の現象も地下水の過度のくみ上げがその一因をなしておるわけでございますので、それを含めまして全国の実態あるいはそのメカニズムを調査し検討していきたい、かように考えております。
  214. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 くどいようでありますが、そういたしますと、環境庁におきましては、地下水のくみ上げに限ってこの防止策を立てていく、そのように御答弁を受け取ってよろしゅうございますか。その部分だけで責任をとるということでございますか。  あわせてお伺いいたしますが、実際地下工事が行なわれているそこから数百メートルないし数キロ離れたところで酸欠空気の噴出があった。しかし先ほど建設省の御答弁にもありましたし、労働省としてもその因果関係はなかなかつかみにくいという意味のお答えがあったわけでございますが、こうした事故がどんどん起こってきた場合、これは一体どこがどう対処していくのですか。環境庁としての御見解を承りたいと思います。
  215. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 お答えいたします。  水質保全局のほうが地盤沈下を担当しておりまする関係から、水質保全局の河野企画課長から、地盤沈下対策についての一般的な広般な調査の対象としてこれを掌握をしていきたいというお答えを申し上げたわけであります。私ども大気保全局と水質保全局と同じ環境庁でもございまするし、その間については、決して地下水のくみ上げに基因する地盤沈下ということだけについて、環境庁がこれの実態把握なりあるいはそれの対策について、それのみについて責任と申しまするか、行政としてこれをとらえるということを申し上げておるのではございませんで、その限りにおきましては、あくまでも大気保全局の立場も水質保全局と同様に、一般国民の生活環境を守り、あるいは国民の健康を守るという観点から、この酸欠空気というものが局所的でありましても、それぞれ相当範囲にわたって被害を生ずるおそれがある場合に、環境庁としては積極的にこれに対処してまいりたい。ただこの限りにおきましては、当然関係各省とも十分連絡をとりながら、環境庁として、少なくとも個々職場あるいは作業現場とか、あるいは特定の場所というようなところではなくて、最近の都市の構造の中における地下街というようなもの、あるいは一般の民家等につきましても古井戸等からの噴出というような問題から被害を生ずるというようなことが現実に出てまいったわけでございますから、私どもとして決して手をこまねいて見過ごすというつもりはございませんし、地盤沈下対策を中心にしながら、大気保全の観点からもあわせて十分これらの実態を掌握をすると同時に、必要に応じて必要な措置を講じてまいるように検討をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  216. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 急ではありましたが、私はきょうは環境庁長官の出席を求めました。したがいまして、長官からの御答弁と同じ気持ちで私伺っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。  まず、そこで再確認をさせていただきますが、環境庁が中心になって全国的なこうした酸欠空気の発生のおそれのある地点についての調査を開始されますか。予算の措置はいかがなされますか。
  217. 河野義男

    ○河野説明員 地盤沈下対策の一環としまして地下水の規制のあり方を特に四十七年度、重点にして考えておりますから、ただいま申し上げましたような酸欠空気現象も含めまして調査を進め、検討を進めていきたい、かように考えております。
  218. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 その結果については、責任をもって環境庁からお伺いできるわけでございますね。
  219. 河野義男

    ○河野説明員 調査も非常にむずかしい、また広域にわたっておるわけでございますが、私どもといたしましては四十七年度、重点として考えておりますので、調査がまとまりましたら、その結果につきましてはお答えできると思います。
  220. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 圧気工法についての取り扱いについては、先ほど建設省からるる御説明がございましたが、環境庁から建設省に対して特にこの点について御意見がありましたら述べていただきたいと思います。
  221. 河野義男

    ○河野説明員 地下水の過度のくみ上げによりまして地下水位が低下し、それと圧気工法が結びつきましてそういう現象が起こるわけでございますので、建設省、労働省、関係省庁と十分緊密な連絡をとりましてその対策の拡充強化をはかってまいりたい、かように考えております。
  222. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これは特に建設工法によって問題が起こるわけでありまして、その点について環境庁が積極的な防止策を講じていく以上、建設省に対しても非常に強力な要望が生じてくると思います。それを伺いたかったわけでありますが、どうも持ち合わせていないという感じで、ここでいかに追及しても意味がないと思いますが、特に地下水のくみ上げあるいは圧気工法について、むしろ環境庁のほうが強力な意見を具申して、そうしてその防止策にあたるべきだと思うのでございますが、これは建設省の判断に、あるいは労働省の監督行政の成り行きにまかせるという姿勢で参りますか。
  223. 河野義男

    ○河野説明員 当面、建設現場におきましてそういう事故が起きるわけでございますので、そういう建設現場に対して監督なり行政指導される省庁におきまして、積極的にこれらの事故を未然に防止するための対策を講じてもらいたい、かように考えておるわけでございます。
  224. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 酸欠空気の警報装置あるいは測定装置につきましては、これをどうお考えになっているか。まず工事現場については労働省、それからその他のそうした作業現場とは関係のない地下鉄あるいは地下街、ビルの地下室、ポンプ室、そういった点についてはどうお考えか、これは環境庁のほうでお答えいただきたい。
  225. 岡部實夫

    ○岡部説明員 私ども目下立案中の酸欠の予防規則におきましては、まず酸素欠乏症を発生するおそれのある作業場所を指定いたしまして、そこにおいて作業場所の空気の測定、換気、保護具の問題、それから人員点呼の問題作業主任者の問題等、それから消火装置等の問題につきましてそれぞれの規定を設ける。そこで、したがいまして、空気の測定その他については、その必要な測定器を備えて測定することを義務づけてまいる、これを監督機関を通じて監督をしてまいる、こういう立て方を考えておるところでございます。
  226. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 一般的な建築物あるいは構築物の酸欠の監視測定というような問題につきましては、それぞれの立場におきまして、消防庁なりあるいは建設省なりがお考えの点があろうかと思いますけれども、少なくとも地下街であるとかあるいは一般民家というような不特定多数の国民一般の被害を生ずるおそれのある問題につきましては、環境庁といたしまして、第一線は都道府県ないし特定の市に事務委任をいたしておりますけれども、これらについての私どものほうの測定器等につきましても、酸欠空気の問題に対応するこれらの新しい問題をも考慮しつつ、十分測定機器の整備等についてもさらに配慮をいたしたい、かように考えております。
  227. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 消防庁にお伺いいたしますが、実際に救急業務に携わっておりまして、こうした警報装置あるいは測定装置の設置についてどういう見解をお持ちでございますか。いまの環境庁の御答弁では非常に心もとないのでございますが、実際の事故の処理にあたりましてどのようにお考えであるか、伺わしていただきたいと思います。
  228. 古郡良秀

    ○古郡説明員 消防庁の立場といたしましては、警報装置なり通報装置なりがございますれば事故も未然に防げるということでございまして、そういう設備をぜひ危険個所には設置していただきたいと思っております。
  229. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 環境庁にもう一回伺いますが、工事作業現場以外の一般的な地下街等あるいは地下鉄等の内部においてそうした警報装置あるいは測定装置を備えることについて、早急に環境庁が主体になって検討される、直ちに処置されるお考えでございますか。いまの消防庁の御意見によりますと、そうした危険性のあるところ、特に人がたくさん集まるところ等については、早急にその設置を急がなければならないと思いますが、専門家の話では、警報装置等の設備についてはかなり開発されているという意見を聞いておりますけれども、その点いかがでございますか。
  230. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 お答えいたします。  地下街あるいは一般の民家というような国民の生活環境保全という観点に立っての警報装置なりあるいは測定機器というようなものにつきましては、それぞれ私どものほうとしても、まだ本年度現在のところ、すでに御承知のような状態で環境庁が発足いたしまして、本年度に特段の財政措置を講ずるだけの余地がいまのところないわけでありますけれども、都道府県あるいは市に対しましてその点についての呼びかけはして指導をしてまいりたいと思っております。ただし地下鉄の構内というようなものにつきましては、まだいわゆる大気保全の私どもの所管という中になるよりも、むしろ運輸省当局などにもお願いをいたしまして、これらについての積極的な配意をお願いをしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  231. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 その点、たいへんくどいようでありますが、消防庁としては非常にそういった装置を備えることは必要であるという御見解でありますし、いまの環境庁の御意見でも、環境庁直接としては手を下せないけれども、必要は認めるというようなふうに私にはとれました。各省庁に連絡をとってということでございますが、運輸省というようなお声も出ました、あるいは建設省も関係してくると思いますけれども、それは責任をもって今後、警報装置等の装備について推進をしていただけますね。環境庁が責任をもって指導し、その実現のためにこぎつける自信をお持ちでございますね。環境庁自身に財源がないからというような非常に腰の弱い御説明でございましたけれども責任を持っていただけますか。
  232. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 私どもといたしまして、できる限りの行政指導を十分徹底させていきたい、かように考えております。
  233. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 現にこうして被害者が出ておるわけでございまして、これがさらにたび重なってまいりますと、実際問題として民間人の中にも死亡事故も起こりかねないような状態であります。環境庁としていまお引き受けいただいた以上、その対策が一日でもおくれればこれからどういう被害を生んでくるかわからない、そういう危険性は十分あると思います。その点はひとつ強く御認識をいただいて、いままでいろいろお伺いをした質疑応答の過程で御要望も申し上げましたが、お帰りになりましたら、ひとつ環境庁長官に強力に申し伝えていただきまして、環境庁ができたばかりで、まだ弱いのだからというような、そういう泣き言を言わないで、この酸欠空気の問題に限りませんけれども、ひとつ強力な施策を求めておきたいと思います。      ————◇—————
  234. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 次に、厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大橋敏雄君。
  235. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 わが国の精神病院における事故とか事件が続発しておりますけれども、精神病院に関係しまして若干質問するわけでございますが、まず最初に確認しておきたいことがございます。  それは昭和大学附属烏山病院の院長であった西尾友三郎氏が国立久里浜療養所に九月一日付をもって赴任されたと聞いておりますが、これは事実かどうかということです。
  236. 松尾正雄

    ○松尾説明員 九月一日付で西尾さんを、ただいまお話のあった療養所長に発令をいたしております。
  237. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先ほども申し上げましたように、わが国の精神病院でとかく事故あるいは事件等が続発しておりますけれども、実は先般、たしか二十一日だったと思いますが、厚生省に予算要求の申し出をやりました際、政務次官ではございましたが、精神病院の実態についての資料を要求いたしました。その返書といたしまして、いま私手に持っておるわけでありますが、きわめて荒削りの、粗末なといいますか簡単な資料が私の手元に届きましたが、それを見ましても、たとえば「精神病院における管理運営上のことについて昨年来各種の不祥事例が指摘された。その主なものは、一、患者の不当拘束、二、患者に対する暴力行為、三、施設整備の不十分、四、火災の防止、五、医師、看護職員の不足等がある。」このようにまず五つの項目が列挙されておりますが、実は私も精神病院の事件についていろいろと調査を進めてみましたところ、膨大な資料が手に入ったわけであります。  きょうはきわめて制約された時間でございますので、それを一々読み上げるわけにはまいりませんが、そのおもなものを要約して申し上げますと、まず第一に、京都の十全会問題がございます。これは結局、医療よりももうけ主義に走っているという実態があったわけです。あるいはまた重高濃度の薬物投与、与えなくてもよさそうな患者に対してじゃんじゃん薬を与えていたという実態、あるいは患者の虐待、あるいは三医師の京都地検への告発等があったわけです。また相模湖病院においても医師、看護婦の不足等からいろいろな問題が起こっております。危険なしろうとによるこそくな医療処置、あるいは県からの改善命令がすでに出ていたにもかかわらず、それに応じていなかったとか、あるいは診療不在といいますか、アル中のための医療であるということで、きわめて簡単な対策がなされていた。またその中身は保安処分制度ではないかと思われるようなきわめて粗雑な内容であったということですね。いわゆる診療不在。また藤沢中央湘南台病院においても不法入院の問題あるいは不当監禁、不必要な超濃厚医療あるいは不法な治療行為。また岩手の南光病院においても、これは東北地方でも最も近代的な病院とされているわけでありますが、盛岡地裁への告発等が起こっております。内容は、エピアジンという新薬の実験投与、生体実験。かなり問題があらわれているわけであります。あるいは大阪の泉が岡病院ですね、ここには小づかいのピンはねの問題あるいはずさんな秘密裏の会計等が指摘されております。また五条山の問題については、すでに二人の良心的な医師が追放されているという問題。あるいは宮城県の小島病院の火災、ここでは六人が死亡しております。栃木県の両毛病院の火事においては、十七人の死者を出している。とにかくその中身を見れば見るほど、常識はずれの事件が続発しているわけでございますが、いま私が申し上げました精神病院の事件等は、いうならば氷山の一角ではなかろうかと私は思うのであります。  そこでお尋ねしたいことは、実は先ほど申し上げました烏山病院と、いま私が申し上げましたいろいろな病院とは違うのか同じなのか、その治療のあり方あるいは管理のあり方等も含めてどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
  238. 滝沢正

    ○滝沢説明員 ただいま先生から精神病院のいろいろな事件について御指摘がございました。具体的に烏山病院といま御指摘になった病院との比較の問題については、少なくとも昭和大学の附属病院であり、五百床の大きな規模を有し、しかも医師の数におきましても、常勤、非常勤含めて二十数名の医師がおると聞いております。少なくとも大学の附属病院であり、りっぱな医師がこの管理に当たっておられますので、いまあげられました例との比較では、常識的には烏山病院のほうが運営管理はりっぱであるというふうに、私は、少なくとも行政官としては常識的には考えております。
  239. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いま御答弁がありましたように、われわれも、鳥山病院は厚生省がモデル病院であるというくらいに評価しているりっぱな病院であると聞いておりました。ところが先ほども申し上げますように、一般の精神病院で人権無視あるいは虐待、もうけ主義、医療不在、差別待遇、人体実験等々不祥事件が起こっているわけでございますが、それにも似た事柄があったというわけであります。というのは、御承知かどうかわかりませんが、この鳥山病院においてすらも、管理あって治療なしといわれるような実態があるわけです。それはE、F二病棟、生活指導病棟といわれているところでありますが、その病棟に入りますと、一生涯退院できないというような状態に置かれているというわけです。普通ぼけ患者の病棟であるとまでもいわれているわけでございますが、ここには百三十人の患者がいるということであります。従来の治療をしてもさっぱりきき目がない、沈でん病棟といわれて、その患者の家族の方々も、あそこに入ってしまえばだめだと、もう絶望視しているそうでございますが、実際に調べてみますと、そこに入った患者のほとんどが、入院日数というのは平均十年とかあるいは十五年、二十年の人が多いわけであります。要するに、ここは患者を治療してなおして社会に復帰させるというのではなくて、まるで収容所的な感じすら受けるわけでありますが、こういう実態がモデル病院といわれる鳥山病院の中にすらあったわけですね。私は、この一点から見まして他の病院においておやという感じを深くするわけであります。事実、昭和四十四年の七月ごろから実は松島という方と野村という二人の医師がこの病棟を受け持って、非常に空気は一変した、明るくなった、患者たちが生き生きしてきた。そして四十五年六月ごろまでに、約一年の間に八人の退院患者ができた。あるいは四十名くらいが外勤作業につけるまでになった。ところが問題なのは、そのようにいままで一生涯入院したきりであろうと思われた患者が、このような医師の努力によって、あるいは治療法によって現実に救われてきた患者がいるわけですね。そういう働きをやった医師に対して病院側はどのような措置をとったかといえば、四十五年の十二月には松島医師を解雇いたしております。それから松島医師と一緒に働き、同様な治療をしていた野村医師も四十六年七月二十二日付で解雇されているわけでありますが、私は非常にこれに疑問を抱くものであります。いままで私の説明を聞かれて大臣はどのような感じを持たれたか、まずお伺いしたいと思います。
  240. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 詳しいことは局長からお答えをいたしますが、私の感じといたしましては、やはり病院内の秩序を保って、そうして患者の治療に当たるということが肝心であろうと思うわけでございまして、どういう療法がいいか、どれがいいかということは、私はしろうとでございますから、これは学界なり専門の判断もあろうと思います。しかしながら、病院の経営は、一つの秩序を保った管理体制のもとにおいではじめて経営が効果をあげる、かように考えまするので、したがって、その病院としてとった措置が必ずしも不当ではなかろう、かような感じがいたすわけでございます。
  241. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまの大臣の答弁きわめて表面的なものでありまして、これまで絶望視されておりました十数名の患者が退院をした。中には二十七年ぶりに初めて退院をしたという人もおるわけです。しかも、それが会社にもうすでに働いているという事実があるのですね。また、一般の人たちと同様に数万円の賃金をもらって会社につとめておる人々が何人もいるわけであります。こういう事実の上から見た場合、これまでのいわゆる精神科医療のあり方というものは大きく検討されねばならない、抜本的に検討されねばならないという一つの評価がなされると私は思うのでございますが、どうでしょうか。
  242. 滝沢正

    ○滝沢説明員 ただいま先生が例示されました鳥山病院の病棟における古い、長く療養している患者、これはもうわが国の精神病院には多かれ少なかれ長期療養の患者がおりますけれども、これが退院ということまでにもつていくためにはたいへんな努力がいるわけでございます。先生の申された事実を私は確認したわけではございませんけれども、その事実がそうであるとするならば、たいへんな努力があったものと思うわけでございます。病気を治療することは、治療の方法その他患者の取り扱いにいろいろな療法がございますが、これは精神神経学会等の学会の場で論じていただく。また、新しい試みというものはいつの世にも医療の中にあるわけでございまして、そういうようなことから、たとえば従来精神病院というものは、各部屋とも全部かぎを締めておるのが常識であるというのが精神病院の実態でございましたが、十数年前、国立病院等はじめ各地にいわゆる開放療法というものが取り入れられまして、かぎのない患者の取り扱いという、従来取り扱ってきた方々から見れば画期的な一つの治療法が開拓されまして、そしてこれが逐次広がり、ほとんど全国の精神病院では何らかの形で、その取り扱いをでき得る患者に対しては開放的に取り扱う。これでいろいろの生活指導を含めた日常の治療をする。これらにつきましては、いま申し上げましたように、どのような方法がいいか、あるいはどうすることによって効果があがるかということについていろいろの試みをなさるということは、特に大学の付属病院等ではあり得ると思うのでございます。そういう意味で、先生が例示されましたような問題の——私詳細は承知しませんが、結果がよいということであれば、それは学会の場で大いに議論して、そしてその方法が一般的な精神病院の治療法として、あるいは患者の指導方法として取り入れることがよければ、これは学会として承認され、先ほど例に引きました開放病棟のようにこれが普及していくということが十分考えられると思うのでございます。
  243. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまあなたがおっしゃるように開放療法、これを現実に実施してみた。思いがけないすばらしい成果があらわれたということであるわけであります。そこでこれは、精神科の治療全般にこれを取り入れるべきであるかないかは、いまおっしゃった学会で当然これは議論になっていく問題だとは思いますけれども、少なくともこのような現実の証拠が出たからには、当然それは学会の中で検討されていくであろうし、また精神障害者の社会的回復については大いに研究に値する価値を持っている。これははっきり認める必要があろうと思うのですね。私が言いたいことは、そのように一烏山病院の中で起きた開放療法、そうしてそれから出てきた結果であろうけれども、それが精神科医療全般に及ぼす重大な内容を秘めているということから見た場合、そうした医師を簡単に解雇していった。先ほど大臣は秩序を乱すようなことであれば云々とおっしゃいましたけれども、これは当然解雇された関係の医師は裁判に持ち込むでありましょう。その裁判の上で明瞭になると私は思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、病院というのは患者を治療してなおしていくというところであろうと私は思うのであります。  もう一回大臣に基本的に聞きますけれども、その精神病患者を人間として見ていかれるのか、人間の病気として見ていかれるのか、あるいは精神病患者というものはもう人間以外の感覚で扱っていこうとするのか、これはきわめて基本的な問題でありますので、大臣からお答え願いたいと思います。
  244. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 申し上げるまでもなく、治療は人間の人権尊重ということが第一でございます。申し上げるまでもございません。私が申し上げましたのは、そういういい医療、いい治療方法をやって、いい効果があらわれたというような場合に、他に理由がなくして解雇ということは、これは独断的なやり方ではできない仕組みになっているわけでありますから、そこに何らかぐあいの悪い点があったのではなかろうか、かような観点から申し上げたわけでございます。
  245. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 まあ中身を知らない間は確かにいま大臣が感ずるようなことになると思いますけれども、現実に烏山病院のそうしたごたごたをいろいろと調べてまいりますと、非常に不都合じゃないかと思われる個所が幾らもあります。現実問題として、いろいろと、悪いといわれていた精神病患者の家族の方々が、その治療を受けて帰ってきた、非常な喜びのもとに、こうした医師の解雇についての措置に対して抗議を申し込んでおります。私はその抗議文を持ってはきておりますけれども、時間が制約されておりますので、その中身は省略いたします。しかし、いつ、どこで、だれが抗議を申し込んだかはここで申し上げておきます。患者家族九人、代表として、昭和四十六年八月二十三日です、これは西尾友三郎院長あてに抗議文が提出されております。また、四十六年六月七日付で患者家族十数名による、これは「御願書」という見出しでありますけれども、これまた西尾院長あてに提出されております。その「御願書」の全文を読む時間がございませんので、その中身の一部分を読ませていただきますが、「患者家族の心情と致しましても、かつては患者治療の捗々しからざることに絶望状態でありました。これは真に患者家族の佯りない心情でありました。しかしいまは野村先生の治療により、患者も癒り得るとの希望を持てる様になりました。これは私共患者家族としてどんなに嬉しいことか真に量り知れないものがあります。私共患者家族としていま心から願いますことは野村先生の手による治療は何としてもこのまま続けて欲しいということであります。野村先生が貴病院の措置の為めに万一病院を去ると云ったことにでもなれば、これは現に野村先生の治療を受けて居る患者に対し、また私共その家族に対し余りにも大きい打撃を与へることになります。」患者の家族の皆さんは、野村医師等がやりました開放療法というものを非常に喜んで受け取っているわけですね。そうした事実の上から、野村医師のやっていることはりっぱじゃないか、それを解雇するというのは不都合だと、こういって抗議あるいはお願いをしているわけですね。ところが現実には解雇になってしまっているわけであります。それはいろいろな問題があっただろうという御認識のようでございますが、それは先ほど言いましたように、いずれは裁判等で明らかになっていくことであります。また局長のほうからも、これは医学界で当然そういういい療法ならば取り上げられていくはずだというお話もありましたけれども、現にこの鳥山病院の中の問題が起こりまして、日本精神神経学会の理事長大熊輝雄さんから西尾友三郎院長あてに要請書が出ております。これは四十六年八月です。それもこの際読ませていただきますが、「日本精神神経学会理事会は、昭和四十六年七月十二日付で、一、野村医師に関する賞罰委員会活動を直ちに停止すること、二、野村医師問題に関して学会の参加において公開の場で事態を明らかにすることを貴殿に要請いたしましたが、これらの要請が無視され野村医師が解雇されるにいたったことは遺憾であります。今後とも上記要請の趣旨に沿い事情調査に協力されんことを重ねて要請します。」日本精神神経学会理事長大熊輝雄氏の要請書であります。これは四十六年八月に提出されているわけでございますが、このようにすでにこの問題を重視して学界が動き始めているわけであります。  また日弁連の人権擁護委員会といいますか、そこもこの問題を重視して調査に乗り出そうとしております。すでに動きは始まっているわけでございますが、このように人権擁護の立場から見た場合も、これは重大問題だといわれる、鳥山病院のこの問題ですね。あるいは病院、精神学界、あるいは日本精神神経学会などの主要な学会が調査の続行をやっている問題というのは、これは私はきわめて大きな事柄であろう。そういう中にきわめて簡単に二人の医師は解雇されたわけでありますが、私はこの解雇された医師の内容についても、これは労働基準法に照らしても、あるいは不当解雇ではなかろうか、不当労働行為ではなかろうかというようなことを感ずるわけでございますが、この問題は労働問題でございますので、後日私は労働省にただしてみたいと考えているわけでありますけれども、いずれにいたしましても、人権擁護の立場から見ても、あるいは医学界のオーノリティーの立場から見て、烏山病院の解雇問題あるいは治療の問題はこれは重大問題である、こうして事件が進んでいるわけですね。そういう中に、この院長が久里浜病院に転任したというのは、私は厚生省として少し早まったのではないか、このような感じを受けるわけですが、その点はどうですか。
  246. 松尾正雄

    ○松尾説明員 私どもが院長を久里浜病院の院長に迎えたい、こういう希望を持っておりましたのはすでにかなり前でございます。正式にはやはり理事長あてに、この人をちょうだいしたいということを申し入れておったわけでございますけれども、学内としてはいろいろな事情もあってだんだん延びておった。しかし辞任をされるにあたりましては、正式に一定の予告期間をおいてその辞表を出されて、それが大学内の理事会におきましても正当に議論をされた上で認められている、こういう形になった上で、私どもはそういう、大学側がこの辞意を正式に認めたということで、私どものほうも採用に踏み切ったわけでございます。
  247. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先般、二十一日に鳥山病院の実態についても、その資料要求をいたしました。一枚の返事が来たわけでありますが、これを見ましても、最後にこう書いてありますね。「その他問題点及び措置状況」として、「昨年来烏山病院内で医療の方法について一部の医師との間に意見の相違をみてトラブルが生じていたが、現在は一応正常化し、特に問題は生じていない。」こう書いてあります。     〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕 私は、烏山病院の中で起こった、いま私が申し上げましたいろいろな事件、トラブルというものは、おそらく単なる一病院の問題であって、それはすでに解決済みである、その他の病院に関係はないんだ、しかもそれはすでに解決してしまっているんだという認識の上に立っての今度の措置であっただろう、こう私は思うのですね。そこに非常に厚生省の甘さがあるんではないか、こう言いたいところなんです。もう一度その点について、私が言ったことについてどうお考えになるか、お答え願いたいと思います。
  248. 松尾正雄

    ○松尾説明員 いろいろな病院内で起こっておりました問題、特に大学の付属病院として起こっておるような問題の始末をどういうふうに結論をつけるか、これは私どもが実は介入すべき問題ではございませんで、大学当局自身がそれについてどういう処理をするかということの御判断をされるべきだと存じます。したがいまして、もしいま先生御指摘のような事態が真に大学側にあって、それは結論をつけるべきではないという御判断であれば、その院長が出した辞意というものはその場ではむしろ撤回をさせて、引き続き何らかの収拾策をはかるという決定をすべきであろうと存じますけれども、私どもはそういう一応の手続を踏んでもらった上で、先ほど申し上げましたように正式に理事会も承認をした、こういうことであれば私どもはやはりその結論を一応尊重して、私どもの予定どおりの発令をした、こういうことにならざるを得なかったわけでございます。
  249. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 現在私が申し上げましたような問題をかかえたまま国立病院の院長の座につくということ自体が、私は問題であろうと感ずるわけです。また、彼らの医療のあり方が批判されている現在、厚生省が何らの考慮もなくかの医療を国立でやらせる、このような考えでやっていることにも問題があるんじゃないか。というのは、いま烏山病院で行なわれている従来の医療、それだけではこれは確かに問題である。開放療法といいますか、それをもって何とか切り開くときが来ているという一つの事例が出ているわけですから、そういうときにこの問題が整理されないまま久里浜病院に転任するということは、これは私は早まったような気がしてなりません。  それからまた、厚生省の資料を見まして非常に不可解に感ずることは、医師の数が、これに常勤十四人、こうなっております。ところが実際私が調べてみますと、常勤は院長を含めて四名。だけれども、実際に働いている者は三人しかいないのですよ。入院患者数は五百四十一名となっております。もちろんこれは四十六年七月末現在の調査になっておりますが、患者は五百四十一名なんです。それで実際に働いている常勤の医師は四名。実質的には三名ですね。はたしてこのぐらいの医師でその患者のめんどうが見られるかということですね。これはどうなんですか。これがモデル精神病院といわれた烏山病院の実態なんです。これについてどうお感じになりますか。
  250. 滝沢正

    ○滝沢説明員 資料は、東京都等が烏山病院の実態をお知らせいただいた資料の中から、そのままのものを先生に差し上げたわけでございます。現実の常勤の医師が四名ということと、資料として十数名ということで食い違いがあるようでございますが、その間の事情は私はここで明らかにする——御報告をいただいた事実をそのまま資料といたしたので、その点の確認はいまの段階ではお答えできませんけれども、ただ私は、一つの大学の付属である精神病院というものの医師の管理が著しく悪い、あるいは医師の定員においても、あるいはその発令、いわゆる人事の上で発令している正式の定員というものと、それから実際に医療に携わる者との日常的ないろいろな違いというものはあり得る可能性はあると思いますけれども、少なくとも教育というものを兼ねた烏山病院が、このような問題について全くその四名なり三名だけで、ある極端な時点をとらまえればいろいろそういう時点はあろうと思いますけれども、実態としてそういうようなことがあるとは私は想像できませんので、むしろ常識的には資料で差し上げたような——医師の日常ある時点をとらまえたとき、学会があったとか、いろいろな事情で医師が少ないという実態はあるだろうけれども、少なくともそういうようなことで医療に携わる実態はそう少ないものではないというふうに思っておりますが、なお、いまの数字の食い違いにつきましては、御指摘がございましたので、その点については再確認の上、先生資料を提出いたしたいと思います。
  251. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 実態は私が申し上げたほうが間違いないと言いたいところです。というのは、私は現実にその点は調べてきた。確かに十四名の数はそろいます。けれども、ほかの方はパートタイム的な医師ですよ。私が言いたいことは、五百四十一名の患者をかかえて、それでいいかということですね。モデル精神病院といわれた烏山においてこうですから、まして他の病院においておやと言いたいところですね。この烏山病院は私立の精神病院でありますが、私立だから調査権限云々とかいうことで等閑視しないで、これは精神病院全体の大きな問題であるととらえて、徹底的にいろいろな問題を調査してもらいたい。そして報告をお待ちします。  時間がありませんので結論的に申し上げてまいりますけれども先ほども読み上げましたように、家族の方々からは開放療法の結果について非常に喜びの声があがっている。しかも二人の解雇された医師に対して、解雇しないように、そしていまの療法を続けてもらいたいという要請文あるいはお願い文があったわけです。また日本精神神経学会も、先ほど読み上げましたように問題として取り上げて、いま進行中でございます。また、日弁連人権擁護委員会もその問題について進行中でございます。当の野村医師もこれを裁判に持っていこうということで、着々と準備が進められております。そして、大型弁護団も準備されている等々が今度の「朝日ジャーナル」の中にも報道されております。それだけに、今回の院長の赴任の問題はあとあと非常に問題を残すんじゃないか、このように私は懸念するわけですね。これは、厚生省のために私はいま言っているわけです。だから、もし将来、今度西尾院長が行かれた久里浜病院が精神病院にかわっていくと聞きますけれども、その医療の上において、あるいは管理の上において烏山と同じような事件や問題が起こった場合、どのような責任をとられるかということになるわけですね。この点はどうですか。
  252. 松尾正雄

    ○松尾説明員 国立精神療養所につきましては、私どもの直轄しております施設でございます。したがいまして、直接のいわば指導監督というものの責任を持っているわけでございますので、一般的な指導監督という立場よりもさらに強い、きびしい指導下にあるというふうに考えていただきたいと思います。また、国立同士のお互いの提携連絡ということも密にしながら精神医療を最もよくしていくということが国立精神療養所に課せられた使命だ、こういうふうにも考えておりまして、したがって、いわゆる独断的な動きとか、あるいは最新の医学にはずれるようなことをただ黙ってやっていくというようなことは私どもとしても許しませんし、またそういうただいま申しましたようなやり方から見ても許されないという環境にございます。また、かりに、いろいろなことを試みていくということは必要でございます、しかしながら、その場合でもやはり病院内におきましてのすべての人の協力がなければ新しい治療というのはやれないわけでございます。そういう意味においては、院内全部の関係者が一つ方法について十分調整をし、合意に達した上で踏み切る、こういうことがやはり必要でございまして、こういう精神療養につきましては、たとえば看護婦の問題にいたしましても、あるいはその他の訓練に従事する人でありましても、これは医師とともに一体となってやらなければできない問題でございます。ただ注射をすればやれるというような治療ではございませんので、特にそういう院内全体のチームワーク、意思の疎通というものによって新しい問題も展開しなければならぬ、こういうふうに私は考えております。したがいまして、そういう形でこの新しい院長にも運営をさせたい、かように考えておりますが、万一そういうことにもとるような運営があったといたしましたならば、それは国立療養所の所長として不適格という判断をせざるを得ませんので、そのときは私どもはき然たる態度をとって処理をいたします。
  253. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 じゃ最後に、もう時間が来ましたので申し上げますが、いま全国で百万人をこえる精神病の患者さんがいるといわれますけれども、この方々はいわゆる犯罪者というような先入観といいますかあるいは偏見に囲まれて、社会復帰の道もなく、小さくなって暮らしているというのが実態でございます。こういうのは現在の精神科医療行政そのものに大きな欠陥があるのではないかと、私はそう思うのですね。行政そのものに欠陥がある。治療制度において、いま申し上げましたような、従来にない新しい精神科医療、つまり開放療法という問題が鳥山病院の中から現実に起こってきているわけであります。したがいまして厚生省も、単にいままでの精神病患者に対する医療行政のあり方を踏襲するのでなくて、新しく切り開いていこうという立場から、この開放療法のあり方についても大いに研究を進めてもらい、そして学会のほうにその問題点あるいは改善点を提起してもらいたい、私はこう思うわけでございます。  最後に大臣に所見をお伺いしたいわけでありますが、今回の烏山病院の問題はまだ消えたわけではないわけです。くすぶっているわけですね。そういう中に院長が国立病院に赴任した、ここに大きな事柄が一つあろうと思います。それから将来何か起こった場合は適確に処断していくというような、いま局長お話がありましたけれども、これは当然のことであろうと思いますが、私はその院長を処罰するとかしないとかいうものよりも、精神科医療のあり方について大きく転換させなければならないときが来ているということを大臣も認識を深められて、その方面でしっかりと戦っていただきたい。そして、精神病患者も人間として扱われるように、つまり治療を重点とした医療が行なわれるように、心から希望する次第であります。最後に大臣の所感を聞いて終わりたいと思います。
  254. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 精神病院のあり方につきましては、お説のとおりどこまでも患者の治療ということを本旨にしてまいらなければならないと、かように考えます。同時に、社会にそのまま置いておいて、そして他に危害を与えるというような場合もございますが、本旨はいまおっしゃるような点だと、かように考えます。新しい治療方法の開発につきましては今後もできるだけ努力をしてまいりたい、かように思います。
  255. 森山欽司

    森山委員長 滝沢公衆衛生局長からちょっと補足的な発言があります。
  256. 滝沢正

    ○滝沢説明員 大橋先生、答弁済んだあとでたいへん恐縮でございますが、私がさっき答えました開放療法というのは、実はかぎをはずしてやる治療法ということを一般的にいう意味でございまして、今回の鳥山病院でいろいろやっておられる治療法を開放療法というと、ちょっと私の答弁と先生のことばの使い方とが誤解を招くおそれがございますので、たいへん恐縮でございますが、この際念を押させていただきます。
  257. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 あと五分、古川さんが……。
  258. 森山欽司

    森山委員長 じゃ、どうぞ。
  259. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 昨年の八月十日の当委員会におきまして、私は特に老人対策の中で過疎地域といわれている地域についての老人対策について、政府の見解を求めました。特にこれは老人対策に、地域により非常に著しい格差があるわけでございまして、都市部、その近郊部に非常に偏重されております。農山村あるいは漁村における過疎地帯の老人の実態そのものについてすら的確な調査がなされていないということを、去年明らかにしたわけでございますが、前任の内田厚生大臣をはじめといたしまして政府側としては、そのとき、昭和四十五年度の老人の実態調査の実施のときに、その機会をとらえ過疎地域の状況をつとめてわかるように調べるという御答弁をいただいているわけであります。ところが、今回厚生省からいただきました調査結果の報告書によりますと、何ら過疎の老人に関する状況は明らかにされておりません。これは一体どうなっているのかという点が一点。  それから過疎地域におきましては特に施設が絶無にひとしいということであり、また非常に窮乏したそうした市町村における財政においては、老人ホームの設置等も非常に困難であります。こういった点についても、予算の上で十分考慮するという答弁もいただいておりますが、この点も今回の厚生省の予算要求では明らかにされておりません。この姿勢も見えないわけでございます。  さらにもう一点、国庫負担金の交付基準についても十分検討するという御答弁をいただいておりますが、検討の結果、これが一体どうなっているか、大幅な改善がはかられると期待してもよろしいかどうか。  非常に取り急ぎましたが、以上三点につきまして、局長並びに、でき得れば大臣から、特に老人対策においては重点的に厚生省も取り組んでおられますので、その中で過疎地域の老人問題について、さらにその中でも最重点に取り上げていく姿勢を強く要望するわけでありますが、所感をお伺いしたいと思います。
  260. 加藤威二

    ○加藤説明員 先生御指摘のとおり、四十五年の老人実態調査におきましては、必ずしも過疎地域に焦点を合わせた調査ということにはなっておりませんので、その点はまことに申しわけないという感じがいたします。実は調査をいたしますときに、それぞれ焦点をきめてやっておるわけでございますが、四十五年度の調査におきましては、ひとり暮らしの老人の実態がどうなっているかということに焦点を合わせて調査いたしまして、老人が住んでいる地域がどうなっているかということについては、確かに御指摘の点については浮き彫りになっていないといううらみはあります。その点はまことに申しわけないと存じておりますが、なお現在私どものほうで、ひとり暮らし、ねたきり老人の悉皆調査をやっております。これは近く結論が出ると思いますけれども、この点である程度そういったものもわかってくるかとも思いますし、また、これは毎年この調査を続けてまいりたいと思いますので、今後の調査におきましては、先生の御指摘の、住んでいる地域に応じた実態の調査というものをやってまいりたいというぐあいに考えております。  それから、御指摘の国庫補助の単価の問題でございますが、これも実際に必要とする価額に比べますとまだ低いという実態がございます。しかし毎年改善を加えておりまして、たとえばこれは特別養護老人ホームの実態でございますが、四十三年度におきましては実際の実行単価と予算単価の比率を見ますと七七%、要するに七七%しかカバーしてない。ですから二三%ぐらい不足しているという実態がございましたが、四十五年度では八三%をカバーしている。しかしやはりまだ一七%ぐらい足らないということでございますが、毎年この格差を縮めまして、できるだけすみやかに実行単価に追いつくように努力してまいりたいというぐあいに考えております。
  261. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 老人対策はこれからのまことに緊要な問題だ、かように考えております。つきましては、過疎地域でないところにおいても非常に不十分でございますが、過疎地域も全部入れましてまんべんなくやってまいるように今後とも努力をいたしたい、かように思います。
  262. 森山欽司

    森山委員長 次回及び理事会は、理事各位との申し合わせに基づきまして十月十一日、十二日、両日を予定いたしております。あらためて公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会