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1971-07-22 第66回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十二日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 中井徳次郎君    理事 天野 光晴君 理事 稻葉  修君    理事 内海 英男君 理事 進藤 一馬君    理事 細田 吉藏君 理事 米田 東吾君    理事 瀬野栄次郎君 理事 合沢  栄君       坂元 親男君    塩谷 一夫君       田村 良平君    高鳥  修君       中村 拓道君    西岡 武夫君       羽田  孜君    羽田野忠文君       別川悠紀夫君   三ツ林弥太郎君       村田敬次郎君    安田 貴六君       吉田  実君    阿部 昭吾君       卜部 政巳君    千葉 七郎君       古川 喜一君    三木 喜夫君       中村 重光君    新井 彬之君       小川新一郎君    貝沼 次郎君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席政府委員         総理府総務副長         官       砂田 重民君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         警察庁警備局警         備課長     鈴木 貞敏君         厚生省医務局総         務課長     木暮 保成君         厚生省社会局生         活課長     蝦名 眞一君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         林野庁指導部治         山課長     吉村 昌男君         運輸省航空局技         術部通信課長  北原賢二郎君         気象庁長官   高橋浩一郎君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       川上 幸郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局次         長       吉田 泰夫君         建設省住宅局建         築指導課長   救仁郷 斉君         自治大臣官房調         査官      福島 栄造君         日本国有鉄道施         設局長     北岡寛太郎君     ————————————— 委員の異動 七月二十一日  辞任         補欠選任   上林榮吉君     進藤 一馬君 同月二十二日  辞任         補欠選任   内藤 良平君     三木 喜夫君   中村 重光君     阿部 昭吾君   鈴切 康雄君     新井 彬之君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     中村 重光君   三木 喜夫君     内藤 良平君   新井 彬之君     鈴切 康雄君 同日  理事上林榮吉君同月二十一日委員辞任につ  き、その補欠として進藤一馬君が理事に当選  した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会中審査に関する件  梅雨前線豪雨及び最近各地発生した集中豪雨  等による災害対策      ————◇—————
  2. 中井徳次郎

    中井委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についておはかりいたします。  昨二十一日、理事上林榮吉君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。  この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認め、委員長は、理事進藤一馬君を指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  4. 中井徳次郎

    中井委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、梅雨前線豪雨及び最近各地発生した集中豪雨等による災害対策について調査を進めます。  まず、被害状況及び政府においてとった措置等の概要について、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務副長砂田重民君。
  5. 砂田重民

    砂田政府委員 私は、このたび総理府総務副長官に就任をいたしました砂田重民でございます。どうぞ先生方の御指導を、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)  きょうは、七月初めの梅雨前線によります災害台風十三号によります被害状況、七月十五、十六日の山形県におきます集中豪雨による被害、七月十八日の兵庫南西部におきます災害について、順次御報告を申し上げたいと思います。  まず、これら災害をお受けになりましておなくなりになった方があるのでございますが、心からお悔やみ申し上げ、また罹災者皆さま方に、当委員会を通じてお見舞いを申し上げる次第でございます。  まず最初に、梅雨前線によります災害について御報告を申し上げます。  本年は、例年より早く六月の初めに、南日本より順次つゆ入りをいたしました。七月の十二日、つゆは明けましたけれども、この期間日本付近に停滞をいたします梅雨前線の上を低気圧が通りましたために、ところによって局地的に大雨が降りまして、災害発生をいたしました。  特に、六月の二十七日、朝鮮半島中部発生いたしました低気圧は、発達しながら日本海南部北東進をいたしましたので、北陸地方に局地的な大雨が降りました。  また、七月一日から二日にかけまして低気圧日本海東進をいたしまして、この低気圧中心から南東に延びます温暖前線日本付近を通過いたしましたが、この前線に向かって、高温多湿南寄りの強い風が吹きまして、このために、島根県を中心といたしまして局地的な大雨が降ったのでございます。  この梅雨前線によります被害は、一般被害といたしましては、死者・行くえ不明十二名、負傷者十二名、建物の全半壊が三十五棟、罹災者五千一名等となっております。  次に、施設関係等被害といたしましては、県の報告等によりますと、公共土木施設が百八十五億円、農地等が七十六億円、農作物等が三十億円等、総計三百十二億円となっております。  この災害によりまして被害の大きかった数発田市及び江津市に対しましては、災害救助法適用いたしまして、被災者の収容、食料の供与、被服、寝具その他生活必需品支給等を実施したところでございます。  二番目に、台風十三号によります被害について御報告をいたします。  七月四日、沖ノ鳥島の北約二百五十キロメートルの海上に発生をいたしました弱い熱帯性気圧は、ゆっくり西南西に進みながら発達をいたしまして、五日に台風十三号となり、これが種子島の南東約二百キロメートルくらいで最も発達をいたしまして、中心気圧が九九〇ミリバール、最大風速は三十メートルとなりました。この台風は、七日の午後七時二十分、浜名湖付近に上陸をいたしまして、毎時三十五キロのスピードで関東南部を通り、八日の四時、茨城県鹿島付近で弱い熱帯気圧となり、鹿島灘に抜けたのでございます。  この台風は、比較的高緯度地帯発生をいたし、小型で勢力が弱かったために、台風による直接的被害は比較的少なかったのございますが、この台風の前面に当たります愛知県、三重県などで、六日夜半から七日明け方にかけまして大雨が降り、また、浦和市と大宮市ではたつまきが発生をいたしました。  この台風による被害は、一般被害といたしまして、死者一名、負傷者十三名、建物半壊六十三棟、罹災者二千二名等となっております。  次に、施設関係等被害といたしましては、県報告などによりますと、公共土木施設が十一億円、農地等四億円等、総計二十億円と相なっております。  三番目に、七月十五日及び十六日の山形県におきます集中豪雨による災害について御報告いたします。  七月十五日、日本海西部発生をいたしました低気圧から東に延びる温暖前線が、十五日の深夜から十六日早朝にかけてにわかに活発化し、山形県を中心に一時間六十ミリないし七十ミリの大雨が降り、山くずれ、浸水などの被害発生をいたしました。  この集中豪雨によります被害は、一般被害といたしまして、死者三名、負傷者三名、建物半壊十棟等と相なっております。  最後に、七月十八日の兵庫南西部におきます集中豪雨による災害でございますが、十六日ごろから、本州をおおう大気は不安定となってまいりまして、局地的に上昇気流が起こりやすい状態になっており、十八日には、関東地方中部地方近畿地方中心各地で雷雨が群発いたしまして、特に兵庫南西部では、十八日昼過ぎから局地的に一時間約六十ミリ、総雨量約二百ミリに達しますような強い雨が降りまして、山くずれ、小河川のはんらんなどによる浸水など、こういった被害発生をいたしました。  この集中豪雨によります被害は、一般被害といたしまして、死者二十二名、負傷者九十九名、建物半壊二十七棟等となっております。  死者二十二名の方々の内訳を申し上げますと、国道の土砂くずれによってバス転落をいたしまして、このバスの乗客の方が四名、新舞子という海水浴場がございますが、そこの土砂崩壊によりますものが十名、相生市で土砂崩壊によりましてなくなった方が五名、川に転落をなさってなくなった方が三名、計二十二名となっているわけでございます。  この災害に対しまして、消防、警察及び自衛隊では、被災者の救出、搬送、水防活動を実施いたしまして、また、被害のたいへん大きゅうございました相生市及び御津町に対しましては災害救助法適用いたし、避難所の設置、医療等を実施したところでございます。  また、新潟県におきましても、十七日から十八日にかけて局地的に五十ミリをこえる大雨が降り、加茂市、三条市などでは浸水被害を生じておりますことを、つけ加え御報告をいたします。  以上、御報告を終わります。
  6. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて政府からの説明は終わりました。     —————————————
  7. 中井徳次郎

    中井委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。細田吉藏君。
  8. 細田吉藏

    細田委員 ただいま、本年の梅雨前線による豪雨災害、あるいは台風十三号その他一連のいわば雨、風の被害について、砂田総務長官から御報告がございました。  質問に先立ちまして、私も、不幸にして犠牲になられました方々に心からの弔意をささげますと同時に、けがをなすった方々、また家や田畑を失われた方々、そうした被害者方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。  私は、たくさんの問題を聞きたいのでございますが、時間の関係もございますので、総論的な二つの問題だけにしぼりまして御質問をいたしたいと思います。  一つは、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、いわゆる激甚法適用についてでございまます。  あまりくだくだしくは申し上げません。この激甚法のたてまえとか、法のでき上がったときの精神とか、いろいろございます。しかしながら、近年各種の災害につきまして、この法律をどういうふうに運用していくかということにつきましては、本委員会の意向もございます。また、政府としても非常に弾力的に運用をしていただいておる、実情に合うように運用をしていただいておる、かように思うのでございます。この点はたいへんけっこうなことでございまして、法律は生かして使わなければならないと思うのでございます。  そういう意味で、ただいま御報告がありました今年の一連災害、あるいは今後もまだまだいろいろ予想される災害——気象庁予報によりますと、台風等の予想もあるようでございます。  そこで、私がまず最初に副長官に伺いたいことは、いろいろな理屈はあるかもしれませんけれども、この際、梅雨期のいわゆる梅雨前線集中豪雨以来今日までの、あるいは今日からさらにあとの問題も含めるという可能性もあるわけでございますが、一括して激甚法適用に踏み切るべきではなかろうか、かように思うわけでございます。数字その他取りまとめ等に、政府においていろいろ時間がかかったりすることもあろうかと思いますが、考え方としまして、そういう気持ち激甚法適用お願いしたい、かように思っておるわけでございます。  そこで、ただいまのところ、激甚法についてはどのようにお考えをいただいておるのか、今後の見通し、そいうものについて副長官の御見解をお聞かせいただきたい。前向きの御見解をぜひお願いしたいと思います。  それからもう一点、私一回しか立たないつもりでございますので、建設省並びに農林省にお尋ねをし、またお願いもしておかなければならぬと思いますが、私どものほうの島根県あたりでも、実は昭和三十九年、四十年と連続して非常に大きな災害がございまして、その際にかなり大幅に復旧工事、いわゆる改良復旧というものをやっていただきました。これはその後の、本来であれば災害が起こったであろうというときにも非常に大きな効果をあらわしておりまして、未然に災害を防いでおるというような事例は、実に枚挙にいとまがございません。そこで、言うまでもございませんが、復旧は思い切って改良復旧していただく、こういうことだと思うのでございまして、両省関係は、もとよりそのような御方針でおやりいただいておると思いますが、早期査定早期復旧、そして思い切った改良復旧ということについての両省のお考えをお聞かせいただきたい、かように思います。
  9. 砂田重民

    砂田政府委員 お答えいたします。  激甚災害指定につきましては、私は、まず基本的にお答えを申し上げますと、法の趣旨からしても、これは当然弾力的に、それももうきわめて弾力的に運用をすべきものだと心得ております。  これが基本姿勢でございますが、だたいま御報告をいたしました各災害の計数等ただいま集計中でございますが、一つだけお答えしておきたいと思いますことは、梅雨期間中のこの梅雨前線の、私が第一に御報告をいたしました島根県を中心とした被害につきましては、これは農地並びに農業用施設被害が非常に大きゅうございます。そこで、激甚災害法適用しようという気持ちでの検討をしているところでございますが、細田委員の御希望の線に沿った答えが出るものと私は推測をいたしておりますことを、お答えしておきたいと思います。
  10. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  施設災害復旧については、過去の島根県等におきます。災害復旧等の例にもかんがみまして、御趣旨の線に沿って復旧事業を進めたいというふうに考えております。
  11. 川崎精一

    川崎説明員 先生から改良復旧を大いにやれと、こういうようなお話でございましたが、私どもも前々から、本来の治水事業を促進はいたしておるわけでございます。御承知のようにいろいろ予算等の制約もございまして、十分思うにまかせないわけでございますが、こういった災害実情にかんがみまして、関連いたしております一連の区域につきましては、まあできるだけ改良復旧というようなことで、災害費と同時に予備費を要求いたしまして、関連区間復旧を抜本的に急ぎたい、こういうようなことで、今回の災害につきましては、それぞれ担当員災害地に派遣をいたしまして、応急復旧と同時に、そういった改良復旧設計指導等を現在いたしております。したがいまして、そういった調査がまとまりまして態勢が整いましたら、査定の上で予備費を要求いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。  なお、査定につきましては、現在いろいろ準備中でございますので、まだすぐに査定の段階になりませんけれども、鹿児島、島根岡山等につきましては、今月の下旬から来月の上旬にかけまして査定官を派遣いたしたいと思っております。なお、その他の県につきましても、おそらく八月中には準備が完了するのじゃないかと思いますので、完了次第査定官を差し向けるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  12. 中井徳次郎

  13. 卜部政巳

    卜部委員 まず、質問に先立ちまして、このたびの災害でなくなられた方々に対しまして、深い哀悼の意を表したいと思います。なお、負傷された方々けがで病床に伏されている方々に対して、厚くお見舞いを申し上げたいと思います。  時間の関係もございまして、ごく簡単にという要請もございますので、一、二点の問題を質問いたしたいと思います。  まず、総理府のほうにお伺いをいたしたいと思いますが、先ほど細田委員のほうからも質問がありましたが、激甚災適用の問題であります。いわゆる梅雨災害におきますところの島根県の問題でありますが、三十九年災害と同じような、あの山津波のような現象が各所に起こっております。特に、これは部分的に全県下にわたっておるという特異の現象でございますが、この点に対しまして、いま御指摘にありましたように、今月の下旬から調査に入られるということでございますけれども、まず、こうした、三十九年災害にも匹敵をするようなこの災害に対しての激甚災適用は、ぜひお願いをいたしたいと思います。いま総理府長官からの細田委員に対する確たる御答弁もございましたが、こうしたような三十九年災害と同じような被害、そうしたものについては激甚災適用するという明確な御答弁を、まずお願いをいたしたいと思うのであります。いかがでしょう。
  14. 砂田重民

    砂田政府委員 先ほど細田委員にもお答えを申したのでございますが、激甚災指定については、計数その他明確なものを持った上での指定に相なるものでございますから、ただいま検討中というふうにお答えをいたしたわけでございます。ただ、激甚災指定法律運用については、当然弾力的に考えてまいります。私どももそういう方向で検討しているわけでございますが、農地あるいは農業用施設等被害が相当多いと推定ができますので、この面での激甚災害指定については、先生方の御希望の線の答えが出るであろうということをお答えいたしたわけでございます。  農地等以外の問題につきましては、これを激甚災害という形で指定するのか、あるいは局地激甚ということで指定をいたすのか、いずれにいたしましても、被害を受けられた方々あるいは地方公共団体のこれの復旧の多大な財政負担はできるだけ国でカバーをしていきたいという気持ちから、局地災害指定のことも含めて前向きにひとつ検討させていただきたい、かように思うわけでございます。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 いま副長官の前向きの御答弁がございましたので了解はいたしますが、今度ひとつ、調査をした結果、そのことば激甚法適用という姿に完全に結びつくことを私は期待して、その問題についてはくどくどしく申し上げません。  そこで、もう一つ申し上げておきたいことは、今度の災害の特徴的な問題は、もちろん公共施設等において大きな被害をもたらしておりますが、個人災害ですね。ともかく山くずれ、地すべり、こういう姿におきまして、住民方々が今日、生活の不安におののいておるという現状でございます。しかし、法のたてまえからすれば、今日これを救い上げる何ものもない、こういう現状にさらされておるわけでありますが、こういう問題に対してはどういうふうに対処するのかをひとつお伺いいたしたい。  ここに具体的な問題がいろいろあります。全県下にわたっておりますから、いろいろ申し上げてもなにでありますが、たとえば川本町等々におきましては、避難民が今日なおかつ気まぐれな天候の中で、不安な気象の中で不安な生活を余儀なくされておる、こういう現状でございます。さらに、波根の富山地区なんかにおきましては、畑からずっとずり落ちておるという地すべり地帯、こういうところの住民がたいへん不安におののいておるわけでありますが、こうした人々に対する救済法、こういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  16. 砂田重民

    砂田政府委員 災害にあわれまして方々が、応急対策までの間もたいへんな不安の中におられることは十分わかるわけでございますが、やはり医療でありますとか緊急の問題災害救助法の発動によって、できるだけ早くその不安を取り除く努力をいたしたいと思いますが、卜部委員の御質問の中に個人災害のことが含まれていたと思うのでございます。自然災害による被災者救済措置個人が救えないではないか。当委員会で長年先生方が御検討、勉強になっておられる、これは重大問題でございますが、原則として、個人災害は自主的な回復にまつという法のたてまえに、いままではなっております。したがって、国から見舞い金を出すというふうなことは、いまの法律にはなじみにくい、そういう法体系になっておりますけれども、しかし一方、このままでいいかという疑問を当委員会の皆さんもお持ちでございますし、政府といたしましてもまた当然同じような気持ち検討しなければならない重大な事柄であると承知をいたしておりまして、自然災害によります被災者に何らかの救済措置ができないであろうかと、当委員会委員方々の御検討の線にも沿いながら、実はただいま総理府検討中でございまして、個人災害救済一つの方法として、共済という考え方が当てはまらないであろうかというふうなことも、中央防災会議事務局でただいま検討しておるところでございます。これは、このたび総務長官就任をいたしました私の、災害関係まつ先努力をして答えを出さなければならない問題、かように考えておりますことをきょうはお答えをしておきたい、かように考えるわけであります。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 端的に申し上げますと、先ほど激甚法の問題のそれを指摘いたしましたが、ことばを平たく言うと、私は、公共災害は、現在のたてまえからすれば、国が当然その義務を負って復旧専念をするということになっておると思うのであります。これはもうそれでいいと思うのでありますが、いま副長官指摘をされておりますように、ただ、この個人災害の場合に、たまたまそれがその災害に出くわしたという偶然的な問題ではないのです。やはりそれは地すべり地帯であるとか、そういう土壌の悪さ、当然国がこれを地すべり地帯として、これに対する地すべり対策を実施しておかなければならぬことを放置した、そのゆえにこういう個人災害発生をしておるという現実があるわけなんですから、見舞い金程度などというばかげた話はなりませんし、副長官が、今度副長官就任をされて、この問題に専念をされるということでございますが、しかしながら、県当局等におきましては、やはりこれはほうっておかれないわけですね。だから、県単事業としていろいろと携わって、住民の不安を除いておるわけです。国は一切それに対してめんどう見てないという現状があるわけなんですが、ひとつ自治省、どうなんでしょうか、こういうような場合におきましては起債を認めるということについて、自治省考え方を持っておりませんか。自治省、ひとつ答弁を願いたい。
  18. 福島栄造

    福島説明員 お答えいたします。  いまのところ、まだ検討中でございまして、はっきりした結論は出ておりません。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 副長官、いまの自治省答弁にもありますように、きわめて、いわば冷淡でありますね。実際問題として自治省自体は、住民のしあわせのために、私は、そうした検討だとかなんとか——総務長官がおっしゃっておりますように、この問題は、もう従来から問題にされておるところだ。だから、ぜひとも私は、就任したらこの問題を手がけたいと、こう言っておるわけであります。自治省は、なおかつ、検討中であるなどと——とぼけたことを言うなと言うのであります。少なくも、こういう問題については、県当局等におきましてはもう真剣に取り組んで、県自体が乏しい財政の中でこれと取り組んでおるわけなんですから、私は、やはりこれに対する措置を早急にすべきであると思うのでありますが、自治省は、今度のそうしたような個人災害に対する起債は認める、何としても実施したい、ひとつ、このような確認をしてもらいたいと私は思う。前向きの御答弁をいただきたいと思います。
  20. 福島栄造

    福島説明員 災害によりまして個人被害を受けた場合の救済制度につきまして、制度自体を、現在総理府その他の関係機関において検討中でございますので、その検討の結果をまちまして自治省としての結論を出したい、こういうことでございます。したがいまして、制度をどうするかという問題をまず前提にして考えなければならぬ、こういう考え方から先ほど申し上げたわけでございます。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 では、総理府の副長官に申し上げますが、副長官も、この災害特別委員会において、ただ言いのがれ的に発言をしておるとは私は思えないのであります。少なくとも副長官就任した抱負の中で、いまのことばが出てきたと思うのであります。そうするならば、今度の災害に対して、そうした長年の懸案の問題は、ひとつ副長官はこれを一挙に解決をする、そして、これからの災害については憂いのない対策をするということとあわせて、この制度の問題、いま自治省のほうから言われましたけれども、これも、今回のこういう災害から適用するという形の中で制度化するという方向に向かって努力する、努力ということは、実施がされるというふうに理解するような、ひとつ総務長官の前向きの御答弁をいただきたいと思います。
  22. 砂田重民

    砂田政府委員 先生の御意見、ごもっともな点が多々あると私も感じながらお話を伺っていたわけでありますが、卜部委員のお話の中にもございました、制度化する——やはり制度化をいたさなければならないものですから、いましばらく時間がいただきたいのでございます。おっしゃるように前向きの方向で進めてまいりたいと思いまして、たとえば国家賠償法等も実は検討を始めておりまして、国家賠償法という法律に基づいて解決した問題、あるいは国家賠償法という法律から離れても、公の営造物の設置、管理がまずかったからということに発する個人災害についても、示談等で解決した例等もあるはずだと思いまして、それを関係各省にお願いをして、ただいま実は総理府に集めております段階でございます。こういう前例等を参考にしながら、ひとつ前向きに、卜部委員のお話にありましたような何かの制度ができないものか、前向きに取り組んでまいりたいと考えております。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 いまの副長官のおことばで了解をいたします。しかし、そのことばが、次の災害のときにもまた再び繰り返されることのないように、私は、この災害の中でひとつ実施をしていただきたいということを要望して、総理府に対する質問を終わりたいと思います。  そこで今度は、気象庁長官おいででございますか。——私はこの間の災害で、季節風台風というのがありまして、細田委員のほうからの指摘もありましたように、気象業務のいわゆる怠慢、こういう問題について指摘をしたわけであります。今日「ばんだい号」なんかの問題や、さらに、レーダーが吹っ飛んだというような航空事故が相次いでおりますが、そういう面からいたしましても、気象業務というものはたいへん必要なことだ、さらにこれは緊急に整備をしていかなければならぬ、私はこういうように思っておるわけでありますが、その点に対して、もちろん人員の強化、そういうふうなものがなされなければならぬと思っておるわけですが、その点について、どうでしょうか、その後どういうふうな強化がなされておりますか。
  24. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げたいと思います。  言うまでもございませんように、今回の災害関係と関連いたしましても、気象業務が非常に必要であるということは、私も心から信じているわけでございます。ただ、それを強化する面につきましては、七月二十日に気象審議会が開催され、気象業務整備五ケ年計画の大綱について答申を得たわけでございます。そこにはいろいろございますけれども、航空関係につきましても、あるいは今度の災害問題、この問題につきましては、特に集中豪雨関係でございますが、そういった面につきましても、いろいろな方針を答申をいただいておるわけでございます。  集中豪雨関係のことを申しますと、もちろん人や何かの問題もございますけれども、実はこの問題につきましては、集中豪雨のメカニズムと申しますか、それが非常にむずかしいのでございまして、現在の状況で申しますと、集中豪雨が起こりそうか起こらないかというような確率的な予報と申しましょうか、そういうものはある程度、従来の研究によりまして予報ができるようになってまいりましたが、いつ何時に、ここでこれくらいの豪雨が降るというような予報ということは、残念ながら現在はできておりません。したがって、そういう場合につきましては、レーダーを使いまして監視をいたしまして、集中豪雨が、と申しますよりは、非常に雨の強い区域が発見されたならば、いち早くそれを皆さまにお知らせして、災害に対する警戒をする、こういったような方法をとっているわけでございます。  この面につきましても、その集中豪雨を監視する方法といたしましてはレーダーが一番よろしいわけでございますけれども、そのほかに、レーダーで見えないようなところもございますので、そういうところには雨量観測所を置きまして、そのデータをいち早く集めるというようなこともやっておるわけでございますが、ただ、集中豪雨は何ぶんにも非常に小さい現象でございまして、これを監視するということになりますと、たいへんな観測所が必要になってまいります。しかも、それを集めるためには、かりに人手を使うといたしますと、たいへんな人手を使うようなことになりますので、この問題につきましては、テレメーターと申しますか、無線あるいは有線を使いまして集めるといったような方法をおいおい整備していきたい、こういう考え方でおります。  要するに、気象業務を整備してまいります場合には、人員のこともございますけれども、全体のシステム化と申しますか、そういったようなことも考えに入れまして、おいおい整備していきたい、こう考えておるわけでございます。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 気象庁の方に申し上げますが、私は、いまの答弁を聞いていて、たいへん矛盾が多いと思うのであります。私たちの島根県にも測候所その他がたくさんありますけれども、現実に、測候所の予報業務を取り上げようとしていますね。さらに、その業務を縮小して、各地で発表されておるところの長期予報、いわゆる海洋気象台から海上予報、警報、こういうものをあなたたちは取り上げようとしておるじゃありませんか。本委員会においても四十三年、四十四年に決議をされましたけれども、そういうものの強化、こういうものがここで決議をされたところであるにもかかわらず、予報業務の系列化などといってこれを取り上げていこうとするような計画が発表されておるというこういう問題や、今日の地域住民と密着をするようないわゆる気象情報の提供、これはいま欠くことのできない問題でありますが、そういう問題を取り上げようとしておるということについては、私ははなはだ不満であります。この点について、いろいろな航空気象の問題から、海洋気象台の問題から、いろいろと問題を取り上げなければならぬと思います。しかしながら、きょうは時間がありませんので、いまの問題について質問をした程度で終わります。  そこで、委員長に申し上げておきますけれども、ひとつどうかこの問題は、別個に本委員会で取り上げていただきまして——これからいわゆる台風の時期の問題も迫っておりますし、気象業務というものは重要な問題だと思います。さらに、本委員会において決議された問題が無視をされておるという現状もございますので、別個にこの問題をまたひとつ取り上げていただきまして、ここで論議をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  26. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまのことにつきまして、海洋気象台から海上予報、警報を取り上げるとか、あるいは地方気象台から予報を出すような権限を取り上げるというような計画ばございませんので、一言だけ申し上げておきます。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 取り上げる問題はやっていないとか、そういう考えがないと言うけれども長官は知らぬかもしれぬが、予報業務の系列化などという一つの計画案を出しておるじゃないですか。それでもって知らぬということがありますか。私は、そういうものをいろいろ論議をしたり、詰めたいところはありますが、いま委員長にも申し上げたように、別個にやりたいと思うのです。そういうような弁解がましいことは、ひとつ言わぬでいただきたいと思うのです。以上です。
  28. 中井徳次郎

    中井委員長 次は、阿部昭吾君。
  29. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 簡潔にお尋ねをしたいと思います。  念のため伺いたいのでありますが、公共の災害復旧事業、これは従来三カ年で完了する、こういうことになっておると思うのであります。現状はどうかということになりますと、三年間で完了しておらない、こういう状況だと思うのでありますが、所管の総理府においてはどのように現状を把握されておられるか、念のため、最初に承りたいと思います。
  30. 川崎精一

    川崎説明員 お答えいたします。  私どもの所管しております施設関係災害復旧につきましては、現在、直轄事業につきましては二カ年で復旧をいたしております。補助事業につきましては、これを緊要度によって分けまして、緊要なものについては三カ年、そして残りは四カ年、こういうことで現在進めておる次第でございます。
  31. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、これは河川局長の答弁なんですが、砂田長官にお尋ねをしたい。  今回の災害発生をいたしますると、県当局や地方自治団体から——従来、復旧事業に対して、国の補助というのが何年か刻みでついてくるわけであります。そして、この補助決定をされた分に対して起債も認められる、こういう仕組みになっておるわけであります。したがって、この復旧事業がなかなか順調に進んでまいらない。復旧事業が完了しない間にまた大雨が出て、傷あとが広がっていく、こういう状況が繰り返されておるわけであります。そこで、国直轄で行なう部分についてはさておいて、少なくとも県なり市町村なり、地方自治団体が事業主体になって行なう復旧事業について、補助を、小刻みに出すのじゃなくて一ぺんでと言っても、これは無理だろう。そこで、せめて起債だけでも——県なり市町村、自治団体が、急いでやりたい、急いでやらなければ再び傷あとが広くなるおそれがある、だから一気にやりたい、こういう認定をして復旧事業に取り組もう。この場合に、たとえば直ちに復旧の工事をやった、事業を行なった。金はない。補助金のほうは、ずるずる四年間ぐらいの刻みでくることもやむを得ぬというのであります。しかし、起債だけは一ぺんで認めてもらいたい、こういう要望が、県なり自治団体の側から非常に強いと思うのであります。私は、これは自治団体の側の言い分が筋を通しておる、こう思うのでありますが、この主張に対して、副長官としてのお考えをぜひ前向きに承りたいものだと思うのであります。
  32. 砂田重民

    砂田政府委員 私も、災害の問題は、まだ勉強が不徹底でございますから、明確に細部にわたりましてお答えがいたしかねるかもしれませんけれども、その点は自治省からもお聞き取りをいただきたいと思いますが、いまの御意見、私はごもっともだと思うのです。  補助金は、仰せのように三、五、二という、三年といいながら四年になっている。災害の個所により、あるいは規模によって、これがまたさらに延びてみたり、短縮をしているところも中にはある。そういう状態でありますけれども、この補助金の問題を財政的に改善するのはなかなかむずかしい問題であることも、御理解がいただけると思うのでございますけれども起債については、やはりこれは地方公共団体の御希望のような線に沿って——何さま年度初めにわかる災害ではございませんから、地方債計画全体の中に、やはり災害に対処するためのある程度余裕を持ったものを自治省で策定をしてもらいますように、私どもといたしましては前向きに、自治省にもその旨お願いをしていきたい。地方公共団体起債だけででも先に仕事をしたいという気持ち、私は重々わかるものですから、ひとつ自治省と十分その点、前向きな連絡をとらしていただきたい、かように考えます。
  33. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 副長官からたいへん前向きな、意欲的な御答弁をいただきましたので、これまた、自治省あたりの答弁を求めてうしろ向きになるといけないと思いますので、副長官答弁の前向き性を高く評価をして、ぜひひとつ具体化をしてほしいということを希望いたしたいと思います。  第二の問題は激甚災の問題これはいろいろあると思うのでありますが、今回のような場合に、いままでも御質問があったかと思うのでありますが、どうなるのかということであります。どういうふうに見通しをされていらっしゃるか。  たとえば私の県では、現状時点で土木災害約三十億に近い。詳細調査が完了いたしますれば、おそらく四十億から五十億に近い結果が出るのじゃないかといっておるのであります。農林災害も現在で約三十億、これも大体五十億程度に——まだ、山間地の林道等になりますと、全然調査が入っておらない。これが全部明らかになりますと、五十億を突破するのじゃないかといわれておる。お隣の新潟県などでも、相当の被害が出ておるようであります。  こういう現状の中で私ども、従来、激甚災指定というものが、災害が起こったそのときにわっと、何かすごいぞということになると激甚災ということになって、それがずるずると被害が出て、被害の結果が予想外に大きかったというような場合には、何とはなしに激甚災でも何でもないようなかっこうにずるずるといくような印象を私ども持っておるのでありますが、今回の場合は一体どうなのか、どういうふうに把握をされておられるのかということをお伺いしたいのです。
  34. 砂田重民

    砂田政府委員 激甚災指定の問題は、あとから被害が大きくなったときには、ずるずるとそのままほうっておくというような事態は、これはないと思います。やはり激甚災指定をいたしますときは、法令の定めるところによって、ちゃんと明確なその計数を出した上で決定をするわけでございますから、その計数の出し方等について、先ほどから私は、ひとつ前向きに弾力的な運営をいたしますということをお答えをいたしておるわけでありますけれども激甚災害指定は、個々の災害の計数を明らかにした上で決定をすることでございますから、いいかげんなことで、あとからわかった被害が大きかったけれども、あとからわかったものはほっておくというふうなことは、これはいたしませんことはひとつ御理解をいただきたいと思うのです。  基本的なことというお話がございましたから、私は、基本的には、今回の各災害につきましても、前向きにひとつ法の運営をして指定をしていきたい、かように考えております。
  35. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 たとえば、総体としてかりに激甚ということにならなかった。しかし、今回の災害の特徴は集中豪雨、部分的にものすごい、ひどい被害が出ておるわけであります。したがって、一つの自治体、町村等になりますると、財政規模がたとえば二億や三億しかない。一つの町村で、今回の災害の総体の内容というものが十億をこえる、あるいは七億、八億に達しておる。その自治体の財政の状況の三倍も四倍もの被害が生じておる。しかし全体の状態からいうと、県全体の大勢からいうと激甚ということにならぬというふうなことが起こり得るわけであります。しかし、その町村の財政力のもうどうにも手の及びそうにもないようなどえらい災害が起こっておる。全体のこの関係からいうと激甚にはならぬという場合、私は、激甚に準ずるような措置があってしかるべきものじゃないか、こう思うのでありますが、その辺はどうでしょう。
  36. 砂田重民

    砂田政府委員 先生のおっしゃるような事態があります。特に最近のように、局地的な大雨による災害一つの市町村だけを襲うような災害が出てまいりました。そういうことから、いままでの激甚災害法律だけでは地方自治体が救えない。そういうことで、局地激甚という制度ができたものと考えます。ですから、いまおっしゃったような、県全体としてはなかなか激甚指定にはならない、しかし、一つの市、一つの町にとっては、もう財政的には破産をしてしまうような大きな災害、こういうものについては当然局地激甚の指定を行なうことになるわけでございますから、   〔委員長退席、米田委員長代理着席〕 この制度で国がお手伝いをしていく、こういうことになってまいると思います。
  37. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私、不勉強で申しわけないんですが、局地激甚というものの基準、これをひとつ事務当局から簡単にお伺いをしたい。
  38. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 お答えいたします。  局地激甚の指定基準でございますが、一つの公共土木については、一の市町村の標準税収入の二倍以上の災害復旧事業費——査定事業費でございます。査定事業費が、一つの市町村の標準税収入の二倍以上に該当する、このような市町村につきまして局地激甚として指定する、このように相なっておるわけでございます。
  39. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この場合に、農林災害なんということになりますると、査定対象にならぬものが一般的にずっと出てくるわけであります。あるいは、個人生活資財その他が全部やられてしまったというような状況でありますとか、たくさんの問題が起こってくるわけでありますが、いまおっしゃる査定事業費というものになると、町村なり、その自治体が事業主体で行なわねばならぬ復旧事業査定総額ということになりますか。
  40. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 当該市町村が実施する責任を有するその事業査定額でございます。
  41. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 副長官、これはやはり、ちょっと実際問題として無理なんじゃないでしょうか。とにかく、いまの県なら県全般の激甚の場合は、全体としてのとらえ方をいたしますから、一つの地域地域にスポットを当ててみますると、そんなに、たとえばその町村財政の税収の倍以上なんというむちゃなものにならぬわけであります。しかし、その町村が行なう復旧事業費の総額がその町村の標準税収の倍以上なんという状態が、もしほんとうにあったら、そんな町は、しばらくの間、ちょっと成り立たぬ状態になってしまうと思うのであります。この基準も、私はもっともっと大幅に、いまの全般的な、県なら県としてとらまえる激甚の場合にほぼ準ずるような条件で認めるべきではないかという意見を持っておるわけでございますが、その辺は副長官、前向きで取り組むお考えはございませんか。
  42. 砂田重民

    砂田政府委員 局地激甚の指定の場合も、われわれの指定運用といいますか、県全体に対する激甚指定という考え方と、思想としてはちっとも違ってはおりません。ただ、市町村に対する財政援助ということでございますから、やはりそこに一応の歯どめがつくってあるわけでございまして、計数を全部出した上でなければ、今回の災害に当てはめてどうかということは、まだちょっと御答弁をいたしかねる段階でありますけれども、取り扱いについては弾力的に扱っていこう。気持ちの上においては、市町村の財政に多大な被害を与えないようにという気持であることは、一つも変わりはないわけでございます。県全体に対する激甚指定考える場合と、局地激甚を指定する場合と、その思想においては何の変わりもございません。
  43. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これ以上やりたくないのでありますが、現実には、県を対象として激甚指定という場合と、局地激甚というもので見ようという場合との実際上の関係は、その町村の責任において行なう復旧事業費の総額が、その町村の税収の倍以上をこえなければ激甚にしないということになったら、それはとてもじゃないが、私ども山形県なら山形県で見ました場合に、県の税収が二百億円ある、県が事業主体で行なう復旧事業が四百億をこえなければ激甚とは見ないということにならなければいかぬわけじゃないですか。やっぱり局地激甚というものはもうちょっと、弾力的とはおっしゃるのですが、もっと基準を緩和すべきではないか。
  44. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問でございますけれども、標準税収入、これは交付税法の用語でございますが、標準税収入を基準とした指定基準でございまして、市町村の財政歳入歳出、総予算ワク、そのようなことではございません。それよりも少ない数字、標準税収入になっているわけでございます。  それから第二点、局地激甚の制度につきましては、これは再三御説明しているように、市町村を対象にしたものでございます。   〔米田委員長代理退席、委員長着席〕 県を対象とする考えはないかというようなお尋ねでございますが、これは現在、一般の通常の激甚災害、これを適用して運用しているところでございます。  なお、先ほど来副長官からお話がございましたが、農地農業用施設につきましては、一般の激甚災害として適用するかどうか、これを現在、計数を取りまとめて検討しているわけでございまして、農地農業用施設は、かりにこのような指定がなされるとすれば、当然にその対象になるわけでございます。  それから、公共土木施設については、ことしは、現在のところ総体的には大きい被害は出ておりませんが、先生おっしゃるように局地的被害があるわけで、これがその基準に該当すれば、公共土木については局地激甚指定が可能であろう、このように考えておるわけでございます。
  45. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 副長官、ただいまの問題について、先ほどの御答弁のように、現実に即して弾力的な運営というものをぜひはかって、自治体が今回の災害のために数年間、前に出れないという状態が起こらぬような手だてを講じてもらいたい。  次に進みますが、次の問題は、河川法の指定を受けておらない小さな川、こういうところが集中豪雨によってひどいはんらんを起こす。そこから土石流が一挙にふき出してくる。平生の場合は、非常に小さい川ですから、その川に沿うて住家が密集しておる。そこへ集中豪雨で一気に土石流がふき出してまいりますために、埋没、流失、倒壊、あるいは人間の生命に危険な状態が起こる。私の地区でも死傷者が出たわけでありますけれども河川法の適用を受けておらぬ川ということになりますと、河川砂防をやるという方向にもなかなか問題は進んでいかない。それから、あまり大きな川でないものですから、林務砂防をやろうと思っても、それもなかなか進まぬ。やろうというと、全部地方自治団体の責任においてやらざるを得ない。それじゃ現在の地方自治体が、そういう災害の起こらぬような状態にまで正確に施策を進め得る状況にあるかということになりますと、財政的にそれも困難。したがって、局地的な集中豪雨が起こりますと、そういう非常に小規模な河川の流域に密集しておる人家などで生命の危険が起こるといった災害が起こっておるわけであります。したがって、こういうところに河川砂防なり——今回の災害を見ますると、砂防工事をやっておった場所は、同じ災害にしても被害の状況は軽い。砂防工事をやっておらぬような場所は、被害がものすごくひどい広がりを示しておるわけであります。そういう意味で、砂防工事に対して、まだ河川法の適用を受けておらぬ、したがって、すべて自治団体の責任においてやらざるを得ないという小規模なものに対して、国のほうのてこ入れをもっともっと強化しなければならぬということを、今回の被害の中から、自治団体の関係者は強く訴えておるわけであります。これらの問題については、これは副長官の領域ではございませんで、建設省になるのか、あるいは林務ということになれば農林省になるのか、ひとつ前向きな見解をお聞きできれば、今回の災害でそういう苦い経験を味わった方がたいへん希望を持つんじゃないか、こう思うのです。
  46. 川崎精一

    川崎説明員 先生のお話しのように、一級水系なり二級水系の末端におきましては、水系の河川ではございますけれども、いわゆる法律上の名前のついてない河川がたくさんあるわけでございます。そういったところでも、やはり人家等がございまして、土石流その他による災害が多いというようなところは、現在、極力河川に取り込んで指定を追加していくということで、全国的に調査をしまして作業をいたしておるわけでございます。なお、地形その他から見まして砂防工事を行なったほうが適当じゃないかというようなところについては、砂防の区域の指定をしていくというような手だてもあるのじゃないか。その両面から、できるだけ私どものほうの国の援助の手を差し伸べる、こういうような方向を考えていきたいと思いますが、ごく最近の実態をよく知りませんので、その点は、県等とも連絡をしまして、被害の実態等を調べた上で、何かそういった方向で私どもなりに努力をしたいと思います。
  47. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 最後に、もう一つお尋ねをしたいのでありますが、床上浸水をする。したがって、衣類とか、生活に必要な一般の関係のもの、こういうものが全部流されたり、あるいは水浸しになってどうにもならぬ。あるいは商店が商品を全部水浸しにして、たいへんな被害を受ける。これを救済する道は、残念ながら現在の状態ではほとんどない。まあ、更生資金でありますとか、かりに住宅が倒壊をしたなどといった場合には住宅資金でありますとかいうような、ほんのわずかなものはあるのであります。しかし、それは現実の被害に対して何分の一にしかすぎない、資金手当てとしては問題にならない、こういう状況が現在の状態であります。  私は、かつて、新潟地震の際に、赤十字か何かの助け合い運動からの資金だと思うのでありますが、これだけでも、家屋が全壊をした皆さんに対しては、私の記憶では一番高額の——あれは貸し付けだったのか、援助と貸し付けだったのか、いろいろあったようでありますが、その資金だけでも八十万ぐらい援助をされたという実績を知っておるのであります。それから、新潟地震の際は、家屋全壊の方に対しては、住宅金融公庫なども、従来のワクを大幅に打ち破って、相当まとまった資金手当てをした。さらに、農業関係者等になりますと、制度資金の特別のものをここに突っ込む。あるいは中小商工業者、商店等になりますと、国民金融公庫等が相当、従来の一般的なワクの限界を越えた援助をした。  今回、水害や何かでやられた場合ということになりますと、新潟地震で家屋倒壊にあったものも、水害でやられたものも、やられたということには変わりはない。本人の意思いかんじゃなしにやられたということは、変わりないと思うのであります。しかし、援護の手だてということになりますと、いま言ったようなぐあいで、やられたことは同じなのに、政策的、行政的に援護をするという意味ではべらぼうな差がつくということは、私おかしいと思うのであります。したがって、こういう場合には、対策としてはもっと公平に、現実に苦しい状況に直面しておるということでは同じ条件なんですから、少なくともあの条件と同じような援護の対策を、資金的にも、いろいろな面でも講ずべきじゃないかと思うのでありますが、この点はいかがでしょう。
  48. 砂田重民

    砂田政府委員 住宅の問題、あるいは中小商業者が商品を流失した場合、衣料等をなくした場合、いろんな場合を先生はいまおっしゃったわけでありますけれども、やはり、制度としてあるからそれ以上できないんだという考え方にこだわることは、間違いであろうと思います。  今回の災害で家を流失された方の住宅を再建するための融資のあっせん等、これはやはり県なり市町村なりで、相当きめこまかくお世話をしていけるはずなのであって、あるいは中小商業者等が商品を流失した、こういった場合についても、これの立ち直るための資金あっせん等は県段階等でもやっていることでございまして、そういう事業をやります県に対しまして国がまた援助をしていく、この方針はちっとも変わっておりません。  今回の場合も、各県あるいは各市町村の実情をだんだんと把握をしつつございますので、そういう点についても抜かりのないような、罹災者に対するきめのこまかい施策は、やはり私どもとしても、防災会議等を通じてそれぞれの各省にそういうお願いをし、指導をしていきたい、かように考えております。
  49. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの問題と関連をして、特に過疎地域あるいは僻地、こういうところで災害にあった。したがって、この場合移転をいたしたい。それも一戸ではなくて何戸か集団で移転をして、ある意味でいえば集落の再編成とうい考え方で、この事態に、いわば災いを転じて将来の百年の計を立てたいという前向きな皆さんもおるわけであります。この皆さんに対して——羽越水害の際は、激甚災であったというので、ずいぶんいろいろと手厚い援護措置がありました。今回は、局地的にはたいへんな災害なんであります。全般としては、羽越水害のように激甚指定にはならなかったということになると、いまのように、集落の再編成という展望を持って、将来また再び災害が起こるおそれのあるような地帯から脱出をして新しい方向を見出そうということで希望を持つ皆さんに対して、少なくとも激甚である。あるいはそうでないという差をもって援護の手だてが差別をされることはいけないのじゃないか。被害を受けておるところは、広範囲でやられようと、局地で猛烈にやられようと、受けておる被害は同じなんであります。したがって、ここでそういう意味での集落再編成という展望を持った移転その他をやりたいという皆さんに対する手だても、私は差別なしにやるべきではないかという考え方なんですが、この辺はいかがでしょう。
  50. 砂田重民

    砂田政府委員 集落再編成の問題については、議員立法で制定をなさいました過疎対策緊急措置法の中でも、若干の措置ができるようになっているかと思います。ただ、それが必ずしも、集落再編成をやろうという意欲のある方々に御満足のいけるだけの措置が、残念ながら過疎立法の中ではできていないような気持ちも私は持ちます。  それから、広域市町村圏というものを自治省がきめておりますけれども、この広域市町村圏の中での事業の中にも、やはり集落再編成問題を取り上げております。  私は、府県の段階でこの災害実情等を検討しながら、指定された広域市町村圏としての事業あるいは過疎立法の中での集落再編成の事業、これらを府県の段階で取りまとめて検討をしていただけますならば、それぞれ制度としてきまっております国の援助等をこれに加えていきますならば、いま先生のおっしゃったような集落再編成、たいへんな被害を受けたから、再び被害を受ける心配のないところで集落再編成をやりたいという気持ちを持たれる住民方々の御要望には沿っていけるんではないかという気持ちがいたします。具体的にそういう問題を、積極的に私ども調査をいたしまして、そういう御要望がある方々に対する集落再編成というものは、過疎対策としてもこれは重要なことでありますから、ちょうど災害の問題をからめて先生の御意見もございましたので、ひとつこれも前向きに検討させていただきたいと思います。
  51. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これで終わりますが、いま農村で、特に災害などをひどく受けるような地帯は、主として山間地であります。この山間地で、たんぼの流失、埋没、冠水、そういう意味で単に復旧が大問題だということじゃなくて、当面の生活をどうするかという問題に直面しておるわけであります。私は、このことばは非常にきらいなことばでありますが、昔、救農土木事業なんということばがありました。したがって、私どものほうの県なり町村の指導者が言っておりますように、災害を何年か刻みで、ずるずる復旧工事をやろうという考え方じゃなしに、一気にやりたいという考えの中には、ずるずるやっておったら、また雨が来て傷あとがひどくなる、きわめてマイナス要因が多いから一気にやりたいということだけじゃなしに、いま農村の災害地生活の問題がたいへんなんでありまして、そこで一気にこの復旧工事を行なうことによって、災害で経済的なマイナスを受けておる皆さんのいわば当面の生活というものを、復旧工事早期に起こすことによっていろいろ考えていきたいという希望も持っておるのであります。  私はそういう意味で、先ほど副長官がおっしゃったけれども、地方のほうも無理は言ってないと思う。補助金を何年か刻みで出しておったものを、一気に出すようになどということは、いまの国の態度からいって無理だろうというのであります。しかし、起債ならば何とかしてもらえるのじゃないかという考え方は、私は、これはなかなか現実的であり、合理的な考え方だと思うのであります。そういう意味で、少なくとも県なり市町村が事業主体になって行なう復旧事業について、補助金は何年か繰り延べになりましても、起債だけは一気に認めて事業を急いでやらしていく、この対策はどうしても進めてもらいたいということを重ねて希望して、私の質問を終わります。
  52. 中井徳次郎

    中井委員長 それでは、瀬野栄次郎君。
  53. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今次梅雨前線による災害台風十三号による災害等によってなくなられたたくさんの方々に対して、心から哀悼の意を表すると同時に、また、負傷された方並びに罹災者に対しても、心からお見舞いを申し上げる次第であります。  さて、今回の災害について順次質問をしてまいりますが、六月初旬から梅雨前線の影響を受けまして、六月二日から十日にかけて鹿児島県を中心とした九州南部地方、六月十一日より二十一日にかけて鹿児島県、島根県を中心とした九州、山陰、北陸地方災害、六月二十五日より二十九日にかけて新潟県、島根県を中心とした北陸、山陰地方、七月一日より六日に至る島根、岡山、秋田県を中心とした東北、北陸及び中国地方、こうした災害各地に起きまして、たいへんな被害が起きておるわけでございます。  こういった一連災害に対して、各委員から、それぞれ地元の問題を取り上げていただいておりますので、全般的に災害査定が急がれるときでもありますし、また八月、九月にもかなり台風予報も出ておるというときでもございます。災害が重なっておる場所もございまして、いろいろ指摘されたところでありますが、こういった一連災害査定、今後のスケジュール、見通し等について、またどのような対策を立てていくかということを、全般にわたってさらにひとつお答えをいただきたい、かように思います。
  54. 川崎精一

    川崎説明員 梅雨前線の豪雨に伴います被害並びにそれの措置につきまして、建設省関係についてお答え申し上げます。  六月初旬からの梅雨前線豪雨によりまして、私どもの所管しております施設の被害は、報告を集計しましたところでは百八十億余りになっております。その内訳は、直轄災害が約二十一億、補助災害が約百六十二億、そのほかに、公園等の都市施設の被害も若干ございます。それから住宅につきましては、全壊が十七棟、半壊が十八棟といったような状況でございます。  これらの処置といたしまして、当面緊急を要する個所等につきましては、既定の経費を流用する等の処置を講じまして、河川のはんらん防止のための護岸等の手当て、それから応急の交通の確保等に現在着手をしております。  なお、直轄の工事につきましては、現在、予備費を要求して早急に復旧をいたしたいと思っております。  それから、補助関係災害につきましては、先ほど申し上げたように、すでに応急工事は着手いたしておりますが、本格的な復旧のためには、いろいろ現地の測量調査、それから工事の設計等に、県におきましても若干時間がかかりますので、そういった準備体制の整ったところから査定をいたしたいというようなことで、鹿児島は七月の十九日から、島根県は七月二十六日から、岡山県は八月の二日からといったような順序で、準備のできた県から逐次査定を実施していく予定でございます。  なお、住宅等につきましては、被災された方に対しまして、住宅金融公庫の個人住宅災害特別貸し付け及び住宅改良資金の災害特別貸し付け等を行なう考えでございます。  以上でございます。
  55. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、この七月七日に東海地方一帯を襲いましたところの台風十三号、これも二十億近くの被害が起きているわけでございますが、これについてはどのような対策をとって、今後の見通し等はどうなっておりますか、これもあわせてお伺いしたいと思います。
  56. 川崎精一

    川崎説明員 ただいまの梅雨前線豪雨の処置と同様でございまして、それぞれ係官等を派遣いたしまして、応急の復旧並びに本復旧の工法等の指導はいたしておりますが、現在県におきましても、それぞれ災害復旧のための設計等の準備をいたしておりますので、それをまって査定を行ないたい、こういうふうに思っております。
  57. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 災害が重なって起きるというような現象が、最近はとみに多くなってまいっておりますし、ひとつ県民の不安を除くためにも、早急に査定をして対策を講じていただきますように、特に強く要望いたしておきます。  きょうは、各委員からの質問もかなり多くあるようでございますし、それぞれの土地の問題について質問が出るように伺っておりますので、私は、台風十三号の影響等で局地に起きました静岡県の問題にしぼって、一つの例として、特に建設省を中心質問を申し上げてまいりたいと思います。  御承知のように、静岡県の大崩海岸で土砂くずれが起きまして、たいへん新聞紙上を騒がし、また地元のたいへんな問題になっております。とうとい人命の犠牲者も出したわけでありますが、この大崩海岸のいわゆる国道百五十号線、この土砂くずれについて、実はこの土砂くずれは——百五十号線そのものが二級国道であるにもかかわらず、県道並みに県土木部の管轄ということになっておりますが、まず、この二級国道である百五十号線かこのような区間になっているということ自体が、いわゆる総合的に道路行政を推めていく上においても問題じゃないか。また、国がこうした二級国道や県道に対して金をかけて行政を進めていけば事故も減少する。こういうふうにも思われるわけですか、今回の静岡県の大崩の災害について、その点まず最初に、どのような御見解をお持ちであるか、お伺いをいたしたい。
  58. 吉田泰夫

    吉田説明員 ただいま御指摘の国道百五十号の管理者の問題でございますが、おっしゃいますとおり百五十号は一般国道がございまして、これを建設省の直轄の管理区間とせず、知事管理区間として、県に管理さ起ていることの問題かと存じます。  一般国道は全体で約三万二千キロございますが、道路法上これは、地方建設局といいます建設省の直接の地方支分部局で管理するいわゆる直轄管理区間と、それから県知事が管理いたします知事管理区間と二つに分かれておるわけでございまして、そのうち直轄管理区間は主として元一級国道——現在は一、二級国道の区別は法制上はなくなっておりますが、道路法改正前の元一級国道、つまり一号国道から五十七号国道に至る全国的な枢要幹線部分でございますが、これにつきましては大部分を直轄管理区間といたしておりまして、次に問題の元二級国道、これにつきましては、延長も長く、非常に路線数も多いものですから、いわばその路線の重要度等に応じまして、元一級国道に準ずるような路線から逐次直轄管理区間をふやしてきているという現状でございます。そういうわけで、延長的に申せば直轄管理区間は、まだ内地におきましては半分に到達しておりません。北海道は特殊な事情がございますので、国道はすべて直轄管理区間としているわけでございますが、それも入れますと、半分以上が直轄管理区間になるという状況でございます。  この知事管理区間につきましても、国道に指定されているような路線がございますから、きわめて重要なところでございまして、これにつきましては、県におきまして県道と合わせまして管理をしておるところでございますが、この県の管理いたします区間につきましても、もとより直轄管理区間と同様、防災工事の施行等につきまして相当の国庫補助を行なっておりまして、計画的に危険個所の解消につとめているところでございます。
  59. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま説明がありましたが、百五十号線は、前々からたいへん問題になっている路線でございますので、当然直轄管理区間にすべきじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、この点についてはどのように検討されているか、さらにお伺いしたいと思います。
  60. 吉田泰夫

    吉田説明員 この区間につきましては、実は四十五年度から、山の中を通り、海岸を避ける安全な路線を考えまして、バイパスの工事を施行いたしております。そういうことで、現にバイパス施工を実施中であるというような点も考えまして、現在のところ直轄管理区間にはいたしておらないということでございます。
  61. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この百五十号線の災害のよって来たる原因をいろいろ現地で調べてみますと、これは災害でなくて人災だということがいわれておるわけです。たくさんの例がございますが、要するに、今回くずれました山の急斜面のいわゆる崩壊防止のためのコンクリートモルタルの厚さというものが、三ないし五センチと薄かった。しかも、岩の裂け目を利用して流れてくる穴以外には、水抜きのパイプもなかった。長年の風化に加えまして、いわゆる手抜工事によって山はだとコンクリートの間にたまった水が、斜面をもろくさせまして土砂がくずれた、ここに原因があるんじゃないかというふうにいわれておりますが、この点は、今回の災害に対して建設当局はどのように考え、また検討され、判断をしておられるか、お伺いしたいのです。
  62. 吉田泰夫

    吉田説明員 のり面に吹きつけましたモルタルの厚さ等、御指摘のとおりでございます、水抜けにつきましても施工しておりますが、結果的には不十分であったということであろうかと思います。  あの場所の従来の状況から見まして、ある程度の石が落ちるということは予想されましたので、のり面を保護し、がけ面からの雨水の直接の浸透を避けるというような趣旨で、モルタルの吹きつけをしたわけでございますが、あのような大崩落がありました現在におきましては、とてもあのようなものではもたないということがはっきりいたしましたので、今後の復旧工法につきましては十分検討いたしまして、あのような崩落があることを前提に、なお危険のないような工法を採用いたしたいと考えております。
  63. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この場所は、たびたびこういった災害がある場所でありまして、これは当然検討すべきだということは前々からいわれていたところです。最近では、道路の舗装とか道路建設のほうには力が入るけれども、道路の切り取ったあとの防壁というものがどうしても完全でないということがあちこちで指摘されて、あのような惨事をあちこちに起こしております。こういったことは当然に十分検討していくべきである、対策を立てるべきであるということでありますが、さらに今回の状況をいろいろ見ますと、いわゆる工事期間が短期間であったために、コンクリートではなくてH型鋼鉄製洞門といった鋼鉄を使っておったために、多量の土砂が瞬時にくずれて起きたということがいわれ、この責任を政府はどう考えておるかということと、静岡県土木事務所等のパトロールのあり方にも批判の声が起きておりまして、パトロールも十分でなかった、事前に十分にチェックしてなかったということが問題になっております。これらをあわせて、これは当然人災じゃないか、こういうふうにいわれておりますが、この点についても、あわせてひとつ御見解を承りたい。
  64. 吉田泰夫

    吉田説明員 落石を防ぐための落石覆工が現地に設置されておりまして、これがつぶれたわけでございますが、おっしゃるとおり、コンクリート製でなくて鋼製でございます。これは短期間に施工するというようなこともございますが、予想いたしました落石に対しましては、鋼製でありましても十分な強度があると当時は考えておったわけでございまして、かりにコンクリート製にいたしましても、あのような大崩落にはとても耐えられなかったものでございます。  また、パトロールにつきましては、前々日までは、数日にわたってしとしとと雨が雨が降り続いておりましたが、前々日の朝以後雨がやみましたので、パトロールの点も不十分であったということでございます。  以上総合いたしまして、今後におきましては、ああいった極端な事態も起こり得るということを十分想定した復旧をいたさなければなりませんとともに、何と申しましても一般国道におきまして、しかも天気の悪くない時期にあのような事故が起こりましたことにつきましては、道路管理の責任と考えておる次第でございます。
  65. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 道路管理の責任と考えておるということでありますが、全くそのとおりでありまして、今後も災害はあることでありますが、こういったことについては当局も十分指導をされ、また、災害のシーズンでもあるわけでありますから、これは十分注意していただかなければたいへんである、かように強く要望を申し上げておく次第であります。  また、建設省側は、この崩壊の事故原因については、二、三日前の雨で地盤がゆるんでいた上に、四日の夕方から東海道沖を中心に起きた地震が重なったために、車のちょっとした振動でもくずれ落ちる状態ではなかったか、こういうふうに見ておられるようでありますが、今後災害を起こさない、また未然に防ぐためにもあえて申し上げるわけですけれども、こういった場合にどうして交通規制等をしなかったか、そういう処置をしなかったか、こういったことを今後のためにも、私はあえて聞いておきたいのですが、その点の見解を承っておきたい。
  66. 吉田泰夫

    吉田説明員 確かに、事前に交通をとめておれはあのような事故は防げたわけでございまして、その点遺憾に存じますが、ただ、あの場合に、雨が完全にやんで五十時間もたっていたというようなときでございますので、今回の教訓を得る以前の判断といたしましては、とても交通をとめる必要があるという考え方には至れなかった次第でございます。  なお、今後、他の個所も含めまして、交通規制のあり方につきましては十分検討し、ただやたらに交通をとめるというわけにもいきませんので、その辺のかね合いをその場所その場所に即しまして十分検討の上、その場所における過去の状況等もその要素に十分組み入れて、的確な事前の交通規制を実施するようにいたしたい、このように考えております。
  67. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飛騨川の惨事のとき以来、常時観測のために民間人の道路モニターというのが設けられて、大崩地区は二人が配置されているように聞いておるのですが、県は三日に一度現地パトロールをしたいといっておりますが、こういった道路モニターからも通報はなかった、こういうことなんですが、モニターについてはどのような責任があるのか。また、モニターの配置はどんなふうになっているのか。今後のために、これもこの機会にあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  68. 吉田泰夫

    吉田説明員 道路管理並びにパトロールの体制を抜本的に強化すべきは第一の問題でございますが、なかなか人員、器材等の関係で、急速に全部の危険個所を常時事前に点検することが困難な状況でございまして、こういうものを補なう意味におきましても、御指摘の道路モニターの制度を過般来とっているところでございます。モニターは、あくまでも道路管理体制を補なうという意味でございますので、このモニターに道路管理の責任を負わせるというわけには当然まいらないわけでございます。責任という意味では道路管理者のみに帰一するわけでございますが、実際上の問題として、そういったモニターの方々の常時の情報の把握及び伝達を受けるということか非常に効果があると考えてやっておる次第でございます。  モニターとしては沿道の住民、特に自動車が利用しそうなガソリンスタンドであるとかモーテルとか売店のようなところの方々に主としてお願いし、事前の予徴ともいうべき小さな崩落があるとか、非常に局部的な雨が降るというような情報を、的確に早急に道路管理者に提供していただいて、道路管理者が直ちにその現地に出動して、必要な点検及び必要ならば交通規制をするということにする体制でございます。  従来のこの制度が必ずしも十分活用されておらないことが今回わかりましたので、今後におきましては、モニター制度のほんとうの効果あるあり方というものをさらに十分実施いたしたいと考えております。
  69. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 このような土砂崩壊、がけくずれが今年はしばしば起きたわけですが、この危険個所についてはあらかじめわかっておるわけでございまして、予知のためにいわゆる計器、すなわち地殻の伸び縮みをはかる計器でありますが、この計器の設置について、一部関西方面では設置した例も聞いております。現在まだ試験的な段階で、警報器の取りつけが少ないようにも聞いておりますが、こういう特に従来から問題になっておるような場所については、予算を計上して、特にこういった場所に対する警報器の設置というようなことも当然今後考えなければ、このような災害が起きてからではたいへんだ、かように思うわけです。これに対する今後の考え方、また現状はどういうことになっていますか、この機会にあわせてお伺いをいたしておきます。
  70. 吉田泰夫

    吉田説明員 道路の側面にあります山地あるいはがけ地の地すべりとか土砂の崩落ということをあらかじめ検知するという施設ができますと、パトロールやモニター等とあわせまして活用した場合に非常に効果があり、不幸な災害がずいぶん救われるのではないか、このように考えております。ただ、地すべりにつきましては、ややその的確な予知ができそうな施設が考えられるのでございまして、これについての施設も現に若干設置しておりますが、問題の落石あるいは土石の崩落というものを予知するに適当な警報施設につきましては、必ずしも、どのような施設をつくればそういう事故の前徴としてとらえられるかという点の究明がなされておりません。  しかしながら、御指摘のように、こういった施設が整備されますことはきわめて重要なことでございますので、現在は各地建に数カ所程度の試験的施設しかございませんが、これを早急に二十カ所程度にふやして、さらにその予知能力を試験し、改善を加えつつ、できるだけすみやかな機会に、そういった技術開発とあわせまして、各県にも漸次その試験施設の範囲を及ぼし、成果を得次第、本格的に危険個所についての警報施設の設置をはかるように持っていきたい、このように考えております。
  71. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 先ほどから答弁がありましたように、道路モニターにしても道路パトロールにしても、人員、器材その他、予算の関係でなかなかたいへんである。また、道路モニターになかなか責任が持たされないということは当然であります。ただいま答弁がありましたように、この警報器、こういうものを、こういった災害が頻発して起きておりますので、ぜひ早く試験的段階から実施の段階に移して、重要な個所は全国的にマークされておるわけですから、ただいまの答弁で二十カ所ということでございましたが、もっと大幅にこれを設置して、災害が起きて、その危険が起きたならば、地殻のゆるみ、振動によってブザーが鳴る、それによって交通規制あるいは迂回をするというようなことでやれば、とうとい人命も、また自動車も未然に事故を防止することができる。こういったことに最善の力を尽くしていくことが大事ではないか、こういうように思うわけです。すみやかに今後設置して、技術開発していく、また改善をしていくということでございましたから、ぜひそういったことで今後早急に対策を立てていただきたい、かように申し上げるわけであります。  なお、国道百五十号線についてバイパスの計画があるということを先ほど言われました。これについても、今年度は三億円で、用地買収も含め、路線を決定することになっておるように聞いております。また、このバイパスは四十二年、四十三年ごろから話が持ち上がって、五十年度までに五十四億で完工する予定であるように聞いておりますが、このバイパスができればこういった事故も防いでいけるということにもなるわけでありますが、この仕事自体がずいぶんおそい。ああいう危険な問題の場所であるにもかかわらず、役所の仕事はスローモーであるということが指摘をされております。  この点が一点と、大崩海岸はいろいろの防災工事を施しておるわけですが、全国では、防災工事らしいものを施していないところが、国道で四千八十九カ所、地方道で一万六十六カ所、合計一万四千百五十五カ所、こういうふうに建設省当局は発表しておられるわけです。国民は、常にこのような危険にさらされておることになります。  建設省では、四十三年の飛騨川のバス転落事故以来、こうした危険個所について、ABCの三ランクに分けて補強工事を行なっておられるやに聞いておりますが、四十三年度末には二万一千百五十一カ所もあった危険個所が、次第に減っておるには違いありませんが、昨年、百二十億を投じて二千二百八十カ所に防護壁をつくった、このように私承知しておりますが、現在、有料道路等の高速道路の建設が急ピッチで進んでおるのに比して、このような防護壁、危険個所に対する補強工事というものがずいぶんおくれている。あと回しになっている。そのためにこのような連続した土砂くずれが起きる、こういうふうに私は思うのであります。この点について、どのように今後対処されようと考えておられるか、お伺いしたいのであります。
  72. 吉田泰夫

    吉田説明員 百五十号のバイパスにつきましては、おっしゃるとおりすでに着工に入っておりますが、従来の計画は、昭和五十年度末完成の予定でございました。しかしながら、このような災害が起こった現状にかんがみ、かつ、あの部分を抜本的に安全化するにはバイパスが最も必要でございますので、そういった危険個所の解消という意味も兼ねますと、あの部分のバイパスは特に急がなければならないのじゃないかと考えております。問題は用地買収の完了時期でございますが、これを極力本年度内に終わることによりまして、予定より少なくとも一年程度は短縮いたしたい、このように計画いたしております。  次に、防災工事の実施状況でございますが、従来もたびたび点検をしておりますが、さらに今回の事故にかんがみまして、あらためて総点検を指示いたしました。八月末にはその結果が出てまいると思いますが、これによりまして、すでに防災工事を施行した個所を含めまして、あらためて、今回の経験を前提とした危険個所を洗いざらい拾ってくることにいたしております。  なお、従来の点検による危険個所につきましては、約二万一千カ所あったものが、逐年、防災工事を実施いたしまして減ってきているわけでございまして、四十五年度約百七十億、四十六年度は約百八十億というようなテンポでやってきております。このテンポは、従来の危険個所の拾い方の数から見れば、少なくとも一般国道については、三年程度で解消するスピードであったわけでございますが、なお地方道につきましては、テンポとして非常におそいものがあり、さらに今回の総点検によって、おそらくはまた危険個所も基準を下げて出てくると思われますので、またふえると思います。そういった危険個所をできるだけ早急に解消する。予算措置との関連もございますので、交通量あるいは危険の度合い等を勘案いたしましてランクづけを行ない、特に重要な個所については短年月の間に完了するという計画をもって、従来の予算額を大幅にふやして、道路政策の超重点として施行いたしたいと考えております。
  73. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制約がありますので、最後に一点伺いますが、ただいま答弁がありましたように、八月末にはあらためて総点検を終わって、危険個所を各ランクごとにきめ、今後早急な対策をしていくということでございますので、ぜひひとつ、とうとい人命を守るために、このように対策を練っていただきたい。また、そのように処置していただきたい。二度と繰り返さないようにひとつ対策をとっていただくように、心からお願いをする次第です。  最後に一点お伺いして、質問を終わりたいと思います。  気象庁長官にお尋ねしますけれども、今回の梅雨についてでありますが、われわれが気象庁の予報承知している点では、七月中旬につゆが明けるということでございましたけれども、実際は六月下旬につゆが明けて、いろいろな面で農家その他も予定が変わってきたということで、実際に気象庁に対するいろいろな批判が出ております。この今年の梅雨の見通しの間違った点、こういったことについて、どのような原因があったのか、見通しについて、どういう原因でこのように梅雨が早く終わったのか、ひとつこの点を明らかにしていただくということが一つと、もう一点、東北地方の冷害地帯、これについても農林省に質問するつもりでありましたけれども、時間がございませんので質問は省略して、低温による今回の東北地方の冷害等の、たいへんな、史上二番目というような被害を受けておるわけでありますが、二、三年に一度は被害を受けているにもかかわらず、政府の対応策がいつも後手後手に回っているわけでございまして、気象予報の不徹底さも、これは重要な問題でございます。しかるに気象庁は、予報業務の系列化をうたって、気象観測所等の人員削減をはかろうとしておられるわけで、前委員会でもこれは指摘したところでありますが、今年度にこのように災害が相次いで起きてくる。しかも、八月にはまた低温がやってくる。また災害が八月、九月にはすぐもうやってくるということで、国民はいろいろ心配いたしております。こういうところから、冷害、風水害等の一連災害からもまた、毎年言えることでありますが、気象観測がいかに大事であるかということを物語っておるわけでございまして、時代の要請に逆流したこのような人員削減、こういった測候所等の縮小をするというような問題についても、たいへんな心配が予測されるわけであります。こういったことについて、予報体制の確立など抜本策が必要である、今後さらに強化していく必要がある、かように思うのですが、この二点について最後に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  74. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの点につきまして、御返事申し上げたいと思います。  まず初めの、つゆに対しましての長期予報のはずれの問題でございますけれども、この点につきましては、私といたしましては、たいへん申しわけなく思っております。  ただ、つゆの問題につきましては、実はつゆという現象が何であるという学問的な問題につきましても、非常に問題がございまして、実は毎年この問題につきましては、新聞、ラジオあるいはテレビなどで問題になるところでございます。今年度におきましても、確かに六月の末あたりに一たんつゆが明けたような状態になりまして、そういう意味では長期予報がはずれたというふうにも見られるかと思います。しかし、最近の天気を見てみますと、これはいわばつゆがまた舞い戻ったというような関係でございまして、こういうような観点からいたしますと、ことしの長期予報は必ずしもはずれたとはいえないような点があるかと思うわけでございます。  長期予報の点につきましては、これは現在、遺憾ながら十分な精度がございません。これは日本ばかりでなく、各国ともこういう状況でございます。しかし、これは非常に重要な問題でございますので、各国とも、たとえば世界気象監視計画でございますか、そういうものだとか、あるいは大気開発計画というような計画がございまして、全世界で共同してこの開発を進めていきたい、そういうような状況にございます。それが第一の点でございます。  第二番目の、予報の系列化の問題かと思いますけれども、この問題につきましては、いろいろな学問や何かあるいは施設や何かがだんだん進んでまいりましたので、いろいろな気象予報に関するやり方につきましても、従来のようなやり方をそのまま続けていったのでは、せっかくの宝の持ち腐れになるというような観点から考えておるのでございまして、この計画につきましては、もういわゆる定員削減問題の起こる前からこういう考え方を進めていたのでございます。したがって、直接そういうような削減を目的として計画したものではございませんで、むしろ予報なり長期予報なりの精度を上げて、皆様にどういうふうにして早く伝えるようにしたらいいか、こういうような点を中心にしてやっているのでございまして、現在まだ検討中でございまして、これをどういうふうにやるかということについて、まだ決定をいたしておりません。それが第二点のお答えでございます。
  75. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では、時間がございませんので、以上で質問を終わります。
  76. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、三木喜夫君。
  77. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この十六日から十八日にかけて降ってわいたように起こりました各地災害、水害あるいは人身事故は、天災というより人災の感が非常に強いのであります。ここに政治の根底の問題があると思います。  私は、主として兵庫県下で起こりました災害についてお伺いしたいと思います。特に兵庫県下におきましては、このたびなくなられた方が二十一名、重軽傷の方が八十五名、その他災害を受けられた方がたくさんございます。これらの方に対しまして、私は現地を視察した者といたしまして、心よりお悔やみを申し上げ、お見舞いを申し上げておきたいと思います。  わが党は、災害のありました翌日、災害対策特別委員会事務局長をしておられます松浦代議士を団長にいたしまして、私も現地の調査に加わりました。質問に関連がありますので、現地の状況を概略申し上げたいと思います。  兵庫県担保郡御津町新舞子海水浴場の休憩所が三軒、がけくずれのために押し流されまして、十名のとうとい人命を失いました。この現地を第一に視察いたしました。  第二は、それから十キロほど西の相生市高取峠の国道のがけくずれを視察したのですが、ここもバス転落し、乗用車が三台もがけの下に落ちまして、ここにも人身事故を生んでおります。  さらに第三の地点といたしまして、相生市内の集中豪雨のありました被害激甚な地区を、三地区に分かれて見たわけでありますが、ここでも人身事故があり、浸水家屋が旧市の三分の一の、六千戸に及んでおりました。  他の党の方も視察に行かれ、きょう御質問になるということでありますので、私は、三点にしぼりまして御質問申し上げたいと思います。  第一点は、砂田長官にお伺いし、警察庁からもおいでになっておるようですから、警察庁の方にもお聞きしておきたいと思うのです。  すなわち、第一の視察地であります新舞子のがけくずれの事故ですが、これはちょうど四十二年七月、神戸市の市ケ原のあのゴルフ場の無計画な造成によって大きな事故が起こりました。この事故が起こりましてから、一体どこに欠陥があったのかということがよく検討されておるはずでありますのに、またこういう事故が起こっております。したがって、今回のこの事故をどのように把握されておるか。ここに報告書は出ておりますけれども兵庫県におきましては田中鑑定——神戸大学工学部土木学科の教授の鑑定を、もうすでに出しております。これを是認されるのかどうかということであります。  それから、これを刑事事件として非常に重視しておるということですが、警察庁はこれをどういうように処理されておるか。まだ検討中では、もはや許されぬのではないかと思います。そのうちにあとかたはなくなってしまいます。その第一点の質問お答えいただきたいと思います。
  78. 砂田重民

    砂田政府委員 新舞子のあのがけくずれにつきましては、神戸大学の田中工学部長を主査にされての調査を警察のほうでやっていただいているようでございまして、実は、それの報告が県から出てまいるのを待っている段階でございます。一日も早くその調査結果を伺いたいと思って、ただいま待っておりますので、いまの三木委員質問の点につきましては、これをどう考えるかという点につきましては、その報告が出次第私どもとしても検討を加えたい、かように考えております。
  79. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の新舞子海水浴場の問題でございますが、兵庫県警といたしましては、即刻県警本部及び、あそこは所轄が竜野警察署でございますが、これと力を合わせまして、さっそく検視をし、そしてまた、先ほど先生おっしゃいましたように神戸大学の田中先生、こういった方の検分も得まして、現在あらゆる角度から多角的に総合的に原因究明、捜査中であります。
  80. 三木喜夫

    三木(喜)委員 第一点の質問は、私は、予防の立場ということが非常に大事だという観点からお伺いしておるわけです。したがって、前回の市ケ原のゴルフ場の問題からこちらへ、一体どういうようにこういうところの予防に当たったかという、その基本姿勢を聞いておきたいと思う。  前回の四十二年七月の災害のときに、砂田長官もちょうどこの問題について、非常に詳しく質問なさっておるのです。前回の質問の要綱を読んでみますとね、だから、あなたも、この問題については骨の髄まで、神戸市の問題としてたいへんなことだということで考えておるだろうと思うのです。今回はよそのことじゃないのです。兵庫県のことですし、予防の立場から、前回のことからどういうように発展し、どういうような計画を立てていって、その観点からこれを見たらどうなるかということを聞きたいのです。  そこで、いま砂田さんのお話では、兵庫県から全然そういうものが出ないというお話なんですが、これは私は国会図書館から借りてきたんですが、神戸新聞の二十日付のがきょうついたのですね。それにはやはりはっきりと、いま警察庁の方も言われたように、田中鑑定も出ておるのです。だから、こちらへつくのがそんなにおそいはずはないと思うのです。結論が出るまで待っておられるのですか。あるいは合同でやっておられるのですか。これは警察庁のほうに聞きたいのですけれども、結論が出れば、ああそうですかということでそれを受けて立たれるのか、この二つですね。前回からこちらへ、これをどういうように検討してきたか、あなたの頭の中にこびりついておる問題ですから、だから聞くのです。
  81. 砂田重民

    砂田政府委員 お答えをいたします。  市ケ原の問題は、私も現地を当時見ましたし、三木委員のおっしゃるとおりでございます。  そこで、いま基本的な姿勢というお話でございましたが、基本的な姿勢といたしましては、中央防災会議事務局長として、災害を未然に防ぐ防災ということにつきましては、やはり開発よりも保全、そっちに重点を置いて考えていかなければならないと、私は基本的に考えております。  ちょっと話が横道にそれるようでありますが、経済発展と公害による国民の生命、健康、どちらに重点を置くかということは、もうすでに法律も改正されて明確でありますように、この問題についても、やはり開発よりも保全のほうに重点を置いて当然考えるべき筋合いのもの、かように私は考えております。  そこで、四十二年の七月の市ケ原等の神戸市のあの災害のあと、あれを契機といたしまして、建設省で急傾斜の危険地区の指定等を行なってきておりますけれども、今回の新舞子のあの地区につきましては急傾斜の指定になっていなかった、こいうふうに聞き及ぶわけでございまして、そこで警察庁で田中鑑定というものを求めて、ただいま捜査中、調べておられる段階と伺っておりますので、中央防災会議を、できるだけ早い時期に連絡会議を開きまして、この警察庁で入手をされます田中鑑定というものの結果も爼上に上げて、急傾斜の危険地区の指定の中からこぼれておるところで起こった災害——重大な問題であります。さらに、どうも最近は休日に災害が多いようでありまして、御視察になりました相生市の山くずれ等も、自動車が、休日のために非常に長くつながって渋滞ぎみのところに、土砂がくずれて被害を受けている。こういう問題、こういうことが予測できないかどうか。また、ある程度予測ができた場合の交通遮断の方法をどういうふうに迅速にやればいいかというふうなことについても、きわめて近々のうちに中央防災会議の連絡会議を開いて検討をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  82. 三木喜夫

    三木(喜)委員 警察庁のほうにお伺いしておきたいのですが、結局これは刑事事件として成り立つという考え方なんですか。どういう考え方でいま対処しておられるのですか。これも砂田長官の言われるように、県のほうの鑑定待ちということですか。  それから、いま急傾斜の指定地ではないという砂田長官のお話がありましたが、大体傾斜が、三十メートルの高さがあるのですね。そうすると、常識的に考えれば、この急傾斜地における前の家というものは、その三十メートルの一・五倍、前に出さなきゃいけないという規定がありますね。あれは、それが二メートルほどしかないのですね。それに、これは毎日新聞だと思うのですが、この新聞によりますと、すでに書類だけ、平面図だけ見て兵庫県が認可を与えておるということが書いてあります。指定地でないとかあるとかいうことが問題でなくて、こういうレジャー施設、たくさんの人が行くような場合に、そういうあり方でいいのだろうかどうかということですね。  この建築認可ということも、これは問題になると思うのです。これは三十七年に制定された兵庫県の建築基準条例——「ガケ地(高さ三メートル以上)に接して建築物を建てるとき、ガケ地の安全度が確認されるか、納屋や倉庫など人が住まない建築物である場合を除いて、ガケの高さの一・五倍の距離を置いて建てなければならない。」と規定しておるのです。  だから、あなたのおっしゃる指定地でなくても、すでにこういう規定があるのですね。そういうところから考え合わせて、こういう下に建てた——それ金面図で許可を与えたようですね。そうすると、許可を与えた者も、これは刑事的な罰があるのですか。それもあわせて警察庁に聞いておきたい。みんな罪をのがれてはだめです。責任をのがれてはだめですよ。私が責任あるのだという立場でこれを対処しなかったら、いつまでたったって堂々めぐりですよ。だから私は、前の災害からこちらにどういうような態度で、どういうような基本的な検討をなさっておるかということを聞いておるのです。これは警察庁にちょっと聞いておきたいと思います。
  83. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  新舞子の海水浴場のがけくずれのいまの件につきましては、先ほどお答えしましたように、県警本部の刑事部でございますが、それと竜野警察署、現在八十名でございますが、それでいろいろ多角的に現在捜査中でございます。たとえば、石垣の設置の状況あるいは工法についてどうであったか、あるいは排水管の状況はどうであったか、こういった捜査の面。あるいはその際の避難誘導、こういった面についてどうであったか。あるいは降雨量の問題、こういったいろいろの面からやりますとともに、先ほど申し上げましたように、田中先生にいろいろ検分をしてもらいまして、警察といたしましても現場を十分検分する、あわせて被害者なり、あるいは関係者から十分事情を聴取するというふうなことで、人災的なものがないかどうか、あるんじゃないかというふうなことで、事故の原因の究明、あわせて刑事責任の有無という面から、現在鋭意捜査中でございます。
  84. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私のお伺いしておるのとちょっと食い違ったお答えをいただいておるような気がしてしかたがないのですがね。とにかくああいう、女性六人を誘拐して殺害をしたということになると、上を下への大騒動をする。ここでもやはり、ちょっとした建築の配慮の足らぬところから、十名の人がなくなっておるのですね。これは人災だということ、これはもうはっきりここに書いてありますよ。石がき築造に欠陥とか、地下水の流水を妨げるとか、濃い人災的要素と書いておるのですね。それで、これの取り組み方を、殺人のあった事件と同じような立場に立ってこれを取り調べるのか。単なるがけくずれとして付随的に起こった問題だという、こういう立場でやられるのか。そこは心がまえの問題で、これから事故が起こる起こらぬということに対して、皆さんがこれからたいへん警戒をされるわけですね。付随的な問題として考えられると、これは非常にゆるくなります。その姿勢を聞いておきたいのです。
  85. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  おっしゃるように警察は、国民の生命を守る、これが責務でございます。したがいまして、その原因いろいろございますが、今回のがけくずれによる死亡者十名、これはやはり非常に重大な事故でございます。そういう意味で、この原因をやはり徹底して追及するという態度でございまして、決して先生のおっしゃるように、他の付随的、そういう意味合いでなくて、やはり死んだという厳粛なる事実をもとにその原因を徹底して究明する、こういう態度でございます。
  86. 三木喜夫

    三木(喜)委員 砂田長官にお伺いしておきますがね。あなたたのほうでも、国道の事故とかいうものに対しては国家が賠償するという、こういう前向きの法律案をいま検討中だということを聞きました。いまそういう計画がおありになるのですか。これは賠償するというのは、金銭的な賠償です。しかしながら、公害についても、公害罪というような刑事的な色彩を持ったあれと、それから企業責任を追及するところの法律と、二本ありますね。行政的な処罰と刑事的な処罰。いま警察庁にお聞きしておるのは刑事的な立場をお聞きしておるのですけれども、行政的な立場で対処するという、こういう姿勢がいまあるのですか。ちょっと聞きますとそういうように伺うのですがね。
  87. 砂田重民

    砂田政府委員 国道での被害を国家賠償法で何か措置ができるかということを検討しておるかという御質問であろうと思いますが、そういう意味の検討ではなくて、国道等がくずれて、それによって被害を受けられた、あるいは国道等がくずれたために、たまたまそこに公営建造物等があって、それがくずれて、そのために被害を受けられた。そういったことがどういうふうに解決をされたかということのいままでの事例をただいま調査をしておりますということを、先ほど私は答弁をいたしました。その事例を調査した上で、ひとつそれから検討を始めたいと考えているわけでございます。  それから、ただいまの新舞子の問題でありますけれども中央防災会議の連絡会議を開いて、三木委員がおっしゃるように、これは非常に重大な問題が含まれておりますだけに、中央防災会議の連絡会議で、先ほどから三木委員がお尋ねになっておられるような、建築基準法に基づく問題をどう県が扱っておられたのか、県条例をどういうふうに指導しながらやってこられたのか、具体的な建設省への県当局からの報告を、行政的にこの会議で聞くだけではなくて、おっしゃるように、警察もただいまそういう調査をしておられますので、警察において何らかのそういう結果というものをつかまれた場合には、それをあわせて伺っておきたい。それによって、その出てまいりました結果、中央防災会議として緊急にどういう措置をするかということを考えていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  おっしゃるように、四十二年のあの市ケ原がくずれたあと急傾斜の危険地区を指定いたしましたけれども、これからこぼれていたところがあったということ——たとえ指定があろうがなかろうがということも、ごもっともな御意見でございます。当然のことでございますけれども指定からこぼれていたところがこういう災害を受けたということも、われわれにとっては重大な問題でございますから、こういうことの再点検をひとつやりたい、かように考えているわけであります。
  88. 三木喜夫

    三木(喜)委員 質問の第二は、この視察地の二番目の高取峠国道のがけくずれでバス、乗用車三台が押し流されたことですが、これもいまお話がありましたように、四十三年の八月飛弾川の事故、四十六年の七月ですか、大崩海岸の土砂くずれの事故、こういう事故が起こりましてから、高取峠の事故までにだいぶ時間があるわけですね。日数があるわけですね。この間にこの教訓をどう生かされておるか。生かされておれば、当然この高取峠でも何かの措置がなされなければなりませんのに、交通規制も行なわれていない。あるいはパトロールも行なわれていない。さらにまた警報も発していない。こうなら、ここを通るところの市民は、こういう天災にあっても何ら守られなかったということになりますね。国によっても県によっても守られなかったということになりまして、なかなかうっかり歩かれない、あるいは車にも乗れないということになってまいりますね。何かの措置をなさったということなら、やはり前回の教訓が生きてきておるということになるのですね。  それから第二の、国家賠償法という立法措置をやられたらどうですか、こういうことで事故が起こった場合。私が視察に行ったとき、県の上郡の土木出張所の所長が来ておりました。出張所長は、北のほうでひょうが降りまして、そして農作物がやられましたので、そのほうに行っておりまして、当日は日曜だったので、モニターも機能は発揮しなかったようでありますね。そういうことで、日曜ともなれば完全に機能が停止する。これでは幾ら反省しても、幾らモニターを置くということを言っても、パトロールすると言っても、これはできない話で、その機能が十分に発揮できるような道を講じなかったらいかぬじゃないか。私の第二の質問の要点は、機関の運営をどうするかということですね。せっかく機関があるのですから。モニターも、何とか課長が二人ほどモニターになっておられたようでありますが、そのモニターからも通報はなかったわけです。だから、言うなら、こういう問題は、十全に機能が生きて働くようにしておかなかったら、忘れたときに災害は来るのですから、しょっちゅうかまえておるとき——これを見せてもらいましたら、大崩海岸では、パトロールをしっかりやられ、それからモニターも十全に働いておるときには問題が起こっていない。いま御質問になった方のお話では、ちょうど七月に入ってからですか、機能を停止して、とまっておったときに大崩海岸の問題を起こしておるようですね。高取も同じことです。しかも、高取の非常に油断ならぬことは、傾斜が非常にゆるいところですね。非常にきついところからがけくずれがあったということならわかりますけれども、現地に行ってみますと、とてもこんなところから土砂くずれがありそうにない、非常に平たんなところから土砂がくずれたわけですね。これは地下水の問題だろうということを、新聞は書いております。どういうように原因を考えておられるのか。そして、その機関の運営を、大崩海岸あるいは飛弾川の教訓をどう生かしてやられようとしておるのか。言うなら砂田さん、あなた、副長官になられたとき非常に間が悪いことで、防災会議は防災ではないのですよ。言いわけ会議みたいなものだ、総理府につくっておられるのは。どういう言いわけをしようかということを、うしろの副官があなたに耳打ちするだけの話で、防災会議の意味合いを十分に発揮してもらわなければ困りますよ。兵庫県でこんな、非常に恥ずかしい事故が起こってきたのですから、事後の措置をせめていいようにしてもらうということと、これを十分に生かしていただいて、機関の運営をしっかりやってもらわなければ困る。その点ひとつ御答弁いただいて、次に移ります。
  89. 砂田重民

    砂田政府委員 総理府総務長官就任したのが間が悪いというお話でございましたけれども、私は、間が悪いとは思っておりません。就任早々に地元の兵庫県でああいう事態が起こりましたので、おっしゃるように、飛弾川以来一体どういう措置がとられていたのか、私自身が三木委員と同じような気持ちを持ちましたので、そこできわめて近々のうちに、各関係官庁が地元からの情報をしっかり収集をした段階で、できるだけ早い時期に中央防災会議の連絡会議を持って——三木委員のおっしゃいましたように、休日であるから、休みだから連絡がとれない、そういう事態は、私もまことに奇異な感じを持ちますだけに、その会議を近々のうちに開きたいと考えているわけでございます。おっしゃるような方向で、モニターがりっぱに役を果たせるようにするにはどういうふうにすればいいかということを、早急に答えを出したいと考えておりますけれども、いまの三木委員の御質問の具体的なお答えについては、建設省の道路局が参っておりますので、そちらから御答弁をさせたいと思います。
  90. 吉田泰夫

    吉田説明員 二百五十号の一般国道の土砂崩落事故につきまして御指摘を受けたわけでございます。確かに過去にいろいろな事故がございまして、そのつどその教訓を生かしたつもりでございますか、生かしてパトロールの強化とかあるいは事前の交通規制、その準備のための状況の把握ということを通達もし、関係者も集めいろいろ指示してきたところでございますが、遺憾ながら交通量も続々ふえ、防災工事を行ないましてもなお手の届かないような個所も残りまして、再度にわたりああいう事故が起こりましたことは、はなはだ申しわけなく存じております。特に二百五十号につきましては、御指摘のとおり休日でございましたために、特にパトロールあるいはモニター等の活用がなかったという状況でありまして、二百五十号に限らず、特に休日における管理体制が非常に弱い、このことが事故につながるおそれが多分にあるということを、身をもって感じた次第でございまして、さっそく、休日といえども職員の勤務時間をやりくりし、あるいはモニターとの連絡方法、あるいはその情報の伝達手段というようなことを平素から確立しておいて、緊急のときにそれが計画どおり作動するという状況にさせるようにすべきであるということを重ねて指示し、指導してあるところでございます。  確かに、特に二百五十号で問題なのは、傾斜が非常にゆるいところでございまして、非常に短時間にたいへんな多量の雨が降ったということが根本原因かと思いますが、いろいろな事情で、たとえば行く先の相生市が浸水したというような事情もあって、たまたまあの道路のあたりが渋滞した、非常に自動車が密度高く走っておった、あるいはとまっておったという状況でございますので、道路そのものの改築もはかりますとともに、危険個所の考え方についてもあらためて考え直し、さらに、危険と思われない個所につきましても、異常の災害に備えまして、事前の報情等の把握と交通規制の励行ということをはかりたいと考えております。
  91. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あれは大体パトロールすべき指定区域だったのです、高取峠全体は。そういうことができなかったので、今後の対策はまた、そちらで考えていただいたらよいと思うのです。当日そういうことのできなかったということが、どういうところに原因があるかということをお聞きしておったのですけれども、機関の運営ということで。  第三の問題に入りたいと思いますが、第三は、相生市の大谷川の災害によりまして六千戸も浸水しておる。たいへんな水害です。都市河川のあり方ということが問題になるのですが、これについて、私は相生市全体の状況を見まして、局地激甚地指定は受けられると思うのですね。これは可能だと思うのです。これは砂田長官にお伺いしておきたいのです。  それから、こういう都市河川、現地を見ておられないから言われないかと思いますけれど、災害復旧対策を建設省にお伺いしたい。  それから農林省には、水稲が水づかりになっておりますから、ポンプアップの問題をお伺いしておきたい。三日間もつかりますとたいへんなことになりますから。  それから気象庁ですが、気象庁はいまいろいろお話がありましたのですが、私は、総じて今後の対策としては、近代的な科学を導入して、悪名高い気象庁の名前を返上されたらどうかと思う。それには、テレメーターだとかあるいはコンピューターを十分に導入されたらいいのじゃないかと私は思うのです。これは予算要求をうんとなさって——災害国日本ですからね。それはひとつ非常な決意でやってもらわなかったらいかぬではないかと思うのです。  三番目に、今度の現地の問題をとらまえまして、現地的な対策とそれから長期的な対策——気象庁とかあるいは建設省とか防災会議とか、個々の対策をお伺いしておきたいと思うのです。  非常に時間がないので抽象的ですけれども、ここで私は砂田長官就任されてよかった意味が起こってくると思うのです。前は、それは人命がそこなわれたのに、私が、出ておってよかったと言うわけにいきませんで、非常に不幸な事態ですから、これはもう間の悪いと言わざるを得ないわけですけれども、せめてここであなたが出ておられてよかったというようにしてもらわなかったらいかぬと思う。  その第一といたしまして、私は相生市、あるいは御津町も、これは局地激甚地に指定できるだけの範疇に入っておると思うのです。検討をなさいましたか。あるいは属官のほうで検討されましたか。
  92. 砂田重民

    砂田政府委員 局地激甚の指定をするかどうか、その判定の根拠になります数字がまだ出てまいっておりません。その数字を出すための査定をできるだけ早く急がせて決心をしたい、かように考えます。
  93. 三木喜夫

    三木(喜)委員 なお、山形島根兵庫、長崎、熊本、岡山、秋田、これらのところが今度集中的な豪雨でやられたわけです。災害復旧の対策を立てるということは、もう腹をきめてもらわなければいかぬと思う。また検討するとかなんとかいうことでは、日がたってしまいますから。このほうについてはどうお考えになっておりますか。兵庫県だけではありません。相生市だけではありません。大きく全体としてどう考えられるか、これをお聞きしておきたい。
  94. 砂田重民

    砂田政府委員 いずれも三木委員、局地激甚の指定の問題をからめての御質問と思いますけれども、御承知のように、局地激甚の指定をいたしますときには、その判定の根拠になる数字をまずつかまなければなりませんので、これの査定が——いつも査定がおそいということが、当委員会でも問題になることでございます。できるだけ早く査定数字をつかむように努力してまいります。また、そういうふうに関係各省にも連絡をとって早く査定を終わりたい、かように考えております。
  95. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは激甚地指定と同じようなケースでやってもらいたいという希望です。あなたのおっしゃられるように基準に合わせておれば、合わぬのがあったり合うのがあったりしてややこしいですから、こういうようなのは対策は早くやっていただきたい。これは私の要望です。  以上で終わります。
  96. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの御質問にお返事いたします。  気象庁に対しまして御激励いただいたようなかっこうになりまして、ありがとうございます。  確かに先生おっしゃいますように、近代的な技術と申しますか、それは取り入れる必要がございまして、私たちもそれに心がけているわけでございます。計算機につきましては、四十八年度に、現在の計算機よりも数倍性能の高い計算機に入れかえる、こういう計画がございます。テレメーターの面につきましてはまだ具体的に立っておりませんけれども、来年度は一応試験的にやってみて、さらにその結果によって順次転換したい、こういう計画を現在進めている状況でございます。  なお、今後ともそういった面につきましていろいろ御指導いただければありがたいと思っております。
  97. 中井徳次郎

    中井委員長 ちょっと途中で私もお尋ねいたしますが、気象庁は、先ほど言ったように大きく転換をされて、何か宇宙衛星くらいどうしてぶち上げぬのですか、日本独特の。そういたしまして、日本は、高いところから見た気象を把握しておけば、非常に猛烈なスピードアップだと思うのだが、いまやはりアメリカの気象庁の通報を受けて、それで判断されているのですか。その辺のところをちょっと伺っておきたい。金額もたいしたことはありませんよ、三十億くらいのものです。
  98. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの気象庁衛星につきましては、現在ではアメリカで上げております気象衛星、それを受信しておるわけでございます。実は、この問題につきましては、気象庁といたしましても前々からそういう希望は持っておりまして、できれば昭和五十年に赤道上に静止衛星を上げまして、そこで連続的に観測をしてそれを受けたいという、そいう考え方は持っております。ただ、予算や何かの点でいろいろ難航している状態でございます。
  99. 川崎精一

    川崎説明員 大谷川の河川改修関係についてお答えいたします。
  100. 中井徳次郎

    中井委員長 そうじゃないんだ。五千戸も浸水したやつをどうするかという質問なんだ。
  101. 川崎精一

    川崎説明員 先ほど先生からお話のございましたように、相生市も、最近かなり市部に人口が集中してきておったし、あるいは地域開発等で、かなり人口が河川の流域に密集してきておるわけでございます。特に大谷川の流域がひどかったわけでございますが、これにつきましては、現在は下流部を高潮工事、それから上流部を河川改修事業で局部改良的に行なっておるわけでございますが、今回の私どもの受けております報告によりますと、主としてその改修区間の上流部にかなり地域開発が進んでおる。しかも改修がなされてなかったというようなことで、その辺から温水、はんらんというような現象が起こっております。それから、一部高潮区間で、なお用地の取得等の困難なために、まだ未完成の区間が相当あるようでございます。県の意向によりますと、できるだけ改修区間を延長してもらいたい。それから、単に災害復旧だけではなくて、この際関連をしまして改良的な要素も加えて、上流部を含めて改修を進めたい、こういうことでございますので、現在県のほうでいろいろ改修の計画等を検討いたしておりますので、その結果をまってできるだけ早急に処置したいと思います。特に災害に関連しております区間につきましては、一月くらいの間には県も準備が完了するようでございますので、その準備の完了をまって査定等を行ないたい、こういうふうに考えております。
  102. 大河原太一郎

    大河原説明員 先生お話しのとおり、当該地区の湛水した地域につきましては、ポンプアップによります排水工事を早急に進めなくてはならぬということで、われわれも現地から、早急に進めておるというふうに報告を受けております。  なお、ポンプの不足等の問題が、こういう緊急災害に間々起こるわけでございまして、これは県内の調整、さらに兵庫県でございますと近畿農政局に予備台数を設けておりまして、県と連絡をとりまして、終局的な排水の完了ということについて取り進めたいというふうに考えております。
  103. 中井徳次郎

    中井委員長 それでは、新井彬之君。
  104. 新井彬之

    新井委員 今回の災害におきまして多くの死者の方が出ております。その方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、けがをなさいました方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。  私は、主として兵庫県下のことにつきまして質問してまいりたいと思うのでございますが、先ほど三木委員のほうから、いろいろともう御指摘がございました。   〔委員長退席、米田委員長代理着席〕 私はやはり現地等に行ってまいりまして非常に感じますことは、先ほどもお話がありましたように、この災害の問題というのは、一つはやはり個人災害救済措置をどうするか。いろいろな方にお会いいたしまして、確かに災害救助法であるとか、あるいはまた住宅金融公庫の融資だとか、いろいろな処置をとられておりますけれども、ほんとうに家屋の流失等にあった場合に、その程度のもので今後その方がりっぱに更生できるかということにおきましては、先ほども、いま鋭意検討なさっておるということでございましたけれども、この問題は、先ほども総務長官が、いろいろな事例をいま調べておって、そういうものの中から、どのようにしたらいいかということをひとつ考えられるというような答弁があったわけでございますけれども、やはりいままでにも、議事録にも何回となくこの問題は出てまいっておるわけでございます。したがいまして、いままでいろいろ検討なさって、一体その一番ポイントになる問題は何なのか。まだ結論が出ないポイントですね、それが一つ。それから、一体いつごろになれば実現される見通しがあるのかということについて、初めにお伺いしたいと思います。
  105. 砂田重民

    砂田政府委員 ただいまの個人災害の問題でございますけれども、当委員会で以前からいろいろ、各委員皆さま方がそれぞれ御意見を述べておられるのを承知いたしておりまして、個人災害の救済を共済制度の上に乗せて解決ができないものか、こういう御意見がございました。私どもも、何とか共済という制度でこれが救済ができないものか、そういう方向で検討を続けてまいっております。  ただいま新井委員のほうから、検討しているならば具体的にどういう点に問題があるかというお話でございましたが、実はもう問題点は相当詰まってまいっておりますけれども、具体的にただいま検討しております問題点一、二申し上げますと、共済ということでございますから、これは強制ではない。そうなりますと、共済であるからには、個人がやはり幾ばくかの掛け金をしなければならない。地域社会住民というとらえ方をしますと、そのすべての住民ではなくて、ある人たちはその掛け金が免除をされる。こういうことになった場合に、市町村でこれを行ないますとするならば、市町村では、それではだれとだれからは共済の掛け金が納まっているか、どなたは免除されているからこれは掛けなくてもいいんだ、こういうふうな台帳等をすべて備えなくてはならないではないか。そうなりますと、掛けていただく共済の掛け金の額と、これを徴収いたしますときの事務費との関連の問題、これをどう考えていけばいいかということも一つの問題点でございます。  それから、それでは徴収事務費のほうがとてもたくさんかかってしまうのだ、共済とはいいながら、現実問題、実際問題としては市町村が負担をするのではないだろうか。もしもそうなった場合に、それではその市町村の財政の持ち出しに対して、国はこれにどういうふうに援助をしていけばいいかということも一つの問題点でございます。  実はこういうふうなことをいま検討しているところでございまして、相当詰まってきておりますので、もう二月ばかりのところで結論を出したい、こういうふうに考えております。いつまでということでございましたが、できるだけ早く、おそくとも二月以内にはこの問題点を答えを出してしまいたい、こういうふうに考えて、ただいま検討を続けていることをお答えしておきたいと思います。
  106. 新井彬之

    新井委員 いま非常に前向きな答弁をいただいたわけでございますが、確かに個人災害につきまして、その共済について非常に整備されている市があり、あるいは県があるということを聞いておりますけれども、そういうところのないところにおきましては非常にお気の毒なような状態になっておるということで、ひとつ鋭意努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。  そこで、先ほどの質問とも関連するわけでございますが、先ほども長官答弁によりますと、これもいままでの事例を調査さしておるということで、がけくずれの死亡事故の問題、あるいはまた自動車の事故の問題等につきましての答弁をいただいたのでございますが、たとえて言いますと、このがけくずれが刑事事件であった場合、あるいはなかった場合について——刑事事件であった場合においては、これは明らかにその責任者がいるわけでございますから、その責任者の立場においての補償というものが考えられる。これは当然裁判等にもなると思いますが、よしんばそれが刑事事件でないというような場合において——これは責任者はだれもいなくなるわけでございます。その場合に、そういうことについて一切の補償というものがいままでは考えられておらなかった、そのようにおっしゃりたいのでございましょうけれども、こういう事故は一カ所ではなくて、たくさんの地域で起こっております。したがって、こういう問題においても、やはり一つの無過失ということではございますけれども、そういう方々を救済するという意味から非常にいい例ですね。いつかはそういう先例をつくらなくちゃならない。それを総務長官は勇断をもって、今後そういう問題については、責任者がなくても補償してあげるべきであるというような方向、そういうようなお考えはございませんか。
  107. 砂田重民

    砂田政府委員 これは率直に申し上げて、たいへんむずかしい問題でございます。いままでは、法律的な制度では全くないわけでありますけれども、私といたしましては、こういった事故について、どこに責任があるのだということを明確にしておく必要はあると思うのです。ただ、これはまだいまのところ、私自身がそう思っているだけでございますから、そこで政府部内、特に国道については建設省等のお考えもあることでございますので、私自身がそういう考えを持ちますから、これからそういうことをひとつ建設省と一緒に検討をしていきたい、こう考えているわけでございます。
  108. 新井彬之

    新井委員 いま建設省というお話がありましたので、建設省のほうにお伺いしたいわけでございますけれども、先ほども指摘がありましたように、急傾斜地の指定、この区域がございます。あるいはまた、今回の新舞子の例にも見ますように、指定はございませんけれども、実際問題としてはこういう事故が起こる。このときに、先ほども、図面を見ただけで許可を与えている、実際問題何も確認をしないというようないろいろな問題がございましたが、こういう問題を解決するためには、どのようにしたら解決をするというぐあいにお考えになっていらっしゃいますか。
  109. 川崎精一

    川崎説明員 たいへんむずかしい問題でございますが、今回の兵庫県のかけくずれの場合を見ますと、かなり急傾斜地で、私どもから見まして、危険区域に当然指定をすることによって、これは法律上行為の制限等いろいろ伴いますけれども、そのかわりにいろいろな有害な行為に対する許可とか、あるいは改善の命令だとか、あるいは避難体制をとれるとか、そういったような防護の措置も十分とれるわけでございますので、できるだけそういった危険区域としての指定が促進されれば、あるいはこういった事故も防げたのではないかというふうに感ずるわけでございます。  なお、そういった指定による規制の問題と、それからもう一つは建築物に対する規制もあわせて強化すれば、当然そこに住んでおる人たちの安全についても十分考慮が払われるのじゃないか、こういうふうに思っております。
  110. 新井彬之

    新井委員 現在の建築基準法におきましては、非常に山はだのところに住宅が建っておるところを散見いたすわけでございますけれども、やはり、土砂がくずれてこないような防護壁については規則されていない。したがいまして、これは建てる方がくろうとであれ、しろうとであれ、特にしろうとの方であれば、どの程度が危険であってどの程度が無難なのかということはわからない。したがいまして、少々雨が降っても、自分が、これはあぶないということで逃げていいのか、それを知らないためにそこにずっといる場合等があると思うわけでございます。したがいまして、そういう面について、防護壁は今後またどんどん開発がされてまいるでありましょうけれども、そういうときに当然山はだの土砂くずれ、そういうものから守るための建築基準法を変えなければならぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点についてはいかがですか。
  111. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 お答え申し上げます。  いまの建築基準法に基づきますいろんながけ等に関します規制の問題でございますが、これは一般的には、市街地でございますと宅造規制法にいう区域がございます。それに該当するところでは、宅造をいたしますときに、いろんな技術的な安全の問題を検討いたします。  そのほかの区域あるいは既存のがけにつきましては、建築基準法の中で扱うわけでございますが、その中で特に急傾斜に当たるようなところでございますと、災害危険区域というようなことをいたしまして、住宅等の建築物の建築制限をいたしたいというように考えております。  それから、一般のがけにつきましては、各都道府県でがけ地の条例をつくっているところもございますし、建築基準法でも、二メートル以上の擁壁をつくる場合には、これは確認が必要なことになっております。  そういうことをあわせまして、危険ながけ地につきましてできるだけ今後とも調査をいたしまして、あぶないがけにつきましては、それぞれ住民に周知徹底させるように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  112. 新井彬之

    新井委員 時間がありませんのでどんどん飛ばしますが、気象庁にお伺いをしたいと思います。  気象庁の今回のいろいろな情報等を流した経過でございますけれども、雷雨注意報が出ただけでございまして、一般のドライバーの方があの高取山の峠を通るときに、こんなに非常な豪雨になって——あそこを知っている人は、あそこは土砂くずれがあるのじゃないかということは当然考えられるわけでございますけれども、そういう緊張感といいますか、そういう予報は全然なかったわけでございます。先ほども、日曜日のためにモニターもいなかった、あるいはまた、ほかのほうが手落ちのために道路の遮断ができなかったという話がありましたけれども、道路を遮断することとともに、一般の方々が、これは一つの防災体制の中に入るわけでございますから、外出をしないとか、あるいはまた、山くずれのときに当然自分のところはどこかへ逃げておかなければあぶないのだとか、そういうことが一般の市民の方々の協力がないと、どうしても事故につながりやすい。そういう問題について、あの飛騨川事故のときにもいろいろと論議されておるわけでございますけれども、そのときに、集中豪雨というものは非常にむずかしい問題だ——きょうも同じ答弁があったわけでございますが、しかしながら、時間的には、雨が降ってから一時間くらいの後には、こういう状態であるということが発表ができるのだということを言っております。しかしながら、今回の場合は、雨が降って数時間たっておるのにかかわらず、雷雨注意報だけで終わってしまっている。そのところは一体何が原因でそういう予報が出せなかったのか、このことをお伺いしたいと思います。
  113. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの点についてお答えしたいと思います。  今度の場合の集中豪雨は、先ほどもお答えしたかと思いますけれども、降りました区域が半径五キロくらいの非常に狭い範囲でございまして、普通東京などに見られます雷雨と、ある意味では同じような状況なのでございます。こういった状況に対しまして、どういうように注意報なり警報なりを出したらいいかという点につきましては、非常にむずかしい点がございまして、いろいろと現在も検討はいたしておりますけれども、まだ答えが出ない状態でいるわけでございます。  と申しますのは、現在注意報、警報というものは各都道府県単位で出しておりまして、そこへたとえば集中豪雨なら集中豪雨がある、あるいは洪水が起こりそうだというような警報を出すわけでございます。その場合、今回のような集中豪雨を目安にして出すようなことになりますと、たとえば東京のような場合におきますと、極端に言うならば、夏のような場合一週間連続して出してしまうようなことになる。そして災害の起こる区域はきわめて小さい部分であって、大部分は何でもない普通の状態である、こういうような非常にむずかしい問題がございまして、なかなかその点が解決できないでいる状態でございます。  もう一つの点は、レーダーなりで、起きております状況をいち早くキャッチいたしまして、それをテレビなりラジオで通報する、こういうことが考えられるかと存じますけれども、この点につきましても、今後おいおい検討していきたいと考えておる次第でございます。
  114. 新井彬之

    新井委員 ただいま長官から御答弁いただきましたが、先ほども指摘がありましたように、兵庫県下におきましては非常な災害があったわけでございます。それも相生市であるとかまた御津町、それから佐用町、南光町というところにかたまっておりまして、相生市とか御津町におきましては災害救助法適用されております。さっきも指摘がありましたように、相生市に参りますと、河川のはんらんをはじめといたしまして土砂くずれ、もう至るところにいろいろな問題がございまして、これは当然局地激甚災害指定をされることであろうと思うわけでございますけれども、それほどの災害があったわけです。それをいま長官のお話では、たった五キロだから、あるいはまた十キロだからやりにくいということでございますけれども、あれだけの洪水に見舞われて、床上浸水が何千戸にも達している、あるいはまた土砂くずれがあれだけあるわけでございますから、それが予報できないということになれば、もうこれからのそういうような集中豪雨の問題については一切できないのじゃないか、これはしろうとの考えで思うわけでございますけれども、そういう点についてはいかがでしょう。
  115. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの点にお答えいたします。  集中豪雨につきましては、前々から申しておることでございますけれども、非常に局地的なものでございますので、その起こります地域なり時間なりを的確に予報することは困難でございます。現在は、ただ、半日前あるいは一日前くらいの状態におきましては、そういったような集中豪雨がどこかで起こりそうだという、こういうことはわかりますので、一応まず、そういうものをもとといたしまして予報するわけでございます。次の段階は、実際災害が起こりますのは降った雨が問題でございますので、そういったような雨が降ったかどうかということを、レーダーあるいはテレメーターなりを使いまして、それによって知りまして、それでいち早く、それによってその状況を一般の方々にお知らせして、こういうところで災害が起こる危険があるというようなことを知らせる、そういう方針でいくよりしようがないのではないかと思っておる次第でございます。特に集中豪雨の問題でございますと時間を争うような問題になりまして、ある意味で申しますと、ちょうど津波の予報と非常に似たような状況がございます。一応そういった問題につきましては、前々から問題がないではなかったのでございますけれども、最近特に問題になってきておりますので、そういった面も今後おいおいと、どういうふうにやっていったらいいかということを十分審議し、検討していきたいと考えております。
  116. 新井彬之

    新井委員 時間がありませんので、最後に御質問いたしますが、先ほどから何回も指摘されましたように、災害の場合に非常に中小河川、このはんらんがほとんどではないかと思います。で、今回七月、いま現在は七月でございますので、これからまた雨が降る、あるいはまた九月には台風が来る。こういう定期的な、日本の宿命的な一つ災害の時期に入るわけでございますけれども相生市の場合におきますと、もうほんとうに川がなくなっておるわけですね、川もないし道路もないということでございます。したがいまして、起債の問題、あるいはまたその査定の問題等、その査定を早くして、それに対する復旧措置を早くしなければなりませんけれども、それがおくれますと、普通の雨でも、もう川がないわけですから、どんどん民家に入ってくる、こういうような状態でございます。したがいまして、早く査定をして、そういうところについてやはり激甚災——局地の激甚災害にまだ指定はされておらないわけでございますけれども、とにかく工事としては、そういう道路を直し、あるいはまた川を元通りにしなければならない。そうしなければ、これはもう住めるものではございませんので、そういうことについて早急にやっていただきたいと思うわけでございます。  そこで、公共土木の施設であるとかあるいは農林施設の災害復旧事業費の補助災害指定については、可能な限り早く査定を実施され、すみやかに実施工事費を配分していただきたい。これはどこでも同じだと思うのですけれども、これをひとつ、そういうぐあいに鋭意努力していただけるかどうか、これが一点でございます。  それから、災害復旧費の配分にあたりましては、河川であるとか砂防関係、こういうようなところは、初年度に大部分の復旧を完了するように配慮していただきたい、そういうことを鋭意努力していただけるかどうかということです。特に砂防関係は、これは赤穂なんかも去年災害にあったのですけれども相生の場合は、非常な災害でもございますし、死傷者も多数出ておるようですから、多少問題になっておるかと思いますけれども、赤穂の場合など見にまいりますと、ちょっと雨が降ったら、普通の雨でも土砂くずれ間違いなしという状態になっております。したがいまして、これは特に緊急砂防ですね、そういうような状態のところが多々あるわけでございまして、そういうこともよく調査をして早急に進めてやっていただきたい、このように思うわけでございます。  それから、最後のもう一点は、あそこの高取峠がああいう状態になりまして交通遮断になっておる。あと県道、市道等ございますが、そこも水につかって遮断になっておる。したがいまして、あと赤穂から相生を通って出てくるところがありません。あれば御指摘願いたいと思いますが、道路がなくなったわけでございます。したがって、この主要地方道で、いま赤穂と佐用線の高雄切山の開さく事業をやっておるわけでございますけれども、あそこに今後もしまた同じような状態があった場合に一つの市が孤立しないように、早急にこの事業をやっていただきたい。これは私が現地を見てまいりまして、ほんとうにみんなが困っておる一つの問題でございますけれども、以上四点について答弁をしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  117. 川崎精一

    川崎説明員 お答え申し上げます。  まず、復旧のために査定を急げということでございますが、これにつきましては、兵庫県におきましても、現在土木部並びに各関係の職員を動員いたしまして、重点的に相生市その他激甚なところの応急復旧、あるいはそういった査定のための準備の仕事をやっておるようでございますので、私どものほうもいつでも、準備ができ次第査定官を派遣したいということで待機をさせております。したがって、県の準備ができましたら、直ちに派遣をする用意がございますので、その点は御安心いただけるのじゃないかと思います。  それから、復旧の進度を早めろということでございますが、これにつきましては、全国的には、災害復旧の進度は初年度に大体三割ぐらいというのが大まかなめどでございますが、必ずしも拘束されるわけでもございませんので、全体の予算の中でやはり一番急ぐものから早くやっていくというような、重点配分の処置はできる限り配慮をしていきたい、こういうふうに思います。   〔米田委員長代理退席、委員長着席〕  それから、砂防につきましても、現在、県においていろいろ砂防の規模とか、あるいはどういう工法をとればいいかといったことを調査しておりますので、その調査によりまして私どもも臨機の処置をとるようにいたしたい、こういうように考えております。  それから、道路については、道路局のほうからお答えをいたします。
  118. 吉田泰夫

    吉田説明員 災害のありました二百五十号につきましては、鋭意復旧をはかっているところでございまして、再度の事故の生じないような見きわめをつけまして、数日中には開通させたいと思っております。  なお、御指摘の地方道の赤穂——佐用線は、現在、過去の災害復旧工事とあわせて道路改良を実施しておりますので、現在のような交通遮断のような状態を救う意味でも、このほうの事業を大いに促進したいと考えております。
  119. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、小宮武喜君。
  120. 小宮武喜

    ○小宮委員 今度の兵庫県下で起きたこの事件は、非常にわれわれに、今後災害対策に対してどうあるべきかということで、多くの教訓と示唆を与えていると思います。したがって、そういうような立場から、私も、この兵庫県下を襲った集中豪雨による災害中心にして質問をしてみたいと思います。  すでに御承知のように、十八日、東日本から西日本を襲ったこの集中豪雨によって悲惨な事故が発生しておるわけでありますが、とりわけ痛ましいのは、兵庫県下に集中した土砂くずれ事故でありまして、相生市と赤穂市の境、高取峠の国道では、がけくずれで観光バスと乗用車が転落して、死者四名と負傷者四十四名を出しております。また相生市でも、民家の裏山がくずれ落ちて、生き埋めによって五名が死亡し、さらに、十キロほど離れた新舞子海水浴場では、くずれたがけが海岸の旅館などを押し流して、十名が死亡するという事件が発生しております。  このように、土砂くずれによる事故が非常に最近続発しておるわけでございまして、特に私の記憶になまなましいのは、四十二年の七月にも、先ほども指摘されましたが、同じ兵庫県下の市ケ原でも二十一名の死亡事故を出しております。また、四十三年八月も、岐阜県下でもやはり二台の観光バスが、流れた土砂に巻き込まれて百四名が死亡しております。今月の五日にも、静岡県の大崩海岸で多くの死傷者を出しておりますが、このように土砂くずれ、がけくずれによる事故というものが、再三再四にわたって繰り返されておるわけです。  そこで、私は非常に問題を感じますのは、こういった同じことが何回も繰り返されるということは、結局、従来発生した、そういうような教訓がどのように生かされておるのかということに対して、非常に疑問を感ずるわけです。特にそういった意味で、私は前の災害対策でも申し上げたことがございますが、やはり一度起きた事故は、同じような事故はもう二度と繰り返さないというのが、私は災害対策の基本でなければいかぬというふうに考えます。そういった意味で、いろいろあと質問をいたしますけれども、まず災害対策に対する基本的な姿勢について、総理府と建設省にお尋ねします。
  121. 砂田重民

    砂田政府委員 お答えいたします。  重大な、基本的な問題でございますが、やはり民間の各所におきます開発意欲というものは、これまた容易ならぬものがございます。私は、やはり開発よりも、もうこの段階におきましては、保全のほうに重点を置いた行政を当然行なわなければならない。新舞子の事態、いまお話のありました四十二年の市ケ原の問題等につきまして、それが——新舞子などは、新しくあそこに何らかの開発をやった、そういうことを原因としているかどうか、まだ実は、先ほどからお話のございますように、調査の結果は出ておりませんけれども、国、地方公共団体を通じて、行政に携わる者の意識として、もう建築基準法との関係、あるいは大きく言えば私権との関係もありましょうけれども、開発よりもまず保全ということを強く頭に置いた行政の執行がなければならない。国、地方公共団体を通じて、行政に携わる者がそういう意識を十二分に持つような指導、連絡をしてまいりたい、こういうふうに基本的に考えているのでございます。
  122. 川崎精一

    川崎説明員 私ども建設省といたしましても、やはり国土の保全それから国民の安全を守るというのが、一番私どもの大事な仕事でございます。したがいまして、こういった豪雨による災害等につきましても、現在できるだけ河川の改修につきましても、治水事業の五カ年計画、こういったものを推進いたしまして、そういった水害をなくしたい。また海岸につきましても、同様五カ年計画を立てまして促進をいたしておるわけでございますが、いろいろな制約等もございまして、必ずしも十分にいっておりませんで、非常に残念に思っておる次第でございます。最近のいろいろ土地開発、地域開発に伴いまして、災害も多様化してきておりますので、そういったものに対応するように、今後とも、さらに事業の促進をはかっていくようにいたしたいと思っております。  それから、先生お話しのがけくずれにつきましても、四十二年に、西日本を中心にいたしましてずいぶんがけくずれが起こったわけでございます。そのためにいろいろ検討いたしました結果、政府として、急傾斜地の崩壊による災害を防ごうじゃないかというようなことで法律もつくりまして、現在そういった崩壊の危険区域の指定等を急いでおるわけでございますが、必ずしも現状は十分でございませんので、今後ともそういった方面の促進になお一そう注意をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  123. 小宮武喜

    ○小宮委員 こういうふうに死傷者が多数出ると非常に世間も騒ぎ出すわけですけれども、実際はこういったがけくずれというのは、これは全国的に集中豪雨ばかりではなくて、大雨の場合も起きておるわけです。したがって、そういうような意味では、そういったがけくずれがやはり大きな事故につながる要因になっておるような問題が、どこにでも散在しているわけです。先ほども総理府から、ひとつ保全ということに力を入れたいということを言われましたが、これはもういつの災害対策の場合でも、同じようなことをみんな言われておるわけです。だから、もっともっとそういった意味で、やはり口で言うだけでなくて、形で見せてもらわぬと——災害対策委員会を開くたびにそのことを、前の建設大臣から、もうみんなに言っておるわけです。私はこの前も質問したことがございますが、いまの状態では、災害復旧に非常に追われて、どうしても保全とか防災のほうに手が回らぬというのが実情だということを、前の建設大臣は言っておられましたが、私は、具体的に形で示してもらわぬと、やはりここでただ口先だけで言ってもらっても困るのです。そういった意味では、今度の防災に対する政府の予算というものが、それでは昭和四十四年、四十五年、四十六年、どういうふうにふえておるのか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  124. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 防災に関してどのくらいの防災関係予算の推移になっているかというお尋ねでございますが、災害予防、国土保全、災害復旧、それから科学技術の研究、全体をあげて御説明いたしますと、昭和三十七年——災害対策基本法が施行された直後でございます。それから申し上げますと、三十七年度が、二千八百八十五億でございます。昭和三十八年度が三千百九十五億でございます。三十九年度が三千六百三十七億でございます。昭和四十年度が四千十七億でございます。四十一年度が四千四百三億でございます。四十二年度が四千八百六十六億でございます。四十三年度が四千六百億でございます。四十四年度が五千四百二十七億でございます。なお、四十五年度、四十六年度はちょっと手持ち分がございませんので……。  以上簡単に御報告申し上げます。
  125. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に新舞子海水浴場での惨事が、山の中腹につくられた無計画な宅地造成と、それから排水設備が不十分だったということが、原因の一つにあげられておるわけですけれども、この問題についても、私は今後大きく考えなければいかぬのは、大都市周辺では、非常に宅地造成が高台、高台へとずっと急速に進んでおるという状況の中で、やはりこれを機会に、この際国、地方自治体が宅地造成の安全ということについて、私は総点検を一回全国的にやるべきだと思うのですが、その点について総点検をやる意思があるのかどうか、ひとつお聞きしたい。
  126. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  建設省といたしまして、宅地造成に伴いますがけくずれまたは土砂の流出によります災害の防止につきましては、しばしばその徹底方を指示しているところでございますけれども、本年五月に計画局長名の通達をもちまして、宅地造成規制区域内におけるパトロールを強化して、いやしくも無許可工事が行なわれないようにする。それからなお、宅地造成区域の指定以前に造成されました既成宅地につきまして、一斉検査を実施し、災害の起こりますおそれがあると認められるものにつきましては、すみやかに撤去勧告または改善命令の措置を講ずること等を指示をしたところでございまして、各都道府県におきましては、この通達に基づきまして、危険個所の点検を現在実施しておるということでございます。
  127. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから、今回の集中豪雨についても、予測できなかったのではないかとか、いろいろな問題が気象庁に言われておりますけれども、私が言いたいことは、たとえば集中豪雨が、かりに気象庁が事前に予測できなかったとしても、どういうふうな集中豪雨が来てもびくともせぬような施設と場所を確保するということが一番大きな条件ではなかろうかというふうに考えます。そういった意味で、いまのような、山の上にどんどん家が建っていくというような問題もありますけれども、それに対して建設省として、この施設がもし不備であれば、これをやはり徹底的に直させる。その場合に、完成許可を与えないとか、あるいは宅地造成についても、そういうふうな不十分なところがあれば徹底的に直させるというふうな強い指導行政を私はすべきだと思う。そういった意味で、今後この点についての行政指導の強化ということについてどのように考えられておるのか、建設省にお聞きしたい。
  128. 川崎精一

    川崎説明員 がけくずれ等による災害が最近多発しておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、現在、四十二年の災害にかんがみまして、急傾斜地の崩壊防止に関する法律が四十四年からスタートしておるわけでございます。したがいまして、既成の家屋等につきましては、これはこの急傾斜地の崩壊防止に関する法律によりまして、できるだけそういった危険区域を指定をしまして、区域の網を張ることによって、この法律趣旨でございます、いろいろな有害な行為の禁止なり制限なり、あるいは警戒避難体制の強化なり、あるいは改善命令なり、こういったものが働きますので、そういった在来のがけにつきましてできるだけ危険区域の指定を急ぎたいと思います。  なお、これから新しく造成されるものにつきましては、宅造規制なり、あるいは建築基準の面から、相当強力な指導なり行政を行ないまして、そういった災害の起こらないように、私どもとすればできるだけ全力をあげたい、こういうふうに考えております。
  129. 小宮武喜

    ○小宮委員 建設省では、この八月一ぱいに危険個所の総点検の結果をまとめて危険度とか交通量によってA、B、Cのランクに分けて早急に防災措置を講ずるということになっていたようでありますが、先ほど申し上げましたように、すでにいままでもそういうふうながけくずれ、山くずれが再発して、そういうふうな事故が出ておるにもかかわらず、いまごろそういうようなことをやるのは職務怠慢ではないかと言いたいのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  130. 吉田泰夫

    吉田説明員 いまごろさらに総点検をするということは怠慢ではないかということのおしかりでございまして、そのとおりでございますが、実は過去にも総点検をいたしました結果、個所を掲げまして、緊急順序により防災対策を実施してきたわけでございますが、その後にさらに、異常な気象条件とかあるいは日曜日等における災害とかというようなことが出まして、パトロール体制あるいは情報収集体制の再検討とあわせまして、危険個所につきましても、道路交通量の増大に対処すべく、従来考えていた基準そのものを考え直して、通常起こり得るような気象条件でなおかつ危険だと思われるような個所を洗いざらい拾い出そうという意味合いのものでございますので、再三点検をしなければならない事態となりましたことは、まことに恐縮でございますが、今回の教訓を生かす意味におきましても、再度徹底的な総点検をし、かつ、地方道に至るまで、各県別の判断の基準等も統一いたしまして、さらに、同じく危険個所といいましても、交通量や危険度等によるランクもつけ、それをもとに今後の思い切った防災事業の拡大ということに対処いたしたいと考えている次第でございますので、何とぞ御了承をお願いいたしたいと存じます。
  131. 小宮武喜

    ○小宮委員 もう現在でも、国道、県道、市町村道を合わせると、大体一万四千カ所も危険個所があるといわれておる。そうすると、いま防災措置ということばをよく言われるのですが、もうすでに一万四千カ所の危険道路があるというような実情の中で、具体的に防災措置をどうやってきたのか。また、今後やろうとすれば、防災措置は具体的にどのようなものか。その点もひとつ御答弁お願いしたいと思います。
  132. 吉田泰夫

    吉田説明員 基本的には先ほども申し上げましたように、通常起こり得るような災害に対しては絶対に安全な施設とする。それから、まれに起こるかもしれないようなごく異常な気象に対しまして、これはまあ万全というわけにはまいりませんが、その場合でも被害を最小限にとどめるとともに、これは事故が起こらないような事前の交通規制をするという、こういうことでございます。  御指摘のように、四十五年の調査によって判明いたしました危険個所のうち、なお残る危険個所が一万四、五千カ所、地方道も含めてあるわけでございますが、さらに今回、基準を再検討した上で総点検をすれば、おそらくはその個所数もかなりふえるのではないかと考えます。非常に膨大な個所に対しまして対処していかなければなりませんので、四十三年以来とってきたような程度の防災対策事業量ではなかなか追っつかないと思いますから、この点は格段に増額することにいたしまして、それも緊急度あるいは危険度の高いところを最優先するということで、そういった第一級の重要個所だけは数年ならずして解消するような計画でいきたい、このように考えます。  個々の防災工事のあり方につきましては、その場所の土質とか地形、いろいろ要素が違いますので一がいには申せませんが、ただ一つ考えておりますことは、百五十号の事故にありましたように、その場所だけをとってみせるとせいぜい落石程度のものであろうと考えられ、したがって、それに対する防護の覆工をつくっておった個所が思いもかけず大崩落を起こした、そういう沢水が一方的に出るというふうな場所でもないところでも、場合によってはそういう危険があり得るということも考えまして、過去にすでに防災工事を一応施行したと思われましたような個所についても、再点検をした上、具体的にその場所に応じた補強工事あるいは再改築をいたしたいと考えております。
  133. 小宮武喜

    ○小宮委員 その立場からひとつまたお聞きしたいのは、長崎県下に国道二百二号線がありますね。その二百二号線は、もう国道に昇格してから二カ年くらい、三年ですか、なりますが、もう全然、遅々として工事が進んでおらぬ。したがって、舗装もほとんどされておらぬ。そうして、こういうふうな大雨とか豪雨によってすぐがけくずれする、こういうふうな事態が続いておるわけです。先ほど申しましたように、たまたまそこを車が何十台、何百台とつながっておって、そこでこういうふうな事故が起こるといろいろな問題になりますけれども、やはりそういった事故につながってくるところが多いのです。そういうふうな意味で、長崎県下の国道の二百二号線について、いまのようなことでやっておると、おそらく十年たっても、舗装だけでも終らぬのではなかろうかと考えるのですが、この国道の二百二号線に対して、そういうふうな防災の立場から、拡幅と舗装をいつごろ完成する見通しで工事をやっておるのか。これは早急にやってもらわなければいかぬわけですけれども、その二百二号線についての拡幅工事また舗装工事について、いつごろ終わるめどを立てておるのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  134. 吉田泰夫

    吉田説明員 ただいま二百二号線につきまして御質問いただいたわけでございますが、確かにおっしゃいますとおり、現にできております道路、現道に即したいわゆる道路防災工事ということが非常に重要でございますが、さらに抜本的には、道路そのものを、安全な個所にバイパスするとか、そういったことも含めました道路そのものの改築による安全化ということも非常に重要でございまして、今後の道路の改築事業の進め方につきましては、防災上も非常に重要であるというような個所につきましては、従来以上に極力優先して実施したいと考えております。  御指摘の二百二号につきましては、現在直轄、補助あるいは街路事業等を、個所によりまして各事業主体が共同で、それぞれの区分に応じて実施しているところでございまして、一次改築につきましては、数年を出ずして完成するわけでございますが、特に御質問にありました個所は、二次改築の個所ではないかと思います。これにつきましても、先ほど申しました一般的趣旨に即しまして、極力促進するようにいたしたいと存じます。
  135. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの問題、ひとつここではっきりしてもらいたいことは、結局、いつごろ完成させるという計画でやっておるのか、その点をはっきりしてください。
  136. 吉田泰夫

    吉田説明員 ちょっと具体的に個所を承知しないものですから、いつまでを目途にということは、この場ではちょっと申し上げかねるのでございます。
  137. 小宮武喜

    ○小宮委員 今回、建設省では、静岡県の大崩海岸の惨事の直後、都道府県知事や地方建設局長に対して、危険場所の総点検だとか、または道路パトロールの励行、危険時の交通規制の強化、こういった三点を通達しておりますね。その場合に、今回のこの兵庫県下の事故を見ても、ひとつそういった意味で、もっと交通規制を思い切ってやるべきではなかろうか。特に、そういったその日の天候の状況によっては、やはり思い切った交通規制をやるべきだというふうに考えます。そういった意味で、やはりなかなか、行楽客で非常に混雑しておる、そういった場合に、交通遮断をするということについていろいろ配慮もあるだろうと思いますが、しかし、やはり当日の天候次第では思い切った交通規制措置をとるべきだ。今回の場合も、たぶんそういった交通規制に手抜かりがあったのではなかろうかというふうにも考えるわけです。先ほども指摘ありましたけれども、こういうような場合は、今後の方針として、交通規制の強化ということももっともっと考えていただきたいというふうに思っておりますが、そういう点についての考え方をお聞きしたいと思います。
  138. 吉田泰夫

    吉田説明員 危険が予想される時期、特に異常気象が予想される時期に、道路の安全があぶないということであれば当然交通規制をすべきだと考えております。ただ、事前の気象条件の把握が困難であること、あるいは気象条件と道路わきのがけくずれ等との相関関係が、必ずしも過去の経験によっても的確につかみがたいこと、それから、近年特に非常に局地的な集中豪雨がございまして、離れた場所の雨量計では把握できないというような事態もございまして、なかなか的確な事前の交通規制ができない点は、まことに遺憾でございます。今後は、雨量計も道路わきにできるだけ近い個所に増設するとか、モニターの活用、あるいは、できますならば事前の小落石を機械的に感知いたしまして直ちに警戒体制に入れるような、そういう技術開発等に最大の力を注ぎたいと思います。そういったこともあわせまして、交通規制につきましては、漫然と事が通っているのを傍観するということだけはないように引き締めてまいりたいと考えます。
  139. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は、気象庁に質問します。  今回の兵庫県下における事故は、やはり気象台の注意報がおくれたのが大きな惨事をもたらす原因になったのではないか、というふうに指摘をされている面もありますが、これに対して、気象庁としての所見を承りたいと思います。
  140. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの御質問に関してでございますけれども災害と気象条件ということに関しましては非常にむずかしい問題がございまして、直ちにそれが原因かどうかということについては、私としてもちょっと何とも申し上げられないような状態かと思います。ただ、注意報などが、実際の災害が起こるよりも若干おくれた点につきましては、私としても非常に遺憾に存じております。その問題につきましては、現在、レーダー情報伝送網を近くそこに設置するような予定になっておりまして、そういうものができますならば、従来よりは幾ぶん改善されていくのではないかと思っている次第でございます。
  141. 小宮武喜

    ○小宮委員 私も、現在の気象観測体制をもってしては、局地的な集中豪雨予報は非常に困難ではないかというふうに考えます。しかし、そういうようなことを言っておったって、いつまでも災害を防ぐことにはなりませんので、そういう意味では気象庁としては、先ほどからもいろいろ指摘されておりますけれども、気象庁の簡素化といいますか、合理化といいますか、そういうような問題が行なわれておるやに聞いておりますが、それでも気象観測網は十分だ、こう理解しているのか。縮小しても気象観測網は十分だと考えとおられるのかどうか、この点をお聞きします。
  142. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの点、実は観測班などを縮小するというような計画はございません。ただ、仕事が近代化いたしまして、従来やっていたようなことで、中には、これからあまり必要がなくなったというようなものもあるわけでございます。そういった面につきましては、国全体の財政なり何なりという見地からいたしますと、そういうむだは省いていく。あるいはいろいろ重複的作業はございますけれども、そういうものは一カ所でつくって、通信などで一般に配付してやっていく。そういうような点を考えなければいけないかと思っております。したがって、気象の仕事全体につきましてそれを縮小するというような考えは、少なくとも私といたしましては持っておりません。
  143. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、このような事故、災害が起きないように、気象庁としては、必要なものについてはどんどん観測網を充実して、こういった災害を二度と起こさないように、事前に防止ができるように十分努力をする、そういったために必要であれば予算措置も要求するというふうに理解していいですか。
  144. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 そのとおりでございます。不安になったものは合理化いたしますけれども、必要なものにつきましては、予算なり人員なりを要求いたしまして拡充していかなければならない、また現在もそういうつもりで来年度の予算要求を出す計画でおります。
  145. 小宮武喜

    ○小宮委員 時間が来たようですから、私の質問はこれで終わります。
  146. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、津川武一君。
  147. 津川武一

    ○津川委員 「ばんだい号」が函館の横津岳で遭難したので、現地に行ってみたのですが、ひとつ気象庁にお尋ねしたい。  それは、函館、渡島、檜山地方の気象は差しつかえないのですが、横津岳に登ってみますと、函館はよく晴れておっても、山は荒れてよく歩けない、これが気象の状況でございます。これに対して、気象庁の函館空港の出張所の職員が五人、とてもこれではたえ切れないと言うわけです。  羽田から朝、七時五十分に飛行機が函館に飛び立っても、そのとき気象観測はしてない。だから飛行機は、函館上空の気象が全然わからないで飛び立っている。そして航空局に聞いてみると、途中で聞くからいいと言う。どんなのを聞いているかというと、函館の海岸気象台のを聞いている。現地のはわからない。今度は夜です。このごろお客さんが多くなっているので、十八時、十九時に着陸してくるわけです。  皆さん、一生懸命に骨を折っていました。朝早くからこれを見たい。おそくまで見たい。五人ではできない。何とか人員をふやしてくれと言う。長官に要求したかというと、要求しているが、長官に何べん言ってもナシのつぶてだ。うちの長官は一体わかっているのかわかっていないのか。長官がだめなら、運輸大臣なり、総理大臣に直接談判してくれというのが、おたくの職員の状況です。  私、その中に行ってみました。こんなに小さなからだでも、小さくて入れないのです。こういう体制でやっておりますので、長官、ここは何をおいても人員増、設備の整備を、これから考えてなどということではなくて、いますぐやらなければならぬ状態だと思うのですが、ひとつ御意見を聞かしていただきたい。
  148. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの函館のことについてお返事いたします。  御承知のように、最近航空が非常に発達してまいりまして、便数なんかもふえてまいりました。前には比較的小人数ぎもよかったわけでございますが、非常に便数がふえてまいりまして、時間などがふえてまいりました。そういうかげんで——従来のが変わっておりませんから、建物自体は小さいわけでございますし、また人数も、それほど少ないともいえないと思いますけれども、仕事に対しましては必ずしも十分といえない面があるかと思います。この点につきましては、こういった事態の変化ということを考えまして、そういった方面の人員の増員というようなことは考えていかなければならない問題であろうかと考えております。  なお、気象状況の点につきましては、御指摘のような点もございますけれども、普通の状態でありますならば、空港ではやっておりませんけれども、函館の本所のほうでは一日八回観測しておりまして、そのほうのデータは行っておるわけでございますので、それを見れば大体において間に合うわけでございます。大体そのような状況でございます。
  149. 津川武一

    ○津川委員 そこで、もう一つ山形。豪雨が出たのは十六日の朝二時、おたくの測定であぶないという通報を出したのは四時、通報が出たときは水が引いている。どういうような気象観測をしているかというと、要員が歩いて行って雨量計を見て、それで電話でやっているわけなんです。これを見て——一生懸命なんです、おたくの人たちは。何とかしてください、機械化してください、テレメーターにしてください、こういうことなんです。  いまの場合、函館の気象台は持っていました。ところが三沢の自衛隊のやつが、どこへ飛行機が飛んで行っているか、ちゃんとつかまえているわけであります。何時何分どこを飛んでいるか、みんな見ているのです。函館のレーダーにそれがつかまえられるか、これはつかまえられないのです。このくらいの具体的なものをつかまえられたら、あの事故は起きなかった。したがって、ゆっくりやりますとかなんとかいうのではなくて、問題のあるところをすぐ——おたくの職員から聞いているかどうか、こういうところをすぐやるのかどうか、長期計画を立てるのかどうか、三つ明らかにしていただきたい。この答弁によっては、委員長に頼んで、運輸大臣なり総理大臣を呼んできて、委員長から直接やってもらってもいいと私は考えております。
  150. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの点、御指摘のような点もあろうかと思いますけれども、テレメーターにつきましては、現在でも年々、おいおい計画を進めておりまして、だんだんについてきている状況でございます。ただ、時間的なことにつきましては、いろいろおしかりもあるかと思いますけれども、やはりいろいろな面がございまして、なかなか思うような状態に進んでいるわけではございません。私といたしましては、それ以上お答えのしようがないのでございますけれども……
  151. 中井徳次郎

    中井委員長 気象庁は運輸省の所管であると思います。北原さんという人が見えているけれども砂田さんどうですか、ひとつ総理府長官として、いまの問答、お考えがあるだろうと思いますので、率直にひとつ御答弁願いたいと思います。
  152. 砂田重民

    砂田政府委員 私が党におりますときに、交通部会に籍を置いておりました。気象庁の予算のことを、少しでございますけれども、勉強したこともございます。産業に影響のある気象観測の問題は、これはこれとして、人命にきわめて直接的な影響のあるこの問題は、やはりこれが予算的な増強ということを、防災会議としても気象庁をできるだけバックアップしたい、こういう気持ちでおりましたやさきに、先生のただいまの応援団的な御質問でございました。ありがたく御意見を拝聴したわけでございます。  確かにそういった、歩いて通報に行くとか、そういう事態がまだ残されておると思いますし、いまお話しの函館のレーダーの問題は、これはやはり航空管制の問題としてはレーダーの問題、気象とは別の問題があろうとは思いますけれども、いずれにいたしましても気象庁の予算的な増強のことは、総理府といたしましてはできるだけのバックアップをしていきたい、かように考えております。
  153. 津川武一

    ○津川委員 長官はそういう事例もあるかと言っていますけれども、そこが問題の事例なんで、こういう事例があるかと思います。徐々になんということでなくて、問題が出ておるところを即刻に片づける、この体制が一つ、長期計画を立てることが二つ、これを——四十年のときに青森で同じことが起きている。やりますと言っている。今度は山形で同じことが起きておる。去年の千葉も同じです。同じことを繰り返したくない。  そこでこの点、長官、それから官房副長官おいでだから、ひとつ大事なときで——建設省の雨量観測のほうが、今度の場合、気象庁のほうよりいいのです。建設省はよけい持っておる。現実にぶつかってみたらそうなんだ。防衛庁のほうがはるかにいい。これはいまあなたの言われた装備の問題は負けたらいけないと思うので、もう一つ長官の決意を出していただきたいと思います。
  154. 砂田重民

    砂田政府委員 どうも建設省や防衛庁のそういう施設というものがりっぱにできておるということを、実は知らずにおりましたけれども、気象庁がこれに負けるようなことがあってはならないことでございますから、気象庁の人員を増強いたします予算的な措置について、中央防災会議といたしましてもできるだけの力を尽くしてまいりたいと思います。
  155. 津川武一

    ○津川委員 飛行機のことに関連しまして、航空局にひとつお尋ねしたいのです。  函館の空港に着陸する飛行機の機数が、三十九年二千三百三十四機、四十五年三千四百十六機とふえておる。乗りおりしておるお客が、四十三年に十七万人、四十五年が二十三万人、大型化して着陸する飛行機が多くなっておる。人員は三十九年もいまも十八人、こういう状況なんです。これで気象庁のほうも、朝七時から観測できないので、その人たちに合わせて八時に来て観測しておる。八時間労働で帰っていかなければならない。飛行場のほうもこうなんです。この点どう考えるか。人はやはりふやさなければいかぬ。  その次に、七月五十分函館へ飛び立つときに、函館の上空がわかっていない。これに飛行機を飛び立たしておる。こういう状況はいいのですか。聞くと定員法に関係があるので、そこで副長官おいでになっておるから、航空局にも答えていただいてから、この定員法をぶち破ってもやらなければいけないと思うので、この点のはっきりした、やるという方針を聞かしていただきたいと思います。
  156. 北原賢二郎

    ○北原説明員 ただいまの先生の御質問の第一点でございますけれども、御指摘のように、人員増につきましては、当初からあまりふえておりません。しかしながら、業務の実態を十分把握いたしまして、業務の支障のないように、来年度予算要求その他で、各空港とも十分振り返ってみまして、反映さしていきたい、かように考えております。(「現在はどうなんだ」と呼ぶ者あり)現在は十八名でございますけれども、特に人員が不足しておるというふうには聞いておりません。これは航空関係だけでございます。気象庁のほうはちょっと存じませんが……。  それから第二点の、出発前に目的地の気象が入らないということでございますが、これは、出発しますときに飛行計画というものをつくりますが、そのときに目的地の気象が入っておらない場合には、その近くの観測値——函館で申しますならば、函館そのものの気象観測値を参考にいたしまして、そして飛行計画を立て、出発いたしまして、途中で函館のほうと連絡をとり、目的地の最新の気象状況を入手する、かような状態でございます。
  157. 砂田重民

    砂田政府委員 羽田から函館へ向けて飛ぶ予定の全日空機が欠航したのに、札幌から函館へ飛んで、「ばんだい号」はあの事故を起こしたのじゃないかというお話でございますが、私も、これは非常に懸念を持ちます。  飛行プラン、フライトプランを航空会社のほうから出すようでありますけれども、気象の状態その他について、やはりその機長の判断にゆだねているのが現状だそうでございます。私も専門ではございませんし、私の所管ではございませんから、明確なことはわかりませんけれども、飛行計画を出してそれを許可するときに、気象状況等の判断は機長にゆだねているのが現状であるということを聞きました。そうであるとするならば、機長はやはり、営利会社としての航空会社の職員の一人でありますから、ここで欠航したときの会社の利害ということも、当然これはもう、営利会社の職員の機長としては含めて考えるだろうと思います。そこをやはり、航空管制に携わる人がもう少し——気象状況等を同時につかんでいるはずなのですから、航空管制の立場にある人の意見がもっと強くここに反映してしかるべきじゃないかという気持ちが私はいたします。  それができないでいるのは、やはりどこの国でも、その飛行プランというものは機長が出して、機長の判断で飛ぶんだということになって、どこの国でもそうだから日本もそうだというふうなことでなっているのか、あるいは日本の航空管制官の不足、そういうところに原因があるのか、そこらを究明をいたしまして、もしも航空管制というものの体制がもっと強力にとれれば、必ずしもその航空会社の機長の判断ばかりにゆだねないでも、第三者といいますか、航空の安全に責任を持つ、航空管制を所管をいたします方が強くそこに、許可をおろすかおろさないかの判断材料が働いているような体制がとれるとするならば、やはり航空管制陣容というものの予算的な拡充は当然考えなければならないことでございますので、いまの飛行プランがどういうふうに出されて、どういうふうにその許可がされていっているのか、そこらの原因を究明した上で、航空管制官というものの陣容を整える、こういうことを実は事故対策本部でも検討材料にして、運輸省にその旨お願いがしてあるところでございます。  ここら辺を考えまして——には御承知のように航空管制官がおりません。千歳の航空管制官に依存をしているような状態であったことは、もう明白な事実でございますから、少なくとも各飛行場の安全施設の整備を急ぐ。函館の場合は、何月に機材を発注して、何月に何の機材を整えて、その用地は何月までに買収してというふうな計画がもうできたようでございますけれども、また財政当局もそれを承知をしているように伺っておりますけれども、函館にとどまらず、航空管制体制というものの充実については、私どものほうからやはり応援をしていきたい、かように考えております。
  158. 津川武一

    ○津川委員 そこで副長官、事実の指摘だけにとどめておきますが、札幌の丘珠から飛び立ったのは十六時三十五分、十五時のときには視界が十五キロ、十六時には視界が八キロ、十六時二十三分には三百メートル——これは時間外なんです。ところが、気象庁の職員たちはそれをやっているのです。そこへ飛行機が突っ込んでいる。これを飛行機に通ずる方法がなかったか。航空局は人がいるというけれども。だから、具体的な問題で検討していただかなければならない。  そこで、六時五分に、オーバー函館六千フィートという無電が飛行機から入っている。空港の人たちはそれを受け取っている。ところが、そのとき飛行機がそこにおったかどうか確認する方法は一つもないのです。だから、あげて設備と人の問題だと副長官がはしなくも言ってくれたので、定員法がどうあろうとも、予算を変えてでも、法律を変えてでもここをやっていただくという方針を出していただきたい。  そこで、山形の今度の集中豪雨に移ります。  兵庫の新舞子のところ、おたくのところでありますので、激甚法の問題ですが、できるだけ資料を集めて激甚法をこれに適用していただきたい、これが皆さんの要求です。ところが、一つ一つできなければ、今度の一連のものを全国一本にして激甚というものをいろいろ考えていただきたい、これは各地の要求なんです。このお考えをとっていただきたい。これがまず一つです。
  159. 砂田重民

    砂田政府委員 激甚の指定各地を全部一緒にしてということが、なかなかいまの法体系のもとではむずかしいようでございます。ただ、災害復旧するというその仕事をやりやすくするということについては、前向きに私どももやってまいりたい、かように考えておりますけれども、この機会に申し上げておきたいと思いますが、新舞子の事態等につきましても、先ほどもちょっとお答えをいたしましたが、開発よりも保全を先行するのだという、そういう行政の意識革命ができてないような気がするのです。宅地造成等規制法がありましても、建築基準法がありましても、それを執行する国、地方公共団体の行政に携わる者が、開発よりも保全が先行するという意識でこういう法律運用してくれるのでなければ、なかなか防災ということはむずかしい。こういう意識をひとつ関係各省にも、また地方公共団体のそれぞれの担当の方にも徹底させていくのが私の大事な任務だろうと思いますので、そういう心得でやってまいりたい、かように考えております。
  160. 津川武一

    ○津川委員 昨年の千葉を中心としたあの集中豪雨のときに、そこだけでなく、時期の違った、地域の違ったところをあわせて一本にして激甚法をしてしまったことがあるのです。ここのところを副長官に格別に御検討願いたい。いまの前向きの姿勢で、私はそれは答弁はいただきませんが、こういうことがあるわけです。  そこで、建設省の河川局にお伺いしますが、今度の災害を見ますと、がけくずれを考えてないところにがけくずれが起きている。危険個所と考えてないところに、中小河川で、そこへ行ってみるとこんな大きな石が落ちてきている。結果からいうと、どこから流れてきたかわからないのだ、こういう形のものが起きてきているわけです。そこで、どうしても、いままでの危険ながけくずれのところと危険な河川の再検討が必要になってきたのではないか、ここのところが一つ。  それから第二番目に、同じことを毎年繰り返してきているわけなんです。そこで、がけくずれを直す国土保全の事業、中小河川を改修する事業河川の整備計画がいまのスピードでは、また同じところに繰り返される。去年、千葉でいうと八十年来の雨だという。今度山形に行ったら、これも八十年来だという。八十年来が毎年至るところに起きてきているので、こういう新しい検討と、即刻やる必要な個所と、建設省の考えている計画を早めなければならないのではないか。いまGNPで世界でこれだけ大きくなってきているのだから、この投資は当然必要だと思うのですが、ここらあたりの見解をひとつ河川局から聞かしていただきたいと思います。
  161. 川崎精一

    川崎説明員 この七月の豪雨によりまして、山形県の庄内地方を中心にいたしまして相当な災害が出たわけでございます。時間雨量にしましても、鶴岡市等では七十ミリをこすというようなことでございまして、あまり例のないような豪雨だと思われますけれども、それにいたしましても、今回のがけくずれを見ておりますと、調査対象にもなってなかったというような区域がほとんどでございます。そういった点で、私どものほうでも四十二年と四十四年と二回、そういった危険区域の調査をやったわけでございますが、そのときに山形県から出ておりますのが全部で九十八カ所しか出てない、こういうことです。この調査対象にもなってなかった。しかも、調査対象であっても、それが危険区域に設定されるという手続を踏む間に、いろいろこれは制限が加わるものですから、市町村の意見を聞きましてもなかなか色よい返事が得られないというようなことで、非常に指定もおくれておるというのが実情でございます。  そうも言っておれませんので、とにかく危険区域にするしないは別としても、そういったがけくずれで、しかも人家があるといったところは、必ず市町村の防災計画なり連絡体制の網の中にまず入れなさい。それから、危険なところについて、できるだけいまの区域指定のための調査を、ひとつ悉皆調査をやり直そうじゃないかというようなことで、現在それの準備を、各府県に連絡をいたしまして進めております。  いずれにいたしましても、そういう調査を待ってもおれませんので、私どものほうでも先般また通達を出しまして、注意の喚起等にはつとめておりますが、なお、今回の災害のありましたところについては、できるだけ実情に応じて防止工事等は実施をいたしたいと思っております。  なお、山形県につきましては、土石流等の災害がかなり出ておるわけです。これにつきましては、当面は、それぞれの被害の規模なり状況に応じて緊急的な砂防費を投入して、急いで復旧をしたいと思っておりますが、しかし、治水事業全般につきましては、最近のこういった中小河川等は、集中豪雨でやられてその弱体を露呈をしておる、それから、都市周辺では非常に災害も多様化してきておる、こういったことでございますので、治水の事業の幅の拡大をひとつはかる必要があるのじゃないかというようなことで、特に最近、社会資本のおくれ等もやかましくいわれておる時期でございますので、この際、現在の五カ年計画を大幅にひとつ改定しようじゃないかというようなことで、事務的に現在検討を進めておるところでございます。もう少しまた案がまとまりましたら、ひとつ御協力をいただきたいと思う次第でございます。
  162. 津川武一

    ○津川委員 考えてなかったところからがけくずれが起きている。考えてなかったところの川が、小さな川がはんらんして大きな被害を及ぼしている。そこで、私が聞いたのは、そういう個所の点検を新しくし直していくということが一つ。治水治山、この計画を五カ年計画などというものを考えないで、もっと早めていく必要が出てきたんだ、このことを一つ、私は答弁を求めていたわけなんです。こういう考え方をひとつもう一回河川局にしていただいて、砂田さんにも、これをバックアップする答弁をひとついただきたい、こう思うわけでございます。  もう一つの問題は、今度の危険個所の点検をやるときに、指定する場合に、まだ緊急砂防工事をやる場合に、そこの危険なところに人家が三十戸ないとやってない。今度被害を受けたところは、五戸、十戸のところでやられている。いまの基準を下げなければ、政府の持っておるこういう緊急砂防工事の基準を下げなければ合わないと私は思うので、これをひとつ下げることをやってほしい。もう一回副長官河川局に答えていただきます。
  163. 川崎精一

    川崎説明員 危険個所の点検につきましては、先ほどちょっと御説明が足りなくて申しわけございませんでした。現在急いで悉皆の点検をやるべく作業をいたしておりますが、がけ等につきましては、非常に地域的な問題が多いものですから、直接県でも全貌を把握できないというような点が非常に多いわけでございます。したがって、どうしても市町村の手をかりないとよくわからないというようなことで、県を通じて市町村の末端までよく徹底するようにいたしまして、そういった漏れのないようにしたいと思っております。できるだけ早く総点検を終わるようにということで、まだちょっと期日的な見込みが立っておりませんけれども、そういった方向で現在努力いたしております。  それから、五カ年計画と申しましたが、当然これは計画だけではなくて、来年度の治水予算をどうするかということでございますが、私ども、当然いろいろな困難はございますけれども、大幅に予算を増額していただいて、治水事業の促進をはかるようにできるだけ努力をいたしたい、こういうことでございます。  それから、先ほどの砂防の採択基準、これは急傾斜の、がけの採択基準じゃないかと思いますけれども、私ども現在調査いたしておりますのは、大体人家が五戸ぐらい、それからがけの高さが五メートルぐらいから上のものを悉皆調査をしようじゃないかということにしております。ただし、これを具体的な事業として、防止工事を府県で実施します場合の採択基準につきましては、先ほど先生がおっしゃったようなものをめどにして実施しておるわけでございます。しかし、五十戸とかあるいは緊急の場合には三十戸程度まで下げておるのですけれども、これもかなり基準が高いので実情には合わない面もあって、もっと小規模のところに災害が起こっておるわけでございます。ただし、これには予算措置等も伴いますけれども先生のおっしゃる方向で財政当局とも接触をしたい、こういうふうに考えております。
  164. 砂田重民

    砂田政府委員 当面はやはり、ただいま河川局長がお答えをいたしましたとおり、来年度予算、ここでがんばらなければなりませんので、私どもといたしましてもできるだけの努力をしてまいりたいと思います。
  165. 津川武一

    ○津川委員 時間も来たのでこれで終わりますが、米田委員が話したかどうかわかりませんが、私ちょっと抜けておりまして、例の新潟県の加茂です。皆さん一生懸命にやっていただいて、四十八年度で仕上げると言ったけれども、一年に四回も来てみると、現地の人たちはもう一年早められないか。これは、米田委員さんがやってくれたかどうかわかりませんけれども、切実な要求なのでございます。ひとつお答え願います。
  166. 川崎精一

    川崎説明員 加茂川と下条川のことでございますが、昨年のたしか八月に、米田先生からもいろいろ御懇篤な御質問がございまして、そのときに、私ども四十九年という予定をいたしておりましたけれども、とにかく四十八年の出水期までに何とか仕上げるように努力をいたします、こういうようなお話を申し上げました。現状は、大体その工程に従って予算等の配分もいたしておりますし、それから自治省の協力を得まして、起債のほうも何とか予定どおりいっておるわけでございますが、実情としますと、二つの川ともに相当用地買収を伴うわけでございます。したがって、一部四十五年度でも既定の予算が消化できなかったというような実態がございまして、なるべくそういった支障のないところから促進をすると同時に、地元の御協力もいただいて、工事を予定どおり進めたいと思っております。  これをさらに一年早めることができないかというお話でございますが、そういった用地買収それから土地の取得、こういった関係に非常に問題がございますので、私ども、別に工程にこだわっておるわけではございませんで、むしろ地元の方々が何とかもう少し御協力をいただけぬだろうか、そのほうを期待しておるのが実情でございます。
  167. 津川武一

    ○津川委員 地元の人に期待をかけているようですが、そこなんです。地獄のさたも金で済むで、この問題解決は、用地買収の費用を上げると一ぺんに片づくじゃないか、そこまで来ておると思うのですが、建設省で出しておる金の出し惜しみが、やはり具体的な障害になっているようです。これはまあ考えていただければいいんで、答弁もらってももらわなくてもいいですが、事実だけは具体的に指摘しておきます。終わります。
  168. 中井徳次郎

    中井委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。      ————◇—————
  169. 中井徳次郎

    中井委員長 この際、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会におきまして協議いたしましたとおり、災害対策に関する件について、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、審査のため委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の氏名、員数、派遣地、期間その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十一分散会