○
国務大臣(
愛知揆一君) この
国連の
代表権の問題につきましても、十日ほど前、
選挙を控えまして
自然休会になりましたときと別に何ら変わるところはございません。ただいまのところ、
政府としては真剣に、慎重に検討しているという
段階でございます。そこで、いま
内容に触れての
——内容といいますか、
考え方に触れての御
質問でございますけれ
ども、われわれ
政府としては、
中国との
関係についても、何とか現在の不正常な
状態を正常化したい。ですから、
バイラテラルの
対話を
政府間に持ちたいということをまともに表明しているくらいでありますから、
政府の
意図というものはおわかりいただけると思います。そうして、
国連における
本件の
取り扱いについては、これは
日本だけがどうというわけの問題でもございません。すでに
外交演説等にもいろいろ言っておりますように、
各国の
本件についての
考え方や
動向な
ども十分に見きわめていきながら、その間に
日本政府として処すべき最善の道をとりたい、こう考えておるわけです。自然、
アメリカもそうでございますけれ
ども、やはり私の見ておりますところでも、
各国とも非常に
代表権問題については深刻な検討、研究をしている。で、お互いに、支障のない限り、その
考え方のいろいろの
段階等について
考え方を交換したり情報を交換したりということは、かなり活発に
各国間においても行なわれておる。そういう点については十分な
接触を持っていくのが、
日本の
外交のかじのとり方として当然必要なことであるというように考えまして、
十分各国の
動向を見きわめていくことに努力を続けておるわけでございます。
それから、ただいまの
お尋ねは、
日本政府は
中華人民共和国政府が
国連に入るということに、これを阻止するのかあるいはそれに賛成するのかというような
お尋ねであったと
理解するわけでございますが、これは、まあ私の代よりももっと前の代からのことかもしれませんが、
国際社会、
国連の中に祝福されて入るような
状態が望ましいということは、一貫して私は
日本政府の
立場であろうかと思います。同時に、しかし、これもしばしば申し上げておりますように、
国連ができたときからの有力なメンバーであり、そして現にその
支持の数あるいは
承認の
各国の
動向などが最近
相当変わってはいるものの、現在いまだに、
国連加盟国で
国民政府を
承認しあるいは
支持している国の数が、
中華人民共和国政府支持のところよりも多いというような状況からいって、まだ
日本政府としての
態度をきめておりませんけれ
ども、昨年の
代表権問題の
投票ぶり等からみて、こうした
国民政府の
国連の中における地位というものを犠牲にしてまでも
中国代表権問題を結論をつけるということにためらいを感ずるという国が
相当に多いのが現実の実情ではないだろうか、こういうふうに見ておりますので、それらのところが今後どういうふうに変わっていくか、あるいは強くなるか、それらを見きわめてまいらなければなるまいかと、かように存じておる次第でございます。