○
政府委員(降矢敬義君) 先般、お手元に御配付申し上げました「
消防法の一部を改正する
法律案関係資料」の新旧対照表がまん中ごろについておりますので、この新旧対照表に基づまして御
説明を申し上げたいと思います。新旧対照表はちょうどこのまん中ごろに書いてありますが、上段が新になっておりまして、下のほうが旧になっております。
まず、第八条
関係でありますが、第八条
関係は、学校とか病院とかというようなところで、就業人員が五十人以上のところには防火管理者というものを置けという規定でございます。そこで二ページの新しく三項というものを加えまして、そういう防火対象
施設において防火管理者が定められていないときには、消防機関が防火管理者を定めよという命令を出しまして、そうして置かせるということを新しく規定することにいたしました。
それから、次は第八条の二でありますが、これは第八条の二の一項に、高層建築物あるいは政令で定める防火対象物、第三は地下街、この三つのものにつきましては、用途がいろいろに使い分けておりますので、こういう場合には防火管理者がそれぞれの
施設において設けられますが、さらにそういう防火管理者の間を総括する
意味のいわば総括防火管理者というものを設けることにしてある規定でございまして、そこで四ページに新しく三項を設けまして、総括防火管理者というものを設けた場合には、消防
計画、その他避難
計画等をいろいろつくることになっておりまして、そういうことをさせるために、総括防火管理者というものが設けられない場合には、その設置を命令するという規定を三項に新しく設けました。
次は第十一条でありますが、これは危険物を製造する
施設あるいは取り扱うところ、こういうものを新しくつくろうという場合、あるいはつくっているものの位置、構造、設備を変更する場合には、
市町村長等の許可を受けなければならないことになっております。そこで次の七ページでありますが、第三項に、できておるものの位置、工場設備を変更するときには、変更のことについて完成検査を受けなければ使えないということになっております。しかしながら、たとえばガソリンスタンド等におきまして、現在使っておる
施設と
関係のない一部を変更する場合においても、現行の規定では全体が、一部の工事が終わるまでは使っていかぬということになっておりますが、それが非常に実情に即しません。そこで、この三項の後段のほうにただし書きを設けまして、そういう工事をしておることが火災予防上別に支障がないというふうに
市町村長等が認める場合には、かりに承認を受けまして、現在の
施設をそのまま使えるということにいたしました。
それから次は一〇ページであります。十三条の規定でありますが、この十三条以下は危険物取扱者ということに関する規定でありますが、十三条は、危険物取扱者につきまして、従来、一三ページの下のほうの欄に書いてありますような危険物取扱主任者という
制度がありまして、つまり危険物取り扱いについては試験
制度がございます。資格試験
制度がありますが、さらにその者に対しては免状を交付をして実際の
仕事をさせることになっております。ところが、現在の危険物取扱主任者
制度というものは、免許を持っておる者であっても、実際、たとえば工場長から、おまえが取扱主任者であるということの命令を受けて選任をされなければ一切の
仕事ができない、こういうしかけになっております。それは実際実情に合いませんので、今度の改正では、取扱主任者という名称を改めまして、危険物取扱者ということにいたしまして、そういうものは全部その資格において取り扱いをすることができるということにいたしますとともに、ただ、全体を総括する必要がありますので、取り扱いの資格者のうちから危険物の保安の監督をする者を別に選任をしろ、こういうような規定にいたしました。したがって、従来と違います点は、危険物取扱者というものはすべて危険物の取り扱いができるということにいたしますとともに、その者の中から一人を選んで危険物全体の保安の監督をさせるような
制度に改めたということでございます。それが十三条の一項の規定であります。
それから、その次は十三条の三項の規定でありますが、危険物取扱者のうちで現在甲種と乙種がありますが、この甲種、乙種は立ち会いをすることができる。同時に立ち会いをして、そういう者の立ち会いのもとで初めて取り扱うことができるというふうにいたしたわけでございます。規定のいわば整理みたいものであります。
その次は、十三条の二の規定でありますが、危険物取扱者の種類として、従来、甲種と乙種とありました。甲種というのは危険物全体を取り扱う資格であります。乙種というのは、危険物の中には第一種から第六種までありまして、そのうちのそれぞれの類について試験に合格した者であります。そのほかに今回新たに
——一二ページの一番最初の行でありますが、丙種取扱者というものを新しく設けるようにいたしました。丙種取扱者の
制度を設けましたのは、現在、たとえば簡単に言えば炭屋さんなどで灯油の販売をかなりやっております。しかしながら、炭屋さん自身が乙種の試験を受けようとしても、高度の試験をやりますのでなかなか受かりません。しかし、実際、炭屋さんのところでは灯油なら灯油の知識を持っており、それの危険物予防及び防火の知識があればそれで足りるわけでございますので、したがって、そういうことを
考えますと、やはりある種の種類のものだけの資格試験をとらせるということのほうが、むしろ実情に即するという
考え方に基づきまして、今回、新たに丙種危険物取扱者というものを設けて、その試験をやることにいたしました。
その次は、それに伴う
制度の改正、
整備でございますので、省略さしていただきます。
次は一五ページであります。十三条の三の二項でありますが、これはいまの試験の種類としては甲種、乙種、したがって丙種の危険物取扱者試験というものを新しく設けることにいたしますとともに、試験
制度は、従来規則の上で毎年一回行なうようにつとめるということになっておりましたが、今回法律にはっきり、「試験は、毎年一回以上、都道府県知事が行なう。」というふうに三項に明定したわけでございます。大体の
実績は、多くの県は大体二回やっております。それからなおこれに関連いたしまして、丙種というものが新しくできましたので、丙種の試験につきましては、来年の九月三十日までの間に少なくとも二回はやらなければいかぬというふうな、やられるようにつとめろということを附則に置くことにいたしました。なお、従来の甲種及び乙種の資格を持っておる者は、危険物取扱主任という名前の「主任」がとれるだけでありまして、その資格は従来どおり継続するように附則でしております。あとは条文の整理になります。
次は、一七ページにまいりまして、一七ページの第十三条の五という規定を新しく設けました。これは、従来は講習会を受けろという規定がございませんでしたが、今度新たに危険物取扱者の試験を受かって、現に危険物の取り扱いに立ち会ったり、取り扱っている者は、新しく都道府県知事、その他
自治大臣が
指定する
市町村長その他の機関の行なう講習を必ず受けなければならないということに規定いたしました。講習の場合は、大体、いま
自治省令で定めるところというのは、五年以内ごとに講習を受けろということにいたす予定でおります。なお、それを受講しない場合は、十三条の二の第五項の規定によって免状の返納を命ずることができることにしております。
その次は、一九ページの第十六条の二という規定であります。一番最初のは「移動タンク貯蔵所」と書いてありますが、これは法律用語でありまして、一般にはタンクローリといわれているものでありますが、タンクローリによって危険物を移送するときは、危険物取扱者を必ず乗車させなければならぬという規定を新しく設けました。従来ある
程度行政指導で、三十四、五年ころからやっておるところでございますが、今回法律で規定をいたしました。それからもう
一つは、タンクローリにおきましても、御案内のとおり灯油あるいは重油、ほとんど石油類の運搬が非常に多うございます。そこで今般、先ほど申し上げましたような丙種危険物取扱者という試験
制度を新たに設けまして、でき得べくんば運転をされる方にこの試験を受けていただきまして、運転者みずからが資格者として運転をするということを期待しておるわけでございます。もちろん運転者でなくて、これに同乗する者がその資格を持つことも一向差しつかえないわけでございますが、いずれにいたしましても、危険物取扱者というものを同乗させる義務をつけることにいたしました。
それから二項は、危険物取扱者は、タンクローリによって危険物を移送する場合には、いろいろな安全上の基準というものを政令で掲げまして、たとえば消防機関への通報とか、出発時の点検とか、いろいろな
施設の問題、こういうものを掲げまして、そういうものを順守させるように義務づけたわけでございます。
それから第三項は、タンクローリに危険物取扱者が乗車しているときには、危険物取扱者の免状を携行しなければならぬということにいたしたわけでございます。
それから第十六条の三は、新しく講習会を設ける等の規定を置きましたので、手数料の
整備をいたしたわけでございます。
十六条の四は、危険物等に対する
市町村長等の立ち入り、資料の提出命令権というものを規定してありますが、そこの第二項として、二二ページに、ただいま十六条の二で申し上げましたタンクローリに関連いたしまして、走行中のタンクローリにつきまして、消防吏員または警察官は、停止をさせて、そして危険物取扱者が同乗しているかどうか、その人が免状を持っているかどうかを検査することができるようにいたしました。もちろんこの場合は警察官と
協力をしてやるという規定を後段に置いておるわけでございます。
それから次は二四ページであります。二四ページの三十五条の五という規定でありますが、これは救急業務を義務として行なう
市町村に関する規定であります。今般「政令で定める
市町村」というふうにいたしまして、従来は「消防本部を置かななければならない
市町村が政令で定める基準に該当するものは、救急業務を行なわなければならない。」となっておりましたのを、たとえば現在の規定では、
広域市町村圏全体を見て、そして救急業務を全体としてやるというふうな場合における、現在の規定ではそういうことをさせる規定はございません。それから
市町村におきましては、かなり交通事故の割合が高いというところも、国道が通っておるためにあり得るわけでございまして、そういうところも現在の規定は弾力性を欠いております。したがいまして、われわれは現在の消防本部を置いておる
考え方、消防本部及び消防署を必ず置く、消防団地区でないそういうところにつきましては、やはりその
市町村の実情に応じて政令で
指定する方式をとっておりますので、この際それと軌を合わせまして、
市町村の実情に応じて弾力的に救急業務の義務づけをできるようにいたしたい、こういうことで今回新しいこういう規定を置くことにいたしたわけでございます。
それから、あとは罰則の
整備でありますので、省略させていただきまして、三三ページ、四十五条という規定がございます。この規定は、実は直しましたのは、旧法の規定で、下の欄の左から二行目にただし書きがありまして、「但し、法人」「その他の」云々、これは両罰規定であります。これは最近の立法例におきましてはこれは当然のことであるので、あえてこういうただし書き規定を、両罰規定の責任のただし書きを置かないというのが最近の立法でありましたので、それに合わせまして法制局と相談して
整備をしただけでございます。
それからその次は三五ページでありますが、これは危険物の種類を法定しておる別表であります。これにつきましては、別に一覧表を御配付申し上げておったと思いますが、それに基づいて御
説明申し上げたいと思いますが、今回の改正は、主として危険物のうちで第四類、三七ページをお開き願いたいのでありますが、三七ページに第四類という区分がございます。その第四類というのは、ここに掲示されておるように可燃性液体で石油類を
中心にした危険物であります。これにつきまして今回改正いたしました
考え方は、別表の、先般御配付申し上げましたようなものでございまして、
一つは特殊引火物という非常に危険なものを新たに項目を起こしまして、たとえばエーテルとか二硫化炭素とか、コロジオンとかいうふうな、性質の同じようなものを特殊引火物ということにして規制を強化することにいたしました。これにつきましては、なお固体のアルキルアルミというものをこれに含めるということで、規制を強化するということが第一点であります。それから第二石油類というものがございますが、これは灯油が主としてこれに該当するわけであります。こういうものは現在テレビン油とか松根油とか、一緒になっておりますが、こういうものを合わせまして第二石油類というふうに
整備をいたす。それから第三石油類というのが三七ページの一番最後に書いてありますが、この中は、実は危険物の性質によって二つのものが混同しておりますので、今回新しい第三石油類としては重油のようなものをこれに入れまして、なおさらに、第三石油類の重油と分離いたしまして、ギア油とかシリンダー油等は動植物油とほとんど性状が同じでありますので、今回第四石油類ということにいたしたわけであります。
そこで、個別の名前をできるだけ避けまして、特殊引火物とか第二石油類、第三石油類、第四石油類、こういうふうにいたしましたのは、新しい製品ができました場合には、一々法律を改正しなければそれまでは野放しの状態になっております。むしろ性状の類するものを合わせまして、そこで新しい製品ができましても、性状の類するものは、あるものは特殊引火物になり、あるものは第二石油類になるということで、当然に法律の規制を受けるようにする必要がありますので、いま申し上げたような改正をして一括してくくる。つまり性状によって一括してくくるという方式をとることにいたしたわけでございます。
以上でございます。