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1971-10-08 第66回国会 衆議院 公害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月八日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 始関 伊平君 理事 橋本龍太郎君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君    理事 古寺  宏君       加藤 六月君    坂村 吉正君       浜田 幸一君    細田 吉藏君       加藤 清二君    土井たか子君       西田 八郎君    米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁企画調整         局公害保健課長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         大蔵省主計局主         計官      海原 公輝君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         文部省体育局審         議官      西村 勝巳君         文化庁次長   安達 健二君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小島 康平君         通商産業省企業         局立地指導課長 浜岡 平一君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省公害         保安局参事官  森口 八郎君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     信沢 利世君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         郵政省郵務局輸         送課長     永岡 茂治君         建設省都市局都         市総務課長   小林 幸雄君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省道路局有         料道路課長   高橋  力君         日本国有鉄道施         設局長     北岡寛太郎君     ————————————— 委員の異動 十月八日  辞任         補欠選任   久保田円次君     坂村 吉正君   葉梨 信行君     細田 吉藏君   松本 十郎君     加藤 六月君 同日  辞任         補欠選任   坂村 吉正君     久保田円次君   細田 吉蔵君     葉梨 信行君   加藤 六月君     松本 十郎君 同日  理事岡本富夫君同日理事辞任につき、その補欠  として古寺宏君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  公害対策に関する件(公害対策基本施策等)      ————◇—————
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  おはかりいたします。  理事岡本富夫君より理事辞任いたしたいとの申し出がありますが、これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  引き続き、ただいま辞任されました理事補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。それでは、古寺宏君を理事に指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  5. 小林信一

    小林委員長 公害対策に関する件について調査を進めます。  先般、公害対策状況等調査のため委員派遣いたしましたが、この際、派遣委員報告を聴取いたします。始関伊平君。
  6. 始関伊平

    始関委員 本委員会におきましては、去る九月十六日から、議長の承認を得て、長野県、富山県、岐阜県、愛知県及び静岡県下の公害対策状況等、特に大気汚染の問題、水質汚濁の問題及び自然保護の問題を中心として調査を行ないました。  時間の都合もありますので、その調査結果の詳細については委員長のお手元に報告書を提出しておきましたので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らい願い、この際省略させていただきたいと思います。  以上で報告を終わります。
  7. 小林信一

    小林委員長 これにて派遣委員からの報告聴取は終わりました。     —————————————
  8. 小林信一

    小林委員長 おはかりいたします。  ただいまの始関伊平君の御提案のとおり、調査報告は本日の会議録に参照掲載するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  10. 小林信一

    小林委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。浜田幸一君。
  11. 浜田幸一

    浜田委員 委員長に御了解をいただきたいと存じますが、実は質問のおもなるものが環境庁長官に対してでありまするが、環境庁長官が参りますまで質問をお許しいただきたいと思います。道路局長にお願いをいたします。  まず第一点の問題としてお伺いをいたしますが、現在建設省日本列島開発のために計画されている一つ道路計画、この道路計画の中で国立公園もしくは現在いわれている、これからつくり上げられようとする自然保護法あるいは文化財保護法、そういうものとのかね合いの中で抵触すると思われる道路計画は幾つありますか。このことについてお伺いいたしたいと思います。
  12. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 ただいまの御質問道路計画国立公園との間に抵触するという御質問でございますが、ちょっとその意味がはっきりわかりませんですが、国立公園内におきまして、各所で実は道路工事を行なっております。また工事を行なう場合につきましては、それぞれ国立公園法に基づきまして、施設の計画につきましては許可を得ております。また工事実施にあたりましてはそれぞれ届けまして、十分協議の上に実施しておりますので、抵触しているものはないというふうに私たち考えております。
  13. 浜田幸一

    浜田委員 意味がよくおわかりにならないということでありますが、私が聞いたのは、国立公園関係のあるもの、これが現在建設省の調べでは、自然公園内の通過有料道路として二十六ございます。その中で抵触しているものはないというお答えでございますが、昭和四十五年の十二月十九日に許可をされました長野県の霧ケ峰、この問題についてはどうお考えでしょうか。
  14. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 長野県の計画しております霧ケ峰有料道路につきましては、たまたま美ケ原国定公園の地内を通る計画になっておりまして、これはただいま県内におきましてそれぞれの関係機関との間の意見調整をやっておる段階でございまして、まだ実施に至っておらない段階でございます。
  15. 浜田幸一

    浜田委員 そうすると、許可はしたけれども、先ほどの答弁では抵触しているものは一つもないというお答えであったのですが、抵触しているもの、たとえば関係のあるものがあったという解釈でいいわけですね、その点。
  16. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 建設大臣事業としての認可はいたしておりますが、御指摘のように環境庁との了解はまだ達しておりませんので、なお地元との間における関係方面との意見調整もできておりませんので、工事には着工してない段階でございます。したがいまして、先生のおっしゃるとおり、その点においては支障が起きているというふうに考えても差しつかえないと思います。
  17. 浜田幸一

    浜田委員 先ほどあなたは一件もないと言われたけれども、一件もないどころではなく、完全にできるかできないかわからないものを建設大臣認可しているといわれてもしかたのないことだと思います。  その問題はさておきまして、これは昭和四十六年の五月五日の朝日新聞でありますけれども、この問題について、「自然保護へ厚いカベ」「経済利益どう調整」「生活訴える過疎地域」という問題が出ておりますが、この点について道路局長環境庁からどういうことを言われているのですか。ひとつ折衝の過程についてお話をいただきたいと思います。  そこで委員長、ちょっとお願いしますが、一々御協議されて、私の持ち時間の関係もありますから、答えられる人に答えてくださるようにおっしゃってください。
  18. 高橋力

    高橋(力)説明員 ただいまの御質問の点につきましては環境庁事務当局のほうと連絡をとっておりまして、今後十分な密接な連係をとって仕事を進めるように、そういうふうに私どもお話しをいたしております。
  19. 浜田幸一

    浜田委員 そこで、それでは法律解釈について道路局長にお伺いしたいと思います。  建設大臣道路認定をされる場合、日本国内の中にある法律のすべてを正しく理解されて認可をされると思うわけでありますが、いまの答弁では、横の連絡が全然とれないままに許可をされたような気が私はするのです。こういう問題は事前に、許可をされる以前にすべて各省の間の煮詰めはされておかねばならない問題だと思う。地域住民は少なくともこの道路がつくられることに大きな期待を寄せております。たとえば県と国がこの問題の道路決定をします場合に、当然このような問題が起こるであろう、あるいは起こった場合の措置、そういうものについて事前協議で完全にこういう問題が処理されていなければならないのではないでしょうか。その時点では環境庁はできておりませんでしたから、これはいまここで論議をすることは非常に危険な論議になると思いますけれども、その点について建設省としては認可をするにあたって誤りはなかったのかどうか、この点を私はお伺いします。
  20. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 ただいまの御指摘霧ケ峰——美ケ原の問題は確かに手落ちがあったようでございますが、従来われわれが認可する前に、起業者建設大臣申請をする場合、起業者があらかじめ環境庁——環境庁になる前は厚生省でございますが、環境庁協議の上、その了解を得た上で初めてこちらのほうに申請をするというたてまえになっております。ただいま申しましたように、ほかの件につきましては一切そういう手続を経て申請しておりますが、ただいま申し上げましたような霧ケ峰だけは、認可されるという想定のもとにどうもこちらのほうに提出されたようでございまして、私どものほうも若干手落ちがございましたが、そういうことのないように今後は進めたいと考えております。
  21. 浜田幸一

    浜田委員 これは手落ちがあったということをお認めになったわけですから、それが議論の中心ではありませんので、一応その問題に対する質疑は打ち切ります。  そこで、自然保護局長にお尋ねいたします。いまのこの霧ケ峰工事の問題について、国は昭和四十五年に一つ決定をして、許可をしておられるわけです。これについて環境庁待ったをかけたということになっております。その理由は何ですか、お伺いします。
  22. 首尾木一

    首尾木説明員 霧ケ峰は、御案内かと思いますが国定公園でございまして、その国定公園につきましては、そこに道路等工作物を新設することについては、これは都道府県知事許可事項ということになっております。それからそこの公園事業といたしまして、公園道路として道路をつくることもございますが、これも都道府県知事認可事項ということになっておるわけでございまして、その点においては、この問題になっておりますビーナスラインの建設問題というのは、これは長野県において決定をすべき事項長野県知事決定によって最終的には行なわれるべき事項でございます。しかしながら、私らの国定公園につきましては、これは全体としまして大きな計画につきましては国でやっておるところでございまして、国定公園の自然の保護あるいはその適正な利用ということにつきましては、国といたしましてもこれが適法に行われることについて指導監督をするという立場がございますので、その点におきまして、長野県のビーナスライン県内において非常な論議をかもしておりまして、そういったような点で、その中身につきまして慎重に検討をしていただくようにということで、長野県のほうに環境庁長官のほうからお話をいたしたわけでございます。こういうような次第でございます。
  23. 浜田幸一

    浜田委員 それでは、この問題が起こってから環境庁でどなたかを長野県に派遣をされて、その実態の推移を御検討なさったことがございますか。
  24. 首尾木一

    首尾木説明員 私ども計画課の職員、技官でございますけれども、二名が参りまして現地について実態といいますか、現地事情調査いたしております。
  25. 浜田幸一

    浜田委員 その報告の中に、反対運動が強過ぎてという報告がありましたか。
  26. 首尾木一

    首尾木説明員 調査はもっぱら自然の状態あるいはその利用状態といったような現地状態についての調査主眼として行なったものでございまして、反対運動といったようなことにつきましては、特別にその事情がどうであるといったようなことについての調査というものを主眼といたしたものではございません。
  27. 浜田幸一

    浜田委員 この問題が建設省は四十五年に認可しながらできない理由は、私ども調査によると反対運動が起こった、たとえばこれは御存じだろうと思いますが、新田次郎の小説の「霧の子孫たち」というものがございますけれども、これを守る文化団体ですね——これはそれで有名になって、文化保護しよう、そういうことで文化団体市民団体が立ち上がって、四万五千人の人たちが署名をして反対運動に立ち上がったということは御存じでしょうね。そこから問題が起こってきていると思うわけです。しかし調査に差し向けておきながら、その認可されたものができない、あるいは環境庁待ったをかける理由一つとして、当然それらの行為が明確に報告されないのはおかしいのじゃないですか、なぜそれでは何のために調査をしに行ったのですか、これは環境庁建設省に対して待ったをかけたことじゃないでしょう、その点どうなんです。
  28. 首尾木一

    首尾木説明員 私ども先生のおっしゃいますように、事実上の問題としまして、この問題が大きな問題となりましたのは、そういったような反対運動が大きくなったということが端緒になっているということは申すまでもないところでございまして、その間の事情等につきましては、私ども十分承知をいたしておるわけでございます。しかし問題は、その反対運動云々ということの反対をしておる理由でございますけれども反対理由の中に、やはり自然の保護なりあるいは国定公園の適正な利用といったような観点からする反対運動ということでございますので、その実態について、環境庁としてどう考えるかということの判断をするために調査を行なったものでございます。
  29. 浜田幸一

    浜田委員 その論議はこの辺にしておきます。ただ、環境庁が御調査をされた結果、ここは建設省認可をしているけれども環境庁の主管になった場合に、これを建設省に同意を与える場合に、大体あとどのくらいかかると思われますか、結論が出るまで。
  30. 首尾木一

    首尾木説明員 私どもはできるだけ早く結論長野県においてつけられるべき問題だというふうに考えております。
  31. 浜田幸一

    浜田委員 わかりました。  私は次の質問に移りますが、そうすると環境庁仕事反対が起こったところだけは視察に行って、それを解決するために必要な努力というのはできるだけ早くということしかできない庁なんですか。
  32. 首尾木一

    首尾木説明員 そういうことではございませんで、しかし問題のあるところに反対が多いといったような情勢でございまして、全国各地にいろんな自然破壊の問題あるいは自然破壊のおそれがあるのではないかといったようなところがございまして、そういうようなところについては、やはり問題があれば実態調査をなるべく早くしまして、それについての適正な結論を得たいということで現在進んでおるわけでございますが、しかしお話をまつまでもなく、私どもはたとえ声が起こらなくても、全国のそういったような問題がある地点については、やはり十分調査をいたしましてこれに対処してまいりたい、こういうような考え方でおるわけでございます。
  33. 浜田幸一

    浜田委員 それではもう一点お伺いしますけれども、たとえば文化財保護法が現在あります。その中には指定される植物、動物に至るまで全部文化財保護法の中で守らなければならないということできちっと制定されております。その第四条の三項についてちょっとお伺いしたいと思います。  文化財保護法の第四条「一般国民は、政府及び地方公共団体がこの法律目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。」、その第二項に「文化財所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。」、だから文化財保護法というものには、現在環境庁がつくり上げられようとする自然保護法との類似点はたくさんあります。しかし第四条の三項に「政府及び地方公共団体は、この法律の執行に当って関係者所有権その他の財産権を尊重しなければならない。」ということが明確にされております。ところがこの私ども調査では、財産権並び所有権を尊重しなければならないということがあっても、現在の政府法律範囲内においてはこれを守る裏づけは一切ないわけです。それはそのつどそのつど予算措置は計上してやることはわかりますよ。ところが、長野県の霧ケ峰の中で特に問題になるのは、過疎地域人たちに対して、たとえば開発行為が行なわれないために利益が享受できない、ある者はその国立公園の近辺に財産を所有していて、そういうことに大きな期待をかけていたものがだめになったとかりに仮定します、これは私の提起現行法の中で常識とは考えられない提起でありますから、これは参考のためにお伺いをしておきますが、道路ができなくなった場合は、過疎地帯人たちはそのまま過疎でいなければならないわけです。その場合に、この文化財保護法の第四条第三項の保障権の及ぶ範囲、このことについてどうお考えになりますか。——質問意味がおわかりにならないようですけれども、たとえば例を霧ケ峰で話すとたいへんなんですけれども、私のほうには房総スカイラインがあるわけです。いま房総スカイライン自然発生サルを守る、これは自然を守るということで一緒なんです。ところがこの道路ができるかできないかということは千葉県全体の、南房総開発計画、生産、所得向上あるいは人間文化向上をはかるために必要な交通機関の第一の拠点であるわけです。ところがこの法律を見てみますと、実際には、自然は守る、文化財は守る、ところが人間を守るということはその中に全然出ていないわけですね。だから人間を守れないとするならば、サルの住んでいる隣に民有地があったとする、これとの関係はこの三項の及ぶところになるだろうかということなんです。もっと具体的に申し上げると、人間を守るか、動物を守るか、自然を守るか。少なくとも私の提起基本は、人間憲法に保障されたように生まれながらにして近代生活を営む権利がある、この憲法条文御存じだろうと思いますが、生まれたところが過疎地域であったために現在の経済社会において東京と比較した場合には非常に低い、千葉と勝浦と比較した場合は非常に低い、そういうところで生活している人たちに対して生活格差是正をするための行為としては私は開発行為もしくは道路計画以外にないと思っている。ところが片方の法律では自然を守るために文化財を守るためにということ  でそれらができないようなことになっておる。それらの今後の自然保護法をつくる場合の解釈でもけっこうです、ひとつこの点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  34. 首尾木一

    首尾木説明員 特定霧ケ峰あるいは千葉県の高宕山の事情についてのお尋ねではないと考えておりますので一般的なお答えとして申し上げたいわけでございますが、やはり道路をつけることにつきましてはもちろん過疎問題そういったようなことにつきましても十分の配慮をしなければならないことは当然だと私ども考えておるわけでございます。一般的に申しまして、私ども現在の自然公園法あるいは今後自然保護法ということでいろいろ検討いたしておりますが、そういったような場合におきましても、しかし私権との調整の問題あるいは公益との調整の問題というものにつきましてはやはりこれがこの法律における一番重要な問題の一つであるというふうに考えておるわけでございまして、現在の自然公園法におきましても明文の規定をもちまして私権の尊重それから公益との調整を十分はからなければならないということをいっておるわけでございます。したがいまして当然そういったようなときにその調整考えてみなければならないわけでございますが、これはやはり具体的な個別の道路につきまして、その案件一つ一つについて十分に検討すべき問題でございます。その地域特定道路開発のみがその地域のための唯一開発の方法であるかないかといったようなことにつきましてもいろいろ問題があろうかと思います。また具体的には現在過疎問題といったようなものの解決としましていろいろ道路が希望をされておりますけれども、その実情を考えてみますと、特に人の住んでいない地域について道路を通す、しかもそれはいわば通過のための観光のみが唯一道路目的であるといったようなこと、そういうような道路の場合も考えられるわけでございまして、そのようなときに一体その道路観光道路として当該自然の景観を楽しませることが利用者の真に求めているところであるかどうかといったような点も十分に考えてみなければならないということだと思います。私どもは決して住民の経済的な利益なりあるいは開発利益といったようなもの、そのためにどうしてもつけなければならないといったような道路についてまであえてこの問題を、道路はすべてできないんだといったような考え方を持っているわけではございませんで、それはやはり一つ一つのケースとして検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  35. 浜田幸一

    浜田委員 そこで、たとえば千葉県の道路計画千葉開発ということで、これは観光のみに限られていない、千葉県全体の県民の生活格差あるいは所得格差是正のために計画されたものが実は現在三十七あるのです。その基幹道路となるものが房総縦貫道路房総スカイライン道路でございます。これは御案内のように全部鹿野山の上を、ここはあなたのいわれるように家のないところで、家のあるところは当然用地取得はできません。ですから、この房総山脈の上にどのように計画道路を通すことが一番千葉県の経済効果をあげるかということにつながるわけです。その場合に千葉県の場合は、千葉から出発しまして房州の先端に至るまでの房総縦貫道路、これはまだ建設省には許可申請をしてございません。プランを練っているところでございますが、たとえば房総スカイラインは一応一億の予算をいただいております。そこで、人間のいないところを開発しようと思って道路をつくろうとすると、そこにサルがいるんですね。これは文化財保護法適用になるわけです。それと今度自然保護法ができますと、その自然保護法にも適用になると思いますね。私はむずかしい理論の展開は別といたしまして、人間のいるところはいま道路をつくる場合には土地が高くてとてもやれない。ところが人間のいないところにはサルがいてこれまたやれない、そういう場合はどういうことになるのですかね。
  36. 首尾木一

    首尾木説明員 お答えします。  たいへんむずかしい御質問でございますけれども、私どもは、やはりこのわが国土の自然というものはその自然の資源状態に応じて開発なり利用なり保全なりを考えていくべき、全体としてそういう一つの大きないわば計画といいますか、そういったようなものを持って開発すべきところあるいは保全すべきところを計画的に指示をしていかなければならないのではないか、どこもかしこも全部自然を開発し尽くすということはやはり好ましいものではないというふうに考えておるわけでございまして、そういうような点から、そういう広い見地から国土のいわば利用区分といいますか、そういったものを頭に置きながら自然環境も保全をしていくということを考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  37. 浜田幸一

    浜田委員 私がお伺いしたいのは、あなたはサル人間が同居していると思っているんじゃないですか。大体人間の住んでいるところにサルは住んでいないのですよ。またサルの住むようなところに人間が住めるわけないんですから。そこで、私はそれは何もあなたとやり合うつもりじゃないのです。かっこうのいい環境庁長官の大石さんとやろうと思っているのですが、その前にはっきり聞いておかなければならない問題は、もう当然役人が政治を行なっているということはいま定説になっていますから役人のトップに聞くわけですけれども人間の住んでいるところと人間の住んでいるところの間に山があって、その流通をはかることができないから流通をはかるための道路をつくろうとするときに、まん中にサルがいて、それでその道路ができないんだということになった場合に、これはどういう法律解釈したらいいのですか。それは反対する者が多かったらつくらないほうがいいという結論になるかもしれませんね。しかし議会制民主政治の国家の中で、つくってほしいという国民が多かった場合に、どっちを選ぶのですか環境庁は。その点をちょっと聞かしておいてください。たとえば反対する一部の者があるからそれはできないのだ、その点どうなんでしょうか。これは自然保護法をつくられる場合でも大事なポイントになると思いますから、少なくともその点何かお考えがあるんじゃないですか。
  38. 首尾木一

    首尾木説明員 先ほどの繰り返しになるかと思いますが、やはりその当該事例につきまして十分そういう自然保護ということと、それから住民の生活あるいは住民の経済、そういったようなものとの調和といいますか、そういうことを考えていくよりほかはなかろうかと考えております。
  39. 浜田幸一

    浜田委員 わかりました。ちょっと同じ問題で形を変えて質問さしていただきます。  それじゃ東京で環境庁自然保護をされる場合には何と何と何を保護されるのですか。この間、環境庁の長官はかっこうのいいことを言っていましたね。美濃部さんと仲良くして公害追放をやるんだということを言った。環境保全というのは緑にある。日本列島の中で山があってサルがいるようなところは全部過疎地帯なんです。ところがこれだけ開発された東京の環境保全のために環境庁は美濃部さんと手を組んで何をやるのですか、私に教えてください。東京の中の赤坂とか銀座とかそういうところの環境保全は、自然保護ということはどことどこをやるのですか。たとえば銀座を取っ払ってそこを自然保護地にしようとするのですか。あなた方は私の理論の展開が飛躍的だと言われるかもしれないけれども、現在緑の残っているところだけを自然保護地として守る以外に守る方法はないじゃないですか。金のかからないことはやれるけれども金のかかることはやれないというのが現在の本音じゃないですか。たとえば、あなたの道路計画に対する説明はきちんと記録に残っておりますから、それなら東京都の自然保護はどうするのですか、あるいは大阪の自然保護はどういう形で保護法の中で守ろうとされるのですか。その守らなければならないものは一体どことどことどこなんですか、このことについてお聞かせください。
  40. 首尾木一

    首尾木説明員 新たに自然保護法を制定をいたしまして、どのような地域についてどのような規制を行なうかということにつきましては現在鋭意検討中でございますが、しかし現在の観点から申し上げますと、東京都のような市街地につきましては、これは都市計画法の中において風致の保全なりあるいは緑地の保存といったようなものが考えられておるわけでございまして、そういったような点で自然環境ということについての意義については検討されるということでございます。
  41. 浜田幸一

    浜田委員 当然自然環境の保全というものはそういう解釈でけっこうだと思います。  それでは一点だけお伺いします。日本国の公害基本法の中で、制定された新法の中で、大気汚染の問題についてこれは政令で定めるということになっています。東京都条例の基準もあります。あなたは自然を保護する前に人間保護する政令を——たとえば大気汚染の問題一つ考えてみた場合に着地濃度の規定についても政令と東京都条例では差があるとは思いませんか、その点ひとつ聞かしてください。
  42. 山形操六

    ○山形説明員 いまの御質問でございますが、私ども大気汚染防止法と自然保護との関係、直接先生の御質問については関係がないと私は思います。
  43. 浜田幸一

    浜田委員 直接関係ありませんが、私は問題を変えてお伺いしているのですよ。政令と東京都条例の差についてお聞かせくださいと言っているのです。政令で定めた着地濃度と東京都条例で定めた着地濃度ですね。たとえば大気汚染、亜硫酸ガスなら亜硫酸ガス一点でもけっこうですから、その相違点が、これは合致していますか。日本国の政令を東京都は守っていますか。その点をお伺いしているのです。
  44. 山形操六

    ○山形説明員 質問意味を取り違えまして失礼いたしました。  おっしゃるとおりに、都道府県で上乗せができる問題がございます。亜硫酸ガスについては除外しておりますが、たとえば光化学スモッグの問題等々で数字の違う点はございます。しかし、その点に関しては、私どもは、これは国の法律のほうに違反してやっているという解釈でなしに、その地域の特殊性について地方自治団体が考慮してやっている現状でございまして、この点に関しましてはいろいろな法律議論があるところと解釈しておりますが、いまだに私どものほうではこれに対して法律違反というような解釈はとっておりませんが、先生のおっしゃる点、御指摘があったように違う点があることは認めます。
  45. 浜田幸一

    浜田委員 いまお聞きになったとおりなんですがね。たとえば亜硫酸ガスをはじめとするそういう公害を守るための法律、それを東京都と比較してみた場合には、東京都のほうがきびしいということは御存じでしょうね。この点いかがですか。
  46. 首尾木一

    首尾木説明員 私は直接の公害担当でございませんが、もちろんそのことについては承知いたしております。
  47. 浜田幸一

    浜田委員 当然そのことは大事なことだと思うのですよ。自然保護法をあなたの担当でお守りになるわけでしょう。その場合に、自然が侵されやすい場合に、日本の政府決定した政令の中で自然を保護する施設をつくったりあるいはそれを防備するための防護さくをつくったりされる場合と、東京都の条例を基準にして環境保全、自然保護をされる場合とでは、当然方法が違うんじゃないでしょうか。これは、無理なことを何もお伺いしているんじゃないですよ。もうりっぱなお考えをお持ちですから心配はないと思いまするけれども、たとえば東京都の考え自然保護の姿勢と日本政府考え自然保護の姿勢と、姿勢に相違があったら迷惑を受けるのは東京都民だと思うのですよ。だから私は特にこの問題に言及しているのですよ。  その問題は論外として、それならお伺いしますが、先ほどお伺いした問題に戻らせてもらいますが、東京都で自然を保護されようとするところはどことどことどこですか。おもなところを教えてください。
  48. 首尾木一

    首尾木説明員 私どもは、東京都の中における一番環境問題としましては、やはりこのような大都市におきましては、さしあたっての問題としまして公害問題というのが一番の重要問題だ、さしあたっての問題としては公害の問題というふうに考えておるわけでございまして、自然保護法でどういったような保護をするかということにつきましては、実はたいへん遺憾でございますけれども、現在のところ、まだその確定的な考え方というものをきめておらない段階でございます。したがいまして、今後自然保護法の中でそれをどういったような扱いにするかということに応じまして、もし東京都の中においてそのような環境を保全するというようなところがございますれば、そういうことについての扱いをその中で考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。現在のところは、まあ、東京都の中におきましても、国定公園としまして、明治の森の高尾の国定公園でございますとか、そういうようなところにつきましては、これは自然公園法による保護をいたしておるところでございます。
  49. 浜田幸一

    浜田委員 そうすると、環境庁自然保護ということでたとえば道路計画に対して待ったをかける。待ったをかけるという表現は悪いと思いますが、もう少し待ってくれということで研究をされますね。その場合はもうそういう抵触を受けるところは東京都には全くないわけですね。  私はこういう解釈をしているのです。東京都の場合は緑の供給をするのが自然保護だと思うのです。これはあなたはまだ考えてないと言うけれども、私自身は、東京都にはいまある自然を守るだけでは自然保護法意味をなさない、一千万以上の人たちに緑を与える仕事をするのが環境庁仕事だと思う。自然を与える。その自然はわれわれの先輩が営々として守ってくれた自然をそのまま踏襲させる形では、それは自然保護法をつくる意味がないと思う。むしろ積極的な予算を投下して、建っている建物、そういうものをどかしてまでも、たとえば緑化公園をつくるとか、あるいは国民が、東京都民がほんとうにいこいの場を求めて散歩ができるような大きな公園をつくるとか、そういうことが東京都における自然保護だと私は思う。この姿勢を一つにはきちんと持っておられて、同時に日本列島の中にある伝統ある自然を守るという姿勢、これが私は環境庁自然保護の姿勢でなければならないと思う。ところがあなたはいま御答弁の中で、現在そのことについては考えておられないと言われた。これから検討すると言われた。ところがいまあなた方のやっていることは、たとえば道路計画開発計画をやる場合にはそこは侵されてはならないということをあなた方は言われるけれども、それにかわるものとして、実はそこまで反対した、だめだという決定をされるならば、この地点ならばうちに該当するところはないのですからいいんですよということを、やはりはっきり提示してやらなければいけないのじゃないでしょうか。私はこのことについて環境庁の所見を伺っておきたい。ここは国立公園があるからだめだ、しかし国民の利益を守るためにはこの地点に移動してもらうならば環境庁としては認めることができますよ、ただし幅員は十八メートルになっておりますけれども、それが十六メートルである場合はあまりにも自然を破壊しやすいから、それは八メートルにしてくださいとか、そういう基本的な姿勢に立って道路計画開発計画に対して善処をしていかなければならないと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  50. 首尾木一

    首尾木説明員 先生の御意見のとおりだと考えております。
  51. 浜田幸一

    浜田委員 そこで建設省にお伺いします。  道路局長にお伺いしますが、この長野県の問題については、ここを通す以外に道路の意義は成立しないのでしょうか。道路をつくる意義というもの、そういうことについてはお考えになったことがございますか。
  52. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 長野県の霧ケ峰の場合は、あの計画そのものが観光中心考えておるものでありまして、そういう面におきまして適否というのは別な問題が出てくるかと思っておりますが、道路計画としてはあのルートが観光目的からいうならば一番最高かと思われます。
  53. 浜田幸一

    浜田委員 そこで私は、これはいまは公害問題の基本的な法律をつくろうとしているときですから、こういう問題が起こってくるのは当然だと思います。ただ問題になりますのは、反対なら反対をされる者があると、そのたびごとに道路がつくられない、あるいは開発工事が阻止されるということは、資源なき国家の日本にとって大きなマイナスにつながる気もするのです。ところが私自身公害とのかね合いというものを考えた場合に、そういうことがずばりと言えないところに私の勉強不足さがあると思いますが、たとえば一例を申し上げます。  われわれは日本の経済発展のために必要な京葉工業地帯の造成に踏み切りました。それは何であったかといえば、千葉県においてそれは未開発地である。その後背地に対して、そこから上がってくる財源を十二分に活用して県民生活、国民生活のレベルを向上したいということが第一の願望であったわけです。ところが、国家要請にこたえて京葉工業地帯を造成しましたけれども、後背地に潤いを与えるために道路をつくろうとすると反対が出る。ところがわれわれのところだけは公害だけは残る。そういう後背地から、われわれのところだけは公害だけが残るではないか、そういう議論が出てきているという現状の認識だけは私はしておいてもらいたい。これは環境庁の長官に私から申し上げることですけれども、このことがやがては大きな問題になってくるような気がするのです。ですから、私のきょうの質問の論旨は、新しい法律をつくる場合には人間動物の比較、人間が生存すればこそ自然保護というものは必要であるという基本的な理念、こういうものについてはきちんと環境庁自身もお持ちの上でつくっていただきたい。文化だけは守る、伝統だけは守る、現在の人間はそのままでいいという理論であってはならないような気もいたします。もちろんあなたもそうは考えておられないと思いますが、質問の展開の論旨は、そこのところを御理解いただきたいということでございますので、一応念のために申し上げておきます。  それから、文化庁の代表の方、文化庁の安達次長さんにお伺いいたします。  これは文化財保護法に関する問題でありますが、その中の第四条の第三項「政府及び地方公共団体は、この法律の執行に当って関係者所有権その他の財産権を尊重しなければならない。」という項目がございますけれども、これは、たとえば文化財の指定をいままで文化庁が行ないますね。その場合に、その土地がたまたま民有地であった場合はこれは国が買い上げております。これは私も知っております。ただ、その財産権を尊重しなければならない、「関係者所有権その他の財産権を尊重しなければならない。」ということでありますが、たまたま道路なら道路をつくる場合に、そこに文化財保護法に抵触するものがあったといたします。ただしそこが文化財保護法によって道路通過がされない。その場合に、たとえばその道路ができなければ過疎地帯開発ができない。これは損益がたいへん大きなものになってまいりまするけれども、この法律はそこまで及ばないと思いまするが、この第三項そのものが現在の時点の開発行為が進められている状態、日本列島の開発の条件の中ですでに法律の性格を持っていないような気がするのですけれども、これを拡大解釈するような法律改正の意思はありませんか。
  54. 安達健二

    ○安達説明員 文化財保護法は、文化財として指定されたものにつきまして、これが国民の貴重な遺産であり、それから将来の日本の文化向上発展のための基礎をなすものである、そういうことのためにこれを保護するということに目的を置いた法律でございます。そういう関係からいたしまして、文化財保護法考え方はやはり守るということに中心があると思うのでございます。しかしながら関係者所有権その他の財産権も尊重しなければならない、こういう趣旨が四条の三項に書いてあるわけでございますが、さらに具体的に申しますと、史跡なり名勝あるいはいま問題になっておりまするサルの生息地のような天然記念物に指定されているような土地について現状変更する、道路をつくるとか住宅をつくるという場合におきましては、そこの現状変更について文化庁長官の許可を受けなければならない、そういうことになっておりますので、その際につきましては、文化財保護法の七十条の二の規定がございまして、「所有権等の尊重及び他の公益との調整」というのがございまして、文部大臣または……この指定を行なうにあたっては、「特に、関係者所有権、鉱業権その他の財産権を尊重するとともに、国土の開発その他の公益との調整に留意しなければならない。」ということでございますので、これらの規定の運用によりまして、われわれといたしましては文化財を守るということが第一義でございますが、同時にそれが所有権との関係において調整をするという面におきまして、人間の生活もまた大事であるという観点でございまして、したがいまして、私どもはこの指定されたものを守るということが本義でございまして、それとの調整の上におきまして、その他の財産権その他の公共利益を、大いに調整に留意する、こういう考え方と思います。
  55. 浜田幸一

    浜田委員 そこで、御説明をいただきましたので、今度は文化財保護法の八十一条、これをちょっとお開きいただきたいと思います。この八十一条の二項に「前項の規定による処分によって損害を受けた者に対しては、政府は、その通常生ずべき損害を補償する。」ことになっております。この場合の、現在の補償行為に必要な政府予算計上額はどの程度になっておりますか。
  56. 安達健二

    ○安達説明員 現在は、この八十一条によるところの環境保全の命令は出しておりません。したがいまして、その第二項によるところの損害の補償についての予算は特にそれとして計上されておりません。
  57. 浜田幸一

    浜田委員 長官が見えましたので、この議論はまた後ほどにさせていただきたいと思いますが、もう一点だけ、たとえば千葉県の房総スカイラインの審議会の委員の中に、文化財保護審議会の委員の山階芳麿さん、それから古賀忠道さんという方がおられますが、このお二人は政府文化財保護審議会の委員のメンバーの中にお入りになっていることは御存じだろうと思います。実は千葉県はこの問題について、房総スカイラインの審議会をつくりました。そして文化財保護審議会委員の山階さんと古賀忠道さんを実は審議会の委員にお願いをいたしました。現在鋭意検討中でありまするけれども、これはおかしなことには、大学の教授並びに文化財保護関係者は全部答申の趣旨をはき違えておられます。これはあとでまた一応御検討いただきたいと思いますが、一番初め千葉県知事がそこに、審議会に答申を求めましたのは、文化財保護のたてまえから、この道路がその地点を通過することについてどうお考えになりますかという趣旨だと思います。ところが、いまやこの審議会は、審議会の委員の十五人中九人は、道路をつくることは相ならぬというところまで発展しております。そうすると、日本国の指名した文化財保護審議会委員の方々は反対することが基本的な前提条件であってはならず、いま次長が御説明になったように、少なくとも開発行為あるいは国民の利益人間尊重、そういう点に立って考えた場合は、それらの問題の、たとえば影響のない地点に対する移動もしくは計画変更、そういう形で行動することは、私は正しい法解釈につながるものだと思いますが、次長はどうお考えになりますか。
  58. 安達健二

    ○安達説明員 サルの生息地として指定されておりますものは全国で六カ所ございまして、この高宕山のサルの生息地もその中でも非常に大事なものでございます。私どもといたしましては、このサル及びサルの生息地をできるだけ原形のままで保存するというのがわれわれの任務でございます。したがいまして、私どもはそういうものを保全しつつ、また人間生活もできるような方法はないかということで、その地域を避けて道路をつくることが可能で、しかもそれならば両者が立つわけでございます。したがって、中を通らなければ人間が死ぬというわけではないわけでございます。したがいまして、われわれはサルも生きるし人間も生きるという方法をいかにして見つけるかというところで、この審議会でやっておられるわけでございますので、われわれといたしましてはその考え方で、基本的にはこのサルの生息地を守るということの大方針のもとに、それと人間生活との調整をどうするかということでございますから、この地域を避けて道路をつくる方法はないものかということで検討せられると思っておるわけでございます。
  59. 浜田幸一

    浜田委員 それでは最後に次長にもう一点だけお伺いしておきますが、いま御答弁いただいたことで十分であります。文化庁としては、その計画変更が、たとえば国立公園あるいは文化財保護法に規定されている文化財あるいは植物、動物、それらのものを避けて通る地点に計画変更をされて道路計画された場合は、たとえば反対の論拠もしくは反対をされる意思は全くないわけでありますね。その点だけ一つ聞かしておいていただきたい。
  60. 安達健二

    ○安達説明員 文化財保護法の立場から言いますと、そのサルの生息地に道路をつくることは好ましくない。われわれとしては、このサルがここのところで生息してもらいたい、こういうことを思っておりますから、その指定地外に道路を通されることについて、われわれとしてこれに異議を申し立てる理由はないわけであります。
  61. 浜田幸一

    浜田委員 たとえばそのサルが生存するところを、多少でも人間を守るために縮小しなければならないようなときに、合議が必要だということですね。
  62. 安達健二

    ○安達説明員 サルの生息地として指定されておりますところの三十ヘクタールのところにその道路がかかるということになりますれば、文化庁の許可を要するということでございます。
  63. 浜田幸一

    浜田委員 これはたいへん失礼な質問で恐縮でございますが、人間サルが両立するようにという表現が先ほど使われております。人間もいい、サルも守りたい。そこで人間サルの価値観をいまさら私がお伺いする必要はないのですけれども文化の存在理由というのは人間の前進のためにあると思うのですね。その点、人間サルとどっちが大事かという理論になった場合に、次長はどうお考えになりますか。
  64. 安達健二

    ○安達説明員 ただいまの場合は、人間サルと戦争しておるわけでもないわけでございまして、サルも生きて人間も生きる方法は多少の金をかければできるわけでございますから、人間も生き、サルも生きる方法があるわけでございますから、われわれとしてはやはりサルを守っていくということだろうと思うわけでございます。
  65. 浜田幸一

    浜田委員 よくわかりました。人間も守らなければならないし、人間も生きる道があるんだから、われわれとしてはサルを守るということですね。わかりました。私は文化人じゃあまりないから、人間だけを守りたがるほうでございますので、いま非常に日本の心が失われつつある時代でございますから、日本の文化、伝統を守るために、文化庁は文化庁なりにサルをお守りいただきたいと思います。  しかし一つだけ、これは要望ですが、そういう日本列島の開発行為をする場合に、自然との抵触は当然起こってくることを前提としてこの法律がつくられていると思うわけです。たとえば人間が住むところがない。ところがサルには住むところがある。その選択権を、どっちを選ぶかという場合に、私は現行法の中に非常に矛盾点が出てくるような気がしますので、質問を展開いたしましたので、ひとつお許しをいただいておきたいと思いますが、特に開発行為に対してはいま御答弁された姿勢をお忘れないように文化庁としては行動をしていただきたい、このことをお願いしておきます。千葉県の審議会の状態を見ておりますと、国の山階さんと古賀さんという人はあなたの答弁とは全く違った行為をしているやに聞いております。これは新聞紙上ではっきりと九対六で否決ということになっておりますから。そうすると、道路ができないということになる。そうでなくて、当然結論は、サルが侵されなければよろしい、だから移転計画を審議会は答申案として出すべきことが常識だと私は思っておりましたが、それが意に反しておりますので、きょうの質問になったわけでございますから、お許しを賜わりたいと思います。  そこで、環境庁長官にお伺いをいたします。
  66. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  67. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。
  68. 浜田幸一

    浜田委員 長官にお伺いします。  過般、環境庁長官は東京都の美濃部知事とお会いをして、東京をよりよくするためにお互いに仲よくやろうということを言われました。これは私はすばらしいことだと思います。私はアフリカで象を見た日に実はそれを見たわけであります。これはことによったら、大石環境庁長官は東京に自然を与えるため美濃部さんと手を組んでやられるのだなということを考えました。  そこで、これはすばらしいことでありまするので、一つだけお伺いをしたいのであります。  たとえば現在環境庁で公害基本法に基づく新しい法律十四をつくられ、そして新たに無過失損害賠償責任制度の確立のために法律を提案されます。これはすばらしいことであります。これは一日も早くおやりになるということでありまするから、必ずやっていただきたいと思います。ただし、公害基本法の中で定められた法律に基づいて、政令によって定められる条項が数多くございます。たとえば大気汚染の着地濃度の問題、水質汚濁の基準、その問題と、東京都条例に定めている、美濃部さんが定めている東京都条例の着地濃度もしくは水質基準、そういうもの——政府の出しているものは日本全国的なものであります。ところが、東京都はそれに上のせしていいということになっておりますが、その場合に、この東京都条例と政令との差は、長官、どういう形で合意をされておやりになろうとしているんでしょうか、その点一点まずお伺いいたします。
  69. 大石武一

    ○大石国務大臣 排出基準のお話かと思いまするけれども、排出基準につきましては、全国一律のものはつくっておりますけれども、それはやはり私どもとしては必ずしも好ましい高い水準ではございません。できるならば、よりきびしいものにだんだん上げていきまして、そして実際に効果をあげたい、大気なり水質の保全をいたしたいと考えております。そこで、法律の中ではわれわれ国がきめました排出基準におきましても、さらにその府県の、地方自治体の実態によりましてはよりきびしいものに上のせをすることができるわけでございます。したがいまして、東京都としてはそのような上のせが必要であるという判断のもとに上のせしているものと考えて、それは妥当なことだと思っております。
  70. 浜田幸一

    浜田委員 いま環境庁長官はこれは妥当なことだと言われましたけれども、じゃ日本全国の都道府県が、環境庁長官の言われるそういう妥当な条例をつくられた場合には、政令を変えなければなりませんね。現在の都道府県全体がそういうものをつくられた場合ですよ。その点どうなんでしょうか。
  71. 大石武一

    ○大石国務大臣 ちょっと御質問意味が私よくわからないのでございますが……。
  72. 浜田幸一

    浜田委員 たとえば東京都はよりきびしいものであっていいという認定ですね。千葉県も政令よりもきびしい。たとえば亜硫酸ガスの規制については〇・〇一九PPMということの着地濃度を決定いたしました。そういうふうに各都道府県が、公害を発生する都道府県が政令よりも上回るきびしい条例をつくった場合には、政令の効果というものは全くありませんね。ありますか。そうだとすれば、よりきびしいものに政令を変えることが政治の姿勢としては正しいんじゃないですか。わかりますか。——東京都でそれだけきびしいものをきめるとするならば、私は、日本列島全体に東京都条例を、美濃部さんのつくり上げられた東京都条例を日本国の政令にするということが、環境庁長官と美濃部さんが手を握った理由になると思うのですが、その点どうなんですか。
  73. 大石武一

    ○大石国務大臣 大体御趣旨はわかりました。排出基準の上のせにつきましては、いろいろその地域実態によって、汚染の濃度並びにそれによるいろんな公害の実態が違ってまいります。したがって、全国一律にやるということはとうていできないことであります。それはまた妥当なことでないと思います。たとえば東京都において非常に排気ガスがものすごくて、いろいろな公害を起こす場合においては、やはり基準をきびしくしてその公害を防ぐことが大事な問題だと思います。逆に、宮城県とか岩手県もそうだと思いますが、必ずしもそのような大気汚染の濃度がすごくないところでは、別にきびしくして混乱を起こさせる必要もないと思います。十分に環境基準を守り得るような排出基準であればけっこうだと思います。そういう意味で、全国一律にすることはないと思います。  なお、東京都がきびしくしたからといって、別に岩手県や宮城県が東京と同じようにきびしくする必要は、それは現在、ただいたずらに混乱させるだけだと思います。そういう意味で、その地域実態に応じまして、その実態が必要とするような上乗せをすることは法律で認められてますから、別に政令で上乗せすることは矛盾することではないと思います。
  74. 浜田幸一

    浜田委員 その論議は、時間の制限がありますから次の機会にもう一回、来月の委員会でもやらしていただくことにしていただきたいと思いますが、私はいまの環境庁長官考え方は、佐藤内閣総理大臣が世界に冠たる公害基本法である、公害立法であると言われたわけですけれども、そうだとすると、環境庁長官のいまの説明を聞くと、それは冠たるものではないような気がしてくる。なぜかといえば、車の台数、たとえば排気ガス一つ考えください。現在の台数が一千六百万台とかりに仮定いたします。これが三千万台になったときに、いま対象に出された宮城県の台数は、いまよりも上回ってまいりますよ。それならあなたの考え方は、そのときになって問題が起こったらそれは規制をきびしくして取り締まればいいということなんですか。  たとえば、もう一つは、日本が輸出をする車の排気ガスの規制量と日本の国内において使われる車の排気ガスの規制量の相違があります。私は、環境庁長官がお考えになる場合は、問題があるからその地点はきびしくてもいいのだ、問題のないところにきびしくすればそこは混乱するという考え方は、私は十年先、二十年先を見た考え方でないような気がする。そうではなくて、あなたは東京都の美濃部さんと公害を排除するためにお互いに協力し合おう、これは非常にかっこいいことですよ。これはだれが見ても大石さんという人はすばらしい人だと思うのです。私もすばらしいと思っている、ところが表面はそうであっても、内面はそうではない。かっこがいいけれども、それならこれから車のふえてくる地域、たとえば現在政府考えている、東京都の公害をなくするために工場の分散化を考えております。これは考えていないとはいえないと思うのです。工場地帯に工場が密集する、東京都に人口が密集する、だからこれを分散しなければならない。これは政府一つ基本的な姿勢であるとすれば、これから、農住法もできた、農村にげたばきで通える、そういうところに工場が分散されるときに、そこは、東京はすべて薄くなっていくけれども、これからつくられるところについて公害の危険性というのが起こってくるじゃないですか。そういう工場立地を決定される場合に、当然私は政令においていまから定めておいたほうが国民に不安を与えないと思うのですがね。その点いかがでしょうか。私の考え方は間違っているんでしょうか。
  75. 大石武一

    ○大石国務大臣 ちょっと私は御趣旨がわかりかねるのでございますが、われわれは政治はかっこうがいいとか何とかいうのでやっているのじゃございません。正しい国民の生活環境を守るためにその責任をもって行政をはかっているのでございますから、決してかっこうがいいとかなんとか、いろんな御批判はございましたが、私どもはそういうことではないことを申し上げておきます。  それからもう一つ、基準を政令できめておいたらいいということでございますが、現在の基準というのは、その時代、時代で変わってまいります。したがって、その情勢に応じましてこの基準をきびしくしたりすることが必要でございまして、いまのうちから五年先には何PPMにしなければならぬ、十年先には何PPMにしなければならぬということをきめることはとうてい不可能でございます。そのような地域がどのような発展をするかまだ予測もつきません。したがいまして、もちろん公害というものは予防しなければなりませんから、予防する段階においてできるだけ規制をきびしくしてまいりますけれども、東京と同じように全国をきめろとか、あるいは全国と同じように東京を下げろとかということは、とうていこれは行政ではできないことでございます。
  76. 浜田幸一

    浜田委員 私はあなたの説明が全然わからないのです。というのは、私が言っておることは、東京都を下げろと言っておるのじゃないのです。東京都はぎりぎり決着の線で、現在の公害から守るためにはそれでなければならないということで東京都条例をきめたと思うのですね。しかし日本国の政府がきめられている基準ですね、それは環境庁長官は東京都がきびしくあってもいいと言うのでしょう。そうであるとするなら、東京都の基準をお認めになっておるわけです。東京都はそうでなければならないだろうということをお認めになっておるわけですよ。ところが神奈川県や千葉県の関東近県においては、全く東京と同じような状態が起こっているでしょう。そういう場合には、たとえば工場の集約されているところとかそういうところは、政府が各都道府県と協議をして、現在十カ年間の基準はこうであるべきだ、そういうことを懇切丁寧に指導していく姿勢こそ真の環境庁仕事ではないだろうかということを申し上げておるのです。
  77. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまのお話はごもっともでございます。私もそのように思っております。ですからいろいろな場合には、その排出基準の上乗せが少しきつ過ぎるであろうと思われるような場合には、われわれは十分にその意見調整するように考えまして、その地方自治体の首長にそのことはいろいろ相談をいたしたいと思います。またかりに、地方自治体の人がもっと上乗せをすべき状態であるにかかわらず低い基準で押えておるならば、その上乗せをするようにということで協力を要請する、そのような方向で行政指導をしてまいりたいと考えております。
  78. 浜田幸一

    浜田委員 問題については実はもう一点お伺いしたいところがあったのですが、基本的な姿勢についてお伺いしましたので、時間の関係がありますから次に移らしていただきますが、たとえば第二点の問題は、この間、大臣は閣議で通産大臣とだいぶすばらしい議論をされたということが新聞に載っておりました。これはもう当然環境庁としてはそのくらいの勇気がなければならないと思いまするので、これは称賛に値するものだと思いますが、一つだけお伺いしておきますが、自然保護法ですね。これから環境庁長官がおつくりになられるわけですけれども、この自然保護法をつくられるにあたって、日本列島の開発計画との関連ですね。たとえば新幹線計画とか道路計画とかたくさんあります。いま一例をあげてみますと、道路計画環境庁の支配下に及ぶ国立公園等を数えてみますと、約十六関連があるのです。こういう場合に県と地元ですね、たとえば文化財を守るとか国定公園を守る、そういう人たちの間で調整ができなくて、環境庁がこれはこうすべきだという決定をしなければならなくなったときに、日本列島の開発計画と環境保全をしようとする自然保護の基準ですね、たとえばたんぼの中に道路を通したい、その場合には環境庁長官が緑を妨害するからそれはだめだと言うと道路ができなくなりますね。たとえばいま房総スカイライン道路計画をしておりますが、そこにサルがおりますね。この間うちの文化財の方々が環境庁長官のところに陳情に見えられたそうですね。そうしたら、環境庁長官は、これはよりよく検討して努力しましょう。最終的には千葉県知事にこれをおまかせになったということを聞いておりますが、そういう問題が起こったときに、これから法律をつくられる場合に、そういう自然の保護の対象というものは何と何と何になるのか、これをお聞かせいただきたい。  それから、東京と大阪、そういう主要都市ですね。そういう都市の自然の保護というのは一体何と何と何をさすのか。もう一点掘り下げてお伺いすることは、この東京都において自然の保養する場合にどこを保護されようとするのか。具体的にお聞かせいただければ幸いです。
  79. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまの御質問の前段のお考え、これはまことに賛成でございます。私も同じような考えだからこそ今度の次の通常国会に自然保護法というような法律をつくりたいと願っておるわけなんです。あなたのおっしゃるように願っておる。いま日本では経済開発が行なわれている。  これはけっこうなことでございますが、しかもできるだけ全国のバランスのある経済の発展が行なわれるよう都市の集中を改めまして、各地方の都市にそのような産業の拠点を広げていくということはけっこうなことでございます。それはまことにけっこうなことでありますが、同時にやはりわれわれは日本の自然というものを守っていく義務があります。これはわれわれの先祖が何百年来かかって残した資産であって、われわれが責任を持って子孫に残すべき自然でございます。そういう意味で、その二つを調和させる、調和させると申しましても私のいまの考えで、これは個人的な考え方かもしれませんが、人間尊重を前提とした調和のしかたでありますが、それが一番大事であります。ところが、あなたのおっしゃるように、いままでは自然の保護と経済の開発との間に国土を利用すべき判断の基準がありませんでした。したがって、無計画自然破壊が行なわれ、あるいはごく少ない事例かもしれませんが、自然の過保護が行なわれたかもしれません。このようなことでは非常に困るわけなんです。しょっちゅう混乱を起こします。したがって、われわれはこの自然保護法という法律を通じまして、自然の保護と日本の全体の国土の自然環境の保全とそれから経済の開発を適当に調和させなければならぬ。それが一番国の正しい発展だろうと考えます。そういう意味で調和させる。つまり一線を画すと申しますか、そのような基準をつくる必要があると思います。基準ができておれば、これは守るべき自然である、これは開発すべき国土である、よろしいということで判断して行政がやりやすくなります。混乱も少なくなります。そういう基準をつくろうという考え自然保護法を国会へ提案しようという考えでございますから、ひとつ与党の浜田さんによろしく御協力をお願いする次第でございます。  なお、東京都の自然はどのような個所とかどういうものをどうするかということでございますが、これはわかりません。自然というものは決して木とか土とかばらばらのものではございません。われわれの周囲のすべてが自然でございます。こういうものを一体として考えなければなりません。大気も空気も水もみな自然の一つであります。われわれは自然というものはただ木が自然だとか、そういう考え方をしたくありません。自然というものは、われわれを取り巻くすべてが自然だと思うのです。そして自然とわれわれの繁栄とは抜きがたい根本的なつながりがございます。したがって、そのような大気を清浄化することも水をきれいにすることももちろん——東京は非常に水がいい、大阪なんかの川は話にならないほどきたない、これを清浄化することも、地下水をもっともっと豊かにすることも、緑をふやすこともみんなこれは自然だと思うのです。そういう意味で、そのようなわれわれの生活環境が健康で豊かになることは、私は東京と大阪、日本すべての自然の保護だ、そういうふうに考えておるわけでございます。
  80. 浜田幸一

    浜田委員 そうしますと、ちょっと具体的にお伺いしますが、まず、いま地下鉄工事が盛んに行なわれています。地下鉄の中では、東京都のビルの地下の中では酸素不足が訴えられております。地震が来た場合には全部地下にもぐれとか、そういうことまで言われているぐらい徹底してやられておりますが、ひとつお伺いしますが、具体的な実例として酸素不足を守ることも、これは自然なんですね。環境庁長官のお仕事になってくるのですけれども、具体的にこういう酸素不足はどういう形で守ろうとしているのか、これが一つ。それから、東京都には子供たちが泳ぐことのできない川が一ぱいあります。これはもうどろ沼と同じような川があるわけです。こういう水質の保全というものは、現在定められた法律の中できれいになるのかどうか。いまの大臣の御答弁を聞いておりますると、非常に基本的な理念についてはわかるのですけれども、これは幾つかありまするけれども、私の基本的な質問の前提条件を申し上げますと、われわれが自然というものを東京都民に与えるという場合の解釈は、少なくとも自然公園をつくって植樹を一ぱいして、過密都市の中においてできれば日曜日に宮城前広場に緑を楽しむ者以外、歩いて十分以内のところにたとえば自然とたわむれることができるような、そういう中で一日を豊かに過ごすことができるような場所をつくることが自然の供給だと私は思っているのです。いま大臣の言われたことも公害対策で解決しなければならない問題ですけれども、少なくとも東京都においての自然保護法というものは、東京都民の求める自然を東京都民に与える施策だと思うのですね。それと同時に、東京都の悪条件というものを緩和する仕事環境庁の大臣の仕事だと思うのです。ですから私はこんな皮肉な質問をしなくてもいいのですけれども、もし長官がいまお答えされたようなことが自然環境の保護であるとするならば、酸素不足はどう解決するか、水はどうきれいにしていくのか、いまの公害基本法に定められたものだけで、公害基本法の第一条と第三条と第六条をきびしくすることだけでそういう問題が解決できるのかどうか。まず酸素不足の点についてどうお考えかお伺いをしたいと思うのです。
  81. 大石武一

    ○大石国務大臣 酸素不足ということはどういうことかわかりませんですが、たとえば災害が起こった場合に地下にもぐり込むのですか、地下にみな逃げ込んだ場合に……。
  82. 浜田幸一

    浜田委員 逃げ込まなくても現在酸素が不足しているのですよ。
  83. 大石武一

    ○大石国務大臣 どこに。
  84. 浜田幸一

    浜田委員 東京の地下ですよ。
  85. 大石武一

    ○大石国務大臣 それはいわゆる酸欠ということですな。地下を掘った場合、これはいまのところ残念ながらなぜ酸欠状態が起こるのか、これはまだ実態がわかっておりません。最近これは考えられたことでありまして、これはできるだけ早く原因を究明しなければなりません。原因がわからなければ対策ができない、そういうことで、残念ながらいまのところ酸欠という事態につきましては、まだその根本的な対策はないようでございます。われわれとしてはその酸欠という事態がなぜ起こるのか、一日も早くその原因を確かめまして、そうしてそのような不測の事態を防ぎたい、こう願っております。  それから東京都に緑の都市公園をたくさんつくりまして、都民がそこで自然と親しむような生活の土地をつくりたいということ、このお考え私も全く賛成でございます。私もそのような東京ができるように願っております。そのためにはその前提として、そういう植物が生育できるような大気の保全をしなければなりませんが、東京のまわりでは、残念ながら少しではなくて全部の川が泳ぐことができません。せめて子供が水に入っても差しつかえないような川にしたい、そういうことがわれわれの願いでございます、目標でございます。そういうことについてあらゆる努力をいたすわけでございますが、これにはやはり順序がございます。予算その他あらゆる順序がございます。そのような何十年もかかって破壊されたものを復旧するということは、何百倍、何千倍のエネルギーが必要であり努力が必要であり時間が必要であり金が必要です。そういうものをできるだけ早い機会に達成できるように努力してまいるのがわれわれの仕事だと考えております。
  86. 浜田幸一

    浜田委員 政府の一般的な見解はわかったのですけれども、肝心な——少なくとも美濃部さんとお会いになってお互いやろうということですから、たとえば水をきれいにする場合には政府は惜しみなく金を出しますよ、そのかわり計画はあなたのほうでつくりなさい、そういうことまで具体的にお話し合いになったと思っていたのです。その問題は別といたしまして、少なくとも私は大臣にお願いをしておきます。それでもう終わらしていただきますが、霧のロンドンですかスモッグのロンドンですか、この間陛下が行かれまして大歓待を受けたわけでございますが、あそこがスモッグで悩んでいましたね。ところがこのスモッグが全く解消されるまでには政府の決断があったからできたと私は思うのです。ことばの上ではわれわれも非常に期待は持てますけれども、いまの日本の政治に不足しておりますものは、環境庁長官の持っておられるような政治決断の姿勢というものをすべての政治家が持つことだと思うのです。金がかかるからやれない、予算関係があるからやれない。ところが企業に対しては先行投資ができる。しかし公害対策に対しては先行投資ができない。そうであるとするならば、幾らりっぱなことを言ってもそれはできないことと同じだ。五十年、百年かかって日本の中で起こった公害であるから、これは一朝一夕には解決できないよということはわかりますよ。しかしこの辺で環境庁長官の在任中、あなたの在任中、やはり一本の川でもいい、東京都の中に一ぱい数があってもいいんです、川は。しかし、一本だけでも、私は環境庁長官に、東京都の都民に自然を与えるためにきれいな川をつくっていただきたいということを要望しておきます。もしかりにそれが徐々にきれいに全体がなっていくんだ、それは必要なことではありまするけれども、まず政治の姿勢をはっきりさせるために、一本だけでもいいから子供たちが魚つりをして落っこっても泳いで帰ってこられるようなそういう川をつくっていただきたいということを、この際お願いをしておきたいと思います。  そして同時に、私どももまだ勉強不足でありまするから、また次の機会に大臣にいろいろな問題について御指導をいただきたいと思うわけでありまするが、ただ自然保護法をつくる場合の条件として、先ほど御答弁をいただきましたように、日本列島の中において住宅不足があり、所得格差是正をしなければならない。特にその前段の問題として過疎地帯に住む人たち生活格差に悩んでおります。この生活格差を解消するために必要なものは、私は道路開発以外にないと思う。だから、遊ぶために使われる道路と、生活格差是正あるいは文化向上のために使われる、人間の生活の向上のために使われる道路とのこの取り扱いについては、私はよくお考えをいただいて御判定をいただきたいと存ずるのであります。  実は長野県において起こりました道路問題について御質問を申し上げるつもりでございましたけれども、それはあなたの庁の責任者から御答弁をいただいておりますので、後ほど御協議を賜わりたいと存じます。  本日は失礼なことを申し上げたことをおわび申し上げて、質問を終わらしていただきますが、ひとつ決断ある政治家に大臣にはなっていただきたい、このことをお願いしておきます。  委員長、ありがとうございました。
  87. 小林信一

    小林委員長 島本虎三君。
  88. 島本虎三

    ○島本委員 長官はもうすでに実践しておられますからおわかりだと思いますが、私は常に、公害は関係法令ができても行政が後手後手になってはいけないし、またやろうと思えばそういうようにもなり得るものだと、これを心配しておりました。しかし、最近やはり行政に先取りというようなことで、先にいろいろとやっておられるような傾向がありまして、法律の精神並びにこの行政を生かす意味においても、私は最近の傾向はよいと思っております。よいと思っておりますとは、失礼いたしました。しかし、もっともっとやってもいいと思っています。  この新潟の水俣の、いわば御存じのような患者側の全面的な勝訴という判決がございまして、大多数の国民からはこれは拍手をもって迎えられております。昭電側でも、科学的因果関係がまだ立証されたわけではないと言いながらも、内心不服でありましょうけれども、判決に応じたようであります。そして謝罪さえもした。まことにこれは、私はこの時点においてはよろしいと思います。  イタイイタイ病患者の場合には控訴でまだ争っております。しかし三井神岡鉱山——われわれが視察に行った際にも、やはりそういうような態度が見受けられたのであります。同じ企業側でも天と地の違いがぱっとあるわけで、しかし被害者は、あるいはイタイイタイ病の患者であろうとも有機水銀の中毒患者であろうとも、これは自分が好き好んでなった患者ではないんだ、そういうような立場の点から見ますと、私はやはり三井神岡鉱山、企業側としてもこれからの置かれているきびしい状態を十分身につけて、ひとつ何か一線にそろいながらも見習ってほしいものであっと、こうつくづく思うわけであります。しかし、神岡鉱山に対しては、長官としてはどのようなお考えでございましょうか。まずそれを伺いたいと思います。
  89. 大石武一

    ○大石国務大臣 幸いに、昭和電工の考え方が裁判に対する妥当な反応を示してくれまして、私非常によかったと考えております。国民の一人としてやはり同じように私も喜んでおります。イタイイタイ病の判決につきましては、患者側の勝訴になっております。したがいまして、私はやはりこれと同じように現在の段階におきましては、企業側がやはり企業責任というものを自覚いたしまして、あの裁判がやはり今後も長く続けられないように一日も早く解決することが望ましいと考えております。したがいまして、いつか婦中町の議長さんなどからそのような御希望がありましたので、もし会社側その他みんながそういうようなことを希望するならば、喜んでそのように和解の道が講ぜられるように努力いたしたいということを話したことがございます。しかしこれはまだ自分の希望だけでございまして、それが必ずしも会社側、企業側に私の考えが受け入れられるような状態がない限りは不可能だと思います。そういうことで、その時期をいま実はひそかに見ておるわけでありますが、できるならばそのような裁判の問題は早く解決してお互いが和解できるような時代が来ればいいと心から願っておるわけでございます。
  90. 島本虎三

    ○島本委員 やっていけない、やっていいというような判定は別として、やはりいろいろ努力されたその効果はあがったと思います。また今後もあげてもらいたいし、公害の場合にはいわばほとんど関係のない何の罪もない人が被害者になって命にもかかわるような重大な状態になっておるわけですから、やはりそういうようなものを一日も早く救済するような立場をとらなければならない、これはその通りであります。それでもう一つこの際ですから長官に具体的な問題を出して、これは当然協力してあげてほしいと思います。というのは、新潟のあの水俣病、この判決は出て、いまおっしゃったとおりでありますけれども、その中に、この患者の苦痛はもう見過ごし得ない、こういうような気持ちからいわば内部的な一つの告発行為がありました。それはほんの若い菊地啓子さんという人外二名くらいによって行なわれたようであります。私どもは、この裁判が終わりまして、依然としてそのまま仕事に服しておられたと思います。しかし去年の暮れに公害十四法案が可決され、現在施行中であります。またこれからのものもあります。しかし公害犯罪処罰法、御存じのようにこの中には事業活動による公害発生、こういうようなことに対しては両罰規定さえもあるわけでございまして、当然、そういうようなものを告発することは、いままでと違って善行にこそなれ、それをもとにして企業内で差別待遇することは断じてあってはならないと思います。やはり自分らが敗訴した、こういうような気持ちからして、いま法的にも認められ、やっておる行動は何ら指弾を受くべきものもないにかかわらず、菊地さんはじめ二、三の内部告発をした人々に差別待遇があってはならないと思います。それを私は心配しているのであります。長官もよく行き届き、よくこのような点は気のつく長官でありますので、この点万遺漏はなかろうと思いますが、そういうような点は十分に御指導願いたい、こう思います。いかがでしょうか。
  91. 大石武一

    ○大石国務大臣 会社の従業員の方の告発問題ですね。わかりました。これは私は当然な正義感、人道主義からそのような行為に出られたものと考えます。したがいまして、会社でもこういう問題が解決した暁にはそれ以上いろいろな、つまり何と申しますか、そのような者を圧迫したりそれから不当なことをするような行為には出ないと思いますし、問題は解決策でございますから、これでやはり正しい、何と申しますか、ヒューマニスティックな取り扱いがされるものと私は確信いたします。そういうことで私は会社にそのような良識を期待しているわけでございます。
  92. 島本虎三

    ○島本委員 現在もうすでに法律ができる以前の去年の暮れの状態ではございません。まあそういうような立場で今後公害行政に当たってもらいたい、こう思うわけであります。  それと同時に、やはりそういうように公害を発生させた社長の安西さんが政府のいろいろな機関の長さえもしておられるようであります。そういうような場合にはやはり何かこの問題に対して考えるところがなければならないのではないか、こう思われますが、この点等については長官はいかようにお考えでしょうか。
  93. 大石武一

    ○大石国務大臣 安西正夫さん、あの人はいまは会長になられておられます。私はどのような政府の公の委員をされているか知りませんので、ちょっといまお答え申し上げることはできませんけれども、安西正夫さんは公害対策審議会の委員ではございませんので、この問題はノーコメントにしていただきたいと思います。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 公害とは申しておらないのです。政府関係の機関の委員をしておられる。それは間違いないのです。行政監理委員をしておられる。そういうような場合にはいかがでしょうか。こういう場合にいろいろな点でやりにくいんじゃなかろうか、はっきりこの問題に対しての決着をつけておいたほうが本人のためにいいんじゃないか。こういうふうにさえ思うのでありますが、この際長官の意見を聞きたいと思ってのいまの発言であります。まあ答えがなければそれでいいのでありますが、ありましたら、この際聞かしていただきたい。
  95. 大石武一

    ○大石国務大臣 別にありません。
  96. 島本虎三

    ○島本委員 それでは長官に再びお伺いいたしますが、こういうようにして水俣の場合等を含めましてやはりいつでも先手、先手、こういうものでなければ公害行政の実をあげることはできない。これは、いまはもうまさに座右の銘としなければならないやり方だと思うのでありますけれども、先ほど浜田委員サルの引例が多かったようでありますが、ここに具体的な問題で江戸川の河口のサギです。サギの死体からけたはずれの農薬が出た。こういうふうなことで、東京湾は野鳥の墓場じゃないかというふうなショッキングな記事があるのであります。私は、ただこれによってショックを受けるというだけじゃなくて、人間の墓場になるような状態をつくり上げてはならないんだ、こういうふうに思うわけなんです。  それで長官、公害基本法からは産業との調和ということばが取り除かれました。しかし産業との調和が取り除かれても、いまなおあるような状態で運営されている向きがないか。もしあったならばあなたも勇断をふるわなければならないのであります。  BHCの問題です。これはつい先日、日本でもようやくその発ガン性が証明されたようであります。なぜいままで発ガン性が証明されなかったのか、なぜ日本の場合はこれがおくれるのか、後手後手になるのか。これは同じ公害の行政の中でも見過ごしにできない問題だと思っております。  厚生省の皆さん来ていられますか。先日BHCの発ガン性が証明されたというのですが、これはいままで証明するに至らなかったのですか、それとも前から覚えておったのですか。ソ連のほうでは数年前からDDTの発ガン性さえも実験によって証明されており、発表されておるわけです。そしていろいろな製品は使わないようにしてあるわけです。しかしつい先ごろになってBHCの発ガン性が証明されたということになると、これは日本の場合には重大な影響があるのです。どうしていまごろまでわからなかったのか、他の国の例からしていまごろ出されるのが当然だったのだろうか、この点私はどうも納得できない。ひとつこの点発表願いたいと思います。
  97. 浦田純一

    ○浦田説明員 BHCの発ガン性につきましては、ソ連で証明されているという話は私実は承知いたしておりません。しかしながらWHOあるいはFAOの合同専門委員会などでは、BHCのうちガンマBHCの許容量についての勧告、それについてのいろいろな資料は出ております。  それからいままでBHCの発ガン性についての研究はどうであったかと申しますと、確かに国際的にもいろいろと研究は進められておりましたが、これはラットなどに対しての研究でございますけれども、現在までのところはその投与量あるいは期間がわりに短かったということで、多少肝臓あるいは細尿管あたりに変化があるということは報告を受けておりますけれども、発ガン性についてはいままでは報告はないようでございます。  また、日本ではラットについて調査研究をやっておりますが、これらにつきましてもどうもはっきりと発ガン性があるという発表はされておりません。それで、今回奈良医大その他の研究グループによりましてBHCの発ガン性が発表されたわけでございます。このことにつきまして九月十六日に実験者及び関連学者の御意見をお聞きしたのでございますが、今回の実験はやはりラットによりまして、期間は短うございますけれども、試験調査を行なっているわけでございますが、非常に多量の投与を行なっておりまして、たとえば六六〇PPMのBHCを与えた場合には、二十匹のラットが二十匹ともガンを発生しておるということでございます。しかしながら、一応御意見をお聞きしたところでは、現在BHCの使用が全面的に禁止もされておりますし、実際上の問題としてはいまのところ問題はないのではないかという見解でございました。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 DDTは。
  99. 小島康平

    ○小島説明員 DDTについて御説明いたしますと、DDTにつきましては、やはり国際的にいろいろな研究がございまして、ラット、マウス等を用いました慢性毒性試験の結果、発ガン性が認められないという報告によりまして、許容量が定められております。これはWHO等の委員会で定めたものでございまして、私どもとしてはそれに従って行なっている。  それから先ほど先生の御指摘のありましたソ連で発ガン性の研究が進んでいるということでございますが、これはWHOが、実は、東欧の国でございますが、委託をいたしまして、五世代にわたりまして行なっている試験でございますが、それによりますと、四世代以降において腫瘍の発生率の増加する傾向が見られるというような報告があるわけでございまして、昨年及び一昨年、一昨年は予報的でございましたが、昨年そういう報告がございました。私どもとしてもその内容を検討いたしましたが、同時に日本におきましては、こういった有機塩素剤の蓄積ということが問題になっておる。DDTの場合にはアメリカ等に比べて日本は人体内の蓄積も少ないのでございますが、しかしこういった残効性の高いものをそのまま使用を許しておくというのは問題だということでございまして、農林省のほうとも御相談をいたしまして使用をやめるということになったわけでございまして、私どもとしてはこういったものの現在多少環境等に残っている問題がございます。さらにこういうものは減っていくということを期待しているのが現状でございます。
  100. 島本虎三

    ○島本委員 問題はそういうようなのが前提なんでありまして、ソ連では数年前からDDTの発ガン性などの実験に供されてそれを知っておった。そしてこれも厳重に使われていなかった。確かにいいことです。大量に生産されるようになる以前に、これを使わないような措置をとった。これはやはりいいことだと思うのです。大量生産して、日本ではすでに昭和四十一年にくさい米、こういうようなことで評判になっておる。そしてBHCの汚染が問題になって、野菜から残留も検出されておった。それにもかかわらず生産と販売を禁止していなかったわけです。これはやはり大企業であるところの三井や三菱、こういうような原体メーカーは、四十四年の暮れにようやく国内向けの製造を中止する、これだけ発表になっているでしょう。これは四十四年の暮れです。最近のこれまた牛乳や野鳥に見られるように、その被害は全然減っておらないということです。そして禁止したといいながらも今度は野鳥、それも東京湾の江戸川河口のサギ、これからはけたはずれの農薬が検出されておるわけでございます。こうなってまいりますと、大量に生産されて販売されて、それが禁止してしまっておっても今度の野鳥や牛乳に見られるような被害は一向に減っておらない。長官はこの辺から考えなければならない問題だと思うのです。というのは、企業が国内向けにも生産、販売をされてきておるし、それと同時に大量の在庫を処理するために、依然として販売を続けてきておるからにほかならないということでしょう。おそらくそういうことになると、やはり人間並びにそれ以外のものにも被害はだんだん強まってくるということにはっきりなってしまう。それで重大なのは、これが後手後手になるから重大なんです。奇形児を生むあのサリドマイドの問題であるとか、またスモン病のあのキノホルムの問題であってもみなそうでありますが、人間に対して影響を厳密にチェックする以前に、もう大量生産と販売を許してしまっている。そして被害が出てくると禁止する。その裏づけとして、農林省でも、厚生省でも、通産省でも、諸外国の例によって、ほんのちょっぴり理由をつけているのです。これは重大な公害です。  こういうようにして、この大もとを今後環境庁の長官として断つように、この行政が先行してもらわなければならないと思うのです。これは大手術です。というのは、もう大量生産と販売、これを許す以前にやはり禁止し、禁止してしまったならば、それを市中に出回らないような措置をとらせることであります。これはなかなかできないということをもう官僚の皆さんも言っているのです。しかしながら、これができなくても、人間に被害を与えてもいいというような例証にはなりません。したがって、これは、自民党政府のこういうような態度が、大量生産、販売、そしてその後判明したならばその以後にこれを始末する、こんな傾向がいままであったから、それを今度あなた長官として、国民の命と暮らしと健康を守るために、はっきりした態度をとらなければならない状態にいま立ち至っているわけであります。ここにある野鳥の墓場にならないで、これが人間の墓場になるその以前に阻止しなければならない。野鳥の墓場になってもたいへんなんです。ましてこれは人間に影響があることにおいては、環境庁の長官はまさに勇断をふるわなければならない。いまやその時期なのです。この行き方、政府のいままでの惰性、こういうようなものにやはりはっきりメスを入れなければならない、こういうように思うわけです。長官の御高見を拝聴いたします。
  101. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまお説のとおり、私は、いままでのことはさておきまして、これからは、たとえば、どのようにいい物質が生産されるといたしましても、それがたとえ人類の進歩、そういうものに非常に有益であるというような物質がかりに発見されたとしましても、それから出てくる廃棄物が有害である、そういう段階においては断じてその物質は生産を許すべきでないと考えます。また、有害なものはこれこれの処置によってこのとおり無害になった、その廃棄物が決してわれわれの生活環境にじゃまにならない、有害でないというような証明ができるまでは、その生産を許すべきでない、今後はこのような行政の考え方をしなければならないと考えております。それから、いままでは、お話しのように、DDT、BHCはすでに使用は禁止されたのでございますが、そういうものがやはりまだそのような鳥やなにかが死ぬような影響を与えておるということは、おっしゃるとおり、残念ながらだれかがそれを禁止以後も使用していると考えなければならないと思います。これはなかなか防ぎにくいことなんです。それは企業側が大量生産をさばくために売らなければならぬということもありましょうが、同時にまた、そのストックを持っているいろいろな団体がそれを処理しようと考えたかもしれませんし、また、持っている農民がやはり無知から、また心配ないというような考え方からそれを使ったかもしれません。いろいろなことがありますけれども、これは非常に残念なことでございます。こういうものにつきましても、われわれはその人間としての良識なりあるいは良心というものによって行動すべきであるということ以外になかなかこれを押える方法はないと思いますが、できるだけそのような判断も、正しい判断も与えるような努力はしてまいりたいと思います。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 もうすでに国民は大量に体内にのみ込まされておるわけであります。そして蓄積されたあとに今度は発ガン作用のあることを知らされるのです。いままで何にも知らなかったから、その場合は安全だったのです。またそう思っているわけだ。大量に使わされ、大量にもうけられ、そして始末させられ、発表されたときはもう体内にたまっておった。これほど皮肉なことはございませんし、悲惨なことはないのであります。いかにいままでこういうようなことが常道であるとしても、これからはそうさしてはならない、これだけははっきり言っておかなければならない。ましてこのディルドリンのごとき毒性の強いもの、こういうようなものまで生産されて許容されていたというようなこの事実、そしていままでそれを認めておったというこのやり方、これはもう社会的な間接の殺人行為である。その殺人者は、まああなたはこれからやるからいいけれども、いままでの政府の態度そのものであった、こういわざるを得ないわけです。その証拠の一つ——いまDDTもBHCも全面的に禁止されておるというけれども、全面禁止されているといっても林業用とか家庭用にまだ使用されているじゃありませんか。厚生省、全面禁止といってもそれはどこの国の全面禁止ですか。
  103. 小島康平

    ○小島説明員 有機塩素剤等は、残留性が高いために全面禁止を行なっている国は最近ふえてきております。たとえば北欧、スイス、ドイツ等でございまして、それからまた東欧圏ではポーランド等が全面禁止を行なっておるというふうに聞いておりますが、大体全面禁止を行ないましたのは、早い国で昨年、それから多くの国がことしの一月というようなことでございまして、日本もほぼそれにならって、DDT、BHC等につきましては農林省のほうで全面禁止あるいは非常に使用を限局するというような御措置をおとりいただいておるわけでございます。  それから、先生の御指摘のディルドリンにつきましては、私どもとしては昭和三十九年からその調査を始めまして、これにつきましては当初キュウリ及びキャベツにのみ〇・〇二PPMということでその使用を認めて、大根もやはり同じように〇・〇二PPMまで認めるということで、非常にきびしい線を出して規制をしておったわけでございますが、私どもとしては農林省のほうと御相談をいたしまして、こういったものについても作物に使用を禁止するということで御処置を願ったわけでございまして、ただこういうものはやはり土の中に残りまして、そういうものが吸い上げられるというようなことで、当分の間はその残留が減りながらも続くということでございます。これらについては十分な監視を行なっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  104. 島本虎三

    ○島本委員 そうしてそれを処理する。名前を変え、若干加工し、いままた枯れ葉剤として、また林野庁あたりで塩素酸ソーダですか、ああいうようなものをやって、直接それが皮膚に当たっても障害が起きるようなことをまだやらしておる。私どもはそういうふうな政府の行き方、こういうふうなものに対してはやはりまだまだ法律ができたといっても行政は前向きにいってないし、また政策を行政は先取りされておらないということ、やはり長官、公害の面ではまだまだ手抜かり——手抜かりじゃございませんが、手落ちがまだまだあるということを十分にお考えおき願いたい、こういうふうに思うわけであります。  前に進みますけれども、長官に続いてお伺いしてまいります。  それは、公害に対しての無過失責任に関する立法の準備状況です。おそらくこれは必ず出るものだと私どもは信じております。またそれを確約してあります。前の山中総理府総務長官と大石環境庁長官から数回にわたってこの委員会でも表明されております。したがって、この対象になる公害の範囲、これについてどの程度まで準備が進んでおるのか。複合汚染、こういうふうなものに対してはどういうふうな状態になっておるのか、この際ですからこれをひとつ発表しておいてほしいと思います。
  105. 大石武一

    ○大石国務大臣 無過失賠償責任制度につきましては、次の通常国会に何としても提案をいたす決意をしております。そして目下事務当局にその作業を進めさせております。昨年度は残念ながらそのような意思を持ちながら提案に至りませんでした。これはいろいろな事情もあったことでしょうけれども一つには時間的な余裕のなかったこと、これが一番大きな原因と考えますので、われわれとしましてもできるだけ早くからこの準備作業をいたしておるわけでございます。ときどきその報告を聞いておりますが、目下相当に進みまして、ある近い期間には大体の骨子ができ上がるようにいまわれわれ考えております。  そしてそれを次の通常国会に提案いたすわけでございますが、御承知のように国会の審議の状態から考えますと、この法案がほんとうに本格的に審議に入りますのは大体三月に入ってからじゃないかと思うのです。どうしてもその前はいろいろと予算の審議が優先いたしますので、そのことによって、予算が衆議院を通過した段階においてこれに入ると思います。少なくとも三月の始めからこの審議ができるように、そのような準備を進めて、いまいろいろ努力しておるわけであります。詳しい内容につきましてはまだ申し上げる段階でございません。複合汚染につきましてもこれは十分に取り入れる考えでございます。
  106. 島本虎三

    ○島本委員 光化学スモッグについても配慮するということに理解しておいてもよろしゅうございますか。
  107. 大石武一

    ○大石国務大臣 光化学スモッグの問題は、この無過失賠償責任制度とちょっと関連つきにくいと思います。と申しますのは、いまわれわれは、われわれ環境庁自体のみならず東京都あるいは関東の諸県あるいは大阪、兵庫、そういうところの県の方々と十分に連絡をとりましてプロジェクトチームをつくりまして、最初に原因の究明と取り組んでおるわけでございます。まだこれは原因がはっきりいたしませんし、その詳しいことがまだ何らわかっておりません。そのような事実があるということだけで、その症状でもあるいは人体に及ぼす影響その他いろいろなことがほとんどまだわかっておりませんので、何としてもこれは早くその実態をつかむこと、それが一番大事だと思います。そのことに鋭意努力いたしておりますので、またこれは直接、いまのお考えでは賠償責任制度との関係のあるようなお話でございますが、これはいまのところちょっと関係をつけるわけにまいらないと思います。
  108. 島本虎三

    ○島本委員 小林公害対策特別委員長を長にして、先般いろいろと公害の視察に参りました。その際、東京でこの光化学スモッグの陳情を受けるのならあたりまえだと思っておりますが、名古屋でこれを受けたのであります。少なくとも名古屋でこれを受けなければならないような状態ならば、名古屋程度の汚染は全国至るところにあるのじゃなかろうか。北九州はどうだろうか。その他全般的にこのコンビナートのあるその辺を見る場合には、やはりわれわれが知らないうちにそういうようなものが蔓延しているおそれがないか。一番先に受ける者は外を歩くことを本業にしている人たちだ。簡単に言うと郵便の配達さんがすなおにその被害を受けているのであります。そしてそれがどこで受けるのか、どの場所なのか、受ける場所はやはり一定しております。その場所にはどういうようなもので何のためにそこで受けたのか、やはりはっきりしないといういきさつがあるわけです。ですからやはりこの究明を急がなければならない、こう思うわけでありますけれども、これもわからないうちに、あるいは東京から名古屋に、それから大阪に北九州に、ずっともう蔓延しつつあるわけであります。この対策等もおろそかにできないと思います。そういうようなことからして、やはり複合汚染等も対象にしている、これはもうわかりました。光化学スモッグはまだその中に入らない、こういうようなことだとすると、複合汚染の範囲、もしできましたらひとつ御発表願えないでしょうか。
  109. 船後正道

    ○船後説明員 無過失損害賠償を考えます場合の複合汚染の問題でございますが、この複合汚染といわれておりますものの中に、たとえば発生源が多数ある、あるいは不特定である、その多数あるいは不特定の発生源から出てくるいろいろな有害物質が合わさって一つの被害を巻き起こすというような形態もございますし、あるいはこれが経年的に累積いたしまして一つの汚染を引き起こすというような態様もある。あるいはまた物質が二つ以上重なりまして、そこに一つの被害を起こすというような態様も考えられるわけでございまして、この問題は民法の不法行為の、不特定多数の者による加害の場合にいかなる損害賠償——非常にむずかしい問題でございます。前国会で公害対策本部が法案の準備をいたしました場合にも、この問題が非常に解決の困難な問題として、懸案事項として残されておったわけでございます。私どももこのようないろんな態様の、あるいわゆる複合汚染の問題を、残された時間の間に鋭意詰めてまいりたい、かように考えております。
  110. 島本虎三

    ○島本委員 長官、やはり個々の立法の改正案でいく場合には、公害が発生し、その発生物のあとを追っかけていくようになります。光化学スモッグのように何が何だかわからないようなものはあとに残される、これはやむを得ないけれども、その場合でもその患者の対策だけは完全にやっておかなければならないと思います。そういうようなものを含めて、個々の立法に対しての改正案ではなくて、民法の特例法というような発想で、被害者全部に対しても救済できるような法体系にするお考えはございませんか。
  111. 大石武一

    ○大石国務大臣 この法律案は、いまのところは健康被害だけに一応限定したいと考えております。いずれはいろいろな面にも広げてまいらなければならないと思いますが、いまのところは健康被害を中心にこの法律案を進めてまいりたいと考えております。そういう意味で、いまのところは大気汚染防止法、水質汚濁防止法、この二つの改正を行なえば十分に間に合うと考えておりますし、法律の形態としては、なるほど一つの形態のほうがかっこうがいいかと思いますけれども、それにはまたいろいろ議論もございまして、この法案の、そのような国会提案に間に合うかどうかまだ自信がありません。そういうわけで、まず法律の精神を生かすことが大事でございますので、いまのところは二つの法律案の改正になるかと考えております。ただ光化学スモッグの場合にも、これはまたいろいろあとのことは考えなければなりません。その原因の究明に一生懸命に努力いたしておりますが、その結果どういうことになるかわかりませんが、幸いにいまの場合は損害の賠償を大幅にしなければならないような事態にはまだ至っておりませんので、非常にしあわせだと思いますが、これを今後とも早く究明いたしまして、そのような不幸な事態が発生しないうちにこの問題の解決をしていきたい、こういうふうに考えております。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 大体わかりました。わかりましたけれども、肝心なものを一つ大臣落としておりますよ。あなたはこの席上で、健康被害だけではなく無過失賠償の法律の対象の中には、漁業権を含む財産権も認めるようにしていきたいということがはっきり議事録にも載り、日本国民はこの問題に関心を持っております。それは健康被害だけだというけれども、自分がこれを発言しておきながら、置き忘れるというのは少し大臣らしくないと思うのですが、この点お忘れになったのでしょうか。
  113. 大石武一

    ○大石国務大臣 おしかりをいただきましたけれども、どうも私は初めから全部を一緒にやると話してはいないと思います。いずれはそういうこともしなければならぬと思いますが、まずできるものからしでいきたいと申し上げてあったと思うのです。私はとりあえず健康被害から——非常にむずかしい問題でございますので、そういうほうもやっていきたいといったつもりでございますが、もし前に、全部一緒にやると私が発言しましたならば、それは私の考え方が間違っておる……(島本委員「いや間違いではない」と呼ぶ)いや、将来はそうしますけれども、直接そうはできないと考えております。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 その問題についてははっきり議事録に載っております。あとであなたにお見せしますから、見せて、理解したならば、入れるということを確約なさいますか。そうでないと、あなたは国会を侮辱したことになり、私をペテンにかけたことになる。
  115. 大石武一

    ○大石国務大臣 いずれその速記録を拝見さしていただきたいと思いますが、もし私がこの次の通常国会で全部をひっくるめて提案すると言ったといたしますれば、それは私の間違いでございます。国会を侮辱する意思はございませんけれども、間違いです。それはしたいのでございますが、いまのような段階におきましては残念ながら時間的な、すべての技術的な問題から、そういうようにひっくるめての法案の作成はとうていできません。そういうことでまずできるものから基礎をつくっていきたいということで、健康被害ということを中心にいま作業いたしておるわけでございます。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 私は、あなたをほんとうに信頼し、あなたならば何でもできるし、今後総理になるのはあなたのような人でなければならない、こういうようにさえ思うのであります。しかし、それだけの自信と、困難を克服しなければならないのです。あなただっていま通産省なりいろいろな方面からあるいは閣議で、やらんとすることに対する厚い障壁を自分で感じているでしょう。それを自分で克服していかなければならないのがいまの環境庁の任務でしょう。あなたが就任なさる前にもう、あなたがいま出そうとする法律の体系は準備されておったのであります。しかしながら、当時の幹事長であったいまの通産大臣の手元で、最後のぎりぎりになってそれが提案されないような状態になってしまったのであります。ですから同じようなのをまた出してきて、これでどうですかと言っても、それはもう通りませんよ。そんなのだったら、同じだったらことしの春なぜ通さなかったのですか、そういうようなことになります。私どもはそういうようなことで、変わった時点で一歩でも出てこれを一つ肉づけできるとするならば、以前は以前として健康被害だけであった。しかしながら、いろいろ考えた結果、いま赤どろの問題や水質汚濁の問題で第一次産業である漁業がすでにピンチに立っている状態、こういうような問題の陳情は大臣そのものが受けておられるはずです。そういうようにやって漁場を捨て去らなければならない、こういうようなものに対しては例外なんだ、見ないんだということは残酷であります。ちょうどさっき言ったサギに対して死を与えるようなことになるのです。こっちはサギだから新聞種になる。人間だったならば殺人罪になるのです。いまそのためにも無過失賠償責任、この漁場を捨て去らなければならない漁業者、この漁業権を含む財産の問題までもこれは及ぶのである、そう考えますと、はっきりあなたは議事録に載ってある。私はいいところだと思って、三重丸をつけてありますから。これを、せっかくやったあなたの小手ならしの際に、また一年前に戻って提案されるということになれば困るじゃありませんか。国民の期待はまた瓦解することがあっては困ると思うから、ですからこの際あなたに蛮勇をふるってもらいたいのであります。あのときはっきりそれを言ったのですが、官房長あなたは聞いていたでしょう。
  117. 大石武一

    ○大石国務大臣 くどいことを申すようですが、いま事務当局の記憶を尋ねましても、やはり希望としてやりたい腹である、いずれは段階的に次第にやらなければならぬということを申し上げたわけでございます。私ははっきり全部一緒にやるということは申し上げなかった。いま去年と同じことではないかと言われましたが、やはり去年と今度構想されましたものとは、複合汚染の問題も入れたいと思いますので、より進んだものを出す考えでございます。  なお、われわれがいま直ちに財産問題についても提案しないということは、決してわれわれ人間に死を与える問題でありませんで、希望を与えるものだと思います。残念ながら家は一ぺんにできません。土台をつくって、柱を立て、屋根をかけて、そして畳を敷くという段階でございます。いまこの人間の健康に対しての法律案は土台を敷き、屋根をかけた程度ではないかと思いますが、さらによりよく進めてまいりますことはあなたのお考えと全く同じでございますけれども、実は幾らやりたくても、いまの新しい発足したばかりの環境庁ではとうてい事務能力がございません。あまりにも仕事が多過ぎまして、いまのところそのような大きな法律をつくるための能力がございません。そういう意味で、少し時間的な余裕をおかし願いたい、こうお願いするものでございます。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 固執いたします。議事録にはっきり——私の記憶によると、あなたの事務当局が言っているのは間違いであります。大臣が私に答弁をしたのです。入れるのは当然ですと言っているのです。当然ですということは、入れるということと同意義です。やはり内閣の圧力が強いんでしょう。その中であなたは孤軍奮闘しているでしょう。それもわからぬわけではない。しかしその辺まで入れて、すばらしい立法だといわれるような努力をするのも、大をなすためのあなたの一つの試練だと思います。当然それはやるべきであります。
  119. 大石武一

    ○大石国務大臣 努力いたします。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 いや、やるべきであります。官房長は知らないと言っているのですが、あの人も一緒にいたのだから知っているのです。いまここに原本を持ってきてないから、見せられないだけなんです。私はよく知っているのです。とにかくそれは徐々に入れておくことにしておかないといけませんし、そのことに対して私は、健康だけに限定するということでは納得できません。今後努力を要します。そんなものを入れてないと言うなら、事務当局にあとから現物を見せて、今後再びそういう答弁をなされないように私から厳重に注意しておきます。しかし、これはやっぱり入れるべきです。
  121. 大石武一

    ○大石国務大臣 わかります。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 わかったらどうしますか。
  123. 大石武一

    ○大石国務大臣 できるだけ早い機会に、そのような総合的なものをつくり上げてまいりたいと願っております。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 先ほど、いろいろな議論がなされておって、これもすばらしい議論だなと思って聞いておりました。自然保護に関する立法のいろいろなことを言っておりまして、それはまことにけっこうでありますが、私もその点について一点伺っておきたい。  自然保護の対象になる自然というものの範囲と定義はどのようにお考えですか。これに期待している国民は多いのですから、この際これもはっきりさせておいたほうがいいと思うのです。これは大臣はわからぬでしょうから事務当局
  125. 城戸謙次

    ○城戸説明員 いまの自然の定義でございますが、これは非常にいろいろな考え方があると思います。そういうものを定義していくことを前提としまして自然保護法を出したい。自然保護法の中で、どういうものを自然と考え、どういうものを保護し、守っていくか、こういうことをはっきり打ち出していきたい、こう思っております。
  126. 島本虎三

    ○島本委員 自然とはどういうものか、どういう範囲なのか、これはこれから考えるというのですか。
  127. 城戸謙次

    ○城戸説明員 これは、実は環境庁設置法をつくります場合もいろいろ議論があったところでございます。したがって、環境庁設置法では、公害の問題とそれから白熱環境の保護及び整備、これをはっきり出しておりますが、そのほかに環境の保全をはかる、この環境とはどういう範囲か、この点も実ははっきりいたしておりません。自然保護の場合の自然はどうかということは、これも別に定義があるわけではございませんので、こういう点は、今後自然保護法をつくりあるいは環境保全全体を通じましてその基本原則をつくる、そういう中で解明されていくということになると思います。
  128. 島本虎三

    ○島本委員 その自然の範囲をもう少し具体的に言えませんか、サルまで入るとか、トラまで入るとか、それから草だとか、空気だとか、水だとか。少なくとも公害基本法には典型公害が七つある。それだけはっきりしているわけです。今度、おそらくそれ以上にすばらしい発想で自然保護法が生まれるわけなんですよ。したがって、その自然とはどの辺までをさすのか。
  129. 城戸謙次

    ○城戸説明員 これは実はきわめて常識的に皆さんがお持ちでございまして、常識的にそれぞれの方が考えておられる。私どもは自然の範囲をできるだけ広く考えて、自然が守られるようにしていきたい。しかし世間常識として考えられるのはどういうことかということは、やはり法律をつくる段階を通じてみなが共通なものを出し合い、そこで検討していく、こういうことが自然の姿だと思っておるわけでございます。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 この問題ばかりあまりやっていてもだめですから、この問題はこれで終わりますが、官房長にはよくそういうくせがある。前に厚生省におったときにも、あの水俣病がこじれたのはあなたからこじれたんでしょう。あなたが課長として乗っていろいろさいはいを振るった。そうして人間の命は三百万円だ、ああいうふうな一つの原案を考えられた。そのころはさんざんあなたは委員会でたたかれた。たたかれて、鍛えられて、今度は官房長に出世してしまった。こういうようなさなかで再び今度ここで自然とは何だというと、まずさっぱりわからないようなりっぱな答弁をなさっておられる。私どもはやはりこの定義だけははっきりさせておきたい、こう思っているのですが、この定義、範囲、こういうものはここで言っても無理でしょうから、そのうちに文書にして私の手元に届けてもらいたい。それは長官、いいですか。
  131. 大石武一

    ○大石国務大臣 わかりました。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 それと同時に、今度は自然保護法ができると自然公園法はなくなるのですか。自然公園法をそのままにしておいて、また自然保護に関する法律案ができるのですか。この関係をちょっとお知らせ願いたい。
  133. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまそこのところを作業中でございます。と申しますのは、御承知のように、われわれ環境庁として、狭い意味の常識的な自然を守り得る範囲というものは、自然保護法に限られておるわけでございますが、これだけでは日本の大事な自然の保全にはとうてい立ち向かえませんので、いま申しましたように、日本の自然全体の保全ができますように、産業開発自然保護との一線を画す基準をつくりたいということでやっているわけでございます。そうなりますといままでの自然公園法というもの、これも多少私はいろいろ考え方が変わってくるのではないかと思うのです。たとえば尾瀬のような地区とか箱根のような地区、そういう地区では、おのおの国立公園と申しましても自然公園と申しましても、あり方が違うと思うのです。そういうものをどのように区分けをしたらいいのか。したがいまして、自然公園法というものをどのように直したらいいのか、あるいはこれをまた別個の形に置いたらいいのか、そういうことをいまひっくるめて検討いたしております。そういうことで、いわゆる自然全体のあり方をりっぱに保護並びに利用、活用ができる、そのような法律案をいま考えておるわけでございます。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 期待いたします。  それで、あなたも直接行って調べてこられたと思います。私はお会いしませんでしたが、北海道の洞爺湖、あれは国立公園です。しかし国立公園でありながら、濃青色の神秘な水をたたえている水面がこのごろ変わってきている。それで帯状のものがちょいちょい見られるようになってきているのであります。これは何か。やはりこの辺にも問題があるわけです。もうすでにあぶくの集団がその濃青色の神秘の水の上にふらりふらりと流れ始めているわけです。この原因はいろいろあると思います。一説には、電力会社の洞爺発電所からはき出された水のつくりなすたん白が原因であるともいわれております。また付近の工場の排水、これによるものだとも伝えられております。また旅館その他の家庭用排水も原因の一つだということもいわれておるわけであります。しかし依然として、その原因は何といわれようと、水がだんだん悪くなってきているには相違ないと思います。酸性の強い排水がだんだん多くなってきているわけであります。こういうふうにしてみると、環境保全のための既存の関係法の点検と改正というものが当然必要になってくるわけであります。いま一つのりっぱな自然保護に関する立法を計画中だと思います。それならばこの際思い切って、こういうような点までもはっきり規制できるような、また指導できるようなりっぱな法律にしないといけないと思います。これは事務当局もいることですが、自然公園法があっても、このようにして国立公園であってもおかされている最大の欠点は法の盲点があるということなんです。それをまた政令によってやるという。その政令がこれまたしり抜けになっておるところなんです。この自然公園法さえきちっとやっておられれば、あらためて新たにこれをやらなくてもいいような状態が想定されるのです。たとえばこの問題の中の一つの欠点、規制対象に河川が入ってないということとか、湖沼や湿原への排出の規制をその周辺一キロメートルに限っていることであるとか、規制は既設の施設には適用されないのだ、これからのものだけに適用するのであるとか、こういったような一つの重大なる盲点があるのです。なぜこういうようなものに初めからメスを入れておいて、そうして他のそれ以上のりっぱな自然保護に関する立法を準備されないか。現在の問題はしり抜けにしておいて、そうして新しい問題はりっぱにしようとする。政府の姿勢は依然として環境庁長官に対して強いから、今度できてくるのも、やはり依然として現在の一歩程度だとするなら、困るのは自然であり、困るのは環境であり、困るのは国民なんであります。そういうような点からして、大いにけっこうでありますけれども、現在あるこの法律の欠点、盲点、こういうようなものを全部払拭したものにする、私はこういうような考え方も当然必要だと思います。大臣はこの点は十分御了解なすっておられるはずでありますが、あえて決意を聞いておきます。
  135. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまの御趣旨の点は全く同感でございます。したがいまして、そのような点も十分に考慮いたしまして、そのような考え方ができるだけこの法案に取り入れられて、自然の保護がうまくいきますように努力してまいる考えでございます。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 そういうばく然たることばかり言ってもだめなんですよ。そんなことはあたりまえなんです。すなわちいまの国立公園の中で、こういうようにして洞爺湖が侵されている。あなたは見てこられた。あなたも陳情を受けてこられた。そうしてこれはひどいと言ってこられた。これが国立公園の中で現に行なわれておるということであります。あるいは環境保全をしなければならない義務は環境庁にあるわけであります。そういうようなことが侵されておる。これも法律上やむを得ないのだ、それは今後善処していきますじゃ、普通の大臣と同じであります。あなたに対するいまの国民の期待度は東京都の美濃部知事以上。あなたには国民の支援があるのです。また信任されているのですよ。いろいろと世論調査によれば、あなたは美濃部知事を越えているそうです。そういうような立場にあるあなたが、こういうような洞爺湖の問題やその他の国立公園の中で現在侵されている状態をそのままにして、これから考えますじゃだめです。そういうようなものに対してき然たる手を打っておいて、この自然公園法そのもののしり抜け、穴抜けをきちっと押えておいて、それから漏れているところを全部集約してりっぱなものにしてやる、こういうようなのでなければ、依然として、法律はできてもしりばかり抜けて、どこかに流れてしまうのではだめなんです。今度はあなたが出たからこそ、この機会に完全な法律体系にしてもらいたいし、現在ある環境に対して完全に保全しておいてもらいたい。この強い希望を持つ国民が多いから、私の口を通じてそれを皆さんに申し上げるわけです。自信を持って答えてください。
  137. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまの島本委員の発言を国民の声と思って聞きます。  それで、それはあなたのおっしゃるとおり何でもしたい、いま即刻にもしたいのです。ですけれども、ものには段階がございます。たとえば洞爺湖の問題にしましても、まず汚染源の一番の原因は、私は汚水の排出だと思います。あそこで生活しておる多くの旅館その他いろんな民家、あそこからの下水の中への無自覚な無秩序な排水が一番大きな原因だと思います。しかし、それを直す基準は幾らでもきびしくできます、排出基準を。しかし、たとえ基準をきびしくしましても、実態はついてまいりません。あそこにはやはりとりあえず一応の、あの下水、汚水を押えるだけの設備をしますと、十五億から二十五億かかるという計算でございます。あの洞爺町だけでその負担ができるはずはございません。国からこれを補うことは、いまの法律ではとうていできません。しかしやらなければならぬ。これは国の法律も直さなければなりませんし、あらゆる努力をしてそのような下水工事を完成させなければならない。これにはやはり時間がかかります。いますぐやれといってもできません。  もう一つの汚染源は、おっしゃるとおり北海道電力の発電所があそこにそばを流れている川の水をわざわざあそこへ入れまして、中の水位を高めて、片っ方から水を流して発電をしている。そこに私は原因があると思います。その水はきたない水です。現場へ行ってみましたが、実にきたない水が幾らでも入っております。これは即刻にもとめたいと思いますけれども、いまの法律にはとめる方法がない。いずれは近い将来にこれを規制する、また北海道電力に対しても道義的な見地からこの点は反省を求めたいとも考えておりますが、いまの法律ではどうにもなりません。しかし何とかしなければならない。ことに洞爺湖というのは国立公園になったときにはいろいろな条件があってわずか周囲百メートルしか国立公園範囲に入れておかなかった。あとは全部野放しでございます。こういうものをどうやって規制するか非常にむずかしい問題がございますが、しかしやらなければならないことなんです。そういうことで、いま申し上げましたように決意だけを申し上げまして、具体的なことはなかなか申し上げ得ませんが、そのような決意でやっておるわけでございます七そういうわけで、私は環境庁長官をしておる限り全力でやってまいりますが、三年も五年もやれるわけではありません。私はできるだけやりますが、私にやれることはわずかしかない。それでも努力しまして、この環境庁がそのような情熱と伝統の精神を持って国民の公害の予防に、あるいは自然保護に、今後とも一生懸命努力する役所になるように、そのようなことを心から願っておるわけでございます。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 私は、これと同じにあなたに対してはもっと重大な希望があるのです。そういうような弱腰では困るのです。というのは、金がかかってやれない。金で解決できるのはそれは何でもないのですよ。金で解決できないのは難事業なんです。金で解決できるのは少なくとも金を出せば解決できる。これなんか難事業だと考えるあなたはどこかから脅迫されているのじゃありませんか。金で解決できるものをやれるのはあなたじゃありませんか。やれるのは閣僚じゃありませんか。われわれはできない。ですからあなたはできる。どのような金でも、環境を保全するために、環境を直すためにこれが必要だというならば、あなたはもう責任を持ってどこへでも行ってこれをやるのが国民の期待にこたえる道なんです。たくさん金がかかってできないなんて弱音を吹いてはだめです。何か聞くところによると、このごろ三角大福戦争というものが行なわれているそうですな。初めは角福戦争だけだった。それに今度は中曽根さんが入ってきて三角大福中戦争。しかし最近それよりも目新しいのには大角戦争があったのだそうですが、昭和四十六年九月二十八日の閣議で、これは大平ではなくて大石環境庁長官と田中通産大臣だったそうですけれども、これは何か戦闘の結果はわかりませんけれども、新聞報道によると、瀬戸内海の汚染防止のための下水道、屎尿処理施設建造費を急ぐあまり、これを補正予算の問題であなたはがんばられた。その際に環境庁は新しい役所のくせに理想論ばかり先行するきらいがあって、おまえ少しなまいきだ、企業立地や道路建設等に待ったをかけるのは、二重行政では末端が混乱するばかりではないかということで、双方丁々発止とやり合った。総理から口どめがかかったけれども、いまの佐藤内閣では何にも口どめがきかなかった。そういうようなことで全部漏れちゃった。しかしこれは吉良が大石をいじめているようなもので、自然保護を公害防止の大義名分——こういうようなものを過去の行きがかりにとらわれないでやろうとするあなたに対しては庶民の声として称賛を博している。よくやったと言われています。ですから閣議でけんかをやればやるほどあなたは人気が上がるのです。ですからそういうような点では何ら遠慮は要らぬ。いつかやるでしょう、私はすぐかわります、こういうようなニュアンスをあなたは少しでも漂わしたらだめです。あなたでないとできないのです。もう少し気を強くしてがんばらないとだめですよ。大石桃太郎になってやってください。だれがかわっても、あなたでないとできない、こういうようなことでやってもらわなければなりません。  ことに、瀬戸内海の視察をヘリコプターでしてきた、こういうふうになっております。ごらんのとおり、いまあそこは赤潮の問題で、小林委員長やわれわれも行って見たときにも、あ然として、あの処置を考えなければならないと思ったほどです。しかし、いまだに手を触れていない。現に、国立公園地帯であるあの場所にコンビナートができて、その場所から平気で汚水を出している。国立公園地帯になぜこれを許可してあるのか。また次から次とこれをやろうとしている。どうも、あなたのことばによると、あの辺を国立公園地帯からはずすぞ、こういうようなことも考えておられるようですが、そういう大それたことを考えておられるのですか、この辺をひとつはっきりさしておいてもらいたいと思います。私はどうもあの辺のやつはわからない。
  139. 大石武一

    ○大石国務大臣 どうも、いろいろなむずかしい御質問のようでございますが、閣議での私と田中通産大臣との論争は別にございません。(島本委員「うそを言いなさい」と呼ぶ)ございません。ただ、先輩として親切なおさとしをいただきました。私はそのとおりだと思います。それだけでございまして、もう人間は何か少し古くなりますと、伝説が入るものでございますが、私にも伝説が入ったのは驚きでございまして、そのような事実はございません。ですから、十分に自分の信念のとおりにやっておるわけでございますので、ひとつその点は御信用願いたいと思います。  それから、瀬戸内海は非常によごれております。なぜあのようなコンビナートを許可したのかどうかということは、これは言いわけではございませんが、できたことでありますから、いまとなってはそれを取り戻すわけにはまいりません。それは、いろいろな国策上の問題だと信じます。しかし、今後はたとえどのようなことがあるにせよ、やはりあの瀬戸内海というものは清浄化しなければなりません。そういう意味ではあらゆる努力をしておりますが、実はいろいろ考えて苦労しておるわけでございますが、やはりまだものの考え方が、一部には産業優先的なものの考え方が残っておりまして、目先だけの利害にとらわれて仕事が行なわれる傾向が見受けられます。たとえばいろいろなところに参りますと、どこへ行ってもみんな瀬戸内海を埋め立てて面積をふやそうとしておる。これはもう一応はわれわれの所管ではないのですけれども、とにかく許可をとってあるのでしょう。そういうことで、こういうことをあまりむちゃにやられますと、瀬戸内海の環境保全はできなくなります。そういう意味で、そのようなむちゃな開発をやるならば、これは将来、国立公園として価値はなくなる。したがって、国立公園はやめなければならぬかもしれんぞというようなひとり言を言ったわけでございまして、この点はひとつ御了承願いたいと思います。
  140. 島本虎三

    ○島本委員 そういうひとり言はあまり言わないほうがいい。  現に行ってみると、はっきりわかるのです。香川県の番の州それから愛媛県の川之江、こういうようなところはもうすでに汚染源、こう思われるような状態です。これが国立公園なんだろうか、こう思われます。当然、われわれが行ったら、きれいな水を流しております。そして、長くいると、やはりわけのわからない、えたいの知れないものが流れてきておるのであります。そして、それは浮くものであるから、流さないようにという配慮で、浮きで周囲を囲んでおります。そして、そこへ落ちたもので浮いたのはすくっています。すくってもすくわれないものはどうするか、そのまま流れてしまうのです。まさに汚染源を国立公園の中で認めて、そしてそれをやっておるのが、世界一のこの公害立法を誇っておる日本の政府の行き方だったと思うのです。法律を見なさい。これだけのりっぱな法律は世界一ですと佐藤総理はよく誇るのです。しかし、その実態を見なさい。国立公園の中で汚染源が次から次へとつくられていっている。いまあなたに与えられている重大な任務は、そういうようなことをやめさせることです。これは激励なんですよ。ですから、ほんとうにこういうようなたれ流しなんかさせないようにして、これはあなたが一人になってやっていても、あなたのうしろには一億の国民がつきますから、どんどんやってください。そして、この赤潮の原因、これは都市下水、それから工場排水、こういうような複合汚染であるかどうか、こういうものを次から次と流すのをやめさせるような措置、あえて言うと、大いに金がかかる、たくさん金がかかります。金で始末できるものは大事業でないのです。ほんとうの困難な大事業というのは、金を積んでもできないことです。あなたはできるのですから大いにやってもらいたいのです。赤潮の原因、こういうようなものの排除ということに、せっかく見てきた瀬戸内海、これはひとつ環境の保全のためにいま一そうがんばってもらわなければなりません。その予算調査費その他は十分もうついているだろうと思います。われわれ見たところでは、このままにしておかれませんから、一日も早くその措置を望みます。まあせっかく官房長も一緒に行ったようでありますから、もう準備はできておるだろうと思いますが、この点等についてもひとつ特段の配慮を私から要請しておきたいと思うのです。これはやるのでしょうな。金でできることはやれるんでしょう。
  141. 大石武一

    ○大石国務大臣 やる決意でございます。
  142. 島本虎三

    ○島本委員 同じやる決意を示されました以上、  ここにまた重大な問題もあります。というのは、八月二十一日、ホノルルで開かれた合同運営委員会の一環としての木川田氏と米国側の環境公害委員長であるガースタッカー・ダウケミカル会長ですか、こういうような人と話し合って、公害問題についての今後の取り組み方についての協議をし、あなたに報告してあるはずです。それによると、「両国間にある環境基準の相違が輸入規制の原因となり、非関税障壁となる危険がある。また、公害排除を目的にした輸入課徴金、それに対抗する輸出補助金設定など、自由貿易に反する措置がとられる可能性もあり、これらをどうして防止するか。」いろいろ検討されて結論を得たようであります。そうしてその中で注目されるのは、「環境基準の相違、公害防止コストの負担方式の差などが、将来貿易制限の原因になる危険がある」こういうようなことをはっきり指摘し、双方ともに同一の基準、同一の方法で今後やろうじゃないかという話し合いができたかのような報道があります。そうしてそのあとに、これはまたいろいろな立法措置考えられておるようなんであります。これについてひとつ、この問題は大きな問題であって、むしろ金でできないような問題にもなる可能性があるのはこの辺じゃないかと思われる問題であります。しかし、これだって金で解決できますけれども、しかし、このような重大な問題に対して、今後の両国の間の環境基準を同じ歩調でやっていく、この点を、どの辺から手をつけていかれますか、どのような構想を持っておられますか、ひとつこの辺の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  143. 大石武一

    ○大石国務大臣 いま日米間の貿易の問題、日米ばかりでございませんで、日本の輸出のいろいろな問題に関連いたしまして、昔から出る釘は頭をたたかれるというように、いろいろと日本の国力なり貿易が進んでまいりますと、よく頭がたたかれます。昔は、低賃金、重労働ということで日本のダンピングということが指摘されてまいりました。近ごろは、低賃金、重労働ではございません。近ごろ日本の貿易の輸出の振興があまり伸びが早いので、これに対するいろいろな足を引っぱるようなものの考えが行なわれますが、その口実として、日本ではいま公害のことは何もやらぬ、企業の負担も何もやらぬ、あるいは社会資本もろくにかけない、そうしてソシアルダンピングをやっているんだということが、日本の貿易の足を引っぱる一つの大きな口実になっておるのであります。そのことが問題になったと思います。確かにそういう口実を与えました。今後日本としては、大きく伸びる場合のじゃまになります。したがって、いまドル・ショックでいろいろ日本で心配がされておりますけれども、この際、特に将来の大きな発展を考えまして、公害に対する各企業の努力というものを徹底的にやらなければならないと考えております。そういうことで、企業が十分にやれるように、十分に努力するように、また実際にその設備もできるように、国もあらゆるめんどうを見てあげなければならない、こう考えておるわけでございます。  それからもう一つは、ただ公害の対策をどこまでやっているんだ、どうだということはやはりなかなか実態がわかりにくいのでございますので、どのような基準、どのような実態がどのような結果になったんだというような世界共通のそのような公害の判定のしかたがあれば一番いい。ところがそのことが望ましいことでございますが、いまの段階ではまだそこまでは技術的に進んでおりません。御承知のように百万分の一PPM、〇・〇……PPM何ぼというようなこまかい、何というか非常に微細な数字を取り扱うものでございますから、非常に検定方式とかやり方にいろいろなむずかしさがある。技術的にはまだ困難がございますので、近い将来にはそのような世界で共通判断ができるような同じような測定方法なり判断のしかたをしなければなりませんけれども、いますぐにはできませんので、そのような努力をいまいたしてまいりたい、このように考えるわけでございます。
  144. 島本虎三

    ○島本委員 環境庁のほうでは、昭和五十年から適用される自動車の排気ガスの新しい規制基準、これを秋までに大体きめたいということをかねがね言っておったわけです。それと同時に、アメリカのマスキー法、これも一九七五年から実施されますが、これの規制基準が、もし日本が現行どおりだった場合には国産車の対米輸出は不可能、こういうようなことになってしまいます。そして、マスキー法の場合は、特に五十年以降には一酸化炭素とか炭化水素だとかの排出量は七〇年あたりの十分の一に減らすことになる。五十一年からは窒素酸化物の排出量もいまの十分の一以下にするんだという。この基準に合わした場合には、これは日本の自動車メーカーに対しまして、重大な一つの革命的なことになるわけであります。したがって、自動車の技術面でこういうような場合は問題ないのかどうか。これはやはり基準面を合わせるのはいいと思います。合わせながらやる。同時に技術がそれに伴わないとどこかに不正がくる。当然そこから突つかれるわけでありまして、この点は私どもは最もいま配慮しているところであります。なぜならば、一酸化炭素を押えつければこれまた窒素酸化物が出てくるし、窒素酸化物の濃度を下げれば一酸化炭素が出る。いずれをとっても困る。そして、この場合には何か別に燃焼板をつけることによってこれを解消する以外にはない。この技術的方法が考えられているのかどうか。これはやはりマスキー法導入と同時に重大な問題になるのでありますが、この問題は環境庁指導なされておりますか。それとも運輸省でありますかどうか。
  145. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまアメリカのマスキー法が実施されますと、われわれもそれに歩調を合わしてそのような基準にやはり日本の現状をしなければなりません。そういうことで、御承知のように、先日中央公害対策審議会に対しまして、ことに大気部会に対しましてそのようなものの考え方、そういうものを諮問いたしております。そして年度内にはそれに対する答申を得まして、やはり五年以内に日本の自動車の排気ガスを徹底的に規制する基準をきめたい、こう考えております。それにつきましては、技術が伴わなければどうにもなりません。で、われわれは五年という期限をつけたのはそのことでございます。五年間にできるかできないかわかりませんが、何としてもこれはつくらなければならないことです。ですからわれわれはあえてタイムリミットをつけまして、そしてそのような背水の陣をしいてもらって、努力をしてもらうという考えております。そのためには技術開発が一番大事でございますが、その開発はもちろん国でもしなければならないでしょうけれども、すべての国のそれに関係ある機関が全力をあげて取り組んでいく必要がございますので、そのような方法を考えまして、いろいろな国としても研究をしますが、特に業界を中心としたそのような研究機関には国としてもできるだけの研究費の援助、支出をいたしまして、その開発に協力いたしておるわけでございます。そのことにつきまして詳しい数字は事務当局に尋ねればわかりますが、ことに通産省を通じましてそのような研究の開発に努力させておる状態でございます。
  146. 島本虎三

    ○島本委員 その通産省なんです。通産省全部おりますか。
  147. 小林信一

    小林委員長 おります。
  148. 島本虎三

    ○島本委員 全部こっちへ出てください。  通産省のほうでは、公害防止計画基本方針は第三次の分についてそれぞれきまったようであります。茨城県の鹿島、名古屋市とその周辺、これはつい最近われわれ行ってきました。今度兵庫県の東部、北九州、大分、こういうようなところであります。その達成がこれまた茨城県の鹿島の場合には五十一年であったりまたは名古屋市の周辺が五十六年であったり、それぞれみな違います。しかし問題は、もう違っても完全にでき得るならば一応はいいと思うのでありますけれども、現に実施中のコンビナートの鹿島では、われわれ視察に行った際に、ついに住友金属工業の鹿島製鉄所の排水については調べることができなかった。われわれが行ったら、週日であってもストップしているのでありまして、ついに見ることができなかった。しかしながら最近粉じんであるとか亜硫酸ガス、シアン、こういうようなもののいわば公害騒ぎが絶えない臨海地帯なんですけれども、公害病、何かわからないような奇病が最近起きたというようなことを新聞紙上でちょっと見ました。私どもは以前から、あの辺ではシアンが流れておる、それと同時にその他いろいろな汚水が不十分な処理のままに流されておる、この点は十分に通産省に指摘してきたはずです。通産省から県当局に完全にこれは言ってやったはずだと思うのです。しかしながらこれはどういうことですか。網が引っかかったので水にからだをつけた漁師のからだがただれて、脱毛が始まったりして、かつていままで見られなかったような被害がその辺に発生しているのだ、そうして本年の七月ごろからこれが始まったのだとその被害を訴えている、こういうようなことです。一体通産省はこういうようなコンビナートの中で、公害防止計画策定、その基本方針まできまり、そうして閣議の了解を得て着々としてやっておるという中で、現在操業中であるそういうようなものにこういうだらしないやり方をさせておいていいのですか。通産省のやり方は、最近どうもことばはまことに丁寧であって、そうしてまことにりっぱな日本語で答弁されるけれども、一歩外へ出ると全然逆な行動をとっているのが通産省である。いまの態度はどういうことですか。原因は何ですか。どういうわけでこれが排出されたのですか。これについて通産厚生両省からの答弁を求めます。
  149. 久良知章悟

    ○久良知説明員 住友金属の排水処理の問題につきましては、前回の問題のあとに県当局並びに企業に対して連絡をいたしております。私どもといたしましても、処理施設の完備のために必要な資金の面その他の準備につきましていろいろな努力をしているわけでございますが、今回の先生指摘の奇病につきましては、目下県当局でその原因を究明中というふうに私ども連絡を受けておるわけでございます。
  150. 浦田純一

    ○浦田説明員 厚生省はもちろん環境とそれからこれにかかわる国民の健康の問題については責任を持ってお世話しなくちゃならない立場にあるわけでございます。今回の鹿島工業地帯の奇病につきましては、その原因等について関係の庁とも連絡いたしまして、いまその報告をいろいろと受けておる段階でございます。よく関係の省庁並びに県当局とも連絡いたしまして、厚生省のほうの立場としてできることは尽くしてまいりたいと思います。
  151. 島本虎三

    ○島本委員 閣議を経てもうすでに公害防止計画、この基本方針が決定されて、そしてもう五十一年までをめどにしてもうその整備をしなければならない、操業中のものは、もうこの線に沿うた操業をしていなければならないはずなのだ。それをこういう奇病が発生してもわからないと言う。一体、このやり方というか、責任はどこにある、県ですか、通産省ですか、工場ですか、本人の過失ですか。おそらくこういうようなこと黙っていたら、企業のたれ流し、そのまま蔓延しますよ。後手後手に回るのは通産省、先手先手に回るのは環境庁、その間のみぞは、これはだれが埋めるのです。だめだ、こんなことしていちゃ。もっとあるのです、もっと。この原因はまだわからぬのですか。どういうようなわけでこれが発生したか、そしてその原因はどの工場であるのか、わからぬのですか。
  152. 小林信一

    小林委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  153. 小林信一

    小林委員長 速記を始めて。
  154. 島本虎三

    ○島本委員 ですから、もうそういうような状態の中で、まだ依然としてわかりません、わかりませんと言う。こんなことだからだめだと言うのですよ。監督機関何やってんですか。とんでもないですよ。わからないならわからないと、もう一回言いなさい、そしたら次に行くから。
  155. 久良知章悟

    ○久良知説明員 今回の奇病につきましては、目下県で原因を究明中でございます。
  156. 浦田純一

    ○浦田説明員 厚生省といたしましては、このような全般的な難病と申しますか、奇病と申しますか、これの対策につきましては、公衆衛生局のほうに特別の対策室をつくりまして、いわばプロジェクトチームという形でもって取り組む体制を現在具体的に検討中でございます。
  157. 島本虎三

    ○島本委員 委員長が先般視察されまして、そして名古屋周辺のコンビナートへ行ってこられた日はいつでしたろうか。
  158. 小林信一

    小林委員長 九月の十九日から二十日にかけてです。
  159. 島本虎三

    ○島本委員 十九日の視察の日です。新日鉄の視察に参りました時間は、やはりああいう視察の場合はやむを得ない、残念だったと思うのですけれども、短かったと思うのです。それでもある程度説明は聞き、見せてもらいました。その中で、設備はりっぱであり、りっぱにやっていると言いながらも、どうもふに落ちない点が一カ所ありました。というのは、やはり鉱石に対して水をかけておる、水をかけて散布しないのだ。なるほどこれはりっぱに手回しよくやっていた、そう思いました。しかし、これはおかしいなと言ったのは私じゃありません、小林委員長です。なぜならば、かけているその配水車は日通の配水車であった。したがって、これは借りてきて一時的にやっていたんじゃなかろうか、こういうようなことを偶然にも談話の中でお話しされておりました。私どもそういうことはないだろう、こう思って次の二十日、保安庁の船に乗って海の上からそれを見たのであります。ところが次の日になったら、もうもうとその辺が黄色い粉じんであります。おそらくその日はかけていないのです。日曜日にわれわれ行ったときにかけて、月曜日にはもう操業開始になって、かけておらなかった、こういうようなことが想定されるのであります。私は、それでこういうようなものか、こう思ってまいったのでありますけれども、その後新聞報道によると、われわれが見てきたのはほんの短時間の間、残念だったけれども、十分目が通らなかった点があった。その目が通らなかった点は、後ほど、いま県側が入って、はっきりそれを指摘したそうでありますけれども、何か排水池、それも届け出がないままにこれを利用されておった、われわれ行ったら当然見せてくれない、あとから行った人がそれを発見した。こういうようなことに対して、通産省はどういうような指導をなさっておられるのですか。これは県当局の責任ですか、通産省の責任は全然ないのですか。この排水池、特定施設ですね、こういうようなものに対しては、無届けでこれをやっておったのがわからなかったというのですか、一体これはどういうことなんですか。
  160. 久良知章悟

    ○久良知説明員 排水の規制につきましては、従来工場排水規制法で規制を行なっておりまして、御承知のように、昨年末の国会で水質汚濁防止法が成立をいたしまして、六月の二十四日から規制の法律が切りかわったわけでございます。従来の工場排水規制法におきましては、いま先生が御指摘になりました新日本製鉄の名古屋製鉄所の、問題の排水をためるための三つの池があったわけでございますが、これらのものについては、旧規制の上からは届け出の義務はなかったわけであります。六月二十四日からの新しい規制によりますと、これらのものにつきましては、届け出の義務が出るという事情にございます。
  161. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、洗浄施設、集じん施設等の特定施設及び排水口、それから施設の新設及び変更、その廃止、こういうようなことに対しては、やはり届け出の義務があるはずじゃありませんか。そういうようなことをやらなくてもいいという通産省のお考えですか。
  162. 久良知章悟

    ○久良知説明員 ただいまちょっと私言い方が不備であったようでございますが、排水池が外につながっておりますと、新しい法律では届け出の義務があるわけでございます。この池は、排水を一時的にためておくという貯留池でございますので、届け出の義務はないわけでございます。
  163. 島本虎三

    ○島本委員 洗浄施設、集じん施設なんかの特定施設及び排水口は、三十日以内に届けなければならないのではないのですか。それから施設の新設や変更だったら、六十日以内ということになっておるのではありませんか。それから廃止のときには三十日以内でなければならないことになっているのではありませんか。その三つは、パイプでみんなつながっておるそうではありませんか。そして最後は、いずれに流れるのかわからない、そのまま水は入ってくるけれども、出口がない、当然港の中に入っていっているじゃありませんか。あの場合に、小林委員長が、この水の色はただ。ことでない、なるほど環境庁長官のような指摘が当時あった、われわれはそこまで知らなかった、ところがそういうことがあった。どうも通産省というのは、公害対策基本法の産業との調和がとられたということを知っておらないようなんですね。これはどうなんですか、それはだれが指導しているのですか。
  164. 森口八郎

    ○森口説明員 御承知のとおり、現在水質汚濁防止法は環境庁が所管をしておるところでございます。また、この取り締まり権限は県のほうで一元的に実施しておられるところでございます。先ほど局長が申し上げましたのは、これは環境庁の御解釈にまたなければいけないわけですが、外に排水をしておるというようなため池でありますれば、これは水質汚濁防止法上の特定施設になる。この場合には、少なくとも表面上は外には排水をしておりませんので、現地でいろいろのうわさがありまして、隠しパイプがあるのではないかといりようなうわさ等かございます。しかし、隠しパイプ等がありますれば、これは当然特定施設となるわけでございますが、ない場合には、われわれは特定施設とはならないというように考えております。隠しパイプ等がありますかどうかということについては、現在県のほうで担当官を立ち入りさせまして調査中でございます。その結果に従って、これが特定施設であるかどうかということがきまることになるのではないかというように思っております。いずれにいたしましても、こういうような巨大な排水池をやはり企業側がずっととっておりましたこと、このことは、やはり外に浸透するのではないかというような疑いが当然持たれたわけでございます。新日鉄のような日本を代表いたします大会社について、浸透する可能性があるかもしれないというような池がそのままある。われわれのほうも現地はまだ詳しく視察はいたしておりませんけれども、どういうような外に浸透しないような措置を講じておるかどうかということの次第によっては、やはり問題であろうかというように感じるわけでございます。私のほうもその次第によりましては、やはり新日鉄のほうを強力に指導して、そういうことのないように指導すべきであるというのが私ども意見でございます。
  165. 島本虎三

    ○島本委員 ただその場合に、常識でわかるじゃありませんか。第一番目の三角池からは第二番員までパイプがある。第二番目から第三番目まではパイプがある。水は流れていくけれども丸第三番目にはパイプがない。水は必ず蒸発するのですから、やわらかくしておけばみんな浸透でしょう。そのまま汚水でしょう。たれ流しでしょう。どうもそういうような大企業に対して甘過ぎます。通産省のその態度はどうもよろしくない。よろしくないだけじゃなしに、あなたたちの皆さんの指導もよくないようです。  というのは、神戸市では、私もがく然としたのですが、公害を発生しているような工場に対しては、これはもう送水をストップする、こういうようなことを考えられたようであります。しかしそれに対して、そうしてはならないと言ったのは通産省だそうじゃありませんか。通産省という省はどういう省なんですか。正当な理由がなければ給水停止はできないのである。これは、工業用水道事業法でそうきまっているからだめだ。公害排出するのは正当の理由でないのか。一体これはどういう見解でだめだということをやったのですか。当然それはもうやりなさいと言うのが皆さんの指導の態度でなければならない。どういう見解ですか。
  166. 森口八郎

    ○森口説明員 私のほうで、いま先生から御指摘がありました神戸市の問題について、具体的な案件は実は聞いておりません。ただ、一般に工業用水は、先生おっしゃいましたように、正当な理由がなければ送水を停止してはならないという規定がございますので、そういう一般的な解釈に従って、当方の企業局で指導をいたしたのではないかというように考えております。
  167. 島本虎三

    ○島本委員 それは違います。神戸市長宮崎辰雄氏から、この公害排出をしているような会社に対して、送水をストップする、してもいいか、こういうようなことを聞いてきたところが、これは工業用水道事業法によって、正当な理由がなければ給水停止はできない、通産省から、行政解釈ではこれはもうだめなんですということを通達してやってある。そして悪質な公害排出工場に対して、工業用水の送水制限または停止、こういうようなものは現行法ではできないんだという。したがって困ったものだから、今度は市条例でそれをいろいろやって、そういうようなことをにおわせるようにしていま改正中だ。一体これはどういうようなことなんですか。私どものほうとしては、当然もう神戸市長なりその長が、公害発生して困る会社、注意しても直さない会社、規制に応じない会社、勧告に応じない会社に対しては、立ち入り検査をする。それでも応じないものに対しては送水ストップをする、これはあたりまえではないか。それが解釈がどうとか、正当な理由がなければ給水停止ができないのだ。公害が正当な理由じゃないといっている。これは一体どういうわけなんです。環境庁、公害は正当な理由でないほど薄っぺらなのか。一体行政解釈は、これはどうなんです。通産省とそれから環境庁の行政解釈をはっきりさせてもらいたい。
  168. 岡安誠

    ○岡安説明員 いまお話しの、排出等の基準を守らない企業に対しまして、それをチェックする手段といたしまして、工業用水の送水をストップするという問題でございますが、基準を順守させる方法の一つといたしましては有効な手段であるとは考えておりますけれども、工業用水の供給につきましては、工業用水法というような法律がございまして、やはり需要者に対しまして、管理者が常時給水を継続をする義務についての法があるわけでございます。したがって工業用水法の解釈、運用といたしまして、それが可能であるかどうかということは、法律の立場からあらためて検討せざるを得ないむずかしい問題ではなかろうかと実は考えておるわけであります。
  169. 島本虎三

    ○島本委員 だめなんです、そんな解釈じゃ。もう一回言います。そのときにできるのは、災害それから施設の損傷、公益上やむを得ないとき、料金不払い、目的外使用、無届け工事等に限っているというのです。この公益上やむを得ないとき、公害を排出するものにとめるのは公益上やむを得なくないのか。一体どういう考えなんです。皆さんは一自治体の長よりも考え方が下劣なんです。こんなことで公害の指導ができますか。これは厳重に注意しておく。委員長、あとからこの解釈をはっきり手元に届けてもらいたい。  もう時間ですから、私はこれを最後にやめます。環境庁長官いますか。——沖繩の問題ですけれども、沖繩の南部戦線のあと一帯です。この霊域を何か平和祈念公園にして整備中であるということを聞くのですけれども、これは環境庁が管理して、今後整備、維持、管理こういうようなことについて沖繩県に委託することになるのか。これはどうなるのか。ひとつその点をはっきりさしておいてもらいたいと思うわけです。現在環境庁は千鳥ケ渕の戦没者墓地苑、これを所管していなさいます。そうしますと、沖繩の場合も、これは平和祈念公園として整備されている。そのあとは当然これは何らかの措置をしなければならないのではないかと思うのですが、これに対して御見解を伺いたいのです。
  170. 首尾木一

    首尾木説明員 現在沖繩に政府立公園として指定されておりますものが三つあるわけでございます。その三つの政府立公園につきましては、復帰後早急にこれを自然公園の体系の中で考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  171. 島本虎三

    ○島本委員 これでやめようと思ったんだけれども、それでは答弁にならないのです。沖繩南部戦跡一帯の霊域を、平和祈念公園としていま整備しているというのでしょう。その整備されたあとの管理をどこがするんだというのです。これは、環境庁は現在千鳥ケ渕の戦没者墓地苑を所管しているでしょう。それと同じような考え方で、この整備維持、管理に当たるのかということなんです。どうなんですかと聞いているのです。これはやはり長官でないとだめですな。
  172. 大石武一

    ○大石国務大臣 これはいま、御承知のように、戦跡の平和祈念公園は、返還後は国定公園にいたしたいという方針でございます。そうなりますと、管理は沖繩県知事の管理になるわけでございます。
  173. 島本虎三

    ○島本委員 終わります。
  174. 岡本富夫

    岡本委員 関連。いま島本委員から名古屋の新日鉄の工場について質問があったことですけれども、この調査はだれがやったのか、どこからこのことが判明したのか、このことについてひとつ通産省から聞きたい。
  175. 森口八郎

    ○森口説明員 お答え申し上げます。  四十六年十月四日に愛知県議会で公明党の木村四郎氏から、新日鉄名古屋製鉄所に水質汚濁防止法に基づく届け出を行なっていない排水池があることが指摘されたわけでございます。これに基づきまして、愛知県が新日本製鉄所に、現在その実情を調べるために立ち入り調査をし、いろいろな試料の採取を行ない、その分析を行なっておるというのが現在の段階でございます。
  176. 岡本富夫

    岡本委員 いま島本委員からも指摘がありましたように、この三角池、新四角池、四角池の三つの池があって、そこから排水のパイプが隠されておる、こういう問題について、あなたのほうはおそらく報告を受けたと思うのです。それに対してこれは重大だ、なぜかならば、この三つの池からどういうものが流れておるかというと、フェノール、シアン、砒素、なおその三角池にバキューム車を持っていってどんどんきたないものを流しておる。隠しパイプがないと言うけれども調査したところに百ミリの隠しパイプがあるのです。それで、この間委員長中心にして、名古屋の伊勢湾の調査をしたところが、まっ黒なきたないものがぶくぶくしておる。この間隠してあるわけです。それを通産省で把握もせずに、県当局から聞いております。こんなことでは、あなたは事重大であるということは考えていないんじゃないですか。もう一回はっきりしてください。
  177. 森口八郎

    ○森口説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、隠しパイプがあるかないかということについては、現在愛知県当局のほうで御調査中でございます。あれば、当然これは水質汚濁防止法に基づく特定施設になる。そういうことになりますれば、これはゆゆしき問題であるというように私のほうは考えております。ただ、私のほうが現在企業側から聞いておりますところでは、パイプはないというように聞いております。現在私のほうは規制官庁ではございませんので、規制官庁として愛知県から正式に報告をとるというようなことができない状況でございます。ただ、お説のように、もし問題になりました三角池あるいは四角池、新四角池というような池に、公有海域に通じます隠しパイプがあるということでありますれば、これは新日鉄ともあろう会社が特定施設の届け出をしてないということになりますので、当方としては、これは新日鉄について覚悟を改めて指導をしなければいけないというように考えております。  なお、かりにこれが特定施設でないといたしましても、先ほど申し上げましたように、それではこの中にためられた水は一体どうなっておるのだろうか、浸出をしておるのではないかというような疑いはきわめて濃いわけでございますけれども、こういうような点につきましても、現在規制官庁でございます愛知県のほうで詳細な調査実施しておられますので、その調査の結果によりまして、私のほうからしかるべく処置をいたしたいというように考えております。
  178. 岡本富夫

    岡本委員 そこから流れた水は一体どういうようになって伊勢湾に流れておるかということで私のほうで調査した。これは青色とか赤色、ニューコクシンあるいはアイドレツド、こういうものを流してみたら、ちゃんとそのまま伊勢湾に流れておるわけですよ。ただ、企業のほうでそれをはっきりしないものだからはっきりしないけれども……。  それと、この実施官庁は愛知県だから、私のほうは責任がないんだというようなあなたの言い方なんですが、そうすると今後通産省にはそういう責任は全然ないということになるのですか。
  179. 森口八郎

    ○森口説明員 本件は、水質汚濁防止法の規制違反であるかどうかという問題でございます。そういうような問題について通産省は責任はないというように申し上げておるわけでございます。ただ、通産省は御存じのとおり産業の所管官庁でございます。いまや公害問題は非常に国をあげての重大課題となっておるわけでございます。したがいまして、規制官庁でない当通産省といたしましても、産業側が公害を出さないように指導するということは当然の責務でございます。そういう意味の責任は当然通産省にあるというように私は考えております。
  180. 岡本富夫

    岡本委員 そこで県に向かって、県会で問題になっておるわけですけれども、これは当然県でもこの辺をよく調査して大体わかっておるのじゃないか、いままで長いですから、つくってから大体六年くらいになりますからね。そうすると県と企業の癒着、こういうものに対する通産省の指導あるいはまた考え方、これについてひとつお聞きしておきたい。
  181. 森口八郎

    ○森口説明員 申し上げるまでもなく、県はいやしくも地方の住民を代表する一つの機関であります。その機関が企業と癒着をして、公害対策をおろそかにするというようなことは万々あるまいというふうに私どもは思っております。
  182. 岡本富夫

    岡本委員 それで、そういうように答えるでしょうが、県のほうで見つけていない、また企業ではそういうものはないと、こういうようにいっている、こういうように答えているわけで、現在調査中だ、もしもあとで見つかった場合、これは都道府県知事の権限においてこれをやらなかったということになるわけです。ということは、企業と同罪ということになるのです。それに対する処置、それから処罰といいますか、こういうことはどういうように考えたらいいのか、ひとつこれを——これはちょっと通産省としてはむずかしかろうと思いますので、関連ですのであとでまたありますから、環境庁長官に、先ほどからお聞きになっていた問題について、御意見、あるいはまた閣僚としてどういうようにするか、これをお聞きしたい。
  183. 岡安誠

    ○岡安説明員 問題は、いまいろいろお話あったとおりでございますので、二つございまして、一つは、届け出というものが正確になされておったかどうかという問題と、さらには、たとえば隠れパイプがあるかないかということのほかに、浸透するかどうかという問題もあるようでございますので、この池からの海域の汚染というのがないのかあるのか、今後とも考えられるかという問題があると思います。それらにつきましては、まず届け出につきましても、このため池の機能が明らかになれば、おのずからこれを届け出すべき施設であったかどうかということも明らかになるというふうに考えておりますので、その点を含めまして、現在県当局が調査中でございます。その調査の結果を待ちまして、今後の措置並びに届け出につきましても処置を要すれば県が処置をする。また、いずれ相談があれば私ども相談に乗って指導はいたしたい、かように考えております。
  184. 大石武一

    ○大石国務大臣 どうもまだ詳しい実態がよくわかりませんので、的確なお答えができるかどうかわかりませんが、やはりそういう検査をしたり、届け出したりするのは県庁が対象でございます。したがいまして、県庁という地方自治体にやらせることが当然行政の順序でございますので、やはりその順序を先にやりたいと思います。その結果、もしわけのわからないことがありましたら、さらにそれを究明いたします。まず、とりあえず実態調査いたさせまして、その報告を聞いてからいろいろな判断をいたしたい、こう思いますので、少し時間の猶予をいただきたいと思います。
  185. 岡本富夫

    岡本委員 最後に、長官は、水質汚濁を防止しよう、あるいは環境をよくしようと一生懸命やっている。ところが、会社はこういうふうにして隠しパイプで流してみたり、あるいは池へ沈でんさせて、それがそのままどんどん伊勢湾に流れておる。こういうようなことが全国——これはたまたま私のほうの調査員が行って見つけたからわかったものであって、あなたのほうでは一生懸命きれいにしようとしているし、流すほうは、これは企業側でしょうが、どんどん流している。これを上から隠している。これではいつまでたっても追っかけっこでうまくいかないと思います。そこでやはり都道府県にあなたのほうから命令して、こういったものが一つでもあれば——これはあちらにもこちらにもあるという場合があるのです。これは、私ほかにも聞いています。ですから、一ぺん総点検をさせる必要があると思うのですが、これについての御意見を伺って終わりたいと思います。
  186. 大石武一

    ○大石国務大臣 おっしゃるとおりでございます。やはりある期間、時間を置いていろいろと全国的な総点検をする必要があると思います。そういうことをいたしたいと思っております。
  187. 小林信一

    小林委員長 この際、島本委員の要求がございまして、新日本製鉄の公害処理に対して各省に見解を求められて、その点、まだ不明確なところがありますが、これをひとつ明確にされるようお願いをすると同時に、島本委員からの要求がありました文書による回答というものを、ぜひとも出していただくようにお願いしたいと思います。  私も、実はこの点につきまして非常に疑問を持ったわけであります。というのは、その処理場、貯水池になっておりますが、私が、この排水はどういうふうに処理するかと聞いたときに、所長と技術担当者が口をそろえて、私のところの排水というのはすべて完全に処理いたしまして、すべてこの水はもとに還元しております、と明確に答えております。私は、これは納得できない問題だと思いますが、われわれには技術的なものがわかりませんから、これはいずれあなた方専門家にお聞きしようと思っておったのですが、いまのような隠しパイプがあるなんということが事実としたら、これは、企業の先頭に立つ新日本製鉄としてはたいへん問題になるばかりでなく、いろいろな指導監督に当たられる通産省、また、そういうことがあってはならないために設置されました環境庁としても、私はこれは重大な責任問題になると思います。新日本製鉄というものは日本の代表的な企業である。説明を聞けば、なるほどりっぱな施設があり、それに対する思想も確立したものでやっておりますというふうに、たいへんな説明を受けたのですが、私は、先ほど問題になりました鉱石に水をかけて粉じんが出ないように処理するという、きわめてりっぱな説明をされておるときに、所長さんに向かって、あなたのところは確かにいいかもしらぬけれども、あなたのところへ鉱石を運んでくる船着き場のこの水はどうですかと聞きましたら、これは私の関係したものではありません、こう答えるのですよ。なお説明の中に、この名古屋港の上空にどういうふうに大気汚染がありましょうとも、私のところではもう全然責任を帯びておりません、こういう説明をしましたから、私は一言つけ加えたのです。大企業の先頭に立つあなた方がそういう思想では、公害は除去されませんよと。私のところから大気汚染の原因はつくられないだけでなく、名古屋港の上空が汚染したりあるいは港湾がよごれておったら、それはやっぱり自分たちの責任だくらいに考えてほしいというのが、公害問題に対する国民の大きな希望なんです。  これは大昭和製紙に私は申しました。たいへんに自慢で、汚水処理の施設を見せてくれましたが、最終的にコップにくんだ水というのは、まだまだ赤い水ですよ。あなた方が自慢するなら、この水を私が飲んで見せます、社長がそれくらい自信を持って処理されたときに、初めて国民が希望する公害と企業という問題が解決されるのだ。これは通産省だけでなく、特に環境庁長官のこれに取っ組んでおられる姿には敬意を表するわけですが、もうこの水は飲んでもいいのですよというくらいに汚水処理をするところに初めて自然というものは保護されるのじゃないか、公害は除去されるのじゃないかと思うのです。大企業のほんとうに先頭に立って、しかもわれわれに説明するには全くもう完ぺきを期したような説明をされるものが、翌日私どもが海上から見たときには、まさに名古屋上空の大気汚染の元凶は新日本製鉄じゃないか、私はそういうことばを新聞記者に放ったくらいに、われわれに見せるものと内容というものはまことに納得できないものがあるわけでありまして、もし隠しパイプがあるというようなことになったら、これはもう企業を停止するくらいの姿勢を私はとってもらいたいと思うのですよ。そういう意味で、いまの両委員質問に対しては答えられるように、厳重にその実態調査されるとともに、本委員会に御報告を願いたいし、環境庁長官は、いまのようなこの企業の思想というものをやはり根本的に是正するような世論の喚起と、これに対する対策というものを私はとっていただかなければならぬ。これがわれわれ委員の今回の調査の大体統一した意見でございますので、この際つけ加えて申し上げて、いまの両委員の御要求というものにこたえていただくようにお願いを申し上げます。  午後二時五十分再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後二時二十一分休憩      ————◇—————    午後三時五分開議
  188. 小林信一

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。質疑を続行いたします。土井たか子君。
  189. 土井たか子

    ○土井委員 きょうはひとつ三つくらいの点について質問さしていただきたいと存じます。  最初に、まだ建設省のほうの道路局有料道路課長さんがお見えにならないようでございますから、先に航空機の、特に騒音問題についてお尋ねを申し上げたいと存じます。  環境庁長官、最近、暫定環境基準ということですが、中央公害対策審議会のほうに、航空機の騒音についての環境基準を設定するための諮問をなすっておると伺っておりますが、そのとおりでございますか。
  190. 大石武一

    ○大石国務大臣 そのとおりでございます。暫定というよりは、できるだけふさわしい環境基準ということでございますが、その前提に暫定基準が入るかもしれませんが、そんなような目的で、九月の二十七日かと思いますが、諮問いたしてございます。
  191. 土井たか子

    ○土井委員 そうしていつごろまでにその答申を得るということを一つの目標になすっておりますでしょうか。
  192. 大石武一

    ○大石国務大臣 年度内にはその基準が出せるように、そのような答申をもらうべく注文をつけております。
  193. 土井たか子

    ○土井委員 そういう基準ということと同時に、中身についておおよその、こういうことについてひとつ考えてもらいたいとおっしゃれるような一つの構想がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  194. 大石武一

    ○大石国務大臣 とにかく音がやかましいのでございますから、一番望ましいことは音の低いエンジンが開発されればいいのでございますが、当分はそれを望むことができませんので、やはり間接的な、どちらかといえば消極的でございますが、そのような騒音を予防するような、防ぐような基準になると思うのでございます。したがいまして、たとえば飛行場におきましては発着回数を少なくするとか、夜間のおそい飛行は禁止するとか、これは少し中途半端でございますけれども、そのような基準とか、そのような方法とか、あるいは騒音の通る、騒音に悩まされる施設に対しましては音が届いてこなくなるような施設をするとか、そのような間接的なことしかできないのでございますが、そのようなことを考えております。
  195. 土井たか子

    ○土井委員 長官も御存じのとおりに、航空機騒音というのは空港が騒音の発生源ではないわけでございまして、飛んでいる飛行機が騒音の発生源ということになるわけでございますから、この騒音に対しての規制をどうしていくかというのはいままで非常にむずかしい問題だと考えられてきたわけでございますね。ところで、いま羽田空港周辺にしましても、それからもう一つ、特にこれは近辺の住宅事情からしますと、伊丹空港周辺というのはもうとにかく即刻手を打たなければならないくらいにせっぱ詰まった問題になってきてしまったのでありますけれども、やはり四六時中騒音に悩まされております、そこに住んでおります住民の立場から、一体騒音をどういうふうに取り締まらなければならないかという声も、私は一つの基準を設定なさる場合に大事なよりどころに考えられなければならないはずだと思うのです。いま中央公害対策審議会のほうに諮問をなすって、専門委員会を設けておやりになるという由を私は承っておりますけれども、その専門委員会の席に、どういうルートを通じ、またどういう方法で、その地域住民の現に被害を受けつつある人たち意見なり、いろいろな調査によってもたらされている資料なりを吸収なさるか、御配慮のほどを承りたいと思います。
  196. 大石武一

    ○大石国務大臣 これはひとつ局長からお答えいたさせていただきます。
  197. 山形操六

    ○山形説明員 中央公害対策審議会において、現在環境基準の設定にあたりまして、主として科学的見地から基準値を審議する趣旨に基づいてお願いしておるわけでございます。で、関係方面の学識経験者をもって構成することにいたしまして、飛行場周辺におきます住民の意向等につきましては、審議の過程において十分聞き取るように配慮するつもりでございますし、また騒音振動部会の  先生方からも絶えずお話し合いが出ておることでございますので、私どもといたしましてはあらゆる機会を通じて住民の意向を聞いていく所信でございます。
  198. 土井たか子

    ○土井委員 専門家、特に科学的知識を持っていらっしゃる専門家の意見中心になさるのはいままでの公害対策に取り組む委員会なり諮問を受けて答申を出す審議会の基本的な態度だったと私は思うのです。けれどもいかがでございましょう、私思いますのに、科学の名においてはたしてどれだけ実際問題、公害の被害を余すところなく取り上げて、それに対する対策を講じ得るかどうかの問題です。私はいままで科学者あるいは数値を問題にする専門家、そういう方々に重点を置いてそこから出る科学的な立証や、またもたらされた数値という問題を常に中心に据えながら追っかけていったことのために、むしろそこから大事な問題が漏れて、そうしてそれに対する対策が後手後手になってしまったということを一、二の例にとどまらず、いろいろな実例を見た場合に実感として感じさせられているのです。いま航空機騒音について、せっかく中央公害対策審議会のほうに、先ほど長官が言われましたとおりにできるだけ早い機会に、それは可及的すみやかにということだと思いますが、できる限り早い機会に、しかもこれは実情に即応して十分なる対策を立てたいというお気持ちをお持ちであるように私は伺っておりますから、そういう点からしますと、何としてもいま被害を受けている住民、被害者そのものの立場から出るいろいろな意見なり、また魂胆なんかもございますから、その調査結果なんかもひとつ十分に、というよりむしろ中心に据えてやっていただきたいと私は思うのです。したがいまして、いま御答弁をいただきました限りでも、やはり専門家にゆだねてあるから専門家の持ってきた科学的な知識なり、そこからもたらされた数値による基準なりを中心に据えながら、できる限り住民側の意見をも吸い上げてというふうな御答弁の向きに私は伺っているわけですけれども、むしろこの節、私は思い切って逆に住民側からのいろいろないままで調べた調査結果であるとかまた率直に素朴に日常感じておりますところの被害の実態そのものをひとつ中心に据えてしっかり取り組んでいただかなければ航空機の騒音に対する対策ということでは私は十分なものに決してなりはしないということを感じます。ひとつこの点について御意見を伺わせていただきたいと思います。
  199. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまの御意見はまことにそのとおりだと思います。とかくあまり科学とか数値ということにとらわれ過ぎまして、つまり猟師山を見ずというたぐいになる傾向が多いのでございますから、やはりもちろん科学的な技術そういうものは必要でございますけれども、それを基準として広い見地から一般的な大きな見地からすべてを判断することが大事だと考えます。ただいまの現地に住んでいてその騒音に悩まされる被害者の方方の意見を十分に尊重してそれを生かさなければならぬということはまことにそのとおりだと思います。  そういう意味で、われわれは中央公害対策審議会という一つの大きな全体で議論をする、問題を扱う場におきましては、できるだけ被害者——直接入っているかどうかわかりませんが、広く常識豊かな人にも御参加を願っているわけでございますが、専門部会はどうしても技術的なものが中心になります、そういうことで、いわゆる専門家というものを選んだわけでございますが、おっしゃるとおりたびたび現地にも出張させまして、実際に被害者の方々——あるいはおいで願ってもけっこうでございますが、そういう方々のいろんな御意見なんかを反映するように努力したい、こう思っております。
  200. 土井たか子

    ○土井委員 追い打ちをかけるようでまことに申しわけないのですけれども、出張して視察をなさるというのはやはり時間に限りがあると思うのです。ほんとうにそこに住んで一日二十四時間四六時中騒音に悩まされるという体験を失礼ながら専門家の方々はお持ちじゃございません。また常識から判断して私はこれはできる域をもう越えていると思うのです。ですから現地視察ももちろんしていただかなければ困りますけれども、視察したからだいじょうぶ、そのことに対して現地実態を把握し得るのであるというふうにお考えにならないで、やはりできる限りそこで生活して現に苦しんでいる住民を主体に置いて考えてこの問題に対してはその規制に取り組んでいただきたいというふうに私は思います。この点要求をいたしますから重々ひとつその点をおくみ取り願いたいと思うのです。  それから私聞き知っております限りでは、このたびの諮問の中身に騒音土地利用ということが何か一つの特徴となって問題にされているようでございますが、土地利用の問題ですね、騒音の程度においてどういう土地にその部分を利用していったらいいか、だから騒音のひどいところは一般の住宅には適しないというふうに考えたり、あるいは中程度の騒音ならばその土地利用を一体どういうふうに考えていったらいいかというふうな問題なども含めて騒音の土地利用ということが一つのユニークな諮問の中身になっていると聞いているわけですが、そうでございますか。
  201. 山形操六

    ○山形説明員 一応「土地利用の適正化、公害監視体制の充実等騒音防止施策を総合的に推進するとともに、これら施策の共通の行政目標として公害対策基本法に基づく環境基準を設定することが急務である。」こういう前文がございます。それからさしあたっての、いま住民サイドで非常にお困りの問題がございますのでそれらの措置軽減対策と申しますか、緊急を要する航空機騒音対策について当面の措置を講ずる場合におけるよるべき指針はいかにあるべきか、こういう諮問をしております。土地利用の問題等当然お話し合いは出てくることと思いますけれども、これは現在これから審議していただく過程でございますので、いまここでは私まだ何とも申し上げられないと思います。
  202. 土井たか子

    ○土井委員 中には、騒音がひどいという地域については住居をそこに求めるのに適さないという地域もおそらくは予想されるわけでございますね。そういう答申が出るということが当然予想されるようなこういう問題についての諮問をなさる以上は、やはり現にそこに住んでいるけれども騒音からすると住むことに適さない地域というふうに認定された場所については、移転補償の問題だとがあるいはそれぞれの個人的な住居に対する騒音についての、いろいろな補償なんかについてもやらなければならないというお心づもりであって、こういう諮問をなすったというふうに私は憶測するわけですが、その点はいかがでございますか。
  203. 大石武一

    ○大石国務大臣 当然そのような思想がなければこのような諮問はできないわけでございます。したがいまして、もちろんそれは関係省庁といろんな調整をして話をしなければなりませんけれども、そのような考え方基本にせなければならないと私も考えております。
  204. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますといよいよなんです。これはやはり地域住民で現に苦しんでいる人たちが、何らかの形でこういう審議会の席に入るということを考慮していただけないかということを私はきょうここで申し上げたいのですが、それについてお答えいただけたらいま伺っておきたいと思います。
  205. 大石武一

    ○大石国務大臣 直ちにそういう方々をこの審議会の専門委員にするということ、これはすぐお約束できませんが、十分にそういう方々の意思が反映するように、そういうものに対して専門委員が理解ができるような努力はいたしたいと思います。
  206. 土井たか子

    ○土井委員 それではいまここでは具体的にどういうルートを通じてどういう方法を通じてということは即答はお願いできないわけですか。
  207. 大石武一

    ○大石国務大臣 それはいろんな、いますでに専門委員会発足しておりますから、それとの調整もございましょうし、いろんな事務当局考えもございますから、いまどうするということは私から申し上げられません。ただ何としてもいろんなそういう方々の実態を把握できるような方向に行きたいと思います。
  208. 土井たか子

    ○土井委員 この騒音公害の問題ひっくるめまして、御承知のとおりに騒音規制法の対象に航空機騒音は現になっておりません。昨年十二月のあのいわゆる公害国会の中で、騒音規制法の改正をめぐって私たちはこの騒音の中に、騒音の最たる騒音というより以上にごう音でございますね。この航空機の騒音が対象からはずされているということに対しては理解に苦しむということで終始一貫その点を問題にしてまいりました。今度こういうふうなかっこうで環境庁のほうから中央公害対策審議会のほうに諮問をなさるわけですから、やはりこの騒音規制法それ自身に対しても改正が必要だというふうにお考えになっていらっしゃるのじゃなかろうかと私は思います。やはりそういう基本姿勢がなければ、中央公害対策審議会に対して航空機騒音に対しての規制基準を求めるということについても片手落ちになるんじゃないかというふうな気がしますが、いかがでございましょう。
  209. 大石武一

    ○大石国務大臣 おっしゃるとおりでございます。これはいろいろな報告を得ましてからそれについてそのような方向にやっぱり進んでまいることと考えております。
  210. 土井たか子

    ○土井委員 それは当面騒音規制法の対象に航空機騒音をするという法の改正をしてから諮問があってもよろしいとお考えなのか、それとも諮問の答申を得てから徐々にこの問題については法の改正について考えていこうというふうな御姿勢なのか、いかがでございますか。
  211. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまどのような対策を立てたらいいか、どのような内容にしたらいいかということは、やはり専門部会の意見を聞いてからそれで考え方が出てまいりますので、そういう諮問が先のほうがよかろうと考えております。
  212. 土井たか子

    ○土井委員 それでは具体的に言うと、次の通常国会にはおそらく間に合わないということも覚悟しておかなければいけないわけでございますか。
  213. 大石武一

    ○大石国務大臣 そうですね。これは次の通常国今に間に合うとお約束はできません。まあ努力いたしますが、必ずできますというお約束は残念ながら申し上げられません。
  214. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、これは可及的すみやかにやっていただきたいということを重ねて強く申し上げまして、一応この航空機騒音の問題については、時間の制約がありますからこればかりを申し上げるわけにいかないのでおかせていただきたいと思います。滑走路なんかが拡張整備されますと、いよいよ騒音の地帯が拡大強化されていく一方でございますので、この問題などは、特に伊丹空港周辺をめぐっては深刻な問題がむしろ地域に波及していきますので、いままでさほど騒音に悩まされていなかった場所もB滑走路が使用されるようになってからはずいぶん悩まされている地域がふえておりますから、ひとつこの点十分に御了解の上で可及的すみやかにお願いします。  それで、先ほど申し上げました建設省の有料道路課長さん、お見えになりましたですか。——それじゃ、次にひとつ道路建設の問題及び道路建設計画の問題についてお尋ねを申し上げたいと思います。  総合開発計画、具体的に言いますと、新全総に基づいて開発される道路の問題なんですが、御承知のとおりに、近畿圏整備法に従いまして近畿圏整備基本計画というのがございますね。この近畿圏整備基本計画に従って自治体が振興計画を策定しまして、そしてそのもとで主要幹線道路に指定した道路計画について都市計画法による建設大臣認可が必要になる場合がございましょう。このときに対象になる地域の環境保全に対する認可基準というものは建設省ではどういうふうに考えられておりますか、ひとつその辺からお尋ねしたいと思います。
  215. 小林幸雄

    小林説明員 都市計画法によりまして計画決定をいたします場合のただいまお尋ねの基準でございますけれども、一般的に申し上げましてそれぞれの施設、すなわち道路、公園等いろいろございますが、道路の場合は道路構造令等の基準でございます。そういうようなものに定められておるところの規格あるいは基準に適合しておるかどうか、これが第一点でございます。  それから第二点としましては、施設の構造が危険防止上及び利用上に安全かつ効率的なものであるかどうかということでございます。  第三点としまして都市施設が土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案しまして適切な規模で必要な位置に配置されておるかどうか。  第四点としまして既存の地域、地区あるいは施設に関する計画と十分に調和しておるかどうか。  第五点としまして整備に必要な費用等、整備後に効果が十分に均衡のとれたものであるかどうか。  大体以上のような諸点を基準としまして、都道府県から認可申請が出てまいりました場合に計画の都市計画につきまして認可をする、こういうふうなことになっております。  なおこれらの都市計画、大臣が認可すべき都市計画は、これを都道府県知事が定めるものでございますが、この原案の作成にあたりましては、必要に応じまして都道府県は公聴会なりあるいは説明会を開催しまして案の内容を公衆の縦覧に供するほか、関係市町村の意見を聞くということにななっております。  そこで、いまの環境との調和等の問題につきましても、いまの手続を経て十分反映されて策定されることになっておりまして、これらの経緯は、たとえば意見等が出ました場合には認可申請の際に大臣に書面をもって提出することとなっておりまして、認可にあたりましては先ほど申し上げましたような基準に加えまして、その提出されましたこの種の意見住民あるいは地方公共団体の意思というものを総合的に判断して認可する、こういうふうな運用をしております。  なお、これは一般的な法律上の手続でございますが、運用上特に重要な問題につきましては認可以前に、手続をとります前に、いま申し上げましたようなもろもろの観点から常に私どものほうと地方公共団体との間で事前にいろいろ協議をしまして、また私どものほうから必要に応じまして事前指導をするというふうなことで調和をはかっておる次第であります。
  216. 土井たか子

    ○土井委員 そういたしますと、いまお伺いした限りでは、環境保全ということに対して、特にこれ以上この道路を建設することによって、そのあたりの自然環境を破壊することは許されないというふうな状況に対する認識は、その地方住民かあるいは自治体の長が問題にしなければ、建設省では独自で問題にはされないというふうに理解してようございますか。
  217. 小林幸雄

    小林説明員 お答え申し上げます。  いまお尋ねのような生活環境あるいは自然環境、そういうものとの関連におきまして、道路といわず都市計画施設が計画決定に際しまして、そういう環境との調和において非常に大きな問題があるというふうな場合には、当然、従来の例を見ましても、公聴会あるいは説明会等にそれぞれ意見が反映されてきておりますし、また市町村からもそういう意見が出てきておるというのが通例でございまして、認可大臣としましては、この種の手続によって十分申請に際しましては運用されてきておるというたてまえで、これを基準にしまして認可をするということにしておる次第でございます。
  218. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、認可なさる場合のよりどころというのは書類でございますね、その場合は。実地にその現場についてどの程度認識なさるかということは、書類によってということで、ございますか。
  219. 小林幸雄

    小林説明員 これは運用上の問題でございますけれども、事柄によりましては、認可の審査をする際あるいは先ほど申し上げました事前地方公共団体協議をいたします際に、あるいは事前指導をいたします際に、必要に応じましては本省から担当者を現地派遣しまして実情を調査するということもあり得ると思います。
  220. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、そろそろ具体的にお伺いしたいと思います。  必要に応じては現地に足を運んで調査をなさるという向きをいまおっしゃいましたが、再三再四建設省のほうについては、この路線を計画なさることに対して私たちは賛成いたしかねるというふうな意見を持ち込まれている例が私はたくさんあるだろうと思うのです。その中の一つに、実は兵庫県の西宮と尼崎との間に流れております武庫川の川べりに高速道路を建設するという計画がございまして、そしてこの計画について反対をするというふうな意見、これを取りやめてもらいたいというふうな意見というものがたくさん建設省のほうにも来ておると思うのですが、これについては現地に行って調査をする必要があるというふうにお考えになるかどうか。また、もう現に調査をなすったのなら調査をなすった事情についてもひとつお伺いしたいと思います。
  221. 小林幸雄

    小林説明員 ただいまお尋ねの武庫川の件でございますが、これは阪神公団及び地元の地方団体からいろいろ問題があるということで事前の相談を受けておりますが、まだ私どものほうから現地に行きまして調査をしなければならないという段階ではないというふうに考えております。と申しますのは、認可申請が現在出ているわけではもちろんございませんので、都市計画決定をする前に、地元でいろいろな意見がある——もちろん、これは賛成の意見もございますが、ただいまの御意見のように反対意見もあるという状況で、計画決定以前の段階としまして、まだどういう案にするかということを地元の地方団体としてもきめておらぬわけでございまして、どういうふうなきめ方をしたらいいかということを、いま事前協議といいますか、下相談に来ておるという状況でございます。いまのところ現地につきまして調査に行かなければならぬというふうな状況ではまだないように思っておりますが、今後地元の地方団体あるいは公団等からの相談のあり方によりましては、担当者を派遣するということもあり得ると思います。
  222. 土井たか子

    ○土井委員 ことしの八月五日の官報、これは総理府告示三十五号なんですが、この中身は、近畿圏基本整備計画の一部変更の告示でございます。そこの第三編「施設計画」の「道路」の部分を見てまいりますと、「大都市圏の道路の整備」という部分の中に「阪神地区の都市高速道路」として「武庫川線」というのがはっきり書かれております。いま私がお尋ねしたいのは、これは問題をはっきり区別しましょう。路線の問題とどういう工事方法によるかという問題は私は別だと思います。どこに路線を引くかというルートの問題をまずいまここでお尋ねしているわけですから、先ほどの御答弁の中身は必ずしもそのルートの問題じゃなく、どういうふうな方法でこの道路を敷くかというふうなことも込めての御答弁だったように私は考えますので、ひとつこのルートの問題に限定していまお答えを願いたいのです。この八月五日の官報告示によりますと、武庫川線というのがはっきり書かれておりますが、建設省のほうとされましては、武庫川のここにどうしても道路が必要なのだという認識をもってこの告示については賛同なすっているか、その辺をひとつはっきりさせていただきたいと思います。
  223. 小林幸雄

    小林説明員 お答えいたします。  ただいまの告示につきましては、具体的なルートをどういうふうに終点としまして経過地をどうするかというふうなことは別といたしまして、武庫川線という線が必要であるということは建設省もそういう判断で、ただいままでのところにつきましては特に反対をしていないということでございます。  それからなお具体のルートというお尋ねでございますが、先ほど来申し上げておりますのは、都市計画決定事前段階の問題でございますので、あるいは都市計画決定に際しまして、建設大臣認可を受けようとするための事前の問題として申し上げておりますので、これはあくまで具体的な構造等の問題以前のルート自体の問題だというふうにお考えいただいてけっこうだと思うのです。
  224. 土井たか子

    ○土井委員 すでにこのルートの問題については、昨年、一昨年調査費というものがちゃんと出ておりまして、そして具体的に調査がかなり進んでいるわけでございますから、武庫川線というものは一体どういうことになるかよくわからないなんというふうなあいまいな問題じゃ実はなかろうと私は思うのです。かなり具体的に、あるルートを設定してからやはり調査ということにお金を使うのがいわゆる常識でございまして、やみくもに何か雲をつかむようなありさまで国費を流用するなんということはあり得ないと私たち考えておりますが、ひとつこういう調査費について、昨年、一昨年すでに県と道路公団のもとに進められておりますこの建設事業計画なんですから、建設省のほうとしても武庫川線、ばく然として、どこにつくられるかもしれないけれども、武庫川線というものは一応まあ考えてみてもよかろうという程度じゃなかろうと私は思いますので、もうひとつその点はっきりお答えを願いたいと思います。
  225. 小林幸雄

    小林説明員 一般的に道路のルートをきめます場合には、大体まあこの辺を起点にし、この辺を終点にするというふうなものがもちろんまずございます。そこでこれを具体的にどういうふうなところを通ってどういうふうにしていくかということになってまいりますと、先ほど一般的な基準として申し上げましたようなさまざまの観点からさまざまの検討をいたしまして、最終的に決定するわけでございます。したがいまして、通常幾つかの比較線を検討するというのが一般の例でございます。もちろんこの場合に技術的な問題、それから建設費の問題、関連しまして投資効率の問題というふうなもののみならず、これによって生じますところの沿道に対するさまざまの影響あるいは沿道住民のさまざまの意見、こういうふうなものももちろんさらにその上に勘案しまして、幾つかのルートを比較検討しながら最終的に決定していくというのが一般の例でございまして、そのために調査費を使いまして、いろいろ時間をかけまして調査をしておるというわけでございます。ただいまの段階では、調査をいま申しましたように進めてまいりましたけれども、最終的にどこがいいというふうな決定段階にまでは至っておりませんということでございます。
  226. 土井たか子

    ○土井委員 調査をお進めになる段階でルートを決定されるまでの間、何を一番大事な要因としてお考えになりますか。ルートを決定するについて何が一番大事な問題だというふうにお考えになりますか。
  227. 小林幸雄

    小林説明員 これはなかなかむずかしい問題でございまして、たとえば国立公園あるいは国定公園等の公園区域に指定されてない一般の山の中を通すような場合、もちろんその沿道に人家もない、こういうふうな場合には、一般論といたしますならば、やはり投資効率ということが重点になるであろう。もちろん構造的な技術的な基準というものを前提にしてでございますけれども、そういうことになると思います。また人家密集地等を通ります場合に、これはやはり当然道路の開通によりまして及ぼす騒音その他もろもろの影響がございますので、そういう点もいろいろ考慮しなければいかぬ。またたとえば低湿地帯等におきまして、土を盛りましてバンキングでやりますと、雨が降りました際に中に水がたまってしまうというふうなおそれがある場合には、これはバンキングにしないで高架にしなければいかぬというふうなこともございます。これは各種各様の場合がございまして、具体の事例によりまして何を最重点に考えるかということはさまざまの場合があろうか、かように考えておる次第でございます。
  228. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁を伺っておりまして、武庫川線設定についてどのルートにしたらよいかということを調査なさる段階で、武庫川周辺に対しての実地調査を一度もいままでにおやりになっていらっしゃらないということはどうも私はふしぎでならないのです。必要とあらばこれからでも行こうじゃないかという御趣旨の御答弁が先ほどございましたけれども、必要とあらばという認識は、いまの御答弁をなさる以上いままでになければならないはずだと私は思う。武庫川周辺がどういう場所であるかということを十分御承知の上で武庫川についての高速道路を建設する必要ありというふうにお考えになったはずでございますから、したがって、武庫川周辺についても実際問題については御存じのはずなんだけれども、いまの御答弁と、実際問題御存じであるはずだということをかみ合わせて考えますとどうも矛盾いたします。ほんとうに実際問題を御存じならば、武庫川に高速道路をつくることにはいささかこれは消極的におなりになるはずでございますし、またこれはどうしてもつくらなければならないというお気持ちならば、すでにいままで調査には十分に実地調査の積み重ねをやっておやりになってよいはずだと私は思うのです。その点いささか私はふに落ちないわけですが、少し質問の観点を変えまして、ここで環境庁長官にひとつお尋ねしたいんです。  いま公害対策基本法に基づいて公害防止計画実施地域というのがございますね。ことしの公害防止計画実施地域というのにはどういうところがございますか。
  229. 大石武一

    ○大石国務大臣 いま公害防止計画は第一次、第二次、今回第三次の計画決定いたしました。第一次は水島地区であるとか千葉県の市原地区であるとかでございます。第二次は東京とか大阪とか、こういったいわゆる過密地帯、そういうところでございます。第三次は先月策定を決定いたしましたが、これは御承知のように大阪尼崎地区、あの辺一帯の非常に公害の激しく出る地区と、それから予防的な地域としては鹿島臨海工業地帯とそれから大分地区の大分市の一部の地区でございますが、これは予防的な立場でございます。それからもう一つ、名古屋中心地区と北九州地区、この五つでございます。
  230. 土井たか子

    ○土井委員 その中に確認をさせていただきたいのですが、兵庫県の尼崎が入っておるわけですね。
  231. 大石武一

    ○大石国務大臣 入っております。
  232. 土井たか子

    ○土井委員 兵庫県の尼崎はなぜ公害防止計画実施地域に指定をされて、そうして策定実施公害対策基本法に基づいてされるようになったか、理由をお尋ねいたします。
  233. 大石武一

    ○大石国務大臣 御承知のように、これはひどい公害発生地帯でございます。このままに放置しておけば、人間が住めない町になってまいります。それを早くできるだけ防いで、もとに近いようないい生活環境をつくりたいということが基本的な願いでございます。
  234. 土井たか子

    ○土井委員 昨日長官は、この兵庫県にわざわざ足を運ばれて、特に目的は瀬戸内のあの汚染の問題だったわけですが、しかし兵庫県に足を運ばれて目的地にいらっしゃるまでに、いまここで私が問題にしております武庫川周辺のありさまをごらんいただけたかと思うのです。武庫川はまことにきれいな、まだよごされていない部分のある川でございます。さらに武庫川周辺については、残り少ない緑のある場所でございます。いま公害防止計画実施地域に指定されております尼崎にとりましては、ほんとうに望みを託して、これだけは守っていかないとどうにもならないという緑がある地域が武庫川周辺の緑であるということは実は御確認いただけたのではないかと思うのです。この武庫川周辺に対して、高速道路の建設計画が、先ほどから私が御質問申し上げているとおりにあるわけですが、一体こういう地域に高速道路を建設することが望ましい現象なのかどうなのか、ひとつ御意見伺いたいと思います。
  235. 大石武一

    ○大石国務大臣 私は、おとといときのうあの地区を通りまして、また車でも武庫川の沿岸を通りまして、その様子を見てまいりました。お話しのとおりまことに愛らしい、好ましい緑の土地でございます。できるならばああいう土地は、あのような公害汚染のひどい地域にはぜひともりっぱに保存したいと、私は当時そういう感じがいたしました。どこに道路をつくるか、どうしたらいいかということは私の所管でありませんから、責任をもってお答えするわけにはまいりません。あまり他の官庁の行政に口出しすることは差し控えなければならぬことでございますけれども、率直な私の気持ちを申し上げますと、あの狭い地域に、非常に狭隘な緑のある地区に、あのような武庫川河川敷地のようなものはいつまでも残したいと思います。そういう意味で、必要があって高速道路をおつくりになるのでしょうけれども、でき得るならば、あの地域でないところにつくってほしいという気持ちを持っております。
  236. 土井たか子

    ○土井委員 かつて長官は、日光の国立公園の尾瀬の道路計画について、これは周知のとおりで、自然公園法に基づく長官権限で路線変更命令をお出しになったわけでございますが、この問題については、直接自然公園法に基づく長官権限というわけにはまいりませんから、いまおっしゃったとおりに、それは権限外の問題と言えば一応言えるかと思います。しかし環境保全という立場から、やはり地域住民の生活保全という問題からしますと、どうしてもこの問題は急を要する、私は武庫川線については、路線変更なりあるいは工事中止なり路線計画中止なり、そういう問題を具体的に出さなければならない問題だというふうに私は見ているわけですが、これについて長官、何らか建設省なりあるいは関係省庁に対して申し入れをなさる御用意がおありになるかどうか、ひとつその点伺わせていただきたいと思います。
  237. 大石武一

    ○大石国務大臣 それはなかなかきびしい御質問でございまして御要望でございますが、私は権限があるとかないとか離れまして、やはり日本の行政が円満に、そうしてほんとうに国民の側に立つ行政であることを望んでおりますので、別に権限があるとかないとかは別としまして、個人の資格としてですが、どっち側でもいいんですが、私は建設省の大臣とかそういう方には、私の率直なものの考え方は申し述べまして参考にしてもらいたいと、こう思います。
  238. 土井たか子

    ○土井委員 さらにもう一つこの問題についてひもどいてまいりますと、もともとこういう路線計画なり道路計画なりが考えられます背後には、先ほど申し上げましたとおりに、近畿圏整備基本計画、さらにそのもとには新全総という問題が横たわっているわけでございますが、私は、もともとこの新全総なり近畿圏整備基本計画そのものに対して、環境保全というふうな点で十分な配慮があるならば、こういう問題に対しても未然にチェックできる段階があるのじゃないかということをつくづく感ずるのです。いまこの新全総を洗い直せとか、あるいは近畿圏整備基本計画の中身にどうももう一つ環境保全という視点が欠けているではないかというふうなことが、具体的にこういう道路計画なりあるいはいろいろなコンビナート計画なり埋め立て計画なりをめぐって問題に出される場合が多うございますが、この一武庫川線のみならず、いろいろなところで巻き起こっておりますこういう問題を総合して考えまして、この節、新全総それ自身に対して環境保全の立場から洗い直して、考えを改めて、考え直す必要があるというように思われるかどうか。私自身はそれは十分にある問題だというふうに考えておりますが、その点もひとつお尋ねしたいと思います。
  239. 大石武一

    ○大石国務大臣 新全国総合開発計画というものは、ずいぶん久しい以前から長い時間をかけてまとめ上げたものでございます。したがいまして、その発想なりその調査が行なわれた時代と現在では、多少政治のあり方、ものの考え方が変わっていると思います。当時はやはりまだ産業優先の思想が強かったと思います。近ごろでは、やはり何と申しましても人間尊重の立場から、われわれの生活環境を豊かにするという方向に政治が向いていると考えます。したがいまして、この新全総ですか、これも私はまことに苦労した、努力した結果だと思いますけれどもお話しのとおり、いまの新しい政治の姿勢、考え方から、これは環境保全ということを十分に取り入れたそのような計画にやはりもう少し練り直す必要があるのではなかろうかと私は考えております。
  240. 土井たか子

    ○土井委員 社会的ないろいろな環境保全の要求を結集するところまでにいかなくとも、現在ある現行法公害対策基本法一条二項が昨年の末のあの国会で改められました。経済の発展との調和を保ちつつ公害対策をやっていこうじゃないかという点が、まことに日本の公害そのものを助長することに役立った。したがって、何といっても健康第一、生活保全第一、環境保全第一だということにあの条文自身が改められたわけでございまして、もうすでに七月一日からこれが施行されております。したがって、現行法律から考えても、いまの新全総に対しては再吟味を要求しなければならない、そういう問題があるように私は思います。したがって、いまの新全総については、次元からいうと、現行法から考えるというのはまだまだ高い次元じゃないので、せめてこれは最低の次元だろうと私は考えておるわけですが、それからしても、やはり住民サイドから考えますと、環境保全という点では何ら——何らと申し上げていいと思うのですが、配慮がない。この新全総に対して、あるいは近畿圏整備基本計画それ自身に対して、あらためて考え直す必要というものをつくづく感じます。強くこのことを要求したいと思いますが、再度確認させていただきたいと思います。
  241. 大石武一

    ○大石国務大臣 私も土井委員の御意見には原則的に賛成でございます。したがいまして、武庫川の高速道路の問題は、そう言っては失礼なんですけれども、これは一局部的な問題なんですね。ですから、新全総の構想の中にはこういう具体的なものは入っておらないと思います。思いますけれども、そのような新全総の立場に立ってこれをどう判断するかということが問題でございますからやはりその判断の基準としての新全総が、環境保全、人間尊重という立場から、これがそのような好ましい形に変えられることは私も希望いたします。
  242. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御発言で一応近畿圏の整備基本計画なり新全総に対する長官御自身のお考えというものを確かめさせていただいたということで、具体的に言いますと、武庫川周辺のあの高速道路の建設ということについての問題でございましたが、武庫川周辺についてこれ以上尼崎なり尼崎周辺の住宅地が汚染されることを防ぐという意味におきましても、やはり好ましくない道路計画であるということを再度確認させていただいてこの質問は終わりにしたいと思います。確認させていただくことができれば……。
  243. 大石武一

    ○大石国務大臣 確認と申しましても、私が道路計画をしたりつくろうときめるわけではございませんから、別にどうと申し上げられませんが、私の気持ちだけは御理解いただいたところと思いますから、それで御納得いただきたいと思います。
  244. 土井たか子

    ○土井委員 建設省のほうはいかがですか。
  245. 小林幸雄

    小林説明員 武庫川線につきましての先生の御意見、十分承りました。先ほど申し上げましたとおり都市計画、これが具体的に工事着工するまでには、なお幾つかの手続があるわけでございまして、それぞれの段階におきまして、地元住民あるいは地方公共団体、あるいは関係地方議会の議決等のさまざまの手続が必要となってくるわけでございます。したがいまして、当面の武庫川線の都市計画決定の問題につきましては、このような過程を通じまして、地方団体からそういうふうなものを十分反映した上で何らかの形で認可申請するものはする、あるいは認可申請ができないと判断したならば認可申請を持ってこないということになるだろうと思います。その段階におきまして十分に先生の御意向も御参考にさしていただきながらきめたい、かように思っております。
  246. 土井たか子

    ○土井委員 都市計画決定については、環境保全という立場においてやはり必要な限りで勧告なさるという態度をお持ちでいらっしゃるわけですね。
  247. 小林幸雄

    小林説明員 環境保全につきましては、私どものほうはいわば受け身の立場でございます。地方公共団体がまず主体的に、積極的にアクションを起こすわけでございますが、そのアクションを起こしました主体である地方公共団体、その中には当然関係議会、市町村、住民意見が反映されておるはずでございますから、その内容を十分尊重して認可できるところはしていきたい、かように考えます。
  248. 土井たか子

    ○土井委員 それではその配慮のほどを拝見させていただくことにして、次の問題に進みたいと思います。  次の問題は、九月の二十九日に、御承知のとおりに新潟地方裁判所で判決がございました第二の水俣病として有名な例の新潟水俣、あの問題をめぐるいわゆる公害訴訟での問題なんですが、被告側でございました昭電の会社に対しまして、長官が判決前に、第一審の判決後上訴しない、控訴しないことが望ましいという趣旨のことをおすすめになったと聞きますが、その点いかがでございますか。
  249. 大石武一

    ○大石国務大臣 そのとおりでございます。私の考えとしまして、やはりあのようなものはできるだけ早く解決することが被害者にとっても望ましいと考えまして、むだな裁判を長くやらせないという考えのもとに、確かに、九月の七日と思いましたが、社長、会長に長官室に来てもらいまして、そのような要望をいたしました。
  250. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことをおすすめになった理由としては、訴訟を長引かせないというところにその理由の一番大きな問題があったわけでございますか。
  251. 大石武一

    ○大石国務大臣 大体そのとおりでございます。
  252. 土井たか子

    ○土井委員 訴訟を長引かせないというふうな趣旨は、一体どの辺に意味があるのでございましょう。
  253. 大石武一

    ○大石国務大臣 御承知のようにあの裁判にはいろいろな事情がございまして、四年三カ月もかかって判決が下されました。患者自身にとりましては、ずいぶん長い期間だったと思います。その間になくなられた方もありましょう。したがいまして、私は裁判というものは早く解決して、そしてお互いが納得のいく上で解決するのが一番望ましいと思います。そういう意味ではっきりと、そういう考え方から、会社側に対しまして、私の気持ちを伝えたわけでございます。
  254. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまこの富山県の例のイタイイタイ病につきまして、控訴審が展開されつつある段階でございますが、この問題についても、長官は三井金属鉱業会社のほうにこの控訴を取り下げてはどうかというふうなことを勧告なさるようだという向きも新聞に載ったりいたしておりますが、この点はどういうふうになっておりますか。
  255. 大石武一

    ○大石国務大臣 このイタイイタイ病の問題でございますが、私もできるなら——別に私でなくてもけっこうでありますが、どなたかが仲に入ってこれの訴訟がやめられまして、お互いが和解できるのが一番望ましいと考えております。ただ、それにはタイミングが必要である。いろんなチャンスが、きっかけが必要でございます。もし私が前に——第一次の判決がありまして、あれは原告側の勝訴になったわけでございますが、あの場合に  一つのチャンスでなかったかと思いますが、当時私は関係ありませんでしたのでチャンスがなくなっているわけでございます。先日も婦中町、あそこはイタイイタイ病の根拠地でございますが、婦中町の県会議員や町会議長さんが見えまして、おまえ仲に入ったらどうか、ひとつこの裁判をやめるような仲立ちをしたらどうかという御要望がございました。それで私はもしいいチャンスがあるならば、そしてそれが両方で納得してくれるならば、喜んで入る意思はあるということをお伝えいたしました。いまでもそう考えております。しかしこれは相手のあることでございますし、会社側が要望するかしないか、それもやっぱりある程度見通しがつかないと簡単には乗り出せませんので、もう少しいろんな努力をしてみたいと考えております。
  256. 土井たか子

    ○土井委員 その趣旨はわかりましたが、新潟水俣のあの事件で、第一審の判決の結果、明らかにこの責任は企業側にあるという法上の因果関係がはっきりされて、そしてこの企業に対する責任が民事事件として追及されることに結果としてなりました。現在、この民事事件の結果を追っかけて、刑事責任が追及されつつあることを長官は御存じでいらっしゃいますね。
  257. 大石武一

    ○大石国務大臣 刑事事件の追及については、具体的なことはあまり存じておりません。
  258. 土井たか子

    ○土井委員 ならば、あの判決の中で、民事事件として企業側に責任があったということが明確に判決されたことは御存じでいらっしゃいますね。
  259. 大石武一

    ○大石国務大臣 私もそのように判断しております。
  260. 土井たか子

    ○土井委員 いま政府関係委員会の中に行政監理委員会というのがあるのを長官は御存じでいらっしゃいますか。
  261. 大石武一

    ○大石国務大臣 知っております。
  262. 土井たか子

    ○土井委員 行政監理委員会の職務というのはどういうことがその中身になっておるかということも御存じでいらっしゃいますね。
  263. 大石武一

    ○大石国務大臣 ちょっとこれは私もあまり的確な答弁はできかねるかもしれませんので、ひとつだれか適当な人をさがしますから、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
  264. 土井たか子

    ○土井委員 じゃここで時間をとりますので、質問をさらに続けていいですか。  実はこの行政監理委員会仕事一つに行政管理庁の行政監察について勧告するという仕事がございます。先ごろこの行政管理庁の行政監察で明らかになったことに、事業団の経営が非常にずさんである。この事業団の財源というのは、言うまでもなく全部国費でございますから、したがってこの中身がずさんになされているということはゆゆしいことだと思うのですが、こういうことがこの行政管理庁の行政監察で明らかになっておるわけなんですね。ところで、この行政管理庁の行政監察について勧告をするという仕事一つ受け持っております行政監理委員会のメンバーの中に、残念なことには先ごろ新潟水俣で企業者側に責任があるということが明確に判決で打ち出されました昭電の会長が入っておられます。いま委員長代理という重要な役割りも果たしていらっしゃる安西正夫委員なんですが、公団のいろいろな経営がずさんにいっているというこの行政監察の結果の中には、言うまでもございません、公害防止事業団も入っております。これについてはやはりこのたびの行政監察というものをほごにしないで、ひとつ監察の結果を具体的に生かすことのためには、やはりこの節事業団に対してしっかりとした監督としっかりした仕事に対する取り組みというものを要求していかなければならない。だから、そういうことからしますと、この委員の果たす役割りというのは非常に大きかろうと思うのです。外国では聞くところによりますと、公害で名を売った有名な公害企業の経営者はパーティーにも顔を出せないというふうなことがあったりいたしますけれども、どうもこの辺、私は日本という国は事柄をずさんに考え過ぎる面が多いんじゃないかと思います。単に私はここで安西正夫氏の個人攻撃をしておるわけじゃありませんが、やはりこういう重要な委員会に席を持って、そしてそれだけの責任がある仕事を追及していただくことのためには、やはり適切な人でなければならない。こういう問題については、すでにこの新潟水俣の事件にいたしましてもあるいはイタイイタイ病の問題にいたしましても、控訴をしない、上訴をしないということについて、やはりいたずらに事件が長引くということを憂えて、そしていま被害に苦しんでいられる方々の立場からおそらく長官は仲介の労をとって意見を言われたに違いないと思いますが、この節、行政監理委員会のメンバーの中に、すでに第一審で公害発生源はこうだった、企業に責任があったということが明らかにされた以上、この委員としての職責を全うなさる上から考えて思わしくないのじゃないかと思いますが、こういう点で何かお勧めになるお気持ちはおありにならないか、伺いたいと思います。
  265. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまのお説でございますが、これは私が直接口を出す筋合いのものではないような気がいたします。個人的な見解は別として、環境庁長官として、これは直接口を出すべき筋合いでないような気がいたします。これはその関係監督といいますか、関係のあるお役所の方々の御判断と御本人の御判断が中心かと思いまするので、それでひとつ答弁にかえさせていただきたいと思います。
  266. 土井たか子

    ○土井委員 ついでのことに申し上げますと、各政府関係委員会のメンバーの中で、特にその仕事に対してほんとうにまじめに考えていって、それだけの役割りを果たしていただけるかどうかということを思いますと、やはり再吟味を要求したくなるような場合が私はあるような気がいたします。たとえば中央公害審議会のメンバーの中に、昨日、一昨日長官お答えになりまして、尼崎かいわいの大気汚染、大阪かいわいの大気汚染をごらんになって、その大気汚染の発生源に電力会社があるということを確認いただけたに違いないと私は思うのです。こういう問題に対してほんとうに真摯に取り扱って、追及を具体的にそれこそまじめにやっていこうとすると、どうもこの節公害審議会のメンバーの顔ぶれを見たときにも、気にかかる例なきにしもあらずなんです。具体的に申し上げますが、日本原子力発電の副社長である白沢さんであるとかあるいは中部電力の副社長である河内さんであるとか、やはり中央公害審議会のメンバーとしてどれだけ公害対策に対して取り組んでいただけることが期待できるのか。私は少しその点についての吟味が住民サイドからすると欠けているように思うのです。企業者代表という意味であるかもしれませんけれども、しかし、いま企業の中でも特に公害を発生させているところの企業として名高い企業の責任者、経営者をこういう席上で、委員会としてどれだけ期待していって委員になっていただけるか、私はその点疑問なしといたしません。こういう問題についてどうお考えになっていらっしゃるかという点についてもあわせてお尋ねしておきたいと思います。
  267. 大石武一

    ○大石国務大臣 公害発生の責任者であるということでございますが、考えようによってはそのような考えもできないわけではございません。考えられ得ると思います。ただし、これは日本の全体のものの考え方、政治の方向が何と申しますか、それをあまり罪悪に扱わないというところに基本的な問題があると思うのです。ですから、いまの企業の方が相当自覚しまして、やはりいろいろと公害発生防止のために努力をしておるという傾向が見られます。こういうものを考えまして、やはりかつてはそのような大きな公害発生源であった指導者であっても、やはり日本の行政に考え方をかえれば大きく寄与できる部面もあると思います。そういうものを活用すること。それから、いままでの経験とかそういうものを活用することがまたこれからの公害防止にも役立ち得ると思います。そういう意味で、その先のことは日本全体のものとしてわれわれ政治にも責任があると思いますので、それはそれとして、これから新しいものの考え方に立ってそのような協力をしていただきたいということで、いま委員をお願いしているわけでございます。その点をひとつ御了承いただきたいと思います。
  268. 土井たか子

    ○土井委員 それならば、肝心の住民代表ということでは審議会にどういうふうな配慮がいままでなされてきたかという点をひとつお尋ねしておきます。
  269. 大石武一

    ○大石国務大臣 住民代表というのは、住民というのは私はほとんど全部の日本人が住民だと思うのです。実は、その中から佐藤太郎君であるとか井上五郎君を代表者として選ぶのもけっこうでございますが、だれを選んでいいかという基準というか、選び方の何か根拠がなければ選びにくいと思うのでございます。ですから、やはりいろいろな一般の学識経験——あまり好きなことばではありませんけれども、一般学識経験というのがやはり住民代表という形になるのじゃなかろうか。やはりそれは住民代表の一人と考えてもそう間違いないのではないかというふうに考えておるのでございます。
  270. 土井たか子

    ○土井委員 住民の問題はわかりましたが、さらに申し上げますと、企業代表という形でお入りになる委員の方々は公害をまず第一義的に考えて、それに対する対策ということを終始一貫お考えになる委員ではなかろうと私は思うのです。やっぱり経営者であり、企業に対する責任者ですから、そういう点で終始一貫利益追求という点をお忘れになるはずはない。したがって、住民住民と申しましても、なるほどおっしゃるとおりいろいろの方々がその中にはいるわけですが、特に私は被害者代表というような意味で、大気汚染水質汚濁で現に被害を受けておる側の人たちがどれだけこの委員会の席に声を出すことができるか、その問題だと思うのです。いかがですか。
  271. 大石武一

    ○大石国務大臣 いまの御意見はごもっともな点が確かにございます。なるほどいまの企業の指導者が委員になりましても、委員専門として真剣な考えをしているのではなかろう、私はそう思います。また私たちはそれだけのものを要求いたしておりません。われわれの諮問機関でございますから、ここですべてのものが決定されるわけではございません。その人の長い間の経験なり見識、そういうものをわれわれは参考としてお借りしたいだけでありまして、そういう意味で必ずしもその方々が、別に自分の企業に専念されましてもけっこうでございます。専念されましても、いまの時代ならば少なくとも日本の企業の指導者というものは、ただ自分の利益を追求するだけで、たれ流しをしていいという考えをしている方はおそらくいないだろうと思います。そういう考えを持たない方をこちらも判断してお願いしているわけでございますから、そのように専門的に委員会のことばかりされなくてもそれでけっこうだ、役割りを果たしていただけると私は考えております。  それからあとのほうの被害者のほうの代表からいろいろな意見を聞いたらどうかということは一つ考えだろうと私は思います。その考え方は私も必ずしも反対ではございませんが、そういう問題もどう扱っていいかなかなかむずかしい問題がございまして、そのようなお説のとおりの方向に行っておりませんが、そういうことも今後心に入れてまいりたいと思います。
  272. 土井たか子

    ○土井委員 時間が来ましたので、さらにお尋ねしたいことありますけれども、これで質問を打ち切らしていただきたいと思います。
  273. 小林信一

  274. 岡本富夫

    岡本委員 最初に建設省環境庁に、先ほどの武庫川線の問題をちょっと確かめておきたいのですが、土井委員は尼崎方面の話があったのですが、西宮方面もやはり同じことになっておりまして、御承知のようにこれは阪神間で唯一の風致地区だ。これは長官もきのうかごらんになって上くわかったと思うのですが、ここに中国縦貫道路あるいは阪神第二国道また海岸のほうにもう一つ国道を敷こうという計画がありますから、相当な利用になるだろうと思うのですね。そうなりますと、ここの唯一の風致地区が非常にこわれてしまうし、また尼崎のほうにしても西宮にしても非常にぐあいが悪いというすごい住民反対運動も起こっておるわけでありますが、長官はああいうところは望ましくないというような御意見でありますけれども、長官もやはり閣僚の一人だと思うのですね。ですから私の権限でないのだというようなことなくして、やはりここには計画させない、こういうような強い姿勢でひとつ臨んでもらいたい、こういうように考えておるのですが、ひとつ長官から御意見伺いたいと思います。
  275. 大石武一

    ○大石国務大臣 お話しのとおり閣僚の一人でございますから、閣僚の一人としてそのようなものの考え方は率直に建設大臣にもお話し申し上げたい、このように考えております。
  276. 岡本富夫

    岡本委員 それで建設省、この間私は政務次官それから参事官にも会ったわけですけれども、この意向を伝えてはおりますけれども、いま総務課長さんの答えを聞いておりますと非常に受け身のような答え、地方自治体からいろいろと原案が出てきたら検討するんだというような答えであったわけですが、どうですか、そこまで来たんですから、やはり長官もこうしてわざわざ当地に乗り込んで状態をごらんになっておるわけですから、建設省のほうも出てくる前にひとつ当地を調査して、そしてやはりその意見を、計画してくるところの県側に言っておくことが大事じゃないか。ちゃんと出てきてから、ああだこうだと言うのではなくして、ひとつ一歩進んだ姿勢が大切であろう、こういうように思うのですが、いかがですか。あなた、答弁しにくいかもしれないけれども……。
  277. 小林幸雄

    小林説明員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、事前の相談は地元の公共団体から受けておるわけでございます。ただ、まだ確定的な幾つかのルートにしぼって、これにしたい、あれにしたいというふうな段階ではございませんで、今後地方公共団体との事前協議の進捗状況いかんによりましては、本省のほうからも現地に実際に担当者を派遣するということも考慮してまいりたい、そのように考える次第でございます。
  278. 岡本富夫

    岡本委員 そう外国まで行くんじゃないですよね。いいですか、建設省。近いところだ。三時間余りで行くんですよね。だから、先に行って、そして現地状態をよく見て、それから先ほど話があったように、環境というものが非常に大切になっておるときですから、それと道路との問題もあるでしょうけれども、よく見て、そうしてやはりあなた方の意見も入れたほうがいいのじゃないか。出てから言うのではなくして、一ぺん近い日に何人かでひとつ調査をしてもらいたい、こういうように私は要求するのですが、どうですか、ここを一つはっきり……。何か建設省から一歩も出たらいかぬような……。
  279. 小林幸雄

    小林説明員 御趣旨のように、なるべく早い機会に現地調査をするように検討したいと思います。
  280. 岡本富夫

    岡本委員 じゃ、この問題は……。そして、調査をしてそれでやるということでなしに、入れない、そういう考えでないとだめですよ。  そこで、先ほどもお話がありましたように、航空騒音ですが、これは先回の当委員会に、私、環境庁長官の御意見あるいはまた航空局当局の対策なんかを聞いたわけですけれども、その後現地のほうに参りましたら、毎晩毎晩住民の皆さんが集まって各所で住民の大会をやっている。そうして、大阪の航空局の課長さんが二人行って、すごいつるし上げではないんだけれども、相当きびしい質問をされておる。確かにそうなんですね、私も行ってみますと。これはこの前も私言いましたように、一日に、四十三年当時は二百四、五十回の飛行機の回数が、いまでは四百六十回、もうあの付近におる人たちはどうしようもないという状態になっている。  それはそれとして、大阪空港、これは羽田も同じだと思うのですけれども、この空港の上で待機しておるところの飛行機は大体何機くらいいるのか、またそれをレーダーで何機くらいとらえることができるのか。こういうのを全部とらえることができないから、上では非常に錯綜しておりますと、どこでニアミスが起きてくるかわからないという心配がある。  もう一つは私が当委員会で何べんも意見を出したが、コースを一定してもらいたい、そうしてその下を移転補償をして被害者の救済をしていくように移転補償制度もできたが、そのコースが一定しないということはどこに原因があるかと申しますと、そのコースがどのコースを通ったかということをレーダーで全部つかまえられないのですね。ですからこういった一番基本的な問題が大阪空港では、羽田も同じだと思うのですが、はっきりしてないのではないか、こういうように考えられるのですが、飛行場部長からはっきりしてもらいたい。
  281. 丸居幹一

    丸居説明員 ホールディングしておる飛行機の数でございますが、私、ただいまちょっと数字を持っておりませんから何機くらいいまホールディングしておるかということはお答えできかねますが、東京、大阪についてそういう飛行機が非常に多いので、もうそういうことをしてから二カ月くらいになると思いますが、減便処置を講じましてホールディングがなるべく少ないように処置いたしましたので、ただいまでは少し少なくなっておるのではないかと思います。  それから一定のコースを通れというお話でございますが、これは離陸につきましては着陸ほど正確に一定のコースを通っていないということは事実ではございますが、大阪につきましては非常にそういう点でやかましゅうございますので、この間まで航空局ではそういったことの専門家の泉君という空港長を差し向けまして、泉君は一生懸命に一定方向を通るように指導してまいりまして、かなりばらつきがなくなってきたというふうに聞いておるのでございますが、なおレーダー等その他完備いたしまして、その点につきましてはおいおいそういう御要望に十分沿えるような方向に持っていくようにいま検討いたしておりますので、いろいろ御迷惑をおかけしておると思いますが、よろしくひとつ……。
  282. 岡本富夫

    岡本委員 私によろしくと言われても、これは現実に毎日おるあそこの人がよろしくないのです。  そうすると、今度は泉という空港長ですか、この人が行ったから間違いない、うまくいく——前の空港長どこに行ったのですかね。——これは言うておきますが、全日空へ天下りしたのですよ。そうしますと、現在の大阪空港の人たちは、相手は上役ですから……。コースを間違えるなとか言いましても、間違っておりません、こら言う。ところがそれを確実に今度どこかでとらえてだめじゃないかというのに、レーダーがなかったらどうして飛行機のいろいろなものをあなたのほうでコントロールするのか。何機できるのか、一体いまのレーダーで。全日空と自衛隊が衝突したところですよ。これはもう一ぺんはっきりしてもらいたい。一番おそろしい問題ですよ。
  283. 丸居幹一

    丸居説明員 私は飛行場の計画、管理のほうを担当しておりまして、ちょっとレーダーのことはよくわからないのでございますが……。
  284. 岡本富夫

    岡本委員 だれがわかるのですか。
  285. 丸居幹一

    丸居説明員 技術部長でないと、ちょっとわかりませんが……。
  286. 岡本富夫

    岡本委員 呼んでくれよ。  九州のあそこで米軍の飛行機が落ちましたね。九州大学の近所だったですかね。ああいうようにいつニアミスでばんと落ちるかわからない。それをきちっと糸で引っ張っておるというくらいのコントロールがなければならない。ここらが非常に問題だから、住民の皆さんは全日空機と自衛隊機が衝突してから非常に不安になっておる。羽田の上も同じだと思うのですよ。これは相当長い間待機していますからね。そのうち五機なら五機をレーダーで誘導する。あとのは野放しです。これは危険きわまりないですよ。そこへちょいちょい軍用機が突然入ってくるあるいはまた外国の飛行機が入ってくる、こうなりますと、これはほんとに赤信号のない道路を走っておるのと一緒ですよ。だからこの点については飛行場部長じゃなしに技術部長をちょっと呼んでもらいましょう。  そこで次に申し上げたいことは、いまの運輸省航空局では、とにかくどれだけ飛行機をたくさん飛ばすか、どれだけ入れられるか、このほうばかりに力を入れておるんじゃないか。最近はもうどうしようもない状態になっているんですよ。これはやはり環境基準というものをきめてなかったから、こういうようなことを言いますけれども、それ以前の、要するに住民の皆さんがこれで生活ができるかできないか。飛行場部長、あそこへ行って三日ほどおってごらんなさい。ほんまにノイローゼになりますよ。そういったところの配慮が欠けておるんではないか。だからもっと回数を減らす。そうすると航空会社がもたないだろうと言いますけれども、航空会社は外国へ行く運賃はもっとまけますと、こう言っていますね。もうかってしかたがないらしい。そういうことを考えますと——行場部長、聞いておるだけでしまいだということではだめですよ。ぼくが当委員会でやっているのは十七、八回目ですよ。質問するときだけ聞きおく程度であと知らぬ顔されておったんじゃたまったものじゃない。だからジェット機の発着回数を制限するといった考え方をはっきりしてもらいたいと思うのですが、いかがですか、これは。いますぐ全部なくすわけにもいかぬだろうけれども
  287. 丸居幹一

    丸居説明員 技術部長が来て先ほどの問題はもう少し明確に回答すると思いますけれども、大阪空港周辺と東京空港周辺につきましてはこれを特別管制区にいたしておりまして、ふらふらと入ってくる飛行機等は絶対にありませんので、おそらくその周辺で自衛隊機と民間機のこの間の衝突事故のようなことは、私は起こらないものだというふうに思います。  なお管制官の非常にロードがふえるものですから、これを減らす意味でなるべく羽田の管制空域に入ってくればあまりホールディングしないで入れるように、大阪の管制区に入ってくればなるべくホールディングしないようにさせようという意味で、先生ただいまおっしゃいましたような定期便の減便をせんだってしたところでございます。  それで、定期便の減便をもっとせいということでございますが、まあ非常に矛盾した話なんでございますが、航空機の旅客需要というのは逆にどんどんふえておりまして、航空会社がもうける、もうけぬということよりは、そういった輸送機関というものは輸送需要に追従していくというのがわれわれのとっておるいままでの方針でございまして、したがって需要があれば早く行きたい、飛行機に乗って行きたいというお客がそれだけ多いわけでございますので、何とかその需要を満たしたいという意味でこれまで増便なり大型化をはかってきたわけでございます。ただ、それが住民の皆さま方に非常に御迷惑をおかけしておるということは先生ただいまるる御説明のとおりで、われわれは御迷惑をおかけしてまことに申しわけないと思っておるのであります。  そこで、飛行機をある程度飛ばしながらなお御迷惑をかける程度が少なくなるような方法がないだろうかというので、先生にもいろいろお骨折りいただきましたですが、騒音防止対策費というものを年々ふやしまして、そして飛行機の進入表面の直下については立ちのきをしていただくようにただいま取り計らっております。これもなかなか移転先がむずかしゅうございまして、地元の市、県、府といったところにも非常に応援いただきまして、だいぶん話が進んでおるように聞いておりますし、それから学校防音工事その他も着々進めておるつもりでございます。  昭和四十三年だったと思いますが、私、飛行場部長に着任しましたときに五億でございました予算が次の年には十億、その次は十八億、次は三十億、来年は七十億の予算をいただいてただいま申し上げましたようなことを実行しようとしておりますので、まあそっちのほうで精一ぱい騒音対策を講じますし、飛行機の便数の減のほうは、航空会社のもうけに関係なくなるべく需要を満たしたいという、われわれ交通を担当いたしております者の半分責務のようなつもりもございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  それから、それではこれから何ぼでもふえるのかということですけれども先生御存じのとおり大阪国際空港の限度というものは十七万五千回でございますから、その十七万五千回以上には便数はふえませんので、これからはあまりあれを増加さすことはないように思います。
  288. 岡本富夫

    岡本委員 そんなむちゃくちゃなことを言うたら困りますね。もう最近は、尼崎の北のほうの武庫地区の五つの学校も五分おきに授業が中断しているんだという。前はこんなことはなかったのです。それから西宮の北のほうもそうなっておる。また尼崎の杭瀬地区、これも大気汚染でたいへんなところが、ここへまた爆音、こうきたわけですね。だからもうこれ以上ふえないと言いますけれども、もっと何とか——あちらこちらの資料を見ますと、飛行機に乗って快的な旅をなんということで、この前の事故の方々はお気の毒であったけれども、こういうふうに片っ方では飛行機に乗れ乗れとどんどん宣伝をする、それをそういうふうに需要があるからと言っていると飛行場はどうしようもないと思うのですよ。これは羽田も同じだと思うのですね。ですから、新幹線もできたのですし、ここは外国とのいろいろな交流もあるだろうから、全部を一ぺんに直すというわけにはいかないだろうと思いますけれども、また大阪湾の海の中に国際空港を持っていかなければならぬ、これはよくわかりますけれども、いまの状態では神戸あたりは非常にあぶない。  それはそれとして、この間も環境庁長官に航空行政についてもう少しチェックをしてもらいたいということもお話をしておいたわけですけれども、その後少し減るかなと思って待っていたけれども一向に減らない。ますますきびしい状態で、ほんとうに毎晩毎晩会社やつとめ先から帰ってきた人たちが集まりまして飛行場へすわり込みに行く。それから伊丹なら伊丹でテレビの受信料を全部払わない運動を起こそうとか、すごい住民運動が起こっているわけです。これはこのままいきますと大きな社会問題になると思うんですがね。これも長官、私の権限範囲外だなんて言わずに、環境を守るのが環境庁長官のあれですから、住民の住めるようにしてやっていただきたい。  それから、ノイローゼが最近たくさん出ておるのです。そして、交通事故を起こしたりいろいろなことが起こっております。これ以上このままずっといきますと、一年も続けるとたいへんなことになるのじゃないかという、各家庭に入ってみるとしんぼうできない状態になっておりますので、ひとつ、これは飛行場部長はもっともっと飛ばしたいというような意向で、これ以上入らぬから飛ばさぬという考えですけれども、これはもうちょっとこの考えを変えていただくように、これも閣僚会議ではっきりしてやっていただきたい。これをひとつ御答弁してください。
  289. 大石武一

    ○大石国務大臣 確かに地域住民が航空騒音で非常な苦痛があることはお説のとおりだと思います。これは何とかしてよりよい環境に直してやることが私どもの政治責任でございますので、そのように努力してまいりたいと思います。  そのためにはいろいろなことを考えておりますが、何せ飛行機のエンジンの音を小さくするということはまず当面不可能でございますので、やはり隔靴掻痒のような非常にまだるっこいことでありますが、そういう方法で規制していく以外にないと思います。そういうことでとりあえず環境基準をつくりまして、それを守らすような方向に、飛行場の運営をさせてまいりたい。ですから、そういうことになれば、やはり飛行機を夜おそく飛ばさないとか回数を減らすとか、なるほど運輸省としては、希望者の需要を満たすことが一つの使命には違いないと思いますけれども、同時にやはり国民全体の環境を守る考えでありませんと、やはり当面のお互いの折り合いをつけてできるだけ騒音を少なくするように指導してまいりたいと思います。  それから、先ほど丸居君のお話にありましたように、移転とかそういう問題も非常に大事でございますけれども、それができない場合は、とりあえずいろいろな防音施設をさせるというようなこと、これも大事なことと思いますが、私自身も伊丹の飛行場にときどき飛行機に乗ってまいりますが、着陸するとき、飛行機の下にたくさん家があります。この人はほんとうに気の毒だな、こんなにやかましい思いをして、いつでも騒音がある、私自身そう思います。ですから、何とかいたしたいという気持ちで一ぱいでございますが、必ずしも的確な方法が見つかりませんので非常に残念でございますが、できるだけの努力はしてまいりたいと思います。
  290. 岡本富夫

    岡本委員 できる限りということは、どんどんなくしていけば一番簡単になってくるんですね。ですから、その限界をどの辺に持ってくるかということを一ぺんチェックしてもらって、四十二年当時に一ぺん戻すということも一つの方法じゃないかと思うのですね。  それから、当面の問題として夜間、大体十時から朝の六時ごろまでですか、この間の分をどうしてもなくさなければならぬ。これについて丸居行場部長はこの前の答弁では、郵政省の郵便を送らなければいかぬので、これはどうもならぬということだったんですか、郵政省、来ていますか。
  291. 小林信一

    小林委員長 来ています。
  292. 岡本富夫

    岡本委員 ひとつそういった郵便物については、夕方東京あるいは大阪で受けたのを、あくる日の配達に回そうという考えもあろうと思うんですが、新幹線は利用できると思うんですよね。こういうことでひとつ郵便物も検討していただきたいと思うんですが、どうですか。
  293. 永岡茂治

    ○永岡説明員 お答えいたします。  結論的に申しまして、新幹線は荷物の輸送を行なっておりませんので、私どものほうから国鉄に、新幹線でも荷物の輸送ができるようにしてもらいたいということを機会あるごとにお願いしておりますが、現状では、新幹線による郵便輸送ということはできない現状でございます。
  294. 岡本富夫

    岡本委員 そうすると、あなた、これも課長ではだめだな。長官、これはやはり大臣でないとだめなんですよ。(「そういう詳しいことは、大臣わからないよ」と呼ぶ者あり)だから、こういう詳しいことを知らないんだから、いまわかったんだから——いいですか。  そして、じっと調べていきますと、運賃が、トラックで行くのと、それから普通の列車、貨車で行くのと、それから飛行機便とでは、飛行機便が一番安いのですよ。ぼく調べたのですけれどもね。こういうことになって、なるべく飛行機に乗せて飛ばせようとしているのですよ。これはみんな非常に一生懸命に、どうやって航空機の騒音を防止しようかというところ、住民の皆さんの結局英知なんですね。私もそこまで気がつかなかった。  そういうことを考えますと、いま郵政省をせっかく呼んで言ったけれども、これは何にもならないです。ですから、長官、これも懸案事項として運輸大臣に——両方とも運輸大臣の管轄なんですよ、飛行場と新幹線のほうは。だから、あなたからよく話をして、そうしてそっちのほうに回すようにやってもらいたいと思いますが、どうですか。
  295. 大石武一

    ○大石国務大臣 御趣旨のこと十分に体しまして、そのように努力いたしたいと思います。  なお、いま中央公害対策審議会に諮問しております基準の問題でございますが、この基準も、でき上がれば相当に規制ができると思います。たとえば飛ぶ時間にしても、そういうことで規制ができると思いますから、その方面からもある程度の御期待には沿えるかと考えておるわけでございます。
  296. 岡本富夫

    岡本委員 その規制は、大体基準はことしの年末までという話だったですね。  永岡さん、飛行機に積まなくていける方法をあなたもう一ぺん考えることだ。そうすると、航空局のほうも夜間飛行をせにゃいかぬというこの口実がなくなるのですよ。そうしたらとまる。あなたのためにじゃまになっておるのだ。いいですか。だから、その点をひとつもう一度知恵をしぼって、ほかの方法で輸送できるようにしてください。  次は、移転補償の問題でありますけれども、せっかく、おととし移転補償二億九千万、昨年は七億というような予算をつけてもらいましたが、この移転補償の補償費が非常に少ないということは、その地域の地価が安い。ということは、航空機の騒音のおかげで安いのです。そうして航空機の騒音のないところへかわれといいますと、またさらに、全額ということはありませんから、非常に困っているというわけで、川西市においてはたった一件だけということになっておるのですね。こういうことを考えますと、この査定について——大蔵省来ていますか。
  297. 小林信一

    小林委員長 来ています。
  298. 岡本富夫

    岡本委員 ひとつどういうように検討するか答えてもらいたい。
  299. 藤井直樹

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  現在、公共事業道路とか港湾とか河川その他も全部含めまして、補償につきましては基準をつくっております。その中では、土地、建物等につきましては、正常な取引価格ということでやっておりまして、具体的には近傍類地の価格。建物の場合は、近傍類地のものがない場合には推定した再建設費を出しまして、それから経過年数を減じて出したものでやるということで一貫してやっております。したがいまして、その補償基準を変えて土地の価格を別途のものにするということについては、非常に困難な点があるかと思います。
  300. 岡本富夫

    岡本委員 あなたのほうは困難か知らぬけれども、立ちのくほうが困難なんです。困難なのはそっちのほうが困難なんです。そこでもう一度、これは運輸省のほうからいろいろと計画がいくと思うのですよ。ですから、あなたのほうでチェックをして、これもだめ、これもだめというとどうにもならなくなるのです。だからきょう当委員会に来てもらったわけですけれども、地価を安くしたのは、航空機の騒音によって安くなったのです。普通の地価ではないのです。したがって、航空機の騒音のないところに行こうとすると非常に高い。この補償というものがないと結局立ちのきができないから、いつまでたってもこの航空機の騒音に悩まされる。せっかく手を打ったけれども、仏つくって魂が入ってないというのが現状なんです。むずかしい、困難だ、困難だと言って、困難とばかり言ったのじゃ話にならないのですよ。これについてもう一ぺんひとつ前向きに検討できますか。
  301. 藤井直樹

    ○藤井説明員 先ほど申し上げましたように、補償基準のほうを変えるということは、またおしかりを受けるかもしれませんが、非常にむずかしい。ただ実際に、じゃその移転補償を受けました人が具体的に適地を得て、そちらに円滑に移転できるような点につきましては、地元の団体の御協力を得まして団地に移っていただくとか、また建設資金について不足を生ずるような場合には、現在各地方団体で移転補償について融資制度を設けているとも伺います。さらに、今後は住宅金融公庫の貸し付けについても特別の貸し付けをするというような点を検討してまいりたいと考えております。
  302. 岡本富夫

    岡本委員 大蔵省、非常にさいふのひもがかたいのですね。長官もこれを聞いていただきたい。飛行機の騒音が最近猛烈になってきたから、どうしても出なきゃ子供はかわいそうだし、勉強もできないし、あるいはいろいろなことから出たいというわけで、これを出ていくのに、お金を住宅金融公庫で借りて、こんなみじめなことはないと私は思うのです。これは金で解決することなのです、先ほど大臣から話がありましたように。ですからほんとうに自分がその身になって、これはたくさん、全部ということではないと思うのです。コースの下だけですから、これだけは人によってはもう少し配慮があってしかるべきではないか。長官、これもひとつやはり大蔵大臣に言うてもらわなければいかぬですね。  主計官、もう一ぺんあなたひとつはっきりしてください。もしもあなたがそこにいて、どうしてもこれは出なければいかぬというときに、金を借りて行きますか。これは補償してくれと言うにきまっていますよ。その点ひとつまずはっきりしてください、大蔵省。
  303. 藤井直樹

    ○藤井説明員 同じ答弁を繰り返すのでまことに恐縮でございますが、補償の基準の算定というのは非常にいろいろなところに大きく影響する問題でございますので、そこだけ簡単に直すというわけにはまいらないと思うわけでございます。
  304. 岡本富夫

    岡本委員 けしからぬね、それは。そんな考えで航空局の査定をしようとするからできない。どんなに毎晩毎晩——一ぺんあなた行ってみなさい。そういうところに対しては現在までの基準を少し変えて、そうして前向きにやっていこうという姿勢がなければ、今度新しい飛行場をつくろうとしたってまた十年くらいかかる。  長官、これひとつあなたのほうから大臣にも話して、とにかく役人さんというのはなかなか頭がかたいですからはっきりやってもらえぬと思うのですが、いかがですか。
  305. 大石武一

    ○大石国務大臣 十分御趣旨はわかりました。いまの大蔵省の主計官の話も、私は、補償の基準は守らなければならぬということだと思うのですが、無理はないと思います。ただその基準が、飛行機の航路の下になったために安い基準でされるようになっておるのか、その前の普通の、そういう飛行機のあれがなかったら妥当な基準だったかということについての問題があると思います。そういうことについてはやはり正しい判断をする必要があると思いますが、そういうようなことに持っていきたいと考えております。
  306. 岡本富夫

    岡本委員 それでは長官、そこまであなたおっしゃるならば、私数字を出してもよろしいけれども、この土地価格の全部の数字が出ているわけです。伊丹市の神津地区の土地はうんと下がっちゃっている。先祖伝来からいる土地なんですね。これは長官も一ぺん考える、問題はそういうのが適正であるかということを一ぺん検討する、こういうことですから、検討をしてください。また次の機会に聞かしてもらいます。そして善処をしていただきたい。  次に、これは騒音電話を今度入れるようになったわけですけれども、これも結局無料でないといけないわけですよ。こういうものも、飛行機の騒音さえなかったらそんな騒音電話なんか必要ないのですからね。この点ももう一度検討をするように大蔵当局にはっきりひとつ交渉してもらいたいと思います。これは丸居さんに要求しておきます。今後飛行場をつくるときには——イギリスがロンドンのヒースロウという空港をつくるときには、今後十年間の先を見通した計画を立ててつくっているわけですね。こういうようなやはり長期間の検討をして飛行場をつくらなければ、また過密になっていまのような状態になってくる。これは一つ提案しておきます。こればかりやっていると時間があれですから……。  四十七年度に、この間私、当委員会質問しました各個人の家の騒音の防止、これについての計画は、いまどういうように考えておるのか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  307. 丸居幹一

    丸居説明員 個人の住宅の防音につきましてはぜひ実行したいというふうに考えておるのでございますが、どういう方法でやれば一番音が低くなるか、また、どの辺でどの程度の防音工事をやったらいいのだろうかといったような一定の基準をつくりませんと、なかなかこの予算もつけていただけないし、また予算がついても、実行するときに非常に不公平が起こるということもありまして、ただいまそれについての調査を実はいたしております。来年度もそれの調査費を要求いたしております。それがつきました段階では十分の調査ができると思いますので、来年度においては十分な調査をした上、四十八年度にはぜひそれの予算もいただき、それから騒音防止法を改正をしていただかなければならぬという問題がありますが、それは国会にお願いして改正していただく、そして四十七年度にはぜひそれに着手したいというふうに考えて、ただいまいろいろ検討しておる最中であります。
  308. 岡本富夫

    岡本委員 事態は四十八年度まで待てないような状態で、きびしく住民の皆さんからもやかましく要求があるわけです。ですから一日も早く、それは役所の機構としてはそうなるでしょうが、これも補助金というような考え方を抜いて、そうして飛行機の騒音によってそうなったのだから、その点は国のほうで出してやるというような考え方でひとつ原案を立ててもらう。そうして大蔵当局と折衝してもらわないと、すぐ補助金、補助金というけれども、補助金を出せないところはどうするか、こういうことになって、かえって不公平になると思うのです。  それから飛行機の問題は、人体に対する影響の問題もいま調査中だという話でありましょうが、京大の衛生工学の山本教授によりますと、五十ホンで自律神経あるいはまた内分泌、そういうようないろんなものが出ているというデータが出ているわけです。ですから、これは長官に特に、環境基準をきめますといいましても、やさしい、守れるけれども何にもならないというしり抜けのものは困るわけですから、ひとつその点よくチェックをしてつくってもらいたい。その決意をひとつ聞かしていただきたい。
  309. 大石武一

    ○大石国務大臣 それは、あらためてそのような環境基準をつくる以上は、やはり役に立つものでなければならないと考えております。
  310. 岡本富夫

    岡本委員 飛行機の問題はこれで終わりにしまして、次に公害の被害の救済につきまして、これはおそらく次の国会で救済法の改正もしなければならぬと思います。そういう用意はあるのかどうか。これは環境庁でしたね。
  311. 大石武一

    ○大石国務大臣 公害の被害者救済法の関係は、来年はいろいろな手当、医療手当とかそういうものの額を大幅に広げる、それから地域を大幅に拡大する、こういうことを考えております。(「生活保障もする」と呼ぶ者あり)生活保障もするような方向に持っていきたいと考えております。
  312. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  313. 小林信一

    小林委員長 速記を始めて。
  314. 岡本富夫

    岡本委員 では技術部長にこれだけは確かめておかなければならぬ。これは大事な問題です、いつ飛行機が衝突して、頭の上から落ちてくるかもわからぬですから。これは大阪空港あるいは羽田空港の上で何機くらいが常時待機しておって、それをレーダーで何機だけはとらえることができるのか、これをはっきりしてもらいたいのです。
  315. 金井洋

    ○金井説明員 まず東京では常時、一番理想的な姿といたしましては一時期に十五機はレーダーでとらえている。十五機以内であれば、待たされることなく連続して離着陸ができるということでございます。それから大阪についても同様に十五機から十六機の範囲内であれば、待たずに離着陸できるということでございます。
  316. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、いま何機がこの上空で旋回して——長いのは四十分ぐらい、一時間近く待たされていますよ。そういうのをレーダーでどの飛行機がおるということがきちっと確認もでき、そして応答もできるようになっておるのですか。
  317. 金井洋

    ○金井説明員 まず空港周辺につきましては、空港監視レーダーというのがございまして、それは半径百キロ未満の範囲をレーダーで全部つかまえて、そしていま先生指摘になった待っておるというのは、これは待機しておる、ホールディングといいますけれども、ホールディングしている飛行機もレーダーでつかまえております。それから大阪空港周辺につきましてもそれと同じでございます。  ただ大阪と東京を結ぶ航空路につきましては、各空港にありますところの航空路監視レーダーというものは範囲が届きません。その航空路につきましては、箱根に航空路監視レーダーというのがございまして、その航空路監視レーダーで東京−大阪間の飛行機を見ております。
  318. 岡本富夫

    岡本委員 いま、たとえば大阪空港の上で待機している飛行機は——現実ですよ。要するにあなたからいま話があったように、適切なるというのじゃなくして、現在何機待っているのか、そして何機がとらえられるか、こういうことを私聞いているのですよ。十五機とらえられるわけでしょう。あとは、待機して待っているのが何機ぐらいあるのかと聞いているのです。
  319. 金井洋

    ○金井説明員 大阪空港周辺ですと、待機しておる場所は、大阪の信太というところがございますので、信太の上空で待機するような規則になっております。したがって、そこで待機しておる場合には、最低四千フィート、約千五百メートルぐらいから三百メートルおきに何機か待つわけでございますけれども、それはもちろん高度が一番低いものはレーダーで見にくい場所がありますけれども、一応大阪空港のレーダーで待機地点を監視しておるということになっております。
  320. 岡本富夫

    岡本委員 全部が全部を把握することはできないわけでしょう。十五機だけは把握できるわけでしょう。それ以上は届かないわけでしょう。それ以外の分は三百メートルか何か知らぬけれども、上で待機して待っている。大阪周辺で待機している飛行機は、全部が全部これをレーダーで押えることはいまのところできないのでしょう。
  321. 金井洋

    ○金井説明員 全部が全部押えることはできません。
  322. 岡本富夫

    岡本委員 それならそう言ってください。これはあなたに聞かないでも、ぼくは大阪の航空局へ調べに行ったのですが、ここに悩みがあるのです、こう言っているのです。ですから早くそのレーダーをつくって、どの飛行機がどう飛んでいるか、何か、ミスがないかということをちゃんと監視しないと、ちょうど赤信号のないところを走っているのと一緒ですから、いつ落ちるか、いつ衝突するかわからない。先ほど飛行場部長は、自衛隊の飛行機が入ってきたりしないと言いますけれども、この間からアメリカの飛行機が一機入りました。その前には自衛隊機が入りました。そういうようにいっこうなるかわかりません。これは非常におそろしいことなんですよ。だからこの点をはっきりと予算をつけて、これはいつごろ完成する予定にしているのか、全部計画は立っているのですか。
  323. 金井洋

    ○金井説明員 ただいま御指摘の点ですけれども、全部見ることはできませんけれども、待機するにつきましては、一応その待機方式というのがきめられております。待機の高度と待機して周回して飛行すべき範囲というのをきめられておりますので、その方式に従って全部待機しておりますので、待機しておるということだけで衝突するという危険はないとわれわれは信じております。ただ御指摘のように、その規則プラス・レーダーをつけて、そうしてレーダーで見ながら見るということはより望ましいことでございますので、これをできるだけ早くやりたい。これは昭和五十年までに全部カバーできるようにしたいというふうに考えております。
  324. 岡本富夫

    岡本委員 規則できめてあるから間違いなくやっている、あなたのほうではそう言うのですけれども、そうではないのですよ。たとえばただ発進するこのコースだけでも、本年の八月十五日から月末までの測定で、ここは測定基準が七十五ホンのやつが百二ホンから百九ホンぐらいに上がって、しかもそのコースを違反したところの飛行機が一日に六機もあるのですよ。そういうことを考えますと、きめてあるからだいじょうぶというのではなくして、もっと完備した、すなわち防衛庁くらいの、自衛隊ぐらいのきちっとした——完備したものをやっても自衛隊でもあんなのでしょう。ですから、ここのところをもっと力を入れなければ私は心配だということを言っているのですが、その点について、あなたは技術部長でしょう、ごまかさずにちゃんとやってください。
  325. 金井洋

    ○金井説明員 いま御指摘のとおり、レーダーで見るほうが望ましいので、その線に沿ってできるだけ早くレーダーを装置するようにいたします。それはおそくても五十年までには完備したいということでございます。
  326. 岡本富夫

    岡本委員 五十年までかかるのですね。
  327. 金井洋

    ○金井説明員 そうです。
  328. 岡本富夫

    岡本委員 長官、これは環境とちょっと違うように思うけれども、しかし、飛行機が衝突してこの間のような状態があったら、これは環境どころの騒ぎでなくなってしまうくらいですから、これもあなたにお願いしておきます。五十年なんて、あと何年ですか。これはひとつ早急にやるように閣僚会議で要求してくださいよ。大臣のほかにいないんだからしかたがない。あなた全部責任を持ってください。  次に、公害の被害救済を現在やっておるわけでございます。ところが、特に学童あるいはまたお年寄りの公害病認定患者の方がどんどんなくなっていくわけです。調べると、一歳のとき、要するに生まれてすぐに公害病なりぜん息にかかってずっと、大体四歳から六歳まで——これは川崎で私のほうで調べたものですが、三歳以下は男子が三十四名、女子が十一名、計四十五名、四歳から六歳まで男子が二十名、女子が八名、計二十八名、七歳から十二歳までは男子が三十一名、女子が十五名、計四十六名、十三歳から十五歳まで、これで見ますと、男子が六名、女子が二名、計八名、百二十七名。とうとい学童もなくなっているわけです。ですから、こうして死亡することのないように、ただ治療だけしておったのではこういうふうな状態に現在なってしまうわけです。そこまでの手厚い救済の考え方をしなければならない、こういうふうに考えるわけですが、まず文部省から、これに対する学童対策はどういうふうに考えておりますか。
  329. 西村勝巳

    ○西村説明員 学童を公害から守っていくというためにいろいろな施策を考えているわけでございますが、本年から健康増進特別対策事業というのを始めまして、いわゆる移動教室、グリーン教室、グリーンスクールという事業を始めました。これは大気汚染のはなはだしい地区百三十校の小中学校の生徒を自然の環境の中に連れていきまして、五泊六日の学習をさせる。そして積極的に病気の回復をはかると同時に、積極的に健康の増進をはかるというふうな事業を始めたわけでございますけれども、本年の実績にかんがみまして、さらにそういった措置を拡大していくということで、来年度、小中合わせて五百校の児童生徒を移動教室でもって健康増進をやるという事業考えております。  なお、公害病につきましては、早期に診断をして、早期に手当てをするということがたいへん大事でございますので、定期、臨時の健康診断のみならず、本年度から大気汚染の特に著しい地域の学校を選びまして、特別健康診断を実施するための補助をするということにいたしました。そこで、特に病気にかかっている者または疑いがある者は、医師による精密検査をいたしまして、なるべく早期に治療の措置を講ずるというようなこと、もやっているわけでございます。  以上のようなことで、公害から子供を守ると同時に、むしろ積極的に健康を増進していくという措置がたいへん大事だという考え方に立ちまして、いろいろな施策をもっと広範に進めていきたい、そのように考えております。
  330. 岡本富夫

    岡本委員 すでに公害患者と認定されておるのです。その人をさらに健康診断する必要はない、もうきまっているのだから。しかも年に一ぺんくらい林間学校ですか、そういうところに連れていったくらいでこの防止ができましょうか。やっているというだけでほんとうの効果は期待できないのじゃないか。どれだけ効果があったのか、この点もひとつ資料を出してもらいたい。そしていま聞いておると、あなたはそういうお子さんを自由に指定して、そうして健康調査を絶えずやっておると言うが、すでに公害病に認定されて、その中からどんどんなくなっていくのだから、ゆゆしき問題じゃないかと思うのです。これについて環境庁では、いま公害指定地域にしているところのゼロ歳から十二歳までの、特に学童の患者数あるいはまた死亡された方の状態を全部握っていらっしゃるのかどうか、この点について。
  331. 山本宜正

    ○山本説明員 お答えいたします。  若干おくれてはまいりますが、県から報告をとるようにしております。いま私手元に持っておりませんけれども……。
  332. 岡本富夫

    岡本委員 それでは資料を要求しておきます。  それで長官、文部省の対策もお聞きのとおりお寒い話でございます。やっているという答えだけで、事実はどんどんこうしてかわいい学童が公害病によってなくなっていっているわけですが、これに対して長官、もう少し確実な救済法が何か考えられますか、どうですか。
  333. 大石武一

    ○大石国務大臣 小さな子供たちがそんな公害でなくなることは、非常に痛ましいことでございます。何とかしてこれはなくさなければならないことであります。それにはやはり何といっても公害をできるだけ防いで、これを少なくするということが基本的なことでございますから、まずまっ先にそれにわれわれは努力しなければならないと思います。しかし、そのような公害病にかかっている子供たちの健康を、たとえ少しずつでもいいから増進させるということはどうしても必要でございます。ですから、文部省の先ほどのようなグリーンスクールとかグリーン何とかという意見もありますが、あれも、なるほど五日、六日ではそれほどの効果はないかもしれませんけれども、子供たちに自然に親しませ、いい空気を吸わせるということでは、子供たちの健康に相当いい影響を与えるものと思います。こういうものが今後さらにふえまして、そうしてその日数が多くなることが望ましいと考えております。また公害病で非常に悩む子供に対して、そのような大気汚染のない環境において治療させることが大事だと思います。そのようなことも今後考えていかなければならない大事な対策だと思います。  それから、ひとつ委員長にお願いいたしますが、私ちょっと、さっき失言をいたしました。つい島本虎三先生の勢いのいいお話につられまして、ちょっとミスをしたのでございます。あの公害病患者の生活の保障まではまだこちらで考え及んでおりませんので、別のものと勘違いしましたので、その点はひとつ取り消さしていただきたいと思います。
  334. 岡本富夫

    岡本委員 三党で提出したのにはちゃんと入っておるわけですからね。  そこで長官、小学生の作文の中でも、ぜんそくはいやだ、苦しくてとてもたまらない、だからぜんそくはいやだ、ぜんそくになると苦しくなるからぜんそくになりたくない、こう言う。すでにぜんそくになっておるわけですね。ですから、あなたのおっしゃった、根本的に公害をなくするというのは、それはそうでしょうけれども、いまの佐藤さんの姿勢ではなかなかなくなりません。だからまず病気になっておる人、この人たちにもう少し適切な手を打っていけるように考えていただきたい。  先ほど文部省の答弁がありましたけれども、あれではほんとうにお寒い話じゃないでしょうか。ぜんそくというのはどうしたらなおるかといいますと、転地療養したら簡単になおるのです。ですから、そういった施設をつくるとか——それは親子の関係でいろいろのものもあると思いますけれども、みんな子供のために何とかしたい。この間も尼崎にいましてやっと伊丹のほうに来たわけです。空気はよかったけれども、今度は騒音でやられまして、どないしようかと言っておりましたけれども、それはそれとして、そういった面のきめのこまかい施策というものが大事な大事な発育盛りの人命から考え、またお年寄りの問題もございますけれども、それを考えると、長官のほうからもう少し前向きな、はっきりした指示あるいはまた文部省にこうこうさせる、あるいは環境庁では今度は公害の被害救済のときにはこういうようにもしよう。少しあなたはうしろ向きになっておる。生活保障も必要なんです。これがないと、この前あなたが四日市にお行きになったとき、首つり自殺したというのはそこにあるのですから。これはたいへんだと言っておいて、いまになってうしろに引くなんてけしからぬ話です。もう一ぺんやり直しなさい。
  335. 大石武一

    ○大石国務大臣 子供たちの療養、これはどんなことがあってもやり過ぎることはないと思います。いま、文部省のいまのやり方をお寒いやり方と言う。これがいつまでもこのままでいるならばお寒い行政だと私は思いますが、このような方向に出てきたということも日本の行政の一つの進歩でございますから、これを土台として早い機会に、いま申しましたような、たとえは大気汚染のないところで学生、児童の学校、つまりベッドスクールあるいはそのような大気の正常なところで教育が受けられるようなものも近い将来にはつくらなければならぬと思います。あるいは学校に行けない子供たちは、療養施設をつくって、やはりそのような大気汚染のない場所に収容してやる。それはどこでやるか、文部省でやるか厚生省でやるか、どちらでもけっこうでございますが、そのような方向に必ず持っていかなければならないと考えます。
  336. 岡本富夫

    岡本委員 文部省でやるかあるいはどこでやるかでなしに、環境庁指導して、調整実施機関と二つあるわけですから……。
  337. 大石武一

    ○大石国務大臣 そういう意味で言ったわけであります。
  338. 岡本富夫

    岡本委員 環境庁でやる、これぐらいに答えてもらうのが一つ。それから生活保障のほうは、やめますなんて言わずに、島本さんも承知しないですよ、だから前向きに検討する、そうしてやる、こういうように答えてもらったらどうですか。これは長官、笑いごとと違うのです。ほんとうに大事なことです。
  339. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまの環境庁の立場としては、まだ生活保障までは踏み切っておりません。しかし将来は、当然それらのことを考えなければならないと私は思います。そうしてその方向に進めるように私も努力してまいりたいと考えております。
  340. 岡本富夫

    岡本委員 それじゃ終わります。
  341. 小林信一

    小林委員長 いま文部省に対しての質問岡本さんからあったわけですが、長官のおいでになるときですから、この際私はもう少し文部省へ長官からも力を入れていただくようにお願いしたいことがあるのです。  それは、きょうもいろいろお話の中に技術の問題がありましたね。こういう点文部省あたりも非常に責任を負ってもらわなければいかぬわけですが、いま岡本さんからの質問で、何か文部省がやっておる、長官もそれも一つの芽が出たのだからいいというお話ですが、具体的に申し上げますと、体育審議官が来ておられますからお聞きしますが、小中学校のプールをこの公害という問題でよけいにつくるような予算の組み方をなさっておられるかどうか、お伺いしたいのです。
  342. 西村勝巳

    ○西村説明員 プールにつきましては計画的に非常に大幅な建設を進めておりまして、当初は六百人以上の学校には全部プールがあるということで進めておりましたが、もうすでに六百八以上の学校にはすべて数の上ではあるということになっております。現在三百人以上の学校にもうせいぜい三年かその辺くらいで全部数の上ではプールが行き渡るということで、原則的にはあらゆる学校が特別の事情がない限りプールを持つということで進んでおります。毎年できるプールの数が国庫補助も含めまして、ことし社会プールまで含めまして千ほど補助をいたしました。来年はもっとこれをふやしていく予定でございまして、プールの伸びというものは現在非常に着々進んでおるというふうに思います。でございますから、公害地区においてもすべで特別の事情がなければプールがあるという状態になっていくと思いますし、さらに学校だけでなしに、一般社会人が使うプール、学校の生徒もそれを使えるような温水プールをつくるということで、ことしこれを五カ所つくりましたが、これもまた来年から大幅にふやしていくということで、プールに関する限りかなり施設の整備は計画的に着々進んでいる状態だというふうに私ども考えております。さらに努力したいと思います。
  343. 小林信一

    小林委員長 ここでもって問題になりますのは、工業地帯だけでなく、公害地帯だけでなく、農村地帯ならばこれは農薬関係で各府県とも河川で水泳はするなという禁止令が教育委員会から出されていると思うのです。そうすれば一年でも早く全小中学校にプールというものは設置されなければならぬと思うのです。あなたの説明を聞くとだいぶ進んでいるようですが、一体そのパーセンテージは中学校が何%、小学校が何%であるか、御存じならお話し願いたいと思います。
  344. 西村勝巳

    ○西村説明員 非常に小さな分校まで入れますと、パーセンテージは非常に下がってまいります。先ほど申し上げましたとおり、そして分校まで入れたパーセンテージで言いますと約三二%程度までいっております。ただし、日本では小さな三百人以下の学校が非常に多うございますから、そういう学校を除いてみますと、大体平均して、六百人以上の学校ではもう一〇〇%以上数の上ではいっております。三百人以上の学校で申しますと、ちょっと不正確でございますが、大体六〇%程度充足されていると思います。そうして非常に全国的にアンバランスでございます。たとえば長野県はたいへん進んでおりまして、先ほど農薬等のことがございましたけれども、そういうことで早くから手をつけまして、小中学校の八〇%程度はプールを持っておるというような状況でございます。これから東北方面がプール設置の熱が非常に盛んになりまして、あそこは非常に低いのですけれども、だんだんそういう風潮が北のほうへ進んでいくというような状況で、たいへん設置の機運といいますか、それは全国的に広がりつつあるというように思います。
  345. 小林信一

    小林委員長 文部省と公害対策特別委員会と趣旨が違うかもしれませんが、その三百入以下もみんな公害という問題では平等に考えているわけです。文部省では、学校の生徒数、そういうものを一つの基準にしているかもしれないけれども、公害という問題は平等でなければならぬ。だから三十何%というようなことは、いま公害問題に取り組んでおる人たちはそれは非常にさびしい話と、決して自慢できる問題ではないと思うのですが、それを文部省でもひとつ考えてもらいたいし、環境庁の長官にも、十分そういう点を考慮して、両者の中でもっと促進し合うようにしていただきたい。グリーン教室ですか、グリーン学校だとかいうふうなものを新規にお考えになると同時に、そういう長く継続しておる懸案のものが解決されるように促進していただきたい。これはおそらく公害委員会の大きな要望だと思うのですが、お願いをしたいと思います。  速記をやめてください。    〔速記中止〕
  346. 小林信一

    小林委員長 それでは速記を始めてください。  古寺宏
  347. 古寺宏

    古寺委員 最初に、通産省にお尋ねをいたしますが、いま青森県のむつ小町原大規模工業開発というものが進められてお夢ますが、この公害の事前調査を通産省が主体になって行なっております。通産省はどういう構想によってこの事前調査を行なっていらっしゃるのか、承りたいと思います。
  348. 久良知章悟

    ○久良知説明員 ただいまむつ小川原地区の産業公害総合事前調査を通産省はどういうふうな考えのもとにやっているかというお尋ねでございましたが、この産業公害総合事前調査には、大気関係調査と水関係調査と両方あるわけでございます。  大気関係から申し上げますと、同地区は昭和六十年を目標に工業開発計画が一応検討されておるわけでございます。将来同地区の大気汚染を未然に防止するためには事前調査をやりまして、その結果将来の公害というもの、それから立地をいたしますいろいろな産業との関係を、実態土それから理論上、実験上いろいろ検討をいたしまして、どういうふうな立地、どういうふうな産業をどういうふうに配置すれば環境基準というものを満たし得るかという点についての事前調査をやるわけでございます。水質についても同様な考えで、大気につきましては本年の七月、それから水質につきましては四十五年の六月に実際の現地調査をやったわけでございます。
  349. 古寺宏

    古寺委員 その調査は一体いつごろ終わりまして、昭和六十年になってから工場が張りつくときにその調査が生きてくるのかどうかということをいまお伺いしているわけです。
  350. 久良知章悟

    ○久良知説明員 現地調査は、これは先ほどお話し申し上げました大気については本年の七月に行なったわけでございます。現在解析中でございます。今後いろいろな立地想定を設けまして、ある一つの前提のもとに今後の大気汚染の予測をやっていくということになるわけでございます。と申しますのは、一応昭和六十年の仕上がりでございますので、ただいまどの地区にどういう工業が具体的に張りつけられるのかということについてのはっきりした前提というものはまだきまっていないわけでございます。  それから水質関係につきましては、先ほどお話しいたしました四十五年の六月に現地調査をやったわけでございまして、理論拡散式によります汚染の予測をことしの二月から、これは進行中でございますが、大体今月、十月一ぱいにかけて終わる予定でございます。したがいまして、報告書はその後四十七年の三月までには完成させたい、そういうふうに考えていま努力をいたしておる最中でございます。
  351. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、実際に工業が配置になるのは大体何年ごろからでございますか。
  352. 久良知章悟

    ○久良知説明員 具体的に何年からどういう企業が張りつくかということはまだ未定でございます。ここではそういうことにつきましてまだお話を申し上げるほど固まっていないように私ども聞いております。
  353. 古寺宏

    古寺委員 それでは、むつ小川原の開発の問題は経企庁が参りましてからさらに続けさせていただきますが、その前に海中公園の問題について環境庁にお尋ねをしたいと思います。  現在、わが国には海中公園が二十二カ所あるということでございますが、東北、北海道で海中公園の指定を受けている地域は何カ所ございますか。
  354. 首尾木一

    首尾木説明員 陸中海岸が一カ所ございます。
  355. 古寺宏

    古寺委員 これは、同じいま開発が進められるむつ小川原のすぐ近くの下北半島でございますが、ここは国定公園になっております。この地域につきましては日本生態学会が、非常に貴重な資源がある、いわゆる保護すべき地域であるということをすでに何年か前にいっているわけでございます。海中公園の指定が行なわれる前にそういうことを日本生態学会がいっているわけでございますが、どういうわけでこの下北地区が海中公園の指定を現在受けていないのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  356. 首尾木一

    首尾木説明員 ただいまの自然公園法によりますと、国定公園内の海中公園地区の指定につきましては、都道府県の申し出に基づきまして環境庁長官が指定をするということになっておるわけでございまして、ただいまは青森県のほうでその事前調査を行なっている段階だというふうに伺っております。
  357. 古寺宏

    古寺委員 そういたしますと、地元の都道府県が申請をしなければ海中公園の指定というものはできないわけでございますか。
  358. 首尾木一

    首尾木説明員 国立公園につきましては国が直接にこれを指定をするのでございますけれども、ただいまの制度のもとでは、法律上、都道府県の申し出を待って指定をするということになっておるわけでございます。
  359. 古寺宏

    古寺委員 そういたしますと、何か申請をする場合の条件とか要項というものがございますか。
  360. 首尾木一

    首尾木説明員 これは一定の調査に基づきまして、その海中公園地域における底質の状態でありますとか、水の透明度の問題でありますとか、あるいはその中における海中生物の問題であむますとか、そういったようなことにつきましてすぐれた海中景観を満たしておるといったようなことについての資料の提出があるわけでございますが、こういうものに基づきまして国としてこれをさらに調査をいたしまして指定の段階に至る、こういうことでございます。
  361. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、国立公園については環境庁が実際に調査をして指定をするけれども国定公園については都道府県が調査をして申請をするというふうに了解してよろしゅうございますか。
  362. 首尾木一

    首尾木説明員 お話しのように、制度のたてまえとしましてはそういうふうになっておるわけでございます。しかし、実際上の問題として、国が、そのような地区があるといったようなことを調査等によって、いろいろの資料等によってわかりました場合には、もちろん都道府県等にその申し出を勧奨するというようなことは事実上の問題としてあるわけでございます。しかし、制度のたてまえとしましては、先生のおっしゃいましたようなことでございます。
  363. 古寺宏

    古寺委員 そこで、環境庁長官にお尋ねしたいのですが、日本生態学会が自然保護地区の設置を要望するために調査をいたしまして、現在この国定公園になっている下北半島をはじめ、瀬戸内海等の七地区の海域が保護区の候補にあげられております。こういうことがすでに行なわているにもかかわらず、現在なお指定を受けていないわけでございますが、こういう地域についてはこういう学会がすでに調査をいたしているわけでございますので、そういう資料をもとにして、当然その都道府県とも連携をとって早急に指定をすべきではないか、こういうふうに考えるわけなんですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  364. 大石武一

    ○大石国務大臣 同感でございます。私のほうとしてはなるべくそういう個所を多くさがし出して、指定をしたいのが実際の心の中の願いでございます。そうでないと、なかなか日本のよい自然というものは保存できなくなります。そういう意味で、われわれとしては積極的にそういう場所をさがし出しまして地方自治体と連絡するのが方針だと思いますので、いま局長から申しましたように、青森県当局と十分に連絡をとりまして、できるだけ早い機会に申請をしてもらって、手続はそうなっておりますからそういう決定をいたしたいと考えております。
  365. 古寺宏

    古寺委員 それでは次に石油関税の問題についてお尋ねをいたします。  現在、石油関税につきましては、約一千六十億円の収入がございますが、この一〇〇%が石油産業に原因している公害防止事業にはほとんど回されていない、こういうふうに承っているわけでございます。こういうような石油産業をかかえている市町村と都道府県等は、こういう問題について、何とか公害防止事業にこの石油関税を還元してもらえないかというような意向が非常に強いようでございますが、この点についてまず通産省から承りたいと思います。
  366. 森口八郎

    ○森口説明員 お答え申し上げます。  石油関税つきましては、先生御存じのとおり、石炭対策に主として使用するというようなことがいろいろないきさつからきめられております。そういうわけで、現在は石油関税はほとんど大部分が石炭対策特別会計に入り、そこで石炭対策に使われるというようなたてまえになっておりますので、現在の状況でこれをほかの目的に使用するということは困難というような仕組みになっております。  おっしゃるように、公害問題がいろいろ重大化してまいりますと、地元の市町村の負担が非常に増大するわけでございますけれども、いま申し上げましたような過去のいきさつその他によりまして、私どもといたしましては、そういう関係市町村の経費の増大につきましては、関係各省とも打ち合わせて、国と地方との負担の問題を考えながら、必要な応援体制をつくっていきたいというように考えておる次第でございます。
  367. 古寺宏

    古寺委員 大蔵省いらっしゃいますか。——大蔵省のお考えを承りたいと思います。
  368. 海原公輝

    ○海原説明員 お答えいたします。  石油関税を公害対策に一部振り向けるべきだという御意見でございますが、一般的に申し上げまして、財政当局といたしましては、特定の歳入を特定の歳出にリンクさせるということは、財政の硬直にもつながりますし、財源を有効かつ公平に配分していくという財政の本来の機能から考えまして、必ずしも適当な方策だとは考えていないわけでございます。  先生の御指摘は、公害対策予算を一そう充実すべきであるという見地から申されているものと思いますが、その点につきましては、四十七年度予算におきまして、公害関係予算では対前年度二百六十五億を増加いたしまして九夏二十一億ということになっておりますほか、財政投融資あるいは税制、関税の面で各般の措置を講じてきているところでございます。私どもといたしましても、今後とも公害問題の重要性にかんがみまして、他の財政需要等を総合勘案の上、適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  369. 古寺宏

    古寺委員 石油コンビナートをかかえている地域は、こういう財政の面で非常に苦慮しているわけでございますが、どうも当時の石油関税の目的と、現時点、公害が発生した時点においてはだいぶ状況が変わってきていると思います。こういう点からいって、この面については今後検討いたしまして、当然石油産業に還元していくべきものというふうに私ども考えるわけなんですが、こういう点について、公害防止の立場から、環境庁長官にお考えを承っておきたいと思います。
  370. 大石武一

    ○大石国務大臣 石油関税がどのような目的で徴収されておるのか、それをまずいまの時代で考えなければならぬと思います。そしていままでの法律のように、それが石炭対策に全部使われているということは、だんだん時代に合わなくなってきているのじゃないかと思います。もう少し実態というものを十分に把握いたしまして、そして、その関税の目的がどうであるか、どのくらいの税額であるか、その使用はどうであるかということをやはり時代に合うように私は考えていかなければならないと思います。  一般的に申しまして、公害の対策、これは予防が何よむ第一でありますが、そのためには、当分の間は非常な金が要ります。それにつきましては、できるだけ予算をふやすことが必要でございます。ですから、そのためには別に石油関税でなくてもいい、とにかくそのような国の予算が十分にとれるならば、それでけっこうだとわれわれは一応考えております。ですから、石油関税と切り離してわれわれは公害の対策を考えてもいいと思うのでございますが、いま古寺委員のお考えになっておることは、石油を入れることによって、石油コンビナートその他ができることによって、その地方の自治体にいろいろな公害を起こしておる、したがって、その迷惑を受ける地方自治体に対して財政的な援助を与える意味でのお考えじゃないかと思いますが、それも一つ考えだと思います。その考えがいいか、さらにそのような公害地域に別な、国全体の面から考えるのがいいか、いろいろ考えがございますが、一つのお考えであろうかと私は判断する次第でございます。
  371. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  372. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。
  373. 古寺宏

    古寺委員 それでは、通産省にお尋ねをしてみたいと思いますが、今年の二月に八省庁の間にむつ小川原総合開発会議というものができました。いままでばらばらだったむつ小川原開発の問題について、各省庁の官房長、局長級によっていろいろな問題について会議をすることになっておりますが、この二月にできてから何回この会議が行なわれて、どういう問題についていままで会議がなされたか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  374. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 お答え申し上げます。  御指摘会議でございますが、この会議の設置が閣議了解されまして後は、正式の会合は一度開いておりまして、今後の開発の進め方につきまして基本的な意見の交換、特にどういう事項に重点を置くべきかという点について意見の交換を行なっております。その際には、特にマスタープランづくりについて各方面の調査等を集大成いたしまして、それをできるだけ急ごうというような方針がきめられております。それ以外は、逐次非公式のかっこうで各省間でこの問題についての意見の交換を進めておるという状態でございます。
  375. 古寺宏

    古寺委員 五月十八日に、閣議においてこのむつ小川原地域開発は国家事業であるということが発表されております。当然大石長官もこの開発の内容についてはすでに御承知のことと思いますが、国家的事業でありながら、住民対策あるいは公害の防止計画、そういうものが非常に明らかでございません。そのために現地においてはいろいろな問題がいま発生しております。土地の問題にいたしましても、すでに土地ブローカーの手によって非常に膨大な地域がもう買われておる、先買いをされておる、こういうような実態になっております。そこで通産省は、このいわゆるむつ小川原開発の規模、どのくらいの土地を想定していらっしゃるのか、承りたいと思います。
  376. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 各種の調査によりますと、工業開発の可能性のある地域の大きさといたしましては、三万ヘクタールくらいというような数字が当初いわれておったかと思いますが、その後逐次、当面現実の可能性のある数字の大きさというようなものは縮小されつつあるようでございまして、一時一万数千ヘクタールというような数字も出ておったように思います。最近では、先生指摘のように、その地域住民との意見調整というところに重点が移りつつありまして、当面県当局が交渉の矢面に立っておると了承いたしておりますが、現段階では七、八千ヘクタールくらいの数字というようなものが地元との話し合いの段階で浮かび上がりつつあるというように了承いたしております。
  377. 古寺宏

    古寺委員 そういたしますと、最近のデータによりましても、すでにこの関連地域の土地が二万八千ヘクタールくらい登記簿の面では売られております。さらに、そういう面に出てこない面積を合わせますとその三倍くらいになるだろう、こういうようにいわれております。そういたしますと、すでにこの開発地域全体が土地ブローカーによって買い占められているということになりますけれども、どうでしょうか。
  378. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 いま御指摘になりました数字、私不明にいたして存じておりませんが、おそらく、御指摘になりましたのは当面工業開発一つの候補地として考えられております地域の周辺の地域ではなかろうかと思います。現段階で県当局が地元と交渉をいたしておりますところはかなり田畑がございまして、農地法の許可というような問題がからんでおるかと思いますので、その部分についてはまだ権利の移転というようなことはないのではないかと思います。その周辺の山林等についてそういうような事態が起こっておるのかと思いますが、私、御指摘になりました数字のとおりの事態であるかどうかということについては、まだ現段階では存じておりません。
  379. 古寺宏

    古寺委員 こういうふうに土地がすでにブローカーによって買い占められておりますと、当然今後マスタープランができても、工場を張りつけていく場合に公害防止その他が十分にできないんじゃないですか、こういうことが考えられるわけなんですが、そういう点について通産省はどういう対策をお考えですか。
  380. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 新全総にもございますように、このむつ小川原開発一つのねらいが、御指摘のように公害なきコンビナートの建設ということでございまして、周辺のグリーンベルトあるいは環境保全地帯というものの確保、あるいはその居住地域の確保というようなことが非常に重要な問題であるというぐあいに認識をいたしておりまして、早急にマスタープランづくりを急ぐ必要があるというぐあいに考えております。ただ、それをむなしく待っておりますと、御指摘のように非常な土地騰貴というものが起こるおそれもございますので、地元との話し合いがつき次第、開発の中核となるべき地点につきましては、先行的に土地が取得できるというような体制づくりは用意をしておく必要があるというぐあいに考えております。現在、県それから北海道東北開発公庫等の共同出資によりますむつ小川原開発株式会社というようなものも用意をいたしまして、地元との話し合いがつき、土地の取得ということがスムーズに実施できるような段階になりました場合には、すぐ行動に入れるというようなことをいたしまして、マスタープランづくりができ次第、それに沿って土地の権利移転等が行なわれるというような体制が好ましいかというぐあいに考えております。
  381. 古寺宏

    古寺委員 今度のむつ小川原の開発については、産業開発と環境整備というものをどういうふうに調整していくかということが大きな問題点になるわけなんですが、いままでの進め方を見ますと、企業サイドに立ったいろいろな計画の進め方が行なわれてきておるわけでございます。当然その環境保全あるいは住民の生活、健康保全という立場からも、この事前調査あるいはマスタープランというものがつくられていかなければならないわけです。そういう面からいって、環境庁はこのむつ小川原開発についてはどういうような調査を行ない、あるいは今後どういう対策を進めていくお考えであるか承りたいと思います。
  382. 船後正道

    ○船後説明員 御承知のとおり、むつ小川原の開発は新全総の線に乗りまして、現在中央官庁では経済企画庁が中心となりまして、先生お話しのとおりむつ小川原開発株式会社、さらにマスタープランをつくるためのたしか開発センターかと思いますが、これを中心といたしまして現在作業を進めつつあるところでございます。一番大切なのはこのマスタープランでございまして、文字どおり公害なき新しい工業地域というものがむつ小川原地域にできるように、われわれとしては非常な関心を持っておりますし、今後環境庁といたしましても経済企画庁のこのような作業と密接なる連絡をとりながら進めてまいりたい、また明年度以降におきましても、環境庁といたしましても種々大気あるいは水等の調査もそういう面でやっていきたい、かように考えております。
  383. 古寺宏

    古寺委員 承るところによりますと、昭和四十七年度中にマスタープランをつくりたい、こういうような考えに基づいて通産省のほうはいろいろな測定を行なっておるようです、調査をやっておるようでございます。そうすると、環境庁のほうはこれからどういうような具体的な計画を盛り込んで、この四十七年度中につくられるマスタープランに環境庁考え方というものを盛り込んでいくお考えですか。
  384. 船後正道

    ○船後説明員 現在経企庁のほうでやっておりますマスタープランは、私もう少し時間がかかるように聞いておるのでございますが、当然このマスタープラン自体はいろいろな大気の拡散状況あるいは水の利用状況等の科学的な調査を経たものでなければならぬわけでございまして、私どもも、経企庁がこれらの開発センターを通じて行なう調査と重複を避けながら、しかも緊密な連絡を保って調査を進めてまいりたい、かように考えます。
  385. 古寺宏

    古寺委員 大石大臣は東北御出身ですから、この問題については前から御存じだと思いますが、環境庁としてこれからいろいろ調査を進める、こういうような御意見をいま承りました。ところが、現実にはもうすでに土地の先行取得のために住民対策が一応打ち出されまして、地元住民の立ちのき問題が起きておる。当初においては二千四百戸の住民が六ケ所村というところから移転しなければならない、先祖伝来の土地を捨ててどこかへ引っ越さなければならない、こういう問題が起きたわけでございます。ところが、この六ケ所村というのは、日本のシベリアといわれて、最も貧困な地帯でございまして、終戦後当地の村民の方々が一生懸命働いてようやくこれから芽が出ようとしているときに、ブローカーによって土地を買い占められたから、その住民対策としてどこかへ移転してもらいたい、先行取得をするために移転してもらいたい、こういう問題が持ち上がってきたわけでございます。これでは人間尊重あるいは住民優先の開発ではなくして、私はやがてはこれは環境破壊にもつながる、公害防止のできない、いままでと同じような開発を繰り返すのではないか、こういうことが非常に心配になっているわけなんでございますが、その点について長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  386. 大石武一

    ○大石国務大臣 われわれいわゆる経済の立ちおくれた東北にそのようなバランスのとれた経済発展の開発が行なわれますことは、ある意味ではけっこうなことだと喜んでおります。ただし、それができる以上は、これから新しい理想をもって建設するわけでございますから、ことばどおりの公害のないりっぱな工業基地をつくることを目標にしなければならないと考えております。そのためには十分な調査もいたしますが、われわれは思い切ってきびしい環境基準並びに排出基準をもちまして臨みたいと思います。それは、すでに既成のものはそういう基準を適用することがなかなかむずかしいこともございます。これからつくるのでございますから、きびしいものをもって、ほんとうに公害の出ないような基準を初めから設定いたしまして、それに合わせるような建設をするように私のほうでは考えておるわけでございます。  それから土地の、いまの六ケ所村の話でございますが、実態が私わかりませんので、答弁があるいは的をはずれるかもしれませんが、そういう方々が土地を納得して売らない限りは立ちのかせることはできないと思います。それは権力であるいは土地収用でやれるかもしれませんが、それは一番最後の段階でございまして、やはり何と申しましても話し合いで納得づくでその土地を放して立ちのかれることが一番大事な段階でございます。ところが、そういう努力をすればいいのでありますが、いまブローカーに土地が全部買い占められるとかなんとかということでございますが、六ケ所村の人が自分の住んでる土地をブローカーに買い占められるような売り方をしたのでは初めから話にならないと思うのです。こういうことは国が幾らどうしようにもしようがないから、そういう点はやはり県なり村なりが適当に指導して間違いのないようにさせなければならないと思います。  それから、私は土地なんかブローカーに取得されてもたいしたことはないと思う、個人の問題は別として。なぜかと申しますと、ブローカーは高く売ればいいのですから、私はそのために土地を買い占めていると思うのです。こんなものは少し政府が高く買ってやればいいことですから、そんな根本的なむずかしい問題ではないと思います。ブローカーがもうけるかもうけないか、それはたいした問題ではない、別な問題ですから。その事業を遂行するためからいえば、土地の高い安い、おそらく安い土地だったんでしょう、それが十倍に値上がりした、百円のものが千円に値上がりした、五百円のものが五千円に値上がりをしたってたいしたことはない、十万円のものが百万円に値上がりすればこれは困ると思いますけれども。そういうことですから、権利とか住民の保障ということは一番大事ですけれども、ブローカーに買い占められた土地については私は何も初めからたいして心配は要らない、こう考えておる次第でございます。
  387. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、かりに土地の造成を行なって環境や自然が破壊されても、それはかまわぬというふうに承ってよろしゅうございますか。
  388. 大石武一

    ○大石国務大臣 先ほど私は島本さんにいろいろな私の構想を申し上げましたが、自然保護法というものを次の国会に提案して日本の自然を守っていきたいという考え方を申し上げました。その考え方はいまでも基本でございます。ですから、そこに工業都市はできましょうけれども、その場合いま申しましたような自然を完全に守るということが前提でございますから、自然をめちゃくちゃに破壊してということは決して考えておりません。
  389. 古寺宏

    古寺委員 それでは、たとえば鹿島の開発におきましては、やはり現在むつ小川原で行なわれていると同じような通産省その他による事前調査が行なわれまして、そして公害のないいわゆるモデル開発として宣伝されて今日に至りました。もうすでに公害病患者が発生している、あるいはいろいろな問題が起きております。そういう面からいって、いまのような通産省の公害防止の事前調査、これにだけいままでおまかせしておいて、環境庁が積極的にこの問題に取り組まなかったのはどういうわけでしょう。
  390. 大石武一

    ○大石国務大臣 率直に申しまして、環境庁はことしの七月から出発いたしました。時間がなかったことも一つ理由でございますが、先ほどもお話し申し上げましたように、日本の政治のあり方がいまから六年、十年前は何といっても産業優先の時代でございました。そのような政治理念のもとに日本の行政は行なわれてきたわけですから、決して通産省だけの考えでやったのではありますまいけれども、やはりそのような産業優先的なものの考え方に支配された鹿島工業地帯の建設方法だったと思うのです。いま御承知のように時代が違ってまいりました。私は環境庁ができた以上は、当然環境庁がやはり環境保全という意味では責任を持ちまして、そうして前のわだちを踏まないようにりっぱな基地をつくり上げるようにあらゆる努力をいたしたい覚悟をいたしております。
  391. 古寺宏

    古寺委員 そこで、先ほど土井委員のほうからもお話がございましたが、現在の新全総というものは、これは六十年を目標にした構想であり、しかもその考え方というものは、新しい公害法ができる以前の考え方でございます。当然こういうような大規模工業開発については、新しい時点に立ったいわゆる考え方開発を進めませんと、再び同じようなことを繰り返すようになるわけです。そういう面からいって、もっと積極的に環境庁がこの新全総の洗い直し、再検討というものに取り組むべきじゃないか。そういう面からいって、現在考えられているような大規模工業開発について、もう一ぺん白紙に立ち返って再検討するというようなお考えを長官はお持ちになっているかどうか、承りたいと思います。
  392. 大石武一

    ○大石国務大臣 これは非常に大きな問題でございますが、いまの新全総でこれがすべてであって、これがすべての日本の将来の発展を解決するとは考えておりません。やはりこれは環境保全、自然保護という思想を根本的にここに打ち込むことが必要であると思います。そういう意味で、これを白紙に返せというとても大それたことは申せませんが、そのような思想を十分に取り入れるようには努力してまいりたいと思います。
  393. 古寺宏

    古寺委員 そこで、むつ小川原の大規模工業開発を前提といたしまして、東北電力並びに東京電力が原子力発電所の土地を確保いたしております。この原子力発電所につきましてはいろいろな問題がございます。これはいつから実際に稼働するかということはまだわかりませんが、非常に規模の大きなものであるということは承っております。そういう点についてどういうような対策を現在行なっておられるのか、またどのくらいの規模のものを現在東京あるいは東北電力が考えているのか、承りたいと思います。
  394. 成田壽治

    ○成田説明員 お答えいたします。  下北半島で東京電力と東北電力が原子力発電所を設置するために土地の入手をやっておりますが、いつ着工して、いつ稼働するかという具体的な計画はまだ全然できていない。われわれは相当遠い将来の話と聞いております。
  395. 古寺宏

    古寺委員 将来のわが国の原子力発電については、大体三千万キロワットくらいのことをお考えになって、そういう構想があるということを承っておりますが、このむつ小川原の場合には二千万キロワットくらいのものを考えている、こういうふうに聞いておりますが、その点についてはどうでしょうか。
  396. 成田壽治

    ○成田説明員 先ほど言いましたように、むつ小川原の設備がどのくらいになるかというのはまだ全然きまっておらないのであります。原子力発電所が現在日本全体で四カ所で動いておりまして、これが百三十三万キロワットでありますが、将来、昭和五十年度におきましては、計画上は九百万キロワットと見通されており、また昭和六十年度におきましては六千万キロワットという、これは計画上の見通しでありますが、そういうような見通しになっております。したがって、その六千万キロワットの全国内の発電規模のうちで、むつ小川原地区における東京電力と東北電力の発電規模が幾ら入っているのかというのは、これはマクロの六千万でありまして、具体的にはまだきまっておりませんので、まだお答えできないという状態でございます。
  397. 古寺宏

    古寺委員 そこで、十万キロワット当たり温排水が一秒間に七トン排出される、こういうふうにお聞きしているのでございますが、今後相当大規模の原子力発電所ができた場合には、あの地域の漁業被害いろんなものが考えられます。そういう点について、温排水に対する対策というのは現在できておりますか。
  398. 成田壽治

    ○成田説明員 原子力発電の冷却用として、海水を相当とってこれを海に放出しております。大体十万キロワット当たり毎秒六トンくらいの見当で原子力発電の場合は出ると思いますが、これが大体五度から七度くらい平常の水よりも高い温度で出ますが、これが数百メーターほど排水口から出ますと、いろいろ拡散されまして問題とならない程度まで薄くなるという見当になっております。それで、これについてもいろいろいま東海地区で池をつくって、温排水の魚に対する影響がどうかという研究もやりつつありますが、それと、実際のところは、電力事業者がその周辺の漁業権を買いまして、そして補償という形で、漁業組合等に金を払って話し合いをつけておるのが現状でありますが、科学技術庁におきましても、温排水が何度の場合は魚に対してどういう影響があるのか、あるいはマイナスの影響もありますが、また魚の種類によっていろいろ違うのでありますが、水があったかくなるとかえって育つという例もあるようでございまして、こういう科学的な研究もこれからほんとうに全力をあげてやることになっております。
  399. 古寺宏

    古寺委員 こういう面については、現地住民も非常に心配をいたしております。そういう点について、やはり現地住民の不安を取り除くためからも、環境庁として今後この原子力発電所に対する対策はどういうふうにお考えになっているか、長官から承りたいと思います。
  400. 大石武一

    ○大石国務大臣 いま私どもは原子力発電についてのいろいろな意見を持っておりますのは、国立公園内、自然公園内における原子炉の設置ということを中心にして考えているわけでございます。しかし、将来いわゆる自然保護法によって日本の自然を守ることを考えていけば、あるいは日本全国についても考えなければならぬ時期がくるかと思いますが、いまのところはわれわれの守備範囲内だけでお話を申し上げたいと思います。でないとそれは行政が混乱するおそれがございますので、その点御了承願います。  私は、いま科学技術庁その他といろいろ検討いたしまして、私の得た知識では、表に出る公害は、火力発電所よりは原子力発電所は少ないという知識を持っております。そういう意味で、今後とも私はさらにこの原子力発電に対しての研究は進んでまいると思います。そして今後、将来は、いまのいろんな大気を汚染する火力発電所よりは、できるだけ原子力発電所のふえるほうが、いまの私の気持ちでは望ましく思っております。  ただ、これにはいろいろな問題があります。第一番に温排水の問題がございまして、これをどうするかということが大事な問題でございます。しかし、これはいろんな地形によりますから一がいには言えないでしょうけれども、私は、やはりこれは漁民に対する十分な理解と安心を与えるために、正しい漁業のあり方、補償を与えるためにも、科学技術庁がもう少し努力されまして、この温排水の海水に対する影響というものを少し研究を進めてもらいたいと思うんです。これを早く進めてまいりますと、そのことによって、初めて原子力発電所をつくる地域住民に対してもある程度の安心感を与えるのじゃないか、そう考えておるわけでございます。原子力発電所をつくっていいか悪いかという議論は、私はそういうことはする意思もございませんし、日本の原子力需要は伸びなければならないことは確かでございますから、どこかに発電所をつくらなければならない。そういう意味で、できるだけ公害の少ないものを選んで、そして地域住民の正しい理解と同意を得て、そうして発電所がつくられることが望ましい、そういうふうに考えている次第でございます。
  401. 古寺宏

    古寺委員 各種の法令によって、工場を設置する場合には国とかあるいは県知事の認可を必要とするものがございますけれども、市町村はほとんどノータッチというようなケースが非常に多いわけでございます。そのために、住民は、どういう工場ができるのか、その工場ができた場合には一体どういうような心配があるのか、これを明確に知らないわけです。こういうような地元住民の声というものを十分に反映した行政というものが今後必要であると思われますが、この原子力発電所の用地確保の面におきましても、やはり地元住民についてはほとんどその内容が知らされないままに用地が確保されているような実情でございます。その後において、いろいろなお話住民が聞かれて非常に不安に思ったのです。そういう点からいきましても、今後こういうような開発企業の設置の場合には、地元住民とも十分に話し合うような、地元住民の同意を得るような、そういうような行政のあり方でなければならない、こういうふうに考えておるのですが、その点について通産省のお考えを承っておきたいと思います。
  402. 久良知章悟

    ○久良知説明員 工場設置の場合には通産省が許認可の権限を持っておりますもので、公害に大きな影響がある、関係があると考えられますのは、発電所とそれから石油精製の施設でございます。この両者の許認可にあたりましては、これは都道府県の知事を通じまして、地元の意見というものを十分取り入れまして諾否をきめるように運用をしておるわけでございます。
  403. 古寺宏

    古寺委員 そういうふうにそのまま受け取れば、非常にうまくいっているように思いますが、実際は、現地へ行ってみれば、非常に安い値段で土地を買収されて、代がえ地もない、行く先もない、どうしようもないというような人もたくさんいるわけでございます。こういう面については、今後十二分にひとつそういうことのないように、通産省もあたたかい行政を、企業側の行政じゃなくて、住民の側に立った行政というものを考えていただきたい。  最後に、環境庁長官にお尋ねしたいのですが、今年の二月にできた八省間の開発会議、この中には現在まだ環境庁は入っていないと私は思いますが、今後この八省庁の会議に当然環境庁も入るべきである、私はそういうふうに考えておりますが、この点について承って質問を終わりたいと思います。
  404. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまの二月の会議では、まあ初めは、まだ環境庁ありませんから入っておらないのは当然でありますが、私、うかつにしていま気がつかないでおりましたが、当然われわれは入らなければなりません。さっそくそのように手続をとりたいと思います。
  405. 小林信一

    小林委員長 米原昶君。
  406. 米原昶

    ○米原委員 幾つかの問題を質問しようと思っておったのですが、運輸省の方は何か用事があるそうですから、先に運輸省関係の問題を質問いたします。  それは鉄道の騒音の問題です。昨年、騒音規制法の改正案が通過したおりにいろいろ問題がありました。しかし、とにかく通過したというのは、いままでのものと比べると一歩前進であるという意味で、とにかく通過させたほうがいいだろうという気持ちが多かったと思います。いろいろ問題がありましたが、その中で、鉄道の騒音規制は全然規制法に入ってないということで、附帯決議では、これは全員一致で鉄道騒音が一日も早く規制できるように法改正をやるべきだ、これは附帯決議で満場一致で通っておるわけです。ですから、私たちはこの鉄道の騒音規制の問題について、通常国会あるいはことしじゅうに、とにかく何か出るんじゃないかという期待を持っておったわけですし、一部の新聞には、すでにもうことしの三月ごろには出るというような報道も出たことがあります。しかし全然これは行なわれなかった。最近の新聞を見ますと、環境庁のほうで、何か鉄道の騒音の基準、こういうものを出されるという計画があるようなことが幾つかの新聞に出ております。その点で、環境庁長官はどういうことを一体この問題についていま考えておられるのか、それを最初に承っておきたいのです。
  407. 大石武一

    ○大石国務大臣 お説のとおり、われわれは航空機と鉄道の騒音、これについての基準をいまつくりつつございます。何とかして年度内にはこれをつくり上げて、そういう方針をきめてまいりたいと考えております。  どういうことかというのでございますが、なかなかこれも新しい考え方でございますので、非常にいろいろと苦慮いたしておるところでございますが、先ほどの飛行機と同じように、やはり一番根本的に大事なことは、汽車の音が小さくなるようになれば一番いいと思うのです。まあ汽車というよりは列車ですな。しかし、残念ながらそれは  いまのところは望めません。そうなりますと、やはりその音があまりあたりに響かないような防音装置をさせるということ、あるいはもう少し、深夜とか何かの通行ですか、そういうことも規制するということ、そのような間接的な方向になるような状態、いまのところはそのようなことを中心考えておる次第でございます。
  408. 米原昶

    ○米原委員 基準は、非常にむずかしい問題があるらしくて、なかなかきめられなかったというのが実情のようですが、騒音の基準をきめられるとして、いま自動車の騒音の基準が出ておりますね。少なくともこれ以上というようなものを認めることはないでしょうね。そういう点、一応大体自動車の騒音規制に関するあの命令が出ていますね。これの一番ひどい場合で昼間八十ホンというのが最高ですね。それでも夜間は六十五ホンですね。実際に鉄道騒音が問題になっている幾つかの地点を調査したことがあるのですが、これは、昨年の七月のこの委員会で私質問したことがあるのです。  たとえば東京都内でいいますと、新幹線が通っている品川区に入りますと、これが例の品鶴線、品川から鶴見に抜けるあの貨物線と重なって二重で走っているわけですね。だからたいへんな騒音なんです、あの地域は。夜間でもとにかく——普通の民家ですよ、あの品川から大田にかけては民家が非常に多い地帯なんです。この地帯というのは住宅地域ですから、自動車の交通騒音の場合の規制でも、六十ホンとかせいぜい七十ホンというのが最高の地帯だと思うのですがね。その住宅地域で、たとえば家の中では全部九十ホン出ているのです。しかも、新幹線のほうは確かに夜の十二時ごろにはとまりますけれども、品鶴線は通っておりますから、夜の二時ごろまでとにかく八十ホンから九十ホンという地帯がずっとあるのです。これは全くべらぼうなことで、何とかこれは規制しなくちゃならぬというようにだれでも考える問題だと思うのです。少なくともああいう地帯、住宅地域ですから、何とかこれを実行できるようにしてもらいたいのです。さっきも飛行機の騒音の問題が出ました。ことに国内線の場合、日本のような狭い国で国内航空多過ぎますよ、簡単にいえば。ある程度これは数を規制しなくちゃならぬじゃないか。これ以上野放しでどんどんふえていったらたいへんな事故さえ起こすようなことが起こるのじゃないかという気がするのです。そういう点から考えますと、むしろ鉄道に期待するところ実は非常に大きいのです。しかし、その鉄道がいまのように騒音を出していたのじゃどうにもならない。鉄道のほうが赤字でたいへん困っておられるということを聞いていますけれども、それに関係なく、そのあたりから解決していかないと、鉄道の赤字も解決つかないのじゃないか、そういう点で、少なくとも自動車の交通騒音の規制できまっている水準以下のものをぜひ考えていただきたい、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
  409. 大石武一

    ○大石国務大臣 いま私は、基本的なものの考えには全く同感でございます。いまよりももっと規制をきびしくしなければなりませんし、たとえば飛行機の回数の問題にしても、汽車の問題にしても、私は大体米原さんと個人的には同じような気持ちでございます。ただ、今度の規制の場合、この規制の基準をつくる場合につきましては、いままではホンという一つの単位を使っておりますが、これは非常に簡単なものらしいので、これだけでいいか悪いか、もっと騒音の規制の基準というものも変わるかもしれません。それらのほうでいま審議しているようでございますから、どういう形になるかわかりませんが、いずれにしても、規制はきびしくなろうとも軽くなることはない、私はそう考えております。
  410. 米原昶

    ○米原委員 それでは運輸省の方に聞きたいんですが、騒音と同時に、新幹線の沿線では、至るところ、これは全国、新幹線がついているところではどこでもそうだろうと思いますが、電波障害が起こっておりますね。そこで、この前、昨年質問したときには、電波監理局の方も出ていただいて、電波障害の問題についてもあわせて聞いたんです。その後電波障害のほうは相当解決に積極的でして、NHKのほうから技術部の方がずっと調査されまして、たとえば、ここに私持っているんですが、大田区と品川区で電波障害が起こっている地域について、全面的に調査の資料が出ております。大体新幹線の東側五十メートル、西側百メートル以内が一般的には被害地域になっております。その解決方法として、共同アンテナを立てて各家庭に配線するやり方、もう一つは、アンテナがいまのアンテナではだめだ、高性能のアンテナをつけ直してやるということで電波障害のほうは簡単に片づく、技術的にもそうむずかしくないという結論が出ておるんです。それで、大体何世帯分それをやる必要があるか。共同アンテナの受信対策を講ずる必要がある世帯数は、品川区で三百九十戸、大田区で二百四十戸、合わせて六百三十戸です。それから、アンテナ対策の必要なもの、これはもっと簡単なわけですが、その世帯数が品川区五百三十戸。大田区五百戸、計千三十戸。合わせて千六百六十世帯に対する施設をやればいいという計数もちゃんと出ております。これはNHKで調査しております。現地へ行って、東京都の公害研究所と、それから大田区、品川区の区役所の公害関係の方が共同して調査をやった結果ですす。ただ、そこで問題になっているのは、これをやるとしまして、この費用をどこから出すかということになってくると、国鉄がやっぱり問題になってくる。NHKのほうが費用を出すわけにはいかぬですよ、NHKの責任じゃないのですから。結局、鉄道が原因で起こっている障害ですから、これは当然国鉄に出してもらわなければならぬというので交渉をやっているようなんです。しかし、国鉄からは依然として全然肯定的な回答は出ていない。何とかこれを解決するというような回答は一つも出ていないという状態です。こういう点について運輸省はどう考えるか。これはこのままほっておかれるつもりかどうかということを聞いておきたい。
  411. 信沢利世

    ○信沢説明員 昨年、先生からも電波障害の御質問がたしかあったように記憶しておるのでございますが、その後、国鉄のほうにおきましても、現在NHKのほうと協議を進めているように伺っております。当初、新幹線を開業いたしますときも、NHKのほうと御相談いたしまして、費用の負担をしたようにも聞いておりますし、山陽新幹線の岡山開業につきましても、NHKのほうとお話し合いを進め、四月にたしかいろいろ御協議ができたように伺っております。詳細につきましては、国鉄の施設局長のほうからお答えいただいたほうがよろしいかと思います。
  412. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 千六百六十件の御要求が出ておりますことは承知をしております。それで、実はただいまもお話ございましたように、当初、東海道新幹線の場合には、NHKのほうで技術的にやっていただくというお話がございまして、当初全線にわたりまして相当テレビ障害については処置いたしました。若干国鉄からも金は出しておりますけれども、それによっていたしました。その後、実は列車回数もふえたということもございまして、いま先生指摘のように、現在千六百六十件ほどの要求が出てきておるわけでございます。私どもといたしましては、当初の約束どおり、そういうものについてはNHKでやっていただきたいということをお願いしておりました。ただ、その後諸般の事情、特に山陽新幹線の問題その他ございますので、現在実は本社とNHKのほうで精力的にこの話を解決するようにつとめております。ごく近いうちに解決できるものというぐあいに考えております。
  413. 米原昶

    ○米原委員 私が聞きたいのは、根本的な考え方なんですがね。電波法の趣旨からいうと、テレビでも放送でも、とにかく全国普遍的にだれにも聞かせる義務があるわけですね。それが電波法の趣旨ですね。だから、何か被害者のほうから金を取ってやるということは、これはもう電波法違反だ。これは全部NHKのほうでそれをやる義務があるんだ。ただし、いまのお話だと、鉄道で実際に障害が起こっている場合には、NHKに出させるというのは不当じゃないか。どうしたって、公害というものは、公害を起こしている発生源のところが出すというのがたてまえです。それを国鉄がやらないようじゃ、これはちょっと困るですね、そういう考えだと。そうしてマル生運動なんかで赤字を解決しようなんという考えだから、国民の支持が得られない。私たちは大きな方向でいいますと、さっきも言いましたけれども、やはり公害をほんとうの意味で起こさないだけの——もっともっと国鉄を利用するようなふうに持っていかなくちゃならない。いま自動車排気ガスで問題がありますしね。もっともっと国鉄を重視するような政策を政府にもとってもらいたいのです。しかし、その中で国鉄が全くこういう問題で——住民のほうは、品川区なんか、もう区議会で特別委員会までつくってやっているので、みんな知っているのです。それでがんこなのは国鉄なんです。NHKのほうはやる気になっているのに、国鉄は一切話し合いに応じないということを言っているんですね。この点についてもっと反省してもらわぬと困る。どうですか。
  414. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 ただいま出ております障害につきましては、私どもといたしましても全く受け付けないという態度ではなしに、NHKと相談をいたしまして、特に技術的な問題につきましては、NHKの指示に従ってやらざるを得ない面もございますので、解決をする……(「金のほうはどうだ」と呼ぶ者あり)お金につきましても若干私どもは出すというたてまえで現在交渉しております。ただ御承知のように、東海道新幹線の場合、それからその後に山陽新幹線の問題が起きまして、それらの処置につきましては、もう数年にわたりましてNHKと国鉄の間で話し合いをしております。個々にケース・バイ・ケースで解決していこうという線で現在進めておりますので、そういう意味で今後NHKと交渉を詰めて解決をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  415. 米原昶

    ○米原委員 それは去年の公害関係の法案とか、たくさんかかったときの一つの原則問題でして、やはり加害者が、たてまえからいえば、全額負担しなければならない。そのほかに、何か加害者が明確でなくて、一つの経営だけにおぶせることができないというような場合、それから非常に集合的な加害者になってくる場合とか、それはいろいろな考慮を要する点がありますよ。しかし、国鉄が幾ら公共事業だからといって、公害を起こしてもかまわないのだという考えなら、これはとんでもないことです。公害を起こす加害者が全額出すというたてまえにならないから、これは解決がつかないのだろうと思うのです。今後鉄道の騒音規制ということになると、もっともっときびしい問題がおそらく国鉄に向かって住民の中から出てきますよ。いまでも起こっております。そういう点で根本的に、いまの考え方基本としては、国鉄が費用を出すべきじゃないか。何かNHKのほうが主として出して、国鉄は一部を出すというのはおかしいのじゃないか。主要なものは少なくとも国鉄が出す。この点についてどう考えられますか。
  416. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 いま先生の御指摘の点が実は非常に大きな問題でございまして、そういう点につきましてNHK、国鉄の間で精力的にいろいろ話し合いをしております。現実にいろいろのケースにつきまして——いろんなケースがございますので、そのケースにつきまして具体的に解決をしていこうじゃないかということで、私たちといたしましてもこれから新幹線もつくらなければいけませんし、いろいろな点で新しい線も敷かなければなりませんから、その場合に住民の方々の御協力をいただかなければならぬという事情がございます。決していわゆる騒音ということについて責任回避という立場ではなしに、むしろ御協力をいただかなければならぬという立場を踏まえて話をしていきたい。具体的にはNHKとの個々の場合の話し合いにひとつおまかせいただきたい、このように考えます。
  417. 米原昶

    ○米原委員 これは繰り返しませんが、早急に解決してほしいということを申し上げます。  もう一つ環境庁長官に話しておきたいのは、この地域は実は住宅とそれから学校があります。小学校が大田と品川でこの沿線だけで十くらいあるのです。中学もあるし、高等学校も一つあります。全部調べてきましたが、授業中に八十ホンなんですよ。授業ができないという問題が起こっているわけです。こういう地帯を、今度の騒音の基準をきめられる場合に、十分これが防げるようにあるいは施設をつくらなければならぬでしょうから、そういう点を十分に考えてやっていただきたいということをお願いします。この問題はそれだけにします。鉄道騒音関係の方はこれで終わります。  その次に、名古屋市でことし起こった光化学スモッグの問題について若干問題点があるので、お聞きしたいと思います。  先日、当委員会調査に行きまして、そのときにも、調査団に対して名古屋の郵便局の全逓労働組合の労働者の方から陳情があったのです。というのは、ことしの七月二十八、二十九、三十日に起こった光化学スモッグというのが、東京に起こった光化学スモッグとはかなり様子が違うのです。東京の場合は、御存じのように、杉並区とか世田谷区とか、どちらかというと住宅地帯ですね、こういうところに起こっている。名古屋の場合は、幹線道路の自動車のたくさん通るこの沿線地帯で全市的に起こっているわけですね。それで一番やられたのが、郵便局の配達をやっている人たちなんです。その犠牲者だけで六十数人が、病院の認定ですが、光化学スモッグでやられた、こういう事実が起こっているわけなんです。その点で愛知県でもいろいろ調べたようですが、とにかく東京型の光化学スモッグと違って、自動車の排気ガスの影響がどうも決定的に大きいらしいという大体の結論を出しておるようですね。
  418. 大石武一

    ○大石国務大臣 排気ガスがですか。
  419. 米原昶

    ○米原委員 工場から出る亜硫酸ガスその他の硫黄酸化物の要素ももちろん加わっているようですけれども、しかし、主要なものが窒素酸化物、それからオキシダントというふうに、調査の結果、出しておるようです。  そこでちょっと問題になりますのは、大気汚染防止法によって、注意報と重大警報の発令基準というのが政令によって出ておりますね。注意報というのは〇・一五PPMのところで出す、それから〇・五〇PPMになったときに重大警報を出す。そのところで必要に応じた使用停止措置命令を出せるというふうになっております。ところが、名古屋の場合は、注意報の基準、これにも達していないのにもう光化学スモッグが起こっている。環境庁で出しておられる基準よりも低いところで、〇・一PPM前後のところですでに光化学スモッグが起こっているということが、これは愛知県の発表している数字でもそれが出ているわけです。そうしますと、現在政令で出されている基準では実際の役には全然立たない。愛知県ではあわてて、とにかく政令では注意報というのは〇・一五PPMとなっておるからこれは一応注意報として、その前に光化学スモッグが出そうだという別の注意報を二日目、三日目には出しているような状態です。政令が事実に合っていないという問題が起こっているのです。このことを聞いて私もびっくりしたのです。注意報を出す基準、実際はいままでのところこれでは光化学スモッグの被害は起こらないという基準だったわけですね。重大警報の基準で初めて起こるのだという、東京の経験ではそうだった。それがもとになってこの基準が定められたと思うのだが、そういうものが名古屋の場合は全然通用していないわけです。その点で、ある意味ではこの基準を変えなければならないのではないか。もちろんそれだけで全部が解決するわけではありませんけれども、第一にやらなくてはならぬことは、一つの基準を変えることだ、もっと厳重にすることだということが一つあると思うのです。同時に規制のやり方ですね。ことに工場に対する規制を、緊急の警報を出して規制を命ずることはわりあい簡単にできるでしょうが、交通規制の問題ですね、これが実際にはほとんど名古屋ではできなかったということを聞いております。こういう点について、光化学スモッグのほんとうの原因というものはどういうところにあるか、まだ研究が十分じゃないと思うのです。しかし、なくても実際にはどんどん起こってくるのです。いまは被害を受けたといってもまだ軽度のものだけれども、これが繰り返されていると、来年あたりからたいへんな被害が日本でも出てくるのではないかということが心配なわけなんで、至急この方針というものをもう一ぺん考え直す必要があるのではないかと思うわけです。この点についてひとつ聞かしていただきたい。
  420. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまのお話をすなおにとりまして、いろいろと前進的に検討してみたいと思います。ただ、ひねくって考えるわけじゃございませんが、ちょっと疑問がございます。と申しますのは、御承知のように、光化学スモッグという現象は最近日本でも起こってきた現象でございますが、それの実体がわかっておりません。おそらくいろいろな自動車の排気ガスだろう、あるいは煙突からのいわゆる有毒ガスが原因であろうということは想像はついておりますけれども、その起こるいろんなメカニズムとか、あるいは患者の症状とかこういうものが日本ではまだわかっておりません。きまっておらないのです。アメリカのロサンゼルスの光化学スモッグは、目がちかちかするというだけで、これは症状も大体確定しているような状態でございます。日本では、目がちかちかする、のどが痛くなる、胸が痛くなる、吐きけがする、けいれんを起こす、しまいには意識がなくなる、いろいろな問題がございます。まだ光化学スモッグとしてのはっきりした症状の認識がないわけでございます。ですから、ただ問題は、光化学スモッグというのはいろいろな排気ガスがたくさん出されて、それが紫外線の作用によって、いろいろなメカニズムによりまして、いわゆるオキシダントが非常に多くなった。その結果、人間に有害な、有毒な作用をするんだということだろうと思うのでございます。そうしますと、いま日本が〇・一PPMに達しないようなオキシダントの状態で、これが光化学スモッグとはたしていえるかどうかという疑問が出てまいります。というのは、症状なんかまだ確定しておりません。日本では光化学スモッグというのは、オキシダントが非常にふえて、その結果いろいろな症状があらわれるということにいまのところはなっております。そうすると、オキシダントが非常に低いのに起こったということは、それが光化学スモッグであるかどうかいえないような気もする。たとえば水俣病というのはいろいろな症状を起こしますが、その症状の原因が有機水銀である、十分それをとったという既往歴がなければならないわけですね。有機水銀と症状とあわせて初めて水俣病という診断になるわけでございます。ですからかりに、いままだ光化学スモッグのあり方がわかりませんけれども、少なくとも現在、われわれの普通にいっていることは、症状とオキシダントの増加ということが結びついて初めて光化学スモッグといっておるのと同じことです。ですから、いまのお話をひねくって考えますと、はたしてだれがそのような光化学スモッグだという診断をしたのか、こういう疑問も出てまいります。それはひねくった考えでございますが、ですからもう少しわれわれはいろいろ検討したいと思います。  たとえば私、きのう、おととい大阪へ行ってまいりましたが、大阪では公害センター、研究センターに行ってみますと、大阪市の大部分の空気のいまの状態は非常に悪い。非常に悪くて、いまのようなことではないような状態でございます。それでも必ずしも、そうしょっちゅう光化学スモッグの患者が出ているとも限りません。ですからやはりこれはもう少しすなおに考えまして、前進的に考えさしていただきたい、こう思います。
  421. 米原昶

    ○米原委員 そういう点がこの問題では、まだまだ原因が科学的に全面的に把握されてない状態ですから、おっしゃる点はわかるんです。しかし、実際にいろいろな形の被害が出ているというこの現実もまた否定できない。このままほうっておいて何が起こるかという不安感もあるわけです。あるいは一部の学者の研究、研究というより推定ですが、硫酸ミストが出ておる、あるいはある場合は、日本のようないろいろな条件があると、将来硝酸ミストが出るかもしれぬといっている学者もあるわけですから、そうなるとロサンゼルスで起こった場合よりももっと大きな被害が日本でも起こらぬとも限らぬような気がするわけです。そういう点では、最終的に科学的な結論を出せない状態であっても、とにかくいろいろな条件、硫黄酸化物の問題あるいは窒素酸化物の問題、そういうものがいろいろまじり合っている中で起こることは大体推定できるわけです。そういうものがなかったら起こらないにきまっていると思われるのですね。そうするといまのうちに思い切った防ぐ基準というものをきめておかないと、大きな事故が起こってからではもう手おくれになると思うのですね。そういう点でこれは考え直すべき問題点を、名古屋の光化学スモッグというものは出している。少なくともいままできまっている基準では光化学スモッグであるかどうかわからないといえば、理論的に言えばそれまでです。しかし、実際に被害が起こっているのは間違いないのです。しかし、いままできめている注意報では、注意報以下で起こっているわけです。そういう点でこの問題は根本的にもう一ぺん再検討して方針を立てられる必要があるだろう。  その点で非常にむずかしいと思うのは、やはり自動車の交通規制の問題ですが、東京都の場合も、去年出した結論というか、ことしの場合の結論では、やはり自動車の排気ガスの影響のほうがもっと大きいのではないかと言っている人もある。東京都の公害研究所の結論もそのようですね。名古屋の場合には、排気ガスのほうが全く圧倒的な比重を占めているらしいということを言って  いるのです。そうしますと、やはり自動車の排気ガスに対する規制のやり方、これを思い切った措置をとらないといけないのではないか。いままで  のような程度ではちょっと困るのですが、この点について今後どういうふうに考えていかれるか。
  422. 大石武一

    ○大石国務大臣 おっしゃるとおり、大気の汚染がもっとひどくなりまして、そのような状態が起こり得る可能性が非常に出てくる。やはり、おっしゃるとおり、いろいろな交通上その他の、あるいは工場運転上の規制が必要になってくるかもしれません。われわれも、そういうことについては、いろいろ検討しておく必要があると思います。ただ御承知のように、いまようやく、われわれが努力いたしまして、大気汚染をできるだけ防ぐように努力いたしております。ある地区においては強くなるところもございますけれども、よくなる地区も出ております。われわれ、まず何といっても最初に、交通の規制をするよりも何よりも、大気の汚染を防いで、できるだけその汚染度を少なくしていく、こういうことに全力を進めてまいりたいと思うのでございます。そのためには、いろいろな基準も高くしなければなりませんし、いろいろな規制もいろいろな方面にしなければなりませんから、自動車につきましても直接交通規制がすぐできるかどうか、まだそこまでは当然すぐできないとしましても、何らかのやはり、いろいろな工場の規制はしなければならぬ、こう考える次第でございます。
  423. 米原昶

    ○米原委員 自動車の排気ガスの規制の問題でわれわれ前にも、たとえばアフターバーナーを義務的に取りつけさせたらどうか、アメリカに輸出する自動車につけているじゃないか、つけさせられている、それがなぜ日本でできないのかという問題を提起しているのですがね。東京都では今度、とにかく東京都で使う自動車には全部アフターバーナーをつけさせるということをきめたようです。もちろん現在のアフターバーナーはいろいろ欠陥もあると思いますし、完全なものではないと思います。いろいろの排気ガスの防除装置もできているようですが、なかなか完全なものはまだできてないというのが実情だと思うのです。そこで費用の点やその他考えてこれをつけさせることをちゅうちょされると思うのですが、しかし、何としても自動車の量がどんどんふえるのをこのまま放置しておいたら防ぎようがなくなる。まだ不十分なものであっても、何らかの防除装置を、ある程度それを全部つけさせる必要がある。そういう行き方で行かないと手がなくなるのではないかというふうに感ずるのです。いままでどうしてもこの問題を政府は認めなかったのです。どう考えますか。
  424. 大石武一

    ○大石国務大臣 先日美濃部知事が私のところにお見えになりまして、いろいろ東京都の公害問題についての御相談がございました。その節、美濃部さんから、都では全部アフターバーナーをつけてガスを少なくしているので、官庁のほうでもひとつつけるように努力してくださいというおことばがございました、私、それもごもっともだと思いまして、いろいろ検討さしているわけでございますが、おっしゃるとおり、いろいろな技術の面において、それから費用の面において、やはりこれを全面的にしいるということはいたしかねております。環境庁でも、それほどたくさん車はありませんからいいですが、まだ完全実施はしておらない状態でございます。しかし、おっしゃるとおり、もし自動車が多くなり、その排出ガスがひどくなっていけば、当然何らかの処置は講じなければなりません。われわれは、今年度中にはそのような基準をつくりますが、少なくともいまのアメリカのマスキー法のような考え方で五年後には日本の自動車のガス排出量を十分の一なら十分の一にすることをきめております。そういう方針でもおります。ですから、まあ五年たてばそのような自動車排気ガスの問題はほとんど解決するわけでございますが、その五年というものも考えてみれば長い期間でございますから、そのことについても十分にわれわれは考えなければいけません。そういう意味で、アフターバーナーのようなことにつきましても、いまできるだけ早く検討を進めまして、役に立たせてまいりたいと思います。
  425. 米原昶

    ○米原委員 それから、そのときにやはり愛知県で、いろいろ大気汚染に関する県の資料、それから名古屋市の資料をもらったのです。市内の南部のほうの工場地帯なんかでは相当汚染度がひどくなっている。去年あたりは、それが決定的な原因かどうか判断はむずかしいでしょうが、ぜんそくで死者も出た、そういうことも聞いております。ところが、県で出した資料を見ますと、一年間の平均の数字が出ているのですよ。それで、ちょっと一年間の平均では環境基準をこえている地区が三つくらいあるのですね。それで、これは全般的な表ですから、もちろん一年間の平均を出すことも必要なので、それを私たちはもらいました。しかし、一年間で環境基準を平均してこえているところが出ているのでは、その地域というのは、ことに冬季の一番亜硫酸ガスがたまりやすい時期ですね、これはもっとひどい数字になっているのじゃないかという点で、一年の平均でなくて少なくとも月平均、ことに一番悪い状態はどの程度の亜硫酸ガスの濃度になっているか、そういう資料をほしいのだと言ったのです。環境部長にも帰りに話して、すぐに送りますと言っていたんですが、実はいまになっても送ってこないのです。私は実は愛知県の県会議員や市会議員にもその問題を聞いたところが、これはひどい話で、忍か質問したようなことが市会で問題になっているのです。全然これは発表しないのですね。驚いたのは、毎月の統計、どこの市だっていま発表していますよ、亜硫酸ガスの濃度の統計なんか。それが名古屋市の場合には三カ月平均ずつの数字を発表して、それ以上の毎月のやつを出せと言っても、調査はしているのでしょうが一切公表しない、こういうことを聞いたので、私全く驚いているのですが、こういう市もある、県もあるわけです。国会議員が行って、見て、指摘して、ぜひ知らしてくれと言っても、やはり隠しているのですね。そういう状態だということがわかったのです。こういうところに対して、環境庁のほうから指示を出される必要があると私は思うのです。実際には名古屋市内では何かまだ国の公害病認定地域にはなってないわけだけれども、しかし、市として公害病と指定して、金を出すということを条例できめているわけでしょう。そういうことを実際きめながら、そういう数字さえわれわれに示さないという状態なのです。これについてひとつ環境庁長官考え方を聞きたい。
  426. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまの前段の話は、いま初めて聞きましたので、それについてもいろいろ考えてまいりたいと思います。  それから、あとの患者のことでございますが、確かに名古屋も相当空気汚染度がひどいと思います。したがいまして、公害患者ですか、これも相当あると思います。われわれいま検討いたしまして、市とも連絡をとりまして、近く、ひとつ来年度でもひどい地区を認定しようという方針で、いま鋭意調査を進めております。できるだけ早く公害に悩んでいる患者に対しては認定をして、できるだけの手当てをしてあげたい、こう考えている最中でございます。
  427. 米原昶

    ○米原委員 そのあとで中部電力の知多発電所も見に行ったわけです。そのときに発電所の副社長も出ておりましていろいろ質問したのですが、この発電所でくれた一般向けの「中部電力の概況」という、こういう資料でございます。これに今後の電源開発計画というのが出ている。発電所を、水力発電所のほうはこれは関係ない、火力発電所の計画が出ているのを見ますと、いま問題になっている愛知県のしかも南部の工業地帯で火力発電所の計画がずっと並んでいるのです。愛知県と静岡県と三重県ですが、愛知県にさらに十一火力発電所をつくる。静岡県は二つですよ。三重県も二つです。こういう計画でつくる。どうも、名古屋の市内でそういう状態が起こっているわけです。その市内に近いところに、中心ですよ、名古屋市の南部、それから郊外の地帯ですが、そこのところを中心にして、新しく十一も火力発電所をつくるという計画があるのですね。大体それをどんどん進めているようなんです。地域でもだいぶ問題になっているようですから、この点、何ですか環境庁のほうで指示を出されたのも見ました。「名古屋地域にかかる公害防止計画策定の基本方針」というのが環境庁から出ております。これもあそこでもらったのですがね。この知域の公害防止計画の中でこんなに片寄って、愛知県だけで十一も新しく火力発電所をつくるなんということは、どうしてもこの地域計画で第一に防止していかなくちゃならぬ問題だと私は思うのですがね。非常に片寄っているのです。この点についてどう考えられますか。
  428. 大石武一

    ○大石国務大臣 私は技術的なことはわかりませんが、いままでの常識で考えまして、そのような計画がもし早急に実現されるならやはり相当な公害が発生すると私は思います。したがいまして、いま第三次の公害防止計画としまして、名古屋市、その周辺を、われわれは来年度から予算をつくりまして防止計画を実行させることになっておりますが、そういう点を十分に考えまして、決して公害がいまよりふえないようにますます減るために、われわれは何百億何千億の金を使うわけでございますから、そういうことにできるだけりっぱな指導をさせてまいりたい、こう思うのです。
  429. 米原昶

    ○米原委員 これは公害防止計画策定の基本方針が環境庁から出ているわけで、いまつくっているわけでしょう。これはいつできるのですか、愛知県、名古屋市の……。
  430. 船後正道

    ○船後説明員 お答えいたします。  名古屋地区につきましては、せんだって防止計画基本方針を指示いたしました。これに基づきまして県当局で従来からやってまいりました調査等もあわせ、計画を策定し、それを再び国のほうに持っていき、国が承認いたしまして実施に移す、こういうことになるわけでございます。私どもといたしましてはなるべく早く、明年度早々にも実施計画が承認できるようにいたしたい、こういうように考えております。
  431. 米原昶

    ○米原委員 そうだとしますと、実はこれを見ておりましたら、いま火力発電所が十一と言いましたが、すでに二つは四十六年六月から運転開始ですから、もう始まっているわけです。十一月にもう一つできるのですね、渥美二号というのが。そして来年の七月に二つ、九月に二つ、愛知県にずらっとできるのです。とにかくこんな調子で、ずっと愛知県です。火力発電所がこの一、二年の間に四つ、五つ、六つとこうできるとすれば、いまの条件のもとでやるというのはめちゃくちゃだと思うのですがね。どこへ行っても低硫黄の原油を使いますからとかいろいろなことを言いますけれども、単にそこの発電所だけの排出基準の問題じゃなくて、量の問題を考えなくちゃならぬ。この知多発電所の副社長にもわれわれ質問したのです。排出基準はとにかく合っているかもしれないが、一つ地域に、そういうところに一ぱいできれば結局量の問題として環境基準を破るようなことになるのじゃないか。結局地域的な防止計画の中で一地点に火力発電所をやたらにつくるということは、当然防いでいかなければならぬでしょう。そういう点で私は中部発電のこの計画を見まして、ちょっとこれは注意しなければならぬのじゃないかと思ったのです。おそらく、いまおっしゃった公害防止計画、来年早々から実施されるようにしなくてはならぬでしょう。そのときにその問題点はぜひ頭に入れて、環境庁のほうでも片寄ったやり方は防ぐような手を打っていただきたいと思います。
  432. 大石武一

    ○大石国務大臣 よくわかりました。十分に注意してまいりたいと思います。ただ私はそのような——奇跡じゃないかと思うのです。いまのような世論の中で、発電所が一つ県内に三つも四つもきびすを接して設立されるというのは、企業から考えればよほどの、奇跡に近い恵まれた条件ではないかと思います。いま御承知のように、全国どこへ行っても発電所をつくるなんというのはみんな排撃されまして、何年もかかりまして容易に着工できないのが現状でありますから、名古屋というのはずいぶん理解があるというのか、なかなかけっこうなところだと、一面からそう考える次第でございます。  いままでつくられました、昔から稼働してまいりました発電所につきましては、いろいろと改善施設をやらせましても、なかなか十分にできないといううらみがございます。しかし、これからの発電所は絶対——絶対といっては過言かもしれませんが、まず公害を出さないような設備を整えさせなければならないと私は考えております。そういう基準で必ずその地域もいっていると私は思うのです。それらの基準を上のせしまして、そういう契約がたいていは行なわれていますから、私は行なわれるべきだと思うのです。そうしますと、低硫黄の石油を使えばけっこうですが、それを使わない場合には当然排煙脱硫、これはすでに電力会社の間でもその共同研究が終わりまして、すでに技術はつくられておりますから、それを使って排煙脱硫をして、まず公害のないものにしなければならぬ。そういうことを必ずやっていると思いますけれども、なおわれわれは十分に各県と連絡いたしまして、その事実を確かめ、またそのように推進するように努力いたしてまいりたいと思います。
  433. 米原昶

    ○米原委員 私は参考のためによく読んでみますと、四十七年十一月、来年の十一月までに愛知県だけで火力発電所を八つつくるのです。この計画を見ますとはっきり出ています。これはいまおっしゃったように、ほかのところでは反対運動が起こって、これはとてもできないことです。こういうものがつくられる。これはどうしても公害防止計画の策定の中でこの点注意されないといけないのじゃないか。  もう一つ、いま思い出しましたけれども、名古屋市内には高速道路計画があるのです。名古屋は御存じのように道路は非常に広いのです。おそらく全国の都市の中でもその点では一番よくできているのじゃないかと思いますよ。ですから、いまのところは自動車はそんなにこんでいませんが、問題はいまのような状態の中で、東京都の場合も高速道路の排気ガスというのが光化学スモッグを起こすような、かなり大きな影響になっているのじゃないか。いままでの調査でも高速道路の排気ガスが一番悪いようですね。その点を考えますと、名古屋で計画している高速道路の問題、これはもう一ぺん考え直させる必要がある。公害防止計画の策定の中でこの問題もひとつ環境庁のほうから提起していただきたいと思うのです。これを野放しでいいというわけにどうしてもいかないのです。このことをお願いして、私の質問を終わります。
  434. 小林信一

    小林委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後七時二十五分散会      ————◇—————