運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-09-17 第66回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月十七日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中井徳次郎君    理事 稻葉  修君 理事 内海 英男君    理事 米田 東吾君       小沢 一郎君    奥田 敬和君       笠岡  喬君    坂元 親男君       塩崎  潤君    高鳥  修君       田村  元君    中村 拓道君      三ツ林弥太郎君    森  美秀君       井上 普方君    木原  実君       千葉 七郎君    内藤 良平君       小川新一郎君    鶴岡  洋君       津川 武一君  委員外出席者         総理府総務副長         官       砂田 重民君         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         経済企画庁総合         開発局参事官  桜井 芳水君         厚生省社会局施         設課長     新津 博典君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         林野庁指導部治         山課長     吉村 昌男君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         建設政務次官  藤尾 正行君         建設省河川局長 川崎 精一君         自治大臣官房調         査官      福島 栄造君         消防庁防災管理         官       吉郡 良秀君     ————————————— 委員の異動 九月十日  辞任         補欠選任   小宮 武喜君     塚本 三郎君 同月十一日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     笠岡  喬君 同月十七日  辞任         補欠選任   西岡 武夫君     田村  元君   羽田  孜君     森  美秀君   卜部 政巳君     井上 普方君   中村 重光君     木原  実君   貝沼 次郎君     鶴岡  洋君   塚本 三郎君     和田 耕作君 同日  辞任         補欠選任   田村  元君     西岡 武夫君   井上 普方君     卜部 政巳君   木原  実君     中村 重光君   鶴岡  洋君     貝沼 次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  秋雨前線豪雨及び台風第二十五号並びに台風第  二十三号等による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 中井徳次郎

    中井委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、秋雨前線豪雨及び台風第二十五号並びに台風第二十三号等による災害対策について調査を進めます。  まず、秋雨前線豪雨及び台風第二十五号に関し、去る九日に理事会、十一日に委員打ち合わせ会を開き、関係各省から説明を聴取しました後、十三日千葉県に委員派遣を行ないましたので、現地派遣されました委員から報告を聴取いたします。笠岡喬君。
  3. 笠岡喬

    笠岡委員 秋雨前線豪雨及び台風第二十五号による被害状況調査のため、議長の承認を得、去る九月十三日千葉県に派遣されました派遣委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、委員長中井徳次郎君、自由民主党の高鳥修君、私、笠岡喬日本社会党古川喜一君、公明党の小川新一郎君及び民社党の塚本三郎君の六名で、ほかに地元選出議員多数の御参加を得、県当局から被害状況等について説明を聴取した後、二班に分かれて、被災現地実情をつぶさに調査いたしてまいりました。詳細につきましては、県及び市町村からの要望書等、資料を委員長のお手元に提出いたしておりますので、それらを御参照いただくこととし、以下重点的に御報告いたします。  今回千葉県を襲った豪雨は、九月六日から八日にかけて、秋雨前線台風第二十五号の雨域が相互に働き合った結果、勝浦市の総雨量五百五十八ミリ、時間雨量百二十二ミリという集中豪雨をはじめ、瞬間風速四十九メートルに及ぶ暴風により、同県全域に大きな被害をもたらしたのであります。  千葉県は、昨年七月にも集中豪雨により、死者二十名、総額二百二十四億円に及ぶ被害を受け、連続して大災害に見舞われたのでありますが、特に今回は、道路決壊河川はんらん等による被害もさることながら、ほとんどシラスに類似したやわらかい関東ローム層丘陵地帯で、六千五百七十三カ所にわたるがけくずれが発生死者五十六名という多数の犠牲者を出したのをはじめ、住家倒壊等いわゆる個人災害が甚大でありました。  同県では、小見川町等四市十二町に災害救助法を発動するとともに、自衛隊の出動を要請し、人命救助水防対策に当たる一方、災害応急対策及び復旧に全力をあげておるとのことであります。被害状況は、死者五十六名をはじめ、家屋の全半壊七百余棟、床上浸水五千余棟、その他がけくずれ、河川道路決壊田畑流埋没等被害額農林関係約八十四億円、公共施設約五十億円等々で、総額約二百十億円に達するとのことであります。  まず、第一班の調査概要について申し述べます。  第一班は、成東町、八日市場市、一宮町、岬町、大原町、勝浦市及び大多喜町等から被災状況等について説明を聴取し、それぞれの被災現地を視察してまいりました。  おもな被災状況は、第一に、丘陵地帯あるいは山間部でおびただしいがけくずれを見たことであります。このため家屋倒壊田畑流埋没道路寸断等大きな被害発生し、特にがけくずれが深夜に起こったため、八日市場市、光町でそれぞれ三名、大原町では十名の死者をはじめ多数の重軽傷者を出しております。  第二に、栗山川、作田川、一宮川等九十九里河川の中・下流部においては、明治以来初めてという三百ミリをこえる雨量高潮あるいは高潮による河川の逆流のため、堤防決壊溢水等によって床上床下浸水農地の冠水、流埋没等発生を見、早場米の野積みされた水稲ビニールハウス施設園芸等が大きな打撃を受けたとのことであります。  また、六百ミリに及ぶ雨の降った勝浦市、大多喜町等の上総急流河川では、夷隅川をはじめ谷間の小河川はんらん道路、鉄道の寸断、橋梁の流失等被害を受けております。  被害額を二、三あげますと、大原町で約十一億五千万円、成東町で約九億円、八日市場市で約五一億三千万円、大多喜町で約五億円等であります。  私どもは、成東町で、大橋付近商店街が一メートルをこえる濁流に洗われたあとを、八日市場市では豊栄、豊和地区等家屋倒壊現場を、一宮町では、一宮川はんらんにより一万坪に及ぶビニールハウス湛水出荷寸前キュウリが全滅している状況を、また、岬町では新川橋決壊現場を視察し、さらに大原町では、塩田川河口一路橋及び付近堤防が増水と高潮によって破壊されている現場を、勝浦市では、山間部小羽戸地区山地崩壊による水田の埋没現場を、大多喜町では、外廻橋付近床上浸水々受けた家々を視察してまいりました。  これら市町村から、災害復旧事業早期実施河川改修林地崩壊防止対策促進農業共済金早期支払い等々の陳情のほか、特に個人災害救済制度確立について強い要望を受けました。個人災害救済についての現状は、市町村からのわずかな見舞い金しかない実情であり、その制度確立は、政治に携わる者の緊急な課題であると痛感してまいった次第であります。  次に、第二班について申し上げます。  まず成田市では、長沼地区根本名川の旧堤が四カ所にわたって破堤、水稲が長期にわたり浸水した状況を、また、新妻橋付近農業施設等被害状況を視察しました。同市からは、根本名川流域における内水排除施策の完備、集団水稲転作作物被害に対する助成等について、強い要望を受けてまいりました。  小見川町では、丘陵地帯が至るところ、約二百五十カ所にわたって崩壊、がけくずれにより死者十五名、住家の全壊五十世帯という激甚被害を受けておりまして、特に八日の未明には、山辺の家ではがけくずれの恐怖に、平地では浸水の危険にさらされ、人間の力では対処できないさながら生き地獄を呈したとのことであります。同町では、岡飯田地区の安藤さん一家七名が死亡するという惨事が起こっております。古老たちの話では、このような災害は、体験はもちろんのこと、聞き伝えすらもないとのことで、同地方始まって以来の混乱を呈しておりました。  東庄町では、平山地区県道笹川旭線の約百メートルにわたる崩壊現場を、また、羽計地区のがけくずれによる住家被害状況を視察いたしました。  なお、香取郡町村会及び佐原市当局から、土木農林施設等災害復旧のための技術職員の早急な派遣等外米政府買い入れについての特別な配慮ハウス畜舎等農業用設備に対する助成措置小野川等の早急な河川改修実施黒部川等内水排除施設建設事業促進等について、強い要望を受けてまいりました。  銚子市では、七日の夜半から八日の未明にかけ、三百二十ミリの豪雨により、死者十名、床上浸水三百戸をはじめ道路決壊等約六億円にのぼる被害を受けており、最も浸水被害が大きかった西小川町、及び山くずれにより多くの死者発生を見た春日町の被災状況を視察しました。  市当局説明によれば、避難命令を再三にわたり発令したにもかかわらず、それに従う住民が少なく、このことが多数の死者を見る原因となったとのことで、災害時における避難指導退避場所等確保に問題があるものと思います。  飯岡町の被害は、漁港、道路及び農林並びに商工関係中心に約七億円にのぼっております。特に、飯岡港はその機能を失い、多数の漁船が被害を受けており、秋の盛漁期を迎え、これが災害復旧は緊急を要するものであります。なお、このほか、決壊した矢指橋早期復旧農地等排水対策地すべりあと地復旧対策町道復旧について特別な配慮をされたいとの強い要望を受けてまいりました。  干潟町では、大利根用水の三カ所にわたる決壊等により、農作物被害約三億円をはじめ、がけくずれにより長部、溝原地区等町道全域にわたり交通不能となり、百五十戸が孤立、自衛隊千百三十六名の応援を得てようやく交通の確保ができたとのことで、総被害額は約六億四千万円にのぼっておるとのことであります。  旭市では、八日未明から四日間にわたり市内住家三千戸の床上床下浸水による被害発生、また豪雨と強風により施設園芸被害が続出、ハウスの破損、メロン、トマト、キュウリ等施設園芸関係だけで約七億四千万円の被害を受けたとのことであります。被災者の中には、農業をあきらめて東京に出かせぎに行くという農家もあり、同地方東京野菜類等の主要な生産基地であることから、深刻な問題となっております。なお、同市から、ハウス施設に対する貸し付け資金ワク拡大、再生産技術に対する特別な指導等について、切実な要望がございました。  なお、県当局から、激甚法指定及び災害復旧事業早期実施市町村上水道及び簡易水道並びに廃棄物処理施設被害に対する特別な国庫補助伝染病予防事業に対する財政援助世帯更生資金原資増額天災融資法に基づく天災指定被災農林業者への融資限度額拡大並びに自作農維持創設資金ワク拡大農林水産業制度資金償還期限の延期及び融資条件緩和農業共済金早期支払い林地崩壊防止事業実施要綱の改正、緊急治山事業国庫補助に対する特別な配慮中小企業に関する特別の助成特別交付税地方債増額配分普通交付税の繰り上げ交付等々について、強い要望を受けてまいりました。  最後に、調査団として、今回の災害調査を終えて感じた点について申し述べてみたいと思います。  まず、千葉県並びに被災市町村の切実な要望に対して、政府の積極的な措置を強く要望いたします。特に、多数の死者発生により、親を失った子供、身内を失った老人等、まことに気の毒な方々が大勢いらっしゃるわけであります。この方々に対して、政府及び各地方自治体は、きめこまかな対策、親切な指導を行なうよう要望いたす次第であります。  第二に、今回の災害は、災害発生が全く予想されなかった場所で多くの死者発生を見ました。不可抗力とはいえ、現在の災害対策に対する重大な警鐘であります。すなわち、最近の異常気象は、場所、規模とも過去の例にかまうことなく異常な災害発生せしめており、防災対策はあらゆる場所で必要であり、政治の基本であることを肝に銘ずべきであります。この際、政府地方自治体防災計画を再検討し、人命保護という絶対的要請を果たすため、住民に対する防災教育の徹底をはかるべきであると存じます。  第三は、激甚法適用についてであります。  今回の千葉県の災害は、台風二十三号が原因になって秋雨前線が形成され、台風第二十五号がそれを刺激して集中豪雨をもたらしたものであります。これらの気象現象は、それぞれ相関連して全国各地に大きな被害をもたらしたもので、一括して激甚法適用措置をとることをここに強く要望いたします。  なお、従来から論議されております指定基準緩和についても、この際十分検討するよう要望しておきます。  第四は、がけくずれ等の危険防止対策についてであります。  今回の被災市町村の中には、急傾斜地法等の存在さえ承知していない当局が若干ありました。このことは、いかに災害が少ない地方とはいえ、施策以前の問題であり、がけくずれの危険に対する認識の不足さを指摘せざるを得ません。がけくずれ等の危険防止対策の量的、質的拡大はもちろんのこと、危険個所に対する認識を改め、再びこのような惨事発生しないよう対処すべきであります。  終わりに、今回の調査に御協力いただきました関係各位に心から謝意を表し、御報告を終わります。(拍手)
  4. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。     —————————————
  5. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、秋雨前線豪雨及び台風第二十五号並びに台風第二十三号等による災害対策について、被害状況及び政府においてとった措置概要について、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務副長砂田重民君。
  6. 砂田重民

    砂田説明員 台風第二十三号並びに秋雨前線豪雨及び台風第二十五号等による災害について御報告を申し上げますが、御報告を申し上げます前に、今次災害によって不幸にもおなくなりになりました方に、心からの哀悼の意を表しますとともに、罹災者皆さま方に、そしてまた被害を受けられました地方公共団体皆さま方にも、心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。  まず、台風第二十三号による災害について御報告をいたします。  初めに気象関係でございますが、八月二十一日、南方海上発生した台風第二十三号は、ゆっくりと本邦南海上を西へ進み、八月二十九日ごろから進路を北に向け、二十九日夜半九州南部に上陸しました。台風は、その後四国を経て紀伊半島を横断、東海道沿いに東に進み、三十一日夜房総半島をかすめて鹿島灘に抜けました。  この台風は、本土に上陸するまで発達し、速度がおそく長時間にわたり影響を与え、また、典型的な雨台風であり、各地に雨による被害が目立ち、がけくずれ、浸水などによる被害を生じました。  次に被害状況でございますが、この災害による一般被害は、警察庁調べによりますと、死者・行くえ不明四十三名、負傷百三名、家屋半壊流失二百九十四棟、床上浸水一万四千二百三十四棟、床下浸水十万九千五百五十四棟、罹災者数五万七千四百十人と相なっております。  また、施設関係等被害額は、県報告によりますと、公共土木施設が約五百十二億円、農地等約百八十五億円、農作物等約三百六十八億円、中小企業関係が約四十六億円、その他約百六十一億円、合計約一千二百七十二億円にのぼっております。  次に、災害に対しましてとりました措置でございますが、救助活動といたしましては、警察消防機関及び自衛隊では、被災者救出救護避難誘導給水等実施いたしました。  災害救助法適用関係でございますが、被害の大きかった鹿児島県屋久町など十四市町村区に災害救助法適用し、避難所設置、たき出し、飲料水供給その他応急救助実施いたしました。  中央防災会議連絡会議の開催でございますが、数度にわたりまして各省連絡会議を開催いたしまして、被害状況の取りまとめ、応急対策等について協議をし、また、激甚災害指定につきましても検討を急いでいるところでございます。  次に、秋雨前線豪雨及び台風二十五号等によります災害について御報告を申し上げます。  まず、気象関係でございますが、台風二十三号が去りますとともに、オホーツク海方面の寒冷な高気圧が南下いたしまして、南の夏の高気圧との間に秋雨前線を形成し、この前線活発化によりまして各地に雨を降らしました。一方、台風二十五号が南方洋上から接近いたしまして、秋雨前線活動と相まって千葉県下に平均二百五十ミリ、多いところでは三百ミリをこす豪雨を降らせました。この前線は、さらに十日から十一日に四国及び三重県に大雨を降らせ、大きな被害を出しました。また、十一日には台風二十六号が南東海上より接近いたしまして、東北、北海道地方大雨を降らせました。  これらの災害によりまして各地にがけくずれ等の被害を生じたのでございますが、特に千葉県及び三重県におきましては、多数の死傷者を出したのでございます。  次に、被害状況でございますが、これらの災害によります一般被害は、警察庁調べによりますと、死者・行くえ不明が九十九名、負傷者百四名、家屋半壊流失四百八十九棟、床上浸水が三千二百五十一棟、床下浸水が二万四千六百六十七棟、罹災者数が一万五千九百九十一人となりました。また、施設関係等被害額は、県報告によりますと、公共土木施設約二百五十三億円、農地等約八十億円、農作物等約七十六億円、中小企業関係約十億円、その他約六十三億円、合計約四百八十二億円と相なっております。  災害に対してとった措置でございますが、救助活動といたしましては、警察消防機関及び自衛隊では、被災者救出救護避難誘導等実施いたしました。  災害救助法適用関係でございますが、被害が大きうございました千葉県の八日市場市など六市十二町——千葉県が四市十二町、三重県で二市でございます。これらに災害救助法適用いたしまして、避難所設置、たき出し、飲料水供給その他応急活動実施いたしました。  中央防災会議も数回開催いたしまして、被害状況の把握につとめてまいりました。また、応急対策等について協議しております。  一つつけ加えて御報告しておきたいと思いますが、ただいま御報告申し上げました気象状況等気象庁気象学的な御意見も伺いながら、中央防災会議連絡会議を進めてまいりましたが、中央防災会議事務局長の私といたしましては、台風二十三号、台風二十五号、台風二十六号並びに秋雨前線、これらの災害一連の同一気象現象下における災害、かように判断をいたしまして、こういう角度で激甚指定等についてもただいま検討中でございますことを、つけ加えて御報告申し上げたいと思います。
  7. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて政府からの説明は終わりました。
  8. 中井徳次郎

    中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森美秀君。
  9. 森美秀

    ○森(美)委員 秋雨前線と二十五号台風により、私ども千葉県の房総半島といたしましては、九月六日、七日以来、たいへんな騒ぎになったわけでございますが、その間、さっそく政府として藤尾政務次官その他直ちに視察をしていただきまして、また災害対策特別委員会といたしまして、私ども地元を懇切丁寧に御視察願いましたことを心からお礼申し上げます。  先ほど笠岡委員からも発言がございましたし、あれなんでございますが、今回の災害は、昨年七月一日にございました大多喜中心とした災害に引き続きまして、二度目の災害でございます。ところが、範囲が非常に広い関係で昨年は激甚災害法適用していただいたわけでございますが、今回はなかなかむずかしいような感じがいたします。その点に関しまして総理府の御意見をお聞きしたいわけでございますが、地元は、元来御承知のように過疎地帯でございまして、市町村もたいへん赤字の苦しい立場にございます。何とぞ激甚災害法をぜひ適用していただきたい、こう考えておりますが、御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  10. 砂田重民

    砂田説明員 お答えいたします。  先ほど御報告を申し上げました中でもお話し申し上げたのでございますけれども、まだ、激甚指定をするという決定的なところまで、検討が実は進んでおりません。すでにずいぶん前に災害があった二十三号も、まだ激甚の問題の見当がつかないのかという御批判もあろうかと思いますけれども、先ほどの御報告最終段階で申し上げましたように、二十三号に引き続いての二十五号、二十六号、秋雨前線被害等があったものでございますから、気象学的に、これを全部一連の同一気象のもとでの災害というような判断ができないであろうか、できれば全部一緒にしたいという気持ちから、実は二十五号、二十六号のこまかい数字の査定の出てくるのを待っていたわけでございます。ただいま、これらの各災害被害状況のこまかい数字というものを集計中でございますけれども、率直にお答えをしておきたいと思いますが、農地農業用施設農作物等についての激甚は、ただいまの法律できめられております基準をオーバーしている感じを私は持っております。公共土木につきましては、まだ最終的数字をつかみ切っておりませんけれども、ただいま法律できめられております基準ではむずかしいのではなかろうか。そこで、一般激甚指定がむずかしいとなれば、局地激甚ということでこれが救えないものであろうか、そういうことをただいま検討中の段階でございまして、最終的な御報告をいたす段階ではございませんけれども、中間的に私の持っておる感じもあわせてお答えしておきたいと思います。
  11. 森美秀

    ○森(美)委員 ぜひひとつそういう趣旨に基づきましてお願いを申し上げたいと思います。先ほども申し上げましたように、全町村こぞって、これは過疎地帯でたいへん悩んでおります。くれぐれもよろしくお願いを申し上げたいと思います。  なお、昨年の七月一日に大多喜町を中心集中豪雨があったのでありますが、そのときにいち早く夷隅川河川堤防をつくってもらいまして、おかげさまで今回は、大多喜町は町の一番繁華街が全部救えたわけでございます。今後、一回、二回とある場合にはやはり三回目の災害も予想されます。ひとつそういう際に、堤防を築くのは時間もかかろうと思いますが、たとえばポンプアップしていただくとか、そういった便法も含めて災害復旧お願い申し上げたいのでございますが、建設政務次官の御意見をお伺いしたいと思います。
  12. 藤尾正行

    藤尾説明員 お答えを申し上げます。  お答えを申し上げます前に、今回の一連災害におあいになってなくなられました方々の御冥福を祈りますると同時に、被災者各位に対しまして深甚なお見舞いの意を表したい、かように考えます。  ただいま御質問でございますけれども、私どもといたしましては、今回の災害におあいになられました方々の御被害を最小限にとどめる、なお将来にわたって災害が起こらないようにする、こういう大臣の御方針に従いまして措置をいたすわけでございまして、ただいま森委員から御指摘になられました措置等に対しましても十二分に意を用いまして、十全の措置をとらしていただきます。
  13. 森美秀

    ○森(美)委員 ありがとうございます。ひとつ十分なる御処置をぜひとっていただきたいと思います。  なお、今回被害あいました全域調査いたしますと、御承知のとおり私ども房総半島というのは、山は決して高くない。たかだか四、五十メートルくらいの丘みたいな山が連なっておるわけでございますが、その山をしょって農家が建っているというのが現状でございます。しかも、今回くずれました山が、高い木があって、風によってゆれて根っこのすき間から水が入っていったとかいうことでは決してなくて、芝生の植えてあるところ、あるいは灌木のあるところ、みんなそれぞれ上ものは違っておりますが、地すべりを起こしております。これは九州地区のシラス地帯と同じような災害だということを、よく私ども聞くわけでございますが、シラス土壌については、研究所をつくって、着々いろいろなデータをとっているということを聞いておりますが、それについて、どういう方向にいっておるのか。私どもといたしますと、あの房総半島関東ローム層地帯も、そういう研究所その他をつくっていただいて、災害を未然に防がねばならないと考えておりますが、それについて経済企画庁ですか、御意見をお伺いしたいと思います。
  14. 桜井芳水

    ○桜井説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、政府といたしましては、特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法に基づいていろいろ施策を進めておるところでございます。先生のお話にございました特別な研究所というものは、一括したものは設置してはおりませんけれども災害防除におきますシラス土壌の重要性にかんがみまして、建設省の土木研究所あるいは農林省の農業土木試験場、それから九州農業試験場等の国の試験研究機関並びに主として九州にあります九州大学、鹿児島大学、宮崎大学、あるいはそのほか行政的機関といたしまして鹿児島県、宮崎県においてもそれぞれ研究を進められております。われわれといたしましては科学技術庁と相談いたしまして、各省にまたがっておりますこの研究機関を、いかに連絡をとって進めるかということにつきまして、中央におきましても関係各省会議を持ちまして、それぞれ分担あるいは今後の進め方について横の連絡をとりながら進める体制で、現在研究調査の推進と取りまとめを行ないつつございます。
  15. 森美秀

    ○森(美)委員 この点につきまして、私は二度、三度また必ず繰り返すような気がいたしますので、至急に研究をしていただいて、どういう方法で防いだらいいかその他について、方針をはっきりさしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  16. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、木原実君。
  17. 木原実

    木原委員 先般の秋雨前線台風二十五号による千葉県下の災害につきましては、委員長はじめ現地を御視察いただきまして、笠岡委員から調査概要等につきまして報告がございました。これに基づいて私も二、三お尋ねをいたしたいわけでございます。  今度の災害を私ども現地で見まして、一番の問題は、災害というのは予測をして来るものではございませんけれども、それにいたしましても、ほとんど予測を絶するようなところに非常に被害が甚大である。ただいま砂田総理府副長官からもお答えがございましたけれども、まず激甚法指定ワクになかなか入りがたい、こういう側面があるわけでございます。局地激甚指定等についても検討中だ、こういうお話がございましたが、どうも被害状況からいたしますと、なかなか広範囲にわたっておりまして、しかもなかなか法のワクには入りがたい要因がある。しかしながら、個々の災害状況は、これは災害は同じでございますけれども、きわめて悲惨な状況でございます。そうなりますと、いままでの法の盲点があるのではないのか、あるいはまた、盲点があるとするならば、われわれとしてはそれの改正の措置等も講じなければならない。しかしながら、さしあたって今度の場合一体どうするのかということが、たいへん大きな問題でございます。  そこでお伺いいたしたいわけでありますけれども激甚指定については検討中ということでございますけれども検討を通じて、はたしてそういう指定を受けて法の恩恵に浴する可能性があるのかどうか。何かその辺の詰めた御検討をなさっているのかどうか。もしないとするならば、それにかわるべき何らかの措置を考えなければなりませんが、いかがでしょうか。
  18. 砂田重民

    砂田説明員 木原先生御承知のことでございますけれども激甚指定基準は、全国の都道府県の標準税収入額の四%であるとか、あるいは全国都道府県の当該年度の基準税収入額の一・二%であって、かつ当該府県の云々というふうな数字がきまっているわけでございます。そこで、査定復旧をしなければならない事業費の査定の見込みの数字をいま集計をしておりますことを私、検討中と申し上げたわけでございまして、標準税収入額というものと、被害復旧をしなければならない工事費の見込み額というものを比べなければならないものですから、それの検討と申しますか、まだ府県から数字がふえてくるのではないかとも考えますので、いましばらく待って最終的な数字を得たい、かように考えての検討中でございます。  それともう一つの局地激甚につきましては、これは見込み額ではございませんで、事業費の査定額でございますから、事業費の査定額というものが明確に出てまいりませんと、局地激甚指定をするその基準に合っているかどうかという判断がつかないわけでございます。従来はどうも局地激甚指定は、そういうことで年度末までかかっていたようでございますけれども、そんなにかからなくとも、事業費査定というものは急いでできるのではないだろうか、かように考えて、ただいまのところは、年度末なんということではなしに、もう少し早目に数字をつかんで局地激甚指定ができるようにしておりますが、これも見込み額とそれから事業費の査定額の差がございますから、一般激甚よりも、局地激甚のわれわれが判断をいたします時期はどうしてもおくれてまいります。  さらに、局地激甚でも救えないというふうな場合のことでありますけれども、御承知のように、特に市町村につきましては公共土木の国費負担の法律もございますし、さらに国が補助をいたしますその残りと申しますか、裏の起債がございます。その起債につきましても、起債の元利償還を交付税で見ていくという制度災害にはあるものでございますから、できるだけこういうことにきめのこまかい配慮をしながら、市町村の財政力と相まって、ひどい負担を市町村の財政におかけしないような措置をとっていく、そういうことでやってまいっているのでございます。
  19. 木原実

    木原委員 これはいろいろ法の制約があるのは、私ども存じておるわけでございますけれども、いかんせん、災害あいました特に市町村は、たいへん零細な財政でやりくりをしておるという実情が明らかでございまして、これはひとつ、ともあれ、今度のことにつきましては格段の御配慮を賜わりたい。これは私も、お願いを申し上げる立場でございます。  もう一つ、これは森委員もいまお尋ねがございましたけれども、個人の救済の方法というのが、少なくとも、私どもいろいろ勘案いたしまして、ない。しかも今度の場合には、個人の災害がきわめて激しいということなんです。これはあとで私も申し上げますけれども、地くずれによる特に死亡の事故が多い、こういうこととも関連をいたしますけれども、ところが、この個々のことにつきましては、それぞれ農業関係あるいは土木関係あるいはまた税法上の減免措置等、あることはあるわけなんです。しかしながら、個人に対する救済措置がほとんどない。ところが、実際現地を見てみますと、文字どおり裏山がくずれたということだけで個人がたいへん大きな被害を受けている。しかも文字どおりとほうにくれているんだけれども、県にしましても市町村にしましても、せいぜいお見舞い金程度しか出せない。あとの生活の方途というのが立たないというような、まことに気の毒な罹災者が多いわけなんです。それらについて、これはまあいま、これまたなかなか現在の制度のもとでは救済のしようがないといいますか、幅が少ないわけなんですけれども、何かその辺について格別の配慮をいただけるような側面はないものでしょうか。いかがでしょう。
  20. 砂田重民

    砂田説明員 先生も御承知のように、いままで個人災害については、いままでやってまいりました仕組みは、自力でやっていただくという仕組みでずっとやってきております。住宅等につきましては融資等の制度はございます。また、低所得者と申しますか、そういう方々に対する措置もあるにはあるのでございますけれども、こういうことだけでいいかどうかということは、もう当委員会でも長年の間御研究をいただいているところでございまして、私どもといたしましても、その一つの方法として共済という制度にのらないものであろうか、こういうことを考えまして、実は昨年度いろいろな調査もしたわけでございます。  個人災害救済いたしますのに共済という制度を一つ打ち立てることは賛成だというのは、これはもう調査対象の地域社会住民地方公共団体も、ほとんどの方が賛成でございます。ただ、その共済制度の仕組みと申しますかその中身につきましては、御意見がたいへん多種多様、多岐に分かれておりまして、生命あるいはからだの傷害、そういうものにとどめるか、物損まで見るか、掛け金をどの程度に考えるか、掛け金の多寡によりましては、これはもう現在あります損保との関係をどう考えるか、県が中心でやるか市町村中心でやるか、そういった各方面の意見がたいへん多様に分かれておりまして、この前の委員会でも御報告いたしましたが、総理府といたしましては、いずれにいたしましても中央に再保険は当然しなければなりませんので、中央にしていただく再保険の基金になりますものの国の出資金と申しますか、そういうものは、総理府から実は八月末の概算要求でもう要求をしてございますが、その仕組みについてはいましばらく時間をかしていただきまして、できるところから制度のスタートをしたい、また制度のスタートをさせたい、このように考えまして、ただいま各方面と鋭意折衝中でございます。
  21. 木原実

    木原委員 これは私どもも、事故があってそのたびにというのもたいへん恐縮なんですけれども、確かに議論のあるところでございます。私たちも一定の議論を持っているわけでございますけれども、しかし現実に災害を受け、しかもそれぞれいままでの法のワクというものもございまして、これはプラスに働いている面もありますけれども、しかしながら、実際に打撃を受けた個々の方々に対しては、まことにくつを隔ててかゆいところをかくようなそういう姿を見ますと、これはどうも政治に携わる者としましては、法もあり救済措置もさまざまにあって、しかもまた、個人に対してもいろいろ論議はある。しかし、そこまではいっているのですけれども、現実の救済にならぬ。こういうことでは、これはまことに政治が、論議やあるいは制度の中に隠れて、実際に救済機能を果たさない。これではまことに相すまないという感じが強いわけであります。したがいまして、いま副長官おっしゃいましたけれども、いずれにしましても制度をすみやかに発足させる、その中で漸次改善を積み上げるなりあるいはまた詰めるべき問題を詰めていく、こういうことで、私はまず制度を発足させるということでぜひひとつやっていただきたい、このように考えます。それがはたして今度の場合に間に合うかどうかということは、われわれにとりましては問題でございますけれども、しかし、制度を発足するというならば、それぞれ関係機関の中でも、そういう方向に沿って何らかの次善の策をとりたい。これは追っていろいろと御相談を、私どもとしても申し上げたいと思います。  それから、問題は、そういう事故が多かったということ、つまり、先ほども報告がありましたように、六千五百カ所の山くずれがある、そして実に五十六名の方々が人命を失った、こういう非常に特殊性があるわけなんです。これはただいまも報告にありましたとおりに、一見くずれそうにない普通の自然の丘陵地帯、まあ私ども地元の者にとりましては、大原幽学先生以来の教えで、大部分の房総の農民の人たちは、小さな山を背負って家を建てる。そうしますと、それだけ田畑が広くなるし、うしろはすぐ山ですから、夏は涼しくて冬はあたたかい。こういう房総特有の気象条件に合致したような大原幽学以来の教えということで、大部分の農家が丘陵地帯の、すぐ山を背負って家を建てている。だから、部落が細長く並んでいるような集落が多いわけなんです。そして前面が広々と田畑になっている、こういう実は姿なんです。ですから、もしも今度のようなことが、これは二度あることは三度あるということでございますけれども、これで非常に地元の者たちは不安に思っておるわけなんです。しばらくの間そういう災害は考えなかった。われわれは最善の生活環境で生活しているんだ、こう信じて疑わなかったところが、今度はそういうことでやられた。しかも、行って調査をしてみますと、傾斜地といいましてもまず何メートルという高さ、ほとんど災害などは予測されないところが、わずかにつめでひっかいた程度の土砂くずれでもって家屋の裏側が土砂に埋まって、そのために北側に寝ていた年寄りたちがなくなった、こういうような事例が非常い多いわけなんです。そうなりますと、もしこういう危険性が強く指摘されるということになりますと、これはもうある場合には、危険防止のために全面的な部落の集団的な移転を考えなくてはならぬというようなことも出てまいります。あるいはまた、絶対安全だと思っていたところがそういう事態になったわけですから、隣に家を持っておられる農家や家庭では、もうすぐ移転のことを考えないと不安だ。こういう、ある意味ではたいへん不安な状況が生まれているわけなのです。  これは私どもとしましては、まことに新しいあるいは特殊な現象だとこう思いまして、先ほども森委員がお話しになりましたが、調べてみますと、関東ローム層という特殊な土壌があることは間違いないわけであります。したがいまして、これは一つには、いまの急傾斜地法でいろいろと指定その他の措置が講じられるようになっておりますけれども、私どもとしましては、今度の事態にかんがみまして、できることならば急傾斜地法のワクの中に、特殊ではありますけれども、このような地域をやはり含める。そのためには、たとえば高さの制限がございます。五メートルというような高さの制限がございますけれども、これをもう少し緩和をしてもらうなり、あるいはまた、関係の戸数がたしか五戸以上でございましたか、というようなものが横に並んでいるわけでございますから、戸数の制限をあるいは撤去するとか、何かやはりそういう特殊な状態の中でも法の救済の対象になるような、あるいは措置の対象になるような、そういうことを考えられないものかと私どもは考えているわけですが、これは総理府副長官よりも、あるいは建設省の政務次官、おいででございますので、何かその辺のお考え方をこの際出していただけるような条件があるかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  22. 藤尾正行

    藤尾説明員 たいへんに御適切なお考えでございまして、私どもも、今回の千葉県の災害あるいは三重県の災害を拝見をさしていただきまして、この急傾斜地に対する対策といいまするものを十二分に考究しなければならぬ、かように考えております。これを法自体の改正によるか、あるいはまた運用によって補うか、こういった問題がございます。とりあえず私どもといたしましては、大臣のお考えで——急傾斜地法といいまするものは一応御改正を願うにいたしましても、それはそれとしていまおいておきまして、いかなる急傾斜地に建てられたお宅であろうとも、その安全というものを確保しなければならぬ、それのほうが先決でございますから、そういった意味で、緊急に全国のありとあらゆる急傾斜地のお宅、こういったものを全部調べ直しまして、そうしてそれぞれの地域地域におきまして、これは地層によりましてそれぞれの安全度が違いますので、シラス地帯ではこれだけのところを離しておけばだいじょうぶであろうとか、あるいは岩石地帯ではこれだけ離せとか、ローム地帯ではこれだけ離したらよかろうとか−いろいろな背後地との関係が地域によって違っております。それぞれの場におきまして、それぞれの安全基準を立てていただきまして、その安全基準に沿うようにいろいろの措置を講じさせていただきたい。その場合に私どものとれますあらゆる御援助はさしていただく。たとえて申し上げますると、住宅をお移しになるということであれば、当然その住宅をお移しになりますための必要な経費、そういったものの金融措置あるいは利子補給というようなものにつきましては特別の措置を考えさしていただいて、そして個々のお宅に対して御損失を与えないようにするというようなことを考えろという御指示でございますので、そのようにさしていただきたいと思っております。  なお、これは急傾斜地の安全確保の意味におきまして、何といいましても今回の災害のような非常に長い、しかも非常に集中的な雨が降るというようなことになりますと、これに対しまする緊急避難ということが非常に大切なことであろうと思います。そういった部落部落におきまする避難場所、そういったものの設定、建築、こういったことも大事でございますし、そういったものに対する避難を絶えず訓練をしていくというような措置も必要であろうと思います。  さらに今回の場合、御指摘のとおりでございまして、千葉県におきまするように、かつて何十年と災害がなかった、また、災害のないところだというのが千葉県なんだというようなお考えといいまするものが、このような気象条件の転移によりまして、必ずしもそうでないということになっておりますから、こういった急傾斜地の危険度といいますものを一般国民にできるだけ広報いたさなければならない。そういった意味合いにおきまして、私どもにおきまして映画をつくるとかパンフレットをつくらしていただくとかというようなことで、できるだけ広い範囲で、しかも頻度を多くいたしまして、広報宣伝につとめてまいりたい。  こういった意味合いで、まず第一に安全基準をつくる。その移転についても特別な措置を考える。避難所をつくる。あるいはそれを指定する。そうして避難訓練をする。最後に、急傾斜地の危険度に対する広報に徹底をいたす。こういう措置大臣から御下命をいただいておりますから、そのように進めてまいりたい、かように考えております。
  23. 木原実

    木原委員 政務次官、たいへん前向きのお答えをいただきまして、われわれとしてはありがたいのです。先ほども森委員が御発言になりましたように、この法律があること自体を市長さんが御存じないというようなこともあるわけなんです。それだけのんびりしていたところなんですけれども、しかし、いずれにしましても今度のことは特殊といえば特殊なんですけれども災害というのはみんな特殊でございまして、打撃を受けて初めてわかったのですけれども、しかし、そうなりますと実はほんとうにたいへんだと思うのです。やはりおっしゃったような措置をそれぞれ大急ぎで、どこの地帯でも講じていかなくちゃならない。その際にはどうしても政府の援助が必要になってくる。こういうことになりますと、ただいま御発言をいただきましたような方向で、これはいずれも自治体としては対策を講ずることになります。そういうことになりますと、いずれ個々のことにつきましては御相談等を申し上げることになると思いますけれども、ぜひひとつ適切な御指導なり御援助なりをお願いいたしたいと思うのです。  それから、もう一つお伺いしたいのですが、問題はやはり自然河川、中小河川でございます。これまた昨年災害がありまして、うまく処理をしてもらいましたところは、今度はかろうじて災害を免れております。ところが、それに漏れているところが、ある意味では中小河川はんらんによってやはり相当な被害がある。これはほんとうに自然河川で、護岸の問題でも、蛇行したやつも直しておりませんから、少し激しい雨が降れば、これは本来はんらんするようになっているわけなんです。ところが、ごたぶんに漏れず、われわれの県も開発、開発で、銭を入れるところは銭を入れましたけれども、そういうところは、川が昔から流れているのだということでやってまいりました。しかし、もはやそういういわば自然対策についての差別も許されないのだ、こういう天の配剤があったのだと思うのです。そうなりますと、われわれとしてはこれについて対策を急がなくてはなりません。  そこで、最後にお伺いするわけですけれども、中小河川対策については、おそらくこれからというところがどこも多いのじゃないかと思うのです。そういうことでこれからの施策要望したいわけですけれども、具体的に中小河川に対して、国としてはどういう方向で、あるいはどういう順序でこれに対処をしていくのか、一般的なことをまずお伺いしたいと思います。
  24. 藤尾正行

    藤尾説明員 お答えをいたします。  これまた、御質問ごもっともでございまして、私ども今回の災害を見ておりますと、中小河川はんらんといいますることが非常に大きな要素になっておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、とれまた建設省の方針といたしまして、今度の予算におきましてもお願いをすることになっておりますが、第四次の治水五カ年計画の改定を行ないまして、その第四次の治水改定計画の中で最も大きな柱が中小河川の修復でございます。今日まで私どもの公共投資が、むしろ大河川に大きなウエートを置いておった、それが、まだこれまた完全とは言えませんけれども、一段落いたしましたので、これからはその重点を中小河川に注いでいくということになってまいろうと思います。しかしながら、何と申しましても日本全国の中小河川でございますから、これは多数にわたっております。したがいまして、一ぺんに右から左に、北から南まで全部やるというわけにもなかなかまいりません。とりあえず、人の安全ということを考えなければなりませんので、集落と申しますか都市と申しますか、そういったところを流れます中小河川をまっ先に取り上げまして、もちろんこれに、こういった災害が起こりましたところは、一つの反省を天から命ぜられたわけでありますから、慎みまして、先立って修復をさせていただく、関連事業を大いに伸ばしていく、こういうことで、順次中小河川の始末をつけてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  25. 木原実

    木原委員 そのことなんですけれども、やはり一度やられましたところは、それなりに原因があると思うのです。そしてまた、そのままにしておきますと必ずやられる。今度の場合も危うく、昨年やられたところがもうこわれそうになった、それが、修理を施したがために助かったなんというようなところもあるわけなんです。  原因はいろいろあろうと思います。たとえば中小河川のわずかな源流の地帯で山砂を取ったとか、あるいは従前にも増して樹木の伐採率が高くなっているとか、それぞれの理由が重なっていると思います。しかも、一度災害を受けたところは、必ず似たような条件が加われば同じような災害を引き起こす確率が高い、こういうふうに考えるわけなんです。したがいまして、今度の事故のせめてもの私どもの償いとしては、やはりやられた河川については、早急に調査その他をしていただいて、修復ないしは護岸の措置をとるように、これはぜひひとつ御配慮をいただきたい、このように考えるわけでございます。それについて一言お答えをいただきまして、終わりたいと思います。
  26. 藤尾正行

    藤尾説明員 必ずいたします。
  27. 中井徳次郎

    中井委員長 関連して米田君。
  28. 米田東吾

    ○米田委員 木原委員の御質問に関連いたしまして、私も二つばかり、この際お聞きをしておきたいと思います。  最初に砂田副長官から、政府においてとられました今回の災害対策につきましての御報告と所信の表明がございました。注目をして実は拝聴いたしておった次第でございますが、最後の段で、副長官の個人的なお考えも含めまして、大体の方向づけとして御発言なさったわけでありますけれども政府側としては、台風の二十三号、二十五号、二十六号、加えて関連の秋雨前線を含めて、一括をして激甚災害指定という方向で検討を加えておるという御説明でございましたが、この点をひとつ私は、はっきり確認をしておきたいと実は思うわけであります。先ほど森先生や木原先生の御質問等もございましたが、御答弁は、最初の御報告段階における御発言と、私の聞き違いかどうかわかりませんけれども、どうもちょっとはっきりしませんので、ひとつもう一回お聞かせをいただきたい。
  29. 砂田重民

    砂田説明員 二十三号、二十五号、二十六号、さらに秋雨前線、これらの災害一連の同一気象現象のもとにおける災害、かように私は判断をいたしますということを申し上げたのでございます。したがって、二十三号、二十五号、二十六号、秋雨前線被害、この四つの災害を合わせて激甚指定ができるかどうか、こういうことをただいま検討中であるというふうにお答えしたつもりでございます。同一気象現象ということは、気象庁のほうの報告を受けまして私が判断をいたしましたので、御必要でありましたならば、気象現象については気象庁のほうからお答えをしたいと思います。
  30. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。具体的に申し上げますと、台風二十三号は八月二十九日からでございます。最後の二十六号が九月の十一日から十二日にかけてで、したがいまして、この期間の一連の二十三号、二十五号、二十六号、それから秋雨前線、これらを一応基準にされまして検討をされているというふうに理解してよろしゅうございますね。——ぜひひとつこの点につきましては、そういう方向で御検討いただきたいし、私の個人的見解によれば、場合によっては、政府を鞭撻する意味で、本委員会の決議等によりまして——これはもう私は、同一気象条件というとらえ方が非常に問題だと思うのでございますけれども、特にこの間に秋雨前線の影響がずっと関連して出て、そうしてこの災害がひどくなっておる、こういう関係もありますので、これはもう当然そういうとらえ方をしなければ、政治的な手当てとしては不十分になるんじゃないかと私は思うのでありまして、場合によれば、本委員会等でひとつ決議をして政府の善処をお願いしたい、こう思っておったわけでありますが、その必要がないようにぜひひとつ副長官にお願いをしたいと思いまして、再度ひとつお願いします。よろしゅうございますか。
  31. 砂田重民

    砂田説明員 決議をして応援をしていただくのはたいへんありがたいことでございますけれども、ここで気象庁から気象現象ということをお聞きいただきましたならば、一連災害であることは明確であると思いますので、気象庁から、この間の気象現象報告申し上げたいと思います。
  32. 大野義輝

    ○大野説明員 ただいまの副長官からのおことばでございますので、その間のいきさつを、現在私ども持っていることをお話し申し上げたい、こういうふうに存じます。  二十三号が去る八月三十日に関東から東方海上に抜けまして、これが実は引き金役を果たしまして、当時オホーツク海方面に優勢な高気圧、少し専門的になりますが、一〇二二ミリバールという高気圧がありまして、この高気圧が、台風の去りましたあとから日本付近に南下してまいりました。それで、その寒冷高気圧と、それまで南方海上にごさいました夏の高気圧——いわゆる暑い高気圧でございます。これとの間にいわゆる空気の相違がございまして、そこに秋雨前線、あるいは気圧の谷とも申しますか、そういうものが発生いたしまして、そうして本土付近に停滞したわけでございまして、九月の六日には、中部地方中心にいたしまして豪雨が降りました。  それから、そのあと十日から十一日、十二日あたりにかけまして、先生御承知のとおり、四国東部あるいは三重県尾鷲地方に集中的な豪雨が降りました。そのころ、前後いたしまして南から台風二十五号が、東日本でございますが、北上してまいりまして、本土付近にたまたま停滞しておりました秋雨前線を刺激いたしまして、千葉県を中心にいたしまして激しい雨が降りました。当初副長官が御報告申し上げましたとおり、千葉県東部で勝浦市を中心に五百ミリ以上、また一時間雨量では百二十二ミりという激しい豪雨でございました。  これが降りまして、そのあと、ただいま米田先生申されましたとおり、十二日ごろから日本の南東海上から本土目がけて二十六号がやってまいりまして、幸い本土をそれましたが、非常な大型台風でございまして、北海道から関東に至る太平洋沿岸に非常な高波が押し寄せまして、これによる港湾設備の被害発生したわけでございます。その当時たまたま東北地方に停滞しておりました秋雨前線をまた刺激いたしまして、直接の強い風雨はございませんが、前線活動が活発になりまして、東北地方にまた豪雨を降らしたというのが、今回の豪雨のいきさつでございます。  ただいまその前線は一応南のほうに下がりましたが、またまた、きょうあたりを調べておりますと、西のほうから幾らか北上の気配もあるというような状況でございますが、ただいまのところ一時小康状態を保っているということでございます。  なお、けさでございますが、台風二十七号が台湾の南東海上発生いたしました。目下北西に向け、台湾あるいは琉球南部でございますが、この方面に向かっております。実はこの方面に異常渇水がございまして、場合によりますとこの方面に台風の風水害が心配でございますけれども、あるいはこの方面にまた待望の雨が降るのではないかというようなことを、ただいま私どもは考えているわけでございます。もちろん風水害のことは、私どもの職務上十分な警戒はいたしますが、反面、そういうような異常渇水がいくらか緩和できるのではないかと、ただいまひそかに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  33. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。御説明のような気象条件であればなおさら裏づけも明確でございますので、ひとつよろしくお願いしておきたいと思います。  もう一点でございますが、これは関東ローム層の特殊土壌の関係につきましての政府措置でございます。私が聞いているところでは、千葉県等にありますところのいわゆる関東ローム層といわれる特殊土壌、これはいまの特土法の指定を受けておらないということでありますが、この点はいかがでございましょうか、企画庁。
  34. 桜井芳水

    ○桜井説明員 お答え申し上げます。  御質問のように、特殊土壌としての法の対象には指定されておりません。
  35. 米田東吾

    ○米田委員 そこで、この特土法ができましたのは昭和二十七年のようでございますけれども、改正になりましたのが四十一年。それで、この法律の第二条によりますと二つの条件があるようですね。しばしば台風の来襲を受ける、あるいは雨量がきわめて多いという自然条件が一つの要素、それからもう一つはいわゆる特殊土壌的な要素ですね。おそらくこの特土法の関係では、まず鹿児島県なり宮崎県なりのシラスというものが対象として取り上げられて、この中にある必要な計画とかあるいは研究というものが進められておるのじゃないかと思うのでありますけれども、今回問題になりました千葉のような関東ローム層、これも土壌という面では、法律には「特殊な火山噴出物及び花こう岩風化土その他特に侵しよくを受けやすい性状の土じよう」という表現になっておりますが、これらの関係からいきますと、私はよくはわかりませんが、関東ローム層というようなものは対象としてよろしい特殊なものではないかと思うのであります。もしやるとすれば、前段の「しばしば台風の来襲を受け、雨量がきわめて多く、」という条件からいくとどうか、こういうような関係があったのじゃないかと思いますが、今回問題になっておりますように、昨年、ことしと連続二回も被害を受けて、しかもがけくずれのほとんどが関東ローム層という、雨を吸収すればするほど弱くなるという関係の特殊土壌であるというようなところからいきますと、私は特土法のたてまえからいきまして、関東ローム層等についてもこの際検討を加えて、この法律の対象にすべきじゃないか。要するに、内閣総理大臣はこの地域を指定するという方法をとらなければならぬのではないかと思うのでありますが、御見解はいかがでございますか。
  36. 桜井芳水

    ○桜井説明員 先生御指摘のように、法の第二条は「特殊土じよう地帯の指定」についての要件が述べられているくだりでございます。実は二十七年にこの法ができまして、第一回の審議会が二十七年の九月に開催されまして、その節に指定基準要綱がきめられております。もちろんこれは法の趣旨を受けてのことでございますが、この段階で、ただいま御指摘がございましたように、二条の前段にございます台風の来襲の頻度あるいは雨量の強度、このようなものにつきまして一応の基準が設けられております。  たとえて申しますと、台風については、これは昔の古い基準でございますが、大正十五年から昭和二十四年までの台風の頻度が全国の平均値以上という地帯であるとか、同じく年間の降雨量が平均二千ミリ以上というようなこと、そのほかに災害についてという一つの基準がございまして、災害額を人口で割ったいわゆる対人災害額がどの程度かとか、その他もろもろございますが、この二条から引き出された対象をきめるための一つの基準として、その当時設けられたものがございます。  この基準どおりにいきますと、われわれはまだ千葉県の災害についての資料は十分取りまとめておりませんけれども雨量等につきましてはあるいは満たないのではないかというような気もいたします。しかしながら、これは審議会の意見を聞いてきめることになっておりますので、御要望につきましては、また審議会等に持ち出していろいろ御意見も承りたいと思っております。  なお、これは余談でございますけれども、特出の分布はしからばどの程度のものであろうかというようなことで見てみますと、関東ローム類似の土層というものは、関東に限らずわりあいに広く分布しておるようでございます。そういう面からこれを特殊土壌として扱っていいものかどうかというような見解についてもまだ詰めなければいけない、事務当局としてはそのように考えております。
  37. 米田東吾

    ○米田委員 私も、きょうのところは問題提起にとどめておきますが、いま御説明のありましたように、たとえば雨量なんかとりましても、いまお聞きしたような、たとえば年間二千ミリ、こういうようなものが一つの基準だとすれば、今日ではもう合いませんね。最近の異常な気象からくる集中豪雨、たとえば一年間の雨量が、わずか一日くらいで一千五百ミリから二千ミリくらいの雨が降るところが現にあるのですから。これは関東じゃありませんが、関東だってそういうことがないとはいえないと私は思いますし、今度の災害でも、千葉県の房総のほうでは時間で百二十ミリとか百五十ミリとか、想定もできないような集中豪雨が異常な気象条件からくる、そういう被害が出ておるわけでありますね。それに加えて、私は現地はよく知りませんけれども、この地域の森林の伐採度あるいは地域の開発度、いろいろそういう関係からいきますと、この基準にひとつ検討を加えなければならない時期に来ておるように思うのであります。したがいまして、これは審議会等でせっかく検討をいただくとすれば、そういうことも含めて十分ひとつ再検討お願いするようにお願いしたいし、層が広いといいましても、この二つの要件がかみ合う地域ということになりますと、大体被害を受けている千葉県の房総なりあるいは今回の被害地あたりが対象になってくるだろう。そういうことからいきましても、特殊土壌としての法律は十分ではないにしても、との指定を受けて何らかの対策が進むことによって、それだけ災害予防の面から見ればプラスになるわけでありますから、ひとつ御検討をいただいておきたいと思います。きょうはそういうことだけお願いしておきます。  それから、砂田副長官に個人災害について一つ、これも要望でございますが、いろいろ本委員会にはしばしば御説明いただきまして、現在取り運んでおる状況を知らせていただいておりますが、実は委員会としては関心を持ちながらも、まだ正式にはその御説明を受けるような段階になっておりませんし、また、われわれの意見を申し上げることも十分ではないわけであります。できればひとつあなたのほうの進行状態とあわせていただきまして、現在の構想なりそれから現在の進捗状況、場合によれば委員会等においても十分この段階意見を出しまして、あなたのほうに御協力を申し上げる。この関係からいきますと、本委員会等も十分ひとつ取り上げて、皆さんに御協力を申し上げてよい内容のものだと思いますので、そういうふうにしていきたいと思いますから、なるべく早く本委員会に中間報告なりをしていただいて、そうして委員会としてまた、各般からこれらの問題について知恵を出して、よりりっぱな、しかも早い時期でこの個人災害関係の立法ができ上がるようにわれわれもつとめたいと思いますので、副長官からも御配慮いただきたい、こう思っておりますが、よろしくひとつお願いいたします。
  38. 砂田重民

    砂田説明員 ただいま個人災害の件でございますが、もうちょっと時間をちょうだいいたしまして、できるだけ早い時期に適当な機会をいただいて、中間的な御報告だけでも申し上げたいと思います。
  39. 米田東吾

    ○米田委員 終わります。
  40. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、津川武一君。
  41. 津川武一

    ○津川委員 今回の千葉県の災害原因政府はどう考えているかについてお尋ねしてみたいと思います。地元の森、木原委員が具体的なことを聞かれたので、根本的な問題に触れてみたいと思います。  千葉県はこの百年災害がなかった、こう言って、今度のものをすべて自然災害であるように言う向きもあるわけでございますが、政治経済のゆがみによる人災的な要素を考えなければ対策がほんとうでないと私は思うのであります。  昭和三十年代の後半、特に高度経済成長が始まって東京湾沿いの開発にかなり乗り出し、四十年からは市原から君津にかけてコンビナート、京葉工業地帯、最近では成田空港の建設、こういうことで、そういったコンビナートや工業地帯をつくるために、成田空港をつくるために、もっぱら君津だとか夷隅、安房、各地の山の土、ただでさえいままで議論になった弱い関東ローム層の山の土を削り取っておる。木を切り倒す、砂利は掘り尽くし、山河は裸同然になる。そこで、北総も南総もこういう状態に置かれて、中小河川の改修は進まない。これに対して、政府千葉県当局も開発一辺倒、開発に追われて治山治水を怠ったんじゃないか。雨が降ると鉄砲水となる、がけはくずれる、これは当然なのでございますが、この点を考えなければいけないので、政府はどう考えているか、これが一つ。  こういう点を考えると、人命尊重、国土保全のために——ただいま米田委員からも問題に出てきましたが、国土保全ということをもう一度考え直さなければならない。がけくずれの総点検もやらなければならない。幸いドル・ショックで、景気浮揚のために何かしなければならぬときでありますので、こういう高度経済成長にはしばらく待ったをかけても、ということばがいいかどうかわかりませんが、そのくらいの覚悟をきめて国土の総点検、国土保全という意味の総点検、国土保全に国政の重点を向けるべきでないか、こういうふうに考えているのですが、御見解を聞かしていただきます。
  42. 砂田重民

    砂田説明員 あるいは建設省からお答えいたしますほうが明確な御答弁ができるかもしれませんが、総括的に今回の、特に千葉県の災害感じましたことをお答え申し上げたいと思いますが、先生おっしゃいますように、やはり開発と保全、これは重大な問題でございます。確かに経済の高度成長によりまして、民間の開発意欲も非常に高いものがある。山をくずすと申しますか削ると申しますか、そういうことも全国多数あるわけでありますけれども、建設省もそれぞれ、宅地についての規制あるいは建築基準法による規制等を行なっているわけでございますが、前回の委員会でも申し上げましたように、開発よりもむしろ保全に重点を置いた法の運用が必要であるということを、重ねて痛感したわけでございます。  ただ、今回の千葉災害に限って考えますと、そういうふうに開発が行なわれているところが危険なことになっているのではないかというふうな点検、あるいは建設省ですでにわかっております急傾斜地の点検、それだけでは済まないという感じが実はいたしますのが今回の千葉災害の特色でございます。先祖伝来、何百年も災害にあったことがない、そういう山の中のさほどひどい傾斜でもないところがくずれて人がなくなっている。こういう点が、特に国土保全という立場から、急傾斜地であるとか開発地区を点検するとか、そういうことだけでは済まない、国土保全というような基本に立ち返って検討をし直さなければいけないではないか、こういうふうな感じを持ちますのが今回の千葉災害の特色だ、私はかように考えております。
  43. 津川武一

    ○津川委員 副長官の考え方も一理があると思いますし、そういう面は私も肯定しますが、昨年度の南総の被害——手当てしたところは今度はよろしかった。危険な個所としてやられておって、未手当てのところが多きにくずれている。この点ほ考えなければならぬ。南総はあのとおりかなり山を切られている、削られている。これが京葉地帯のコンビナート工業開発、これさえなかったらなんて泣き言はいまは言いませんが、この開発に必要な手当てをしておったならば——このところが問題なわけです。成田空港です。根本名川中心として、成田空港であれだけ木を切って、山を削ったために、あの付近浸水——なかったと言っているけれども、小さな雨でも、成田空港付近はすでに浸水している。根本名川の排水がはけないのもこのためなんです。こういう考え方を持たなければ、今度の千葉県だけでなく、全国の至るところの開発で同じことを繰り返す。新全総をやるこのときの第一条件は、それを踏まえて、これを第一に考えてやるべきだと思う。成田空港の周辺の場合、根本名川の場合、今度の南総の場合で、私は当然これは考えなければならない状態ではないか、こう思うわけですが、もう一度重ねて答弁いただきます。
  44. 砂田重民

    砂田説明員 今回の台風二十三号以来の災害千葉県で特に私が感じましたことを、従来から申し上げておりますけれども、私ども中央防災会議といたしましては、やはり開発よりは保全に重点を置いた政府施策というものを政府部内でも要望し続けてまいり、これからもそういう態度で対処していくというのが私どもの任務と心得ております。あまりにも当然なことと申しては、あるいは語弊があるかもしれませんけれども、その問題はその問題として、開発が行なわれている地域であるとか、あるいは急傾斜の地域であるとか、そういう限定したところに目を向けるだけでは国土保全の問題は解決をしないということを、特に新たに今回の千葉災害で私は感じたものですから、先ほどのように申し上げたわけでございます。いろんな防災のための法律がございますけれども、その法律を執行いたします国、地方公共団体を通じてのその法律を運用する役人の意識の中に、開発よりも防災に重点を置いてという考え方を徹底させていくのが私の任務であるということは、いささかも変わりがございません。
  45. 津川武一

    ○津川委員 そうなれば具体的にひとつ…。  去年の災害で、千葉県の南総のほうでたくさんの問題が指摘されておったが、国や県当局がやったことは、その復旧を、しかも全部でなく一部やったにすぎない。具体的にこれをどうするかという保全計画、安全計画、実施が進んでいない。これをやるのかどうか、具体的にひとつ……。  もう一つ、成田空港建設のためにすでに具体的に問題が起きておる。これをすぐ手を打つのかどうか。このことなしには、やはりあなたの答弁も、去年の災害と同じになってしまう。  この二点についてひとつ……。
  46. 川崎精一

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  昨年の七月に、千葉県といたしましては過去に例を見ない大災害を受けたわけでございます。したがって、私ども主として河川事業そのもの、これは保全を主とした行政でございますけれども、そういった観点から、できるだけひとつ千葉県の河川に伴う災害をなくすように努力しなくちゃいけないというようなことで、昨年の被災しました河川等につきましてはかなり予算等の重点的な配分等を心がけまして、積極的に現在改良と取り組んでおるわけでございます。ある程度予算の制約等もございますけれども、できるだけ促進をしたいということで、しかし、やはりこれは原形復旧だけでは完全でございませんので、できるだけ改良もしたい。これにはやはり河川によっては若干の調査を要するものもございますし、あるいは用地の取得の問題とか、こういったものもございますので、それぞれの河川に一定の年次計画といいますか見込みを立てて、それによって現在かなり促進をしてきたわけでございます。  ただいまお話しの根本名川でございますが、これは成田空港の関連でございまして、やはり国家的な大事業でもございますので、私どもも、将来の災害というものを考慮いたしまして、現在かなり抜本的な計画を立てておるわけでございます。その一期計画として、昭和四十七年度までに空港のでき上がるのとできるだけ並行しまして改修を終わりたいということで、現在下流のほうにつきましては、直轄工事で樋門とかあるいは利根川の本川との取りつけ部分の改修を急いでおります。それから上流部につきましては、これは県の事業ということで、それぞれ分担をして実施をしておるわけでございますが、一部用地等の問題がなかなか解決しないというようなことでおくれておりまして、今回のような豪雨に対してその弱点を非常にさらけ出したわけでございます。そういった点では、もう一年この雨がおそければほぼ完全であったということで、その点非常に残念に思っておるわけでございます。私どもとしましても鋭意努力をするつもりでございますので、よろしくお願いします。
  47. 津川武一

    ○津川委員 もう一年おそければというおもしろい話を聞いたわけですが、成田空港を建設するのに、それの及ぼす影響の処置をしないで、木を切っている。そしてブルを入れているのです。だから、その影響を及ぼすものを先に処置して、それからブルを入れて木を切るなら話がわかる、こういうことなんです。したがって、建設計画の変更とまでいかないが、追加でもいいが、こういう形で空港整備をするのかどうか、ひとつ答えてください。
  48. 川崎精一

    ○川崎説明員 根本名川の全体の流域は約八十平方キロ余りだつたと思いますが、その中で空港の占めておるのが約八分の一くらいの程度でございます。しかし、ああいった地形を平らにいたしますので、やはり降雨等の影響によって流出が相当ふえるんじゃないかというようなことを、私どももいろいろ解析等行ないまして、どの程度流出が予想されるかというようなことを検討いたしました。そういった方針に基づきまして、現在空港から出る雨等は、できれば一時貯留をした上で、なるべく水を押えぎみにして本川に出す。したがって、本川に相当の安全度は持たしますけれども、それに対する空港自身からの雨の流出をできるだけ少なくしていくというような配慮と、それから、なおかつかなりの流量が出るわけでございますから、そういったものに対しまして十分な安全度を持った河道の規模で改修をしたいということで、現在建設を進めておるわけでございまして、私も今回現地にちょっと行ってまいりましたが、一部空港の土砂等が流出しておるところがございます。しかし、これが致命的に下流の湛水とかその他には幸い影響がなかったのでほっとしたわけでございますが、先生のお話のような点は十分考慮いたしまして、これはもちろん空港の建設そのものもでございますし、河川改修にあたっても十分検討の上で取り組んでいきたいと思います。
  49. 津川武一

    ○津川委員 北海道の冷害ですが、委員長の方針もあって、別の機会に論議するというその気持ちは私もわかります。しかし、現地に行ってみましたら、あまりにもひどくて、緊急を要する事態が若干出てまいりましたので、次の委員会を待たないでやってみます。  被害状況を聞きますけれども、網走地区は二%どころじゃなく、皆無というところがかなりあるわけでありますし、救済の点で、世論というものがまだそこに向いていないので、対策がおくれるといけませんので、まず農林省から、北海道の冷害、減収、凶作に近い状態のわかっている分だけ報告していただいて、それを聞いてから緊急な質問をしてみたいと思います。
  50. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  北海道の作況につきましては、本年の春先から相当異常でございましたが、特に七月中旬に激しい低温が参りまして、稲作等につきます減数分裂期という大事な時期に遭遇いたしまして、稲作の障害型の被害を呈したというようなことがございますし、また、八月の中旬以降同じく激しい低温が参りまして、出穂、開花、登熟期の稲作に非常に大きな影響を受けたというようなことでございます。八月二十五日の道庁の調査によりましても、全体の作況は五七というような、これは過去にないような作況指数を示しておりますし、また、アズキなり大豆なり菜豆なりという北海道特有の豆類につきましても相当な被害があるようでございます。  農林省といたしましても、九月早々、農政局参事官中心といたしまして七人の専門技術者を送りまして、五日から九日でございますか、調査をいたしまして、被害の実態等の把握につとめておりまして、今後予想されます相当思い切った対策等につきましての準備を、ただいま整えているところでございます。
  51. 中井徳次郎

    中井委員長 津川さん、ちょっと申し上げますが、どうぞお進めになってけっこうですけれども、北海道の災害のことにつきましては、この次の委員会で、これから三重県を視察しましたその報告とそれに対する質疑と兼ねまして北海道の問題を取り上げたい、かようにみんなで相談をいたしておりまするので、一言申し上げておきます。きょうは簡単に入り口だけひとつ、非常にひどいように伺っておりますので……。
  52. 津川武一

    ○津川委員 委員長の方針もありますので、そのようにいたしますが、道が網走地区は二%といつておりますけれども、実際これは何にも入っていない。したがって、いま一番困っているのは生活の問題なんです。飯米がない。網走の北見だとか、美幌だとか、女満別だとかああいう地帯、それから旭川方面の、北限といわれる美深、こういうところですぐ飯米が必要だ。この飯米をどうして補給するのかという方針をひとつ聞かせていただきたい。
  53. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 災害のつどしばしば申し上げておりますように、完全保有農家が被害等を受けまして飯米が不足した場合におきましては、一般消費者と同様に、配給通帳等を交付いたしまして、配給は間違いなく確保いたすという方針でございまして、北海道においても、その事態等について詳細事情を調べまして、所要の措置を講じたいと考えています。
  54. 津川武一

    ○津川委員 それでは間に合わない。お金を持っていない。通帳を持っていても買えない。そこで、飯米を貸せということが、各市町村長の共通の陳情でございます。要求であります。この場合、できたならば見舞いとしてただで出してほしい、できなければ、来年返すというわけにはいくまいので、二年なり三年なり五年かかって災害から回復したときに払えるようなかっこうで、しかもそれは、農民が出した生産者米価の値段で飯米を食わしてくれというわけなんですが、この要求はどうなされますか。
  55. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 飯米につきまして、これを貸すとか、あるいは返還条件云々の御指摘でございますが、われわれのほうといたしましては、まだ現地状況承知しておりませんし、いずれ過去の大災害の例にならいましてそれぞれの措置を講ずるということになるかと思います。
  56. 津川武一

    ○津川委員 現地から報告がないといっても、いまあなたがしゃべったとおり、長谷川さんを団長とする七名の調査団が行って具体的に持ってきておるはずですが、この点をそう言わないで答えていただきたい。  その次に必要なのは、金がほしい。金が入らなくなる。そこで、現金が入ってくることが非常に急な問題なんです。現金が入ってくる一番大きな見通しは農業共済保険の給付、これがどうやら皆さんの手続だと十二日末がどうか、年を越すのじゃないかという心配があるわけですが、これをいま必要とするところに前払いなり前渡金としてやらなければ、もう霜がおりてくる、雪が降ってくる、これに間に合わないと思いますが、この農業共済保険の給付金に対してそうしていけるかどうか、答えていただきます。
  57. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 災害のつどしばしば問題になりますように、収穫皆無というような事態に対しましては共済金の仮渡し制度というもので措置しておりまして、今回も網走地区等においては当然そういう措置で、必ずしも年末を待たず、共済金という形で現金が農家の方々にお渡しできるような措置を講じたいというふうに考えております。
  58. 津川武一

    ○津川委員 いつごろ農民の手に入るか、大体の時期を示していただきたい。  その次に現金を手に入れようとすれば、農業外収入で手に入れるよりしようがない。そこで、もうものにならないたんぼを捨てて出かせぎに出ておる人たちも出てまいっております。これは私、当然だと思います。そこで、地元で救農土木事業が非常に必要となってまいりましたが、出かせぎに行ってしまうと、あと農地の手入れをしないで行く。地元に救農土木事業があると、農地の手入れをしながら、来年の営農の支度をしながらやれるということになりますので、農林省はこの救農土木事業を被害地にやってみる必要があるかと思いますが、考えておられますか。
  59. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げますが、今回の北海道の冷害は相当な規模にわたりますので、これに対しては相当思い切った災害対策が必要だと考えておるわけでございまして、各種の融資措置その他十全の措置を講じたい考えでございますが、救農土木事業等についても、その一環として、これらが適切に農家の現金収入の要求に対してこたえられるかどうかというような点について検討いたしまして措置いたしたいというふうに考えております。
  60. 津川武一

    ○津川委員 現金が非常に必要なので、農業共済保険の給付がいつごろになるか、これを……。  もう一つ続けていきますが、そこで、在来の例でありますと、現金が必要なので、現金が手に入るそれぞれの仕事に出かけていく。具体的に出かせぎが一番多い。救農土木事業が始まったときにはだれもそこにいない。役に立たない。北海道は雪が降る。一月、二月になって救農土木事業が実施されたってこれは始まらない。そこで、この点を考えての、特殊な条件での救農土木事業をどうするのか。農林関係の救農土木事業だけでは、これはとても仕事が足りない。暗渠排水だとかいろいろなことをやる。そこで中小河川だとか道路が問題になるわけです。建設省からも、この点についてあわせて意見を伺わしてもらいます。
  61. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 共済金の仮渡しは、損害の評価ができますと即刻単位組合から払われるということでございまして、地域によって何月何日ということは申し上げかねるわけでございますが、できるだけ早期にこれにつとめたいということでございます。  救農土木事業等については、北海道の土地柄を考え、早期に行なう必要があるというような御指摘でございますが、われわれも過去の冷害等におきまして、必要ある場合においてこれを取り上げた経験も持っておりますので、過去の経験を十分に参考にいたしまして有効適切に、もしも行なう場合においてはこれを行ないたいというように考えております。
  62. 川崎精一

    ○川崎説明員 救農土木の実態を私よく存じませんけれども、やはり国の施策として必要な事業であれば、それに関連いたしまして河川改修なりあるいは道路建設なりいろいろあろうかと思いますが、そういう点については、総合的に政府施策に協力する覚悟でございます。
  63. 津川武一

    ○津川委員 建設省は、よくわからないというなら、早急にこれは検討していただきたいのです。  現金収入の最後の道は生活保護法です。ところが、すべての米作に対して農業共済の給付金が入ります。そうすると厚生省は、これを収入とみなして生活保護を適用しない。法のたてまえは、私もそれはわかります。ところがこのお金は、営農と生活のために農協から二百万、三百万というお金を借りて、その利子と元金の払いが始まっておりますので、ほとんで農協に握られてしまって、被災農民のふところに入らない。実際の収入にならない。この場合、生活保護法の適用が残された最後の道だと思うのですが、この道は開かれますか。厚生省おいでになったらひとつ……。
  64. 新津博典

    ○新津説明員 直接の担当でございませんが、お答え申し上げます。  結論から言って、その時点で生活費に充てるべき実際の現金がない場合には、生活保護法が適用になります。もう少し具体的に申し上げますと、ただいま先生のお話にございましたように、共済金も、それ自体は農業収入のかわりに入ってくるものなんで、一応農業収入というとらえ方をいたしますけれども、これには当然、本来の農業収入でございましても、その農業収入をあげるために必要な経費、たとえば肥料代ですとか種もみの代金ですとか、その他のいま御指摘のあったような農協に借金があった場合の借金は、これは一種の経費でございますから、その経費を控除いたしまして、場合によってはその共済金が単位農協に入りまして、そこで帳簿上で相殺されてくるというようなことになろうかと思いますけれども、結論として、現金で個々の農家に支給されますものが実際の最低生活費に満たない場合には、その差額は当然生活保護法でごめんどう見さしていただく、こういうことになります。
  65. 津川武一

    ○津川委員 四十一年、三十九年の冷害のときはそういうふうにいってなかったので、たいへん問題になったわけです。いまの厚生省の答弁を、現地のほうにぜひ通達として出していただくことを要求して、終わります。
  66. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、鶴岡洋君。
  67. 鶴岡洋

    鶴岡委員 私は、今回の二十三号台風に引き続いて房総半島中心に襲った二十五号台風被害について、特に農林水産関係中心に、いろいろと国のほうに要望もいたしたいし、また同時に何点か質問さしていただきます。いままで地元の各委員からお話もありましたし、重複する点もあるかと思いますが、了承していただきたい、このように思います。  九月六日から降り出した雨は、七日には台風二十五号の接近によって雨と秋雨前線、これが重なって激しい大雨となったわけです。勝浦市では総雨量が五百五十八ミリ、脅威的な強い雨になって、房総半島の大半が雨域になったわけです。そして被害地域も非常に広範囲になった。このため、先ほど報告のありましたとおりに、大小河川はんらん、それから道路決壊、特に想像できないようながけくずれ、これが多く、死者が五十六人、重軽傷が八十数名、こういう犠牲者を出してしまったわけです。私も、このお気の毒な方々に心から哀悼の意を表したいわけでございます。  これは、房総半島にとっては昭和二十三年のアイオン台風ですか、これを上回る、まあ千葉にとっては戦後最大の台風ではないか。アイオン台風というのは、たしか二十二名の死亡者があったと思います。もちろん、この災害発生と同時に、自衛隊の出動をはじめ各市町村の救援体制が組まれて、復旧作業もやっておるわけでございますが、千葉は、昨年七月の集中豪雨災害に引き続いての災害でございます。中でも、いま申しましたように、特に今回目立つのは、ここ何十年と災害に見舞われなかった千葉の北部地方、いわゆる香取、海匝、銚子地方災害でございます。この復旧対策には非常に困難をきわめておりますので、この実情を考慮して、しかるべく緊急にその措置をしていただきたい、これが最初の願いでございます。  最初にお伺いしたいのは、これは先ほども話が出たようですが、天災融資法の発動です。  九月十日現在の農林災害対策本部の集計によると、農地農業用施設関係では、二十三号が百五十七億四千九百四十万円ですか、二十五号が四十一億七千七百四十四万六千円、それから農作物関係では、二十三号が三百五十四億五千九十四万九千円、二十五号が六十七億五千百万円ですか、こういうことになっておるわけですが、台風は二十三号、二十五号と、一週間をあけずして被害をもたらしておるわけですが、これを分けて天災融資法を発動するのか、ひっくるめて発動をするのか、この点を最初にお伺いします。
  68. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  天災融資法そのものの問題と、二十三号及び二十五号両者一本発動か分離発動かというようなお話でございますが、先生お話のございましたような被害状況でございますので、天災融資法の発動はぜひ必要というふうに考えまして、その準備を進めておるところでございますが、先ほど来るるお話がございましたような一本化問題等もございますしして、これを分離するか一本にするか検討中でございましたが、われわれといたしましては、被害自体も分離しがたいという面もございます。単に気象条件だけではなくて、被害自体も分離しがたいという面もございますので、われわれといたしましては一本の発動というふうな方向に向かって努力しておるところでございます。
  69. 鶴岡洋

    鶴岡委員 先ほどの質疑応答の中で副長官から、同一気象現象とみなす、このようなお話でございましたけれども、そうすると今度は、激甚災の指定ということになると、被害総額それからその内容になってくると思うわけです。  そこで、いま申しましたような被害状況が出ているわけですけれども、いつごろ統計調査部の集計がまとまって激甚災の指定ができるのか、その予想はどうか、お聞きしたいと思います。
  70. 砂田重民

    砂田説明員 ただいま統計調査部の調査というような御質問がございましたが、農業関係のことであろうと存じます。これは大体この月末には把握ができる、かように考えております。
  71. 鶴岡洋

    鶴岡委員 この天災融資法制度からいくと、貸し付け限度額、これが個人で二十万ということになっておりますが、この法律ができたときは、昭和三十六年は十五万、それから三十九年までそれが引き続いて行なわれ、三十九年から現在までは二十万ということになっておるわけです。経済社会が現在のように激しく発展している実情から見て、この二十万は経営資金としてちょっと少な過ぎるのではないか、このように思うわけですけれども、この増額は考える用意があるかどうか、この点どうでしょうか。
  72. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お話のとおり天災融資法は、三十九年に限度額の改定を、法律改正を行ないまして行なったわけでございますが、一般普通作については二十万円でございますが、畜産及び果樹経営につきましては五十万円、激甚災が適用されるとさらにその上に上乗せがあることは、先生御案内のとおりでございます。最近におきます農家経済等によります平均的な経営の現金支出は、ほぼそれに近いというような実態でございます。もちろん、お話のように、逐次時が進みますし、経営の規模もふくれる、現金の収支の額も大きくなるというような実態もございますので、それについてはわれわれも検討を続けなければいけないと考えておるわけでございますが、現時点においては、ほぼ現金支出の要求にこたえられるんではないかというふうに判断しております。
  73. 鶴岡洋

    鶴岡委員 そうすると、二十万で現時点においてはよろしい、こういうことですか。
  74. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  最近の災害の実態を見ましても、普通の経営につきましては、二十万円程度でほぼ農家の資金需要を充足しておるというふうに判断しております。
  75. 鶴岡洋

    鶴岡委員 同じようなケースで自作農維持資金ですが、資金ワク拡大ということについて先ほども話があったと思いますけれども、県側から非常に強い要望があるわけですが、この点はどういうふうに対処されていくか。
  76. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 今回の二十三号及び二十五号台風につきましても、天災融資法が発動されました暁におきましては、自作農資金の特別ワクを設定するべく準備を進めておるところでございます。  お話は限度額の点かと思うわけでございますが、これにつきましては、先生御案内のように、自創資金は農業生産基盤である農地を手放さなくてはいけないような、資金が詰まった方々に貸すというたてまえになっておりまして、経営再建へは、いまお話が出ておりました天災融資法資金でまかなっていただくとか、あるいは預貯金で充足していただく、さらにそれがない場合に自作農資金をお貸しするというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、ただいまの限度は五十万円でございますが、これを一般的に限度を改定するというようなことは考えておらないわけでございます。ただ、非常に大きな災害とか、あるいは累年災害を受けて、もう相当自創資金を過去に借りておるというような方々もおるわけでございます。過去の新潟県の加治川水害というような例においてはそういう事態があったわけでございますが、そういう場合におきましては、農家の資金需要、被害実態を十分見まして例外的な措置検討した例もございますので、今回につきましても、被害地域の実態と被害農家の実態を十分見させていただきまして結論を出したいというように考えております。
  77. 中井徳次郎

    中井委員長 鶴岡さん、私も関連してひとつ質問したいので……。  実はしろうとで、何にも知りませんが、三日ほど前に千葉県へ参りました。一番最後にメロン地帯に行ったのですが、そうしたら、ビニールじゃなくて、ガラス張りのりっぱな——メロンですね、やられたところが、一軒やはり二、三百万円でしょうね。一個千円だと言っておりましたものが全滅しておるわけだね。それで、さっきからの鶴岡さんの御質問でちょっと思い出したのですけれども、そういう日本でも特殊な、最高程度の農業収入をあげております非常な高度な施設で、それが全滅しておる。しかも相当な広範囲でございます。私、皆さんと一緒に、大体十分から十五分くらい大平原の中を自動車で走りましたが、ずっとメロン畑なんですね。そういうところはまあお金もあるから、ほうっておいてもいいのかもしれませんが、いま大河原君の御返事を聞いておると、例外もないわけではないというふうなことですが、その辺のところはいかがなんですか。たいへん突拍子もない質問で失礼かもしれませんが……。
  78. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  委員長の御質問は、だんだんに鶴岡先生からも関連して、園芸施設等の問題でいろいろ御質問があるかと思いますけれども、お話のガラスその他の園芸の施設につきましては、ただいまお話が出ております天災融資法とかその他経営資金ではなくて、農林漁業金融公庫資金でそれぞれ相当額の災害復旧資金が、長期低利の融資が用意されておりますので、それらの方々に対する復旧資金は天災融資法なり自作農資金がたてまえと思いますが、それらの資金で措置いたすというふうに、制度的にも用意ができております。
  79. 中井徳次郎

    中井委員長 ところが、現実にメロンが何千個とつぶれてしまったわけですよ。そういう、あしたにでも東京市場に出せるというのがめちゃくちゃになっている。それは施設じゃありませんね。現実の果実がやられておる。そういうものについてはどうなさるのですか。
  80. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 ただいまのお話は、天災融資制度は、大体融資限度その他も平均的な制度になっておりまして、果樹等が五十万円、激甚災の適用があればそれに上乗せするというような制度になっておりまして、特殊な企業的な農家の皆さんに対しての大規模な資金需要というものについては、必ずしも十分ではないということを率直に申し上げます。
  81. 鶴岡洋

    鶴岡委員 この維持資金について、いま大河原さんの答弁ですと、多少貸し付けの増額をする用意があるようなお話でしたけれども、いままでの例を見ると、昨年の場合、九号、十号台風の際にはたしか五十万を八十万にしている、こういう例があるわけですけれども、もし要求があれば、この五十万を八十万くらいにする用意があるかどうか、この点いかがでしょう。
  82. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お話でございますが、被害を受けた千葉地方の農家の皆さんの既借り入れ額、その他の今後の資金需要額を十分見させていただきまして、金額につきましては、その限度については幾ばくかということは、現段階ではお答えを差し控えさせていただきたいというように考えております。
  83. 鶴岡洋

    鶴岡委員 さらに、農林水産業制度資金の償還延期、融資条件緩和についての要望でございますけれども、今回の災害実情を見て、既存債務についての償還延期、これを公庫、農協、もちろん農林省としては積極的に指導してくださると思いますけれども、この点はどうなのか、これ一点と、それから、具体的にいうと近代化資金等を借りて施設園芸、いま委員長からお話のありましたメロンとかトマト、こういうものを経営している人が非常に多いわけです。こまかい話ですけれども、三年据え置きで十五年のところを、七年で借りた。ところが、来年から返す予定になっていたのが、ことし災害を受けた。こういう場合に、据え置きを一年延ばして四年にする、それから七年を限度一ぱいの十五年にする、このような処置ができる、こういうふうに農林省のほうで指導するかどうか、この点いかがでしょうか。
  84. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お話のとおり、被災農家に対します制度資金の既貸し付け金の償還条件の緩和につきましては極力指導したいと思うわけでございまして、具体的なお話もございましたが、近代化資金等におきましては法定貸し付け期限が十五年でございますが、実際農家の方々の事情によりましてその内ワクのケースも多い。したがいまして、法定限度までの延長等については、実情に即しまして行われるよう指導したいというように考えております。
  85. 鶴岡洋

    鶴岡委員 次に、農業共済金早期支払い、これも出たと思いますけれども、その処置についてでありますが、これは再生産資金であり、また生活資金にも充当されるわけです。そういう意味で、被害をこうむった農家にとっては一刻も早く仮払いなりしてもらいたい、こういう強い要望があるわけですけれども、すでに通達を出したかどうか、また出さなかったならば早急に出してもらいたい、こういうことですが、この点いかがでしょうか。
  86. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お話の仮渡しなり前払いの早期支払い等の措置につきましては、すでに通達を出しまして、現地において遺憾のないように指導中でございます。
  87. 鶴岡洋

    鶴岡委員 もう一つですが、農事組合法人等が所有するいわゆる農業共同利用施設、この災害復旧費に対する国庫補助についてでございますけれども農林水産業施設災害復旧事業国庫補助の暫定措置に関する法律、この法律の第二条第四項でございますが、「この法律で「共同利用施設」とは、農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会又は水産業協同組合の所有する倉庫、加工施設、共同作業場及びその他の農林水産業者の共同利用に供する施設で政令で定めるもの」、こうなっておりますね。ここへいわゆる農事組合法人等を入れる——法律改正になりますけれども、そういう考えがあるかどうか。というのは、これら農事組合法人というのは、いわゆる共同利用施設の崩壊、破壊また倒壊、もし破壊した場合には農業生産に支障を来たす、また破壊されているわけです。これは農業生産に支障を来たすのはもちろんですけれども、それよりもいまの政府施策として自立経営農家、いわゆる大規模経営の育成、こういうことで、いわゆる総合農政の指針になっておるわけです。そういうためにこの農事組合法人等ができているわけです。したがって、私から言わせれば、当然これはこの法律に定められた農業協同組合、農業協同組合連合会法等々と同格に見て、そうしてそこにいわゆる国庫補助をすべきではないか、このように私考えるのですけれども、この点いかがでしょうか。
  88. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 鶴岡先生のおっしゃいますように、暫定法におきましての共同利用施設の災害復旧助成は、農業協同組合法その他各協同組合法に基づく協同組合に限定されているわけでございます。この立法と申しますか政策判断の趣旨は、各種の施設、二人なり三人なりといういろいろな共同利用施設が農村には多々あるわけでございますが、それらの、国が助成してまで復旧をするというその公益性の線を協同組合有というところで引いたと思うわけでございます。農事組合法人は、先生おっしゃいましたように、非常に少数の農家のグループでございまして、その施設は助成の対象にしなかったというのが立法の趣旨かと思うわけでございます。そういう意味ではなお検討を要する点もあるわけでございますが、他の農業施設の助成との均衡等も考慮いたしまして、また農事組合法人の共同利用施設等も、農事組合法人発足以来十年になりまして、全国的にもその施設も相当多い、災害のたびごとにこれも問題になるという事情もございますので、今後検討を続けたいというふうに考えております。  なお、農事組合法人の共同利用施設につきましては、全く国の助成がないわけではございませんで、災害復旧につきましては農林漁業金融公庫の低利長期の資金が用意されておるわけでございます。
  89. 鶴岡洋

    鶴岡委員 重ねてお伺いしますけれども、それでは、もし出さないということになるとこれは矛盾するわけですけれども、国策として大規模経営を推進しているわけですから、理屈としては私の言うことは合うと思うのです。そういう意味では国庫補助をしてもらたい。検討するというような意味の御発言でしたけれども検討されるかどうか。ここに、この四項にすぐ入れろというわけじゃないですけれども検討するかどうか、もう一度御返事願いたいと思います。
  90. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 各種災害におきまして、天災融資法の限度なりその他各般の農林関係災害対策につきましても、制度について実情とのマッチという点について御指摘もあるわけでございまして、それら各種の制度と実態との適合という問題の一環といたしまして、ただいまお話がございました農事組合法人の共同利用施設を暫定法へ入れる問題についても検討いたしたいというように考えております。
  91. 鶴岡洋

    鶴岡委員 今度は野菜の問題ですが、先ほど委員長からちょっとお話がありましたとおり、千葉県は東京の隣接県でありまして、生鮮食料品の基地といわれているわけです。したがって、特に最近、ハウス園芸が広く行なわれております。海匝地区、それから旭市に例をとってみると、先はどの話のようにその関係被害が約七億四千万、このように集計が出ておりますけれども、特にこの種の施設野菜、トマトとかキュウリ、先ほどのメロン、ピーマン、これは九月中旬に出荷する、こういう予定になっておったわけです。これが台風で全滅になってしまった。これが従来、農業共済の対象になってないわけです。こういう点について共済対象に入れられないのかどうか、なぜそれは入れられないのか、その二点をお伺いしたいと思います。
  92. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 施設園芸に対する農業共済の制度に乗せる問題につきましては、先生御案内のように、四十三年の春先と四十四年の春先に、四国の南部なりあるいは関東、甲信越等において、施設園芸が豪雪、突風、いわゆる台湾坊主等で相当やられた経緯がございましたので、農林省といたしましても、四十四年度から農業共済再保険特別会計に調査費を計上いたしまして、鋭意この共済の制度化について検討中でございますが、施設園芸の施設自体につきましては、これは規模とかその構造その他が地域によっていろいろ非常に変わっておるとか、あるいは保険で一番必要でございます共済掛け金率をつくる上の過去の被害実績、被害率というような問題についてはなかなか早急にはつかみにくいというような問題がございまして、現在引き続いて検討しておるわけでございまして、これらについて、技術的にもその辺のめどがつきました場合においてはこれを制度化いたしたいということでございまして、姿勢としては前向きに検討中でございます。
  93. 鶴岡洋

    鶴岡委員 全国的には非常な広範囲でいま栽培されているわけですから、早急に検討していただきたい、このように思うわけです。  私がここでもう一つ申し上げたいことはビニールハウスですが、この間も現地へ行ってみてはっきりわかったことは、いわゆるガラスで囲われているところは非常に強度があるために、倒壊というのはほとんど見られなかった。現地の人に聞いてみると、ビニールハウスは、ガラスのハウスから見ると大体強度が三分の一だ。特に、そのビニールハウスをつくっている人は、ガラスではたいへんだ、お金がかかるということで、近代化資金を借りて、そうしてビニールハウスをつくっているわけです。そういう意味も含めて、やはり補償というものは何らか手を打たなければいけないんじゃないか。したがって、いま言った共済制度にしても早急に考えなければいけないのじゃないか、金のないところを借りてやっているわけですから。先ほども話があったように、もうメロンなんか全滅なんですから。そういう点を考慮して考えてもらいたい、こういうふうに要望しておきます。  それから、水産庁は来ておられますか。来ておりませんか。——それでは参事官にお聞きしますけれども、これもいまの施設園芸と同じようなことになるわけですが、今回の災害で、内陸面の養殖ですが、コイとかウナギ、これが相当やられているわけです。水が出たために逃げられてしまった、横芝なんかの例をとると半分以上逃げられてしまった、こういうふうになっておるわけです。これもノリだとかハマチだとか、それから真珠、それからカキだとか、こういうのは漁業共済の対象になっているわけです。ところがコイやウナギというのは、これは共済の対象になっていない。どうしてならないのか。これも先ほどの話と同じようなことになるわけですが、日本は、いわゆるたん白質をとるために魚というものは非常に重要視されるわけですけれども、加えて沿岸漁業が非常に衰退しているわけです。そこで、この養殖が盛んに近年ふえているわけです。そういう意味で、千葉県のみならず全国的に養殖業が盛んである。そういう意味から考えて、私は共済制度に入れるべきじゃないか、このように考えるのですけれども、どうでしょうか。
  94. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お話のとおり、内水面漁業の振興に伴いまして、コイやウナギ等につきましても漁業共済制度の対象にすべきであるという議論がいろいろ最近出ておるわけでございまして、農林省におきましても、たしか四十年度に、この漁業共済制度にのせるかどうかということについて、学識経験者等にも集まっていただきまして検討したということを聞いておりますが、ただ、養殖の数量とかその他損害の認定とか、内水面漁業については非常に困難な問題がございますし、また、先ほどの園芸関係で申し上げましたとおり、過去の被害被害率という点についても必ずしもデータがないというような問題が実はございます。さらに、よけいなことを申し上げますが、コイ等については非常に協同組合組織率がない。漁業共済制度は末端は漁業協同組合というような問題がございまして、なかなか進まない面がございましたが、一番大事な損害評価の問題等につきまして、今後技術的に確立されることと並行して、これを制度にのせるというふうな検討が進むかと思います。
  95. 鶴岡洋

    鶴岡委員 あと、港の問題がありますが、水産庁の方がおいでにならないので、あとの機会にさしていただきます。  それから個人災害ですが、これも先ほど問題になったことですが、これは、いままでも毎回、当委員会で問題にされております。この点について共済制度が考えられないのか。みんなの意見を聞いていま検討している、こういうお話でございましたが、昨年、わが党の鈴切議員からこの問題について質問したときに、政府から、災害共済制度調査実施したい、こういう答弁がございましたが、予算も調査費が組まれて、全国的に無差別抽出でやる、こういうことでございますけれども、具体的にどういうふうに調査をしたか、また結果はどうなったのか、これをお聞かせ願えればと思います。
  96. 砂田重民

    砂田説明員 お話のその調査は終了をいたしました。個人災害救済することについて、共済制度を設けるということにつきましては、大体八五%の方が賛成でございます。ただ、その中の仕組みにつきましての回答が非常に多種多様、多岐にわたっておりまして、掛け金の額あるいは給付金の額等につきましても非常に大きな幅がある回答が寄せられております。さらに、生命あるいはからだの損傷に限るか、物損を含むかということについても回答いただいて、まつ二つに意見が分かれてきておるような状態でございます。また、実施主体がいずれも国に再保険をする基金を国に設けるというようなことについては、ほとんどの方が賛成でございますけれども実施主体が、それが県であるか市町村であるかという点についても、回答はまつ二つに割れているような状態でございます。  そこで、私どもといたしましては、関係各方面、ただいま説得と申しますか調整を続けておりまして、御意見はいろいろ多種多様、多岐に分かれておりますけれども、共済という制度だけは何とか早くつくりたい、かように考えまして、ただいま調整を続けているところでございますが、先ほども申し上げましたが、中央につなぐ再保険のための基金をつくる、それの国の出資の分につきましては、総理府から概算要求で、八月の末に大蔵省に要求しているところでございます。
  97. 鶴岡洋

    鶴岡委員 あと一点ばかり……。  防災会議のほうにお伺いしますけれども、今回の災害で最も私が残念に思うことは、人身事故が多かったことだと思います。もちろん家屋の全壊、作物の流失等は、これはあってはたいへんでありますけれども、人の命は取り返しのつかないものでございますから、人命尊重の立場から考えて、これは重大な問題であるわけです。雨が降ってきた、予想もしない、また前ぶれもない、気配もないところにどおっと山がくずれてきたわけですから、これは防ぎようがないといえば防ぎようがございませんけれども、またもう一点、これは住民の危険性の理解不足だと、こういう点も、千葉県の場合は災害がなかったためにあげられるかもしれませんが、もっと早く避難命令を出しておればこれだけの犠牲者は出なかったのではないか、このようにも一方では考えられるわけです。  この避難命令でございますが、住民への情報提供と同時に、当局の行政指導はどうなっているのか。五十六人もの死亡者を出して、中には最後まで町として避難命令を出さなかったというところもあるわけです。この行政指導についてどういうふうにしているのか、これをお聞きしたいと思います。
  98. 砂田重民

    砂田説明員 お答え申し上げます。  避難の時期の適切なことが私は一番大事なことだと思いますが、災害から住民の生命、身体を保護をいたしますための避難の勧告、指示等の実施責任者というのは、やはり災害の応急対策の第一次的な実施責任者でございますところの市町村長がその第一の責任者になっております。ただ、市町村長だけにたよるのではなくて、警察、消防、海上保安官等についても、また災害派遣された自衛官等にも、避難の指示ができるように制度的にはなっております。  そこで、市町村長が中心になりまして相互に連携協調いたしまして、市町村に持っております防災計画に基づいて避難場所等が前もってきまっておるものですから、避難の勧告、指示等適切にやるように、実は日ごろからいろいろ指導もしてまいっているところでございます。いろいろ御心配をいただきます点は、こういうふうに避難の勧告、指示あるいは退去命令などを発することができる主体が市町村長ほか数多くあるものでございますから、その間に不一致があるのではないかというおそれもまた一部にはございます。ただ実際上は、先ほど申しましたが、地域防災計画において避難計画というものが立っておりますので、現場で相互の緊密な連絡をとって活動さえできれば、時期を失するということはないはずであります。ただ、先生もおっしゃいました市町村のその防災計画というものが、はたして日ごろから住民の皆さんに徹底しているかどうかという点については、若干の疑いがございます。先般来、実はその点をあらためて自治省を通じてお願いをして、各市町村長から地域的な防災計画の実態と申しますか、その地域社会に住んでおられる住民に、その地区地区の危険性等についてもよく日ごろから理解をしていただく努力はしなければならない、あらためてこういうことをまた、連絡をとってお願いをしておるところでございます。  中央防災会議といたしましては、台風がどこへどういうふうにという情報が前もってわかるものでありますから、警察庁長官、消防庁長官、海上保安庁長官等に、気象庁からの気象条件の伝達を受けますたびに電話で連絡をいたしまして、避難実施におくれのないようにそのつどお願いをいたしまして、各長官とも、末端までそれを伝えていてくださるわけでございます。  一つ申し上げておかなければなりませんことは、率直に申し上げまして、避難命令を出すあるいは避難の誘導をする、そういう事態になりまして、実際に避難をされたあと災害が起こるという事例は、実は数が少ない。そういたしますと、避難された方が、大げさに避難をさしておいて何だというふうな不平もまた、当然出てくるわけでございます。そういう不平は、一番末端の出先の消防なり駐在さんなりのところへ来る。どうもそれがつらくてという気持ちがこういう方々にあることもまた事実でありますけれども、そういうおしかりは甘んじて受けよう、おこられてもいいから、避難命令等を出す時期がおくれないようにということを、中央防災会議から各関係の省庁にむお願いをいたしまして、末端まで伝えていただき、宮崎等では、駐在さんが避難命令を出して、避難をしてもらったその直後にがけくずれがあって、その家がつぶれたというような事例がございます。千葉の場合は、深夜でありましたとかあるいは想像もつかなかったということ、先生も申されましたけれども、そういったことで避難命令が出されないままああいうお気の毒な方の出たことは、たいへん残念なことだったと思いますが、こういうふうな避難時期を失しないような行政指導というものは、続けて努力をしてまいります。
  99. 鶴岡洋

    鶴岡委員 新聞等を見ると、これは小見川の神里地区ですか、台風が来ればがけくずれも来ると思って、私たちは夜も眠らず注意をしていたけれども、町からは何ともいってこなかった、こういう話もあるわけです。いま副長官の言われるように、確かに軽々しく避難命令を出すと、人心を惑わすとか、それからあとその反動があるとか、こういうことは考えられますけれども、全然出さないというのは、これは避難体制をとっている防災会議のほうとして非常にずさん過ぎるのではないか、このように私は思うわけです。  また、基準をつくって、たとえば風がどのくらい吹いたならば避難命令を出すとか、また、雨がどのくらい降ってきたらば避難命令を出すとか、こういう基準をきちっとつくってしまうと、またその基準の規定に縛られて、やったとかやらないとかいう問題が出るから、これは考慮に入れなければならない。しかし、いずれにしても何らかの基準をつくって避難命令を出させるか、それとも、いま副長官の言われるように、あとの反動がありましても、多少おこられても、こういう前例があるのだから皆さん避難をしなさい、こういうふうにして行政指導をしていただきたい、このように強く要望したいわけです。  それから、最後になりますが、これも前の委員がおっしゃったがけくずれの防止法ですが、内容は先ほどいろいろ聞いたとおりでございます。私が申し上げたいことは、弾力性をもって危険地区への事業の促進をしていただきたい、こういう点と、それから五戸以上とか十メートル以上とかいう規定があるわけですけれども、そのワクをはずして事業を促進してもらう、こういう点と、もう一点は、がけくずれ地区というのはもう無数にあるわけですけれども市町村にしてみれば、この辺は危険だなということは、年じゅうそこに住んでいるわけですから、大体の見当はつくわけです。雨の降ってくるのはとめられない。これはできない相談ですけれども、予防対策というのはできるわけですから、それに関して、各市町村別にぜひ総点検をもう一ぺんやったらどうか、最後にお聞きしたいと思います。
  100. 川崎精一

    ○川崎説明員 急傾斜地の崩壊防止のための法律がございまして、御承知のように、これは相当数の居住者のおる場所で、しかも危険なところというような趣旨になっておりまして、主としてがけくずれそのものを防止する法のたてまえから人命の尊重、こういったものをアプローチしておるわけでございます。したがいまして、今回の千葉等の災害を見てみますと、同じような条件で、しかも二尺二戸と点在しておるところが非常にたくさんあるわけでございます。したがって、こういったがけくずれの法律だけから災害を防げるかどうかという点では、かなり問題があろうかと思います。したがって、先ほど来いろいろお話しのような避難体制の問題とか住宅の移転の問題だとか、そういった総合的な防災関連的な感覚から対策を立てていく必要があるのじゃないか、こういうことを痛感しておるわけでございます。  しかし、当面どういうような危険な住宅がどのくらいあるか、そうして、そういったものについてどのような対策が一番望ましい対策かというような点については、やはり十分検討する必要がございますので、私どもとしましては、全国悉皆調査をするというのもたいへんかもしれませんが、一応今回被災のあったような県につきまして、何県かをとって一度実態を調べてみまして、その上でひとつ適切な対策を立てるように努力をしたいと考えております。
  101. 鶴岡洋

    鶴岡委員 今回の二十三、二十五号台風被害については、最終的に調査して被害額が出るわけですけれども、これは相当な被害額になると思うのです。特に何十年来未経験の災害にあった千葉県に対して、関係各省が強力な災害対策を講ぜられていることを、私は深く感謝します。きょうは農林水産関係について何点かお伺いしたわけですが、このほか厚生それから教育、また大蔵関係の税の軽減とか中小企業、たくさんの問題があるわけです。被災者はこんな大きな災害にもめげず、いま元気で立ち上がっておるわけです。そこで、これから復旧作業、補償等については関係各省の一段の協力をお願いし、政府当局も思い切った施策をしていただきたい、こういうことをお願いして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  102. 中井徳次郎

    中井委員長 関連しまして笠岡喬君。
  103. 笠岡喬

    笠岡委員 お許しをいただいて、十分以内に終わりますから、重複になるようですが総務副長官にひとつ……。  その前に私、千葉のこの災害を見せていただいて、非常に気の毒だと思うのです。それはなぜかというと、ああいう平たん地で、山の高いのはなくて、丘続きのようなところで水がたっぷりつかって、そしてすっと水が引いたら、あまり極端なこわれ方はしてないけれども、農家の方々商店街方々というのはたいへんな被害だということで、河川局長さん、やはり河川対策というものがおくれておった。やはり千葉も原始河川が多い。それに引きかえ岡山でございますが、私たちも原始河川をかかえておるので、これはゆゆしい問題だ。まあ非常識な雨量であったわけですが、これは答弁はよろしいですが、河川局長さん、ひとつどうぞ本気で河川予算をとってがんばっていただきたいと思います。  いま質問があって、個人災害についてのことを副長官にちょっとお尋ねをいたしますが、今度千葉へ行ってみて、ある被災者の遺族さんに聞いた話ですが、夜静かに寝ておった、そうするとどーんという音がした。さあということで裏へかけ寄ってみたら、もう手もつけられない。おじいさん、おばあさんと小学校一年生のお嬢さんと三人おやすみになっておったが、もうどうすることもできなかった。さあ自分たちがこれは危険だというので急いで逃げるよりしかたがなかった、という遺族さんの一つの話を聞きました。さらに、勝浦市で水道がとまった、水道課長を呼んでこなければいかぬというので、連絡に職員がかけていった。そして水道課長さんのうちをたずねて起こしたら、お嬢さんが出てきた。そのお嬢さんに、実はこうこうで、おとうさんを早く起こしてくださいということで、お嬢さんがあわてておとうさんの部屋へ行って戸をあけたら、その部屋の中におかあさんとおとうさんとおやすみになっていて、その水道課長夫婦の部屋にもう土砂が入ってきた。全然お嬢さんにはわからなかった。こういうようなことで、ほんとうに気の毒だと思いました。  この間、総務副長官の地元の兵庫県でもあのような大荒れがいたしまして、私の地元からも、潮干狩りに行っておったバスもろとも、ほんとの瞬時のできごととして下のがけへ落とされて、二十人近い方がなくなったわけですが、それについて、現在のところほんとうに救済する方法がなくてとほうにくれておるのですが、千葉でもそのことについて、やはり知事さんはじめ町村長さんあるいは関係の議員さんあたりも、そういう事情はよう知っておられるので、県としてはたしか五万円だったですか、市町村から三万円、八万円ほどの弔慰金をお供えをしたということでございます。しかし、やはりこういう事件を顧みて、素朴な国民感情として何らかしたいという気持ちはあると私は思うのです。  そこで、いま副長官から、先ほどの質問にこたえていろいろ御答弁があったわけですが、もう次の国会でもそういうものを準備するんだとかなんとかいう確信、そういうような準備ができておれば、この際、政府としてもこういうふうな考え方で取り組もうと準備しておるのだということが言ってもらえないものかどうか、まだそこまではいっておらないのかどうか、よろしかったら御発言をいただきたいと思います。
  104. 砂田重民

    砂田説明員 お答え申し上げます。  災害の実態は、個々にほんとうにお気の毒なことでございまして、御遺族の方にお慰めをすることばもない状態、私も、私の地元災害にたびたびあっておりますので、知っております。  そこで、個人災害の問題でありますけれども、実に長い間これは議論を続けておられることでありまして、先ほど御質問のございました森議員のお兄さまが総務長官をしておられます時代から懸案の問題でございます。当委員会の各先生方も真剣にいろいろ御議論になっているところでございます。何とか共済という制度の上にのせて——三万円だとか、あるいは岡山県の方が兵庫県で災害にあわれたので、他の府県の方だからというので三千円だとか、そういう弔慰金のようなことで事を済ませて、はたしてこれはだれもが納得のいくことであろうかという疑問を、私も持つわけでございます。  そこで、先ほどお話もございました個人災害の共済制度にのせるということについての調査も終わりましたので、何とか来年度からはこの制度確立したい、こう思って実は取り組んでおるわけでございますけれども、先ほどからお答えをいたしておりますとおりに、関係方面の御意見が、共済という制度にのせて個人災害救済のことを考えるのは賛成だと言われる方は八五%、ところが、その中身の仕組みについては実に多種多様に分かれておりまして、掛け金をたくさん取るべきだ、八百円も九百円も掛け金を取るべきだ、それによって物損も対象にするべきだという御意見も一方にはございます。そうなりますと、従来の損害保険というものとこれをどう考えればよいのか。また、非常に多額の掛け金を取るということになりますと、あまり災害の来ないような府県、市町村住民がはたしてお入りになるかどうかという懸念もまた持つわけでございます。加入してくださる方が少なければ、共済として根本から成り立たなくなってしまうではないか、そこに掛け金の限度、それから給付の限度、こういうことがそれぞれからみ合うものでございますから、いま、いろいろな御意見を持っておられる関係方面の調整につとめておるところでございまして、いまおっしゃいます政府の姿勢ということでありますならば、どのような形の共済の制度であろうとも、中央に再保険をする、そのための政府が準備をしなければならない基金の概算要求は、初めて総理府が大蔵省に八月末にしておりますことで、私どもの姿勢だけはおくみ取りをいただきたいと思うのであります。  どのような調整がつきますか、たとえそれが先生方のおしかりを受けるような貧弱なものでありましても、私は制度だけはスタートさせたい、かように考えまして、また制度をつくっておけば、改善はあとからまた、私もそちら側にすわってできることでもありますから、制度だけは何とかつくりたい、かように考えて、いま懸命にその調整に取り組んでおるところでございます。もうしばらく時間をいただいて、また当委員会にも中間的な御報告を申し上げて、応援もしていただきたいし、お知恵も拝借いたしたい、かように考えております。
  105. 笠岡喬

    笠岡委員 それは共済制度としていこうという方針は、もう変わらないのですか。
  106. 砂田重民

    砂田説明員 どうもやり得る一番適切な方法が共済制度ではないかと私ども考えるものですから、共済で進みたいと考えております。
  107. 笠岡喬

    笠岡委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  108. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、井上普方君。
  109. 井上普方

    井上委員 二十三、五号台風によります徳島県の被害について少々お伺いいたしたいのでありますが、河川局長、那賀川の被災状況は御存じでございますか。
  110. 川崎精一

    ○川崎説明員 私、まだ現地のほうはよく存じませんけれども概要の御報告だけは承っております。
  111. 井上普方

    井上委員 この那賀川におきます災害は、この奥地には四千三百万トンの有効貯水量のある長安口ダムがあり、その上には小見野々ダム、これも約一千百万トンの有効貯水量を持つダムがあるのでありますが、その下流におきまして災害発生いたしたのであります。  徳島県におきましては、この問題につきまして非常な論議を呼んでおるのでありますが、どう見たって、私どもにはダム災害としか思われない様相を呈しておるのであります。といいますのは、わずか半時間の間に、被災地は水位が大体三メートルから四メートル上がっております。そういたしますと、家財道具を全部ぬらしてしまった。幸いにいたしまして、夕方の四時半ないし五時でございましたので、人命には被害はございませんでした。しかしながら、いわゆる鉄砲水で、引くのも約半時間で引いております。大体、鉄砲水を防ぐのにダムがつくられるのではございませんか。ところが、那賀川におきまして鉄砲水が出てきた。非常な災害をこうむっておるのであります。そこで、私はここに一、二、私自身で気づく問題点をお伺いいたしたいと思うのです。  洪水時におけるダムの水を放流する場合、流入量をはかって放流量をきめておるのか。あるいはまた、下流において幾らの水位が来たときに放流をこれくらいに制限すべきかということを考えられてやっておるのか。この点、建設省としてはどういう指導をされていますか。
  112. 川崎精一

    ○川崎説明員 長安口のダムは、現在でいいます多目的ダムに相当するダムでございます。したがって、そのダムの操作につきましてダムの操作規則というものを設けまして、その規則に従って洪水時のダムの操作をいたしておるわけでございます。その操作の規則をきめるにあたりましては、それぞれ過去の雨の資料、それから出水の状況あるいは下流の改修の状況、こういったものを勘案して操作の方法をきめる、こういうことが基本的な考えになっております。なお、個々の河川河川につきまして、いろいろ雨の状況なり出水の状況が異なりますので、そういったものについては、その河川状況に応じて定めるということをたてまえにいたしております。
  113. 井上普方

    井上委員 局長、そうおっしゃいますと、ダムの操作規程をつくる際に、下流の水位がどれくらいであるときに放流をどれくらいにすべきだということで、大体過去のデータによってやられておる、こういうのですね。それはいわゆる、あなた方の専門用語でいう洪水解析ということばじゃございませんでしたか。定義じゃございませんか。どんなです。
  114. 川崎精一

    ○川崎説明員 ダムの建設前に、計画の時点でそういった資料を十分調べまして、いわゆる解析を行ないまして、どの程度の流量であればそのダムで調節ができる、こういうことを検討した上できめておるわけでございます。
  115. 井上普方

    井上委員 河川局長、これは一級河川でありますがゆえにあなたにお尋ねしておるのです。しかも管理権は建設省にある。そこで私はお尋ねしているのですが、実をいいますとこの問題が出まして、そして下流では被害をこうむった。県の責任はといって住民がその追及をいたしますと、洪水解析はまだやっていない、これからやりますという御答弁なんですが、これはいまのお話からいたしますならば、もうすでにダムをつくるときにそういうことがやられておらなければならない、それがやられてない、これがまず第一です。これに対してどうお考えになりますか。  それから第二点といたしまして、下流にはかなり長い古毛地点といいまして、ダムから大体三十キロ下流に水位計がただ一つあるだけであります。一体、建設省といたしましては、このように水位計が一つしかない状況に対しましてどうお考えになりますか。これによって洪水調節ができ得るとお考えになりますか、どうです。
  116. 川崎精一

    ○川崎説明員 解析につきましては、これは長安口ダムはたしか三十一、二年に竣工したダムだと思いますが、しかし、その当時と現在とではかなり変わっておるかもしれませんけれども、その後さらに一昨年に、このダムにつきましては建設省でも指導をいたしまして、一部予備放流水位等を変更したりそういった措置をいたしておりますので、その時点で、過去の出水状況等については十分検討いたしておると考えております。  それから、施設でございますが、これは十分完備しておることにこしたことはございません。そして、その情報がよくダムに入って下流の状況わかれば、これにこしたことはないと思いますが、どの程度が最小必要限かということになりますと、これは地域地域の事情に応じてやはり判断する必要があろうかと思います。
  117. 井上普方

    井上委員 そうしますと、まず第一番が、去年建設省が検査したそのときに、いわゆる洪水解析なるものは行なわれたとあなたは認められますか、どうでございます。
  118. 川崎精一

    ○川崎説明員 どういう計算のしかたなりをやったか、私ちょっと存じませんけれども、四十五年でございますから、一昨年の時点で、あの当時天竜川その他のダムでいろいろそういった問題がございますので、できるだけ治水容量を操作時にふやすような方向で、かなり全国のダムをチェックしたわけでございます。そういった方針で、このダムも予備放流水位等できるだけ、下げれるだけ下げようじゃないかということを検討して下げさしたわけでございますから、その時点では、それまでの洪水等について一応検討はいたしていると思います。
  119. 井上普方

    井上委員 例をあげますならば、そういう過去のデータによる洪水解析ということばの定義それ自体が、私どもには非常にあやふやなんでありますが、まず万全を期する操作規程が一昨年の時点においてはできておったと解釈してよろしゅうございますか。
  120. 川崎精一

    ○川崎説明員 先生も御承知のように、このダムは、洪水調節はもちろん入っておりますが、そのほかに電気事業それからかんがい用水の補給、こういった多目的を持っておるわけでございます。したがって、それぞれの立場からの主張があるわけでございますけれども、なるべく洪水の調節を優先にする、安全度を増そうじゃないかというような方針で関係者と協議をして、予備放流水位等を下げさしたというように聞いております。
  121. 井上普方

    井上委員 そうすると、どうも地元でのお役所のお話と話が違ってくるのであります。洪水解析はやったことはない、住民に対してはこう言っている。あるいはまた、県議会においてはそのような答弁をなさっておられるのであります。  それから、予備放流でありますが、実をいいますと、この予備放流をやり始めた時点が三十日の午後一時からであります。三十日の十三時から予備放流を始めておるのでありますが、しかし、それまでに流域の平均の降雨量というものは、午後一時現在で三百五ミリ降っております。あるいはまた、三十日の十一時時点においては二百三十一ミリ降っておるのです。流域の平均ですよ。これが長安地点における降雨量にいたしましても、日早の地点における降雨量にいたしまして、累積で、午前十時現在で実に三百七十六ミリ降っておるのです。当然これは最備放流をして貯水池水位を下げなければならないと思う。ところが、それが十三時から放流を始めておる。ここにダムの操作において、あるいは適切でなかった点があるのではないか、このように考えられるのであります。  まず、ダムの操作規程というもの、私これを拝見いたしました。拝見いたしますと、ダムの予備放流をやるのには気象、水象その他の状況により必要と認められるときということで、特に気象台との連絡、観測ということを中心にして洪水警戒体制がしかれなければならない。ところが、二十八日じゃございませんよ、二十九日の十八時三十分でありますが、そのときでは、山間部では百ミリから二百ミリの見込みだということを気象庁は通報しておる。さらに三十日の午前三時四十分には、山岳部においては三百ミリから四百ミリの見込みということも通報されておる。それにもかかわりませず予備放流というものは全然なされておらない。しかも降雨量におきましては、先ほども申しましたように、三十日の午前十時現在で三百七十ミリも降っておる。そのときにもかかわらず最備放流がなされていない。この上流には、河川局長も御承知のように四国電力の発電所があります。四国電力の発電所は予備放流を始めておるようでありますけれども、片方においては全然やられておらない。そして十三時から始めて十六時、十七時、この間に四千三百トンあるいは四千五百トンという水を放流したために、さらに水位がにわかにぐっと上がって、住民はほとんど逃げるのが精一ぱいで、実は被害をこうむっておるという状況なんであります。  そこで、私どもは、どう考えましてもこの災害はダム災害としか思われないのでありますが、ただ、お役人の逃げ口上としては、ダム操作にはあやまちはなかった、このダム操作規程によってやったのだから、私らにはミスはない、こう申すのであります。そこで、あなた方が監督してつくられたこのダム操作規程、これが過去、現地におきましては、洪水解析に基づいてつくっておらぬ、こう申しておるのであります。洪水解析はやっておらぬ、こう言う。あなたは、一昨年洪水解析をやって、ダムの操作規程の改定をやらしたのだ、こうおっしゃる。ここに大きな食い違いが出てきておる。どうですか、河川局長。まああなたは、詳しいデータはお持ちでないと思う。したがいまして、あなた方が指導監督のもとにつくらしたこの操作規程が正しいかどうか、また、そのとおりやられておるかどうか、こういうことについて、あなたは、建設省としては調査し、かつまた、それに対する適切なる助言をする御用意がありますかどうです。
  122. 川崎精一

    ○川崎説明員 私が先ほど申し上げました予備放流の水位につきましては、これは建設された時点におきましては洪水調節容量が約四百七十万立方メートルでございまして、これによって千トンの洪水をカットするということでございましたが、先ほど申し上げましたように四十五年の八月に、これを六百九十万立方メートルに増加をさせております。それに伴いまして、予備放流水位が、在来は標高で二百二十二メートル八十センチでございましたが、これをさらに下げまして、約一メートル十ばかり下げておりますが、二百二十一メートル七十センチにしたわけでございます。したがって、そういう点では前よりも安全側にわれわれとすれば指導してきたつもりでございます。  この変更いたしました予備放流水位の二百二十一メートル七十センチに対しまして、今回の流入の状況を見ておりますと、まだ、たとえば八月三十日の十一時の時点等におきましては、水位がそれよりも以下でございました。したがって、特にそういった予備放流をわざわざするというような、この規程では義務づけがないわけでございます。したがって、通常の操作で進んでいった。ところが、二時ないし三時ごろになりますと、相当急に流量が増加してきた。これは昭和三十六年、たしか第二室戸台風がございましたが、あの当時の水位の増加量を見てみますと、流入量が千トンから四千トンになるのに約八時間くらい経過しておりますが、今回で見ますと四時間くらいだという、非常にシャープな流入量になっております。そういった点ではかなり異常な流入であったようにうかがえるわけでございます。  したがって、私どもとすれば、結果的に振り返ってみますと、操作規程に誤りがあるとかないとかという議論じゃなくて、また今回の出水を教訓にいたしまして、操作の方法なりあるいは観測設備の整備なり通報連絡のやり方その他につきましても、やはり全般的にわたって十分再検討をいたしまして、今後の貴重な資料にして、できるものは改善していきたいと考えております。
  123. 井上普方

    井上委員 私は、あなたの発言はおかしいと思うのです。それは、この上に小見野々ダムというのがある。これは御存じですね。四国電力の小見野々ダムの放流は、実は朝からやっています。放流をずっとやっているのです。片方も流入量がたいしたときでもないにかかわらず、小見野々ダムは放出をやっておる。そして、まあこれは商売人ですから、ある程度水をためるでしょう。ためたところが、満水になったところが、それを全然——小見野々ダムのほうは、全部流入量だけどんどん最初から流してきた。これが大体十五時ぐらいから流し始めています。流入量がシャープだからとかなんとかおっしゃいますけれども、片方において上流のダムが、ダムの貯水の洪水調節の意味をなさずに、ほとんど三時からは全部流してきた、流入量と同じだけ流してきた。片方においてはものすごく流入量がふえ、長安もそれにつれてふえてきた、こういう事態になっておると思うのです。  私は思うのに、電力会社側のダムと下流にある長安ダムとの間に連絡が不十分じゃなかったのか、これは一点考えられるところです。片方においては放流を始めておる。しかも雨の量を見てみると、これは朝の十時に三百七十ミリも降っておるわけなんです。であるにもかかわらず放流をしない。当然ダムには流入量が増加することは、これは考えられるにもかかわらずやっておらぬ。そういう点において、人災だという意見が出てくるのも当然なんでありまして、私自身も、ダムの操作の不適切さによってこの災害が起こったとしか思われないのであります。  したがいまして、あなたは、一昨年つくった管理規則が正しいとか正しくないとかおっしゃっていますが、過去のデータを見ましても、これは大正七年の災害、明治二十五年の災害、これに匹敵するぐらいの実は鉄砲水が出たわけなんです。したがいまして、このダム規則が現在では非常に問題になると同時に、はたしてこのダム操作が適切であったか、あるいはまた那賀川の洪水管理と申しますか、これが適切であったかという点には大きな疑問を持たざるを得ないわけなんです。たとえていいますと、川口ダムから下流には古毛にだけしか水位計がない。あるいは警報設備がほとんどない状況、こういうので、もしまたダム放流があったならば、下流には災害の起こることは必至であります。あなた方が指導してつくられた長安ダムの操作規程が正しかった、あるいはまた洪水解析をやったその結果、あれだけの災害が——十六年間いままでなかったのですからね。二十八、九年のジェーン、キジア台風のときでも、これだけの災害がなかったのです。三十六年の災害にいたしましても、あのときの降雨量よりも今度の降雨量は少ないのです。それにもかかわらず——あなたのおっしゃるように、降雨量がシャープにあった、山があったことは、これは認めます。しかし、その山があったけれども、それよりもダムに来るまでに、水がダムに貯水するまでに、四時間ないし五時間前には奥地にどんどん降っておるのです。その奥地の水位計との連絡というものも十分になされていなかったのではないかという疑いすら、私ども持たざるを得ないのです。ここらについて、もう一度建設省としては十分な調査をされて、わかったら御報告していただきたいのですが、どうでございますか。
  124. 川崎精一

    ○川崎説明員 上流の小見野々ダムは、御承知のように利水専用のダムでございますので、ほとんど腹一ぱいになりますと吐き出してしまうということでございますが、先ほど申し上げましたように、長安口のほうは、まだたまたまいわゆる制限、予備放流水位まで水が来ていなかったということで、通常の操作を続けていったわけでございます。  この操作の結果を私なりに見ますと、非常に急激な上昇等もございましたし、あるいはダムを満ぱいしてパンクするのじゃないかというような、いろいろな最悪な事態の判断から、当事者とすれば、やむを得ずああいう放流のしかたに踏み切ったのじゃないかという気がします。したがって、あまり責めるのは酷なような気がしますけれども、振り返って見てみますと、もう少しうまい調節のしかたもあったのじゃないか、あるいはまた水位の低いときの判断について、もう少し適切な見通しがあればうまくいったのじゃないかというような気もやはりするわけでございます。したがって、私としましては、操作規程そのもの、それから現実の操作の方法等について、一度謙虚に見直してみたいと思います。  それからなお、通信設備等につきましての現状の整備状況とか、実際にどういう通報、連絡があったか等につきましては、まだそこまで私も確認をいたしておりませんので、もう一度十分よく調べたいと思います。  今回の全般的な出水を見てみますと、ダム地点で流量が約四千三百ないし四百ぐらいでございます。この河川のダムを計画しました時点では、六千五百トンぐらいを対象にしまして、それを千トン程度カットするということで、約五千四、五百ぐらいの計画流量になっているわけです。したがって計画流量以下で、しかもこの前のジェーンとか第二室戸と同じ程度の雨でございます。どうしてこういう被害が起こったかということじゃないかと思うのでございます。したがって、これは下流にもかなり雨が降って累加したのじゃないかという気もするわけでございますけれども、基本的には、やはり本川の流量をもっと低減する方法を考える必要があるのじゃないかということで、できれば明年度からでも、ひとつ上流のダムサイトを積極的に調査しまして、二つのダムでもっと洪水を低減するような方法、それから総合的にもっとスムーズにダムの操作を統合管理する方法、こういったものをひとつ検討していきたいと考えております。
  125. 井上普方

    井上委員 最後ですが、実は私は、この那賀川の下流に生まれた男です。それで、この間ダムの災害状況を見に行きました。私はこの心づいてからずっと洪水を見てきておるのでありますが、洪水のあとは、あれほど高いものはございません。というのは、一度に放流をどっとやったがために、水が波を打って来たのじゃなかろうか。したがって、平野部の川幅の広いところに来ると、比較的水位というものは低いのであります。山間部の狭いところにおいてはぐっと上がっておる。そして、それがわずか三十分で——大体人家があるところでありますから平たん地でありますが、その地点において大体四メートルぐらい、三十分間ぐらいで水が上がった。引くときも三十分ぐらいで引いてしまった。こういうことになると、ダム以外に考えられぬじゃありませんか。古老の話によると、歴史にも有名な大戸の崩壊事件、あれにも匹敵する水が来た、こう言っております。  こういうような事態から考えると、ダム操作にあやまちがあるとは申しませんけれども、不適切なる個所があったに違いない。あるいは、これの操作規程に不適切なところがあるに違いない。われわれは専門家じゃございませんから、あなた方技術者の良心にかけて、もう一度お調べになっていただきたい。そして、現地においては、いままで過去の洪水を調査し解析したことがないなどというようなでたらめなことを言っていることは、あなたは技術者の良心として正していただきたい。そして、ほんとうにダムの災害によるものならば、すなおにあやまちをあやまちと認めなければならないと思います。そこから初めて科学の進歩は私はあると思う。それをうやむやにごまかすというようなことは、私は許さるべきでないと考える次第なのであります。さらにはまた、この奥地のダムにつきましても早急に着手せられんことを望むのでありますが、この問題につきましては後刻あらためて、私も少々意見を持っておりますので、また場をかえて申し上げたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても現地においては、このような災害を受けたのは明治二十五年以来、こう申しております。それで、私も長安ダムをつくるのに参画した一人でありますが、そのときは、那賀川はこれで洪水はないんだ、絶対にあり得ないということを建設省、あなたの先輩は私らに説いたのであります。そしてつくった。つくったところが、平たん部においては、さほどの雨でないにもかかわらず、和食、加茂谷地区においては大きな被害をこうむっておる。この実態を考えて、あなたにひとつ良心的に、もう一度十分な調査をしていただくことを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
  126. 川崎精一

    ○川崎説明員 先生の御趣旨のとおりでございまして、私どもも、これは技術的な問題が大半でございますので、謙虚にそういった点は調査して再検討いたしたいと思います。
  127. 中井徳次郎

    中井委員長 本日は、この程度にとどめます。次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後二時十二分散会