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国務大臣(
佐藤一郎君) 私
たちも、実は輸入の自由化については非常に関心を持っております。これは、
物価対策をやる以上、当然のことでありますし、特にわが国は、昨年まで百二十のいわゆる輸入制限品目を持っておったわけですから、何とかこれの自由化をはかりたいということで、たまたま同時に、
経済企画庁において輸入自由化の協議会の幹事役等もしておる関係もありますし、閣議でもしばしばこの点については要請もいたし、そしてその自由化の
閣僚協議会において、逐次これの自由化をはかってまいったことは
御存じのとおりであります。それで、百二十品目になっておりました自由化の品目が、大体本年の一月で八十品目になり、そして四月で六十品目、この九月には四十品目に大体なるわけでございます。ただ、これにはいろいろと問題がございます。私は、実は四十品目というのは大体西ドイツ並みであるということで、形の上から言うと、まあやや国際的な水準にまで自由化したと、こういうことになっておるわけでございますけれ
ども、率直に言いますと、その中身が問題であります。そういう点から言いますと、決して四十品目になったからそれでいいというものではございませんので、さらに四十品目の中身を洗って、ひとつ自由化を進めていくべきであると、こういうふうに実は考えております。そういう
意味において、自由化の問題は、まだまだわれわれにとって、四十しか残らないからといって、満足できないという点がまず
基本にあります。
それから、自由化をされました場合に、これについていろんな問題がありまして、
一つは流通機構の問題であります。先ほどのタマネギの問題がございまして、実はこれは農林省自身がまだ解明し切っておらないものですから、
御存じのように、いま
調査団をつくって
調査をしておるところでありますが、タマネギは、同じ
野菜の中でも、これは昔から貯蔵性があるものですから、特にスペキュレーションの対象になっておった品物でございます。そういう
意味におきまして、全体としての
野菜需要が非常に不足しておる。特にタマネギのようなものは、そういう
意味でもってスペキュレーションの対象になって、一体それがどこへ飛んでいってしまったかわからない。何といっても
野菜全体の供給があまりにも不足し過ぎておって、すべての
野菜を通じて高かったという
背景の
もとにおいて、やはり理解しなきゃならぬ問題であろうと思うんであります。でありますから、一方において、今日のこの複雑な流通機構の問題を、これ、なかなか簡単でないようでありますが、解明をして、そして直すべきものを直す、これは農林省がいま
調査中で、結論が出ておらないのは残念なんであります。そうした点が
一つやはり残っております。しかし、全体の
野菜供給がふえてきますと、私はなかなか、そう、いままでのようにはならない。実は、余談ですけれ
ども、私は、昨年の
物価高に万国博の
影響というものは非常にばかにできなかったと思うんでありますが、新聞なんかにも、万国博とタマネギの話が一時出ておりましたけれ
ども、ともかく昨年一年その
影響が続きました。ことしになって初めて、全国の
物価指数よりも大体東京が高くなった。従来は、ずっと東京のほうが大体全国の
物価指数より高かったのであります。それが昨年は東京のほうが低かった。逆に言うと、大阪が高かったということであります。それが、やっとこの正月でノーマルな姿にだんだんなってきつつあるように思うんですが、そうした点も頭に置いて考えると、タマネギは何か特殊な
事情があるように思われます。まだ結果が出てないんですから、私からかれこれ言うことは差し控えますけれ
ども、確かに流通機構があまりにも複雑であり、奇怪である、そういう点は否定できません。いま農林省は、卸売市場法を提案しておりまして、これをうまく使えば何とかなるという、その
気持ちでおるようであります。もちろん、これが出て、そして適切な運用が行なわれるという前提になりますれば、ある
程度の
効果があると思いますが、むずかしい問題であるだけに、これについては、なお十分究明をして、
対策を十分講じなければ、なかなかいい結果が出ないんじゃないかと私も心配しておりまして、これは卸売市場法案が通過して、その運営要領が出ました際に、企画庁としても十分参画して、御
指摘のような点のないようにしていかなきゃならぬと、こういうふうに考えています。
もう
一つ、たとえばスコッチウイスキーのような問題は、
御存じのように、これ、自由化されたのが一月一日です。ですから、一月一日ということで、ごく最近なものですから、そういう
意味においては多少猶予期間が許されるかもしれません。まだ十分自由化の
効果が出てこないかもしれません。ただ、これについては、
御存じのように、私もこれ、詳しくないのですが、国際資本の関係がありまして、何か一手販売機関というんですか、向こうのほうの資本の一手販売機関というふうな、何か国際的な独占的なものがあるようにも聞いています。もしそういうことになると、なかなか国内の流通だけの問題では片づかない問題があるかもしれませんが、しかし、いずれにしても、バナナやいろんなものの輸入の際にも、流通機構が問題になっているわけですから、輸入の自由化によって輸入がどんどんできてくる。しかし、それにしても、それを受け取る流通機構がしっかりしていなければならない。そういう
意味において、これはなおわれわれとして追跡
調査をいたすつもりでおります。バナナの場合には、まだ自由化になっていないというので、組合ができて、ああいうことになっておりますが、ほんとうに自由化が進めば、これは当然
効果が出てくる。問題は、やはり一面においてわれわれが輸入の自由化をしたり、あるいは輸入額の拡大をしても何ら
効果が目に見えてこないのは、
一つは
需要の強さでございます。結局、少しぐらい入ってきても、それの
効果を打ち消してしまうような今日の所得インフレ的な
需要の強さというものがどうしてもございまして、まあ少しぐらい高くても買ってしまう。特に奢侈品的なものにそういう
傾向があるわけでありますから、そういう
意味で、やはり総
需要の
抑制ということは一面において十分考えなければならないし、その
効果をわれわれも十分注目しながら、その圧力の
もとにおいて、やはり初めて流通機構というものの改革が
効果が出るわけですから、そういう
意味において流通機構の問題をやりたいと思っております。——失礼いたしました。バナナは自由化されているのですが、台湾が独占的であるために、組合をつくってやむを得ず対抗しておると、こういう
意味において非常に自由化の
効果を阻害していると、こういう
意味ですから、訂正申し上げます。
まあ特にいま問題になっているものを四、五品目、いま関係各省ともトレースいたしまして、そして御
指摘のような、せっかく輸入の自由化をしたけれ
ども、どうもそれが国内の流通機構の関係で十分に
効果があらわれていないと思われているものを拾いまして、そして個別的にそれをどういうふうに処置していくか、検討をしております。まあ決してわずかな品目に限られたものではありませんが、やはり何かそうしたものから手をつけてまいり、やはり御
指摘の流通機構の問題をできるだけ合理的に持っていかなきゃならぬ、そういうふうに考えております。これには、関係各省がやはり主体となって、その気になってやってもらう必要がありますので、私
どもとしましても、問題を提起すると同時に、一緒になってトレースをしていく、こういう
考え方に立っておるわけであります。