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1971-07-23 第66回国会 衆議院 公害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 始関 伊平君 理事 橋本龍太郎君    理事 藤波 孝生君 理事 山本 幸雄君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君    理事 寒川 喜一君       伊東 正義君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    松本 十郎君       阿部未喜男君    土井たか子君       古寺  宏君    松本 忠助君       西田 八郎君    米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         環境政務次官  小澤 太郎君  委員外出席者         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         文化庁文化財保         護部長     内山  正君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 神林 三男君         厚生省児童家庭         局母子衛生課長 島田  晋君         農林省農林経済         局企業流通部長 下浦 静平君         農林省農政局参         事官      長谷川新一君         水産庁次長   藤村 弘毅君         水産庁漁港部長 瀬尾 五一君         通商産業省公害         保安局参事官  森口 八郎君         通商産業省化学         工業局長    山形 栄治君         通商産業省鉱山         石炭局鉱業課長 佐藤淳一郎君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         海上保安庁次長 上原  啓君     ――――――――――――― 委員の異動 七月二十二日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     米原  昶君 同月二十三日  辞任         補欠選任   古寺  宏君     松本 忠助君 同日  辞任         補欠選任   松本 忠助君     古寺  宏君     ――――――――――――― 七月十四日  環境保全基本法案細谷治嘉君外七名提出、第  六十五回国会衆法第二号)  公害に係る被害救済に関する特別措置法案  (細谷治嘉君外八名提出、第六十五回国会衆法  第一二号)  公害紛争処理法案細谷治嘉君外八名提出、第  六十五回国会衆法第一三号) 同月二十一日  北上川水質汚濁防止に関する請願鈴木善幸  君紹介)(第一一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十一日  中小企業公害防止対策に関する陳情書  (第四六号)  大気汚染防止対策等に関する陳情書  (第四七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  公害対策に関する件(公害対策基本施策等)  請 願   一 北上川水質汚濁防止に関する請願(鈴     木善幸紹介)(第一一三号)      ――――◇―――――
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 環境庁が七月一日に発足いたしまして、二代目の環境庁長官に現大石大臣が就任されましたことは、国民期待にこたえる今後の活躍を大いに私どもはこいねがって、心からお祝いを申し上げたいと思います。御健闘もあわせてお祈りいたします。  四局十九課一室、これはなかなか大きなものであります。それと同時に、長官中心として、今度は総理や各省庁大臣とともに、その協力体制に入らなければ実をあげることができない。いままでのいろいろな生みの苦しみを十分知っておられる皆さんですから、このことは言わなくてもおわかりのとおりなんです。広範であって多面であって、そして、公害行政上の実施機関として性格が以前の発想よりも複雑になり、あえて言うと弱まっている傾向さえあるわけです。したがって、それの対策としては、たとえば水の場合の問題では、下水道関係建設省に依然としてある。この調整が大きな問題である。それと同時に、大気汚染の有力な発生源火力発電、こういうのはまだ通産省のほうに権限が依然としてある。こういうようなこと等からして、この変則をどのようにして処理するのか。まず第一番に、大臣はこの辺が留意しなければならない問題ではないかと思います。  それと、この機構の不備は、各省庁間の密接な連絡調整、こういうような高まりの中で解決していくのだ、当然そう考えられておるはずであります。大臣、そうなんです。いままでの前大臣の答弁もそうでしたから、おそらくそうであろうと思うのです。  しかし、いまの機構そのものを見ましても、私がやはり少し心配になりますのは、なわ張り争い的な、また権限争い的な傾向が生ずることを私は一番警戒しております。かりにもそういうような各省のセクショナリズムの先頭に立って行動するようなことの一切ないようにして、今度は少なくとも出向前の官庁へ再び帰る、こういうようなことをつめのあかほどもいまの部下皆さんに持たしてはならない。もしそういうような気持ちがあった場合には、これは国民に対する不信行為である、このように思いますので、それを統轄する立場大臣としては、まずそういう姿勢が重要であろうと思います。その決意と所信を聞かしてもらいたいと思います。
  4. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの島本委員の御親切な率直な御発言に心から感謝申し上げます。  おっしゃるとおり、私は第二代目の環境庁長官として就任したわけでございますが、実質的には初代長官であるという決意を持ちまして、この環境庁が将来国民の側に立ってほんとうにりっぱな仕事をする役所に発展できるように、そのような基礎をつくってまいりたいというのが私の決意でございます。  おっしゃるとおり、この役所は五百人余りの職員をもっていろいろ仕事をしておりますが、これは非常に広範にわたる問題でございますし、どの役所にもみな関連がございます。したがいまして、いまお話しのように、下水道の問題をどうするか、あるいは電気工作物ガス工作物をどうするか等いろいろ議論される問題はございますけれども、幸い現在まで、山中長官の非常な努力によりましてこのような一応の骨組みができたことはまことにありがたいことでございます。この骨組み精神を入れまして、りっぱな伝統基礎をつくることが私の仕事だろう、こう考えておるわけでございます。  それには、おっしゃるとおり、第一に、各省に対しましてあるいは地方自治体に対しまして、総合調整の実をあげることが一番大事だと思います。私は、将来下水道の問題、そういうものを持ってきたらいいかどうかということも考えなければなりませんが、それにはいろいろなむずかしい問題がございます。技術者の問題にしてもいろいろなことにしても、簡単には移管できるものではございません。したがいまして、まずわれわれはその移管のことを考える以前に、やはり調整によって、国民生活環境を守るというわれわれの考え方が十分に理解されまして、各省庁、各自治体においてこのような精神を十分に取り入れてくれることに意を注いでまいりたいと考えております。  それには何と申しましても、やはり各省、各自治体との間に緊密な連絡が必要でございます。意思疎通が何よりも大事だと思います。そういう意味におきまして、意思疎通をはかって、誠意をもって努力してまいれば何とかその実をあげられるのではなかろうかと考えておる次第でございます。  また、この役所内におきましても、おっしゃるとおり、一番問題はなわ張り根性を捨てて、みなが一体となって働くことが大事だと思います。新しい役所でございますから、それが総合的に大きな力を発揮して仕事をできるという段階にはまだ遠いように思いますけれども、しかし、幸いに新しい役所でございますから、それだけに古い悪い伝統がございません。でありますから、ここに集まった連中は全部、公害をなくそう、国民生活環境を正しく守ろうという熱意を持って集まってきた役人でございますから、そういう者の気持ちを一本にして、そうしてこれを新しい形で、縦割りのなわ張りの主義を捨てまして、むしろ縦横に十分に連絡のとれるような新しい官庁として仕事ができるような、そういうものに仕上げてまいりたいと考えておる次第でございます。
  5. 島本虎三

    島本委員 わかりました。現在の平和憲法のもとに、やはり主権在民の国の公害行政をつかさどるわけです。したがって、もう国民に対して明確にできないものはないはずであります。  そういうような点からして、いままで代々大臣はかわってまいりましたが、それぞれの立場努力してまいりました。そして幾つかの問題を克服してまいりました。しかし、あなたがいま大臣に就任されてすぐ直面する問題で、これだけはぜひ考えなければならない問題が私は三つあると思います。一つは、生命や健康及び生活よりも経済を優先させることは絶対ないのだ、これはやはり基本的な一つ考えで、またそういう姿勢でいなければ今後の公害行政に対して画竜点睛を欠くのであります。それと同時に、公害情報、データ、こういうようなものの集積と分析、これは当然今後は機関として行ないます。そういうようなものを進んで一般にも今度は提供して、周知をさせることから、お互いに公害を排除するように、これは本能的にも理性的にも行動するように仕向けなければならないのではないか、これが第二点目です。第三点目としては、発信文書、他の省庁企業間に取りかわされたこういうような文書、これも原則として一般に公表し公開してもよろしい、こういうような三つの立場に立って今後公害行政をまず組んでいかなければならない、私は強くそれを主張するものであります。  代々、この問題と取り組んでまいりました。しかしやろうとしても、その点何かひっかかってまいりまして、そのひっかかった点からすべての公害犯罪が発生しておりまして、いま期待する大臣として、これが必ずできないわけはないのでありまして、これを心から期待し、またその決意をまず伺っておきたいと思います。
  6. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの御意見はごもっともでございます。このような方向行政を進めてまいりたい所存でございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 七月一日から発足いたしましたが、山中大臣からそれぞれ公害行政についての引き継ぎがあったと思います。公害行政全般について、四月一日に山中初代大臣は各所管の全員か、また幹部の方をお集めになって、ここで五点に分けられるような重大な訓辞を行ない、これこそが今後の公害行政一つ姿勢であるということをはっきりさせてあります。そういうような点等あわせて、これは十分に引き継いだものである、こういうふうにわれわれは考えますが、その点はいかがでございましょう。
  8. 大石武一

    大石国務大臣 山中長官とは非常に親しい間柄でございます。思想的にも同志的な仲間でございます。そういうことで十分に引き継ぎも受けてまいりましたし、いつでも意思疎通はできますので、いろいろと指導を仰ぎながらその精神を生かして進んでまいりたいと考えております。
  9. 島本虎三

    島本委員 それはたぶんあるだろうとは思いますけれども、それではまず具体的に、無過失賠償責任の法の制定ができなかったことはまことに残念であった、在任中思い残すことである、こういうふうにはっきり言っているのです。それで、六月三十日のイタイイタイ病の判決を見てもわかるとおりに、同法は被害者救済に光明を投げかけるものである、こういうふうにはっきり言っております。そして、環境庁長官が最初にやる大きな仕事は、無過失賠償責任法制定被害者救済法の拡充であると、一番の点でそれをはっきり言い切っております。  それと、長期の問題として、第二番目には、環境庁は、移管できなかった下水道行政水道行政を含めてこれを吸収すべきである。それから、通産省に残った電気ガス業に対する監督権も規制が受け入れられるようにしなければならないことは当然である。建設省通産省と円満に話し合いをして、公害に関するものはすべて環境庁に統合するようにしなければならないのである。林野庁についても、国有林保安林がある。建設省都市公園近郊緑地も当然自然保護局へ組み入れられなければならないものであると考える。  それから三番目には、将来、環境保全の見地から、日本列島のレイアウトを行なって、その成果を新全国総合開発計画と新社会開発計画に盛り込んでいかなければならない。そのためには環境庁発言力を各省庁に、また内閣に高めなければならないのだ。これは大臣決意であり、新たに引き継がれるあなたの決意でもなければならないのであります。  四番目に、研究機関については、国立公害研究所、これは四十九年三月までに設置予定でございます。公害研修所、これは四十八年三月までに設置予定でありますが、これは設置は急がなければならないのである。公害研修所は、建物の前に早く研修だけは始め、要望にこたえるべきである。  第五番目、近代国家の隠れた部分であるから、これは省庁こぞって努力せよ、こういうふうに言っておられておるようであります。  これ一つを見ましても、いままでの悩みとかその解決があなたに引き継がれたことになるのであります。これからあらためて変えてやるのじゃなくて、こういうようなものを、あなたの部下は歴然と全部訓辞を受けて知っておるわけであります。あなたもこの上に立って今後進めなければならないはずであります。この点は重大でありますので、あえて私は要点を筆記いたしました。それを読んでみました。それで、大臣の御意見もあわせて聞いておきます。
  10. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの山中大臣の五つの考え方、これはまことにけっこうな考え方でございます。これにつきましては私もほとんど同じ考えでございます。ただ、第二点の下水道上水道電気ガス工作物その他公園、いろいろなものが問題がございます。これをすみやかに統合したい、これも遠い将来においてはそうなることが好ましいと思いますが、少なくとも現在の段階においては、それはあまり急いではならないという感じが私はいたします。  と申しますのは、何がために下水道をわれわれ環境庁に持ってこなければならないかということは、要するに、国民生活環境を守るためのことをすればよいので、それでございますから、日本全体にどのような上水道をつくるか下水道をつくるかというそのような認識なり、あるいは建設をどうするかというようなそういうことまでわれわれがやる必要が必ずしもないような感じがいたします。われわれに大事なことは、下水道の末端において公害を引き起こさないような設備をする、それの考え方のもとにそのような下水道設置するということで一応こと足りるのではないか。同時に、各役所建設省にしても農林省にしても厚生省にしても、みんなそれぞれ国の行政の一端、全責任を負って活動いたしておるのでありますから、こういうものがやはり専門の分野において、行政のために一生懸命働いてもらうことがむしろ効果があるのではなかろうか。私どもは、一番大事な生活環境を守ることについて、われわれに十分に協力をしてもらう、われわれの意思を十分にいれてもらえばこと足りるのではなかろうかという感じがいたしますので、しかも、いまいろいろ上水道にしても下水道にしても、われわれは技術者を集めることが容易ではございません。そういうようなところから、これは遠い将来にはこのようなことも必要であろうと思いますが、現段階におきましては、そういうものを統合するよりも、われわれの考え方意思が十分これに理解されまして、そのような協力をしてもらう、総合調整全力をあげてまいりたいという考え方を私は一応持っております。その他の点については、全くこれは同感でございます。全力をあげて努力いたしたいと思います。
  11. 島本虎三

    島本委員 その点についてはよく打ち合わせをされた上で最良の方法をとる、これはすみやかに統合だと考えているのが前大臣です。それをあなたはもう少し効果考えたい、いずれがいいか、十分これは考えておいていただきたい。その成果はあとで再び質問させてもらいたい、こう思うわけであります。  その第一点、無過失損害賠償責任、これは次の国会に出したいという意思新聞その他を通じて十分拝聴いたしました。慶賀にたえません。しかしながら、この前の国会でもうすでに成案されていた。その成案されていたものを出さなかった事情があるのです。党内事情です。そして新聞によると、こういうようなものを約束した覚えはない、これをやったならば企業自身が困るじゃないか、こういう発言をされた党の幹部がおったわけであります。そういうところから、また再び次の国会に出すということになりましても、その点等については——やはり大臣は二度、三度、こういうような発言をなさっておりまして、私聞いております。その前に障害はあるものであります。しかし、国民のためにはいかなる障害でもあなた方すべて身を粉にしてこれを突き破って実現させなければならない、この決意に燃えているだろう、こう思うのであります。したがって、その上に立って法の体系をひとつ聞かしてもらいたいと思います。前回、提案されようとした無過失賠償責任法の行き方は、すでに御存じのように、個々の法律に対しての一つ改正で出してきているわけであります。しかしそれはいろいろな点で不十分でございます。大臣は、今後そういうようなこそくな手段じゃなくて、大きな立場からこれを検討して成案を得て出したいとおっしゃっておる。これは、あくまでも体系としては民法特例法考えておったのではないかと思います。この決意を、どのようなる考えをもってこれに臨もうとするのであるか、お伺いをいたします。
  12. 大石武一

    大石国務大臣 無過失損害賠償責任制度につきましては、何としても次の通常国会提出いたしたいと願っております。前の国会提出しようとしてできかねましたのは、いろいろな事情もありましょうけれども、一番大きなことは時間的な制約だったと思います。やはり時間的に、新しいものの考え方であります。いままでの法律考え方を多少変えていかなければならない制度でございますから、やはりそのような広く理解を得るためには、私は時間が必要だと思います。そういうことで、いろいろな方面に多少の不規則発言はあったのでしょうけれども、そういうものはたいしたことではなくて、問題は時間的なものであったと考えております。われわれは、次の通常国会までにはまだ相当の時間がございますから、一日も早くこの案の基本をつくりまして、各方面にそれの理解を求めまして、一般に提案できるようなひとつ根回しをいたしたいと考えておる次第でございます。その体系につきましては、この前の提案準備のために考えておられましたことを中心として考えるわけでございますが、私も、法の形からいいますと、一本のまとまった法律案のほうがいいように思います。しかしそれにはいろいろな問題もございますし、御承知のように、この無過失損害賠償責任制度の問題は、いまの民法の大きな例外となるわけでございますから、やはりこれの範囲を明確にすることは何よりも大事だと思うのです。そういうことでいろいろ考えますと、いまの一般のものの考え方では、そのような例外法律を強くつくるということは非常に困難であるような感じがいたします。われわれは、法の形もさることながら、まず実際に役に立つ法律をつくることが大事だと考えております。そういうことで、いまの段階では、一本にまとめることに努力はいたしますが、一応の見通しとしては、どうしても大気汚染防止法並びに水質汚濁防止法の一部の改正ということになるような感じがいたします。しかし、それにしましても、そのような法律になりましても、十分に効果をあげ得るようなものにいたしたいと願っておるわけでございます。
  13. 島本虎三

    島本委員 しかし、ものごとをまず立案し、実行するためには必ず障害にぶつかるのです。すらすらっといくもの、この重大な公害行政をやる中で、そういうようなものは期待してもだめであります。すなわち、これがベストだ、こう思ったら、そのために大臣は突進しなければだめなんです。国民はそれを期待しているのです。当たりさわりのないようなものは、たいした影響力もないものになるのです。したがって、いままで出したのは、財界の反対を乗り越えてようやく芽を出してきたが二葉にしてつみ取られた、こういうようなものはあっても、これはいわゆる有害物質の限定という点でまず一つ障害にぶつかるのです。国民期待を裏切るのです。それから、その運用の面で必ずまた障害にぶつかるのです。それを排除して、法体系の上から困難であろうとも、やるのが、これがやはり民法特例体系考える、このことじゃありませんか。すらすらっとできることを期待するのでは、これは国民からすぐあきられます。私はあなたを期待します。やはり困難であっても国民のためにこれはなし遂げるのだ。いわゆる総理が言うことばとしてちょうだいしてもいいのは、そのための蛮勇です。この蛮勇をあなたはいまや公害行政のためにふるうべきだ。無過失賠償責任法制定のためにふるうべきだ。もう一度、想を新たにして民法特例法考えてみるべきだ。私はこれを強く主張し、あなたにこれを期待し、皆さんに申し上げておきたいと思うのです。あまり安易な方法では、国民期待からすぐあきられるのです。この過程をよくお考え願いたい。もう一度考えて、ひとつこのために検討を願いたいと思うのです。
  14. 大石武一

    大石国務大臣 できるだけ前進的に考えまして、御趣旨に沿いたいと思っておりますが、御承知のように、先ほど島本委員のお話がありましたように、非常ないろいろな困難、障害が前途に横たわっておりまして、この通常国会提出するにも十分な努力をせなければならぬというお励ましのおことばがございました。そのとおりで、われわれはいろいろな困難を予想しております。その困難を突き破ってこれを提案するには、やはりそれだけのこっちの準備と心がまえが必要でございますけれども、やはり現実にそれが提案し得るような、国会を通過し得るような現実の芽を考えなければならないと思います。そういう面で、とりあえず実際に現在の公害防止のために役立つような、それから被害者救済に直接役立つようなものをまずつくっておいて、さらに世の中のものの考え方、いろいろな法律考え方も時代とともに変わってまいりますから、そのような考え方に順応してこれをいろいろな形に進めてまいりたい、進んだ形に進めてまいりたい、こう思いますので、私は、いまのところは一本にまとめたいという気持ちはありますけれども、いまの見通しではやはり二つの法律の一部改正ということが実効をあげる方向にいくのではなかろうかというような感じがいたしております。
  15. 島本虎三

    島本委員 その感じがいけないのです。その感じはだれしもが持つ感じであります。国民より一歩先んじて国民の健康と生命生活を守るために、いまこそ大臣はその期待の焦点にあるのです。したがって、万人が持つその感じの上に立つのではなくて、万人を救うための感じの上に立ってもう一回深く検討してみるべきじゃないかと言っているのです。やれと言っているのじゃないのです。そのくらいすなおに大臣としてはお受け願って、十分検討しておいてもらいたいと思います。これは国民のために天の声であります。ひとつそういう点で御理解願いたい。  いろいろな点でもう一つお伺いしますが、有害物質として規制する対象になる物質をどの程度お考えでございますか。これはもしわからなければ、事務当局に命じてもけっこうであります。
  16. 大石武一

    大石国務大臣 この前の国会で提案しようとして計画しましたいろいろな有害物質がございますが、そのほかに私は硫黄酸化物、こういうものもつけ加えたいと考えております。
  17. 島本虎三

    島本委員 いまいろいろな点から見ましても、全然公害が発生していると思われない公害は光化学スモッグ、また目に見えない煙のためにおかされるいわゆるぜんそく、こういうふうにして見ますと、複合汚染に対しての配慮も今後行なうのでなければ、あなたが現在住んでいるこの東京周辺でさえも、知らないうちに光化学スモッグの被害を受ける、こういうような状態になってくるのであります。現にきているのであります。そういうような状態からして、硫黄酸化物も入れる、まことにけっこうです。これはやるべきです。前にはついにやれなかったのですから、これはやるべきです。しかしながら、複合汚染の点、それとあわせて複合公害、こういうようなものもやはり中に入れてその救済考えるべきであると思います。これを除いたのは何か理由がございますか。
  18. 大石武一

    大石国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、民法例外規定でございますので、その範囲を明確にして、いろいろな実態をはっきり具体的に把握して、そのものからやっていかなければ非常な問題か起こると思います。そういう意味で、実態が把握できるものからまず取り上げていきたい、そういう考えで進んでおるわけでございます。
  19. 島本虎三

    島本委員 これだって研究機関があるのです。もうすでに研究していなさるのです。そのために、もうすでにばく大な研究費が去年から投入されているのです。これからやる問題じゃないのであります。厚生省、科学技術庁あるいは労働省、こういうようなところで調査しているのです。ある点ではその見通しも立っているのであります。したがって、そういうような事実に対しては国民救済に主眼点を置いて、当然これは必要あると認めて、このあたりもいろいろ考慮すべきである、私はそう思います。大臣はどうですか。
  20. 大石武一

    大石国務大臣 御趣旨はそのとおりでございますから、できるだけ考慮をしてまいります。ただ、私思うのですけれども日本公害の問題が盛んに論議されましたのは最近のことでございます。それに対していろいろな基準がつくられておるわけでございますが、その基準というものも、こんなことを言うとしかられるかもしれませんけれども、実際はいろいろな実験をやったり研究をして、あらゆる事態を予測して、ほんとうにすべてが一番いい、適当な限度の基準であるかどうかということについては、必ずしも一〇〇%いいとは思わないのであります。そのような実験は、おそらくまだ日本ではできておらないと思う。ですから、世界からいろいろな例を集めて、世界の文献を集めて、大体間違いなかろうというのがこの基準だと思うのでございます。しかも、そればかりではなく、さらにいろいろな実体のわからないものがたくさんございます。そういうものを初めからきびしい方式で持っていきますと、やはり国民生活がこれに適応ができなくなると思います。私は、別にこれを産業と調和させようとか、産業優先だという考えは全然ございません。人間尊重、先ほど申しましたように、人間の生活環境を正しく守るためには、どんな戦いもしなければならないという決意でございますけれども、やはり、それには確固たる基礎というものが私は必要だと思うのです。そういうものを一日も早く、なるほどいろいろ研究もいたしておるのでございますが、全く研究が十分だとは思いません。ですから私は、これからの行政は、この研究にできるだけ力を入れまして、早い機会に、一番妥当な、望ましい基準というものをわれわれの手でつくりあげまして、それを中心に将来のことも考えた、いろいろな新しい事態に対応できるような方向に行きたい、こう考えておるわけでございますので、御趣旨は賛成でございますので、その方向には順を追って進んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  21. 島本虎三

    島本委員 そろそろ次に移りますけれども、それでは大臣、無過失責任の問題で、あのイタイイタイ病の結論が出ました。私としては画期的な判決だ、こういうように思っているのですが、そのほかの第六次までの裁判の問題はまだ残っておるのでありまして、この裁判を促進する意味におきましても、大臣の見解——大臣でなければ政府委員を呼んでございますから、この際お伺いしておきたいのは、現行民事訴訟法の手続上の問題ですけれども、挙証責任の転換が現行法でできるという考えがもうすでにあると聞いております。そういうようなことからして、できるという意見とできないという意見が賛否相半ばしておるのだ、こういうようなことを聞いているのです。もしできるとするならば、今後の解決のためにも、公害裁判促進のためにも私はまことにいいと思って、この問題に対して期待しているのです。これは解釈上の問題としても、できる限り被害者原告を救済するという立場に立つべきです。それと同時に、財政上からも、立証の責任を持つ被害者原告、これは弱いのであります。そういうようなことからして、加害者被告に対しては、挙証責任がなければいたずらに裁判にかけ、長引く、こういうような結果を招来することになるのでありますが、解釈上の問題で相半ばしている。こういうようなことはまことにけっこうだ、もう少したったら現行法でも挙証責任の転換が可能なのだ、こういうようなことが実証されたら、六次までの裁判は促進されることになるのであります。これは、あくまでも被害者原告の立場に立って考える場合には、やはりそういう考え、そういうような方面、それを指向して大臣としても促進すべきである、こういうように思うのですが、これの見解並びに大臣決意を聞いておきたいと思います。この責任者も来ておりますから……。
  22. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまのお話にありますとおり、何とかして被害者救済にわれわれも全力を注ぎたいことは同感であります。それから裁判も——内容につきましては裁判係争中でございますから差し控えますが、これが促進されまして、被害者救済されることをわれわれは心から望んでおります。ただそのために、因果関係についての挙証責任の転換ということでございますが、その考え方はいまとらない方針でございます。しかし、これは法律的にはむずかしいいろいろな議論がございますので、その責任者である企画調整局長に答弁をさせたいと思います。
  23. 船後正道

    ○船後説明員 法務省のほうからお答えするほうがあるいは適当かと思うのですが、挙証責任の問題につきましては二つあるわけでございます。一つは、過失につきましての立証責任の転換の問題でございます。これは現行法上では、加害者が自己に過失がなかったということを証明しない限り、損害賠償責任は免れ得ないということになっておるわけでございます。この点につきましては、無過失責任というような立法をとりますれば、この公害の問題に関しましては、問題は解消することだと思います。  次に因果関係の立証の責任の問題でございますが、これは加害者の行為と被害者の損害との結びつきの証明の問題でございます。因果関係がないということを被害者側が立証するか加害者側が立証するかということでございますが、公害訴訟におきまして大きな問題となっておるわけでございますけれども、もし加害者とされておる者がすべて立証責任を負担するということになりますと、被害者は因果関係につきまして何の根拠もなくて訴えを起こすということも可能になるわけでございまして、結果的には非常に範囲が広がってくる、こういうことになりますので、因果関係の立証責任の転換ということは立法的にもはなはだむずかしい、かように考えます。この問題は、むしろ被害者に立証責任の負担をさせつつ裁判上の事実認定の問題として解決されるのではないか、かように思いますし、先般出されましたイタイイタイ病の第一審の判決を見ましても、そのような御配慮はうかがわれると思うのでございます。
  24. 島本虎三

    島本委員 そういうような実態からして私は大臣に重ねてお伺いしますが、この無過失をやる場合には、大気、水質に限定しないで、広範なる食品だとか、あるいは騒音、悪臭公害あるいはまた医薬品、こういうような方面にまで拡大して考えて、国民生命並びに生活、健康を守ってやる、こういうような立場に当然立つべきじゃないか、こう思うのであります。おそらく大臣がいま考えておられるということをやると、物質として水の問題また大気の問題、また物質が限定されるなら前回どおりだとありますが、限定しております。いまの複雑な機構の中で限定されたこういうような公害だけで、起こってからまたそれを探索するだけでは、おそ過ぎるのであります。したがって、そういうようなことからして、あまりこれは限定しないでおいて、そして全部に拡大する、こういうような考えの上に立ってこれは策定すべきである、こう考えるのであります。これは賢明なる大臣にこの点をまず期待しておきたいと思います。やはり前回どおりに、少なく、ちょっぴり限定した立法でこれはやるつもりですか。
  25. 大石武一

    大石国務大臣 お説のとおり、たとえば土壌とか、それから騒音とか悪臭とか、そういうものについても私はこれを拡大すべきだと考えております。しかし、いわゆる土壌につきましても、悪臭、騒音につきましても、これをこのような法律に入れるだけの調査なり体制が残念ながらできておりません。これを入れますことはいたずらに混乱させる、あるいは混乱を多くするだけだと思いますので、近い将来にはこれを十分研究して入れなければならぬと思いますけれども、今度の国会ではこれを入れるにはまだその調査が十分でないという気持ちを私は持っておるわけでございます。  もう一つ、薬品、食品の問題でございますが、私は、これはこの法律に入れる考えはございません。と申しますのは、これは民事訴訟の例外でございます。これは損害賠償のあれですね。ですから被害者救済ということが中心でございます。もっとも私の考えは、こういう法律をつくっておけば、企業のほうもいろいろな用心をして、そういう損害賠償を払わされてはたいへんだというので、その公害を予防するという気持ちに働くでしょうから、予防的な気持ちもあると思いますが、救済が大体中心であることは御承知のとおりでございます。ところが医薬品とか食品というものは、いやしくもこれはどんなことがあっても、それによって健康を損傷するようなことがあってはならないものでございます。もし万一、薬品を人間が摂取することによって健康に障害が起こるようになったりするなら、これは国家の責任だと思います。そのような薬品は断じてつくってはならないと思います。ですから、かりに不幸にしてそのような薬品あるいは食品によってそのような損害が健康上起これば、当然これは民事訴訟どころではない、国の責任によってこれを賠償するだけのそういう正確なものでなければならぬと私は思うのです。そういう意味で、私は医薬品とか食品というものはこれに入れる必要はない、もっとその前の段階において厳重な、絶対に害のないものにしなければならぬという方針でいかなければならぬと考えておる次第でございます。
  26. 島本虎三

    島本委員 承っておきます。  ではもう一歩進めて、この損害の賠償の対象は健康と生命に限られるべきであるかどうか。おそらく損害を受けるのは、いま保安庁も来ておりまするけれども、あの北海道の端から九州の端、沖繩まで含めて、潮流に乗ってもうすでに油が帯をなして流れておる。マリモかと思えば油のかたまりである、こういうような状態でしょう。まさにそのために第一次産業である漁業、こういうものの被害がばく大なものであります。そういうふうにしてみますと、同じ健康をそこねられ、そして自分の生命が失われてから、ようやくその生命と健康だけに対して補償をするのか、一歩進めて、そういうような事態がある場合には、当然、その漁業権を含め財産までこれを認めてやる、こういうようなことに立つのが、これが新しい考え方であり、国民もその点もう一歩進めたものを大臣期待しているのではないか、こういうように私は思うのです。この財産権を入れる見解についてどうお考えでしょうか。
  27. 大石武一

    大石国務大臣 私は島本委員のお考えに同感でございます。やはり財産も当然これに含めなければならないと思います。
  28. 島本虎三

    島本委員 考え方として、先ほどいろいろ討論されましたが、ここにはっきりしてもらいたいのは、被害の原因になる物質、これを一部に限定しないということと、それから複合被害、これは光化学スモッグやぜんそく等に対しても、明確に適用し得るものは十分に検討の上で適用するのだ、この二つは確認しておきたい、こう思うのですが、この点はよろしゅうございますか。
  29. 大石武一

    大石国務大臣 明確に限定し得るもの、これについてはできるだけ取り入れてまいりたいと思います。そういうことでございます。
  30. 島本虎三

    島本委員 公害裁判、方々にありますが、この裁判の促進についてはこれはやはり万人が考えておりますね。大臣も当然考えておられると思うのです。いろいろ困難がございます。しかしながら、やはりこの促進に対して特に大臣がこういうような考えを持っているというような御高見があらば、ひとつ拝聴さしていただきたいと思うのです。なぜか。いま関心はあのイタイイタイ病に対する判決です。しかし、これから二次、三次、四次、五次、六次とこうある。これらに対する判決、おそらく期待するのは、早く、よく、こういうようなことだと思うのであります。そして、少なくとも第一次の判決を下回らない、これだけは国民一つ期待だと思います。また当事者のそういうような一つの希望だと思います。しかしこれがまた延びるようなことになり、また金額において差があるようになり、またその間にいろいろな状態が惹起するということになりますと、これはせっかく大臣がいま希望を持って、期待の焦点の上に立って、いまこの公害行政に当たっての大臣にしてこうなのか、関係なくても、そう思われるかもしれない。裁判とは関係ないのですけれども、やはり行政の一環としてそう思うかもしれないのでございます。この点について、大臣は案外粗略にしてはならない問題であります。この問題について大臣の御高見をこの際拝聴いたします。
  31. 大石武一

    大石国務大臣 いまこのイタイイタイ病の裁判は、一審の判決がありましたが、まだ係争中でございますので、その内容がどうあるべきかについては、立ち入るべきではないと思いますので、発言は差し控えます。私は、この第一審の判決が下されましたことによりまして、それに続く第二次から第六次までの判決もかなり促進されるものと思います。そして私自身も、国民のこのような希望を十分に裁判所でも了察されまして、促進されるものと確信いたしております。その内容がどうであるか、いま申し上げられませんが、できるだけその被害者救済に役立つものであってほしいことを心から願うものであります。
  32. 島本虎三

    島本委員 そのためには検察当局の、いわば公害担当の検事が北海道の高検でただ一人、あの広い北海道というと、九州と四国と中国を足して、広島を引いたくらいの面積です。こういうような中にただ一人、事務員一人、おそらく他の方の地域では、これ以上のものはなかろう、こう思うわけです。その体制そのものも、あなた自身も公害担当の責任者となれば、今後やはり十分その内容等についても考えて、促進しておいてもらいたい、もらわなければならない、こういうように思うわけであります。  それと同時に、紛争処理、この問題についても、もうすでに古くなったのじゃありませんか。この際ですから十分そういうような点を考えて、その中に国家行政組織法第三条によるところのこういうような機関の導入、裁定を考え一つの行き方あたりは、もう既成の事実になっているのじゃないか、こうさえ思います。公害紛争処理法案等について今後十分その趣旨に沿って考え意思がおありかどうか、お伺いしておきます。
  33. 大石武一

    大石国務大臣 公害の問題に対してわれわれがいろいろな解決をする、役割りをすることができれば一番けっこうでございます。それについてはどのような法的な処置をとったらいいかということについては、調停なりあるいは紛争裁定なりいろいろなものがあると思いますが、そういうものは、とにかくどんなことにせよできるだけわれわれの環境庁がそのような問題の解決に役立ってまいりたいと思います。その法律的ないろいろな考え方はちょっと私ではむずかしいので、ひとつこれは局長にその考え方をお答えさせたいと思います。
  34. 船後正道

    ○船後説明員 紛争処理の問題は、先生も御承知のとおり、中央公害審査委員会の所管になっておりまして、環境庁に属しておりません。したがいまして、この紛争処理の制度を将来どのように守っていくかということにつきましては、私どものほうからとかく申すべきことではないかとも思いますが、ただ、現在の制度が強制的な裁定を含まないということにつきましては、これはいろいろな議論があった末にこのようにきまった、こう聞いておるわけでございまして、やはり当事者双方の合意の上で、こういったすみやかな紛争の処理をはかるというところからこの制度が活用さるべきでございまして、ここに裁定制度を採用するといたしますれば、究極的には民事訴訟の問題もございまして、屋上屋を重ねるというような議論もあるわけでございます。しかし他方、私も、紛争処理法制定当時に国会で附帯決議がなされておることも承知いたしておりまして、こういった観点から、この問題につきましては、公害紛争の特殊性というような点からもさらに検討を進めていく必要がある、かように考えております。
  35. 島本虎三

    島本委員 公害にかかる被害救済に関する措置法案、こういうようなものに対しても、何回もこれは修正されてきておる。しかし修正されてもまた古くなってしまう。もっとも古くなったその根幹は、中に、いわば家族の生計費を含むところの生活に対する配慮がないということであります。医療だけに限定されておる。そろそろこの問題に対しても考えてやらなければならない問題であります。工業が発展して公害列島とさえいわれて、どこにそういうようなものが発生しておるかわからない。ことに四日市等においては、大臣も行ってごらんになったとおり、空気清浄室へ入ってそうして夜はこっそり出ていって、自分で仕事をして生計費をかせいできて、そうしてまた朝になったら病院へ来て寝ている、寝ている先はこれは空気清浄室である、こういうようなことでよう。生活をなぜ保障してやれないのですか。こういうような実態は具体的に行政指導上からしてやはり一つの盲点だろうと思います。将来、この改正に対しては何らかの考えがあってしかるべきだと思いますが、こういうような実態を前にして大臣はどのようにお考えになりますか。
  36. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの御意見は、まことにごもっともな御意見でございまして、私も同感であります。将来生活の面においてどのような処置を講ずればいいかということも当然私は考慮に入れて、そういうことに向かって進んでいかなければならないと思います。医療の内容につきましても、私はさらに環境庁が直接関係するようなことにいたしたいといま願っておりますが、ただ、私の考えでは、これにはいろいろな予算措置が要るものですから、まだ自信もありませんのでいまあまり大きなことは申されませんけれども、やはり医療内容につきましても十分に考えていかなければならぬと考えておる次第であります。
  37. 島本虎三

    島本委員 具体的な問題について今度は質問させてもらいます。  大臣も、大臣になる前は党の長老であります。そしていろいろの立法に参画して、その敏腕、そのうんちくの深さはわれわれの尊敬しているところであります。しかしながら具体的な事実として、農業基本法ができてから農業が斜陽化してきておる点、この現実は認めないわけにはまいりません。中小企業基本法ができてきて倒産が増加してきているのが現在の状態であります。また、公害対策基本法ができてきて公害は激化してきているのであります。そして、環境庁ができて環境を破壊するようなことがあってはとんでもないのであります。しかしながら、ちらほらとそういうような行政上のミスが散見されるのであります。いま言ったような点からしても、十分心して、今後環境庁ができて環境を破壊するというような悪い非難から皆さんは一切避けてもらいたい、これをお願いしておきたい。中には、私の手元にあるのでは、これは一人の老人ですけれども、「公害の東京でなく、きれいな湖水の底で眠りたい」、こういうような遺書を置いてそのまま自殺したという八十四歳になる老人の遺書も写してまいりました。その中には、六月四日の日付で「東京は公害。大空が澄み、水清き猪苗代湖底の静寂の境地に永久に眠りたいものなり」こう書いてあるわけです。そして五月の末に家を出て、それから入水自殺した四日まで会津方面の史跡をたずねながら、そしてそのまま従容として、きれいな湖の中で死んでいっている。これはやはり公害のもたらした犯罪である。社会的な一つ傾向というより、犯罪というように認識しておきたいと思います。そういうようなことからして、公害撲滅ということと自然保護ということ、この二本の柱の上に立ってあなたは今後検討しなければならないのであります。当然、人間の健康を守る立場考えることは必要でありますけれども、こういうような点はあえて論じません。しかしながら、公害撲滅と自然保護、この二本の柱だといいながらも、最近、往々にして私ども環境破壊の事実を知らされてがっかりしております。これについて大臣としてもはっきりしたことを言ってもらいたい。北海道の網走付近の原生花園から一キロの距離のところにある斜里のホクレンのビート工場が、この排水を期間内だけで八百万トン、こういうようなものをパイプでそのまま流して、そして湖水の中に入れてしまっている。これはどういうようなあんばいでこういうことになったのか。これは重大な環境破壊で、それも六月三十日というと、環境庁が発足するちょうど一日前じゃありませんか。それも、自然公園審議会にかけないで忽然としてこれをきめた。これでは環境破壊庁じゃないか。こんなことは許されません。これは一体どういういきさつでこういうようになっているのか。自然保護局長というのはいるのかいないのか。その人は前に何をやっていたのか。これはやはりはっきりしないといけません。大臣は調べてあると思うのですが、これについてひとつ明快なる御答弁を願いたい。
  38. 大石武一

    大石国務大臣 いまおしかりを受けましたが、全くそのとおりで、これはまことにおわびを申し上げねばならぬことでございます。このいきさつを、御承知と思いますが、申し上げますと、北海道に斜里という町がございます。島本先生よく御存じですが、その斜里にホクレン経営のビート糖、でん粉等をつくる工場がございます。その工場は、昭和三十四、五年ごろからビート糖の精製を始めておるわけでございますが、最近その事業を拡大して、工場の増設を去年いたしたそうでございます。そのときにどのような計画を立てましたか知りませんが、いろいろ苦心したということでございますが、結局は網走国定公園の中の海岸の砂浜約二十二ヘクタール、そこに沈でん池を通した廃液をしみ込ませて、それで処理しようという方法を立てまして、それを北海道庁に申し出た。北海道庁では、検討しました結果、よろしいという方針、しかも、北海道には自然保護協会であるとか北海道自然保護審議会とかなんとか、そういうものがたくさんあるようでございますが、そういうものも結局は賛成されたということであります。残念でありますが、賛成されたということで、北海道庁ではその意見を全部取りまとめまして、ことしの六月十二日に、許可申請ではなくて、これは北海道庁の権限でありますが、一応行政指導の立場から厚生省の国立公園部にも協議をするというたてまえになっておりますので、そのたてまえの上で協議に持ってきたのでございます。そこで、国立公園部でもいろいろ検討したようでございます。その詳しいいきさつはいま申し上げませんが、結局は、自分らに権限のないことで、どうしてもやむを得ないことである、道庁の強い意思には抵抗し得ないという考えのもとに、もう一つは、六月三十日というのは、聞いてみますと七月一日から環境庁が発足して新しい役所ができるのだ、この役所にそのようなこまかいことを持ち込んではあと困るだろう、すっきりした役所にして活動させてやれというような役人の考え方があったようでありますが、そのような考えから三十日付をもって協議に応じたということになりまして、翌七月一日には農林省の林野庁に保安林解除の申請があり、七月二日に保安林が解除されて、それでそういうことになったということでございます。これは、おっしゃるとおり、まことに環境庁としては、国民期待をになって新しい自然を保護するという任務を持って発足した環境庁の前途にとっては、非常につらいことであります。私としても残念であります。しかし、できたことはしかたがありません。ですから今度は、何とかしてこの自然破壊の行為ができるだけ最小限度のものであるように、いろいろな条件はつけておるようでございますから、いままでならばその条件というものはたいていうやむやになるようでございますけれども、今度はその条件を厳密に守らせよう、いろいろな条件をつけて、その条件に合わなければ取り消すとか、そういういろいろな条件を厳密に実行させなければならぬ、そういうことで、私が行こうと思いましたが、なかなかできませんので、近く係官を十分に派遣しまして調査検討させて、一応被害を最小限度にする決意を持っておるわけでございますが、そのようなことになりましたことはまことに残念でございますが、今後十分に気をつける決意でございます。よろしくお願いいたします。
  39. 島本虎三

    島本委員 十分気をつけてもらわなければなりません。環境庁の第一の仕事環境破壊である、こういうようなことだったらとんでもないことであります。まして、これが何か七月十六日に決定されて、六月末にさかのぼって厚生省の名で文書を出したということだったら、かつての石原産業と同じようなやり方じゃありませんか。もう再びこれは繰り返さないということになっている。これを環境庁が繰り返したというのはどういうことですか。こういう事実はなかったのですか。
  40. 大石武一

    大石国務大臣 それは六月三十日に電話をもってその協議に応じた旨伝えたことは確かでございます。その結果、保安林の解除が七月二日に行なわれているわけでございますから、それは間違いない。私は役人を信じておりますが、その書類は環境庁に移るのでいろいろごちゃごちゃして、事務錯綜したために、書類の発送がおくれましてそのような手続になった。これはあまりいいものではありませんが、役所ではそういうことがよくあるそうです。そういういきさつでそうなったということでございますので、その点はひとつあまりおしかりのないようにお願いいたしたい。  それからもう一つ私の決意を申し上げますが、いままで残念ながら、厚生省の国立公園部という立場におきましては、自分の権限だけで自然の保護をするということはなかなかできかねる状態でした。幸いに環境庁ができまして、自然保護に対しましてはより強い権限を持つことができるわけでございますけれども、まだ不十分でございます。その範囲はわずかに国立公園、国定公園とか、その他の都市公園とかいろいろなものに限られております。しかし、日本の自然は残念ながら無秩序な開発計画によってみんなこわされております。これを何としても守ることがわれわれの責任だと思います。そういう意味で、われわれは、日本のどの地域に対しても敢然として自然を守ることができるような権限を持ちたいと考えまして、自然保護法といったようなものをつくりまして、自然を破壊する場合にはわれわれの了解を得なければだめだというような権限を持つ法律をこの次の国会にぜひ提出いたしたいと思って考えておる次第でございます。そのようなときには、ぜひひとつよろしく御協力をお願いする次第でございます。
  41. 島本虎三

    島本委員 りっぱな法律の成立には御協力を申し上げます。しかし、環境破壊には協力することはできません。それと同時に、どうなんですか、地元の強い要請があったから自然保護上問題は少ないと考えて許可したというようなことが堂々と新聞に出ておりますが、こういうようなのが出されてあって、そしていま問題になったら、やはりこれは被害が多いという。審議会やそのほかいろいろなものは異議なしと言ってきたというけれども、そのあとから北海道大学のその方面の犬飼教授はじめいろいろな方面から、学者のほうから非難が出ている、こういうようなことがある。そのようなことからして、やはりこれは国家的な視野でもって自然を守る、これが環境庁の第一の任務であるのに、地元の強い要請のほうを先に受け入れて、自然保護上問題がないであろうということ、少ないということを考えてやる。これあたりだって少しずれていますよ。これは大臣から厳重に注意してやってください。前の厚生省からいまあなたの部下になっているわけだから、部下責任はあなたの責任ですよ。あなたの功績は部下の功績ですよ。それと一蓮托生です。これは十分注意してもらいたい。名前はあげない。これ以上追及しない。しかし、あなたにこの解決の重大な一つ責任を持ってもらいたい、これだけはっきり申し上げておきます。  同じようなことは次々と行なわれている。文化庁来ておりますか。これはどうなんですか。自然破壊、これはもう稚内を含む北のほう、あれは宗谷地方ですが、あの辺で、国道拡張、路線変更のために縄文式文化の立て穴式の居住群の史跡が破壊されている。この事実はどうなんですか。それから、北見、オホーツク海に先住民族の遺跡があるのですが、これは農地の転用で、耕地を新道路工事で古跡を破壊している事実があるのです。またそれだけじゃない。苫小牧、これはいまや第三次北海道開発計画を実施せんとしているのです。これはもう進行中であります。縄文時代の遺跡破壊——住居遺跡、遺物、こういうものがあるのですが、そこを平気で掘り返している。全部破壊している。墓だから破壊するのか。そういうばかなことはあってはいけないはずですが、それが現在二十数カ所に及んでいるのです。黙って、文化財の破壊についてそのまま許していいのですか。環境庁長官はそうだけれども、文化財ですから文化庁でこれに対してどういう対策をお持ちでしょうか。御高見を拝聴したい。
  42. 内山正

    ○内山説明員 文化財を守りますことは、文化財そのものの保存、活用をしまして国民文化の向上に資するということは申し上げるまでもございませんけれども、文化遺産を守りますことが、人間の精神や豊かな生活の基盤になりますところの人文的な環境、自然環境を守ることに大きな寄与をするという前提から、環境の保全と密接な関係があることは申し上げるまでもございません。ただいまお話しのございました北海道地区におきます各地の立て穴住居あと、あるいは墳墓等についての問題でございますが、文化財保護法によりますと、指定をいたしました地域につきましては、その現状変更については文化庁長官の許可を必要といたします。ただ、まだまだ指定をいたしておりませんそういった遺跡につきましては、それが周知の遺跡であります場合、また実際に工事等にかかろうとする場合に、それが遺跡であるということが発見されました場合には、その事前に届け出をすることになっておりまして、ただいま御指摘のありましたところにつきましては、大部分が事前の発掘届けが出てまいっております。文化庁といたしましては、そういった工事に伴います発掘の必要がある場合には、事前の発掘調査をやっていただくということで、その発掘調査の結果によりまして、これがきわめて重要な、全国的に見て国の指定になるべき遺跡であるという場合には、これは指定をいたしまして保存をするという措置をとっているわけでございます。ただいま御指摘のございました事項につきましては、事前の調査が行なわれていると私ども考えておるところでございます。
  43. 島本虎三

    島本委員 そのほか二十数カ所あります。これは全部後ほどその場所を書いて、具体的にその破壊の状態を知らせますから、これに対して完全に手を打ってください。そうしないと、文化庁は何のためにあるのかわけがわからない。高度経済成長のあらしの中でおたおたして、そのなすがままに破壊されておる自然環境を守らなければならない。環境庁長官、こういうような状態です。これはゆゆしい問題ですが、それに対する準拠法もあるわけです。これは埋没文化財保護法というようなのがあるのですか。
  44. 内山正

    ○内山説明員 いまおっしゃいますような法律はございませんけれども、文化財保護法の中に埋蔵文化財という章がございまして、そこで埋蔵文化財の取り扱いに関する規定がなされております。
  45. 島本虎三

    島本委員 その具体的な実施については、これは工事の際に発見したものは受益者負担でその発掘をしなさいということになっているようであります。受益者負担というのは、それをやりたいという人がやりなさい、あとはかってにもうごちゃごちゃしますよということなんです。これあたりもう少し気をつけないといけないと思うのです。これは文化庁と環境庁長官ともに提携して、こういうようなことがないようにすべきであります。私はもうあまり時間をとれませんので、あと二十数カ所あるのを後ほど文書で差し上げますから、十分これは検討しておいてもらいたい。このことだけを強く申し上げておきます。環境庁長官の御意見を承ります。
  46. 大石武一

    大石国務大臣 これは他の官庁の領分でありますから、私としてはとやかく申し述べることは差し控えたいと思いますけれども気持ちとしてはまことに残念でございます。せっかくのわれわれの先祖の遺産が、ただ単なる金もうけによって破壊されてしまうことはまことに惜しむべきである。だから私としても、自分のできることは役所をしてできる能力を十分に発揮しまして、ともに文化庁に協力をして、そのような遺産を守ることに努力いたしたいと考えております。
  47. 内山正

    ○内山説明員 ただいまお話しございました受益者負担というのは、ちょっと間違いであろうかと思います。原因者負担と私ども申しております。住宅公団等が住宅開発をしようとする場合に、そこに遺跡があるという場合には、その工事を始めようとするその原因者に負担をしていただく。工事費の中に調査費を盛っていただくということを現在やっておるわけでございますが、実際は、企業だとかあるいは個人等によってそういった必要が生じる場合がございます。そういう場合には、役所から都道府県に補助金を交付いたしまして、地方公共団体によって、その発掘の経費によって発掘をやってもらうというようなこともやっておりますので、ちょっと申し上げます。
  48. 島本虎三

    島本委員 では具体的な環境破壊の第三の例であります。六月十七日に、自然公園審議会の総会で、臨海工業地帯造成のために福井県、山形県、この両県申請の越前加賀海岸国定公園、鳥海国定公園の地域の一部削除、これが条件つきながらあっさり認められた。これはやはり、「地元の発展のためにやむを得ない措置」だ、審議会ではこれをこう言っているように報道されております。うそならば新聞が間違っているわけでありますが、審議会が「地元の発展のためにやむを得ない措置」だ、こういうようなことを言うということは、これはとんでもない錯誤です。これは、地元側の申請によりますと、越前加賀海岸の場合には、全面積九千七百ヘクタールのうち福井県福井市と三国の一部七百九十ヘクタール、全体の約八%を削除する。その中には景観の一つである砂丘地帯の三里浜もある。それから鳥海地帯は、二万八千ヘクタールのうち酒田市と遊佐町の二つにまたがって百四十ヘクタール、全体の五%を削除する、こういうようなことのようであります。しかし、国立公園協会の副会長である藤原孝夫という人は、この「削除は両地域一帯の経済の発展で必要なうえ過疎過密の問題からみて国家的な開発事業でもある」のでやむを得ない。これは一体なんですか。これは全国開発審議会ですか、それとも自然公園審議会ですか。こういう審議会はどういうことをやる審議会ですか、大臣
  49. 大石武一

    大石国務大臣 どうも私はうっかりしておりましてそれを知りませんでしたが、残念ながら、厚生大臣がそのような審議会にそれをかけまして、その自然公園審議会でそのような決定を下したということでございます。これはまことにお話のとおり残念でございます。どのような実態か、どのような国家的な必要性があるかわかりませんが、一般的に考えましてまことに私は残念だと思います。幸いに環境庁ができましたから、今度そういうことが絶対ないように、われわれの立場において自然を守ってまいりたいと思います。
  50. 島本虎三

    島本委員 厚生省のほう、これはもう知っているでしょう。六月十七日、まだ環境庁ができないから……。これはどういうことです。自然公園審議会の総会できまってやったというのだから根拠がはっきりあるはずだ。自然公園審議会の中で、これは経済の発展で必要であり、過疎過密の問題から見て国家的開発事業である、こういうような判断をしなすっている。どうもこれはもう環境庁以前の問題ですから、環境庁長官には関係ないと思います。ですから、今後は気をつけてください。厚生省ともあろうものが、国立公園その他を管理しながら、こういうようなことを環境庁ができる直前にやっておくなんておかしいじゃないですか。厚生大臣がいれば一番いいんですけれども、いなければ、どなたかいないですか。
  51. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  52. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。
  53. 島本虎三

    島本委員 この問題は重大でありますから、特に委員長を通じ大臣を通じてこの真相を調査した上で、私はこの問題についてひとつ留保さしておいてもらって、これは大事ですから、こういうような問題を無条件に引き継ぐことは大臣のこけんにかかわるから、ひとつそういうような意味からしても重大でありますから留保しておきます。  いろいろと忙しくなって時間もなくなってまいりましたが、これはどうなんですか。いろいろな意味で今後水の問題は重大な問題の一つでありますけれども、最近、海上保安庁が海をきれいにする月間という問題を出して取り組んでおられるようであります。海をよごすもの、もちろん廃油、廃油ボール、屎尿、産業廃棄物、工場排水、都市下水、こういうようなものはいろいろありますけれども、中に、産業廃棄物は年間五百万トンも流しておる。屎尿はもう五百二十万リットルも流しておる。東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、こういうようなところが数限りなくよごされておるわけです。瀬戸内海にふん尿までまだ流しておる。こういうようなことでは環境の整備にもならぬでしょう。小豆島のそばじゃありませんか、ふん尿を流して許可しておる土地は。これも厚生省だ。ですからやはりそういうような点からしても、十分に今後は、海洋汚染防止法や水質汚濁防止法や港則法、こういうような規制の法律もあるわけですから、そういうふうなものに立脚して船舶、工場、こういうようなものの取り締まりを厳重にしなければならないのではないか、こう思うのです。洋上をパトロールすることによってのみ水をきれいにすることができるのかどうか、現在までの業績をひとつ御発表願いたいと思います。海上保安庁。
  54. 上原啓

    ○上原説明員 御説明申し上げます。  海上保安庁といたしましては、海洋汚染の監視、取り締まりにつきましては、最も重点的な業務といたしまして組織、人員の整備、増強、また実際に手足となって働きます船艇、航空機の整備等あらゆる努力をこの海洋汚染の監視、取り締まりのほうに重点を置いておる次第でございますが、やや具体的に申し上げますれば、組織、人員につきましては、これはまず保安庁本庁警備救難部に海上公害課を設置いたしました。それから汚染の多発海域を管轄いたします四つの管区海上保安本部に海上公害監視センターというものを設置いたしました。また、重要な保安部署、これはわずか五つの保安部署でございますが、五名の増員を実施いたしました。これらはいずれも四月一日からスタートしております。  そのほか、航空機につきましては、汚染監視に最も効果的な小型ヘリコプター四機が本年度購入を予定されております。また船艇につきましては、このヘリコプターと連携しながら最も効果的に活動ができます巡視艇二十二隻の代替建造を予定いたしております。これらは一日も早く第一線に配属できるように、極力ただいま整備を急がせておる状況でございます。もちろん、これではまだ十分でございませんので、来年度以降に対しましても極力重要事項といたしまして、努力を傾注してまいりたいと思っております。  しからば保安庁はどのような実績をあげておるかという御質問でございますが、違反検挙件数という、どうもあまりぱっとしないことで申し上げるのはたいへん恐縮でございますけれども、本年一月から六月に至ります間に二百四十六件の違反を検挙いたしております。これを昨年に比べますと、昨年は一年間で三百五十六件でございます。この二百四十六件、本年度一ぱいには五百件をこえるものと思われますので、おそらく四、五〇%近い増加になるのではないか、このように考えております。
  55. 島本虎三

    島本委員 ついでに、これはどうでしょうか。職員の研修、それからいろいろと赤外線によるところの取り締まり用の機材、こういうような配慮。高度化してくる技術の進歩に即応するように職員も養成するのでなければ、やみ夜にまぎれて、黒いものは見えないからこっそり流してしまう、朝行ってみたら油の海だった、それから追跡してももう何も流れていない、これでは困るのであります。夜間でも同じようなこういう技術はもう当然開発されているはずであります。その職員の訓練、こういうのは十分すべきであります。しかし、これにうんと協力する人を左遷さしたり、こういうようなことはすべきじゃありません。そういうようなことが若干四日市で新聞種になっているようでありますので、私は誤解だと思いますが、せっかくこういうようにいいことをやりながら、そのうしろには誤解されるような行政措置を伴っていくことは、これは見上げたことじゃありません。もうこういうようなことはないと思いますが、いまの質問に対していかがでしょう。
  56. 上原啓

    ○上原説明員 御説明申し上げます。  まずお尋ねの第一点の職員の研修でございますが、本年は各種の研修を含めまして五十五名の研修予定しております。昨年実施いたしましたのが三十名でございます。なお、来年は具体的には数字はまだ固まっておりませんが、さらに大幅に研修をふやしていきたい、このように考えております。  また、第二のお尋ねでございました赤外線を利用する監視取り締まり体制の問題でございますが、実は、海上保安庁の内部で主要幹部をピックアップいたしまして、技術開発促進委員会というものが最近設置されたのでございますが、この委員会におきまして、この公害関係の技術開発ということが最も重点的に取り上げられております。そのうちで、この赤外線監視装置の開発、活用ということは、最も重要な事項として取り上げられまして、数回このためだけの会合を重ねまして詰めました結果、本年度内にまず技術的な解明はつく、来年いっぱいにはまず実際の機器が開発されてこれを装備することが可能であるという見通しが立ちましたので、これは、ただ概算要求にはワクというものがございますから、はまりますかどうかでございますけれども、これは極力来年度整備したい、このように考えております。もうすでに技術的には見通しは立てたというふうに考えております。
  57. 島本虎三

    島本委員 では、保安庁のほうはそれでよろしゅうございます。御苦労さま。大いにがんばってやってください。  それから次に、最近の問題で人心を寒からしめている問題で、環境庁長官には直接関係のない問題でありますけれども、コカコーラをはじめとしたびんの破裂事件があるのです。あれはなぜ公害か。あれはやはり被害を与えるから公害であります。どこでどういう原因があって起こるのかこれはわからぬけれども、昔からいままであったのだろうか、こういうようなことは最近だけの現象だろうか、それによってけがをする人はどういうような措置を受けるのだろうか、こういうようなことになってまいりますと、やはり解明しておかなければならない問題であろうと思います、公害に関連する問題として。  それから、いまの段階では、全面的に出荷停止しているのはコカコーラのようであります。しかし、それについても、ほかでもそういう現象が方々であらわれてきている。こういうようなことであれば、ビールにしろ、サイダーにしろ、これはやはり行政指導もいろいろと——指導というよりも注意でしょう、こういうようなものをしてしかるべきじゃないか、こう思っているのであります。そういうようなことからして、現在どういうようなことになっているのか、一体どういうような措置をしているのか、これは厚生省農林省通産省の三省にかかる問題だと思うのです。この対策について、どういうようになっていますか、ひとつ御発表願います。
  58. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  コカコーラのびんの破裂事故でございますが、本年の五月末から六月初めにかけましてかなり続出をいたしました。こういう事実にかんがみまして、農林省といたしましては、六月四日付をもちまして、農林経済局長名の、これは通達でございますが、炭酸飲料の容器による事故防止につきまして、日本コカコーラボトラーズ協会ほか関係三団体に対しまして、二点につきましての通達をいたしておるわけであります。第一点は原因究明を徹底的に行なうということと、製造、流通過程における取り扱いの安全対策等事故防止に万全の措置を講ずるよう、これが第二点でございますが、そのような通達をいたしております。  引き続きまして、七月十六日、コカコーラの関係幹部農林省に呼びまして、事故の概況、びんの規格、検びんの方法、事故の処理状況あるいは事故の防止対策等を聴取をいたしまして、さらに今後の対策といたしまして、事故率の最も高いホームサイズにつきましての製造販売を事故対策のできますまで中止をするよう強く要望いたした次第でございます。  この結果、翌十七日でございますが、コカコーラ側におきましては、全国の社長会を開きまして、全国的にホームサイズの製造、販売を中止をするという措置をとった次第でございます。さらに、すでに出回っておりますものにつきましても回収をするという報告がございましたので、即日実施するよう重ねて要望いたした次第でございます。
  59. 島本虎三

    島本委員 これはわかりました。しかし、けが人なんか出たという報道がございますが、被害者の納得のいく線でこれは解決がはかられなければならないと思うのでございますけれども、それにしても、これはどうなるのでしょうか。業務上の過失でしょうか。こういうようなことは刑事責任があるのでしょうか、御見解を……。
  60. 下浦静平

    ○下浦説明員 この事故の起きました場合にどういう措置を講じておるかということにつきましても、コカコーラ側から事情聴取をいたしましたが、被害者に対しましては、見舞い金、医療費の負担等による適切な措置を講じてまいっておるというような報告を受けております。  なお、これが刑事責任を持つかどうかにつきましては、これは警察庁のほうでも御調査になっておるようでございますので、またその辺の調査の結果をも承らなければならないというふうに存じております。
  61. 島本虎三

    島本委員 原因は何ですか。
  62. 下浦静平

    ○下浦説明員 原因はまだ根本的にはわかっておらないようでございます。ただ、現時点におきまして推定をされます原因といたしましては、やはり、びんの表面につきました傷が、その後のびんに与えられますショック等によりまして破裂をするというように推定をいたしております。
  63. 島本虎三

    島本委員 今後、こういうような被害を与えることのないような行政指導は完全ですか。
  64. 下浦静平

    ○下浦説明員 先ほど申し上げました対策は、当面のいわば応急の対策でございまして、なお今後ともびんの強度と申しますか、そういった問題につきましての究明が残っておると存じております。  なお、これもあるいは応急の措置かもしれませんけれども、びんの表面にビニールの被膜を張るというようなことも考えられる次第でございまして、十六日にコカコーラ側を呼びました際にも、そういう話を私どものほうからも出しておるわけでございます。それから、コカコーラ側におきましても、その被膜を張る問題につきましてはかなり検討を進めておるようでございますので、なお早急にそれらの残りました問題につきましての対策を取り進めるよう指導をいたしてまいりたいと考えております。
  65. 島本虎三

    島本委員 最後に、びんの破裂の責任の所管はどこですか。
  66. 下浦静平

    ○下浦説明員 私ども、炭酸飲料をはじめといたしますこれらのものにつきましては、一般的な指導監督権限はやはり農林省にあるのではないかと存じておりまして、鋭意事に当たっておるわけですが、びんの製造自体は、これは通産省の権限でございます。それから、炭酸ガスの取り締まり等につきましても通産省でございますし、衛生面の規格、基準に関しましては厚生省ということになっております。
  67. 島本虎三

    島本委員 残念なのは時間がないことであります。これで終わります。  なお、科学技術庁も呼んで、原子力発電についてこれから鋭意やる予定であったのでありますが、せっかく呼んでおきながら、時間の関係で質問に入れません。いずれまた日を改めてゆっくりと御高見を拝聴させてもらいたいと思いますので、きょうはせっかく呼んでありますけれども委員長のほうからおわび申し上げておいていただきたい。  それでは、御健闘を祈って、私はこれで終わります。
  68. 小林信一

    小林委員長 阿部未喜男君。
  69. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣環境庁長官に就任されて、先般所信のほどもお伺いしたわけでございますけれども、特に私は、長官に次の点についてお考えを承っておきたいと思うのでございます。  本委員会におきまして環境保全宣言が行なわれました。その宣言の中で、特に、「長期的な視野の下に、現在及び将来の国民のために、国をあげての努力により良好な環境が確保されなければならない。」こううたわれておりますし、「政府は、今後公害対策の一層の推進を図るとともに、さらにひろく人間の環境保全のための諸施策を講ずべきである。」こういうふうに決議をされておるのでございますけれども、当然政府はこの宣言を行政の上に生かしていくのだ、そう私は理解をいたしますが、これに対する長官決意のほどをまずお伺いしたいと思います。
  70. 大石武一

    大石国務大臣 いままでもいろいろ申してまいったのでございますが、その趣旨にありますとおり、やはり自然を守り、環境を保全し、健康な明るい日本国民生活を守るために、懸命の努力をいたす覚悟でございます。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、佐藤総理国会の答弁で、繰り返して、基本法の改正国民のためにすぐれた環境を保持することを第一義として、公害行政を強力に進める、こう述べられておりますし、そういう政府の姿勢を前提として、昨年の十二月四日の連合審査会におきまして工場誘致の問題に触れられまして、地域住民と企業者が十分に話し合うことが必要である、こういうふうに総理は強調をされておるのでございますけれども長官はこれをどうお考えでございますか。
  72. 大石武一

    大石国務大臣 工場誘致の問題は、御承知のようにいろいろむずかしい問題があると思うのです。とにかく、工場が出てまいりますとどうしても自然が破壊されるごとはそのとおりでございます。しかし、やはり工場というものは、今後いろいろな国の生産活動なりが進んでまいれば、ある程度ふえることは押えることはできないものでございましょうし、また一方、いままでのような、東京都付近とか大阪とかそのような付近に工場がこれ以上できることは、もう東京、大阪の大都市を壊滅させるような原因になりかねない大きな問題だと思います。でありますから、このような地域に工場をつくることはもう私は不可能じゃないかと思います。つくらすべきではないと思います。そうなりますと、どうしても工場というものは地方に分散されることになるわけでございます。ただ、工場が地方に分散されることが、日本の農業と工業との結びつきによって農業の新しい今後のあり方を示すことにもなると思うのでございまして、この点については、私は、工場が地方に分散して、そして日本のいろいろな新しい経済の発展がはかられることはけっこうだと思うのでございます。ただ、この場合に、破壊される自然あるいはその生活環境をどのようにして守るかということがわれわれの問題であります。そういう点でいろいろな苦労がございますけれども環境を正しく守りながらこれらの公害を他に及ぼさないような形においてそのような工場の分散計画をはかるべきではないか、そういうことに力を入れてまいりたいと考えておる次第でございます。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官、特に佐藤総理が言っておるのは、この企業の進出に伴って地域住民と企業者が十分に話し合うことが必要だ、こう言っておるのです。この点はどうお考えですか。
  74. 大石武一

    大石国務大臣 これは佐藤総理がどういう御趣旨でおっしゃいましたか、まだはっきりお聞きしておりませんけれども、おそらくは、生活環境を正しく守るような方向においてその工場をつくってほしいというような話し合いではなかろうかと思うのでございます。そのように考える次第でございます。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは佐藤総理の言ったことですから、総理考えを聞かなければわかりませんが、私は、やはり工場が進出をする場合には、その可否について地元の意見を十分に聞くべきだというのが総理の真意であるというふうにいま理解をしておるのです。  そういう前提に立ちましてお伺いしたいのですけれども、大分県に臼杵市という町がございまして、ここに大阪セメント工場の進出が計画をされ、そのために地元では工場の進出に賛成と反対に分かれて激しい紛争が行なわれております。このことは長官御存じでございましょうか。
  76. 大石武一

    大石国務大臣 先日の新聞でその裁判の判決を拝見いたしました。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一つ基本的な姿勢で伺っておきたいのですけれども、この臼杵市という町は古い城下町で、地場産業としては、みそ、しょうゆ、酒、こういう食品工業が中心になっておるわけでございます。こういう食品工業の町に、ばい煙や粉じんを伴うセメント工場のようなものが進出をすることが望ましいと思うかどうか、この点長官の見解を承りたい。
  78. 大石武一

    大石国務大臣 それは原則的には、人間尊重の立場から申しますとあまり好ましいことではございません。
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ありがとうございました。  先般のイタイイタイ病の判決に対して、長官は厚生大臣と全く同感だということを何度かお述べになったようでございますが、先ほどお話のございましたように、去る二十日に大分地方裁判所が先ほどの臼杵の問題について判決を行なっております。いわゆる臼杵判決ということばも使われておりますが、この大分地裁が出した臼杵問題に対する判決についてどのような見解をお持ちでしょうか。
  80. 大石武一

    大石国務大臣 この裁判の係争は、漁業権者と埋め立ての権利の調整についての裁判であったように私思います。そういうことでございますから、その裁判の結果につきましては、われわれは別にこれに論評を加えることはできないのでございます。ただし環境庁立場から申しますと、そのような工場を建てる場合には、あるいは埋め立てをする場合には、地域住民の生活環境を破壊しないように、そういうことを十分に考慮してつくってほしい、そういうことを心から願っておる次第でございます。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 確かに裁判が出した判決の中心的なものは漁業権の存続をめぐっての判決でございますけれども、しかし、これはもうすでに長官も御承知のように、一方ではいわゆる公害反対という大きい願望を含んでの動きであったことは間違いがないし、七月二十一日の朝日新聞が、社説でもって「国土開発に反省迫る臼杵判決」と題しまして論説を掲げておるのでございます。その中にもこういうことがございます。「一般企業の場合は、企業がもたらす経済的利益と、埋立てによって失われる漁民の権利、さらに地域住民の生活環境に与える影響を正確に掌握し、同時に国土の総合利用、国民経済上の見地も計算してなおかつ客観的に容認される性質のものでなければならない」という見解を示しておるわけです。これは裁判所の示した見解ですけれども、これについて長官どのようにお考えになりますか。
  82. 大石武一

    大石国務大臣 その裁判長の見解に敬意を表します。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 同じ朝日新聞ですけれども、「安易な地域開発に警鐘」、こういう見出しで、臼杵裁判の経過が報告されておりますが、その中にこういうことが書かれております。「工業開発で地域発展をはかろうとする自治体企業との結びつきは強く、一体の感さえする。こういう批判が生れて久しい。県、臼杵市はこんごの対策を問われて「会社と相談のうえで」といい、会社側は「県、市の意向を聞いてから」」とこう答えておるのだが、こうなると全く、この新聞にも「“ゆ着”ぶりが」ということばを使ってありますが、何で市や県が会社の御意向を伺った上で今後の対策を立てなければならぬのか、また会社自体が県や市の意向を伺った上で対策を立てなければならぬのか。私どもは、こういうものの考え方は明らかに企業自治体の癒着だ、こういうふうに考えますし、新聞もそう評しておりますが、長官はどうお考えですか。
  84. 大石武一

    大石国務大臣 私は、企業側が県、市の御意向を伺ってという気持ちはわかると思います。県、市は公害対策優先の立場を守るでしょうから、それを伺って、それに合うような工場を建てなければならぬということだと思うのでございますが、県、市が企業の側の御意見を伺ってというのはちょっと弱いような気がいたします。県、市はこちらの見識に従っていってほしかったと思いますが、それはどういうことか実態はわかりませんが、その記事に関する限りはそのような感じがいたします。
  85. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、実は三月九日のこの委員会で、通産省の山下化学工業局長に対して、大阪セメントの臼杵工場の工場設置の場所を変更したらどうだろうかということを、議事録に詳しく出ておりますけれども、くどく申し上げたのです。山下化学工業局長はそのときに、工場設置の場所を変更するという方針で検討する、こう私に約束しております。議事録がございますから、お見せしてもけっこうでございますが、すでに四カ月余り過ぎておりますが、通産省はどういう検討をしたのか、ちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  86. 山形栄治

    山形(栄)説明員 お答え申し上げます。  私、山下局長の後任者でございますが、三月九日の本委員会におきまして、前局長から全体の環境等も考えながら今後検討していきたいという御発言があったやに聞いておりますけれども、その後検討いたしましたところ、本大阪セメントの進出につきましては、県と市と会社側の非常に立ち入った、非常に詳細な協定ができておりまして、一般の大都市等におきます粉じんより、より一そう、この新設を予定しております会社側の粉じんの発生量等を少なく規定しておるといったような事情もございます。  それからもう一つは、地元で移転を要望しておりました柿ノ浦というのでしょうか、その場所につきましては、湾の深さの問題それから輸送距離の問題等、経済的な問題が一つございます。  それからもう一つ非常に重要なことは、その柿ノ浦地区まで石灰石の山から原料を持ってきます場合は、日豊線の上を通らなければいかぬ。現在日豊線がその辺はトンネルになっておりまして、その上を索道がやはりトンネルで通る。その場合、現地の岩石の層といいますか、その辺との関係が安全上非常に問題があるという安全上の問題も配慮いたしまして、現時点におきましては、極力地元との調整をはかりつつ、県及び市の指導のもとに、大泊といいますか、この地区が地元との了解がつきますれば妥当ではないかというような見解に達したと私は聞いておる次第でございます。
  87. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その隧道の関係はいま初めて聞いたのですが、水深が深いということ、それから距離が遠くなる、これは聞いておったのです。しかし水が深いから埋め立てに若干金がかかるとか、輸送でも距離が少し遠くなるからなるたけ便利のいいほうがいいというのは、これは企業の側の立場であって、それによって臼杵の町がセメントの公害から守られるとするならば、そのくらいは当然通産省として強力な指導をすべきじゃないかということを申し上げて、先ほど申し上げましたようにその方向で検討するというのが当時の山下さんの回答だったわけです。大体、いま聞きますと隧道の問題もあるようでありますけれども、これは絶対不可能なものかどうか、もう一ぺんはっきりさせておいてもらいたいのです。
  88. 山形栄治

    山形(栄)説明員 確かに先生のおっしゃいますように、湾の水深の深さと経済的な問題は会社側の出費の問題になると思うのでございますが、それ以外にいまの安全の問題が一つありますのと、それからわれわれの聞いておりますのでは、地元の県におきましても四囲のいろいろな事情を勘案いたしまして、現在問題となっております大泊地区が順位といたしましては一応第一順位である。地元の御意向もわれわれ聞いておりますので、できる限り地元住民との調整を会社側及び県、市といたしましてもはかっていただきまして、本件を第一順位のほうで進むのも現時点としては一つ方向ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  89. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは長官には直接関係がないのですけれども環境の保全という点から非常に大きい意味があって、先ほど長官も好ましくないとおっしゃったのですが、その第一順位のところで紛争が起きてああいう判決が出ておるのですから、位置の変更をすれば、これは市長も助役も市会議長も賛成で、またもちろん地元の方々も賛成なんですから、そのために若干会社の出費がかさむからといって、環境を守るという意味、さらに紛争が起きておる実態から考えて、通産省がそれだけの指導をすべきものだというふうにぼくは特にこのときに話しておったのですけれども、どうも通産省はあまり誠意がない。今後どうするか、もう少し検討しておいてもらいたいと思います。  次に、もう一つお伺いしておきたいのですが、三月九日のこの委員会で、私は、公有水面埋め立てについて延期するように特に要請をいたしました。その理由は議事録にございますけれども、第一点は、紛争中でございますから、この裁判の判決が出るまで埋め立てを見合わしたほうがいいのじゃないか。第二点目は、水産庁のほうから模型実験をやれということになっておるわけですが、この模型実験の結果が出てからでもいいではないか。第三点目は、学校のところで工事が行なわれておりますから非常に騒音があるし、狭隘な道路をトラックが行き来するから交通上の危険もある。したがって、こういう三つの条件がそろってから、埋め立てをするにしてもそれからでいいではないか、このことを関係各庁で協議をして、ぼくに返答してもらいたいということを申し上げてあるのです。そしてそのときは、おたくのほうは城戸官房長、あなたを中心にしてこの問題を検討してもらって返事をくれ、こう申し上げて、あなたは、一人で独断ではできないけれども各省の間で調整をはかってみましょう、相談をしてみましょう、こうなっておるのです。これも四カ月たっておるのですが、まだぼくのところに何らの連絡がないのですが、何をしておったのですか。ちょっと答えてみてください。
  90. 城戸謙次

    ○城戸説明員 当時私、公害対策本部におりましたときのことだと思いますが、私としましては調整的な役割りでございますから、関係の省庁連絡をとりながら、この問題ができるだけすみやかに解決されるように努力をいたしたつもりでございます。ただ、ここにいつどういうような連絡をしたというような具体的なノートを持っておりませんが、できるだけのことはいたしたつもりでございます。
  91. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは、いま大臣もお聞きになったと思うのですが、全く役人の答弁なんです。私は、これを調整をはかって、この三つの問題の条件がそろうまでは何とか延期ができるように相談をしてみてもらいたい、それには通産省の関係もあるし、文部省の関係もあるし、さらに水産庁のほうの関係もあるから、その答えをいただきたいと言ったら、あなた個人では返事はできないと言いましたが、個人では返事ができないけれども、相談をいたしましてとなっておったのです。いま、努力はしましたと言うが、具体的にどういう努力をしたのか。かりにできなかったとしても、あれだけ私が頼んでおったのですから、相談の結果こうなりましたぐらいの連絡はすべきではないですか。どう考えておるのですか。
  92. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいまの点、具体的な点を私いま記憶ございませんが、その後、私自身でできませんので、公害対策本部のそれぞれの相当の審議官から関係省庁連絡しながらやってきたつもりでございます。先生のほうに御連絡できなかった点につきましては申しわけないと思っております。
  93. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 論争してもしかたがありませんけれども国会の場で議論されたことについてはもう少し誠意をもってやってもらわないと困ると思いますね。  それでは、ちょっと水産庁のほうにお伺いしますが、この前から私この点で議論しておるのですけれども、四十五年十二月二十一日に大分県知事に水産庁長官から出した文書「四五水港第六四一五号」、この解釈をめぐって私今日でも疑義を持っておるのですけれども、この通達の中でこういっているのですよ。「上浦」——上浦というのは漁港の名前です。「上浦(臼杵)漁港の埋立護岸および工作物(さん橋式)の構造については、その工事の実施前に十分調査のうえ、」これは工事する前に調査しろというふうに理解するのですが、おたくのほうはそうじゃないというのですけれども、次長、その点はどうでしょうか。
  94. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 漁港の技術的な問題でございますから、漁港部長から答弁させます。
  95. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 いまの護岸の構造等に関する問題の通牒といいますか、県のほうに差し上げた文書でございますが、これは私どものほうでいろいろ検討してああいう文書を出したわけでございますけれども、三月九日の先生の御質問その他議事録で私どもも読みまして、これはもう少し詳しく——ちょっと舌足らずであったかなという感じがしておるわけでございます。  それで、ちょっと御説明いたしますと、埋め立ての護岸と申しますのは、埋め立てをやるためのどろが流れ出ないための護岸でございますが、この場合の護岸の設計と申しますと、あそこは十四、五メートルの、御承知のように非常に深いところでございまして、そこに捨て石をいたしまして、そしてある程度高く盛ってきて護岸の土台をつくってコンクリートを打つ。それでその外に消波ブロックを二層積みにする、そういう設計であったわけでございます。そういうことで、県が免許案を私どものほうへ持ってきまして、それで私どものほうでいろいろそれを審査いたしたわけでございますが、私どものほうでも、全国で漁港区域が非常に長うございまして、そういう工事を方々でやっておるわけでございますが、あそこにそういう護岸をつくりまして消波ブロックを二層積みくらいにすれば、大体反射波等も防げるのじゃないか、こういうような技術的な観点に立ったわけでございます。しかしながら、これは地元漁民のほうでもいろいろと反対の声もございますし、万一反射波等が起こった場合にはどうするか。といいますのは、漁船も非常に小さいものでございますから、多少の反射波でも影響があるのじゃなかろうかというおそれがあった場合に一体どうするか。こういう事柄につきまして、ひとつ埋め立ての施行者である大阪セメントに、そういうことがあった場合にはその手当てをさせるべきじゃないか、こういうことで万々、いまの設計では大体いいのじゃないかと思いますけれども、そういうことが起こった場合に手当てをさせる、そのためにひとつ県のほうへも水産庁のほうから、これは口頭じゃとてもいかぬだろうから書面を出しまして、その点をはっきりさせておこう、そういうことであります。したがいまして、いまの御質問の護岸工事に着工する前というのは、そこがちょっと舌足らずであったのですが、いずれにしても、もし支障があった場合に、護岸工事をする場合にも少なくともいま出ておる埋め立て地の護岸はやらなければならないわけでございまして、また、それに着工いたしましても竣工までに期間がございますので、十月末くらいに一応の結論が出れば、一応護岸ができてその外へブロックを捨てるかどうかという付加的な措置を講ずるわけでございますから、そういう事柄でひとつやっていこうという意味の書類であったわけでございます。したがいまして、護岸工事というのは始めておっても十月末には完成いたしません。そういう十分な手が打てる、こういう意味でやったわけでございまして、その点が舌足らずと申しますか、正確さを欠いたのではないかということを、三月九日の先生の御質問等を議事録で見て私考えておる次第でございます。そういうことでありますから、県当局のほうもその点は十分熟知いたしておる次第であります。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もうその点についての論争はいたしませんが、長官、あなたの常識で一ぺん聞いてくださいよ。「漁港の埋立護岸および工作物の構造については、その工事の実施前に十分調査のうえ、」と書いてあれば、これはやはり工事を始める前に調査をするものだというふうに理解するのが常識じゃないでしょうか。ところがいまのような話で、舌足らずといわれればしかたがありませんが、続いてお伺いしたいのですが、あれはたしか十二月の二十五日に県が免許を与えた。したがって三月二十五日がいわゆるタイムリミットになる。九十日になるわけですね。これをまた延ばして、その次六月の二十五日がタイムリミットになっておったというように考えますが、間違いありませんか。
  97. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 そのとおりでございます。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで先ほど来の問題ですが、そういう地元で紛争があり、しかも裁判の係争中であるし、裁判所のほうでも、おそくとも七月の二十日には判決を出したい、そういう情勢の中で、地元から、少し着工を延ばしてもらいたいという陳情があったはずです。それに対して、水産庁のほうはどういう措置をおとりになったのですか。
  99. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 六月二十五日までに着工するということが期限でございますが、これも御承知のように一度延ばした期限でございます。それで、その間、県あるいは市当局でいろいろとこの問題を煮詰めておったわけでございますが、期限がだんだん近づいてきまして、これが着工できるかどうかなかなか問題だ、こういうような空気になってまいったものでございますから、県のほうでも非常に心配いたしまして、この期限延長につきましてどういうふうにしたらいいかという相談を、事実私受けたわけでございます。それで、私どもとしましてはそのときに県の意向等も十分聞きまして、着工は円満に話し合いがついてトラブルが起こらずに——前にも測量その他でトラブルがあった例がございますから、そういうトラブルを起こさずに着工をするようにひとつ努力しなさい、そしてどうしてもそういうことでうまくいかないというような時点におきましては、これはひとつ検討しなくてはいけないのじゃないか、こういうことで県に話をしておったわけでございます。  そういうことでいろいろと県のほうでも折衝を重ねておりますうちに、六月二十日ですか、一部着工をした。その着工というのは、私どもどういう意味かはっきりわかりませんが、一応反対をしておるけれども着工したら話がまとまるのか、あるいは激烈な反対になるのか、その辺のところはどうかわかりませんけれども、着工をしたという報告を受けた次第でございます。しかしながら、結果は御承知と思いますが、非常に猛烈な抵抗があってこれをとめておるということで、現在は工事の中止をしておる次第でございまして、私どもこの工事の延期の問題について聞きましたときは、先ほども申し上げましたように、地元とも十分話をして、トラブルが起きないということでひとつ期限までに最善の努力をしなさい、こういうことで県のほうに行政指導を行なった次第でございます。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 水産庁のお考えはわかりましたけれども、水産庁から、この六月二十五日までに着工をしなければ免許を取り消すかもわからないというふうなお話があったということで、現地のほうでは大阪セメントが着工を強行したわけです。その状況を私が知っておる限りで報告をしますと、二十日の午前三時に、暗いときですが、五百トン級の船が九隻、二百五十トン級の船が六隻、これがずっと海岸を取り巻いて海の上から反対派が来ないようにして、二百名ぐらいの戸高工業というところにつとめている人夫の人たちがこん棒などを持って待機をして、この埋め立てを強行しておるわけです。なぜこういうばかげたことをやらなければならないのか。その基本は、おたくが二十五日までに着工しなければ免許を取り消すぞというから、こういうことをやらなければならなくなってきた。反対派の方々の中にも、現地にかけつけようとした方がだいぶあったのですけれども、まっ暗な中で、しかも相手が二百名からこん棒を持って待機をしておる、もし出かけていけば不測の事態が起こるということで押しとどめて事なきを得たのですが、事の起こりはおたくが出した通達の、三カ月以内に着工をしなければ免許を取り消すというかたくなな態度からこういう状況が起こって埋め立てを強行されておるわけです。一体これをどうお考えになりますか。
  101. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 埋め立ての免許を知事がする場合あるいは主務大臣が認可する場合には、やはり埋め立てにいつ着工するかという期限をきめなければならないわけでございます。免許をもらって二年も三年もほったらかしておくわけにはまいりませんので、そういうことで、大体免許の日から九十日というような規則になっておるわけでございます。したがいまして六月二十五日というのはそういう意味でございます。しかし、これも先ほど申し上げましたように、事情があって一ぺん延ばしたわけでございます。この六月二十五日につきましても、諸般の非常に困難な事情がありましてどうしてもこれはできない、こういうことになりますと、何もしゃくし定木に、これを三十日だから強行しろ、いかなる反対、いかなるトラブルがあってもこれを強行しろ、こういう意味では決してないわけでございまして、先ほど私が申し上げましたように、一度延ばしたんだから期限内にうまく話がついて着工できるように努力しなさい、県のほうもそういうことで努力をするということに相なっておる次第でございまして、決して免許を取り消すからというようなことで強圧を加えたわけではないわけでございます。
  102. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実は私、ちょっとおたくの前の大和田長官に電話で連絡をしたのですけれども、確かに大和田長官ことばのニュアンスは、いまあなたのおっしゃるような、どうしてもやむを得ない事情があるならば延ばしてもいいのだという御意向だったのです。しかし、現地の情勢は、いま私が報告しましたように二十五日がタイムリミットだということで、この地元の陳情をもはねつけて強行をした。石を車で何台か知りませんが、わずかその石を入れたことによって実績をつくって、着工しました、それで結局その免許が取り消されぬで済むというお役所式の仕事が、こういう埋め立ての強行をさせるという結果になったんだと思うのです。これはひとつこれから十分、あまりしゃくし定木にならずに、一回延ばしたものをあと一カ月やそこら延ばされぬことはないと私は思うのです。そういう点はもう少し地元の情勢等について十分判断をしていただきまして、今後十分注意をしておいていただきたいと思うのです。  そこで次にお伺いしたいのですけれども、大分県の県のほうから現地に行った方に、この紛争を、六月二十日の強行埋め立ての前に延期をしてくれということを地元の方々がお願いしたところが、反対派の方々が第一審の判決に従うという一札を入れるならば延期をしてもよろしいということを申されておるわけでございます。したがって、行政当局としては、第一審の判決に反対派の方々が従ってもらいたいという強い気持ちがあったようでございます。おそらく、おたくに陳情に行ったときも、地元の反対派の方々は判決に非常に大きい期待をかけておるし、判決が出た上はそれに従わなければならないだろうというような意味のことをお話しをしたと私は思うのでございますけれども行政当局が反対派の方々に、第一審の判決に従えということを強く要請するということは、裏を返せば当然行政当局も第一審の判決に従うということを私は意味しておると思うのですが、このあたりの見解はどうでしょうか。
  103. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 裁判所の判決が出たわけでございますから、これはもちろん尊重しなくてはいけないと思いますけれども、先ほど第一審の判決に従うという一札を入れろとか何かそういう事柄につきましては、私のほうでは言った覚えも聞いた覚えもないわけでございまして、ちょっとその点については、あるいは相手方がそういうふうに、何か雑談の中ででもあったのをとったんじゃないかと思うのですけれども、私自身としては地元の方からもそういうことを聞きませんし、私のほうからも言った覚えはございません。
  104. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 幸か不幸か、一札入れなかったから証拠はないことになるのです。しかし地元の方々がそれでうそを言うはずはないわけですね。一札入れてくれ、第一審の判決に従うという一札を入れれば延期をしてもいいということを、県のほうの何とか参事というのがおりまして、その人が現地に行って話し合いをやっておるわけです。いずれにしても、それがよしんば水かけ論であるとしても、行政庁としては第一審の判決に従うお気持ちかどうか、はっきりしてもらいたい。
  105. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 裁判でございますので、まだ第一審だけで、最終的にきまったものでございませんので、第一審だけでこれで終わりというふうには私ども考えておりません。
  106. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それはどういう意味ですか。控訴をするということなんですか。第一審の判決に双方が従えばそれで終わることになるわけでしょう。あなたのいまのお話では、まだ控訴をしますということですか。
  107. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 当事者が第一審で終われば、私どもももちろん問題ございませんけれども、双方に争いがあった場合には、私は、まだ終わりというようには考えられないというふうに思います。
  108. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで私がお伺いしているのは、今日まで地方自治体を指導されてきた水産庁として、これは県が敗訴ということになりますと、この地方自治体に対して控訴するように指導するのか、第一審の判決に従うように指導するのかということをお伺いしておるわけです。
  109. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 第一審の判決につきましては、前の高松地裁の判決で全く違う判決がございますので、反対の判決になっております。それから、私どものいままで解釈しておりましたことと違っておりますので、私どもとしてはこの解釈とは反対の解釈をしておるということを県のほうには申しております。
  110. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで長官に伺いますが、第一審はこういうふうに裁判は判決を出したのですが、この責任は県にあるのか、免許に同意を与えた水産庁に責任があるのか、その責任の所在はどちらにあるのですか、はっきりしておいてください。
  111. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁関係の埋め立ての免許は県知事がやるので、漁港区域につきましては農林大臣の認可に基づいて県がやりますが、最終的な責任は県知事にあるというふうに考えております。
  112. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それではもし地元から、この紛争は今日までのいろいろな経過でいろいろな損害があったということで損害賠償の訴え等が行なわれた場合は、それは県が責任を持つことになるのですか、同意を与えた水産庁が責任を持つことになるのですか。
  113. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 私ども考えといたしましては、免許の責任が県にあります以上県知事にある、かように考えております。
  114. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 最後に長官にお聞きしておきたいのですけれども、先ほどの判決の中にも示されておりますように、これは一つには明らかに漁業権の存続をめぐる裁判ではありますけれども、その判断の中にはその環境の保全というようなものも十分に考慮されて、地域住民のために一体どれだけの利益があるのか、あるいは利益がないのかということが述べられておるように考えられます。したがって、少なくとも政府の姿勢として、行政庁が自分のほうの言い分が通らなかったからといって控訴をするというのは筋違いだ、とりわけさっき申し上げましたように、地元の反対派の方々には、一審の判決に従うというならば着工を延ばしてもいいと言っておきながら、自分たちに不利になったからといって控訴をするというような姿勢はとるべきではない。これは国務大臣として、ひとつ長官も十分お含みの上指導に万全を期してもらいたいことを最後にお願いして、土井さんから関連質問があるそうですから土井さんに譲りまして、私の質問を終わります。
  115. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  116. 小林信一

    小林委員長 速記を始めて。
  117. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 ただいまの御発言は、所管は私のほうと違いますけれども、御趣旨はよくわかりましたから、できるだけの努力はいたしたいと考えております。
  118. 土井たか子

    ○土井委員 一問のみ関連質問させていただきたいと思います。  先ほど阿部委員のほうからの質問の中にもございましたが、水産庁のほうから許可がございまして、三カ月以内に着工しない場合は許可自身が取り消しになるということでございますね。もう一度、その辺から確認をさせていただきたいと思います。
  119. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 そういうことでございます。
  120. 土井たか子

    ○土井委員 臼杵の一例のみにこれはこだわるわけではありません。全国にもこういう例はこれからあるということを想定いたしましてお伺いするわけでございますが、この臼杵の事件については、御承知のとおりに裁判所に訴えましたのには三つの訴因がありました。ただその中にも、とりわけこの節この原告側の勝訴になった主なる原因は、漁業権放棄が無効であったという一点にございます。こういう実例なんかを見てまいりますと、漁業権放棄無効の訴えを漁民が裁判所にしている場合、おそらくは確定判決が得られるまで三カ月という期間が法律上定められておりましても、それに対しては特例が認められていいんじゃないか、確定判決を待つまでこの三カ月という期間については期間についての特例が認められていいんじゃないかという考えが、一部学説の中にもあるようでございますが、水産庁当局としましてはこの点についてどのようにお考えでいらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  121. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 私ども、もともと原則といたしまして、そういう問題が円満に解決してから埋め立ての免許の申請をするような指導をいたしておりますが、たまたまそういう話がつかないままに、紛争のあるままに申請いたす例がございまして、今度の場合もそういう場合でございますが、やむを得ず一回延ばしている次第でございまして、それ以上延ばすか延ばさないかは、私ども長官も申し上げましたように、やむを得ない場合には延ばさざるを得ないかというような点も、延期という点で考慮いたしたいというふうに考えた次第でございます。
  122. 土井たか子

    ○土井委員 延期という措置は許可をなさってからの事後措置だと思います。許可をなさる節に、いまおっしゃったとおり円満に地元の事情が進行するということを前提に許可をなさるということが大前提だと私は思うのです。それから申しますと、臼杵の場合などは、地元で漁業権放棄に対して無効の訴えを起こすという気配があることは重々客観的に察知できる事情だったと思います。そういう点については十分しんしゃくをなさった上の許可であったかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
  123. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 この点につきましては、県としては十分それまでに了解を求め、またその前の香川県におきます高松地裁の例もございまして、それで十分漁民を説得できるというような見通しを持っておりましたので、私どもで認可をした次第でございます。
  124. 土井たか子

    ○土井委員 その認可自身は十分に事情をしんしゃくなさった認可とはいえないという事情が、この節、判決を見ましても明るみに出ておると私は思うのです。どうか、以後、こういう認可にあたって慎重に——慎重ということは再々政府用語として使われるわけでございますが、ひとつ慎重にその間の事情を十分にしんしゃくなさって、それこそ認可については慎重な取り扱いをしていただきたいということを切に切望してやみません。  特にこの判決については、すでに仮処分申し立てに対する決定というのがございまして、本件判決が確定する日まで大分県が大阪セメントに対して行なった埋め立て免許の効力を停止するということがございますわけですから、これは確定判決を得る日まで着工については一時停止するということが認められたというふうに理解してよろしゅうございますか。
  125. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 確定判決でなくて、その判決がくつがえされるか確定するかどっちか、あるいは第二審でそれが反対に解除されれば解除されるものと考えております。
  126. 土井たか子

    ○土井委員 司法用語としての確定判決という意味をあまり御存じないように私は承るのであります。確定判決というのは、第一審で勝訴するいなにかかわらず控訴する、控訴して勝訴するといなとにかかわらず、さらに、これは終審裁判所で争うという道が開かれておるわけでございまして、最終決定の判決について確定判決というわけでございますから、その点もう一度御確認を願いたいと思うのです。
  127. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 ただいまの御指摘のとおりだと思います。
  128. 土井たか子

    ○土井委員 では再度確認をいたしますが、確定判決を得る日まで着工については停止をするということが認められたわけでございますね。
  129. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 そのように考えております。
  130. 土井たか子

    ○土井委員 承知しました。  この一事例を見ましても、水産庁の認可については、あとおそらく漁業権の放棄をめぐりまして、各地でやはり企業の誘致問題あるいは最近石油コンビナートの建設などをめぐって、相当あちこちでこれと似たような事例を私たち見聞きをいたすわけでありますから、慎重にこの節認可の態度をあらためて考え直していただきたいという気持ちがいたします。  右要望いたしまして、関連質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  131. 小林信一

    小林委員長 午後一時四十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ————◇—————    午後二時一分開議
  132. 小林信一

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。松本忠助君。
  133. 松本忠助

    松本(忠)委員 本日、私は当面する公害問題の一つでございますところの航空騒音につきまして、政府の見解と対策をお伺いいたしたいと思うわけでございます。  現下の航空事情につきましては、御承知のように、輸送力の増大に伴いましてプロペラ機から大型のジェット機へと目まぐるしいところの発達をいたしてまいりました。それに比例いたしまして、騒音公害のほうも、著しく空港周辺の住民の生活を脅かしておるのが現状でございます。特に着陸体勢に入る前、この直前には脚を胴体から出します。このときは失速する関係上エンジンをふかす、こういうことになります。したがいまして、その際は一そう音が大きくなる。これはもう御承知のとおりだと思うわけでございます。ちょうど脚を出した、こういう状態の真下にあるところでは八十ホンから九十ホン、このように騒音がはなはだしい。しかも一日じゅうこれがやられておりますと、これはたまったものではないと思うのであります。いかにそれがひどいかといいますと、一つの例をあげますと、赤ちゃんが寝つきが悪くなる、おかあさんのおっぱいを扱わなくなる、また、学童は騒音のために授業中断がしばしばございます。こうなりますと、当然のこととしまして学力が低下する。また一日のつとめを終えられて、うちへ帰って一ばいのビールで疲れをいやし、そうしてからだを横たえよう、こういう労働者の方々にとりましても、御承知と思いますが、キーンという金属音、この金属音によりまして寝ることもできません。特に夏場は窓をあけております。これはどちらのうちでも冷房が完備しておるわけではございませんから、どうしても窓をあける。窓をあければ当然のこと、騒音は一そうよけい入ってくるということになります。また、皆さんも御経験があろうかと思いますけれども、テレビの映像もちらちら、ちかちかいたしまして、一家の団らんなどということはもう全くございません。みんないらいらしまして、極度の神経衰弱の状態になってしまうわけでございます。その騒音がいかにひどいものであるか、これはほんとうに聞いたものでなければわからないと思うわけでございます。  そこで私は、航空騒音の実態について、ぜひとも長官にも聞いていただきたい、また御列席の委員皆さんにも聞いていただきたいと思いまして、去る七月の二十日、江戸川区に参りまして、私自身が録音をしてまいりました。そのときには江戸川区の区長の中里さん、環境部長の竹門さん、こういう方々にも御一諸に立ち会っていただきまして、私自身が録音をしてまいりました。きょうはその録音をこの場所でかけて、皆さま方にぜひとも航空騒音の実態がどのようなものであるかを聞いていただきたい、このように思いまして先ほど委員長にお願いいたしたわけでございますけれども、院の慣例、規則、こういうものによりまして、この場でそのテープをかけることができない、こういうことでございますので、私持参してまいりましたのを、非常に残念ではございますけれども、また別室などでこれを聞いていただきたい、このように思います。はなはだこれは残念な次第でございます。これを聞いていただきますと、きょうの答弁についても長官のほんとうに真剣なお答えがいただけるものと、こう私期待しておったわけでございますが、やむを得ませんので中止をいたします。  この収録されております録音は、御承知のように羽田の国際空港のB滑走路、これが三月の十九日より使用が開始されたわけでございます。御承知のように、このB滑走路のほうは南風が強いとき、特にこれは東京の場合でございますと、夏場になりますと使用されるようになっております。そのために政府は多額の国費を費やしまして本年完成させて、この使用を開始したわけでございます。このB滑走路の使用開始に伴いまして、最大の被害を受けたのは一体どこかといいますと、東京都の江戸川区の松江、船堀、葛西、このような、江戸川区におきましても海沿いの最も南のはずれのほう、どうしてもBランに向かって着陸体勢に入ってまいりますと、江戸川の北のほう、これは高度がございますから、そちらのほうは比較的騒音ははなはだしくありませんけれども、南になるに従って非常に騒音が強くなってくる。こういう状態でございます。これらの松江、船堀、葛西、こういう地区においては非常な騒音でございます。先ほども申し上げましたように、私、二十日の日に夜の十時ごろでございますが、わざわざ現場へ出かけてまいりました。そうして江戸川区の船堀六丁目の十一番地、この路上におきまして録音してまいりました。そのときは江戸川区の区長の中里喜一さん、江戸川区役所環境部長の竹門正夫さん、こういう方々にもお立ち会いを願って録音したわけでございます。先ほど申し上げましたように、残念でございますが、これを聞いていただければほんとうに皆さん方にも騒音の被害の実態がよくわかるわけでございますけれども、衆議院の規則あるいは慣例によりましてそれができないということを非常に残念に思うわけでございますが、やむを得ないわけでございます。  そこで環境庁長官にお伺いしたいわけでございますけれども、現場に参りまして聞いていただきますと一番よくわかるのですが、大体二分ないし三分間隔、それもものすごい金属音を伴ったジェット機、特にジャンボ、これは耳をふさいでもどうにもならないというような状態でございます。言語に絶すると言っては誇張かもしれませんけれども、そのような表現が当たるのではなかろうかと思うのでございます。この地点は羽田から大体海を越えまして十二キロの地点でございます。これで大体七十から八十ホン、高いときには九十ホンに達するものがこの中にございます。音を発するそのあとで、すぐその場で測定し、いまのは何ホン、いまのは何ホンというふうに収録されておりますので、これを聞いていただきますと非常によくわかるわけでありますけれども、まあやむを得ません。そこで、江戸川のこの地域は、御承知とは思いますけれども、住宅街でございます。この住宅街につきまして私は一言言わせていただきたいわけであります。この五月に閣議で決定されましたところの騒音環境基準、これは御承知のように当初の線よりも大幅に後退したといわれているものでございますけれども、この騒音環境基準でさえも、夜の最高値は四十ホン、このようになっていると思います。しかしながら、この地域の航空機の騒音によりまして、ただいまも申し上げましたように、倍近い七十ないし八十、こういう騒音が現実に出ているわけでございます。このような状態に対処して、環境庁といたしましてはどのような対策をお考えになるのか、これをお伺いいたしたいわけでございます。  すでに皆さまも御承知のように、この江戸川区におきましては、去る七月の十五日、国を相手どりまして、羽田の国際空港のB滑走路の使用禁止を求めるところの仮処分を東京地裁に申請をいたしております。飛行機の騒音につきまして、大阪の伊丹空港周辺の住民の方々が、損害賠償と夜間の飛行禁止を求めるところの民事訴訟を大阪地裁に出した例はございます。しかしながら、事実上の飛行禁止の仮処分を求めたのは初めてのケースであろうと思うわけでございます。このような重大な問題に関しまして、あらゆる公害の問題を積極的に解決して、国民の健康で文化的な生活を保障するところの責任をになって発足したところの環境庁としてどのように対処されるのか、この点長官からとくと承っておきたいわけでございます。
  134. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまのお話を承りまして、ずいぶん騒音の、ことに飛行場近辺の騒音によって住民の人方が悩んでおるということはよくわかるような気がいたします。実際、騒音をどうしたら一体予防できるか、防止できるかということでございますが、新しい飛行場をつくります場合ならば、できるだけ民家の少ない地域を選ぶこともできましょうし、また、その後のいろいろな飛行場の利用度の増大を十分に考慮いたしまして、先の見通しのあるような、そして騒音のある程度防止できるような計画は立てることができるわけでございますが、この羽田のような、すでにでき上がっておりまして、しかも周囲にますます家が密集してまいるような場合には、ほんとにどうしたらよいか、むずかしい問題だと率直に私は思います。一番いいのは、なるほどB滑走路を使わないことがまず直接の対策になるのかもしれません。しかし、そういうことはいま裁判中でございますからその結果については申されませんけれども、B滑走路をつくったそのことが、そのような住民に大きな迷惑を与えるということを考えないでつくったのかどうか、そういうところにも問題があると思います。しかし、まあ、これはできたものでございますからその是非は別として、裁判の結果によってB滑走路が使えなくなるということならば、それも一つの解決策になろうかと思いますが、それは先のことでありまして、そういうふうな安易なことでは解決は許されないわけでございます。御承知のように、いま騒音防止の環境基準ができたわけでございますが、これもまだまだゆるやかなものだと思います。さらに今後とも中央の公害対策審議会におきまして部会をつくりまして、早くもっと実態に合うような環境基準をつくらせなければならないとも考えておる次第でございます。その他、運輸省におきましては、何か被害の、騒音防止の対策がございますが、あれは法律。その法律を十分適用いたしてもらいまして、そうしてできるだけその騒音に対するいろいろな防止的な対策を立ててもらわなければならぬ、そういうことも一つ方法かと思います。しかし、いずれにせよ、あのような地域にあの飛行場だの、地域の関係ではどのような対策を講じましても、いま考え得る対策では完全な予防、防止はできないと思うわけでございます。まことにこれは環境庁としても残念でございます。しかし、幸いに近い将来には成田国際空港が完成をいたします。そうすると、おそらく現在羽田におりますいろいろな飛行機の相当の部分の発着が成田に移ることになると思います。そうなりますことによりまして、飛行機の発着回数も減りましょうし、あるいはまたB滑走路の使用のいろいろな制限もできるでございましょうから、そういうことも一つの騒音防止の対策にもなるかと考えておる次第でございます。なかなかいい考えもございませんので、ひとつ松本委員のほうでもいいお考えがございましたならば、できるだけお知恵をかしていただきまして、そういうことについていろいろと努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  135. 松本忠助

    松本(忠)委員 長官のほうから、いい知恵があったらかしてくれ——こちらから質問申し上げているのです。どうこの騒音に対処してくださるのかということなんです。これはもう話が違いますよ。そちらでやってもらわなければならない問題なんです。知恵をかすということについて、われわれもやぶさかではございません。しかしながら、現実にあのような問題が起きる前に打つべき手があったということを私は逐次申し上げてまいりたいと思うのです。  ここで長官は、環境庁としてはなはだ残念である、成田ができたならば相当向こうに発着も移るであろうから、Bランの使用もある程度制限をされるであろう、そのようなことも、一つの騒音防止の観点から見るならば幾分なりとも対処できる方法一つではないか、こういうふうなお話でございます。しかし、現実に成田ができたとしても、いま四千メートルの滑走路一本、これがおそらく来年の秋口でなければできないだろうと私は思います。あるいは、場合によっては四十八年になるのじゃないか。こうなりますと、その間は、やはり南風が吹く限り、いまの状態でいくならば、東京において江戸川区はその被害を最大に受けなければならない、こう思うわけでございます。  そこで一つ伺っておきたい点は、この騒音の環境基準の中から航空機の騒音が除外されている、これはもう住民の環境保全の姿ではないと思うわけでございますけれども、この点について、簡単でけっこうでございますからお答えを願いたいと思います。
  136. 大石武一

    大石国務大臣 これは専門のことでございますから、大気保全局長よりお答えさしたいと思います。
  137. 山形操六

    山形(操)説明員 御承知のとおり、航空機の騒音の許容限度をどうするかという問題は、どこにレベルを置くかという問題あるいはエンジンの構造等からその制限等を技術的にどうするかという点で非常にむずかしい点がいわれております。現在、生活環境審議会のほうの部会においていろいろ審議を繰り返してくださっておりますが、技術的に影響の単位をどうするかという面で非常に学説が分かれております。現在まだ国際的にもこの基準はきまっておりませんので、それまでいま少しこの問題は時間をかけて、若干の期間を要するものと思われますが、一生懸命先生方の御協議で検討を繰り返している最中と聞いております。
  138. 松本忠助

    松本(忠)委員 若干の時間をかければできるということでありますが、大体その目安はいつごろまでにそれをおつくりになる考えでありますか、その点をひとつ伺いたい。
  139. 山形操六

    山形(操)説明員 時間の約束はできませんが、中央公害対策審議会の部会を設置いたしまして、できるだけ早くこの環境基準を出す問題に解決をつけたいと考えております。
  140. 松本忠助

    松本(忠)委員 なかなかその基準をきめることは骨だろうということは、私も了解できます。しかしながら、やはりその基準がきまらない限り、押えるワクが、歯どめが、線がきまらないのですから、それでは航空機の騒音というものはもう野放しになってしまうということです。これは新しい時代を迎えて、やはりこういう面はどしどしひとつやっていただかなければならぬと思うわけでありますが、長官、いかがでしょう。こういうものを、時間がわからないとかなんとか言ってないで、少なくともことし一ぱいにはそういうものは完全にやりますというぐらいのお答えを長官からいただけませんか。
  141. 大石武一

    大石国務大臣 いま局長意見を聞きますと、できるそうでございますから、できるとはっきりお答えしておきたいと思います。
  142. 松本忠助

    松本(忠)委員 今年一ぱいにできる、こういうようなお話でございますね。——それじゃ、私もそれをたいへん期待しておりますので、どうかひとつ励んでやっていただきたい。もう最初から、ことし一ぱいにできるとおっしゃっていただければ問題ないわけですよ。それがどうも大事をとられてこうやってらっしゃるけれども、私は率直に言って、一刻も早くこういうものはつくっていただいて、そうして、その基準にはめて取り締まるべきところは取り締まっていくということでなければ、住民の方々、被害を受ける方々の身になってごらんなさい、たいへんこれはお気の毒なことだといわざるを得ない。一刻も早くこれはやっていただきたい。ことし一ぱいお待ちをいたしますので、どうかひとつおやりをいただきたいと思います。  それから、運輸省の丸居行場部長、きょうは航空局長に伺おうと思っておりましたが、残念でございます、交通特別委員会のほうへ出ていらっしゃるということなので、部長にかわってお答えを願いたいと思います。  このBランは三月十九日にオープンいたしまして、その後三月の二十六日、この日はいままでではかなり強い南風が吹いた日、こういうように思います。そこで、この三月二十六日には一日じゅう着陸するジェット機がBランを使用いたしました。このとき着陸コースに当たるところのただいま問題となっておるところの江戸川区あるいはまた千葉県の市川市、こういうところからの住民の方々から、苦情が運輸省に殺到したと思いますけれども、そういう事実があったのかないのか。
  143. 丸居幹一

    丸居説明員 ございました。
  144. 松本忠助

    松本(忠)委員 三月二十六日の時点、要するに三月十九日にオープンして三月二十六日の時点において、騒音のための苦情が運輸省に殺到した、このことをいま部長がお認めになったわけであります。ですから、この時点から南風の多く吹く夏場にかけては、騒音問題が大きく広がるということはわかり切っていたことではないかと私は思うのです。運輸省は、なぜその時点において計画的に抜本的な対策を立てようとしなかったのか。三月二十六日からすでに四月、五月、六月、七月と四カ月間も経過しているわけであります。その間に見るべき対策というものは何にもないわけであります。私は、少なくとも、三月十九日にオープンして一週間後の二十六日に、そういう時点になったときに、これはどうしたものだろうかということで対策を十分にお立てになるべきではなかったかと思うわけでありますけれども、何ら対策は立てられていない、このように思います。新聞の報道によりますと、去る七月十五日には、中里江戸川区長をはじめといたしまして運輸省に丹羽運輸大臣をたずね、それまでにも何回となく陳情いたしておりますが、この騒音に対する対策について大臣に直接聞いたわけであります。そしてまた、あらためて早急な対策の実施を陳情したわけでございますけれども、丹羽運輸大臣は十一月中旬まで待ってほしいと答えただけでございまして、被害の一番ひどい夏場の対策については具体的な回答が得られなかった、このように新聞には書いてございます。大体十一月ごろになれば東京では南風は吹かなくなるのです。B滑走路の使用の回数というものは低下してくる。これはもうはっきりしているわけです。そうなれば騒音が少なくなるのは理の当然でございまして、何もあらためて対策を立てなくたって、その時点になれば自然と解消される、こういうわけです。この間、一体住民の方々はその被害に対して耐え忍ばなければならないのか。私は、運輸省の怠慢ぶりを非常に残念に思うわけでございます。抜本的な対策を立てない限り、四十七年の春先になれば、またその後も四十八年も四十九年も、あるいは成田の新空港ができても国内機はこちらから発着をするということになります。そうなれば当然のこと何らかの根本的な対策を立てない限り、Bランを使えば必ず騒音は江戸川区の上に降ってくるわけです。そうしたときに、運輸省は根本的な対策に取り組むところの考えがあるのかないのか、この辺のところをひとつお示しを願いたいと思うわけであります。
  145. 丸居幹一

    丸居説明員 江戸川地区の騒音問題につきましては、たいへん御迷惑をおかけしておる次第でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、三月の二十六日に非常にたくさん飛行機が飛びまして、それによる苦情が相当殺到いたしました。私ども実はさっそく現地に飛んで行きましたのですが、私が行きましたときには不幸にしてあまり飛びませんで、十分先生のようにキャッチすることができませんでしたが、しかし、どうもこういうデータから見ますと、そういうことは確かであるということがはっきりいたしております。その後、省をあげていろいろ検討してみたわけでありますが、御承知のとおり、Bランをつくりましたのは、羽田が非常に南風に弱い飛行場であるために、だんだん、だんだん飛行機が飛ぶに従いまして離発着が困難になってきた、それを見越して、Bランというのは南風用と、もう一つは大井、品川あたりの騒音はこれによって多少減るわけでございますが、そういった問題等を含めましてつくったわけでございます。ただいまおっしゃいましたような関係で非常に音がやかましくなりました。ところが、飛行機は、ちょっと前後しましたですが、これへ入りますのにも船橋と江戸川ポイントという二つの場所をある指定高度で飛びまして、そして江戸川の南のほうにありますアウターマーカーに一定の高度で差しかかって、そこからILSという電波に乗ってBランへおりてくるわけでございます。これがうまく乗るためには、ある程度いま言いました船橋、江戸川ポイントの上を通りませんとなかなか乗りにくいという状況でございます。また、これを急に改める方法というのは安全性の問題に非常に関係を持っておりますので、なかなかいい知恵が出なかった。そこで、さしあたってやりましたことは、四月八日に船橋、江戸川両ポイントの指定高度というものを千フィート上に上げました。千フィート上に上げましたので、千フィート分だけ音が少なくなったということでございます。そうして、上げたのでございますが、江戸川の先のほうにアウターマーカーをつけておりますが、このアウターマーカーの地点では、どうしてもILSの電波が出ております高度までおりてまいりませんとその飛行機が着陸できませんので、急にそっちのほうの高度を上げたけれども、そこでは一定の高度までおりてくるということがございまして、それ以上高度は上げられないという事情がございました。そこで、もう少し視程のいいときに、回って入る方法がないだろうかということをいろいろその次には検討したわけでございます。そこで、それに対する対策といたしまして、四月二十日から南風——北風の場合は必要ないわけでございます、南風が五ノット以上の場合にBランウエーを使うようにしておりますが、その南風が五ノット以上であるけれども視程が十キロ以上の場合、つまり十キロ見渡せる視程が非常にいい場合は、江戸川とか船橋のポイントを通らないで、御宿から三百二十度という角度でもってBランウエーにレーダーによって進入するという方式を設定したわけでございます。こうしたことによりまして、江戸川上空を飛行する可能性というのは年間だいぶ減りまして、九・二%程度まで減るだろうというふうに考えられるようになりました。それから、この視程十キロというのはもう少し何とか短縮できないだろうか、もう少し視程を小さくすることができないだろうかということをいろいろ検討しておったわけでございますが、こういう飛行方式に少しパイロットのほうもなれてまいりましたという関係もありまして、七月一日から視程を八キロに下げることにいたしました。現在では、八キロ以上の視程のある場合には、ただいま言いました御宿から三百二十度の方向でもって入っておりますために、江戸川上空を、その範囲においては飛ばないように改善をいたしました。そうすることによって、年間江戸川上空を飛ぶ可能性というのは七%に減少したと考えられます。しかし、このことは、ただいま申し上げましたように七%は飛ぶということでございますので、何とかもっとこれを少なくする方法はないだろうかということをその後いろいろ検討いたしました。いま先生が、大臣がそういう話をしたということを申されましたように、東京湾の中央防波堤に進入路指示灯というのを一つ設置することにしております。それから、中央防波堤の内側に、埋め立て地がちょうどうまいところにございましたので、そこを見つけまして、そこにNBDという電波を出す機械を設置いたしました。そういたしますと、ただいま申し上げました視程八キロが視程三キロまで減少いたします。視程三キロといいますと、回数としては三キロ以下ということはかなり少なくなってまいりますので、これでだいぶ御迷惑をかける程度が少なくなってくるのじゃないだろうかというふうに思っております。これにつきまして、やはりわれわれはパイロット側との調整もいろいろございますし、それからこれができ上がるのが十一月に確かになるのでございます。いろいろ調査もございますし、海底ケーブルでもって向こうまで電気を引かなければならない問題とか、それから電気を引くのにも海を通りますので、東京湾の使用を東京港湾局を通じて東京都庁の許可をいただかなければならぬといったような問題等々いろいろございまして、それらの手続、それから工事等がございまして、どうしても十一月の半ばを繰り上げるということはただいまの予定としてはできない。しかしまあ、いっときも早くこれを設置することがわれわれのせめてもの誠意のあらわれであるということで、非常にハッパをかけておりまして、十一月の半ばを絶対におくれることはならぬということで、ぎりぎりの線として十一月の半ばをただいまのところきめておるわけでございます。許可が早くなるとか、あるいはできるだけ調査も早く済ましておこうというので、できるだけ早くやるようなつもりでおりますけれども、ただいまお約束できるぎりぎりの線は、やはり十一月半ばまでお待ち願いたいと申し上げるよりしかたがないのでございます。そこで、そうなれば一体どうなるかということでございますが、そうなれば江戸川上空をどうしても飛ばなければならぬ日は、年間を通じて〇・五%程度までは減るというふうに考えられます。  それから、それまで一体どうしてくれるのだという問題でございますが、この間私のほうで向こうへ調査班を三班派遣をいたして、十分調査をいたしております。それはなぜかといいますと、最初に調査いたしましたときに、同じ機種でも非常にばらつきがございます。これはやはり飛行機というのはとにかく高く飛べといっておりましても、ちょうどILSに乗ったような進入のしかたが一番安全でございますので、どうしてもパイロットはそれを通ろうとする。そういうこと等いろいろありますし、それからまた江戸川の上で足を出さなくても、もうちょっと先で出してくれると音が少し低いわけでございますが、それを大体あの辺で出す慣習がついておりますものですから、そこで出す。そういう飛行機がかなりある。そこで、足を出しますと速力が鈍る、速力が鈍ったのでエンジンを吹かすということで、そうすると音がやかましくなる。その結果、音のばらつきが同じ機種でも十ホン程度上であるように調査の結果わかりましたので、そういうことがないように、足は東京湾へ出てから出して、そこでもう一ぺんエンジンを吹かすようにすれば、低いほうの音の程度にとどめることができるのじゃないだろうかというふうに考えまして、調査班を三班送りまして、そういった事情を十分ただいま調査をいたしております。それであるということになりましたら、そういうふうに指導いたしまして、ただいまでもそういうことらしいということで指導はいたしておりますけれども、いろいろそういう点で検討いたしまして、夏場には皆さんに御迷惑がなるべく少なくなるように、いまやれる手はそういうことだけのようでございますので、それをやっていきたいというふうに考えております。
  146. 松本忠助

    松本(忠)委員 お答えを聞きました。しかし、まだまだ天候によって左右されるということです。結局ことしの十一月までは、何としてもその被害は多少なりともあるわけでございます。一刻も早くこの問題が解決されるように、極力努力をしてもらいたいということを私はお願いしておきます。  そこで、いまも部長の答弁の中に出てきましたけれども、品川の大井あるいは大田区の大森方面、この住民の被害は少なくなった、そのかわり今度は江戸川のほうにきてしまった、こういう問題がここにあるのです。御承知と思いますけれども、これは新聞に出ておりましたことで御記憶があろうと思いますけれども、四十六年三月十五日の東京新聞にこういう記事が載っているのです。「羽田騒音やっと解消?」「地元十年の反対運動実る」「東京湾にのびるB滑走路」「完成、十八日に一番機」こういう大見出しで載っています。この記事によりますと、いま部長がお話しになりました品川区の大井方面あるいは大田区の大森方面、こういうところの住民の方々が航空機騒音のために大きな被害を受けてきていたけれども、このBランウエーの完成によって「着陸時の騒音公害はほぼ解消できる見込みだ。」このように羽田の空港事務所の人がお話しをしたということも載っているのです。また「地元住民が運輸省相手に、十年近く続けてきた辛抱強い騒音反対運動は、B滑走路の完成で一応の勝利をおさめたといってもよさそう。」このような記事が載っているわけです。この記事のとおり、品川区の大井あるいは大田区の大森、こういう方面の騒音は一応解消されましたが、しかし一方、対岸の江戸川区のほうには問題が出ているわけです。江戸川区で航空機騒音が起きた、この地の住民にとっては、これはもう青天のへきれきだったと思う。運輸当局としては、羽田のB滑走路を延長したときに、騒音についてどういう影響が起きるかということについて予測はできなかったのか。品川区あるいは大森方面は確かになくなるだろう、ところが東京湾の対岸の江戸川のほうに今度は被害が移ってしまう、そういうことは予測できなかったのだろうかどうだろうか、問題はここなんですよ。この計画に甘さがあったのじゃなかろうかと私は思うのです。総合的な立場に立って住民の方々のことを思うならば、こっちは解消したけれども、こっちのほうにまた新しい被害が出ているのだ、これでは何にもならぬと思う。一方が解消されて他方のほうに被害が出る、こんなやり方は私は政治のやり方じゃないと思う。同じ日本人、同じ東京都の都民です。これではあまりにも無計画ではないかと私は思う。こういう点を私は指摘しておきまして、時間もございませんので、次の問題に一点だけ移っておきます。  それは江戸川区内の小学校、中学校におきまして、航空機騒音のために授業が中断される、学力が低下するという記事、こういうことは私はさっき申し上げました。このことにつきまして、ここに江戸川区立小学校PTA連合協議会会長上野さんから区長の中里喜一さんあてに要望書が出ております。私は控えをもらってきた。これを見てみますと、こういうことになっております。「区内四十七校の小学校中特に松江、船堀、飾西地区の小学校では騒音のため授業中しばしば中断せざるを得ない状態が続いております。この状態が続きますと児童の学習意欲を低下させ、ひいては学力低下をきたす結果を招来すると思われます。」云々、こう書いてあるわけです。ここで私一つ思い出したのですが、一昨年それから昨年と二回にわたりまして、品川区浜川小学校、それから浜川中学校、もう一校ございますけれども、この防音校舎の建設につきまして、地元の方々と地元選出の鈴切康雄議員と、私も一緒になりまして努力を重ねまして、国から予算をいただきました。そうして防音校舎を完成させた実績を持っております。ただいまここに江戸川区内の小学校PTA連合協議会の上野さんから区長あてのこのような要望書が出ているわけでございます。これによってわかるとおり、区内四十七の小学校においては、この飛行機騒音のために授業は中断される、学力の低下を来たす、こういうことがあるわけです。これを考えてみましたときに、ことしの十一月になれば解消するから、それまではがまんしろと言われるのか、あるいはこれに対しても何とか策を立てて防音校舎をつくろう、こういうようなお考えがあるのかないのか。防音校舎の建設についてはどのようにお考えですか。ことしの十一月この問題が解決したら、完全に騒音がなくなるならばそれでけっこうでありますけれども、騒音がなかなかなくならないということは、先ほどの部長の答弁でも〇・五%は残る、こういうことを言っております。それは最低でございまして、それ以上のことはしばしばあるだろうと思います。そういう点を考えたときに、防音校舎の建設について、航空局としてはどのようなお考えがあるか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  147. 丸居幹一

    丸居説明員 ただいま防音校舎を大阪、東京等飛行場の滑走路の進入表面下に建設しておりますけれども、それは音の高さとその回数等を測定いたしまして、そして順次きついところからつくっておるわけでございます。そちらのほうも、ただいまも申し上げましたように、いろいろ測定の班を出しまして調査をさせたり、いろいろいたしておりますが、十分検討いたしまして、きめていきたいと思います。
  148. 松本忠助

    松本(忠)委員 もう一点だけ、ひとつお許しをいただきたいと思います。  これは長官とそれから部長に、両方お伺いしたいわけでございますけれども、新空港建設に際して問題になる航空機の離着陸の経路、この問題については、先ほど長官がちょっとお触れになりました運航の方法でございますけれども、これは運輸省単独できめるのか、あるいはまた自衛隊機などの関係がございますので、防衛庁なども関係してくるのか、また環境庁としては、騒音防止の観点から運航方法をチェックすることができるのかできないのか。現在航空機の騒音防止法の第三条第二項には、都道府県知事の意見のみにとどまる、このように書いてあるわけです。この点についてお答えをいただきたいわけでございます。そしてまた、環境庁としては、よほどしっかりした具体策を持って対抗していかないと、広範囲の不特定多数の人々に非常に影響を及ぼすわけでございます。環境庁として、航空機の騒音防止には強い権限を持って対処すべきだろうと私は思います。  それに関連しまして、四十二年の航空機騒音防止法、これは補償地域、基準の低さ、また個人住宅についての対策など、まだまだ不十分と考えられるものでございます。特にジェット機の大型化あるいはローカル空港へのジェット機の乗り入れ、こういうものを考え合わせましたときに、全空港にこれを適用する考えがあるかどうか、そういう点についてお答えを願いまして、質問を終わりたいと思います。
  149. 丸居幹一

    丸居説明員 新しい航路を設定いたします場合に、やはり、その航路の下に与える騒音の影響というものも相当無視することができぬことは先生ただいま御指摘のとおりでございますし、われわれもそういうふうに考えておるわけでありますけれども、そういう点については、環境庁とも今後密接な連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
  150. 大石武一

    大石国務大臣 環境庁といたしましては、御承知のように、運輸省に対しましても騒音防止についての総合調整の権限を持っておりますので、十分にこれと相談をいたしまして、たとえば、それに必要な予算の獲得のいろいろな調整であるとか、あるいはさらに内閣総理大臣への意見の具申等の権限を活用いたしまして、十分に、十分と申しましてもどこまでいけるかわかりませんが、できる限りの努力をして、騒音防止のお役に立ちたいと考えておる次第でございます。
  151. 松本忠助

    松本(忠)委員 防衛庁の方を呼んでおりませんので、ちょっと丸居さん、見解だけ聞かせてください。防衛庁のほうは自衛隊機の関連があると思いますが、この場合はやはり防衛庁のほうにも相談をするわけですか。その点をちょっと、防衛庁の人が来ておりませんので、これはあなたの知る範囲でけっこうです。
  152. 丸居幹一

    丸居説明員 騒音防止の関係から相談をするかということでございましょうか、それとも航路指定……(松本(忠)委員「航路の問題」と呼ぶ)航路の指定につきましては、実は管制そのものが運輸大臣の権限に属しておりまして、それの一部について防衛庁長官に委任されておるものがございますので、大体私のほうでわかりますので、防衛庁のほうにもいろいろ協議することはございますけれども、必ずしも全部のものについて防衛庁と相談をしなければならぬということにはならぬと思います。
  153. 松本忠助

    松本(忠)委員 以上で終わります。
  154. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  155. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。  寒川喜一君。
  156. 寒川喜一

    ○寒川委員 私は要領よく質問するつもりでございますから、とりわけ、大臣は何か四時から参議院のほうにお出ましになるということでございます。明快にひとつ御答弁を賜わりたいと思います。  私、先般大臣委員会でごあいさつをいただきました内容のリコピーをとって読ませていただいて、再度吟味いたしましたところ、文章については完ぺきの文章であろうかと私は思いまして、このことがこのように行なわれることをむしろ長官期待をいたしたい。ただ、その中で二へ三お伺いをいたしたいことは、調整権限の問題なんですけれども、午前中の質疑応答を通して考えますることは、やはり関係の省庁の意向というものがかなり反映をするのではないかというようなニュアンスに私は受け取ったわけでございます。そのことが、やはり、環境庁をつくって統一的にやっていこうという形ができても、実際行なわれなければ何にもならないわけでございまするから、そういった問題で、やはり強い人事権を含むような調整といいますか、そういうようなことまでできませんと、ただいま松本さんの御質問の中にありましたように、飛行場は飛行場でかってに運輸省のほうでつくって、できたからしかたがないというような現象がこれからいろいろな面で繰り返されていくことを著しく心配をしておる一人でございまするが、この機会に長官の御所見を承りたいと思います。
  157. 大石武一

    大石国務大臣 いま寒川委員の仰せられましたように、われわれは総合調整の権限は持っておりますが、それが実際に用いられるものでなければならないのでございます。この総合調整は、各地方における官庁ばかりでなく、各地方自治体に対しても同様なものでございます。したがいまして、その間の密接な関係を持ち、しょっちゅう意見の交換をしてお互いを理解し合うということが大事な問題ではなかろうかと思って大いに努力いたす覚悟でございます。  また御心配のように、何か強力な力がなければあの場合だめではないかという御意見がありましたが、そのとおりでございます。しかしそのような事態がもしまいりましたならば、環境庁長官総理大臣に対して十分意見を具申して、総理大臣の権限をもってこれを調整をすることができるわけでございますので、その道も開いてあるわけでございますが、できるならばそのようなことはやらないで、お互いの理解によってやりたいということを考えておるわけでございます。
  158. 寒川喜一

    ○寒川委員 おっしゃられたように、ことばの問題だけでないと思います。やはり具体的に実効があがるというようなことで、私は厚生大臣に、巧言令色仁すくなしということを申し上げたことがございますが、長官の御答弁を承っておりましても、そうであってはならないと思いますので、ひとつ十分心して、日本民族の将来のためにせっかく御努力をいただきたいと思います。  そこで、このごあいさつの中にも、さきの国会で一部を除きましては一応法制的には整備されたということがございますが、そのとおりだと思います。しからばこの整備された法律が完全に動くというような時点、すなわち省政令等を整備されて完全に動くのは大体いつごろであるか、お聞かせをいただきたいと思います。従来、ややもすれば政令に委任をしておいて、いつまでもおきめにならないというようなことが間々あったわけでありまするけれども、そういう態度がもし今後も続くということであれば、せっかく法律を整備し、国民皆さんもこれに対して重大な関心と期待を寄せられておることにそむくことになるのではないかと思うのでありますが、そういうことについてのお見通しを御開陳いただければありがたいと思います。
  159. 大石武一

    大石国務大臣 いまの御質問の御要旨は、形の上の整備、たとえば定員の充足の問題と機能の問題の両方の御質問かと思いますけれども……。(「人の問題はまたあとからやります。」と呼ぶ者あり)それはできるだけ早く十分に充足いたしたいと思いますが、機能の面につきましても、要するに一つの目的に向かってみんなの気持ちが結集されることが一番大事な問題でございますから、私の一つの大きな仕事は、そのような役所の機能をつくるということにあると考えておりますので、そのように向かってまいる決意でございます。したがいまして、いつということはございません。いまでも、きょうでもあしたでも、その目的に向かっていく心がまえをつくりつつあるわけでございます。
  160. 寒川喜一

    ○寒川委員 心がまえだけで片づかない問題なんで、体系的に整備された法律が完全に動くためには、非常に多くの省政令にゆだねておるわけなんです。したがって、時間もございませんので、特にそういうことについてぜひひとつ配慮して、国民一般期待を裏切らないような前向きの姿勢部下を督励をして、精一ぱいの努力をしていただきたいと思います。  そこで、長官から職員のというお話がございましたが、環境庁の定員は五百名余おると思いますけれども、私が聞くところによりますと、現在半分強ぐらいの人員しか確保されておらない、三百名余りだと聞いておりますが、そうなのか。もしそうだとするならば、一体これでほんとうにやっていけるのかどうかですね。なおかつ、いつごろまでにこういった問題について十分な整備をしていこうとしておるのか。とりわけ問題が問題だけに、行政職の職員のみを整備するということではこういった問題は解決をいたしません。そこでどうしても専門家の採用、こういうことになってきまするとたいへんなことだと思いまするが、そういうことについての見通しをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  161. 大石武一

    大石国務大臣 環境庁の職員は、特別職を除きまして五百一名でございます。そのうち現在までに四百五十八名がはっきりと入っておりまして、大体九一・四%の充足率でございます。したがいまして、それほど機能がないわけではございません。ただその四十数名のうち九名ほどは、いわゆる国立公園等の現地における職員の欠員でございます。これを除きますと、三十数名のものがまだ充足されておらないわけでございますが、これは大体は農林省から来ることになっておりますが、近いうちに参る予定になっておりますので、十分な体制ができ上がると考えております。  それから技術屋と事務屋の区別でございますが、技術屋のほうが十数名でございますが多少上回っておりますので、それで相当の仕事はできるかと考えておる状態であります。
  162. 寒川喜一

    ○寒川委員 先般ある雑誌で、三百名余りしか充足をされておらないという記事を読んだものですから、しかもそれはごく最近でございます。長官がおっしゃられたように、あとわずかだというようなことでございまするならばたいへん望ましいことだと思いまするが、やはりいい人を充足していただきませんと、頭数をそろえるというだけでも問題が残ろうかと思います。したがって、この問題は了承をいたします。  そこでその次は、公害の問題で一番問題になりますのは、公害が起こる以前にこれを防止していくという新しい研究、学問というものが発展をしていかなければいけない。同時に、技術の開発という問題がこれに合わさって本格的なものになろうと私は思います。そういう意味で国立公害研究所設置のこともごあいさつの中にございまするが、もし長官御自身が一つの構想をお持ちだということであれば聞かしていただきたい。  同時に私が一番心配をいたしますことは、学問の世界の場合には、甲論乙駁があって、定説にいくまでにはなかなか時間がかかりましょう。そのことが今日、立場の相違からいろいろな問題が派生しておりますことも事実だと思います。そこで私が一番心配をいたしますのは、各省庁でも研究所をお持ちでございますので、そういった研究所と、新しくつくられんとする国立公害研究所との関係ですね。各省庁は自分の省の立場というような感覚、そういうものを通して議論になってこようかと思いまするが、そういった関係との調整が一番大きな問題でなかろうかと思います。したがって、国立公害研究所の構想という問題が大きなウエートになってこようかと私は思います。オールマイティーといかなくとも、いわゆるオーソリティーとして仕事をやっていけるだけのものをつくらないと形のみになってしまうおそれを心配をいたします。したがって、そういう意味で、研究所の構想等をお持ちでございましたならばお漏らしをいただきたいと思います。
  163. 大石武一

    大石国務大臣 御承知のように、国立公害研究所は四十八年度末までに十分に体制を整えることになっております。われわれはこれに大きな期待を持っておりますけれども、この国立公害研究所は、これだけで公害のすべての研究の中心機関になるとは考えておらないのであります。これはその一部でございます。そういうことで、やはり何と申しましても、お話のとおり基礎的な研究が一番土台でございます。そういう意味では各省庁にたくさん研究所がございます。これを活用することが何よりも大事なことでございますので、これを全部統合いたしてございまして、予算は一括われわれのほうで、環境庁で計上いたしまして、そのテーマ、研究目的によって各省庁の研究所に委託研究させるということになっておるわけでございますので、これを十分に活用して、今後どのような産業でどのような公害が起こってくるかわかりませんから、そういうものに対処するための基礎的な研究は、このような各省庁の研究所を中心としてこれを活用いたしたいと思いますし、それを十分にやり、直接、公害に対するいろいろな対策なりそういうものにつきましての研究を、私は、国立公害研究所において担当させたいというように考えておるわけでございます。
  164. 寒川喜一

    ○寒川委員 私が一番心配をしておったようなことを長官がいまおっしゃられたわけなんです。それぞれの各省が学問的な立場で研究をするというような態勢が私はいままでなかったとは言いませんけれども、そういうウエートがやはりかなりあったのじゃないか。すなわち、通産は通産で産業界の発展というようなことで、あるいは衛生の場合でありますると、業界のためといったようなウエートが私はあったと思います。したがって、むしろそういうものからやはり断ち切って、国立公害研究所がオーソリティーとしてやっていけるというような内容の研究所でなければ、私は、むしろつくったって意味がなくなるような感じがするし、研究員の確保の問題にしましても、広い立場で人材を入れて、各省庁が持っておる研究所に影響力を与えていくという形のものにならなければ本物にならないと思うのですが、もう一度ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  165. 大石武一

    大石国務大臣 私は、公害に対する対策なり予防なり、いろいろなものを公害研究所でやらなければならぬと思いますが、その前提として、いろいろな各方面基礎的な研究が必要だと思います。たとえば、光化学スモッグの対策にしましても、どのような発生機序によって光化学のオキシダントが発生するのか、たとえば窒素化合物とか炭化水素がどのような形でそれがかかっていくのか、いろいろな基礎的なものがあってそういうものがわかって、そういういろいろな基礎的な研究が集積されて、初めて対策なり何なり総合的な研究ができると思うのです。そういう基礎的なものはとうてい国立公害研究所だけでできないと思います。したがって、そういうものはやはり各省庁に各産業の基礎的な研究をする研究所がございます。これがいろいろな企業に利用されるとかされないという問題とは関係なく、基礎的なものはそういうところで、あるいは大学でもけっこうでございます。いろいろな国立のほかの労働衛生研究所なり国立衛生研、そういうあらゆるところにその機能を全部発揮してもらいまして、そこでできた基礎的な研究を集め、総合して、これを実際に公害に使うのが公害研究所のあり方、このように考えているわけです。
  166. 寒川喜一

    ○寒川委員 若干考え方のズレがありますが、時間の関係でおきますが、私としては、やはり環境庁の付属機関である国立公害研究所がイニシアチブがとれるようなものを特に望んで、この問題はおきます。  次の問題は、だいぶ前の委員会で問題を提起しておきました塩化ジフェニール使用のノーカーボンの公害の問題について、通産当局から、四月ないし五月には新しい製品が開発をされて市場に出回るから、この問題はそう心配が要らない、こういうようなお話があったわけでございます。しかも今年の四月一日、神崎、十条、三菱各製紙に富士グループの五社が銀座の東急ホテルで共同記者会見を行なわれて、全製品を新製品と引きかえを行なうのだという勇ましい発表を行なっておりますが、私の承知する限りにおいては、そういう事実はございません。通産省はどういう把握をされておるか、御答弁いただきたい。
  167. 森口八郎

    ○森口説明員 さきの委員会でも御説明申し上げましたとおり、PCBを原料といたします複写紙は、この三月一日、生産面では全面切りかえが行なわれておるというように私どものほうでは承知をいたしております。ただ残念ながら、そのときも若干御説明を申し上げたわけでございますが、生産面の切りかえは三月の一日に完了いたしておりますが、流通在庫がございます。そういうようなわけで、現在市場に出回っておって実際に使われておりますものは、PCB製品が若干あり得るというように考えております。私のほうの想定によりますと、現在各社の在庫は感圧複写紙全体として約一万一千トン余りというように考えられます。残念ながら、PCBを使用した感圧複写紙につきましては、まだ約千七百トン程度の在庫はあるのではないかというふうに想定をいたしております。
  168. 寒川喜一

    ○寒川委員 そこで、私は、記者会見をして勇ましいことを言わなかったらこんなことは言いたくないのです。在庫がかなりあるようです。したがって、市場でお使いになっておるものはほとんどPCBを使った感圧紙だと思います。そこで、ちょっと手を洗ったらもう無害だというようなものをつけて売っておられましたり、あるいは各社がそういうPRをしております。しかし御承知だと思いまするが、一ぺん書いたらすぐまたトイレに行って手を洗ってくる、これでは仕事になるはずはないのです。そういう面で長官にも聞いておいていただいたのですが、あなた方の考えておられることと、通産の現場で公害物を製造しておるものの監督との関係にはこんなに開きがあるのです。そういう面で先ほどの国立公害研究所の構想も、私は私の所見として思っておることを申し上げた。したがって、そういう問題について、あなたのほうは業者から報告をとっておるだけなんでしょう。その点はどうなんです。
  169. 森口八郎

    ○森口説明員 仰せのとおり、報告をとっておるだけでございます。
  170. 寒川喜一

    ○寒川委員 したがって、こういう少なくとも関係省庁において毒物として指定をするというようなもの等につきましては、やはりもっと慎重にやっていただきませんと、環境庁が何ぼがんばってみても、通産でそういう態度であれば、いわゆる国は何をしておるかという不信を買うにすぎないわけでありますので、そういう点を特に要望しておきます。  そこで、次に御質問をいたしたいことは、いままでPCBを使っておったのが、問題になってわずか二月や三月で新製品が開発されるということ自体に私は問題があると思うのです。そういうことについて、新しい製品の化学構造はどういうものか、聞かしていただきたいと思うのです。
  171. 森口八郎

    ○森口説明員 現在使っております感圧復写紙の原料はPCBとは異なりまして、いわゆる有機塩素は含んでおりません。有機塩素を含んでおりませんので、したがって残留性並びに毒性はないものと私のほうは推定をいたしております。この成分は、一言をもって申しますと、塩素を含まない芳香属系二環の炭化水素という説明になろうかと存じます。それじゃ、こういうものがどうしてすぐに出てきたかという御疑念は当然あろうかと存じます。この製品を開発いたしましたものは、もとのPCBを製造しておりました化学会社とは別個の化学会社でございます。別個の化学会社は、おそらく何らかの点からこういう製品の開発が必要であろうというようなことから数年来取り組んでおった、その開発の結果、こういう製品が出てきたということのようでございます。
  172. 寒川喜一

    ○寒川委員 私の理解はちょっと違うのです。むしろ中小企業皆さんが非常に努力をされて開発をして、パテントを持っておる製品がほんとうは優秀なんです。ところが、こういう業者といえども、先ほど申し上げましたような業界から紙を買わなければ要するにつくれないというようなこと等から、私は問題が大きくなっておらないのではないかと思います。したがってパテントの関係は一体どうなっておるのか。通産は、市販される段階で問題があったものだけに厳密に調査をされ、パテントの侵害をしない製品であるかどうかということについて十分調査をされたかどうかお聞きしたい。
  173. 森口八郎

    ○森口説明員 先生御存じのとおり、パテントの関係は非常に複雑でございます。今回の新製品に使われております化学品につきましては、現在パテントを申請中であるというように聞き及んでおります。はたしてパテントが成立する品物であるかどうか云々ということにつきましては、おそらく特許庁の審査を待たなければなりませんし、特許庁の審査を待った上でパテントが成立し得るということでありますれば、そこで公開、公表されまして、パテントに関係のある第三者がそこで異議を申し立てるというような手続になるのが筋道でございます。そういうようなわけで、私のほうはその辺について御満足な回答ができないわけでございますが、状況はいま申し上げたとおりでございます。
  174. 寒川喜一

    ○寒川委員 そういう問題は非常にデリケートだということはおっしゃるとおりでございます。したがって、通産全体としては、やはり小さいものが非常に努力をして、りっぱな開発をして、パテントを取っておる、そういう問題等々について十分味方になってやるということについての配慮を、この機会に特に要望いたしておきます。  そこで最後は、こういう問題がかなり発展をいたしましたので、新しい製品は旧製品と区別されるようにそれぞれのものに表示をして、国民皆さんが安心をして使用ができるような方途を今日まで指導されたかどうか、お聞きをしたいと思います。
  175. 森口八郎

    ○森口説明員 本品のような毒性は、いわゆる残留性と申しますか、要するに薬が残って長日月の間に人の健康を失うというような可能性のものでございます。こういうような害につきましては、非常に問題になりましたのは最近のことでございまして、実は私のほうでも、いままでは指導が十分でなかった、さらに今後はよくしたいという感を強くしておるわけでございます。ただ先生御指摘のように、それでは表示というようなことができるかどうかということになりますと、いわばネガ表示と申しますか、この場合ですと、たとえば有機塩素系でないというような表示をするというようなこととなるわけでございます。私のほうで、ほかの法体系ではあまりこういうものはないわけですが、家庭用品品質表示法というような法体系がございますので、この中でそういう表示ができるのかどうかということについて、実は御質問を受けまして検討してみたのですが、なかなか早急な結論が出せないわけでございます。一つは、このたぐいのものが家庭用品でありますかどうか、それから家庭用品品質表示法としてネガ表示をした前例がないということもありまして、なかなか当省の段階では結論が出せないという状況でございます。なお、こういうようなものにつきましては、PCBのみではなしに、BHCとかそのたぐいの類似のものがございますので、私のほうだけではなしに、各省全般の立場で、環境庁ともいろいろ御相談をしながら、先生おっしゃったような方法が可能かどうかということについてさらに検討を進めさせていただきたいと思います。
  176. 寒川喜一

    ○寒川委員 まさしく私が心配しておるような答弁をされているのです。いまの時代に国民が日常生活の中で安心をしてやっていけるという体制の方向で、役所自身が頭を切りかえてもらわないと、いつまでたってもこの問題は片づかないし、こういう問題に長官調整権を発動するというようなことは、私はナンセンスだと思うのです。そういう面でひとつ努力していただきたい。問題が問題であっただけに、みんながそういう面で簡単な表示で安心して物が使えるのですから、せい一ぱいそういう努力をしていただきますようにあなたのほうに要望を申し上げておきます。  最後に長官に対して。冒頭にも申し上げましたように、ただことばのあやだけで問題は解決していかないと思うのです。一つ一つ実行を通して積み上げていくという中に、私は環境庁ができてよかったとみんなから信頼をされることになろうかと思うので、そういう面で努力をしていただきますように特に要望いたしまして、私の質問時間が切れましたので終わります。
  177. 小林信一

    小林委員長 岡本富夫君。
  178. 岡本富夫

    ○岡本委員 先ほど松本君から羽田空港の騒音問題について話がありましたから、私は大阪国際空港の騒音問題について若干質問したいと思います。  四十二年に航空機騒音防止法ができまして、そのころは大阪国際空港は一日に二百五十回、それが現在では四百六十回、多いときには一分三十七秒に一回というようなすごい発着の姿でありまして、現地の住民の皆さんも非常に困っておる。その抜本対策として、関西新空港をつくろう、こういうような案が出ているわけですけれども、この関西新空港の決定について、いつごろ、大体どういう方面というような審議をほとんど尽くされてきておると思うのですが、その経過についてひとつまず飛行場部長から……。
  179. 丸居幹一

    丸居説明員 新空港の建設についての調査の経過でございますが、ただいま第二年度目の調査をいたしております。あらかた最初出しました調査結果は集まっておるのでございますが、やはり追加調査、補充調査といいますか、そういったもう少し詳しく調査したいという部分が少し出てまいりましたので、いまそれを出しておる最中でございます。これらが集まりましたら、その内容を検討いたしまして、それを航空審議会にはかりたいというふうにただいま考えておるところでございます。
  180. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもはっきりした答弁じゃない。そこで、大体神戸沖あるいはまた大阪湾の中、こういうような現在の調査の段階ではないかと思うのですが、それでだいぶんしぼられてきておると思うのです。ですから、現在大体どことどこというような調査地点になっておるか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
  181. 丸居幹一

    丸居説明員 候補地につきましては、いろいろ地元のほうでおっしゃっていただいた候補地と、それからわれわれのほうの考えておった候補地とあるわけでございますが、西のほうからまいりますと、錦海湾というのが最初出てきたときもあるわけですが、錦海湾というのは岡山のやや兵庫寄りのほうでございますが、これはやはりいろいろ研究所あたりに経済調査をしていただきましたのですが、どうも遠過ぎるということでございます。それからその次、もう少し東のほうに寄ってまいりまして、明石沖というのが一つございますが、これは地面はたいへんいいようでございます。そこにある砂で埋め立てますと、非常に強固な地盤ができ上がりまして、そういう点では、地面の上からいいますと飛行場としてはきわめて都合のいいところでございますけれども、これはあまり海のほうへ出せませんので、どうしてもやはり陸のほうへ近づかざるを得ない。そうしますと、騒音問題が相当陸のほうに起こり得るというふうなこともございますので、その点でちょっと難点があろうかと思います。それから淡路島でございますが、淡路島は非常に高い。高いといいましても五百メートルですが、五百メートルの山を頭のほうを切りまして三百メートル程度の高さに切って、その上につくるという考え方でございますが、これは非常に土工量が多うございます。これはたいへんな難工事でございますので、したがって工期も長くなるし、金もよけいになる。それからもう一つこれの非常な大きな難点は、最後、航空機が着陸いたしますときは、電波高度計を用いて精密進入をするわけでございますが、非常に電波高度計が使いにくいという点もございますし、また照明機具として進入灯の設置が非常にむずかしいということもございます。それから続いて神戸のポートアイランド沖でございますが、これも水深二十メートル、それからその下に沖積層、洪積層が五十メートル近くありますので、これもたいへんな難工事であるということが言えるのでございますが、ここはやはり、社会工学研究所に調査を依頼しました結果では、場所的には非常にいいのじゃないかという結論が出ております。ただ、工法としてはいろいろな点を研究しなければならぬ。特に、そういう深いヘドロの上に土を乗っけますと沈下をいたしますので、その沈下したときの対策をどう考えるかという点をもう少し突き進んで検討しないとならぬではないかというふうに考えております。それから芦屋沖とか、それから西宮沖というのは、わがほうではあまり考えていないのでございます。それから、もう少し東のほうの南になりますと、岸和田沖とか、泉南沖というのがございますが、これもまあ神戸沖と大同小異の長短がございますが、ただ神戸沖より短所といたしましては、つくったときの経済効果というのはやはり神戸沖のほうがいい。長所というのは、船の大きいのが通りません等、航行の点等にプラスがあるというような状態であるということは、ただいままでわかっております。
  182. 岡本富夫

    ○岡本委員 大体、そうすると、神戸沖、泉南沖というようなところにしぼられてきておるように思うのですけれども、それはそれとして、長官にまず……。  環境庁もできまして、この関西の新空港をつくるにつきましても相当チェックをしてもらわなければならぬことがある。それは先ほど松本委員からも話がありましたように、関西新空港をつくったら、伊丹の大阪空港のほうが被害がなくなったけれども、こっちがふえた、こういうことになっても困るわけでありますけれども、それはそれとして、いままで経済成長を目標にずっと自民党政府がきたわけですけれども、ここでいよいよ一九七〇年代、七一年については、いよいよ生活環境、人の生活中心にしたところの政治でなければならぬというのが大体現在の常識であろうと思うのです。  そこで、こうした空港をつくるにつきましても空港問題を考えるにしても、飛行機を、要するに航空機をたくさん飛ばす、あるいは航空機行政のために空港をつくるか、あるいはまたそうでなくして、いまの大阪空港では非常に過密で困るから、非常に被害を与えておるから、今度はその被害を少なくするために新空港をつくる。この根本的な考えに私は二つあると思うのです。そうでないと、ただ航空機行政のためにつくるというのであれば、これはおそらく私は、新空港をつくっても、現在の大阪伊丹空港の発着回数あるいは被害というものは減らない。そこで、先ほど私が話しましたように、四十二年には二百五十回しか発着しなかったのが、いまは四百六十回、要するにもう空港に入れるだけ入れてしまうというような航空行政をあなたのほうでチェックしてもらわなければならぬ。どうしても航空局としては、やはり何とかして飛行機をたくさん飛ばそう、またいろいろ航空会社に天下りしておるのがだいぶおるわけですからね。そういうようなことを考えますと、やはり環境庁のほうでこの辺のチェックを相当しないことには、私はりっぱな住民のための空港はできない、こういうふうに思うのです。特に大阪と東京なんかだったら新幹線をどんどん利用すればいいのですからね。それを非常に大阪伊丹のあの周辺では、いま十一市になったのですが、前は八市だったのですけれども、その八市が困っておる。それがぐんぐんジェット機にかわったり、あるいはまた航空行政の推進といいますか、そのために被害を受けている。したがって、まず私は長官に、そういったチェックあるいはまた今後あなたも閣僚の一人として大きく航空行政に対するところの考え方をひとつここで一ぺん披瀝してもらいたいと思います。
  183. 大石武一

    大石国務大臣 これは岡本委員からたいへんむずかしい御質問を受けたのでございます。  で、何のために飛行場をつくるのかという御質問でございますが、これは私は普通の政治家として考えます場合に、やはり今後急激に増大していく航空需要に対処するために飛行場を新しくつくらなければならぬのじゃないかと思うわけでございます。その場合に、公害の問題、ことに騒音の問題をどうするか。騒音は、飛行場ができる、それから航空需要が増大していくということに付随しての結果の公害でございますから、そういう点を十分に考えまして、今後の飛行場建設の場合には、そのような騒音をできるだけ公害にならないような方向に持っていくというやり方において新しい飛行場をつくらなければならぬのじゃないかと思うのでございます。それにはもちろん場所の選び方とか、あるいは航路のつくり方とかいろんな専門的なことがございましょうが、そういうことを十分念頭に入れて新しい飛行場をつくってもらうよう、あるいはそのようなわれわれの意見が入るような総合調整をいたしてまいりたいと思います。ただ、飛行機の発着回数が多くなればそれだけ騒音が多くなるから、おまえのほうでチェックできるかということでございますが、これはちょっとむずかしい問題かと思います。われわれは、航空行政に対してはやはりそのような研究もございませんし、そのような準備もございませんから、このチェックはできないと思いますが、騒音防止に対する努力だけはしなければならない、こう思っております。
  184. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、飛行機が通らなければ騒音はないのです。いいですか。やはりこの回数のチェックをしませんと、とにかく一分三十七秒に一ペん。このごろ騒音といわないのです。爆音ともいわないのです。もっとすごいことをいっておるのです。だから日本列島のような狭いところで外国と同じような考えで飛行場をつくるということは、これはもうほんとうに——大阪伊丹空港のあそこは内陸につくっておるわけですね。たいへんなものです。あなたはまだ長官になられて間がないから、もっと研究もなさらなければいかぬと思いますけれども、航空行政は、とにかく飛行機をどれだけ安全に飛ばしたらいいか、このほうに一番力を入れるわけですね。したがって、そういうことを考えますと、関西に新空港ができましても、今度は国内線をたくさん入れれば、大阪伊丹空港の騒音はなくならないのです。しかもいまでまはプロペラ機だった。これがジェット機だ。要するにお客が多いからというので大型にする。よけい被害が出てくるのです。だから私は、いままでこういうことに対してチェックする官庁がなかった、いよいよここに環境庁ができまして、科学的ないろんな面もあると思いますけれども、やはりあなたのほうでもっとチェックをして、そして意見も言っていかなければ、あっちこっちがこういった騒音問題で苦しむんじゃないか、こういうように思うのですが、もう一ぺんひとつ……。
  185. 大石武一

    大石国務大臣 いまの岡本委員の御趣旨はよくわかりました。確かに広い意味で、少なくとも公害防止の意味におきましては、チェックできるだけの権限は持っておりますから、そのように努力いたす決意でおります。
  186. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ、決意だけして、あと知らぬ顔しないように特にお願いをしておきます。  そこで、丸居行場部長にもこの点について……。あなたは、いま今度関西新空港をつくる、これは国際空港になりますけれども、それができたら、大阪伊丹空港の騒音は、いま被害を受けておる人たちは非常に少なくなる、パーセントでどのくらい低くなるという見通しをつけて今度新しい飛行場をつくろうとしておるのか、この点はどうですか。
  187. 丸居幹一

    丸居説明員 新関西国際空港のできる場所でございますが、これはいろいろ選定をいたします条件としては、われわれは騒音の問題、これを重視して場所の選定をいたしております。そこで、たとえば海上につくる場合は、海上五キロ以上あるいは六キロぐらい離してつくるというふうなつくり方を考えておるわけでございます。そういたしますと、これは大体陸上のほうにはほとんど騒音被害というようなものは与えない程度のものになるだろうというふうに考えられますので、今度はそこへ現在の伊丹空港から飛行機を移すわけでございます。その移し方が非常に問題だと思います。移す場合に私たちがいま考えておりますのは、まず国際線を最初に移そう、何となれば国際線というのは非常に音がやかましい。重いですし、油もよけい積んでおりますし、機材も大きいですから、そこでこれを移そう、そうすれば、いままで大阪国際空港を飛んでおったそういう大型機がなくなるわけですから、その程度においては大阪のいまの国際空港の騒音というものは減少されるであろう、こういうふうに考えております。それからもう一つ、国内線もここへ移していくわけでありますが、これはただいまのところまだ決定をいたしておりませんので、どの程度移すか、どういう種類のものを移すかということは、もうちょっと先で検討いたしていきたい。検討しておりますが、結果はもうちょっと先になりそうであるというふうに思いますが、いずれにいたしましても、近距離をなるべく現在の大阪空港に残して、そして遠距離のものをこちらへ移していくような方向できめていきたい。そうすればいまの大阪国際空港周辺の騒音というものが減少していくというふうに考えられるように思うのでございます。
  188. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、これは問題は二つあるわけですが、国際線を移す、近距離の分だけを大阪伊丹空港に残す、こういうことになりますと、いま東京−大阪間、こういうものを見ますと、プロペラよりもジェット機にどんどんかえているわけですね。これはお客を運ぶあれもあるでしょうけれども、大型にしないと飛行場が一ぱいだということになりますから、やはりジェット化するようにあなたのほうでは指導するのか、あるいはまたプロペラでいいというように指導するのか、この一点をひとつ……。
  189. 丸居幹一

    丸居説明員 大阪−東京間はただいま全部ジェットになってしまっておりますので、指導というふうな余地がないんじゃないかといま思っておるのでございますが、これを大型にするかどうかという問題は一つ残っておるのじゃないかと思います。ただいまより大型といいますと、いま大阪−東京はDC8の61というのが一番大きいのでございますが、これがすでに飛んでおります。これより大型化することになりますと、エアバスとかジャンボというようなものになっていくのじゃないかと思います。これは東京、大阪両空港とも、東京は新空港ができてちょっと余裕ができるわけでございますけれども、大阪は新空港、かりにただいまから建設着手いたしましても、五十二年度中にはとうていでき上がらないのじゃないかと思うくらい先に延びますので、どうしてもやはり大型化をはからないと需要に応じ切れないというふうに考えておりますので、騒音対策その他地元の方との話を進めて、できるならば大型化を進めていきたいというふうに考えております。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 地元ではジェット機を何とかしてなくしてくれというのが要望なんです。それで、非常に航空機の需要が多いという中でどんどんジェット化して大きくてほうり込んだわけですが、これをもとに戻すのは相当至難かと思いますけれども、何とか、たとえ少しでも住民の皆さんのためになってあげる。それで、あなたは先ほど松本さんの質問のときに、私江戸川へ行ったときはちょうど少なかったからというそういうばかな考え方では私は話にならないと思う。一週間ぐらい行って泊り込んできたらいい。そのくらいの考えがなくては、ほんとうに航空機の騒音というようなものは私はなくならないと思うのです。だから、その点をもう一度考え方を変えて、ひとつ極力騒音をなくするような考え方をやってもらいたい。  そこでその前に、大体いまあなたの構想を聞きますと、神戸沖と泉南沖の新空港が一番有力なように考えられる、こういうように解してよろしいでしょうか。
  191. 丸居幹一

    丸居説明員 両候補地とも非常に有力候補であるとは思いますけれども、何せただいま申し上げましたように、二十メートルの水深のところから洪積層、沖積層が五十メートルほどたまっているところが候補地でございますので、まだそういうところが候補地から消えるおそれがないというふうには考えられませんので、ただいまのところでは、やはり淡路島、明石沖、そういったものも含めて検討いたしておる最中でございます。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはあなた答えにくいだろうと思うからあれですけれども、もしも神戸沖にこの新空港ができた場合には、近いですから、どっちにしても伊丹空港と併用されると思うのですね。そのときに衝突、たしか九キロぐらいの間隔だったらすぐかじがとれなくなるというのですね。そういう場合にいまのコースで航空機の安全から見てだいじょうぶなのかどうか、この点についてひとつ……。
  193. 丸居幹一

    丸居説明員 この航空管制の問題というのがやはり新しい飛行場を選びます場合に一番大事な問題だと私は思います。この辺はわが航空局でも専門家がおりまして、その辺のことを実地に、ここに候補地をきめたら現在の大阪の飛行場とどういうふうに航路を調整し、そしてそれの管制ができるかどうかということを十分検討いたしまして、西でいいますとポートアイランド沖よりも西へ持っていけば大体だいじょうぶじゃないか、それから東のほうなら岸和田周辺以南ならば十分であるというふうな結論に基づいて、その次の検討をしておるというところでございます。
  194. 岡本富夫

    ○岡本委員 もしも神戸沖に空港が建設された場合、伊丹と併用した場合にはいまの航路では衝突すると私は思うのですね。ですから、ちょっと聞くところによると、少し高度を高くするというような考え方を持っているという話を聞いたわけですが、もしも伊丹から出発するのを高度を高くしていけるのであれば、いまから高くして、尼崎や西宮に被害をこうむらさなくてもいいんじゃないか、こういうように私は考えておるのですが、それについての御意見……。
  195. 丸居幹一

    丸居説明員 まだ、新空港と伊丹とのそういった航路についての最終的な結論には至っていないわけでございますが、ただいま言いましたように、新空港には国際線のほかに国内線もなるべくたくさん持っていきたいというように考えておるのであります。その持っていき方は、たとえば大阪より西のほうを全部持っていく、東は現在の伊丹から飛ばすというふうな考え方一つあるわけでございます。そうしますと、西へ行くのは西宮とか芦屋とか神戸とかを通りませんので、いまの飛ばし方とは変わらないということになると思います。しかし、遠距離を全部持っていって、近距離は東西にかかわらず現在の伊丹に残すという場合になりますと、先生のおっしゃるように、伊丹の上である程度高度をとって西、東に分かれていくというふうなこともあるいは行なわれるかもしれません。しかしそういう場合に、それがいいかどうかという問題なのでございますが、最終的にはそこまでまだよう詰めておりませんけれども、伊丹の上で高度をとりましても、ヘリコプターと違って急に上がるわけではありませんので、回りながら上がりますから、あの近所で高度をとるためにあまりぐるぐる回るということは、周辺により一そうの騒音をまき散らすということになるのじゃないかといったようなことも含めてただいま検討をいたしておりまして、できるだけ伊丹の騒音をなくするというふうな点にも着目いたしまして航路の設定をしていきたいというふうに考えます。
  196. 岡本富夫

    ○岡本委員 結局新空港をつくるにつきまして私の言わんとするところは、そういった騒音をどこまで少なくするか。現在の大阪空港の問題ですよ、これとの関連でどれだけ少なくするか。新空港のやつはいま話したからわかるけれども、これとの関連でどういうふうにするかということも考えたコースあるいはまた万全な処置をひとつ考えてもらいたい。  そこで、あまり時間をとっておりますとあれですから、深夜便ですね。二十時三十分から六時三十分、この間に十三回ジェット機が入っておるわけですよ。これは寝られないですよ。深夜便についてはずいぶんやかましく言っておるわけですけれども、これはもっと減らすわけにいかないのですか。これは基本的人権を侵害しておる。だからああして裁判も起こっているわけですけれども、これについていかがですか。
  197. 丸居幹一

    丸居説明員 七月ダイヤで申し上げますと、現在、大阪を中心とした深夜便が十一発着でありまして、そのうち七発着が郵便専用機でございます、旅客便が四発着ございます。ところが、ロードファクターを見てみますと、七九・五%から九〇・七%というふうに非常に利用率が高うございまして、これを全廃するということは利用者の方方からいいますとたいへん不便になりますので、いまわれわれも、地元の方のことを考えれば何か全廃したいような気もございますし、利用者の方のことを考えると非常に不便になるなということで迷っておるというのが実情でございます。  また郵便機につきましては、郵便当局ともいろいろ協議しておるわけでございますけれども、集配機構との関係とかあるいは郵便輸送の公共性からいって、全廃は非常に困難であるといわれておりますので、現在のところでわれわれとしてできますことは、発着時間を調整いたしまして深夜というのをなるべく少なくしていく、それからまた深夜便については便数を少しでも減らしていこうというふうに考えております。深夜便の抑制ということで検討さしていただきたいと思っております。深夜便はもちろんYS11だけ飛ばしておるわけでありますけれども、先生のおっしゃるように、YS11といえども相当の音がいたしますので、そういう深夜便の抑制という方向でとりあえず検討さしていただきたいと思います。
  198. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、これはひとつやかましく運輸大臣にも言ってもらいたい。昼も飛行機、夜もこれでは寝る間がないですよ。実際行ってみて、ようこんなところに住んでおるなと思うぐらいにみんな苦しんでおるわけです。利用者の方のこともございましょうが、それは少し早く乗るとか、あるいは新幹線を利用するとか、あるいは郵便のほうの郵政のこうしたものももう少し考えて、なるべく少なくするようにしてやらないと、寝る間がないです。だから、それについてひとつ長官の御意見を承りたいのですが、いかがですか。
  199. 大石武一

    大石国務大臣 これは岡本委員の御要求は私は当然だと思います。われわれの側から申し入れまして、できるだけ深夜便をなくすように努力してまいりたいと思います。
  200. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、長官非常に話がわかるのですが、ひとつ先ほどの生活環境基準、これはすでに厚生省でいままで相当長い間やっているわけですよ。四十三年六月に佐藤総理から人体の影響調査、これをやれということで、四十四年、四十五年、四十六年と予算がついておりますけれども、ずいぶんもうこういった研究はできておるわけでして、これはできるだけ早く航空機あるいは新幹線、この二つの生活環境基準を決定してもらいたい。  時間があれですから、次に四十二年八月の公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、この第五条に「特定飛行場の設置者は、地方公共団体その他の者が当該飛行場の周辺における航空機の騒音により生ずる障害を防止し、」こういうふうに出ておりますが、この「その他の者が」というのは一般住民は入っていないのか。ひとつこれについて飛行場部長から……。
  201. 丸居幹一

    丸居説明員 その点は、先生のおっしゃっていることは、おそらく一般民家の防音のことでないかと思いますが、一般民家の防音につきましては、これはやはり入っていないというふうに解釈いたしております。そこで一般民家を含めるということになりますと、この点についての改正が必要だと思います。
  202. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは「地方公共団体その他の者が」ですからね。騒音防止工事の助成について、あなたがいまおっしゃったように、政令を変えたら一般の民家の方が騒音防止、要するに防音工事をやろうとしたときに、一部あるいはまた全部を補償することができるのじゃないですか。この解釈はいかがですか。
  203. 丸居幹一

    丸居説明員 ここはこういうふうに書いてあるように思うのでございますが、「その他の者が当該飛行場の周辺における航空機の騒音により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、次の施設について必要な工事を行なう」ことだと書いてありまして、「次の施設」が学校であり医療の問題であり、「前二号の施設に類する施設で政令で定めるもの」というふうになっておりまして、この辺で想定されているものは、学校それから病院、そういったようなもの、こういうことでございますので、やはりこのままで入るというふうにはちょっと読めないのじゃないかと思いますけれども……。
  204. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、一般民家の防音工事についてはやはり法改正が必要である、こういうふうに解してよいと思いますが、そうすると、次の通常国会あたりにこの法改正をして、一般民家の防音工事もやらなければならない時代に入ると思うのです。私、先般ベルリンのほうに行きましたけれども、ベルリンもこういうことで一般民家の防音工事も大いにやろうというふうになっておりましたが、こういった法改正をして、いま特に民家の皆さん方が困っておるこれをやっていこうという考えがあるかどうか、これについてひとつ……。
  205. 丸居幹一

    丸居説明員 確かに民家の防音工事まで進めないと、立ちのき補償だけではなかなか救えないようなものがあるように思います。そこで運輸省におきましても、民家の防音工事を実施するような前向きの姿勢で検討をいたしております。ただ民家の防音を実施いたしますにつきまして、防音工事の仕様であるとか助成の方法であるとかいったようなものをいろいろ検討してみますと、なかなかむずかしい問題がございますので、さしあたり、明年度におきましては防音工事の実験調査費を要求いたしまして、十分調査した上でこの法改正といったようなものに取り組ましていただきたいと思っております。
  206. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、民家の防音工事についてはその調査費を四十七年度は出す。そして何軒か調査をして、それがよければ法改正に持っていく、こういう考えでございますね。それは了解しておきましょう。  そこで次に、空港周辺の再開発がどうしても必要でなかろうかと思うのです。なぜかと申しますと、昨年は二億九千万ですか移転補償をつけて民家を移転させている。ことしも七億ほどついております。そうすると土地も移転補償の中に入るわけですが、ぽつぽつ移転した民家のあとの土地が国有地になるわけです。そんなものがぽこぽこあっちこっちできてもしかたがない。またそれではうまく進まないと思うのです。もっと大阪空港付近の整備をやって、きちっとした計画のもとにやっていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、それに対して航空局ではどういう考え方を持っているか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  207. 丸居幹一

    丸居説明員 周辺の騒音対策につきましては、ただいま先生のおっしゃいますとおり、その周辺の立地といいますか、都市計画その他と総合して考えなければ実効があがらないように思うのでございます。ただ、これをむやみに規制するということになりますと、非常に国民の権利を無視するような結果になりますので、現行法の体系では非常に実施がむずかしいのではないだろうかというふうに考えております。そこで、何とかいい知恵はないかというわけでいろいろ検討しておるのでございますが、いま考えておりますことは、地方公共団体と協議いたしまして周辺の土地を買い取り、あるいは一般民家の移転を実施することによりまして、みずから周辺の整備をはかられるようにする。実施方法といたしましては、実施機関についてただいま検討いたしておりますが、たとえば伊丹空港周辺土地利用開発公社といったようなものをつくりまして、それを中心にしてそういったものを進めていきたいというふうな構想で、いま検討をいたしておる最中でございます。
  208. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間があれですからもう一点。これは環境庁長官にも要望したい点ですが、現在移転補償をして移転をしているわけです。そういう移転する人が、今度は移転先に土地を買ってそこへ家を建てたといったときに、やはり税金がかかるわけですよ。航空機の騒音のために移転する、それで税金を取られる、こういうことでは非常に不都合ではないかと私は思うのです。したがって、移転補償者に対するところの税の救済措置、こういうのをひとつ大蔵省にも、あるいはまた環境庁として取り上げて、そうしてスムーズに移転をさせてあげる。せっかく移転補償費の予算を組んだのですから、これが十分活用できるようなメリットを与えてやる、こういうことをしなければならない。その次にまた、四十七年度の予算については大幅につけないと、少なくとも百億くらいの予算をつけないと、大阪空港の周辺の被害というものは救済できない、こういうふうに考えておるのですが、この二点について長官と航空局の考えていることを、まず航空局から……。
  209. 丸居幹一

    丸居説明員 私からお答えさしていただきます。  できるだけ、そういった税の減免について国税庁のほうにお願いしたいと思います。
  210. 大石武一

    大石国務大臣 予算の獲得については一生懸命努力をいたします。  なお、減税問題につきましても、まだ私その方法はわかりませんけれども、よく検討いたしまして、できるだけそのような努力をいたす考えでおります。
  211. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に一つ。先ほどからあまり時間がなかったので、私もう少しこまかいことは言えなかったのですけれども、あらゆる方法を講じて、そして少なくとも公害あるいはまたこうした騒音によるところの被害、こういうものをなくしていかなければならない、私はこういうふうに思いますので、あらゆる方法を使ってそれで救済をしていく、こういうことを要望して終わります。
  212. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  213. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。  古寺宏君。
  214. 古寺宏

    古寺委員 最初に、牛乳のBHCの基準が六月の四日に一応きめられましたが、その基準について若干の質問をいたしたいと思います。  まず、この基準をきめるにあたっての実験期間が非常に短い、三カ月間でございますが、これではたして十分といえるのかどうか、今後どういうふうにこの問題を検討していかれるお考えか、承りたいと思います。
  215. 神林三男

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  一応私たち先ほど暫定許容基準をきめましたことは先生御承知のことと思いますけれども、これにつきましては、昨年サルにつきまして三カ月の実験をやったわけでございまして、さらにそれに引き続きまして、昨年の四月から本年の三月末まで、一応マウスを使いまして一年間の実験をやったわけでございます。これにつきましては、普通二年間の実験というようなこともございますが、日本の場合は一応農薬の禁止措置、ことに有機塩素系の農薬の禁止措置というようなものもとられておったものでございますから、一応一年の実験で、サルの三カ月の実験も結果を確めてみたのでございますが、ほぼ同様の結果を得たものでございますから、一応それによりまして、私たちのほうは実験を打ち切りまして、許容基準をきめた次第でございます。  なお、催奇形性につきましては、なお続行中でございますが、現在のところ問題がないという結論が出かかっておったようでございます。
  216. 古寺宏

    古寺委員 いままでのこの安全率の系数は大体百分の一でございましたけれども、今回のこの基準の設定にあたりましては五十分の一できめているわけですね。これはどういう根拠ですか。
  217. 神林三男

    ○神林説明員 従来、添加物等の基準を設定する場合に、百分の一というのが大体とられておった数値でございますけれども、これは動物実験の結果、あるいは発生の部位、それから用いる動物の種類というようなものによりまして、十分の一というような場合もありますし、五十分の一というような場合もございますし、百分の一という場合もございますし、二百分の一という場合もございますが、その際、人間に近いサルを使っておったのと、マウスの実験とサルの実験の一応の病理組織学的な検査結果というものが肝臓肥大というようなものでございまして、肝硬変とかあるいはガンを起こすとかいうような変化が出てこないために、一応五十分の一という安全率を見込んだわけでございますが、なお、これにつきましては、私たち、食品衛生調査会あるいは中央薬事審議会の専門家の御意見も伺いまして、一応五十分の一の安全率を採用した次第でございます。
  218. 古寺宏

    古寺委員 今回のこの暫定基準は一応成人を対象にしております。牛乳を乳幼児というのは非常に多く飲むのですが、乳幼児に対するいわゆる許容量、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  219. 神林三男

    ○神林説明員 私たち一応これはおとなの場合を試算のあれに使ったわけでございますが、一日のベータBHCの許容摂取量というものが、サルの実験結果から、あるいはマウスの実験結果から、〇・〇五ミリ・パー・キロ・パー・デーという数値を採用しているわけでございます。おとなの場合は、これに対して、体重五十キロですから〇・〇五ミリ・パー・キロの五十倍という数値をとるわけでございます。子供の場合は、これに対して、普通七キロというような数字をとってまいるわけでございます。そして大体牛乳は千ccとるという計算のもとでやっておりまして、これは乳幼児の場合でも安全であるという結論に私たちは達しておるわけでございます。
  220. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、今後BHCの使用を禁止したがゆえにこれくらいの暫定基準でいいのではないか、こういうふうに承ったわけでございますが、土壌汚染の問題がございますけれども、この土壌汚染については、農林省はどういうふうにこの問題を把握しておりますか。
  221. 長谷川新一

    ○長谷川説明員 使用禁止後の土壌汚染の問題でございますが、これについては、従来の成績から見ますと、水田については大体一年以内、畑については三年以内に、作物に吸収されるものはなくなる、こういうような成績が出ております。いままでBHCは大体その八〇%から九〇%ぐらいは水田のほうで使用しておりまして、畑のほうではそういう意味では比較的使用が少ないわけでございますが、今後残ります土壌中のそうした残留成分については、さきに、農林省としましては都道府県に補助いたしまして分析機器を備えました。今後、環境庁で都道府県と協力してその土壌分析を進めるわけでございますが、汚染された土壌については、吸収しにくい作物、そうしたようなものの作付を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。たとえばカンランとかあるいはナス、トマト、ピーマン、こうしたナス科の作物は吸収しにくい、こういうような結果が出ておりますので、そうしたような作物を作付する、あるいは直接食用としないあるいは飼料としない花卉類、こうしたようなものの作付を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  222. 古寺宏

    古寺委員 全国のBHCが土壌汚染の実態調査というものを農林省ではおやりになったわけですか。
  223. 長谷川新一

    ○長谷川説明員 全国的にはまだやっておりません。
  224. 古寺宏

    古寺委員 使用禁止になったBHCの処分の状況はどういうふうになっているのですか。
  225. 長谷川新一

    ○長谷川説明員 使用禁止になりましたBHCにつきましては、さきに四月の農政局長通達をもってその具体的な処置を指示したわけでございますが、これと前後しまして主管課長会議も開催いたしましてその徹底をはかっておるわけでございます。その内容といたしましてはいろいろこまかい点ございますけれども、大まかな点だけを申し上げますと、処分の場所としては地下水位の高いところを避ける、あるいは飲料水源の近くを避ける、こうした水質汚染の起こらないような場所を選ぶということが一つ。それから処理法としては、なるべく粘土質の土壌の場所に、一カ所大量になりますとまた汚染の危険もございますので三百キロ以下に押えまして、これを地下一メートルの深さに埋没する、こういうような方法を指示しております。なお、処分の実施にあたりましては、病害虫防除員あるいは必要に応じて改良普及所あるいは保健所、こうしたようなところの職員に連絡して、その指導を受けて実施するようにいたしております。  なお、農林省としましては、この確認あるいはその実施状況の把握という点で現在報告を求めつつございます。で、いままでのところ二十九県から報告が参っておりますけれども、大体約六〇%が完了あるいは実施中、こういう報告をもらっております。  なお、まとまった量を大量に一時に処理するということになりますと、先ほど申し上げましたようにまた汚染の危険もございますので、あまり急いで不適切な処置をしないように、慎重に適正な処分をするように指導していくつもりでおります。
  226. 古寺宏

    古寺委員 この農薬の廃棄処分のしかたについて、環境庁としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  227. 岡安誠

    ○岡安説明員 いま農林省のほうからお話しございましたとおり、特にBHCの処分につきましてはいろいろ研究されたようでございますが、やはり小口に土中に埋没をするという方法が最も適切であるというふうに私ども考えます。ただ私どもは、そういうような方法が確実に、かつまた廃棄処分によりまして環境の汚染を広げるということのないように、十分監視をしたいというふうに考えております。
  228. 古寺宏

    古寺委員 私がいろいろ地方を回ってみますところによりますと、現在も手持ちのある農家は使っておりますね。こういうことを農林省は知っていらっしゃいますか。
  229. 長谷川新一

    ○長谷川説明員 先ほども申し上げましたように、五月以降これの使用を禁止いたしまして、病害虫防除員あるいは普及所員を通じてこれを使用しないように指導の徹底をはかっているところでございます。
  230. 古寺宏

    古寺委員 現実に使っているということは、指導が徹底してない証拠だと思うわけですね。そういたしますと、先ほどの暫定基準の、いわゆる今後はBHCを使用しないという前提条件がここでおかしくなってくるわけですね。こういう点については環境庁はどういうふうにお考えでしょうか。
  231. 岡安誠

    ○岡安説明員 BHCにつきしては、農薬取締法によりまして作物残留性の農薬ということに指定をされておりまして、林業関係以外は使用してはならないということになっておるわけでございます。したがって、私どもはその指導が確実に行なわれるといいますか、いわば農作物一般については使用されないようにこれを確保するということを努力したいと思っております。それにつきましては農林省のほうにも指導の徹底をお願いをすると同時に、各県を通じまして遺憾のないように厳重に指導してまいりたいと思います。
  232. 古寺宏

    古寺委員 膨大な量のBHCや、そういう農薬が残っておるわけですね。これを小口に分けて処分するといっても、これを確認するにいたしましてもたいへんでございますし、いろいろな問題がございます。これについては、やはり回収をいたしまして、そうして都道府県なりどこかきちんとしたところで処分をいたしませんと、持っておる人は使用するわけです。こういう点についてはやはりきちんとした方法でもって処分をしなければならぬ、こういうふうに私は考えるのですが、政務次官、こういう点について環境庁としてもっと前向きに処分の方法考える必要があるのではないかと私は思うのですが、いかがでございますか。
  233. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 現在、使用禁止になっております残留性の強い農薬の処分の問題でございますが、先ほど環境庁並びに農林省から申し上げましたように、いろいろ研究した結果、大量に集めることがかえってまた第二次、第三次の公害を起こすというようなこともございまして、ただいまのところは小さく分けて処理をさせるということにいたしております。先生のお話のように、農家によってはまだその禁止を犯して使用しておる面もあるやに伺っておりますが、こういう点につきましては厳重な監督をいたしまして、監視をいたしまして、そういうことのないようにいたしたい。なおほかにいい方法があれば、これをさらに研究いたしまして処理するにやぶさかではございませんが、ただいまのところ関係当局の研究した結果では、先ほどから申し上げるような処置がまず適当であろう、こういうことでございます。なおよき方法があれば先生の御意見もいただきまして十分に検討はいたしたい、こう思います。
  234. 古寺宏

    古寺委員 小口に分けて処分するのは、それはどっかに集めて、県なら県で集めて、都道府県で一カ所に集めたものを小さく分割して処分することは一向にかまわぬと思います。これはやはり厳重にチェックして、公害を発生しないためには一応全部回収をいたしましてそれから適切な処置をとる、処分をする、こういうふうにしたほうがいいと私は思うが、政務次官はいかがお考えですか。
  235. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 それも一方法かとも思いますが、なおこれは十分に検討する必要があると思います。
  236. 古寺宏

    古寺委員 十分に検討していただくのもけっこうですが、早いうちに手を打ちませんと、どんどん農家は使いますので、早急に手を打っていただきたいと思います。  そこで、現在残っている廃棄処分にする農薬を、それではいつまでに全部処分するのか、やはり目標が必要だと思います。なるべくその危険のないようにゆっくりというお話がございましたが、いつごろまでに一体これを全部処理なさるのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  237. 長谷川新一

    ○長谷川説明員 いま先生から御指摘のような点、私どももいろいろ考えておりますけれども、いまここでいつまでということはちょっと申し上げにくい。十分検討いたしまして、そのような危険のないように考えたいと思います。
  238. 古寺宏

    古寺委員 そういうことではいつまでたってもこの農薬の汚染というものは解消できないと思うのですね。早急にこの目標をきめまして、回収するなり、回収したものはきちっと処分するなりしませんと、持っている人は必ず使うわけですから、使うと必ず汚染されるわけですから、そういう点については、もっとすみやかに処分ができるように措置をしていただきたいと思います。  そこで母乳の問題でございますが、厚生省では二十四都道府県の母乳の汚染を調べたわけでございますが、残された府県あるいはその後の残ったおかあさん方の母乳のチェックは今後どういうふうにやっていく方針であるのか、承りたいと思います。
  239. 島田晋

    ○島田説明員 お答えいたします。  二十四都道府県以外の府県につきましては、次にまた同様の調査を計画しておりますので、近々実施いたしたいと考えております。
  240. 古寺宏

    古寺委員 その内容は、具体的にはどういうような内容でございますか。
  241. 島田晋

    ○島田説明員 一応今回行ないました二十四都道府県の実態調査とほぼ同じような規模で、内容につきましても、母乳汚染の経路それから健康診断というものに重点を置いて実施いたす考えでございます。
  242. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、四百八十人しかこの前はやらなかったわけでしょう。今回また新たに四百八十人の方の母乳を検査なさる、こういうお考えですか。
  243. 島田晋

    ○島田説明員 次に行なうのも大体今回と同じような人数でございます。
  244. 古寺宏

    古寺委員 この、母乳というのは、もう他の牛乳とかいろいろなものにかえることのできない大事なものでございますね。その母乳に農薬が出るということは非常にこれは危険なことでございますね。その農薬の入っている母乳を赤ちゃんに飲ませないためには、ゼロにしなければいかぬわけです。はたしてどのくらいの母乳から農薬が出ているかということは、もっと広範囲に調べてみないとわからぬわけでしょう。そういう点からいいまして、四百八十人だけを対象にしたのではこれはほんの一部分しかわかりません。そういう点について、厚生省はもっと広域的に多くの母乳を検査してみる必要があると思うのですが、そういう点は考えていないのですか。
  245. 島田晋

    ○島田説明員 今回行ないました二十四都道府県の四百数十名、これは今後ともフォローアップを続けてまいります。そのほかにまた、大体同規模の婦人についての実態調査を行なうわけでございます。その統計学的根拠につきましては、一応学者先生等の意見を聞きまして、無作為に抽出して、一応全国的にものがいえるという範囲内で調査をいたしております。
  246. 古寺宏

    古寺委員 そこで、実際に今度は母乳を赤ちゃんに飲ましているおかあさん方が、私の母乳も心配だから調べていただきたい、こういうような場合には、厚生省はどういうふうに対処していくお考えですか。
  247. 島田晋

    ○島田説明員 現在非常に一件についての検査料は高価でございますので、できるだけ多くの人に実施するためには簡便な方法を使用しようというふうなことで、今後簡便な検査法を開発するように研究費も予算化されております。したがいまして、そういう簡便な方法が見つかりました段階では、保健所等で広く婦人のBHCの汚染状況が調査できると思います。
  248. 古寺宏

    古寺委員 母乳の場合は一応そういうふうに現在調べておりますけれども、今度は普通のわれわれ国民の場合には、人体内にどのぐらい残留されているか、これがまだはっきりわかりません。そういうことについて厚生省は一体どういうふうにお考えですか。
  249. 島田晋

    ○島田説明員 われわれを含めた成人につきましてのBHCの残留汚染状況と申しますか、これにつきましては、一応現在のところ妊婦を含めた婦人については実施いたす考えでございますけれども、そのほか成人男子につきましては、現在のところ計画がございません。
  250. 古寺宏

    古寺委員 そこで政務次官にお尋ねしたいのでございますが、一億国民の中で現在この農薬の汚染の実態がわかっているのは四百八十人のおかあさんだけです。あとの国民は、われわれを含めて、一体どういうふうにわれわれの体内に農薬が残留し、そして汚染され、むしばまれているかということはわからないわけです。先日の青森県の渡部忍というお医者さんの血液中の分析の結果によりますと、血液の中に有機燐が相当残留しているわけです。これは今年度、全然有機燐の農薬を使用しておりません。昨年あるいはその前に実際に農家でそれを使用した方々でございますけれども、そういう方々では有機燐が残留しているということはわかっております。しかし有機塩素系の農薬あるいは他の農薬が、実際にわれわれの人体にどういうふうに残留しているかということは、現在全然明らかにされていないわけです。こういう点について、環境庁としては、国民の健康と生命を守る立場から、どういうふうに対処していくお考えか、承りたいと思います。
  251. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 ただいままでの母乳についての調査から類推いたしまして、いろいろな面で食物から人間のからだにかなりのものが普遍的に入っているということは類推できます。したがいまして、現在不幸なことには、こういう調査ができておらぬということでございますから、今後これは環境庁といたしましても、厚生省と十分な連携をとりながら、できるだけひとつそういう調査に踏み切っていきたい、このように考えております。
  252. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、母乳以外の、おかあさん以外のすべての国民についても、今後そういうような調査を進めていくというお考えである、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。
  253. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 幼児、乳児、こういうものとか老人とか、いろいろの状況による人間のカテゴリーがございます。いずれを先にするかは別といたしまして、やはり国民の健康を守るというたてまえからいたしまするならば、そういう調査を進めるのが当然だ、このように考えております。
  254. 古寺宏

    古寺委員 先日東京都が牛肉の分析結果を発表いたしました。これについて厚生省はどういうふうにお考えになっておるか。
  255. 神林三男

    ○神林説明員 この問題も、私たち牛乳に昨年は主力を注いでおりましたが、非常に問題が深刻な問題でございますものですから、至急、牛乳と同じような系統調査を八都府県に現在命じまして、予算も配賦いたしまして、実施中でございます。なお牛肉のみならず、豚肉あるいは鶏肉あるいは鶏卵というようなものも同時に調査を実施すべく、同じく八都府県に指示しております。
  256. 古寺宏

    古寺委員 これのいわゆる許容基準の設定は、どういうふうになりますか。
  257. 神林三男

    ○神林説明員 これは先ほど申し上げました動物実験の結果で〇・〇五ミリグラム・パー・キログラム・パー・デーというBHCの一日摂取量が現在きまっておるものですから、実態調査の結果を勘案してきめていきたいというふうに考えております。これは一応WHO、FAO等においても、許容基準の設定というものは、一応一日許容摂取量の実態調査の結果を勘案してきめるという一つの公式になっておるものですから、私たちも至急実態調査というようなものをいたしまして、きめていきたいというふうに考えております。
  258. 古寺宏

    古寺委員 牛乳の暫定基準はきまったわけでございますが、母乳について基準を設定するお考えはございますか。
  259. 島田晋

    ○島田説明員 母乳についての基準は、従来非常にむずかしいというふうにいわれておりまして、現在のところ、つくるのがむしろ困難ではないかというふうに考えております。
  260. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、母乳の中に農薬が出ているものは危険である、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  261. 島田晋

    ○島田説明員 その辺が最も重要なポイントでございまして、どの程度までというふうなことになりますと、勢い基準になるようでございますけれども、残留許容量、この辺のきめ方、今後について特調費のほうも予算化されそうでございますので、その辺の解明をいたしたいというふうに考えております。
  262. 古寺宏

    古寺委員 母乳から〇・二PPM以上のBHC、かりにベータBHCが出た場合には、そのまま飲ましておくわけですか。
  263. 島田晋

    ○島田説明員 先ほども神林課長のほうから話がありましたように、〇・〇五ミリグラム・パー・キログラム・パー・デーということになっておりますから、体重七キログラムですと〇・三五ミリグラム、一千ccにして〇・三五PPMということになりますので、〇・二PPM以上になっても、半年間ぐらいはだいじょうぶだろうというふうな考え方を持っております。
  264. 古寺宏

    古寺委員 半年間ぐらいならだいじょうぶだろうという根拠は何でございましょう。
  265. 島田晋

    ○島田説明員 理由といたしまして、三つ、四つございます。  第一点は、いままでの調査結果によりまして、乳幼児に一般健康診断の結果、異常と認められる者がいなかった。それからまた、最近十年間の乳幼児の健康診断をいたしましても、開業医その他専門医のほうから異常と認められるような者、特にBHCによる異常と認められるような子供が一人もいなかった。また第二点は、発育調査では非常に順調な伸びを示している。それから第三点は、過去十年間の乳幼児の体位を見ますと、非常にすばらしい向上を示しておりますので、そういうBHCによる異常というふうなものが考えられないのではないかというような点。また第四点は、母乳の授乳期間が、大体私どもの資料では十カ月ということになっておりまして、牛乳よりもちょっと高い点でもその辺は心配ないというようなことでございます。さらに農林省の御努力によりまして、有機塩素剤の使用が禁止になりましたので、これからは一応BHCの残留濃度というものは減少するのではないか、こういう観測もありまして、一応心配ない、こういうように判断をいたしておるわけでございます。
  266. 古寺宏

    古寺委員 いまの答弁を承っておりますと、確かに乳児の発育は非常によくなったのですが、それじゃ幼児の日本の死亡率、外国の死亡率はどうなっておるか、一応お答えになってください。
  267. 島田晋

    ○島田説明員 ただいま幼児の死亡率を正確に記憶しておりませんので、ちょっとその数字をお答えするわけにいきませんが、最近の傾向といたしましては、ほぼ欧米のいわゆる先進国といわれる国に近い死亡率であろうと思います。
  268. 古寺宏

    古寺委員 思いますじゃ困るのですね。日本の幼児の死亡率は高い。乳児の発育は確かにいいかもわかりません。しかしながら四歳児、五歳児等の幼児の死亡率が高いというところに問題があるのです。それは、やはりこういうように非常に汚染された母乳を、六カ月間であっても生まれてきたお子さんに飲ましていくということは非常に危険であるということが考えられるわけなんです。そういうことについて、やはり厚生省はもっと真剣に考えなければならないし、さらに催奇形性の問題とかいろいろな問題がございますし、慢性毒性の問題もございます。こういう問題もまだ解明がされていないわけでございますので、今後この問題については、もっと真剣に取り組んでいただきたい、こういうふうに要望しておきます。  そこで農薬登録の問題ですが、現在の登録の方法を見ますと、三カ月間の毒性試験で登録がなされているわけですが、こういう点については、今後どういうふうに毒性というものをチェックしていくのか、これは環境庁にお聞きしたいと思います。
  269. 岡安誠

    ○岡安説明員 農薬の登録は、実はこれは農林省の所管でございますが、やはり農薬につきましては、おっしゃるとおり急性毒性のほか慢性毒性その他が数えられるわけでございますので、登録に際しましては、残留性その他につきましては厳重な基準を設けまして、その基準に該当するものにつきましては登録を保留するようにというような基準の確定を環境庁がいたしておるわけでございます。その確定方法につきましては、おっしゃるとおり、いろいろ従来わりあいに短期間でやってきたものもございますが、将来できるだけその正確を期する意味におきまして、期間を延ばしてやるというような方向でやっていただくように、私どもといたしましても農林省のほうに希望いたしまして、正確な基準により、正確な判断を登録の際行なわれるように期していきたい、かように私ども考えておるわけでございます。
  270. 古寺宏

    古寺委員 大体どういうような基準をお考えになっていますか。
  271. 岡安誠

    ○岡安説明員 これは作物残留性、土壌残留性、水質汚濁性等がございますが、作物残留性等につきましては、農薬をその使用方法によりまして施用した場合に、食品衛生法の基準に違反するような、そういうような農作物ができるようなおそれのある農薬、残留性のある農薬につきましては、これは登録を保留するように、それからまた乳製品等の影響もございますので、家畜の体内に残留するというようなおそれがある農薬につきましても、これは登録を保留するというようなことがございます。それから土壌の残留性につきましては半減期が一年をこえるというようなものにつきましては、これは登録保留要件に該当しておりますし、こえないものにつきましても、その性質によりまして登録を保留するというようなことも別に定めております。それから水質の汚濁性等につきましては、これは水田その他から流れ出る際におきます汚染の状況、たとえば水質の環境基準に違反するおそれがあるというような条件等を定めまして、そういうものは登録を保留するということを定めているわけでございます。
  272. 古寺宏

    古寺委員 現在使用されている農薬についてはそういうような毒性等が非常にまだ明らかになっていないものが多いわけでございますが、こういう新しい農薬汚染の問題がいろいろ出てきておりますので、全部の農薬について一ぺん洗い直してみる必要があるのではないか、こういうふうに考えますか、この点については政務次官からお答えを願いたいと思います。
  273. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 順次計画的に現在も洗い直しをやっておるところでございます。
  274. 古寺宏

    古寺委員 一年間にそれではどのくらいずつ洗い直しておりますか。
  275. 岡安誠

    ○岡安説明員 これは現在既登録の農薬が相当ございますが、その中できわめて危険度の高いものから手をつけているわけでございますが、大体四十六年度におきましてはとりあえず十一農薬、それから作物につきましての組み合わせがございますが、その組み合わせによりまして調査をする。大体一年間で結果がわかりますので、来年度以降は、さらに残存の農薬につきまして順次これを拡大するというような方向で現在やっておるところでございます。
  276. 古寺宏

    古寺委員 時間でございますので、これで終わりますが、非常に研究機関も足りない、予算も足りない、いろいろな面で毒性の洗い直しというものがおくれております。今後こういう問題については環境庁が積極的にひとつ取り組んで、そして農薬の慢性毒性を洗い直して、そして国民のために危険のないような農薬を登録する基準というものをつくっていただきたい、そういうふうに要望いたしまして終わります。
  277. 小林信一

    小林委員長 米原昶君。
  278. 米原昶

    米原委員 私、大石長官に質問する予定だったのですが、やむを得ない参議院のほうの委員会に行かれましたので、次官にかわりに答えていただきたいと思います。  私、大石長官がこの委員会や予算委員会で答弁されたことに関連して、若干それを深めて聞きたいので、基本的には次官も同じ考えであろうと思いますが、先日の委員会で、イタイイタイ病の判決に関連して昭和四十三年五月八日の厚生省の見解、富山県におけるイタイイタイ病に関する厚生省の見解、この見解と同一の見解であるということを長官が答えられました。そうだとしますと、その見解から、当然私はこう言っていいかどうかという点ですね。三井金属が、神岡鉱業所の過去の行為によって生じた被害について全く目をおおって、イタイイタイ病の被害者の補償要求に一切応じようとしなかった、この態度はきわめて不当なものであり、遺憾である、こういうことに当然なってくると思いますが、そういうふうに考えておられると、こう解釈していいでしょうか。
  279. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 四十三年の厚生省の見解を環境庁も支持いたしております。その見解から直接的に、先生のおっしゃったように加害者が不届き千万だ、こういうところまではいけないと思いますけれども、産業、企業責任者としての社会的な責任と申しますか、これは判決の結果、まだ係属中でございますから、決定的なことは行政府としてその結果に基づいた結論は申し上げかねますけれども、社会的責任としては十分に考えていくべき問題である、このように考えております。
  280. 米原昶

    米原委員 もちろん、厚生省のさきの見解に私の言ったようなことが書いてあるわけじゃない。しかし、公害対策基本法の精神からいいましても、何ら被害者のことを顧みなかったという態度はやはり遺憾であるということは当然出てくるべきだし、当然そう考えておられると理解するわけですが、もう一つ厚生省のあの見解をさらに深めて検討してみますと、イタイイタイ病の発生の上で、三井金属神岡鉱業所から排出されたカドミウムが主要な役割りを演じていたということですね。その他のいろいろな妊娠とか、出産とか、授乳とか、栄養摂取不足とか、内分泌の変調とか、老化とか、もちろんそういう要因もイタイイタイ病の発生にはあるということは事実だと思うのです。しかし、それは厚生省の見解では、たしか誘因ということばが使ってありましたが、従属的な要因であるというふうに見ていたと思うのですが、そういうふうに理解していいかどうかということです。
  281. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 厚生省の見解は、まさにそのような条件が誘因であった、それにカドミウムという重金属が流れてきて、それを摂取することによってイタイイタイ病が起こったのである、こういっております。ですから、その誘因があったのにカドミウムというものが加わって、病気ができた重大な要素になっておるということを表現しておると思います。
  282. 米原昶

    米原委員 あの厚生省の見解は、その当時までのすべての科学的な調査研究結果及び公的機関の資料等を詳細に検討した結果出されたものであるということがあの見解の中に書いてあります。いま環境庁長官がこれと同意見だと言っておられるわけですが、この見解が正しいとされるときに、それは四十三年のあの時点と比べると、さらにいろいろな研究がされ、進んでいるわけです。今日までの三年余りの期間の新しい研究結果というものがいろいろな面で出ておりますが、そういうものも踏まえての見解であるかどうか、この点です。
  283. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 そのとおりでございます。
  284. 米原昶

    米原委員 つまり、これは裁判の判決の中にも若干触れられているので非常に重大な点だと思ったのですが、新しい研究結果というのは、たとえばイタイイタイ病裁判において展開されているところを見ると、疫学、臨床及び病理学、動物実験及び病理機序等のすべての資料も当然考慮に入れたということがいわれておるわけです。そういうことも考えに入れて、あの厚生省の見解は非常に正しかったというふうに支持されているんだと思いますが、それでよろしいかどうかです。
  285. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 裁判所の判断は、御承知のとおり、疫学的なことから状況証拠によって判断されておるということでございます。それとは別に、私どもの見解としてこの裁判についてどういうことかということに触れると、私どもはちょっと困るわけでございますが……。
  286. 米原昶

    米原委員 それでは、その裁判のあれこれということをここで論議しないで、厚生省の見解においても、また現在でも、病理機序の細部及び治療方法などで研究課題として残されている点もあることは確かであります。しかし、このことはカドミウムとイタイイタイ病との因果関係の存在を確定することを妨げない、そういうふうに理解していいのじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  287. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 まさに裁判所の判決はそのような論拠に立っているようでございます。こういう問題は、それとは別に、やはり重大な人間の健康と重金属との関係の問題でございますから、可能な限り検討、研究は続けていくべきだ、このように考えておるわけです。
  288. 米原昶

    米原委員 二十日の日にわが党の寺前議員が質問したことに対して、被告会社の民事上の責任を認めた点は評価できるという厚生大臣の判決についての談話に敬意を表するというふうに長官は言われました。また、二十一日の予算委員会での答弁でも、この判決は胸のつっかえが取れたような気がした、こういうふうに答えられております。この判決のように、企業公害責任を明確に追及する立場は、法律問題はさておいて、政府が公害行政を今後前進させる上でも、あるいはまた一般の住民が公害に対して反対の運動を進めていく上でも、非常にプラスになっているという点は間違いないと思いますが、この点はどのように考えられますか。
  289. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 法律問題は別としてと言われるので、いわゆる三権分立の関係から、行政府として、具体的な係争中の訴訟事件についてとかくの意見を言うことは慎むべきことである、この原則は堅持しなければなりませんけれども長官がたびたび発言されましたことは私も聞いておりましたが、これは長官の、人間として、ヒューマニスティックな立場からの偽らざる感覚であろう、こう思いまして、私も同感の意を表するものでございます。
  290. 米原昶

    米原委員 それでは私も、この判決の内容のいい悪いは別として、その問題についてはここでもう述べませんが、判決がいろいろな点でいろいろな問題を示唆していることは間違いないと思うんですよ。たとえばイタイイタイ病で、イタイイタイ病と認定されずに死亡した四名の患者について、証言その他の証拠に基づいてイタイイタイ病患者と判断しているわけであります。このことは現在の公害病認定制度への一つの批判でもあるというふうに受け取れなくはないと思うんです。そういう意味で、この判決を今後公害病認定制度の改善に生かす考えはないかどうか、この点について御意見を聞きたいと思います。
  291. 城戸謙次

    ○城戸説明員 健康被害救済特別措置法の認定と、それからこういう裁判との関係でありますが、健康被害救済特別措置法は、その法律の目的に従いまして、いろいろの公害要因によります影響によって疾病が発生した非常に広い範囲の認定をいたすことになっておるわけでございます。これと裁判上因果関係が認められるかどうかということは、また別の問題であります。  なおまた、この法律制度ができる以前になくなった方につきましては、認定されていないことと裁判上因果関係が認められるかどうかということとは直接関係がない、こういうことでございます。
  292. 米原昶

    米原委員 それでは、具体的には、現在のこの認定制度というものを改善するという考え方はありませんか。
  293. 城戸謙次

    ○城戸説明員 この健康被害救済特別措置法につきまして今後前向きで改善をしなければいかぬということは当然でございますが、それとこのイタイイタイ病その他の裁判との関係には直接関連がないということを申し上げておるわけであります。
  294. 米原昶

    米原委員 その次に、私は通産省の方にお伺いしたいと思います。  三井金属の尾本社長は、従来から、規制もしないでほったらかしていた政府の監督の責任は一体どうなるのだ、こういうことを開き直って言っております。そうして第一審判決に従わずに、不当にも控訴したと私は考えておるのです。これは上訴権の乱用であるとさえ私は思います。経団連もこのほど、鉱山監督行政が行なわれているのに企業だけに無過失賠償責任を負わすことに強い不満を示している談話を発表しております。  そこでお聞きしたいのですが、通産省としてはカドミウムの公害防止について、こんなことを三井金属の社長が言っているのだけれども、一体三井金属を指導したことがあるかどうか、この点について第一に聞きたい。
  295. 森口八郎

    ○森口説明員 鉱業法の百九条によりますと、鉱業の実施に伴いまして鉱業権者が他人に損害を与えたときは、鉱業権者はその損害を賠償する責めに任ずるという規定がございます。鉱業権は国が鉱業権者に与えるものであります。そういう鉱業権に基づいて実施した結果損害を与えた場合には、無過失損害賠償責任に任ずるというような規定があります以上、政府の監督の有無にかかわらず、三井金属としては責任を負うべきものであるというように私は考えております。  それから次に、政府の監督の問題でございます。カドミウムの流出はおそらく鉱業実施以来ずっとあったであろうと思われます。ただ、カドミウムが有害であるというように認定されましたのは、先ほど先生お話しのように四十三年五月の厚生省見解で初めて出されたわけでございます。もう少し早くこの原因が明らかにされるべきであったという議論はしばらくおきまして、当省といたしましては、この厚生省見解が出されました直後、以降カドミウムの流出についてはきびしい指導基準並びに規則の改定等を行ないまして監督を行なってきたというのが実情でございます。
  296. 米原昶

    米原委員 そういうふうにされたかもしれないけれども、三井金属は現在でも、あの裁判での主張を見ますと、カドミウムを安全かつ無害だと思っているようであります。こういう点に対しては通産省として一体どういうふうに指導されているのか。ほんとうにそんなことを——裁判の対抗上あんなことを言っているのかもしれませんが、ほんとうにどのような対策を講じているのか、いまの対策で十分なのか、通産省の見解を聞きたいのです。
  297. 森口八郎

    ○森口説明員 先ほど御説明申し上げましたとおり、カドミウムにつきましては、現在、環境基準といたしまして〇・〇一PPMの環境基準を守るように厳重な排出規制を実施いたしております。具体的には、排出基準といたしまして、山元におきまして〇・一PPM以下の濃度を保つようにきびしく規制をいたしておりまして、〇・〇一の環境基準は私どもとしては守られておるというように考えております。
  298. 米原昶

    米原委員 それでは以前は守られていなかった、守られていなかったというよりも、非常にルーズであったけれども、いまは守られておる、こういうふうに見ておられるわけですね。
  299. 森口八郎

    ○森口説明員 四十三年に基準が出されましてからは十分守られておるというように考えておりますけれども、それ以前につきましては不知のゆえに、必ずしも監督も十分ではございませんでしたし、企業側のほうもいわばたれ流しに近い状態でございましたので、当然〇・〇一の環境基準は満たしておらなかったものと推定されます。
  300. 米原昶

    米原委員 今度の判決が出ましたあとで、通産省の官房長は、判決を率直に受けとめると語っておられます。同時に、資料を取り寄せて内容を勉強してみたい、こういうことも語っておられます。  そこで、勉強された結果を聞きたいのですが、今後の公害行政について環境庁考え方は先ほどからも承りましたので、通産省としては今後の公害行政について、この判決について、判決の結論に沿って企業公害防止責任を相当きびしく要求しようと考えられておられるのかどうか、この点を聞きたいと思います。
  301. 森口八郎

    ○森口説明員 官房長談話で申し上げましたとおり、判決の内容についてはすなおにこれを受けとめまして、私どもとしては十分に勉強させていただきました。  判決の内容をいかに思うかという点については、先ほどの政務次官の話にもございましたとおり、現在の段階では差し控えさせていただきたいと存じますけれども、とにかくカドミウムが人間の健康に有害な物資であるという点は銘記いたしまして、カドミウムの排出については、人間の健康に影響を与えることのないよう厳重な監督を当省としては実施してまいりたいというように考えております。
  302. 米原昶

    米原委員 そこでもう一つ聞きたいのですが、さきに触れました経団連の見解は、この判決における無過失賠償責任に対して非常に不満を述べておる。公害事件にも時効を設けろというようなことまでしゃべっておられますが、こういう経団連の考えは全く不当だと思うのです。この点について通産省はどう思われるか、これをひとつ聞いておきたい。
  303. 森口八郎

    ○森口説明員 経団連の見解なるものは、当省としては正式にお受けしておりません。聞いておりません。したがいまして、いま新聞紙上では拝見いたしておりますが、経団連の見解については、私のほうとしては正式に聞いておらないということを前提の上でお答え申し上げたいと思います。  時効などにつきましては、すでに鉱業法の百十五条において規定がございます。特に経団連の御意見の趣旨が那辺にあるか私どもよく存じ上げないのでございますが、百十五条の運用によって対処すれば十分ではなかろうか、法的判定性は百十五条によって十分保たれておるので、検討をいまさらすることはないであろうというように私としては考えております。
  304. 米原昶

    米原委員 経団連の見解について新聞にああいうものが出ておりますが、非常に重大だと思うのです。通産省としては当然、新聞に出た程度でなくて、確かめて警告を発するべきだと思う。そのことを私切に要求します。  もう一つ、この三井金属が神岡鉱山の隣の土地をもうすでに買っておりますね。富山県の上新川郡の大山町に約十四万アールの鉱区を持っております。そして、ここはまだ鉱山としての仕事は始めておりませんが、四十四年からボーリングが行なわれているといいますが、これは事実ですかどうですか。
  305. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 先生御指摘の神岡鉱山の周辺におきまして、国が金属鉱物探鉱促進事業団に事業を委託いたしまして、非鉄金属の埋蔵鉱量の調査を現在実施中でございます。この調査の性格は、日本全体の有望な非鉄金属の埋蔵鉱量を正確に把握するということで、四十一年度から全国の有望地域二十七カ所につきまして実施いたしておりまして、大体十数年かかってこの事業を完了させるということでございます。この二十七カ所の地点の選定のしかたは、鉱業審議会という通産省設置法に基づいてできております審議会でございますが、この審議会の分科会で相当詳しく学者、先生方の御意見を拝聴した上で選定したわけでございます。その中にこの神岡周辺地区が、長棟地域という地名でありますが、長棟地域ということで選定されておりまして、その二十七カ所を毎年の年次計画によって調査を進めているわけでございます。これは鉱区があろうとなかろうと、別に鉱区の有無とは関係なく実施いたしておるわけでありまして、四十年の九月にこの二十七カ所を選定いたしていただいたわけでございますが、そういうことで四十四年から逐次この地域も調査の対象になっておりまして、まだ継続実施中でございます。
  306. 米原昶

    米原委員 いまおっしゃったとおりに、金属鉱物探鉱促進事業団がやっているということらしいので、調べてみると、結局、国の費用を使って、大体一億の金が出ておりますね、そういうことを国の費用でどんどんやっている。おっしゃるとおり、それをきめたのは鉱業審議会です。鉱業審議会のメンバーを見ますと、確かに学者、先生も二、三人おられますが、大部分は鉱山を持っておる大企業の代表ですよ。ことに三井金属鉱業の会長もちゃんと審議会員ですし、それから実際に探鉱をやる、ボーリングをやるところの分科会の委員のほうの名簿を見ましても、ここにも三井金属鉱業株式会社の取締役がちゃんと委員のメンバーになっている。大部分が大企業の代表ですよ。そういうところに国のほうからの費用で一億円という金が出てどんどんやっておるわけですよ。これはほんとうに国の資源を合理的に開発する立場に立っているのか、あるいは大企業に奉仕するためなのかということに疑問を抱かざるを得ないのです。これは実を言いますと、いま富山市で大問題になっているというのは、ここが富山市の水道の水源地になっている、ここでもう一ぺん神岡鉱山のような事業を始めるとしたら、イタイイタイ病が富山市にも流れ込んでくるのではないかというので、たいへん実は富山市の人たち心配しているのです。三井金属が現在のような態度で、全くあの裁判記録を読んでみましても——自分のほうで金を払っているのですね、賠償金を出して。そうしておいてあくまでも控訴するというような、全く会社側が裁判の過程で言ったのと比較してみましても、完全に論駁されておるわけです。非常に不当だと思うのですが、そういうところに通産省は目を向けていないとこれはたいへんなことになるんじゃないか。通産省としては、三井金属が現在のような態度をとっている限りはここで仕事を始めることを許可することはできないというほどきびしい態度をとっていただきたいと思うのですが、この点についてどういう考えでおられるか聞きたいのです。
  307. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 ただいま実施しておりますこれは三段階方式といいまして、まずその当該地域に対しまして非常に大ざっぱな概査をやるわけでございますが、ただいまの段階はその概査でございまして、これが普通三年ないし四年かかります。その中からさらに有望地域をしぼって精密調査に移るわけでございますが、これもやはり三年ないし四年かかるわけでございます。そのあと企業側がボーリング等を中心にして、これも普通三年ないし五年くらいやるわけでございまして、かりにこの地域の中で非常にいい鉱床が発見されたということになって開発になりますのは、したがってそのあとでございますから、だいぶ先ではございますけれども、しかし先生の御指摘のように、こういう問題のたまたま発生した地域でございますので、われわれとしては、調査それ自体何も金属の採掘でございませんので、現状の調査そのものには別に水源をどうこうするという問題はございませんけれども、やはり十分に細心の調査の方法をとるように指導いたしておりますけれども、かりに有望な地域であって相当先にこれを採掘するということになったといたしましても、これは鉱業法に基づきまして企業側から施業案を出させまして、施業案というのは通産局長と所管の監督部長との協議によりましてこれを認可するわけでございます。そういう認可をした上で、その採掘をさせるかどうかを決定するわけでございますし、そこに厳重にまたチェックすることもできるわけであります。いろいろ問題がある地域でございますので、十分にその点は配慮をしてまいりたい、こう考えております。
  308. 米原昶

    米原委員 あまり時間がありませんが、私、無過失賠償責任の問題についても若干聞いておこうと思うのです。ただし、この問題についてはすでに大石長官がほかの委員にもかなり答弁されております。ただ一、二点だけちょっと聞きたいのです。私たちの意見としては、無過失賠償責任の対象を、すべての公害、少なくとも公害対策基本法及び公害諸法に規定する公害すべてに拡大すべきだ、こういう考え方ですが、しかし長官のおっしゃるように、一定のものに限られるとして、たとえば一応排水に限るとしても、排出物のすべてを対象にすべきである、あらかじめ物質を限定すべきではない、こういうのが私たちの見解です。なぜなら、対象物質を幾ら指定して拡大しましても、その範囲は現在の科学水準によって有害とわかっている範囲にならざるを得ないわけであります。しかし、あらかじめ有害とわかっている物質によって被害を与えた場合は、それはすでに無過失とはいえないのじゃないか、もうすでにそれは過失なんだ、むしろそれは故意過失の領域であって、有害とあらかじめわかっていない物質による公害企業が結果的に責任を負うとするのが、すなおに被害者立場に立った無過失賠償責任考え方だと思うのです。そういう意味では、何か限定してしまわないでするのが正しいのじゃないかというふうに考えるのですが、この点どうでしょうか。
  309. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 無過失損害賠償責任の問題につきましては、長官から詳しい御答弁があったと思いますので、あまり私から加える必要ございませんが、ただいまのお話の筋は、一面そういう趣旨も理解できないことはないと思いますけれども、元来、過失なきところに責任なしという人類の英知によって国民が自由な活動ができるということを保障する、それが近代国家におきまして法律基本になっております。その例外をつくるものですから、その実際の害になる物質あるいは場合、そういう実態をとらえまして厳重に検討の上それを限定せざるを得ないのじゃないか。何もかも現在無害と考えられておるものまでもというところまで、法の理念から申しまして、それから実際の扱いから申しましても、そこまでいくのは無理じゃないか、こう考えられます。そこで、現在の科学知識をフルに活用いたしまして、どういう物質がはたして有害であるのか、あるいは特に疑わしいというので特定すべきであるか、こういうことは十分にやった上でやっていきたい、これ以上にはちょっと出られないのじゃないか、こういうのがわれわれのいま考えておるところでございます。
  310. 米原昶

    米原委員 その点でこういう点を考えられておりませんか。昭和十四年に制定された現在の鉱業法の無過失賠償責任の規定では、いわゆる公害ということで包括的な規定であって、決して物質を限定していないわけです。そうすると、これを限定するものにするということは、現在の鉱業法に出ている無過失賠償責任よりも一歩後退するということになるのじゃないか。この点なんですよ。私は、むしろ鉱業法で規定されているような考え方は、やはりそのまま生かしていいのじゃないかと思います。  それからもう一つは、この前も寺前君が質問したのに対する答弁ですが、公害病の潜伏期は一般にきわめて長いわけですから、無過失賠償責任の適用を法施行後の排出による被害に限定することは、特に健康被害に対しては効力を弱めるものじゃないか、これは過去にさかのぼって適用すべきではないかということを寺前君が質問しましたら、企画調整局長から法的に無理だという答弁があったわけです。しかし、少なくとも施行後の排出ではなくて、施行後に発生した被害については適用できるはずであると思うが、この点はどうか。この点も現在の鉱業法では、施行後の排出でなくて、施行後に発生した被害に適用できるようになっているわけです。この点も、この前の局長の答弁のようだと、逆に新しい法律が鉱業法より後退することになる、この点をどう考えておられるか聞きたいわけです。
  311. 小澤太郎

    ○小澤政府委員 鉱業法の場合は、たしか鉱業法が施行されたのは明治三十何年ですか、今度無過失損害賠償責任が明記されましたとき、そのときすでに遡及しているということは鉱業法でやっております。御承知のとおりでございます。そういう関係もありまして、現在起こっておる被害というものをさかのぼってやることもたてまえ上できるような姿になっております。しかもそれは限定されておりますけれども、そういうような関係であろうかと思います。  それからもう一つは、鉱山から出るものの物質についての制限がないということでございますが、そのこと自体が一つの工場から出るものということで限定されておるわけでございますから、これは一種の限定があるわけです。ところが、そのほかのいまわれわれの問題にしております大気汚染のごとくなかなかその限定がしにくいという問題もございます。しかし限定はできるだけ広く入れたいという努力はいたしますけれども、そういうような問題、それからかりに法律が出ましても、それ以前のものについて遡及するということにつきましては、これは法理論でいろいろ問題があると思いますので、これは十分検討に値することだと思いますが、いままでの私どもの研究の範囲内ではいささか無理じゃないか、このように思っております。
  312. 米原昶

    米原委員 もう時間が来ましたから、あと挙証責任の転換その他の問題を聞こうと思っておりましたけれども、また別の機会に質問します。      ————◇—————
  313. 小林信一

    小林委員長 これより請願の審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は一件であります。  北上川水質汚濁防止に関する請願を議題といたします。  本請願の内容につきましては、請願文書表等によりましてすでに御承知のことと存じますが、さらに先刻の理事会において御検討いただきましたので、紹介議員よりの説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。  北上川水質汚濁防止に関する請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  315. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました本請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  316. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  317. 小林信一

    小林委員長 この際、御報告申し上げます。  本委員会に参考のため送付されました陳情書は、中小企業公害防止対策に関する陳情書外一件でございます。念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  318. 小林信一

    小林委員長 次に、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  細谷治嘉君外七名提出環境保全基本法案細谷治嘉君外八名提出公害に係る被害救済に関する特別措置法案、及び細谷治嘉君外八名提出公害紛争処理法案並びに公害対策に関する件、以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  319. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が本委員会に付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  320. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の人数、氏名、派遣地、期間及び所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  321. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中審査のため、委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  322. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十四分散会