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国務大臣(
愛知揆一君)
海洋開発の
必要性ということについては、いまさら申し上げるまでもないことであると思いますが、いろいろまた御
質疑があればお答えすることにいたしたいと思います。それに
関連して、
領海とか
大陸だな、あるいは
海底資源等についてどういう
意見を持っているかという御
趣旨の
お尋ねと思いますので、概略申し上げたいと思います。
まず、
領海の問題につきましては、御
案内のように、
政府としては長らくの
間領海三海里という説をとっておったわけでございます。その
根拠とするところは、
国際間の
合意というものがあって、かつこれを相互に順守するということが
領海については一番必要なことである。従来の
経緯から申しますと、三海里というのが
国際間の大多数の
合意であったということが主たる
根拠でございます。ところが、これも申し上げるまでもないところでありますけれども、
世界の大勢がずいぶん変わってまいりまして、特に
南米等の諸国においては
領海を百海里とか、あるいはそれ以上を一方的に宣言する、こういう
状況がここ数年の間に相当出てまいりました。同時に、これではいかぬことは当然でございますが、相当な何と言いましょうか、良識のある国というと不適当かもしれませんけれども、
海洋国家の相当なところの間から、ひとつ
領海については
国連等を
中心にして新しい
合意をつくろうという
機運が一面において出てまいりましたから、
政府といたしましては、その
機運の中に入りまして、たとえば十二海里に
領海をしようとか、そしてその中の六海里をいわば
専管水域にして、六海里を従来からの
考え方の
ほんとうの
領海にするというようなことが、
国連の
国際法学会などでは相当有力になってきているし、また、かつては
委員会でこれが採択されたという
経緯もございますから、そういうことで
国際間の
合意がまとまるならば、これが適当な
意見である。したがって、ここ一両年の間にでもこういうふうな
国際間のきちっとした
合意が積み上げられてまとまるようであれば、
日本はこれに
参加することにやぶさかでない、こういう
態度を現に表明いたしておる次第でございます。
それから
大陸だなのほうも、これはまたなかなかむずかしいわけでございまして、
大陸だな
条約というものもできてはおりますが、
参加国もきわめて少ない。
日本はこれに
参加しておりません。というのは、
大陸だなの
資源というものは、これは一体いかなるものであるかということの定義も
国際間の
合意ができていない。たとえばカニだとか、あるいは魚だとかいうものまでこの
大陸だな
資源の中に入れて主張する国もございますが、これは、
海洋国家であり
水産国である
日本としては、そういう
意見には賛成することが国益上もできないわけでございます。そういうようなこともございますので、
大陸だな
条約には入っておりません。そうして、必要な場合において二国間あるいは
関係三国とか四国の問で、海中に生息している
漁獲量などの
合意をつくりまして、これをお互いに守り合う、そして
水産資源の確保ということにも
国際的な
協力をする、こういうたてまえできておるわけでございます。
それからもう
一つ重要な点は、
条約は成立しておりませんけれども、
国際的な
通念といたしまして、
浅海海底資源と申しましょうか、そういうものの
開発であるとか、あるいは
開発を
前提にする
調査というようなことについて、
一つの国だけが一方的に
権利、権原を主張し得るものではない、これが
一つの
国際的な
通念として確立している、こういう
考え方に立ちまして、たとえば
海底石油資源等の問題につきましては、
関係国との間で十分相談し合って、そうしてその
資源の
調査なり
開発をすべきものである、こういう
姿勢を
政府としてはとって今日に至っているわけでございます。また、今後におきましてもそういう
立場で進めてまいりたい、かように
考えておる次第でございます。