運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-08-11 第66回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月十一日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       藤波 孝生君    古内 広雄君       村田敬次郎君    森下 國雄君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    卜部 政巳君       北側 義一君    新井 彬之君       内海  清君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  委員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第一課長 藤原 重信君         文化庁文化財保         護部長     内山  正君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治省財政局地         方債課長    石見 隆三君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  岩田 勝雄君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 七月二十四日  辞任         補欠選任   正示啓次郎君     村田敬次郎君     ————————————— 七月二十四日  一、建設行政基本施策に関する件  二、国土計画に関する件  三、地方計画に関する件  四、都市計画に関する件  五、河川に関する件  六、道路に関する件  七、住宅に関する件  八、建築に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお はかりいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本 日、新東京国際空港公団理事岩田勝雄君に参考人 として御出席を願い、御意見を聴取することにい たしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、 さように決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式 でお聞きすることにいたしたいと存じますので、 さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部昭吾君。
  5. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 西村大臣に簡潔にお尋ねしたいと思います。  過般の台風災害あるいは梅雨前線による公共土木災害というものが相当起こっておるわけであります。この災害復旧対策について、地方自治体の中で要望として起こっております問題は、災害が発生する、そうすると、国の補助というのが三カ年間にいわば分割をして決定をされてくる、したがって、県なり市町村段階立場からいえば、一気に復旧工事をしたい、こういう考えを持つ。特に、この復旧工事分割をしてやられますために、復旧が行なわれておらぬ間に再びまた災害が起こって傷あとが非常に大きくなる。こういう観点から、何とかこの災害復旧工事というもののスピードアップをやる方法がないかということについて、県及び市町村などでは、補助分割して決定をしてくることを一気に決定せいと言っても、これはなかなかそう簡単にはまいらぬだろう、そこで、県及び市町村が直ちに復旧にかかりたいと決定をした復旧事業については、起債だけは一ぺんで認めるようにしてもらいたい、したがって、市町村、県などが資金対策をやって、補助部分のものは先に復旧事業をやってしまうわけでありますから、工事完成以降三年間なら三年間に個所別分割をされて補助金が交付されることになりましても、起債が一気に認められるならば、急いでやらなければならない復旧事業は直ちに着手することができる、こういう強い希望があるわけであります。したがって、そのようなことについて、いわば起債を一気に認めることについてどうかということで総理府当局意向をただしましたところ、全く同感だ、したがって前向きに関係省庁内部調整をはかりたいという意思の表明が、実は先般の災害委員会であったのであります。そのような内部調整がやられるとすれば、建設省立場からいえばきわめて好ましい方向なんじゃないかと思うのでありますけれども、今日の時点大臣はどのように考えられ、また、各省庁間の内部調整というものを前向きに進めたいという総理府当局の回答のように進んでおるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
  6. 西村英一

    西村(英)国務大臣 災害復旧につきましては、原則的に四年でやるが、ただし緊急のものは三年でやるというのがいま原則なのは阿部さんもよく御承知のことであります。しかし、これは早くやらなければならぬ、これは私異存はございません。できるだけ早くやりたいというが、慣例的にいまそうなっております。そこで、早くやるために起債を、総理府意見として——総理府とまだ私はその件では打ち合わせたことはありませんが、起債でもってどんどんやってしまうということについて建設省どう思うかと言われれば、地方公共団体がぜひともそれはやらなければならぬということで、起債でもって早く復旧するということに私は異存はございません。実際問題として、これは災害を受けた金額にもよることでありますから、いま建設省で残っておる災害——いまの原則に照らしますと、四十三年が一〇〇%やらなければならぬことになっておりますが、四十三年の災害残工事なんというのは非常に少ないのです。四十四年も少ないですが、その災害がたびたび起こってきて累積すると、これはなかなかそういかないことになりますが、早期にそういうふうに起債でもってやってしまうということには、私は異論はございません。  それからもう一つ考えなければならぬことはこういうことです。早くやれ——早くやるのはけっこうです。しかし、災害原形復旧すれば早くなるのですけれども災害を受けるところは主としてやはり改良を加えなければならぬところなんです。それですから、災害が起こったときにすぐ手直しされるものもございまするが、必ずしもすぐ手直ししなくて、改良を加えてやらなければならぬというようなものにつきましては、やはり多少の日時がかかると思います。しかし、原則論は、いま地方でもって金を借りて早くやりたいがということについては、私は、そういうことの打ち合わせはまだしておりませんが、もし総理府がそういうような考えを持っておれば、建設省としてはそれは異存はないわけでございます。
  7. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣異論はないというのは何ですか。ことばじりをつかまえるわけじゃありませんが、異論がないというのは、何かよそごとみたいですな。そうじゃなくて、やはり県から見ますれば、何とか急いでやりたい、復旧にまだ着手をしない間にまた雨が来て傷あとが広がるというので、たいへん心配するわけです。何とか着手をしたい。その場合には、いま大臣がおっしゃるように、原形復旧なんというわけにはいかぬのがいまの常識になってきておる。やはり相当の条件、いろいろなものがあるでしょうけれども復旧をやるからには三十年、五十年、百年という展望を持った改良復旧をやりたいというのは、これはどこでもある願望なんでありますけれども、それらの具体的な復旧事業改良を加えてやる場合に、いろいろな関係等が出てきてたくさんの問題があると思う。あると思うが、少なくとも県及び市町村が直ちに着手をしたい、こういうふうに決定をするものについて、いま年度途中で、緊急のもの三年ないし四年、こういうことになっておる補助決定分というものを一気にやれと言ってもそう簡単にまいらぬことは地方承知。私どももそうむちゃなことは言わぬ。しかしながら、市町村及び県等が一気にやりたい、やらなければたいへんなことになると判断をするようなものについては、三年ないしは四年という補助決定はそれでよろしいのですが、起債だけはやはり県及び市町村が責任を持ってやりたいといって要請をしてくるものについては認めてもらいたいという願望に対して異論はないという、それは大臣のお人柄からいってよくわかるのですけれども、そうじゃなくて、何とかひとつぜひこれは各省庁間の意向建設省中心になってそこへ引っぱっていこうというぐあいに、実は前向きな御意向というものを希望したいわけなんです。  関連して、河川局長。この前の総理府当局答弁河川局長災害委員会でお聞きになっておったのですが、大臣はまだ各省庁間のそういうような内部調整なんということを相談を受けたことはないということですが、河川局長段階ではそういう段取りがいろいろ進んでおるのかどうか。
  8. 西村英一

    西村(英)国務大臣 異論がないということばはちょっと悪かったかな。結局、自治省起債を認めよう、これは賛成です。それですから、自治省と私がそういうことについて相談をしたことはまだないと言ったので、自治省が緊急なもので起債に応ずれば、それは私は賛成です。
  9. 川崎精一

    川崎説明員 私、直接自治省あるいは防災会議で話をしたことはございませんが、担当官の間では、先般の委員会あとを受けましていろいろ協議はしております。自治省には地方債起債の許可の方針というようなものがありまして、いろいろ自治省内部にも問題がある。その一つには、大体予算措置といたしますと、どうしても緊急三年、全体四年ということでございますので、当該年度でやる事業に対して起債を認可する、こういうたてまえをとっております。したがいまして、全体の災害復旧の、たとえば四十六年度災害ですと、四十六年度災害規模というのは査定をいたしますとその時点では全貌はわかるわけでございますけれども、なお、これが三年とか四年いたしますと、物価の変動とかあるいは精算だとかいろいろなものがございますので、すぐにそれを初年度起債を認めるということは適当ではないのではないかというような意見自治省自体にはございます。そういったこともございますので、私どもとすれば、それではどうすればいいのかというと、結局は、予算措置をできるだけ拡大をして、初年度に重点的にやれるようにするということが第一かと思います。そういった点で、なるべく工期を短縮するような予算措置要求をしていきたい。なお、過去の経緯を見ますと、大体予算をつけたところはその年度にできるだけ完成をしまして、増破とか手戻りのないようにいたしております。しかも、先ほど大臣からのお話もございましたように、改良復旧を加えていきますと、やはり計画の問題とか用地の問題とかいろいろからみますので、どうしても緊急的に初年度にやるというものはある程度府県でも限られてくると思います。そういったものにつきましては助成措置等を加えまして、できるだけ現状で満足するような措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  10. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 時間がございませんので、ばさばさっとまいりますが、今回の私どものほうの七・一五、一六災害を見ますると、河川法適用を受けておらない小河川、これが鉄砲水を出して、人家の流失、埋没という被害が非常に大きいのであります。  そこで、同じ災害でも砂防をやっておったところは被害が非常に少ない。ところが、砂防をやっておらぬところはたいへんな状態なんであります。砂防というものの効果を再認識をさせるような結果がたくさん至るところに起こっている。そこで、いま五百万円以上のものについては緊急砂防ということで、災害が発生した場合に国の援助を得て手だてをすることができるようになっている。しかし、小河川ですから五百万円以上にならぬものがたくさんあるわけであります。五百万にならぬものは、県単独事業なり市町村単独事業でやれといってもなかなか——あのとおり、公共土木災害が五十億、六十億ということになってまいりますと砂防希望が非常に多い。砂防なしでは復旧をやっても意味がないというような状態が非常に多い。その場合に、五百万円に達せざる緊急砂防採択基準というものがそういう状態ではどうにもならぬということがあって、五百万に満たざるものについても政府緊急砂防に準ずるような援助希望したいという声が非常に強いのであります。これをぜひお願いしたいということが一つ。  それから、第二の問題を申し上げますが、急傾斜地崩壊防止特別措置、これが五十戸くらいないと対象にならない。何かいろいろなことでもう少し規模を下げて——いま二十戸ですか。そうなりますと、二十戸もが崩壊の危険にさらされておってやられそうだというようなことはたいへんなことである。しかし、人命尊重という立場から見れば、一戸でも二戸でも三戸でもやられそうなところへはやはり手だてをするということにならなければ、二戸や三戸はよろしい、五十戸以上は何とかせなければならぬということは——もちろん、二戸や三戸のところは国の関係ではなくて、県なり市町村がやれ、こういう意見もあると思うのでありますが、なかなかこれはたいへんな事業なんです。したがって、こういう採択基準もぜひひとつ現状に即して、五十戸以上ほどの国からの援助はしないが、それに満たざるものについても、ある程度差はつけても国はやはり援助をするといったようなことがあっていいのではないか。これが第二の点。  第三の点は、時間がございませんので一気に申し上げますが、最近都市化現象がだんだん進んでまいりまして、小都市あるいは農村の中心的な集落、町、こういったものを町ごとにずっと結ぶ。ある意味でいえば、最近、広域市町村圏指定とかいろいろなことが始まっているが、この場合に、幾つかの町村都市化されたそういう状態のところを結ぶような広域幹線都市計画道路——県道なり、主要地方道なり何なりでそこが非常にうまく結ばれている場合は私はいいのではないかと思うのですが、そういう結ばれになっておらぬという場合には、これはやはりいまの広域市町村圏指定と同じようなかっこうで、広域幹線都市計画道路幾つかの小都市間を連係させるような都市計画道路ですね。——それがそういうものを必要としないように、主要地方道なり何なりがきちっと結んでおるときはいいと思う。従来の主要地方道というものは、大体大都市中心にして方方に放射線状に出ておって、それを包んでおるまわりの小都市拠点といったようなものはみんなその大きい都市放射線状に結ばれておるために、横断するような、広域市町村圏といったようなところをうまく結ぶような主要地方道なんというネットは組まれておらぬというのが非常に多いのであります。そういう場合に、この小都市間を結ぶ幹線都市計画道路といったような事業があっていいのではないか、こういうふうに思うのですが、お伺いをしたい。  以上、三つをお尋ねして、答弁がよろしければ終わります。
  11. 西村英一

    西村(英)国務大臣 第一の問題ですが、五百万円以下の災害が非常に多いのだが、それは採択にならないのだがという、こういう五百万以下のというのがちょっと私あれしないのですが……。
  12. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 緊急砂防ですね。
  13. 西村英一

    西村(英)国務大臣 緊急砂防は、災害を受けた場合は、その額はもっと低い額でも、これは……。
  14. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いままで砂防がないのですよ。それがやられたので、一気にやりたい。
  15. 西村英一

    西村(英)国務大臣 こういう場合、それはやはり復旧しなければならぬと思っております。それは思っております。  それから、いま河川法によらないような小さいどぶ川、みぞ川がたいへん荒れておる。これはまさにそのとおりです。今度の六月二日から七月二十八日までの異常台風による一連の災害を見ますと、建設省の受けておる災害の額は約五百億くらいでございますが、そのうちの一割、これが直轄河川の分です。直轄河川部分は一割、五十億しかない。あとの四百五十億はいわゆる中小河川。もろもろの河川が四百五十億の災害を受けておることから見ますと、まさに、あなたのおっしゃるような点は非常に重視しなければならぬと思っておるわけであります。ことに砂防の問題、これは皆さま方の非常な努力によって予算はたいへんふえましたけれども、私に言わせれば、もっと砂防に力を入れなければいかぬ。やっぱりもとを正さなければいかぬ。これは治水もそうですが、治山のほうも、農林省のほうもこれを重点に置かなければ、やはり今度のような集中豪雨にはもたないということをつくづく感ずる次第でございますから、これに力を入れたいと思っております。  第二番の急傾斜の問題ですが、これも原則的には五十戸となっておりますが、緊急の場合、特にがけがあやしいというような場合には三十戸まで緩和しております。しかし、一戸でもあぶないところは、というようなことになりますと、日本は、一戸二戸を相手にすればもう全国各家を全部相手にしなければならぬということになりますから、それはなかなか容易でなかろうと思っております。しかし、戸数は、ある集団のところはあぶないといえば、多くの被害を受けるからということですが、これは必ずしもしゃくし定木にとらえるわけにはいかないけれども対象戸数についてはやはりある程度戸数の標準は持たなければいかぬということでありまするから、これも予算の問題と並行して、徐々にその部落の範囲を縮めていく。いまは緊急は三十戸までと緩和いたしてやっているような状態でございます。  都市問題につきましては都市局長答弁させます。
  16. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 お尋ね広域市町村圏、私ども地方生活圏といっておりますが、そういう圏域にかかわる今後の道路整備あり方というお尋ねかと思います。  ああいう圏域を設定して、これを育成していくのには、やはり道路が根幹であることは申し上げるまでもないわけでございまして、大いにやらなければならぬわけですが、それをやるにあたりましての計画なり事業実施ということになるわけでございますけれども、私は、大部分は、そういう圏域内の数町村にまたがる幹線的なもの、地方道ですが、これは県道あたりで整備されていかれるものだと思うのです。ただ、お尋ねのように、それが都市計画法都市化区域が設定されているような地域であって、数カ町村一つの連檐した都市圏としてこれから発展が予想されるような地域につきましては、やはり都市計画的な見地からの道路網計画調整をやる必要があるという面は出てくると思います。そういう場合には、都市計画として数カ町村を横断するような幹線街路を設定していく。設定したものをどこがやるか。県がやるか、それぞれの市町村がやるかということは別の問題といたしまして、これはケース・バイ・ケースでいろいろ考えていかなければならぬというふうな感じを持っております。はたしてお答えになりましたかどうかわかりませんが……。
  17. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 時間が参りましたので終わりますが、いまの災害対策については、私の県は土木災害約五十何億、それから農林災害約六十億ぐらい。ところが、これが全県ばらっとやったならばたいしたことはないのでありますが、幾つかの町村に集中的にやられる。したがって、これはその町村ごと現状から見まするとなかなかたいへんなものであります。したがって、いま希望申し上げましたような諸点について、ぜひひとつ前向きに具体化希望したい。  それから、いまの都市局長の御答弁は、いままでは都市計画街路というものには、都市計画道路の中には、そういう考え方はないのです。今度政府が、この広域市町村圏という、今後の地域体制あり方、コミュニティーというか、そういう体制考えている以上、都市計画道路というものも、やはりそういう考え方の問題をどうしても出してもらわなければならぬのじゃないだろうか。そういう意味では、新しい四十七年度あたり一つ政策課題としての具体化をぜひ希望して、質問を終わります。
  18. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、卜部政巳君。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 まず都市局長にお伺いいたしたいのでありますが、四十六年度予算の中にも盛り込まれておりますが、古都及び広域緑地保全事業について、その内容の中で、今日、古都における歴史的風土及び都市近郊緑地保全のための土地の買い上げの事業、これは一体現在どの個所が行なわれておるのかをまず冒頭に明らかにしてもらいたいと思うのです。
  20. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 お尋ねの例の、古都における歴史的風土保存に関する特別措置法関係適用地域は、御案内のとおり、奈良とそれから京都鎌倉、こういう地域になっておりますが、これらの地域におきまして、都市計画でもって特別の保存区域というものを設定いたしております。これが設定されますとかなりきびしい制限を受けます。そのために、地主から買い取りの請求があった場合に買い取りに応じなければならぬというふうな、そういう手だてになっておりまして、それに基づきまして、公共団体のほうにおきまして買い取り事業を実施いたしております。国はそれに対しまして援助をいたしておる、こういうかっこうになっております。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 私の質問しておるのは、現在どのように事業が進捗しておるのかということを聞いているわけです。その進捗状況をひとつ知らせてもらいたい。
  22. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 古都保存関係事業買い取り実績でございますが、対象都市は、京都奈良、桜井、橿原、斑鳩、天理、明日香、鎌倉となっておりまして、四十五年度で申し上げますと、合計で、買い取りました面積が八万二千七百八十平米、買い取り金額にいたしまして四億八千四百五十一万三千円、こういう実績でございます。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、四十六年度予算ではまだ大かた残っておるということになるわけですか。
  24. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 四十六年度では五億程度の予算を計上いたしておりまして、まだ本年度買い取り実績が出てまいっておりません。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 では、ついでにお伺いをしておきたいと思いますが、飛鳥地方総合計画の問題もあわせて、どうなっているかをひとつ明らかにしてもらいたい。総合計画によってこれは進捗しておるわけなんですが、その点についてはどうなんですか。
  26. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 飛鳥関係総合計画につきましては、御案内のとおり、昨年の十二月に閣議決定が行なわれまして、飛鳥地方のこれからの保存開発の基本的な方針がきまったわけでございます。中身は多岐にわたっておりますが、大きく分けまして、現状飛鳥保存するために、いろいろな現行の諸法規を活用いたしまして現状変更規制強化していくというふうな考え方一つと、それからもう一点は、地域住民に対しまして、地域振興的な見地から、いろいろな道路でございますとか、公園とか、そういうふうな施設整備をかなり積極的に進めていく、こういう二つの柱が閣議決定内容になっておるわけでございます。  そこで、前段の規制強化につきましては、例の古都法関係一般地域、それから特別地域というものを拡張いたすことになっております。  それから都市計画の面では、さらに風致地区というようなものを拡張いたしまして、保存のための規制強化をはかってまいりたいということで、現在鋭意手続等を進めておる段階でございます。  それから事業計画におきましては、四十六年度飛鳥地方保存整備事業といたしまして、道路関係事業費一億二千六百万円、河川関係が一千万円、駐車場整備が四千二百万円、公園整備が三億五百五万円、それから飛鳥周遊歩道という事業がございますが、これが二千三百万円、以上のような対策事業費予算に計上されておるわけでございます。  以上でございます。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 この都市関係以外の風致地区だとか、いろいろな指定の問題等については、文化庁の方もおいでになって、これは予算の分科会で取り上げた問題ですから私はここで触れたくはございませんが、いま局長のほうから説明のあった計画内容とあわせ、現在進行中である道路公園、その他の問題等について、口頭で言ったのでは筆記が困難だと思いますから、ひとつこの点については文書でさらに提示していただきたい、このことをひとつお願いしたいと思います。  そこで、大臣にちょっとお伺いをいたしておきたいと思いますが、先ほども申し上げております飛鳥の問題ですが、幾星霜も住民の手によって飛鳥が守られてきたわけですね。それで、今日ようやく閣議決定その他によりまして日の目を見るようになった、そして総合計画も打ち立てられるということはたいへん喜ばしいことだ、こう思うわけです。だけれども、私は、単に飛鳥にとどまらず、発掘調査の結果、たとえばそこに縄文時代、古墳時代、弥生時代というような一括した重要な地点が発掘されたというような場合においては、もしそこにかりに道路をつけるというような場合があっても、記録保存にはとどめず、これは永久保存としてとどめるような措置をもちろん行なうべきだと思うし、その道路の路線を変更すべきだ、私はこう思うわけです。その点に対する、文化財保護に対する大臣の姿勢というものをひとつここで明らかにしてもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  28. 西村英一

    西村(英)国務大臣 仰せのとおりでございまして、文化財の保護、自然の保護、こういうことはようやくもう国民のひとしく希望する世相になったわけでありまして、それと私たちの公共事業とが場合によっては御案内のとおり非常に支障を来たすことがあるわけです。なかんずく道路の問題についてですが、その場合には、第一義的には、もちろん、道路等を迂回することができるところは迂回するのがこれは当然でございますが、しかし、その文化財等につきましても程度の問題があるし、また、道路によってどれだけ破壊されるかという程度の問題もあります。しかし、原則的にはこれは保存をしていく、ルートは変更していく、これは原則論でございます。迂回するところがない、しかも文化財としてそれほど重要でもないというその程度、そういうことを考えまして、やはりケース・バイ・ケースでやるということにはなりますが、少なくとも、われわれが道路によって自然を破壊する程度、文化財を破壊する程度のことについては現在でも非常に慎重にやっておるのでございまして、私も、今後公共事業を進めていく上におきまして慎重にこれらの問題を取り扱っていきたい、かような考え方をもって進めたいというふうに思っておる次第でございます。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 大臣、程度によるという、その程度とはどういうことを言っておるわけですか。大臣の言う程度ですね。
  30. 西村英一

    西村(英)国務大臣 程度というのは程度でありまして、ケース・バイ・ケース考える、しかし原則的には破壊しないようにするということです。それでは道をつくらぬでいいか、道路をつくらなくてもいいかといえば、道路を通すのは、道路道路でやはり必要な意味でやっておるのですから、全部迂回するのだ、またあるところはそういう道路なんかやめるのだ、こう全部言い切るわけにはいかないし、しかも文化財によりましてもいろいろな、それこそ程度があると思うので、いろいろなあれがあると思うのです。したがって、そういうことを考えつつですが、姿勢としては破壊しないことを原則にしなければならぬと考えておる次第でございます。
  31. 卜部政巳

    卜部委員 そこが若干私には疑問があるところでして、四十年に、寺脇貝塚という有名な貝塚があって、その場合におきましても、その貝塚については、かなり重要な文化財として保存されなければならぬものを、やはりそれを緊急発掘した。いわゆる四日か五日間で発堀をして、調査をして、その上に建設が行なわれたという、こういう悲惨な姿があるわけですね。それは程度によると言うけれども、その程度の尺度を建設省あたりできめるのではなくて、やはり文化庁あたりがこれは重要だという指定をした場合には、建設省もそれを認めて、永久保存なら永久保存の方向に向かって、努力をするというのではなくて、それは原則だということではなくて、むしろそういうものは、文化庁の指定に基づくところの永久保存等については、確実にその方向に向かって実施をするということでなければならぬと私は思うのですね。そういう意味において、これからの文化財の問題等については、文化庁の御意思というものを尊重して、いやしくも建設省のほうから横車を入れるようなことがないよう、このことをひとつはっきりしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  32. 西村英一

    西村(英)国務大臣 そういうような貴重な文化財があるようなところにおきましては、建設省だけではやれるものではございません。関係の各省、なかんずく文化庁等の意見を十分聞いてやることでございますから、その点につきましては、私はあなたのお気持ちと一緒でございまして、文化庁の意見を十分取り入れてやることは、これは現在もやっておるわけです。今後もそうだし、現在もやっておるわけです。  道路問題については、こういう時代になりましたから、われわれ最も頭を悩ましておるところでございますけれども、それは文化庁の意見を十分聞いて、建設省だけではやれるものではございませんので、十分尊重して今後もやっていきたい、かように思う次第でございます。
  33. 卜部政巳

    卜部委員 では、そういう問題につきましては、別途建設委員会の中で、その起きた事象に対してひとつまたお話しをすることにしたいと思います。  そこで、ちょうど文化庁の方もおいでになっておるわけでありますから、文化庁の方からの意見を聞いて、あとからまたひとつ建設省のほうに質問をしてみたい、こういうふうに思うわけです。  そこで、文化庁の文化財保護部長さんにちょっと質問をしてみたいと思いますが、千葉県の加曽利貝塚について。  加曽利貝塚の南斜面、ここに、縄文時代の前期の茅山式土器だとか、さらには住居址が発掘されたということを私は聞いておるわけでありますが、文化庁といたしましてはそのことについて調査をしたのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  34. 内山正

    ○内山説明員 加曽利貝塚の南斜面につきましては、古墳時代の住居址が四基、それから遺物の包蔵地が一面にあるという結果を千葉県のほうから聞いて知っております。
  35. 卜部政巳

    卜部委員 では、東斜面のほうの発掘の状況等について報告は来ておりますか。
  36. 内山正

    ○内山説明員 東斜面につきましても、正式の報告と申しますより、県からの情報によりまして承知しておりますことは、縄文時代の住居坑が四カ所、それから炉跡が四カ所、古墳時代の住居跡が二カ所検出されたという点を一応知っております。
  37. 卜部政巳

    卜部委員 それで、その南貝塚に老人ホームが建つということについて承知されていますか。
  38. 内山正

    ○内山説明員 承知しております。老人ホームは京葉高速道路計画にひっかかるので、この地域が千葉市の開発財団の土地であるということから、その移転先としてこの地域を予定し、南斜面に建てたいということで計画を持っておったということは承知しております。
  39. 卜部政巳

    卜部委員 計画を持っておることを承知はしたのだが、文化庁としてはどういう態度で臨んでいるわけですか。
  40. 内山正

    ○内山説明員 この地域につきましては、先ほど申し上げましたような遺物包含層なり、住居跡も出ておりますので、これについては、事前に発掘届けを提出して、調査をした上で、建てられるかどうかについては検討すべきであるという指導をしてまいったわけであります。
  41. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、保護部長がいまいみじくも言われたように、縄文時代のいわゆる住居址も出た、さらに古墳時代住居址も出た、さらに土器も発掘されておるということになると、これはまさに、日本全土を歩いてみても、古墳、弥生、縄文と重なった——時代としては逆ですけれども、そういう地点はどこかありますか。
  42. 内山正

    ○内山説明員 いまお話がございましたように、縄文から古墳時代に至る遺跡が重なった地域は何カ所か存在すると思います。ただ、いまの南斜面につきましては、古墳時代の住居址が出ておると聞いておりまして、縄文時代の住居址が出ておるとは聞いておりません。東斜面については縄文時代もあります。
  43. 卜部政巳

    卜部委員 いまあなたはそこに地図を持っておられるからおわかりかと思うのですが、南斜面といい、東斜面といい、その距離というものはごくわずかなものですね。これはここにありますように南貝塚、北貝塚、これは南斜面と東斜面、これだけの範囲内ですね。しかしながら、その古墳時代の住居址が出た、土器が出た、それが一方にあっても、その下に積み重ねられておる土器は縄文時代の土器であるということの報告はないのですか。
  44. 内山正

    ○内山説明員 出土しました遺物の中には縄文時代の遺物もあります。
  45. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、学問的に見てもこれはたいへんな土地だと私は思うのです。これはただ日本というだけではなくて、世界に誇る加曽利貝塚周辺の地点だ、こう思うわけなんです。そういうところを発掘して調査して、十分な調査の結果さらに何が出てくるかわからない。いままで二千五百年といわれたものが七千年代、八千年代ということになるわけですから、定説をくつがえすことになるわけですね。学問的にもこれは重要なものだと思うのです。そういうところにいま言うように老人ホームが建つということについては私は納得できないと思いますが、この点について、文化庁としてはどういうふうに考えられますか。十分な発掘調査を行なった上でないと建てさせないという意思なんですか。そのように理解していいですか。
  46. 内山正

    ○内山説明員 加曽利貝塚は、いわゆる貝塚として非常に典型的なものであるということでございます。縄文時代の住居跡などが検出されております。そういうことで、北貝塚につきましては、先年来千葉市がこの土地を取得いたしまして、全域を確保いたしました。文化庁もこれの指定を準備しておりましたが、今年の三月に告示をいたしまして、北貝塚の部分についてはこれが完全に保存される形になったわけでございます。南貝塚の部分につきましても、いわゆる貝塚が馬蹄形にございますところの、その部分については、すでに市がこれを保存するということで、土地の購入を、国庫補助を得まして進めまして、四年間で買い上げを終了したわけでございます。  ただいま御指摘のございました南斜面あるいは東斜面につきましては、いわゆる貝塚そのものを取り巻く周辺の部分でございます。これらの地域につきまして、これが貝塚との直接関連があるものか、あるいはそれとはまた別のものであるか等の検討も必要でありましょうし、そういう意味で、この周辺部分についての学術的価値等については十分な調査をする必要があると思っております。したがいまして、その調査の結果によって、これを指定保存すべきであるかどうかということが検討されるということであろうかと考えております。
  47. 卜部政巳

    卜部委員 保護部長はえらくのらりくらり答弁されていますが、指定をしたのでは、とてもじゃないが、国で買い上げなければいかぬからという配慮があってのことばがちらちらと出ておるようですね。しかしながら、あなたは保護部長なんですからおわかりのように、確かに、特殊な貝塚ですからなんですが、そこにいわゆる縄文時代の住居址が出た。この土地を見てもおわかりのように、これは一連の関連がありますね。そこで、同時に、皆さんのほうが詳しいかもしれませんが、このたんぼというものはいわゆる入り江ですね。縄文時代の中期にかけて一番海が入り江に飛び込んだ——飛び込んだと言ってはおかしいが、入り込んだ状態でしょう。だから、千葉県の湊川みたいな、がけっぷちに面したところは丘で、たんぼは谷になるわけです。谷底がいまたんぼになっているわけなんですね。そうだとすれば、これは関連がないなどということは、私は保護部長とも思われないことばだと思うのです。だけれども、それは何か言ってはならぬような気持ちがあるから、ことばで出られない問題があるからそういう問題になったと思いますが、しかしながら、現実にいま保護部長が言っておるように、市が買い上げた云々ということであって、国からの措置というものが全然見当たらない。だから、市は何としても自分たちの能力の範囲をこえた財政負担ということで、ここにこういう老人ホームを建てようなどということに相なっておるのだろうと思うのです。しかし、寺脇の貝塚が破壊されたけれども、この加曽利の貝塚は保存されたということについては、私は千葉市の努力というのはなみなみならぬ努力であったと思うのです。その点には敬意を表したいと思いますが、やはり市の財政能力というものもあるのですし、そして先ほど申し上げたように、これはまた十分な発掘をしていくと、いま言うような定説をくつがえすような重要なものになりかねないような様相があるだけに、単にいますぐ指定をして買い上げろということじゃなくて、十年計画でも立てて、それで調査、発掘をして、十分検討した中で、それが重要なものだということがわかりますから、もうはっきりしておるのですから、そのあとに立ってこの買い上げをやる、指定をするというふうなことにしても差しつかえないと思いますが、その間は、この老人ホームは、文化庁としては絶対に建てさせないという、調査の結果を待ってでないとならぬという方針というものを明確にここで打ち出してもらいたいと私は思いますが、いかがなものでしょう。
  48. 内山正

    ○内山説明員 南斜面の古墳時代の住居址は、これは貝塚とは直接は関係ないようでございますが、その縄文時代の遺物等が出たということについては、何らかの関連があるのかもしれないと思うわけでございます。ただ、全体といたしまして、この貝塚の指定保存ということにつきましては、その範囲をどの範囲に考えるかということについては、なお私どもは文化財保護審議会等の意見を徴しまして、その保存について検討をしてまいりたいと考えております。
  49. 卜部政巳

    卜部委員 先ほども申し上げましたように、いわゆる縄文時代の早期から前期にかけて内陸に海水が入り組んだ時代ですね、これは。先ほども申し上げたように、このたんぼは谷底であり、この丘はいわゆるがけっぶちであったということが容易に想像されるわけなんですね。そうするとこれは自然景観も含めて一大景観であって、南貝塚もそのとおり、北貝塚もそのとおりなんですが、南斜面とか東斜面だけの問題じゃなくて、たんぼも、その前の丘もやはり指定すべきだというこれからの考えを持っておるわけです。ところが、保護部長が、こんな谷のことも丘のことも考えずに、この南の貝塚自体が北貝塚と関係があるのだろうかどうだろうかと、こういうことを言っておられたのでは、私は話にならぬと思う。少なくともやはりこういう景観を持ち、さらに貝塚の周辺に住居址があり、しかも古墳時代と縄文時代と、それが一緒に発掘されておるということになると、やはりその中には、地質学的に、いわゆる自然科学的に研究すべき分野というものがたくさん出てきたのだと思うのですよ。そういう面からするならば、早急にそういう調査をやってもらって手を打ってもらいたいと私は思うのです。いまのお話を聞いておりますと、まだ報告があった程度だとかいうことなんでありますが、私も実は千葉県の貝塚のほうへ行ってまいりました。つぶさにこれを調査してまいりましたが、一度保護部長も行って、この状態をひとつながめてもらいたい。それで、私は賢明な措置であったと思いますが、八月十五日までに緊急発掘、そして記録保存、老人ホームだというこの措置に対して、文化庁のほうからもぐり発掘中止ということで中止命令を出したということは私は敬意を表しておるわけですが、少なくとも十分な調査を行なって、悔いを千載に残すことのないようにしてもらいたいと私は思います。これは毎日新聞にも載っておりましたけれども、江上波夫さん、御存じですね、この人が言っております。「加曽利貝塚は千葉市が世界に誇る貴重な財産だ。老人ホームを建てるため遺跡をこわすようなことがあっては千葉市民は世界中の物笑いになる」ということを指摘いたしておりますね。こういうような状態で、考古学者あたりも世界に冠たる加曽利貝塚ということを言っておるわけなんですから、ひとつ、保護部長もあやふやなことを言わずに、明確に——予算の問題等々について苦慮される面があるかもしれませんが、それはやはり十年計画等々を立てて、十分な調査の中でやってもらいたい。文化庁が、この江上さんの話じゃありませんが、世界に誇る貴重な文化財を壊滅させたということでは、あなた方文化庁が笑いものになるということを私は申し上げておきたいと思うのです。その面におきまして、十分な調査をやるということについてはよろしゅうございますね。異議はございませんね。
  50. 内山正

    ○内山説明員 この地域の重要性については先生の御指摘のとおりでございます。この地域についての十分な将来の調査保存ということについては努力をしてまいりたいと考えます。
  51. 亀山孝一

    亀山委員長 卜部君、ただいまの御議論、御質疑、大体これは文教委員会の所管だと思いますので、その点お含みおきを願いまして……。
  52. 卜部政巳

    卜部委員 では、委員長の指摘もありますので、文教委員会のほうで取り上げることにしますが、この加曽利貝塚ですが、これはこれで三回目ですね。三十七年に老人ホームの問題が出た、四十年から四十一年にかけて問題が出、今日またこういうふうな問題が出ておるわけなんですが、そういうふうな問題がたびたび出てくるということは、これは文化庁にも責任があると私は思うのです。やはりこういう重大な埋蔵文化財なんでありますから、この点についてはひとつ十分な配慮をして、いやしくも、先ほども申し上げたように悔いを千載に残すことのないようにひとつ努力をしてもらいたい。委員長が指摘をされたように、その後の問題についての十分な監視は文教委員会の中でピンチヒッターができますから、何も建設委員会だけにおることはないのですから、ピンチヒッターでいけるのですから、保護部長、建設委員会でいいかげんにごまかそうと思ってもらってもいけません。そういうことで終わりたいと思います。  そこで建設省のほうにお伺いしたいと思いますが、先ほどこの緑地の問題等についてお話を申し上げたわけです。文化財の問題とからめてきわめて恐縮でございますが、先ほども申し上げたように、縄文時代からの早期にかけての、内陸に海水がずっと最も近く入り江に入ってきたときなんでありますが、そうした中にあって、その小倉という丘があるわけですが、昔の谷ですね。谷なんですが、そこの緑地というものは、私がながめてまいりましたところが、一軒ぐらいの家が建っているわけですね。ほうっておいたら、あの丘は、緑地というのは全部削られちゃって、おそらく私は住宅が建つだろうと思うのです。住宅が建ってしまいますと、あれはもうほんとうに自然景観というものがなくなってしまう、こう思うわけです。そうした面において、これは全然角度が違うということになるかもしれませんが、予算があれば、建設省のほうも——大臣は文化庁の意思を尊重して協力した云々ということを言っていますけれども、文化財を破壊してきておる実績があるわけですから、罪滅ぼしに、予算を少しぐらい出してこの丘を少し買ったらどうか、こういうふうに考えるのです。これは的はずれではあろうと思うのですが、どうでございましょうか。
  53. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいまのお尋ねの場所がちょっと私もよく承知していませんので、結局一般的なお答えにならざるを得ぬと思いますけれども、現在、こういったものについての買い取り制度は、先ほどの古都法との関係とか、あるいは首都圏等の近郊緑地保全区域の制度がございますが、そういうような地域が設定されますと、これを買い取って保存していく。それ以外は都市計画法都市公園法の系統です。都市公園として、施設、緑地として指定をするという方法、あとは部市計画風致地区という制度がございますが、そういうものである程度の現状変更を押えていく、以下のような手だてがあると思います。はたしてお尋ねの場所がどの手法に適するのか、あるいはどれにもひっかからないということになるのか、その辺はよく実際の現地に当たってみませんと何ともお答えいたしかねますけれども、私の感じで申し上げますならば、都市公園の施設、緑地というようなものに該当するならば、そういう方法でこれを保存することが周辺の一帯の地域とあわせまして考えられるのじゃないかと思います。  以上でございます。
  54. 卜部政巳

    卜部委員 私はこれは文化庁の方にも申し上げたかったのですが、建設省の方にもぜひ聞いてもらいたいのですが、飛鳥の問題は、閣議決定——いまもいろいろと申し上げましたが、いわば飛鳥の場合は王族、いわゆる貴族の生活状態ですね。ところが、今度の貝塚周辺の住居址の問題は、いわゆる大衆の生活がにじみ出ておるわけなんでありますから、東の貝塚は、いわゆる大衆の祖先がどういう生活をしてきたかという貴重な遺産である。ここで西のほうは飛鳥というのが指定されましたから、私はこれは東西の双壁だと思うのです。そうした面において、いま都市局長のほうからおっしゃられたように、私も実はあそこに行って、これはやはり都市公園法のそれでもひとつ適用したらできるのじゃないかということを実は考えたのです。しかし、この問題についてはまだ研究しておりませんから、委員長が指摘をされておるように、あまり文教関係のことになって恐縮なんでございますから、今度はその問題について具体的に委員会の中で取り上げてまいりたい、このように思います。  以上をもちましてこの文化財関係のほうは終わりたいと思います。  そこで、次に角度を変えまして、ちょうど公団の方も来ておられますので、建設省のほうに若干の御質問をして、それから空港公団の方に質問したいと思います。  都市問題の中で、地下埋蔵物の爆発や破壊というのが大阪や東京で起きていますね。御承知のとおりです。本委員会でも調査団が派遣をされるようなことがあったわけでありますが、こういうような現状にかんがみて、今度の新国際空港の明春の開港というものがいわれておるわけでございますが、これに伴うところのいわゆるジェット燃料のパイプライン、これを埋設するには都心部を避けるべきだ、こういうふうに私は思うわけでありますが、このパイプラインの埋設等につきましては、建設省に連絡があったのかなかったのか。まず建設省のほうからお伺いしたいと思います。
  55. 西村英一

    西村(英)国務大臣 いまのお尋ねは、新国際空港の使用の油の問題であると思いますが、それは新国際空港公団から建設省に、パイプラインを東京から布設したいという申し込みがあったようでございます。
  56. 卜部政巳

    卜部委員 その程度でございますか。コースその他については相談はなかったわけですか。
  57. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 ただいま大臣から御答弁いたしましたように、成田空港のパイプラインにつきましては、新東京国際空港公団から、その計画等につきまして、私たちのほうに内々の相談がございました。正式な書類ではございませんが、内々にルート並びにその他につきまして相談を受けております。
  58. 卜部政巳

    卜部委員 それは決定をした段階におきましてももちろん連絡があるでしょうし、しかも、明春開港ということがいわれておるわけですが、この点についての経過、その他について、建設省のほうにその後何らかの連絡があったかなかったか、その点をお伺いしたいと思います。
  59. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 空港公団から相談を受けておりますのは、主として、成田空港線に入ります空港における高速道路がございますけれども、そちらの中に入れたいということの相談を日本道路公団——その他各県道、市町村道を通る場合には、それぞれの道路管理者に最終的には相談することになるわけでございますが、その全体的な、包括の問題といたしまして、成田新空港までそういうパイプラインを引きたいということで、たとえば技術的に、あるいはルートの問題もございますが、含めまして現在検討を進めておる段階でございまして、大体いいというふうな内意があれば正式な認可申請が出てくるものというふうに考えております。現在検討中という段階でございます。
  60. 卜部政巳

    卜部委員 直接公団の方に聞いたほうが早いようでありますから、ひとつ参考人理事岩田さんにお伺いをいたしたいと思いますが、いま道路局長のほうから、内々話があったけれども道路管理者との話し合いを深めて、またその人たちの内諾を得なければならぬというお話もあったわけでありますが、公団は、千葉市と今日までどのような話し合いをされておったのか、またどのような話し合いをされたのかをお聞かせ願いたいと思います。
  61. 岩田勝雄

    岩田参考人 新空港公団といたしましては、ただいまのパイプラインのルートにつきましていろいろ現在検討中でございますが、千葉市につきましては、市並びに県のほうからいろいろ事務的な資料をいただきまして現在検討中でございます。
  62. 卜部政巳

    卜部委員 いや、私の言っておるのは、千葉市と話し合いをしたことがあるのかということを聞いているのです。それは、いつ、どこで何回くらいやったのか、ちょっと具体的にお知らせ願いたいと思います。
  63. 岩田勝雄

    岩田参考人 ルートにつきまして、ただいま申し上げましたように、公団といたしましてはいろいろ検討しておりますので、千葉市のほうからいろいろ資料をいただきまして、公団側で検討しておる、こういうことでございます。そういう事務的な資料の提供をお願いしたことは数回ございます。
  64. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、ただ資料提出してもらって、市とは何ら話し合いをしていないということなんですか。市長さんとも何にも話をしていなくて、おい、おまえのところ資料を持ってこい、検討するから、ということですか、どうなんです。
  65. 岩田勝雄

    岩田参考人 公団といたしましては、ルートの決定につきましては当然市のほうの御了解も得なければいけませんので、いろいろお願いしまして、市のほうから資料をいただいております。そして、ようやく公団といたしましては、ごく近々に千葉市のほうと協議を始める、こういう段階になっております。
  66. 卜部政巳

    卜部委員 岩田さん、私の聞いておることは、そういう資料の提出を求めたということじゃなくて、公団がその市の中を通すということになれば、やはり市の了解を求めなければいかぬのでしょう。そうなれば、当然市長とも話し合ったのじゃないだろうかということを申し上げておるわけで、資料を求めたあとに検討して市と話し合いますというようなことでは私はおかしいと思うのですね。話し合っておるんじゃないかと思うのですが、その点はどうかと聞いておるのですから、端的にお答え願いたい。
  67. 岩田勝雄

    岩田参考人 ただいま申し上げましたように、市長さんとはまだ正式にはお話ししておりません。しかし、事務的に、たびたび申し上げましたように、私ども資料をいただきまして検討しておりまして、そして、私どものいろいろな考え方をこれから正式に市のほうと協議をいたしまして、ルートを決定いたしたい、こう考えております。
  68. 亀山孝一

    亀山委員長 卜部君、たびたびで恐縮ですけれども、先刻の理事会で持ち時間をほぼ一時間ぐらいということにしておりまするし、ほかの御質問者もお二人おられますから、そのおつもりでどうかお願いいたします。
  69. 卜部政巳

    卜部委員 はい、わかりました。簡単にいたします。  そうすると岩田さん、しつこいようでございますが、県と市と公団との三者の話し合いはなされていないわけですか。
  70. 岩田勝雄

    岩田参考人 県に対しても全く市と同じような状態で現在おります。
  71. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、道路局長がちょっと答弁の中に漏らしていたように、世論の関係があるから云々ということばもありましたが、空港公団は、県も市も相談をせずに、資料に基づいて抜き打ち的にルートを決定して発表しようという、そんな魂胆ですか。やはり住民の反対が巻き起こっておることも御承知のとおりでしょう。そういう中で、今日、国際空港もだいぶ騒動が激しいことも御存じのとおりなんですが、私は、そういう官僚的な抜き打ち的なやり方が問題だと思うのですよ。それをいままで話し合っていないなんというばかなことはあってしかるべきじゃないと私は思うのです。いまのお話だったら全然話し合っていない。全然話し合っていなくて、ただ県と市に資料を求めたなんという、そんなばかげたことがありますか。そんなことはないでしょう。どうなんですか。
  72. 岩田勝雄

    岩田参考人 公団といたしましては、パイプラインの建設につきましては、安全性に最重点を置きまして、その設計、施工、管理等につきまして万全を期すように現在進めておりますが、ルートにつきましては、御承知のように、私どもパイプラインの構造につきましては十分安全であるという自信を持っております。しかし、やはりこれにはどうしてもそういう住民感情というものもございますので、当然、ルートの管理者となります市、県と協議をいたしまして、一つの案ができましたときには、それに基づきまして、私ども、直接関係の方々に御説明を申し上げて、そうして御納得を得た上で工事を実施したい、こう考えております。
  73. 卜部政巳

    卜部委員 私は押し問答はしたくないのですが、建設省なんかも、市街化地域指定等々につきましては公聴会を開き、もう念には念を入れてやっていますよ。あなたたちは明春開港すると豪語しておるわけでしょう。そういう中にあって、パイプラインがなおかつきまっていないというばかなことがありますか。新聞によりますと、何か知らぬけれども、予定線なんというのが書いてある。だけれども、本委員会では、そんなことはまだ検討していませんなんという言い方は、私は国会を冒涜しておると思うのです。だから、その点について、あるならある、予定線はこうだ、さらにパイプラインの構造等についても、安全を期するが、現在の構造はこうなんだということを親切に御答弁願いたいと私は思うのです。どうなんでしょう。
  74. 岩田勝雄

    岩田参考人 ただいま先生からお話しのありました明春開港ということにつきましては、私ども、いろいろな関係上、まことに申しわけないのですけれども、明春開港は若干おくれると思います。私ども、現在の段階では、すべてが順調に参りますと、来年の五月中には空港を運営開始の状態にできると思います。したがいまして、六月には開港という予定を現在しております。  パイプラインの工事につきましては、確かに、先生の言われますように、ルートの決定につきましていろいるおくれて、ある点誤解を招いたところもあるかと思いますが、全体の工事といたしましては、七カ月ありますと工事が完成いたしますので、この秋ぐらいに着工できますれば十分開港に間に合わせられる、こう考えております。したがいまして、パイプラインのルートにつきましては、市、県のほうと協議ができまして案ができましたときには、それに基づきまして——もちろん私ども抜き打ちにこれで決定というようなことでなく、関係住民の方々に十分御納得いただけるような説明をいたしまして、それに基づきまして御認可を得て工事をやりたい、こう考えております。
  75. 卜部政巳

    卜部委員 私の言っていることはそういうことじゃない。先ほども申し上げたように、線引きの問題等につきましても、建設省は、一年も二年も前に住民に対して公聴会等々をやりまして、念には念を入れてやっておるというのです。あなたのいまの答弁では、大体秋ごろまでにルートを決定して住民の方に相談するというようなことをおっしゃっていますけれども、そういう問題じゃなくて、もう千葉市では市議会なんかでも大混乱しておるような現状でしょう。やはり関心がそこに集まっておるわけでしょう。自分たちの千葉市に縁もゆかりもないパイプラインが通ってくるのですから問題ですよ。そうなれば、やはり予定線というものを早く出して、こういう路線もある、こういう路線もあるということで、住民の皆さん方の御納得をお願いしたいということが筋だと言っているのです。それをいまの岩田さんのお話では、来年の五月から開港するが、秋までにそういうものをやればいいんだなんということだが、そういうものの考え方に若干問題があるのではないか、こういうふうに思うわけです。しかし、そのことは別問題としまして、新聞に取り上げられておりますようなパイプラインのコースというもの、公団が試案を出しておると載っておりますが、この試案はほんとうなんですか、どうなんですか。
  76. 岩田勝雄

    岩田参考人 ただいま先生のお示しになりました、新聞に出ております試案というものは、私ども見ておりません。私ども、まだ、新聞その他に対しまして一度もそういうものは発表したことはございません。  それから、先ほど先生は、十月ごろに初めて案を出すとちょっとおっしゃられましたけれども、私どもそういうふうに申し上げたのではなくて、ここ近々に千葉市のほうと協議をいたしまして、一つの案が一般の方々に出せるのではないかと思います。その間に、十月ぐらいまでに住民の皆さまの御納得を得られるような説明をして、工事を十月ぐらいからやりたい、こういうようなことであります。
  77. 卜部政巳

    卜部委員 それは、岩田さん、水かけ論というものですよ。私の言っているのはそういうことではなく、一年も二年も前から建設省のほうではそういうことはやっておる。ところが、あなたのところは、今日もう八月ですよ。それで十月と言っている。二カ月しかないじゃありませんか。そんな中で十分な話し合いができると思うところに問題があると私は言っているのであって、そういうことは、私はいいです。  しかしながら、このパイプラインの問題については、埋設ルートの試案というものが、住宅地は避けて既設の水道管と併設というようなことで出ておるわけであります。しかも、これは今月末にどうもパイプラインのそれを決定する模様だ、こういっているわけですね。ちゃんと新聞に書いてあるのですから、私はうそをついているわけじゃない。そういうふうなことであって、大体の骨子というものは私は出ておると思うのですよ。あなたの胸の中にも明らかにされておると思うのですがね。その点をひとつここで明らかにしてもらいたいと思うのです。いろいろな案があるだろうと思いますが、どうでしょう。
  78. 岩田勝雄

    岩田参考人 先ほど申し上げましたように、私ども、ごく近々に千葉市のほうと具体的な協議をいたしたい、こう考えております。現在私どもがいろいろ考えておりますことにつきましては、まだ案でございまして、これはやはり管理者である千葉市あるいは県によって決定されるべきものだと思いますので、いま私どもがそういうことをいたしますといろいろ誤解を招く向きもありますので、もうたびたび申し上げますように、ごく近々に市のほうとも正式に協議をする予定にしておりますので、それが終わりましたらば、また、御要求があればいつでも御説明を申し上げたいと思います。
  79. 卜部政巳

    卜部委員 あなた、何をおっしゃっているのですか。近々のうちということは、私も大体想像がつくのですよ。八月中にやろうというようなかっこうですからね。あなた方は、ここで事前に発表されてしまったのでは、何か学生が騒いでおるようなああいう事態が起きやしないだろうかという心配があるだろうが、私は逆だと思うのです。やはり千葉市の人たちが心配をして、これは市議会でもずいぶん取り上げられて、もうあなたたちが隠そうと隠すまいと、千葉市はあげてこの問題について関心を寄せておる状態なんでしょう。この国会の中でも、一日でも早くそういうものを発表して、ああそうなのかという了解を一日でも早く得たほうがいいと私は思うのです。それを、何か知らぬけれどもひた隠しに隠して、市のほうと相談せぬと発表はできぬ。ところが、新聞なんかにはすっぱ抜かれておる。こんな片手落ちのことがどこにありますか。では、私たちにはそういうことが言えないというのですか。どうなんですか。建設省の役人もおられますが、そういう役人なんかには言えない、とにかく公団というのは市と協議をしたあとでないとそういうことも言えない、こういうことなんですか。どうなんです。
  80. 岩田勝雄

    岩田参考人 ただいま先生のお話のありました建設省に対しましては、先ほど建設省からも御説明がありましたように、私ども、東関東自動車道というようなものについていろいろなお打ち合わせをしてまいりました。現在、市内のルートにつきましては、今月中というようなことを先生おっしゃられましたが、もっと早く、ここ数日中に協議をする段取りになっておりますので、そういうふうにお考えいただきたいと思います。
  81. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。  どうも岩田さんは奥歯にもののはさまったようなことを言っておりますから、道路局長どうですか、端的に言って、相談になった内容をつまびらかにしてください。
  82. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 市当局との相談があったかどうか私は存じませんが、日本道路公団が高速自動車国道成田空港線をつくっておるわけでございますけれども、その中にパイプラインを入れたいという協議が一年前からございました。これは技術的にも事務的にも詳細に検討を進めております。何せ、もし事故が起きたらたいへんな災害になるだろうという観点から、安全第一という観点から、これは現在徹底的に検討を進めております。もし不安全と見る場合には、これは拒否いたします。  なお、市については私は存じませんが、これは帰ってさっそく調べまして、市当局に対してこちらから提示をさせまして、もし安全を欠くような場合にはこれは許可しないように通達をいたします。
  83. 卜部政巳

    卜部委員 どうもらちがあきませんので、時間もございませんから、次の建設委員会でこの問題を取り上げることにしまして、私の質問は終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  84. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、新井彬之君。
  85. 新井彬之

    ○新井委員 それでは若干の質問をさせていただきたいと思います。  初めに、自治省をきょう呼んでおりますので、自治省の方にお伺いしたいと思うのですが、現在、市街化区域、そしてまた市街化調整区域ということで線引きが完了いたしまして、今後新しい都市計画というものができてまいるわけでございますけれども自治省として、市街化区域の農地等におきましては今後宅地並みに固定資産税を上げるということになっております。この宅地並みに固定資産税を上げた場合に、その使用というものをはっきり明示するのかどうかということについて初めにお伺いいたしたいと思います。
  86. 山下稔

    ○山下説明員 市街化区域農地の固定資産税は、いわゆる一般の固定資産税でございますので、一般財源として取り扱うことにいたしたい。したがって、使途は特定をいたさないつもりでございます。
  87. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、確かに、市街化区域については、今後どんどん市街化が推進されるということは特典はあるのですけれども、その中においても、土地も売れないし、あるいはまたもう少しの間農業をしていかなければならない、こういう方もたくさんいらっしゃると思うのです。そういうところからいままで固定資産税を納めているのに、固定資産税というものを、現在農地であるのにかかわらず、何のために宅地並みにするのか、その目的は何ですか。
  88. 山下稔

    ○山下説明員 御承知のように、農地に対します固定資産税につきましては、現在、評価額なり税額についてかなり低く押えるような特例が設けられております。ところが、都市地域、特に今回線引きされました市街化区域の中にあります農地につきましては、周辺が宅地化されてきております関係で、周辺の宅地等との間で固定資産税が非常に不均衡になっているという問題点が指摘されております。固定資産税の中でそのような不均衡を残すべきではございませんし、かたがた土地政策からの御要望もございましたので、市街化区域の農地につきましては、一般の農地と異なりまして、十年以内に市街化される予定となっておりますし、それからまた、届け出をするだけで転用ができるというような制度にも変わりましたので、この機会に周辺の宅地との均衡をはかるという趣旨で、従来一般農地にとられておりました特例をやめまして、経過的な措置を講じながら、徐々に周辺宅地と均衡のとれた課税をしたいというのが今回の制度の趣旨でございます。
  89. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、いま農地になっていて農業をやっている、ところを宅地並みに固定資産税を上げるということは、結局は、早く農業をやめて宅地並みにしなければならぬという、そういう推進をはかっているわけですか。
  90. 山下稔

    ○山下説明員 先ほど申し上げましたように、固定資産税といたしましてあまりに不均衡でありますので、その不均衡を是正したいというのが趣旨であります。
  91. 新井彬之

    ○新井委員 いや、それがそっちの言い方によりますと、要するにその近辺の宅地と農地では非常に不均衡である。それは確かに宅地と農地では不均衡があるのはあたりまえであって、農業でやっている場合と宅地の場合とでは当然使用目的が違うわけです。それが同じになるということは、そこの辺が市街化を早くするように推進をするためにやるわけでしょう。要するに、それを是正するという意味は、農業をやっている人は農業ができなくなるということでしょう。どうなんですか。
  92. 山下稔

    ○山下説明員 御承知のとおり、固定資産税は財産の価値に見合って課税するという制度でございますので、現実にそれが何に使われているかということに本来は関係なく、財産価値に相応した税負担を求めるというのが趣旨であろうかと思います。ただ、従来の一般農地につきましては、農地法等の関係もございまして特例が設けられておりましたが、市街化区域内の農地につきましては、届け出をするだけで転用できるというふうな制度の改正もございましたし、特に不均衡が目立つ状態になりましたために、そういう意味で、いわば固定資産税の本来的な性格に基づきまして、財産価値に見合って課税するという本来的な性格に戻りまして今回の措置を講じたわけでございます。
  93. 新井彬之

    ○新井委員 いまの説明はそれなりにわかりますけれども、要するに、宅地と農地とでは大きな違いがありますね。これは確かに、その内容においても、使用の方法においても違います。しかし、この場合農地が簡単に宅地に転用できる。したがって、宅地に転用できた場合においては宅地並みに上げるということは当然だと思いますけれども、その農地を宅地並みに上げるということですが、それは宅地と農地との違いはないということですね、一そういう考え方で進むというわけですか。
  94. 山下稔

    ○山下説明員 本質的には財産価値に見合いまして、そこをもし売買すればどのくらいの値段がつくものであるかということを基礎にいたしまして評価額をきめまして、その評価額に応じて税負担を求めるというのが固定資産税の本質であろうと思います。ただ、いま先生御指摘のように、現状が農地であるということについての配慮ということも事実問題として必要かというふうに存じましたので、今回の制度をつくるにあたりましても、一挙に宅地並みにするのではなくて、周辺の市街化の状況に応じまして、市街化の進んでいるところ、おくれているところに区分けをいたしまして、市街化のおくれているところは五年間従来どおりの税額にとどめておきまして、五年たちましてから徐々に上げていって、さらに五年たって、合計十年目に周辺宅地並みにするというふうに経過措置を講じております。  そのほかまた、都市計画法上の公園とか緑地とかいうような都市施設に指定されましたところで、かつ五十五条の建築制限がされる区域においては、特に今回の対象農地からはずしまして、従来どおり一般農地に据え置くというふうな各種の措置を講じましたし、さらにまた、少なくとも五年以内に市街化区域を市街化調整区域への見直しが行なわれるという都市計画法上の仕組みになっておりますので、そういう機会に、市街化の見通しがどうしてもつかないというような場合には、さらに市街化調整区域に変更する。その間は、市街化のおくれているところは五年間従来どおり税額を据え置いておりますので、市街化区域がもし五年後に市街化調整区域に変更されるならば、その間は、その地域については税負担はふえない。そういう制度といろいろセットをいたしまして、課税に無理のないように徐々に考えていきたいという配慮は十分いたしたつもりでございます。
  95. 新井彬之

    ○新井委員 それはよくわかるのですけれども、要するに私の言っておるのは、時間がありませんからこちらから申し上げますけれども、宅地並みに国定資産税を上げるということは、やはり市街化がどんどん進みまして、なお一そうそういうところを調整して推進しなければならぬ、したがって、現在農地でありながらその農地から固定資産税が宅地並みに取られるというような方向に持っていった場合には、それについての固定資産税は目的をはっきりさして、そういう地域道路であるとか、そういうような開発のために使われるというのが当然であって、一般会計の中で一緒くたになってどこへ行ったかわからないというような使われ方では、この固定資産税を納めておる方々が納得されないのではないか、そういう面において一体どういうような検討をされてきたか、こういうことをお伺いしておるわけでございます。
  96. 山下稔

    ○山下説明員 固定資産税の市街化区域農地に対します課税部分だけを切り離しまして、特定の地域に目的税的に還元するということは、一般の固定資産税の中の問題でございますので、一部だけを特定の地域だけに切り離すということについては税法上困難ではないかというふうに考えております。ただ、先ほども申し上げましたように、十年間かかって市街化されるような市街化区域内で、市街化のおくれておるところ、こういうところにつきましては、市街化のテンポと合わせて徐々に税のほうもふやしていくということで、市街化の速度と税を取る速度と歩調を合わせるというふうにして調整をいたしたいというふうに考えております。
  97. 新井彬之

    ○新井委員 旧法によりますと、いままでは都市計画税というものを取っておりまして、これは都市計画をする地域についてはそういうものを取っておったのですけれども、その使い道においても、やはり一般財源と一緒になって使われたということについてはいろいろ意見もあったところでございまして、そういうことも今後いろいろと検討していただきたい、こう思うわけでございます。  一つの具体例を申し上げますと、今回の市街化区域、あるいは調整区域の決定あたりまして、いろいろと公聴会とか審議会等を設けられて決定をされておるわけでございますけれども、いままでは、各市町村単位におきまして、この地域は市街化するのだということで都市計画税というものを取っておったわけですね。ところが、今回市街化調整区域になってしまった。したがって、いままでは、自分たちは市街化になるのだからということでいろいろなそういう税金についても喜んで納めておったけれども、この法律が変わったとたんにそういうことがなくなって、いままで何のためにそれではそういう名目的な金を納めておったのだというふうないろいろな問題があるようでございます。そういう問題について、その税金を還元するということはできませんけれども、そういう問題については、私たちが考えましても当然だと思うのでありますが、どのような考え方をなさっておるかお伺いいたしたいと思います。
  98. 山下稔

    ○山下説明員 御指摘のとおり、都市計画税は都市計画事業の目的税でございますので、都市計画事業が行なわれる予定になっております地域から取るべきものだと思います。そういう意味で、改正前の都市計画法におきましては、都市計画区域全域が都市計画事業が行なわれる対象地域でございましたので、市町村の条例の定めるところによりまして、都市計画区域の全部もしくは一部を条例で定められた区域から都市計画税を課税するという仕組みになっております。先般の都市計画法の改正によりまして、都市計画区域の中を市街化区域と市街化調整区域に線引きいたしました場合におきましては、主として、都市計画事業原則的には市街化区域において行なわれるという仕組みに変わりましたので、目的税であります都市計画税につきましても、昭和四十七年度から原則的には市街化区域のみから取るようにというふうに制度を改正いたしました。
  99. 新井彬之

    ○新井委員 それは改正したのはけっこうなんですけれども、いままで二十年なら二十年間、ここはそういうことになるのだということで税金を取ってきたわけですね。そういう地域はありますね。そういうようなところについては、今度は法律が変わったのだ、調整区域になったのだから、あなたたちはそれを納めたことについて文句を言う権利はもうないのだということで終わるわけですか。
  100. 山下稔

    ○山下説明員 都市計画事業の目的税であります都市計画税につきましては、それぞれのそのときの制度に合わせて税のほうも課税をいたすようにいたしているわけでございまして、したがって、改正前の都市計画法におきましては、都市計画区域全域が都市計画事業が行なわれ得る地域になっておりましたために、その全域もしくは一部の区域について都市計画税が取れるようにしておりました。したがって、それ自体は当時の都市計画法のもとにおいては矛盾はないし、したがって都市計画税としても適法に課税をしていたわけでございます。また、新都市計画法によりまして、いわゆる線引きがされるようになりました新しい事態に即応いたしまして、税のほうも制度を改めたわけでございまして、それぞれの時点におきます都市計画法の趣旨に合わせて都市計画税を取ってまいりましたので、過去の分につきましても、それなりに適法であったというふうに考えております。
  101. 新井彬之

    ○新井委員 だから、私は何も適法だとか不適法だと言っているわけではない。違法だとか言っているわけじゃないのですけれども、しかし、たとえばここの人全体を私が旅行に連れていってあげましょう、それには二十年間二十円ずつ納めなさいと言ってきたとしますね。ところが、そろそろそういう時期になって、お金も全部納めてきたわけですが、実はああ言っていたけれども考え方を変えて、ここから半分は連れていくけれども、あなたたちは連れていかないんだと言ったら、それはこっちがかってに変えたんだからそっちが文句を言うことはないはずだと言っておることになるのです。いままでは順を追って、法律的には何も違法行為はなかったと思いますけれども、そういうところに何か還元の措置というものを考えて、まあいま調整区域ですけれども、今後そういう地域においては特に調整区域を早くはずして、そして今後の場合においては、早くそこを市街化区域として設定をしてあげてすみやかにやってあげるとか、そういうような配慮がなければ、これはやはり都市計画税としてはっきりした目的税を取ったわけですから、都市計画税というものは一体何のために取ったのですかということにもなるわけです。その点を自治省としては、そういう冷い言い方ではなくて、やはり納めてきた人たちはみんな一生懸命そういうことで喜んでやってきたわけですから、そういう方々に対してやはりほんとうにこたえてあげるというのが当然の姿だと思いますけれども、そういう点についてどのように考えておるかということをお伺いしたいわけです。
  102. 山下稔

    ○山下説明員 申し上げるまでもございませんが、目的税は受益者負担金等と違いまして、現実にその場所で都市計画事業が行なわれなかったから直ちにどうこうという性格のものでございませんので、あるいは今回市街化調整区域になったようなところは、都市計画事業がかつて十分行なわれなかったということもあったかもしれませんけれども都市計画税そのものとしては還付させるというような問題ではないというふうに存じております。  あと、将来その市街化調整区域についてどのような事業を行ない、どのように整備していくかという新たな観点といたしまして、これは税の問題ではございませんが、新都市計画法の趣旨なり市町村のそれぞれの判断によって考えていくべき問題ではないかというふうに考えております。
  103. 新井彬之

    ○新井委員 非常に要を得ない答弁でございまして、そういうことであってはみんな納得しないと思います。そういうわけで、あなた一存で考えるといってもなかなかそこまでいかないでしょうが、こういう問題は各所で今後とも起こってまいる問題だと思いますので、どうか、そういうときにはあくまでもその地域の住民のほうに立って——あなたがそういう立場に立てば一番よくわかるのですが、そのときに、ずっと納めてきて、国がりっぱな法律をつくってやってくれている、法律もちゃんと適法にやっている、ところが現実には変わってしまったということになったら文句を言わないほうがおかしい。それはお返しする筋合いではないとか、市町村考えるとか、いろいろなことがありますけれども、そういうことについて明確に自治省としての一つの態度を持たなければならぬ、こういうように私は思うのですが、そういう点についてはよく検討していただきたい、このように要望しておきます。  それから、下水道整備五カ年計画ですが、これにつきまして、二兆六千億円の各都道府県における割り当てが大体きまったと思うのですけれども、下水道の非常に整備されている地域、あるいはまた整備されていない地域があると思いますが、これの負担が、国が三分の一、県が三分の一、市が三分の一ということになっております。ところが、この二兆六千億円というのは国のほうとしても一生懸命組んだということから、その割り当てがあった場合にいろいろと——それでもお金は足らないですけれども、市の負担分がそれだけの情勢に見合うかどうか、そういう場合の自治省としてのそういうところの調整ですね。国の五カ年計画と、市町村の財政負担がその国の配分があったときに応じられないような場合に、一体どのような処置をされるつもりなのか、お伺いいたします。
  104. 石見隆三

    ○石見説明員 いま御指摘のございましたように、都市の基幹的施設といたしまして、あるいは公害対策事業の一環といたしまして、現在下水道整備が非常に急がれているところでございます。第三次五カ年計画につきましては本年度初年度となるわけでございますが、五カ年計画初年度といたしましての本年度におきましては、下水道建設のための必要な地方債といたしまして、御承知のように現在地方債計画の中で約一千四百十二億円を準備いたしております。四十五年度と四十六年度地方債計画全体の伸びが三八%ということになっておりますが、特に下水道につきましては、いま申しましたような状況から、そのうちでも一千四百十二億円を計上したわけでございますが、これは四十五年度に比べますと七二%という非常に大きな伸びとなっておりまして、本年度はこれをもちまして各地方団体の必要な資金量は大体十分確保できたものというふうに私たち考えておるわけでございます。この一千四百億の起債は、現在全部市町村に配分を終わりまして、地方団体では本年度の資金需要は十分できたものと私たち考えておるわけでございますが、今後とも、五カ年計画を達成いたしますための下水道事業地方負担に対します財源措置につきましては、本年に引き続きまして、地方債によります必要な資金量の確保という点につきまして、私たちのほうといたしましては十分な努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  105. 新井彬之

    ○新井委員 自治省、けっこうです。  それから、先ほども指摘がありました急傾斜地の問題でありますが、この件についてちょっとお伺いをしたいと思います。  きょうも災害対策特別委員会が行なわれておりまして、たくさんの死亡者の方等も台風十九号等で出ておるわけでございますけれども、やはり土砂の崩壊等が人命にかかわる非常な損害というものを与えておるようでございます。これについては先ほど来いろいろお話がございまして、五十戸以上の場合は国が補助をする、あるいはまた緊急の場合は三十戸以上でも国が補助をするということでお話があったわけでございますけれども、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律でございますが、日本全国を見まして、災害のたびにそういう事故が起こっている、そしてその地域はいつもそういう指定がされていないという現状でございます。一体これはどういうところに問題があると思われるのか、お答えを願いたいと思います。
  106. 西村英一

    西村(英)国務大臣 急傾斜のこの制度ができましたのは、四、五年前の羽越災害、あのときに初めてこの制度ができたのですが、以来、毎年毎年危険個所を調べておりますが、いまわかっておる対象地点は一万三千カ所というようなことです。それには、いま言いましたように、五十戸を単位としてがけくずれが起こりはせぬかというところを調べております。ところが、非常に意地の悪いもので、案外指定個所以外のところで事故が起こるというようなことが間々あるわけでございます。したがいまして、またことしはことしでやはり総点検をし直そうということになっております。何さま非常に個所が多くて、そうして御案内のように非常に崩壊しやすい地形が多いものです。から、これは点検をし直して、個所等もふやしていく。それからもう一つは、われわれが本省でいかにがんばってみても効果をあげることはできませんので、県当局に対しても、その地方公共団体に対してもやはりPRをしっかりしなければならぬ。ことに雨期に臨む前後に、その危険個所の住民自身がやはり——財産は、家がそこにあるのですから持っていくわけにいきませんけれども、少なくとも死者が出ないように、個人個人もやはり注意をしてもらわなければならぬというようなことを考えますので、そのときに臨んで、ひとつ地方公共団体を通じて新しいPRを少しすべきじゃないかというようなことをいま考えておるのですが、個所につきましてはまた総点検をやるつもりでございます。
  107. 新井彬之

    ○新井委員 今後PRをやられるということと、それから総点検ということで大体そういう問題が浮き彫りにされると思います。  一つの例でございますけれども、先日、二百五十号線、これは兵庫県の相生市というところにあるのですけれども、その二百五十号線沿いにやはり山くずれがございまして、民家が二軒つぶされて、多くの方々の死傷者を出したわけでございます。その隣、ずっと近所に現在まだ三十六軒家が残っております。その災害があった当時は一週間にわたりまして警察から避難命令が出まして、市の避難施設のほうへ一応退避をしておったわけでございますけれども、現在に至りましても雨の降るたびにその避難命令というのが出まして、そのたびに行ってしまうわけですね。そうして現在では、とにかくこの地域については、急傾斜地であるから何とか山くずれがないように防止しなければならぬが、それについては、市のほうから県のほうへ申請をすれば、こういう場合はすぐ許可がおりて直ちに国のほうからやっていただける、こういうふうに私は確信をいたしておりますけれども、そういうようなことで了解をいたしておいてよろしいでしょうか。
  108. 川崎精一

    川崎説明員 私も現地をよく存じませんけれども、ただいまの先生のお話でございますと、二百五十号線のほかに被災家屋は二戸ばかりでございましたか、なお同じような条件の家が三十戸余りある、こういうことでございます。急傾斜地の崩壊によります災害防止の法律には、そういった危険区域を指定をすることになっております。これの現在の基準といたしましては、人家が五戸以上、それから急傾斜の勾配が三十度以上、こういったものにつきまして市町村長の同意がありましたら、都道府県知事がこれに対して危険区域を指定いたしまして、いろいろの法律に伴います保全だとかあるいは改善命令、こういうものを出すわけでございます。なお、そういったものの中でも、かなり人家等の戸数が多くて、影響の範囲が非常に多い、それから土地の所有者なりあるいは権利を持っておられる方が自力ではとてもやることが不適当だ、こういうような場合に府県の工事として防止工事をやります。この場合には国の援助が出るわけでございます。一般的には人家あるいは人命を尊重するというたてまえでございまして、道路とか鉄道とか、こういったものがございますと、本来のそれぞれのそういった施設に対する保全の問題もございますけれども、お話によりますと、あわせて人家もある、こういうことでございますので、私は、兵庫県のほうで市町村を指導すれば危険区域に指定できるのではないかと思います。  なお、ただいまのお話でございますと、雨が降るたびに避難をしなければいけないというふうなことでございますので、そういった場合には県のほうをよく指導いたしまして、実情に生じては、われわれのほうでも緊急の傾斜地の崩壊防止工事は予算も若干は用意をいたしておりますので、あわせて兵庫県と十分協議をいたしたいと思います。
  109. 新井彬之

    ○新井委員 河川局長の非常に前向きな答弁でございまして、ほんとうにその問題もすぐに解決をしていただけると思います。  あといろいろお聞きしようと思ったんですが、時間がありませんので、最後に大臣にお伺いしたいと思うのでありますけれども大臣は、今回新たに建設大臣に就任されて、そうして、建設行政にはいろいろな問題がございまして、前向きにおやりになるということで、私も非常に期待はいたしておりますけれども、実は、この一つの問題で前にも根本建設大臣に私が質問したことがあるわけでございますが、道路の問題でございます。これは日本の国を国道一号あるいはまた国道二号ということで、幹線道路として通っておるわけでございますけれども、何といいましても国道の整備がおくれております。そのために、高速道路であるとか、あるいはまたバイパスであるとか、そういうものがどんどん建設をされておるのですけれども、そういうものがまだ建設をされていない地域、たとえて言いますと、姫路みたいなところでございますけれども、いま昭和四十八年の完成を目ざしてバイパスの工事をやっております。けれども、ますます車の増加とともに国道も混雑をする、しかたがないから市道を迂回させまして国道を一方通行にする、そうしてその市道もまた一方通行にするということでその車の停滞を何とか逃がしておるわけでございます。ところが、国道というのは、道路構造令によりまして非常にじょうぶな道路がつくってある。ところが、市道というのは予算もありませんし、薄っぺらな舗装で終わっている。そういうときに、当然他府県の車がその市道を非常に破損するわけでございます。そこで、私は、前の委員会において、これは国のほうから援助すべきではないか、国道にすべきではないかと言ったところ、局長はこれはできないということでございましたけれども、建設大臣は、それは政治的に、そういう困っておるところであれば何とか手を打たなければならぬということで、非常に前向きな答弁をいただいたわけでございます。これも、道路予算も少ないところにおきまして、長年非常な多額の金が短いキロ数の中に投入されてしまって、その投入をされる理由は、結局国道で行なわなければいけないものを市が負担をしておる。市が肩がわりをさせられておる。建設省としては、それは何も建設省の指導ではなくて、警察がそういうぐあいに交通規制意味からやっておるのだから関係がないのだというようなことで、現実は非常な負担になって困っている。それもこの前大体半分は解決いたしました。そこで、今度は西村建設大臣が、こういう問題についてどのように考えてそういう問題を解決されるかということをお伺いをするわけでございます。
  110. 西村英一

    西村(英)国務大臣 お尋ねの趣旨は十分よくわかります。わかりますが、いまここでとっさにそれじゃその市道は国道にしたらいいじゃないか、こういう簡単な返事もちょっとできないようでございます。しかし、それはそれとしても、負担が過重にかかっておるという場合には、これはやはり何らかの救済の方法もないわけではないと思いますから、その負担にたえられないような市道、こういうようなことについては、ひとつ私も検討してまいりたい、かように思っております。
  111. 新井彬之

    ○新井委員 さっそくいま答弁いただきまして、何とかする方法もあるだろうということでございます。なるたけ早急に検討していただきまして、そうしてそういうところが日本各地にはたくさんありますけれども、一例をあげたわけでありますが、どうか、新しいそういう道路建設とともに、そういう市町村の困らないようなりっぱな行政もひとつお願いしたいということをお願いいたしまして質問を終わります。  ありがとうございました。
  112. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、渡辺武三君。
  113. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 私は、まず、建設省所管の国有財産の維持管理がきわめてずさんであるという疑念がございますので、建設大臣並びに大蔵省の藤原国有財産第一課長お尋ねをしていきたいと思います。さらには、総合交通体系に関連をいたしまして、道路局長並びに運輸省の見坊審議官、あるいは吉村政策計画官等に順次御質問をしたい、かように考えるわけでございます。  そこで、まず、建設省所管の国有財産、いろいろたくさんあるわけでございますが、その中で特に法定外道路、通常これは赤線あるいは里道という名称で呼ばれております。これは御承知のように建設省の所管する国有財産でございます。そこで、建設省は、建設省所管国有財産取扱規則第三条によりまして、各都道府県知事にこの管理を委任されておると思います。しかし、その実態というものを当然建設大臣が把握をなさっておられると思いますので、その里道の面積というものは一体どの程度あるのか、あるいは現在それらの維持管理の実態というものはどのような状況になっておるのか、この点についてまずお尋ねをしたいと思います。   〔委員長退席、服部委員長代理着席〕
  114. 西村英一

    西村(英)国務大臣 法定外道路の問題ですが、これはいろいろ歴史のあることでございますし、その他、その数量等、これは政府委員に説明させます。
  115. 大津留温

    ○大津留説明員 法定外道路の面積でございますが、先般、昭和四十二年に全国的に抽出調査をいたしました結果に基づいて推計いたしますと、全国で約一千八百四十七平方キロメートルの法定外道路がございます。
  116. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 その維持管理の現実の実態というものは、一体どのようになっていますか。
  117. 大津留温

    ○大津留説明員 この法定外道路の管理につきましては、先ほどお話がございました建設省の国有財産取扱規則によりまして、都道府県知事に委任しております。しかしながら、この法定外道路、いわゆる里道あるいは畦畔というようなものは、非常にわずかな面積のものが全国至るところにあるという実態でございますので、県のほうでもなかなかその実態は十分には把握していないというのが実情でございます。したがって、実際上の問題といたしましては、都市計画法による開発許可等をいたしまして宅地造成を行なう際に、その地域につきまして、公図により存在する法定外道路等の国有財産をそのつど調べまして処理しているというのが実態でございます。
  118. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大蔵省の藤原課長に御質問をいたしますが、国有財産法第十一条に、「大蔵大臣は、各省各庁の長の所管に属する国有財産につき、その現況に関する記録を備え、常時その状況を明らかにして置かなければならない。」こういうふうに規定をいたしております。したがいまして、大蔵省でも、この各省庁の長の所管に属する国有財産ですから、この現況を当然把握をされておると思いますが、大蔵省ではどのような把握をされておるのか、お答えを願いたいと思います。   〔服部委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 藤原重信

    ○藤原説明員 お答え申し上げます。  国有財産につきましては、国有財産台帳を備えなければならぬということは御指摘のとおりでございますが、国有財産法第三十八条によって適用除外されておる財産がございます。いま御質問の法定外道路につきましては、台帳の登録を省略することができるということになっておりまして、現実には登録しておりませんので、私どものほうとしては現状は把握しておりません。
  120. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 お聞きをいたしましたように、少なくとも国有財産がきわめてずさんな管理が行なわれておるわけでございます。そこで、そのずさんな管理のために非常に国民が迷惑をこうむっておる具体的な例を申し上げますと、この里道というものが、建築基準法に、「現に存在する道」という規定があるわけですけれども、この「現に存在する道」として認められておりますから、この道路沿いには建築が許可をされておる、こういう状況があるわけでございます。したがいまして、里道がある、その沿道にうちを建てる場合に、申請さえすれば、建築基準法はこれを認めておるわけでございます。そうしますと、この里道そのものの歴史的な経過から見まして、きわめて狭く、きわめて曲がりくねった道が多い。にもかかわらず、「現に存在する道」として、建築基準法の規定するところによって建築を許可をされる。それで、その土地をお買いになった方々は、そこへ無計画にうちを建てられていくわけです。そうなりますと、将来のいわゆる都市計画あるいは区画整理等が非常に困難になってまいります。したがいまして、これは地方自治団体そのものも非常に大きな迷惑をこうむっておろうかと思いますが、一にかかって、いまお聞きをしたとおり、きわめてずさんな国有財産の管理の結果がそのような状態になっておるのではないであろうか。そういう問題点、当然大臣もこれは御承知だと思います。  さらに、このような道路でも、最初のうちは人しか通らなかった。そのうちに荷馬車が通り、あるいはオートバイが通り、あるいはトラックが通り、自動車が通りということで、だんだん踏み広げられてしまっておる道路もございます。そうなりますと、そこにうちが建ち、自動車が通る。しかし、維持管理がはっきりしておりませんので、この道路の責任者が明確でない。ために、その道路の損傷によって起こる交通事故、あるいはその交通事故によって起こりました死亡事故、負傷事故等の賠償責任というものは一体だれがとるのか、これは各地方自治体でもいろいろ問題になっております。あるいは県でも問題になっておりまして、県会でも取り上げられておるようでございますが、やはり県でも明確な答弁はしていない。それは国の財産でございますから、国が責任をお持ちになるのが至当ではないでしょうかというような、あいまいな答弁しかしていないようでございます。そのような里道において、道路の維持管理、保全が不十分なために起こった死亡事故あるいは負傷事故については、これは一体だれが責任をとるのですか。
  121. 大津留温

    ○大津留説明員 法定外道路につきましては、いろいろ問題がございます。一つは、先ほどお尋ねの、建築基準法に基づいて、そういう里道に沿って家が建つじゃないかという問題であります。建築基準法によりまして、道路法の道路でございませんこういう法定外道路でありましても、幅が四メートル以上あります現に存在する道路につきましては、これに沿って家が建つことを許可しております。したがって、幅が四メートル以上あるということが要件でございますし、それより狭い道路の場合には、その現にある道路中心線からそれぞれ二メートル離れたところしか許可しないということでございますから、両側に家が建った場合でも、なおその間に四メートルの敷地は残る、こういうことでやっております。  それから、そこを自動車が通る場合、維持管理が不十分で事故が起きた場合の責任の問題でありますが、自動車が往来するような程度に至りました里道につきましては、私どもとしましては、それは少なくとも市町村道に編入すべきであるというふうに考えます。そういうふうに、市町村道あるいは場合によっては県道というような道路にいたします場合には、法定外道路は無償でその公共団体に払い下げるということにいたしておりますので、できますならば、そういうことで市町村道等にいたしまして、市町村が維持管理するというのが好ましい状態だと思います。しかし、それに至ります以前におきましては、先ほど申しました国有財産取扱規則によりまして知事に管理を委任しておりますので、その責任は知事にあるということになろうかと思います。
  122. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 前段のお答えはちょっと理解しにくいわけですが、建築基準法によります道路の定義、つまり第四十二条には、「この章の規定において「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員四メートル以上のものをいう。」ということになっておりますけれども、その第三号に、「この章の規定が適用されるに至った際現に存在する道」という規定がありますね。そうしますと、この法律が適用されるに至ったときにすでにもうあった道については、必ずしも幅員が四メートル以上なくても、「現に存在する道」としての認定をして、実際には建築許可がされておるというのが実情じゃないですか。
  123. 大津留温

    ○大津留説明員 ただいま先生がお読みになりました建築基準法の四十二条によりまして、一号、二号、三号というふうに掲げておるもので、「幅員四メートル以上のもの」というのが本文にございますから、この法律が施行された場合、現に存する道、まあ、おっしゃるような法定外の里道等がそれに該当するわけでありますが、それらのもので四メートル以上のものを基準法では道路とみなして建築を許可する、こういうたてまえでございます。  それで、その四メートルにかりに足らないものがございました場合の扱いにつきましては、先ほど言いましたように、その道路中心からそれぞれ二メートルをとった線に建築を認める、こういうことでございます。
  124. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 つまり、里道であっても、その道路中心から二メートル離れておれば建築を許可する、こういうことですね。したがって、里道そのものはそんなに広くございませんし、せいぜい一・何メートルという道が多いわけですから、私有地でそれだけ空閑地をつくっておいて、そしてやるということであろうかと思いますが、現実にそれがはっきり守られておるのかどうか。その実態を先ほど私は御質問いたしましたが、どうも県でも十分に把握をしていないようだというお答えですけれども、そのとおりであって、実は、口ではそう言い得ても、現実にそうなっておるのかということになると非常に大きな疑問がある。ましてや、この道路そのものは、土地台帳で見ましてもきわめて不明確なんですね。現実に地番もはっきりしていない。そういうところへもってきて、いろいろ不動産売買が行なわれ、しかも自分のうちを建てるのに、どこが一体道路中心であろうかということが明確になっていない。だから、見方によっては、建てる人は、あるいは右サイドの端っこを中心に置いて、ここまで二メートルだとしているかもしれぬ。簡単に口で言われますが、一体どこが里道の中心だということがわかりますか。
  125. 大津留温

    ○大津留説明員 先生御指摘の建築基準法四十二条のいまの問題は、都市計画区域におきましてそういう規則が適用になると思います。したがいまして、いなかのほうにありますたんぼのあぜ道というようなものにつきましては、ただいま御議論になっておるようなことは無関係でございます。  ところで、四メートル未満の現に存する道路に沿って建築する場合、その中心線から二メートルをとるということが現に行なわれているかどうかという御指摘でございますが、これは、各県の建築主事が、建築の確認をいたします場合に、そういう図面の提出を求めまして、それに基づいて審査いたしますから、現に存する道路中心線、両端からはかりましたそのまん中でございますが、それからそれぞれ二メートルということでございますから、悪意をもってごまかそうとする場合は、それはごまかされることもあり得るかと思いますけれども、建築主事はそういうことで厳格に行なっておると思います。
  126. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 実態はきわめて不明確であるわけです。土地台帳を見ましてもこれがはっきりしていない。あるいは長い歴史のうちには、個人がかってにその里道をつけかえてしまっているところもある。それが実態なんですね。だから、おっしゃっておられますけれども、ほんとうにどこが道路中心がわかっておるのかどうか。現に存在する里道すら十分に把握できていないのに、道路中心から二メートル引っ込ませて、建築基準で許可を与えておりますと言われましても、一体どこが道路なのか、どこが中心なのか、それすらはっきりしていない。そういう状態なんですよ、実態は。だから、私は、少なくとも国有財産がそのようなずさんな管理のまま長年にわたって放置されておっていいものかどうか、これは大臣にお聞きしたいと思います。むしろ、大蔵省あたりの見解では、いろいろ私も問い合わせてみましたが、そうしたら、こういう公物的な管理に対する法律というものはいまない、したがって、もう数年前から、建設省に対しても、何とかこの公物管理の法律を制定していただきたいということを再三にわたってお願いしてあるんだけれども、何だかナシのつぶてで一向にらちがあいていないのだ、こういうことを言っているわけです。なぜできないのですか。公物管理の、このような法定外のものというのは道路だけではございませんね。河川もございます。砂利もございます。砂もございます。いろいろなものがございますか、いろいろな公物そのものを管理する、あるいは維持保全をするための法律、これは各関係省庁からも御要望があるわけでございますけれども建設省はいまだに何にもおやりになっていないということでございます。したがって、それにはそのような理由があるのかどうか、どういう理由でそのまま放置をされておるのか、今後もそういうふうに放置をされていくつもりなのかどうか、あるいは、もうこの辺で何とか考えなければいけないというふうに大臣はお考えになっておるのかどうか、こういう点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  127. 大津留温

    ○大津留説明員 あと大臣からお答えいただくとして、ちょっと先に答えさせていただきます。  建築基準法の関係、これはたいへん実際上問題になりやすい点ではございますが、この基本法でいっておりますのは、台帳によるのでなくて、現に物理的に存在する道路をとらえまして、そのまん中の線を中心にして、と、こういうことでございます。確かに、台帳と現実とはずれているケースが多いと思いますけれども、この基準法の扱いは、現に存する道路について行なっておるわけでございます。  それから、御指摘の法定外の公物管理の問題につきまして、実は行政管理庁からも先生の御指摘と同様の点を勧告を受けております。非常に全国的にわたって存在し、しかも非常にわずかな土地があちこちに残っているという状況でございますから、これの実態を把握して的確に管理するというのは実際上非常な困難がございます。しかしながら、これをほっておくというのは申しわけないことですから、これに対して適切な措置をとるようにという勧告をいただいております。したがいまして、それに基づいて私どもとしてもいろいろ研究をしておりますが、研究の方向といたしましては、この法定外公共用財産というものは、やはり地元の市町村に管理をお願いするのが最も実際的ではないかということ、それからこれを廃止した場合におきましては、その地方公共団体へ無償で譲渡するということがいいんじゃないか、そうしますと、地元の公共団体も自分のものになるということで管理に熱も入ってくるというように思います。  なお、そういった点をいろいろ検討しておりますけれども、まだ十分な成案を得ていないというのが現在の段階でございます。申しわけございませんが、今後も鋭意検討を進めたいと思っております。
  128. 西村英一

    西村(英)国務大臣 私は、なるべく地方道に編入できるものは編入したらいいと思います。  それから、そういう管理の状態が少しもわからないじゃないかということですが、これは非常に複雑しているからという一語に尽きると思います。しかし、そういうことではいけませんので、やはり建設省としては勧告を受けておるのですから、一義的にはやはり法定外道路地方道にできるだけ編入する。市街地では、いまあなたのおっしゃいましたようなことで、住宅を建てるのをなかなか市で許さぬというようなわけだから、何とか市に話してくれというような陳情を私たちも受けたことがありますが、市は市でもってやはり法規を守ってやっておるようです。しかし、それは全部が全部とは言いませんけれども、いずれにいたしましても、やはり法定された道路として地方道に編入して——それは全部はできないかもしれません。いなかのほうで……。しかし、建設省としてもできるものから地方道に譲渡すればいいと私は思っております。  公的財産の問題、公的管理の問題については、これはこの問題だけじゃありませんので、政府全体としてもいろいろな問題がいま起こっておるところでありますから、一括してこの問題にも検討を加えていきたい、かように申し上げます。
  129. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣、簡単に地方道に編入すればいいのだとおっしゃりますけれども、現実にこれは非常に幅員が狭いのですよ。したがって、市町村もそれを認定すれば、いわゆる道路とは何ぞやということになっておりますから、その基準に適合するような道路にしなければならぬ。これにはばく大な予算が要るわけですよ。ために、せっかく建設省が県に委任をされ、県知事が各市町村にまた維持管理をいろいろ条例なんかをつくってやらせようとしましても、これは予算が全然ありませんから、やはりどうしても放置されていってしまう、こういう現実の問題があると思うのです。したがって、これはやはりもうこの辺で、思い切って、建設省所管のそういう国有財産である里道については、各地方自治団体に無償払い下げをする、こういう措置でも断行しなければならないときが来ておるのではないだろうか。そして、地方自治団体は、その無償払い下げを受けた里道を、それぞれつけかえたり、あるいはその土地を併合したりして、いわゆる道路基準に即した私道にするなり、あるいは換地に利用するなり、いろいろな手があると思いますが、いまでは、これはまだあくまでも国有財産ですからどうにもならない。それが至るところにある。しかも、これは行政管理庁も指摘をしておると思いますが、これらが不法に占拠をされてしまっておるところが非常に多い。中には、そういう悪意に基づかずに、正式な手続をとってやっておるにもかかわらず、それが二十年、三十年ともうすでに年月を経ておるにもかかわらず、依然として赤線が入っておる、こういうようなこともあるわけですよ。だから、現実の問題として、これをどうするかということは非常に解決がむずかしい問題になってきてしまっておる。したがって、この際、そういう複雑怪奇な状態にございますので、この建設省所管の国有財産を地方自治団体に払い下げるという方針のもとに、建設省として大蔵省に働きかけをなさるなり、そういうお考えはないかどうかお尋ねしておきます。
  130. 西村英一

    西村(英)国務大臣 その方法が最もよかろうと私は思います。しかし、地方道に編入される土地もあると思います。地方道に編入されるところは地方道に編入していけばいいと思います。また、それに相当しないようなところ——しかし、相当しないところでも、現実に道路はあるのですから、法のために実物があるのじゃないのですから、地方公共団体に払い下げて、公共団体が法律に合うようにやるためには予算が要りますから、それはそれとして考えて、地方道に編入されるようなものは編入し、あと地方団体に譲渡する、こういう方法も積極的に考えてみたいと思っておりますが、あなたがおっしゃいましたように、不法占拠などいろいろな点があると私は思いますから、一がいに扱えませんけれども、少なくとも徐々に整備をしていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  131. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 時間が迫ってまいりますので大体にしておきたいと思いますが、いま少しとか、徐々にとか、いろいろなことばを使っておられますが、そういうことが、またこれから数年先たっても同じことが繰り返されていくおそれが非常に多いわけです。現にそういう要望が各省から出ておるにもかかわらず、数年そのまま放置されておる。これは、きょうこれで委員会を終わって、また来年あたり質問しても同じような答弁ではないかと思うのですよ。だから、少なくとももう一年ないし二年のうちには解決をするのだという決意をお持ちにならないと、適当に善処します、御要望に沿いますだけでは、これはどうにもならない問題ではないか、こういうふうに考えるわけですよ。そのくらいの決意を大臣としてお持ちになれるかどうか、再度お尋ねしておきたい。
  132. 西村英一

    西村(英)国務大臣 先ほど申しましたように、法定外道路というものは非常に長い歴史があるのですね。その問題をすぐにというわけにもいきませんけれども、私は、この次の、一年たった委員会で再び同じようなことは言いたくないと思っております。
  133. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 水かけ論になっていきますけれども、少なくとも、国有財産がそのようなずさんな管理がされておる。しかも、これはもう不法に使われてしまっておる例もたくさんあるわけですよ。それがそのまま放置されておる。適切な行政指導も行なわれていない。そのうちにうやむやになってしまう。これは民法でいったって、十年間悪意なく使っておれば所有権は移ってしまうのですよ。そういう所有権が移転してしまうような土地が非常に多いのではないかとすら思えるくらいなずさんな管理が行なわれておるわけですよ。だから、私は、ほんとうに早くこの問題については解決をしてもらわなければいかぬと思う。そのために国民は非常に迷惑をこうむっておる。あるいは地方自治団体そのものも非常に迷惑をしておる。こういう数々の問題があるわけですから、ひとつ大臣、決意を新たにして解決に最善の努力を払っていただきたいと思います。  それでは次に移りますが、総合交通体系について私が主として尋ねておきたいのは、運輸省と建設省考え方に若干の相違があるように思います。御承知のように、前々国会の自動車重量税法案をめぐりまして、この総合交通体系という問題と、その必要性が非常に強く叫ばれてきておるわけでございまして、それに基づきまして、実は、内閣には、御承知のように臨時総合交通問題閣僚協議会というものが生まれ、経済企画庁には総合交通対策調査室が設けられ、さらには運輸省の運輸政策審議会は、すでに七月末に総合交通体系に関する答申を行なっております。さらに民間でも、日本経営調査協議会あるいは日本自動車工業会等が同種の検討を進めておるようでございます。  これに対しまして、建設省は、建政懇の中でこの総合交通体系について取り組んでいくのだという姿勢をお示しになっております。第一回の建政懇が開かれたようでございますが、その内容等を拝見いたしますと、この総合交通体系には何ら触れることなく、土地問題について審議がされておる。特に、根本構想について、公共団体の先買い権の問題について論議がされて、おるようでございますが、この総合交通体系というものが、いま各般の情勢からきわめて緊急の要があるということは御承知のとおりでございます。そこで、建設省としては、この総合交通体系の問題に対して、基本的にどういうような態度でこれから取り組んでいこうとなさっておるのか、あるいは現在どのような体制でこの問題に取り組んでいっておられるのかということについてまずお尋ねをしておきたい。
  134. 西村英一

    西村(英)国務大臣 根本大臣のときに一、二回、政策懇談会のメンバーでやったようなんですが、私になりましてからまだそういうような段取りになっておりません。  しかし、それはそれといたしまして、総合交通、いわゆる交通機関をそれぞれの機能を発揮するようにやらなければならぬというようなことが全般にいわれているが、それはそのとおりでございます。しかし、総合交通というように抽象的に、そういう概念的に考えられることは、それは簡単にできるのですが、しからば具体的に一体どうするのだということは、これはなかなか一朝一夕に出る問題ではないと思います。それにはまず相当長い輸送の需要というものを見て、いろいろな要素から成り立たぬと、具体的にどうするということはなかなか容易ではないと思っております。しかし、少なくとも交通に関係ある建設省といたしましては、その総合交通の中で、なかんずく道路の占める分野はこう進めてやろうというようなことは、当然考えなければいかぬと思っています。また、私は、建設大臣国務大臣としても、やはり今日の交通政策については今後考えをまとめていかなければならぬと思っておりますが、私自身が、いま、総合交通についてはこうあるべきだということを申し上げる段階にいっておりません。大体、陸路、海路、空路というような大ざっぱな分野につきましては、数量的にそれぞれの分野の交通機関のシェアは示されなくても、おぼろげながらのことはわかりますけれども、具体的にこうすべきだというようなことは、今後研究していかなければ簡単に申し上げられない。しかし、少なくとも根本大臣のあの懇談会も引き続いて研究してまいりたい、かように考えております。
  135. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣、のんびりしたことをおっしゃっていますけれども、実は、非常に緊急な要があるというのは、現在の交通事情というものが都市の中においてはもう非常に渋滞がはなはだしい。しかも、交通事故が年々増加をしているといういまの状況の中で、当然総合的な交通体系の確立が必要だということが、これはもう以前から各界でいわれているわけですよ。それは確かにいろいろな問題はあるでしょう。だから、一挙にはいかぬから、これからぼつぼつ考えるというようなお話ですけれども、これからぼつぼつ考えるというようなゆうちょうなものではなくて、もうすでに、そういう現状を踏まえながら、いかにあるべきか、いかに総合的に交通体系を整えていくべきかということで関係省庁はそれぞれ苦労をしておられるわけですよ。確かに、建設省でも、道路局を中心にいたしまして、道路の長期計画、長期の見通しというようないろいろな検討を重ねておられるようでございます。したがいまして、それらは、大臣がおっしゃるようにのんびりしたことではなく、もうある程度省内で進んでおることだ、こういうふうに私は理解をいたしておるわけであります。  そこで、特に道路局が中心となられて策定をされました長期計画があるわけでございますが、これと、先月末に答申をされました運輸省の運政審の総合交通体系に関する答申ですね。この中における数字の食い違いについて若干お尋ねをしておきたいと思うのですが、これは大体昭和六十年度のGNPの推測をいたしておるわけですけれども建設省道路局のほうは、昭和四十四年五月三十日閣議決定をされました全国総合開発計画、この経済水準の数値をおとりになっておる。これが大体百三十から百五十兆円。運輸省のほうはそれに手直しをされて、昭和六十年度のGNPというものを大体二百兆円、こういうふうに推測をされておるわけでございます。  そこで、まず、私は、運輸省のほうから、この全国総合開発計画閣議決定の数値を手直しされた理由、どういうわけで二百兆円に手直しをされたのかということについてお尋ねをしたいわけでございます。その場合、大体経済成長率を年間八・六%というふうに見ておられるようでございますが、それに対して道路局は、この全総計画をそのまま利用なさったので、そういうこまかい点についての検討をなさっておられないかもしれませんが、そういう手直しの必要はないというふうに考えられて、その数値を基礎にせられたのかどうか。これはまたあと道路局長からお答えを願いたいと思いますが、まず運輸省のほうからいまの点についてお答えを願いたいと思います。
  136. 見坊力男

    ○見坊説明員 お答えいたします。  運輸政策審議会で昭和六十年目標が二百兆といたしておりますが、審議の過程におきましていろいろ議論がございました。当初GNP百五十兆円、これは新全総の百五十兆円をかりにとった場合に、議論としましては、これは昭和五十五年ごろに達成されるのではないかという議論がございまして、これをベースにしまして、それでは昭和六十年を想定いたしますと二百四十兆ぐらいになります。これでは伸び率が一〇・二%というようなことで非常に高いという御議論がございまして、それで二百兆円に手直しということで作業をいたしたわけでございます。また、その場合に、新経済社会発展計画におきましては昭和五十年のGNPを九十六兆円といたしておりますが、これと比較いたしまして、昭和六十年のGNPを百三十ないし百五十兆ということにいたしますと、昭和五十年では、それを引き直してみますと約七十八兆ぐらいでございますが、この新全総の値は過小ではないかというような観点もございまして、二百兆円と想定いたしたわけでございます。先ほど先生御指摘のとおり、その場合に平均伸び率は八・七%というような結果になっております。
  137. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いまの運輸省の見解に対して、道路局としてはどのようにお考えでしょうか。
  138. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 新全総が昭和四十四年の五月三十日に閣議決定されたわけでございますが、建設省道路局といたしましては、その閣議決定を受けたあと直ちに昭和六十年度を最終年度とする長期ビジョンの修正を行なったわけでございます。この長期ビジョンは前から実は持っておったわけでございますが、新全総ができましたのを契機に長期ビジョンの修正を行なったわけでございます。と同時に、その当時第五次道路整備五カ年計画六兆六千億でございましたけれども、これはやはり新全総に合わせて新たに手直しする必要が生じまして、新たに第六次道路整備五カ年計画を四十五年度から発足さしたのがこれでございます。先生御指摘のように、新全総によりますというと、昭和六十年におきますGNPは百三十ないし百五十兆ということになっておりまして、それをもとにいたしまして輸送需要を推定いたしまして、それをもとにして道路の整備の計画を立案し、第六次道路整備計画をつくったというのが実情でございます。  ただ、先ほど運輸省のほうからも御答弁がございましたように、昨年、自動車重量税の創設をめぐりまして総合交通体系という一つの新しい問題が提起されました。この際におきます各省間の議論ないしはわれわれ部内におきます諸検討を通じまして、新全総計画におきます百三十ないし百五十兆円はやや過小ではなかろうかということが論議されております。したがいまして、われわれ道路局の中におきましても、新全総計画の手直しがいずれ近い将来において必要になるのではないかという想定のもとに、現在、内々、昭和六十年におけるGNPを幾らにするかという検討等を含めまして長期ビジョンの再検討に入っておる段階でございます。
  139. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 先月お出しになった「わが国道路整備現状と長期計画 昭和四十六年七月 建設省道路局」この中には、いま言われました新全総に基づくGNPをもととしてこれができ上がっておるわけです。これは違うのですか。この日付は四十六年七月と書いてありますが。だから、いま局長がおっしゃっているように、手直しの必要があるというふうにごらんになるならば、先月出たおたくの資料がそのままの状態で、何らそれに触れておらずにおやりになっておるのは若干おかしいと思うわけです。  それはあとに置きまして、建設省としては、新全総のGNPをおとりになった、その結果が、いわゆる道路整備を行なっていくのだけれども、その程度のGNPで、道路をこれから約七十万キロ整備をしていかなくてはならないであろう、それに対する所要投資額は大体六十兆円だ、こういうふうに試算をしておられるわけです。ところが、この件についても、運輸省のほうはGNPを手直しして二百兆円だというふうに推測をされ、さらに、それに基づく道路投資額大体五十二兆円。GNPは五十兆もふえておるにかかわらず、所要投資額のほうは逆に建設省試算よりも八兆円も少なく計上をされておるわけです。この辺に運輸省と建設省考え方の相違というものが出てきておると思いますが、それにはやはりいろいろな立場立場の問題点があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、私は、建設省そのものが、道路局長がいまおっしゃっているように、GNPを若干手直ししなければいかぬだろうというふうにおっしゃっているわけですから、もしも運輸省が推測をいたしました二百兆円というふうにかりに推定をいたしますならば、それに要する道路投資額というものはこの六十兆円にどれほどプラスされるものでしょうか。
  140. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 ただいま検討の段階でございまして、六十兆がどの程度プラスされるかに対するお答えが的確にできないのは残念でございますが、少なくとも六十兆をこえることは間違いございません。運輸省の出しました資料はそれぞれの理由から出されたと思いますが、結局、先ほど大臣がおっしゃいましたように、空と海と陸との輸送のシェアの問題がまずございます。それからさらに陸上におきます鉄道と道路との輸送のシェアの問題がございまして、これに対する考え方によって相違が出てくるのではないかと思いますが、私たちがもし積算いたしますと、さらにそれにプラスされまして国土計画地域計画、ないしは都市計画も加味した国づくりがやはり基本になりますので、道路は国づくりの根幹とわれわれ考えておりますので、それらがプラスされますので、さらに六十兆をはるかに上回るのではないかというふうに考えられます。
  141. 見坊力男

    ○見坊説明員 ただいまの運輸省の五十二兆円という点でございますが、運輸省と申しますか、運輸政策審議会で試算いたしました投資額は、区画道路等の事業とか、あるいは道路の維持管理費は含んでおりません。それから、一応交通間のバランスを見るという観点から、道路の質等につきましては現状を前提にして計算してございます。そういう差が大きなことではないかと思います。
  142. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 時間がございませんので簡単にやりたいと思いますが、そのように、つまり総合的な交通体係を確立するために各省がそれぞれの立場でおやりになるわけですね。ところが、現実に国の政策というのはやられるときには一本ですから、そういう立場の相違があるわけですけれども、それならなぜ運輸省はそういう段階建設省意見を挿入されないのか、あるいは、それらのお役所の相互的な連絡といいますか、一つの共通した問題についての横の連携、これがきわめて欠除しておるのではなかろうか。同じ一つの問題について、それぞれが各省の縦割りのなわ張り根性を発揮して、そしてかってにおつくりになってしまう。いざやらんとすると、総合交通体系そのものも実際にはどこにウエートを置くか、自動車に置くか、鉄道に置くか、船に置くか、それによって変わってくるわけです。だから、そういうウエートの置き方によって変わってくる計画ですから、それによってかってに、運輸省は道路が何ぼあればいいんだという計画で、建設省建設省で、今度は道路を主体に、国土開発の根幹をなすものは道路であるという考えに立って、道路を主体におつくりになってしまう。そこにはまた総合交通体系そのものが非常にいびつなものになってくるおそれが出てくるわけです。そういう横の連携というものは、これは閣僚間で十分におやりにならなければならないと思うわけですけれども、そういう点がどうも私は欠除しておるのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、そういう点はどうなんでしょう。
  143. 西村英一

    西村(英)国務大臣 各省は各省でやることもまたそれは必要でございます。その各省の持っておる分野でいろいろやることも必要でございます。しかし、最終的には二つの案でやれるものじゃございませんから、各省が横の連絡をとるということも必要でございます。したがいまして、政府としても、やはり総合交通はいよいよ必要になってまいりましたので、それらの機関で、これこそ総合的にみんなの意見を今後聞いてまとめなければならぬ、かように思っております。そういう検討も全然ないわけじゃございません。
  144. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 私ども国民の立場から見ると、総合交通体系なんというものは、そう各省がばらばらにおつくりになるものではなくて、当然、国が一本になって——これはアメリカあるいはドイツ等を見ましても、交通省なり運輸省というものが独立して、道路建設に至るまで、幅広くそれらを包含した省になっていますね。実際にはそのように国全体が一つになって当たらなければならないものなんですよ。ところが、各省が非常にまちまちにおやりになるためにロスが多いし、その違いの調整だけで半年もかかってしまうというような現状があるのではないかと思うわけでございまして、大臣には、そういうロスをはぶくためにそういう横の連携を極力十分にとられまして、ほんとうに早く実施案そのものができるように——各省の飾っておくだけの案ではこれは何もならないわけですから、実施案というものが早く確立されますように一そうの御努力を願いたいと思います。  時間がございませんのであと一点だけお尋ねしておきたいと思いますが、そこで、道路整備をいろいろ行なっていく上において、費用の負担という問題が出てまいるわけでございます。つまり、前々国会で問題になりました自動車重量税法案、これは受益者に負担をさせていくのだという考え方が一方にあるわけでございます。私は、この道路財源の調達手段といたしましては、税金あるいは借り入れ金、つまり建設公債というようなもの、並びに運賃だとか、あるいは料金というものとか、いろいろ考えられると思います。ところが、従来までの方向を見てまいりますと、建設省の御意見はこれはまたやや違っておると思いますけれども、全体的に流れてきた方向は、受益者負担を強化するという方向が出てきておったと思います。そこで自動車重量税法案というものになってきておるわけでありますけれども、この受益者というものの考え方ですね。たとえば、道路は自動車が走るから自動車が一番の受益者であることには確かに間違いはないでしょうけれども、本来的に受益者というものは一体だれであろうか。ほんとうに自動車のみなのか、あるいは、道路を開発することによってその付近の住民の受ける恩恵といいますか、そういう方々も受益者のうちに入るのか。あるいは、車そのものを利用して、車の背中に載っかっていろいろ物資が運ばれておるわけですね。われわれ日常生活に要する諸物資もほとんど車の背中に載っかって走っている。そういう諸物資もこれは道路の恩恵を受けていないとは言い切れない。これは一種の受益者であるということがいえるのではないであろうか。こういうふうに考えてまいりますと、一般財源というものがございますが、この一般財源の投入基準というものがやはり明確にされてこなければならない。従来ほぼ明確にされておったけれども、それらがだんだんと比率が低下をする傾向にあるのではないであろうか。それらが特に、建設省等がお出しになっている資料を見ましても、外国などと比較されている場合がございます。ところが、現時点における外国との比較は私はナンセンスだと思うわけです。なぜかというならば、アメリカあるいはヨーロッパ等と比較をいたしましても、向こうの先進諸国は、モータリゼーションというのはすでに十年も二十年も前にその時期を迎えてしまった。その時期における一般財源からの道路投入額というものと、今日の日本の道路投資額、一般財源からの投入額というものと比較されるならばこれはまだしも、もうすでにそういうふうに安定をしてしまっておる時期と——日本の道路というのは先進諸国に比べると三十年ぐらいおくれておるといわれる。その社会資本の投資がおくれておるといわれておる現時点、これから非常に多くを投入していかなければならない時点とすでに向こうの安定をした時点とを比較して、日本は相当程度一般財源から投入をしておるのだという議論があるようでございますけれども、私は、それは非常に誤った議論ではないであろうかと考えるわけでございます。したがって、一般財源からの投入基準はどうあるべきであろうかということについてやはり一つ考え方を持っていただかなければならないのではないか。それと、先ほど申し上げました開発受益の還元方法としては一体具体的にどのような制度をとるべきであろうか。この二つについて、やはり建設省としてもしっかりした考え方を持っていただかなければならないときが来ておるのではないであろうか、こういうふうに考えますので、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  145. 西村英一

    西村(英)国務大臣 道路に関する一般財源の問題ですが、これは一般財源の傾向から見ると、いま御指摘のように、一般財源がずっと上がっておるというふうには思われません。したがいまして、これは御指摘のようにもう少し努力したいと思います。  ただ、受益者負担と申しましても、あなたがおっしゃっておるのは自動車新税かもしれませんが、自動車新税、これはもちろん一般財源がやはり不足だからということもありますけれども、私は、自動車新税というものは、むしろ総合交通についての誘導政策と考えておるのでございます。道路をつくることはもちろん必要でございまして、道路はどんどん延ばさなければならぬけれども、一方、モータリゼーションはマスプロでどんどんふえておる、道路は建設するのに相当長い時間がかかっておるというようなことから、やはり現状のようなモータリゼーションの行き方では、結局のところお互いが交通の渋滞を来たして不便になるのだ。したがいまして、自動車新税の考え方は人によって違いましょうが、受益者負担で税を取るということ、それ以外にやっぱり交通の誘導政策をとっていく。たとえば、トラック等で長距離を走るというようなことは、まあこれは統制経済ではございませんからとめるわけにはいきません。とめるわけにはいきませんけれども、それには重量、長距離の輸送にはおのずから適当な機関があるではないかというようなこと、それにはやはり税というようなことで誘導政策をとっていきたいというように考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、戦後日本の輸送は、おもに鉄道が普及して、そればかりにたよっていったのですが、今日の急速なモータリゼーション、ないしは最近における空路の問題、これはモータリゼーション以上の非常な勢いでいま伸びていこうとしておりますが、また、海路の問題、これらを総合して考えるということが必要で、総合政策といっておりますが、こうあるべきだというようなまとめ方をするのにはやはり相当な努力が要ると思います。しかしながら、ようやく総合的に交通を考えなければならぬというふうに立ち至ったことは、これは今日の交通事情を見ればだれでもわかることでございまするから、建設省としても、交通に関係する主要な部分を占めておりまするから、総合交通についてはなお力をいたしたいという考えでございます。一般会計につきましても努力したい、かように考えております。
  146. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 だいぶ的のはずれたお答えで、ちょっとよくわからぬのですけれども、私はそういうことをお尋ねしたわけではなくて、道路整備の費用負担についてこれからどうあるべきかと聞いたわけですから、その点ひとつ十分にお考え願いたい。  特に私がこういうことを持ち出しましたのは、この前いろいろお出しになっておる道路局編集のパンフレット等を見ましても、自動車所有者はまだ担税能力があるのだ、そして欧米に比較してこうだと、端的に数字をお並べになって出しておられるパンフレットがあるわけですが、これはナンセンスなんです。日本のいまの国民所得を全然無視してしまっている。たとえば、日本はドイツの大体二・五分の一。ドイツは国民所得が二倍半くらいですね。そういうのを比較しないで、税金の額だけ比較して、日本のほうが若干少ない、まだ五百円から千円少ないなんて、こんなばかな比べ方がありますか。同じ生活をするのに、片方は十万円の月給、片方は二十五万円の月給なのに、税金を比べて、まだこちらのほうが千円少ないから、まだ負担能力があるのだと、こういうつまらぬパンフレットを道路局編集として出している。だから、そういう考え方があるから、そうではないのですよ、もっと慎重にお考えなさい、こういうことを実は私は言わんとしているわけなんですよ。だから、この一般財源の投入基準、あるいは開発利益の還元方法等についても、まだまだもっと慎重に考えていただく点があるのではなかろうかというふうに考えますので、十分その辺をお考えを願いたい。  時間が参りましたので、質問を終わります。
  147. 亀山孝一

    亀山委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十四分散会