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1971-09-30 第66回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月三十日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 白濱 仁吉君 理事 華山 親義君    理事 鳥居 一雄君 理事 吉田 賢一君       天野 公義君    加藤 陽三君       笠岡  喬君    椎名悦三郎君       辻  寛一君    中川 俊思君       中村 弘海君    中山 利生君       坂井 弘一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         行政管理庁行政         監察局長    浅古  迪君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局労         政課長     増岡 広行君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 鮫島 泰佑君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         自治政務次官  小山 省二君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         会計検査院事務         総局第五局長  鎌田 英夫君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   増川 遼三君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 八月九日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     中澤 茂一君 九月二十日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     角屋堅次郎君 同日  辞任         補欠選任   角屋堅次郎君     中澤 茂一君 同月三十日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     加藤 陽三君   石田 博英君     辻  寛一君   丹羽 久章君     天野 公義君 同日  辞任         補欠選任   天野 公義君     丹羽 久章君   加藤 陽三君     阿部 文男君   辻  寛一君     石田 博英君     ————————————— 七月二十四日  一、 昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算     昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算     昭和四十四年度国税収納金整理資金受払     計算書     昭和四十四年度政府関係機関決算書  二、昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総    計算書  三、昭和四十四年度国有財産無償貸付状況総計    算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関の経理に関する件  七、国が資本金を出資している法人の会計に関    する件  八、国または公社が直接または間接に補助金、    奨励金助成金等を交付しまたは貸付金、    損失補償等財政援助を与えているものの    会計に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十四年度政府関係機関決算書  昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十四年度国有財産無償貸付状況総計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  この際、中川委員から発言を求められておりますので、これを許します。中川俊思君
  3. 中川俊思

    中川(俊)委員 私は、まず決算委員会として重大な関心を払わなければならない以下四つの問題について提案をいたしたいと思いますので、委員長においては、各委員におはかりをいただいて、本委員会で取り上げるべきかいなか、この問題について御決定をいただきたいと存じます。  まず第一番に申し上げたいことは、高級官僚立候補制限に関する問題でございます。  御案内のとおり、高級官僚諸君が退官されまして二年間は、従来御関係のあった企業には就職できないという規定があるようでございますが、立候補制限につきましては、憲法上における人権の問題とか、いろいろ今日まで論議されまして、各方面から是非の論議もかなり行なわれておりましたが、いまだに取り上げられていない実情でございます。しかし、近来、選挙のあるたびにこの問題はかなり各方面で論議されておるのでございますが、これものど元過ぎれば熱さを忘るるで、選挙が済みましてしばらくすると、みないつの間にか人の口からささやかれなくなってしまっておる現状でございますが、これらの問題については、やはり就職する場合の制限が加えられておると同じような観点から、何らか規制を加えることが必要じゃないか。特に在官中にすでに選挙の準備を完了しておるというよう事例もなきにしもあらずでございます。こういうような点、論じ上げれば理由は非常に多々ございますが、いずれ幸いにして本委員会で取り上げていただけますれば、その際に詳細申し上げるといたしまして、各委員諸君もこの問題については十分御承知でございますから、くどくどしいことは申し上げませんが、要するに、高級官僚立候補制限について、ひとつこの委員会で各委員の御了承を得て取り上げるように願いたいということがまず第一点。  それから第二点は、公社公団への天下りの問題でございます。これはいま参議院の決算委員会で行なわれておるようでございますが、私の委員長時代にこの問題はかなり突っ込んでこの委員会検討いたしました。諸般の事情がございまして、立法までいったのでございますが、取り上げることまで至らなかった。私がそのとき申しましたことは、高級官僚諸君といえども五十歳や五十五歳で遊んでおる必要はない、有能な人たちばかりでございますから、将来何か職におつきになることはけっこうである。なお、給料をチェックするというようなけちなことは、この委員会でしないほうがいいだろう。私が取り上げましたのは、退職金がむちゃである。御承知のとおり、公社公団事業団役員諸君は、毎月給料の六五%というものが退職金として、就任するやいなやその月から積み重ねられておるのでございます。そこで、退職をされる場合には、就任から積み上げたその退職金というものは非常なばく大な額に達しておる。こういうことはいずれの階層にもないことである。特に官庁におきましては、退職時の給料勤続年数をかけたものが退職金ということになっておるのでありまするから、公務員と同じよう公社公団役員諸君も、財投の金とかあるいは一般会計から、国費から支出されておるのでありまするから、やはり公務員と同じようにすべきであるという、私は退職金の問題を取り上げたのでございますが、これがいろいろ誤解されまして、公社公団天下り高級官僚がすることはけしからぬ、給料が多過ぎるというようなことまで出たのでございますが、私の真意は、退職金がひどい、こういうことであったのであります。当時の福田大蔵大臣もこれを了承して、六五%というのはいかにもひどいから四五%に下げるということに決定をされたようでございますが、四五%でも多い。毎月の給料の四五%をもう就任した月から退職金として積み重ねるというようなばかな話は、いずれの民間企業におきましてもない。したがって、この問題も、高級官僚天下りの問題とあわせてひとつ取り上げていただきたい、こういうのが第二点。  それから第三点は、郵務事業が非常に欠損を来たしております。この欠損理由にはいろいろございます。いろいろございますが、これも私がかつて本委員会で取り上げた問題でございますが、一月に一ぺん出すか出さないかというような、人の悪口ばかり書くような、社会公共のためにならないよう出版物であっても、郵政省は情実その他いろいろな関係から、これに第三種を許しておる。第三種郵便物として認可しておる。これが一つ郵務事業欠損の大きな理由にもなっておるようでございますから、郵便料金を上げることもあるいはやむを得ないことがあるかもしれませんが、まずそういう問題を片づけて郵便料金を上げるということを私はこの前の委員会でも時の郵政大臣に要望しておいたのでありまするが、こういう問題を片づけないで、さっさと郵便料金だけ上げておる。こういう問題につきましても、本委員会としては重大な関心を持つべきではないかと思います。  第四番目は、ここにちょうど国鉄総裁が見えておりますが、私はかねて、国鉄欠損はこのまま放任しておけばだんだん累増していくということを考えております。したがって、国鉄は、簡単に申し上げますと、新幹線一本にして、ローカル線は全部廃止すべきである。そうして、いまの線路は全部道路にすべきである。二階の、一方交通道路にすべきである。いまや、世界の先進国で、軌道による交通機関を温存して、しかも鉄道建設公団というようなものをつくって、やっておる国が一体どこにあるか。もういまや日本におきましても陸上交通は、何ぼハイウエーをつくりましても数年にして麻痺します。梅と空によらなければならないのでございますが、その海と空も、御承知のとおり麻痺していっておる。そういうようなときに、へんぴなところへ参りますと、一日に朝と晩に一回か二回しか汽車が通らないよう線路をそのまま放任しておる。しかも、聞くところによりますと、私どもの同僚の中にもそういう人がおるかしりませんが、国鉄なり鉄建公団に圧力を加えて、そうしてつまらない線路まで建設させる、こういうよう事例があるということを聞いておりますが、こういう問題は一つ大きな問題でございまして、国鉄が、このままほうっておけば、赤字をどんどん累積させる。国鉄の発表を見ましても、全国で三百線か四百線あるうちで、もうかっておる線というのは十線もない、あとはみな欠損しておる。これは、親方日の丸で、足りないところは国が持つからいいようなものでございますが、もし民間企業であったらどうするか。民間企業であったならば、社長をはじめ重役は、株主から責められて、そんな欠損続き企業をいつまでも許しておくわけにはまいらないのでありますが、親方日の丸で、足りなければ国が何ぼでも出すから、こういうようなばかなことをいつまでも続けておると私は考えておりますから、これらの問題につきましても、十分資料を出していただいて、後日、本委員会検討をさしていただきたいと思うのでございます。  まず、いま申し上げましたこの四つの問題につきまして、本委員会は取り上げるべきであるかどうか、検討を要する問題だと私は思いますが、各委員におはかりをいただいて、委員会態度決定していただきたいと思って発言をさせていただいたのです。
  4. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの中川委員の御発言につきましては、理事会におきまして十二分にこれを検討してまいり、あるいは場合によれば中川俊思君理事会に喚問いたして、詳細に伺って、その上で委員会に上程するやいなやを検討いたしたいと思いまするが、諸君ように御了承願いとう存じ上げます。      ————◇—————
  5. 福田繁芳

    福田委員長 次に、昭和四十四年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行ないます。  この際、諸君におはかりいたします。  本件審査のため、本日参考人として、日本鉄道建設公団より総裁篠原武司君、理事増川遼三君の御出席を願い、その意見聴取いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 福田繁芳

    福田委員長 御異議なしと存じますので、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、これまたさように御了承願いとう存じ上げます。     —————————————
  7. 福田繁芳

    福田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許したいと存じます。まず華山親義君。
  8. 華山親義

    華山委員 常に問題になるのは赤字ローカル線のことでございますけれども、私のくににもこれに該当するものがございます。地元では何とか存続してもらいたいということを言っているわけでございますが、この夏、前の運輸大臣がおいでになりました際に、国鉄からそういう申請があっても私は判をつかないということを言われたわけであります。それから大臣がかわられまして、御記憶かもしれませんけれども、私、山形でございますが、そういう陳情があったかと思います。その際にも、大臣は同じようなことを言われたというふうに私は聞いております。ところが、そのあとかと思いますけれども、日本国有鉄道監査委員会報告書を出しております。その報告書の内容には、赤字路線廃止にあたって国鉄は「地元の理解と協力をうるよう努力することはもちろんであるが、情勢に生じて適時廃止申請運輸大臣に提出し、公正なる判断を仰ぐことも必要と考えられる。」このことは、必ずしも地元了解ということはなくとも申請をすべきだ、こういうふうに響くわけであります。そして、その日のことでございますが、新聞紙等の報ずるところによれば、国鉄総裁地元同意しなくても廃止申請するというふうに見受けられる発言をなすっていられるようであります。それで、新聞記者におっしゃったのだろうと思うのでございますけれども、こういたしますと、いままでの地元了解を得てからやるのだというふうなことは変わってくるように思うわけであります。それにつきまして、まず国鉄総裁はどういうふうにお考えになっているのか伺いたい。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの私のほうのローカル線廃止問題でございますが、御承知のとおり営業線廃止運輸大臣認可がなければ国鉄総裁限りではできないことになっております。いままで慣例上、国鉄から運輸省認可申請いたします場合には、地元同意書をつけて認可申請するという習慣になっております。ところが、現実に最近いろいろ各地で廃止折衝地元といたしてみますと、いわゆる総合交通体系と申しますか、地域における総合交通体系、たとえば市町村道鉄道の問題というふうなことが非常に大きな問題になっておりまして、先ほど中川先生のお話も拝聴いたしておりましたけれども、道路がよければやめてもいい、あるいは除雪ができればやめてもいいというふうなことを率直におっしゃる地元の方も相当おられます。そうなってきますと、実は私のほうは、いまでは大蔵省に行ったり建設省に行ったりして、いろいろあっせんをお願いしておりますけれども、やはりこれは地域における総合交通体系として政府全般としてお考え願わなければならない問題であって、国鉄限りでその鉄道廃止するということよりも、むしろ鉄道廃止したあと道路をどうするか、あるいは学校をどうするかというふうな全般的な総合交通体系というものがなければできないということになるわけでございます。したがって、地域同意というものなしに政府に私のほうのやめたいという意見を提案いたしまして、政府関係各省と相談されて、それじゃ道路にかえよう、あるいは鉄道のまま残しておけというふうな決定をなされるのが、いまの自動車交通の発達した時代には最も適当かというふうに思います。したがいまして、できるだけ地元折衝はいたし、地元了解を得るように努力いたしておりますけれども、最終的には、場合によりましては地元同意なくして政府に問題を提起いたしまして、そして政府においてしかるべく関係各省と御相談の上善処していただくというふうなことが私は総合交通体系の上からいって一番いいのじゃないかという意味発言したわけでございます。
  10. 華山親義

    華山委員 大臣に伺いますけれども、そういたしますと、地元同意なしでも大臣のところに認可申請されることがあり得るというふうにただいまの総裁の御答弁では聞こえます。その際に大臣はどういうふうに御指示なさるのか。いままでは判はつかない、こういうことを言っておられたわけでございますけれども、これからはどういうふうに御指示なさいますか。
  11. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのローカル赤字線廃止に関する御質問でございますが、ただいま国鉄総裁が申し上げましたとおり、ローカル線赤字対策につきましては、国の財政からいたしましても、国鉄独立経営からいたしましても、非常に大きな問題であろうと思っている次第でございます。しかしながら、一面におきまして新全総計画からいたしまして、国土再開発、過疎、過密の差をできるだけ少なくいたしまして国土を総合的に開発するという点から申しますると、交通機関、ことにその一番の中心を持っております国鉄の改廃というものが省としては一番大きな問題であろう、こういうふうに思っている次第でございます。しかしながら、最近の交通機関情勢というものは非常に変化をしてまいりまして、これはただにわが国ばかりではございません。アメリカにおきましても、イギリスにおきましても、フランスにおきましても、いわゆる軌道輸送機関の受け持つ分野というものはいかにあるかということでいま再検討の最中でございまして、一方におきまして道路整備がされる、しかもその道路が、寒冷地帯におきましても冬でも十分に運行できるというような場合におきまして、合理的にバスでもって十分に足の確保ができ、ナショナルミニマムとしての役目を果たせる、しかもそのほうが非常に経費がかからぬというようなことで、しかも地元におきましてそれを十分御納得ただけるというふうなところは、やはり合理化の点からいたしましても路面輸送のほうにかえることが妥当ではないかと思う次第でございます。しかしながら、やはり何と申しましても、そういった方面におきまして道路によるところのバス輸送あるいはその他の輸送機関による輸送がいままでの国鉄にたよった輸送と同じように行なわれるかどうか、そしてその転換によりまして費用が非常に大きく省略できるかどうかというような点とも非常に関係がございます。また、いま民主主義政治の時でございますので、地元の御協力地元納得ということが一番大切でございますので、彼此勘案をいたしまして慎重な態度で私は臨みたい、こう思っている次第でございます。
  12. 華山親義

    華山委員 そういたしますと、やはり地元納得ということが一つの条件になるわけでございますか。簡単に言いましてそういうことになるのか。地元納得しなくても大臣考え方では——判をつかないとおっしゃったから言うのですが、判をつくこともあり得るのか、やはりどうしても地元納得が必要なのか、その辺簡明に御答弁願いたい。
  13. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは、地元納得といいましても、大ぜいの人のいることでございますので、大部分の方がやはり納得されるように、少なくともその代表で出ていらっしゃる国会議員の皆さまあるいはその他の方が、なるほどこれは当然じゃないかというふうにお考えを願いまして、その上で行ないたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  14. 華山親義

    華山委員 いままでは地方議会同意書ようなものを取っていられたわけであります。そういう点につきましては、出身代議士など問題になさらなくていいと私は思うのです。出身代議士というのは国の代議士なのであって、その地元代議士じゃないのですから、出身代議士意見なんというものをあなたそんなに気になさらなくていいわけですよ。そういうことを気になさるから私は国政がうまくいかないのだろうと思う。また地元議会了承というふうなものを形式的にでも得ていままではやっていたようでございますけれども、そういう点は省略してでも今後はおやりになりますか、やはり従来どおり地元の承諾を得た形として地方議会了承というふうなものをお取りになりますかどうですか。大臣の御意見を伺っておきたい。
  15. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま私ちょっとことばが足りずして、御指摘がございましたが、地元国会先生方とこう申しましたのは、実はやはり何と申しましても、地元県会の要望というようなことになりますと、いままで国鉄があったところは、ないよりあるにこしたことはございませんから、とかくいたしましてやはりどうしても置いてくれというのが大体の傾向じゃないか。しかし国全体から見まして、道路その他の点で非常に整備をされている、これならば道路輸送に切りかえたほうが合理的でないかというふうな考えがございましたならば、むしろ国会先生一方の御協力を願いまして、県会の方々にも知事にも強く働きかけていただきたい、こういう意味で私は申した次第でございまして、そういう意味でございますので、必ずしもすぐにこれになったからというので、あるいは説得工作あるいはまたそれに対する納得工作をやめる、こういう意味でない。全体から見まして、いい場合にはぜひともそれは推進してもらうように、国会議員先生方の御協力をお願いしたい、こういう意味で申し上げた次第でございます。
  16. 華山親義

    華山委員 よくわかりました。私のお聞きしたいことは、いままでは地元了解ということでその地元議会了承書ようなものを取られていたわけですけれども、そういうふうなことは今後もお続けになりますか、その点をお答え願いたい。
  17. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 できるだけそうしたいと思っております。
  18. 華山親義

    華山委員 できるだけということでございますけれども、私は、この点はどうしてもそういう地元了解を得て、議会が反対をしているのにやるというふうなことでなく、あくまでも説得して議会了承を得る、こういう方向でいっていただきたいと思うのであります。  それから、国鉄総裁及び大臣にちょっと申し上げておきますが、よそのほうもそうだと思いますけれども、私地元のことをかれこれ言うわけじゃありません。しかし地元状態を見ますと、ラッシュアワーにはたいへんなこみ方をするわけでありますが、そうでないときにはなるほどずいぶんあいている。こういう実態、これを合計すれば赤字路線ということになるだろうと思うのでありますけれども、私は、あのラッシュアワーの人を運べる、しかしそうでないときにはがらがらになる、こういうふうなことを営業バスによってカバーすることはむずかしいのではないかと思う。  それからもう一点は、現在こういう通勤者は、一応交通費につきましては会社の負担というふうなこともありますからなにでございますが、学生が非常に多い。いまでは高等学校まで行くのがもう普通の状態になってきているわけであります。中学で終わるというふうな者は、山間僻地でもあまりなくなってきた。それで、一番困ることは交通費が高くなるということなんです。いまのバス代鉄道料金の差は大きい。したがって、今度はバスで通うのだということになりますと、家計に及ぼす影響が大きい。こういう点を考えておいていただきたいと思うわけであります。あの人たちのわれわれに一番訴えることは、交通費負担の多くなることが苦しいということを私たちに言います。そういう点に対する考慮が、いままでの赤字路線廃止について、なかったのじゃないのか。ただ人を運べればいいんだということでやっていたのじゃないのか。そういう点を申し上げておきたいと思います。先ほどの、できるだけということはひとつ取り消していただきたいと思うのですが、やはりできるだけ、ですか。——そうすると、議会了承は得なくてもやることはあるということなんですね。
  19. 福田繁芳

    福田委員長 華山君に伺いますが、あなたのいまのおことばは、御要望されるのか、それとも国鉄運輸大臣か、いずれかに御質問されるのですか。
  20. 華山親義

    華山委員 運輸大臣が最終の決定権を持っていらっしゃるわけです。いままでは地元議会了承等を得てやっていたわけです。今度それが要らなくなるようなお気持ちのようだから、承認をされる場合には、従来と違って議会の承認を得なくとも場合によってはやる、できるだけとおっしゃったから、原則は要るんでしょうけれども、そういうふうなお気持ちなのかどうかということを突き詰めてお聞きしたい。
  21. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの重ねての御質問でございますが、そういうふうな合理化の線、これが妥当であるということが出ましたらば、極力その方面で御了解工作を願う、先ほども申しましたように各先生方にもお願いをしてやる、それで地元議会その他におきましてもそれを納得してもらう、やはり納得政治が第一でございますから、その方面に極力進みたい、こういうふうに思っている次第でございます。  それからいまお話がございました、いわゆる学生割引その他の公共割引の点につきましては、これはいまいろいろの輸送機関につきましていろいろの問題がございます。こういったものも、いまの苦しい独立採算制をとらされております企業体自体に、これを政府なりあるいは地方団体なり、こういったものが何ら関心を示さずして、苦しい企業体にその責任だけを負わせるということが、ほんとの意味におけるナショナルミニマムとしての足の確保になるかどうかということが非常に問題でございます。これは国鉄だけじゃございませんが、たとえば私ども、委員の皆さまの御協力を得まして、来年度からは過疎地帯のバスについても、赤字に対しましては国から相当の補助をさせるということで予算の請求をしようと思っております。いまの国鉄赤字、ことに通勤時だけ非常に客が多くて、そしてその他の場合非常にあれで、合計して赤字になるというようなところにつきましても、やはり同じような問題が出るのじゃないか。私は、そういう点におきましては、いままで相当高い金利のつく財投だけで建設をさせる、そうしてまたその運行につきましては何ら出資金その他でもあまり援助がないというようなことでは、せっかくこれからの将来の問題といたしまして、できるだけローカル線廃止しないとか、いろいろなことを申しましても、実際問題といたしまして赤字が非常に累積する、これがまた国民一般のいまの過疎、過密の傾向に拍車をかけるというようなことになってまいりますと、なかなかにやはり合理的の経営ができにくいのじゃないか。そういう点で特に私は、来年度から国の出資、また地方の分担の割合というようなものも、先生方の御協力を得まして、できるだけ明確な合理的な経営に持っていきたい、こういうふうに思っておる次第でございますので、その点につきましてはまたあらためて御審議を願うつもりでございますが、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  22. 華山親義

    華山委員 私の申しましたことは、子供を学校に通わせている家庭が、国鉄でなくてバスということになった場合には通学費に負担がかかるということをおそれている、こういうことを申したのであります。バス会社の赤字とかどうとかいうふうなことももちろん重要な問題でございますが、私が申し上げたかったことはそういうことでございます。  それについて伺いますが、この赤字路線の問題につきまして監査報告には、「ローカル線赤字についての国または地方公共団体による補償などに早急に取り組まれるよう要望する。」と書いてある。この監査報告の中に、一面においては廃止しろといい、一面においては補償しろと書いてある。一貫してないと私は思うのですけれども、これは場合によって違うんだといえばそういうことでございましょう。それについて私は昨年自治大臣に対しまして、昨年からの問題でございますから、その際に地方公共団体にいわゆる負担をさせるのか、補償をさせるのかということを聞きましたところが、前の自治大臣は明確に、国鉄なんだから国が責任を負うべきものであって、地方において負担すべきものではないと私に御答弁になった。そのあと運輸大臣にお聞きしたところが、運輸大臣は、いや、地方にも負担してもらうんだということを言っていられる。政府部内で二つの意見大臣として合わなかったわけであります。それでいまここで、自治大臣がおいでになりませんから政務次官においでを願ったのでございますけれども、自治省を代表いたしまして、去年私にお答えになった前の自治大臣のとおり私はいまでも了解していいのかどうか、それは違ったのだ、方針が違ったのだということであれば、御答弁を願いたいし、従来のとおり変わりありませんというならば、そういうふうに自治省を代表して次官からひとつお答え願いたい。
  23. 小山省二

    ○小山説明員 お答え申し上げます。国鉄財政の再建問題につきましては、ローカル線赤字問題を含めまして、何らかの形で地方の自治団体にも協力をしてほしいという要請のありましたことは華山委員御指摘のとおりでございまして、去る一月運輸大臣並びに国鉄総裁から同様の趣旨の協力の要請方がございました。自治省といたしましては、国鉄財政再建問題は単に財政的な見地からのみ考える問題でなくして、わが国の交通問題、総合交通対策の一環としてなお国において十分な検討をなすべき面が残されており、また国鉄自体としてもみずからの体質改善、合理化、近代化に取り組まなければならない面が残されておるよう考えるのでございます。したがいまして、このような問題を含めまして、政府自体において十分国鉄の再建対策について検討さるべきそういう中において、安易にこれらの負担の一部を地方財政に依存するということは、私ははなはだ時期尚早の感がございます。したがって、自治省といたしましては、従来どおり、前大臣の御答弁申し上げた方針に変更はございません。
  24. 華山親義

    華山委員 いま次官からそういう御答弁がありまして、昨年は、これにつきましてそういう答弁があったにもかかわらず、運輸大臣は、いや、地方に持ってもらうのだということを強硬に言われた。いま大臣はどうお考えになりますか。
  25. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ごろも申し上げましたように、いわゆる企業的に見て採算の合わない、しかしながらやはり地方として一番重要な路線であるというようなところ、ナショナルミニマムとしてもどうしても足は国鉄以外には確保できぬというようなところにつきましては、運輸省といたしましては、国鉄自体の企業努力、合理化をはかりまして経費の節約をはかるのはもとよりでございますが、それだけでは足りない部分が非常に出てきております。こういうものにつきましては、国かあるいは地方団体がそれについて一部やはり補助をするということなしにはナショナルミニマムとしての足の確保というものはなかなか容易なことではないと思っておる次第でございまして、諸外国におきましても、すでにそういったよう方面におきまして、国または地方団体が参加いたしまして、経営を合理化するよう公社をつくったりなんかをしている次第でございます。私どもといたしましても、来年度、バスにつきましてはそういった国の補助を相当に大幅に切り上げまして予算要求するつもりでございますが、やはり国鉄につきましても、国あるいは地方団体からそれらの補助を仰ぐという態度には変わってない次第でございます。ただ、また、国か地方団体かということは、やはり財源の再配分の問題も相当あろうと思う次第でございます。財源の再配分の問題、そうしてまた、この国鉄ローカル線にいたしましても、やはりそれが国から補助をよけい出すほうが妥当であるか、やはり地方の特殊性からいいまして地方も幾ぶん負担をするのが当然ではないかというような結論になりましたものは、地方自治団体におきましても相応の御参加を願うということが妥当ではないか、こう考えておりまして、まあ自治省といたしましては、それはもちろん、いま地方団体はいろいろのお仕事もございまして財政も窮迫化しておるときでございますから、自治大臣ただいまのたてまえはこれは一応当然でございますが、私のほうといたしましては、やはりそういったような地方の足を確保するためにはいかなる方法をやったらいいかという場合に、地方の自治団体の御参加を願うという場合もあると思う次第でございまして、それはもう少し予算時期になりましてお互いが詰めてまいりまして、最後はどうせ一本になることでございますので、検討してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  26. 華山親義

    華山委員 いまの段階では、要するに自治省と運輸省との間で意見の統一ができておらないということがわかりました。私は、意見を言うことを許されるならば、国鉄なのだから、前の大臣の言われたとおり、国が責任を負うべき性格のものなんだから、これを地方に負担させるということは筋違いだと私も思います。そして、大臣承知と思いますけれども、いま筋違いだということを承知しながらいかに多く地方財政国鉄協力しているかという事実であります。それはいろいろな仕事をなさるその際に利用債というものを発行される。利用債を発行したときに、東京都なんかは何も利用債の負担をしてないわけです。利用債を負担をするのは貧乏なところばかりなんです。そして利用債の利子が低いから、そしてまた利用債を地方では持てませんから、地元の金融機関に持ってもらう。その利子の差額を地方公共団体が負担しているわけである。これは巨額のものだと私は思う。その点、自治省のほうには計算しておいてもらいたいということを私は言いましたけれども、決して地方が国鉄に対して協力してないわけではありません。そういうふうなこともありますが、去年と同様にまだ政府部内の両省の意見は合致してないということは私わかりました。ここで私、言うならば、自治省にがんばってもらいたいということなんです。そんなことを始めたら、たとえば地方に電話局がありますね。地方の電話局の収支というものは赤字にきまっている。その際に、この地方の電話局の赤字はその村の財政で補ってやってくれなんということが始まらないとも限らない。そういう意味から、国の財政というものと地方の財政というものとのけじめを私は強く言いたい。また地方自治法でも、そういうふうなけじめは神経質にまで規定しているわけです。たまたま国鉄は国のものでないものですから、国の仕事でなくて特別な国有鉄道ということになっているものですから、あの地方自治法をくぐることができる。こういうふうなことは私は許されないことじゃないかと思います。時間になりましたけれども、意見を申し述べて終わります。なお委員長、ここで私終わりますけれども、大臣なんかお帰りになったあと鉄道のことについてお聞きしたいことがありますから、その際お聞きすることにして一応終わります。
  27. 福田繁芳

    福田委員長 次に坂井弘一君。
  28. 坂井弘一

    ○坂井委員 ただいまは赤字ローカル線が問題になりました。私は、ローカル新線の建設に関係いたしましてはなはだ好ましくないよう事例がかなりございます。そこで、その問題にしぼりまして、具体的な事例をあげながら事実関係を明らかにしていく中で、国鉄並びに運輸大臣の答弁をいただきたいと思いますが、経過としていささか具体的な内容を明らかにしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  最近ローカル新線の建設がかなり進んでおるわけでございますけれども、せっかくこの新線がほとんど建設が完了し、レールは敷いたけれども、列車が走らない、あるいはまた完了直前に至って工事を中止しなければならない、あるいは路盤工事が終わって、いよいよ開業設備工事の計画表を提出したのだけれども、それが宙になってしまって、ナシのつぶてで一向に返答がないために工事がそのままストップしてしまったというような、そういうきわめて、言うならば国費のむだづかいといいますか、まことに国損を来たしておるよう事例がございます。  そこで、その具体的な内容に入ります前に、まず鉄道建設公団のほうでひとつ簡明に教えていただきたい。  手続でございますけれども、この新線計画の実施、つまり計画から公団建設線開業に至るまでの手続ですね。どういう方法によって行なわれているか、まず御説明願いたいと思います。
  29. 篠原武司

    篠原参考人 新線を建設するためには、運輸大臣から基本計画でこの線をやれということの御指示がございます。それから工事線としてやるというような御命令をいただいた場合には、それによって国鉄に対しまして協議を出します。設計ができますと、国鉄に協議を出しまして、その協議が返ってまいりますと、それを運輸大臣認可申請を出します。その認可申請を得まして初めて実際の工事にかかるわけでございます。ところが、この工事につきましてはその一とその二に分けておりまして、その手続は、路盤のほうを先にそういう手続によりまして認可をとって仕事にかかります。それからその二といたしまして、実は開業設備というものを別に最近は出すことになっておりまして、開業設備を出して御認可をいただいて、いろいろな駅設備だとか、そのほか線路を敷くというようなことをいたしておるわけでございます。
  30. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういう手続だということでございます。要するにこの鉄道建設に至るまでには二つの認可の手続が必要である。最初には路盤工事の計画申請、これに対する認可、続いて開業設備工事、これに対する協議申請、これに基づく認可、こういう手順をくぐって、そして最終的には工事完了、こういうことになるのでしょうね。その点間違いございませんか。同時に、この路盤工事の内容とそれから開業設備工事の内容ですね、区分、これをひとつ明示してもらいたい。
  31. 篠原武司

    篠原参考人 その一工事で路盤工事をいたしますけれども、路盤工事と申しますと、線路から下の工事を言っております。したがいまして、隧道を掘ったり、橋梁をつくったり、築堤あるいは切り取り、そういうよう線路から下の工事一切をやることになります。もちろんその場合は用地買収も含めております。  それから開業設備になりますと、先ほども申し上げましたように、駅関係のいろいろな諸設備、たとえば駅の本屋とか、ホーム、それから信号機の問題、通信の問題、そういうようなものを含めまして、開業に必要な線路から上の一切の設備をやることになっております。
  32. 坂井弘一

    ○坂井委員 それでは、急ぎますので、具体的に事例をあげてまいりますが、通告をいたしておりました北海道の白糠線、それから九州の油須原線、この工事の概況、いま現在どうなっておるか、今後の見通し、これについてひとつ的確に御答弁願いたい。
  33. 篠原武司

    篠原参考人 白糠線につきましては、四十三年の十月に支社間の協議を出しております。それから四十四年九月に支社間の協議が済んでおります。ちょっと申しわけございませんが、言い忘れましたが、これはその二のほうでございまして、開業設備に関する部分でございます。それで四十四年の九月に公団に支社長から上申がございまして、十月に国鉄に協議を出しました。それから四十四年の十一月に国鉄総裁から公団総裁あてに協議の了承の通知がございました。それから同じく十一月、二日ばかりたちまして運輸大臣認可申請を出しまして、四十五年の二月運輸大臣から認可をいただいております。これで大体開業までの工事が全部できるはずでございましたが、地元の炭鉱が閉山になりました関係もあり、一部変更しなければならぬ——開業設備の変更といいましても非常に少ない部分でございまして、実は運転をするためには二つのブロックに分けて仕事をしなければならぬという形になっておりましたのを、延ばすだけだから一つのブロックで行ったり来たりすればいいということになりまして、信号機三本、それから宿舎二棟要らないということになりまして、それの変更の手続をとったわけでございます。これが四十五年の二月に支社間の協議をやりまして、五月に協議がととのいまして、四十五年の六月に本社に参ったので、公団総裁から国鉄総裁へ変更の協議を出したわけでございます。それが四十五年の八月から御返事をいただいてないという形になっております。予算につきましても千三百万円ばかり減額になるという形になっております。  それからもう一つの御指摘のありました油須原線につきましては、非常に複雑な線区でございまして、これは初めは筑豊炭田地区の石炭を周防灘のほうへ、苅田港に出すということでスタートを切った工事でございますが、そのうち大部分は国鉄時代に建設をしたところでございます。したがいまして、公団になってからは非常に少ない工事でございますが、実は漆生−鴨生間、それから上山田−豊前川崎間、この二区間について開業したわけでございます。これは公団になりまして六億四千万円ばかりのお金を使いまして、四十一年の三月開業いたしました。それから残っている地区がそれより東のほうでございまして、油須原から豊前川崎間の工事を進めておりまして、これはまだ、全体の工事費は十二億六千万円でございますが、四億六千万円ばかり使いまして、今後八億ばかり残っておりますが、これは現在線をいじらなければなりませんので、この関係で土工が少し残っております。そういうような形でおります。しかし、当初は、計画当時は石炭を百二十万トン出炭いたしておりまして、四十鉱区もあったわけでございまして、これがだんだんに減ってきて、現在、この区間をどうするか、私どもといたしましては営業を早くしていただきたい、一貫輸送ができる形でやっていただきたいというふうに思っておりますが、国鉄でいろいろ検討されておるわけでございます。それでこれは検討中でございますけれども、まだ最終的の開業設備の協議ができておりません。
  34. 坂井弘一

    ○坂井委員 御説明いただいたのですが、私のほうから申し上げますと、いまの白糠線につきましては総予算が七十八億、上茶路−白糠間は六億かけましてすでに開業いたしております。三十九年十月七日運転開始。ところで上茶路−釧路二股間、これは十億投じましたけれども、ただいま説明のありましたように、その後開業設備変更について四十五年の八月十七日に協議が国鉄のほうになされた。それに対して今日なお返答がない。約一カ年経過いたしております。国鉄はこれに対してなぜ回答を与えないのか、ひとつ簡明にお答えいただきたいと思います。
  35. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま御指摘の二線、建設公団がやっておりますいわゆるAB線と言っているものでございますが、AB線の建設につきましては、前回、昭和四十四年になりますか、国会でもって国鉄財政再建特別措置法が通過いたしました際の閣議決定によりまして、AB線の建設については重点的に再検討する、こういうことになっております。私どもといたしましては、もう十年ぐらい前にきまって、しかも状況がどんどん変わっているのに、毎年毎年、営業係数一〇〇〇と申しますと、大体百円かせぐのに千円の金が要るという営業係数でございます。そういう営業係数の非常に悪い、しかも条件がすっかり変わったところがいままでどおり建設されていたのではかなわぬ、これ以上赤字をふやす形があっては困るということで、私どもは政府にぜひAB線の建設について再検討していただきたいということをまた申し上げ、閣議決定におきましても再検討するということになっております。私どもはその再検討を待っておるわけでございます。そういうわけでございます。
  36. 坂井弘一

    ○坂井委員 国鉄国鉄の言い分として総裁はおっしゃるのですが、いずれにしても一年以上経過しておる。レールは敷いているのですが、草がはえているのです。地元民は何と言っておるか。しかも十億の工費を投じておる。国鉄が引き受けられないということは、おそらく、これを走らせたのではますます赤字になるということだろうと思います。石炭がないから旅客にかえたいといっても運ぶべき客がない、これが実情だろうと思います。まさに計画当初からのずさんな計画という以外の何ものでもない一つの端的な事例だろうと思います。おそらくその間に、公式な回答はないといたしましても、協議はなされたであろうと私は推測をいたします。しかし、その間のやりとりというのはおそらくいまのようなことでしょう。深くは聞きません。ただしかし、ここで指摘したいことは、そうなると、この上茶路−釧路二股間については十億投じているわけですから、一体これがそのまま国損になるのかどうか。私は国損だと思う。その辺のところを運輸省のほうからも明確に答えていただきたい。同時に、油須原線につきましても、豊前川崎−油須原間四億六千万円、これもこのままほうっておけば四億六千万円は国損になる。まさに国費のむだづかいである。一方では赤字再建を何とかということで一生懸命やっている。合理化だ、近代化だ、体質の改善だ。片っ方ではこういうむだをやっている。これは一体何事ですか。これは国民感情からしても決して許せないことだと私は思うのです。  ですから、ここでひとつはっきりしてもらいたいことは、いまのこういう状態が続きますと、おそらく見通しはないでしょう。国鉄は引き受けない、鉄建は何とか引き受けてもらいたい、その間に立って運輸省は一体どうするのだ、そういうもろもろの問題がいまのような平行線をたどった形のままで推移するならば、この問題はいつまでたっても解決しない。したがって、いま言うとおり、白糠線について十億、油須原線について四億六千万、これは単純計算かもしれませんが、この国損はいま現実に出ているじゃないか、将来もこれがこのまま続くではないか、こういわざるを得ないのですけれども、これは運輸当局に聞きましょう。いかがですか。
  37. 山口真弘

    ○山口説明員 お答え申し上げます。AB線の建設でございますが、これは線路の性格上、地方におきまする交通の系絡、あるいは地方の未開発地域の開発、あるいは産業基盤の強化というようなことで建設をするわけでございます。したがいまして、そういう線でございますので、国といたしましても、これに対しまして出資等の方法によりまして、その建設に対する利子負担というものをなくする方向で、そして地方産業の開発、地方の民生の安定というものに資そうということで建設をしているわけでございます。  この両線につきましては、そういう目的で建設を始めたわけでございますが、問題は、客観情勢が非常に変わってまいりまして、先ほどもお話がございましたように、本来目的といたしておりましたところの炭鉱の閉山というようなことが生じましたためにこういうような事態になったわけでございまして、これに対応する措置というものを考えなければいかぬということであろうかと思います。結局この問題は、総合的な交通体系の中において鉄道というものがどうあるべきかという基本的な問題とも関連をいたしておるわけでございまして、そういう基本的な線にのっとって具体的な問題として処理していかなければいかぬということであろうかと思います。そして国鉄並びに公団両者と私どもも一緒になって、この問題について十分に話し合って、その解決のめどを考えていくということであろうかと思います。
  38. 坂井弘一

    ○坂井委員 きれいなことをおっしゃいますけれども、総合交通体系なんというものはいまになって初めて言い出した問題じゃないのですね。すでに昭和三十三年に出ておりますし、それから三十六年と、もう長い間言い古されてきたことであって、そして今日、陸、海、空にわたる交通政策がもろもろのひずみを生じたというようなこと、特にまた国鉄等においては赤字の問題等々をかかえて、そこでもって何とかしなければいかぬということで、総合交通体系なるものがいまにして初めてはなやかに浮かび出たような形で論議がされておりますけれども、これは常にあなた方の言いのがれにすぎないのです。だから私はそういうことは聞きたくない。ここで総合交通体系の論議をしようというならやりますよ。やりますけれども、いつまでたっても議論はかみ合わない。  私がいま指摘したいことは、白糠線や油須原線はいつまでたってもこのままの形で放置されるではないか。それを総合交通体系の成案を見てとかおっしゃいますけれども、それではいつできるのですか。いまの時点ではできっこないでしょう。しかも、たとえば白糠線については昭和四十四年十一月開業をめどにして進めた。それが今日、いまのよう状態で行き詰まってしまった。しかも大臣、諮問委員会では、白糠線は赤字ローカルだ、だからこれは廃止すべきだ、こういう意見が出るのです。そういう中で一体これをどうするのか。国鉄が引き受けないという意味は私はよくわかる。開業したらたちまち赤字ですよ。しかも、そういう状態にもかかわらず足寄のほうから用地買収と路盤工事をどんどん進めてきておるのです。これはでき上がっても列車は走りませんよ。あなた方はこれは十億の国損だと言えないでしょう。だから私はしいてそこまで言わそうとは思わない。しかしだれが見ても事実としては明らかに国損になっているということ。同時に油須原線についてもそうです。これは総裁、あなたのところの山田副総裁が言っているじゃありませんか。油須原線については国鉄は当初から疑問を持ちながら工事を進めてきた、その疑問と新線建設の混迷がそのまま出ている問題である。そうです。全くそうだろうと私は思う。なぜそういう押しつけられたような形のままで建設を進めてきたのか。これはだれが見たっておこるのはあたりまえですよ。ですから、これはもう内容的にははっきりしておるのですから、むしろ大臣にこの二つの線の結論を御答弁いただきたいと思うのですけれども、これは一体どうなさいますか。その決意のほどを聞かしていただいて私は一応この問題については終わりたいと思うのです。
  39. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問は、北海道と大分の二つのローカル線について国鉄鉄建公団の間の協議がいまだにととのわぬ、それがために決着がつかぬ、どうするか、こういう御質問でございますが、確かに私ども聞いてみますると、一番大きな原因は、貨物輸送を主眼といたしましてつくりました路線が、炭鉱が閉山になって物的輸送のほうがとだえて、それで人的輸送のほうがどうなるか、こういうような問題でございます。これは確かに、一年も一年半もお互いが議論をしておりましてほっておりますことは問題でございます。両者の間で十分検討させまして、また鉄監局長も加わりまして検討させまして、これをいかにして運行したら黒字線になるか、また赤字線になりましてもどのくらいの程度で済むか、これを開通したがいいかどうかということをひとつ早急に結論を得させまして、それで処理をしたい、こう思っている次第であります。
  40. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣が早急に検討をして結論を出すと言うんですから、私はそれを信じてその結果を待ちます。  鉄建にお聞きいたしますけれども、いまのような路盤工事がほとんど終わりまして、そして完成している線で、いま問題になりました白糠線あるいは油須原線と類似したような線はほかにございませんか。
  41. 篠原武司

    篠原参考人 ただいま開業の問題を目前に控えまして問題になっている線はその二つでございます。
  42. 坂井弘一

    ○坂井委員 では国鉄に尋ねますけれども、いまのとおり、ございませんか。
  43. 磯崎叡

    磯崎説明員 ちょっと私正確に存じませんけれども、いま工事中のものはいまの二線だけだそうでございます。しかし、先ほどからもお尋ねのとおり、私といたしましてはこれ以上赤字の原因がふえることはごかんべん願いたいという率直な気持ちでございますので、はっきり申し上げておきます。
  44. 坂井弘一

    ○坂井委員 公団国鉄もないとおっしゃるのですけれども、私の調査した中では同じようなものがあるんです。だからもう少しはっきりとお答えいただきたいと思います。路盤工事が終わりまして、冒頭にお尋ねしましたとおり開業設備工事の計画書を提出した、しかるに未回答である、そういう事例はございませんか。
  45. 篠原武司

    篠原参考人 さっきもう一つはっきり申し上げておけばよかったのですが、実は北海道で追分線というのがございまして、これは路盤はできておりますけれども、これは有償線区でございます。いままでお話の出ておりますものは、いわゆるでき上がったものは国鉄に無償で貸すという線区でございますが、追分線につきましては、でき上がりますと、これを国鉄料金をとって貸す。結局利子のつく金を使っておりますので、それの利子の支払いとその他経費が要りますので、それは国鉄から使用料をとるということになっておりますが、追分線の先に紅葉山、狩勝というのがございまして、国鉄としてはそれが全通するときじゃないと効果を発揮しないから、なるべくそういうふうな時期に一緒にやってくれというようなお話もありまして、まだ線路は引いてないと思っております。
  46. 坂井弘一

    ○坂井委員 だからあるかないか聞いたら、ないとおっしゃる。少し詰めてみれば、あるのだ、追分だ、こう言うのです。まさにそうです、追分ですよ。私は調査しました。追分線のほうがいまの白糠、油須原よりも問題は悪いですよ。悪いといいますか、これは大臣、問題ですよ。いまのような形で、ないと言って、まだあるのだ。それじゃ信用できない。私の調べた内容を申しましょう。追分線、これは北海道の千歳−追分間十七キロです。運輸大臣認可は、四十年十二月二十八日に認可になっております。この貸し付け予定は有償か無償かは、これは有償ですね。いまあったとおりです。ABCDのCでしょう。そこで総工事額は三十四億、大臣認可が四十年十二月二十八日にございまして、翌四十一年の一月二十二日着工、路盤工事の完了が四十二年末で、約九百メートル残してほとんど完了。さてその時点を待ちまして四十二年の十一月、いわゆる開業設備工事のための計画書を協議提出をした。これは国鉄は受け取っておりますか。
  47. 長浜正雄

    ○長浜説明員 四十二年十一月に受け取っております。
  48. 坂井弘一

    ○坂井委員 回答いたしておりますか。
  49. 長浜正雄

    ○長浜説明員 まだ回答いたしておりません。
  50. 坂井弘一

    ○坂井委員 四年間になりますけれども、まだ回答しない。その理由は何でしょうか。
  51. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生、現地をお調べくだすってよく事情を御承知と思いますけれども、私のほうでは、追分線だけでは意味がない、これは石勝線と結んで道東と道央と申しますか、北海道の東と中央を結ぶことによってはじめて鉄道としての意義があるということで、私のほうといたしましては、石勝線の全線開通までは部分開業する意思はございません。たまたま工事を追分線と石勝線に分けただけで、私のほうといたしましては、あの十何キロの鉄道を開業するのは全く意味がないと思っております。したがって、あくまでも早く全線を開通すればやります。しかし部分的にはやりたくないし、やるべきじゃないと私は思っております。
  52. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣、お聞きになったとおりなんです。この追分線が完了しても国鉄は引き受けない。なぜか、それだけの効果がないと言うのです。いわゆる石勝ルート、つまり紅葉山線と狩勝線、これと追分線をつないで、そして石勝ルートが貫通してはじめてここに効果があるのだ、こうおっしゃる。だから追分線だけ完成しても引き受けることはできない、国鉄はこう言うのです。そういうことは当初からわかっておることじゃございませんか。しかも、いま言ったようにすでに路盤工事は終わっているのです。三十四億の総工事費の中で二十一億三千五百万余でしょう。それだけ投じて、そして四年前に終わっているのです。それが未回答のままで四年後の今日まで放置されておって、なおかついまの段階においてこれは回答できないのだ、国鉄総裁はそうおっしゃる。引き受けられない。これはまたまことにけしからぬ。片一方から見れば親方日の丸でしょうね。地域開発ということから見れば、これは地域の主要幹線を、C線をまさに住民は待ち望んでいるでしょう。今日の過疎化現象、そういうことからしまして、鉄道の新線建設に私はあえて反対いたしません。必要なところはどんどん引くべきでしょう。しかしそのような、当初からもうわかりきった、こうなるであろうということが予測される、それでもこういうずさんな計画をそのまま強引に推し進めていく。そうして今日まで二十一億余円の金を投じて、あと残っておるのは十二億そこそこでしょう。今回また三億四千万円の工事費が計上されておる。これは未執行に終わるでしょう、回答しないのですから、国鉄で引き受けられないというのですから。これは一体いつまでいくのか。そうすると、紅葉山線と狩勝線ができあがって、そうしてこうした形で追分線ができあがる、いわゆる石勝ルートがそこで一貫した形で完成する、その時点なら引き受けるということだろうと思うのですが、そうしますと、全体のルートが完成する見通しは一体いつなんですか。
  53. 篠原武司

    篠原参考人 ただいまの紅葉山線、狩勝線の両線につきましては、もちろん予算の問題もございますけれども、一応公団の予定といたしましては五十年度完成ということで進めております。
  54. 坂井弘一

    ○坂井委員 五十年度完成の見通しだというのです。そうすると、これは一体どうなりますか。もう追分線は二十数億投じて、ある程度完成しまして、いままで四年たってしまったのです。そして五十年だ。これではまだ四年ないし五年で、九年ないし十年、これは利子がついておるでしょう。利子だってばく大なものですよ。私はそこまできょうは詰めませんが、いずれにしてもこの工事費プラスそういう利子、あるいはまたその間に線路もいたむでしょう。台風等あったらどうなるか、災害等あったらどうなるか。路盤がくずれた、それに対してまた二重投資をしなければならぬ。地元民は何と言っておるか。こんなばかな話があるか。国鉄財政再建だ、一体何をやっておるのだ。批判があるのはあたりまえでしょう。ましてわれわれこういう事実を見て黙っておられますか。そういう一貫性のなさ、計画性のなさ、ずさんなやり方、親方日の丸的なやり方、そういう中でいま先ほど出ましたようないわゆる交通総合体系政策なるものを立案するのだ。何とそらぞらしい、美しいことを言うんだろうか。これはおよそ聞けませんね。こういうまことに遺憾きわまりない、憤慨きわまりない問題、これはむだ使い、むだ投資ですな。二重三重の投資になるでしょう、この上さらに。ですからこういう問題につきましては大臣、いま私が聞きますと、追分線が出たのです。まだこれと同じような、類似したような——いま新線が五十七線、まずあなた方は予測できなかったとおっしゃるんだろうけれども、経済情勢の変化、社会情勢の変化等々の見通しがきかなかったのだ、おそらくこういう言いわけをされるんだろうと思いますけれども、出てきそうな可能性のある線路はほかにもありますよ。それらを大臣、ここでお考えただきたいのです。いまの新線計画に対して、従来もローカル線赤字問題で存廃問題まで起こっておる。それから一方では新線を建設する。ずいぶん批判がありますね。この辺でもう一ぺん総ざらいして検討し直してみる必要があるのじゃございませんか。いかがですか。
  55. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま御指摘になりました御議論、私もそのとおりだと思う次第でございます。確かに途中で事情変更の大きなものがありましたとはいえ、鉄建公団国鉄との間の協議が完全にできていなかったというふうに私も感ずる次第でございまして、そういうことであっては、これからの新線の建設また国鉄の運営というものにつきましても私は非常に問題が多いことになると思う次第でございます。  私、いまの点を十分心得まして、早急にあらゆる点で再検討いたしまして、いやしくも国民の負担をむだ使いさせないような方法で進んでまいりたい、こう思う次第でございます。
  56. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が来ましたので終わりますけれども、いまも大臣のお答えがあったようでありますけれども、私最後に一つ念を押しておきたい。ということは、私は相当具体的な事例をもって詰めていきたいと思ったのですけれども、時間がございません。大臣いろいろお答えがございましたけれども、要するに、いま私が例をあげました白糠線、油須原線、そうして追分線、これはずさんな計画であったということはお認めになりますね。その点だけの御答弁を伺って終わりたいと思います。
  57. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまの二つの線は、聞きますると炭鉱の閉鎖ということでございまして、経済の予見について非常に浅かったというふうに思う次第でございます。またもう一つの問題は、全線開通をどのくらい早くやりまして、そして合理的な採算が合うようになるか、あるいはまた全線開通をやってもだめかということは検討してみなければならない、そう思っておる次第でございます。それらの点、私ども早急に鉄建公団に会いまして協議をいたしまして、合理的な結論を得たい、こう思っておる次第でございます。
  58. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  59. 福田繁芳

    福田委員長 吉田賢一君。
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 運輸大臣に伺いたいと思いますが、時間がありませんので、端的に伺います。  いままさに過日来全国の交通安全週間として、相当な国民の熱意をもってこの問題と取り組んでおります。とりわけことしは、児童と老人の交通被害をなくしようということがねらいらしいのでありますが、交通戦争といわれる今日、被害者の重大な分野を占めておりまする児童の問題を見のがすわけにはまいらぬのでございます。  そこで、伺いたいのでございますけれども、総理府の報告によりますと、ことし五月現在におきまして交通遺児と称する児童が六万三百六十六人ございます。この問題でありますが、これはやはりその身になってみないと、その深刻な被害の実相は身にしみてきませんです。過日東京で、全国から数百名の児童、おかあさんなどがたくさん集まりまして会合しておりましたが、ああいった記事を読むにつけましても、ほろっとさせられます。まさに交通遺児の問題がほんとうに解決できるかどうかは、現代の良心的な政治が行ない得るかどうかにかかっておるのじゃないかと考えるのであります。  そこで大臣に伺いたいのでありますが、総理府のこの膨大な数の統計、また悲惨な交通遺児の実情、生活の模様、おかあさんの苦労、学校に、また就職に等々、幾多の断層を生じておりますので、良心的な政治ということは、交通遺児の問題をどう解決することが国策として一番重要であろうかという点にかかると思います。交通被害をなくするということが基本でしょう。これが事後対策をどう立てるかということも重要でしょう。とりわけ運輸大臣としまして、特に陸運が最も多い交通被害現象らしいのでありますが、この問題に取り組んで、今後どういうふうな施策を展開していくことがよいとお思いになるか。私をして率直に言わしむるならば、日本の良心的な政治のあり方は、交通遺児対策の成否にかかるとまで重大に考えたいのであります。交通遺児をなくしていく、こういうようなことが一つの大きな国のスローガンになっていいのじゃないかと思うのでございます。大臣のお考えを伺っておきたい。
  61. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま吉田委員からのお話がございましたように、交通遺児が年々増加していく、これは国としてもまことに重大なる問題でございます。社会問題でもございますし、非常に大きな内政上の問題であると思う次第でございます。ことに最近、自動車事故が非常にふえてまいりました。それがために働き手の方々を失い、遺児になられ、非常に貧困のうちに育てられなくてはならないという者のふえてまいりますことは、ほんとうに重大な問題でございまして、これは運輸省はもちろんでございますが、警察庁、総理府あるいはまた建設省とも協力をいたしまして、交通事故の減少の方向に向かいましてあらゆる施設を早くする、たとえば建設省といたしましては立体交差の軌道の新設を多くする、あるいは踏切におけるところの安全装置をすぐする、その他いろいろの方策を加えまして、そして悲惨なる境地におちいるところの遺児の減少をはかるということが一番根本であろうかと思う次第でございますが、何と申しましても、いままでの各種の統計から見ますと、あるいは飲酒による、あるいはまた不注意による、スピードの出し過ぎによるというような無謀な運転による災害が一番多いように私ども考える次第でございます。もとより今回のいろいろの道路あるいは鉄道の社会資本の充実のために設けられましたいわゆる車検税のうちにおきましても、交通安全のための費用を特別にとっているような次第でございますが、何と申しましても、運転者がそういった気持ちになりまして、注意、安全運転をするということが先でございます。もとより運輸省といたしましては安全車の早期の完成のためにせっかく努力をいたしておる次第でございますが、運転者をいかにそういう方面に向けるかという注意喚起というものがやはり一番大きな効果を来たすのではないかというふうに思う次第でございまして、その点は総理府を中心といたしまして、いま交通対策の委員会もございますので、せっかく努力をしているところでございます。
  62. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 交通事故をなくするという問題につきまして相当力を入れておいでになることもわかるのであります。しかし、そのためには、今後の施策といたしまして、たとえば高福祉の日本を実現するために、人間尊重の社会を実現するために、あるいはまた教育の機会均等を全うするというような角度から見まして、ひとつ運輸大臣は他の閣僚、たとえば厚生大臣、文部大臣などとも御協議になり、あるいは予防、防御の面からは建設省その他の省がございましょうが、やはり閣議の段階におきまして交通遺児対策を積極的に取り上げるということにいたしますならば、これは高福祉の日本の大きなシンボルになります絶好のチャンスです。まさに全国的にこうやって展開されておる交通安全運動がもしマンネリズムになってしまいましたら、これはもうだめです。たとえば、交通違反などで警察官が一々処分していくというのを繰り返すと同じことになっては、これはもうだめですから、その辺について、ひとつこの機会に内閣の一つの大きな善政のシンボルというぐらいな意気込みで取り組んでいくということを、丹羽運輸大臣、ひとつなさってはいかがでしょうか。これはほんとうを言うならば、長くあとに残るべき大きな政策であろう、こう考えております。どうでございましょうか。
  63. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのお話、ごもっともでございます。ただ、この交通事故防止対策は、いま吉田先生が御指摘になりましたように、あるいは厚生省、あるいはまた文部省、また建設省、私のほう、いろいろまたがっておりますので、いま総理府総務長官が中心になりましてこの問題のまとめ役をしておりまして、私ももちろんその委員の一人でございまして、強力に発言をしている次第でございますが、さらにまたこの十月中それらの大会を持つと聞いておる次第でございますが、私もいまの御趣旨を体しまして強力にその点を推進してまいりまして、そうしてできるだけ減少をいたしてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  64. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題に関連しますが、総理府から交通安全対策室長見えておりますかな。——見えてない。それではよろしゅうございます。  それではもう一つ伺いますが、大臣、空港問題ですが、きょうまたあなたは成田の犠牲の警官の葬式に行かれるのですね。まさに大きな視聴を集めましたね。こういうようなこともございますが、一面におきまして、空の交通をいかに重視するかということが非常に大きな課題であります。そこで、関西における例の新空港の問題が、はしなくも大阪とか兵庫とかその他の府県、神戸市、大阪市等々によりまして、かなり重大な課題として目下取り組んでおるまっ最中であります。これはもう御承知のとおりでございます。そこで、これらの問題につきましては、これはやはり一面、従来の航空諸般の対策が、公害の面が少しおろそかになっておったんじゃないであろうか。もっとも安全とか公害につきましては、特別の調査団が運輸省のほうでできておるようでありますから、何らかの結論があろうと思いますけれども、公害の面につきましてはとかくおろそかにしておったのじゃないかというようなことが感ぜられます。安全あるいはその他の確立等々は相当努力しておりましたけれども、そこで公害面から指摘されて、いまごうごうとして論議されておるのがこの関西の実情なんです。ですから、公害をなくする、公害のなき空港を設置するということが基本命題として浮かび上がっておるということはもう御承知のとおりでありますが、これに対する自信のほどをはっきりしておいていただきたい。これはひとつ、室長が見えましたらこまかいことを聞きますけれども、大臣といたしましてこの姿勢がくずれましたならば、関西空港もこれはもう混乱に混乱を重ねてまいります。これはもう間違いありません。まさにそういうようなどたんばにいくのじゃないかとさえ今日考えておるのであります。だから、どこにつくりましょうとも、無公害の状況下に新設するというような打ち出し方が確定するのでないと、この問題はますます紛糾するということを御了承願っておきたいと思うのですが、これに対する御所信のほどを、政府といたしまして、主管大臣としての御所信をひとつはっきりしておいていただきたい、こう思うのでございます。
  65. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの公害の問題でございますが、飛行場建設の急務なることは、いま吉田委員からも御指摘がございましたとおり、大阪空港ももう離発着が非常に過密の状態になっておりまして、これ以上ふえてまいりますと、なかなかに航空需要に追いつかない、こういうふうな状態でございまして、どうしても大阪空港を早期に建設しなければならない必要性にきておるわけでございますが、ただいま御指摘になりましたような、空港建設にとっては公害の問題が第一義じゃないか、この根本の解決を伴わずして空港建設はできないじゃないかという御指摘でございますが、私もそのとおりであると考えておる次第でございます。実は成田の今日の空港建設の問題につきましても、今後の方針といたしましては、いわゆる公害をいかにしてなくすかということを中心といたしましていま話を進めておる次第でございまして、またその公害の内容といたしましては、何といたしましても、飛行場また航空の公害として一番大きな問題は騒音の問題であろうと思う次第でございます。飛行場の離発着によりまして騒音が非常に大きく、日々の生活に非常に安静的な生活ができないということになりましたならば、せっかくの文明の利器でございますが、それがために機械のために人間が圧縮されてしまうという問題を起こす次第でございまして、それがために空港の滑走路の付近におきましては、これをなるべく人家のないところを選ぶ、そしてまた離発着の高度あるいは経路につきましても、民家に影響を及ぼさないところを選ぶ、そういうような設計のもとに空港を設定するということが必要でございますし、また一部そこに民家がかかる場合におきましては、代替地を求めまして、あるいは民家の方に御移転を願う、あるいは騒音に対する徹底的の防止施設を国の義務としてするというようなことをやってまいりたいと思っておる次第でございます。  もう一つは大気汚染の問題でございますが、これもいま私のほうで十分検討さしておる次第でございますが、東京国際空港、大阪国際空港の調査結査をいま求めておる次第でございますが、それらの点につきましてはいまのところ何ら支障ない、こういう結論が出ておる次第でございまして、それらの点も十分注意をいたしまして、公害絶滅を期しまして進んでまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  66. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 運輸大臣の時間の都合がありますので、ちょっとすみませんが、一点だけもう二、三分くださいませんか。  運輸省の所管のうち海の問題につきまして、これはよほどあらゆる角度からこまかい施策をしてほしいと思うのであります。とりわけ四面環海でありますし、貿易一切が船にたよるというのが現状であります、貨物は。そういうところでございますので、船員と家族の福祉厚生の問題は非常に大事でございます。これはこまかくは船員局長等に聞きますから、大臣といたしまして、船員とその家族の福祉厚生につきましては、特段の配慮をもって施策を立て、積極的にやるようにひとつ取り組んでいただきたいのであります。これも毎年繰り返してマンネリズムみたいになるおそれがございます。これはとんでもないことであります。ことに船が大型化し、機械化し、コンテナ輸送その他等々ずいぶんと船の様相が変わってきましたので、どうしてもこれは船員の福祉厚生、家族の福祉厚生に特段の力を入れる必要がございます。その点につきまして、詳しくは事務当局から聞きますから、特に御配慮のほどを御依頼申し上げておきたい、こう思うのですが、一言お答えいただいて終わります。
  67. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問、私もそのとおりと思っている次第でございます。長く家を離れて孤独な海の生活をお送りになっている、また家族の方はそれで留守をお守りになっている、いろいろ御不便の点も多い次第でございます。私、それゆえに、就任早々全日海の委員長その他にもお会いをいたしまして、またこれからも進んでお会いをいたしまして、いろいろ御意見を承って、船員の皆さまが航行に従事する場合にできるだけ後顧の憂いのないように、そうしてまた、お仕事をおやりになる場合に非常に安心してできるように、諸般の方策を講じていきたいと思う次第でございまして、吉田先生、そのほうのもうほんとうの経験者でいらっしゃいますので、いろいろまた御注意を十分承ってやってまいりたい、こう思っている次第でございます。
  68. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 総理府の須藤室長に伺いたいのでありますが、いま伺っておった例の交通遺児の問題でございますが、きょうは交通安全週間として全国的に展開されておりまする交通安全運動のさなかでございますので、これは非常に印象深く私どもも感じておる次第でございますが、あなたのほうの御報告によりますと、ことしの五月二十日現在で交通遺児が六万三百六十六ございます。これは相当な大量であろう、こう考えるのであります。もっとも年齢といたしましては十八歳以下になっておりますが、このような数の遺児の問題は、これはじっと考えましたなら、また一人一人、一つ一つのケースを考えましたならば、国民は涙なくしては見られない現状がずいぶんとあるのでございます。私自身も幾人かの交通事故を扱いました一人といたしまして深刻に考えておるのでありますが、そこで、やはり交通問題の根本的解決につきまして、安全性の確保につきまして、遺児問題をこの際取り上げるということは一つのチャンスでないであろうか。もちろん老人も大事であります、そうしてこの交通事故をなくするという安全対策も大事でありますが、遺児問題はこれでいいのか、こういうような打ち出し方で全国民に訴えましたならば、だれ一人としてこれは反対する者はない、こう思うのであります。どうすべきであろうか。第一、遺児の現状、生活の現状、暮らしの苦しさ、法の不備、問題に対する理解の乏しさ、こういうようなことにつきまして全国民に真相をぶちまけて訴えるというくらいな姿勢が要るのではないだろうか。このためには、ひとつあなたのほうで原因をなくするという対策、これも大事であります。現状にこれがどう事後処理すべきかということも大事でありましょうが、今後これらの児童とそれを取り巻く遺族にしあわせを実現するというためにはどうすればよいのであるか、こういうふうな観点に立ちまして、たとえば経済的に、あるいはまた豊かな環境を——言うまでもなく経済だけではもう解決できないものがあるのです。父を失った子が母にたよって父を返せというようなことを言われますると、一体銭金では解決できません。経済のみならず、ほんとうに親のあるときと同じような環境をどうしたならば実現し得るであろうか。実は私の友人の一人に、黙って世間に知られずに子供を頂かって、わが子と同じように育て養い、この間一人結婚させました。これでもう三、四人目であります、こういう人がございますのですが、親と同じようにはぐくんで、指導して、ときには鞭撻もし、叱咤激励もして、りっぱに成人さしておる実例があるのであります。そういうような遺児に実父などとともに暮らしておるようなあたたかい環境を与えるといったようなことはできぬものだろうか、こういう面。同時に、同様に一つの希望を抱いて学校に通うという、不就学児童が出ないように、そしてだんだんと自分の能力を発揮していくということに、どうしたらできるだろうか、こういうような面につきまして広く訴える。またその前に案を立て、そして厚生省とも、あるいはまた文部省とも協力してもらって、あなたのほうにおいて基本的な立案をせられて、全国に訴え、全国民の支援のもとにこの交通遺児をほんとうのしあわせな家庭環境に置くというような、そういう施策はできぬものだろうかと考えるのでありますが、こういうような案をお立てになる、その発想のもとに具体案をつくるということにひとつ進んでいってもらえぬかと思うのですが、これはいかがでございましょう。
  69. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの吉田君の御質問、御意見に対して、幸いにして総理府の交通安全対策室長の須藤君が参っておりますので、発言を許します。
  70. 須藤博忠

    ○須藤説明員 お答え申し上げます。御承知のとおり私どものほうでは、ことしの五月現在におきまして十八歳以下のいわゆる交通遺児、交通事故により親を失った児童の数、この調査をいたしたわけでございます。現在私ども一応数をつかんだというにとどまらず、さらに実は今回発表した分以外にも引き続きもう少し掘り下げて調査をやりたいということを考えている次第でございます。今回の調査の結果、御承知のとおり六万余りの遺児という数字が出たわけでございます。これは中間発表と申しますか、中間段階での発表でございまして、今後私どものほうとしては、単に数のみならず、その実態というものも深く調査をして、今後の施策に反映をさせたいというふうに考えておる次第でございます。その意味で私ども今回の中間発表に引き続きまして抽出をいたしまして、引き続きまして本年度中にさらに掘り下げて追跡調査というものをやるようにいたしております。もちろん中間発表の段階だから対策を怠るということは毛頭考えませんで、すでにこの中間発表の段階におきましても、厚生省あるいは文部省、労働省といったよう関係省庁に対しまして、この実態というものを十分にお知らせをいたしまして、適切なる対策をとるように、私どものほうとしてもできるだけの連絡をとり、遺憾のないようにしてまいりたい。今後ともさらに調査が進めば、それに沿ったような適切な対策を打つように、さらに一そう関係省庁と努力して、この面につきましての万全の策を講じてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  71. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの問題ですが、本年度中にしかるべき対策、対策を立てるというふうに進んでいく自信があるでしょうか。そうされることが必要であろう、こう考えるのでありますが、その点だけ伺っておきます。
  72. 須藤博忠

    ○須藤説明員 私どものほうといたしましては、できるだけ正確な実態調査をいたしまして、これをできるだけ早く政策面に反映させるようにさらに一そう努力を払いたいというふうに考えておる次第でございます。
  73. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 一応ここでちょっと切ります。また続いてやりますけれども……。
  74. 福田繁芳

  75. 華山親義

    華山委員 一カ月ほど前までにいろいろ自動車料金の値上げということがございまして、あるいはことばが違うのかもしれませんけれども、適正料金でよいサービスというふうな標語で、各自動車等に標語を掲げたりなんかしておりましたことがございました。それで私、本院と家の間を往復するのに、地下鉄を四ツ谷の駅で乗りかえて中野のほうに国鉄で通っておりますが、地下鉄の駅から見ますと、そういうふうな標語が大きな幕になりまして、私は東京陸運局の建物だと思っていたのに、ぶら下がっているわけですね。張ってあるわけです。それで私は、自動車の運賃値上げ運動には、業者とともに陸運局も一緒にやっているのかなという錯覚を起こしたわけです。あの建物にああいう幕を張るのは一体どういうことなのか、ちょっと伺いたい。
  76. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの華山君の質問に関して、ちょうど運輸省の自動車局長が参っておりまするから答弁させます。野村君。
  77. 野村一彦

    ○野村説明員 お答えいたします。先生の御質問の趣旨は、陸運局の管内でございますか、その構内あるいは建物、そういうところに運賃値上げのスローガン的な看板を掲げているのはいかなるつもりか、こういう御質問だと拝聴したわけでございますが、私実は不勉強で申しわけございませんが、その現場を見ておりませんので的確なお答えができませんが、もし陸運局の管理する庁舎あるいは建物等にそういうことが行なわれておるとしますれば、これはきわめて不適切でございますので、これは直ちにやめるという措置をとらなければならないと思います。
  78. 華山親義

    華山委員 自民党との話し合いで料金が上がることにきまったということから、その字幕はとられていますね。ですからいまお調べになったって私はわからないと思うのですよ。それで私そのとき初めて知ったんですけれども、いろいろな人に聞いたり、こちらのほうで調査してもらったりなんかして聞いて初めてわかったんですが、私が東京陸運局だと思っていたあの建物は、東京陸運局の建物でなくて、よそから借りているのだそうですね。どこから借りているのですか、あの庁舎は。
  79. 高林康一

    ○高林説明員 東京陸運局の建物は、東京陸運局が東京自動車協会から借り上げておる建物でございます。
  80. 華山親義

    華山委員 自動車協会だけですか。そうするとあの建物の所有権はだれにあるのですか。
  81. 高林康一

    ○高林説明員 東京自動車協会の建物でございます。
  82. 華山親義

    華山委員 間違いありませんか。——そうすると、その借り上げ料金はだれに払っているのですか。
  83. 高林康一

    ○高林説明員 借り上げ料金は東京自動車協会に支払っているものでございます。
  84. 華山親義

    華山委員 私の聞くところでは、何かあそこの中には三者、ほかのいろいろな陸運関係の団体が三つほど入っておるのだが、その三つに対して、代表者に払っているのじゃありませんか。
  85. 高林康一

    ○高林説明員 先生御指摘のとおり、その陸運局周辺にありますところの土地は、東京の自家用自動車協会、それから東京乗用旅客自動車協会、それから陸運賛助会、それから先ほど申しました東京自動車協会、この四者が国鉄から土地を借りておるところのものでございます。その建物につきましては、私どもの契約は、この東京自動車協会に対して建物の借料を払っておるということでございます。
  86. 華山親義

    華山委員 土地は四者だか三者で借りている。建物は一者でつくっている。そうすると、その建物をつくっているところは別にいたしまして、建物をつくっていないところのその協会というふうなものは、あの土地をどうして借りておるのですか。どういういわれ因縁があってあの土地が借りられるのですか。自分の建物をつくるならばこれは格別、自分の建物もつくっていないところの土地を借りられるというのはどういうことなんですか。あなたのほうで監督していらっしゃるのでしょう、あそこは。どういうことでああなっているのですか。
  87. 高林康一

    ○高林説明員 その周辺の土地全体を先ほど申しました四つの団体が借りておるわけでございます。それから東京陸運局が借りておりますところの建物、その貸し主は東京自動車協会でございます。
  88. 華山親義

    華山委員 あの建物の所有権は東京自動車協会にあるわけですね。そういたしますと、運輸省が、使っていない、自分の建物も建てない、そういう業者に貸しているというのはおかしいことになりませんか。これは国鉄のほうからお伺いしたい。
  89. 高林康一

    ○高林説明員 国鉄の御答弁の前に。その土地は国鉄からその四つの団体に対して貸し付けておるところのものでございます。建物はその東京自動車協会の建物を東京陸運局が借りておる。そのほかにも建物がございます。それらのそれぞれの団体の建物はございます。
  90. 華山親義

    華山委員 それはわかりますけれども、国鉄にお伺いしたいのだけれども、あそこに建物をつくったところのものに貸すということは一応私はわかっても、何の建物も建てない、何もないものに対してあの土地を貸しているというのはどういうことかということなんです。
  91. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄からは、いまの自動車協会ほか三団体に土地を貸し付けしまして、自動車協会ほか三団体がそれぞれやはり建物を区分所有して建てております。そのうちの自動車協会の分を陸運局に貸しておる、こういうことのようでございます。
  92. 華山親義

    華山委員 それでわかりました。ところが、いまあの建物の第一庁舎、第一庁舎といいますか、第二庁舎はこっちに別にありますね。あの第一庁舎のうちの何分の一を東京陸運局が使っているのですか。
  93. 高林康一

    ○高林説明員 第一庁舎の建物は三百四十六坪でございます。そこの、その三団体その他を含めた周辺の全体の土地は、五百九十四坪でございます。
  94. 華山親義

    華山委員 あの第一庁舎の入っている建物です。ほかのいろいろな建物は別です。あの建物の中で何分の一を使っているかということなんです。
  95. 高林康一

    ○高林説明員 三百四十坪が東京陸運局が借りておるところの坪でございます。全体の五百九十四坪がその周辺土地でございますので、大体三分の二くらいがそれに該当するかと思います。
  96. 華山親義

    華山委員 私お聞きしているのは、いま第一庁舎というのがあるでしょう。第二庁舎のほうはあなたのほうの固有の建物だ。第一庁舎というものは、先ほど言った建物の一部を使っているわけでしょう。その第一庁舎の建物というのは、大体いまおっしゃったように、一千百四十五平方メートルです。これはこの建物のほとんど全部、四分の三というものをここで使っているのじゃないのかということなんです。どうなんです。
  97. 高林康一

    ○高林説明員 先ほど申しましたように、三百四十坪、すなわち千百四十五平米でございますけれども、そのところに隣接いたしまして(華山委員「隣接しているのじゃないのです。借りているところの建物を言っている。」と呼ぶ)陸運三業会、それから旅客自動車協会の建物がそこにございます。大体そこのあれでございますが、その建物の四分の三くらいを陸運局が使用しておるというような状況になっているかと思います。
  98. 華山親義

    華山委員 それで、この建物というものをこう  いうふうな四団体がつくっている。お話だと東京自動車協会の持ち分だということでございますけれども、東京自動車協会なんというのはほとんど使っていないですよ、ここの中で。持ち分だといったってほとんど全部が陸運局で使っているわけなんです。それで先ほどの字幕の話にしたところが、これはこういうふうな協会関係が横幕を張ったということであるならば私はまたわかる。しかしこの壁面を埋めたならば、ちょっぴりやるだけなんだ、建物の端に協会なるものがあそこだけに張ったなんという理屈は成り立たないと私は思うのです。いま実態がわかりませんし、写真もとっていませんから言いませんけれども、こういうところに私は、行政と陸運界の何といいますか、いやなことばですけれども密着しているのか、粘着しているのか、そういうことを言われると思うのです。それで、これは幾らの家賃を払っているのですか。
  99. 高林康一

    ○高林説明員 東京陸運局の借り上げております借り上げ料は、月額七十四万一千三百円、年額八百八十九万五千六百円でございます。
  100. 華山親義

    華山委員 九百万円に近いわけですが、これが年々上がっておりますね。どういうわけで上がる。私の見たところでは、たいへん粗末な建物で、木材に何かモルタルみたいなものを塗った建物でしょう。非常に悪い建物です。なぜあの建物、ああいうふうなところにその金額が払われるのか。計算の基礎がおありだろうと思いますけれども。そしてそれが年々上がっているのじゃありませんか。上がり方をちょっと教えていただきたい。
  101. 高林康一

    ○高林説明員 四十三年では年額の借料が五百八十四万三百五十二円です。それから四十五年では七百十一万二千三百四円。(華山委員「四十二年は」と呼ぶ)四十二年は四百八十六万六千九百六十円、こういうような状況になっております。
  102. 華山親義

    華山委員 四十二年以降家賃の払い方がまるで倍になっている。その計算ではそうなりませんか。そういうふうな家賃の払い方というものは、私は少しでたらめじゃないかと思う。そしてこのいわゆる協会なるものが鉄道に対して支払うところの地代というものは幾らになっておりますか。
  103. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄がいただいておりますのは、四十五年度分が百八十五万二千円余り、それから四十六年度分が二百十四万円、こういうふうになっております。
  104. 華山親義

    華山委員 客観的に見ましてあの建物の粗末なことは事実ですから、修繕も多少は要るかと思いますけれども、協会が、その地代は当然要るでしょうけれども、年間その差額の七百万円近くの利益があるということは、私はおかしいと思うのです。  それで、いまここで私お願いいたしますけれども、この四団体の決算をひとつ出していただきたい。最近の決算書をお出し願いたいと思う。よろしゅうございますか。委員長ひとつおとりはからいを……。
  105. 福田繁芳

    福田委員長 ちょうどいま運輸省の政務次官から、先ほど来のあなたたち質疑応答を聞きながら発言を求めておりまするから、まず政務次官に発言を許します。
  106. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 私不勉強にして、いまの問題よく事実関係承知していないので、まことに申しわけございませんが、先ほど来の答弁を承って、何か歯切れの悪いという印象を実は受けました。先生御指摘されることが真実とするならば、運輸行政担当者として当然えりを正すべき点は正さなければならないものと考えております。したがって、いま御希望ございました四団体の報告はもちろん、賃貸関係、所有権等も含めて、実際はどうなっているのか明らかにいたしまして、本委員会もしくは先生のほうに資料を作成してお届けする考えでございます。
  107. 華山親義

    華山委員 それで伺いたいのですが、この協会の代表者の名前で契約を結んでいるということでございますが、代表者というと一体だれです。
  108. 高林康一

    ○高林説明員 お答え申し上げます。契約の当事者は、東京の陸運局長と社団法人東京自動車協会会長田中榮一さんでございます。
  109. 華山親義

    華山委員 田中榮一さんというのは代議士の榮さんですか。何か私、間違えておるかもしれませんが、どうなんですか。御存じありませんか。
  110. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 国会議員の田中榮一さんであります。
  111. 華山親義

    華山委員 それだったならば、この関係はよほど神経質に考えていただきませんと、私は問題があると思う。たまたまこの前の選挙でも問題があったでしょう、外郭団体と運輸関係の間でね。そういうふうなこともありますから。私はこれをただ電車の窓からながめて、ふしぎなことがあるものだなと思ったことから端を発してここまで来たのですから、私はここだけじゃないと思うのですよ。私が見たのはあそこだけだけれども、もっと何かいろいろなことがあるんじゃないか、こういう気持ちもするわけですよ。そういう点もあるので、ひとつそういう点はよく厳密に調べていただきたい。大体、あそこは間もなく移られるそうでありますけれども、あそこはあき地になることになりますが、鉄道のほうに伺いますが、あそこの土地を、それだからといってあのような団体に使わしていくことは私はもったいないと思う。あそこはとにかくりっぱないい土地です、でこぼこは多いけれども。つくろうと思えば相当にりっぱに利用のできる土地なんです。監査報告の中にも、そういうものについては有効な使用をしろということを勧告しているわけです。あそこから東京陸運局が抜けますと、先ほど言ったとおり、あの建物の四分の三はがらあきになる。そういう状態でほうっておきますと、またどういうものに貸さないとも限らない。そういうことでございますから、国鉄の土地の利用の関係からも、十分にひとつこの問題については気をつけていただきたい。このことを申し上げたいと思います。  なお、いろいろ聞きたいこともたくさんありますけれども、時間もなんですし……。それから、委員長にお願いいたしますが、この問題につきましては、私、なお鉄道運輸省協力も得て調べてみたいと思っておりますから、ひとつ御了承ただきたい。その上でなお質問することがあったらお願いいたします。
  112. 福田繁芳

    福田委員長 華山君に申し上げますが、あなたの先ほどの御質問に対し、運輸当局、政務次官が大臣にかわっていろいろ答弁申されまして、もろもろのことを調査した上で、当委員会に資料を提出すると、かように申しておりますので、勢いさよう了承願います。その上でまた、場合によったら理事会で御協議申しとうございます。  政務次官も、先ほどのあなたの御答弁どおり、時節がらよく当委員会への責任において御提出を確約してもらいたい、これだけ申しておきます。  坂井弘一君。
  113. 坂井弘一

    ○坂井委員 二点ございます。一つ国鉄の未利用地の売却の問題、それからいま一点は、バス、タクシーそれからトラック等の運賃値上げに関係した問題。  最初に、国鉄の遊休地、未利用地ですか、この売却の関係がございます。この計画のあらましについてまずひとつ御説明いただきたいと思います。
  114. 長浜正雄

    ○長浜説明員 お答え申し上げます。昨年度は用地の売却、国会予算でお認めいただきましたように約四十億の不用用地の売却をいたしました。本年度は、国会予算に六十億を計上してございまして、現在六十億の用地売却をするように努力中でございまして、大体六十億まで達成したい。またできる見通しでございます。
  115. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、全体の売却の予定と、現在までどれくらい売却できたのか、さらに現在までの経緯にかんがみて、将来の売却の見通し等についてもう少し詳しくお願いいたしたい。
  116. 長浜正雄

    ○長浜説明員 本年度、いままでに売却いたしましたのは約三十四億、ばかりでございまして、あと二十数億の売却をいたしまして六十億を達成したい、こういうことでございます。  それから来年度以降につきましては、まだ予算確定いたしませんが、来年度以降もその程度のものは売却していきたい。ただ、売却するといたしましても、この中にはたとえば廃線敷だとか、あるいはせんだって来お話のあります撤去いたしました後の線路敷の売却、あるいは不用になりました地方の防雪林のようなものの売却、そういうものも全部含めております。またその他、東京付近で国鉄財政再建に寄与するために、不用と将来考えられる土地の売却も、これは御承知ようにせんだって公開入札をいたしまして、この中には相当数含んでございます。そういうことで、現在三十四億ばかり相手との契約が終わっておる、こういうことでございます。
  117. 坂井弘一

    ○坂井委員 なお、もう少し詳しくお願いしたいと思うのですが、要するに、いま国鉄線路敷も含めて全国で五千万平方メートルの用地を持っておる、その中で千二百万平方メートルが遊んでいるのではないか。遊んでいるということばが適当かどうか、いわゆる未利用地、そしてそのうちの三分の二、すなわち八百八十万平方メートル、これだけは売却したいという計画で、いまおっしゃったような昨年は四十億、本年度はすでに三十四億の売却を終わった、こういうことでしょうか。
  118. 長浜正雄

    ○長浜説明員 先生お話しの、その全体の数字の中でこれだけ売却し終わり、今後そのうちの一部といいますか、話のついたものから売却していきたい、こういうことでございます。  なお未利用地といいましても、不用地と簡単に言い切れない問題がございまして、将来の計画その他を十分勘案しながら、全くだいじょうぶだという確信をもって売っていきたい。最近のように新たに事業といいますか、線路をふやすとかあるいは駅舎の改築といった場合に、なかなか用地の買収ができませんので、できるだけそういうときの計画に支障のないように、そういうことを十分勘案しながら、絶対だいじょうぶであるというような用地をできるだけ売却するように努力していきたい、こういうよう考えておる次第でございます。
  119. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、やっぱり八百八十万平方メートルは大体売却の予定ということだと思いますが、八百八十万平方メートルの売却をいたしますと、大体どれくらいの収入があるのか、見込んでおるのか。おそらく見込みは立っておるだろうと思うんですけれども、御答弁できればひとつお願いいたしたい。
  120. 長浜正雄

    ○長浜説明員 八百八十万平米でございまして、大部分が地方の廃線敷とかそういうところでございまして、まだ積算全部しておりませんし、また都内とかそういう都市内につきましても、なかなか土地の価格の変動もございまして、概略のところもまだつけておりませんが、ちょっと金額でいままだ積算までしておりませんので、お許しいただきたいと思います。
  121. 坂井弘一

    ○坂井委員 一説では約百億くらいじゃなかろうかなんていわれておるようですけれども、いずれにしましても、この国鉄のいわゆる未利用地に該当するようなそういう土地の払い下げ売却ということは、これはあながち悪いことではないと思います。同時にまた、この売却の方法が一般公開競争入札による、これが原則だろうと思うのですが、ことに地方公共団体等で廃線敷を何とか活用したいというような、そういう要望が非常に強いようなんですね。相も変わらず廃線敷がそのままに放置されておることが適当かどうかわかりませんが、そういうものを目の前にいたしまして、地方公共団体はそれらを活用したいという意向が非常に強い。したがって、再三にわたって国鉄に対する強い要望があちこちからあるというような実情のように私承知しておりますけれども、特にそうしたような公共用地にという地方公共団体等の希望には前向きに応じていく、売却を促進していくというよう考え方なのかどうなのか。もちろんその間には、またそうは言っても安くは売れない、これは当然でしょうけれども、少なくともそのような未利用地といいますか、あるいは遊休化しておるような土地については、これはやはり活用していくということは非常に意義があるのではないか、こう思われるわけでございますけれども、特にいま言いましたそうした地方公共団体等に対する分については積極的に進めるのかどうなのか。どうもやるようでやらぬようで、かなり迷いがあるようなんですが、その辺の考え方をこの際ひとつ明確にしていただきたい。
  122. 長浜正雄

    ○長浜説明員 基本的には、さいぜん申し上げましたように、土地というのはなかなか再取得が困難でございまして、国鉄の貴重な財産でございますので、慎重なる態度で処分といいますか売却をしていきたいと思います。ただ、相手が地方公共団体で、しかもわれわれのほうも廃線敷等で将来も使う見込みがない、新しい線路がかわりにもうできてしまったというような場合は、なるべく地方公共団体に買っていただきたい、そうして地方の公共の用に供していただきたい、こう思います。ただ価格につきましては、先生御指摘のように、われわれその廃線敷を生み出すために新しい土地を普通の価格で購入しておりまして、それによって廃線敷が生まれたというような例がございますので、われわれとしては、やはり貴重な財産を売却するにつきましては、できるだけ高い価格でお売りしたい、こういうこともまた国鉄財政上からもわれわれ考えなければならぬということで、地方公共団体ともいまいろいろ折衝しております場所が相当ございますけれども、できるだけ早く売りたいという気持ちがございますが、また同時になるだけ適正な価格で売却したい、そういうことで事務を進めていきたい、こういうよう考えております。
  123. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまの御答弁了承いたしますが、ただ、この際、私あえて申し上げておきたいと思いますことは、こうした、従来ともすれば国有地ないし公有地の払い下げに関してきわめて不明朗な事例が間々ございました。したがって、そのようなことの断じてないように、慎重かつ適正な払い下げをやっていただきたいということを私要望として申し上げておきたいと思います。  次に、最近タクシーの値上げの申請が出されております。どうやらトラックのほうはいよいよ値上げに踏み切ったというようなことが言われているわけでございますが、おそらく続いてタクシーあるいはバスの値上げがなされるのではないか、こうした問題が非常に大きく最近言われているわけでございまして、そうした問題に関連してお尋ねしていきたいと思うのですが、まず四十四年の十一月の二十一日、さかのぼりますが、交通関係閣僚協議会、物価対策閣僚協議会、この二つの協議会決定事項に基づいてお尋ねをいたします。  この協議会での決定事項、これがはたしてどれだけ実効があがったかという点でございますが、サービスの改善あるいは労働条件の改善等がこの協議会において決定され、確認されたわけでございますけれども、なかなか実際にはその効果があがっていないのではないか、すなわち改善がなされていないのではないか。そういう形のままで今回また値上げ申請が出される、それらに対してはかなり批判が集中しておるところでございます。したがって、前回の四十四年十一月のこの協議会における決定事項が一体どれだけなされてきたのか、具体的にどれくらいなされたかということをひとつ説明していただきたい。
  124. 野村一彦

    ○野村説明員 お答えいたします。四十四年十一月の物価関係閣僚協議会及び交通関係閣僚協議会で御決定になりました事項の実施状況でございますが、まず、体質改善対策の中の労働条件の改善でございますが、これは労働関係当局の非常な御指導、御協力を得まして、また、私どもも運輸事業を監督している立場からできるだけこれの実現に努力をするということでやってまいりまして、その中の一つでございますが、労働時間等の厳守等につきまして、労働法規に適合した労働時間の厳守ということにつきましては、私は相当効果があがっておると思います。もちろん数多くの業者の中には、まだこの点の順守について遺憾のものもございますが、大部分の事業主は、労働時間をいわゆる二・九通達の線を守って実施するという体制ができておると思っております。  もう一つは、給与体系の改善でございますが、いわゆる累進的な歩合給というものをやめまして、少なくとも歩合部分は三割以内にするという指導でございますが、この点につきましても、相当の事業はこの線に沿った改善がなされております。もちろんまだこの点について遺憾な事業主もございます。  それから、日雇い運転手の雇用禁止につきましては、これは後ほど近代化センターのときに申し上げたいと思います。  それから次に、一番大きな柱といたしまして、乗車拒否等の不当なあるいは違法な現象をなくしますために、タクシー近代化センターをつくって登録業務と適正な業務の指導をやるということにつきまして、近代化センターそのものは、登録は昨年の八月、適正な業務は昨年の十一月に一応発足いたしました。登録業務につきましては、ほとんど登録を完了をいたしまして、その後不良運転者についての登録の取り消しという処分も行ないまして、おおむね適正に処理をされております。適正化業務につきましては、まことに残念でございますけれども、まず適正化業務を実施するための基本になりますところの事業主の負担金というものの決定が非常に長引きまして、四十五年度におきまして、やっとその年度の終わり近くになって決定をしたという非常に申しわけないかっこうになったわけでございます。また四十六年度につきましても、まだ負担金の額が決定をしておらない。したがいまして、それに基づきますところの、それと表裏一体をなすところの事業計画そのものも確立されておらなくて、暫定的な予算をもって暫定的な事業計画をもってやっておるということでございまして、この点私どもが遺憾に存ずるところでございます。この点につきましては、最近と申しますか夏に、いわゆる近代化センターへの非協力という態度を事業界が打ち出しましたので、私どもこれと接触を密にいたしまして、法人及び個人を含めてそういう態度がございましたので、これにきびしく反省を求めました結果、昨今に至りまして、その近代化センターの役員の欠席と申しますか、引き揚げと申しますか、そういう態度を改めて近代化センターに復帰をした、そしてやっと負担金の額についての相談が始まったという情勢でございますので、これはすみやかに軌道に乗せたい、かよう考えております。
  125. 坂井弘一

    ○坂井委員 決定に基づいてかなり改善されたという、しかし部分的な問題もというような御答弁でございますが、私はやはり一口に申しまして、あながち改善への効果というものはあがってないんではないかといわざるを得ないような問題が幾つかあるわけですね。  一、二聞いていきたいと思いますが、ちょっと前後いたします。たとえばバスの問題ですね。大都市またその近郊の団地等に通じております路線バス、これは運輸協定がございますが、これについてお尋ねしたいと思うのですが、いわゆる運輸協定というものは陸運局長あるいは運輸大臣認可事項になっております。ところで、この認可を全然受けないで運輸協定をやっておる、要するにやみ取引ですね、そういうふうな事実がありましたらば、さらにその内容について伺っておきたいと思います。
  126. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま先生の御指摘のような無認可の運輸協定につきましては、実は昨年度の調査時期におきまして十一件の無認可協定があったわけでございます。その後、地方の所管の陸運局長におきましてこれを指導をいたしました結果、十一件のうち四件につきましては無認可の協定を破棄するという措置をいたしました。それから残りの七件につきましては、七件のうち一件につきましては、内容が不適切であるので、これを取り下げるよう指導をいたしまして、近日中にその処置がなされるものと考えております。その他の残りにつきましては、認可申請書を提出するよう現在指導中でございます。そういう状況でございます。
  127. 坂井弘一

    ○坂井委員 要するに、そういう事例があるわけですね。認可申請を出さないで協定を結んだですね。それらが十一件、四件は破棄で七件は取り下げという指導をしたということですね。さらに、提出するように指導中のものが一件ある。あるいは認可申請の内容が不適切のために取り下げるようにすでに指導中のものが十二件あるようですね。これは間違っておったら指摘してください。協定の破棄書を提出したものがそれまでにすでに二件あった、こういうような事実があるようでございますが、これはきわめて遺憾なことだと思います。この路線バス会社が会社の利益というものを優先させまして地域住民への利便というものをあと回しにした、こういういわゆる所定の手続を踏まないで、かってに業者間において協定を締結をするというようなものが、今日なお、この改善がさきの閣僚協議会においてこういうことが条件に付せられながら、いまなおそういう協定が行なわれておる。これは全く業者の一方的なやり方でありまして、こういうことはもう厳に指導監督を強化してもらわなければ困ると思うわけです。これはその辺にしておきましょう。  そこで、先ほど労働条件がかなり改善された、こういうことでありました。しかし、はたして労働条件あるいは労働時間の短縮というものがなされたかといいますと、あながちそうは言い切れないのじゃないかという点を指摘せざるを得ないわけであります。労働省の監督実施の結果につきまして、四十四年度から四十六年度の春までタクシー及びハイヤー事業場に対する状況をひとつお尋ねしたいわけですが、どういうように改善されてきたか。労働条件の改善です。その点について具体的に数字でもってひとつ明確に答弁願いたい。
  128. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。先ほど運輸省のほうからお話ありましたように、全体といたしましては、前の閣僚協議会決定された諸事項につきましてはいろいろな形で改善はなされておりますが、個々のいろいろな事業を監督した場合におきましては、まだまだいろいろな問題点があるということは御指摘のとおりだと思います。四十五年の春秋での一斉監督に際しましては、監督実施事業場四千六百四十六でございますが、それに対しまして違反の事業場は三千七百二十一、違反率は八〇・一%、こういうふうな形になっております。さらに主要事項別に申し上げますと、労働時間関係で五三・五%、休日関係一九%、割増し賃金で二七%といったような実態でございます。それからことしの春の一斉監督におきましては、千六百五十九の事業場を監督いたしまして、その結果、違反率は八二・六%、内訳で、先ほどと同じように労働時間関係では五四・四%、休日関係は二一・二%、それから割増し賃金は二七・四%、こういうふうな形でございまして、この監督にあたりましては、その事業場の選定等、特にいろいろ問題のあるところをやってございますので、かなりこういった数字が出ておるということでございますが、先ほどのように、たとえば累進歩合制といったようなことを考えますと、これはかなり改善されまして、累進歩合をやっておるところは、まず協議会決定になられたような形についての問題は、かなりなくなってきておるのではないか、かよう考えておるような次第でございます。
  129. 坂井弘一

    ○坂井委員 累進歩合制については改善されておるということですけれども、いま数字をあげられた範囲内では、少なくとも違反率も上がっておるわけですね。もちろん問題のある事業場について特に監督実施をしたということでありますので数字的に上がっておるのだという御説明ですけれども、しかしそれにしても、昨年四十五年の春には違反率が八〇・一%で、そうして四十六年、ことしの春行なったときには八二・六%である、二・五%ほど違反率はふえておる。労働条件、労働時間の問題にいたしましても、昨年の春には五三・五%であります。今回は五四・四%で、やはり一%ふえておる。ということになってまいりますと、この改善をやった、かなり改善がなされたというにしては、この数字の示すところは、むしろ逆の結果が出ておる。これはやっぱり重視しなければいけないと思うのですね。ですから、そうした労働時間の短縮等については、効果があがったと、先ほどの御答弁ではそうでございましたけれども、そうなると、いまのような数字をあげて、そうじゃないと反論せざるを得ないわけでありまして、そういう点につきましても、やはりもっと監督指導を適切にやって、事業場内におけるそうした労働条件、労働時間等の問題、これはもっともっと積極的に前向きに取り組んでいかなければならぬということを私指摘しておきます。  次にタクシーでございますけれども、行管がことしの一月に運輸省に対しまして勧告を出されたようでございます。ところが、その後再び行管がこの秋に、運輸省に対しまして、免許事務の運営あるいは計画配車、それから先ほどもございましたタクシーの近代化センター、それらの運営状況、こういうことを中心にして行政監察を実施するというようなことが報道されているようでございますけれども、今回の実施の目的ですね。再びやられるということだろうと思うのですけれども、そういたしますと、あまり効果があがってないので、さらにいまのような内容の監察を行なうんだということであろうと思うのですけれども、一体どういうことで行なわれるのか、また実際いつごろやられるのか、具体的なことについてひとつお尋ねいたしたいと思います。
  130. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの坂井君の質問に対して、行政管理庁の行政監察局長が参っておりますので、答弁させます。
  131. 浅古迪

    ○浅古説明員 お答えいたします。私ども今回タクシーの免許、それから計画配車その他につきまして、来月からもう一回監察いたしたいと思っておるわけでございますが、これは運輸省の措置が悪いとか回答がよろしくないとかいうことではございません。運輸省はいろいろ出先を指導しておられるようでございますが、この指導が一片の通達に終わってしまわないように、もう一回私どもでその通達がどのくらい実行されておりますか、現地で確認していきたい、それによりまして勧告の実現をはかっていきたい、こういう趣旨のものでございます。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 行管の御答弁でございましたが、内容的にはかなり問題があると思われます。したがって、行管としては相当な決意で真剣に監督、監察を行なうということであろうと思われますけれども、少なくとも私は、前回の値上げの際に、もろもろの条件を合理化し、改善をするんだという約束のもとに値上げがなされた。しかるに、いま一つ二つ指摘いたしておりますように、内容的には、部分的に、改善どころかなおうしろ向きのような部分も間々見受けられるようであります。したがってそういう部分については、この際ひとつ焦点を当てて、行管として積極的に取り組む姿勢がなければ、国民としては、はなはだ不信の念を強くし、こうした値上げ問題に対しては、なお批判の声が高まるんではないか。事実そのよう事例もありますことですから、十分ひとつそういう点に意を用いた監察を行なっていただきたいと要望いたすわけであります。  さらにいまのタクシーでございますけれども、閣議決定のいま言いましたような公約といいますか、それらが一向にさしたる改善がなされないままに今日値上げが相次いで申請されておる。そこでタクシー近代化センター、もう先ほど出ましたが、これに対しては国庫が五千万の補助を出しておる。実際にこの近代化センターがその趣旨に沿い、目的に沿って効果をあげ得たかどうか。一体具体的にどういう仕事をしたのか。実際にこれは効果があるのか。それから今後もこの国庫補助を、東京と大阪でございますが、二千万、三千万、これをおやりになるのか。その辺のところをひとつ伺っておきたいと思います。
  133. 野村一彦

    ○野村説明員 先ほど申し上げましたように、近代化センターの業務は二つございます。一つは登録業務、他の一つは適正化業務でございます。登録業務につきましては、東京、大阪とも円滑に進められまして、四十五年度末で約九万六千名の運転者が登録を行なっております。適正化業務といたしましては、街頭指導及び空車の誘導、そういう業務をやっておるわけでございますが、東京の例で申しますと、従来東京乗用旅客自動車協会の指導委員会というのがありましたが、これを吸収いたしまして、指導員及び指導車、それからいわゆるポーターといわれております案内人、こういうものを近代化センターに引き継いで、指導員、東京、大阪合わせまして五十六名、指導車二十一両、案内人百五名、こういうもので街頭指導を行なわせております。  なお運転者の研修といたしましては、四十五年度に東京、大阪合わせて約四千九百名の者が運転者の安全研修の受講をいたしております。  それから苦情処理につきましても、モニターというものを設けたりいたしまして、いま苦情処理の業務を行なっております。  それからタクシーの乗車禁止の地区につきましては、警察と御相談いたしまして、東京につきましては、銀座の十一カ所に乗車禁止地区を設けるということでございます。  なお運転者のための福利厚生施設につきましては、小委員会をつくって目下案を練っておるという状況で、これはまだ具体的に措置されておりません。  それから地理の試験につきましては、四十五年度中におよそ八千九百名が受験をいたしまして、八千七百名が合格をしております。  それから今後の国としての助成でございますが、私どもの考えといたしましては、四十五年度は、ただいま先生おっしゃいました東京、大阪合わせて五千万円の予算をつけていただきましたが、四十六年度におきましては、いわゆる普通の補助金というかっこうでなくて、制度金融といたしまして二億五千万ほどの予算を興銀あるいは長銀から借りるというシステムで折衝したわけでございますが、これはいま申し上げましたように、近代化センターの機能が十分な働きをしていない等の理由が主たる理由かと思いますが、残念ながらこれは認められませんでしたが、四十七年度におきましても同様の要求をいたしております。今後これの獲得に努力したいと思いますが、まず近代化センターがとにかく発足して十分所期の効果をあげるということが私は前提であろうと思いますが、国からの助成という面につきましても、引き続き努力はいたしたいと思っております。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 タクシーの近代化センターの内容につきましては、私はもう少し詰めたいと思ったのですが、きょうはあえてあまり深い内容には触れませんが、しかし実際の効果、仕事の内容等々については、いろいろと巷間言われる、いうならば風評といいますか、そういうものもあるようであります。やはり適正な運営を行なって、そして当初の目的を達成するように、これまた監督もあるいは指導も厳格でなければならないという点については、あえて一言申し上げておきたいと思います。  そういうことで、政務次官、ここで方向としてお考え方を聞いておきたいと思うのですが、要するに、おそらくやハイヤー、タクシー、それからバス運賃——トラックはいよいよやるということですが、だんだん矢つぎばやに大幅な値上げがもう必至であろう、業界ではもうあらあらそういうことは予測いたしまして、実際、運賃値上げということで、あらかじめ業務の内容等、内部においてはすでにもう検討に入っておるというようなこともいわれるわけですが、いま一番慎重でなければならないのは、言うまでもなくやはり公共料金の問題、これはどうしても値上げを阻止しなければならない、そういうことが、ことにいまの時点で考えた場合に、一番大事なことではないか。いわゆるニクソンのドル防衛、それに関する国内経済、これがいろいろ問題を提起いたしまして、相当不安な状態にある。おそらく景気も後退するであろう。そういう中において、一方では公共投資あるいは財政投融資等によって、何とか景気の浮揚をはからなければならない。これが大方の意見であります。また、政治もそういう方向にある。しかるに、それとまるで逆行する形でこういう公共料金の値上げを許すということになりますと、まさしくスタグフレーション、不況下のインフレということを招くことは必至である。国民生活はますます圧迫される。そういうことを憂慮するのあまり、こうした一連の輸送機関料金の値上げに対しては、非常に強い不満、そしてこれに反発し、これを阻止しようという国民的な大きな声がいまや盛り上がりつつある。また、それに対する不満が、前回のあれだけの値上げに対して、いまの合理化、近代化あるいはサービスの改善、あるいは企業内の体質の改善、労働者に対する労働条件の改善等を含めたもろもろのことを公約の形で閣議で決定しておきながら、それらが相も変わらず同じよう状態のまま今日に来ておる、そういう中で再び値上げとは何事か、これは率直なやはり国民の感情であります。したがって私は、いま言ったような立場から、こうした一連の公共料金の値上げは断じて許してはならぬ。少なくともいまの時点においては、このことについては非常に大きな関心を持ち、いまの時点においては少なくとも値上げしてはいけない。こういう考え方に私は立つわけでありますけれども、いまの政府部内においても、いろいろ取りざた、うわさに聞くところによると、もはや値上げは必至であろうというような大勢に傾きつつある、こう聞くわけでありますけれども、政務次官としてのお考えをひとつ伺っておきたいと思います。
  135. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 公共料金が国民生活の上に与える影響、それは御指摘のとおりだろうと思います。したがって理想論から言うと、値上げしないのが最も適切であろうと私も考えます。しかしながら、社会環境の急激な変化によって、現状のままではたしていいか悪いかという問題もございます。  先ほど来いろいろ議論になっているタクシーについて、私どもの考え方を明らかにしたいと思いますが、御承知のとおり、特に大都市のタクシー事業は、需要がきわめて多いにもかかわらず経営はますます困難になっております。したがって廃車、減車、休車相次いで、円滑な輸送を確保することができないという現状でございます。一方、人件費の問題あるいは道路事情の問題、こういう問題も、少なからずそれに影響しているものと考えております。最近まで比較的問題の少なかった個人タクシーにおいても、最近はかろうじて乗務時間の延長等によって何とか生活を維持している、かよう状態だろうと存じます。しかしながら反面、利用者の立場からいうと、きわめてサービスが悪い、体質はいささかも改善されていない、かような指摘を間々受けております。適正な運賃の値上げ等を希望しておるようでございますが、値上げと、いま申し上げたような経営者あるいは運転手のモラル、利用者に対するサービス改善、これとはおのずから別問題だと私は考えます。  タクシー運賃の値上げについては、当該陸運局長の権限でできることになっておりますが、一般国民に与える公共料金としての度合いが非常に高い、かよう考え方から、当運輸省としても、運輸省だけの判断で結論を出すことなく、他の関係役所ともいろいろ協議して、最終的には経済閣僚会議にはかった上で運賃の適正化をはかりたい、かよう考えております。   〔委員長退席、華山委員長代理着席〕  御指摘のように、業界からすでに運賃値上げの申請は来ておりますが、先ほど来申し上げるように、事故防止、経営者並びに運転手のモラルの向上あるいは計画配車、無線車のより有効な利用、こういう、つまり利用者の立場に立ったサービスの改善、この実効があがった時点において料金の適正化を判断してきめたい、かよう運輸省考え方でございます。この機会に御理解をいただきたいと思います。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 運賃の適正化ということで政務次官おっしゃったのですが、端的にお尋ねしますけれども、いま直ちに値上げに応じようというようなことはないということですか。やはりいまおっしゃったような、しばらく事態の推移を見ながら、改善し、サービスの向上がはかられ、企業体質等にも進歩が見られる、そういう時点を待って適正化と、こういう意味ですか。
  137. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 大体おっしゃるとおりです。サービスの改善並びに経営者、運転手のモラルの向上、つまり利用者の立場に立った体質改善の実効があがった時点で運賃の適正化を結論を出したい、かよう考えております。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、私は最後に要望として申し上げて終わりたいと思いますが、サービスの向上あるいは体質の改善その他、もろもろの事項等について十分効果が見られた、そういう時点までは運賃の値上げはいたさないという、そういう政務次官の答弁であろうと思います。したがって、そういう方向に対しては積極的な努力をしていただきたい。  同時に申し上げたいことは、けさほども問題になりましたが、総合交通体系ということばがしばしば口にされておりますが、公共輸送機関としてのタクシーあるいはハイヤー、バス、地下鉄等々の果たす役割りというものは非常に大きいと思います。しかしながら、それらが円滑な運行ができないよう道路ないし運輸行政のあり方、その辺にももっと根本的なメスを入れなければいけないのじゃないか。これは非常に大きな総合的な問題になろうかと思いますけれども、少なくとも総合交通体系なるもの、これが具体化されなければ、ことばだけあって実がないということでは、いつまでたっても、このよう道路事情が悪い、社会状況の急激な変化等々を理由にして、常に運賃の改定、値上げなるものが繰り返されるという悪循環は根を断たないと思うのですね。したがって、そういうような面にも十分メスを入れ、問題点を洗い出して、交通機関のあるべき姿というものがおのおの相互に関連した形の中で最も効果的な輸送状態が確立されるように、そういう方向でやはり根本的に考え直さなければいけない。そういたしますと、あながちいま言いますところの公共輸送機関の値上げをしなくとも正常な運行ができ、それによってサービスの改善がはかられ、また企業内の体質も強化され、労働条件等もうんと改善されていくというようなことはできるのではないか。もっともっと前向きな姿勢で——事態がいまこうだから、これに対処するには値上げしかないんだという考え方ではなくて、もっともっと、いま言ったような積極的な面でひとつせいぜい取り組んでいただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  139. 華山親義

    華山委員長代理 吉田君。
  140. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 船員と家族の福祉厚生の問題ですが、大臣に先ほど、柱になる点だけ若干伺っておいたのでございますが、少し具体的に伺っておきたい、こう思うのです。  元来、いまの日本経済の進むべき道は、とりわけ貨物輸送の面におきまして、船にたよる面がきわめて大きなウエートを占めておることは申すまでもございません。内航海運も輸送量は、総輸送の四割三分くらいは船だと思いますが、これとても不況に見舞われるような段階が想像されます。こういう際でありまするので、船員の優遇、家族を大切にする福祉厚生の面に特段と力を入れるということは、これは裏を返せば日本の海運行政の大きな一面であります。こういう観点に立ちまして、こういう点を伺ってみたいのであります。  港湾法の二条五項十号によりますと、「港湾厚生施設 船舶乗組員及び港湾労務者の休泊所及び診療所」、こういうものが港湾厚生施設と定義されておるのであります。そこで、船舶乗り組み員、特に外航航路に乗り組んでおりまする者は、少ない人は一年に二度しか家族と面接ができない。六カ月は荒れ狂う海上で暮らさねばならぬ。こういうのでありまするので、港に入りますと、家族と団らんということがほんとうに大きな楽しみになることは言うまでもありません。ところが、例を申し上げますると、工業港として重要港になっておるはずでありまするが、茨城県の鹿島であるとか大分県の鶴崎、岡山県の水島、やがてできまする兵庫県の加古川の港、こういったようなところに将来港湾法によるところのこういう施設ができる、そして家族はそこに喜んで行って主人と会う、こういうものが非常に大事な問題ではないかと思うのでありますが、こういう点についての施策のお考え方を伺っておきたい。これに関連しまして質問を展開していきたい、こう思うのですが、お考え方はどうでしょう。この点は運輸省といたしまして積極的に考えてもらいたい。ことに船員局の立場は、非常に具体的な現場を受け持つのでありますから、特段と重大な考慮が必要であると思うのですが、お考え方、現在何をどうしようかというようなことがあれば、それも伺っておきたいと思います。
  141. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 先ほど運輸大臣から答弁されたとおりでございますが、船員に対する社会保障的なものは、極力これを早急に確立しなければならない、かよう考え方から、現在関係議会において審議をいただいている最中でございます。その出た結論に基づいて万遺憾のないよう対策を立てる考え方でございます。また、現在、具体的にはどの個所でどういうものが船員の福利施設としてあるいはその他の面で運用されているか、こういう具体的な問題については担当者からお答えさせていただきます。
  142. 増岡広行

    ○増岡説明員 ただいま政務次官からお答え申し上げたようなことでございますが、いま先生のおっしゃいました新しい工業港の厚生施設をどうするかということにつきましては、特に現在のところその施策を進めているということは実はございませんが、全般の問題といたしまして、新しい港ができたり、あるいは港が発展していって従来の厚生施設では足らない、そういうようなところにつきましては、いろいろな方法によりまして逐次整備をしているわけでございます。いま政務次官も言われましたように、単に厚生施設だけの問題ではなくて、職業訓練の問題あるいは船員の確保の方策全般の一部といたしまして、厚生施設等の整備についても関係者の御審議をいただいているわけでございますので、その結果によりましていろいろ対策を考えたいと思っております。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 船員の実態というものは、これはなかなか陸上の人には広く行き渡らなくて、船員生活の実情、船員と家族との関係がよくわからぬのです。その点につきましても、国会には専門家がたくさんおられ、もしくは行政府のほうにもおられますけれども、国民全体としましてはそういう方面の知識は乏しい。これが一番大きな背景となる欠陥ではないかとさえ思うのであります。でありますので、そういうつもりでやはり相当綿密にこまかいデータを打ち出して、広く、強く社会にこれを打ち出していくというぐらいなかまえでないと、これはなかなか容易に実現しません。そうしてまた条件はだんだん悪くなりこそすれよくならない。御承知と思いますけれども、従来港に入って一週間も滞在したのが、このごろ長くて二、三日ということになりました。コンテナ輸送その他のあらゆる機械が大型化しまして、機械が主か人間が主かわからなくなってしまった。これが船員生活の現状です。そういうことでありますので、船内における娯楽施設まで今日は叫ばれているのであります。陸上におきましては娯楽機関がすぐそこにあります。昼休みにはピン。ボンでもできますし、また日曜には外に行って大いに伸び伸びと運動できる場も工場は与えております。  そして第二は、シーバースと陸上との交通の問題でありますが、大きなタンカーになりますと十海里くらい沖にシーバースができたりしておるようでありますが、こういうふうなものにいたしましても、小型のさんぱんで往復いたしますときには、とかく危険を感じておるのが実情らしいですね。こういうこともよく訴えられるのでありますが、どうもうまく改善されておらぬというのが現状であります。この点は特に配慮しておいてもらいたいと思うのです。これは全体にたくさんあるわけではありませんけれども、大事な一点だろうと思います。  それから三番目には、港もしくは付近における船員の住宅の用地の確保の問題でありますが、これも住宅を建設したいという場合にもなかなか土地が手に入りませんので、この問題につきましても厚生の対象の一環とすべきでないだろうか。  もう一つは、船員法に基づきます健康検査の問題でありますが、従来は結核などが主になっておったようでありますけれども、成人病だとかいろいろと新しい病気がずいぶん出ておるのが戦後の現象でありますので、その辺につきましても基準をもう少し変える必要があるのではないだろうか。  私は、とりわけ遠洋漁業の漁船に乗り組む長期操業の乗り組み員の問題につきまして、前回も言ったのでありますが、とにかく全く人間疎外的な実情ではないだろうか。したがって、たまたまどこかへ寄港するようなことがありましたならばトラブルが起こる、こういう問題さえあるのであります。こういうことがありますので、船員の人間性保持というようなものが限界に来ておるんじゃないだろうかというくらいの鋭い観察をもって船内の生活をもう少し改善することを考えることはどうだろうか、こういうことを思うのであります。そういうことにつきましても船員並びに家族の福祉対策の一環になるのでありますが、しばしばこういうことを耳にしておられると思いますので、この際一括して私は伺ったのでありますが、これらを総ざらいして再点検をいたしまして、そして政府といたしましても、人間尊重の時代に入っておるのでありますから、船員のこの種の問題、家族の苦しんでいる問題につきましては、特段の配慮で新しい施策を打ち出す必要があるのではないだろうかということを尋ねておきたい。これはいかがでございましょう。
  144. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 昭和四十五年の一月の当決算委員会の議事録を拝見いたしますと、吉田先生から先ほど来言われている同じことをすでにその時点で御指摘をいただいているわけでございます。いろいろ参考になる点も非常に多うございます。  御承知のとおり、船員は大別すると、いわゆる一般商船とそれから二十トン以上に適用されている漁船の乗り組み員、この乗り組み員二つを対象として船員法ができておるわけでございます。とりわけ御指摘のように問題が多いのは、遠洋漁業に従事する船員に対しての家族との連絡、あるいは陸上との、上陸の日数の問題、またもっと掘り下げていくと、労働力としての確保が非常に困難だという問題があろうかと存じます。したがいまして、私の分野ではありませんで、水産庁の担当でございますが、多少知識がありますからお答え申し上げたいと思いますが、水産庁では漁船についてはいわゆるボーナストン数、つまり船員の福利といいますか、船内居住に対する面積のベースの確保、これはいろいろな業種にわたって最近逐次改善されている傾向にあろうかと思います。よりこれを積極的に進め、船員の人間性を尊重して、漁船においては大切な日本のたん白資源の確保、商船においては国家の重要な基幹産業でございますから、乗り組み員の人間性を尊重することの立場に立って、関係の役所とも連絡の上、船員の皆さんの保障を確立させていきたい、かよう考えております。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 元来は労働省所管の課題かもしれませんです。ただ、たまたま運輸省といたしましては海運行政の主管庁でありますし、そして海運とこれに従事する船員、その家族という問題は、主導的に運輸省といたしまして施策の立案なり行政の推進をやっていくべきだと思いますので、あえて実はお尋ねするわけなんですが、他の例といたしまして、いかに労働を尊重するかということをひとつ例をあげまして御参考に供してみたいと思うのです。  私、この間国会の派遣でカナダへ参りましたが、カナダへ参りましたときに、カナダの石炭は日本の鉄鋼業が年間二百万トン買いつつあります。   〔華山委員長代理退席、委員長着席〕 ところで石炭が露天掘りです。ロッキーの中腹で露天掘りでありますが、カナダの青年が労働に従事しまして間もなくやめてしまう。また間もなくやめる。それで手をやいておりました。どうしてもっと労働を安定さすかということで、日本のドイツのルール地方における炭鉱の体験者を四名招聘いたしまして、それを見本にしまして一つの労働安定の条件を研究いたしまして、二千名収容し得る労働の町をつくりまして、そこには娯楽施設あり教育施設ありということにいたしまして、それで日本人の労働力をそこへ受けようという態勢を整えたのであります。これは向こうの所管大臣の話でありますから、うそでないのであります。そこで日本にそれを持っていって説明したところが、そんな天国の話みたいなことはほんとうかいなということで、現実の労働者のほうでは受けないというのですね。というほどに、日本の労働条件は、そういうことと比べますと、見直さなければならない面があるわけです。  ましてや海上労働となりましたら、いま世界的に一週五日、労働時間四十時間というようなことが先進諸国でいわれて、また実行せられつつある際であります。このときに夜昼分かたず、家族とも会えないような海洋労働者、海上労働者のことを思いますならば、私どもはここにももっと積極的に打つべき手があるのではないだろうか、一体そもそも国民が海上の諸般の問題について知識がなさ過ぎるということを私自身も痛感するのです。ほんとうはそうなんです。  そこで一転しまして、船員の奥さん方が全国で何万人か寄りまして、そして全国海友婦人会という一つの組織を持っておるのです。年々繰り返しているのは何かといったら、七月二十日ころですか、海の記念日をつくってくださいというのです。何でするのか、もっと国民に海のことを知ってもらいたいというのが悲願です。年々繰り返しておりますよ。運輸大臣には女性の代表が毎年会うのではないかと思っております。それでも声が細いです。向こうはち巻きで武道館で千人集まるという。そんなはでなデモをやりませんから、粛々として来るのですよ。けれども、その裏の実情を見ましたらほっておけないのです。ですから、そういうものをひっくるめまして、私は、一段とこの際やはり運輸省といたしまして、船員局は担当の局でありますから、そこを督励しまして——運輸省だけの問題にあらずして、もちろん労働省関係ありその他等々多少の関係ありますけれども、これは運輸省の船員に対する福祉厚生の姿勢の問題ともつながりますので、次官、大臣ともほんとうにごゆっくりと御相談になりまして、ひとつ適当な発案をなさいますように、別に私が船のその人にちょうちんを持つという意味じゃありません。日本のほんとうの将来の産業のためにも、労働者のためにも、国民のためにも重大な課題です。あえてカナダのこんな例まであげて失礼ですけれども、そこまで力を入れているというのが世界の情勢ですよ。どうぞそういうことを頼みます。ひとつ決意をはっきりしておいていただきまして、またひとつ大臣とゆっくり御相談して、しかるべき御配慮をお願いいたします。いかがでしょう。
  146. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 御調のとおりだろうと存じます。年に一回海の記念日という制度は設けています。私も海の記念日に出席して感じたことは、これはあるいは先生の意図する点と多少私の答えることが異なるかとは存じますが、ほとんど商船関係であり、しかも経営者が多い。働いている船員、とりわけ二十トン以上の漁業に従事している漁船員というものの参加がほとんどない。これはどうもどこかに大きな欠陥があるんじゃないだろうか。単なる役所の、所管官庁の問題だけじゃなく、もっと緊密な連絡をとって、船員の人間性を認めるような、そういう制度に改革しなければならぬ、こんな感じを深く抱いております。御説のとおり、大臣とも相談して、しかるべき対策を立てなければならない、かよう考えております。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの海の記念日は祝祭日の一つに入れてはいかがでしょうか、こう思いますので、その点ひとつ御配慮願います。いわゆる祝祭日ですね。  それから、これで船員問題を終わりまして、今度最近のドルショックですね。円の切り上げありとするならばという前提に立ちまして、海運業なり造船業の影響のことをちょっと伺っておきたいのでありますが、ことし一月を起点にいたしまして計算しますると、円の切り上げ一〇%ありと仮定した場合に、統計によりますと、外航船の海運業の水揚げの減少するのが、四十六年ないし五十五年十カ年間に総計しますと、五千三百二十七億円にのぼる様子であります。これは長期契約もあるし、定期船もあるし、不定期船もあるわけでございますし、全体といたしまして契約運賃が円建てじゃございませんので、みな外貨建てでありますから、外貨建ては主としてドル建てで、したがって将来債権であります。将来債権でありまするのと、まあ若干ですが、そのうちには荷主との間にそれぞれ損失の補てんにつきまして特約をしておる事情もあるようでありまするから、そのままずばっと数字は当たりますまいけれども、しかし円の切り上げがありとしますると、この受ける被害は相当重大であろう、こう思うのであります。現在はまだそこまでは至っておりませんけれども、最近におきましては単独切り上げはしないというような声明まで出しておるようでありまするが、最終的にはまだ腹はきまっておらぬ実情のようであります。こうなりますとこれは重大な海運業界の課題であろう、こう考えるのであります。これに対しまして見通し、あるいはまた仮定を前提とするのでありますけれども、運輸省の腹をひとつこの際聞いておきたい。もちろんこれは運輸大臣に聞きたかったのでありますけれども、時間の関係がありまするからお伺いいたしまするが、この点はいかがでしょうか。  なお、あわせまして伺っておくのは、同様に造船業の関係であります。造船業は若干円建てを実施しております。事あることを予想いたしまして円建てがあります。しかし外貨建てのほうの債権が多いのでありますので、この造船業におきましても、もし円切り上げということになりまするならば、その受ける損害、これは為替の差損になりますけれども、千七、八百億円をこえるらしいのであります。こういう推定ができておるようであります。こういうことに対しましては各般の対策をもって臨まねばならぬと思うのでありますが、非常に重大な課題であり、ひいてはこれは海運業全体の問題、日本の造船業全体の問題につながっておるのでございます。ドルショックの大きな波紋の一つであろうと思いますけれども、どういうふうな根本思想を持っておられるのであろうか、どういう方向に対策を立てようとしておられるのであろうか。税制の問題もありましょう。融資の問題もありましょう。差損等に対する補てんの問題もありましょう。いろいろそれぞれと論策があるようでありまするけれども、大体いまの姿勢の方向だけでも明らかにしておきたいと思うのですが、これはいかがでありましょう。この二点。
  148. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 御質問の点は二点あろうかと存じます。一つは海運界に及ぼす問題、もう一つは造船界にドルショックによって生ずる損失、この二点だろうと思いますが、基本的な問題を私からお答えさせていただいて、具体的な問題は担当局長からお答えさせるようにいたします。  今般の変動為替相場への移行によるドル価格の低下及び今後に予想される円平価調整は、御指摘のように海運界にきわめて深刻な影響を与えております。すでにお話もあったとおり、契約した分については、四十六年当初における外貨建て長期契約は二兆三千億円にのぼるといわれております。今後また契約される分について見ても、定期船部門あるいは不定期船部門、ともに運賃は国際的には御指摘のとおりドル建てが通常なので、円高による減収は相当なものと考えられます。これに対して海運界としては、長期契約については荷主に対し運賃の見直しを要請するほか、定期船部門についてはサーチャージの徴収など、つまり追加料金ですが、対策をとるようにつとめております。政府といたしましては、現に昭和四十四年より五十年度まで二千八百万トンを建造するという新海運対策を実施中ではございますが、今後の推移を見守りながら、必要に応じて再検討もしなければならないのじゃないか、つまり適切な処置を講じなければならない時点に到達しているのじゃないか、かよう考えを抱いております。  次に造船界でございますが、ドルショクにより造船関係でどのくらいの為替損失を生じたかは、御承知のとおり変動為替相場制のもとでは確定的な数字を掌握することはきわめて困難でございます。外貨の対外債権は総額で約三兆円のうちドル建てが一兆九千億円程度、このように私どもは考えております。したがいまして、これから現在の変動為替相場を継続していくならば、海運界同様に造船界に与える影響もきわめて大きいものと考えます。政府とも相談の上、今日、世界の造船においても海運においても重要な立場を占める日本の海事産業ですから、適切な対策を講じて何とか今回のドルショックを乗り切るよう政府としても指導なり援助をしていかなければならない、かよう考えを抱いております。詳細は事務当局からお答えさせます。
  149. 福田繁芳

    福田委員長 吉田君にちょっと申し上げます。あなたの御質問に対する佐藤運輸政務次官から概略の御答弁ございましたが、幸いにちょうど運輸省の海運と船舶の両局長がいらっしゃいますので、承るのに、両局長が本問題に対して運輸省の中ではややエキスパートと私は聞いておりますので、この両君に発言を許して補足させたいと思いますから、ちょっとお待ちください。  鈴木海運局長、まずお願いします。
  150. 鈴木珊吉

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。補足と申しますか、先ほど先生が御指摘になりました点でございますが、今回のドルショックを受けまする対象が外航運賃収入のうち特に長期の契約を荷主との間に結んでおるいわゆる長期積み荷保証契約によります長期用船というのが相当大きな部分を実は占めておるわけでございます。これに対しましては、先ほど政務次官も述べられましたように、まず海運業界自身が自主的な努力で、つまりビジネスのベースでもって荷主さん、各産業界に対しまして、為替差損、要するに収入減に該当する分につきましては運賃レートのたとえば追加とか、それから円建てあるいは円払いという条件に転換する、そういったことを、現在自主的な努力を荷主さん、各会社にお願いして回っておるようでございます。また定期船につきましては、これは実は基本的には運賃タリフの値上げの改定を行なえばいいのでございますけれども、これもやはり荷主関係からいきまして簡単にまいりません。そこで定期船の現在のタリフに四、五%のいわゆるサーチャージというものを荷主さんからいただこう、そういうことで現在の穴埋めをいたしたいということに自主的な努力を海運界自身がやっておる次第でございます。  なお、政府、運輸当局といたしましては、こういった点につきまして各界の御理解を得たいということで対処したいと思っております。さらに、基本的にはただいまございまするような海運五カ年計画というものの手直しがあるいは必要なんではないかというふうに実は考えておる次第でございます。  なお、こういった運賃に対しまする影響と、もう一つは、今回のドルショックが、たとえば課徴金とか国際通貨不安とか、そういったようなことで全般の景気が下向くということで、貿易の取引、ひいては世界の荷動き量が減るであろうというようなこともまた危惧されるのでありまして、したがいまして、そういった面からの打撃も海運界は受けるのではないかというふうに感じておる次第でございます。  以上でございます。補足申し上げます。
  151. 田坂鋭一

    ○田坂説明員 造船界の差損の問題は、量的には先ほど先生並びに政務次官から申し上げられましたとおりでございますが、造船と海運との差は、造船におきます差損と申しますのは、これは引き渡された船あるいはすでに契約が確定いたしまして、今後この条件で進めていかなければならないという、すべて確定した債権と申しますか、それによって起こってまいります差損でございます。造船界は、終戦後の荒廃から約二十年間の努力によりまして、今日世界の五〇%の船舶を建造しておりますし、またそのうち六〇%は輸出しておる状態でございます。  そこで、わが国の造船界は、わが国の基幹産業でありますとともに、世界の海運界に船舶を安定的に供給していくという責務と、それから基幹産業という面から申しまして、わが国の経済、景気の振興、そういうものに非常な影響がございます。そこで今回の差損につきましては、これが十分に今後の造船界の発展と申しますか、企業の伸展に支障のないような補てん、助成がなされる必要があろうかと考えられる次第でございます。どうか今後とも造船界の発展のために、先生方の御援助も得まして、十分な施策がなされることを私どもも期待しておるわけでございます。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 申すまでもなく、海運が現在、わが国の貿易依存度の高いこの経済の輸送面を非常に大きくささえておるという産業でありますこと、あるいはまた、造船業におきましては、いまお述べになりましたように、世界の総進水の二分の一を日本がやっておるというのみならず、日本の輸出産業の大宗をなすものではないであろうか、最大の輸出産業の一つではないであろうか、こういうふうに思われますので、こういう観点からいたしまして、その対策たるや、一業界の問題といいますよりも、日本の国民経済的観点に立ちまして対策を立てねばいかぬ、次元をそこに置かねばいかぬ、そう思います。その辺につきましても、これは内閣全体の責任として対処していくべきだと考えますので、その辺よろしく推進されるように御要望申し上げておきたいと思います。
  153. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの質問に対して佐藤政務次官、御決意のほどひとつ御披瀝願いたい。
  154. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 お答えいたします。先生御指摘のとおり、戦後の混迷した時代から今日の躍進を見た海事産業でございます。また国民にとっても国家にとっても、重要な日本の基幹産業なだけに、今後の推移を十分見守って、単なる運輸省の行政指導あるいは管理、監督という立場だけでなく、内閣全体の問題であろう、かよう考えます。しかるべき適切な対策を講じて、万遺憾のないよう配慮していきたい、かよう考えております。
  155. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄総裁に伺います。  日本国鉄が、あるいは批判すらく、老大産業か、ないしは一つの斜陽なのかというような悪口もあるようでございますけれども、私どもの認識は、国鉄の未来性というものになお大きなものを実は持つのであります。そういう観点に立ちまして、どうも現状は、依然として国鉄再建問題が低迷しておるのではないであろうかということが憂慮にたえません。もちろん、国鉄ひとりどんなに奮起、切歯扼腕しても、解決のできない問題がたくさんに序在しておるので、事ここに至っておるということを、国民はみな認識してほしいと実は思うのであります。したがいまして、われわれは国鉄だけを責めて問題を解決するという、そんななまやさしいものじゃないということを前提にしておきたいのであります。  そこで、あなたのほうの会計的な各般の調査の一つの結論は、四十六年度累積赤字総計九千九十八億円にのぼるらしいのでございます。こういうことを思いますと、これは私も、前回にも指摘したのでございますけれども、五十年になりますと、二兆五千五百億円に累積赤字がだんだんに達していく、どうにもならぬ、こういうことになりまするので、どうかもっと何とか合理化する道はないであろうか、何とか合理化について協力する道がないだろうか、こう思います。あなたのほうのお出しになっている当面の合理化案というものが二十一項目、こういうふうに並べてありますので、これも一応はよくわかるのであります。一応わかるのでありまするが、個々のそれぞれのこまかいものをずっとたくさんに並べて、積み上げてやるというのか、それとももっとあらゆる面において国鉄の再建に協力し、国鉄みずからも案を立て推進する、内部一本化して進んでいく、こういうことになるのか、しょせんはそういうことは全部むだなのか、一体どうなのだろうかということを、この段階でひとつ総裁、できるだけはっきりとしておきたいと思うのですね。私は、この点につきましては、前の総裁時代からもほんとうは真剣に、いろいろな面を、私自身しろうとながら考えもしてみたのでありますけれども、どうもどれもこれもものになりそうな気がしませんので、同じようなことを繰り返すのですが、どうなんでしょうね、ひとつ決意を伺っておきたいのです、総裁
  156. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄の経営全般につきまして、当委員会におきまして先生から数回にわたりましていろいろ御示唆をいただきまして、たいへん私感謝いたしております。  いま先生冒頭におっしゃいましたように、一体国鉄は斜陽なのか、未来性があるのかということについての私自身の根本的な立場を申させていただきます。  私は、いまの国鉄、約二万キロございますが、これを二万キロ一つにいたしまして、いわば俗なことばでいえばどんぶり勘定で考えて、斜陽か、未来性があるかというふうなことはすでに意味がなくなってきたというふうに思います。と申しますことは、この二万キロの約半分、これは日本の大動脈をなすいわゆる幹線系の線区でございます。それからあとの半分、これはむしろ枝葉と申しますか、幹線系をつなぐ地方交通に携っている線区でございます。いわゆる赤字ローカル線というのはその中にあるわけでございますが、それは一応別にいたしまして、一万、一万とごくわかりやすく分けて考えます。  そうすると、過去の趨勢、ことに三十九年以降国鉄は急激に財政状態が悪くなって今日になったのでございますけれども、それをいまの二つの分類に分けて勘定いたしますと、前のほうの一万キロ、いわゆる幹線系の線区につきましては、東海道新幹線を含めまして大体ずっと収支がとんとんでございます。これは償却を済ませました上で、利子を払って収支とんとん。大体四年に一ぺんくらいのピッチで運賃を上げれば、従業員のベースアップも世間並みのことはやっていけるという状況でございます。そしてその一万キロで全体の輸送量の約九割を運んでおります。ごく最近はもう少しふえまして、九割二分くらいを一万キロで運んでおります。  ところが、いわゆる地方交通に携わっております二万キロにつきましては、輸送量から申しますと、全体の一割ないし八%という分量しか運んでおりませんが、この赤字は毎年毎年累積してまいっておりまして、いわば国鉄のいままでの累積赤字は、残念ながらこの地方交通線から出た赤字ばかりでございます。もちろんその中には、さっき午前中にお話が出ましたローカル線が若干ございますけれども、ローカル線と幹線の中間の線路、たとえば奥羽地方で申せば、奥羽地方を横断しておる線路、あるいは中部日本を横断しておる線路、あるいは山陰、山陽を連絡する線路、こういう線路から実はばく大な赤字が出ておりまして、これがすなわち国鉄赤字になっております。  これはなぜこういうことになったかと申しますと、道路の発達、自動車の進歩によりまして、そういう短距離交通、五十キロから百キロくらいの交通が、鉄道からよそへいってしまったという、きわめて顕著な現象がどこにでもあらわれております。したがって、もし国鉄が純粋の私企業であるならば、ちょうどいま私鉄がどんどんやめておりますと同じように、地方交通線を、かりにでございますが、かりに全部やめれば、国鉄もまだまだ十分収支償っている、また一人当たりの生産性も高い企業であるというふうに言えると思います。しかし、公共的な事業である以上、もちろんその残りの地方交通線も簡単にやめるわけにはまいりません。この問題、あとのほうの一万キロの地方交通線をどうするかということは、私は国鉄の経営の根本問題だというふうに考えます。  すでに百年の歴史を持った私どもの事業といたしましては、やはり古いものはもう国民から、全般的に見れば捨てられつつある。そして新しいもので国民の要請なり関心が集まっているというふうな点から申しますれば、地方交通線というものは企業的には成り立たない。しかし、公共的な見地から維持しなければならないとすれば、あとのほうの一万キロから出てくる赤字、これを一体だれが負担するかという問題になってくると思います。遠い将来を考えれば、これは当然自動車や道路にかわるかもしれませんが、五年や十年ではとうていそういうことはできないと思います。したがって、あとのほうの一万キロから出てくる赤字、それがすなわち国鉄赤字でございますが、これをもし国鉄が維持するとすれば、一体赤字をだれが背負うのか。いままでは前のほうの一万キロ、これはもちろん黒字だけではございません。大部分赤字でございますけれども、黒字でもって十分収支が償っている。しかし、いわゆる部内補助として、前のほうの一万キロからあとのほうの一万キロに部内から補助していたかっこうになっておりますが、もうそれができなくなってしまった。しかし、仕事としては継続しなければならないとすれば、いわゆるソシアルミニマムとしてあとのほうの一万キロはだれがどういう形で負担するか。運営は国鉄がやるにいたしましても、それから当然出てくる赤字は、だれかが負担しなければいけないというふうに考えます。いま私どもはその点についていろいろ各方面にお願いいたしまして、国全体の問題として政府から、あるいは地方公共団体から、ソシアルミニマムを維持する費用として、国鉄に対してその赤字の補てんをしていただきたいという強いお願いをいたしております。  根本的な態度といたしましては、私の考え方はそういう考え方でございまして、国鉄全体の中で、約半分は十分二十一世紀にお役に立てる交通機関であるし、残念ながらあとの半分は、いずれ文明の社会からは姿を徐々に消していく部面である。それの消えるまでのつなぎがどうしてもやっていけないというのが、私どもの現状だというふうに考えます。
  157. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 幹線系の一万キロが収支とんとん、これは非常に未来豊かな希望を国民に、世界じゅうに与えております。これは現実に事実です。残る一万キロの地方線、これはだんだんと文明の世界から姿を消していくだろうという、そういう観察ですね。  私はその点につきましては、こういうことを考えてみたいと思うのです。やはりいまのままの姿では消えてしまいます。ちょうどいなかで、畑で綿をつくりなさいというのと同じことです。日本で綿をつくるということは、農業の採算に合いません。いつか消えてしまいました。それと同じようになるおそれがあります。したがいまして、煙突を持った機関車がディーゼルカーにかわっていくがごとくに、それ自身もできるだけもっと重量の少ない、もっとスピードの上がる、もっと人間の少なくて済むような、合理化したところの、技術革新をずばっと適用しましたものにかえていくことが一面必要であります。そうしてトラックがだんだんとはやってきた。トラックに追い越されてしまった。トラックの輸送量がどんどんとふえていく、国鉄の貨物輸送量が減っていくというのは、これはトラックの長所というものを社会の人間が活用しているだけなんです。だから、それならばそれをまねしたらどうだろうかということが——これは海運におきましてもコンテナがあるし、ラッシュがあるし、輸送船それ自体を積んでいくものができておりますし、あるいはまたフェリーボートにいたしましても、貨物車そのものを乗せて走りますから、というがごとくに、それ自体の研究もさらに高度にする必要があるのではないか、これが一点。ことに、すでに月旅行ができるようなこんな時代にまでいこうとするときですから、これは当然です。  それからもう一つは、やはりこんな狭い日本は、過疎地帯が永久に過疎じゃないですよ。一億一千万もある日本は、過疎地帯が永久に過疎にあらずして、過疎地帯というものは施策がないから過疎地帯なんです。百姓で食っていけぬから都会へ去っていくのです。都会へ去っていったら去っていったで、その生活が必ずしもしあわせじゃないです。公害の多い、病気の多い、犯罪の多い、けちけちごちごちしたこんなところよりも、それは空気も水もきれいなあのいなかのほうがよっぽど健康に適します。だから、過疎地帯というものはいつまでも過疎地帯でありませんから、行政的に広域行政も行なう、そしてまた過疎地帯がなくなるような農業政策も、いろんな都市対策も立てる。人間尊重の道路交通、産業の配分等々もすると、いう、そういう面に一段と高い視野を持ちまして、ともに組んで活用してくれぬか、こういうふうに持っていくくらいな、そのくらいな研究所をつくったらどうなんです。そうして新幹線を今度はまた、いま新大阪−東京間を三時間十分で走っていますが、一時間で走るとかいうことが伝わっていますね。それはけっこうです。こんな時代に入ってきますので、すぐに見限ってしまわずに、前途に失望しないで、これはもっとこの時代に適応するようなものへ脱皮していく。ディーゼルカーからもっと進んでいくかもしれぬ。また、そんなにたくさんの人間なしに進んでいくかもわかりません。また、あんな重い重いものにあらずして、もっと軽いものがいけるかもしれません。こういうことも考えてやったらどうかということも、これはしろうとですよ、しろうとですけれども、そんなようなことを私どもは感じます。だから、すぐ見限ってしまって、二分の一の一万キロがもうだめだというような前提に立たないで考えてもらいたい。  私はこのことをあなただけに言うのじゃないですよ。地方でも言うのです。赤字線を廃止してしまえというのは中央から流れてきた。廃止されたら困る、何とか置いておいてくれ。置いておいてくれというだけではいかぬ。それならどう活用するのか、どう使うのか。こんな利用できないようなことにしておいて、利用をようせぬようなことで置いておいてくれというのは、経済を無視したことだ。だれが一体損害を負担するのだろう。運賃でするのはそれは反対、合理化も反対、利用するので置いておいてくれというのでは、これはもう何をか言わんやで、議論の余地ないですというようなことを私は冗談まぎれに地方でも話をするのです。そういうのでありますから、国民に協力を求めまして、そうしてこの一万キロをどう活用するかということを積極的に考えてごらんなさいよ。それは磯崎さんのような専門家ですから、あなたのようなベテランがほんとうに考えて、これはやはりひとつ超脱して、新天地を見つけていかれることを希望します。そして悲観しないでひとつこの一万キロを進もうじゃないですか。そういうことを強く御要請申し上げておきます。  そして合理化対策は、これもありますけれども、少し末端過ぎます。これは事務的です。事務的な合理化案じゃなしに、もっと抜本的な大きな筋骨を入れて、そうして事務も、あらゆる面におきましてひとつ合理化案を立てて、そして手直し、手直し、手直しで、いつまでたったら解決するのだというような、こういうような再建計画でないようにせられることを強く御要請申し上げておきます。  ひとつ次官、吉田はこんな悪口を言っておったということで、大臣ともよく相談しておいてくださいよ。お願い申し上げます。
  158. 磯崎叡

    磯崎説明員 たいへん御激励ありがとうございました。もちろん、私も悪いほうの一万キロが、すぐ文明から消えていくという意味で申したわけではございません。もちろん、相当な年月がかかると思います。たとえば現在その線区につきましては、やはり先生のおっしゃったような、地方線区なりの近代化、地方線区なりの合理化をぜひやらなければいけないということで、たとえば客車のスピードを上げる方法、あるいは蒸気はもうあと二、三年で全部なくなりますから、ディーゼル機関車にかえるというような、地方線区なりの近代化をやっておりますけれども、やはり単線がほとんど大部分である。単線鉄道と申しますのは、道路でいえばせいぜい二車線の道路の価値しかない。ですから、地方交通線の中の約半分くらいは、もしいま先生のおっしゃったような過疎化がUターンする現象が起こりつつある、起こる可能性がある地域については、むしろ思い切って複線化していこう、そして幹線系に近いようなサービスをする。しかし、あと半分くらいはやはり消えていくだろうというふうに、一万キロの中でもいろいろニュアンスがあると思います。ですから、もちろん一括して申し上げたのはたいへん軽率でございましたけれども、その中で、いまの過疎化現象が戻りつつある地域、もうどうしてもだめな地域、いろいろと検討いたしまして、その地域に合った合理化をやっていきたいと思いますし、もちろん合理化そのものも、先生のお手元に差し上げましたものは、きわめて事務的なこまかい問題でございます。しかし、そういうこまかい合理化と同時に、大きな方向転換と申しますか、それをぜひやらなければいけないと思っておる次第でございまして、私も決して落胆、悲観はいたしておりません。必ず何とか再建の緒につけるという決心のもとにやっておる次第で、よろしくお願いいたします。
  159. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 鉄道監督局長見えておりますか。——四国本土の架橋の問題ですが、これは全四国、それから大阪、兵庫から西へ、西日本全体を含めまして非常に重大な交通動脈の問題なんでして、これがどう完成するか、いつ完成するかということは、この地域の住民のきわめて至大な関心事であること、これは申すまでもないのであります。私どもは、決算委員会といたしましても、つい先般四国を視察いたしました際にも、この問題につきましても少し調査をいたしたのであります。  そこで、いま三本の予定線が調査されつつありますが、これは大体どういうふうな順序で、また同時架橋ということにいくのか、若干でもずれていくのか、あるいはまたいつごろ実現するのか、財政をどうするのか、調査は調査で日を追っていくのか、手直しにでもなるんじゃないかというようなこと、あれこれといろいろ揣摩憶測も行なわれまして、また不安も伴っておる次第でありますが、これは相当大がかりにそれぞれ各理由をつけて打ち出された案件でありますので、積極的な姿勢が望まれておる次第でありますが、大体いまの時点でどういう段階にあるんであろうか、いま申しましたような点について一わたり御説明いただきまして、都合によりましては何か文書をもって委員長あてお答えを出しておいていただく、こういうこともしたいと思いますが、どうぞしかるべく……。
  160. 福田繁芳

    福田委員長 吉田君に申し上げます。ただいまの問題、幸いにしてきょう運輸省の山口鉄道監督局長が来られておりますので、山口君よりあなたの御質問にお答えさせます。山口君。
  161. 山口真弘

    ○山口説明員 本州四国連絡橋の建設につきましては、昨年七月に本州四国連絡橋公団が発足いたしまして、従来国鉄日本鉄道建設公団あるいは道路公団等が行なっておりました調査業務を引き継ぎまして、現在三線、三ルートにつきまして実施調査及び技術開発を推進中でございます。このための予算措置といたしましては四十五年度に九・五億円、四十六年度四十億円でございます。  三線でございますが、一線はいわゆるAルートと称しまする淡路経由のルートでございます。それから第二がDルートと称しまするもの、いわゆる備讃ルートと称するものでございます。それからEルートと称しまするものは、これは今治——尾道のルートでございます。その中でAルート及びDルートにつきましては、現在鉄道道路の併用ということを予定いたしまして、調査を進めている段階でございます。  なお、この調査に基づき、時期だとか順位等につきましては、今後の調査結果等を勘案いたしまして慎重に決定する方針でございますが、四十七年度の予算といたしまして、この調査費といたしまして百十五億円を現在要求をするということにいたしております。この調査費におきまして、おおむね四十七年度中に何とか調査を完了し、四十八年度には着工の運びに持っていきたい、このよう考えております。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはA、D、Eとも同時着工という順序になりますか、その点いかがでしょう。
  163. 山口真弘

    ○山口説明員 この三線につきましては、今後の調査結果あるいはこれに関しまする予算の計上等によりまして今後きまる問題でございますが、現在のところまだ決定をいたしておりません。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 このような場合に、御承知と思いますけれども、建設が着工されてまいりますと、よほど注意いたしまして——発着の地域におきまして土地確保等の先行投資が必要である、こう思うのであります。意外にそういうものに故障が入りまして、また絶対反対というようなむしろ旗でも立ちますると、なかなか取得が困難でありますので、その辺のこともよほど注意されまして、そして公共事業ができるだけ安易に、スムーズに、またむだな経費が少なくて済むような方向に進んでいっていただきたい、これは強く御要請を申し上げておきます。矛、して、いずれこれに関連資料がございましょうから、もう少し精細なものをぜひひとつ当委員会あてに出していただきたい、これを御希望申し上げておきますからお願いいたします。よろしゅうございますか。
  165. 福田繁芳

    福田委員長 承知いたしました。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと時間もなくなってしまいましたから、運輸省の航空局計画課長が出ておりますので、あなたのほうに一点だけ御要請を申し上げまして、質問を打ち切ります。  関西の新空港の問題でありますが、どうも先般来少し意外な紛糾をしておりましたが、また紛糾から一転いたしまして、大阪府のごときは、ある種の積極姿勢に転換するような、そういうことにもなってまいりましたが、依然として問題はやはりいろいろあるようであります。この点はきょうも大臣等とも若干問答をしておいたのでありますけれども、騒音などの問題につきまして相当解決をしておかねばならぬのではないか。調査はもちろんでありまするが、調査も不確実な調査では断じていけませんから、よほど正確な調査を前提にしてもらいたいという点、由来公害的な問題は、日本ではわいわい言うてから行政が追っかけていくようで、何べんも私は言うのです。この間もカナダに行きまして、環境大臣ができておるので、どんな大きな公害が起こっておるのか、——えらい公害が起こりましてなという話なので、どんな公害ですかと聞いたところが、パルプ工場の廃液を流しているやつです。それを見せてもらいたいと言ったところが、公害だと言っているのだけれども、こんな魚がおるというのですね。これが向こうの現状ですよ。言うならば、将来のために備えるところの環境大臣日本はさにあらずして、どれほど公害があるか、ヘドロがあるわ、人間がやられておるわ、もう瀕死の重傷を負うわ、そんな公害が起こってからあとから追っかけていくことになりますので、公害問題ということを少しでも口にされました以上は、これはやはり的確に、正確な資料を前提にいたしまして、計画なりないしは調査をして結論を出すようにぜひしていただきたい。  特に騒音公害につきましては、揣摩憶測がいろいろございます。大きな音がしたならば鶏が卵を産まなくなるぞ、牛は乳を出さなくなるぞ、これはどこもかしこも明らかであるということをいわれる時代でありますので……。だから一犬ほえて何とやらということもありますから、正確な資料を前提にしてこの種の問題に取り組んでもらいたい、特に騒音等については。  それから埋め立ての問題があります、土砂の問題がありますね。一体土砂はどこからどうするのかというようなこと。いたずらに山を削ってしまって、そして裸にするようなやり方ではこれは解決しません。あるいはまた、所によりましては、これは下がもう泥土になっておる。ちょっとやそっとの土を持っていってもだめだというような説さえあるのであります。その辺のことと土砂の関係でありますが、あるいはまたトンネルにするのかどうするのかは存じませんけれども、いずれにいたしましても、公害を中心としまして、いろいろな心配あるいは議論、批判、反対理由等々がだいぶ出ておるというのが現状でございますので、これに対しましては航空局の、ことにあなたは相当重要な事務的な役割りをやっておいでになるようでありますので、その辺のことも十分に配慮をして、運輸省の立場といたしまして、航空行政の観点からいたしまして、これはもう一切過誤なきを期していく、無公害を前提にして問題のノーかイエスかをきめていく、こういうふうにすることが絶対必要でございますので、強く御要請を申し上げておきます。  ひとつ御意見を承りましてこの問題はこれでおきますが、これもまた文書で、何かいまの調査報告書以外に資料がありましたら出しておいてください。次官それから航空局、両方よりひとつ御答弁をいただいておきます。  これで質問を終わります。
  167. 福田繁芳

    福田委員長 吉田君に申し上げます。ただいまのあなたの御質問に関して、いずれ文書などで御資料は提供しましょうけれども、ちょうどいま鮫島計画課長が御出席くださっておりますので、あなたの御質問に対して所信を申し述べてもらおう、かよう考えまするから、そのおつもりでお願いいたします。
  168. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 いままでに私どものやってまいりました騒音をはじめといたします調査の概要につきまして、一部公表もされているわけでございますけれども、私ども間もなく航空審議会におはかりをいたしまして、この問題を審議していただく予定になっております。その審議会の中にそういうような問題の権威の方々に入っていただきまして、十分に御審議を願うわけでございますが、私ども事務当局といたしましては、一通りの、審議される先生方の御審議のための材料というものは相当そろっているというふうに考えております。しかしなお、現在さらに補足調査もやっているわけでございますが、そういうようなものを審議の過程に逐次お出しいたしまして、そして十分御審議願えば、午前中の大臣の答弁にもございましたように、はっきりした決定というものをしていただけるのではないかと考えているわけでございます。
  169. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結局、そうすると、いま私がお尋ねいたしました公害はなしという前提は、もうすでに自信のある確定的な段階にいっておるのですか。
  170. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 公害なしということは非常に問題なことばでございますけれども、要するに物理的にゼロということはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、技術的に考えまして、これはなしというよう考え方になり得るのではないかと思います。これは先ほど申しましたように、権威のある方々の御審議をおまちするわけでございまして、私どもがいま考えております、あるいは準備しておりますものだけでは、あるいは不十分な場合もあるかと思いますけれども、全般的には私は個人的にはそのような確信を持っているわけでございます。
  171. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、その権威のある方々の調査の結論をまって、そして運輸省のこの問題に対する結論を出す、事務的にはこういうことになるのですか。
  172. 佐藤孝行

    ○佐藤説明員 お答えいたします。航空機による公害というと二通りあると考えます。一つは大気汚染、もう一つは騒音公害でございます。新しい飛行場の建設は別として、この二通りの公害がございますが、特にローカル空港においては、以前はいわゆるプロペラ機による運航をしておった。だんだんジェット機にかわって、将来は航空施設あるいは飛行場の整備拡張と相まって、ジャンボ機の運航も時代の要請として当然考えられます。かよう考えに立ったとき、当初予定しておった騒音公害が、航空機の進歩、発達に伴って、現時点で判断した公害対策が、将来ともそのまま継続できるとは必ずしも考えられません。したがいまして、運輸省としても、特に騒音による公害対策は現状のままでいいのかどうか、運輸省なりに検討を進めております。同時にまた権威ある学識経験者にもいろいろ審議していただいて、審議会の結論等を検討した結果、前向きで対策を立てたい、かよう考えております。
  173. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わります。      ————◇—————
  174. 福田繁芳

    福田委員長 委員諸君に申し上げます。  先般、当委員会委員を富山県、石川県、福井県に派遣いたしました。その結果の報告書がいまここにできてまいっておりますので、便宜上この席を拝借して私が報告いたします。  去る八月二十五日から四日間にわたり、関西電力黒部川第四発電所、イタイイタイ病関係対策費、建設省北陸地方建設局、航空自衛隊小松基地及び関西電力美浜原子力発電所について、日程のとおり調査を行ないましたので、その結果をここに御報告申し上げます。  一、イタイイタイ病関係対策費。  患者の発生は、大正末期から昭和初期と見られておりますが、昭和三十年に萩野昇、河野稔の両氏により、第十七回日本臨床外科医会において原因不明の奇病として報告されました。その後、各方面による調査研究を経て、昭和四十三年五月に、厚生省はイタイイタイ病に関する見解を発表し、三井金属神岡鉱業所のカドミウムを主因とし、同病を公害病と認定しております。  患者の状況は、認定患者が百二十六名、解除患者が三名、死亡者が三十名、現在の患者数は九十三名で、その他要観察者が三名おります。患者の治療区分は、入院二十六名、通院六十七名でありますが、発生地域別に見ますと、婦中町が四十八名、富山市が三十名、大沢野町が十五名となっております。  現在までにとられた対策は、患者対策として公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法に基づく医療救済並びに同法施行以前の県及び市町による特別措置あるいは県単独の医療救済、日赤の特別対策、弔慰金の支給、住民健康調査等を実施しております。飲料水対策として、簡易水道を新たに建設し、また農用地の土壌汚染防止対策としては、汚染の高いと見られる地域の産米の出荷保留、土壌及び産米の汚染実態調査等が行なわれております。  以上の各種対策がとられ、昭和三十年から昭和四十五年までの十五カ年に要した富山県における経費は、総額二億五千八百万円に及び、その負掛額は、県が一億九百万円、市及び町が九千七百万円、国が五千万円でありますが、婦中町においては総額一億五千百万円、同町負担額八千三百万円、県が二千二百万円、国が四千五百万円となっております。  なお同町は、その総額について損害賠償を三井金属鉱業に請求しており、そのほか関係団体から、医療保険に基づく損害賠償の請求が出されております。また、遺族を含め、四百六十八名が鉱業法第百九条により総額七億四千万円の無過失責任賠償請求を行なっております。  現在のところ、神岡鉱業所の坑廃水中のカドミウムは、県及び名古屋鉱山保安監督部の調査とも基準を下回っております。  昭和四十五年産米のカドミウム汚染状況は、二十六倉庫において、六十二点を調査しました。その結果、〇・四PPM未満が四十二点、〇・四ないし〇・九九PPMが二十点という結果が出ております。  汚染米は食品衛生法に基づき、その含有量が玄米の場合、一・〇PPM未満であれば安全であると定められておりますが、現在の需給状況及び消費者感情を考慮して配給しないという措置がとられております。  このような流通規制を受けるのみでなく、農家は稲作について強い不安をいまなお持っておりますので、農用地の客土事業が考えられておりますが、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律においては、玄米のカドミウム濃度が一・〇PPM以上を含有すると認められる地域及びその近傍で一・〇PPMに近い地域については対策事業が実施できることになっております。  しかし、このような実態を考慮すると、土壌汚染防止法の要件に該当する地域のみでなく、汚染地域について、早急に適切な土地改良事業等が推進できるように格段の配慮が必要であると思います。  なお、県側からイタイイタイ病患者のうち、被害者救済法の所得制限に該当する患者については、県独自で医療救済を実施しているが、かかる所得制限を撤廃するとともに患者救済の徹底をはかるため、医療手当、介護手当の増額について格段の配慮を願いたい。県においては昭和四十三度からイタイイタイ病に関する研究を実施しているが、これが経費の助成について配慮願いたい旨及び婦中町からは損害賠償請求について国の助言と協力を願いたい旨、また治療担当医、患者あるいは地元関係者からは、各種検査の総合実施機関の設置、治療法並びに予防法の開発、汚染米の処理についての要望がありました。  公害が地方公共団体等において財政上の負担となっており、しかも、患者の悲惨な状況を見、苦痛を聞き、公害対策については、国と加害者が責任をもって解決する方向に進めるべきであるということを痛感いたしてまいりましだ。  次に、北陸地方建設局の問題。  この管轄区域は、新潟、富山、石川の三県と河川については、山形、福島、長野、岐阜の一部が含まれております。  昭和四十五年度決算における歳出は、一般会計三十億円、道路整備特別会計百五十六億円、治水特別会計百三十六億円で、一般会計におけるおもなものは河川等災害復旧事業であります。  次に、昭和四十六年度予算を事業別に見ますと、道路関係が百七十四億円、河川閣係が百六十億円で、河川関係において砂防事業費が多いことが目立っております。石川県関係について見ますと、金沢工事事務所は三十六億円、県土木部は百九十七億円で、おもなものは道路橋梁費に約七十億円、河川海岸費に四十五億円、港湾費三十六億円となっております。  和倉から堀松、能登金剛を経由し小松間において、県道、国道二百四十九号、百五十五号、農免道路、金沢港、金沢バイパス、国道八号等を綿密に視察いたしました。能登半島は、人口が減少傾向にあります。したがって、この人口の流出防止のため、産業振興が必要である。そのためには水の確保が急務となっておりますが、道路整備についても一そうの努力が必要であると認められました。  次に、小松基地でありますが、当基地は、昭和三十五年四月、航空自衛隊のモデル基地として建設を始め、昭和三十六年二月に完成し、七月に第六航空団が新編成され、小松管制隊、小松気象隊、小松救難隊、小松警務分遣隊及び中部航空施設第二作業隊とともに現在に至っており、裏日本におけるただ一つの戦闘航空団であります。飛行場は、民間航空と共用になっておりますが、この民間航空においては定期便が四、五便あるいは小型機による小規模の遊覧飛行程度でありますので、運用上、飛行安全上、ほとんど問題はありませんが、地元においてむしろ民間航空の拡大を要望されてまいりました。  また、当基地の特徴として、冬季における重雪あるいは雷の危険が飛行運用上重大な障害を及ぼしていることがあげられますが、裏日本の気象的特性から山岳及び海上の遭難捜索、人命救助を主とした航空機による災害派遣の要請がたいへん多いようであります。これは全国一となっております。  基地対策については、基地周辺整備法に基づく騒音等の補償に、昭和四十五年度において十一億円、基地設置以来五十億円を支出しておりますが、住民感情に対しては思いのほかこまかい配慮が見受けることができました。  昭和四十四年度における決算は歳入が九十八万円、歳出が十三億円であります。歳入の九十八万円というのは、不用物品並びに残飯の売り払い代金であります。歳出のおもなものは、職員給与費、糧食費、器材等維持費であります。  第六航空団は、司令部、飛行群、整備補給群及び基地業務群から成り立っており、定員が千三百二十一名に対し、現員は千二百三十二名おります。うちジェットパイロットが六十五人であります。したがって、充足率は九三・三%であり、昭和四十五年度末においては、F104J二十八機、F104DJが三機、F86が二十六機、T33Aが十機等が配備されております。  ジェット機による飛行訓練は、過般の全日空機との衝突事故以来訓練を中止しておりますので、勢い計器類の休止に伴う狂いあるいはパイロットの操縦感覚の低下を非常に憂慮しておりました。一日も早くこの訓練の開始されることを、全員から要望されてまいりました。  総体的に見て、隊員の訓練は文字どおりに行き届いておりましたが、近代的な装備に比べて不均衡な点が多々見受けることができました。たとえば、格納庫が不足で過密状態にあり、航空機の移動に支障があること、二十四時間勤務である消防小隊の兵舎は米軍が使用していたかまぼこ兵舎を十年前に移設したもので老朽の極に達しており、特に食堂及びいす等の諸備品に目に余るものがあります。これは隊員の士気、ひいては隊員募集にもたいへん支障を来たすので、早急に改善すべきものと思われます。  最後に、関西電力黒部川第四発電所並びに美浜原子力発電所でありますが、当社の電力事情は、昭和四十一年より事務所、商店、家庭などの冷房需要の著しい増加により夏季にピークが見られるようになり、本年は千百五十万キロワットに達し、工場における休日振りかえ、電源開発株式会社及び共同火力からの電力の融通により、かろうじて乗り切ったとのことであります。  急増する需要に対応するため、今後五年間に千三百万キロワットの開発が必要と推計しておりますが、現在建設中の発電所は、水力、火力で三百万キロワット、原子力二百五十万キロワット、合計五百五十万キロワットで、さらに八百万キロワットを必要とし、急を要する状況にあります。  その一、黒部川第四発電所は、昭和三十一年七月着工、七年の歳月と五百十三億円の工費、うち、政府保証にかかる世界銀行借款百三十三億円を要して、昭和三十八年六月竣工し、年間発生電力量は、百工万七千六百二十五メガワットアワーであります。黒部ダム全体としての効果を見ると、さらに既設備に対する下流増分二十六万七千二百二十一メガワットアワーがあり、ピーク時の電力供給等に重要な役割りを果たしておる実情であります。  発電所は発電機を四基据えつけられるよう建設されているにもかかわりませず、一基が未設置の状況にあります。最近の電力事情にかんがみ、一日も早く設置することが緊要と思われます。  その二、美浜原子力発電所につきましては、一号機は出力三十四万キロワット、営業運転開始昭和四十五年十一月、総工資三百億円、うち日本開発銀行による原子力発電機器国産化融資三十六億円、二号機は出力五十万キロワット、昭和四十三年五月着工、昭和四十七年六月運転開始予定、総工費三百六十億円、三号機は、出力八十二万六千キロワット、本年末着工予定、総工費六百二十五億円で、いずれも加圧水型軽水炉を採用しております。  発電単価でありますが、五十万キロワット重油火力がキロ二円五十銭のところ、一、二号機平均で二円九十銭と割り高でありますが、三号機は二円七十五銭と推計され、逐次逓減する傾向にあります。  会社においては、火力発電所の立地難のおり、原子力発電に寄せる期待はたいへん大きいということを観察してまいりました。  なお、先ほど申しました航空自衛隊の基地及び電気事業においては、施設の保安上部外者の構内立ち入りについては特別の配慮が必要であるということを、全員一致して両当局に強く要望してまいったわけでございます。  以上、簡単でございまするが、国政調査に関する御報告でございます。     —————————————
  175. 福田繁芳

    福田委員長 派遣された先生、現地参加されたところの委員の方々に、非常に御苦労でございましたから、あらためて委員長として感謝の意を表しておきます。  次回は公報をもってお知らせいたすことにいたします。本日の理事会の前提に基づいて、もろもろの御高見を拝聴してお打ち合わせ申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十七分散会