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木原委員 これは私
どもも、事故があってそのたびにというのもたいへん恐縮なんですけれ
ども、確かに議論のあるところでございます。私たちも一定の議論を持っているわけでございますけれ
ども、しかし現実に
災害を受け、しかもそれぞれいままでの法の
ワクというものもございまして、これはプラスに働いている面もありますけれ
ども、しかしながら、実際に打撃を受けた個々の
方々に対しては、まことにくつを隔ててかゆいところをかくようなそういう姿を見ますと、これはどうも
政治に携わる者としましては、法もあり
救済の
措置もさまざまにあって、しかもまた、個人に対してもいろいろ論議はある。しかし、そこまではいっているのですけれ
ども、現実の
救済にならぬ。こういうことでは、これはまことに
政治が、論議やあるいは
制度の中に隠れて、実際に
救済機能を果たさない。これではまことに相すまないという
感じが強いわけであります。したがいまして、いま副長官おっしゃいましたけれ
ども、いずれにしましても
制度をすみやかに発足させる、その中で漸次改善を積み上げるなりあるいはまた詰めるべき問題を詰めていく、こういうことで、私はまず
制度を発足させるということでぜひひとつやっていただきたい、このように考えます。それがはたして今度の場合に間に合うかどうかということは、われわれにとりましては問題でございますけれ
ども、しかし、
制度を発足するというならば、それぞれ
関係機関の中でも、そういう方向に沿って何らかの次善の策をとりたい。これは追っていろいろと御相談を、私
どもとしても申し上げたいと思います。
それから、問題は、そういう事故が多かったということ、つまり、先ほ
ども御
報告がありましたように、六千五百カ所の山くずれがある、そして実に五十六名の
方々が人命を失った、こういう非常に特殊性があるわけなんです。これはただいまも
報告にありましたとおりに、一見くずれそうにない普通の自然の
丘陵地帯、まあ私
ども地元の者にとりましては、
大原幽学先生以来の教えで、大部分の房総の農民の人たちは、小さな山を背負って家を建てる。そうしますと、それだけ
田畑が広くなるし、うしろはすぐ山ですから、夏は涼しくて冬はあたたかい。こういう房総特有の
気象条件に合致したような
大原幽学以来の教えということで、大部分の農家が
丘陵地帯の、すぐ山を背負って家を建てている。だから、部落が細長く並んでいるような集落が多いわけなんです。そして前面が広々と
田畑になっている、こういう実は姿なんです。ですから、もしも今度のようなことが、これは二度あることは三度あるということでございますけれ
ども、これで非常に
地元の者たちは不安に思っておるわけなんです。しばらくの間そういう
災害は考えなかった。われわれは最善の生活環境で生活しているんだ、こう信じて疑わなかったところが、今度はそういうことでやられた。しかも、行って
調査をしてみますと、傾斜地といいましてもまず何メートルという高さ、ほとんど
災害などは予測されないところが、わずかにつめでひっかいた程度の土砂くずれでもって
家屋の裏側が土砂に埋まって、そのために北側に寝ていた年寄りたちがなくなった、こういうような事例が非常い多いわけなんです。そうなりますと、もしこういう危険性が強く指摘されるということになりますと、これはもうある場合には、危険防止のために全面的な部落の集団的な移転を考えなくてはならぬというようなことも出てまいります。あるいはまた、絶対安全だと思っていたところがそういう事態になったわけですから、隣に家を持っておられる農家や家庭では、もうすぐ移転のことを考えないと不安だ。こういう、ある意味ではたいへん不安な
状況が生まれているわけなのです。
これは私
どもとしましては、まことに新しいあるいは特殊な現象だとこう思いまして、先ほ
ども森委員がお話しになりましたが、
調べてみますと、
関東ローム層という特殊な土壌があることは間違いないわけであります。したがいまして、これは一つには、いまの急傾斜地法でいろいろと
指定その他の
措置が講じられるようになっておりますけれ
ども、私
どもとしましては、今度の事態にかんがみまして、できることならば急傾斜地法の
ワクの中に、特殊ではありますけれ
ども、このような地域をやはり含める。そのためには、たとえば高さの制限がございます。五メートルというような高さの制限がございますけれ
ども、これをもう少し
緩和をしてもらうなり、あるいはまた、
関係の戸数がたしか五戸以上でございましたか、というようなものが横に並んでいるわけでございますから、戸数の制限をあるいは撤去するとか、何かやはりそういう特殊な状態の中でも法の
救済の対象になるような、あるいは
措置の対象になるような、そういうことを考えられないものかと私
どもは考えているわけですが、これは
総理府副長官よりも、あるいは建設省の政務次官、おいででございますので、何かその辺のお考え方をこの際出していただけるような条件があるかどうか、ひとつ
お答えをいただきたいと思います。