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1971-04-13 第65回国会 参議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月十三日(火曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————    委員の異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      渡辺一太郎君     小林 武治君      長屋  茂君     迫水 久常君      岩間 正男君     野坂 参三君  三月二十六日     辞任         補欠選任      安田 隆明君     近藤英一郎君      黒柳  明君     浅井  亨君  三月二十七日     辞任         補欠選任      野坂 参三君     岩間 正男君  三月二十九日     辞任         補欠選任      近藤英一郎君     安田 隆明君  四月十二日     辞任         補欠選任      小林 武治君     渡辺一太郎君      迫水 久常君     長屋  茂君  四月十三日     辞任         補欠選任      岩間 正男君     野坂 参三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田口長治郎君     理 事                 塚田十一郎君                 安田 隆明君                 足鹿  覺君                 上田  哲君     委 員                 植木 光教君                 佐藤  隆君                 長屋  茂君                 渡辺一太郎君                 浅井  亨君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君    国務大臣        厚 生 大 臣  内田 常雄君        建 設 大 臣  根本龍太郎君        自 治 大 臣  秋田 大助君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣審議官    城戸 謙次君        経済企画庁総合        計画局長     矢野 智雄君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        水産庁次長    藤村 弘毅君        通商産業省公害        保安局公害部長  森口 八郎君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省住宅局長  多治見高雄君        自治大臣官房参        事官      佐々木喜久治君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        内閣審議官    植松 守雄君        経済企画庁国民        生活局水質調査        課長       山中 正美君        通商産業省化学        工業局化学第二        課長       丸田 幸栄君        運輸省港湾局機        材課長      西村 俊之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○環境庁設置法案内閣送付予備審査) ○建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  理事補欠互選についておはかりいたします。  ただいま理事に一名の欠員を生じておりますので、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  先例により、互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、委員長から安田隆明君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) 厚生省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。内田厚生大臣
  5. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  第一は、厚省生付属機関として、従来の公衆衛生関係四つ審議会を廃止統合して、新たに公衆衛生審議会設置することであります。  現在、公衆衛生に関する審議会は、個別の分野、個別の疾病に対応して設けられておりまして、広く公衆衛生全般にわたって審議する場がありませんが、この分野においては、疾病構造の変化に伴い新たな行政需要が生じており、個別の疾病対策のワクをこえて、広く国民の健康の維持増進について総合的な見地からの施策推進する必要があります。このため、現在の中央精神衛生審議会栄養審議会結核予防審議会及び伝染病予防調査会四つ審議会を廃止統合して公衆衛生審議会設置し、新しい観点からの公衆衛生施策を一そう推進しようとするものであります。  第二は、船員保険の被保険者記録事務社会保険庁医療保険部から年金保険部へ移管することであります。  船員保険年金部門については、現在すでに年金裁定事務電子計算機組織により機械化しておりますが、被保険者記録に関する事務についても機械化することといたしました。  これに伴って、従来社会保険庁年金保険部において処理してきた裁定事務に加えて、現在医療保険部において行なっております被保険者記録に関する事務についても年金保険部において処理することにより、行政能率化をはからんとするものであります。  第三は、援護局次長を廃止することであります。  援護局業務のうち、戦後処理業務の縮少に伴い、管理体制整理を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  6. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) 本案審査は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  7. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) 環境庁設置法案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。山中総理府総務長官
  8. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいま議題となりました環境庁設置法案について、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  国民の健康で文化的な生活を確保するために、公害防止し、環境保全をはかることは現下の緊要な課題であり、文化国家福祉国家完成への試金石でもあります。政府もかねてからこの点を重視し、さきの臨時国会において関係法制の抜本的な整備をはかるとともに、これに引き続き、今国会に提出した予算案等においても公害防止重点的施策として取り上げ、公害防止施策拡充整備の裏づけとなる財政、金融、税制面について格段の配慮を払っているところであります。今回の環境庁設置構想は、このような環境問題に取り組む政府基本姿勢を確立し、今後この問題に思い切って効果的に対処できる行政機構整備をはかろうとするものであります。  まず、環境庁設置にあたっての基本的な考え方について申し上げます。  第一に、今回新設しようとする環境庁においては、公害防止にとどまらず、広く自然環境保護及び整備を含む環境保全に関するすべての問題をその行政対象とすることにしております。公害防止自然環境保護及び整備の問題の重要性にかんがみ、これらをばらばらにではなく、全体として総合的に取り上げることが重要であると考えられますので、公害防止施策とあわせて自然公園行政等自然保護施策をもその対象に含めることとしているのであります。  第二に、これまで関係各省庁に分散していた各種基準設定監視測定取り締まり等公害規制に関する権限をすべて環境庁に集中して行政の一元化をはかることとしていることであります。従来、公害規制権限が多くの省庁に分かれているため、責任の所在が不明確となり、その実施面でも統一性を欠き、不徹底となるおそれがある等の批判がありました点を改善し、今後公害行政を強力に推進することをねらったものであります。  もっとも、下水道廃油処理施設、その他公害防止施設整備などの問題は、関係各省行政と密接に関連しているために、その事業実施は従来どおり関係各省の所管としておりますが、環境庁は、現在の公害対策本部機能を承継拡充して、広く環境保全に関する基本的な政策企画立案推進予算面調整を含む強力な総合調整機能を持つこととしておりますので、各省が一体となり、十分総合的、効果的な施策推進していけるものと考えております。  第三に、公害防止に関する科学的な調査研究重要性にかんがみ、国立公害研究所を設け、従来必ずしも十分でなかった公害の人の健康及び生活環境に及ぼす影響の研究、その他公害防止に関する調査研究等を行なうこととしております。  次に、この法律案内容概略について御説明申し上げます。  第一に、環境庁所掌事務及び権限については、一般的事項として、環境保全に関する基本的な政策企画立案及び推進関係行政機関環境保全に関する事務総合調整関係行政機関公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する経費の見積もり方針調整等を行ない、特にこれらに関する試験研究費などについては、環境庁予算を一括計上し、これを適切な計画に従って関係各省に配分する方法を採用するなど、その総合調整機能の強化をはかっております。  また、自然環境保護及び整備に関する事項としては、自然公園法施行国立公園公園事業の執行、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行等事務を行なうこととしております。  さらに、公害防止に関する事項としては、公害防止計画基本方針の指示及び計画の承認、その他公害対策基本法に基づく内閣総理大臣権限の行使につき内閣総理大臣を補佐するとともに、環境基準設定に関する事務を行ない、さらに大気汚染防止法水質汚濁防止法、その他の公害防止に関する諸法律施行公害防止事業団の監督の事務などを行なうこととしております。  第二に、環境庁の長は環境庁長官とし、国務大臣をもって充てることとしております。環境庁長官は、環境保全をはかるため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出及び説明を求め、さらに重要事項について勧告を行なう権限を有するほか、特に内閣総理大臣に対し、内閣法第六条に基づく措置がとられるよう意見具申ができることとしております。  第三に、環境庁内部部局として、長官官房のほか、企画調整局自然保護局大気保全局及び水質保全局の四局を置くこととしております。  第四に、環境庁付属機関として、国立公害研究所及び公害研修所並びに中央公害対策審議会自然公園審議会及び中央鳥獣審議会の三審議会を置くこととしております。  第五に、環境庁設置に伴い、内閣法及び各省庁設置法改正、その他関係法律整理を行なうこととしております。  最後に、環境庁昭和四十六年七月一日から発足するよう措置しておりますが、国立公害研究所及び公害研修所については、準備の都合上、一定の期間その設置をおくらせることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  9. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) 本案審査は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  10. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) 建設省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 足鹿覺

    足鹿覺君 建設省設置法の一部改正法律案について、法案そのものはきわめて単純な問題でありますので、主として下水道政策下水道整備対策富士川ヘドロ投棄と岳南排水処理問題、つまり河川敷地占用に対する河川管理者権原問題等を中心に建設大臣に御質問いたします。  まず最初に伺いますが、新都市計画法認可を受け、いわゆる線引きを実行した市町村名、また線引きをするに至った経過と今後の見通しについて伺いますが、現行都市計画法昭和四十三年公布され、四十四年六月十三日に実施施行され、市街化区域及び市街化調整区域のいわゆる線引きが各都道府県を通じて行なわれました。すでに建設大臣認可を受けて実行されている地方自治体も多数あると思われます。現在の時点においてどの程度認可を受けたものがあり、今後受けるだろうという見通し、また、これは非常に問題をたくさん含んでおりますが、それに対してとられた措置等について具体的に経緯を伺いたいと思います。
  12. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いわゆる線引き作業は、当初予定したよりは若干おくれました。これは新しい制度で、しかもこの線引きによって受ける利害関係がいろいろと異なっておるために、これが周知するまでに若干の時間がかかったということと、それから、個人の重大なる財産権に影響することなので、都道府県もかなり慎重な態度をとったために若干予定よりおくれたわけであります。しかし、現在のところは、おおむね八百の市町村のうち約八〇%は決定して告示を終了しております。九〇%以上の市町村においては、すでに公聴会を開催し終わっておる段階でございます。残余の市町村においても手続が進められており、早急に完了ができるように鋭意努力しておるということでございまして、おおむね今後は順調にいくのではないかと考えておる次第でございます。  なお、具体的な事務進行状況については事務当局から御説明申し上げます。
  13. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 補足して申し上げます。  市街化区域設定を予定いたしておりますところの市町村数はおおむね八百市町村でございます。その市町村に対しまして、いま大臣からお答えございました約八割、六百三十六市町村になりますが、約八割が決定、告示をいたしておるわけであります。残り市町村につきましては、いろんな地域地域事官等がございましておくれておるわけでございますが、すでに公聴会等手続も終わっておりますのを入れますと九割ということでございまして、残りの一割が非常におくれております市町村でございますので、それの手続促進につきまして、鋭意私どものほうで督励をいたしており、今後の問題でございますが、さだかなことは申し上げかねますが、おそくとも夏ごろまでには、そのころを目途といたしまして計画どおり全部線引きを終わるように推進をはかってまいりたい、かように考えております。
  14. 足鹿覺

    足鹿覺君 この問題はいろいろ農民との問題や、あるいは線引き地内における固定資産税の評価の引き上げの問題や、いろいろたくさん問題がありますが、本日はそれを深く入ることは一応留保いたしまして、重要な点だけお尋ねをいたしますが、既成市街地面積農地等面積区分と、どういうふうな現状でありますか。
  15. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 事務当局から答弁いたさせます。
  16. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 全国の市街化区域の総面積はおおむね百十八万ヘクタールと私どもは見込んでおりますけれども、このうち既成市街地とみなされます面積は約四二%の五十万ヘクタールくらいと見ております。また、お尋ね農地面積でございますが、これは市街化区域内の総面積百十八万ヘクタールに対しまして約二五%、農地面積が二五%、約三十万ヘクタール程度と見込んでおります。なお、農地面積三十万ヘクタールのうち、水田面積は十八万ヘクタール、水田だけで申し上げますと約一五%、こういう割合になります。
  17. 足鹿覺

    足鹿覺君 ここで問題になりますことは、既成市街化区域が五十万ヘクタール、こういうことのようでありますが、これに対する街路下水道等都市施設に関する公共投資のあり方について、どのような方策で対処されようとしておられますか、これは大臣お尋ねいたします。
  18. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 市街化区域に編入されたところは、いずれ十年間に市街化の態様をつくるということでございますので、したがいまして、下水、上水、それから街路、さらに必要な公園等、これに優先的に整備してまいりたいと思っております。まだこれに対するいわゆる道路特別会計のような特別会計はございませんけれども、漸次事態の進みぐあいによりまして、これを十年間に整備したいと考えておるのでございます。
  19. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまいろいろな街路、上水道、下水道公園等の例をあげられましたが、下水道の場合はきわめて立ちおくれておることは大臣も御承知のとおり、生活環境整備下水道普及率を急速に高めるということは、きわめて重要な問題でありますが、総事業費長期構想がありましたら承りたい。
  20. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま申し上げましたように、いわゆる特別会計による長期計画のようなものは現在まだ用意しておりません。そこで、まず第一に線引き完成の後、それぞれの地方自治体における計画が、これが策定されなければならないと思っております。それに対する国の補助助成ということになりまするので、まず第一に、地方自治体における市街化区域内における全体の事業計画を立てることをまず慫慂し、これに対する国の補助助成計画を立てていきたい、こういう段階でございまして、まず第一に線引き、その次に地方自治体における所要の計画事業の概要を提示を求めまして、それに基づいて政府計画を立ててまいりたいと考えている段階でございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿覺君 地方自治体計画をいつごろまでにこれを整備充実させる御指導をなさっておられますか。
  22. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいま私どものほうで、四十六年度から市街化区域整備の今後の進め方につきましての基礎調査実施いたしてまいりたい。目標といたしましては四十六、四十七、両年かけまして十カ年間の投資の見込みを立てたい、こういう考えでおります。もっとも、私どもといたしましては、現在のところ中央でもって十カ年間におおよそどの程度投資が要るかということは、一応マクロ的にはつかんでおりますけれども、さらにそれを各地域におろしまして積み上げの作業によりまして、この計画の突き合わせ、調整等をはかった上で今後の十カ年間の市街化区域整備計画というものの見通しを立てたい、かように考えております。
  23. 足鹿覺

    足鹿覺君 それはいつごろの見通しでありますか。
  24. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) いまの作業では四十六、四十七、両年をかけましてそういう詳細な調査を待って、その結果そういう具体的な一つ長期計画という見通しを立てたいと、かように考えております。
  25. 足鹿覺

    足鹿覺君 下水道は、先ほど申し上げましたように、文化的生活を営むため、市街地における生活環境整備、向上をはかる根幹をなす都市施設であることはもちろん、他面、産業開発並びにその発展に伴う公共水域水質汚濁という公害の発生を防止していくという両面の意義を持っていることは言うまでもありません。昭和三十八年に河野構想なるものが発表されたことは大臣も御承知のとおり、四十一年にこれが改定をされて現在に至っておるのであります。その構想は、将来の展望において、河野構想を引き継ぎ、建設省国土建設長期構想で、昭和六十年にはわが国の総人口一億一千六百四十六万人のおよそ八〇%に都市人口がなるであろう、要するに九千三百万人が都市に集中し、市街地面積は一万二千五百平方キロと想定されておると承っておりますが、これに対する下水道整備のあり方なり、水洗便所促進水質保全など、生活環境整備のための下水道普及率をどのように想定しておいでになりますか。
  26. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のように、下水道事業が非常に立ちおくれておりまするために、本年、四十六年を初年度とする新しい五カ年計画を策定いたしまして、これは二兆六千億、予備費一千億を含めております。これでいま発足した段階でございまして、これでももちろん足らないことは、現実の状況から見てまことに万全とは言い切れないのでありますけれども、まずこれを完成して、それから後、引き続いて昭和六十年までに御指摘のような人口都市集中産業発展、これに対応する計画を順次進めて、六十年度にその目的を達成するというふうな考え方でございます。
  27. 足鹿覺

    足鹿覺君 昨日の開票結果にもあらわれておりますように、二十五年有余にわたり自民党が長期政権を担当しておいでになっておるわけですが、新幹線のうちで東京、横浜、京都、大阪と、名古屋を除く大都市府県知事または市長革新陣営に譲らざるを得なくなったということは、きわめて都市環境整備政策の立ちおくれということに対する住民不満の累積が爆発したものだとも思われますし、政策の再検討を考えざる得ないという意味のことを即日田中幹事長は述べておられました。党の政審会長を長くおつとめになり、閣僚の経験はきわめて深い根本建設大臣としては、この点について深く反省をされ、さらに何らかのこれらに対応される御構想がありますかどうか。総事業費は十五兆円ないし十六兆円、こういうことも聞いておりますが、ただいまの御答弁では住民不満の爆発に対する政策的反省と新しい決意が私はうかがえないような印象を受けましたが、一歩踏み込んだ大臣の御構想があれば承りたい。
  28. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 今度の統一選挙で、大都市における知事あるいは市長の結果がお示しのようになっておることは事実であると思います。しかし、これは何も私は都市政策ばかりが大きな原因とは考えられないと思います。いろいろの要素が加わっておると思いますが、その点はいまここで申し上げる必要もなかろうと思います。ただ、今後の都市政策のうち、非常に大きな問題になるのは何としても土地政策です。この土地政策の問題を解決しなければ、いまの下水道、それから住宅環境改善等、これはなかなかむずかしいと思います。  それで、実は先般、地方選挙に入る前に衆議院内閣委員会で、私は委員各位とこの質疑応答の中で一つ提案をしたのです。これは日本における都市政策を大転換する必要がありはしないか、すなわち市街化区域に編入が確定されたところの農地雑種用地等は、これは政府に、あるいは地方公共団体先買い権を与えて土地を入手する。しかもこれは一般会計や何かで買うというと膨大な金でなかなかできないので、これは交付公債で買い上げると、価額は地価公示ができているところは地価公示に基づき、そうでないところは土地鑑定士に依頼して客観的な値段をそこで把握し、適当なる利率をもって利息つき交付公債を発行する。こういうことを、むしろこれは与野党一緒になって、国有農地の払い下げ問題に示されたああした国会合意というような形でこれをやるべきではないか。そうしますれば、いまの都市計画なるものも非常に順調にいき、そうして住宅問題も、御指摘のいまの下水道、その他の問題も、これは非常に大きく伸展ができる。こういう実は提案、提言的なものを申し上げました。そうしたら社会党、それから公明党、民社党の委員各位も、これは非常におもしろいことじゃないか、お互いに考えようじゃないかというようなお話もあったくらいでございまするので、やはり私は今後の都市政策の一番の根幹になるものは土地問題だと思います。何しろ現在のように年々土地が値上がりし、そのために公共事業をやる場合においても、ほとんど大部分が土地入手、これに取られてしまうということで、まずそれが基本じゃないか。これが合意ができますると、私は非常に飛躍的な都市政策の進展ができると考えているのでございまして、これはいまのように国民からいただいた税金で、それをちびりちびりと都市改造に使うということではなかなか成果があげられない、そういうふうな考えも持っておる。実はこれこそ与野党を通じて、国民の全体の福祉のためにそうした抜本的な措置を講ずることが、七〇年代の内政の一つの大きなベースになるのじゃないかというような感じをしているのでございます。
  29. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、農地法制定当時に、二円五十三銭の例の国有地のもとの地主への払い下げの問題は削除すべきであるということを、その当時第十三国会において主張しておるのです。これは内閣法局長官の高辻さんがわざわざ、私がその点を指摘しておることについて、先般記録を調べてみて非常に驚いた、こう言って、さる会合で会ったときにお話しになりました。わざわざそのときの速記録をお届けいただきまして、私も記憶を新たにいたしましたが、あのような世論が起きて初めて超党派の立法を、暫定措置を講ぜられるというようなことでは——私はいまから十数年前に、昭和二十七年の農地法制定当時に指摘しておるのです。この条項は要らない、あとで必ず物議を起こす、旧地主の所有権問題で物議が起きるということを指摘しておるのです。いま大臣はおっしゃいますけれども、すでにああいう矛盾を露呈して、世論の袋だたきにあって、ようやくこれが国会の論議になり、反省をされるというようなことでは、少し根本さんのいまの御構想を承りまして、別にそれにとやかく言うわけではありませんけれども、総合性に欠けておるのじゃないかという印象を持ちますが、いまの御構想は近く何か審議会のようなものでも設けられるとか、あるいはその他の衆知を集めるような方法等を考えておいでになりますか、その一端でもあれば伺いたい。
  30. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現在のところ審議会を設けてやるというところまで具体化してはおりません。ただ私は、いまおそまきながらとも言われましたけれども、こういうチャンスでなければなかなかこういう問題は私権の制限に関することでもあるし、いろいろこれむずかしいことなので、それこそ私は国会の権威において、超党派的な問題としてこれは取り上げるべきじゃないか、むしろ国会においてこれをもう少し進めていって、そうしてでき得ればこれを通じて四党なり五党の政策担当者会議でも開いていくというところまで進めていくことが非常に現在においては適切じゃないか。その合意のもとに今度は行政手段を官庁としてやるというくらいの、私は国会はそれこそ立法の最高の機関でありまするから、むしろ国会の場においてこういう問題を取り上げ、そうして合意を見たら、政府をしてその具体的措置を講ぜしめるというほうがむしろ適切じゃないかと考えております。これがなかなか四党、五党が完全に一致できなくとも、少なくとも与野党の相当部分がこれで合意ができるというならば、それに基づいて具体的なあれを進めたいと思うのでありますが、いま一つ構想として申し述べておるという段階であります。
  31. 足鹿覺

    足鹿覺君 下水道の問題に返りますが、総事業費十五兆円ないし十六兆円といわれているということは、六十年までの一つの展望に基づき、想定人口あるいは想定人口都市集中率、あるいは市街化面積等を想定しておられると思いますが、これは情勢の変化もありまするし、六十年と申しますと、現在の建設省がお考えになっておるものとどういう関係に結びつけられて検討しておいでになりますか、御構想があれば伺いたいと思います。
  32. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、私ども四十一年の建設省国土建設長期構想というものを発表いたしておりますが、この長期構想に基づきまして、下水のみならず、建設省所管関係の各種公共施設の長期の整備構想というものを打ち出したわけでございますが、その中で下水道につきましては、六十年時点のいわゆる市街地面積というものを想定いたしまして、その市街地面積には一〇〇%の下水道を完備するという目標を設定いたしまして、そのための必要投資額ということになるわけでございますが、十五兆円と申しますのは、たしか四十四年価格であったと思いますが、四十四年価格で大体試算をいたしますと十五兆円くらいの投資額が必要である、その内訳としましては、公共下水道が大体十兆円くらい、それから流域下水道が四兆円、それから都市下水道が一兆円というふうな、ごく大きな投資配分をもちまして一〇〇%の下水を完備する、そういう長期構想を踏まえまして、新五カ年計画を四十六年から発足させるわけでありますが、五カ年計画におきましては、五十年時点におきましては三八%の普及率まで高める。なお先刻お尋ねございました線引き完了の十カ年の昭和五十五年の時点のいろいろな長期計画を私どもは考えておりますが、その五十五年の時点におきましては大体七〇%程度普及率まで高めていく。そういうテンポでもって六〇年にこれを完全に整備するという考え方を持っておるわけであります。  投資の額がはたして実現可能かどうかといういろいろ議論もございますが、第三次の五カ年計画二兆六千億でスタートいたしまして、このペースでまいりますならば、決してこの計画は実限不可能じゃないというふうに私どもは考えております。
  33. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの都市局長構想大臣の御構想と一致しておりますか。
  34. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 大体そのとおりです。ただし私は、一般の国民意識もどんどん変わってくるんですから、もっとこれは実質上は投資額が大きくなるんじゃないかと考えています。私が十三年前いわゆる道路特別会計を設けるとき、あのときに大体十年間で二兆三千億と想定しておったんです。ところがいまやとてもそういうようなことではなくて、現在の道路五カ年計画は十兆三千五百億をこしているということ等から見ましても、私は下水道に対する国民の関心、需要、これが相当ふえてくる。したがいまして、いま六十年までに十六兆と一応概算して見ておりまするが、今後は私は農村地区においても下水道というものが必要になってくるんじゃないか、市街化したところばかりじゃなくて、農村においてもやがては必要になってくるという時代がくるかもしらぬと思っております。しかし、いまから想定してそこまで手を伸ばすなどと言っても、これは一つの希望的なあれにすぎませんから、まず現実の五カ年計画実施し、その次にまた五カ年計画という積み上げで、その積み上げる過程において、社会情勢並びに国民意識の変化に対応した案を漸次充実していくということが必要であろうと考えている次第でございます。
  35. 足鹿覺

    足鹿覺君 昭和六十年というと非常に、相当長期にわたり過ぎるという感もありますし、いまも大臣がおっしゃったように所得構造もいろいろと、考え方、見方はありますにいたしましても、相当変わってくると思うんです。また貨幣価値そのものも変動がある、こういう点から考えてみられて、もう少しこれは短縮をされる御意思はないのでありますか。
  36. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま申し上げましたように、六十年を何ぼに短くするというような一般的な考え方よりも、むしろ具体的に私は五年計画を積み重ねていって、その実施の結果においてこの目標を早く達成するというほうが現実的じゃなかろうかと思っています。いまわれわれのほうの、六十年までのこれは建設省としてかくあるべきだということを一応やっているだけにすぎないのでありまして、これが閣議決定しているわけでもありませんものですから、それで私はまず今回の五カ年計画実施して、場合によっては実施の過程においてもこれは変更して促進しなきゃならぬという事態も出てくるかとも思います。そのときにはまたその次の五カ年計画を立てて、さらに促進していくというふうなほうがむしろ現実的でなかろうかと考えている次第でございます。
  37. 足鹿覺

    足鹿覺君 そういう点についてもよく御検討になる必要が私はあると思いますが、それはそれとして先に進むことにいたしますが、経済企画庁には御承知のように新経済社会発展計画昭和四十五年度から五十年度に至るものがある。その下水道投資は二兆三千億円とされております。第三次下水道整備五カ年計画、四十六年から五十年、これは建設省は二兆六千億、先ほど来の数字です。しかも五カ年計画で見る限りにおいては五千億円追加されておるということは、私は一歩前進である。  そこで経済企画庁に伺いますが、両計画内容において相当変わっておるんですね。総合官庁と主管官庁との間では相当変わっておる。下水道整備計画によると二兆三百億ということになる。あなた方のほうは一兆六千億ということになる。流域下水道は逆に建設省が若干少なくて、あなた方のほうが若干多い。都市下水道建設省が八百億、あなた方が二千六百億、特定都市下水道建設省にはありますが、企画庁にはない、予備費もないということでございますが、どちらを一体信憑したらよろしいのでありますか、経済企画庁の御見解を承っておきたいと思います。
  38. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) ただいま言われましたように、新経済社会発展計画では、昭和四十五年度から五十年度まで六カ年間につきまして、公共投資五十五兆円のうち環境衛生につきまして三兆一千四百億を計上しております。下水道につきましては、この計画では明記しておりません。しかし、経済審議会におきましての審議の過程におけるいわば積み上げの一つの試算としまして、いま言われました二兆三千億といろ数字があがっております。それと建設省下水道整備五カ年計画では、四十六年度から五十年度まで二兆六千億になっておりますが、この二つの関連は、一つは年次が違うこと、もう一つは基準の価格が違うという点がありますので、直接比較はできません。しかし、大体この関連性は、いまのような二点を調整してみますと、この計算のしかたによって多少の違いが出てまいりますが、数千億下水道整備五カ年計画のほうが多くなっております。この点は新経済社会発展計画では五十五兆円のうちに調整費として一兆円とってございます。したがいまして、私どもといたしましては、この新経済社会発展計画の検討過程における試算の二兆三千億にプラスしてこの数千億が調整費から一応使われて新しい下水道計画ができておるということで、私ども建設省との間では調整がついております。したがいまして、閣議了解にもすでになっておるわけであります。したがいまして、ただいま先生があげられましたそれぞれの細目につきましては、私ども計画では特にその点をきめたわけではございません。したがいまして、下水道計画といたしましては、この下水道整備の五カ年計画にのっとってこれから具体的な事業が始まっていくと考えるべきであるというように思います。
  39. 足鹿覺

    足鹿覺君 この新経済社会発展計画は、閣議決定を経ておるんですね。その計画の決定は一年足らずのものなんですね。で、いま私が指摘したものは、公式にあなた方が御発表になったものではなくして、あなた方の関係者が雑誌等に御発表になったものでありまして、それをそのまま、私はこれをとやかく言っておるのではありませんが、いま一致しておるということでありますから、あえてこれ以上申し上げません。  そこで、念のために申し上げておきますが、経済社会発展計画の二兆三千億円は四十四年度の価格表示の実質であって、名目換算をせば二兆六千億相当になるという、そういうような印象をいまあなたの御説明では受けとめられる。そうしないとつじつまが合わない。何となれば、昨年当初、建設省下水道整備五カ年計画立案要求したときには二兆三千億円だった、この点はどうですか。
  40. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) 二兆三千億と二兆六千億のこの比較は、先ほども申し上げましたが、直接はできませんで、年次の違いと基準価格の違いがございます。これを合わせます計算は、若干幾つかの計算方法がありますので、正確なことは申し上げにくいのでありますが、一つの試算を申し上げますと、今度の下水道整備五カ年計画の二兆六千億、これは何年価格であるかは明記しておりませんが、かりにこれができた時期の四十五年価格と仮定いたしますと、四十五年価格で二兆六千億、それから四十五年度の下水道、これが約千九百億円ございます。したがいまして、この両者を足しますと二兆八千億足らずになります。これで六カ年間になるわけであります。この二兆八千億は四十五年度価格でありますので、これを新経済社会発展計画に合わすために四十四年度価格に戻しますと、約二兆七千億円になります。それとこの新経済社会発展計画の二兆三千億が一応対比し得ることになるわけであります。先ほど申し上げましたように、この計算は必ずしもきまったものではございません。価格の換算を何でするか、この点もきまったものはございませんが、一つの試算として申し上げますと、いまのような計算に基づきまして、二兆七千億と二兆三千億、これが比較し得ることになります。そういたしますと、この計算ですと四千億の違いが起こります。しかし、その点は先ほども申し上げましたが、新経済社会発展計画公共投資全額五十五兆円の中には、一兆円調整費をとってございます。したがいまして、この新経済社会発展計画に基づきまして、各省がそれぞれの部門についての計画をその後つくっていきます過程でいろいろ情勢の変化もございます。ことに下水道につきましては、環境整備という非常に緊急な課題がありますので、この調整費のうち、かなり優先的に下水道計画のほうに使われた。こう解釈してよろしいのではないかというように思われます。したがいまして、二兆六千億と二兆三千億は、そのまま価格がふくらんだからではありませんで、実質的にそれだけの違いがございます。それは調整費から取りくずしたというように考えるべきであるというように思います。
  41. 足鹿覺

    足鹿覺君 その経過はわかりましたが、私は先ほど述べたものは、一応とにかく二兆三千億になっておるのです。内容も違うのです、建設省と。あなたのおっしゃる、大体建設省合意になったということの二兆六千億円計画案の具体的根拠というものは、建設省とも意見が一致したんですか。念のために伺っておきます。
  42. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) 建設省と十分調整を済ましております。
  43. 足鹿覺

    足鹿覺君 では建設省に伺います。  その具体的根拠を一応、どのように御調整になったか、承りたい。
  44. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 私どもは二兆六千億の新五カ年計画の実は概算要求の時点におきまして要求いたしたのであります。この考え方は、新経済社会発展計画で見込まれておりますところの下水道投資さるべき額では、現在の特に水質環境基準、水質環境対策に対応できない、不十分であるというような点を最も大きな理由といたしまして、二兆六千億の五カ年計画の要求をいたしたのでありますが、幸いにいたしまして、要求どおりの計画を確定を見るに至ったのであります。これにつきましては、千億円の予備費というものが入っておりますが、これは各種長期計画に共通のものでございまして、今後の情勢変化に対処いたしまして、必要が生じた場合には取りくずしていくというように私ども理解いたしておりまして、この二兆六千億円で普及率は三八%というふうに想定をいたしております。たまたま経済社会発展計画のものにつきましても三八%というふうな計画になっております。二兆三千億が三八%で、二兆六千億が三八%ということはおかしいじゃないかというふうに疑問を持たれますけれども、この点につきましては、先ほど企画庁のお答えがございましたように、基準価格が、私ども四十五年度価格ということでいっております。経済社会発展計画のほうは四十四年度価格でございます。基準価格の年次が違いますという点と、もう一つは、私ども考え方は、先ほど申し上げましたように、公共水域の水質環境対策に重点を置く、といいますことは、終末処理場の建設、それから流域下水道、そういうようなものを先行的に整備をする。それによりまして、要するに環境基準の達成を一年でも早くやっていくという、こういう考え方に立っております。したがいまして、末端のその生活環境関係下水道普及率は、場合によれば少しはおくれることもやむを得ないというような配慮もいたしまして、この投資計画を立てたわけでございまして、そういう点から普及率が三八%ということになったわけでございます。企画庁からお答えの二兆六千億と二兆三千億との関係につきましては、企画庁は企画庁なりにいろいろ先ほど御説明ありましたような考えをお持ちのようでございますが、実施官庁といたしましては、そういうふうな考え方でこの新五カ年を発足させたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 足鹿覺

    足鹿覺君 ちょっと私はふに落ちないんですが、建設省下水道整備計画によりますと、特定都市下水道について三百億とありますが、経済企画庁にはないんです。これは御承知のように企業責任によるものだと解釈しておりますが、こういう重大な問題を総合官庁はゼロにしておいでですが、どうして調整なさるんですか。予備費予備費とおっしゃいますが、これははっきり企業責任によるものだと私は理解いたしますが、つじつまが合わぬではありませんか。私の言っているのが違うんですか。
  46. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) 新経済社会発展計画では……。
  47. 足鹿覺

    足鹿覺君 くどくどしい答弁ではなしに、私が聞いていることに答えてください。
  48. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) その下水道整備計画の内訳につきまして、私もちょっと詳しいことを実は承知しておりません。試算の過程でいろいろつくったものでございまして、現在では下水道五カ年計画のそれにのっとって私どものほうは考えるべきだというふうに思っております。恐縮ですが、その詳しい内訳につきまして私よく承知しておりません。
  49. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほど来、あなたのほうはしどろもどろなんですよ。一応一兆円の予備費を持っている、五十五兆円の中で一兆円あるからどうにでもなる。具体的に指摘すれば、建設省の案に同調するんだ。これは実施官庁ですからその責任も明確であるし、そうならざるを得ない。総合官庁として、きわめてずさんだというと語弊があるかもしれませんが、一応根拠はあるはずです。年度のズレとおっしゃっても一年足らずのものであって、そう大きなズレはありませんよ、基準価格にしてみましても。建設省いかがですか。
  50. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは実は五十五兆円の総ワクをきめるとき、私が閣議で発言をしております。これは総投資額を五十五兆円にしたという、いろいろの財政経済全体から見て総ワクをきめたことには、これは私は異議をはさまない。しかし、このうちにいま御指摘のありました下水道の総投資額、これは必ずしも現実から見て適当とは思われない。これはもう少しふやさなければいけません。その意味でそのときに私は、弾力的に総ワクを検討する必要がある。私のほうで検討の上、ぜひこれは経済企画庁並びに大蔵大臣の善処を求める、こういう条件づけで私は了承したんです。で、すぐに今度は建設省自体として検討した結果、やはりこれは総ワクのうちの予備費の一兆円の半分をこれは取りくずしていかないと、急速に都市化が進んでおり、しかも予想以上に水質が悪化している状況にかんがみまして、従来なかった制度としての流域下水道の問題、これを取り上げる。それから公害国会でいろいろああいうふうな立法ができたけれども、やはり都市における特定下水道というものを各企業だけにこれは全然まかしておいても救済できない問題だ、これもやはりやらなければいかぬというふうに、この点は具体的に都市の様相の変わったことに対応して、この点では十分経済企画庁のほうとも連絡をとりましてこの五カ年計画を策定し、そうして予算折衝のときにあたって、大蔵省も、建設省、経済企画庁、合意に基づく具体計画についてほとんど全面的にこれをのんで二兆六千億、さらにその内訳の問題も大蔵省が認めた、こういう経緯でございます。したがいまして、われわれがこの具体案をつくったときと、それから五十五兆円の配分を考えたときとの間に若干のやはり事態の認識が変わってきた、こう言っていいかと思います。しかし、この策定する段階においては、完全に経済企画庁と建設省は意見が一致しておる。それに大蔵省が予算をつけた、こういうような段階もございます。
  51. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣に伺いますが、経済社会発展計画には、特定都市下水道の経費としてのあなた方が組まれた三百億というものはなかったんですね。それがいま大臣の言われる公害等の激発が大きな世論を呼んで、三百億の企業責任によるものが織り込まれた、かように解釈してよろしいのですか。
  52. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) お尋ねの特定公共下水道でございますが、私どものほうは三百億、こういうふうに区分けをいたしまして整理をいたしておりますが、企画庁のほうの先ほどの御答弁の中の分類におきましては、特定公共下水道都市下水道の中にこみで組み込まれておる、こういうふうに私どもは理解をいたしておるわけであります。でございますから、企画庁のほうではそういうものは全然見ていないというのじゃなくて、たまたま分類のしかたがそういう都市下水道の中に特定公共下水道を見てあるということだけじゃないかと思います。
  53. 足鹿覺

    足鹿覺君 では企画庁に伺いますが、あなた方の、この私の資料によると、これは違ったものなら違ったものだとおっしゃればよろしいのですけれども、あなた方が官庁として御発表になったものではないけれども、私の資料はそうでたらめのものではありません。下水道整備五カ年計画の、建設省には公共下水道が二兆三百億円あるんです。あなた方のほうは一兆六千億、いま都市計画局長の話を聞くと、三百億のものはこの中に含まれておるんだ、経済企画庁の分に。金額もきわめて建設省のものよりも少ないものの中に、この三百億を組み込まれておれば、大きな誤差じゃありませんか。総合官庁がそういう、つじつまの合わせ方がてんで説明がなっていない。少なくとも公共下水道の金額の中に一兆六千億をではどのように、この特定都市下水道整備のものをどのように組み入れておいでになったんですか、おいでになるんですか。
  54. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) 先ほどから申し上げておりますように、新経済社会発展計画では、下水道計画そのものもここではっきりきめておりませんし、ましてその内訳につきましては、一応この検討の過程でいろんな試算は行なわれておりますが、これは別にきめたものでも何でもございません。この新経済社会発展計画では、五十五兆の配分におきまして、下水道に重点を置きますために、一応試算として二兆三千億を計上しておりますが、この場合には全体の公共投資整備という観点で、経済全体の発展よりも公共投資の比率を高め、さらにそのうちでいろいろ公共投資関係の配分がございますが、下水道につきましては特にその伸びを高く見ていく。公共投資全体の年率は六カ年間で実質価格で一三・五%でありますが、下水道につきましてはほぼその二倍のテンポ、二六%の普及を見る。さらに五十年度におきましては、下水道全体の普及率市街地面積におきます普及率として三八%を確保する、こういった点だけでございまして、その中身につきましては、いろんなその過程で試算はございますが、これは先ほどから申しておりますように正確に計算し、あるいはそれをきめたということではございません。
  55. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほど大臣も御肯定になったように、一番下水道というものがおくれておる、こういう認識から出発するならば、総合官庁としては当然もっと建設省を上回る壮大な御構想でもあるならともかく、ないとおっしゃるけれども、巷間伝わっておるんですよ。じゃ、何を根拠にしてあなた方は下水道計画を立ったんですか、具体的に問いましょう。そこまでお言いになるんなら、それじゃ伺いましょう。
  56. 矢野智雄

    政府委員(矢野智雄君) 最も中心的な課題といたしましては、下水道市街地面積におきます普及率を四十三年度、この計画の策定時期におきましては、四十三年度の普及率二一%を三八%にしていくということが一つ基本になっております。で、その普及の中身につきましては、いろいろ試算は行なわれておりますが、特にその細目につきましては、詳しくこれできめたというわけではございません。全体の大ワクのもとで、その後関係省、この場合には建設省で具体的な整備計画をつくられるその過程で私どもと十分調整が行なわれたわけであります。
  57. 足鹿覺

    足鹿覺君 都市計画局長に伺いますが、この三百億の特定都市下水道、これは企業責任によるものと解釈いたしますが、そのとおりですね。
  58. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 特定公共下水道と、言いますのは、昔は、前は特別都市下水道と言っておりましたものでございまして、主として工場の廃水を処理するための、公共団体が実施いたしますところの下水道事業でございます。したがいまして、この三百億というものは、いわゆる企業責任といいますか、この投資額は公共団体が負担をいたしまして、そういった地域下水道整備するべき投資額でございまして、むろんこれにつきましては、このほかに別途関係の企業者が建設費の一部を負担する。それを合わせましてその地域下水道事業実施されると、こういう性格のものでございます。
  59. 足鹿覺

    足鹿覺君 その割合を伺いましょう。企業責任と地方公共団体の持つ割合を聞きましょう。
  60. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは特定公共下水道実施いたしますところの地域の工場廃水との関係におきまして、画一的には申し上げかねますけれども、私どもの考えとしましては、全体の建設費の三分の一程度は企業側で持ってもらいまして……。
  61. 足鹿覺

    足鹿覺君 三分の一。
  62. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) はい。そして残りは公共団体が負担する、それに対しまして私どもが補助をいたしますと、こういう考え方でございます。  この三分の一と言いますのは、考え方といたしましては、企業が出しますところの工場廃水の汚濁度と、一般家庭排水の汚濁度といいますか、その汚濁度の比較におきまして、工場廃水について企業が負担するものを出しまして、それを企業責任、企業負担というふうな考え方でこの費用負担関係を処理していこうということでございます。
  63. 足鹿覺

    足鹿覺君 三分の一が妥当であるかいなかということは、私は妥当でないと思います。これで議論をしようとは思いません。これだけ公害の企業責任がきびしく追及されておるときに、実施官庁であるあなた方が、何といいますか、そういう寛大といいますか、地方住民の税金によってあとの三分の二をまかなわしめる。そういうことで、大臣、よろしいのでしょうか。
  64. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 足鹿さん御存じのように、今度の公害立法で、企業が排出する汚水は第一次的には自分の経費で浄化装置をつくらせてやらしております。そうした後いまの下水道に流れてくるのでございますから、実質上は相当の負担をしているのです。そういう意味でございますから、現在の状況においては、何もかにもそのまま何もせずに流して、そうしてやるということではございませんで、第一次的には全部やらせているのです。それでもなおかつ完全なあれにはなっていないだろう。それで一般下水のほうからも一緒になってくるから、その分として三分の一の負担をさせていく、こういうことでございます。
  65. 足鹿覺

    足鹿覺君 念のために、大臣、申し上げておきますが、これは関西の琵琶湖の周辺にあるある工場の実例ですが、汚水処理の水質検査の情報がすぐ企業体に漏れる。で、監査にくるときには廃液の有害物質の濃度を薄める。監査が済むとまたもとに戻す、こういう具体的な事例を知っておりますよ。そういう企業と癒着した姿は改められるべきだと思います。必要があればその工場名を申し上げますが、きょうは申し上げません。  そういう企業と癒着した事例というものはおかしいと思います。いま廃液の処理は企業責任においてやるとおっしゃいますけれども、いま言ったようなのが実態です。したがって、その特定都市下水道に流れてくる率というものはなかなか一々毎日検査するわけにはまいりませんし、これは問題なんです。そこをもっと眼光紙背に徹して、あなた方が企業と癒着しておる現実の姿というものをごらんにならないと、大胆のおことばでありますが、これは空文化していく傾向がある、しり抜けになる。しつこいようでありますが、私はこの問題を重視しております。公害立法十四件が成立したといってのほほんとしているわけにはまいりません。無過失責任は御承知のとおりです。廃液の処理にいたしましても、私の地元にもあります。ことごとくそうです。そういうことで結局廃液の処理というものがなまぬるい、完全に行なわれていない。あなた方あるいは監督官庁なり、通産省なら通産省が現地を調査なさるといっても、毎日やるというわけではありません。企業責任者に良心が麻痺しているのです、いままでの惰性で。それをき然とした姿勢に改めさせることが前提であって、その問題が解決しない限り、この程度の負担では私は妥当でない、こういう意味合いから、先ほど来しつこくこの問題を追及しておるのです。その点をしかと大臣も御認識を新たになさって御対処になりますか。
  66. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) そういう従来なまぬるいような状況がありましたので、今度は企業に対する責任も持たせ、さらにまた、これは知事権限を与えて、常時そうした不正のないようにさせるということでございまして、相当程度これで改善されると思います。
  67. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま悪臭防止法が審議になっておるそうでありますけれども、なかなかこの問題解決しませんね。金額もちゃんとこれだけあれば——私の地元でもパルプ工場がありますが、企業責任において処理するといいましても、企業の存立を危うくするようなそう大金ではありません。それを完全に悪臭を防止すればできるのにそれをやらないのです。若干は残るであろうなどと言ってうそぶいている。そういう姿勢でありますから、私は法律はできましても、知事が厳重監督をするといいましても問題は解決しない。大気汚染は絶えない、私の地元の場合は。また琵琶湖周辺の水質の汚濁が完全に除去できない、こういうことになるのです。その点は今後御善処にならなければ問題は——この三分の一というものでやらなければこの負担を高めるのだ、いいか、こういうところまであなた方が確固不動の立場で、強い姿勢で臨まなければ、この問題は解決がつかぬと思いますが、具体的な問題でありますので、ひとつ大臣の決意のほどを承っておきたい。
  68. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはまあここで抽象的にいいとか悪いとかと言ったってしようがないことであって、現実にこれは法の厳正なる行使に基づいてそういう事態をなくするということだと思います。  一面においてまた最近における一般国民の水質の汚濁に対する非常な敏感な行動から見ても、従来のようなことで企業側が無責任にのがれることはできないと思います。そうしてまた今日、自治体も公害問題を積極的に処置しなければ、市町村長といえども理事者としての地位を全うすることができない。また、議員の諸君も非常に関心を持ってきましたので、従来のこういうなまぬるいところがあったらそのままというわけにはいかないと思います。相当私はきびしく国民の監視の上でこれは直さなければならぬし、われわれのほうでも十分に都道府県あるいは市町村と緊密な連携のもとに、そうしたことを防ぐために積極的な姿勢でやるつもりでございます。
  69. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、いまの御答弁ではやや明確を欠きますが、法律施行後における経過もまだ日にちが浅いわけでありますから、しばらく様子を見まして、この三分の一の企業者負担の問題については本日はこの程度にとどめておきますが、とくとひとつ大臣においても御善処いただきたいと思います。  そこで、自治省がおいでになっておりますので、ひとつ伺いますが、受益者負担制度と今後の運用の問題です。いわゆる受益者負担というものについて基本的な考え方は、いろいろ解釈はあるようでありますが、下水道の場合を想定して申し上げるのですが、受益者負担の原理というものはどういうふうなものでありますか、ひとつ伺いたいと思います。
  70. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 下水道事業につきましての受益者負担金の考え方のお答えは建設省からお答えするのが筋かと思いますが、私ども建設省のほうと相談いたしまして、下水道事業につきましての受益者負担金は、都市計画法の規定によりまして、その下水道事業実施によりまして、その土地所有者についてはその土地環境等が著しく整備される、そういう意味におきましての受益があるという意味におきまして受益者負担金を徴収するのが適当であるというふうに考えております。
  71. 足鹿覺

    足鹿覺君 そういう抽象的な御答弁を私は求めておるのではありません。では具体的に申し上げましょう。  受益者負担金の問題についてあなた方が——建設省と自治省との間で地方へ通達を流しておられますね。「昭和四十年十月二十五日建設都発第百六十号自治財第九十六号建設省都市局長、自治省財政局長通達」というのがありますね。「受益者負担金制度の採用にあたっては、受益者負担金の総額を建設事業費の五分の一以上三分の一以下とすべきである。」重要なところだけ申し上げますが、受益者負担金制度を採用しておる都市については、「国費の補助及び起債の許可を優先的に考慮する方針であるので、申し添える。」、こういうことになっておるのですね。いわゆる受益者負担というものは使用料と違った性格の——上水道の場合は使用料で行なっておる。地方公共団体や国の立場においてやっておる。飲んだものが下に流れて出るのは、これは人体の生理で間違いのない事実です。しかるに、最も急速に整備していかなければならないものに対してこのような通達を出されておるということは、不法ではないかもしれませんが、不当であると私は思う。建設省がおやりになったことだとあなたおっしゃるが、建設省と自治省の局長通達が同時に出ておるじゃありませんか、どうですか。これでも建設省の責任だとおっしゃるのですか。だから局長にいらっしゃいと言ったのです。そういう抽象的な答弁では通しませんよ、こういう具体的な通達を出して、受益者負担を取るところから優先するということは、あえて取れと言わんばかりじゃありませんか。そういう態度はお改めになる必要があろうと思う。あなたが言明できなければ、自治大臣の出席を要求いたします。どうですか。この通達も否定されますか。
  72. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 自治省と建設省の共同通達をもちまして、受益者負担制度の採用について地方に通知を出しておりますことは御指摘のとおりでございます。先ほど申し上げましたように、受益者負担制度につきましては、現在の下水道整備事業の現状から見て、私どもも受益者負担制度を採用するということが適当であるというふうに考えております。したがいまして、現在の下水道事業整備するにあたりましては、この通達にも書いてございますように、受益者負担制度を採用しております市町村におきましては、負担金徴収の基礎となっております事業計画をできるだけその市町村計画どおり実施できるようにするために、でき得る限り国費の補助なり、あるいは起債の許可というものをその計画どおり考慮していきたいというふうに考えております。  なお、こうした受益者負担制度を採用いたします場合には、当然にこれに相当する部分の料金の計算におきましては、原価計算上この負担金部分は原価を構成しないということになるわけであります。その点は当然料金のほうにはね返ってくるということになると考えております。また、上水道事大につきましては、現在は大部分の地域におきましては受益者負担制度がとられておりませんので、当然に建設費全部にわたってその料金計算上は原価計算が行なわれておる料金をもって徴収をするという方式になっております。なお、上水道におきましても、給水区域を特に拡張する、そのために従来の料金計では、新しい供給区域に対して給水をいたします場合には、相当料金に影響を及ぼすという場合に、上水道事業におきましても受益者負担制度を導入しているという市町村があるわけでございます。考え方といたしましては、それほど変わった考え方ではないというふうに考えております。
  73. 足鹿覺

    足鹿覺君 建設大臣に伺いますが、私は非常に矛盾していると思うのですね。受益者負担金採用都市及び公共下水道認可都市に対してこれを拡張していく、そして新しい五カ年計画を立てていく、こういうことなんです。ところが実際上においては、昭和四十四年五月で公共下水道認可都市は二百五十一都市と私は聞いております。この中で五〇%に当たる百二十六都市が受益者負担金制度をとっておる。とっておるところもとってないところも、また、とっておるところでも三分の一から五分の一というふうに幅がきめてある。そうすると、財政能力があり住民の負担能力があるところは進むが、負担能力や財政力の弱いところは結局おくれるということで、均衡を失するのじゃありませんか。私はこの考え方は非常に問題があると思う。これが昭和四十年の十月二十五日の通達であり、相当時勢に合いません。大きな都市の膨張以前のこれは通達でありまして、新しい地方の新興都市が次々と誕生し、先ほどの大臣の、農村にも将来下水道整備をやるべきだということは、非常な卓見で意を強ういたしますが、そういう見地から、これはこのような負担金制度を適用した都市に優先的な補助金と地方債の起債の便宜を与えるということは、負担能力のない住民と自治体が放置されるという、結果的にはそういうことになるのですね。これは逆ではないですか。ある程度もう上水道並みに、東京都の旧都市地域のようなところは使用料によっても差しつかえない。そういうふうにこれからだんだん進んでいくと思う。その際このような逆に受益者負担金の徴収をやれと言わんばかりに、負担したものには補助してやる、地方起債の便宜を与えるのだという、こういう通牒を生かしておかれるということは、私は不法とは言いませんが、少なくとも時勢にマッチせず、今後の下水道整備計画を進めていく上に大きな支障になりはしないか。また、地方住民にしましても、いま私の町で下水道工事に着工いたしておりますが、たいへんな負担ですよ。この問題をめぐって物議が起きている。どこでも同じだろうと思う。この通達の趣旨は、その当時においてはあるいはいまおっしゃったようなことがあるかもしれませんが、受益者負担金と下水道使用料金との関係、もう一つ都市計画税というものを取っておられるわけですから、むしろ都市計画税の新財源を求めて、そうしてこれによってまかない、受益者負担金制度をやめる、たとえばそういう方法もあると思うのです。これはいわゆる税金の二重徴収です、受益者負担という。それではあなた方の五カ年計画も非常に計画樹立の際に難航して進まないことも、私はこういう矛盾があるからではないかと思う。この点は慎重にお考えになって、政治家として御判断になるべき問題だと思いますが、いかがですか。
  74. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現在の受益者負担金制度の今日までの経緯、その理由については事務当局から説明がありましたから、これ以上私から付加をする必要はないと思う。ただ、政策的に今後このままのほうがいいか、あるいは都市計画税を増徴して、それでいまの負担金にかわるような構想を検討すべきだという提言は、これは私も傾聴いたしました。今後やはり先ほど来問題になりました市街化の進んでいく過程において、それに伴うところの都市計画を着実に実行するための何らかの税制上の配慮が必要であろうというふうに考えております。したがって、この点につきましては、建設省と自治省との間でこれから検討しなければならぬと思います。そういうことによっていまの負担金制度がその内部において吸収できるならば、それも一つの私は建設的なこととして考えられると、こう思います。
  75. 足鹿覺

    足鹿覺君 この建設費の三分の一ないし五分の一を土地に対する負担金によってまかなうという原則は、私は国や地方公共団体が当然やらなければならないことを地方住民に肩がわりすることである。一方都市計画税は取っておいでになる。税金の二重取りです。これは非常な悪税だと思う。ただし都市計画税というものは都市計画区域によって取られますから、いまから七年前の通達ですから、ある部分的な流域別の幹線下水道ができて、支線も十分ではない、だから早く着工し、早く完成をしたものに対して負担をかける、こういう趣旨もあったかと思います。それは私もわからぬではありません。けれども、通り一ぺんのいまの自治省の参事官の御答弁では私は断じて承服できません。そのようなことでこの下水道整備発展促進されるものでもなく、地方住民に二重負担を取る、こういうことはおかしい。問題の調整点は、都市計画税にもしこれを含ませていくならば、今度は進んだところと未着手のところがあれば、これは使用料で解決をつけるべきである。少なくともいまの七年前のこのような受益者負担を取ったところから地方起債を認め補助も考えてやると、こういうものを生かしておいたのでは、私はあなた方の現在の御計画は進行しないと思います。そして、この点は委員長、いまの参事官の御答弁では満足いたしません。午後自治大臣の御出席を求めて、私はこのところで両大臣のある程度の受益者負担のあり方について御見解をただし、今後これを御調整になると、こういうことが明らかにならない限り、いまの参事官の御答弁では満足いたしません。根本建設大臣のただいまの御答弁はある程度私の意見も御肯定になり、御検討の用意あるやに聞き取りましたので、自治大臣の御出席を求めます。ちょうど時間もまいりましたので、午後、自治大臣の御出席を求めて質疑を終わらせていただきます。委員長さようにお取り計らいをいただきたいと思います。
  76. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) ただいまの点につきましては、午後、自治大臣の出席を求め、審査いたしたいと思います。  本案に対する午前中の審査は、この程度にいたし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  77. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  建設省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  78. 足鹿覺

    足鹿覺君 自治大臣の御出席がいつかわかりませんので、受益者負担問題、あるいは下水道建設に対する補助率の問題等は相関連がございますので、一時中断をいたして、田子の浦港のヘドロ問題に関連をいたしまして、冒頭に申し上げましたように、富士川へヘドロを投棄されたことと岳南排水処理問題、河川敷地占用に対する河川管理者権限問題等を中心に建設大臣、厚生省、水産庁、通産省、関係当局へお尋ねをいたします。  田子の浦港の現在における状況についてでありますが、ヘドロの堆積状況並びに排出作業等の現状はどういうふうに進行いたしておりますか。四十五年八月三十一日の報告では八十二万トン、同十一月では八十八万トンと建設委員会では説明されたようでありますが、その後、相当の日子も経過しておりますので、現状をお伺いいたします。
  79. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 田子の浦に現在堆積しておりますヘドロは、概数約百万トンというふうに私ども伺っておりますが、最近の堆積状況につきましては、港湾区域でございまして、運輸省のほうでいろいろ調べておられまするので、直接はその数量等こまかいところにつきましては、私ども承知いたしておりませんので、申しわけございません。
  80. 足鹿覺

    足鹿覺君 しかし、建設委員会で、いま私が述べた状況を御説明になったようでありますので、あなた方の捕捉されておる現状でけっこうですから。そのうち運輸省を呼んでいただきまして……。
  81. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 私どものほうに入っております報告では約百万トン程度堆積しておるというふうに聞いております。
  82. 足鹿覺

    足鹿覺君 それ以上のことは運輸省に聞かねばわからない、こういうことでございますか。
  83. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) まことに恐縮でございますが、実はそれ以上の詳しいことを承知いたしておりませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  84. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは運輸省の出席を待ちましてこの問題に入ることにいたします。  水産庁当局にお尋ねを申し上げますが、田子の浦のヘドロに関して、駿河湾沿岸漁業に重大な影響を及ぼしておることは御承知のとおりであろうと思いますが、最も最近値における水産、漁業への影響、現状等についてお伺いいたしたい。
  85. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 昨年十月、十一月に水産庁の委託で県がこの漁業の点検をいたしております。点検の内容につきましては、水質と底質を点を選びまして観測いたしておりますが、結果によりますと、東は内浦、西は由比まで水質がヘドロの影響を受けている。特に富士川の河口約五キロ範囲内はCODが三PPM以上になっておりまして、水産生物の生息には適さないということがわかっております。それによりましてサクラエビの漁場が、このヘドロのないころは湾の奥までずっととれたのが、最近は焼津付近まで漁場が移動してまいっております。そういうのが現状でございます。
  86. 足鹿覺

    足鹿覺君 前のほうをもう少し詳しく……。
  87. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 湾の奥の富士川、由比を中心にしまして、従来サクラエビが相当とれておりましたが、最近、この影響によりまして漁場が移動いたしまして、湾の外側のほう——焼津の付近あるいはその沖のほうにサクラエビの漁場が移動しておるのが現状でございます。
  88. 足鹿覺

    足鹿覺君 漁業に及ぼしておる状況等について、昨年八月三十一日、本院建設委員会において、海洋投棄の問題があった当時だと思いますが、調査をするということであったのでありますが、調査の結果は、いまおっしゃったような程度でありますか。
  89. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 昨年の八月に海洋投棄について調査していると申し上げました。調査につきましては、田子の浦港のヘドロを黒潮の軸流の外側、数百マイル沖合に投棄した場合、沖合漁業に対する影響を調査いたしておったのでございまして、この湾内に投棄する問題を調査していたのではございません。それで、その当時の調査内容といたしましては、漁業の実態——カツオ漁業、ピンチョウ漁業、それからピンチョウ漁業の漁場と、それから黒潮の軸流の月による変動状況で陸湾のほうにまた逆流してくるおそれがないかというようなことを昨年の八月以来調査いたしております。
  90. 足鹿覺

    足鹿覺君 まあ海洋投棄はおやめになったようでありますが、それはそれとして、サクラエビ程度が影響を受けたというようないまの御答弁でありますが、その問題は世間周知のような深刻な状態を起こしておると思います。沿岸漁業はどのような影響を受けておりますか。それは詳細な御調査対象にされ、どのような沿岸漁業に影響を及ぼしておるか。また、企業責任者と漁民との間にいろいろ話し合いもあったように聞いておりますが、水産庁は企業者の立場ではなくして、漁業、漁民の立場に立って御処理になるのが当然だと思いますが、これについて講ぜられた措置、今後の対策等について伺いたい。
  91. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 漁業に及ぼす影響といいましても、すべてがこのヘドロの影響であるというふうには考えられないかもしれませんですが、湾の奥部の漁業につきましては、カタクチイワシ並びにシラスというものは非常に減産になっております。特に湾の奥部について減産になっておりますが、サクラエビにつきましては先ほど申し上げたとおりでございます。こういうこの地方の一番重要な魚種でございましたイワシ、サクラエビが減産になっておりますのは、これの影響が相当にあるものかと思われます。  それから漁民と企業側との話でございますが、現在の田子の浦漁協、もと四漁協でございましたけれども、合併いたしまして、現在、田子の浦漁協になっておりますのが、一部補償を受けておるというふうに聞いております。その他の漁協については、補償の問題ではなしに、ヘドロをなくせと、水をきれいにすることが先決で、そういう条件を持ち出すのではないということを企業側と折衝いたしておりますし、私どもも補償問題で片づけるのでなくて、水をきれいにしてほしいということを県を通じて企業側との話をするように指導いたしております。
  92. 足鹿覺

    足鹿覺君 その結果はどうですか。
  93. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 現在のところ、まだこれの効果があらわれておらないのが現状でございます。
  94. 足鹿覺

    足鹿覺君 これはまたほんとうに冷淡な御答弁ですね。これだけ天下を騒がしておる問題、漁民の死活問題に対してただいまの御答弁では、何らの、熱意をもって水産庁が指導し、あるいは対策を積極的に持って臨むというようなことはなさらないのですか。それでよろしいですか。私はそういうものではないと思う。長官もそういう冷淡な態度ですか、念のために伺っておきますが。
  95. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 私どもできるだけの努力はいたすつもりで努力いたしておりますが、ここにおきますヘドロにつきましては、水産庁だけではなしに、公害対策本部を中心にいたしまして措置をしていただくように私どもとしては万全の努力をいたしておるつもりでございます。
  96. 足鹿覺

    足鹿覺君 万全の努力などと、そういう抽象的なことでは納得はできません。従来の漁獲高はどの程度あって、サクラエビ、カタクチイワシ、シラスというものが現況はどの程度の漁獲高になり、どの程度の減収を受けておるか、もう少し具体的に水産庁らしく漁民の立場に立って御答弁なさい、何ですか、一体その答弁は。
  97. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 私ども、いまあまり詳しい数字を申し上げるのはどうかと思いまして省略させていただきましたけれども昭和四十年にシラスが千百四十四トンとれておりましたが、年々減少いたしまして、四十四年には五百七十五トン、サクラエビは昭和四十年に三千四十五トンでございましたが、これは四十一年、四十二年、四十三年と、若干この湾内全体ですと増獲されておりますけれども、四十四年にはこれが二千六百トンに減っております。それからカタクチイワシにつきましては、四十年に一万六千九百トンとれておりましたのが、年々減少いたしまして、四十四年に四千七百五十トン、非常に減少いたしておるのが現状でございます。これにつきまして、これの原因が何かというのは、先ほど申し上げましたように、この地域の駿河湾中部というふうに指定いたしまして、昨年十月、十一月にかけまして委託費を出しまして調査をいたしまして、その調査結果に基づきまして、先ほど申し上げましたような、東は内浦から西は由比まではこのヘドロによる影響が相当あらわれております。そういうことで、これを早急にヘドロをなくすようにしてほしいという要望を私どもはいたしておりまして、その後も県といたしましてこの調査を続行いたしておる次第でございます。
  98. 足鹿覺

    足鹿覺君 どうしてそういう数字を私が突っ込まなければもっと懇切丁寧に御発表にならないのですか。それによって一応、その真偽は別として、明らかになりましたが、関係漁業者数、その漁獲高の減少による金額に換算しての種類別推定被害商は何ぼになりますか。
  99. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) このいま申し上げました内浦から由比港までの関係漁業者数は、五組合で三千五百三十三名でございます。漁獲高の減少につきましては、ただいま申し上げました種類が減っておりますが、これについて他の魚種もとっておりまして、金額にいたしますと、昭和四十年にこの五協同組合の水揚げが三十一億八千万円でございます。それが昭和四十四年は、金額はちょっとまだ私ども調査できませんが、六十二億五千万円になっております。水揚げ高にいたしますと、昭和四十年に五万五千トンが四十四年に五万五千トンで、全体の水揚げといたしましては変わっておりませんが、漁場が非常に変わっておるという点が特徴でございます。
  100. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうすると、被害がないとおっしゃるのですか。
  101. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) いま申し上げましたように、この漁場につきましては、半径五キロにつきましては水産生物が住むのに非常に不適当な水域になっておりますし、東は内浦から西は由比までの間、距離は相当ございますが、広い範囲にわたりましてヘドロの影響があらわれて、水産生物の住みにくいような状況になっておるのが現状でございますから、別な漁場で漁協組合員がとっておるのが現状でありますので、被害が相当あらわれております。
  102. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまあなたがおっしゃったのは三十八億四千万、続いて最近値六十二億五千万、こうおっしゃったのですが、それだけの大きな被害が三千五百三十三名の漁民にあらわれておって、他に漁場があるから数字に変わりはないという御答弁は理解しにくいのですが、たとえばサクラエビが幾ら減った、金額に換算してどれだけの被害を受けた、カタクチイワシも同様、シラスはシラスウナギのことですか——シラスとはシラスウナギと私は理解しますが、シラスウナギは、御承知のように浜名湖のウナギはほとんど全滅にひとしい。遠くフランス、台湾から稚魚を輸入しておるのですよ。冷却水に入れて飛行機で輸送してやっている。いまウナギどんぶりやウナ重が幾らで食べられるとあなた方思っているのですか。庶民の食料であったウナギどんぶりも二百円や三百円のはした金では食えないのですよ。そういう重大な国民のたん白資源が大きな影響を受けておるのです。シラスウナギは国内ではほとんど収穫が不可能な状態なんです。内水面漁業としての養鰻事業は荒廃の一途をたどっておるのですよ。そういう深刻な状態が起きておる際に、何かよそごとのように、地元の静岡県にまかせておるような言い分でありますが、水産庁はそういう問題について責任をもって、その衝に当たらぬまでも、対処されていくのがあたりまえではありませんか。サクラエビ、カタクチイワシ、シラスウナギ別の被害額を金額にしておっしゃい。
  103. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) シラスと申し上げましたのはシラスイワシでございまして、シラスウナギではございません。金額は現在調べておりませんので、後刻調査して推定金額で御提出いたしたいと思いますので、それで御了承いただきたいと思います。
  104. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは先ほどの三十八億四千万、六十二億五千万というのは何によってお調べになったのですか。静岡県の報告そのままですか。
  105. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 私が先ほど申し上げましたのは内浦、静浦、沼津の我入道、円子の浦、由比港の五港の水揚げ高を申し上げましたので、少なくとも金額、あるいは全体のトータルの水揚げ高で減っていないから被害がないというふうに考えているわけではございませんで、この漁場につきましては非常に影響があらわれて被害が出ているというふうに考えておりまして、私ども公害対策本部と一緒に、これをどうするかということで、公害対策本部の方々と検討をいたしておる次第でございます。
  106. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほど、県にその始末をまかせておるようなお話もあり、県に調査を委託し、その報告を得て御報告になったようでありますが、事いやしくも原因が明確なこれだけの大きな被害を沿岸漁民が受けておるとすれば、致命的なものです。水産庁は、沿岸漁民のこのような壊滅的な打撃を受けておることに対して、公害対策本部に報告をし、公害対策本部が何らかの処置をするであろう、原因をなくすにあるとおっしゃるけれども、先ほどの建設省当局の御答弁によれば、八十八万トンが百万トンになっているじゃありませんか。何ら具体的に解決してない。そういうことに対しては水産庁は何ら責任ある処置を漁民にかわって積極的に推進される必要はないですか。そういうあり方で水産庁よろしいのですか。そういう御答弁だと長官の御出席を求めますよ。
  107. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 私ども直接これの調査をいたしたのではございませんが、委討費を出しまして、静岡県水試が調査をいたした結果を先ほど申し上げた次第でございます。それと、私どもといたしましては、私どもの東海区水産研究所というものがございますが、そこでこれらの調査計画あるいは調査結果の取りまとめにつきまして、これの指導をいたして協力いたしておる次第でございます。
  108. 足鹿覺

    足鹿覺君 静岡県当局が漁民の救済については、あるいはその救済の財源、その他の問題については企業責任者と、あなた方にかわって折衝しておるということで、水産庁はノータッチですか。そういうものですか。
  109. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 水産庁はノータッチというわけでございませんが、直接企業者側と折衝いたしておるのではなくて、県を通じて企業者側と折衝いたしておるという次第でございます。
  110. 足鹿覺

    足鹿覺君 漁民の救済対策について、じゃ公害対策本部はどのような具体案を検討なさっておるのですか。あなた方が推進されなければ、だれがこれを推進するのですか。公害対策本部は現在どういう措置をお講じになっておいでになりますか。
  111. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 公害対策本部は、もちろん本件の問題につきまして、直接いろいろ問題を処理をいたしておりますのは地方団体でございますけれども、地方団体と随時協議をいたしまして、必要なアドバイスをする、あるいはいろいろこちらからこうしたらどうだろうというような相談にあずかっておる立場でございます。もちろんこれは各省にまたがった仕事でございますから、公害対策本部というのはそういう場合の全体の調整役をやる仕事でございます。そこで本件の問題につきましては、御承知のように、当初、外洋投棄という形で問題の処理案が提起されまして、その場合の外洋投棄に伴う漁業に対する影響等につきましては水産庁のほうに調査をお願いするというようなこと、さらにそのことに伴う各種の財政上の処置がございます。そこで大蔵省と折衝いたしまして、起債として七億、県が別に用意しておったものが一億二千万ございましたから、合計八億二千万というような財政上の措置の手当てについて援助をするというようなこと、それがまた御承知のような経緯で、外洋投棄が中止になるということになった次第でございまして、これが判断としては、まあ地方団体の判断で諸般の情勢から中止になったということで、われわれもそれに従ったのでございますけれども、その後いろいろな紆余曲折がございました。この富士川投棄というのは、その最後にたどりついた結論でございますが、各種の案につきまして、それぞれ各段階で協議をして今日に至っているというようなことでございます。漁民の問題につきましても、そのつど、それぞれの段階において水産庁と協議をしてまいったということでございます。
  112. 足鹿覺

    足鹿覺君 お聞きのとおりじゃありませんか。公害対策本部調整官庁であって、具体的なことは水産庁のほうに進めていただく、こういう御答弁ですよ。両方がこっちだ、あっちだと言っているようにとれますがね。そんなのんびりした問題ではないですよ。漁民にとっては死活の問題ではありませんか。この種のものを私がたまたまここで言うだけであって、ほかにも一ぱいあるのですよ。日本の沿岸漁業者は壊滅の状態なんですよ。それに対して水産庁として、今後の沿岸漁業救済の当面の対策と恒久的な公害をなくしていくということは、容易に解決のつく問題じゃないでしょう。当面、漁民に対する救済の方法を講じながら、抜本的な対策を公害対策本部とも協議をし、あるいは関係方面とも協議をし、地方の自治体とも協議をしてなさることはけっこうでありますが、当面の漁民の救済ということについては水産庁が鋭意御配慮になってしかるべきではありませんか。何かよそごとのように聞こえます、私が聞いておりますと。きわめて深刻な問題ですよ。これは一例にすぎませんよ。あげれば一ぱいありますよ。あまりにも事務的な御答弁じゃありませんか。  伺いますが、漁民に対する救済措置は、では、静岡県当局からどういう報告を受けておられますか、伺いましょう。
  113. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 現在具体的な、このようにしてやるということは私ども持ち合わせませんで、はなはだ恐縮でございますが、企業者側においてヘドロを出すのを少なくするという努力をいたしまして、漁業者がそれをまだ納得しないで、もっと少なくするようにということを交渉いたしておりまして、ヘドロを出さない、ヘドロの少なくなる量を多くするように企業者側と折衝中というふうに聞いております。
  114. 足鹿覺

    足鹿覺君 ヘドロを少なくし、正常な海にするということは、御努力になるのは当然なんですよ。これは公害問題の深刻な一つの事例ですから。私の聞いておるのは、当面これだけの大きな壊滅的な被害を与えておる漁民に対する救済措置は、静岡県当局はどういう措置を講じておられるか、どういう報告を受けておられるかということを聞いておる。
  115. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 具体的な報告はまだ受けておりません。
  116. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでよろしいのですか。これは問題になりませんね。そういう水産庁ですか。あなた方みずからが役所の機構上、そう地方自治体を通り越して手を下すということも、なかなかそれは縄張りの関係もあってあるいはむずかしい点もあると思いますけれども、これだけ天下を騒がし、日本における海洋公害の最大の問題になっておるこの地域の零細漁民に対して、何ら水産庁としても具体的な手も打たなければ、救済に対してのアドバイスは公害対策本部にやったと言われますが、どういうアドバイスをなさったのですか。公害対策本部に救済のアドバイスはどういうふうになさったのですか。また、その結果はどういうふうに現状はなっておりますか。
  117. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 救済に対して公害対策本部にアドバイスをしたのではございませんで、これを直ちになくすようにしてほしいという要望をいたした次第でございまして、直接私どもは救済に対して公害対策本部にアドバイスしたことはございません。
  118. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから、静岡県知事におまかせになったようですから、静岡県知事からどういう報告を、経過なり結果を、中間報告を受けておられるだろうかと聞いているのです。それもなさらないのですか。そういう一体水産庁のあり方というものは許せませんよ。何を御指導になっているのですか。調査してその結果がはっきり出ておるのに、この漁民に対する企業責任としてどういうふうにめんどうを見るか、あるいは地方自治体としてもこれの救済、見舞い等の措置を講ずる、国としても清浄な海にすると同時に、この間における何らかの措置はあってしかるべきではありませんか。必要ないという、そういろ御見解に立ってそうのんびりしていらっしゃるのですか。それなら何をかいわんやです。あらためて水産庁のあり方をこれから別の機会に追及いたしましょう。よろしいです、そういう御答弁なら。
  119. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) 藤村水産庁次長委員長からも申し上げますが、水産庁としては、先般の臨時国会で成立しましたあらゆる公害法律を完全に運用をいたしまして、監視体制を十分ととのえて、いまから出る水に対してはできるだけきれいな水を出させる、そういうことに第一点は努力する。すでに汚濁されている水及び底質については七年、八年、十年かかるかもしれませんけれども、水産庁としては再開発、再復旧をする。そうして底質と水等をきれいにして、沿岸に対しまして魚礁その他の魚の住み場をずっとつくっていく。さらにセンター等を利用して稚魚あるいは放流魚を生産して、このつくった漁場に放流して、将来、沿岸漁業の生産を根本的に立て直す。こういう方針でなければいかぬと考えておりますが、ひとつお帰りになりましたら、きょうの内閣委員会の問題を長官ともよくひとつお打ち合せになって、いまのようなどうも無関心であるように聞こえるようなことでは、私自身もはなはだ意外であり、不満でありますから、この点ひとつよく庁内で研究、検討し、さらに根本方針を立てて進まれるようにしなければ、質問者の足鹿委員もいままでの答弁では納得がいかれないと思いますから、適当の機会にひとつ納得のいくような具体案、根本方針ですね、そういうものを整えてあらためて審議をするようなそういう機会をつくりたいと思いますから、さよう御承知願っておきます。
  120. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ただいま委員長からも御指摘ありましたので、公害十四法の特に水質汚濁防止法、海洋汚染防止法、あるいは今度、現在御提案して御審議を願っている海洋水産資源開発促進法等を活用いたしますとともに、具体的な施策について省内で十分検討いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  121. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいま委員長の御発言によっても明らかでありますので、すみやかに——明日も本委員会は開かれる予定でありますので、長官及び農林大臣に復命をされまして、きょうの質疑の状態を、明日、あなたではとうていそういう問題は処理できないようですから、長官または農林大臣の御出席を願って、御報告を要求いたします。この程度で幾ら言っても、のれんに腕押しでありますから、きょうは留保しておきます。  運輸省がおいでになっておるようであります。自治大臣のお見えになるまで一点だけ伺いますが、どなたがおいでになっていますか。——それでは運輸当局についての御質問は後ほどにいたします。  岳南排水路によるヘドロ処理場の建設問題を中心に建設大臣に伺いますが、昨年八月十八日及び十一月十一日の本院建設委員会において、田子の浦の汚染をめぐって岳南排水路による処理場の建設を本年度から実施するという政府答弁があったように思います。本問題に対し、どのような特定公共下水道事業計画を持ち、本年度予算で計上額は幾らであるか、事業を何カ年で実施されようとしておられますか、詳細に承りたい。
  122. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) お尋ねの岳南都市下水路の建設計画でございますが、岳南排水路事業につきましては、静岡県の手によりまして昭和二十六年から実施してまいっております。御案内のとおり管渠事業はほとんど完了いたしておりまして、残っておりますところの終末処理場の建設にこれから重点を置いて実施をいたすわけでございますが、現在の計画では、処理場の建設費が残事業といたしまして九十五億円が見込まれます。このうち、四十六年度から着手することにいたしまして、四十六年は約二十億円の投資額を予定いたしております。これでいきますと、おそくとも四十八年には処理場の運転が開始できると、こういう見通しを立てております。  以上、建設計画の概況を御説明申し上げました。
  123. 足鹿覺

    足鹿覺君 何年に完了いたしますか。
  124. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 昭和四十八年でございます。
  125. 足鹿覺

    足鹿覺君 建設大臣にお伺いいたしますが、これはきわめて深刻な問題でございます。九十六億円の総額予算を御計上になったその御努力は認めないものではございません。本年度二十億円を投じ四十八年に完工ということでありますが、これをもっと短年度に短縮をし、かつ完全なる処理能力が発揮できるようにされることは焦眉の急務だと存じますが、御所見を承りたい。
  126. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) でき得るだけ早く完成するように努力しますが、やはりこの工程のあれがあるようでございまして、単なる金額だけではなかなか一挙にできないような状況があるそうでございます。そういう事情でございまするので、でき得るだけ工程を進めることができるように努力いたしたいと思います。
  127. 足鹿覺

    足鹿覺君 それではどうも。  自治大臣には突然御出席を要求しまして、にもかかわらず御出席いただきましてありがとうございました。実は午前中の質問の際に、下水道問題につきまして受益者負担制度の問題についてお尋ねをいたしました。参事官の御答弁がきわめて不親切かつ内容が空疎でありますので、これは一参事官としてはさようなこともあろうと思うんですが、きわめて大きな制度上の問題でありますので、あえて御出席を願ったわけでございます。御了承を賜わりまして御答弁を願いたいと思います。  そこで、繰り返すようでありますけれども昭和四十一年の国債発行とその後の財政硬直化問題以来、受益者負担なることばがしきりに用いられるようになりました。受益者負担の原理とでも言いますか、真の意味はどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか、自治大臣の御所見をひとつ承りたいと思います。
  128. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) ばく然たる御質問と申しては失礼でございますが、いま出席しまして早々のことでございまして、前後の事情等も存じませんので、あるいはお答えになっておるかどうか危ぶむ次第でございますが、いわゆる受益者負担金というもの、及びこれを課する理由といたしましては、やはりその当該事項につきまして、その土地あるいはその施設等の利用者におきまして、使用上の便益ないしはそういう設備、その不動産なり施設との直結使用等によりまして、そのものの使用上の便益とともに、そのもののやはり利用上の価値が上昇をするというところに一つの受益的な関係が認められますので、その点に着目をいたしまして幾ばくかの負担をしていただく、こういうものかと存じております。
  129. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の見解によれば、受益者負担にはいわゆる開発利益の還元という意味のものと、公共サービスの費用負担の配分の原則、この二つに大体大別できるように思いますが、大臣、いかがですか。
  130. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 私の申したい点を非常に簡潔にお述べ願ったというような気がいたします。全く私は先生と同じように解釈していることを感じております。
  131. 足鹿覺

    足鹿覺君 そういたしますと、受益者負担の本質は、開発利益、すなわち、たとえばそこが市街地として開発されたという場合には、土地の値上がりというものもあるでしょうし、住民の利便による生活の向上、これは計数的にはなかなか困難だと思いますが、まあ一応そういうことが具体的に浮かび上がってくると思います。その他の手数料、使用料、料金等とは根本的に異なったものだと私は思いますが、大臣いかがですか。
  132. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 私も大体そのように心得ます。
  133. 足鹿覺

    足鹿覺君 都市計画法の定めるところ、条文は省略をいたしますが、六条の第二項、都市計画法第七十五条、河川法七十条第一項、地すべり等防止法第三十六条、海岸法第三十三条、道路法第六十一条、住宅地区改良法第二十六条、これらは一例でありますが、港湾法とか漁港法とかあります、まだほかに。同時に、土地区画整理法第百二十条、地方自治法第二百二十四条、これは特に自治大臣でありますから申し上げますが、「普通地方公共団体は、政令で定める場合を除くほか、数人又は普通地方公共団体の一部に対し利益のある事件に関し、その必要な費用に充てるため、当該事件により特に利益を受ける者から、その受益の限度において、分担金を徴収することができる。」とあります。おそらくこの条項によって下水道の受益者負担等はお考えになっておるのではなかろうかと想像いたします。そこで伺いますが、都市計画法第五十九条の規定による認可または承認を受けて行なわれる都市計画施設に対する都市計画事業で、下水道整備事業のほかに、都市計画法第七十五条の規定による受益者負担金を徴収している事業がありますか、あるとすれば具体的にお伺いをいたしたい。
  134. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下水道関係以外につきまして、旧法時代、省令でもって受益者負担金を取るということをきめました例は二、三ございます。これは下水道以外の街路、おもに街路事業でございます。道路事業でございます。道路事業に若干、二、三の例がございましたが、それは負担省令をつくりましたけれども、実際にそれに基づきまして負担金を徴収した事例はございません。
  135. 足鹿覺

    足鹿覺君 それはどういうことですか、ちょっとよく、もう少しそこら辺を、道路法の。
  136. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下水道関係以外に、都市計画事業で受益者負担金を取った例があるか、こういうお尋ねと私は理解したわけでございますが、それにつきましては、下水道以外にはそういう受益者負担金を実際に徴収した事例はございません。
  137. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうでしょう、ないはずです。  そこで伺いますが、下水道の場合、受益者負担金を徴収する根拠を伺いたい。河川法、道路法、港湾法、海岸法等、先ほど列挙いたしましたように、事業法的な性格の法律ではそれぞれ受益者負担金に関する規定がついております。これは定められたことでありますから、これをとやかく言ってみても始まらない。下水道法も事業法的な法律であるにもかかわらず、この受益者負担金規定を明定しないで、都市計画法の規定によってその負担金を徴収する根拠は何に基づくものでありますか、自治、建設両大臣に伺いたい。
  138. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下水道事業都市根幹的な施設でございまして、これは都市計画事業として実施してまいっております。したがいまして、この事業に伴いますところの受益者負担金は都市計画法七十五条に根拠を置いて実施をいたしておるものでございます。  なお、お尋ね下水道法の中にその根拠を明記しなかったのはどういうわけかということでございますが、これは現行の下水道法が昭和三十三年に制定されたわけでございますが、その時点においてもすでに旧都市計画法に基づきましてこの負担金制度を実施をしてまいっておりましたという経緯もございました。下水道法制定のときにそういう点を法制局等とも十分調整をはかりました上、あえて下水道法の中にその根拠規定を設けなかったと、こういうふうに私ども承知をいたしております。
  139. 足鹿覺

    足鹿覺君 事業法的な河川法、道路法、港湾法、海岸法等、先ほど列挙したものについては受益者負担金の明確な規定がある以上、これをとやかくここで論ずるものではありません。ただ一般的な今日までの都市計画なるものは、いわゆる道路に主眼が置かれ、公園とか下水道というようなものについてはあまり今日まで積極的な取り組みがなかった。したがって、あなた方が受益者負担金を都市計画法七十五条に求められることは解釈のいかんでありまして、私どもは納得まいりません。明らかに事業法的な——一方に下水道法というものがある以上、これの明文なくして都市計画法第七十五条によって受益者負担を課せられるということは、違法ではないかもしれませんが、不当なものであると断ぜざるを得ません。そういう見地から両大臣、特に自治大臣には、午前中そういう見地に立って私はあなたのところの参事官に伺ったわけでありますが、「公共下水道事業実施に伴う受益者負担金制度の採用について」、昭和四十年十月二十五日、建設省都市局長、自治省財政局長通達によって、「受益者負担金制度の採用にあたっては、」——この中の抜粋ですよ。「受益者負担金の総額を建設兼業費の五分の一以上三分の一以下とすべきである。」、また略しまして、「これらの都市」——いわゆる下水道整備する都市、「これらの都市に対しては国費の補助及び起債の許可を優先的に考慮する方針であるので、申し添える。」、かような通達が出ておる。このことを私は取り上げたわけです。地方交付税では、下水道事業の新規建設事業費一般会計負担分、全体の約七〇%に対する事業費補正の算入額の約五〇%において受益者の負担金を全事業費の一〇%として控除しております。また、地方債では、毎年の地方債許可方針において、事業の緊要度、事業の効果、受益者負担金等の特定財源の状況及び一般財源の収入状況などを勘案の上許可決定することが掲げられております。さらに、補助事業の決定においても、受益者負担金を徴収している場合を優先するという、ただいま私が抜粋朗読をいたしました補助金優先方針がとられております。このようなことは、地方自治体の意思で受益者負担金を採用するかどうかというのではなく、国の半ば強制によるものと受け取れるように私は思います。そういう意味から参事官にも単刀直入に伺ったわけでありますが、問題は、その地方自治体が地元負担をするならば起債も認めてやる、補助も優先的にやる。これでは、住民の貧富の差、自治体の財政上の貧困の差、いわゆる富める者、富める市、地方自治体というものが優先的に事業施行して、貧しい財政の市町村や貧しい住民は、いつまでも下水道整備に着手できない。法の前に平等でなけらねばならない国民を、このような一片の、しかも自治大臣、よくお聞き取りください。四十年十月二十五日だ、すでにその間約七カ年を経過しております。といたしますと、この間における都市の異常なる消長というものは激しいものがある。概して地方都市における下水道整備地区の混乱状態を起こしているということは、しかも五分の、ないし三分の一という大きな事業費、それを受益者負担をした者には起債も許可するが補助金も出す。出さなければやらぬぞというような半ば強制的なこのような通達は再検討をされて、そして現時点において下水道整備五カ年計画の二兆六千億の問題は、午前中に建設大臣を中心に論議をいたしました。かわるべき財源を御検討になり、そして事業の進捗度に応じて受益者負担をやめて、下水道が使用になった地区から使用料等によってまかなう、こういうことも私は妥当な方法ではないかと、かように思う。で、これはこの「公共下水道事業実施に伴う受益者負担金制度の採用について」というこの点については、もはや急務中の急務である。下水道整備の現時点には間に合わない、相当ズレがある。これを再検討されて、新しい財源調達の方法を考慮されて、受益者負担によらずして、下水道使用料等の問題である程度の収入を補う、このような措置が私は妥当ではないかと思う。根本建設大臣にしても、午前中申し上げましたが、何らかこれは考慮しなければならない、こう言う。たとえば、私が都市計画税というものに重きを置いて、そしていわゆるそれのみに平等に重くするわけにまいりませんから、下水道の使用の可能な地域になった地区から使用料等においてまかなっていくと、こういうふうにして、いわゆる受益者負担があるということについて大臣の政治的な判断を聞いておる。私の質問の趣旨を大臣にお聞き取り願わなきゃわからぬのですよ。君じゃ午前中答弁にならなかったから大臣をわずらわしたのです。したがって、大きな政治的な判断を要する問題なんです、きわめて重要な問題なんです。両大臣のよく御検討をわずらわして御善処をいただきたいと私は思います。しからずんば、この下水道整備計画法というものは、財政力豊かなところからのみ進行して、そしてそれに該当するために無理に地方住民に二重負担を課する結果になる。重大な、税の公平の上からいっても妥当でない結果を招来すると思います。慎重に御検計いただきたいと思いますが、いかがですか。
  140. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 先生の御意図はよくわかります。私も繰り言になって恐縮でございますけれども下水道事業建設省主管とされるところでございますが、この点につきまして、だいぶ考慮いたしたわけでございます。現状ではなかなか理想案どおりいかれないという点も考慮いたしたわけでございます。この点につきましては、いま直ちに受益者負担の制度をやめるというわけにもいろいろな点からいかぬと思いますが、建設大臣、その他関係の方面ともよく研究、検討をいたしてみたいと、できるだけ御趣旨に沿うような趣旨において検討をしてみたいと、こう考えております。
  141. 足鹿覺

    足鹿覺君 建設大臣、いかがでしょう。もう一ぺん、いまの自治大臣の御見解に対して。
  142. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 午前中にお答えしたのでもう尽きると思いますが。
  143. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこにおいでになるので、一緒に……。
  144. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いま自治大臣が御答弁されたと同じに考えております。これはただやめるというわけではこれはできませんから、何かかわるべき、そうしてもっと住民の方々の理解をしやすい形の財源措置等も考えて、それによって問題を解決するように努力したいと、こう考えております。十分関係方面と協議の上、善処したいと思っております。
  145. 足鹿覺

    足鹿覺君 十分にひとつ御検討をいただきまして、この場ですぐにどうするこうするということを私は申し上げておるのではございません。きわめて重要な問題でありますから、でき得る限りすみやかに御善処をいただく。私の真意をよく御了解いただきまして、両大臣からただいまの御言明がありましたので、すみやかに実現することを期待いたします。よろしくお願いいたします。  そこで念のために、それまでの間にひとつ問題点を指摘してみたい。受益者負担の従来の例を調べてみますと、著しく利益を受ける者がある場合ということばがあります。この著しく利益を受ける者がある場合、これはいかなる場合か。その利益を受ける限度、尺度は何によってはかるのか。この限度は、著しく利益を受けるという法律の規定に設けられたこの字句等とも関連があります。でき得る限り受益者負担の幅をまず縮めるということにおいて、これは関連があるのでありますので、御検討を願いたいと思います。  そこで、下水道という社会並びに生活環境整備については、その地域住民の健康にして文化的な生活に必要欠くべからざるものであることは、都市居住者としては上水道事業と全く同断であるべきものだと思います。上水道事業地方公共団体によって当然営まれなければならない行政であるならば、当然、下水道も同様であるべきだと私は思います。明治、大正時代の都市化が未熟で、しかも、国民生活様式が都市のふん便を農村に還元する時代ならばいざ知らず、午前中も建設大臣が言われましたように、農村の下水道化も必要であり、検討されるというおことばがありました。まさにそのとおりだろうと思います。このような現時点において考えた場合に、上水道と下水道とは一体としてとらえられなければならないサービス事業であるはずだと私は思います。したがって、利用料制度、手数料制度、料金制度ということなら、ある経度高くても私はわかる。そういう見地から、農業経営は過去のいわゆる人体の排せつ物、あるいはごみその他のものを堆肥化し、あるいは肥料化する、これを大地に還元して循環をする、こういう上に立って長い間日本の下水道対策というものが、農業とともにおくれてきた歴史的な経過がある。外国の場合は、上下水道を同時に布設して、そうしてこれを管理するという方針がとられている。したがって、アスファルトの舗装をし、水道もガス管も、あるいは電話線の埋設もすべて終わったものを掘り起こして、下水道を敷くわけでありますから、そのロスや困難度は異常なものがあることは言うまでもあり、ません。したがって、私は安易に考えておりません。きわめてその実情についてはいま私の地元で深刻に悩んでおりますので、このようなロスを少なくとも最小限度にこれをとどめて、先手にこれを切りかえていくということになりますならば、下水道整備計画というものの進度は著しく進んでいくだろう。その辺の行政当局の腐心と対策というものは、私はこの際十分やらなければ、後手後手となると思います。したがって、それが受益者負担制度につながる場合はますますかさまってくる、こういうことになる。そういう点を十分留意をされまして今後対処していただきたい、かように思います。私のこの言い分、このような認識なり発言が間違っておるとは思いませんが、いま言ったような御認識で御対処いただけますかどうか、御所見を承りたい。
  146. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま御指摘になった点は、全くわれわれも同感です。その意味で、私は前から主張しておるのは、やはり理想的には共同溝を整備すれば、これは一時は金がかかりますけれども、非常によろしいのです。ところが、現在ではそれに対応する制度がありませんためになかなかこれが進みません。そこで、私は提唱いたしたいのは、いまの社会開発銀行みたいなものをつくるべきだという主張だったのです。都市改造をいままでの補助金あるいはいまの負担金でいくことは、これはもうなかなかむずかしい。そこで、これは私の個人的な主張で、まだ十分に関係方面、閣僚の合意を得ておりませんけれども、日本開発銀行を改組してもいいじゃないか。そうしてこの都市再開発、地域開発、それからいまの交通とか、公共料金がきめられているようなものについては財政資金を貸し与えることによって、そうして基本的な対策を講じていく。そうしてこれを利用する者からはいまの使用料その他で還元していくと、こういうことが、現在のこの都市化している現象においては必要じゃないかということで、実は二、三の関係閣僚の方にも御検討をするように申し入れてもおります。まだ機が熟しておりませんけれども、漸次こうしたことが世論の支持と関係方面の理解もだんだん深まってくるようでありまするので、できれば——そうした金融財政上の措置がないとなかなかこれは進まないようであります。すでに私は十三年前もこの共同溝なるものを提案して、ほんの一部ずつやっています。けれども、結局資金の問題で行き詰まり、それからいまこれを利用するほうでも、ガス会社、それから電電公社、それにいまの下水、それに上水道、それから電気等もございますから、そういう構想で今後も進めてまいりたいと思っております。
  147. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 先生並びに建設大臣からお話しのありました共同溝の構想をも含めまして、御教示の点につきましては十分留意をいたしまして、関係方面とも検討をし、御趣旨になるべく沿い得るよう、いろいろ積極的に進めて、研究をしていきたいと思うわけであります。
  148. 足鹿覺

    足鹿覺君 まだ、いろいろとこの問題については具体的な事例なり、それに基づく質疑もありますが、御誠意のある御答弁と受けとめまして、受益者負担金問題については御善処がいただけるということでありますので、この程度にとどめます。  自治大臣おいでになっておりますので、関連がありますから、補助率の政令についてひとつ御検討いただくべくお尋ねをいたしますが、下水道法第三十四条で、公共下水道等に関する国庫補助の規定があり、補助率を政令に譲ってありますが、すでに十有余年を経ていながら政令を定めないのは、私をして言わしめれば法律違反ではないか。通達によってある程度裁量と行政指導をなさっておられる。しかも、これは三分の一と五分の一という非常に大きな幅であります。三分の一、一ぱいとられたら住民はたまったものじゃない。とてもやり切れない。したがって、下をできるだけ下げて上限を切る、こういう、ふうな姿勢で、その不足財源を補助率に当座として求める必要が出てくると思います。いたずらに無原則に事を処理することは許されません。無責任なことは私は申し上げておらぬつもりであります。そういう点で、補助率を政令に譲っておきながら、十数年間も政令で定められないということは、私はあまりにも行政当局の恣意性ではないか。少なくとも、法律違反と言いたいが、怠慢である。あるいは意図あってこういうことになっておるのか、そのいずれであるかは知りませんが、いつ政令をどのように定められますか、その点を伺いたい。
  149. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のように、政令ができていなかったということは、まことにこれはいろいろ御批判を受けるのも当然のことだと思います。事情を聞いてみますと、御承知のように、従来、下水道事業市町村の固有事業みたいになっております。ほとんど市町村が、非常に小規模のものが多かったようであります。そうして国の補助も非常に少なかったので、そこで固定してしまうとかえって下水道発展に対してむしろブレーキをかけるんじゃないかという行政当局の考え方があったらしいのです。そういうことでずっとおくれてきたのでありまするが、最近の都市化の急速な進展、それから国民意識の向上等、そういうことから、少し大きくこの下水道整備計画を立てまして、午前中にお話し申し上げましたように、実は経済企画庁で考えておられました総合投資よりも少し上回ってわれわれのほうで立案をし、そうして関係方面の御理解を得て、今度新しい五カ年計画を策定したわけであります。したがいまして、御指摘の政令は、いますみやかにつくり上げるために準備中でございまして、いつごろできるか——五月一ぱいごろには関係方面との意見調整もできて、実施できるというような段階でございます。
  150. 足鹿覺

    足鹿覺君 いただいた「下水道事業の動向」というものをしさいに私も勉強してみました。ぜひその政令を定められる場合は、いままで私が意見を交え御質問を申し上げた趣旨に逆行しないような前向きのものでぜひ御検討をいただきたい。都市局長、そういうふうに理解をしていただいて御善処いただけますか。
  151. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 財政当局、ことに自治省とのいろいろな調整問題がございますが、御提案の御意見等も十分に私も参考にさしていただきながら、前向きで検討していきたいと思います。
  152. 足鹿覺

    足鹿覺君 自治大臣、この政令の問題は、交付税の問題とか、いろいろな地方自治体との関連が出てきます。したがって、いままで私が述べたような趣旨に基づきまして、いわゆる貧弱町村がおくれをとらないようなそういう慎重な御配慮、愛情に満ちた公平な御措置をぜひ御善処いただきたいと思います。  これに建設省がみずから自己批判をしておいでになることはまことにけっこうでありますが、この四二ページに「下水道建設および維持財源」の問題で、「たとえば、昭和四十三年度の実績をみると建設事業費のうち国費の占める割合は二二%に満たず、大部分は起債、都市計画税を含む一般市費によってまかなわれていることからも明らかなように、現在国費の実質的な補助率は十分の四をはるかに下まわっている。このことは、国が下水道事業に対する国の責務をはたし得ずにいることを示すものである。」かような自己批判をしていらっしゃいます。だから、私は建設省当局が非常によく自己批判をしておいでになるということもわかります。「一方、維持管理費についてみると、本来通常の維持管理のための費用のほかに起債の償還費の一部も受持つべき性格を持つ使用料が維持管理費にも達していないことが指摘される。」こういうふうにちゃんと自己批判をしていらっしゃいますから、政令策定にあたっては、大蔵省、自治省、特に利害関係の深い町住民に直結されている自治省も十分御負担になって、少なくともこの自己批判をステップにして大きく前進する補助率の政令を策定されんことを御要望いたしますが、これは大事な問題ですから、建設大臣どうですか。
  153. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 政令をつくるときには十分考慮いたしますが、これは実は建設委員会でもいろいろと議論がありまして、そのときに補助率、補助対象、これを増加するようにという御決議もございました。漸次それはやっていきますけれども、一挙にやるということになると、今度は事業量のほうで相当の今度は圧縮を受けますので、まず最初は事業量を大きくし、それからその次に補助対象を大きくし、それから補助率というふうな、段階的な戦術をとらざるを得ないということを御説明して大体の御了承を得ておるところでございますが、御趣旨の点は全く同感でありますので、その趣旨に沿うて政令をつくるように努力いたします。
  154. 足鹿覺

    足鹿覺君 了承いたしました。  下水道問題の最後の質問でありますが、下水道事業の必要性と相まって最近特に下水道技術者の不足が目立つ、かように私は受けとめております。その数は全国一万五千人程度と言われておりますが、技術者の確保対策についてはお気づきになっておると思います。この資料を拝見いたしましても、執行体制とか、あるいは技術関係とか、いろいろ触れていらっしゃいます。そういう点で、幾ら二兆六千億の計画が組まれましても、いまの貧弱なこの技術体制ではとうてい迅速、早期に目的を達成するということは困難だと思いますが、いかような措置を講じていらっしゃいますか。これを最後にお尋ねをして、運輸省も見えたそうですので、下水道問題の問題点を終わりたいと思いますが、御答弁願いたい。
  155. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下水道の技術者の現況は、私のほうで調べましたところ、建設関係が三千七百名、維持管理関係三千二百数名、計約七千名をちょっと下回る現有勢力でございまして、今後五カ年計画等を進めていくためには、私どものほうの見込みでは、少なくともこの現在の技術者の二倍程度の技術者を確保しなければならないというような見通しを立てております。まことにこれは容易ならざる問題でございまして、人の養成でございますので、そう短兵急にできるものではございません。そこで、私どもはこの下水道の執行体制を確保するという上におきましての一番重要な問題としまして、今後この技術者の養成確保に全力を注いでまいりたいと、かように思っております。具体的には、まことにありふれたことではございますけれども、現在の職員の研修を強化いたしますとか、あるいは講習とか、そういう意味におきますところの、いわゆる技術レベルの向上をはかるということもやっていかなければなりません。また下水道につきましては、この技術者が全国を見渡しまして大都市地域に偏在をいたしております。これから中小都市にも下水道事業が展開されます。したがいまして、大都市に偏在しておりますところの技術者を全国的にプール的にこれを活用する、そういうふうな方法はないものかどうか、そういうことも当面の一つの課題といたしまして取り組んでまいりたいと思っております。それから、民間のコンサルタントの活用ということも技術者不足を補う一つ方法かと思います。あらゆる角度からこの問題に取り組んでまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  156. 足鹿覺

    足鹿覺君 下水道問題はまだこの法案そのものに直接つながっている問題がありますが、本省の下水道課が下水道部になったからといって私は推進体制が強化されたとは思いません。しかし、このことそれ自体は私は別に多くを触れませんが、いま局長の申されましたこととタイアップして、そうして地方自治体のいわゆる体制が並行して進まないと、課を部に昇格されても計画倒れになる、そのことをしかと申し上げておきたいと思います。  港湾問題だけを運輸当局に申し上げて、あとは二、三建設大臣富士川ヘドロ投棄問題でお尋ねをして私の質問を終わりますが、田子の浦のヘドロ堆積状況は現在百万トンに達しておると先ほど御説明がありました。そこで運輸当局に伺いますが、港湾投棄で、機能上から見た機能低下の現状分析はどういうことになっておりますか、お伺いしたい。
  157. 西村俊之

    説明員(西村俊之君) ただいま御質問の港湾におきますヘドロの堆積状況、これにつきましてまず最初に御説明したいと思います。今年の三月十三日現在、推計をいたしまして九十五万立方メートル、トンにいたしまして、まあ比重が一に近いわけでございますので、約九十五万トン堆積しておるという結果になっております。こういう堆積の状態でございまして、現在田子の浦港の港湾の機能阻害の程度につきましては、貨物船の入港につきまして、水深が一番浅いところで三メートルから五、六メートルという程度になっておりまして、堆積状況も五、六メートル堆積しているのではないかという状況でございます。このために小型船の入港に支障を生じておりまして、現在ではほかの港で一部陸揚げして入港しておるという状態でございます。船型で言いますと、貨物船で言いますと、従来一万トン級のものが五千トン、それからタンカーでございますと、二千トンないし一千トン級のものが七百トンから六百トン級になる。まあそういうことで、小型船を利用しなければならない状態でございます。で、現在のバースの状況でございますが、全体で二十一バースでございます。使用可能なものが二バースでございまして、使用不可能なものが五バースでございます。その他のものは能力が一部阻害されておるということで、先ほど申し上げました船型を小さくすることによって利用いたしております。  それから港湾の取り扱い貨物量でございますけれども、これはいま説明いたしましたようなことによりまして、昨年の同じ期間と貨物量はとんとんである、あまり変わっていないという状態でございます。  以上でございます。
  158. 足鹿覺

    足鹿覺君 本年三月、九十五万トン、先ほどの話では百万トンという話でありましたが、まあいずれにしましても百万トン程度のものがあると想定される。これを完全に排除するためには日子はどのくらいかかり、経費は本年度予算に何ほど計上されておりますか、見通しを承りたい、具体策とともに。
  159. 西村俊之

    説明員(西村俊之君) 四十五年度に八億二千万の費用で富士川河口にこれを排出するという計画で、進めてまいって、県当局が進めてまいっておりますが、それがおくれまして、現在近いうちにその工事を開始するという段取りになっているわけでございます。で、四十六年度の工事につきましては、その工事の結果を見まして、工事の計画を具体的に詰めていきたいということになっているわけでございます。
  160. 足鹿覺

    足鹿覺君 工事の進行状況を見てきめると言うが、予算は何ぼですか。
  161. 西村俊之

    説明員(西村俊之君) 予算につきましては、私のほうでまだ聞いておりませんけれども、現在の工事の状況実施状況を見まして今後の予算の詰めをしていきたいというように考えているわけです。で、まだ現在なお技術上の問題点がございまして、実際にああいうヘドロをポンプ船でやろうということでございますけれども、はたしてうまくいくかどうか、やってみないとわからない点もございますので、やった上で考えたいということでございます。
  162. 足鹿覺

    足鹿覺君 予算もなしに行き当たりばったりにやってみようというのですか。予算は幾らであり、見通しとしては何年かかればこれが除去排出ができるかということを聞いているのですよ。
  163. 西村俊之

    説明員(西村俊之君) 現在やろうとしておりますのは、四十五年度の事業でございます。で、多少おくれておりますが、その結果を見ませんと、どのくらいの日子がかかり、どれだけの費用がかかるかということがはっきり出てこないということでございますので、そういう問題を解決した上で考えていくということになると思います。まあそういうことでございますので、これが六十万立方メートルぐらい残るわけでございますけれども、どのくらいの費用で、どのくらいの見通しでこれが解決できるかというめどについては、私どももまだ持っておりません。
  164. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは少し無責任というか、ちょっと理解がしにくいのです、これだけの大問題について。富士川の河川敷に三十万トンすでに投棄しているでしょう。その上にまだ九十五万トンあなたはあるとおっしゃった。  それでは聞きますが、八億二千万円かけて何トン排出したのですか。それから推定して何年の日子があればこれがどうなるかという、その見当も立たぬという、そういう答弁はありますまい。きょうのあなた方事務当局の答弁は、内閣委員会に対してあまりに軽視してはいませんか。そういうおざなりな答弁では了承できません。調べてきなさい。運輸大臣にかわって言ってもらいますよ。
  165. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) いまの点お答えいたしますが、いま九十五万トンと申しましたのは、現在ある堆積量でございます。それからその富士川に三十万トンと申しますのは、これから作業をして富士川へこの三十万トン投棄しようということでございまして、いま御質問では、三十万トンはすでに行なわれて、なお九十五万トン残っているというように聞こえたのでございますが、そうではございません。そういたしますと、まだ三十万トン富士川で処理をいたしましても六十万トン確かに残るわけでございます。そこで、それを今後どう処理するか。先ほど、ちなみに八億二千万円と申しますのは、その三十万トン処理に要する金額でございます。ただしその八億二千万円は、御承知のように非常にこの処理の方法論をめぐって問題がございまして、当初外洋投棄という形でこの問題を考えたわけでございます。そこで、それが最も経済的に三十万トンを処理するのに八億二千かかかるという金ではございません。それから残りの六十万トン残ったものを今後どうするかということでございます。のみならず、さらに今後排出するものもあるわけでございますから、それがさらに累積していくということになるわけでございまして、それをどうするかということにつきましては、いま運輸省のほうからもこの話がちょっとあったのでございますけれども、今後どういう形でやっていくかについては、まだ残念ながら十分な成案を得るまでに至っておりません。で、一つ方法論は、もちろん富士川をさらに使ってやっていくという方法もございますけれども、これはまだ、先ほど申しましたように地元住民の了解の問題もございますし、さらに現在の方法が一番いい方法であるかどうかということは、今後この三十万トンを処理いたしまして、そこでその結果を十分踏まえた上で判断をしなければならないというような問題がございます。  しからば他にどういう方法があるかということでございますが、問題は、湾内のヘドロというのは非常に多くの含水率を、水を含んでおるわけでございまして、その含水率を取るということ、それが処理のポイントでございます。そこで、たとえば脱水機を使ってそのヘドロの脱水をする。これを、現在湾内のヘドロは九〇%ぐらいの含水でございますが、七〇%ぐらいに脱水すれば、容量は三分の一に減るわけでございます。そこで、その脱水機を使って処理するという方法が有力な案として考えられると思います。ただし、この場合にはまた海中のヘドロでございますから、硫化水素を取る問題あるいは機械の腐食の問題等がございまして、その辺の技術的な検討が必要である。かたがた、夏にかけますとこの硫化水素が出ますので、この作業は中止せざるを得ません。そこで、まあその間に今後どういう方法でやっていくかということを十分検討したいというのが、現在われわれと県当局との間で持っておる腹づもりでございます。したがいまして、いま厳密にどうするかということは、県当局もわれわれも十分な成案を得ておらないということでございます。
  166. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうすると、技術的な対策というものもまだどうしたらいいかという具体的な見込みがない。したがって何年かかったならばこの海が正常化するということは、一応堆積したものを何とするかという見通しもつかぬ。しかるに、港則法違反で裁判が行なわれておりましたが、その後の状況によれば不起訴処分と、私はこれはやがて他の委員会で追及をしたいと思いますが、現に二十一バースある岸壁中、完全使用可能は中央埠頭二バースだけだ。使用不可能が二バースある。小型船による使用可能地が四十五年八月三十一日に十四バースある。大同小異のこれは御説明がありました。確かに港湾機能を低下し、麻痺状態におとしいれておる。これは明らかな事実である。しかし、これが以前からの意図的になされたものでないので、いわゆる港則法違反にならない、不起訴処分だということになり、弁護団のほうで現在対策を検討しておるということでありますから、これ以上申し上げませんが、その技術的な排出作業の見込みはいつか。いま話を聞いておると、いつのことかさっぱりわからぬ。しかも富士川三十万トン分に八億二千万円かかる。そうすれば、百万トンとなりますと約三十億かかる。富士川に投棄することについてはこれからお尋ねいたしますが、たいへんな迷惑と障害を地方自治体なり国なり地方住民にかける。漁民については、先ほど委員長みずからが水産庁の答弁に不満の意を表せられ、具体的な示唆を与えられてやっとおさまりがつくような状態、総じて公害対策本部のヘドロ対策というものは国民の期待に沿ってない、かように私は断定してはばかりません。したがって、この問題については最終的な総括質問の際までに、どれだけの経費とどれだけの技術的な方法、仮定でもけっこうです、何年後にはこの港湾機能を復活し、そして正常の海にはならないが、これ以上汚濁させない、堆積したものは完全排出する、その経費は何ぼかということを明日のこの委員会に御報告を要求いたしますが、委員長いかがでしょうか。
  167. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 先ほども申し上げたのでございますけれども、いまのお尋ね、確かにごもっともなことでございます。われわれもそういう方法論を見出すべくこれまで努力をしておったのでございますけれども、現段階においてどういうことを、どういう方法が一番適当であるかということについては、残念ながら十分見きわめがついておりません。  それから、先ほど三十万トンの処理に八億二千万要ると申しましたのは、やや詳しく申しますと、これは当初外洋投棄を考えたわけです。外洋投棄を考えたために、それまで外洋まで行かない船を外洋投棄用に改装をいたしまして、さらにこの硫化水素対策というのが必要でございますから、そのための装備を厳重にいたしたわけでございます。それで、さらにそのチャーター料等が非常にかさむわけでございますから、そこで、富士川に投棄ということが初めからあって、そのために最も経済的な方法として三十万トン処理するためには、もちろんそれだけの金はかからないわけでございますが、そういうこれまでのいろいろな紆余曲折の経緯があった結果でございます。それでございますから、それをもって全体の百万立米を処理するのに幾らかかるかということを推定することもこれはできませんし、おそらくわれわれの現在県当局と討議をいたしておりますのでは、脱水機を特別につくりまして、これも海水の腐食に耐えるものをつくらなければならないのでございますけれども、その辺の技術的な検討をやってからということになります。それからまた、先ほど申しましたように、夏の間は作業はできませんですから、その間に十分検討してみたいというこういう考えでございまして、いままでは、こういう事態に際会したのはもちろん初めてでございますから、富士川の投棄ということにたどりつくまでに非常に関係者の間の紆余曲折があったわけでございまして、これだけもちろん天下の耳目を集めておきながら、はなはだなまぬるいのではないかというお気持ちもおありだと思いますのですけれども、現状はそうでございまして、いまここで御要求の資料を出すことはちょっとむずかしいと思います。
  168. 足鹿覺

    足鹿覺君 公害対策本部長は佐藤総理だそうでありますので、佐藤総理の出席を求めたいと思うのでありますが、これだけの天下の耳目を聳動した大問題でありますから、総理を求めたいのでありますが、きょうは山中長官も御出席ありませんし、山中長官に明日はこの委員会に御出席を願った上で、あなた方事務当局の答弁で私はさようでございますかと言うわけにはまいりません。したがって、総理府総務長官、公害対策副本部長の御出席を得た上でさらにこの問題は質問をいたすことにいたしまして、一応留保しておきます。  そこで、私だけで、私のほかには質疑者がわが党ではないのでありますので、委員長、ひとつもう一点、富士川河川敷へのヘドロ投棄問題でありますが、田子の浦のヘドロは百万トンといわれ、ただいまは運輸当局は九十五万トンと言われた。このうち三十万トンが富士川河川敷に一時的にもせよ投棄することを認可した。建設大臣は河川という公共用物、大体河川流水の清潔という観点から、ヘドロの処理方法に対してどのような見識を持って対処しておられますか、伺いたい。
  169. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおり、河川法二十八条、二十九条、これの政令が今度つくられまして、御指摘のように水質を清潔に保つ、河川流域の状況を良好にしておくということの責務を河川管理者は持っております。しかし、先ほど来足鹿さん御自身が御指摘なさっておるとおり、ヘドロ問題が非常に大きな社会問題化してきておる。そうしていろいろの方法を講じたけれども、なかなか適切な措置ができない。それでいろいろ検討してみた結果、一定の条件のもとにこれを一時暫定的に脱水し、あるいは硫化水素等、有毒物を排除した上、河川がはんらんしてくる時期まで一時そこに置くということについては、より幅の広い公共の利益のためにこれはやむを得ないというような判断を下したのであります。そのために、前提条件として、その地域住民がこれに納得してもらうということ、それから、そこに堆積することによって第二次公害が発生しないという専門家の認定と申しますか、それが得られる、それから漁業関係に被害を及ぼさない、そして河川のはんらん時期までそこにしばらく置くが、その後にはそれを撤去する、こういう前提であるならば、これは大きい立場から見てやむを得ない、こういうような判断を下したというわけでございます。
  170. 足鹿覺

    足鹿覺君 その御判断の当否は別としまして、換言すれば企業のしりぬぐいですね。企業の生産活動に伴う廃残物であるものを公共水域にたれ流しを放任した責任は、建設大臣は一体だれにあると御判断になりますか。
  171. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 責任といえば、これは通産も、それから建設省も、いろいろこれは責任を明確に追及すれば、そういうことになると思いますけれども、私が聞いているところによると、もともと岳南排水路にこれを流して終末処理をやるんだということを建設当局は前から持っておった。ところが、これがなかなか県その他関係者の間にその合意が得られないためにこういう事態になってきた。従来、何と申しますか、日本では何でも川に流し、そして「水に流す」ということばがあるように、河川とか海に流せば自然にその間に浄化されるという、これは迷信でしょうか、そういう慣習があったことがこういうふうになったと、こう思われます。しかし、いま過去のことを幾ら言ったってもとに返るものでありませんから、現在いかにしてこれを処理するか。それで海洋投棄ということがそのために最初とられたのでありますが、これに対して漁民の方面からの非常な抵抗があってこれができなかった。それじゃあのまま陸上に持ってくるかというと、そういう適地はない。苦心惨たんした結果、相当分脱水して、一時的にあそこを貸してもらって、その間に適当な措置をするということでありますから、われわれのほうとしては、本来は河川法の立場からこれは好ましくないことです。好ましくないことですが、みんながそういうふうに拒絶ばかりしていると問題が解決しないで、かえって事態を非常に深刻化する。そこで、やはりベストではないけれども、まあある程度までがまんして協力しなければならないということでございまして、まことにこれは好ましいことではありません。好ましいことではないが、これなくしてはいまのところ他に方法がない。完全な解決策ではないが、びぼう策としてもこれ以外に方法がないとすれば、関係方面の理解の上に、暫定的にこういう措置をとるのもやむを得ないという判断をした次第であります。
  172. 足鹿覺

    足鹿覺君 河川管理者は、河川に対する行為の禁止、制限及び許可の規定を河川法二十九条で明確に規定しておりますが、しかし、政令は去年お定めになったのですね。したがって、いま大臣がおっしゃるように、問題になる以前の問題であるから水に流すという苦しい御答弁のようですが、なぜ昨年まで政令を放置しておかれたのでありますか。それは大臣の責任でありませんか。
  173. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 去年の予算委員会でこれが問題になりまして、さっそく私が閣議で、これは当然すみやかにやるべきだ。ところが、従来、政令をつくるにあたって関係省庁との意見調整がなかなかできなかったのです。そのためにこの政令がおくれておったということは事実です。これは農林、通産、自治、みんながこれは関係がございまして、その合意がなかなかとれなかったそうであります。しかしこれには、そういうことで、各省がそれぞれの立場はあるでしょうけれども、お互いに自分の立場だけを主張するようなことであってははなはだ遺憾である、どうしてもこれは政令をつくるべきであるから、これはぜひそういうふうにしてほしいということを閣議で数次にわたって私が主張し、関係閣僚の合意を得て去年できた、こういういきさつでございます。
  174. 足鹿覺

    足鹿覺君 河川法第二十九条及び同法施行令第十六条の四、第十六条の八の規定によると、河川の流水の方向、清潔等について、河川管理上支障を及ぼすおそれがあった行為で、しかも土石、ごみ、ふん尿その他汚物、廃物を捨てることを禁止し、かつ、汚濁されるおそれのあるものが付着した物件を洗浄することや土石等を堆積する行為についても許可が必要であると規定されております。ヘドロを富士川下流の河川敷に投棄することを認可した根拠は、建設大臣はきわめて常識的な御見解を述べられましたが、今後専門家の意見や学者等の意見も徴していかれるのですか、すでに徴せられたのでありますか。技術的な根拠を基礎に置いてこれを許可されたのか、されようとしているのか、すでに許可になったのですか。なったとするならば、その技術的根拠、基礎を具体的にお聞きしたい。
  175. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) ただいまの件につきましては、昨年の十月の末に、静岡県の知事から富士川の河川敷の使用をいたしたいという協力の要請方が口頭でございました。その後公害対策本部のほうでもいろいろ検討の経過があったようでございますが、やはり次善の策として、公害行政の全般から見てやむを得ないので、ひとつ協力してもらいたいというような話がございました。さっそく私どものほうで土木研究所の技術者等を動員いたしまして静岡県を指導いたしまして、いろいろ問題点について技術的な検討をいたしたわけでございます。手続的には、本年の二月二十七日に静岡県の知事から申請が出てまいりました。これは河川法の二十四条、二十六条、二十七条並びに二十九条、先ほどの政令の十六条の八に該当するわけでございますが、そういったことを踏まえまして、静岡県の知事から許可の申請がなされたわけでございます。  で、その後最終的に、公害対策本部等の意見も徴した上で、私どものほうでやむを得ないということで三月の六日に許可をいたしました。その間に検討をいたしました技術的な問題といたしましては、やはり二次公害を発生させないといいますか、できるだけそういったものを局限するというような措置がなされ得るかどうかというようなことで、第一点につきましては、やはり田子の浦から船に積み込むときのポンプで吸い上げる時点あるいはまたこれを富士川の河川敷に排出する時点での硫化水素等の臭気の防止でございます。これにつきましては、消石灰等を入れたり、あるいは消臭剤を添加いたしまして、大体押えられるというような見通しが立っております。  それから二番目には、現在の田子の浦にありますヘドロの中には、若干カドミウムあるいは水銀等の重金属を含んでおるわけでございますが、これを脱水しましたあとの浸透水の中にそういったものがございますと、これは地下水等にやはり影響を与えるおそれがございますので、そういった脱水されたあとの水についての水質の問題がないか。こういうことが第二点でございます。この点につきましては、大体現地にございます河川敷の構成しております材料を踏まえまして、水槽等で模型実験をいたしまして、その結果に基づきまして、静岡県のほうで分析をいたしました成果によりますと、大体健康上害を与えるような金属類は認められないというようなことでございます。  それから第三点といたしまして、はたしてそういった脱水したあとの水がどういう経路をたどって海に行くか、あるいはまた堤内地に行くか、こういうような拡散の問題が一つございますが、これにつきましては、現在の富士川の左岸の地下水等の流れのぐあいを過去のボーリング等いたしました資料を勘案いたしまして、私どもの土木研究所のほうでいろいろ地下水の流れ等について計算をいたしておりますが、それによりますと、東海道線の上部から富士川の左岸の堤内地に地下水が補給をされておるわけでございますが、それが河口付近では川の中心あるいは海に向かって千分の一程度の勾配で大体流れておるというような状況でございますので、まずこれが堤内地に拡散するということは考えられないのじゃないかというようなことで、堤防からかなりの距離を離してそういった処理をすれば、まずだいじょうぶじゃないか。なお念のために、現在使っておりまする堤内地にはかなりの井戸水を使っておるところがあるわけでございますけれども、そういったところにつきましては、井戸等を掘って常時水質を監視する、こういうようなことを条件にいたしまして、指導をしてきたわけでございます。したがいまして、まあ必ずしも正常な水になって海に流出するわけではございませんけれども、まず考えられるような二次公害というのは発生しないのじゃないか。  なお、私どもだけでは判断をいたしかねます水産等の問題につきましては、これは公害対策本部を通じまして、水産庁等の検討の結果も、まずそういった点については差しつかえなかろうというような判断をいただきました上で許可の処置をとった、こういうことでございます。
  176. 足鹿覺

    足鹿覺君 長期間投棄、堆積させることは、地下水の影響も慎重に検討したということでありますが、心配はないという断定はつきませんね。と同時に、いよいよつゆ期に向かってまいりますが、河川の洪水等を発生する場合も想定される万一堤防が決壊したときにはたいへんなことが発生をいたします。政府の責任でこれはおやりになることでありますから、その責任は今度は免れることはできません。つまり、通産省もおいでになっておると思いますが、カドミウム、水銀も含まれていると、いま河川局長は言われましたが、このヘドロについて、第二次公害が富士川河川敷に投棄することによって発生しないと断定を下す根拠がありますか、断定はできますか。断定した場合に、もし万一の場合は、その影響があらわれたならば、これは河川管理者たる建設大臣の責任問題を招来します。それでよろしいですね。
  177. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) ヘドロの中には、先ほど申し上げましたように、若干重金属の存在が認められるわけでございますが、実験によりますと、それはヘドロのいわゆる濃縮されたかすの中に残るのであって、浸透水の中にはそういったものは検出されない、こういうことでございます。したがいまして、そういった重金属類については、これが伏流水となって悪影響を及ぼすということはまず考えられないと思います。なお、それにいたしましても、そういった浸透水がどういうような動向を示すかというようなことにつきましては、先ほど申し上げましたようなことで、大体河心の方向に向かって地下水の勾配がついておりますので、本来の富士川の河川水とやはり希釈された形において海に放流されるのではなかろうか。したがって、在来よりは非常に条件的にはよくなるように私どもは判断をいたしております。なお、万一拡散をいたすというようなことも、やはり可能性としてないというわけではございませんので、これにつきましては堤防沿いに観測井を掘りまして、常時水質を観測をして、異常があればそういった投棄を中止するなり、あるいは取水を別の水源に切りかえるとかいうような処置は静岡県のほうで十分とる、こういうようなことになっております。  それからなお、河川の管理上、これは出水期のことでございますけれども、これにつきましては、現在の許可期限を五月三十一日ということにいたしまして、梅雨期に入りますまでに残りましたかす、しぼりかすのヘドロについては、これは撤去をする、こういうことを条件にいたしておる次第でございます。
  178. 足鹿覺

    足鹿覺君 幾ら言ってもあなた方はやると、すでに許可をしたと言います。そこで、許可の根拠が明確でない。建設大臣の河川管理上の基本姿勢について私は最後に伺いますが、河川法上から見ると、企業汚濁物に対する許可責任についてであります。河川法第二十四条「(土地占用許可)」及び昭和四十年建設事務次官通達による「河川敷地占用許可について」の河川敷地占用許可準則、河川法第二十九条「(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止、制限又は許可)」及び同法施行令第十六条の四「(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止)」、同第十六条の八「(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の許可)」、いずれの規定された条文から見ても、企業の生産活動に伴う、しかもたれ流しによる汚濁廃棄物たるものを公共用物たる河川敷地に許可してもよいという規定はないと私は考えます。どの規定によって法律上、このような許可をなされたのでありますか。河川管理の基本姿勢を法に基づかずしてなされるということになれば、これが前例となれば、河川管理は今後困難になります。たとえば河川の流水面が狭く、ふだんはからからの河川がたくさんある。建設省は農民が牛を放牧することについてもとやかく言う。すぐあなた方の出先は、農民が河川敷にはえた草を牛に食わせることについてもとやかく言う。その陳情は私はしばしば聞いております。そのようなきびしい河川管理姿勢をとっておきながら、企業の生産活動に伴うたれ流しによる汚物の汚濁廃棄物を、公共用のものである河川敷地に許可してもよいという規定はどこにもないにもかかわらず、法的根拠なしに許可された責任は私は重大だと思う。どのような解釈によってなされたのか。私の見たところではありません。あればその条文を詳細に御説明願いたい。どの条文によってこのようなことをなさるのでありますか。それをお示し願いたい。
  179. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) まずこれは、企業が申請して許可したんじゃない。過去にたまたまあそこにあって、先ほどあなたが盛んに、港湾の機能が停止している、非常な公害が起こっている、漁民にも迷惑をかけている、何とかせいと言われた。そして、いろいろこの対策を講じた結果、現在の段階ではこの河川敷を一時使用させる以外にこの問題を解決するめどが立たない。こういういわば国家的要請によって、河川管理者としての私が高度の政治的判断をしたと、こういうことです。
  180. 足鹿覺

    足鹿覺君 政治的判断……。
  181. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ええ。それ以外にない。本来は、それこそ一カ条文を読まなくても、ああいうところにこういうものを置かせることは好ましくないということははっきり私は申し上げているんです。ところが、もしこれを拒絶してやったら、いまのヘドロ対策はどうにも救済する方法がない。私はそれでははなはだ——私が責任がございませんと言って、それでいいかもしれない。しかし公害対策本部等でもいろいろ検討してみた結果、これより方法はないと、しかも第二次公害もだいじょうぶなさそうだ、地域住民もこれでいくより方法がないということで納得した。そして地方自治体の長である知事も、これ以外に方法がないし、そうしてこれに基づくところの予測さるべきいろいろの障害はもう徹底的に究明して、第二次公害、その他住民との摩擦もない、だからどうしてもこれは使わしてくれという政治的要求に基づくものでございまして、決してあそこの製紙業者とかパルプ業者側の要請を受けたということではございません。この意味において、繰り返して申し上げまするが、高度の政治的判断が必要である。そのために、政治的判断に基づいてこれは特別に暫定的な措置として許可をしたと、永久にこれをそのまま続けさせるということではございません。
  182. 足鹿覺

    足鹿覺君 高度の政治判断に基づいた。法律上の根拠はない。これが明確になりました。それならそれで、いざというときには政治上の責任をおとりになることにやぶさかでないでしょう。ですから、あなたのいまの政治家としての政治責任の問題にもなるわけでありまして、他に方法があるかないかは私どもしろうとでわかりません。いずれにいたしましても、高度の政治判断だと、こういうことが明らかになりましたので、これ以上……。
  183. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私も高度の政治的判断においていたしましたが、実務を担当している河川局長からさらに補足説明させます。
  184. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 事務的には、やはりこれはまあ原因をいろいろたどりますと、先生のお話のような問題もございますけれども、やはり公害といたしまして、一般の地域住民にかなりの問題があるわけでございます。したがいまして、やはり現在より次善の策ではございますけれども、何らかの方法でもしわれわれのところで協力ができて、そしてそれが公害対策なり何なりに資するということであれば、これは手続的にも問題はないという私ども事務的な判断でございます。したがいまして、河川法の二十四条、これは土地占用でございまして、先ほどのヘドロを河川敷に一時置きまして、脱水処理場にするわけでございますが、こうした占用の問題、それから二十六条の工作物の設置の問題、それから二十七条に土地の形状変更の手続の問題が出ておりますが、これはやはり河川敷をならしまして、砂を置いて一時的にヘドロを置く、こういうような条項でございますが、それについての占用の問題、それからさらに二十九条の第一項には、これは清潔その他のことが出ておりますが、これにつきましては政令の十六条の八を適用をいたしまして、十六条の八の政令の中に、一項の二号に「竹木その他の物件を堆積し、又は設置」するときには許可を受けなければいけないという条項がございますが、こういった四つの条文を対象にいたしまして、静岡県知事から出ました申請に対して許可をした、こういうことでございます。
  185. 足鹿覺

    足鹿覺君 二十四条はですね、「河川区域内の土地河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。以下次条において同じ。)を占用しようとする者は、建設省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。」——「その権原に基づき管理する土地」ということになる、私の見たところによるとですね。建設事務次官通達四十年十二月二十三日を読みますと、「河川敷地は、河川の流路を形成し、洪水の際には安全にこれを流過せしめ、洪水による被害を除却し、又は軽減させるためのものであり、かつ、公共用物として本来一般公衆の自由なる使用に供されるべきものであるので、原則としてその占用は認めるべきではないが、社会経済上必要やむを得ず許可する場合においては、河川敷地占用許可準則(以下「準則」という。)第三に従い処理するものとすること。なお、次の各号に掲げる施設のためにする占用以外の占用は、許可しないものとすること。一 公園、緑地及び広場 二 一般公衆の用に供する運動場(営利を目的とするものを除く。) 三 児童、生徒等が利用する運動場で学校教育法(昭和二二年法律第二六号)に規定する学校が設置し、管理するもの 四 採草放牧地その他これに類するもの 五 その他営利を目的としないもので、その占用方法が河川管理に寄与するもの」と述べ、河川敷地占用許可準則第三のいう「(占用許可の基本方針)」には、「河川敷地占用は、当該占用が次の各号に該当する場合であって、かつ、必要やむを得ないと認められるものに限り許可することができる。この場合においては、その地域における土地利用の実態を勘案して公共性の高いものを優先させなければならない。一 当該占用により治水上又は水利上支障を生じない場合 二 当該占用により河川の自由使用を妨げない場合 三 当該占用により河川及びその附近の自然的及び社会的環境を損なわない場合」となっております。  また、河川法施行令第十六条の四には、「何人も、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。一 河川を損傷すること。二 河川区域内の土地に土石(砂を含む。以下同じ。)又はごみ、ふん尿、鳥獣の死体その他の汚物若しくは廃物を捨てること。ただし、河川区域内において農業、林業又は漁業を営むために通常行なわれる行為は、この限りでない。」  以上に見る限りにおいては、このヘドロをたとえ一時的、暫定的とはいえ、富士川河川敷に投棄することを許可したとすれば、これは明確に法律違反です。法律尊奉者である行政官たる建設大臣が、みずからの権能において法律違反を行なっているということはゆゆしい問題であると私は考えるが、いかなる理由に基づく、どの法律、どの条文に基づいて、一時的にせよ占用許可を与えたかを私は先ほど問うたのでありますが、高度の政治的判断でやったんだ、これに補足していまお読みになりましたが、あとで速記録を調べますが、河川法二十四条と政令十八条——政令は私の手元にありません。政令をお届けいただきたい。ちょっと見してください。どういう条項か見せてください。読んでごらんなさい。
  186. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 先生のおっしゃっておりますのは、政令の十六条の四の「何人も、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。」というようなことで、河川を損傷するとか、あるいは汚物、廃物を捨てる、こういった悪行為の禁止をしておる条文のことをおっしゃっておるのではないかと思いますが、私ども事務的に取り扱いました条文といたしましては、これは「みだりに」ではなくて、やはり、自治体である静岡県において、やむを得ず計画的にやる行為でございますので、この十六条の四ではなくて、第十六条の八に、次の行為をするときには、「河川管理者の許可を受けなければならない。」という項目がございますが、これを適用いたしまして、今回の許可の手続をとったわけでございます。  なお、詳細の条文等については、後ほど資料として提出いたしたいと存じます。
  187. 足鹿覺

    足鹿覺君 十六条の八は、局長、「次の各号の一に掲げる行為をしようとする者は、建設省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、日常生活のために必要な行為、農業若しくは漁業を営むために通常行なわれる行為又は営業等のためにやむを得ないものとして河川管理者が指定した行為については、この限りでない。」、かようにあります。ここにも該当しないじゃないですか。しかも、私が先ほど指摘したように、動物の死体を埋めてもいかぬというのですよ。いわんや、カドミウム、水銀を含む第二次公害を発生する危険性多分にあり、技術的にもまだその処理方法がきまらないようなしろものを河川敷に三十万トンも投棄して起きた責任はどうされますか。しかも企業のたれ流しによってこのような問題が、午前中から申し上げておるように、あなた方の政治姿勢が企業に癒着しておるとは申しませんが、あなた方は、通産省は世論の指さすところによれば企業との癒着が強い、あなた方はそのしりぬぐいを善良な河川管理者たる建設大臣に、そのような理由にならない理由をこじつけて、ただいまも建設大臣は率直に、措置に困って最高の政治判断に立ったんだと男らしく言われました。私は政治家としてはむしろいさぎよき態度だと思う。あなた方の補足説明は何ら傾聴に値するものはありません。政令十八条を持ってきなさい。ここで見せてください、私に、何と書いてある。私は残念ながらその政令を持っていない。持ってきて見せてください。政令の十六条の八には、「河川区域内の土地において土石、竹木その他の物件を堆積し、又は設置すること。」となっておって、企業のたれ流しのあと始末をしてよろしいということは書いてありません。これは次元の新しい問題だ、これだけ世間を騒がし大きな影響を及ぼしたことを、このような政令十六条の八の二項に基づくなどとは牽強付会の解釈ですよ。断じて承服することはできません。
  188. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) どうも足鹿さんの考え方がちょっとおかしいと思うのです。というのは……。
  189. 足鹿覺

    足鹿覺君 あんたはさっき最高の政治判断によると言ったから、それでいいんだ。
  190. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) そうです。それはただ、あなたが、企業がたれ流したのをすぐここに堆積することを許したような表現のしかたはおかしい。
  191. 足鹿覺

    足鹿覺君 そんなことはない。
  192. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはそうじゃなくて、長年にわたってそこにヘドロが堆積してしまって、そうして港も機能がほとんど麻痺状況になっていると、一方においては漁業関係も非常に迷惑をしておる、住民も非常に困っておると思う。したがって、これは企業を救済するとかどうとかという問題ではなくして、実に公共のためにこの公害を除去してやらなきゃならない、そのために知事もいろいろ方策を講じたが、現在のところこれ以外にベターのものがない。したがってこれこそ公共のためにこの河川敷を一時暫定的に使用さしてほしいということでありまして、何もこれは製紙会社とかパルプ会社のあと始末をするということが目的ではない。現実にこれは公共的な一つの障害が起きたから、それを除去してやらなければ多数の人間、公共の利益を害しておるから、それを救済するための一つの手段として河川敷を暫定的に貸すことについて条件づきでやっておるということで、法律違反では全然ありませんですよ、この点は。しかも、それを判断するのにあたって、単なる事務的にこれが合法的であるのみならず、これを決断するに至った動機は政治的高度の判断に基づいて、これはやむを得ない、こういうことなんです。  それからいまの次官の通達は、一般に河川敷を貸したり占用したりする場合における一つの基準を示したものでございまして、今度は、それももちろんありまするけれども、次官より大臣が上なんですよ。したがって、次官通達でできないものを政治的判断でこれはやるということですから、これはまた次官通達を出したから、それを撤回しなければこの許可ができないということではないと思います。そういう意味において、あなたのつかれる点はわかりますけれども、私はこの際もうみんながお互いに、行政官庁が自分のほうだけはなるべく責任を負わずに、そうしてみんなが押しつけ合うと、この問題のみならず、もうあらゆる問題に私は、それこそセクショナリズムによるところの責任回避のために起こる一般国民の迷惑、これはやはり避けなければならない。だから、これは法治国家であるけれども、単にこれはいわゆる法律解釈のお役人だけで政治ができない問題であって、そうした法律をどう運営し、どう解釈し、活用するか、これがやはり政治だと思うのです。これが一つの私は典型的な政治的な措置と考えるのでございまして、これに基づくところのいろいろのもし問題が起きた場合には、責任はやはり私が負うということをしなければならぬと思っております。それだけの立場でなければ、こういう問題も解決ができなくて、お互いに、私は責任ありません、私はそのことにはタッチしませんと言ったらば、一体政治家として足鹿さん、どういう方法があるでしょうか。
  193. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから、さっきからあなたは男性的でよろしいと言っているのです。
  194. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) だから、そういう意味で私は、合法的であり、こういうような方法以外にない……。
  195. 足鹿覺

    足鹿覺君 へ理屈言うから……。
  196. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) へ理屈じゃない。
  197. 足鹿覺

    足鹿覺君 厚生省と通産省がおいでになっておるようでありますが、第二次公害発生の心配はないと断言できますか。両省から専門的な意見を聴取しておきたい。
  198. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) ヘドロによります第二次公害、先ほど河川局長からいろいろと検討した結果を御説明があったわけでございますが、私どものほうにも県の当局のほうからいろいろと連絡を受け、あるいは関係各省から報告を受けまして、調査をしておるところでございますが、まずやはり一つの問題といたしましては、硫化水素その他の悪臭によります健康の障害でございます。これらは先ほど夏季におきます作業が支障を受けるということで御指摘もあったところでございますが、これはどちらかと申しますと、いわば労働衛生の問題であろうかと思います。しかしながら、現在まで私どものほうで聞いております範囲では港湾管理事務所等に常時働いておられます方々の健康調査の結果は異常が認められなかったということでございます。また、念のために静岡県では付近住民の方の健康調査を行なうことを準備しておりまして、私どもはこれについても十分に接触を保ち、技術上の指導、援助をいたしたいと考えております。  また、含まれております重金属の問題でございますが、ただいままで私どものほうにいただきました資料では、大体水銀につきましてもカドミウムにつきましても、いわばほかの自然の水銀と申しますか、自然に認められる水準程度の濃度のように承知いたしております。私どもは、しかしながら、水銀による環境汚染、それに基づく健康被害ということをすでに水俣病あるいは新潟の阿賀野川の水銀中毒の問題など、苦い事例を経験を持っておる次第でございまして、これらにつきまして十分に自今の監視体制と申しますか、これらについて警戒を怠るということは、あってはならないと思っております。しかしながら、ただいま河川局長からお聞きしました範囲内におきましては、また、私ども承知いたしております重金属類の汚染状況につきましては、一応健康上には障害はなかろうというふうに考えております。
  199. 足鹿覺

    足鹿覺君 通産省、どうですか。
  200. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) ただいま厚生省の局長のお答えのとおりでございますが、パルプの製造工程上硫黄分等は当然含まれますので、硫黄等につきましては、いろいろ人体に障害等を生ずるようなことがままあろうかと思います。重金属等につきましては、製造工程上普通は考えられないのでございますけれども、何らかの原因によっておそらく混入したものではないかというように考えます。  なお、ヘドロの分析等については当方では十分いたしておりませんが、厚生省のほうとよく連絡を保ちまして、産業側のほうにもその排出について遺憾のないよう、われわれのほうで十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  201. 足鹿覺

    足鹿覺君 以上で私の質問は終わりますが、質問を終わるにあたりまして、ここで一言申し上げておきますが、岳南排水処理問題を一日も早く早期完工をはかり、今後ヘドロ問題がこのような状態を二度と繰り返さないためにも、思い切った英断的な措置を講じてもらいたい。また、先ほど私の発言中、通産省が企業と癒着をしておる、これは学者、各論文、評論、多くそういう意見を述べておるわけでありまして、通産省の姿勢には十四の公害立法を成立せしめる過程においてもきびしく指摘し、わが党の石橋書記長が、本国会予算委員会においても石原産業問題についてきびしく追及をしておる。明らかに癒着しておる。したがって、言うならば、私が追及しておるのは、建設大臣河川管理者としての最高の責任者である。したがって、法的根拠のない、高度の政治判断にあなたが立たされなければならぬような状態に追い込められたということを申し上げた。私は、あなたが企業と癒着しておるとは申しておりません。この点は誤解のないようにひとつ御了解を願いたい。申しておりません。あなたはそういう立場に追い込められた、こう言っておるのです。ですから、少なくとも私は、あなたが大きな政治的判断に基づかざるを得なかった。しかし、問題は百万トンのうち三十万トンこれを処理しても、七十万トンの処理が残っておるわけでありまして、この問題をいかに弊害なく処理するかということ、この日時はどのくらいかかるかということについては明言がありません。明日、総務長官の出席を求め——沿岸漁民に対する漁獲の減少、それに基づく被害等、今後の漁民の救済の措置等についても何ら無関心。委員長から注意を受けてやっと恐縮するという程度です。私はためにするがための発言ではなくて、きわめて建設的に、きわめて具体的に法律の条章、規定の条章に基づいて追及いたしました。したがって、きょうの委員会における下水道整備関係富士川ヘドロ投棄と岳南排水処理場建設の促進、ヘドロの富士川投棄の第二次公害、あるいは発生のおそれがあり、法的根拠のないものを高度の政治判断においてなされたということについて非常に——やむを得なかったとはいえ、法にないさような判断をしなければならなくなったという総体的な意味から、同一のあやまちを再び今後繰り返さないように厳重に警告を申し上げ、このようなことが先例となって、河川の清浄が保たれないということになればゆゆしき大事を招来いたします。いわんや第二次公害が発生したのだったならば取り返しがつきません。すべてそれは政府のこのたびの措置に基づく責任は免れません。このことを明らかにしたわけであります。  要は、現在堆積したものを無害にどう処理するかの科学的検討が足りない。七十万トンの残りのものと、岳南排水路、排水処理場の建設は昭和四十八年である。それまで機能を発揮しないというならば、まだ堆積してくるでありましょう。したがって明日の総理府長官の御答弁によって明らかにいたしますが、関係省がもっと真剣にこれに対処することを強く要請いたします。社会党の質問者は私一人でありますので、たいへん長時間にわたって午前午後、種々お尋ねいたしました。たいへん他の党にも御迷惑をかけたと思いますが、いまのところ御了承をいただきたいと思います。  以上をもって私の質問を打ち切ります。
  202. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま岳南排水の特に終末処理を早くやれということについては、先ほど御答弁申し上げたとおりに、これはでき得るだけ技術的に可能な範囲において促進したいと思います。  それから、いま堆積しておるヘドロの問題については、先ほども公害対策本部の報告もちょっとあったように、私もいろいろ専門家ではありませんけれども、脱水して処理する方法を二、三専門的な技術開発をしておる面も見まして、これをできるだけ促進して、これによって処置できるように努力したいと思います。  それから、私の政治的判断ということに関連して、いまの法的根拠がないというのは、これは違います。ちゃんと河川法に基づいて高度の政治的判断によってこれはしたので、違法なことはやっておりませんから、それだけはそのままに認めると、私が違法をやったということになりますから、これはそうではございません。ちゃんと法に基づいてやっておるのであって、それは見解の相違ですから、ここで水かけ論をやりませんけれども、これは合法的な処置をとりました。
  203. 足鹿覺

    足鹿覺君 高度の政治判断です。
  204. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 政治判断、それが前提条件です。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 建設省設置法の一部を改正する法律案審議にあたりまして、いろんな角度から質問したいと思います。しかしきょうは三十分ほどしか時間がございませんので、大部分は明日やるといたしまして、一つだけきょうは質問をしたいと思います。  確かに今回のこの下水道部の設置理由の中にもございますように、最近の公害問題等が特に重要な問題となりまして、今回のこの組織の改革、充実といいますか、そういうことになったんであろうと私は思うんです。そういうような面からもきょうはいろいろ質問したかったのでありますが、きょうはいろんなところに来ていただいておりますので、せっかくお見えになって全然質問しないで帰っていただくのも申しわけありませんので、少しずつでありますが、質問しておきたいと思います。  まず初めに、「国土建設の現況」というこの建設省のいわゆる建設白書ですか、こういうふうなものを実は私はあんまりいままで不勉強でありまして、まことに申しわけないのですが、見たことはございませんでした。今回質問するにあたって、きょう先ほどいただいたところなんです。できることならば、こういうようなものも私たち関係、特に内閣委員会とは関係ございますのでいただきたいと、こう思うのです。  そこでまずこの一番初めに建設省自体の姿勢といいますか、そういうようなものがはっきり出ておりますので、これについて初めちょっとお伺いしておきたいのでありますが、初めに、「わが国は、過去四分の一世紀にわたって、世界にも稀にみる急速な経済成長を続け、いまやその経済規模は、米国およびソビエト連邦につぐ世界第三位の巨大なものとなった。」全く私はこのとおりだろうと思うのですね。そして、あまり読んでいると長くなりますからちょっと、「しかし、現実の国民生活の面においては、それほどの豊かさが実感されていないのが偽らざる現状である。」と、これはまあ私は、この白書はよくぴしゃっとこう書いておると、こういうぐあいに思うわけですが、こういうような基本的ないわゆる反省といいますか、そういうふうなものがちょっと足りないのじゃないか。そういうところからいろいろな公害の問題等も発生してきているんじゃないか、実際のところそう思うわけです。  まず、こういうような面から考えて、先ほどのヘドロの問題もやはりそういう点に大きな焦点がしぼられてくると思うのですね。要するにわれわれ——まあ政府のみじゃなくて、われわれ政治家全体も含めてそうだと思うのですが、確かに経済成長という点にあまりにも重点が、力がかかり過ぎて、いわゆる何かつくればいい、売ればいい、それを食べればいいというような感じで、その反作用として出てくるところのいわゆるヘドロとか、そういうようなものに対する対策というものが非常におくれておったということは、私はもう痛切に感じるわけです。これもそういうふうな反省に立っての前文であろうと私は思うのですが、こういう点について基本的に大臣はどういうぐあいにお考えか、初めにこの点をお伺いしておきたいと思います。
  206. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおり、日本は敗戦の結果非常に窮乏して、食う物も着る物も家もなかった。しかも資源がない。だから勢いこういうふうな傾向になり過ぎた。だからこれは早く反省して、社会資本の充実、それから国民生活環境を改善しなければこれはだめだということを私は痛切に感じたから、まあ率直にこの前文に書いており、したがって、これに基づいて都市計画、住宅あるいは水の問題、それから道路等もそういう前提に立ってこれからやっていきたい、こう考えておるので、その点では峯山さんと全く同じ見解で、まず率直にわれわれ自身が自己反省して、その上に政策の方向づけをしていきたいと思っている次第であります。
  207. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 とすれば、この白書の中にもありますが、いわゆる六〇年代におけるいわゆる政治の姿勢といいますか、建設省自体の施策というものも、六〇年代にとってきた施策と七〇年代にとる施策というものは抜本的に変えなければいけないと思うのですね。そうしないと、実際ここに書いておるこの前文の趣旨ということ自体が、何というか、全うされないと私は思うのです。そういう点はいま大臣がいろいろ重点を置くとおっしゃいましたが、実際問題として、この七〇年代に「環境破壊への挑戦」ということが非常にこの中でうたわれておりますが、確かにこれはもう重要な私は問題だと思うのですよ。建設省だけじゃなくて、そのほかの省もこの「環境破壊への挑戦」ということについて本格的に取り組まなければならないと思うんです。こういう点について、確かにこの点を重点に取り入れていらっしゃるんだとは思うんですが、いわゆる六〇年代の建設省施策というものと、七〇年代の施策というものと、一体どういうぐあいに基本的に変わってきたのか、特にどういう点にこれから力を入れていきたいとしているのか、これは基本的なことでありますが、これをまずお伺いしておきたいと思います。
  208. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほども申したとおりでございまするが、全然これは六〇年代と七〇年代とは方向が違うということはないと思うんです。従来ややもすれば都市集中産業の集中が一つのこれが社会の趨勢である、必然だというような考え方で、従来ややもすれば都市学者、あるいはまた近代経済学の一応の考えに追従し過ぎたと思うんです。そうではなくして、これからは国土全体を均衡ある発展をさせ、人間生活が豊かに保障される環境づくりが必要である、その上に経済機能も向上せしめるということが基本だと思います。そういう意味において、御指摘のように、従来の重点を少し変えまして——百八十度の転換ではございませんが、それを変えて、最も人間優先的な、それから自然を保護しながら、その間に経済機能を高めていく、こういう方向であらゆる施策を進めてまいりたいと思っております。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣とこの話をあまり長い間やっておりますと、そのほかの時間がなくなってきますんですが、もう一点だけこの環境破壊への挑戦ということからいきますと、今回の法案に関連のあるこの下水道整備ということは、これは非常に重要な問題だと私は思うんですね。そういう点からいきましても、これは当然私は、先ほどから建設省の皆さん、今回の下水道整備五カ年計画等についてもいろいろお伺いしておりますんですが、過去の五カ年計画等と比較すると、今回非常に予算的にも大幅に伸びておる、こういう話も聞きますんですが、ちっともびっくりしないんですね。とにかくびっくりするだろうというような感じで私に話をするんですけれども、まだまだ私は少ない、まだまだこれが完備しても、下水道自体の整備状態からいっても諸外国におくれておるし、こういうふうな感じで私は聞いておるわけです。  そこでもう一点だけ、大臣との話は終わって次に移りたいと思うんですが、こういうふうな白書を見ましても、下水道等のこと、どこに書いてあるだろうと、だいぶめくってみたんです、さっきから。自分ではなかなか見つけにくくて、参事官の皆さんに教えてもらって見たんです。非常に、まあそのほかのことも非常に大事な点が一ぱいありますから、私は下水道だけが大事だとは言いませんけれども、それからは環境破壊を防ぐという意味から、非常に下水道という面も重大になってくると思うんです。そういう点からいくと、こういうふうなものにももっとスペースをさいて力を入れていくべきではないか、何も今回法案がかかったからというわけじゃないんですが、確かに重要な問題である、こういうぐあいに考えているわけです。ですから、こういうようなものにも、あらゆるところにそういうふうな力を入れていかなければいけないと思うんですが、そこら辺のことをひとつお伺いしておいて次に移りたいと思います。
  210. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 表現はつつましやかに書いておるのですけれども、具体的な施策としては、今年の予算はもとよりのこと、今後十年ばかりは下水道については相当重点を入れるつもりです。そのために、先般来問題になりました、いわゆる新全総計画の経済企画庁の当初予想より相当思い切ってふやさした。これは総理も非常にこの点は強い関心を持っておられまして、このために、これは従来日本の予算編成上例を見ないような伸び率と、それから全体計画をやってもらいました。ただ、先ほど足鹿さんに御指摘されたように、また、われわれも非常に気にしておったのは、非常に技術者が足らない。これほど大事な問題が、従来ほんの市町村だけでやらしておったというところに一つの大きな認識不足があったと思います。今後は建設行政のうちの相当重要な柱として下水道を進めてまいりたいと思っております。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かに技術者の問題等についても先ほどから話ございましたけれども、非常に大きな問題であると私は考えております。この点についてはまた後ほどお伺いすることにしまして、この先ほどのヘドロとやはり関係があるわけでありますが、PCBの問題についてちょっとお伺いしたいと思うのです。それで皆いますかね。通産省いますか。ちょっと前のほうへすわってください、それぞれ関係の人はお願いします。  もう時間ありませんので、この問題につきましては、前の参議院の予算委員会で私のほうの党の藤原が担当取り上げてやったわけですが、そのときとだいぶ現在の状況と違うわけです。そのときは私たちは何といいますか、海のヘドロとか、また河川におけるヘドロとか、そういうふうなものにまでこういうふうなPCBに汚染されているということまで全然知りませんでした。しかし、最近のいろいろな報道等によりましても、PCBに汚染されているのが非常に広がってきている。最近の愛媛大学の助教授の立川というのですか、あの人の調査によりますと、日本全国のいわゆる河川、海岸線等がPCBによって汚染されている、こういうふうな見解が出ているわけですね。私は非常にこの点について、もうこれは容易ならないことである、こういうぐあいに思っているわけでありますが、初めに、この立川助教授がこの間調査して発表いたしましたが、これについて厚生省、それから経企庁ですか、関係のところは。あとは運輸省来ていますか。それぞれの省庁では、この問題についてどういうぐあいにこれを評価していらっしゃるか。また、もう一つ言いますと、京都市の衛研でもこの点を調べて、最近では琵琶湖とか、それから宇治川ですね、こういうふうな宇治川の魚等からも高濃度のPCBが検出されたということが報道されております。まず初めの愛媛大学の助教授の方の分析等について、それぞれの関係者はこれをどういうふうに評価していらっしゃるのか、その点についてそれぞれの関係者から答弁をお伺いしたいと思います。
  212. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) PCBの環境汚染の問題は世界的にも問題になっておりまして、ことにスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、北欧におきまして関心が商いようでございます。御承知だと思いますが、PCBは一九三〇年ごろからいろいろな方面で、たとえば変圧器やコンデンサーなどの油とか、あるいは塗料とか、その地熱媒体などに使われているわけでありますが、日本でもかなりの量が生産され、消費されている。むしろ北欧三国におきます消費量よりも、その国土の広さからいきますというと数倍多いということが言えるかと思います。したがいまして、当然わが国におきましてもPCBによる環境汚染ということは予想されたところでございますけれども、今回愛媛大学の分析を一応見まして、まあこう言ってはなんでございますけれども、その予想がいわば当たったといったような感を受けておるわけでございます。  PCBがどのような経路で環境汚染を来たすかということでございますが、これはおそらくは、やはり不用意に捨てられましたPCBが、たとえば河川から海に入る、そしてその底質に没でんして堆積をする。あるいはこれによりまする生物の汚染も報告されておりまして、たとえばプランクトン、魚介類、海の果物、またはこれらはいずれも肉食のものでございますが、そういったような汚染経路が推定されまして、愛媛大学の調査研究の中からもそれらのことが報告されておるわけでございます。これは非常に分解しにくく、熱にも強いわけでございますので、従来農薬類、たとえばDDTあるいはBHCというものの環境汚染が非常に問題にされておったところでございますけれども、それにまさるとも劣らない厳重な注意というものが今後必要でないだろうかというように評価しております。
  213. 山中正美

    説明員山中正美君) お答えいたします。  PCBの問題につきましては、いま環境衛生局長からお答え申し上げたとおりでございますけれども、経済企画庁といたしましても、有機塩素の問題、DDT、BHCと同じように、いろいろ検討してきたところでございますけれども、PCBにつきましては、水溶性が非常に悪く、ほとんど八〇PPM以上溶けないというようにいわれております。そういうことで、はたして水質汚濁というものについてどういうふうな関連があるかということを現在非常に検討中でございます。なお、現在LD50というか、半数致死量というのがございます。DDTが三百ミリグラム・パー・キロ、体重一キロ、三百ミリグラムに対しまして、大体PCBは千ミリグラムないし二千ミリグラム・パー・キロくらいといわれております。そうしますと、大体人間の体重五〇キロくらいといたしますと、大体五〇グラムが致死量になってくるわけでございます。現実に問題になっておりますけれども、立川先生の報告ではPPBのオーダーでございますので、直接的には急性毒あるいは慢性毒には影響ないといわれておりますけれども、いま環境衛生局長が御説明申し上げましたように、いわゆる蓄積というのが非常に問題になってくるので、この面を含めて水質の環境衛生基準等に組み入れていただきたい、こういうふうに考えます。  以上でございます。
  214. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まず私は、いまの初めに答弁あったのは厚生害ですね、厚生省の局長さんの答弁がございましたが、非常に私は答弁を聞いておりまして、厚生省の姿勢というものについて不信を抱くのです。というのは、なぜ不信を抱くかといいますと、私はあまりよけいなことはいま聞かなかったのです。愛媛大学の助教授の調査並びに京都の衛研の調査等について、これは特に愛媛大学の助教授の調査についてはどういうぐあいに評価しているかと、こう聞いたのです、それについていろいろ説明がございました。説明はけっこうです。でありましたが、その説明の中で非常に遺憾だと思うことが一ぱいあるわけです。厚生省は国民の健康を守るという点からは非常に私は重要な、特に環境衛生局長さんは直接担当の局長さんでありますし、非常に重要な役目だと私は思うのです。そういう点から、たとえばスウェーデンやノルウェーで一九三〇年代からこういうような問題が発生したということは予想されておったと言うのですね。そして私たちも、局長さんもそれを予想しておったところが、愛媛大学の発表で予想が当たったといまおっしゃいました。そんな、そういうふうな姿勢では私はいかぬと思うのですよ。外国で問題になっておるなら、すぐわが国でも徹底して研究をやらせて、そしていち早く国民の健康を守るという立場に立って研究を進めないと私はいけないと思うのですね。まずその点が非常に私、遺憾だと思う。  またそのあとに、この汚染経路等についてもいま説明ございました。そしてそれが分解しにくく、熱に強い、DDTにまさるとも劣らぬという話がございました。DDTはいま非常に問題になっておる。牛乳の汚染や、いろいろ一ぱい問題になって、いま禁止されております。そうすると、まさるとも劣らぬようなそういうようなものが、なぜ野放しになっているかということがこれまた問題になってくるわけです。私はこういうことをいま質問するつもりなかった、予定に入っていなかったけれども、実際私は厚生省自体にも——こういうことは非常に問題ですよ、これは厚生省は。いま私は二点申し上げました。この二点についてはどういうぐあいに、実態はどうだったのか、その点がまず第一点。実際にどういうぐあいに考えておられたのか、いままでほんとうに気がつかなかったのか、また、最近問題になって問題だというのがわかったのか、それがまず第一点。それからもう一点は、こういうふうな問題については前の委員会でも取り上げられた。ですから当然私は、何といいますか、この大学の先生が発表になったのは四月、委員会のあとでありますけれども、この助教授のほうに対してさっそくその研究の成果、データといいますか、そういうようなものを取り寄せるように手配をしたのか、また、係官を派遣して、どういうぐあいの状況なのか聞きにやったのか、当然私は環境衛生局長さんなら、たいへんこれは人体にも影響がある、魚にも入ってたいへんだということになってきたら、当然係官を向こうに派遣して、どういう状態だったのだ、データをもらうなり何なりすべきだと思うのですね。これはどうですか。
  215. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) 先ほどの私の説明で少しことばが足りなく、あるいは表現が適切でなかったので、先生に誤って伝わったような点がございましたので、補足をさせていただきたいと思います。  一九三〇年ごろからと申しましたのは、これがわが国の産業界で広く利用されるようになったのが大体この年次ごろからだという意味でございます。北欧のほうで問題になったということにつきましても、これは決してそんなに前からではございませんで近年の話でございます。  それから予想しておったということは、いかにも私が前から知っておったような表現になりましたが、これはたいへんに私、このことばが不適当でございまして、実は前に藤原先生が御指摘になった、あるいは愛媛大学の立川先生がそれらについていろいろと調査研究されて事実を指摘されたということが一つの大きなきっかけになっておりまして、あとからいろいろと文献を調べてみますと、たとえば九大の倉恒先生あたりがすでにこういった問題について注意を喚起しておられたという事実についてあとから気がついたわけでございます。その点、はなはだことばが不適当でございまして、つつしんで補足させていただきたいと思います。  それから立川先生の分析調査につきましては、私どもといたしましては非常に重要視いたしまして、さっそく資料を取り寄せまして、いろいろと私どものほうでまたこれを詳細検討さしているということでございます。  また、DDTあるいはBHCと並びと申しましたのは、いずれも私どもといたしましては未知のいろいろな分野もございますので、蓄積毒というものについて慎重に検討する必要があるということでございますが、いままで私どもの文献で調べたところでは、幸いと申しますか、子孫に対する影響は動物実験の段階ではいまのところないようでございます。厚生省といたしましては、もちろん重要な問題でございますので、これらにつきましてもいろいろな基準あるいは防止の対策というものについて早急に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
  216. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、いま局長さんがおっしゃいましたので、立川助教授の分析資料並びにデータ等はすでに取り寄せていらっしゃるということですから、これは資料としていただけますね。あしたの委員会でいただきたいと思うんですが。
  217. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) 後刻差し上げたいと思います。
  218. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 またあまりかみついて申しわけないんですが、経済企画庁、あなた先ほど立川助教授のデータ、実際見てないのでわからないんですが、あなた立川教授のデータは全部PPBのデータだと、こうおっしゃいましたね。ところが、新聞に報道されているPPBであらわしているのは全部海水です。しかし、きょうはヘドロが相当問題になっていますが、ヘドロから出てきているのは全部PPMであらわしていますね。大体変なことを言うたらいけませんよ、あなた。海水はPPBで、ヘドロとかそのほかのものはPPMというようなことは言いませんでしたね。さっき立川助教授のデータは全部PPBであると、こうあなた言いましたよ。私、これ新聞が間違っているのかちょっとわからないのですが、データはまだ見てないんですが、新聞によりますと、海水だけはPPBであるけれども、そのほかのものはPPMであらわされる、東京湾をはじめ、横浜港や川崎港、瀬戸内海、そのほかのものは全部PPMで検出された、ずっとこう書いてある。どうですか。
  219. 山中正美

    説明員山中正美君) お答えいたします。  先生御指摘のように、ヘドロあるいは魚等につきましてはPPMでございます。私申し上げましたのは、水質の関係でございましたので、たまたま舌足らずでございましたけれども、海水中のことを念頭に置きまして御紹介申し上げましたので、ちょっと先生誤解があったようでございますけれども……。
  220. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いかぬな、私の誤解やったなんてみんな言うたはりますけれどもね、水質課長だから水のことだけ頭に入れて言う、そんなのはいかぬと思うんですよ。私は何も水質課長さんをわざわざ呼んだわけではない。ヘドロのことがようわかる人に来てほしいと言うたんです。何か自分の都合で、全部、先ほどの局長さんもみんなわしが間違うてるといったようなことを言っている。そやないよ。私はちゃんと書いてある言うち。非常にいかぬと思うんですよ。こんなことをしていたら一つも進みませんので、この問題については、詳細についてはまたあしたやりたいと思うんですけれども——それじゃもうちょっと聞いておきたいと思うんですが、きょう通産省来ておると思うんですが、これやっぱり、先ほどからヘドロの問題も相当問題になっていますが、ヘドロの問題はあした詳細に私やりたいと思うんですが、この汚染源ということが非常に大きな問題になると思うんですが、PCBは現在日本でどういうふうなメーカーがつくっているのか、それからその生産量はどのくらいあるのか、それから輸入はしているのか、していないのか、それから、その生産されたもの並びに輸入されたものは、現在日本でどういうぐあいに使用されているのか、まずそれについてお伺いしたいと思うんです。
  221. 丸田幸栄

    説明員(丸田幸栄君) 御説明いたします。  わが国ではかつて輸入されておりましたが、昭和二十九年に一社生産を開始しまして、その後さらにもう一社生産を開始しまして、現在能力的には一万四千五百トン・パー・年でございます。あとの一社は昭和四十四年に国産化しておりまして、現在輸入しているものはございません。現在、需要として考えられますのは、昭和四十五年の一月から十二月までを想定いたしますと、電気機器の冷却材とか、あるいは絶縁材として用いられているものが約六割でございます。そのうち特にトランスの冷却材、コンデンサーの絶縁材が全体の約五割というふうになっております。続きまして熱媒体用に使われるものが約二割でございます。そうしていわゆる感圧紙等に使われるものがまた二割ということで、合計内需としましては約一万トンでございまして、それからそのほか輸出として九百トンぐらい出ております。  以上でございます。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、一万トン内需で、輸出九百トンなら、あと残りはどうなっていますか。
  223. 丸田幸栄

    説明員(丸田幸栄君) これは操業等との問題がございますので、まだフル稼動していないということでございます。
  224. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、こういうようなものはどこでつくっているのか知りませんけれども、フル稼動しないほうがいいんじゃないかと思うんですよ、こういうようなものはね。要するにトランスの油でしょう。あれ古うなったらほるんでしょう。トランスの中に入れる油でしょう。あの中に入れてあるわけでしょう。ということは、あの油は古うなったらほるんでしょう。捨てるということはこれはたいへんですよ。これは先ほど幸いにしてどなたか言うてくれはりましたけれども、致死量いうものは人間一人当たり何グラム言うてはりましたかね。
  225. 山中正美

    説明員山中正美君) マウスで実験して大体二グラムです。体重キログラム当たり二グラムでございますから、人間が五十キロといたしますと、大体百グラムであります。
  226. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 日本で年間つくっているこれだけのやつを、もし悪い人がおって百グラムで殺すいうたら何ぼ要りますか。これはたいへんなものですよ、実際ね。そういうような極端な使い方はないにしても、先ほど局長さんのほうも話されましたけれども、分解しにくく、熱にも強い。しかも水質課長さんは、これは水の中に八〇PPM以上溶けない。そうすると、これは人間の口に入る経路についても先ほど説明ありましたけれども、人間の口に一たん入ってしまうと、なかなか出にくいのだと私は思うんですよ。そうすると、そういう点からの毒性というものは私はこれはたいへんなものだと思う。そういうふうな面のいわゆる自然環境汚染の実態調査といいますか、こういうようなものはどういうぐあいになっておるのか。PCBで自然環境が汚染される状況の実態調査ですね。こういうようなものは、一体関係の厚生省なり、または通産省なり、それぞれの省庁ではこれをやろうとしているのか、どういうぐあいになっているのか、またPCBの慢性中毒の問題もあると思うのですよね。こういう場合についてはこれはどういうぐあいになっているのか、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  227. 丸田幸栄

    説明員(丸田幸栄君) 御説明いたします。  先ほど用途の面を御説明申し上げましたが、そのうちいわゆる電気用と、それから熱媒体用、合計しますと約八割になりますけれども、これについてはPCBメーカーが責任を持って古くなった場合には回収再生して、また利用していただくようなことをやっておりまして、通産省としましても十分その行政指導をかねてよりやってまいりまして、そういう面の心配はないと思っております。  それからなお、いわゆるオープンで使われる感圧紙用でございますけれども、こういったものにつきましては、二月に問題にしましたので、生産をそれのほうに出荷しないように行政指導してまいっております。
  228. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) 全国的な調査実施する必要があるということで、ただいま科学技術庁の特別調査費、これをひとつ要求しようということで検討中でございます。  それから慢性毒性試験は国立衛生試験所で実施の予定になっております。
  229. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、いま答弁がありましたけれどもね、どうも納得できないのですがね。まず、通産省のいまの答弁、これはいかぬ。古くなったら責任を持ってメーカーが回収するなんて、そんなことできないですよ。これは古くなったら確かに責任を持ってメーカーが回収する——ほんとうに一〇〇%回収できないのですよ。これは実際問題私できないと思うのですよ。もっとそれより……。だから私は一番先に大臣にも六〇年代の経済成長のワクからはみ出て、要するに住民生活が非常にいろんな面で締めつけられているというのがあるわけです。確かにこれも技術的に言うといろいろあると思うのですよ。絶縁材にもいいし、またいろいろ一ぱい用途あると思う。しかしながら、そういうふうな危険なものを、現実に日本の海は全部汚染されている、こういう危険なものをメーカーが一つの品物について回収すればどんどん使ってもいいなんていう、そういう姿勢は私はよくないと思う。だから七〇年代は抜本的に現実の国民生活の面においても、いわゆる国民総生産がぽんと上がったみたいに、国民一人一人が豊かな生活というのができてないわけです。環境が破壊されているわけです。この環境破壊に挑戦しなきゃいかぬというのがわれわれの立場なんですよ。これは古くなったら全部回収するなんて言うたって、絶対一〇〇%回収できるものではない。よう回収して八割か九割のものです。これだけの何百トン、何千トンというようなもののたった一割でも何十トンというものがどこかに行っているのですよ。私はもっと抜本的にこれにかわるものはないか。こういうふうなものにかわるものはないのか。もっと絶縁材としてはほかにいいものはないか。あるいはまた、もっと積極的に国民生活を守るという立場に立つ——通産省は大体そういう立場に立たぬことになっているらしいのですけれども、私もさっきおたくの化学工業局長さんにきょうは来てもらうつもりで待っていたが、どうしても時間がないというので帰っていただきましたけれども、あした局長さんに来ていただいてもう一回やりますが、あなたとやり合ってもしようがないのです。だから私はもっと住民の立場に立ってこういうような問題も考えないといけない。ただメーカーに責任を持たせる、メーカーに責任持たせると言ったって、何にも現実に持たせることはできないじゃないですか、現実に。こんなことはできないですよ、現実に。ですからそういうようなこともやっぱり抜本的にもっと、私はこういうふうな簡単に責任を持たせればいいというような考えではいかぬと思う。また厚生省も、あっちこっち当たり散らして申しわけないのですけれども、こういうふうな毒性の試験、慢性毒性の研究なんというものは私は非常に重要だと思う。先ほどは慢性毒性の研究については国立衛生試験所にやってもらうようにいま準備を進めているということでございますけれども、こういう問題はてきぱきとやってもらいたいと思うのですよ。研究やっている、やっていると言って、それがものすごく長年かからざるを得ない点もあると思うのですよ。本格的にそういう点に力を入れてやらないと、もう中毒になった変な人が一ぱい出てきてからでは結論が出てもおそいわけです。現実にこれはこういう問題はこれだけじゃなくて、そのほかに一ぱいいろいろなところにあらわれてきているわけです。カドミウムにしたって水銀にしたって、一ぱいそういうような人が生まれてきて、そしてほんとうにもう変な、そういうような、何と申しますか、それぞれの重金属とか、こういうようなものにおかされて、そしてそういうようなかわいそうな人が一ぱい生まれてきて、そしてそういう人を目の前に突きつけられないと一つもびっくりしない。本気になって取り組もうとしない。そういうような姿勢がいままで幾らかあったわけですよ。だから私はそういうような問題になる前に、もうすでにこの問題はたいへんだという問題がもう提起されている。ですから提起されているわけでありますから、もちろんこの問題はこれだけじゃなくて、皆さん御存じのとおり、カネミ油症ですかでもある程度この問題は明らかになっているわけです。それだけにこういうような問題に私は本気になって取り組んでもらいたい、そう思うのです。どうですか、これ。
  230. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) 先生の御指摘のとおり、非常にこの問題は結果が出てからではおそい、長期慢性の毒性のことでございますので、結果が出てからでは手おくれでございますので、できるだけ私どもといたしましては、これを至急に結論を出して対策を講じていくように努力していきたいと考えております。
  231. 田口長治郎

    委員長田口長治郎君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会      —————・—————