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1971-08-04 第66回国会 衆議院 運輸委員会内閣委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月四日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 古屋  亨君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 松本 忠助君 理事 河村  勝君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       菅波  茂君    關谷 勝利君       福井  勇君    山村新治郎君       井岡 大治君    井野 正揮君       金丸 徳重君    久保 三郎君       斉藤 正男君    田中 昭二君       宮井 泰良君    和田 春生君       田代 文久君   内閣委員会    委員長 伊能繁次郎君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 湊  徹郎君 理事 山口 敏夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       天野 公義君    加藤 陽三君       鯨岡 兵輔君    辻  寛一君       堀田 政孝君    川崎 寛治君       木原  実君    楢崎弥之助君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君       受田 新吉君    東中 光雄君   交通安全対策特別委員会    委員長 伊藤卯四郎君    理事 加藤 六月君 理事 丹羽 久章君    理事 後藤 俊男君 理事 坂井 弘一君    理事 河村  勝君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       左藤  恵君    佐藤 守良君       斉藤滋与史君    野中 英二君       古屋  亨君    山下 徳夫君       久保 三郎君    柳田 秀一君       横路 孝弘君    宮井 泰良君       東中 光雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      竹下  登君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      中村 寅太君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 西村 直己君         外務大臣臨時代         理       木村 俊夫君  委員外出席者         警察庁刑事局長 高松 敬治君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         運輸省航空局長 内村 信行君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空に関する件(全日空機接触事故に関する問  題)      ————◇—————   〔小峯運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより運輸委員会内閣委員会交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  この際、質疑に入ります前に、去る七月三十日、全日空機接触事故でおなくなりになりました百六十二名の方々に哀悼の意を表し、御冥福を祈り、黙祷をささげたいと思います。全員御起立お願い申し上げます。   〔総員起立黙祷
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 黙祷を終わります。御着席ください。  航空に関する件、全日空機接触事故に関する問題について調査を進めます。  この際、運輸大臣に今回の事故について報告を求めます。丹羽運輸大臣
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 七月三日の「ばんだい号事故に引き続き、七月三十日全日空機自衛隊機接触事故により百六十二名のとうとい生命が失われましたることは、重ね重ねの不祥事でございまして、遺憾にたえない次第でございます。つつしんで心より犠牲者並びに御遺族に対しておわびを申し上げる次第でございます。  政府といたしましては、直ちに総理府全日空機事故対策本部を設置し、諸般対策を講ずることといたしました。  まず、遺体収容遺族対策全力をあげることといたしまして、そのため、本部長でありまする私が現地におもむきまして指揮をとってまいりました。現地におきましては、岩手県庁雫石町をはじめ地元の警察、消防、医師その他多数の方々が、全力をあげて遺体収容等の作業に御協力をくださり、まことに感激をいたした次第でございます。  また、遺族対策につきましては、防衛庁においても事故原因者としての責任痛感して、誠意をもって処理することとし、とりあえず見舞い金として百万円を差し上げることといたしております。全日空も同様の措置をとると決定をいたしまして、ただいますでにお届けを済ました次第でございます。  現地には、御遺族約七百八十名がおもむかれましたが、一体を残して身元の確認を得られ、逐次帰宅されつつあります。  次に、今回の事故重大性にかんがみ、自衛隊訓練飛行を当分の間全面的に中止することにいたしました。また、総理府山県昌夫氏以下五名の委員からなる事故調査委員会を設置し、委員会一行はただいま現地におもむいて調査を行なっており、早急に結論を得られることと期待しております。  さらにこの際、航空交通管制の根本的再検討を進めることとし、総理府中心運輸防衛外務等関係省庁からなる連絡協議会を設置し、活動を開始することにいたしました。  運輸大臣といたしましては、たび重なる事故重大性にかんがみ、この際非常な決心をもって諸般対策を進めてまいる覚悟でございます。何とぞ御支援のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  5. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で報告は終わりました。     —————————————
  6. 小峯柳多

    小峯委員長 この際、申し上げます。  質疑時間につきましては、関係委員長協議により決定いたしました時間を厳守していただきますようお願いいたします。
  7. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 恐縮でございますが、昨日もう一体確認をされたと承知いたしまして申し上げた次第でございますが、まだその点が未確定でございますので、遺体はまだ未確認が二体でございますことを訂正を申し上げます。
  8. 小峯柳多

    小峯委員長 なお、質疑時間の関係もありますから、政府側答弁はなるべく簡潔にお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。宇田國榮君。
  9. 宇田國榮

    宇田委員 さきに私は、運輸委員会において「ばんだい号」の遭難のときに丹羽運輸大臣質問をいたして、御承知のとおり六十八名の当時犠牲者でありました。いままた、一カ月たたない間に百六十二名という犠牲者を出しまして、国内はもちろんのこと、世界各国に大きなショックを与えたのであります。かかる惨事に対して、政府はすみやかに応急措置をとっておいでになりますが、さき総理は、われわれに対してほんとうに言い聞かせるように、あるいは国会やいろいろの方面において、自衛隊は愛せられる自衛隊でなければならぬ、国民に奉仕する自衛隊でなければならぬ、また国民から信頼を寄せられる自衛隊でなければならぬと、常にかくのごときスローガンによって接しておられたのでありますが、今日こういう惨禍を見ましたことは、まことに遺憾にたえない次第であります。  つきましては、総理は先日首相談話として、非常に遺憾の意を声明をされました。しかるに、国会におけるこの問題に対するところの質疑は今回が初めてでありますから、重複のようでありますけれども、まずもって総理所信を披瀝していただきたいと思うのであります。
  10. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 申すまでもなく、国会は国権の最高機関国民に伝えるとき、この最高機関を通じて政府考え方を申し述べるということ、これは当然のことであります。私は、その意味におきまして、ただいまも運輸大臣から事故の概要についての報告があり、その中において、政府のとるべき責任等については、十分国民皆さまおわびを申し上げたつもりであります。  もちろん私、運輸大臣あるいは防衛庁長官——防衛庁長官をかえたというだけでその責任が果たされた、かようなものではございません。政府責任といたしましてももちろん重大なる、私の政局担当下においてこの事故が発生したのでございますから、そういう意味合いにおいて、国民に対しても心からおわびを申し上げる次第であります。  私は、このことを通じて一そう空の安全を確保し、国民に安心を与えること、同時にまた、自衛隊が本来の使命とすること、そういう意味において、ただいまも御引用になりましたが、国民に真に信頼される自衛隊であるように、今後ともこれを導いていくことが私の責任だ、かように考える次第でございまして、この機会にお尋ねにお答えする次第であります。
  11. 宇田國榮

    宇田委員 この間の犠牲者は御承知のとおり六十八名、今回は百六十二名であります。犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、また、残された遺族方々に対しては、私は、政府は思い切ってこの補償をされることが最も大切なことだと思いますが、この補償問題に対しまして、総理の率直なる御所信を述べていただきたいと思います。
  12. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 失われたとうとい生命、これがお金で済むとは私ども考えておりませんが、この補償の問題について万遺漏なきを期すべく、ただいま事務当局においてそれぞれ検討されておる。したがいまして、今後の処置について皆さまからも十分監視していただきたい、かように思います。
  13. 宇田國榮

    宇田委員 いずれにいたしましても、この遺族方々が満足されるような方法を、ぜひとも総理お願いを申し上げます。  次に、私は二、三の問題で質問をいたしたいのは、今日、何といっても空の過密時代である。したがって、航空管制の強化、整備ということが重大なる問題であると思うのであります。その点につきまして、たとえば運輸省においては第二次空港整備五カ年計画を策定し、航空保安施設整備を進められておることを聞いておりますが、さきの「ばんだい号事故政府無線標識、むずかしいことばで申しますと、VOR、DMEという一つの標識でありますが、この設置の五カ年計画をぜひとも速急にやってもらいたい。三カ年なんということをいわずに、公共投資でありますから、この事故にかんがみて、全体の整備計画を短縮して、これは運輸大臣もともにやっていただきたいのであります。御承知のとおり、航空路監視レーダーは、現在箱根と福岡の三郡山の二カ所ということでありますが、ぜひとも北海道、東北、大阪、南九州の四カ所は増設する必要があると確信をいたしております。この際、航空路監視レーダーを早急に増設し、必要な航空保安要員を配置せなけれ、ばならぬと思うのであります。  私は、かつて政務次官として行政管理庁に籍を置いたことがありますが、ここに行政管理庁大臣おいでになっておるが、いたずらに行政機構の改革あるいは人員の淘汰ということなどは、これはもちろんせなければならぬけれども、かかる重大なる人命の問題に対して、どうしても保安要員が必要であると私は考えるのでありますから、この点は、行政管理庁長官運輸大臣の折衝によって、どうしてもこれを増員していただきたい。そうでなければ安全を期せられない、こういう私は確信を持っておる次第でありますから、ぜひとも行管大臣はこの点を留意していただきたいと思うのであります。  一々各大臣に対して答弁を求めることは、私の時間を超過いたしますので、総理につとめて答弁お願いする次第でありますが、何といっても、この防衛庁運輸省とそれから米軍と、三位一体ということばはおかしいかしれないけれども、三者が一致してどうしてもこの航空管制ということに乗り出さなくちゃいかぬ。それを、総理がみずから陣頭に立って今度はおやりになるのでありますけれども防衛庁立場運輸省立場ということもありますけれどもほんとうはもう陸、海より運輸省は空の時代になってきている。であるから現在の、実際をいうと、運輸省のこの航空局は航空庁に昇格せしめるか、あるいは分離して航空省というのをつくるという段階まで参っておると私は考える。これは非常にむずかしい問題であるかしらぬが、政府としてお考えを願いたい。どうしても今後陸より海より空のほうに重点が置かれておる。この事故があった後にも乗客はますますふえるばかりであるという。そこで、一刻も早く防衛大臣運輸大臣は、いわゆる何か対立したような報道があったけれども、そういうことは、二人は善意な良識のある、しかもりっぱな人であるから、大局は、大所高所に対して決して不一致ということは考えられないのである。であるから、今後は絶えず米軍防衛庁運輸省、三者一体となって総理の諮問に応じて、どしどしこの管制の実をあげられるように私はお願いするのであります。これに対しまして、総理の御所見を伺いたいのであります。
  14. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま宇田君御指摘のとおり、最近の空の交通、これはたいへん急激に増加いたしております。したがいまして、なかなか施設人員、それぞれこれに対応するだけの処置がまだとられておらない、そういう点がたいへん私ども心配でございます。ただいま御指摘になりましたように、施設としても、またその施設を運用する要員としても、不足ではないかという御指摘はそのとおりでありますので、いずれ後ほど、それぞれの所管大臣からお答えをいたさすつもりでございます。  しこうして、なおまた御意見にありましたとおり、この問題、空の安全、これを確保する場合に、民間自衛隊、さらに安保体制のもとにおいての米軍、それらの三者が一体となって空の安全を確保するということでなければ、この大きな目的を達成するわけにはいきません。私は安全第一、そういう観点に立ちまして、それぞれの所管省を統合して、そうして一元的行政の運営をはかって、ただいま国民に不安なからしめるような措置を講ずる決意でございます。  ただいま、すでに発足しております、総理府に置かれておる運輸省防衛庁外務省、さらに総理府、その四者によって構成される安全対策本部におきまして、それぞれ具体的な対案を早急に実は練りつつあります。おそらく今夕にもその結論が出てくるのではないだろうか、かように思っておりますが、この事柄は時間をあまりかける、そういう問題ではなくて、端的に一元化するという、そうして重点民間交通安全確保、これを第一に確保する、こういう点に問題があるのでありますから、したがって、問題を取りまとめることは比較的容易ではないだろうか、また各省ともそういう意味意見一致を見て、ただいま起きましたこの災害、まことに残念なことであり、遭難者に対してはほんとうに相済まないと思いますし、そればかりではなく、国民の皆さんに対しましても不安を与えた、こういうことについては重大に私どもも考えておりますので、ただいまのような対策において万全を期し、そうして国民の信を深めることができるならば、災いを転じて福となす、こういうことにもなるのではないだろうか、かように思って、ただいま取り組んでおるわけであります。  問題は、ただ時期的に事故が起きてからと、こういうおしかりは当然受けるわけでありますが、しかし、私はこういう事柄が起きたことによりまして、いままで危険視されていたその問題が明らかにクローズアップした今日でありますので、対策をとるにいたしましても、関係者といたしましてもお互いが大局的観点に立っての一致を見出すことはわりに容易である、かように考えておりますので、そういう意味指導をしておるような次第であります。  なお、先ほど申しますように、地上施設あるいは要員等については、なおそれぞれの主管大臣から補足説明をいたさせます。
  15. 宇田國榮

    宇田委員 防衛大臣から御答弁願ってもようございますが、自衛隊訓練空域といいますか、これと民間航空空域の分離を徹底するということがいまや叫ばれております。防衛庁訓練空域海上に変更したと聞いておりますが、この点がどうであるか。また、民間航空機とそれから自衛隊米軍との総合調整の再検討に、今日は大きな問題がかかっておるようであります。この点に対して、運輸省防衛庁が対立したようなことが新聞に載っておるが、私は根本的にそういうことはないと思うけれども、この訓練空域に対して、防衛大臣から御所信を承りたいのであります。
  16. 西村直己

    西村(直)国務大臣 御答弁申し上げる前に、簡略ではございますが心からごあいさつを申し上げます。  今回はからずも、この大事故に際しまして、新しく防衛庁長官を拝命いたしました。非常に重責であることを痛感いたしておると同時に、あの事故に対しましての国民に対するおわび、またなくなられた方々並びに御遺族に対しまして、心から深くおわびを申し上げる次第であります。そして、長官が交代をいたしましても、その責任は私といたしましてはますます深く痛感をして、これからの身を処してまいりたいということを一言申し上げ、また、国民を代表される各位におかれましても、心からのおしかりなり御鞭撻なり御指導なり、ひとついただきたいと思うのでございます。  ただいま御質問がございました訓練空域の問題、その以前に、運輸省あるいは防衛庁等考え方があるいは違いはせぬかというような御懸念もあったようであります。すべては法律あるいはいろんな基準できちっときまっておるものでありますが、少し長い時間をたちますと、情勢は御存じのとおり変わってまいります。その上に、行政上どうしても権限というもの、あるいはその部分だけの任務の遂行に熱心なあまり、その間に間隙が生じやすい。今回の事故等にかんがみましても、私どもは今日の航空輸送等の状況にかんがみ、と同時に、与えられました自衛隊任務最小限度ではありましても、しかし熱心に国民のためにやはりやっていかなければならぬ。この任務調整を十分はかってまいる、こういう意味で、私としては、最高指揮官総理大臣、また行政府の長である、あるいは内閣の首班である総理大臣のもとに、運輸省あるいはその他外務省を通して米軍と十分調整しまして、この空域の問題その他やってまいりたいと思うのであります。  特にこの訓練につきましては、何と申しましても武器を使っての訓練、あるいは航空機そのもの武器でございますから、国民自衛隊であるものが、万一にも今回の事故のように国民に危害を与えるようなことがあってはたいへんであります。そこで、従来もそういう傾向ではありましたが、今回海上を使うということに中心を置きまして、やむを得ざるものにつきましては、民航の安全第一を第一義としながら、たとえば離発着の訓練等の必要も多少あろうと思いますが、そういうようなことをやってまいりたい。したがって、海上中心を移すということでございます。  それから、これらは単に私が観念として申し上げましてもいけないのでありまして、きわめて、やはりきちっとしたものにならなければいけませんので、関係省専門家等下部機関を通して、私ども指導のもとに連絡協議会と申しますか、そういうものをつくりまして、具体化をはかっておるのでございます。
  17. 宇田國榮

    宇田委員 最後に総理に、答弁は要りませんが、私のお願いごとがあるのは、憲法論に入るようでありますけれども総理は常に憲法第九条、戦争放棄して、ほんとうに国を守る自衛隊、いわゆる平和憲法ということに対して、終始一貫これは高調をされてこられた、まことにこの点に対しては同感であります。しこうして憲法の第十一条、すなわち人権擁護、十三条の生命、自由、幸福、こういうことに対しても総理は常に内外に対してこれを高調されておるのであります。でありますから、わが日本はいわゆる派兵もできない。いわゆる防衛のための、柔道でいうとおかしいですが、攻め手でなくて受け手であります。そういう立場に置かされておるのでありますから、諸外国と違って、軍備の点において、兵力の点において、韓国、台湾などと比較しても非常に、わが日本は二十八万そこそこである。その中に民主主義的ないわゆる行政、産業、経済、そういう方向にわたって総理は努力されておるのであります。  でありますから、今日こういうことになりましたのは、まことに残念と申しますか、総理は、この際はこの問題に真剣に取り組んでおられるが、同時に勇気を持って、英断を持って邁進され、いやしくも萎縮されないように、この問題を真剣に取り扱っていただきたいことをお願いして、私の質問を終わる次第であります。
  18. 小峯柳多

  19. 木原実

    木原委員 質問に入る前に、このたびの事故生命を失われた百六十二名の方々冥福を祈り、遺族方々に心からの弔意を表したいと思います。  私は、事故の知らせを聞きますと、すぐ現地を見舞った一員でございます。岩手雫石町というのは、その名前のようにたいへん美しい穏やかな農村でございまして、そこに、降ってわいたようにこのたびの事故がもたらされた。参りますと、町の人たちは、町をあげて、あるいは業をなげうち、夜を徹して救難の事に当たっておられました。関係機関人たちもたいへん努力をいたしておりまして、この凄惨な事故の中で、この事故の全過程を通じて隣人愛と申しますか、協力をする姿、これが何よりの、唯一の救いであったと痛感をいたしてまいりました。しかしながら、遺体安置所中心に、私どもが参りますと、正面から面を上げて聞くことのできないような怒りといいますか、ふんまんといいますか、弾劾の声が、慟哭の声が満ち満ちていたことを、私は総理に申し上げなければなりません。自衛隊に対する、自衛隊の行動に対するやる方のないふんまん、怒り、あるいはまた、このような事故を容易に生み出すような自衛隊は、いますぐ消えてなくなれ、こういう声さえも私は聞きました。  そればかりではございません。相次ぐ空の事故、こういう事故を生み出す行政上、政治上のあしき体質に対する弾劾の声が現地には満ち満ちておりました。私は、遺体捜索山中で、農民の方とおぼしい一人の中年の男の人から、こういう声を聞きました。庶政悪ければ災厄は民に至る、こういうむごいことをしでかして、佐藤さんはまだこれから政治をやるつもりでしょうか、こういう声を聞いたわけであります。この山中農民の声にこたえられるのは、総理ただお一人だと私は思います。しかも、今度の事故は、そのすべてが国の責任に帰する行為によって引き起こされた事故であります。庶政悪ければ災厄は民に至る、政治の姿勢を正さなければ、庶民はこれから先も災厄を免れることができないという一農民の声があるわけであります。政府最高主宰者として、あるいはまた責任を負う立場にある総理の、進退を含めた御所見を承りたいと思います。
  20. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 木原君は事故と同時に現地に飛んだ、そうして現地の模様をつぶさにこの席上で御報告になり、また雫石町町民またその付近の方々も、この事故の事後の捜索等について涙ぐましい御協力の実情をただいまお話しになりました。私も、新聞で報道しておるその一部ではありますが、それらの点について強く胸を打たれておるものであります。  ただいまお述べになりました、政治が悪ければその災厄、諸悪な点が民に及ぶという、こういう点について、深く私ども責任者はもちろん、進退をも含めて考慮すべきである。これは御指摘までもなく、当然政局を担当する者として、それだけのことを考えるのはあたりまえであります。したがいまして、ただいまのようなおことばを私は、私に対する強い反省と同時に、また今回の事故に取り組む、あるいはまた今後に処するその態度についての御鞭撻、かような意味にも私はとらざるを得ないのでございまして、私は、皆さまとともに、百六十二名のとうとい犠牲者方々に心からおわびを申し上げるとともに、国民に対しましても、そういう意味で今後の空の安全を確保することについて最善を尽くす、かように申しましたのも、さような意味合いから当然のことでありますか、その責任の一端を申し述べたつもりであります。
  21. 木原実

    木原委員 すでに国民の中では、佐藤総理政治に対して責任を問うておるわけであります。これから先の対策の中に責任を果たしていくのだ、最善の道を見出していきたいのだ、こういう御発言でございますけれども、しかしながら、このたびの事故はすでに起こるべくして起こった事故だ、こういう世論が圧倒的であります。今度の事故である異常接近の問題につきましても、本院におきましても、われわれの同僚議員によりましてしばしば問題にされてまいりました。行管長官おいででございますけれども、行管はすでに十年前に査察を行ない、あるいは危険性を指摘をして改善の勧告を行なっておる。あるいはまた国際民間航空機構の勧告などは二年前に出ております。その間、問題は提起をされておるのに政府はこれに対して何らの措置も講じなかった。今度の事故に関連をいたしまして防衛庁長官の引責辞職、更迭ということが行なわれました。就任をして一カ月足らずの前長官、この人が引責辞職をするということだけで問題が解決するはずのものではないと思うのです。すでにしばしば問題が指摘をされておりながら、一体この間歴代の関係大臣は何をしていたのか。六年有余にわたって総理が主宰をされた政府は、これらの危険性に対して何の措置をとったのか。このことがあらためて問われなければならないわけであります。その点について私どもは、ただこれから前向きに善処をしていくのだ、こうおっしゃいましても、六年半も何一つやれなかった政府のもとでどれだけの改善が確保されるのか。私どもはそういう不信の声を率直にここで総理に申し上げなければならないわけであります。再度総理所見を承りたい。
  22. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほどもお答えいたしましたように、最近の空の交通はたいへん急激に増加いたしております。したがいまして、それに対応する施設が当然なされなければならない。しかしながら地上の施設にいたしましても、また技術者の養成等にいたしましても、まだまだ不十分でございます。なかなかついていけないような状態であります。私はそういう点がまことに残念であり申しわけのない次第だと、かように心から深くおわびをしている次第でございます。ただ単になくなられた方に対してことばだけでとやかく申し上げるわけではありません。ただいま木原君の言われるように、やはり政治責任を負うべきものだ、この点を深くみずから心に刻み込みながら、ただいま先ほど来のような答弁をいたしておるわけであります。私はそれらの点について十分御理解をいただきたいと思います。また今後とも御鞭撻、御叱正のほどをお願いをします。
  23. 木原実

    木原委員 私は総理鞭撻するわけではございません。国民の中にはこのたびの事故も含めて総理政治に対する不信感がもう沸騰しているということなんです。幾らこれから改善をやっていくのだという御発言がございましても、六年半にわたってこの種の問題について何らのアプローチもできなかったいままでの姿勢の中で、その延長の中で一体何ができるのだ。これからおそらくさまざまな改善の措置がこの委員会でも論議をされましょう。しかしながらその前提がすでに国民の信を失っておる。そういう中で一体どれだけの改善ができるのか、私どもはそう申し上げなければならないわけであります。総理が、総理こそが、責任を持つ、責任をとると言うならば、職を辞して不明を国民の前にわびる、このことがなくなられた方々に対する最善の弔意であり、国民の不安を償う唯一の道だと私は考えるわけでありますけれども、その点についての所見はいかがですか。
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は木原君の御意見と、議論するつもりはございませんが、ただいまの御意見は御意見として謙虚に承っておきます。
  25. 木原実

    木原委員 私ははなはだ不満であります。責任を持つべき最高総理がそういう政治姿勢ではたしてこれから国民の信をつなぎながら諸般の改善の道が講ぜられるのか、はなはだ残念だと思います。しかも今度の事故を通じましてたくさんの問題が提起をされております。言うまでもなく一つは空が私どもが予想した以上に危険な状態にある。いま一つの問題は、危険な状態をつくり上げている要因の中に自衛隊の存在がある、自衛隊訓練や行動の中に国民の不安につながっていくものがある、こういうふうに断ぜざるを得ないわけであります。これからの航空の安全の問題あるいはまた民間の優先ということで、たとえば管制の一元化等の問題が論ぜられるわけでありますけれども、それの前提として、自衛隊の体質の改善あるいはまた日常の訓練その他について、きびしい規制をしていかなければならないわけでありますけれども総理はこれらの点についてどのようにお考えでございましょう。
  26. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほどのような御意見のもとで、私は答弁して差しつかえないのですか。   〔「何だ、その態度は」と呼び、その他発言する者多し〕
  27. 木原実

    木原委員 総理の御発言ははなはだ不可解であります。私は総理に対して、総理のいままでの御発言に対してはとうてい信頼をつなぐことはできないと申し上げました。それならばここで、総理進退を決せられるその御発言がなければなりません。おやめになるというならば私はもうこれ以上何も申し上げることはありません。新しい政治指導者によって改善の措置を講じてまいります。しかしながら総理は私の言うことに、答えをはぐらかしておっしゃらないわけであります。それならば、一体これからの総理は何に改善の手をつけていくのかという質問を申し上げたわけであります。もし総理のただいまの御発言でございましたならば、進退についてここではっきりとした御発言をしていただきたい。おやめになりますか。   〔「委員長、関連して」と呼び、その他発言する者多し〕
  28. 小峯柳多

    小峯委員長 静粛に願います。
  29. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、先ほどのように、皆さんの御意見は御意見として承っておきますと、かように申し上げたのです。それで、一応その問題はついたのかと思っておりました。そういうように私は考えますがゆえに、そういうことでただいまのような質問を続けていかれるのですかと、こういうことを私のほうから念を押したのです。私は、何をお聞きになるかと言ったわけじゃございません。私を全然信用しないとおっしゃる、その人間にお聞きになるのですかと、こういうことを念を押して聞いたわけです。   〔「ちょっと関連だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  30. 小峯柳多

    小峯委員長 静粛に願います。
  31. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのことを私は言っているのです。   〔発言する者多し〕
  32. 小峯柳多

    小峯委員長 静粛に願います。
  33. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 しかし、そうじゃないですか。   〔発言する者多し〕
  34. 小峯柳多

    小峯委員長 静粛に願います。   〔「そんなばかな話があるか」「関連質問」と呼び、その他発言する者多し〕
  35. 小峯柳多

    小峯委員長 ちょっとそのままで……。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 小峯柳多

    小峯委員長 速記を始めて。
  37. 木原実

    木原委員 私は、総理の御発言はどうもたいへん不穏当だと思う。御自分が信頼をされない。信頼をされないのに、私が質問をして、答弁をしてよろしいかという御趣旨の御発言だったと思う。私は、現地の声を含めて、このたびの事故の背景の中に、佐藤総理に対する、佐藤内閣に対する国民の不信の声が激烈に高まっておるということを申し上げた。だから、責任をおとりになる御意思があるかどうかということをお尋ねをした。いいですか。あらためてこれからの改善の措置を講ずると言っても、これだけ不信の高まった内閣で、前向きに改善をされるとおっしゃっても、人心の支持を得ることができないであろう、こういうことを私は申し上げた。ところが、総理はいま、ある意味では開き直られて、そういうことで私が答弁を申し上げてよろしいかという御反論がありました。はなはだその意味が私には解せません。そういう声の中でも総理はやるのだとおっしゃる。議員としての審議権に基づいて、私は質問を申し上げておるわけであります。よけいなことをおっしゃらないで、私の質問に対してお答えになるということは、私は議会のルールじゃないかと思うのです。いかがですか。
  38. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど来申しますように、御意見は御意見として承っておきますということを、はっきりお答えをしたはずでございます。次の御質問はそういうことで御了承でございますねという、その点を私は念を押したわけであります。別におこられることはないだろう。そういうことで聞くのだ、こういうことならそれでよろしゅうございます。私はお答えをしないと申したわけじゃございません。その点は、私も木原君を存じ上げておるのだし、そんな、委員会でお尋ねに答えない、こういうわけのものではございませんが、先に進んでよろしゅうございますかというような意味でございますが、その表現が不足で十分御理解がいただけなかったことは、たいへん申しわけございません。
  39. 木原実

    木原委員 私は、どうも総理の態度はまことに挑戦的だと思うのです。私は、私の意見を申し上げる前に、少なくとも現地へおもむきまして、現地の声を申し上げたはずであります。また私どもの見るところ、佐藤内閣に対するさまざまな批判の声が高まっておる。しかも、今度の事故に関連をしては不信の声が強いわけであります。不信の背景としては、すでに十数年来、たとえばこの種の問題についてもさまざまに危険性が指摘をされてきた。改善が望まれてきた。ところが、この間ほとんど関係の歴代大臣は、これらの問題について改善の実をあげていない。そのことが今度の事故に結びついておるわけであります。しかもその間、六年有余の長い間、佐藤総理は、ある意味では恋々として総理の席についておいでになった。六年半の間何もやれなかった内閣で、これから先改善の道が講ぜられるのかという、そういう意味の不信があるのだと、そういうことで私は総理所見を承った。ところが、それに対してただいまのような御発言、私どもとしては、はなはだ不穏当な、われわれに対する、国民に対する挑戦のおことばだと思う。私どもとしては、これはもうはなはだ解せない御発言だったと思うわけであります。しかも、私がこれから問題を提起したいと思いますことは、ただいまちょっと申し上げましたように、今度の事故に関連をして、そういったような空の状態がきわめて危険な状態だということがあらためて国民の前に出された。しかも、その危険な状態をつくり出していく要因の中に自衛隊の存在がある、あるいは自衛隊訓練や行動についての規制という問題が必要になってくるのではないのか、こういうふうに私は質問を申し上げたつもりなんです。だから、それに対して総理はお答えをいただければいいんです。ところが、それにただいまのような、たいへんどうも挑戦的な御発言があったということになりますと、これは私どもとしてもはなはだどうも遺憾に思います。いかがでしょうか。   〔「意見として聞きおくとは何だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  40. 小峯柳多

    小峯委員長 静粛に願います。
  41. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま、私の発言がたいへん委員会の審議をそこなっておるようですが、もしその点がじゃまならば、先ほどの発言は取り消しても差しつかえありません。やはり審議は審議としてお進め願いたい。
  42. 内藤良平

    ○内藤委員 関連して。総理、私は木原委員と同様に現地に行ってまいったものでありますけれども、ただいまの総理の御発言を聞いておりまして、全く誠意がない、私はこういう感じで一ぱいでございます。私は総理に、一国の宰相あるいは先輩として敬意を表しております。しかし、現地に参りましてあの遺族の皆さんの悲しみをまのあたりに見て、しかも、岩手県を中心にしました何千の方々が、あの炎暑の中に一生懸命に遭難事故対策にがんばっておられる、そういう現地に、第一、あなたはなぜ来ないのですか。あなたは自衛隊最高指揮監督権を持っておるのでしょう。あなたは自衛隊における最高指揮監督権者であります。あなたは、あの際一刻も早く現地に行かれまして、そして遺族の皆さんなりあるいは炎暑の中に働く皆さんに弔意なり敬意を表する、そういう気持ちになぜならないか。そこに第一私は、あなたの今度の問題に対する不誠意きわまりない今日のこの場における発言が出ると、そこを追及しなければならぬと思うわけであります。あなたの部下が、運輸大臣が、防衛庁長官現地に行ってどういう措置を受けましたか。総スカンを食っておるじゃありませんか。防衛庁長官は一本木の駐とん部隊に引きこもって、あの現場におることすらできなかったじゃありませんか。あるいは運輸大臣はどうですか。われわれ社会党の代表団が十時半に岩手県庁で会うという約束をしておりながら、あわてふためいてまた上京されるという状態でしょう。あのあとにあなたから、両長官現地に残って対処しなさいという再度の指示が出たと私は聞いております。そういう配慮をするならば、あなたは避暑地から帰ってきて、三十一日でもあの現地に行くべきなんです。それが、今日の自衛隊の法律における最高指揮権者、監督権者のあなたの任務じゃありませんか。国民に対する、今度の大災害に対する総理責任じゃありませんか。そういうものをさておいて、何があなたの御答弁ですか。何が対策ですか。しかも、わが木原委員の庶民の声を代弁する声に対して、まことに人を食った答弁じゃありませんか。これがあなたの六年間の総理としての、国民の皆さんのあなたに対する声なき声と、あなた、わかりませんか。どうです。総理、私は簡単に、この自衛隊最高指揮監督者として、どうしてあの際現地に行かなかったか、そのことを、まずひとつあなたの所信をお聞きしたいと思う。まじめに答えなさい。
  43. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私が現地に行かなかったことは、ただいまのような御批判を受ける一つだと思いますが、私は中央におきまして、いろいろ関係庁と連絡をとり、緊密にし、そうして事後対策をいろいろ練っておった、そういう際でございますので、私が現地にお見舞いするよりも、中央においてさいはいをとることが私の責務だ、かように私は考えたのでございます。
  44. 内藤良平

    ○内藤委員 時間もあまりありませんけれども、しかし今度の事故は、突発と同時に、官房長官自衛隊のミステークということを言っております。しかもあの自衛隊の方が、事故のあったあとに、このようなことに一々気を使っては訓練もできないというようなことを言ったように私は聞いております。新聞等で報道されました。あの自衛隊の一隊員のあの気持が、あなたのいまわれわれに対する、あるいは事故当時の国民の皆さんに対する態度と相通じておるじゃないか。それで今日の自衛隊が、国民の安全なり生命を軽視して、定期航空路に突っ込んできて、民間航空機にいわば体当たりをして、無事の大衆を百六十人も殺傷したじゃありませんか。この責任は、あなたが一番あるのですよ。あなたの答弁では、きょうテレビを見ておられる国民大衆の皆さんは納得しないでしょう。もっと誠心誠意のおわびを含めた、そういう答弁を私は絶対に要望します。絶対に要求します。おわびをしなさい、あらためて。なぜ行かなかったか、申しわけなかった、そういう誠意を、あらためて私はこの場でおわびを要求します。
  45. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、先ほど申したような立場で中央においていろいろ指揮したわけでございます。私が現地に行かなかったこと、あなたと私との考え方の相違でございます。その意味でおしかりを受けるのは、これはやむを得ないと思いますが、私は国民の皆さん方が、私が中央において指揮をとってとか、そのことは、国民の皆さん方が判断してくださる、かように私は思います。よろしく了承願います。
  46. 内藤良平

    ○内藤委員 関連質問を終わりますけれども総理、あなたのいまの答弁が、今日の国民大衆とのズレなんですよ。今日この日本の中で、この過密の災害の中で、欲求不満の国民大衆が、無事の大衆が百六十人も、今日、自衛隊の飛行機であの災害をこうむったわけであります。法律によってあなたは最高責任者だ。そのあなたが、どうして現地に乗り込んで、遺族の方に、遭難対策でがんばっている皆さまに、御苦労さん、あるいはお悔やみを申し上げるという血の通った政治が、なぜあなたはできないんですか。それが今日、政策はいろいろあるけれども、さっぱり実行はしないで、口では安全を言いながら毎日毎日のこの状態じゃありませんか。総理ほんとうにあなたが今度の事故を無にしないで、これからの対策ほんとうに実行するかいなかは、あなたのこれからの答弁によります。あなたがほんとうにその気になるならば、国民大衆に対して、内藤から言われたのじゃなくして、国民全体の皆さんに対して、総理としてあの場に行かなかったこのことは、私はやはりおわびを申し上げる必要がある、こういうぐあいに言っているわけだ。あなたのそういう態度があって初めて、これからの審議なり諸対策が生きる。国民の皆さんも信じるわけですよ。いままでのようなあなたの答弁では、だれも信じません。私は国民を代表して申し上げたいのだ。どうですか、総理
  47. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまのお話はよくわかります。私は必ずしも、現地に行かなかったということが、ただいまのような御意見国民の大多数の方々がみんな御一緒だとは思いませんけれども、しかし、私も何とか都合つけて、現地において御協力願ったそれらの方々並びに御遺族に対する、私どもおわびをやはり直接申し上げるのがこれが当然だった。かような点については、私も御意見をよくそのまま謙虚に承っておきます。  やはり問題は、これから、いま御指摘になりましたように対策がはたしてできるか、こういうお話でございますが、この点については、私は万全を尽くす決意でございますから、それらの点については十分御理解、また、足らない点は御叱正を賜わりたいと思います。
  48. 木原実

    木原委員 今度の事故は、これはまぎれもなく自衛隊機によって引き起こされた事故である。事故の背景をいろいろと調べてみますと、自衛隊訓練自衛隊の体質そのものについて改善を急がなければならない。これからの空の安全を確保するためにさまざまな政策を樹立をする前提として、自衛隊の体質の改善や訓練のきびしい規制というものが必要になってくると私は考えるわけでありますけれども総理の御見解はいかがでしょうか。
  49. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いろいろこの事故から教えられるものはございます。ただいま御指摘になりましたように、訓練自身についてもっと民間航空路をおかさないような、そういうような方法ができるかどうか、あるいはまたやむを得ず民間機の航空路を横断するというような場合には、どういうような処置をとるべきか、そういう平素の取りきめ、ルールの樹立が必要だと思います。またその訓練のしかたそのものにもいろいろ問題がありますし、それを、ただいまの自衛隊の体質だと、かように言われることについては、どういうような体質だと御指摘になりますか。私ども自衛隊を育成してより、国民に愛される自衛隊に、そういうものを心から期待し、専守防衛に徹しておるわが国の自衛隊そのものから見ますと、ただ社会党の皆さんとはやや幾ぶんか私ども違う点があるのじゃないだろうか。これらの点は、もっと中身を詳細に論議しないと、意見一致がなかなか見出しにくいだろう、かように思いますが、要は、とにかく国民のためにある、その専守防衛、こういう事柄にもっと徹すること、そしてその意味の御理解をより深める、こういうことにわれわれが努力しなければならぬこと、これは当然のことでございます。  そして、ただいまの訓練機そのものにいたしましても、民間航空機よりもスピードはのろいのだ。こういう点もやはり考えてみて、防衛庁の持っておる航空機、これは最高の性能のものだ、かように考えられたと普通には思いますけれども、そうでもないのだ、このほうが民間航空機よりもスピードはのろいのだ、この一時をもってしても、自衛隊はずいぶん無理な状態のもとにおいて訓練をしておる、こういう点にもやはり御理解をいただきたいと思うのでございます。  ただいまの基本的な問題で、もっとその訓練そのものをどういうようにしろ、こういうお話がございますが、これらのことこそ、ただいま内閣においていろいろそれぞれが関係しその範囲を明確にする、こういう方向でただいま取り組んでおる、こういうことでありますから、これは木原君、おそらく実情がもっと明確になると、ただいまは警察当局並びに調査委員会のほうでも事故調査をいたしておりますから、それが明確になればもっと対策も立てやすいと思いますけれども、ただいまのところ、とりあえず自衛隊訓練演習はやめさしております。そういうことは、いかに自衛隊が大事であっても、ただいまのような事故を起こした直後であり、民間航空路との関係調整もできておらない、こういう点で不備の点がある、かように考えたからこそこの訓練飛行を停止しておる。この一時をもってしても、政府の誠意のあるところはひとつおくみ取りをいただきたいと思いますし、私は、いま言われるような訓練場の問題では、もっと正確な取りきめをしなきゃならぬと思います。  ただ、その体質を変えろとおっしゃる、それらの点はどういう点か、もっと具体的に伺いたいと思います。
  50. 木原実

    木原委員 空の状態は、総理がいろいろおっしゃいましたけれども、一つには軍事優先の体制が、米軍の占領下以来の、それを引き継いだ自衛隊の姿がそのままの姿になっておるわけですね。空の状態は戦後はまだ終わっていない、こういうようにいわれているわけであります。民間機はジェットルートがかろうじてその中を走っておるという状態。しかもその上に今度は自衛隊は、われわれはスクランブルをかける、戦闘任務を持っているんだ、こういう観点からきわめて恣意的に、ある意味ではわがままに空を飛んでおる、こういう姿があると思うのです。私が自衛隊の体質という問題について見解をお伺いをいたしましたのは、あるいは飛行の安全について、空の安全についてそれなりの指示、あるいはまたわれわれがここでやりとりをして、これが政府の施策に反映をするということを期待をいたしたい。しかしながら、現実の自衛隊の中にはそれさえも否定をし、それに反発をするような空気がすでに起こっておるわけですね。こういうものであるならば、幾ら取りきめをやりましても、幾ら何かをやりましても、第一線の部隊の者が自分たちの任務を独善的に強調をしてほしいままのことをすれば、これはもうルールも秩序もあったものではございません。残念ながらそういう体質がすでに自衛隊の中には育っておる、こういう御指摘を申し上げたかったわけであります。  私の手元に、「わが国の防空態勢について」という文書がございます。この中にこういう文章がある。「飛行安全と航空事故」という項目の中に、「自衛隊機航空事故は、国内の社会情勢にあたえる面がとくに大きく、またときに政治問題ともなり、内閣立場からして必要以上に政治的考慮をするあまり、それが防衛庁長官立場と態度に大きく反映し、陸海空各幕僚長に対する長官の監督、指導力があまりにも神経質で統帥本来の基本的あり方を無視し、その態度が非情で酷評になりやすい」というような文章が見えておるわけであります。私は、これは驚くべき思想だと思うのですね。空の安全について、飛行の安全について、かりに政府が何らかの方針を出す、指示を出す。ところが、それを実施をすべき第一線部隊の中には、こういう考え方が反映をしておるわけであります。これによりますと、あたかも今度の事故を予見しているようなかっこうで、自衛隊機事故を起こした場合には社会的な情勢に反映をする、それが内閣考え方防衛庁長官考え方に反映をして、神経質なまでに監督やあるいは指導が行なわれる、そんなことをやっていたんでは、自分たちとしては任務が遂行できないのだ。しかも、統帥本来の基本的あり方に照らしてよけいなことは言ってもらいたくないという、そういう考え方がこの中には横溢をしておるわけであります。  これは防衛庁長官にお伺いしますけれども、こういう文書は一体だれの責任で編集をし、作成をし、配付をしたのか、明らかにしてもらいたいと思うのであります。タイトルは「わが国の防空態勢について」こういう白表紙の文書であります。
  51. 西村直己

    西村(直)国務大臣 率直に申し上げますが、その思想は間違いでございます。  ただ、その文書につきましていま事務局から聞きますと、これは防衛庁ではなく国防会議のほうからどなたかが民間に委託した、民間人の意見としてのそういうものが出ているのだそうでございます。思想につきましては、私どもはそういう姿勢は絶対にとらせないつもりでございます。
  52. 木原実

    木原委員 国防会議で編さんをして、参考資料として部隊に配付をしたと私ども承知をいたしております。国防会議は、言うまでもなく総理が議長であります。あなたの事務局で一昨年の夏この種のものが、あるいは編さんは民間に委託をしたかもしれません。しかしながら、「防空態勢について」という一つの重要な参考資料として隊内にこういうものを配付されておる。その中に、私がいま読み上げたような一項があるわけであります。安全のこともさることながら、この中には明らかに文民統制に対する、シビリアンコントロールに対する公然たる反逆の思想があるじゃありませんか。こういう体質が、すでにあなたの監督下にある自衛隊の中にかりに育っておるとすれば、もう何をか言わんやですね。一体この統帥の基本権なんというものは、そういうものがあるのですか、どうでしょう。
  53. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、新聞の一部に出ておりました、一々民間航空路を気にしたら訓練などできないとか、あるいはただいまお読みになりました資料なぞ、これはたいへん間違った考え方だと思っております。したがいまして、これらの点が誤解を受けるもとだし、自衛隊全体がやはりそういう意味でいろいろ論議される、こういうことは、本来から申しましてよき自衛隊員に対しても気の毒な状態だと思いますので、やはり一部の間違いを正していく。そういうことをしない限り、国民に愛されるような自衛隊はできないだろうし、また本来の使命を達成することもできないのではないかと思っております。  本来、民間といわず自衛隊といわず、生命を大事にするということでなければ、これは精強なる自衛隊もできるわけではございません。したがいまして、何よりも民間航空安全ということが優先することは、これは党でも決定したようでございますが、そういう意味で、自衛隊だから命はどうでもいいのだ、かような猛訓練は、これは間違った訓練でありまして、そういうことはなすべきではない。命を大事にしてこそ初めて精強なる自衛隊もできるのだ、私はさような考え方を持っておりますので、ただいまのような間違いの点はこれから直していくつもりであります。ことに、国防会議で配付された資料であるなら、これは当然私が回収さすべきものだ、かように思いますので、それらの点については、ただいまの御指摘は実は私自身十分存じませんで、ただいまのような点を御指摘になったこと、これはありがたく、私も回収について努力するつもりであります。
  54. 木原実

    木原委員 この文書については、それでは回収をして廃棄をする、こういうように受け取ってよろしゅうございますか。
  55. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのとおりでございます。
  56. 木原実

    木原委員 しかも自衛隊の中には、このような考え方と同時に、われわれは戦闘任務を持っているのだ、どうしてもそこには、安全は第二義的に考えなくちゃならぬのだ、こういう考え方が出るわけであります。そうなりますと、少なくとも安全ということを第一義に考える民間の場合と、戦闘任務を持っておるんだということをたてにして、安全を第二義的に考えなくちゃならないんだ、幾ら航空路を設定しても、相手のほうは、かりに敵のほうは、その航空路に乗って来るわけじゃないんだ、こういう考え方が出てくる根拠があるわけであります。そうなりますというと、総理の決断を待たなくちゃならないわけでありますけれども、これから先、たとえば管制の一元化を行なっていく、空域の再編成を行なっていく、かりにこういう考え方が出たにしましても、自衛隊の追求しようとするものと、民間あるいはわれわれが安全ということを第一義に考えて追求しようとするものの間には、当然そこには食い違いの余地があるわけであります。その際に総理は、これからの空の対策自衛隊も含めて民間を優先する、安全運航ということを第一義に考えてすべての対策を取りしきると、こういうふうに決断をすることができるかどうか、御意見を承りたい。
  57. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この事故の現場におきましても、本来は、松島航空隊の一つの訓練空域、これは一応想定されております。それは、民間航空路とはできるだけ交錯を避けるように、別の地域になっております。しかしながら、訓練の都合上ああいうような事態が起きた、民間航空路を横切らざるを得ないような状態が起きたと、いま思いますが、本来の訓練空域は、これは別途でございます。  したがいまして、ただいま言われますように、わが国には、しばしば問題になりますような、まず米軍がいる、自衛隊がいる、民間航空機がある。しかもこれらのものが、まあ米軍は、機数等もだんだん減ってまいっておりますけれども、場所によっては、まだまだ多数の飛行機が飛んでおる地域もございます。三沢などはだんだん軽くなるというか、そういう状態になります。しかし、この米軍についても、これはやはり外務省を通じて協力を求めるというか、空の安全を第一に確保すると、こういうことでただいま交渉しておるわけでありますし、また、これはできるようでありますし、ただいま言われますように、民間航空をも含めて空の安全を第一に考える、これはただいま御指摘になったとおりであります。そういうことを党の総務会でもすでに決議しております。したがいまして、その点では何ら誤解ない、かように私、思いますが、その点を明らかにされたこと、これは国民に対しましてもこの機会を通じまして明確にさるべき筋のものだ、かように私も思っております。むしろ、ただいまのお尋ねはしごくもっともであり、さように考えております。申すまでもなく、この事柄運輸省防衛庁それにまた外務省、ときに総理府、そういうものが関係を持つことになりますから、ただいま十分思想の統一、考え方の統一、これをはかって、国民に迷惑のかからないようにするつもりであります。
  58. 木原実

    木原委員 時間がないそうですけれども、それでは最後に……。  いままでもしかるべき協定その他のものがあるわけであります。ところが、これは実質的には軍事優先といいますか、自衛隊がその任務を優先させて、しばしば空の状態を撹乱をしておる姿があるわけであります。航空法につきましても、幾つかのただし書き条項がございまして、特例として自衛隊の自由な行動が認められるというしかけになっておる。そうなりますというと、いままで問題がしばしば指摘されながら改善の措置がとられなかった背景の中には、少なくともいま申し上げましたような自衛隊の存在や主張があるわけであります。だから、これから本格的な空の安全体制をつくるのだ、こういうことになりますと、いままでのことにかんがみましても、軍事といいますか、自衛隊措置については第二義に考えて、安全とそして民間を優位にさせるという原則がここで打ち立てられませんと、これは改善の措置にはならない。それは関係当局の方の中には知っておられる方も多いわけでありまして、総理の決断を必要とする問題は、ただいまの問題としていえばこのことなんです。それについていまいろいろおっしゃいましたけれども、それらはむしろ枝葉のことだと思うのです。だから、ここでどういう原則を立てて空の安全対策に乗り出すのかという、そういう決意を承りたい。
  59. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 簡単に申しますが、民間航空を含めて空の安全を確保する、第一義にそれを考えるということでございます。
  60. 小峯柳多

    小峯委員長 木原君、もう時間が……。
  61. 木原実

    木原委員 時間がないそうですので、これで最後にいたしますけれども、全体の総理の御答弁を聞きまして、私は、なおはなはだ不安であります。これから先の改善の措置等につきましても、詳細についてはそれぞれなお論議をされるところでありますけれども、何よりも総理政治姿勢、それからまた、これからの改善に臨まれようというその措置等につきましても、いままでの御答弁では、私はたいへん不満であります。  ただ願わくは、この種の事故が再来しないように最善の努力を払う。そのためには、一人の総理大臣政治生命はそれほどとうといことじゃないと思う。あえて私は、総理がひとつ進退をかけて——進退を問いたいわけでありますけれども、あわせて、改善の措置については、おそらくこれはできないというふうに考えざるを得ないわけでありますけれども、なおかつ私ども総理に要求をし、政府に要求をして、できるだけの安全措置を講ずるように努力を願いたい。ついては、少なくとも軍事優先の体制だけはこの機会にきっちりとした決断を下していただきたい、このように申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  62. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私、ただいまの御意見をまじえてのお尋ね、たいへん感激しながら実は聞いておりました。いましばらく時間をかしていただきたい。そうして政府のとる対策、これについて十分御検討願って、足らざる点は補足するように政府を御鞭撻賜わりたい、かように願います。  ただいま速記は、軍事優先にするように、こう書いてあると思います。私はさように聞きましたが、その点は速記を訂正されて、民事優先だと、かように思いますから、その点をどうか、さように私は聞きましたので、この点は先ほど来の御趣旨から、木原君の御趣旨はよく私も理解し、また私からお答えしたこともそれらの誤解を受けるようなことばではないのでございますから、その点は御訂正あってちっとも差しつかえはないと思います。
  63. 小峯柳多

    小峯委員長 伊藤惣助丸君。
  64. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今回の全日空機自衛隊機による衝突の事件は、史上最大の惨事となったわけでありますけれども、なくなられました百六十二名の方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、今回の事故は、本来国民の命を守るべき自衛隊機がこのような事件を起こしたということについて、航空史上類例のない事件であります。今回の事件は、起こるべくして起こった、国民軽視の政治航空行政が招いた悲惨な人災である。ある人は、その行政の怠慢が殺人事件を引き起こした、このようにもいえる、このようなことを言っておりましたが、私もそのように思います。今後このような事件を再び起こしてはならない、こういう決意で取り組むことが根本であると思います。そこで、今回の事故が、わが国航空行政における軍事優先の航空行政、これが今回の事故が起きた最大の原因である、このように思うわけであります。私は、このような事件が、さらに第二、第三の大事故にならないように、またその発生を未然に防ぐように航空行政の大改革をしなければならない、このように思うわけでありますが、その決意があるかどうか、その点についてまず総理に伺いたいと思います。
  65. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 伊藤君にお答えいたしますが、おそらく私と伊藤君もねらいは同じだと思いますが、航空行政というその一元化ではなくて、やはり航空の安全、そういう点でそれぞれのものがいかにその分野をきめ、またいかに協力するか、またそのための地上施設、機械施設あるいは要員をいかにして確保するか等々のいろいろな問題があるだろうと思います。これらの点をそれぞれ計画を立てまして、そうして関係庁の連携も一そう緊密にすることによって、この種の災害事故が再び起こらないように、われわれは最善を尽くす決意でございます。そういうことで、いろいろとお知恵も拝借したいと思いますので、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  66. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理は今回の事件で談話を出されました。その談話を見てまいりますと、このような事故が再び繰り返されることのないよう、航空交通管制の根本的な再検討を行なう、あるいはまた航空安全確保のため万全を期する、さらに自衛隊機訓練の過程において、いやしくも国民生活に不安を与えることのないように、こういうことを述べております。しかしこれは、この事件が発生するまでに航空行政というものが軍事優先、国民軽視の政策であったということを裏づけしているんじゃないか、私はこのように思います。  そこで総理に伺いたいわけですが、まず根本的な再検討と言われたいま申し上げました談話のことについてでありますが、いままで運輸大臣防衛庁長官関係大臣から、この事件に対する抜本改正のような答弁あるいはまた方針が打ち出されておりますけれども、それらについて私はまだ納得ができないのであります。そこで総理に、その談話にあったその問題点については具体的にどのような方策を考えているのか。まずそこから伺いたいと思います。
  67. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 談話は、できるだけ字数も制限したということで、抽象的になっております。したがって伊藤君からただいま御指摘になりましたようにずいぶん不十分な点があるようであります。具体的に申しますと、内閣にただいまの航空管制本部とでも申しますか、さようなものを設置して、そうしてそこで各省の関係者が集まって協議をする、こういうことをするのであります。さらにまた別途この事故発生の直接の原因等について調査会、委員会を設けてそこで調査する、こういう具体的措置をとっておるわけであります。そこでやはりこの問題が自衛隊訓練中に起きた事故というその点に重点がしぼられるというか、最も重点を置いて考えなければならない。したがってただいま御指摘になりましたように、自衛隊民間航空路と自衛隊訓練とが交錯しないような方法ができるなら、まず第一にそれをとるべきだ。それでその意味からは、申し上げるまでもなく、一応まず自衛隊訓練飛行、これをとめることだということでただいままでとめております。しかしいつまでもとめるわけにはまいりませんから、その見通しを立ててそのうちに訓練開始をするということになるわけであります。そのときに、何と申しましても民間航空をも含めて空の安全が確保される、そういうことでなければならないと思いますので、そういう意味の技術的ないろいろの問題がありますが、そういう技術的な問題と取り組む予定であります。私はまず大まかに申しまして、先ほど言われるようにこれが日本海上、この領海内——海上に出かけると領海とは申しませんが、日本の沿海では比較的外国の飛行機とぶつかるようなそういう危険もありませんので、そういう点が選ばれるべきじゃないだろうか。しかしときに民間航空路を横断するというところがありますから、そういう場合の標識その他、通過などがどういうように技術的にうまく避けられるかなどの問題を議すべきだろう、かように思ってただいま命令をしておるところでございまして、それぞれ専門家がこの問題と取り組んでおるわけであります。ただ、いま伊藤君が言われるように、簡単に民空を優先するというだけではこれまた抽象的になるだろうと思いますので、その優先さした民空はどういうことかということを具体的に示すようにいたしたいものだ、かように考えております。
  68. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理のいまの答弁については、いろいろ指示をしている、そしてまたこれからはいままでの訓練をよく検討した上で考える、さらにまた指示している、こういうことをおっしゃいましたが、私はそういう答弁ではまだこの事件の本質を正確に総理はとらえていない。私はただいま申し上げましたように、今回の事故が軍事優先であるという航空行政、あるいはまたその政治中心となって指揮をとった最高責任者である総理責任がある。まず第一にその政治姿勢を変えなければならない。そしてまた第二に、そういう具体的な軍事優先のいろいろな証拠があるわけであります。このことについても知っていなければならないはずでありますし、こういう面についても総理は積極的に検討する指示を与えることが総理としての役目ではないか、私はこのように思うわけであります。  そこで、先ほども指摘ありましたが、三十六年、行政管理庁が通産省及び防衛庁、そして運輸省に対しまして航空行政の監察をやったことは総理御存じだと思います。その中で問題点はたくさんあります。しかしその数多くの問題点の中で重大な、軍事優先をせよ、そのような明確な取りきめをやったものがあります。それは一つは「航空交通管制について」であります。さらに「自衛隊訓練空域について」であります。この二つの問題をとらえてみれば、明らかに政府が軍事優先の一つの姿勢また指示を明確に与えているのであります。私はまず第一に、この回答の中で、運輸省が行管庁に回答している一節を申し上げますが、「自衛隊訓練空域の設置が、航空機の航行に影響を及ぼすおそれのあるものについては、「運輸省航空行政自衛隊の業務との間の調整に関する覚書」により、防衛庁長官はあらかじめ運輸大臣協議することとなっているので、この覚書の運用に一層留意し、訓練空域またはその近接空域を飛行する民間航空機の安全の確保に努めたい。」このように回答を寄せ、述べております。  その覚書は昭和三十四年の六月二十三日、当時の運輸大臣の楢橋渡、それから防衛庁長官の赤城宗徳、この大臣間において交換されております。この覚書にはどういうことが書いてあるかと申し上げますと、その覚書の第五条にはこのようなことがあります。「運輸大臣は、次の各号に掲げる自衛隊航空機について特に要請があったときは、航空交通の指示及び飛行計画の承認に関し当該航空機に優先権を与えるよう努めるものとする。」そして「自衛隊法第八十四条の規定による措置をとることを命ぜられた航空機」これは緊急発進であります。二番目に「別に協議して定める大規模な演習に参加する航空機」さらに「第一号の措置訓練を行う航空機であらかじめ発進時期について調整を経たもの」このようにあります。これはスクランブル、緊急発進はともかくとして、すべての航空自衛隊訓練を行なう航空機に対して明確に優先権を与えているのであります。  さらに問題になりますことは、この覚書を受けまして運輸省防衛庁との間において中央協定というものを取りきめております。この中央協定は防衛庁の取り扱いはマル秘ではありません。これはもうだいぶ前に、第一回は三十五年十月二十日、それをさらに改定して四十二年十一月八日に、当時の運輸省航空局長の沢雄次、防衛庁防衛局長の宍戸基男、この二人の間で取りきめてあります。この中で大事なことがたくさんあります。特に私が申し上げたい点は、この覚書を受けて第二章の「航空自衛隊機の発進帰投」というところがあります。そしてこれは「優先権」と銘が出てあります。この中央協定の第七条「要撃機等に関する覚書第五条第一項の要請は、レーダーサイトの指令官が第十条第一項及び第三項の通報によって行なうものとする。」こういうことが明確になっておりまして、さらに「第五条第一項第三号の航空機に対してはできる限り優先的に飛行計画の承認及び航空交通の指示を与えるものとする。」このような指示が出ているのであります。  したがって、今回のあの第一航空団松島分遣隊の事故というものはこの覚書、さらにはまたこの中央協定を根拠にして行なわれた軍事優先の訓練計画の一つなのであります。したがって私が先ほど申し上げましたように、こういう計画に基づいて行なう訓練計画については、確かに現地指令官というものは刑事上の責任を問われるかもしれませんけれども、このような航空行政をいままで認めてきたあなたに責任がある。さらにこういうような数多くの異常接近、ニアミスといいますけれども、これを放置しておいた怠慢な交通行政にその原因がある、私はそのことを申し上げる次第であります。どのように考えますか。   〔発言する者あり〕
  69. 小峯柳多

    小峯委員長 静粛に願います。
  70. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまの取りきめは三十四年時分。その時分の考え方といまとはもう空の状態は非常な変わりですから、だからそれに合わせて当然やるべきだと思います。したがっていまお読みになりましたような自衛隊運輸省との取りきめはもう変更されてしかるべきことだ、また当然変更されなければならぬ、かように私は思いますので、ただいまの松島航空隊で起きた事故とこの関係が直ちにあるとは私は思いません。しかしただいまのような新しい事態に対して今後どうするか、これはさっそく新しい取りきめをすべきだ、かように私は思います。  なお、これらの点について防衛庁長官からも補足されるだろうと思いますが、特殊な場合についての取りきめとしてはある程度理解できないでもないけれども、しかし一般的な常時の考え方としてこういうような考え方がもう十年以上も前にきめたままでそのまま残っているということは、これはたいへんな行政の間違いといいますか、懈怠とでも申しますか、こういうことは直していかなければならないことだ、かように私は思います。
  71. 小峯柳多

    小峯委員長 防衛庁長官から発言があります。
  72. 西村直己

    西村(直)国務大臣 お許しを願いましてちょっと補足をさせていただきます。  確かに覚書がございます。そこで、軍事優先ということばが非常に出ましたが、私ども自衛隊としては御存じのとおり憲法の条章、そのもとにある自衛隊法に基づいていま作業をするわけでございまして、軍事を優先するという考え方はございません。ことに空の管制、行動につきましては航空法がございまして、それで運輸大臣航空法の権限のもとに一部防衛庁長官等に移管された部分もございます。ただいま御指摘の覚書は、自衛隊法の八十四条の領空侵犯という御存じのとおりのものに対する警戒であります。これは国土防衛、また一面国民生活を守るという意味でもまた必要なものでもあろうと思います。まあ俗なことばで言えば一種のパトロールが緊急発進するような形、かけつけるというような状況下に行なわれるものであります。そういうような意味でこの覚書は手続として行なわれました。したがって第一項には御存じのとおり自衛隊の緊急発進について書いてありますし、あの最後の部分は大規模な演習の場合でありますから、今回の松島の二機の編隊飛行訓練計画とは直接関係はないわけでありますが、ちょっと補足いたします。
  73. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま防衛庁長官関係ないというお話でありますが、大いに関係があるんです。たとえば、あなたこの中央協定の第三条を見てください。第三条のこの六項目の中には「自衛艦隊又は航空集団が行なう応用訓練」たとえばスクランブルも応用訓練の一つであります。関係ないとは何ごとですか。  それから、時間があまりありませんから申し上げられませんけれども総理は先ほど、十年前から問題があった、いま現在はこうだから何とかしなければならぬ……。それでは事故が起きなければやらないのか、事故が起きたからこそ今度考えたのかと私は申し上げたい。なぜかならば、この異常接近の問題については前々からあなたが出席している自衛隊の高級幹部会同でしばしば指摘されているんです。それは四十四年の九月に開かれた高級幹部会同でも、当時の西部航空方面隊司令官から、このままでいけば大惨事が起きますよ、何とかしてほしい、こういうふうに長官に訴えている。あなたが出た会合ですよ。さらにこの七月に就任して現在おやめになった上田空幕長もこのことについては連日のように防衛庁に言っておったということです。ある人が言うことにはこういった現場の司令官の話を早く取り上げていけば大惨事が起きなかったのじゃないか、未然に防ぐことができたんじゃないか、返す返すも残念だ。ここで防衛庁長官総理、そして運輸大臣にも重大な責任がある、こう私は申し上げたいわけです。そして先ほどの軍事優先のこの覚書あるいはまた中央協定というものについて、私は提出を求めたわけでありますけれども、がんとして防衛庁からはもらえませんでした。そうして私が入手したとわかったらば、これは運輸省が渡したのだからいいというようなことを言っておられる。そしてまたこういう一つの軍事優先の取りきめというものを、総理ほんとう民間優先さらに人間尊長第一というようなものにかえるとするならば、こういうものは破棄すべきだ。一つは、スクランブルは別として、一切の訓練飛行というものは民間航空路には絶対出さない。またその民間航空路における訓練はやめるべきだ。さらに中央協定というような誤解を与えるような取りきめはこれは破棄すべきだ、こう思いますが、いかがですか。
  74. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大体いまの伊藤君のお説はしごくもっともだと思います。そういう意味でただいま十分検討したいと思います。ただいまの三十四年の取りきめはまず第一に破棄すべきこと、これはそのとおりだろうと思いますが、それから後の今後の、四十二年もありますが、そういうものについてはまた別に再検討してみる、ただいま言われるような方向でこれと真剣に取り組んで事故が起こらないようにすることが何よりも大事なことだ、かように思っております。また自衛隊訓練も必要でしょうが、しかし所要な場所で訓練はやれる、かように私は思いますので、そういう場所を選ぶべきだ、かように思っております。
  75. 小峯柳多

    小峯委員長 伊藤君、もう時間ですから、簡潔にひとつ結論に入ってください。
  76. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 質問したいことは数多くあります。またの機会にこれは明確に防衛庁長官並びに関係大臣に伺っておきたい点と追及したい点がございますが、最後に総理に申し上げたいわけでありますけれども、今回の事件を通じて総理は、増原前防衛庁長官、そして上田空幕長の更迭をして陳謝の談話を発表したわけです。そして一応は政治責任というものを明らかにしたような姿勢を示したわけでありますけれども、私たちはこれでは納得できないわけであります。どこまでも日本航空行政というものが健全なものになって、そして民間航空が安心して空を飛ぶことができるような関係法令の整備を完全にはかった上で、事件というものを未然に防ぐような措置が講じられて初めて人間尊重第一の政治となるわけであります。そこで私は今回の事件に対して最初に総理にも申し上げましたけれども総理自身は今回の事故に対して、自衛隊最高責任者として、あなたはどういう責任を感じているのか。あなたは今後このまま行くのか。さらにまたいまのままでいいのか、その点が問題であります。私はそのように考えますと、どこまでも自衛隊法による最高責任者としての責任をとって総理は退陣すべきではないか、そう思います。そのことを総理所信を伺いまして質問を終わりたいと思います。
  77. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど木原君にも私、私の責任について申し上げたとおりでございます。お聞き取りをいただいたことだと思いますので重ねては申し上げません。しかし事態がたいへん重大なる、いまだかつてないような百六十二名のとうとい生命を失った、それがしかも自衛隊機訓練中に起こした事故だ、かように考えますと、その責任はまことに重大であります。そういう意味で私も十分考えておるところであります。ただいまの御意見は御意見として謙虚に承っておきます。
  78. 小峯柳多

    小峯委員長 和田耕作君。
  79. 和田耕作

    和田(耕)委員 総理大臣は、先ほどからの答弁によりまして事故の起こりました前月の三十日の午後に自衛隊訓練飛行の中止を命令しておられます。当分の間ということがありますけれども、いつまで中止をされる御予定ですか。
  80. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これはいつまでとは申しませんが、できるだけ早くいま設けております協議会でその結論を出して、その上で訓練を始める、そしてその後支障がないという見きわめがついたときに訓練が始まる、かように御理解いただいてけっこうかと思います。いまいついつまでとは申しません。
  81. 和田耕作

    和田(耕)委員 非常にいち早くとられた措置で、私感心しておったのですけれども、この措置は、つまり自衛隊の無謀な訓練飛行が原因でこの惨事を起こしたという事実をお認めになっての上のことでしょう。
  82. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いろいろ訓練中に、自衛隊だけで訓練をしておるときにずいぶん乱暴な訓練もあるように伺いますけれども、それはそれとして、なお民間航空路を侵した、こういうような事態が起きますと、よほど重大な事柄でございますので、そういう意味において十分考えるべきだ、かように思っております。しかし私は先ほど来申しますように、みずからの生命を大事にしないような自衛隊では、その任務を十分に果たすことはなかなかできないのだ、かように考えておりますので、それらの点で誤解を受けないように一そう注意したい、かように思っております。
  83. 和田耕作

    和田(耕)委員 一つずつ聞いておりますから簡単にお答えいただきたいと思いますけれども、要するに自衛隊の無謀な訓練によってこの事故が起こされたということを総理はいち早く察知されたということですね。
  84. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は無謀だと断定したわけではありませんが、たいへんな事態があるな、かように思ったわけです。
  85. 和田耕作

    和田(耕)委員 そうですが、無謀だという御判断はないのですか。私はそれは非常に意外な感じだと思いますけれども、私はあの措置を聞きまして、総理はいよいよ早く決断をしたのだなという判断をしたのですけれども、今回の事件は、その内容については検察庁あるいはその他でやっておりますけれども、しかし航空自衛隊にとっては、訓練というものは非常に大事なことですね。航空自衛隊生命に関することです。これをいち早く停止をしたという総理の決定は、これは自衛隊のほうが間違っておったのだ、当然飛行の計画その他を見れば無謀な計画であったということはわかる、そういう御判断かと思って先ほどからの御答弁を聞いておったのですけれども、そういう判断でもないのですか。まだ民間全日空機のほうにも欠陥があるというような御判断もありますか。
  86. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 民間航空路を侵しておるというそういう事態も起こりますから、そういう意味訓練は当分の間差しとめた、そうして明確にわれわれが納得のいくような訓練状態には当然すべきだ、かように考えております。
  87. 和田耕作

    和田(耕)委員 その決定について、私この決定は非常に重要な決定だと思っておりますけれども、当分の間停止をするという裏には、もう今後あのような民間航空の経路になっておる周辺では訓練空域は設けないという、この点だけははっきりしているでしょう。
  88. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この事故が起きた場所でも空域は別です。しかし、やはり訓練空域の場合でも、民間航空路を横断する、こういうところはあるわけです。したがって、訓練空域だから全然民間とは別途だ、こういう場所はいまの空の状態ではないわけであります。そういうことを考えると、自衛隊訓練——これはまた重ねて万一さような事故でも起きたらたいへんだ、かように私考えますし、また自衛隊自身も、そういう意味でみずからも自衛態勢をとるべきだ、かように考えたのでございます。
  89. 和田耕作

    和田(耕)委員 横断することもあることは、それは当然のことです。海上へ持っていっても、たいがいのところは航空路を横断していかなければなりません。横断についてはできるだけ早く直角に横断しろという指示もいままで出ておるわけです。そういうことを聞いておるわけじゃありません。現在の松島にしても、あるいは百里にしても、その他の自衛隊訓練空域というものは、空域として航空路と錯綜しているというわけですね。こういうことですから、そういう状態はなくするという御決意のもとで、その計画が立つまで訓練を当分停止するというふうに私承っておったのですけれども、そうじゃないのですか。
  90. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま言われるように私は考えて停止したわけです。これは非常に乱暴だとか、最初使われたことばにちょっと抵抗があったのですが、そのことばをお使いにならない、いま言うように、注意してやっていることなら、これはいいわけですが、なかなかそこまで徹底してない、かように私は考えたから、停止さしたわけです。
  91. 和田耕作

    和田(耕)委員 最初の乱暴な訓練ということばに引っかかられたということですけれども、検察庁の調べは大体そういう結果になっているじゃないですか。全日空機が定期の空路を走ってきた。自衛隊機の編隊の二つが約千メートルくらいの間隔を置いてその航空路の線上で上と下におった。こういう事実が乱暴な訓練計画とは言えませんか。
  92. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは、私は計画そのものは最初からそう度はずれたものではなかったろうと思います。おそらく民間航空機も所定の時間に正確にダイヤどおり通っておれば、この事故にもあわなかったんじゃないか、かようにも思いますし、だから、そういう点がこれからいろいろな問題になってくるだろう。お互いにそういう場合にどういう連絡方法をとるとか、これは計器飛行でも前方はやはり十分見ていかなければならぬとか、また有視界飛行、そういう場合においては特に注意しなければならぬとか、そういう問題が、民間航空路を横切る場合には当然の処置がなされなければならない。そういうことを怠っているんじゃないか、こういうような意味でいろいろわれわれも考えざるを得ない、かように思っております。
  93. 和田耕作

    和田(耕)委員 これはあとから質問しようと思ったのですけれども航空法の九十四条に、天気のいい日で視界のよく見えるところでは計器飛行をやってはいけないとはっきり条件づきなしに書いていますね。このことは非常にわかりにくいことばですけれども、そういうことは省きます。しかし、全日空機にしても前方をよく見なかったというところに問題はあるという感じがしますけれども、今回の事件について、総理は、やはりそういうところにも問題がある、自衛隊のほうにも問題がある、そういうふうに、てんびんにかけるというとあれですけれども、いろいろな原因があるというふうなお考えが気持の中にありますか。あるいは今回の事故については、自衛隊の無謀な訓練飛行によって起こされたものだというふうに判断をしておりますか。その点を私先ほどから聞いておるのです。
  94. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま捜査中でございますから、捜査の結果を待ってその結論は出したらいいだろう。まずとりあえず私どもとめた、こういうことは事実でございます。
  95. 和田耕作

    和田(耕)委員 とめたというこの決定の総理の気持ちを私は最初から聞いているのです。この問題にあまり時間をとりたくないと思っておったのですけれども、つまり総理がとめたという決定は正しいいい決定であった。その決定をする背後には、これは自衛隊のほうが悪かったのだな、こういう訓練は今後危険が一ぱいだから当分中止をしよう、そういうふうに私思っておったのだけれども、そうではなくてかっこうだけですか。
  96. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほどからお答えしておるのがわかりませんか。私は、とにかくこういう事故が起きちゃたいへんだから、一応訓練をやめることだ、こういうことです。
  97. 和田耕作

    和田(耕)委員 それについては、今度の問題については特に自衛隊の無謀なあれだと私思いますけれども、これによって定期航空の百六十二名の旅客の生命を失なった。しかも、乗っておった方はその大部分は遺族会の方々だという問題ですね。これは偶然にしてはあまりに重大なことなんです。そういうような問題を踏まえながら、今後とも自衛隊訓練については真剣にこれは検討してみなければならない。それはいろいろな理由がほかにたくさんありましょう。ありましょうけれども、今度の事件については、自衛隊の無謀な訓練、これは計画だけじゃありません、実際搭乗者が無謀なことをやったということを含めて、無謀な訓練によって起こされたものであるということをしっかりと認識されることがまず第一の問題点だと思います。  もう一つの問題は、私ども自衛隊というものはできるだけりっぱなものであってほしい、こう考えておりますけれども、今度の事件は自衛隊にとって非常に致命的な一つの影響を持つような側面を持っておると思います。その一番大きなことは、これは幾つかの新聞にも載っておることでございますけれども、パイロットたちが、これは全部じゃないかもわかりませんが、定期のジェットの航空路を走っている飛行機を訓練目標として、仮想敵機として、これに故意にそのような状況のもとで訓練をしたのではないかというこの判断が、これは非常に多くの国民の中にしみ渡っておるという事実を思うのですけれども総理はこの問題をどうお考えになりますか。
  98. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま一部でいわれているような、ただいま和田君のお述べになりましたような、そういうことはございません。仮想敵機とみなして訓練をするとか、さようなことはございません。これだけはもうはっきりきっぱり申し上げます。
  99. 和田耕作

    和田(耕)委員 この問題は、申し上げたとおり、私どもの近くにおるこの問題に解れる人は、ほとんど十人が十人とも、自衛隊はあれは仮想敵機として、あれを訓練目標としてやったのだというふうな印象を受けているのですよ。これは事実なんで、おそらく総理の周辺で私的な周辺にはそういう声が聞こえると思うのですけれども、しかもそれを裏書きする相当名の聞こえた航空の評論家とかいうふうな筋でも、それは公には言われないけれども、大体そういうふうな関係者の常識であるということばさえ、これは読み上げてもいいのですけれども、時間がありませんから読み上げませんけれども、そういうことを言っておる。しかも、それを国民ほんとうにそうかなという感じをもって聞いておる。こういう事実を前にして、日本自衛隊最高責任者としての総理は、私、しかるべき手を打つ必要があると思うのです。総理は、航空自衛隊が、あるいは自衛隊の公式ではなくても訓練をするその訓練の状況の中に、そういうふうなものが絶対にないというなれば、その報道は無責任な報道になる。しかもこれは自衛隊にとっては致命的な影響を持つものになる。適当な方法をもって、あるいは告発するとかその他の方法をもって、こういうふうな間違ったと総理が思われる報道に対して対処していくお気持ちはないのですか。
  100. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、ただいまのこの国会はたいへんいい機会だと思います。さような事態はございませんし、また私どもがいかに自衛隊を育成強化しているか、これは国民の皆さんも御承知のことだと思います。また、いわゆるシビリアンコントロール、これが行き届いていないんじゃないか、かような観点指摘される方もありますけれども、私どもは自信をもってシビリアンコントロールはできておる、かように思いますし、この国会を通じてのこのテレビ放送は必ず一部の誤解を解いてくれる、私はかように思います。
  101. 和田耕作

    和田(耕)委員 総理、この問題は、こういう場での質疑の言い抜けのことばで過ごせる問題じゃないのです。先ほど木原君からもこれに関するような問題がありました、自衛隊の体質的な問題について。伊藤君からも話がございました。しかもこの問題については先ほど申し上げたとおり、私がこの問題について話を聞く十人のうちの十人までがそういうふうな印象を受けているという事実を、総理はもっと深刻に考えなければなりません。したがって、そんなことはありません、事実そういうことはありませんと言うだけではなくて、しかるべき方法を示さなければならない。その方法の中に先ほど申し上げたような、つまり訓練空域をはっきり別にする、あるいは今回の訓練については無謀であったというような事実だけははっきりしていかなければならない。総理、これはこういうふうな質問の場で抽象的なことばで適当に言い抜けていくという問題じゃないのです。私はそういうふうに考えるのですけれども総理の御所見をお伺いしたい。
  102. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま言われるとおりです。こういうことこそただいまの、すべて原因調査もやりますし、またこれからの訓練計画あるいは民間自衛隊機あるいはまた米軍機等との関係等をも調整をする、こういうことによりまして具体的に事態を解明する以外には方法はないと思います。したがって、この誤解を受けていること、それを解くことはなかなか困難だ。しかし最善を尽くすことによりまして国民も納得してくださるような措置をとりたい、かように思っております。
  103. 和田耕作

    和田(耕)委員 最後に、今度の事件の責任の問題について御質問申し上げたいのですけれども、この責任の問題についてはやはり直接刑事責任なる面が一つあると思います。もう一つは、先ほど伊藤君あるいはその他の委員から指摘があったように行政的な責任があると思います。自衛隊の幕僚長以下の問題があると思います。もう一つ政治責任があると思います。そういうふうな問題について先ほどからいろいろと答弁がありましたけれども、これはもし訓練計画というものに沿って二人の飛行士が誠実に実行したということになれば、その行政責任はどこまで行くと総理はお考えになっておりますか。防衛長庁官でもけっこうです。
  104. 西村直己

    西村(直)国務大臣 ちょっと失礼ですが、聞き漏らしましたので……。
  105. 和田耕作

    和田(耕)委員 もし今度の事故が、二人の飛行士の起こした事故訓練計画に基づいてやったという事実が明らかになってくれば、この責任はどこまで行きますかということです。
  106. 西村直己

    西村(直)国務大臣 責任の問題でございます。もちろん総理大臣最高指揮官としており、総理大臣は一般的な最高指揮官としての責任を持っておるし、また私は防衛庁長官としての、また実施部隊の最高である空幕長の責任もございましょう。また現地訓練計画を立案した者、あるいはそのもとにおいて行動をとった教官並びに現在問題になっておる加害者と申しますか加害の容疑者、そういうようないろいろな角度からのものがあります。事柄は軽重もございましょう。またこういうような大きな事故というものは単に内部的に軽重をはかるべきでなくて、国民の側から見た責任というものも当然あるだろうと思います。そこいらを十分勘案して私どもとしてはこの処置をとりたい、こう考えております。
  107. 和田耕作

    和田(耕)委員 もう時間もありませんからこれでやめますけれども責任の問題は、私は総理大臣にやめろということを申し上げてはおりません。またそれが適当だとは思っておりません。しかし総理は、わずか一月しかたたない防衛庁長官をやめさしたということだけでは問題は片づかない。むしろ一月で何もしてない防衛庁長官を首にしたということは形式的なことであって、その前に何年もやっておられた、むしろそういう方々に問題がある。しかしこれはおやめになっておれば責任のとりようはない。しかし総理はずっと続いてそれをやっておられる。そこでこの事故についてのつまり実態をしっかりと把握をして、そうして先ほどから総理がいろいろ述べておったことについてほんとう責任をもってこれを実行していくことがなければ、私は日本自衛隊なんかだめになると思いますよ、こういうことをほんとうにやらなければ。そういう問題についていいかげんな答弁ではなくて——またおそらくそういう気持ちはないと思います。総理は深刻な政治責任を感じておると思いますけれども、その点についてはこの委員会の公式の席上で重ねて要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  108. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど防衛庁長官からお答えいたしました。問題は政治責任行政上の責任と、やっぱり二つに分けてものごとを考えるほうがいいかと思っております。ただいまのお尋ねは後者についての問題で、先ほど来政治責任についてはいろいろ言われましたが、またいまの和田君の話も両方に関係する問題だろうと思っております。政治責任を果たす方法はいろいろあると思っております。私はただやめるだけで政治責任が果たせる、かように簡単には考えておりませんけれども事柄によっては引責辞職することも一つの方法だと思います。しかしこの問題で私はそこまで私自身が責任をとる考えのないことは先ほど来申したとおりであります。しかしあとの処置についても政治上の問題は当然真剣に取り組まなければならない。そういう意味国民の信をつなぐというそれについての努力をすることは当然であります。  また行政上の責任になりますと、ただいま検察当局もいろいろ捜査中でございます。そういうものを見た上でそれをどの辺までどの程度まで責任をとらすか。それぞれがやめることばかりが行政上の責任でもございませんし、これは訓告を含めて行政上の責任を考えるべきだ、かように私は考えております。
  109. 小峯柳多

  110. 東中光雄

    東中委員 今回の事故は非常な大惨事になったわけですけれども、その根本的なものは、結局日本の空がアメリカ軍と自衛隊によって思うままに軍事的に使われておるというところに一番基本の問題があるのじゃないか、こう思うわけであります。御承知のように横田エリア、東京、神奈川、静岡、山梨、新潟までに及ぶ大きなところがまだアメリカの航空管制の中に入っている。岩国エリアも同じであります。あるいはブルー14がある。大島から日光までアメリカ専用の軍用航空路がある。そのほか自衛隊はずいぶんたくさん特別の管制をやっていますし、訓練空域もずいぶん広いのがあります。こういう状態で軍事優先の体制、航空行政の基本にそれが入っておったということがこの事故の根本だと思うのですが、佐藤総理民間優先、安全第一、人命尊重の原則というものを貫く運輸行政に根本的な再検討をするということを談話でも言われておるわけですが、この軍事優先の日本航空行政の基本についてひとつどうされるか、御所見を承りたい。
  111. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問でございますが、横田エリアやブルー14、そういったような米軍との関係も、今回総理府で設置されました航空交通管制連絡協議会におきまして話をいま詰めまして、外務省も入っておりますので、それらも前向きで検討してまいっている次第でございます。
  112. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま丹羽君からお答えいたしましたように、私どもこの日本の空、たいへんな状態にいまなっております。御指摘になりましたように、民間航空、いわゆる民間の利用も非常に激増しておりますし、また非常に緻密な状態でありますし、その東京周辺において、しかも日本政府のとかく手が及ばないだろうと考えられる米軍基地がある、また岩国基地等もいまお話がございましたが、等々米軍関係しておる。そういうところでこの安全を確保するということはなかなか困難であります。まあ私はしかし、この三者連携を緊密にすることによって安全の確保は可能ではないかと思いますし、またそれなくしては空の安全は、安心して空の交通はできない、かように思いますので、これは前向きに積極的にこの問題と取り組んでいく、そうして問題を残さないようにしたい、かように考えておる次第であります。
  113. 東中光雄

    東中委員 先ほど運輸省自衛隊との覚書及び中央協定についての話が出ましたけれども、これで軍事優先の、あるいは自衛隊優先のことの規定があるということを指摘されておりましたが、私はその一番もとになっておるアメリカとの、日米合同委員会できめた合意書、ここが一番基本だと思うわけです。昭和三十四年の六月四日の合同委員会での航空交通管制に関する合意第三付属書、付属文書ですが、これが、内容的に見ますと、政府は概要しか発表してなくて内容自体はいまなお発表されておりませんけれども、この中身を見ますと、日本政府は防空責任担当機関、すなわち在日米軍自衛隊が保安管制を行なうことを認めるということを協定の中へ入れているようであります。さらにまた、防空業務に従事する航空機及びあらかじめ計画された戦術的演習に参加する航空機、これに航空交通管制承認の最優先権を与えることを認める、こういうことになっています。それから演習についても最優先権を与える、こういうことになっておるわけであります。さらに、在日米軍の要求に基づいて、民間、軍を問わずすべての航空機関に優先する空域制限(高度制限)を航空交通管制本部をして提供せしめる、こういう条項も入っている。まさにこの三十四年の日米合同委員会の合意書、これが日本の現在の航空を規制している軍事優先の一番基本になっていると思うのですが、いま総理の御答弁では再検討をしなければいかぬと言われているのですが、この合意書を破棄する。そのもとになっているのは地位協定であり日米安保条約です。これがいまの日本の空の、このふくそうした現状、これの基本でありますから、この合意書を廃棄する、あるいはその方向で検討するということをやられるかどうか。
  114. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 まあ取りきめ書を簡単に破棄とは言わないで、やっぱり十分検討してみる。おそらく私、その当時予測しなかったような空の混雑がただいまは起きておる、かように思いますので、その状態に適合するような覚書をすべきだろう、相互の意見調整すべきだろう、かように思いますので、十分検討したい、かように思っております。
  115. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、もう時間がございませんが、合意書を検討して変えていくという方向を出されたというふうにお聞きしていいと思うのですが、マイヤー大使と総理がいろいろお話しされたと聞いておりますけれども、そういう方向も含めてやられているのかどうか。
  116. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大使にも私自身が話をいたしまして、これはどうも米軍協力を得なければならない、そういうことでもうすでに口火は切ってあります。したがって、ただいまのような協定を実情に合うように、そういう方向で検討すべきだ、かように思っております。  私はいまの民間優先あるいは軍事優先だとかいうような議論よりも、安全確保のために軍もこういうようにする、民間もこういうようにする、それぞれがそれぞれのなすべき事柄があるのではないだろうか、かように思いますので、そういう点で不都合のないようにいたしたいものだ、かように思っております。それにはいままでの取りきめをやっぱり再検討する、それは当然のことだ、十分話し合っていきたい、かように思っております。
  117. 東中光雄

    東中委員 安保条約とそれに基づく合意書がいまの軍事優先の基本になっている。合意書の中にも軍事最優先ということばも使っているわけですから、こういう点は徹底的に変えてもらうということを、そして破棄してもらうということを強く要請して、私の質問を終わります。
  118. 小峯柳多

    小峯委員長 午後一時十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後一時二十二分開議
  119. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。  質疑を続行いたします。山口敏夫君。
  120. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 今回の件につきましては、やはり防げる事故を起こした、ここに責任はきわめて重大だと思います。特に、防衛庁長官の辞任だけでは済まされない内容を多分に含んでおる。空の過密がいわれてから久しいわけでありますし、同時に空中衝突一歩手前といわれる異常接近、こうしたものが昨年だけでも三十件近く出ているわけでありますし、ますますそれが増加の傾向を示しておるわけであります。「ばんだい号」事件の遭難のときに、航空専門家の方々が、もし次に事故が起こるとするならば、それは空中衝突であるということを指摘されておった。こうした点からいいましても、これらの過去の事故というものが、後の事故対策に全く生かされていないということがいえると私は思うわけであります。  そうした点におきまして、防衛庁長官、あるいは運輸大臣も、事故の原因の究明とその処理に重点が置かれておるようでございますが、もちろんそれらの問題は大切でございます。しかし、もうある程度原因というものは、前々から指摘をされておるという一つの事実を考えてみましても、やはり並行して行なうべき問題は、この航空管制の問題をどう実行するかという点に尽きると思います。  特に、民間あるいは自衛隊米軍というようなばらばらの問題を一元化していかなければならない。これは総理首相談話の中において、はっきりと明快におっしゃっておられることでありますけれども、しかし私は、やはり運輸省あるいは防衛庁、そうした役所の中における潜在的な一つの欠点というものが、今日のような大きな事故を引き起こしたのではないかと思うわけであります。  特に運輸省は、航空行政の総元締めでありながら、もう全くパイロットの不足、あるいはレーダーの問題にいたしましても、自衛隊の二十数カ所に対して民間は二カ所、また千歳や何かにおきましては、冬場雪や何かで滑走路が使えないと、自衛隊にその問題を処理を願っておるという面においては、物質的にもあるいは精神的にも、まさしくひさしを貸しておもやを取られているような状況すら、われわれ考えられ得るわけであります。したがって、やはり運輸省航空行政に対する一つの明確な姿勢というものは一体どうなっておるのか。同時に、これが単に航空管制という一言で尽きるわけでありますけれども、非常に専門的な分野を含んでおるわけでありまして、これはわれわれもともども、専門的な知識の欠如というものが、国会においても、各政府機関に対する追及やあるいは改善に対して、手ぬるい点もあったという面においては、われわれも率直に反省をしなければならないと私は思うわけでありますが、こうした一省の間だけで解決できる問題ではございませんが、運輸省あるいは防衛庁、さらにそれに関連する各役所が、いわゆる航空管制に対して直ちに抜本的な対策を立てるということを再三おっしゃっておりますけれども、具体的にどういう方法を講じようとされておるのか。特に、海における海難防止法のようなものを、空中事故防止法のようなものをつくられるのか、あるいはいつごろ、あるいはいつまでにそうした問題に対する国民方々の不安を、日本の空をいつ安全に飛べるのかということに対するお答えを、ひとつ両大臣から、それぞれの立場に立ってお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  121. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま山口委員からいろいろの御叱正をいただきました。まことに、身をもってお受けをしなければならない点が多々あると思う次第でございます。まずもっておわびをする次第でございます。「ばんだい号」事件が発生以来、引き続きまして一カ月足らずのうちにあれだけの大事故を起こしました。運輸行政交通行政責任者としてほんとう責任痛感しておる次第でございます。先ほど来総理からの御答弁がございましたが、犠牲者並びに御遺族に報いる道は、自後これらの航空事故によるそういったような大災害を絶滅を期するという気持ちで進まなければならぬというかたい決心をしている次第でございまして、自今、私ども、私はじめ運輸省全体、おそらく自衛隊もなおさらそのつもりでございましょうが、一体となりまして、これらの事故の絶滅を期する覚悟でこれから臨んでいく次第でございますので、まずもって御了承願いたいと思う次第でございます。  まず、第一点のお尋ねでございましたが、ニアミスが非常に多い。実は、申し上げますと、四十四年に、報告は二十件、四十五年二十八件、ことしは、四月まではまだ十二件でございますが、漸次ふえてきております。こういうような問題に対しまして、実はいろいろこれは弁解になりますけれども、あの行管の勧告が出ましてすぐあとにおきまして、運輸省防衛庁におきまして航空交通管制連絡懇談会をもちまして、逐次いろいろの協定をしようとして努力はしていた次第でございます。また、ニアミスにつきましては、四十二年に、異常接近防止対策分科会をつくりまして、両者においてやっておりまして、たとえてみますと、具体的の例といたしますと、東京、大阪、名古屋あるいは宮崎、鹿児島等の空港におきましては特別管制地域をつくりまして、このところを通るものはことごとく管制下に服するとか、いろいろのことをやっておりました。まだその点が、たとえば雲上の有視界飛行に対します夜間における禁止であるとか、これも一応実行に移しているようでございますが、昼間の点をどうするかというような問題、その他いろいろございます。もっともっときめこまかくそういったような方面につきまして、具体的に取りきめをしなければならない問題がございまして、その点をやろうといったやさきにこういったことが起こりまして、何とも申しわけない次第でございますが、先ほどから総理からお話がございました、中央交通安全対策会議のいわゆる下部機関として、先ほど申しました、総理府にあの事故後直ちに交通管制対策連絡協議会をつくりまして、各省から専門員を出しまして、連日いま総理府におきまして、しかも、これを各省を統一してやるというので、総務長官中心になりまして、運輸省、それから防衛庁、それから外務省、それから総理府というのが一体になりまして、これらを具体的に、できるものは早急にきめる。それから長期計画につきましても引き続き検討するということで、ただいませっかく検討を加えている次第でございまして、できるだけ早急に結論を得まして、そして国民皆さまの御不安をやわらげるように、管制の一元化につきまして前向きに努力している次第でございます。  また、施設その他におきましても、空港五カ年計画の安全施設につきまして、空港方面につきましては三年に繰り上げるとか、いろいろいま努力をしている次第でございまして、引き続き努力をいたしまして、御期待に沿い、国民の不安を除きたい、こう思っている次第でございます。
  122. 西村直己

    西村(直)国務大臣 山口さんの御所見は、全面的に私は同感でございます。したがいまして、今回の事故は、自衛隊全部をあげまして、私は不断に心にかみしめていかなければならない。先ほど来軍事優先というおしかりもございました。私どもは、一応法律的には軍事優先ではなくても、実際の行動の場面においてそういうことが万一にもあったらこれはいけない。国民のための自衛隊国民の手による協力による自衛隊、その中においての航空安全を第一義として、しかし、与えられた任務は一生懸命やってまいる、こういう姿勢でまいりたいと思います。  ただいま当面の措置としては、運輸大臣からお話がございましたように、遺家族の方々に対する問題あるいは事故調査等もございます。大事なことでございますが、同時に、いわゆる前向きの航空交通管制、これに対しての具体策をすみやかに結論を得る。しかし、この場合におきましても、各省それぞれの任務がございます、職責がございます。しかし、総理中心に、私どもとしてはどうしてもこれはお互いにきちっとしたものを一致させ、これもすみやかに一致させてやってまいりたい。具体的には、おそらく発進地域の管制圏と申しますか、管制空域の問題、訓練空域の問題、それから通行路と申しますか、回廊と申しますか、そういうような問題をやはり詰めてまいると同時に、米軍とのいわゆる強い協力を求めていく、こういうふうに進めてまいりたいと思います。
  123. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 いま防衛長官から軍事優先の心配の点について触れられましたけれども、同時に、航空行政における抜本的な改正が早急になされなければならない。と同時に、こうした制度だけでは事故がなくなるとは思いません。やはりそれを運用する人の問題、特に今回の事件、事故というものは、やはり自衛隊関係者方々の姿勢というものがくしくも出てしまったのではないかという心配もわれわれするわけであります。特に、この隈一尉の発言に見られますように、この点につきましては長官はじめ関係者方々が遺憾の意を表明しておりますけれども、やはり私は戦後教育を受けた立場でありますが、戦前における、軍国主義下における軍人の気持ちというものは、こういう隈一尉の発言の中に共通点があるのではないかという心配をするわけであります。もちろん、時代が違いますし、同じ政府の文部省におきましても、人命尊重というものは高らかにうたっておるわけでありますし、また同時に、それを平和な民主的な社会の中で、それぞれの立場において生かしていくということを教えておるわけでありますけれども、やはり私はこの自衛隊の中で、   〔小峯運輸委員長退席、伊能内閣委員長着席〕 いわゆる隊員教育の中で、人命尊重という点についてどういう具体的な教育がなされておるのか。特にこれは自衛隊に限らずとも、やはりどのような職業の方であれ、その職業に徹した立場に立った考え方というものが当然出てくる。ですからこの隈一尉の発言に対して、非常に世論はきびしい批判を浴びせておるわけでありますけれども、しかし、ある意味においては、私は隈一尉が戦闘訓練の積み重ねの中でそうした考え方にだんだん思考が移行するということは、十二分その危険なわなといいますか、落とし穴的なものを感ずるわけであります。  ですから、そうしたものをやはり軌道修正して、ほんとう国民のための、国民生命と財産と安全というものを確保するための自衛隊というあり方に徹しさせるのが、私はシビリアンコントロールだと思うわけであります。政府はじめ防衛庁の幹部の方々も、常日ごろ、わが国の軍国主義云々に対する批判に対して、シビリアンコントロールを十分施しておるということを言っておるわけでありますけれども、現実に出てくる問題点の中からそれをとらえるならば、はたしてシビリアンコントロールが十二分円滑に行なわれているのだろうかという心配をわれわれは持ちます。それに対する長官のお答えと、同時に、こうした現状においてすらもこうした部分的な問題が出てくる、こういう背景を持ちながら、なおかつあるいは四次防という形の中において、五千数百億円にものぼるこの防衛整備計画を続けてやっていくのか。さらに五次防、六次防という形で膨大な軍事予算あるいは防衛予算というものを、はたして現在でもこういう問題点を残しながら、防衛長官としてあるいは政府として、この強力な防衛力あるいはそれを管理運営する自衛隊を、十二分に管理指導でき得るのかどうか、その辺の問題点について、ひとつ明快なお答えをいただきたいと思います。
  124. 西村直己

    西村(直)国務大臣 自衛隊におきまする教育の問題は、非常に大事な問題でございます。私の考えは、現代の自衛隊員も御存じのとおり青年であります。現代の青年には、青年のまたよさもございます。しかし、同時にその指導教育が間違っている場合には、また悪い面も出る。特に、航空におきましては、何としても非常に速力の速い近代的な性能の、いわゆる全体が武器であるようなものを使うわけであります。それだけに、よほど航空については十分な教育をしなければならぬ。特に、それは安全、人命尊重。そこで具体的には事務当局から教育課程等も申し上げてもいいのでありますが、省略をいたしますが、基礎教育におきましても、すべて事故を起こすな、人命の尊重あるいは安全教育というものに非常に、まず技術を教える前にいろいろな角度から教えてはおります。しかし、全体の風潮の中で、もしそれが具体的な行動で誤っておれば、これは私どもがやはり不断にこれからも気をつけてまいらなければならぬと思うのであります。したがって、教育の問題につきましては、もうシビリアンコントロールという観念の問題ではなくして、われわれ、またわれわれに相連なる各機関の諸君に、十分徹して教育をしてまいりたいと思います。  それから四次防の関係であります。確かに現在防衛庁は一つの四次防に対する案を持ちまして、そうして、まだこれから十分時間をかけて審議する、この過程におきまして、こういう事故が起こったわけであります。四次防自体は、現在の私ども政府の、防衛庁立場でございます。まだ他の政府機関はいろいろな意見を持っておられるが、それにおきましては、現在の国際内外の情勢の中においての国土の防衛には、この程度が必要であるという判定のもとにつくり上げたものでございます。しかし同時に、これからいろいろな、その内容につきまして検討を加える段階におきまして、今回の事故そのものを、あるいは航空の安全というものの観点から、その部分からは当然反映さるべきものは反映さしてまいりたい。ただ、全体を全部洗い直して、全然体質の違ったものにするかというような考えはございませんが、現在、これだけ大きな事故を起こしました航空安全の観点からの反省というものはやってまいりたい、こう考えております。
  125. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員 時間をいただきまして関連。  私は観点を変えまして、現実に立ち返って遺族方々に思いをいたしながら、質問を加味しながら、御要望を申し上げる次第でございます。  私、富士市出身の議員として、このたびの惨事につきまして、全く向けようのない、ふんまんやる方ない気持ちで終始してまいったわけでございます。午前中、あるいはまたいま山口議員から、自衛隊のあり方、航空行政全般について、大所高所から国のあり方というものについてきびしい質問等がなされておりますので、私は現実に立ち返って、遺族立場として申し上げる次第でございます。  このたびの惨事が、非常にまれに見るといいますか、初めての惨事であったということは、加害者が国であるということ、しかも、被害者が戦没者遺族が大部分であるということであります。私、三時半にニュースを聞きまして、富士市役所から遺族を送り出して羽田へ参り、その晩の十二時、仕立てていただいた飛行機で安庭へ飛び、五時ちょっと過ぎでございますが着きまして、遺体収容、検視確認に立ち会いまして、一応皆さん方の収容がなされたところで帰ってまいったわけでございます。その間、地元の方々、特に安庭の町内の方々にはたいへんお世話になりまして、あらためてお礼を申し上げる次第でございますが、その間、やはり加害者の同僚として、自衛隊の若い諸君が、二十代前後の諸君が、顔をこわばらせ、自分がいかにも加害者の気持ちでありましょう、非常に黙々として遺体収容に終始されておったことは、私は、問題は問題として、若い諸君にはほんとうに気の毒であったようにも考えます。  それはそれとして、私がここでいま申し上げましたように、加害者が国であるということ、被害者が戦没者の遺族が大部分であるということ等の観点から、遺族に対するいろいろな面の配慮を、今度の場合はしゃくし定木ではなく、規則あるいは規約だというような役所的な考えではなく、むしろ国の犠牲になった方々であるということにほんとうにお考えを置いていただいて、、ぜひ十二分な配慮をお願い申し上げたい次第でございます。  先ごろのBOACの事故の当時も、英国、米国の被害者への補償の高などを見ましても、日本の国の補償があまりにも少な過ぎるということ、これは一例でございますが、しかし、今度の場合は全然違うということに、ぜひ思いをいたしていただきたいわけであります。  戦後二十有五年、戦没家族というものに対する国の待遇というものは、必ずしも十二分ではありませんでした。つえとも柱とも頼まれる御主人を、子供さんを、兄弟をなくした方々が、戦後どのような苦しい生活をしてきたか。恵まれていない家族たちが、このたびまた国の関係によって被害を受けたということに、ぜひ思いをいたしていただきたいわけであります。つい先ごろも傷痍軍人の会がありまして、私いい機会でありますから申し上げますが、第一款症、両手両足を国にささげたその方々の年金等が非常に過小であるということ、いわゆる国に殉じた方々に対して——こうしたことを契機に、まじめな自衛隊員を育て、まじめな自衛というものに対する国民的意識を考えるならば、戦没者遺族に対し、あるいは戦傷者に対して、十二分な配慮をぜひこの際お願いを申し上げる次第でございます。重ねて遺族に対して、このたびは非常に違う視点において、ぜひ十二分な御配慮をお願い申し上げまして、私の質問にかえさせていただく次第でございます。ありがとうございました。どちらか大臣ひとつ御意見お願いいたします。
  126. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま斉藤委員からの御質問でございますが、今回の事故につきまして、ことに地元の議員といたしまして現地おいでくだされ、またいろいろ御心痛、ほんとうに申しわけないと思っている次第でございます。私どもといたしましては、先ほども総理からお話がございましたとおり、もとよりかけがえのない犠牲者に対しまして、いかなる金銭的報いをいたしましても、これは足りるものではございませんが、今回の事故の特殊性にかんがみまして、あらゆる限りのひとつ御慰問を申し上げたい、こういうふうに思っている次第でございます。  実は、ただいま私が事故対策本部の本部長をいたしておりまして、その方面につきましても具体的にいろいろ問題を詰めている次第でございまして、ただに会社だけでなく、政府が表に、一緒に協力をいたしましていろいろ万全の策を講じたい、こう思っている次第でございますので、御了解を得たいと思う次第でございます。
  127. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 丹羽久章君。
  128. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 委員長のお許しを得ましたので、このたびの全日空機自衛隊機との接触事故について、あやまちを二度と繰り返さないよう、航空交通安全対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  思えば、この旅行者の人たちは、スチュワーデスの配るお茶とお菓子をかたわらに、おみやげと旅の話に胸をふくらませて、楽しく家路への旅を続けていたことでありましょう。間もなく松島上空、そしてあと四十分で東京と喜び合っていたとき、この平和な百六十二名の命は、運命というにはまことにむごく、一瞬のうちに自衛隊機と衝突してとうとい命が失われたことは、残念でなりません。こんな残酷な悲劇がありましょうか。私は、なくなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、御遺族に対しまして、衷心よりお悔やみを申し上げる次第であります。  さて私は、限られた時間でありますので、二、三の点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、運輸省所管についてお伺いいたします。  国民大衆は、空の交通整理は整然と行なわれ、空中衝突などは夢にも考えたことはなく、空の旅を楽しんでいたのが実情でありましょう。いまやニアミスということば国民に耳なれたものになってしまったことは、まことに残念なことでありますが、運輸省は、こうした事実があったとするなら、運輸省調査によるニアミス件数を公表していただきたいと思います。
  129. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほども質問委員にもお答えをいたしましたが、ニアミス件数の報告の参りましたものは、一昨年四十四年で二十件、四十五年で二十八件、本年は四月まで十二件、計六十件でございます。
  130. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いま大臣がニアミスの件数に対して、四十四年は二十件、四十五年は二十八件、四十六年はただいままでに十二件という公表をされましたけれども、届け出のあった件数と実際とは、私は相当違うと思いますが、この点はどうでありましょうか。
  131. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま丹羽委員から御指摘のとおり、私も相当内輪ではないか、こういうように思っている次第であります。
  132. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣、内輪ということはどういうことでしょうか。
  133. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま申しましたのは、報告のあった件数でございます。報告されなくて、やはりニアミスに近いものが相当あったのじゃないかと思っている次第でございます。
  134. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私は、これで論じ合おうとは思っておりませんけれども報告と現実とは相当まだ数が違うと思います。その点について十分考慮をしていただきたいと思いますが、航空法の施行規則によると、民間定期航空路を横切るときのルールが取りきめてあるが、このルールどおりに自衛隊機が航行しておれば、事故は起きなかったと思うのです。またニアミスも起こらないはずですが、現実に毎年毎年相当件数のニアミスが起こっているが、その危険の回避のために、いままでそういう報告があった場合、どのような運輸省としては処置をとっていらっしゃったか、その点についてひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  135. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ニアミス防止につきましては、先ほどもお答えをいたしましたとおり、運輸省防衛庁の間におきまして、異常接近防止対策分科会を設けておりまして、それによりまして連絡をいたしまして、たとえて申しますると、空港付近につきましては特別航空管制空域を設ける——これはいま五カ所設けております——とか、あるいはまた夜間雲上飛行につきましての有視界飛行を禁止するとか、そういうようなことも、すでに協議事項といたして実施をしている次第でございます。なおまた昼間雲上有視界飛行につきまして禁止をするとか、それから、今度は新しい航空路につきまするところの、そういったような規制をするとかいうような問題を、ただいま緊急にこれを専門官が協議をいたしまして決定をしよう、こういうことをいたしている次第でございます。  それからまた地方空港その他につきましては、地方の関係官が相寄りまして互いに協議をいたしまして、これらの点につきまして協議をいたしている次第でございますが、今回の事故にかんがみまして、さらにもっと綿密なるところの、やはり空域を明確にしなくちゃいかぬというような点にかんがみまして、早急にこれらを実施する覚悟でやっている次第でございます。
  136. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいま大臣からそういう報告を聞いて、そのつどそれに対する対策をしたとおっしゃっておりますけれども、私は十分でなかったということはいえるだろうと思います。  そこで、今度防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、新しく就任しでいただいた防衛庁長官でありますけれども防衛庁はニアミスについてパイロットより報告を聞いていらっしゃったか、どうでありましょうか。
  137. 西村直己

    西村(直)国務大臣 防衛庁自体としましても、ニアミスに対しましては、運輸省の通達によって運輸省に通報する、同時に、防衛庁では航空自衛隊において、「航空機運航上の危険報告に関する通達」が出ておりまして、それに基づいて陸上、海上並びに航空についてこういう報告をさしているわけであります。  最近の発生件数は、昭和四十四年度七件、これは自衛隊機民間機、それから昭和四十五年度は十三件という報告は一応出ておるのでありますが、運輸省との関係が違いますのは、自衛隊機同士の接近もこの中に入っているような形になっていると思います。  そこで、防衛庁としまして、自衛隊のニアミスの増加についての態度でございます。この問題は、ニアミス問題は、ここ数年来相当その専用筋、関心の強い方面ではいわれておった問題でございまして、確かに今日の事故を起こしたということは、これは非常に申しわけないことでありますが、防衛庁としましては昨年、特に七月から十二月までの間に異常接近、ニアミスに関する事項を中心に、飛行安全の特別監査をずっと続けて、かなりいろいろな膨大な資料はつくり、それに基づいての特別監査をやっております。それによりまして、あるいはパイロットの見張りの強化とか、地上レーダーによる航空機の監視、民間交通量の多い地域においての飛行訓練の制限、それから横断する場合は最短距離でいくとか、それから早期回避動作、いわゆる危険を避けるというための早期回避動作の励行などを指導監督はいたしておる。その他自衛隊機については、特殊機材によってレーダースコープの上に特殊な表示、通信がお互いにできるような設備、こういうものにつとめておるのでありますが、しかし、これだけではまだ十分でない点があるのでございまして、今後ともニアミス問題について、むしろその基本になるところの管制空域等について十分な対策を立ててまいりたい、こう考えております。
  138. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 全日空機に衝突した自衛隊のジェット戦闘機は、訓練中のものであったと聞いておりますが、これを契機として、従来からややもすればおざなりになっておりました航空路訓練空域の分離が大きく叫ばれて、政府においてもこのたびの事故にかんがみて、総理府に新たに設けた航空交通官制連絡協議会というものがあるそうですが、これで検討調整中と聞いているが、そこでお尋ねをいたします。  民間のパイロットは、いままで一体どこで大型ジェット旅客機の訓練を行なっていたのでしょうか、まずこの点お伺いいたしたいと思います。
  139. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 民間のパイロットは、大型のジェット機の訓練につきましては、大体アメリカで行なっておるいまの現状でございます。それで日本航空では、米国のモーゼスレーク空港にジェット機乗員訓練所を持っておりまして、ここでボーイング747、727型機及びダグラスDC8型の型式限定のための実地訓練を行なっている現状でございます。国外訓練につきましては、年間約三十三億円の経費を使ってやっておる次第であります。また全日本空輸では、ボーイング727及び737の同様の訓練を、米国のPSAに委託して訓練をいたしておりまして、その委託費は年間約六億五千万円でございます。
  140. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいま聞きますと、民間の大型ジェット機はアメリカ、外国でやっておるということでありまするが、防衛庁が国内で訓練しておるのに、民間パイロットの大型ジェットの旅客機の訓練を外国で実施しておるということは、日本としては、はたして好ましいことでありましょうか。民間パイロットの大型機訓練専用飛行場を国内に設けるべきだと思うが、運輸大臣はどうお考えにおっておりますか。こういうようなたいへんな費用を使って外国で訓練をするというよりも、国内で飛行場を専門的に持つことを考えたほうがいいと思いますが、あなたのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  141. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま丹羽委員からの仰せのとおりでございまして、私も国内にぜひ持ちたい、こういうように思っておる次第でございます。
  142. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 先ほど防衛庁長官が御答弁になりましたけれども防衛庁調査によってもニアミス件数は非常に多いのですよ。パイロットアンケートで見ましても、四十二年に三十九件、四十三年に五十八件、四十四年に六十九件というのでありますが、現在までにパイロットに対していかなる指導をしていらっしゃいましたか、その点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  143. 西村直己

    西村(直)国務大臣 先ほどちょっと触れましたが、パイロットの教育においてまずできるだけ事故防止、これを考えております。  それからもう一つは、昨年特別な監査を約半年にわたりまして、ニアミスを中心にやったわけであります。そしてアンケートはもちろんのこと、実際の届け出、いろいろなものを材料にし、また特別な監査をやると同時に、それに基づきまして各種の指導を行なっておるわけであります。特にパイロットの見張りの強化であります。それから地上レーダーによる航空機の監視の強化、それから民間機の交通量の多い地域、もちろんこれは管制上いろいろ制限を受けておりますが、その中での有視界飛行の訓練の制限、それから横断する場合の最短距離の方法、一番大事なのは、大型のジェット機に比べれば自衛隊機は戦闘機で小型でありますから、回避活動が簡単にできるわけでありますから、回避活動の励行、これの訓練、こういうことをやってまいったわけであります。
  144. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 このようなニアミスに対しまして、運輸省防衛庁は、両省相寄って、こういう問題に対して、ひとつ解決をしなければならぬというような協議をせられた事実はあるでしょうか。
  145. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございます。もうすでにそういった異常接近防止対策分科会を開いております。逐次いままでやっていた次第であります。今回は、さらにこういったような重大過失をいたしましたにかんがみまして、直ちにあの事故の翌日から総理府に、先ほどから何べんも申しましたとおり連絡協議会を設けまして、早急に結論を出すように、各省から専門官を出しまして、ただいませっかく検討中でございます。
  146. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私の調査したところによりますと、そういう自衛隊運輸省とが合同的にやられた会議というのはあまりないように思うんですがね。大臣、やってきたとおっしゃればそれでけっこうだと思います。しかしこの問題は、このニアミスに対しては比較的軽い考え方であったのが事故の原因にもなったと思うのです。だから、そういう意見は出てきたときには尊重していただかなければ、こういうような事故が次から次とまた起きるだろうと思いますから、そういう点について十分な、どんな声でも耳を傾けて実行に移していくというのは、政府責任だと私は思うのです。きょうも質問のうちにありましたが、いまから十年ほど前に自衛隊の指定訓練飛行空域中に定期航空路があり、衝突事故のおそれありと行管から運輸防衛両省に対策を勧告しておりますが、そういうようなことが実際勧告せられて、そのときの行管に対する答えは、運輸省は安全の確保につとめたいという答えをちゃんと出している。これは私はそれでいいと思うのです。そのような心配りがあったろうと思うが、防衛庁は回答を出さなかった。私はあえてこれを指摘してこの場でとやかくいうものでないのですが、軽視しておる、十年前のことでありますけれども……。すでにそのときにもっと心を配っておったならば、そういうことはなかったと思うのですが、いかがですか。そんなことに答弁を得ようとは思っておりませんけれども、もう少ししっかりとやってもらわなければいかぬと思うのです。そういうようなことがあるとするならば、怠慢であると言わざるを得ません。だから答弁は別としまして、もっとしっかりしてください。(発言する者あり)お静かに願います。  時間がありませんので、今度は第三点について聞きたいと思いますが、特に外務大臣代理の木村大臣おいでいただいておりますが、今度の事故は、日本の空では自衛隊米軍の軍用機がすべての面で優先されているということが根本原因になって発生したと言う人が非常に多いのでありますし、私どももそういう観念を持つものであります。  そこで、民間機優先の航空施策を今後強力に推進するにあたっては、米軍に対して、航空保安上の問題について協力を要請する必要があると思いますが、この点について、戦後米軍がつくった航空路は、現在のジェット化してきた時代に対応するには非常に困難だと思います。そういう意味から、航空ルートの再編が必要と思われますが、米側に対して協力を要請せられましたかどうでございましょうか。
  147. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 今回の事故に際しまして、さっそく米マイヤー大使が総理のところ、また私のところへ参りまして、今回の事故に対して弔意を表するとともに、今後わが政府がとるべきであろう航空管制措置については全面的に協力をしたい、こういう申し入れがございました。今回政府が、今後とるべき新しい航空管制措置については、もちろん政府からあらためて米側に対して協力の申し入れをする所存でございます。
  148. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣、ぜひその点をすみやかに実施していただきたい。そして、そのように話し合いをつけていただきたいとお願いいたします。  最後になりましたが、警察庁所管について少しお伺いいたしたいと思います。  事故発生以来、遺体収容に昼夜を分かたず御努力してくださいました地元の警察官や関係者には、私は心からお礼を申し上げますが、遺族にとって耐えがたきミスが今回も起こっております。それは遺体確認に際してあやまちがあったということでありますが、打ち砕かれた遺族の心を思うとき、遺体の誤認は全く許されないことだと思います。起こしてはならないこのようなことが起きたわけでありますが、この点については今後どのような科学的な、誤認のないような方法をお考えになっているのか、ひとつ公安委員長より御答弁いただきたいと思います。
  149. 中村寅太

    ○中村国務大臣 ただいま御質問のありました遺体の問題でございますが、御承知のように遺体が次々に見つかりまして、それを遺族方々に見ていただきまして、そうしてこれは自分のうちの者であるという確認が得ました場合に、いろいろ、どういうところで自分のうちの者であるということを確認せられましたか、その根拠等を十分承りまして、大体間違いないと思う遺体は家族にお渡ししてまいったわけでございますが、最後の段階になりまして二遺体だけ引き取り手がないという困った状態になったのであります。  そこで遺体を収容いたしますときに、ほとんどの方々の指紋をとっておったのであります。そして犠牲者方々の家庭における指紋等極力集めまして、その家庭の中にありましたなくなられた方の指紋と遺体の指紋と照合しながらいろいろ検討したのでありますが、三、四体間違いがありまして、それは正常に相談をして納得していただいてお渡ししたのでありますが、いま二体だけまだ残っておりまして、これがなかなか照合が合わないで困っておりますけれども、いま申し上げますような、家庭の中の指紋等を厳密にとります。それから遺体のない方の、年齢等を参考にいたしましてずっと条件を詰めてまいりまして、きょうあすにはぜひ遺体を返すことのできるような処置を、いま鋭意とっておる段階でございます。
  150. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 国家公安委員長に申し上げますが、御努力せられて、遺体の間違いのないようにというお考えはよくわかりますが、現実はそういう問題が起きておりますから、どうかひとつ、泣くにも泣けない悲しみの中の、せめて遺体だけはというその気持ちに対して、十分な注意をしていただきますように心からお願いいたしたいと思います。  時間が参りましたので私の質問を打ち切りますが、防衛庁長官運輸大臣、外務大臣に御答弁いただきました。どうかこの答弁を実る答弁にしていただきたい。再び事故を繰り返さない、ほんとうに安心して空を飛べる体制を、この際心引き締めてやっていただくことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうぞよろしく……。
  151. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 後藤俊男君。
  152. 後藤俊男

    ○後藤委員 まず最初に、防衛庁長官にお尋ねするわけですが、三十日の自衛隊機全日空機の空中衝突の事故をめぐりまして、自衛隊の教育訓練のあり方、さらに軍事優先とする危険な体質、これらに対しまして世論のきびしい批判がある、これはもう私が申し上げるまでもないと思います。午前中総理大臣の一番最初のことばの中にもあったわけでございますけれども防衛庁長官が引責辞職をしたからといって、政府の重大な責任が解除されたというような、なまやさしい問題ではないと私は思います。  そこで問題の根本は、この種の事故を今後一切起こさないこと、そのためには自衛隊機の、いわば訓練機の訓練空域の問題やら、あるいは管制等の問題等にも、これから順次真剣なる検討が進められると思いますけれども、それとあわせて重要なことは、隈一尉が記者会見の席でも漏らしております、訓練第一の軍事優先の思想をそのままとするならば、この種の事故を絶対に撲滅することはできない。たとえば隈一尉は、戦闘訓練中に、上に飛行機があろうと、下に飛行機があろうと、そんなことにかまっておられぬ。これがいわば自衛隊訓練思想と申しまするか、戦争思想と申しましょうか、その本音を吐いたのではないかということも、新聞等でかなり報道をいたしておるわけでございます。  そこで、今度の事件によりまして、国民の間で、自衛隊に対するところの疑念というのはまことに深いと思います。これまた午前中にも話が出たと思いますけれども、なくなられた人の遺族は、自衛隊がなかったら、こういうような悲壮なことばも吐かれておることも新聞で報道されておるとおりでございます。  ところが、二日の参議院の内閣委員会におきまして、長官としては、先ほど山口議員のほうからも話が出ておりましたけれども、第四次防とは直接関係がない、四次防の計画そのものにつきましては、世界の情勢その他、国内の力その他を考えてやっておるのだから直接関係がない、こういうふうな答弁を参議院の内閣委員会におきまして、二日の日に答弁をされております。そこで私は、この第四次防は膨大なる予算をもちまして装備を拡張するわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、隅一尉が考えておるような精神のもとにおける、その体質における自衛隊であったとするならば、さらにその体質が大きくなってきて、事故を起こす危険性、機会というのは非常にふえる、こういうふうにもこれは考えざるを得ぬわけでございます。  そこで問題になりますのは、それなら自衛隊の、朝日新聞なりその他新聞で、社説で論評いたしておりますように、先ほども申し上げましたが、管制問題なりあるいは訓練空域の問題等もありましょうけれども、まず第一番に考えなければいけないのは、自衛隊の体質の問題である、これが第一番である、これを改めずしてこの種の事故を防止することはできないのだ、こういうふうなことも多くの人が語っておることは、長官としても十分御承知であろうと思います。そうなってまいりますと、それなら一体この自衛隊の、いま申し上げましたような体質を、いかようにして長官としては、いま私が申し上げましたような方向へ体質を変えていくか。なるほど管制問題なり、あるいは訓練空域の問題なり、あるいは特別管制空域の問題等につきましては、それは専門家が語り合えば、いろいろとこれは改正するところはできるであろうと思いますけれども、いま申し上げましたような自衛隊の体質を、いま直ちに一ぺんにここで変える、このことは非常に困難な話ですけれども、それをやらなければ、この種の事故を撲滅することはできない。こうなってまいりますと、これはたいへんなことだと考えるわけでございますけれども、いま申し上げましたような方向に対する長官としての今日の考え方はどうであろうか。さらに、相変わらずやはり四次防とは関係がないのだ、今度の事故につきましては、事故に対する対策はやるけれども、四次防は四次防としてどんどんやっていくのだ、こういうようなお考えであるのかどうか、その点をひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  153. 西村直己

    西村(直)国務大臣 おっしゃる中で、一番の基本は、自衛隊がやはり日本自衛隊、その原点に帰ってまず反省すべきだ、これが私の基本方針でございます。言いかえますれば、自衛隊があっても、今度のように多数の、いわゆる関係のない、しかも遺家族を中心にした方々を殺してしまうということ自体は、自衛隊の存在を基本からゆるがす問題でもあります。あくまでも私ども国民のための自衛隊でなければいかぬ。そのための訓練でございます。その観点に、原点に立ってすべては考えていく。従来ももちろんその観点に立っておったと私は信じておりますが、しかし、なかなかそれが、はたしてほんとうに第一線の動作をとる場合にまでその観念が浸透しておったかどうか、それがたまたま、そういう新聞に載るような言動であったかもしれませんが、そういうことのないような原点に立ってまいる。しかし、同時に国の自衛というものは、またこれ国民を守るものでもございますから、やはりわれわれは憲法に従い、法律に従って、国会の御審議の経過に従って、そうして自衛隊というもの自体の任務を果たさしていかなければならぬ。そのための組織、またそのための必要なる士気というものは保持をさせなければならない、訓練もやらなければならない、こういう考え方に基本を置きたいと思います。  そして四次防でございます。これも今日の日本の諸情勢から見まして、あらゆる角度から相当の年数をかけて検討してまいりましたものでございます。言いかえますれば、これはお金と物資とあるいは人件費というようなものがかたまり合ったものでございますから、これ自体は、これから政府部内の各機関で検討していただく。同時に、今回の事故というものがございましたが、それは安全、人命尊重というような面からのやはり反映はしなければならぬ。しかしこれを、四次防というものを、それじゃ大き過ぎるかどうか、あるいは内容が悪いかという面は、御批判はこれからも十分聞かなければなりませんけれども、基本的ないわゆる計画そのものを、全体をくずすというような考えはなく、しかし、今回の時点における状況というものは十分その中へ反映さしていきたい、こういう考え方でございます。
  154. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、重ねてお尋ねしますが、現在の自衛隊の体質というのは、現在でよいのかどうか。それが悪いというのなら、どこが一体悪いのか、悪い点はどういうふうにして直すのか、その点のお答えをいただきたいと思います。
  155. 西村直己

    西村(直)国務大臣 非常に大きな事故の中でこういうことを申して、あるいは御意見があるかもしれませんが、陸上のあの若い隊員が出まして、そうして一生懸命になって作業いたしました。これはやはり国民に対する奉仕の自衛隊の精神のあらわれでもございます。当然といえば当然でございますが、やはりああいうような気持ちを、訓練の場においてもわれわれ自衛隊というものは、国民のために訓練をしているのだと、こういう気持ちの中で自衛隊というものをやらしてまいりたい、こういうふうに思うのでございます。
  156. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま長官が言われましたことは、日本の国を守るためにああいう激しい訓練をしておるのだ、そのことはこれはわからぬこともないわけなんです。しかしながら、私の言わんとするのはそのことではなしに、たとえば今回起こりましたこの空中衝突事故につきまして、おそらく訓練空域の中でやっておられたと思うのです。ところが、それが航空路へはみ出してきた。はみ出したところで、いわゆる飛行機の高低に間違いがありましてああいう衝突事故になったのだ、こう私は思うわけなんです。そこで、隈一尉の言っておるのは、なるほど訓練空域はありますけれども、たとえば訓練空域の中を飛行機を操縦しておりましても、これが訓練空域だろうか、これが訓練空域だろうか、どこかに飛行機がおるのじゃないだろうか、そんなことを気にしておったんじゃ戦闘の訓練はできない。これははからずも本音として吐いたのではないかということは、これは私だけではなしに、国民の多くの皆さんが耳を傾けて聞いておると思うのです。そういうようなことが今後もあり得るとするならば、この種の事故の撲滅ということはできないのじゃないか。それを一体どうなさるつもりですか、どういうふうに指導をなさるのですか。その精神というのがやはり、自衛隊の体質全部だとは言いませんけれども、そういう体質を持っておる自衛隊のその体質をどうなさるつもりですか。それを変えない以上におきましては、再びこういうふうな事故が絶対起こらないということは、私、断言できないような気がするわけなんです。その点を私は長官質問をいたしておるわけです。
  157. 西村直己

    西村(直)国務大臣 率直に申し上げます。私は、全自衛隊の体質ではないと思います。もちろんその中にも、一部あるかもしれません。それから特にパイロットというものの、これは民間のパイロットにも多少あるのでありますが、大空をあの速いスピードで飛ぶという一つのパイロット気質と申しますか、そういうものが、うっかりすると基準を守らないでいくという傾向がつきやすい。したがって、私は航空自衛隊、特にパイロットの教育、これに対しましては、国を守ることも大事でありますが、人命尊重、安全、これにしっかり基準を置いてまいりたい、こう考えております。
  158. 後藤俊男

    ○後藤委員 この問題につきましては、私、非常に重要な点であろうと思うわけです。ですが、しかし問題は、自衛隊の体質そのものが、今後もこのような現状のまま進んでいき、第四次防だ、第五次防だということで、どんどん装備が拡張されていくとなりますと、さらにこの種の事故の危険度というものは非常に多くなってくる。ですから、このことにつきましては、長官としてもひとつしっかりと胸におさめておいていただきたいと思います。  それから、その次の問題としましては、先ほど丹羽議員のほうから異常接近の問題が出ました。先ほど運輸大臣が昨年、一昨年にはどれだけあった、これだけあったという御説明がありましたが、私、聞き漏らしたわけですが、自衛隊機との関係のニアミスは一体どれだけあったか、その点をお尋ねいたしたいと思います。全部のことはもうけっこうです。
  159. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私のほうでは、ニアミスにつきまして、航空自衛隊においては「航空機運航上の危険報告に関する通達」によって、陸上自衛隊及び海上自衛隊においては「航空交通管制業務概況報告」、この二本立てで報告を義務づけております。  そこで、最近の発生件数でありますが、自衛隊機民間機のニアミス、これが昭和四十四年度七件、四十五年度十三件という義務による報告が出ております。ただし、アンケート調査によると、これよりは、先ほど御質問をなさいました場合に出ましたように、もう少し数が多い、こういうことです。
  160. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま言われました七件と十三件ですか、これは、いま長官もおっしゃった報告のあったものだけでございまして、去年の十二月十六日の交通安全対策特別委員会におけるある議員の質問に対しても、一応お答えはあったわけですけれども、その報告のありました大体五倍ないし十倍ぐらいの異常接近、いわゆるニアミスの事故がある。これは航空局の専門家の責任者が答弁をしておられるわけでございます。  そこで、これまた八月一日の新聞でございますけれども、パイロット七名に対しましてこのニアミス問題について、新聞記者の皆さんがいろいろと話を聞いておられます。その七人のパイロットの中で、四名までが自衛隊機とのニアミス経験者でございます。非常にあぶなかった、七人のうち半分以上の人が、自衛隊機といままさに接触、いわば空中衝突寸前であった。ですから、そういう経験を得ましてから今日まで、どれくらいわれわれはこれに対する対策をひとつ立ててもらいたいと、もう終始要求を続けてまいったかというようなことも、国民の皆さんに新聞記事として報道されております。  それからまた、私の聞くところによりますと、昭和三十六年でございますからいまから十年前です、十年前には管制運営懇談会というのが開かれております。その管制運営懇談会につきましては、航空局だけではなしに、民間から、自衛隊から、各関係の者が全部集まりまして、その懇談会の一つとしてニアミス防止の分科会ができております。そこの分科会におきましては、こういうふうにしてもらいたい、こういうふうにしてもらいたいという強い要求がたくさん出ておるわけなんです。ところが、一向にそれに対する対策が行なわれておらぬというのが、私が調査した内容でございます。  こういうことに対しまして、これは先ほども丹羽議員のほうからお話がございましたけれども、これらをもっとしっかり対策を立ててあったとするならば、今回の事故が未然に防止できなかったとは私、言えないと思います。   〔伊能内閣委員長退席、小峯運輸委員長着席〕 三十六年、いま四十六年でございますから十年間あるわけなんです。十年間の間になるほど長官はかわる、次官はかわるで、くるくるくるくるおかわりになるでしょうけれども、これくらいパイロットの皆さんが、自分の命をかけて仕事をしておるその飛行機のニアミス問題に対して、われわれが言うまでもなく強く要請しておられる問題に対しまして、運輸省なりあるいは防衛庁としては、なぜ一体いままでこういうふうなかっこうで、いわば放てきされておったのか、なぜもっと真剣に取り組まなかったのか、この点が、今回の事故から考えてみましてまことに遺憾であると私は考えるわけなんです。  このニアミス問題に対しまして、先ほど簡単な御答弁があったと思いますけれども、これに対してはこういうふうなことがあって、いままでこういうかっこうになっておるんだ——運輸省防衛庁もともに責任があると私は思うのです。その点をひとつ明確に、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  161. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま後藤委員からの御質問でございますが、ニアミスの問題につきましては、これは御指摘のとおり、よほど神経質過ぎるぐらい神経質に考えまして、それで事故防止に当たらなければならぬことは当然のことでございまして、その点につきまして、ただいまお話もございましたが、四十三年から管制運営懇談会を開きまして、関係各省集まりましていろいろの方策を講じてまいりまして、たとえば先ほども御説明申し上げましたとおり、東京、名古屋、大阪、宮崎、鹿児島におきまして特別管制空域を設定する、また夜間の雲上有視界飛行を禁止するとかやってまいりましたが、いままでお話がございましたとおり、後藤委員のお話のとおり、まだまだきめこまかい取りきめまでいたしませんでしたところでこういう事態ができまして、まことに遺憾に存じている次第でございます。  それゆえに事故発生後、直ちに総理府におきまして航空交通管制連絡協議会を持ちまして、総務長官中心となりまして、そうして運輸省防衛庁外務省、この三者、それから総理府とが一体となりまして、これらを専門的に十分検討させまして、早急に結論を得、その結果を外務省を通じて米軍にも申し入れる、そして空の安全をはかる。しかも、このことはただに事務当局だけにまかせないで、最終におきましては交通安全対策会議、総理大臣が議長でございます、私ども委員となりまして、それにはかって最終決定をするという強い姿勢でただいま臨んでいる次第であります。そういったようなことによりまして、再びかかる事態を引き起こしましては何とも国民に対しまして申しわけない次第でございますので、いま仰せのとおりの御注意を十分私どもも監督いたしまして、早急にこれらの対策をつくるという強い決心で臨んでいる次第でございますので、何とぞ御了解をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  162. 西村直己

    西村(直)国務大臣 先ほどニアミスの問題につきまして御質問がありました際に申し上げましたが、この問題は、防衛庁としましても最近は非常な関心事でございました。しかし、至らない点につきましてはおわびをしなければならぬのでありますが、昨年の七月から十二月まで特別監査をやりまして、私はその報告を最近見ましたが、かなり広範にわたり、細密にわたって指摘いたしておりまして、そしてそれに基づいて通達あるいは指導はいたしておったわけであります。パイロットの見張りの強化、地上レーダーの航空機の監視の強化とか、それから民間交通量の多い地域の飛行訓練の制限とか、それから横断の場合最短距離で行かせるようにするとか、一番大事なのは回避運動でございますが、そういうふうなことを指導はいたしておったのであります。  いま一つは、私は専門家じゃないからわかりませんが、事務当局から、あるいは空幕から聞きますと、異常接近防止のための特殊の機材、SSRといって、レーダーに早くはっきり機影が映って、直接の連絡ができるような機材等も一部載せておる。こういうものは、これから運輸省とよく相談しまして、民間機にもそういうものを搭載してもらって異常接近を早目に防止する。それから、基本的には訓練空域であるとか通路であるとかいうものを区分けをする、こういうふうにつとめたいと思います。
  163. 後藤俊男

    ○後藤委員 ただいま運輸大臣なり長官からそれぞれ述べられたわけですけれども、私は決して何にもやっておらないという言い方はするつもりはないわけなんです。しかしながら、昭和三十六年から十年間にわたって空中衝突寸前の事件が、先ほど数は非常に少なく言われましたけれども、私は民間と、さらには自衛隊機を含めますと、おそらく二、三百件はあると思うのです。それ以上あるかもわからぬと思うのです。それを、飛行機に乗っておるパイロットが、これは何とかせよ、やる方法があるはずだ、こういうことを十年間叫び続けてきたにもかかわらず、今日それがきちっと行なわれておらない。これはもう政府といたしましても深く反省しなければいけないし、これはまことに怠慢のそしりを私はまぬがれぬと思うわけなんです。  ですから、このニアミス問題につきましては、いままでのようななまやさしい考え方ではなしに、もう今後はニアミス問題は一切起こらない、そういうような方向へあらん限りの力をもって、とにかく全力を尽くしてやっていく、進める、それをきちっとできない以上は、現在自衛隊の飛行訓練は全面的に中止になっておると思いますけれども訓練の開始は行なわない、それぐらいな決意があって私はしかるべきだ、こう考えておるわけでございますけれども防衛庁長官、いま訓練飛行は全面的に禁止でございますか。——そうなっておると思うのですが、この自衛隊訓練飛行はどういう時期になりましたら始まるのですか、いま申し上げました問題も含めて御答弁をいただきたいと思うわけです。
  164. 西村直己

    西村(直)国務大臣 ただいまはお説のとおり、訓練は禁止をいたしております。もちろん自衛隊といたしましては、訓練そのものもまた必要な面もございますが、しかし人命尊重、航空安全が第一義でございます。したがいまして、総理府中心にした、技術を含めた、いわゆる管制上から見た安全対策その他のめどを立てて、その上で総理大臣に判定を請うて、その上で訓練開始をする、こういうふうに考えております。  ただ、二回におきまして、これは対策が立てば、立てばといって、たとえば恒久対策的なものまで論じて日を送っているわけにもいきませんから、やはりある程度の対策で、安全で責任を負えるという国民の御理解を得るようなめどがついた場合には再開をさせていただく、こういう考えでございます。
  165. 後藤俊男

    ○後藤委員 私が聞くところによりますと、小牧等においては一週間で大体訓練が始まる、こういうようなことも聞いております。まあこれは真実性があるかないかはわかりませんけれども……。いずれにいたしましてもいま申し上げましたような問題、結局この種の事故を絶対起こさない、これではっきり責任が持てるのだ、そういうことがきちっと完成というか、完備というか、自信の持てる体制ができない以上は、自衛隊訓練機の訓練飛行は禁止を続けていただく、これはぜひひとつお願いと申しましょうか、守っていただきたいと思う次第でございます。  さらに、いろいろと小さい問題もあるわけでございますけれども、私は航空管制官の問題をお尋ねしたいと思うのです。現在のところ、航空管制官というのは国家公務員だと思います。しかも、この航空管制官は運輸大臣の代理になって飛行機の発着を全部責任をもってやるわけなんですね。しかも、羽田等におきましては一日四百回から五百回ですか、非常に過酷な仕事でございます。現在、航空管制官は全国に大体七百名ぐらいおられると思うのですけれども、この航空管制官が不足をしておる。どれくらいの要員が必要か調べてみますと、大体千二、三百人の航空管制官が必要じゃないか、そういわれております。さらにもう一つの問題としましては、航空管制官の待遇の問題です。先ほど申し上げましたように、非常に過酷な仕事でありながら冷遇されておる。責任は非常に重い任務を持っておるわけなんです。この航空管制官の不足を補う問題なり待遇の問題は、直ちに検討すべき重要な事項じゃないかというふうに私としては考えております。  さらにもう一つは、航空通信官というのがおいでになるわけなんです。その航空通信官に対して、別に私は航空通信官がどうこうというわけじゃございませんけれども、地方の、ローカルの飛行場であろうとどこであろうと、レーダーを備えつけて、そこに管制官を置くのが一番私は安全だと思います。たとえば、今回のこの事故につきましても、札幌なら札幌にレーダーがあって航空管制官がおれば、事前にあの姿というものは察知されて、この航空事故というのは事前に防げたのではないかというふうにも私は思うわけなんです。おそらく三十九度以北でございますから、札幌の管内だと私は考えるわけでございます。ですから、そういうような意味におきまして、航空管制官、これの不足の補充と待遇の改善、航空通信官をやめて航空管制官に上げて、そしてその施設を充実していく、そのことが私は非常に大事だと考えるわけですが、運輸大臣、いかがでしょうか。
  166. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問、まことに私どもも同感の点が多々あると思う次第でございます。実は私、「ばんだい」のあの事故が起こりました直後、羽田のタワーに参りまして管制官の勤務状況をつぶさに視察をしてまいりました。まことに管制官の諸君は、あのレーダーに映る機影、またそれらに対する無線による指示、レシーバーでもって応答、ほんとうに忙しい労働でございまして、よくあの激務をやっていただいているということに、非常に私は感激とともに、この労務管理につきましては、よほど意を用いなければならぬということを痛感いたしました。  大体、承りますると、いまのところ三時間、三時間で上、下に交代をしてやっているというようなことでございましたが、それでできるかどうか、一時間ずつぐらいにしなければなかなかあの激務はできないんじゃないかとまで、私はしろうとで考えまして、これらの点につきましても、直ちに検討しろということを言っております。  また、航空安全推進連絡会議ですか、その方もこの間お見えになりまして、ちょうどこの事故発生直後でございまして、時間がございませんので十分ばかりお話をしたのですが、これが済みましたら直ちに面会をして、その点につきましてもいろいろ意見を承りたいということで、むしろ私のほうから会見のあれをするからということでした次第でございまして、確かに管制官並びに管制通信官、それからまた管制要員、これらが激務でございますし、これに対しまして、要員がややもすると不足になっているということは事実でございまして、私どもそれに対しましては、できるだけひとつ管制官を増員をいたしまして、しかも、実際的にただいま航空大学校におきまして管制官の養成を連日やっております。これらの点につきましても、人数をふやしてまいるということをいたしまして、早く管制官、管制通信官並びにその要員の充実をぜひはかりたい。そういう点で、「ばんだい号」事件に関しましても、現実におきましては、四十六年度でそういったものをふやすということは、実際の官制上からいって非常にむずかしい問題でございますが、人命尊重にはかえられないからということで、いま大蔵省と折衝いたしまして、調整人員のうちから相当大幅の、まだ決定を見ませんが、相当大幅な増員をいま大蔵省と折衝しております。これも大体は実施に至る、こういうふうに思っておる次第でございます。  またいまの待遇の問題その他いろいろございます。その点につきましても、できるだけ私どものほうでもっと配慮いたしまして、管制官並びに管制要員の確保、そして労働管理の円滑に行なわれるということにつきましては、遺憾なきを期したいと思っておる次第でございますから、一そう御鞭撻お願いする次第でございます。
  167. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまの管制官の問題につきましては、運輸大臣もかなり関心を持っておいでになると思うのです。先ほど言いました方向で、これも非常に大切な問題だと思いますので、真剣に取り組んでいただきますように、ぜひお願いをいたしたいと思います。  その次には、警察庁にちょっとお尋ねいたしたいわけなんですが、今度の衝突事件で訓練機が二機飛んでおったわけなんです。一機は指揮官機というのですか、逮捕されたのは二人一緒に、両名とも同時に逮捕されたのであるか、あるいは指揮官機のほうが先に逮捕されたのであるか、どういうふうなかっこうで逮捕が行なわれたか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  168. 高松敬治

    ○高松説明員 リーダー機に乗っておりました隈一尉、それからあとの二番機に乗っておりました市川二曹、これは逮捕は同時にいたしました。市川二曹につきましては、その前日に盛岡警察署において任意取り調べを行ない、それから隈一尉は、当時松島基地におりましたので、翌日それを盛岡警察署に出頭を求めまして、両方を取り調べて同時に逮捕状を請求し、逮捕状に基づいてこれを逮捕した、こういう状況でございます。
  169. 後藤俊男

    ○後藤委員 さらにもう一つ警察庁にお尋ねするわけですが、当時の自衛隊の飛行基地ですか、これはレーダーがあると思うのです。このレーダーサイト、そこには必ずビデオなりテープがとられておると思うのです、その当時のしゃべったことが吹き込まれておる。昨年羽田におきましても、このテープは警察庁のほうで押えられたということを私は聞いたわけでございます。今回の事故におきまして、いま申し上げましたレーダーサイトのビデオなりそのテープにつきまして押えられたのかどうか。さらには警察庁として、防衛庁自衛隊の中における、そういう行動はとれないのかどうか、とる気持ちは全然なかったのかどうか、それもやりたかったけれども、そこまでやるわけにはまいらぬのだというような、何か引っかかる点があるのかどうか、その点をお答えいただきたいと思います。
  170. 高松敬治

    ○高松説明員 三沢のレーダー基地につきまして、そのビデオの提出を求めております。何か非常にあれの解析が必要だそうでございまして、そういう点で若干時間がかかっておるようでございますが、近くこちらのほうに提出される運びになると思っております。
  171. 後藤俊男

    ○後藤委員 えらい警察庁としてはのんびりしたことをおっしゃいまして、やがて送ってくるでありましょう。これはおかしいじゃないですか。去年の羽田の場合には直ちにこれを押えられたと思うのです。押えて、押収するという形になるわけなんです。押えて押収という、まあ押えて押収ですが、ところが、今回の問題については、やがて送ってくるでありましょう。まことにのんびりした話で、そのテープなりビデオ、それをやればはっきりすると思うのです、その当時のことが。たとえば午前中でございましたか、あの全日空機を仮想敵機というようなことでやったのではないかというような意見も出たかに私ちらっと聞いたわけでございますけれども、そのレーダーサイトにおけるビデオやテープ等を回せば、その当時のことははっきりすると思うのです。この一番大事な心臓部を、なぜ警察庁としては押えなかったのか。やがて送ってくるでありましょうと言われるが、そんなものは回したら、一ぺん消えてしまったらそれでしまいなんですよ。そういうのんびりしてやっておられるという点は、私はどうしても納得できぬわけなんですが、その点いかがですか。
  172. 高松敬治

    ○高松説明員 昨日、技術調査団とともに警察のほうも同行して三沢に行って見ております。ただ、それをすぐに押えると申しますか、何か技術的に非常に問題があるようでございまして、自衛隊のほうとしては、すみやかにそれを解析してこちらのほうに提出する、こういうことになって、近く提出を受けるはずでございます。
  173. 後藤俊男

    ○後藤委員 その技術的に問題があるというところはわからぬわけなんですがね。たとえば世の中でこういうような事故があった場合に、あなたのほうで行かれまして、これは技術的に問題があるから待ってくださいよ、はい待ちましょう、それじゃ二、三日たったら送ってください、こんなことをやりますか、そんなのんきなことを。技術的に問題のあるのは、どこに技術的に問題があってそういうことを押えることができなかったのだ、その点をはっきりしなければ……。  これは私はなぜそういうことを言うかといえば、お互いに国民は疑問を持っておるわけなんです、防衛庁のいろいろな問題につきまして、こまかいことを私、言いませんけれども新聞記事でもそういうことを報道しておるわけなんです。しかも防衛庁と警察庁というのは、あなたも十分御承知のように、局長八人のうち六人、七人までくらいは、警察庁のほうから人事交流で行っておられる。お互いにツーツーの仲でツーツーでやっている。悪いところはなるべく打ち消して、いいところだけを出していく、そんなことはなかろうと思いますけれども、そういうふうに疑われてもしようのないような答弁が、いまのあなたの答弁であったと言っても私は間違いないと思うのです。どういうわけで技術的にそれが没収できなかったか。いわゆる押えて持ってこられなかったか。事故がありましてから一週間も十日もたってから、そんなものは何のためになるのですか、一体。その点をもう少し明確にお答えいただきたいと思います。
  174. 高松敬治

    ○高松説明員 私も、技術的な詳細な面はちょっとわかりかねるのですが、私どものほうの受け取りました報告では、それを投影して、それを図面化してやるのに非常に技術的に問題がある、それに若干の時日もかかる、こういうふうに聞いております。それで、専門家である技術調査団も昨日行って、現実に調べておられるはずであります。だからその点で、別にそこに証拠隠滅その他の問題というものはないであろうというふうに私ども確信しております。
  175. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま適当に言うて、適当にこの問題もこの辺のところでという気持ちでお答えだと思いますけれども、やはり先ほど言いましたように、国民の疑惑というものを解くためには、これははっきりする必要があると思うのです。これは「ばんだい号」のときにはすぐ出たんじゃないですか。今回の問題につきましては、事故が起こってから相当日数たっておるわけなんです。それが技術的にどうであるとかこうであるとかというような形の中で、いまだにまだない。それはおかしいじゃないですか。だから——答弁はもうちょっと待ってください。あなた何べん言っても同じ答弁するから、同じ答弁ならもう聞かなくてもいいわけなんです。こうこうこういうふうでこうであったからこうなっております、「ばんだい」のときにはこうでありましたからこうなっております、これをみんなの聞いておる前で十分わかるように説明していただければはっきりするわけなんですよ。あなた中身のことを十分わからずに、適当に上つらだけの答弁なら、これは聞くほうとしては非常に、わかろうと思ってわれわれは耳を傾けておりますけれども、しゃべっておられるあなたのほうがわからぬことをおっしゃいますから、聞くほうもさっぱりわからぬ。だからどっちもわからぬ問答が続くわけなんです、この貴重な時間にですね。
  176. 高松敬治

    ○高松説明員 「ばんだい号」の場合にも、あれの解析したものを提出を求めたわけですが、提出されるまでに約十日を要しております。
  177. 後藤俊男

    ○後藤委員 「ばんだい号」のときは、いま言われました十日かかったという話でございますけれども、ただ私は、今回のこの事件については、なぜ一体そういうようなゆうちょうなことをやっておられるんだろうか、その点に疑問を持ったわけなんです。ところが、あなたのおっしゃるように、技術的にもどうしてもこれ以上何ともならぬのだ、こういうようなきっちりしたものがあれば、これはもうこれ以上追及することはやぼだと思うのですけれども、ただ私の言いたいのは、このことだけじゃないのです。防衛庁関係の今回の事故に対する新聞報道なりいろいろな面を考えてみると、どうも首を傾けざるを得ないような点もなきにしもあらず。そういう点については、明確にきっちり国民の疑問を解く必要がある。その中の一つとして、私はいま一例としてあなたにお尋ねしたようなわけでございます。ぜひひとつこの問題につきましては、もう本席では時間がございませんのではっきりいたしませんけれども、後ほどでけっこうですが、十分わかるように御説明をいただく資料をお願いいたしたいと思います。  ちょうど時間が参りまして、まだまだ問題はあるわけでございますけれども、ただ長官なり運輸大臣にも私、一番強調いたしたいのは、何べんも言いますけれども、ニアミスが一年間に二百件も三百件もありまして、いままさに空中衝突というような危険を毎年毎年繰り返しておるにもかかわらず、これに対する確固たる対策ができておらない、自衛隊もしかり、これが返す返すも私は残念だと思うのですよ、今度の事故から考えてみると。そのことばが、遺族としては、ああ自衛隊がなかったらうちのおやじも死んでおらぬが、こういう気持ちになるわけなんです。それも一年、二年の話ではなしに、先ほどの話のように、昭和三十五年、六年からこのニアミスの問題につきましては問題になっておるわけなんです。これは飛行機に乗っておられるパイロットの人は、一つ間違えば命は一瞬飛んでしまうわけでございますから、なぜそれらの人にもっと耳をあなた方は傾けて対策をやらなかったのか、これがしっかりやっておられるならば、おそらくこういうような事故は未然に防げたんではないか、これが私は、今回のこの衝突事故に対しまして非常に深く感じておる点でございます。  さらにもう一つの問題といたしましては、先ほど長官にも言いました、いかにりっぱな施設をつくり、いかにりっぱなことをきめましても、何を言っておるんだ、戦闘訓練だからそんなものに従っておれるかという気持ちの自衛隊訓練がありとするのなら、この種の事故は撲滅できない。この点を、これからいかようにそうでない方向へ持っていくか、これも私は非常に重大な問題であるというふうに考えておりますので、どうかひとつ——今回百数十名の多くの人がなくなられました。この遺族の人の心境たるや察するに余りあるものがあると思いますので、いま申し上げましたような点も十二分に考慮していただいて、今後この種の事故を絶対に起こさせない、この対策確立のために全力を尽くしていただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  178. 小峯柳多

    小峯委員長 松本忠助君。
  179. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 今回の事故につきまして、本日は朝からいろいろと追及がなされてまいりました。追及することも大事ではあろうと思いますけれども、今後これらの事故を再び起こさないことがより大事ではないかと私は思います。そのためには、私は、これから質問をいたします事項について、少なくとも防衛運輸の両者が合意しない限り、その達成はできないものと考えております。そこで、朝からいろいろの質問がされました。若干ダブる点もあろうとは思いますけれども、お答えを願いたいわけであります。そして、空中衝突防止対策の確立、これをぜひとも私はやっていただきたい、このように思うわけであります。  聞くところによりますと、昨八月三日、運輸省防衛庁の間に、空中衝突防止対策大綱、こう称するものが御両者の間で合意をしたということを私は聞いております。私が確聞するところのニュースであります。そしてまた、この具体的方策についても、近日中に会議をするという話も聞いております。問題は、いままで運輸省側から何を申し出ても、いつも防衛庁が合意をしなかった、いつもいつも運輸省の申し出に対して防衛庁はうんと言わなかった、ここに問題があると思うのであります。そこで私は、西村長官が勇断をもって、いままでの防衛庁長官がやることができなかった問題を、ぜひとも早く結論を出していただきたいと思う。  そこで、まず第一番目に伺いたいのは、航空管制の問題でございます。いままでも、運輸省側からたびたび防衛庁に対しまして、航空安全の確保をはかるために種々の改善要求が出されていたと思います。このことについては長官も御存じだと思いますので、まずこの点をひとつお伺いしてみたい。出されていたかどうか、聞いているかどうか。
  180. 西村直己

    西村(直)国務大臣 この今回の事故中心に、基本的な問題につきましては知っております。
  181. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの後藤君の質問にもありましたように、しばしば運輸省側から防衛庁に対して要求をしております。こうしてもらいたい、こうすることが空中における衝突の防止になるんだということをいっておるわけであります。しかし、何らそれに対して防衛庁はやろうとしなかった。ここに今回のような大きなミスが起きたと私は思うのです。  われわれが調査したところでございましても、いわゆる特別管制区の設定について、この要求はいままでも何べんもなされていたわけです。東京、大阪、名古屋、鹿児島、宮崎、ここまでは防衛庁もうんといっているけれども、千歳についてはそれをうんといっておらない。なぜこの千歳をうんといわないのか、千歳について難色を示す理由を防衛庁長官から伺いたいのであります。この理由について明らかにする、その必要が私はあろうと思うのであります。
  182. 西村直己

    西村(直)国務大臣 具体的な問題でありますから、私はまだそこまでは聞いておりませんでした。着任が一昨日でございます。しかし、それは事務当局から説明させてもいいのでありますが、すでに千歳につきましては一回試験的に試みた、そして同時に、これは受け入れる用意があるという事務当局意見でございます。
  183. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 千歳についても、いま試験的にいろいろやってみて、受け入れる用意があるとするならば、一体いつごろその千歳を受け入れるか、日時をはっきり御指定願います。
  184. 西村直己

    西村(直)国務大臣 この問題は、私、着任早々で、申しわけありませんが、防衛局長から御返事をさせます。
  185. 久保卓也

    久保説明員 管制区を設定する場合には、運輸省協議をすることになりますが、案が空幕まで出ている段階でありますので、そう遠くないうちに決定されると思います。
  186. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま、局長のお答えによりますと、相当時間がかかるようでありますけれども、そこで、私が最初申し上げましたように、新長官が勇断をもってこれをいつまでにやれと言わなければ、これはいつになってもできっこないんですよ。いままで何年かかったってできなかった問題ができるわけがない。千歳を一体いつやるのか、それが肝心なことだと私は思う。長官、ひとつお答え願いたい。
  187. 西村直己

    西村(直)国務大臣 あそこは非常にふくそうしているだけに、安全ということが大事でございます。基本的には、人命の安全ということが何といっても航空の第一義であるという中で、私どもは決意をするつもりでございます。
  188. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 安全であればあるほど、安全第一を希望するならするほど、千歳を早くやらなければならない、ここに問題があるんですよ。それを、いつまでもいつまでもおっぽっておくというのは防衛庁の怠慢です。
  189. 西村直己

    西村(直)国務大臣 事務当局の事務の運び方では、十日前後にはもう運輸省へ出して、運輸省でそうすればあとは手続をとってもらう、こういうことであります。防衛庁の手を十日ごろに離れる、こういうことであります。
  190. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお話によりますと、八月十日という意味でありますか。
  191. 西村直己

    西村(直)国務大臣 そうです。
  192. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸省側、どうですか、八月十日までに千歳の設定が発表できますか。
  193. 内村信行

    ○内村説明員 防衛庁から出てまいりますと、あとは事務手続だけでございますから、その間だけですぐできると思います。
  194. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 けっこうであります。運輸省、一生懸命事務的の手続を早くして、もう即刻、防衛庁から出たればこれを実施していただきたいと思うのであります。  第二の点は、計器飛行を厳守することによりまして空の安全が保たれる、これは当然のことでございます。専門家であっても、またわれわれのようなしろうとであっても、これは常識だと思います。そこで民間機、自衛隊機と、この関係者が励行することを前提としなければならない。この計器飛行を厳守すること、これが空の安全につながるんだ、このことを前提とし、そうしなければならない。そこで、訓練空域を除いて、夜間の雲上有視界飛行の禁止、これは危険防止の意味からも重要なことだと私は思うんです。先ほどからも再々運輸大臣が、雲上有視界飛行の禁止の問題について触れられておりますけれども防衛庁はじめ民間航空はこれを励行すべきである、私はこう思うんです。  そこで、防衛庁にも、そしてまた運輸省にも、これを完全に励行させるところのきびしい指示、決定がすみやかになされるべきであろうと私は思うのですが、防衛庁長官並びに運輸大臣から、この点についてお答えを願いたい。
  195. 西村直己

    西村(直)国務大臣 お説はわかります。ただ、航空機は使用目的により、機構あるいは性能、飛行方式、いろいろな技術面が入ってまいります。それぞれは異なっております。したがって、計器飛行にとにかく適するものと、それから有視界飛行方式によらなければならぬものがものによってはあるわけであります。そこいらは技術の問題でありますが、この点につきまして、総理府協議会もつくっておりますので、その議題として真剣に検討してまいります。
  196. 小峯柳多

    小峯委員長 運輸大臣答弁ありますか。
  197. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 雲上有視界飛行につきましても、先ほどもお答えいたしましたとおり、計器飛行によることを原則として確立したいということで、ただいま連絡協議会に議題として出ていると聞いております。そのとおり決定するものと私は思っておる次第でございます。
  198. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 御両者ともあまりはっきりしたお答えが出ない、これはほんとうに残念に思います。この点、私は、早く運輸省としては、いわゆる夜間の雲上有視界飛行の禁止ということは、危険防止のたてまえからいって当然なされなければならないんだ、これを強く強く運輸省からも防衛庁に申し入れてあるわけです。それに対して防衛庁長官は、いまも言を左右にしておられる。しかし、この点については一刻も早く私はやっていただきたい、こう思います。  次に、防衛庁長官に伺いますけれども航空自衛隊管制官、この管制官よりも上級のパイロットが飛んでいる場合に、管制官がそのパイロットに対して指示を出しても、その指示が完全に守られていると思いますか、どうですか。
  199. 西村直己

    西村(直)国務大臣 それは、たとえ階級のどういうことがありましたにしても、職務は職務であります。当然守るべき点は守らしております。
  200. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 しかし、事実は違いますよ。えらい人が上に乗っかっていた場合は、絶対言うこと聞かない、こういう事実があるのですよ。だから、私はそれを言うのです。現場においてはもうしばしば守られていない、こういうことを私は聞いてきているのです。もしもこのようなことが行なわれていれば、いかに訓練空域というものをつくってみても、航空の安全なんか保たれっこないのですよ。それが問題だと思う。これは防衛庁のほうの要するに星の数なんだ。それによって言うこと聞かない。下で幾らおりてこいと言ったっておりてこない。この事実を長官が御存じならばよろしいけれども、御存じでないとするならば、ひとつ、内局に聞くよりも、むしろほんとうに現場に臨んで長官がお聞きになったほうがいいと私は思うのです。  こういう事実を踏まえましての訓練空域の問題です。訓練空域がいわゆる民間航空路をまたいでいる、こういう場合がございます。これは非常に問題だと思うのです。このことについては、けさも宇田委員からも、また和田耕作委員からもお話がございましたけれども、要するに航空交通管制連絡協議会、その第一回の協議会におきましてもこの問題が出ております。私も、航空自衛隊訓練空域というものは民間航空路から十分に離れたところに設定しなければいけない、こうすべきであると思います。当然だと思います。ただいま申し上げました航空交通管制連絡協議会においてもこの問題は出ているわけです。そして、今後早急に調整する必要がある、こういう意見一致を見ているわけです。その連絡協議会の席上で、防衛庁は、訓練飛行をする場所を洋上訓練に今後切りかえる、こういうことを言っていらっしゃるようです。しかし、かりに洋上訓練に切りかえたとしても、太平洋側でやるとすれば、民間航空路の国際線がふくそうしております。これは非常に問題が多いと思います。  そこでこの際、訓練空域も試験空域も、空港または航空路空域から、高さにおいても、また幅といいますか、広がりといいますか、そういうものにおいても、完全に分離すべきではないかと私は思う。そして防衛庁は、当該空域の設定については、運輸大臣の承認を受けてこれを公示するようにしてはどうか、こういうふうに私は思いますが、この点について長官はどのようにお考えになりますか、お答えを願いたい。
  201. 西村直己

    西村(直)国務大臣 できる限り分離するということは、私も賛成でございます。  なお、承認その他は、これは手続上の問題で、十分検討したいと思います。
  202. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ちょっと聞き取れなかったところがありますけれども、それでは、訓練空域の問題について分離をするとおっしゃるわけですね。
  203. 西村直己

    西村(直)国務大臣 分離につきましては、われわれとしては、それはもう賛成であります。ただ、どうしても事情によってできないというような技術的なものがあるかないか、そこいらを十分検討しなければなりませんけれども、原則として分離することは賛成であります。
  204. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 分離について賛成であるという御答弁をいただきました。ぜひともこれは完全分離を私はしていただきたいと思う。  それから、けさから再々ニアミスの問題が出ております。このニアミスの問題については、けさからもあらゆる方々が取り上げておるわけでございますけれども自衛隊機がいわゆる民間航空機に対してニアミスをする、こういうことはもう非常に多いわけです。いろいろ数の点が出てきましたけれども、私はその数を一々云々するのではございませんけれども、事実そのようなことは多いわけです。  そこで、この自衛隊機がいわゆる民間航空路を横断したりする、その場合にすみやかに行なうようにしなさい、こういうふうな指示が防衛庁から出ていると思うのですね。そのことをすみやかにしなさいというようなこと、そのことから考えましても、これは私は、もう再々行なわれているんじゃなかろうかと思うのですね。そこで、いま一番問題点になるのは、現実の問題としまして、日本の主要な航空路民間航空路ですが、この中でも特にふくそうしているところの東京と福岡、あるいは東京と札幌、千歳ですね、あるいは大島と河和、こういうところは、もう民間機だけでも相当混雑している。そこへもってきて自衛隊機の横断がなされれば、事故はもう必然的に起こる。これはもうはっきりしていると思うのです。今後もこの事故は起きるだろうと私は懸念するわけです。いままでは、航空路の横断については、管制官に承認を求めて自衛隊の飛行機は飛んでいたのかどうか、この点を私はお伺いしたいわけであります。
  205. 久保卓也

    久保説明員 航空路を横切るときに、これは有視界飛行でありますが、その際に通報するという仕事はやっておりません。
  206. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは、やはり私はその承認を求めるべきではないかと思いますけれども、どうでしょうね。
  207. 久保卓也

    久保説明員 これは航空局の管制業務との関係もありますが、十分検討に値することであると思いますので、総理府に置かれました連絡協議会検討してみたいと思います。
  208. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長、この問題はそういう答えではいつまでたっても解決しないと思うのです。やはりこの問題は早急に、主要ルートに進入するところの自衛隊機、これはもう必ず管制官の承認をとる、こういうことを前提条件とする、こうしなければこれはいかぬと思うのですよ。少なくともいま、要するに非常事態じゃないのですからね。
  209. 久保卓也

    久保説明員 いま運輸省協議しておりますのは、この航空路を渡る場合に、特定の回廊を設けるか、もしくは特定の回廊がなくてどうしても横切らなければならない場合に通報するというような、両方の方向で検討しております。
  210. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 まあいろいろとお話がありますけれども、私がいま申し上げましたいわゆる特別管制圏の設定の問題、それから夜間雲上有視界飛行の禁止、それから自衛隊訓練空域の分離、それから主要ルートに進入するところの自衛隊機は、有視界飛行であっても管制官の承認をとるべきではないか、この四点が実施されない限り、私は事故は再び起こると思うのです。  そこで、けさほど運輸大臣から御報告のありました「全日空機自衛隊機空中接触事故について」というこの報告の中にも、「自衛隊訓練飛行を当分の問中止すること等が決定された。」とあります。これは運輸省で一方的に決定したわけではなくて、防衛庁も承認のもとに決定された問題。当分の間訓練飛行を中止するといいましても、先ほど総理も言っておりましたが、いつまでもやめておけないというのです。いずれは再開されるだろう。再開されるとするならば、いま私が申し上げました四点、この運輸省の申し出に対して防衛庁がそれを合意して、いまのことについては承知しましたということになるまでは、この訓練飛行は、当分の間どころか、それが完全決定されて合意に至るまでは中止を続けるということでなければならぬ。それがほんとうに完全合意ができたときにおいて、初めて訓練飛行の中止を解くということもいいだろうと私は思う。ですから、やはりこの問題については、確固たる信念を持ってひとつ新長官がお考えくださって実行してくださらなければ、再びこの事故は起きるだろうと私は思う。  こういうことを考えますと、ぜひとも、空中衝突の防止対策、この確立をするまで絶対に自衛隊機訓練をやめる、それが確立ができた暁において初めて訓練を再開する、そしてまた訓練を再開するときには、国民の前に、このような合意に達したから訓練を再開しますということを防衛庁が公表して初めてそれから訓練を再開する、このように私はしてもらいたいと思います。いかがでしょう、長官お願いします。
  211. 西村直己

    西村(直)国務大臣 今朝来というよりは、着任以来申し上げておるように、人命の尊重と申しますか、民間航空の安全が第一義であるという基本的な原則は順守してまいります。あと、したがって、ただいまお話しになりましたような方法論であります。この方法論についてできるだけ早く妥結をする、そのもとにおきまして私ども訓練をさしていただきたい。
  212. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 できるだけ早く合意に達するように努力されることはわかりますけれども、当分の間というようなごまかしでなくて、それが完全に履行される、合意された、運輸省の申し入れに対して防衛庁もそれを承知した、ここまで来なければ私は再開すべきではないと思う。この点をはっきり私は訴えておきます。そして、これが安全第一という観点から、言うならば、この問題が一番のポイントだった。この問題の解決がないからこそこのような事故が起きる。このような事故が起きることは当然予見されていたことなんです。それが起きたということは、いままでのいわゆる軍事優先という、要するに防衛庁の制服組の横暴だ、私はそう断ぜざるを得ない。それをブレーキをかけられるのは、長官、あなた自身しかいない。あなたがそれを勇断をもってやられる、そこにほんとうに、今度の事故に対して、なくなられた方方の御冥福を祈る一つの行為が生まれるのではないかと私は思う。そういう意味からも、ぜひとも、この四点が完全合意の暁において訓練飛行を再開する、このことをここで明言をしてもらいたい。
  213. 西村直己

    西村(直)国務大臣 重ねて私が申し上げますように、自衛隊国民のためにあるものでございます。その中でも国民の人命というものはきわめて大事であります。したがって、それを第一義として、あと、方法論につきましては、お説にあるような点を十分検討し、そしてその中で妥結をしたときに訓練をさしていただく、こういう考えであります。
  214. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 長官にもう一つ伺いたいのですが、いわゆる民間機のパイロットは三千時間ぐらいの飛行時間を持って初めて有資格者ということになると思うのですね。そういう点から考えましても、今度の市川パイロットは、航空路の存在すらわからないままに、言うならば二、三百時間というのですか、飛行時間のままで、そして民間航空路の中へ飛び込んだ。飛ぶこと自身がおかしなことなんですけれども、そこへ飛び込んでしまった。この訓練計画の立案者並びにそれを容認したところの上官の責任、こういうものは当然私は問われるべきだと思う。この問題についても御質問があったようでありますけれども、重ねてこの点を、長官はこの事実を御存じかどうか、そしてまた、それに対してどう対処されるかについて伺っておきたいわけです。
  215. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私は着任以来、そういった事態の明らかな状況というものを把握したい。ことにこの点につきましては、事故調査委員会あるいは警察当局におきましても、調査なり捜査なりやっております。それらと相まって、事実をさらに完全に明らかにして処置をしてまいりたいと考えております。
  216. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 こういういわゆる訓練不足のパイロットが自衛隊にたくさんいる以上は、先ほどの四条件というものが必ず実施されなければならぬと私は思うのですよ。くどいようでありますけれども、この点はひとつ長官、腹に入れておいていただきたいと思う。どうですか、その点もう一ぺん、こういう未熟なパイロットがたくさんいるのだということを、それを承知の上で、長官ひとつお答えを願いたい。四条項についての問題をもう一ぺん……。
  217. 西村直己

    西村(直)国務大臣 お説にありました方法論、四つがいいか五つがいいか、これはまだ議論のあるところでありましょうが、いずれにいたしましても人命の尊重、安全ということを前提にして訓練を再開さしていただく。
  218. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは私は、四条件が合致された暁において、人命尊重の意味、安全第一という点からも、それがほんとうに合意に達し、その暁において訓練を再開するというふうに受け取っておきます。  そこで、今度は運輸大臣に伺いたいわけでありますけれども、二日の閣議のあとで、事務当局に対しまして、閣議で了承の事項として、航空路の安全を確保するところの長距離監視レーダー整備計画を繰り上げた、そして、それまでの緊急対策として、空港用の短距離レーダー、これをふやして、これをフルに使用して航空路を監視するように指示した、こういう新聞記事が出ていました。このことについて、先ほど宇田委員からも、第二次空港整備五カ年計画に関連しまして質問がございました。いままでの計画によりますと、航空路管制用レーダーの施設というのは、先ほど宇田委員が言っておりましたように、箱根が完成したのが三十九年ですか、それから福岡にできたのが四十三年、こう思います。あと銚子が四十七年の計画、沖繩が四十八年の計画ですね。また、大阪が四十九年であり、南九州、東北、札幌の計画は五十年、このように運輸省計画はいままでなっていたわけです。いかにこれが閣議で了承されたといっても、予算が第二次空港整備の五カ年計画はきめられているし、かりにそれを三カ年に繰り上げるということになったとしても、それらの機械を操作するところの技術員の確保、これはほんとうにだいじょうぶなのかどうか、これが問題じゃないかと思うんです。それからまた、空港の管制用レーダーにいたしましても、四十六年度中には新東京国際空港あるいは新鹿児島空港にも設置される、こういう計画なので、一応一段落するわけだと思います。でも、板付にある米軍から移管されたレーダー、これは昭和三十六年ごろに設置されたものだと私は思います。この旧式のレーダー、これも更新しなければならないと私は思うんです。こういうものについての予算も組まれているのかどうか。それからまたさらに、これらのレーダー施設の生産について、その所管の通産省側との打ち合わせはできているのかどうか、こういう点についてひとつ伺っておきたいわけであります。
  219. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御質問でございますが、私が、空路関係の長距離監視レーダー、いわゆるARSRも六カ所、これを五年を三年にできないかということを事務当局に命じまして、いま検討さしているところでございます。これは御承知のとおり、いま御質問のように、たとえば機械の発注にも相当時間がかかります。発注してからも時間がかかりますが、それよりもその位置を選定する、どこに位置づけをするかということに相当の専門的の技術が要るということでございます。それらの監視要員の確保ということが一番の大きな問題になっておりまして、ただいまのところ、非常にそういったような監視要員が不足しているので、それらもやはり直ちに補充をいたしまして、それでその問題にかからなければならぬ。いま松本委員の御指摘のとおりでございます。ですが、私といたしましては、こういった事故が起き、空路が非常にふくそうしている時代でもございますので、できるだけ早く長距離監視レーダーの設置も完成をいたしまして、全空路をやはり自分の一手の把握下に置くということが一番大切なことでございますから、これは何をおいてもやらなくちゃいかぬということで、ただいますでに大蔵省その他とも、その要員の確保について折衝中でございます。それで、本年度というのはなかなかむずかしいわけでございますけれども、その調整要員からも相当の人をとるというようにただいまやっておりまして、もう二、三日のうちにそれもきまる、こういうことになっておりまして、来年度からはまたさらに大幅の増員を、管制要員につきましては要求いたしまして、何としてもこれはできるだけ早い機会に設置したい。技術的のことが非常に多いわけでございますから、必ずしも当初のように、長距離監視レーダーにつきましては、三年のうちに繰り上げるということはなかなか容易なことじゃございませんが、ひとつできるだけ努力をしてやりたい。その期間におきましては、ASR、SSRの足りないところは直ちに設置をいたしまして、大体本年度にSSR、ASRを設置するところ、来年早々にできるところもすでにございますから、それらを勘案をいたしまして、さらに東北地方におきましてもそれらを使う。また、三沢その他につきましては、自衛隊のそういったものとの連絡をとってやるということにいたしまして、当分の間は、いわゆる有線連絡によりまして、やはり監視本部に対して連絡を把握できるようにいたしまして、いま、現時点におけるところの安全を確保いたしたい、こう思っておる次第でございます。  また、いまお尋ねの千歳につきましては、確かに古いあれでございますから、それらに——板付です。板付につきましても、この八月から大体こちらに返還になりまして、こちらの責任においてやるようになるようでございますが、板付はだいぶ古いようでございますが、それらにつきましても、予算措置はもうすでに組み込まれているようでございますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  220. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 航空路の監視用のレーダーの施設について、六カ所ができれば日本全土をカバーすることができるともいわれていますけれども、一説によると、あと三カ所ぐらいなければできないんだという説がありますが、この点について、技術的な問題もあると思いますけれども、どちらであるのか。現在の六カ所でもう完全なのか、それともあと三カ所ぐらいやらなければ無理だという技術的な意見もありますので、その点もひとつあわせて伺っておきたい。  それから、いま大臣が言われましたように、言うならば、銚子とか、札幌とか、大阪とか——南九州あるいは東北といえばばく然としておるかもしれませんが、それ以外は札幌とか、こういうふうに大体のところはきまっておるわけですね。こういうところについては、その場所の選定、その地域の場所の先取り、そういう点について早急に手を下さなければならないと思うのです。検討を命じたというようなことでなくて、もうどんどん実施を、ハッパをかけてやらせる、もうそれぐらいの熱意を持ってやらなければ、また再びこういうような事故が起きると思うのです。その点についてひとつお答えを願いたい。この問題は局長でもけっこうであります。
  221. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのお説ごもっともでございます。私は、そういう意味でいま検討を命じ、すみやかに実施するようにやっている次第でございますが、何と申しましても、これは人の確保ということが先でございまして、具体的に幾らなっても、できなければこれはほんとうに申しわけない次第でございますので、できるだけその方面も力を入れまして、私どもといたしましても、早急にそれらの整備を急がせまして、国民の御不安の解消につとめたい、こう思っておる次第でございます。
  222. 内村信行

    ○内村説明員 先ほどの、個所についてはどうかというお尋ねでございました。私ども考えておりますのは、現在ございますのが東京とそれから福岡でございます。今後つくりますのは、銚子、これは成田空港の関係でございます。それからあと、沖繩、東北、札幌、大阪、南九州、この六カ所がつきますと、大体北から南、全土がカバーできるように考えております。なお、大阪につきましては、もう今年度から調査を開始したいというふうに考えております。
  223. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま運輸大臣が、これらの管制業務に携わるところの人間の問題が大事だとおっしゃいました。もう私そのとおりだと思うんですね。これから、いわゆる航空管制センターを実は見てまいりましたので、その問題も大臣にひとつ伺ってみたいと思っているわけでありますけれども、その問題から、私はいま、人の問題が大事なんだということを申し上げたわけなんです。  そこで、それに入ります前に、もう一つ、こういうことは考えられないかということなんですよ。これは防衛庁長官にも聞いてもらいたい。この過密化している航空路を安全なものにする、そして事故のないようにチェックしていくためには、もうレーダー網によるところの管制体制を完ぺきにする以外にない、これはそのとおりだと思うんです。それでありますけれども、現実の問題としまして、民間航空機を完全に捕捉するところのレーダーは、いまのお話のように箱根と福岡にしかないわけです。このようなレーダー網の不備な状態で、これを、言うならば四十七年とか、あるいは四十八年とか、四十九年とか、五十年とか、こういうことでいったのではなかなかできない。それを繰り上げるということもわかりますけれども、いまのお答えのように人間の問題もある。まだ土地の選定も済んでいない。こういうところからいうと、なかなかこれがすぐできるとは思えないわけです。三年間に縮めるといってもできないと思う。そこで、今回のこの悲惨な事故の原因となったところのニアミスの問題、あるいはまたさきの「ばんだい号」の遭難、こういうことは、要するに今後も起こる可能性は十分あるだろうと思う。  そこで、民間航空のレーダーの不備を補っていくために、現在自衛隊が全国に有しているところの二十四カ所のレーダーサイト、これを民間航空の安全航行のために有効に活用することが急務ではないかと私は思うのです。先ほどの大臣の御答弁の中にも、安全第一だ、国民のための自衛隊だ、こうも言われております。このことによりまして国民の命を守ることができるとするならば、二十四カ所のレーダーサイトを、民間航空の安全のために、運輸省側のいわゆる航空路の監視用レーダーの完成する時点までこれを使わせていく、こういうことがよろしいのではなかろうか。少なくとも、防衛予算といっても、税金によってまかなわれているわけであります。その税金は国民の納めたもの。国民の安全を守るというためならば、そのようなことは当然のことではなかろうか。「ばんだい号」の事故のときにも、防衛庁のレーダーには、完全に「ばんだい号」がある地点で消えたということまでも確認している。こういうことからも、いわゆるいまの防衛庁の二十四カ所のレーダーサイトというものは完全だと思う。敵機の捕捉ばかりでなく、民間航空の安全を期するためにも、これを活用するという考えが防衛庁にあるかないか、この点を伺っておきたいと思います。
  224. 西村直己

    西村(直)国務大臣 航空自衛隊の警戒管制部隊でございますが、これのレーダーサイトを活用させろ、こういう御意見でございます。  警戒管制部隊というのは、御存じのとおり、一種の特殊の任務を持っております。言いかえますれば、領空侵犯、そういうものを中心にしました必要な対空監視あるいは要撃機の誘導、これが大きな仕事であります。こういうような任務というものは、本来の任務は、これは果たしてまいらなければなりません。ただ、今度の事故にかんがみまして、警戒管制部隊の任務に支障のない限りは、ひとつ民間にも航空安全の観点から御協力申し上げることは、十分心得てまいるつもりでございます。
  225. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの長官答弁によって、ほんとうに今後そのような事故がなくなるということが私も期待されるわけです。たいへんに勇断をもって答えられたことに対して、私も敬意を表するわけでございます。  そこで、このレーダーの一元化ができるということになりました場合に、各航空機に、要するに二次レーダーといってますが、SSRの装置を完備する、これで問題が解決できると思うのです。地上と航空機にSSR装置を設置することによりまして、レーダーの映像の上に民間機か軍用機、いずれにしましても明確に識別することができる。そういうことになりますと、ほんとうにこれはいいことだと思うのです。  そこで、民間機のほうには大体トランスポンダーというのが設置されております。このトランスポンダーの設置をほんとうに義務づけする、そうすることによって安全運航をチェックする、このようになると私は思います。そこで、この装置をつけることは、お金の点からはたいへんかもしれないけれども、一つの事故が起きて、一人について一千万円あるいはそれ以上の補償をする、そればかりでなく、国民皆さまにたいへんに心配をかける。こういう点から考えるならば、お金で解決するのならば、全部の飛行機にトランスポンダーをつけるべきではないか。また、この装置をつけることによりまして、ニアミスの防止ばかりでなくて、ハイジャックなどの場合の航空事故にも対処することができる、こういうふうにも考えられます。早急にこれを行なうべきであると思いますけれども、この点について、運輸大臣並びに防衛庁長官の御所見を伺いたいわけであります。
  226. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの、二次レーダーを民間旅客機につけろというお話でございますが、これはすでに先般来の対策分科会におきましても議題になりましたが、行管の勧告がありました後、行政指導によりまして、ただいまでは定期の飛行につきましては、民間機に全部ついたと承知しております。ただ、定期飛行でない民間機、いわゆる小型民間機につきまして、まだ一部しかついておりませんようでございますから、それも早急につけるように指導してまいりたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  227. 西村直己

    西村(直)国務大臣 民間機のほうでも、そういう受け入れ体制を持っていただければいいじゃないかと思います。
  228. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に進めますけれども運輸大臣、ひとつ伺いたいわけですが、あなたの所管であるところの東京航空交通管制部、こういうのがあります。御存じと思います。そこには部長さん、次長さん以下先任航空管制官、ずらっとこう並んでおりまして、三百十四名の人間が配置されておるわけであります。これをごらんになったことありますか。まだごらんになっておりませんか。
  229. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 空港のタワーはすぐに視察に参りましたけれども管制本部のほうは、まだずっとこの続きで見ておりません。直ちに見にいこうと思っている次第でございますが、このあれでまだ一ぺんも時間的余裕がございませんで、まだ見ておりません。
  230. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間的な余裕がなくてまだ見ることはできなかったということは、私も了解いたします。しかし、これはやはり航空管制の上からの一番の重要な心臓です。この心臓部を、やはり今度のような事故が起きたときに、一刻も早く行ってごらんになることが必要なんだ。こういうことに対しても、手を抜いているところに問題が起きてくると思うのです。  そこで、航空管制センターで聞きましたところ、計器飛行のみが管制の対象になっているわけです。米軍とか自衛隊機民間機ともに、有視界飛行の場合は全く管制外になってくる。こういうことで航空の安全が保たれるのかどうか、この点いかがでしょうか。
  231. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この問題は、有視界飛行が必要であることは原則でございますが、しかし、有視界飛行の場合におきましては、やはり航空法におきましても前面注意の義務づけをしております。有視界飛行の際におきましては、よく注意を喚起するということとともに、先ほど申しましたとおり、ニアミスその他の点につきましては、やはりそういった訓練空域の設定であるとか、回廊の設定であるとか、そういった禁止事項の設定であるとかというようなことをいたしましてやってまいりますれば、それらの問題は解決ができる、こういうふうに思っておる次第でございます。
  232. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう時間があと五分ばかりしかございません。したがいまして、まとめてひとつ答えていただきたいと思うのです。なお、警察庁、国家公安委員長にも一点だけ最後にお伺いしなきゃならぬ点がございますので、運輸大臣のほうのお答えは、ひとつまとめて要領よくお答えを願いたいと思います。  この航空管制センターにいまおります管制官の中に、先任管制官というのが一人です。これはそのようにきめられているようでございます。先任航空管制官、この人はたった一人でございますから、昼間つとめている。一体、そうすると夜はどうなるのかということなんです、心配は。そこで、昼間つとめる人にもいわゆる正副二人とか、あるいは夜間の方にも正副二人、こういうことが必要ではなかろうかと私は思うのです。先任航空管制官の末永さんというお方が非常にお疲れになっていらっしゃる。疲労の度が非常に濃いというふうに見受けてまいりました。お気の毒です。向こうからいろいろいただきました資料によって見ましても、三年前に約百七十名くらいの管制官がいたというのです。現在は二百三名でございます。全部で三百十四名でございますが、それはいろいろの面まで入りまして三百十四名。管制業務にだけは要するに二百三名ですね。そこで、そのいわゆる交通量のほうは非常に増大してきて、四十一年の十月で指数でいうと七二〇であったものが、四十四年の十月には一一六〇となっておる。こういうことを考えますと一・六倍。一方人員のほうは、先ほど申し上げましたようなことを見るならば一・一倍。交通量のほうが一・六倍、人員は一・一倍。それから一日平均の機数で見ても、四十一年の一月は七百三十五機、四十五年の一月、これは千八十五機で、こうなると一・四七倍、こういうふうになっておる。これを処理するところの人員は非常に不足ではないか。現場でもそのような不足の声を訴えております。これに対してどのように対処されるのか、これが一点。  それから、監視レーダー関係要員が非常に不足しているのではないかと思うわけです。それはフライトプランにつきましては二十四時間勤務ということになっておりますが、監視レーダーのほうは朝の八時半から夜の九時半まで、これ以降は実施されていない。現場の事情から、これは当然人間もふやして、二十四時間勤務とするほうが安全でないかと思われるのですが、これはいかがでしょうか。これが二点です。  三点目が、航空管制センターでは、現時点においてあと五十人の管制官を必要だ、このように言っております。そうすると、それに伴いまして、当然保守要員も必要になってくるわけです。具体的にこれを整備するについては、どのようなお考えを持っているかということです。これが三点目です。  それから、航空管制センターの中に、これは防衛庁長官にも聞いてもらいたいのですが、自衛隊の制服組が同居しているのですよ。航空管制センターというのは運輸省のものです。それの中に自衛隊の制服組が同居している。なぜ同居させているのか。このプラス面、マイナス面についてはどのような考えを持っておるのか。どうして同居させておくのか、その制服組の入っている管制室について説明を聞きましても、明確なお答えがなかった。自衛隊を同居させておくその考え方についてお伺いしたいわけです。  最後の一問については運輸大臣防衛庁長官、最初の三問については運輸大臣にお答えを願いたい。
  233. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 お答えいたします。  ただいま松本委員管制官が不足ではないかというお尋ねでございますが、私ども最近の航空交通事情の非常な増加に伴いまして、実際申しまして管制官の不足に悩んでいる次第でございます。それで、ただいまお話がございました羽田の先任管制官、これ一人では非常に不合理ではないか、ごもっともだと思っておる次第でございます。これを四十七年度に増員を要求している次第でございます。また、一般の管制官につきましても、これは私、先ほど申しましたとおり、東京のタワーの管制業務をやっておるのを見てまいりましても、非常にこれはたいへんな仕事であるということを痛感いたしまして、直ちにその労務管理についての改善方を指示し、いま検討さしておる次第でございますが、管制本部につきましてもやはり、私まだ見てまいりませんが、同様なことがいえるのではないかと思っておる次第でございまして、これも直ちに私は命じまして、先ほども申しましたとおり、本年度におきましてもその管制官の増員を、調整人員のうち——これは役所の仕事といたしますと非常にむずかしい仕事でございますが、総理大臣にも頼みまして、これをふやしてくれということを、「ばんだい号」事件以後私はすぐそのことを話しまして、せっかく交渉をいたしまして、大蔵省のほぼ了解を得まして、いまでは、全体からいいますとまだ足りませんけれども、相当数の増員の確定をもう二、三日のうちに見よう、こういうことでございます。そういうことでございますから、御了承願いたいと思う次第でございます。  それから、いまの防衛庁自衛隊管制官が同居しているのはどうかということでございますが、これは先般からの協議に基づきまして、それでフライトプランを防衛庁に通報するという協定になっておりますので、そういう関係で同居しているという話でございます。
  234. 西村直己

    西村(直)国務大臣 自衛隊員が一緒にいるということにつきましては、ちょっと技術的な問題がありますので、局長から御答弁させます。
  235. 久保卓也

    久保説明員 御存じのバッジシステムでもって敵、味方の識別をやっております。その際にフレンドリー、味方の飛行機はなるべく落としていきませんと、交通量が非常に多いのでわかりません。したがいまして、どういう飛行機がどういうところを通っているかということは、フライトプランでいまのお話のようにわかるわけでありますから、それを伝達を受けまして、DCサイトという指揮所がありますが、そこにテレタイプで送りまして、そこで味方の飛行機であるか敵の、アンノーンといいますが、不明の飛行機であるかということを識別いたします。そこではっきりわかったものは落として、消していくという作業をやるわけであります。その意味で、フライトプランをもらうために、あるいは連絡するための要員を配置している、こういうことであります。
  236. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長、いまのフライトプランをもらうだけならば、通信連絡でできるのと違いますか。そこへ同居させなくてもいいじゃないですか。
  237. 久保卓也

    久保説明員 運輸省の方が全部やっていただければもちろんよろしいわけでありましょうが、やはり私どもの仕事の便宜の関係でやっておりまするから、その作業自身は私どもがやはり同居さしていただいておる。別の事務所におってもよろしいわけでありましょうが、能率上そこに同居さしていただいておる、こういうだけであります。
  238. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんから、それでは運輸大臣が先ほどお答えになりました要員の問題、この点については、また後刻よく私は大臣の御意見を聞いてみたいと思います。大臣が言われている、ごらんになっているところの管制のタワーというのは、要するに空港のほうの問題、一空港だけの問題で、私の言っているのは、管制センターというのは日本全国の問題、そこに大きな違いがあるわけです。そういう点を考えまして、もう少しこれの増員については、積極的におやりにならなければいけないのじゃないかと思うわけです。この問題については、後ほどまた意見をかわしたいと思います。  そこで、最後の一問。先ほどお願いいたしました、国家公安委員長にお願いしたいわけでございますけれども、今回の事故によりまして遭難されたこれらの方々の御遺骸の問題であります。この遺骸の引き取りをめぐりまして、まことに遺憾なことが発生しておるわけです。けさの運輸大臣報告にも、最初一体、後から訂正されて二体、こういうふうに言われておりましたけれども、私どもも昨日確認したところによりますと、十六時現在で二体の御遺骸が残っております。このようないわゆる遺骸の引き渡しについて、この引き渡しの手続といいますか、あるいはまた手順といいますか、こういうものがあると私は思うのですけれども、今回の場合、その手続とか手順に従ってやったものかどうか、これが一点。それから、現在二体残っているところの御遺骸については、これをどのようになさるというのか、これが二点目。それから三点目が、搭乗していた事実がありながら、遺骸を引き取ることができない二人の遺族の気持ちをお察ししたときに、何とも言えない気持ちに私もなるわけです。人道上からも許すことができない、このように思います。さきの「ばんだい号」の事故の際にも、一家全滅してしまいまして、その見舞い金を渡すのに、だれに渡していいかというような問題が起きているということも私も聞いておりますので、この今回の、まことに申しわけない次第でございますが、お二人の遺体がまだ引き渡しが済んでおらない。このことについて、国家公安委員長としてどのように対処されているか。いま御質問した点について、お答えを願いたいわけであります。
  239. 中村寅太

    ○中村国務大臣 ただいま御質問のありました御遺体の中で、二遺体だけ引き取り手がないということで、非常に申しわけもない事態になっておるのでありますが、御承知のように遺体を捜索いたしまして、見つかった遺体はそれぞれ遺族方々に見ていただいて、そうしていろいろ、これはうちの者であるという申し出がありました場合には、その根拠になっておる点をできるだけお尋ねしまして、これならばもう間違いないという形でお渡ししてまいったわけでございます。遺体を引き取られました方々は、これはもうみな人情だと思いますが、一刻も早く処置して自分のうちに持って帰りたいというきわめて切実な要求がございまし。しかし、幸いなことに、被害者の遺体の指紋をほとんどとっておりましたので、現在の時点で、二遺体だけがつき合わないで困っておるのでございます。  そこで、それぞれ被害者の自宅における指紋をさがし出しまして、そうして残っておる遺体の指紋と照合するというような形で、あらゆる努力を続けておるわけでございます。この二遺体とも、大体年齢が五十そこらでございますので、そして御婦人であるというようないろいろの条件が狭まってまいりましたので、しかも、静岡の団体の方であるということでございますから、いろいろそういう指紋を各家庭の中でできるだけ正確にとって、それと引き合わせて渡すというたてまえで、いま鋭意努力をしておる状態でございますが、けさまでの時点では、まだそれが引き渡しできなかったと思いますが、それからいままで相当時間がたっておりますが、いまの時点のはまだ聞いておりませんが、そういう事情でございますから、一刻も早く正確な遺体を家族の方にお渡ししなければならぬということで、鋭意努力をしておるわけでございます。
  240. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 国家公安委員長、要するに手順というものについて、もう少し科学的にお考えになることはできなかったのかと私は言いたいわけです。何かこう話を聞きますと、指紋をとったのは、あとの照合が、要するに何か合わなくなってから指紋をとったように私は承知しているのですが、要するに、最初から指紋をとっておいて、そしてお渡しする、そういうふうな手順になっているものかどうか。最初から指紋をとっているならば、間違うわけがないと思うんですよ。それが現に間違っているということは、何か途中から指紋をとり始めた、そのようにしか思えないのでありますけれども、この点について、私はしいて追及するものじゃございません。ほんとうにお気の毒な方でございますし、人道上の問題としてこれをゆるがせにできないし、今後このようなことが起きてはならぬのでありますけれども、この遺体の引き渡しという場合に、御遺族の方は気も動転しているわけです。そういう中に、冷静に、科学的に判断をしてそれをお渡ししていかなければ、間違いがまた再び起きるのじゃなかろうか、こう思いますので、念のために申し上げたわけであります。  以上で、私の質問を終わります。
  241. 小峯柳多

  242. 横路孝弘

    横路委員 朝からいろいろ議論があったわけでありますが、私、この航空問題について、去年の四月二十七日に、内閣委員会でニアミスの問題を質問いたしまして、昨年の十二月十六日にも、自衛隊民間機との間のニアミスの問題についていろいろ質問をしてきた。その中で、今回いろいろ対策として発表されていることは、いずれも運輸省の当局において、それはすぐ検討いたします、すぐ実行いたしますという約束をいただきながら、先ほど来いろいろありましたように、もう十年も前から指摘されていることでありますけれども、現在まで放置されてきたことが、今回の事故になっているわけであります。   〔小峯運輸委員長退席、伊能内閣委員長着席〕 朝から議論してきて、この議論というものを、やはりきちんと皆さん方は行政の場に反映をしてもらうということでなければ、私たちほんとうに議論をしても、それだけでむなしさを感ずるだけなんです。ほんとうに今回の事故は、従来から指摘されたことが、とうとう悲しい現実になってしまったわけです。二度と操り返さないように、ぜひ要望をしたいと思うのです。  それで、お伺いしたい点は非常にたくさんあるわけでありますけれども、きょうは時間がございませんが、特に今回の場合、自衛隊のほうに全面的なミスがある。軍事優先の姿勢というものは、あらゆる分野に出てきていることは、この末満の制服がこういう行動をし、あるいは例の発言になってあらわれるような体質そのものだろうと思うのでありまして、そんな点で二、三お尋ねをしてみたいと思うのです。  質問を始める前に、一つ、二つ航空自衛隊のほうで使っている用語についてお伺いをしたいわけでありますが、FKということばがありますね、フレンドリーフェーカー、これはどういう意味なのか、まず防衛庁のほうからお答えをいただきたいと思います。
  243. 久保卓也

    久保説明員 仮設敵だそうであります。
  244. 横路孝弘

    横路委員 ボギーということばがありますね。どういう意味ですか。
  245. 久保卓也

    久保説明員 不明機だそうであります。
  246. 横路孝弘

    横路委員 そこで、今回の場合に、軍事専門家筋で、民間機をターゲット、目標にしていろいろな訓練をやっていたんじゃないかという疑いがあるという指摘がなされてきているわけであります。この事故直後、航空自衛隊のパイロットの人たちあるいはもとパイロットの人たち、もとレーダーのいろいろ仕事をしていた人たちから、いろいろな電話やら何やらがありまして、その中で私が聞いた、直接にも会って話を確かめ、本人がおったことも確実でありますが、こういう話が一つあるんです。これは網走です、北海道の。第二十八警戒群、ここにつとめていてやめて、現在は京都におるわけでありますが、その彼の話によると、自分の体験として、昭和四十四年の二月ごろ、彼はスコーパーをやっていた。そのほかにもプロッターとかテラーとかいろいろおって、ボードにいろいろと書き込むそうでありまして、先ほど久保局長がお答えになったように、その飛行機の識別、たとえばアンノーンのやつはオレンジならオレンジ、民間は白なら白にする、スペシャルは黄色とか、いろいろなものがあるようでありますけれども、函館の上空から千歳に向かって飛行機が入ってきた。白だったというのです。それが白地に赤で囲まれている。FKになった。そうしたら間もなくレーダーに、たぶんこれは千歳でしょう、発進してきたジェット機が見えた。それが赤地になって大体五、六分続いて、飛行機のほうは着陸をした。それを上官に聞いてみたら、こういうやつをFKというんだ。いま仮設敵とおっしゃる。仮設敵、FKといっている。これを証言する方がいるわけであります。名前ももちろん明らかになって、ここにおった、網走の二十八警戒群につとめていた人です。きちんとした人であります。こういう事実がある。いま全日空日本航空のパイロットに聞いても、みんなやったと言っている、大きな声では言っていませんけれども。  その辺のところを、防衛庁のほうでは皆さん方は知らぬかもしれぬけれども、制服はそういうことをやっている、現実に。標的にしているわけです。こういう事実について防衛庁のほうでどうですか。こういう証言はたくさんあるわけです。たくさんありますよ。まだあとでもお話ししますけれども、これはいかがですか。
  247. 久保卓也

    久保説明員 そういう事実は知りませんが、例を教えていただければ幸いだと思います。  ただ、訓練の場合に、図上訓練などでやる場合と、それから今度の事故の場合に、予想といいますか、疑われています場合のようなのと具体的には違いますので、今度の場合には少なくとも該当しない。その理由は、もし御質問があればあとで御説明いたします。
  248. 横路孝弘

    横路委員 私が言っているのは、今度の場合どうかということは別にして、自衛隊がそういうことをやっている疑いが非常に濃い。あとでニアミスの場合のキャプテンレーポトでお話をしていきたいと思いますけれども、やはりそういう疑いのあるケースというのは非常にあるわけです。いま図上と何か分けてお話しになったけれども、じゃ図上の場合はどんなことをやっているのですか。
  249. 久保卓也

    久保説明員 図上の場合には、これは戦術的なことでありますから、学校その他でやっております。   〔伊能内閣委員長退席、小峯運輸委員長着席〕 したがって、図上そのもので兵棋などを動かしながらやっているわけで、ボードの上では、これは実戦といいますか、実際の飛行機、こちらの要撃機が動いておりますし、また民間機も動いておるのがありますから、それをどういうふうにやっておりますか、私どもは存じておりませんけれども、いまおっしゃったような事態というものは、ちょっと想像しにくいわけであります。
  250. 横路孝弘

    横路委員 図上でやっておられるというならば、そのいろいろな教育訓練の資料があるでしょう。それをお出しいただけますか。
  251. 久保卓也

    久保説明員 具体的にどういう資料があるか存じませんが、帰って調べて、適当なものがあれば差し上げます。
  252. 横路孝弘

    横路委員 あとで資料は一括して請求をいたしますが、いまこういうケースがあるから、これはあとでもって氏名もきちんと明らかにします。したがって、お調べをいただきたいと思う。  このボギーということばは、今回の事故の場合に発言があったというのは明確です。新聞の解説によると、カッコしてみんなあぶないとなっています。しかし、いま局長がお答えになったように、航空自衛隊の用語の中では不明機ということですね。そしてレーダーなんかにつとめている人の話によると、これは目標ということになっている。そういう意味だ。したがって、ここでボギーと発言しているのは、あぶないから注意せよという意味じゃなくて、実はそれを目標にやってきて、そこに目標がいるという趣旨の発言じゃないかと十分考えられるわけなんです。ボギーというのは、皆さん方の用語辞典によっても、これは不明機でしょう、管制の用語として。そうなっていますね。どうですか、その点は。
  253. 久保卓也

    久保説明員 専門家の話では、そうだそうであります。
  254. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、あの訳は、ボギーはあぶないと訳すのは間違いなんですね。間違いですね。
  255. 久保卓也

    久保説明員 空中でボギーという場合には、自分の飛行機以外の航空機を発見したときのことばだそうであります。
  256. 横路孝弘

    横路委員 そんなことにはなっていないですよ。おたくのほうの航空幕僚のほうで出した用語集の中には、明確に不明機、しかも管制ことばになっていますね。だから、私はここでもってボギーがどういう意味かという議論はしようとは思いません。しかし、そういう疑いを十分私は持つことができる。  なぜかといえば、ここでひとつお尋ねしたいわけでありますけれども、たとえばこういうケースがある。これは最近の事例です。発生日時は昭和四十五年の十月六日十三時二十三分、浜松上空の異常接近について、全日空六四三便、東京−高松、YS11型機ですが、東京から横須賀デパーチャー経路で、浜松のNDBへ高度一万フィートで飛行中、浜松直前において、十時の方向からF86F型自衛隊機が急降下で接近し、四時の方向へ通過をした。両機の間はわずか二百フィートないし三百フィートで、そしてさらに自衛隊機は、浜松上空で再度二時の方向から接近をした。当時の気象はVMCであった。  これに対して、その機長のキャプテンレポートがある。このキャプテンレポートを、少し長くなるけれども、ちょっと読んでみますと、乗客五十九名を乗せて、十月六日、横須賀のポイントから浜松のNDBへ高度大体一万フィートで航行中、十時方向上方より急降下態勢で接近するF86Fを視認をした。そして急激な回避操作を行なった。そしてこのF86Fは同高度前方至近距離をクロスしたあとで、四時方向下方に離脱をしていった。瞬間的なできごとであって、接近距離は、正確ではないが、二百ないし三百フィートだろうと判断をする。そしてF86Fは一たん後方に離脱をしたあとで反転上昇して、再度二時方向上方より接近をした。そして七百フィート近くまで接近をしたあとで離脱をしていった。当時の浜松上空は快晴で、VMC状態であったが、上方死角より急角度で接近してきたため、視認が非常におくれて急激な操作を余儀なくされた。接近時間は、最初が十三時二十三分、二回目は十三時二十四分。  このニアミスについて、防衛庁のほうではつかまえていますか。
  257. 久保卓也

    久保説明員 少なくとも私は存じません。調べてみます。
  258. 横路孝弘

    横路委員 実は、運輸省のほうからニアミスについてのいろいろな、何件あって、大体その概要はどうだということをお出しいただいた。防衛庁のほうにも要求をしてお出しいただいた。運輸省のやつにはこれは載っているけれども防衛庁のほうからお出しいただいたやつには載っていない。二回も同じ飛行機が寄ってきて、一度去ってまた近づいてくる、こんなニアミスありますか。防衛庁のほうからニアミスとして出ていないのは、このパイロットがニアミスだと思っていないからなんです。目標にして訓練をやっているから、向こうはニアミスと思っていないから、そんなレポートなんか出すはずがない。だから皆さんのほうだって、ニアミスを防止するために、そういうケースがあった場合には出させているでしょう。パイロットから出させていますね。その報告の中にはこのケースは入っていない。そして運輸省のほうでもこれは調査したけれども、結局該当機不明だ、こういうことになっているのです。YS11というこの飛行機、ちょうど手ごろだといわれている。これは浜松の上空ですよ。こういうケースについておたくのほうで知らないというけれども運輸省のほうからのレポートにはきちんとあがっているのです。  ニアミスの態勢というのは、航空自衛隊のパイロットのほうからあがる、民間のほうからもあがる、飛行場の管制のほうからもあがってくる。みんなが全部運輸省のほうでまとまっているかというと、そうじゃないのですね。先ほども質問があったように十倍とか二十倍。自衛隊自衛隊で自分のほうに都合の悪いのは押える、航空会社は航空会社で自分のほうにミスがあるのは全部押えてしまう。運輸省にあがってくるのは、飛行場管制のミスのそういうものしかあがってこないのですね。だから件数が少ない。よほどのケースでなければあがってこないようになっているのです。これはどうですか。
  259. 久保卓也

    久保説明員 私どものほうでは、ニアミスのケースがありますれば、運輸省のほうに連絡しております。  この件について調査依頼をやってみましたところが、該当する航空機は、航空自衛隊入間基地の偵察航空隊所属のRF86Fであるということで、写真偵察中の飛行機であったということがわかっております。これは自衛隊のほうでは、いま申しましたように写真偵察の訓練をやっておったという認識のもとに行なったことで、いま私は知りましたが、これは、自衛隊側では十分の注意をしてやったとはいうものの、適当な訓練ではなかった、かように思います。
  260. 横路孝弘

    横路委員 これは運輸省のほうにちょっとお尋ねしますが、おたくのほうではわからない、原因不明になっている。それはどうですか。防衛庁運輸省報告していますか。
  261. 内村信行

    ○内村説明員 私いま伺いまして、詳細いま見ておりませんが、想像といたしましては、おそらくそういうレポートを受けて防衛庁に照会した結果、該当機なしということではないかというふうに想像をいたします。
  262. 横路孝弘

    横路委員 それは想像なんであって、これは原因が不明になっているのです。該当機なしになっているのです。防衛庁のほうで運輸省のほうに報告していますか。
  263. 久保卓也

    久保説明員 私どものほうでは、常にニアミスのケースを運輸省側に連絡します。運輸省側のほうでは、われわれのケースと違う場合があります。その場合に照会がありまして、私どものほうではいまの調べた結果を運輸省に通知したはずでありますが、その点は、私はいま確認をいたしておりません。
  264. 横路孝弘

    横路委員 結局、このニアミスのやつというのは、調べてみれば各航空会社どまり、自衛隊の基地どまり、こういうものがたくさんあるのですよ。それは各航空会社に出ているキャプテンレポートなどというものは膨大なものですよ。自衛隊のほうで押えているものだって、去年の十月のアンケート調査、年間の数というのは、公式の数の一体何倍ですか。膨大なものでしょう。自衛隊のほうだけでやるのでなくて、運輸省のほうときちんと一緒にニアミスの調査をするという体制を、これはちょっと話が横になりますけれども、とってもらわなければ困ると思うのです。こういうようなケースというのは実はまだある。昭和四十三年にもある。昭和四十三年八月十四日、最初に全日空にニアミスを起こし、それから日本航空の飛行機に対してやはりニアミスをしている。ほとんど同じ時間です。同じ時間にやっている。鈴鹿の上空です。T33です。古いものから持ってくれば、こういうようなケースはたくさんありますよ。私はこうした状況を見て——いま何か写真撮影とおっしゃったけれども、何もそんな急降下して上がったり下がったりする必要はない。  浜松の航空自衛隊のある隊員の話によると、接触訓練とか称してやっている。民間機が飛んでくるとレーダーで緊急発進をして、上昇力、下降力、旋回力をためす。民間のジェット旅客機というのは、ソビエトのTU16爆撃機にちょうどいい。スピードも同じだし、そうして民間機というのは、一定の航路を一定のスピードで走っているので目標にしやすい。そうして基地ではこう言われている。ともかくおまえらは訓練が大事だ、少少なことがあってもあとは空幕で処理をしてくれる、こういうことまで言っているという話を私は聞いている。浜松の上空というのは非常に大きいのですよ。そういうことは、あなた方まさか公式的に、標的にしてやりなさいなんということは言わぬだろうと思う。しかし、そういう現場の雰囲気というのがあるのです。現場では実際やっているのです。それは、中には雷族みたいなものがパイロットの中にいて、おもしろがってやるのもいるかもしれない。しかし、現実にこういうケースがたくさん出てきて、隊員の話を聞くと、そういうようなことをやっているという話が入ってくると、やはりこれは私たちとして不安でならない。この点どうですか。きちんとこれは今後やらぬように、やはり指導してもらわなければ困る。
  265. 久保卓也

    久保説明員 いま私も初めて知ったわけでありますが、もしそれが相当に広く行なわれておるとすれば、きわめて不適当な訓練であると思います。  したがいまして、私といたしましては、空幕と航空局及び民間会社のパイロットに接触させて、どういう事例があるかということを調べさせまして、もしそういった事例の多いような航空団については、直接空幕から指導させたい。空幕がそういった命令を出しておるはずはないと思いますけれども、おそらく各航空団の、場合によっては個個のパイロットかもしれませんけれども、いずれにせよ早急に調査をし、かつ改めさせたいと思います。
  266. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの点に関連してですが、先ほども木原委員から出しました「わが国の防空態勢について」、これは単なる民間の人が書いておるのではないのです。私は知っておるのです。そうして、昭和四十三年に国防会議から六十万円の予算を出してこれを書かせておるのです。これを部隊に流しておる。これは専門的な内容を持っておるのです。この中にソ連の爆撃機を、いわゆるフェーカーとしての評価が出ておる。これはしょっちゅう日本の近海を飛んでおるから。  それでこういうことが書いてあります。時間がありませんから一言だけ言っておきます。これは「戦闘部隊の練度と評価」のところにこれが書いてある。F86FとF104Jの練度の評価が書いてあります。そのうちF86の分を言っておきます。「遷音速領域(通常マッハ〇・八−一・二の間の速度範囲)における鈍重な中、大型機(爆撃機)の単機目標に対しては、有視界飛行状態での攻撃ならばF86F二機で十分に撃破できる。」一体これはどこからこういう評価が出ると思いますか。つまり、これは日本には爆撃機がない。それから遷音速領域、つまり〇・八マッハ、どのような飛行機が日本民間機で該当しますか。TU16バッジャー、これはソ連の飛行機、これがちょうどふさわしいんです。だから、いま横路委員が取り上げたような、このような民間機を標的にしてのいわゆるFKに対する訓練、それから得られた結論が練度としてここに出ておるんです。どうですか西村長官、これでもなお、民間機を標的にして演習はやっていないとあなたは断言できますか。
  267. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私も、そういう事実があるということは、きょうまず初めてお聞きしたわけであります。ただし、事柄が事実の認識の問題でありますから、詳細にまた厳重に調査いたします。  ただ、事柄はそういうことだけでなくて、もっと基本的な考え方からしっかり私らとしては考えてみたいと思うのであります。言いかえますれば、何と申しましても今回の事故、またその以前であっても、毎回申しますように、国民のための自衛隊である。したがって、そういうような形でもしニアミスを起こすとすれば、たいへんな事故の原因になる。そういう観点から、私は原点に立って洗い直すと、最初に着任のときに申し上げました。そういうような姿勢でもって、ただいまの事実があるかないか、また、あるとすればどういう形でやられておるか、調査はいたしたいと思います。
  268. 横路孝弘

    横路委員 「航空機の運航に関する達」というのがございます。昭和四十五年四月。その中で「他機への接近等」という第十九条の規定があります。この規定の中には、「編隊飛行には、教育訓練のため又は緊急状態にある航空機に対して追しょう(チェイス)する場合を含むものとする。」というのが第一項にある。そして第二項には、「航空機は、航空路その他常用飛行経路及びその付近においては、特に見張りを厳にして他の航空機への異常接近を予防しなければならない。」こういう十九条の規定になっています。「他機への接近等」という項目があって、その十九条の第一項、「編隊飛行には、ほかの飛行機に対してチェイスする場合も含む。」そして第二項には、「航空路その他に入る場合あるいはその付近においては、見張りを厳重にして他の航空機への異常接近を予防しなければならない。」逆に言うと、これは民間航空路の中でこういう訓練をやることを、私は前提にしている通達だと言わなければならないと思うのです。どうですか、これは。
  269. 久保卓也

    久保説明員 これは、航空路では編隊飛行は行なわないことになっておりますから、ここでは、航空路及びその付近においてはということで、こういうところでの編隊飛行の訓練としてのあれは、計器飛行以外の訓練としてのものは、ないのではないかというふうに思います。  なお、この条文からしますると、いまの御疑問も出るような感じも私もいたしまするけれども、私どもといたしましては、これの運用の実態を承知いたしておりません。したがいまして、実際には、味方の飛行機について追躡するということを考えているのではないかというふうに思っておりますが、確認してみます。
  270. 横路孝弘

    横路委員 そこのところは、一項、二項の解釈として実は非常に重大なんですね。しかも、「他機への接近等」となっていますね。そういう中で編隊飛行、今度やっていたあの二機というのは編隊飛行でしょう。そして、「緊急状態にある航空機に対して追しょうする場合を含む」といっておいて、わざわざ二項で、「航空機は、航空路その他常用飛行経路及びその付近においては、特に見張りを厳にして他の航空機への異常接近を予防しなければならない。」とある。接近ではなくて、異常接近を予防しなければならない、こういうことになっているわけなんです。これは、解釈からいえば、反対解釈すれば、当然航空路でやるから、そのかわり、やるときには十分注意してやれということの意味でしょう。違いますか、これは。
  271. 久保卓也

    久保説明員 これは私の読み違いでありまして、編隊飛行の定義について、自分が一機でありましても他の飛行機にくっついていっている場合には、それは編隊飛行であるというふうに解釈するのだそうであります。
  272. 横路孝弘

    横路委員 だから、この二項のほうはどうなのかということなんです。これはおかしいじゃないかということなんです。
  273. 久保卓也

    久保説明員 ですから、航空路の中で他の飛行機に追躡していく場合がありましょう。その場合に、おそらく航空法規に従って適当な間隔、距離、高度を保たねばなりませんが、そういった場合でも、編隊飛行になり得るということをいう意味のようであります。
  274. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの横路委員の達の十九条の二に関連して、さらに通達が出ておりますね。「空察第五十五号、三十九年六月十九日、指導の参考について(通達)」「最近航空路の新設による訓練空域の減少及び航空路を飛行する航空機数の増加にかんがみ、VHC下の訓練機による異常接近または空中衝突を防止するため、操縦者は見張りを厳にするとともに、次の事項を守る必要がある。」ここに(一)として、「航空路を横切る場合は至短距離を直線的に、かつ、なし得れば航空路最低高度以下の高度で飛行すること、」例の直角に行かなければならないという通達になっておる。つまり、こういうことが予想されておるのですね。一貫性を持っておる。だから、これは明確にしてもらいたい。この資料をひとつ出してください。いま横路委員指摘した「航空機の運航に関する達」昭和四十五年四月、航空幕僚監部発、それと、いまの空察第五十五号、三十九年六月十九日の通達、これを資料として出してください。
  275. 久保卓也

    久保説明員 提出いたします。
  276. 横路孝弘

    横路委員 時間がございませんので、あとでまだ楢崎委員のほうからも質問があるようなんで、最後に資料を一、二点お願いをしたいと思います。  一つ、今度の編隊を組んだ二機ですね、出発するときは当然松島のタワーからオーケーをとって離陸をしていると思うのですね。それから以後、その周波数を松島のタワーか、飛行隊か、あるいはレーダーのGCI、レーダー基地かに合わせているはずなんです。したがって、パイロット同士の交信した記録も、この三つのどれかの中にそのテープが残っているはずなんですが、それについてどうですか。警察庁。
  277. 高松敬治

    ○高松説明員 松島のコントロールタワーとの交信のテープは、提出を受けております。それから、パイロット同士の交信についてはテープはないようでございますが、なお、その点いま調べております。
  278. 横路孝弘

    横路委員 松島のタワーからテープをもらっているわけですね。そうすると、タワーに周波数を合わせていたということなんですよ。そうすると、交信した話の内容は二十四時間記録ですから、そのタワーの記録の中に全部入っているはずなんです。
  279. 高松敬治

    ○高松説明員 それは提出を受けております。
  280. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、お互いのパイロット同士の交信もその中に入っていますね。
  281. 高松敬治

    ○高松説明員 パイロット同士の交信……、その点はちょっと不明でございます。
  282. 久保卓也

    久保説明員 今回の場合には、松島を出る場合にタワーと周波数を合わせております。離陸をしたあとは訓練機同士の周波数に切りかえるそうでありまして、したがって、タワーのほうには残っておりません。
  283. 横路孝弘

    横路委員 しかし、その周波数はどっかに合っているはずですよ。おたくのほうでそんなにたくさん持っているはずじゃないでしょう。じゃ、どういう周波数に合わせたのですか。
  284. 久保卓也

    久保説明員 チャンネル数は十八ありまして、もう一つエマージェンシーのチャンネルがある。合計十九だそうでありますが、離陸のときのチャンネルと、それから訓練中交信するチャンネルは違うのだそうであります。
  285. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、訓練中のチャンネルだって、その周波数はどこかに合っているでしょう。
  286. 久保卓也

    久保説明員 これは両方の飛行機にセットされているそうでありまして、タワーには少なくとも残っておりませんからテープにはない、こういうことのようであります。
  287. 横路孝弘

    横路委員 私の調査しているところとそれは違うわけでありますが、いずれあらためて追及していきたいと思います。  もう一つ資料、「F86Fシラバス、四十二年三月」それから航空自衛隊の教育訓練資料「操縦と戦技」というF86Fのやつですね。さらにこれに付随して「操縦者用飛行管制用語(案)」というのがありますね。まあ皆さんのほうのは大体みな案になっているわけですけれども、その資料を提出いただきたいと思いますが、いかがですか。
  288. 久保卓也

    久保説明員 けっこうです。
  289. 横路孝弘

    横路委員 わずかの状況証拠ですけれども、こういう事実を積み重ねていくと、やはり非常に民間機を標的にしていろいろな訓練をやっている、そういう疑いというのは非常に強いと思うのです。先ほど防衛局長のほうから調査をしてみるということでございましたから、ぜひこれはこの機会に御調査をいただきたいと思うわけでありますが、今回の事故を通して軍事優先の思想というのが、やはり今度の事故に結びついたということを最後に指摘をして、私のほうの質問を終わりにしたいと思います。
  290. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま横路委員の資料要求、F86Fのシラバス、これがなぜ必要かというと、いろいろありますけれども、さしあたってベールアウト、つまり市川二曹が脱出した、べールアウトしたときの状況、これと非常に関係がある。このベールアウトのどういう状態のときにどうするというその教範なり訓練資料がありますか。
  291. 高瀬忠雄

    ○高瀬説明員 ただいまのベールアウトの場合の特別な教範は、ございません。
  292. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、いつ脱出するかは乗っておる自衛隊員の自由になるわけですね。
  293. 高瀬忠雄

    ○高瀬説明員 いつ脱出するかということは、一に機長の判断によります。
  294. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 したがって、いま明確になったのは、搭乗員がいつ脱出するかは本人の自由である、そういうことが客観的にはっきりなったわけです。したがって、衝突した後に脱出したのか、衝突する前に脱出したのか、これはいまのところ調査中であろうと思います。しかし、衝突する前に脱出しても、その脱出という点については、本人にどのような法的な責任も負わされない、こういうことになるのではないかと私は思うわけです。それらに関連して脱出訓練というのがあるはずだと私は思うが、そういう点とからんでいまのシラバス、それから、そのシラバスに続く最後の教科書である訓練資料、昭和四十三年十二月の「操縦と戦技」、これはぜひ私にも出していただきたい、このようにお願いしておきます。  そこで私は、今度の事件を見まして、自衛隊とは一体何であるか、これをもう一ぺん問い直す必要がある。そうしてそれと関連していままでの防衛計画、それから来年から始まる新防衛整備計画、これは根本的に考え直す必要があると思います。  そこで、日本の空は一体だれのものか。日本の空は、まず第一番に米軍のものである、その次に自衛隊のものである、その次に民間のものである、この仕組み、制度が厳然とあるのです。総理大臣は、午前中の質疑応答の中で、こういう答弁をされました。米軍にも外務省を通じて、米軍自衛隊民間調整をはかり、民間優先にすることには問題はないと答弁された。総理大臣がおられぬので、代理として出席をお願いしました官房長官にお伺いをします。  午前中にちょっと出ました、地位協定の六条に基づいて日米合同委員会による合意書ができております。その第三付属書が問題のところである。これは、私は過去三回提出をお願いしたが全文が出ない。やむを得ないから私の持っておるものでひとつ質問をしたいと思う。そこで官房長官、こういう付属書の訂正ができるとあなたはお思いですか。——付属書の訂正ができるとお思いですか。総理大臣はできるとおっしゃった。
  295. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ただいまの御質問に対するお答えにつきましては、総理大臣がお答えしておるといたしますならば、そのとおりであります。
  296. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 外務大臣、どうでしょうか。
  297. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 午前中に総理がお答えしたとおりと思いますが、ただ、付属書が今回の事故と直接関係ありやいなやということは別にいたしまして、当然日米間の航空管制に対する合意は、一応見直す必要がある、こういう考え方でございます。
  298. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、外務大臣はまだどういうところにこの付属書の問題点があるか御存じないようですね、関係があるかないかは別としてというようなおことばでしたが。重要な段階ですが、時間がなくて残念ですが、ほんの二、三拾ってみましょうか。ほんの二、三拾ってみましょう。いいですか、この第三付属書の第三章、「方針」というところの二のaの「航空交通の保安管制が、日本国の防空に必要とされる場合は、防空責任担当機関が保安管制を行うことを認めること。」同abcのd、「次に述べる航空機について、航空交通管制承認の最優先権を与えること。(一)防空業務に従事する航空機及び(二)あらかじめ計画された戦術的演習に参加する航空機。」とあって、防空業務に従事する航空機というのは、米第五空軍のものと、いわゆる航空総隊、航空自衛隊の飛行機である。ちゃんと最優先的に扱うとこうなっておる。それから、同jのところには、「在日合衆国軍の要求にもとづき、民間、軍を問わず、すべての航空機関に優先する空域制限を航空交通管制本部をして提供せしめること。」これで完ぺきではありませんか。これをあなた直せると思いますか。  それともう一つ、時間がありませんから聞いておきます。もし直せるとするならば、いつまでに直しますか。というのは、これは直ちに沖繩に適用されるのですよ、復帰されたら。沖繩は米軍自衛隊民間が、特に那覇はそれが錯綜する。佐藤総理大臣は、地位協定が何らの変更なく沖繩にも適用されるとおっしゃった。では、これを修正しないで適用するというふうになるではありませんか。返還前にあなたはこれを修正するのですか。はっきりしてください。単なることばでは困ります。
  299. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 御承知のとおり、現在わが国の防空業務、これは一〇〇%防衛庁が担当しております。したがいまして、いま御指摘ではございますが、先ほどの防空担当機関というのは、現在では防衛庁でございます。ただし、エマージェンシーの場合といいますか、非常時の場合においては、これまた別個の見地から行なわれると思います。
  300. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 違いますよ。これは日本にその航空交通管制が渡されて後に第三付属書ができたのですよ。何をおっしゃっているのです。第一、第二付属書の場合は昭和二十七年六月二十五日の合同委員会ですけれども、第三付属書の場合は昭和三十四年六月四日、これは航空交通管制日本に移されて後の話です。だが、私はその点は議論しません。私の質問に答えてください。修正するのですか、しないのですか。その時期はいつですか。沖繩が復帰する前ですか、あとですか。
  301. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、現在は一〇〇%わが国の防衛庁が担当しております。したがいまして、実質上は何ら変更する必要はないと思います。
  302. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは答弁はまるでおかしいじゃないですか。午前中の総理答弁はどうでありましたか。たとえば、あなたの答弁は私は納得しませんけれども、一歩譲ってあなたの答弁を納得するとしても、午前中総理は、民間優先を原則にするとおっしゃった。それでは、あなたこれを変えなかったら、これはほとんど自衛隊だとおっしゃったら、自衛隊の優先というのはこのまま残るじゃありませんか。何をおっしゃっているのですか。そんなにいいかげんな、この場をつくろうような答弁をしてはだめですよ。こういう重要な、外国との地位協定に関するこの合意書を修正すると、午前中は総理はおっしゃった。そんな無責任答弁では困りますよ。もう一ぺん総理を呼んでください。だめですよ。   〔発言する者あり〕
  303. 小峯柳多

    小峯委員長 静粛に。
  304. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 午前中総理答弁いたしましたのは、今回の事故を契機といたしまして、わが国の航空交通管理体制というものを一応根本的に再検討する、こういう見地から申したと思います。したがいまして、その成果に基づいて新たなるそういう管制措置がもし——もしでございません、できました場合には、当然日米合意の内容もそれに従って見直すべきである、こういうことを申し上げたと思います。
  305. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま私が申し上げたとおり、もしあったらじゃないのです。現にいま読んだじゃありませんか。あるじゃありませんか。もしあったらじゃないのです。だめですよ、そういうあいまいな答弁では。やるのですか、やらぬのですか。そしてそれは沖繩の復帰前ですか、あとですか。さっき言ったとおり、これは今後沖繩とは特に関係が出てくるのです、この航空交通管制は。
  306. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 先ほど御答弁いたしましたのは、これは平常時における航空交通管制の場合には、実質的に現在防衛庁が担当しておりますから、これについての支障はないと思いますが、しかしながら、今回の事故を発端といたしまして、新しい航空管制考え方、基本方針がきまりますれば、その面において見直すべきである、こういう意味でございますが、ただし非常時、緊急時の場合においては、これはまた別の見地から考えなければなりません。
  307. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたは、自衛隊だけで米軍関係ないようなことをおっしゃっておりますけれども、いいですか、一九六七年三月一日実施、これは板付の問題である。二4aに移ってからの問題でありますが、現地司令官と福岡防衛施設局長及び福岡航空保安事務所長の間で締結された「板付飛行場一部の共同使用地域に関する現地協定」というものがある。これは米軍関係です。この中に、多くは言いませんが、このうちの二の(ロ)のところには、「第五空軍司令官は、事前の通告なしにこの協定による航空局の共同使用権を無期または臨時に終了させることができる。」これまたひどいものです。だから、米軍関係ないなんてあなたおっしゃってはいけないのですよ。すべてこの付属書と関係しているのです。これは一体どうするつもりですか。いま私が読み上げました板付の現地協定、これはどうするのですか。
  308. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 いま御指摘の板付は、御承知のとおり、現在航空局が管理、管制を担当しております。したがって、いまは米軍の使用ではございません。ただしその当時の契約はまだ残っておる、こういう状態でございます。
  309. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大臣は代理大臣でたいへん恐縮なんですが、そういうことじゃないのですよ。いま七月一日から管制権が移されたことになっておるのです。管理権は米軍にあるのですよ、地位協定二4aですから。だから、いまのような御答弁はちょっと的がはずれておるのです。  では端的に聞きますが、この現地協定は御破算ですね。いいですか。
  310. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 現在はまだ二4aではございますが、近く二4bになれば、当然それは廃止されると思います。
  311. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ、二4bになるまではこれは生きるわけですか。
  312. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 現在は、当然それがまだ生きておりますが、おそくとも来年三月までにはそれを廃止する、こういう話し合いになっております。
  313. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では本論に戻りますが、この合意書は、あなたの見解でもよろしゅうございますが、これは政府としては、いまでは自衛隊だけがこの防衛担当者の内容だからこのままでいいという御見解か、それともこれを修正するという御見解か、はっきりしてください。
  314. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、これは非常時の場合も想定しておりますから、そのまま、廃止するわけにはまいらないと思います。
  315. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 午前中の総理答弁と違いますよ。だめです、そういうことでは。私は、総理の午前中の答弁は注目して聞いておったのです、大事なところだから。ただ単に総理ことばの上でああいうことをおっしゃったのだったら、われわれここで質問を続けることができません。総理大臣を出してください。重要なところです。これはやがて地位協定も変更することなく沖繩に復帰の場合には適用されるのですよ。沖繩ではいまの基地の状態が変わらないのだから、これが生きるのですよ。これが生きるのです。だめです。総理答弁と違いますよ。——官房長官総理を出席させてください。これは総理大臣と外務大臣と重要なところで答弁が違います。
  316. 吉野文六

    ○吉野説明員 補足的に、木村外務大臣代理の答弁の補足をさせていただきます。  いま申し上げましたことは、日本の防空管制は、御存じのとおり、いま自衛隊責任を持って全部引き受けているわけでございますから、御指摘米軍との合意議事録というものは、実質的には意味がないわけでございます。しかしながら、非常時ということもございますから、今後これをどういうように修正していくか、そういうことはわれわれとしても検討していきたいと思います。また、ことにこのたびの事件によりまして、航空安全対策の一環といたしましてどの程度手直ししていかなければいかぬか、このことも含めて検討したいと思います。
  317. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういうゆうちょうな話じゃないのですよ。では、あなたはどこを変えるというのですか。どこを検討するのですか。そして、先ほどから言っておるように、いつまでに検討し終わるのですか。
  318. 吉野文六

    ○吉野説明員 日本側の対策関係省協議して、これができ上がりましたら、これに合うようにいまの合意の内容を、その必要があれば変更していきたいと思います。
  319. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 答弁になっていないでしょう。それはいつまでにやるのですか。私は、時間がないから沖繩のときにまたやりますけれども、これが沖繩と関係がないと思ったら大間違いですよ。
  320. 吉野文六

    ○吉野説明員 わが国の、今度、いま検討しております航空対策ができ次第、直ちに米側と話に入りたいと思っております。
  321. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、沖繩復帰の前かあとかわからぬわけですね。
  322. 吉野文六

    ○吉野説明員 理論的には前かあとかわかりませんですが、いまの状況では、この対策は即刻できると思いますから、即刻入るわけでございます。ただし、沖繩につきましては、御存じのとおり、わが国はまだ航空管制を直ちに引き受けるような状況になっておりません。これは、別個の管制官の訓練とか養成の問題でございますから、この点につきましては、別個考慮していかなければならぬと思います。
  323. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 別個考慮するということは、これに何らかの変更を与えることですよ。これは沖繩のときにやりましょう。地位協定を何らの変更なく適用できるかどうかの問題点ですからね。それで、私はいまの点はまだ納得しません。これはいずれ機会を得て総理大臣にもう一ぺん明確にしてもらいたいと思う。総理答弁はそうではなかったのです。そのためにあなたは外務大臣代理として、例の航空交通管制連絡協議会ですかの一員に加えられておられるはずです。この問題があるからあなたは入っておられるはずです。  そこで午前中、自衛隊の体質を変えるというのはどういう点かという総理の反問がありましたね、西村大臣。私は、自衛隊の体質が今度の事件にあらわれておると思う。どういう体質があらわれておるかということで、一体自衛隊は何を守ることになっておるか、それを明確にしたいのです。何を守ることになっておるか。これは私は過去に一度取り上げたことがありますが、鹿島研究所が出しておる「日本の安全保障」、この中に源田実氏が「国防」という表題で論文を書かれております。そしてこの本の推薦は、当時の総理池田勇人、外務大臣大平正芳、防衛庁長官福田篤泰となっておるのです。実に権威ある本です。その中で源田さんは何とおっしゃっておるか。「今現在の日本においては、ほとんどだれも言わないと思うのでありますが、表面化されても非常に問題になるような性質なのであります。」いまから言うことがですよ。「今の日本航空自衛隊というものが、何を目標として訓練をし、何をやるべきか」それについて、「防御の主体というものは、アメリカの持っている反撃力を守る。」これが第一番の目標です。つまり、アメリカの基地を守るというのが航空自衛隊の第一の任務である。その次が、自衛隊が飛び立つときは自衛隊の基地を守る。二番目が自衛隊の基地。そして一番最後に出てくるのが国土の防衛でありますが、「これは、はるかにそれに付随したものとして出る」何ということですか。航空自衛隊の守る目標は、第一番に米軍の基地、二番目が自衛隊の基地、そして国土防衛というものはそれに付随して出てくる。一体だれを守るのですか。これが論文とおっしゃるならば、これを裏づけることをあなた方は訓練でなさっていらっしゃる。陸上と航空自衛隊の幹校の合同演習ですか、陸空幹校合同図上演習、これは六八年五月の十七日から下旬にかけて二週間やられておる。この中でそのことがぴちっと出ております。それから、昨年行なわれました航空自衛隊四十五年度総合演習、略称あすか演習、これでもいまの基地を守る、これがもう如実に出ておる。そのような訓練を実際にやっておるのです。  それで、西村大臣は午前中に、自衛隊憲法のもとに行動しているのですから、軍事優先にはなっておりませんと答弁されましたね。ところがどうですか、二年前に統幕議長になられてことしの七月一日までやられました板谷さん、この方はどう言われておるかというと、憲法は厳重に守らなければいけない、しかし、国の存在のためにどうしても必要なら解釈の運用でやるべきだし、それができなければ、憲法の改正も必要になろう。つまり、あなたはそうおっしゃっておるけれども、ユニフォームはこういうことを考えておるのです。  それから、時間がないから私は問題点を一ぺんに言っておるのですが、先ほど申し上げた「わが国の防空態勢について」これは民間の論文だとおっしゃいましたけれども、実際は教範の中でそれがやられております。どのようにやられておるかというと……。
  324. 小峯柳多

    小峯委員長 楢崎君、結論に入るようにしてください。
  325. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もう入ります。私、これを言ってそれで終わりますよ。いいですか、総合運用教範、指揮及び幕僚業務、これは航空自衛隊訓練資料であります。昭和三十五年八月発行分のものであるが、この中に、序文の三の適用のところ、「四この教範の適用にあたって現行の法規と抵触する事項は次によるものとする。」その(イ)としてどう書いてあるか。「作戦及びそのための平時における教育訓練においては、たとえ法律違反しておってもこの教範による。」いいですか、だから航空法があってもこの教範どおりするんだ。つまり、午前中に伊藤君が取り上げたSARP、あの中央協定なり地方協定のとおりするんだ。つまり、軍事優先が教範的にも貫かれておる。これを言うと、おそらく、いまあなたが言ったら、これはことしの三月三日私が質問したから、廃止されたと言うでしょう。廃止されたことが出ておる。ところが、これは昭和四十六年三月三日まではこの教範が生きておるのです。これでやられておったのです。  これでも、あなたはなお自衛隊の体質について首をかしげませんか。法律なんてどうでもいいのだ、教範のとおりやるのだ、この思想でやられておる。こういう思想、あるいはさっき言ったような訓練目標、こういうことを全部洗い直す必要がある。だから四次防は変えなくちゃいけないと言うのです。訓練目標も変えなくちゃいけない、演習方法も変えなくてはいけない、それにふさわしい装備も変えなくちゃいけない、これが私の結論です。時間がありませんから、大臣の御見解だけを承っておきます。
  326. 小峯柳多

    小峯委員長 簡潔に御答弁願います。
  327. 西村直己

    西村(直)国務大臣 楢崎委員の御意見は、私どもとやや立場が違う面もあると思いますが、私ども政府、特に防衛庁といたしましては、できるだけ、憲法の条章のもと、国会の御審議を受けました自衛隊法並びに関連法規の中において、国土の防衛、与えられたる任務の遂行につとめたいと思います。  ただいま御引用になりました源田君のことにつきましても、私どもは単に基地だけを守るのじゃない。国土全体を守る。基地も国土の一部でございます。したがいまして、私どもは、それ全体を守る中において、戦争の抑止力として存在する基地というものはどうしても重点的に扱われる、こういう解釈をとっておるのであります。ただ、お説もございますから、不断に、軍事優先というような印象を与えないように、たとえ末端におきましても、先ほどいろいろお話がありましたような件につきましても、詳細にわれわれは心を戒めてまいりたいと思います。  御引用になりましたただいまの教範関係なんかにつきましても、四月の一日から新しい教範に確かに入っております。(楢崎委員「いままで生きておったんだ」と呼ぶ)ただし、生きておりますが、それはことばの問題でありまして、法律違反というふうに表現をなさいましたが、法規よりも教範を優先させるというような表現になっております。実は、指摘されました訓練資料は、米軍の教範を参考にして作成された。したがって、米語と申しますか、英語では、ルール・アンド・レギュレーションとなっておるのを法規と訳しておるのでありますけれども、正しくは諸準則というような解釈で、誤訳が非常に誤解を生んでおるというふうにも解釈できると思うのであります。   〔楢崎委員「そんなことを言ってはだめだ」と呼ぶ〕
  328. 小峯柳多

    小峯委員長 楢崎君、発言の許可を得てやってください。  たいへん時間もたっておりますので、各党の申し合わせもありますから、どうぞ結論を、簡潔にしてください。
  329. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたはそんなことを言っても、あの訓練は、日本語で各部隊におろされておるのですよ。それでやっているのです。英語でやっておるのじゃないですよ。何を言っているのですか。あれで訓練をやっているのです。だから、私はそれを指摘しているのです。あれで現実にことしの三月三日までやっていたのです。そういう思想だから、隈一尉のあのことばが出てくるのですよ。こんなことをしておったら訓練なんかできやしないというあのことばは、まさにそういう訓練を受けておるからあのことばが出てくるのです。偶然出てきたことばじゃないのです。  それで、最後に簡単に言っておきますが、航空管制官の増員については、総定員法のワク外で考えますか。それが一つ。中村大臣。  それから、これは今後起こってくる問題ですが、必ず無線周波数を特別に割り当てる必要が出てくると思います。そのときには、これは電波監理委員会でやると思いますが、十分考えますね、郵政大臣。  この二つだけお伺いして終わります。
  330. 中村寅太

    ○中村国務大臣 航空の安全を確保するために必要な要員の場合は、総定員法のワクの中で処理ができない場合は、ワク外でも考えたいと思っております。
  331. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 電波につきましては、従来もそうでございましたが、今後も優先的に考えてまいりたいと思っております。
  332. 小峯柳多

    小峯委員長 和田耕作君。
  333. 和田耕作

    和田(耕)委員 午前中からの質疑を通じて感じますことは、長官は、自衛隊訓練空域については、陸上の定期航空路と錯綜しないような形にするという。それは今後洋上でもって訓練をするというような御答弁だと思うのですけれども、その点は間違いないでしょうか。
  334. 西村直己

    西村(直)国務大臣 従来も洋上に中心を置いておったことは事実でありますけれども、より以上洋上を使わなければならぬ。中心を置かなければならぬ。ただ、洋上におきましても、御存じのとおり、国際航空路等の関係もあります。これは考慮しなければならない。もう一つは、どうしても陸上を使わなければならぬ離発着の訓練のようなものもございます。これは民間のほうのパイロット養成でも同じ問題になると思います。できるだけ訓練空域航空路と分ける。それから同時に、中心、主力を海上に置く。しかし、それも国際航空路のことも顧慮しながらやる。したがって、自衛隊あるいは防衛庁としては、訓練のある程度の制約は、民間航空の安全のためには受けるということは、われわれも覚悟しなければならないと思います。
  335. 和田耕作

    和田(耕)委員 それでは、できるだけ洋上を使う、しかし、陸上の訓練空域も残る場合があるということでございますね。  そこでお伺いしたいのですけれども、現在自衛隊で使っておる飛行機、今度問題を起こしましたF86F、練習機のT33、F104、そのほか自衛隊で現在使っておる飛行機の航続時間をお教え願いたい。
  336. 西村直己

    西村(直)国務大臣 局長から……。直ちに調べてあれいたしますが、もし御質疑お願いできれば、続けてやっていただきたいと思います。じきにわかると思いますが、お待ち願っておいて……。
  337. 小峯柳多

    小峯委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  338. 小峯柳多

    小峯委員長 速記を始めて。
  339. 久保卓也

    久保説明員 F86Fの航続距離は六百八十マイルであります。したがって、一時間半程度であろうと思います。これは最高速度で行った場合です。それから、F104Jは航続距離が九百二十マイルでありますから、一・五マッハで参りまして、これも約一時間くらい。それから、T33は千百マイルでありますが、これは二時間と少しくらいであります。
  340. 和田耕作

    和田(耕)委員 つまり、主として訓練空域を洋上にするという御答弁ですけれども、現実の問題として非常に困難ではないかと私は思うのです。その理由は、今度事故を起こしたF86Fにしても、最高一時間半という時間は、つまり、基地から洋上の訓練空域との往復の時間を入れれば、三十分ぐらいしかないのじゃないか。あるいはまた104にしても、その程度か、もっと少ないというようなことになりますと、現在の航空自衛隊が使っておる飛行機でもって訓練をする、そして総理長官もほとんど洋上を使いたいというような答弁をしておられるが、しかし、実際にそれができるかどうか。はたして、そういうふうな条件のもとでやりたいと思っても訓練ができるかどうか。この問題について私はかなり不審を持つわけですから、いまの航続時間の問題をお聞きしたわけですけれども、この点、長官どうでしょう。
  341. 西村直己

    西村(直)国務大臣 確かに、われわれも一番心配しておりますのは、燃料に限度があります。ただ行って帰ってくるというだけではございません。やはり、訓練というわれわれの任務は遂行さしていただかなければならぬ。  したがいまして、これは基地からどの程度にどういう地域を設け得るか、それから同時に、そうした条件がどうしても無理である場合に、訓練はもう全然やめるということは、これは困難な場合もありますし、いま一つは、率直に申しますと、自衛隊のパイロット養成も、民間航空の強力なパイロット養成の給源になっておるということも、これは否定できない事実でございます。そこいらも勘案し、しかし、交通安全は第一義だというので、できる限り洋上訓練中心にはするが、その他の点について空域を設けさしていただく場合もある。一番具体的な例は離着陸になるわけでございますけれども、その他の訓練においてもやらしていただく。それから、訓練におきましてもいろいろな態様があると思います。編隊訓練もあれば、射撃的な訓練もありますし、いろいろな態様に従ってもやらしていただかなければならぬ、こう思います。御心配の点は、やはりわれわれも感じてはおる点であります。
  342. 和田耕作

    和田(耕)委員 午前中の総理に対する質問の場合に、今度の事故の直後に、総理は、当分航空自衛隊訓練は中止するということを御決定になりましたので、したがって、私はいつまで中止をするのだという質問をしたわけですけれども、その質問の裏には、私は、これはそうは言ってみても、なかなかできないのではないかというおそれが非常に強かったからなんです。こういうショッキングな事件のあとだから、政府はできるだけ全力を注いで、何とか民間優先の姿勢をとってというような気持ちがあるから、そうは答えたものの、実際それができなければ何にもならない。いまのF86F、あるいはT33、あるいは104、この三つの機種が、いま申されたような航続時間しかもたないような機種であれば、言うべくしてそれは実行できないということになる。そういうことになりますと、せっかくの政府の、総理の決意にもかかわらず実行不可能だということになる。そういうふうな状態のもとで、大部分の訓練を洋上でするとおっしゃいましても、それは実際実現不可能なことになる、こういうふうに思うのですけれども長官、重ねて御答弁をいただきたい。
  343. 西村直己

    西村(直)国務大臣 基地の位置にもよると思いますし、それからもう一つは機種にもよると思いますし、それから同時に、国際航空路がふくそうしているような地域をどうするかという具体問題、確かにあると思います。これは私ども政治立場というよりは、かなり専門家同士の技術的問題ですが、しかし基本は、やはり民間航空の安全ということは基本に置かなければならぬ。そういう中で、まあ常識的に考えますと、やはり中心は洋上訓練のほうに置かざるを得ないし、また置くべきではないか、こういう気持ちだと思うのであります。  なお、この機会に申し上げますが、一体まとまるか。私どもはまとめなければいかぬ。そうして少なくともめどがある程度立ったところで、やはり訓練も一月も二月も三月も置いておくということは、隊の任務そのもの、また隊も防衛力でございますから、いたずらに士気を低下させるだけが隊の任務をやっているとは言えないわけであります。そこいらも御了解を願ってやらせていただきたいと思います。
  344. 和田耕作

    和田(耕)委員 あまりしつこくは聞きませんけれども長官、そういういまのような条件で、できるだけ洋上を使うという場合に、考えられる洋上というのはどのような地域になりますか。
  345. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私は専門家でございませんし、まだ詳細な検討報告を受けておりませんが、太平洋岸がこんでいる場合に、やはり北なり日本海側においても、ある程度訓練し得る場所もまだあり得るのじゃないか。いろいろな地域を検討していただいておるつもりでございます。
  346. 和田耕作

    和田(耕)委員 この問題について、先ほど来、またこの事故が起こってから、総理もそうして運輸大臣防衛庁長官も、かなり前向きと思われるような方針を立てておられる。何とかやりたい、こう言っておられる。その気持ちは私もわからぬではありませんけれども、その一つ一つが実行困難あるいは不可能なような問題を含めてお約束をなさっておられる問題があまりに多いのじゃないか、こういう感じがするわけで、いまの一番重要な問題の一つの洋上訓練という、しろうと目で見ると、ああ、それはいいなと考える問題だけをいま取り上げているわけですけれども、その問題については、防衛庁長官も今後できるだけの努力をして、あまり災害を起こさないような洋上を選ぶという御決意をいただくものと了承しまして、この問題については、問題を指摘するにとどめます。  もう一つ問題は、運輸大臣の問題ですけれども先ほどからの質問に対して航空安全施設の画期的な拡充をする、五カ年を三カ年にもする、もっと早くしたい、レーダーの問題でも基地のその他の問題でもしたい、要員の問題についても、大蔵大臣といろいろ折衝しているけれどもというお話がございました。この問題も同じような問題がありはしないか。いま楢崎君からの最後の質問でありましたような総定員法の問題でも、そう私は簡単にやるべき問題でもないと思います。とするなれば、運輸省の内部でその人員のやりくりをするという問題が大きな問題になってくる。これはできますか。
  347. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの和田委員の御質問でございますが、御指摘のとおりなかなか困難な問題でございます。困難な問題ではございますが、何といたしましても管制要員その他の確保をしませんでは、先ほども申しました長距離監視レーダーの設置を初めといたしまして、あらゆる問題につきまして支障を来たしますので、万難を排しましてやりたいと思っている次第でございます。もとより、総定員法では定員がきまっておりますから、本年度はその調整人員を最大限にひとつ動かしてもらいたい。来年度につきましては、また別個に考えていただきたいというようなつもりで臨んでいきたいと思う次第でございます。  また、将来におきまして、やはりこの配分を考え直しまして、できるだけ省内から、いまの航空安全の重要性にかんがみまして、要員を出させましてそれでやりたい。これをやれませんでは、定員の要求もなかなかむずかしいことでございますし、その点もすでに検討を命じているところでございます。御了承願います。
  348. 和田耕作

    和田(耕)委員 午前中も総理に申し上げたのですけれでも、この問題はこういう場で質疑をして、そしてこの場限りの受け答えで終わるという問題じゃないのです。防衛庁の問題にしても、ほんとうにこれは自衛隊の死活にかかるような問題と関連をしておる。運輸省の問題でも、わが国の航空行政の問題については同じような関連の問題がある。ここでいろんなことをやりとりをして、できるだけそうします、基本的にはそう思っておりますなんということで片づく問題じゃないのです。  そういうようなことを最後に私は御指摘を申し上げまして、受田委員の関連質問がありますから、かわることにいたします。
  349. 受田新吉

    ○受田委員 昨年、あなた方よく御存じのような交通安全の基本法ができて、そして中央交通安全対策会議がりっぱに構成されておりながら、一年たって、航空の基本的な対策さえも用意しないでこういう事件を起こしたことに対して、政府は、一体法律ができてもなぜ傍観しておるかというずるいあり方に、心から私は警告とそしておしかりを申し上げたいと思うのです。  まずそのことについて、和田議員の質問に関連することでありまするので、一、二関連事項として指摘したいことは、航空管制の基本的な対策としては、これが一元化しなければならぬということは、もう火を見るよりも明らかな大衆の要望である。技術的にもそうである。ところが、日本は三つの線でばらばらになっているというこの管制のあまりにもでたらめさを、この際根本的に改めるということが、この中央交通安全対策会議の基本的な航空に対する考えでなければならぬと思うのです。  私は、ここで運輸委員長とも諸外国の実情を拝見した、その強烈な印象から申し上げたいのですけれども、世界のすべての主要国は管制を一元化しておる。軍と民間とがばら、ばらになっていない。アメリカのごときも連邦政府航空庁を設けて、そこで民間機と軍用機との完全な調整をとっておるのです。主要な空港では、その空港の周辺の相当広いエリアの中において、そこに入ってくる飛行機は、完全にその一元化された管制機関がこれをつかまえておる。そこへ入ってくるところの飛行機は電波を発信して、特にトランスポンダーというそういう機械をつけて、必ずそこから電波を発信して、完全にレーダーにそれが映って、そこの飛行機のどのような小さなやつでも、存在が明確になっているというそういう形になっているとき、日本は、一応主要の空港では、かっこうの上では管制官の指揮下に入ることになりながら、自衛隊は、事実問題としてレーダーでかってな行動をしておるというのが現実です。これは非常に大事な過誤であって、一年間もこの大事な中央における基本的な交通安全の対策をなぜ打ち出されなかったか。なぜ一元化しなかったか。米軍が現にブルーラインでかってな行動をしていることについても、アメリカ自身が民間機と軍用機とを一本化して管制の中に入れている国です。だから、日本管制一元化にはきっと協力するはずである。それをなぜもっと努力をして、米軍協力を求めて、軍と米軍民間機とを一本化しなかったか。なぜ今日までこれを怠ってきたか。どこかにおそれるものがあるんじゃないかということです。そのことをお尋ねしたい。お尋ねしたいことについて、具体的にそれに関連する問題を取り上げます。  いま西村長官は、くしくも、パイロットは自衛隊がりっぱに養成して、これを民間に差し上げてあるといばっておられた。これは非常に大きな誤りだ。自衛隊でパイロットを五千万円も六千万円もかけて養成して、それを民間に提供しているということを、いまいばってお話しになったことは残念です。運輸省は独自の見地から航空大学校において民間に必要なパイロットを、自衛隊のおこぼれをいただくのでなくして、みずからの力でなぜりっぱな養成をしないのか。自衛隊のおこぼれを頭を下げて頼んで配給してもらうために、自衛隊のわがままをついに見のがしてきたのが運輸省の今日の欠陥の原因じゃないか、かように考えるが、どうです、御答弁願いたい。
  350. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私は率直に申しますが、別にいばってそういうことを申し上げたのではございません。御存じのとおり、今日の日航は、アメリカでジェット訓練をやっておられる。このジェット訓練は、なかなか時間もかかるし、場所をとるのでもたいへんな問題を起こす。現に、南方で一時さがしても問題がまだ決着しない。したがって外人パイロットを使っている。日本人の手でやりたいという気持ちはもうみな持っておる。そこで自衛隊でも、もちろんこのパイロットというものが必要があれば出さざるを得ない、こういう気持ちでございますが、確かにわれわれとしましては、きわめて緊密なる管制、これをどういう形にするか、これはまだいろいろな詰めは必要だと思います。多少任務も違う面もあります。しかし、そこいらを乗り越えてどうするかの課題を、できるだけわれわれは前向きに検討してまいりたい、こう思います。
  351. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのお話でございますが、私どもは、航空大学校におきまして年間約百三十五名の定員一ぱいの養成をいましております。もとよりそれで足りません。民間におきましても大体二百名ぐらい、それで海外委託をさしております。いま受田委員のお話しのとおり、われわれの力をもちまして、民間とも協力をいたしまして、わが国の養成機関におきまして、外国に委託するその他を改めまして私どもでやりたい、また、やらなければいかぬということは、もうそのとおりでございます。御指摘のとおりでございまして、私らもそれを心がけてやっている次第でございますが、まだその規模が少なくて、申しわけない次第でございます。  ただ、いま自衛隊からときどき一そういったことを養成するのは、いま、過渡期におきまして、アメリカ人、外国人のパイロットもやや借りなくてはならないというような現状にあります。まして、わが国民で、自衛隊からこっちへ来るというような者は、まあぜひひとつ入れ、入ってもらいたいということでいまやっている次第でございまして、決してそれをおろそかにしているわけでございませんし、またそれによりまして、自衛隊に対しまして、いろいろの点におきまして制約を受けている次第じゃございませんから、御了承願いたいと思います。
  352. 受田新吉

    ○受田委員 運輸大臣、あなたのほうは、人のふんどしで相撲を取って、養成されたパイロットを配給していただいておるようなかっこうになっている。これは運輸省としては主体性を失っているのです。そこで自衛隊を持つ防衛庁に気がねがある。外国では民間が、アメリカでもそうなんです、西ドイツでもそうなんですが、民間管制の主体になっております。軍を吸収している。アメリカの航空庁では、軍人をその民間航空庁にたくさん用いて、軍民一体の機構がりっぱにでき上がっておる。あなたのほうへ自衛隊から適当な人を配給してもらって、配置してもらって、そこで一緒に管制の一元化をはかるということ、米軍のほうも一元化をはかるということ、そういうことを強力に——米軍はいま特殊事情で、はっきり協力してくれますよ。アメリカは一元化を実践しておるのですから、米軍は、あまり苦労しなくともひっついてくれる。防衛庁協力してあげなさい。そして民間の、運輸省中心航空管制一元化、特に空港は全国的規模で一元化をはかって、管制官の命令一下動く指揮下に入れなさい。それを急いでおやりになる気があるかどうか、お答え願いたい。
  353. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま受田委員からおっしゃいました点は、もうほんとに根本からそのとおりだと思う次第でございます。しかし、民間航空が急激に発展をいたしました。それは最近数年でございます。それに伴いまして、運輸省航空行政機構が非常に貧弱であるということも事実でございますので、それらを勘案いたしまして、できるだけ早くそういったような体制を整え、また、養成もできるだけ私ども中心になりまして、それで供給が十分できるように配慮していくつもりでございますから、一そうの御鞭撻お願いする次第であります。
  354. 受田新吉

    ○受田委員 最後に一問私はこれで質問を終わりますが、いま大臣がちょっと触れられましたが、この急激にふえた空の交通量、それが人的、物的に非常な勢いで伸びておる。空の時代が来ておるのです。そのときに、機構的に航空局という一セクションで間に合うかどうか。少なくともアメリカの連邦航空庁のような意味のもっと強大な機能にして、軍部からも——軍部といっては失礼ですけれども自衛隊からも適当に、米軍からも適当に参加した強大な一般航空行政と、一方では保安部門を担当する行政もあわせて、そこで一元化した航空行政を強大に施行するために、仮称航空庁のようなものを設置する必要はないか。また、行管は行政の簡素化をはかるのはけっこうだ、人的削減をはかるのもけっこうですが、場合によっては、その機能を発揮させるために、拡大をする必要のあるところは思い切ってこれをやらすということも必要なのです。その点において、この近代的な異常な発展を遂げている空の時代を迎える意味において、私自身も行政の簡素化の提唱者の一人でございまするが、この事件を契機に航空業界の犠牲を今後絶無にし、同時に、異常な発展にこたえるために、仮称航空庁のようなものをつくることに、行管長官として積極的に取り組む意思があるかどうか、御答弁を願いたい。
  355. 中村寅太

    ○中村国務大臣 私は、急激にふえてまいっております航空需要に対して、万全のかまえをつくることに積極的に協力してまいりたい、かように考えております。
  356. 受田新吉

    ○受田委員 私のいまの質問の点について、ポイントを押えた答弁になっていません。
  357. 中村寅太

    ○中村国務大臣 航空庁をつくってということに対する答えかと思いますが、私は、航空庁というようなそういう名前を、いまどうするということでなくて、航空需要に対応し得るかまえをつくるということに積極的に対処してまいりたい。その上で、あるいは名前は何にするかというようなことは、それはまた運輸省当局で考えるだろうと思います。
  358. 受田新吉

    ○受田委員 運輸大臣に一言、いまの問題について。それで終わります。
  359. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま行管長官からお話がございましたが、行管長官もこの問題については非常に積極的に支持をしていただいております。私どもも次の、少なくとも来年度の予算までには、それらの機構その他も十分検討いたしまして、いまの情勢に合うような機構にぜひ編成がえをしたい、こう思っておる次第であります。
  360. 小峯柳多

  361. 東中光雄

    東中委員 先ほどの質疑で、自衛隊訓練の際に民間航空機を仮想敵機にしているのではないかということが問題になって、キャプテンレポートが紹介されました。私もいまここにそのキャプテンレポートを持ってきているわけですが、あらためて読むことはやめますけれども、昨年のこの問題を見てみますと、十時方向から四時方向に向かってまさにクロスしているわけです。旅客機であるYS11との間隔は、機長の判断では二百ないし三百フィート、六十メートルから九十メートルということですね。YS11の巡航速度からいえばコンマ五秒なんですよ。コンマ四秒か五、六秒というところなんですね。わずか半秒くらいの差でとにかく危機が免れた。今度は、それがまた反転してきてもう一回やっている。しかもその接近度が七百ないし八百フィートで、時間にすれば何と一秒ちょっと。二秒にはならない。こういう事態が起こっているわけです。これが、なるほど衝突はしなかったけれども、乗客にショックを与えたということははっきり報告しています。キャプテンは抗議を申し込んでくれとはっきり言っているんです。こういう事態は、これはもう仮想敵機としてやったんじゃなければ起こる問題じゃない。  ところが、先ほどの答弁では、防衛庁のほうはこれはあまりニアミスとして扱っていないということだったんですが、航空幕僚監部運用課の回答というのを見てみますと、なるほどニアミスとして扱っていない。その扱っていない理由は、衝突予防については十分注意して飛行していたから、ニアミスとは考えていないと、こういうのです。十分注意して、コンマ五秒くらいのところをクロスして、もう一回一秒くらいで衝突しかねないような反転をやっている、意識的にやっているということを、はっきりとこの空幕の運用課が認めているわけですよ。こういう事態が起こっているんですから、これに対して仮想敵機としてやっておらぬということは、これは絶対にいえない。これも大臣は知らぬ。なるほど知られぬかもしれぬけれども、事態はこういう形で出ているんだから、どうされるか、ひとつはっきりとした態度を示していただきたい。
  362. 西村直己

    西村(直)国務大臣 先ほど横路委員にお答えいたしましたように、事実がどういう形で行なわれたか、なるほどここに報告書の写しもあるようでありますが、さらに実態的に調査いたしたいと思います。
  363. 東中光雄

    東中委員 これともう一つ、ここに資料がありますが、これもキャプテンのレポートであります。米軍ジェット機の異常接近について。日は一昨年の十二月二日ですが、松山発八時二十分、計器飛行、高度九千フィート、大阪に向かって運航中、八時五十分、四国丸亀上空において二機の米軍機、ファントムと思われるが、うしろ上方より垂直に前方すれすれに急降下してきた、そこでとっさに右旋回の操作をしたが、瞬間のため機体の変位なし、同時に機体が大きく振動、これはジェット機の後流と思われる、その後流によって振動した、直ちに連絡した、こういっております。こういうレポートが運輸省に出され、それに対してこの場合は、航空管制課は文書受け付けしているけれども、ナシのつぶてなんですね。米軍がやっておる、これも非常に危険な後流で、とにかく振動を起こすような状態、それがそのままほっておかれるというのがいまの実情だと思うのですが、このレポートを受けておられるかどうか、その後どうなっておるのか、どういう対処をされておるのか、運輸大臣にお聞きしたい。
  364. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのニアミスにつきましては、全日空から航空局に対しまして文書で、かかることのないよう申し入れがございましたので、直ちに文書によりまして、空制二二四号、四十四年十二月二十日付で、米軍に対しまして申し入れを行ないました。ところが、米軍から折り返し、在日全米軍機関を調査したが、該当機がないという回答がございました。同時に全日空に対しましては、その旨回答を行なった次第でございます。  しかしながら、当局といたしましては、かかることがないように異常接近防止分科会、昭和四十三年発足いたしましたが、再三申し上げておりますが、ここにおきまして、防衛庁米軍も含めましてニアミス防止対策検討いたしました。また、このことを米軍方面にも連絡をするとともに、また、近く主要航空路の特別管制空域化を実施するということを、先般も申し上げました航空交通管制連絡協議会でいま検討中でございまして、近く結論を持ちまして、これらを外務省を通じまして米軍にも申し入れをいたしまして、その管制下に従ってもらう、こういうつもりでいる次第でございます。
  365. 東中光雄

    東中委員 この二つの例を見ましても、初めの浜松上空におけるYSの場合、機長は、もしこれが故意であれば事重大である、こう言っているわけです。このレポートにも書いてあるとおりです。そうして防衛庁もこの回答を出されているわけですが、それによると、はっきり故意だということをいっているわけです。意識してやったんだ。安全だと思ってやったんだ。なるほど、コンマ五秒の差で安全だ、そういうことになっているわけです。こういう事態というのは、これは航空安全という点からいうならば、軍用機優先の思想が貫いておる。何でもないという形でやられておる。たまたま今度衝突事故が起こりました。まことに不幸なことです。しかし、コンマ四秒か五秒の差で切り抜けてきたという事態がずっと続いておる。しかも、自衛隊運輸省もそれを知っておって、そうして具体的に何もしてない。こういう意識的なニアミスをやった、これに対して何の処置もいままでしてこなかったのだろうか。これは防衛庁自衛隊で、運用課でわかっているわけですから、こういうことがわかっても何にも処置しないで、そのまま黙認してきたということなのか、何かの処置をしてきたのか、その点はどうなんでしょう。
  366. 久保卓也

    久保説明員 ただいまのケースにつきましては、航空写真の偵察、これは浜松基地とそれからその周辺の偵察を航空路上でやったようでありますから、航空路上での偵察を中止させたということでありますが、その後も全般的に、ニアミスに対する警戒について、あるいは回避について通達をし、会議をし、また監察をしておる。特に昨年の七月以降十二月までにかけまして、そういった問題についての徹底的な監察を行なっております。  ただいまのようなケースを、私どもいま知りましたが、いま一度民間航空に当たりまして、再調査をしてみたいと思っております。
  367. 東中光雄

    東中委員 コンマ五秒の差で、何十人の人が一ぺんに死んでしまうかもしれないような事態が起こっている。それが、そういう行動を起こしたことに対する責任というようなことは、何にも考えられていなかったというのが現状だと思うんですが、今度のこの事故を見ましても、非常にミステリーめいたものがずいぶんあります。  私は、今度の事故が起こってからのことについて一、二聞きたいのですが、たとえば隈一尉の行動です。この衝突事故が二時四分に起こったといわれている。これは防衛庁がきょう出された文書にも書いてある。ところが、この隈一尉は松島基地へ帰投したのが実に五十九分。五十五分間一体何をしておったのか、何にもわからない。これは地上との連絡をとっていたのか。とったとすれば、一体何を彼はしておったのか。まさにこれはミステリーです。こういう行動がどういうところから行なわれてくるのかということを、われわれ理解できない。  さらに、飛行コースの目的についてのこの隈一尉の発言の経過がどんどん変わっていっている。これはもう新聞でいろいろ報道されているとおりです。初めは、演習を終わって航空路を横断するのだと言った。それが今度はフルードフォアの訓練中だったということをはっきり言うようになった。まるっきり違うわけです。こういう形に変わっていっている。航空路との距離がだんだん接近していっているというふうな状態で変わっています。あるいは市川二曹が、あの衝突後火の海となった、きりもみ状態になっている飛行機から自力でベルトをはずしてパラシュートで脱出したと言っている。私も戦闘機を操縦しておりましたからよく知っております。きりもみに入って火の海になってどうして脱出できますか、音速近くの飛行機から。こんなことあり得ぬということは、航空関係の人ならだれだってわかることじゃないですか。しかも、飛行機は焼けてもいないということがはっきりしている。明らかなうそなんです。何でこういうことを言わなければいけない状態になったのか。これはもう物理的に考えられぬことです。こういう解せないことが一ぱい起こっている。あるいは田中飛行隊長が訓練飛行計画書を提出するのをすぐ出さなかった。直接問題になることでしょう。公のことなんじゃないですか。はっきりと犯人意識で隠すというのだったら、これは別です。そうじゃなくて、当然出すべきものを五日間もかからなければ出さない。なぜこういう態度をとるのだろうか。結局。航路上においてやっていること、さっき言ったニアミスが起こっている、ああいう意識的にやっていることが困るからそれを警戒して、そしていろいろ不自然な、論理的に合わないうそを言ってきているようなかっこうになっているのじゃないか。飛行プラン、フライトプランが出せない、こんなばかなことはないわけです。  こういうように自衛隊の見方自身が、飛行コースについてどんどん変わった。これは結局、航空路に対して自衛隊がやった、あるいは仮想敵としての訓練をやったかもしれない、あるいはそれに類する行為をやっていたということを隠すために、こういうミステリーめいた、はなはだふしぎな条件が一ぱい出てきているのじゃないか、こう思うのですが、防衛庁長官、どうでしょう。
  368. 久保卓也

    久保説明員 若干事実関係がありますので、私からお答えいたします。  まず、衝突から帰着まで相当時間があったのに、その間の行動が不明であるということでありますが、これは距離をはかっておりませんけれども、私どものほうでは隈一尉と、警察につかまるまで二度コンタクトしただけでありますので、具体的な詳細な様子がわかっておりませんけれども、二度のコンタクトでは、この事故がどういうふうにして起こったかということを中心にして聞いております。したがいまして、帰着のコースを私どもいまだ確認しておりません。  それから、飛行コースの関係でありますが、これは夕方隈一尉と連絡したときと、夜中に連絡したときでもってようやく確認できたわけでありますが、夕方のときには、私どものほうの聞き違い、取り違いであったのかもしれませんが、そのときの態勢と深夜に聞いたときの態勢とでは、少なくともわれわれのほうの理解が違っております。それは民間航空機の位置だけの問題でありますが、それ以外は、夕方と深夜のわれわれの理解は変わっておりません。  それから、市川二曹の脱出の関係でありますが、市川二曹については全然われわれはコンタクトしておりませんので、真相はわかりません。ただし、いろいろ推定はできるわけでありますが、事実調査の前に推定をすることは不適当であろうと思いますので、ここでは差し控えます。  それから、訓練計画につきましては、これはどういう関係で提出がおくれたのか、私、承知いたしておりませんが、少なくとも私どものほうでは、当初の訓練計画の写しをすぐに送ってもらっておりますので、警察は現在もちろん入手しておりますが、私どもも内容は承知いたしております。その間にふぐあいなところはないように私どもは認めております。
  369. 小峯柳多

    小峯委員長 東中君、時間ですから、ひとつ結論に入ってください。
  370. 東中光雄

    東中委員 いまの御答弁、私がお聞きしているのは、いま手に入ったか入らぬかということじゃないのです。そういうミステリーめいたことが一ぱい起こっている、隠しているということが、この世界最初の大事故、それに対して防衛庁のとっている態度は、はなはだ了解できないということを言っておるわけであります。  と同時に警察関係、これは公安委員長にお聞きしておきたいのですが、この場合は、事件発生後三十二時間以上も逮捕していないわけです。桜木町事件の国鉄の場合なんかはすぐ逮捕している。世界で初めての大事故が起こっているのに、三十二時間逮捕していない。それから市川二曹については、異例の自衛隊による健康診断で、取り調べの途中に出しています、要請されて。そういう中で防衛庁の飛行コースについての見解が変わってくる、あるいはF86Fの計器が警察によって取りのけられている。現場を専門家でない者が先にとる、変動してしまう、こういう事態が起こっている。あるいはフライトプランについても、出さなかったら、刑事局長自身が言われているようですけれども、強制捜査をやってでもとるということを言われた。捜査の常識として、捜索令状をとって強制捜査をやりますよ。強制捜査の予告をやるなんというのは聞いたことないですよ。それは強制捜査の意味がないじゃないですか。こういう異常なことがやられている。先ほどの質疑でも出ていましたけれども、警察と防衛庁とぐるになっているのじゃないかということを感ぜざるを得ないような、こういうデータが一ぱい出てきている。こういう悲惨な、それこそ二度とあってはいけないこういう事故なんですから、徹底的に究明する。事件は二人のパイロットの責任じゃないのです。そのもっともとの問題があるんだ。だからこそよけいもとの問題については、たとえば飛行ランの問題にしても、あるいは訓練のやり方についても、あるいは訓練空域の設定についても、私たちが資料を請求してもなかなか出さない、こういう状態になっている。私は、こういう点について警察はもっと科学的に、そしてほんとうに真相を究明するような、根は深いわけですから、そういう点での徹底した態度をとるべきだということを要求したいわけですが、国家公安委員長の考えを聞きたい。
  371. 中村寅太

    ○中村国務大臣 警察といたしましては、徹底的に真相の究明につとめておるのでございます。詳細なことにつきましては、刑事局長から答えさせていただきます。
  372. 小峯柳多

    小峯委員長 簡潔に……。
  373. 高松敬治

    ○高松説明員 逮捕が次の日になりましたことにつきましては、当時私も七時過ぎに盛岡に着きまして、それで事情をいろいろ検討してみましたが、その時点においては、とにかく事情がなかなかはっきりわからない。たとえば衝突した地点がどこであるか、民間航空路の中であるのか、外であるのか、それから衝突は正面衝突なのか、横なのか、追突なのか、そういうこともわからない。一切その原因がはっきりしない、そういうことでございます。  それからもう一つは、市川二曹のほうは夕方に盛岡署へ連れてまいりましたけれども、隈一尉のほうは松島へ帰投しておりました。それで、宮城県警本部から直ちに松島基地に行ってそれを調べるように宮城県警本部に連絡いたしまして、石巻署で取り調べを始めた、こういうふうな状態でございまして、関係者の証言、それから目撃者、昼でございますから、落下についての目撃者がいろいろございました。それらの目撃者の見た位置、それから角度、そういうものから推定いたしまして、おおむね民間航空路の中ではないかというふうに判断がつきまして、それから隈一尉あるいはその上司である田中二空佐、これらを盛岡警察署に任意出頭を求めましていろいろ事情を聞きました。そうして最終的に業務上過失致死の疑いがあるという結論を出しましたのは、三十一日の十時近かったと思います。そういうことで、事態自身の真相の把握ということに非常に時間がかかった、こういうのが実際でございまして、別にそれについて他意があったわけではございません。  それから、計器の問題ですが、計器類をかってにはずしたというふうなことにつきましては、これは先ほどのお話にちょっと関連するわけですが、落ちました86Fの機体には座席もそのまま残っており、それから緊急脱出、ベールアウトの際に使う起爆薬がそのまま残っておりました。それでこれが爆発すると非常にぐあいが悪いということで、専門家にこの爆薬を取り除く方法をいろいろ依頼しておったわけでございますが、その到着がなかなかありませんので、写真を写しでそうしてその計器類をはずした、こういうことでございます。したがいまして、その点では問題はないと思います。
  374. 小峯柳多

    小峯委員長 簡潔に願います。
  375. 高松敬治

    ○高松説明員 私どもはそういうことで、捜査につきましてはきわめて厳正にやっておるつもりでございます。
  376. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で、本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時五十七分散会