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福田委員長 委員諸君に申し上げます。
先般、当
委員会は
委員を富山県、石川県、福井県に派遣いたしました。その結果の
報告書がいまここにできてまいっておりますので、便宜上この席を拝借して私が報告いたします。
去る八月二十五日から四日間にわたり、関西電力黒部川第四発電所、イタイイタイ病
関係対策費、建設省北陸地方建設局、航空自衛隊小松基地及び関西電力美浜原子力発電所について、日程のとおり調査を行ないましたので、その結果をここに御報告申し上げます。
一、イタイイタイ病
関係対策費。
患者の発生は、大正末期から
昭和初期と見られておりますが、
昭和三十年に萩野昇、河野稔の両氏により、第十七回
日本臨床外科医会において原因不明の奇病として報告されました。その後、各
方面による調査研究を経て、
昭和四十三年五月に、厚生省はイタイイタイ病に関する見解を発表し、三井金属神岡鉱業所のカドミウムを主因とし、同病を公害病と認定しております。
患者の状況は、認定患者が百二十六名、解除患者が三名、死亡者が三十名、現在の患者数は九十三名で、その他要観察者が三名おります。患者の治療区分は、入院二十六名、通院六十七名でありますが、発生
地域別に見ますと、婦中町が四十八名、富山市が三十名、大沢野町が十五名となっております。
現在までにとられた対策は、患者対策として公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法に基づく医療救済並びに同法施行以前の県及び市町による特別措置あるいは県単独の医療救済、日赤の特別対策、弔慰金の支給、住民健康調査等を実施しております。飲料水対策として、簡易水道を新たに建設し、また農用地の土壌汚染防止対策としては、汚染の高いと見られる
地域の産米の出荷保留、土壌及び産米の汚染実態調査等が行なわれております。
以上の各種対策がとられ、
昭和三十年から
昭和四十五年までの十五カ年に要した富山県における経費は、総額二億五千八百万円に及び、その負掛額は、県が一億九百万円、市及び町が九千七百万円、国が五千万円でありますが、婦中町においては総額一億五千百万円、同町
負担額八千三百万円、県が二千二百万円、国が四千五百万円となっております。
なお同町は、その総額について損害賠償を三井金属鉱業に請求しており、そのほか
関係団体から、医療保険に基づく損害賠償の請求が出されております。また、遺族を含め、四百六十八名が鉱業法第百九条により総額七億四千万円の無過失責任賠償請求を行なっております。
現在のところ、神岡鉱業所の坑廃水中のカドミウムは、県及び名古屋鉱山保安監督部の調査とも基準を下回っております。
昭和四十五年産米のカドミウム汚染状況は、二十六倉庫において、六十二点を調査しました。その結果、〇・四PPM未満が四十二点、〇・四ないし〇・九九PPMが二十点という結果が出ております。
汚染米は食品衛生法に基づき、その含有量が玄米の場合、一・〇PPM未満であれば安全であると定められておりますが、現在の需給状況及び消費者感情を考慮して配給しないという措置がとられております。
この
ような流通規制を受けるのみでなく、農家は稲作について強い不安をいまなお持っておりますので、農用地の客土事業が
考えられておりますが、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律においては、玄米のカドミウム濃度が一・〇PPM以上を含有すると認められる
地域及びその近傍で一・〇PPMに近い
地域については対策事業が実施できることになっております。
しかし、この
ような実態を考慮すると、土壌汚染防止法の要件に該当する
地域のみでなく、汚染
地域について、早急に適切な土地改良事業等が推進できる
ように格段の配慮が必要であると思います。
なお、県側からイタイイタイ病患者のうち、被害者救済法の所得
制限に該当する患者については、県独自で医療救済を実施しているが、かかる所得
制限を撤廃するとともに患者救済の徹底をはかるため、医療手当、介護手当の増額について格段の配慮を願いたい。県においては
昭和四十三度からイタイイタイ病に関する研究を実施しているが、これが経費の助成について配慮願いたい旨及び婦中町からは損害賠償請求について国の助言と
協力を願いたい旨、また治療担当医、患者あるいは
地元関係者からは、各種検査の総合実施機関の設置、治療法並びに予防法の開発、汚染米の処理についての要望がありました。
公害が地方公共団体等において
財政上の
負担となっており、しかも、患者の悲惨な状況を見、苦痛を聞き、公害対策については、国と加害者が責任をもって解決する方向に進めるべきであるということを痛感いたしてまいりましだ。
次に、北陸地方建設局の問題。
この管轄区域は、新潟、富山、石川の三県と河川については、山形、福島、長野、岐阜の一部が含まれております。
昭和四十五年度決算における歳出は、
一般会計三十億円、
道路整備特別
会計百五十六億円、治水特別
会計百三十六億円で、
一般会計におけるおもなものは河川等災害復旧事業であります。
次に、
昭和四十六年度予算を事業別に見ますと、
道路関係が百七十四億円、河川閣係が百六十億円で、河川
関係において砂防事業費が多いことが目立っております。石川県
関係について見ますと、金沢工事事務所は三十六億円、県土木部は百九十七億円で、おもなものは
道路橋梁費に約七十億円、河川海岸費に四十五億円、港湾費三十六億円となっております。
和倉から堀松、能登金剛を経由し小松間において、県道、国道二百四十九号、百五十五号、農免
道路、金沢港、金沢バイパス、国道八号等を綿密に視察いたしました。能登半島は、人口が減少傾向にあります。したがって、この人口の流出防止のため、産業振興が必要である。そのためには水の確保が急務となっておりますが、
道路整備についても一そうの努力が必要であると認められました。
次に、小松基地でありますが、当基地は、
昭和三十五年四月、航空自衛隊のモデル基地として建設を始め、
昭和三十六年二月に完成し、七月に第六航空団が新編成され、小松管制隊、小松気象隊、小松救難隊、小松警務分遣隊及び中部航空施設第二作業隊とともに現在に至っており、裏
日本における
ただ一つの戦闘航空団であります。飛行場は、民間航空と共用になっておりますが、この民間航空においては定期便が四、五便あるいは小型機による小規模の遊覧飛行程度でありますので、運用上、飛行安全上、ほとんど問題はありませんが、
地元においてむしろ民間航空の拡大を要望されてまいりました。
また、当基地の特徴として、冬季における重雪あるいは雷の危険が飛行運用上重大な障害を及ぼしていることがあげられますが、裏
日本の気象的特性から山岳及び海上の遭難捜索、人命救助を主とした航空機による災害派遣の要請がたいへん多い
ようであります。これは全国一となっております。
基地対策については、基地周辺
整備法に基づく騒音等の補償に、
昭和四十五年度において十一億円、基地設置以来五十億円を支出しておりますが、住民感情に対しては思いのほかこまかい配慮が見受けることができました。
昭和四十四年度における決算は歳入が九十八万円、歳出が十三億円であります。歳入の九十八万円というのは、不用物品並びに残飯の売り払い代金であります。歳出のおもなものは、職員給与費、糧食費、器材等維持費であります。
第六航空団は、司令部、飛行群、
整備補給群及び基地業務群から成り立っており、定員が千三百二十一名に対し、現員は千二百三十二名おります。うちジェットパイロットが六十五人であります。したがって、充足率は九三・三%であり、
昭和四十五年度末においては、F104J二十八機、F104DJが三機、F86が二十六機、T33Aが十機等が配備されております。
ジェット機による飛行訓練は、過般の全日空機との衝突事故以来訓練を中止しておりますので、勢い計器類の休止に伴う狂いあるいはパイロットの操縦感覚の低下を非常に憂慮しておりました。一日も早くこの訓練の開始されることを、全員から要望されてまいりました。
総体的に見て、隊員の訓練は文字どおりに行き届いておりましたが、近代的な装備に比べて不均衡な点が多々見受けることができました。たとえば、格納庫が不足で過密
状態にあり、航空機の移動に支障があること、二十四時間勤務である消防小隊の兵舎は米軍が使用していたかまぼこ兵舎を十年前に移設したもので老朽の極に達しており、特に食堂及びいす等の諸備品に目に余るものがあります。これは隊員の士気、ひいては隊員募集にもたいへん支障を来たすので、早急に改善すべきものと思われます。
最後に、関西電力黒部川第四発電所並びに美浜原子力発電所でありますが、当社の電力事情は、
昭和四十一年より事務所、商店、家庭などの冷房需要の著しい増加により夏季にピークが見られる
ようになり、本年は千百五十万キロワットに達し、工場における休日振りかえ、電源開発株式会社及び共同火力からの電力の融通により、かろうじて乗り切ったとのことであります。
急増する需要に対応するため、今後五年間に千三百万キロワットの開発が必要と推計しておりますが、現在建設中の発電所は、水力、火力で三百万キロワット、原子力二百五十万キロワット、合計五百五十万キロワットで、さらに八百万キロワットを必要とし、急を要する状況にあります。
その一、黒部川第四発電所は、
昭和三十一年七月着工、七年の歳月と五百十三億円の工費、うち、
政府保証にかかる世界銀行借款百三十三億円を要して、
昭和三十八年六月竣工し、年間発生電力量は、百工万七千六百二十五メガワットアワーであります。黒部ダム全体としての効果を見ると、さらに既設備に対する下流増分二十六万七千二百二十一メガワットアワーがあり、ピーク時の電力供給等に重要な役割りを果たしておる実情であります。
発電所は発電機を四基据えつけられる
よう建設されているにもかかわりませず、一基が未設置の状況にあります。最近の電力事情にかんがみ、一日も早く設置することが緊要と思われます。
その二、美浜原子力発電所につきましては、一号機は出力三十四万キロワット、
営業運転開始
昭和四十五年十一月、総工資三百億円、うち
日本開発銀行による原子力発電機器国産化融資三十六億円、二号機は出力五十万キロワット、
昭和四十三年五月着工、
昭和四十七年六月運転開始予定、総工費三百六十億円、三号機は、出力八十二万六千キロワット、本年末着工予定、総工費六百二十五億円で、いずれも加圧水型軽水炉を採用しております。
発電単価でありますが、五十万キロワット重油火力がキロ二円五十銭のところ、一、二号機平均で二円九十銭と割り高でありますが、三号機は二円七十五銭と推計され、逐次逓減する傾向にあります。
会社においては、火力発電所の立地難のおり、原子力発電に寄せる期待はたいへん大きいということを観察してまいりました。
なお、先ほど申しました航空自衛隊の基地及び電気事業においては、施設の保安上部外者の構内立ち入りについては特別の配慮が必要であるということを、全員一致して両当局に強く要望してまいったわけでございます。
以上、簡単でございまするが、国政調査に関する御報告でございます。
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