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1971-09-29 第66回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会公聴会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月二十九日(水曜日)     午後一時二分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 池田 清志君 理事 中谷 鉄也君    理事 小平  忠君       國場 幸昌君    正示啓次郎君       中島源太郎君    中村 弘海君       湊  徹郎君    綿貫 民輔君       上原 康助君    安井 吉典君       中川 嘉美君    安里積千代君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  委員外出席者         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛施設庁長官 島田  豊君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         外務省アメリカ         局外務参事官  橘  正忠君         大蔵大臣官房審         議官      前田多良夫君         水産庁次長   藤村 弘毅君         自治大臣官房調         査官      柴田 啓次君         自治省行政局公         務員部長    林  忠雄君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員異動 九月二十九日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     綿貫 民輔君   田中 龍夫君     中村 弘海君   本名  武君     中島源太郎君   桑名 義治君     中川 嘉美君   川端 文夫君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   中島源太郎君     本名  武君   中村 弘海君     田中 龍夫君   綿貫 民輔君     宇野 宗佑君 同日  理事小平忠君同月一日委員辞任につき、その補  欠として小平忠君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についておはかりいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認めます。よって、小平忠君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 床次徳二

    床次委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  この際、先般本院から沖繩に派遣されました議員視察概要について、池田清志君から発言を求められております。これを許します。池田清志君。
  5. 池田清志

    池田(清)委員 先般の衆議院沖繩派遣議員団代表して、私から、沖繩派遣概要について申し上げます。  当派遣議員団は、当委員会委員長床次徳二君を団長として、当委員会委員本名武君、宇田國榮君、鯨岡兵輔君、湊徹郎君、美濃政市君、中谷鉄也君、川端文夫君、桑名義治君及び私の十名で構成せられ、現地において沖繩選出議員安里積千代君、瀬長亀次郎君及び國場幸昌君の参加を得て、九月六日から同月九日まで四日間、そのうち同月八日及び九日の先島視察については、宮古班八重山班の二班に分かれて、沖繩現地事情視察を行ないました。  日米両国政府間の沖繩返還交渉は、去る六月十七日の沖繩返還協定琉球諸島及び大東諸島に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定)の調印によって終止符が打たれ、復帰後の施策の大筋について、政府復帰対策要綱を閣議決定し、十月には、沖繩返還協定各種復帰法案国会に提出されるものと考えられます。  派遣議員団は、この沖繩返還協定及び各種復帰法案国会審議を控えて、国会審議参考にするため、これらについて沖繩各界人々意見を聴取することを主たる目的としたのでありましたが、干ばつ深刻化、また、アメリカドル防衛策実施、そして円の変動相場制移行があって、沖繩現地議論は、円・ドル問題干ばつ対策に集中するような結果となりました。  なお、派遣議員団派遣日程最終日の九月九日、長い間の懸案であった毒ガス兵器撤去が完了したことは、御承知のとおりであり、御同慶にたえないところであります。  以下、派遣議員団が、沖繩滞在中、星立法院議長屋良琉球政府行政主席をはじめ沖繩各界代表懇談し、各地を視察した結果について所見を述べたいと存じます。   一、干ばつ対策について  沖繩における干ばつ状況については、那覇において琉球政府等関係者から説明を聴取し、さらに先島の現地において、干ばつのため農地は乾燥し、サトウキビは根株まで枯れ、パイナップルは、萎凋病果等不良果実が多い実情視察するに及んで、一段と干ばつの深刻さがなまなましく感ぜられ、被害状況は予想以上であります。すなわち、沖繩における最近半歳の降雨量は、例年に比して異常に少なく、干ばつによる被害の総額は一千万ドルをこえるものと予想されており、ことに先島においては、基幹作物であるサトウキビ宮古において九〇%、八重山において八〇%の減収、同様に八重山パイナップルは三三%が減収と見込まれ、製糖工場操業も危ぶまれる状態であって、単に農家経済のみならず、先島の経済全般が危機に瀕している状態であります。言うまでもないことながら、干ばつ影響は、今年の収穫が減少することとなるのみでなく、サトウキビ等種苗の植えつけができないため、来年以降にも及ぶこととなります。  この干ばつに対して、派遣議員団が出発する直前政府は、三億一千万円にのぼる干害対策を決定したところでありますが、その実施についての細部先島地区にまで明らかにされていないこともあって、先島においては種苗、肥料の購入について補助するなど、なお一そうきめのこまかい対策要望されたところであります。  この干ばつに対しては、当面、緊急対策実施し、そして来年以降干ばつを繰り返すことのないよう恒久対策実施することとなりますが、まず、緊急対策としては、沖繩現地において先に政府が決定した緊急対策実施して、なお、不十分な点について、追加等措置検討も必要であろうし、応急事業をはじめ旧債の償還延期緊急融資、税の減免等琉球政府、市町村、金融機関はもとより政府においても、毒ガス撤去対策においてとられたようなきめのこまかい施策が、干ばつ対策としてとられるよう希望するものであります。  次に、水資源開発沖繩県全体振興開発考える場合に重要な課題でありますが、特に先島においては、干ばつ恒久対策としての水の問題をどうするかは、先島の振興をどうするかの第一歩であり、現地において、先島の具体的な振興計画を策定されるとともに、政府においては、その地元計画に基づいて水資源開発等干ばつ恒久対策、そして先島の振興に積極的に取り組まれるよう希望するものであります。   二、沖繩復帰対策等について  沖繩復帰対策ないし沖繩振興策については、派遣議員団が出発する直前の九月三日、政府において、復帰後の沖繩県民生活企業の存立に深刻な影響を及ぼすために最後まで難航していた税制等について、特例措置を定めた沖繩復帰対策要綱第三次分を閣議決定したところであります。   この政府沖繩復帰施策については、所見の冒頭に述べたように、沖繩各界人々との懇談に際しては、本島においては円・ドル問題、先島においては干ばつ対策と、議論の焦点が目前の問題に合わされる状況となりましたが、この施策は、大局において沖繩県民の賛同を得ているとの印象を受けました。ただ、復帰対策要綱第三次分が閣議決定されて間もない時期であり、その細部について沖繩県民の理解を得る時間的余裕がなかったゆえもあってか、細目について若干の要望がありましたので、琉球政府においてはもとより、政府においては、これらの施策周知徹底をはかるとともに、施策の推進にあっては、沖繩県民の意向を反映させ、なお、一そうきめのこまかい配慮が加えられるよう希望するものであります。   三、円・ドル問題  去る八月十五日発表されたアメリカドル防衛策実施、また、同月二十八日からの円の変動相場制移行は、本土沖繩間貿易の停滞、また本土輸入物資値上がり等沖繩経済に深刻な影響を及ぼすとともに、沖繩県民の間に一ドル対三百六十円の比率による通貨の切りかえについて多大の不安を生じさせています。  この対策として、沖繩現地においては、各界一致して一ドル対三百六十円の比率により、一日も早くドルを円に切りかえてほしい旨の要望があり、それまでの間の対策として、日銀に百億円の円勘定設置等措置を講ずるよう要望があったところであります。  政府においては、九月一日、緊急対策として、生鮮食料品など生活必需物資本土沖繩間の流通を円滑にし、その値上がりを抑制することに資するため、円建て契約による本土からの輸入が確保されるよう、琉球政府が設置する特定物資価格安定資金に十億円を補助する、また、本土留学生については、おおむね従前の生活水準を維持できるよう、琉球政府を通じて琉球育英会に一億円を補助することを決定したところであります。この緊急対策についても、生活必需物資範囲拡大等要望があったところであって、地元実情に沿ったものかどうか検討し、現実に足りない点があれば補充するような措置をとることが必要であると考えます。さらに、政府は、生活必需物資範囲検討とあわせて、本土沖繩間貿易リスクの穴埋めに充てるため、日銀に百億円の勘定を設置するという要望についても有力な意見考えられるので、少しでも地元への悪影響を避けるという観点から検討するよう希望したいのであります。  また、政府は、円の変動相場制移行に伴い、停滞している沖繩市町村の事業執行が円滑に推進できるような措置検討するとともに、円の変動相場制移行、また円切り上げに伴う不況を回避するため本土において検討されている減税、公共事業追加等景気振興策沖繩についても検討すべきであります。基本的な問題であるドルから円への通貨切りかえについては、政府は、かねてから言明しているとおり、沖繩県民に迷惑をかけないという基本的原則に立って、万全の措置を講ずる必要があると考えるものでありますが、同時に、琉球政府においても投機的なドルの流入を防ぐための措置検討する必要があると考えます。  以上が派遣議員団所見概要であります。短期間日程でありましたが、沖繩本島のみならず、宮古石垣両島においても現地の貴重な声に耳を傾けることができ、きわめて有意義な沖繩派遣であったと考えます。今回の視察にあたり、終始派遣議員団に御協力を賜わった各方面の方々に深く感謝申し上げるとともに、円滑な祖国復帰の実現と豊かな沖繩県づくり、さらには、干ばつ対策、円・ドル問題等、当面の問題の解決に向かって一そうの努力を払うことを決意するものであります。  なお、沖繩派遣日程及び現地における各界代表との懇談の内容につきましては、衆議院沖繩派遣議員団報告書として議長に提出いたしますが、特に特別委員会の今後の調査には参考になると存じますので、これを会議録掲載するなどの方法を、委員長において特別に講ぜられますように要望いたしたいと思います。  以上であります。     —————————————
  6. 床次徳二

    床次委員長 ただいま池田君から御要望のありました報告書会議録掲載につきましては、委員長においてしかるべく取り計らいたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  8. 床次徳二

    床次委員長 沖繩問題に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  9. 國場幸昌

    國場委員 ただいま本委員会沖繩調査団の御報告がありましたとおり、第一点としましては、先島における干害に対しての被害対策、第二点としましては、枯死状態に至っておるさなかにおいての八重山台風、また、ドル問題に対しての関連する問題、逐次その点についての大臣の御所見を承りたいわけでございます。  第一点としますところ干害対策、先島の干害は、大臣、御多忙の中、わざわざ二日の日数を要しましてつぶさに御視察されて、その状況というのは、また要請に対してもよく御承知だと考えるわけでございます。それに対するところの要求はいろいろ多岐にわたってあったわけでございますが、一番問題になるのは、御案内のとおり、先島はもっぱら農業において経済をなし、生活されておるのは御承知のとおりでございます。あの血の出るような陳情、これに対する措置に対しまして、農民としましては、やはりいままで手を尽くされたその御好意に対して感謝すると同時に、まだまだそれではとても立ち上がりができないというような苦しさの現状を、いま琉球政府または日本政府からの間接なる援助、その点に対して、大臣は、よく地元でも説明されておったわけでございますが、あれからお帰りになられまして、これではいけない、何とかそれ以上なる住民の窮場を救う意味における施策をお考えであるかどうかということをお尋ねしたいわけでございます。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 お話のとおり、あるいは池田委員国会沖繩調査団報告のとおり、言語に絶する惨状を呈した干害の後、さらに無情な、しかも時期はずれの不必要な台風が襲ってまいりました。この結果の被害というものは、まさに農作物に関する限りは壊滅的な打撃を与えておりますし、その被害の及ぶところは、単に農家収入が皆無に近い状態におちいるばかりでなくて、その島の中の、農林漁業によってささえられていると言っても過言でない中小商店街等における営業上の影響も顕著に出つつあります。これらの問題はまことに看過できない問題でありますので、何はともあれ、現金収入の道を個々の農家には講じてあげなければならない。これについては、先般立法院において通過いたしました沖繩の本年度の予算を、公共事業をすみやかに、しかも五島循環道路等については先島のほうに優先的に、しかも配分の額を傾斜して、その現金収入の道を開くように琉球政府と相談をいたして、そのような方向に進めようということになっておるわけでありますが、さらに基本的には、今回の一連の干害台風という相反する、しかも打撃が両ほおを打たれたような感じの、そのような被害について、やはり本土激甚災というような感じで私どもは受けとめておりますので、これらの措置を、琉球政府の具体的な調査報告その他がまいりましょうから、それらの問題を踏まえて、本土政府においてできる限りの最大限度援助の手を差し向けたいと思います。  なお、農家の今日までの累積負債の上にさらに今回の台風も加わって、干害とともに一そう農家経済というものがのっぴきならない状態に立ち至るであろうことは、すでに現地において、ことしの干害期に入ってからの出かせぎ者の数等を見ても胸を打たれる思いがいたしますので、これらについては先般来お答えをいたしてまいりましたとおり、農家負債整理等についての具体的な現地での要望等も耳を傾けるような案等がございましたので、それらを念頭に置きながら処理してまいる覚悟でありますが、当面、十月の国会に提出いたします補正予算の中に、沖繩干害に関し、少なくとも来年は同じような状態がかりに起こったとしても、干害を起こさないための最大限の、しかも事業執行が可能な範囲は取り入れまして、公共事業執行として追加をするために準備をいたしまして、ただいま大蔵省と折衝いたしておりますけれども、石垣ダム、あるいは宮古伏流水のくみ上げによるかんがい、あるいは西表から新城、黒島への送水、あるいは来間島への宮古よりの送水、あるいは福地ダムの水がすみやかに完成すると、間もなく石川浄水場まで届けるような基本的な送水管建設の着工、あるいは津堅島等もこれはホワイトビーチ関係調査費と思っておりましたが、やはり実施設計調査として具体的に着手をすべきであるということを、現地地形等を見まして、ホワイトビーチへの主として米国の軍艦の出入りに差しつかえない、リーフを伝わっていくことによってそれは可能であるという確信も得ておりますので、そのようなことを補正予算等にも計上し、すみやかにこれが現地の手続を経て執行されることにより、少なくとも水の恐怖ということに対しては最大限の手が打てるように、そして繰り返さないための措置がとれるようにいたしたいと思いますし、それらの工事の施行に伴う現金収入道等もあわせ効用の一策として考えてまいりたい。帰りましてから、とりあえずはそのように措置をいたしておる次第であります。
  11. 國場幸昌

    國場委員 ずいぶんお気をお配りで、御配慮されているということに対しては感謝いたします。  八重山における暴風被害でございますが、干害にあってまたこの暴風被害、こうなりますと、大体家屋は約千戸でございます。全壊が三百七十六戸、半壊が七百九十四戸。その他に船舶、家畜もすべてが台風のために大きな被害を受けておるわけでございますが、干害対策とは別にしまして、これは何とか手を打たなければいけないのではないか。もちろん琉球政府としてもやってはおりますが、問題になるのは、琉球政府財源というのは、すでに御承知のとおりどうにもこうにもできない。いまの琉球政府財政状態からしますと、法域は違うにしましても、やむを得ない。何をなすにしてでも、やはり日本祖国政府の力をお借りしなければいけないということでございますが、干害とは別で、この八重山地区における——宮古も若干はあるわけなんですが、それに対しての何かの救済策でもお考えでございましょうか。また、もうすでに何かの方法をもって、琉球政府のほうに御指示いただいたかどうかということをお尋ねいたします。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 これは住宅の問題であれば、本土でありますと災害応急仮設住宅というものが直ちに建設に着工されるわけでありますから、そのような措置琉球政府において行なわれるということに対する本土側援助、そういうもの等は当然これは考えなければならないことでありますし、また、中小企業商店街等台風による被害等については、税の減免等措置について、財政上の問題となりますから、それらの措置等もおとりになった場合において、本土政府も当然の対応した姿勢をとらなければならぬと考えております。
  13. 國場幸昌

    國場委員 ひとつよろしくお願いします。  それからまた、今日まで陳情もたくさんあったわけでありますが、原料生産農家製糖工場、これは車の両輪一緒でやはり運命共同体であります。今日まで先島といわず本島においてもですが、ことに先島の分みつ糖工場あるいは含みつ糖工場は、常日ごろ、平時においても借金そのものでかろうじて運営しておるというのが現状でございます。ところがそれに拍車をかけまして、ことしはもう製糖は全然見通しが立たないが、やはりそれに対しては管理維持費というのも支払っていかなければいけないというようなことで、現在まで三百万ドル余りの負債を持ってやっておりますが、いずれにしても四社の工場をもって二百九十万ドル余の債務をかかえ、あるいはまた含みつ糖に対しても、その工場は離島でございますが、豊作を期待していままでやってきたのですが、このたびの台風のため、ほとんどの原料を失ってしまった。そこで、よんどころなく陳情団も来まして、きのう、おとといに至っても総理府長官にぜひ会わしていただきたい。それからまた、対策庁長官にもその旨をつぶさによく説明しておるわけであります。ところがやはり一般農民にしますと、それに対しての援助救済策もあるけれども、製糖工場に対しては営利事業であるので、それに対するところのものは、やはり沖繩においてその策のなすべきことは考えなさい。なるほどそのとおり考えなければいけないということでございますが、沖繩農林局においては、中金が十一月になると県信連になるので、それではそれから融資しようというようなことの話がありました。ところが御案内のとおり、それだけの負債の積み重ねによって、ことしは操業も不可能だ。御承知のとおり、サトウキビというのは新たに植えかえますと一年半、二カ年はかかるものでございますから、その見通しもつかない。中金から借りるにしましても、それの再興をはかるためにはやはり抜本的な対策をもって、それに長期低利資金という制度の問題でなくては再興はおぼつかないというようなかっこうでございますが、それに対して中金から貸すにしましても、これは一時の農期間中においての貸し出しだというようなことになると、また、それにはやはり条件としては見返り財源としての担保を必要とする、こういうようなことになりますと、一時は立てかえしても、やはりいままでの繰り越ししてきたところの持ち負債、それから新たに発生するところのこのたびのまた負債、これはどういたしましても、それじゃそれを支払うことに対してはどうするか。いずれにしてもこれは短期間でなくては貸せないはずでございますので、私はお願いいたしたいことは、復帰対策沖繩開発振興計画に対するところ総合金融公庫、この金融公庫貸し付け資金とする来年度の予算に、このいま製糖工場関係資金的においての苦しさに対するてこ入れ、これを何とかお考えしていただきたいという強い要望でございますが、それに対しての大臣の御所見を承りたいわけでございます。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 干害のまつ最中に参りましたときに、生き残っておるキビでも反収一・五トンしかない。しかもそれは生き残ったものであって、枯死したものは、私もおりて引き抜いてみましたけれども、茎が完全に枯れてすっぽり引き抜けるという状態でありますから、全体の操業というのは、もう事実上収穫されたものがあれば操業するという程度の、休業状態に近いものになるであろうということははっきりしておると思います。工場といっても、これは大東島のように農民一緒になって、農民も株主でつくっておる会社というものは典型的なものでありますけれども、そうでなくても、やはり車の両輪でございますから、会社が倒れてキビ生産農家が生き残ることもできませんし、キビ生産なくして同時に会社というものが生き延びる道はないということははっきりいたしておりますので、現在米資金琉球政府がパイン並びに製糖工場に対して合併を前提とした融資考えておりますために、なかなか金が出ないということ等も聞いておりますので、ここらの運用の問題と、復帰後においては長期的な展望に立った、ただいまお話にありましたような考え方も当然盛り入れていかなければならないだろうと考えておる次第であります。  情報にすぎませんが、琉球銀行パイナップルキビ工場には融資をしない旨を決定したということを聞きまして、非常に心配をいたしておりますし、またそのようなことが事実ならば、それは将来の国の措置というものを担保にしててん補することによって、琉球銀行等市中金融機関が、いままでどおりやはり資金を貸してあげられるように配慮をしたいと考えておるところであります。
  15. 國場幸昌

    國場委員 その点につきましてどうぞひとつ、これは工場がつぶれますとやはりキビ生産農家もつぶれるわけでございますので、お考えのいまの点をひとつ早急に実行に移していただきますようお願い申し上げます。  それから次には、西原飛行場の復元補償問題を、陳情団が来ておりますので、お願いしたいわけでございます。  この西原飛行場は、なるほど第二次大戦の日本軍の仮飛行場としまして、戦闘機の発着する小規模な飛行場であったわけなんです。それが戦争後アメリカの統治下に入りまして、その飛行場を拡張しまして、そしていわゆる砂利を敷きコンクリートを敷き、あるいはアスファルトを敷きというようなことで形が変わって、復元というものの膨大なる金をかけなければいけないというかっこうに変化したわけなんです。  ところがこの飛行場は、開放と同時に、いわゆる復元補償の何の補償もなくして、と言いますのは、講和前におけるところの補償に対しては、請求額に対して、いわゆる百五十万ドルに対して五十四万ドル、これだけは補償されたといえども、しかし請求者そのものの全部に行き渡ったわけではなくして、一部的にこれがいわゆる復元補償された。それじゃ抜かれておるところの、いわゆる七十八万五千坪のうちの三十四万坪、それだけが補償されたのであって、残るところの約四十万坪余りの土地は全然補償されていない。それはどういう理由かといいますと、日本軍がやったんだからというようなことだそうでございますが、日本軍が仮飛行場をつくったというのは、砂利も何も敷いておらない。それであればすぐ復元といってもそんなに金がかかるものではない。農民は簡単にそれが復元できたわけでございますが、アメリカさんが砂利やコンクリートあるいはアスファルトを敷いたがゆえに、そういうように使用不可能になった。もちろんアメリカさんは、使っておる期間中は軍用地料はまあ払ったようでございます。ところが開放されたと同時に地料は入ってこない。しかも百五十万ドルの要求に対して五十四万ドルしかもらっていない、こういうようなことでございますが、この問題はいわゆる戦時補償打ち切りというようなことで、戦後日本政府としては、確かに戦時中におけるところ被害に対しては打ち切りをするんだという制度があったのもよく知っておるわけでございます。ところがこれは返還協定の中でも、アメリカが使用し、占領統治下においての講和以前においては補償されておるが、この講和以前におけるところの補償そのものが抜けておるわけなんです。でありますから、この問題はいろいろ内容においては複雑ではございますが、いずれにしてでもその損害の復元補償を必要とするということは変わりはございません。また内容そのものが、アメリカの使ったがゆえに復元補償を必要とするというような理由でございますので、その点に対しては、開放されたものは、土地連合会の請求には、いわゆるその種目には入らないということで、本土政府にたよるほかしようがないというようなことで、いま陳情に参っているわけでございますが、それに対して大臣いかがなお考えをお持ちでございますか。なかなかこれはむずかしい問題ではございますが、いずれにしても被害を受けておるのはやはり地主でございますので、善処方を要望したいわけでございますので、御所感を承りたいわけでございます。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 これは米側の言い分も一理はございます。すなわち、自分たちと戦うために旧日本軍がつくった飛行場の面積にかかるところについては、自分たちは補償しないという言い方でありますから、これはいまさら押し問答してみてもいたし方がございませんので、その部分にかかる部分は、旧日本軍のなした行為にかかる補償として、日本本土政府においてこれをやるということをきめております。ただし、役所が、設置を予定される沖繩開発庁において行なわれるか、あるいは防衛施設庁において行なわれるかという点はまだ詰まっておりませんが、防衛施設庁の姿勢は、消極的な姿勢をとっておるようでございますので、そういう場合には私たちのほうで処理をいたしたいと考えております。
  17. 國場幸昌

    國場委員 終わります。
  18. 床次徳二

  19. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣に一点だけお尋ねをいたします。同僚委員の質問が終わったあと、施設庁長官には同趣旨の質問をいたしたいと思います。質問は次のようであります。  軍用地、施設及び区域の提供について特別措置法の必要がある旨の答弁が従来の政府答弁の中にありました。この点については非常に重大な問題点が含まれていると思います。そこで、前回もこの点について大臣にお尋ねをいたしましたが、あらためて本日確認的に、後刻施設庁長官に質問をする前に大臣の御見解を承りたいと思います。  暫定措置法が民生の安定、経済の発展を目的とする、軍用地についての暫定使用を目的としたところ特別措置法というのは、本来総理府のそのような所管とはなじまないもの、合致しないもの、こういうふうに私たちは考え政府もそのような御答弁をいただいた、大臣からもそのような答弁をいただいたわけであります。重ねてお尋ねをいたしますが、軍用地問題について、かりに特別措置法がつくられたとしても、それは総理府が提出される、おつくりになるところの暫定措置法の中には含まれないとお伺いしてよろしいかどうか。質問を少し詰めてみます。そういうふうに含まれるべきではない、含むことを希望しない、含むことを総理府としては好ましくないと思っているというのではなしに、そのようなものは含ませないんだというふうに大臣の決意あるいは方針、政府のお考えが固まっているというふうな答弁を私は期待いたします。私の大臣に対する質問はこの一点だけでありまして、干ばつ問題等につきましては、同僚委員のほうから質問をさしていただきたいと思います。お答えいただきたい。
  20. 山中貞則

    山中国務大臣 結論を申し上げますと、私の準備いたしておりまする国内関連諸法案の中にはこの法律は入りません。理由は、私がむずかしい法律だから避けて通るというような男でございませんことをあるいは御理解賜わるかと思いますが、そういう意味ではありません。すなわち、この法律を必要とする賛否の問題は別として、そういうものの出てまいりました根拠というものは、日米安保協議会において相談がなされて、基地、施設、区域提供等がなされたものでありまして、私はその会議のメンバーではありませんし、その経過中においては、私に賛否その他の意見や中間報告等が一回もなされたことのない性質のものでございますから、したがって、それは、本来そのような取りきめをいたしました当事者である防衛庁が提出すべきものであるという基本的な筋道の上に立っての私の考え方でございまして、この私の考え方を変えることは不可能であります。
  21. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  22. 床次徳二

    床次委員長 安井吉典君。
  23. 安井吉典

    ○安井委員 いま中谷君から、沖繩臨時国会に対する法案の準備に関連してお尋ねがございましたから、続いて私もそれについてお尋ねしてまいりたいと思いますが、今度の国会に、沖繩関連法案について、どういうふうな形で提案をされることになったか。かって私はこの点についてお伺いいたしたことがありますが、いよいよ目の前に迫ってきた段階において、法案の準備状況をひとつ伺いたいと思います。
  24. 山中貞則

    山中国務大臣 私のほうとしては、前から申し上げておりまするように、各省庁にまたがり、しかも非常に数多くの法律の改廃等を含めて件数が出てまいりますので、これをばらしますと、全体に沖繩に対してどのような措置をとらんとしているのか、展望はどうなるのか、経過はどのような経過をたどるかがやはり明確にならないきらいもあり、取り扱いは国会の運営におまかせをいたしますが、法律のていさいとしては、それぞれ開発金融公庫なり、開発特別措置法なり、復帰に伴う改廃法なりというような形において、一つのまとまったものとして国会に提案をして、相なるべくは、そのような形において必要な限り各省も協力をするわけでありますから、協力を分担し合いつつ、審議は一本にして便宜をはかっていただけるようにお願いをするつもりでございます。
  25. 安井吉典

    ○安井委員 そういたしますと、この前からのお答えによれば、沖繩開発三法案というものと、それから復帰に伴う改廃法案と、同じく復帰に伴う暫定特別措置法案と、まあこの五つくらいだというふうなお答えでありましたが、いま中谷君の質問への御答弁によりますと、基地使用のための特別措置法案というものは別建てで出てくる、こういうことのようでありますが、大体そういうふうな形なのか。そのほかにもいろんな法案が出る可能性があるのか、それをひとつ伺います。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいまのお尋ねが中谷議員のお尋ねと同じであるとすれば、答えは同じでありますから、私のいま準備しております法案の中には入りませんということであります。
  27. 安井吉典

    ○安井委員 たとえば請求権の問題がありますね。県民がアメリカ側に対して持っていた請求権を全部放棄して——まあ一部はそうでありませんけれども、そういう中で、今度は本土政府がその請求権にこたえるという方針をお出しのようでありますが、それについての特別立法はなさる気かどうなのか。私は、これに類したものがそのほかにだいぶ出てきやしないかと思うのでありますが、これらの法律措置について、いままでお答えがあったほかにもう法律案は一切出ないのだ、こう理解していいのですか。いまの請求権の問題もひとつ同時にお答えをいただきたいと思います。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 請求権の問題は、これはやるかやらないかをきめることと、どこがやるかをきめれば、これは予算の問題でありますから、あとは金額の問題として処理できると思いますので、いまのところ請求権の取り残しといいますか、アメリカとの間に詰まらなかった問題を本土政府がやるという場合において、法律を前提にしなければできないというようなものではなかろうと思います。  また、これは請求権と一緒議論されがちでありますが、非細分土地の市町村収入がどうなるかという問題等については、これはもう明確に総理府の中の予算ということではっきりいたしてまいりたいと考えております。
  29. 安井吉典

    ○安井委員 まあ請求権についてはお出しにならぬということのようでありますが、それなら、いかなる法律の根拠において請求権を処理されようというおつもりですか。
  30. 山中貞則

    山中国務大臣 たとえば、沖繩県の累積赤字を復帰の際たな上げにしよう、肩がわりしようということも、これはやはり法律は私要らないのだと思います。したがって、根拠がなければ出せないのじゃなくて、やはり本土政府のほうは請求権を求められる相手ではないわけですけれども、しかし本土政府が、本土として沖繩のために対米交渉した結果入らなかったもの、取れなかったものというものは、その義務を遂行し得なかったものとして本土政府がかわって払うということでありますから、法律上の権利権原というものでなくて、それに準ずる措置というものを本土政府の責任において行なうということでありますから、予算措置すればよろしいものではないかと考えております。
  31. 安井吉典

    ○安井委員 いまのちょっとおかしいと思うのですね。つまり、本土政府としては当然払わなくてもいいものだ、それを払うんだということでありますから、当然法律がなければ予算の支出はできないと思うわけですね。どうなんですか。
  32. 山中貞則

    山中国務大臣 そういうふうにとられるとちょっと意見が違うのですけれども、私は、本土政府が払う必要がないとは言ってなくて、いわゆる請求権としての権利を行使することを要求する相手は米国である、しかしながら、その米国との間に交渉した本土政府というものが解決できなかった問題は、沖繩県民は請求を持っていく相手方がいなくなるわけでありますから、したがって、本土政府がその請求の相手方となって、権利ではないけけども、その要求に対して本土政府のほうで処理をしようということだと、ごく常識的にものを言っているつもりでございます。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 きょうはその議論をあまりするつもりじゃないのですけれども、しかし、いまの御答弁、おかしいですよ。法律的な根拠がないけれども、話し合いできまったから払うんだ、それではどうも、一体国会というのは何をするところか。財政的な支出はすべて法律が根拠でなければならぬと思います。そういう点に私は問題が残ると思うのですが、まあ、大臣どこまで内容を御存じでお答えなのかよくわかりませんので、これでその問題は打ち切りますけれども、しかし、これは問題は残るということだけはっきり申し上げておきたいと思います。  それから、私さっきお尋ねをした中で、いわゆる沖繩三法と復帰二法とそれから基地の法律と、そういうことになりますと、合計六法案ということになるようでありますが、これ以外の法律の提案はないのかどうかということをさっきも伺ったのですが、それについてのお答えがありませんが、どうですか。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 私どもの提案の法律について言っていたものでありますから。自治省のほうの交付税改正、これはやはり当然行なわれなければならない法律の一つに入るでしょう。  また、先ほどの議論に戻りますが、たとえばこの間の災害のときに、市町村の災害のために関係町村がみずから支出した額、あるいは歳入が減になるであろう額等を考えて、干害関係のある市町村について一億の交付金を出しましたけれども、これは予備費で閣議の決定はいたしましたが、別段法律上それを何かきめなければ出せないという金ではなかったと思いますので、法律を必要としなければ出せないものであるということに法理論でなりますれば検討しますけれども、いまのところ、それは話し合いがついた金が払えればそれでいいのではないかと思っておるということでありまして、別段法理論争をしているわけではありません。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 そうなりますと、さっきの五法に基地の一つを入れて六法で、そのほかに交付税関係の法案、とすると七つになるわけですね。ですから、私がお聞きしているのは、それだけおっしゃるだけで、ほかの省から——大臣ところから出ないのはわかりましたよ。しかし、ほかの省から、つまり政府として提出する法案はあとないのかどうかということなんです。大臣だけのお考えできまらないことかもしれませんけれども、その状況について、沖繩担当大臣としてのあなたに伺っているわけです。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、いま一生懸命議論しているところで、ゆうべも午前一時に私は部屋を出たくらいやっておりますが、一応琉球政府と合意して、電力開発会社等については特殊法人として設立をするということになっておりますから、これを法律で定めます場合に、総理府の一連の法律の中で定めるとすれば、別段法律の件数に関係ありませんが、やはり別途電源開発株式会社みたいな法律として沖繩のために立法を別にするといえば、これは通産関係の法律として別になるかもしれませんが、それらの仕分けについて、いま絶対に一本もふえないとか、あるいはそれが一本ふえるとかいうところまでの問題にはなっていないということであります。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 それならわかりました。相当程度の法案の準備といいますか、検討が行なわれているということだけわかりました。  そこで、先ほどの御答弁の中で、復帰に伴う暫定特別措置法は、おそらく六百本をこえるような法律の改正を一つの法律の中にぶち込んだ形になるであろうということは従来からお話があったわけでありますが、しかし、その方針によって国会に臨まれるということになりますと、私はその審議にたいへんな時間がかかるんじゃないかと思います。つまり六百本くらいの法律ということになりますと、これは全閣僚にみんな関係があるわけですから、全閣僚にみんな来ていただいて、その一つ一つは、沖繩の県民の生活に非常に重大な影響のあるものばかりですから時間がかかる。農林省の管轄の問題だけやっているうちに、実は通産大臣はいなくてもいいんですけれども、それもみんないてもらわなければいけない、そういうふうなことが一つと、それからまた七百本ぐらいの法律というと私はちょっと想像がつかないのですが、おそらく一つの法律の印刷したものがこんな分厚いものになりやしないか。大体、一国会で、通常国会の場合に政府の御提案になるのは百本から百二十本ですよ、百五十日間の会期の中で。それを七百本ということになりますと、およそ六年間の通常国会を一挙にやらなければいけない。それだけの分量を一本の法律の中に全部突っ込んで、どれだけの分量になるか、その中身がどうなるか、私はよくわかりませんけれども、とにかく法律の件数を書くだけでもこれはたいへんでしょう。そういうふうな形になれば、県民の人たちは自分たちの権利義務がかかっているわけですから、その慎重審議に注目をしている、しかし、それができないようなかっこうで終わりやしないか。つまり、法律審議の能率性とそれから審議の慎重性とその両面からいって、やはりばらばらな形でお出しになって、各委員会でエキスパートがそれぞれの立場から審議をする、そういうふうなことのほうが私は有効ではないか、こう思うわけです。審議のあり方については、これは国会の問題ですが、政府の提案にも国会の審議が相当拘束されてくるわけですよ。そういう意味合いで、ひとつ大臣にお考えを伺いたいと思います。
  38. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、法律の件数だけ申しますと、そういうふうに膨大なふうに数えざるを得ないんですけれども、実際上改廃法その他もずいぶん中身は一ぱいありますが、厚みで議論するのもおかしいけれども、これくらいのものですから、結局ただ手続だけどうしてもしておかなければならぬ問題が一ぱいあります。そういうものも一本一本の独立した法律を残していきますから、単に見ますと、復帰対策要綱としただけでは、法律のどこにそれが明確にしてあるんだというような点等もありまして、そういうようなもの等が手当てしてあるものが大部分でございますから、中身のある、沖繩現状をどういうふうにさしあたりつないでいくのか、そして沖繩の未来はどういうふうに設計していくのかという問題は、内容は多省庁にわたりますけれども、法律そのものについては、各省庁にばらばらになった法律をかき寄せたものであるという形にはしないつもりであります。
  39. 安井吉典

    ○安井委員 私は、改廃法案のほうはそれほど問題はないと思います。それでもこれだけあるのですから、その六百本ある特別措置法案はどれくらいですか、厚みは。
  40. 山中貞則

    山中国務大臣 これは全部で六百本くらいですから、特別に厚みの議論といったって、印刷をざら紙にいまやっておりますので、それをきれいな紙にしますとまた薄くなりますし、国会のほうでどのように御審議いただくか、私の介入できないところでありますから、国会の抑せのとおりの審議の形態に応じたいと思いますが、国会の審議を不便にするようなことはなるべくしないようにしたいというふうに考えております。
  41. 安井吉典

    ○安井委員 この問題についても、だいぶ水かけ論になるようですから、これ以上きょうは追及いたしませんけれども、私が一番初めに申し上げた議論というのは、私から見れば正しいと思うんですよ。国会がほんとうに慎重に審議するには、そういうふうな形でなければならぬと思います。憲法九十五条の、一つの地域に対する特別立法の問題ですね、それに該当するような中身の問題はありませんか、それについてどうお考えですか。
  42. 山中貞則

    山中国務大臣 私の所管いたしております法律の範囲内においては、憲法九十五条によって一つの県のみに、地方自治体のみに適用されることによって、住民投票を経なければならないような内容のものは含んでおりません。
  43. 安井吉典

    ○安井委員 政府提案全体の中にそういうものはありませんか。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 防衛庁の土地収用法の特例というものについて御意見を述べておられることが核心だろうと思いますが、そのことについては私の見解は差し控えます。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 この問題はいずれまた別な機会にいたしたいと思いますが、昨年の三月十一日のこの委員会におきまして、私の資料要求に対して、山中総務長官ははっきりお約束をしていただいているわけです。つまり、せめて法案のリストだけでも国会に提示してくれないかと言ったら、ここに速記録がございますけれども、全部項目ごとに並べてやる作業がたいへんですから、ほんとうは迷惑だが、「しかし審議の参考に資するためには必要な資料だと思いますから、それは努力させて、資料をつくらせます。ただし、ちょっと時間をください。」そのちょっとが去年の三月十一日からきょうまでもう一年半になりました。その間黙っていたわけじゃなしに、私は事務当局のほうにも幾度も要求をしたり、たしかこの委員会でも、もう少し待ってくれという大臣の御答弁があったと思いますが、——四十六年です。読み違えましたけれども、ことしの三月十一日です。しかし、それにいたしましても国会はもう二週間後に迫っている段階でありますが、まだ私どもその資料をいただいておりません。いついただけますか。
  46. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私の食言でも何でもなくて、いまそのことを一生懸命やっておりまして、もし国会にお出しをした資料の中身と最終的に、これは大蔵も含めて事前に詰めなければならぬ問題が多うございますから、それが違う場合もありますし、現在はその作業中でございまして、その意味で、国会が始まったら当然そういうようなものは出さなければならぬことは、今回の政府にゆだねる場合でも、政令の中身もなるべく書くということで作業も命じておりますから、政令も皆さんにお配りするようにして審議の便に供したいと思っておりますので、現在の作業がほぼ見通しを得ましたならば、資料提出ということはできると思いますが、中身そのものかいま動いております。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 それは大臣少しおかしいと思う。このときに私が要求しているのは、まだ内容は固まらないだろうから、それを厳密なものだということで、最後的なものだということで私どもはとるつもりはないのだ、ただ、途中の段階でもいいから、途中のわかったものだけでもはっきりしなさいと言ったら、それに対してあなたははっきり答えておるわけですよ。少し国会をなめているんじゃないですか大臣。そんな態度で沖繩臨時国会に臨めると思いますか。はっきりしてください。
  48. 山中貞則

    山中国務大臣 私が国会をなめているかなめていないかは各人の判断によるところでありますが、私自身は、主観的に全くそういうつもりはありません。したがって、私の手もとでいま最終的に毎晩おそくまで詰めておりますから、おおむねの見通しが立ったら、国会開会前でも国会に提出させるようにいたします。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 このときの大臣のお気持ちはそうじゃないですよ。「ただし、ちょっと時間をください。」若干の時間さえおけば出していただけるというふうに私どもはこの御答弁の中からはっきり印象づけられましたし、御自分もそういうつもりじゃなかったですか。それをもう国会の始まる直前においてもまだ出せないというのは私はおかしいと思う。全部これが間違いないのだというものじゃなくてもいいんですよ。私どもはそれをたてにとって、大臣の食言なんといって責める気はありません。お約束をしただけはやってくださいよ。それだけひとつ要求しておきます。どうですか。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 きょうの委員会開会中には間に合わないと思いますが、すみやかにそうさせます。
  51. 安井吉典

    ○安井委員 そのすみやかにというおことばでありますが、いつまでですか。
  52. 山中貞則

    山中国務大臣 その資料をどこらあたりまでという要求のしかたもあると思うのですが、おおむねこういう法律でございますというので、ずっと並べてお出しするくらいなら、今夜中仕事をさせればできると思いますが、そういう程度の資料でよろしゅうございますか。
  53. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃ私も妥協しましょう。今日準備作業の中にある主要な法律、全部で七百本だというかつてのお話がありましたから、おそらく暫定措置で——改廃法のほうはそれほど問題がないと思います。私は、暫定措置が特に必要だというのが、これは重要な分だと思うのですが、それでもこの前のお話では改廃法のほうは五、六十で、暫定措置が五百七十何本とかというのですから、五百七十何本という以上は、一つ一つの法律の名前がわからなければ計算のしょうがないじゃないですか。これはやはり一応押えておられると思うし、押えなければいまごろ国会に間に合うわけありませんよ。だから、特別に問題になりそうなのを、問題になるというと限度がございますけれども、約二百くらいなら重要法案というようなことになるかもしれませんがね。特に重要なものというとそれくらいな数になるかもわかりませんがね。とにかく重要と思われるその数を言っておかなければ、重要法案というと、ほんのわずかの数だけで、これだけですとこうやられるから、私は数で一つの限界線を引いて申し上げておきます。とにかく、単なる改正、廃止だけで済むというものでないと思われるような法律案を、法律案の名前だけでいいですから、それがあとで変わってもけっこうですよ。そういう問題法案のリストをお出しいただきたいと思います。
  54. 山中貞則

    山中国務大臣 名前だけでいいということですから、単なる手続だけのようなものを除いて、なるべく数多く出させるようにいたさせます。
  55. 安井吉典

    ○安井委員 時間が過ぎたようですから……。
  56. 床次徳二

    床次委員長 上原康助君。
  57. 上原康助

    ○上原委員 まず最初にドル問題についてお尋ねをしたいと思います。ニクソン大統領の新経済政策が発表され、さらに政府の変動為替相場制度が実施されてから一月、ニクソン声明から一月半たっております。その間、ドルを通貨としている沖繩県民は、政府の一応の前向きの御努力にもかかわらず、現在なお多くの損失、犠牲をしいられております。  そこで、端的にお伺いをいたしますが、通貨切りかえの時期とかその後の政府対策はどうなっているのかという点、さらに、県民全体の強い要求であり、大臣もよく御案内の一ドル対三百六十円の交換レートというものをあくまで保証するという前提で、現在も政府はその対策なり考え方というものをお持ちなのかどうか、この二点についてお聞かせいただきたいと思います。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいまの御質問は二点に分かれておりますが、要するに沖繩側の要請というものに沿うか沿わないかということについては、沿うという方向で作業中であるということを申し上げておきます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 大臣は、この間沖繩に行かれた後の記者会見で、復帰前にもあるいは沖繩国会前にでも円交換をするという見解を述べたという報道があります。復帰前の通貨切りかえというものは可能なのかどうか。お答えにくいという点はこれまで伺いました。だが、そういう議論をわれわれがやる間も、沖繩の差損なりいろいろの面での物価値上がり等含めて、県民の犠牲というものはちっとも救われておりません。十億円の差損金補償というものを一応立てたわけですが、しかし、七〇年度の本土からの総輸入額は三億三千万ドル政府がおやりになった十億の差損補償ではとうていまかない切れない問題があると思うのです。さらに生活必需品含めてその他の品目にしても、拡大はしたというものの、現在なお物価の問題や建築資材の問題等含めて、いろいろの犠牲をいまこうむっている。これをすみやかに解決するということが、私は大臣の腹の中にあるとは思うのですが、復帰までにほんとうにできるのかどうか。いつまでたったらこの問題が解決をされるのか。そのめどが立たない限り、県民の不満なり要求というものはますます深まるばかりで、高まってはいっても解決することにはならない。この点について、もう少し県民や国民の納得できる回答というものを出していただきたいし、またそのような方向での政策が進んでいるということを明らかにしていただきたいと思います。
  60. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、記者会見でそのようなことを言った覚えはありませんが、そういうふうにとられた記者があるいはおられたかもしれません。これは私の関知せざるところであります。すなわち、それはいつどういう方法でやりますということを言ったら、それはできないことになるということは前から申し上げておりますので、少なくとも私が言えることは、沖繩側の要請である復帰前にも円とドルとの交換をすみやかに実施せられたい、その際には、一ドル三百六十円の基本レートで交換してもらいたい、この要望を踏まえまして努力しているということは明言できると思いますが、それをいつやるかということをはっきりしろとおっしゃる御質問ならば、その瞬間までお答えはできかねるわけでございます。
  61. 上原康助

    ○上原委員 それでは、差損補償の問題で、すでに十億の補助金というのは出ることになっているわけですが、それだけでは当然足りない。かりに復帰が来年の七月一日ということになりますと、琉政の資料によりますと、あと七十億円は必要だという予算要求の計算が出ております。これに対してはどうなさいますか。差損補償の追加支出ということは、万一いろいろの事情で円の切りかえなり変動相場制の固定化なりの問題等が長引くという場合は、少なくとも貿易関係の差損については本土政府が補償する、あるいは琉政から出している八十億円程度の予算支出は立てるというお考えはございますか。
  62. 山中貞則

    山中国務大臣 これは前提条件によって話が違ってくるわけでありますが、沖繩側の要望しておられる条件、復帰前に切りかえて三百六十円で行なえということが実現をすれば、そのことはもう要らなくなるわけですね。そのお金は要らなくなるわけでありますが、しかし、それがいつになるかということが言えないとすれば、じゃあその金で足りるかということになりますから、それは明らかに足りなくなるだろうと思います。現地琉球政府の首脳部、議会等ともお会いをしまして、やはり生活必需物資だけではいけないので、公共事業の発注なりその他日常の建築その他の問題等も含めて、琉球政府の提示、要求されました四百四十二品目といりものをしさいに検討して、そのうちビールが落ちているのに酒は残っているという形になっておりました酒を一品目落とし、そうして本土の食管の操作によって、食管差損を総理府の予算に計上して、現地に、現在の米の値段を補償して配給いたしております食管の関税品目で、玄米といっておる品目については落とすということになりまして、四百四十品目、琉球政府要望の全品目を了承をいたしておるわけでありますから、当初の十億の積算の基礎とはそこに明らかに違いがありますので、これはいわゆる前提は何もなしに議論をすれば足らなくことは当然でありますので、それについては、きめた以上それを補償する措置は続けなければなりませんから、足らない分は当然措置をするつもりであります。
  63. 上原康助

    ○上原委員 差損の問題よりも、基本的な県民の要求である通貨を円に切りかえるということ、そうして債権債務の問題なりいろいろあるでしょうが、一ドル対三百六十円の交換レートの補償をやれ、これを実施する以外に、現在の県民の損失、犠牲というものを救っていく方法というものはないと思うのです。それをすみやかに実現をしてもらいたいということを、あらためてここで要求をしておきます。  次に、先ほども若干御質問がありましたが、干害対策の問題と、台風二十八号による、特に八重山地域の被害の問題ですが、これも端的にお伺いをいたしますが、私が本委員会で七月の二十三日ですか、干害問題でいろいろお尋ねをいたしましたが、大臣は、米資金干ばつ被害に充てないでも、干ばつ被害に対しての予算措置というものは十分お考え願っていただくというふうに受け取ってよいかという私の質問に対して、そのとおりでございます、実に自信満々の御発言をなさっております。確かに三億余りの干害対策費も出していろいろおやりになっているということは私も了解をいたしますが、八重山宮古あるいは沖繩本島その他の離島の干害というものは、まだまだ十分にその補償なり対策というものが立てられていない。追い打ちをかけて台風二十八号による、ダブルパンチどころか二重、三重、四重の被害をいまこうむっております。これに対しても補正を組むなりあるいは次期臨時国会に提出をされる予算の中で、沖繩のこういった干害対策台風被害含めて、万全の措置をとるということをあらためてここで大臣の御所見なり、明確なる答弁を賜わっておきたいと思います。
  64. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほど國場君に答弁いたしましたが、基本的な公共施設、すなわちダムとか海底送水管とかあるいは伏流水のくみ上げとかいうようなもの等については、補正予算でことしじゅうにも着工できるようにして、来年心配ないようにしたいということを申しましたけれども、その他のいわゆる災害復旧に対する緊急に必要な支出については、これは補正を待つまでもなく、別途足らなければ、本土の一般会計の予備費等の使用等を念頭におきながら、十分に琉球政府と打ち合わせをやりたいと考えます。
  65. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ台風被害に対しての緊急対策、さらに干害に対しての緊急処置、また先ほど指摘をした、委員会大臣が答弁をなさった恒久対策等を含めて、十分なる予算を伴う対策措置というものがとられるように、この点もあらためて強く要請をしておきたいと思います。  そこで時間がございませんので、第三次要綱の中で、琉球水道公社の問題についてお尋ねをしておきまして、さらに後ほど外務省なりに質問を続けていきたいと思います。  三次要綱の中で、「琉球水道公社が行なっている水道用水供給の業務は、復帰後は沖繩県がこれを引き継ぎ実施するものとする。」という表現になっております。  御承知のように、現在の水道公社の性格というものは、公社というのは名目だけであって、その管理、運営権というのは民政府、軍が握っておる。復帰後は具体的に、水道公社の運営権、管理権というものも含めて県営に移行するということなのか。ここで言う水道用水供給業務というようなことになりますと、ただ送水をする業務しか、移管されるであろう県営の水道事業というのはできないという解釈にもなるわけですが、その点に対しての政府の基本的な考え方をまずお伺いをしてみたいと思うのです。
  66. 山中貞則

    山中国務大臣 新規の水資源の開拓その他も含めて、これは基本的には、ダムとか基本送水管本土政府の全額負担でありますけれども、一切の管理あるいは運用の権限が琉球政府に移るということであります。
  67. 上原康助

    ○上原委員 水道公社が行なっている水道業務の運営、管理権、さらに現在軍が握っている部門はどうなるのですか。
  68. 山中貞則

    山中国務大臣 現在米軍の管理下にあります公社以外の水道施設については、返還協定の取りきめの中で、水道にかかる部門はポンプ場等も含めて、全部水道公社に復帰前に移管をされておりますので、したがって、復帰いたしますときには、沖繩における全水道関係施設は水道公社に一元化されておりますから、それをそのまま琉球政府が受け取って全部の権限を執行いたしますから、そこで軍のほうへ別に残るというようなことはあり得ないことであります。
  69. 上原康助

    ○上原委員 いまの大臣の御答弁は非常に疑問があるわけですが、今回、水道公社というより米民政府が、御承知のように、九月九日でしたか、水道卸料金の値上げを発表しております。しかもこれは、定款の中では理事会というものが構成されておりながら、公社の総裁さえも全然関知をしないままに抜き打ち的に発表しておる。その後六十日たてば自然実施をするというような独裁的な運営、管理がなされているわけですね。大臣がいまおっしゃったようなことならば、当然こういうことは復帰後はなくなると私は解釈するわけですが、現に軍側が握っている貯水池なりあるいは源水場のポンプ場、ダム、井戸、そういった浄水場の具体的な資産の状況等は、政府はおつかみになっているわけですか。その資料等を十分御検討の上で、いますべて水道公社に移管をされて、運営、管理権も県がやるというような前提での御答弁と受け取ってよろしいですか。
  70. 山中貞則

    山中国務大臣 そのとおりでございます。したがって、提供施設としてAリストに載っておる地域の中にある軍の水道施設であっても、その場合においては、やはりポンプその他の名称をその基地の中で移管する旨が明記されておりますので、水道施設に関する限り、提供される基地内にたとえ残ったとしても、それは沖繩県営水道の中に完全に管理、運営は一元化されるということにおいて変わりはございません。
  71. 上原康助

    ○上原委員 それではまずお伺いいたしますが、現在軍が持っているいわゆる水源地、ダムというものは幾つありますか。
  72. 岡部秀一

    ○岡部説明員 お答えいたします。  移転予定のおもな水道関係施設名は、貯水池及びダムにつきましては、福地、瑞慶覧、天願、ハンセン、平山、シュワーブ等でございます。それから貯水タンクにつきましては、読谷、豊見城、与勝等数カ所でございます。それから打ち込み井戸、石川、タイベース、天願その他でございます。それから浄水場につきましては、石川、タイベース、天願等そのほか三カ所でございます。それからポンプ場につきましては、比謝川、川崎、福地等そのほか数カ所でございます。それから深井戸につきましては、嘉手納そのほか数カ所ということでございます。  なおこまかくは、別に資料をお出ししてもけっこうだと思います。
  73. 上原康助

    ○上原委員 あらためて大臣にお伺いをしておきますが、いま対策庁長官がお述べになった貯水池あるいはダム、井戸、ポンプ場、全部入ってないと思うのですが、そういうものを含めて水道公社に移管をされて、その管理、運営権はすべて県営になるという先ほどの御答弁ですかということ、さらに、先ほどの資料をぜひ本委員会に、現在沖繩にある水道施設関係の資料というものをおあげしてもいいという答弁もございましたので、提出をするように要求をいたします。
  74. 山中貞則

    山中国務大臣 資料の提出は、委員長の御命令であればそういたします。  ただいま読み上げました代表的な個所をあげながらのものは、全部今回米側が所管しておりましたものを復帰前に公社のほうへ移管する個所でございますから、したがってそれは全部含まれるということでございます。
  75. 上原康助

    ○上原委員 これは非常に重要な問題がたくさんありますし、返還協定と関連する面もありますので、後ほどまた外務省にもお伺いいたしますが、そういう水道公社にすべて移管をして県営にするということであれば、現時点における、直接の関係はないにいたしましても、水道料金の値上げというものはきわめて問題であり、しかもドルショック、干ばつ台風というような中で、諸物価がウナギ登りに上がっている段階で公共料金を一方的に上げる、そういう姿勢に対しては、政府としても何らかの助言をやる、買い上げて県営にするというのであれば、何もアメリカが向こう四、五カ月ないし七、八カ月の間に介入するような筋合いのものでないと思うのですが、この件に対しては大臣はどうお考えですか。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 私の感想ということになれば、わざわざ復帰前にそんなことをしなくてもいいじゃないかと思います。ただ、経理状況その他を見れば、計算上は料金値上げにまたざるを得ない範囲もあるように見えますけれども、しかし政治的に考えれば、何をいまこの段階になってそういうことをしなければならぬのかという気は私の感想としてはあります。他面、したがって、水道料金を増徴される関係の市町村は、不払いをするということを申し合わせておられるようでありますから、そこらのところは一方的にこれを強行しようとしても、払わないというものを取り立てることは、一戸一戸の問題であり市町村の問題でありますから、また具体的な問題として、いずれトラブルになりますかあるいは落ちつきますか、それらのところ沖繩側とも相談の上、住民生活に支障を及ぼさないよう、しかも断水その他で満足な給水義務を果たしていないときに、料金だけを上げるという納得できない環境下にあるわけでありますから、それらの点についてはよく相談をしていきたいと考えております。
  77. 上原康助

    ○上原委員 時間が参りましたのであと一点で終えますが、これとの関係で、現在水道公社に雇用されている職員——もちろん三次要綱でも出されておりますが、その身分の引き継ぎあるいは給与、労働条件の面含めて、琉球政府の職員になるということではあるわけですが、資産買い取り等の問題との関係もあろうと思いますので、労働者が犠牲にならない、その上で県営に移行させるということも含めてやっていただきたい。これに対するまた大臣のお答えをいただいておきたいと思います。
  78. 山中貞則

    山中国務大臣 これは御心配されてはいけないから、復帰対策要綱にそのとおり書いてございますから、間違いなく、働いておる人々が移管されたことによって職を失うとか、失職するとかいうようなことは絶対にありませんし、電力供給のための新しい特殊法人についても同じことを言っておるわけであります。
  79. 上原康助

    ○上原委員 これとの関係、あと一点ですね。第四種の離対法適用の問題と退職手当の問題については、かねがねから検討されているということでしたが、その後の経過なり現段階における政府の方針、あり方というものをお答えいただきたいと思います。
  80. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、布令第百十六号第十三条に基づく、ストライキ権を禁止されておる職場につとめておる方々、これは米側から見れば、一、二種雇用と同じ仕事の内容を持っているものと解釈して、そのような措置をとっておるのでありましょうから、そこに限界を引くという点では、琉球政府側とも意見が一致いたしておりますので、それらの人々を、復帰の時点において、これまでもらわれた退職金は差し引くという条件は両方で合意しておりますし、その条件のもとに一九五二年からの基点に立って、軍労と同じ計算のしかたをもって、復帰の時点で退職金に値するものを差し上げて、その後は労使関係の普通の取り扱いとして契約を結んでいただくということで処理すべく努力をいたしております。
  81. 上原康助

    ○上原委員 以上で終わります。
  82. 床次徳二

  83. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 去る九月の四日でしたけれども、この委員会で防衛分担金についてわが国の意向を打診したわけですけれども、そのときに、吉野アメリカ局長からの御答弁では、「わが国に対するいわゆる防衛分担金というような表現であらわされる問い合わせないしは照会というものは、いまだかつてございません。」このように御答弁をいただいております。しかしながら、最近の新聞報道では、デトロイトのエコノミッククラブというのがありますが、ここでニクソン大統領が内外の問題についていろいろと演説を行なった。その中で防衛分担金問題に触れまして、日本、欧州と常に交渉している問題である、このように語って、日本政府ともすでに交渉を行なっているということを公式に確認をしております。こういうことを勘案しますと、どうもいままで御答弁いただいたことと経緯がはっきりいたしません。すでに交渉があったはずではないか、このように私は思いますけれども、最近、米側から防衛分担金について日本政府に何らかの申し入れがあったかどうか、いま一度ここで確認したいと思います。この点、どうでしょうか。
  84. 橘正忠

    ○橘説明員 先般、私どもの局長から御返事申し上げましたように、先般ワシントンで開かれました日米の経済貿易合同委員会の機会に、そういうときにこうした防衛分担金の問題というものは出ておりません。
  85. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それは、いろいろ国内的な刺激等も避ける意味で、しいてそういうものを表に出さなかったのではないかと思いますけれども、コナリー米財務長官がミュンヘンの国際通貨金融会議の席で、日本、欧州の防衛分担金の増額を示唆したことですね。これはもうすでに承知のとおりですけれども、日米間に防衛分担金が何ら話し合われていないとはとうてい考えられない。こういうような報道もございます。さっきの問題とこの問題と考えあわせて、何ら根拠のないことについて、このような報道がなされることがあるかどうかということも考えてみなければならない。この前の答弁、また、ただいまいただいた御答弁も、全く知りません、そういうことはありませんというような御答弁でありますけれども、アメリカはもうすでに、防衛費を分担しない場合には日本に対して円の切り上げ幅を二六%要求する、分担金に協力してくれれば円の切り上げ幅を多少考慮するという非常にきびしい態度で臨んできております。そういった意味において、沖繩国会を待たずに、防衛分担金をめぐる日米折衝は避けられない情勢である。これはこれからの問題といたしましても、いままでそういう問題が、全然日米間で話し合いがなかったということは、とうてい考えられないと私は思いますけれども、正式な申し入れでないならば、何らかの打診か何か米側から日本に対して行なわれておるのではないかと思いますが、全然ないかどうか、打診ぐらいのことはあったのではないか。この辺についてももう一度答弁の機会をむしろこちらからそちらへ与えますから、はっきりしていただきたいと思います。
  86. 橘正忠

    ○橘説明員 アメリカ側といたしましては、ただいまも国際収支にいろいろ悩んでおるところでございます。したがいまして、いろいろ向こうがそろばんをはじきまして、こういう金を負担しているとかいう考えは、向こうのそろばんの中にはあり得るかと思います。ただ、それが日本との間の話し合いということになりますと、これは別でございまして、防衛につきましては、日米間に御存じのとおり地位協定がございまして、その経費に関する支払い負担ということの原則が明定されております。したがいまして、そういう意味でもいわゆる防衛分担金というものの話は出ておりませんでございます。
  87. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは、この時点においてはいまの御答弁を信頼しておきたいと思いますが、いずれにしても防衛分担金について、現在の国際情勢から勘案して、米側から政府に要求があった、そういった場合に米国の要請をはたして受けるかどうか、それとも拒否するのかどうか、このことについては前の委員会でも実は御質問しております。そのときに、一局長の答弁する範囲ではないということで、吉野アメリカ局長からも御答弁があったわけですけれども、もうあれから小一カ月たっております。あの委員会の場ではそのように御答弁をいただいたわけですけれども、もうすでにきょうあたりは政府の見解、これはもう確認されていいではないかと思いますけれども、そういった意味で、はたしてそういう要請があったときの日本側の態度はどうあるべきか、どういうふうに態度を表明するかということを御答弁いただきたいと思います。
  88. 橘正忠

    ○橘説明員 先般アメリカ局長から御返事申し上げましたその後の情勢に変化はございませんので、ただいまもそのとおりの状況でございます。
  89. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 質問はそんなことではないので、要するに、要請を受けたと仮定して、要請があったならば、そのときにどういう態度を表明するか。非常に簡単です。
  90. 橘正忠

    ○橘説明員 まことに申しわけございませんが、ただいまそういう要請が来ておりませんので、何とも申し上げようがございません。先ほど申し上げましたとおり、事務方といたしましては、一応地位協定というものが、米軍の日本駐留に関する経費の支出負担の方法の原則をきめてあるという立場をとっております。
  91. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 もうすでにアメリカ側の、たとえばニクソン大統領の演説内容までもきょうのところはあけて、ニクソンはこういうことを言っておる。現にこれはもう公の立場で確認しておる問題です。全然ないということは、将来に対してないということは断言できない。防衛庁であるならば、あるいは外務省としても、当然そういうような要請があったときに、日本はどうすべきか、どういう態度を表明するかということは、この時点である程度の御答弁がいただけなければならない、このように思うわけですけれども、なかなか思うような答弁が返ってまいりません。新聞報道によると、分担金として米国から日本政府に六億五千万ドル、一説によれば七億ドルとも八億ドルともいわれておりますが、こんな金額をすでに要求してきておる。これは憶測ですか、どうでしょうか。
  92. 橘正忠

    ○橘説明員 ただいまお話のありましたような数字について、何か日本側に申し入れがあったというような事実はございません。
  93. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 サイミントン委員会においてジョンソン国務次官補は、日本の軍事費は六億ドルだ、このように証言しています。それから新聞報道によれば、先ほど申したような六億五千万ドル、こう言っていることから見ると、もしもこれが事実であるとすれば、日本は米国の軍事費を全額負担することになるわけですが、こんなばかな話はあり得ないと私は思います。きょうはこういう防衛分担費について、いろいろ聞きたいということをそちらにも申し上げておいたわけですけれども、何らそういったことに対する的確な答弁が得られないようです。日本が米軍の駐留費を全額負担しなければならないということになれば、その理由がどこにあるのか、なぜ負担しなければならないか。もしもこういった姿勢が政府にあるとすれば、断固私たちは反対せざるを得ない、このようにこの機会に申し上げざるを得ないわけです。もしもそういった意味で分担金を負担するならば、日本がこれを負担する理由はどこにもないと私は思います。サイミントン委員会における議事録をこの前の委員会のときにも一部読み上げましたけれども、国務次官が日本にある米軍の目的というものについて、そのときに話しておりますけれども、この米軍の目的は、日本の防衛のためではないことをはっきりと証言している。こういった意味を考え合わせますと、防衛分担金を突きつけられても負担する必要は何らないと私は思いますので、この点もう少し米国の真意というものを研究して、慎重な検討をした上で決断を下していただきたい、これを要望せざるを得ません。的確な答弁が出てこない。  これに関連して私はお聞きしますけれども、沖繩が返還されると、いま沖繩に約五万人の米国軍人が駐留している、このようにいわれていますけれども、それに対する分担金も負担するということになるかどうか、これもはっきりしていかなければならない問題です。つまり六億五千万ドルプラス沖繩分となるかどうか。私たちはもうすでにこの時点まで心配していかなければならない。そういう点でお聞きしたかったわけでありますが、ここで再び万一そのような金額を要請された場合に、沖繩との関連、すなわち六億五千万ドルプラス沖繩分ということになるのかどうか、この点に対する見解を聞いておきたいと思います。
  94. 橘正忠

    ○橘説明員 先生のお話にありましたサイミントン委員会報告には、確かに、アメリカ軍が日本に駐留しているのに伴って支出しておる経費が、五億七千二百万ドルであるということが書いてございます。ただこれは、先ほども申し上げましたように、これの分担を日本側にどうしろという話は全然出ておりません。したがいまして、本土においてもそうでございます。沖繩についてもそういう問題はただいままで全然出ておりません。
  95. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは、先ほどのコナリー米財務長官の話にちょっと逆戻りしますけれども、あのいわゆる国際金融会議の席で、日本、欧州の防衛分担金の増額を示唆したという記事が載っておりますが、これは全く否定されますか、どうですか。全然そんな事実はなかった、このようにおっしゃいますか。
  96. 橘正忠

    ○橘説明員 先ほども申し上げましたところでございますが、重ねて恐縮ですが、アメリカ側としては、何かふところがだいぶさびしくなっておりますので、いろいろのこういう金もかかるというような計算も内部でしていることはあるかと思います。しかし、いまお話のありましたようなことを、日本側に何か要求してくるというかっこうでぶつけてくるということはございません。
  97. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは総務長官に最後に一つ伺いたいのですが、その前にもう一つだけ兵器問題ですね。いま御答弁いただいたことはこの程度にしておきます。これはそれ以前に何らかの申し入れがあったかもわからない。このことはひとつペンディングにしておきまして、兵器の問題で一つだけ伺いますけれども、分担金のほかに、米国がいわゆる米国製兵器の買い取りを要求してきている、このようにいわれておりますけれども、その辺の事情はどうですか。もしこれが真実であれば、政府はどのように対処するか。第四次防との関連はどうか、この辺はどうでしょうか。御答弁はいまのところはごく簡潔なものでけっこうです。
  98. 久保卓也

    ○久保説明員 米側の内心が、米国の兵器を買ってほしいという感触があることは確かなように私どもも感じております。ところで、現在の四次防の計画の中で、米側から購入を予定しておりますものは八、九億ドルくらいの経費でありますけれども、これは一応現在国産を前提にして装備が進められているもの、そういうものを除きまして、米側からでなければ講入できないものというふうにしぼってあるわけであります。  ところで新聞でいろいろ伝えられますように、新たにもっとふやしてほしいという要望が、これは仮定でありましたけれども、かりにあるといたしましても、国内産業ですでにルートに乗っているものをやめさせて、外国から買うというのは少しおかしい。したがいまして、せいぜいこれから兵器を国産化する場合に、国産化率というのがありますが、これを上げていくというような問題は、もしいろいろな外交上の問題があれば、これは現在どおりにするということでもけっこうであるということで、かりに八、九億ドルくらいの金が予定されているとしましても、米側に協力するとしてもたいした金にはならない。つまり、せいぜい数千万ドルというような感じであります。もちろん四次防が今日の経済情勢の悪化から縮小されれば、いま申し上げた数字もだんだん減ってまいります。いずれにしましても、米側が期待するほどのものはないということであります。
  99. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 一応御意見として伺っておきます。  最後に、総務長官がそろそろ退席されるようでありますので、一つだけ伺っておきたいと思いますが、政府は、いわゆる沖繩の県民感情を無視して、自衛隊の駐留というものを意図しておられるようです。しかもこの際土地の強制収用ですね、この立法化もいわゆる県民感情というものを無視して行なおうとしている。沖繩県民というものは、御存じのとおり、二十六年間異民族の支配に非常に苦しめられ、このたびようやく施政権の返還に及んだわけですけれども、さてこのときに及んで、今度は日本政府が県民の意思を無視して自衛隊の派遣、これを強行し、あるいは土地の強制収用ですね、これを意図しているということは、県民にとってはほんとうに耐えがたいといわなければならないと思います。政府は、あくまでもこういった二つの問題を強行されるつもりか。今度は、日本政府によって沖繩県民が苦しめられることになるわけですけれども、この点についてどのように考えておられるか。強制収用のことについては、現在防衛庁と施設庁との間で検討しているようでありますけれども、このような県民感情無視の立法化には、断固反対せざるを得ないと私は思います。そういった意味で、総務長官としてどのような考えを持っておられるか、この点を最後に長官に伺って終わりたいと思います。
  100. 山中貞則

    山中国務大臣 事柄が国の基本的な問題でございますから、私の立場で、いまここで私自身の考え方を述べることは差し控えたいと思います。
  101. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは、もう時間がきましたので終了いたしますが、自衛隊の派遣の問題あるいは土地の強制収用の問題、非常に大きな問題になって発展していくことは間違いありません。そういった意味で、十分県民感情というものを入れた上で、こういったことに対する決断なり立法化というものを慎重にひとつ検討していただきたいということを要望して終わります。
  102. 床次徳二

    床次委員長 安里積千代君。  途中で大臣、退席されますから御承知おき願いたいと思います。
  103. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど中谷委員の御質問に対しまして、アメリカに提供する軍用地に対するお考えを明快にお答えになられました大臣とされましては、軍用地問題については対米交渉の中において全然タッチしていない、またタッチできない立場にあるということを一貫しておっしゃって、まいりました。その立場からいたしまして、本日の御答弁も私は筋の通った明快なる御答弁だと思いますが、問題は、防衛庁関係から、この特別立法をせずに、総理府の措置法とだき合わせでやってもらいたいという要望があったということがずいぶんと報ぜられておりました。しかも、防衛庁関係からは、この問題がスムーズに通らなければ復帰もおくれるのだといったような、われわれから見ますれば一種の脅迫的な感じも受けるようなことも述べられております。そこでお伺いしたいのは、そういう筋の通ったところのことであるにかかわらず、どうしてこれを防衛庁関係はだき合わしてやろうというような方向の考えを持っておったか。その辺の事情を承りたいと思います。
  104. 山中貞則

    山中国務大臣 防衛庁に聞いていただきます。
  105. 安里積千代

    ○安里委員 もしその点防衛庁、予定しておりませんでしたけれども、お答えがあればあとにします。  それでは大臣、一つだけお伺いしておきます。沖繩振興開発特別措置法の骨子の目的の中には、「沖繩の特殊事情にかんがみ」ということが冒頭にあります。これは基本になると思うのでありますが、この特殊事情というものをどのようにとらえてこの開発計画がなされるのであるか。
  106. 山中貞則

    山中国務大臣 本土においては、かつて沖繩がまだ戦火に巻き込まれる前、第二次大戦の最中に入っていたかと思いますが、昭和十七年ごろに沖繩振興法というものをかつての日本がつくったことがあります。それが事業計画実施に移されないで大戦に突入して、全土焦土と化して、多くの無事の住民の方が巻き添えになられた。そしてサンフランシスコ講和条約において、なお沖繩のみが残されて、翌年に奄美が復帰したといえども、今日まで日本本土一緒の生活ができなかった。憲法の基本的な庇護すらも受けることができなかった。このような環境の中で、現象心理的な問題がまず第一でありますし、環境的には社会資本、教育あるいは社会保障、諸関係の設備、そのようなものが基本的に近代国家の足取りの中で沖繩ではおくれておる、そのようなことを考えておりますので、これら一連の、沖繩に対して今日までの日本の政治の中で置かれた立場というものを、逆に沖繩側から見たらどうだという気持ちで、沖繩の特殊事情ということばにまとめたわけでございます。
  107. 安里積千代

    ○安里委員 過去の歴史的な事実、確かに一つの沖繩の特殊事情だと思います。しかし、もっと積極的に考えてみますならば、今度は、沖繩の持ついろいろ地理的な条件ということ、今後の日本の全体の立場から見た場合のことも考慮に入れての特殊事情であるか、もう一つ大きな問題は、いまの共同声明やあるいは返還協定の内容からしまするならば、依然として沖繩が軍事上の相当の基地としての利用というのが大きくあります。その基地が残るという、そういったような立場も勘案しての特殊事情というふうに考えておられるのか、その過去の事情だけが特殊事情であるのか、それだけを大臣から承りまして、あとは事務当局にお伺いしたいと思います。
  108. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、沖繩のあらゆる条件を抜きにして持っておる有利な条件、これは地理的、気候的な条件ということばで別に表現してございますから、それは大いにひとつそこを利用して、活用していくのだという思想を出しておるつもりであります。一方において、現在の基地の占めるウエート、面積の比重の問題等については、これは当然そのような特殊な政治形態の推移の中において日本の手に引き継がれるときに、沖繩開発の設計書をかく場合に、基地の存在の大きさというものが、個々の町村住民の生活あるいは未来図の設計に非常に大きな支障を来たしておる。その点については、今後もA、B、Cランクの表の格づけがかりにあるとしても、粘り強く沖繩県の未来図設計のために、本来沖繩県民の土地であったところの県民の手の及ばざる土地である基地というものの縮小、あるいは開発利用に努力を展開していくという姿勢は貫いてまいりたいと思います。
  109. 安里積千代

    ○安里委員 もう一つだけ大臣にお伺いしたいと思います。  基本的な問題ですが、この開発庁の設置、それから開発特別措置法によって予定されておりまするいろいろな事業というものは、地方自治法によりまして府県知事に与えられました職務権限とほとんど同じ、あるいは知事権限に属するところのものが相当あると見ます。そうしてこの開発計画実施にあたりましては、県知事の計画に基づいてということがありまするけれども、決定権は開発庁長官にあるという骨子でございます。としまするならば、これがこのまま実施されまするならば、地方自治法によって定められた県知事の権限というものが非常に縮小されてくる、運営の面でどうということもあるかもしれませんけれども、少なくとも形におきましてはこれと相そぐわないところのものが、抵触するというような感じを受けるわけであります。そういう点に対しまするこの構想との間の調和と申しますか、関係地方自治の精神というものを非常に阻害する面が出てきはせぬか、この点に対しまする御見解をいただきたいと思います。
  110. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、そのようなことのないように十分事前に打ち合わせをいたしておりますし、本土各県の知事ならば、国と何ら関係なく知事が専決で行なえることであるのに、沖繩の場合だけできないというようなものはほとんど私はないと思っておりますが、たとえば、国のほうで、道路を直轄で十分の一で国でやってくれという場合も、かりに形は国がやる場合ということに置きかえますと、その場合でも知事がそのことをやってほしいという申し出がない限りはしないというふうにいたしておりまして、こまかな配慮の一例でありますが、たとえば琉球政府のほうでも発電関係は民営五社と相談をされましたけれども、どうにも受け取りようがないということで、最後はいままでの主張は引っ込めるから、国のほうでめんどうを見てくれというお話でございましたけれども、やはり沖繩県側のほうの発言というものが、沖繩県のみに置かれる、かりに言うならば、沖繩電源開発会社みたいなものでありますから、それに対してどうしても声を反映させることが必要だと思いまして、まあ全額政府出資ということにしますけれども、九九・九九本土政府が出資をして、〇・〇一、金額にして百万円前後ですけれども、そういうものは沖繩県が出資したという形をとることによって、役員にも運営にも沖繩県が参加できるように、発言できるようにという配慮等もいたしておるわけであります。また、知事の計画の策定権でありますけれども、これをもとにして、またそれをきめる審議会には、知事をはじめとして、現在の立法院議長の将来なるべき県会議長あるいは市町村議会議長会の会長、あらゆる階層の方々を委員に入れますとともに、学識経験者の人選についても、沖繩現地の声を代表するような人を多く入れるということにおいて、その意見が最後まで決定に反映いたしますように、それも最終的にはそれを総理大臣というところまで持ち上げて、国の基本的な施策として決定できるように法律は変えていくつもりでございます。
  111. 安里積千代

    ○安里委員 いまの問題に対しまする地方自治法との関係につきまして、自治省のほうからおいで願った方がありましたら、自治省の側の御見解を述べていただきたいと思います。
  112. 柴田啓次

    ○柴田説明員 沖繩開発庁あるいは沖繩振興開発計画によりまして、地方自治を侵害するおそれがないかという御質問のように伺いましたけれども、ただいま大臣から御答弁がございましたように、本来、本土の府県において県知事の権限に属するようなものを、沖繩について県知事から除くという趣旨のものはほとんどございませんし、それから振興開発計画にいたしましても、知事に原案作成権を与える、その他のいろいろな措置が講じられておりまして、地方自治の本旨をそこなうようなことはないと自治省としても考えております。
  113. 安里積千代

    ○安里委員 防衛施設庁関係にお伺いしたいのですが、先ほど総務長官にお聞きいたしました問題でありますが、沖繩アメリカに提供するところの土地について、強制的な立法を予定しておられるというふうにも承っております。そして、そのことがこれまでは独立立法じゃなくして、総理府管轄の特別措置法に含めて立法をやりたいという意向もあったと報じられております。この立法に関しまする防衛庁としての基本的な考え、特に立法をするのか、あるいは先ほど総務長官がお答えになったのに反するような方向で行くのか、そういうものを法案の中に入れたいという意向がこれまであったと聞いておりますが、それはどういう事情によって独立立法を避けようとしたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  114. 島田豊

    ○島田説明員 復帰後、米側に施設、区域として提供いたします土地の使用権の取得につきましては、この委員会においてもしばしば御答弁申し上げておりますように、あくまで土地の所有者との円満な話し合い、賃貸借契約の締結ということで、いま借料を中心として鋭意交渉中でございます。したがいまして、基本的にはそういう態度でございますが、復帰時におきまして、どうしても契約が締結できないというふうな場合が予想されないではありませんので、それに対するやむを得ざる措置として、暫定的な法律をいま検討しておるというのが実情でございますので、その点は十分御理解いただきたいと思うわけでございます。  御質問の点につきましては、軍用地以外の公共用の土地等についても同様なケースが考えられるとするならば、立法技術的に考えまして、小笠原返還のときの法律の関係もございまして、一本にしたほうが望ましいのではなかろうかという見地から、いままでこの問題を考えてきたわけでございますが、ただいま山中長官のきわめて明確なる態度の表明がございましたので、そういう点についても、われわれとしても十分考慮しなければならない。ただこの問題は、国の安全にかかわるきわめて重要な問題でございますので、私どもの一存で明確に御答弁申し上げるわけにもいきませんけれども、われわれとしても、いずれにいたしましても提案ができるような準備をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  115. 安里積千代

    ○安里委員 あとで同僚の方からも質問があると思いますから、私はあまりそうたくさん触れたくはございませんが、あなたにお聞きするのはあるいは筋違いかもしれないし、また答弁を得ることができないと思いますが、この土地収用に関します立法ができない場合、これはやはり復帰そのもの、施政権返還そのものの基本問題に対して支障を来たす、こういうふうにお考えですか。
  116. 島田豊

    ○島田説明員 そのとおりに考えております。
  117. 安里積千代

    ○安里委員 そうしますならば、政務次官がこの問題について、沖繩におきまして同じような趣旨のことを述べて、そのことばの裏には復帰を求めておるところ沖繩県民からするならば、どうしても復帰をしたい、復帰したければこの法案が通らなければ、土地の提供がなければ復帰はできぬぞという意味としか沖繩県民からは受け取れない。そうすると、防衛庁とされましては、どうしてもこの法を通すことによって復帰を実現する、これが通らなければ復帰はできぬぞ、こういうような態度が、参議院における大臣の答弁からも、沖繩における政務次官の話からもうかがわれるのですが、防衛庁としては、やはりそういうような態度をもってこの問題に臨んでおるのですか。
  118. 島田豊

    ○島田説明員 政務次官の記者会見のときにおきます御発言につきまして、私、まだ政務次官お帰りになりましてから具体的にお聞きをいたしておりませんので、その点については御答弁を差し控えたいと思いますけれども、御承知のとおりに、返還協定の三条で、米側に施設、区域を提供するということに相なっておりますので、その施設、区域を提供する場合の権限の取得ということでございますので、その関係はきわめて密接な関係にあるということを申し上げておるわけでございます。
  119. 安里積千代

    ○安里委員 この問題につきましては、いま小笠原の例をおっしゃったのでありますけれども、沖繩の場合におきましては憲法上の非常に大きな疑義もある。先ほど総務長官は、自分の関係でないから自分から答弁できないと言われたのでありますけれども、純法律的に考えた場合に、皆さんでも疑問を持たれておると私は思います。沖繩特別な地域、しかも市町村によりましては七〇%、八〇%、九〇%に近い地域というものが、かりにいまの法の是非は別にいたしまして、強制的に取り上げられるということになりますと、地方自治体の中における区域の八〇%以上も、予定されるその法によって強制される場合があり得るということになりますと、しかも、それは沖繩の町村の地域みなに関係ある問題として、非常に重大性を持つのでありますが、その点に対する皆さん方としての憲法土の疑義は何らないとお考えでありますか。
  120. 島田豊

    ○島田説明員 現在、地主会連合会の方々と鋭意借料交渉を中心といたしまして話し合いを行なっておりまして、その条件いかんによりまして、私は大多数の方は契約に応じてくださるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、一〇〇%契約に応じてくださるかどうかということについては確信が得られないということで、それに対するやむを得ざる措置であるということでございますので、土地の所有権との関連における憲法上の問題、これはむしろ憲法上の問題でございますので法制局のほうの御意見がいわゆるオーソライズされたものだと思いますけれども、私どもとしましては、いわゆる土地の収用その他に関する立法もございますので、これが憲法に違反するというふうなことは考えておりません。また、先ほどの憲法九十五条との関係におきましても、これは格別問題はないというふうに考えておるわけでございます。
  121. 安里積千代

    ○安里委員 時間がありませんので、この問題はまたの機会にあれしたいと思います。  対策庁のほうにちょっとお伺いしたいと思うのでありますが、今度の開発庁設置並びに沖繩開発特別措置法、いろいろな問題が出てまいります。先ほど申しましたように、この問題の中には、自治法との関連において、沖繩の特殊事情ということで、特別な立場に立っての開発あるいは事業ということになるかと思います。このほかに、沖繩復帰に伴いまして、また沖繩の特殊事情からいろんな問題が起こって、これに応ずるいろんな法律ができると思うのでありますが、問題は、このような沖繩に関しまする特別な法律をつくるということ、これは憲法に抵触する、疑義のある点もありましょうし、そうでないところのものもありましょう。利益を与えるものもたくさんあるのでありますから、問題は、損害を与える点やいろいろな問題がありますけれども、あるいは自治法との抵触、特例をなすようなものもあると思うのでありますが、私はこういうふうに思うのですが、こういうことはお考えになったことはないでしょうか。  つまり、沖繩の特殊事情から、今度はいろいろな立法というものが出てきます。一つは、本土におきまする法にないところのものを特殊な事情から法をつくると思うのでありますが、それでありまするならば、一体沖繩復帰に伴うて、経済開発なり地方自治体の問題なりいろいろな問題を含めて、沖繩のこういう問題に対する、復帰に伴う基本的な方針というものが基本法の中に示されて、この法から生まれたところ特別措置であるといったような形でもってなされていく、沖繩の場合においても、地方自治の尊重を含めて、沖繩開発はこの基本的方向でいくんだというところの基本法を制定し、その中からいろいろの特別措置法というものが生まれていくべきじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、そういったことは別に必要ないか、あるいはなくてもいいんだというようなお考えでありましょうか、あるいは検討する余地はないか、対策庁長官にお伺いしたいと思います。
  122. 岡部秀一

    ○岡部説明員 お答えいたします。  要するに、沖繩の特殊的な状況、特性、地理的条件、天候的条件、そういうものをもとにいたしまして、そして沖繩復帰するということをスムーズにやって、そしてさらに沖繩経済の発展、民生の向上というふうなことをはかるということを土台にしているわけです。そこで、それにつきましてのいろいろな法律をつくるということになりまして、それぞれの分野があると思うんです。それぞれの分野につきましての法律をつくる、あるいはそれぞれの分野の法律をさらに通則的に踏まえて、総論的になり、あるいはおっしゃるような基本的になりという法律をつくるということは、それはできないことはないと思います。また、それをつくるということはある意義があると思いますけれども、ただし、そういう点をつくるにつきましては、その基本法的なるものが相当抽象的な面になってくるだろうと思うのです。その点で私たちは、そういうふうなものを別につくるというよりは、むしろ根本的な考え方において、現在の沖繩の諸制度等を、本土復帰するにあたってのスムーズなやり方というふうなものをまずやる必要があるんじゃないか、こういう根本的な一つの柱を立てたわけであります。それが過般来の第一次、第二次、第三次にわたるところの基本要綱というふうなもので閣議決定を得ておる。それを一つの法律にするということで、沖繩復帰に伴う臨時特例の措置法及び法律の改正、廃止というふうなもので、これで二本つくるわけです。この基本的な考え方でもって、沖繩復帰を最も円滑にやっていこうという一本の柱を立てておるわけであります。  それからさらに、それを円滑にやりました上で、ただ円滑に復帰をしたというだけじゃなくて、沖繩の過去のいろいろな格差の問題、それから今後の沖繩の発展、沖繩の潜在的に持っているところの力を発揮させるということによりまして、本土にも大きくプラスをしていくという積極面までも取り入れたところのいろいろの振興策を根本的に考えていく、こういうのが第二の柱で考えておったわけです。これが振興法でございます。  それから、その振興法を行なうにつきまして、いろいろと金融的な面での措置をしなくては、から念仏に終わるということで、沖繩振興開発金融公庫というものをつくりまして、それらの諸施策、民間諸事業の発展の金融面での裏づけをしていくという面で、金融公庫の法律を一本つくっていく。これが三本目。  そして、それらの諸事業を進めていくのに、世話役をするところ沖繩開発庁というものをつくる。機構的、人員的にそれらを終始見守りながら、各省庁との連絡をとりながら、それらの各法律に盛られた内容の施策の進展、発展というものを調整しながらそれらを進めていくための世話役ということで沖繩開発庁設置法、こういうふうな根本的な考え方で現在きておるような状況でございます。  それじゃ、それらを一括して、何か基本的なという点において法律をつくるというふうなことも、おっしゃるとおりにあるいはよろしいかとも思いますけれども、しかし、そこまでもする必要はないので、いままで申し上げましたようなその柱を太く立てて、それを根本的な、むしろおっしゃるような基本的な立場というものにおいて進めていったほうが最も具体的である、こういう考え方を持っておるような次第でございます。
  123. 安里積千代

    ○安里委員 いままでの対策庁のお考え方はすでに承っておることでございますが、私は、「沖繩の特殊事情にかんがみ」というその特殊事情の中にはいろいろあると思うのです。軍事基地の問題もございましょうし、長い間アメリカの施政権下にある格差是正の問題、おくれた点もございましょうし、今後の沖繩開発に対する沖繩の地理的条件からくる将来のピジョンもありましょう。そういった目前の経過的な措置を講ずるとともに、将来に向かってのいろいろな構想、あるいはまた特別措置をとらなければならぬそういう基本的な問題に対しては、基本方向、基本精神というものを法にあらわすということ、やはり私はそこからいろいろないまのような法も生まれてくるという立場が正しいのじゃないか。そうすれば、沖繩の向こうべき基本的な方向というものが一見してわかるのじゃないか、また、それが合法的じゃないか、こういうふうに思うからお聞きしたわけであります。  そこで、もう最後に一つだけお聞きして終わりたいと思います。  この開発に対していろいろ問題がありますが、私は、この中においては沖繩の土地の問題、陸上の問題というものは相当詳しく載ります。非常に軽視されると思いますのは、沖繩の地理的条件からしまする漁業、水産業の振興あるいはその将来といったようなものに対しまする基本的な問題というものがどうも薄いかと思います。そこで、この間の八重山台風によりまして、本土の漁船が八重山で遭難して生霊を失っているという事情もあります。あらゆる施設、避難港もないというふうなこと、将来の沖繩の位置を利用しまする水産業の振興、あらゆる面のおくれというものがあります。こういう沖繩開発振興に対する水産当局の基本的な方向づけというお考えがありましたならば最後にそれを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  124. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 沖繩の現在の水産業の基本方針につきましては、現在水産業が非常に立ちおくれておりますのにかんがみまして、現在琉球政府が作成しております長期経済開発計画に留意しながら、まず漁業者の所得の向上をはかりまして、内地の漁業者の所得との格差をなくするということが第一。  もう一つの点は、島内の需要に即応いたしました生産を行ない得るようにするということを目途にいたしまして、漁港等の漁業生産基盤の拡充強化、それから沿岸漁業の近代化、系統組織——組合組織でございますが、組合組織の強化、試験研究体制の整備等を行ないまして、先ほど申しました二本の柱に追いつきたいというふうに考えております。
  125. 床次徳二

  126. 國場幸昌

    國場委員 復帰も間近に迫ってまいりまして、復帰しますと自衛隊の配備がなされるということになっておりますが、沖繩の一般住民の感情としまして、長年のアメリカの基地として逼塞する中で軍基地を置く——防衛庁の施設は軍とは言いませんが、悪い面ばかりがいままでの二十六年間、ずいぶんそれに対しての感情があり、よき面に対しては全然これが表には出てきておらない。ましてや今度自衛隊が配備されるということになると、一部の方々はこれは反対だ、こういうようなことでやっておりますが、私は、この自衛隊の配備につきまして、自衛力は必要だということを絶対堅持するものであります。  そこで、このたび自衛隊が配置されますと、日本本土におきましては基地周辺に対してのいわゆる整備等に関する法律がございますが、やはり今後立ちおくれたところ沖繩の基地周辺に対しては、あらゆる面において恩恵を——その整備が立ちおくれておるというのも御案内のとおりでございますが、今度自衛隊が入りますと、日本法に従い、やはり基地周辺に対しての整備というものをひとしくその周辺の人は期待しているわけでございます。でありますから、来年復帰するということになると直ちに配備がなされるので、今後いかような基地周辺に対しての整備計画をお持ちであるか。また、その予算に対してはどういうような計画でどれだけの予算計画されておるか、その点をお伺いしたいわけでございます。長官、お願いします。
  127. 島田豊

    ○島田説明員 本土におきましては御指摘のとおりに、防衛施設周辺の整備等に関する法律を適用いたしまして、基地の運営から生じます各種の障害を防止、軽減をする。そして生活の安定あるいは福祉の向上に寄与するという基本的な考え方で、周辺整備対策事業を推進してまいっておるわけでございます。  その整備の内容につきましては、障害防止の関係あるいは騒音防止あるいは道路の改修あるいは民生安定、助成あるいは安全措置、施設周辺の関係の補償、こういういろんな事業を進めてまいっておりますが、本土の場合におきましてはこういう事業が毎年累積をせられまして、周辺の整備がかなり進んでまいっておるわけでございます。この点に関しましては、沖繩の場合は非常に立ちおくれがございまして、本土との間に大きな格差がございますので、来年度の予算におきまして、私どもとしましてはただいま申しましたような各種の事業を強力に推進していきたい。ただ、来年度は、復帰後のいろんな現地からの御要望等もございましょうし、またわれわれのほうの説明も不足しているという点もございまして、来年度はまだ調査をする段階でございますが、しかしながら緊急に必要な各種の事業につきましては、できるだけの予算を計上してまいりたい。来年度の予算としまして、借料額はまだきまっておりませんけれども、それ以外の各種の事業は、従業員の対策を含めまして、基地対策としまして約四十四億円くらいを要求したいということで、いま準備を進めておるわけでございます。
  128. 國場幸昌

    國場委員 沖繩の市町村財政というものはなかなか窮屈でございます。ましてや基地に隣接する市町村は、爆音あるいは基地公害、油の漏れとか、いろいろの面に被害を受けてきておるわけでございます。いわゆるこの整備法に従う条件としまして、基地周辺が今日までこうむったところの汚名の挽回のためにも、日本の自衛隊というのはこういうものであるということを県民に納得せしむるには、やはり終戦後二十六カ年間基地に苦しんできたわけでございますので、それに対するところの報いとしましても、日本法より以上なる施策を講ずるということでなくてはいけないと思います。  そこで、この基地周辺に対する整備法の内容をよく見ますと、補助率とかそういうものに対しても、十分の五だとかあるいはまた六割だとか八割だとか、こういうことがあるわけでございますが、施設庁としまして日本本土並みに補助額をするつもりでございますか、またそういうような施設をするものに、これに限定されたところのワク内においてやられるものであるかどうか。特別措置としていまさっきも申し上げましたとおり、補助額そのものが五割とかあるいは六割とかそういうことでは、せっかくの施設庁、防衛庁の恩恵も、それに耐え得るだけの費用を地元ではとうてい負担することはできない。でありますので、その点に対してでも特別なる配慮のお考えをお持ちであるか、その点に対してのお答えをお願いします。
  129. 島田豊

    ○島田説明員 沖繩に周辺整備法を適用するにあたりましては、御指摘のように、各市町村に対する補助金がその大部分をなすものでございますので、一定の補助率というものが本土の場合にございますけれども、沖繩の場合、市町村の財政基盤が非常に脆弱であるということにかんがみまして、補助の対象を、本土の場合におきましては市町村ということになっておりますけれども、沖繩県にも補助できるようなことを考えたい。さらにまた、補助率につきましても、従来、周辺整備法の補助率は、一般の各省の補助率も一段と高くしてございますけれども、さらに本土に比べまして沖繩の場合には補助率を引き上げるということを考えまして、現在大蔵当局とも折衝中でございます。
  130. 國場幸昌

    國場委員 飛行場周辺というのは、もちろん防音装置、それからその他に対しても特別なる整備をしなければいけないということも存じてございますが、沖繩の基地というのは、御承知のとおり、基地の中に沖繩があるというようなことまでもいわれておる密度の高い沖繩でございますので、その適用地域、指定区域の指定というのがございますが、その指定区域はどこどこをどういう——飛行場の周辺だけであるか、あるいはまた各部隊——飛行場と申しましても、中南部へいきますと、距離的においても、那覇の飛行場あり、あるいは普天間の飛行場あり、あるいは嘉手納があり、あるいは読谷がある。こういうことになりますと、中部以南、北部にいたしましても、特別なる規模のある基地でございますので、ジェット機が飛び上がりますと、あの北部の金武、嘉手納からは約十二、三キロくらい離れておるでしょうが、その地域において旋回するわけなんです。でありますから、その旋回空域というのはものすごい、嘉手納基地と何ら変わりのないような爆音とかあるいはその他の——そこにはまたマリーンの部隊もありまして、いろいろ基地公害に悩まされておるわけですが、防衛施設庁としましては、どの範囲内において整備地域としての指定を考えておられるか、それに対しての御答弁をお願いします。
  131. 島田豊

    ○島田説明員 周辺整備対策事業としましては、先ほど申しましたような各種の事業を実施し、またそれを推進してまいっておりますが、たとえば障害防止でありますれば、演習場を米軍なり自衛隊が使用する、それに伴いまして演習場が荒廃いたしまして、そこから生ずる、たとえば渇水でありますとか、温水でありますとか、そういうことが出てまいりますので、それに対しましては、河川の改修をやるあるいは砂防ダムをつくるというふうなことで、現実に起こります障害を防止するということでございます。  それから騒音防止事業につきましては、御指摘のように、騒音対策として、学校その他の公共施設につきまして一定の防音工事を施しまして、それにより騒音の被害を軽減するということをやっております。それ以外にも、道路が荒廃します場合の道路の改修でありますとか、あるいは一定の地域に非常に騒音が高い場合におきましては、そこにおきますところ住宅を集団的に移転をするとか、あるいは民生安定関係では、各種措置を講じまして、生活の安定なりあるいは事業活動が阻害されないようにするとか、いろいろな各種措置を行なっておるわけでございます。また防音工事におきましては、これは本土の場合におきましては、騒音の頻度あるいは騒音の度合い、そういうものを十分調査いたしまして、そこで一定の区域を限りましてそれに対する対策を講じております。沖繩の場合におきましては、そういう面でいろいろ特殊なこともございますので、その運用の面におきましてそういう障害が除去されるように、あるいは軽減されるように十分配慮してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  132. 國場幸昌

    國場委員 この法律を見ますと、対象となるものがたくさん、範囲は広くこれにうたわれておるわけです。生活保護法の適用を受けるものとか、あるいは児童福祉法の適用を受けるものとか、あるいは医療法の適用を受けるものとか、あるいは老人福祉法とか、いろいろございますが、どの項目を見ましても、やはり全部必要である。こういうようなことを考えるわけなんです。  そこで、いまさっきも申し上げましたとおり、飛行場を立体にするというようなことでございますが、地域そのものの設定において、飛行機の爆音そのものももちろんではございますが、各部隊がございまして、この部隊に隣接するところの市町村、そういう地域または演習地、そこは入り会い権の問題でいまもんでおりますが、いままで、北部でありますと、ほとんどがゲリラ戦の演習場に化してしまっておる。こういう隣接する市町村に対しても、いまさっきの整備地域に包含させるようなお考えは持っておりませんかどうか、その点に対して御意見を承りたいと思います。
  133. 島田豊

    ○島田説明員 それぞれの事業の性質に応じまして、適用区域もおのずから異なってまいりますけれども、これは飛行場に限らず、各種の演習場もございますし、兵舎、隊舎もございますし、弾薬庫もございますし、いろいろなそういう施設がございますので、その施設を運営する上において生ずる各種の障害を防止する、あるいはその周辺の住民の方々の民生安定事業を施す。たとえば民生安定の事業でありますれば、道路の補修でありますとか、あるいは水道施設を整備するとか、あるいはし尿処理施設あるいはごみ処理施設を設置するとか、あるいは消防施設を補助するとか、その他農業用施設あるいは林業用施設、漁業用施設、こういう各種の施設について、一定の補助をするということでございますので、これは当然、基地がございましてその基地があることによってその周辺に現実に生じます障害を除去するということのほかに、その基地の存在そのものが、いろいろその周辺の住民に迷惑を及ぼしておるという場合におきまして、その民生安定のための各種の助成をするということでございますので、これは米軍なり自衛隊の各施設につきまして、その周辺を対象としてこの事業を行なう、こういうたてまえでございます。
  134. 國場幸昌

    國場委員 時間をずいぶん請求されておりますので、要望をお願いいたしまして持ち時間を終わりたいと思います。  御承知のとおり、自衛隊が入りますと、やはりアメリカの駐留しておる米軍とは違うのだ、われわれ母国は母国としての、いわゆるいくさをする軍人ではなくして、自分の国を守るための、平和を招く自衛隊であるのだ、この印象を抱かすためには、いまさっきも申し上げましたとおり、民生の安定、それに対しては十分ひとつ御配慮をいただきまして、二十六年間にわたるところの基地の中の沖繩、その住民の感情が、自衛隊というのはやはりよかった、いいんだ。そうして理解あるもとに、健全なる私どもの日本が、堅実に東洋において今後ますます発展し、自主防衛に対しても厳然としたところの自衛隊であるということをひとつ心からお願いし、また今後沖繩に配備される自衛隊に対しても、尊敬の意をもって歓迎されるような雰囲気をつくるためには、いまさっきも申し上げましたとおり、法のワク内だけでなくして特別なる御配慮をしていただきたいことを希望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  135. 床次徳二

  136. 中谷鉄也

    中谷委員 先ほど山中総務長官に一言だけ質問をいたしました。軍用地問題というのが今度の沖繩国会における大きな焦点になるということは、かねてから本委員会においても私は同僚委員とともに発言をしてまいりました。去る三月の通常国会においても、この問題について各大臣にお尋ねをいたしました。そこで、先ほど総務長官のほうから答弁がありました、要するに軍用地を引き続き使用するというふうな法律が許されるのかどうか、合法なのかどうかという根本問題がまず前提としてあります。憲法上の問題があります。そういうふうなことの前提、根本問題については、臨時国会において文字どおり相当掘り下げて論議されることになろうかと思いますが、施設庁長官に一点だけお尋ねをいたします。  暫定措置法という民生の安定、経済の発展などの他の法律の中の一つの条文としてまとめたものの中に、引き続き軍用地を使用するという条項を入れるという考え方は、総理府においてはそういうふうな考え方はとらないということ、施設庁長官の御答弁は、立法技術上の問題として、かりに立法するとするならば、それは単独立法ではなしに暫定措置法——総理府が考えている暫定措置法の中に立法技術上の問題として入れらるべきだというふうな、そういう趣旨の御答弁があったと承りました。かりにそのような法律をつくらなければならない場合に、単独立法か一括法かという場合に、一括法という考え方は立法技術上の問題という一点に限る、こういうふうにお聞きしてよろしいかどうか、長官の御答弁を承りたい。
  137. 島田豊

    ○島田説明員 軍用地の使用権の取得以外に、公共用地について同様のケースがありとするならば、小笠原の返還のときの暫定措置法の例もこれあり、一本にしたほうが望ましいのではないかという考え方でございます。
  138. 中谷鉄也

    中谷委員 かつて先例がある、したがって望ましいのではないかというのは、あくまで立法技術上の問題である、そう先ほど答弁されたので念を押しているわけですが、そういうふうにお聞きしてよろしいのですね。
  139. 島田豊

    ○島田説明員 いろいろな議論があると思いますけれども、同様のケースがあるとするならば、同様のケースは一本の条文でまとめたほうがよろしい、こういう考え方でございます。
  140. 中谷鉄也

    中谷委員 立法技術上の問題だとおっしゃるのですね。
  141. 島田豊

    ○島田説明員 そのとおりでございます。
  142. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、対策庁長官にお尋ねをいたします。  先ほど、要するに国内法的な措置としての暫定措置法、それと安保条約サイドの暫定的な軍用地問題についての法律、これは大体目的が違う。そうして、しかもそれについては、総理府が責任を持ちようがないというのが私は大臣の答弁であったと思うのです。立法技術上の問題ということであるならば、こういうふうな法律がつくられることの可否、あるいはまたそういう法律が許容されるのかどうかという憲法上、法律上の問題、その前提があります。これも私は、そういう法律がはたして許されるかどうかという問題は、臨時国会の中で大いに議論さるべきことだと思うけれども、施設庁長官がおっしゃっているような、立法技術上の問題で一括法の中に入れてもらいたいという、その理由がそのことだけにとどまるならもう非常に問題は簡単であって、そういう立法技術上の問題なら、むしろ前提としてのサイドが違うわけだから、これはもしそういうものが許されるならば、法律的にそういうふうな法律が憲法違反でないならば——私は憲法違反だと思っているのですが、結局一括法にするというふうな防衛庁の意向というものは、非常に根拠薄弱であるといわざるを得ないと私は思うのです。対策庁の御見解を承りたい。
  143. 岡部秀一

    ○岡部説明員 対策庁のほうの考え方といたしましては、先ほど大臣が申し上げましたようなむしろ実質的な問題、それがもとになっておりますので、別なほうがいいのじゃなかろうかという見解を持っておる次第でございます。
  144. 中谷鉄也

    中谷委員 立法技術上の問題、法律のていさいなどというのは、先ほどから施設庁長官御自身が答弁されたように、憲法上の疑義がないのかということについて、それは法制局に聞いてくれという話があったくらいなんだから、だとするならば、実質上の食い違いがあるなら、もはや施設庁長官としても、そんな法律をどうしてもあなたの立場でつくらなければならないというならば、単独立法でもいいということになりますね。一括法にしなければならない理由というのは立法技術上の問題、言うてみれば法律のていさいの問題だけだということになれば、これは単独立法だということであっても、法律のていさいにはこだわらないというふうにお伺いしてよろしいのですね。むしろ先ほど大臣が答えたようなことでもけっこうだというふうにお伺いしてよろしいかどうか。
  145. 島田豊

    ○島田説明員 これは軍用地問題のみならず、たとえば道路の問題あるいは飛行場の問題、いわゆる公共用の土地の取得に関する問題があるのではないかというふうに推測いたしますので、そういうものがいわゆる一括の法律とおっしゃいますのは、おそらく総理府でまとめる一括の法律だと思いますけれども、それがそちらの中に繰り込まれるならば軍用地も同じ性質のものである。したがって、一括法の中に入れてもしかるべきではないかというふうな考え方でございました。
  146. 中谷鉄也

    中谷委員 ございましたという過去形のことばをお使いになりましたね。どうもしかし、大臣のほうの見解が非常に明快である。したがって、そういうようには思っておったけれども、今日の段階においては一括はあきらめた。とにかくそういう法律が法律上許されるならば、そしてそれをどうしてもつくりたいというなら、単独でいきますというふうにお伺いしてよろしいのでしょうか。要するにあなたの口から、施設庁長官の口から他の公共用地の問題についての講釈を承るためにお聞きしているのではないのです。あなたの守備範囲の問題をお聞きしているわけだ。そうでございますね。それは実質的に違うんだ、こういうふうに言っているわけです。そしてあなたの意見は、一括か単独かということについては、単にそれは法律技術上のていさいの問題なんです、立法技術上の問題なんですということですから、それなら単独で、総理府がそれを拒否しているんだから、もうこの段階においては、それならそれで単独でやむを得ませんということでいいのではないでしょうか。あくまでやはり一括ということを希望されているのですかどうか。あなた自身は法制局じゃないのだから、法律のていさいのことまで考える必要はないのじゃないでしょうか。
  147. 島田豊

    ○島田説明員 先ほど総務長官から非常に明確な御答弁がございまして、ただ私は、安里先生の御質問にもお答え申し上げましたように、これは防衛庁全体と申しますか、あるいは政府全体と申しますかという問題にかかわることでもありますので、私の一存でここで、単独立法を推すということを申し上げるわけにはいかないということをお断わりをいたしたわけでございます。私どもとしましては、依然としてやはり一括していただくということを希望いたしておりますが、これは今後の政府部内の方針の問題、こういうことになろうかと思います。
  148. 中谷鉄也

    中谷委員 単独か一括かということは、法律技術上のていさいの問題であるということなら、実質的に変わりはないということとしてお聞きしてよろしいのですね。
  149. 島田豊

    ○島田説明員 法案の内容自体の問題は当然明確に規定をせらるべきものであるというふうに考えますので、それはいずれになりましても、その趣旨がそれによって変更されるというべき性質のものではなかろうというふうに考えます。
  150. 中谷鉄也

    中谷委員 かなり法律技術上の問題だというふうにおっしゃったけれども、総理府は単独、そうして施設庁のほうは、私のことばでは一括、まあ臨時国会での問題になりますから……。施設庁長官が一括だと言われるのは、単に技術上の問題ではなしに、それ以上の思惑と意図とをお持ちになっている。(安井委員国会技術上じゃないかな」と呼ぶ)なるほど。国会対策上の思惑をもお持ちになっているということはわかりましたが、これはこの程度にしておいて、いずれにいたしましても施設庁と総理府、総理府の答弁のほうがより合理的であり、より明快である。あなたのほうの答弁というのは、法律技術上という、お答えとしてはなぜ一括にこだわるのか非常に根拠薄弱なことであったけれども、両者の食い違いだけは明確になりました。  そこで、ひとつお尋ねをしておきたいと思いますけれども、先ほどから公共ということばが盛んに出てくるわけです。日米安保条約によって、軍用地を引き続き使用をするというものについて土地の暫定措置法をかぶせていく。そしてその後、安保条約による特別措置法による収用問題というのが出てくる、こういうふうな道行きになる場合が想定される。それにはそういう法律が許されるかどうかという憲法上の問題がありますが、ひとつ、臨時国会までに私も準備をしたいから、念のためにお聞きをしておきますけれども、米軍が使用しておったところの軍用地が返還されて、それを自衛隊が使用するという場合ですね、そういう場合も施設庁は、暫定措置法による土地契約を経ないで、土地を使用するという対象にされることを考えているのかどうか。こうなってくると、これはもうとにかく全く新しい事態ですね。安保条約のもとにおける土地の特別措置法だとかいう問題とはこれは全然別の問題ですが、念のためにお聞きをしておきます。少し雑なことばを使いますけれども、有無を言わさず、米軍が使用しておった土地が返還されて自衛隊が使う。その場合も、かりに契約ができなかった場合に、そのつくろうとする法律をかぶせる適用の対象にするなどということを考えておられるのかどうか。公共という名で、国の防衛という名で、安全を守るという名でそんなことを考えておられるのかどうか。一体期間は何年かとか、不服申し立てのやり方はどうかとか、こまかいことは聞きません。そんなことについては臨時国会で十分やらしていただくけれども、これは私は目下できないことだ。一点だけお聞きしておきたい。誠心誠意な話はもういいですよ。
  151. 島田豊

    ○島田説明員 自衛隊が使用いたします土地につきましては、私は大部分の方々はこれに合意をしてくださると思いますけれども、やはり米軍の基地の場合と同じように、一部合意に達しないという場合があることが考えられますので、いま自衛隊の使用する土地についても、暫定的な立法が必要ではなかろうかというふうな形におきまして、検討いたしておるところでございます。
  152. 中谷鉄也

    中谷委員 検討をされて、憲法上の問題は法制局に聞いてほしい。憲法上の問題についての検討はしておられるのでしょうか、あなた御自身。
  153. 島田豊

    ○島田説明員 憲法論議になりますので非常にむずかしくなりますが、私のほうとしても、当然その問題は検討いたしております。
  154. 中谷鉄也

    中谷委員 東海道新幹線、山陽新幹線、産業道路、区画整理、公共の用に供される、だれかが公共の用にものを使っておった、国がその土地が要らなくなった、そして、それを今度は地方公共団体が地主に有無を言わさず使う、そんなことが憲法のもとで許されていいはずもないし、あり得るとも思えない。米軍が使っておった土地を引き続き使うということ、そういうことについての暫定措置法をかぶせてくるということもたいへんな問題。一ぺんとにかく返還されたものを自衛隊が使うからといって、それをとにかく契約なしに使えるなどというふうなことが憲法上許されるのかどうか。許されるはずがない。憲法上の検討をされたというので、ひとつ念のために、臨時国会の準備のためにお聞きしておきますけれども、憲法上一体それはどんな理屈になるのですか、少し簡単にお聞きをしておきたいと思います。
  155. 島田豊

    ○島田説明員 これは国の防衛あるいは国の安全に関するきわめて基本的な問題でございます。自衛隊が現地に配備されますのは、沖繩が施政権が返還になって、その沖繩を防衛するための必要な措置でございます。したがいまして、これは国の安全に関するきわめて大事な、いわゆる公用と申しますか、そういう目的をもって土地を使用するわけでございますので、防衛の引き継ぎと申しますか、本土防衛に関する限り、自衛隊がその任務を引き継ぐと申しますか、そういう形になりますので、これはやはりその間に空白があってはならない。したがいまして、そういう防衛の必要からしまして、これは暫定措置ということも、やむを得ざる措置でございますけれども、これも認められる、こういうふうな考え方でございます。
  156. 中谷鉄也

    中谷委員 まさに問題点を浮き彫りにされまして、何ら論理も理論もお話しにはならなかったけれども、国の安全ということの名においてそういうことができるかどうかについては、これはおそらく臨時国会において憲法学者、民法学者、これらの人たちに参考人としておいでいただいて、問題が掘り下げられるべき問題だと思いますけれども、平和に生活しておる人間が気にいらぬからといって、それが世の中のためにならぬ人間だからといって、裁判もせずに刑務所にほうり込むことができるかどうか、できるはずがない。それと同じようなことをおやりになろうとしている問題点と、おつくりになろうとしている法律の危険性だけは指摘をしておいて、そんなものは絶対に承知することができない。だれが考えたって、憲法に違反するようなものが許されるはずがないということだけは申し上げておきたいと思います。  質問を別の質問に変えたいと思います。一点だけですが、復元補償の問題ですが、新聞に報道された問題なんです。基地復元補償の放棄を、新聞報道によりますと、米軍が一方的に要求をしてきた。要するに、復元補償を放棄するなら土地はなるべく早く返しますよ、復元補償を維持する以上は土地の返還は待ってくださいよ、おそくなりますよ、こういうふうなことですね。それは結局、復元補償というもののあり方、それからそういうふうに住民の早く返還をされたいという——Cリスト、C表の十七番目の久場サイトの問題ですけれども、復元補償に関連して、米軍のほうから復元補償の放棄が要求されるというようなこと、これは私非常に危険な、また禍根を残す問題を生ずるおそれが十分にあると思うのです。先ほどからこの点については、外務省、それから対策庁にこの問題についての評価、考え方を御検討いただいております。まず外務省のほうから、私、こういうことが行なわれることは好ましくないという前提で質問いたしますが、お答えいただきたい。もう時間もないようですから、対策庁長官のほうからもこの問題についての見方、考え方を御答弁をいただきたい。それで私はもう質問を終わりたいと思います。
  157. 橘正忠

    ○橘説明員 いまのお尋ねは久場サイトの件と承知いたします。一部の新聞に報道されましたので、現地について実情を聞いてみました。その結果、問題の土地については、アメリカ軍の側から、復元補償というものをもし要求する気がないのであれば、すぐ早い時期に返還ができるであろう、もしそういう要求をする希望があるのであれば、いろいろ経費とか、上の建物のようなものをどうやって処分するかというようなことを検討せねばならぬので、返還する時点が少しおくれるかもしれぬ、こういうことをその土地の方に話したのは事実のようでございます。何ぶん土地を返す場合には、上に建物がございますと、それをどういうふうに復元するかというようなことがございます。当事者の間でも下相談ということもあり得ようかとは思います。ただそれが、返還を急がせる、早く返還してもらいたいという気持ちをてこにして責め立てるというようなかっこうであれば、はなはだ望ましくないかっこうと思いますが、その点は、この件については、当事者のきわめて初期の下相談の段階であって、あるいは誤解もあったか、米側もそういう話は打ち切ったと承知しております。
  158. 岡部秀一

    ○岡部説明員 対策庁の問題ではないと思いますけれども、感触だけを申し上げますと、こういうことはよくある話し合いということだと思うんですけれども、それは十分に話し合いというところに重点を置くべきで、一方的に押しつけるというふうな態度があってはいけないのじゃなかろうかと思います。
  159. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  160. 床次徳二

    床次委員長 安井君。
  161. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっと簡単に二点だけ伺っておきたいと思いますが、まず沖繩関係予算の問題なんです。これはさっき大臣がおられ、そしてまた大蔵省のほうからもおいでいただいているうちにやろうと思っていたら、例のさっきの問題が長くなって時間がなくなったのですが、岡部長官から、どんなことになっているかだけお答えをいただきたいと思うんですが、今度の臨時国会に、政府補正予算をお出しになるつもりで作業を進めておられるわけですが、その中に沖繩関係については干害台風対策だとか、それから今度のドル対策だとか、復帰準備に関連するいろいろな問題だとか、そういうのがあるのではないかと思います。当初予算見通しがつかなかった問題もあるのではないかと思いますが、どういうふうな態度で補正予算の要求をしておられるか。  それからもう一つは、明年度の沖繩関係予算は、政府としてどういうふうな取り組みをするおつもりなのか。もうその段階では対策庁という形ではないかとも思うわけでありますが、お答えができましたら、ひとつ本年度の補正予算の問題と、それから明年度の問題をお答えいただきたいと思います。
  162. 岡部秀一

    ○岡部説明員 補正予算につきましては、先ほど大臣からもちょっと触れたと思いますけれども、干ばつ対策事業に重点を注いでいきたいと思っておりまして、用水施設あるいは貯水池、頭首工等の実施や設計、貯水池の建設等、そういう面での実際の施設あるいは調査費という点に力を注いでいきたいと思っております。  なお、さらに長期的な対策の問題といたしまして、それぞれの離島に水の施設を完備させるための水道関係の布設調査費等、まず干ばつ関係に力を注いでいきたいと思っておりますような次第でございます。  そのほかに、復帰にあたりまして、とりあえず早急に準備をしておかねばならないというふうな問題も二、三ございますので、そういう点も織り込んでまいりたいと思っております。  また台風関係の問題につきましては、まだ琉球政府のほうから詳しい要求等、状況等もありませんので、それらは十分考えながら、いろいろ考えてまいりたいと思っておりますような次第でございますが、最終的な固めはまだできておりませんで、一応まとまったところ関係の方面と話を進めておるという状況でございます。  来年度の予算につきましては、復帰第一年の、沖繩県の初年度の予算でございますが、これにつきましては、沖繩振興開発特別措置法に基づくところ振興計画を中心といたしまして、復帰及びそれに続く振興の諸施策をなるたけ手厚く織り込んでいきたいと思っておりますような次第でございまして、目下関係各省等といろいろと意見の調整等をいたしております次第で、まだ完全に固まってはおらないような状態ですが、早急に取りまとめをいたしてまいりたいと思っております。
  163. 安井吉典

    ○安井委員 来年の予算についても対策庁のほうでまとめて要求する、こういう仕組みですか。
  164. 岡部秀一

    ○岡部説明員 今後の沖繩予算につきましては、やり方につきまして、大体いまのところ、まだ最終決定ではございませんが、こういう考え方をいたしております。  対策庁で一括計上する予算というものを考えております。これは公共事業が主でございます。公共事業が主になりますところ予算並びに沖繩の特殊事情に基づくところの諸事業、これを対策予算に一括して計上をいたしてまいりたい。そうしてそれが予算になりましたあとでは、それをそれぞれの担当の各省で実施をしていくことにいたしていきたいと思っております。  それからもう一つ、振興計画の内容をなすところの諸施策、これは先ほどの公共事業をはじめ各種の諸施策があるわけですが、公共事業に関するものと特殊的事業に関するものは、対策庁で一括計上いたしましてそれぞれの省に還元をいたしますが、その他のものでの諸施策につきまして重要な問題につきましては、開発庁の長官がそれぞれ各省にいろいろとお願いをいたしまして、この経費は重要であるからぜひひとつ盛ってもらいたい、あるいは額を増してもらいたい、こういうふうな点での見積もりの調整をするという考え方が一つでございます。  それからそのほかの問題で、たとえば義務的経費等の問題等は、これはどこへ計上しても同じ予算になる問題でございますので、それは各省でもってやっていただく、大体沖繩関係予算はそういうやり方で今後やっていこうじゃないかという方針で現在進んでおりますような状況でございます。
  165. 安井吉典

    ○安井委員 来年のやつはまたあとの基本的な問題としてのお尋ね等をしてまいりたいと思いますけれども、ことしの当面の対策の中で、本土でもいわゆるドルショックで不況ムードにあることへの積極的な対策措置が行なわれているわけです。事情は若干違うかもしれませんけれども、そういう側面から、本土での不況対策ドルショック対策、それの延長としての沖繩への対策予算というような考え方はないのですか。
  166. 岡部秀一

    ○岡部説明員 ドルの問題につきましては、元来山中、長官からお答えいたしておりますような点に重点を注いで、それの結果をまつという考え方で進んでおります。
  167. 安井吉典

    ○安井委員 ドルの交換の問題はさっきお話があったのだが、それに基づく沖繩の産業その他への影響ですね、そういうようなものもあるのではないかというのが私の質問の要点なんですが、それはどうなんですか。
  168. 岡部秀一

    ○岡部説明員 今度の補正予算につきましては、その点がまだ確実な施策の打ち出しというところまでいっておらないような状況でございますけれども、しかしそれにつきましては、十分に現在の状況といろいろな諸結果を見まして考えたいという心がまえを持っております。
  169. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つの質問点は、地方公務員法の関係ですが、今度の復帰によって、国家公務員法に当たる法律は沖繩にありますけれども、地方公務員法というのは全く沖繩にはないわけですね。それによって、本土復帰の場合の地方公務員の権利関係がどうなるかということについてずいぶん疑問が持たれているようでございます。基本的な考え方は復帰対策要綱にもあるようですが、きょうは自治省からもおいでをいただいておりますが、そっくりそのまま直ちに適用ということにはおそらくなるまいと思うのですが、暫定措置やその他復帰対策の基本的な考え方、それをまずひとつ伺いたいと思います。
  170. 林忠雄

    ○林説明員 基本的な考え方としては、復帰と即時に地方公務員法を適用いたしまして、わが本土の公務員体系に入っていただくつもりでおります。
  171. 安井吉典

    ○安井委員 暫定措置も全く置かずに、復帰の当日からストレートに適用する、こういう考え方ですか。
  172. 林忠雄

    ○林説明員 たとえば職員団体の規定等につきましては、復帰点から新しい職員団体に切りかえるまでにいろいろな手続が要るということで、そういうものについては復帰後一定期間、現在ある職員団体を国家公務員法あるいは地方公務員法上の職員団体とみなすというふうな経過措置は講ずるつもりでおります。その他技術的に必要な経過措置というのはいろいろ考えておりますけれども、基本的な考え方としては、わが国の公務員体系に早く入っていただく、こういう考え方で関係各省と現在相談を進めております。
  173. 安井吉典

    ○安井委員 いままで向こうの公務員の団体と——公務員の団体といっても労働組合法による団体で今日まであるわけですが、それと当局側とにさまざまな協約や協定やあるいは慣行もあるのではないかと思います。そういうようなものは復帰後も当然引き継がれなければならぬと思うのですが、どうですか。
  174. 林忠雄

    ○林説明員 その協約や協定やあるいは慣行というようなものが、本土の公務員体系に照らしまして認められるものである場合は、当然尊重されると思いますけれども、本土の公務員体系上問題点のあるものについては、やはりそこで問題を生ずると思います。そこで、そういうものについてのいろいろな経過措置その他は検討をしております。
  175. 安井吉典

    ○安井委員 これは地方公務員だけじゃありませんけれども、対策庁のほうかもしれませんが、琉球政府と官公労との身分や賃金等に関する協定書などもあるわけですね。そういうようなものは、やはりきちっとした形で結ばれたものですから、政府としては尊重するという基本的な考え方ではないかと思うのですが、これは国家公務員と地方公務員の両方にまたがるわけですか、それについての検討の結果はどうなっていますか。
  176. 岡部秀一

    ○岡部説明員 私たちのほうでいまやっておりますところは制度の面、そういう面でやっておりますので、個々的に両者でいろいろ取りきめをしておるという点にまではタッチをいたしておりません状況です。
  177. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、きょうは基本的な問題だけにとどめて終わりたいと思いますが、先ほど自治省のほうからも、職員団体の存在等については一定期間の経過措置を置こうというお考えだというようにも伺うわけでありますが、やはりいままでの法律の中における使用者対労働者という一つの体制があって、その中で合法的に処理されてきたというふうな権利関係、そういうようなものは最大限尊重するという立場を貫くべきだということ。それからまた、職員団体の仕組みについても、全く基礎から違ってくるわけでありますから、一どきに現行法をぶつけるというふうなことでは、これはたいへんなトラブルの原因になろうと思います。そういう意味で、相当長期の経過措置を置く必要があるのではないかと私は思います。これはまだ検討中の問題だそうでありますけれども、そういう点をひとつ強く要求をしておきたいと思います。  あとまだたくさんありますけれども、一応これで終わります。
  178. 床次徳二

    床次委員長 上原康助君。
  179. 上原康助

    ○上原委員 まず最初に、防衛施設庁長官にお伺いをしたいと思います。  先ほど総理府総務長官に水道公社の件でお尋ねをいたしましたが、長官の御答弁で、現在米軍側が所有している水源地あるいは水道施設等を含めて、復帰前に水道公社に移管をして、その運営権、管理権をすべて県側に移管するというような御答弁だったと思います。  そこで、私は率直に申し上げて、この答弁に若干疑問をはさむものでありますが、施設、区域を提供する、あるいはまた現在提供するためにいろいろ準備を進めている防衛施設庁として、現在米軍側が所有している水道施設、水源地を含めてですが、水道公社に移管をして、その運営権、管理権が県側に移されていく、移管をされるという立場で交渉を進めておられるかどうかということ、施設庁としては、先ほどの大臣の御答弁に対してどういうお考えを持っておられるのか、この点非常に重要な問題でありますので、あらためて防衛施設庁長官の御所見なり御見解を、またその姿勢をお尋ねをしておきたいと思います。
  180. 島田豊

    ○島田説明員 この問題は、現在対策庁のほうでいろいろ検討しておられますので、復帰後の問題としてどういうことになるかということについては、防衛施設庁もその協議の中に入りまして、その決定の線に沿って処理をする、こういうことになるわけでございます。
  181. 上原康助

    ○上原委員 どうも御答弁があまりはっきりしないわけですが、先ほど大臣はきわめて明確にお答えになっているわけですね。そういう立場で施設庁としても進めていく、あるいはまたそうあるべきだというお考えなのか、施設庁としてはまだ結論を出していないということなのか、少し明らかにしていただきたいと思うのです。
  182. 島田豊

    ○島田説明員 復帰後は、水道公社の関係の施設は米軍に提供する施設からはずされております。八十八施設というものは、米軍に対する提供を予定されている施設、区域でございますが、水道公社の関係はそれから除かれておるということでございます。
  183. 上原康助

    ○上原委員 こまかい点は後ほどまたお伺いをしますが、そうしますと、いまの御答弁でいきますと、八十八カ所の継続して使用していく基地の中にある米軍の水源地なり水道施設というものは、継続して米軍の使用、管理、運営ということになるという御答弁ですか。
  184. 島田豊

    ○島田説明員 復帰後、水道公社が管理、運営、維持いたします施設につきましては、これは米軍に対する提供施設からはずされる、こういうことでございます。
  185. 上原康助

    ○上原委員 はっきりしていただきたいことは、軍側が現に所有している、あるいは軍側の施設になっている水源地なり水道施設も復帰後は県営に移行されることなのかということなんですね。そういう答弁を山中大臣はやっていらっしゃるわけなんです。これに対して施設庁としてはどうお考えなのか。水を提供する云々の問題じゃないのです。
  186. 島田豊

    ○島田説明員 具体的には、先ほど申しましたように、対策庁を中心にしまして協議いたしますが、水道公社に移管されるものについては、これは明らかに施設、区域から除かれる。米軍が中において維持する部分が残りますれば、それは提供する、こういうことになるわけでございます。その辺の詳細については、これから協議をするという段階でございます。
  187. 上原康助

    ○上原委員 どうも先ほどの大臣の御答弁とは重大な食い違いが出ているわけですが、施設庁としては、かりに軍施設内に残された分あるいは軍側が所有をしたいというものについては、じゃ、そのまま認めるという立場でお話し合いを進めていくことですか。先ほど大臣が、現に軍が所有している水源地あるいはポンプ場、その他すべて復帰前に水道公社に移管をして県営にするということをお答えになったわけですよ。後ほど速記録をお読みになればもっと明確になるかと思うのですが、そのことに対して、施設、区域を提供するであろう、そういう前提でいろいろ米側と折衝なさる防衛施設庁としてはどうなのかということなんですね。その点明確にしていただきたいと思うのです。大臣考え方と違うなら違う、そのとおりならそのとおりということをお答えをいただきたいと思います。
  188. 岡部秀一

    ○岡部説明員 対策庁のほうといたしましては、水道公社のほうで必要欠くべからざるものになっているところの水源地、水道施設等は全部移管をしてもらいたいと思っております。ただ、その点で、あるいは自家用の軍の用に資するものというので重複する点があるかと思いますが、その点はそれは自家用の点でありますので、除くということをいたしましても、水道公社の仕事に影響がない限りはけっこうだろうと思っておりますけれども、原則的に水道公社の業務運営、事業運営についての必要な施設は、当然に譲り受けることができると思っております次第です。
  189. 上原康助

    ○上原委員 あらためて対策庁長官に今度は確認をしておきますが、先ほど対策庁長官御自身、米軍側と共用のものあるいは現在の貯水池等の名称をおあげになったわけですが、先ほど長官がお読みになった水源地なりポンプ場、そういう面はすべて水道公社に移管をされて、その管理運営権は新しく設立できるであろう沖繩県庁に移管されるというお答えだったと受け取ってよろしいですね。
  190. 岡部秀一

    ○岡部説明員 原則的にはそのとおりだと心得ております。
  191. 上原康助

    ○上原委員 だいぶ答弁が後退してまいりましたが、外務省いらっしゃいますか。——外務省に関連でお尋ねをいたしますが、この水源地の問題あるいは水道施設の運営管理権の問題と、いわゆる返還協定の合意議事録ですか、その第六条との関係があると思うのです。その点についてはどうお考えですか。
  192. 橘正忠

    ○橘説明員 協定の第六条に関する議定書に書いてございます点は、復帰後の事態において、沖繩におります米軍に電力あるいは水道が現在の琉球電力公社それから琉球水道公社、それの後継機関からどういうふうな条件で供給を受けるかということを書いたものでございます。たとえば水道料金なんかもその条件の一つであろうと思いますが、御承知のとおり、その議定書では、端的に申しますれば本土並みの条件でやりますということは書いてございます。本土において地位協定の適用を受けております——地位協定の第七条でございますが、米軍がそういう電力とか水道の供給を受ける際には、日本側の官公庁が受けておるのよりも不利でない、つまり同じ条件で供給を受けるんだということは書いてございます。したがいまして、復帰後において、沖繩の米軍は本土と同じような条件でそういう供給を受けるということが書いてある次第でございます。
  193. 上原康助

    ○上原委員 いまのお答えは復帰後——私が話しているのも、前提は復帰後のことなんですね。特に運営管理権の問題、御答弁そのものは理解するわけですが、復帰後は本土並みなんだ、明らかに本土並みという考え方でよろしいですか、あらためてその点を確かめておきたいと思うのです。
  194. 橘正忠

    ○橘説明員 ただいま申し上げましたような電力、水道といったようなものに関する供給を米軍が受けるという際の条件については、地位協定の第七条と同じ条件、つまり本土と同じ条件でございますということを確認いたします。
  195. 上原康助

    ○上原委員 いまのお答えは、電力あるいは水道の供給の件ですね。その点、確かめておきます。
  196. 橘正忠

    ○橘説明員 ただいまたまたま電力、水道で問題が始まりましたので、電力、水道ということを申し上げましたが、御存じのとおり、その議定書は公益事業ということになっておりますが、第七条も公益事業ということになっておりますが、復帰後においてはそういう公益事業を米軍が利用する権利という意味で、本土と同じ態様でございますということを確認いたしたいと思います。
  197. 上原康助

    ○上原委員 利用する権利というお答えですので、そのように理解をいたしますが、また時間がありませんのでさらに詰めますが、ただここで一点、問題として指摘をしておきたいことは、御承知のように第六条に関する中で、後半の部分ですが、いわゆる「合衆国軍隊の地位に関する協定関係規定に従って」、その後が問題なんですよね。いいですか。「現在享受している条件と同じような条件でのみ、公益事業及び公共の役務を利用する権利を与えられる。」ここはきわめて問題な点なんですよ。米軍側に解釈をさせれば、沖繩で現在受けている水道あるいは電力については、現在の条件でのみ受ける権利があるんだという解釈になっているんだ。そうなりますと、地位協定の第七条との関係における、先ほどの御答弁の本土並みというふうな解釈ということにはならないのかもしらない。時間がありませんので、その点に対してはまた後ほど見解を賜わりますが、外務省はどういうふうに解釈していらっしゃいますか。
  198. 橘正忠

    ○橘説明員 誤解を残しますといかぬと思いますので、明らかにしておきたいと思いますが、ここに「現在享受している」とございますのは、日本本土におけるアメリカの軍隊が現在享受していると同じ条件で、復帰沖繩にある米軍は公益事業及び公共の役務を利用する権利を与えられると、こういう意味でございます。したがって、この「現在」というのは、本土において、本土にある米軍が現在享受している状態をさしております。
  199. 上原康助

    ○上原委員 その点間違いないですね。じゃ、質問を続けたいと思います。あと一点施設庁長官にお伺いをしておきますが、これは簡単にお答えをいただきたいと思います。  現在軍用地に接収されておる公立の小中学校の校地は、もと軍用地内にある旧小中学校の校地というのはどの程度あって、なおどういうふうな方向で軍用地の提供という面で考えておられるのか、この点簡単にお答えをいただいておきたいと思います。
  200. 島田豊

    ○島田説明員 御質問の数字につきましては、いま手元に資料がございませんが、この問題は対策庁のほうからお答えいただきたいと思います。
  201. 上原康助

    ○上原委員 先ほど私が水道関係の資料も提供してほしいという御要望を申し上げましたが、委員長のほうのお取り計らいで、ひとついまの面も資料を提出をしていただきたいと思います。そのようにお取り計らいを願います。  時間がございませんので、自治省に二、一二点ばかり簡単にお伺いをしておきますが、復帰後の沖繩の県庁機構についてどういう考えか、いわゆる基本的なお考えをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  202. 林忠雄

    ○林説明員 お答えいたします。  復帰後は沖繩県になるわけでございますので、現在の地方自治法の規定に従いますと、標準として四部、ところが、復帰後のいろいろな仕事の増高もございますので、法定外として二部、大体六部といいますと、ほぼ内地の同規模の府県と同じくらいの機構になると思いますので、その辺をめどに機構を考えたらどうかと考えております。
  203. 上原康助

    ○上原委員 その中で、大体そういう六部制になるというお考えのようですが、じゃ、具体的に国に引き継ぎをされる職員数ですね、さらに県に引き継ぎをされるであろう職員数、そしてまた現在の琉球政府の職員の数との比率関係がいろいろあると思うのです。対策要綱では、いずれかに引き継ぎをするということで、職員の解職とかそういうものはやらないという御答弁がこれまでもあって、また対策要綱にもあるわけですが、職員の取り扱いについてはどういう考え方で進めておられるのか、できれば簡単にまた具体的にお答えをいただきたいと思うのです。
  204. 林忠雄

    ○林説明員 現在のところまだ関係方面との打ち合わせ中で、詳細なことはさまっておりませんが、現在わかっております概略のことを申し上げます。  現在、琉球政府職員は大体一万七千五百人程度おられるはずでございます。それで、前の琉球政府の分析によりますと、いわゆる国家事務に相当する事務に従事しておられる方が七千人余り、それから県政事務、沖繩県になったときに県の仕事になる事務に従事しておられる方がまあ一万人、大体分析はこういうふうになっております。それで復帰対策要綱によりますと、このやっている事務に従って、それぞれ国あるいは沖繩県の職員になるということになっておりますので、これは対策要綱どおり、解職などすることなく実施するつもりでございますが、現在国のほうに何人、それから沖繩県に何人という人数の確定はいたしておりません。これは国は国として、地元に設けられる国の出先機関に何人要るかという検討の作業を現在しておりますし、私のほうは、沖繩県になったときに何人くらいの職員が必要かという数を検討しておりますので、これを突き合わせた上でその割り振りを予算をきめて、十二月ごろまでには数字がはっきりきまることになると存じております。  御参考のために申し上げますと、現在沖繩県とほぼ同規模の十数県を平均してみますと、県職員として八千五百人程度、つまり大体同じような規模の県になるとすれば八千五百人程度が沖繩県ということになりますが、実際の問題としては、復帰後いろいろほかの県にはない事業その他もいたさなければならぬという面もありますし、あるいは高等学校が、私立高等学校が非常に少なくて、ほとんど県立高等学校になるという事情があったり、その他いろいろな事情がありまして、一般並みの県の人数では沖繩県は維持できないのではないか。現在の琉球政府考えとしては、一万人から一万一千人くらいの人間が必要だということを琉球政府はいっておられますが、さらにそういう事情その他を検討して、行政管理庁、大蔵省及び私のほう、さらには琉球政府の意向などを突き合わせて、予算確定のころまでには人数がきまることになると存じます。
  205. 床次徳二

    床次委員長 上原君、予定の時間が来ておりますから。
  206. 上原康助

    ○上原委員 それじゃあと一点だけ。  そうしますと、いわゆる国に引き継がれる職員数については、総定員法のワクでやっていかれるお考えですか。また、県に移管をされる職員については、先ほど特殊事情というおことばは使いませんでしたが、復帰事務その他でいろいろな事情があるので、類似県なり標準を上回ることもやむを得ないだろうというような言い分があったわけですが、それとの関連で、総定員法の問題と、あるいはかりに類似県以上の県職員をかかえた場合の財政的な裏づけについては、どういうお考えを持っているのか。きょうこまかい点は入りませんが、基本的な復帰後の県政事務、県政行政だけについてお伺いしておきます。この二点について自治省のお考えを承っておきたいと思うのです。
  207. 林忠雄

    ○林説明員 まず、国家公務員になる人の定数の問題については、ちょっと私のほうはお答えいたしかねますが、これは対策庁なり行政管理庁でのお考えになると思います。当然総定員法をふくらませた何らか臨時的な措置をとられて、国家公務員に対する受け入れの人数について措置をされるものと考えております。  それから沖繩県の場合は、受け入れる定数に従って、沖繩県が復帰後直ちに定数条例をつくって、それだけの人数の受け入れ体制をとるということになると思います。  そこで、これに関する財源措置ということでございますが、当面、復帰後のいろいろな仕事ないしは復帰後の振興事業、それからさっき申しました県立高等学校が多いとか、いろいろな特殊事情からして、通常の同規模の県の平均よりも多く受け入れざるを得ないだろうということを申し上げたわけでございますが、この多く上積みされた分のうち二種類あるといいますか、未来永劫沖繩の特殊事情について、それだけの人数が必要なものもあるいはございましょうし、振興事業の進むにつれて、進むにつれてというかその完成に従って、だんだん要らなくなる人数もあるいはあるかもしれないと存じます。  そこで、それらのものを踏まえて、復帰後の沖繩県の財政をどうするかということは、私のほうの財政局の問題としてこれを考えておるわけでございますが、現在はまだ関係各省庁間に全部意見の一致は見ないと存じますが、自治省としては、当面沖繩に対する交付税の措置を、いままでの本土の通常の府県とは異なった臨時特例交付金という形で、その増高をした人数の人件費はもちろん、復帰事務のためのいろいろなほかの県にない事業や何かの裏づけの財源を全部計上して交付するということで、来年度の予算要求をすることになっておりますが、これはいずれ大蔵当局その他と打ち合わせた上で、何らかの措置をとることになると存じますが、復帰後の沖繩県の財政需要をまかなうための万全の措置をやる所存であります。
  208. 上原康助

    ○上原委員 これで終えますけれども、ぜひ沖繩復帰にあたっては復帰後の県政業務、さらに振興開発、そういった特殊な立場というものを御理解をいただいて、財政面を含めて十分なる配慮ができるように、対策庁並びに自治省のほうで、各省庁とも連係をとりながらやっていただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終えたいと存じます。
  209. 床次徳二

    床次委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会