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1971-04-13 第65回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月十三日(火曜日)    午後一時十三分開会     —————————————    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     井川 伊平君      田渕 哲也君     中村 正雄君  三月二十四日     辞任         補欠選任      井川 伊平君     木村 睦男君  三月二十六日     辞任         補欠選任      山崎 竜男君     井川 伊平君  三月二十九日     辞任         補欠選任      井川 伊平君     山崎 竜男君  四月十三日     辞任         補欠選任      藤田  進君     西村 関一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鬼丸 勝之君     理 事                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 大和 与一君     委 員                 河野 謙三君                 重政 庸徳君                 温水 三郎君                 前田佳都男君                 瀬谷 英行君                 西村 関一君                 三木 忠雄君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        運輸大臣官房観        光部長      住田 俊一君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        海上保安庁警備        救難部長     貞広  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、藤田進君が委員辞任され、その補欠として西村関一君が選任されました。     —————————————
  3. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないます。  選任方法は、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事木村睦男君及び山崎竜男君を指名いたします。     —————————————
  5. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案議題とし質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 東京横浜あるいは阪神地区等における港湾の現在の滞船の状況といったようなものはどの程度になっているか、その傾向と将来の対策といったようなものについて御報告をいただきたいと思います。
  7. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) いわゆる五大港と申し上げておりますが、東京湾東京横浜、あるいは伊勢湾で名古屋、あるいは大阪湾大阪神戸というふうな港がございます。いま先生質問ございました滞船状況でございますけれども、これは公共の係留施設について実は資料をとっておるわけでございますが、概して、横浜あるいは神戸を例にとって申し上げますと、多少の、年により月により異同はございますけれども、四十五年の年間実績を見ますと、平均いたしまして、入ってくる船の約一割、一〇%程度が何らかの理由でバース待ちをしていると申しますか、入船待ちをしております。いわゆる滞船しております。滞船した船の一隻当たりの滞船時間が約四十時間程度になっております。  これに対する対策という御質問でございますけれども原因によりましていろいろありますけれども、約六割がバース不足と申しますか、やはり岸壁が足りないということが原因でございますので、極力バースを増強しなければならないというふうに考えておりますし、その他天候待ち、荷役待ち、そういうものもございますが、主として施設の面から見ますと、港湾施設の増強ということと、もう一つは、岸壁の効率的な利用と申しますか、荷役効率をあげて早く船を出すという、大まかに申しまして二つの方策が考えられるというふうに存じます。
  8. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 要するに、岸壁が足りないから施設を増強しなければならぬということなんですけれども、そうすると、港自体が足りないのかどうか、港の施設を増強すれば間に合うのかどうか。現在の港の施設を増強することによって間に合うならば、間に合わせるような方法を講じなければならないだろう。しかし、港そのものが足りないということになると、新規に港をつくらなければならぬでしょう。鹿島港のような形でいま港をつくろうと思えばできるのじゃないかという気がするのですが、新規に港をつくらなければならないような状況にあるのか、既存港湾整備で間に合うのか、現状は一体どのように見ておられるか。
  9. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生指摘のように、二つ問題点がございます。で、大ざっぱに申しまして、いわゆる流通港湾と申しますか、商工的な貨物流動消費物資なり生産財を出すという港の機能と、それから臨海工業地帯の窓口になりまして、工業原材料を入れまして製品化するという港の、二つあるわけでございます。特に外国貿易の非常に重要な定期船の寄る港、これにつきましては、やはり分散しないで集中する傾向にございます。たとえば東京湾で申しますと、東京横浜、あるいは大阪湾ですと、神戸大阪というふうなのがございますけれども、これは同じ湾内でございますから、多少の広がりができようかと思います。ただ国内貨物流動につきましては、やはり集中にも限界がございますし、特に内陸背後地との連絡、そういうものを考えますと、新しい適地に適当なところを見つけて拡張しなければならぬという事態も起こるであろうというふうに考えてございます。なお、工業港につきましてはおのずから限界がございますので、新しい適地を認めて臨海工業地帯を立地する、つくるということになれば、そこに港が必要であるというふうに考えます。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この間、首都圏整備審議会でもっていろいろ説明を聞いたのですけれども、現在の東京横浜港、そういう東京湾の港だけではもう間に合わなくなってくるから、北海道方面との流通ということを考えた場合に、北関東にも新しい港湾施設をつくらなければならないといったような話がありました。これはもっともなことだと思うのですが、それをやるためには、道路鉄道もその港湾に合わせなければ意味がない。相当膨大な計画になると思うのですけれども、そういったような計画は、まあ首都圏整備審議会での議題にとどまってしまったのでは、これは無意味だと思いますね。これは具体的に国としてそういう新しい港を開発をして、それでその新しい港を今度既存東京横浜といったような港にかわらせるというような構想があるのかないのか。これは大臣の地元が候補地になる気がするんで、大臣のほうからその点をお伺いしたいと思います。
  11. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 少し、非常に概略な数字的な話になろうかと思いますけれども首都圏でいろいろ検討されておりますし、私どもも、事務的には連絡して相談にあずかっておりますが、現在東京湾で扱っておる貨物は約四億トンばかりございます。これは五年とかなんとかいう短い年次では、そういう構想というものはむずかしいんで、一応昭和六十年の新全総計画程度の十年先といったような時点を考えますと、将来は関東地区と申しますか—現在はほとんど東京湾から入って内陸貨物が流れているわけでございますけれども関東地区全体を見ますと、約十億トン程度貨物になるのではないかというふうに考えられます。そうしますと、御承知のように、東京湾の湾口というのは非常に窮屈である。それから東京湾内に入りましても、やはり内陸との連絡ということで道路問題が起こってまいります。そういう意味でやはり一億トン程度の、あるいはできればもう少し大きな貨物東京湾の外から受けて、北関東その他に流すということが、港湾のほうからいっても必要じゃないかというふうに考えておりますし、これは首都圏のほうで道路計画鉄道計画をまた御検討いただきまして、それと合わせて、それに即応したような貨物を扱える港を整備してまいりたいというふうに考えております。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 首都圏のほうではプランはいろいろと練っているようだけれども、これは具体化するということがほんとうに早急にできるのかどうか、まゆにつばつけたくなるような感じがするわけです、いままでの実績からいって。そこで、こういうプランだけならそんなに長いことかからなくても私はできるだろうという気がするんですけれども首都圏そのものが相当逼迫してきていることは事実なんだから。それから東京湾自体がもう一ばいばいじゃないかと思うのですね。港湾としての機能を発揮するためには、東京湾自体汚染防止ということもあるし、それから危険防止ということもあるし、そう考えてみると、東京湾にこれ以上船が出入りをするということは規制する必要が出てくるのじゃないか。いまでも浦賀水道あたりにおける事故は、陸でいえば牛込柳町といったようなところに匹敵するんじゃないかという気がするんですがね。そういう問題を解決するためには、東京湾出入というものを、船舶の出入を規制をする必要がありはせぬか。そうなると、東京湾内にある横浜東京といったような、あるいは千葉といったような既存港湾整備ということに力を入れるよりは、湾外の外洋に面した地域港湾を新しく建設するということのほうが、むしろいいんじゃないかという気がするんですが、国として大きな計画をここで打ち立てるという必要性はないのかどうか。もし必要性があるとするならば、むしろ政府のほうで首都圏整備委員会といったようなところを督励してでも作業を急ぐべきではないかという気がするのです。今日はそういう段階にきているのじゃないかと思いますが、その辺はどうですか。
  13. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 瀬谷さんの御意見ごもっともでありまして、大体私たちのほうで昭和六十年の時点で考えておりますものというと、先ほど港湾局長から説明がありましたように、少なく見積もっても貨物の総量が十億トンぐらい、東京湾中心にして扱い量がなるのじゃないだろうか。人によっては、十一億トンとか、それ以上言っている人もありますが、少なくとも十億トンぐらいあるだろう。現在は四億トン程度扱っているわけですが、そこで東京湾内はもちろん、東京湾内のキャパシティというのは、いわゆる奥東京湾ということでなくて、全体を計算して考えますと、なお倍くらいといいますか、四億トン——八億トンぐらいの貨物扱い量拡大することが陸上交通の点も含めて可能であると考えております。しかしなお最小限度十億トンと考えまして二億トンというものは東京湾の外で扱わざるを得ない。しかも首都圏に連結するところで扱わざるを得ない。そこで大ざっぱに言いますと、どうも北関東地帯で約一億トン、それから神奈川静岡県にかけて約一億トン、こういうような主として流通港湾ですが、そういう港湾整備が必要じゃなかろうか。そうなりますというと、従来のいわゆる既設港湾の規模を拡大するとともに新しい港もつくらなくちゃならない。東京湾を除いた地区での現在の貨物数量年間扱いは、全体計算しましてもせいぜい三千万トン程度、両方で。神奈川及び静岡県及び北関東地域太平洋岸ですが、通常扱っている量はおそらく両方合わせて約三千万ないし四千万トン程度にすぎない。そうなりますと、これから一億五、六千万トンというものを昭和六十年までに収容し得るような港を整備するということは相当大事業になるわけであります。したがって、従来の既設港湾の可能な港湾について思い切った設備を、港湾計画拡大、改定していく。同時にまた、それだけじゃ足りませんから、いわゆる新港湾を考える。そこで新港湾を考える場合には、もちろん既設港湾の関係も考えなければなりませんが、同時に北関東一帯、いわゆる外環状線といいますか首都圏外環状線、そういう方面人口がはみ出してまいりますから、この方面に供給すると同時に、逆に外側から東京市内部貨物を入れる必要がある。同時に首都圏外にも二、三〇%というものは出ていくことになるだろうということを考えますと、おそらく昭和六十年の時点において、首都圏のそれぞれ人口が少なく見積もって三千五、六百万人と言っておりますが、私たちは四千万人をこえるのじゃないか。そうしますというと現在の約四割強の増加でありますからして、これのいわゆる消費量増大等を考えますというと、先ほど言ったような十億トンというのは昭和六十年における想定数量になる。こういう意味において、いままで申しましたような港湾拡大、強化、新設と同時に道路を考えていかなければならない。いま建設大臣とも話し合っている北関東開発計画としては、一方において東京湾湾岸道路整備していくと同時に、いま成田を通っていく東関東自動車道路、これは鹿島までは一応決定しているのですが、それから先はまだ方向をきめておりませんが、こういう北関東に本格的な大きな流通港湾をつくるということになれば、それとの連係を考えて、そうして北関東外環状である自動車道路をつくる必要がある。それは水戸、宇都宮及び前橋、高崎をつないでいく太い環状道路というものによって、いわゆる新設港湾もしくは拡大された港湾からの荷物を北関東一帯に送り込んでいく。一方、神奈川県もしくは静岡県等に考えられる一つ港湾は、これはまあいま環状八号ということばで言っておりますが、首都圏の将来を考えると、もう一つ外側にやはり大きな道路を持っていく必要がありはしないか。それといわゆる新しい港とも結びつける、こういうような考え方が必要であろう。これはまだ事務的に具体的に進めておるわけではありませんが、大体そういう構想のもとに、昭和四十六年には調整費の中から道路及び港湾等調査費として五千万円を計上いたしておりますからして、それによって四十六年度中には本格的なマスタープランをつくって、できればまあ四十七年度からでも具体的な方針に入らなければ間に合わないのではなかろうか、こう考えておるわけであります。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 四十六年度中にマスタープランができ上がるということでありますけれども、まあこういう問題はあまり先に延びていくと、現状がもう動きがとれなくなるのじゃないかという心配があるわけです。いまの大臣お話環状八号の外側ということですから環状九号ぐらいになるのですかな。番号はとにかくとして、人口四千万というふうに見れば、そのくらいのことをしなきゃ当然間に合わないだろうという気がするのですが、それは道路と同時に鉄道も必要になってくる、それから港も必要になってくる、こう思うのですけれども、これから先の港のあり方なんですけれども、最近の輸送コンテナ輸送だとかカーフェリー輸送といったような、従来と違った輸送方式が本格化してくるということを考えなければならぬだろうと思うのですね。そうすると、こういう新しい輸送方式に対応するような港湾整備ということを考えなきゃならぬだろうと思うのですが、その点は今後の港湾整備方向として、運輸省としてどういうふうに考えておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  15. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生指摘のように、特に外国貿易雑貨荷役というものは、従来非常に人手を要した、なおかつ荷役に時間がかかった貨物でございますが、これがコンテナが出現いたしまして、様相が一変したということは言えようかと思います。で、非常にコンテナ化スピードも当初予測したよりも早くなっておりますし、コンテナに乗らないだろうと思われたような貨物までコンテナに乗っちまうという傾向が出てきたわけでございます。現在御承知のように北米が二航路豪州航路航路コンテナ輸送しております。これがことしの秋には——私のほうじゃなくて海運局のほうかもしれませんけれども、私の聞いておるところでは、ニューヨーク航路あるいは欧州航路も就航するだろうというふうにいわれておりますし、これが出ますと、特に外国貿易貨物を運ぶ貨物海上輸送というものはかなりの程度コンテナ化が起こってくるというふうに考えておりますし、それに必要な施設は、これは海運局とも十分相談いたしまして、事前につくっていかなきゃならぬというふうに考えております。  それからなおコンテナというもの、そのものもまだ出現して日が浅いものでございますから、いろいろとまだ定着化していないという点で、輸送の形もいろいろと変化することが考えられますので、それに弾力的に施設面で対応できるようなことも考えて、余裕を持っていかなければいかぬだろうというふうに考えてございます。  なお、フェリーにつきましては、これは特に主として国内貨物の新しい輸送形態でございますが、これは先生指摘のように、在来は短い距離のフェリーが非常に伸びたわけでございますが、最近に至りましては、中距離あるいは長距離、大体百キロから多いのは千キロ以上というふうなフェリーも出てまいっておりますし、これも将来どんどん伸びていくのじゃないかというふうに考えておりますし、将来の動向を見きわめながら、やはりフェリーが就航しても着く場所がないということのないようにということを念願しておるわけでございます。
  16. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 こういう輸送形態というのは、スピード輸送コストが安くなってくれば、どうしても在来輸送方式にかわってくるだろうと思うのですね。コンテナなんかの場合の割合ですね、どのくらいの割合になってきているのか。去年、私も船の積み荷の状況を見て、これはまあちょっと輸送方式の革命的な変化じゃないかなという気がしたわけですがね、ああいう形態が一度普及してくると、相当在来港湾の仕事が変わってくるのじゃないかと思うのですね。だから、この割合をある程度見通しを立てなければいかぬだろうし、それからコンテナ輸送の場合は、かなり陸地にも相当な面積を必要とするだろうと思うのですね。その面積をどうやって確保するか、埋め立てか何かでやっていけば別だけれども、そうでないと、土地取得がたいへんだろうという気がするのですね。特に港湾の場合は地理的な条件も必要とするだろうし、そういう土地取得といったような問題はどのように考えておるのか、あるいは今後の見通しとしてこれは京浜に限らないけれども、全国的な傾向じゃないかというふうな気がするのですが、近距離あるいは遠距離を問わず、当然考えるべきだろうと思うのです。その点どうですか。
  17. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) コンテナにつきましては、御指摘のとおり、非常に背後地に従来と違う、従来の埠頭と違いまして大きな土地が必要でございまして、現在つくっておりますコンテナ埠頭も、二百五十メーターの長さの岸壁に対しましては奥行きが三百メーター、三百メーター岸壁につきましては三百五十メーター、約十万平米くらいの用地を確保してございます。御指摘ございましたように、現在は大体外航コンテナ専用埠頭中心に考えておりますけれども、やはり用地が特に問題になるわけでございます。東京におきましても、横浜あるいは大阪神戸、いずれも先生おっしゃいましたように、新しく埋め立て地をつくって、そこに新しい埠頭をつくるという方式をとってございます。将来、これは国内にどういうふうに普及するかということも問題があろうと思いますが、これ、そういう時期になりますと、あるいは新しい埋め立て地を使うのが一番手っとり早いわけでございますけれども背後地との連絡その他で必要があれば在来埠頭を改造する、あるいは再開発といいますか、そういうふうなことも必要だろうというふうに考えております。
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 外航だけじゃなくて、内航の問題でもコンテナの今後というものは考える必要があるのじゃないかという気がするのです。たとえば北海道室蘭あたり国鉄石炭埠頭を持っていたのがいま遊んでいるという状態があるわけですね。ああいったようなものはコンテナ埠頭に変えて、そして北海道と本州との間の輸送コンテナ輸送でもってやっていく、列車ばかりたよらないこういう方法も、これは国鉄にやらしたっていいだろうという気がするのですが、そういう点はどうですか。
  19. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生指摘のように、たとえば北海道室蘭であるとか、あるいは小樽であるとか、かつては国鉄が非常に力を入れて石炭輸送をやった土地でございますけれども、いま石炭輸送状況が変わりましたので、かなり余裕がある。そういうものを利用して国内コンテナに変わってくるということも十分考えられますし、まあ中には国内用コンテナ専用船もぼつぼつ出始めているという情勢でございますし、御指摘のように国鉄用地は、これは港湾管理者国鉄が相談して、国鉄自分のところだから自分でお使いになってもけっこうでございますし、あるいは管理者と相談して何らかの処置を講じて使うということは十分考えられることでございますし、必要なことだろうというふうに思います。なお、北海道にそういう手当てをするといたしますと、今度受ける側のほうもやはりそういう手当てが必要だろうというふうに考えるわけでございます。
  20. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そこで、北海道ばかりできたって、こっちのほうになければ何にもならぬわね。そこで、関東周辺北海道コンテナ埠頭と対応するような設備を必要とするでしょう。それをやって、それで列車に依存していたものを海上輸送に切りかえるといったようなことのほうが、まあ能率的じゃないか、あるいは輸送コストを低減するのに役立つんじゃないかという気がするんですがね、そこらの見通しはどうか。もしそういう見通しが立つならば、国鉄輸送を船でやってもいいんじゃないかという気がするわけです。つまりレールに必ずしも乗っけなきゃならぬということじゃない、要するに運べばいいんだから、これは船だろうと汽車だろうとそんなことは別にとんちゃくすることはなかろうという気がするんですが、そういう輸送形態の切りかえというものは、政府としてこれは効率的であるというふうに考えれば、思い切ってやるべきじゃないかという気がするんですが、その点はどうですか。
  21. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御指摘のような点は、これはあるいは大きく言いますと、総合交通体系といいますか、そういうものの一環として検討される事柄かとも思いますけれども、具体的なお話が出れば、私ども港のほうから申しますと、これは非常にけっこうなことだと思いますし、積極的にそういう用地手当てあるいはバース手当て、それはそういう需要に応じてフォローしてまいりたいというふうに考えております。
  22. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまのところ民間企業によるコンテナ埠頭整備というものも行なわれているわけですけれども国鉄が赤字をかかえて四苦八苦している、こういう状況から考えるならば、これは政府のほうが国鉄にそういう内航海運を利用して物資輸送汽車から船のほうにかえさせるといったようなことを指導してもいいんじゃないかという気がするわけです。また、それと同時に、フェリーにしても、最近はどんどんふえてきているわけですね。まあ、このフェリーふえ方はやはりそれ相応に輸送需要があるからふえてきておるんだろうと、こう思うわけですよ。フェリーコンテナも一緒にしてこれからの輸送形態として発展をする可能性があるものと見て、その受け入れ態勢——港湾整備ということをやるほうが先を見通したことになるんじゃないかという気がするんです、これは外航だけじゃなくて内航海運にしてもですよ。その点はどうでしょうか。
  23. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御指摘のように内航のコンテナ化はまだ緒についたという感じでございますけれどもフェリーにつきましては御指摘のようにものすごい勢いで伸びております。で、そういうものは港湾のほうから考えますと、これは背後地との、特にフェリーにつきましても、コンテナにつきましても連絡ということが重要になってまいりますし、先生指摘のように、埠頭背後地に相当の用地が、土地が必要であるというふうな問題もございます。したがって、そういうものに対応するような港湾施設計画というものは、今後大いにやっていかなきゃならぬだろうというふうに考えております。
  24. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これは大臣にちょっとお伺いしたいんですが、国鉄輸送というものは、いままではまあレールを主として考えて、それで線区別に赤字だの黒字だの言っておりましたが、赤字なものを無理してレールの上で走らせる必要はなかろうという気がするんです。だから、そういうものは船を使う。将来青函トンネル等ができれば連絡船なんかもあまり用はなくなるだろうと思うんです。その場合に、この連絡船をコンテナ輸送用に改造をして、そうしてまあ北海道と関東あるいは九州といったようなところを結ぶといったようなことをやった場合に、コストの点で採算が合うのかどうか。もし採算が合うとすれば、国鉄にそういうことをやらせる、そういう方針が考えられるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  25. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 具体的な問題のお話が先でありますが、一つの基本的なものの考え方としましてはですね、日本は御承知のように陸上、陸地が非常に狭いわけです。ただ幸いなことに、非常に海岸線を、これはアメリカ合衆国よりも長い海岸線を持っておるんですね。そういう意味において、総合交通というものを計画する場合においては、非常に日本は地理的条件はよろしい。ただしかし、国自身が十分なる消費を必要としなければこれは別問題ですけれども、いまわれわれが想定しておりますように、昭和六十年においては貨物の出荷量は百六十兆円になるだろうと、こういうような大きな見通しがいわれておるわけであります。そういう点になった場合に、いわゆる貨物及び人間も含めて交通上の輸送機関が陸上を中心としたもので間に合うだろうかどうか。道路もこれからは自動車交通のためのトラック及び長距離用の高速道路ができましょうけれども、また鉄道も新幹線等によっていろいろな増強がはかられるわけですが、はたしてそれだけでもって全体の貨物及び旅客の順調なる輸送が可能かということになると、かなりむずかしい問題がありはしないか。そこで、瀬谷さんのおっしゃるように、いわゆる海上をレールと見て、そうしてもっと考えるべきだろう。港湾あるいはカーフェリーあるいはコンテナ等を含めてお話しでしたけれども、もっともな意見でありまして、たいへん参考になると思います。そういう意味において、それを国鉄のまあ従来の経営上の困難というものと関連して考えるかどうかの問題は第二の問題としまして、全体としてそういうように従来交通といえば陸上と考えておった、いわゆる国内交通を。まあ内航船というものはありますけれども、これも一部の貨物を送るというにすぎなかった。ところが、いまの情勢から見ますならば、コンテナ化が、これはどんどん国内貨物についてもコンテナ化が進んでいくことは間違いありません。ヨーロッパにおいて外航コンテナ化は九割がコンテナ化されておるといわれておる。ヨーロッパではされておるといわれておりますからして、日本なんかでも現在は大体六〇%をこえておると思います。したがって、この影響はいわゆる国内貨物流通の上にも大きく反映してくることは間違いないことでありますから、したがって、国内コンテナ化ということも考えながら港を整備する必要があろう。同時に、そういうものをどういう形で機関が取り扱っていくべきか、国鉄はその場合にどういう地位を与えるべきかということは、この青写真のもとにおいて国鉄の役割りもやはり将来は飛躍的なものの考え方をしなければいかぬのじゃないだろうか。  いま申し上げましたような基本的な考え方からいいますというと、実は道路に、たとえば五カ年計画でもって、あるいはもっと十ヵ年計画ですか、十兆円以上の金を投ずるとか、あるいは新幹線に対しても十兆円以上とかいっておるさなかにおいて、これは今度の五カ年計画は五ケ年計画でありますけれども、二兆一千億円という、実は私のいま言ったような前提に立って考えるなればですね、港湾計画というか整備計画というものはあまりに小さ過ぎるというのですね。ただ従来一兆三百億円であったんですが、二兆一千億円というのは倍以上になったとはいうものの、しかし、いま言ったような総合交通体系というものは、近代的な流通機関の整備という上からいうと、ほんとうは港湾整備コンテナ等を含めて、こういうところに思い切った金をかけて初めて総合交通体形ができる。しかし、なかなか従来の関係もありまして、いきなり三倍にも四倍にもできないということから、私としては思い切った今回の新五カ年計画をつくったわけでありますけれども、実はそれでも、私のものの考え方からいえばまだ半分にも達しない。実はできれば三兆五千億円くらいの金があって初めて陸上交通との間のバランスがとれる、こう考えておるわけですが、なかなかそうは実際上はいかないものですから、この程度で一応五カ年計画を進めていこう。あとでお話があるかもしれませんけれども、従来の五カ年計画を途中で打ち切って、そうしてこういう五カ年計画をつくらざるを得なかったのも、いま申しましたような輸送機関の近代化、コンテナ化、あるいは貨物量が従来考えておったものを三年間ですでにオーバーしておる、五カ年でふえるだろうという貨物輸送が三年間でオーバーしておるという実情、そういうような新しい事態が伴なってまいりましたので、どうしてもこれは五カ年もこのままずるずるとやっていたのでは、かえって港湾の近代化、輸送状態の近代化からおくれる、こういうことからして従来の計画を打ち切ってこういう新五カ年計画を立てましたのも、先ほど来から申しましたような本格的な進め方をこの際進めていく必要があろう。それにいたしましても、もちろんこれは規模の上においては十分ではありませんけれども、少なくともこの新しい芽をこの機会に出しておく必要がある、こういうような気持ちから、このようないわゆる五カ年計画の策定をいたしたわけであります。まあこの点は御質問がありませんでしたけれども、関連がありますので申し上げたのでありますけれども、それについては国鉄の役割りも全然従来とば考え方を変えて、国鉄だから鉄道だけでいいといったわけじゃなくて、もっと広い意味で考えていく必要がある、これは交通体系の上においてもっと積極的に考えていく必要があろう、こう考えております。
  26. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 少しばかりの、その場しのぎの手当てじゃこれから間に合わないのじゃないかという気がするのですよ。いま大臣のほうから三兆だ二兆だというお話がありましたけれども、秦野さんですら四兆と言っておるのですからね。だからこれは東京よりも広い首都圏ということを考えれば、かなり雄大な構想を出してもいいのじゃないかという気がするし、ほかのことと違って、もう四千万という人口の、日本の首都圏という問題になってくると、五カ年計画でどうのこうのと、こういう規模の小さいことをやっちゃ間に合わないのじゃないですか。そういう点ちょっと私も気になったのでいろいろ質問してみたのですがね。  それじゃ、これからの臨海工業地帯にしても相当先を見込んだ観点でやらなければならないだろう。先ほどは四十六年度中にマスタープランを完成させるというお話でしたけれども、それじゃ四十六年度中に完成をさせる予定のマスタープランの中には、総合的な国土開発の見地からの新規開発港湾整備ということも予定しているのかどうか。これは具体的に、その候補地から性格から規模からすべてを勘案をしてきめられるべきものが、先ほど大臣から御答弁のありましたマスタープランの中に含まれているものなのかどうか、その点をお伺いしたい。もしできれば、その構想がもっと具体的なものがあれば具体的な構想も教えていただきたいと思います。
  27. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生承知のとおり新全国総合開発計画、これは昭和六十年を目標にして策定されてございますが、その中で見込まれておりますのは、臨海工業地が約十万ヘクタール程度いくだろうというふうにいわれております。で、しかも現在すでに東京湾とか大阪湾というものは、もう臨海工業地帯としては過密状態にあるということは御承知のとおりでございまして、最近鹿島が稼働し始めたわけでございますけれども、今後公害とか環境保全、そういうふうな問題、あるいはまた新全総計画でいわれておりますように、大規模な臨海工業地帯をつくるということになりますと、どうしても遠隔地にならざるを得ないだろうという感じがいたしますが、新全国総合計画で期待されておるようなものを港湾のほうから一応考えてみますと、やはりそういう大規模な臨海工業地帯の規模は少なくとも三千ヘクタール以上なければいかぬだろうということを考えますと、それに入ってくる船もやはり三十万トンあるいは五十万トン程度の大きなものを受け入れなければいかぬだろうという感じがいたします。それからなお、特に新しくつくられる工業地帯でございますから、当然これは環境保全なり公害防止というものが一次的に出てくるというふうに考えてございます。したがいまして、こういう全国的な開発計画は経済企画庁が中心になって関係各省御協方して進めていくわけでございますけれども港湾という立場からそういう立地条件を考えますと、特に大型の船が寄れるというふうなところでかなりの地理的な制約というものも出てこようかというふうに考えてございます。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 鹿島の港ですけれども、私もあそこを見て、なるほどこんなこともできるものかなと思って、ちょっとびっくりしたのですけれども、しかしあれは、たしか幅六百メートルくらいだと思いましたが、どうせつくるならば幅等についてももう少し広げることもできるのじゃなかろうか、技術的にはですね。鹿島なんかであれで足りるのかどうかという懸念が出てきたわけです。鹿島の例をあげれば、あの程度でもよろしいのかどうか、将来ああいう形式の港を開発するとすれば、もっと規模を大きくするという必要も出てくるのじゃないかという気がいたしますが、その点はどうですか。
  29. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生指摘のように、鹿島港あるいは苫小牧のように、掘り込み港湾型の港湾と言っておりますが、これは水路を掘り込みましてそこに生産工場を立地するという型でございますと、工場が立地したあとから拡張をすると非常にこれはむずかしい問題でございます。したがって、事前に十分検討して余裕ある幅を取っていくということが重要だと思います。ただ、鹿島計画した当初に比べますと、六百メーターという御指摘がございましたように、当時は十万トンクラスを中心に考えておったわけでございますが、現在の鹿島港の面積なり何なりは、内陸部の水路は——メーン航路は六百でございますけれども、あと中に、奥に入っていく航路はかなり広げて拡張して、大体の計画は合うだろうというふうに考えてございます。ただ、御指摘のように、今後開発する、新しく港湾開発する場合には、やはり鹿島港といういいお手本がございますので、これをベースにして、さらに余裕のある水路なり何なりというものを——これは立地する企業によっても違いますけれども、やはり船型が大きくなるという前提で考えれば、持っておったほうがよかろうというふうに考えてございます。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 安全の面と公害の面について、東京湾を例にあげてちょっと質問をしたいと思うのですけれども東京湾なんか、竹芝桟橋あたりに行きますと、どぶのにおいがするのですね。海に初めて連れていった子供が、そこで船に乗せようと思ったら、海というのはどぶのにおいがすると言ったことがあるのですけれども、ああいうふうに廃油であるとか汚物であるとか、すべてが東京湾の中によどんでしまうということになると、これはどうも公害対策上も芳しくないという気がいたします。そこで廃油等の規制、処理をするといいますかね、そういう施設も考える必要があるだろうし、海そのものをきれいにしなければいかぬだろうと思う。だから、東京湾大阪湾でもそうですが、瀬戸内海でもそうですが、瀬戸内海だってどんどんきたなくなってきている。瀬戸内海、大阪湾あるいは東京湾という湾をもっときれいにするために根本的に何か方法を考える必要があるんじゃないか、公害対策の面からいっても。ということが一つと、それから安全対策ですね。浦賀水道に第二海堡とか第三海堡というものがある。この近辺で相当海の交通事故が多いという話も聞きましたけれども、ああいったようなものを、障害物を除去するといったような方法で安全対策を講ずるという具体的な計画はいまどうなっているのか。さらにもっと根本的にいえば、東京湾がふくそうし過ぎてこれ以上どうにもならぬということを考えたならば、東京湾出入する船舶を規制をするということも考える必要があるんじゃないか。それを考えないまでも、形態を変える、たとえば房総半島の根っこに運河でもこさえて、それで九十九里あたりから東京湾のほうに入ってこられるような方法、こういうことは技術的にできるのかどうかわかりませんが、そんなような方法湾内の水を循環させると同時に、交通も時間を短縮するといったようなことはできないものかどうか、それらの点についてお伺いしたいと思います。
  31. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 先生指摘のように、東京港もいまでは内港に入ってございますが、特に竹芝付近は昔から有名な、くさいというふうにいわれておる所でございまして、川の水が流れてきて、隅田川が流れて、普通ですと港が浄化されるはずのものが、上流のほうの川もよごれておるということで、ますます東京港はよごされておるというような現状かと思います。で、まあ、港湾のほうで具体的に浄化するというふうなことにつきましては、まず港に入ってくる水をきれいにしてもらわなければどうにもならぬというのが、私どもまず前提だと考えますけれども、御指摘のように、従来の港は、入った船を台風その他から安全に保護するということを主に考えておったわけでございます。で、やはりそれももちろん大切でございますけれども、入った水が還流するといいますか、そういうようなこともやはり今後配慮しなければいかぬだろうというふうに考えております。  それからなお油につきましては、御承知のように、油濁防止法が、昨年、海洋汚染防止法にかわりまして、従来から廃油処理施設を進めてきたわけでございますが、これももう一度再検討いたしまして、万遺漏ないように、油についても受け入れ施設を十分整備したいというふうに考えてございます。  それから最後に交通安全の問題と、それから還流のお話が出たわけでございますが、いろいろな条件を無視して金さえかければ房総半島を切るということも不可能じゃないと思いますけれども、現実には、技術的な調査なり、あるいは投資額というものとの相関性も出てこようかと思います。ただ、当面、東京湾の湾口は非常にふくそうしておりますし、湾の入口の形が悪いS型をなしておりますので、御指摘のように、第三海堡を撤去するということも具体的に実施したいというふうに考えておりますし、それからなお第一海星と第二海堡の間も開さくいたしまして、S型に入っていく航路を、もう一本バイパスを通して、まっすぐ通すということも交通緩和にはなりますし、どの程度まで湾内の還流に寄与するかという点はちょっと自信がございませんけれども、何がしかの役には立つのじゃないかというふうに考えております。
  32. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、新五カ年計画ですれ、投資額あるいはまた五十年の時点における輸送量の見通し並びにこの五カ年計画の重点事業について説明していただきたい。
  33. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 現在行なっております五カ年計画は、御承知のように、昭和四十二年から四十七年までの五カ年間に一兆三百億という投資額を予定したわけでございますが、今度の新しい五カ年計画昭和四十六年度から五十年度までの投資額でございまして、総額は二兆一千億円、このうち港湾整備事業が一兆五千五百億円、それから災害関連事業あるいは地方単独事業が二千四百億円、それから港湾機能施設整備事業が二千百億円、それから予備費という制度を新しく設けまして一千億円、それも入れまして二兆一千億円でございます。  この投資額でもって、昭和五十年の港湾の取り扱い貨物の目標値でございますが、現行の四十七年が十五億三千万トシという想定をしたのに対しまして、すでに四十四年に十六億一千万トンに相なっておるわけでございまして、新しい経済社会発展計画の経済指標を使いまして試算し直しまして、昭和五十年につきましては約三十三億八千万トンという貨物量を想定いたしまして対処してまいりたいということでございます。  それからなお整備の重点事項でございますが、先ほど来、話が出ましたように、新しい、これは従来予測した以上にふえた貨物をどう処理するかという、貨物量の増大に対する港湾施設整備という点が第一点ございます。それからなお海上のコンテナ輸送であるとか、あるいはフェリー輸送というふうな新しい輸送形態に対応する港湾施設整備ということも必要でございます。それから新全国総合開発計画でいわれております大規模な臨海工業地帯の造成という点になりますと、やはり最初に港湾整備が必要になろうかと思いますので、その全部はクローズはいたしませんけれども、それに対する整備に着手する準備もいたしたい。それからなお、先ほども質問がございましたような船舶の航行の安全という意味からも狭水道その他の航路整備ということもいたしたい。それから現在行なっておりました、先ほども申し上げましたような油濁防止施設も大いに促進いたしたいというふうに考えております。
  34. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこで、事業費のうち、具体的に、この五カ年計画で、地方のたとえば管理者とか地方の各府県、特に地方港湾が問題になってくると思うのですが、この五カ年計画によって相当財政負担が拡大されてくるのじゃないかと思うのですね。これの財政の裏づけですね、この問題についてはどうお考えになっておりますか。
  35. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 従来、港湾整備につきましては、国が、これは港によっても違いますけれども、一定の補助率で補助いたしまして、あとは港湾管理者がそれに自分の金を継ぎ足して整備するという方式でやってまいったわけでございますが、新しい財源措置はなくても一応いけるんじゃないかというふうに考えております。と申しますのは、今後、港湾財政の財源問題というのは非常に問題でございますけれども、国の財政投融資であるとか、たとえば公団方式を採用して地方負担を軽減するとか、あるいは受益者負担金制度というものもございますし、そういうものを十分活用して地方の負担の軽減をはかるということも積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  36. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その裏づけが十分できるという補助事業のような考え方ですけれども、現実に各地方でやっている港湾管理者の赤字というのは相当増大していることは、これ事実でしょう。大体四十二年ころから港湾管理者の各府県における赤字が相当ふえてきていると、こういうふうに私は聞いているんですけれども、実態はどのくらいになっておりますか。港湾管理者の各府県の赤字の問題ですね。
  37. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御承知のように、港湾というのは、管理者が県である場合と市町村である場合とございまして、ちょっと全国の県別の資料は持ち合わしてございませんが、特に投資も大きいし、大きな貨物を扱っております、いわゆる全国のおもな八港についてとってみますと、これは八港と申しますのは東京、川崎、横浜、名古屋、大阪神戸、下関及び北九州の八港でございますが、港湾の使用料収入、これは岸壁に着いた場合に使用料を取るわけでございますが、これはだんだんよくなってはおりますけれども、これは四十三年の実績でございますが、全体の支出の二七%にすぎない。で、それ以外につきましては、たとえば国の負担金が一六%、それから受益者負担金が一・八%、それから一般財源の繰り入れが二八%、それから公債が二七%というような状態でございます。
  38. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それじゃなしに、実際に港湾管理者、たとえば横浜なら横浜市がやっておりますね、川崎港なら川崎市がやっておる、その港湾管理者に、実際に、施設をつくるほうじゃなしに、現実にいま港湾を運営している、管理している立場において相当な赤字が出てきているんじゃないかと思うんですね。その点はいかがですか。
  39. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) いまのは官庁会計方式を申し上げましたんですが、企業会計方式というのは完全には各港とっておりませんけれども、一応企業会計方式に引き直して申し上げますと、先ほど申しました八つの港で、総収入で約八十八億ございます。それに対しまして、支出は百四十五億という計算になりまして、約五十七億という、企業会計方式によりますと赤字が出るという勘定になっております。
  40. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ここはたとえば五十七億、八大港で五十七億でありますけれども、地方港湾等にとっては、私はもっと人件費の問題とか、港湾の排水処理の問題とか、いろんな点で赤字が私は激増しているんじゃないかと思うんですね、最近。そうしますと、この赤字を補う問題と、それから新しい港湾施設整備していく、こういう関係において地方の財政負担が新五カ年計画で相当負担が重なってくる。こうなりますと地方港湾の問題が特に大きいと思うんですが、この港湾管理者の負担というものは、私は相当大きなものになってくるんじゃないかと思うんです。したがって、この負担にたえ切れるかどうかという問題の見通しと、あるいはまた、今後、港湾管理者港湾を管理していく場合において、いまのような考え方でこの五ヵ年計画が実行できるかどうかという、また途中で二年三年たって港湾計画を改定するという、いい意味じゃ経済成長率がこうなったからとか、新全国総合計画が変わったからとか、見通しが甘かったからとかといういろいろな点で何回か変えられるのですけれども、実際考えてみれば、地方にとっては全部財政のしわ寄せになってきているわけですね、地方の港湾にとっては。こういう点いかがですか。
  41. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 確かに、港湾の投資額がふえますと地方の財政負担にやはりロードがかかるというのは御指摘のとおりだと思います。ただ、地方の港湾につきましては、どちらかと申しますと、特に地方港湾につきまして、先生指摘のとおりな心配があるわけでございますけれども、これは一点はむしろ、たとえば離島との連絡の港、そういうふうな意味で、どちらかといえば道路あるいはむしろ河川に近いような必要性がございまして、一般の財源を使ってもどうしてもつくらなければいかぬというふうなことも出てこようかと思います。それからなお、先ほど申し上げましたように、港湾整備事業を改定いたしまして一兆五千五百億でございますけれども、これはあらためて各管理者と相談いたしまして、管理者から五カ年間にこの程度整備をやりたいというふうな計画を出していただきまして、それを調整してまとめてもらいたいということで、決して国のほうから管理者に押しつけて、こうやれというふうなことはいたさないのが、この港湾法でもそういうふうになっておるわけでございますし、私どもそういうつもりで進めてまいりたいというふうに考えております。
  42. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ、そこでたとえば八大港の五十七億の赤字の問題ですね、これは私はますます新計画に伴って公債を発行したり、いろいろな形で利子の問題等がからんできまして、港湾管理者の赤字はどんどん私はふえる一方じゃないかと思う。こういう問題については、港が国がつくりっぱなし、あるいは地方財政で補いはなしで、あとは運営のほうは管理者にまかされているわけですけれども、そのことによってどんどん管理運営の面においても赤字が相当直なってくると私は思いますね。こういう点に対する見通しはもう少し前向きに検討して、やはり地方財政の負担というものがもう少し少なくて済むような方法、あるいは国からもう少し多く出す方法を考えていかないと、地方のほうの港湾としては、計画ば出ておりますけれども、実際上これは困難な問題が重なってくるのじゃないかと思うのですが、この点もう一度。
  43. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御指摘のとおり、現在赤字がだんだんふえてくるというのは過去の統計を見ましてもそうでございます。これに対処するのに、先生も御指摘ございましたように、いろいろな方法がありますし、私ども港湾管理者と相談しながら積極的に対応策を考えたいと考えておりますが、たとえば、いま一例をあげますと、先ほど申し上げました官庁会計方式、企業会計方式の食い違いは何かと申しますと、たとえば上屋とか何かをつくった場合の耐用年数と、それから起債の償還年数がかなり食い違っているというふうな問題もございます。それからもちろん岸壁なり上屋の使用料も、外国に比べても非常に安いというふうな点もございます。そういうことも今後是正の対象にいたしたいと考えておりますし、それから場合によりましては、受益者負担といいますか、民間資金を導入して、港湾管理者と申しますか、公共団体の負担を軽くするという方法も現在ある程度やっておりますけれども、これももう少し考え直すということもいたしたいというふうに考えております。ただ、御承知のように、外国の港と日本の港とちょっと違いますのは、日本は台風国でございまして、防波堤その他、直接、船が着いて荷役する施設に関係のない施設にかなりの投資が要るという点がございます。そういうものに対する対応策もやはり考えなければいかぬというふうに考えます。
  44. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこで市あるいは各県等において一港湾管理者、この赤字財政補てんの意味からも、いろいろ港湾管理者に対して港湾譲与税ですか、そういうような要望が、最近各地でいろいろ要望が出ているという話を私、聞いているわけです。たとえば国から一これ大臣の問題になるのかもしれませんが、国から関税の一部を移したらどうかとか、いろいろな要望が出ておりますけれども、こういう問題に対する考え方はどうですか、運輸省としては。
  45. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 御指摘のように、関税の一部を還元してほしいとかというようないろいろな管理者サイドの御意見もございます。ただ、これは関税政策というのは大蔵省との相談もしなければならぬということもございまして、ただ港湾の財源という意味で、先生指摘のように、いろいろな広い意味で広範囲に検討を早急にしなければならぬというふうに考えております。
  46. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはもう一つ港湾設備とか施設が最近いろいろ変化しておりますね、あるいは道路事情がよくなったと、こういう体制で、たとえば市の港湾一つの市だけじゃなしに、二市、三市にまたがる経済圏が出ているわけですね。そういう場合に、広域管理体制というのですか、一市だけではなしに、その周辺の市も含んで管理体制を考えていく、こういうふうな動きもいろいろ検討されているようですけれども、こういう問題についてはいかがですか。たとえばその一市だけで何もかも全部財政負担しなければならないと、これではちょっといろいろ不合理な点もあるのではないかと思うのですね。こういうふうにいわゆる輸送事情がよくなってきた、あるいは道路がよくなってきた、あるいは施設が変わってきた、こういう変化に伴うやはり管理体制を私は考えなければならないと思うのですが、この点はどうです。
  47. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) いま先生指摘のような問題は、確かに現実の問題として起こっておりまして、具体的には、どちらかといいますと、名古屋の例を見ますように、名古屋市と愛知県とが共同管理するというふうな形のものがかなり出ております。たとえば北九州でも、北九州港管理組合というのは県、市が共同してやっております。ただ、御指摘のように、並んだ市が何カ市か集まって共同管理母体を持っているという例はまだございません。ある意味でいえば、県だけでなくて、背後地が広がればよその県にまで広がっていくということも起こる、起こるというよりも現実に起こっていると思いますけれども、特に新しい港はわりに簡単に共同管理体制はできるのですけれども、たとえば横浜であるとか、神戸とかいうように歴史を持った港がなかなか共同管理になじみにくいという歴史的な背景もございますけれども、もう少し将来を考えれば、東京湾一つとして考えなければならない時期もこようかと思います。そういう時期までの一つのステップといたしまして、だんだんそういう機運に向いている。具体的には県、市で共同してやっているというのが実態でございます。
  48. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、フェリーの問題で二、三お聞きしたいのですが、最近のフェリー輸送情況ですね、あるいは今後の見通しですね、急増しておりますので。そこらについてひとつ。
  49. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) お答え申し上げます。  最近のフェリーは、従来の湾内とか、あるいは瀬戸内の横断とか、そういったような短距離のフェリーから、百キロあるいは三百キロ、 三百キロ以上の中長距離のフェリー航路数が増加してまいりまして、一例をあげますと、たとえば四十年では、航路の数が八十七、事業者の数が七十三、船舶の隻数が百四十六でございましたのが、その後五年間で、たとえば本年の四月一日現在で見ますと、航路数が百六十五、事業者の数が百二十六、隻数が三百二十二、非常に大幅にふえております。もちろん、それによりまして輸送する自動車とか、あるいは旅客の数も急速に実績が伸びておりまして、したがいまして、国内輸送の面におきましては非常な輸送効果を与えているというように私ども見ている次第でございます。特に最近におきましては、先ほど申しましたように、中長距離が非常に出てきた。御質問では、今後の状況いかんということでございますけれども、いまの中長距離のフェリーの、たとえば申請書ですか、御参考までに申し上げたいと思いますが、実は百キロから三百キロ、これを私ども中距離と呼んでおるのですが、それから三百キロ以上のもの、これを長距離と呼んでいるのでございますが、たとえば長距離といたしましては、昨年開通いたしました、小樽から裏日本を通りまして、舞鶴のほうに行く、ああいう大きなもの、それから中距離といたしましては、たとえば大分から松山を経由して阪神に行くというような種類のものでございますけれども、こういう現在運航しておりますのが、中長距離合わせまして十一航路、隻数が二十五隻でございます。それで、すでに運輸大臣の免許がおりまして、開業の準備をしておるものがございます。これは中長距離合わせまして十二航路、二十四隻でございます。なお、これ以外に、現在申請しておりまして、まだ認可、免許の手続が済んでおりませんのが三十五航路、六十四隻というぐあいになっておりまして、もちろん申請が全部許可されるわけではございませんけれども、かりにこれが全部許可されるとしますと、運航路を全部合計いたしまして、五十八航路、百十三隻にふえる、こういうような状況になっている次第でございます。
  50. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 フェリーの運航許可とか増便許可等は海運局の許可ですね。ところが、この問題については、港湾局とのいろいろな連携はとれているのですか。
  51. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) たとえば総合交通体系といいますか、全般的な大きな問題といたしましては、港湾計画との調整をはかりながら現にやっております。ただ問題は、やはり具体的な問題ではっきりしておかぬと、安全問題等がございますので、具体的には、個々の事例によりまして、申請がございますと、それにつきまして港湾管理者、あるいは港湾建設局のほうに窓口の海運局のほうから連絡いたしまして、そういう点については、港湾管理者等の意見を海運局が聴取いたしまして、そういう申請についていいかどうかということを検討しているというのが実情でございますので、一応、実施面では、そういった港湾施設との関係について港湾局関係と連絡をとっておるというふうに言えると思います。
  52. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これがちょっと、局長のほうはそういうふうに了解されているのでしょうけれども、現実には地方の港湾管理者フェリーの許可との間の問題で連携は全然とれてないらしいのですね、これは。たとえば一例が、川崎の長距離輸送の場合なんかも、川崎の港湾管理者には全然連絡がないらしいですね。そこで運輸省では、許可をする、増便をどんどん許可していく、海運局のほうで。ところが、地元の受け入れの港湾管理者には全然どうなっていくのかさっぱりわからぬのに許可がおりる。こういうので非常にばらばら行政というのですか、ここはやはり運航上増便がどんどんされてくると、私は、安全対策の問題とかいろいろな点で問題が出てくるのではないかと思うのです。したがって、本省の段階とか上のほうでは、大体そういうふうになって出てきて許可していると思っておるのでしょうけれども、現実に、地方の港湾管理官などはボイコットされているというので非常に不満らしいのです。こういう問題は、やはり地元の港湾管理者とよく打ち合わせをして、どういう状況フェリーをつけるとか、どういうふうに港湾待ちをさせるとか、そういう点をやはり確認した上で許可をとるとか、そういう手を私は尽くすべきじゃないかと思うのですが、この点は、実際に川崎なんかの例はそういう点がある。調べてみれば幾らでもあると思うのですが、こういう点は、もう一歩協議をして安全を期すべきじゃないかと思うのですが。
  53. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 私、先ほどたてまえを申し上げたのでございますが、実際にそういう事例があるということは非常に遺憾だと存じます。したがいまして、そういうことの御意見を体しまして十分手を尽くしていきたいというふうに存ずる次第でございます。
  54. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは運輸大臣、カーフェリーとかフェリー、数がふえていくと思うのですね。増便がどんどん出てくる。この許認可、増便の許可等についても、やはり地元の港湾管理者の意見を聞くとかいれるとか、やはり申請方式をしっかり確立しておくべきじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  55. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ごもっともでありますから、これははっきりと省議等で方針をきめまして、事前協議をするということを前提にして、そうしてそのあとで意見を尊重しながら許可する、こういうことにしたいと思います。
  56. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから今回の五カ年計画の中でフェリー埠頭整備が予定されていると思うのですが、これは対象港湾はどことどこで、整備方式はどういう方向でやるか、この点おわかりでしたら。
  57. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 五カ年計画につきましては、先ほども申し上げましたように、あらためて管理者の意見を聞きながら、もう一ぺん整理しなきゃいかぬということで、具体的にいますぐどことどこということには十分なお答えはしかねる段階でございます。なお、ただいま海運局長からも答弁がございましたように、いろいろな申請が出てまいりますし、フェリー需要の動向もこれからつかんでいかなければならぬという点もございますので、正確にどうだということは申しかねるわけでございますが、ただ四十六年度につきましては、予算も国会を通過いたしまして、具体的に検討しておる段階でございます。  フェリー埠頭のつくり方でございますけれども、一応私どもがいま考えておりますのは、従来ございました近距離のフェリー、特に離島との連絡フェリーが最近非常にふえておるように見受けられます。こういうものにつきましては、やはり公共埠頭じゃないかということで、在来方式で進めたいというふうに考えております。ただ、先ほど海運局からもお話がございましたような中長距離フェリーが出てまいりますと、船型も大きくなってくる。それから便数もふえてまいりますと、やはり港の中の背後地道路との関係という点を考えますと、水際線が限られてまいります。そうしますと、個人に埠頭をつくらせて持たせるということもむしろ限界がくるのじゃないか。逆に共同で使わせるということも必要だというふうに考えております。なお、フェリーの船の型でございますが、これも非常に特異な荷役形態と申しますか、車の出入りする形態があるわけでございますので、普通の埠頭ではなかなか扱いかねるという面と、それからもう一点は、フェリーから上がりました車の置き場が非常に広く要るというような特異な点がございますので、したがいまして、中長距離フェリーにつきましては特に重要港湾にそのウエートが高いと思いますが、現在、特別会計から埠頭整備の資金の貸し付けというふうな制度もございますので、そういう制度も活用してまいりたいというふうに考えております。
  58. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 神戸あるいは横浜等の五大港について、いま港湾と海運と両方関係があると思うのですが、外国船等の滞船時間が非常に依然として解決されないという声があるわけですが、この四十五年の六月に行管からも運輸省に対して勧告が出ていると思うのですね、係留問題については。この問題について、具体的に、運輸省として係留施設整備を重点的にどのように進めてきているのか、あるいは今後どういうふうにやっていくのか、この点について。
  59. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 滞船につきまして港が込むということで行管からも御指摘がございまして、特に埠頭整備を急げというふうな御指摘もございます。これにつきましては、ただいま御審議願っておりますように、新しい五カ年計画で必要な埠頭もつくってまいりたいと思いますし、特に東京湾とか大阪湾というふうな、外国船といいますか、外航船の集中する港につきましては、外貿埠頭公団その他を活用して整備を進めたいというふうに考えております。  それからなお、先ほどもちょっと申し上げましたかとも思いますが、港湾の管理面で埠頭の能率化といいますか、そういうものも行管からの御指摘もございますので、たとえば上屋と岸壁を一緒に使うように指導するとか、あるいは岸壁航路別に優先させるとか、あるいはいわゆる戸前受け設備と申しますか、そういうふうに上屋で受けて、これは岸壁との一体使用との関連でございますけれども、そういうふうなことを、いろいろな問題点を整理いたしまして、できるものから進めてまいっておる次第でございます。
  60. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから船の問題ですね、海運局のほうとして、滞船時間がいま神戸あるいは横浜でどのくらいになっているのか、それからそれの及ぼす経済的な損害ですね、これがどの程度になっておるか。
  61. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) まことに申しわけないのでございますが、資料を持っていないので、たいへん恐縮なんでございますけれども
  62. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) それでは私のほうから——先ほどもちょっと申し上げたかと思いますが、横浜神戸で少し状況が違っておりますけれども、概して申しますと、入ってくる船の、これは公共埠頭に入る船でございますが、約一割前後という程度でございまして、平均の滞船時間が約四十時間というふうに相なってございます。実はこれのどういうロスが起こるかという点でございますが、これは船主協会に依頼いたしまして、これは船から見た損失だけでございますけれども、一応試算していただいた数字が手元にございますが、御参考に申し上げますと、約四十六億という数字が出てございます。これは四十四年の実績をもとにしてはじいていただいた数字でございます。
  63. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私の聞いた話によりますと、四十年で大体二十三時間、四十三年から三十三時間、いま四十時間、こういうふうに滞船時間がどんどん年を追うごとに長くなってきている。これはもう少し港湾設備の問題とかいろんな点を、あるいは港湾荷役の関係とか近代化をはかるとか、いろんな点をもう少し抜本的に変えていかないと、これは国際信用上も問題ではないかと思うんですね。港湾技術は非常に日本が進んでいるというおほめにあずかっているらしいですけれども、実際に外国船が来て一日も二日も、あるいはひどいのになるともっと滞留しているそうですけれども、そういう滞留していること自体は一やはり港湾をつくるほうはうまい。いろんな施設設備をもう少し整えるという方向に、そういう方向にもっと力を入れていかないと、経済的な問題から考えても、あるいはこれは目に見えないでしょうけれども、いろいろ計算してみれば物価に及ぼす影響というものはばく大なものだと私は思うんですね。こういう点はもう一歩進めていかなければならないんじゃないかと思うんですけれども、この辺はいかがですか。
  64. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 確かに御指摘のとおりでございまして、埠頭を単にふやすというだけじゃなくて、先ほどのお話に出ましたようなコンテナ化できるようなものはコンテナに持っていく、あるいは木材なら木材の専門の埠頭をつくる、そういうふうなくふうも入れまして新しい五カ年計画を組み立ててまいろうというふうに存ずる次第でございます。
  65. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは運輸大臣ですね、私も何回もこれは前に質問したのでございますけれども、防疫体制の問題とか、検疫のいろいろ問題があると思うんですけれども、こういう問題、派生的な問題かもしれませんけれども、もっと根本的に、やはり港湾の滞船時間の問題というものは、やはりもっと抜本的に国として——これは運輸省だけでは私は解決できる問題じゃないと思うんですね。厚生省の関係あるいは農林省の関係、いろんな点があると思うんですね。こういう点をもう少し抜本的に改革していかないと、あるいは港湾荷役関係なんかもっと改革していかないと、やはり滞船時間がどんどん長くなっていき、あるいはそれの及ぼす経済効果というのが非常にマイナス面が大きくなってくると思うんですね。こういう点はやはり相互連携をとって、やはり運輸省だけでは私は解決できる問題じゃないと思うんですね。こういう点はやはり抜本的に改革していかなきゃならない問題じゃないかと思うんです。  あるいはもう一つ港湾施設の利用状況あるいはやはりもっと——先ほども出ましたけれども室蘭埠頭であるとか、あるいは新しい輸送体制になって、いろんな点で融通のつくような点がいろいろ出てきたんじゃないかと思うんです。時代の趨勢に乗って、その点はやはり行管でも総点検しろ、こういうふうな勧告も出ているわけですね。こういう点は、やはりもう一歩運輸省として強力に進めていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、これに対する大臣の御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  66. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話のように、これは防疫関係とか税関の問題とかいろいろありますけれども、もう一つは、まあ港湾における港湾機能別な扱い方とか、新しい時代に沿ってやはりこれは改革すべきものは多々あるようにも感じます。ついては、これらの問題は、関係各省と事務レベルで今後十分に折衝しまして、より能率的な方法等を検討してまいりたいと、かように考えます。
  67. 山崎竜男

    山崎竜男君 新計画が実施されまして、いろんな点で、また港湾整備その他が行なわれるんでしょうが、港湾管理者の負担分もますます増加すると思いますけれども、その財源の確保の見通しはいかがでございますか。
  68. 栗栖義明

    政府委員栗栖義明君) 港湾の財源につきましては、現在、これは当然、港によって補助率は違いますけれども、国が負担なり補助をしております。それから、それ以外に港湾管理者が起債なり一般財源をつぎ込んで港をつくっているというような現状でございますけれども、それに対する財源と申しますか、償還その他の点、あるいは利用料をどうするかというふうな問題が出てまいっておりまして、これは大港湾と地方の港湾ではかなり地方自治体の脅え方も違っておりますけれども、やはり港湾管理者の負担を減らす、あるいは収入をふやすという方向で積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  69. 山崎竜男

    山崎竜男君 次に、海難事故防止についてお伺いいたしますけれども、船舶がだんだん大きくなってまいりますし、また、狭い港湾に船舶がふくそうするような状態になっている。まあ船はとめようと思ったって急にとまるわけじゃありませんので、いろいろそういうことで、また、いまのタンカーみたいなものがどんどん入ってきますと、もし一たん事故が起こればたいへんなことになると思いますが、そういう事故の防止対策という点についてお聞かせ願いたいと思います。
  70. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) ただいま先生の御質問でございまするけれども、タンカーに一応しぼって御説明申し上げたいと思います。  タンカーといいますのは一般の船と違っておりますので、これを海難の面から見ますと、一般船舶の海難としてとらえてみた対策と、それから、これは危険物を積載しておりますので、危険物を取り扱う、荷役をする船としての対策二つが考えられると思います。  一般船舶としてみました場合に、これが事故を起こしましたとすると、たとえば衝突とか、乗り上げるというふうなことがありますると、おおむね油が排出されたり、火災を起こしたりするようなしろものでございまするので、この事故防止につきましては、一般船舶より以上に、より強力な安全措置が必要でございます。そのために、タンカーは、まず相手を早く知るということが普通の船よりかも要求されます。したがいまして、レーダーを従来は千六百トン以上が義務づけられておりまするが、最近、船舶局のほうにおいてこれを三百トンまで下げて義務づける。それからまた、反対にタンカーはあぶない船だということですから、周囲の船からも早くこれを認識してもらう必要があります。タンカーである標識、昼間は赤旗、夜は赤灯でございますけれども、これにつきましても、従来往々にして見えにくい、識別しにくいというふうな声もありましたので、これも船舶局のほうにおいて認識しやすいものについて義務づける制度に変えるというふうな方向で検討されております。  その次に、こういった、しかも大型のタンカーが、いま先生が言われましたように狭水道を通るときのことが心配でございます。これを具体的に、浦賀水道に例をあげて御説明したいと思います。  浦賀水道におきましては、海難の実態を見ておりますと、案外、外国船が水先人もなくして、不軌な——不軌なと申しますか、常軌を逸したような行動をしがちでございますので、外国船には水先人をつける、乗せるというふうに強力に指導いたしております。それからまた、船の航法の指導につきまして、タンカーはもちろんのことでありますが、ああいう狭水道で、その他の小さい船舶、特に小型鋼船等が常軌を逸した行動をいたしまするので、二十四時間体制でもって巡視艇がそこにおりまして、不法な航法をとる船を逐一指導をいたしております。  それから、その次に、特に大型タカンーと、普通のタンカーでありますとデッドウエートの、重量トンの十万トン以上、それからLPG、LNGという液化のタンカーにつきましては三万トン以上を普通対象といたしまして、通峡時に、事前に地元の海上保安部に通峡時刻を予報する。なぜかというと、それに対して保安部側が警戒の態勢に入るから予報させる。それから、そういった船は十分見張りを行なう。それから速力の制限を行なう。おおむね十二ノット以下に航行をさせるようにいたしております。必要なときには民間の曳船等の警戒船をつけさせる。ここで十万トン以上のタンカーにつきましては、海上保安庁の消防船の「ひりゅう」がエスコートをいたします。そのほかに、他船の追い越しをさせない。それから視界が悪くなる、おおむね約一マイルー約二キロ程度になったときには大型船は通峡しないようにする。それから、ふくそうするとき、夜間にはできるだけ通峡しないようにする。そういったことに関して強力な指導をいたしております。なお、これにつきまして最近関係者からの意見を徴しましたところ、航路標識、そこに航路の中央を示しまして、東京に入るときには右側、いわゆる東側、出るときは西側を通るように航路標識が航行を誘導いたしておりますので、これが見え、つらいというような声もありましたので、これを見えやすくするように改善いたしました。そういったことをいたしております。しかしながら、これはさしあたりの措置でございまして、やはり抜本的な措置としては、そういうふうな大型船が入らないような措置、あるいは、そういったことは行政指導ではなくて、法律的に規制できる海上交通安全法の制定とか、大臣の言われるいわゆるパイプライン輸送、先ほど港湾局から出ておりましたが、溝口の改良工事ということを早急に手がけることが望まれる次第であります。  次に、最後に、危険物を取り扱う船としての対策でございますが、これは港内におきましては、こういったタンカーの標識をつけておる船からは少なくも三十メーター以上離して通る。特に裸火等で火気管理を十分されてない船を三十メーター以内に近づけてはならないというふうなことにいたしております。また停泊場所、危険物の荷役をする場所は、これは港長が指定いたします。それから荷役の取り扱いについては港長が許可をし、厳重な監督をいたします。それから万一に備えて、消防配備、油の除去剤の準備、こういったことを強く行政指導いたしております。  これが一応タンカーを対象とした海難防災措置でございます。
  71. 山崎竜男

    山崎竜男君 危険物のお話でございますけれどもフェリーボートというのは、いま自動車がどんどん入りますので、ところが、貨物の場合に何を積んでおるかわからぬということで、一応チェックするのでしょうけれども、そういう場合に、危険物を積んでフェリーの中に入ってしまうという場合が当然あると思うのですけれども、そういうときのフェリーというものは、危険物を積んでおるのだというような、そういうことで海難事故防止という、危険物に対する事故防止というようなことに関しては、フェリーについてもそれはやっておられるのですか。
  72. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) フェリーにつきましても、危険物を積載する場合には危険物積載船としての厳重な規制があり、これを監督いたしております。
  73. 山崎竜男

    山崎竜男君 先ほど水先人のお話がございましたけれども、これからますます外国船が入ってきて、しかも日本の港湾というのはあまり広いとは申せませんので、水先人、パイロットというのは非常に必要になると思いますけれども、そのパイロットが現状では十分人数が間に合っている、あるいはこれからどれほど外国船が多くなっても、それに対応するだけの養成といいますか、そういうものも間に合っておられる状態でしょうか。
  74. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) これは私どもが船員局から聞きましたところによりますと、海上保安庁側で強く指導いたしましたので、浦賀水道につきましては、外国船から水先人の要請があったときには忙しかったりしたのですが、いままで五人おりましたところを近くこれが十人に増加されるというふうに聞いております。
  75. 山崎竜男

    山崎竜男君 パイロットがぜひともこうなってくるとだんだん必要になると思いますので、その次善の策を講じておいていただきたいと希望を申し上げます。  それからまた、先ほど不法航法ということがありましたけれども、最近の若い者に聞きますと、次のレジャーは海だということで、カタマランとか、ボートとか、ヨット、そういうものが海に大量に進出する。ところが、自動車の場合ですと、一応運転手の免許というものが個人に課せられますし、あるいは車自体に車検というものがありまして車のほうもチェックする、運転者のほうもチェックするということができますけれども、いまの状態ですと、船、ボートのチェックというものはなさそうですし、またボートにモーターをつけて運転する場合の運転手の免許というものもなさそうですが、そういうのが大量に出てきて不法航法をやられたのでは、これはたいへんなことになると思いますが、そういうこれからのレジャーにからんだ小型船舶といいますか、そういうものに対する海難防止ということに関してはどのような方策を考えてとっておられましょうか。
  76. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) ただいまのヨット、モーターボート等が狭水道についてはいまのところこれということはあまりございません。しかしながら、いわゆる海水浴場、これから夏、海水浴場等につきましては、そういったことが従来からも行なわれますので、地元の海水落場の管理者及び警察と緊密な連絡のもとに、現場に海上保安官を派遣するなり巡視船艇あるいは航空機を派遣いたしまして厳重な取り締まりをいたしております。
  77. 山崎竜男

    山崎竜男君 この船のレジャーに対する先ほど言いました免許の基準とか、あるいは航法をちゃんと覚えさせるとか、そういうことがこれから必要になってくるわけですけれども、そういうものの歯どめというものは現在あるのでしょうか。
  78. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) たとえばモーターボート等につきましては、いまの船舶職員法でもって小川一操縦士免許というものが定められております。これを自家用で運転する場合は別でございますけれども、他人を乗せるというふうなときには船舶職員法で規制されるようになっております。
  79. 山崎竜男

    山崎竜男君 レジャーの場合は他人を乗せることになるのですか。
  80. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) これは船員局のほうの御見解によるのでございますけれども、その者が運転をするという場合は別でありまするが、運転者以外の者が乗るときには、これは旅客を搭載する、いわゆる他人を乗せるということで免許が必要でございます。
  81. 山崎竜男

    山崎竜男君 いま、自分が運転をする場合には免許が要らぬというようなことがございましたけれども、私は、これからの若い者の趨勢を見ておりましても、何かそういう免許とか、船の整備とか、あるいは航法の指導とか、そういうものの歯どめが必要だと私は思っております。将来のこと——いま差し迫ったことではないでしょうけれども、この五カ年計画が終わるころまでには、これは相当、海に若者が出てくると思いますので、その辺も御勘案願いたいと思います。  それから最後に、地元のことでおそれ入りますが、青函連絡船にいま乗用車を六台ですか、載せて函館まで通ることができることになっております。これは民間のフェリーがまだ海のものとも山のものともわからぬ時代に六台という規制がなされたように私記憶しておるんですが、現在の状態では民間のフェリーボートが非常にふくそうしておりまして、なかなかこれは時間を待っていなきゃ乗れないという状態ですので、この間も連絡船の船長さんから聞きましたら、何とかもう少し、六台じゃなしに、あと二台でも四台でも台数をふやしてもらいたいという御陳情があったわけですが、これに対して、これはいかがなものでございましょうか。
  82. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) その件につきましては、私どものほうから海運局のほうに連絡いたしておきます。
  83. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ちょっと、いまの青函連絡船の問題ですがね、私らの地域とは関係ないんだけれども、六台しか載せないというのでも、六台しかスペースがないもの、だから六台しか載せないというならしようがないと思うんです。六台以上のスペースがあるのに六台しか載せないというのは一体どういうわけだという疑問が当然生まれてくるわけですね。十台でも二十台でも載せられるものならば載せればいいじゃないかという気がするのです。それを載せたいという人が一ぱいいる場合に、国鉄の青函連絡船だから六台しか載せない。これは民間のフェリーボートにもうけさせるために国鉄連絡船にはなるべく載せないようにするという考え方というのはちょっとおかしいような気がするのですが、その点はどうですかね、大臣
  84. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私も詳しい経過を知っておりません。何か事情があるのだろうと思いますが、いずれ次の機会にその点を調べさせて御返答申し上げます。
  85. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  87. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  88. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま議題となりました旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  旅行あっ旋業法は、旅行あっ旋業を営もうとする昔について登録制度を実施するとともに、所要の規制を行なうことにより、旅行あっ旋業者の健全な発達をはかり、日本人及び外国人の旅客の接遇の向上に資することを目的として昭和二十七年に制定されたものでありまして、以来、同法の施行により旅行あっ旋業の適正な運営を確保することを通じて、わが国の観光事業の発達に大きな役割りを果たしてまいったのであります。  しかるに、近年における国民の生活水準の向上と余暇時間の増大等によりまして、観光旅行を中心とする旅行需要は急速に増大してまいりました。ことに、海外旅行をはじめとする旅行の大型化、あるいは旅行あっ旋業者の主催する団体旅行の増加等、四民の旅行形態が質、量ともに大幅に変化しつつあります。  このような状況に照らしますと、現行の旅行あっ旋業法の規定は、旅行者保護の観点からは必ずしも十分なものとは言えません。このため、旅行あっ旋業者の行なう取引の公正を確保し、旅行あっ旋業者の行なう業務につきその運営の適正化をはかることにより、旅行者の保護とその利便の増進に資するため、所要の改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、登録の種別を、一般旅行業、国内旅行業及び旅行業代理店業とし、旅行業の秩序ある発達をはかろうとするものであります。  第二に、旅行業者が旅行者と取引をする際に守るべき準則として、取引態様の明示、旅行サービスの内容の説明、書面の交付等の義務を課することにより、旅行業者の行なう取引の公正を確保しようとするものであります。  第三に、営業所ごとに一定の資格を有する旅行業務取扱主任者を選任させ、旅行に関する取引の公正を確保するため必要な管理及び監督の事務を行なわせることにより、旅行者の利益の保護をはかろうとするものであります。  第四に、旅行業者の組織する団体のうち一定の要件を備えるものについて、旅行者等からの苦情の解決、旅行業者の従業者に対する研修及びその団体を組織する旅行業者と取引をした相手方の有する債権について弁済をする業務を行なわせることにより、旅行業全般の質的向上をはかろうとするものであります。  以上がこの法律を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  89. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 引き続き本案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  90. 西村関一

    西村関一君 本法案によって規制されます、これが施行せられました場合に規制されます業者の態様、種別は大体どのくらいの数になるのでございますか。
  91. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答え申し上げます。  現在、旅行あっせん業者の数は次のような数字になっております。昭和四十五年の十二月三十一日現在におきまして、いわゆる一般旅行業者、これが百二十二ございます。それから法人旅行あっせん業者といいますか、これが三千七百十三ございます。それから代理店を営む者が十二月三十一日現在で三百五十六ございます。したがいまして、おおむねその数の者が今度の法律の対象になると、かように考えております。
  92. 西村関一

    西村関一君 この法案が施行せられまする場合に、登録を必要とする業者、いまお答えがありました数以外にどれくらいございますか。
  93. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) まだ正確な数字はわかりませんですが、私どものほうにいろいろと御相談その他ございまして、相当数の者がふえるというふうに考えております。  なお、ちなみに、昭和四十年−四十五年におきまする一般旅行業者の数の変遷を見ますると、昭和四十年で六十二業者、それが四十二年で七十七、四十三年で八十八、四十四年で九十八、それが先ほど申し上げましたように昭和四十五年で一躍百二十二になっております。そういうようなことから考えまして、おおむね二割程度は今後ふえていくのじゃないかというふうに考えます。その理由は、何と申しましても最近におきまする大幅な旅行ブームといいますか、そういったようなことが大きな背景になっておる、かように考えておる次第でございます。
  94. 西村関一

    西村関一君 ただいま大臣のお述べになりました提案理由説明の中にございます、二ページの終わりのほうに、第一、第二とありまして、第二は、「旅行業者が旅行者と取引をする際に守るべき準則として、取引態様の明示、旅行サービスの内容の説明、書面の交付等の義務を課することにより、旅行業者の行なう取引の公正を確保しようとするものであります。」と述べられておりますが、こういうことは従来ともやっていたと思うのですが、やっていなかったんですか。
  95. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) もちろん、いままで一部の会社においてはやっておりましたけれども、現在の、いままでの法律では、こういった、たとえばここに書いてございます書面の交付とか、そういったようなことが法律の中に明記されておらなかった。そこで、今度の改正法案におきまして、いま先生指摘のような旅行サービスの内容の説明だとか、書面の交付、こういったことを法律ではっきりと明記することによりまして旅行者の保護をはかる、こういうことでございます。
  96. 西村関一

    西村関一君 そのことは第三のところにおいても同じでございますか。「業務取扱主任者を選任させ、」云々ということがありますが、これは従来ともこういうものがなければあっせんができないはずだと思うのですが、それをいまさきにお答えになりましたと同じように、やっておるのがたてまえだけれども、やっていないものがあってはいけないので、それをこの法律ではっきりさせていく、こういうふうに理解してよろしいですか。
  97. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答えいたします。  現在の、いままでの法律でございますると、たとえば第三に書いてございまする「営業所ごとに一定の資格を有する旅行業務取扱主任者」、こういったものが法律的に明記されておりませんでした。したがいまして、各営業所におきまして、それぞれの所長が自分の責任においてやる、こういうことでございましたけれども、今度はこういったものをはっきりと法律で明記いたしまして、しかもその取扱主任というものを国家試験によってこれを選任する、こういうことによって取引の公正を確保しよう、こういったことが今度の法律のねらいでございます。
  98. 西村関一

    西村関一君 法律の第一条によりますと、現行法では、「この法律は、旅行あっ旋業の健全な発達を図り、日本人及び外国人の旅客の接遇の向上に資することを目的とする。」、こうありますが、改正案では、外国人の旅客の受け入れ——新旧条文対照表によりますと、現行法律によりますと、第一条は、「この法律は、旅行あっ旋業の健全な発達を図り、日本人及び外国人の旅客の接遇の向上に資することを目的とする。」とありますのに、この改正法案によりますというと、特に外国人の旅客の接遇の向上に資するということが抜いてありますね。これは一体どういうわけでしょうか。日本国民の国内旅行、海外旅行とともに外国人の旅客の受け入れということも当然考えていかなければならないと思うのでございますが、そのことは当然、観光基本法の第一童総則の第一条とは矛盾するように思うのですが、しいてそれが抜いてあります理由はどういうわけでしょう。観光基本法の第一章総則の第一条には、はっきりと、「外国人の観光旅客の来訪の促進」云々ということばが書いてございますが、それが抜いてありますのはどういうわけですか。
  99. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答え申し上げます。  確かに、ただいま先生が御指摘のように、現行の旅行あっ施業法の第一条におきましては、「日本人及び外国人の旅客の接遇の向上」ということを目的として掲げております。その規定の趣旨は、もともと旅客の接遇の向上ということにあるわけでございまして、外国人を日本人に比べまして特に優遇するという、そういう意味は現行法の第一条には含まれておりません。そこで、この新法では、こういったことをわかりやすく表現するために、ここに書いてございまするように、「旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進」という表現を用いたのでございますが、このことばの趣旨は、あくまでも日本人と外国人の旅行者のために旅行の安全の確保をはかる、こういう意味でございまして、決して現行法に比べて特に外国人の接遇の向上をはかるための配慮を否定したわけではございません。重ねて申し上げますと、この「旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進」という中に日本人と外国人も当然入ると、こういうふうに解釈しておる次第でございます。
  100. 西村関一

    西村関一君 ということは、否定しない、のみならず軽視しない。同じように旅行者一般というふうに両方に考えていく、こういうことなんですね。
  101. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) ただいま先生がおっしゃるとおりでございます。
  102. 西村関一

    西村関一君 次にお伺いいたしますが、第十一条に、「営業保証金の額は、主たる営業所及びその他の営業所ごとにつき、」云々というふうにきめられておりますが、ここでお伺いいたしたいと思いますことは、これをきめますのは、「運輸省令で定める額とする。」、こういうことになっております。この点は従来の——従来というか、現行の法律によりますと、主たる営業所が三十万円、従たる営業所が七万円、総額は七十万円であったものを、「運輸省令で定める額とする。」、しかも上限が何ぼか何も書いてございません。でありますから、どれだけになるかわからないという不安が業者、特に中小業者の健全な——従来から成績をあげておる健全な業者の間から出ることは当然でないかと思うのです。その点はいかがですか。
  103. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答え申し上げます。  この営業保証金の額を運輸省令でなぜきめたかと、こういう問題でございますが、まず、先ほどちょっとお話ししましたけれども、最近、内外ともにおきまする観光ブームというものは非常に激増の一途をたどっております。ちなみに、最近は年々三〇%の増であるというような海外旅行がふえておるということ、それから第二点におきましては、旅行の形態、パターンといいますか、そういったようなことが変わってきた。たとえばパッケージツアーとか、そういったような新しい観光パターンが出てきた。それから観光のいわゆる形態というものが大型化してきた。たとえば集団で行くとか、そういったような非常な新しい形態が出てきました。こういうような情勢にかんがみまして、やはりこういった情勢に即応した、取引の実情というものに急速にこれに合わしていく、即応していくということが基本的な前提であるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、こういった情勢に対応いたしまして、しかも旅行者の保護をはかる、こういったことにかんがみまして、つまり取引の実態に即応し得る体制が一番重要じゃないかと、こういうことで今回、運輸省令で定めたということが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、こういったような例がしからばほかにあるかと申しますと、ちなみにこの営業保証金の額を法律で定めてない例といたしまして、たとえば保険業法、あるいは鉱業法等にも立法例がございます。これが第二点でございます。  それから第三点といたしまして、ただいま先生がおっしゃいまするように、しからばそういうことを省令で規定することによりまして国が恣意的にきめるおそれがあるんじゃないかという点は、ごもっともなことだと思います。これにつきましては、先生のお手元の法律の十一条に書いてございまするように、この営業保証金の額は、十一条に、「主たる営業所及びその他の営業所ごとにつき、一般旅行業及び国内旅行業の別に、旅行業務に関する取引に係る債務の額及び弁済の状況その他旅行業務に関する取引の実情並びに旅行業務に関する取引の相手方の保護を考慮して、運輸省令で定める」と、こういうふうに十一条に規定しております。したがいまして、こういった額をきめる場合におきましても、十分この十一条の法律の趣旨をそんたくいたしましてきめると、こういうことで、決して任意に営業保証金の額を変更するということはないようにつとめたいと、かように考えております。
  104. 西村関一

    西村関一君 御趣旨はよくわかりますし、またその必要も認めるのでございますが、しかし、運輸省を信用しないというわけではありませんけれども運輸省の言いなりになると言ったら語弊があるかもわかりませんけれども、何かその上限がないから幾らにきめられるかわからぬという一つ——法律の趣旨を尊重してきめるということですから、そういう心配は必要ないんだと言えばそれまでだと思いますけれども、たとえば四百万円を限度としてとか、何かそういうようなワクをはめるということは不適当なんでしょうか、いかがでしょう。
  105. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) この額を幾らにするか、まだ省令の段階でございますから、私どもでいろいろ検討しておる段階でございます。したがいまして、正確な数字はこうなるということはまだ言えないのでございますが、いまのとこでは上限、別に具体的に幾らということは考えておりませんが、一応とりあえずといたしまして、との新しい新法におきましては、先ほど先生からもお触れになったと思いますが、たとえば主たる営業所につきまして、一般旅行業者については二百万円というふうにいま考えております。  先ほどちょっと申しおくれて失礼いたしましたけれども、第一点といたしまして、私どもがこの営業保証金をきめる場合には十分に十一条の法律の趣旨をそんたくしてきめるということ以外に、業界ともよく連絡いたしまして、決してそれが恣意的に走ることはないように、万全の注意を払って措置したい、かように考えておる次第でございます。
  106. 西村関一

    西村関一君 よくわかりました。私がこういう質問をいたしますのは、大手の業者はそんなに困らなくても、中小業者で健全な業者も相当あると思うのです。そうして実績を積んでいるようなものもあると思うのですが、この法律が施行せられることによりまして打撃を受けるといいますか、いままでの業務を十分に行なうことができないような羽目におちいることがないかと、つまり、大手業者は保護されるけれども、中小業者、しかも健全な中小業者が締めつけられる、そういう心配かないかということを思うからそういう質問を申し上げておるのですが、その点はどうですか。
  107. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生が、新法の制定によりまして中小企業の圧迫にならないかという点でございます。まず第一点といたしまして、この法律によりますると、大中小を問わず、まず旅行業協会というものがこの法律に書いてありますが、この協会に一定の資格があれば入れるというたてまえになっております。これに入ることになりますると、この法律に書いてございまするように、現在の営業保証金と比べまして少額の分担金で済むと。この法律に書いてありまするように、二十二条の十の五項に「営業保証金の額の五分の一を下ることができない。」と、こういう規定がございます。つまり、現在の営業保証金と比べまして少額の分担金で済む、こういうたてまえになっております。つまり、この旅行業協会に加入することが、いわゆる業者の相互協力によりまして一つの弁済業務をこの協会が営む、しかも、その入る方が従来の営業保証金に比べて五分の一で済むということになりまするから、必ずしも中小企業の圧迫にはならないということが第一点と、それからもう一つは、先生も先ほどお話ございましたけれども、この法律のたてまえはあくまでも取引の相手すなわちお客さま保護というのがねらいでございます。したがって、ある程度営業保証金を上げることによって旅客を保護するということは、やはり何と申しましてもこの法律の主眼でございます。したがいまして、これが非常な額になれば問題でございますが、大体この程度であれば、従来の実績から比べましてもお客さまの保護はできますし、かつまた五分の一の負担で済むならば、さほど中小企業の方にも影響を与えないというふうに考えておりますし、また、これにつきましては、この法律を制定する段階にあたりまして十分に中小企業の業界の方とも相談いたしました。その結果、この程度の額なら別に差しつかえないだろうというような意見もあったわけでございます。そういったことで、先生指摘の点につきまして、私ども十分に、そういった圧迫にならないように今後も行政指導について十分の配慮を払っていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  108. 西村関一

    西村関一君 次に第三章の、いまお話がございました旅行業協会についてお伺いをいたしますが、もう業界が多年にわたって民主的に育成してきたものを官製団体にしてしまうようなきらいがないではないという気がするのでございます。御趣旨はそうでないと思いますけれども、そういう気がするのであります。特にいま示されました第二十二条の十九ですね、第二十二条の十九によりますと、「旅行業協会の役員の選任及び解任は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということばがあります。これは政府が少し介入し過ぎるのじゃないかという気がするのでございます。なぜ旅行業協会の役員の選任及び解任に関して「運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」、こういう規定を入れられたのでございましょうか。そこまで政府が監督権を行使するならば一やはり協会に対する、これを育成するための補助金、助成金、そういったものが出ておるならば私はわかりますけれども、それは何もないのにそこまでやらなければならないというのはどういうわけでしょう。
  109. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問の中に二つございます。一つは、この協会が官製的ではないかというようなお話でございます。これについてまずお答え申し上げます。  まず、この法律の第三章の中に旅行業協会についてうたっておるわけでございます。二十二条の二の中に、運輸大臣が、次に掲げる要件を備える者の申請があった場合において、その者が十分に適正な計画を有しておるとか、あるいは確実にその業務を行なうことができると認めた場合には、その指定をすることができる、こういうたてまえになっておりまして、そして申請者は、民法の三十四条の規定により設立された社団法人である、こういうことになっておりまして、つまり、民間ベースを中心とした、いわゆる社団法人をベースにしてこれが考えられておるというたてまえになっております。したがいまして、民間からそういった申請があって、そしてそういう社団法人ができて、その社団法人がはたして実際に事業の遂行能力があるかどうか、あるいは十分な適正な計画を持っているかどうか、こういうふうなことを運輸大臣が認定するというたてまえになっておりますから、国が一つの官製的なものを押しつけるというのじゃなくて、あくまでも社団法人をベースとしているということでありますので、必ずしも私は官製べースであるというふうには考えていないのでございます。これが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、先生が御指摘のように、なぜこういった、二十二条の十九の中で、役員の選任及び解任につきまして運輸大臣の認可を受けなければならないかというおことばでございますが、この協会は一つの弁済業務というものをやるわけでございまして、したがって、非常に多くの金も預かるわけでございます。また同時に、その適正な金の運営いかんということがひいてはお客さまにも迷惑をかける、また同時に、業界にも非常な迷惑をかけるわけですね。したがって、弁済業務というものを適正に運営するということが非常に大事なことであり、また、この法律の趣旨でもあるわけでございます。したがいまして、こういった弁済業務をやる以上は、やはり人事面におきましても、りっぱな方を運輸大臣選任されるということがたてまえではないかと思いますし、かつまた、第二十二条の二十の中に監督命令というのがございまして、運輸大臣がこの協会に対しまして監督上必要な命令を下すことができる、こういうたてまえをとっております。したがいまして、これはあくまでも弁済業務をやるということがたてまえになっておりますので、こういった規定をとったと、こういうわけでございます。
  110. 西村関一

    西村関一君 最後に、大臣に一言だけお伺いをいたしたいと思います。  この法律の改正の趣旨につきましては、ただいま政府委員から伺いまして、私も、疑問と思っております点につきましては、大かた了解をしたわけなんでございます。この法律の改正に関連をいたしまして、特に日本人の海外旅行がふえてくる、大型化してくるということでございまして、これはまことにけっこうなことだと思いますけれども、この法律の中では、業者の素質の向上をはかるということ、また、職員の研修をも行なって適正なサービスをやらせるということがうたわれておるわけですけれども、旅行者自体に対して、海外に旅行をいたします——海外だけじゃない、国内の旅行も同様でございますが、必ずしも旅行者が海外旅行をするにふさわしい要件を備えているという人ばかりではない。かなり目に余るような、まあ端的に言えば行儀の悪い人たちも見かけるのでありますが、そういうことに対しましては、サービスをするということはもちろん業者の責任であるし、政府としてもその監督も必要だろうと思いますけれども、こういう方面に対しまして、旅行者の素質の向上とか、旅行者の守るべき節度でありますとか、さらに、旅行者が快適な旅行をするためには、なおサービスの中において必要だと考えられるところの事柄を、よく旅行のあっせん業者が指示をしていく、それも一つの大きなサービスじゃないかと思う。そういう点につきまして、これは、この法律の中でうたうということはできないということはもちろん私どもにもわかりますし、何らかのこれは配慮をする必要があるのじゃないかと考えますが、この点につきまして大臣のお考えはいかがでございましょう。
  111. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御意見ごもっともでありまして、世間には、ややもするというと、何か旅の恥はかき捨てのごとき者がないとも限らないようであります。かつまた、この法律は、もちろん旅行者が適正な愉快な旅ができるように、また苦情解決等の問題をやっていこうということで、従来の法律を多少内容としては強化したという形があります。そこでお話の点でありますが、ほんとうは、できればやっぱり海外に行く人は三日でも四日でも研修会ができればいいと思うのでありますけれども、なかなか、全国に散らばっておるものを、前もってこれを集めて講習会を開くというのもむずかしいと思います。そこで最小限度やり得ることは、団体として、政府が認可した団体ができるようでありますからして、その団体の力で、あるいは文書等のわかりいいものによって、旅行者の礼儀とかあるいは外国の事情とか、そういうものを知らせる方法、一種のパンフレットもしくは通信教育といいましょうかね、そういう形でもってやるという手はあろうかと思います。いずれにせよ、ごもっともな御意見でもありますので、それらを含めて、この団体の一つの仕事としてやらしてはどうであろうか、かように考えておる次第であります。
  112. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十八分散会      —————・—————