○松本(忠)小
委員 国鉄問題のこの小
委員会は、
運輸委員会の中に設置せられまして、六十五国会において四回、六十六国会においては本日を含んで二回、都合六回の小
委員会が開催されまして今日に至ったわけでございます。私、この間
発言もいたしませんで沈黙を守ってまいりました。きょうは少し時間をいただいて
お話をさせていただきたいと思うわけであります。
と申しますのは、私がこの
国鉄の小
委員会を
運輸委員会の中に設置しよう、こういうことを御提案申し上げました基本的な
考え方というのは、いま
国鉄の置かれている経済危機をどうしたら乗り切ることができるか、これに対しては、
国鉄は当然のこと、国としてもそれに対する
対応策を十分考えなければならないし、またわれわれ政党人としてもおのおのの持ち場において
協力し、
日本の
国鉄をりっぱに再建させるべき責任があろう、こういう観点からこの小
委員会の設置を私はお願い申し上げ、各党の御
協力を得て設置が決定され、
徳安先生を小
委員長として迎えて今日に至ったわけであります。
この間、本日までの審議を通じまして、私は決して審議の
内容についてとやかく申し上げるものではございませんけれ
ども、いままでの行き方というものは、どうもあまりに末梢的な問題にとらわれ過ぎているのではなかろうか。
資料の提出もずいぶん数々ございました。またきょうも提出について
お話がありました。決して私は小さな問題をゆるがせにしてもよろしいということではございませんけれ
ども、もっともりと大きな問題、どうしても解決しなければならない問題、そういう問題がたくさんごろごろしているんじゃないかと思うのです。そういう問題をまず第一番目に片づけるのがこの小
委員会ではないかと思うのです。この小
委員会において基本的な問題を各党が出し合って、また
政府の意見も聞き、
国鉄の考えも聞いて、そうして再建の軌道に乗せていく、そういう責務がこの
委員会にはある、このように思うわけでございます。
事実、
国鉄財政の
内容については、私から申し上げることもございませんけれ
ども、四十四年度監査報告でも明らかでございましたように、収入の伸び悩み、人件費の増大、その結果、財政状態が急激な悪化を来たしてきた。純損失が千三百十六億と激増した。そしてまた、四十五年度の監査報告をいただきました。まだまだ十分に検討はしておりませんけれ
ども、この監査報告によりますと、四十五年度の決算においては千五百十七億、こういうふうな赤字が出て、このまま推移したならばたいへんな問題になってくることは、もうかねがね各人が指摘していたことでありますし、いまさら私がちょうちょうと申し上げることはないと思います。
このような破綻を来たした原因について、
日本経済の高度成長、これに伴ったところの要するに産業の立地、人口配置の変化、あるいは自動華、航空機及び内航海運の普及発達、こういうものによるところの国内
輸送構造の急激な変貌、これに対して
国鉄の経営姿勢というものが追随し得なかったところに原因がある。この点については、私は
国鉄の首脳部として責任をやはりとるべきではないかと思います。と同時に、
政府もいままで何回か総合
交通政策を立てる、総合
交通政策を立てると言いながら、いつになってもそれのはっきりしたものが出てこない、そういうところに今日の赤字の大きな原因があるんじゃなかろうかと思います。そのことを考えてみたときに、この六年有余にわたるところの佐藤
政府の失政というものをあらためて認識し、私は
政府が全責任を持って、この
国鉄の再建をみずからの手でなし得なければならないのではないか、すべき責務があると思うのでありますけれ
ども、依然としてこのままの状態に推移するならば、なかなかこの問題の解決は日の目を見ないと思います。
そこで、もう小さい問題も必要ではありましょう。しかし、もっともっと基本的に、言うなれば四十七年度の予算についてはどうするのかという点を含めて、ここで考え直さなければいかぬのじゃないかと思います。四十六年度の予算についても昨年の末に、何といいますか、どさくさまぎれといいますか、単なるびほう策に終わってしまっておると思うわけです。四十七年の概算要求を出すこの八月末の時点においても、何ら
考え方がまとまってなかったように私は思います。このまままた昨年と同様に十二月まで日を迎える、そんなことがあったならば、これはもう大失態だと思うのです。
そういう点を考えまして、私は何としてもこの小
委員会を小
委員会本来の趣旨にひとつ戻してはどうか。基本的な問題をもっともっと協議して、各党から意見を出し合って、こうして
国鉄再建に取り組むべきではないか、こう思います。いままでも各党からもいろいろ御意見もありました。あるいはいろいろの
関係の諸団体からも、
国鉄財政については再建案が提案されております。赤字ローカル線の存廃の問題あるいは新線建設の再検討、こういう問題について実に多種多様の案が出ておりますことも私も承知しております。何としても早急にこの抜本的な対策を考える必要があることは明らかであります。
そこで、まず基本的な
考え方を明らかにするについて、次の二点だけ私は明確にしておきたいと思うのです。
その第一番目は、
政府と
国鉄は当面するところの財政危機を回避するためには、一時的な施策を行なうのではなくて、進んでその根本に包蔵するところの諸問題の解決、これに真剣につとめるべきである。第二に、
国鉄は現在のいわゆる危機感というもの、これはもう口には言われておりますけれ
ども、この危機感の認識を新たにして徹底した近代化を行なう。これを前提にしなければ、たとえほかの施策を
実施したとしても、再び財政破綻を来たすのではなかろうか。こういう点をまず考えた上で、四十七年度の予算に真剣に取り組む、
国鉄財政再建のために真剣な討議がなされなければならないんじゃないかと私は思うのです。
そこで、各党からも御意見の開陳を逐次私はお願いしたいと思いますけれ
ども、私自身が考えてきた
国鉄の再建、こういう問題について、まだ不十分ではありますけれ
ども、みずから進んで御意見を申し上げ、そしてまた自民党からも社会党からも民社党からも御意見を聞いて、そしてまた
国鉄からもまた国自身からも御意見を伺って、そうして何とか
国鉄再建を軌道に乗せたい、こう思います。
そこで、まず第一番目に新線建設の問題でございます。これはもうしばしば言われております。そこでまず、
全国新幹線
鉄道整備法に基づくところの新幹線を除いて、
原則として当分の間中止したい。しかし、都市間の通勤
輸送であるとか、特に必要と認められる線区については、
状況に応じて行なわれなければならないであろうとは思います。しかしながら、大正十一年の四月十一日に施行されておる
鉄道敷設法、ああいうものがまだまだ生きているといういまの状態、変えることができないという状態、こういうものについて抜本的な改正を行なう熱意がない、いつもいつも言われていながらこれができない、これはもう
政府が何としてもこの問題について真剣に取り組む必要があるのじゃなかろうか。それからまた、新幹線
鉄道整備法に基づくところの新幹線の建設資金については、国の援助がなされているとはいいながらも、まだまだこの点では不足だと思います。もっともっと私は新しい
日本の新幹線をつくる、その
意味からいって、もっともっと国が援助すべきではないか。この具体的な金額その他については省きますけれ
ども、国の援助が必要ではないかと思います。
それから、
運賃の値上げの問題であります。これはもう当然物価抑制、そしてまた国民生活を安定させる
立場からいうならば、
国鉄運賃をはじめとするところの公共料金の値上げというものが好ましくないということは事実であります。避けねばならないということもそのとおりでございます。これはどうしても私はやってもらいたくはない。これはどうしても国民の側からいうならば、一考も二考も要する問題だと思います。
しかし、ここで次の二点については考えてもよろしいのではなかろうかと思っております。通学の定期、この公共負担分については、文教政策の
立場から国が全面的に肩がわりをすべきではないか。それから米麦等生活必需品の
貨物輸送の公共負担分、これは物価安定政策の一環として全額国が負担すべきではないか、こういうふうなことも考えられるわけでございます。
そして次の問題点としては、経営の近代化、
合理化の問題です。経営の近代化、
合理化の問題について、これは重大な問題でございますし、いままでも頭を痛めてこられたことはもう十分わかっております。いわゆる首切りということは絶対避けなければならない。しかし、定年退職者その他の減耗者に対して、新規採用というものを四〇%台に押える、約十年間で七万人減、この程度にとどめておき、事務能率の
合理化、近代化、こういうものをはかることによって増収並びにサービスの向上をはかるという必要があるのではなかろうかと思います。非常に抽象的なことではありますけれ
ども、これはいま
内藤委員からもいろいろな
事例をもって指摘されておりますけれ
ども、やはり増収の面については
国鉄の全職員が打って一丸となってやると同時にサービス向上に心がける、このようにしたいと思います。
それからまた管理体制の改善については、いろいろ
お話も承っておりますけれ
ども、ここはいつそのこと中間管理職というものを
廃止したらどうか、業務の簡素化をはかるべきではないか、こういうことを考えるわけでございます。
それからまた経営等の改善については、
国鉄は資産の総点検を早急に行なって、遊休施設の活用をはかるべきではないかと思うのです。昨年も私、室蘭に参りました。あの室蘭の埠頭が今日に至るまで草ぼうぼうであるということを私は聞いております。そういうことでなくて、もっともっとあのすばらしい埠頭も活用し、そして
国鉄の増収の一面に役立たせなければならぬのじゃなかろうか。
それから
貨物運賃の問題でありますけれ
ども、これも再検討を行なう、そして適正化をはかっていく必要があろうと思います。
工事費の問題についても、修繕費などについても、どうもいろいろのニュースを聞いております。私はその問題をもって
国鉄の暗い一面があるというふうなことは申し上げたくはないのでありますけれ
ども、十分目が行き届いているのかどうか。いろいろのニュースが入ってまいります。特に修繕費の問題であります。
それからまた設備、資材の購入制度、これについても改正の要があるのではなかろうか。現在の指名随意
契約制というものの偏重を改めて、
一般公開入札
契約を
中心とした制度に改めるべきではないか、こういうふうに思います。
その次に問題になるのが関連事業の問題であります。国有
鉄道法の第六条をはじめとするところの関連事業の経営を規制する
関係法規を早期にこれは改正すべきでないか。これはひとつ鉄監
局長に十分考えていただくべきではないかと思います。しばしばこの問題は議題になりながら、いつも日の目を見ないで終わっております。
そしてまた
財政再建を促進するために、収入確保の施策としてはいろいろあげられてはおりますけれ
ども、不当に民間事業を圧迫しない、そして公共性を有するものについては、あげて
国鉄を応援してこれをやらせるように、業界も各党も
協力していかなければならないんではなかろうかと思います。たとえていえばパイプラインの問題でありますけれ
ども、わずかではありますけれ
ども国鉄の手によってこれを
実施することができるようになった。しかし、パイプラインはわずかの長さであって、
国鉄の
一つの道は開けたと思いますけれ
ども、このパイプラインによって全収入がまかなわれるというようなわけにはとうていいかないわけであります。ただ、
一つの道が開けたということは言えると思います。これはたいへんけっこうなことだったと思いますけれ
ども、これに対してもずいぶんと通産
関係あるいは業界からの圧迫があった。しかし、それをはねのけて敢然としてやられた。そのときに、大臣のそれに対する応援、こういうものを私は敬意を払っております。ですから、パイプラインを一例にとってみても、やろうとすればできるわけでありますから、何としても関連事業についてももう少し他の業界との
話し合いを進めて、
国鉄の分野の拡大をはかってはどうかと思います。内航海運との共同一貫
輸送、それからフェリー
輸送の
営業、こういうものも
国鉄で手がけていいんじゃないか。あるいはまた
鉄道用地の有効利用、これはずいぶんと利用ができると思います。こういうことで、他を刺激しない倉庫業であるとか、駐車場であるとか、こういうものの
営業を行なってはどうか。あるいは大都市周辺の駅構内に高層賃貸住宅、こういうものを建設して
営業を行なう。こういった関連事業に対しては、これに従事するところの役職員はすべて
国鉄職員によって運営して、新規採用は行なわない、こういう
方向をもってやっていってはどうか、こういうふうに思うものでございます。
いろいろと申し上げたいことはありますけれ
ども、最後に、
国鉄に対する財政援助の問題については、やはり国が大幅な財政援助を行なわなければ、とうていいまの
国鉄の起死回生の妙薬はないと思います。私は、この四十五年度の監査報告を拝見いたしまして、まだまだ十分に読み切っておりませんけれ
ども、この総説の第二の「国の
理解と
協力」ここのところをちょっと読んでみましても、監査
委員会自身がこのようなことをいわれているわけです。「
国鉄財政再建は、国民経済および国民生活上必要とされる
国鉄の使命をより十分に発揮させようとすることが最終目的であることはいうまでもない。」このとおりであります。「しかし、このためには財政基盤を確立し、将来、収支の均衡をはかることがその前提であるにもかかわらず、
再建計画の三年目にしてこの面から
計画の見直しを迫られていることは重大である。」監査
委員会でこのように指摘しています。このとおりだと思います。「このような事態になったことは、その間の
国鉄の企業努力も万全であったとはいい難いが、
計画樹立にあたっての収支の見通しが結果的には実情とかけはなれたものであったこと、
国鉄がいまや独占でないとの認識をもちつつも、これに
対応した制度的な改革が伴わなかったこと、国民の間に、いな政治のなかですら
国鉄が過去にもっていた、いかなる公共負担にも耐え得た底力についての過信が払しょくされていないことな
どもその原因として考えられる。」このように指摘しています。
私、先ほ
ども申し述べましたけれ
ども、
昭和四十六年度のあの予算が設定されたその時点のことをもう一度振り返ってみて、ここにもこう書いてあります。「
昭和四十六年度予算をみると、前に述べたように
国鉄財政再建についての国の
理解と
協力には前向きの姿勢がみられたものの、結果としては、暫定的性格の予算に終わった。」これは、ほんとうにびほう的な一夜づくりのつじつまを合わせた予算で、四十六年度は組まれてしまったことです。私は、四十七年度の予算が概算要求の時点においても、何ら数字的なものを見ることができない、このまま推移するならば、またやはり昨年と同じように、十二月のどたんばにいって徹夜で
国鉄総裁がやらなければならない、そういう事態が起きると思うのです。
そこで私は、何としてもこういう問題を避けて、少なくとも四十七年度から
国鉄再建を軌道に乗せるためには、もっともっと大局的な意見を各党が述べ合って、そして
当局もまた
国鉄総裁も腹から打ち明けて話をし合って、
国鉄の再建をはかっていかなければならないのじゃなかろうか。いままで過去五回にわたり、またきょうも討議されましたけれ
ども、私は小さい問題はどうでもいいと言うのじゃありません。しかし、もっともっと根本的に煮詰めなければならない問題が放置されて、小さな問題と言っては申しわけないかもしれませんけれ
ども、それも大事であります。大事でありますけれ
ども、もっともっと根本的な問題を煮詰めないで、このまま何回
国鉄小
委員会を開いてみても結論が出ない。またことしの暮れに
総裁、鉄監
局長が、そして大臣が、大蔵大臣と渡り合わなければならない幕が再び開かれるのじゃないかと思うのです。こういうことを避けるためにも、私は一刻も早くこういう問題に対して、もっともっと各党が真剣に、おれのほうはこの線までは譲歩するからこの線でどうだ、あるいはこういうふうにやって、国に金を出させる点についてはこれだけの努力を払うということでなければならぬ。
私は、午前中の
運輸委員会におきまして、タクシー
運賃の値上げの問題に言及いたしました。自民党の交通部会がタクシー
運賃の値上げを容認した。明らかにこれは業界の圧迫に屈したと言わざるを得ないと思って見ております。そうしてまた、それに総務会が輪をかけたように値上げを承認した。ところが、
運輸省自動車局はそのしり馬に乗ったと言っては語弊があるかもしれませんけれ
ども、値上げは当然の帰結のような考えになってきておる。きょうはその問題については社会党のほうからも質問があり、私も質問をいたしました。政務次官は、昨年三月の値上げの時点において改善されなかった点が、はっきりと改善される見通しが立った上でなければ値上げは認めない、こういうことを言明されましたけれ
ども、私は、このように業界の圧力に自民党さんが屈したと言っては申しわけないかもしれない、失礼かもしれないけれ
ども、そういうような業界の状態を聞いて、そして
政府に圧力をかけておる自民党の姿、それを思ったときには、国のほうにこれだけ金を出して
国鉄を何としても援助してやれというくらいに自民党は腹を割って、
国鉄の再建のために、四次防の金など回すのでなくて、
国鉄再建のために回すように、自民党自身が
考え方を改めなければいかぬのじゃないか。そうしたときには
運輸当局も仕事がやりいいでしょうし、
国鉄当局としても仕事ができると思います。そうしてわれわれもいろいろな面において
協力することにやぶさかでございませんし、各党がそれぞれの
立場から改善策を持ち寄って、そうして大きな見地から大筋の改善策というものをきめなければ、このままではいつになっても
国鉄小
委員会の結論は得られないままに、世間のもの笑いになって終わってしまうのじゃなかろうかは私は思うのです。私の耳にも、ずいぶんいろいろなことが運輸経済誌の記者の方々から入ってきております。一体現在の小
委員会はどういうことなんだ、あんなことで一体いつ結論が出るんだ、こういうことを私のところに言ってくる方があります。私が最初に申し上げたこの
国鉄の小
委員会を開こう、その趣旨とは大きくかけ離れてしまったような気がしてなりません。
きょうは率直に私の意見を申し述べまして、そして
皆さん方の御意見も伺ってまいりたい。各党の御意見を伺うわけにはまいりません。したがいまして、鉄監
局長あるいはまた
国鉄総裁から私の考えについてどのようにお考えであるかという点をお伺いしまして、きょうはこの辺でとどめておきたいと思うわけでございますが、非常に暴言を吐きましたことについてはおわびをいたします。しかし、何としても
国鉄再建のためには本腰を入れて、この小
委員会が
内容の充実した討議を行なわなければ決してできないということだけはもうはっきりしていると思います。そういう
意味で、次回開かれますときには、もっともっと積極的な各党の建設的な意見の開陳をして、この
国鉄小
委員会がりっぱに軌道に乗り、しかも効果があがる
国鉄小
委員会にしたい。このように私は念願いたしますので申し上げたわけでございます。
たいへん長いことおしゃべりをして申しわけありません。以上で終わります。