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1971-08-16 第66回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会公聴会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月十六日(月曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 池田 清志君 理事 大村 襄治君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 中谷 鉄也君    理事 西中  清君       國場 幸昌君    正示啓次郎君       田中 龍夫君    西銘 順治君       本名  武君    湊  徹郎君       山田 久就君    中川 嘉美君       安里積千代君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  委員外出席者         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛施設庁長官 島田  豊君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 八月十六日  辞任         補欠選任   渡部 一郎君     中川 嘉美君  同日  辞任         補欠選任   中川 嘉美君     桑名 義治君     ————————————— 七月二十四日  一、沖繩及び北方問題に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷委員 防衛庁施設庁長官お尋ねをいたしたいと思います。  返還協定内容に関する問題については、臨時国会において相当大きな争点になる問題として、問題意識を持っておりますけれども、本日は、それの前提問題としての若干の質問を約三十分ばかりしておきたい、こういうことであります。  軍用地ということばがありますけれども施設庁長官お尋ねをいたしますけれども、いわゆる軍用地といわれておるものは、軍用地として位置づけられているものの法的な根拠は、一体米軍と住民との間においてどの布令に基づくものでありましょうか。
  4. 島田豊

    島田説明員 いわゆる軍用地の定義に関する規定はないと思います。軍用地は、米軍管理し、使用しておる土地を一般的に軍用地といわれておる、こういうふうに考えております。
  5. 中谷鉄也

    中谷委員 米軍軍用地として収用使用収益をし得る布令上の根拠は何になりますか。
  6. 島田豊

    島田説明員 軍用地関係いたしますいわゆる布令はいろいろございますが、土地所有者との関係におきまして直接の規定がございますのは、一九五九年高等弁務官布令二十号、「賃借権取得について」という布令でございます。
  7. 中谷鉄也

    中谷委員 布令二十号「賃借権取得について」が軍用地、すなわちその内容不定期賃借権、五カ年賃借権等を含みますけれども布令二十号が、布令という形において、布令範囲において、合法的に収用使用収益し得る布令としての唯一の根拠として伺ってよろしいのですね。
  8. 島田豊

    島田説明員 そのとおりであると思います。
  9. 中谷鉄也

    中谷委員 それは軍用地というおことばをお使いになりましたけれども、いわゆる軍用地全部をさすというふうにお伺いをしておきたいが、よろしいですか。
  10. 島田豊

    島田説明員 布令二十号に規定されておらない、布令二十号の手続によらない土地で、米軍がこれを使用しているというところもございます。
  11. 中谷鉄也

    中谷委員 布令二十号によらないで軍用地使用しているというのは、その場合のそれは軍用地なのでしょうかどうか。布令上の根拠は何になりますか。
  12. 島田豊

    島田説明員 米軍が一時的に土地使用しているというところがございまして、そういう土地につきましては、布令二十号の手続にはよらないで、別の米軍地元との関係において一定の取りきめをしておる、こういうものもございまして、そういうものは直接布令二十号からは出てこない、そういうものがございます。
  13. 中谷鉄也

    中谷委員 それは、不定期賃借権あるいは五カ年賃借権といわれている布令二十号の賃借権とは別個のものと理解してよろしいわけですね。
  14. 島田豊

    島田説明員 そのとおりでございます。
  15. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、施設庁長官も、この点についてはすでに質問意図理解をしておられるし、私も問題の重要性認識をしてこの質問をしているわけでありますが、すでにお互いの間ではわかっていることですけれども布令二十号によらない、米軍の一時使用法令上の根拠委員会において述べてください。
  16. 島田豊

    島田説明員 米軍が、地元市町村長との取りきめによりまして、布令二十号に基づきますところ賃借権取得という手続によらないで、一時的に使用しているというところもございます。それから、米軍が直接にある建物の一部分をいわゆるダイレクトリースという形におきまして、契約によって使用している、こういうところもあるわけでございます。
  17. 中谷鉄也

    中谷委員 いわゆる地位協定による施設及び区域のうち、施設について本日はお尋ねをしているわけではございません。したがいまして、建物についての御答弁は、答弁から申しますと過剰答弁ということに相なろうかと思います。  そこで、お尋ねをいたしまするけれども市町村長許可をしてと言われたのは、一九五八年十月二十八日「特別委員会琉米両側委員間の同意事項について」という、その同意事項合意に基づくものだというふうに、先ほど私のほうの手持ち資料をそちらにお渡しいたしましたが、それであることをさしておられるわけですね。
  18. 島田豊

    島田説明員 ただいまの、委員会での合意につきまして、私ども、実はまだその資料をいままで入手したことがございませんので、いまの市町村長使用許可というケースが、それに根拠をしておるかどうかということについては、もう少し私勉強いたしたいと思います。
  19. 中谷鉄也

    中谷委員 施設庁長官は何もかも御存じであるにかかわらず、臨時国会における最大の焦点になる問題の前提としての質問について、非常に注意深く答弁を避けておられると思うのです。しかし、これは臨時国会において相当質疑されるべき問題でありますから、返還協定内容について、いま私が質問したことのかかわり合いにおいてはお尋ねいたしませんが、市町村長許可があるということは、地主との間において布令二十号に基づく基本賃貸借契約は結ばれていないわけですから、収用使用収益根拠にはならない。すなわち、それは米軍使用している軍用地あるいはいわゆる軍用地にも入らないというふうに理解をいたしますがいかがでしょうか。
  20. 島田豊

    島田説明員 米軍が一時的に市町村長許可を得まして使用しておるその場所あるいは土地等につきましては、従来いわゆる軍用地ということで、私ども面積を算定いたします場合の基礎にはなっておらなかったわけでございますが、その辺は、私ども使用実態についての調査が実は不十分であったというふうに考えます。しかしながら、現実にそういうふうな事実がございまして、これは米軍訓練上必要とする土地である、こういうことで、それが今回の問題になったというふうに理解をいたしておるわけであります。
  21. 中谷鉄也

    中谷委員 返還日X日において、かつて一時的に使用されたということの事実があったとしても、それはX日において、一時的使用がない限りは軍用地ではございませんね。
  22. 島田豊

    島田説明員 私ども面積を算定いたします場合のいわゆる軍用地としては、私ども調査不十分のために考えておらなかったわけでございますけれども、しかしながら、それは現実使用されておるという実績がございますし、今後も米軍がこれを使用するという強い意図を持っておる、そういうところでございまして、軍用地というものが、私が最初申しましたように、米軍使用しておるというところをいわゆる軍用地というふうに呼称するならば、これもやはり軍用地範囲に入るというふうに考えられます。
  23. 中谷鉄也

    中谷委員 質問についてお答えになっておられません。一時的使用だとおっしゃるわけですね。しかも、それは法律的に一つ、二つの問題点を含んでおります。市町村長許可をした、地主の承諾がない、したがって地主米軍との間に本来契約は不存在である、そういうものですね、布令二十号によらないものは。そうして返還日X日において、かつて一時使用があったけれども、一時使用ですから、一時使用期限がもう切れてしまった。X日において米軍がそれを使用していない。すなわち使用していないことは、市町村長許可を出していないというものは軍用地ではないということは——軍用地であるとかないとかというよりも、法律的に米軍がそれを支配している、占有している、あるいは使用している、あるいは通過のために利用している、いずれにおいても米軍とはかかわり合いのない土地、かつて米軍が一時的に使用したことがあるという事実の存在するだけの土地、そういう土地であることは間違いないですねと聞いておるのです。設問に答えてください。
  24. 島田豊

    島田説明員 日米間におきまして、一定土地継続して使用しあるいは管理をしておらない、そういう施設につきまして、これを提供施設として扱っておるという事例はございます。そこで、具体的に復帰の日の前日にそれが使用されておらなくとも、市町村長との間におきまして、年間のある一定期間使用するという約束ができておるものにつきましては、これはやはり広義における軍用地として考えてもよろしいのではないかというふうに考えます。
  25. 中谷鉄也

    中谷委員 年間のある期間ではなしに、千九百六十何年度のある期間使用するという使用許可があったにすぎないもの、そういうふうなものは軍用地ではございませんね。これは米軍使用するという法令上、契約上、あらゆる法律上の根拠のない土地でございますね。
  26. 島田豊

    島田説明員 両者の間における約束と申しますか、そういう関係におきまして、その土地使用について、米側がその使用権を一応取得しておらないという場合におきましては、これはもちろんその対象にならない。したがいまして、かつてそれが一時的に使用されておっても、その後の両者の間の約束におきまして、その土地が除外されておるという場合におきましては、それは対象にならないのではないかというふうに考えます。
  27. 中谷鉄也

    中谷委員 あなたは先ほど布令二十号だけが、軍用地米軍施政権下において合法的に収用使用収益をするその法令上の根拠であると述べられました。その後調査不十分であったと述べられた。調査不十分であったと述べられた地区、区域、いわゆる軍用地だとおっしゃりたいのはどこなんですか。
  28. 島田豊

    島田説明員 私が頭に置いて御答弁申し上げておるその区域は、いわゆる北部の一時的な使用をしておる訓練場のことでございます。
  29. 中谷鉄也

    中谷委員 具体的な地名は私のほうで逐一承知をいたしておりますが、国頭村のどこだということまではこの委員会で御答弁いただけますか。
  30. 島田豊

    島田説明員 先般の返還協定了解覚書の中にございます安波訓練場以下の七つの訓練場、それからC表にございます奥訓練場、瀬嵩第二訓練場、こういうものを私は考えておるわけでございます。
  31. 中谷鉄也

    中谷委員 もう一度お尋ねをいたしますけれども使用期間については、年度ごとの何月何日などという使用許可書は一切出ておりませんね、実態から申しますと。そうしますと、先ほどあなたが御答弁になったある一年のある部分使うというふうなことで、千九百六十何年度から一九七一年までの間というふうな許可書などというものは、いまあなたがお持ちになっておられる土地法令集の中においても、全然そういうふうなものは見当たりません。そうすると、まさにX日において市町村長許可していない限り、それは何ら米軍使用する法律上の根拠のないもの、すなわち使用していないもの、現に使用していないし、X日にわたって市町村長許可がない限りはそれは軍用地ではないし、そもそも基本問題として、一時使用などというふうなものはあくまで一時使用であって、それは軍用地ではない。こういうふうに理解をするのがきわめてすなおな理解のしかたでありますが、この点について、そういうふうにその点まで掘り下げてお考えになっておられるかどうか、いかがでしょう。
  32. 島田豊

    島田説明員 議論がだんだん進んでまいりましたが、了解覚書におきましては、そういう訓練場については、備考欄にございますように、地位協定の二条四項(b)を適用して提供する、こういうことになっておるわけでございまして、いかなる場合に二条四項(b)を適用するかということにつきましては、すでにいろいろ本土との関係におきましても議論がなされたところでございまして、そういう地位協定上の解釈からいきまして、そういうものを施設区域として提供するということは、地位協定上も許されることであるという考え方にわれわれは立っておるわけでございます。
  33. 中谷鉄也

    中谷委員 返還協定の中身については触れないという前提を置きました。なお、国頭村の個々の演習地についても、具体的な内容については触れないという前提を置きました。二条の4(b)の問題についても、本日は触れないという前提を置きます。ただ、しかし、それは米軍軍用地でないということになりますると、すなわち施政権返還後、地位協定に基づいて新しい軍用地提供ということを政府考えている。それはどこの軍用地だということを私はきょうは申しませんが、返還後、新しい地位協定に基づいて新規提供する、引き続き使用を許すのではなしに、新しい提供防衛庁としては考えているということに相なるわけですね。
  34. 島田豊

    島田説明員 私どもとしましては、地元市町村との話し合いによりまして、一時的にそれを使用しておったという実績がございますし、今後もそれが訓練場として使用せられる、こういうことでございますので、これをいわゆる軍用地概念の中に入れて取り扱うということは、これは不適当なことではないというふうに考えております。
  35. 中谷鉄也

    中谷委員 施設庁長官、不適当なことではないということは、そういう理屈が成り立たないわけではないということでしょう、言ってみれば。不適当なことではないということは、そんな理屈も成り立たないわけじゃないとおっしゃりたいわけでしょう。しかし、本来、使用もしていない、かつて一時使用があった、そんな事実をもって、過去の亡霊をもって、そんなものを米軍軍用地、その形態が、地位協定の(b)にしろ、(a)にしろ、するというふうなことは、新しい契約前提としなければ成り立たない。ということは、契約の基本的な原則になると思うのです。かつて契約があった、その契約というのも、一時使用ですよという契約があった。それが消去されている。消えている。そのものについて、地位協定のどんな形式にしろ新しい契約をしなければならないということは、軍用地の新しい提供に相なるではありませんか、新規提供ということに相なるではないでしょうか、というのが私の主張なんです。それに対して、あなたの御答弁は、かつて使用しておった、一時使用という実績があった、だから、それを軍用地として提供することが新しい提供にならないというふうに言っても必ずしも不適当でないとおっしゃりたいわけなんですか。しかし、主観的に不適当でないと思うと言ったって、世の中には原理、原則がありますから、施設庁の言うとおりには世の中は動きませんね。いかがですか。
  36. 島田豊

    島田説明員 先ほどの私の答弁、用語の使い方が少し適当でなかったように思います。米軍市町村長約束をいたしまして、それを使用しておるという実績がございます。また、米軍には、これを今後使用していくという強い要望意図がございます。そこで当然復帰後におきましては、日本国政府が偶々の地主契約を締結するということでございますが、これは、現在は米軍施政権下にございまして、原則的には布令二十号によりまして、土地取得なりあるいは収用をやっておるわけでございますけれども、それ以外の形態としても、そういう形態現実にあるわけでございますので、復帰後におきましては、安保条約地位協定下におきまして所定の手続を進める、こういうことに相なるわけで、その辺には私はギャップがあるというふうには考えておりません。
  37. 中谷鉄也

    中谷委員 米軍がその土地を使いたいという強い要望、意思があるということと、契約存在しているということとは、別個の問題ですね。契約が不存在のもの、そのものについて米軍が使いたいと思っておることは、言ってみれば、その土地提供してもらいたいということ、もらいたいということと、その土地契約されているということとは別個の問題収用されているものということとは別個の問題ですね。だから、米軍がそういうふうな強い意図を持っておるということは、何らその土地軍用地としての法的根拠を持っていることにはならないはずです。そうしますと、地位協定とは何ら矛盾しないと言うけれども地位協定下における新しい施設提供ということが返還後あり得るということにならざるを得ません。これ以上申し上げると、今度はリストのほうに話が入っていって、臨時国会での一つ問題点の中に入っていきますけれども、新しい提供をするというような点の限りにおいて、その限度において、地位協定とは矛盾しない。新しい提供ですね、いずれにしても。
  38. 島田豊

    島田説明員 安保条約地位協定下に基づきます手続を進めるわけでございますので、その点においては、従来の使用権取得と申しますか、それとは形態が違っておるということは事実でございますが、(中谷委員「新しいということばを使いたくないですか、やっぱり」と呼ぶ)私どもはその使用実態と申しますか、これは継続しておるというふうに認識をいたしております。
  39. 中谷鉄也

    中谷委員 こうして、私が質問して、あなたがお答えになっておって、継続使用で、継続法律的な根拠がとぎれてしまって、断絶して不存在ところに、継続ということがあり得ないことはおわかりになるでしょう。布令二十号には、五年間賃借権不定期賃借権がきめてある。期限の定めのない賃借権と五年間賃借権がある。一時使用というのは、二十日だとか二週間、そんなものがあって、それが切れてしまっておるというふうなものが軍用地であり得るはずがないし、契約であり得るはずがないわけでしょう。何が継続なんですか。だから、私は、もうそれは新規提供になりますよということは、これはどんなにあなたが——新規提供だと言ってしまうと、今後の土地収用、再契約に非常な混乱を来たすから、新しいということばを使いたくない、新しいのじゃないのだと言う。では、反論ができるのなら、一ぺんしてください。
  40. 島田豊

    島田説明員 本土の場合におきましても、米軍施設区域提供する場合に、継続的に使用されているという以外に、いわゆる二条四項(b)の契約がございます。これはしばしば論議されますように、一定期間を限りまして米側に共同使用させる、あるいはその使用につきまして、現地部隊との間に調整をとりながら、その間の計画をきめていく。いろいろなそういう形態がございますので、そういう概念からいたしますれば、法律的にそう問題はないということを考えているわけであります。
  41. 中谷鉄也

    中谷委員 4(b)の前提としては、そうすると、政府本土の場合の例をお引きになりましたが、政府地主との間に、まずそれについての賃貸借契約がなければなりませんね。だから、新しい施設提供になることは当然であるし、とにかくそれらの一時使用土地というのは、まず本土本土政府というのはこの場合はいわゆる施設庁施設庁地主との問の再契約がない限りは、提供対象にはこれはなり得ませんね。4(b)の問題は出ませんね。
  42. 島田豊

    島田説明員 そのとおりでございます。
  43. 中谷鉄也

    中谷委員 やっと、新しい提供になるのだというところまで話が出ました。最近政府は、暫定措置法ということで、現に米軍使用している土地を引き続き使用させる、そういう暫定措置法というようなものをお考えになっているそうでありますけれども、そうすると、もうきょうは詳しい話はしませんが、世間ではみんな知っている、沖繩現地はよく知っているから、沖繩北部、私のほうから申し上げたのですが、国頭村などにあるそれらの土地については、引き続き使用するという暫定措置法対象にはなりませんね。暫定措置法をつくることがいいか悪いかの問題は別として、暫定措置法対象にはなりませんね。
  44. 島田豊

    島田説明員 現実に、その前日の段階におきまして使用なり管理をしておるというところ土地に限らないで、やはり少なくとも地元との契約によりまして使用権を設定し、ただその使用権の実施の内容が常続的ではない、一定期間を限っておる、こういうことでございますので、一つの包括的な考え方としましては、前日に使用しておるという考え方も私は成り立ち得るのではなかろうか、かように考えております。
  45. 中谷鉄也

    中谷委員 いや、それはしかし施設庁長官、三百代言ということばがありますが、三百の二倍くらいかかりますよ、話が。現実使用していないという前提で話があって、一時使用なんですよ。一時使用がとにかくX日には重なってこないという場合なんですよ。もはや現在沖繩市町村長は、こういう許可証を出すはずはありませんよ。しかも市町村が何で個人の地主契約——代理関係もないのですよ。代理関係があるということの立証はできませんね。代理関係もない私の土地ですよ。そういうようなものについて、暫定措置法対象になるというのは一体どういう根拠なんですか。もう一度言ってください。私の質問時間がなくなってきたわけですけれども、これはひとつ委員長にお許しを願ってあと十分くらい、そんな答弁で逃げてもらうわけにいきません。もう一度その点を答えてください。
  46. 島田豊

    島田説明員 日米間といいますか、米軍地元との(中谷委員地元とは何ですか」と呼ぶ)地元といいますか、市町村との契約と申しますか、(中谷委員許可になっています、契約じゃないです」と呼ぶ)許可関係ですね、その辺の実態につきまして、われわれのほうもまだ完全な調査が完了いたしておりませんので、本日抽象的に議論するということは、私としてもいたしかねますので、われわれはその実態を十分把握して、その問題についてのわれわれを見解をまとめていきたいというふうに考えております。
  47. 中谷鉄也

    中谷委員 では、最小限きょう言えることは、それは、暫定措置法対象になるかならないかはよくわかりませんというふうにお伺いしてよろしいのですか。
  48. 島田豊

    島田説明員 その辺は今後十分検討いたしていきたいと思います。
  49. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうふうに、いまのようなことに、私の質問のような答弁でよろしいのですね。暫定措置法対象になるかならないかわかりませんということですね。
  50. 島田豊

    島田説明員 その辺については、実態をまず十分把握いたしまして、われわれとしての見解をまとめたいと思います。
  51. 中谷鉄也

    中谷委員 暫定措置法対象になるはずがないのです。けれども、ならないと言ってしまえば、あなたのほうとしては、もうどうにもこうにもならなくなるでしょうから、検討したいと言うことはわかりますが、幾ら検討されても暫定措置法対象になるはずがありません。だから、これはそういう無理をされないようにということの要望だけをしておきます。  次に、お考えになっている暫定措置法、引き続き米軍土地使用させるなどという暫定措置法のその暫定期間は、大体どの程度のものを考えているのですか。暫定措置法考えているのですかという質問がまず前提として出てきます。しかし、それはもうどうも考えているらしい。そうすると、暫定措置法による米軍使用期間というのは大体何年程度を考えているのですか。引き続きというのですね。暫定措置法があって、安保条約に基づく土地特別収用法による収用を将来やっていこうということでしょう。誠心誠意、再契約の努力はするけれどもということですから、まず暫定措置法が先行する。その暫定措置法による使用期間というのは大体何年ぐらいを考えているのか。
  52. 島田豊

    島田説明員 全くやむを得ざる措置として、そういう暫定措置に関する立法を講ぜざるを得ないということで、いろいろ準備をいたしておるわけでございますが、いまの暫定期間を何年にするかということにつきましては、実はまだ政府部内の各省庁との間で協議をしておる段階でございまして、われわれとしての成案を得ておりませんので、今日の段階におきましてはその点は私からは申し上げかねます。
  53. 中谷鉄也

    中谷委員 政府関係機関と協議をしているというのは、主としてどことの間に矛盾が生じてきますか。問題は、かりに暫定期間が長ければ沖繩の経済開発というものは非常に障害を生ずる。暫定期間が短ければ短いほど経済開発、土地利用の観点からは適当だ。主としてどこの役所と相談をしておられますか。
  54. 島田豊

    島田説明員 沖繩北方対策庁、それから法制局等ともいま問題を詰めておるところでございます。いわゆる軍用地に関する問題だけでなくて、その他の公共用地についても同様のケースがあり得るということをわれわれは考えておりますが、そういうものとの均衡という問題もございましょうし、それから過去の小笠原の返還のときの事例というものもございますのでいろいろそういう問題、それから確かに非常に長期間にわたりますと、地元の経済発展、経済開発というものに支障がある。しかしながら、あまりに短くてもこの問題は処理できないという場合もありますので、その辺の期間をどういうふうにするかということについては、いま慎重に検討いたしておる段階でございます。
  55. 中谷鉄也

    中谷委員 では、あとまとめて一問だけ質問をいたしまして終わらせていただきます。午後から総務長官にもお尋ねをいたしたいと思いますが、副長官にひとつ御答弁をいただきたいと思います。  暫定措置法と改廃法という、いわゆる沖繩何法かのうちの重要な法律として考えられておりますね。そこで、軍用地を引き続き使用するなどというこの暫定措置については、いわゆる暫定措置法何百本の法律の一本に、暫定として入ってくる法律の中へは入れるべきではないというのが、総理府、対策庁の考え方のようだという趣旨の報道がなされております。私は、前提として、暫定措置法などということを法制局と相談をしておられる——確かに憲法問題もあります。だから、暫定措置法というようなものがはたして合法なのか違法なのかという法律問題も私は含んでいると思いますけれども、少なくともその暫定措置法も、またどんなかっこうで暫定措置を全体として出すかというむずかしい問題もあると思います。少なくとも軍用地やまた公共用地もこの場合含むと思いますけれども、そういう土地を引き続き使用するなどという暫定措置を、同じ法律、他の同じ暫定措置何百本と一緒に出すことは不適当だという考え方が一部で有力だと思います。総理府としてはこの点について、そういうふうな軍用地について、他の暫定措置法と一緒に出すことについては反対だというふうな趣旨の——反対だというふうに明確に私は聞いたわけではありませんけれども、そういうふうな意味合いのことを私読みました。副長官の御見解を承りたい。
  56. 砂田重民

    ○砂田説明員 先生御指摘の地位協定にからみます軍用地継続して使用をする、これの立法化が必要であるかどうかという問題、さらにその問題について総理府で考えておりますいろいろな、先ほどの先生の表現を借りますならば、暫定措置法、これを一つに合わせた法律が可能であるかどうか、別個にするものであるか、その点についての御質問だったと思いますが、総理府といたしましては、沖繩の振興、開発等にからみまして、私どもで準備をいたしております暫定措置法には、どうも一緒にするのになじんでこないのではなかろうかというふうに私ども考えております。ただ法律立法技術的な問題もあることでございますから、施設庁並びに法制局とただいま検討しております。そういう段階でございます。
  57. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、土地の再契約の問題について、施設庁長官に最後にお尋ねをしておきたいと思います。  沖繩調査に七月の末に参りまして、私自身が認識をしている以上に土地問題というのが非常に深刻な問題になっている、それから、自衛隊の配備についても、とにかく私自身が深刻な反省をしいられたほど、現地におけるこれに対する関心と、そうして自衛隊配備に対する反対の意向を持っている人が多いということを、私はからだで感じてきたわけです。長官御自身も最近沖繩調査、視察においでになったわけです。お尋ねしておきますが、土地の再契約を慎重に、そして誠意を持ってと、こう言われるわけです。これについてのどういうふうな組織、人員、計画、どんなスケジュールで土地の再契約を進めていかれるのか、このあたりについてひとつ御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  58. 島田豊

    島田説明員 私どもは、最後の最後まで土地所有者との間に賃貸借契約についての円満な合意に達して、賃貸借契約を結ぶということで臨んでおるわけでございますが、私どもの体制といたしまして、現在の体制ではきわめて不十分でございますので、今後逐次体制を整え、人員も増強して、この辺の処理に当たりたいというふうに考えておるわけでございます。  現在、賃貸借契約の中心になりますのが借料の決定ということでございます。沖繩には、御承知のとおりに地主会連合会という組織がございまして、その下部組織も逐次整備されておるわけでございます。そこで、私どもは現在の段階におきまして、地主会連合会の方々と——連合会としてもいろいろ研究しておられますので、その辺の考え方の合致、あるいは具体的な借料の決定、こういうこともこれからもいたしていくわけでございます。まあこの問の作業というものはきわめて複雑でございますし、また業務量も非常に大きくなってまいりますので、私どもとしては早急に人員を固めまして、これに対処したいというふうに考えておるわけでございます。  事項的に申し上げますと、施設別、市町村別さらに所有者別に地番、地目、数量等の調査及び整理、周辺の土地におきますところの売買の実例、賃借の実例、あるいは農地関係につきましては農林業収益、付近の開発状況等の評価、資料の収集でありますとか、それから施設別、部落別に借料の予定価格を算定をし、そして地主の方々に借料算定の基準あるいは契約書等についての御説明を申し上げ、そして個々の地主の方々三万数千名に一々御説明するということにもまいりませんので、施設別あるいは部落別にグループをつくっていただきまして、その方々との提供についての折衝をする。賃貸借契約に応じない方々につきましても、個別折衝を最後まで続けていく、そういうふうないろいろな業務がございます。さらには賃貸借契約の作成あるいはそれについての手続上の準備、こういうものもございます。最後には個人別の支払い明細書の作成あるいは契約書の作成、こういうことになりますので、これを復帰までに実現をするためには、相当な人数が要るわけでございます。したがいまして、現在そういう増員措置につきまして関係省庁と折衝、協議を続けておるという段階でございます。
  59. 中谷鉄也

    中谷委員 だから、大体どの程度の人数になるのかというふうなことは、やはり答弁をしていただかないといけないと思うのです。  それと、質問一つ落としましたが、暫定措置というもの、私はやはり憲法上の問題があると思いますが、軍用地についての暫定措置というものを、他の暫定措置、沖繩の経済開発等を中心とした暫定措置と別個に出すということについては、やはり軍用地問題というのは経済開発にはなじまないものだ、したがって別個に出すのだ、出すとすれば別個だという考え方については、防衛庁も異議がないわけですね。
  60. 島田豊

    島田説明員 この契約関係につきましては、一応現在の段階におきまして復帰前にやはり百七、八十名の陣容を必要とするのではないかというふうにわれわれとしては算定いたしております。  それから、いまの暫定措置に関する立法措置につきまして、振興開発関係の暫定的な法律と一本にするか、あるいは別個の立法にするかということについては、いまいろいろ対策庁とも協議中でございまして、いまの段階ではいずれとも申しかねる、こういうことでございます。
  61. 床次徳二

  62. 國場幸昌

    國場委員 私は、沖繩が未曽有の干ばつに見舞われ、先島、離島いま瀕死の状態に至っておりますので、政府のそれに対する緊急措置がいかほど行き届いておるか、またなされたかということに対して質問いたしたいと思います。  御案内のとおり、先島——宮古、八重山各市町村長を主体に、また各種団体より再三にわたるところの陳情が今日までなされておるわけでございます。私は、去る八月六日から八日まで三日間、両先島、離島を調査してまいりました。御案内のとおり、宮古、八重山は純農業をもって——農業以外の収入は、漁業にしまして毛港湾施設とかその他資金関係で、四面海に囲まれ漁業に対しては絶対条件を持つといえども施設の少なさによって、その水産業も遅々として何ら進展をしている面はございません。よって、農業が全くの生命であるというような先島のこの運命の中で、いまから七年前に干ばつにあいまして、その債務返済の見通しも立たないうちに、また今度やってきたわけでございます。離島の十万余にわたるところの住民は、いま全くおぼれる者わらをつかむがごとき状態において、日本政府に対する頼みといいましょうか、それに期待しておるのが現状でございます。しかるに、それに対するところの措置がまだ講ぜられておらない。沖繩はいま毒ガス撤去ということで、日本国民はもちろんのこと、世界の注目ということでは名は高うございます。それに撤去に際して住民に対しての危惧を解消すべく補償してもらって、まことにありがとうございましたということを感謝しつつも、それよりも目の前において洞死に瀕しておるところのこの離島住民に対して、いかような措置が講ぜられたか、政府のお考え方と、あるいはまた現に行なわれたところのそれに対する措置をお伺いいたしたいと思います。  どちらでもかまいません。副長官でも対策庁長官でもかまいませんので、ひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  63. 砂田重民

    ○砂田説明員 お答えいたします。  私から総括的なことをお答えを申し上げまして、細部をまた対策庁のほうからお答えをさせていただきたいと思います。  まず冒頭に、私は今回のたいへん悲惨なとでもいえる干害をお受けになった方々に、心からのお見舞いを申し上げまして、ここ干ばつに対します私どもの姿勢をお答えをしておきたいと思いますが、いまもお話にございましたように、昭和三十八年の大干ばつの被害を受けられて、これがもしも本土のことでありましたならば、当然あの干ばつのあと、水の施設等々について、もう措置が講ぜられていたと思うのです。残念ながら、わが施政権下になかった沖繩のことでございますから、三十八年の干ばつのあと、再び干ばつの被害を受けないような施設をつくると申しますか、こういうものが国、地方公共団体を通じてなされてなかった。そういうことを心に置きながら、今回の干ばつについても対処をしていこうというのが、私どもの基本的な姿勢でございます。  そこで、七月二十四日に、琉球政府から、給水対策費、農産物対策費、家畜対策費等について、総額約七億円の御要求がございました。  そのおもなものは、各市町村におきます水道施設、農作物につきましてはサトウキビの種苗の手当て、肥料、農薬購入費等、パイナップルの肥料の購入費、バレイショの種苗の購入費、ニンニクの種子と野菜の種子の緊急購入をする費用等でございました。家畜対策は飼料の購入費等があったわけでございます。さらに、かんがい施設の整備調査費等も含めまして、総額七億円の御要求がございました。  私どもといたしましては、冒頭に述べましたような姿勢で対処しなければならない、かように考えまして、とりあえずは調整費の中から支出をしたいということで、ただいま大蔵省との間でせっかく折衝中でございます。大蔵省の予備費云々のことはあと回しにいたしましても、早い時期に早く手を打ちたいと思うものでございますから、調整費支出でこれをまかないたい、そういうことでただいま財政当局と折衝中でございまして、まあそんなに時間のかかることではない、ひとつ緊急に答えを出して対処をしたい、かように考えております。
  64. 國場幸昌

    國場委員 政府当局においても努力されておることに対しての誠意は、ありがたく拝聞したわけでございますが、御案内のとおり、農民の生活の根源を失っておる今日、その日その日一日をいかに生活すればいいかということに対しての問題でございます。と申しますのは、農民は、農協においてその年度の収穫期を見返り財源としまして、農業経営に対するところの基金、あるいはまたその日の生活に対しての生活基金、そういうことでやってきておりますが、見返り財源とすべきところのほとんどの作物が全滅してきた。農協の基金は底をつきまして、一般銀行にしましても、見返り財源があることによって融資ができ、あるいはまた農協にしましても、その年の収穫によって、そしてまた借りかえをするということでございますが、その財源を失った今日においては、農協においても基金が底をつき、あるいはまた銀行においても、担保になる物件は何もの一つもないというようなかっこうで、その日の生活をいかにするか。せんだって陳情団の前で総理府長官は、他の地域はさておいてでも、先島に対するところ市町村事業、琉球政府事業あるいはまた失対事業、こういうものを、予算をすべて示達しろというようなことの言いつけをされるのを、目前において言われたことを記憶しております。ところが、私が見聞し、先島において三日間調査した結果は、その失対事業にしてでも、それが生活を補うことのできるというような金額にとうてい達しておらない。いまのとおりでいきましたら、現実というのは、百姓家はうちを締めて沖繩本島やあるいは本土に出かせぎに出ていく。それは、状態においてはそういうようなこともやむを得ないということを考えつつも、しかし私がおそれるのは、農業において見切りをつけ、年々歳々襲いくる暴風雨あるいは干害に対して今日まで苦い経験を持ち、それでは農業をしては将来に希望を持てないというような、農民の農業意欲というのがもう全然失われておるわけでございますので、いま八重山の裏石垣におきましても、あるいは各離島におきましても、ほとんどがうちを締め、そして沖繩本島に渡るとかあるいは出かせぎに本土に渡るとか、そういうようなことで、さんざんばらばらの行動をしておるのが現実でございます。  たとえば水の補給にしましても、幸いに軍のほうが協力しまして、竹島のごときは一日において四・六リットル、約二升五合でございます。二升五合に達しません、約二升ですね。それに、この前保安庁の船が水を満載して沖繩の水補給のために行くのだということで、内心喜んでテレビを見ておったわけでございます。ところがその船は、鹿児島まで行って引き返してきた。これはどうしてこうなったかということを私は尋ねたわけでございますが、もうその船は必要ないからと琉球側の政府からの連絡があったということでございます。  私は、その翌日先島に渡ったわけでございますが、牛は、塩水を飲ますものですから、八百頭の牛が百二十頭になり、栄養失調を来たしてふらふらしておる。その牛そのものの価格は、常日ごろならキロ当たり八十セント、一ドルくらい、こういうような価格であるにもかかわらず、いま四十セントか三十セントでそれを処分しておる。おまけに子牛は栄養失調のふらふらしたやつを添えものとして上げておるという現状なんです。  だから、そういうような事態に至って、この前の保安庁のせっかくの心づくしもこれがむだになった。せっかく鹿児島まで東京湾を出まして行ったのにもかかわらず……。離島の住民はこれに対する期待は大きかったわけでございます。アメリカ軍のほうでは、そういう実情にかんがみ、いまさっきも申し上げましたとおり、一日に四・六リットル。これでは畜馬に水を与えることはとうていできないものですから、全く離島というのは、たとえば竹富島あるいは黒島、新城島にしましてもそのとおりでございます。ところが、その離島は、いわゆる畜産と若干の民芸品によって生活をなしておった。その根源のすべてを失った。また石垣島においても宮古本島においても、砂糖、パイン、それが根こそぎに全滅してしまった。御案内のとおり、サトウキビの収獲というのは、植えかえた場合には一年半たたねば収獲はないわけなんです。こういうことになって、一年半たっての生活が一体どうなるか、その間はどういうぐあいに生活するか、こういうようなことで、離島民がこれを切り抜けるためには、政府は、災害の特別地域としての救助法でもあればということも考えるわけでございますが、施政権の及ばない政府としまして、直ちにそういうことができないということもまことに残念でございます。  ところが、政府がその気持ちになれば、あの毒ガス撤去に、三十六万ドルを出している。そして琉球政府はその避難に対して補償もしておるというような現状から考えました場合に、これは毒ガス撤去については危険があるだろうというような期待のもとになされておるわけでございます。沖繩本島でありますと、那覇、中部等陸続きであり、互いに経済の交流によって生活はできるわけでございます。でありますのに、このような現在の状況にありて、さっきも副長官のほうから聞いたわけでございますが、この実情を切り抜けるためには、いかにすればできるかということを私は考えるわけでございます。大蔵省のほうでは、やはり予算関係もあるでございましょうが、しかし山中長官が担当大臣でございますので、あの毒ガス撤去にやったような措置をとれば、沖繩百万県民、ことに離島は、このなされる措置そのものに対して、あの毒ガス撤去に与えた恩恵よりもはるかに上回るところの感謝の念を持って、そして政府に対しては恩にあずかるというような気持ちでありますので、それに対する政府当局のお考え方をもう一度お聞かせをお願いしたいわけでございます。
  65. 砂田重民

    ○砂田説明員 るるお話を承りまして、私ども、冒頭に申し上げましたような姿勢で、干ばつにあわれたお気の毒な方々に対する当面の対策と申しましても、いま國場先生がおっしゃいますように、サトウキビ等は一ぺん根まで枯れてしまいますと、再び作物としての収益は一年半得られないというふうな事態もございますので、お話にございましたような、きめのこまかいことを琉球政府と十分連絡をとりながら対処していきたい。  ただ、ただいまの海上保安庁の「みうら」の水のことでございますけれども、琉球政府のほうにこちらからもたびたび積極的に連絡をとってまいりまして、あの「みうら」を派遣することにきまったのでございますが、横浜を出汎して途中まで参りましたときに、琉球のほうから、事態はもう緊急な、そういう海上保安庁の船の給水は必要でないというふうな御意向の表明がこちらにございましたので、途中から引き返させるようなことになったのであります。國揚先生が現地でごらんになった実情が、そうではない、「みうら」を期待していたんだということは、私どもいま初めて伺ったわけでございますけれども、ここらの、「みうら」をもっての給水を必要としたのかどうかというふうなことについては、琉政のほうともう一度ともに検討してみたい、かように考える次第でございます。  また、個々の細部につきましては、対策庁の長官からお答えをさせていただきたいと思います。
  66. 國場幸昌

    國場委員 時間が五分過ぎておりますので、質問を打ち切りたいと思いますが、何を申しましても、現に十何万という、これは農民だけではございません。やはり農業を基本にするところの経済の構造でございますので、農民が困るときには、その他の中小工業、産業、すべてにおいて麻痺するわけでございます。常日ごろにおいても、先島においては人口の過疎化を来たしておる現状であり、それに拍車をかけて、このたびの干ばつに対して、いまのような態度で措置が遅々として進まないということになると、先島のほうではもうすでに農業に対しては失望を来たし、おそらく、沖繩の唯一の農業市町村であるというこの先島は、ほとんど住民はおらなくなるであろうというように考えるわけでございます。その点に対しまして、政府はもっともっと地道に調査をされて、そして、少なくともこの一週間以内には希望の持てるような措置を講じていただきたい、これをお願いいたしまして、午後にまた質問いたしたいと思います。
  67. 岡部秀一

    ○岡部説明員 御質問の点につきましての、政府の現在及び今後の干ばつに対する方針につきましては、先ほど砂田副長官から申し上げたような次第でございますが、なお、ただいま、琉球政府からは給水対策、農作物対策、家畜対策等で約七億円ほどの応急手当て費の要求がございましたが、これはもちろん当面の問題として、私たちがぜひとも緊急措置として出していかなくちゃならぬという問題でございます。この額は、干ばつの進行度に応じてなお額を増してくるであろう。私たちのこの処置に対する考え方も、またさらに前向きに積極的になっていくということを申し上げたいと思いますし、さらに、特に御心配されておられましたような、作物が植えつけられない、植えつけられてもそれを取り入れるまでの間収入がないという点、この問題につきましては、あらためてまたその点の措置を当然しなくてはならない、かように思っておりますから、生活保護費をもって最低の生活はできるようにし、さらに、農業の再生産ができるような措置を琉球政府と一緒に努力をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。  また、公共事業費を計上いたしてありますので、できるだけ早くこれを集中的にやっていくという措置をただいまとっておりますし、来年度の公共事業費等での就業の吸収というふうなものをやっていくことを心がけてまいりたいと思っております。  それから「みうら」の問題につきまして、先ほど副長官からもお話がございましたが、実は「みうら」の問題は、七百トンの水を本島に持っていくことになっておりましたが、本島のほうに雨が降りましたので、その必要はないということになったわけであります。ところが、先島の問題につきましては、八重山、宮古ではその当時も雨が降っておりませんでしたが、この七百トンの「みうら」の水を持っていきましても——ただいま軍政府のほうで二十トン、二十トンを船でさらに関係の島へ配布をいたしておるという状況でございますが、これが地形上でなかなかむずかしいが、何とか海岸に接着できましても、七百トンの水を四十トンしか毎日配給できません状況でございましたので、それを全部配給するということになりますと、約二十日間もこの「みうら」が現地に駐とんしなくてはいけない、こういう現状で、とてもこれは保安庁のほうの仕事の関係上からもできなかった。そして現地においては、この四十トンの水で何とか急場をしのぐことができるという状況でございましたので、現状判断をいたしましてそちらのほうへは参らなかった、こういう状況でございましたこと、しかし大臣といたしましては、そこまでの配慮をいたしましたということをひとつ御了承をしていただきたいと思います。  なお、現地の水の問題につきまして、八重山群島におきましては、西表島から黒島とそれから新城島へ海底パイプをつけるということ、あるいはまた宮古島で十一カ所のレインガンの工事をし、石垣島で五カ所のダムの建設をする、それから宮古群島では宮古島から池間島、来間島へ海底パイプをつける、こういう計画を立てておりまして、来年度以降におきましてこれを措置してまいりたいと思っております。
  68. 床次徳二

    床次委員長 午後一時三十分委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ————◇—————    午時一時三十七分開議
  69. 床次徳二

    床次委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西銘順治君。
  70. 西銘順治

    ○西銘委員 長官に対する質問を残しまして、対策庁長官に対策要綱を中心としてお聞きしたいのであります。  新聞報道によりますと、第三次の復帰対策要綱案と申しますか、その中で、国の行政機関の中で、管区的機能を有する機関を設置することになっておりますが、それは一体何をさしているのか。  第二点は、私立学校教職員共済組合、農林漁業団体職員共済組合、公務員等共済組合制度並びに恩給につきまして、沖繩の特殊性を考慮するか、さもなければ合理的な改善措置を講ずることになっておりますが、未払い掛け金についてどう救済されるのか、これが第二点であります。  第三点は、塩の専売制度を実施することにしておりますが、再製業者及び従業員に対して適切な措置を講ずることになっておるのでありますが、具体的に説明していただきたいのであります。  第四点は酒税の件でございますが、税差の範囲内で軽減措置を講ずることになっておりますが、具体的に説明していただきたいのであります。あわせまして、輸入洋酒の特例を設けるとは一体何をさしておるのか、御説明いただきたいのであります。  質問の第五点は、砂糖消費税について、まだ具体的な成案を得ず、検討中ということでありますが、一体問題点にどこにあるのか、御説明していただきたいのであります。  質問の第六点は、石油ガス税についてでありますが、現地供給が行なわれる見通しであるので、本土法を適用しても値下がりする見込みであるといっておられるのでありますが、現地精油所の減価償却ができていませんし、本土からの輸送費は非常に格安でありますので、はたして値下がりが見込めるのかどうか、御見解をお伺いしたいのであります。またこれと関連いたしまして、全島プール価格について何も触れていないのでありますが、これについての対策を聞きしたいのであります。  次に、市町村税であるところの電気・ガス税の経過措置につきましては、現地側といたしましては一・四%ずつ五年間本土並みにすることを希望しておるのでありますが、これはできないのかどうか。  以上、対策要綱案並びにその中での問題について、七点だけお聞きしたいのであります。
  71. 岡部秀一

    ○岡部説明員 お答えをいたします。  最初に、出先機関の管区機能を有する機関について、どういうことを考えているかということでございますが、これにつきましては、現状のままで置いておきますると、管区は九州管区へ入ってしまうということになりまして、許認可等一々福岡まで行かなくてはならない、あるいは熊本まで行かなくてはならないという諸状況が出ますので、そういう手数を省くために、管区的な機能を沖繩の那覇に置くという考え方でございます。そういう点で、入ってまいりますものが、地方農政局関係の仕事、通産局関係の仕事、陸運局、海運局、港湾建設局、地方建設局とそれから財務局、地方行政監察局、こういうようなものがそういう点で入ってくると思うのでございます。それらのものを出先総合機関として、それらの機能を一元的に行なうという考え方をいたしております。しかし、それらのそれぞれの仕事につきましては、指揮命令系統は、それぞれの本省の指揮命令系統を受けるということによりまして、本省各省との直結的なやり方をやっていこう。しかし、それらがいろいろと相関連をいたしまして、個々ばらばらに行政をやっていきますと、これを受けますところの琉球政府側におきましても、非常な迷惑をいたしますので、それを総合事務局の長が、自律的に調整をやっていくというやり方をいたしたいと思っておる次第でございます。そのほかの管区的な国の機関があるわけでございますが、そういうものは、直接にそれぞれの省で置くということになると思います。それは、たとえば大蔵省の関係で申しますと、沖繩国税事務所とかあるいは国税不服審判所というふうなもの、あるいは税関というふうなもの。厚生省でいいますると国立公園管理事務所とか、あるいは運輸省でいいますと管区海上保安本部というようなもの、あるいは那覇地方海難審判庁、同理事所というようなものあるいは気象台。あるいは郵政省でいいますと郵政監理局とか、こういう一般的でない専門的あるいは分離的にやったほうがより効率的にいくであろう、そういうものは、管区的な機関をそれぞれ置くということにいたしてまいりたいと思っております。  それから次は、共済制度につきましての未払い掛け金についての取り扱いでございますが、各種の共済制度の取り扱いにつきましては、原則として、本土の各種共済組合法を適用するということにいたします。沖繩の共済組合法におけるところの受給資格、組合員期間等の取り扱いにつきましては、本土の組合員のそれとの均衡を考慮してまいりたいと思います。そして合理的な措置を講ずるということにつきまして、非常に技術的な面を有し、細部的な問題でございますので、目下そういう観点で関係各省と検討をいたしております。いわゆる掛け金未払い期間の問題は、すでに沖繩の公務員等共済組合法で、本土法と同様な原則が確立されておりますので、他の団体共済含めまして、その原則に従うという基本のもとに、目下盛んに各省と具体的な問題についての検討と詰めをいたしておる状況でございます。  それから、製塩業者につきましては、現在沖繩では塩は自由営業になっております。流通機構もどこの店で買ってもよろしい、価格も区々である、こういうふうな状況になっておりまするが、これにつきましては、復帰と同時に専売制度を実施することとなりますので、これに伴いまして、廃業を余儀なくされるところの製塩営業者の方々がだいぶおります。本島で株式会社が一つ、その他中小の製塩組合等がございますし、宮古に製塩所、それから石垣に塩の製造の商会等がございます。販売関係につきましては、卸が大体百四十人と推定されますし、小売りが約四千人と推定される。こういう方々が製塩業務に携わっておるわけでございますが、こういう人たちが廃業を余儀なくされる、こういうことになりますので、再製業者及び従業員に対しまして、退職等に際しましての適切な措置をとるということを基本といたしまして、目下検討しておる次第であります。流通面につきまして、製塩業者を元売り人あるいは営業所に指定するというふうな形で進めていきたいと思います。それから補償の問題については、不回収の投下資本の問題をどうするかというふうな問題もございますので、これにつきましても補償するかどうするか、とにかくそれについての補償的な考え方を基調にいたしまして、目下検討をいたしておるという状況でございます。  それから酒税につきましては、税の格差を減税するということを根本にいたしまして、減税を考えておるという状況でございまするが、さらに細部につきまして琉球政府とも検討いたしておりますし、関係各省ともさらにそれの具体化につきましてどの程度にするか、それを基本として、どういうふうにするかという具体的な問題の最後の詰めに入っておるという状況でございます。  それから輸入の酒につきましては、零細業者等を中心とする業者の生業というふうな点を考えまして、この人たちが取り扱う実績の量をもとといたしまして、いままでの税を上げないでいくことができないかということについて、措置を検討をいたしておるという状況でございます。  観光関係の税につきましては、第一次でしたかで発表いたしましたように、三本持ち帰る者につきましては、現状の税にするということでございます。  それから砂糖の消費税につきましては、これもでき得べくんば現状の税率というふうなものでいかないかということにつきまして、それを基本といたしまして、ただいま研究をいたしておるという状況で、何とかその措置を講じたいという前向きの状況で検討を進めておる状況でございます。  それから石油消費税につきましては、現在ガルフ、エッソ等、これが精製可能になってきますと、沖繩におきますところの五万七千トンでしたかの需要量を上回るという状況になりますので、その点で、現地でもって精製できますので、価格は安くいくという状況になるのじゃなかろうかというふうな見通しを立てております。  それから電気・ガス税につきましては、本土法になりますと七%の電気・ガス税になりますので、これを五年間で漸次上げていくか、あるいは七年間で上げていくかいろいろな方法がございますが、その点で、いずれにいたしましても特別措置を講ずる。直ちに七%上げるということはしないで、漸進的に上げていくということをいたしてまいろうという考え方をいたしております。  ちょっと取り落としたかとも思いまするが、なお御質問に応じまして……。
  72. 西銘順治

    ○西銘委員 管区的な機能を有する機関の設置につきましては、たとえば地方農政局とか通産局、陸海運局とかいろいろ予定されておるようでございますが、それと総合事務局との関連はどうなるのか、管区的な機能を有するものの中で、当然予定されておる総合事務局の中に包含されるものがあるのではないか。私がここで申し上げているのは、この管区的な機能を有するものとはたとえば保安庁の管区、こういったことを指しておるのであって、総合事務局の中に統合される通産局とか農政局とかそういうものじゃないのではないかと思いますが、それの関連はどうなりますか。  それと共済組合制度の未払い掛け金についてでありますが、実際の分については支給しないということであるのか、差し引いて支給するということであるのか、また国の負担分だけをここでもって負担するということであるのか、まだ具体的に回答がございませんのでお聞きしたいのであります。  塩の専売制度移行の問題で一番問題になりますのは、従業員の救済でございますが、単に適切な措置を講ずるということになっておりますが、就職のあっせん、身分の保障等、どういう形で考慮されておるのか、ひとつ具体的にお聞かせいただきたいと思うのであります。  酒税でございますが、酒だけでなく、みそ、しょうゆ、現地企業を保護するには、私の意見といたしましては、税率を、いわば税差だけでこれを保護するということは、企業が非常に体質が弱く、しかも島内市場を相手にした競争力の弱い企業でございますので、税差だけではなくて、いわゆる輸入規制、数量規制をやるのでなければ抜本的な施策にはならないと思うのでありますが、数量規制、いわゆる輸入規制をやるのかやらないのか、はっきりひとつお聞かせいただきたいのであります。  また、石油ガス税でございますが、現地で供給されるものについて本土法、本土税率を適用しても値上がりしないだろうという観測で、本土税率をそのまま適用するということになっておりますが、計数的にそうなっても、実際本土施設と違いまして、まだ減価償却もされておりませんし、本土から沖繩に運ぶということになれば、大きなタンカーで運びますので運賃も非常に格安でございます。そういういろいろな要素から考慮して、はたして本土税率を適用しても値上がりしないという確証があるか、その点をお聞きしたいのであります。
  73. 岡部秀一

    ○岡部説明員 出先機関につきまして、管区的な機能で、総合行政機関に入らないものとの関係についてどうするかという問題につきましては、入らないととろは、普通ならばそのままいきますると九州管区で、福岡でやることになりますのを、特に、現地便宜のために、沖繩に置くということをやりまして、総合出先機関とは別に置きまして、その間の法律上の連絡はございません。といいますのは、それは別個に置く——総合行政機関の中に入れて総合的に取り扱うというよりは、むしろ別個の専門的な研究的な面、あるいは特別な行政的な面になりますので、別に置いたほうがよりよく機能を発揮できるという観点で、別に置くということで、しかしながら、それは普通ならば福岡のほうになりますが、そこまで行かなければなりませんが、現地においてそれが処理できるような機関を置くということで、現地の便宜に処していきたいという考え方でございます。  それから製塩業者につきまして、なお具体的にどういうことをするのかという御質問でございますが、その点につきましては、これもまだ関係機関の間で最終の決定に至っておりませんので、先ほど申し上げましたような観点で、今後の仕事を進めていくということで御了承をお願いいたしたいと思います。  それから、規制措置をとるかという問題でございますが、これは、最初実は、私たちも琉球政府も、輸入規制措置をとるという点で、税と輸入規制とを合わせることによって行ないたいという考え方で、輸入規制をとる考え方を琉球政府も持ちましたし、私たちのほうも、琉球政府でそういう考え方を持つということに賛成をいたしてまいったのでございますが、その後琉球政府のほうでも、しさいにいろいろと検討をいたしてまいりますると、なかなかむずかしいという観点になったわけでございます。それは、工業関係者のほうはそれに賛成ですけれども、商業関係者のほうがなかなか輸入規制ということについては、実際上むずかしいし、のみならず、むしろ輸入規制がないほうがいいんだという考え方になるわけでございますね。その点で非常に両者の意見も違って、結局、業者がその気になりませんと、これはとてもではない仕事でございまして、琉球政府におきましても、輸入規制ということをやっても、事実上それが行ないがたいという観点から、輸入規制は行なわない。そして税のほうで措置をする。税で補い得ない面はまた企業の育成、振興法関係あるいは金融公庫関係等でもって企業の脆弱性を一日も早く回復し、確立、伸展していく、そういう方向でやるという考え方になってまいりまして、この前調整部長も行きまして、その点るる琉球政府とも意見の交換をいたしましたのですが、琉球政府においても、それにつきましての希望意見はない、むしろ設置をしないという状況になっておりますような状況でございますが、これは、確かにおっしゃいますとおりに、大きな問題だと私たちも実は思っておりますような状況でございます。  それから石油ガス税ですか、これは、なるほどそういう点につきまして、いろいろと専門的に見ますると問題があると思いますので、生産設備の整備状況や価格の見通し等に十分注意をいたしながら、なお検討をいたしてまいりたいと思っております。  それからなお、共済のことにつきましては、ちょっとこまかな点にわたりますので、調整部長のほうからお答え申し上げます。
  74. 西銘順治

    ○西銘委員 それでは、その数量規制についてはやらないということに受け取ってよろしゅうございますか。  それと、石油ガス税についての全島プール価格制の問題について、どういう措置をとるのかどうか。全島プール価格制が維持できるか。現行どおりできるか。それをどういう点でカバーされるのか。
  75. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いままでの質疑応答をよく聞いておりませんですけれども、石油ガス税については、これは現在の価格をそのまま据え置くことを前提に配慮をいたします。措置をとります。それから、現在は全島プール価格制というものによって、離島まで運賃コストその他が吸収された形で、県民ひとしく同じ小売り価格のもとに供給されておりますから、これは非常に大切なことでありますので、いま、いろいろの手段を考えておりますけれども、相なるべくんば、これが税の措置等と相まった措置に伴って、それが離島の方向への価格の保持ということに振り向けられればと思って、いま検討しておりますが、端的に言うと、離島の分については、離島に対する輸送費補助を出せばいいわけですね。ところが、これが、現在の機構が一元の卸売り、全島一本の卸売りということにしぼってあるためにそれができる。そこらのところを今後どうするか、それが一島、一県、一社独占でいけないということであるならば、はたして末端の小売り価格が、均一価格が保持できるかどうか、この問題にすぐぶつかります。そうすると、各社がばらばらに供給をするものに全部——必要以上の供給までするかもしれませんし、そういうものに全部ひとしく補助をするということは非常にむずかしい問題になりますので、ここらのところは妙案が、どうやら輪郭が明らかになりつつありますから、結論としては、御心配の点はないように措置できる見込みであるということにお答えをさせていただきたいと思います。
  76. 西銘順治

    ○西銘委員 時間があまりありませんので、まとめて大臣にお聞きいたします。  施政権返還協定も、いよいよ調印が終わりまして批准の段階を迎えることになったわけであります。われわれ沖繩といたしましては、返還協定が成立しない、批准ができないということになりまするというと、まことに県民にとって、これは大きな悲劇であるといわなければならないわけであります。したがって、ここで長官に対しまして、豊かな県づくりのための政府の施策、特に復帰対策要綱等を中心として、いろいろ政府要望いたしておるのでございますが、返還協定の成立についても、全く明るい見通しとは言えないわけであります。これが成立いたしませんというと、復帰対策要綱を審議することすら無意味だと思うのでございます。これは、山中大臣に聞いてもどうかと思いますが、との返還協定の成立の見通しと申しますか、これについてのお考えをお聞きしたいのであります。
  77. 山中貞則

    ○山中国務大臣 日本の国会においては、与党はもちろん賛成をしてもらえるだろうと思っておりますから、野党の方々の反対もしくは条件つき、それがいれられなければ反対に回るという、いろいろ各党のニュアンスの違いがありますが、それらの困難をよく政府全体としてとことんまで説明申し上げて、御了解を得る努力をする。そして必ず沖繩臨時国会においては、協定の成立を期するという姿勢に尽きると思います。  しかしながら他面、アメリカの上院の情勢は、最近報道されておるようなことも、私はあながちそうにせ情報ばかりでもないような気がいたします。私自身が環境問題で閣僚会議に参りました際の感触等についても、やはり上院においては、相当な議論をするものが出てくるだろうというような点も心配いたしておりますから、これが否決されることはかりにないとしても、それが継続審議なんかに持ち込まれますと、復帰の時期そのものが大幅におくれる可能性がありますし、そういうことがないように、私は私なりにお願いをし、あるいは要請と申しますか、意見の交換もしてきたわけでありますけれども、問題は外務省の対米折衝の問題でありますから、これ以上申し上げませんが、米側のほうに不測の事態が起こらないことを念ずるのみである。国内においては、野党の皆さんに、精一ぱいの政府の努力、そして所信のあるところ理解していただく努力をすべきであるということに尽きようかと思います。
  78. 西銘順治

    ○西銘委員 沖繩国会で議決を要するものの中には、大きく分けまして、返還協定、これが一つ。暫定特例措置に関する立法、これが数百件あると思いますが、これが二つ。三番目に、沖繩の経済、社会の開発、発展をはかるための立法等が予定されておるのであります。  第一次の復帰対策要綱で述べておりますとおり、日米政府間で交渉を要する事項については、別途検討することになっておるのであります。しかしながら、第一次の復帰対策要綱から、新聞で報道されました第三次の復帰対策要綱案の中で述べられた事柄は、国内措置としてはきわめて有効適切なものであると思うのであります。しかしながら、返還協定と関連いたしまして、日米政府間で交渉しなければならない事項の中で最も緊急を要するものは、軍用地問題だと考えております。これに関連いたしまして、現地地主連合会の要望が何ら検討されておりません。私は、沖繩問題軍用地問題であると言っても決して過言ではないと思っておりますが、復帰対策要綱の中で返還協定と関連いたしまして、最も大事なこれらの問題について何ら触れていないということは、返還協定成立をめぐって、これはきわめて憂える一つの大きな要因になっておるのでございますが、これらの問題が何ら検討されていない理由は那辺にあるのか、これをお聞きしたいのであります。  返還協定の中で、沖繩住民の最も関心を持っておりまするのは対米請求権、もろもろの請求並びに本土政府のこれについての肩がわりでございますが、なかんずく復元補償、人身傷害、漁業補償等、日米政府で交渉を要する、しかも急がなければならない重大な事項について、何ら触れていないのであります。この問題は、返還協定の批准ができるかできないかの最も大きな基本でございますので、これに対する長官あるいは関係者の見解をお伺いしたいのであります。
  79. 山中貞則

    ○山中国務大臣 誤解があるといけませんが、第三次復帰対策要綱はまだきめておりません。それは、琉球政府のほうと最終的に合意して、閣議決定の運びにいたしたいと存ずるわけであります。新聞等に出ておりますもの等については、党のほうに現在の作業の過程で御説明申し上げたもの、あるいはまた党のほうから部会で要望のあったもの等が、それぞれときどき出ておるように思うのでありますけれども、最終的にはまだ決定はいたしていない。したがって、日米共同声明の際に、対米請求権中残ったものについては、本土政府が、特別に肩がわりということばは使っておりませんが、配慮をするということを示しておりますから、この配慮が予算上の配慮だけで済むのか、あるいはやはり第三次要綱の中に文言として取り入れるべきものであるのか、そこらについては今後検討いたしてまいりたいと考えます。  なお、提供施設土地の問題についての地主との関係は、防衛施設庁においてこれを行なうということになっておりますので、さようにお含みおき願いたいと思います。
  80. 西銘順治

    ○西銘委員 特に軍用地につきましては地主連合会から、接収当時の地目で賃借料が払われておるので、それに対する要望あるいは復元補償等の要望、先ほど午前の委員会におきまして中谷委員からもお話がありましたが、いわゆる米軍基地をそのまま引き継ぐ場合の暫定措置法というものが要るのか要らないのか、こういう基本的な問題についても何ら承っていないわけであります。そういうことから、はたして返還協定が批准できるかどうか。最も関連する法案は、軍用地関係の法案ではないかと思っておりますので、長官から督励していただきまして、後顧の憂いのないように、万全の施策をもって返還協定の批准に臨まれるように、叱吃激励されるようお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  81. 床次徳二

  82. 國場幸昌

    國場委員 私は、午前に引き続きまして、沖繩で一番悩み苦しんでおる水問題に対してお伺いいたします。  御案内のとおり、沖繩本島におきましてもあるいはまた先島におきましても、一番生活をしていくことにおいての事欠かすことのできない水問題、これが本島におきましては時間給水、あるいはこの前幸いにして雨がちょっと降りましたので、いまは時間給水で間に合っておるわけなんですが、先島の問題にしましてもまた沖繩本島問題にしましても、ましてや今後沖繩の企業誘致問題、水、電気、道路、港湾、これは基本的な沖繩振興開発計画に対しての基幹をなすものでございますが、それに対して、今後開発計画の中でいかような計画があるかどうかをお尋ねしたいわけでございます。
  83. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まず二つに分けて、この干害の現状というものを二度と沖繩において起こさせないような緊急処理というものが一つあると思うのです。それから、未来への展望として沖繩の復興、振興計画を掲げ、その計画の実現に努力をする場合に、最も必要なものが水と電力であるということは、だれしもいっておることでありますが、その二つの観点から考えますと、かりに昭和三十八年に起こりました大干害のときに、これが復帰後の沖繩県であったと仮定せば、おそらく本土政府は、ことしのような大干害が起こるようなことを絶対にさせないだけの努力はしたと思うのです。しかしながら、米軍施政権下にありましたから、再びこのような悲劇を起こしてしまった。このことは本土政府としてまことに申しわけないことであると考えております。したがって、これをもう来年以降は絶対に起こさせないという手段は、島それぞれによって違うと思います。伏流水のわりとあることが発見された、かつての水地獄の宮古島等については、飲料水の確保はもちろんのこと、農作物等についても、スプレーガン等を利用する手段が効果があるということがはっきりわかっておりますから、これはそれだけの設備投資をすれば解決できる問題であります。  さらに石垣においては、表流水そのものも、五カ所ほどダムをつくることによって、農作物についての干害というものは防げるということが明らかでありますから、これまた予算措置等において処理できる問題でありましょうし、一方、もともとどんなに探査しても、掘ってみても、塩まじりの水しか出ない黒島とかあるいはまた新城島とかあるいは津堅島とかあるいは来間島とか、いろいろな島がございますが、そういうところには、それぞれやはり近くの水の豊富な島から、場合によっては海底を送水管を通しながら、それらの島の人々に安心してもらえる。また伊計島のように、現在ふだんのときでも断水をしなければならないような状態のところには、もう一本、海岸に地下水がふいておりますから、これを恒久的なものとしてくみ上げる施設をすれば、少なくとも伊計島においては水の心配はなくなるであろう、こういうような、いろいろの島ごとによって違うと思います。  さらに飲み水そのものについては、これは本島の中南部並びに先島、周辺離島の共通の問題でありますけれども 本島については、福地ダムから石川浄水場に至る送水管の早急な建設、しかも、日本政府がほとんどこれをめんどう見る形において完成させるということが、何よりも優先することだと考えます。米軍の援助が打ち切られた、米政の援助が打ち切られた部分の補てんばかりでなくて、すみやかに計画をもって、年次計画的なもので本土政府の力によって、本島中南部において現在のような状態が二度と起こらないようにする手段は、飲料水に関する限りあると思います。これは緊急策だと思うのです。  恒久策については、これはやはりいろいろの構想を暗中模索しておりますが、いずれにしても本島北部の表流水というものを、屋我地あるいは塩屋等もどのように位置づけるかも残っておりますけれども、目をつけていかなければならない問題であります。降雨量そのものは相当にある、しかしながら地形から見て、雨が降ると一ぺんに、それは短距離の河川の長さでありますから、急傾斜を通って海に流れ出して徒労に帰する、そこらを人間の知恵でもってふだんためていくという、ただそれだけのことをすればできるわけでありますから、今後は飲料水あるいは工業用水の長期展望の上に立って、その確保のための施策を、これはずいぶん設計調査に要すると思いますから、慎重に、しかも確実にそれが年次計画で達成されるように、未来の展望に備えなければならぬと考えております。
  84. 國場幸昌

    國場委員 緊急措置に対しての問題、恒久措置に対しての水問題は、総理府長官よくお考えのようでございますが、参考までに私の調査したいまの沖繩の事情、今後開発せんとする段階に至ってのまつわる諸問題に対してお尋ねをしておきたいと思います。  御案内のとおり、米陸軍水道局が総本部をなし、沖繩の水道事情というのは、その下に各空軍あるいはまたマリーンあるいはまたアーミー、こういうことで、並列しまして沖繩の琉球水道公社があるわけでございます。それに対する返還協定においての買い上げというのが、全部は買い上げてないというようなことであるか、その点は、この前瀬長委員のほうからも質問があったわけでございますが、いま御案内のとおり、水道に対する貯水量というのが、現在四百四十万トンのキャパンティーがあるようでございます。その中で、伏流水、すなわち川からとっておるのが一日当たり約十五万トン。一日の使用量は、大体二十三万トンを上下して使用されておるようでございます。せんだっての約一カ月余にわたるところの干ばつ、それによって、伏流水の量が約六万トンの減少を来たしておる。それから、八万トンから九万トンの地下水のくみ上げ量そのものが、やはり五、六万トンに減った、そうして貯水してあったところのダム、そういうものによって、それに補てんしていくものがとうとう底をついたというのが現状のようでございます。  そこで、三千七百万トンの福地ダムがいま建設中でございますが、大臣のいまおっしゃったように、それに対して毎日十二万五千トンの送水量のパイプが必要だ。ましてや沖繩北部の水資源開発をするためには——羽地湾をのけてもいま計画するとした場合には、約五十万トンの一日の給水は可能だということの調査になっておるようでございます。それに要する費用は、約七百億円という膨大な金が必要だ、こういうようなことをいわれておるわけでございます。でありますから、三千七百万トンという福地ダムができたとしましても、その内容からしますと、いわゆる上水道の増設あるいはまた給水誘導管の設備、こういうようなことが先立ってくるということになるわけでございますが、それに対して七三年度の予算、そういうような設備をするためには幾らぐらいの予算を見積もっておられるものであるか、また、いまさっきも申し上げましたとおり、やはり水道公社に全部移管するということになりますと、軍との調整はどうなっておることであろうか、こういうようなことに対して簡潔にお答えをお願いします。
  85. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先般の当委員会で、瀬長委員から質問を受けて、私がちょっと明確にできなかった点がございます。  その後、調査いたしました結果、現在、米軍が占領中に独自で開発もしくは確保しております水源あるいは水道そのものを含めて、これは復帰までに全部水道公社に返す、統一する。したがって、復帰の時点で受け取ります水道公社、そうして県に無償で渡します県営水道事業というものは、現在の軍の独自に開発して持っておりますものも含めて、全部を掌握するということにはっきりいたしております。その後、なおまた、大統領の予算教書にもその点が明示されておるということが明らかになっておりますから、その点は、今後水の管理者も当然一元化されて、沖繩県に統一されるわけでありますから、御心配の点は今後は消える。さらに来年度予算要求に関連して、北部の膨大な福地ダム、三十七万トンのはずでありますが、この膨大な水の確保についての設計、あるいはそれらの設計に伴う予算をどう計上するかという問題はまだこれからでございまして、来年度予算計上額を幾らにするかという点は、いまのところここではまだ明言できない、作業中であるということでお許し願いたいと思います。要するに、飲料水も工業用水も含めて、水と電力を確保しませんと沖繩の設計図がかけません、これは軍用地がある問題とは別の問題として。そういう意味で、これは積極的な努力を展開していきたいと思います。
  86. 國場幸昌

    國場委員 現在まで水道公社の設備に対しましては、アメリカ政府は、設備投資に対して八五%の補助をやっておったわけでございます。あと一五%は企業経営により、それからその裏づけとする融資あるいはまたその料金によってカバーしておったようなわけでございますが、沖繩の水源開発は、何を申しましても政府事業としてなされねば不可能でございまして、ましてや、工業誘致に対しては、水の料金が一番大きく左右するわけでございますので、それに対する政府考え方、これは長期低利融資と申しましても、返さなければいけないものであれば、勢いそれが料金にはね上がってくるということになるわけでございますが、この点に対してはいかがでございましょうか。
  87. 山中貞則

    ○山中国務大臣 新規の発電も新規の水の開拓もたいへん膨大な投資を必要といたします。したがって、現在の水道公社並びに残余の米軍管理部門も含めて、県営水道というものができましても、それらの資源の開発等については、ほとんど全部国がめんどうを見る姿勢でなければやっていけないことは十分承知いたしておるわけでございます。
  88. 國場幸昌

    國場委員 御案内のとおり、水資源というのは北部にしかございません。よって、北部の発展、繁栄あるいはまた振興計画にしましても、この水資源を代償として、北部の振興開発期成会のほうでは、人口過疎化は防止しましょう、国策をもって水資源を与えましょう、それに対するところの代償として、北部の立ちおくれたところの、未開発、後進性を持つところの経済の開発、そういうことに対して希望を持ち、すでに北部期成会のほうでは、そういうような企業誘致に対しての問題あるいはまた今後におけるところ北部に対する産業、あるいは農業にしましても、やはり畑地かんがいとかこういうことをぜひ政府にやっていただきたい。北部の開発に対してもしその協力なき場合には、いまの福地ダムの水でさえも阻止する、こういうような決議をしておるようでございます。私は北部の出身なるがゆえに、それを実現すべく、かたい決意のもとに私に要請されたのも事実でございます。時間がないようでございますから、大臣の質問に対してのお答えは満足に聞けないとは思いますが、その点が一点。  それからこの十三号線は、御案内のとおり、北部の大浦湾のところまでは整備拡張ができておるわけでございます。ところがそれからの以北は、復帰記念事業としての沖繩一周線を開設することによって、福地ダムからあるいは新川、安波川等道路沿いに水道管を布設する、これが一石二鳥というようなことで大きく期待し、また、ことに地元のほうの東村では、その条件のもとに水道公社と話し合いの上、あのダム建設も実現した、そういうようないきさつがありますが、最近聞くところによりますと、日本に復帰するとすると、水道開発問題については、山の中を隧道を通してやるのであって、あの道からは通さないのだ、こういうようなうわさが飛んでおるわけでございます。でありますから、その地元町村は、話が違うじゃないか、そういうようなことであれば私どもはこの水は絶対通すわけにはいかない、こういうようなことを言うておるわけでございます。その点につきましていかがでございますか。  もう一回繰り返しますと、あの十三号線の整備と相まって、並行して誘導管を布設していく、そういうような条件の上で、あの福地ダムの水資源に対しては開放したのだ、こういうことでございます。いかがでございましょう、それに対しての今後の計画は……。
  89. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ちょっと質問の意味がよくわからないのですが、当然北部開発は水資源の開発と同時に並行して、まず東部の現在道なき道という程度のところを全額、十分の十の国庫補助の事業でもって執行いたしますから、これは当然循環道の大宗をなす道になるわけですね。さらにまたできれば、調査費もすでに計上しておりますから、道路公団によって高速自動車道もなるべく中央を通るようなものを北部において考えていきたい、こう思っておりますから、これらの点が開発に有形、無形の益を及ぼすことは当然のことであります。  そこで、送水管のパイプを道路沿いに通すということについて、一部道路を通らないでトンネルを通る場合には反対だ、(國場委員「いやいや、そういうことを言っているのじゃないのです。」と呼ぶ)ちょっとよくそこらのところがわかりませんで、道路沿いを通らなければ反対だという意味がよくわからないのですが、やはり水はコストというものを計算しなければなりませんから、道路に沿って延々と、うねうねと曲がっていくような水路でなければならないという原則は、ちょっとおかしいと思うので、南部に運ぶとトン四十円もかかるような高い水になる。そんな工業用水ではとてもだめだ。したがって、大浦湾というようなものに、湾の中央部に浅瀬があるとかいろいろいっておりますが、あるいは辺野古崎の軍用地あるいは地先等があるといっておりますが、これは長い目の設計をしなければなりませんから、大浦湾で工業用水を使用するということが一番だれが考えても明らかな解決点の一致するところだろうと思うのです。そういう方向で、今後も私どもの計画としては進めてまいりたいと思うのですが、ちょっと、そこの道路沿いをずっと回っていかなければならぬし、トンネルは反対だという、そこはわかりませんから、もう一ぺん説明してください。
  90. 國場幸昌

    國場委員 いまおっしゃるとおり、私の説明が不十分だったと思いますので、もう一ぺん申し上げます。
  91. 床次徳二

    床次委員長 時間の関係がありますから簡単に……。
  92. 國場幸昌

    國場委員 いま水道公社とそれから現地それから政府、三者においての話し合いは、この復帰事業に対しての一周線、すなわち太平洋岸を走っておるところの十三号線、これを敷設すること、それによって水道管を誘導するのも容易であるので、費用の軽減にもなるというようなことで、地元としましてはこの一周線の実現を、整備拡張することを目的とするものであれば大いに水道資源の提供を喜んであげましょう、ところが最近に至って、この予算にも全然入っておらないというような、裏の十三号線、このほうは抜きにして、そして水道管は山の中を通すのだから道には関係ないのだ、こういうようなことであれば、地元としては水道管は山を通してもいいのだが、十三号線の整備拡張工事は約束のとおり実行してもらいたい、こういうようなことでございます。
  93. 山中貞則

    ○山中国務大臣 わかりました。水道管を一緒にしなくとも、道路は道路の計画として完全に循環道路の使命を果たすような整備をせよということでありましょう。そのことならば、水道管が走ろうと走るまいと、道路というものは経済の動脈でありますから、その道路の開発、完成には、何ら遅滞なく進めてまいることを約束いたします。
  94. 國場幸昌

    國場委員 じゃ、お願いいたします。最後に、水道管だけが先行しまして道路の予算がつかないということになると、やはり地元のほうでは誤解を招きますので、水道管を通す予算と道路を整備拡張する予算を並行して、ひとつ七三年度予算には計上していただきたい。これを希望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
  95. 床次徳二

  96. 中谷鉄也

    中谷委員 午前中砂田副長官のほうから御答弁をいただきましたが、あらためて大臣の御答弁をいただきたいと思います。  民生の安定、経済の発展、そういうことを目的理念として暫定措置法ないしは改廃法が制定提案をされる。そこで、先ほど午前中から質問を続けているわけでありまするけれども返還協定に基づいて、施設及び区域提供が協定されて軍用地提供をする。したがって、その軍用地については、法律的な国内法上の措置としては、同じく暫定法的なものを必要とするというのが防衛庁見解であります。そこでその軍用地に関する暫定措置法と経済の発展、民生の安定を目的理念とするところの暫定措置に関する特例法とは、副長官の答弁をもってするならば本来なじまないのだ、したがって、軍用地暫定措置法については、それらの暫定措置法とは別個法律として提案されることが、総理府としては、対策庁としては望ましいと考えておると思われる、こういうふうな趣旨の答弁があったわけであります。  最初に、大臣のこの点についての御見解を承りたい。
  97. 山中貞則

    ○山中国務大臣 安保条約並びに協定、取りきめに基づく施設区域提供、これはまず外務省として交渉の結果定まったA、B、Cの表、別ランクとして牧港住宅街というものが明示されていることは御承知のとおりであります。さらに、今後提供すべき地域についての具体的な作業は、防衛施設庁において、日米安保協議会等の場を通じながら、その作業が行なわれていくわけでありまして、このいずれの会にも、いずれのルートにも総理府はタッチいたしておりませんで、そのようなことでありますから、民生の福祉に関係がないと私は言い切れないと思うのです。やはりどれだけの地料を確保してあげたらいいのか、そういう点などは、客観的に私どもはどんどんものを言っていかなければならぬと思いますが、そのような別なルートのことでありますから、それははっきりと各種の、私の手元でつくっております暫定特例廃止法案等の中には含まれないということを申し上げておきたいと思います。
  98. 中谷鉄也

    中谷委員 したがって、大臣の手元において成案、法案として作成されるところ暫定措置法には、暫定特例法の中には、軍用地に関するかりにそのような暫定措置が講ぜられたとしても、それは入らないというふうにお伺いをしてよろしいわけですね。
  99. 山中貞則

    ○山中国務大臣 そういうふうにじゃなくて、そのとおりでございます。
  100. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、その点についての理解はできました。  ただ、問題は返還後の十年間にわたるところ沖繩開発計画、土地利用というのが基本的な問題であり、非常に重要なことだと思うのです。  そこで、総理府として、区域提供は外務省ないしは防衛庁の仕事だ。それはわかります。ただしかし、暫定措置ということで、軍用地の暫定使用期間というものが長きに及ぶというふうなことでは、これは土地利用計画というようなものの立てようが私はなかろうかと思う。そういうようなことで、希望としてと申しまするか、民生の安定、経済の発展、沖繩の開発という観点から、かりにそのような暫定措置法が——かりにというのは、軍用地に関する暫定措置法がつくられるとしても、その暫定期間というものは短いほうがいいということは、これはもう私は言うまでもないと思うのです。そこで、じゃ、一体土地利用、沖繩開発の観点からいって、どの程度の長さまでが許容できる限度なのか、こういうふうな問題が私は一つ出てぐるだろうと思う。その前提としては、どの区域がいつ返還されるかという問題ともこれは関係をしてまいります。問題を提起するのではなしに、暫定措置法による期間は、どの程度が沖繩開発の観点から許容される期間なのか、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  101. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私はその作業にタッチいたしておりませんので、どのような期間の特例をつくろうとしておるのか知りません。また、自衛隊の配置を何年に何千名とか何百名とかいうことも知っておりません。しかしながら、これはやはり将来政府としてきめることでありますから、私も意見を述べる機会があるのではないかと思っておるわけでありますけれども、しかし対米折衝のルートに、総理府というものが、沖繩担当大臣が入っている分野以外のことでありますから、そこで私は申し上げておるわけで、逃げるわけではありません。したがって、分けた言い方をしますと、軍用に引き続き提供される土地に関する問題についてはそう申しましたけれども、これを内政面から見ていけば、たとえば返還される道路あるいは政府道、町村道、国道になるべきものも含めて、それらのものについてどのような地主に対して補償と申しますか買い上げと申しますか、できなければ、その間賃貸料とかそういう問題等は、まず一義的に私のほうが考えなければならない分野に属するであろうと思って、建設省その他と相談をいたしておりますが、そういう仕分けのしかたもあろうかと思います。
  102. 中谷鉄也

    中谷委員 次に、非常に大まかな質問をいたしたいと思います。  伝えられるところの第三次要綱の中には、離職者対策等についても、対策として記載されることになるように伝え聞いておりますが、沖繩返還後において失業者が数万人、試算によれば四万程度の失業者が出るのではないかというふうなことがいわれて、そういうふうな中で、公共事業の労働力吸収の見通し、これは一体どの程度見通しを持っておられるのか。  いま一点、非常に私自身憂慮いたしますのは、石油精製業がかなり進出あるいはまた現に建設をされておりますけれども、この種、装置産業の労働力吸収力というのは、きわめて少ないものであるということは言うまでもない。むしろそういう石油精製業が漁獲高の減少のみならず、漁業人口の減少というふうなものを来たす可能性は私は十分にあると思う。そういうふうなことを踏まえながら、離職者対策というよりも今後の沖繩におけるところの労働力、失業を出さないところの対策、要するに、そういうようなものについて大まかに質問いたしましたので、ひとつ、それらの点についてお答えをいただきたいと思います。
  103. 山中貞則

    ○山中国務大臣 大まかな質問とおっしゃいますが、一つだけは今度はこまかな質問で、公共事業でどれくらい吸収できるかという話ですが、これは公共事業としては、いろいろといまやっておりますことでも、まだ予算が成立しておりませんが、先般の特別交付税的な形でやりました体育館とかあるいは八重山の整備とか、市町村等においてそれぞれ恒久的なものとして記念に残すべき仕事をしておられるようであります。さらに復帰記念事業としての各種、主要五島循環道路その他のたくさんの仕事がありますから、そういうのもの等でなるべく就労の機会を与えて、賃金収入を得てほしいと思いますが、ただ、しかしながら、中高年齢層の方々に全部筋肉労働でそれを転換させ、一がいに断定できないところでありますから、職種態様に応じた再就職の場というものがなければならぬと思うのです。そこで、労働省のほうで、いわゆる失業する人については私たちのほうでめんどう見たいというたいへん積極的な希望がありまして、雇用促進事業団等持っておりますし、やってやれないことはないと思うのですが、いま調整しておりますのは、人だけの問題ではない、要するに復帰に伴って職業もかわらなければならない。あるいは廃業しなければならない。それらの転廃業資金の確保、あるいはまた、場合によってはいろいろな債権のための転貸的な資金等も貸してあげなければならないかもしれませんし、離島の干害に苦しむ、そして出かせぎ以外に収入のない人々に対して、過去の干害、台風等において累積した農家負債等についても、何らかの考え方を持たなければなるまいというようなことを考えまして、全体をひっくるめて、かつての本土の基幹産業の石炭が斜陽化していく、固体エネルギーから流体エネルギーへという宿命をたどろうとしたときに政府がとりました措置を念頭に置いて、沖繩県全域の人々の復帰における復帰ショックというものの緩和のために、特別法をつくりたいと考えておるわけであります。その中に、できれば労働省で考えております対人の問題も含めてやるのがいいのではなかろうかと思っておりますが、ここらのところは、もっと私どもところ考えておる案が明らかになって、労働省と前進的な意味の合議をしたいと思います。  さらに、石油精製業の進出というものは、一方において喜ばしいことではありましょうが、雇用需要に貢献する度合いの低いこと、あるいは公害等の起こりやすい環境、あるいは現在伝えられるとおり、平安座島からはすでに海中道路が完成し、平安座——宮城の間が埋め立てられるらしいというようなこと等が伝わりますし、現在の金武湾の中の海流の関係にも悪影響を生ずるだろうし、漁業に対する影響等も十分検討しておかなければならぬと考えます。単に廃油公害ばかりでなくて、これは起こさない設備を要求することは当然の前提条件でありますけれども、やはりそういうような、漁業者に対する被害等の及ばないような十分の配慮は、検討しておかなければならぬことであろうとかねがね考えて、そういうふうな配慮もしておるわけでありますが、沖繩に進出する本土側の企業というものが、なるべく雇用労働力を満たし得るもの、雇用事情に貢献し得るもの、弱電産業もしくは造船等に代表されるような、そういう分野の企業の進出に私としては熱心に勧奨し、すすめておるわけでありますが、沖繩の持っておる立地上の有利さというものから、現在予想されておるのに、アラビア石油等も出たいとか、いろいろの話が伝わっておりますが、まるで石油コンビナートのかたまりみたいな、そういう東海岸になった場合の悪影響というものは十分に考慮しておかなければならないし、今後の進出企業あるいはまた、政府が積極的に沖繩の雇用労働事情に貢献しようと思う企業は、それだけのやはり雇用需要に貢献し得るものを重点に推進していかなければならないことである、こう考えておるわけであります。
  104. 中谷鉄也

    中谷委員 午前中かなり時間をいただきましたのであと一問だけ、物価対策、沖繩における返還後の物価問題のうち一、二点だけまとめてお尋ねをいたしたいと思います。これは大臣のところへ、それから各省各党へ陳情がまいりまして、そして御検討いただいていることでありますが、ひとつこの機会にお尊ねをしてお答えをいただきたいと思います。  沖繩における育児用調整粉乳の価格について陳情がございました。要するに、原料の内外価格比が一対三というふうな状態になっておる。要するに日本のほうが三倍くらい高い。こういう状態の中で、港渡しの価格に関税四五%を加える、そういうような状態であったとしても、国内価格よりも現在かなり安い。そして婦人会の人たちの試算によると、結局返還後は一ポンド当たり二〇セントくらい上昇するのではないかということを憂慮しているわけであります。そういたしますと、育児用について、はっきりしませんけれども、大体五百トン程度は使われているということになる。沖繩百万県民といわれているわけですから、子供、幼児そしてその母親、家庭に与える影響というものは相当に大きいと思うのであります。時間がありませんので、問題点等については申し上げませんけれども、これらの点について、返還後どういうふうなことで価格上昇というものについての対策を講ぜられるか、価格上昇を押えられるか、これは現在、農林省あるいは琉政などと御相談になっておられると思いますけれども、この点については、陳情を受けた限りにおいてはたいへん心配をいたしておりました。この点についてお答えをいただきたい点が一点であります。  それから第二点でありますが、これは法制化できるのかどうか、行政措置をもってまかなうことが可能なのかどうか、その点について、私自身もさらに検討いたしたいと思いますけれども、ドルから円に切りかえになる、当然そうなる。そうすると、沖繩県民の人たちは、かつてB円の際にそういうふうな切りかえがあって、その際にたいへんな便乗値上げということについての苦い経験をなめている。そこでお尋ねは、そういう便乗値上げというふうなものを防止するための措置いかんという質問であります。  そこで、フランスにおいてフランの切りかえの際に、新旧のフランの表示をした、こういうふうなことを私たち記憶をいたしております。イギリスにおいて十進法にかわったことについては、たしか十年近くこれについての教育、PRをしたということも聞いているわけであります。そういうふうな中で、たとえばドルから円に切りかわることによって、価格が、円の場合、たとえば何銭というふうなものが出てくる。こういうふうなものについては、実際に販売される価格の場合に一体どうなるのだろうかという問題、これは五十銭というものはないわけですから、おそらく円のほうへ切り上がっていくだろう。それから十八円というふうなものが出てきた場合に、これもとにかく二十円というふうなことに上がっていくだろうというふうな問題。こういうような場合に、かつて十セントで売られておったもの、それを円でいえば三十六円、それをかりに四十円に——三十六円というのは端数があるから四十円に値上げをする。これをドルの表示をしておけば十一セント幾ら、こういうふうな表示が出てくる。そういうことになってくると、なかなかその切りかえについての計算ができない場合であっても、値上がりがあったということは直ちに認識できるのではなかろうか、こういうふうな問題であります。そういうようなことで、ドルと円との価格の表示をさせるというふうなことは必要ではないのだろうかという質問であります。  そのことについて、たとえば、かりの名前であって、そういう名前が適当かどうかわかりませんけれども、通貨の交換に伴う価格表示法というふうなものを検討される余地はないのかどうか、さらにまた、そういうようなことは行政措置として十分に指導されるのかどうか。実は質問にあたりまして、フランスでは一体どうしたのだろうかという点について、法律的な根拠を求めてやったのだろうか、行政措置でやったのだろうかについて調べましたけれども調べ切れませんでした。調べ切れませんでしたけれども、しかし、いずれにいたしましても、切りかえに伴うところの便乗値上げということは当然予想できることであるし、現に沖繩の人は、かつてそういうものについてたいへん苦い経験を持っている。こういう問題についての対策についてどのようにお考えでしょうか。  私の質問は以上であります。
  105. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まず育児用の粉ミルクの問題ですが、これが輸入だと、たとえばランチョンミート等について特例をつくるということは、わりとやりやすいということを前に申しました。これは実は本土の乳業メーカーが沖繩向けに出しておるものを特別に安くするという、この限りにおいては、日本政府も善政を少しはしていたのだということになるでしょう。しかし、そのかわりに、安く出した実績に応じて、それらの本土の乳業会社が割当を受けます脱脂粉乳やバター、オイル等について、実績に応じた輸入割当を上積みされていた、こういうことになると思うのです。逆にいうと、本土の乳業メーカーというものは、沖繩に安く出すことによって、より魅力のある輸入割当の増というものを期待した。これが帰ってきますと、いわゆる施政権の壁がとれますから本土並みの県になる。そこで、鹿児島県奄美大島までは本土価格、そして沖繩では沖繩価格というのが事実は非常にむずかしいのです。しかしながら、沖繩側に安く渡すカン入りミルクが、本土側に逆流するというようなことはないだろうかという意見等も一部にあります。一ポンドカン当たりドル換算すれば本土で一ドル、沖繩では八十セント、その差で逆流しやしないだろうか、こういう意見もありますが、ところが、これは逆流したところで輸入ものでないというそこにまた妙味があって、結局自分の足を食うわけですね。本土の市場を食いまして、本土の自分たちが売っている市場というものがそれだけ減るわけですから、これは逆流して密移入と申しますか、そういうことは大体起こらないだろうということを前提にして、しかしやはり無制限にということも何でしょうから、そこらで母子手帳とかあるいはその他特殊の需要がほとんどを占めておりますから、それらの人々に、琉球政府あるいは厚生省その他が発行しておりますものを準拠とした切符制と申しますか、そういうものでもって、根拠のある人たちに対して必要な量は供給しよう、いままでの制度として、それを沖繩では安く保持しよう、それについていままでどおり——同じ国内に帰った沖繩県に対してやるというのはちょっとおかしいのですが、しかし、それに対して、いままでどおり本土乳業メーカーに対する輸入の特別割当も生産した数量に応じて配分しよう、こういう方法でいこうということで、むずかしい問題だと思ったのですが、ほぼ解決の端緒を得たわけであります。  それから第二点の、円の交換に伴なって、呼称単位等呼び方の変わった金になるわけですから、便乗値上げという意見はごもっともでありますが、私は沖繩の場合にはあまり心配していないのは、実はこれはデノミネーションをやる場合において非常に心配な問題としていつも議論されるわけですね。いわゆる三百六十円が一ドルに交換される場合、この場合において、いままでは十セント値上げといえば大騒ぎしたのが、一セント値上げであればという気持ちになりがちなおそれがあります。そういう端数というものを軽く扱うおそれがあります。ですから、日本においても三百六十円をかりに三円六十銭に対ドル交換レートを変えようとする場合には、当然フランスがとったように、三年間同じ品物に旧フランならば一千円、新フランならば十円というふうに表示している間に、逐次みんながなれていって、三年間に旧フランは解消していったということでありますから、そういうことの措置は、将来日本においてもデノミネーションをやらなければならないし、やる場合においては、当然そういう配慮をしなければならぬと思うのです。ところが、今回は一ドルは三百六十円になるわけでありますから、したがって今度は十セント上げる、五十セント上げるというのが、貨幣の単位からいうと、非常に大きな幅で上がるように心理的にも実質上にもはっきりと目に映るわけであります。したがって、そのような値上げというものは、大体みんな自分のふところと品物との関係ですから勘定しておりますから、それはおかしい。昔のドルであったならばこれだけの円であったはずなのに、バス代が上がったではないかというような意見等は、直ちに計算で出るわけでありますから、そういうことでそれは許されないだろうと思います。もちろん、政府管理価格等については、これは当然そういうことをしちゃならないということははっきりと指示する必要があると思いますが、現在のところそのような心配は——逆に呼称の単位が変わることによって数量が、金の高が、高と申しますか、一ドルが三百六十倍の円になる、単価がふくれ上がるという問題でありますので、少しいじっても大きく目に映るということで、便乗値上げというのは私はあまりないだろうと思います。しかし、ただいまの御忠告は、もっと詰めてみる必要のある価値のあることだと思いますから、もしかりにドルを円に切りかえる場合に、その際に便乗し得るような仕組みになっておるものがあるかどうか、もっと物価体系全体を洗ってみたいと思います。
  106. 床次徳二

  107. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 きょうは極東放送会社について、この一点にしぼって伺いたいと思います。  マイヤー駐日大使にあてた愛知外務大臣の書簡によりますと、極東放送会社は、一応財団法人の財団法人極東放送とすることによって存続されるようになると聞いておりますけれども、これは純然たる日本の財団法人になるのかどうか、この点。もしそうであるならば、今後そのタイトルが財団法人極東放送というふうな呼び方をしていくのか、まずこの辺についてお聞きしておきたいと思います。
  108. 吉野文六

    ○吉野説明員 お答えいたします。  極東放送は、いまの点につきましては、日本法律による財団法人になるわけでございます。したがって、いわゆる純然たる財団法人としての日本法人ということになるわけでございます。
  109. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それは、基本的な問題としていまの御答弁から私感じたのですけれども、もしそうなれば、外国の民間の放送企業になりますと、電波法では非常にむずかしいのじゃないかということが出てくると思うのです。この点はどうでしょうか、電波法と関連して。
  110. 藤木栄

    ○藤木説明員 いまアメリカ局長から御答弁がありましたように、極東放送が財団法人となって、日本の免許による放送局ということになった場合は、当然電波法並びに放送法の諸規則が適用されるわけでございます。したがいまして、もちろん現在のままでは多くの問題がございますけれども、財団法人としてこちらが免許する以上は、電波法、放送法に適用する放送局として免許をする、そういうことになろうかと思います。
  111. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは、あくまでも日本法律による財団法人そのものと解釈をしてよろしい、このように理解をして質問を進めてみたいと思います。  VOAについては、もう何べんも討議されてきておりますけれども、このVOAについては、交換公文等で非常によく詳細が示されているように見受けたわけですけれども、それに反してこの極東放送、これについては何ら詳細がうたわれてない。これはどういうわけかと思うのですけれども、この点ひとつまずお答えいただいて、次の問いに入っていきたいと思います。どういうわけでこの極東放送について詳細が示されてないか、この点どうでしょうか。
  112. 吉野文六

    ○吉野説明員 VOAについては、御存じのとおり、アメリカの政府機関が行なっておる放送の中継をしておるわけでございますから、これについては当然電波法、放送法その他の例外となるということで、協定によってこれが例外であるということを明記する必要があったわけでございます。しかし、極東放送につきましては、先ほども申し上げましたとおり、これは日本の財団法人として、放送法による事業を遂行するわけでございますから、そのような取り扱いを必要としない、こういう考慮に基づきまして、協定にはこれを特記しなかった次第でございます。
  113. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは関連して、この極東放送は、はたしていつ財団法人極東放送というふうになるか。少なくとも財団法人極東放送として当然返還前にそのような姿にならなければならない、こう思うわけですけれども、先ほど申し上げたように何ら詳細がないために、さっぱりこちらでわからないわけです。具体的なスケジュールがあれば、現在示していただきたいと思います。いつごろからそういうような形になっていくかですね……。
  114. 藤木栄

    ○藤木説明員 極東放送の財団法人の問題につきましては、現在琉球政府に申請がございます。そこで、私どもとしましては琉球政府と連絡をとりまして、それをどういうふうに扱うかということを検討している最中でございまして、まだはっきりしたスケジュールと申しますか、というところまでいってないという状態でございます。
  115. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 純然たる日本の法人である、さっきそういうふうになるとおっしゃったわけですけれども、そうなると、米国にある本柱、これはサンフランシスコにあるのですか、この本社との関係はどういうふうになっていくか、また運営面における資本であるとか役員の関係はどうなっていくか、当然これはアメリカと関係のあることですから、そういった面が疑問になってきます。先ほど申し上げたとおりに、愛知書簡だけでは全く私たちにはわからない、こういう段階であります。この点で具体的にどういうふうな関係になるかを示していただきたいと思います。
  116. 藤木栄

    ○藤木説明員 極東放送は、先ほども申し上げましたように現在設立の申請中でございます。したがいまして、現在のいわるゆ極東放送の本社との関係ということは、現在でははっきりしておるわけでございますが、それが財団法人として日本の放送局ということになりますれは、先ほども申し上げましたように、当然日本の法律によって規律されるということになるわけでございます。  ただ、沖繩返還に際しまして、本社との関係がどうなるかということでございますが、現在私どもの承知しておりますところでは、従来の極東放送の事業の一部を財団法人が引き継ぐだろう、その際、いわゆる送信機であるとか、あるいは建物その他の機器等を新しい財団法人が引き継ぐと申しますか、本社からおそらく寄付を受ける、そういうかっこうになるだろうと私どもは思っておるわけでございます。
  117. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 先ほど日本法律による財団法人という御答弁をいただいたわけですけれども、そういった点で、いろいろそう簡単にはいかないものがあるんではなかろうかと私は思いますし、これと関連して、この極東放送の運営費なんかの問題ですね、この資金源は従来米国の本社であったわけですけれども、これが今度返還後の財団法人極東放送としての資金源は、どこから調達するかという問題ですね。資金源についてはいかがでしょうか。
  118. 藤木栄

    ○藤木説明員 現在のところ、まだ日本の放送局という段階でございませんので、資金源がどうなるかということはまだはっきりしたわけではございませんけれども、おそらくある程度の寄付というものが本部から送られるだろうと思います。ただ、私どもとしましては、日本の放送局になる以上、何と申しますか、法律的には寄付ということはよろしいわけでございますけれども、大部分の経費が本部から送られるということでも困ると思いますので、そういった点は日本の放送局ということになれば、十分行政指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  119. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 どうもこの御答弁伺っていますと、まだ具体的に何らといっていいくらい検討がなされていないような、またどういうふうにこれから進もうとされているのか、返還を前にして、私は初めスタートしたときに比べて何か非常に不安な問題が出てきたような感じがいたします。財団法人の極東放送は、VOAとこれは当然違うわけですけれども、したがって一〇〇%郵政省の管理下に置かれて、そして放送番組とかあるいは電波の割り当てというものは、当然郵政省の許可のもとに行なわれるものと思いますけれども、この点はどうでしょうか。
  120. 藤木栄

    ○藤木説明員 先ほど来申し上げておりますように、財団法人極東放送というものが免許されるということになれば、当然郵政省の管轄下に置かれるということになるわけでございます。
  121. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは、郵政省の完全な管理監督のもとに運営されるというふうに理解いたしまして、次に進みたいと思います。  本土にある各放送局、これはNHKを除いて、すべて日本語だけに放送が許されておる。極東放送は、日本語とそれから英語の放送の両方が許可されているわけですけれども、この二つの放送が行なわれるということは、いわば民間放送と違った非常に有利な条件をとるものと、こう考えられますけれども、これでは本土並みではないんじゃないか。なぜ日本語だけにしないで、英語をまじえた二カ国語の放送を許可したのかという問題ですけれども、これがまず一つですね。  それから、愛知書簡の中にありますように、暫定的といいながら、五年間期間を設けておる。こういうのを見ていきますと、本土並みではないというふうに感じるわけであります。  また、書簡の中にも「日本国の関係法令」と、このようにありますけれども、先ほど来御答弁いただいておる、日本の法律と同じようにということですけれども、この場合の関係法令というのは具体的に何をさしておるか、この点について、前段と後段と分けますけれども、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  122. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げますが、財団法人極東放送自体は、外相書簡にございますように日本語だけを放送する、それから従来の極東放送は五年間継続を認められるという二つに分かれているわけでございまして、財団法人極東放送のほうは、先ほど申し上げましたように、完全に普通の放送局と同じように法律の適用を受けて運営される。それから、五年間認められる暫定的な放送局は、これは外相書簡にもございますように、いわゆる電波法自体の適用を受けるわけにいきませんので、これは排除されるわけでございますが、放送局の監督という面からは、やはり必要な監督をいたす必要がございますので、その点につきましては、現在政府としてどういう規律をするかということについて、検討しているという段階でございます。
  123. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 ちょっといま私聞きのがしたのかもしれませんが、関係法令だけをちょっと伺ったのですけれども、この書簡の中にありますけれども、「日本国の関係法令の定める条件に従って行なう」、この法令は何をさしているのかということですが、これはどうでしょうか。
  124. 藤木栄

    ○藤木説明員 書簡にございますように、財団法人極東放送は、「日本国の関係法令」とございますけれども、これは先ほど申し上げました電波法並びに放送法、それからそれに付属しますいろいろな規定がございます。省令あるいはその他の法令と申しますか、そういったものによって規律されるというわけでございます。
  125. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 極東放送は、米国の法人であったのが日本の財団法人として再び沖繩において放送業務の継続をしなければならないという、この辺の理由があるのかどうか、なぜそういうものが必要かということですね、どういうところにポイントを置いたのか、これがまず一つです。それから極東放送が意図するところの営利目的は一体全体何なのかということですね、この二点について伺っておきたいと思います。
  126. 吉野文六

    ○吉野説明員 極東放送が英語で五年間放送することをなぜわがほうが認めたかという点につきましては、御存じのとおり、沖繩返還のもととなる共同声明自身にも、すでに沖繩におる外国既得企業の活動をできるだけ尊重するということを約束しておりますから、その精神に基づきまして、五年間を限り英語放送を許可する、こういう形でわがほうとしては妥協した次第でございます。
  127. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 営利目的について先ほど伺ったのですが……。
  128. 藤木栄

    ○藤木説明員 極東放送は財団法人でございますから、いわゆる普通の会社と同じように営利を追求するわけではございません。しかし、現在極東放送の財団法人の、いわゆる寄付行為の、目的というところを見ますと、「この法人は、……放送事業を通じて地域社会の文化の発展、公共の福祉、産業と経済の繁栄に役立ち、併せて人々の精神生活の高揚を図り、もつて平和な世界の実現に寄与することを目的とする。」そういうふうに書いてあるわけございます。
  129. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それではこれに関連して伺いますけれども、これは念のために伺うんですけれども、将来この極東放送が本土で営業するというようなことはないかどうか、当然そういうことはないと思いますけれども、この点を念のためにここで、この場で確認してにおきたいと思います。どうでしょうか。
  130. 藤木栄

    ○藤木説明員 極東放送自体は、先ほどアメリカ局長からの御答弁にありましたようないきさつであるわけでございますので、私どもとしましては、いわゆる本土で同じようなことが行なわれるということは全然考えておりません。
  131. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 時間があまりありませんので、最後の問いに移っていきたいと思いますが、いままで極東放送のニュースの提供者が琉球新報であった、これは私たちも聞いておりましたけれども、最近は米軍の第七心理作戦部隊のニュース提供を受けるようになったという、こういった情報も聞いております。それでこの第七心理作戦部隊のニュース提供、まずこれが事実であるかどうか、お聞きしたいわけですけれども、もしこれが事実であれば、返還後においてもこれらの特殊部隊からニュース提供を受けたというような場合、わが国の政府としてそれを認めるのかどうか、こういった点について、もしそういうものがまかり間違ってあれば、これは本土並みでないということにも関連してくると思いますけれども、この点についてひとつ明確に御答弁をいただきたいと思います。
  132. 吉野文六

    ○吉野説明員 ただいまの情報は、われわれとしてはまだ何ら確認しておりませんですが、あえて私見を申さしていただければ、極東放送は純然たる民間の放送事業者でございまして、第七心理作戦部隊は米軍隊でございますから、その間にそのような関係があるということはおよそ考えられないことだとわれわれは考えております。
  133. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 これは、極東放送の当事者がはっきりと言っているわけですよ。外務省の皆さんもこのくらいのことはすでにつかんでいらっしゃると思って、私はいま御質問しているわけですけれども、極東放送の当事者がそのようにはっきりと証言している以上は、ただ単に琉球新報からのニュースだけではない。要するに、第七心理作戦部隊のほうからのソースが当然考えられるわけで、これが返還されてからどういうふうになっていくか、このままもしも提供を受けるようになるのかどうか、そうでなければ、これはやはり大問題になってくると思います。そういう点について、もう少し、時期も時期であるわけですから、この辺の真相を、ただいまの答弁ではどうもはっきりわかりませんので、はっきりとつかんでいただきたい、このように思います。返還後、財団法人の極東放送は、そういったわけで米国軍隊とはいついかなる形にせよ関係すべきではない、このように私は理解しますけれども、もしそういうようなことが起こったような場合、政府はどのようにそれに対処するか、このことを最後に伺って質問を終わりたいと思います。この点どうでしょうか。
  134. 藤木栄

    ○藤木説明員 私どもとしましては、先ほどアメリカ局長からの御答弁にありましたように、関係するということはあり得ないと思っておりますし、また返還後もそういうことは絶対にないと考えておるわけでございまして、そういうような事態が起こるということは、全然予測もしておりませんし、あり得ない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  135. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いま、外務省並びに電波の専門の方々から御答弁いただいておるわけですけれども、現に当事者がそのように証言している以上、そういう楽観的な答弁にはならないと思うのですね。その点を私は言っているわけです。あくまでもそういうような事実があるのかないのかをまず真剣に確かめる必要がある。そういうことを考えもせずに、そう心配はないというような答弁は、答弁としては無責任きわまりないものと思います。第七心理作戦部隊からのそういうはっきりしたソースがあるのかどうか。将来を見通して、そういうことをはっきり確かめていただく態度で臨んでいただきたい。このことを最後に要望いたしまして、終わりたいと思います。
  136. 床次徳二

  137. 安里積千代

    ○安里委員 先般沖繩へ帰りまして、毒ガス輸送の現場に、一日三回の輸送に立ち会いました。天候の都合によります若干の予定のずれは別といたしまして、一応スムーズに行なわれておることは非常にラッキーでございます。これまでに至ります間に輸送経路の問題等、たいへんトラブルがございましたが、政府の配慮によりまして、新しい経路を通じて輸送されております。本来、アメリカ自身がかってに沖繩に持ち込んだ毒ガスを持ち去るにあたって、それらの経費などというものを琉球政府あるいは日本政府に負担せしめて、自分のほうとしては何ら顧みないというようなことは、まことに道理に反することで、アメリカは戦争を知って政治を知らぬと、こういわれてもしかたのないものだ、こう思います。それでも政府の配慮によりまして、これができておることはけっこうなことだと思います。  ところで、もちろんアメリカ側も、琉球政府側も、輸送には危険が伴わないという立場からいたしまして、避難の必要なしということでなされております。琉球政府といたしましては、特に病人とかあるいはお年寄りの方々に対しましては計画的な避難をし、それに対しましては、政府として手当てをいたしておりました。しかし、一般の任意に避難をします人々に対しましては、これまで何ら配慮をしなかったわけでありますが、これは、もちろん避難する必要がないというのに、自由に避難したのだというような意味かもしれませんが、それは理屈でございまして、現実現地の人々になってみますならば非常な恐怖を感じます。私自身道路に立っておりましても、何となく非常なおそれを感ずるのであります。そういうわけで、琉球政府といたしましても、理屈はともかくといたしまして、現実に起こっておるこれらの任意に避難する者に対しまして、配慮をしようという方向をいまとりつつあるわけであります。  そこで、大臣にお伺いいたしたいのは、そういった理屈の上ではともかくといたしまして、現実に地域住民の気持ちからいたしますればほんとうにおれない。こういうようなことで、任意に退避するというような者に対しまして、琉球政府がとっております措置、これに対しまして、政府といたしまして財政上の何らかの配慮をやはり進んでなされるところの気持ちはなかろうか、またやるべきでないか、このように思いますが、いかがでありますか。
  138. 山中貞則

    ○山中国務大臣 当初、琉球政府と私との間で話をいたしました際は、関係部落住民一人一日一ドルというような基礎に置いた金額のお願いと申しますか、相談がございました。しかしながら、本土政府の予算では、慰謝料を一人一日一ドルという言い方の予算は、とうてい表向きも予算上も言えないことでございましたので、その金額については了承いたしました。あとは琉球政府のほうにおいて配慮ある措置をとってほしいということを申し上げたわけであります。できるならば、その金が雲散霧消しないで、関係部落の方々に将来残るような共同利用施設等が望ましいということを一応お伝えいたしまして、琉政もまた地域住民ないし関係二市一村に対してそのように伝えておるやに聞いておるわけであります。しかしながら、それと別に、琉政側としては、今日まで私の知る限りにおいて、避難の必要はないからということを申しまして、避難の必要のある、事前に避難させておかなければならない人々、妊産婦あるいは老人、そういう方々についての措置は、当然私どもとの間で合意いたしておりますが、それ以外の一般の人々はだいじょうぶであるということは、琉球政府の責任において今日まで態度は変わっていないと私は思います。また、そのような態度を変えたから、あらためて要請するということも聞いておりません。現在毎日どの部落が何十%避難しておるかは、毎日毎日私も情報をとってその実態は——心理的には、現場に立ったことはまだございませんから、安里さんのおっしゃるようなことは、私自身としてはだで感じていないにしてもよくわかります。わかりますが、それらの問題について、それと一人一日一ドル、輸送期間中を通じた日数を掛けるという問題と一体どのような関係にあるのか、あるいは政府が必要とする資金といわれます中に、それがどのような関係があるのか、それらの点については、今後琉政の御意思をよく承って、そして相談をしたいと思いますが、いまのところはそのような話は出ていないということでございます。
  139. 安里積千代

    ○安里委員 金額の問題は別にいたしまして、事実避難をせざるを得ないところの気持ちに追い込まれておるということは、付近の人々の気持ちとして当然であり、危険はないという一片の常識だけで、理屈だけで割り切れるものではないということを考えなければならぬと思っております。琉球政府も、そのような立場からせめて弁当代を出すとか、あるいはまた車代を出すとか何らかの措置をとって、これらの人々の不安を多少とも、あるいはその不安に伴う何らかの措置をしようというふうに考えておるようでございますので、政府から要請がありました場合には御配慮をお願いしたいと思います。  次に、先ほど西銘委員質問に対しまして、対策庁長官から塩業の補償についてお答えがございました。この補償は営業補償とそれから転業補償両方を含めての補償の意味のように受け取ったのでございますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  140. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは本土における塩田の業者と少し形態を異にいたしておりますが、閣議で、本土の製塩がイオン交換膜法の工場生産に切りかえられることによって、いわゆる塩の生産者としての塩田の所有者の方々、また小さい製塩業者の方々に対して補償をいたす法律が閣議を通りますときに、沖繩はまだ復帰していない。したがって、沖繩にも少し形は違うけれども、このような問題が存在するので、本土における措置と同様な措置を沖繩にも適用するべき旨を、私のほうで閣議で留保してございます。したがって、製塩業者の本土の補償に準じた措置は、沖繩にも適用をいたすつもりでございますし、これは三次要綱にも明確にうたうことのできる問題であると思います。
  141. 安里積千代

    ○安里委員 専売法上の製塩業に当たらないということで、やはりそういった危惧もあるということも承っておりますが、ただいま大臣のお答えのとおり御配慮を願いたいと思います。  それからなお、具体的な問題につきましては、まだよく明らかにされておらぬように承ったのでありますが、たとえて申しますと、廃業に伴いますところの、専売制度の適用によりまする元売りさばきとかあるいは小売り業者に指定するといったような一つの措置をとるということも、一つの方法として考えられておるかどうか伺いたいと思います。
  142. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、むしろ専売公社のほうがお願いをしてやらなければならない問題だろうと私は思います。専売公社がわずかな塩の配給のために、わざわざ現地に人間を配置するよりも、現在の製塩業者の方々が同時に卸、小売りの機能を備えておられるとするならば、それに対して委託を行なう、そしてそれらの人々が、本土でそのような行為を行なう者と同じような資格を優先的に取得されるように、したがって、それらの人々の希望される——希望されない人については別でありますが、希望される者については、本土と同じような措置をとるべきであるし そのほうが専売公社は採算上からも有利であるし、そうすべきであると考えます。
  143. 安里積千代

    ○安里委員 そのことを特に質問申し上げますのは、結局転業補償、これも一つの卸、元売りに指定したあるいは小売り業に指定した、一つの転業に当たるものとして、転業補償にかわるものとして専売公社がそういう補償をする。だから政府においては、これは一つの転業になるんだということで、転業補償をパーにされるといったような措置をされるということは、実情にも沿わないことでございまするので、その区別を明らかにしたがったためでございます。  時間がございませんのであれでございますが、政府におきましては、例の下地島のパイロットの訓練飛行場の問題でいろいろ進めておりますが、この訓練場設置に対しまする現地におきます強い反対の一つの理由といたしまして、将来これを自衛隊にも使わせるんだといったようなことも、地元におきまする一つの大きな反対の理由でございます。ところで、全日空機の自衛隊機との衝突によりまする事故、また本土におきまするそれらの問題との関連におきまして、本土でそういった訓練が自衛隊ができずに、今度は沖繩にそれが配置されてくるんだといったような危惧もなされてきております。パイロット訓練場は、自衛隊に使わせるのではないんだという立場において、これまで説明されてきておったわけでありますが、将来やはり同じようにこれが一つの事実として、自衛隊にも使わせるような訓練場になるんだ、飛行場になるんだ、こういうふうな疑惑ももたらされておりますが、これに対しまして政府当局のお考えを承りたいと思います。
  144. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは設置交渉当初より、純粋の民間の、しかもジェットパイロットの訓練飛行場としてのみ使用する飛行場として相談もいたし、また受け入れてももらったということであります。さらに一種、二種、三種、いずれの空港のカテゴリーにも属しないというこの訓練飛行場を、県営でやることについて現実論として問題はあると思いますが、しかし、県営でやることによりまして、軍飛行場にも共用させるということはないのだということの確認にしたい、こういう御意思があったやにも聞いております。しかし、なお、最近に至って、全島買い上げのあと、残る百五十万坪の問題と、それから、ただいまのようなことをもっとはっきりと、本土政府の何か明確なる確認がほしいというような御要望が起こってきたやに聞いております。いま屋良主席が来ておられますので、あるいは文書をもって、そういう御要請があれば本土政府としても、運輸大臣と私の連名において、それらの旨は明瞭に確認をする手段をとってもよろしいと考えておるわけでございまして、そういう他意はいまでも全然ございませんし、これから先もないということでございます。
  145. 安里積千代

    ○安里委員 この間の委員会におきまして、例の沖繩全土にわたって海岸に押し寄せてきておりまする廃油の問題につきまして質問をいたしました。それに対しまして、最近の新聞にも大臣として処理されたことがちょっと報ぜられておったわけでございますが、この廃油の問題、御承知のとおり、凝固して押し寄せてきておりますので、専門的な人の意見を聞きますと、あれがあんなに固まるまでに相当の日にちを経ておるし、海流との関係から見るならば、沖繩より相当遠い地域において廃棄されたものではないか、こういうふうにも言われております。そうしますと、沖繩だけで処理できない、あるいは日本だけで処理できない問題が裏にあると思うわけでございますが、この問題の処理、あるいはこれが起こらないようにするために、政府とされまして何らかの調査あるいは措置をとられたかどうか、その点についてお聞きしておきたいと思います。
  146. 山中貞則

    ○山中国務大臣 日本が、海洋汚染防止条約というものに世界で第三番目の加盟をいたしたことも御承知でありますし、一般廃棄物まで含めた、世界で最も進んだ海洋汚染防止法を、各位の御協力を得て制定しておることも御承知のとおりであります。ところが、今日までに、主として本土の列島の各地のCTS、あるいは石油精製所に運んでまいります船が帰りまする際に、スラッジを走りながら公海上において放出していることが犯人ではなかろうかということは、ほぼ推定がつくわけであります。したがって、本土においても、これを海運会社なり——若干の時間のロスとコスト高になりますけれども、廃油処理施設の義務づけ、それの設置の急速な完成ということを急いでおりますが、沖繩は先ほどの質問にもありましたように、金武湾、中城湾を中心にして一大コンビナートが続々出現しつつあります。これが地元でそのまま廃油ボールになるような海面汚染等がなされたらたいへんなことでありますし、魚介類からサンゴ礁にまでその累が及ぶでありましょうし、観光上も支障を生ずることは間違いありませんので、来年度予算においては、まず港湾設置者が設置すべき施設としての廃油処理施設を、沖繩にぜひともつくりたい、このような予算の要求をしたいと思っておりますが、なお、民間が自分でつくって、そうして自分の運んできたタンカーの油などを処理する施設もあわせて勧奨してまいりたいと思います。ただ、公海上を走っておるわけでありますから、沖繩で廃油処理施設をつくって、沖繩に着いた船に対して、今後廃油施設を強制的に使用させたとしても、はたしてこれが公海上におきまして、日本の船以外の船も含めて、この黒潮の上に乗っかって、やがては日本列島の東海岸の南西諸島から伊豆に至るような、小笠原に至るような、そういう汚染というものをどこまで防ぎ切るか。予定されております海洋汚染の国連の会議では、それぞれの国が公海であっても汚染防止については国の地域分担制度というものをやろうではないかという意見も台頭しておるようであります。これは、ヨーロッパにおいて、世界の海の汚染の大半の元凶は日本のタンカーであるということもいわれております今日、環境庁長官の仕事でありますが、ストックホルムの会議においては、むしろ積極的にわが日本が、それらの海域というものを各国が制定して、その海域内の汚染については、自分たちの及ぶ限りの監視、違反摘発、そういうものをやるような姿勢を打ち出して、できれば全地球上の国々が、海に対してそれぞれ責任を分担し合うというところまでいってほしいものであると考えております。沖繩については、私もいま非常に心痛いたしておりますが、これらの問題は沖繩に関する限り、まず地元においてすべきことは何かという問題は、来年度予算で明らかにしたいと思います。
  147. 床次徳二

    床次委員長 次回は来たる九月四日土曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十一分散会