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最高裁判所長官代理者(長井澄君) 一点は、一言で申しますれば、預けっぱなしになっているのではないかという御懸念の問題 一点は、
予算の執行及び少年の収入となったものについて問題が残ってはいないかというような御
質問と存じますが、補導
委託した場合に、少年に対する視察等についてまず申し上げますと、家庭裁判所が試験観察
決定によりまして少年を補導
委託する場合には、裁判官あるいは担当の家庭裁判所
調査官から
委託先に対しまして、その少年を
委託するにあたっての具体的な問題点、その指導のし方等について
説明をして、まず補導の
参考にしてもらうようにしております。次に、補導
委託の期間は平均三カ月から六カ月くらいでございまして、担当の
調査官が
委託先に出向きまして、受託者、少年に面接いたしまして、観察状況を
調査し、具体的な補導のあり方について相談に乗ったり、さらにまた指導する。その結果は裁判官に報告するという手続になっております。また、少年を受け取った側、受託者の側では、随時裁判所と連絡をとりまして、
委託少年の状況を裁判所に口頭あるいは書面で報告し、指導についての指示を受けているということでございます。また、裁判官も、必要に応じまして
委託先の状況や補導の実態を査察し、あるいは
調査官を通じましてその報告を受けて、受託者に対する指示を随時行なっております。裁判所といたしまして、一般的に首席家庭裁判所
調査官が
委託先に家庭裁判所の
方針を了知徹底させるとともに、補導の実情を
調査して取り扱いについての勧告視察をし、
委託先との連絡調整役を果たしていくということになっております。
次に、補導
委託費などのいまの
予算の執行
関係、金銭の支出に対する監察、こういうものにつきましては、
委託費の支給は毎月分を
委託先からの請求に基づて行ない、請求は少年補導
委託費を請求書によって裁判所のほうに請求がされる。これについて裁判所が審査の上で裁判官が支給
決定をするという手続になっております。一般的に、
委託先の
費用支出の状況につきましては、随時首席家庭裁判所
調査官、それから会計課の事務官が
委託先に出向きまして監査をいたしております。監査の具体的
方法は各家庭裁判所にまかしてございますけれ
ども、一般の
方法によりまして帳簿を備えつけさせて収入支出を明記し、随時監査の
方法も併用しておるわけでございます。
次に、少年の側の収入がどのような形で処理されているかというような問題
委託先における作業収益の帰属と申しますか、こういう点について画し上げますと、
委託された少年に作業をさせる場合には、
委託先において少年に直接作業をさせるという場合と、それからその
委託先外の適当な職場に通勤させるという二つの場合があるわけでございます。いずれの場合におきましても、作業を通しまして少年に勤労意欲を起こさせる、働く習慣、努力する習慣を身につけさせる、少年の持続性、忍耐力を養わせて
社会性を養うというような自的をもってこの作業を行なわせているわけでございます。
委託先によって件業収益の全部が少年に還元される場合と、それから全部は還元されない場合と、この二つありまして、この還元されない場合が問題になるのではないかと思います。家庭裁判所では常に補導費の補導の実態と
委託費の使途、作業収益の帰属状況、こういうものにつきまして実情把握につとめておりますが、作業収益の一部が還元されない場合におきましても、これは
委託いたしました少年の食糧費、副食費、服装、身の回りの品、そういうものを取りそろえる
費用の一部に充てるように指導しておりまして、終局的にはその少無自身のために使われるように指導しているわけでございます。