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国務大臣(
愛知揆一君) 台湾と中国本土との問題は、「一つの中国」という強い主張がある。そのことを中心としたお尋ねに対してお答えをしたわけで、これは
政府がしばしば言っておりますように、まあ、平たい
ことばでいえば、内輪の問題として両当事者で平和的な話し合いで解決をせられるべき筋合いのものであって、
日本政府としては、そういう結論が出た場合にそれを尊重して守っていきましょう。こういうことがそもそもの
日本政府の考えであります。ただ、武力を行使して大陸を奪還したりあるいは台湾を解放したりということは絶対にやめていただきたいということを強く
日本国民としては望んでおる。もし武力抗争が起こりました場合には、国際法の通念からいっても、これは単なる内戦ということでは済まない場合も生じ得る。そのときには国際紛争という性格になりまして、これは国連憲章の五十一条の発動の対象になる場合もあり得るということを
条約論的に申し上げたわけでございます。
その次にはっきりさせておきたいことは、
沖繩返還問題とは何も
関係はございません。もし国際紛争のような大規模の戦闘行動になってそれが
日本の安全、
日本の安全を含む極東の安全という問題として取り上げられるようなことがあり得るということを考えた場合には、これは本土自身の問題でもあって、
沖繩返還の問題と何ら
関係もございません。安保
条約の性格からいって、それにかかわりが起こることもあり得るでありましょう。こういうことを申し上げたわけで、これも一貫した
政府の考え方でございます。
それからもう一つ明確にしておきたいことは米華
条約との
関係でございますが、アメリカは米華
条約によって中華民国に対して防衛のコミットメントを与えて、これは
条約上の義務でございます。しかし、米華
条約が米国のコミットメントによって発動するからといって、そのことによって自動的にこれは安保
条約に影響をもたらすものではございません。このこともしばしば明確にしておることであって、安保
条約においては、
日本は
日本の立場において自主的に、たとえば事前協議といったような場合に、それに対する
判断は
日本が自主的にするものであって、これは米華
条約でアメリカがコミットメントを与えているからといって、これが即自動的に安保
条約にはね返ってくるものでは絶対にございませんということも、しばしば明らかにしているとおりでございます。