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1971-09-10 第66回国会 衆議院 運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月十日(金曜日)     午後一時三十八分開議  出席小委員    小委員長 徳安 實藏君       關谷 勝利君    久保 三郎君       内藤 良平君    松本 忠助君       河村  勝君  小委員外出席者         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道に関する件      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会を開会いたします。  日本国有鉄道に関する件について調査を進めます。  質疑通告がございますが、その前に、国鉄のほうで御説明があるようでございますから、これを許します。原岡常務理事
  3. 原岡幸吉

    原岡説明員 それでは御説明申し上げます。  お手元の資料一、二、三、四と四部ございますが、まず一、二、三でございますが、国鉄貨物としてこのごろフレートライナーというものをやっているけれども、それはどういうものなのか、あるいは物資別輸送というのをよく聞くけれどもどういうものか、あるいは包括契約というのを聞くけれどもどういうものかというような点に関する説明のための資料でございます。二番目は、フレートライナーなり物資別輸送量はどのくらいあるのか、こういう資料でございます。三番目が、さてそういう直行輸送というものは収支的にどうなのか、これを御説明申し上げるための資料でございます。一応、一、二、三の順序で申し上げます。  貨物輸送を近代化するためには、何といいましても鉄道輸送自体の特色である大量性、それから速達性、それから定時性、そういうようなものを発揮した輸送を考えることが必要である。そういう意味で、この一の資料の上の欄に輸送方式という欄がございますが、昔から石炭というようなものをやっておりますように、発から着まで直行でまとまったものをやっていく、こういう考え方が根本的に非常に大切だろうと思います。こういう石炭中心にしてやってきた考え方は、一般に大量的に流れる物資について、一応全部適用される考え方ではなかろうかということで、左側の上の欄がそういう考え方のもとの整理でございます。しかし、物によっては石炭のように大量物資ではなくて、いわゆる一般雑貨のようにわりあい小量分散的に流動する物資もございます。これもまとめ方によっては、鉄道輸送としてうまい輸送ができるような輸送方式になるのじゃなかろうか。それが上の欄の右の雑貨小量)、こういうふうに書いてあるわけでございます。この輸送方式について、いま申し上げたような考え方から、これから御説明申し上げたいと思います。  それから、下の欄に契約方式というのがございますが、いま申し上げましたように、鉄道輸送がそういうぐあいに大量に直行にまとまるというためには、契約方式としてもいろいろそういうことを促進する方向を考えなければいけないということが第一点。また第二点といたしまして、国鉄貨物契約方式独占時代そのままである。いわゆる一般商取引から遊離した契約方式が案外残っておる。それを一般契約方式に、一般商取引に合ったような商業ベース契約を結べるようなことをくふうしていかなければいけないという考え方一つ。もう一つは、鉄道輸送は駅から駅までであって、戸口から戸口までという一般取引に合ったような要望にはこたえられないという欠陥がございます。そういう欠陥もなくしていこうというようなことを主眼にした契約方式に関する新しい方向でございます。  まず、内容をざっと読んでいただけばいいわけでございますけれども事例が書いてありますので申し上げますが、上のほうからいきますと、直行方式といたしまして、先ほど申し上げましたように石炭石油石灰石等専用直行列車をどんどんやっております。これは現在では全体の二十数%、三〇%未満でございますが、こういう形で進めておるという状況でございます。  それで、下に誘導策と書いてございますが、直行列車をつくるためにあるいは適合貨車の開発をし増備をする、あるいはまとまりやすいために発着基地整備をする、あるいは専用輸送体系整備するといいますか、新しい筋をつくる、いわゆる筋をつくって列車のダイヤをつくってやっていく等々、いろんな誘導策があるわけでございますが、全部これを一〇〇%このとおりやっておるのが石炭ということができましょう。石炭車を開発し、港の荷役機械、港湾まで建設して発着基地整備し、そして専用輸送をやっておるという状況でございまして、これらの誘導策個々物資によって、個々流動によっていろいろ内容も違うし、やり方も違うし、あるいは国鉄が直営でやるのもあるし、荷主さんに持ってもらってやるのもあるし等々、内容はいろいろバラエティーがある、こういうことでございます。  二番目の一般輸送。これは現在の貨物輸送の大部分が依然としてこれなんでありますけれども方向別にまとまらないまま一般貨物列車として集結し、とまりとまりヤードで組成しながらやっていく、こういうことでございます。  右の欄に移りまして、小量流動する物資についてのいわゆるフレートライナーということでございますが、国鉄では小量雑貨に関する運搬具といたしまして、コンテナを十年ほど前から実行しております。しかし、このコンテナもやっぱりまとめて送ったほうがいいということは、先日来の御説明のとおりでございまして、そういうまとめて送るという方式を実行しているのが、このフレートライナーでございます。  誘導策といたしましては、雑貨コンテナ化コンテナ基地整備集配区域広域化高速輸送体系整備直行列車を使っておる、こういうことでございまして、これも量なり何なりはあとにございますので、内容は省略いたします。  コンテナの中でもフレートライナーにならない一般輸送というのが、二に書いてある発着とも小単位分散的なものでございます。  次に、下の欄の契約方式でございますが、まず左側定形契約実施と書いてあります。これは二、三年前から、先ほど申し上げましたように、国鉄の通達といたしまして、いろいろな形の民間商業ベースに合ったような契約方式をやろうとしておったわけでございますけれども、それをことしの春から、一括して定形契約輸送規則をつくって、一般に公示してやっておるという次第でございます。  内容といたしまして、一般商取引慣習への対応でございまして、数量建て契約、あるいは輸送力長期安定供給契約、あるいは積み荷保証、これは荷主さんのほうでも、積み荷がなければ荷物がないままに運賃を払っていただく、そのかわり長期的に安定した輸送が確保できる、そういうメリットがあるわけでございますし、こちらは計画的な輸送ができるので、非常にコストも安くて済むわけであります。  数量建て契約といいますのは、個数単位契約数車単位契約列車単位契約というのがございますが、たとえば一定のところから一定のところに一定の物が流れるという場合には、何も一々一トン幾らだとか一車幾らだとかという国鉄やり方ではなくて、一つ送れば幾らになるという、国鉄運賃商取引に合ったものに換算して契約を結ぶ、こういうものの考え方でございます。  それから、下のほうが一貫運送責任への対応。これは先ほど申し上げましたように戸口契約という名前でありますが、戸口から戸口までの一貫した運送責任を負ってやるわけであります。ある場合には通運業者国鉄が共同して荷主さんと運送契約を結ぶ、あるいは国鉄が直接結んで、その下請として通運業者にそれを実行してもらう、こういうことでございます。  その右のほうに移っていただきまして、一般運送責任への対応フレートライナーにつきましては、特に戸口から戸口までの一貫した運送責任を負う形でサービスを考えていく。もちろん駅から駅までの分もございますけれども原則的にはこれを原則として考えておるわけでございます。  それから、その下の利用運送の拡大。トラック業者鉄道利用の道を開いて一貫輸送方式を導入するもので、これはトラックで誘導していったものを、ある区間フレートライナーを利用するということがトラック運送業者としても利便であり、また、一般ルートを考えても非常にいいということでございますので、そういうことができるような道を大きく開いたというフレートライナーのねらいでございます。  以上で、一の資料説明を終わります。  そこで、いま申し上げましたようなことがどの程度量としてあるのか、こういうことでございますが、これは詳しく申し上げなくても数字を見ていただけばよろしいことになりますが、一番上のフレートライナーというのが、四十四年四月から東京と大阪の間で始めまして、四十四年では列車本数十二本、百十万トンでございましたが、これが四十五年度は二十二本、二百三万トンになりまして、四十六年度も非常に伸びており、当初計画したとおりの伸びを示しております。  以下、石油、紙・パルプ、セメント、自動車、鉄鋼、石灰石骨材、木材、生鮮食品鮮冷凍魚、ミカン等々についてございます。いずれも著しく伸びておる、こういう状況でございますが、四十三年度数量を一〇〇といたしまして、四十四年度が一一八、四十五年度が一三八という次第でございます。四十五年度、二百四十七本の列車で三千三百八十六万四千トン、こういう形で送っております。ちなみに、一番下の欄に石炭というものがございます。先ほど来申し上げましたように、石炭はまさに直行専用列車でございますが、四十三年が百三十八本ありまして、四十四年が百二十七本、四十五年が百十二本と、数量もこのように落ちておるわけでございます。これは当然の趨勢でございます。  引き続いて、三番目の資料を御説明申し上げます。  いまのように直行列車一般集結輸送との諸元を比較するとどういうふうになるか、これは具体的な流動を前提といたしまして比較したものでございます。  第一がコンテナの欄でございます。一般集結コンテナでいきますと、保土ケ谷から淀川五百二十七キロ、フレートライナーが汐留−梅田五百五十二キロ、これは大体比較できるんじゃなかろうか、こういうことでございます。まず発着事務取り扱いは、これは左のほうが一車ごとに一件の発着事務が行なわれますが、フレートライナーになりますと、一個列車ごとに一件の発着事務を行ないます。発着の入れかえ作業、これは一車ごとにしなければならないけれどもフレートライナーでは一個列車ごとに入れかえる。ヤード中継、これは一般集結ですと三回でありますけれどもフレートライナー直行でありますからゼロ。輸送時間は、したがって三十九時間の十時間、このように比較していただくとよろしいと思います。  もう一つ石油事例として申し上げますが、石油一般集結根岸から岡部、それから直行列車根岸から倉賀野で、これも大体対比できるのでありますが、いま申し上げましたように発着事務、このとおりでございます。それから発着入れかえ作業、一車ごとに入れかえと、それから発駅では数車ごと、着駅では列車単位ヤード中継が二回とゼロ。十八時間、八時間。このように主要物資全部について見ますと、このような比較が可能になるわけでございます。  あとは省略いたしまして、それが輸送コスト試算としてどのようになりますかといいますと、石油について、根岸新興から倉賀野に行く石油ルートでございます。これは根岸新興タンク車入江中継して一本に出しているという次第でございますが、まず上の一般集結、これは発着が二五、中継が一四、輸送が六一で一〇〇というものに対比しまして、直行列車でいきますとトータルで六三です。その内容は、発着費が一四、中継費は、先ほど申し上げました入江で一本にするための中継が五、輸送費が四四、こういう対比になりまして、対比すると非常に安いコスト輸送である、こういう御説明でございます。  引き続いて資料の四。これは特別御説明申し上げる内容はないかとも思いますけれども日本の内航コンテナはどうなのかと申しますと、特に長距離フェリーが同じような物資対象にしたルートとして最近急速に伸びております。そこで、内航コンテナ長距離フェリー現状というのをひとつ御説明申し上げたいというのが一でございます。それから二番目が、内航輸送との連携についての問題でございます。これは一枚目の紙をお読みすることによって御説明にかえたいと思います。  内航コンテナ及び長距離フェリー現状として、内航コンテナ船としては、東京−苫小牧間に昭和四十四年十二月から樽前山丸、四十六年四月からあかしや丸の二船が就航しております。それから、同じような物資対象としました長距離フェリーというものは、昭和四十五年八月に小倉−神戸間に阪九フェリーが就航したのを契機として航路新設が相次ぎ、現在七航路が運航中、また九航路開業準備中でございます。こういう状況でございます。  輸送条件フレートライナー比較すると、内航コンテナ輸送時間が長いが運賃は割安である。一方、長距離フェリー短絡ルートが多く、国鉄運賃より安いケースもある。また輸送時間は、短絡効果の大きいところではフレートライナー並みとなっております。  二番目は、内航輸送との連携の問題でございます。青函航路の隘路を打開するため、京浜−北海道間海上バイパス輸送実施方について、四十五年二月以降関係業界折衝を重ねてきております。目下、輸送量海陸中継基地選定等具体的実施計画の算定を鋭意進めている段階でございます。  下に、フレートライナーと内航コンテナ船比較がございます。東京−札幌間でございます。輸送単位はここに書いてございますが、運賃トン当たりでございますが、トラックまたは通運が八百円、コンテナ船またはオンレールは五千円、トラックまたは通運が八百円になりまして、計フレートライナーでは六千六百円になります。これに対しまして樽前山丸が、指数で申し上げまして九三、あかしや丸が八三。輸送時間が、ここに書いておりますように二十二・五時間と四十八時間と四十時間。輸送力は、運行回数が一日一・五、〇・二、〇・二で、一運行当たり輸送力は、ここに書いてあるとおりでございまして、一日当たり輸送力は、六百トン、二百十二トン、百六十トン、このようになっております。なお、二枚目、三枚目の資料は、説明を省略させていただきます。以上で、資料説明は終わります。     —————————————
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 質疑通告がありますので、順次これを許します。内藤良平君。
  5. 内藤良平

    内藤委員 私は、国鉄財政再建にいろいろ御努力されている中で、管理運営の面から若干御質問したいと思っております。  例としては、いわゆる合理化問題、合理化という名のもとに赤字路線八十三線区の廃止、あるいは全国にわたりましての無人駅、貨物集約、こういう問題があります。さらには合理化ということで、職員の問題にからんでは組合の混乱といいますか、国鉄労働組合からの大量脱退問題等、こういうぐあいにいろいろ問題があります。その中で赤字路線廃止問題、あるいは全国にわたりましての合理化問題、これらにつきましては、私たち運輸委員会におきましては、歴代の運輸大臣最高責任者を相手として、赤字路線問題等中心でございましたが、地元住民皆さんの合意、納得あるいは代替措置、それらがなければ実施をしない、こういう確認でまいりました。午前中の運輸委員会でもその点を再確認いたしました。運輸当局意向を再確認しました。変更がない、こういうことであります。  ところが、いろいろ具体的な例に入る前に、先般国鉄総裁出張先で、赤字路線等地元反対があってもこれを強行するというような意味合いだと思いますが、そういう新聞報道等がありました。私は、今日までの運輸行政の中におけるわれわれの理解と全然背馳するものですから驚きました。それが午前中再確認を求めて、運輸当局から、さようなことはない、いままでどおり、こういうことでした。国鉄とそういう面で話し合いしたこともない、こういうことでありました。  そこで磯崎総裁、その点は私、午前中運輸委員会でも確認をしてまいりました。運輸省、いわゆる運輸行政の中で責任者が、いま申し上げたように、いろいろそういう発言をしておりますし、確認もされておる中で、あなただけのお考えでああいうぐあいに赤字路線地元反対があってもこれを行なうんだ、こういうぐあいに新聞報道等がなっておるけれども、それはどういう関係なのか、その点をまずひとつ伺いたい。
  6. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般の北九州におきます私の発言につきまして、多少新聞報道が簡略でありますために、そういう御疑問がおありになるのは当然だと思っておりますが、私ども考え方といたしましては、もちろん現在法律上、赤字路線であろうと、いわゆる営業廃止国鉄総裁限りでできますけれども、これには運輸大臣認可がなければできないわけでございます。従来の慣例は、国鉄総裁が完全に地元と一〇〇%話をつけた上で、運輸大臣認可申請をするという手続になっておりましたけれども、実際、現在やってみますと、一〇〇%の了解を得るのは非常にむずかしい、時間がかかるということで、もちろん私どもといたしましても、地元に対する説明、説得につきましては十分いたしますけれども、ある程度のことをやって、どうしてもごく数%、たとえば沿線に町村が三カ町村あるといたしますと、二カ町村は賛成してよろしいといったけれども、一カ町村はどうしても賛成しないというケースが間々ございます。そういう場合につきましては、むしろ国運輸政策としてこれをどうすべきか考えていただく。実は、道路があればやめてもよろしいという内々のお話のあるところもあります。そういうところにつきましては、むしろ問題を政府当局において、建設省なり関係各省と具体的に正式な場でもって相談していただく、あるいは運輸政策として、それでは国鉄バス認可するなら認可する、そういうふうな総合的な運輸政策として取り上げていかなければならない問題が多々発生してまいりました。  したがって、やめるということだけでは地元の方はなかなか納得されませんし、いま先生のおっしゃったようないわゆる代替輸送その他道路整備問題等々からみますと、国鉄総裁だけで一〇〇%地元と話をつけるのは不可能であるというふうになってまいります。したがって、私どもといたしましては、純粋に、単に鉄道だけの見地からいけば廃止すべきだと思いますが、やはり国全体としての問題がありますので、政府にこれをあげまして、そして私どもとしてはここまで説得したけれども、どうしても一〇〇%の協力が得られない、しかしながら、道路整備とか、あるいはその他の政府としてやってもらえることがあればやめられるというふうなことにつきましては、ぜひ御協力願いたいというふうな形で私ども廃止認可申請を出す、それを政府の場でもってお取り上げ願うというふうにしたいということを申したわけでございます。したがって、ある程度地元話し合いをして、どうしても話がつかなければ政府の御判定にゆだねるというふうなことのほうが、むしろ地域住民としても、道路の問題、総合的な交通政策立場から問題が解決できるのじゃないかというふうな意味で、一〇〇%の協力がなくても政府認可申請をいたしたいというふうに申したわけでございます。もちろん、一方的にやめることはできないわけでございます。そういう意味で、政府認可される場合には、鉄道だけの問題でなしに、総合的な交通政策立場からいろいろ御検討の上認可するなり、あるいは認可されないということになると思います。  そういう意味で、私どもといたしましては、場合によりまして地元の完全な同意が得られなくても国鉄としてはやめたい、しかし、地元からはこういう意向があるということを政府に対して申請いたしたいということを申したわけであります。中がちょっと抜けまして、国鉄限りで一方的にやめてしまうのだというふうな報道になっていたかと思いますけれども、それは私の申しましたことを意を尽くさない表現でありまして、もちろん、一方的にやめることはできないわけでございます。そういう意味で、問題を政府のレベルにあげて始末していただきたいというふうな考え方から、手続的な問題を申したわけであります。
  7. 内藤良平

    内藤委員 あまり長く時間もとれないと思いますが、それでは簡単に、やはりいままでどおり地元皆さん意向を十分に尊重される、この原則といいますか、これは変わりがない、こういうぐあいに確認してよろしゅうございますね。わかりました。  そこで、一つの具体的な例になりますけれども島根県に木次線というのがあるのを御存じだと思います。これは島根県から背骨の山脈を越えまして山陽のほうに連係しておる助骨線、そういう線であります。この線に七月二十七日に地元米子管理局が、十数の駅を停留所化あるいは貨物集約ということで大変革をする、こういう合理化案を発表いたしました。これに対して地元関係町村が五カ町村ありますが、驚愕をしましていろいろ協議しております。また県の知事もこの問題を重視して、これに対して対策を立てよう、また県議会も八月二十三日には、議会としても反対の決議をして申し入れをする、こういう経緯があるわけです。これはおわかりと思います。ところが、地元米子局長県知事との折衝の中で、これはもう決定したことだから、十月一日から実施をするのだということでけんもほろろな応対であった。それでその県知事は、これまた驚き入ったことだというぐあいになったと思います。そういうぐあいで今日ここまで推移してきたわけであります。  私、いまの総裁の御発言なりあるいは午前中の運輸当局確認なり総合いたしまして、いやしくも一県の知事地元の交通問題、国鉄問題について住民の意思を体して地元局長にその反対の旨を申し入れる。ところが、もうだめだと一言のもとにこれを退けた、こういう形は、運輸当局なりあるいは総裁の御意向から見ると、私はこれはふさわしくないと思う。やはり住民皆さんの声をまず尊重されて、それをいろいろの形の中でこなしていくといいますか、解決していこう、こういう考え方がなくて、まことに間違った地元局長応対のしようであると思うのでありますが、この点いかがですか。
  8. 原岡幸吉

    原岡説明員 ただいま先生から木次線の問題を承りましたが、実は、いわゆる営業の新体制ということは、国鉄再建計画の趣旨にのっとって、各地で四十四年度の末から始めまして、四十五年度計画どおり実行し、四十六年度に入っているわけでありますが、その過程において、地元との話し合いにつきましては、個々にいろいろございます。申し上げましたように、地元でもって計画をし、地元でもって地元の方とわがほうの地方機関でもっていろいろ具体的にお話をし合いながら、御理解と御協力を得るよう努力しながら進めておるというのが現状でございます。したがって、私のほうとしまして、個々のことにつきまして、すべてどういうような話し合いになっておるかという点につきましては、つまびらかにしない点が一ぱいあります。  いま先生からお話がありましたように、木次線のことにつきましては、多少土地勘もなしにとんちんかんのこともあるかもしれませんが、おそらく地元といたしましては、十月一日というのは時刻改正という一つのタイムリミットをもってお話をしておるのではなかろうか、こう思うわけでございまして、これを実行する場合にどういう問題が起こるかということについては、もちろん地元の方と十分話し合って、そうしてできるだけ御理解協力を得られるような話し合いの上で進めていくというつもりで、いままでもやっておりましたし、おそらく木次線現状についてもそうだろうと私は確信しておるわけであります。いま御指摘のように、全然聞かずにだめだというような点がございましたら、これはもちろん私のほうから、もう少しよく地元と話すように指導はしたい、こう思います。
  9. 内藤良平

    内藤委員 そこで、老婆心ながら、七月の末だから、八、九でいいところ二カ月です。その二カ月にこういう大きな変革の方針を立てて、そしてそれを強行されるということ自体に、私は無理があるような気がいたします。  話が飛んでまいりますけれども、たとえば午前中の例の常磐線の乗り入れ問題等につきましても、いまだに地元の区役所の皆さんなり区議会議員の皆さんから猛烈な反対がある。せっかく近代化して、あるいは混雑の緩和をしようということで、常磐線の乗り入れを多額な投資をして行なったわけでしょう。ところが、その結果が住民皆さんから反対をこうむる。これなども、前広に住民皆さんの御意向というものをいろいろな形で受け入れしながら、そこで討議をしながら進める、そういうかまえがないから、できてしまってから、乗客の流れなりあるいは混雑なり、あるいは住民皆さんが既得権を奪われるような、そういうような感じを持っておるわけです。だからあの問題も、いわゆる国鉄なり、これは運輸省関係があるが、どうもそのやり方が、住民意向をそんたくすると言いながら、短い時間にこれを押しつけるような結果になるのじゃないか。やはりこういう大きい問題の場合は、相当前広にこれを発表されて、そして住民皆さん意向を、区役所なりあるいは区議会なり、あるいは市役所なり市議会なり、あるいは県なり県議会なり、民主的な機関があるわけですから、それらと話し合いを進めて何らかの結論を得る、こういうようなことをやらなければ、せっかくのいわゆる国鉄の再建のための合理化等におきましても、単に紛争だけが現地に起こって、いわゆる再建という前向きな、建設的な結果にならぬじゃないか、こういうぐあいにも思うわけです。ですから、いま原岡常務からお話がございましたが、この問題また常磐線の乗り入れ等も、やはりそういう点も反省しなくちゃならぬ。  この木次線問題等も、わずか二カ月の間に話をまとめる。しかも、もう今日は九月の十日です。あと二十日間余り。その間に知事から反対だときた、地元局長がだめだ、ここでばしっと別れておるという形で、もう十月の一日は目の前に来ておる。こういうふうな国鉄管理運営といいますか、これはやはり運輸行政だけれども、当面の国鉄当局管理運営の問題も私はあると思う。それから現場の皆さんは、あなたのほうから十月一日と言われると金科玉条にして、これはもうどうにも動かないというぐあいにもなっておるのじゃないか。しかし、全国にあまたの線があって、こういうことをやっておるわけでしょう。中にはどんどん進めておるところもあるわけでしょう。あるいは中にはこの島根のように非常なる反対のあるところもある。しかし地方の線の場合は、全国一律にいかぬのじゃないかと思う。やはり話し合いを進めてまとまったところからやっていく、こういう式にしなければ、国鉄も大部隊でございますから、十月一日という時刻改正があると、それに合わせてみんなやらなくちゃならぬということになるのも一つの感じでしょうけれども全国的にいろいろあまたのケースがあります。住民皆さんのお考えもあり、地形もあり、あるいは産業の実情なり風俗習慣の違いもありますから、そこらを画一的にやっていく、そこら辺が、国鉄管理運営の面から見ると、どうもまずいのじゃないか、ずさんじゃないか。  しかも、島根の場合は、何だかんだ言いましても、やはり今日の地方の県知事です。最高の方であります。その方が反対だときた、そこでわがほうはだめだ、それだけです。私は、知事さんがその後どういうぐあいに言ったかわかりませんが、知事反対だ、米子局長がそれじゃだめだでもの別れじゃなくて、長年、二十何年、三十何年、国鉄でもその線を敷いて住民から親しまれてきたわけです。改革をしようと発想したのは国鉄なんですから、そこで一たん別れても、米子局長さんがやはりどうしてもこうしてやらなければならぬとなれば、知事さんなり県の皆さんになお話しかけていくような努力がなければならぬじゃないか。ただ反対だということで、おれは反対だからだめだ、だめだからだめだというぐあいになっていくということでは、私は、国鉄の再建といいますか、合理化といいますか、これはもう国民の皆さんのいわゆる苦情、反対あるいは不満、国鉄に対するいろいろな憤りといいますか、そういうものを背負ってやれるわけはないのです。そういう結果になってしまうのじゃないか、私はこういうぐあいに思っておるわけであります。  そこで、常務もお話がございましたが、こういう問題を十月一日というぐあいにこだわらないで、やはり原則であるところの地元と十二分に話し合いをする、この原則を踏まえて、そしてタイムリミットを考えないでやるくらいの管理運営の心がまえがないか、こういうぐあいにひとつ磯崎総裁にお聞きしたいのであります。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうで先ほどその事情を調べましたところ、確かに知事とお話し合いして、知事からノーだというお話があったようでありますが、その後話は切れていないようでございます。やはり県の企画部長その他が仲に入っていろいろ実情を調べて、いまお話し合いを続けておるようでございますので、一方的に十月一日からやめると宣言したことではないようでございます。私といたしましては、地元知事さんと十分に話を進めなさいと先ほども申しておきました。決して一方的にやるということを言ったわけではないようでございますので、その点は御了承願いたいと思います。
  11. 久保三郎

    ○久保小委員 ちょっと関連して。いまの話ですが、これはいままでもずっと営業体制の近代化といいますか、そういうことでやってきているのですが、私は、これのやった結果についての評価というのをどういうふうにされていくか、たいへん大事なことなんですが、案外どうも評価をしていないのじゃなかろうかという感じを受けるのです。これはもちろんその線区における、あるいはその当該駅におけるだけでなくて、全体的にものを見なければいけないと思うのです。これは一ぺん評価をしてみる必要がある。  それからもう一つは、要員の合理化というより要員の配置の問題ですが、貨物なら貨物の扱いをやめて、貨物掛を何人か浮かす。浮かすことは一つ合理化でありますが、それを活用する方向に間違いがないかどうか。間違いと言ったらたいへん語弊がありますが、ロスはないか。いつかも申し上げたし、監査委員会の報告でも指摘されている。これはことしのじゃなくて、二年ほど前のです。たとえば列車掛の問題を見ましても、これはわれわれいまでもどうも割り切れない気持ちでいるわけです。それは客貨車区と車掌区に置くわけですね。どうして客貨車区と車掌区に置くのだろうという疑問がしろうとしてありますね、利用者としては。その発生過程は、修繕回帰キロというか、列車検査の新体制で貨車の検査キロが長くなったということが一つの原因だと思います。これは技術や何かの進歩で、当然いままでの修繕回帰キロが延長されるのはやむを得ぬというか、あたりまえだと思うのです。それによってある程度職場の要員というものが減らされる。これも見ようによっては妥当かもしれません。しかし、減らされる側から見れば、今度は労働の密度が非常に高くなってくる。これに対して救済の措置がないのではという不満があると思うのです。これはまあ労使間での話し合いですから、われわれが直接介入する必要はないと思います。しかし、いま申し上げたように、浮いてきたというか、過剰になってきた者のやり場として、結局今度は車掌区で乗っていた車掌というものを列車掛にして、トンカチを持たせて、車掌にトンカチを持たせたのが列車掛、こういうふうに私らは簡単にとっているわけです。結局、それはどういうことかというと、客貨車区から車掌のほうに行く者は、車掌の業務をある一定期間教育される。いままで車掌をつとめていた者がトンカチを持つのですから、トンカチを持つ教育をある程度やらす。そこで、両方ともどういうふうな分け方をしてやっているか知りませんけれども、同じ仕事を別な部署で、系統も違うし、そういうところでやっていらっしゃる。そういうのが一つありますが、これなどもだんだんなじんでくる、とけ込んでくるだろうと思いますけれども、やはり何というか、合理化、近代化に対する一つの矛盾というか、そういうものが端的に出ているのではないだろうか。  それからもう一つは、たとえば木次線一つとってもそうですが、そこから過剰になってくる要員の配置というものに対して、はたして将来の展望をつけて、その配置を考えながらものをやっていくのであろうかというと、必ずしもそうでもなさそうである。出てきた者に対して、まあ言うならばどこか足りないところにということだろうけれども、そう簡単に足りないところもあの地帯ではございません。東京などは足りないところもあるでしょうが、持ってこられない。そうだとするならば、結局どこかその辺にそのまま滞留と言っては語弊があるが、滞留させるというようなことも出てくる。それでは全体的に効率がいいとは私どもは思っていないのです。これは別に当局やり方を責めるとか追及するとかいうことではなくて、いまや真剣に再建ということが——大ざっぱな大綱は、いつかも關谷委員が言ったように、ああいう方向以外にないと思うのです。これはしかし、だからといって細部についての再建計画をおろそかにしていいわけじゃありませんし、これは利用者も国民もみんなそろって国鉄の再建を考える時期ですから、そういう意味でいまのような話を申し上げるのです。  もう一つ考えてもらいたいのは、木次線の問題は、どこでもやっているのにふしぎじゃないかというような声もあろうかと思うのでありますが、やはり島根や鳥取というのは、過疎の典型的な地帯であります。たとえば、一つの駅で貨物の取り扱いをやめたとなると、過疎がなだれ現象で、その歯どめになっていたものがくずれてくるということがあるわけですね。国鉄の経営ではプラスかもしれませんが、地域全体のささえとしてはかなりの支柱になっているということを、国鉄としては認識する必要があると思うのですね。それを考慮しないでやるとすれば、もはや国鉄としての使命から少しはずれるのではなかろうか。苦しいけれども、やはりここの過疎をささえて何とかしようと思っているんだという気がまえがなければ、全体としてそういうところの住民なり県民には理解されないと思うのであります。もちろんそういうことを考えていらっしゃるのだろうと思うけれども、十分考えないと、東京国鉄のそろばんだけの考えではうまくいかないと私は思うので、一言申し上げておきたいのです。  それから、タイムリミットの話でありますが、どこへいってもタイムリミットで押しまくるというかっこうがありまして、これはいま総裁からお話がありましたが、実際は十月一日というダイヤ改正がからんでくることは事実なんですよ。ダイヤ改正にからませて、たとえば貨物の扱いをやめるかどうかもきまってくる、あるいはそれによって列車の数も変わってくるということでありますので、地方にしますれば、そういう期限を切ってやっていくということがあるわけです。いまのお話では、そうではないというお話でありますから、私もそうではなくて、やはり実情に合った方法をとっていったほうがいいと思うので、一言加えておきます。  それからもう一つ、小さい問題でありますが、たとえば営業新体制で書いてありますが、これは木次線もそうだろうと思いますが、出改札を一つにする。出札と改札を一つにするということですが、出札と改札を一つにするようなところは乗降客が非常に少ないところであります。非常に多いところは、そういうように一カ所にはできないはずであります。ところが、出改札を一つにするのはけっこうな場合があるのですが、ただそれに伴って、言うならば改札口というのは大体ホーム側、改札のやりいい場所、出札する場所は、駅に入ってきたところに出札の窓口があるわけです。これをどういうふうに改造するかというと、わざわざある出札をつぶして、こっちのホーム側のほうへわざわざ仕切りをして、出入りができるようなかっこうでつくりかえるのですね。費用は幾らでもないと思うのです。二、三万円、高くて五万円——五万じゃできないかもしれませんね。もっとかかるかもしれませんが、そういうことをやるのですね。私はばかばかしいことだと思っているのです。そんなことをしなくてもいいんじゃないですか。いまのままでいいんじゃないですか。たとえば駅に入ってきてすぐ出札の窓口、次が小荷物の受付口、その次が改札でホーム、手順はこうなるのですね。そうしますと、出札をいまの小荷物の受付のところに持ってきて荷物は廃止する。荷物をやるにしてもそこじゃないところにする。そして荷物の保管場所をどうするかというと、出札のところに持ってきてわざわざ箱型のたなかなんかつくってしまって暗い駅ができるのですね。荷物は不定形でありますから、たなをつくっても入らぬものが多いのです。しょうがないから外に出して使わないなんという例が、私の地方じゃありませんよ、私の地方には有能な局長がいますからやりませんが、よその局であります。日本全国にどこにもある。そういうむだな合理化のために、ひまと時間と金を使うことは、この際もう少し真剣になって考えたらどうか。極端な言い方でありますが、たとえば切符を切らないお客の一人や二人出ても、切符を置いていかないお客が一人ぐらいあっても、合理化のほうがメリットがあるというならば、それをおやりになるのがほんとうの合理化じゃないですか。お客や荷主をやはり信用することから始めないと、これはできないことだと私は思う。職員も信用しなければいかぬ。  小さい話でありますが、合理化についてはずいぶんばかばかしいことがあるので一言つけ加えておきますが、やはり鳥取とか島根なんというところは、もう少し全体的に考えてみる必要はないかと思うのですが、総裁、どうでしょうか。
  12. 磯崎叡

    磯崎説明員 私もあまり最近の事情をよく存じませんけれども、たしか木次線は私鉄の買収線だったと思います。非常に駅が多くて、私、昔局長をしておりまして困ったことがございます。そういうことから、あそこを早く、米子の局としては鳥取県側が一応一段落いたしましたので、手をつけたんじゃないかと思います。しかし、全国的に見ますと、合理化が非常にスケールが大きいものでございますから、どうしてもおっしゃるとおりむだが出ることもございます。しかし、監査報告書でも指摘されましたとおり、極力むだが出ないように、また養成その他に充当する以外に、もし余分があれば、それの使い方をもちろん考えなければいかぬというふうに思っておりますが、ぴたっと合理化から出てくる人間をすぐそのまま使うというわけにはいかないにいたしましても、極力そのロスを少なくすることはぜひ必要だと思って、管理局長にもその点は十分頭において合理化するようにということは申しております。先生いまおっしゃったことは、実施させる場合におきましても十分考えてまいりたいというふうに考えております。  また、合理化につきましてのいろいろな設備の改善につきまして、確かにおっしゃるような点があると思います。一番多かった例は、ホームを無配置にするために跨線橋をつくる。これは安全上一番金がかかった。大体一カ所二、三百万円かけまして、駅員がいないかわりに跨線橋をつくって、そしてお客さんがあぶなくないようにする、こういうのは安全上やむを得ないと思います。いまおっしゃったように、多少官僚的な、観念的な合理化は確かにあると思います。そういう点も画一的にならないように、十分気をつけてまいりたいと思います。合理化をいたしましたあと、十分トレースいたしまして、そしてむだのないように合理化を今後進めてまいりたいというふうに思っております。
  13. 久保三郎

    ○久保小委員 ついでですからもう一つ合理化やり方です。たとえば、さっき原岡常務からもお話がありましたが、貨物は車扱いは横ばいだということであります。これは貨物全体としては、言うならばレールに乗ってくる貨物はふえてきたという感じだと思います、横ばいということは。なぜかというと、そんなに顕著じゃないのだけれども、だんだん貨物合理化というか、扱い廃止というのはかなりいままでやってきた。扱い廃止をやってきて横ばいなんだから、多少これは考えていいな、私はこれを見ながらそう思うのですよ。  そこで、ふえないかふえたか別にして、たとえば木次線の話にしても、貨物の扱い廃止というそういう直截的な合理化じゃなくて、いまの扱いをやりながら、たとえば要員なら要員の面だけぐらいは何とか考えられる面もありはしないかと思う。目的が貨物輸送をもっとスピーディーに、さっきの説明のように直行方式に変えていくのだという大方針のためには、木次線で停車駅をもっと減らさなければだめだというお考えかもしれない。木次線というのは私は行ったこともないしわからないのですが、もしもこういうところで直行方式を採用したって、これは実際あまりメリットはないのじゃなかろうかと思っているのです。だから、言うならばここで合理化貨物の扱い廃止というのはおそらく要員の合理化だな、こうとるのですよ。そうだとすれば、私は間違いというか、それをするために貨物の扱いをやめるということは、ちょっと直線的なものの考え方であろう。私は、いま国鉄が一番大事なことは、こういう不況というか、危機になっても、やはりお得意さんを大事にするということを考えていくべきではなかろうかというふうに思うのですよ。そうだとすれば、いままで長年つき合ったものを何とか保っていくくふうもかたがたしなければならない。だから、そういう点もひとつ御考慮をいただければと思っているわけでございます。どうでしょうかこの貨物の問題、さっきのお話に戻りますが、新しい方式ももちろんそうだけれども、在来ある貨物の扱いというものも減らしていく、切っていくというだけじゃなくて、一ぺん考えてみたらどうかということがあると思います。  それからもう一つは、この前総裁にも申し上げたと思うのだが、運賃についてもう少し考えてみたらどうか。いわゆる適正な運賃であるかどうか、契約そのものがプラスになっているかどうか、そういうものも含めて考えてみたらどうかということをこの前申し上げたのですよ。原岡常務は担当でありますから、御所見のほどをお聞きしたいと思います。
  14. 原岡幸吉

    原岡説明員 貨物の扱い駅をやめるのにあたって、いま先生御指摘のように、あまり単純に、あるいはいわゆる形式的に、別なことばで言えば官僚的な考え方だけでやってはいけないじゃないかという御指摘ですけれども、まさにそれはそのとおりだと思います。やっている点について、そういう反省しなければならない点については反省して改めていきたいと思いますが、ただ、貨物を扱う駅の集約ということは、一つには、先生御指摘のように要員を減らすという効果もまさにあります。しかしもっと基本的に、現代的な貨物輸送をするというための新しい貨物輸送を進めていくための措置、段階であります。それじゃ新しい貨物輸送をするということは即直行輸送かというと、必ずしもそうではございません。直行輸送がそうにわかに全部できるものじゃございませんので、できるだけ列車の走る時間を短く速く行くという方向でやっていかなければいけない、そういう具体的な内容を目標にして個々貨物駅の集約を考えてやっていっておるというのが、私ども考えておるこれに対する考え方なんであります。  したがって、荷主さんを粗末にするとかどうだこうだという気持ちは積極的にはないのでございますが、鉄道サイドで見ますと、それは貨物列車で送るよりも、道路整備状況あるいはトラックの運行状況等々を見て、トラックを利用されたほうがいいのじゃないか、あるいはトラックで隣の駅なり隣の隣の駅まで持っていったほうがいいのじゃないかというような変更についても、いろいろ荷主さんとお話をして、新しい体制への脱皮を話し合いながら進めていくという気持ちでやっておるわけなんです。もちろんそういうつもりじゃなくて、現実には一方的な形式的な面もあろうかと思いますので、そういう点については、十分考えながらやっていきたいと思います。  それから、二番目の運賃の問題でございますが、これはにわかに現在の運賃がどうこうということは論外といたしまして、もちろん適正運賃——適正運賃とはどういうことかというといろいろむずかしいと思いますが、世の中の一般の動きといいますか、こういうものを十分反映して、国鉄貨物運賃としても適正な運賃への方向に努力しなければならないということは、私ども常日ごろ考えておるところでございます。
  15. 内藤良平

    内藤委員 木次線の問題に例をとりましたが、十月一日のタイムリミットに必ずしもこだわらないという意味合いの御発言がありましたので、私はやはり現地の実情に応じてやっていただきたい、こういうぐあいに思います。  これも老婆心、蛇足でありますけれども国鉄当局は、いわゆる合理的にどんどんものごとを進めたい、かようなお考えでやっておると思います。しかし客観的に見ますと、たとえば赤字路線廃止なりあるいは無人駅の問題等につきましても、それでは国鉄が掌握しておる業務が全部合理的にいっているかということになりますと、そうじゃないのですね。これも例ですけれども、福島県から新潟県への只見線がこの間開通された。あれも国鉄合理化考え方からいいますと、引き受けすること自体これは矛盾するのじゃないかと思うわけだが、それは一般に政治路線その他いろいろ言われておりますけれども、やはり国鉄ではそれを引き受けて営業をせざるを得ない状態もある。ですから一般国民から見ますと、十月一日を絶対視して、現場の局長知事の申し出もはねつけるような、そういう峻厳なものかどうかということになりますと、全般を見ますと、いま申し上げたようなぐあいに矛盾点があっちこっちにあるわけですね。そういう意味ですから、くどいようですが、やはり十二分に現地の局長国鉄最高幹部の皆さんの意を通じて対処してもらわなくちゃならぬ、こういうぐあいに思います。どうも国鉄も大世帯なせいか、マンモスのせいか、最高幹部の皆さんの御意思が必ずしも現場の局長なり現場長にありのままの姿で伝達されておらない面が多々あるのじゃないか。これは管理運営の面からやはり重大な問題だと私は思っておるわけでございます。どうかそういう面は十二分にひとつ最高幹部の皆さんも配慮をしていただきたい、これはひとつ御忠告申し上げます。  それと同じような管理運営の問題で一言また申し上げたいのは、最近全国的に職員の間に非常に問題が起きております。国鉄は、御存じのとおり職員団体は三つございます。ところが、その三つの職員団体の中で一方が減り他方がふえる、あるいは新しい組合ができる、こういう現状で、全国各地でそういう状態であります。私たち社会党で先般秋田の管理局調査に参りました。三人の国会議員で調査団を編成しました。そこで労働者団体の意見も聴取し、また局長、総務部長の意見も聴取してまいりました。そこでいろいろわかりましたことは、やはり現場の長の方が、いわゆる駅長、区長あるいは補佐役の助役あるいは管理職、こういう方々が、ある組合の脱退を強要するために脱退届を持って職員の家庭訪問を行なっておる。またある現場長は、脱退した方々が一つのグループをつくりますると、そのグループの結成を祝するような祝辞を呈しておる。こういう現場における現場長の動きであります。国会議員の私たちも、皆さんと一緒になりまして国鉄再建の問題でいろいろない知恵をしぼってやっておるつもりでありますけれども、現場におきまして国民の皆さん輸送安全あるいは身近には国鉄の再建のために収入の増大、こういうことを任務としなくちゃならぬ現場長が、その任務をおろそかにして、職員団体の一方から脱落を強要するためにいろいろ動いて歩く、あるいは他の団体の結成に祝辞、お祝いのことばを述べる、こういう、いわば本来の任務以外のことを現場の区長の諸君あるいは助役、管理職の諸君が行なっておる。これは当然その職場の職員同士の間に問題が起きることは明らかであります。お互いに反感を持ち感情的に対立する。  また、いろいろこの調査をしました結果、一方の組合の団体の脱退を強要するために、中間管理職であるところの管理局長なり総務部長が疑いを持たれるようなことをしておると私たちは思いました。それは、たとえば一方の団体を脱退すれば昇職をさせる、あるいは資格試験を合格させる、あるいはいままでにない、たとえば助役の試験の場合におきまして予備合格というものをつくりまして、その予備合格者に一方の団体からある一定の人数の脱退者を獲得した場合におきましては、これを正式な合格にせしめるようなことを行なっておる。あるいは功労者の表彰というものがあります。その功労者の表彰は、結果論になるかもしれませんが、その結果を見ますと、百人近い功労者の表彰者の決定の中で、一方の団体だけが表彰の該当者になっておって、他の団体はほとんどボイコットされておるような結果が出ておる。こういうことに対して、一方の団体から、これはあまりにも差別待遇でないかということで、局長なり総務部長に回答を求めると、その回答は無視されておる、こういうことです。  また、こういう例もありました。合理化によりまして過員が出る。その過員の配転は、生産性教育というものをいまやっておるようでありますが、その生産性教育を受けた者だけを本人の希望によってこれをとどめる。受けない者は、配転の場合には対象として一方的に配転するようなことを、人事課長という職責にある方が発言をしておる。こういうような差別待遇をやっております。また、一方の団体から脱落して一方の団体に行く、一方の団体がふえていくわけですが、その団体の青年婦人部の会合に総務部長が喜んで出席をして、そして客観的に見ますと、あたかも他の組合、一方の組合を拡大強化せしめるような、そういう印象を与えておる。  こういうようなことを私たちは組合からも聴取し、また地方局長、総務部長からもその事情を聞きました。その際に、責任者の地方局長なり総務部長は、責任を持ってそういうことを行ないました、そういう発言はありません。知らぬ存ぜぬというような発言であります。ところが、現象的には、やはりその現場長である駅長、区長級の方々がそういうことを行なっておる。これはもう周知の事実であります。証人もおる。しかし、その現場長自体がみずからの発意、発想でそういうことをやることはまずないわけですね。御承知のとおり、線路工手の皆さんの労働力も団体募集のためにかり出されるほどの増収対策というものが行なわれている国鉄現状であると聞いております。何とか増収をして赤字を解消したい。ですから、線路でつるはしを振るっておればよろしいはずの線路工手関係皆さんも、部落の農協の団体募集には顔をつないで行なう、そういう状態ですね。そういう中にあって、現場の最高責任者の現場長がそういうことをおろそかにするはずはない。いま申し上げたような三つの職員団体のどっちかから引っぱり、どっちかのほうにこれを加えていく。職員の中で混乱が生ずるようなことを本来の業務を忘れた形の中で行なっている。そして君はどうだと、現場長同士でお互いにその脱退させる数を競い合うといいますか、誇りとしてこれを話し合いの中で、おれはこれだけ脱退させた、君はどれだけ脱退させた、こういう式の話になっておる。そういう現象がある中で、地方局長なり総務部長にわれわれがそれを問いただしましたところが、いや、私たちはそんなことは知りません、やっておりません、こういうことです。これでは私は国鉄の再建というものは——財政の問題だけじゃありません。職員全体を含めて国鉄の再建でございますが、再建どころではない。再建などはできないのじゃないか。  この現象から職員同士がごちゃごちゃになりますと、第一に安全の問題にどういう影響があるか、これはもうおわかりでございましょう。先般、酒を飲んで運転をして事故を起こしまして直ちに馘首されました。しかし、現場におきまして現場長が先頭になってそういう職員の団体をかき回した場合には、今度は職員同士でお互いににらみ合って、その中で、ささいなことから事故が起きないというふうに私は断言できない。しからば、そういう職員管理、国鉄管理運営というものをだれが責任を持ってやっておるのか。地方局長が、私はそれは知りません。それでは現場長がそういうことをみずからの発意でやっておるのか。そんなことは絶対ないと私は思う。そうすると、総裁なり、副総裁なり、職員局長なり、国鉄の最高幹部がそういうことを指示しておるのかということが疑われるわけであります。あるいは、これは国鉄の最高幹部の気持ちを曲げて考えてそういうぐあいになっておるのかもしれません。それはわかりませんよ。しかし、そういう現象が起きておるわけでありますので、こういう国鉄の管理者側の管理運営でよろしいものかどうか、私は非常に心配しておるわけであります。この点を総裁から承りたい。
  16. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄の再建には、何と申しましても多数の職員の協力と申しますか、精神的な団結がなければできないことは、これはまず第一の問題であります。したがって、私どもといたしましても、極力全職員が再建に向かって努力するような姿勢でもって指導し、管理しなければいかぬというふうに思っております。もちろん、法律上のたてまえからは、公労法第四条で明らかなように、職員が組合を結成してもしなくても、あるいはどの組合に入っても入らなくても、これは全く職員の個人の自由である。それ以上に立ち入ることは、いわゆる管理者の組織として立ち入ることは、不当労働行為として禁止されていることは明らかでございます。したがって、もしそういう事態が職員側において起きているとすれば、これは私の責任でございます。しかし、私といたしましても、職員の中にそういうトラブルがあって、その結果事故などを起こしましたらたいへんな問題でありますので、極力そういう事態が起きないように具体的にいろいろ対策を講じてまいりたい、かように思っております。  私といたしましては、あくまでも公労法第四条、これは憲法を受けてできた法律でございますが、公労法第四条でもって、職員は自分の判断でもって組合に入るあるいは組合から脱退する、これが大原則であるということは、私の考えとしては変わっておりません。もしそれがいま先生のおっしゃるごとく守られてないとすれば、これは私の不徳のいたすところでございます。その点につきましては、十分具体的に事象をつかまえまして善処してまいりたいというふうに思っております。
  17. 内藤良平

    内藤委員 もう終わりますが、調査に参りました秋鉄局でありますけれども、三点、四点ほどの資料提供を私たち調査団は要求してまいりました。その際総務部長は、人事問題等もこれあり、上局の御了解を得てもらいたい、こういうお話だったのであります。そこで私は、国鉄委員会におきましてこの問題に言及し、秋鉄局の資料提出を国会で要求し、その上で求めますから、総務部長自体の御迷惑にならぬようにこれは国会の場へ出しましょう、こういうぐあいに言ってまいりました。その点もひとつ……。この問題を、総裁が考えておるように、職員の間にいたずらに混乱が生じないように——それにもし現場長が介入しておることが明らかになった場合には、これは総裁一つの管理の面から厳重に措置してもらわなければならぬ問題だと私は思うわけであります。なおまた、現場長が今日の国鉄の置かれておる現状から、そういう本来の業務を忘れたような言動をするはずがない、だれかが指示をしておる、中間の地方局長なり総務部長なりに責任があるとするならば、やはりその段階の方々にも厳重なる注意を与えてもらわなければいかぬ。事故が起きてから本人を処分するだけで終わるものじゃありませんから。かりに人身死傷事故が起きた場合におきましては、これは当然大問題になるわけであります。この点はひとつくれぐれも総裁の賢明なる措置を私は強く希望しておきたいと思うわけであります。あわせて調査も、当局側としても実施をしてもらわなければならぬと思います。  それから、これも継続のようなものでありますけれども、先般の小委員会で、品川の車掌区であったと思いますが、人権じゅうりんのような問題がありました。これは、真鍋職員局長に私はその事情を話して、当局側でも調査をし、報告をしてもらいたいというぐあいに言っておきましたけれども、いまだにその結果は出ておりません。これは、鉄監局長もその小委員会には同席しておりましたからおわかりでありましょう。部内の規律を正すことも必要でありますけれども、しかし人権をじゅうりんするような、いわゆる限界を越えた規律云々の問題は、私は許される問題ではないと思います。私たちもそういうことを調査してもらうように、これは真鍋職員局長に要求してございますので、あらためてその当局側の調査の結果を報告してもらいたい。こまかいことは当時の議事録にありますから、職員局長おわかりになっていると思います。  以上でございます。
  18. 徳安實藏

    徳安委員長 松本忠助君。
  19. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 国鉄問題のこの小委員会は、運輸委員会の中に設置せられまして、六十五国会において四回、六十六国会においては本日を含んで二回、都合六回の小委員会が開催されまして今日に至ったわけでございます。私、この間発言もいたしませんで沈黙を守ってまいりました。きょうは少し時間をいただいてお話をさせていただきたいと思うわけであります。  と申しますのは、私がこの国鉄の小委員会運輸委員会の中に設置しよう、こういうことを御提案申し上げました基本的な考え方というのは、いま国鉄の置かれている経済危機をどうしたら乗り切ることができるか、これに対しては、国鉄は当然のこと、国としてもそれに対する対応策を十分考えなければならないし、またわれわれ政党人としてもおのおのの持ち場において協力し、日本国鉄をりっぱに再建させるべき責任があろう、こういう観点からこの小委員会の設置を私はお願い申し上げ、各党の御協力を得て設置が決定され、徳安先生を小委員長として迎えて今日に至ったわけであります。  この間、本日までの審議を通じまして、私は決して審議の内容についてとやかく申し上げるものではございませんけれども、いままでの行き方というものは、どうもあまりに末梢的な問題にとらわれ過ぎているのではなかろうか。資料の提出もずいぶん数々ございました。またきょうも提出についてお話がありました。決して私は小さな問題をゆるがせにしてもよろしいということではございませんけれども、もっともりと大きな問題、どうしても解決しなければならない問題、そういう問題がたくさんごろごろしているんじゃないかと思うのです。そういう問題をまず第一番目に片づけるのがこの小委員会ではないかと思うのです。この小委員会において基本的な問題を各党が出し合って、また政府の意見も聞き、国鉄の考えも聞いて、そうして再建の軌道に乗せていく、そういう責務がこの委員会にはある、このように思うわけでございます。  事実、国鉄財政の内容については、私から申し上げることもございませんけれども、四十四年度監査報告でも明らかでございましたように、収入の伸び悩み、人件費の増大、その結果、財政状態が急激な悪化を来たしてきた。純損失が千三百十六億と激増した。そしてまた、四十五年度の監査報告をいただきました。まだまだ十分に検討はしておりませんけれども、この監査報告によりますと、四十五年度の決算においては千五百十七億、こういうふうな赤字が出て、このまま推移したならばたいへんな問題になってくることは、もうかねがね各人が指摘していたことでありますし、いまさら私がちょうちょうと申し上げることはないと思います。  このような破綻を来たした原因について、日本経済の高度成長、これに伴ったところの要するに産業の立地、人口配置の変化、あるいは自動華、航空機及び内航海運の普及発達、こういうものによるところの国内輸送構造の急激な変貌、これに対して国鉄の経営姿勢というものが追随し得なかったところに原因がある。この点については、私は国鉄の首脳部として責任をやはりとるべきではないかと思います。と同時に、政府もいままで何回か総合交通政策を立てる、総合交通政策を立てると言いながら、いつになってもそれのはっきりしたものが出てこない、そういうところに今日の赤字の大きな原因があるんじゃなかろうかと思います。そのことを考えてみたときに、この六年有余にわたるところの佐藤政府の失政というものをあらためて認識し、私は政府が全責任を持って、この国鉄の再建をみずからの手でなし得なければならないのではないか、すべき責務があると思うのでありますけれども、依然としてこのままの状態に推移するならば、なかなかこの問題の解決は日の目を見ないと思います。  そこで、もう小さい問題も必要ではありましょう。しかし、もっともっと基本的に、言うなれば四十七年度の予算についてはどうするのかという点を含めて、ここで考え直さなければいかぬのじゃないかと思います。四十六年度の予算についても昨年の末に、何といいますか、どさくさまぎれといいますか、単なるびほう策に終わってしまっておると思うわけです。四十七年の概算要求を出すこの八月末の時点においても、何ら考え方がまとまってなかったように私は思います。このまままた昨年と同様に十二月まで日を迎える、そんなことがあったならば、これはもう大失態だと思うのです。  そういう点を考えまして、私は何としてもこの小委員会を小委員会本来の趣旨にひとつ戻してはどうか。基本的な問題をもっともっと協議して、各党から意見を出し合って、こうして国鉄再建に取り組むべきではないか、こう思います。いままでも各党からもいろいろ御意見もありました。あるいはいろいろの関係の諸団体からも、国鉄財政については再建案が提案されております。赤字ローカル線の存廃の問題あるいは新線建設の再検討、こういう問題について実に多種多様の案が出ておりますことも私も承知しております。何としても早急にこの抜本的な対策を考える必要があることは明らかであります。  そこで、まず基本的な考え方を明らかにするについて、次の二点だけ私は明確にしておきたいと思うのです。  その第一番目は、政府国鉄は当面するところの財政危機を回避するためには、一時的な施策を行なうのではなくて、進んでその根本に包蔵するところの諸問題の解決、これに真剣につとめるべきである。第二に、国鉄は現在のいわゆる危機感というもの、これはもう口には言われておりますけれども、この危機感の認識を新たにして徹底した近代化を行なう。これを前提にしなければ、たとえほかの施策を実施したとしても、再び財政破綻を来たすのではなかろうか。こういう点をまず考えた上で、四十七年度の予算に真剣に取り組む、国鉄財政再建のために真剣な討議がなされなければならないんじゃないかと私は思うのです。  そこで、各党からも御意見の開陳を逐次私はお願いしたいと思いますけれども、私自身が考えてきた国鉄の再建、こういう問題について、まだ不十分ではありますけれども、みずから進んで御意見を申し上げ、そしてまた自民党からも社会党からも民社党からも御意見を聞いて、そしてまた国鉄からもまた国自身からも御意見を伺って、そうして何とか国鉄再建を軌道に乗せたい、こう思います。  そこで、まず第一番目に新線建設の問題でございます。これはもうしばしば言われております。そこでまず、全国新幹線鉄道整備法に基づくところの新幹線を除いて、原則として当分の間中止したい。しかし、都市間の通勤輸送であるとか、特に必要と認められる線区については、状況に応じて行なわれなければならないであろうとは思います。しかしながら、大正十一年の四月十一日に施行されておる鉄道敷設法、ああいうものがまだまだ生きているといういまの状態、変えることができないという状態、こういうものについて抜本的な改正を行なう熱意がない、いつもいつも言われていながらこれができない、これはもう政府が何としてもこの問題について真剣に取り組む必要があるのじゃなかろうか。それからまた、新幹線鉄道整備法に基づくところの新幹線の建設資金については、国の援助がなされているとはいいながらも、まだまだこの点では不足だと思います。もっともっと私は新しい日本の新幹線をつくる、その意味からいって、もっともっと国が援助すべきではないか。この具体的な金額その他については省きますけれども、国の援助が必要ではないかと思います。  それから、運賃の値上げの問題であります。これはもう当然物価抑制、そしてまた国民生活を安定させる立場からいうならば、国鉄運賃をはじめとするところの公共料金の値上げというものが好ましくないということは事実であります。避けねばならないということもそのとおりでございます。これはどうしても私はやってもらいたくはない。これはどうしても国民の側からいうならば、一考も二考も要する問題だと思います。  しかし、ここで次の二点については考えてもよろしいのではなかろうかと思っております。通学の定期、この公共負担分については、文教政策の立場から国が全面的に肩がわりをすべきではないか。それから米麦等生活必需品の貨物輸送の公共負担分、これは物価安定政策の一環として全額国が負担すべきではないか、こういうふうなことも考えられるわけでございます。  そして次の問題点としては、経営の近代化、合理化の問題です。経営の近代化、合理化の問題について、これは重大な問題でございますし、いままでも頭を痛めてこられたことはもう十分わかっております。いわゆる首切りということは絶対避けなければならない。しかし、定年退職者その他の減耗者に対して、新規採用というものを四〇%台に押える、約十年間で七万人減、この程度にとどめておき、事務能率の合理化、近代化、こういうものをはかることによって増収並びにサービスの向上をはかるという必要があるのではなかろうかと思います。非常に抽象的なことではありますけれども、これはいま内藤委員からもいろいろな事例をもって指摘されておりますけれども、やはり増収の面については国鉄の全職員が打って一丸となってやると同時にサービス向上に心がける、このようにしたいと思います。  それからまた管理体制の改善については、いろいろお話も承っておりますけれども、ここはいつそのこと中間管理職というものを廃止したらどうか、業務の簡素化をはかるべきではないか、こういうことを考えるわけでございます。  それからまた経営等の改善については、国鉄は資産の総点検を早急に行なって、遊休施設の活用をはかるべきではないかと思うのです。昨年も私、室蘭に参りました。あの室蘭の埠頭が今日に至るまで草ぼうぼうであるということを私は聞いております。そういうことでなくて、もっともっとあのすばらしい埠頭も活用し、そして国鉄の増収の一面に役立たせなければならぬのじゃなかろうか。  それから貨物運賃の問題でありますけれども、これも再検討を行なう、そして適正化をはかっていく必要があろうと思います。  工事費の問題についても、修繕費などについても、どうもいろいろのニュースを聞いております。私はその問題をもって国鉄の暗い一面があるというふうなことは申し上げたくはないのでありますけれども、十分目が行き届いているのかどうか。いろいろのニュースが入ってまいります。特に修繕費の問題であります。  それからまた設備、資材の購入制度、これについても改正の要があるのではなかろうか。現在の指名随意契約制というものの偏重を改めて、一般公開入札契約中心とした制度に改めるべきではないか、こういうふうに思います。  その次に問題になるのが関連事業の問題であります。国有鉄道法の第六条をはじめとするところの関連事業の経営を規制する関係法規を早期にこれは改正すべきでないか。これはひとつ鉄監局長に十分考えていただくべきではないかと思います。しばしばこの問題は議題になりながら、いつも日の目を見ないで終わっております。  そしてまた財政再建を促進するために、収入確保の施策としてはいろいろあげられてはおりますけれども、不当に民間事業を圧迫しない、そして公共性を有するものについては、あげて国鉄を応援してこれをやらせるように、業界も各党も協力していかなければならないんではなかろうかと思います。たとえていえばパイプラインの問題でありますけれども、わずかではありますけれども国鉄の手によってこれを実施することができるようになった。しかし、パイプラインはわずかの長さであって、国鉄一つの道は開けたと思いますけれども、このパイプラインによって全収入がまかなわれるというようなわけにはとうていいかないわけであります。ただ、一つの道が開けたということは言えると思います。これはたいへんけっこうなことだったと思いますけれども、これに対してもずいぶんと通産関係あるいは業界からの圧迫があった。しかし、それをはねのけて敢然としてやられた。そのときに、大臣のそれに対する応援、こういうものを私は敬意を払っております。ですから、パイプラインを一例にとってみても、やろうとすればできるわけでありますから、何としても関連事業についてももう少し他の業界との話し合いを進めて、国鉄の分野の拡大をはかってはどうかと思います。内航海運との共同一貫輸送、それからフェリー輸送営業、こういうものも国鉄で手がけていいんじゃないか。あるいはまた鉄道用地の有効利用、これはずいぶんと利用ができると思います。こういうことで、他を刺激しない倉庫業であるとか、駐車場であるとか、こういうものの営業を行なってはどうか。あるいは大都市周辺の駅構内に高層賃貸住宅、こういうものを建設して営業を行なう。こういった関連事業に対しては、これに従事するところの役職員はすべて国鉄職員によって運営して、新規採用は行なわない、こういう方向をもってやっていってはどうか、こういうふうに思うものでございます。  いろいろと申し上げたいことはありますけれども、最後に、国鉄に対する財政援助の問題については、やはり国が大幅な財政援助を行なわなければ、とうていいまの国鉄の起死回生の妙薬はないと思います。私は、この四十五年度の監査報告を拝見いたしまして、まだまだ十分に読み切っておりませんけれども、この総説の第二の「国の理解協力」ここのところをちょっと読んでみましても、監査委員会自身がこのようなことをいわれているわけです。「国鉄財政再建は、国民経済および国民生活上必要とされる国鉄の使命をより十分に発揮させようとすることが最終目的であることはいうまでもない。」このとおりであります。「しかし、このためには財政基盤を確立し、将来、収支の均衡をはかることがその前提であるにもかかわらず、再建計画の三年目にしてこの面から計画の見直しを迫られていることは重大である。」監査委員会でこのように指摘しています。このとおりだと思います。「このような事態になったことは、その間の国鉄の企業努力も万全であったとはいい難いが、計画樹立にあたっての収支の見通しが結果的には実情とかけはなれたものであったこと、国鉄がいまや独占でないとの認識をもちつつも、これに対応した制度的な改革が伴わなかったこと、国民の間に、いな政治のなかですら国鉄が過去にもっていた、いかなる公共負担にも耐え得た底力についての過信が払しょくされていないことなどもその原因として考えられる。」このように指摘しています。  私、先ほども申し述べましたけれども昭和四十六年度のあの予算が設定されたその時点のことをもう一度振り返ってみて、ここにもこう書いてあります。「昭和四十六年度予算をみると、前に述べたように国鉄財政再建についての国の理解協力には前向きの姿勢がみられたものの、結果としては、暫定的性格の予算に終わった。」これは、ほんとうにびほう的な一夜づくりのつじつまを合わせた予算で、四十六年度は組まれてしまったことです。私は、四十七年度の予算が概算要求の時点においても、何ら数字的なものを見ることができない、このまま推移するならば、またやはり昨年と同じように、十二月のどたんばにいって徹夜で国鉄総裁がやらなければならない、そういう事態が起きると思うのです。  そこで私は、何としてもこういう問題を避けて、少なくとも四十七年度から国鉄再建を軌道に乗せるためには、もっともっと大局的な意見を各党が述べ合って、そして当局もまた国鉄総裁も腹から打ち明けて話をし合って、国鉄の再建をはかっていかなければならないのじゃなかろうか。いままで過去五回にわたり、またきょうも討議されましたけれども、私は小さい問題はどうでもいいと言うのじゃありません。しかし、もっともっと根本的に煮詰めなければならない問題が放置されて、小さな問題と言っては申しわけないかもしれませんけれども、それも大事であります。大事でありますけれども、もっともっと根本的な問題を煮詰めないで、このまま何回国鉄委員会を開いてみても結論が出ない。またことしの暮れに総裁、鉄監局長が、そして大臣が、大蔵大臣と渡り合わなければならない幕が再び開かれるのじゃないかと思うのです。こういうことを避けるためにも、私は一刻も早くこういう問題に対して、もっともっと各党が真剣に、おれのほうはこの線までは譲歩するからこの線でどうだ、あるいはこういうふうにやって、国に金を出させる点についてはこれだけの努力を払うということでなければならぬ。  私は、午前中の運輸委員会におきまして、タクシー運賃の値上げの問題に言及いたしました。自民党の交通部会がタクシー運賃の値上げを容認した。明らかにこれは業界の圧迫に屈したと言わざるを得ないと思って見ております。そうしてまた、それに総務会が輪をかけたように値上げを承認した。ところが、運輸省自動車局はそのしり馬に乗ったと言っては語弊があるかもしれませんけれども、値上げは当然の帰結のような考えになってきておる。きょうはその問題については社会党のほうからも質問があり、私も質問をいたしました。政務次官は、昨年三月の値上げの時点において改善されなかった点が、はっきりと改善される見通しが立った上でなければ値上げは認めない、こういうことを言明されましたけれども、私は、このように業界の圧力に自民党さんが屈したと言っては申しわけないかもしれない、失礼かもしれないけれども、そういうような業界の状態を聞いて、そして政府に圧力をかけておる自民党の姿、それを思ったときには、国のほうにこれだけ金を出して国鉄を何としても援助してやれというくらいに自民党は腹を割って、国鉄の再建のために、四次防の金など回すのでなくて、国鉄再建のために回すように、自民党自身が考え方を改めなければいかぬのじゃないか。そうしたときには運輸当局も仕事がやりいいでしょうし、国鉄当局としても仕事ができると思います。そうしてわれわれもいろいろな面において協力することにやぶさかでございませんし、各党がそれぞれの立場から改善策を持ち寄って、そうして大きな見地から大筋の改善策というものをきめなければ、このままではいつになっても国鉄委員会の結論は得られないままに、世間のもの笑いになって終わってしまうのじゃなかろうかは私は思うのです。私の耳にも、ずいぶんいろいろなことが運輸経済誌の記者の方々から入ってきております。一体現在の小委員会はどういうことなんだ、あんなことで一体いつ結論が出るんだ、こういうことを私のところに言ってくる方があります。私が最初に申し上げたこの国鉄の小委員会を開こう、その趣旨とは大きくかけ離れてしまったような気がしてなりません。  きょうは率直に私の意見を申し述べまして、そして皆さん方の御意見も伺ってまいりたい。各党の御意見を伺うわけにはまいりません。したがいまして、鉄監局長あるいはまた国鉄総裁から私の考えについてどのようにお考えであるかという点をお伺いしまして、きょうはこの辺でとどめておきたいと思うわけでございますが、非常に暴言を吐きましたことについてはおわびをいたします。しかし、何としても国鉄再建のためには本腰を入れて、この小委員会内容の充実した討議を行なわなければ決してできないということだけはもうはっきりしていると思います。そういう意味で、次回開かれますときには、もっともっと積極的な各党の建設的な意見の開陳をして、この国鉄委員会がりっぱに軌道に乗り、しかも効果があがる国鉄委員会にしたい。このように私は念願いたしますので申し上げたわけでございます。  たいへん長いことおしゃべりをして申しわけありません。以上で終わります。
  20. 山口真弘

    ○山口説明員 ただいま松本先生から非常に広範な、また肯綮に当たります御意見を伺いましてありがとうございました。  先生御指摘のとおり、四十六年度予算は正直申しまして償却前収支とんとん、それも非常に無理をしたとんとんで、びほう的、暫定的な予算を組んだわけでございまして、このままの姿では今後の国鉄の財政の維持、立て直しということはできないわけでございまして、どうしても四十七年度予算におきましては抜本的対策を立てなければならぬと思うわけでございます。その際、先生御指摘のように、国鉄が将来どうあるべきかという基本的な立場、国の総合的な交通体系の中におきまして国鉄がどうあるべきかというところを踏まえまして国鉄自体の収支の改善をはかっていく、さらにそれも短期的でなくて、長期的な見通しのもとに収支の改善をはかっていくことが根本的に必要であろうかと思うわけでございます。  先生御指摘の個々の問題につきまして、新線建設の問題につきましては、私どもといたしましても何とかこれを重点的なものにしていきたい。総花的なやり方というものが従来の新線建設というものについては非常に問題であったわけでございまして、何とか重点的な効率の高い建設というものにしてまいらなければならぬと考えております。  また、先生御指摘の新幹線鉄道に対します国の助成でございますが、これは四十六年度予算におきましては三十億の政府出資がございました。そういったようなことがございましてスタートしたわけでございますが、四十七年度以降の予算につきましても、国の助成というものを相当入れていかなければ新幹線鉄道の建設ができないということにもなろうかと思いますので、これについては、予算の際に大いに要求をしてまいりたいと思います。  それから、運賃の問題につきましては非常にむずかしい問題でございまして、先生御指摘の公共負担の是正問題をも含めまして、将来国鉄全体の予算の編成の姿というものを見ながら検討をしてまいらなければならないのじゃないかと思います。  それから、関連事業の問題でございますが、これは先生御指摘のとおりでございます。国鉄の体質を改善していくというためにも、また差し迫った国鉄の人員の活用というもののためにも、関連事業の拡大というものはやってまいらなければならぬわけでございます。先般パイプライン問題の際に、先生が非常な御協力を賜わりましたことを厚く感謝をいたしておるところでございますが、その他の問題につきましても関連事業の拡大をしてまいりたい。来年度の予算に際しまして、当然これは法律改正の問題等が必要になってくると思います。これにつきましても、先生御指摘のように十分検討いたしまして、何とか処理をいたしたいと思います。  それから、先生の結論的におっしゃいました国の財政援助の問題でございますが、何と申しましても国鉄は全額政府出資の国の法人でございます。したがいまして、その仕事というものが国の当然の分身でございますから、国鉄が本来の使命を発揮し得ないということは国にとって最大の損失でございますから、何としても国といたしましてもこれに対して十分の援助をして、そして国鉄がその使命を果たし得るようにしなければいけないというように私ども考えておりまして、そういう面で来年度の予算の要求並びに長期的な見通しに立った予算の要求というものをいたしてまいりたいと思うところでございます。非常に青紫に当たりまする御意見ありがとうございました。  なお、国鉄合理化問題等につきましては、国鉄側から御説明いたします。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま松本先生から、国鉄の再建全般についていろいろ御高見を拝聴いたしました。いずれも私ども非常に切望していることばかりでございます。私どもといたしましても、実はわからないながらも最近の政治情勢あるいは経済情勢の中で、何か国鉄問題が埋没してしまうのじゃないかというふうに非常に心配いたしております。三Kといわれまして一時非常に問題が大きくなりましたけれども、何かもっともっと大きな問題が出てきて、忘れ去られてはたいへんだというふうに思っております。  幸い運輸省当局その他が、七月ごろから各般の面でいろいろ具体的な検討を進めていっていただいておりますけれども、まだまだ大蔵省のほうは事務的な話に乗る段階になっておりませんので、私どもといたしましては、現時点ではできるだけ広い範囲に国鉄現状を訴えまして、そしてある時期に予算編成並びに今後の再建の基礎をつくりたいというふうに私は覚悟している次第でございます。去年のような予算では責任を持って運営することができないということははっきりいたしておりますので、二度とああいう予算を繰り返していただきたくないという意味におきまして、各方面の御協力、御支援をお願いいたしておるところでございます。  その意味におきまして、当小委員会におきましても各党の諸先生方のいろいろな御意見を承りまして、私どもといたしましても、今後の再建の非常に大きな柱とさせていただきたいということを心から願っている次第でございます。  今後の問題につきましては、先ほど鉄監局長が申されましたので省略いたしますが、合理化その他につきましても、私はできるだけ進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこれをもって散会いたします。    午後三時二十八分散会