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1971-02-23 第65回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十三日(火曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員異動  二月十八日     辞任         補欠選任      初村瀧一郎君     玉置 和郎君  二月十九日     辞任         補欠選任      小林 武治君     菅野 儀作君      玉置 和郎君     初村瀧一郎君  二月二十日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     山崎 竜男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         若林 正武君     理 事                 熊谷太三郎君                 増田  盛君                 藤原 房雄君     委 員                 嶋崎  均君                 初村瀧一郎君                 船田  譲君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉武 恵市君                 竹田 四郎君                 和田 静夫君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  秋田 大助君    政府委員        自治政務次官   大石 八治君        自治大臣官房長  岸   昌君        自治大臣官房参        事官      佐々木喜久治君        自治省行政局長  宮澤  弘君        自治省行政局公        務員部長     山本  明君        自治省行政局選        挙部長      中村 啓一君        自治省財政局長  長野 士郎君        自治省税務局長  鎌田 要人君        消防庁長官    降矢 敬義君        消防庁次長    皆川 迪夫君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        防衛庁経理局施        設課長      蔭山 昭二君        農林省農地局管        理部長      堀川 春彦君        消防庁予防課長  永瀬  章君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (昭和四十六年度自治省施策及び予算に関す  る件) ○消防法の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 若林正武

    委員長若林正武君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十九日、小林武治君が委員辞任され、その補欠として菅野儀作君が、また、二十日、菅野儀作君が委員辞任され、その補欠として山崎竜男君が選任されました。     —————————————
  3. 若林正武

    委員長若林正武君) 昭和四十六年度自治省施策及び予算に関する件を議題といたします。  すでに説明聴取は終わっておりますので、これより質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 和田静夫

    和田静夫君 大臣所信表明について二、三お聞きをいたしますが、非常に時間が制約をされましたので、端的にお聞きをします。  地方自治の進展に万全を期すと述べられているわけでありますが、いま盛んに言われています中央直結ということばをどのように理解をされ、それと地方自治との関係をどのようにお考えになりますか。
  5. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 私は中央直結ということを申しておらないつもりであります。地方自治地方の自由なる住民意思尊重中心といたしまして、これに合うような地方財政、税制の制度体制を整えていくということが肝要であると考えます。中央との関係におきましては、もちろん地方自治なるがゆえに、地方お互い公共団体関係、また国との関係がどうなってもよろしいということではなくて、これはやはり互いに協調精神、相連帯して、われわれ共同体をなしておるのでありますから、その間の調整連絡ということは十分考え、しかもこれは法規によって行なわれるべきものである、こういうふうに考え自治省といたしましては自由なる住民意思尊重中心とする地方自治の健全な発達、これを心がくべきものである、こう考えております。
  6. 和田静夫

    和田静夫君 大体そういうお答えだろうと思っていたのですが、実は私いま富山の市長選挙から帰ったばかりでありますが、盛んに中央から来られる方々中央直結を述べられるわけです。したがって、大臣が言われるようなきれいな答弁ではどうも済まされない。たとえば、先ほど法務大臣をやめられた小林さんも、社会党の市長などが来れば、これはどうしたって、やむを得ず人情で冷たくあしらう、ある程度お許し願わなければならぬ、こういうことを述べられているわけでありますね。そこに私は一つ情実存在、今日のような近代的な制度の確立が進んでしまっておるはずの状況の中で、こうした情実政治の中軸を動かす、そういうふうには国民はもう考えてはおらないし、たとえば秦野さんが四兆円をつけさせるのだと言ってみたところで、多くの人はそれを信用しないと思うのですが、そういう意味でも私はあまり心配をしませんが、ところが、一方では中央直結などという形に訴える、そういう意図がやはり明確にあるのではないだろうか。先日も衆議院で、福田大蔵大臣駅、中曽根防衛庁長官駅、あるいは中曽根空港などというようなことが問題になっておりましたが、福田大蔵大臣は、陳情を受ければ取り次ぐというような形で言っておられたのですが、中央政界発言力の大きい与党国会議員を出している地方自治体ほど得をする、そういった側面が、たとえば佐藤総理大臣が出られている山口県の道路舗装率などに見るまでもなく、国民生活全般から見ればほんのわずかな部面でありますけれども、確かにある。しかし、国民一般にとっては大したことではなくても、実績主義の上に立つ地方政治担当者、あるいは実務者にとってみると、一面では非常に重大なわけです。したがってそれを追い求めるということになるのだろうと思う。私が心配することは、中央直結ということばに秘めれらている情実のにおいとでもいいますか、まさに状況的にしか存在をしていない状況というものが、地方政治担当者実務者として中央協力一辺倒で、公正な、住民本位であるべき地方自治をゆがめていっているのではないか、そういうことなんです。その点、地方自治の衝に立つ自治大臣は、一体どのようにお考えになっていますか。
  7. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 私はただいま申し上げたような考えによりまして、地方自治の責めに任じておるつもりでございまして、政治家住民福祉のためにいろいろおやりになることは当然のことであろうと思います。ただ、自治省といたしましては、厳正公平に、法の命ずるところによりまして地方自治の健全な発達に資したいという一念のほかには、政党党利党略によりまして、法の適用なり、あるいは施策を曲げるということはいたすべきではないと考えております。また、いたさないつもりでございます。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 それをいま言われたような形で厳格にやっていっていただきたいと思います。  いま読売新聞が「にっぽん権力地図」という、日本の地方自治の現状についてたいへん考えさせられる興味深い企画を連載しておりますが、その中で、「役人の縁が予算の縁」という見出しで、いわゆる天下り人事のことが過日も書かれておりました。私はかねてから、いわゆる天下り人事の問題について、いやというほど取り上げてきましたが、この前の決算委員会でも、実は官房長も、それは地方が望むので——こういうことに尽きるようです。私は役人の縁がどのように予算の縁になっているのか知りません。一ぺん、地方中央官僚方々が天下っていくことによる便宜についてつまびらかに説明を受けたいと思っているくらいですが、きょうはその時間がありませんけれども地方で望むから中央から役人を送ってやるというのですが、地方の県知事なり何なりが、上のほうばかりを見て、中央官庁との円滑な関係のみを望んでいる。そして天下りを求める、そうした状況についての反省が、どうもあるのかないのかわからないのであります。その点、自治大臣の御意見を伺いたいと思います。
  9. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 天下り天下りという人事のことについてしばしばお話を承るわけでございますが、しかし、私どもといたしましては、中央意向を正確にかつ円滑に敏速に伝える意味におきましても、また、やはり地方においては十分事情がおわかりにならない点がどうしてもあり得るわけでございまして、こういう点の意思疎通の便のためにも、御希望がありまして、中央からその御希望に基づきまして人事交流をする、また地方における人材を中央に吸収をいたしまして、これが彼我の、互いに意思疎通を便にし、かつ地方のやはり御便宜にもこれがなるということで、こういうことをいたしておるのでございまして、決して天下りというようなつもりは毛頭ないと考えております。しかしながら、世にそういう先入感と申しますか、そういう見方がございますので、これが誤解はできるだけ払拭するように人事交流の公平を期してまいりたいと考えております。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 あらためて一ぺん総括的に取り上げてみたいと思っていますけれども、きゃうはまあ触れる程度にしますが、人事交流ということを言われます。たとえば、読売新聞の同じ企画で、愛媛県における例の問題で、自治労幹部自治省の方が会ったときのことが載っておりました。自治労幹部が冗談まじりに、こんなあんばいなら、総務部長ぐらいは自治省出向者にやらせておいたほうがいいと、言ったとか言わないとか書かれておりまして、私は愛媛の問題があっても、あるいは那珂湊の問題があっても、あるいはきょう午後御報告を願う熊本県の河浦町の問題が起こっても、なお私は天下りには反対であります。もちろん、中央官僚方々が志を立てて地方仕事をしてみたいと言って出ていかれることについてとやかく言うつもりは、それはもちろんありません。しかしその場合でも、その地方に骨を埋めるぐらいの気持ちで行ってほしいと思うのであります。いまここに問題にしている天下りというのは、すでに制度化してしまっている、いわゆる幹部職員と言われる人々が、二、三年腰かけで出ていく、そして地方を十分勉強してくる、まさにその集団内部にのみ通ずる論理です。その集団内部にのみ通ずる論理地方自治体のポストをその中に組み入れて人事計画を立てていく、私は率直に言わせてもらうと、自治省官房長仕事中心は、この人事計画をいかにうまくこなしていくことかということぐらいしかないのではないかと思うぐらいであります。そうした天下りは、それが人事交流という名で行われようとも、その存在そのもの現地主義をその本質とする地方自治の理念とまっ正面から矛盾すると思うのですよ。この点は一体、大臣どうお考えになっているのですか。
  11. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 理論的に和田さんのおっしゃるようなことが言えるかと思いますが、しかし、実際問題といたしまして、やはり中央地方人事交流をして意思疎通をはかる便宜、実際上の便宜等もあるのでございまして、この点、現実的に運営をしながら、その間の誤解をできるだけ払拭し、そして各地方団体における人事の公正を期するという趣旨にのっとってやるならば、私は差しつかえないのではなかろうか。いわゆる人事天下りといわれる方々も、相当そこで骨を埋めるべく意を定めて、誠実にお仕事に従事されておるのでございまして、この点、私はあまり形式に拘泥することはないのではなかろうかというふうにも考えておりますが、しかし、ただいま申し上げましたとおり、なるべく各地方団体における人事の公正、それを十分心がけてまいりたいと考えております。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 私は、地方自治ということばから結局連想するのは土着ということばであります。地方自治は本質的に私は現地主義だと思うのです。この土着性中央政府政治の調和の中に近代的な地方自治制度があり得る。この土着性が今日全く存在し得ないというのでしたら、あるいはその土着の中に古さとか未熟さのみを見出して、その中からの成長を待てないのであるというのでしたら、もう地方自治ということは言わないくらいのほうがいいと思うほどです。今日の地方自治体において、近代的自治制度というのにはほど遠い問題がさまざまありますでしょう。しかし、それは戦前の官治主義に対する深刻な反省の中から生まれた今日の制度のたてまえを否定するということにはなりませんし、あくまでも、やはり生まれてきたそのことを大切にして、住民自治の手になる改革を期していく、それが私たちの立場です。このことだけは申し上げておきます。  以下、各論に入りますが、まず広域市町村圏についてお尋ねをいたします。  大臣所信表明の二ページ、「広域市町村圏振興整備に関する施策をさらに積極的に推進することとし、所要の行財政上の措置を講ずる」、こう述べられておられますが、ここでいう「さらに積極的に推進」ということの中には、具体的に何か新しいことを考えていらっしゃるのですか、それとも四十四年度に五十五、四十五年度に七十三、それに続いて本年度は九十五の広域市町村圏指定を行なう、それだけのことですか。
  13. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) まあ広域市町村圏、範囲の拡大もさることながら、同時に、その総合的ないろいろ施策を進めてまいります。これに対する国の補助制度というものが一年一千万円、二年にわたって二千万円という点に限りがございますので、この点をさらに金額、あるいは年限の延長、増額等々を考えておるかということになりますと、その点は考えておらないわけであります。その意味においての積極的な推進ということは当たらないわけでございますが、しかし、いろいろ施策の点につきましては、今後、起債の点等々について意を用いまして、ひとつ過疎対策とも関連せしめて広域市町村圏施策を進めてまいりたい。そこで、私といたしましては、いま積極的にどうこうということは考えておりませんけれども、この実績に徴しまして、この施策については、さらに一歩を進める何かの具体的な施策がなくてはならないのではなかろうかと考えております。その点はまだ模索でございまして、いまどうこうという具体的な施策はまとまっておりません。そういう意味気持ちにおきまして積極的にこれが総合施策推進をいたしまして、ひとつ広域総合行政の今後のあり方についてさらに検討を加え、推進したい、こういう気持ちでおります。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 所要財政上の措置というものは、おもに広域市町村圏振興整備に対する計画策定費事業費補助金のことと考えられますが、広域市町村圏整備に関する措置は、発足当初の昭和四十四年度広域市町村圏振興整備措置要綱では、「地域の実態に即し、市町村自主性尊重しつつ、広域市町村圏における広域行政体制整備ならびに広域的かつ総合的な計画策定およびこれに基づく施策実施を促進し、もって市町村が当面する諸問題の解決を図り、あわせて国土の均衡ある発展および過疎過密問題の解決にも資することを目的とするものである。」と、その目的がうたわれたのであります。四十六年度を迎えて、この四十六年度一年をもって、四十四年度に指定された五十五の広域市町村圏に対する補助金は打ち切られるわけであります。少なくとも四十四年度に指定されたこの五十五の広域市町村圏整備が、いま読み上げた目的に照らしてどのような成果をおさめつつあるかという中間総括の上に立って、大臣はこの広域市町村圏をさらに積極的に推進するということ、そういうことにされるわけですか。
  15. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 大体そういうことでございまして、この施策は呼び水的ないろいろ効果をもたらしておると思います。四十四年度に指定して昨年度から実施に入りました五十五ばかりのもので、五億数千万の補助金によりまして各種の施策——推算によりますと、大体二十一億くらいの仕事をされておりまして、これがいろいろ動機となりまして、地域の豊かな生活環境整備に資することができる、またそれだけの効果をあげつりある、こう考えております。すなわち、これが一つの刺激的な要素となりましていろいろな事業推進をされていくという点に着目をいたしまして、今後さらに地域指定を拡張をいたしまして、そうしてこれから呼び水的に刺激を受けていくいろいろな事業につきまして、地方債等の配分を通じまして十分所要効果をあげてまいりたいと思っております。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、中間総括的なものをまず一ぺん公表されて、それらを鋭意検討する機会を与えてくれますか。
  17. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 一度ひとつ十分レビューいたしてみまして、そうして御検討願えれば幸いだと思います。そういうひとつ資料をつくってみたいと思います。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 なぜこのような質問をするかと申しますと、中央官庁で、たとえば広域市町村圏といったような疑似西欧的なものに満ちた遠大なビジョンが打ち出される、しかし、その内実を洗って見ますと、ほんの申しわけ程度補助金がつけられているにすぎない。で、地方団体のほうは、たとえ一千万円でももらわないよりはもらったほうが得だというわけで指定希望する、自治省にほめられるような計画だけは一応つくる、計画だけはほめられる、そんなかっこうになっているものですから、成果についてそう見るべきものもなく推進をしてきているのではないか。いま大臣約束もありましたから、それは中間総括をされた段階でなお突っ込んでいろいろ検討させてもらいますが、私はもうそういうような繰り返しというものはそろそろやめたほうがいいのじゃないだろうか、そういうふうに考えております。これはお約束もありましたから、さらに出されたものに基づいて検討する機会を持ちたいと思います。  市町村内のコミュニティー形成ということが言われておりますが、ここで言われているコミュニティーということはどういうことですか。
  19. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 住民の自由な自発的意思によりまして、いろいろその地域施設を総合集中して建設をしていく。そうして住民の文化、福祉、その他に資しながら連帯意識の高揚に資していこう、そういうことがやはり住民のしあわせと、また快適な環境整備に大いに資するのではなかろうかと考えまして、各県一、二カ所ずつモデル的なものを設定をして、そうして事業に着手したらどうかと、こう考えております。詳細必要ならばさらに事務当局より御説明申し上げます。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 まとめて御説明を願いたいと思うのですが、私は最近、リンゼーの「都市——「ザ・シティー」という木を読んで、そうしてあのリンゼーニューヨーク市長として都市問題にいどむ闘志、苦悩というものがよくあらわれている状態というものを見てみて、その中でもリンゼーはいわゆるコミュニティーを問題にしています。リンゼーはそのコミュニティー形成せしめるために、地域市役所というのですか、ネーバーフッド・シティー・ホールというのを提案をするのでありますが、民主党の組織は、伝統的な政党組織機能領域をそれは侵食をするのだ、したがって、そういう見解に立ってあれに抵抗を示しておりますね。で、市議会は結果的には予算を削ってしまった。それでもリンゼーは、たいへん苦労をしながらその市役所づくりというものを進めて、それを単なる苦情処理機関に終わらせずに、コミュニティーの核にまで高めるのでありますが、そのリンゼー独自の政策の中でも、ことばの正しい意味での分権住民参加の方式として、最も徹底した構想だったのが教育委員会行政地域機関への分権とその住民参加であります。コミュニティー形成と一口には言いますけれども、そこには国の政策としての教育制度一つとってみても、教育委員会公選制を復活させるとか、分権化の方向での大転換が私は必要ではないかと思うのです。そうしたことを何らせずに、地方制度調査会でそうした議論があったからといって、コミュニティー形成などと言ってみても、それは私はことばだけで終わってしまうのではないだろうか、こういうふうに考えますが、大臣の所見を承りたいと思います。
  21. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) これはことばだけではなくて、やはりある程度施設を創設し、健康で文化的な市民生活を享受できるように、しかも、それを住民の自意識をもって、連帯意識のもとにやっていこうという具体的な計画でございまして、決して抽象的なものではない。ただ、それが住民教育機能等々とどういうふうに関係するかの問題につきましては、さらに検討を要しようと思いますし、また、その権限、その領域等々についていろいろ検討、くふうも必要であろうと思いますが、決して抽象的な、ただ概念規定にとどまる、そういうものでは私はない、またそういうものであってはならないと、こう考えております。
  22. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっとここだけは、ひとつ、事務当局、何か具体的にお考えになっていることありますか。
  23. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) コミュニティーは、先ほど大臣から申し上げましたように、地域住民社会生活最小単位、こういうようなものとして私ども考えているわけでございまして、基本的には、現在の、人間疎外というようなことを盛んに言われておりますけれども、それを克服するための人と人とのつき合う場所である。同時に、そういうことを基本にしながら、行政当局住民意向をくみ上げる場所でもあると同時に、住民もまた自分たち意向をまとめる場でもある、そういうふうに私どもはいずれなるであろうということを考えているわけでございます。しかし、いまおっしゃいましたように、それと、いま例におあげになりましたたとえば教育委員会行政分権、こういうお話がございましたけれども、私どもは、いま直ちに、そういう分権的な行政制度改革コミュニティー施策というものを直接に結びつけては考えていないわけでございます。
  24. 和田静夫

    和田静夫君 まあ、おいおいその辺は委員会論議を通じてひとつ詰めてみたいと思うんです。私は、少なくともこの行政地域機関への分権とそこへの住民参加ということを忌避して、遠大に、抽象的にコミュニティー形成などと言ってみても、それは単に文章表現に終わってしまうだろう、そういうふうに考えています。  所信表明の三ページで、「行政改革の問題につきましては、地域住民意向を基礎とした地方公共団体意見尊重しつつ、各省庁の協力を保ちながら、引き続きその具体的実現に努力いたしてまいりたいと考えております。」、こう述べられておりますが、実は何を言おうとしているのかよくわからないのであります。ここは説明をしていただきたいと思うのですが、時間の関係がありますから一緒にやりますが、行政改革というたいへん困難な問題を断行していこうというにしては、あまりにも気魄に乏しいのではないだろうか。その点、お見えになっている長野財政局長は、「地方財政」の本年一月号でたいへん気魄に満ちたことをいっておられるんですよ。で、こういうふうに理解をしておいていいんですかね。これはちょっと読んでみますが、「地方政府に、自主的な決定権を思い切って認めなければならない。都市都市政策の総合的な主導権が認められていないような体制で、今日の病める都市が立ち直れる筈がないではないか。都市のことも都市にまかさぬ。それどころか交通安全対策も、住宅対策も、公害対策も、何一つ地域社会における総合施策の一環として位置づけ、都市政策として、都市が主体性をもって、その責任のもとに必要な施策を弾力的に遂行するような体制がないのである。都市政策は、全く、中央政府の各省によって四分五裂どころか、よってたかって八花十裂の憂き目にあわせ、息も絶え絶えにさせているのである。しかも、驚くべきことには、そのよって来たる原因は、無能なる都市自体の責任であって、中央各省の懸命の努力も無能無定見の都市自治体によって阻まれていると確信していることだ。ここまで来れば、もう悲劇というより喜劇である。」ということですか、これは大臣の見解を伺いたい。
  25. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) まあ私は行政改革についてのいろいろの問題を、私なりの感想めいたこととして筆をとったわけでございまして、これが自治省の見解でありますとか、あるいは大臣考えとお打ち合わせをした上で私が筆をとったものでもございませんので、それが直ちにどうだというふうにごらんいただくことは、多少妥当性を欠くことではなかろうかと思います。また、私としては、まあ感想めいたことでございましたので、多少筆の過ぎたところもあると思いますが、全体の気持ちとしては、私自身はそういう印象を実は持っております。
  26. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 長野局長の文章は、ただいま長野君からお話しがあったその理想の気持ちをあらわされたものとして、これはやっぱり尊重をされて、その意向に沿うてわれわれも今後の行政を進めてみたいと思っておりますが、なかなかこれはむずかしいことであり、中央行政組織等の改革、あるいは事務配分とも関連をしてくることは御承知のとおりでございます。そこでわれわれといたしましては、公害の問題につきましては、地方に権限委譲、まあこの点につきましてはまだいろいろ問題もございますけれども自治省が先べんをつけまして、そのことを提唱し、閣議においても私、このことを提唱いたしまして、今日の公害行政並びに法制の整備の端緒はつけた、こう思っております。なお、行政改革についてアンケート等もとりまして、それを内閣に取り次ぎまして、その一部は実現を見ておりますが、この点におきましてはまだ問題を残しておることはもちろんでございます。陸運行政関係の事務官制度改革につきまして、これはある程度進んでおりますが、本年中に実現を見ますかどうか。多少、いままだ問題がひっかかっておりますが、これは鋭意具体的に実現さすべく努力をいたしておるところであります。その他、各中央からの地方におけるいろいろ支分局の整備等々は閣議で決定を見まして、推進をされておるところでございまして、まあはなはだ目に見えたはっきりしたものはございませんが、しかし、以上申し上げましたとおり、公害等をはじめとして、必要なものにつきましては相当の努力をし、また、実現を見ておるとひとつ御承知を願いたい。この点につきましては、さらにさらに努力を重ねてまいりたいと思っております。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 公害防止事業に関する財政上の措置に関して、若干質問しますが、新産都市等のこの事業債の利子補給分として、二十億七千五百万円余が計上されています。財政援助法の規定に基づいて、ルールによって算出されたものでしょうから、そのこと自体特に問題にしようとは思いませんが、新産法が制定されたでが三十七年、工特法が三十九年、財政援助法が制定されたのが四十年、財政援助法ができてからもう五年以上たちますが、十五の新産地区、六つの工特地区が指差されてからもやがて十年を迎えようとしています。また、各計画の目標年次は四十五年、五十年となっておって、そろそろ新産、工特の功罪というものについて振り返って見る時期にきている、そういうふうに思うんですけれども、かつて拠点開発方式を打ち出して地域開発推進に一役を買い、また財政援助の所管省の大臣とされて、このことについてどのようにお考えになっておるのか、所見を承りたいと思います。
  28. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) まあこの点も、先ほどの広域市町村圏施策と同様であって、目に見えたものがないじゃないかというようなことを感じられるかもしれませんが、まあおのおのの法律に基づいて、それ相当に各地域開発に私は効果をあげておるものと考えております。これといろいろ公害立法との関係等も今後出てまいりますので、これらの整理、見返しというものをしてみなければいかぬということは、前国会以来申し上げておるところでございますが、現在のところは、おのおのの地域においてそれ相当の効果はあげているのではなかろうかと、こう考えております。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 これについても、先ほどの中間総括同様に、一ぺん公式な総括を出していただきたいと思うのです。自治大臣としてどう総括されるか、そしてわれわれはそれを見ながらどう反省していくかということが必要だと思うのですが、いかがですか。
  30. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 確かにその必要を私自身感じておりますので、これらの点につきましても、やはり見返しをしてみたい、そしてひとつお考えをさらに願いたいと思っております。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 この新産にしても工特にしても、その建設の概況を要約をしてみれば、この新産については優劣の差がはっきりしてきたこと。工場出荷額等生産面は目標を上回っておりますけれども、労働人口の吸収という点では予想どおりにいかなかったこと。それから生産に重点を置くあまり、公害問題が非常にやかましくなってきて、それで各地で住民運動が展開されてきたことなどがあったと思うのです。そこで、私は四十五年という一つの結節点を迎えた段階で考えなければならないことは、生産第一主義を改めて公害防止に万全を尽くす、そういうことだろうと思うのです。この点、大臣から一ぺん所見を承りたいのです。
  32. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 私は確かに四十五年と申しますか、一九七〇年代と申しますか、大きくやはり時代の転換があり、これに即しまして、地方行政の基本と申しますか、中心目標というものも変わっておると思います。確かに戦後から今日まで、経済再建、経済力の進捗、GNPの進捗という点に、われわれの行政なり政治の主目的があったことは争われない事実であります。これがやはり大きな弊害をあらわしまして、自然の破壊、あるいは住民の快適な環境の保全に対して問題を生じたわけです。そこで、今後の内政充実というこの政治目標の内容をなすもの、それに関連して地方行政の内容をなすものは住民福祉である、国民福祉である。GNPの進捗よりは、快適にしてそして住みよい自然と環境の保全、また住民の健康の保全を主とする行政に切りかえられなければならない、私はそう思っております。したがって、自治省といたしましても、諸般の施策中心をそこに置きまして、万般の行政施策をやってまいりたい、こう考えております。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 近くこの公害防止事業に関する財政援助法が出される予定だと言っているのですが、その法律は、いままでの公害防止計画を作成をし、政府の承認を受けた地域、つまり千葉、四日市、倉敷などに指定されていますし、近く東京、大阪、神奈川、さらに尼崎、鹿児島、北九州、大分、こういう地域に限らずに、すべての新産・工特地区を指定地域として財政援助法を適用する、そういうふうに考えておいてよろしいですか。
  34. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 十九条で公害防止事業を行なうことを指定された地域以外の地域におきましても、ある種のものにつきましては、たとえば、「河川、湖沼、港湾その他の公共の用に供される水域において実施されるしゅんせつ事業、導水事業その他政令で定める事業」、あるいは、「農用地又は農業用施設について実施される客土事業施設改築事業その他政令で短める土地改良事業」、「公害の防止のための規制の措置を適正に実施するために必要な監視、測定、試験又は検査に係る施設及び設備の整備事業」等で、自治大臣が主務大臣及び環境庁長官と協議して指定するものにつきましては、同じような補助のかさ上げをするというような大体内容を含んでおります。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 過疎対策について。  公立の僻地病院に勤務する医師養成のための医科大学をつくるということで二億円の補助金が計上されています。建設費七十五億円のうち十億円を国が補助するということで、初年度分として二億円が計上されているということであろうと思うのですが、医科大学の設置要領、医科大学の建設費都道府県負担額及びその年次の負担額、それから事業計画の概要、これらの説明を願いたいのですが、時間の関係もありますから、さらにこの点についてもう一問しておきますが、僻地勤務の医者を養成するといっても、現在の医者不足の現状では、僻地に勤務したら奨学金返還義務を免除するというような方法だけでは医者の確保という目的を達成できないというのが偽らざるところではないだろうか。憲法の人権問題もあるので苦しいところでありますが、お役所的な考え方を脱して、たとえば待遇をよくすることや、あるいは研究の機会を十分与えるとか、いろいろな方法があわせて行なわれないと、所期の目的が達成されない、こういうふうに考えるのですが。以上二点について。
  36. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) いろいろ財政計画等の事務的なことにつきましては財政局長から御説明申し上げたいと思いますが、その第二点の、単に待遇をある程度よくしただけでは所期の目的——辺地に医者を定住させる目的を達せられないのではなかろうかという点につきましては、われわれもこの制度に関する一つ反省点として初めから非常に心配をしております。これにつきましては、十分な待遇をする、それからやはり使命感というものを持っていただき、この建学の基本の精神、これらの確立ということもやはり非常に影響すると思います。同時に、やはりお医者さんがその地、その制度に定着するためには、病院その他の制度、設備が非常に優秀でありまして、そこに一つの非常な魅力があるということが何よりも大切であるということもわれわれ承知をいたしておりますので、この学校及び病院の建設、施設内容、運営等につきましては、その点に格段のひとつ配慮をいたしたいと思っております。  なお、こまかな事務的な経理的な計画につきましては、財政局長から御説明申し上げます。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 すみません。大臣の時間があるようですから、午後具体的なことを答弁してもらいます、事務的なことを。  そこで、大臣にあと一、二だけこのことでお聞きをしたいのですが、沖繩の医者不足というのは、これは本土の比ではないのですね。これを一体どういうふうに考えていらっしゃるのか。  それから、自治大臣は、かつて医科専門学校構想を出された。徳島かどこかでぶち上げられましたね。僻地向けの医科大学を一つつくるだけでは僻地の医者確保問題というのは解決しない。私、僻地をずっと歩いてきてそう思います。その辺をもう少しあれしてもらいたいのと、僻地向けの医科大学を一体どこに設置をするかということですね。
  38. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 一校では足らない。初め二校予定をいたしました。しかし、三校でも足るまいという問題もあろうかと思います。これはやはり今後の推移、成績等によっても適宜なひとつ処置をとりたいと考えておりますが、しかし、それまでの間どうするかということにつきましては、交付税及び特交等で、研究費の助成あるいは奨学金の助成等、きめこまかにいろいろ考えております。運営費につきましては、平年度約二十四億円と見込まれますが、このうち病院収入の約十二億円を除いた十二億円については都道府県が負担することとなるので、これらについても交付税等の所要措置をしたい。また、公立病院の整備等につきましても十分検討をし、考慮をしたいと思います。就学資金及び大学で習練中の医師に貸与する研究費に要する経費として、四十六年度地方財政計画においては四億円を計上いたしまして医師確保対策も考えておるわけでありまして、先ほども申し上げましたとおり、魅力ある病院、あるいは公立病院の施設設備の整備充実ということも必要でございまして、一般会計から病院会計に助成する財政措置等も十分考慮をいたしておるところでございます。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 大臣にあと土地の対策についての問題やら地方財政の問題等で直接お聞きしたがったのですが、午後、関係者のほうと若干を論議をしておきますので、後ほどお聞き取りを願いたいと思うのです。  そこで、大臣、最後にお聞きをしたいのは選挙の公営についてなんですが、衆、参、知事選挙と市町村長、地方議会議員選挙との間に差がつけられていますね。公営問題では、市町村長、地方議会議員の選挙で、立ち会い演説会、公報、ポスター掲示場、これにつき、ともに公営を条例化しておるところは御存じかどうか。これらについて公営の拡大を義務づけ、私は、三つ並んでいるうちの最低一つくらいは公営でやってください、あと一つぐらいは選択してやりなさいというそういう義務づけぐらい、ここへくると行なわれていいのじゃないか。どうも、選挙中に、自分は年とっておって不利だと思われると立ち会い演説会もやらない、公営の掲示板もつくらないというような恣意に流れて、選挙の公営化というような形のものが地方的には差別をされて、たいへんなアンバランスが出てきていると思うのです。その辺について所見がおありならお聞かせいただいて終わります。
  40. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) あるいは地方公共団体、あるいは選挙の種類によって公営の範囲がいろいろ差がございます。で、概括的に申し上げますれば、政党本位の選挙ということをわれわれ考えておりますので、その一つといたしまして、要素として、公営の範囲を拡大していくということは当然あってしかるべきことだと考えております。地方公共団体のいろいろの状況等から、しからばどういうふうに義務づけてどの程度国が援助していくかという具体的ないろいろ問題につきましては今後検討をしてまいりたいと思いますので、いまその点についてのいろいろ御示唆がございましたが、どの程度までやりたいということをここで申し上げることはしばらく御猶予を願いたいと思いますけれども、ひとつ公営拡大の方向で検討をしてみたい、そういう考えを持っておることだけを申し上げます。
  41. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 ちょっとかぜを引いているものですから、お聞きにくいかもしれませんけれども、その点は御了承願いたいと思います。  暮れに公害関係法が十四成立をしたわけでありまして、その公害関係法の連合審査のときに、山中総務長官から政府の統一見解というものが出たのは御承知だろうと思います。公害対策財政上の責任においても、国がその第一義的責任を持とうということであの連合審査は終わったわけであります。で、四十六年度の公害関係予算を見ますと、総額で九百三十億円、そのうち実に下水道の整備が六百六十五億円であります。ですから、ほとんどのものが下水道の整備に食われているということであります。そこで秋田大臣にお聞きしたいのですが、この下水道の整備公害対策であるのかないのか、どうでしょうか。
  42. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 下水道事業というのは同時に公害対策事業にもなる、下水道事業として従来やっていたものは、即裏返して見れば水質汚濁を防止するところの重要な公害防止事業の一部をなしておると、こう心得ております。
  43. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、国が財政上の責任を持つといいながら、下水道整備事業の国と地方との負担割合というのは一体どうなっているのでしょうか。これはほとんど地方が持っていて、国はわずかの補助金しか出していない。あとは起債で見ているのですが、この起債にいたしましても、あとで返さなければならないわけであります。たとえば公共下水道としては、公共下水道の事業が補助対象になる部分は五七%である。それを国が十分の四、地方が十分の六、こういうふうに持つようになっておる。でありますから、公共下水道全体でいきますと、地方の負担が実に七七・二%になる。流域下水道についても、補助対象事業が九〇%で国と地方が半々、地方の持ち分というのは五五%になるし、国の持ち分は四五%、都市下水路にいたしましても、同じような形でいきますと、地方の持ち分が六六・六%、国の持ち分が三三・三%、特別都市下水路にいたしましても、地方の持ち分が七九・四%、こういうふうなことになっているといたしますれば、はたして政府が統一見解を出した公害の対策の財政上の問題は国が責任をとるということは、責任がとれるのかどうか。これはだれが見ても、こういう地方の負担割合でいけば、私は国が責任をとるという公害国会における政府の統一見解というものは意味がないじゃないか。まあ何か国家負担法というのが準備されているという話も聞くわけであります。これにしても各地域が非常に限定されている。今度の公害法の問題点は、水質の問題にいたしましても、あるいは大気の問題にいたしましても、これは日本全国にその規制の地域が広げられたはずであります。そういたしますと、指定された地域以外というのは、これはほとんどこの割合で地方が持たなければならない、こういうことになると思います。こういうふうになりますれば、政府の統一見解とも違うし、同時に公害問題も解決をしない、こうなりますが、これについて統一見解との関連、あるいは公害をなくしていくというこの前の公害国会の決意、こうしたものとの関連で、ひとつ納得できるような御説明をいただかなければ、地方が七七%も負担するということで公害をなくしようと考えているところに、私は無理があるのではないかと思いますが、お答えいただきたい。
  44. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 下水道事業は、裏から見れば公害対策事業であると申し上げました。しかし、元来、下水道事業というのは地方のやるべき仕事でございまして、両面を持っておるわけでございます。そこで、この分につきまして、またその他の公害防止事業財政援助との関連全体を見てやはり論じていかなければならないと思います。今度の、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案によりますれば、下水の中で特定公共下水道、都市下水路、それと公共下水道の中に入ると見られる終末処理、これの設置または改築の場合に二分の一の補助にした。その他緩衝緑地、廃棄物の処理施設、あるいは例のヘドロのしゅんせつ事業、あるいは公立義務学校の移転または施設等の整備事業、あるいは土壌改善の事業等、あるいは監視、測定器だとか等々、二分の一の補助といたしました。こういうふうに、全体的な観点に立って見ますというと、これは従前に比しまして相当程度国が財政上の負担に任ずるという制度になっておりますので、ことにまた下水事業につきましては二兆六千億でございますが、事業を遂行するという目標も立てておりますので、これらを全体的にひとつ御検討願いまして、政府の意のあるところをおくみ取り願えるのではなかろうかと思う次第でございます。
  45. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大臣、私そういうことを聞いているわけじゃないのですよ。政府の四十六年度の予算説明というもの、これに、九十五ページに公害対策経費というのが載っているわけですよね。それで、一般会計として九百三十億の公害関係対策費を組んでいるわけです。そのうち六百六十五億は下水道事業費に充てられているわけですね。そうすると、四十六年度の公害関係経費の大部分というのは下水道経費ですよ。この六百六十五億を除きますと、あと二百六十五億しかないのです。これは予算委員会において小柳委員と佐藤首相との間で、この問題も論議になったところです。で、これだけしかないじゃないかと言ったらば、佐藤首相たいへんおこった、おこったけれども、現実にはそれだけしかないわけです。公害阻止法案をつくっても、たった二百六十五億しかないわけです。それならば、この下水道経費というのも当然公害関係経費である。それならば、いまのような形で地方負担というものをこんなに多く残しておくのは、統一見解と相反するじゃないか、矛盾するじゃないか、この点について答えていただきたい。
  46. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) やはり特定公共下水路、あるいは都市下水路というものを特掲いたしまして、これに対するかさ上げをしたり、また終末処理場の設置費用、あるいは改築費用についても新たにこれをかさ上げの対象にいたしております。しこうして、足らざるところは来年度の予算でこれを補充するということにもなっておりますので、これらの点を考えていただきますれば、本来、下水道事業地方事業であるという点とあわせて考えていただきますと、相当、政府の下水道事業に対する財政措置意向というものもおわかり願えるのではなかろうか。もちろん十分とは申せませんかもしれませんが、意のあるところは十分おくみ取り願えるのではなかろうかと思うのでございます。
  47. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 あのね、これではどうも私の聞いていることと、いままでの統一見解との関連というものは全然答えてくれていないのですよね。せっかくあの二日間の連合審査で統一見解が出たというならば、具体的に出たというような確約、あるいはそれに対する措置というものは私は必要だろうと思うのです。それが何ら出ていないということなら、政府の統一見解を私は引っ込めてもらいたい、こう思うのですがね。委員長においてひとつお取り扱いをお願いしたいと思います。
  48. 若林正武

    委員長若林正武君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  49. 若林正武

    委員長若林正武君) 速記を起こして。
  50. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) お答えをいたしておるつもりでございますが、あの統一見解の趣旨には合っておらないじゃないかという御所論であろうと思います。で、ひとつこの点につきましては、もちろん御意見は御意見でございまして、御意見の分かれるところでございましょうが、法案の審議を通じましてひとつ御検討を願いたいと存ずるわけでございます。
  51. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 法案の審議を通じてということですが、法案は全然出ていないわけですね。幾らこういう法案を出したって、こういうような予算関係というものはすぐは直っていくものじゃない。しかし、公害のほうは一刻も早く公害を除去しろということで、去年はあれほど大きなことになった、それほど待てない問題だ。これはただ単に一つの下水道の問題だけしか私は取り上げていないわけですけれども、ほかの問題にしても私は全く同じだと思う。   〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕  それじゃお尋ねいたしますが、今度は水質汚濁と大気汚染の規制の範囲が全国的になりました。これに対する監視、取り締まり、一体何人見ているのですか。国のほうでもこれはほとんど見ていない。おそらくその人員というのは地方に割り当てているだろうと思う。一体それは国で何人見、地方で一体何人見ようとしているのか。そして具体的にどれだけの仕事ができるか、明らかにしてください。
  52. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 国のほうの人数につきまして、私どもちょっと手元にいま資料がございませんが、公害関係の監視測定体制整備というような面を中心にいたしまして、来年度地方財政計画上では一千八十四人の増員を見込んでおります。
  53. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 千八十数名、これもただ単に、すべての公害対策に対してそれだけの人員だと思うんです。それだけで一体できるのか、おそらくできないだろうと思います。具体的に監視のメーターをどれくらいつけるかということについても、まさにこれはところどころにつける程度なんで、こんなことで公害防止が一体できるのかどうか。私はできないと思います。こういうようなやり方で、自治大臣、一体公害はいつまでに非難のない程度にまで下げることができますか、お答えください。
  54. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) これは新しい問題でございまして、公害を完全に除去するのにどういう体制をしいたらいいか。そしてそれに関連してどれだけの係員、監視員と申しますか、測定員と申しますか、こういうものが要るかというお尋ねでございますが、まあ大体ただいまお答えを申し上げました人数をもって一応のところ   〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕 足りるのではないかという試算に基づいたものでございます。今後のやはり実施状況に応じまして、試行錯誤的に改善を加えたいと存じております。
  55. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いずれのお話を聞いても、私はどうも政府が公害国会の中で約束した統一見解を守っておられる、こういうふうにはどうしても感じられないです。監視員制度の問題も、おそらく政府部内で討議はされていると思います。私どもの耳に及んでくる点ではきわめて少数の内容であります。地方公害対策職員にいたしましても千数名であります。これで一体できるのかどうか。食品衛生の監視員ですら、あれだけの人数がいながら、監視率はせいぜい三割いけばいいほうなんです。三割いってないところが多いのです。私は、こういう自治大臣地方自治体に対する態度というのはまことに不満であります。もう少し公害をなくすという国民的な輿望にもっとこたえるような積極的な態度は出すことはできないのですか。私は、おそらく自治大臣がそういう態度を示せば、国民自治大臣のそうした決意に対して大いに後援をし、そしてその実現方というものを強く国民は要望するに違いないと思う。大臣の決意を伺いたいと思います。
  56. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 公害防止事業の必要性につきましては、昨年の春以来、閣議におきましても、自治省といたしましても相当積極的に主張いたしてここまでまいったわけであります。公害防止センター等の設置等につきましても、私がみずから。パンフレットを閣議で配りまして、その必要性を力説をしておるようなわけでございます。しかし、予算上の措置がこれに伴わないじゃないかというおしかりでございます。公害防止事業に対する国の財政上の措置につきましても、それぞれ検討いたしまして、近く御提案申し上げる運びになっておるわけでありまして、その中におきましても、先ほど御説明申し上げましたとおり、相当の措置はいたしておるつもりであります。ことに公共下水道事業につきましては、二兆六千億という五年間の総ワク事業量というものも、大量なワクにおいて設定をいたしておりまして、これらの事業の遂行を期するわけでございます。それに対する国の援助、補助が不十分であるというおしかりでございます。これらの点につきましては、今後ひとつさらにさらに検討を続けまして、完ぺきを期してまいりたいと思っております。  人員につきましても、ただ人の数をふやしたら、それで予算上の措置があっていいかと申しますれば、やはり適当な人を養成しながらいかなければならないという点もございます。こういう点も勘案をいたしまして、現状における最善を期した次第でございまして、これで十分であるともちろん申せられません。また、これに対する計画的な処置につきましても、まだふなれな点もございまして、決して十分であるとは考えておりませんが、今後ひとつ最善を尽くしまして、これらの点につきましても計画的な、数字に即した具体的な計画を立てて、それに即した予算措置を順次講じてまいりたいと存じております。
  57. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 御答弁は要りませんから、ひとつ私のあれをほんの一、二秒でしゃべりますから聞いていてください。私はいまの答弁を聞いても、政府がみずから閣議できめた統一見解というものを真剣に守ろうとしていない。この点を私は国民の前に明らかにしていきたい、そういうふうに思います。それを私はこの問題に対する大臣への質問を終わりたいと思います。
  58. 若林正武

    委員長若林正武君) ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕
  59. 若林正武

    委員長若林正武君) 速記を起こして。  本件の午前中の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  60. 若林正武

    委員長若林正武君) 消防法の一部を改正する法律案を議題とし、これより補足説明を聴取します。降矢消防庁長官
  61. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 先般、お手元に御配付申し上げました「消防法の一部を改正する法律案関係資料」の新旧対照表がまん中ごろについておりますので、この新旧対照表に基づまして御説明を申し上げたいと思います。新旧対照表はちょうどこのまん中ごろに書いてありますが、上段が新になっておりまして、下のほうが旧になっております。  まず、第八条関係でありますが、第八条関係は、学校とか病院とかというようなところで、就業人員が五十人以上のところには防火管理者というものを置けという規定でございます。そこで二ページの新しく三項というものを加えまして、そういう防火対象施設において防火管理者が定められていないときには、消防機関が防火管理者を定めよという命令を出しまして、そうして置かせるということを新しく規定することにいたしました。  それから、次は第八条の二でありますが、これは第八条の二の一項に、高層建築物あるいは政令で定める防火対象物、第三は地下街、この三つのものにつきましては、用途がいろいろに使い分けておりますので、こういう場合には防火管理者がそれぞれの施設において設けられますが、さらにそういう防火管理者の間を総括する意味のいわば総括防火管理者というものを設けることにしてある規定でございまして、そこで四ページに新しく三項を設けまして、総括防火管理者というものを設けた場合には、消防計画、その他避難計画等をいろいろつくることになっておりまして、そういうことをさせるために、総括防火管理者というものが設けられない場合には、その設置を命令するという規定を三項に新しく設けました。  次は第十一条でありますが、これは危険物を製造する施設あるいは取り扱うところ、こういうものを新しくつくろうという場合、あるいはつくっているものの位置、構造、設備を変更する場合には、市町村長等の許可を受けなければならないことになっております。そこで次の七ページでありますが、第三項に、できておるものの位置、工場設備を変更するときには、変更のことについて完成検査を受けなければ使えないということになっております。しかしながら、たとえばガソリンスタンド等におきまして、現在使っておる施設関係のない一部を変更する場合においても、現行の規定では全体が、一部の工事が終わるまでは使っていかぬということになっておりますが、それが非常に実情に即しません。そこで、この三項の後段のほうにただし書きを設けまして、そういう工事をしておることが火災予防上別に支障がないというふうに市町村長等が認める場合には、かりに承認を受けまして、現在の施設をそのまま使えるということにいたしました。  それから次は一〇ページであります。十三条の規定でありますが、この十三条以下は危険物取扱者ということに関する規定でありますが、十三条は、危険物取扱者につきまして、従来、一三ページの下のほうの欄に書いてありますような危険物取扱主任者という制度がありまして、つまり危険物取り扱いについては試験制度がございます。資格試験制度がありますが、さらにその者に対しては免状を交付をして実際の仕事をさせることになっております。ところが、現在の危険物取扱主任者制度というものは、免許を持っておる者であっても、実際、たとえば工場長から、おまえが取扱主任者であるということの命令を受けて選任をされなければ一切の仕事ができない、こういうしかけになっております。それは実際実情に合いませんので、今度の改正では、取扱主任者という名称を改めまして、危険物取扱者ということにいたしまして、そういうものは全部その資格において取り扱いをすることができるということにいたしますとともに、ただ、全体を総括する必要がありますので、取り扱いの資格者のうちから危険物の保安の監督をする者を別に選任をしろ、こういうような規定にいたしました。したがって、従来と違います点は、危険物取扱者というものはすべて危険物の取り扱いができるということにいたしますとともに、その者の中から一人を選んで危険物全体の保安の監督をさせるような制度に改めたということでございます。それが十三条の一項の規定であります。  それから、その次は十三条の三項の規定でありますが、危険物取扱者のうちで現在甲種と乙種がありますが、この甲種、乙種は立ち会いをすることができる。同時に立ち会いをして、そういう者の立ち会いのもとで初めて取り扱うことができるというふうにいたしたわけでございます。規定のいわば整理みたいものであります。  その次は、十三条の二の規定でありますが、危険物取扱者の種類として、従来、甲種と乙種とありました。甲種というのは危険物全体を取り扱う資格であります。乙種というのは、危険物の中には第一種から第六種までありまして、そのうちのそれぞれの類について試験に合格した者であります。そのほかに今回新たに——一二ページの一番最初の行でありますが、丙種取扱者というものを新しく設けるようにいたしました。丙種取扱者の制度を設けましたのは、現在、たとえば簡単に言えば炭屋さんなどで灯油の販売をかなりやっております。しかしながら、炭屋さん自身が乙種の試験を受けようとしても、高度の試験をやりますのでなかなか受かりません。しかし、実際、炭屋さんのところでは灯油なら灯油の知識を持っており、それの危険物予防及び防火の知識があればそれで足りるわけでございますので、したがって、そういうことを考えますと、やはりある種の種類のものだけの資格試験をとらせるということのほうが、むしろ実情に即するという考え方に基づきまして、今回、新たに丙種危険物取扱者というものを設けて、その試験をやることにいたしました。  その次は、それに伴う制度の改正、整備でございますので、省略さしていただきます。  次は一五ページであります。十三条の三の二項でありますが、これはいまの試験の種類としては甲種、乙種、したがって丙種の危険物取扱者試験というものを新しく設けることにいたしますとともに、試験制度は、従来規則の上で毎年一回行なうようにつとめるということになっておりましたが、今回法律にはっきり、「試験は、毎年一回以上、都道府県知事が行なう。」というふうに三項に明定したわけでございます。大体の実績は、多くの県は大体二回やっております。それからなおこれに関連いたしまして、丙種というものが新しくできましたので、丙種の試験につきましては、来年の九月三十日までの間に少なくとも二回はやらなければいかぬというふうな、やられるようにつとめろということを附則に置くことにいたしました。なお、従来の甲種及び乙種の資格を持っておる者は、危険物取扱主任という名前の「主任」がとれるだけでありまして、その資格は従来どおり継続するように附則でしております。あとは条文の整理になります。  次は、一七ページにまいりまして、一七ページの第十三条の五という規定を新しく設けました。これは、従来は講習会を受けろという規定がございませんでしたが、今度新たに危険物取扱者の試験を受かって、現に危険物の取り扱いに立ち会ったり、取り扱っている者は、新しく都道府県知事、その他自治大臣指定する市町村長その他の機関の行なう講習を必ず受けなければならないということに規定いたしました。講習の場合は、大体、いま自治省令で定めるところというのは、五年以内ごとに講習を受けろということにいたす予定でおります。なお、それを受講しない場合は、十三条の二の第五項の規定によって免状の返納を命ずることができることにしております。  その次は、一九ページの第十六条の二という規定であります。一番最初のは「移動タンク貯蔵所」と書いてありますが、これは法律用語でありまして、一般にはタンクローリといわれているものでありますが、タンクローリによって危険物を移送するときは、危険物取扱者を必ず乗車させなければならぬという規定を新しく設けました。従来ある程度行政指導で、三十四、五年ころからやっておるところでございますが、今回法律で規定をいたしました。それからもう一つは、タンクローリにおきましても、御案内のとおり灯油あるいは重油、ほとんど石油類の運搬が非常に多うございます。そこで今般、先ほど申し上げましたような丙種危険物取扱者という試験制度を新たに設けまして、でき得べくんば運転をされる方にこの試験を受けていただきまして、運転者みずからが資格者として運転をするということを期待しておるわけでございます。もちろん運転者でなくて、これに同乗する者がその資格を持つことも一向差しつかえないわけでございますが、いずれにいたしましても、危険物取扱者というものを同乗させる義務をつけることにいたしました。  それから二項は、危険物取扱者は、タンクローリによって危険物を移送する場合には、いろいろな安全上の基準というものを政令で掲げまして、たとえば消防機関への通報とか、出発時の点検とか、いろいろな施設の問題、こういうものを掲げまして、そういうものを順守させるように義務づけたわけでございます。  それから第三項は、タンクローリに危険物取扱者が乗車しているときには、危険物取扱者の免状を携行しなければならぬということにいたしたわけでございます。  それから第十六条の三は、新しく講習会を設ける等の規定を置きましたので、手数料の整備をいたしたわけでございます。  十六条の四は、危険物等に対する市町村長等の立ち入り、資料の提出命令権というものを規定してありますが、そこの第二項として、二二ページに、ただいま十六条の二で申し上げましたタンクローリに関連いたしまして、走行中のタンクローリにつきまして、消防吏員または警察官は、停止をさせて、そして危険物取扱者が同乗しているかどうか、その人が免状を持っているかどうかを検査することができるようにいたしました。もちろんこの場合は警察官と協力をしてやるという規定を後段に置いておるわけでございます。  それから次は二四ページであります。二四ページの三十五条の五という規定でありますが、これは救急業務を義務として行なう市町村に関する規定であります。今般「政令で定める市町村」というふうにいたしまして、従来は「消防本部を置かななければならない市町村が政令で定める基準に該当するものは、救急業務を行なわなければならない。」となっておりましたのを、たとえば現在の規定では、広域市町村圏全体を見て、そして救急業務を全体としてやるというふうな場合における、現在の規定ではそういうことをさせる規定はございません。それから市町村におきましては、かなり交通事故の割合が高いというところも、国道が通っておるためにあり得るわけでございまして、そういうところも現在の規定は弾力性を欠いております。したがいまして、われわれは現在の消防本部を置いておる考え方、消防本部及び消防署を必ず置く、消防団地区でないそういうところにつきましては、やはりその市町村の実情に応じて政令で指定する方式をとっておりますので、この際それと軌を合わせまして、市町村の実情に応じて弾力的に救急業務の義務づけをできるようにいたしたい、こういうことで今回新しいこういう規定を置くことにいたしたわけでございます。  それから、あとは罰則の整備でありますので、省略させていただきまして、三三ページ、四十五条という規定がございます。この規定は、実は直しましたのは、旧法の規定で、下の欄の左から二行目にただし書きがありまして、「但し、法人」「その他の」云々、これは両罰規定であります。これは最近の立法例におきましてはこれは当然のことであるので、あえてこういうただし書き規定を、両罰規定の責任のただし書きを置かないというのが最近の立法でありましたので、それに合わせまして法制局と相談して整備をしただけでございます。  それからその次は三五ページでありますが、これは危険物の種類を法定しておる別表であります。これにつきましては、別に一覧表を御配付申し上げておったと思いますが、それに基づいて御説明申し上げたいと思いますが、今回の改正は、主として危険物のうちで第四類、三七ページをお開き願いたいのでありますが、三七ページに第四類という区分がございます。その第四類というのは、ここに掲示されておるように可燃性液体で石油類を中心にした危険物であります。これにつきまして今回改正いたしました考え方は、別表の、先般御配付申し上げましたようなものでございまして、一つは特殊引火物という非常に危険なものを新たに項目を起こしまして、たとえばエーテルとか二硫化炭素とか、コロジオンとかいうふうな、性質の同じようなものを特殊引火物ということにして規制を強化することにいたしました。これにつきましては、なお固体のアルキルアルミというものをこれに含めるということで、規制を強化するということが第一点であります。それから第二石油類というものがございますが、これは灯油が主としてこれに該当するわけであります。こういうものは現在テレビン油とか松根油とか、一緒になっておりますが、こういうものを合わせまして第二石油類というふうに整備をいたす。それから第三石油類というのが三七ページの一番最後に書いてありますが、この中は、実は危険物の性質によって二つのものが混同しておりますので、今回新しい第三石油類としては重油のようなものをこれに入れまして、なおさらに、第三石油類の重油と分離いたしまして、ギア油とかシリンダー油等は動植物油とほとんど性状が同じでありますので、今回第四石油類ということにいたしたわけであります。  そこで、個別の名前をできるだけ避けまして、特殊引火物とか第二石油類、第三石油類、第四石油類、こういうふうにいたしましたのは、新しい製品ができました場合には、一々法律を改正しなければそれまでは野放しの状態になっております。むしろ性状の類するものを合わせまして、そこで新しい製品ができましても、性状の類するものは、あるものは特殊引火物になり、あるものは第二石油類になるということで、当然に法律の規制を受けるようにする必要がありますので、いま申し上げたような改正をして一括してくくる。つまり性状によって一括してくくるという方式をとることにいたしたわけでございます。  以上でございます。
  62. 若林正武

    委員長若林正武君) 暫時休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  63. 若林正武

    委員長若林正武君) 地方行政委員会を再開いたします。  昭和四十六年度自治省施策及び予算に関する件を議題とし、午前に引き続き質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 和田静夫

    和田静夫君 午前中質問しました医科大学系統、答弁を承ります。
  65. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 医科大学につきましては、全都道府県を設立者とする学校法人の構想のもとに、定員百人の医科大学を設置をする、こういうことがだんだんと府県を中心にして、知事会等を中心として大体案として固まってきておるわけでございます。その入学の方法としましては、各都道府県知事が推薦をいたしました者の中から試験によって決定をするということでございまして、ただその場合には、もちろん大学卒業後引き続いて一定期間以上公立病院に勤務するということ、そうしてその中の半分以上の期間は僻地病院あるいは診療所等に勤務するというようなことを一応の条件といいますか、そういうことに考えたいと、こういうわけでございます。で、入学資金——入学金とか、あるいは修学に要する経費等は府県の負担で学校法人が学生に貸与する、こういうかっこうで考えていきたい。学校の開校の予定時は四十七年の四月ということにいたしたい。建設費は総額で七十五億円ということになっておりまして、府県及び国の補助で考えていく。国の補助は三年間で十億ということになっておりますので、六十五億円は府県の負担ということに相なるわけであります。そういう大体の構想でございます。  そして、先ほどのお話でございますと、どこに設けるつもりかというお話も一点ありましたが、これにつきましては、実は知事会の中に設けられましたいわゆる学校法人設立のための発起人会というのがあるわけですが、その一応発起人会が、学校法人が設立されますまでの間はそういうお世話をしなきゃならないというようなことで、現在学校の場所につきまして選考中という段階でございます。したがいまして、ただどこに置くかということが決定しておるわけではございません。ただし、来年四月に開校ということでございますので、少なくともこの月の終わり——まあ終わりはちょっと無理かと思いますが、来月の初旬ごろまでには一応決定をするということが行なわれなきゃならないと思っておるわけでございます。  で、府県の負担額は、先ほど申し上げましたように六十五億円であります。四十八年度までに一都道府県当たり均等に一億四千万円の負担を一応予定をしております。四十八年度と申しますのは、建設期間が四十六年度から四十八年度にわたるというようなことがございまして、その建設費についての負担をそういうふうに予定をいたしております。この負担額につきましては、四十六年度分につきましては地方財政計画にも必要経費を計上するというようなことで考えていく計画を立てておるわけでございます。運営費につきましては、これは全部が軌道に乗りまして平年度化いたしましたときには約二十四億円程度見込まれますが、このうち病院収入を除く部分につきましては府県が負担をしていくということに相なるわけでございます。そういうようないま形で大学の設立の準備が行なわれておる、こういう状況でございます。
  66. 和田静夫

    和田静夫君 それで、この問題について、義務的に——けさほどもちょっと申しましたけれども、卒業後引き続き貸与を受けた期間に一定期間を公立病院に勤務する、そうして二分の一以上の期間は僻地病院や診療所に勤務する、こういうことですね。で、前にも申し上げましたのですが、たとえば北海道の五十五市町村くらいずつと僻地を回りましたがね。それぞれ貸与をしながらいわゆる医師たる条件を持つまでにこうなる、ところが医師としての資格を得れば、貸与をされた三百万や四百万の金は即座に返して、その僻地にはお医者さんはお帰りにならない、そして札幌にとどまってしまう、あるいは東京にとどまってしまう、こういう状態がまあ現実あるわけですね。現実ある。そこで僻地対策のいわゆるこの医科大学をつくって、そういう状態がなくなるという保証はないわけですね。それらについてはどのようにお考えになっておられますか。
  67. 大石八治

    政府委員(大石八治君) 確かにそのお金を貸してあるだけでありますと、いままでにもそういうことはやりましたけれども、途中でそのくらいの金を返して行かないということも——どももそれが実はやっぱり別個の大学をつくって、医療ということに対する観念というものも変えてもらうといいますか、そういうふうにしなければ、結局僻地医療の、医者の確保はできないというふうに考えたわけであります。それでいわゆる全学生を全寮制度にする、そしてそこに倫理的にも、あるいはその他においても優秀な教師というものを配置して、そうしてその精神的な面でも一つの教育というものを施していかなければ、ただお金がたいへんだからお金を貸してやるということで、その財務負担だけで僻地にがまんさせるということではなかなかできないだろう、それにいまは大学の入学倍率も非常に高いし、ことに私立に至ればそうでありますから、そういう中で養成されてきて、一体僻地に勤務するということが、まあ性格にも思想的にもなかなかできないのではないかという意味で別個の大学をつくろうというのが、この発想をさせたかなり背景の私は一つだろうというふうに考えているわけであります。したがいまして、その応募者の推薦も地方団体の知事に推薦をさせる、それは各県内の学校等から、あるいは校長等の推薦を受けて、そのうちでまた選択すると、そしてそういう可能性のある学生を全員入寮させていわゆる教育をしていくという形で、いわゆる人間も、何年かの学生の間に人間形成もさしていくというふうなことも考えていこうと思っているわけです。同時に研究がいわゆる大学を出てからできないということではだめでありますから、それを受け取る施設についても将来において国が考えていくというような、医学の進歩というものにおくれないようなものも考えざるを得ないんではないかというふうに、それぞれあわせて考えている次第であります。
  68. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、やっぱりずばり言って、とどまるとお思いになりますか。
  69. 大石八治

    政府委員(大石八治君) 全く一〇〇%どうなるかという点については、これからのことでありますから、私どもも一〇〇%大丈夫ですというふうには申し上げられませんが、いままでのやり方では、お金を出してやるだけではだめだということから、いわゆる別の大学、われわれ僻地大学ということばで呼んでいますが、地域医療を担当するいわゆる医者という観念に徹した医者を養成すると、つまり養成機関においてそういうものをからだの中にしみ込ませていくというような医者をやっぱりそこでやらなきゃならぬのじゃないか、そこに期待を持っていくわけであります。
  70. 和田静夫

    和田静夫君 たいへん言い方が悪いんですが、たとえば一期校の医学部に入れなかった、二期校の医学部にも入れなかったというような形の方が、そして私立に行くのはかかり過ぎる、そこでここをねらう。入った、出た、国家試験が終わった、そしてお借りをしたお金はすぐ返す。そしてまあ大学院等ほかの大学をねらう。こういう可能性というものが——いま精神教育はよくわかりましたけれども、やっぱりあると思うんです、私は率直に言って。その辺をチェックするためには精神的な教育だけではどうにもならないと思うんですね。出てから僻地につとめた場合の収入がどうなるか。あるいは年間を通じての内地留学が二カ月なら二カ月ぐらい保証されるのであろうか。二、三年の研究成果をもって外国に研究に行けるのだろうかなどなどというようなものが、やっぱり保証されなければならぬような気がするんですが、そういうような手だてまではやっぱりお考えですか。
  71. 大石八治

    政府委員(大石八治君) これはこれからの問題でありますが、技術的にはいろいろのことを考えなければならないと思います。いまお話しの一期校の入学試験の期日、私立の期日等もありまして、あるいはいまの落ちたから来るというようなのは拾わないという意味で、試験期日を一体どうするかというのは、お話しの点のとおり、あるいは一つの考慮の話題であろうと思います。  それから私どもは、この大学というものは、必ずしもレベル的に低いなんということを考えない。非常にやっぱり優秀な大学、教授陣も専門的にも優秀であり、いわゆる施設等も優秀である。どうせ病院をつけるわけでありますし、そういう意味でも優秀であるという大学に仕立てていかなければならぬと思います。  それで、そのあとのいわゆる配置をされたあとでも、研修のような問題というのは、私ども確かに行きっぱなしでいいというふうに考えておりませんし、一定の期間のうちはそういうところに行くんだというふうに、全部の期間を何年間かぶっ続けにというふうに考える必要はない。先ほど財政局長からお話し申し上げたとおりです。そういうふうに考えまして、これもわれわれがこれからやっていって、いわゆる専門的ないろいろの人の意見なり、あるいは地方自治体で苦労されている人たち意見というものが出てくるわけであります。そういう経験の上で、どういうふうにすることがいいか。その単に自治体の考え方でなくて、いわゆる医師としてどういうふうに処遇してやればいいかというような点は、おそらくいままでの経験の上でいろいろな案が私はあり得ると思うのです。そういうものを取り入れてやっていくようにいたさなければならぬというふうに考えております。
  72. 和田静夫

    和田静夫君 その辺十分な手だてを必要とすると思いますから、意見として述べておきます。  土地対策に関連をして質問をします。そしてここの部分で、過日も自治省四十三年度の決算のときに触れました三重県の白山町の問題の結論を若干出しておきたいと思うのです。買収農地の払い下げ問題については、きわめてそれが国民常識に反したものであるということから、世論の強い批判を受けています。で、過日、野党三党の政令改正の撤回申し入れに対して、政府は撤回の意思のないこと、しかし世論の批判もあって、総理の指示で、不当利得の生じないよう措置する。そういう回答をなされたようでありますが、これら一連の政府の措置は閣議で決定をされたものでありますけれども、まあ大臣は席をはずしていらっしゃるのですが、不当利益を生じないような措置というものを具体的にどんな方法でやられようとしているのか、答弁願いたいと思います。
  73. 大石八治

    政府委員(大石八治君) 私では、その点はあまり答弁者としては適当ではないんではないかと思います。また、その処理を、実際問題、私も聞いている程度では、いわゆる与党、野党、ともに議員の立場で問題を処理しようというようなことも考えているようですし、何かきょうの新聞等では、一体農地法八十条でも、それを修正することによって、いわゆる物価水準の高さをそれにかけていくというやり方もあるんではないか等々、時価以外にもあるというようなことでされているようです。多少法律上の厳密な解釈の中で、どの程度までできるかということとかね合わせてその問題を検討しているようです。ですから、私がいま政府の人間としてそこまで答えることはちょっと無理だろうと思います。
  74. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、これは後ほど大臣がお見えになったときにちょっとお聞きすることにして残しておきますが、この前のあれで一応自治省関係決算を終わりましたということにしたんですけれどもね、残っている部分だけちょっと確めたいんですが、防衛庁、その後お調べになりまして、私が指摘をしたいわゆる町有財産の部分について、購入をされていると思うのですが、購入をされていたのはまず何平方メートルですか。
  75. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) まず、面積といたしましては七千二十平米、価額は約二百八十万円です。
  76. 和田静夫

    和田静夫君 七千二十平米、二百八十万円ですか。それでこの二百八十万円というのは、七千二十平米ですが、七千二十平米以外のその部分を加算しますとどうなりますか。町に払った分は。
  77. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) これは順次段階を追うて買収をいたしておりまするので、この町に支払いをいたしたものはそれだけでございます。
  78. 和田静夫

    和田静夫君 たとえば地番二百五十の百五十九、二百二十二平方メートルの山林の分で白山町に支払ってませんか。
  79. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) その点に関しましては、地目上はその町有地というものの中に山林と区分されているものも、それも合わせまして二百八十万ということでございます。
  80. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、七千二十平方メートルの中に二百二十二平方メートルという二百五十の百五十九という地番が入っていることになるわけですよ。これは入ってませんね。——入ってないですよ。別ですよ。七千二十平方メートルとは。
  81. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) これは先ほども申し上げましたように数次に分かれて買収をいたしておりまして、現在のところ、いわゆる町が所有者である町有地につきましては、先ほど申し上げました約七千二十平米でございますが、それ以外に二百四十平米ばかりこの中に入っておりまして、全部で十五筆ということに相なっております。
  82. 和田静夫

    和田静夫君 入ってますというのは、七千二十の中に入ってますというのですか。
  83. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) 失礼いたしました。正確にいうならば七千三百六十三平米でございます。
  84. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、その七千三百六十三平米について二百八十万とおっしゃられた……。
  85. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) 二百八十万五千六百円払っております。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 そこでですね、これはやっぱりここの部分ですね。ここの部分は、この前も登記であれをしましたとおり、公衆用道路ですから、したがって道路法違反になるんですね。
  87. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) これはまあ前回も申し上げましたように、農林省の開拓財産でございまして、それが町に払い下げられたわけでございますが、この部分はもとより、私どもですでに取得いたしました中にある、いわゆる公衆用道路という、地目上そういったものが含まれております。これは町に払い下げます段階で、農林省といたしましてはこれを公用廃止いたしまして、そして町に払い下げをいたします。町としては、これを受けて、現在、買収までは、いわゆる町道というふうに認定いたしますならば、これは行政財産になるということでございますが、そういう措置をいたしませんで、いわゆる公衆用道路というまま受けて、これをわがほうが買収をいたしましたということで、確かに公衆用道路というのは、道路法上の道路もございますれば、そうでない道路もございます。それはそれぞれ個々のいわばわがほうの施設の必要性、部隊運用の必要性というもの、あるいはその他、そのあとにおける整備あるいは交通その他の関係で処理さるべきものだと、一応私どものほうの現在の考え方いたしましては、これは近く地目変更によってこれを合筆をいたしたいという考え方で、いわゆる公衆用道路としての指定と申しますか、地目上の扱いはいたさないという考え方をとっておるわけでございます。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 防衛庁がかってにそうお考えになったところで、厳然として道路法十条というのはあるわけですからね。したがってその道路法十条に違反をした処理のしかたをされていることは、これは間違いないのです。行政局長、これはその後お調べになりましたか。
  89. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 先日の決算委員会のときもお話がございました。あのときには防衛庁のほうに調査をせよというお話でございました。私もあの委員会のあとで防衛庁の係官に聞いてみましたところが、防衛庁の係官は、道路法上の道路ではない、こういう話がございまして、したがいまして私どものほうでは調べておりません。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 道路法上の道路ではないといかに抗弁されても——これは御両者ですがね、地目は公衆用道路になっているのは間違いない、登記上。これはやはり処理としては、道路法に基づいた処理というものが必要になります。それを怠られていることは、これは間違いないですよ。こういう形のことを各所でやられたならば、もうたまったものではない。それはこの間も言いましたが、防衛庁が町有財産をかすめとっているのと一緒ですよ。そういうことになるのです。それで七千二十平米に含まれる分についてもそうですが、問題は、たとえばおたくで図示をされたこの道路、これはこの前の答弁によれば談合中ということになっている。談合中のものであれば、この部分というのは明らかにいまこの大原−桐生線というのは道路ですよね。ところが、ここに町民たちが自由に出入りできないということにはならないわけでしょう。
  91. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) この場内のかつて開拓財産でありました道路につきましては、私のほうは道路法上の道路ではないという考え方で、そのように処理いたしたいと考えておりますが、ただ、この中に一本だけ、実は塩見峠のほうに参る、いわばこの施設を横断をするところの道路がございます。これは施設から申しますとかなり南の端になっておるわけでございますが、この面につきましては、いま申し上げました開拓財産としての道路であったものに若干これは重なりまして、いわゆる赤線道路と申しますか、里道というものが重なっておるように伺っております。その面につきましては、今後関係地方公共団体等とも御相談をいたしまして、私のほうの施設、部隊運用の必要性、そういうもの等とも調整をいたしまして、今後その道路が従来から果たしておりました効用その他も勘案をいたしまして、適当な措置をとるような方向で検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 それから将来、その検討をされる前に、この道路をいま使用させないということにはなりませんか。それから検討をされた結論が出るまでの間は自由に使用させる、そう理解しておいてよろしいですか。
  93. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) これはやはりその道路の両側と申しますか、それは私ども施設でございますが、ただ通過するということだけでありますと、これは現在さしたる支障はないかと思いますが、やはり両側がわがほうの施設でございますので、そういう点につきましては、完全にこれを遮断するというふうなことは考えておりませんけれども、将来そうした検討の方向ともあわせて、まあ現在のところはそうした面で私どものほうとしては当面支障はございませんということでやってまいりたい、こう考えております。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 それは当面は使用は自由であると……。
  95. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) ただ、やはり調査工事その他施設の建設に伴う工事の関係もございますので、その点でやはり通行して向こう側へ行くというふうな御用のない方につきましては御遠慮いただくというふうなことを、場合によっては、いたさなければならないかと思っております。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、町の道路を住民が通る場合に検問をされる、防衛庁から。行政局長、そんなことは許されますか。
  97. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいまのいろいろお話を承っておりますと、道路法上の道路であるかどうかということが基本だと思います。もし、道路法のいいます——この場合町道でございます——道路法上認定された町道であるといたしますれば、公用を廃止しない限りは何人も自由に通れなければいけない、こういうことが原則だと思います。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 行政局長ね、いまやっている部分はもう町道であること間違いない。さっきの話とちょっと違うのです。さっきの話も私は見解を異にしておりますけれども、いまのやつはもう間違いがない。しかも、まだ防衛庁に買われたものでも何でもない談合中のものです、この間答弁されたとおり。したがって、やはり私はいま自治省の側が答弁されたことが至当だと思うのです、ここの部分について。したがって、ここの部分については防衛庁としてはやはり道路としての使用というものをあなたのほうで何も束縛する権限ないのですから……。
  99. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) この点に関しましては、私どもとしては道路法上の道路ということにはなっていないということで、なお、この点につきましては、いま私も、道路法上の道路であるとするならば見解は全く同じでございますので、その点はなおよく現実的に詰めてまいりたいと思います。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 公衆用道路として明らかなものが道路法上の道路でないというのは一体どういうことですか。
  101. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) これは、いわゆる地目上公衆用道路というものにつきまして、そのいわば施設全体として、施設と申しますか、その周囲全体としてそうした使われ方というものがされておるならばそういうことが言えましょうが、本件の場合は、すでに私どものほうで当該地点は買収済みでありまして、あとそうした面が事務的に残っておるということで、すでに一般交通の用に供する道路としての意味合いと申しますか、そういうものがほとんど全くなくなっておる。さらに、これが道路法上の道路として認定されていないというところで、私どものほうとしては、これを買収いたしまして、そして地目変更をして、この面は雑種地にいたしたいということでありますので、この点につきましては、私どもとしては、いわゆる施設の維持運営上どうしても必要な地域だというふうに考えておるわけであります。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 冒頭あなたも答弁をされましたように、これは先ほど大原−桐生線でございましたが、いまおたくの地図によればこれは小杉−桐生線、これは明確に使用されていないなんていう論法は通用しないのであって、ここを通行したい人はいっぱいいる。しかしながら、こういう事態になっているがゆえに避けて通っているだけです。そんなことを、あなたのほうで道路を閉鎖するというような自由はないわけですから、しかも、いかに抗弁されようと、あなたのほうが道路法上の道路でないと言われようとも、公衆用道路として地目が明らかである以上、それをあなたのほうが否定をしたところでしょうがない。町議会がどういう取り扱いをしたかという問題は残りますけれども、厳然として道路法上の道路としてかつて明確になっておったものを、あなた方のほうでかってにあれこれこう変えてしまうということにはならないわけですからね。ここのところはまさに自由でなければならないし、同時に、この小杉−桐生線だけではなくて、片一方のほうではおたくのほうではちょん切れてしまっているのですがね。この大原−桐生線というのも厳然として通れる状態に実は保証をされなければならぬ筋合いのものです。もっと言ってしまえば、この中のものだって私の主張からいえば道路ですから、そこにはまさに町議会が一定の手続を経ていない限りにおいて、これはもう自由に出入りできるのはあたりまえなんです。あなたのほうは買った買ったと言っているが、買ったそのことについて、売り買いできる筋合いのものではないのです。売り買いできる筋合いのものでない。財産を買ったと言われたところで、これは困ったものだということになりますが、これは自治省、見解はどうですか。
  103. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 私、伺っておりますと、やはり問題は道路法上の道路であるかないかという問題で多少意見が分かれているようでありますが、道路法上の道路であります限りにおいては、公用廃止の手続がなければ、一般の住民の使用を禁止する——まあ非常に交通に危険であるとか、そういう道路法上特別な定められた場合は別でありますけれども、それ以外は、公用廃止をしなければ一般の住民の自由な使用を禁止するわけにまいらないと思います。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 全体として一万二千平米もあるものを、それじゃ聞きますが、なぜ七千二十平米だけしか購入をされなかったような状態になっているのですか。
  105. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) いまの公衆用道路と申しますのは、すでに農林省におきましては公用廃止をいたして町に払い下げをしているものでございます。で、道路としての効用はなくなっておる。面積につきましては、私のほうで調べましたところ七千二士平米である、それ以外にはないというふうに聞いております。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 そうなってくると、ますますおかしくなってくるのだな。先ほどあなたが言われましたように七千三百六十三平米にすでになっているわけですね。それで、それしかないと言われるが、いまのこれを含んで、あるものは一万二千平米ですよ。それはごまかそうとしたってだめですよ。したがって、あなた方談合されているのでしょう。この間決算委員会で談合中と言われたじゃないですか。七千二十平米しかないのなら、談合する必要はないじゃないですか、逆に。
  107. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) おそらくこれは私の聞き違いかどうかわかりませんが、いまのおそらく若干平米数がふえるのではないかという御指摘につきましては、あるいは先ほど私が申し上げましたように、いわば里道というようなものが従来からございまして、いま御指摘の南側の線につきましてはそうした面の里道というものが重なっておるということでございます。これは私のほうは、しかし、財産的にはこの面は建設省所管の財産ということに相なっておりますが、私のほうの財産手続といたしましては、その面につきましては特に平米数が現在上がってきているものではございません。
  108. 和田静夫

    和田静夫君 どうもわからないな。いま談合されている部分があるのでしょう。談合されている部分は何平米について談合されているのですか。
  109. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) いや、これは現在町のほうと折衝いたしております町有地というものは、この施設の東側に当たる、いわば私のほうが保安用地として取得いたしたいというところでございます。この平米数はいま手元に持ち合わせておりませんが、そういうことでございます。
  110. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、この部分がまた終わりませんがね。これはまあ終わりませんけれども調査してくださいよ。そんなことになりませんよ。すでに七千三百六十三平米について二百八十万幾らかでお買いになったというわけですね。その二百八十万幾らかでお買いになった中に、たとえば小杉−桐生線や大原−桐生線というのは含まれていませんよ。含まれていないからいま県や町はたいへんなんですよ。実はこの間の決算委員会以降、どうしてわかったのだろうということになってきて、しかも、含まれていない部分は五千平米もあるのですよ。測量のミスだとしてのがれようとしている。約半分の広さのものを測量のミスでのがれられるほど住民は甘くない、自治体がいかにごまかそうとしても。ところが、あなたのほうはそれを全部含めて買ってしまっているのだと、こう主張される。これはあなた、いままでの答弁を聞いていて、いかにここで答弁されたってその数字は合わない。これは調査されますか。
  111. 蔭山昭二

    説明員(蔭山昭二君) その点については調査不十分でございますので、調査させていただきます。
  112. 和田静夫

    和田静夫君 農林省に最後に一言だけお聞きをしますが、この前申しました赤城宗徳農林大臣、村上甚次郎さんの関係でですね。きょう資料をいただきましたから大体の流れはわかりましたが、問題は、この三十九年七月一日から四十年三月三十一日までの貸し付け通知書になっているのですね。これが、実はいただいたものによれば、四十五年の十一月十七日に借り受け者から借り受け地を含む区域はいわゆる植林事業に適しませんということ、これはその後何回か書きかえられていますか、正式な手続として。正式な手続を経ているのならば、時間がないから一挙に言ってしまいますが、その貸し付け通知書を後ほど私にいただきたいのですが。
  113. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これにつきましては、正式の更新の手続はいたしておりませんが、確かにおっしゃるように、七月十日付で貸し付けまして、四十五年の十一月二十四日で解約をいたしたものでございます。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、そうしますと、正式ないわゆる手続を経ずに四十年三月三十一日で切れているはずですから、そうすると四十年四月一日から四十五年十一月十七日までの使用料などというものは一体どうなっているのか。金額の多寡ではございません。なぜこういうことを言うかといいますと、たとえば開拓財産などの処分のしかたというものをいままで決算委員会でも何回もやりましたが、疑惑があってそして追っていったが、どうなったかわからぬというのがたくさんあるでしょう。こういうようなルーズなことが行なわれているから、こういうことになったのじゃないかと思うがゆえに聞くのですよ。
  115. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 本件につきましては、正式の更新の手続をとらなかったのは、まことに事務的に粗漏でございましたことは申しわけないのでございますが、貸し付けの使用料はこの期間全期間にわたって徴収をいたしております。
  116. 和田静夫

    和田静夫君 防衛庁と農林省、けっこうです。  地方財政の問題に入りますが、地方財政の問題については、交付税なりあるいは地方財政計画なり、あるいは地方税法の審議の際にもう一度やりますが、きょうは国鉄利用債について若干お尋ねをしたいのであります。  国鉄利用債の発行額と地方団体の引き受け状況をまず教えてください。
  117. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) ちょっと手元に資料を持っておりませんので、詳しいことは後ほどまた機会がありましたらお答え申し上げますが、大体いままでに発行をされましておる額が千四百億ぐらいではなかったかと思います。そうして、ここ数年は大体百億から百五十億くらいの発行がされておる、こういう状況のように記憶いたしております。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 この国鉄利用債の発行問題をめぐって国鉄と自治省との間にいろいろ経過があったようでありますが、その経過をまず。
  119. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 国鉄利用債につきましては、国鉄の合理化というような観点から、国鉄の側におきましては、地方公共団体といいますか、地域社会にも非常に国鉄が合理化されることによりまして、合理化と申しますのは、たとえば電化されるとか、そういうようなことで国鉄が合理化されますと、その点では地方に利益があるというような議論がありまして、そういうことからいたしまして、利用債による資金的な手当てというものが強く要請をされておったわけでございます。これにつきましてはいろんな経緯がからみ合っておりましてあれでございますが、元来の国鉄利用債というものは、たとえば駅前広場を整備いたしますとか、あるいは駅舎の建築と都市計画関係でございますとか、そういうようなことを中心にいたしまして、むしろ都市等におきまして、そういう公共事業なり街路整備事業というものと関連をして、そうして国鉄のほうにもそういう意味での関係が深くなるというようなことから、国鉄に必要な資金を利用債というような形で手当てをすることに協力をしたというような意味の、非常に狭義な考え方から私どもはスタートしたものだというふうに理解をいたしております。しかし、それが先ほど申し上げましたように、複線化とか電化とか、あるいは連絡船の改造でございますとか、あるいはまたディーゼル化でありますとかというようなところへだんだんと発展をしてまいり、国鉄当局との間で折衝をいたしまして、本来の利用債の限界の中に入るようにということでいろいろと話し合いを進めて今日に至っております。そういうことでございますので、非常に狭い運用というものが行なわれているかといいますというと、地域によりましては必ずしもそういうふうには実はなっておりません。たとえば、いま申し上げました電化等につきまして、あるいはディーゼル化等につきましての必要な資金についての利用債の引き受けという点がやはり大部分、これは相当な範囲で行なわれておるというふうに私どもは思っております。この点につきまして事態の改善ということをぜひ行なわなければならないというようなことでございますが、一面、地方におきましても、やはりそういう意味地域開発といいますか、地方開発のために非常に有利な設備投資が行なわれるというような観点もございまして、やや第一線の場所におきましては、何と申しますか、期成同盟会その他の形を通じまして、実質的には利用債の発行を行なう、こういう状況がまだ相当あるというふうに思っております。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 幹線鉄道の建設というのは国家的事業でありますから、次官、こういうものを利用債という形で地方団体に負担させるというのはやっぱり不適当だと思うんですよ。そうお思いになりませんか。
  121. 大石八治

    政府委員(大石八治君) 的確に私も聞いておりませんが、たしか今度の新幹線をやるについて、ことし限りですけれども、岡山から向こうのほうのことですが、それができないと何か全体の狂いがくるので、いままではそういうふうでは引き受けてもらわなかったが、ことし限りひとつやってくれないかということを都道府県のほうに話しかけておるという話は聞いたのですけれども、われわれのほうはそういうことまで出てくれるなという考え方ですけれども、これはたしか地方団体と直接に話し合いをしているのじゃないか。好ましい方向ではないと思います。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 それで、いまのお答えもありましたが、いままでの経緯で御説明がありましたように、駅舎だとかあるいは駅前の広場など、地元住民の受益関係が明確な場合で発足をしたわけなんですが、ところが、それだけでなくて、本来の鉄道建設資金を地元に負担させた例もある。で、新たに幹線建設が行なわれるような場合、このような不当な債券負担がある。これはもう絶対に許さないという覚悟で自治省は今後対処をすべきだと思うのですが、いかがですか。
  123. 大石八治

    政府委員(大石八治君) 実は国鉄問題というのがたいへん大きな問題に全体的にいまなってきているわけです。一体国鉄というものをどういうふうにこれから体系づけていくのか。あるいは道路との関係でどういうふうに考えていくのか。それから、簡単に言えば、もう当然赤字になることがわかり切っているような、あるいはその利用度の非常に小さいものに国鉄をさらに延ばしているというような事実も含めて、国鉄というものをどういうふうにもう一回解釈し直すのかというような時点に実は来ているわけでありまして、一般的に建設費を、ただ地方団体が路線の区別なく原則的に引き受けるということは、私どもちょっと、何といいますか、当然そういうふうになったんでは、まあ簡単には、国鉄じゃないじゃないかというふうに感ずるわけであります。実はことし中に、政府の中には、総合交通体系ということで総合閣僚会議というものを設置するようでありますけれども、この間の衆議院の本会議の答弁で総理から、そういう問題をひっくるめて根本的な結論を出したいというふうに、どなたかの質問に対して、答えております。ただ一般的のお話であれば、そういう新幹線のようなものの建設費を地方団体が原則的に引き受けるというようなことはあり得べからざるものであるというふうに考えます。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと、先ほど午前中選挙の問題、大臣にも触れたのですが、具体的な問題をちょっと触れておきたいのですが、自治省予算を組んで各自治体に選挙についての啓蒙活動をやらしているようですね。その活動は具体的にどんなものですか。
  125. 中村啓一

    政府委員(中村啓一君) 選挙の常時の啓発につきましては、四十五年度におきまして五億六千万円、四十六年度につきましては五億八千万円の計上をお願いいたしたいと存じておるところでございます。この額をもちまして、全都道府県とそれから全国の約四割近い市町村で、それぞれ市町村あるいは府県の段階で必要な政治教育をねらいにいたしました各般の諸行事に充てていくということでやっていただいておるところでございます。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 これはけさほど大臣にはあれをしたのですがね、いわゆる公営の拡大義務づけですね、そういうものをもっとしっかりやってもらうということが必要だと思うのです。意見を述べておきました。立ち会い演説会や公報やポスターの掲示などというものが条例化されているのは茨城ぐらいのものでしょう。それ以外にありますか。
  127. 中村啓一

    政府委員(中村啓一君) お話しのございますように、できるだけ有権者、選挙民に対しまして選挙に関する適切なインフォメーションが確保できますように配慮いたしたい。その手だてとして一つのいわゆる公営の強化という点が、和田先生のお話のように、あると思っております。私どもは、極力公営を広く取り入れてもらうように慫慂をいたしております。現在都道府県段階では、たとえば立ち合い演説会なんかは十二県、選挙公報は今度の統一地方選挙にはかなり多くの県が取り入れると思います。おそらく十五、六の団体が取り入れることになるのじゃないかと思っております。町村長選挙につきましても、立ち会い演説会なんかは千以上のものがやっておるということで、漸次いわゆる任意制公営は進んできております。ただ、たいへん残念なことは、だんだんと選挙運動期間が短くなり、その短い間に公営を処理しなきゃいけないということで、技術的にいろいろな隘路があります。それらの点につきましては、私どもは選挙管理の面から考えられる点はいろいろ思いをめぐらして、できるだけ簡易な形で公営が伸びていくということを念頭に置いて今後対処していきたいというふうに存じておる次第でございます。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、お見えになりましたが、最後に一、二だけ残っている部分をお尋ねしますが、所信表明で、復帰に伴う沖繩への財政措置について四十五年度のことしか言っていらっしゃらないわけですが、四十六年度はどうされるのですか。
  129. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 御承知のとおり、沖繩が本土に復帰した際に、いろいろ経済的に格差がございます。これらの是正のために格段の措置を講じなければならないと思っております。四十五年度交付税、特交措置において三十億の措置をいたしましたことは御承知のとおりでありますが、今後引き続き、本土への復帰に際しましていろいろ財政上格差是正のための格段の措置を講ずるほかに、問題の交付税率等の問題もございますから、これらの点につきましては、沖繩の財政事情、また本土の地方公共団体の収支状況等と関通をいたしまして検討いたしてまいりたいと考えております。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 復帰をしたところで、沖繩県あるいは沖繩の市町村が、日本の最もきびしい過疎地域になる、過疎地帯になる。そういう可能性が私は十分あるのではないかという気がするのです。過疎対策を主張される自治省として、復帰過程で何らかの対策が立てられてしかるべきだと思うのですが、その辺はお考えになっていないわけですか。
  131. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) もちろん、復帰しました際には、完全に本土と同じ状態になるわけでありますから、過疎法そのものが適用になることは申すまでもないのでありまして、それに関しましていまから特別の措置を講ずるということにつきましては、いろいろあれこれ心づもりいたしておりますが、格別どうこうということはただいまのところは考えておりません。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 先ほど買収農地の払い下げ問題でちょっとお尋ねをしたのですが、どうも閣議の内容等があって次官ではということでありました。大臣に最後にお聞きをしますが、私はこの払い下げ問題の経緯を顧みて一番痛切に感じさせられることは、何か、それも自治大臣だけじゃなくて、すべての国務大臣が国政に参画するという立場を忘れて、一行政庁の役人になり切ってしまったというような感じを、実は率直に言って、持つわけです。自治大臣は土地開発基金制度推進をして、しかも、先般の交付税法の改正ではっきりお聞きをしていますように、緊急を要するとして補正財源を使ってまで四十五年度に府県や大都市の公共用地の取得事業に肩入れをしているわけです。事実、公共用地の取得は、公益のために緊急を要するわけです。大都市の首長たちは、大きな土地は要らないから、少しでもあき地がほしい、子供の遊園地をつくってやりたいなどという願いを持ってあき地さがしをやっておる。で、都市計画事業の遂行の隘路というのは、代替地の提供がなかなかむずかしいということなんです。日本の都市の緑地率が国際的にも最下位であります。保育園をつくるにも適当なる用地買収ができない。多額の費用がかかる。そういうことでいま問題になっているわけです。だから、自治省が用地の取得にはなみなみならぬ努力をしなければならないわけですが、ところが、買収農地の問題となるとこれは農林大臣の所管で、管理を知事に委託をしてあるからといって、それを有効に使うべきだという主張が自治大臣からはなされないということになります。農地法は法律ですから、時勢に応じて改める必要があれば改めればよいのだと思うのです。それを怠ったことが最高裁の判決となって、政府はそれに従わなくてはならないという次第になったわけでしょう。私は、法律あって政治政策なしという状態では実はいかぬのだと思うのです。この辺をもっと突っ込んだ議論を別の機会にやりたいと思っておりますが、国務大臣として秋田自治大臣はどのようにお考えになっているか、この機会に明確に御答弁願いたいと思います。
  133. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) この問題は最高裁の判決が出ましたために、それまで怠慢があるんじゃないかという御指摘ではございますけれども、しかし、非常にいろいろ苦慮をいたしておりまして、最高裁の判決も、これは実はいろいろ内部で苦慮をいたしておったのでありますが、法律的な立場からどうしても処置をしなければいかぬ。払い戻しをしなければいかぬ。それには価額という問題が出まして、結論が、何か常識的にはまことにおかしいようではありますが、やはり買い上げ価額相当額というような法律の規定からああいうことになったわけであります。法律適用上からは、やはりそれはそれとしての十分な理由があろうかと、それに従ったわけでありますが、しかし、ひるがえってまた考え直してみると、いかにも常識上おかしいということはいなめないわけであります。この点に関しましていろいろの考え方があり得るわけでございます。旧地主に売り渡ししないで済ませる方法を何か考えたらどうか、また売り払い対価を買収の対価ではなくして、どれが時価であるかという点についても問題がございますが、時価ないしは時価の何割というようなものを考えてそういう点の規定をするかどうか、あるいは、旧地主が売り渡しをする場合に譲渡所得税を重課するということでこの問題を解決するか、いろいろの方法があり得るわけでありまして、諸政党におきましても御考慮願っておりますが、われわれも、一応の決定は決定として、いまいろいろ検討、苦慮をいたしておりますので、何とかひとつ大ぜいの方の御納得のいく、多数のコンセンサスを得られればその方法で処置をいたしたいと考えております。
  134. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 人口急増地域の公立の義務教育施設、小学校、中学校の用地の獲得、あるいは建築費の問題、財源の問題等ありますが、ことしは文部省なり自治省は当初においてはたいへん御苦労をされて、文部省においては用地費の補助として二百十一億円でしょうか、それから自治省のほうでは、いままでの起債の利子として六十八億円を当初に大蔵省に要求なさったわけでありますが、これをここまで積み上げてこられたという点については私どもも敬意を表しておるわけですけれども、実際上は大蔵省からかなり削られてしまった。用地費の補助は六十億円を三カ年、今年は二十億ということであります。それから、自治省のほうの過去の起債の利子についても十億ということに削られてしまったのであります。これはかなり大きな削られ方だと思うのですけれども、文部省の百十億のほうは、これはおそらくあと起債で補うという考え方だろうと思うのですが、これは財政局長、起債で補うということですか、どうですか。
  135. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 用地取得等の関係につきましては、お話しのように四百二十億、その半分二百十億、これは文部省が要求をいたしました額でございます。その結果は、お話がありましかように、三年間で六十億ということに相なっておるわけでございまして、そこでそのあとをどうするかという問題になりますが、この関係につきましては、地方計画におきまして用地起債分百八十一億、それに四十五年度において水田債等に上りまして八十億程度の用地の確保ができておりすすから、そういうものを加えますと二百六十一億円というようなことになります、それをかえましても、さらに百億円近い、九十九億円前後の一般財源の措置ということが必要になってまいるとは思います。その点についてのどういう措置をするかという問題が残りますが、これについては人口急増財源の補正でありますとか、事業費補正等の補正を加えまして交付税措置を充実をさしてまいりたい、こう考えております。
  136. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 交付税措置というのはいままでもいろいろ自治省のほうもやってきたし、われわれのほうも交付税で措置しろということを申し上げてきてはいたわけですが、これは一つの市なり町村、こういうところは金額とすれば比較的少ないと言ってよかろうと私は思います。むしろ急増のための用地の確保等にもうさんざん追われる。あるいは屋内体育館をつくる、あるいは校舎の建てかえをやらざるを得ないということで追われておりますが、この交付税だけではこれはとても補うことはできないのは、もう御承知のとおりでありますし、いまもおっしゃられたように、どうしても起債が中心にならざるを得ないということだろうと思う。こういう形で起債がふえていくということになりますと、その返済から利子補給というような問題がたいへん大きな問題に将来なってくるのではないかと思われるわけですが、自治省が六十八億を十億に削られたということですが、このことは一体どういうことを意味しているのですか。
  137. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この関係は、昭和四十年度から四十五年度までの間の既発行の地方債の中で、六分五厘をこえるものにつきまして一分五厘を限度にいたしまして、六分五厘から八分までの間というようなことを一応計算いたしまして、そしてそれについての利子補給を考えていく、こういうことに最終的にきまったわけでございます。これはまあ過去の起債の問題ということに相なっておるのでございますが、それで、まあこれからの問題につきましては、学校用地の取得を必要とする義務教育設備事業ということで、四十六年度分は、まあ六十億、それを三年に分割するという問題はありますけれども、そういう形で、四十六年度分のものは一応将来に向かってのものは助成措置でやっていく。それから、過去のものは、いまの利子補給その他の措置で負担軽減をはかっていく。こういう前とうしろと両方対応したような措置を、要求もそういうふうにいたしましたが、一応まあ曲がりなりにもできたという段階になっております。したがいまして、この程度で、あと将来ともに元利償還その他非常に大きな負担になるのではないかというお話でございます。まあ、私どももそのように思います。したがいまして、今後の措置としてさらにどれだけ実態に即したて、この制度そのものを手がりにして充実させていくかという問題として、私どもは今後とも検討を進めていかなければならぬだろうと思っております。
  138. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大体今後の方向もわかったのですけれども、これは相当なてこ入れをしてやらないと、ただ単に学校だけが実は困っているわけではないわけです。こういうところはごみの問題だって困っているだろうし、道路の問題だって困っているだろうし、いろいろな問題で困っているわけです。この問題だけ困っているならばこれだけの数字を考えてやればいいのですけれども、そういうわけではないわけで、まあ、困っているうちの一つのおもなものであるということが言えるわけです。そういう点で、もう少し人口急増地域について何らかのてこ入れを必要とするのではないかと私は思うのですけれども、これは大臣、どうですか。このままではもう人口急増地域の学校などまるでお粗末だと言って私はいいと思うのです。大臣、たまには郊外の、いまちょうど寒い時期ですから、プレハブ校舎なんかをごらんになるには一番いい時期だと思うのです。冬はストーブ一台ぐらいあったってもちっともあたたまりはしない。夏は今度は全然暑くてどうにもならない。こういう形で、ほこりは入ってくるし、隣で音楽でもやっておればもう聞こえない。こういう状態に子供を、学童をいつまでも置くということは、利は政治の貧困の一つだろうと思うのですけれども、もう少し大臣も、私、先ほどは公害の問題でかなり強く申し上げたのですけれども、将来を背負う子供たちに悪い環境で教育をやるということはやはり望ましいことではありませんし、この辺の点でやはり地方財政を強化して、よい公立義務教育の施設をつくってやるということが一番いま必要だろうと思うのですが、大臣のひとつ御見解を承っておきたいと思うのです。
  139. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 先生お示しのとおりだと思います。私も昨年、ほぼ一年になりますか、実は松戸、船橋に参りまして、朝早くから約一日かかりましてプレハブ校舎の実情を調査いたしました。その上に即しまして実は文部省ともお打ち合わせをいたしました。人口急増都市のことに義務教育施設に関する財政援助の策を具体的に立てまして、文部省の御賛成も得て推進をしてまいったわけであります。その結果、用地について多少の配慮がなされたということに結果したわけでございます。これでは不十分であることは十分承知をいたしております。また、プレハブ校舎の改修のためにも、用地のあれだけの手当てをもってしてこれが救われるものではございませんから、別途の方法を必要とすべきものと考えておりますが、まあ、主として文部省の問題でもございますけれども、今後これらの諸点を合わせましてさらに構想を密に新たにいたしまして、文部省ともお打ち合わせをして、さらに後年度にわたりましてこの問題のより一そうの徹底した施策をぜひ立て、かつ、これの実現をはかりたいと考えております。
  140. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 過日の大臣所信表明に対しまして若干の質問をいたしたいと思います。  最初に、広域行政のことについて大臣も触れておりますが、午前中もいろいろお話があったろうと思いますが、時代の変遷に伴いまして、この地域の問題、過密過疎を中心とする地域問題等からいろいろなことが出てくるわけでありますが、現在まで広域行政に施してきた施策、また、今後に対する大臣考え方といいますか、まずその点についてお聞きしたいと思います。
  141. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 御質問の御要点が那辺にあったか、ちょっと捕捉に苦しんでおりますが、広域市町村圏なり過密過疎の施策は、わが国の経済社会の激変に応じて、公害問題、交通対策とともに出てきました大きな問題でございまして、結局、内政充実の眼目をなす問題である。住民生活環境の保全、健康の保持等々と関連し、これのために必要な社会資本の充実を期する。そこにまた過密過疎、広域市町村圏に特殊の様相を呈しておりますので、これらの問題をひっくるめまして積極的にひとつ推進をしてまいりたいと思います。そうして広域市町村圏については一応二年、過疎対策等につきましては十年というような時限的な性格を持っておりますが、ある程度これが施策推進後にはこれの見通しの見直しをいたしまして、具体的に数字に即しまして過去の業績の見直しをいたしまして、その上に立ってさらに具体的に総合的に計画を練り直すことも必要ではなかろうか。特に過疎過密の問題を解決し、広域市町村圏施策推進するとともに、大都市問題等の解決にも資したいとせっかく努力をいたす所存でございます。
  142. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いま大臣お話もございましたが、広域市町村圏振興整備に関する施策をさらに積極的に推進するというお話でございます。また、一応進んできたものに対しても検討する時期にも来たのではないかというお話でございますが、午前中もいろいろ和田委員からお話がございましたが、中央集権、まあ中央直結ということ、いろいろお話がございました。まあ、非常に財政上から見ましても、また行政上からしましても、時代の大きな流れとともにこの地方行政のあり方、また広域市町村圏の進み方というものがやはり大きな動きで変化をしつつあるわけでありますが、こういう中で、過去にはなかったいろんな問題が出てきつつあるということも事実であります。私は、具体的な問題といたしまして、過日福島県のいわきに参ったのでありますが、ここは四十一年の十月ですか、十四の市町村が合併して四年の経過を経たということでありますが、政府の新産都市指定によりまして、強力な大企業擁護の施策によりまして、まあ小名浜を中心にして、大きな企業の誘致によりまして大きな発展を見たという一面もあるわけでありますが、何せ十四の市町村が合併したということでありまして、ただ単にその工業地域の発展だけに目を奪われるだけではなくして、その陰に農山村はどちらかというとどうしてもおくれておるという、こういう非常にアンバランスな状況というものをいま見せつけられたような思いだったわけでありますが、これは今日の工場誘致に伴う国庫補助とか、こういう資金面においてもこの工場誘致地帯と農村方面とは大きな違いがあるという、こういうことからいたしましてどうしても農村地域についておくれが目立っておる。また地域方々にいたしますと、かつて村であったときよりもいろんな面でめんどうが見てもらえないという、こういうようなこともいろいろいわれておったわけでありますが、それに、大臣御存じのとおり去年の暮れ、ことしになりまして降ってわいたように常磐炭鉱の閉山という、こういう問題が起きてまいりました。まあ、これがこういう広域都市にどういう影響を及ぼすのかというごと、これは考えてみなきゃならないと思うのですが、いろいろ自治省にお聞きしましたが、市の財政としては健全にやっておるということであります。しかし、よく調べてみますと、まあ、実際あまり事業もしない。そして小名浜を中心にした大きな大企業の誘致という姿の中にいわき全体の繁栄の姿が映っているわけでありますが、しかし、その十四の市町村の大きな合併の中に、今度は、いままでの山村の疲弊した地域と、また、この炭鉱閉山による内郷とか常磐というようなところの悲劇的な地域が出てくるわけであります。こういうことからいたしまして、いままでならば一つの町とし、一つの市として考えることができるわけでありますけれども、大きな立場からいわき市という、十四市町村合併した立場でこれらを見るということになりますと、どうしてもきめのこまかい地域住民の均衡というものがなかなか形の上にあらわれないような面も出てくるのじゃないかという、こういう点を痛感したわけでありますが、この点、いま申し上げた件につきまして大臣の御所見なり、また現在政府の考えておりますことについてお伺いしたいと思います。
  143. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) いわき市十四市町村の合併に関連いたしまして、時代の変化に応じていろいろ複雑な様相を呈しておられます。農村部の発展が比較的おくれているのではないかという御疑問及びその憂いが最初に述べられました。これらの点につきましては、やはり自主的にその計画を立てていただいて、それに基づいてこちらもいろいろの方面において御援助申し上げたいと考えておりますが、そのうちに産炭地整備の閉山の、磐城炭鉱閉山の問題も出てきたということでございます。この点に関しましては、地元の市町村財政需要をいろいろ増大したり、また税収の減収等いろいろの影響がございまして、政府といたしましては、従来産炭地振興臨時措置法に基づいて、公共事業にかかる国庫の補助負担率のかさ上げや、産炭地域の振興臨時交付金の交付等の措置が講ぜられておりますが、なお地方交付税及び地方債の配分にあたりましても、これらの市町村に対しましては、従来から重点的な配分を行なうというような特別な配慮をいたしております。磐城炭鉱の閉山についても、関係市、いわき市については、この点については十分配慮をする所在でございますし、なお広域市町村圏に準じた処置をいろいろ講じまして、この地域の均衡のとれた発展、また閉山によるいろいろ財政上の負担の軽減に十分配慮をいたしてまいりたいと考えております。
  144. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 産炭地の問題につきましては、国で手厚い保護が今日まで——手厚いと言えるかどうかわかりませんが、ある程度いろいろ法律的に措置されております。従来北海道における閉山という問題が起きますと、炭鉱でその町が持っていたということで、その町がほんとうに消えてなくなるといいますか、すっかり疲弊してしまう。ただ、いわき市には確かに四千数百名という従業員が職を失うという非常に悲劇的なことが間もなく起きるわけでありますが、近くに大企業がいろんな工場誘致のできる基盤整備等もある程度整っております。全部が全部は就職はできないと思うのでありますけれども、北海道等における、この山にしか生活を見出すことができないというところとは非常に違うという、こういろことからいたしまして、いま大臣も、産炭地に対しては、またこれら終閉山のところについては、いろいろな政府としても対策を講ずる、手厚い方法を講ずるというお話でございましたけれども、さしあたっては、その土地を離れてどこかに行くということよりも、やはりそこに住まって、その住まいの中から働きに行くところを何とか見出したい、また、そういうところも比較的北海道や九州等から見ますとあるのではないか、そういうようなことからいうと、非常に生活の基盤である住宅、またそれに伴なう日常生活、生活環境という、こういうものが早急に整備されなければならない。ただ一企業の倒産ということだけではなくして、地域住民に及ぼす影響というのは非常に大きいという、こういうことを痛感するわけであります。特に生活環境整備、たとえば住宅問題、また、ある程度関連企業で吸収もできるというお話でありますけれども、やはり若年層でありますと就職も可能かと思いますが、長く住みなれたところ、そしてまた、中高年齢の方々ですとそう就職口がきまらないという、こういうことを考えますと、やはり生活環境整備、住宅問題を中心としたこういう問題については非常に重点的に施策を講じなければならない。地元からも自治省にもいろいろな陳情等来ていると思うのでありますが、あすにも職を失うこういった方々に対しまして十分な対策を講じていただきたいと思うんでありますが、この点について所信をお伺いしたいと思います。
  145. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) いろいろ地方財政上の措置につきましては、自治省としてただいま申し上げたようにいろいろ配慮をいたしたいと思っておりますが、なお鉱山事業に従事された方で職を失われる方の再就職あるいは雇用促進の事業等、あるいはいろいろ福祉施設等、これら関係方面、官庁と十分連絡をとりまして、適切な措置を講じ、御負担の多少なりとも軽減に資したい、関係方面とともに努力をいたしたいと考えております。
  146. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 五千人近い人が職を失うということは、中小企業や文教政策やあらゆるところに問題が出てきますので、大臣がいまお話になりましたように、当面地域住民の立場に立ってきめのこまかい対策を、対処を、政府としてできるだけの力を貸し、それらの方々の生活を見守っていただきたいと思うんですが、さらにいま問題になっております福岡県の山田市も同じように閉山が迫っておりまして、こちらは非常に生活状況が、生活保護世帯が多いという、市の財政も非常に窮迫しているという、こういう現況を聞いておるのであります。福岡県の山田市にいたしましても同様のことが言えると思うんでありますが、もっと、いわき市よりも条件が悪いのではないか。現在の法的な立場、法の上にのっとってのいろんな施策はなさるとは思いますけれども、さらにもっと手厚いいろんな対策を講じなきゃならぬじゃないかと思うんであります。この山田市の場合につきまして、何か自治省といたしまして、地元の陳情等いただき、そしてまた今後に対する何かお考えがございましたら、この際にお聞きしたいと思いますが。
  147. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 山田市につきましては、御存じかと思いますが、炭鉱が相次いで閉山をいたしまして、人口がほとんど半減以下になっております。したがいまして、そういう点での激変ということが一番強く出てきておるところでございます。人口急減いたしておりますが、自治省としましては、人口急減についてはいわゆる急減補正と申しますか、急減してない状況というようなことのある程度の想定をいたしまして、それに対する需要というものを算入をする、そういうようなことで、財政的にはできる限りのささえをしながら今日までまいっておるわけでございますが、ただ、何ぶんにも全体としての地域のいわゆる生産基盤といいますか、産業基盤の基礎が根本的に変わってくるということでございますので、私どもは新しく地域社会整備といいますか、産業基盤を含めての整備というものについての新しい行き方というものの方向を市や県に早く見出してもらいまして、そうしてそれに即しての対策を総合的に考えていくべきではないか、こういうことで、強くいろいろ要望も私どものほうからいたしておるわけでございます。現在そういうものをにらみ合わせながら、当面の措置といたしましては、山田市の行財政の運営そのものがすぐに行き詰まってしまわないようにということでの配慮はいたしておりますが、根本的な対策が地元のほうで出るに従って、それに応じて私どものほうとしての措置考え、また、関係各省と共同いたしまして、そういう対策を進めてまいるようにいたしたい、こう思っております。
  148. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ただいまお話のございましたいわき、または山田市、いろいろの条件があると思いますが、どうか今後ともよろしく御配慮をいただきたいと思います。  次は、行政改革関係するかもしれませんが、続きまして、最近は非常に事務的な問題につきましても電子計算機を使うようになりまして、地方自治体におきましてもこの電子計算機を使うというところが非常に多くなっている。こういうことから、昨年ですか、財団法人地方自治情報センターというものが設けられて、個々ばらばらではなくて統一的なものにしていこうという、こういう機運が自治省の中にも出てきたように伺っております。時間もございませんので、一、二お伺いしたいと思うのでございますが、現在大体地方自治体の三分の一ぐらいは何らかの形で使用しているのではないかと、こういわれるわけですが、これは当然こういう時代の要請として、事務処理の迅速化ということから、また正確さ、確実性、こういうことから、機械化するということは当然のことと思うのでありますが、ただ統一的なものでなく、各個におのおの普及していったといいますか、そういう形をとってきたために、これらのものを集計または資料を交換するという、こういう点についてはいろいろ問題があるようであります。電子計算機は非常に大きな使用価値がございます。それをフルに使用するということが非常に大事なことだと思います。現状では総合的な行政管理体制を含め、高度利用というものにほど遠いといわれているわけでありますが、せっかくこういう社会情勢の中にあって進んできているわけでありますので、経費の面からいたしましても、また情報交換という、こういうことからいたしましても、もっと強力な対策が講じられてよろしいのではないか、こう思うわけであります。この点につきまして、現在までの経過、今後の対策を一応お伺いしたいと思います。
  149. 岸昌

    政府委員(岸昌君) 確かに御指摘のとおり、これからの行政考えてまいります場合に、電子計算機の活用ということが非常に重要になってまいっておるわけでございます。御指摘のとおり地方団体といたしましても、すでに給与の計算でございますとか、統計でございますとか、あるいは税務行政等に関連いたしまして、必要に迫られて機械を導入いたしておるわけでございますが、機種がいろいろ違う、それから各省で採用いたしておりますいろいろのデータの取り方が違うということのために、十分効率をあげていないということは御指摘のとおりでございます。自治省といたしましては、先ほど御指摘のありました地方自治情報センターを通じまして、まず各地方団体が個別的に依頼いたしまして作成いたしますと非常に高価につきますところのシステム開発につきまして、これを共同で発注をいたしまして、その成果を各地方団体が使用できるようにいたしております。これは発足以来十項目ばかり委託いたしておりまして、この二月末から年度末にかけまして、それぞれ成果が出る予定に相なっております。  それから第二点といたしまして、いろいろ統計等におきまして使っておりますところの項目、あるいはそれの取り方等についてばらばらな点がございますので、まず自治省の各課で取り扱っておりますそういう統計資料につきまして統一をはかることといたしまして、これは先般ほぼ整備を終わったところでございます。今後各省が用いておりますところの各種の統計等につきましてその調整をはかりたいと考えておりまして、これが四十六年度の課題と相なっているわけでございます。さらに今後の問題といたしましては、地方自治のあり方等につきまして、コンピューターを活用いたしまして十分その各学問分野における成果等を取り入れて、時代の進運におくれないような推計と申しますか、想定というものを考えてまいるというのが今後の重要な課題になっておると存じております。
  150. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いまお話がございましたが、せっかくのこういう最高技術でありますので、これを生かしてより効率的な仕事をしていくようにしてもらいたいと思うのであります。最近の地方財政、人件費の増加に対応するつまり行政機構の合理化という点につきましては、どうしてもこの電算機の効率的な運用ということが必要になってくると思います。いつまでにどうするかというそういうもっときびしい姿勢で、こういうものについても進めていただきたいと思います。いろいろお聞きしますと、コードとかプログラム等の処理技術も個別的に開発されたので、情報の交換ができないので非常に経費が高くつくというお話しでございましたけれども、こんなことのないように効率的なものに進んでいただきたいと思います。  次は、行政改革につながることと思うのでありますが、以前からもいろいろいわれておったことでありますが、地方事務官制度の問題、これも今日まで何度か地方制度調査会や臨時行政調査会等で勧告が行なわれておったわけでありますけれども、これに対しての現時点における状況また経過、考え方等、簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  151. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 先ほど大臣から、和田委員でございましたか、御答弁を申し上げたところでございますが、事務官制度も本来の形に復するという方向で私どもここ数年来努力を続けてきているわけでございますが、御承知のように地方事務官制度、大別をいたしますと三種類ございまして、社会保険関係、厚生省関係のものにつきましては、これは医療制度の抜本的解決という問題とも関連がございます。端的に申しまして、まだ具体的にいっこうなるというところまで御報告を申し上げられる段階ではございません。それから第二番目の労働省関係につきましては、労働省の中央地方を通ずる機構改革との関連で、これを解決すべき具体案につきまして労働省のほうともだいぶ話の進展を見たこともございましたが、その問題につきまして、労働省のほうが目下いろいろいま内部でさらに再度検討をいたしております。そういうことになっております。それから運輸省関係でございますが、この問題が一番具体的に話が進んでおりまして、大体大まかな方向といたしましては、現在運輸省の陸運事務所でやっております車検なり登録なりの仕事につきまして、車検の仕事は将来いずれ民間に委譲をするという方向、それから登録は、ただいまもお話がございましたけれども、電子計算機等を利用いたしまして国一木で処理をするという方向、そういたしますと、残りますのがいわゆる陸運行政についての仕事でございますが、これにつきましては、国と地方仕事をどう分け持っていくかということで、いま具体的に話を詰めている段階でございまして、おそらく運輸省関係地方事務官の問題は来年度ぐらいには解決のめどがつき得るものというふうに私ども考えているわけでございます。
  152. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 地方財政関係につきましては、また次の機会に伺いたいと思いますが、時間がありませんので、沖繩のことについて二、三お聞きしたいと思います。  先ほども大事なお話、項目的なことについてはありましたが、まだ作業の途上でありましょうし、具体的な問題についてははっきりしないことはよく存じておりますが、つい最近、第二次の復帰対策要綱というものが練られたということも報じられております。こういうことからいたしまして、二、三新聞にも報道されておりますのでお聞きするわけでありますが、現在の沖繩の機構というものは本土とはだいぶ違っております。その点についてはいろいろ伺っているわけでありますが、でありますから、どういう形にするかということはこれはなかなか至難なことで、現在もいろいろ検討されていることだと思いますが、その中で、開発庁構想ということで、国の出先機関を一本化してそうして沖繩の開発を進めるという、まあかつての北海道開発庁のような構想というものもいろいろ練られているということも報じられております。非常に、社会資本、いろいろな面で産業が立ちおくれている沖繩を復興させるためには、相当な国の財政援助がなければならないと思います。こういうことから、一元化した構想というもの、国の一元化した体制というものがぜひ必要だろうと思うのでありますが、この問題につきまして、どこまで具体的なお話が進んでいるのかどうか。まずこの点、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  153. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 沖繩が復帰しました後において現地で設けるべき開発に関する国の出先機関構想等につきましては、ただいま沖繩・北方対策庁でいろいろ検討をいたしているように伺っております。いまだしかしこちらに御協議はございません。いずれ御協議があることと存じますが、沖繩、琉球政府の意向等も参酌し、機構の一元化、簡素化、合理化という観点も考慮に入れながら慎重に考慮をして、何といたしましても、沖繩の産業の開発のおくれに対しまして、これが本土との格差是正に十分資して、沖繩の経済開発、沖繩住民福祉にプラスになるような方法及び構想のもとにこれらの機関が実現することが望ましいのではないかと大体考えられます。そのときになりまして十分御協議を申し上げたいと考えております。
  154. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 沖繩復帰ということにつきましてはもうきまっておりまして、日にちが明年の四月になるか七月になるかいろいろ推測されているわけでありますが、そういう点で、精神的な復帰といいますか、そういう面は確かに感ずるわけでありますけれども、具体的な問題になりますと、いまも大臣お話しのように、いろいろの問題が山積しておりまして、一がいにもいかないということで、各省のいろいろな話し合いが個々に進められなければならないということになると思うのでありますが、どうもやはり、いまお話がありましたように、沖繩を本土並みの姿にするということはたいへんな社会資本の投下もなければならないし、そこで私ども考えなきゃならないことは、戦後二十数年の間異民族の支配の中にあったそういう立場をよく考えあわせて、国の出先機関の一元化ということではありますけれども、やはり地元に大きな権限を委譲するという気持ちがなければ、どうしても国の大きな力というものが働き過ぎるといいますか、地元の沖繩県民の感情を刺激するようなことがあってはならないというような懸念がするわけであります。かつて北海道の開発庁ができました当時もいろいろ取りざたされたのでありますが、同じ轍を踏まないように、特に沖繩は立地条件がずっと違ってまいりました。住民方々の、県民の方々のそういう心情というものをくんであげなければならないのじゃないかという気もするわけでありますが、この点についていかがお考えでしょうか。
  155. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) もちろんいろいろ、これらの出先機関の設置につきましては、ただいま申しましたように簡素化の見地とともに、地方自治のたてまえというものも十分考慮し、特に沖繩住民の御意思という点を十分そんたくをした措置をしなければならないと、御趣旨の点は十分注意をしてこれらの点の実現に当たりたいと考えます。
  156. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 もう時間もないようなので端的に申しますが、いままでいろいろ議論になったと思いますが、主席の任期の問題ですが、この点についてはいろいろいわれておりますけれども、現在大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  157. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) これはいろいろ考え方がございまして、沖繩の県民会議等においても、復帰後まで延ばしたらどうだというような説もされたそうでありますが、過日予算委員会でございましたか、山中君から何かある程度決定的なことを申し上げたようにも記憶がございますけれども、実はその点政府としてはいまだこういう点についてきまってはいないんですが、大体沖繩県民の意思等を十分尊重いたしながら、ただいま検討中でございます。
  158. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 検討中というのですか。検討しようというのですか。
  159. 秋田大助

    国務大臣秋田大助君) 検討中でございます。
  160. 若林正武

    委員長若林正武君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  161. 若林正武

    委員長若林正武君) 速記を起こして。
  162. 和田静夫

    和田静夫君 過日の河浦町の不当労働行為について、調査結果を。
  163. 山本明

    政府委員(山本明君) 十九日の決算委員会におきまして熊本県の河浦町におきまする労使の問題につきまして御質問がございました。さっそく県のほうを通じまして調査をいたしましたが、何ぶんにもまあ中に土曜、日曜が入っておりましたので、まだ電話連絡を受けただけでございますので、若干確定的でない点がございますが、現段階におきましてわれわれが調査いたしておりますところを御報告いたしたいと思います。なお項目でそれぞれ御質問がございましたので、項目にまとめまして御報告いたしたいと思います。  一つは、県当局が組合に対して不当に介入をしておるのではないだろうかということでございますが、町当局のほうは、今回の脱退問題につきましては何ら関知をしておらない。なお、この組合は三十三年に結成をされましておるわけでございますが、実は四十四年の十一月十三日の自治労の統一ストライキに際しまして、いわゆるストを実施するかどうかというこのスト実施の問題にあたりまして、執行委員会とそれから組合員との間に、経緯を見てみますと十分な意思疎通がなかったような感じがするわけでございますが、最終的には、結局当日は時間外集会を実施をしたようでございます。その後、実は脱退者が出てきておるというような状況でございまして、組合の役員も、それが理由かどうか存じませんが、その後総辞職をしておるというような経緯がございます。現在、職員は百三十人おりますけれども、現在組合に加入しておりますのは三十人という状態でございまして、何かやはり組合の職員の構成としては非常に組織率が低くなっておるという実態はあるようでございます。  それから二番目の問題として、組合員と非組合員との給与上の差別があるということでございましたが、これは調べてみましたが、そういう事実は町当局ではない。ただ一つ、もし御指摘があるとするならばこういう点ではないだろうか。といいますのは、四十四年の四月一日から町におきましては、三等級から二等級へのいわゆる渡り運用をきめたのでありますけれども、その際に、いわゆる一律に渡りをするのではなくて、町長がそこで二等級に上げるかどうかという認定をする。そこで今回問題になりました若杉が、三の十から三の十一に昇給をした。一方同じ経歴の男が、三の十から二の七に、いわゆる二等級に昇格をした。この問題につきまして調べてみましたところが、若杉というこの元書記長は福祉課の事務をしておるだけであって、片一方の職員のAという男は、港湾、農地担当の課の首席をしておって、その仕事の責任からみても、若杉と比較をしました場合に責任ある地位にある。こういう判断から、二等級でございますから、この町では大体課長補佐相当に上がったのだ、こういうようなことを言っております。これがあるいはそういうようなことを言われる原因になったのではないだろうか。しかし一般的には、いま申しましたような組合員と非組合員との給与上の差別はしてはおらないという話でございます。  それから三番目には、組合役員の今回の異動で二人ばかり本庁から支所のほうに異動になったわけでございますが、これは町長が——この町が三方町村の合併であって、そうして支所の職員は支所で採用して、なかなか職員間の一体性というものを保てないので、町長といたしましては本庁と支所の別なく全般的な人事異動をやっていきたい、すでに六カ月前から庁内の課長会議でも話をし、また議会でもその方針を打ち出しておるので、したがって今回その方針に従って異動をしたものである。なお今回の異動では、元組合の執行委員五名がやはり異動になっておるそうでございますが、たまたま二人が本庁から支所のほうに行っておりますが、あとの三人のうち二人は、病院だとか羊角湾一部組合主事ですか、そのほうから本庁にも入っておるし、全体として能力によってそれぞれ異動をしたのであって、特に二人がそういう組合関係の者だということで異動したということは考えておらない。  それから町がパンフレットを配布しておるという問題でございます。これも調べてみましたところが、実はこの事件が起きましてから河浦町に、二月の十七日に河浦町住民自治を守る会というのが結成されまして、この問題をめぐって町内でいろいろな動きが出てまいりましたので、二十日付で、町長といたしましてはそういう動きもございましたので、広報を出しまして、「広報河浦」に、組合との間におけるところの問題について詳しく事実を説明した以外には、チラシその他は配布しておらないようでございます。ただこの組合の、組合といいますか、自治を守る会からもパンフレットが出ておるようでございますし、各種のパンフレットはいろいろなかっこうで出ておりますけれども、町といたしましては「広報河浦」に事実を述べただけにすぎないのだ、したがってそういうものをこちらから。パンフレットを配ってとやかくする気持ちは持っておらないということでございます。  なお、二月の十九日にこの二人の職員が、該当いたします二人の職員が、不利益処分を理由に県の人事委員会に提訴をした、したがいまして町長といたしましても、県の人事委員会に提訴になりましたので、そこで御審議を願えれば、その裁決に従う、こういうことでございます。したがって県といたしましては、県の人事委員会におきます公正な審理を待つ以外にはないのではないか、こういう報告を受けましたので、一応現段階におきますわれわれの県からもらいました報告を以上のようにさせていただく次第でございます。
  164. 和田静夫

    和田静夫君 三と四は別としましても、一と二はこの間私が述べたこととずいぶん違うわけですね。これはもう少しやはり調査をしてもらう必要があると思います。特に一は、この職員組合が結成をされた段階からその後の運動を通じて介入が非常に目立っております。この辺は何も人事委員会がどうこうしなくても、もっとやはり職員組合を、言ってみれば尊重する、この運動についてはやはり自主性を持たせる、そういうことがたいへん必要なんだということを省か何かの行政指導を通じて理解をさせないと、たいへん頑迷な、那珂湊よりももっと頑迷なという感じを受ける町長ですから、その辺もひとつ、調査の結果に基づいてでけっこうでございますが、いま答弁があったことについて、私のほうは当然該当組合に対してその旨を伝えますが、伝えることがまた紛争のもとにならないような措置というものをとっていただきたいと思います。
  165. 山本明

    政府委員(山本明君) その点につきましては、先ほど申し上げましたように、電話で至急にとりましたものでございますから、前の愛媛のときも、私が申し上げましたように、組合と理事者側とは相互に不介入であり、また健全な発達をしてもらいたいと公務員部は願っておりますので、その点につきましては指導いたしたいと思っております。
  166. 若林正武

    委員長若林正武君) 本件はこの程度とどめます。
  167. 若林正武

    委員長若林正武君) 再び消防法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  168. 和田静夫

    和田静夫君 まず第八条の二の関係の改正でありますが、問題はこうした指定防火対象物への立ち入りの検査が十分に行なわれているかどうかというところが問題だと思うのです。その実施状況はどうですか。
  169. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 防火対象物に対する査察の問題でありますが、これは各消防署がそれぞれ計画を立てまして、最近の状況では計画的な査察を実施しておるというふうに承知しております。問題は、要するに査察をしたあとの改善の追跡をどういうふうにやるか、この点がこの査察の一つの私はまだ十分でない点であろう、こういうふうに思っております。
  170. 和田静夫

    和田静夫君 第八条には——四十三条第一項という形で罰則がありますが、八条の二には罰則がないですね。これはなぜですか。
  171. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 八条の二はかなり実際の使用の状況が、いろんな施設がいろんな要するに使用の状況がありまして、したがって共同防火管理者をきめるということにいたしましても管理者がそれぞれ違うものでございますので、なかなか一律的にいかない、こういうことで、この罰則を設けてないように承知しております。
  172. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、立ち入り検査の実施が十分に行なわれないような状況で、今回の改正をした場合に、改善命令が出されるまで放置しておくという結論が出てきてかえって後退ではないかという危惧を実は持つのです。つまり立ち入り検査が十分に行なわれるというのであれば、防火管理者が定められていなかったり共同防火管理に関して必要な事項が十分定められていなかった場合、そのつど改善命令を出されてその結果だんだん整備されていくということにもなるでしょうけれども、立ち入り検査の実施率の上昇がそう早急には望めないということであれば、むしろ罰則でも強化をして各責任者の自主的改善を待つという形のほうがベターではないかという感じがいたしますが、いかがですか。
  173. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) この防火対象物の防火管理者というのは、要するにその対象施設に対して社会的な責任から当然自分の施設をある程度守る。御案内のとおりにこの施設は不特定多数の人が絶えず出入りするような施設考えておるわけでございまして、むしろ本来ならばそういう社会的な責任においてみずからこういう防火体制というものをしくべきものであると私は考えております。この規定によりまして、いま御指摘のような後退をするじゃないかということでありますけれども、大方はむしろこれを設ける方向でやっておりますし、また消防機関側といたしましても、むしろ建築のときから、こういう施設が建つということは建築同意の機会をとらえて知り得るわけでございますので、むしろ事前に指導をするということを当然やるべきでありますし、私は最近の課長の会議におきましてもその点を指示してあるのでございます。そういうことを前提にしておけば、ある期間たてば当然に届け出があるべきものであるし、また消防機関としても当然それを待ち受けている、こういうことでございまして、したがってそれ自体が、過ぎた場合にはむしろ当然置けということをこちらから積極的に言い出すほうがよろしいというふうに私は考えまして、むしろ罰則の、そういう命令違反というきわめて具体的な事実があればすぐ罰則の適用にかけられるように規定を整備するというほうがよかろうと思いまして、こういう規定の改正をしたわけでございまして、御指摘のように後退をするということは、この規定の結果私はない、こういうふうに考えております。
  174. 和田静夫

    和田静夫君 実例でちょっと考えてみますと、たとえば多数の死傷者を出した昭和四十一年の水上温泉の菊富士ホテルですか、の火災、あるいは四十三年の有馬温泉の池之坊満月城の火災、あるいは四十四年の郡山のあの磐光ホテルの火災、それからその他幾つかありますが、これらの場合防火管理者はきめられていたですね。ところがその消防計画がつくられていなかったり、その他消防管理業務の不備がそのつど指摘されたわけですよ。ことしに入って一月二日の未明に、和歌山県の新和歌浦旅館寿司由楼ですか、あの火災でもまた前車の轍を踏んでしまったという感じがします。各防火管理者に対する各防火対象物の規模、態様に応じたそういうきめのこまかい指導が必要だと思うんです。その点はどうですか。
  175. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 御指摘のとおりであると思います。消防計画を防火管理者がつくられた場合に、消防がいろいろ指導、サゼッションを与えてやるわけでございますけれども、問題は要するにその施設施設の具体的な計画が一番大事でございますし、それから、同時に私はやはり早期発見と早期避難ということを重点にした消防計画でなければいかぬということを考えておりまして、先般ももう一回全体を洗い直してくれということ、そういう観点から、個々の施設ごとに早期発見、早期避難ということを重点に消防計画、防災計画というものをもう一回その対象物の管理者とともにこの点を検討し直してくれということをお話し申し上げたので、いまの御質問は全く私は御指摘のとおりだと思っております。
  176. 和田静夫

    和田静夫君 そうなりますと、寿司由楼の火災に関連して言えば、十七条の二、それから十七条の三の特例廃止が必要ではないでしょうか。
  177. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 寿司由楼の場合に、例の煙感知器を主体にいたしました自動火災報知器がまだついてなかった。したがってそのために早期通報、避難がおくれたというふうに見られます。この点につきましては、すべて四十四年四月一日から施行しながら既存の建物につきましても遡及をしまして、ただその期限が遡及をいたしますと同時に、設置の義務の最終期限が今年の三月三十一日になっておるわけでございます。そういう意味におきまして、また特別な既存に遡及しながら、あるいは若干の猶予期間をおきまして、−それは機械そのものがきわめて新しいものでありまして、したがって猶予期間をおかなければ義務をつけてもその履行が困難である、こういうところがらこういう猶予期間をおいたのでありますけれども、それも三月三十一日がぎりぎりの期限になっておりますので、われわれは機械のほうは生産が間に合うようになりましたので、むしろこの設置について現地の消防機関のほうでそれぞれ慫慂、指導しておる、こういうことでございます。
  178. 和田静夫

    和田静夫君 そうだから、この特例は——特例が要るという理由はどういうことになりますかね。
  179. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) この防火対象物につけますところの消火用設備には、消火器のようなものから消火せんのようなものもございますが、この中で特に消火せんとかスプリンクラー、非常に建物の構造の一部をこわしたりなどいたしまして設置しなければならない施設がございます。これらにつきましては、改造あるいは改修とか大修繕の場合にやっていただくということで、それまでの間の特例をここに設けているわけでございまして、小さな簡単につけられますような施設、まあ特に消火器のようなものはすぐ置けばよろしいのですから、こういうものは当然この特例は働いておりません。
  180. 和田静夫

    和田静夫君 十一条の関係の改正ですがね、これはいままでどういう取り扱いになっていましたか。
  181. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 従来は位置、構造、設備の変更があれば全体が使用を禁じられておりまして、全体として完成検査を受けたときに使用を許すと、こういうことになっておりました。
  182. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、十一条第三項というのはきっちり守られていましたか。
  183. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 守られていたと私は思うのです。
  184. 和田静夫

    和田静夫君 これはまあ点検をしたかしないかというのはあれですが、多くの事故が起こったときの処理を見てみると、守られていなかったほうの実例のほうが多くありませんか。
  185. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 御指摘のこの検査の関係でございますが、これは私どもの知り得ている範囲内では多少の、守られていないケースが全然ないとは申し上げませんけれども、大部分のものは守られているというように報告を受けております。
  186. 和田静夫

    和田静夫君 危険物の規制について、消防法上の危険物の規制の対象物件は、消防白書によりますと四十五年の三月三十一日現在で三十万八千七百八十四、こうあります。その出火件数というのは、年間どのくらいあるのですか。
  187. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 年度によって違いますが、昭和四十四年では、一月から十二月まで百八十七件でございます。
  188. 和田静夫

    和田静夫君 行管が消防団地域における道府県の立ち入り検査などについて改善を勧告したことがたびたびありますね。その後改善されましたか。
  189. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 消防団地域におきますところの予防事務の問題でございますが、これにつきましては行管からもいろいろ勧告は受けております。ただ、現在の消防組織の現況から申しますと市町村がこれを担当するたてまえをとっております関係で、市町村の消防事務に従事いたします職員、役場職員を中心としまして、なお消防団員の一部を使いまして査察業務を実施するという形をとっております。これにつきましては、さらに府県が指導を加えましてその徹底をはかるようにいたしております。なお、それ以外の方法といたしまして、現在広域的な消防体制の樹立をはかっております。この体制整備に伴いまして、いわゆる消防団のみの地域が次第に減りつつある状況でございます。このようないろいろな方法で、現存のところ消防団のみの地域につきましての予防体制の強化をはかっているところでございます。
  190. 和田静夫

    和田静夫君 消防白書の八〇ページに危険物取扱主任者試験の合格率が出ているのですね。今度の改正でできる丙種の危険物取扱者の場合も、これは同様の試験をやるわけでしょう。
  191. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 丙種の危険物取扱者につきましては、われわれがいま考えていますのは、灯油、重油、ガソリンあるいは潤滑油というようなものを一括いたしまして、要するにそういうものの取り扱いについて、予防及び火災を起こした場合の取り扱いというものの基礎的な知識をどうしても修得してもらうということをねらいにしております。したがって、丙種の受験者資格につきましては、甲種、乙種と違いまして、別段資格を定めないということで簡易な試験を考えております。
  192. 和田静夫

    和田静夫君 簡単な試験をやるというわけですか。
  193. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) いま簡単なというのは程度問題でございますけれども、ねらいは予防と防火の場合の処置、それを基本的に知っていただく、こういう趣旨の試験をやるつもりでございます。
  194. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、合格率は大体一〇〇%の試験をやるというわけですね。
  195. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) この試験をやるためには、事前にやはり県で、あるいは県の指定する適当な機関、たとえば危険物安全協会というのが財団法人でできているところがたくさんありますので、そういうところで事前に十分講習会をやりまして、その上で試験をやるというかっこうにいたしたいと思いますので、そう甲種、乙種というほどの落第率——要するに合格率はかなり高いだろうと私は思います。またそういうことであっていいのではないかと私は思っております。
  196. 和田静夫

    和田静夫君 石油コンビナートなどの場合の自衛消防組織の消防力は十分ですか。これは本委員会もかつて、私も四日市その他調査をしたことがありますが、もっと強化をする必要が非常にあるのじゃないかという感じを持って帰りました。これはどういうふうにお考えになっておりますか。
  197. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) コンビナート地帯の自衛消防力につきましては、われわれももっと強化をしなきゃならぬと考えております。これにつきましては、現在政令その他に基準がありますが、たとえば現在危険物の指定数量の二十四倍以上のところには三台の化学消防車を義務づけておりますけれども、これをもう少しふやして、大きいものについては四台にする必要があるとか、あるいは化学薬剤の貯蓄量につきましても、現在は三十分を限度にするようなことを考えておりますが、これを二時間程度放射できるような薬剤の量をやはり用意しなきゃいかぬとか、あるいは化学消防車の放射能力につきましても、毎分千五百リットルがいまの基準でございますが、それを二千リットルに引き上げるとか、こういうことで、いまこの自衛消防力の強化についての案を検討しておりますが、方向としては、御指摘のようにわれわれはこれをもう少し引き上げなきゃいかぬ、かように考えております。
  198. 和田静夫

    和田静夫君 そのときに、いわゆるこの自衛消防隊員の公務災害に対する補償、出動したときというようなものについてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  199. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 公務災害ということは、これは御案内のとおり市町村なりそういう職員についてで考えておりまして、なおこの消防団の公務災害関係につきましては協力者の規定がございますので、あれが当然適用されるものと考えております。
  200. 和田静夫

    和田静夫君 で、まあこれは仮定ですからどれだけのものが起こり得るかということは問題ですが、その基金は十分ですか。
  201. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 消防団の関係の公務災害の基金につきましては、現在あの会計は黒字でございまして、これはいいか悪いか別でありますけれども、少なくとも黒字でございまして、健全な運営をやっているようでございます。
  202. 和田静夫

    和田静夫君 実はその非常勤の消防団員の公務災害等に対処する基金の財政も含んで、何か非常に悪くなっているように仄聞するのですが、いま健全であるというように言われたのですが、そうすると、その状況はどういうふうになっていますか。どこかに出ていますか、白書か何かに。
  203. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) まあ消防団員の基金には会計が二つございまして、公務災害のほうは、私がいま申し上げたように、私の記憶では約五億くらいの黒字でありますが、もう一つ、退職報償金のほうが、予想外の消防団の退職によりまして、借り入れで支払わなきゃならぬ状態になっておりまして、それが赤字になっておると、こういうことでございます。
  204. 和田静夫

    和田静夫君 この退職報償金のほうの赤はどれぐらいなんです、いまは。
  205. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 資金上の赤として、二十億くらいございます。
  206. 和田静夫

    和田静夫君 この措置はどういうふうにされるつもりですか。
  207. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) これは四十五年度から五カ年計画で解消するように、その解消分につきまして掛け金の引き上げを行ないました。それからもう一つ、本年の予算におきましても、国として健全化運営資金として五千万円の補助金を今度出すことにして、現在御審議をいただいているところでございます。
  208. 和田静夫

    和田静夫君 石油パイプラインの建設をめぐって、業界や通産省側と国鉄、運輸省側で所管争いがあるそうですが、消防庁として、防災の立場からこれにどのような見解を持ち、どのような意見を述べておられますか。
  209. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) いわゆる危険物を移送するパイプラインは、危険物、いわゆる配管でありまして、危険物施設の一部となっております。ただ、現在の配管の規制をする規定につきましてはまだ十分でない点がございますので、われわれはああいう長距離のパイプラインというものについては、これをもっと規定を明確にして規制をするという方向で、いま政令等を検討しているところでございます。
  210. 和田静夫

    和田静夫君 パイプラインの問題、まあこの次の委員会にさらに続けていきますが、いま検討されているというが、どういう速度で検討されておりますか。
  211. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) ただいま長官が申し上げましたパイプラインの関係でございますが、これは現在、従来とも屋外タンクがございます。これに付属する配管、これが非常に工場の中で、あるいは工場同士で長くなっているものがございます。これの配管につきましての規定が必ずしも十分でございませんので、技術上の基準をこまかくすべく昨年夏以前から検討を続けております。本年の目途としましては、夏ごろまでには何とか規定ができるんじゃなかろうかと考えておりますが、期日の点につきましては、なおさらに検討いたしませんとはっきりはいたしませんけれども、そのような心組みでおります。
  212. 和田静夫

    和田静夫君 ことしに入って、二月の二日に宮城で精神病院の火事があって六人焼死、また三日には千葉で精薄児施設が焼けて五人焼け死に、こういう惨事をいつまで繰り返すつもりかという感じがするんですがね。こういう状態になるのは一体どういうところに理由があるのか、それを排除するためにはどういう手だてをされたのか。
  213. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 宮城県の小島病院におきまして重傷の精神病患者が六名なくなりました。あそこは従来からも、消防法上要求をされておる自動火災報知器とかその他のものを整備しておりますし、かつまた消防署のほうでも二回、十二月にも査察をしております。また避難訓練につきましても、従来からもかなりやっておるところでございます。今回焼けましたところは、ただ、その前に避難訓練をしました場合にも、実は重傷の患者の方につきましては、なかなか避難訓練のときにこの人たちを参加させるということは非常に困難な問題でございます。今回六名焼死しましたが、実はあそこに十の部屋のうち八人が入院しておりまして、そのうちの二人はあそこの看護婦さんがやはり救助いたさせておりますし、また同時に内科もやっておりまして、他の病棟の患者百四十数名は全部避難をさせておるわけでございます。そういう意味で、かなりあそこの管理者としては避難ということと、それから早期発見、通報、こういうことについては意を用いておったと思いますが、何せ建物が御案内のとおり非常に古い建物で、しかも発火した場所があそこの重傷患者の収容されておる建物から発火したというようなことが一つの原因で、非常に火の回りが早かったということでございます。この点につきましては、御指摘のように精神病院は何回か焼けておりまして、四十三年以来厚生省とも打ち合わせをいたしまして、できるだけ早い機会にこれを耐火構造に切りかえるということを建物の構造としてお願いをし、またそのために、特に国におきましても医療公庫等を通じた融資の制度も特に考えたようでございます。そういうことでありまして、もちろん消防自体の側におきましても、先ほど申し上げましたとおり、そういう特殊な施設、特殊な病院、あるいは大きな建物、こういうものについてやはりきめこまかい消防、防火計画というものをもっと具体的に練る必要があるんじゃないか、こういう気がいたしておるのでございます。  それから、例の千葉県の精薄児施設のあの火災でございますが、あれは御案内のとおり子供の火遊び、石油ストーブに紙を入れて、それが実は燃え出したということであります。で、あそこも御案内のとおり、木造の建物でかなり火の回りが早かったわけでございます。あそこの収容施設自供も非常に避難訓練をやっておりまして、私たち承知したところでは、最初三十分ぐらいかからなければなかなか訓練においては避難できない状況であったのが、最近では約十分程度で避難を完了し得る程度にまで、常に避難訓練をやっておったようでございます。で、あそこの院長さんは非常に御熱心な方でありまして、そういう意味でふだんの防火訓練はかなりよくやったようでございますが、何せ建物がああいう建物でございまして、火の回りが早かったということが一つございます。それからもう一つは、かなり町から離れておったところにその施設が建っておりまして、水利の便が必ずしもよくなかった、こういうことでございます。われわれ、あれを契機にして考えますことは、建物自体の構造の耐火性ということもさることながら、ああいう施設につきまして、やはりその消防水利、そのための前提として、活動できるような道路等につきましては、やはり建築の段階から相当考えなきゃいかぬのじゃないか、こういうことを考えておるところでございます。
  214. 和田静夫

    和田静夫君 葉山御用邸の火災ですね、あれで、素朴な葉山の住民たちが消火に協力しようとして行ったところが、御用邸の正門があかなかった。おそらくあかなかったことが理由でもって全焼したと思います。で、これはおたくの問題であるか、あそこの警察の問題であるかあれですが、葉山の御用邸ばかりじゃなく、東宮御所にしたって、その他いろいろなそういう事態が起こらぬとは限らぬと思うんですが、あの教訓で、何か関係建築物などの防火について特別の措置なり指導をされましたか。
  215. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 宮廷関係の建物につきまして、宮城は、あそこの皇宮警察と、それから東京消防庁の間で数年前から、万一の場合に備えた消防計画、それから進入路その他も含めました諸計画を準備しております。残念なことには、葉山、並びに那須の御用邸もそうでありますが、現地の消防機関との間にそうした詳しい事前の計画がございませんでした。そこで私は、あの火災を契機にいたしまして、宮内庁のほうに、ぜひ現地の消防機関と連携をとって、ひとつ消防計画、防火計画というものを何らかの意味でつくるようにしていただきたい。もちろんそれは陛下の御用邸でございますので、陛下のお使いにならない時期に、中の敷地の構造、消火せん、防火用水等の位置等につきましても、十分現地の消防機関に熟知させていただかなければならぬし、そういうことも含めまして協議をするように申し入れまして、宮内庁のほうでもそれを心よく引き受けてくれまして、そういう手はずになっております。
  216. 和田静夫

    和田静夫君 まあ本来の改正の論議とちょっとはずれておりますが、あの場合に、たとえば正門から消防関係者を入れれば、全焼するということはなかったかもしれませんし、わざわざ通用門に回す、こういうような状態でもってなお惨事が広がったということになると思うんですが、そのときの責任の所在は一体どの辺にありますか。
  217. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 火災になりました場合の、要するにその責任というのは、あれは放火でございますから、要するに建物の管理の第一次責任者がおそらく私は責任者であると思います。消防の側としては、いま申し上げたような事前の事情がございまして、もちろんそのふだんコミュニケーション必ずしもよくない状況のもとにああいう火災が発生したわけでございます。しかし、責任とかなんとかということでなしに、消防としては、どこが火災になっても少なくともかけつけて消すだけの使命と、その使命を達成する責任がございます。そういう意味におきましては、葉山の消防署としては十分私はなし得ることだけはなしたものと考えておりますし、また同時に、あの場合、御案内のとおりあすこに応援協定がありまして、横浜やあるいは横須賀の消防署もかけつけてあの消火に当たったわけでございまして、そういう意味におきまして、責任という意味が必ずしも明らかにされませんけれども、消防としては、少なくともそういう見地において自分の使命を達成したものと私は考えております。
  218. 和田静夫

    和田静夫君 ロサンゼルスの地震を当然他山の石とされたと思いますが、消防庁はロスの震災から何を学び、いまどのような対策を急いでいますか。
  219. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) ロスの震災につきましては、いま私のほうからも政府の一員として参加して調査しておるわけでございますが、私は、またこちらに帰ってきてからさらに教訓を得たいと思いますけれども一つは、一体どこで何が起きたかという情報をどういうふうにして早くキャッチするか、こういうことでございます。つまり電話その他が不通のようになるわけでございまして、電話その他は不通でありますから、そういう状況を想定して情報をキャッチし、それを住民にどうして伝達するかということがまずスタートの問題だろうと思っております。震度五以上の場合には、NHKは地震の情報をラジオで流すようになっておるようでございますが、いずれにしてもその前に一体どこで何が起こったかということを早期に発見をし、それを住民に流すということの手だてをどういうふうにやるのが一番いいのか、新聞によりますと、あるいはわれわれが聞いたところによりますと、多少ヘリコプターというものを活用しているようでございますが、おそらく私はヘリコプターによって上空から見て無線で本部に流し、それから放送というものを通ずるだろうと思うんでございますが、そういう点が一つでございます。それからもう一つは放送という問題でありますが、私たちはこの点も確かめてくるようにしてありますけれども、情報によりますと、非常災害の場合のメガサイクルは常に一定してある。したがって、いろんなトランジスタラジオでも、たとえばある場合には九百メガサイクルと新聞に出ておりますけれども、それに合うようにしてさえあれば災害情報はいつでも聞けるというような状態であるそうでございますが、そういうような非常災害の場合のトランジスタラジオというものを使う情報伝達の方法として、一体どういうメガサイクルのものをどういうふうに事前に設定しておくのがいいのか、こういうこともおそらく住民というものに情報を流す一番的確な方法でありますので、この点はおそらくわれわれがかなり学び得る点ではなかろうかと、こう思います。  それから第二は、あの場合火災がかなり少なかったわけでございます。したがって、どうして少なかったのか、あの時間が六時一分ということでありますので、家族の方もまだうちにおられるし、それから火も使う時間じゃありません。したがって火災の件数がかなり少なかった。しかも火災があったときにどういう消火方法をとったんだろうか、そこがわれわれとしてはかなり注意をしなきゃならぬ点であります。それから同時に、火災に関連して水道その他消火せんはだめになったというふうに聞いております。一体どういう方法によってその火災が消されたんであろうか。火災のあるということが二次災害としての地震の被害を大きくして、人命、財産等の被害を大きくすることはわれわれ過去の地震から得ている教訓でありまして、この点がロスの場合に少ないという点、なぜ少なかったのか、出たのはどうして消したのか、あるいは消すについて消防がどういう手だてをとったのか、この点が学び得る大きな問題ではなかろうかと思います。  それから、その他人命救助の問題であります。消防としては、救急という問題を責任としてしょっているわけでございますが、向こうははたして消防が全部負っているのかどうか必ずしも明らかではありません、われわれが聞いたところでは。しかし、いずれにしても、被災者の救助、特に負傷した方の救助というものを救急体制としてどういうふうにやるのか、あの場合、道路もかなり破損されておりますし、ロスは御案内のとおり自動車の町でありまして、道路が破損された場合に一体救急というものをどういうふうな方法でやったのであろうか、ここが一つの消防としてはぜひ教訓を得たいところでございます。  大まかに申し上げまして、そのほかこまかいことはあると思いますけれども、私は大きな消防のサイドから見た教訓としては、そういうところがかなり考えている点でございます。
  220. 和田静夫

    和田静夫君 七大都市の消防力基準の充足状況はどうなっておりますか。
  221. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) ただいま資料を持ち合わしておりませんけれども、現行の消防力基準に合わせますと、大体六割くらいだろうということでございます。
  222. 和田静夫

    和田静夫君 これ、この次の委員会にちょっと資料を出していただけませんか。  それから、この次の論議との関係であれをしておきたいのですが、厚生省の社会福祉施設の不燃化計画、いまこれ、お答えになれればあれですが、もしあれなら、この次にその概要を出していただきたいと思います。それはよろしいですか。
  223. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 承知いたしました。  それからなお厚生省の点は、私、連絡いたしまして、厚生省のほうから御提出させるようにいたしたいと思います。
  224. 和田静夫

    和田静夫君 同時に、新建材に伴う有毒ガスの発生でいたずらに死者が続発をしておりますが、そうした新建材の使用禁止がなぜできないのか。——これは消防庁ですか。最近何か通産省か何か使用禁止させるわけにはいかぬという見解を出したとか出さぬとかいうのがありますね。
  225. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 新建材につきましては、現在こういう建物の廊下とか教室というものの内装に使うことは、建築基準法で、一定の施設については、あるところは不燃——たとえば廊下とかあるいは階段とかあるいは教室というものは不燃材料でやらなければならぬというふうに規定されておりますが、そのほか、場所によっては、いわゆる準不燃材料というようなもの、あるいはもう少し下がれば、燃えにくい難燃材料というようなことで、いろいろ建築基準法の関係で規定しております。その材料のいわゆるJISの関係では通産省がタッチをしておる。そのJISをきめる際には、建設省の建築研究所あるいは私のほうの消防研究所、通産省の研究所というものがそれぞれ研究材料を持ち合いまして、そしてJISをきめる。何を不燃材料にするか、何を難燃材料にするかということの試験はすべて建設省のほうでおやりになっておりまして、そしてそれについては一定の試験の方法で、、ガスとかあるいは煙とかいうものを基準に入れてそれぞれ研究しているわけでございます。  新建材を使用させることを禁止できないかできるかという問題でありますが、ただいまはいま申し上げたような内装制限というところで、あぶないところ等についてはそれぞれ不燃材料でなければいかぬというようなことをしてあるのでございまして、問題は、われわれの身の回りのものに非常に多いわけでございまして、テレビの側板にいたしましても、おそらくこれもそうだろうと思いますが、こういうもの、それからもう繊維材料もほとんど石油製品に近いものでありまして、したがって、われわれの生活がきわめて文化的になればなるほど、こういうものが非常に身の回りに多くなってきておる。それがある程度一挙に燃え始めますと、ガスと煙で、煙は御案内のようにまっ黒でありまして、なかなか透視ができない、こういうものがかなりあるわけでございます。したがって、内装建築材料の面から新建材の規制をかなり今後も強化する。先般も建設大臣は通産大臣お話し合いをいたして、そういうものの規制、つまり不燃材料をたくさん使うような規制をするという方向であろうと思いますけれども、そういう方向で両大臣意見の一致を見て、そういうことをやるということを当院の建設委員会でも御答弁をされているのを私は聞きました。そういう意味で、順次おそらく不燃材料を使う部面をもっと広げていくということの規制がなされるものだろうと思います。  なお、最近私は新聞で知り得た情報でありますが、ある一定の薬を発明されて、それをこういう繊維に塗れば不燃化するというような、そういう技術開発の面もかなり進められておるように承知しておりますので、そうなればそういう問題もかなり改善されるものと考えております。
  226. 和田静夫

    和田静夫君 消防職員のなり手がないということを聞いていますが、応募状況は一体どういうものですか。
  227. 降矢敬義

    政府委員(降矢敬義君) 確かに一般的にはどうもそういう傾向があるようでございます。多少調べてみたんですが、たとえば東京消防庁におきましては、昭和四十三年には応募者数が千八百七十一人で、採用された者が、試験をやりますので八百二十五人、これは応募率が二・三倍、四十四年が千五百三十二名、前年よりも二百何十名、約三百名近く減っているわけでございますが、採用された人数は千百十名で、これが一・四倍でございます。それから名古屋につきましては、応募率が四十三年には大体二・四倍、四十四年は三・六倍。それから大阪でありますが、四十三年は三・三倍、四十四年は三・六倍、こういうことになっております。ただこれは、大都市はかなり調べたのでございますが、私のところにいらっしゃる地方都市の消防長さんは、やはり採用というものについてかなり御指摘のような悩みを訴えられております。それは事実でございます。
  228. 若林正武

    委員長若林正武君) 本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後四時三分散会      —————・—————