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1971-07-23 第66回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 大竹 太郎君 理事 加藤 六月君    理事 田中 榮一君 理事 丹羽 久章君    理事 後藤 俊男君 理事 坂井 弘一君    理事 河村  勝君       荒木萬壽夫君    唐沢俊二郎君       佐藤 守良君    斉藤滋与史君       中村 弘海君    野中 英二君       古屋  亨君    山下 徳夫君       長谷部七郎君    横路 孝弘君       宮井 泰良君    東中 光雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   中村 寅太君  出席政府委員         総理府総務副長         官       砂田 重民君         運輸政務次官  佐藤 孝行君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         気象庁長官   高橋浩一郎君         建設省道路局次         長       吉田 泰夫君     ――――――――――――― 七月二十一日  交通安全対策強化等に関する陳情書  (第七八  号)  交通安全対策確立に関する陳情書  (第一一八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  交通安全対策に関する件(航空交通安全対策  に関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  この際、中村国家公安委員長佐藤運輸政務次官より、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。中村国家公安委員長
  3. 中村寅太

    中村国務大臣 私は、先般の内閣改造に伴いまして国家公安委員会委員長を命ぜられましたが、時局非常にきびしいおりから、その責務の重大さを痛感し、懸命の努力をいたして国民の負託にこたえたい所存でございます。  委員長はじめ委員皆さま方には、平素から、警察行政における交通施策につきましては多大の御尽力をいただいており、感謝にたえないところでありますが、今後とも格別の御指導と御協力を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。(拍手
  4. 伊藤卯四郎

  5. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 先般の内閣改造において運輸政務次官を拝命いたしました。浅学非才でございますが、全力を尽くしてその職責を全うしたいと思います。委員各位の御指導のほどをお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  6. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件につきまして、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会審査案件が付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の人選、派遣期間派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  10. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私は、運輸省所管に対する航空関係に対してお尋ねいたしたいと思います。  新しい運輸大臣が任命されましたので、運輸大臣に、特に心がまえと申しますか、最近の事故問題等々についてお尋ねいたしたいと思いますけれども、まだ運輸大臣おいでいただかないようであります。そこで、きょうは、ただいまごあいさつしていただきました佐藤次官においでいただいておりますので、佐藤次官にお聞きをいただき、専門的な面につきましては、大臣がいらっしゃるまで、事務関係の方に御答弁をいただきたいと思います。  昭和四十一年、いまからちょうど五年前でありますが、五年前には私どもにとっては忘れることのでき得ない航空事故の悲しみが引き続いて、四大事故と申しますか、大きい事故が四つあったことは御存じだと思います。まず第一に、二月の四日に全日空ボーイング727が羽田沖で墜落して、百三十三名というとうとい生命を失いました。次いで、一月たった三月四日の日に、カナダ太平洋航空ダグラスDC8が羽田空港着陸失敗によって、六十四名死亡し、八名がけがをした、こういうニュースであります。さらに、あくる日の三月五日に、英国海外航空ボーイング707が富士山付近で墜落いたしまして、百二十四名死亡いたしました。そしてその秋の十一月の十三日には、松山空港全日空YS11が墜落して、五十名死亡した、こういう悲しむべき事故、これが世にいう四大事故ということになるわけであります。そのときには、日本じゅうあげて、航空機というものがこんなに事故があるということは、一体どこに原因があるだろうかということが世論の中心になったのであります。運輸省航空関係におきましても、慎重にこれに対して検討をせられて、そして互いが心を引き締めて、今日まで五年間はほとんど無事故だといってもいい大きな成果があがってきたわけであります。  ところが、先日起きました「ばんだい号」の事故考えてみますと、そうした大きい事故あとに心を引き締めたけれども、少し時日がたってくるとその気持ちがゆるんだのではないかというような感じがしてくるのでありますが、この点について、そういうことはない、ないとするならば、今度の事故は何に起因するのか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  12. 内村信行

    内村説明員 ただいま先生からのお話ございましたように、航空事故というものは、昭和四十一年以来、大きな事故はなかったわけでございます。にもかかわりませず、今回また人身事故が起きましたことは、私どもといたしましては、たいへん残念に存ずるわけでございます。と同時に、その行政の衝をあずかる者といたしまして、まことに申しわけなく思っております。この席を拝借いたしまして、心からおわびを申し上げたいと思います。  そこで、この事故原因でございますけれども、これについては、事故調査委員会がさっそく設けられまして、現在現場の調査を済ませまして、鋭意原因を探究いたしております。きょうまたその委員会を開くことになっております。そういうことで間もなく判明すると思います。なるべく早い機会にこれを明らかにいたしたい、こう思っております。しかし、私どもといたしましては、その事故原因の結果を待つまでもなく、さしあたりいますぐでも何らかの対策を講じなければいかぬというふうに考えておりまして、先般七月十六日に対策本部の決定をいただきまして航空安全緊急対策要綱というものをつくりまして、七月二十日の閣議にも御報告申し上げたわけであります。  そこで、先生の御指摘によりまして、その内容をあらまし御報告申し上げたいと思います。  まず第一に、定期航空会社にさっそく立ち入り検査を行なうことにいたしました。それで、まず東亜国内航空には現在立ち入り検査をやっておる最中でございます。なお、今後さらに必要と思われます場合には、ほかの全日空及び日本航空にも立ち入り検査といったことをすることにいたしております。  それから、あと航空保安施設の、たとえばVORとかDME、そういったものを緊急に繰り上げまして、本来は五カ年間でやるところを三カ年くらいでやるということ、それから航空保安業務に必要な要員確保する、それから航空機の機上の機器を整備するというようなこと、さらに乗員養成強化いたしまして、日本人パイロット養成を強力にはかってまいりたい。  さらに、事故調査体制につきましては、従来からもしばしば御議論ございましたが、今回の事故にかんがみまして、政府常設事故調査機関設置するということで、現在その内容その他につきまして検討しております。  それからさらに、航空保安体制整備してまいりますために、行政機構というものもやはりこの際整備する必要があるのじゃないかといったようなことを考えまして、今後それに沿って進めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいま航空局長から、事故発生と同時に、原因究明について、慎重にこれに対して研究を続けながら、今後事故が起きないようにいろいろと調査をしているということですが、まずそれはその問題としてけっこうだと思いますが、もう少しこまかい点について触れてみたいと思いますけれども、ただいま運輸大臣がおいでいただきましたので、運輸大臣のごあいさつがあるようでございますから、先に運輸大臣のごあいさつを願うことにいたしたいと思います。     —————————————
  14. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 丹羽運輸大臣より発言を求められておりますので、これを許します。丹羽運輸大臣
  15. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 丹羽先生質問中恐縮でございます。  このたび運輸大臣就任いたしました丹羽喬四郎でございます。  交通運輸国民生活に密着するところがきわめて大きく、運輸行政に対する社会的要請広範多岐にわたっておりますが、安全の確保事故未然防止はあらゆる運輸サービス基本であり、その実現が強く期待されていることは、言うまでもないところであります。  去る七月三日、東亜国内航空機事故発生し、多数の人命が失われたことは、まことに心痛にたえない次第であります。犠牲者及び御遺族方々に心から哀悼の意を表しますと同時に、かかる重大な時期に運輸大臣就任し、運輸行政を担当することになりました責務の重大さを痛感しておる次第でございます。  とりあえず、今回の航空機事故に関しましては、御遺族方々に対する補償につきまして万全を期するとともに、東亜国内航空YS11A型機事故調査委員会を通じてその原因早期究明につとめ、さらに、空港における保安施設等整備を繰り上げて実施する等、航空機事故防止に万全を期する所存であります。  今後、陸海空にわたり総合的なる交通安全対策を強力に推進する所存でございますが、特に常設事故調査機関設置車両等輸送機関安全基準強化踏切道整備海難救助体制の増強、被害者救済制度充実等につき、施策確立実施推進にあたりたいと考えております。  今後、委員会皆さまの御協力をいただきまして、国民の期待にこたえ得る行政を推進してまいりたいと存じますので、何ぶんともよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。     —————————————
  16. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 引き続き質疑を続行いたします。丹羽久章君。
  17. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣、御就任になりましてたいへん御苦労さまでございます。率直にお尋ねをいたしたいと思います。許された時間が非常に短うございますので、私も端的にお尋ねいたしますから、大臣にも端的にお答えいただきます。  過日の「ばんだい号事故に関連して、政府対策について私はお伺いをいたしたいと思います。大臣就任早々事故の連続で、さぞ御心痛のことと思います。私どもも、国民立場に立って、こういう事故はどうして起きたのだろうという疑問を持ち、こういう事故のないことを非常に心から願っておるものでありますが、残念ながらこのようなことになりました。そこで、先ほど航空局長にもちょっとお尋ねいたしましたが、昭和四十一年という年には、四大事故という大きな事故があったわけであります。それからきょうまでの間、その一年を区切ってその後五年間というものは、ほとんど事故がないといってもいい非常に恵まれた成果をあげてきたのです。この四大事故のときには、ずいぶんきびしく、そうして業者も真剣に考えて、役所側も監督をきびしくせられたようであります。しかし、五年も年月がたってくると、心もゆるみ身もゆるみ、すべての航空事業のあり方というものが、最近は利益追求に走っているというような感がある。安全ということがやや忘れられておるようなことを感じております。この点について大臣はどうお考えになっておりますか。
  18. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問でございますが、航空行政の一番の基本は、やはり安全を確保する、これが一番の基本になると確信をしておる次第でございます。したがいまして、利益追求も、安全確保があって初めてできる次第でございまして、あらゆる問題につきまして人命尊重安全確保ということをまず優先しなくてはならないと思う次第でございます。私は、この事故が起こりました直後におきまして、三社の首脳陣を招致いたしまして警告を発した次第でございますが、事故がしばらくなかったからといって、やはり心のゆるみというか、注意力の欠如というものが今日を来たしたのではないか。実際の問題は、いま事故調査委員会におきましてその原因を追及中でございますので、どこにあるかということがまだはっきりいたしておりません。しかし、そういう点につきましてこれからも戒心をして、いやしくも事故を起こすようなことのないように、少しでもあぶないようなことがあれば運航を中止するというような態度でもって臨まなくてはならぬというようなことで、強く警告を発してまいった次第でございまして、それをこれからの航空行政基本として進めたいと思う次第でございます。
  19. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 この事故にあたりまして、先週、大臣みずからが本部長になられまして、東亜国内航空機事故対策本部というものができたようであります。これに対する航空安全緊急対策要綱を決定されたと聞いておりますが、その概要について、特にこの点についてはやらなければならぬということについてお尋ねいたしたいと思います。重点的にはどのようなことを緊急対策要綱のうちにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  20. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 まず、現実の航空三社の業務、ことに事故を起こした東亜国内航空会社の経営がほんとう安全対策に適しているようになっているかどうかということを把握することが一番先でございまして、直ちに立ち入り検査を実施させまして、ただいま続行中でございます。それにおいて実態を把握するということが一つ。それから、われわれ政府側といたしましては、四十六年から五カ年にわたります空港整備の五カ年計画を、少なくとも航空安全の保安施設に対しまして、あるいはまた長距離監視レーダであるとか、VORであるとか、そういうような機械施設整備というようなものを早急に三年間で実施するように、本年から直ちに編成がえをさせまして、おのおのの部署に命じましてこれを直ちに実施するようにいたしておる次第でございます。また、管制官その他の要員の不足に対しましても検討をいたしまして、これらの人員確保というようなことに力を入れておる次第でございますが、まず何よりも、先ほど先生おっしゃられました注意力の喚起を日常常にしているということが大切であります。それゆえに、それらの首脳部を招致いたしまして、細部にわたりましてこれがほんとう現業員に徹底するように要望いたしている次第でございます。
  21. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣就任せられまして、この事故に対して遺憾の意を表せられ、直ちに対策本部を設けられ、みずから本部長になられ、これに対する対策について今後十分な検討を加えていきたいというその決心のほどは、私は非常に感銘深く思うのであります。乗客になると同時に生命はすべて飛行機に託するわけでございます。そうした点を十分に考え運航していただかないと、一人残らずと言ってもいいくらい——いままでの事故の例から申し上げても、ほとんど助かる人というものはございません。飛行機事故というものはとうとい生命を失っていくことであります。ひとつ任期中、事故のないような対策を陣頭に立って十分御指導していただきたいと心からお願いいたすわけであります。  そこで、これは事務的な関係になりますけれども局長にお尋ねいたしたいと思います。  対策要綱のうち、航空保安施設整備についてでありますが、これは前からそういうことがすでに叫ばれておりましたし、さらに、御承知のとおりに、四十一年にはこういうような問題がきびしく取り上げられまして、そこの中でいままでこれを整備していくためにどのような計画を持って進めてきたのか、また今後もどういう方向で進めていかれるのか、これは専門的な立場に立って、時間がありませんから、簡単に説明をしていただきたいと思います。
  22. 内村信行

    内村説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  まず、昭和四十六年度を初年度といたします第二次五カ年計画、これにつきましては、先ほど大臣からお話し申し上げたとおりでございます。このたびにおきまして、空港及び航空路における航空保安施設につきましても、大体五百数十億をめどといたしましてこれをつくってまいりたいというのが、従来の計画でございます。そこで、この計画によりますと、具体的に申し上げますと、VORあるいはDMEというような航空保安施設を五カ年で約十九カ所くらいつくりたいというふうに申し上げておりました。今度こういう事故が起こりましたのを契機にいたしまして、大臣の命もございまして、この航空保安施設設置計画を繰り上げまして、先ほど申しましたように、約十九カ所三年間——前半の三年間で完成するというふうに計画を変えております。  それから、さらに航空監視レーダーにつきましても、従来の考え方では、大体五カ年間で四カ所を整備いたしまして、さらに、二カ所につきましては五カ年内に着工いたしまして——五カ年内には完工はできないというふうなことでございましたが、今度これをさらにピッチをあげまして、この六カ所全部が五カ年間に完了する、したがいまして、五カ年たちますと、北は北海道から南は沖繩に至るまで、全部の航空路航空路監視レーダーによってカバーできる、このようなかっこうになるわけであります。このように計画を変更いたしたわけでございます。  以上でございます。
  23. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣がお帰りになるようでございますので、一点だけ聞いておきたいと思います。  航秀需要伸びは、非常にたいへんな伸びをいたしておるわけでありますが、率直に申し上げまして、いろいろ施策だとか対策だとかおっしゃいますけれども、どうも伸び反対的——というよりも、後手後手に回っておるように感じられるわけなんです。だから、これから考えていただく上において、航空関係には、金はあるけれども人手が足らないというような問題が起きておるようでありますが、こういうような問題についても、大臣がこの事故対策本部長になられましたので、これから何を中心的に考えて今後の航空問題を進めていこうと考えておるか、大臣決意を伺いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  24. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、いろいろ航空交通に対する需要は非常にふえておりますが、それに対して空港設備あるいは保安施設というものが実はなかなかに追いつかぬというのが実情になってまいっております。これは航空だけでなくて、あらゆる輸送問題につきましていろいろそういう社会資本の投下がおくれているということが言えると思うのであります。ことに、事航空に関しましては、先ほども指摘がございましたように、万一事故が起こりましたならば、とうとい多数の人命を一瞬にして失う一大悲惨事でございますので、何と申しましても安全運航が第一ということでございまして、この安全運航を第一といたしまして、それにいささかでも懸念があるというような場合におきましては運航を停止させるというくらいのつもりで今日臨んでおる次第でございます。先般三会社の社長を呼びましたときも、ちょっとでもどうかというようなときには絶対に中止をするように、それを操縦士はもちろん、ディスパッチャーにも十分伝えてやってもらいたいということを言っておる次第でございます。今後ともその方針でいきますとともに、いまお話がございましたあるいは操縦士養成あるいは管理要員養成等につきましても、できるだけの措置をとってまいりたい、できますならば、今年度のすでにきまりました定員におきましても、調整人員を割愛してもらって、それで至急ふやしてやっていきたいということで、もうすでにただいま行政管理庁、大蔵省とも折衝中でございますので、よろしく御鞭撻のほどをお願いいたしたいと思います。
  25. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうもありがとうございました。大臣、それでは、その心がまえでやっていただくことをお願いいたします。どうも御苦労さまでした。  時間がありませんので、運輸省関係航空局はこの後に質問いたすことにいたしまして、建設省にお尋ねいたしたいと思いますが、建設省いらっしゃいますか。
  26. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 見えております。
  27. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 建設省のどなたですか。
  28. 吉田泰夫

    吉田説明員 道路局次長でございます。
  29. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 最近各地で豪雨のために一般国道事故が相次いで発生しておりますが、特に国道百五十号の大崩海岸の事故、二百五十号の相生地区の土砂くずれ事故等の災害の概要をお聞かせいただきたいと思います。
  30. 吉田泰夫

    吉田説明員 国道百五十号、二百五十号と相次いで事故を起こしまして、まことに残念に存じております。  まず、百五十号の事故は、静岡市の石部という地区発生いたしたものでございまして、路面の上のほう、がけの三十メートルないし七十メートル上の山腹から約三千立方メートルの岩石が崩落してきまして、それが、設置されておりました落石おおいの、洞門といっておりますが、これにぶつかりまして、これをこわして海になだれ込んだ、そのために、走行中の車両が埋没し一名が死亡したという事故でございます。  この被害個所は、土質といたしましては玄武岩を主体とした急斜面でございまして、そこに不連続面があったために、事故発生の数日前から降り続いておりました雨水が浸透してたまっておって、一挙に地すべり状の滑落、すべり落わる状態を生じたものと考えられております。  次に、一般国道の二百五十号は、日をおかずして兵庫県相生市内で起こったものでございますが、これはきわめて局部的な非常に激しい集中豪雨がございまして、現地は、傾斜角度にして約二十七度程度の、きわめてゆるやかな自然の勾配のままの山腹であったわけでございますが、この斜面の上のほうから約二百方立メートルの土砂が、自然にはえておりました樹木とともに崩落をいたしまして、そこにとまっておりましたバス一台、乗用車三台にぶつかり、反対側約二十メートル下の畑に転落いたしまして、死亡四名、重軽傷五十名という事故を生じたものでございます。     —————————————
  31. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 この際、砂田総理府総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。砂田総理府総務長官
  32. 砂田重民

    砂田政府委員 砂田重民でございます。このたび総理府総務副長官に就任をいたしました。  陸海空にわたります交通の安全の問題は、緊急かつ重要な時期を迎えておりますので、懸命につとめてまいりたいと決意をいたしております。  当委員会先生方の御指導、御鞭撻、また御叱責をどうぞよろしくお願いをいたします。  ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  33. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 次長にちょっとお尋ねいたします。  一応事故の形態をお聞かせいただきましたが、ただいまの説明でいきますと、特に国道百五十号線の大崩地区は、過去においても落石、土砂くずれの多い危険区域であったと聞いておりますが、この点はどうですか。
  34. 吉田泰夫

    吉田説明員 おっしゃいますとおり、過去においても落石等の事故の多い地区でございまして、このために防災の工事などを鋭意進めていたところでございます。
  35. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 条文的なことを申し上げるのではありませんが、当然のことだと思いますけれども、道路法の四十二条に「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。」というのがありますね。このような法的根拠に基づいて十分やっていらっしゃったか、どうでしょう。
  36. 吉田泰夫

    吉田説明員 先ほど申し上げましたように、石がぱらぱらと落ちてくるというようなことが非常に多かったものですから、これの防止、あるいはそういうものが落ちてきた場合でも安全なようにということで、のり面をモルタルでおおったり、あるいは落石おおいのための洞門を設置するなど、計画的に事業を実施してきたものでございますが、今回のような大規模な崩落を防ぐほどのものができていなかったことが今回の事故に結びついたわけでございまして、この点は、いまから見れば、あの程度ではとても足りなかったということがわかり、反省している次第でございます。  今後のあの道路の復旧のしかた、あるいはバイパスの建設の促進等については、あらためて検討し、完全なものにしたいと思っておりますが、あの地区につきましては、過去の経験から見ましても、一応いままでやっていた程度のもので維持、修繕の道路管理を実施してきたものと当時は考えていたものでございます。
  37. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 あまり追及しようという考えではありませんけれども、こういう仕事をするについては、地質というもの、地質層と申しますか、これを研究に取り入れて、雨量強度をどの程度まで、何ミリまでもつかということも計算に入れて仕事をしていかなければならぬと思います。これが、設計者であり監督者である建設省の責任だと思います。事故発生してから反省してみるなんというようなことではどうかと思う。それは、あの雨があなた方の設計基準よりもたいへん上回った、予測だにしなかった雨量だとするなら、やむを得ないということになりますが、その点どうでしょうか。
  38. 吉田泰夫

    吉田説明員 あの雨量そのものは予想し得ないような数字ではございませんが、また、あの路線、あの地区全般にわたりまして、部分的に鉄砲水が流れ落ちてぐるとか、そういった意味では大きな崩落もありそうだという場所もあり得るわけでございます。ただ、現にくずれましたあの場所は、特にそういう沢の状態にもなっておらず、むしろ山が張り出しておったようなところでございますので、モルタルの張りつけによるのり面の保護をいたしますと同時に、ある程度の落石はあるかもしれぬという想定で、それの保護覆工を行なったということでございまして、確かに御指摘のように、さらにあの辺の地質なり、すべり面の状態というものを詳細に検討する必要があったと考えております。
  39. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 沢の流域面積から考えてみますと、暗渠だとか水抜きパイプだとかいうものに工事の手抜かりというものは、どうでしょうか、原因を追及せられて、あるように感じられますか、その点はどうですか。
  40. 吉田泰夫

    吉田説明員 水抜き工事をしていなかったのじゃないかという報道もあったようでございますが、調べましたところ、水抜きの工事は一応いたしております。ただ、確かに、数日間降り続いた雨がそのままたまり込んで一挙に出るというのをはかせるというほどには十分ではなかった点が、水抜きの不足ということにつながったものと考え  ております。
  41. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 建設省として、この工事に対してはもっと完全な工事をしておかなければならなかったという責任は感じていらっしゃるか、どうでしょう。
  42. 吉田泰夫

    吉田説明員 おっしゃるとおりでございます。
  43. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 わかりました。  そこで、私は、もう時間がありませんから、この問題はこれで一応終わりますが、昭和四十三年に飛騨川でバス事故がありまして、百四名というとうとい命を失ったわけであります。このときを契機としまして当委員会にもいろいろの問題を提起しまして、国道に対する、くずれ、岩石の落ちてくるものの防止というようなものについて徹底的にやろうというようなことで、いろいろと決議をいたしたことを記憶いたしております。特に建設省の中部建設局では、これに対して、あの一帯、中部地建が担当している地域についても、五十億からの金をかけて重点的に悪いところを調査して、今後そういう事故のないようにということで進められたようでありますが、全国的にも、そうした方向で、悪いところは十分検討してそしてそれに対する対策をするということのようでありましたが、その後そのような対策ほんとうに行なわれておるのかどうかということ。雨の降るときにおいては、測候所のほうと十分な連絡をとり、そして警察とも連絡をとり、パトロールをし、そしてその危険を防止して、再びそういう事故のないように考えていくということがかたく約束せられ、法律上にもそういうようなことが明記せられておったにもかかわらず、こういう事故が起きましたことは、全く残念であります。現在そうした方向に基づいて着々とこれに対する予算を計上しながら、さらにその方向において徹底的に仕事が進められておるかどうか、この点について、次長、どうでしょう。
  44. 吉田泰夫

    吉田説明員 昭和四十三年の飛騨川事故の際に、当委員会におきましていろいろ御質疑をいただき、御決議をいただいた項目が幾つかございます。その線に沿いまして、四十三年以後、心を引き締めて、一つには、道路の防災工事を、従来は微々たるものでございましたが、直轄、補助ともに格段に増額いたしまして、以来本年度に至るまで毎年相当の事業量を伸ばしてきておるわけでございます。一方、一挙に防災工事が完成いたしませんので、その間のつなぎといたしまして、あるいはその防災工事でも防げないような異常気象に対処するために、まず気象状況の把握及び一般通行者への迅速な伝達のためのいろいろな制度、たとえば道路モニターの委嘱とかパトロールの強化とか、あるいは中央、地方建設局、あるいは財団法人等の新設によりまして、そういった道路情報を迅速的確に流す、ラジオあるいは電話照会によって流すというような方法等も講じてきたところであります。そして、危険と思われる場合にはいち早く交通を規制するということであったわけでございますが、それにもかかわらず、今回のような事故が起こりました。いろいろ休日におけるパトロール体制の不足とか、そういった事態もございますので、この点もあわせまして、前回の飛騨川事故以来の教訓に加えて、さらに事前の情報の把握、それが現場の交通規制等に的確に早急に具体化するという方策を強力に進めたいと思います。それから、防災工事につきましても大幅にやっていたつもりでございますが、なおかつ未処理の個所が残っておりますので、これを早急に完成するとともに、今回新たに危険度合いの基準をもう少し真剣に現地に即して考えた上で、全国的に危険個所をもう一度洗い直し、おそらくは相当個所がふえると思いますが、そういった新たな個所につきましても防災工事を進めてまいりたいと考えております。
  45. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 最後に申し上げておきたいと思いますが、町村道は町村が責任を持ち、県道は県が責任を持ち、そして国道建設省が責任を持っていただくことによって、そこで初めて通行人が安全にして心配なく通れるということになるわけであります。最近の事故を見ておりますと、国道で一番そういう事故が多いようであります。私は率直に申し上げて、毎年毎年、量の多い少ないは別にして、雨の降ることは現実の問題で、梅雨どきになれば危険事態が訪れてくることは当然のことであります。そういうときに対する心がまえというものがあって初めて事故が防止できるということになるわけであります。また、常に事前に調査の必要があろうと私は思います。そういう意味から、相当金もかかるであろうけれども事故が起こってからあわててあれをする、これをするというようなことでなくて、すでに飛騨川の当時から論議をせられてきた、国道そのものに対する管理面というものは厳重にやろうということは、あなた方が真剣に取り組んで言われたことである。それが法律によって制約せられてきたのであるから、一そう厳重に監督をし、工事に対してもいい工事をしてもらう、再びこういうような事故発生でき得ないように模範的姿勢を示していただきますことを心からお願いいたしたいと思います。  これで私の質問は終わりますが、私はきょうは建設大臣においでをいただきまして建設大臣心がまえを聞きたいと思いましたけれども局長も御都合が悪く、次長御出席でありますが、次長でけっこうだと思いますから、どうぞひとつ、省へお帰りになりましたら、私の意見を十分聞いていただきまして、そしてしっかり事故のないような体制を整えていただきますことをくれぐれもお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  46. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 河村勝君。
  47. 河村勝

    ○河村委員 十分だけ時間をいただきましたので、先般来の航空機事故について一点、それから道路事故について一点だけ疑問の点をお尋ねしたいと思います。  一点、「ばんだい号事故の直後に運輸委員会で私がお尋ねしたことに関連するのですけれども、そのときに、フライトプランを決定する際に、気象状況については運輸当局は一応ノータッチであるという御返事であったので、それではあまりにも無責任であるということで不審を抱いてお尋ねをしたところが、気象状況について一定の安全基準をつくっておいて、その安全基準のワク内である場合には、自由にディスパッチャーと機長にまかせる、安全基準を越えるものについては、それをチェックして飛ばせないんだ、こういう説明であったわけですね。そうしたところが、その後になりまして、再度、十九日の夕方、日航の羽田発千歳行きのジェット機が雷雲に突っ込んで、それで頭部をだいぶ損傷するという事故が起こりましたね。この場合は、一体、安全基準というものがあるならば、そのワク内であったのか、外であったのか。聞くところによりますると、ある便は欠航し、ある便は出ていってしまったというような状態であるように思われるけれども、その辺は一体どうなっているのか、それを伺いたいと思います。
  48. 内村信行

    内村説明員 まず第一に、フライトプランと、それからミニマムの関係を御説明申し上げますと、私も知識が不十分でこの前の説明が舌足らずであったかと思いますが、ミニマムというのは、当該飛行場についてのミニマムでございます。たとえば、この飛行場についてはNDBがあるから、したがって、視程がどれくらいで、雲の高さがどのくらい以上なければおりてはいけないというふうな、その飛行場についてのミニマムでございます。これは客観的にきめられておりまして、航空路誌にきめられているわけでございます。したがいまして、これは航空路誌で発行されておりますから、これを見ればいずれもわかるということであります。  それからフライトプランと申しますのは、航空パイロットが出発に際しまして、ディスパッチャーと相談した上で双方の意見が一致した場合にそれを出すということになります。その場合に、フライトプランの内容と申しますのは、飛んでいく飛行機の出発空港、出発予定時刻、それから飛行経路あるいは高度、それから到着飛行場の到着予定時刻、それから代替飛行場というようなものを書きまして、それを航務課のほうに出すわけであります。そうすると、航務課のほうでそれを形式的にチェックいたしまして、必要記載事項は全部書かれておるかどうかということを全部チェックいたしました上で、これが有視界飛行の場合でありますと通報だけで足りるわけでございまして、これは目的の飛行場に送ります。それから計器飛行の場合には管制部の承認が要りますので、これを管制部のほうに送るわけでございます。そういたしますと、管制部のほうでフライトプランを見ましてこれを承認すべきものは承認する。その承認の基準が何であるかということが問題であるかと思います。その場合に気象上の判断というものが入るか入らないかということでございますけれども、これはやはり気象上の判断はその際いたしておりません。たとえば、もっぱらフライトプランの目的と申しますか、まず管制の指示、承認というものを与えるためのことである。つまり、そういう航空交通管制という空の交通整理、これをするため、それが一つ。もう一つは、万一これが行くえ不明になった場合に、捜査体制にすぐ入れるという二つの目的を持って出すわけであります。したがって、計器飛行の場合に管制部でクリアランスを与える場合には、これは交通整理の観点から、ただいまこの高度ではこれだけの飛行機がいるから、いま出してよろしいとか、ここは非常に混雑しているからこっちにしましょうとか、もっぱら、セパレーションと申しますか、交通整理の観点からこれを与えるというようなことであります。ただその場合に、フライトプランが出ました場合には、先ほど、航務課で一応形式的な審査をすると申し上げましたけれども、その際に、当然客観的にきまっている——たとえば東京から札幌へ飛ぶ場合に、札幌のミニマムというものが、当然ミニマムよりも以下であるという場合には、これはぐあいが悪いですよということを申しますし、それから代替飛行場の場合には、きめられたミニマムよりも低い場合には、代替飛行場はミニマムより低いからだめですというようにしてこれは受けていないというふうなことになると思います。その辺が非常に複雑でございますけれども、フライトプランといわゆるウェザーミニマムとの関係でございます。  もう一回申し上げますと、ウェザーミニマムというものは、当該飛行場について客観的に存在するものであるけれども、これはフライトプランの内容にはなっておりませんで、フライトプランは、飛行経路、高度、その他いわゆる交通整理の観点からこれをクリアランスしているのが実態でございます。
  49. 河村勝

    ○河村委員 いろいろおっしゃったけれども、要するに、行き先の到着飛行場、そこに対する気象上のミニマムはあって、一応チェックするけれども、途中の気象については一切運輸当局は関知しない、こういうことですか。
  50. 内村信行

    内村説明員 これはこの間河村先生から御質問がありましたので、いろいろ調べてみました。そういたしますと、気象上の判断をどうするかということは、もっぱら機長の責任になっておるようであります。これは外国においてもそういうようなことでありまして、管制官は、航空路上のいろいろな気象の動きというもの、そこまで知悉し得ない、そこまで気象上の問題について責任を負わせることは、管制官業務からして非常に無理であろうというふうなことが実情のようでございます。かといって、気象上どうするかと申しますと、あらゆる気象上の関係の官署が出ておりまして、その気象の状況というものは必ず関係空港へは参る、その気象のデータをもってディスパッチャーと機長とが審査をして、ブリーフィングをいたしまして、その結果、これは飛ぶべきか飛ぶべきでないかをきめる。したがいまして、機長あるいはディスパッチャーに気象上の知識がないということでは困りますので、国でもって機長なり、ディスパッチャーの試験をする場合に、十分にそういった資格を受けとめられる者についてのみ許す、的確に試験をいたしまして、それをチェックする、認めた者については、その両者の合意によって済ませるというようなことが行なわれておるようであります。
  51. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、結局は、この前は、気象状態については最終的には運輸当局がチェックする、危険な場合には押えるという権限もあり、実際やっているのだというふうな答弁であったけれども、そうではないわけですね。そうなんでしょう。だから、そうでないということだけきょうは確認をしておきます。時間がありませんから、これはいずれもう一ぺん、どうすべきかについては伺いたいと思います。  それから道路のほうで一点だけ伺います。  国道百五十号線の大崩海岸、静岡市と、それから二百五十号線、相生市と、二つ続きましたね。いただいた資料によりますと、建設省では通達を出して、台風、豪雨等異常気象時においては特別にパトロールを実施するよう指導している、こういうような資料なんですね。ほんとうに実際にそうであるならば、こういう大崩なんという名前でも象徴されるように、こうした危険の多い道路については、警戒個所というものは大体きまっているはずですね。ですから、パトロールであるとか、あるいはそういう異常なものについては警戒の予定配置、そのくらいのものはしておくべきであって、もしそれをやっておれば、こうした土砂崩壊は避けられないけれども、車ごとつぶれて人がなくなるということはないはずなんです。その点は一体現実にはどういうふうに指導して、どういうやり方でやって、それをどうチェックしているのか、それだけひとつお聞かせいただきたい。
  52. 吉田泰夫

    吉田説明員 御指摘をいただきましたように、百五十号の現地におきましてパトロールの体制が弱かったために、このたびの事故発生するということに至った面もあるのでございますが、ただ、この場合は、雨が降り続いておりました間には、二、三日に一回程度パトロールは実施しておったわけでありまして、雨がやみましてまる二日たった後の事故でありまして、やんだあとの、事後の点検が足らなかったものと考えられます。  過年の大きな事故にかんがみまして、パトロール体制を固め、特に異常気象時における危険個所——仰せのとおり限られた場所でありますので、そういう場所については、そのときとその事後におけるパトロールをさらに強化すべきであったわけでございます。言いわけになりますが、なかなか一朝にして少ない人員、機材を大幅に増大して危険個所の密度の濃い点検ができなかったということでございまして、今回の事故にかんがみまして、そういった管理体制の強化によって防げる事故というものが非常に多いと考えられますので、少なくとも今後はこのようなことのないように、かりにくずれるような場合でも、交通どめは事前に励行できるような体制をぜひともとりたいと考えております。
  53. 河村勝

    ○河村委員 時間がないからやめますけれども、いまあなたもおっしゃった、雨がやんだ二日後の事故であったから何か避けられないようなことでありましたけれども、さっきも説明を聞いておりますと、要するに、一種の表層なだれみたいなものですね。地すべり的な上砂崩壊ですね。そういうものは雨が降ってゆるんで落ちてくるのだから、雨がやんだからいいのだというものでは本来ないので、それはしろうとならそうかもしれぬけれども、およそ道路の管理者であれば、そういうことを考えるはずはないですね。別段、人間をぞろぞろ置けという意味ではなしに、ほんとうに的確に場所を把握し、異常な気象が続いたときあるいはそのあとであれば、そこは当然警戒しておくべき場所なんですね。その辺は通達など出しているかもしれぬけれども、現実にそういうことがさっぱり行なわれていない証拠だろうと思うのです。これもきょうこれ以上伺っているひまはありませんが、一つだけそうした地質的に条件の悪いところ、そういう地すべり的な土砂崩壊の起こりやすいところには、土圧を測定する、地すべりを予測するような機器もありますね、そういうものは一体どの程度に準備をし、配置しておられるのか、それだけを最後に伺っておきます。
  54. 吉田泰夫

    吉田説明員 地すべりとこのたびのような土砂の崩落とに分けて考えますと、地すべり地帯における地すべりにつきましては、やや的確にその予知ができそうな自動警報装置、電線を現地に張っておき、それをもよりの道路管理者の事務所等に連絡しておくというような装置がありまして、これにつきましては、地方建設局において数カ所試験的に設置し、データをとっている段階でございます。  次に、落石とか土砂崩落を事前に予知するということにつきましては、これは地すべりと違いまして、はなはだむずかしゅうございます。現に地方建設局で一カ所試験的に、今度はやはり電線を横に張りまして、落石等によってこれが切断され電流を断つことによってもよりの事務所に知らすという方式のものを試験し、研究開発しているところでございまして、今後のことを考えますと、何としてもそういった予知装置の開発試験というものを鋭意進めまして、的確なその現地そのものの情報が把握でき、したがって的確に交通規制ができる体制がぜひとも必要であると考えますので、このほうも極力努力を続けたいと考えております。
  55. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  56. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 横路孝弘君。
  57. 横路孝弘

    ○横路委員 航空行政についてお尋ねしたいと思います。  「ばんだい号」の事故、それから日本航空のDC8=61の事故、その前の747の事故を含めますと、短い間に非常に大きな事故がたくさん発生しているわけであります。先ほど来議論があったように、この原因が何かということを考えてみると、四十一年にやはり四大事故発生して、安全第一の指導というのは、あの直後はやってきたわけでありますけれども、その後の各航空会社のいろいろな業務計画等を見ますと、安全性ということが、定時性とか快適性あるいは運航効率ということばに示されているように、経済的なコストとのバランスの中だけで考えられる、こういう航空会社の姿勢、それをまた運輸省のほうが許認可行政を通して安易に認めている、ここにやはり一番大きな今回の事故の背景があると思うのです。ですから、本来ならば、まず空港整備をする、あるいはそのための保安施設を完備するなり要員を配置する、あるいは会社もまた、パイロットなり運航管理の要員なり、整備関係要員なりをきちんと養成をする、そうして初めて飛行機を飛ばすのだということでなければ、今回のような事故というものを再び繰り返すことになるのじゃないかと思うのです。  そんな意味で、時間もあまりございませんので、とりあえずすぐ航空会社に対して改善するように皆さん方の手で指導していただきたい三つの点についてだけ質問をしたいと私は思います。  それは、一つは気象状況の把握の問題です。航空気象のあり方の問題と、それから各航空会社整備並びに運航管理の要員の配置の問題、それからもう一つは、パイロットを含めた乗務員の養成の問題です。  まず最初に、パイロットの養成なんですけれども、この「ばんだい号」の事故のときにも指摘されたように、パイロットを含めた乗務員の養成体制というのは、各航空会社非常におくれているわけであります。おくれているにもかかわらず、どんどん飛行機だけ飛ばすから、そこに無理がくる。いま、たとえばパイロットについては、日本航空のいわゆるサード・クルーマン・システムというような問題が一つありますし、さらに全日空におけるフライトエンジニアの養成について、私は安全というものをほんとう航空会社考えているかどうかということが非常に疑わしいケースがありますので、まずこの点について御指摘をして、運輸省でどういう指導をしているかという点を明らかにしてもらいたいと思うのです。  たとえば航空機関士、フライトエンジニア、全日空の場合ですと、ボーイングの727以上の飛行機について——結局、全日空の場合は727ですね、これは義務づけられているわけです。この養成の問題をいまどうやっているかといいますと、まず採用してグラウンドスクール、地上訓練をやるのです。それからパネルトレーニングをやるわけです。非常にお粗末でありますけれども、とにかくパネルトレーニングをやっている。五十時間ぐらいやるわけです。その上でオブザーブドフライトというのを五十時間、これは航空法が去年改正されて、非常に問題だと思うのでありますけれども、いずれにしてもオブザーブドフライトということをやっていて、その上で試験を受けているわけです。このオブザーブドフライトの訓練をいま全日空の場合どこでやっているかというと、特にこれは東京−千歳線が多いのですけれども、お客さんを乗せた飛行機で全くの無資格者を実際に乗務させているわけです。そして会社のほうを追及すると、要するに航空機関士というのはスイッチマンにすぎないのだ、だからそれでかまわないというようなことで、無資格者を羽田−千歳線に乗務させて、そしてこのオブザーブドフライトという、航空法できめられた五十時間という時間を取得させるべくやっているわけです。全日空の場合は、アメリカのブラウン・フィールドに訓練場を持っている。そこでお客さんを乗せないで訓練する、それが本来のあり方です。ところが、実際お客さんを乗せて離発着の操作を全部この無資格者にさせているわけです。これは全日空のほうでいろいろ調べてみると、航空局のほうで認めているからいいんだ、こういうことをおっしゃっているけれども、乗っている立場から見ると、全くの無資格者にそんなエンジン操作をさせて、一発スイッチ・オンとオフを間違えたら、飛行機は即座に墜落だ。こういうふうなことをなぜ航空局がさせているのか。これは全日空のほうでは、運輸省のほうが認めているからやっている、こういうことなんで、その辺の事情というものをまず明らかにしてもらいたいと思います。
  58. 内村信行

    内村説明員 この点につきましては、金井技術部長から答えさせます。
  59. 金井洋

    ○金井説明員 ただいまの御質問に対してお答えします。  フライトエンジニアを実地に乗せているではないかということでございますけれども、御承知のように、727は、最小の乗組員は三名ということで、キャプテンとコーパイロットとフライトエンジニア、この三人は必須のものでございます。そこで、フライトエンジニアを養成する過程において、地上訓練あるいはオブザーブドフライト、それから実地訓練というものがあるわけでございますけれども、このときには、一応資格を持ったフライトエンジニアの監督のもとに乗務訓練を受けるというたてまえになっております。したがいまして、訓練生を乗せておるということは違法ではございませんけれども、しかし、御指摘のように、そういう時間はなるべく少なくするほうがいいということはわかりますので、今後の検討課題にいたしたいと思っております。
  60. 横路孝弘

    ○横路委員 これはうしろについているから安全だとおっしゃる、その行政の姿勢が私は問題だと思うのですよ。うしろについているといっても、こううしろにすわっているわけで、実際にフライトエンジニアがスイッチのいろいろな操作をするわけです。バッテリースイッチなり、燃料コックのスイッチなり、みんなフライトエンジニアがやるわけです。離陸、着陸の瞬間が一番問題なわけですね。そのときに、操作を間違えたときに、これは直すことできますか。うしろについて見ているからいいとおっしゃったって……。  しかも問題なのは、私ここに航空六法の昭和四十五年のものと四十六年のものを持っていますけれども航空機関士の場合、従来は航空整備士の資格のある人から採用していたわけですね。それが要件になっていたわけですよ。それを四十五年度の改正ではずしてしまっているわけですね。したがって、その関係の全くのしろうとの人間がきたって——地上訓練五十時間、しかも実際のオブザーブドフライト五十時間ということであれば、パネル訓練五十時間は、三日か四日やればすぐそれに該当してしまうわけですよ。そういう人に、スイッチ・オンだけさせるからいいんだ、スイッチマンなんだというような考えでものごとを安易に認めていくのは——それはうしろに人がついているといったって、操作を誤ったら終わりなんですね。そこで指導して直すことのできる問題じゃないわけですね。したがって、この場合は、足りないからといって養成をともかく急ぐという姿勢がこういうところにあらわれているわけですが、アメリカにそういう訓練場を持っているわけですから、お客さんを乗せないでそこで十分に五十時間の訓練というのはやってもらって、お客さんを乗せた飛行機についてはその上で配置してもらわないと、ともかく最初からお客さんを乗せた飛行機でもって訓練をやられてはかなわぬと思うのです。あるいはいま検討し直すとおっしゃったけれども検討し直すよりも、もう一歩進めて、ぜひこれは指導してやめさせるべきだと思います。羽田−千歳線は私もしょっちゅう乗っているので、こんなことでは実におそろしくなって飛行機なんて乗れなくなる。ぜひそういう指導をしていただきたい。この点で、今度の事故に結びついた一番大きな背景がそこにある。ぜひそういうことで御指導願いたい。
  61. 金井洋

    ○金井説明員 いまの御指摘ですけれども、操作を間違ったら、監督しておるフライトエンジニアなんてどうすることもできないから危険である、こういうことでございますけれども、訓練生を乗せるにつきましては、地上訓練、それからシミュレーター訓練をやって、そして十分操作になれて機能を発揮することができるというふうな段階になって初めて実用機に乗せて訓練をやるわけでございますけれども、御指摘のように、乗客を乗せない訓練機で訓練するということが最終的には理想だと思いますので、その辺は前向きで指導したいと思っております。
  62. 横路孝弘

    ○横路委員 これはひとつ航空局長のほうからも——航空法というなかなか読みづらい法律なんですけれども、詳細に調べてみると、最近は非常に合理化されているのですね。機長に昇格するための必要な飛行時間についてもこれを縮小するというようなことで、こういう法律を変えてどんどん認めている。この航空機関士も、昭和四十五年の六法を見ると、航空整備の経験者の中から採用するようになっているわけです。それが今度、たぶん去年の改正だろうと思うのですけれども、いつの間にかはずされてしまっておる。航空会社のそういうともかく乗員がほしいという要求に、行政姿勢として安易にそれをどんどん受け入れた形で航空行政指導されている。これはフライトエンジニアのこのケースが私は典型的な事例だと思うのです。  そういうことで、いま前向きに検討したいということですけれども、実は毎日毎日飛行機は飛んでいるわけで、私たちもそれを利用しているわけですね。少しなれたからいいとおっしゃっても、昔は訓練というのは実際の訓練だったし、シミュレーター訓練といっても、パネルトレーニングでしょう。パネルトレーニングは五十時間に切りかえたわけですね。大体ここから合理化というのは始まっているわけです。ですから、そういうことじゃなくて、やはり乗客の安全ということを考え行政というのを姿勢としてきちんとしていただきたいと思うのです。これは、政務次官せっかくおられますから、ぜひ御指導をお願いします。
  63. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 お答えします。  横路先生お話を聞いて、私も、人命尊重第一義に考えた場合、当然であろうと思います。特に今回の痛ましい「ばんだい号」の事故にかんがみ、災いを転じて福となすという考え方に立って、そのような運輸行政指導をさせるつもりでございます。
  64. 横路孝弘

    ○横路委員 これはパイロットも同じなんですね。日本航空のサード・クルーマン・システムというもの、これはいわゆるフライトエンジニアとして飛行機に乗っている飛行時間を、パイロットとしての飛行時間に実は計算をして、それで機長なり副操縦士なりの資格を与えるようなシステムを日本航空でやっているわけです。この問題については、時間もございませんので、詳しく指摘はしませんけれども、このフライトエンジニアと同じ問題をパイロットの養成についても含んでおるということだけ一つ念頭に置いて指導していただきたいと思います。  そこで、気象の問題に移りたいと思いますけれども、私、全国のローカル空港の気象観測時間と気象予報の有無というのを調べてみた。非常にお粗末ですね、気象の体制というのは。そして「ばんだい号」の事故のときにも、DC8=61の事故についても、気象の状況をどれだけ把握していたかということが最大の問題になっているわけです。飛行機というのは、これは皆さん方のほうが専門だからよくわかると思いますけれども、出発の前に、到着地の気象情報並びに代替空港の気象情報と、それから予報ですね、飛行機が着くころにどうなるかという予報がきちんと立てられ、国の機関によってきちんと与えられて初めて安全運航ということになるわけです。その気象予報の体制というのは、一体、いまの日本のローカル空港を含めて、できているかということになると、できていない。しかも、たとえば三月二十七日の内閣委員会で私が指摘をした福井空港の例をあげて、福井空港の場合は、食堂のコックさんが気象情報を通報してくる、そのコックさんが通報してきた気象情報を受けて、ディスパッチャーと機長が判断をして飛行機を飛ばす、これはおかしいじゃないかと言ったら、皆さん何とお答えになったかというと、時間が九時になると気象庁の職員が出てくるようになる、そうしてその当時の気象情報を見るから安全なんだ、だめだったらすぐ引き返せばいいじゃないか、そういう御答弁をなさる。「ばんだい号」と日本航空の二つの事故に際して、なおかつ皆さんのほうでそういう体制をとられるのかどうか、あのときの答弁をそのままでよろしいとお考えになっているのかどうか、その点、航空局長のほうからお答えいただきたい。
  65. 内村信行

    内村説明員 気象の問題につきましては、いま先生指摘になったようないろいろな問題があるかと思います。しかし、今度の日本航空の場合は、そう別にコックさんから聞いた気象で飛んだわけではございませんで、やはりちゃんとした気象情報をキャッチしまして、それによって飛んでいるわけでございますから、必ずしもそれが原因であるということは言えないかと思います。しかし、おっしゃるように、本来気象情報というものをきちっとしまして、その情報を確実にとっていくということが望ましいことは間違いございませんから、そのようにしてまいりたいというふうに考えております。
  66. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、その具体的な中身ですが、気象情報をきちんととれるようにしたいと言ったって、たとえば皆さんのほうで認めている九時以前に出発をする飛行機、これは気象情報を全部とらないで行っているわけです。皆さん十分だとおっしゃるが、だれからとっているかということになれば、東亜国内の場合、いわゆる運航管理者としての国家試験を受けた者は、東京、大阪、札幌、福岡、鹿児島、合計二十七名です。さらに、その試験を受ける勉強をしている者が三十五名、合計六十二名。それ以外の空港、女満別、釧路、千歳、旭川、函館、青森など、ずっと空港があって、だれがやっているかといえば、どこでもこれは日通の代理店でしょう。あるいは三八五観光株式会社、新潟交通株式会社、松本電気鉄道、畑電気鉄道、不二商事というような一般企業の人たちが気象情報を通報しているだけでしょう。一体それでいいんですか。それで十分な気象情報を把握して飛行機が飛び立つ、これで安全が十分確保されるということになりますか。しかも、東亜国内にしても、全日空にしても、代理店契約でもって、これはみんなその代理店に義務を負わせているわけですね。そうして嘱託をする、そういう制度になっているわけです。だれだけ訓練していますか。その嘱託を受けた者がはたしてきちんと空港でその仕事をやっていますか。私の調べたところでは、一応その契約があるからということで嘱託を受ける、だれだれということはみな名前は出ていますけれども、その人間が担当してやっているかというと、実際はその人間は半年くらいの委託でもってほかに仕事がかわる、あるいはえらくなる、そうすると、名前だけは載っているけれども、実際に気象情報を通報したのは、全然関係のない人間が、その代理店の何人かいる中でもって毎朝交代でその仕事をしている。こういう実情に東亜国内にしても全日空にしてもあるわけです。そういう空港の気象情報を通報する人間は、私はやはり専門家でなければだめだと思うのです。ですから、そんな意味では、東亜国内の場合——全日空の場合は、去年指摘をして以来だいぶ体制がよくなってきました、正直言って。ディスパッチャーそのものはいなくても、ディスパッチャーの試験を受けようとして勉強をしている社員をできるだけ各空港に配備するようにしている。ところが、東亜国内の場合はその点について全然されていない。それはかまわないのだといえば、それはそれで一つの行政の姿勢だと思う。しかし、それでは安全性というものは確保されないということになれば、そういう指導をやはり運輸省としてきちんとやるべきだ、私はそう思うのですが、どうですか。
  67. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 横路君、気象庁長官も見えておりますから……。
  68. 横路孝弘

    ○横路委員 気象庁長官にはあとでお尋ねしますから、けっこうです。
  69. 内村信行

    内村説明員 ただいま御指摘のございましたディスパッチャーの問題は、一言にして申しますと、先生のおっしゃるとおりであると思います。と申しますのは、現在ディスパッチャーが必ずしも全国の空港にいないことは、御指摘のとおりでございます。そこで、どうしているかと申しますと、先生おっしゃいましたように、現地にはディスパッチャーはいないけれども、いわゆる運航管理補助者というようなものが配置されておりまして、その現地の情報を伝えてまいります。伝、えるところは、集中管理基地がございまして、その責任ある集中管理基地におけるディスパッチャー、それに対しまして、現地のほうでは補助者がその現地の情報を伝えてまいります。そのデータによって、これを中央のディスパッチャーが判断して現地に伝える。それによって、現地においては情報の伝達者となりまして、中央からの責任あるディスパッチャーの意図を機長に話をして最終的決定をするということになるのでありまして、だから、これは単なる伝達者とは申しますものの、現地にいる者は、伝達者であってもディスパッチャー業務についての知識があるほうがよろしいことは申すまでもございません。そこで、全日空におきましても、ただいま先生指摘のように、いろいろ運航管理補助業務につきましても訓練をやっておりますが、そのことが望ましいと思います。東亜国内航空についてもそういうふうに指導いたしたいと思います。
  70. 横路孝弘

    ○横路委員 これは実は航空法上だって問題があると思うのです。問題があるというのは、たとえば航空法七十三条の二で、出発前の確認ということで、機長は、運輸省令で定めることについて確認したあとでなければ飛行機を飛ばしてはならないということが規定されておる。そうして施行規則の百六十四条の三には、ちゃんと気象情報というのが入っているわけですね。皆さんのほうでやっておることは、結局航空法に違反していることだ。それを運輸省でも認めておるわけです。気象庁のほうは九時から出勤だということですから、正式な気象データは入らないわけです。そこで、代理店の人間から——代理店の日通の職員が気象情報を通報してくる。その通報を受けて機長は飛行機を飛ばしておるわけですね。したがって、航空法からいったら矛盾しておることを、運輸省は路線の認可をしますから、その許認可を通して実は違法行為をやっておるわけですね。それは、施行規則の解釈を言えば、気象情報というのは、別に公式の気象データでなくてもいいのだ。空港の天気概況なり天気図程度でいいのだということになれば、それはそうかもしれぬけれども、やはりICAOの第三付属書、民間航空条約に気象の問題については国際的に定めておるのがあるわけです。それによると、やはり機長の出発前のいろいろな確認についても非常に丁寧に書かれておる。そこには、国家機関としての一つの気象情報というものをやはり大事にしなければならぬという姿勢がこの中に明確になっておるわけですね。それが皆さんのほうでは、ともかく代理店からの情報で飛行機をぼんぼん飛ばしておる、それを運輸省が認めておる、こういうことになっておるわけです。これは航空法上やはり違法行為でしょう。
  71. 内村信行

    内村説明員 気象情報が重要であるということは、ICAOの規定の精神のとおりでございまして、私ども、日本の航空法におきましてもこの精神をもってやっております。そこで、目的地の気象は代理店から入りますから、ぼんぼんわけのわからぬものをそのまま準用するのではないかという御指摘じゃないかと思いますけれども、気象の情報には、もちろん空港自体の気象がございます。と同時に、空港を含む近辺一帯というものの気象のデーダがございます。したがいまして、目的地の気象につきましては、目的地付近の全体の気象データというものを気象官署の情報から確認いたしまして、さらに現地の職員の観測をも参考として、これを出発すべきかいなかの判断のデータにするということにしておりますので、そういう意味では、全然正式の気象情報というものがないのだ、何もないところに、ただ、何かわけのわからぬような代理店の情報だけとるということではないということを御理解願いたいと思います。
  72. 横路孝弘

    ○横路議員 そんなこと言われたって、気象官署の全然ない飛行場、たとえば徳之島だとか喜界島だとか、鹿児島から出ておりますね。あれは気象庁の官署がありますか。正式な気象官署が全然ないでしょう。大体そういうところに飛行場をつくること自身がおかしいわけですね。そうして気象庁のほうは、とにかく定員削減定員削減でもって、人を配置しないでどんどん減らすことばかり一生懸命やっておるわけですね。ですからこういうことになっておるのです。そうして、私は気象庁の方にきょう来ていただいたのは、航空気象の分野というのは、とにかく気象庁の中で一番おくれておる。乱気流なり積乱雲のいろいろな研究体制というものも非常におくれておる。そうして研究を一生懸命やれば——たとえばこういうケースがありますね。南紀白浜の空港の問題について、気象研究所で一生懸命やって、予算をつけて毎年やっていたわけです。それが二年間で研究費が打ち切りになってしまった。これはNHKで取り上げられて放送されました。そのことが他のどこかの圧力で、そんなことをやるのはけしからぬということで取りやめになったのではないかといわれている。そういうことをやっている。研究所の皆さんはまだやりたかった。やりたかったのにやめさせられた。そういう体制ですね。飛行場に公式の気象官署がないなんという、それでなおかつ飛行場をつくることを認めて、そこに便を飛ばすことを認めてやっておる。だれがやっているかといえば、みんなこれは航空局のほうで認めてやっているわけですね。  ですから、私はまず気象庁のほうにお願いしたいのは、飛行機が飛ぶ、これは運輸省航空局とぜひ話し合いをなさってきめていただきたいのですよ。要員を今後ぜひとも確保してほしいということ。人間が足りないから、朝九時でなければ出られない。ですから、飛行機が離着陸するとき、そこにいて観測するような体制をとってほしい。それから航空気象についても研究体制を充実してほしい。ローカル空港て気象官署のないこんな空港には、一日も早くつくるべきですよ。そうでなければ飛行機を飛ばすのをやめるか、どっちかですよ。その点についてひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  73. 高橋浩一郎

    ○高橋説明員 ただいまの点についてお答えいたします。  航空気象は、言うまでもなく、気象庁といたしましても非常に重要な仕事でございまして、その方面の整備につきましても、気象庁といたしましてはできるだけのことをやっているつもりでございます。航空気象関係につきましては、従来定員削減はやっておりません。特にローカル空港につきましては、普通の状態でございますと、九時から十七時内外でございますけれども、特に必要なときにおきましては早出あるいは居残りをいたしまして、できるだけのサービスをやるような状態でおります。  次の航空気象の研究の点でございますけれども、これもやはり気象庁といたしまして重要でございますので、包括的なことにつきましては気象研究所でやっておりますけれども、それ以外に航空気象台あるいは地方の航空測候所あたりでも研究をやっておりまして、たとえば、年に一回くらいは集まりましてそういう方面につきましての研究会などを開きまして、十分検討しているわけでございます。ただいま御指摘のありましたようなこともございますので、この点につきましてもさらに力を入れていきたいと考えております。
  74. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、気象についてはやはり気象の予報というのが必要なわけですね。つまり、飛行機が飛んでいって着陸する地域の気象状況がどういうようになっているかという予報体制がなかったら、だめなんですよ。ヨーロッパの空港の場合、三十分ごとに大体予報を出す体制ができているというふうに私は聞いております。日本の場合、気象予報を出しているのはどこかと調べてみると、おもしろいのです。自衛隊の基地は、小牧にしても米子にしても、松島、浜松、千歳、三沢、八戸で二十四時間体制をとって気象予報を出しているのです。運輸省が監督している飛行場は、東京、大阪、名古屋、福岡といったようなところを除けば、ほとんどそういったような体制はないわけですね。自衛隊でさえこういう予報体制をきちんととって、パイロットの安全を考えているわけですね。お客さんを運んでいる飛行機が、飛行場の気象観測体制がこんなに不備では、私はどうしようもないと思うのです。ですから、その辺のところを私は早急に——またどうせ二年か三年たったら皆さんは忘れてしまうわけだから、いまのときに、気象庁と話をされましてその体制をきちんとしていただきたい。どうですか、政務次官。
  75. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 横路委員のお説のとおりだろうと思います。航空会社にのみ人命の尊重だけを管理監督するのじゃなくて、やはり管理監督の職にある運輸省当局においても、それと並行して、もっと気象条件あるいは要因の確保その他の整備において今後万全を期していきたいと思っております。
  76. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、最後にもう一つお尋ねしたいのは、今度皆さんのほうで通達を七月十日に各航空会社に出されましたね。その中で、整備従事者による出発前の航空機点検を厳格に実施することという通達があります。非常にこれはけっこうなことで、私はやらなければならないことだと思うのです。ところが、東亜国内にしても全日空にしても、そういう飛行前点検そのほかを含めて、きちんと資格者が配置されているかどうかということになると、これは私も調査した数字を持っていますけれども、非常にお粗末な——整備の資格というのは機種ごとにいろいろありますけれども、そういう関係でいくと、一人配置されていても、727の資格を持っているけれどもYS11の資格は持っていないとか、737は持っていてもどうだというようなことで、こまかく調べていくと、やはり無資格者があまりにも多い。  そこで一つお尋ねしたいのは、飛行前の点検確認者ですね、これはどういう人でなければならないのですか。
  77. 金井洋

    ○金井説明員 飛行前点検の確認は有資格整備士というたてまえになっております。
  78. 横路孝弘

    ○横路委員 皆さんのほうで出された、昭和三十九年十一月二日、運輸省航空局技術部検査課の「航空機整備及び改造について」、おっしゃるとおりになっていますね。ところが、たとえば全日空整備規程、この整備規程というのは航空局が認めたものでしょう。その点まず確認しておきます。
  79. 金井洋

    ○金井説明員 運輸大臣の認可したものでございます。
  80. 横路孝弘

    ○横路委員 そこにはどういうことになっているかというと、整備規程の中には、出発前点検確認者という制度を設けて、出発前点検者は「確認整備士に準ずる業務を行なう。」とある。飛行機会社の場合には、資格を持った人の中から確認整備士というものを任命してやっているわけですね。それに準ずる業務を行なうということで、出発前点検を全日空にしても東亜国内にしても無資格者がやっていますけれども、そういう整備規程をまた皆さんのほうで認めておられる。これは私はどうも納得のできないことです。
  81. 金井洋

    ○金井説明員 先ほど、飛行前点検確認は有資格整備士であるというふうに答弁しましたけれども、ちょっと舌足らずなので訂正しますと、飛行前点検は有資格整備士でございます。たとえば東京から山形へ向かうときに、山形でおりて、山形を離陸する前の点検というのは、これは有資格整備士であることは必要ございません。
  82. 横路孝弘

    ○横路委員 それは飛行前点検でなくて、飛行間点検といっているそうですね。飛行前点検ですよ。羽田なら羽田でやっている場合には、その飛行機泊まりますね、そうして次の日飛んでくるという、その場合の朝の点検ですよ。朝の点検はどうしているかというと、整備規程に——これは皆さんのほうで認可されたものでしょう。その整備規程の中に、要するに資格者でなくてもいいようになっているわけです。だから、全日空の場合、資格者でない者を任命して飛行前点検確認者という制度を設けてやっているわけです。これはどういうことかというと、軽微な保守と一般的保守ということで、その区別のところで、飛行前点検は一般的保守じゃないというような議論を全日空ではしているのです。これはお見せしましょうか。皆さんのほうで、航空法でもってきめられて、こうだということをちゃんと文書で出しておきながら、一方では、それと矛盾して、無資格者でもよろしいというような整備規程を認めているわけですよ。そういうことはさっそくやめてもらわなければ困ると思うのですね。整備規程を検討してみてください。
  83. 金井洋

    ○金井説明員 検討いたします。
  84. 横路孝弘

    ○横路委員 この整備規程の八章の「整備に関する要綱」ですね。その中にちゃんと図でもって分けてあって、出発前点検確認は資格者でなくてもよろしいのだというふうになっているわけです。一般的な保守のところでなくて、軽微な保守のほうに入れているのです。わざわざ皆さんがこの解釈がむずかしいからということで事こまかくいろいろ書かれて出されているわけでしょう。それにはちゃんと、出発前点検というのは資格を持った人でなければだめですよ、こういうことになっているわけですから——もっとも、いまそれをやるということになったら、飛行機が飛ばない。全日空にしろ東亜国内にしろ、資格者がいないのですから。何をやっているかというと、資格者というのは非常に少ないから、無資格者にいろいろなことをやらせるわけで、そうして判こだけを押すことが、資格者がやるデスクワークになっているのです。これは皆さん方立ち入り検査をすればすぐわかるわけです。そういうことでは、飛行機の問題というのは、整備の問題にしても、運航の体制の問題にしても、やはり航空行政指導そのものが——航空会社がともかく人が足りないわけです。整備の問題にしても、運航要員、乗務員にしても、無理に無理をしている。無理に無理をしていることを皆さんのほうで目をつぶっているわけですね。これはだれも気がつかなかったことは絶対にないと私は思うのです。航空局の方が気がついたけれども、そこのところは目をつぶったのだろうと思うのです。ですから、今度の「ばんだい号」の事故でも——私は、その事実そのものについてはまたあらためてやりたいと思います。しかし、そういう事故発生してきた過程の中に、航空会社がやはり利益だけを第一に考えて追求をしている、そういう姿勢、そしてそれは航空会社だけのことかというと、そうじゃなくて、皆さんの許認可権というものを通して行政でやることが、それに迎合するように迎合するようになっているいまの航空行政の姿勢そのものが、私は一番責任を問われるのではないかと思うのです。  私は「ばんだい号」の事故のときに現地に行ってみました。現地に行ってあの悲惨な状態を見て、そして私が一番怒りを感じたのは、あの慰霊祭ですね。慰霊祭のときに、何か正面に総理大臣の花輪がありまして、その右には運輸大臣の花輪があって、ずらりと各閣僚の花輪があったのです。なくなったときに閣僚の花輪なんか並べる必要はないのです。それよりも、私はこういうことをやはりきちんとやっていくほうがよほど大事なんじゃないかと思うのです。現場に行って涙を流すことも必要なのかもしれぬけれども、そういうことじゃなくて、まず、きちんと、こういう事故を二度と起こさないようにという体制を皆さん方のほうでもって徹底的にやっていただきたいということを私はお願いして、もう時間になりましたので、私はこれで終わります。
  85. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 宮井泰良君。
  86. 宮井泰良

    ○宮井委員 ただいま専門的な観点からいろいろ御質疑があったわけでありますが、私は、国民の皆さん方がぜひ知りたいというふうな点を、事実関係をこれから数点お伺いしたいと思っております。  こういうような事故は、ただいまの航空行政空港のいろいろな状況を見ますと、再び事故は起きるということは、平時からいわれておるわけであります。ところが、事故が起きないと大騒ぎをしないというふうなことで、「ばんだい号事故のような悲惨な事故になったわけでありますが、これで終わったということではない、また相次いで事故が起きる、こういわれているわけであります。専門家のパイロットあるいは管制官、いろいろな空港に従事している方々、そういった人々は、それを毎日心配しながら過ごしておるわけでありまして、事故が起きたら、やったか、というふうなことであるわけであります。  その事故のたびに、原因というものは、あるいは不明、あるいはパイロットのミス、これはまことに結果としては好都合であります。なくなった方には、死人に日なし。原因不明、そしてパイロットのミス、そのようなことが、二十七年の「もく星号」事件以来今日まで続いておりまして、どうもすっきりしないわけであります。遺族方々も、また今回もうやむやに終わるんでしょう、あるいはパイロットのミスで片づけられてしまうのではないか、このような心配をもう口にしておる人もおるわけであります。  私は、空港の安全設備、管制官の不足、パイロットの養成等々、行政上に問題はないのですかということを言いたいわけであります。だれも責任をとらない、これではならないと思うわけであります。このようなことでありますから、第二、第三の事故がまた起きてくる。私は、だれが責任をとるのか、はっきりしていただきたい、国民の皆さんにそれをはっきりしていただきたい、かように思うわけであります。予算がないとか、ただいま調査中ですとか、そういうことは私は聞きません。そういうことを何回聞いたって、しようがないわけであります。専門的なこともあるでありましょうが、だれが聞いてもわかるように、どういうところに欠陥があるのか、このことをまず聞きたいと思います。
  87. 内村信行

    内村説明員 どういうところに欠陥があるのかということでございますけれども、事務的な答弁でけしからぬとおしかりを受けるかもしれませんが、ともかく、現在「ばんだい号」の事故がございましてから、直ちに技術部長以下が現地調査に参りますとともに、七月五日に事故調査委員会を設けたわけでございます。この組織についてはいろいろな御批判もあるいはあったかもしれませんが、ともかく現在考えられます学識経験者の方々にお集まりいただきまして、中立的な方々として、しかも経験及び学識のある方々からなる事故調査委員会をつくりまして、六、七、八と三日間にわたって事故調査委員全員が現地におもむかれまして、事故調査及び現場の調査をいたしました。そしてそれに基づいて事故原因の究明に当たっておるわけであります。その結果につきましては、おそらく年内にはおそくとも完了させるという見込みで委員方々もやっておられますが、この原因もほどなく判明するであろうと考えられます。  そこで、政府としての問題でございますけれども、この原因がいかにあろうということは一応関係なく、われわれとしてなすべきことというのはやはりあるわけでございまして、そのために、先ほども説明申し上げました緊急整備要綱というものもつくったわけでございますけれども、何よりもまず保安施設の早急なる完備、これには当然金と人が伴いますが、そういったものを何とか確保いたしましてこの整備をはかっていきたいということが、まず第一の目標、われわれがいますぐにもやらなければならぬ問題だと思います。  それから、先ほど大臣からもお話がございましたけれども、それからいまの横路先生お話もございましたが、一体会社の現状はどうなっておるかというふうなことをまずはっきり確かめるということがぜひともこれは必要でございまして、立ち入り検査をやって現状を正しくつかむ、そうして会社によっては的確な指示を行なう、同時に、政府の行なうべき保安設備については整備をいたすということをさしあたり考えておるわけでございます。  どうも答弁になっておらぬというふうにおしかりを受けるかもしれませんが、私の考えておることはそういうことでございます。
  88. 宮井泰良

    ○宮井委員 もっと確信を持って仕事をしていただきたい、どんどん処理をして、打てるべき手は打ってもらいたい、このように私は要望いたしておきます。  そこで、具体的な問題でありますが、フライトプランを機長と運航管理者がつくって、それを運輸省の出先機関である空港事務所の航務課がチェックする。その許可を——全日空はあの当時は欠航していた。しかし東亜国内航空は飛び立った。その点、フライトプランの内容はどうであったか、航行しても差しつかえない完全なものであったかどうか。この点は、去る七月七日の運輸委員会におきまして、住田監理部長は、調査をして返答いたしますということになっておりますが、いかがですか。
  89. 内村信行

    内村説明員 フライトプランの内容については、後刻関係の者から御報告申し上げます。  そこで、先生の一つの御疑問は、当日ほかの航空会社があるいは欠航したようなところもある、それにもかかわらず、これは飛んでおるのだけれども、これは違反があるのではないか、あるいは両者に安全基準に差異があるのではないかという事柄が、御質問の一つの点ではないかと思いますが、その点についてまずお答え申し上げたいと思います。  事故当日、函館空港の気象状況は、十九時十七分まで、これは運航可能な状態でございました。そうして航空法の施行規則の第二百三条によりますと、計器飛行方式で飛行する航空機は、飛行計画において、目的飛行場のほかに代替飛行場というものを選定しなければならないということになっております。そこで、事故当日の全日空、これは欠航したものでございますが、全日空の欠航した東京−函館便の出発を決定する時点においては、周辺の代替飛行場の天候が悪かったために欠航したものでございます。つまり、たとえば東京から函館に行く場合に、千歳を代替飛行場にとるわけであります。そうすると、千歳についての代替飛行場としてのミニマムと申しますものは、はっきり航空路誌に書いてございます。したがいまして、その千歳飛行場の状況が代替飛行場としてのミニマムよりも悪いという場合には、代替飛行場がとれませんから、函館への航行もできないというわけで、これは欠航ということでございます。その後代替飛行場の天候が回復したので、全日空の東京発函館行の八七九便は予定どおり十六時四十分に出発しまして、十九時十五分に函館に到着しております。なお、丘珠発函館行の場合の代替飛行場は丘珠及び千歳にとっておるわけでございまして、これは代替飛行場としてのミニマムの中に入っておりますので、適法に運航規程の範囲内において飛行できたということでございます。したがって、両者の安全基準には差異がないということでございます。大体いま申し上げましたような概要でございます。  申しわけございませんが、フライトプランの概要を手元に持っておりませんので、後ほど御報告さしていただきます。
  90. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、それは後ほど提出してください。  そういうようなことはどんどん処理していただきたいと私は思います。もちろん、山岳地帯に落ちたのですから、現地に乗り込むのには、気象状況もあるでしょうし、山の上に登るためには困難もあるでしょうが、どんどんそういったことを処理して、事故原因というものをはっきりして、そして次の手を打つ、こういうすみやかな行政というものをとっていただきたい、かように要望いたします。  次に、「ばんだい号」は八時間前の天気図であったということがいわれておりますが、三日午前九時現在しか入手しないで離陸しているというように見られておる。この点はどうなっておるか。気象庁では、午前九時、正午、三時と三回発表しておる。そして気象庁では、そのときは取りにこなかったと言っておる。その点事実はどうなっておりますか。これは、去る七月七日の運輸委員会で、航空局長が、調査をして返答いたします、このように答弁いたしておられますので、ここではっきりしていただきたいと思います。
  91. 金井洋

    ○金井説明員 「ばんだい号」は、出発前に、二十一時まで有効の予報図、それから定時実況、航空路予報、地上天気図を検討した上出発しております。これをもとに機長と中央の運航管理者が検討して出発の可否をきめて、そして出発したわけでございます。
  92. 宮井泰良

    ○宮井委員 三回の天気図は持っておったわけですね。  もう一度確認しますが、午前九時と正午と三時に発表した分は全部持っておったわけですね。気象庁が、取りにこなかったと言うのは、気象庁が間違っておった、こういうふうにとってよろしゅうございますか。
  93. 金井洋

    ○金井説明員 会社は全部入手しております。
  94. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、先ほども気象の問題が出ておりましたが、航空用天気図が、地方空港、特にローカル空港においては、五、六時間前の天気図しかないと聞いておりますが、ヨーロッパなどでは、空港には天気予報官というのが常駐しておる、そうして専門的な立場から判断を下して、機長にそのような的確な判断の資料を提供する、このように伺っておるわけでありますが、そういうふうな配置はわが国においてはできないわけですか、どうでしょうか。
  95. 金井洋

    ○金井説明員 気象官をどこに配置するかということは、気象庁の問題で、気象庁からお答えになっていただくのが適当かと思います。——それではちょっとお答えしますけれども、御指摘のとおり、外国に比べたならば、気象予報を実際に入手するまでに時間がかかる、特にローカル空港の場合には時間がかかるということは、事実でございます。これは、もちろん、予報あるいは実測した時点でできるだけ早く入手することが望ましいので、その線に沿って航空局からも気象庁のほうに要望するということにしたいと思います。
  96. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点、あとでお答えになっていただきましたからよろしいのですが、気象庁のことだから気象庁に答えてもらう、そういうふうな姿勢が私はよくないと思います。空港の問題は運輸省の管轄じゃありませんか。私たちは、完全を期すためにそこへ予報官でも何でも置いてもらいたいということを政府に要望するべきであります。事故をなくしたいという一念があれば、そういうふうな考えが出てくるのはあたりまえだ、私はこう思うわけでありますが、重ねて、政務次官がおられますから、ひとつ連携をとっていただいて、そういう方向で検討していただくという前向きの答弁をいただきたい。
  97. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 お答えいたします。  先ほどまで気象庁おったのですが、お帰りになって、たいへん申しわけないと思います。  宮井委員おっしゃるとおり、気象庁も運輸行政の中の一環でございますから、連携をとって万遺憾のないような対策を立てていく考えでおります。
  98. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、外人パイロットの問題であります。国内民間航空の中でも相当のウエートを占めておるということでありますが、今後、この外人パイロットというものは、会社においてはもうどんどん減少する、日本人のパイロットに全部切りかえるというふうな傾向にいっておりますが、運輸省の方針としては、減少さす方向にいくのかどうか、この点をお伺いします。
  99. 内村信行

    内村説明員 外人パイロットにつきましては、現在二百十三名おりまして、日本航空全日空及び東亜国内航空においてそれぞれ採用しております。そこで、外人パイロットの将来の方向でございますが、やはり私ども考えますと、国内には日本人のパイロットが乗ったほうが、土地カンその他もございまして、やはりそのほうが望ましいのじゃないかと思います。ただ、外人パイロットを絶対使ってはいかぬかと申しますと、必ずしもそうは申せませんが、それには相当日本の土地、気象その他に習熟してもらって、その上で乗ってもらうということにしたらいいかと思います。したがいまして、全体の方向を見ますと、やはり将来の時期においては、なるべくすみやかに日本人のパイロットを養成いたしまして外人パイロットは去っていただくということが望ましいと思います。その方向で指導したいと思っております。
  100. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、会社独自のパイロットの養成、あるいは米国のそういった施設を使っての養成というふうなものはいろいろと考えられておるようでありますが、また、年間五百数十名ですか、そういったものが入れられておるようですけれども、まだまだその養成というものが行き渡っておらない。その点、民間の養成機関というものは、運輸省としてどのように指導監督されておるか、どういう施設があって、どういう方向へ指導されておるか、このことをお伺いします。
  101. 内村信行

    内村説明員 パイロットの養成機関は、現在、運輸省に属します航空大学校、これが一つ、それから防衛庁に対する委託、それから防衛庁からの割愛、それから各民間航空会社がそれぞれ自主的に自社で養成をしておる、こういったような方法があるわけでございます。  そこで、パイロットの数、先ほど先生ちょっとお話しくださいましたが、現在一年間で大体五百五十名程度を養成するということになっております。その中で、航空大学で行なう分は百三十五名、それから防衛庁委託が六十名、それから防衛庁の割愛が約六十名、残りがそれぞれの各社でもって自主養成、こういったたてまえになっております。  そこで、私どもといたしましては、一つの学校に統一して国が全部やるというふうなことまでは必ずしも必要ではないというふうに考えております。この点につきましては、現在航空審議会でいろいろ専門家の方々で甲論乙駁、検討されておるわけでありますが、その空気を見ますと、いま申し上げたように、必ずしも一カ所に統一する必要はないのじゃないかというような空気が強いように見受けられます。しかし、これをほっておいていいという意味ではなくて、一つの教育科目、教育課程と申しますか、カリキュラムと申しますか、シラバス、そういったものを統一して、望ましい教育というものの一つのパターンをつくって、全体をシステム化して一つのものにしていく、しかし、それぞれ教育主体は違うというふうな方向でやることもまたいいのではないかというふうに考えます。そのほかに、純粋な民間の、いわゆる飛行訓練と申しますか、そういったものがございます。これはいわゆるフライングクラブというふうに称しておりますけれども、本来は、飛行機に乗るのが好きな人がいて習い覚えてくるというようなことでございますが、それがだんだん発展いたしまして、そういった人がかたまってだんだん専門家にもなっていくというふうな地盤になってまいりますので、そういったものにつきましては、一定の施設なり教官なり、そういったレベルのものを備えていれば、それについての一定の資格というものを与えて認めていこうというふうな方向で考えておるわけでございます。
  102. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点、パイロットの養成に十分力を注いでもらいたい、このように要望いたします。  そこで、「ばんだい号事故の場合には、副操縦士が機長席に着いていたのじゃないか、このように言われておりますが、これはどうであったか。そしてまた、これが違法でないとしても、この路線になれていない——ただいまもお話ありましたが、天候が悪いときなどは、そういった機長席に着かすということ自体が好ましくない、外国の空は何千時間も飛んでおっても、わが国の空を飛んだのは、たった数時間しか飛んでいないというような——「もく星号」のときの機長もそうでありましたが、そういった規制というものを今後考えていったほうがいいのではないか。これは、去る七月七日の運輸委員会におきまして、局長が、調査して返答しますということを約束されておりますので、御報告していただきたいと思います。
  103. 内村信行

    内村説明員 調査によりますと、この外人パイロットが機長席にすわっておったということは確かなようでございます。  そこで、こういうことがいいかどうかという問題でございますが、一般論として申し上げますと、必ず副操縦士操縦士にならなければいかぬのでございまして、その過程として、オン・ザ・ジョブ・トレーニングという形で、機長がそばで看取しながら副操縦士が機長席にすわるということがどうしても避けられないものでございます。しかし、かといって、そういうものがむやみやたらに認められていいかというと、決してそうではございません。これはみずから安全性を確保する意味におきましても、そういった場合におきましても、機長というものは必ずそばにいて、当該航空路、地形、気象状態、そういったものを知悉している機長が、そういったものをよく副操縦士にのみ込ませながら操縦していく、場合によっては、必要な場合には自分みずから操縦を行なうというようなこともしながら、安全性には絶対の注意を払いながら、十分に見守りながら飛ぶということが必要なわけでございます。したがいまして、今回のものが妥当であったかどうかということにつきましては、なお事故調査の結果を見ないとはっきり断定できませんけれども、やはりオン・ザ・ジョブ・トレーニングが必要だとしても、ああいう悪天候の際にやらなくてはいけなかったかどうか、あるいは機長が十分に副操縦士を看取し指導していたかどうかという点につきましては、十分問題があるのではないかというふうに考えます。
  104. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点は、ひとつ事故のない方向へ規制を強力に考えていただきたいと思います。  それから次に管制官の問題でありますが、函館の空港には管制通信官しかいなかった。これは飛行場の情報を流すだけで、何ら具体的な指示はできない。ところが、四十四年三月までここには管制官を置いておった。しかし、その後通信官に格下げしておるということを聞いております。それは管制官の不足からそうしたのであるのか、実情はどうであるか。板付が返還されまして二十七人の管制官が必要なために、全国から引き抜いたということも聞いております。また、成田が完成いたしますと、六十人も管制官が要る。こういうふうな養成の問題。将来全部管制通信官にしてしまうのか、それとも——管制官の中にも、業務ができない管制官、技能証明書を持っていない人ですね、そういう人もいると聞いております。そういうような点はどのようになっておるのか。また、東京、大阪などでは、管制官不足のために激務に次ぐ激務になっておるというふうなことを、これは事実としてだれでも知っているわけでありますが、そういう点、管制官の問題に対して——ちょっと問題が多岐にわたりましたが、その点をお答えしていただきたいと思います。
  105. 内村信行

    内村説明員 まず初めに、管制官とそれから管制通信官の問題であると思います。  それの御説明の前に、管制官とは一体どういう仕事をするのであるかと申しますと、この仕事は三つございます。一つは、航空機に対する離発着の許可及び指示を下す、もう一つは、計器気象状態におきまして航空交通管制部が出します管制承認、指示、許可を航空機に対して中継する、それから三番目に、航空機に対しまして、飛行場の保安施設の状況、気象、それから航空交通等の情報を提供する、この三つの仕事をやっておるわけでございます。  いま三つ申し上げた中で、あとの二つは、いわゆる情報の伝達とか、あるいは指示を中継するという仕事でございまして、みずから判断をして許可ないし指示をするといった問題ではございません。  そこで、管制通信官というのは、いま申し上げた管制官の三つの仕事のあとの二つ、つまり、管制の許可、指示というものを除いたいわゆる情報の伝達とか指示の中継ということをしておるわけでございます。  そこで、管制官がなぜ置かれねばならないかと申しますと、これはいわゆる交通整理でございまして、航空交通が混雑してまいった場合に、その間隔をつけるとかいうことをいたしまして交通の整理をするということが目的でございます。したがいまして、航空交通がそれほど密度が多くない場合には、単に情報を伝達するとか、あるいは管制部からの承認、指示というものを中継するとか、そのことだけをもって足りるわけでございますので、そういうところには管制通信官だけで足りるというふうに私ども考えております。  それでは、その基準はどうかと申しますと、大体年間の交通量が一万回以上の場合は管制官を置く、それから一万回に満たない場合には管制通信官でよろしいというのが、私どもの基準でございます。なお、米国におきましては、二万四千回以上の場合には管制官を置き、二万四千回にならない場合には管制通信官でまかなっておるというような状況でございます。そこで、私どもといたしましても、まず安全サイドからいきまして、初めは少ない回数でもっても置く、しかし、状況を見て、これならだいじょうぶだということになったら、逐次それを上げていくということで、現在は一万回をもってその境界線というふうに考えております。
  106. 宮井泰良

    ○宮井委員 いずれにいたしましても、管制官養成という点につきましてもっと力を入れていかないと、成田新国際空港が完成いたしましたならば、そういった不足等がまだまだ急務になってくるわけでありまして、そういった点に力を入れていただきたい、このことを要望いたしておきます。  そこで、パイロットの仲間においては、ローカル空港においては危険度というものを定めて、一に八丈島、二に秋田、三に小倉、四に白浜、五に宇部という、危険の度合いを順序立ててお互いの仲間で話し合っておるようでありますが、たとえば白浜などでは、オーバーランをすると、もうがけっぷちへ落ちちゃうとか、その他、いなかの空港へ行きますと、牛が歩いておりまして、そして牛の歩いている間は遮断機がおりて飛行為が飛べない。あるいは気象状況も、手をかざして空を見て、この天候なら飛べるというふうな状況を見たら飛び立つとか、そういうふうな状況を聞きますと、まことにお粗末な空港が数多いわけでありますが、そのようなところから、もちろん第二次空港整備計画に非常に力を入れられて意欲的にやられているように見えますけれども、そういったローカル空港を最重点に置いて、特に、今回起きました少なくとも函館空港などにおきましては、VORあるいはILS等々、高度な安全施設の整備、そういった面に最優先で早急に力を入れるべきじゃないか。新空港をどんどんこしらえるのもけっこうです、滑走路を延長していくのもけっこうですけれども、また再び事故が起きるかもわからないというような、そういった心配される空港に対して、最優先で力を入れていくべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  107. 内村信行

    内村説明員 まことに先生の御指摘のとおりであると存じます。したがいまして、私どもといたしましても、先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、航空保安施設整備、これを緊急にやるべく、五カ年計画の中で三カ年の前半に圧縮いたしまして至急この整備をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。さらに、その中でも、今年度から予備費を使いまして航空保安施設整備VORあるいはASR等の整備については急速にはかってまいりたいというふうに考えております。
  108. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで次に、問題が変わりますが、聞くところによりますと、「ばんだい号事故のあった後日におきまして、同じコースを、某社のカメラマンを乗せて、一般乗客も乗った上でこの「ばんだい号」の遭難があったコースをそのまま飛んでおる。そしてパイロットは、このカメラマンに対して、そういうことをしてもらっては困ると断わったが、カメラマンは航空会社の許可証を持っていたので、どうしようもなかった、断わることができなかった、こういうことを聞いておるわけです。これがもし事実だとしたら、私はまことに遺憾に思うわけでありますが、それはまあ後ほどといたしまして、こういったことが事実であったのかどうか、調査結果を知らせてもらいたいと思います。
  109. 内村信行

    内村説明員 そういうことはございました。この間、函館空港でオーバーランをした、その件であると思いますけれども調査いたしました結果、やはりある社のカメラマンが二名乗っておりまして、そこでそれを調査いたしましたところ、運航規程によりますと、コックピットの中に入れる者は限定されております。すなわち、監督官庁の職員とか、そういう者、そのほかに乗員部長、乗員部長の許可した者は乗せてもよろしいということになっておるわけでございます。そうして、その際には乗員部長が許可をし、これを乗せたということになるわけでございます。ただ、許可をしたのは一名であったけれども、乗ったのは二名であったということでございますが、ともかくそういうことによって乗っておった。それからそのオーバーランの直接の原因が、カメラマンが乗っていたことに原因があるのかどうか、これは必ずしも私としては断言はできませんけれども、少なくともああいった事故の直後にコックピットの中にカメラマンが入る、しかも着陸のときまで入っているというようなことは、決して適当なことではない、むしろおかしいことであるというふうに私とも考えまして、会社に対しては厳重に注意をいたした次第であります。
  110. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、そういうことは、事故の直後におきましてまことに無神経もはなはだしい、こういうふうに思うわけであります。とうとい生命を預かっておる、こういった点におきましても、会社の指揮系統というものがたるんでおるのじゃないか、かように思うわけでありますが、注意いたしました、こう言われるわけでありますが、それはただ注意だけで、あとは何にもないわけですか。
  111. 内村信行

    内村説明員 一応、現在のところは、注意いたしました。それから、オーバーランしたことについて、会社のほうで機長ないし副操縦士に対しては処分をしております。
  112. 宮井泰良

    ○宮井委員 運輸大臣もせんだって日航その他の航空会社の社長を呼んでその点を注意されたようでありますが、ただ注意というだけのことに終わらないように、こまかい点までひとつ十分目を通して、合併の問題のときに起きた人事の問題あるいは会社の経営の問題、あるいは、先ほどから何回も出ております、商業ベースに乗った現在のそういった航空会社の状態、安全よりももうけ第一主義というふうに進んでおる現在の航空会社について、これからもそういう点を厳重に見守って、再三にわたってひとつ注意を促してもらいたい。  最近はどんな人でも飛行機に乗る時代になったわけであります。いなかのほうへ行きますと、げたをはいて飛行機に乗っておる写真も私は見ました。もう一般的に大衆の足となりつつあるこの飛行機におきまして、今後、安全問題あるいはそういった会社の指揮系統というものが完全になっておらない間にどんどん飛行便をふやしていく、便数をふやしたり、あるいはお客さんをそういった広告や誘いをもってどんどん募集して観光客を呼び寄せるというような問題は、今後十分気をつけてもらいたい、この点を政務次官からひとつお答え願いたいと思います。
  113. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 私個人のことに及んでたいへん恐縮ですが、「ばんだい号事故が起きたあの個所は、私の幼いころ成長したところでございます。また、現在私の選挙区でございます。幼少のころ幾たびか登山した場所でもございます。また、去る二十一日の合同慰霊祭に出席してみて、まだ義務教育の子供さんがあの事故によって一瞬にして両親を失ったり、あるいは一家の柱とも頼むような主人をなくした不幸な方々にお会いしていろいろお話を承って、涙なくして聞かれませんでした。運輸政務次官として、今後は再びあのような不幸な事故が起こらないように、肝に銘じてこれからの運輸行政をしっかり監督、管理していく所存でございます。
  114. 宮井泰良

    ○宮井委員 予定の時間も来ておりますので、もっとたくさん聞きたいことがあるのですが、最後に一問だけお伺いします。  せんだっても報道されておりましたように、新鹿児島空港におきまして、ただいま建設中の空港では、国体に間に合わそうとしてどんどん建設を急いで、中学生のまとめた気象調査をもとに建設を急いでおるということが出ておりました。そういったことは事実なのか。そうして、テストパイロットが上空を飛んだ際に、これは空港としてはあまり良好ではない、ほかにもっと最適な地を求めたほうがいいんじゃないかという注意もしておる。あるいは、日本気象協会の鹿児島支部におきましても、ただ中学生がまとめたそのようなデータをもって空港の建設を急いではならないという警告をしておる。これも無視しておる。私は、地方空港が問題になっておるやさきにおきまして、このようなあきれた——と申しますか、そういったことが事実であるとしたならば、まことに遺憾であると思うわけでありますが、この調査結果と、そういったことが事実であったのか、どういうふうに指導、監督されておるか、この点を御報告していただきたいと思います。
  115. 内村信行

    内村説明員 先般新聞にそういうことが出ましたので、私どもとしても調査いたしました。その結果、航空法の施行規則の第七十六条二項五号によりますと、公共用飛行場の設置をいたします場合には、三年間以上の風向、風速測定を必要としておるわけでございます。このたびの場合、よく調査いたしましたら、現地では、自記測定装置によって測定したものでございますが、その際に中学生にその記録紙の交換を行なってもらったようでございます。そこで、そのデータにより県の専門の職員が解析をしているというふうに聞いております。  それからもう一つ、テストパイロットが飛びまして、そのほかのほうがいいのではないかと言ったというふうに報道されておりますが、これにつきましては、このパイロットは温度と湿度の調査に飛んだそうでございまして、その際に、このほかのものが適地であるとか、ここは適地でないとかいうふうな意見はなかったというふうに聞いております。
  116. 宮井泰良

    ○宮井委員 重ねて聞きますが、それでは中学生の気象状況のデータでもよろしい、こういうふうにとってもよろしいのですか。
  117. 内村信行

    内村説明員 先ほど申し上げましたように、県がこれをやって、県の職員が解析しておる、ただ、記録する紙を交換することを中学生にやってもらっておるというふうなことでございまして、これは中学生がやったということにはならないのではないかというふうに考えます。
  118. 宮井泰良

    ○宮井委員 それではこれで終わりますが、いずれにいたしましても、そういった点をさらに究明していただきまして、今後再びあのような悲惨な事故が起きないように、ひとつ新しい体制で、運輸大臣も新しくなり、政務次官その他のメンバーも、心機一転して運輸行政に取り組んでいくという決意大臣は披瀝されておるわけでございますので、またかというような落胆を国民にさせないように、しっかり取り組んでもらいたい、このことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  119. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 東中光雄君。
  120. 東中光雄

    ○東中委員 さきの質疑応答で、保安施設五カ年計画をできるならば三カ年に縮めてVORあるいはDME設置をやる、こういうことでございましたが、それは非常にけっこうなことだと思うのですけれども、それに対しての要員が実際確保できるのかどうか、その点いかがでしょうか。
  121. 内村信行

    内村説明員 たいへん問題の核心をついた御質問であると思います。私どもこの保安施設を三カ年繰り上げということでやっておるわけでございますが、金のほうは比較的何とかなるというふうに私は思っております。というのは、これにもいろいろ御批判がありますが、受益者負担制度というものを導入して、一つの財源とのリンクを結びつけました。したがって、財源のほうは相当程度、単に絵にかいたもちでなくて、実行し得る財源が入ってくるというふうに考えております。ただその場合に問題なのは、人でございます。このような保安施設というものをつくります際にも、やはり設計あるいは工事監督、発注、そういった要員がどうしても必要でございますし、また、できた暁には、その保守をし運用をしていく人間が必要でございます。したがって、そういうふうな人間がとれない場合には、幾ら金がついてもこれが実際にはできないというのが、偽らざる実情でございます。  そこで、現在の一般の定員というものについての流れ方は、御承知のとおりに、行政機構削減、定員は一律何%削減ということで、もっぱら削減されるだけ。そこで、実際に現場に保安施設ができました場合には、現場の保守、運用に必要な要員は、まあまあ、完全とはいわないまでも、ある程度つけてくれる。しかし、問題は管理要員でございまして、この保安施設をつくるために設計をしたり発注をしたり工事を担当したりする管理要員、これはみな地方航空局あるいは本省の航空局の中の管理要員がやらなければいかぬわけです。ところが、そういった人間がいままで全然つけてもらえない、もらえないどころか、むしろ一定の率によって削減されていくというのが実情でございます。したがいまして、そういうふうなことでありますと、航空というものは、非常にその需要がふえてまいりますと、現場の需要がふえてまいります。現場の需要がふえれば管理部門の需要がふえるのはあたりまえでございます。しかし、それに対して人がつかないということは、もうそれでは絶対こういった仕事に即応し得ないということでございまして、私どもといたしましては、大蔵省あるいは行政管理庁に対しまして、何とかしてその要員をつけてくれるようにということを極力お願いしております。その要員も、今年度のうちからつけていただきたいということを極力お願いしておるわけでございます。  なお、その定員ができましても、それについての実際の実員をどうするかという問題がもう一つございますが、これにつきましても、いわゆる関係のほかの官庁の御援助を願うとか、あるいは養成をはかるとかいうふうなことをして、迅速にその内容を埋めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  122. 東中光雄

    ○東中委員 行管に対する、あるいは大蔵省に対する定員の問題、これも確かに重要です。先ほど大臣もその点について言われているようでありますけれども、きょう午前の内閣委員会では、行管長官は、必要なところへは出す、こう言っておったようであります。しかし、それにしましても、それ自体の見通しと、実際に人を確保するという問題、これは特に航空関係の部門では非常に確保しにくいという状態があるわけですから、それの原因を一体どこにあると思っていらっしゃるか、御見解を聞きたい。
  123. 内村信行

    内村説明員 それはいろいろ原因もありましょうけれども航空に関しての保安施設の運用とか、そういうものは、いわゆる特殊な技術を持っておるわけでございます。したがいまして、なかなか右から左へと、おいでいただいてもすぐには役に立たないというところに基本的な問題があるところでございまして、ただ、おそらく先生もおっしゃるところと思いますけれども、給与が安いのではないかというふうなこともやはりございましょう。やはり行政官庁の人間というものはそれほど給与は高くございません。したがいまして、専門的な知識、経験というものが要るにもかかわらず、それほどに給与というものは十分ではないというふうなところにも原因の一端があると思います。
  124. 東中光雄

    ○東中委員 たとえば、沖永良部空港で四十三年の予算で対空通信施設ができた。しかし、これはいま運用されていないようですね、実際に人がいなくて、そういう状態になっているんじゃないですか。そのほかにもあるんじゃないですか。こういう問題が実際に起こっている。だから、VORにしてもあるいはDMEにしても、これをつくることの要員の問題も言われていますけれども、たとえつくったとしてもこれはどうにもならないような、現に沖永良部の場合なんかはそういう事態が起こっている。これはまさに重大な問題ですね。安全に対してどう考えているのか。いま事故があったから対策本部をつくって、なるほど緊急対策要綱まで出されたと言われておりますけれども、実際これが進んでいくのかどうか、非常に危惧を感ずるわけです。ひとつ次官、どうでございますか。
  125. 内村信行

    内村説明員 確かに先生指摘の点がございます。そして沖永良部について具体的にどうするかということについては、いますぐどうこうするということは、いますぐ申し上げられませんが、一般的な傾向といたしましては、先ほど申し上げましたように、やはり特殊技術を持った人でございますから、給与の面でもある程度の扱いをしなければならぬでしょう。特に沖永良部とか、そういう僻地と申しますか、そういうところについては、何らかの手当とか、そういったものがないと、これはいかないであろう。しかし、これは国家公務員全体の給与体系の中の一環でございますから、そうこちらだけが特別な扱いというわけにいかないかもしれませんが、そういったことも考えなければいかぬ。  それからもう少し全般的な問題を申し上げますと、やはり人というものは非常につきにくい。また、人をつけないということが、一般国民の要請でもあるということも一つの事実でございます。したがいまして、私どもは、同じ仕事をしていくにしても、やはり極力人は少なくする。合理化というと語弊があるかもしれませんけれども、機械化とか自動化とか、そういうことをいたしまして、なし得る限りにおいて人力は使わない、あるいは民間にこれを委託していくというふうなことを考えざるを得ないかと思います。また、これは安全性につながる問題でございますから、安全性に少しでもきずがつくようなことがあっては困ります。それではいけませんが、そういうことのない限りにおいてなるべく民間を使うとか、あるいは自動化するとか、そういった方法によって行政官庁の人を少なくしてまいるということもまた同時に心がけなければならないというふうに感じます。
  126. 東中光雄

    ○東中委員 次官、どうでございますか、計画は、あるいは方向は、あるいは口では保安施設ということを言われているけれども、実際に進むということについての保証、いま局長の答弁でも、具体的なものは確信はないわけですね。一体これはどうするのですか。
  127. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 大臣の先ほどのお話もあったと思いますが、対策本部で去る十六日の日に航空安全緊急対策要綱というものを作成いたしまして、二十日の閣議に運輸大臣から報告されておりますが、その中にも、要員確保、防衛庁の協力、さしあたって緊急を要する人員確保、こういう問題が提起されております。いま航空局長からお話があったように、現実はなかなかたいへんだという御指摘もあろうかと存じますが、行政管理長官とも話をいたしまして、さしあたって本年度、それから将来の五カ年計画に向かって、単なる、一律に人員を削減するとか、あるいは何%以上認めないとかいうデスク上のプランにこだわらずに、時代の要請に従ってそういう人員確保していこう、こういうことで対策本部では結論の一致を見ているわけでございます。たいへん抽象的な答弁であるいはおしかりを受けるかもしれませんが、いまの時点では、何とか要員確保することに全力を注いでいく決意でございます。
  128. 東中光雄

    ○東中委員 人のうわさも七十五日で、景気のいいことは言っているけれども、実際に見通しが立つのかといったら、立たぬような状態、努力するということしか言えないような状態、客観的な保証、見通しはなかなか立たないというのが現状だと思います。事故が起これば非常に大きな問題なんですから、必ず人命にかかわる重大な問題ですから、いまこの機会にはっきりとした体制をとってもらうということが非常に重要だ、こう思うわけであります。これはローカル空港だけの問題ではないわけであります。だいぶ前になりますが、内閣委員会でも私お聞きしたのですが、いま自衛隊、防衛庁からの協力ということを言われましたけれども、あの東京管制本部に行ったら、あの忙しい管制官が、ストリップを自衛隊に一つよけいにつくって渡していますね。私、軍事優先で協力しているじゃないかと、こう申し上げたら、局長は、同じ官庁同士だからしかたがありませんと、こう言った。こういう状態なんですね。だから、こういうところで自衛隊に協力してもらってやっていくというような、そういう一次的なことじゃなくて、むしろ下請をやっているわけです、ストリップの場合なんか。だから、そういう点で、これはほんとに航空の安全ということについてよほど考え方を基本的に変えてもらわないと、その場のがれのことになってしまうんじゃないか、こう思うわけであります。  それで、ローカル空港だけじゃなくて、大阪空港を私ちょっと調べてみたのですけれども、管制の職場を見てみましたら、タワーとレーダー室両方入れて十人席があります。十二人配置されている。三直になっております。それを見たら、勤務時間は午前八時から午後二時半までと、午後二時半から午後九時までと、午後九時から午前八時まで、こう三直ですね。どんどん飛行機が入ってくるわけでしょう。休憩時間もとれっこない。十人席があって、十二人おって、しかもそのうちの三人が訓練生である。資格を持っていない。こういう状態で、だから、二人分の仕事をやるか、だれかに見てもらうか、そういうことをしなければ、食事にも行けない、便所にも行けない、こういう状態ですね。だから管制官は、特に大阪空港の場合にはいま大体二分間くらいの間に一機離着陸している、そういう割合になっているように聞きましたけれども、そういう状態で、まさにこれは超人間的な仕事をやらしているということになるわけですが、訓練生の問題、訓練生を直接そのポストに当たらせないという処置と、それから予備の人を配置するとかということがどうしても必要なんじゃないか。このままでいけば、これはもうこれだけの労働強化、一つ間違えば人命にかかわる問題ということで、このままではどうにもならぬというふうに思うのですが、いかがでありましょうか。
  129. 内村信行

    内村説明員 大阪空港管制官の問題でございますけれども、私ども承知いたしておりますところでは、大阪とか東京とか名古屋、福岡、こういった二十四時間制のところでは、四直五交代でやっておるはずでございます。それで、その時間も、一応八時間でございますけれども、実際にタワーにすわるのは六時間、あとの二時間はいわゆる研修ということで、タワーからはおりてほかの仕事をするというふうなことをいたしまして、労働の強化をさせないようにというふうなことを考えておるわけでございます。  その次は訓練生の問題でございますけれども、やはりどんどん膨張してまいりますし、それから、膨張しないとしても、自然減耗がある。そこで、毎年毎年管制官の新人を養成いたしまして、大体百名くらいの新人を養成いたしまして、それを現場に送り込んでおるのでございますけれども、現場におきましては必ずその場所それぞれのレーティングというものを取って行かなければならないわけでございます。したがいまして、どこかよそのところで完全に習熟してぱっと行くというわけにまいりませんで、そこでどうしてもそこでのオン・ザ・ジョブ・トレーニングをしてレーティングを取るということが必要なわけです。したがいまして、ワンシフト大体十二、三人かと思いますけれども、その中での二名前後というものは、ある時期におきましてはどうしても訓練生が入るといろことは、まことにやむを得ないのではないかというふうに考えております。しかし、一つのシフトに大ぜい訓練生が入りますと、しろうとが多くてあぶないということは当然出てまいりますので、そういうことのないように、少なくともどの場所をとって見ても八〇%はちゃんとレーティングを持った人というふうなことをして、あやまちのないように考えております。ちなみに、アメリカあたりでも大体二〇%程度、ワンシフトの中にオン・ザ・ジョブ・トレーニングが入っておる。これはアメリカの例ばかり申し上げてはなはだ恐縮でございますけれども、ちょっと御参考までに申し上げますとそういうことでございますし、それから勤務時間は、三直四交代で八時間、八時間ともずっとタワーについているということが現状のように聞いております。
  130. 東中光雄

    ○東中委員 十二、三人に二人というのではなしに、現実にいま各チームとも十二人に対して三人いるのですよ。それから訓練生が実際にやるというのは、それはいいでしょう。そういう経験を積むことも必要だと思います。そこへ、仕事をする人といいますか、有資格者がつく。二人に一人ついておってもいいですよ。そういうことをしない限りは、ほかの人が、本来の自分の持っておる任務と、そこから離れていかなければならないということになることが、ここのところが非常に重要だと思います。  それからもう一つ私申し上げたいのは、交替要員がいないわけです。要するにスペアがいないわけですから、先ほど言うように、朝の八時から午後の二時半まで、この間食事に行けないわけです。便所へ行くときには隣の人に言わなければいかぬでしょう。食事はしているのだろうけれども、かわらなければ行けない。間違えばたいへんな問題が起こることなんだから。こういうシステム。さらに、病欠でもあったり、年次休暇をとったらどうなりますか。ぎりぎり一ぱい、こういう定員体制では、事故が起こってからではおそいのですから、いま起こったときにこそ、こういう体制を全面的に直していくということが必要なんじゃないか、こう思うわけであります。  それからさらに、通信関係を見ても同じなんです。これは私、見て、これもびっくりしたのですけれども、国内回線一回線定員四名ということで、大阪空港の場合は、昭和三十三年に東京、岩国の二回線だった。だから予算定員は八名。ところが、現在もそのままになっている。現在は国内十八回線となっている。通信数を見てみても、昭和四十年は年間七十九万五千二百六十一通、昭和四十五年は二百万八千四百四十六通、二倍半にふえております。しかも、テレタイプも、四十年五十五台だったのが、四十五年には百十台になっておる。ものすごい業務量の増大です。定員はそのまま。通信、これは一つ間違えたら、あるいはフライトプランを打つにしても、ちょっと打ち間違えたら、これはたいへんなことになる可能性があるわけですね。  そういう点から、事故との関係で通信問題を見ても、このままで国際空港だと言うておっていいのかどうか。羽田だってそうであります。通信関係もそういう実情じゃないですか。改善の方向というものをこの機会に何か考えておられるかどうか、お聞きしたい。
  131. 内村信行

    内村説明員 確かに航空需要というものは非常にふえてまいりますけれども、それに対して全般的になかなか追いつけないというのが現状でございます。特に、官庁機構におきまして、人の問題についてはなかなか客観情勢に即応してふえないというのが現状であるということは、先ほどからも私申し上げておるとおりでございます。したがいまして、現在の陣容におきまして私どもといたしましては精一ぱいがんばりまして、万遺漏のないつもりでやってはおりますけれども、しかし、決して十二分に満足のいくほどの人がいるというわけではございません。その点につきましては、先生非常によく御認識いただきまして、私どもといたしましてはたいへんありがたく思っております。私どもといたしましても、そういう方向で、こういう、人を利用する——と申しますと、はなはだことばが悪うございますけれども、何とかして人員の拡充というふうな方向へもつとめたいというふうに考えております。
  132. 東中光雄

    ○東中委員 各部門とも同じことが言えますので、この際指摘しておきたいのですが、航務課へ行ってみましたら、定員十二名、昭和二十五年からそのまま、そういう状態で、飛行機の着陸回数だけ見ても、昭和三十五年一万六千三百三十二回だったのが、四十五年には八万一千二百三十四回、五倍になっております。こういう状態では、テレタイプで送ってくるフライトプランを実際上もうチェックできないと言っておる。単なる事務的な受け継ぎしかできない、そういうふうに言っております。これは定員がずっとそのままなんですから。あるいは観測官を見ましても、サーモメーターあるいは滑走路視距離の問題、視距離の観測装置、あるいは風向、風速の観測、これは自動観測装置がずいぶんたくさんあの部屋にありますけれども、二名勤務ですね。しかも、これは三十分に一回観測し、通報し、屋上へ行って観測しなければならない。夜間の場合なんかは一名勤務になります。時間が四時間あります。これだって故障が起こったら処置なしということになっておるわけですね。ちょっと聞いてみましたら、PARはことしに入って二十八回故障を起こしております。予備もない、修理職員もいない、処置なしであります。こういう状態。これが国際空港という状態でいいのかということですね。私は何回も申し上げますけれども事故が起こってからではおそいのですよ。いま事故が起こる要因というのは一ぱいあります。先ほど飛行機の面から横路委員のほうからいろいろ言われましたけれども空港のあらゆる部門がそういう状態になってきておるということで、これは、政務次官、ほんとうにきれいごとでは済まぬ状態です。今度大阪空港事故が起こったら私は承知しませんよ。こういう状態をいま認識されておって、そうしてそのままほっておいて事故が起こったら、個人の責任追及の問題では済まないわけですね。そういう点で、よほどはっきりした、それこそ抜本的な体制をとってもらう必要があるのではないか。先ほど局長も言われておりましたが、管制官、無線技能士等々、技術者の給料が非常に低い。民間との比較を、最近の新しいデータを私ちょっととりようがなかったので、整備できませんでしたけれども、そういう具体的な、民間のたとえば無線技能士の給料と、そしていまの国家公務員の給料を調査されておるのかどうか。どのくらい差があるのか。そうして、要員確保できないという原因は、そこに決定的な原因があると思うのです。確保したい、確保しなければいけないというふうに局長も先ほど言われたわけですから、それならそういう比較は当然とっておられると思うのです。そうして大蔵なりにそれぞれ要求されるということにならないといけないと思うのですが、そういう資料をとっておられるでしょうか、どうでしょうか。あったら、その内容を知らしていただきたい。
  133. 内村信行

    内村説明員 いま手元にその資料を持っておりません。事務的に、いろいろ責任の度合いでありますとか、複雑性でありますとか、あるいは困難性とか、そういうようなことから詰めまして、関係方面とも折衝しておる最中でございます。
  134. 東中光雄

    ○東中委員 同種の、たとえば無線技能士の場合だったら、航空機会社もあるでしょうし、通信関係、テレビ関係、いろいろあろうと思いますが、そういう民間各業種の通信技能士の給料の実態と、そしていま航空機関係でやられている実態、これの調査をひとつされて、その資料を出してもらえませんか。
  135. 内村信行

    内村説明員 実はILSとかレーダーとか、同じような職種が民間にございませんので、必ずしもぴたっとくる比較がなかなかできない状況でございますが、先生の御趣旨に沿っていろいろ検討したいと思います。
  136. 東中光雄

    ○東中委員 資料をつくって検討するだけでなしに、つくって、違うところは違うでいいじゃないか、それを出してもらえますか。
  137. 内村信行

    内村説明員 そういたします。
  138. 東中光雄

    ○東中委員 では、さように……。  政務次官、こういう状態ですから、ほんとうに実際に進めるという体制で取り組んでいく、そういう決意をひとつはっきりしていただきたい、そして実際にやってもらいたい、こう思うのですが……。
  139. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 まだ運輸政務次官就任して日も浅いものですから、あまり細部にわたることはよく承知しておりませんが、私は、函館が選挙区なものですから、飛行機の利用者で、ほとんど汽車は利用していない。そういう利用者の立場で、今回また政務次官に就任して感ずることは、社会環境が急激に変化したのに運輸行政がどうもついていってないんじゃないか、そういう印象を私は受けております。この社会環境の変化に即応した運輸行政、バランスのとれた航空機対策、こういうものをあわせて今回の機会にひとつぜひ確立させたい、かように考えております。先生のおっしゃること、先ほどの横路委員、宮井委員、皆さんの指摘された点、私もなるほどと思うことばかりでございます。任期中に何とかそういう問題を解決していきたい、かような決意で一ぱいでございます。どうか、気がついた点がございましたら、これからもひとつ御指摘をいただきたいと思います。
  140. 東中光雄

    ○東中委員 時間が来ておりますので、これで終わります。
  141. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十一分散会