○国務大臣(西田信一君) きのう科学技術白書を閣議で報告をしまして、了承を求めたわけでありますが、その中に書いておりますことは、いま先生が御指摘になったとおりでございます。そこで、これは率直に、科学技術白書
——いろいろていさいをつくってというようなことではなくて、ほんとうに反省に基づいて、将来のあるべき姿はどうであるというようなことを率直に書いたつもりでございます。
それで、終戦当時には、もう三十年も
日本の科学技術は諸
外国に比べておくれておる、そういう
状況であったと思いますが、科学技術に政府も不十分ながら力を入れてまいりまして、この科学技術の
研究開発の予算等におきましても、だんだんおくれを取り戻しておることは事実でございます。ここ
年間の伸び率が二一%ぐらい伸びておりまして、諸
外国よりも伸び率はやや高いかと思います。しかしながら、絶対額におきましては、御指摘のとおり、非常に少ないのでありまして、民間と合わせましても、一兆円には達したと思いますけれ
ども、四十四年時点では九千四百億ぐらいでございますか、でございまして、
国民総生産の一・九%ちょっと切れる、一・八九ぐらい、目標は二・五%ぐらいに置いておったわけでありますが、そこまで到達しなかったことは非常に残念でございます。その中でも、
アメリカや
ソ連などは、これは、いま先生がおっしゃったように、軍事的な
研究開発が非常に多いのでありますから別といたしましても、まだ、西欧諸国に比べまして、民間と政府の、国が出しますところの
研究開発の比率が逆転しておる。
日本の場合は民間に六、七〇%依存しておる、そして、政府のほうが三〇%
程度であるということは、ちょうど諸
外国と逆になっております。したがいまして、二千数百億というような、
研究開発の伸び率が高いと申しましても、いまおっしゃったように、
外国から八〇何%も技術導入の対価を支払っておる。こっちが売り出すところの技術はわずか一二・五%ぐらいでございますから、そういう状態を早く脱却しなきゃならぬ。それにはどうしても自主技術の
開発をやらなきゃならぬということであります。しかも、その自主技術の
開発と申しましても、ただ生産性の向上とか、そういう経済面だけでなくて、いま当面問題になっておりますところのいろんな生活優先のそういう技術
開発というようなことも十分方向を変えていかなきゃならぬというふうに思っておりまするし、そういう
立場から申しまして、単なる技術
開発と申しましても、やはり技術の事前評価というものを、一体これはマイナスがどう出るか、プラスがどう出るかというようなことを十分に事前に評価をいたしまして、そして、そういう基礎に立った
研究開発をやっていかなきゃならぬというふうに思います。
そこで、いま、一九七〇年代の科学技術政策というものを科学技術
会議が
検討しておりまして、近くその
結論を出しますけれ
ども、それにおきましても、もっとこの
研究開発費等を西欧並みに引き上げていかなきゃならぬということで、具体的な
数字も掲げまして、目標を掲げるつもりでおります。その中におきましても、特にいま
お話のありましたような、国が出しますところの
研究開発費はもっと積極的に伸ばしていくということ、全体の
国民所得に対する
研究開発費をふやすことと、その中身におきまして、もう少し国が積極的な科学技術に対しますところの予算をふやしていく、こういう姿勢で取り組んでまいりたい。そうして、少なくとも、これからなかなか
外国から技術を入れるといたしましても、ただ金をたくさん
外国に支払うというだけではなくて、なかなか入れにくくなっております。やはり、こちらにもある
程度のギブ・アンド・テイクというようなかっこうになりませんと、いい技術も入ってこない。必ずしも
外国から技術を入れることが全面的にけしからぬということではないと思いますけれ
ども、少なくとも対等な
立場に立つようなところまで引き上げていかなければならぬというふうに思いますので、そういう意味におきまして率直な反省を加えながらあの白書というものをつくったのでありまして、それをさらに、七〇年代の科学技術政策の中に、十分その反省の上に立ってこれを解明し、かつまた前進をさせていく、こういうような姿勢で取り組んでいきたい。全く御指摘のとおりでございまして、その方向でわれわれは鋭意努力をしたいと決意をいたしておるところでございます。御鞭撻いただきましてありがとうございました。