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1971-08-10 第66回国会 衆議院 公害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月十日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 始関 伊平君 理事 橋本龍太郎君    理事 藤波 孝生君 理事 山本 幸雄君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君    理事 寒川 喜一君       浜田 幸一君    林  義郎君       阿部未喜男君    加藤 清二君       古寺  宏君    米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  委員外出席者         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         文化庁次長   安達 健二君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局歯         科衛生課長   笹本正次郎君         農林省農政局農         産課長     川田 則雄君         林野庁長官   松本 守雄君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         運輸省港湾局機         材課長     西村 俊之君         海上保安庁次長 上原  啓君         建設省都市局参         事官      大塩洋一郎君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    伊庭 武男君     ————————————— 七月二十四日  一、環境保全基本法案細谷治嘉君外七名提   出、第六十五回国会衆法第二号)  二、公害に係る被害の救済に関する特別措置法   案(細谷治嘉君外八名提出、第六十五回国会   衆法第一二号)  三、公害紛争処理法案細谷治嘉君外八名提   出、第六十五回国会衆法第一三号)  四、公害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策に関する件(水質汚濁及び土壌汚染対  策等)      ————◇—————
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本龍太郎君。
  3. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 先般尾瀬へ行かれて、自然保護現況、あるいは自然破壊現況と言ったほうがよろしいかもしれませんが、その状況を見てこられた大臣に、本日は自然保護関係で御質問申し上げるつもりでおりましたが、ひとつ緊急にぜひお尋ねをしておきたい問題が出ましたので、その関係の問題は後日に譲らしていただきます。  大臣はお読みになりましたかどうかわかりませんが、けさの毎日新聞の一面に「政治解決を示唆」「イタイイタイ病三井側話合いつかねば」という見出しで、富山県知事発表掲載をされております。その内容は「中田富山県知事は九日、イタイイタイ病カドミウム被害問題について「県と三井金属鉱業の話合いがつかない場合は通産省あっせんを求め、政治的解決を図りたい」と発表三井側政府あっせんに原則的に同意していることを明らかにした。」という書き出しであります。  五日の午後、同県知事は東京で三井金属の社長さんと秘密会談を持たれ、九日に県に戻られてその会談内容を明らかにしたが、その両者話し合いの中で、「同県公害部カドミウム発生源同社神岡鉱業所を近く立入り検査する。同社公害測定結果などを今後同県に提出する。鉱さい堆積場の決壊など緊急事態については今後協議して覚書を取りかわす。イタイイタイ病カドミウム被害など残された問題について、話合い意見が合わない場合は通産省など国を通じて政治的解決をはかる、などの方針が確認されたという。」という内容であります。こうした話し合いが行なわれておったのかどうか私どもは存じません。しかし、こうして掲載をされている限りは、これは真実でありましょう。ところが私ども考えからいうならば、こうした問題で話し合いがなされ、国がそのあっせんの労をとるとするならば、その仕事をしていただかなければならないのは、通産省ではなくて公害問題の全責任を負っていただかなければならない環境庁のはずだと思うのであります。こういう話し合いが行なわれておったこと、あるいはその中でこうした内容合意されたということ、これを大臣御存じであったかどうか、まず最初にちょっとお尋ねをしたいと思います。
  4. 大石武一

    大石国務大臣 けさの何新聞でしたか、毎日でしたか、私もイタイイタイ病富山県知事の話は読みました。それで率直に申しまして、私は何もその話も知りませんし、聞いてもおりません。経過も知りませんが、新聞で見ました程度では、まあけっこうなことだ、多少でもその対策に一歩進んでいるのじゃなかろうかという感じがいたしました。
  5. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 これは非常に事務的なことを考えただけでも、発生源神岡鉱業所というものの所在地は実は岐阜県でありまして富山県ではないわけであります。その場合に、他県の公害部が現に他の地域に所在する、所管外地域に所在する鉱業所に立ち入り検査をする権限があるのかどうか、その場合に岐阜県との協議はどうするのか、こまかい問題を議論すれば、私は幾つかの問題点があると思います。しかし今日まで公害行政が行なわれてくる中で、環境庁が生まれてくるにはそれだけの経緯がありました。いままでの各省の所管の中で、こうした公害問題について所管省それぞれの立場が競合するために、あるいは原因発生者側に片寄るあるいはそのさかさになる、そうした批判を世間から実は常に浴びておったわけであります。そして、そうしたそしりを受けないために、環境問題、公害問題を専門所管省として環境庁が生まれたはずでありまして、権限関係からいうならば、この中に盛られた一部のものは確かに通産省あっせんをされるにふさわしい権限もあるかもしれません。しかし、こうした国のあっせんというものが環境庁というものを全然飛び越えて、もともとの所管省である通産省、あるいはそれが厚生省の場合でも同じであります、そうした省庁でなされていくという習慣が生まれてしまっては、環境庁としての今後のお仕事に非常に大きな影響が出てくると私は思うのであります。  しかも、この三井金属を取り巻くイタイイタイ病の問題というものは、御承知のとおり世間で非常に大きな注目を呼んだ公害裁判としての最初判決が生まれたものでもあります。それだけに私どもは、こうした話し合いがなされ、その中で政治的なあっせんを必要とする場面があるなら、そのあっせんの労をとられるものはむしろ通産省ではなくて環境庁がおとりになるべきだ、むしろ積極的に、もしこのような県と企業者の間に話し合いがなされておることが確認されたならば、そのあっせんの労は環境庁が乗り出してでもおとりになるべきだという感じがいたします。この話し合いというものが実際に行なわれたかどうかを至急にお調べをいただいて、もしその中で国のあっせんにまかせる部分があるならば、その部分は主として環境庁がその労をとられるべきだと私は思いますが、そうした方法をおとりいただくお考えがあるかどうか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  6. 大石武一

    大石国務大臣 環境庁の将来に対していろいろと御心配いただきまして、まことにありがたく思います。  率直に申しまして、私は、このような紛争処理と申しますか調停と申しますか、こういうものにつきましては、あまり直接われわれ中央官庁は入らないほうがいいのではないかという考えを持っております。と申しますのは、この問題、いろいろな紛争なり調停の問題を解決するのは、総理府中央公害対策審議会、もう一つ中央公害審査委員会という組織がございます。こういうところで、公平な正しい判断、世話をしてあげれば一番いいと思います。そうして、やはり通産省であるとか環境庁とかいう中央官庁は、できるならば直接これに介入しないほうがよかろうという考えを持っておるわけでございます。新聞で見ましたところでは、県知事がいろいろな調停あっせんをとる、これはけっこうなことです、住民のいろいろな生活なり事情がわかりますから。ことに第一次の判決がありまして、仮執行ですか、あれがちゃんと執行されているわけですから、そういう問題を早く解決するためにも県知事調停の労をとられることはまことにけっこうだと思います。しかし、その県知事がはたして通産省とどれほどの話をしたか、責任ある通産省の方々の何の談話も出ておりません内容でございますから、私はそれほど深い話し合い通産省とあったとは思いません。通産省もそれほどそのような関係を持っているとは考えておらないのでございます。ただ、そのような希望を持ったという県知事の個人的な意見ではなかろうかと私は思うのでございます。そういう意味で、どうしてもわれわれが入らなければならない場合には入ることにやぶさかではございませんが、いま申しましたようなちゃんとした一つの方式がございますから、それによってこの問題の紛争解決をするのがよかろう、こう考えておるわけでございます。
  7. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 大臣、いま大臣お話の中に出ましたように、総理府にある既存の制度を運用していこうという姿勢なら、私はあえてこのような質問をするつもりもありません。紛争処理制度にかけて処理をしていくという形であれば、むしろ私は非常にけっこうなことだと思います。しかし、ここに書かれております記事、これはけさ新聞でありますから、私もその事実関係をどこに問い合わせをする時間もありませんでした。むしろ「話合い意見が合わない場合は通産省など国を通じて政治的解決をはかる、」という内容が確認されたとしるされておるわけであります。ですから、私は、あくまでもこの記事として書かれたものが正確な取材に基づいたものであるという前提でお尋ねをしておるわけであります。いま大臣が言われましたように、公害対策審議会あるいは紛争処理制度を活用して解決をしていくという姿勢は、この文面からは実は受け取れないわけであります。むしろ、通産省と話し合ったとはここには一つも書かれておらないわけでありまして、県と企業者話し合いの中で合意した方針が確認をされたその中身は、両者意見の合わない部分は「通産省など国を通じて政治的解決をはかる、」私はこの点にひっかかりを覚えるわけであります。現在ある制度ほんとうに活用していこうというならそれはけっこうであります。これはそうじゃない。その話し合いのつかない部分紛争処理制度にゆだねるということではなくて、むしろ通産省を通じて政治的解決をはかりたい、ということであります。もしこういう形で合意がなされておるのであれば、この場合、政治的解決あっせんに入るべきは通産省ではなくて、私は環境庁であるべきだ、また環境庁としても、もし県と企業者の間でそのような話し合いがされておるものならば、その場合のあっせんの労をとられるべきは環境庁であるべきだ、そういう気持ちからお尋ねをしておるわけです。もう一度大臣見解を伺いたい。
  8. 大石武一

    大石国務大臣 お答えいたします。  企業側県知事側がそのような方針を確認したということでございますが、そうかもしれません。しかし、それは通産省ではあずかり知らぬことだと思います。おそらく、そのような方針を確認して、県知事調停をしてみんなが納得するような解決というのが一番いいと思いますが、つかない場合に、かりに通産省処理方を持ってまいりましても通産省では受け付けまいと思います。まず第一にしかるべき筋を通して、それで解決のつかない場合には出てきましょうけれども、初めから通産省が、その企業側県知事が相談して確認したといったって、これは通産省責任でありませんからそれは受けつけないだろう、こう思います。そう思いますから、私はこの問題についてあまりこだわっておりませんが、しかし、いろいろな過程においてどうしても役所が、中央官庁がそういう問題の解決に乗り出さなければならぬという場合には当然われわれも乗り出す、そういう決意はございます。そういう考えでおります。
  9. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 けさ新聞中身でありますから、大臣としてもこまかい事情御存じないという最初お話でありました。私もこれ以上この問題をしつこくお尋ねしようとは思いません。この中身からいきましても、県と企業者のみの話し合いでありまして、行政官庁がどこも加わったとは書かれておりません。それだけに、その意味では両者話し合い合意のみであって、行政官庁云々ということは触れられておりませんだけに、おそらくその点はなお今後の問題として提起をされる部分だろうと思います。いま大臣は、そうした形で政治的解決を必要とし、国のいずれの機関に対してであれ、政治的解決のためのあっせんを県なり企業者側から出してきた場合には、他の制度の運用の範囲でいかない部分においては環境庁として乗り出すにはやぶさかでないと言われました。私は本日の時点はいまのお答えで了承いたします。  なお、環境庁としても、この点についてはどのような話し合いがなされたのか、この新聞記事に書かれている以外の話し合い等もあったのかどうか、そうした点の事実関係だけはお調べおき願いたい。将来においてこの問題を継続して論議の対象にしなければならない場合には、あらためて私はその点をお尋ねをさせていただきたいと思います。
  10. 小林信一

  11. 島本虎三

    島本委員 大石大臣歴戦奮闘中であります。今後も一そう暑さに負けないで、国民の命と健康を守るためにも、環境保全のためにも健闘しなければならない義務もあるし、私はそれを祈ってやみません。  いつも私は言うことばがあります。それは、農業基本法ができて以後、農業はいよいよ斜陽化してきたというこの事実、中小企業基本法ができて中小企業の倒産が一そう増大してきておるというこの事実は否定すべくもない。公害基本法ができて、残念ながら公害がますます増加してきているというのが日本実態でもあります。ここに環境庁ができて、環境が破壊されてはいけないのであって、この一言だけは、われわれ委員もそうです、政府の閣僚の一人としても、その席にある大臣は座右の銘にしなければならない一つのくさびであろう、こう思います。政府姿勢はすべてそれにかかるわけですから、環境庁の行なう公害行政は施策の先取りというようなものでなければならない、こう思います。それで、いま産業や経済の発展なんかよりも人間生活を優先させるということは常識です。すでに去年の十二月の国会からこういうように変わってしまった。そういう実態からして十分この点だけはまた心に入れておかなければならないわけです。内外ともにです。そして、こういうような状態の中で、最近、来年の国連人間環境会議に向けて、国民の目の届きにくいような国際舞台では、むしろ環境論議うしろ向き環境外交を進めている、こういうようなことをちょっと耳にしたわけであります。これはほんとうだとすれば遺憾この上もないことです。したがって事実として二、三点をただしてみたいと思います。これがすべてじゃないのです。初めにこれを聞いておきたい。  それは、四十七年の六月にスウェーデンの首都のストックホルムで開催される予定の国連人間環境会議日本政府はこの会議の柱になる人間環境宣言の起草をめぐって諸外国との間に、あるいはこれにさからって環境権を盛り込むことに難色を示している、また公害を起こすおそれのあることに対処する事前協議制に対して、また国家賠償責任の問題と加害者における費用負担の問題とあわせて、これは何か反対している意向があるかのように昨日の新聞に指摘されているわけであります。これはゆゆしき問題です。これはどういうことになっているのか。中国問題ではいま遺憾ながら世界孤児になろうとしているのです。環境問題でも環境庁ができてこれまた世界孤児に、あなたが二代目の大臣になってこれになってはいけないことであります。一体これに対してはどういうようなことになりますか。政府見解を承っておきたいと思います。
  12. 大石武一

    大石国務大臣 環境保全とか公害対策につきましては、やはり常に政府世界の諸国と協調して前向きの姿勢でいかなければならないと考えます。中国問題とは異なりまして——中国問題は一つの政策であります、これはいろいろな行き方がありましょうけれども環境保全とか自然保護あるいは公害対策というものは、各国においても思想的な違いがあるとは思いません。そういう意味でわれわれは全面的に、しかも環境保全ということは一つの国だけでこれを実行することはできない、やはり世界の国々が全部集まって、全地球的な観点からこの対策を立てなければならぬ時期がすでに参っております。そういうことでわれわれは決して世界動向に対してうしろ向きではございません。堂々と胸を張って、世界動向にむしろ先がけて進んでまいりたいくらいの気概を持っております。ただいまの環境権の問題とかいろいろな問題についてうしろ向きではないかという御発言がございましたが、これは詳しいことはまだよく聞いておりません。これはいま外務省所管しておりますので、一応外務省局長からその内容をお聞きになっていただきたいと思います。
  13. 島本虎三

    島本委員 しかし、これは十一日に、国連人間環境会議事務局長であるモーリス・F・ストロング氏が外務省の招待であなたに会って、そうして諸外国公害の問題についていろいろと話し合うことになっている。きょうは十日でしょう。十一日はあしたでしょう。こういうような問題がわからないで、会ってどうなるのでしょうか。外務省も来ていますか。呼ばなかったんだけれども、これはちょっと手落ちでした。しかしこれはちょっと問題だと思うのです。おそらくそのときには大臣、これは諸外国の要求をになって来る事務局長なのですから、その注文に対して政府はどういうように対処するのか、世界が注目しているはずですよ。これはどうなっているのか。外務省のほうに聞いてくれと言って、外務省事務官僚にまかしておくからおかしいので、むしろこういうようなのは皆さんのほうが専売特許専門家をそろえているはずなのですから、手落ちなくやるべきだ。外務省を指導しないとだめです。これはどうも何か公害外交が弱体であるのじゃないか。内面を締めようとしても外部に対してはやはり弱体、これは身に覚えがあるから、しようがないといえばしようがないようなあんばいですけれども、いま専門家もいることですから、陣容を整えて——いま日本公害がひとり許されるような状態になっておりません。全世界の問題として、ことにGNPでは自由主義国で二番目を誇る日本であれば、当然風当たりも強いわけでしょう。こういうふうに見ると、国民の目だって節穴じゃございませんから、それがわかったとたんに、また政府に対する不信感がつのる。政府としてはこれをどう受けとめようとするのか。十一日を控えてこれは重大な問題ですが、これがわからぬわけはないと思うのです。
  14. 大石武一

    大石国務大臣 ストロング事務局長とは、十二日の午前十一時半からお目にかかることになっております。それで、一応外務省にその折衝をまかせてありますが、あしたの朝、外務省関係すべて寄りましていろいろと内容を打ち合わせて、ストロング局長に面会するときの態度をきめたい、こう考え——実はきょうと思いましたが、きょうは委員会がございますので、あしたの朝ということに予定いたしております。そういうことでございますから御了承願います。
  15. 島本虎三

    島本委員 環境庁、大体、官房長だって専門家です。そのほかにだってみんないるのです。外務省に牛耳られて、外務省の言いなりにやる手はないですよ。あなたのような専門家がこれを指導して、もし日本が敢然とした態度公害に臨むならば、国内法だってこれほど整備していて、今後も見てくださいと胸を張って言えるためには、あなた自身が指導するよりほかしようがないじゃありませんか。あなただって衆望をになって官房長をやっている。この点では少しはっきりしたことを言ってもらわないと困る。
  16. 城戸謙次

    城戸説明員 ただいまの、人間環境会議環境宣言に関します政府間のワーキンググループでございますが、これにつきましては、ことしの三月の第一回の準備委員会環境宣言を採択することが提案され、決議されまして、それに基づきましてワーキンググループができたわけでございます。このワーキンググループは、本年三月と五月に開催されましたが、これには外務省のほうから出ておりまして、私どもは直接出ておりません。ただ、このための検討会外務省を中心にございましたが、私どもといたしましても、基本的には前向きの姿勢ということで外務省とも話し合っておりますし、報道されている内容は、それがそのまま事実では決してないと思っております。事務局長が見えましたらそのお話等十分聞きまして、今後前向きで進めますように外務省と相談してまいりたいと思っております。
  17. 島本虎三

    島本委員 あと二点だけ、これははっきりしておいて臨んでもらいます。  海洋汚染、これは日本は残念ながら張本人国というのですか、公害に対しては信用がないのです。インド洋と東シナ海で油を流して、最大の公害発生国日本じゃないか、こういうような悪評が流れておる。日本では、もうすでに去年の暮れに海洋汚染防止法ができております。政令はまだできておらないが、関係法律水質汚濁防止法だってできておるのです。これはもう政令だってできるころでしょう。こういうふうに見ますと、日本悪評高いということは、法律ができたと誇っておっても、その内容自身が不完全だということになってしまうおそれがあるし、また、そうであるから不評なんでしょう。  それで大臣、これは昨年だと思いますが、ローマで開かれた海洋汚染国際会議でも、ペルシャ湾の石油汚染問題でクウェートの漁業代表か何かに日本が抗議を受けたということもいわれておりますし、また、ことしの六月にロンドンで開かれたストックホルム会議のための海洋汚染作業部会、ここでもフィリピンの代表に指摘された、こういうようなことも報道されておるわけです。こういうふうに見ますと、どうも日本はいま放射能以外の公害排出国だ。たった一つ放射能だけは出しておらない。これだけは日本は誇れるかと思っていたら、最近はそうでもないような事情さえ報道されておる。こうしてくると、公害といわれる公害の全発生源は、残念ながら世界じゅうを向こうに回して日本じゃないか、こう言われても口があかない。これは困ったことじゃありませんか。日本化学会社は、排水廃液を船で沖合いに運んでいって海洋に流しているという事実さえもあるわけでしょう。一体政府は何を考えていまそれに対処しようとするのか。こういうような事実を指摘されたら、海洋汚染の問題にしろ、いろいろな環境保全の問題でも、口があかないじゃありませんか。これに対しても、外務省とよく打ち合わせしてやる、こういうようなことを言っておるのですが、現にこれを許可してやらしておるこの実態をどういうふうにして糊塗するのですか。これは、大臣もそうであるけれども官房長、この点なんかだったら、外務省へ行って幾ら言ったって言いのがれができませんよ。それはあなたが一番よく知っているはずだ。いまのこの事実に対して、どういうふうにして外務省と打ち合わせをするつもりですか、官房長
  18. 城戸謙次

    城戸説明員 日本海洋汚染をしているじゃないかという具体的な事実関係でございますが、これは今後法律の施行を厳にやっていくことによって取り締まっていくということしかないわけでございます。私ども、実は先般、公害に関する日米会議に臨みました際に、アメリカ側からもそういう話があったわけでございますが、日本としては、昨年来、海洋汚染防止法を提案し、また廃棄物の処理及び清掃に関する法律を提案する、この二つの法律の組み合わせによりまして海洋の汚染と前向きに取っ組んでおるということをアメリカでも非常に評価しまして、アメリカ自身国内法を提案しているわけでございます。これによって、さらに国際的の合意のもとに海洋汚染を防止していこう、こういうことから人間環境会議ワーキンググループのほうに条約案なるものを提案しているのがアメリカの実情でございます。私どもとしましては、制度としては日本も前向きでいっている第一人者だ、こう思っておるわけでございます。  なお、この法律が厳重に施行されることにつきましては、今後の私どもの努力にひとつ注目していただきたいと思うわけでございます。
  19. 島本虎三

    島本委員 努力に注目してもらいたいということは率直な答弁です。それは注目いたします。  それで、この事実として、あとでこれをやりますけれども海洋汚染防止法ができても、これを実施するのに一年以上かかっているでしょう。そうでないとこれは発効しない。それだけじゃありませんね。いろいろありますけれども中小企業の場合には、またそれより二年も長くかかる。今度は、公害防止の管理者を義務づけるために、事業所の公害防止管理者の義務に関するいろいろな政令、これだって、一万一千の工場を対象にして、来年九月以降は公害は絶対出さないようにするのだ、こういうように言っていても、一日の排水量が五百立方メートル未満の事業所は、一年からまた三年間猶予期間をおくということになっているでしょう。そして、罰金はといったら三十万円でしょう。これはやはり水に関係することでしょう。となれば、一年猶予をおいて、中小企業の場合はまた、一年のほかに三年猶予する、こういうような中で、水がきれいになるまで待ちましょうといったって、そういうわけにいきません。諸外国のほうでこれを見ておりますので、この点では大臣、もう少し具体的な姿勢を示すならば、政令内容、省令の内容にまで立ち入って、こういうような疑いを持たれることがないようにして出発すべきだと思うのです。言うことは確かに整っているのです。法律の字句は整ってできておるのです。しかし、具体的に実施する面になると、一年おいて後、またそれから三年おいて後ということでは、いつの日に水がきれいになるのですか。こういうような政令の点が底抜けです、しり払けです。こういうようなことをやっておったら、あなたは堂々とストロング氏と会って対談されるようですけれども、これは指摘されますよ。この点については、やはりまる裸になって日本の決意を堂々と示すべきだと思います。  それだけじゃありません。環境権の問題は、世界に先がけてというふれ込みで環境庁までできたのです。私は、環境保全庁でない、保全を抜いたのが不満ですけれども、まずそれ以上りっぱなことをやるというから、これでもうがまんします。環境権の問題がなくて、どこに環境庁があるのですか。したがって、「すべて人は基本的人権の十分な享受のため、安全で健康な環境を享受する基本的権利を持つ」ものである、これくらいあたりまえのことになぜ日本は反対するのですか。何の根拠で反対したのですか。反対したという事実はなかったのですかあったのですか。この点だけはひとつ明確にさせてもらいたい。
  20. 城戸謙次

    城戸説明員 外務省からお答えするのが正式だと思いますが、私ども外務省と相談しました文書の中でも、そういうような個人の権利を認めていくということにつきまして、現在及び将来にわたって全人類共通の努力目標を高くうたい上げる宣言の趣旨にふさわしいということをいっておるわけでありまして、外務省が現地におきましてこれに否定的態度をとったということは考えられないわけでございます。これにつきましては、なお詳細打ち合わせてみたいと思いますが、基本的態度としましては、前向きで全部いくということになるということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  21. 島本虎三

    島本委員 それだけではこれに反対する根拠、理由は一つもない問題であるから、これはスイスとオーストリアは国内法関係で反対であった、しかし国内法の整備している日本がこれに反対したという態度は、これは世界的な不信を買いますから、おそらくそれはうそだろうと私は思って疑いませんから、この点だけ明確にしておくべきであります。これは大臣の任務だと思うのです。  その他事前協議の問題、これは環境を悪化するおそれのある行為については、関係国と事前に協議、相談する。そのために日米会談をやった。関係諸国等との会談もやる。委員長も今度そのためにソ連まで行く。まさに公害はもう国際的になっているのです、その防除の問題では。そしてその対象になるのは、核爆発による放射能汚染の問題であるとか、超音速の旅客機によるところの騒音公害の問題であるとか、国際河川への廃棄物の投棄の問題であるとか、それからタンカーによる海洋汚染防止の問題であるとか、こういうような問題は当然現行の国内法にも規定されている、また当然されなければならない運命にある問題。おそらくは、こういうようなことに対してでも拒否する態度または逡巡する態度をとるということは許されないと思います。これなんか、タンカーあたりでもたれ流ししてきているから、そういうような事実をやられるのは困るからこれはやれないのじゃないか、当然そう疑われます。困った問題じゃありませんか。  それと国家賠償責任、これだって無過失賠償責任国民に対してとろうとしている政府姿勢でしょう、ことばの上では。いや、大臣もそのつもりでいると思いますが、この前出たのを引っ込めたのはことばの上であるということをいわざるを得ませんが、国家賠償責任、こういうようなものに対しても、やはり公害環境汚染を起こすような、そうしたときには国が補償するんだ、これもきわめてあたりまえの話です。こういうのに対してもうしろ向きになっているんだ。こういうようなことは許されない、あってはならないのだと思います。こういうようなことは外務省だけの先走りであって、環境庁は全然それと違うんだ、全部認めるんだ、こういうようにいま城戸官房長はおっしゃっているのですが、その信念で、外務省なんて黙っていたらとんでもないことになりますから、せっかく環境庁生まれたんですから、外務省の役人を引っぱって、向こうに牛耳られないように皆さんその中核になって当然これはリードすべきである、こう思うのです。決意を伺います。
  22. 大石武一

    大石国務大臣 私は、島本委員のお考えと全く同じであります。世界で一流国としての正しい態度をとっていかなければならない、そう思いますので、そのような方向に進んでまいりたいと考えております。
  23. 島本虎三

    島本委員 具体的にいまあげたものに対して、外務省との打ち合わせはどうなっているのですか、官房長
  24. 城戸謙次

    城戸説明員 これらの点につきましては、具体的にどういうことをそれぞれの提案の中でいっているかということが必ずしも明確でありませんでしたから、事前においてのいろんな想定に基づいての相談は若干いたしておりますが、具体的なことになっておりません。したがって、外務省といたしまして現地の会議におきましてどういうような話をしたかということにつきましては、確認しませんとここでお答えできないと思うわけでございます。
  25. 島本虎三

    島本委員 したがって、外務省が中心になってやるようなことではなく、環境保全の問題であるならば環境庁が中心になってやるべきである、これをリードして行なうべきである、こういうことなんです。向こうがやったのだから知らない、まだそんなことを言うのですか。ほんとうに知らないのですか。向こうがやったから知らないでは、官房長、許されないですよ。環境の問題をかってにやることはできないはずです。そうでしょう。ほんとうに知らないのですか、城戸さん。
  26. 大石武一

    大石国務大臣 お答えします。  これは私としても、いま考えて少しうかつだったと思います。いままでの日本の行政はやはり縦割り行政でございまして、どうしてもその所管の役所が中心となって、あまりほかの役所が口を出さなかったような感じがいたしますが、これは間違いだと思います。やはり環境保全に関する問題につきましては、外務省と私どもとで十分に根本的なものの考え方、意見というものをまとめまして、それによって技術的には外務省会議その他において進めてもらうという根本的な姿勢をわれわれはきめてまいりたいとはっきり申し上げます。
  27. 島本虎三

    島本委員 そういうふうにしてやらなければなりません。それと同時に、日本の各化学会社で有害な排水、廃物を船で運んで海洋に流している、こういうような事実があることは遺憾である、したがって、これはなくさなければならない、こういうようなたてまえに立って海洋汚染防止法が去年の暮れにできておるのです。これだけはいい法律ですよ。(「ほかだっていい法律だよ」と呼ぶ者あり)もちろんほかだっていい法律ですが、これだっていい法律です。ところが、いい法律でありながら、ほんとうのところ、肝心なところはみんな抜けているのですよ。これはどうなんですか。海の汚染を防ぐために、船から油と廃棄物を原則として捨ててはならないということになっておる。これなんか原則がつかなければなおいいのですが、原則がついているのです。従来の海水汚濁防止法のしり抜けをなくして、野放しの廃棄物を規制する、こういうような趣旨だというから、これは前進でしょう。しかし、この中で例外規定が多過ぎる。それと同時に、政令による事項が多過ぎる。それと同時に、禁止に対応する油や廃棄物の処理施設の整備がおくれ過ぎている、こういう欠点があるわけなんです。したがって、いまこの法律ができても、どんどんと、これはまだ海洋投棄を奨励されるがごとくに依然としてやっているわけです。これだったら、やはりこの会議に出ていっても、その点を指摘されたらどうにもできないじゃありませんか。一体こういうようなことに対しては、この法律は運輸省のほうではどういう考えを持っているのですか。
  28. 岡安誠

    ○岡安説明員 実は海洋汚染防止法は御指摘のとおり運輸省の所管でございますが、海洋の汚染を防止するという意味におきまして、海洋にいろいろ廃棄物その他のものを捨てるというような処分に関しましての基準、いわばどの地域にしか捨ててはいけない、それからどういうような方法でなければ捨ててはいけないというようなことにつきましての基準は、環境庁が一応つくるということになっております。ただ、御指摘のとおり、海洋汚染防止法は成立いたしましたけれども、それらの関係の規定は来年の六月に施行ということでございまして、現在関係省と相談をいたしましてこれらの基準を検討中ということでございます。  基本的には、やはり先生のおっしゃるとおり、海洋汚染を防止するためには、原則として海洋汚染をするようなものは捨ててはならないというような原則でいかなければならないというふうに私ども考えております。特に海洋の生物環境を破壊をいたしたり、それから生態系を破壊するというおそれのあるような物質につきましては、これは投棄を禁止いたしたいというふうに考えておりますが、ただ、やはり現状といたしまして、そういうようなおそれのないようなもの、さらには水産動植物に影響のないようなもの、また捨て方等につきましては、しばらく海洋投棄を認めざるを得ないというふうに考えておりますので、それらの範囲等につきましては、基準等によりまして明らかにいたしたい、かように考えております。
  29. 島本虎三

    島本委員 野島崎沖のほうへ、昭和電工と日軽金が一日に数千トンの赤どろを大洋へ持っていって投げてきております。これが流れるところは、中部太平洋まで拡散されていっているという事実です。これは国際信用の問題になり、オーストラリアのほうからこの点を指摘されていることは御承知のとおりなんです。現にそれをやらしておる。そして、こういうようなことに対しては今後なくしなければならない。この法律はつくったけれども、まだまだそれは実施されないという状態、なかなかこれは困った問題だと思います。この赤どろというものは一般廃棄物なんですか、産業廃棄物なんですか、どっちのほうになっていますか。
  30. 浦田純一

    ○浦田説明員 アルミニウムの製錬過程で生じまするいわゆる赤どろ、これは無機質の汚泥でございますが、その廃棄される過程から考えまして、新しく改正になりました廃棄物及び清掃に関する法律の規定する産業廃棄物に入るものと考えております。
  31. 島本虎三

    島本委員 これはやはり法第二条によって産業廃棄物に規定されておりますけれども、これは鉱滓として処理するのですか、汚泥として処理するのですか。どっちのほうの考えで今後これを規制しようとしますか。
  32. 浦田純一

    ○浦田説明員 ただいま政府部内で意見の調整中ではございまするが、私どもの根本的な考え方といたしましては、無機性の汚泥ということで、廃棄物ということで処理させたいと思っております。
  33. 島本虎三

    島本委員 これはもう無機物であり、無機性の汚泥だということだ。これはあくまでも酸化鉄であり、どうしてもこういうようなものは鉱滓として当然処理させるべきじゃないかと思うのですが、何のために汚泥なんですか。たいがい、普通、汚泥というと下水処理場から出てきたり、活性汚泥であるヘドロ、こういうようなもので、植物性や動物性を入れた有機物のほうを汚泥として、これをいろいろ処理する段階において、これはある場合には栄養となり魚のえさになる場合もある。こういうようなものを有機物として、汚泥として処理されているようですが、これは無機物であり、無機性であるものは当然鉱滓でないか。鉱滓として処理すべきであるのにこれを汚泥として処理するという根拠はどうなんですか。
  34. 浦田純一

    ○浦田説明員 その点、いろいろと議論の分かれるところかと思いますが、私どもは、いわゆる鉱石としてのボーキサイト、これをアルカリ処理したもの、それで出てきたものということでやはり汚泥ということで、要は、先生の御指摘のように、海洋汚染を防止するという観点からきちっとした処分、処理をさせるということでございますので、そのように取り扱っておるわけでございます。
  35. 島本虎三

    島本委員 海洋汚染防止のための肝心の厚生省のほうで、こういうようなものの指定や政令によっての義務づけをもし間違えればとんでもないことになるおそれがあるのです。これは鉱石から出た鉱滓であり、当然それによって処理させるべきであるのに汚泥としてこれを処理させる。汚泥として処理させるならば、これに対する関係政令はできておりますか。
  36. 浦田純一

    ○浦田説明員 ただいま案の段階でございまして、政府各部局との間の意見調整をいたしております。
  37. 島本虎三

    島本委員 汚泥であるならば大洋へ放棄してもよろしい、こういうようなことになったら、環境庁、これまた中部太平洋まで流れていく。厚生省のほうでは、これを汚泥として処理してもよろしいという見解のようですけれども、これは鉱滓です。鉱滓にするか汚泥にするか、これはまだよく意見の整わないところである、こういうようなことのようです。しかし、もしこれを汚泥とする。汚泥ならば水で薄め、これを大洋に持っていって、親潮か黒潮でもってそれはそのまま流れていって、これまた世界じゅうの指弾を浴びることになる。こういうようなことをしていいでしょうか。また、厚生省のほうでやるとしたならば、そうでないような処理の方法を十分考えて、これは政令をいま練っておられるのだろうかどうか。これは重要でありますから、再び質問をいたします、局長
  38. 浦田純一

    ○浦田説明員 赤どろは、やはり鉱石であるボーキサイトをアルカリ処理したというものでございますので、内部的には汚泥の取り扱いでいきたいと考えておりますが、御指摘の赤どろ、先生御承知のようにこれは本来無機性のものであります。その主要成分は、酸化鉄とかあるいは酸化アルミニウムあるいは酸化硅素といったようなものでございまして、その性状から考えますと、天然に海底に堆積しております赤粘土に類似しているものというふうにいわれているわけでございます。したがいまして、これを廃棄してよろしいかどうかということでございますが、いま申し上げました点から考えます場合には、海洋への投入は必ずしも不適当なものではないというふうに考えております。しかしながら問題は、赤どろの中に非常に微細な粒子が含まれている、それがなかなか海洋に投棄した場合には海底に沈まない、いわゆる懸濁状態を呈するということでございますので、その点が問題点として一つあろうかと思います。  それから、海洋投棄いたします場合の投入地点につきましても、先ほど環境庁官房長のほうからも、あるいは水質保全局長のほうからもお答えがありましたように、水産動物系への影響、いわゆる生態系への影響といったようなことを顧慮いたしまして海域を選定する、そういうようなことをいろいろと検討しているわけでございます。各界のいろいろな御意見、調査結果、こういったものを鋭意私どものほうとしては検討いたしまして、できるだけ先ほど申し上げましたような点で支障のないように政令中身考えてまいりたいと考えております。
  39. 島本虎三

    島本委員 政令中身に触れているわけでありますけれども、その考え方が、もうすでに鉱滓であるものをあくまでも汚泥と認めていく、それはいろいろな考え方もあるでしょうけれども、それはちょっと不自然である。どうせ鉱石から出るから鉱滓なんであって、これはあたりまえの話でありませんか。まずいろいろなことをおっしゃっていますけれども、これはほんの微粒子であってなかなか沈降しない。そして主成分は酸化鉄、それから酸化アルミニウム、それからゼオライト。これは毒性はないけれども、なかなか沈降しがたいものである。そういうふうにして見ると、黒潮で流されていく、それは沈降しないで拡散して流れる。そういうふうなことから、すぐもう水の中では当然海中の栄養分といわれる窒素、それから燐酸、カリ、こういうようなものが赤どろの中へ吸着される。そして海水中の燐がもう不足する。当然プランクトンに影響してくる。したがって魚が育たなくなる。魚のみでなく、海藻や海底の動植物にまで影響がくる。そうしたならば、当然海洋状態、漁業の状態も変わってくる、こういうようなことになるでありませんか。これをこのまま投げても、まだ研究中である、こういうようなことばはちょっといただけない。こういうふうな状態でただ流しておくのは、ただ単に海水を汚濁するだけじゃなく、水中の動植物にまで影響が来る。水産庁はこれを黙って見ていていいのですか。いままで数千トン毎日のように流しているのを、水産庁は黙って見ておるようですけれども、漁民はそのために猛烈な陳情をなすっておるようでありますけれども、水産庁はこれに対して無害だと信じて黙っておるのですか。
  40. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 現在赤どろを流しております区域は、北緯三十四度以南、東経百四十度以東というふうに報告がなされておりまして、その海域ですと、おおむね黒潮の軸流の外側というふうに考えられますので、現在のところは、水産動植物の被害が比較的少ない。報告されておりません。といいますのは、会社の報告でございますが、これが比重が約三近くございまして、比較的早く海底——この区域は大体水深四千メートルぐらいございますが、四千メートルより深いところに沈降するということで、水産動植物の被害はいまのところ報告されておりませんので、ここの地域について私どもいま直ちに議論をしているわけではございません。ほかの水域につきまして、これが水産動植物に無害であるということは申せませんので、その点につきましては検討いたしたいと考えております。
  41. 島本虎三

    島本委員 ほかの地域や諸外国のほうから、次長、これは日本のマグロでも、それからいろいろな油の被害を受けるからタンカーの害でも、いろいろ日本の近海から投げられる汚物によるところの被害があげられているのです。水産庁のほうでは、日本の近海でないからいいんだというふうに言われるのです。環境庁のほうでは、日本が原因になってみな流すからというので国際的な非難を受けるのです。どうも閣内で不一致じゃないですか。いわゆる完全に処理させないからこういうようになるのです。GNP世界自由主義国の二位をいかに誇っても、こういうようなところで抜け道をつくって、やるべきところをやらないで総生産力だけをあげても、何ら誇るべきあれではありません。むしろこれをきちっとさせるのがいまや環境庁の使命なんです。水産庁ではまだそういう考えのようです。全部これはまだおくれていますから、十分調整すべきであります。これは厚生省でも環境庁でもいい、この赤どろに対して今後処理の方法としてどういうような案を考えておりますか。
  42. 岡安誠

    ○岡安説明員 赤どろの処理につきましては、具体的には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行令の中で処分の基準を書くということでございまして、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、一応私どもといたしましては厚生省と相談いたしまして、赤どろは汚泥ということで処理いたしたいと考えておりますが、この処理の方法につきましては、いまお話しのとおり、海洋の投棄をする場合には水産動植物等に影響がないような区域、また処分の方法をもってする。さらには、それらをただ単にまき散らすことによりまして海水が汚染をし、生態系に影響を与えないようなそういう方法もあわせ考慮いたしまして、処理の方法は慎重に検討し、政令等で明らかにいたしたい、かように考えております。
  43. 島本虎三

    島本委員 依然としてまだきまらぬようですが、諸外国の例なんかを参考にして考え対策を練っておられますか。
  44. 岡安誠

    ○岡安説明員 十分検討いたしたいと思っております。
  45. 島本虎三

    島本委員 オーストラリアで、これは最大のアルミナ工場カイザーがありますけれども、百八十万トン、日量百二十万トン程度をやっていますが、一つの大きな島を買ってそれを沈でん池にして、広い池ですから何ら公害を排出させておらないということをいわれておるわけです。これは日本ではただ海洋に捨てればいいという考えのようであります。ほかのほうではそういうふうにして、大きい島一つを全部沈でん池にするぐらい考えてこれをやっているようでありますけれども日本でも大沈でん池の構想ぐらい持ってもいいんじゃないか。また、陸上処理施設を考えないところへむやみに海中投棄はやらせないほうがいいんじゃないか、こういうふうに思うわけです。それでもまだ依然としてわからないのではなくて、あえて言うと、これは金がかかるから害のないところは海中投棄を認める、こういう腹じゃないのですか。これは環境庁、腹の中をはっきりさせてください、ことばのあやはわかりましたから。
  46. 岡安誠

    ○岡安説明員 廃棄物の投棄を認める場合におきましては、もちろん技術的な問題等十分検討いたしまして、また技術的問題が解決でき、実際の実施に移せる機関といいますかそういうものも十分検討いたしまして、もちろん、おっしゃるとおり、できるだけ陸上処理ができるならば陸上処理を原則といたしまして、やむを得ない場合に限り海洋投棄を認める。その場合においても支障のないような方法で認める、そういう方針処理いたしたいと考えております。
  47. 島本虎三

    島本委員 では、この赤どろはどういう支障のない方法で認めるのですか。支障があるのです。支障のない方法で認める、この逃げ道はどういうふうな方法で認めるのです。
  48. 岡安誠

    ○岡安説明員 支障のない方法につきましては従来もいろいろ検討があったわけでございますが、いろいろその検討の結果につきましても議論があったりということでございまして、現在具体的には、北海道庁におきましてこの赤どろの処理につきまして予算も計上し、専門家に委嘱いたしまして具体的な支障のない方法を現に検討いたしております。それも急いで結論が出るように促進がされているように聞いておりますので、それらの結論を見まして私ども処理をいたすという方針でやっております。
  49. 島本虎三

    島本委員 支障のない方法というのはどういう方法だということは、具体的にはおわかりにならぬのですか。また、支障のない方法がはっきりするまでの間海上投棄も認めない、こういう腹ですか。私、どうも言っていることが、最後一つ逃げ道があるような気がして、これだけは納得できない。大臣、これはどうも向こうのはことばだけやってだめだから、今度はあなただ。
  50. 大石武一

    大石国務大臣 この赤どろの問題につきましては、先日も北海道の漁民その他道民を代表する方方からの陳情を受けました。いろいろと事情を聞きましたが、やはりこれは海洋汚染の非常に大きな一つの原因だと思います。私は、気持ちとしてはこれは海洋投棄させたくありません。ことに室蘭ではことしの末から多量の赤どろが生産されて、それが海洋投棄の方向に進んでいるようでございますが、これは私は検討を命じまして、何とかして陸上処理ができないか、それが海洋汚染を来たさないかどうか検討せいということを命じております。私としては、できるだけ海洋をよごしたくないのです。ですから、できるならば、そのままかりに捨てるならば、大きな箱にでも入れて三千メートル、四千メートル深く沈んで浮かんでこないような形ならけっこうでありますが、こまかい微粒子がずっと海洋をただ流れるのでは、これはやはり海洋汚染の大きな原因になりますから、何としてもこれは海洋投棄させたくないという気持ちでいま検討させております。
  51. 島本虎三

    島本委員 一つの方法として、六〇%水を含んでいますから、そういうふうな関係でセメントをまぜて凝固させてしまって、漁民と相談して漁礁をつくるのにこれをやってやったら、向こうだって喜ぶじゃないですか。害のない方法というのはこの辺まで考えているのかと思って聞いたけれども、さっぱりそっちのほうは考えていない。これは金はかかる。しかしそれ以上もうけているのだから、セメントでそれを固めて、そうしてそれを魚礁としてほうぼうへ投棄してあげる、その試験くらいはやってどうですか。こういうようなことで十分検討されたらどうでしょう。水産庁あたり、そんなようなことはあなたのほうで考えたらいいのです。どうもこの辺だったらもう対策が十分でないと私は思う。その辺も十分考えてこれは対処していって、おそらくは納得するまでの間は——これはことしの暮れから始まりますけれども、苫小牧あるいは今度第三期の総合開発計画が実施されます。そうなってもこっちから行ったやつが勢力を発揮するわけですから、その際に、また本州の公害が再び北海道の広野をかけめぐるようではとんでもないことでございますので、やる前に十分な対策を講ぜられるようにこれは心から要請いたします。大臣、この点に対して、道民、国民が期待するような答弁を最後にしてやってほしいと思います。
  52. 大石武一

    大石国務大臣 先ほど室蘭と申しましたがこれは苫小牧の間違いでございました。苫小牧でそのような経緯があるようで、大きな海洋投棄用の船までつくっているそうでございますが、これははっきりとその被害があるいは海洋汚染がないように、あるいは漁業に被害を及ぼさないような確定がつくまでは何としても投棄いたさせたくないという考えで行政を進めていきたいと考えております。
  53. 島本虎三

    島本委員 ではこれで一応次の問題に移りますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行令、これは現にできつつあるのも私の手元にあります。大臣も読んでください。この中では、いずれにしてもこれは海洋へ投棄してもいいような抜け道があります。こういう政令はとんでもないことになるのです。また国際的に指弾されるのです。こういうようなことがないように十分注意した上で、部下を督励して公害防止の実をあげて、まずヘドロの問題からやってもらいたい。ヘドロの問題は去年、今度は本年は赤どろの問題でりっぱに対処してもらいたい。このことを強力にお願いして、次に移らしてもらいたいと思います。  次は環境破壊についての件であります。文化庁から来ておりますか。
  54. 小林信一

    小林委員長 来ています。
  55. 島本虎三

    島本委員 先般いろいろ環境破壊の事実、これは史跡の破壊が相当行なわれておる、このことを指摘いたしました。それに対しまして十分検討することになっておりましたけれども、その検討はお済みでございましょうかどうか。
  56. 安達健二

    ○安達説明員 御案内のとおり、最近開発の波というものが非常に激しくなってまいりまして、そのために史跡、特に地下に眠っておるところの埋蔵文化財あるいはその包蔵地が破壊される危険が増してまいっておることは御承知のとおりでございます。これに対処する方法といたしまして、一つは、埋蔵文化財包蔵地というものが地下に眠っておりますので、どこにあるかということが明らかでない場合も必ずしも少なくない、そういう観点からいたしますると、その埋蔵文化財包蔵地の個所をはっきりするということが第一段の任務であると思っておるわけでございます。こういう点から、昭和三十九年から四十二年にかけまして全国遺跡地図というものをこしらえまして、全国で十四万カ所の場所を地図にしましてこれを全国に配布し、工事関係者にこれを知っていただくようにいたしておるわけでございます。ところが、さらにだんだんと学術調査が発展してまいりますと、それにないようなものでもまた発見されてくるというようなこともございますので、本年度から三年計画をもちましてもう一度全部調査し直して、もう一度地図を書き直すという作業を続けておるというのが第一段でございます。  それから第二段といたしましては、これらのいろいろな工事をする場合におきまして、遺跡を守る側と工事をする側との間の連絡が必ずしも十分でないということがございます。そういうことをあらかじめ知っていたならば、そういうところを避けたであろうという場合が、間々といいますか相当ございます。それを避けるためには、たとえばその保存の責任を負うところの教育委員会当局あるいは土木部その他のところの関係当局の中での連絡が十分されなければならないということで、前に、昭和三十九年にそういう趣旨の閣議決定がなされておりますので、この趣旨を事あるごとに徹底をするようにつとめておるわけでございますけれども、なおその連絡が不十分のために、工事が途中まできて、見つかって困ったというようなことがございますので、この点についてはさらにその趣旨の徹底をはかりたい、かように考えておるわけでございます。  それから第三といたしましては、これはどうしても守らなければならないというようなそういう遺跡があって、その工事ができないという場合にどうするかということになりますので、その場合には、その土地を買い上げて、これを遺跡として整備をして、この遺跡の意義を住民に伝え、みんなでもってこれを保存するようにする必要がある。そのためにはその土地を買い上げていかなければならないということで、現在約十五億近い金を出しまして、これを市町村等が買い上げをする場合の補助にするというようなことでございまして、この買い上げ費も土地の値段の騰貴等に伴いましてたいへん少なくなってまいっておりますので、われわれとしてはその増高に極力努力をいたしておるという、こういうのが第三の対策でございます。  なお、法律上におきましては、現行の文化財保護法によりまして、学術発掘の場合においての届け出、それからもう一つ、工事等に伴う場合の発掘の届け出の条項がございまして、これの励行を極力指導いたしておる、こういうような対策をもちまして、この開発の波の中にあって、この遺跡を保存するための努力を重ねておるわけでございます。
  57. 島本虎三

    島本委員 やはりこれは環境庁ができ、環境保全するという立場に立って、公害の防止とともに、こういうような遺跡の保護は重大な問題なのであります。産業より法的にこれは優先するからでございます。この問題でも、大臣からいま御答弁があった苫小牧の東部開発に伴う埋蔵文化財保存、これがいま危機に瀕しているわけです。というのは、これは北海道遺跡保存協会の峰山厳会長、それが六月二十二日に北海道文化財保護協会事務局長として、堂垣内知事、岡村教育長に対して、苫小牧市の東部開発に伴う文化財保護についての陳情を行なっております。この苫小牧市の東部開発、これは運輸省と北海道とがタイアップして、苫小牧市に第二新港を築造して、そして鵡川、厚真、早来にまたがる一大工業地帯をつくり上げようとすることなのであります。すなわち、運輸省の港湾整備新五カ年計画、四十五年から五十年まで、それに基づく苫小牧第二新港築造計画と、北海道の第三期総合開発計画の一環としてこの新港づくり、及びそれを中心とした一市三町村にまたがる約一万ヘクタールの地域の港湾中心のコンビナート形式による石油化学、アルミニウム、これは日軽金、その他鉄鋼産業、こういうような大工業地帯築成計画と一体化して、いま進めておる最中なのであります。そうしてその中で、今度は、縄文式時代前期から続縄文式時代に至る土十数カ所の遺跡がすでに確認されておったわけであります。そして、それ以外にもまだまだ数多くの遺跡が埋蔵されていることが予想されるのであります。そういう中で、やはり郷土の文化を研究している皆さん方が一緒になって、そういうような問題に対しては、開発計画地域内の埋蔵文化財包蔵地及び動植物等の天然記念物の所在を調査して、自然環境地域、緑地、史跡公園など、この保存を講ずることを考えて、工事計画から除外をしてもらいたいと陳情しております。それと、文化財の破壊消滅がどうしても避けがたいときは、事前に学術的な調査を実施して、記録保存の万全を期すること、これを第二番目に要望しておるのです。それから、工事途中において文化財を発見した場合には工事を中止して上記に準ずること、この三つをいま要請しておる最中なのであります。しかしながら、この要望はどうなっておるのか、依然として答弁が返ってこない、こういうような不安があるわけであります。これは苫小牧の工業地帯であって、国と北海道が開発を進めておるそのまっただ中にあるのです。これは一体環境保全なのか、産業優先なのか、どっちのほうでありますか。
  58. 安達健二

    ○安達説明員 ただいま御指摘になりました苫小牧の開発につきまして、私どもまだ十分な情報を得ていないわけでございます。ただ、ただいま御指摘になりました三点につきまして、われわれとしては、この埋蔵文化財の保存あるいは遺跡的なものの保存につきましては、第一番目に、やはり学術的な調査に基づくところの価値というものを十分根拠に据えたい、こういうことでございまして、それによりまして、ただいま御指摘がありましたように、学術的価値の面から見てどうしてもこれを残さなければならないかけがえのないものであるならば、それは工事の部分からはずしてもらいたいし、またその程度が比較的軽いものであるならばこれは学術調査をして記録に残す、こういう方針につきましては全く御指摘にあったことと同様でございまして、まだ私どものほうにも相談がまいりませんけれども、県の教育委員会と協力しまして、われわれとしてはその遺跡の保全について万全を期するようにいたしたいと考えております。
  59. 島本虎三

    島本委員 なおその点についても、市町村にそういうような方面の専門家、これはいるはずなんですが、体制が十分になっておらない。そして発見して、それも民間からの指摘を受けておる。それでも市町村の中には、それを知りながらも道路をつくるためにそれを強行しておるというような例もある。こういうような点では、やはり文化庁のその遺跡保全また環境保全についての意思が下部末端まで十分おりておらないのじゃないか、こういうふうに疑わざるを得ないわけです。  私の調査によりますと、これは埋蔵文化財包蔵地遺跡分布状態で、遺跡台帳に登載されておるものです。北海道では二千二十七。石狩百四十四、後志百十九、胆振百六、釧路百九十七、宗谷八十、空知八十九、檜山二百二、日高百七十一、根室九十三、留萌二十九、上川百一、渡島百七十三、十勝百九十七、網走三百十九、これだけ遺跡台帳に登載されておるものがあるわけなんです。こういうようなものが残念ながらだんだん破壊されているという実態がございます。  それと同時に、発掘調査を行なったもので、三十九年から四十三年までにわたる五年間で宅地造成によるものが三十一件、農地改良によるものが十五件、道路工事によるものが十二件、その他十四件、計七十二件。そしていろいろと緊急調査の行なわれる場合のケース、これは工事を開始して遺跡を破壊、工事を中止させて行なう場合でありますけれども、遺跡台帳にある遺跡に、これは事前に明らかにされているはずなんですが、工事を進めるケース。これは遠軽それから礼文船泊、浜中、もうすでに遺跡が消滅してしまった。標津、いま中止の手続中、こういうようなところもあるのです。工事中に発見し、工事を中止させるような場合もあります。虻田の入江、余市の天内山、こういうようなものもあるのです。しかし、まだこれに対する関心は薄い。やはりこういうような点からして、もっと皆さんのほうで強力にこの点の指導をすべきじゃないか。民間にも、これに対して優秀な人たちがあるいは保存会をつくり、あるいは自分らのグループをつくって協力する体制があるはずであります。その方面との何ら関連を持たない、これも困ったものであります。  ついでに、破壊された遺跡を北海道に限って申し上げます。まず一、稚内市、竪穴群、これは建造物によります。二、豊磯、貝塚です。これも建造物によります。三、礼文島の香深、これはオホーツク文化包含地です。これは住宅工事によります。渡島サイベ澤、これは貝塚、道路工事による。渡島森、これは包含地、住宅工事による。礼文船泊、これは墳墓です。これも道路構築による。それから羽幌築別、竪穴群、これは苗穂整備による。北見の枝幸から雄武間に竪穴群が数カ所あります。これは道路工事によるわけであります。  こういうふうにしてそれぞれ警鐘を行なってきても、次に行ってみたならば破壊されてしまってあった。こういうようなことで盛んに憤激を買っているわけであります。何ら手を打っていない。こういうふうにして具体的にあげられるのは私どもの住む北海道にもあるのです。あれはまだそのときは環境が破壊されておらないと思っていたところが、もうすでに環境庁ができたあと、こういうふうに環境が多くのところで破壊されておる。これはちょっと許されない。許されないと言ったってどうにもできませんけれども……。しかし、やはり皆さんのほうでもっともっと行政の中で、この趣旨を徹底した血の通うような行政を行なわないとだめなんです、文化庁も環境庁も。そういうようなことからして組織的な事前調査、これはパトロール、こういうものが必要であると思います。それから遺跡の破壊発見、警告、こういうようなものはほとんど民間人ですから、そういうような人たちと十分な連絡をとって行政上の不備を補う必要があろうと思います。これに対して、無知な至上命令、破壊命令が出されておるという例もあります。だれだれという名前は言いません。しかしそういうような点は行政上のミスであります。そういうようなことに対しては、絶対責任をもって阻止させるように文化庁としては指導すべきじゃなかろうか、こういうように思います。そうして事務機構を整備して、関係の民間団体がパトロール中に新事実が必ず出てきますから、そういうような場合には、いさぎよくそれを取り上げて処置してやらなければいけない、こういうように思います。  だいぶ一人でしゃべってしまいましたが、時間を急ぐあまり一回一回聞かないで、こちらに資料がありましたから言いました。これに対して、いま結論を交えて言いましたが、ひとつ環境庁の決意を伺っておきます。
  60. 安達健二

    ○安達説明員 遺跡、埋蔵文化財の保護は文化庁が責任を持っておりますので、それについては私のほうから答えさせていただきます。  御指摘のとおり、非常に憂慮されるような事態があることは事実でございます。われわれといたしましては、まず第一番目にはやはり国民みんなが文化財の意義ということを知っていただき、また関係当局がそれに対する配慮をするということが非常に基本的なことだろうと思うわけでございます。その意味におきまして、文化財愛護の精神を普及するというようなことに第一に力を尽くさなければならないということで、昨年は文化財保護法施行二十周年でございましたので、文化財白書を出しましてその趣旨を徹底しております。また、この問題は子供のときから十分そういう意識を養う必要もございますので、今度の教育課程の改定の中で、文化財の保護ということを正式に取り上げていただいておるわけでございます。  それからさらに第二段の具体的な問題にいたしますと、行政機構の内部の問題、教育委員会とその建築なり土木の担当部局との連絡を十分とるということでございます。さらにまた、民間の文化財保護に関心を持たれる方々の意見との調整というものをくみ上げていくということも大事なことでございまして、われわれといたしましては、たとえば本年、地方文化振興会議というのをやっておるわけでございますが、これの中に文化財部門を加えまして、その方面の人との語り合う会をやっておるわけでございまして、その他一般の行政の問題として予算、土地の買い上げの増加とか、あるいはまた法律の施行に遺憾なきを期するというようなことにつきましても御指摘の点を十分心にとめて、われわれとして最善の努力をいたす覚悟でございます。
  61. 島本虎三

    島本委員 最善の努力をしてもらいます。  それと同時に、国自体が破壊しているのです。それは天塩川口基線遺跡の保存については、天塩川川口東岸に数百の竪穴住居祉がいまなおくぼみを見せながら残されております。川口基線遺跡と呼ばれておりますけれども、その周辺に抜海・天塩線と呼ばれる国道が通る計画が表面化しております。そしてこの遺跡の意義を伝え、保存の必要性を述べて路線変更を訴えております。しかしながら、残念ながらもうすでにこの問題については、自動車一台通れるくらいの道をブルドーザーによってあけられ、ブルドーザーによってだんだん拡張されております。一カ月後には同じようなことが、もうすでに破壊されたと新聞記事がちゃんと地元紙に載っておるわけであります。「貴重な遺跡メチャメチャ、遠軽のタチカルシナイ」「林道工事で破壊」「町教委、道教委への届け遅れる」、こういうようなことはもうすでに国がこれを破壊しているのです。こういうようなことを文化庁が知らないわけはないでしょう。どうもこの辺になると、いかに法律では徹底したといいながらも、これはやはり環境破壊をそれぞれしておるというようなことになると、これはもう重大な、皆さんに私は警告をしなければならないと思います。確かにそれはもう何年かたって、その点の趣旨の徹底をはかり、小学校時代からの教育を通じてやっているのでしょう。しかしながら国自体がこれをやっているという事態は、これはやはり許せません。今後これを調査していただきたい、こう思います。  私は、これは資料がたくさんありますからもっともっと言いたいのでありますけれども、そのほかの質問がありますからもうこれでやめます。これは調査しておいてもらいたい。  緊急発掘調査。これに指定されているもので、北海道では、一、別海町西別川口の竪穴住居址群、二、斜里町の美咲竪穴住居址群、これはホクレンのでん粉工場の廃液処理のためにこれをつくって、そして一面にでん粉の廃液を投げるのに竪穴住居群を使っている。これは公害の排除のために、公害防止をするというのでこういうような史跡をやってしまっているのです。こういうような例もある。これは十分調べてあとから報告をいただきたいし、これの処理の方法も私の手元まで報告していただきます。それから、三、遠軽町寒河江の竪穴住居祉群、四、東釧路の貝塚。  それから、破壊された遺跡及びその可能性のある遺跡。一、遠軽町のタチカルシュナイの林道が通る計画のある場所、それから二、同じく遠軽町の瞰望台、これは遺跡の隣接地になり、石器がかなりとれる場所であり、これは地元からの要請でこの問題に対しては手を尽くしてあるようであります。これも史跡が全部破壊されております。三、斜里町のピラが丘、これは地主が土地を売却して、もうすでに竪穴住居址三、墳墓一が削り取られておるわけであります。四、斜里町の古川台地、ここは有名な朱円栗沢の墳墓群の所在地に連なる縄文中期、擦文期の遺跡、こういうようなものもブルドーザーでやられております。五、釧路市の東釧路の貝塚、これも破壊されております。  こういうふうにして、国自体の手によってでも、道路築設または林道、農道、このためにこわしているという実態があるのです。このいま言った点を十分調べて、これに対して対処してもらいたい。そして同時に、これに対してどういうようにしたかということを、後ほどでも十分手を尽くして報告しておいてもらいたい、これだけ要請して次へ移りたいと思います。委員長からもひとつ、資料としてこれは要請していただきたいと思います。
  62. 小林信一

    小林委員長 ちょっとやめてください。   〔速記中止〕
  63. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。  安達文化庁次長
  64. 安達健二

    ○安達説明員 昭和四十六年度におきまして、北海道におきまして、工事等をするために遺跡にかかる、そのために文化財保護法第五十七条の二に基づくところの発掘届けが提出されてまいりましたものは、現在まで十件ほどございます。その中に、おあげになりました斜里町におきますところのビート工場の廃液浸透池をつくるための問題が出ております。これにつきましては、北海道教育委員会とも相談いたしまして、最初の予定地でございますと全面的にかかることになっておりましたので、その場所をよけまして、竪穴住居あとが十八個でしたか、だけはそれにかかるというようなことで届け出を受理したというようなことでございます。したがいまして、ただ竪穴住居と申しましても、北海道には非常にたくさんございます。われわれといたしましてそのすべてを現形のまま保存するということは、まあ理想とはいえましょうけれども、必ずしも適切ではないというところで、先ほど申し上げましたように最も大事なものについてはこれは現状で保存する、そうでないもので他に相当類例もある、そういうものはできるだけ被害を少なくして、その場合には事前調査をする、こういうような方式でやっておるわけでございます。  それからあとおあげになりましたものにつきましては、現在まだ計画が進行中、たとえば苫小牧の問題ですとまだ進行中でございまして、具体的な案までまだできておりませんので、私どものほうへの届け出は出ていないというようなものもございます。  それからまた、この遺跡、つまり埋蔵文化財包蔵地としてあるものにつきまして、重要なものにつきましては国の史跡として指定をいたしております。このものにつきましては、文化財保護法によるところの現状変更の認可を得なければできないわけでございます。こういう現状変更の認可で、そういう史跡に指定されているもので破壊されたというものは聞いていないわけでございます。そうではなくて、まだその価値が十分明らかでないものについての問題が、いま御指摘のとおりでございまして、その中には、北海道限りでいま処理をしているものもございますし、ただいま申し上げましたように私のほうに正式に届け出として提出されたものもございます。したがいまして、いまおあげになりました問題いろいろと種類がございますので、一つ一つについてはお答えはできなかったわけでございますけれども、御指摘の点はよく北海道にも問い合わせまして、その事実についての関係あるいはこれについての見解などは御報告申し上げたい、かように考えております。
  65. 島本虎三

    島本委員 それで次のほうへ移らしてもらいますけれども、最後に、いまのような状態で、遺跡の保存の責任的立場にある者がその場所やその価値さえ知らない、こういうようなことはあるべからざることだと私は思っているのですよ。どうもこういうような行政が平気で行なわれている。こういうようなことは当然あってはならないことであります。二番目は、道路の工事を行なう場合に、これはやはり市町村の自治体側でもこれを無視して、機関内の連絡が不十分なことが重大な原因であると思われるけれども、やはり単独でこれを実施してしまう、こういうような場合もあるわけです。第三番目には、遺跡のある場所に工事を行なう場合には、事前協議を全くなしにこれを行なっている。第四番目には、指導的立場にある専門委員のようなこういうような人たちが、はたして全部が遺跡に対する正しい考え方を持っているのかどうか、まだまだ疑問がある。こういうような点も、私の言うことでありません、現にそれらいろいろと保存に自費を投じながら当たっている人たちの苦情であります。これは文化庁として十分聞いておいてもらいたい、こう思います。  なお、先ほどからあげておったその例について委員長からの発言もございまするけれども、十分現地と連絡をとり、その処置等についてあとから報告してもらいたい。このことは要請して次に移ります。委員長よろしゅうございますか。  次に、林野庁、おりますか。
  66. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記は待ってください。   〔速記中止〕
  67. 小林信一

    小林委員長 速記を始めて。
  68. 島本虎三

    島本委員 これはあとに回して、じゃこれでやめます。
  69. 小林信一

    小林委員長 午後一時三十分再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ————◇—————    午後一時四十二分開議
  70. 島本虎三

    島本委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  71. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に、弗素によるところの班状歯公害について質問をいたします。  飲料水の中に弗素がまじっておって、そのために幼児あるいはまた成育児童の歯にこういった症状が出ておるということが、一九一六年、米国のブラック及びマッケイという人が初めて発表をしております。また一九二八年、日本でも岡山県でこういった問題が発見されておりますが、最近、兵庫県の宝塚市におきまして、伊能という歯科医師が発見をいたしました。この宝塚市には昔から「はくさり」、歯が腐るというような地名もあるくらいで、子供さんの前歯及び臼歯といった歯に不透明な、光沢のない白墨様の点状、線状、帯状あるいはしま状、こういった不定形な、白く濁った部分があらわれておるということを発見いたしまして、その学校でずいぶん調べた結果、約五〇%のお子さんがそういう歯、腐りになっておるということを発表しておるわけです。  これはまず厚生省からお聞きしたいのですが、これに対してどういう対策、あるいはまた報道によると、旧火山帯の兵庫、岡山、鳥取、鹿児島、こういったところの地下水には含有量が非常に多いというようなことが発表されておるわけです。なお川西市にもそういった状態が出ておるわけです。これに対する対策あるいはまた今後の方針、こういうことをひとつ聞かせてもらいたい。
  72. 浦田純一

    ○浦田説明員 御指摘の宝塚市あるいは川西市、その他岡山あるいは鹿児島で、いわゆる班状歯ということで、弗素によってそういった障害が起こっているのではないかというお尋ねでございますが、班状歯の診断あるいはその蔓延状況につきましては、専門の歯科衛生課長が来ておりますので、後刻歯科衛生課長のほうからお答えさせていただきたいと思います。  近ごろ新聞紙上等でも問題が報道されておりました宝塚市あるいはその周辺におきまする班状歯等の発生云々の件につきましては、原因が飲料水にあるのではないかというふうに指摘も受けておりますので、水道関係の問題といたしまして、上水道の中におきます弗素の含有量その他について調査を進めているところでございますが、水道法によりまして、元来水道水に含まれております弗素の濃度は、基準として〇・八PPM以下でなくてはならないというふうなきめがございます。昨年十月からことしの六月までにかけまして、県、市の各種水源の弗素の含有量を調べましたところ、いずれも〇・八PPM以下という結果を得ておりますが、川西市におきまするある井戸の水質に至りましては非常に高い含有率を示しておりまして、これらはいずれも〇・八PPMをはるかにこえておる、数PPMといったような検査結果を得ております。これらにつきましては、さっそく県、市のほうに指示いたしまして、飲料水としてこれは適当でございませんので、ちゃんと水道法によります水質に適合した水を飲ませる、つまり〇・八PPM以下に処理されておる水を使用させるというふうに早急に手を打つようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それから、御指摘のように、ことに兵庫県地域はいわば花こう岩地帯でございまして、これらはいずれも自然に含まれておるものであろうというふうに考えておりますので、どうしても対策といたしましては、問題のところにつきましては水質の検査を十分に行ないますとともに、やはり根本的には水道水を給水することによって解決してまいりたいと考えております。
  73. 笹本正次郎

    ○笹本説明員 わが国におきます班状歯の発生地帯につきましては、現在新しい報告はあまり見当たっておりませんが、昭和三十年から三十三年にかけてある大学で行なわれました結果によりますと、やはり相当の広範囲にわたって、北は北海道から南は鹿児島まで分布されておるようでございます。  なお、三十八年に岡山県の笠岡地区におきまして水道水の中に一・二PPMの弗素が見つかりまして、その地区でも問題となる、すなわち審美的にも問題となる班状歯が約一七%程度発見され、これについては水道の原水を変えるということで解決をされたという報告がされております。最近、新しい地区におきます発生状況は私ども実はわかりませんが、三十年、三十三年のものにつきましては、数十カ所の報告がされておるわけでございます。
  74. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、厚生省のこの基準は〇・八PPMというようになっておりますけれども、飲料水からだけが〇・八PPM以内ということでありますが、それ以外に魚や茶の中にも相当弗素が入っておる。玉露なんか相当入っておるわけでありますが、そういったものを見てこの安全基準をきめたのか。飲料水だけで弗素を摂取するというならば話はわかりますけれども、それ以外のものがあるわけですから、それにプラスしたときはどうなるのか、こういった面を非常に住民は心配しておるわけです。一番発育盛りの六歳、七歳の子が非常に多いわけですが、歯が悪くなりますと消化器がやられる、これはもうはっきりしておるわけですが、その基準についてなぜ〇・八PPMでいいのか、この点についてどういう科学的な解明がされておるのか、ひとつお聞かせ願います。
  75. 浦田純一

    ○浦田説明員 水道水の水質基準の弗素に関する基準は〇・八PPM以下ということでございますが、これらはいろいろと専門家意見あるいは諸外国におきまする実例等をしんしゃくいたしまして、かなりの安全率、日本の特殊事情も考慮してきめたものでございます。すなわち、WHOにおきましては国際的な基準としては一・〇PPM、同じWHOの関係でございますが、ヨーロッパ地域では一・五PPMということでございます。アメリカでは、望ましい基準ということで〇・七ないし一・二PPM、実際の許容量といたしましては一・四から二・四PPMということでございまして、ヨーロッパでも、ひとりフランスのみは一・〇PPMという基準をとっております。わが国におきましては、飲料水の判定標準とその試験方法ということで法律にきめております以前では、日本水道協会におきまして、弗素は一・五PPM以下というような基準を一応示しておったところでございますが、昭和三十三年に〇・八PPMというきめをいたしたのでございます。  班状歯の発生してまいります原因その他につきましては歯科衛生課長のほうから答えるのが適当かと思いますが、わが国におきまするいろいろな実験、たとえば逆にう歯を予防するために水道水に積極的に弗素をある程度入れたらどうかといったような試験も行なわれたところでございますし、また世界的には、歯科医師会連盟がそのような勧告をしてはどうかといったような意見をWHOの総会にも持ち出しておるという経緯もございまして、それらの数値から考えまして一・〇PPM以下であれば班状歯というものは発生しない。しかし日本の特殊事情、たとえば気温が高い、そういったようなことも考慮いたしまして、さらには先生御指摘のいわゆるバックグラウンドとしてどれくらいとるかといったことも考慮いたしまして〇・八PPM、これは国際的に見てもかなりシビアな基準であろうかと思いますが、そのようにきめた次第でございます。
  76. 岡本富夫

    ○岡本委員 水道の中に弗素を入れる、これは京都の山科に行きましたときにはこうした弗素を入れている。一PPMぐらい入れたらどうだというようなこともありましたけれども厚生省の調査を私一部とってみたのですが、虫歯を予防するために逆に弗素を入れたことがあるけれども、魚やあるいは茶、こういったほかの食物から考えて〇・六PPMに一応したのではないか、その後再検討されて〇・八になっておるということが、明らかに歯科衛生課長からの報告で出ておるわけですけれども、この点についてどうもはっきりした基準がないのではないか。外国にはそういった例もありますけれども、やはり食生活がだいぶ違うと思うのです。そういった面で、もう一つはっきりした調査の上に立ったところの基準ではないのではないかということを非常に住民も心配しておるし、私どもも心配しておるわけですが、しからば〇・八PPM以下であれば絶対間違いない、こういうことを言い切れるかどうか、これについてひとつもう一ぺんはっきりと答弁してもらいたい。
  77. 浦田純一

    ○浦田説明員 先ほど説明いたしましたように、飲料水中における弗素の基準濃度は、〇・八PPM以下であれば班状歯を発生する危険はないものと考えております。
  78. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、先ほど私が指摘したように、他の食物の関係でお茶だとかあるいは魚だとか、こういう中に弗素が入っておって、それと飲料水の中の弗素がまじれば相当多くなると思うのですけれども、それでも間違いがないのか、これについてもう一ぺん聞きたい。
  79. 浦田純一

    ○浦田説明員 日本人として通常考えられる食生活であれば、そこから入ってきます弗素を考慮に入れまして、飲料水中の弗素濃度は〇・八PPM以下であればいいと考えております。
  80. 岡本富夫

    ○岡本委員 厚生省から市役所に向けて出しておる中に、歯には発育不全があり、これは弗素の影響だけでなく、カルシウム等の不足もある、したがって、班状歯の診断が非常にむずかしい、現在の医学では弗素による発育不全と、それからカルシウムの不足によるところの発育不全、こういうものの立て分けも非常にむずかしい、こういうような、何といいますか、部外秘になっておりますけれども、市に対しての報告が出ているわけですが、ただいまあなた言い切ったのは、〇・八なら絶対間違いないのだ。しかし、現在の日本の医学ではまだそこまで進んでないじゃないですか。したがって、〇・八PPMというのは、ほんとうにこれなら間違いないというしっかりしたところの科学的な裏づけがあって、そうして〇・八になったのか、あるいは暫定基準としてこうしたのか。そのあなたのほうの報告を見ますと、最初には〇・六PPMにすることになったけれども、その後検討して〇・八にしたということになっておるところを見ますと、どうもこの点がまだはっきりしていないのではないか、こういうように考えられるのですが、その点について……。
  81. 浦田純一

    ○浦田説明員 御指摘の〇・六PPMにつきましては、私の記憶では、たしかう歯を予防するという立場から水道水中に弗素を積極的に入れるという実験をしたのでございますが、その場合の濃度を〇・六PPMというふうにしてやったのだというように覚えております。また、〇・八PPMといいますのは、これは水道水のいわば安全基準でございまして、その通知を出しましたいきさつ、根拠は、一番先に御説明したとおり、むしろ国際基準よりもシビアなものである。それから、過去におきまする飲料水中の弗素による班状歯の発生ということの調査研究の、これは厚生科学研究費でもってそういった調査をお願いしてあるのでございますけれども、そういった結果から、水質基準としては〇・八PPMであれば安全であるという結論を出したものでございます。  なお、班状歯の診断基準、あるいはそれの飲料水中の弗素とのあるいはその他体内に摂取される弗素との関連につきましては、専門家である歯科衛生課長のほうから御説明さしたほうが適当と思います。
  82. 笹本正次郎

    ○笹本説明員 〇・八PPMで絶対に班状歯症状は起こらないかどうかという点につきましては、班状歯自体が弗素による石灰化不全、歯の形成異常ということでございます。したがって、〇・八以下でありましても、軽度なものについて起こる可能性は十分あるわけでございますが、審美的あるいは美容上問題となるような程度の班状歯は起こらないというふうに報告されております。  〇・六PPMの問題につきましては、山科地区の浄水場の弗素化の際に〇・六PPMに決定されたわけでございまして、そこにいきます議論の過程で、ただいまお話にございましたような点が十分に論議をされたわけでございます。
  83. 岡本富夫

    ○岡本委員 そういった〇・八PPMなら間違いがないという根拠は、私はどうも薄弱であろうと思うのです。いま衛生課長さん答えたように、〇・六PPMになったというのは、山科の飲料水に対して弗素を入れるときにそうなったというのですから、決して私は、疫学的にもいろいろと研究をした結果〇・八なら間違いないということを、はっきりとした根拠の上に立ってこの基準を出したのではないのじゃないか、まだ研究過程にあるのではないか、こういうようにも考えられるのですが、その点についてもう一ぺんお答えしていただきたいと思います。
  84. 笹本正次郎

    ○笹本説明員 〇・六の山科の浄水場の弗素化の際に議論されましたバックグラウンドとしては、当時の班状歯発症状況と弗素との関係という点がいろいろなデータから調べられまして、その結果、この濃度では絶対に安全であるという点から〇・六が決定されたわけでございます。〇・八につきましても、これが基準となって、日本における班状歯の発症状況と弗素の関係という点から、疫学的な面でこの数字が取り上げられたように聞いておるわけでございます。
  85. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもその点がおかしいと思うのです。〇・八PPMで安全であるならば、おそらく山科のこの上水道に入れるときも〇・八PPMにしていると思うのです。それが安全基準を見て〇・六PPMにした。それがその後今度は〇・八になった。これはどっちが正しいのですか。
  86. 笹本正次郎

    ○笹本説明員 山科の〇・六がきまりましたのは昭和二十七年のことでございまして、当時の水質基準からいきますと、一・五PPMというのが水質基準として認められておったわけでございます。ただいま申し上げましたとおり、日本の班状歯の発症状況という点から一・五あるいは一・〇では多過ぎるのではないかという点で、非常に確実安全ということが主目的でありまして〇・六という数字になったわけでございます。その後〇・八が決定されたわけでございます。
  87. 浦田純一

    ○浦田説明員 同じことの繰り返しの答弁になるかもしれませんが、〇・六PPMという数値はう歯の発生を予防するのに必要かつ十分な量であるということでございまして、これは班状歯を起こさせるという点から考えたものではございません。逆でございます。〇・八PPMは班状歯を発生させないぎりぎりの、ぎりぎりというより発生させない安全な基準であるということでございまして、考え方がそこに違うわけでございます。
  88. 岡本富夫

    ○岡本委員 そういうように答弁すればそういうように聞こえるわけですけれども、大阪大学の松村教授の話によりますと、〇・八PPMと基準をきめておるけれどもそれは甘過ぎるのではないか、また、発育盛りの子供たちがこういった班状歯をつくるということは、これは治療法がないのだというようなことも言っているわけですが、それについて、確かに〇・八PPMならば間違いないというようなはっきりしたデータを、何か研究班をつくってそういったデータをつくったのかどうか、また、ただ基準としてきめただけなのかどうか、この点についてどうももう一つはっきりしてないように私は思うのですが、たくさんのそういった〇・八PPM以下の水を何日か飲まして、あるいはまたそういった人体試験をした結果がこういう状態になったのか、その点についてひとつもう一ぺんはっきりしたこの基準のきめ方についてお聞きしたい。
  89. 浦田純一

    ○浦田説明員 お尋ねの要点は、宝塚市におきまする学童の間にいわゆる班状歯が多発しておる、これは水道水中の、あるいはその他からも入る道がございますが、主として水道水中の弗素に基因するのじゃないか、そうしますと、調べたところ宝塚の水道水は水質基準に合っておる、合っておるのにかかわらず班状歯が多発しておる、したがって基準も甘いのじゃないかといったような、要約すればそういったようなお尋ねかと思います。私ども現在までのところ、〇・八PPMの水質基準で班状歯が発生しているというふうには考えていないわけでございますが、宝塚の現にそういった例がございますので、これは歯科衛生課のほうで私どものほうとタイアップいたしまして、問題の班状歯の発生状況がどうであるかということについて目下再調査をしているわけでございます。したがいまして、万一〇・八PPMの水質基準にかかわらずそのような事実が歯科衛生学的に見ましても確認できたということでありますならば、私どもはその時点でこの基準をあらためて専門家の方々に再検討していただくということはやぶさかではございません。ただいままでのところ、〇・八PPMでは世界的に見ましても問題はないというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  90. 岡本富夫

    ○岡本委員 再調査をしている、だから、もしも宝塚の上水道の水が〇・八PPM以下の基準であってこういう症状があるならば基準を変更してもいいというようなあなたの答えだったと思いますけれども厚生省あるいはまた環境庁から、直接向こうに行ってどういうような再調査をしておるのか、これをまだ聞いたことがないのですが、どういうような調査をやっているのですか。
  91. 笹本正次郎

    ○笹本説明員 私が聞いております再調査の方法等につきましては、現地の歯科医師会あるいは第三者の歯科医師を入れるかどうかまだ決定されないようでございますけれども、調査班をつくりまして、同一基準のもとに再調査、再検査したいというような話を聞いております。  それから、なおその際、一つ私のほうから県を通してお願いしておきましたことは、やはり班状歯というものは主としてその水によって影響されてくるということであれば、少なくとも生まれてから歯ができるまでその地区に住んでいるということがやはり大きな条件になりますので、そういう点も十分に考慮してほしい。それからもう一つ、御承知のとおり弗素というものが班状歯を起こすと同時に、一面虫歯の予防という問題で非常に大きな働きをしておる。そういう点で、その地区における虫歯の罹患状況は一体どういうふうになっておるだろうかといった点もあわせて調査をお願いしたいと存じておるわけでございます。
  92. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、先ほどからずっと論議を聞いているだろうと思うのですが、私は最後はそこに持っていこうと思っておったのですが、こういうように市のほうにこちらからどうだこうだとやっておるわけです。ところが、国自体としてこの基準をきめておきながら、〇・八PPMというものをきめておきながら、それ以内の水道を飲んでいてこういうものができておる原因は何だというようなはっきりした調査が国自体で、厚生省でまだ行なわれていないのですよ。基準だけきめてあるのです。だから、伊能さんという歯科のお医者さんはいままでほかで診療していたわけですが、宝塚に来て発見したわけです。こういうことを考えますと、はたして〇・八PPMが妥当なのか、あるいはまた〇・八PPMではぐあいが悪いのかということの結論さえまだ出ていないわけです。それに対して、調査を依頼しておるとかなんとか言っておるけれども、ではどれだけ研究班をつくってどうする、これはおそらく私はただ宝塚だけの問題ではないと思うのです。先ほど私が話しましたように、全国的な火山帯の付近の地下水にはこれが入っているわけですから、何か宝塚は幸いにしてこうした一歯科医師が見つけた、ほかのところはまだ見つけてないということによってまだ起きているかわからない。大事な発育盛りのお子さんの健康から見れば、やはりもっと強力に調査もし、あるいはまた科学的な結論も出していかなければならぬと私は思うのです。長官はお医者さんですから一番その点についてお考えになると思うのですが、いつも厚生省姿勢というものが、何か地方自治体がいろいろやっているのを報告だけ聞いて、まだわかりません、まだきまりません。この間にどんどん水は飲んでいるわけですね。こういった手おくれになるようなことではならないと思うのですが、長官の御意見をひとつ……。
  93. 大石武一

    大石国務大臣 これはどういうお返事をしたらいいか、ちょっといま考えておりますが、いまの宝塚ですか、ここの土地の人はおそらく何百年来その水を飲んでおられると思うのです。その二十二戸か三十戸の部落の方には水道がついておりません。でありますから何百年来その水を飲んでおられると思うのです。その結果重大な障害というのは班状歯ではなかろうかという疑いがあるわけでございます。でありますが、班状歯というのは歯が美容的にあまりきれいでないということで、むしろほうろう質が厚くじょうぶな歯であることは間違いないだろうと思うのです。そういうことで虫歯の予防になりますから、歯が固過ぎるかもしれませんが、逆にじょうぶになるということではなかろうか、私は歯のほうはよくわかりませんが、そう思います。そうしますと、それほど大きな生理上の影響を与えておらない。弗素というのはそれほどの大きな影響を世界の人々に与えておらないというのがいまの一応の見識じゃないでしょうか。そういう点から弗素に対する厚生省の研究が必ずしも進んでいないのじゃなかろうかと思います。しかし、何にしてもこれから班状歯ができるということもやはり一つのうまくないことでございましょうから、その原因はおそらく弗素の多量摂取によるだろうということですが、そういうことを研究することはまことにけっこうなことだと思うのです。ですから、そういうことでできるだけ検討してもらいまして研究を進める。なおしかし、その弗素の特に多いといわれる地区に対しては間もなく水道が引かれるそうでありますから、その地区の問題はなくなるわけでございます、水道を使いますから。  ただ、〇・八PPMの基準がいいか悪いかということになりますとこれは私わかりませんが、世界的にそのような基準を大体守っているとすれば私は医学的に正しい基準じゃなかろうか、こう思います。いままで何十年間守ってきたことによってほとんど障害がなかったということでございますから、そのことによって基準をあまり不安がらないで、この基準は一応承認してよかろう、こう思います。しかし、念には念を入れることは決して悪いことでございませんから、厚生省におきましてもそのような余力がありましたらやはり研究をされることは非常にけっこうなことだと考えております。
  94. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、弗素公害によって歯がどういうふうになったかということをあなたは御存じないからいまのようなことを言っているのですよ。歯がぼろぼろになってしまうのです。強くなるならいいですよ。みんなぼろぼろになってしまうのですよ、しまいには。こういった現実の姿を御存じないからいまのようなお答えが出たと思うのです。  また、宝塚市におけるところの、今度は水道を飲んでいるのだからだいじょうぶだ、こうおっしゃる。たくさんある水道は全部井戸から取っているのですよ。この井戸のもとが要するに六甲山脈の火山のところでありますから、そこらのところから出てきておる水を飲ましているわけですね。いまなぜ基準以下にしたいかと申しますと、その横に川があるのです。武庫川というその川の伏流水を入れまして薄めて、そしてやっと基準以下にしたのです。それまでは全然基準以下になっていなかった。いままでは大きな井戸が宝塚市の水源だったのです。そこのところの点をどうも御存じないから、いまのような弗素を飲料水に使えば歯が強くなってくるというそれは御認識がちょっとおかしいのじゃないか、このように私は思うのです。ですから、これはいまあなたがおっしゃったように余力があれば厚生省がやればよい、そんな問題じゃないのですよ。あなたも一ぺんこの騒いでおる地元あるいはお子さんたちの姿をごらんになったらいい。だからそんなのんきなことを言っているのですよ。これは御存じなかったからいまのようなことを言ったのじゃないかと思うのです。したがって、私申しましたように、ほかの地域、岡山やあるいは鳥取やあるいは鹿児島、こういう地域ではまだ問題にされていない。要するにまだ発見がされていない。歯のことですからわからない。たまたまこういった伊能さんという歯科医師が、ほかの学校と比べてそんなに違うのだということを発見したからわかったわけでありまして、それでなかったらそのままいってしまうところ。また、あなたは先ほどおっしゃったように、この何十年来こういう水を飲んでいるんだから、それで何でもなかったじゃないかとおっしゃるが、そうじゃない。「はくさり」というところがあるというくらいです。そこの歯が腐ってぼろぼろになっちゃう。その点から見ますと、まことに一地方の問題でありますけれども根は日本全体の火山地帯であるところの状態から見ますると、やはりこれは六歳、七歳の発育盛りのお子さんの歯のことですから、しかも永久歯にこれが入りますともうなおらないというようなことでありますから、もう一ぺんひとつ——いまのような考え方では話にならない。  そこで、こればかりやっていると時間があれですから申し上げたいことは、一ぺん調査班をつくることですよ。その基準以下でいってまだぐあいが悪いのじゃないかということがはっきりしないものを、余力があってからやるというのでは話にならないと私は思うのです。ですから環境庁厚生省でひとつ現地を調査をして、しかも〇・八PPMでいいのか悪いのかという点も、悪かったら変えるのにやぶさかでないという返事だったけれども、はっきりした全国の調査をして、こうした六、七歳の児童の健康を守っていくことが大切ではないかと思うのですが、長官とそれから厚生省局長の両方の答弁を伺いたい。
  95. 大石武一

    大石国務大臣 ちょっと御質問の趣旨を私は取り違えたのかどうか、もし間違っておりましたらお許しを願いたいと思いますが、歯が腐ってぼろぼろになったのは、その前から弗素の含有量の高い井戸水を飲んでおった地域の方々だと私解釈いたします。でありますから、そのような地域に対しましては、弗素の濃度が高ければ、含有量が高ければこれはいけないことであるから、厚生省では直ちに水道を引いてその水を飲まないように、水道水を飲ませるようにしたいというその趣旨は私は正しいと考えております。ただ宝塚地区ですか、その地区では水道水を飲んでおる子供の歯がぼろぼろなのが非常に多い、それは弗素の含有量、含有度が〇・八PPM以下になっておるけれども、それじゃ高過ぎるようで、そのために宝塚市の子供たちの歯がぼろぼろになっておるのだということでございますとすれば、それはおそらく〇・八PPMという弗素の含有量が高いためになったのだということになりますと、日本全国に起こり得る問題だと思います。それが日本全国では厚生省でもそういう例はあまりまだ聞いておらないようでございますから、そうしますと、何か特殊なものが、その宝塚地区では歯がぼろぼろになるような弗素以外の原因がむしろほかに考えられなければならぬのじゃないかと私は思うのです。ですから、そういうことに対して研究をしなければならぬ。そういうことならば重大な問題でございますから、当然これは厚生省でそれに対する研究班を派遣するなり、あるいは県庁に命じてそのような研究をさせるなりは大事なことだと思います。ですが、そのような〇・八PPMの限度内の水を飲んでおって、日本全国にそのような非常な歯がぼろぼろになるような傾向が多くなったということは聞いておりませんので、やはり大体その数字はいいのではなかろうか。ただ、宝塚地区の人たちに対しては何かほかにどういう原因があるのか、それは宝塚にいる人だけの体質であるのか、そういうことに対して研究はしなければならぬ、私はこう思う次第でございます。
  96. 浦田純一

    ○浦田説明員 現地に調査団を派遣して徹底的に調査しろという御示唆でございますが、いままでのところ私どもといたしましては、水道水の水質検査の結果といたしましては現地からの報告を受けておりまして、いずれも〇・八PPM以下でございます。むしろ〇・六とか〇・三とか、あるいは〇・二といったような数値を示しておるところのほうが多いのでございまして、この数値から見る限りは、先ほど山科地区で実施いたしましたテストの濃度〇・六以下でもございますし、なかなか判断に苦しむ点があろうかと思います。要点は、班状歯の診断そのもの、それから班状歯が起こってきた原因が那辺にあるかという二段階があろうかと思います。これらにつきましては、むしろ水道主管部局のほうの問題ではございません、歯科衛生のほうの問題になると思いますが、これらにつきまして、ただいまどういう状況にあるかと申しますと、現地のほうに照会いたしまして、いま申した診断その他について再調査をするようにお願いしておるところでございますけれども、どのような基準でもって診断を考えていくかということなどもございますので、十分所管の局課を通じまして現地の意向も確かめながら、調査団の編成あるいはこちらから現地に行って直接にやるという点については慎重に検討してまいりたいと考えております。
  97. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたのところにどういう現地の報告が来ておるか知りませんが、水源地は要するに井戸でもってやっておるのです。水源地が一、二、三、四、五、六、七、八、九、九つあるのですよ。そのうちで小浜という水源地は一PPMになっておるのですよ。それから小林第二水源地は〇・八になっておるのですよ。その他のほうは〇・一とか〇・六とか〇・二七とか、あるいは〇・三となっておるのですよ。要するに水源地がたくさんあるわけです。そういったことも直接現地を見て、そして〇・八が間違いないのか、あるいは先ほど環境庁長官からのそれ以外の何かの原因があるのかというようなことも、やはり一ぺん調査する必要があるんじゃないか。あなた先ほど、〇・八がもしもそれで班状歯病が出るならばこの基準を検討する用意がある、こういうあなたのお答えだったのですからね。それは現地の報告だけ聞いて、そしてやれやれと言ったって、こんな小さな市ではとてもこれだけの大がかりな研究はできないのですよ。その点について私は、ただ一宝塚の問題を取り上げておるだけではなくして、全国にこういった問題がまだ発見はされていないけれどもあるのじゃなかろうかということに目をつけているわけです。ですから私は、この点について宝塚の問題あるいは川西市の問題を取り上げて一例としてあなたに質問しているわけです。やはり全国的に、そういった医者が調べて次から次に出てくることになれば問題になる。したがって、先々に手を打っていくということが大事ではないか。そういうことを考えると、やはり現地に行って、だれか係官でもやって、よくその状態を見て、そして研究の指示もしなければならぬじゃないか。これは怠慢ですよ。その点いかがですか、もう一ぺん局長……。
  98. 浦田純一

    ○浦田説明員 医務局のほうとも十分打ち合わせまして、現地の調査について検討してまいりたいと思っております。
  99. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官もいかがですか。やっぱり環境庁としても今後のこの問題を考えるときに、いまのような厚生省考え方であるわけですから、一ぺん現地にだれか行かせて、どういう状態なのか——地方自治体の報告というのは、ぐあいが悪いやつは出さない、隠しておく場合があるのですよ。しかも、現地の説得をどのようにしているかと見ますと、私のほうの調査によると、日本歯科医師会の学術委員、口腔衛生部長というような肩書きをつけて講師が講演しているわけです。ところが、その講師の方を調べてみますとそうではないのですよ。サンスター歯磨の口腔衛生部長なんです。こんなごまかしをやろうとしているわけですからね。だから、なるべくなら静かにしておこうということを考えるのは現地の市であろうと思うのです。私は、その心情はわかる。しかし、こういったごまかしはやっぱり現代では通らないわけです。そういうことを考えますと、やはり中央官庁から一ぺん行って、どうなっているんだという内容をよく調べて、そして今後の方針を立てたらどうか、私はこういうふうに意見を言うわけですが、どうですか。
  100. 大石武一

    大石国務大臣 岡本委員から提示されたいろんな問題もあるようでありますから、やはり厚生省がこれを調査することに対して、われわれも喜んで協力いたしたいと考えております。
  101. 岡本富夫

    ○岡本委員 ではひとつ早急に調査団を、調査団といわなくてもいいですから調査をしていただきたい。それに協力するのは私もやぶさかではございません。  それで、次に話がちょっと変わるわけですが、最近の都市計画法に基づくところの区画整理について。この区画整理の問題で一番問題になりますことを、私は西宮市の甲東地区の区画整理について調査をしてきたわけでありますけれども、いままでの区画整理事業と申しますと、区画整理をするとそこには非常にりっぱな道がついて地価も上がるとか、あるいは住民が非常に住みよくなったとか、こういうようなことになりますから、区画整理というのは非常によかったわけでありますけれども、最近では、この道を大きくしたために自動車の交通公害ですか、これが非常に多くなっておる。そのために、幹線道路なんかをつけますと、その付近はかえって地価が非常に安くなるのです。排気ガスや振動で夜寝られないくらいですからね。こういうことを考えますと、土地区画整理法の改正をしなければならぬのじゃないかというようなことも私は現地を見て思うのですが、これは全国的の問題でありますので、この点について、建設省の考え方あるいはまた今後の方針についてお聞きしたい。
  102. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 区画整理事業は、ただいま御指摘のように、市街地の利便を増進しまして公共施設を整備するという目的のために行なわれる事業でございます。最近、モータリゼーションで自動車が表道路だけではなくて裏道路まで入ってくるというような現状でございますが、区画整理のやり方、基準というものもそれに対応しまして、われわれとしましては、幹線街路と呼ばれるものと区画街路と呼ばれるものとの二種類に大きく分かれるのでございますけれども、幹線街路的なものとそれから人が住む住居地区というようなものとの組み合わせ方ということに非常に意を用いているところでございます。で、できるだけ住区の中には区画街路、これは車を入れないようにいたします区画街路を組み合わせまして、ただ住区が相当大きなものになりますと車を全然入れないということはできませんので、それを入れない街路と、それから呼び込む街路——集配道路という言い方をしているのでございますが、そういうものを組み合わせることによりまして、表の大きな幹線街路とのつなぎ方をくふうしているのでございます。こういうやり方で、車と特に人が住む住居地区というものにつきましてはできるだけそういう基準を設けて、設計上配慮している次第でございます。
  103. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたのほうにこの問題が来ているかどうか、きのう建設省のほうには話しておいたのですが、甲東、瓦木、南地区の区画整理事業ですね、これについての考え方について詳しくひとつ御説明願いたい。ということは、この地域は大体もう市街化されておるわけです。それで、ほとんどの方がこの地に土地を求めて、そして安住の地を求めてきた。それをこれから区画整理をやろうというわけです。  この区画整理の姿を見ておりますと、区画整理法に基づいてでしょうけれども、土地を持っている人が、土地を減歩して取られてしまう。そういうことを考えてこの総費用を見ますと、四十六年度ベースですけれども、国から十億円、市からは六億円、住民が負担する金は七十五億円。坪十五万円ですけれども、大体、坪十五万円といったら、向こうの土地の相場でしょう。そして、七十五億円住民が出して、それで便利になるかといえば、そうではなくして非常にどんどん車が入ってきて、いままで環境のよかったところの町をこわしてしまうのではないか。あるいは排気ガスあるいは振動、騒音。金を出して土地が減ってそういうことになるということ、負担をした上にその土地がこわれるということは、非常に住民の意思に反するのじゃないか。こういった区画整理、これは全国的にあると思うのですね。その少し隣に中津浜線というのがありますけれども、これは全部買収方式によって行なわれた。ところが、こっちのほうは区画整理。七十五億円も負担をして、さらに生活環境をこわされるというようなばかなことはないというのが住民の意思なんですね。その点について、これは全国的な問題なので、建設省としてはどういう指導をし、またどういうふうに考えておるのか、これについてお聞きしておきます。
  104. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 ただいまの御質問に二つ問題があると思いますが、一つは区画整理をすることによって環境が悪くなるという問題でございますし、それから一つは、住民の負担によって、いわゆる減歩と称しております区画整理のやり方と、道路をつくるなら道路をつくるという買収方式によるやり方の問題と二つあるので、どういうやり方をどういう場合にやるのかということだろうと思います。  区画整理で環境を害しないように、いい住環境をつくり上げるために行なう区画整理の指導といたしましては、いま街路の問題だけが出ておりますけれども、その住区には公園をつくりましたり、児童公園とか近隣公園あるいは緑の茂った道をつくる、こういったことを予定いたしましたり、区画街路みたいなものをつくる。そういった区画街路がないと、下水道の幹線をそばに持ってきましても各戸に下水道を整然と入れることができませんので、区画街路ができるということが下水道をつくる場合の前提条件になるわけでございますし、また、街路につきましても二種類あると先ほど申しましたが、車を入れる道路と入れない道路とあるわけでございまして、それらの都市施設を兼ね備えたものにするというのが区画整理のねらいでございます。ところが、自動車がどんどん入ってくるということがいま一番大きな問題でございます。それで、われわれとしましては、できる限り幹線道路と住居地域とを区分してつくらせる、また、たとえば歩車道をできるだけ分離するとか道路の構造等を配慮する、植樹帯をできるだけ設ける、あるいはでこぼこをなくするというような管理上の措置を講ずるということで対処しようとしておるのでございます。これが一般的な区画整理を行なうにあたりましての基準上の配慮でございます。  それから第二点の、区画整理をいたしますにつきましては、住民の負担といたしまして減歩によって公共施設用地の一部を生み出すわけでございます。との区画整理方式によるがいいか、あるいは道路そのものを通すということであるならば、幹線街路一本だけの問題であれば、それを都市計画事業として、街路事業として直接買収方式でやるという方式がございます。そのどちらをとるべきかというのは全く観点が違うわけでございまして、そういう面的な整備をして住環境もよくしながら、あわせて都市施設をつくっていこうという姿勢をとるべきか、あるいは通過交通の道路を通すだけが目的であるかということによって、どちらの方式をやるかということがきまるわけでございます。一般的な言い方で申しわけございませんけれども、直接買収方式によるべきか、あるいは面的な区画整理をすべきかということは、その地区全体を区画整理によって、いま申しましたように市街地として良好な状況にしようという事業をとるかどうかというところできまるのでございまして、そういうふうな仕分けで考えておるわけでございます。
  105. 岡本富夫

    ○岡本委員 この区画整理について、原野や山林というところだったら、区画整理されて土地の価格も上がるでしょう。しかし、もうすでに市街地になって、そして住宅地としてはこれ以上採算がとれないくらい、大体最高まで上がっているわけですね。そういうところにおいてこの区画整理をするために——ここは大体一七・二%減るわけですよ。それが大体五万坪というのですね。しかもまた、区画整理で土地を出さない人は分担金を出さなければならぬというわけです。それによってその地域が非常に環境がよくなって、皆さんが住みよくなったというなら話はわかりますけれども、ここの地域を見ますと、幹線道路を別に入れようとしているわけですよ。そうすると、その地域はまた、その幹線道路の両側は排気ガスあるいは振動、騒音によって悩まされるというような住民の皆さんの心配があるわけです。したがって、ただあなたのほうでこの辺を区画整理事業させよう、あるいは向こうから言ってきてしようとした場合に、いままでのような考え方で区画整理法をそのまま適用するということになりますと、非常に問題があるのじゃないかと私は思うのですね。まあ、昔は公害というものは頭にあまり置かれなかった。いまは環境権あるいは環境保全をやかましくいわれる時代になって、都市計画についても、区画整理についても、もう少し考えを変えていかなければならぬじゃないか、こういうように考えるのですが、それについての見解をお聞きしたい。
  106. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 お答え申し上げます。  この西宮の瓦木、南地区土地区画整理は、施行面積が大体百五ヘクタール、三十一万坪ぐらいでございます。これはちょうど一住区というわれわれの都市計画上の人口一万人という、区画整理をやる一つの単位として標準的な単位でございます。いま御指摘になりました区域の中に二本、車が走る道路が予定されておりますが、これが十二メートル及び十五メートルの二本でございます。この道路はいわゆる幹線街路ではございませんで、われわれが地区幹線と呼んでいる道路でございまして、先ほど申し上げましたように、この規模の住区になりますと、区画街路のほかに——区画街路というのはおおむね車を排除する、車をなるべく入れないというようなことができるのでございますが、それでは足りませんので、車を呼び込む道路として主として住区に使える道路でございまして、通り抜けのいわゆる幹線的な、よそのものがどんどん入ってくる道路として設計されたものではございません。街路の種別からいいますとそういう形になっております。ただ、先生御指摘のように、いまごろはどんどん車がどんな細道でも入ってくる時代でございますから、この十二メートル、十五メートルの街路は二車線でございますけれども、場合によっては、通過交通がそこを通るというようなことで住民の方々の振動、騒音等が考えられます。この場合には、できるだけ植樹帯をとるとか、あるいはできるだけ住宅との間に何らかのくふうをするような設計をすべきだと思います。御指摘のように、今後、特に西国街道ですか、ああいった幹線道路の横に存在する住宅地の土地区画の整理につきましては非常な反対も多うございますし、設計上非常な注意をしなければ、設計上そういうことになっておりましても現実に車がどんどん入ってきてしようがないというかっこうになりますので、十分それらの点で配慮が必要になってまいっております。むずかしい設計上の問題点が出てまいっております。これらの点を十分勘案して今後施行することが必要だと思いますが、これは区域が決定されておりまして、まだ事業の認可がおりていない段階でありまして、地元といまそれらの点につきましても鋭意話し合いを進めている段階でございます。
  107. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、まだ決定しないということですから、その点をよくひとつ検討をして——この辺は市街化区域でしてたくさん家が建っているわけですが、ほとんど全部住宅です。この住宅はクラレでやっているわけですが、こういう住宅街の道路というものはさあっと通るようになっていない。ぐるぐる、ぐるぐる回らぬと入れないようになっておりまして、要するに自動車の交通の公害を防ぐようになっておる。やはりこういった設計も今後は必要ではないかと私は思うわけですね。ですから、ただ住民の土地を取り上げて、道を広くして、高くなるんだからというようないままでの考え方の区画整理では、これからはもう時代おくれではないか、特に住民の皆さんの意見を入れなければ区画整理ができないのではないか、こういうふうに私思いますので、その点をよく指示をしてもらいたい、これを要求しておきます。  最後ですが、建設省の伊庭道路公団監理官来ておりますね。——この公団のフェリーが現在淡路島と明石との間を通っておるわけなんですね。夜、深夜運転しているわけですが、夕方になると播淡汽船がとまってしまうわけです。そこで、夜通行する人たちが、そのフェリーに乗せてもらいたい、そのフェリーのところには乗客を乗せるところの乗船室もあるし、それから乗客を乗せるところのいろいろな施設もできているわけですが、どういうわけか夜乗せてくれない、こういうことなんですが、この点についてひとつ……。
  108. 島本虎三

    島本委員長代理 岡本君に御注意申し上げますが、環境破壊並びに公害に関連する問題についてはどしどし質問してもらいたいと思いますが、これは建設行政と同一視されますので、あらかじめ御注意を願いたいと思います。
  109. 岡本富夫

    ○岡本委員 わかりました。ひとつそれだけ最後にお聞きしておきたいと思います。
  110. 伊庭武男

    ○伊庭説明員 道路公団監理官の伊庭でございます。  ただいま御質問の日本道路公団の明石フェリーの件でございます。先生御指摘のとおり、淡路島と阪神地区を結ぶ海上ルートといたしまして、現在道路公団が三隻の船をもちましてフェリーボートを運航しております。フェリーボートは昭和四十五年の五月から終夜運航に切りかえております。現地をはじめ、皆さん方に非常に御利用をいただいておるわけでございます。このフェリーボートは、開設当初から自動車航送ということを目的として海上運送法上の免許をとりまして運送いたしておりまして、自動車利用の人以外の旅客は乗船できない、実はこういうたてまえになっております。現在のフェリーにもし人を乗せるということになりますると、問題点が実は二つあるわけでございます。その第一は、現在の船舶それから接岸施設、こういうものが、いま申し上げましたように全く普通の旅客を運送するというような構造になっておりませんので、旅客扱いにつきまして危険なことが起きましたり、乗降の場合に安全が阻害されるというようなことにもなりますし、そういういわゆる物的な問題が一つにはあるわけです。それからもう一つの点につきましては、旅客扱いを実施するといたしました場合には、新たにそういう運送法上の免許というものが必要になるわけでございますが、この場合には、同一ルートに就航しておりますいま先生御指摘の他の民間の業者という方がおいでになりまして、そういう方と競合するという点の問題が起きてまいります。以上のような問題点がありますけれども、しかしながら、地元の方々の御希望、御要望等もいろいろあることも十分承知しておりますので、道路公団はじめ関係の方々におきまして、現地でいろいろそういう問題点につきまして折衝を重ねておりまして、今後十分慎重に考慮して、何かいい方向へ持っていくように指導いたしてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  111. 岡本富夫

    ○岡本委員 道路公団で交通の公害があっちこっちで非常に起きておるわけですから、少しぐらいは住民の皆さんの意見を聞いていくということが必要であろうと私は思うのです。したがって、いまもう一ぺん検討するということですから再検討して、ひとつ住民の皆さんの意見にこたえてやっていただきたい、これを要求して終わります。
  112. 島本虎三

    島本委員長代理 古寺宏君。
  113. 古寺宏

    ○古寺委員 最初通産省お尋ねをいたしますが、現在稼働中の鉱山に対する監督につきましては、不十分ではございますが、一応監督の体制が整っていると思われますが、休廃止鉱山の場合には鉱害問題が各地において非常に問題となっております。通産省はこの休廃止鉱山に対する調査はどのように行なっているか、まず伺いたいと思います。
  114. 久良知章悟

    ○久良知説明員 ただいま休廃止鉱山に対する監督状況はどういうふうになっておるのかというお尋ねでございます。  最初にこの休廃止鉱山がどのくらいあるかという問題でございますが、現在休止中の鉱山が約七百、それから稼行中の山が千五百というふうに考えております。合計二千二百の鉱山というものは鉱業権を持った鉱山。稼行中といいますのは現実に採掘をやっておる鉱山でございます。休止中と申し上げましたのは、鉱業権は持っておるけれども現実に稼行はしてない、いわば休眠中の鉱山ということでございます。そのほか、過去に鉱業権は持っておりまして稼行はいたしましたが、現在ではその鉱業権をすでに消滅をさせておるという山、これは過去からずっとさかのぼりますと相当な数になるわけでございます。一応私どもとしては、まあ大体五千ないし六千くらいのそういう鉱山もしくは鉱山のあとというものがあるのではあるまいかというふうに考えるわけでございます。  この中のいま申し上げました約二千二百の鉱山につきましては、これは定期的に巡回をいたしまして検査をいたしております。稼行中の山につきましては、これは操業に伴う保安それから鉱害の防止ということが主点になるわけでございます。それから休止中のものにつきましては、鉱害の防止というものが主点になるわけでございます。それから、いまの二千二百につきましては、そういうふうに年に多いものは五、六回、それから少ないものは二年に一回ということで巡回して検査をしておるわけでございます。それから廃止中、鉱業権のないものにつきましては、四十四年度までに一応の概査をいたしまして、その中で約千五十の鉱山については精査をする必要があるというふうに考えておるわけでございます。この千五十につきまして四十五年から四カ年計画で一応の精査をするということで、現在調査をやっております。四十五年には七十五鉱山、それから四十六年度、今年度でございますが、三百二十五鉱山の予定をいたしております。四十七、四十八年度につきましても大体同数でもちまして調査が終わる見通しでございます。
  115. 古寺宏

    ○古寺委員 稼行中の鉱山については十分にこの監督をやっていらっしゃる、こういういまお話がございましたが、これはちっぽけな鉱山でございますが、青森県の上北郡に下田町というのがございます。ここで北海道工業という会社が砂鉄をとっておりますが、この砂鉄の洗浄水を取水するために地下水をくみ上げております。このために、付近の四百戸以上の住民が飲料水に使っておりますところの井戸水が枯渇をいたしまして、飲料水にも困っている、また洗たくもできない、こういうような状態でございますが、この点について通産省は知っておられるかどうか、承りたいと思います。
  116. 久良知章悟

    ○久良知説明員 この件につきましては、八月の初めに先生のほうから御注意がございまして、私ども調査をいたしました。現在は承知いたしております。
  117. 古寺宏

    ○古寺委員 この問題につきましては、六月の二日に仙台の通産局鉱山部の鉱政課に対して、青森県のほうから連絡をしてお願いをしてあります。ところが、仙台の通産局では、本省と協議の上で回答をする、こういうふうに連絡があったきり、全然その措置がなされていないわけでございます。そのためにこの二カ月間に、飲料水が出ない、洗たくもできない、おふろにも入れない、また水田の水も非常に少なくなっている、こういうような被害が起きているわけでございますが、一体これはどういうわけでこの二カ月間、私があなたのほうに申し上げるまで放置しておいたのか、その理由を承りたいと思います。
  118. 久良知章悟

    ○久良知説明員 この鉱山は砂鉄の山でございますが、選鉱場をつくりましてまだ完全には完成していないわけでございます。その選鉱場に使います水を得るために、井戸を掘りましてその揚水を始めたわけでございます。その結果、付近の井戸と申しますか、あるものは湧泉と申しますか、地上に湧出して出ておる井戸であったようでございますが、水位が若干低下をいたしまして、そのためにポンプをつけたというふうな被害が出たわけでございます。  監督部のほうで鉱山側を呼びまして事情を聴取いたしました。さらに監督官が現地に行きまして調査をした結果、そういう事情がわかりましたので、現在まだ選鉱場も稼働いたしておりませんので取水を中止さしております。将来、地元のそういう被害者と完全に話を解決——と申しますのは、自治体のほうで簡易水道を引く計画があるようでございます。これは鉱山の負担において簡易水道を敷設をいたしまして、そういう稼働を始めましても鉱害が起こらないという見通しのもとに稼行を認めるという方針でいっておるわけでございます。
  119. 古寺宏

    ○古寺委員 この問題から考えられることは、監督部の監督が不十分であったために、選鉱場がまだ完成していないうちに大量の、一日に二千トン以上の地下水をくみ上げて、住民が困っているわけです。そのために、関係の下田町の助役さん、あるいは五戸町の住民が再三にわたって県に陳情いたしております。その県がおたくのほうにこういう申し入れをしておるのに放置しておった。この責任はやはり通産省にもあると思いますが、どうですか。
  120. 久良知章悟

    ○久良知説明員 若干、監督部と局の間、それから監督部と県なり町との間の連絡にそごがあったように考えられるわけでございますが、いま先生御指摘の問題については、将来監督を密にいたしまして早急に解決し得るような体制にもっていきたいと考えております。
  121. 古寺宏

    ○古寺委員 しかも、この対策として鉱山側は、苦情を言っている七十七戸の人に対してだけ水道の補償をする、こう言っている。実際は四亘戸以上の住民が全部そういうような被害を受けているわけです。そういう点について強力に、今後この北海道工業に対して通産省のほうは指導する意思がございますか。
  122. 久良知章悟

    ○久良知説明員 実情をさらによく調査いたしまして、適切な手を打ちたいと考えております。
  123. 古寺宏

    ○古寺委員 こういうように監督体制が整っている稼行鉱山についても、こういうような問題がたくさん起こっているわけです。  そこで、先ほどお話のございました問題のある休廃止鉱山に対しては、どういうような対策をお考えになっていらっしゃるか、承りたいと思います。
  124. 久良知章悟

    ○久良知説明員 ただいま、問題ありと思われる千五十の鉱山についてさらに精査を続行しておるということを申し上げたわけでございますが、その千五十の中で、一応、私どもまだ調査継続中でございますので最終的にどういうふうな山の数になるのかということは不確実でございますが、一応の見通しといたしましては、その中の約四分の一弱に相当します二百五十鉱山については何らかの対策をとる必要があるのではないかというふうに考えております。その二百五十の中で約百七十の鉱山につきましては、これは昔掘りました坑口がそのまま放置されておるという状態でございまして、付近の一般の方々が不用意にその坑内に入りますと、窒息、それから落盤というふうな危険があるわけでございますので、これは坑口の閉鎖をする必要が出るだろうというふうに考えておるわけでございます。坑口の閉鎖にはそう多額な経費はかからないわけでございますが、残りの八十鉱山につきましては、これは鉱害防止のために何らかの措置と申しますか、工事を施行しなければなるまいというふうに考えられるわけでございます。昔捨てましたズリの崩壊の防止、それから坑水の処理のためのいろいろな施設で若干こわれているものを修理するということが必要になってくるわけでございます。   〔島本委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 この事態につきましては、これは大蔵省に予算をいただきまして、本年度から、鉱害防止のためのそういう休廃止鉱山関係についての工事につきまして補助金をいただいて、目下、工事を始めたところでございます。
  125. 古寺宏

    ○古寺委員 この補助金によって鉱害助止工事をやらなければならないというような休廃止鉱山は、どのくらいございますか。
  126. 久良知章悟

    ○久良知説明員 ただいま申し上げました、全体で約二百五十、二百五十の中の百七十鉱山が坑口の閉鎖、それから八十鉱山が鉱害防止のための工事だというふうに、私ども一応の見通しを持っておる次第でございます。
  127. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは、四十六年度において補助金の対象になった鉱山数はどのくらいでございますか。また、来年度の予想はどのくらいでございましょう。
  128. 久良知章悟

    ○久良知説明員 四十六年度につきましては、三十九鉱山でございます。先ほど申し上げました坑口の閉鎖と申しますか、小口の案件が三十鉱山、それから鉱害防止工事と申しますか、大口の案件が九鉱山でございます。  それから四十七年度については、大口の案件で三件の鉱山につきましては四十六年度からそのまま継続するわけでございますが、それを含めまして約二十鉱山、それから小口の、坑口閉鎖を中心にしますものが約三十五鉱山、こういうふうに予想しておるわけでございます。
  129. 古寺宏

    ○古寺委員 来年度の予算規模は大体どのくらいでございましょう。
  130. 久良知章悟

    ○久良知説明員 予算の規模は、ことしにつきましては約八千七百万でございますが、来年度につきましては、工事の案件がふえますのと、それからかなり大型の工事を開始するということもございまして、これはまだ私どものほうで作業を継続中でございますが、金額にいたしまして二億以上のものは確保したいというふうに考えておる次第でございます。
  131. 古寺宏

    ○古寺委員 この中小鉱山の中には、多額の鉱害関係の支出が伴うために倒産することが予想されるような鉱山もたくさんあるわけでございますが、倒産後に鉱害が放置されないための対策として、通産省はどういう対策をお考えでしょうか。
  132. 久良知章悟

    ○久良知説明員 中小鉱山につきましては、先生いま御指摘のように、倒産をした後に鉱害を残したというのが間々あるわけでございまして、私ども、第一には、こういう事態が生じませんように、鉱山が稼行中に鉱害についての始末はできるだけさせるということでまいっておるわけでございますが、鉱山にはやはりいろいろ事情がございまして、必ずしもそういうふうにまいらないケースがときどきあるわけでございます。これに対しまして私どもいま進めておりますのは、鉱害賠償それから鉱害防止工事を鉱山が休廃止した後に円滑にやれるように、できるだけ稼行中に将来予想されるそういう費用を積み立てておくという制度を運用していきたいと考えております。これは、かりにいま鉱害基金というふうに呼んでおるわけでございますが、業界に自主的に一定の金額を積ましていく。この基金を使いまして、いま先生が御指摘のような場合には、賠償それから施設の整備というふうなものを間違いのないようにやっていきたい、そういうことで現在準備をしておりまして、ことしの下期にはこの制度が発足し得るのではないかというふうに考えております。
  133. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで環境庁長官お尋ねしたいのですが、御承知のように、東北地方は休廃止鉱山が非常にたくさんございます。そのために農業被害あるいは環境破壊というものが相当起こっておるわけです。ところが、実際に漁業あるいは農業被害が起こっても、ほとんど補償もされておりません。こういうようないろいろな問題点をかかえているわけでございますが、今後こういうような休廃止鉱山の防止工事に対しては相当ばく大な費用が必要になると私は思うのですが、こういう点について長官はどういうふうにお考えになっておるか、まず承りたいと思います。
  134. 大石武一

    大石国務大臣 ただいま通産省から今後のあり方についての見解がありました。非常にけっこうなことだと思います。われわれはこういうものを中心として、いままでの休止した鉱山の鉱害をできるだけなくしていかなければならぬ。同時に、それはそれだけにたよれるかどうかわかりませんから、さらに考えられますことは、幸いわれわれは、公害防止事業団もございますので、こういうところと相談して、地元の地方自治体とかいろいろな方々とも相談をして、公害防止事業団の予算なりそういうものも活用して、できるだけの鉱害防止対策を講じたいと考えております。
  135. 古寺宏

    ○古寺委員 ちょっと論点が違いますね。  アメリカのニクソン大統領が最近公害税の新設ということを提唱しております。またごく最近には、田中通産大臣が過疎、過密地帯の企業に対する税の問題を取り上げております。こういうような公害税という問題については、長官は、わが国においてもこういうようなものを考えているのかどうかお尋ねしたいと思います。
  136. 大石武一

    大石国務大臣 私も公害税につきましては新聞でちょっと読んだだけでございまして、アメリカの詳しい意図はよくわかりませんが、この公害税をどのような目的で取れるかということを考えてみたのでございます。私は目的は二つしか考えられないと思うのです。一つは、公害税を取ることによって、鉛とか硫黄酸化物を排出させないような、そのようなことに持っていく方針なのか、あるいはそのような鉛なりあるいは硫黄酸化物のようなものを出す場合には高い税金を取って、その費用によってその公害に対するいろんな対策を立てるのか、こういう二つの考えでなかろうかと思うのでございます。私はそのどっちもあまりうまくないだろうと思うのです、いまの考えは。なるほど公害を予防するために、あるいは公害対策を立てるためには非常に予算が必要でございます。それをどのような形でこのような公害税を取ったらいいかどうかについては、私はまだ確信はございません。むしろ逆に、そのような税金さえ払えばそのような害毒をまき散らしてもいいんだという安易な観念をもし人民に与えたらたいへんなことになると思うのです。ですから、私どもとしてはまずその対策あるいは予防のためには非常な予算が必要でございます。そういうものを捻出することはいろいろ考えなければなりませんけれども、むしろ私たちは税金によって公害を防止しようという考えならば、それより早く、無公害車のようなものを考案させるとか、タイムリミットをつけて、あるいは御承知のように昭和四十九年四月から鉛は使わないことに通産省方針をきめておりますし、いろいろな形によって有害ガスを厳重に規制するというほうがよりいいのではないかとも考えておるわけでございます。
  137. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、長官は無過失賠償責任制度を次期の国会には必ず提案をするということをしばしば申されております。私は、この無過失賠償責任制度とあわせて、被害者の救済の問題あるいは公害防止の問題については並行していろいろな政策というものを考えていかなければならない、こう思うわけなんです。そこで、こういうような被害者の救済では、現在は健康被害に関する部面だけ、非常に不十分ではございますが救済措置がございます。しかしながら、まだまだ財産に対する問題であるとか、いろいろ先ほどから申し上げました農業、漁業の被害とか、こういうものに対しては何ら救済の措置もないわけでございます。こういう点については、無過失賠償責任制度とあわせてどういうような構想を長官はお持ちになり、どういうような政策というものをお考えになっていらっしゃるのかをきょうは承っておきたいと思います。
  138. 大石武一

    大石国務大臣 無過失賠償責任制度につきましては、これはなるほど一つのねらいは公害を予防するということにございます。公害をまき散らせばそれだけ賠償しなければならぬという考え方を持たせて公害を予防するということでございますけれども、これは御承知のような賠償制度でございます。おっしゃるように、公害対策としてはできるだけ排出基準なり環境基準を高めてまいりまして、公害を起こさせないような対策をとることが根本的に一番大事だと思うのです。公害が起こりましてからでは、その対策というのは何千倍、何万倍の努力を必要とする。ですから、まず公害を防ぐこと、起こさせないことにできるだけの力を注いでまいりたいと第一に考えるわけでございます。そのためには、何と申しましても自然環境を正しく守ることが一番大事だと思います。自然環境というのは、広い意味で大気も、水も、土壌も、みんなこれは自然環境でございますから、そういうものを広い意味で守るということに全力を注ぐということが必要であると考えております。いまのところ、公害対策としてはいわゆる健康被害者の救済法があるだけでございますが、確かにこれはさらに拡大して、もっといい条件のもとに、できるならば——これはまだ少し先かもしれませんが、できるならば、その治療とか研究に対してもその救済法の考え方を拡大してまいりたいと私は考えておりますが、そういうことと、さらに進んでは、やはり土壌なりあるいはそこにつくられるいろいろな産物なり、そういうものに対しても、財産に対しても、めんどうを見ていけるような制度に拡大しなければならぬと考えております。しかし、いまのところはやっとこのような制度が始まったばかりでございまして、なかなか思うように手が伸びませんので、そのような近い将来の実現には希望を持っておりますが、いまの状態では、いまも申しましたような健康被害者の救済法の拡大ということに最初に手をつけていきたいというふうに考えております。
  139. 古寺宏

    ○古寺委員 被害者救済法の原則といいますか、たてまえは、立てかえ払い制度でございますね、現在の制度は。この点はどうでしょうか、長官にお尋ねします。
  140. 大石武一

    大石国務大臣 ちょっとどういうふうに解釈していいかわかりませんが、もう少し具体的におっしゃっていただきたいと思います。
  141. 古寺宏

    ○古寺委員 と申しますのは、被害者があとで、会社なりそういうところから治療費なりそういうものが出た場合には、これをお返しする制度になっているわけです。ですから、これは一時立てかえ払い制度として患者を救済していることになりますね。どうでしょうか。
  142. 大石武一

    大石国務大臣 私はそう考えません。立てかえではなくて、われわれは国家として、非常に微力のものでありますけれども、そのようなめんどうを見てあげることが国家の責任だと考えております。ですから、企業から出た場合はお返しをするということは、別に考えたほうがいいと思うのです。
  143. 古寺宏

    ○古寺委員 先日、四日市へ長官がおいでになりました直後に私も現地へ参りまして、患者さんにいろいろお会いいたしました。そういたしますと、日常のお小づかいにも困るような現在の制度でございます。これは実際に長官が現地の患者さんにお会いになって、その窮状というものはよくおわかりになってお帰りになったと私は思うわけです。そういう点について、今後どういうふうにこの対策をお進めになるお考えでしょうか。
  144. 大石武一

    大石国務大臣 先ほど申しましたように、その手当の内容なりそういうものを、さらにもっともっと大きくしてまいりたい、こう考えております。
  145. 古寺宏

    ○古寺委員 被害者の救済法は立てかえ払い制度ではない、こういうようなお話もございましたが、きょうはそのことについてはこれ以上触れません。  次に、通産省お尋ねしますが、土壌汚染防止法が施行されましてからカドミウムが指定をされております。四十六年度の具体的な調査地域及び四十七年度の計画地域はどこになっているか、承りたいと思います。
  146. 岡安誠

    ○岡安説明員 カドミウムにつきましては、四十五年度に農林省と厚生省でカドミウムの汚染のおそれのある周辺の農用地その他の土地につきまして調査をいたしたわけでございますが、四十六年度におきましては、現在農林省と環境庁と分かれまして調査計画を持っております。  まず、農林省におきましては、概況調査といいまして、全国の農用地につきまして、水田につきましては一千ヘクタールにつき一点、それから畑につきましては二千ヘクタールにつき一点の割合によりまして、全国の農用地を一斉に調査をするという計画がございます。さらに細密調査と申しまして、環境庁で調査する予定でございますが、四十五年度におきまして調査いたしましてカドミウム等による汚染が相当濃厚である、そういうおそれがあるという地域を中心にいたしまして、大体全国五十地域の予定でございますが、その地域につきましては、二・五ヘクタールに一点の割合でもって細密調査を行なうという予定を立てております。現在その予算を配賦し、都道府県にその調査をお願いしておるという段階でございます。
  147. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、カドミウムは一応指定されておりますけれども、銅、亜鉛等の他の金属についての政令がまだきまってないわけでございますが、この銅、亜鉛による被害というものも相当あるわけでございますが、今後こういう点については、環境庁はどういうふうにお考えになっておるのでしょう。
  148. 岡安誠

    ○岡安説明員 土壌汚染防止法によりましては、お話のとおり現在カドミウムだけが指定されておりまして、今後、銅、亜鉛その他のものにつきまして指定いたしていく手順になっておるわけでございますが、銅、亜鉛につきましては、従来から特に作物に対します生育障害ということが主としていわれておりまして、それにつきましては農林省を中心といたしまして相当調査の蓄積があるわけでございます。さらにそれを補完する意味におきまして、昭和四十五年度におきましては障害性物質の特別調査というのが行なわれました。その調査結果も現在まとまりつつあるという現状でございます。それらの資料等取り寄せまして、銅、亜鉛につきましてもできるだけ早くこの法律の対象物質として指定をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  149. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、青森県の上北鉱山の廃水が流れておりますところの坪川の沿岸の部落でございますが、過去三十年間にわたって二〇%以上の減収がずっと続いておるわけでございます。これにつきましては、農林省が昭和四十五年度に調査をいたしておりますが、この調査の結果並びに今後の対策について承りたいと思います。
  150. 川田則雄

    ○川田説明員 四十五年度に障害性物質特別調査ということでやりましたのは十件でございます。その十件の中には青森県の坪川は現在のところ入っておりません。坪川につきましては、先ほど環境庁のほうからお話がありました概況調査で、水田については千ヘクタールに一点、畑については二千ヘクタールに一点ということで本年度全国的に概況調査をやっておりますので、その中に含めてやることを予定いたしております。
  151. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、今後精密にこれを調査するわけですか。
  152. 川田則雄

    ○川田説明員 細密調査と概況調査の関係は、概況調査というのは先ほど申し上げました密度で調査いたしまして、それぞれの汚染されているところ、あるいは汚染のおそれのあるところということで調査をいたしますが、その結果、汚染をされているということが判明いたした場合には、環境庁と連絡をとりまして、環境庁のほうで地域指定といいますか、細密調査、二・五ヘクタールに一点の調査をやって詳細に内容を明らかにすることになっております。
  153. 古寺宏

    ○古寺委員 ですから、あなたのほうではこういう報告書を出しておるわけですよね。坪川地区土壌調査栽培試験報告書、こういう調査報告書を出している。この調査報告書には結果が出ているわけです。これに基づいて地域指定をするのかどうか、今後の対策お尋ねしているわけです。
  154. 川田則雄

    ○川田説明員 先生お持ちの調査は農地局の資源課でやった調査でございます。それで私のほうでやっておりますのは、土壌汚染防止法に関係して農政局でやっておりまして、その資源課の調査につきましては、あとでまた資源課のほうとも連絡をとりまして詳しく御説明したいと思います。
  155. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、せっかく四十五年度にこういう調査をやって結果を出したのに、もう一ぺんまた別個にその調査をおやりになる、こういうわけでございますか。
  156. 岡安誠

    ○岡安説明員 土壌汚染防止法の運用のしかたについて御説明申し上げますが、いまお話しの銅等の物質につきましてはまだ指定がなされておりませんので、指定をいたしまして、さらに地域指定の要件というものを政令できめるという段取りになるわけであります。私どもが先ほど申し上げましたのは、銅、亜鉛等につきましては、法律に基づく対象物質として指定すると同時に、土壌とそれから作物障害を起こす因果関係等につきましてさらに詳しく調査をいたしまして、それらの結果に基づきまして指定の要件その他をきめていくという段取りになるわけでございます。  いまお話しの青森につきましてすでに農地局において詳しい調査があれば、私どもがその調査データをいただきまして、それらを参考にいたしまして、先ほどの物質の指定、それから地域指定の要件等きめまして、その要件に従って今度は都道府県知事が既存の調査データにより、また不足の場合には細密調査をいたしまして地域指定を行なうという段取りになるわけでございます。
  157. 古寺宏

    ○古寺委員 私が申し上げているのは——質問のしかたが悪いのでこんがらかっているようでございますが、土壌汚染防止法と関係なしに、私が農林省にお尋ねしているのは、こういうふうに坪川地区の水質汚濁対策一般調査、こういう報告書が出ているわけなんです。この結果を見ますと、二割以上の減収を認めているわけです。これは、現在政令指定になっておりませんところの銅、亜鉛による被害であるというふうな結論が出されております。これに対して、土壌汚染防止法のまだ対象になっていないこういう銅や亜鉛による公害被害に対して、農林省は一体どういう対策をお考えになっているのか、その点をいまお尋ねしているわけです。
  158. 川田則雄

    ○川田説明員 銅、亜鉛につきましては、先ほど申し上げましたようにまだ特定有害物質には入っておりませんですけれども、やはりそういうところがあるということにつきましてはわれわれ調査をいたしておりますし、また現地試験等もやっておりまして、そういう現地試験の中からやはり被害実態あるいは土壌中の銅の形態等、被害の程度の問題、あるいは現地試験の中からその改善の方法、そういう点を詳細に整備いたしまして、やはり営農対策、そういうことでつないでいくというような考えでおるのであります。
  159. 古寺宏

    ○古寺委員 長官もいまお聞きになっていると思うのですが、現在土壌汚染防止法ができても、カドミウム以外は対象になっていない。そのために三十年余り鉱山の鉱害によって毎年二割以上の被害が出ているわけです。一銭も補償されていないわけです。こういう人たちは、将来においては、先ほどお話があったように銅あるいは亜鉛が政令で指定になった場合には救済されると思いますが、その間はいままでと同じような状態で放置をされるわけなんです。こういう問題についても、やはり環境庁としては当然救済措置というものを考えていかなければいけないと思うのですが、長官は、こういうようなケースが東北にはたくさんございますが、こういう問題に対する救済についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  160. 大石武一

    大石国務大臣 そのような実例はほかにもたくさんあると思います。ただ、それが残念ながらいろいろな科学的な根拠を持ったデータが集められなかったために放置されてきたのがいままでの趨勢だと思います。今後はそういうことはやはり許されませんので、そういうものに対してはできるだけの対策を立てることが絶対必要だと思います。幸いに、去年の調査によってある程度の目安が立ったようでございますが、ことしは全国の一斉検査をやりまして、そういう個所をたくさん発見して、いろいろとそういう被害に対する対策を立てる基礎をつくることになりますから、ごく近い将来には何らかの対策を立てなければならない、こう考えております。
  161. 古寺宏

    ○古寺委員 一般に土壌汚染につきましては、水であるとかあるいは大気等から排出される重金属、こういうものとの関係性、あるいは今度は、その汚染された土壌と稲等の植物との関係性、そういうものが科学的に究明されていないという理由で政令指定もおくれているし、こういうような被害者がたくさんいるのに、今日なお放置をされているわけです。こういうような因果関係の科学的究明というものについて、環境庁は来年度一体どのくらいの予算規模でこれを究明なさろうとしていらっしゃるのか、これも環境庁お尋ねしたいと思います。
  162. 岡安誠

    ○岡安説明員 まだ来年度の予算につきましては現在いろいろ検討中でございまして、私どもまず課題といたしましては、カドミウムにつきまして物質に指定し、地域指定の要件は定めたわけでございますけれども環境基準といいますか、土壌とそれから農作物に吸収されるカドミウムの量の因果関係等につきましては現在明らかになっておらないわけでございまして、その結果、環境基準ができていないということもございます。それらを明らかにしなければならないのに次ぎまして、銅、亜鉛等のその他の物質につきましてもまだ指定もされていないということでございますので、それらの因果関係の解明というものを急いでやりたいというふうに考えております。  今年度におきましては、農林省におきまして、農用地土壌の特定有害物質による汚染の解析に関する研究というものを千九百万円余りの予算でもってやっておりますが、来年度におきましては、農林省でやるかまた環境庁独自でやるか、それらは関係者と相談いたしまして、先ほど申し上げましたような因果関係を早急に解明する必要のある物質につきましては十分な調査研究予算を組みたい、かように考えておる次第でございます。
  163. 古寺宏

    ○古寺委員 それで、一体いつごろまでに銅とか亜鉛の政令指定をやるお考えですか。長官から承りたいと思います。
  164. 大石武一

    大石国務大臣 これはいつごろまでと申しましても、おそらく因果関係があるだろうと思いますから、できるだけ早くいたしたいと思いますけれども、やはりこれは科学的に究明されなければなりませんから、その時期はいつと申されませんが、ことし調査すれば相当の研究の成果はあがるだろうと考えております。
  165. 古寺宏

    ○古寺委員 私のほうで過日坪川流域の銅、亜鉛の分析をやってみたんです。そういたしましたら、最高でもって銅が八七五PPM、亜鉛が一三三四PPM、こういう結果が出てまいりました。普通の土壌においては、大体銅の場合は二〇から五〇PPM、それから亜鉛は三〇から八〇PPM、そして実際に一〇〇PPMの銅あるいは二〇〇PPM以上の亜鉛がある場合には、明らかに農作物に生育障害が起こっている、こういうふうにいわれているわけなんですね。こういう事実からいっても、当然ここはもう相当汚染されているということは事実でございます。それが、因果関係が明らかでない、まだ政令で指定されていない、ですからもう少し待て、こうおっしゃいますが、その間非常に困って三十何年間も放置されてきた方々が、今後も同じような状態に置かれるわけなんです。こういう点についてはもっと積極的に救済というものを考えなければいけないと思うのですが、こういうふうにもうある程度因果関係がわかっているわけですから、当然これは指定してもいいのじゃないか、私はこう考えるのですが、長官はどうでしょうか。
  166. 大石武一

    大石国務大臣 全国のいろいろな農薬関係の研究の結果を集めてみれば、おそらく間違いなく銅なり亜鉛なりの農業収穫に対するいろいろな関係というものは必ずあるだろうと思います。そういうものを土台にして、さらに、幸いに青森県の上北の地帯は、古寺先生のような方々の御努力によりまして、そういう研究や銅なり亜鉛なりの測定が行なわれていますから、その地帯はなるほどいますぐにも認定ができそうにも思いますけれども、やはりそういうことは全国できるだけ広くやったほうがいいと思いますので、ようやくことしは環境庁ができまして、来年ですか、一斉検査はそういう形になりますから、できるだけ急いで早くやりまして、多くの方々から御迷惑を除いてあげたいと考えております。
  167. 古寺宏

    ○古寺委員 そこでこれと関連いたしまして、今度は、こういう被害者が実際に損害を補償してもらう場合に、被害を補償してもらう場合には因果関係を立証しなければいかぬわけです。ところが、いままで三十何年たっても現地の人にはそういう力は全然ございません。また、農林省が実際にこういうような報告書を出してもまだこういうような状態でございます。そういう点からいって、今後被害者が立証するのには非常に困難を伴うわけでございますが、こういう点については環境庁長官はどういうふうにお考えですか。
  168. 大石武一

    大石国務大臣 そういう立証はなるほど地元の人あるいは少数の人の力ではなかなかできないと思いますから、それは国のほうがそういうことに力を入れてそのような立証をするような方向に進んでいきたいということは、この調査をすることと同じでございますから、そういう方向で進んでまいる考えでございます。
  169. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、時間でございますので前に行きますが、先ほど島本委員からも質問がございましたが、日軽金の赤どろの問題でございます。  この赤どろの問題は非常に大きな問題になっているわけでございます。と申しますのは、実際に投棄する場所がいろいろ水産資源に対して悪影響を及ぼすだろうと予想される地点になっているわけであります。北海道と同時に、陸奥湾、津軽海峡、三陸沿岸、すべてがその被害の対象になってまいるわけでございますが、この点について水産庁はどういうふうにお考えになっているのか、まず承りたいと思います。
  170. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁といたしましては、そういう産業廃棄物の海洋投棄につきましては、原則的に陸上で処理して海洋に投棄しない、してもらいたくないということで話を進めておりますが、万やむを得ない場合は、水産動植物に影響を与えないような、漁業に影響を与えないような投棄方法をやってもらいたいというふうに考えておりまして、この北海道の苫小牧におきます日軽金の赤どろにつきましては、北海道におきまして道知事が、北大の水産、工学、衛生、理学等の学者を約十名程度お願いいたしまして、諮問機関といたしまして委員会をつくりまして、それによって海洋投棄をしないで済む方法があるのかどうか、先ほど島本先生から御指摘がありましたような固めて魚礁になる方法があるのかないのかということも含めまして、これの検討をいたすという計画になっております。そこで、まだこの委員会は発足しておりませんが、ここでは日軽金並びに漁業者のほうの資料、あるいは軽金属製錬会がフランスのペシネー社から入手しました資料等でもってそういうことを検討いたしまして、八月中旬からそういう委員会を発足させてこれの検討をいたすということになっておりますので、それの結論をまってから、これについての対策考えたいというふうに考えております。
  171. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、それでは通産省お尋ねしますが、この十二月から投棄が始まるという計画になっているわけです。これから陸上で処理をすることをいろいろ検討して、それがどうしてもうまくないという場合には計画どおりここに投棄することになるでしょうが、そういう点について通産省は一体どう考えているのでしょうか。
  172. 久良知章悟

    ○久良知説明員 赤どろの問題につきましてはただいま水産庁のほうから答弁があったわけでございますが、私のほうといたしましては、環境庁並びに関係官庁の結論に従って、これは処理すべきだというふうに考えております。いまお尋ねの十二月に操業が開始されるのではないか、それまでに結論が間に合うかどうかという問題でございますが、いまの投棄の方法についての結論がはっきりするまでは、海上への投棄というものはこれは当然できないというふうに考えておる次第でございます。
  173. 古寺宏

    ○古寺委員 もしかりに日軽金に対して投棄を許可いたしますと、現在新日本製鉄、これは大体百万トンの海洋投棄を計画しているようです。あるいはまた志村化工、これは四十五万トンの海洋投棄をやはり考えておる。そういたしますと、日軽金の海洋投棄を許可したために三百万トンから五百万トンの海洋投棄が今度は公然と行なわれることになるわけですが、こういうような事実について水産庁は知っておられますか。
  174. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 これにつきましては過般漁業者の陳情がございまして、私どもも伺っております。
  175. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、現地の人から陳情がないうちは水産庁はわからぬわけでございますか。
  176. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 苫小牧の実情につきましては、私ども現地から聞くまではわかりませんでした。
  177. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、現在日本軽金属が投棄しようとしている地点、そこに年間百二十万トンの赤どろを投棄した場合にはどういうような公害考えられますか。
  178. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 現在日軽金が苫小牧の工場で投棄しようとしている地点につきましては、私どもまだ正確な地点は聞いておりません。それから、その他の新日鉄等のものにつきましては、おそらく波及的に投棄されるだろうということを陳情を受けているのでありまして、現在投棄されるということを聞いているわけではございません。
  179. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、現在投棄しようとしている地点は、私から申し上げますが、東経百四十二度八分、北緯四十一度五十一分、大体これは苫小牧から百キロメートル、襟裳岬から百キロメートルを結んだ地点、こういうふうになっていますが、青森県の尻屋崎から七十二キロメートル、襟裳岬から九十二キロメートル、苦小牧から九十七キロメートル、こういう地点が計画の投棄地点になっているようでございます。よろしゅうございますか。この図面をあなたにお見せいたしますので、ここで考えられる漁業の被害というものをおっしゃってください。
  180. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 ただいまお見せいただきましてこの地点はわかりましたが、私はこの地点でいまこういう被害があるということを的確に申し上げられませんが、もしこういう地点で流されるとしますと、津軽海峡から流れてまいります対馬暖流の強いときには浦河、三石、襟裳岬のほうに流されて、ここら辺における海藻にも影響があるものと思われますし、親潮が強いときには、反対に尻屋崎のほうの青森県側のほうに影響があるものというふうに考えております。
  181. 古寺宏

    ○古寺委員 東北はどうですか、三陸沿岸は……。
  182. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 いまここの海流の状況を私的確につかんでおりませんので、いまここを回ってあるいは三陸に行くかどうかということは何とも申し上げられません。
  183. 古寺宏

    ○古寺委員 一番問題になっているのは漁業の被害なんです。それが水産庁自体がそういうことを全然検討もしていない、考えてもいない、こういう結果でありますので、当然私は、日軽金はおそらくこの計画どおりに投棄することになると思う。そうなって初めて——冬季間は親潮に乗って三陸沿岸、福島一帯が、底びき漁業あるいは沿岸の増殖漁業、いろいろなものが被害をこうむった、そういうときになって初めて、水産庁は確かにそういう被害がありました、とこういうようなことではこれは大問題だと私は思うのです。なぜ、こういうふうに今年の初頭からいろいろ問題になっているのに、水産庁はこういう実態を検討しないのか、そういう点が私は非常にあいまいであり、無責任だと思うのですが、どうですか、もう一ぺん御答弁を願います。
  184. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、陸上処理を第一にやるようにと言っておりますし、万やむを得ない場合の投棄場所につきましても、そういうところは避けてもらいたいというふうに考えております。
  185. 古寺宏

    ○古寺委員 最近の環境庁発表によっても、漁場の汚染というものは非常に進んでいるわけです。それでは、海を守る立場にある水産庁が全然海を守ろうとする意欲がないじゃないですか。  そこで、私は環境庁長官お尋ねしたいのですが、水産庁がこういうような状態でございます。これは環境庁は絶対環境を守るために、こういうような漁業被害がもう明らかに起こるということが想定され、さらにまた北海道大学の五十嵐教授が実際に三宅島へ、先ほどお話がありました静岡県で投棄しているものを持っていって、そして実験をして、これはもう明らかに被害があるというような結果を出しているわけです。そういう点からいっても、私は、当然この赤どろの投棄というものは絶対やめてもらわなければいけない、こういうふうに思うのですが、長官いかがでございましょうか。
  186. 大石武一

    大石国務大臣 私は先日、北海道全道の漁民の代表の方々の陳情を受けまして、その実態を聞かせてもらいました。そしていろいろな写真など見せてもらいました。その結果やはりずいぶんひどい状態だなと思います。いまの三宅島、あっちのほうに投棄しました現場に、船に乗っていって調査をしたもののいろいろな写真も見ました。それで見ますと、ひどく海を汚染することは確かであります。したがって、私は原則としてこの投棄は絶対に禁じたいと考えておるのです。そういうことで、漁業に被害があろうがなかろうが、海洋を汚染するようなそのような行為はやめさせたいと思う。そういうことで、私は庁内におきましてこれを許可しない方針で、陸上処理方針でこの対策を立てるようにということを話しております。ですから、先ほど通産省局長さんから私と同じような意見の開陳がありましたので私は非常に心強く思います。これで、初めて環境庁がいろいろな調整機能を十分に発揮することができるような力強さを覚えたわけでございます。ですから、そういうことで、水産庁としては少し遠慮しているのだと思うのです。これは初めから陸上で処理させるということを前提で考えるようでございますから、ちょっと聞けばなるほど少しいくじがないようで消極的に思いますけれども、同じ考えだと思います。そういうことで、何とかしてこれを海洋に投棄させないようにわれわれがお互いに努力すればそのような結果もできると思います。自分の会社のいろいろな操業のために、会社の経営のためにあらゆる努力をするのはけっこうですが、そのしりぬぐいをほかの人に押しつけるのはよくないことです。こういうことは厳重に取り締まらなければならない、こう考えております。
  187. 古寺宏

    ○古寺委員 時間でございますので、そこで水産庁は、当然こういうような問題は水産庁が責任をもって調査研究をすべき問題だと思うわけです。それが全然投棄する地点も知らぬ、こういうようにおとぼけのお話をしていらっしゃいますけれども、今後やはり十分に責任をもって調査をし検討をしていかなければならないと思うのですが、水産庁はおやりになる意思があるかどうか。また環境庁は水産庁に対して、先ほどのお話を聞いておわかりのことと思いますが、今後そういう問題について真剣に取っ組んでもらうようにお話をなさるという御意思があるかどうか、この点を承って質問を終わりたいと思います。
  188. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 先ほど申し上げましたように北海道で委員会を発足させますので、これに水産庁といたしましても全面的に協力いたしまして調査をいたしたいと思っております。
  189. 大石武一

    大石国務大臣 先ほど申しましたようなことで、これは何としても水産庁にも通産省にも協力してもらう考えでおります。
  190. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員長代理 寒川喜一君。
  191. 寒川喜一

    ○寒川委員 私は簡潔に、港湾の油の汚染のことにつきまして集約的に質問をいたしたいと思います。  先般も国自身が河川について汚濁の状況を調査されましたが、それぞれ物質の基準に数倍をする内容であったことは新聞が報道し、一般国民も知ったところでございまするが、そういったものが港に流れ込んだ上に、船から出す廃油の投棄、これはもう港自体はほんとうに汚泥に近いような状態になりつつございます。私も二年前、居住の関係から大阪海上保安監部所管地域について調査をし、昨日も見てまいりましたが、よくなるどころではなく、むしろだんだん悪くなっておるのです。海上保安庁にお聞きしたいのですが、一体監視の結果というものはなぜ成果があがらないのか、どんなところに理由があってますます油が港をおおい、それが外洋にまで続くという状態になっておるのか、その理由についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  192. 上原啓

    ○上原説明員 御説明申し上げます。  海上保安庁といたしましては、海洋汚染防止、海洋汚染の取り締まりということを最重要業務といたしまして最も力を注いでやっておるところでございますが、いかんせん力及ばず、必ずしも十分な成果をあげておりませんことははなはだ残念に存じておるところでございます。今後とも一そう努力いたしまして、極力海洋汚染の防止に尽力いたしたいと考えております。  大阪湾の汚染につきましては、私見で申し上げますれば、淀川はじめ河川からの汚染物質の流入が相当激しいのではないかということがまず考えられるかと思います。それから、大阪湾は外航船も相当多うございますが、内航の小型船あたりが非常にたくさん航行しておるところでございます。この内航船が、必ずしも油の排出を防止する設備が十分でない等の関係がありまして、依然としてビルジないしはバラストを流して歩くという実態がなお残っておることは率直に認めざるを得ません。この点ははなはだ遺憾でございますけれども、今後とも大いにPRにつとめ、なおかつ取り締まりを強化してまいりたい、このように考えておる次第であります。
  193. 寒川喜一

    ○寒川委員 そういう抽象的なことを何ぼ繰り返しておっても私は同じことだと思うのです。具体的にどういうところにネックがあって取り締まりができないのか、すなわち監視体制の制度の問題に欠点があるのか、あるいは施設、人員、器材に問題があるのか。あるいはあとで御質問申し上げようと思っておったのでありますが、たとえば大阪の場合に廃油処理施設がございませんけれども、民間の方が熱心につくられておりますけれども、これは毎日新聞が報道しておりますように全く利用しておらない。こういうことを考えますと、いま申し上げたように、精神的なことを何ぼ言ってもらってもこの問題は解決しないと思うのです。そういう面ではざっくばらんに、こういうことをやってもらわなければ処理し切れないのだということをここで議論をしないと、御案内のように何ぼ法律のりっぱなものができましても、やはり外国から人が来ますのは空と海です。日本の港に入って、これが公害を一生懸命やっておる、法律で体系がりっぱにできておる国だというようなことを自慢しておっても、何を言っているのだというような認識を世界にまき散らすだけだから、ぼくはこういう若干きついことばで言っておるのですが、具体的にこうしてほしいとかああしてほしいとかいうような問題が私はあると思いますね。ないということであるならば、サボっておるという以外に言いようがないのですが、この点はいかがでしょうか。
  194. 上原啓

    ○上原説明員 廃油処理施設のことに先生お触れになりましたけれども、廃油処理施設の整備状況は必ずしも現状では十分ではないというぐあいに考えております。この点につきましては関係部局、これは運輸省内のことでありますので、いつも強く要望いたしておるところでございます。担当の港湾局のほうでは相当力を入れられましてこの整備につとめておられるようでございます。まだ十分ではございませんが、御努力は大いに多としなければならぬと思います。ただ私ども、詳細な数字は港湾局からお答えするのが適当かと思いますが、必ずしも十分に利用されていないといううらみがあるわけでございまして、廃油処理施設を利用するという意識に欠ける点がありはしないかというような点が非常な問題だと思っております。この点は海上保安庁として大いに努力いたさなければならぬところでございます。  抽象論でもの足りぬとおしかりでございますが、むしろ御激励のことばとわれわれ承るのでございますが、たとえば本年度の予算におきましては、海上保安庁としてはこの海洋汚染防止の関係が最重要事項でございまして、たとえば来年度購入いたしますものを含めまして小型ヘリコプター四機というもの、それから巡視船艇の代替建造二十二隻、それから増員にいたしましても十七名。なお、組織といたしましては、保安庁本庁に海上公害課の新設、それから四つの管区海上保安部に海上公害監視センターの設置というものが認められまして、こういう組織とか増員とかは年度当初から直ちに実行に移しまして、あと船艇、航空機の整備については一日も早く、一日も早くということで、現在関係業者を督励いたしておるところでございます。これをもっていたしましても、必ずしも十分な体制であるとはっきり申し上げる自信はございません、率直に申し上げまして。来年度の概算要求につきましても、やはり最重点事項の一つとして強く財政当局の理解を求めたい、このように考えておる次第でございます。
  195. 寒川喜一

    ○寒川委員 まあお気持ちはわかりますけれども、具体的な、現場で監視に当たっておられる人の話を聞きますと、洋上に油が浮いておる、そこを船が走っておる、したがって、たれ流しておる現場をつかまない限り、ほとんど立件はできないのだということを言っておられるわけなんです。したがって、大阪海上保安監部で一年に立件しておるのがほとんど三十件、しかもそれは小さなもののみのようでありまして、大きなものは全部抜けておる。したがって、たとえば、あとでも質問をしたいと思いまするが、廃油処理施設ができましても、日曜、祝祭日は休み、夜間は全然稼働せぬというような形であれば、御承知かと思いますが、万トン余の船が一日係留すると、やはりばく大な金が要るわけなんです。いまの海洋汚染防止法の罰則をもろに受けても、罰金を払うたほうが安いという姿勢があるものですから、港湾から離れて洋上に行く過程で捨ててしまう、あるいは夜はどこへでも捨てるというような現状がほんとうの姿で、ぼくは実績があがっておらないと思うのです。そういう意味で、夜間も赤外線など新しい監視器材というものを駆使して十分やっていけるというような形でなければいけないと思います。先ほど御答弁の中にございましたヘリをふやす問題にしましても、大阪に何か一機当たるようでございますけれども、ヘリの基地というものは御承知のように遠く離れた八尾飛行場を使う。したがって普通飛行場を使う。基本的にほんとうにやろうと思うのであれば、やはり独立した非常にいい場所に単独のヘリポートを持つとかいうような姿勢がなければ、精神論だけで終わって、あるいはハエを追うような形で、いつまでたってもこの問題は片づいていかないとぼくは思いますが、科学技術を駆使して新しい二十四時間体制で監視をするといったようなことについて検討されておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  196. 上原啓

    ○上原説明員 御説明申し上げます。  先生いろいろ当庁の体制の欠陥を御指摘になられましたが、まことにごもっともと承るばかりでございますが、あえて御説明させていただきますならば、まず夜間の体制でございますが、油の不法排出事件、この取り締まりにつきましては、現行犯で逮捕する、それによって検挙、立件するということが一番効果的なわけでございますが、御指摘のとおり、夜間の不法排出につきましては海上保安庁といたしましては現在のところ非常に非能率である、むしろ僥幸でなければ検挙できないという実態であることは、率直に私どももよく認識しておるところでございます。これに対して私ども決して手をつかねておるわけではございませんで、先生御指摘のとおり、もっと実際の取り締まりに当たる船艇、航空機の装備を改善していかなければならないということは、われわれの最も力を入れておるポイントの一つでございます。たとえば夜でも外の見える装置はないであろうかというようなことで、これも一つの開発項目でございます。それから、これはもうほとんど開発の見通しが立ったといってよろしいかと思いますが、航空機に特殊の赤外線装置を装備いたしまして適当な高度で飛行いたしますと、油の不法排出が発見できるというようなことがほとんど開発の見通しが立っておりますので、現在海上保安庁で来年度の概算要求の作業をいたしておりますが、来年度はこれを実用段階に持っていきたいということで、現在前向きに検討を進めておるところでございます。なお、この不法排出につきましては、たとえば、自動車のスピード違反に対しましてタコメーターを装置させるということが最も効果的なものだと考えておりますので、自動排出記録装置というものが開発できないだろうかということで関係機関ともいろいろ御相談申し上げて、この開発に乗り出しております。ようやく第一歩を踏み出したという段階でございますけれども、今後ともこのような新しい装備の開発ということにつきましては、できるだけの努力を傾注してまいりたいというぐあいに考えております。  次にヘリコプターの基地のことについて先生御指摘ございましたが、この点につきましては、もう率直に申し上げますが、われわれと少し見解を異にいたしております。御指摘のとおり、現在八尾基地に小型ヘリコプター一機でございまして、年度内にもう一機増備する予定になっておりますが、この八尾基地のヘリコプターに期待しておりますところは、大阪湾と播磨灘にかけてのいわば内海、内湾一体のことを期待いたしておるわけでありまして、その意味におきましては八尾基地というものは決して位置としては悪くないとわれわれは考えております。それから、むしろ紀伊水道以南の水域について手薄ではないかという御配慮かと思いますが、この点につきましては、海上保安庁といたしまして、この海域は広島基地に配属されておりますビーチクラフト機の担当海域というぐあいに現在きめております。これは相当遠くなりますので小型ヘリコプターでは無理な海域である、したがいまして中型の双発の固定翼機を使うという考え方でございます。広島のビーチクラフト機が能力が足りませんときは、少し遠うございますけれども鹿児島のビーチクラフト機を使いまして、紀伊水道沖合い、豊後水道沖合いというようなものを監視、警戒する、このような体制になっておりますので、御了承願いたいと思います。
  197. 寒川喜一

    ○寒川委員 大体お考えのことがわかりましたが、ただ、ひとつ説明だけに終わらないように……。従来からこのことについては各委員とも機会あるごとにやはり心配をして、海上の油の汚染のことで影響が甚大でございますので注文しておるわけなんで、そういう意味で、二十四時間監視体制がとれるように早急にひとつ施設、器材の整備をして、期待にこたえるようにやってもらいたいと思います。要望しておきます。  それから、次に運輸省の方に質問をしたいのですが、御承知のように、現在の廃油処理施設は横浜、神戸というようなことで、来年度整備をされるようでございますが、整備の見通しというものがもうついたのかどうか。しかも計画の内容を、時間があまりありませんが、簡潔にお漏らしをいただければありがたいと思います。
  198. 西村俊之

    ○西村説明員 お答えいたします。  廃油処理施設の整備につきまして、現在二十港、三十カ所ございますが、そのうちで港湾管理者で七カ所持っております。で、現在四十七年度末を目途に整備計画を固めておる段階でございまして、現時点でどのくらいを予定しておるかといいますと、全国で港湾管理者によりますものが二十一港の二十一カ所というのを目標に検討を進めております。一つの規模といたしましては、一日、最大千五百トン・パー・デイという能力を持ったものを目安としておりますが、この一つについて約二億円程度を要するわけでございます。
  199. 寒川喜一

    ○寒川委員 そこでお聞きしたいのは、処理施設の中に回収船が含まれた一体の施設というような観点で計画をされておるのか、処理施設は国が中心になって心配をするけれども、船は適当にやりなさいという姿勢なのか、その点はいかがですか。
  200. 西村俊之

    ○西村説明員 現在集油船という問題がございます。で、廃油処理施設がございましても、集油機構が整備されておりませんと非常に能率が悪いという点がございます。で、われわれの整備のやり方といたしまして、まず民間業者がある場合には、それの整備に待つということを第一に考えておりまして、この民間業者に期待できない港湾につきましては港湾管理者が整備を行なうということで処理施設等は進めてまいっております。集油船の整備につきましても、民間の海運業者等油を運ぶわけでございますので、これにつきましては船舶整備公団の融資によりまして整備を進めていきたいというように考えておるわけでございます。なお港湾管理者が整備を行なう場合につきましては、従来から上屋、引き船等起債によってこれを整備してまいってきておりますが、集油船につきましても起債によって促進いたしますように関係方面と折衝中でございます。
  201. 寒川喜一

    ○寒川委員 その辺が、やはり施設ができても現在もあまり利用されないという基本的な問題を、現場の意思を中央が十分理解しておらない点だとぼくは思うのです。したがって、いまお話のございました油を回収する集油船、これと施設というものが一体でございませんと、港へ船が入ってくれば、油を捨てたいのだというシグナルを上げればそこへ取りにいくというようなことでございませんと、先ほどの質問の中にも触れましたように、日曜、祝祭日はやらない、夜間はやらない、したがって、港に長く泊まるということは荷役の近代化でむしろそういう方面ではどんどん早く出ていけというようなことのために、出ていく中途で油は捨ててしまう、こういうことが根本的には解決しないところの大きな原因だと思います。したがって、今度建設が予定をされておる港湾管理者である指定都市においても、この問題については強く政府に要望しておると思うのです。従来のように金を貸してやるからやれというようなことであれば、やはり画竜点睛を欠くといいますか、ほんとうに機能するものでなければ、かっこうをつけるだけではぼくは意味がないと思います。そういうこと等からして、先ほども若干触れましたが、罰則の問題でも日本ほんとうにスカみたいな罰則をつけておるのですから、捨てたって罰金払えばしまいだという形が出てくると思います。そういう意味でも時間があれば、先ほど公害税というような問題が起こりましたが、オーナーに対して一定の負担金を取るとかいうような新しい感覚の行政が出てこないとぼくはこういった問題はやはり解決をしないと思うのです。したがって、そういう面で環境庁長官と運輸省の西村さんから再度御答弁をいただきたいと思います。
  202. 西村俊之

    ○西村説明員 いま御指摘のございました件でございますが、われわれとして港湾管理者の指導を行なっております段階でいろいろな問題があるということは存じております。先ほど祝祭日の問題等おっしゃられましたけれども、現実に横浜港につきましては、官民合同の運営母体をつくりまして運営いたしておりまして、そのために夜間の入港についても船舶の廃油の処理ができるという体制ができておりますけれども、すべてがすべてそういう体制になっておるわけではございません。今後はそういう運営母体を整備し、強化することによりまして夜間の廃油処理につきましてもでき得るように港湾管理者等を指導していきたいと思っております。
  203. 大石武一

    大石国務大臣 寒川委員の最後の御提案、非常にけっこうなお考えだと思います。私の所管かどうかわかりませんけれども、そのような方向で将来持っていったらあるいはこの対策の一助になるかと考えております。
  204. 寒川喜一

    ○寒川委員 西村課長にもう一ぺんお聞きしたいのですが、あなたはやはり現地のことを実際に御存じないと思うのです。船もだんだん大型化してまいります。したがって、廃油施設の場所に順番を待って大型船が入ってくるような、デスクでの計算ではそれでいいかと思いまするけれども、実際は、そんなことをやっておるからみんな海に捨てて廃油処理に乗らないとぼくは思うのです。そういう意味で、ほんとうにやるからには、一基二億をおかけになってやられるのですから、しかも集油船も、だんだん大型化したものがある程度数がないと追っつかないように形に私はなってくると思います。そういう先の見通しを立ててやっていくという体制をぜひひとつとってもらいたいと思います。そういう意味では上司の方が見えなかったのは非常に残念と思いますけれども、私の意向を十分伝えてほしい。  それから最後に長官にお願いしたいことは、やはりこういう問題をほんとうに真剣に取り組もうとすれば、従来の補助体制——直接金を補助する、あるいは役所のよくやることなんですけれども、金を貸してやるからというそういう問題について、廃油処理施設と集油船というものが一体のものであるという理解の上に立たれて、やはり根本的に国の助成といいますか、補助体制というものをもう一ぺん検討していただくおつもりがないかどうか、このことをお尋ねして終わりたいと思います。
  205. 大石武一

    大石国務大臣 寒川委員意見に私は同感でございます。私たちの所管でできますかどうかわかりませんけれども、そのような方向で行政を進めてまいりたいと思います。
  206. 寒川喜一

    ○寒川委員 終わります。
  207. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員長代理 米原昶君。   〔橋本(龍)委員長代理退席、寒川委員長代理着席〕
  208. 米原昶

    ○米原委員 時間もあまりありませんから、私は、瀬戸内海の汚染の問題とそれから公害病の認定の問題について若干お尋ねしたいと思います。  ただいまも委員から質問がありましたように、瀬戸内海の汚染は非常に極端な状態になっております。私たちの党でも、この前瀬戸内海関係の十一府県の代表に集まってもらいまして、いろいろ現地の実情について意見や調査したデータを出してもらったのですが、同じころやはり瀬戸内海沿岸の各府県の知事の会議もあったようです。おそらく政府にも申し入れがあっただろうと思いますが、もちろん瀬戸内海の汚染の問題は、原因は一つにしぼるわけにはいかない、非常に複雑な要因があります。いまもお話にあった産業廃棄物の投棄の問題、それだけでなくて、ごみやふん尿のあれをどんどん投棄しているこういう問題、それから漁民が一番問題にしているのは赤潮の問題、そういう問題があると思うので、総合的に相当思い切った手を政府で打たないと解決がつかないのじゃないか。そういう中で各府県ともいろいろ調べて話が出た中で、一つの根本的な考え方の問題ですが、政府がいままで出された文献を見ますと、瀬戸内海を一つの産業運河とするのだ、こういう考え方がありますね。いまでもすでに大阪湾や尼崎の沖のあたりは全く死の海の状態になっております。しかもこれがどんどん広がっていくのですよ。さらに新総合開発計画で問題になっている徳山湾の状態、いままでのあれを何か産業運河にするという考え方でいったのでは、ますます汚染はひどくなって解決がつかなくなると思うのです。やはり瀬戸内海というのは非常に自然としてもきれいなところで、日本代表的なところだと思うので、おそらく各国の人が来ても、あんな美しい内海は世界にないのです。そこが破壊されている状態ですね。どうしても産業運河とするというこの考え方、根本を改めて、何よりもあそこの沿岸に住んでいる住民の生活環境、自然環境を守っていく、それを中心に考えないと、産業運河にするという、これは結局ある意味では企業第一主義ですが、その考え方でいったのではいけないのじゃないか、何よりも人間の命と生活を大切にするのだという観点から、問題になっている新総合開発計画についてもその立場から再点検してみる必要があるのではないか、こういうふうに考えるのですが、まず長官のその点についての根本的な考え方を聞きたいと思います。
  209. 大石武一

    大石国務大臣 私は米原委員のお考えと全く同感であります。いま、政府は産業運河と考えておるだろうということでございますが、私はそれほど自覚して産業運河ということを考えておるのではないと思います。ただ、いわゆる経済の高度発展に伴いまして、何ということなしに各地でかってに無自覚にいろいろな工場を誘致したり、いろいろな企業を盛んにつくり上げた、そういうことが知らず知らず集合されまして大きな公害になりまして、あのような瀬戸内海の荒廃を来たしたのだろうと私は思うのです。ただいたずらに高度経済成長の波に乗って、無自覚にやったことが集合されてああいうことになったのだろうと思います。当然これは、時代が変わりまして、ものの考え方も非常に変わってまいりましたから、これからはそのような無自覚ないたずらな高度成長だけはやめまして、やはり人間尊重の精神から、あのようなすばらしい自然を守りたい。回復することはなかなか容易でありませんが、少なくともこれ以上おかさぬように守っていくことに全力をあげたいと思うのです。  先日も瀬戸内海沿岸の各県の知事さんの会がございました。先月の十四日でありますが、そのときは国会の開会日でありましたので私は行けませんで、官房長をそこにやりました。官房長もいろいろと皆さんの御意見を聞き、いろいろと考えてまいったようであります。そのときも彼は、長島愛生園ですか、その他のあの白砂青松の地がまっ黒い油にまみれまして、ひどい姿になっていたことを非常に嘆いておりました。われわれ環境庁としては、あの自然をあくまでも守らなければならないという考えに立っているのでございます。
  210. 米原昶

    ○米原委員 ただいまの御意見は非常にけっこうな意見だと思います。いままで政府——これはその問題でここで議論しようというわけじゃありませんが、政府発表されているいろいろな公式の文書の中に、産業運河ということばがずいぶん使われております。これはやめていただきたいということです。それで別の見地から、根本的に人間の生命を大事にするという見地から全体の瀬戸内海問題を考えてもらいたい。  それから、私たちの開いた会議ではいろいろな専門家も出席して意見がありました。たとえば、産業廃棄物の投棄を発見するのは、いまもここで質問がありましたように、なかなかむずかしい問題があります。ヘリコプターを使えという意見もありましたが、ヘリコプターよりも民間飛行機をチャーターするほうが金もむしろかからない、そして発見も手早いし、飛行機から見るのが一番早い、それをすぐ海上保安庁に連絡をとって見つけてやるというような提案がありました。このあたりはちょっと考えてもらいたいと思っております。それからもう一つは、地域の住民の協力を求めることが非常に大切である。たとえば、海上に流されているごみで困っているのは実際は漁民ですね。ある地域、たとえば小豆島の漁業協同組合ですかに兵庫県が協力を求めた、そのごみを拾ってきてくれ——これは積極的で喜んでやっております。瀬戸内海関係の漁業協同組合全体に協力を求めたら、おそらく相当成果があがるのではないかと思いました。これも漁民が協力してくれるので、それはいまただでやっているのですが、ある意味では奨励金でも出して、そういうやり方でも、少なくとも漁業に被害を与える面は相当救われるのではないかということを感じたので、参考までに話しておきます。  その議論の中で一番問題になりましたのは赤潮の問題です。いままで、各地でこの赤潮の発生の原因について漁民を中心に土地の住民がいろいろ申し入れましても、これは確かにむずかしい面はあるのですが、科学的な調査が実際はできていないということで、この点をどうしても国としてあらゆる科学技術機関を総動員してやってもらいたいというのが基本的な要求の一つだったわけです。ところが、一昨日の朝日新聞に出ておりますね、科学技術庁の、赤潮の原因について山口県徳山湾をモデルに選んだ調査が発表されておるわけですね。「内海水域の赤潮に関する総合研究報告」、これが初めて国の調査として、原因が明らかになった。大体それは予想はされておったわけですが、工場排水の影響が決定的である。大体予想しておったのでありますが、しかし総合的な調査は一つもないのですから、いままでのところ幾らこの問題を言っても、公式のデータというものは何一つ出ていないために、どうしたらいいか困っていた。この点では、この調査が出たということは非常に大きな意味を持っていると私は思います。  ただ、そこで問題なのは、この朝日新聞記事で見ますと、この調査の過程で各主要工場の排水口別の栄養塩類濃度が調査されて、データとしてはもうすでに持っている、しかし、これは公表しなかったということなんですね。どうして公表しなかったかということがたいへん問題なわけですが、科学技術庁のほうは、この研究は赤潮現象について調べることが目的であって、赤潮の個別的な原因追及は調査のテーマではなかったと言っておられると新聞はいっておりますが、しかし個別的な調査のデータこそ現場の漁民は知りたいところだと思うし、また、そこまでいかないと具体的に赤潮を防ぐことも実際にはできないのじゃないか。一般的にはこれがはっきりわかってきたわけですが、この点について科学技術庁のこの発表のしかたは、どうも企業に不利なデータは隠そうとしているのじゃないか、これはだれしもこう感ずるのは当然だと思うのです。すでに中間報告としては、この企業別のデータは出ているそうでありまして、これを見ますと、すでにこの中間報告というのも百部だけ印刷して、関係研究者には配付したということも出ております。こういう問題、これは確かにそれ以外の企業にもおそらく問題はあるんじゃないかと推定はできますけれども、少なくともこんなものは隠す必要はないのじゃないかと私は思うのです。これは百部ではおそらく公害委員会のメンバーにも配付されておりませんが、このデータは少なくとも国会公害委員会に対しては配付してもらいたいと思います。同時に、なぜこういうやり方をやるか。これは科学技術庁のほうに聞くのが当然かもしれませんが、ひとつ環境庁の長官として、こういう問題に対してどういう考えを持っておられるか聞きたいと思います。
  211. 大石武一

    大石国務大臣 先に局長からひとつその経緯を述べさせてもらいます。
  212. 岡安誠

    ○岡安説明員 実はこれは科学技術庁の発表でございますけれども、私経緯を伺いましたものですから、ちょっとかわりにお答えさせていただきます。  お話の調査は、四十二年度から四十四年度末までに、赤潮に関する総合研究ということで行なわれたようでございますが、その成果につきましては昨年の十一月に中間報告としてまとめられておりまして、本年の三月に最終報告という二段がまえで発表がされました。その際に、研究の資料とされました工場排水の水質につきまして、中間報告では、お話のとおり個々の工場の排水につきまして具体的に記載されておったのでございますけれども、最終報告書では、要約的に記載されておるということからそれが載せておらなかったというようなことでございます。これは中間報告書自体が、関係研究者の意見の統一のために取りまとめたというようなことからこまかいデータも載せたけれども、最終報告書では特にそういう必要性がないということでもって書かなかったということであって、発表を差し控えたつもりではないというような科学技術庁の連絡でございますので、経過だけ御報告申し上げるわけでございます。
  213. 米原昶

    ○米原委員 徳山市の水産課によると、最終の報告について科学技術庁のほうから、「原因追及が研究のねらいではないから、漁民と企業の補償交渉の“道具”に使われないよう、データの使い方に注意してほしい」と、わざわざそういう通知が来ているとありますが、そういうのは事実ですか。
  214. 岡安誠

    ○岡安説明員 実は、そこまで私承知いたしておりません。
  215. 米原昶

    ○米原委員 ですから、どうも考え方が企業保護ということだけにきゅうきゅうしている。もちろん、これはただ個々の企業を追及するだけで解決する問題ではありませんから、そこではなくて、根本的な原因がどこにあるかがはっきりして、これはおのずから工場排水が原因だと大体わかりますと、単に問題になっている一部の企業だけでなく、瀬戸内海沿岸の全体に対してやはりやらなくちゃならぬ問題だと思います。個々の企業がいままでこういう実態があるのだということを発表されたからといって、これは一つのデータとして非常に参考にはなりますが、それだけが原因だというわけにはいかないのは常識ですから。特に徳山湾の場合は、そこにさらに今度の新全総であそこを新しい大きな工業地帯にしようということで不安がっているわけでしょう。ですから、当然あそこでは具体的なものが発表されたっていいと思うのです。そのほうが新しい開発計画を変えていくためにも非常に参考になるわけです。そういうことはあくまでも隠すというのはおかしいじゃないか、そういう態度では、さっき長官のお話しになった何よりも沿岸住民の生活、生命を守るという基本線からはずれてしまうことになるのじゃないか、こう考えるわけなんです。ですから、そういう問題について、科学技術庁も一応はこういう態度をとっておられるけれども、これは当然中間報告も発表してしかるべきじゃないか。環境庁のほうでどういうふうに考えるか聞きたいと思うのです。
  216. 大石武一

    大石国務大臣 いま経過を局長から御報告申し上げましたが、隠したような言動があったかどうか、これは私も知りませんけれども、これはおそらくは科学技術庁の総意ではなかろうと思います。やはり時代が変わってまいりまして、産業優先から人間尊重の時代に変わってきた、その波に乗り切れない人もありましょう。そういう者は一部ですが、まだ産業優先の夢を捨て切れずそのようなことを言ったかもしれません。善意に解釈してそう思います。それは決して科学技術庁の総意ではないと私ははっきり申し上げていいと思います。そのようなデータは、私はどこにでも公表してもかまわないものだと思います。かりにそれが補償の対象に使われたとしても、これは当然で正しいことだと思います。ですから、そういうデータはいつでも公開すべきものであって、ただ、どの程度というか、みんなどこにでも配付するというわけにはまいりません。必要な人はいつでもそれを調べることができ、見ることができるというような体制をつくりたいと思いますから、そのような公開制度と申しますか、そのようなデータの体制をわれわれは今後つくってまいりたいと願っております。
  217. 米原昶

    ○米原委員 長官のただいまの御答弁には満足しました。そういうふうにやっていただきたいのです。やはり、いろいろ摩擦が起こったりする、それは確かにあります。しかし、それを公表することが結局住民の協力を得る道でもあると思うのです。また、大体役所の上のほうからの指示だけで公開を押えようと思ったって、それは無理です。全住民が協力して初めて意想外の体制がとれるんじゃないか。また、そういうふうにしなければあの瀬戸内海の汚染という問題は解決つかぬと思うのです。そういう意味では、いまのデータも公表できるようにひとつ長官も努力していただきたいと思います。さしあたっては、このデータは少なくとも国会公害対策委員会には発表していただきたいと思います。われわれにもそのデータをいただきたいということを要請して、次の質問に移ります。  もう一つの問題は、先日の水俣病の患者の認定やり直しの問題です。これも環境庁のほうでとられた態度はりっぱだと思うのです。少なくとも、いままで出ている公害被害者に対しては、救済法の精神に沿ったやり方だ、そういうふうに私も感じます。そういう点では非常な前進だと思うのです。ただ、これだけで問題が片づいたわけじゃなくて、むしろこの考え方でいきますと、あの地域の住民の一斉健康診断までやって、そして、おそらくこの裁決の結果として、いままでは申請もしてなかった公害病と思われる人たちもまだ出てくるんじゃないかと思うのですが、そのくらいにやってこそこの救済法の精神は本来の精神に返ってくるんだろうと思うのです。そういう意味でも、ひとつぜひいままでの救済法の精神を生かすような措置をとっていただきたいということを第一に思うわけですが、この点について長官の御意見を聞きたい。
  218. 大石武一

    大石国務大臣 われわれの今回の措置をそのように評価していただきまして非常に感謝いたします。  お説のとおり、私たちは何のとがもない住民がそのような公害によって被害を受けたということに対しては、やはり国家としてもめんどうを見てあげる必要があると思います。そういう意味で、できるだけ広く、落ちこぼれがないように、そのような被害を受けた人の救済をいたしたいという考え方からあのような裁定を下しましたし、また、そのような方向で法律の解釈をいたしたわけでございます。  一斉検診も、これはすでに熊本県に対しまして、やはり関係あると思われる地域の住民の一斉検診をするようにということをわれわれは指令いたしてございますから、近くそのような挙に出ると思います。そのようなことで、お考えのように落ちこぼれがないように、できるだけそのような苦しむ人を救済いたしたいというのがわれわれの念願でございます。
  219. 米原昶

    ○米原委員 それに関連して幾つか聞きたいのですが、昨年の臨時国会公害関係法律が通ったときにも、重要法案が通ったが、その中でいままでの公害被害者救済制度ではまだまだ非常に不十分であるという点はやはり問題だったと思うのです。今度のこの裁決というのは非常にりっぱだと思うのです。しかし、それをやってもまだ足りないような問題が実は非常にあるわけです。たとえばいまの救済法だと、救済の対象が大気汚染と水質汚濁による健康被害だけに限られている。給付を受けられる者は、政府政令で定めた指定地域の指定された疫病にかかっていて、知事に認定されたというものだけに限られているわけですね。ところが実際には、同じ病気にかかっていても、指定地域になっていないというような事態はずいぶんあるのです。たとえば大気汚染の問題で申しますと、川崎市の大師とかあのあたり一帯は指定地域になっているでしょう。ところが六郷川を一つ越えた東京大田区の糀谷とかあのあたり工場地帯、実際は大気汚染がずっとこちらにも来ているので、ほとんど同じような状態ですね。御存じのように亜硫酸ガスの問題については、東京都がかなり努力したことは事実だと思うのです、この三年、四年の間に。東京都全体でいえば亜硫酸ガスがかなり減っているという、これは数字的にもあらわれている。しかし大田区におきましては一向に減らないで、これは結局川崎のほうからやってきますから、大田区の少なくともああいう地域、川崎とほとんど同じようなものですから、これは指定地域にやってもらいたい。これは私たちが言っているだけじゃないのです。あそこの保健所のお医者さんも一斉にそう言っておりますし、これは別の問題として長官のところにもやがて地元の連中が行くのじゃないかと思うのですが、問題は、そういうふうに指定地域に入ってないところはかからないとか、いろいろな制限があるわけですね。しかも、そういう指定地域に三年以上住居を持っていなければならぬとか、一日のうちの八時間以上はその指定地域にいなければいかぬとか、その期間は五年以上でなければいかぬとか、むしろなるべく公害病に指定しないようないろいろな制限がついているために、実際は同じような病気にかかっていても指定されないということになっているわけです。このあたりはちょっとやり方を変える必要があるのじゃないかと私は思うのです。この点はどういうふうに考えられるでしょうか。この問題、いまの法律では問題となってないけれども、今後こういう点を考えて、救済法のやり方を少し変える必要がある一点ではないかと思うのですが、この点について長官から簡単に聞きたい。
  220. 大石武一

    大石国務大臣 おっしゃるとおりこの救済法は最近できたばかりですし、初めての法律ですから、意識したか、しなかったかわかりませんけれども、ある程度どこかで壁をつくろう、歯どめをつくろうという考えがなかったとは私言えないと思うのです。ですから、わりあいにきびしい制限をされたものになっていると思います。しかし、先ほどの水俣病のわれわれの解釈のように、やはりこれは基準をある程度変えていかなければならないと思います。そして実態に合うように、ほんとうにその実態を十分に把握しまして新しい時代に沿ったように、公害に苦しむ人たちにできるだけ救済の手が及ぶように、そのような考え方でその基準といいますか、そういうものの考え方をやはり改める必要があると私は考えます。
  221. 米原昶

    ○米原委員 それと関連して、たとえば最近、きのう、おとといあたりの問題になりました光化学スモッグの問題で、これで実際に杉並区では水泳合宿訓練中の高等学校の女子の生徒が四人入院するということが起こっておりますね。ところがこれは公害病の指定地域でもないし、それから光化学スモッグを公害病として認定されているわけではないだろうと思います、いまのままでは。実際にはあの四人の女学生は病院に入っているわけですね。こういう人たちにもこの救済法が適用されるようにやり方を変えるべきではないかということをすぐ感じたのですが、光化学スモッグをなくするための根本的な措置については、昨年来何回もこの委員会で議論しましたし、それはそれとして、実際にやってもらわなければならぬと思います。しかし実際に被害が起こっているわけですね。そうしてああいうふうに病院に運び込まれているというような事件、これは公害病としては全然扱われないわけです。しかし何とか措置をとる方法を考えるべきではないか、この点について長官どうでしょうか。   〔寒川委員長代理退席、山本(幸雄)委員長代理着席〕
  222. 大石武一

    大石国務大臣 おとといですか、光化学スモッグによって四人の高等学校の女子生徒が入院したそうですね。それで退院したそうでありますが、これは非常にお気の毒だと思いますが、これを公害病患者に認定するということは不適当ではないかといま思います。と申しますのは、御承知のように公害病患者に対する救済法というものは、診療と医療手当と介護手当というものが中心になっております。ですから、二日や三日入院して退院したということになりますと、あとにおそらく症状、後遺症は何にも残らないと思います。そういう人たちは、入院の費用は別として考えられますが、それ以外の手当というものはちょっと出しようがないと思います。ですから、まだ公害病に認定する段階ではなかろうと思います。そういうことで、このフォト・ケミカル・スモッグですか、どうかこれがひどい症状を来たさないように祈っております。一日も早くそのような原因を除去することが一番大事な仕事であろうと思いますが、幸いにまだ公害病に認定するような段階に至らないことは非常にしあわせだと思っておりまして、今後ともそのような努力をいたしたいと思っております。公害病認定に対する考え方はいま申し上げたとおりであります。
  223. 米原昶

    ○米原委員 もちろん二日間だけで出てきたのですから、いますぐに公害病として認定することには問題があると思います。ただ、実際には二日間自分の費用で入っているわけですよ。ですから、そういうものに対してとるにはどの程度のことをやる必要があるか。というのは、いまのままだと光化学スモッグはまだ減る段階には来ておりませんね。むしろもっと深刻なものが今後起こらないとは限らない。そうならないような措置をいまとってほしいと思うのですが、同時に、いまの程度のものでも二日間で済まないような病人が出る可能性も大いにあると思うのです。そういう場合にどういうふうにするかということをひとつ考えてもらいたいということです。  それから、いまの救済法だと、いまもお話がありましたように、救済の内容は医療だけに限られているわけです。ところが、仕事をやっている人なんかだと病院に運び込まれたら——今度の場合は女子高校生で直接営業をやっている人ではない、しかし商売をやっている人なんかは、これをやられますと仕事を休まなければならぬという問題が起こりますね。休業補償というような問題も考えなければならなくなる。いま何か医療補償だけやる、健康保険の適用という形でやるというだけになっておりますね。それではいけないのではないか。これは基本的にはやはり国なり自治体なりで補償していくという考え方でいないと——もちろん原因が、その発生源がはっきりしている場合にはその企業にも補償させなくちゃなりません。そういう点でこれは問題を、現在の救済法をそういう場合にも適用できるように、考え方を少し広げていく必要があるのじゃないか、この思うわけですが、この点、長官どう思われますか。
  224. 大石武一

    大石国務大臣 いまのお考えは妥当なお考えだと思います。将来そのような公害によっていろいろと仕事ができないとか、生活の問題がある場合には、やはり当然生活に対する何らかの国の考え方が必要だと思います。ただ、それは補償という形でやったらいいのか、いま幸いに生活保護法で公的扶助という制度がございますから、そういうものとよくあわせ考えまして、一番妥当な方法でいくのがよかろう、こう考えますので、将来の考え方としては、やはり生活のいろいろなことに対する補償——補償といってはなんですが、そういうめんどうを見る考え方はやはり必要だ、こう思います。
  225. 米原昶

    ○米原委員 では、もう一点聞いておきますが、いまの救済法を若干拡大する必要があるのじゃなかろうか。というのは、一つは、公害による疾病という概念が、いまでは大気汚染と水質汚染に大体限られていますね。そういうものだけでなくて、大いに起こると思われるのは、農薬によって何か重大な被害が起こるようなことだって考えられるし、あるいは劇毒物を含有したいろいろなものの使用によって起こる場合、これなどは当然そういう場合も含まれるようにやるべきじゃないか、それが一点です。それから、いま言いました公害のために、健康被害だけでなくて、生活や営業がいろいろな形で損害を受けるという場合にはどうやるかというのが一つの問題だと思うのです。  それから、いまの公害病その他の中では、何かやはり何とかして範囲を少なく押えるような考え方が法律の文章の中にも若干あります。たとえばこんなことばが使われていますね。「相当範囲にわたる著しい大気の汚染又は水質の汚濁が生じたため、その影響による疾病が多発した場合」。ですから、何か「疾病が多発した場合」とか、あるいは「相当範囲にわたる著しい」とか、これは解釈のしようで適用を非常に妨げることばですね。このあたりがいろいろなところで悪用されておるように思うので、このあたりをひとつ長官のほうで考えておいていただきたいということをつけ加えまして、時間が参りましたから、私の質問をこれで終わりたいと思います。
  226. 大石武一

    大石国務大臣 一番先のお話ですね。今後農薬によっていろいろな公害が起こるだろう、いろいろな産業の中のいろいろな物質によって病気になる者もあるだろう、それに対する救済も必要だろうというお話、私もそうだろうと思います。しかし、これは公害対策一つとして、広い意味ではそうなりましょうけれども、狭い意味公害対策の一環としてやったらいいか、さらに、私は、日本の医療制度、健康保険制度は抜本的に改正になると思うのです。そうなりますと、必ず保険制度は一本化されまして、すべての制度一つに、かりに国民健康保険なら国民健康保険として一本化されると私は思うのです。すべての国民がだれでも同じような条件で同じような医療が受けられるような制度になると思います。同時に、そのほかに産業保険——いま自民党では勤労者保険といいますか、これは狭い産業保険というような形で、産業災害によりまして、産業病ですね、職業病といいますか、産業によって病気になった者を会社が当然その責任において手当てをするという制度は、私はつくらなければならないし、つくられると思います。そういう面もあわせ広く考えまして、このようないろいろな新しい公害病に対する考え方も進めていいのではないかと私は考えております。  それから三番目の、ものの考え方が、少し押えるような方向じゃないかという考え方、あるいはそうかもしれません。この新しい法律は最近できたばかりなんですから、初めての法律で、考え方を急に切りかえたものですから、なかなかそう大きな飛躍はできなかったかもしれませんので、あるところにそのような、制限をするような壁を設けたものもあるかもしれませんが、これは時代とともに変えてまいらなければなりませんから、必ず新しい進歩した方向に参ると思います。そういうことでお答えいたします。
  227. 山本幸雄

    ○山本(幸雄)委員長代理 島本虎三君。
  228. 島本虎三

    島本委員 私の質問は、午前中の質問で林野庁長官を呼んであったのでありますが、どうしたのか、それを受領してないということになりまして、それでいま一番最後に、林野庁長官並びに環境庁長官両長官の前にひとつ事実を指摘して、それに対する対処を求めたい、こういうふうに思って次の質問をいたします。  林野庁長官御存じだと思います。前回、社会労働委員会の席上で、かつてはベトナムで枯れ葉剤に使用しておった二四五丁、これを林野庁として広葉樹の枯れ葉のために利用しておった、しかしいまこれをやめて、今度塩素酸ソーダを使用しておる、こういうようなことであります。この塩素酸ソーダも、急性のいわば毒性が強いものじゃないのか。社会労働委員会の厚生部会の中でこの点を専門家の皆さんとともに検討いたしました。その結果、これはやはり劇物に指定しているものであるというようなこともはっきり答弁にあったわけであります。そして、からだに触れたり体内に入ったりすると炎症を起こすおそれのあるものである、飲料水の中に入ると胃が侵される、それから、酸化剤としては酸化力が強いので急性毒性の多いものを散布するのはよろしくないものである、そして毒性が強いので胃に入るとかいよう状態を起こす、はだに触れるとこれもかいようを起こす、肺に入ることによってメトヘモグロビンを形成する、したがって肺に炎症を起こさせ、肺そのものの粘膜を焼く、散布するだけでなく、風に流されて民家へ来て子供が呼吸すると自然に肺に入るようなことにある、これは健康上よろしくない、したがって、これは厚生省と林野庁で十分相談した上で対処してもらいたい、そしてできるならば、日本みたいなこういうところでは、ヘリコプターを使って散布するのをこの際考慮してほしい、こういうふうに質問したままで終わっているわけであります。その後十分双方ともに相談し、これに対する対処を明確にしたと思いますので、これに対する林野庁長官の御意見を承ります。
  229. 松本守雄

    ○松本説明員 お答えいたします。  先般の社会労働委員会で、塩素酸塩系の除草剤についての安全性を説明するところの資料を提出せよというお話がございました。その後林野庁でまとめたものもございますが、なお念には念を入れまして、厚生省、労働省ともいま相談中でございますので、もうしばらく待っていただきたい。  なお、この塩素酸塩系の使用につきましては、そういったいま先生言われたような被害の起こらないように、登録をされております農薬の使用基準というものに従って慎重に実施をやっておるという状態でございます。
  230. 島本虎三

    島本委員 環境庁長官、今度は環境庁である以上、林野庁の関係部分をやはり中に入れて自然環境保全するようにつとめられております。前回までにすでに長官もおわかりのとおりに、環境庁として、本来ならば林野庁を全部指揮下におさめるべきものである、しかし経営がある、そしてそういう部門があるから、これは全部うまくいくようにできないからそういうものを全部残したというのが山中総理府総務長官の言であったわけです。しかしながら、やはりそういう残った部分が山の緑を破壊するような、環境を破壊するようなことがあったんでは、これはやはり環境庁責任として今後これを措置しなければならぬわけです。いま言ったように、いろいろと散布する薬剤の面でこれは厚生省としては劇物として指定しておりますが、劇物として指定されたものを林野庁では枯れ葉剤としてまいております。そしてその効果をあげておるようであります。それでいかに効果をあげてもけっこうです。しかしながら、それが人間に害を及ぼすようなやり方をしては困る。まさにこれは公害に類することになるから、こういうようなものはまずここで十分に毒性を確かめて、それから害のないことをはっきりさせてから散布すべきである、こういうように私どもは主張してまいったのであります。前回は、そのためにも厚生省と林野庁ともに相談してこれをきめる、またきめてもらいたいという要請をしてきたままできたわけです。いまだその毒性についても研究中であるということであります。しかし私どもがちょっと行って聞いただけでも、これは塩素酸ソーダ、急性の毒性が強過ぎるからこういう炎症を起こすんだ、こういうようなデータがすぐ手に入るわけです。なぜそちらの手に入らないのか。これは問題であります。そういうようなことでまず環境を汚染させるような、こういうような薬剤を散布させることを——環境庁長官としてやはりこれは勧告すべきだ。そしてヘリコプターを使ってやるということは経済的にも十分効果をあげておりません。そしてまた薬剤散布によって全面的に被害を与えております。こういうような状態からして、いま環境庁長官林野庁長官と相談してこれに対する対処をきめなければならない時期だ、こういうように思うわけであります。これを聞いておらなかったとは思いますけれども、いまも初めて公害対策特別委員会でこれを議題にいたしました。しかし前回は、厚生省といわば毒性の問題でこれを十分討論してきたわけです。しかし、いよいよこれは公害に類するものであるからということで、いまこの公害対策特別委員会の席上で質問しておるわけです。事まことに重大だと思うわけですが、環境庁長官の御所見を承りたいと思うわけであります。
  231. 大石武一

    大石国務大臣 どうもはなはだむずかしい御質問のようでございまして、お答えになるかどうかわかりませんけれども考えを申し上げたいと思います。  有毒な、有害な薬品は私はやはり使わないほうがいいと思うのです。ただ当面の問題として、どうしても森林や自然を虫害から防がなければならぬ、緊急にしなければならぬというときには、やはり使用法を十分に注意して間違いを起こさないようにして使用させることもある期間はやむを得ないかと思いますが、一日も早く無害な、毒性の少ない薬品がつくられまして——これはできると思うのです、そういうものを早くつくって、そういうものをひとつ害虫駆除に使ってもらいたい、これが私の願いでございます。  それから飛行機でまいたらいいか悪いか、これはわかりません。これは技術的な問題で私はわかりませんが、現在はなかなか人手不足で労力もございませんから、そのような省力化の意味ではたいへんけっこうかもしれませんが、その効果その他については、しろうとでありますから何とも申し上げられません。
  232. 島本虎三

    島本委員 いまと同じ質問ですが、林野庁長官の御所見を伺いたいと思います。
  233. 松本守雄

    ○松本説明員 お答えいたします。  塩素酸塩系は、ただいまも御答弁申し上げましたように、NaCl——塩でございますが、それに電気分解によりまして酸素を三つくっつけたという薬でございます。その酸素O3が離れているために酸化作用を起こす、その酸化作用が植物の組織を破壊をするという作用でございます。それで、これを多量に摂取をしたり皮膚に当てたりいたしますと、確かに害を起こす場合がございます。山林に散布をいたします濃度、繰り返しの頻度、そういう点からいきまして、そういった被害はもう起きないという見解の上に立っていま実施をしておる次第でございます。これもすでに外国でも戦前から使われておる薬でございます。戦後も国鉄あたりで線路敷の除草に使われておる、いまでも使われておると聞いております。国有林で使っております塩素酸塩系の使用量は全国の使用量のおおむね二割ぐらいと聞いております。薬でありますから使い方を間違えば害を起こす。使い方を間違わないように使うのが非常に大事でございまして、今後林業も省力が要請をされておりますし、外材もどんどん入ってまいっておる。そこで、内地林業が外国林業と競争しなければいかぬということで、その省力化という点、特に奥地の森林地帯、行き帰りにもたいへんな時間がかかります。そういうことで省力化のための公害のない薬剤というものを何とか使っていきたい。いま先生から薬の経済効果があまりないではないかという御指摘もございましたが、コストの面で地ごしらえとか、あるいは散布の規模によりましていろいろ違いますが、おおむねコストでは一割五分から二割ぐらいのダウン、それから省力の点では七割近いダウン、節約になる。これは空中散布の場合でございます。奥地で散布する場合には飛行機の上からまくというのが非常に効果があるわけであります。そういうことからしても、今後とも慎重に、害の起こらないようにやってまいりたい、このように思います。
  234. 島本虎三

    島本委員 いまの答弁、違いありませんですか。同じように皆さんのほうから出された資料だと思いますが、これは一ヘクタール当たりでヘリコプターでまく場合と、人間がまく場合、これを表にとってみると、ヘリコプターの場合は五・三人、四万六千五百三十七円、これを人力でやる場合、一六・三人、四万二百七十四円、合計人力でやる場合は六千二百六十三円、これは逆に安くなる。そうして人員のほうではヘリコプターを使うほうがこれまたそれだけ高く要っている。ただ十一人だけは省力できるのだ、こういうことのようです。省力化でこのように高くなったならば、何も省力化の意味はないじゃありませんか。この点答弁が何か違っていないか、これもひとつはっきりさしていただきたいと思うのであります。この次の質問はそのあとからやります。
  235. 松本守雄

    ○松本説明員 いまのお答えいたしましたのは地ごしらえの場合、空中散布をやる場合の費用でございます。またこれが、やる面積の規模によりまして違うわけでありますが、なおもう一度正確に申し上げますと、地ごしらえの場合に、これはヘリコプター散布でありますが、人力散布に比べまして労力で約七割の節減、それからコストの面で約二割の節減となっております。ただし、この標準値はササおい地で二十五ヘクタールの団地をとった場合でございます。そういう場合には人力と空中散布の場合にはそういう差が出てくる。これが一ヘクタールとか十ヘクタール、単位面積が少なくなりますと、空中散布はコストもかかるし、人力の節減もそれほど効果が出てこないということになります。
  236. 島本虎三

    島本委員 これは長官のほうへ……。いろいろ無害を調べてから実施してもらいたいということが札幌市からも議会決議として出ている。これを長官受け取っておりませんか。そして受け取ったあとでどういうような措置をいたしましたか。この点もひとつこの機会に明確にしておいていただきたい、こういうふうに思います。
  237. 松本守雄

    ○松本説明員 札幌市の議会から、八月五日付で実は本日受け取りました。受け取ったのは昨日でございますが、私が目に入れましたのはきょうでございます。
  238. 島本虎三

    島本委員 きょうは何日ですか。
  239. 松本守雄

    ○松本説明員 きょうは十日でございます。
  240. 島本虎三

    島本委員 八月二日付のものを十日に受け取ったのですか。
  241. 松本守雄

    ○松本説明員 八月の五日付でございます。
  242. 島本虎三

    島本委員 それの内容についてはどう思いますか、長官。
  243. 松本守雄

    ○松本説明員 この内容は、要旨を申し上げますと、「国有林野に使用する枯殺剤の安全性について研究調査を行なうとともに、その散布の方法についても検討されるよう強く要望いたします。」という意見書でございます。理由がそれにつけ加わっております。
  244. 島本虎三

    島本委員 その理由の後段で、これははっきり指摘しているじゃありませんか。「つきましては、これが枯殺剤として使用する塩素酸ソーダの安全性について研究調査を行なうとともに、散布の適切な方法について十分に検討されるよう強く要望いたします。」こうなっているでしょう。そのとおり検討いたしましたか。
  245. 松本守雄

    ○松本説明員 この調査研究につきましては、林野庁では林業試験場というところがございまして、そこでは植物の生態的な試験をいたしております。また野鳥その他に対する影響も調査をいたしております。また土壌微生物、そういう面についての調査もいたしております。また別に労働科学研究所とかほかの大学の研究所、幾つかのデータもございます。そういうことで、いまの時点ではこの薬剤は使用方法さえ適正にやることによって害は出ないという見解の上に立っておる次第でございますが、なお今後とも一そうこういった面の補足的なといいますか、研究を続けるつもりでございます。
  246. 島本虎三

    島本委員 この意見書というのは市議会の決議であって、百万市民の決定なんです。したがって、これは危険だと思うからこの点十分に使用方法まで検討してもらいたいと書いておる。それをそのままにして、定山渓で何の許可なしに二、三日散布したそうじゃありませんか。で、札幌市議会で与野党あげて市長を中心にしてかんかんになっておこった。これほど自治体無視はない。こういうふうなことを長官御存じですか。
  247. 松本守雄

    ○松本説明員 散布をいたしましたのが七月の二十四日でございます。それから、この意見書の提出の日付が八月の五日でございます。その前に七月の十五日には市議会の公害委員会の懇談会に営林局側の説明を申し上げております。営林局としましてはさらに関係の部落を戸別その他説得をいたしまして、大方の了解がついたということで散布をしたようでございますが、七月の二十三日にはその市議会の懇談会で、三人の学者による意見が開陳をされたということも聞いております。そういった意見の開陳によっても、そう大きな被害——まあ慎重に実施をすればいいのではないかという意見であったようでありましたので、営林局、営林署でも地元の理解を得ながら実施をしたというのが実情でございます。
  248. 島本虎三

    島本委員 私の手元に意見書の写しが全部あります。これは札幌市の市議会の公害対策調査特別委員会の所属議員全員です。有志でもありません。与野党の所属議員全部です。これがこの意見書を出しております。それでもなおかつ、いま二十四日一回と言いましたが、十日、十九日、二十日、二十四日と、公害対策委員会をやって説明しているのにそれにはっきりと返事もしないうちに、強行散布をやっているのです。それでおこって、最後には市議会として、ついに意見書としてあなたの手元へ八月五日付のものが来た。こういうようなことで、市のほうから来たことになっているじゃありませんか。こういうようなことは市議会を無視することなんです。われわれとしても経験ありますからなんですけれども、そんなことをやる前に、ほんとうに毒がないということをよく話して、納得させるほうが先じゃありませんか。何のために、そこまで一生懸命にその問題について協議しているのに散布を無警告で——無警告というのはおかしいけれども、やってしまうのですか。そういうようなことからして、あとから皆さんのほうが市議会のほうにあやまりに行ったりしている。そういう報告は来ていないかもしれません。そして言うことがまだおかしいのですよ。この定山渓付近の除草のために、昭和三十七年からいろいろな林業技術の開発ということで除草剤を導入してやっているようです。いろいろ調査した資料が届いております。この小冊子ですけれども、これはどうも私は理解に苦しむのです。調査の地域、これは散布しているのは札幌市の藻岩下及び北の沢辺一帯。そうして三十七年からやっておりますから、そこに住んでいる人の数、三十八年以前からというのは百六戸、それから三十九年からというのが三十一戸、四十年からというのが二十戸。そしてその住民で、自家用のポンプで飲料水に使っているものが百二十一戸、上水道で使っているものが三十二戸。そして調査世帯百五十七戸のうち九〇%にのぼる百四十戸の人が、何らかの経路で危険なこの水に入った除草剤を飲まされているような状態であった。そしてそれについて何も危険はないと言っておりますけれども、二割くらいに当たる世帯が類似症状を呈しておる。皮膚炎を起こしておるのが十五戸、一〇%、目まいを起こしておるのが六戸、四%、はきけ四戸、三%、下痢六戸、四%、体重の減少三戸、二%、身体に力が入らないと訴えるもの五戸、三%、発熱したのが二戸、一%、寒けがするもの二戸、一%、心臓が苦しくなったと訴えるもの七戸、四%、手や指の感覚が鈍ったと訴えるもの、これは十戸、六%、その他六戸、四%、こういうふうに数字で調査した結果が冊子になって出ている。驚くことには、これをやっている最中に営林署が追跡調査を妨害している事実がはっきり指摘されている。これは、「去る二月六日から影響地帯と思われる地域を選定して調査活動を進めてきましたが、調査用紙を配付した直後、札幌営林署当局が分区長宅を訪問し、「昭和三十九年に、ごく小面積を実験したもので、まったく危険はない」と事実を隠ペイすると共に、調査用紙の一部を収奪すると云う妨害があり、一区分(約百戸)が未調査に終りました。」そして、それを追及、抗議されると「一般常識から云って、悪いこととは思わない」、こういうふうに答弁したと憤激しております。  一体こういうような事実に対してどう思いますか。なぜこれをまかなければならないのですか、強行して。そしてなぜ、ベトナムで使ったような枯れ葉剤を持ってきてまでも日本の山林を、要らない草を取ったと称して、そして残った大木を切ってそれを業者に提供してサービスしなければならないのですか。いまの林野庁は環境破壊庁じゃないか。この事実についてどう思いますか。
  249. 松本守雄

    ○松本説明員 ただいま先生御指摘の藻岩山につきましては、実はきょうその資料を持ってまいりませんでしたが、ここにつきましては、正確な記録ではございませんが、三十九年ごろに二四五Tを散布したという経緯がございました。その後はこの地帯は散布をしておらないというふうに聞いております。  先ほど私が御答弁申し上げましたのは定山渓の話でございます。
  250. 島本虎三

    島本委員 こういうようなことで具体的な事実があっても、いわゆる定山渓——その定山渓の近くです、札幌は。もちろん藻岩山あの辺一帯はもう定山渓につながっている山です。そういうふうにしてみると、定山渓であろうと、定山渓からまっすぐ簾舞から石山、あの辺まで山は連なっているのです。そういうふうな中で、それは一部分、定山渓の山の中だからいい。人家の密集しているこの地帯までも来て散布しているじゃありませんか。そこを指摘されているじゃありませんか。そこを追跡調査して、その調査資料も没収したりしているじゃありませんか。そういうようなことをやるなと言っているのです。いま言ったら、定山渓の山の中だと言う。私の書類は札幌市の近くです。そういうようなことがあるのです。環境庁長官、これはやっぱり聞いていても並みたいていではないと思います。こういうような事実に対して、これはやはり林野庁を入れて日本の緑を守る、いわば環境保全責任環境庁長官にもありますから、こういうようなことをしてまでも緑を枯らすような行き方に対しては、いいと思うならやむを得ません、しかしもし考える余地があるならば、今後双方提携して学術的にも調べ、また無害であることが何より、そして緑を絶やさないために、保全するために、これは何らか措置を今後講ずべきだ、こういうように思います。一応長官の意見を伺って、私は終わりにしたいと思います。
  251. 大石武一

    大石国務大臣 いろんな考え方がありますけれども、林野庁があったために、いままで日本の森林、緑が十分に——十分とは申しかねますが、いろいろと保存されてきたことは確かだろうと私は思います。しかし今後の林野庁のあり方は変わってもいい、私個人では思います。これは農林省にしかられるかもしれませんが、やはり今後の林野庁のあり方は、せっかくいままで守ってきた森林、これをわれわれの子孫のために残すような見地から、自然を守る見地から、林野庁は働かれたほうがいいと思います。そういう意味では、近い将来林野庁がわれわれの環境庁と一緒になってそのような役割りを働くことをわれわれも心から希望しております。そういう努力をいたしたいと思います。
  252. 島本虎三

    島本委員 これでやめます。
  253. 山本幸雄

    ○山本(幸雄)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十四分散会