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1971-03-18 第65回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十八日(木曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————    委員の異動  三月十七日     辞任         補欠選任      岡本  悟君     江藤  智君  三月十八日     辞任         補欠選任      重政 庸徳君     吉武 恵市君      江藤  智君     岡本  悟君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 金丸 冨夫君                 山崎 竜男君                 大和 与一君     委 員                 江藤  智君                 重政 庸徳君                 谷口 慶吉君                 平島 敏夫君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        運輸省船舶局長  田坂 鋭一君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省自動車局        整備部長     隅田  豊君        建設省都市局街        路課長      今野  博君        建設省道路局路        政課長      宮繁  護君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出) ○道路運送車両法及び自動車検査登録特別会計法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————   〔理事金丸冨夫委員長席に着く〕
  2. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員の移動について御報告いたします。  昨十七日、岡本悟君が委員辞任され、その補欠として江藤智君が選任されました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は終局いたしておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  5. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
  7. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ありがとうございました。     —————————————
  8. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 次に、道路運送車両法及び自動車検査登録特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  9. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま議題となりました道路運送車両法及び自動車検査登録特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  最近における自動車数の激増に伴い、自動車検査業務は、増加の一途をたどっておりますが、これに対処して、自動車検査における行政サービスの向上をはかるため、電子情報処理組織導入自動検査機械導入等、国の検査事務能率化を推進する一方、指定自動車整備事業制度いわゆる民間車検制度の積極的な活用に鋭意努力をいたしておるところであります。  今回の改正は、この民間車検制度の拡大をさらに推進することを主眼としたものであり、これによって自動車検査業務の円滑な遂行を確保しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について、御説明申し上げます。  まず初めに、道路運送車両法の一部改正につきましては、第一に、民間による検査能力を一そう活用するため、民間車検工場検査設備及び自動車検査員について、技術の水準及び検査責任体制が維持され、保安が確保される範囲内において、他の事業場と共用または兼任することを認めることとしております。  第二に、指定自動車整備事業指定の申請にあたっては、事前に優良自動車整備事業者認定を受ける必要がないこととしております。  第三に、優良自動車整備事業者認定の権限を運輸大臣から陸運局長に委譲すること、その他所要の改正を行なうこととしております。  次に、自動車検査登録特別会計法の一部改正につきましては、民間車検制度の充実をはかることとすることに伴い、従来からこの特別会計において経理をしております自動車検査事務密接不可分関係となる指定自動車整備事業指定事務に関する経理もこの会計に移して経理することが必要と認められますので、指定自動車整備事業指定事務に関する経理を、この会計において行なうこととするものであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  10. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 本案に対する質疑は、後刻にいたしたいと存じます。     —————————————
  11. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 次に、踏切道改良促進法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、富士急行電車脱線事故の経過について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山口鉄道監督局長
  12. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 富士急行事故によりまして、多数の死傷者が出ましたことにつきまして、まことに申しわけないことでございまして、それに対します対策等を進めておるところでございます。  まず第一に、なくなられた方々に対しまして心から弔意を表しますとともに、おけがをいたしました方々の回復をお祈りしておるところでございます。死傷者方々に対しましては、大臣からも御指示がございまして、直ちに、その事故直後に、会社の社長並びに役員がお見舞い金を持ってお見舞いいたしますとともに、できるだけの援助をいたしております。  事故発生後、直ちに東京陸運局並び運輸省から担当専門官を現地に派遣いたしまして、さらに鉄道技術研究所その他の専門家をもって原因の究明に当たらせたわけであります。とりあえず、鉄道監督局長名をもちまして、全事業者に対しまして警告を発し、安全意識の高揚と、それから私鉄車両整備点検の強化ということにつきまして指導いたしたわけでございます。  なお、この種の事故に対しまする根本的な対策をやはり樹立する必要があります。このためには、専門家の衆知を集めてこれに対処するという必要があるわけでございまして、国鉄並びに私鉄専門家を含めまして、鉄道車両製造装置改善検討会議というものを招集いたしまして、第一回の会議を明日開催する予定に取り運びができました。その構成といたしましては、運輸省技術関係専門家をそろえまして、さらに鉄道車両工業協会あるいは民営鉄道協会等技術部長クラスをもそろえ、さらに国鉄技術研究所等の人々にも参加をしてもらいまして、さらに関東、関西の私鉄事業者という方々の中から専門家を選出いたしまして、それの検討を行なう所存でございます。なお、やっていただくおもな内容といたしましては、現有車両製造装置改善の具体的な事項、それから製造装置に関します体系的システム的な検討、それから各ブレーキ装置機能検討——先般の委員会でも、また先生からも御指摘がございましたような各種のブレーキ装置機能の問題がございます、そういったような機能検討、その他でございます。そういうようなことで、その結論を早くまとめまして、とにかくも応急の問題と、それからさらに根本的な問題というようなことを検討し、そうして改善を促進してまいる、このように考えておるところでございます。
  13. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 富士急行事故の場合、この犠牲になられた死傷者に対する補償ですね——これは、原因トラックの側にある。そうすると、この前、東武鉄道でもやはりダンプカーがぶつかって死傷者を出したことがあるのですが、こういう場合にどの程度補償がどこから行なわれるかということであります。その点をお伺いしたいと思います。
  15. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは、事故に対しまする責任所在ということによって変わってくるわけでございまして、もちろん鉄道側事故がありますれば鉄道側賠償責めを負いますし、あるいは自動車側責めがございますれば自動車側賠償責めがあるということでございますが、この場合に、いま自動車所有者あるいは保有者等資力がないというようなことも間々あるわけでございますが、ただ自動車原因がある場合におきましては、当然、自動車損害賠償保障法適用があるわけでございまして、自動車損害賠償保障法によりまして賠償が行なわれるということでございます。なお、従来鉄道側責任がないような場合におきましても、鉄道事業者がその地域におきまして大きな事業をやっておりますというようなことで、これはやはり懇切な見舞いを実はいたしておるということでございまして、今回の場合にも、とりあえず、なくなられた方々に対しまして二十万円を持って会社側から自宅にお伺いをし、お見舞いを申し上げ、弔意を申し上げ、さらに、負傷なさいました方につきましても、入院されている方々につきましては三万円のお見舞い金を持ちましてお見舞いをしておるということでございます。
  16. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 二十万円、死んだ人にとって二十万円、入院している人に三万円というのは、これはほんのわずかなものですね。たとえば鶴見事故だとか、ああいう国鉄事故でもって死んだ人が大ぜいいた場合には、これは相当な賠償がいままで行なわれているわけです。ところが、同じ電車に乗っておっても、ダンプなりトラックがぶつかって、その巻き添えを食ってなくなった人の場合、具体的に一体どの程度補償がもらえるのかというと、ずいぶんそこに差があるような気がする。東武鉄道の場合も、明らかにそれはダンプカー運転手にあったわけですね。今度の富士急の場合でも、いま報告を聞いただけでは責任所在がまだ明確になっていないような気もするんでありますけれども、かりにトラックにあった——これは乗務員にあったかどうか、どの程度過失があったか、その辺のことはよくわかりませんけれども、かりにトラック運転手にあった場合に、それがしかも未成年者であるという場合に、賠償能力が一体どの程度あるかというんです。賠償能力なんというのはほとんどないでしよう。自賠法でできる範囲というものですね、これも無制限というわけにはいかぬと思うんですが、この自賠法でできる範囲あるいは責任者能力すべてを加味して、一体死者に対してどの程度弔慰金が出せるものか。それから東武鉄道なんかの場合、一体、最終的にどの程度弔慰金が出されているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  17. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは責任所在ということで違うわけでございますが、まあ死亡された方に対しまする弔慰金でございますが、これはいろいろ民事的な問題でございますので、通常ホフマン式等によるのが一般的な補償の姿であろうと、通常の社会的な常識による補償だろうというふうに一応は考えられておるわけでございますが、東武鉄道等におきましても当然、事故が起こりましたときに、まあ鉄道側責任がありますれば、大体そういう考え方で御相談を申し上げ補償をしておるようでございます。  なお、鉄道側責任がない場合には、自動車損害賠償保障法補償額というものが補償されるということになりまして、それよりも真の損害額が大きい場合でも、実際上なかなか自動車所有者等が払うことができない、払う能力がないという場合もあるわけでございます。そういうことで、まあ鉄道の側といたしましては、損害原因とも関係をいたしまするけれども、社会的な常識に基づくところの十分な補償をするということでございます。従来の例で、東武鉄道の場合に、これは伊勢崎線花崎踏切で起こりました事故におきまして、死亡された方々の中のお一人につきまして七百万円で示談が成立をいたしております。その他負傷された重傷方々につきましては、四十万円ないし五十万円程度示談が成立いたしました。まだ未解決方々もだいぶいらっしゃいます。
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最近の、一昨年の暮れでしたか、東武鉄道の場合はトラックの一方的な過失でもって起きた事故だけれども、それでも死者が出ておるわけですが、その場合どうなっておりますか。
  19. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 一昨年の十二月の事故でございますが、これは踏切道レッカー車無謀運転によりまして、そのために事故が発生して、そしておなくなりになった方がいられるわけでございますが、このときの事故に対しましては、一応東武鉄道側がお払いをいたしまして、そうしてそれはレッカー車のほうに責任がございますので、東武鉄道側レッカー車との間におきまして、レッカー車のほうが東武鉄道に対して年賦で払うという形で解決をしたようでございます。
  20. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、どのくらいの金額ですか、一人当たり。
  21. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 大体最高が一千万円程度、それから死亡者の最低が五百万円程度でございます。
  22. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最高幾らでした。
  23. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 一千万円程度でございます。
  24. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それじゃそれは東武鉄道で一千万円から五百万円まででしたか、それを払って、そしてそのレッカー車が今度は東武鉄道にその分を払うと、こういうかっこうになっているわけですね。
  25. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 本件に関しましてはレッカー車の側と東武鉄道側相談をいたしまして、そういうかっこうで問題を処理したということでございます。
  26. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、今度の富士急の場合は、東武鉄道の一昨年に大体準拠するような形をとるものと見てもよろしいのかどうか。それから実際の賠償能力負担能力といいますか、そういう点から考えて——十七名の方がなくなったというふうに聞いておるのでありますが、なくなった方に対する補償はどの程度支払い得るのか、その点をお聞きしたいと思うのです。
  27. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 自動車保有者側能力等はそう大きなものではない、零細な事業者でございますので、支払い能力はあまりないのじゃないかと思われますので、自賠法によりまするところの補償というものがおもなものになるわけでございます。自動車側のみに責任があるということになりますれば、自賠法補償がおもなるものになるわけでございますが、この点につきましては自賠法の額というものが基準になるということでございます。ただ、その支払いにつきましては、富士急行側が十分にお手伝いをいたしまして、そしてその支払いを引き受けるということに指導をいたしております。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 死者に対する補償ですから、あまり立ち入って聞きたい問題ではないけれども、しかし現実の問題として、これから先もこの種の事故が起きないという保証はないわけです。こういう富士急のような場合、自賠法でもってできる範囲というのは一体どの程度かということをちょっと聞きたいと思うのです。具体的に一人幾らぐらい、こまかなところまで言わなくてもいいですが、大体どの程度まで補償できるのかということを知らしてほしいと思います。
  29. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 自動車損害賠償保障法によりますと、これは最高死亡者の場合五百万円、それから重傷者の場合に五十万円というのがその補償額最高でございます。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、責任者賠償能力がないという場合には、富士急のような場合は、最高でも一人五百万円しか弔慰金は出せないということになるわけですね。今度の場合、富士急の場合を具体的に取り上げてみた場合、そういうことになりそうなのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  31. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは責任所在とも関連いたすわけでございますが、自動車側責任ということになりますと、当然、自動車側加害者といいますか、加害者資力というものにかかってくるわけでございまして、かりに自動車保有者資力がないような場合には、自動車損害賠償補償額しかやはりもらえないということになろうかと思います。
  32. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 会社側に、たとえば電車構造上あるいは運営上の過失があったということになると、会社側でも責任負担をしなければならぬということになると思うのでありますが、調査の段階では、会社側にある程度責任というものがあるということになるのかどうか、その辺はどうですか。
  33. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは、この前にも申し上げましたように、この事故は、自動車踏切内に進入をいたしまして、そのために電車が衝突をして、そしてブレーキ装置を二両とも完全にこわしたということで、それによって電車が逸走してしまった、そして脱線転覆をし、多くの死傷者を出したということでございまして、その限りで自動車責任があるということははっきりいたしておりますが、会社側の、たとえば車両構造だとか、その他の問題によりまして、会社側がどういう今後責任を負うべきかということにつきましては、もっと調査をしなければならぬ問題でもございますし、ただ、会社側責任がありますれば、これにつきましては、会社としては資力もございますし、十分な補償をするということを指導してまいるつもりでございます。
  34. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 たまたま自賠責の適用ができるという場合は、それでも五百万円が最高だということになって、たとえば伊勢崎線の七百万あるいは一千万といったような補償とは、ずいぶん差が開いてくるわけであります。また、これが自動車損害賠償保障法適用を受け得ないような踏切事故であったならば、しかもそれが、鉄道側責任がないといったような事故であったならば、どんなことになるのかということです。それでたまたま死傷者が出た場合に、その死傷者というのは泣き寝入りするよりほかないのかどうかということですが、その点はどうですか。
  35. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは非常にむずかしい問題でございますが、結局、民事上の損害賠償責任につきまして無過失責任というものをどう考えるかという問題であろうかと思います。こういう無過失責任の場合につきましての問題といたしましては、一つ保険制度でこれをカバーするという道があるわけでございますが、現在のところ、無過失責任自体として問題を取り上げていくという一般的な民事上の規制というものはないわけでございまして、そのときそのときの実情によってきめていくということになると思います。
  36. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 保険制度というのは具体的にはどういうことですか。
  37. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これはたとえば列車に、あるいは特に航空機などにはわりあい一般的に行なわれている制度でございますが、乗車する、あるいは搭乗する場合に、旅客が保険会社保険契約を結んで、そして旅行中の事故に対する被害というものをてん補するという形の保険制度でございます。そういうような保険制度が実は鉄道等につきましてはまだあまりないわけでございまして、若干は行なわれているようでございますが、一般的ではないわけでございまして、そういう点を今後どうするかという問題が一つあるかと思います。
  38. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまの問題ですけれども、飛行機なんかの場合に、任意保険とか、いろいろ保険に入るということもあり得るけれども、一般電車に乗る場合、私鉄でも国鉄でもその辺の電車に乗る場合、そこまで考えて乗る人はまあないだろうと思うのです。だから、踏切事故でもって不幸にも犠牲になったような場合、その原因が明確に鉄道側にある場合は、私鉄であれ国鉄であれ鉄道側からの賠償といいますか、補償というものがもらえるかもしれない。しかしそれがそうでなくて、責任所在が不明確であったり、あるいは責任者というものが個人であったり、あるいはまた自賠法適用ができないような場合であったりというようなことであると、犠牲者はどこからも金の出どころがないということになってしまうわけです。そういうことでは、これから先踏切事故がだんだんふえるというような状況にあって考えた場合に、そこまで心配する必要ないと言ってしまえば別だけれども、そういう不幸な人たちの立場を考えると考えなければならぬことじないかと思うのですが、それはどうでしょうか。
  39. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先生指摘のように、まことに重大な問題でございまして、公共の交通機関でございますから、そこにおきまする事故というものに対しまして万が一の場合の十分な補償ということが必要なわけでございまして、その点は今後十分に検討すべき問題であろうかと思います。保険制度にするのがよいかあるいは賠償法の問題として考えたほうがいいのか、そういったような問題も含めて十分検討さしていただきたいと思います。
  40. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今度は大臣にお伺いしたいんですが、いま私が幾つか質問しましたが、同じ踏切事故でも、場所によって、あるいはその事故原因によって賠償内容が違ってくるわけですね、全然。ところが、死ぬ人にしてみれば、事故がだれの責任であろうと死ぬ人にしてみれば同じことなんですよ、これは。たまたまその事故国鉄であったり私鉄であったりあるいはダンプカートラックであったり、あるいは子供のいたずらであったり、原因がいろいろあると思うんですが、それによって同じ死んでも——同じ死んでもと言っちゃおかしいですけれども、金のもらえる金額が違うというようなことは、これはあんまり感心したことじゃないと思いますね。こうなると、政府として、踏切事故による死傷者に対する補償というものをおしなべて一体どうしたらよいか、こういうことはあんまり期待するのはよくないけれども、そのような不幸なできごとに対処するのに、犠牲者に対する公平を期するためにはどうしたらよいかということも考えておいてもいいんじゃないかと思うんですが、その辺はどうですか。
  41. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 踏切事故と限らないわけでありますが、要するに交通上における、その交通機関の中におけるお客さんが、いわゆる死傷を起こした場合、こういうことだろうと思います。これは、飛行機の場合は航空会社が一括して一つの、どういう形か知りませんが、団体保険に入っているわけですね、その中で支払われると。鉄道電車等についてはその制度がないということで、事故の起きました原因によって、たとえば自動車等のものによって起きた原因があれば自賠法範囲内で従来はやっておる。しかし、相手が支払う能力があれば、それにいわゆる民事的な補償を加えて、先ほどのように最高一千万円というものがあり得るわけです。ただ、現在のところは、先ほど局長が説明した以外にあまり出ないと思いますが、しかしこれは、局長の説明しておるのは一つの法律論の解釈であります。したがって、まあ鉄道会社あるいは国鉄から見れば、そのけがをした人が第三者ではなくて自分のお客さんである、こういうことなんですね。ですから、東武鉄道がそういうような措置をとったのは、自分のお客さんに対してできるだけのことをしたい、こういうことのあらわれだろうと思うんです。それはまあ形式上は相手との間に契約を結んで弁済するという、超過分については弁済する、こういうやり方をとりましたろうが、その精神は、やはり自分の大事なお客さんでありますから、したがって、自賠法限度外、そして形式上はもちろん自分の責任じゃありませんから、したがって、トラック会社が出すという、負担するという形式で、そこで話し合いをする、範囲内で——これはきめたわけでありますから。で、これは民事訴訟ということになれば、当然これは相手が現実には、現在は支払い能力があるとないとを問わず、民事訴訟法で争えば、その人は将来ともに、いわゆる賠償責任を負うわけです。現実にはもちろんそれはまあ支払い能力がないかもしれないが、その人が一生貧乏でおるわけではありませんから、将来に、いわゆる負担を持つ。民事訴訟法で決定すれば、その人がいつか払わなくちゃならぬ。しかし、それは実際上の問題として解決がつかないということからして、まあいろいろ社会的——あるいはまあ話し合いといいますか、示談という形式で、東武鉄道はそういう形式をとったろうと思います。ですから、富士急の場合においても自賠法範囲内できめるかどうか。私は、そうはいくまいと思うんですね、実際上からいえば。やはり自分のお客さんですから、富士急にしてもできるだけのことをするだろうと。この問題は、これは私も、相手の問題でありますから、こうせよ、ああせよということは強く申し上げることはできませんけれども、やっぱり自分のお客さんは大事にすると思う。であるから、万が一、そういうことがあってはいけないけれども、あっても、自分のお客さんに対してはできるだけのことはするんだと、こういう姿勢が、これは民営であろうと国営であろうとなくちゃいかぬと思うんです。しかし、これもなかなか将来ともに大きな負担になりますから、それだけで片づけていくというわけにはまいりますまい。そこで、飛行機会社がとっておるような制度が、私鉄なり国鉄なりでとれるかとれないか。たとえば原因が自賠法で支払われるという原因であれば、まあ一部はそこで支払われますけれども、たとえば、がけ下を列車が通っておって、上から大きな石が自然に崩壊して倒れてきた、これは原因国鉄にあるわけでもない、あるいは私鉄にあるわけでもないが、とにかく一つの、他の第三者といいますか、ものの原因によってその列車がひっくり返って、そうしてけが人を出した、それはだれが負うのだ、こうなりますというと、自分の運転もしくは会社国鉄自身のあやまちによって起きたものでありませんから、したがって、非常に責任所在が明確でない場合が起きてきます。その場合に、だからといって、いま瀬谷さんがおっしゃったように、死んだことあるいはけがをしたことの事実は変わりはない。しかも、それは列車なり私鉄会社の車に乗っておる人がけがをした。でありますからして、そういうものに対しては、やはりこれは考えざるを得ないわけです。まあ国鉄、大手私鉄というようなものになりますというと、相当力がありますから、実際それをある程度処理し得る能力があると思います、そうめったにあることじゃありませんから。しかし、それだけでは実は安心ができないということも一つの事実でありますから、したがって、何かまあどういう形でやりますか、これはいろいろこういう公開の席上で申し上げるほどのものは固まっておりませんけれども、たとえば私鉄なら私鉄国鉄も含め鉄道業者といいますか、そういうものが一つの保証会社といいますか、再保険会社といいますか、そんなものも一つの方法だろうと思うのです。そうすると、小さな私鉄もみんな入ります、あるいはバス会社も一部の、局部のバス会社だけでなく、全体の——まあバス会社は、一応自賠法適用を受けておりますけれども、これもしかし、それだけでは追っつかない。しかも、最近のように地方のバス会社が経営が苦しくなってくれば、なかなか自賠法以上に会社負担をすることもむずかしくなってくる。そういう場合に、全国的な組織の中で、そういう補償といいますか、まあ、形式が補償になるか、弔慰金になるか別でありますが、内容的にはしっかりした金額をそうしたなくなられた方々あるいはけがをされた人に、いわゆる補償をするといいますか、そういう形を、これは研究する必要があるのじゃないか。ということは、きょう踏切道の五カ年延長の問題を御審議願っておりますが、しかしながら、あとで御質問があろうと思いますが、五カ年間で踏切が完全にできるのかと言いますと、これはなかなかもちろんむずかしいし、ことに、最近においては、御承知のように、市街地において連続立体交差を計画されております。こうなりますというと、これは膨大な予算を必要とします。したがって、五カ年やあるいは十カ年でもむずかしいだろうと思う。相当の金を使っても、これはなかなか連続立体交差というのは、そう簡単には完成はしていかない。しかし、これはやらざるを得ない。ことに、市街地においては、これからの一つの方向は、連続立体交差が最大の一つの緊急の必要であると思う。であるからして、こういう問題考えますというと、いわゆる交通事故に対する弔慰金といいますか、補償金というものに対して、従来の考え方から一歩前進した考え方を持つ必要があろうというのが——先ほどまあ山口局長の、ばく然と、おずおずしながら話しましたことは、もちろんまだはっきりと方針がきまっておりませんから、おずおずの態度で言わざるを得なかった。私もそう明確には申し上げられませんが、これはひとつ緊急にそういうような新しい制度というものを考えていく必要があろう。そうすることによって、あるところでは命が幾らである、あるところでは命の値段が高い、こういう不公平もなくなると思う。従来算定しておるように、その人の身分あるいは年齢等によって将来の点がありますから、もちろん人によっては差がありますけれども、同じような条件でありながら、あるところでなくなられた人は幾ら、あるところで死んだ人は高い金が出る、こういうことはなくなるだろうと思う。そういうような基本的な問題もこれからは積極的に考えていく。また、踏切事故にいたしましても、これだけの五カ年の延長をしていただきましても、私は、踏切事故が絶滅にはなかなかならぬということは、いま、いわゆる国土開発といいますか、国土開発というものは、従来は大都市中心に行なわれてまいりましたが、今後の国土開発計画からいえば、全国的にこれは広がっていくということは、至るところに危険が包蔵されておるということであります。最近の事故が、いわゆる公害といいますか、相当三十キロ圏内のところで大きな交通事故が起きるというゆえんのものは、そういうぐあいに開発計画が中心外、中心からだんだんと外に広がってきておる。そこにダンプカーなり、重トラックの走る率が多くなってきた、こういうことが今後ともふえてまいると思います。したがって、できるだけわれわれは踏切交通事故を減少さすべく努力はしておりまするが、その志とは必ずしも——いわゆる事故件数というものは、将来ともに減っていくかといえば、いま申したような国土総合開発は分散をしていく、こういう傾向から見ると、なかなか容易ではないであろう。しかしながら、当然これは踏切の立体交差は進めなくちゃなりませんので、できるだけ短期間内にといいましても、五カ年で全部できるかといえば、先ほど申したような連続立体交差の問題もありますから、それじゃ完全にはできませんけれども、少なくともできるだけ早い機会にそうしたいわゆる立体交差ができるような措置を講じていく、こういうことがやはり最も根本的な措置であろう、こう考えておるわけでございます。
  42. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣から、あとで質問があるだろうがなんて言われて、こちらは質問しようと思ったことを先回りされて答弁をされたが、確かに、この提案によれば五カ年間延長しようということですが、五年くらいの延長をしてみたところで、とてもこれは焼け石に水だと思うのですよ。特に最近は列車が速くなりました、昔と違って。特急なんかの場合、特急じゃなくとも、普通電車の場合でも、時速百キロぐらい出します、これは国鉄なんかの場合。急行、特急になると百十キロから百二十キロくらいで走っているわけです。これは踏切のあるところでそのくらいのスピードで走っているわけです。新幹線は別でありますけれども、在来線であっても時速百キロ以上になりますと、一秒間三十メートルぐらいの速さです。百メートルを三秒で走ってくるわけです。二百メートルを六秒くらいで走る。そうすると、百メートル、二百メートル先に見えても、それこそあっという間に来てしまう。それだけに、踏切事故の危険性というのは大きくなったと思います。ところが、踏切はだんだんだんだん簡素化されて、そうして歩行者の注意に待たなければならない。踏切警手が廃止をされて歩行者の注意に待つことが多くなってきた。ところが、中にはチンチン鳴り始めると見切り発車といいますか、自動車なんか思い切って渡ってしまう、人の場合でもそういう場合が多くなっている。こういうことを考えてみると、やはり踏切というものはやめなければいかぬと思うのですよ。特に幹線の踏切は、時速百キロ以上で走るようなところは全部高架にして立体交差にするということは、政府が勇断をふるってやらなければいかぬことじゃないか。いまでも町中を平面交差で走っているところは一ぱいありますね、これは。一ぱいというよりも、ほとんどでしょう。立体交差になっておるところがごくわずかです。大部分の地方都市は、町中を平面交差で特急がもう走っておるわけです。そういう危険な状態は、私は一刻も早く直さなければいかぬと思うのです。建設省と国鉄で、あるいは運輸省で協議をして費用の負担をして、逐次立体交差をやっていこうということではなまぬるいんじゃないかと思うのですがね。その点は、私は急を要すると思うのでありますけれども、新しい年度の予算というものは、もっと思い切って踏切道を廃止していく、これは国鉄だけじゃなくて、私鉄のほうも含めてそういう助成措置を講ずる責任が私は政府にあると思うのでありますが、その点はどうでありましょうか、これは政府としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  43. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 踏切の実情でございますが、ただいま先生指摘のように、列車のスピードアップ、それから自動車交通のふくそうということによりまして、非常に踏切事故が憂慮すべき事態になっておるわけでございます。で、踏切道改良促進法を制定いたしました三十六年から踏切道を整備いたしまして、その間だんだんだんだん踏切事故は減ってまいったわけでございますが、四十二年ごろを境といたしまして、やや増加傾向にむしろなってきたということでございます。それで、これは従来踏切道に対しまして、主として踏切保安設備の整備に重点を置いた踏切対策であったわけでございますが、そういったものではなかなかやっていけないということで、ただいま先生が御指摘のような、踏切自体をなくなしていくという根本的な方策を立ててまいらなければならぬわけでございます。そこで現在、日本の踏切は、大体国鉄の場合には六百メートルに一カ所くらい、私鉄の場合には三百メートルに一カ所くらいの踏切がございます。ところが、欧米各国等を見ますと、欧州なんかでも千メートルに一カ所くらい、アメリカの一級鉄道等におきましては約千六百メートルに一カ所くらいというふうなことで、日本では踏切の数が非常に多いわけでございます。したがいまして、こういう現状からいたしまして、踏切事故の基本的対策といたしましては、まず踏切の数を減らしていく、そうして踏切事故の起こるチャンスというものをもとからつぶしていく、それとともに、残った踏切については完全な踏切保安設備をつけるということにするより手はないわけでございます。  そこで政府といたしましては、交通対策本部決定ということをいたしまして、踏切道の五カ年間の改良の基本的な考え方というものをまとめてまいったわけでございまして、そして、それによりまして、運輸省だけでなく、特に建設省でございますが、あるいは警察庁とも協力をして、事故の防止につとめていくということにいたしておるわけでございまして、その骨子は、踏切道の整理統合を大いに促進するとともに、立体交差化を大いにやっていくということで、その立体交差化のために建設省側も、あるいは鉄道事業者側も力を合わせまして、そうして立体交差化を促進していく。さらに、踏切道の幅員によりまして、二・三メートル以下のような踏切はもう原則として車を通さない、通させないというようなくい打ちをやっていく。それから二・三メートル以上六・五メートルまでの踏切については、踏切の間隔が五百メートルくらいになるように踏切を選別をいたしまして、そうして残るものについては、もう完全な踏切保安設備をつける、遮断機をつける。それから六・五メートル以上につきましては全部踏切遮断機をつけるという形で今後の踏切の根本対策を講ずるということでございます。  これらの施策の中で一番大切なのは、ただいま先生指摘のように、踏切道の整理統合と立体交差化でございまして、特にこの立体交差化につきましては、先般、運輸省と建設省の間で数年間にわたっていろいろ協議をいたしました。そうして費用負担の基本的な原則というものをきめまして、これによりまして具体的な個所について力を合わせてやっていく、こういうかまえをいたしておるわけでございまして、今後ともこれに対しては全力を注いでまいりたいと思います。
  44. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 建設省にちょっとお伺いしたいんですが、道路を新設をする場合には、これから先は立体交差を原則とする、平面交差はもうやらない、こういう方針をとるのが正しいと思うんですよ。ただし、鉄道と道路が交差する場合、どっちが上でどっちが下がいいかということはいろいろ問題があろうかと思うんであります。で、道幅の広いほうが下で、たとえば狭いほうが上になるというほうが、それは技術的には得かもしれませんけれども、そういう技術的な問題は別といたしましても、要するに立体交差ということを原則とする、道路の新設の場合。そういうたてまえでいくべきだろうと思うんでありますけれども、必ずしも新しい道路をつくる場合、立体交差になっているとは限らないようなんでありますが、この点はどうでしょうか、ちょっとお伺いしたいんです。
  45. 宮繁護

    説明員宮繁護君) いまお話しの、道路を新設する場合に立体交差を行なってはどうかという御質問でございますけれども、建設省といたしましては、一般国道、これは国道はもうかなり重要幹線道路でございまして交通量も多うございますので、この踏切等につきましては、たとえば引き込み線で鉄道の列車回数が非常に少ないものといったようなものを除きましては、原則として立体交差をやっていきたいと考えております。ただ、国道と違いまして都道府県道、市町村道になりますと、これはやはり交通量その他事業投資の関係もございまして、鉄道の列車回数あるいは自動車交通量が多いようなもの、あるいはまた、鉄道のほうにおきまして線増等の計画がある場合等勘案いたしまして、緊急性の高いものから順次立体交差をしていこうと、こういうふうな考え方で立体化の事業を進めておるわけでございます。
  46. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 緊急性の高いというのは交通量その他でもって判定をすることになると思うんですけれども、国道だけじゃなくて、県道だろうと都道府県道だろうと、行政指導として、新しい道路と新しい鉄道というものはもう絶対に平面交差はしないといったようなことをこれから指導していくという必要があるような気がするんですが、その点はどうでしょうか。
  47. 宮繁護

    説明員宮繁護君) 先ほど来、話が出ておりますように、踏切事故の防止の抜本対策は立体交差化以外にないわけでございますけれども、やはり資金的に限られた中ではなかなか思うとおりまいりません。しかし、今度の五カ年におきましても約四千億程度の金をこの踏切の立体化あるいは連続立体化のために投資いたしまして、かなり思い切った事業を進めるわけでございますけれども、まだまだ御要望に沿えない点、残念でございますけれども、財政面からの制約もございまして、こういう実情でございます。
  48. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 四千億程度で一体どの程度できるかということですが、やはりここで問題になるのは、道路が下か鉄道が下かという問題も出てくると思う。しかし、道路と道路だってやはり立体交差しなきゃいかぬと思うんですね。昭和四十五年中の都道府県別交通事故発生状況、これは警察庁の調べた数字を見ても、一年間で一万六千七百六十五人の人が交通事故で死んでいるわけですね、これは。自動車事故鉄道事故飛行機事故も船の事故も、これは全部合算した数だろうと思うんですけれども、この大多数というのは、やはり踏切だとか道路でもってなくなった方が多いと思うんです。負傷者の数に至っては九十八万一千九十六名、約百万人ですね。百万人の人が負傷をして一万六千人の人が死んでいる。軍隊でいえば昔の一個師団以上です、これはね。だから、まごまごすると、これはベトナム戦争の戦死者の数とどっこいどっこいになるんじゃないかという気もするんです。これだけの犠牲者が出ていて、しかもその犠牲者の数というものは年々ふえてきているわけですね。これはおそろしいことですよ。こういう状況を考えてみると、道路と鉄道あるいは道路と道路、それぞれが立体交差をするようにして、平面交差は避けて犠牲者を出さないようにするというのはむしろ至上命令じゃないか、こういう気がするわけです。建設省関係で立体交差を行なうという場合に、技術的にはどういう方法を考えているのか、あるいは運輸省なり国鉄なりと折衝をした場合に問題点はどんなような問題点があるのか、そういう点もあわせてこの機会にお聞かせ願いたいと思います。
  49. 宮繁護

    説明員宮繁護君) 道路と道路の立体交差に関しましては、一応新しい構造令におきまして、一般国道と一般国道が交差する場合には、原則としてこれから立体交差でやっていこうと考えております。それから技術的な構造面につきましては、具体的な個所におきまして、道路管理者と鉄道事業者で十分その付近の地形あるいは交通の状況等を勘案いたしまして協議いたしまして設計をいたしておるようなわけでございます。
  50. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 こういうことがあったんですがね、道幅が鉄道の線路の上にかかっている国道、これは十七号国道ですけれども、道幅が狭いのでこれを拡幅したらいいんじゃないかというふうに私考えまして、いろいろ話をしたことがあるんです。ところが、よく考えてみると、道路のほうは土盛りをしてあるから、かなりすそのほうは幅が広いわけですね。ところが、電車のほうは一あれは秩父鉄道だったと思うんですが、単線ですから幅は三メートルか五メートル程度、そういうような場合には土盛りをしている道路のほうを下にして、そこで線路のほうを上をまたぐようにしたほうが道幅は三倍くらい広がるわけです。ところが、実際には上をまたぐほうの道幅を、まあ二車線を四車線に広げるという工事をやって、しかもその工事がずさんだったためにやり直しをしたり何かしてずいぶん手間がかかったという事実を私は知っているわけなんです。そういうことを考えてみると、やはり幅の広いほうを下にして幅の狭いほうが上をまたぐというほうが理屈にかなっているような気がするんです。その点から考えると、鉄道と道路との交差という場合には、鉄道が上をまたいで——それは操車場のような広い場所は別でありますけれども、鉄道が上をまたいで道路が下になるというほうがこれは効率的じゃないかという気がするんでありますが、その点は、そういったような一つの基本原則といったようなものは、これは建設省あるいは運輸省等における話し合いの中では行なわれているのかどうか。どっちが上でどっちが下か、あるいはその道幅の問題でそういう点をどういうふうにきめているか、きまりがあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  51. 宮繁護

    説明員宮繁護君) いまの御質問、どういう場合に鉄道を上にし道路を上にする技術的な基準があるのかというお話でございますけれども、現在のところケース・バイ・ケースで処理しておるようでございますけれども、一番問題になりますのは鉄道と道路の勾配かと思います。道路の場合、わりあい急勾配でございましても自動車は坂道を登れるわけでございますけれども、鉄道の勾配はかなりゆるやかでないといけないということ、そういうことが非常に制約になります。それともう一つ、現地におきます用地取得の問題、それから市街地でございますと商店街というのがございますので、それらとの関係、そういうものを勘案いたしましてケース・バイ・ケースで最も適切な方法を選択いたしまして処理しておるような状況でございます。
  52. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ケース・バイ・ケースだということになると、わけがわからなくなるわけですが、それじゃ運輸省関係ですけれども、国道なり県道なり、そういう道路と鉄道踏切でもって交差をしているという例はまだ多いと思うんですよね、全国的に。少なくとも県道以上の道路と、それから鉄道とを全部立体交差にするというのはいつごろまでかかるというふうに見込まれるか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  53. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 立体交差化をまあ大いに促進しなければいかぬということで、その点は、省といたしましては建設省と力を合わせてこれを大いにやってまいるというかまえにいたしておりまして、ただ、一番その立体交差化の効果が発揮いたしますのは、連続的な立体交差でございまして、これは連続的立体交差をいたしますと、同時に踏切道を数カ所一挙に廃止をしてやることができるという効果がございますし、さらに、連続立体交差化によりましてその地域の都市の開発、発展等に非常に貢献するというような効果もございますし、それから駅の南側、北側の両方の一体的な利用と、線路の南側、北側の一体的な利用というような効果も発揮できるというようなことで、立体交差化が非常に望ましいわけでございます。それで、この連続立体交差化といたしましては、やはり大都市の近くというところをおもにやってまいるということが効果が高いわけでございまして、建設省とも相談いたしまして、今後五年間に連続立体交差化を約百キロメートルやろうという計画をいたしております。それからさらに、単独の立体交差化でございますが、これにつきましては約千カ所ぐらいの事業をやっていくということを計画いたしておりまして、少なくても踏切の数を少なくしていくという方向に考えております。
  54. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 昭和四十六年度以降の五カ年間で約百キロメートルということですが、鉄道全線からいうとほんの全くわずかなものですね、これは。こんなもんじゃとても間に合わないだろうと思うんですけれども、これからの連続立体交差というのは、特に交通量がどんどん激しくなるわけですから、この交通量に合わせるという意味では、私はまだ五カ年間の延長というのはどだいちょっとなまぬるいような気がするんですけれども、新幹線は、これはもちろん立体交差で建築することになると思うんですけれども、在来線を、輸送量の多いところから連続立体交差をどんどん進めるということを各線区別に、国鉄の場合だったら線区別に検討していっていいんじゃないかという気がするんですが、そこまで具体的に検討をされて、実施ができるようになっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  55. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この百キロの具体的な中身でございますが、まだ確実に、こことここは百キロの中であるというようなことは両省間で打ち合わせが完全についておりませんが、大体考えてこの程度のところはやろうじゃないかというような考え方に立っておりまして、主として市街地で立体交差化の優先順序が高いというようなところ、あるいは具体的な事情等を見て計画が相当程度熟しているというようなところを選びまして百キロの連続立体交差化をやりたい。それから単独立体交差化につきましては、先ほど建設省からお話がございましたような国道関係を中心とし、さらに地方道におきましても交通量の多いようなものを選んで千カ所程度立体交差をする、こういう計画にいたしております。
  56. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) どうも鉄監局長の説明じゃ御満足にならぬだろうと思います。根本にいろいろと私は改正すべき点があると思うのですね。いま百キロと言っておるのは何を基準にして百キロかというと、連続立体交差は都市計画をまず前提としておるわけです。ですからして、建設省のほうで費用の大部分を持ってもらう。もちろん、これは都市計画を思い切って進めてもらう必要がありますから、建設省に都市計画の予算をうんと政府はつけてあげなくちゃいかぬと思っておりますが、実はそれだけじゃないんですね。都市におけるいわゆる踏切といいますか、道路は、御承知のように大体碁盤の目になっていますから、せいぜい百五十メーターか二百メーターの間に道路があるわけです。それを単独立体交差でやったら汽車は走れなくなる、こう波になっちゃうから。それで当然、連続立体交差にしなくちゃならぬ。そうするというと、一つは、いま国鉄なり私鉄なりが都市計画によらざる、みずからの力で連続立体交差はできないわけです、予算の関係上。かつまた、連続立体交差を国鉄なり私鉄がみずからの力でやるためには、それだけ投資したものがそれだけ返ってくるという前提でなければ、いわゆる経済効果がないわけですね。ところが、どう計算してもせいぜい一〇%程度しかいわゆるこのはね返りの利益はない。投下した資本の一〇%以内であろうと思うのですね。そこにむずかしさがある。そういうことになるなれば、考え方をひとつ一これはまあ私の私見で、あんまりこういう乱暴な意見を言うことは恐縮でありますが、やっぱり道路の有効なる活用と同時に、輸送の全体のスムーズな状態をつくるためですから、市街地における連続立体交差というのを——大体、おそらく駅を中心にして五キロないし大きな町は十キロでありましょう。五キロないし十キロというところだろうと思うのです。東京都はまた別です、もっと大きい。そういうところの連続立体交差は、その資金というものを国家資金でまかなってやるべき性質だろうと思う。それを国鉄でやれといったら、東京都だけでもおそらく五千億から一兆円かかると思う。それだけのものをやったからといって、別に国鉄としては利益があがってくるわけじゃない、できない相談です。しかしながら、全体の新しい交通政策の上から見れば、そういうことをやらざるを得ない、将来を考えると。まあ十年、二十年、三十年という長い目で見るというと、そういう交通機関——鉄道とか、軌道とかというものが人間と一緒のところを歩くというのは大間違いなんですから、高いところを走っているのが当然なんです。これは新幹線が明らかに証明しておる。そういう意味でもって、在来線を、当然——これは先ほどお話があったように、それを百キロ前後で走るのですから、急行でも。そうなれば、百五十メーターごとに踏切があって交通を遮断しておったのでは能率があがらないですからして、当然これはいわゆる近代的な交通体系から見ても連続立体交差というものをやらなくちゃいかぬ。しかし、いまの制度のように、都市計画をやらなければできないというのでは、これはなかなか建設省も容易じゃないし、地方自治団体もたいへんな仕事でありますから、いまつかえているのはたいがい都市計画でつまずいておる。ここを買収する、ここを買収するということでなかなかできない。もちろんこれは都市計画も進めてもらって大幅に建設省の予算を増大する必要があります、近代化のために。同時に、それとは別個に、いわゆる市街地における立体交差というものは別個な形で、資金的に国家が見てやる、たとえ国鉄がやるにしても、私鉄がやるにしても。こういう制度がほんとうは根本的に生まれなければ、このいわゆる促進というものは実現しがたいと考えております。しかし、そのためには国家から一般資金の提供がなければいけませんから、たいへんなことであろうと思いますけれども、建設省のほうは都市計画を大いにやってもらうと同時に、一方いまの軌道——都市計画によりますというと、今度は軌道を変える場合もあるので、軌道を変える場合もありましょうけれども、あるいはそのままの軌道の上へ立体交差をやれば、かなりこれは簡単にできる。なぜそれができないかというと、それを国鉄側なり私鉄側に持たせるというからできないのです。これはもう幾つもそういう例があります。ですから、それは別個な、国鉄の経済とか私鉄の経済でなく、国家の要請、交通事故災害をなくするという点で国がその施設を行なう、資金の面で。工事はまただれがやってもかまいませんが、そういうものの考え方が生まれてきませんと、私は、この交通事故のたてまえから見た連続立体交差という問題の一部は解決できないのではないか、そういう方面でひとつ積極的に検討してみたい、こう考えております。
  57. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまの、大臣の私見と言われたけれども、私は非常にいいと思うんですよ。当然、国でもってめんどう見ないと、これはできないと思いますね。国鉄の財政がどういう状態かというと、これはもう言うまでもなく火の車ですからね、火の車が油をかぶっているような状態ですから。私鉄の経営にしたところだって大体あまりいいところはないような気がするのですね。国鉄私鉄を問わず、財政的にはアップアップしておる。それに、投資効果がすぐにあらわれてこないような立体交差をやれということを注文するほうが私は無理だと思うのですね。だから、これは国家的な事業として政府が公共投資を積極的に行なって連続立体交差をどんどん進めるということを私はやるべきだろうと思うのですね。これは大臣の私見というのじゃなくて、橋本運輸大臣が後世に残す大事業として私は取り組んだっていいと思うのですよ。だれからも文句を言われないと思うのです、金がかかるのが玉にきずだけれども。だから、これを私はぜひ——大臣からも言明がありましたから、この踏切道の法案、これは全く、別に文句をつける内容のものじゃないけれども、こんなその場しのぎのことでは解決しないと思いますから、ぜひ、いま大臣が答弁をされた国庫負担でもって、国鉄私鉄を問わず、踏切道の立体交差化ということを促進してほしいということを要望いたしまして、一応きょうの私の質問を終わりたいと思います。
  58. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、この踏切道の四十一年から四十五年までの五年間の間に、この指定工事の進捗状況ですね、これについて伺いたいと思います。
  59. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 踏切道改良促進法等に基づきまする指定をいたしまして、そうして、その指定によるところの整備をいたしておるわけでございますが、この中でまず踏切保安設備について申し上げますと、踏切保安設備の指定にいたしまして、実際の整備はこれをほとんど一〇〇%実施をいたしております。それから、その指定したもの以外にも踏切道を整備をいたしております。  それから、その次に構造改良でございますが、この構造改良のほうも、これは指定数は少ないわけでございますが、これにつきましても一〇〇%——九九・七%でございますが、ほぼ一〇〇%やっております。  それから問題は立体交差化でございますが、立体交差化につきましても、指定数に対しまして大体完成いたしましたもの、それから現在工事中のものというものを入れましてざっと八四%程度というものがいま整備の状況でございまして、あと若干未着手のものがございます。これにつきましては、立体交差化につきましては実際に地元との相談等がございますし、それから設計等につきまして鉄道側、道路側がいろいろ相談をするということでこういう結果になっておりますが、なお立体交差につきましても、先ほど申しましたように指定以外のものがかなり行なわれております。
  60. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私が承知している数によりますと、立体交差の進捗率は五六%と、まあいま工事も含めて八〇%程度と、こういうふうに伺ったんですがね。実際この立体交差を完了するまでには五年なら五年の当初計画を立てても五年間でできないところも随所にあるのじゃないかと思うのですね。そうしますと、いろいろ原因はあると思うのです。地元との交渉の問題とか、いろいろな難点はあると思いますけれども、指定した工事がこういうふうに、特におくれる原因ですね。あるいは五カ年計画のときに最初から七百三十三カ所をきめてそうして工事に着手したのかどうか、あるいは設計に入ったのかどうか、この点についてはどうです。
  61. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この踏切道改良促進法等をつくりまして、そうしてさらにそれを一回延長したわけでございますが、その時点におきましては、今回政府がやりましたような具体的な長期的な整備方針というものをきめないで行なっておったわけでございます。それで、現実の各地の事情等を見まして、その事情、交通量によりまして立体交差化の指定をしたわけでございます。  なお、その立体交差化が五六%と先ほど先生おっしゃいましたのは、それは完成いたしましたものが五六%で、それから現在もう工事を始めておるのを入れますと、先ほど私が申しました八四%程度に相なるわけでございます。それで、これにつきましては、このおくれておりまするのは、どうしても市街地に存在いたしますために工事規模も大きいということになりまして、用地の買収等にやはり手間がかかる。特に利害関係者が相当ございますので、その利害調整に時間を要するというようなことがございますし、まあ設計等にも時間がかかっておるということでございます。  なお、工事期間がやはり立体交差の場合には相当かかります。したがいまして、この指定したものがすぐその年に完成するということは、これは実際には無理なことでございまして、どうしても若干次年度に食い込むということに相なるわけでございます。特に指定したものの整備がおくれているということではございません。
  62. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この七百三十三カ所ですね、四十一年から四十五年までの間、これはきちっと場所は指定されているわけですね。
  63. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) さようでございます。具体的に指定をいたしております。国鉄が五百二十二カ所、私鉄が二百十一カ所でございます。
  64. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この指定にですね、まあいろいろ全国的に見て何カ所かやらなければならないところが相当あると思うんですけれども、この指定の条件ですね、いろいろな条件が検討されると思うんですけれども、七百三十三カ所で五年間指定したと、それからこの法案が通ってからあとの五カ年間で次の指定がまた行なわれると思うんですね、この指定の条件といいますかね、どういうような観点からその七百三十三に限定したか、あるいはどういう場所を基準にして選定したのか、この点について。
  65. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは交通量だとか、それからその道路の性格だとか、あるいは鉄道側の、各種の交通鉄道の輸送の状況だとか、そういったようなことも考え、さらに、立体交差化事業は都市計画事業とか道路整備事業とも関連いたしますので、その関係者との話し合い、運輸、建設両省での話し合いというようなことを考えて指定をいたしております。
  66. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 建設省に伺いますが、この七百三十三カ所が四十一年から四十五年までにきめられたわけですけれども、あと大体立体交差でしなけりゃならない個所は何カ所ぐらいあるんですか。
  67. 宮繁護

    説明員宮繁護君) 先ほども瀬谷先生の御質問にお答えいたしましたように、一般国道というのが一番幹線的な道路でございますけれども、一般国道につきまして現在立体交差の個所が約千五百カ所、平面交差の個所が七百カ所ぐらいあろうかと思います。
  68. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 二千二百だな、そうすると。
  69. 宮繁護

    説明員宮繁護君) 一般国道につきまして大体七百カ所ぐらい平面交差の個所があります。しかし、この中でも、先ほどちょっと申し上げましたように、鉄道の運行回数等から見まして直ちに立体交差化する必要のないようなところもございますし、そういう意味で、立体交差をする場合におきましてはまず一般国道を中心に進めていく考えでございます。ただ、都道府県道以上になりますと、平面交差の個所も約五千五百カ所というふうな数字になっております。こういった地方道関係につきましては、緊急を要するもの、あるいは非常に交通量の多いもの、あるいは鉄道のほうで線増の計画のあるもの、こういうものを選択いたしまして、緊急度の高いものから実施していこうと、こういうふうに考えております。
  70. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで運輸省として、この次の五カ年計画で事業量の見込みですね、立体交差あるいは構造改良あるいは保安設備、これはこの次の五カ年間でどの程度事業量と見ておりますか。
  71. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 立体交差の関係につきましては、これは道路側、都市計画事業側と非常に密接な関係がございますが、一応大都市が中心でございまするけれども、連続立体交差化といたしまして百キロの連続立体交差化をいたしたい。したがって、その場合に、市街地でございますから踏切道の数が比較的多いと考えまして、一キロ当たりかりに二カ所あるとすれば、それが二百カ所ぐらいの立体交差になる。さらに、単独立体交差化につきましては約千カ所の立体交差化をする予定でございます。それから構造改良事業等でございますが、これは約千三百カ所ということを考えております。それから踏切保安設備の整備でございますが、これはおおむね一万カ所というものを今後の五カ年に整備してまいるということを考えております。
  72. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、昭和五十年ですか、五十年の終わった時点においては、大体大都市はほとんど踏切道のこの問題は解消すると、こう解してよろしいですか。
  73. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 立体交差の百キロが大都市を中心として大体行なわれるということになりますので、大都市におきましては非常に改善される。さらに、先ほどちょっと申しましたように、今回の踏切道改良の交通対策本部が決定いたしました閣議了解によりますと、六・五メートル以上の踏切道につきましては、すべてこれは立体交差をしないものについては遮断機を設けるということにいたしますし、三・五メートルから六・五メートルまでにつきましては、原則として踏切道の整理統合を行ないまして五百メートルぐらいのものにするということで、それによって残存するものについては、すべて遮断機を設けるということにいたしますから、したがって、大都市におきまするところの踏切事故の防止というものは非常に大きな期待を持てるというふうに私ども考えております。
  74. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ期待ではなしに、たとえば具体的に、六大都市——東京、横浜等含めてですね、そういう六大都市等についてはこの五十年までにおいてそういう立体化の問題あるいは踏切道の改良の問題等は全部完了できるものであると、こう解釈してよろしいですか。
  75. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) まあ、いまの対策によりまして、五年後には、自動車が通過できる踏切というものはほとんどすべてに完全な踏切保安設備が設置されるということでございますから、特に、先ほど申しましたような大型車の通過できるような踏切道には踏切遮断機が完備されるということになりますから、したがいまして、無暴運転、特に遮断機突破等の無暴運転というようなものに起因するものは別でございますが、それを除けば、交通事故というものは大幅に減少すると、このように考えております。
  76. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この立体交差の問題は、建設省のほうとのいろいろ関係もありますけれども、特に保安設備とか、構造改良等の問題について——小さな私鉄についてはあとで伺いますけれども、補助金等出してやっておりますけれども、六大都市等を走っているこの私鉄ですね、これについては補助金もないわけですね。そうしますと、五年後に、大体、大手私鉄等も企業努力をし、そういう踏切道まで完了できる、こういう自信は運輸省ありますか。
  77. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この点は、まあ国鉄につきましては全体の工事費に対しまする資本費負担の減少ということのための補助金を出しております。それから中小私鉄あるいは赤字私鉄等におきましては、踏切道の改良につきまして国並びに地方公共団体がその一部を補助するという仕組みになっております。ただ、先生指摘のように、大手私鉄等につきましてはこの補助がございません。これは全部自前でやるたてまえでございます。ただ、これにつきましては、国としては開発銀行の融資というものを強化をいたしまして、さらにその利率も、一般の利率より安く、七分の特利を設けておりまして、それによりまして助成をするという形にいたしております。そしてなお、そういう保安設備、特に踏切道におきまする保安設備につきましては、行政指導によりまして、その保安の工事費を確保するということにいたしておりまして、特に、先般運賃改定等がございまして、そのときにも、この保安対策費というものをいわば事業者の公約工事という形にいたしまして、運輸省が、これだけのものをぜひ保安工事にやってもらいたいという指示をいたしまして、各社はそれに従って工事をやっております。最近、いままでの実績から見ましても、大手私鉄の保安工事というのは非常に実績があがっておりまして、私ども今後とも、従来同様、さらにそれを一歩進めて、保安工事の確保になるようにつとめてまいりたいと思っております。
  78. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはいつもの例ですが、運賃値上げのときには、運輸省に、保安設備はしっかりやると、こういうふうにわれわれも最初は、非常によくなると思って期待するんですが、値上げが終わってしまうと、保安設備とか、こういう設備投資なんかには案外使わないですね。したがって、中小私鉄の場合、補助金等で運輸省は相当進めるでしょうけれども、これだって、なかなか具体的には進まないと思うんです。いわんや大手の、六大都市等を走っている私鉄は、開発銀行から低利で借りられるというワクはあるにしても、実際に保安に対する考え方というものは、それに対する投資というものはなかなか私は進まないんじゃないかと思うんです。したがって、運賃値上げのときにも条件を運輸省として出したんでしょうから、実際に五十年までに、この保安設備は全部終われるように、運輸省は具体的に指導をし切れるかどうかということなんです。その点はどうですか。
  79. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 実は私鉄の保安工事、これは輸送力増強とも関連をいたしておりまして、たとえばホームを延ばさなければ、お客が乗れないのでかえって危険だというような問題がございまして、非常に輸送力増強と運転保安工事とからんで工事を実施しております。問題は、その工事額でございまして、実は大手私鉄につきましては、第一次輸送力増強、運転保安確保工事というのを三十六年から三十八年までいたしました。その当時は、年額にいたしまして四百二十三億程度の投資をいたしておりました。それが第二次になりまして、これは三十九年から四十一年までの三カ年間でございますが、これは四百八十四億、ざっと五百億程度の投資をいたしたわけでございます。で、それに対しまして、四十二年から四十六年までの五年間でございますが、これにつきましては、投資を倍増いたしまして、平均千億近いベースということで四千八百億、五年間四千八百億の投資ということで一応計画を立てて、これを実施をいたしております。ただ、運賃値上げのおくれ等がございまして、若干、少し初めのほうがおそくなりましたが、とにかく四十五、六年度につきましては、千億ベースの工事をぜひやらしたいということで、その具体的内容等も各社ごとにきめまして、この保安工事をやらしております。今後とも、この点につきましては、私どもも大いにやらしたいと思いますし、会社のほうも、かなりこれは熱を入れております。先般も大手十四社の社長さん方を全部、実は私呼びまして、そうして四十五年度の補正予算が成立をするという段階で、四十五年度の補正予算並びに四十六年度の設備投資、特に踏切問題につきましての注意を喚起し、大いにこれを促進するように各社長に申し伝えましたところ、大手の各社長、みな非常にハッスルをしまして、積極的に踏切の投資をやろうじゃないかということで、着々とその計画等も私どものところへ上がってきている段階でございます。今後とも一生懸命やりたいと思います。
  80. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的にはきょうは聞きませんけれども、実際に大ざっぱに言って、総点検をしたわけでもないでしょうし、ここまで私鉄はやらなければならないという線もおそらく運輸省は持ってないと思うんですよ。大手私鉄から持ってくるところと、交通量から見て、この程度という程度にしか判断されないんじゃないかと思うんですけれどもね。実際に、たとえば東京なら東京、この大手私鉄が走っているところの踏切道は、何カ所あと改造しなければならないところがあるか、そして五十年までに全部完成できるような予定になっているかどうか、その点はぴしっと押える計画で運輸省は見ておられるのかどうか、ここまで具体的な話は進んでいないんじゃないかと思いますが、どうですか。
  81. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは実は各踏切道につきまして、その踏切道におきます鉄道交通量あるいは自動車交通量、それから四囲の状況、それから踏切道自体の構造、あるいは道路との取りつけの角度、その他の関係というような各般の踏切道の実情等につきまして、運輸省といたしまして、三年ごとに実は踏切道実態調査というのをかなり大がかりにやっておりまして、もう数回これを実施いたしました。それによりまして、この踏切は立体交差をすべきである、この踏切は遮断機をつけるべきであるということをきめまして、そうしてそれによって指定等を行なう、さらに現実の行政指導をいたしておるわけでございます。なお、三年ごとだけでなくして、各事業者にいたしましても、交通安全運動とかあるいはいろいろな監査等をいたすわけでございますが、そういうような監査の機会に、具体的に踏切の点検というものをいたさしておりまして、それによりまして踏切の現状というものを確保して、整備につとめております。
  82. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私はいつもこれ思うんですけどね、公害の法案通すときでも、いろいろ政令で定めるとかいろいろな問題がある。たとえばこの法案を出す目的と具体的な計画は全然わからないで、ただ、何カ所やるからという程度の問題で、確かにいろんな条件はあると思いますけれども、おおよそやはり五十年なら五十年まで——この法案が通って、実際に五十年になれば、この程度踏切が整理できて、たとえば東京都内であれば、もう全然踏切道の問題は完ぺきであるとまではいかないにしても、この程度まではいくというある程度のめどが私たちにわからなければ、ただ、私鉄から——この法案通れば何とかなるだろうというような感じのいつも行政措置では、私たちはちょっと困るわけですね。  たとえば、具体的に伺いますけれども、この資料によりますと、四十六年度の予算案で、踏切の保安設備は百七十一カ所指定されているわけですけどね、百七十一カ所の具体的な場所の指定はもうきまっているわけですか。
  83. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 具体的な数といたしまして、指定を大部分しておりまして、若干のものは四十六年度になってから指定をするということでございますが、具体的な場所は全部きまっております。
  84. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 実際に、地方公共団体の補助金あるいは国からの補助金、しかしながら、この中小私鉄ですね、私たちもこの前、鹿児島に行ったときに、鹿児島鉄道踏切の状況なんかよく見てまいりましたけれども、あの会社ではたして、これは失礼な話ですけれども、踏切道の改良のための投資ができるかどうかというと非常に疑問なんですね。半分補助金を出す、あるいは地方公共団体から出すといっても、ああいう町村では補助金を出すだけの、私は余裕がないんじゃないかと、こう思うわけですね。計画は実際にきめられる、あるいは中小私鉄にそういうふうに補助金は出すということになっても、企業の現在の実態から考えて、まだまだ車両を充実していかなければならぬという問題が現実にあるわけですね。そういう問題と比べて、実際にこの百七十一カ所指定しても、やり通せる自信を持っての計画なのかどうか、この点について。
  85. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 従来、指定したものは、実は全部実施をされておりますし、また、補助金を出すということで、具体的に私ども調査の上、この踏切には補助金を出して整備をさせるということにいたしておりますので、計画は達成できるものと考えております。
  86. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、具体的に踏切事故の問題ですけれども、国鉄の場合は除きますけれども、大手の私鉄踏切事故と、それから中小の私鉄踏切事故、この比率はどんなものですか。
  87. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは大手と中小の比べ方は非常にむずかしいわけでございまして、と申しますのは、大手私鉄の性格は主として大都市におきますところの近郊の輸送ということでございまして、人口稠密地帯をかなり走っておる。一方、輸送量が非常に多いため列車回数も非常に多い。また自動車の数も非常に多い。それからさらに、大手の場合にはほとんど全部複線でございますが、中小の場合には単線のところもあるというようないろんな条件が実は重なっております。で、そのために、必ずしも的確な比べ方というのはむずかしいのでございますが、ただ、百カ所当たりの踏切事故と申しますか、ということで一応比べてみますと、これは大手のほうがかなり多いわけでございまして、大手は百カ所当たり年間九件、中小が五・三件という程度になっております。
  88. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあこういういろいろな観点が違ってくると思うのですけれども、どうしても大手は都心部を走っている関係もあるのでしょうけれども、あるいは密度が多いという関係も、いろんな問題点はあるにしても、やはり私は、大手のこの保安設備の状況が必ずしも満足すべき状態にいっているとは言えないのじゃないか。やはり補助金とかいろんな問題はあるにしても、大手の私鉄運賃値上げのときだけはいろんな条件を言ってこられますけれども、やはりこういう点はもう一歩運輸省がよく指導していかなければならない問題だと思うのですね。この点大臣どうですか。
  89. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 鉄監局長から具体的な御説明がありましたが、ただ、おそらく保安設備といいますか、立体交差を含めての投下資本は、それはいなかの交通鉄道よりも圧倒的に金は投資していると思います。その点については、これはまあ努力をしておると私も考えておりますが、問題は、いま計画の中でいったところで、それはほんの一部分だけ計画でいっているのですね。たとえば大都市における一立体交差のそれは、たとえば投下資本は百億前後だろう。そのうちどれくらいの補助金があるか知りませんが、地方になればこれは簡単ですからそうかかりませんけれども、東京あたりの立体交差は七、八十億から百億以上かかる。これはどこでも同様です。そうしますと、一千億の保安設備、そのうちどれくらいが立体交差に使われるか知りませんけれども、たとえば六、七割使ったところで、その金額はわずかに、平均百億の一カ所立体交差とすれば、全体で七カ所か八カ所ということです。これは東京だけ全部集中してやったところで七カ所や八ヵ所じゃもうほんの急場の処理にすぎない。これは全国ですから、全国といっても大都市ですけれども。そういう意味において、まあ踏切道五ヵ年計画を延長しましても、そこで大体満足できるようなことができたとは言い得ないわけでありますけれども、ただしかし、やはり大手の私鉄にしましても資金のやりくり等のことがありますからして、なかなか思い切った投資はできない。しかし、やるなれば結局これを運賃に加算せざるを得ない。そういうことから考えますと、もっと考え方を新たにしなくちゃいかぬのじゃないかということを瀬谷議員の質問に対して私、私見として述べたわけですが、これは私あまりかってなことばかり言っていると国鉄その他に迷惑をかけると思いますけれども、たとえば東海道新幹線をつくるときに、なぜ都市をつなぐ新幹線のときに在来線も一緒に立体交差やらなかったか、これはやれない事情があるということは、金の問題なんですね。それをもし新幹線の費用の中でやれば新幹線のコストが上がってしまうから、したがって、やれなかった。ほんとうに日本が経済大国と自信するならば——世界に大都市の中を平面交通で走っている鉄道はないのですよ。日本だけですよ、こんなことやっているのは。ですから、当然、経済大国はこの二、三年この方言い出したのですから無理もありませんけれども、いやしくも経済大国とこれから言うなれば、もっと交通機関の近代化をはからなくちゃいかぬ。ということは、なかなか全体的に、いま言ったようにいわゆる市街地の私鉄から何から何まで全部立体交差をしなくちゃなりませんけれども、しかし、できるところからやるとなれば、たとえば新幹線を通す場合、なぜそういうところを通すときに一緒にやらなかったか、それは金の問題です。その金は、要するに国鉄が自分の利益の中から出すというのじゃとてもこれやっていけない。あとで岐阜の問題、連続立体交差が出てくるようでありますが、あれもそのとき一緒にやったら問題ないのですね。わざわざやるよりも、おそらく三分の一でできるだろう。そういうところのものの考え方がいままでおかしいじゃないか。それは政府も悪いというか、大蔵省というか、大蔵省は金を出すことをいやがるものですから。これはほんとうに政府も国会も一緒になって、ほんとうに日本が経済大国という近代国家の姿を出すならば、当然、都市計画は思い切ってやるべし。同時に、交通機関は原則として立体交差でなければならぬが、しかし、現在すぐ一ぺんにやるということはできないのですから、新幹線を引くような場合にこれを一緒にやればできるのです。それはたとえば、岐阜駅の問題あと出てくると思いますが、あれを五キロか六キロ先からやってくれば、そこから上へ乗っけていけばいいのですね。そうすればできるわけですね。あれだけやれば、岐阜の場合でも連続立体交差やるということになれば、それだけでもおそらく数百億の金がかかるでしょう。なかなか、そうなるというと地方自治団体も建設省も、一カ所に数百億の金をかけるということは容易じゃありませんから、ややもすれば足踏みじゃありませんけれども、なかなか歩度が鈍くなる、そこに根本問題があるのですね。これはひとつ運輸委員会でもそういう声を、世論を上げてもらいたい。私だけが斬新な意見を言っておってもしかたがないのでありますから、そういうことでやっていかなければ——事務当局としてはこういう説明をする以外に道はないのですが、そんなことやっておっても効果はないと言っても、効果はあるのです。少々の効果ですが、そういう面もやっていかなければなりません。しかし同時に、そういう新しいものの考え方、制度ということを、私は、経済大国という以上は、こういう点も大いに考えていかなければならぬ。ことに新幹線は、これから上越新幹線、東北新幹線、成田新幹線等ができます。こういうときに、もし私の考え方が併用できれば、かなり問題解決するわけです。在来線から、私鉄もその上にある程度乗っけていけばいいのです。私鉄はちょっと方向が違うからできませんが、国鉄などは、貨物線も普通線も在来線の複々線を乗っければいいのです。連続立体交差というのはそういうことなんです。たとえば都市計画でもって新幹線をやる場合に、水戸あたりでも考えているのですが、新幹線を引くときにはどうしても立体交差でいかなければいけないのですから、高架でいくのですから、そこに在来線を乗っけよう、貨物も一緒に、こういう計画で都市計画をお願いしているのですが、都市計画だけにお願いするということもなかなか無理ですから、場所によっては先ほど私が提唱しましたようなものの考え方を出さなければ、いつまでたっても本格的な、円満な安全交通はできない、こう考えているのでありまして、しかし、事務当局が説明したことはそのとおりでありますから、これは非常にやはり進歩的な、踏切道五カ年をかなり延ばしてやっていくことも効果があり、私鉄も一生懸命やっているのですから、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  90. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 大臣の考え方よく私もわかるのです。いま岐阜のこと非常に理解されていらっしゃるそうですが、私も岐阜へ一度行ったときに、踏切が年じゅう上がらないのです、東海道線ですね。実際にこういう問題、岐阜だけの問題でなしに、現実に、全国的に数カ所あると思うのですね。ところが、私鉄がからんでいる、国鉄がある、それから貨物線が入っている、高山線が入っている、こういう関係で、都市計画の問題、それから地元の商店街との問題、こうなってきますというと、国鉄なら国鉄だけに働きかけてみても、あるいは運輸省なら運輸省だけに働きかけても、現実にすぐさまこの問題は解決できる問題じゃない。現実に市や県では一生懸命金がかかっても出したい、工事を早く進めていただきたいという現地の要望があるにもかかわらず、実際に何といいますか、建設省は建設省の考え方があるだろうし、運輸省運輸省の考え方があるだろうし、国鉄私鉄は利害関係の問題も出てくるでしょうし、いろいろ一本化しない、こういう問題をどこで処理をしていくかということですね。この点で私は、現地の住民の声というものは、なかなか実際に国会においても、あるいはまた行政機関にも反映しない、こういう隘路が私は全国に数カ所あるのではないかと思う。こういう問題を総合的に前向きに検討するようなやはり機関を運輸大臣から提唱されたらどうかと、こう私は思うのですが、これはどうですか。
  91. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) けっこうなことでありまして、これは建設省と実は運輸省が連続立体交差及び立体交差については協議会を持っておるのです。まあもっと強力ないわゆる協議機関を持つほうがより必要であろうと思うし、私が私見として述べた問題もその協議会でひとつ検討してもらう、これは大蔵省にも入ってもらわなければだめなんですね、金の問題があるから。そういうことでもってやっぱり抜本的な一つの構想のもとに進めないとなかなか交通の問題は解決しない、かように考えております。
  92. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、岐阜の問題について鉄監局長に二、三お伺いしますがね。この岐阜の問題については四十五年度ですか、県が約八百万円、市が八百万円、国から八百万円の調査費がついているわけですね。ところが、いつ立体交差のこの問題が具体化するか、何年ごろを目途にしての、この岐阜駅を中心とする立体交差の問題が解決する問題なんですか、この点について。
  93. 今野博

    説明員(今野博君) お答えいたします。  岐阜の鉄道高架につきましては、おっしゃいましたように、四十五年度に調査費をつけまして調査をお願いしたわけですが、お話のように、国鉄から名鉄、国鉄も本線と高山線とございまして、さらに貨物やらございましたりして、いろいろな関係で総合的な事業計画がいまだにまとまっていないというような状況でございます。建設省としましては、この道路整備五カ年計画の一環としてこれをやっております。岐阜駅を中心とした鉄道高架は五カ年計画の中に入れてございます。したがいまして、地元ではっきりした事業計画が立ちました際には積極的に事業費をつけてまいりたいというように考えております。
  94. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、運輸省のほうはどうですか。これは私鉄のほうは、名鉄のほうがなかなか重いらしいですね。この問題についてどう運輸省は取り組んでおられますか。
  95. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 岐阜の地域の実情から申しますと、名鉄線が岐阜駅の東の端あたりを線路を渡りまして名鉄の新岐阜駅に入っております。したがって、この岐阜地域一帯を連続交差化いたしますためには、この名鉄線の越え方というものをどういうふうにするかということをきめてかかりませんと、なかなかこの立体交差化は技術的にはむずかしいということに一つなります。それからいま一つ国鉄の高山線が岐阜駅に地平で乗り入れてまいっております。立体交差化する場合にはこの高山線をどうするかということをもう一つ検討してまいらなければならない。それからいま一つ、岐阜につきましては、貨物駅がございまして、その貨物駅を立体交差化する場合にどういう処理をしていったらいいかという問題がございます。それからなお、名鉄線の各務原線というのがございますが、これにつきましては、いまの新岐阜駅のほうにまっすぐ入っておりまして、直接関係はないのじゃないかというふうに考えております。  大体そういうことでございますので、国鉄の問題と名鉄の問題両方合わせた設計というものをいろいろ考えなきゃならぬわけでございまして、いま建設省からお話がございましたように、そういったような問題を考えてこれをやってまいる、計画を立ててまいるということに相なるかと思います。私どもといたしましては、とにかくこの立体交差化を大いに促進しなければなりませんし、特に岐阜駅の地点には各種交通機関が集まっておりますし、しかも非常に繁華街でございますから、ここはぜひ何とか促進をしたい、このように考えてやってまいるつもりであります。
  96. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、この五カ年計画の中には入ってないのですが、踏切道、この立体交差の、岐阜の問題は、四十六年から五十年までのこの中には含まれますか。
  97. 今野博

    説明員(今野博君) 先ほど運輸省のほうからお話がありました百キロの中には入っております。
  98. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、計画には入っているのですけれども、私鉄のほうですね、これの交渉は相当運輸省として進められているのかどうか。運輸省はもう少し積極的にやらないと、やってくれないと言うのだよ。
  99. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) それはこういうことなんですよ。私鉄であれ、国鉄であれ、都市計画事業でやる場合は九割は建設省が持つのです。ですから、問題は、都市計画予算を皆さんの力でうんと取ってあげないとできないのですね。だからひとつこれはぜひ応援してやっていただきたい。それからそれは結局、もちろん設計、構想等は運輸省なり何かにおいてやりますけれども、問題は、そっちが早くできて、こっちの予算が取れませんと、かえってちぐはぐなことになるわけです。ですから、名鉄の場合におきましても、いろいろこまいことを言っておりますけれども、そんなことは、予算がつけば、貨物駅なんかは遠くに持っていく、これは何でもないことです、実際。そうじゃなくて、問題は、予算がつくか、つかないか、これはもちろん国だけではありません。一割は地方公共団体が持つのですから、したがって、地方公共団体も他の事業とあわせまして、それだけの事業を五カ年間内でやっていく場合、たとえば一千億かかる場合、百億持てるか持てないかという問題があるわけですね。そういうことで、事業主体になります県自体も、なかなかそれに対して腰を上げることが重いということもあり得るのですが、問題はしかし、おもには九割が国の、建設省の予算ですから、そこで建設省のほうに都市計画予算が思い切ってつけば、設計なんかたいしたことでないのです、実際からいえば。それだけのものができるのですから、貨物駅をどこに持っていくとかなんとかありますけれども、当然、貨物駅は郊外に持っていかざるを得ないです、わかり切ったことです。旅客と貨物を立体交差にして貨物は扱えないのですから、当然通過はしますよ、貨物列車は。通過はしますけれども、貨物駅、貨物扱いというものは、当然大都市においては少し郊外に持っていかざるを得ない。それで差しつかえないのです。ですから、問題は、立体交差、連続立体交差の場合は都市計画が先行する、その都市計画に対して国が思い切った予算を建設省にみてやる、こういうことができませんと、都市計画自体が進まないと立体交差のほうが進まない。これが実情なんですが、だから、それだけではいかぬから、必ずしも都市計画でなくとも場所によってはやらざるを得ないところがあります。小さいところは、そういうものはやはり別個の方法で予算をつける方法を考えなければいかぬのじゃないかということを先ほど来から言っておるのですが、これは大問題ですから、そう簡単に処理できないと思いますが、岐阜の場合は、先ほど建設省からこの百キロのうちには入っている、こう言いますから、五カ年のうちにはでき上がるということになろうと思います。
  100. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一つ、鉄監局長から。事故補償の問題ですね、交通事故ですね、ダンプカーと列車の衝突、踏切道における列車の衝突の場合、たとえばダンプカー過失の場合に、列車をとめた場合に私鉄あるいは国鉄補償の問題はどの程度、どういう計算なんですか。列車を一時間とめたとかあるいは三十分とめたとか、その場合の損害賠償を、たとえば過失のあったダンプカーの側に持たせるとか、そういう点がありますね。その実際の基準というか、算定の基礎というか、この問題はどうでしょうか。
  101. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ダンプカー等の原因によりますところの国鉄事故が起こって、その場合、国鉄が受けた被害に対する補償という問題であろうかと思いますが、これにつきましては、国鉄は当然そういうことによるところの被害額をダンプカー事業者に対して民事的に求償する、賠償請求するということになるわけでございますが、ただ実際問題といたしまして、なかなかとめたことによるところの、たとえば輸送力がなくなったということによるところの損害というところまでなかなか計算をするというのが困難でございますので、通常の場合には、ダンプカーによるところの直接的な被害の賠償の請求をしておるということでございます。
  102. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的な算定の基準があると思うのですよ、こまかな。私鉄の場合あるいは国鉄ダンプカーがたとえば急行列車をとめた場合とか、いろいろなパターンがあると思うのですね。そういう計算の算定の根拠ですね、基礎資料、それを資料として私は提出していただきたいと思います。
  103. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 具体的な場合に応じて請求すべきものは請求するという形になっていると思いますので、その具体的な事情等を調べまして申し上げたいと思います。
  104. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分から再開いたします。  それまで暫時休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時四十三分開会   〔理事金丸冨夫委員長席に着く〕
  105. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、踏切道改良促進法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  106. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 午前中の質疑で、大臣から私見という前置きでありましたけれども、非常に意欲的な考え方を示していただいたのですが、これからの踏切道はやっぱり立体交差にしなければならぬ。それから、すでにきまっております東北新幹線あるいは上越新幹線、成田新幹線等といったような新幹線の構想について、これを東海道新幹線と同じように——東名高速自動車道とは別々にこの前は建設をしたわけですけれども、ああいうやり方じゃなくて、上越あるいは東北新幹線を建設するにあたって、存来線の立体化といったようなこともあわせて実行するということが非常に有意議じゃないかと思うのです。その点は、大臣の考え方はどうでしょうか。
  107. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 先ほど来もその点に触れて三木さんにお話ししたのですが、ただ問題は、私はそのほうが経済的であり、しかも、ある程度部分的ではあるが一挙に解決する道である、大都市は通るわけでありますから。ただ問題は、それがために要する立体交差の費用は連続立体交差でいけば国が九割持つのですね、それが都市計画事業でない別個のものになるというと、全額が国鉄なら国鉄私鉄なら私鉄が持つようになっているのです。そこに難点がある。その問題やっぱりある程度解決をしてやるんだ、たとえば国が五割を持ってやるとか、あるいは六割を持ってやるとかいう道がつかないと、なかなかやはり国鉄はいまの財政状況から見て非常に困難ではないだろうか。それは都市計画事業とは事情が違うから、八割を国が持ってくれとは言いにくいだろうとは思いますが、しかし、これも、現行の法律のままでも、ある程度のいわゆる助成金というものは、そういうものは可能だろうと思います。それがどこまで現行で補助ができるかということが問題ですが、私はある程度まで、少なくとも、八割、九割はいかぬけれども、六割ぐらいまで国が出す道があるなら、やっぱりこの機会に上越新幹線あるいは東北新幹線等については、私は一挙にその問題を片づけていったら部分的にはこれは片づいていく、こういうことも考えられますので、現行法でどこまで国鉄に対する助成金を出すことができるかということも検討してみたいと思っております。
  108. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先般、国鉄法の問題について見送りになったというふうに応答されているんですけれども、見送りになったということになると、具体的にいろいろ財政措置を講ずる上でどういうことになるのか、ちょっと心もとない点もあるのですけれども、とりあえず、たとえば国鉄の問題をどうするのかということと、それから、さしあたって着工のきまった上越、東北新幹線等についてどういう手が打てるのかという心配もあるのですが、その点はどうですか。
  109. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 国鉄法の改正については、一応なお検討しようということでこの国会に間に合わなかったのですが、ただ、これが国鉄再建の抜本策というような大げさなものじゃないんです。ただ、いまの国鉄法によりますと、もし地方で鉄道を、地方鉄道としてやりたいという、公企業もしくは私企業でもいいのですが、そういう場合が出たときに、現在の国鉄法では、一たんこれを廃止をした上でないと、それを処分できない。非常にその間、時間的ないわゆる断層ができるわけです。それじゃせっかくいま動いている地方の鉄道を地方交通線として生かそうという場合に、現在の法律規定のように廃止をして、それからでなければ譲渡ができないということになると、その間は休まざるを得ないということになります。そうではなくして、今度の国鉄改正の地方線の問題は、営業線をそのまま貸与したり、あるいは譲渡したりすることができるということになれば、国鉄が吸収をしないで、別な企業体にこれを移すことができる。どちらかといえば、私は、弾力的であって非常にかえって問題の解決がスムーズになるのではないだろうか。しかし、これも地方鉄道に回す場合には、地方の合意を得ないといけませんので、原則としてはもちろん合意を得てやることになるのですが、実際問題として、廃止をしてやるのと——営業線を譲渡もしくは貸与することができるというふうに直して効果があるということになれば、なかなかむずかしい問題はいずれにせよあります。しかし、廃止をしてしまうというよりは、むしろ私は弾力的な効果があるということから、それに重点を置いたわけであります。  なお、もう一つ国鉄改正一つは、他の仕事に、いわゆる企業体に、国鉄の輸送事業に関連するものに対しては投資をすることができる、出資をすることができる、こういうような条項が含まれておるわけでありますが、これは出資条項だけでありますから、必ずしも出資をしないからといって仕事ができないわけでもありませんからして、まあそう致命的な問題ではないと考えております。もちろんこれは、一部を出資したほうが指導あるいはそれが運営には好都合とは思いますけれども、必ずしも出資がないからといって、結局は国鉄のお客さん、国鉄の仕事をやってもらうのですから、それは可能であろうと思うのです。  ただ、先ほど申しました最初のほうの地方鉄道線に移譲するわけには、現在の法律では非常にかた苦しいといいますか——一たんやめなくちやいけないのですから——という点がありますので、そういう意味での改正ができれば非常にスムーズに一部はいくのではないかと、こう考えての改正を意図したのでありましたが、なかなかいろいろな問題がありまして、スムーズにこれが成案を得ることができなかったということで、もう少し研究しようということで今国会では取りやめになったわけであります。
  110. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄再建の抜本策というのは、これはいつまでもほっておくわけにはいかないと思うのです。早くやらなければいかぬ。しかし、これは同時に、財政措置だけの抜本策であってはならぬと思うのです。たとえば踏切道の問題でも同じなんです。五年ちょっとといったようなごく部分的な改正で、これは抜本策でも何でもないのですが、踏切を廃止して立体交差にするということは、国鉄の、あるいは私鉄の、日本の鉄道のあり方についての抜本策にならなければいかぬ。だから、こういうことを前提とした国鉄再建の抜本策、これはもう離れ離れに考えちゃいけない問題として、抜本策は立体交差と一緒に考えるべきだと思うのですが、その点はどうですか。
  111. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 直接には、連続立体交差の問題は、収入とか、そういう点が十分あれば、そう大きな問題はないと思います。国鉄の再建、基本的な再建策は何が柱になるかといえば、一つは建設費、今後の建設費の問題ですが、建設費の一部を国が負担をするということが一つ。それから第二には、過去の建設費、これに対して現在のようなアンバランスの収支状態になってまいったのですから、その過去の建設費に対して国がどの程度まで助成金を持つか、これが第二の問題。それから第三の問題は、すなわち、近代化、合理化といっておりますが、新しい事態に向かった輸送機関として、国鉄が持つ役割り——大都市の通勤線は別でありまするが、いわゆる根幹交通線としての国鉄の役割りはどこに置くのだと。すなわち、中距離、長距離を一つの輸送体系の根本にする。同時にまた、最近のように自動車が発達をしてまいりましたからして、高速道路の発達とともに、貨物車のいわゆるスピードアップ、これがやはり将来の運賃、料金を確保する上からいっても、やはりこの貨物線のスピードアップ、これがやはり第三の柱になると思います。  それから第四の柱は、合理化の中にありますが、たとえば小荷物、手荷物のようなものを現在の国鉄がやっておるような状況でやっていくべきかどうか。ことに最近貨物駅の集中化が進められてまいりますというと、これは国民に対しても非常な不便を感じさせるわけでありますね。ちょっとした小荷物を持っていくのに五キロとか十キロ離れたところに持っていかなければ扱えない、こういうことになってくると、これを他の機関で代行せしめる必要がありはしないか。そういうことになれば、小荷物、手荷物のようなこまかい問題は、貨物輸送というべきものじゃなかろう。貨物輸送というものは、大量にして中長距離を持っていく、大量貨物を長距離に、スピード的に持っていくというのが国鉄の貨物輸送の本旨である。それに対して、手荷物、小荷物というのは、これは私見でありますが、別個の機関がいいじゃないか、別個の機関をつくるべきじゃないか、こう考えております。これは郵政省の郵便小包等とも関連が出てくるわけであります。そういうことによって近代化、合理化をはかる。あるいはまた、国鉄自身の持っておる業態の中で、現代的に考えてこれを必ずしも職員が——いわゆる常勤職員といいますか、そういうものでない者のやっておるものもあるのではないだろうか。こういうものは、先ほどちょっと話に出ました関連企業体において受け取るべきものは受け取ったらよろしいと思う。そういう近代化、合理化の面を一方において進めていく、こういう四つの問題。  それから第五の問題が、いわゆる地方的な役割りだけを持っておる地方線については、これを切り離していくべきであろう。もちろん、これは道路にかえられるものは道路、どうしても道路にかえられないものは地方線として別個の企業体を持つ、こういうことも必要になってくるのではないか。こういう考え方を前提として、初めて国鉄の独立採算によるところの経営が可能になる、こういうふうに考えておるわけであります。
  112. 山田勇

    ○山田勇君 踏切事故の問題に少し関連しまして、全く富士急行電鉄の事故と同じようなケースが、いわゆるタクシーのほうでも起こりました事例がございますので、その起こりました事故につきまして、私は、ちょっと説明をしながら御質問をしたいと思うのですが、去る、京都で起こりました事故の中で、京都のタクシーに乗っておりました者が事故にあったというのですが、その場合、タクシーは停止線において完全に停止していた。うしろからそれが追突されたということですが、その追突した者は少年でありまして、いわゆる自賠法以外の支払い能力はないというケースでございます。その場合に、私は、そのタクシー会社との交渉に少し関係をしまして、交渉しました時点で、向こうの事故係が、こういう事故の場合においては、当社は補償する義務はない一これはもちろん、法律上のたてまえからいった問題でしょうが、大臣のいままでの御意見を聞いておりますと、やはり輸送途中にあるお客さま、その自分の会社を利用したお客さまを大切にしなければいけないというたてまえからいきましても、当然その会社がそれに対する賠償、また補償をしなければ、ぼくはいけないように思うのでありますが、これは再三タクシー会社と交渉いたしましたが、法律論をたてまえにとって、当社にはいわゆる支払い義務はない、賠償の義務はないと。もちろん、無過失の原則からいきますと、払う必要はないかもしれませんが、こういうケースがたびたびあちらこちらにぼくは起こっているように思うわけです。かりに加害者のほうに支払い能力がないような小さな個人タクシーなんか、一人くらいの死亡だったら、やりくり算段して支払い能力があるかもしれませんが、たまたまタクシーに四人というふうに乗って、その全員が死亡した場合、それが個人タクシーなんかですと、経済的、財政的にも余裕がないという場合、一体だれがこれを補償していくのかというような問題がぼくは出てくると思うのですが、それにつきまして、先ほど大臣から言われましたように、各業者がある一定の金額をプールして、それをまた何かの形で支払うというような形をぼくはすみやかにとっていただきたいと思うのですが、私見として大臣言われましたが、これはもう法文化しても決しておかしくないと私は思います。ですから、ひとつそういうのを積極的に私は進めていただきたいように思うのです。これはタクシーの場合で事例をあげて申したのですが、それに対して大臣でも——きょうちょっと関係局の方、来ていないように思いますが、それに対してぜひ御意見を聞かしていただきたいと思います。
  113. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) いま山田君からは、法律を、そういうものをつくってはどうか。なかなかこれは、法律をつくるのはむずかしい問題があると思います。たとえばタクシーに乗ってきた、山から石が落ちてきた、車に乗っていた人が死んだ、これは五百万円の自賠法によるところの損害保険があるわけですが、これは石ころですからして、任意保険のいわゆる責任は持っていないわけですね。そうすると、これは無過失責任ということになるかというと、形式上、法律論からいえば無過失責任ということになるわけですが、これを適用しますというと、やはり大きな問題、いろいろな問題でこれは影響してくる。したがって、やはり任意保険の形式をとらざるを得ないのですが、先ほども開会前に自動車局長に、まずバス会社の協会の人に会ってその点を御相談してみたらどうか、検討してみるように話をしたのですが、タクシーの場合でもやはり同じことが行なわれると思います。それは少年がやったから、任意保険があるの、ないの問題ではないのです。おとなであっても、いわゆる個人タクシーの大部分は、三、四人乗っかってみんながなくなったようなことが起こったら、これは支払い能力はおそらくないだろうと思う。ですからして、少年とか、おとなとかにかかわらず、やはりどっかでもう少し幅の広い見舞い金制度を考えておかないと、私は、いまのように何でもかんでも法律でなければならぬという制度は非常に危険がある、いや危険というよりも国民がそれをがまんし切れない。こういう問題に、やはり反体制の問題なんかもそこから出てくるのではないか。やはりそこには社会常識あるいは政治常識といいますか、そういう面で一面これは補ってまいりませんと、いわゆる心の豊かな社会を建設するという上には法律だけではだめだと、いわゆる徹底的な無過失責任制を国がとればいいのですが、そこまでやったならばたいへんなことになってしまうということになりますので、実際上はできませんから、そこで自由主義社会における制度として保険制度というものがある。それを多角的に活用してみたらどうだろうか。たとえば、いま山田君の質問のありましたそうしたタクシーの場合におきましても、タクシーの料金をきめる際にある程度そういう余裕のできる、すなわち保険金額、掛金額幾らか加味した料金を考えるというように考えてやれば、これは協会に対して任意保険に入れと、協会として入れと、こういうこともまた言えるわけですね、あるいは会社として入れと。ところが、個人タクシーになりますと、個人になるから無理ですから、あるいは個人タクシー協会というものを法人格化して、それでやるとか、そういう意味で、いわゆる料金設定のうちから、そういう社会通念というものを生かした料金のきめ方というものを今後は考えていくべきであろうと思う。ただ安ければいいという料金のきめ方は、私はあまり好ましいとは思わない。現在のタクシー料金は、私は決して適正であるとは言えないと思う。そういういろいろな点を考える場合に、やはりもう少しこの人間生活に即した、そうして安心した生活ができる状態をやはりそういう面からも考えていくというためには、単にこの法律だけではなくて、保険は自賠法でやっているからこれでいいんだと、これではなかなか成り立たない。したがって、一面において任意保険制度がある、それをどういう形で生かしていくかということを、これからやはり自動車行政でも考えていくべきであろうと、そういう点お話がありましたので、自動車局長聞いておりますから、具体的な問題としてこれを検討していきたい、かように考えております。
  114. 山田勇

    ○山田勇君 富士急行の場合も、先ほど鉄監局長の説明の中で、両方のブレーキを左のほうに置くというようにして、ブレーキの構造上の違いというものを検討しなければいけないというような御答弁があったように思うのですが、ぼくは少なくとも、その切符を乗車地から発行した場合、この切符というものは安全に目的地に届けるという一つの手形的なものだと思います。ですが、その途中において起こりました事故については、完全に人を目的地に連れていくという義務が不履行になったと、ぼくはそう解釈してもいいと思うのです。その場合、無過失的な事故、かりに先ほど大臣のおっしゃったように、山間部を走っていたら、上から石が落ちてきたということになった場合でも、いわゆる定期乗車券にしても一緒ですが、かつ安全、敏速に目的地に届けるという、その義務づけられた一つの切符の発行というものに重点を置いていくならば、たとえそれがブレーキの、車体の構造上の問題を別にいたしましても、これは完全に富士急行電鉄側にその被害者に対する補償というものが確立しなければいけない。ただ、それを車体構造上の見地からばかり論じていても、そういう補償問題というのはなかなか前に進まないように思います。そういう点、特にこれからも、そういう電鉄側にも強く要望していただきたいと思います。その切符のほんとうの真の目的の意味というものをよく私鉄業界にも徹底していただきたい、ぼくはそう思います。
  115. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ただいま先生指摘のように、乗車券を購入して鉄道を利用するわけでございますが、当然、安全にこれを輸送し、目的地に送るべき債務を負っているというわけでございます。で、問題は、そういう鉄道側と旅客の間におきまするところの契約上の問題についての債務の範囲というものをどの程度にすることが妥当であるかということにかかるわけでございまして、先生指摘のように、ある程度そういったような場合、無過失的であってもこの責任を負うべきではないかというようなことも当然考えられることでございまして、その点は、ただ従来の債務契約法、従来の契約法の考え方によりますと、直接の責任がある場合にだけ責めを負うという形になっておりましたが、この点は将来の契約法上の問題ということをもっと掘り下げて、そうして時代の要請、ただいまおっしゃいましたような時代の要請というものを加味して今後考えていかなければならない問題じゃないか。結局、被害者救済というものを債務契約法上で解決するのか、あるいはその他の方法によって解決するのか、いずれにしても救済ということをもっと考えていく必要があるというように私ども考えております。
  116. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。     —————————————
  118. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 次に、道路運送車両法及び自動車検査登録特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  119. 大和与一

    ○大和与一君 初めに大臣に二、三お尋ねいたします。月並みですが、このねらいといいますか、目的といいますか、この法律の基本的な考え方をお尋ねします。
  120. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 今回の法改正の目的いかんという御質問ですが、御承知のように、自動車検査における行政サービスは、今後ますますこれは向上せしめなければならぬわけであります。と同時に、国の検査事務能率化、これも車が多く、たくさんになってまいりますと、同時にやはり能率化ということも推進しなければならぬ、これがためには民間における整備工場の整備能力を十分に活用して、そうして指定自動車整備事業制度を積極的に進めていくということがやはり必要であろうと考えております。今回の改正は、その指定自動車整備事業をさらに推進していくことを主眼にしたものでありまして、自動車の保安を確保するとともに、検査業務の円滑な遂行をはかろうという目的で今回の法の改正案を出した次第であります。
  121. 大和与一

    ○大和与一君 人命を一番尊重するということを第一に考えますから、現在の国家試験その他についてもう少し充実するというか、きびしくというか、そういうようなことをしっかりやってもらわなければならないと思うのですが、そういう点は近き将来において国家試験その他の充実を含めた内容の再検討、こういうことをお考えになっておりますか。
  122. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御指摘でございますが、自動車検査に当たる検査員、国の検査官、あるいは民間指定整備事業検査をやっておりますそういう検査技術者、そういうものの資格をもっと引き上げる方策いかんと、こういう御質問でございましょうか、ちょっと私推測いたしかねましたので、恐縮でございますが……。
  123. 大和与一

    ○大和与一君 はい、そういうことでございます。
  124. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 現在私どもといたしましては、まず国の検査官につきましては、職員の中から、学歴あるいは経歴によりまして自動車検査に適当な者を、大臣もしくは陸運局長が指名をいたしましてやっておりまして、これにつきましては中央におきまして研修ということを計画的にやっております。そしてこれには部外講師等を呼びまして研修による技能の向上ということをやっておりますとともに、民間指定整備事業におきまする検査員につきましても、これは各陸運局ごとにやはり講習をやり研修をやりまして、そして技能検定試験制度に基づきまして資格を検査をしてやっておるということでございますが、お説のように、非常に近来自動車の整備技術というものが進んでおりますので、そういう意味におきまして私どもとしてもさらにこれの向上をはかるように考えなければいけないと思いますし、また民間に対する監督を厳にする意味におきましては、私どもの国の監督要員の増員、これはまあ数としてはたいしたことございませんが、四十五年度、四十六年度にそれぞれ十九名あるいは十八名という増員をしますし、それから予算につきましても関係各方面の御了解を得まして、たとえば四十五年度から四十六年度にかけては五百七十万円ほどの全部の予算がございますが、これを約倍——五百七十万円ほどの予算が約一千万ほどというふうに相当増額を政府原案において認めていただいておるという状態でございまして、さらにこの点につきましては、私どもも予算とそれから技術的な研修行政の資格をもってこれを向上さしていきたいと考えております。
  125. 大和与一

    ○大和与一君 軽自動車の車検実施について、三木委員の質問に対して大臣は、四十八年度を目標にしていると、こういうふうな御答弁があったように記憶しておりますが、この法律が通ることによってそれはもうひとつ早目に四十七年度からできたらやりたいと、そのほうが適当だというふうにお考えになりませんか。
  126. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) まず私からお答えいたします。車検に対する検査の時期でございますが、結論から申し上げますと、この法律、いま御審議をお願いしております法律は直接軽自動車の車検そのものには関係がございません。ただ私どものねらいといたしましては、四十八年度を目途にして、従来検査の対象になっておりません軽自動車検査の対象にいたしたい。で、これに必要なものはやはり検査をする体制、これは人員とそれから検査の機械等を含みました設備、これの確保、養成ということが一番基本的になりますので、そういう状況をにらみ合わせながら四十八年度から軽自動車を車検の対象にいたしたいと、かように考えて、ただいまいろいろと準備をいたしておるところでございます。
  127. 大和与一

    ○大和与一君 もう一つ大臣に伺いますが、近代化ということばがありますが、その中で協同組合、あるいは協業組合というかな、ことばはいろいろありますけれども、これはしかし、いわゆるコーポレーションとは何か違うような感じがするんですが、たとえば東京を見ますと、専業の一人から五人までの工場が七十何%かある、こんな弱いものがおるわけなんですが、それを協同組合あるいは協業組合という、そういうふうに政府として積極的にこれは推し進めるお考えかどうか。ところが実態は、たとえばタクシーのほうの業界を見ましても、いま経営が非常に不振で売ろうとしても売れない。あるいは、整備工場を私の友だちが福岡でやっておりますが、一億ぐらいかけてやりだしたけれども、これはどうしても経営が成り立たないと、こういうふうな声も実態として私聞いているところでありますが、そうなりますと、いわゆる協同組合、協業組合のことばにはとらわれませんけれども、そういうふうに積極的に進めるにしても、よほどこれは指導をうまくやらぬと、弱い者が幾ら集まってもたいしたことできませんし、また、損害に対する負担能力がないとか、いろいろ問題が起こってくると思いますが、その辺のお考えを大臣にお聞きしたいわけです。
  128. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ私より皆さんのほうが詳しいと思いますが、いわゆる整備工場といいますか、これはいまおっしゃるように五人以下といいますか、のたぐいが大体七十%で、たいへん多くあるわけでありまして、そういう現状から見て、しかも自動車はだんだんふえていく。ことに車検が安全車その他の問題からやかましくなってまいりますからして、相当やはり機械整備等におきましても十分なものをしなければなりませんから、一社で、いわゆる一整備工場でそういうものをやるということはたいへんな費用がかかる。そういうことからして、今度の改正においては、組合化、協業化というものを進めておるのは、一つには、そういうような近代的な設備をする上においても、また、そういうことが協業化、組合化ができれば国のほうとしても金融のしかたも可能になってまいりますからして、そういうことからして、積極的にひとつ協業化、組合化をはかっていきたい。これは必ずしも一つのところに、まあ四つか五つか知りませんけれども、そういう工場が集まる必要はないわけなんですね。ただ、車検工場というのは、やはり車を二、三十台置くだけのいわゆる広場も必要であります。しかし、このごろおそらく五人以下の整備工場というのは、その車を、自分の整備工場の中に一台か二台入れてやっているのが実情だろうと思います。したがって、十台、二十台の検査の車を置くほど大きな広場を持っておらない、そのために整備工場としての基準に現在達しておらないということが一つ原因だろうと思います。同時にまた、機械設備も不十分である。そこで、検査工場というようなものは市内になくてもいいわけなんですね、離れたところであっても。運輸省でやっておる検査工場にしても、最近のものは相当郊外に、遠いところに検査工場を持っていく傾向があります。これは運輸省の場合は百台も二百台も車が来るわけでありますから、とうてい町のうちにはできない。当然これは民間の場合でもそうでありまして、しかしながら、単なる部分的な修繕は、これはやはり町の中でなければユーザーのほうから言えば不便であります。でありますからして、その工場一つ一つは現状のままでよろしい。あるいはその工場の中でそれだけの検査をやれるようなものが一緒になって、それ以外の群小工場を一緒にしてやるならば、それでももちろんけっこうなんです。しかしながら、全然整備工場としての指定を受けておらないものが一緒になってやる場合には、どうしてもやはり適当な広場を必要とし、適当な機械を必要とする。現状でやっているところにはそれだけの余裕がありませんから、離れたところにつくらざるを得ないだろうと思います。そういう場合にはやっぱり投下資本が必要でありますから、中小企業等の金を融資して、そして検査工場を共同でつくる。そこには検査要員がおってこれを扱うということになれば、Aといういままでは二人か三人しか使っておらなかった工場に対して車を持ってまいりましても、これは車検まで最後にはちゃんとできる、こういうことになれば、二、三人の小さな整備工場も資格自身がいわゆる上位になるわけですね、形式的には。ということで中小企業、零細整備工場の助けにもなるだろう。同時にまた、有効に使うことによって、国の検査能率、整備能率をあげていきたい、これがこの主眼で、この法律の目的の主たるところがそこにあるわけであります。
  129. 大和与一

    ○大和与一君 大臣への質問は終わりますから、どうぞお帰りになってください。  次は、検査の対象車両はどのくらいあるのですか、また、将来の見通しはどうかということをお尋ねいたします。
  130. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 現在、検査の対象になっております車両数でございますが、四十四年度で約千百万両、四十五年度で千三百万両でございますが、私ども、いまの見通しでございますと、四十八年度に約千九百万両程度にはなるのではないかと思います。ただ、現在、検査の対象になっておりません軽を御参考までに申し上げますと、四十五年度で約六百万両程度でございまして、これが四十八年度には八百万両程度になるものと推測いたしております。
  131. 大和与一

    ○大和与一君 現在の車検制度はどういうふうになっておるか、お尋ねいたします。
  132. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 現在の車検制度は二本立てということになっておりまして、民間の整備工場、いわゆる認証工場で整備をしたものを、国が国の検査場におきまして検査をして、そして合否を判定するということでございますが、御案内のように、いわゆる民間車検場と申します指定整備事業制度がございまして、現在は約八割を国が検査をしておりますが、あとの二割程度のものをいわゆる民間指定整備工場におきまして、これは自分の工場におきまして整備をし、その整備工場におきます検査施設におきまして、一定の資格を持った検査員が、自分の行なった整備の状態を検査をして、そして国の検査にかえると申しますか、そういう制度をとっております。
  133. 大和与一

    ○大和与一君 国の検査官と民間検査員といいますか、それは実力は全く同じであって甲乙ないと、こういうふうに言えるのですが。
  134. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これはなかなかむずかしい御質問だと思いますが、国の検査官は国家公務員でございまして、その国家公務員の中から、先ほど申し上げましたような、学歴なり経歴なりによりまして、運輸大臣自動車検査官というものに指名をするわけでございます。これも、実情を申し上げまして、学歴、経歴等相当の開きがございます。それから民間検査員につきましては、これは陸運局長がその検査員というものにその資格を与えるわけでございますが、所定の試験をして資格を与えるわけでございますが、私ども、実質的な技術のレベルとしては、これは甲乙がないと考えております。ただ、民間のものは、現在は独立の検査官というものではございませんで、あくまでも一定の技術水準を持った工場が、その工場においてみずからの責任において整備をした、そういう整備に対して、自分で自分のやった整備を、いわば自己検査をして、そしてそれが国にかわって認められるというような判断をする能力がある人ということでございますが、技術的には、私は、資格としては甲乙はないと考えております。
  135. 大和与一

    ○大和与一君 国のほうは工場と技術屋とが、これは一応百点だとするわ、そうすると、いまのお話で、民間のほうの技術員は、まあ国がそれを認めたということで、しかし試験とかそういった経過については、これはほんとうの役人でないから違うわけですね。ところが、 いまあなたがおっしゃったことは、それに加味して、工場なんかの施設その他がちゃんとしてなければいかぬと、このちゃんとということが、これがなかなか国の一定の基準があって、その基準を最低に合格することはもちろんあるでしょうけれども、それは幾らでも高くてもいいんだし、内容は充実してもいいんだけれども、その場合に、いまおっしゃった国の工場、検査官の力と、それから民間の、運輸大臣指定した、その工場と技術者、これは同じというふうにやっぱり言えますか。
  136. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 何と申しますか、国の検査、いわゆる検査官は、自分が整備をした自動車ではございませんで、他の一般の整備工場において整備をした自動車を、自分の検査場において検査をするという意味でございまして、したがいまして、国の検査設備——国の持っておる設備というのはもっぱら検査設備でございます。民間自動車整備事業は、何といいますか、自分の所属しております一つの企業、法人なら法人の企業の中において整備をされたものを自分でチェックをするというシステムでございまして、先ほどから申し上げておりますように、たてまえは違いますが、その技術的な水準といいますか、いわゆる整備の合否を判定する能力というものは、私は同じであると考えます。特に、民間検査員の場合は、そういう自分の工場で整備をしたものを自分で検査するために不正があることはいけませんので、法律上は、検査業務に関しては、その検査員というものは公務員と同じような規制を受けておるというたてまえになっておりますので、その点は、私は、技術的なレベルも甲乙はないと考えますし、その体制もそういうことによって担保されておると考えております。
  137. 大和与一

    ○大和与一君 私もその技術員については、たぶん公務員に準ずるような力がなければいかぬと思うが、しかし、工場全体の形、あり方からいうと、運輸大臣指定するわけだから、その指定をするにはものさしがあるわけでしょう、そのものさしは何かと聞いておるわけだ。
  138. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 先生のいまのお話は、指定工場の指定基準の問題だと思うんでございますが、その線でお答えさせていただきます。  指定工場の指定基準は、まず、整備上の条件といたしまして、従来、制度でございました優良自動車整備工場、認定工場の整備上の機械設備、それから管理組織、こういうものを全部持っていなければならないということが一つございます。それから、その次に、ちょうど国の検査場と同じようなレベルにおいて検査設備を持っているわけでございます。これは実態から申しますと、国の検査場とほとんど同じと考えてけっこうであります。機械的な問題では、まず、そういう整備上の設備が優良認定工場と同じレベルを持っている、検査の設備を持っている、この二つでございます。  それから、人間的ないわゆる技術レベルという問題といたしましては、先ほどからの局長の説明にもございましたように、自動車検査員、これは一定の資格を持っております検査員が、国の検査官と同じような立場で、工場の中で独立的な存在として検査員というものがなければいかぬということを義務づけております。それから、あと、全般的に申しますと、たとえば、工員全体の中で三分の一以上は整備士の資格を持っていなければならない。こういう、何といいますか、技術能力をそういう面から押える基準もつくってございます。その他、あと、たとえば面積を幾らとか、こういうような一般的な規定も入っております。  全体として、いま申し上げましたとおりに、設備上の基準と、それから人間的な意味で申しますところの技術上の基準、それから管理組織その他がちゃんとしておるというような三種類の基準を用意して、適用しております。
  139. 大和与一

    ○大和与一君 そこで、今回の民間車検を拡大する理由をお尋ねいたします。
  140. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先ほど大臣が今度の法改正の目的について答弁されましたことと基本的に同じでございますが、自動車の需要といいますか、これは御承知のように、非常に伸びております。したがいまして、円滑かつ厳正にこの検査をやりますためには、国自身におきましても、もちろん電子機械化とか、あるいは検査場の自動化というようなことをやらなければなりませんが、一方、民間の整備事業者におきましても、その技術水準がいろいろと上がってまいりまして、そして非常に伸びていく自動車の需要というものに対して、適正な整備をやる体制が整いつつありますし、今後とも私どもはこれを整えていかなければならないと思いますが、そういう意味で、冒頭申し上げましたように、現在は約八割近くを国がみずから検査をし、あとの二割を民間でやっておられますが、今後の増大する自動車の整備、自動車の需要の伸びというようなものに対応していくためには、最近非常に整ってまいりました民間の整備、検査の伸びというものを活用していくことが、検査を円滑に実施できるゆえんであると思います。特に国みずからやらなければなりませんが新規検査あるいは構造変更の検査というものは、これは国自身がやるわけでございますが、いわゆる使用過程車と申しますか、そういうものの継続検査については、これを整備されてきた民間の力というものを十分に活用して、円滑にやるということが、その拡大の方向のねらいでございます。
  141. 大和与一

    ○大和与一君 それがちょっと問題なんで、本来は国がやるべきだ。しかも最近の三大問題というか、公害とか交通で特に人命の死傷事故が多いわけだから、これはどんなに重く考えてもいい、こういうたてまえに原則はなってるわけですね。それなのに、いまおっしゃるように、できたら将来は民間に七割ぐらいやらそうと。これをあまり簡単に言われると、それだけ粗雑になって心配なんだ。だから、それは将来そういうふうになるかもしれないけれども、民間だけにまかせないで国自体もやっぱり毎年度新しく要求は出して、そして国は国で、必ずしも七、三とか、こういうパーセンテージを重く見ないで、そういうふうになる場合もあるが、こっちはこっちでどんどん充実していくという、こういうたてまえをきちんとしてもらわないと困るのですが、どうですか。
  142. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) おっしゃるように、国自身の検査能力を高め、また検査体制を整備していくという基本的な考え方は、先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもも、基本的には国というものが自動車検査について責任を持っておるわけでございますから、そういった人的並びに物的な国の検査体制の整備、検査能力の向上ということは、当然これはやっていかなければならないし、今後もそういう方向で努力したいと思いますが、また一方、民間のものにつきましても、   〔理事金丸冨夫君退席、理事山崎竜男君着席〕 技術の水準を落とさないようにして、つまり、技術の水準ダウンからくる検査された自動車の保安度と申しますか、そういうものを落とさないようにしていくという意味で、先ほど私が申し上げました国の監督体制の強化ということもあわせてやっていって、ただいま先生の御指摘のような検査の低下を来たさないような措置を講ずるためにさらに努力したいと思っております。
  143. 大和与一

    ○大和与一君 それから、たとえば事故が起こった、調べたら欠陥車だった——そうすると、いままで質疑応答で繰り返されたその実質的なことが行なわれていないことになる。そして世論もわいてくる。そして、しかられて頭下げたら終わりだと。これじゃだめなんで、そこのところがよほど——一つにおいては国自体がやる。二つにおいては、これは検査の要員、人間に対しての質的な充実。三つには、そんなものは幾らおったってどこかに漏れができるようになっておれば何にもならぬわけだから、その監督の強化。この辺が三位一体とならなければいかぬので、それは現段階においてはとりあえずこういう措置でやむを得ずやりますけれども、だけれども、国としてはその点は十二分に配慮する、こういうふうなことになりますか。
  144. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) お説のように、私ども検査に従事いたします人員の確保とかあるいはこれの研修の強化ということにつきましては、従来以上に努力をしたいと思います。また、民間に対しまする監督体制の強化につきましても、これは今度、この指定整備に関する業務を特別会計のほうにお願いいたしますのも、そういう一般検査登録とこの監督との一体化というねらいもございまして、この監督体制をさらに強化していくということは、先生指摘のように、今後さらに努力をいたしていきたいと思っております。
  145. 大和与一

    ○大和与一君 今度は実際は何人ぐらいふえて、そして来年度は何人ぐらいにする予定ですか。
  146. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 現在の体制を申し上げますと、検査要員が全国で、これは検査官ばかりではございませんが、全部の検査要員を含めまして八百九十人ほどの検査業務に従事している者がございます。これを今度は、四十六年度予算案では九百三人に増員をするということが政府案として認められております。それから指定整備の監督要員でございますが、これは三十三人、四十五年度ございますが、これを十八人ふやしていただきまして五十一人で監督をするというようなことが人員的に認められております。政府予算案の中でそういう査定になっておりまして、私どもこれが十分であるとは思いませんけれども、極力これを活用していきたいということで、来年度につきましては、四十七年度以降につきましては、さらにまた基本的な検査体制のあり方とも関連いたしまして、体制の強化のためにいろいろと予算措置その他をお願いをしたいと思っております。
  147. 大和与一

    ○大和与一君 そんなに人が足りないことになると、この仕事だけではないですけれども、タクシーでもトラックでも同じだけれども、たとえばその仕事の手助けを業界なりにやらせて役得をしている。これはあまりいい話ではないけれども、そういうふうなことをやっているかどうか。一ころだいぶやっておって、こんどおこられてやめたというのがだいぶあるのだね。おたくのほうの関係ではどうでしょうか。政府委員(野村一彦君) 申し上げますが、先般、衆議院でございましたか、他の先生から御質問がございまして、いわゆる民間の業界団体等の職員が陸運事務所等において役所の業務に協力をしている事実があるのではないかという御指摘がございました。これ私ども残念ながら、過去の経緯から見まして、そういう実態があるということは、これも大臣から御答弁申し上げましたように、ある程度事実でございます。ただ、その実態と申しますのは、いわば民間の業界の団体の会員になっております事業者等が、いろいろ届け出とかそういう業務をやるときにその便宜を増進するという意味から、その団体の職員が陸運事務所等に常時おりまして、そういう自分の会員の届け出その他の事務手続の代行と申しますか、そういうことをやっておって、そういう方が相当の人数にのぼっておるというのが実情でございましたが、先般の衆議院予算委員会の御指摘もありまして、大臣からも指示がございましたので、私どもこれをまず仕事を分類をして、民間のもの、純粋の民間のものは民間の団体において処理をするように対処してもらって、民間の、その団体の中で処理をしてもらう。それから役所の業務につきましては、私どもこれはやはり役所自身の手でやらなければなりませんので、たとえば何と申しますか、労務費等で認められておりますそういう人件費、庁費を活用いたしまして、手不足のそういう窓口の受付的なものについては、そういう業務をやらすような人を確保するというような措置を講じていきたいということと、そういうことをなるべく早く、公私の別といいますか、そういう体制でやるような指示をただいまいたしております。ただ、検査業務につきましては、そういう部外協力と申しますか、これは該当者はございません。
  148. 大和与一

    ○大和与一君 さっきも申しましたように、零細企業者が多いわけで、これをまあレベルアップというか、何とかこれを安全性を高めるためにやらなければいかぬ。それについて、一体国としては業者の育成について具体的にどういう措置をしておりますか、物心両面にわたって、あれば。
  149. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) いわゆる中小零細の整備事業者の育成につきまして私どもが現在やっておりますのは、まず中小企業近代化促進法に基づきます助成措置といたしまして、それは非常に零細な整備事業者を対象といたしまして四十年から四十四年まで、いわゆる近代化計画というものをつくりまして、近代化業種に指定をしていただきまして、そしてその企業基盤の強化、それから技術的な水準のアップというようなことをやりまして、それは私どもとして十分ではございませんが、大体その所期の目的の相当の部分を達したということが言えると思います。たとえば自分のところで整備をしたその整備の結果が、車検の結果不合格になったという不合格率と申しますか、二度検査しなければならない再検率が、三十九年、近代化計画以前では二六・五%あったわけでございますが、これが四十四年の近代化計画終了後では一一・七%に少なくなったということで、ほぼ八八%の目的を達した。それから労働の生産性につきましては、大体近代化以前を一〇〇といたしますと、一三〇を目標にしておりましたが、一一八ということで六〇%の達成率を示している。それから企業の規模の適正化と申しますか、いわゆる優良認定を受け得るような工場に企業の内容を高めていく、また規模を拡大していくというのは大体四倍程度にこれが増加をしたということでございまして、このために、企業自身の努力もございましたが、国といたしましても近代化の特別融資、この間に二十七億円、それから設備近代化の資金を十二億円ということで、合計三十九億円の金を投入をしたという、国としての資金もそれだけの投入をしたということで、相当の効果をあげたと思います。したがいまして、今度はさらにこの結果を踏まえまして、もう一段高いいわゆる構造改善事業というようなものの指定を一定の整備事業者が受けて、そしてさらに企業基盤の強化、それから技術的な水準の向上というのをはかるようにしたいと思いまして、目下関係方面と鋭意折衝中でございます。こういう措置を講ずることによりまして民間車検体制の確立の基盤ができるようにしたい、かように考えております。
  150. 大和与一

    ○大和与一君 整備士あるいは検査員ですね。これはまあ将来多々ますます弁ずるわけだから、多くなくちゃいかぬ。その場合に国家試験を受けるなんて言うけれども、そうでない、まあ大臣指定するといいますか、そういう整備士あるいは検査員の数をできたらうんとふやしたいわけだ。しかも質のいいちゃんとした者、それは現在の日本の産業の発達によって容易だと思うのですが、あるいはなかなか困難なのか、あるいはそれは国家試験以外の検査員の資格というのは、これのものさしは一体何だ、ちょっとさっきおっしゃったような気がするけれども、その辺あわせて聞きたいのです。
  151. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) まず私どもで考えておる、実績を申し上げますと、国で行ないますところの整備士、これは二級と三級とございますが、民間検査員になるためには二級以上の——二級整備士の資格を持っていなければなりません。これの合格を見てみますと、大体四十一年から四十四年までほぼ似通ったような数でございますが、約二十万ぐらいの方が試験を受けて九万七千、まあ十万足らずの方が合格をしておりまして、そういう方々がそれぞれの整備工場に入っておられます。こういう意味で、私どもは国で検査を、一定の試験をいたします。検定試験をいたしまして、その合格をした人を整備士として民間の整備工場に送り込む、そしてその中からいわゆる検査員という、民間検査を行ない得る資格を付与される人となるということで、こういう方々の養成、これは民間の各学校、あるいは実地の勉強、そういうものでやりますが、国家試験としてはやはりこういう二級整備士というもの、国家試験に合格していただいた方々、良質のそういう方々を確保して、そしてそういう方がこの民間の整備工場に入っていくというたてまえでございまして、これをさらに強化と申しますか、定着率を高めるとともに、こういう方の労働条件の改善等も含めた定着率のより安定化、そういう措置を講じていきたいと思いますので、やはり国家試験制度を保有しながら、こういう方々の合格率を高めて、それを整備工場に迎えるという体制をとりたいと思います。
  152. 大和与一

    ○大和与一君 過去のことは別として、将来の車の需要の伸び率をややかたく見通した上で、いままでの経過による整備士、検査員の確保状況はそれでいいのか、あるいはもっと飛躍的にたくさんの者をつくらなくちゃいかぬというのであれば、それは、国はどう手を打とうとしているのか。
  153. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 大体、整備士あるいは整備工員の数を見ておりますと、車両数が伸びているわりには、どちらかといいますと横ばいに近いような形できております。しかしながら、一方におきまして、先ほど御説明申し上げましたとおり、小さい零細業者の共同化とか協業化といったような、いわゆる規模を少しずつ拡大しながら生産性を向上させるという手を打っておりまして、これも先ほど局長の説明にもございましたとおり、近代化五カ年の成果といたしまして労働生産性が大体二〇%近く増加を示してきております。こういうやはり近代化政策と申しますか、中小企業対策と申しましょうか、こういうものの手を一方において打ちながら、労務確保と申しましょうか、ことに良質の労務を確保していくということと両方あわせてやっていく必要は確かにあるだろうと思います。車両数の伸びがどういうふうになるかということもいろいろ問題があるところでありますが、われわれといたしましては、かりにも労務的なものの能力が足りないために整備の質が確保できないというようなことのないように、今後とも中小企業対策を積極的に進めていきたい、こういうふうに考えております。
  154. 大和与一

    ○大和与一君 自動車の安全性を確保するために指定工場に対する監督体制ですね、あるいは監査の状況、それからいままでの行政処分の状況、こういうことをお尋ねいたします。
  155. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先ほど申し上げましたように、四十六年度予算をお認めいただきますと、全国で五十一人の、指定整備工場に対する監査を専門にやりますところの監督要員というものが整備されることになります。そして私どもとしては、目標といたしましては一年に一回半、その対象となります企業に実地に監査に臨みまして、そしてそこの指定整備工場が指定の人的物的施設を整えているかどうかということを監査をいたすわけでございますが、そういう体制をさらに強化していきたいということでございます。  いままで各指定整備工場等につきまして監査をいたしました結果でございますが、三十九年から四十五年までの統計を申し上げますと、まず一番違反のない程度において軽いものにつきましては、警告を発して是正措置を求めるというのでございますが、これが四十一年から四十四年までに九百五十件ほどでございます。それから、それより次に重いのは是正命令でございまして、具体的に、勧告ではなくて命令ということでその是正措置を講ずるということでございますが、これが四十一年から四十四年までに合計百七十件ほどございます。それから、その次になりますと、指定整備工場の指定を取り消すという一番重いもの、これが三件。   〔理事山崎竜男君退席、理事金丸冨夫君着席〕 それから適合証と申しまして、つまり、自分のところで整備したものを、自分のところで、これは国の検査にかえて、国の検査をやらなくてもいい、こういう適合証を発行する、その発行の何といいますか、権限を停止させるというものが十七件ございます。それから、不正なことをやりましたその検査員を解任させるというのを五件やっております。したがいまして、指定制度の取り消しと、それから適合証の発行停止と、それから検査員の解任と、合わせて二十五件という処分をいたしております。
  156. 大和与一

    ○大和与一君 その強い処分をした場合に、その本人たちが心を改めた、それで言うとおりにちゃんと直したという場合には、その処分の取り消しをまた取り消す場合はありますか。
  157. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) たとえば指定の取り消しというような行為をやった場合には、これをあとで取り消すということは、これは実際上不可能でございますが、先ほどの処分の中で、たとえば保安適合証の発行停止、これはいわば三カ月なら三カ月という期間、指定工場としての働きをやめさせるということでございますので、これはその期間が過ぎれば停止が当然解除されるわけでございまして、この期間によって、簡単に言いますと量刑がきまる、こういうようなことでございます。
  158. 大和与一

    ○大和与一君 指定工場の検査に合格した車に対して、抜き取り検査といいますか、追跡検査というか、そういうことはやっておるのか、あるいはどれくらいの実績がありますか。
  159. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 詳細なデータ、持っていないんでございますが、先ほど局長からお話しいたしました監査の際には、その場合に、そこにおいて指定整備の行なわれておる車について、抜き取り的に実際に検査官が検査をしてみるということはやっております。先ほどの、たとえば是正命令だとか、こういうようなことの場合には、そういうことでもって、やはり若干おかしいところがあるんじゃないかということで是正命令が出されたというようなものはかなり含まれているわけでございます。それから非常に、もちろんそれが悪質な場合には停止とかいうような処分にしているわけでございます。
  160. 大和与一

    ○大和与一君 ところでそれも、その人間が足りぬもんだから、それじゃ一年間のスケジュールをつくって、そして、ちゃんと毎日なり毎週なり何ぼ、何十かなんかしらぬが、やると、こういうふうなことにきちんとなってますか。そうもいかぬですか。
  161. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在のところは、抜き取りとして、たとえば十日に一ぺんは指定整備工場といえども車検場に持ってこいというようなことはやっておりません。これをやるということになりますと、たとえば、たまたまユーザーが整備工場のほうへ指定整備という形で持ち込んで、たとえば車検場までいかないということは、それだけ早くユーザーの手へ車が返るわけでございますが、それを指定整備のつもりで持っていったら指定整備をやってもらえないということになりますと、整備工場とユーザーの契約上の問題も出てまいりますので、そういうことにはならない。したがいまして、先ほども申しましたように、検査を少なくとも年に一回半ぐらいやっておりますから、この際におきまして、抜き取りをやるというやり方で今後もやっていきたいと思います。
  162. 大和与一

    ○大和与一君 さっきもちょっと大臣にお尋ねしたんですが、例の協業ですね、協業組合というのはいいかげんな名前だけれども、協業を認められる場合というのは、それはどういう法規あるいはどういう現実に立ってできるのかということですが。
  163. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 今度法律の改正をお願いいたしました重点の一つでございます。で、これにつきましては、現在の道路運送車両法の九十四条の三というものに規定をいたしてございますが、これを改正をいたしまして、同じく九十四条の三の中で改正をするわけでございますが、私どものねらいといたしましては、いままでは各事業場ごとに——たとえば一つのAならAという企業がございまして、この企業は、いわゆる株式会社でも有限会社でもあるいは協同組合でもいいわけですが、その会社が幾つかの事業場を持っておるといたしますと、そうしますと、事業場ごとに指定整備事業というものを指定をするわけでございます。そして、その場合の要件といたしましては、それがみずからの整備事業場を持ち、それから検査場を持ち、みずからの検査員を持つということが要件でございましたが、今度の改正は、その同一法人の中におきまして幾つかの事業場がある場合に、検査場は、それがある一定の要件を満たす場合には共同の検査場が一つあればいいと、そしてそれぞれの整備工場で整備をしたものを、その共同の検査場に持っていって検査をする。その場合に、共同の施設としてそれを——事業場ごとに従来検査施設というものを認めておったのを、一つの企業の中で共同で認めようということが一つのねらいでございます。もちろんその場合には、これは省令できめることでございますが、その検査場の位置というものがある一定の距離になければならない。それから検査場の維持管理というようなことについての責任体制が明確でなければいけない。それから、もちろんそれが一定の技術水準に達しておるということは当然でございますが、そういう要件のもとに、その検査場の共同使用を認めようというのが、同一法人内においての検査場の共同使用を認めようというのが一つのねらいでございます。
  164. 大和与一

    ○大和与一君 それから検査員の兼任を認めた理由、どういう場合に兼任が認められるのですか。
  165. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これを認めます場合を申し上げますと、例によって申し上げたいと思います。たとえば協同組合等におきまして、その協同組合の直営の整備事業場、それから検査場を持ちます。そうしてその場合に、原則的には、その協同組合に属する個々の組合員の、自分の企業の中には検査員がいないというようなケースがございますが、一つはその協同組合におきましては、何といいますか、施設が全部協同組合の直接経営するところの共同の施設ということになれば、その施設の相互におきましては検査員というものが兼任ができる、こういうようなことを考えておるわけでございます。
  166. 大和与一

    ○大和与一君 優良工場の認定ですね、これを事前に受けておく必要がないというふうに今度きまるようですが、現行の認証工場、優良認定工場になるための要件はどうですか。
  167. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) まず第一番に、自動車分解整備事業を営もうとする者は、すべて陸運局長の認証を受けなければなりません。その認証という制度は、一定の要件を具備した事業者は、いわば登録と申しますか、認証を受けることによって分解整備事業を営むことができるという一番基本的な前提条件でございます。それから現在の優良認定制度というのは、認証を受けた分解整備事業者が、その人員、設備によりまして一定のレベル以上に達した場合には、これを優良工場としまして認定をするわけでございます。つまりこれは技術的な格づけをするということでございます。それから現在の制度では、指定整備事業といいますのは、この優良認定を受けたものの中から、いわゆる民間車検をやるというもので、本人が民間車検工場として指定を受けたいというものについて、本人の申請に基づいて優良認定を受けたものの中から指定をする、こういう制度でございまして、今度の改正のときにお願いをしております案として、優良認定が必要でないということは、つまり指定整備事業指定をされる人は、事実上、優良認定を受ける程度の人的物的なレベルには当然達しておるわけでございます。したがいまして、簡単に言いますと、二重の手間を省く、つまり優良になる程度のレベルの人は、当然指定を受けようと思えば指定を受けられる、そういうことでございますので、指定を受けるための前提としての優良というものは必要はないというふうに考えまして、その指定を受ける前提としての優良というものは必要がない。ただし、指定整備を受けない人、部分的な整備業者というものがおりまして、いわゆる民間車検をやろうとしてもできない、あるいはやり得ないようなもののための優良というレッテルは残しておくということで、優良認定という制度は残しておりますが、指定を受けるための前提としての優良というものは必要ない、こういう考えでございます。
  168. 大和与一

    ○大和与一君 事前でなくても、実際に認可をするときには厳格にきちんとやるから、それは心配ないと。逆にいうと、いままで優良認定工場といったのは、いわゆる総花的というかアジェクティブというか、そういう程度のものであって、実際は、ほんとうの関門は一つしかないのだから、そこできちんと認定をするしかたをすればいいのだ、こういうことでございますか。
  169. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいまの先生の御質問と少しニュアンスが違うと申しますか、現在約五万七千くらいのいわゆる認証工場がございます。分解整備事業を認められている事業がございます。その中で優良認定を受けているものが約一割くらいの五千数百工場ございます、約一割くらい優良認定を受けておる、相当レベルというものは私ども高いと考えております。その中で、ほぼ同じ数が指定を受けておるということで、これはもう極端に申しますと、部分的な整備業者以外は全部ダブっておるということでございますので、そういうものを簡略化しようあるいは二重手間を省こう、こういう趣旨でございます。
  170. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、今度は指定基準というものはレベルダウンにはならぬと、これははっきり言明できますか。
  171. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 今度の改正に関連して指定基準を変える意思は毛頭ございませんので、レベルダウンにはならないと思います。
  172. 大和与一

    ○大和与一君 今度の、指定事務自動車検査登録特別会計によって経理する、この理由はどういうことですかね。
  173. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) いままでいわゆる広い意味の自動車検査登録に従事しております職員、特に陸運事務所等第一線の職員は、ほとんど大部分の者が検査も登録も含めまして特別会計のもとにおいて人件費、物件費が処理されてきておったわけでございます。ただ、その中で指定整備事業の監督要員及び指定整備事業の監督に関する業務だけが一般会計でございました。したがいまして、同じ職場で、同じような非常に関連の深い仕事をしておりながら、ある部分は一般会計、ごくわずかの部分が一般会計で、大部分は特別会計という非常に事務処理上も煩瑣で複雑でございましたので、これを一元化して、いわば同じようなところで、同じような仕事に従事している者は、人件費も物件費も一つ特別会計にしたほうがより合理的であり能率的であると思いますので、こういうふうに改正をお願いしておる、こういう次第でございます。
  174. 大和与一

    ○大和与一君 これは事前に連絡してありますが、去年の八月二十一日と二十五日の東奥日報ですね、この内容は、新聞に書いてあるとおりお認めになるのか、その点まずお尋ねします。
  175. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御指摘の件は、昨年の八月十八日に、青森県の北津軽郡におきまして、有限会社成長自動車商会という、いわゆる指定整備を受けております自動車整備会社が不正行為があったということで、私どもも処分をし、新聞にも報ぜられた事件だと思いますが、これにつきましては、私どもとしてもまことに遺憾でございますが、事実の内容、それから処分をいたしました事実については、おそらく——ただいまの新聞を詳細に拝見しないとわかりませんが、大筋におきましては、そういう報道といいますか世間にいわれたとおりであろうと思います。
  176. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、地元の陸運事務所は法律的に抵触するようなことはしていない、あるいはまたその他渦中には全く関係がない、こういう見方でいいですか。
  177. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 御指摘の事件は、陸運事務所はそういう、何と申しますか関係をしているというようなことは、事実としては確認しておりません。そういう違反事実を監査その他ではっきりとつかみましたので、違反の内容——ちょっと新聞も正確に新聞記事を見ておりませんので、われわれのほうで調べました違反の内容を説明させていただきますと、まず第一に、整備及び検査を実施しないで保安基準適合証の作成をやってユーザーに交付したという事実がございます。それから保安基準適合証の交付年月日それから検査した年月日、これは当然、やっていないのでございますから、うその日が書いてございます。これも当然のことでございますが、当該検査員はもちろん検査をやっておりません。こういうことはわれわれの陸運事務所の監査ではっきりいたしておりますので——それから記録簿のほうにも虚偽が記載されてございます。そういう意味で、これにつきましては指定の取り消し、これを処分としてやっておりますし、検査員の解任も命令しております。
  178. 大和与一

    ○大和与一君 こういう事実が出たのだから、しかもすぐうらはらに人命に関する問題なので非常に重大だと思う。ですから、やはり役所としては、一般的な行政指導として道義的責任は感ずると、こういうふうにはっきり言えますか。
  179. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) この指定整備事業の監督は私どもでやっておるわけでございますから、当然この不正事件に関する責任、これは私どもとしても痛感をいたしておるわけであります。
  180. 大和与一

    ○大和与一君 終わります。
  181. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時五分散会      —————・—————