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1971-03-23 第65回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十三日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————  昭和四十六年三月二十日予算委員長において、  左のとおり本分科担当委員を指名した。                 小林 国司君                 小山邦太郎君                 斎藤  昇君                 堀本 宜実君                 安田 隆明君                 山崎 五郎君                 杉原 一雄君                 永岡 光治君                 前川  旦君                 三木 忠雄君                 山高しげり君     —————————————    委員の異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      山高しげり君     喜屋武眞榮君  三月二十三日     辞任         補欠選任      杉原 一雄君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         三木 忠雄君     副主査         安田 隆明君     委 員                 小林 国司君                 小山邦太郎君                 斎藤  昇君                 堀本 宜実君                 山崎 五郎君                 杉原 一雄君                 鈴木  強君                 永岡 光治君                 前川  旦君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        郵 政 大 臣  井出一太郎君    政府委員        農林大臣官房長  太田 康二君        農林大臣官房技        術審議官     加賀山國雄君        農林大臣官房予        算課長      松本 作衛君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農地局長  岩本 道夫君        農林省畜産局長  増田  久君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        郵政大臣官房長  野田誠二郎君        郵政省郵務局長  竹下 一記君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君        郵政省人事局長  北 雄一郎君        郵政省経理局長  溝呂木 繁君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   石川 達郎君    参考人        日本中央競馬会        理事長      清井  正君        日本中央競馬会        理事       金丸 光富君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査選任の件 ○昭和四十六年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十六年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十六年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————   〔年長者小山邦太郎主査席に着く〕
  2. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 ただいまから予算委員会第三分科会を開きたいと思います。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもちまして、私が主査及び副主査選任について議事を主宰いたしたいと思います。  これより主査及び副主査選任を行ないますが、選任は投票によらず、主宰者の指名に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 御異議ないと認めます。  それでは、主査三木忠雄君、副主査安田隆明君を指名いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。それではどうぞ。     —————————————   〔三木忠雄主査席に着く〕
  4. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) ただいま皆さまの御推挙によりまして、主査をつとめることになったわけでありますが、何ぶんふなれでございますので、皆さまの御協力を得てその責務を果たしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会昭和四十六年度総予算農林省運輸省郵政省及び建設省所管審査することになっております。二十六日の委員会主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日郵政省農林省、二十四日農林省、二十五日郵政省運輸省、二十六日建設省という順序で審査を進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、分科会において各省から聴取する説明でございますが、時間の関係もありますので、説明は省略し、会議録の末尾にこれを掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 次に、参考人出席要求についておはかりいたします。本分科会において必要な参考人出席要求についての取り扱いは、これを主査及び副主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 昭和四十六年度総予算中、郵政省所管を議題とし、質疑を行ないます。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  10. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 速記をつけて。永岡君。   〔主査退席、副主査着席
  11. 永岡光治

    永岡光治君 郵政大臣にお尋ねいたしますが、私は本日の質問、これは分科会での質問でありますので、先般の予算委員会一般質問で御質問申し上げました事項について、若干数点についてふえんする意味で御質問申し上げたいと思います。  第一点は、予算の点でございますが、郵便料金改定についてでございます。これは私はこの改定によって今後何年間郵政財政としては、これをまあ俗なことばでいえば、予算赤字なしで持てる時期は何年くらいであろうかという質問をいたしたわけでございますが、その点についてさらにふえんして御質問申し上げるわけでありますが、まず、これは努力目標ということは一応わかるといたしましても、一応の今後の経済の情勢、物価上昇、賃金のしたがって上昇、そういう問題を含めまして、はたして三年持つのかどうか。持つとすればその計算がどういう根拠によって三年持つという見解を持っているのか、そのことを冒頭にお尋ねしてみたいと思いますが、御意見を承りたいと思います。
  12. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先般、永岡先生から一般質問で同様の趣旨の御質問をちょうだいしましたが、そのときお答えいたしましたように、おおよそ三年くらいをめどとしております。ただ、経済のこれからの成長がまあ高度成長ということできたものが、安定成長ということにかじが切りかわるということも一つ要件になるであろうし、また郵便の事業の内部における企業努力、こういうものも一つ要素となってくる。不確定な部分はありますけれども、ぜひこれだけは何としてでも持たせたいという意味お答えをしてございます。しからば、年次計画がどうかというようなおよその試算みたいなものは事務当局のほうで持ち合わしておると思いますので、その点は経理局長からお答えをいたします。
  13. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 補足いたしますと、いま大臣が申し上げました三年間で大体収支が合うというその試算でございますが、まず支出につきましては、人件費が一番問題でございますが、これにつきましては、新経済社会発展計画で予定されている一人当たり雇用者所得増加率の一二・一%をもって三年間の推定をいたしました。それから物件費につきましては、物数関係のあるものについては物数増加率に比例し、その他のものにつきましては、やはり新経済社会発展計画で予定されている卸売り物価上昇率を見込みました。  それから収入でございますが、収入につきましては、今回の料金値上げによる分と、それから前回料金値上げのときに、ある程度値上げいたしますと物数が落ちましたので、その値上げによる物数減を見込んで三年問を見通しまして収入見通しました。その結果、四十六年度は今度の予算に出ておりますように四十五億ばかりの赤字でございますが、四十七年度ではこれが百億程度の黒字になろうかということでございます。四十八年度では一応試算では二百億程度赤字ということで、初めの四十六年度の四十五億の赤字持ち越し現金充当でございますので、結局四十七と四十八の差額の百億程度計算では一応赤字になるということになっております。しかし、これはかなり四十七年度以降やりたいというものを見込んでございますので、いろいろの企業努力その他を考えるならば、おおむね三年間はだいじょうぶだというふうに考えておるわけでございます。
  14. 永岡光治

    永岡光治君 まだ少しばく然としておりますので、少し詰めて質問をしてみたいと思いますが、まず物数の増でありますが、一種、二種の改定が四十七年の二月ということになっております。いまお話しのように三年間の収支見通し説明されましたが、四十八年度という意味ですか。言うならば二年間とちょっと、こういうことに理解していいわけですね。四十六年度は二カ月、四十七年度はまるまる、四十八年度はまるまる、したがって二十六カ月、こういう計算でこれが収支相償う、こういう計算のようでありますから、そこでまず物数の増の見通しでございますが、四十六年の七月の改定で四十六年度中どのくらいの物数の増があるのか、それから四十七年度の物数増加はどのくらいなのか、そしてまた四十八年度の物数増加はどのくらいなのか、こまかい数字は別といたしまして、およその見当でもちろんけっこうでございますが、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  15. 竹下一記

    政府委員竹下一記君) 物数の見込みを立てますことはたいへんむずかしい作業でございますけれども、全体的に郵便の需要が上昇期にあるという今日の姿は今後も続くであろうと思いますが、一方、料金値上げによりますところのいわゆる料金ショックといいますか、値上げショックといいますか、そういうことは過去にも例がございましたので、前回値上げの後の三年ばかりの利用減傾向をも取り入れまして想定いたしました数字を申し上げますと、四十六年度におきましては、総物数おおよそ百二十二億程度でございまして、四・三%の増でございます。この場合〇・八%程度利用減があるということを見込みまして、なお四・三%の物数増である。四十七年度におきましては百二十五億程度に見込みまして、物数増が二・六%、四十八年度におきましては百二十九億程度を見込んでおりまして、物数増の率が三・四%、三カ年を平均してみまして三・四%の物増でございます。片一方、利用減は三カ年を平均いたしまして二・九%、おおよそ三%の利用減があるのではなかろうか、かように見込んでおります。
  16. 永岡光治

    永岡光治君 平均いたしまして約三%の増と、こういうことでございますが、そこで料金収入の割合になりますが、絶対額ですね、総額です。収入額。この物でなくて額のほうですね。四十六年度末において、もし料金改定なかりせばという前提で比較してけっこうでございますが、何億の増収になり、四十七年度、四十八年度はどの程度増収——増収というとおかしいのですが、先ほど申し上げましたように、料金改定なかりせばという、その比較においてでございます。
  17. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 四十六年度でございますが、料金値上げがないとした場合、すなわち現行料金のままで推定した収入と今回の私どもの予定しております料金改定による改正収入との比較でございますが、四十六年度においては四百七億八千万円増収になります。それから四十七年度におきましては八百六十一億六千万円の増収でございます。四十八年度においては八百六十三億六千万円ぐらいの増収、こういうふうに見込んでおります。
  18. 永岡光治

    永岡光治君 念を押しておきますが、この増収は第三種以下の改定及び今回の料金改定を含めてのものと当然理解してしかるべきだと思いますが、そのように理解して間違いないだろうか。
  19. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) そのとおりでございます。
  20. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、これが文句なしのといいましょうか、すべての料金改定を含めての増収ということになるわけでございます。そこで物数増加等も平均三・四%ということになったわけでございますが、さて、支出のほうの件でございますけれども人件費は一二・一%の増を見込んだというお話でございますが、これは三年間において一二・一%ということになりますか。
  21. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) まず四十六年度におきましては、現在国会に提出されております予算かもとにいたしまして、そうして四十七年度においては、その四十六年度の予算人件費に一二・一%を掛ける、そうして四十八年度ではさらに今度は四十七年度のその人件費に対して一二・一を掛けていく、こういう形で推定したものでございます。
  22. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、毎年人件費は一二・一%の増を見込んでおる、こういうふうに理解六れるわけでありますが、次いで物件費でございますが、卸売り物価上昇率を予定されており、干の計画に基づいてのパーセンテージをあげたようでございます。これは数字はお示しになっておりませんけれども、何%というふうに考えてよろしゆうございますか。
  23. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 卸売り物価上昇率は毎年一%。
  24. 永岡光治

    永岡光治君 これは実際問題として、はたして一%にとどまるかといいますと、私はこれまた見解の相違ということになるかもしれませんけれども、今日までの卸売り物価状況等を考えてまいりますと、私はこれではおさまらないではないかという危惧を持っております。したがって、そういう場合も含めると、これでは三年間も持たないのではないかという計算になるわけですが、その点はどういうように理解しておりましょうか。
  25. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) ただいま私の説明不十分であった点がありますので、補足さしていただきますが、物件費の中でいわゆる集配運送費とか、そういったように相手方、こちらから支払う相手方の中に人件費的要素物件費的要素があるものは、やはり人件費的要素のものについては一二・一%伸びるであろうという形で推算しておりますので、純然たる卸売り物価を予定したものは物件費の中でも相当の小部分でございますので、その一%の上昇率というものはそう影響ないんじゃないかというふうに考えますのと、それからなお物数増加に伴う物件費の増はこれは別に見込んでおりますので、したがいまして、一%の卸売り物価上昇率は非常に低いとは思いますけれども、この収支計画にそれほど大きな影響はないんじゃないかというふうに考えます。
  26. 永岡光治

    永岡光治君 それを、私はちょっと無理じゃないかと思いますけれども、一応了といたしまして、実はこの前四十一年に料金改定があった際にも、三年ぐらいしか持たないんじゃないだろうかという私ども計算をいたしまして、その点で主張をいたしたわけでございますが、当時の郵政当局は五年間持つということできたわけですが、しかし、これも私ども指摘しましたとおりに、必ずしも五年は完全に持ってないということが立証されたと思うわけでございますが、それで観点を別にしてお尋ねいたしますが、大臣の御説明によりますと、三年間持つように努力する、その目標一つ企業努力をあわせてこれに加味してまいりたいということでありますが、当然のことでありますけれども企業努力の具体的な内容ですね、どういう企業努力をされようとしておるのか、その点をお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私から概論的に申し上げますならば、何としても郵政仕事人手にまたなければならぬ点はもう常々永岡さんの御指摘のとおりであります。したがいまして、この人的関係改善、これが何にもまして最大の要件ではなかろうかと思うのであります。先般も御指摘がありましたように労使間に紛争が起こる、そういう場合にアルバイトを雇うならば、そのために何十億という支出をするようなはめに相なるわけでございます。したがって、この労使関係正常化して本務者がその仕事に誠実に努力をしていただけるということであるならば、そういうよけいなついえは支出せずに済むということになるのではなかろうか、こう思うのであります。だから、それを一番本義におきまして、そのためには待遇の問題も出てまいります、あるいはその作業環境、これを改善して働きいい条件をつくり出すということが今日の管理者責務ではないか、こういうように考えますと同時に、まあ機械化合理化というふうな線を進めなければなりますまいし、あるいは局舎改善等にも相当思い切った設備をよくするという努力をしなければなるまい。こういうふうなことを総合的にいたしまして、働く諸君に、そういう努力にこたえていただいて、能率をあげて作業に従ってくださるならば、これは十分に切り抜けていく可能性があるであろう、こう考える次第であります。
  28. 永岡光治

    永岡光治君 この労使関係正常化によって、職員勤労意欲高揚と相まって、そして何と申しますか、処理能力高揚して、むだと申しますか、そういう支出をできるだけ節約していきたいというこのお考えは私も同感でありますが、この関係について、まだまだ私ども今日のような状況では十分な体制にないのではないか。しばしば申し上げておりますように、支出の八〇%が人件費と承っているわけでありますが、してみれば、職員勤労意欲高揚いかんが非常に大きな影響を及ぼすことは論をまたないところでありまして、極論をいたしますれば、料金改定をいたしましても、労使関係状態が今日のままで続く限りは、所期目的を達し得ないだろうということを私ども主張しているわけでございますが、この正常化について、思い切ってこれは対策を講じなければならないと思うのでありますが、具体的に労使関係正常化についての指導というものについて、いま少し突っ込んだ御説明をいただきたいと思うことが一つ。  それからその勤労意欲高揚の一環として作業環境を整備するということでありますが、これも当然のことでありますが、これについても今年度どの程度、あるいはまあ四十七年度、四十八年度、この予算で示す内容でけっこうでありますが、支出は従来に比べましてどの程度予算増を見込んでおるのか、それが第二点。  それから第三点は、いま機械化お話がございましたが、貯金、保険の場合は別といたしまして、ただいま私は郵便に重点を置いて質問申し上げているわけでございますが、先般も一般質問の中でお尋ねいたしましたが、読み取り区分機等の購入によりまして能率をあげようという計画でございますが、先般のお話によりますと、この機械化に要する経費もかなり多いようであります。はたしてこれが、その所期目的を達しておるのかどうかということになると、私もかなり疑問を持ちます。と申しますのは、何しろ一つ区分機を入れるにいたしましても相当程度の金額がかかっているようであります。これは量産ができないという一つの悩みがそういう結果をもたらしているだろうと思うのでありますが、しかしこの傾向は、そう早急に量産によって単価が安くなるという状態はあまり多くを期待できないのではないかと思いますが、そうなりますと、かなりやはり人手にたよる部分が、努力目標はわかるにいたしましても、なかなかそれは所期目的ほどの効果をあげ得ないのではないかというふうに考えておりますが、この機械化についての効果といいますか、そのかけた支出機械化するに要する経費と、それに見合う人件費の節約というものとのバランスであります。これについてもう少し−一般質問で簡単に御説明いただきましたけれども、きょうはもう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。以上三点をお尋ねいたします。
  29. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 労使関係改善具体策ということでございますが、私ども労使関係改善いたしますためには、何よりもまず労使間に不信の念があってはならない、これを除去することが労使関係改善の第一歩である、最も重要な点であるということを認識いたしております。労使間にわだかまるこの不信感というものを除去いたしますためにはいろいろのことが必要になってまいると思いますけれども、大きく申しまして二つあろうかと思います。一つ労使間の誤解というようなものが生じないようにする、あるいは誤解というものを取り除くように努力を払う、こういうことであると存じます。労使間において誤解を生むような行動というもの、これを厳に慎むように指導いたしております。また、現在不幸にしてあるような誤解につきましては、積極的に事実を開陳いたしまして、誤解を取り除くという努力もあわせて払うように指導をいたしておるところであります。現実に昨年の暮れあたり、いろいろそういったことが中心労使間に問題がございましたが、その後今日に至る経過の中で、そのうちの相当部分については誤解を取り除き得たと、かように考えております。  いま一つ具体的に大事なことは、この労使間の意思疎通というものを円滑にする、お互いに考え方がよく理解できる、こういう状態に置くことがいま一つの重要な点であろうかと存じます。この点につきましても、従来から労使双方でいろいろ問題にしておったのでありますが、これまた昨年の十二月にこの点について一定の合意に到達いたしまして、その結果、小委員会というものを双方で設けまして、その中で具体的なこの意思疎通円滑化あるいは拡大というような問題について具体的な方途をきめまして、それを逐次実施に移していこう、こういう合意になりましたので、ただいま労使間におきまして、その小委員会の中で具体的なやり方というものを練っておる最中でございます。将来この二つの線をはっきりすることによりまして、不信感を除去して、これによって労使関係改善の着実な手がかり、あるいは実行を期してまいりたい、かように考えております。
  30. 永岡光治

    永岡光治君 次の答弁に移る前に、ただいまの点について、労使正常化についていま決意の一端を聞かせていただきましたが、具体的な問題としてこの際所見を承りたいと思うのでありますが、それは労務連絡官という制度が今日統轄局中心にして大きな局に配置をされております。これは私どもは、当初設けられた趣旨とかなりゆがめられた運用が現実の問題として各職場に起こっていることをしばしば耳にするわけでありまして、これが労使関係を混乱におとしいれておる要素一つにもなっているのじゃないかと聞くのでありますが、これは廃止したほうがいいのではないか、もし廃止をして所期目的——当初考えておりましたようなことがかりに支障として起こるのであれば、その段階においてあらためて配置をすることも決してそうこだわる必要はないのではないかと思うのでありますが、この労務連絡官廃止ということについてはどのような見解を持っておいでになりますか、この際明確にしていただきたいと思います。
  31. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 労務連絡官制度ができまして、すでに八年ほどの実際の経験がございます。この制度は、郵政局というものが全国に十カ所ございまして、そこで全国の各現場というものを管理する機構になっておるのでございますけれども労務関係と申しますのは、これはむしろ各現場において発生する労使関係というものは各現場にある。またその間に不幸にして紛争があるというような場合にも各現場ごとに発生するわけでございます。そういったことから考えますと、やはり十の郵政局が全現場のそういった事情というものを常に把握するということが非常に困難である。したがって郵政局が何といいますか、この出先というようなかっこうで労務連絡官というものを配置をいたし、そのことによりまして労使関係の間に生ずる紛争、そういったようなことをむしろ未然に防止をする、これが大きくなりましてからいろいろ手当てをいたしましても、なかなか簡単に処理がつきません。したがいまして、そういったものを未然のうちに防止するという、あるいは非常に小さい段階において適切な処理をする、こういういわば非常にきめのこまかい、そうして労使関係改善、安定ということに役立つようなものとして労務連絡官、これは通称でございますけれども、そういったものを配置して今日に至っておるわけでございます。したがいまして、この労務連絡官というものがそういった所期目的どおりに運用されれば非常に大きなよい効果があがる、かように考えておるわけでございます。現在の運用におきましても、そういった精神にのっとってなされておると信ずるわけでございますけれども、先生御指摘のように若干それから少し逸脱しておるのではないかというような面がかりにございますれば、その点につきましては、私どもさらに指導を新たにいたしまして、そうして先ほど申し上げました本来の労使関係をよくする、こういった使命のためにフルにこの制度が運用できますように、その確保を期したい、かように考えております。
  32. 永岡光治

    永岡光治君 ただいま労務連絡官の問題について御答弁がございましたが、私は、御説明では労使紛争を未然に防止するというたてまえでこの制度がつくられたということでございますが、現実にはそういう姿になっていないということで御指摘申し上げたわけでございますが、と申しますのは、この未然に防止するという、そのたてまえに立って現業の局長なりが労使関係の問題にタッチしてまいるわけでございますけれども、ややともすれば、身分が御案内のとおり郵政局身分でありますために、どうも現業の局長さんあたりに何と申しますか、上司というような気持ちから抜け切れないようなところがあり、また事実全部では私はないと思いますけれども、心得違い等がありまして、現業の局長をあごで使うというような、そういう目的を誤った運用をしていることによって、なおまた問題を起こすというようなことは、その局長はその局の運営の責任をまかされておりますので、職員との間に話を進めますが、そのことについてとやかく干渉してくるということが非常に混乱を起こしているような気がしますし、その意味で私は労務連絡官廃止したほうがいいのではないかと思うのでありますが、これをまだ廃止するかどうかということについてのはっきりした御答弁はないのでありますけれども、私はもし廃止をしないとすれば、どのような支障があるからこれを廃止しないのか、そうしでまた、その廃止をしない場合において、どのような運営をもう少し具体的にするのか、そのことをまず明確にひとつしてもらいたいと思うのであります。労使紛争を未然に防止するということは、これはけっこうなことだと私思います。思いますが、それがあまりにも介入し過ぎる。防止でなくて、ややともすれば威圧的な行動に出るために、よけいに硬直をさせたり、あるいは意思疎通を欠くということに役立っておるように私は聞くものでありますから、そういうことのないようにしてもらいたいと思うのでありますが、この点について重ねて人事局長のほうから、もう少しはっきりしたひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  33. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 労務連絡官制度は、先ほども申し上げましたように、その運用よろしきを得ることによって非常なプラスがございますので、今後ともこの制度は活用してまいりたい、そう存じております。これまた先ほど触れましたが、十の郵政局でもって一万数千の局情、日常生起するところの労使関係というものをきめこまかく見てまいるということは、非常に困難でございます。労使関係、あるいはその間のいろいろな紛争というようなものは、先生も御承知のように、いわば千差万別でございまして、類型的なものもございますけれども、それにいたしましても千差万別でございます。また、その結果あらわれた現象を見ても千差万別でございますが、それが生起する原因等に立ち入れば、なおさら相当な量の、非常にもうそれこそ千差万別でございます。そういった状況は、やはり各県一人程度労務連絡官というものが、常時その地域のそういった事柄につきまして、その地に駐在をすることによって十分にそういった事情に通暁する。そうしてそういった現場の事情というものをよく郵政局へ連絡をする。あるいはそういった各局において起こります事象に対しまして必要があれば助言指導をする。こういったことは、やはり全国にこれだけ多くの現場をかかえております私どもといたしましてどうしても必要なことだと、こう考える次第であります。また、労務連絡官郵政局員たる身分を一方においては持っておりますが、他方におきまして、当該駐在局の局員たる身分も同時に持っておるわけであります。そして現業局の管理者との関係でございますけれども、これも私どもは、郵政局員という立場で指導をする場合でも、これはよい相談相手となるという意味指導をすべきだと、かように考えておるわけでありまして、もちろん、頭から右向け左向けというような指導ということはさせるつもりはございません。また、ごく軽微なことは連絡官の判断でもってそういった相談相手になる、大きな問題、重要な問題につきましては、個々具体的に郵政局の指図を受けまして動く、こういうふうにしたいと思っております。そういったことでございまして、現業局との関係、あるいはいま言いました本来の目的を的確に実現して、全体として労使関係をよくしていく一つの歯車としてこの制度を使うということを確保いたしますために、従来どちらかといいますと非常に概括的な任務を与えておりましたのを、今後はもう少し具体的に、ただいまの目的あるいは実態においてその制度が本来の目的を逸脱することのないように、そういった視点から今後具体的に詳細にその任務を規定いたしまして、そうして真の意味でこの制度が活用できるようにいたしたいと、かように考えております。
  34. 永岡光治

    永岡光治君 ところで、私はここに一つの問題点が出てくると思うのでありますが、各県単位にその県の普通局、特定局を合わせての組合員の組織がございます。これを全逓という組合のほうの呼称によれば地区本部といわれているわけでありますが、いま労務連絡官がその県なら県全体の連絡に当たると、こういうことでありますが、各郵便局ごとにある職員団体の分会と、それぞれの局長との間のコミュニケーションは、その場においてできるのでありますけれども、その県全体の職員の意向を代表して意思疎通をはかる折衝機関というものが今日郵政当局にはないのです。そうなりますと、労務連絡官というものはどういう形でこれを運営されているのか、ここにも一つ疑問点が出てくると思うのでありますが、そういう県全体の職員団体の意向を上のほうに上げる、何と申しますか、パイプと申しますか、あるいはその県全体の中でのいろんなコミュニケーションを行なう場というものは、どのような方法でこれを解決していこうとするのか、この際、この労務連絡官とあわせまして所見を承りたいと思います。
  35. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 御指摘のように、組合のほうには県単位の地区本部という組織がございます。ところが、私どものほうは、県単位をまとめて一本にした組織というものは、業務上もあるいは労務管理上もございません。したがいまして、率直に申しますと、地区本部に対応する当方の機関はないわけでございます。労務連絡官というものが、たまたま、おおむね県単位に配置されておりましても、これは対外的に組合と折衝をするというような存在ではございませんで、先ほども申しましたように、ただこのほうの内部にありましていろいろな連絡——連絡と申しましても個々の局情全般の連絡というものは、これは当該局長郵政局にするわけでございます。その中で特に労使関係、あるいはそういったものを中心にしたものだけ労務連絡官が並行的にもしくは別途郵政局と連絡がある、こういうことになっておるわけであります。したがいまして、地区本部に対応する地方の機関がないところをこの労務連絡官が補うというような性格のものは労務連絡官には何らないわけでございます。それじゃ県全体の職員の意思というものをどこへぶつければいいのかということでございましたが、県下を幾つかの支部というような形で組合のほうでは編成がなされておるようであります。その支部ごとに対応するこちらの交渉単位というものはございますので、問題によりましては——問題によりましてはと申しますより、そういった支部という一つのグループとこちらの対応する交渉単位、それからもっと大きくなりますれば、その郵政局管内全般と当該郵政局、こういう二つのおも立ったルートによりまして正式の意思疎通がなされておると、こういう状況であります。
  36. 永岡光治

    永岡光治君 いまお話がございましたように、これは各ブロツクに分けまして一つの支部会があり、それの交渉相手として当局のほうでもその責任者を選んで意思疎通に当たっておるようでありますが、これではやっぱり今日までの運営を見ますと、必ずしも十分でないし、その統一したコミュニケーションというのがなかなかとりにくい状態にありますので、今後のひとつ研究課題として御検討いただきたいということをまず申し上げておきたいと思うのでございますが、いずれにいたしましても、労務連絡官等の問題について、ただいま私が指摘しましたようなことが絶無であるように、ぜひひとつ徹底した指導を行なってもらいたいことを要望いたしまして、次に作業環境機械化の問題についての御答弁をいただきたいと思います。
  37. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 従業員の処遇改善、あるいは作業環境等について四十六年度予算でどのような施策が盛られたかということを御答弁さしていただきたいと思います。  まず郵便職員の処遇改善としまして、特殊勤務手当をそれぞれ業務手当の三〇%あるいは四〇%程度引き上げるということで、五億九千万円を予定しております。それからなお、これは非常勤のほうの賃金単価でございますが、これもアップするということで十二億増加を見込んでおります。  それから次に作業環境改善ということで、外勤休息室を冷房するとか、あるいは作業場の中の除塵機とか、被服乾燥機といったようなものを増備すること、あるいは職場ヘルパー、いわゆる職場におばさんを入れて、少しでも職場の中の空気をやわらげるというような施策でございますが、これらとあわせまして五億一千六百万円を予定しております。  それからなお、郵便外務作業のほうの省力化といいますか、それに少しでも協力し得るような施策ということで、高層ビルの集合受箱等を設置することの経費、あるいは機動車の増備といったようなことで四億六千四百万円を予定しております。  それからなお局内作業機械化ということで、自動選別取りそろえ押印機、あるいは自動読み取り区分機といったようなことで二十八億一千六百万円を予定しております。
  38. 竹下一記

    政府委員竹下一記君) 郵便業務運営の立場からこの作業環境改善について一言補足いたしますると、職場環境をよくしてやることと非常に関連をいたしまするが、やはり郵便局舎を増強し充実するということは事業の運営上きわめて大事なことでありますと同時に、それは職員作業改善につながってくるものだと、かように考えますが、その意味におきまして局舎改善計画を申し上げますと、四十六年度におきましては、百八十七億円というものが郵便局舎関係予算として計上されております。これは前年度に比べまして三割増でございます。かなり予算が取れそうでございます。郵便局舎関係に限りません全体の建設勘定のワクといたしましては、経理局長が申し上げたかと思いますが、三百五億といういわゆる三百億の大台をこえたことになりますので、建設施設、そういった面におきまして非常に重点を置いて対処していこう、こういう姿勢でいるわけでございます。  それから機械化のことでございますが、先日の予算委員会で私は機械化のために百十三億円を投じたということを申し上げましたが、その説明がきわめて不完全でございましたので、補正をさせていただきますが、この数字には間違いございませんのですが、この機械化に本腰を入れたといいますか、自動区分機でありますとか、そういうものを入れましたのは四十一年でございましたので、それ以降の五カ年間の総経費について百十三億と申し上げた次第でございます。その内訳は自動区分機だけではございませんので、窓口事務のための機械、これは郵便料金計器でありますとか、切手の自動発売機でありますとか、そういうものがございますが、そのために十一億円、それから局内施設の機械化、このために八十三億円が、これの自動区分機でありますし、自動選別取りそろえ押印機というもの、それを中心とするものでございます。  そのほか局内の搬送機器、つまり小包の集中局でありますとか、晴海の集中局でやっておりますような局内搬送施設もこれに含んであります。ベルトコンベアでありますとか、リフトでありますとか、そういうものの設備でございます。  三番目といたしましては集配運送施設の機械化でございまして、四輪車、自動二輪車、オートバイ、スクーター等のものの整備でございます。これが十八億でございまして、合わせて百十三億、こういうことでございます。  以上は四十五年度までに投じました経費でございますが、今後の方針といたしましては、引き続きましてこの機械化のための予算というものを計上いたしまして充実をはかっていきたい。たとえば自動区分機にいたしましても、できますならば五十年度ごろには全国で百五十台ぐらいは置きたい、実際はなかなかむずかしい面があろうかと思いますが、目標はそういうところに置いている次第でございます。御指摘のように自動区分機あるいは選別機等はきわめて精密機械でございまして、量産もきかない事情がございますので、たいへん高いものになっているのでございます。しかしながら長期的にながめてみますると、やはりそれによって人件費の節約ができますので、たとえば自動区分機にいたしますると、私どもはその耐用年数を十年と見込んでおりますが、十年目におきましては、やはり三千万程度人件費の節約がございますので、経済的には三千万円程度浮いてくるというようにみておりますし、もう一つの選別機でございますが、これは十五年の耐用を見込んでおりまして、これも十五年目におきまして六千七百万円程度コストは安くなる、人件費といたしまして。そういう見込みを持っておりますので、引き続いてこの面は増強をしてまいりたいと、かように考えます。
  39. 永岡光治

    永岡光治君 御説明をいただきましたのですが、私はまあ機械化そのものに必ずしも反対するもので実はないわけですけれども機械化したからといってそんなに大きな省力にはならないのではないかという観点から申し上げているわけであります。職場環境が機械力に、あるいはそういうものを新しい設備をどんどん入れて労力をできるだけ軽くする、勤務時間ということが節約になるという意味でなくて、むしろ労力としては軽くして、いまでも非常な密度の高い労働になっているものを少しでも軽減する方向には役立つかもしれませんけれども、それが人間の人件費として何百人、何千人減らすということは、なかなかそう簡単にはいかないのじゃないかという観点から申し上げてみたわけでありますが、一応いまの御説明を承りました。  それはそれとして、さらに勤労意欲高揚について少しばかりふえんして質問申し上げたいと思うのでありますが、地方はさほどでもありませんけれども、過密都市、いわゆる大都市というものは、なかなか要員の確保に困難を来たしておるわけでありますが、特に大都市における外務の職員の確保というものがかなり困難を来たしておると思うのでありますが、私は外務の方々に希望を与えて勤労意欲を与えていくと申しますか、それを期待するということになりますすれば、外務と内務との交流と申しますか、その点についても特段の配慮をしなければなりませんし、そういう意味で外務員の処遇改善と申しましょうか、そういう意味での予算というものはどのように今後考えておいでになるのか。当面のこの四十六年度予算には一体どういう項目を考えておるのか、これもひとつこの際明確にしていただきたいと思います。
  40. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) ただいまでも、先生御指摘のように、大都会において外務員の採用ということには特段の力を入れませんとむずかしいと、こういう状況にございます。したがいまして、まず俸給におきましても、内外勤に差を設けるようにいたしております。なかんずく郵便の外務員でございますが、東京都内の郵便外務員の初任給、これは郵便以外の内勤職員に比べまして、現在でも新制高等学校卒業ということで見ていきますと、一万六百円の格差を付してございます。その他都会の場合、郵便外務員がそれでもなかなか地元では補充困難でございます。したがいましてと申しますのは大体東京付近、それから大阪付近、それから名古屋、こういったところがそういった地域でございますが、こういったところにつきましては、東北地方でありますとか、あるいは信越、北陸地方ないし四国、九州、こういったところを求人の源泉地、給源地といたしておるわけでございます。そういったところから郵便の若い労働力を持ってまいります場合に、当然宿舎というような問題が生じてまいります。したがいまして、これら三地域を中心にいたしまして郵便外務員で遠くから来てもらう人々につきましては、全員宿舎に入ってもらうだけの施設をいたしております。また、その宿舎自体の設備の内容につきましても逐年改善につとめておりまして、昭和四十四年の九月以降は特に一定の新しいよい基準のものをつくる、こういうことにいたしておる次第であります。  それから来年度の問題でございますが、先ほど経理局長から御説明いたしましたように、特殊勤務手当につきまして予算上配意がなされております。むろんその具体的な問題につきましては、今後私どもとしてもいろいろ検討し、かつ労働条件そのものでございますから組合ともいろいろ交渉すると、こういうことになろうかと存じております。なお、郵便外勤職員につきましての手当は、そういった予算関連の中でございますけれども、現にすでに提案いたしておるものといたしまして、通区手当というものを組合に提案いたしておりまして、目下団体交渉を続けておるわけでございます。
  41. 永岡光治

    永岡光治君 外務から内務への……。
  42. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 外務職員から内務職員へ職種変更をする問題でございますが、外務職員で内勤のほうへかわりたいという希望者が相当あるわけでございます。これはいわば配置がえという観念に属しますので、そのために職種変更試験に合格しなければならないとか、あるいは部内の内務職員採用試験というようなものに合格しなければならないということはございません。もっぱらその人が内務職員として適格であるかどうかということを判断すればいいわけであります。そういう意味で任命権者、すなわち所属長においてなし得るところであります。ただ、実際には内務職員としての適格性ということを強く求めますと、自然外務から内務へという道が狭くなることもあり得ます。しかし、あまりこれを狭くいたしますと、外務職員の士気の沈滞を招くということになります。したがいまして、昨年の十一月でございますが、特に郵便の外務員につきましては、そういった郵便外務員の士気の高揚という見地から、外勤から内勤へかわる場合に、そういった内勤職員としての適格性ということを非常に重視するあまり、その点職種の変更が消極的になってはならない、その点十分配慮せよということで下部を指導いたしている次第でございます。
  43. 永岡光治

    永岡光治君 ぜひひとつそういう方向で外務者の何と申しますか、勤労意欲を期待できるように内務の希望、つまり将来への希望をつなぐと、そういう政策をぜひ実行してもらいたいと思いますが、同時に、その意味勤労意欲高揚という一環になりますが、むずかしいことばでいえば人材の登用ということになりますけれども、学歴その他にこだわりなく、やはり苦労して積み上げてきて働いておるそれらの諸君を、いわゆる枢要な地位にもどんどん抜てきしていくことも、職員全体の希望をつなぐという意味では必要であろうと私は思うのでありまして、その意味でひとつどしどし実行していただきたいと思うのでありますが、これは最高責任者である郵便大臣の特に私は決意を承りたいと思うのでありますが、この点についてどのような御決意を持っておいでになりますか、この際承りたいと思います。
  44. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 何としても人材を登用するということが大切でございまして、この点につきましては、あえて学歴等にこだわりはなく、ほんとうに適材適所ということで人事を行なってまいりたいと、かように考えます。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 ぜひひとつ思い切って登用していただきたいと思います。  いろいろ質問してまいりましたけれども、そこで今度は管理者側の姿勢ということについて若干触れてみたいと思うのでありますが、私は絶えずこれはもちろん職員全体に共通する問題でありますけれども、企業というものに携わっておるという意識と申しますか、これが一番必要であろうと思うのでありますが、民間におきましては、たとえば家電の機械をいろいろつくる電機メーカーがあります。これは職員のストライキによって生産が減る、あるいは販売が減るということになれば、その犠牲はその会社当局が負わなければならないのであります。しかしながら、郵便の場合は料金をいただいてこれをいつ幾日に配達しますという一つの約束のもとに引き受けておるわけでありますから、これが紛争によって遅配、欠配ということがしばしば行なわれてまいりますと、これが国民にとってはやり切れない立場になるわけであります。料金を返してくれというわけにもまいりますまいし、そこで私は大切になるのが経営者としてその局の運営に当たっている郵便局長さんなり課長さんなり、あるいはまたその上部段階においては郵政局なり本省のそれらの当局者の意識の問題にこれはかかってくると思うのでありますけれども、民間の航空会社の場合で、これはストライキ等がありまして飛行機が立たないとすればこの料金は還付することになるでありましょう。あるいは飛行機が飛んで途中で天候、その他の関係で予定の飛行場に着かないで別な飛行場に着くということになれば、バスやタクシーを仕立てて、これを目的地まで運んでサービスしているわけであります。ところが郵政当局にはそれが実はないわけであります。紛争が起きた、職員が悪いということでこれは処分するでありましょう。けれどもそれだけでは、経営者としてこれでいいのかということになると、これは考えなければならない。したがって、それらの経営意識というものが徹底してまいりますれば、何とかして紛争を未然に防ごうとする最大の努力がそこに集中してまいろうかと思うのでありますが、この精神がない。ややともすればこの紛争についての処理能力ということについて、熱心であることは私は否定はいたしませんけれども、もっともっとより真剣にこの紛争の処理に当たったであろうことを私は思うのでありまして、その意味での経営者としての責任といいますか、経営責任、そういうものについて大臣はどのように考えておいでになるでありましょうか。私はこれ国民が一番聞きたいところではないかと思うのでありますが、たとえば民間のいまのバスでもってお客さんを目的地まで運ぶという一つのサービスもしているわけでありますが、そういうこの紛争による国民の犠牲というものを、これ独占事業なるがゆえにどうしようもない事実でありますので、この利用者の立場に立って経営責任というものを一体大臣はどのように考えておいでになるのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  46. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) おっしゃるとおりでございまして、およそ経営の一面に当たる者といたしまして、この信書に託された国民の気持ちを的確にお伝えしなければならぬ使命にあるわけでございます。したがって、一枚の郵便といえどもその行くえを突きとめるだけの誠実な姿勢が必要とされるわけでございます。それが途中で停とんしたり誤配をされたり、そういったことがあったからといって料金を還付すればそれで済むという問題ではなかろうと思うのでございます。したがいまして、働く諸君に的確に仕事を進めろということを要求いたしまする以上は、それをさらに越えてみずからを戒める、こういう気持ちを堅持して、そうしてそういうことを未然に防ぐためのあらゆく努力を傾注する、非常に心がまえの問題、精神論になってしまいまして恐縮でありますが、どうもさっきお示しの民間の事業のように必ずしも物的な、あるいは賃金の面のギブ・アンド・テークだけではない、そういう要素があるものですから、そこに立脚して経営に当たらなければならぬ、かように考える次第でございます。
  47. 杉原一雄

    杉原一雄君 関連でございますけれども、いま大臣のおっしゃったこときわめて抽象的ですから、逆にそれをぼくら、労働者側に立つわけでございますけれども、そういったことが労働者にどういう形でか、逆に言ったら精神教育とか、しごきとか、訓練とかいう形になるわけです。でありますから、予算委員会の総括ないし一般質問でも中曽根防衛庁官に申したわけですが、自衛隊の教育、あるいは防衛大学の教育、これは何によっているか、きわめてばく然としておるわけですが、郵政の場合でもそうしたところを、単にお仕着せ的な労働教育訓練、これが強調されてはいないと思いますが、もしそういうことになると非常に危険に感じますので、北局長等のほうでも何かそうした指導を、民間でいうと職業訓練ということでもって、精神訓練の面と技術訓練の再訓練の面があるわけですけれども郵政の場合には、やはりそうした訓練の要綱とか——私は文教委員会におったら学習指導要領などということで、かなり文部大臣に抵抗したのですけれども、そういったものがやはり内規的なものであるんじゃないかと思うのですが、無軌道にお互いに思い思いのやり方を局長なり、あるいはその他の人たちがやっているわけでもないと思いますが、もしあればそういうものをあとで資料でもいいから御提示いただき、なおかつ簡単に、それはこうなんだと、義務権利の関係はこういうようになっているんだ、心配しなさるなということがあれば、大臣なり北局長のほうからこの際言明をいただきたいと思います。
  48. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) さっき私が述べました点が非常に精神論と説教というようにお受けとめなられたかもしれませんが、必ずしも私の本意はそれだけではないのでございます。言うまでもなく、一方においては、働く環境を整備する、こういった面にも努力を傾注いたしまして、要は、これは人的関係でありますから、管理側と働く側とがほんとうと意思疎通なくしてはこういう仕事というものは進捗いたしません。せんだっても永岡さんにお答えしましたが、これを兄弟関係といものにもし見るならば、まあ兄貴の側は少しおとなにならなければ、しょせん仕事というものは思うようにはかどらん、こういうようにお答え申し上げた次第でございまして、決して上から説教だけを押しつけようという気持ちではございません、この前も申し上げましたが。後段の御質問の何か基準みたいなものはないかと、こういうお話でありますが、これは人事局長のほうから答弁させます。
  49. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 管理者につきましていろいろな訓練をいたしておりまして、それらにつきまして現在ではほとんどケースメソッドといいまして、いろいろな具体的な事例というものを中心に研究をいたしておる、そういうわけでございます。  なお、私ども訓練につきまして、管理者のみならず全職員についてしておるわけでございますが、実はちょうど来年度あたりから、従来の訓練というものを新しい体系に再編成するということにいたしております。再編成いたしますと、この課長、局長という管理者につきましても、課長になる前に一ぺん訓練をする、あるいは課長になりまして、新任のときに訓練をする。それから、なりまして、ある程度たったところでもう一回訓練をやる。その最後の訓練につきましては、従来のような比較的抽象的な訓練ではなくて、何と申しますか、縦断訓練、そういった手法を使いまして、もちろんケースメソッドによりまして、徹底した現実の具体的な問題をいかにさばくかというようなことを中心にした訓練に切りかえてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。もちろん、この中で訓練の重点といたしておりますことは人事管理でありますとか、あるいは経営管理、あるいは企業意識というようなもの、そういったことを中心に訓練をするわけでございます。
  50. 永岡光治

    永岡光治君 私がいま経営の意識の徹底ということを申し上げたのは、多少まだ私の気持ちがずばりおくみ取りいただいていないようであります。端的に申し上げますと、たとえばある紛争が起こる前に一つの要求が出てくる。この郵便物を処理するためには、これだけの経費を特別考慮願えないだろうかという問題が、かりに提起されまして、そうすると、それは郵政当局に一々手続の申し合わせがある。しかし、これをなかなか破るわけにはいかぬ、こういう場合があるだろうと思うんですね。その場合に法規典礼ということになれば、これは別でありますが、一つの内輪での申し合わせ、一つの方針があって、そういう特別な支出はこの際控えてもらいたいという方針がかりにあったとしても、そのいずれをとるか、紛争に突っ込まれてサービスを混乱におとしいれるべきか、それともその程度のものであれば、この際支出して、これを円満に解決するかというその岐路に立った場合の経営者としての意識がどうかということになれば、私は特別な措置を講じてでも、この紛争を処置して、国民のサービスを確保をする方向にいくのが、これが経営意識ではないかという意味のことを申し上げているわけでありまして、あまりにも官庁式と申しますか、一つの規則にとらわれ過ぎた運用をとり過ぎると、それにこだわると、ほんとうの意味での経営者の責任が果たせないのではないか、もしこれが民間であれば、そういうことをしないだろうと、そういう意味で経営者としてサービス本位、職員、事業、国民という三位一体の観点でものごとを考えていくのが経営者としての基本的な問題ではないかという意味で、経営者の意識というものを、従来もし私の言うようなことが行なわれていないとすれば、この際再検討してでも、その方針を確立すべきじゃないだろうかという意味のことを申し上げたわけであります。それで、大臣の御意見を承ったわけでありますが、そういう意味大臣もひとつ考えてもらいたいと思います。
  51. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 法規典礼というふうなおことばが出ましたが……。
  52. 永岡光治

    永岡光治君 法規典礼は、これは別ですね。
  53. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 公務員という立場でございますと、これはやっぱり法律を拳々服膺して順守しなければならぬという義務が一方においては課せられていると思います。そこを、どういうふうに弾力的に機動的に配慮するかという問題に、現場においては直面することはしばしばあるだろうと思います。そこのかね合いでございましょうが、かりに、よく永岡さんと議論の出る公社化という問題等も、もしそういう方向に踏み切ったならば、もう少しその間の選択の余地というものが生まれはしないか、これはひとつ公社の長所ではあろうかと思います。現状は必ずしもそこまでいっておらない、とすれば、やはりそういう場合にさらに上部の機関に相談をかける、そういうパイプをスムーズに通しておく、そして自分だけの判断で、あまりにも事が重大である、これをひとつ上のほうへ照会をして、直ちにスピーディにこれに対する回答が出る。こういうふうな仕組みもやっぱり考えるべきではなかろうか、こんなふうに考えるわけでございますが、ただいまの御意見は私どもこれから業務を遂行していく上の大きな御示唆というふうに受け取めて処理をいたしたいと考えております。
  54. 永岡光治

    永岡光治君 重ねて申し上げますが、私は法律だとか、規則を曲げろという意味ではありません。一つの運用の方針という省内限りで、郵政当局限りできめる方針、その法律、規則の範囲内において。その方針と、実際の運営において若干の職場の事情によって違うものが出てきたという場合においての裁量の問題をいま申し上げているわけでございまして、そういう法律を曲げてまでということを私は申し上げているわけではないんでありまして、本省のある方針があると、それじゃ、この方針にたごうからということで、あまりに行なわれ過ぎるということが、ややともすれば、官庁経営の弊害をそこに生むわけでございまして、要は国民のサービスを確保するということを第一義的に考えて、どういうふうに措置をしたらいいかということを考えて、そこに若干の幅があってもいいんじゃないだろうか、それが経営というものじゃないだろうかということを申し上げたのであります。御検討いただくようでありますから、十分にひとつ御考慮いただきたいと思います。  そこで、経営機構の問題に若干この前も触れましたけれども、行管長官その他を通じまして、予算委員会においても質問をいたしましたが、まだ明確な答えは出ておりません。もちろん、いまはまだ提案はされておりませんけれども——提案されておりますかな、行政組織法の改正によって、各省の部局等がそれの実態に応じて、これは変更ができることに法案は出されておるようでありますが、これは私は監督官庁全部についてはちょっと問題があろうかと思うんでありますが、企業官庁としての組織運営というものについては、かなりこれは考えを変えていかなければならぬだろう、こう思うわけであります。臨機即応の組織も必要でありましょう、運用も必要になってくることはしばしばあるわけでありますが、それが一つの設置法という、あるいは組織法ということで縛られてしまうと、法律の改正を待たなければ、なかなかサービスは確保できないという場合があるわけでございます。それがゆえに、組織法の二十一条にも、そういう特別な官庁には特別な組織をつくってもよろしいということが、できるという法律になっているわけでありますが、そういう意味で考えてまいりますと、これだけ大きな機構になってまいりますと、片や監督部門としての電気通信の監督、   〔副主査退席主査着席〕 電波、放送の監理、監督の仕事郵政大臣はお持ちになっている。一方、企業責任者としての郵便あるいは貯金、保険というものの経営の最高責任者にもなっているわけであります。そういうものをあまり法律で縛るということはいかがなものであろうか。たとえば、これだけ大きな仕事になってまいりますと、やはり将来の展望というものについても十分検討を加えなければなりませんし、特に経営調査関係の問題についても私はまだまだ郵政当局には機構としては不備があるんじゃないか。そういうものも順次適切に、すでに電電公社等の例を見れば明確でありますが、いかに活用されて、運営がなされておるかということは御案内のとおりだと思うんでありますが、そういう観点からいたしまして、機構の問題についてももう少し考えを変えなければならぬのじゃないか。それから、また、これも予算委員会で御指摘申し上げたんでありますが、郵政省が電電公社と分離をいたしまして、十九年間に大臣が二十四人もかわっておる。こういうことでほんとうの経営の責任というものを国民に果たすことができるだろうか、これじゃどうしてもできない。やはりこういう特別な官庁というものは任期も長いものでなくちゃならぬだろうし、そういう意味で、機構運用というものについて特段の私は配慮をしなければならぬと思うんでありますが、さしむき経営関係の問題につきましても、これはひとつ即刻取り組んでもらわなければならぬと思うんでありますが、そういう機構運用について特別な配慮をすきだと思うのでありますが、大臣はどのようにお考えでありますか。この点もひとつ重ねてこの際お伺いをしておきたいと思います。
  55. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先般、一般質問の際にも承りましたが、御趣旨のあるところは私も多分に共感をいたしております。今回の国家行政組織法の改正は、まあこれはこれとして、たとえそれが実現しましょうとも、郵政仕事にはこれとはまた別個な分野があるわけでございまして、単なるこれは行政官庁ではない、一つの公企業というものを一方において持っておるわけでありますから、この運営という問題はやはり何らかのまあ幅の広い裁量の余地があってしかるべきだということは、私も常日ごろ感じておるわけであります。それを運営するためには責任者の任期というものがこうひんぱんに変わっておったんではだめではないか、この御指摘も同感であります。しかし、これはさりとていまにわかに、それじゃひとつ郵政省に限っては大臣の任期は思う存分長くというわけにもまいらぬのでございます。まあ、やや私もなれてはまいりました。したがいまして、一年余りの知識を活用いたしまして、いまおっしゃるような方向にせめてレールぐらいは敷かねばねらぬ、こういう気持ちで事に当たりたいと、かように考えます。
  56. 永岡光治

    永岡光治君 持ち時間も少なくなりましたから、郵便関係の問題は一応これくらいにいたしまして、次に電波、放送関係について質問いたします。  近く沖繩が返還されるということになっておりますが、その受け入れ体制の問題でございます。これもまあまあある意味では郵便、貯金、保険、向こうの郵政全般を含むことになろうと思うんでありますが、この受け入れはどういう構想でこれを持っていこうと考えておるのか、大綱についでお尋ねをいたしたいのですが。
  57. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 実は、きょうの閣議におきまして第二次の沖繩復帰要綱のおもなる問題が提起されて、それを了承してまいりたわけでございます。まだなかなかやっかいな問題も残されておりまして、第三次の要綱というものがもう  一ぺん出るもののようでございます。それで、きょう提起された郵政関係の問題点は、琉球電電公社をどういうふうに扱うかということ、沖繩放送協会の扱い、あわせて公共放送をどのような受けとめ方をするか、およそこういう点がきょうの問題点でございました。まあそれのみならず、いまおっしゃるように、郵便やあるいは保険、貯金等に至るまで、もろもろの問題をかかえておるわけでございますが、いずれにもせよ、まあ原則的には本土並みということでありまする以上は、沖繩の県民諸君が内地の人々と同じような利益を享受しなければならぬと思うのであります。しかし、そこにはまだいろんな落差というものもございまして、たとえば、郵便料金などにいたしますると沖繩のほうが低廉であり、電話料金等はむしろ本土よりも高くついておるというのが現状であります。ないしは郵便貯金、簡易保険にいたしましても内地並みでない部分相当にあるようであります。こういう点を具体的にどうするかということは、目下煮詰めている最中でありまして、省といたしましても、沖繩対策の委員会を設けて、特に文書課長が窓口ということになりまして、近くまた沖繩へ行く予定になっております。さような次第で他の省に比べますと、郵政に関する限りは、比較作業は前進をしておるのではないか、こういうふうに私ども見ておるわけでありますが、いずれにもせよ、そういう現状を踏まえまして、一刻も早く、諸般の問題を解決してまいりたい、かような次第でございますが、なお具体的な御質問を待ちまして、さらにお答えをいたしたいと思います。
  58. 永岡光治

    永岡光治君 これはNHKに聞いたほうが的確かもしれませんけれども、電監局長もおいでになりますから、お尋ねをいたしますが、これは沖繩の放送関係を、沖繩放送をNHKに吸収した場合でも、大臣は内地並みのサービスをするということは当然だということでありますが、これにはかなりの格差が私はあると思うのです。番組にしろあるいはカラーの問題にいたしましても、特に先島等におきましては、いまだに輸送機関が十全でありませんために、ずいぶんおくれたニュース等も受けておるようでありますが、それらの問題をいまからやはり準備をしませんと間に合わないと思うのでありますが、予算的な措置等も講じれていないと実は思うのでありますが、これはどういうように指導されておるのでしょうか、ひとつ具体的な問題として、お尋ねをしておきたいと思います。
  59. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。  いわゆる沖繩放送協会の問題につきましては、御指摘のように、現在まだテレビが数局あるだけでございまして、本土並みにするためには、これからテレビもいわゆる教育チャンネルも建設しなければなりませんし、またラジオに関係いたしましても、第一と第二と、あるいはFM放送、そういったものを建設することになりますので、まあなかなか経費もかかりますし、またいろいろチャンネルの問題もございますし、相当やっかいといいますか、大きな問題であろうかと思っております。ただ、現在沖繩放送協会はさしあたりましては、まず教育テレビの充実ということを考えておられるようでございまして、来年度の予算といたしましては、沖繩のほうで、そのために必要な経費をあげておるようでございますが、NHKの側としては、まだそういった具体的な計画はないようでございます。
  60. 永岡光治

    永岡光治君 そういうものをぜひ指導していただきたいと思いますが、これはひとり電波だけではございません。電気通信事業あるいは郵政事業全般の受け入れの問題になるわけでありますが、いま大臣の御答弁によりますと、郵政省の中に一つのそれの対策の機関を設けるというお話でございましたが、もちろんこれは電電を含めた全部の問題だというふうに理解しておりますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  61. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) お説のとおりでございます。
  62. 永岡光治

    永岡光治君 その際に受け入れについて、やはり賃金の問題等見ましても、これは職員の場合でございますが、内地並みとは若干違ったものがあろうと思いますが、この方針でございますが、これはひとり郵政だけじゃないと思います。日本政府全体としての方針にもなろうと思うんでありますが、内地並みに取り扱うということが原則だというわけでありますが、さればと言って、処遇面を見ましたも、現在の沖繩のほうが内地に比べて高いものがかりにあったとすれば、引き下げるわけにはもちろんまいらないかと思うんでありますが、そういう意味で暫定的な措置が必ず必要になってくるんじゃないかと思うんであります。もちろんそういうことは頭の中に入れてのことだろうと思いますが、これは念を押す程度でございますけれども、そういうことは当然考えておいでになると思いますが、いかがでございましょうか。
  63. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 御質問はこういうことになろうと思いますが、沖繩におきます郵政職員の勤労条件等につきましては、大体本土並みの協約等によってきめられておるのが非常に多かろうと思います。したがいまして、ただいまの御質問は本土の協約によって認められた基準を上回わる基準が存在する場合、これをどうするか、その取り扱いの問題だと思うわけでございますが、基本的には沖繩と本土では、先ほど大臣の御答弁もありましたように、労働条件につきまして差異があるべきじゃない。全部一応本土並みということが基本的な原則であろうかと、かように考えます。したがいまして、本土の協約によって定められた基準を上回わる基準につきましては、必要ならば経過措置をとった上で将来本土と調整をはかる必要があるわけであります。いかさま、沖繩につきましては非常に特殊事情といいますか、特殊条件に基づくものが相当数あろうかと思うのでございまして、さらに慎重な検討を重ねた上でこれらの対策を講じていきたい、かように考えておる次第であります。
  64. 永岡光治

    永岡光治君 沖繩にアメリカ側の放送局がいまありますですね。軍に働くアメリカから来ておる軍人及びその家族に対する放送と、そうでない全般のものがあると思います。かつて新聞では軍及びその家族のものに対する放送については一応これは認めるけれども、他のアメリカの政府が持っておる放送は、これはもう一応やめてもらいたいという折衝が続けられておるやに承ったんでありますが、その後見通しはどのようになっておりましょうか、折衝の経過をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  65. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 軍のやっております放送は、いまおっしゃるとおりだと思います。そのほかにいわゆるVOAと呼ばれるものがあるわけでございます。これは電波法の関係から申しまして、外国人に電波を供与するわけにはまいらないたてまえでございますから、私どものほうとしてはこれは撤去をしてもらいたい、こういうことを外務省ともよりより話し合いまして、政府筋においてもその方針で折衝をしているもののようでありますが、これは事外交に関する問題でございまするし、私はそういう基本方針を明示して、もっぱら外務省にその折衝を頼んでいる、こういう状態でございます。  それから、もう一つ民間でやっております極東放送と呼ばれるものがございますので、これもたてまえ論からいいますと、同じように扱うべきであろう、何か近くその旨の陳情等も私のところにくるやに聞いておるわけでありますが、そういう場合にはそういうような回答をしようと、こう思っております。
  66. 永岡光治

    永岡光治君 それは外務省が中心となってやるのは機関の上ではわかりますが、郵政省の意向というものは反映できるようになっているのでしょうか、どうなっているのでしょうか。
  67. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 郵政省の考え方は外務省当局に伝えてあるわけでございまして、それをくみ取りつつ交渉しているはずでございます。
  68. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 最後に、これも予算委員会質問で、しり切れとんぼになっておったのでありますが、電監局長のほうから御答弁になったのですが、国の公共財産である放送電波の使用料ですね。これをひとつ取ったらどうか、たとえば航行安全のためにどうしても設備しなければならぬ波ならば、電波の使用料は別でありますが、この電波を使用することによって、多額な利益を得ており、しかもその利益について配当の制限もされていないというものについて、これをどんどんかってに無料で使用していいのかどうかということは、問題が従来からあったのですが、これは電波法、放送法が近く来国会に提案されるという大臣の御答弁でございますが、その際一つのこれは検討事項としてもらいたいのですが、電波の使用料を徴収することについて、従来何か特別の支障があったのでしょうか。それともただ情性に従って、今日までそれを取っていなかったのか、その考え方をお聞かせいただきたいのですが、いかがでございましょうか。
  69. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。電波自体の使用料と申しましても、電波は御存じのように、いまおっしゃっているような放送と申しますか、いわゆる民間放送だけではございませんで、警察だとか、消防だとか、その他もろもろの公共的な使用、あるいは船舶、航空機その他非常に多くの範囲で使用されているわけでございまして、いまおっしゃるのは放送のことだろうと思いますけれども、放送もいわゆる民間放送で、確かにおっしゃるように電波を使用することによりまして、利益を受けるというようなわけでございますが、これは電波全体から見ますと、ほんの一部であるということもございまして、おっしゃるような議論も前々からあることは承知しておりますし、私どももそういった点を検討したわけでございますが、なにせ一部分であるということ、あるいはまた手続的な料金というものはいただいているという関係もございまして、これは取っては困るという状況ではございませんけれども、いままで具体的には検討してないわけでございますが、おっしゃるとおりこれも十分理解できるわけでございますので、さらに今後そういった方向につきまして検討いたしたいと、そういうように考えております。
  70. 永岡光治

    永岡光治君 特に私は使用料を取って目的税的な意味で取って、それを放送の向上、サービスの向上、そういう意味にこれは使ったならば、かなり有効であろうと実は思いますので、検討したらどうかということを申し上げておるわけでございまして、ぜひ検討してもらいたいと思います。時間がまいりましたので、一応私の質問はこれで終わります。
  71. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 以上で郵政省所管に対する質疑はこの程度とし、午後一時三十分に再開することとし、それまで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  72. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 午前に引き続き、予算委員会第三分科会を再開いたします。  分科会担当委員の異動について御報告いたします。  本日、杉原一雄君が委員辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  73. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 昭和四十六年度総予算中、農林省所管を議題とし、質疑を行ないます。
  74. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、これは官房長か経理課長か、予算担当の方でけっこうですが、四十六年度の農林予算の中で、特に農林省としてこれだけはことしはやりたいというような目玉的な計画があったのだが、これが予算折衝の段階で削減をされた、あるいは削られてしまったというようなものはありますか。
  75. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 先生も御承知のとおり、最近におきましては、閣議決定の線に従いまして、大体前年度の予算に対しまして二五%の増という形で予算要求をいたすことになっております。本年度の予算も対前年に比べますと一八・三%というような伸びになっておりますので、大体農林省で要求した予算は、まあ十分とは言えませんけれども、おおむね認められたというふうに考えるわけでございまして、特に四十六年度におきましては、総合農政関連予算というものに重点を置きまして予算要求いたしたわけでございまして、これらにつきまして、大体全体で四千八百三十四億というような額もとれまして、おおむね納得のいく予算が編成できたというふうに理解をいたしております。
  76. 鈴木強

    鈴木強君 それはけっこうでした。ただ、私の心配したのは、まあ総合農政を施行されて以来、いなかのほうを見てみましても、この専業農家という姿はだんだんと薄らいで、むしろ兼業農家がふえておる。私は去年も申し上げたのですが、たとえば山間僻地の特別の傾斜地帯に農耕をしておる農村の人たちの現状などというのは、これはたいへんな苦しみであるわけでして、これは四国の高知県とか、向こうに行ってみてもよくわかるのですけれども、山梨県とかあるいは長野県とか、急傾斜地で農業を営んでいる農民というのは、実際国の恩恵に浴しておらぬと極端に言えば言えるぐらい、日の目を見ない、日の当たらないところにおる農民がおる。そういう者に対して、平地だけでなくて、特別の措置をしてもらいたいというのが私の毎年のお願いなんです。そういうことに対して何かことしは特別の配慮をしていただけましたでしょうか。
  77. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 総合農政の一環といたしまして、地域農業の総合的整備開発と新しい農村社会の建設ということに重点を置きまして、山村の対策といたしましては山村の振興の予算といたしまして、御承知のとおり山村振興法があるわけでございますが、これに基づきましての振興、山村にかかりますところの農林漁業特別開発事業というのを実施いたしておりまして、四十五年度は二十七億九千万円、四十六年度は三十七億三千八百万という予算を要求をいたしております。特にこの中で山村開発センターの設置事業というようなものにつきましては、たいへん評判がよろしゅうございまして、これらの予算につきましては、前年度二億二千八百万円を六億八千四百万というようなところで相当大幅に増額をいたして予算要求をいたしております。なお、御承知のとおり、農林漁業用の揮発油税を財源といたしましてのいわゆる農免農道事業というのを実施いたしておりますが、特に山村の分といたしまして前年度六億五千万を十億にふやしておりますし、同じく林道関係で六億を九億五千万というようなことで、やはり道路の整備ということにつきましてはかなり重点を置いて予算を編成いたしたつもりでございます。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 こういう急傾斜地等においては、耕地面積も少ないのですけれども、交換分合するとか、農地改良、畑地改良、こういったものについてはあれですか、何か特別にことしは措置されましたか。
  79. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 山村地帯におきましては、われわれが最も重点を置いておりますのは、やはり肉用牛の振興等に重点を置いてまいる、特に山村地帯におきましては繁殖地帯としての適性がございますので、肉用牛の振興対策は特に山村地帯において実施をしてまいりたいということで、そういった点に力を入れて山村の振興をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 ぼくがいま伺ったようなことを具体的に何か考えておりますか。急傾斜地なんか少しばかりやってもだめですよ。なきゃないでいいですよ。
  81. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 急傾斜地のたしか特別振興の法律がございまして、これらに基づきました土地改良予算というものを特に計上いたしたはずでございますが、いまちょっと調べておりますので、のちほど御報告させていただきたいと思います。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 まあどうしてもそういう山村僻地、急傾斜地の農業というのは目からこぼれてくるんですよ、率直に言って。一番つらい思いしていると思いますよ。まだ農道といっても、大した道もないところで肥えたごをしょって肥料を運搬しているようなところもあるわけです。そういうところにもう少し農道改良かなんかわからぬが、せめて二輪ぐらいのものが、リヤカーくらいなら通れるような道をつくってやるとか、何かそういうようなことを考えてほしいですね。日の当たるところは大体どんどん対象になるのだけれども、私はそういうところしか毎年言わないんですがね。だから少しでも前進して、ああことしは、前年こういう意見出したからよくなったなあということがあるかなあと思って実は伺っているわけで、それは資料をやっているそうですからあとで伺うことにして、今後もぜひそれに力を入れていただきたいと思います。  それから次にこの予算の中で野菜とか、魚類等の生鮮食料品の価格安定策というものは具体的にどういうふうにはかっておるんでございましょうか。これは生産段階、流通段階、消費者段階、大体区分しまして具体的にどういう施策をことしはおやりになって、そのためにどれだけ予算を計上されているか、それをひとつ教えていただきたい。
  83. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 物価対策、特に生鮮食料品を中心とした対策でございますが、総額で四十五年度百二十一億九千六百万を百五十九億九千三百万ということで予算要求をいたしております。  そのうちまず第一が生鮮食料品の対策でございまして、前年度八十二億七千三百万が四十六年度は百十四億二千九百万ということになっております。この内訳が青果物の対策と食肉の対策、それから牛乳、乳製品、水産物、こう分かれておりますので、これを順次申し上げますと、青果物の対策といたしましてまず野菜対策でございます。前年度十五億六千八百万が二十五億八千六百万、従来の継続もあるわけでございますが、新しい事業といたしましては、生産調整に伴いまして、野菜の増産をしようということになっておりまして、従来府県単位で実施いたしておりますところの野菜の生産出荷の安定資金に対しまする助成というので、新規に二億円の予算を計上しております。それから、新規の予算について特に重点を置いて申し上げますと、施設園芸の集中管理モデル団地設置ということで五億一千六百万、新規の予算を計上いたしておりまして、最近よく言われますところのシステム農業への足がかりをこれによってつくってまいりたい。それから、産地におきます野菜の集送センターの設置に対しまして一億七千百万という新規の予算を計上しております。それ以外は、大体従来の生産対策、あるいは流通近代化促進対策等の継続でございます。  それから牛乳、食肉等の対策につきましては、前年度二十九億二千万が三十四億九千百万ということになっておりまして、これも家畜の導入事業等の継続事業のほか、新しく肉用牛の集団肥育の施設の設置事業、いわゆるフィードロットの設置に対しまして新規に一億二千四百十六万九千円という予算を計上しております。  それ以外に包装食肉流通体系整備促進事業といたしまして二億二千六百万、それから成鶏肉の処理加工合理化モデル施設設置に一億四千万、鶏卵の集出荷施設の整備促進対策に五千二百万というような新規の予算を計上いたしております。  それから牛乳、乳製品対策といたしましては、前年度八億八千六百万が八億三千三百万ということになっておりまして、この中には新規の事業といたしまして水田飼料作農家に対する家畜導入事業というのが二億五千三百万新規に計上されております。それから牛乳の出荷の近代化促進緊急対策事業ということで一億四百万の新規予算を計上しております。  それから水産物対策といたしまして前年度十三億三千三百万が二十一億八千四百万ということになっております。新漁場の開発あるいは栽培漁業の振興対策等の従来の事業のほか、新しく産地におきますところののり保管施設の設置事業の補助といたしまして一億五千三百万という新規の予算を計上しております。  それから大きく分けまして、第二の問題といたしまして流通機構の整備という予算がございます。これが前年度三十二億八千七百万が三十八億七千三百万ということになっておりまして、これは先生も御承知のとおり、中央卸売市場の施設整備の補助とかあるいは地方の卸売り市場の施設整備の補助、これらは従来の継続でございまして、相当内容を充実して予算要求をいたしております。特に目新しいものといたしましては、牛乳の流通ワンウエイ化の促進事業ということで、金額はそう大した額ではございませんが千二十三万という新規の要求をいたしております。  第三に消費者保護施策の推進ということで前年度一億四千万が一億五千二百万ということでございまして、これらは大体従来ございますところの事業の継続ということになっております。  それ以外に流通情報の整備ということで流通統計の整備と産地、消費地情報サービス事業を私のほうの統計調査部を通じて運営、実施したり、あるいはそれぞれの機関を通じて実施いたしておりますが、この流通情報の整備の経費が前年度四億九千四百万を五億三千九百万ということに増額して要求をいたしております。  大体物価対策、特に生鮮食料品を中心とした対策費としての中身は以上申し上げたとおりでございます。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 昨年一年間に、暦年でけっこうですが、野菜とか魚類、これはどのくらい値上がりになっておりましょうか。要するに四・八%の、七・八%にも消費者物価が上がっておりますが、そのうち生鮮食料品がこの物価高を押し上げている一番大きな要因だというふうに言われているわけですね。ですから一年間でいくら上がりましたかね。
  85. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 四十五年度の暦年の指数で申し上げますと、生鮮魚介は四十四年度に対して四十五年度の上昇が二〇・六%ということに相なっておりまして、前年度上昇寄与率は九・七%、それから野菜が三三・二%でございまして、寄与率は一三%、果物が二二・一%でございまして寄与率が六・三%、食料品総合で申し上げますと九%でございまして、寄与率が五〇・六%、こういうことに相なっております。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 なるほど統計的に数字をお聞きしますと、消費者物価全般のつり上げのために生鮮食料品というものが大きく寄与率を占めているということがわかりました。  それで、これはわれわれ野菜の値段については毎年毎年口をすっぱくして申し上げておるし、農林省ももちろんいろいろと努力をしていただいていることを私たちも認めますけれども、一向に価格安定という姿が出てこないわけですね。私はきょう、いま御説明のありましたすべての問題について御意見を伺うという時間はありませんから、特に野菜に限ってお尋ねをするわけでありますが、農林省はなぜこのように野菜が値上がりになったのかということに対して、徹底的に追跡調査をし、メスを入れられていると思うわけですね。そういうふうな反省と検討の上に新しい四十六年度の予算というものが組み立てられているものと私は思います。  たまたま、これは大臣にも伺っておきたいんですけれども、テレビなどで拝見しますと、経済企画庁と農林省との御所見というものが、国民から見ると、食い違いがあるようなことすら感じるときもある。要するに、農林省の野菜対策というのは不十分だととれるような一種の意味の御発言すらある。こういうことを国民が聞いた場合に、一体農林省は何をしているんだと。総合農政の中で、お米が余る、そこで土地の調整をする、減反をしていく。それならば減反された土地を野菜にどう転換して、計画的に生産をしていくか。要するに日本国民の一億の中で年間に幾らのキュウリを、幾らのトマトを、幾らのネギを、幾らのニンジンを、こういうことはいまコンピューターの時代で即座にわかる、そうであるならば、それを全国の各地方別に、御承知のように、野菜産地の指定なんという制度もつくられているわけですから、計画的に御指導なさって、そして需要供給のバランスをとっていくという、そういうことをやるのが農林省であるといういろいろの批判が出ておるわけであります。一体、農林省は自己批判をし、どういうところに欠陥があったか、これをひとつ国民の前に明らかにし、われわれはこういう努力をしたんだが、なおかつ野菜は下がらなかったということであれば、それを国民の前に明らかにしていただいて、ことしはその轍を踏まないためにこういう施策をいたしましたと、ひとつお答えをしていただきたい。
  87. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) たいへんいいお話でございまして、この前の国会でも鈴木さん、野菜の価格のことをだいぶ御指摘になりました。私どもは私どもの所管しております野菜につきましては、やはり大きくいえば生産と需要のバランスがとれていない、ことに最近は食生活の変化等もございまして、野菜の需要はかなり大幅になってまいりました。それからまた季節を問わず、一般の方々でもいろいろの、昔は夏でなければ手に入らなかったようなものでも、常に要求されるといったようなことがいろいろございました。そこで私どもといたしましては、まず第一に、需要供給のアンバランスを是正するために、もう少し生産体制を強化しなければならない。同時にまたそれにはやはりことし非常に値がよくても、来年その需要がどういうふうになるかというような見通しもつけなければなりませんし、ことしうんとたたかれますというと来年の生産が減退してきますから、お話のございましたように、米の生産調整をやるにつきましても、私どもは他に需要の強い農作物について力を入れて転換しなければならない、その一つに野菜も考慮いたしておるわけであります。  そこで、そういうことについて、当面の問題を処理するためにも、長期的な、比較的長期の計画を立てますためにも、これは農林省の中にこれの対策本部というものを設けまして、いままで各局それぞれ機動的に協力はいたしておりますけれども、今度は次官を長にいたしました対策本部を設けまして、関係のいたしている局をその下に配置いたしまして、それから、また農林省の統計事務所は、鈴木さんよく御存じのように、この農林省の統計というのは、国際的に言っても非常に権威のあるものであると、内閣統計局なども言っておるような次第でありますが、そういう人たちもやはり余力を持って、現実に間に合うような、これもいままでは統計は統計で働いてもらったのでありますが、今回のような当面の行政に効率的に働いてもらうように、それらの人々を全国にありますのを動員して、そうして地方の情報をひとつ提供し、同時にまた出荷等についても協力してもらうというような組織的に、機動的にやるようになりました。したがって、いままででもございますけれども、地方の農政局及びその傘下にありますものを動員いたしまして、情報収集、流通の円滑化に協力させるようにいたしてまいりました。ところが、先般一時的に野菜が上昇いたしましたのは、やはりあれは季節的なものでございました。しかし、どうも私どもが季節のことを申しますというと、いつもその季節の陰に隠れて失敗を糊塗するのだというようなそしりをまぬがれないものでありますから、それを言わぬことにいたしておりますが、最近の状況はもう御存じのとおりであります。  そこで、まず第一には、先ほどお尋ねがございましたことに官房長から申し上げましたが、予算的にはそれを拡大いたしてまいるということはもちろんのことでありますが、いざという場合に、やはり若干生産を——需要に見合うために生産を強化していかなければなりません。そのためには、あるときにはオーバープロダクションみたいになりましてむだになることがあるかもしれぬ。そういう場合にはやはりそれを補てんしてやるということ、これはわれわれが発明したことじゃなくて、よその国でもやっていることでありますが、そういうことも活用する必要があるのではないかというようなことを考慮いたしまして、それから、またもう一つは、今度御審議願っております予算が通りますれば、指定野菜産地が六百四十ぐらいになるわけでありまして、そういうようなところの出荷、主たる生産地と、それからまたふやしました大消費地とも関連をつけさして、流通を円滑にするようにということについて、予算的にいろいろ努力をいたした次第であります。  それからしてもう一つは、これも御審議願っておりますが、卸売市場法について改正案を出しました。これはいま御審議中でありますが、これが成立いたしますというと、何十年か前に定められました中央卸売市場法の、それからの経験を生かして、そうしてまた生産者、それから流通機構の従事者等の御意見も入れまして、現在のところではかなり現実に即した法案を提出いたしておりますが、これが成立することによって、私はかなり流通機構が改善されると思っております。農林省では全国に消費者モニターをお願いいたしまして、何百人かの方々に、家庭の主婦にも御協力願っておりまして、きのうも実はその代表の会合がございまして、全国から集まった人にいろいろ御意見を聞いておりました。なかなかいろいろ御注文もあり、御忠告も得ておるわけでありますが、これらの人々の実地に即した調査研究が行なわれておりまして、これを見ますというと家庭の主婦の買い物に対する嗜好、傾向、それから性癖というと失礼でありますが、そういう性向等だいぶよくわかるのでありまして、そういうところから見ますというと、私どもはもちろん中間段階におけるロスは削除することに、取り除くことに努力いたさなければなりませんけれども、やはり生産者それから卸、仲買い、小売り、それぞれの機能をうまく果たしておる、それをどのようにして合理的に効率的にやってもらえるかということについていろいろそういう地方の経験者の言うことを聞いておりますと参考になりますので、いま申し上げましたような流通機構の改善に大いにこういうことが役立つのではないかと思っておりまして、そういうような御意見等も取り入れて流通機構の改善をやってまいりたいと、こう思っております。  かたがた一方においては、生産者にそれぞれで生産をやっていただくのと同時に、一方においてやはり消費者を目標にした私どもの施策というもの、これをひとつ実行に移してまいりたいということで、ただいま生産から消費に至る一貫した段階について農林省としては大に力を入れてまいっておるわけであります。来年はたぶんおほめにあずかれるようになるのではないかと、こういうことを期待いたして一生懸命やっている次第でございます。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 まあ大臣からいろいろ御苦労のほどを伺いまして、その点私も敬意を表するわけですけれども、どうもただいま大臣、そうおっしゃいますけれども、毎月毎月野菜の値上がりの見通しなんかが新聞に発表されますね。ところがまず当たったためしがない。天気予報も、このごろ当たらなくなったのですが、それ以上にどうも当たらないというのが農林省見通しなんですね。だから国民のほうからいっても一体どうしていいのか、きめ手を失ったような形の中で値上がりに苦しんでいるというのが実情じゃないでしょうかね。ですから私はもう少しなぜそういう現象が、特に生鮮食料品の中に出てきているのかという原因追及というものをもう徹底的にやってみたらどうなんでしょうか。農林省もまあいろいろと所管が広いですから大臣も御苦労があると思います。日ソ漁業交渉から始まって、毎年のことですけれども、たいへんでしょうが、林野があり、あなたの所管は。だから何か目標をそこのところに置いて、せっかくいま米価の調整をやっているわけです、生産の調整を。そういうのに関連していまお話がありましたけれども、徹底的な指導体制というのを、いまあなた、本部をつくったそうですけれども、そういうものでやれないものなんでしょうか。  幸いに私はせんだってちょっと新聞を見て、今度生鮮食料品価格安定対策特別調査団というのをおつくりになりましたね、これは私は個人的には評価していいと思うんです。この人たちが、学者先生も入っているようですけれども、なかなかいいところを指摘していると思います。これはまだ正式に大臣のところに、お手元に報告としてまとまったものではないでしょうが、中間的に先生方がまとめた考え方というものをせんだってちょっと新聞で拝見しましたが、その中にこういうふうに書いてありますね。「野菜不足、それから価格暴騰の原因は、政府の予算が少ないなど、対策の立遅れによるもので、根本的に考え直す必要がある。」、こう述べておりまして、その一つに、「野菜は昭和四十五年度において農業生産総額のうち一四%を占めているが、農林省の生産対策費は農林予算の六%、流通対策費は〇・三%に過ぎない。これは米づくりに片寄り過ぎた農政の“欠陥”で、畑作を放置した結果である。」と、こういっている、具体的に。ですから米の生産調整のために水田の買い上げをなさっておる。それを大臣は、先ほどそれとの関係で野菜の問題も考えておるとおっしゃるのだが、まず第一点、こういうことについてこれは正式の報告でないのだが、私もほぼ国民の一人として見た場合、見方としては当たっているように思うのです。これは一つの反省の材料ですね。  ですからそれに対して、じゃ四十六年度は一体どうやっていくかという積極的な具体的な計画を立て、それに対して予算をつけるよう大蔵省へぶっつける。もし削ったら、これは大蔵省が負けですよ。これだけ消費者物価が値上がりになっておる、そのために貨幣価値は下がる、国民は少しばかりベースアップしてもらってもとても生計は維持できないというので苦しんでおるわけですから、思い切った施策をすることに対して私は国民は支持すると思うのです。もし切れば大蔵省の負けで、そういうことを私は最初に聞いたのですよ。それが一つ。  もう一つは、農家のほうにもこれは責任があるのじゃないだろうか。要するにさっき大臣のおっしゃったように、野菜づくりに対して意欲が欠けているのじゃないだろうか。それは要するに農産物価格の安定ということがないのですよ。支持価格というものがないから、御承知のように余ればブルドーザーでキャベツをひきつぶしてしまうようなそういうことになる。ですから、これは全国的な、さっき私が申し上げたような需要供給のバランスをとるための計画生産と計画出荷、こういうものをもう少し適切にやって、それを全国的に指導していけば、ある地域ではあるいは干害によって生産が落ちたかもしらぬ、それに対しては今度はビニールハウスなり干害のためのスプリンクラーですか、ああいうものをつくってどんどん水をやってやるとか、それのためにビニールハウスをもっとしっかりした骨組みのものにしてやるとか、それに対しては金を補助してやるとか、またもし全部が補助できなければ長期低利の金を融資してやるとか、そういう一つ一つ、地方々々、ケースケースによって対策を打っていけば、全国的に何千万トンというたとえばキュウリをつくるとすれば、それが一部門がだめだったからすぐ高くなったとか安くなったとかいう価格の変動というものが私は押えられると思う。一挙にいかなくても、それが一年たち二年たっていけば、当然それが目的化していきますよ。こういうところに対しても、やはり農家が野菜に対して意欲を持って生産できるような、そういう意欲を持てるような施策を積極的に出していったらどうですか。それを指摘している。  それから三つ目には、さっきも申し上げた指定産地制度なんということもあやしげなものですね。相当金を注ぎ込んでいるけれども、その機能はなかなか発揮してくれない、したがって価格というものが安定しない、そういう制度が不十分である、機能が発揮できないということになる。  もう一つは、やはり流通機構の中で特に小売りマージンというものが大きい。それからまた卸売市場においても立地、せりなどというものがあって、なかなか中間のマージンというものが安くならない。  大体この四つをおあげになっているのですよ。せっかくこういう御意見もあるのですから、ひとつ大臣、この中間的な意見の集約が予算編成後だったようですからことしは間に合わないとしても、来年こそ、こういうことに対して、なるほどことしはよくやってくれましたと、私がここへ来て農林省に感謝ができるようなひとつ具体的なことをやってください。もう抽象論じゃだめですね。どうですか。これはもうここにみんな大臣以下きょうは幹部が来ておるわけですから、あなた方の知恵を集めたらできないことはないから、それで大蔵省に予算をぶつけなさい。それでだめだったら、私また大蔵省に文句を言いますよ。国民の立場から抗議をしますよ。だけれども、全然やらなかったということじゃ、来年はもう済まされませんよ。大臣どうですか。私はきわめて具体的な提案をするわけです。
  89. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) たいへん御激励を賜わってまことにありがたいのでありますが、実は四十六年度予算でもただいま鈴木さんお話しのような考え方で私ども予算編成に当たっておるわけであります。  まず第一には、ただいまは主として野菜のことのお話でございますが、全体として米の生産調整をいたすと同時に、農業全体というものはわれわれとしては維持強化してまいらなければならないという原則的たてまえに立っているわけでありますから、そういうことから考えまして、生産調整はやはり休耕と転作とに差異をつけて、そして転作に力を入れてやっていただく、その転作の作目の中の一つの有力なものが野菜でございます。そこで、いま川野教授の、実は川野氏にお願いをしてじみちな調査をしていただくということで、いまお骨折り願っておる最中でございます。お話のように、まだ結論ではありませんで、中間的にお考えを若干述べられたというものが伝えられておるわけでありますが、やっぱり指定産地の制度につきましては、これは農業のことでありますから、指定したからすぐその年に効果をあげるわけじゃありませんで、一年半くらいが準備期間で、それから若干ずつ成績が上がってくると、こういうことだと思いますが、指定産地は御存じのように、半分は、とにかく指定した大消費地に回さなければならないとか、あるいは三分の二は共同出荷でなければならないというふうな、いろんな条件をつけて助成をいたしておることでありますが、ともすれば、やっぱり商売的にいろいろお考えになりまして、まあ十分にその機能を発揮しないようなところがあるやに承ります。そういうところは私どもは指定産地としても取り消すというしっかりした態度をとることにいたしておりますが、御存じのように、野菜は最近農作物の中ではかなりそろばんのとれるものになってきております。そこで、いま鈴木さん、計画的に、全国的にやるべきであるというお話で、全く私ども同感でございますが、そういうことのためにやっぱり適地適産と申しますか、昨年約八カ月ほどかかりまして、地域指標の試案をつくりました。あれはそういうつもりで、いま鈴木さんのおっしゃいましたようなお考えを実行に移すための一つの手段として作成いたしたものでありますが、まだ私は全国の各県については聞いておりませんが、私どもの長野県などの話を聞いておりますと、県知事も農協の役員の人たちもわれわれが長い間、将来はどういうふうな計画図を県の農業に描くべきかということを考えておった、その計画とぴったり合っていると、まず実によくわれわれの考え方と同じような表現であると、こうこの間言っておられました。やっぱりそれに基づいて転作もしておりますし、それから果樹、野菜、養蚕等の植えつけ等、計画的にやっておられます。  そういうことで、私どもといたしましては、かなり野菜の指定産地制というものがわれわれの期待に沿えるようになってきていると思いますが、しかし、それをしっぱなしではなりませんので、これから私のほうでは出先の機関もかなり備えておりますので、お話のような考え方を中心にして一大かたの御期待に沿うようにひとつ生産をやってまいるつもりであります。そういうことのために四十六年度の予算をとっておりますが、引き続いてそういう方向でやってまいるということを考えているわけであります。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 具体的に川野先生が指摘をしている中に、たとえば価格補てんの問題につきまして触れておられますね。触れておられるというか、考え方を聞いてみると、やっぱり実情に価格補てんが合ってないというんですね。たとえば京浜向けのキャベツの価格保証基準は、現在でも過去七カ年間の市場価格一キロ当たり二十五円の四分の三、つまり十九円で、かりに二円値下がりしたとすれば、その差額の二円の八〇%、つまり一円六十銭が補償されるということになりますね。これじゃ農家としてはたまらぬということを言ってるんですけれども、これは蚕糸園芸局長、そういうことに対しての配慮はこの予算でできているか、四十六年度は大蔵省、配慮されていますか。
  91. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ことし四十六年度予算におきましては野菜の価格安定ということで補てん対象品目につきまして三品目を追加いたしまして、従来は六品目のキャベツ、キウリ、タマネギ、ニンジン、ネギ、ハクサイの六品目でございましたが、四十六年度に新たにダイコン、トマト、レタスの三品目を追加いたしまして価格補てんの対象としたことが一つであります。その価格補てんの対象となるべき地域、従来指定消費地域一が五指定消費地域で札幌、京浜、中京、京阪神、北九州の五指定消費地域でございましたが、四十六年度から新たに仙台、広島のいわゆる五十万都市台にまで基準を引き下げまして二地域を加えまして、新たに七地域にいたしました。それから価格補てんのいわゆる資金造成の補てんにつきましては四十六年度におきまして新たに七億三千四百万円の予算を計上いたしまして、この結果四十六年度末におきましておおむね野菜生産出荷安定資金協会が動員できますいわゆる資金総額が約三十七億円の予定になるわけでございます。そのほかさらに地方の先ほど大臣が申されましたように稲作転換に伴いまして野菜が非常にふえてまいりますので、それによって価格の暴落を多少でも救済できる道を開くということで新しく地方の野菜基金協会といたしまして、その基金の一部につきまして二億円を計上いたしまして野菜の価格安定に資しておる次第であります。なお、保証基準の取り方につきましては、従来から野菜の基準額につきましては過去の平均市場価格をとりまして、それが結果的にはただいま七年間とっているわけでありますが、それを日銀の卸売り物価指数で修正いたしまして、それをその価格の四分の三を保証基準額と定めて、そのまた過去の平均市場価格の二分の一を最低基準額としまして、その差額の八割まで市場の価格が下がったときには補てんをする、こういうふうにいたしております。また、この保証基準額につきましては、われわれといたしましては三年ごとにこれを改定するということで現在指導いたしておる次第でございます。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 それは七年を三年にするとか、過去七カ年間の市場価格の点についても日銀の卸売り物価を基準にとるとか、これは前進している。抽象論ではわからないから、いま私があげた京浜向けのキャベツの価格保証について、これは古いのだが、去年まで、そうでしょう。だから、一キロ当たり二十五円とした場合に値段の値下げに伴う実質的なメリットが、あなたがむずかしいことを言った。いろいろ計算上わからないのだけれども幾ら得になる、一キロ当たり幾ら利益になります。補償がふえていくのか。一円六十銭が一円なんぼになるか。
  93. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) たとえばキャベツにつきまして京浜市場の現行の価格でいきますと、かりに冬キャベツをとりますと、平均価格が現在の時点では一キロ三十円四銭。一月−三月間に適用する価格でございますが、平均価格がいわゆる三十円四銭というふうに計算いたしております。それで、さらに先ほど申し上げましたように、四分の三が保証基準額でございますので、計算いたしますと、二十二円五十銭、こういうふうになるわけでございます。それをさらに最低基準額で計算いたしますと、九円六十二銭、こういうふうになるわけでございます。かりに市場の価格が二十二円五十銭を割りまして十円ということになりますと、二十二円五十銭と十円との差額の十二円五十銭、これの八掛けを補てんの対象にする、こういうことで計算をしているわけです。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、幾らになるのですか、八掛けすると。
  95. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 八掛けいたしますと、かりに市価を十円といたしますと、十二円五十銭の八掛けでございますから九円四十銭でございますか、そういうふうになるわけでございます。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 川野先生が指摘をした過去七カ年間の市場価格一キロ当たり二十五円——あなたは冬野菜をとって平均三十円四銭とおっしゃったが、川野先生のおっしゃったこの七カ年間の資料の価格が一キロ当たり二十五円の場合、その四分の三の十九円ですね、市場価格、キロ当たりの価格基準というものは。そこで、二円値下がりをしたら、その差額の二円の八割を補償するわけでしょう。それがいわゆる保証価格になるわけです。この場合ですと一円六十銭になる。おたくで今度かえた過去三年間のデータで、日銀の卸売りでかえた、こういうものでやってみると、一円六十銭が二円になるのか、二円六十銭になるのか、少しでもメリットの点でいい目が出ておりますかということを比較して伺っているわけだから、このものさしに合わして言ってください。
  97. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 実は三年ごとに改定すると申し上げておったのが過去三年の計算というふうに御理解願ったのかもわかりませんが、三年ごとに基準価格を改定しているんでございまして、その点はまことに私の舌足らずでございまして申しわけございません。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 そうですか。それはわかりました。じゃ過去七年間の三年ごと……それをいま言ってください。幾ら有利になるのかわからない。
  99. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ちょっといま手持ちをさがしておりますので、少しあとで御答弁申し上げます。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 それはいまわかったら教えてください。もしわからなければ、あとで比較検討して資料で出していただきたいと思います。  それから、時間がないものですから、それに関連してちょっと伺いたいのですけれども、いま輸入玉ネギはどことどこの国からどのくらいの量を年間輸入しておりますか。
  101. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 輸入玉ネギにつきましては、従来は主として台湾とだけ、あらかじめ日本野菜輸入組合といいますか、カルテルを設けまして、八月ごろは、台湾と年間の輸入すべき数量につきまして打ち合わせを行ないまして、それを冬場の一月、もしくは二月から三月にかけまして輸入するようにあらかじめ一種の契約栽培といいますか、予約栽培みたいな形で数量をきめている次第でございます。それは輸入組合で特別な一つのカルテルといたしまして通産省のほうで承認をされておるわけでございまして、そういうのがルールでございまして、台湾以外からは従来あまり玉ネギの輸入はされていないわけでございます。それが昨年から台湾以外からも多少入っていますが、主としてやはり台湾の玉ネギが中心で現在輸入されまして、ことしは特に内地産の玉ネギが多少不作であるという予報もありましたので、十二月ごろからわれわれといたしまして輸入の指導といいますか、そういう話し合いをいたしまして、昨年の十二月からことしの一月ごろまでにおおむね台湾以外の玉ネギにつきましては一万八千トンほどの輸入が現在までにされておるわけでございます。  なお、そのほかに、別途、ただいま申し上げましたように台湾産の玉ネギにつきまして輸入が最折の時点で行なわれまして、これは当初去年の八月ごろ予約いたしましたときには、一応一万トンということで台湾と話し合いをいたしましたが、これもその後の玉ネギの国内産の不作状況を勘案いたしまして、この二月にわれわれのほうから業界のほうに強く指導いたしまして、さらに五千トンを追加輸入するということにいたしました。また、場合によっては余裕量があればさらに二千トンぐらい入れようということで、ただいまのところ総量といたしましては一万七千トンをめどにいたしておりますが、ただいま具体的に契約数量が固まったのは一万五千トンで、あとの二千トンはさらに今後台湾の手持ち状況を見てきめようということになっております。しかも、そのうち第一船から第三船ぐらいまでが入ってまいりまして、現在までにすでに横浜あるいは神戸に千五百三十五トンが入っておりまして、なお、今明日中に、すでに入港はいたしておりますが、陸揚げされてない、検疫待ちといいますか、順番待ちのものが約千五百トンほどさらにありまして、大体日本の港に入っているのが総額で約三千百トン前後入っている次第でございます。今後さらに引き続き三月中に残りの一万数千トンが入ってくるんではなかろうか、こういうふうに理解しております。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 くどく言うからわからないんですけれども、要するに昭和四十五年度の、暦年でもいいですよ。あるいは台湾から幾ら、その他から幾ら、トータルだけ言ってください。
  103. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 玉ネギの輸入の状況、先ほど申し上げましたが、米国あるいはオーストラリア等から現在玉ネギが入っております。これは四十五年の十二月からことしの二月一ぱいに入ったものが一万七千二百九十四トンでございます。そのほかさらに多少今後三月中に入ってくるものもあるやに聞いておりますが、ただいまの輸入実績は、これは米国、オーストラリアでございますが、一万七千二百九十四トン、ざらに台湾から、一いまのところ一万七千トンを予約している、そのうち千五百三十五トンがすでに入った、一万五千トンから千五百三十五トンを引いた残りは三月中から四月の上旬にかけて入ってくる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それで、いま日本野菜輸入組合というものに加入している会社は何社あるんですか。
  105. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま入っておりますタマネギの——正式には日本蔬菜類輸入組合でございますが、百八十五社が加盟いたしております。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 公正取引委員会が、もっと希望者があるからふやしたらどうかというようなアドバイスをしていますね。これは通産のほうのことで、きょうちょっと通産来てないですけれども、まあこれは農林省のほうもいろいろと行政指導の面でお手伝いをすることになると思うのですけれども、どうしてもう少しふやさないんですか。何かこう実績実績なんて言って、えらいかた苦しいきちょうめんなことを言っているようですけれども、それには何か理由があるわけですか。私たちは、公正取引委員会というものがいろいろ調査をされて、もっとやりたい人にはやらせることが、これは独禁法との関連をもちろん考えておるわけですから、そのほうがいいということをいっているにかかわらずふえないのはどういうわけですかね。
  107. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この日本蔬菜類輸入組合の加盟社数並びに加盟のメンバーの件でございますが、このタマネギというのはまことに、先ほどから御指摘のように、毎年、端境期には非常に暴騰するか暴落するか、いずれかのようなものが続いているわけでございます。それで、過去、四、五年前だったと思いましたが、この蔬菜類輸入組合のカルテルでない時分でございますが、台湾からタマネギを入れましたところ、たまたま三月から四月にかかって、日本側のほうが豊作でございまして、大暴落いたしまして、それで入れた方が大損してしまったということから、むしろ脱退者が出てしまった。それでもう台湾からタマネギを入れたくない——まあ言い方は間違っているかもしれませんが、入れたくない、あんな損するものは入れたくないと言われる方が多く出まして、それでは消費者の価格安定には資することができないのではなかろうかということで、やはり——台湾とは一定の契約栽培で、台湾でできますタマネギのうち輸出されるものの約一〇〇%、まあ九十何%までが日本向けで、事実上、日本からあらかじめ、八月から九月にかけての台湾の作付期に予約の申し込みをして契約栽培しておかないと、十二月、一月になってから急に輸入だといっても、実は物が入らないわけでございます。したがいまして、やはりそれではまずいということで、カルテルを設けまして、そのかわり、あらかじめ予約した数量については必ず引き取る、値段についてはまた二月ごろの、実際輸入されるころの価格を一つのめどにしてやろうというようなルールがおのずから出てまいりまして、実は、昔のいきさつからすれば、いかにして台湾から業界を誘導しながら端境期には入れさせるか。その結果、入れさせますので、損する年もあり、またもうける年ありということで、その辺をある程度義務づけて入れさせるために、輸入カルテルのような形で指導したわけでございます。  ところが、たまたま去年の輸入とことしの輸入、二回にわたりまして、国内のタマネギの市価が非常に高いものですから、輸入すれば必ずもうかるやに、そういう理解も多少出てまいりまして、新しく、ニューカマーといいますか、さらに輸入したいという方が手をあげてこられたようであります。それが多少、あるいは公取委員会からお話があったように聞いておりますが、それらにつきましても、われわれといたしましては、全然野菜というものを入れた経験のない方も相当あるやに聞いておりますので、通産省のほうではさらにそういう方々を整理されまして、やはり野菜の輸入実績者というところで輸入の能力を判定の上、今後輸入を認めていくということでその指導をされておられるようでありまして、もうそうしないと、やはり場合によっては輸入実績のない者が輸入されるということになりますと、LC開設の能力のない者が輸入をするというのは、一つのペーパー輸入業者を設けるということになるのではなかろうか。  それからもう一つ、先ほど四、五年前の話を申し上げましたが、台湾が一種の輸出独占といいますか、窓口が一本でございまして、日本側から多数、百何十人が殺到いたしますと、値段をつり上げられるだけで意味がないので、向こうが窓口一本なら、こちらも窓口一本という形で、われわれといたしましては、輸入組合の存続については慎重な検討が今後さらに必要ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣ひとつ御考慮いただきたいのですが、いまいろいろお話を承りましたが、輸入をするということは、国内のキャベツや、タマネギの価格を安定させようという、そういうことがねらいなんですね。ところが、実際に輸入されたタマネギが日本に上陸をして、その後どうなっていくかということに対しては、これはかいもくどうなっているかわからないんですね。せんだっても緊急輸入されたのですけれども、結局は都会地、大消費地にはあらわれないで、何か私もよくわかりませんが、仲間分けという方法があるのだそうですね。そこでもって業者間で私的に取引をしちゃって、小都市とか、中都市の八百屋さんのところへ行ってしまう。だから、大都市あたりの物価を上げぬようという作用を働かさないでしまっているのですね。こういうことでは、せっかく緊急輸入したものが、価格安定に寄与しないということになるわけですから、これは私はおかしいと思うのです。自由市場の中に農林省がどこまでタッチできるか、これは私わかりません。わかりませんが、少なくとも、せっかく輸入をする、しかも通産省が中に入って割り当てまでやっておるものですから、もう少し上陸した以後のこれの行くえを見守っていただいて、その効果を果たせるようなやはり政治的な指導というものを、行政指導というものをやってもらわなくちゃ、これはだめですよ、と私は思います。ですから、その点は大臣からよく実情をお調べくださいまして、その効果が発揮できるような販売方法をひとつぜひとっていただきたいと思います。いかがですか。
  109. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) ごもっともなお話だと思います。各省間にいろいろそれぞれのしきたりもあると思いますが、要は御指摘のようにその効果があがるようにすることが大事なことでございますので、ひとつ政府部内においても十分検討いたして、効果のあがるようにいたしてまいりたいと思っております。
  110. 小暮光美

    政府委員(小暮光美君) 一点だけちょっと事務のほうから御報告申し上げておきます。  台湾のタマネギが、現物が内地に到着し始めたのはここ一週間ほどでございました。これから三月中一ぱい、四月の初めにかけて逐次、先ほど園芸局長が申し上げました一万五千トン程度のものがくると思います。その前にひところ新聞をにぎわしましたのは、完全に自由にしておりますアメリカ、濠州その他、台湾以外の地域の自由なタマネギであったわけです。それで、それまで台湾の前に自由に入りましたもの、これは自動承認制と申しますか、全くの自由で入ったものであります。ただ、そのものが——これも一万七千トンでございますが、これがどこへ行ったかということにつきましては、私ども市場行政を担当する立場で、非常に関心を持ちましていろいろ調査いたしております。  御承知のように、大消費地の市場に対する野菜の入荷量というのは、全国流通量のおおむね五割弱なんです、野菜全体がですね。野菜全体が、全国流通量の約五割弱が大都市の中央市場に入ってくるという形でございますが、アメリカ等から入りましたタマネギが、どれだけ大都市の中央市場に入ったかという数字を推計して見ますと、港へ着きましたものの四七、八%が大都市の中央市場に入っておるということでございますので、野菜全体のからの大きさ、そのうちの五割弱が大都市の中央市場に入るという姿での対比でいきますと、おおむね輸入されたものの適当な数量が大都市の中央市場に入るというように見ております。ただこれが国内の価格が下がりませんのは、国内のタマネギの不足ということからまいったことであります。ただそういう経験にかんがみまして、いま御指摘のように、政府が輸入調整の数量を認めておるという形で行政が一部介入して輸入いたしました台湾ものにつきましては、市場関係業者と十分話し合いまして、台湾のタマネギが入った、台湾のタマネギを売るのだということを消費者にはっきりわからせるような方法を現在関東、関西それぞれに業者が知恵を出して相談しております。東京でも明日から都内に台湾のタマネギということを持に店頭に表示して売る相談ができ上がっておりますので、事務的に報告申し上げておきます。
  111. 鈴木強

    鈴木強君 主査、私は林野庁長官の出席を要求しているのですが、きのうから。林野庁長官はどういたしましたか。
  112. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  113. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 速記つけて。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 それじゃ来るまでちょっと質問を続けますが、酪農関係にどなたかいらしておりますね。今月の二十二日の日に農協会館で酪農民大会拡大実行委員会というのが開かれております。そこで飲用向け原料乳価を一キロ当たり十円以上即時引き上げることの要求をし、これを決議して、乳業メーカーと農林省に対して陳情をしているように伺っておりますが、いまこの一キロ当たり五十三円六十銭でございますね、これを十円上げるということのようでございますが、これに対して農林省としてはどういうふうに措置されるお考えでございましょうか、お伺いいたします。   〔主査退席、副主査着席
  115. 増田久

    政府委員(増田久君) ただいま鈴木先生のお読みになりましたものに実は乳価問題で現実に二つの問題が起きておるわけでございます。一つは、御承知のとおり原料乳の保証乳価につきまして本年度の月末に畜産振興審議会にはかってきめる価格の問題、それからもう一つは、現在先生御承知のとおり、市乳地帯における需給の問題が非常に逼迫しておりまして、その値段を上げろという、この二つの問題がからんでおるわけでございます。  前者の問題につきましては、これは畜産振興審議会の意見を聞くということで目下鋭意作業中の段階でございますので、まだ政府としてどういう数字、どういう態度で臨むかということを残念ながら申し上げられない段階でございます。  それから市乳の値上げの問題につきましては、特に市乳地帯におきまして牛乳の生産の伸びが落ちまして、非常に需給の逼迫はあるわけでございまして、そういう生産者の声は十分わかるわけでございますけれども、これは具体的にはその地域の結局は需給の実態が価格をきめるということになりますので、それはメーカーとの間における、あるいは小売りを含めた三者の間における話し合いと一いうものを農林省としては期待して、その三者の話し合いによる解決を期待しておるというわけでございます。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 これは直接に介入するというようなことになりますと問題かもしれませんですから、あくまでも行政指導の面でおやりになると思いますけれども、少なくともいま汚染牛乳とか何とか言われておるときです。せっかくお客さんにサービスをしようといろいろ考えておるわけだから、そういうときにまた上げますと、結局は小売り価格も上がってくると思います。ですからできるだけ三者の皆さんに値上げをしないで済むようなことを考えながら、何とか行政指導の面でこれは値上げをしないようにしてほしいと思うのですが、最善の御配慮をいただけますか。
  117. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 生産と消費の調整、なかなかめんどうでございますが、いま審議会にも御相談をして、その御意見も聞こうといたしておるわけでありますので、十分その辺の事情を勘案して善処していきたいと思っております。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろまだ準備しておりましたけれども、まだ来ませんから——いま来るでしょうね、林野庁長官は。  それまでもう一つ競馬のことでちょっと伺いたいと思いますが、私は競馬についてはずぶのしろうとで、まだ競馬場に行ったことがないのですから全くの何かしらん質問もたいへんピントはずれなことになるかもしれませんが、おしかりにならないでひとつ教えていただきたいと思います。  それで大臣、ひとつ前に伺いたいのは、万博のあと地の利用につきましていろいろ総理もわれわれの質問に答えて、何か民主的な審議会か何かつくってどう利用するかということについて相談をしたいと言っておられるんですけれども、たまたま二月の二十六日に東京の西新橋の日本中央競馬会で競馬運営審議会、これは法律に基づく審議会ですが、そこで京都の馬主の協会相談役仙石さんという方が、阪神競馬場は狭過ぎるから、ひとつ万博のあと地に移転をしてほしいという希望意見を述べられたそうなんです。きょうおいでいただいておると思いますが、清井さんが、競馬会の理事長さんが、関係方面に根回しをしておる段階だ、こういうお答えがあったと新聞ですが報道されておりますが、最初にこれは清井さんに伺っかほうがいいかもしれませんが、こういう二十六日の運営審議会でそういうお話があったのかどうなのか。そして、あなたはこれをどうなさろうとするのか。順序として、最初にあなたに伺って、それから大臣お答えいただきたいと思います。
  119. 清井正

    参考人(清井正君) 日本中央競馬会理事長でございます。  ただいま御質問のありました点は、私のほうで、ただいまのお話のとおり競馬運営審議会というのがございまして、予算、決算その他競馬会の重要事項はその審議会に諮問してきめることに相なっているわけでございますが、その席上、ただいまの話のとおり、関西の馬主さんから、阪神競馬場が狭いのでちょうど万博のあと地があるからあそこへ移ってはどうかと、こういうような御意見があったことは事実でございます。私ども、実はもう前から若干その話を伺っておったのでございますが、確かに、阪神競馬場が非常に実は混雑をいたしておりましてまわりの方に非常に迷惑をかけますし、来るお客さんにも非常に迷惑をかけるということでありまして、何とかいいところがあったら移るところはないものかなというようなばく然とした気持ちがあったことは事実でございます。ところが、そういうようなお話が事前に実はございましたので、私は、この問題は確かに問題ではあるけれども、問題が万博あと地という問題でありまするから、これは非常に重要な問題である。これは特に、競馬の中の人たちの意見よりも競馬の外の人たちがどういうふうに考えるかということが大切ではないか。こういうふうに考えまして、この点は慎重に検討しなければならぬ問題であるという実は気持ちで参ってきたのであります。そこで、そのときに質問がございましたので、私といたしましては、これはきわめて重要な問題であるからまず関係者の御意見を十分に聞いてその上でないと最終結論は出せないのだと、こういうことのお答えを申し上げましたのでありまして、したがって、まだ競馬会としても最終決定したわけではございませんし、いまは各省に向かってこういうふうにしたいからということを申し上げているのではないのでありまして、まだ、私がこういうお話を承って、関係の方々の御意見を、一体どんなものだろうかということを聞いている最中に突然そういうことがあったのでお答えしたのが記事になって出た。こういうような次第でございます。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 そのとき、新聞に報道されている直感的な気持ちとして、たとえば、矢島という大阪府万国博協力局の計画調整課長は「あきれてものもいえない。万国博跡地利用は、すでに緑豊かな文化公園にし、広く世界中の人たちに開放することが決まっている。いまさら競馬場案など本気で取上げる方がおかしい。本気でそんな構想を打出したのなら、常識を疑わざるを得ない。」、こうなっている。ところが、鶴哲夫さんという農林省の競馬監督課長のほうの話が出ているが、「いい場所があって移転できれば結構なことだ。話に出た万国博跡地については移転先としての可能性、妥当性とも農林省としては検討したことはない。競馬会から相談があればその時点で考える。」、こういう記事になっているのですが、これは大臣、非常に重要なことだと思います。  競馬そのもののあり方についても、私はしろうとですからよくわかりませんけれども、聞くところによると、そのために全財産を投げ捨てて、そして悲劇の道を歩んでおる人たちもおるようです。ですから、何とかして競馬会を民主化して——民主化というか、もっと大衆に親しまれるような、そしてもっと、たいへんなばくちでやられないような、子供連れで行って一日中楽しく草っ原で横になりながら見られるような、大衆娯楽的な意味を含めたものになった場合ならいざ知らず、現在のようにですね、八百長をやって馬券の売り場に火をつけられたりするようなことがときどき報道されますわね。あるいは競輪のほうもそうですね、競輪。そういうふうなギャンブルの基本的なあり方に対する問題がまだ国民の疑惑を非常に持っているときですから、そういう時期に、この万博あとを使うなんということは全くおかしな話だと思います。しかし、それぞれの立場があるでしょうから、大臣としては、これは仮定の話で恐縮なんですけれども、もし、そういう話があるわけですから、話が来たときにどうなさいますか。
  121. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 初めて承ることでありまして、万博あと地につきましては、政府部内では大蔵大臣が担当者になりましてそしてそれぞれ検討しておるわけでありますが、先般中間の報告がありまして、およそこういうことだという報告の中には全然競馬場という話は出ておりません。これはいろいろな意味において大事な問題であると思いますが、要するに万博あと地につきましては、もうすでに大体の処理のアウトラインが決定しておるのではないかと、大蔵大臣の話を聞いておりますとそういうふうに受け取られるようであります。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 これは仮の話で恐縮ですがね、話が来たら、大臣としては、それは不適当だと、そこに移ることは。そういうふうにはっきりいまお考えでしょうか。
  123. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そういうのが来るまでにはずいぶんいろいろな紆余曲折があるのだろうと思いますが、私いま何とも申し上げられませんが、大体そういうことはないのじゃないかと思っております。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 私は、こういうことを考え出すことは自由なんですからね、それぞれの人がそれぞれの立場でお考えになるかもしれません。しかし、あのあと地に、いまのような競馬運営の状態の中で競馬場を移そうといったって、これはちょっと常識はずれの話で、問題にならぬことだと私は思います。ですから、願わくは、ぜひ大臣としても、そういうお話がありましてもこれは共鳴をしないようにしてほしいということを強くお願いをしておきます。  それから、きょうは少し競馬の実態というものをずっと伺おうと思って準備はしたのですけれども、時間もだいぶ制約をされておりますから問題点だけに若干しぼって伺いたい。  いま、一頭の競馬馬に育てるまでには幾らぐらいの金かかりますですか、子馬が生まれて走り出すまで。
  125. 増田久

    政府委員(増田久君) 軽種馬の生産費につきましてはいろいろとこれ調査をいたしてありますけれども、まだこれだというふうにはなかなか言い切れないものがあるわけでございます。ただ、いまのわれわれのせり市でせられる軽種馬の価格というものを見てまいりますと、平均的な価格は三百七十五万円。それで最も、何といいますか、軽種馬の頻度の高いところの価格はおおむね四百万円ないし四百五十万円ということでございますので、生産費もその近い線ではなかろうかと、かように考えているわけでございます。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 全国で何頭いるのですかね。
  127. 増田久

    政府委員(増田久君) 軽種で約八千頭おるわけでございます。ただし、これは生産される頭数が八千頭でございます、生産される頭数が。それで、現在登録されている馬が、中央競馬でそのほかに四千三百頭、それから地方競馬で一万六千四百頭おりますから、全体で軽種馬二万八千頭ということに相なるかと思います。
  128. 鈴木強

    鈴木強君 それで、騎手は馬の数くらいおるのですか。
  129. 増田久

    政府委員(増田久君) 騎手の数は現在中央競馬で二百二十四名、地方競馬で八百名、合わせまして千二十四名おります。
  130. 鈴木強

    鈴木強君 調教師はどのくらいいますか。
  131. 増田久

    政府委員(増田久君) ちょっと、中央の数だけで申しわけございませんが、現在中央で百四十九名でございます。地方の調教師の数は後ほど調べまして御報告いたしたいと思います。
  132. 鈴木強

    鈴木強君 騎手というのは月給にしたらどのくらい収入があるものですか。調教師というのは幾らぐらいになるのですか。
  133. 増田久

    政府委員(増田久君) 先生御承知のとおり、これは月給制ではございませんで、進上金制度という制度でやっておるわけでございます。それで賞金をもらいますと、賞金の一〇%が調教師に入る。それから五%が騎手に入る。こういう制度になっておるわけでございまして、一着をうんとかせぐ騎手は大いにかせぎ、全然かせがない騎手はだめだと、こういうことになるわけでございますが、平均的に全体の賞金を先ほど言いました数で割るということでやりますと、中央競馬会でございますが、調教師は平均的に年収一千万円それから騎手は三百四十万円くらいに相なるのではないかという推定はできるわけでございます。
  134. 鈴木強

    鈴木強君 年収ですか。
  135. 増田久

    政府委員(増田久君) 年収です。
  136. 鈴木強

    鈴木強君 それからいま中央競馬会の資本金は幾らになっていますか、そしてその資産総額というのは何ぼになりますか。
  137. 増田久

    政府委員(増田久君) 御承知のとおり中央競馬の資本金と申しますのは、中央競馬会になります際に、国から現物出資という形で出資されたものでございまして、その額は資本金は四十九億二千四百万円でございます。それから四十五年末におきます資産は七百五十四億二千万円でございます。それから負債額の九十九億七千万円を差し引きましたものが正味財産ということで四十五年末で六百五十四億四千九百万円でございます。
  138. 鈴木強

    鈴木強君 開催日に働いておる方がいますね。ああいう人たちは競馬会で常勤職員として雇っているものでしょうか、それとも何か特別な契約でやっているものでしょうか。その給与はどうなっていますか。
  139. 増田久

    政府委員(増田久君) 契約としては、原則としてというよりも大部分は日雇い契約といいますか、毎日の契約でございますが、若干その中に二カ月更新の常勤的非常勤と申しますか、そういう方が若干おります。現在どれくらいの人をそういう臨時に雇っているかと申しますと、東京の場合を申し上げますと、たとえば中山競馬場で開催されると、こういう場合には競馬場のほうで四千四百五十名程度、それから場外馬券場がございますので、場外馬券場で四千六百名、計九千名の職員をその日に雇っている、こういう形でございます。それで日給はおおむね最低が千二百円、それから先ほど言いました常勤的非常勤という方につきましては四千百四十円というような支給をしているわけでございますが、そのほかに諸手当が二一百五十円から五百五十円程度、それから期末手当として一人当たり平均一万二千円程度の手当を支給いたしております。
  140. 鈴木強

    鈴木強君 いまの場外馬券ですね、場外馬券の売り場というのは全国に幾つあるのですか。
  141. 増田久

    政府委員(増田久君) 全国で十四ありまして、関東に九つ、関西に五つでございます。
  142. 鈴木強

    鈴木強君 そこには最低何人くらいの職員がおりますか。
  143. 清井正

    参考人(清井正君) 私がお答えいたします。  ただいまのお答えでございますが、場外馬券場は私ども直接の経営でございます。ふだんから課長級の所長を命じておりまして、本会の直接の職員というのは数名程度でございます。ただし開催日になりますと、開催日のときに場外馬券を売りますので、ただいまもお話ございましたが、中山競馬場開催の場合はその場外で約四千三百人ぐらい、東京の開催いたします場合では、東京の開催で三千七百人ぐらいを雇っておる、これは臨時職員でございます。この程度の人間でやっております。
  144. 鈴木強

    鈴木強君 余裕金の運用については、金融機関への預金と、それから国債その他省令で定める有価証券の保有ですね、これはどのくらいになっておりますか。
  145. 増田久

    政府委員(増田久君) 余裕金につきまして申し上げますと、先生おっしゃいましたとおり、銀行預金あるいは国債、地方債、鉄道債、電信債というような債券を買うことに相なっておるわけでございまして、これは四十五年末におきまして、金融機関への預金が二百五十三億九千六百万、国債が二億九千四百万、電信電話債が一千九百万、それから割引農林債券が四億四千四百万、それから割引長期信用債券が一億八千九百万、割引不動産債権が一億九千万、割引興業債券が一億九千万、それから関係の会社と申しますか、日本馬匹輸送自動車株式会社の株券として二千五百万、それから日本トータリゼーター株式会社の株券として二百五十万、以上でございます。
  146. 安田隆明

    ○副主査安田隆明君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  147. 安田隆明

    ○副主査安田隆明君) 速記をおこして。
  148. 鈴木強

    鈴木強君 それからこの特別積み立て金というのがございますね、この性格は法律に基づいて積み立てることになっておりますが、いま金額は幾らになっておるか、またこれを使う場合には政令できめられた方法によって使うということになっておるのだが、政令はどういうふうになっておるのですか。
  149. 増田久

    政府委員(増田久君) ちょっとお答え申し上げます。  前に、地方の調教師の数でございますが、五百六十名でございます。  それから競馬会の特別積み立て金というのは御承知のとおり、剰余金が出てまいりますと、その二分の一を国庫に納め、二分の一を国の特別積み立て金ということで内部留保しているわけでございます。  それで四十四年と四十五年度の事業計画を申し上げますと、四十四年は百九十八億七千六十九万九百二十七円、それから昭和四十五年度は二百七十二億八千三百三十七万一千六十九円でございまして、これは剰余金でございます。その結果、積立金は四十四年度に九十九億三千五百万、四十五年度には百三十六億四千百万ということで、いままでの四十六年三月末日におきます特別積立金は、総額といたしまして四百二十七億二千四百二十七万一千七百八十八円という金額になっておるわけでございます。御承知のとおり、これを取りくずす場合には政令で定めるということに相なっておりますが、現在のところまだ政令をきめておりませんので、具体的にまだ検討していないという段階でございます。
  150. 鈴木強

    鈴木強君 法律によって政令で定めるところによって処分すると言うが、その政令をつくっていないというのは、どういうことですか。
  151. 増田久

    政府委員(増田久君) 法律を制定する段階におきましては、御承知かと思いますが、特別損失金というのを損失積み立て金という制度で強制的に二億を積み立てさせられておるわけでございます。当時の考えといたしまして競馬がこれほど伸びるという前提はなかったというのが率直な感じであったと思うわけでございます。そういう意味で、競馬の盛んになったりあるいは衰えたりするということが当然あり得る、そういう場合に内部留保としてこれを積み立てておこうではないか、こういう今後の事態に即しての考えで内部留保をさせておったわけでございますが、御存じのとおり、競馬が異常なまでのブームを起こしまして、そういう政令で特別に指定してやらなければならないというような事態が現実の場合には出ていないということで、まだ政令をきめていないというのが実態でございます。
  152. 鈴木強

    鈴木強君 むしろ当初の予定よりも特別積み立て金が多くなった。一体、これをどういうふうに処理されておるのか、政令をつくらないでどうするんですか。
  153. 増田久

    政府委員(増田久君) 現実の競馬会の運営といたしましては、御存じのとおり、借り入れ金もできる制度になっているわけでございます。こういう社内留保の金がありますので、現実には借り入れ金なしにいろいろの施設その他の改善合理化計画というものが進められていくわけでございますので、これはこれなりに一つ意味があるわけだと思っております。
  154. 鈴木強

    鈴木強君 意味があると言ったって、これだけ四百二十七億もあって、もっとふえていくのでしょう。たとえば国庫納付金のほうに回すとか、もったいないじゃないですか、何百億も。一体、特別積み立て金は、国庫預託になっておるのか、どこに預けてどういうふうになっておるのですか。
  155. 増田久

    政府委員(増田久君) これはそのまま預金として積まれているわけではございませんので、内部留保の金でございますから、これによって固定資産に回ったり、その他の施設に回って、現実に資産化しておるわけでございます。
  156. 鈴木強

    鈴木強君 そんな、おかしいですよ。固定資産に回すとか、現物出資するとか、それは政令によってやらなければできないでしょう、この処分は。だれがそんなことをやっておるんですか。政令によって処分するというのですが、政令をきめないで、だれがやっておるんですか。
  157. 増田久

    政府委員(増田久君) バランスシートの上におきましてこれに見合う金は常に積み立て金として計上されておるわけでございます。資産として十分それだけのものは常に内部に留保している。ただ、資金繰りとしてそれを社内において運用するということは、企業勘定として当然行なわれることだと思います。
  158. 鈴木強

    鈴木強君 これはそんなことはないです。これは法律二十九条によって特別積み立て金として積み立てなければならぬ額です。これを流用するということはどういうことですか。もちろん処分と流用とは違うけれども、流用することについてだれの決裁を得てやっておるのですか。そのものが焦げついたときは一体どうなのか。そんなにかってに使える金じゃない。
  159. 増田久

    政府委員(増田久君) 今年度の中央競馬会の損益計算書あるいはバランスシートにおきましても、その特別積立金の二百九十億という金はバランスシートの上に明瞭に積み立て示されておるわけでございまして、それに見合う資産は中央競馬会で現実に保有しておる、こういうことでございます。
  160. 鈴木強

    鈴木強君 そういう会計の処理は私はおかしいと思うんですよ。もし、そういう余裕金というか、特別積み立て金として留保し積み立てた金がこういう大きな額になったら、これは国庫納付金のほうに回して、その額をふやすとか何かして、有効にこの金を使うべきだと思うんです。経営は経営として、借り入れ金は短期か長期か知りませんが法律によってできますね。それはそれとしておやりになればよい。たまたまここに金があるからそれを使う。積み立て金が少なくなったそれは使えなくなる。本来の姿というものは、経営は法律によってきめられた借り入れ金によってまかなうというのが筋ですよ。あなたのほうの予算を見ますと、予備費がかなり計上されていますが、その予備費をどんどん使っておるじゃないですか。たとえば事業管理費なんというものが二億四千四百九十八万円予備費からはっきり出ている。こういう使い方というのもおかしいですよ。しかも、こういうものの決定は、何か法律的には原則としては理事会できめることができるということになっているのです。それは審議会の議を経るというか意見を聞かなければならぬが、何人かの理事の方がきめることになっている。それをかってに流用するということは、これは本来の経営のあり方からすれば間違いなんですよ。間違いというよりも、私はそういうことをやるべきじゃないと思う。そんな金が予定以上に余ったなら、それはどんどん国庫納付金にしたらいい。これは、畜産局長、どうですか、検討する必要がありますよ。これは安易な形で経営上流用するということはおかしいですよ。
  161. 増田久

    政府委員(増田久君) 何と申しますか、企業会計上の概念といたしましては、剰余金というのは利益金でございますので、当然固定資産に投下した場合にはそれは会計上は剰余金だというふうになるわけでございます。会計上の議論とは別にいたしまして、現実にそういう多額のものがあるという実態の扱いの問題としてそれをどうするかというのは、これは今後の検討すべき大きな問題の一つだと、かように考えているわけでございます。
  162. 鈴木強

    鈴木強君 そういう意味お答えがあれば私もわかります。ですから、これがたまたま資金が多くなっているからそういうこともやり得るので、なければもっと血の出るような苦しみをして借り入れ金をして経営をしなければなりませんね。そういう企業努力をやらなければうそですよ。この金は一般の会計法上の剰余金と違いますよ。だからして、二十九条で明確に、積み立てなさい、積み立てたものについての処分は少なくとも政令によってきめます、こうなっているんですよ。流用そのものが処分であるか処分でないか、これは一つの広義の意味における解釈上の問題として残りますけれども、およそ処分といえばどこかにやるということかと思いますけれども、広義の意味から言えば、そういうことも含めて、政令によって、そういうときには社内留保の代替としてどういうところには使っていいとか、使途の項目ぐらいは政令できめるべきですよ。これがきまっていなければ、どこに使ったってわからないわけです。法律的にはそういう点は問題がありますからね。違法といえば違法かもしらぬが、違法とまでいかぬまでも、適切な運営ではない。だから、ぜひ再検討していただきたい。  それから時間の関係であまり聞けませんけれども、実は、最近、大臣も御存じだと思いますが、「週刊ポスト」を見ますと、「中央競馬会二七〇億の使途をあえて裸にする」というので、かなり内容的に分析をして、競馬会の経営がずさんであるということが項目的に並べられております。たとえば交際費等についても、六百何十万円の交際費ですか、その使い方についていろいろ問題があるとか、事業諸費、調査研究費、広報費、馬事振興費、乗馬普及費、利益剰余金の問題、こういうふうにいろいろ疑惑に満ちて、われわれがこれを読んだときに、中央競馬会は何をしているのか、こういうふうにたいへん疑念を持つような記事が出ておりますね。こういうものに対して、競馬会としてはどういう答えが出てくるわけですか。
  163. 清井正

    参考人(清井正君) ただいまいろいろ御指摘がございましたが、私どもといたしましては、確かに、最近、競馬が非常にファンの方が多くて、   〔副主査退席主査着席〕 したがって、馬券の売り上げも非常に多いという現況であるわけであります。ところが、御承知のように、本会の仕事というのは、競馬を施行するという特別の任務のために特別な法律に基づいて設立せられた競馬の主催者である私どもでございますが、本会の収入のもとが勝馬投票券の発売による収入ということが根幹となっておるわけでございます。これはもとより法律によって本会に許された特権でありますが、しかし、一般の企業と違いまして、ああいったような特殊な、いわば勝負の世界であるというような特殊な事情があるのでございまするけれども、しかし、私どもといたしましては、競馬の主催者としては、何としても競馬の公正な施行に尽力するということはもとよりでございますが、よって得た売得金の使い方というものにつきましてもきわめて慎重でなければならないというつもりでございます。私どもといたしましては、予算、決算等も、一般の政府機関と同じように、農林大臣あるいは大蔵大臣の承認を受けることになっておりますし、会計検査院の御監督もありますし、いろいろの監督を経まして、これは政府関係と全く同様な措置をやっておるわけでございますが、しかし、認められた諸般の経費の使用につきましては、より慎重に、いやしくも世間の指弾を受けることのないように、あるいは世間の疑惑を受けることのないように、これは慎重に処置をしなきゃならぬということはもとよりのことでありまして、ただいま御指摘のとおり、私どもといたしましては従前にいたしましても慎重にやってきたつもりでございますけれども、今後もこの世界からいろいろなことが言われることのないようによく気をつけて経費の運用に当たっていかなきゃならない、そういうふうに考えておる次第でございます。
  164. 鈴木強

    鈴木強君 たとえば、これは国会議員の名誉にもかかわることですけれども、この「交際費(六百九十九万円)」という中に、「某国会議員が開催中の競馬を見にいったことがある。競馬場に着くなり、理事か場長かがやってきて「先生、どうも今日はご苦労さまです。終わったら、ちょっと」という、終わったら料亭で宴席が用意されていた。」と、こんなことが書いてある。こんなことがあるんですか。これは、某国会議員で、だれかわからぬけれども、そういうことをやっておる。
  165. 清井正

    参考人(清井正君) 御承知のように、競馬は、一日に中山、東京あたりで八万人から十万人の観衆が来られるわけでありまして、また、そのほかに、特別にお客さんが、外国の方も来られます。わが国における相当な有力者も相当においでになるわけでありますが、ただいま御指摘になったようなことは、私は存じておりません。
  166. 鈴木強

    鈴木強君 存じていないじゃないんだ。こういう事実があるか調べてごらんなさい。われわれは迷惑だ。某と言ったって、だれが某だかわからない。こんな記事が出て、あなた方は黙っているのか。事実でないならばないと明確にしてください。われわれこそ迷惑ですからね。こういうのは見ないのかな。見なかったですか。
  167. 清井正

    参考人(清井正君) いや、私も読んでおります。
  168. 鈴木強

    鈴木強君 読んだら、それくらいのことは調べたらどうですか。国会議員の名誉にかかわることだ。あなたは農林事務次官をやられて、ついせんだって、農林漁業金融公庫の総裁をやっていたでしょう。四十四年九月十二日に理事長に御就任になったんですね。月給四十八万円。だから、もう少し——われわれはしろうとだからわかりませんから、こういうのを見ると、ほんとうにこんなことをやっているのかなと思うのです。それは時と場合によって儀礼的にやる場合もあるとすれば、それはそれで堂々と、こういう理由でこうやったからということが国民にわかれば、ああその程度ならばわかったということになるかもしれませんね。しかし、どうもまずいですよ、こういう堂々と行ってみたら料亭でごちそうになったというような記事が出ることは。さっそく調べてください。
  169. 清井正

    参考人(清井正君) よく承知いたしました。
  170. 鈴木強

    鈴木強君 それからまだたくさんあるんですけれども、きょうは時間がありませんから、ここで指摘されているさっき申し上げた項目別に、事業諸費から交際費から、調査研究費、広報費、こういうように項目別に指摘されていることについて、私たちによくわかるように一度説明をしてくれませんか。これは、農水でやるか、どこでやるか別としまして、そういうふうなことをやっていただいて、われわれもよく内容を検討してみたいと思うんですよ。  それからこの中央競馬会というのに、農林省とか経済企画庁とかそういうところから天下りをしていくわけですね。天下りが一がいに悪いとは私は言いませんけれども、現在までどのくらいの人が農林省その他から来ていますか。
  171. 増田久

    政府委員(増田久君) 理事だけについて申し上げますと、現在十三名の方の理事がおられるわけでございますが、そのうち、農林省四、企画庁一ということになっております。
  172. 鈴木強

    鈴木強君 いや、これまでにどのくらいが来ているのですか。
  173. 増田久

    政府委員(増田久君) これは三年おきに改選、あるいは六年で改選ということでございますので、過去の資料をいま実は持っておりませんので、後ほど報告さしていただきたいと思います。
  174. 鈴木強

    鈴木強君 私は、きょう取り上げましたのは、別に他意があったわけでも何でもない。要するに、競馬会の会計が非常に乱れておるというのがマスコミに載っておりますね。ですから、私は、ほんとうなのかどうなのか、もしほんとうだとすればそれは直してもらいたい、そういう意図でやっているわけです。これには会計検査院も検査をされているわけです。そういう手続はとっていると思います。ですから、証拠書類一葉一葉について検査を受けていると思うのですけれども、会計検査院にきょう来ていただいておりますけれども、過去五年ぐらいの間に口頭なり文書によって特に指摘をしたような事項がありますか。たくさんあるようだったらあとで出していただいて、おもなところだけ口頭で言っていただきたい。
  175. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 日本中央競馬会は、これは検査院の当然検査さるべき団体でございますが、検査の実施状況につきましても、たとえば四十三年度につきましては検査の施行率三一%、これが四十五年度になりますと七六・四%というように、逐次検査を強化してまいっているわけでございます。検査の結果につきまして、不当あるいは改善を要するような事項がございますれば、これは検査報告に掲記するわけでございます。検査報告に掲記いたすわけでございますが、過去五年間にわたりまして検査報告にかような意味で掲記したものはないわけでございます。ただ、口頭あるいは文書によりまして四十年から四十四年度までに注意いたしましたものは毎年数件ずつございますが、たとえて申しますれば、工事費の積算が過大と認められるものというような事例がございます。ただ、この場合は、落札価格の範囲内のものでございましたので、あえてこれを検査報告に掲記はいたしてございません。その他、用地の取得にあたりまして、事業計画との関連及び価格の検討が不十分であるというもの、それが八件ほどございます。その処理でございますが、今後すみやかに有効利用をはかるということでございますので、特にこれも今後の推移を見守るということにとどめたわけでございます。また、価格の点につきましても、いろいろ問題はございますけれども、明らかに高価であるというような断定をなかなかいたしかねる事情もございまして、あえてこれも不当事項として取り扱わなかったわけでございます。その他、施設の管理とかあるいは処理が適切でないというものが数件ずつございます。これは後ほど文書によりまして御報告いたしたいと思います。
  176. 鈴木強

    鈴木強君 この辺で時間がないから終わりますけれども大臣、お聞き取りのように、もう少し実は真実かどうか各項目別にこういう指摘をされている問題についても伺いたかったのですが、時間がありませんので、どういう機会かにあとで御説明いただくことにしましたのですが、概してギャンブルに対する見方というものはいろいろありまして、存続すべし、廃止すべしというのがあります。だけれども、いずれにしても、もう少し大衆化し、安直にやれて、何か変な家庭の悲劇を生まないような運営の方法というものをもう少し検討する必要があるじゃないかと思いますが、入場の方法とか、券の売り方とか、そういうようなことについて、もう一歩突っ込んで再検討していただくような方法はできないものでしょうか。私たちは、いろいろと世上、競馬競輪のために身を滅ぼし、一家の破滅を招くようなそういう悲劇を聞くたびに、こういうものがなかったらというような気持ちを強くするわけです。しかし、一面では、ギャンブルが趣味になって、ごらんのとおりたくさんの人がどこの競馬場にも入ってきているというような点もあるわけです。ですから、私もにわかに全部やめちゃえというようなことについては乱暴な意見のように聞こえるかもしれませんが、基本的にはそういうところに目標を置きながらも、逐次経営のあり方について、運営のあり方について、改良くふうをこらして大衆的なものにしていくという、そういう努力を今後も、続けていただかなきゃいけないと思うのですね。そういう点について、大臣、最後に、再検討の余地があるか、そしてあるとすれば何か具体的なそういうような検討をしていただきたいと思うのですが、その辺の御所信を承り、一たん終わって前川さんにバトンタッチして、林野庁長官が来ないことには質問できませんから、林野庁長官が来るのを待つと、こういうことにしたいと思いますが、大臣、どうですか。
  177. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) ギャンブルに対して、一般論として、やはり政府としてできるだけりっぱなものに——りっぱなものというとおかしいですけれども、していくことが必要であるということは言えると思いますが、私も、実は、競馬というのは、あとにも先にも中山競馬へ一ぺん行ってみただけで、あまり知識もないわけでありますが、いろいろなそういうものを見まして、もしあれが国である程度の規制を加えないとしたらどういうことになるかということを反面考えてみますと、これは何十年か前にシナ、南方を歩いてみまして、お寺の軒下みたいなところで子供がコインでやっております。私はやっぱり人間というものはああいう性癖があるのじゃないかと思うのでありまして、結局、それを、高い見識で、政治の力である程度の規制をしたり、それをかえって大衆に喜ばせるようなふうにもつていくことが必要ではないか。ことに、競馬というものは、昔は馬匹改良ということから出てきたもので、相当な意義のあるものでありますが、お話のようにこれは政府の管轄のもとに規制をされておるわけでありまして、とかくの非難があってはならないのでありますから、運営については当事者とも十分相談をいたしまして、国民に喜ばれるようなものに持っていくように努力をいたすべきじゃないか、このように思っているわけであります。
  178. 前川旦

    前川旦君 私に与えられた時間は十五分でございますので、簡潔に質問いたします。  まず、第一が、三月十八日の各紙によりますと、大臣は保利官房長官をおたずねになりまして、グレープフルーツの自由化について、局長クラスの担当官を訪米させる旨のことを述べられたと報じられておりますが、こういう御計画がおありでございますか。
  179. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 自由化をなるべく促進しようという考え方を持っておりますが、その中に農林物資が含まれていることは御存じのとおりであります。御指摘のグレープフルーツにつきましては、前大臣の長谷川さんがグレープフルーツの自由化をアメリカ側とお話し合いをなさいましたときに、日本の温州みかんをできるだけ多くのアメリカの州で入れてもらえるということをその話し合いの中に強調しておられたというお話を承りまして、ただいま閣僚はかわりましても政府は続いておるわけでありますから、前大臣が国民の前でお話しになり、また、外国とそういうお話し合いをされたということをおっしゃっていらっしゃるわけでありますから、後任者たる私どもは当然政治責任としてその御意思を継承するのが義務であろうと存ずるわけであります。  そこで、ただいまは国会で政府委員も忙殺されておりますが、なるべく早く時間をさいて、われわれが考えておりますことを先方にも通じて、お互いの間に了解点が得られるならばしあわせである。それには、責任のある行政官をアメリカへ一ぺんやることが必要じゃないか、こういうふうにかねがね思っておりましたので、そのことについてあらかじめお話し合いをいたしまして、そういうことが伝えられたわけであります。
  180. 前川旦

    前川旦君 派遣をされるといたしますと、常識的に考えて国会中は無理であろうというふうに考えられます。国会終了後、できるだけ早い時期に派遣なさるという御計画でしょうか。
  181. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) まだ具体的にはどうもきまっておりませんけれども、できるだけ早く先方に打ち合わしてそういうことをすることがいいのではないだろうか、こう思っております。
  182. 前川旦

    前川旦君 これは大臣の胸一つでおきまりになることだと思いますけれども、大体いつごろという御計画ですか、派遣をなさるのは。
  183. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) なるべく早く予算を通していただいて、法律案を全部片づけていただきますれば、政府委員のほうも手がすきますから、そのようにひとつよろしく御支援のほどをお願いしたいと思います。
  184. 前川旦

    前川旦君 法律案が全部片づいてからということでありますから、国会終了後というふうに理解してもよろしゅうございますか。
  185. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) まだだれを派遣するかということはきまっておるわけではありませんが、なるべく早く、それからまた先方の都合もあるでございましょう。それで、先般、アメリカ側から農務省の者が参りましたときも私が会いまして、いろいろ自由化の話が出ましたときにも、前大臣がこういうことを言っておられたという話はしてございますし、それからもしばしば接触もありますので、先方もある程度知っておることだろうと思いますので、まあなるべく早くそういう措置をとったらどうかなと、こう思っているわけでございます。
  186. 前川旦

    前川旦君 それでは、どういう基本方針のもとに派遣をなさることになりましょうか。これはたいへん大きな問題でございますし、向こうの言い分はかんきつかいよう病というものを持ち出してきているわけですから、これに対するこちらのデータあるいは説得等で非常に問題も多かろうと思います。基本方針としては、どういう基本方針で交渉に当たられる御予定でしょうか。
  187. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) いまのお話に少し誤解があるのじゃないかと思いますが、私ども会いましたときにその病気のことで拒否しているという話はありませんし、そのことは特段に私ども考えておるわけではありません。ミカンは、御存じのように向こうは自由化でございますから、しいて拒否しておるというわけでもないようでありますが、それらのさまざまなことについて、やっぱり専門家たちがもう少し接触してみる必要があるのではないか、こういうふうに感ぜられるわけであります。
  188. 前川旦

    前川旦君 ただいまの御答弁を伺っておりますと、まだまだ向こうとの折衝もかなりありますし、それからこちらの人選あるいは準備等もいろいろおありのようですし、国会ということもございます。そこで、端的にお尋ねいたしますけれども、四月末というこの時期、予定された時期は不可能ということになろうかと思うわけです、自由化の時期ということが。そのように考えてよろしゅうございますか。
  189. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) これは、政府の方針として、だんだん、年末であったのを九月に繰り上げ、九月のものはできるだけ四月にするという、こちら側の方針はそういうふうになっているわけでありまして、したがって、そういうことをきめた方針はできるだけ順奉していくほうがいいと思うのでありますけれども、このことについては、まだ政府部内で別段どういうふうなことということを少しもきめておるわけではありません。私のほうで、グレープフルーツにつきまして、これはアメリカとわが国との関係でありますので、話せばみんなが了解し得ることではないかと思うのであります。そういうことの了解を得るために、やはりもう少し接触さしたほうがいいのではないか、こういう軽い気持ちで考えておるわけであります。
  190. 前川旦

    前川旦君 そういたしますと、四月末と一般的にいわれておりますけれども、このことにはこだわらないというふうに理解してもよろしゅうございますか。
  191. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) それは私一人でどうにも決定のしようがないのでありますから、予算委員会でも済みましたら十分それぞれの担当者と相談をしてみたいとは思っておりますが、それと並行して、前大臣お話もあり、これは大事なことであるから、できるだけ早く先方とも了解を取りつけるほうがいいのではないかと、まあこんなようなことを考えております。
  192. 前川旦

    前川旦君 ただいまの御答弁から拝察しますと、四月末ということにはこだわらないのだ、時期的なことよりももっと実質的なことを重要視していくのだというように受けとめましたが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  193. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私自身が、どうなるか、まだわからないのであります。ただ、しかし、安直に九月と言ったのを四月にすると。それは、グレープフルーツだけではありません。九月に自由化すると定めておったものを一般的に全部四月に繰り上げようと、こういうことが政府部内で話ができたというだけでございますので、それをどのようにしていくかということについては、これから政府部内で私どもも相談しなくちゃなりません。それと並行していまお話の出ておりますようなアメリカ側との了解も促進するほうがいいではないか、こういうふうに思っておるわけであります。そのことに拘泥しているわけではありません。
  194. 前川旦

    前川旦君 くどくて申しわけありません。そうすると、いまの見通しとして四月末は困難だと判断をしますけれども大臣も困難だと判断されますか。
  195. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 前川さんのような練達の方につり出されて妙なことをしゃべりますと、またいろいろ誤解を生じてはいけませんが、私が考えておりますことはもうたいへん簡単なことでありまして、同じ内閣の閣僚、前大臣がこういうことをおっしゃっておった、また、アメリカ個でもそのことを聞いた者もあるようでありますので、それは一体外交的にはどういうふうになっているかというようなことも十分調べなければいけないと思っております。いろいろ記録もあるいはあるかもしれません。どんな文句が書いてあるかも調べなければなりません。あるいは、ないかもしれません。しかし、閣僚がそういうことを御発言になっておりますので、国内においては一体どのようにすべきであるか、対アメリカ関係では一体どういうふうにすべきであるかということを逐次解きほぐして考えてまいりまして、最終的にどうしたらいいかということをきめるその前に、十分向こうと接触しておかなければまずい。実は、九月には日米閣僚の合同委員会がありますから、そういう時期なんかが一番いいと思うのでありますけれども、いまお話のございましたように、政府部内では九月末と言っておりましたものを一括して四月にしようということになっておりますので、とりあえずできるだけ担当者同士で十分話してみることが必要ではないかと、こういうことでやり出したものでありますから、まだ非常に流動的であるというふうにひとつ御理解願えればしあわせだと思います。
  196. 前川旦

    前川旦君 それでは、あと五分ですが、もう一つ。いまの農政は、輸入をされて、だんだん下がってくるというか、押しまくられているという感じがどうもしてなりません。たとえば戦前を調べてみると、生糸を出す、お茶を出す、あるいはミカンを出す、どんどん輸出攻勢というものをかけていたように思うわけです。これから、やはり、そういう開き直るといいますか、余っているものは少し出そうというふうな、そういう姿勢をとる時期が来ているのではないかというふうに思うのです。そういう意味で、今度の予算で、たとえば対ソの貿易で、リンゴ関係ですか、若干の予算が初めてついていることはたいへんな前進だというふうに思いますが、同じやるなら、もう一つ積極的に、シベリアならシベリアヘ日本の温州ミカンなりあるいは生野菜なりを積極的に売っていくというような、そういうかまえをこれから持つべきではないかというふうに思うのですが、大臣はどうお考えになりましょうか。
  197. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) くだものの対ソ輸出につきましては、御存じのように、ソビエトという国の国民がそれはそれなりにくだものについて好みを持っておられるかもしれませんけれども、あの国はああいう事情でございますので、それだけで自由に、貿易をすることはなかなかむずかしい。しかも、一般の消費物資についてはかなりの困難があると思いますが、それにもかかわらず、逐次、いまお話しのように、リンゴ等を——私も長野県でございますが、うちの父などはたびたび来ましてリンゴの話をしております。青森はすでに実績があるはずだと思います。そういうことで、私どもといたしましては、お話のように、先方からいろんなものを買い付けるわけでありますから、やはり当方ではそれをやることに力を入れるべきであると思いますし、ことに日本海沿岸の地域、これは知事会なども含めまして、国会議員のわれわれも参加いたしまして、そして対岸の貿易についてはいろいろ調査もいたし、それから接触もいたしております。お説のように、政府でも、そういうことに理解を持って進めてまいるべきではないか、このように思っております。
  198. 前川旦

    前川旦君 沿岸貿易が進められるということはたいへんけっこうなことなんですけれども、たとえばリンゴ、私も四年ほど前にソ連に参りました。シベリアに参りました。わずかに四十日の期間でしたから表だけしか見ておりませんけれども、リンゴは競合するだろうと思います。リンゴの花がずいぶん咲いております。私は、むしろミカンのような、向こうにないやつの味を教えて、それを売っていくという、そのほうがより現実的であり、やりがいがあるというふうに思うのです。特にミカンなんかは生産過剰ということで、これからたいへんなことになるのじゃないかという心配もいたします。そういうときに、シベリアではほんとうに半年間何もできませんから、かんきつ類なんか西から飛行機でずっと送っているようですし、青い野菜なんかありません。日本から、もしかりに冬に青い野菜とか、なま野菜とかあるいはミカンを出せば、私は、きっとたいへんな随喜の涙をこぼして喜ぶような状況になると思うのです。ですから、今度の予算で、わずかですけれども、そういう姿勢が出ましたので、これを契機にそういう積極的な考え方に向いていくという、積極性を持っていただきたいというのが私の強い要望です。そのためには、単なる民間ベースだけにまかせるのではなくて、政府間べースで話をする、あるときには超党派の議員団も派遣する、いろいろな手があると思いますけれども、そういう積極性を私はこの際持っていただきたい。このことを強く要望したいと思いますが、いかがですか。
  199. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 長期的な観点に立ちまして、海外市場の開拓、それから輸出態勢の整備をはかっておるわけでありますが、ソ連向けの青果物の輸出につきましては、政府といたしましても、従来から、日ソの貿易交渉にあたりましてその拡大をはかるように努力を実はいたしてまいったわけでありますが、これまで、果実につきましてはミカン、リンゴ、ナシ、野菜につきましてタマネギ、バレイショが輸出されました実績がございます。ソ連向けの青果物の大幅な輸出増加につきましては、先ほど申しましたように、ソ連の消費物資の輸入が沿岸貿易としてのバーター的取引で行なわれておりますなど、いろいろ困難な事情はありますけれども、私ども、先ほどお話のように、むしろわが国の農産物を海外に出すということがこれは大事なことでありますし、そのために、四十六年度におきましては、果実輸出拡大のための農業者団体が行ないますソ連市場調査に対して助成することといたしておりますほか、本年は日ソ長期貿易協定の改定の時期にありますので、このような場を通じてひとつ政府としても今後の輸出条件の改善等努力して、青果物等の輸出拡大に力を入れてまいりたいと、このように思っております。
  200. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 速記をとめて。   〔速記中止
  201. 三木忠雄

    主査三木忠雄君) 速記をつけて。
  202. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、蚕糸園芸局長さんにちょっとお尋ねしますがね。最近、この蚕糸案をめぐる諸情勢が非常にきびしくなりまして、特に外国産の生糸、それから絹織物の輸入がふえているように思います。   〔主査退席、副主査着席〕 そこで、生糸業界は低迷を続けておりますが、こういうふうなことで推移しますと、本年の養蚕農家の方々にたいへんな悪い影響を与えるように思います。そこで現在、どのくらい外国から生糸及び絹織物が輸入されているのか、それと国内産業をどういうふうに保護しつつその輸入計画をやっていくのか、そういう点を基本的にひとつお答え願いたいと思います。
  203. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 生糸の輸入につきましては、四十四年の——暦年でございますが、四十四年におきましては約四万四千俵の輸入がございます。それに対しまして四十五年が六万六千俵の輸入となりまして、この四十四年と四十五年で約五〇%の輸入増加があったということでございます。この結果、国内の生糸の需給事情にも多少の影響が出ておるんではなかろうかと、こういうふうに理解しております。それで、その多少内訳を四十四年と四十五年申し上げますと、四十四年は、先ほど申し上げましたように、四万四千俵のうち韓国生糸が約一万七千三百俵程度でございます。それからさらに中国生糸が一万九千俵強でございます。さらに四十五の暦年になりますと、韓国生糸が三万二千俵弱、正確には三万一千九百八十俵でございますが、約三万二千俵弱で、それから中国生糸が二万二千五百俵というふうになりまして、そのほかのものは十数カ国から入っておりますが、たいした数字じゃございません。
  204. 鈴木強

    鈴木強君 それで、この四十六年度適用の安定価格の引き上げについて、現行の安定帯価格、特に基準糸価は実勢とあまりにも遊離していると思います。そこで、養蚕農家が安心して繭が生産できるように、繭生産農家の生活の安定をはかるために生産費を保証してくれるような価格に変更してもらいたいと思うのですけれども、これはできませんか。
  205. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この三月の三十一日に新しい四十六年に適用すべき生糸並びに繭のそれぞれの基準価格あるいはそれに付帯する政府のいろいろな価格をきめることになっている次第でございますが、それにつきましては、ただいま慎重に政府部内で関係方面と連絡しながら検討中でございまして、これはただいまの予定では三月の三十日の日に蚕糸業振興審議会を開きまして、そこに諮問申し上げまして価格を決定する予定にいたしております。その際には、当然最近の蚕糸業の情勢にかんがみまして、われわれといたしましては、稲作転換事業等でも、養蚕を今後大いに増産していきたいという気持ちも十分にございますので、その辺を踏まえながら価格を決定すべく努力している次第でございます。
  206. 鈴木強

    鈴木強君 三十日ですか。
  207. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 三十日の審議会でございます。
  208. 鈴木強

    鈴木強君 われわれが心配をするのは、つまり輸入に私は反対しているわけではないんです。輸入は輸入してけっこうですけれども、要するに、さっきも最初に申し上げましたように、国内の生糸業者、養蚕農家というものをカバーしていかなきゃ、輸入してこちらが生活が苦しくなりあるいは破産するということでは困るわけですから、その辺の調整を十分に考慮していただいて輸入措置というものを、この基準価格の問題もちろんですが、ぜひやってほしいと思いますけれども、さらに輸入に対するある程度の規制措置——というとちょっと強いかもしれませんけれども、そういう配慮をしていただいて、少なくともそのことによって国内養蚕農家というものが混乱を来たすことのないような措置をぜひとってほしいと思うのですけれども、その点いかがですか。
  209. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 当然、われわれといたしまして、稲作転換を踏まえて、しかも生糸に対する需要は非常に強うございますし、国内で今後大いに増産して、少なくとも今後これ以上外国産生糸が輸入されることによって国内の蚕糸業あるいは養蚕農家にあまり悪影響を及ぼすことのないように、その点につきましては十分に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。そういうことを踏まえまして、今後外国産生糸があまり輸入過剰にならないようにいろいろと努力してまいりたいと、こういうように考えております。
  210. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、ちょっと最後に総まとめで答えていただきたい。
  211. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 大事なお話でございまして、私ども全く同感でございます。それでKRの条項の点に基づきまして、この間からもいろいろお話ありますけれども、ただいまお話のありましたようなことを念頭に置いて、そういう関税等も弾力的にするようにいたしておりまするし、ことにまた先ほど政府委員からもお答えいたしましたように、稲作転換について転換先作物として一つの有力なものに生糸を入れておるわけであります。かたがた御指摘のようなことで努力をしてまいりたいと思います。
  212. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、中央競馬会の事業計画の問題、また関東トレーニングセンターの建設問題あるいはまた中央競馬会の賞金問題、あるいは馬主協会賞問題について若干の質問を申し上げたいと思うのです。  最初に、中央競馬会の四十六年度の事業計画の概要について御説明願いたいと思います。
  213. 清井正

    参考人(清井正君) ただいまの事業計画の問題でございますが、これは毎年、年末に運営審議会にかけて御決定をお願いいたしまして、正式にきめてまいっている次第でございますが、大要は四十五年度とほとんど開催日等は同じでございますけれども、特に問題となっておりまする四十六年度の四十五年度と比べまして違っております点だけちょっと申し上げますというと、第一は、最近、外国からの馬の輸入が自由化されるという一つの段階になっておりまするので、もしもそういうことが入ってまいりました場合におきましては、今回の競馬番組等をどういうふうにして取り扱うかということが必要となってまいるわけであります。従前は国内産馬だけでやっておったわけでありますが、そういうことでございますので、番組編成上の取り扱いの問題がございます。  それから第二の問題は、競馬の公正をはかるために、地方競馬のほうと共同で新しい調査専門の団体をつくりたいというふうに考えております。これはまだ、近日発足させたいということで鋭意努力をいたして、政府側ともいろいろ御相談をいたしておるような次第でございます。この点が新しい第二の点でございます。  その他競走馬の問題あるいは厩舎の改善の問題、あるいは施設の問題等いろいろございますが、大要四十五年度と同様でございます。ただ、ファンが激増いたしますために、これに伴いますところの地方の投票券の計画なりあるいは施設の増設等なりを計画いたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  214. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、施設の問題から私は入りたいと思うのでありますけれども、茨城県の美浦村に用地買収あるいは建設計画を持っておる関東トレーニングセンターの建設計画は、現在どういうふうな状態になっておりますか。
  215. 清井正

    参考人(清井正君) 御指摘の関東トレーニングセンターでございますが、これは申すまでもなく関西にはすでにできておりまして、関東に別途関東の競馬場のためのトレーニングセンターをつくりたいということで、かねてから茨城県の美浦村を適当と認めまして、ただいま買収の交渉中でございます。これは土地を買収するわけでございますので、つとめて公正をはかるという意味におきまして、地元が非常に熱意を持って村長以下の方々がトレーニングセンターの誘致をなさっておられることでございましたので、四十三年の初めからいろいろ地元と御折衝申し上げまして、四十三年の暮れに知事立ち会いのもとに諸般の契約を結びまして、四十四年度の最初から買い付けを始める、こういうような計画で進んでまいったわけでございまするけれども、いまだ、一年以上たっておりまするけれども、最終的に買い入れができないというような状況に相なっておるわけでございます。
  216. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、ここのトレーニングセンターの四十六年の計画はどういうふうになっておりますか。
  217. 清井正

    参考人(清井正君) 四十六年にもしも買い入れすることができますれば、まずそこに一番先に土地の造成計画をいたさなければなりません。そこで、本会といたしましては、買い入れが済みますればまず土地の造成計画をいたしたいと思いますが、まずその前に、ただいまトレーニングセンターに入ってまいりますところの取りつけ道路、一般村道からトレーニングセンターに入ってくる道路の建設をいま村が実行いたしておる、こういうような状況になっております。
  218. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、この用地の買収計画は、今日の時点においてどの程度まで完了したのか、あと残りはどの程度あるか、この二点。
  219. 清井正

    参考人(清井正君) お答えいたします。  当時、面積といたしまして合計百七十六町二反歩——反歩で申し上げて恐縮でございますが、百七十六町二反五畝三歩という土地を買い入れるべく計画をいたしてまいりました。  で、その相手の地主さんは、合計で百七十一人の地主さんでございます。四十五年度の当初から土地の買い入れの事務を進めてまいりまして、買い入れを進めてまいりましたが、現在、まだ買い入れが済まない、全然未契約の方が三人おいでになります。また一方、仮登記は済みましたけれども本登記まで進んでない方が四人おられますので、合計七人だけ百七十一人のうち残っておる、こういう状態に相なっております。
  220. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、この美浦村の用地買収計画について、実際に契約書をかわされたのが昭和四十三年ですね。そうして大半がもう村の契約委任状まで受けて、ほとんどもう中央競馬会との交渉はこの契約書の段階で交渉はまとまっておった、こう私たちは解しておるわけですね。ところが、現在に至るまでもいろいろ契約金額どおりにもなっていない、あるいはまた実際に契約どおりに現実に実施できなかったその理由は何なのか、これについてお伺いしたい。
  221. 清井正

    参考人(清井正君) まことにその点は残念でございますが、ただいま先生の御指摘のように、契約を結びましてからいまだに済んでない方が残っておるという状態でございますが、これは、当初、私どもは美浦村の村長並びに関係者の方々と御相談申し上げまして、契約を結んだ当時は、ほとんど契約を結べば結んだ以後数カ月で全体を買い入れることができるだろうという実は見通しを立てておったわけでございます。そういう見通しのもとに私どもも、村側もあるいはそういうふうに思っておられたかと存ずるのでございますが、その後、当該地がちょうど土浦周辺にございまして、周辺にいろいろな土地の事情等がございまして、非常な値上がり等もみせておるという実情もあったのではないかと存ずるわけでございますが、実際問題として、私どもに土地をそのまま売ってくださるという方はむしろ非常に少なくございまして、むしろ、売るけれども等積交換をしてくれ、五反歩の土地を売るけれども金ではほしくない、五反歩の土地をくれ、こういう方が非常にふえてまいったわけでございます。私どもは、契約の当初は、そういう方もあろうかと思っておりましたし、村側も多少あろうかと思っておりましたが、何とかこれは早期に解決できるだろうという気持ちで出発いたしたのでございましたが、残念ながら、実はその後の情勢におきまして、非常に等積交換の希望の方々が多い。しかも、またその代替地を買うことは全部村にお願いいたしておったのでございますけれども、実はその後も値上がりをいたしまして、なかなか私どもが契約した金額では買うことができないというような事態が起こりまして、その間、多くの方々、それぞれいろいろのお話し合いをなさる方が多いために、一人々々との御折衝を申し上げる時間が非常に長くかかりまして、今日まで七人もまだ残っておるというような事態に相なっておるわけでございまして、その点、私どもといたしましては、契約のときに、ここまでになろうとは実は思わなかったわけでございまするけれども、実際土地の買い入れをやっていて、非常にむずかしい問題であることをつぐづく痛感をいたして、何とかして早くこの問題を解決いたしたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  222. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは、そういういろいろ答弁をされるのですけれども、中央競馬会は乱費はないというけれども現実に私は何点か指摘しておきたいと思うのです。たとえばこの契約の時点において幾らで村と契約をしたか、現時点においてどれだけの出費増になったか、これを土地と、それから補償費あるいは事務費等を含めてどれだけの比率になったか、それを説明してください。
  223. 清井正

    参考人(清井正君) 契約を結びました当時は、田が反当五十五万、畑が反当五十万、山林が反当四十七万、原野が反当四十万、大体平均して反当四十八万、坪当たり千六百円程度の契約をいたしたのでございましたが、ただいま申し上げたようないろんな周辺の事情のために土地の値上がり、しかも代替の土地を希望する方が思ったよりも非常に多いというようなことで非常に混雑をいたしまして、契約を結ぶのに難航いたしました結果、ただいまのところ——実は契約どおりの単価で買うことができるといたしますれば、私どもといたしましては、土地を総金額八億五千二百三十八万五千二百円で買えるということに計画をいたしておったのでございましたが、ただいまのような代替地を御希望になり、その代替地が非常に高くてなかなか手に入らないというようなことがございましたために、ただいまの見通しでは、この八億五千二百という契約単価による金額が十三億四千六百九万九千円という見通しになっておりまして、差し引きその差が四億九千三百七十万というのが超過に相なったような次第でございます。それは土地代金でございます。そのほかに、いわゆる土地を買うのにつきまして木は買いませんのですから、立木の取り払いの問題であるとか、そういったように補償費が幾ぶんこれに加わるわけでございます。そういった補償費は、契約当時は五千八百万円で全部やれるものという実は一応の見通しでやったのでございますが、ただいまの見通しでは、この五千八百万円の見通しの金が約二億二千九百万円ぐらいに相なろうかと思うのでありまして、土地のほうでただいま申し上げた金額、補償費のほうでただいま申し上げたような金額でございますので、合計いたしまして、私どもといたしましては、補償費を加えますというと、当初で九億一千三十八万五千円で買えると思いましたものが、現在の見通しでは、全部で十五億七千五百万円ということに見通されますので、結局、差額は六億六千五百万ばかり多くなる、こういう見通しに相なるという次第でございます。
  224. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ、差額は代替地の値段が高くなったとか、いろんな理由の説明は聞くんです。しかしながら、この事務費一つ見ましてもあるいは補償費を見ても、当初からもうこれだけで買えるという契約書をかわしておきながら、ずるずる代替地のほうに高値をとられて、これを農林省も許可しておる、中央競馬会もそれを認めているという、こういう姿勢というのはけしからぬと思うのですね。ただいいかげんに出しているとは私は言いませんけれども、私は、この代替地を余分に美浦へ買ってあるとか、東京の商事会社が入り込んで買っておる、あるいは代替地が岩手県のほうにまで及んでおるという具体的な資料を持っております。きょうは、こまかいことを詰める時間がありませんので、大筋だけを申し上げますけれども一つ、たとえば代替地の余分を、その村の余剰地をわざわざ中央競馬会の外郭団体である日本競馬施設株式会社に買わせているわけです。こういう事実はございませんか。
  225. 清井正

    参考人(清井正君) 確かに事実はございます。これは、日本競馬施設株式会社というのは土地の、不動産の買売のできる会社でございまして、実は村が代替のために村の経費で必要な土地を買っおりましたけれども、これがその土地の性格上代替にならないあるいは代替が非常にむずかしいということで、ちょっと土地を余分に持ち過ぎたというようなことがございました。で、村がその資金繰り上どうしてもこれを一時換価しなければならぬというようなことが起こりましたので、ちょうど日本競馬施設株式会社がそういう事業ができるということでございましたので、競馬施設株式会社がその土地を買い入れるということを措置をいたしたような次第でございます。ただし、これは申し上げるまでもなく、実にその今回トレーニングセンターをつくりますというと、これは関西の栗東でも同様でございますけれども、いわゆる競馬の関係者の方々が大ぜいその回りに土地を希望されるというようなことが見通されておるわけでございまして、そういう調教師とか騎士とか、そういうような方々があるいはそういう土地を御希望になる場合においては、ただいま競馬施設株式会社が買った土地を売るということもあろうかというような見通しもございまして、そういう措置をとったという事実はあるわけでございます。
  226. 三木忠雄

    三木忠雄君 そこが私は問題だと思うのですよ。余分に土地をこの日本競馬施設株式会社に買わしておいて、今度は中央競馬会がまたそれを宿舎であるとか、やれ何だということでまた買い占めるわけですね。これは将来の問題でしょうけれども、こういう点が非常に、あちらに転売し、こちらに転売し、その一つ一つ中央競馬会の出費増になってくる。また聞くところによると、残金が多くなれば国庫納付金がふえるから、なるべくいろんな形で経費を落とそうといううわさすら聞こえるんですね。こういうふうな問題がずるずる用地の一つの買収の問題にしましても、中央競馬会があまりにもずさんな——これはあとで、きょうじゃありませんけれども、次回の別な委員会でこの用地の代替地はどういうふうなぐあいになっているかということを一つ一つ私は詰めたいと思うのです。これはたいへんないろんな問題がある。私はいろんなことをずいぶん聞いております。これは別の委員会一つ一つ代替地がどうなっているかということを詰めたいと思いますけれども、この間に商事会社が入り、いろんなからくりがあるということはずいぶん資料を持ち、いろんな検討をしておりますけれども、きょうは時間がありませんので、そういうふうに代替地が、余剰地が当初十億で買える予定のものが十五億もかかった、こういうようなところが代替地が高かったんだと、いろいろな理由は言われますけれども、その裏に隠されたいろいろな問題というものは、私たちにはすっきりしない、納得できないような問題が数多くある。いわんや、そういう余剰地をわざわざ競馬施設株式会社であるとか、そういう外郭団体に買わしている。銀行からわざわざ金を借りてまでして買わしているんです、これは。三千五百万も三菱銀行から借りているんです。競馬施設株式会社は金がないのですね、それをわざわざ金を借りてまでしてこういうふうな土地を買い占めさせなければならない、こういう点に私は競馬会の姿勢がうかがわれるのじゃないかと思う。またこういう問題、十億の当初の計画から十五億になったということに対して農林省として、これは大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  227. 増田久

    政府委員(増田久君) 当初の計画どおりに諸般の情勢からいかなかったということは、はなはだ残念でございますけれども、先ほど清井理事長からお答え申し上げましたとおり、たとえば成田の空港の土地の価格が発表されましたのは、買った価格の三倍であった、あるいはいろいろな工場団地あるいは住宅団地の価格が個々の実際の価格よりもはるかに高い価格で売買されたというようなことから、こういう土地の取引にはやや——ややと申しますか、多くありがちなことでございますけれども、その間にいろいろのトラブルが出て、実際問題としてこういう予算の費用が増したということは、結果的ではございますが、非常に残念でございますけれども、やむを得ないというふうに考えているわけでございます。
  228. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは答弁でいろいろなことを言われるのですけれども現実に中に入ってみると、そんな問題では済まされない問題が数多くある。実際にきょうはそこまで追い詰めませんけれども、ほんとうにこういうような用地の買収の問題にしましても、あるいはいまトレーニングセンターをつくろうとしているその地元にも地元協力費という名目で一億数千万の金は投資されている。あるいはこの進入道路の工事をするという土木設計についてこの日本競馬施設株式会社に実は発注した事実があるのじゃないかと思うのですけれども、これはどうですか。
  229. 清井正

    参考人(清井正君) その地元の問題で競馬施設株式会社に発注したという事実、私、実は聞いていないのでございますが、よく調べてみたいと思います。  それで、ちょっとついでに申し上げますが、先ほど競馬施設株式会社が買い入れました土地についていろいろ御批判をいただきました。確かにこの用地を買うということについて非常に困難に逢着いたしまして、予定金額より非常にふえたということ、またいつまでたっても買うことができないということにつきまして、私ども、実は非常に残念に思っているわけでございますが、ただ競馬施設株式会社の買いました土地というものは、代替地の買い入れということは、契約上村が責任を持ってやっていただくということで、村が借り入れ金をしてその代替地の用地を買っておったわけでありますが、その代替の土地が他に使われなくなったという見通しになりましたので、村が買ったその同じ価格で競馬施設株式会社が買ったということでございます。その土地は、決してまた本会が買うのでございませんので、先ほど申しましたとおり、本会以外の、調教師であるとか騎士であるとかその他の競馬の関係の方々がきっとトレーニングセンターの回りに土地を買いたいと思うであろうから、関西の例でもそういうことがあるわけでございますから、こういうたてまえで競馬施設株式会社が買ったと、こういうのが事実でございます。したがいまして、競馬施設株式会社も、もしもこの土地を高く売るようなことによって利益を得るようなことがあれば、その処理につきましては本会に相談をするということになっておりまして、これがために競馬施設株式会社をもうけさせるというようなことは考えていないと、こういうことでございます。  なお、地元の協力についてのお話がございましたが、これはいわゆる進入道路をつくるためにこれから——まだ本会の施設というわけにいきませんので、これは村がつくるわけでございますので、地元協力費という村がつくる進入道路の金を交付した、こういう事実に相なっておることを御承知おき願いたいと思います。
  230. 三木忠雄

    三木忠雄君 工事の契約はしているでしょう、工事契約。
  231. 清井正

    参考人(清井正君) もう村は工事を土木会社と契約してやっている最中だと思っております。
  232. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは村じゃないですよ。日本競馬施設株式会社は幹部は五人で、それから職員が十人ですよね、そこであの進入道路の設計の委託を出している、競馬施設はまた別な鴻池組のほうに工事を出している、こういう契約になっているわけですよ。いずれにしても、そういうふうな非常に疑惑視されるような問題が随所にこのトレーニグンセンター——これはまだ工事の段階じゃないわけですよ、工事じゃないんです。用地の買収と進入道路の問題です。わずか十二億か十三億で終わるといっておった問題です。ところがあと百億かけて、あるいは百三十億、百五十億かけてトレーニングセンターつくらなきゃならない、まだ十分の一しか終わってない、そういう問題が起こっていることは、これからの工事にしても、いろいろ中央競馬会が、入場者が多いあるいは相当な収益があるという関係からか、非常にずさんな運営が行なわれているんじゃないかと、この点私はきょうは指摘ておきたいんです。どうですか、この問題。
  233. 清井正

    参考人(清井正君) 先ほどもお話がございました村の進入道路については、たしか日本工営という会社が委託を受けてやっているというふうに実は聞いておりますが、せっかくのお話でございますので、私ども調査してみたいと考えております。  御指摘のとおり、まだこれから始まる実は仕事でございまして、まだ土地を買う段階でけつまずいているということで、はなはだ残念でございます。したがって、経費も予想外に伸びておるような状況でございますが、一たん始めた事業を途中でやめるわけにはまいりませんから、何とかして地主さんの了解を得て買いおきをいたしたいというふうに思っておりますけれども、たまたま土地を持っておる方が用地のまん中あたりにいて、土地を売ることに本人が承諾しておられないで非常に困難をいたしておるという、こういう状況でございます。いずれにしても、確かに予定以上の金がかかったし、当初予想しなかったものがこういうことになったということは、若干問題があることはそのとおりでございます。私どもといたしましては、今度こういったことにつきましてはできるだけ慎重に対処いたしまして仕事を進めていかなければならない、このように思います。
  234. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間も限られておりますので、きょうは、このトレーニングセンターの問題はこの程度にとどめておきますが、次に賞金問題で二、三伺いたいと思うんです。  この中央競馬の社会福祉財団、これの設立の趣旨はどういう趣旨ですか。
  235. 清井正

    参考人(清井正君) 中央競馬社会福祉財団というのは、たしか四十四年の十月に実はできたものでございますが、これは御承知のとおり、先ほど来御質問がございましたが、本回は実は政府納付金がございまして、政府納付金が畜産施設等、社会福祉施設にいっているということでございまして、本会自身が社会福祉に金を出すことができない、こういう仕組みになっておるわけでございます。それで中央競馬の馬主さんたちが、自分が競馬をやっておって、しかも競馬がだんだん確実に伸長しておるんだけれども、この際ひとつ競馬収益の一部を社会に還元することによって公共の利益に供したい、こういうふうな考え方をかねてから持っておったわけでございます。そこで、そういう人たちが集まりまして、昭和四十四年の十月に社会福祉財団というものがつくられたのでございまして、その場合の基本財産は本会から五百万円、それから馬主さんたちの連合会がございますが、その連合会から五百万円、一千万円でこの中央競馬社会福祉財団というものが設立された次第でございます。
  236. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、この財団、確かに社会福祉事業に貢献するとか、いろいろ美名はあるんですが、中央競馬会というのは、初めから定款に収益の国庫納付金のうち何分の一は福祉施設に寄付するということはきまっているわけですね。また馬主の自発的な申し入れによってこういう財団をつくると、こういうふうになったらしいんですが、そういう美名の陰に隠れたといったら語弊があるかもしれませんけれども、実際に馬主からこれは寄付金をもって財団を運営されるわけでしょう。
  237. 清井正

    参考人(清井正君) その点は、賞金の中に特別馬主協会賞というものがつくってあります。それは普通のレースのとき、特に重賞の、要するに賞金の高いいいレースでございますが、そういうレースの第一着番になった馬主の所属の馬主協会に馬主協会賞を出しておるわけでございます。で、その馬主協会賞がそれぞれの馬主協会の連合会を経由いたしまして財団に寄付されるということになっておるわけでございます。御指摘の点、それは競馬の賞金の一部からこの財団に寄付される、こういう形になっておるのでございます。
  238. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、賞金の一部から寄付されるというのですが、賞金の四十年から本年までの賞金の支出は、大体毎年どういうふう変わっておりますか。
  239. 清井正

    参考人(清井正君) ちょっと数字が違いましたらあとで御訂正申し上げますが、四十一年度が五十五億、四十二年度が七十二億、四十三年度が九十三億、四十四年度が百四十七億、それから四十五年度百七十億と記憶いたしておりますが、もし間違っておりましたあとから訂正いたします。
  240. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、この福祉財団の事業計画は、私は、四十六年度の事業計画をもらった。事業計画ですからあくまでも予定だと思うのですが、十億は寄付金をもってまかなわれるということがはっきりしているわけですね。したがって、これは毎年の賞金の何パーセントかはこの財団に入れる、こういうことが初めから計画済みの賞金額を決定しているのじゃないか、これはもう明らかな事実じゃないかと思うのですけれども、どうですか。
  241. 清井正

    参考人(清井正君) その点は、たしかに一応計画になっております。先ほど申し上げたとおり、四十五年度は五億二千二百万円ばかりでございましたが、本年度四十六年度は、それぞれ重賞レースごとにある金額を増額いたしまして、それが先ほど申し上げたとおり、馬主協会を通じまして財団に寄付されまして、大体総額十億程度になるように計画をいたしておる次第でございます。
  242. 三木忠雄

    三木忠雄君 したがって、馬主あるいはまたこの賞金の何%、あるいはまた一着、二着、三着の入賞馬からこの寄付金というものは前もって計画がされて毎年ふえていく、そうして福祉財団の財源をどんどんふやしていこう、こういうシステムで競馬会が賞金について操作しているのじゃないか、このことについては農林省どうですか。
  243. 増田久

    政府委員(増田久君) 御指摘のとおり、現在は重賞レースにつきまして一着の賞金について幾らということで計画を組んでいることは事実でございます。しかし全体としてのその計画はどういう水準にあるべきかということは別個検討しなければならない問題でございますので、これにつきましては、本年度は十億ということでございますが、それが当然来年も何億にふえていくというものではない。そのつどのいろいろな諸般の情勢を考えて慎重に検討すべき問題である、かように考えておるのでございます。
  244. 三木忠雄

    三木忠雄君 それと関連しますが、馬主協会賞、この設置はいつから行なわれて、どういうシステムになっているのか。
  245. 増田久

    政府委員(増田久君) 私からお答えしておきますけれども、これは昭和三十二年度から行なわれている制度でございまして、これは一着、二着、三着の賞金につきましてそれぞれの一定額を出し、それぞれの所属の馬主協会に交付される。それは馬主協会の運営費に充てられるということになっているわけでございます。
  246. 三木忠雄

    三木忠雄君 馬主協会のことはちょっと横へのけておきまして、実際にその財団の問題ですね。馬主に与えられた賞金が、確かに、いま局長からもそんなに漸増はしないという話ですが、実際に競馬収益がどんどんふえてくる、ファンも一千万人といわれている。こういう実態から考えまして、その支出は、確かに福祉という名目もうたわれているわけですね。ところが、中央競馬関係者の福利厚生の向上のための事業であるとか、あるいはまた国あるいは地方公共団体が公営している公益事業に助成する、このほか全般からすれば社会福祉が頭にきておりますけれども現実にはいろいろ各省に見られるような、こういう福祉財団とかいろいろ外郭団体をつくる、公益事業に。悪く言えば天下りのためのそういう資金源をつくろうというふうな実態ぼんですね。補助金を出している団体を調べてみりゃ、いろいろ出ます。こういうふうに賞金の収益が多くあれば実際に国に納めなければならない、納付金——第一納付金、第二納付金に持っていかなければならない、そういうところの苦肉の策でいろいろこういう福祉財団をつくる。賞金の何%かをその福祉財団に入れる、そしてその支出も、福祉という美名のもとにいろんな助成金をあらゆるところに出してきている。こういう姿というものは、私は、もしそれがほんとうに必要であるならば、国から、国庫納付金の中から福祉施設に出しているわけですから、もっとそれを強化すべきじゃないか。それをわざわざこういうものをつくらなければならないということは、これは中央競馬会の法律かちいってもちょっとおかしいのではないかと思うのです。現実に福祉事業にやるということは法律できまっているわけですよ。それをわざわざまた中央競馬会が——馬主の自発的な提唱と言われるかもしれませんけれども、その裏を返せば、馬主に賞金を多く与えて、その中からピンはねをしたもので福祉財団をつくる、そうして外郭団体を多くつくっていこう、あるいは助成金を出していこう、あるいは公益事業に出そうという、こういうふうな姿というものはやはり廃止すべきじゃないか、あるいはまた考え直すべきじゃないかと思うのです。これはこの役員をいろいろ見てみますと、清井さんも入っておるわけですね。あるいは元中央競馬会の幹部ばかりですよ、正直に言えば。そういうふうな姿は私は納得できないですよ、正直に言って。こういうことを次から次へ——一千万のファンから集めた金だというなら、考えてみりゃほんとうに大事な金だ。そういう問題、福祉という美名のもとにあらゆるところに助成金を出し、あるいは役人を養うための、天下り場所をつくるためのこういうふうな財団というのは私納得できないのですよ。その点、いかがですか。
  247. 増田久

    政府委員(増田久君) こういう財団——馬主さんの自発的な意思からこういう組織をつくって、自分たちの賞金の中からそれだけ社会的なものにやっていこうという気持ちは、私はとうといものだと思っております。で、現実に行なわれて対象になりましたものを見ましても、非常にいろいろ、零細なものもございますけれども、すべてが社会福祉事業というものに、施設というものに十分行き渡っておるわけでございます。率直に申し上げまして、この問題は、基本的に日本の競馬における競馬賞金の体系と申しますか、あり方の問題とも深くかかわってくる問題ではないかと、私は基本的に考えを持っておる問題でもあるわけでございますので、そういう問題との一環の中において、それで先生も御指摘のとおり、競馬会というものの益金の四分の一は社会福祉事業のほうに回すという形があるわけでございますから、そういうこととの関連の中でいろいろ総合的に判断して、こういう問題は慎重に検討すべき問題であろう、かように考えておる次第でございます。
  248. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、それは慎重に考えなきゃいけない問題だと思う。確かに福祉事業に馬主の人たちが寄付されるということは、これはとうといものだと、決して否定するものじゃない。しかしながら、納得できない問題がいろいろあるのですよ。こまかい問題を言えば数限りなくあるが、時間が限られておりますので——実際、評議員を見ても馬主協会ばかりですよ。そういう点から考えてみましても、ほんとうにこの財団の今後の運営ということについては、相当配慮していかなければならぬ問題じゃないかと思うんです。確かにいま局長が答弁になったように、賞金のあり方につ・いていろいろ検討すると、こういうふうに申されておりますけれども、私は検討してもらいたいと思うのです。あまりにも二千人なら二千人の馬主を優遇し過ぎる。確かに馬主のいろいろな苦労も私わかりますけれども、一千万人のファンをないがしろにし、そうして二千人そこそこの馬主にあまりにも優遇した策をとられている。寄付があるということは、やはりそれだけのものを与えているから寄付があるわけであって、実際にその賞金をぴったり渡しておけば寄付が出るわけないんです。馬主協会の人がみんな集まって納得しているということは、いわゆるこの賞金をピンはねできる程度にいろいろ操作をやっている、これしか考えられないわけですね。こういう点、私はもっとえりを正して、具体的にはこの賞金問題を検討しなければならないのじゃないかと思うのです。これが一点。  もう一つは、先ほど馬主協会賞のお話が出ましたけれども、この馬主協会賞を三十二年からいろいろやっている。しかし、これは一年間ですと、馬主協会賞の金額はどれくらい出るのですか。
  249. 増田久

    政府委員(増田久君) これはのちほど資料として差し上げたいと思います。
  250. 三木忠雄

    三木忠雄君 競馬会は何にもわからないんですよ。農林省に全部動かされているわけです、正直言えばね。賞金きめるにしても何にしても。だから、そういう点が私は自主的な運営じゃない。運営協議会とかいろいろあるけれども、実際は上からきめられたことをそのまま御無理ごもっともでやっている。そういう姿勢は改めなければならないと思いますよ。実際に、この馬主協会賞の金額を申し上げますと、たとえば中山競馬場なら中山競馬場で一日レースやると五十二万四千円が馬主協会に入るんです。これは東京あるいは大阪、名古屋あるいは小倉、いろいろな国営競馬が毎日やっております。いま一年間やっている。合計してごらんなさい、何億になりますか。その金額が馬主協会に入るんですね、なぜ協会にその金額が入らなければならないかということなんです。いろいろ協会の運営費をまかなうための問題があるかもしれませんけれども、社団法人の馬主協会のいろいろなメンバーを見ますと、非常にお歴々ですよ。こういう何重にも重なったようなシステムで、あまりにも厚い手当てをし過ぎるのじゃないか。具体的な問題についてはまた別の委員会でやりますけれども、そういうふうに非常に協会への助成あるいは事務の委託金であるとか、そういうような形で、賞品にせよあるいは賞金にせよ、あるいは協会運営のための助成とか、こういうものが賞金という隠れみのに隠れてやはりそういうものが操作されている。この点私は納得できないのですけれども、どうですか、理事長
  251. 清井正

    参考人(清井正君) 馬主協会賞等につきましていろいろ御指摘を受けまして、私どもも十分考えなければならない問題だと思いますが、確かに、私ども競馬をやってまいりまして、何といっても賞金は非常に大きな金額を占めるわけでございますが、お話のありましたとおり、私どもとしましても、四千頭以上の馬が登録されておりますし、あるいは二千人ぐらいの馬主さんがおられる、レースだけでも全体で一年間に三千以上のレースを行なう、こういうような状況でございまして、私どもといたしましては、こういった大規模な事業をいたす場合における賞金というもののあり方につきましては、十分今後検討をいたしてまいらなければならない問題だと思うのでございます。競馬は、御承知のとおり、かつて非常に苦難な時代を過ぎまして、最近ファンの非常な激増によって栄えているわけでございますけれども、私ども、いまのような現状に甘んじて、そういうことであっては相ならないという考えておるわけでございまして、今後競馬の真のあり方、賞金の真のあり方等について十分検討を今後いたしてまいる、こういうふうに考える次第でございます。
  252. 三木忠雄

    三木忠雄君 その馬主協会賞のほかに、また中央競馬会自身としても、いろんなこういう団体に交付金を出しているわけですよ。これは何千万、何億でしょうね。こういう各外郭団体あるいは各協会への助成金あるいは援助資金が数多く出されている。どのくらい出ておりますか。
  253. 清井正

    参考人(清井正君) ちょっと総計を私申し上げるのができないのは恐縮でございますが、私ども、助成団体といたしまして日本馬術連盟であるとか、馬術協会であるとか、日本中央競馬振興会であるとか、そういった十一団体に対しまして、いろいろの事業あるいは人件費等の助成金を交付いたしておるという事実がございます。
  254. 三木忠雄

    三木忠雄君 きょうは一々読んであげ足を取るようなことは私はしませんけれども、実際にこういうふうに数多くの助成金を出している、そのほかにまだ人件費として、あるいは事務費としていろいろ交付されているという例が数多くあるわけですね。こういう問題を考えますと、実際に中央競馬会は、先ほど鈴木委員からも指摘がありましたように、実際に運営が円満に行なわれているのかどうか、こうなりますと、私は非常に疑わしい問題が数多くあげられるわけですね。今後、私は、この中央競会馬の問題を何回か続けていろいろ問題提起していきたいと思うのですけれども、極端にいえば、農林省と中央競馬会というこの癒着の問題が世間で騒がれている。そういう中にあって、あまりにもずさんな、あまりにも馬主も二千名そこそこのメンバーの中の何人かの有名人によって牛耳られてしまっている。そうして一千万のファンがほんとうに疑惑の目を向けなければならないような、そういう運営の実態ということは、国営競馬として、私は、その姿勢を改めなければならない問題が数多くあるんじゃないかと思うのです。  それで、これは農林大臣に伺いたいのですけれども、実際、剰余金、あるいは馬主協会をこういうふうに優遇するのであれば、むしろこの純益というものを——いま百円から二五%の控除率を取っているわけですね。それをもう少し下げたらどうかと、そうしてファンに還元したらどうかと、ごう私は考えるのでけれども、農林大臣、いま二五%の控除率を取っているわけです。それをもう少し下げたほうが私はファンヘのサービスになると思うのですが、この点いかがですか。
  255. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) いろいろそういう点について御意見もあるやに思いますけれども、当事者も、競馬会のほうでもいろいろ検討しておられることだと思いますが、何といいましても、最近、わが国の状況では、競馬が急激に伸びてまいりました結果、社会的に好ましくない現象を起こしておるような場合もありますし、また競馬の運営等についてもいろいろな批判のあることは十分聞いておるところであります。しかし、大局的に見て運用について是正すべき点は、農林省といたしましても、積極的に是正する考えでありますが、そういうことで十分ひとつ指導を適切にしてまいりたいと、このように考えておるわけであります、
  256. 安田隆明

    ○副主査安田隆明君) 農林省所管に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会      —————・—————