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1971-02-16 第65回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十六日(火曜日)    午後一時六分開会     —————————————   委員異動 二月五日     辞任         補欠選任      山崎 竜男君     内藤誉三郎君 二月六日     辞任         補欠選任      内藤誉三郎君     山崎 竜男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鬼丸 勝之君     理 事                 金丸 冨夫君                 山崎 竜男君                 大和 与一君     委 員                 河野 謙三君                 重政 庸徳君                 谷口 慶吉君                 温水 三郎君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 瀬谷 英行君                 藤田  進君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君        運輸省航空局長  内村 信行君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        日本国有鉄道副        総裁       山田 明吉君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      杉  知也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (運輸行政基本方針等に関する件)  (東北本線列車衝突事故に関する件)     —————————————
  2. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山崎竜男君を指名いたします。     —————————————
  4. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本鉄道建設公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  この際、東北本線列車衝突事故について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。
  7. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 国鉄東北本線列車事故に関しまして、まことに申しわけない事故を起こしまして申しわけなく存じております。  事故の内容を一応申し上げますと、十一日の午前二時五十二分ごろ、栃木県下の東北本線野崎−西那須野駅間におきまして、急行旅客列車、ばんだい6号でございますが、それと後続貨物列車、これは大宮操車場発長町行でございますが、衝突しまして、先行旅客列車の最後部の郵便車一両、後続貨物列車機関車及び貨車四両が脱線しまして、重傷三名、軽傷三十七名、計四十名を生ずる大事故を起こしました。まことに申しわけないことと存じております。  事故原因につきましては、先行旅客列車機関士が酒気を帯びまして乗務仮眠をいたしましたために、上り勾配線上で列車が自動停止した後に退行し、後続貨物列車衝突したものでございますが、このような不祥事が発生いたしましたことは、国民の貴重な生命財産を預かる運転関係者といたしましての安全輸送に対する使命感欠除によるものでございまして、十二日に、大臣から総裁に対しまして厳重な警告を発しました。さらに具体的には、運転関係従事員の資質の向上と職員の管理強化徹底をはかるとともに、緊急自動列車停止装置、いわゆるEB装置と言っておりますが、それの設置なり使用の促進につきまして、緊急に適切な措置をとるように強く指示をいたしております。  なお、この機会に、当省といたしましても、さらに安全輸送に対する指導監督を強化してまいる所存でございます。
  8. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま経過につきましては、監督局長より御報告申し上げましたが、せんだっての参議院の本会議においておわびをいたしましたように、この問題は、単に関係者が処罰されたからそれで済むという問題ではありません。全国鉄従業員が心を一つにしてこのような事故のないようにつとめる必要があると存じまして、総裁を呼びまして具体的な指示を与え、かつまた、その決意を促したのであります。まことに恐縮、まことに申しわけない事件でありまして、心からおわびを申し上げます。
  9. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) この際、山田日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますので、これを許します。
  10. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 十一日の事故につきまして、ただいま監督局長から事故の概要をお話しになりましたので、繰り返し重複いたします点は御報告を省略さしていただきますが、国鉄といたしましてまことに申し開きのない事故でございまして、政府関係当局、また、国民の皆さまに一時鉄道不信というような空気すら出るんじゃないかというような事故でございまして、事故原因は、ただいまも監督局長が申されましたように、列車機関士が酒を飲んで、そうして仮眠をして——眠ったわけでございます。それで、勾配にかかってその列車が自然に退行した。それにも気がつかないでおりました。その間に後続貨物列車衝突をしたという事故でございまして、まことにもう恥ずべき申しわけのない事故でございます。原因はその乗務員自身の飲酒ということでございますが、それを列車乗務する前になぜ発見できなかったか、いろいろの関門はございましたが、その関係者も気がつかないで乗務員乗務をしたというような状況でございます。また、その事故が起こりました際の列車には機関士のみならず車掌も乗っていたわけでございますが、これも、その列車がとまって後退したということに気がつかなかったというような状況でございまして、あちらから見てもこちらから見ても、まことにもう申しわけのない事故でございます。まあ幸いに、と申したらたいへん失礼かとも思いますが、乗客三十二名がけがをされまして、そのほかに、郵便車に乗っていた郵政省の係員が七名、これもけがをされまして、ただいまのところ重傷がございませんで、入院というような事態がなかったことは不幸中の幸いだったとは思いますけれども、こういう事故が二度と起こらないように、申し上げるまでもなくやらなければならないと思います。  即日——ただいまもお話がございましたように、運輸大臣から総裁に対しまして厳重な御警告がございます。私どもも内部的にはいろいろな対策を講じ、昨日、全国の管理局長を招集いたしまして、事故原因、さらにその原因を起こした遠因、それに対する今後の注意を事こまかに指示をいたしまして、現場、管理者一体となって絶対にこのような事故を起こさないように誓い合った次第でございます。  ごく簡単な御報告を兼ねまして、おわびをいたす次第でございます。     —————————————
  11. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 運輸行政基本方針等に関する件について質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 大和与一

    大和与一君 ただいま事故報告をいただきましたが、これについてはあとから質問いたします。  それより先に、きょうの新聞でしたか、嬬恋線の延長について、大体開通式も間近に迫ったわけですが、そこで、その駅が突然二つふえた、これはある大臣の申し出によってできたんじゃないかと、こういうふうな意味のことが書いてありますが、大体この嬬恋線というものは、私の知るところでは、でき得れば鳥居峠を越えて長野県の真田につながる、そしてあの辺のカンラン地帯貨物集散地からトラック輸送でやられているのを、国鉄がそれを奪って、そして国鉄の収入に大きな利益を得たい、こういう目的で大体始めたのだと思うのです。そうしますと、今度延びたのはほんとうにちょっと延びただけであって、ほとんどその用にも立ちませんが、あるいは将来計画として、考え方として、もっと延ばすというふうなお考えがあるのかどうか、第一にお尋ねします。
  13. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) お答え申し上げます。  嬬恋線は現在工事がほぼ完成をいたしまして、近く開業の運びになるわけでございます。この現在の嬬恋線長野原——嬬恋間十五キロでございますが、ただいま先生指摘のように、嬬恋線の先の部分からさらに長野県の須坂方面のほうに鉄道敷設法予定線がございます。で、この線区は、ただいま先生指摘のように、いわゆる高原野菜の宝庫でもございますし、さらにこの地帯は、スキーあるいは春夏観光地としても非常にすぐれた地域でございまして、そういう地域の実情等考えまして、将来検討していかなければならない線区であろうかと存じます。ただ、先生御存じのとおり、新線建設につきましては、鉄道敷設法によりましてまず予定線がきめられ、そしてこの予定線につきまして、鉄道建設公団基本計画調査線にし、さらに工事線にするというような手続が必要でございます。その調査線工事線等にいたしまする手続といたしましては、それは鉄道建設審議会の議を経るということになるわけでございまして、将来そういったようなことをもにらみながらこの線を検討してまいりたい、このように考えております。
  14. 大和与一

    大和与一君 その二つの駅が突然ふえたということは、国鉄のほうにお尋ねしますが、国鉄の、運輸省に出した申請にはなかったのかあったのか、どうでしょうか。
  15. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは現在、鉄道建設公団のほうがこの線の建設を担当しておりまして、そしてその建設をいたしまする場合には、工事実施計画というものを定めまして、その工事実施計画認可運輸大臣から受けるという形で建設をいたすということになっております。それでこの線につきましては、まず初めに羽根尾、万座鹿沢口、それから大前、この三駅を設置するということで、四十年の四月七日と、それから四十一年十二月十五日に認可をいたしたものでございます。この段階ではこの三駅でございました。その後地元からの、群馬大津駅とそれから袋倉駅の設置の要望がございまして、それに基づきまして鉄道建設公団国鉄協議をいたしまして、その協議がととのいましたので、四十五年九月十六日付で鉄道建設公団から変更認可申請がございまして、そしてこれを同月二十九日に大臣認可した、こういうことでございます。
  16. 大和与一

    大和与一君 ただ、現地の実態は、たとえば草津に行く道路なり旅客輸送は、長野原からも直接にどんどんとバスあるいはその他でできているわけです。しかも長野原駅をいま改築しています。そうすると、自動車の発着は十二分にできるような広さがいまできるわけです。そうしますと、その草津に渡る、それから先の駅なんですが、それはほんの二つ三つで話にならぬわけですね。そういうところに、一たん認可したあとに、地元民の陳情があったから直ちにそれを了承されたというのがちょっとよくわからないのですが、道路も大体あの辺は整備されています。しかも、トラックバス建設のほうが早い。しかも、ちょっと駅が引っ込んでおる。そういう場所に、実態をよく調査され、しかも乗降客の推計も十分に分析をされて、その上で追加の申請に対して運輸省認可した、こういうふうにはっきり確言できるのかどうか、もう一度お答え願います。
  17. 杉知也

    参考人杉知也君) 私のほうで運輸大臣申請いたしたのでございますが、その前に一応国鉄協議いたしまして、それからこれを運輸大臣に、その協議がととのった後に認可申請をしたわけであります。そのときに一応、調査を十分にいたしまして、たとえば大津駅につきまして、駅勢人口は千三百名くらい、それから乗降客一日三百七、八十名という結論が出まして、袋倉につきましても、まず千三百人くらいの駅勢人口がございます、一日三百六、七十人の乗降客があるというようなことから、これはやはり袋倉が適当であるということを国鉄協議いたしまして、成立しましてから、運輸大臣認可を得たわけであります。
  18. 大和与一

    大和与一君 そうすると、バスの回数は相当あると思いますが、それなんかとにらみ合わせても、なお、さらに駅を追加する必要がどうしてもあったのか、こういう点もなかなかちょっと納得できないのですが、その辺は十分に数字をもってお答えができるわけですか、いまでなくてもいいけれども。
  19. 杉知也

    参考人杉知也君) これはバスも通っておりますし、それに道路もございますけれども、実はやはり通勤通学もございますし、そういう点も考えましてやったわけでございます。
  20. 大和与一

    大和与一君 最後に、このことについて大臣にお尋ねしますが、前に新幹線ができるときに山口県で駅が四つできましたね。ちょっとこれは多いんではないかというふうに一般的にいわれて若干問題になったんですが、そういうこともあったのに、また今回、だいぶ小さい問題だけれども、少しむだなような、あるいは何というか、なくてもいいような、そういう駅をつくるということは、いわゆる大局的な合理化という立場からした場合に若干逆行する、こういうふうな印象を受けますが、その点について大臣の御答弁をいただきます。
  21. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま関係政府委員から答弁いたしましたように、この吾妻線ですか、特に政治的な影響によって設けたものではない、かように私も承知いたしております。  そこで、この鉄道の駅の問題ですが、鉄道自身の持つ役割りの問題がありますが、たとえば在来線でいいますというと、一つ通勤線といいますか、あるいは通学線、こういう役割りを持っております。もう一つは、貨物が集約化されるということからして、貨物の取り扱いが、だいぶ駅が少なくなるわけであります。前の通勤通学の点から考えるというと、ことに四十四年度の後半におきまして、国鉄としては無人化駅という構想を打ち出して、四十五年度から実施をしておるわけであります。この無人化駅の問題は、一つは、いま言ったような合理化に資すると同時に、もう一つは、いわゆる通勤通学の便をはかる。そういう意味におきましては、従来考えておったような、四キロとか、五キロとか、あるいはもしくは八キロというような長い区間ある駅をつくらなくてもいいかどうかの問題は、やはりこれは検討を要する問題ではなかろうか。通勤通学という点からいえば、これは二キロとか三キロとかに駅があってできるだけ便宜をはかる必要がある。もちろん、それがために合理化に大きな支障があることは好ましくないということからして、単にプラットホームをつくるだけで特別な金をかけないという措置によって、できるだけ関係地域住民の便に供する、こうしたものの考え方があろうと思います。おそらく、国鉄および鉄建、運輸省当局としてはこのような考え方からして、この地方の交通円滑化をはかるというたてまえから必要であろうという考え方からこれを認可いたしたと考えます。のみならず、国鉄当局報告によりますれば、営業係数も一六〇前後あるということですから、従来のAB線に比較して必ずしも悪い線ではない、こういう見解からこれを事務的に扱って処理いたしたと私は考えます。もちろん、ただいまお話のありましたような政治的な力によってこれが設けられるというようなことがあることはゆゆしきことでありますから、一切このようなことがないように厳格に指示いたしておりますので、今回の問題につきましてはそれらのことは一切ないと、かように私は理解をいたしておるのであります。
  22. 大和与一

    大和与一君 質問の話題を変えます。  国鉄再建についてかねてからいろいろ考えているのですが、公共企業体ということばが私はやはり立法本旨からいってどうも明確でない。それで、そのために国鉄自体も困っている。非常に追い込まれて都合の悪いときにはうんと国鉄がいじめられる、こういう場合もあり得るわけであって、どうも公共企業体——公共性企業性ということについて立法本旨は一体何であったか、こういうことをまずお尋ねしたいのであります。
  23. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 公共企業体、現在やっておりますのは、直接機関としては国鉄電電公社あるいは専売もそうでありますが、これは公共企業体という形をとっておるわけであります。NHKもそれに準ずる企業体として認められておるのであります。そこで、こういう公共企業体をとりましたのは、一つは、まず性格事業体である、みずから仕事をするということが第一の性格。もう一つは、国家会計法等のいわゆるきつい制約を受けないで、ある意味では民営的な企業やり方を取り入れることを可能にしたいということが一つあろうと思います。しかしながら、もう一つの、第三の重要な理由は、それが国民全般から見て、いわゆる国家的運営、政策の上に立つべきものである。こういう三つの点から公共企業体のものの考え方ができておると思います。したがって、企業体に対してはできるだけ国家的な制約といいますか、国家会計上の制約はなるべくこれを緩和して、そうして企業体としてやりいい状態に置く。こういう問題が主でありますが、実際問題としてはそこまで徹底した国有民営的な考え方までには徹しておらないで、したがって、国鉄の場合においてはいろいろな問題で制約がありますが、おそらく御質問の趣旨は、やはり国の機関であるからして国がもっと積極的な力をいたすべきではないかという点にもあるいは質問の力点があると思います。その点はもちろん、建設の面においては私もさように考えておりますが、ただ、運営の上においては、民営企業のいいところを取り入れるという意味においては積極的な企業体制をとるべきである。その点はたして国鉄なりその他の企業体が十分なる体制にあるかどうかという点については、やはり私自身も疑問の余地があると考えております。
  24. 大和与一

    大和与一君 といいますと、言い方はおかしいのですけれども、その公共企業体というのは、それじゃ公共性が六だとか企業性が四だとか、あるいは逆だとか、そういうふうな言い方は一体できますか。
  25. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ性格としてはやはり公共的、国民的——国民的といいますか、公共的性格が非常に強いものということと、もう一つは、独占的な傾向にあるということが一つの前提ではあるわけです。ただし、国鉄の場合は必ずしも独占的ではないと。当初、発足した当時は、国の機関として直営であった時代は、ある意味においてはまあ独占的な形態を持っておった。その後、私鉄もしくは同じような機関である道路の発達、こういうものからして、この国鉄の持ついわゆる独占性というものは失われてきた。いまじゃ競争原理の上に立たされておるというところが、公共企業体ではあるけれども、電電公社もしくは専売等とは、運営上においては違った形をとらざるを得ないという状態にあると思います。
  26. 大和与一

    大和与一君 私は、やっぱりそのよってきたるところは——たとえば戦争前からのことを考えてみて、船は世界で三番目だった。ほとんど沈没したから、国が十分、戦後めんどうを見た。飛行機は新しい産業だから、これまた全部めんどうを見ておる。しかし、陸上輸送機関については、国鉄を含めて、ほんとうめんどうを見なかった。たとえば、池田さんは、総理のときに、当然国鉄なんかへは相当援助をしておると思って、衆議院の運輸委員会のときに、答弁をして間違ったことがあるくらいです。ですから、そこにやっぱり根本的に、当然——これは何も陸上に身びいきするのじゃなくて、あの戦後のたいへんな輸送の中で、どうやらやり抜いてきた陸上輸送に対する政府の思いやりなり具体的な措置というものはほとんどなかったと思う。これがやっぱり私は根本的な原因だと思います。そうしますと、いま大臣がおっしゃったのですが、それじゃ一体これはどうしたらいいんだということになりますと、もしも公共性がない場合は幾らでもやり方がある。これは御承知のとおり、どんなことでもできるでしょう。しかし、公共性があるためにそういうめちゃくちゃなことはできない。できないとすれば、公共性があるのだから、企業性だけじゃないんだから、これは当然どこかに限界があって、これはどうしても黒字にならぬ、赤字になる場合は当然物理的にあると思う。そうすると、そういうこともあわせ考えながら、それが公共性であり、いまの大臣のおことばからしても若干公共性のほうがやっぱりこれは優先、ということばは強過ぎますが、やはり公共性ということは絶対に忘るべからざるものである、こういうお立場も考えられますから、そうすると、それを含めれば、どうしたってこれはうまくいかぬ場合があるのに、とにかく企業性のほうばかりにあまり押え込んで、それもうからぬ、もうからぬ、それ労働強化だ、それ合理化——あまりこれを性急にやると、これは全体としてかえって経営がうまくいかない。どうも最近の心配する状態は、労使の問題にしても、何かとげとげしい、こういう感じすら持つ場合があるわけなんです。これは私は重大問題だと思う。私の前半に言ったことも大事だけれども、そういうふうにまでこれは労使が何か谷間に落ち込んだようなかっこうで世間からえらい冷たく言われる、こういうひがみもありましょうけれども、それはあってはならない。こういう指導方針が当然大臣としてはなければいけないと思うのです。そういう意味で私は、やっぱりこの公共性が必ずあるのだから、絶対にこれは離るべからざるものなんだから、政府としては、ことしはすべて暫定的にとりあえずこれでいくんだ、来年こそはほんとう抜本策を総合的に考えるのだ、こういう一応御方針のようでありますけれども、しかしそれまでにだって、やはり職場が一番しわ寄せになって苦労している、こういう従業員立場を私たちは目の前に見て、非常にこれは何とかせにゃいかぬという、こういう気持ちが強いのですが、そういう点の御配慮というものは、これは一体大臣として、ここ一年なら一年間でいいから、どうしたらいいのだということに特別に目をかけて、うんと労働者も働いてもらう、そのかわりめんどう見るよと、こういうふうにぜひやってもらいたいのですが、その辺の大臣の御見解を承っておきたいと思うのです。
  27. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ公共企業体という場合には、もちろんこれはその資本関係が、国かあるいは国にひとしいものが持っておるかどうかということがまず第一であります。しかし、その仕事機能からいいますというと、国鉄私鉄も、これはやっぱり公共性がある、これは言い得るわけでありますね。したがって、機能の上から申せば、要するにまあ交通機関というものは公共性が強いものである、こういう見解は成り立つわけでありまして、これはひとり国鉄だけではない。ただ、国鉄の場合には、どうして現在のような苦しい状態に入ってきたかということになりますと、まあもちろんこれは短時間では議論ができませんが、いろいろな問題を包蔵しているわけであります。その一つの大きな原因は、何といってもいわゆる独占的な事業であったものが、ここ十数年間に競争原理、すなわちこれと競争し得るいわゆる機関が生まれてきた、こういうことが一つ原因であります。同時にまた、公共的な、国民経済の全体に影響があるためにその料金に対しても抑制料金をとらざるを得なかった。たとえて考えますれば、明確な数字は別といたしまして、他の料金に比較しまして、鉄道料金、運賃というものは、その上がりの倍率は非常に低いところに押えられている。こういうような一つの国家的な経済といいましょうか、国民経済の上から抑制料金の対象になっておる、こういうことを考えますというと、国が、国民生活、消費生活なりあるいは経済生活なりの上において抑制をすべき料金に対しては何らかの形でこれにいわゆる助成の道を考えなければならぬ。国鉄が、その成り立ちが国の機関であったからというだけではなくして、そういう公共的な使命を持っており、かつまた、いま申したように、消費部面あるいは国民生活の上においてその料金が影響するところ大であるから抑制料金をとろうというならば、それに見合うだけの、国なり他の機関が助成措置を講じなければ、完全なる独立採算制ではやっていけない。ただ、一応独立採算制の形をとるゆえんのものは、まあ親方日の丸という考え方になったのでは、これは結果的には必ずしも国鉄のためにはならないのでありますからして、したがって、一応の独立採算制はとりますけれども、その独立採算制をとり得る状態——いわゆる投下資本に対する国の助成、たとえば利子の点で考えましても、昭和三十五年には全体の収入に対して六・五%くらいが収入に対する利子を支払う金額であった。昭和四十五年度——まだ推定でありますけれども、昭和四十五年度の状態を見ますというと、全収入の一六%強が利子の支払いになっておる。こういうような状態が生まれてきておるということは、いかにいわゆる投下資本というものが増大して、それに収入が見合わないかということを一面においてはあらわしておるのであります。そうなれば、収入に見合うだけの料金を取るということになれば、現在のあるいは五割、十割というものを上げなければできない。しかし、これは国民の消費生活の上から見ても好ましくないのでありますから、抑制料金として押えるならば、国がそれに見合うだけの手当てをすべきものである、これは個人的見解でありますけれども、さように考えて、そこで四十六年度の予算の編成にあたりましては、従来になかったような一般会計からのいわゆる助成金というものをしたわけであります。まあ必ずしもこれは本格的なものではありません。しかし、従来はほとんど一般会計からのいわゆる助成金というものはなかったにかかわらず、四十六年度の予算で、金額は多くありませんけれども、しかしながら突破口を開いたということは、大蔵当局にしても政府全体にしても、いわゆる完全なる独立採算制は不可能なんだ、何らかの意味で国がめんどうを見なければならない、こういうことを明らかにしたものとして、私は、四十六年度の予算は、暫定ではあるけれども将来の明るい希望を持っておると、かように考えておるものであります。
  28. 大和与一

    大和与一君 もう一つお尋ねしますが、国鉄合理化促進特別交付金に十六億というのが、一応予算がついております。これは、聞くところによると、運輸省は、要らぬ、要らぬ、こんなものは要らぬのだと、一生懸命言ったんだけれども、大蔵省が無理やりにこれを押し込んでひっつけたという話も聞いておりますが、その真意はどこにあるのか。あるいはそれがことし、来年に話が進んだ場合に、それは一体国鉄の経営そのものにも、相当内容にタッチした大きな変化をする芽ばえになるのか、その辺がちょっとよくわかりませんので、それを説明してください。
  29. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私ども予算編成の方針は、運輸省として予算編成の方針は、先ほど来申しましたように、いわゆる適正料金を出すためには、その投下資本が国の助成によって引き下げられなければならない、こういう前提に立ちまして、そこで、まあ国の助成を大幅に、あるいは一時補給、あるいはその他一般会計からの助成金等を強く要請をしておったのであります。ところが、大蔵省のほうは、まあ抜本的な改正は将来に、次の年度にしようではないかというような意見でありましたが、私としては最後までこれはがんばる必要があるというのでがんばってまいりましたので、その間に出てまいりました十六億というものは、これはまあ枝葉末節の問題だと、この金をもらうかもらわないかは、あとでこれはきめる、しかし問題は、私の主張しておるその国鉄に対する政府のものの考え方をはっきりしてもらいたい、そういう点が明らかにならないで、そこで、まあいきなり地方鉄道公社に対する助成金のような形で出てくることは好ましくない、まず根本をはっきりしてから、それからその問題に入ろうということで、一たんはそれを御遠慮申し上げたというのが——そういうような、まあ私の予算編成に対する一つのものの考え方から、一応はこれを断わったわけでありますが、断わるというか、保留しておいたという形であります。保留しておきまして、そうして最終的にはなかなか抜本的なものはできなかった。しかし、その芽ばえは私はできたと思う。そこで、第二の問題として、将来いわゆる地方線の問題等に資するために、その使用方法は運輸省にある程度まかしてもらいたいということからして、十六億も、せっかくだからこれをちょうだいしたと、こういうことであります。
  30. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先般の東北本線の追突事故問題についてお聞きしたいと思うんですが、機関士が酔っぱらって運転をした、その結果ああなったという事情は、新聞等ですでに報ぜられましたから、それはそれでわかりますが、追突したときに、あるいは追突した直後、機関士は一体どういう措置をとったのか、それから車掌がどういう措置をとったのか、それから対向列車はどういう状況にあったのか、そういったようなことについても御報告願いたいと思います。
  31. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 先日の事故についてのお尋ねでございますが、事故は、先ほど鉄監局長がごく概略申されましたように、先行の一一〇三列車という旅客列車、これの機関士が、まあ飲酒のために乗務中に眠りまして、仮眠におちいりまして、そうしてちょうど上り勾配にかかった際でございましたので、途中で自然停車いたしました。そうして、勾配がございましたために、とまったあと自然にうしろに下がって、あとから来た貨物列車に追突したわけでございますが、その停車したときから貨物列車にぶつかったであろうと思われる時刻の間、大体私どものいろいろの資料の推定で八分間かかっていると考えられます。それで、これはその機関士の供述を取ったわけでございますが、とまってからぶつかるまでの間は自分は意識はなかった。それからまあぶつかったことによりまして当然、眠っていたであろうと思われますので起きたわけでありますが、そこでその重大な事態に気づきまして、それから機関士自身は一応日ごろ教えられているような措置をとる努力をしたようでございますけれども、私どもで調べたところでは、どうもすぐ、たとえば前方から来る対向列車に対する防護措置、あるいは後方から現実に貨物列車が来てそれとぶつかったわけでありますが、そのまたあとから来る列車に対する防護措置など適切な措置はとっていなかったようでありますが、これは現在身柄が警察に拘束されておりまして、警察でも調べておられるようでございまして、なお後日はっきりしたところが出てくると思いますが、私どもがいままで調べた範囲内でもそのような状況でございます。  それから車掌につきましては、車掌は当日旅客列車に二人乗っておりました。それで、これも私どもの調査によりますと、列車の前のほうに一人、うしろのほうに一人当時乗っていたわけでございますが、二人とも——当日は休みの前日でございまして、非常にスキー客などが多くて、普通よりも三倍くらいの込み方であった。これは確かでありますが、そのために検札に非常に時間がかかった。あるいは、寝台をつけておりまして、お客の中で寝台車があいているかどうかというようなお客もおられたようでありまして、そういう応答に忙しくて、非常に検札が終わるまでに時間がかかった。それで、その列車が自然にとまったという時間帯では、一人はその検札をやっておりました。もう一人は検札が済んだあとの書類の整理をしていた。その間に列車がうしろへ下がったわけでありますが、それについて全然気がつかなかったという状況でございました。それから列車がうしろへ下がって衝突したのに初めてやはりたいへんな事故だということに二人が気がついておる、そういうような状況でございます。
  32. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 留置をされている機関士の話というのは警察を通じてしか国鉄では事情を聞くことができないのかどうか。国鉄が直接本人から概況を聴取することはできなかったのかどうか。その点はどうなっているのかお聞きしたい。
  33. 山田明吉

    説明員山田明吉君) これは警察の了解のもとに本人に直接会って確かめております。
  34. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 その酒は結局どの程度飲んでおったのか、そういうこともわかっていますか。
  35. 山田明吉

    説明員山田明吉君) その点はもうはっきり何合ということはわかりませんですが、ウイスキーを飲んでいたというようでございます。
  36. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 何をどの程度飲んでいたかよくわかりませんが、要するに事故を起こしたときには、新聞によれば乗客が酔っぱらっているということを知ったということなんですけれども、事故を起こした当時は国鉄のだれかが機関士に会って話をする余裕なく警察に連行されているのかどうか、その辺はどうなっているんですか。
  37. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 機関士は現場からすぐ警察に連行されておりまして、その間にこちらで職務上の、まあ何といいますか、しかるべき者が取り調べたという一その場ではいたしておりません。そのあとで警察へ行きまして本人に会っているわけでございます。
  38. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 車掌の措置なんですけれどもね、二名乗っておって気がつかなかった、バックしたのに気がつかなかったということですけれども、検札をやっておれば、前向いて走っているのか、うしろ向いて走っているのかお客だってわかるわけですな、大体。それがわからなかったということはちょっと了解できないわけです。もしわからなかったとすれば、車掌が寝ていたという状態であれば、これはわからなかったであろう。その点、起きていたけれどもわからなかったのか。機関士の場合と違って、車掌はかりに寝ていたとしても、そのこと自体はとがめられることはないと思います。まあ起きていたほうがよかったかもしれないけれども、機関士とちょっと事情が違うから、仕事が済んで自分の部屋に戻って寝ていたというふうに仮定をすれば、これはとまってもあと戻りしても気がつかなかったということはあり得ると思うんですけれども、そういう状況ではなかったということなのかどうかですね。はっきりと起きて検札をやっておったけれども、気がつかなかったということなのか。この二人の車掌についての実情は、警察へ留置されているわけじゃないから、もっとしさいにわかると思うんですが、その点はどうなんですか。
  39. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 先ほど、車掌が二人乗っていたと申し上げました。そのうちの前のほうにおりました車掌は、私どもの調べでは、前からずっと——この列車十三両引っぱっておりまして、前のほうにいた車掌は、前から一、二、三、四両まで検札を済ませまして、そしてたまたまその四両目のお客さんが、あいてる寝台がないかということで——その寝台が六両目についております。そこで、寝台のほうへそのお客さんを案内いたしまして、そしてまた前のほうに引っ返しまして、そして四両目の検札を引き続きやっていた。その間にとまって、ぶつかっておるわけでございます。ですから、前のほうにいた車掌は、これは確かに起きて検札をやっていたと考えられるわけでございます。  それから、うしろのほうに乗っておりました車掌は、これはうしろからやはり検札をやってまいりまして、それで、うしろからずっと五両の車の検札をやりまして、その最後の七両目の検札中にとまったことには気がついていると申しておりますが、その後ずっと検札をやっておりまして、退行したことには気がつかなかった、こういうことでございます。  それでまあ、これは先ほど先生もおっしゃいましたように、どうして——とまるのは、これは上がり勾配で惰行運転中でございましたので自然にすうっととまったんだろうと思いますが、それから転動してうしろへ下がったときになぜ気がつかなかったのか。これは規定の上でも、列車従事員は一致協力してその安全の確保につとめなければならないという、もうこれは総裁達でも出ておりますし、そういう点の義務違反もあったんだということで処罰の対象にいたしたわけでございます。
  40. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 処分は全部でどの程度、どういう人がどういう処分を受けているのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  41. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 処分は、本社の管理者、それから局の管理者、現場の管理者、それとこの事件に直接関係のある者でございまして、本社では私、それから技師長、それから運転局長、これが総裁から厳重注意の処分を受けております。  それから直接の監督でございます東京の北鉄道管理局長、それとその運転部長、これは戒告処分でございます。それからさらにその機関士の直接所属個所でございます宇都宮の運転所長、それから運転課長、当直助役——当時の点呼をとりました当直助役でございます——これはそれぞれ減給あるいは戒告の処分をいたしました。  それから車掌の所属いたしております仙台の鉄道管理局長は厳重注意でございます。それから車掌の所属いたしております福島の車掌区長は戒告でございました。  当事者であります電気機関士は懲戒免職の処分をいたしました。それから車掌二人につきましては減給の処分をいたしました。
  42. 大和与一

    大和与一君 ちょっと小さいことを聞きますがね、編成は十三両で寝台車何両ですか。わかる人、どうぞ答えてください。
  43. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 編成は十三両でございます。一番あと郵便車でございます。したがって、お客さんの乗っておられる車は十二両になります。その間に寝台車が二両入っております。
  44. 大和与一

    大和与一君 全体の乗車客は何人ですか。
  45. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま寝台車は間違いました。一両でございます。訂正いたします。  それから全体の乗車客は大体全列車一二〇%ということでございますので、大体千四、五百人程度かと思います。
  46. 大和与一

    大和与一君 車掌が二人乗っているというんですが、一人は乗客専務で、一人は運転車掌のはずですね。どうですか。
  47. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 以前は運転車掌とかあるいは客扱い専務というような正式な呼称を用いておりましたが、最近は全部、車掌一本でございまして、全部、車掌ということで統一をいたしております。
  48. 大和与一

    大和与一君 そうしますと、後部車掌が——大体腕章はただ車掌で、それで、乗客専務というのと腕章が違うというのがずいぶんありますよ。これはどうなんですか。中身は同じ、腕章だけ違うというんですか。
  49. 山田明吉

    説明員山田明吉君) この場合には二人とも客専の腕章をつけておりまして、それから最近はいろいろ違った腕章はつけていないはずでございます。
  50. 大和与一

    大和与一君 その場合でも、かりに乗客専務という腕章が二人おっても、列車の最後部の防護ですね、これは絶対に注意せねばいかぬことだ。だから、二人乗っても三人乗ったとしても一人は絶対おらなければいかぬ、何が起こるかわからぬから。それを全然せんで、ただ乗客専務だけ二人おって、それでどんどんどんどん検札をして、運転のほうには全然気を回していない。こういう形になると、どうも私非常に車掌の任務として抜けていると思う。もう一つ、逆に言うと、いわゆる運転車掌ということばはないにしても、定位置は最後部の車掌室ですから、そこにおって、それがいつからそんな切符を売ったりするようになったのか。昔はなかった、そんなものは。そうすると、やはり運転のほうが非常に大事だから、安全のために定位置をあまり動かない、こういう形が私は普通だと思うんですけれども、それはいまでは、何ですか、そういうあとのことは全然関係なくて、車掌はもうお客さんの検札とかそんなことばかりをサービスさえすればいい、こういうふうに規定がはっきりなっているのですか。
  51. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 規定上は、昔と違いまして、車掌は最後部に必ずいなければならぬということにはなっておりません。それから、そうかといって、それじゃ運転上全然関係がないかとおっしゃいますと、これは規定上は、列車従事員は一致協力して安全の確保につとめなければならない——抽象的ではございますけれども、規定上はそういう明文がございます。ですから、運転の安全の確保につきましては、機関士もこれは当然でございますし、車掌につきましても、たとえば検札中でありましても、今度のようにとまってしかも後退をしたというような異常な状態については、やはり注意の義務があるわけでございます。
  52. 大和与一

    大和与一君 昔の石炭をたいた機関車だったら、これは坂へ行って登ったりおりたり、よくしたものですが、いまは電気機関車だからそんなことないわけです。そうなると、たとえ作業中であっても、汽車が一たんとまってあるいは下がったりするということは、非常に運転的には大事なことだと思うんですが、それに対してすぐひとつコックを引くとかなんとかしなかったということは、私は車掌として相当運転上のやっぱり警戒心といいますか、注意力が足りなかったというふうに感ずるわけですが、どうでしょうか。
  53. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 仰せのとおりでございまして、通常の場合ですと、必ずしも最後部にいなくても、途中でたとえば非常停車をしたとか、あるいは今度のように後退をした、しかも相当長時間——推定で八分間も後退をしたわけでございますから、その異常なことに当然気がついて、まあ窓から首を出してみるとか、あるいは車掌室には機関士と連絡する設備もございますし、非常ブザーもございますし、何らかの対応措置がとれたであろうと思われるわけでございますが、残念ながらそれをしておらなかったのが、まことに申しわけないことでございますが、事実はそのような状況でございます。
  54. 大和与一

    大和与一君 ちょっと前のことを思い出すわけですが、この前やっぱり事故があったときに、車掌が非常ひもを引いた、引いたらひもが切れた、そこで話が打ち切られておったですね。ところが、そんなものは、ひもが切れても、ちょっと飛びつけば、幾らでも金具を引っぱればとまりますよ。ちょっと思い出したのですが、そういうときにはそういう程度に新聞なり報道がなされたように思いますが、それは一体どういうふうに処置をされているのですか。ひもが切れてしようがなくて、そして最善を尽くした、こういうふうになっているのか、いやそれはもうちょっと手を伸ばしたりぶら下がれば、金具を引っぱればそれで事故がなかったはずです。そういう点どういうことになっておりますか。これはちょっと前の話ですがね。
  55. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 私ちょっと記憶がございませんが、担当者に確かめましたが、そのひもが切れたというのは国鉄にはございませんで、私鉄にはあったそうでございますが、いまの御注意は、ひもが切れる場合もあるかもわかりませんので、さっそく点検はいたしますし、それからそういうような非常事態には、車掌はもちろんきめられたとおりの作業につかなければならないわけでございますが、今度の事故を契機として、注意義務は当然申すまでもないわけでございますが、列車の停止装置を早急にとれというような注意を特にいたしてございます。
  56. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 乗車効率というのは一二〇%程度だったということですね。  それで、十三両編成とすると、乗った機関車を入れれば、長さは、この機関車からうしろまでは約二百八十メートルぐらいになるわけですね。で、その二百八十メートルの長さに乗っているのは機関士と車掌が二人という、まあそのほかにも郵便車や何やら乗務員は乗っていたと思うんですけれども、要するに責任ある立場で乗っているのは、機関士のほかには車掌が二人ということになるんですが、この機関士と車掌との間の電話連絡の方法は、これはできるようになっておったのかどうか。それは、その電話連絡をするといったって、各車両に電話連絡はできないと思うんですが、電話連絡のできる個所があったとすれば、何号車と何号車にその設備があったのか。その点はどうなっていたか、ちょっとお聞かせを願いたいと思うんです。
  57. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 車掌室のございますのは十一両目と五両目でございます。  それから、いずれも、電気機関車機関士には電話連絡ができる設備が、この列車には取りつけてございました。
  58. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、四両目にいた車掌は、五両目の車に戻れば機関士と電話連絡はできるようになっておったのですね。
  59. 山田明吉

    説明員山田明吉君) さようでございます。
  60. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 その事故の直後、電話でもって機関士と車掌と連絡をとったといったようなことはなかったのかどうか。その直後における車掌と機関士との連絡状況、あるいはその連絡をしたあとの手配といったようなことはどういうふうになされていたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  61. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 事故の直後に車掌と機関士との連絡の事実はないようでございます。
  62. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 車掌についても、いま一わたり言われたことは、気がつかなかったということなんですけれども、目がさめておって、列車が、前へ進んでいた列車がとまってうしろにバックしたことに気がつかないということは、どう考えても、わからぬわけです。ちょっとあり得ないことのような気がするんですね、初めて汽車に乗った人間ではないんだから。  それからもう一つの問題は、この列車は上野発二十三時五十四分ですね。それで、宇都宮発が二時一分、それから西那須野が二時四十五分で、西那須野に着く前の時間だから、上野を出てから二時間半以上現場ではかかっているわけですね。そうすると、お客はもう寝てしまっている時間じゃないか。こんな時間に検札をするということは、これは一人一人、お客を起こさなければならぬことになるでしょう。まああまりこれも、深夜にお客を起こして検札をする、夜中の二時半ころですね、これは常識的に考えると、だいぶ不親切な話なんですけれども、たとえ二時半だろうと三時だろうと、一応検札のためにはお客をたたき起こしても——たたき起こすと言うと言い過ぎかもしらぬが、たたき起こしても検札を済ませなければならないように指導をしているのかどうか。その点は一体どういうことになっているのか。
  63. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 当日は、先ほど申しましたように、ふだんならすいている列車が一二〇%というふうに非常に込んでおりまして、現に急行券を持ってないで乗られたお客で、大体両方の車掌で合わせまして三百五十枚の急行券を車内で発売しているような状況でございます。それから、特にこの列車は、片一方は仙台行でございます。片一方は会津若松行でございまして、普通でもいわゆる誤乗車の非常に多い列車でございますので、そういうお客さまに対する案内も兼ねまして、相当おそくまで検札をしたと考えられます。  それから、一般的に、夜の夜中までお客さんを、眠っておられるお客さんを起こしてまで検札するようにというような指導はいたしておりませんが、これは個々のケースによって相当長くかかる場合もたまにはあるかと思います。
  64. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それは個々のケースでいろいろあるだろうけれども、西那須野には二時四十五分に着くのですが、こんな時間帯になってもお客を起こして検札をやるということは、客扱いの問題としてはあまり適切だとは思われません。それをやっておったということなんですが、それをやっておったとすれば、なおさら、汽車がとまったり、バックしたりしたのに気がつかないという法はないと思う、どう考えても。だから、その辺ほんとうのことが一体どうなっておるのか。つまり常識的には、この点は理解しがたいところがあります。だから、もう一度こういう点は詳しく調べてもらいたいと思うのです。もし事実とすれば、二時半だとか三時だとかいう時間は普通の人間なら寝ている時間です、中には眠らない人だっているかもしれませんけれども、こういう時間にお客を起こして、起こされた人間は腹を立てますよ、こんな時間に起こされれば。そういうことはやるべきじゃなかろうという気もするのですね。  それからいま一つの問題は、一人乗務の問題なんですけれども、この機関士乗務したのは宇都宮からだそうですけれども、二時一分発になっております。深夜の時間帯に一人で乗務をするというようなことは、これはたまたま酔っぱらい運転であったけれども、酔っぱらい運転でなくとも居眠りをするということもあるかもしれないし、あるいはまた、病気でもってぐあいが悪くなるということもあり得るわけです。かりに一人で乗務しておってぐあいが悪くなった、どうしたらいいかというわけですね、急行列車で。車掌のほうは検札にいっておれば連絡がとれない、事実。そういうことを考えてみると、非常にこれは危険な運行をやっておるということにもなるわけですね。深夜の一人乗務というのは、はたして妥当だと思えるのかどうか。これは運転の安全という面でいろいろ問題がありはしないかという気がするのですが、その点はどうですか。
  65. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いまの一人乗務の問題は非常に大きな問題で、昨年も、組合としては違法なストまでかけまして、いま一応落着している問題でございます。それで一人になって万一の場合にどうかというお話でございますが、一人乗務に踏み切った際には、それに対する一応考えられる防護措置はとったわけでございます。たとえばATSを完備するとか、あるいはワンタッチといいまして、スイッチを押せば汽笛が鳴って、そして非常制動がかかるというような装置も取りつけました。ただ、これは率直に申しまして、こういうようにうしろへ下がるというようなことまでの配慮がいささか欠けていたわけでございますので、その当時から私どもとしては考えておりましたいわゆるエマージェンシー・ブレーキ、これはある一定の時間その機関士が何にも動作をしなかった場合には自然に列車に非常制動がかかる、いわゆるEB装置と申しておりますが、これは四十五年、昨年から実際に手をつけまして、現在試行中の段階でございましたが、これを、先ごろ運輸大臣からの御指示もございまして、早急に主要幹線の全機関車に取りつける手配をいまやっております。これができますと、例外中の例外でありますうしろへ下がるというようなときにも、そういう事故の防止にはなると思います。そういうことでいま考えております。
  66. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 EB装置を考えているということなんだけれども、現実には、ここしばらくというものはそういう装置もできないまんま深夜に一人で乗務をした列車が運行するという状態は続くことになるわけでしょう。考えてみればずいぶん危険なわけです。特に酔っぱらい運転の問題なんですけれども、別に総裁が訓示しなくとも酔っぱらい運転はよくないということは知っていると思うのですよ、みんな。おそらくタブーになっていると思うのです、酔っぱらい運転なんというのは。そのタブーを破るということは、これは一人乗務、特に深夜の一人乗務の場合にこれはやろうと思えばやれる可能性はある、昼間じゃちょっとぐあいが悪いと思う。全く人の目を意識しないでいい真夜中に酔っぱらい運転をやるという危険性は、これはまるっきりないとは言えないと思うのですね。何万人の乗務員ですから、かりにキリストや釈迦が総裁になってみたところで、乗務員全部を酒ぎらいにするというわけにはいかないと思うのです。そうすると、やはり一人乗務というところに相当問題があるのじゃないのか。EB装置ができるできないの問題ももちろんでしょうけれども、深夜の一人乗務というところにそういう誘惑も出てくるのじゃないでしょうか。この場合、そういう点を考えると、やはり深夜の一人乗務ということは再検討をする値打ちがあるのじゃないかという気がするのですがね。これは運輸大臣に率直にお伺いしたい。国鉄は一人乗務を推進してきた。しかし、この事件というものを考えてみると、真夜中の一人乗務ということは、はたして安全の面で妥当と思うかどうか、その点、大臣の所見を伺いたい。
  67. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 業務内容の問題でありますので、行政監督の立場にある私といたしましては、具体的な実情等をつまびらかにする機会を得ておりませんので、はたして常識的な点で判断すべきかどうか。ただ、ただいまお話があったように、酒だけじゃなく、病気の場合もあり得るということも事実でありますからして、ただ、必要なことは、EB装置をなるべく早くこれは完成をして、そうしてたとえこれは二人おってもそういう病気が発生したりあるいは他の事故があったりすれば困るわけでありますから、一面においてやはり自動装置をできるだけ至急に取りつける必要があろう。ただ、一人がいいか二人がいいかの問題は、ただいま申したように具体的な業務内容を承知しておる国鉄当局と組合との間で話し合っていくべきものと考えております。
  68. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 業務内容というむずかしい話じゃなくて、しろうとが考えてみても、真夜中に十三両も引っぱった汽車がたった一人の機関士によって運転をされる、しかもうしろのほうへ乗っている車掌は二人しかいない、その二人が検札をやって、特に込んでいる汽車の場合は機関士との連絡の設備のない車両を人をかきわけて検札をしなければならぬ、こんなときに何か事故があった場合には機関士と車掌との連絡もとれない、またかりに連絡が、正常な場合はともかくとして、衝突脱線等によって連絡が途絶してしまったという場合には、もう長さが二百八十メートル、ざっと三百メートルある列車の前後の危険防止の措置というものは直ちにできるかどうか。特にそれが対向列車との二重衝突という危険をはらんだ場合には一体どうやって措置をすることができるかということを考えると、非常に危険だということはだれが考えてもわかると思う。だれが考えてもわかることなんですから、これはやはりなるべく早くEB装置を取りつけるということであっては、現在の運行の危険というものはそのまま放任されることになる、しばらくの間。一体それでいいのかどうか。それは神頼み以外にないということであってはまことに心細いと思うけれども、それはどうなんですか。
  69. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 具体的には副総裁がお答えになると思いますが、ただ問題は、この問題に関連してそのような問題はやはり論外であろうと思います。何といっても飲酒をして、相当アルコールを含んで相当居眠りをした事実でありますからして、その問題に関連しての問題としては議論としても不適当ではなかろうか。国民から見ますれば、問題は、そのような士気の弛緩があるということが全体として非常に困る問題でありますからして、私としてはこの問題に関連してのその問題の論議は必ずしも決して国民から見て好ましいことに考えられない問題であろうと思います。
  70. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 士気の弛緩とか、あるいは酒を飲んだ個人の不心得に一切を帰してしまって、それほど危険な状態をそのまま見て見ないふりをするというのは、私はよくないと思う。これはたまたま機関車乗務員の酔っぱらい運転ですけれども、私はついこの間こういう経験をしました。トラックの運転手が無免許の酔っぱらい運転をやって、踏切の上でエンストを起こして、そこへ急行電車が衝突をして脱線をしたという事故が私の近所にあったのです。その自動車の運転手は、つかまれば当然これは相当重い刑に処せられるということをおそれて逃げてしまった。全国に指名手配になってそのままつかまらない。そのときの状況は、列車が脱線をして下り線にのしかかるようなかっこうになった。たまたまわずか前後して急行列車が通過をしたということで事故になりませんでしたけれども、あれだってまかり間違えばたいへんな事故になる可能性を秘めていた。こういう事故の危険というものが日常いつだってあるわけです。いつでもあるなら、ましてや深夜の一人乗務といったようなことは、そういう危険に常にさらされているということなんですからね。しかたがないでもって、その士気の弛緩に一切を、すべてを帰してしまうということは、安全のほうはそうするとなるべく起きないように祈っているというだけになってしまう。これは私は適切じゃないと思う。安全運転という点をもう少し真剣に考える必要があるんじゃないか。それで、しからば今度大臣の言うように、これは士気の弛緩という一言で片づけるならば、それ以外の酒飲みでなくても起こり得る事故に対する防護対策というものは今日完全であるというふうに考えておられるのかどうか、その安全対策は一体どのようにやろう、あるいはしなければならないというようにお考えになっておるのか、その点もお伺いしたいと思う。
  71. 山田明吉

    説明員山田明吉君) この安全の問題は、申し上げるまでもなく、われわれも昔から一番大切な問題として考えておりますし、それからいま御指摘のございました一人乗務に関係した問題につきましても、EL・DL委員会という各方面の権威者を集めていろいろ討議をいたしました結果、ただいまのようないろいろの設備をいたしておるわけでございます。この内容は先生御承知だろうと思いますので、くどくは申しませんが、たとえば車掌と機関士との間の無線、これは両方とも正常な状態で生きているときに使えるわけでございますが、そのほか機関士が、先ほど申しましたようにワンタッチでボタンを押すだけで列車の停止手配が自動的に行なわれるというような装置、それからATSは、当然これは眠っていようが何だろうが、ATSを踏めば列車がとまってしまうという装置、これも現在主要幹線にはほとんど行き渡っているわけでございますし、それからEB装置、これはその上さらにそれにカバーした装置でございまして、これらを考えて安全には万全を期しているわけでございますけれども、私ども部内的に言っておりますのは、これらの装置は無人運転が目的ではない、この装置を使うのは、あるいはその前提となるのはやはり人間である、そういう意味でこの事故を契機といたしまして、先ほど御指摘がありました士気の弛緩というような面からも、あるいは平生の心がまえ、事故時における応用動作等についての基本的な訓練、これらについて、この事故を契機といたしまして部内的にさらに深く掘り下げて対処していくつもりでおります。
  72. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 参考までにお伺いしますけれども、この機関士あるいは車掌の組合、労働組合の所属はどうなっておったか、それをお伺いしたい。
  73. 山田明吉

    説明員山田明吉君) この機関士は動労所属でございます。それから車掌は鉄労所属でございます。それからいままで表に出てまいりません一人、乗客掛というのが旅客列車に乗っておりまして、これは寝台の作業をいたしております。これは国労でございます。
  74. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まだいろいろ聞いてみたい問題はありますけれども、結論的に言うと、安全の面で非常に問題があるということははっきりしたわけです。このEB装置というものは取りつけるという話でありますけれども、これは実際問題としてついてない。それから深夜の一人乗務という状態は、依然としてこれは続けられるということ。それから夜中の二時であろうと三時であろうと、増収のためには客を起こしても検札をやって金勘定をしなければならぬという問題。こういう問題はそのまんま残っておるわけです。そこで、こういう問題の原因とか背景というのをもう少し考えてみる必要があるのじゃないか。士気の弛緩だというふうに片づけてしまってそれでいいかどうか。  最近、私は自分で経験したことなんですけれども、たとえば新潟地方でふぶきがあった。そのために上りの急行がおくれます。そのおくれた急行が上野の駅へ着いて通勤電車になって折り返していく。ところが、新潟地方のふぶきのために四十分おくれますといったようなことが放送される。そうすると、上野から高崎線に、あるいは東北線に乗るお客がそのまま待たされるわけです、上野の駅であるいは赤羽で、大宮で。こういう状態を平気で続けているわけです。二、三回経験したわけです。しかたがないから寒空の中でぶつぶつ言いながらお客は待っている。三十分も四十分もおくれると次の電車のお客と一緒になるから、今度は折り返しで出ていくときは超満員になるわけです。もう旅客サービスという点からいうと、もう下の下ですね、これは。こういうことがわかっておりながら近距離の電車を運行しない、見て見ないふりをしているというところに問題がありはしないかという気がするんですがね。そういう点はどうですか。
  75. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 通勤輸送の問題かとも思いますが、まあ結論的に申しまして、現在ある車両をフルに運用いたしまして、それから現在ございます線路の線路容量をフルに運用して、まあいまのような、ときどき列車がおくれ、あるいは増発もできないというような状況が現在の姿でございますが、これは国鉄財政が非常に苦しいおりではございますが、通勤輸送については決してなおざりにいたしておりません。引き続き今後もやってまいるつもりでございますし、その間、何といいましても通勤距離が長くなりまして、その乗客数も毎年ふえております。いままで正直言いましてそれを追っかけている状況でございます。御指摘のような事態ができるだけ早く解消できるように、われわれもこれから努力してまいりたいと考えております。
  76. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 できるだけのことをやっているということであれば、まあしかたがないということになるかもしれません。しかし、私はできるだけのことをやっていないと思うのです。このダイヤを調べてみると、急行列車が折り返しでもって普通の各駅停車になるというのがたくさんあります。しかも、その前後に短距離の区間電車を入れれば——ダイヤの面で入るようになっておっても入れてない。したがって、四十分以上待たされるといったようなことは高崎線の場合でも東北線の場合でもあるわけです、具体的に。それが冬になって、雪が降ってダイヤが混乱をする場合には、もろにかぶるようになっているんです、これは。軍艦なんかの場合には、一発や二発砲弾食らっても沈まないようになっている。ところが、国鉄の場合は、新潟で雪が降れば群馬も埼玉も東京ももろにこのとばっちりを食って足をさらわれるというしかけになっている。これはもうダイヤを検討すればすぐわかることです。それで、赤字だからしようがないと言っているけれども、現場にはどんな掲示がしてあるかというと、この間、私は駅で見ましたら、旅客収入の伸び率のベストテンというのが飾ってあって、一番が高崎管理局であると、旅客では。それから貨物の収入の面では五番目になっている。そういうことを自慢をして書いてあるわけですね。で、旅客収入の伸びというものをトップだといって自慢をしている。しかも、営業係数も黒字だというのに実際のサービス面はどうかというと、もう新潟でふぶきがあれば全部がたがたになるように、あるいは東北線で踏切事故があれば、これはもう東北線、高崎線、両方がたがたになるようなダイヤを組んでおって、近距離輸送なんということは全然念頭に置いていない。これは言うならば国鉄当局が利用者に対してあたたかい配慮を考えていないということになる。そうすると、そういう考え方がある以上、現場の人間は、利用者に対してサービスをするというようなことは、これは真剣に考える必要がないということをダイヤの面で示しているのだから、それがみんな影響してくるんじゃないか、現場職員にも。ということを心配しないわけにいきませんよ。そういうことがいろいろと積み重なってくると、あらゆる面で私は悪い影響が出てくると思う。だから、心がまえというのは、単に乗務員一人一人の心がまえの問題じゃないと思うのです。幹部自身が本気になって利用者のことを考えるかどうかということにかかってくると思うのです。こういう事故が起きると、表向きだけは幹部が責任をとるようなかっこうをして、おじぎをして済ましてしまうということはよくないと思う。やっぱりこういう事故が起きた背景というものを考えて、やはり幹部自身がもう少しあたたかい配慮を利用者に対して注ぐという気持ちがあってしかるべきじゃないかと思うんでありますが、その点はどうでしょうか。
  77. 山田明吉

    説明員山田明吉君) さきに私が申しました今度の事故の直接の原因、それからその事故を起こした誘因になりました遠因、それらについて反省をいたしたわけでございますが、いま御指摘になりました通勤輸送一つの例で申されましたが、長距離列車用の車を使って一われわれチョンコーと申しておりますが、本来ならば長距離の車はもうそれに専属きせる、それから通勤用の車はそれに専属させるという姿が望ましいわけでございますが、何ぶん車が足りませんので、それを組み合わせて最大限に活用しているというのが現在の姿でございます。それでもって利用客を全然無視していると御判断いただくのは、ちょっとわれわれにとっては酷過ぎるような感じがいたしますが、御指摘のような、利用者をまず第一に考えるということは、これは単に管理者だけでなくて現場従事員もそのつもりでやっていることでございます。われわれの力の及ばない点はまだたくさんあることを承知いたしておりますが、それらについては今後さらに努力をいたすという覚悟でございます。
  78. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もう一つ、では申し上げたいと思うんですが、私は鉄道管理局関係の人とちょくちょく列車の中で一緒になるんですが、こういうことをこの間言われました。赤字だ赤字だと言っておるけれども、一日に四億何千万の利息を払って、それで現場に対してはトイレットペーパー節約しろとか、消しゴム節約しろとか、電気のたまを節約しろと、そういうことをしきりに言ってくる。で、そういうことを現場にやらせておきながら、一方、山手線を山の手線に変えるんだというようなことで百万円の金を惜しげもなく使う。まあ管理局ないし本社でやっている仕事というのは、ピンセットでつまんでダンプで捨てるようなことをやっていると、こういう話を聞きました。これは管理局に勤務している人間が言っている。ということは、その管理局の非現業の中の人すら当局がやっていることについて割り切れない気持ちを持っているんじゃないかと思う。そういう、つまりピンセットではさんでダンプで捨てるという、いわば自嘲的な言い方ですよ。こういう言い方が内部でもって伝わっているということは、これは士気を高揚することにはならぬと思う。要するにやる気をなくさしてしまうんじゃないか。そういうようなことで財政再建の計画というものがうまくいくかどうかという心配もあると思う。だから、そんな気持ちを一般の職員に持たせることに問題がありゃしないかと思うんです。つまり、張り合いをなくさせるということですね、仕事に対する。幾らつとめてもつとめても、これではどうもやったかいがないという気持ちを持たせないようにするためには、一体どのようにしたらよろしいとお考えになっているのか、その点を最後に一つお聞きしまして、きょうのところは私の質問を終わりたいと思います。
  79. 山田明吉

    説明員山田明吉君) まことに適切な御意見でございますが、私ども率直に言いまして、国鉄がことに四十六年の見通しで償却前の赤字になるというような窮境に追い込まれましたこと、これは上は総裁から下は従事員の端末まで非常に残念に思っております。その気持ちは、これは四十六万人の職員だれ一人として持っていないとは申されないと思います。それにつきまして、四十六年度予算でも、先ほど運輸大臣お話しになりましたように、政府にも相当な将来希望の持てる手も打っていただきましたし、それから独占的な地位がなくなった国鉄の経営、これを今後どうしていくかというような問題で、大きくは新幹線網のこれからの整備の問題もございますし、それから、あるいは現在線の近代化の問題もございますし、そういう、これはまあ形の上であらわれる問題でございますが、そのほかに、今度の事故で各新聞の社説にも取り上げられておりますように、いわゆる士気の弛緩というような精神的な面、これは私どもいままでもその点では努力をいたしておりましたけれども、やはり国民の期待に沿う国鉄でなければいけない、その国鉄運営する優秀な国鉄マンでなければならないというような、精神面の点についても士気の弛緩あるいは今後どうなるのだというような危惧をなくするというような方向でぜひ努力してまいりたいと思っておりますし、先ほどの先生のおことば、私僭越でございますけれども、われわれに対する激励のおことばとして伺ったわけでございます。
  80. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間も限られておりますし、きょうは基本的な問題を大臣に伺いたいと思います。  それで、最初に空港整備の問題について、新空港の建設と、あるいは那覇港の問題等についていろいろお伺いしたいと思います。特に大臣の所信表明の中にもありますように、昭和四十六年度を初年度とする総事業費五千六百億円にのぼる新空港整備五カ年計画を発足させることで、このため所要の財源の充実強化措置を講ずると、こう述べられておりますけれども、具体的に新空港整備五カ年計画というのはどういうような計画になっているか、これを御説明願いたいと思います。
  81. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 四十六年度の予算を決算するに際しまして、運輸省として大きな仕事一つは、港湾の新五カ年計画と、第二次空港整備五カ年計画二つが大きな一つの柱になっております。ただいま御質問の、いわゆる第二次空港整備五カ年計画ですが、ただいまお話がありましたように、総額では、総投資総額が五千六百億円であります。その中で、新国際空港に——もちろんこれは成田空港を含めまして、それから関西空港等が入りますが、二千八百五十億円、それから一般空港は千八百五十億円、それから航空路施設が二百五十億円、地方の単独事業等が百五十億円、予備費五百億円でございます。大ざっぱな内容でありまするが、分けて考えております。要するに、第二次空港整備五カ年計画を樹立いたしましたのは、これから策定されまする総合交通体系の中で出おくれになっておりまする空港整備に対して積極的な措置をとる必要があろう、こういうことからして、第一次五カ年計画と比較いたしまして、大体倍に近い予算規模を持つ——これでももちろん十分とは考えませんけれども、財源等の関係から一応この程度に最終決定を見たわけでありまして、これによって、少なくとも立ちおくれておるところの空港整備はある程度前進することが可能であろうと、かように考えております。
  82. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この財源が利用者の負担という形で盛り込まれていると思うのです。そうしますと、大臣の考えでは——この財源を特に航空運賃の値上げ、こういう問題がこの五年間の中に出てくるのじゃないかと私は考えるわけでありますが、この問題についてはどうですか。
  83. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話のように、この財源の問題が大きな問題であります。一つは、いまお話のありましたような航空料金の問題ももちろん将来入ってまいります。同時に、新しいいわゆる航行援助施設利用料といいますか、そういうような形での別途の収入源を考えたいと思っております。同時にまた、これらの財源には、将来への見返りとしまして借り入れ金等も考えておるわけであります。そこで、この航空料金の値上げを考えておるであろうというお話でありますが、航空料金の値上げもこの中では私たちは考えております。一つは、御承知のように、いわゆる空港整備につきましては、国の一般会計からもかなり繰り入れてあることは御承知のとおりであります。これを比較することはどうかと思いますけれども、国鉄などは、従来ステーションをつくるにしましても軌道をつくるにしましても、ほとんどが自己財源でこれをまかなってきている。すなわち、利用者から、鉄道料金の中からこれをまかなってきておるのが原則であります。港湾と空港につきましてはかなり一般会計から金が入っておる。これは空港の場合におきましては、世界の空港情勢等を考え、急激な利用者の増から考えて、ただちに利用者からこれを取り上げて、それによってこれを整備することは困難である。したがって、従来は一般会計からかなりの金を入れてそうしてやってまいった。しかしながら、少なくとも利用者がある程度の負担をするということは、私はやっぱり原則でなければならぬ。国鉄はほとんどが利用者によってこれがまかなわれておる。こういう状況から見ましても、全部をいま急に持てというわけにはまいりませんから、その一部分を利用者が持つということ、これは負担の公平という点から見ても当然な措置である。これが一つであります。と同時に、いわゆる料金は、飛行機と鉄道とが料金の安い面で競争するというがごときは、これは決して好ましくない。したがって、やはりそれぞれの使命がありますから、それぞれの使命に従って、しかも、いま申しましたようなことを前提の中に考えてやはり航空料金が設定されても、私は決して消費者に対して迷惑をかけるということにもならないのではないだろうか、かように考えるわけであります。したがって、お話のように、将来適当な時期に航空料金をもってこれに充てる場合もあり得ると思いまするし、できるだけは航空会社——まあ設備使用料というものは航空会社が負担することですが、それがために安全対策といいますか、航空会社が持つべき技術の向上及び安全対策、装備の安全性、こういうものが欠かれるようなことがあっては、これはたいへんな問題であります。したがって、それをカバーするための適正料金というものが、将来改正の必要があれば認めざるを得ない、かように考えております。
  84. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、具体的に、この五年間の空港整備五カ年計画の中に航空運賃の値上げは一回ないし二回認める、こういう考え方と受け取ってよろしいですか。——しかし、まあ利用者、それ以外の新空港の建設と、こういう問題は、いろいろ微妙にからんでくる問題が私は今後出てくると思うのです。これはあとでいろいろお聞きしたいと思っておりますが、こういう問題で、航空運賃の値上げをもって空港整備五カ年計画を全部が全部じゃないでしょうけれども推進しようという考え方には、私たちは賛成できない。こういう問題が、いろいろ航空会社の利益の問題あるいは空港や港湾という公共施設の問題、こういう点を考えていきますと、まあ運輸省がいま考えているのは、大幅な航空運賃の値上げと、こういうふうに言われているわけでありますけれども、この点についてもう一度お聞きしたい。
  85. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 先ほど大臣から御説明申し上げましたように、今度の新しい五カ年計画、これは五千六百億という額でございまして、維持費を含めますと約六千億になってまいります。現在あります五カ年計画が千百五十億でございます。それに比べまして——現在の五カ年計画と申しますのは、昭和四十二年から五カ年間、四十六年度までのものでございますが、これは千百五十億円でございますが、四十五年度までに大体五五%程度の進捗率しか持っておりません。そういう状況でございます。これはなぜかと申しますと、やはり従来の財源は一般会計がほとんどでございます。したがいまして、一般会計にたよっている限りそう大幅な飛躍的な増強というものは考えられないというふうに私自身も考えております。  そこで、その五千六百億というのは、増大する需要をまかないますためには航空機材を大型化していかなければなりませんし、また、ふくそうしてまいります航空需要をさばくためには航空保安施設——あるいは無線施設、航空管制施設、こういったような航空保安施設も増強いたしまして、安全かつ円滑的に飛行機を飛ばせてまいる。そういうことを考えますと、どうしても五千六百億程度、維持費を含めますと六千億というものが要るわけでございますけれども、その額というのは、従来の方法ではまかなえない。そういたしますと、ここでどうしても従来の一般会計にたよるという方法のみをもってまいりますと、しょせんこの計画をつくりましても、絵にかいたもちに終わらざるを得ないというのが現実の姿ではないかと思います。したがいまして、この計画というものをほんとうに実らせる、現実性のある計画にするためには、やはり財源というものを確保する必要があるのじゃないかということでございます。その財源を確保するためには、いま大臣から御説明申しましたとおり、やはり受益者負担というふうな原則を導入いたしまして、そこでこのことを考えてまいりませんと、この財源確保は不可能である。ちなみに、受益者負担制度ということは、国内においてもいろいろいわれておりますが、国際的にもこういう方向は航空について打ち出されておりまして、ヨーロッパのほうにおきましても、ユーロ・コントロールというふうなものがございまして、ここで、こういった航行援助施設に対する費用というものを航空料金から取るというふうなことを考えております。また、米国におきましても、旅客税とかあるいは出国税とか、そういったような利用者の負担によって航空保安施設なりあるいは空港の整備をはかるというふうなことを現実にやっております。そういったようなことがいわば世界的な情勢でもございます。そこで、こういった情勢を受けまして、航空会社の国際航空運送協会——IATAというのがございますが、そこでも航空運賃の一%値上げということを決議いたしまして、この十一月からそれを実行したいというふうに申しております。これは国際線の外国の航空会社の全部でございます。そういったことによって、いわゆる受益者負担というものをはかってまいりたいというふうな方向でございます。したがいまして、私どもといたしましては、こういうふうな一つ考え方というものを、流れ方というものを受けまして、わが国としても、そういうふうな方向で今後の航空保安施設整備をはかってまいりたいというふうに考えておるわけであります。  そこで運賃転嫁の問題でございますけれども、このように相当多額の金を必要とするならば、それは当然旅客の負担というものに転嫁せざるを得ないというふうに私は考えております。ただ、これは、先ほど大臣からも御説明申しましたように、物価の抑制というふうな一つの大きな問題がございます。したがいまして、航空会社におきましてその収益のうちに吸収できる範囲は極力これを吸収する。しかし、どうしても吸収できなくなった場合には運賃に転嫁することもやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  86. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 こまかに聞くのは、時間が限られておりますので今後の問題にしますが、この中で特に新空港——成田と新関西空港ですか、この問題が取り上げられると思うのです。それからもう一つは、一般空港の建設に一千八百五十億円、これが計上、計画されておるわけでございますが、一般空港の新しい空港としてどこが予定されておりますか。
  87. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 現在五カ年計画はまだその細目がきまっておりません。大体のワクでございます。ただ、来年度予算に計上されております新規の空港といたしましては、佐賀とそれから対馬がございます。その他のものにつきましては、今後五カ年計画を詰めてまいりました段階におきまして、なおさらに若干の新規のものが入ってくるかと存じます。
  88. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、関西新空港のほうからちょっとお聞きしておきたいのですが、大臣の所信表明の中にも五十年度を限度として新国際空港を完成すると、こういうスケジュールになっているわけでありますが、関西新空港についていま泉南方面では、私たちも非常に反対の陳情を受けております。こういう問題とからみ合わして、現地にとっては非常に大きな問題じゃないかと思いますが、この関西新空港の建設はいつごろまでに、あるいはどういうような方向で進めていくのか、この点についてお伺いしたい。
  89. 内村信行

    政府委員(内村信行君) お尋ねの関西新空港でございますが、この必要性につきましてはいまさら御説明しませんでもおそらくおわかり願えるんじゃないかと思います。ただ、その場所の選定の問題でございますけれども、何ぶん飛行機と申しますと音を出すものでございますから、飛行場の付近の方々は騒音という問題が非常にございまして、そのために非常にこれは反対であるというふうなことが多うございます。で、いま先生指摘になりましたように、私ども、関西新空港につきましては、大阪湾近辺におきまして一あるいは陸地になりますか、あるいは埋め立て地になりますか、これはまだ明確にきまっておりませんが、大阪近辺におきましてつくらざるを得ないと思っておりますが、そういった関係で大阪湾の中でもいろいろな反対の声もあるようでございます。そこで私どもといたしましては、飛行場のできることはいいけれども、音がするのがいやであるというふうなことが非常に強うございますので、なるべく音が人家のほうに伝わらないような、そういった滑走路の方向なり何なりというふうなものを考えまして、飛行場の規模、位置、滑走路の方向というふうなものを考えまして、それから管制区域との関連、その他地質、そういった面から適地というものをいま選定している段階でございます。したがいまして、現実にまだどこそこというふうにきまっておりません。しかし、一方におきまして、関西新空港を早くつくっていかねばならないという現実の要請も強いようでございますので、少なくとも四十六年中には場所をきめたいというふうに考えております。
  90. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、その佐賀と対馬新空港は別でありますけれども、私がちょっといろいろ聞いた話によりますと、東北ですね、秋田の方面に、八郎潟に新空港をつくると、これは五カ年計画の中に入れる、また、防衛庁筋では四次防の中にこの新空港を入れるのかどうするのか、私にはまだ見当がつかないわけでありますけれども、秋田に新空港を建設するという考え方運輸省は持っておりますか。
  91. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 秋田空港につきまして、八郎潟につきましては、秋田県からいまだそういった要望は、私どもは具体的に聞いておりません。しかし、かりにそういうふうな要望が現地からあるといたしますならば、現在、秋田県としては秋田空港がございますから、秋田空港との関連におきまして慎重に検討してまいりたいというふうに思います。
  92. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 運輸省が全然聞いていないというのは、私はふしぎに思うのですけれども、これは運輸省計画課長が入って県の空港問題懇談会でいろいろ論議をされているというふうに私は聞いているわけなんです。だから、全然運輸省がタッチしていないとは私は言えないと思う、この問題については。新聞紙上によると、現地ではジェット機の配備の問題とか、いろいろ話題が出ている。こういう問題に対して、この五カ年計画の中に秋田空港は建設の中に入れないと、こう受け取ってよろしいですか。
  93. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 私、課の段階で聞いているかどうかつまびらかでございませんので、先ほどそういうふうにお答え申し上げましたけれども、少なくとも私のところにそういうふうな意向は表明されていないというわけでございます。  そこで、今後五カ年計画の中に入れるか入れないかという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、秋田空港との関連がどうであるか、それを今後も維持するのか、やめるのかという問題もございますので、そういった点からなお慎重に検討いたしました上で、五カ年計画に入れるか、入れないかを決定したいというふうに考えております。
  94. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、この千八百億の一般空港の中に秋田空港の予算は入っていないと、こう考えてよろしいですね。
  95. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 先ほど申し上げました千八百五十億とか、あるいは二千八百五十億、予備費五百億、こういうふうなものはまだ大まかにつかまえたものでございまして、一々個別に積み上げたものではございません。したがいまして、今後さらに具体的に詰めまして、どういう空港を五カ年間にやっていくということを詰めてまいるわけでございますけれども、したがいまして、この中に、現段階におきまして秋田空港が入っているとも、入っていないとも申し上げかねるのが現状でございます。
  96. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この問題、運輸大臣は防衛庁といろいろお話し合いをされておりませんか。運輸大臣のお考えをお聞きしたい。
  97. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいまの質問に対しては、防衛庁からはまだ一切聞いておりません。  ただ問題は、私、せんだって秋田港の開港式に行ったのですが、その際、飛行機で参ったのですが、現在の飛行場は、実際上の問題としてあれ以上に滑走路を延ばすことは困難なようであります。したがって、秋田県の中では、秋田県の一部の人は、やはり新しい飛行場を考えざるを得ないであろうというようなことは言われておりましたが、まだ具体的に県当局も、こういうところにつくりたいとか、こういうような意思表示は当時もありませんでしたし、また、防衛庁からもそのような話は聞いておりません。
  98. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それであれば、もう一歩私は別な問題を進めたいのですが、新空港を建設するとなると、いろいろ地元の問題、いろいろトラブルがありまして、なかなか建設できない。ところが、三沢基地等においても、六月から在日米軍撤退等に合わして民間使用できる基地が幾カ所か出てきているのじゃないかと思うのですね。厚木あるいは板付のほうはいろいろ計画が立てられているそうでありますけれども、この米軍の撤退に伴って、米軍の使用しておった空港をもっと積極的に運輸省が使用計画を立てて、積極的な交渉を進めてはどうか、私はこう思うわけでありますけれども、その問題については運輸大臣どうお考えですか。
  99. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御意見のように、在日米軍の国内の基地返還が今後だんだん進められてまいると思います。ことにこの六月にはまず第一次の相当思い切った縮小が行なわれるようであります。将来ともにもちろんこれらの問題はだんだんと広がってまいることと思います。したがって、航空需要が非常に増大しておる今日でありますから、運輸省といたしましては適当なる飛行場は運輸省で使いたい、この方針は堅持いたしております。  最近問題になっておりまする厚木と板付の返還でありますが、板付は、御承知のように形式上はアメリカの管制下にありますけれども、大部分は民間飛行場として使用しておるわけでありますが、厚木のほうは従来、臨時に万博等において使用したことがありますが、原則としては、これは使用ができなかったわけでありますが、六月の返還については、この問題は具体的な問題として、防衛庁との間にわれわれは話し合いを現在進めておる段階であります。わがほうとしましては、御承知のように成田空港が四十六年度中一部を供用できるとは思いますけれども、それにいたしましても、国内用の飛行場としては成田飛行場は原則として使えませんので、したがって、羽田だけでは必ずしも十分ではない、将来を考えるというと十分ではありませんので、厚木飛行場の大部分を民間飛行場に使いたい。ただ、いままでの交渉の段階では、なおかつ米軍の他の施設が残っておりますし、かつまた、防衛庁においてもぜひ使用したいという考え方がありますので、実際上は、これは共用という形になると考えておる次第でございます。
  100. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この厚木——まあ板付は従来も使っておりますけれども、厚木ですね、あるいは、きょうの新聞ですか、三沢の基地が冬季は県側でも使えるという、こういう何か意見が出ておるようでありますけれども、この厚木の具体的な使用計画、まあ予算には管制塔員等を配置されておりますけれども、具体的に厚木がどういうふうな役割りをし、どういう便数を乗り入れていくのか、その計画を成田の計画とも合わせて、おそらく昭和四十六年度からの使用計画がきまっているのじゃないかと思いますけれども、この問題についてちょっと。
  101. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 厚木の使い方でございますけれども、厚木につきましては、現在のところ、なお米軍がどの程度施設を使うかということがはっきりいたしておりません。それはまあいずれ明確になると思います。そこで、私どもといたしましては、少なくとも相当民間航空に使いたいというふうな意思は、先ほど大臣から申し上げましたとおり、持っております。そこで、その使い方でございますけれども、さしあたり、この前の夏でございますか、去年の夏、一時厚木を使いましたように、羽田空港も非常に手一ぱいでございますので、さしあたり、成田空港ができますと国際線が移転しますので、羽田があきますけれども、それまでの間はやはり厚木を使わざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。そこで、この四月ごろからは大体二十便かそこらのものが要るんではないか、さらに七月、八月ごろになりますと、大体五十便程度厚木を使わざるを得ないのではないかというふうな感じでございます。それから、成田ができました段階におきましては羽田がすきますので、当分の間、民間航空にはしいて厚木を使わないでも済むという段階が二、三年続くのではないかと思っております。しかし、それもいまの航空需要の増勢からいいますと、数年を出ずしてまた再び羽田が一ぱいになるであろうというような感じでございますので、昭和四十九年度、昭和五十年度になりますと再び厚木を使い始める、それでその後相当厚木を、おそらくフルに使わないと民間航空の需要がさばけないのではないかという感じでございますので、大体こういった方向で厚木を使用したいと思いまして、現在防衛庁のほうと相談をしておるという段階でございます。
  102. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、厚木も国内線で使用しますね、それから成田空港は国際空港オンリーだと、こういうように当初からの計画で進められたのですね。ところが最近は日航が乗り入れをするようになって——私は、これは当初からわかっておった計画じゃないかと思うのです、それを、計画を変更しなければならないとか、あるいは冬季オリンピックを——札幌オリンピックですね、あれはわざわざ成田空港におりて、それから新幹線ができるわけじゃない、それから羽田空港まで飛んできて、羽田空港からまた北海道へ行く、こういうようなことは私どもは考えられないと思うのですね、常識でいっても。そういう問題が、非常に計画がずさんじゃなかったか。日航が割り込んできて、いま空港公団が大あわてに工事をし直さなければならない、こういうような実態に対して、もっと国内線と国際線のやはり長期見通しに立ってこの計画を立てるべきじゃないか、こう思うのですがね。この成田空港の国内線の利用についてはどう考えますか。
  103. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 成田空港の国内線利用の問題でございますけれども、先生指摘のように、ずさんではなかったかと言われればずさんであったかもしらぬと思います。ただ、これは成田空港を全面的に国内線に使うという意味ではございませんで、あるいは関西あるいは北海道方面から国際線に乗る方、こういった方々の連絡便のために、一日に数便は関西から成田につけるとかあるいは北海道から成田につける、あるいはアプローチの関係等を勘案して羽田と成田を結ぶとか、そういうことが若干考えられるという意味において国内線においても使用を認めるという意味でございます。したがいまして、いま羽田におきまして国際線と国内線を一緒に使うというような意味におきまして国内線が使われるという性格ではない、全くないというふうなことでございます。
  104. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう時間もあまりないので大臣に伺いますが、沖繩の那覇空港の問題でありますが、その前に、この那覇空港に乗り入れている米国の航空会社四社、あるいは中華航空等が乗り入れをしているわけです。沖繩が返還後も、新聞によりますと、政府見解は、米航空四社の沖繩路線はそのまま認めると、このような方針がきまっているような新聞報道もされているのでありますけれども、この問題については大臣どうお考えですか。
  105. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御承知のように、現在は、これは形式上外国でありますから問題ではありませんが、いわゆる返還になりますというと、これは日本国土の一部でありますからして、わが国の関係各国との航空協定が適用されることになるわけであります。ただ、問題は、実際上の問題として、はたして沖繩のアメリカの基地が大部分撤去せられ、あるいは企業等も、アメリカの企業が縮小された場合に、はたしてこの沖繩に行くお客さんがあるだろうかどうだろうかという問題がありますので、この問題は、もちろん、もしアメリカの外国企業側がそれを希望する場合には、これは日本として国益に関する問題でありますから、日本の国益の上から考えてアンバランスにならぬように、これは外交交渉を通じて処置をしてまいりたいと思います。ただ、実際問題としては、いま申したように、はたして外国航空機がそこまで乗り入れなくちゃならぬかという問題はあるんじゃないか。ほんの一部分の人が行く場合に、わざわざ外国の飛行機が沖繩まで内地の地点から飛んでいく必要があるかどうかという実際上の問題は、これからもう少し具体的な事情を見ないと最終的な決定はできない。外交的に、理論的に、もちろんこれは日本の国益に関する問題でありますから、この国益上のバランスの上から見てそういうような話し合いがあった場合には、国益の立場からこれは交渉する、こういうたてまえをとろうと思っております。
  106. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、まあこれは政治的な外交ルートでいろいろ話をされると思うんですけれども、私は非常に奇妙に思うのは、七二年返還になって、こういう米国の航空会社がたとえ万が一許可して乗り入れるにしたって、いま大臣がおっしゃるように、便数が少なくなってくるとか乗客が少なくなってくる羽田空港を持っているわけですから、そうしますと、わざわざ——自衛隊が入る関係で私は那覇空港を拡大していくのだろうと思うんですけれども、七二年の返還までに航空事業として全部終了してしまうほどの急ピッチで、約二十億を投じて那覇空港の拡張というこの計画はどういう計画なんですか、これについてちょっとお伺いしたいと思います。
  107. 内村信行

    政府委員(内村信行君) まあ那覇空港に対する沖繩の問題は、これは所管としては総理府でございますので、こちらから御説明していいかどうかわかりませんけれども、私どもの考えている限り申し上げますと、沖繩は確かに、返ってきますと、これは外国でなくなります。そこで、アメリカないしそのほかの国も国際線がどれくらい入ってくるか、これは疑問でございますけれども、一方におきまして、内地と同様になるわけでありますから、内地との間の交流というものは今後ますます増していくであろうというふうにわれわれ見ております。したがいまして、そういう見地から、やはり那覇空港というものは一つの民間航空の重要な基地といたしまして拡張し整備していく必要があるんじゃないかというふうに考えます。
  108. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、那覇空港、確かに国内線は相当ふえるかもしれません。ところが、拡大される面積ですね、現在の面積と拡大される面積との具体的な問題はどういうふうになっていますか。実際は、運輸省はタッチしていないということはないと私は思うんですよ。
  109. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 私もちょっと手元に資料がございませんので、後ほど調べてお答えいたします。
  110. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 では次の段階で私聞きますけれども、このほかに、沖繩の下地島のパイロット訓練場がいろいろ問題になっておる。これも運輸省知らないはずはない。実際上は総理府が所管だといっても、運輸省から調査団を派遣しこの問題を調査し、いろいろ那覇空港、下地島あるいは宮古あるいは八重山飛行場についての具体的な運輸省計画は、私は持っていると思うんですよ。その計画には、七二年なら七二年までの青写真はできないし、あるいは政府から援助されるにしても、いろいろそれを見通しておっても、空港の問題ですから、いわんや板付の飛行場が沖繩のほうに——いろいろコントロールの問題とか、いろんな関係で那覇空港に集約されてくる話は、私は数多く伺っているわけです。こういう問題から考えますと、那覇空港に対するいろいろな問題というのは、もう少し明確にしておかなければならないのじゃないか。たとえば那覇空港は防衛庁としてどのぐらい自衛隊が使うのか、あるいは米軍の何か一部が使うとか、あるいは運輸省でどの程度使うとか、そういう具体的な計画が私はもう煮詰められているんじゃないか、こう思うんですが、この問題について。
  111. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 那覇空港の具体的な計画でございますが、これは実はまだ米軍当局のほうから返還するとも何とも言ってきてないのが実情でございます。ただ、私どもといたしましては、これは極力返してもらい、なおかつ、民間航空が使いたいというふうなことで進みたいと思っておるわけでございます。
  112. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 何か下地島の訓練飛行場の御質問がございましたが、これは御承知のように、沖繩が日本に返ってくるという時点において、沖繩政府のほうで何か一つ沖繩の総合開発の役に立つことはないかということが検討されまして、ちょうどそのころ日本航空がジェット訓練飛行場というものを十分なものを持っておらないという空気もあったようであります。そういうことからして、まあ総理府沖繩対策本部が中心になりまして、そういう業者側の希望もあるし、かつまた、地元のほうから、沖繩の総合開発の点から、ぜひ何か開発に役に立つようなものを持ってきたいという希望がありまして、そこで下地島というところが、いわゆるジェット訓練機を使うにいたしましても、滑走路の両端が海に面しておりますので、たいへんこれは影響が少ない、かつまた、そこにある部落も非常に戸数が少ないようであります。そういうことからして、一たんその村におきましては満場一致で、ぜひ飛行場を誘致したいという誘致運動があったのです。その後いろいろ問題がありまして、今度は反対の空気になりましたが、最近になりましてはだんだん事情が変わってまいりまして、騒音等の大きな問題もないようだということで、われわれの情報で聞いておりますところでは、非常に好転をして、そうして沖繩政府の責任においてこれをまとめる。まとめた上におきましては、日本政府においてこれが訓練飛行場としてひとつ活用してほしいというような考え方があるやに聞いておるのが現状であります。
  113. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 沖繩の問題ですから沖繩特別委員会でもう少し煮詰めたいと思っておりますが、実際に那覇空港の問題につきましても、下地島の訓練場の問題にしても、特に沖繩という特殊の問題を考えてみましても、もっと現地の声をやはり聞いた上で、あるいはまたもう少し具体的な構想を示した上で話し合いを進めなければならぬものだ。特に那覇空港の問題で、今後私ずっといろいろお聞きしていきたいと思っておりますけれども、非常に私の納得のいかない問題が数多くあるわけです。こういう問題点は、確かに施政権が米軍にある関係で実際にいろいろな問題点に運輸省はタッチしていない、こういうふうに逃げられるような答弁を数多く受けるわけですが、具体的にもう少し私たちにも、返還がもうきまっておるわけですし、実際に自衛隊が那覇空港を使うのはさまっておるわけですし、何個編隊が行くということはさまっておるわけです。こういうことに運輸省がノータッチであるということはあり得ない問題もありますので、今後の問題で私は質問をしておきたいと思うのです。  それから、時間がありませんのではしょって自動車の問題で一つだけ、鉄道の問題で一つ二つお聞きして終わりたいと思うのですが、アメリカで無公害車の問題が、七五年以降において無公害車を認可していく、こういうような形に米国の両院協議会できまったそうでありますけれども、こうなりますと、日本の自動車の輸出の問題は非常に公害という問題で数多く制約されてくるのじゃないか。それと同時に、日本国内においても、やはりそれに対する対策、あるいは日本の自動車業界においても、やはり国内の自動車においても無公害車の問題に対する計画的な生産というか、あるいはそういう対策を講じていかなければならぬと思うのですけれども、この問題についてはいろいろ検討は進められておるのですか、これについてお伺いいたします。
  114. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) お答えいたします。  昨年の十二月三十一日でございましたか、アメリカにおきまして、いわゆるマスキー法案というものが成立いたしましたことは、ただいま先生のおっしゃったとおりでございます。このマスキー法案の概要につきましては、私どもその法案そのものを取り寄せまして、目下鋭意研究中でございますが、その概要は先生も御案内のとおりと思いますが、一九七五年におきまして、現在の自動車の排出ガスの排出量を九〇%ほどシビアにするという法案でございます。これの実施につきましては、技術的にも非常にむずかしいと申しますか、これだけシビアなものがはたして現実に排気ガス規制の措置としてできて、そして、それで実際に支障なく自動車が走れるかどうかということにつきましては、専門家の間におきましても相当の論議を呼んでいる問題があるように私ども承知いたしております。しかしながら、これがアメリカにおきまして五年後に実現されるということになりますと、当初の計画よりも五年早まってこの規制が強化されるということになるわけでございます。したがいまして、日本の自動車メーカーがアメリカに自動車を輸出いたします場合におきましては、当然この法案の適用の対象になるわけでございますから、これに対応する技術開発を従来よりまして促進しなければならないということは、これはまさにそのとおりでございます。私どもといたしましても、自動車メーカーの直接の監督及び——輸出の問題はこれは通産省の所管でございますが、まあ技術的な研究開発という点につきましては、私どもも通産省と連絡をとっていろいろ今後研究をしていかなければならないと思います。ただ一方、国内の自動車につきましても、アメリカの規制というものがこういうふうに厳重になってきますと、これが直ちに私は、日本がこれに右へならえするというものではないと思いますけれども、しかしながら、一つ自動車の先進国としての規制がこれだけシビアになりますと、やはりわが国の自動車技術というものについての影響も直接間接にかなりあるものと思います。そういう意味から、私どもも前向きにこのマスキー法案を十分研究をして、それが現実に日本においてもどの程度実施できるかということを十分技術的にも研究をして究明していきたい、かように考えております。
  115. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間がないのでこまかくできませんが、軽自動車の車検の問題はこれはどういうふうに考えておりますか。運輸大臣、何か業界のほうでは、この軽自動車の車検の問題に対していろいろ抑制があるそうでありますけれども、公害問題と関連して、やはり軽自動車の車検は運輸省が取り組んでおると、こういう姿勢が報道されているわけでありますが、具体的にはどういうふうな体制でこの軽自動車の車検が進んでいくのか、この具体的な青写真を示されたい。
  116. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 先ほどの質問にも関連しまして、私個人の考え方を申し述べたいんですが、マスキー法案が十二月の三十日ですか、ニクソン大統領署名で発効しましたからして、これはいやがおうでも日本は、国際商品でありますから追いつかざるを得ないのであります。で、私はできると思います、私、技術屋じゃありませんけれども。しかしながら、企業家はやはり、昭和四十五年度の実績をもってしても、ダウンしたといっても二三%輸出が伸びておる、こういう国際商品ですから、これは日本の企業家は思い切っていわゆるこのマスキー法案に劣らざるような無公害車を出すことに努力するだろうと思います。私もできると思います。また、国としても、これは通産省の所管でありますけれども、技術開発については積極的な助成を行なうべきものだと考えております。  なお、第二の質問の、軽自動車の急速な普及に関してでありまするが、これを一そうの安全を期するために、昭和四十八年度を目途として車両検査を実施する方針をとっております。しかしこれも、昭和四十八年度と一応きめたんでありますが、いまの情勢から見れば私は早める必要がありはしないかと。まあ事務当局から見れば、せんだってこれはまあ審議会の議を経てきめたものでありますから、責任ある事務当局としてはそう言えないのでありましょうけれども、私としては、このような公害問題のやかましいおりからでありますから、車検も一年早く——できるなら一年、あるいはそれまでできなければ半年でも、幾らかでも早く車検制度をやっぱり実施すべきものと考えております。なお、定期点検制度に対しましても、これも今度の自動車重量税等の問題もありますからして、これらとの関連において従来とは違った形でといいますか、時期的にはもっと積極的な方向でこれの処理をしていかなくちゃならぬと。あるいはステッカーの標示とか、高速時の安全性に関する試験方法、これらの諸問題もひっくるめてもっと積極的にスピードを上げてやってまいらなければならぬ問題であると考えております。
  117. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、この自動車の増加の予測ですね、それと軽自動車等においても車検制度をとるとなると、実際に車検の問題が、非常に車検場は限られておるし、あるいは検査人員が限られておると、こういう問題に対して、実際にやっていけるのかどうか。あるいは民間車検の問題が運輸省として取りあげられておりますけれども、実際に現在三割程度、四十八年までには七割まで持っていくと、こういう問題でありますけれども、実際にあとの四割ですね、これは大臣によく通産省と話をしてもらわなければならないのですけれども、あとの四割の人たちに対しては、なかなか民間車検に踏み切るといっても、非常なたいへんな問題が数多くあるわけです。規制がきびしいとか、あるいは事業規模の問題とか、いろいろな点があって、運輸省の目ざす民間車検の七割まではほとんど不可能ではないかと、私はいろいろ意見を聞いておるのですけれども。具体的な問題をあげますと、融資の面でも、中小企業庁はたとえば十一人までは対象になっている。運輸省は六人ですね。そこにもうズレがあるわけです、融資対象の問題にしましても。したがって、こういう問題で六人までは運輸省が働きかけて、自動車整備業者に対してはこういうものだということを、運輸大臣からもやはり通産省のほうにも働きかけて、構造改善事業と相まって、この車検制度の整備を行なっていかなければならないのではないかと、こう考えるわけでありますけれども、運輸大臣から。
  118. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) そのとおりでありまして、これは情勢の変化でありますから、公害問題というものは。したがって、車検制度はより厳重にしなければなりませんし、そのためには技術者の養成及び事業整備に関する金融等の措置、これは積極的に通産省と話し合って進めてまいりたいと思います。
  119. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは最後に、鉄道建設公団ですね、この間も新聞に出て、前々から私も気にしておったのですけれども、北海道で白糠線ですか、これは十億円もむだになったと新聞にも報道されているわけです。国鉄のほうはあまり必要がらない。鉄道建設公団は大正十一年にきめられた敷設法でどんどん新線建設を始めていく。行政管理庁からもいろいろ鉄道建設公団の問題については話が出ているわけですけれども、こういう問題を運輸省としてどうやっていくのか。あるいは根北線は国鉄では廃止をした。それまでに鉄道建設公団がわずかな金額とはいえ五百万円投資をしてそのままになってしまった。こういう問題がまだ数限りなく北海道方面にもあるわけですし、全国にもいろいろあると思うのです。こういう問題もやはり時代の変遷もあることでありますし、あるいは今後の地方線の問題とからみ合わせて、やはりここでこの新線建設の問題をもう一歩洗い直すべきではないかと、私は強く考えるわけなんですけれども、こういう白糠線の、十億円もむだにして列車が走らない、せっかくつくったけれども走らない、こういう問題とあわせて、運輸大臣はこの新線建設に対してはどういうふうな考え方で臨んでいかれるのか、この点についてお伺いしたい。
  120. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 御承知のように、地方線の建設鉄道敷設法という法律によって行なわれているわけでありますが、現在、日本鉄道建設公団建設中の鉄道新線は五十六線です。そのうちAB線が四十三線、C線が九線、D線が四線ということになっています。なお、このうち工事実施計画認可している線は四十六線でありまして、残り十線は測量設計中のものであるわけであります。問題は、こういうような、いま国鉄の再建問題にからんで地方線をどうするかというときに、もうからない鉄道、損する鉄道をつくっていってもしかたがないではないかというお話であります。まあ、まつ正面から言うとそういうことになるわけなんですが、ただ問題は、鉄道というものは地方交通線にいたしましても、それが地方開発にどの程度役に立つべきものであるかどうかと。先ほど来いろいろ皆さんからお話がありましたように、国鉄が赤字であるからといって、その線を切るべきではないじゃないか、もっと大きな観点から国土開発の使命を持つべきじゃないかという議論もまた一つの正しい議論であろうと思います。しかし一方、国鉄としては、独立採算制でやっておりますからして、初めから将来ともに赤字であるようなものを引き受けることは、これは好ましくない、こう国鉄の考えることもこれは無理はない。そこで政治の問題になるわけでありまして、今後、現在の運用しておる交通線をどうするかという問題もこれから出てくると思いますけれども、AB線というものをどういう形で吸収していくか、及び今後予定されたものに対しては、もっと現在の状態から判断して整理すべきじゃないか、こういう幾つかの観点があると思います。これらをひっくるめまして、できるだけ早い機会——といいましても一月、二月じゃ結論に到達できませんが、なるべく早い機会にこれらの点において総合調整を行なった上で、やるべきものはやる、やらなくてもいいものが出てくればこれはやらない、こういう点はやはりはっきりすべき時期がだんだんと近づいてきておる、かように申し上げてよろしいと思います。
  121. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 根北線の問題にいたしましても、国鉄のほうは廃止してしまったわけです。鉄道建設公団のほうは、これはああいうようなことをやっいるわけです。やはり行政のひずみをもう少ししっかり見詰めていかなければ、国民から笑われてしまうのじゃないかと思うのですね。確かに鉄道は敷いた、ところが、鉄道建設公団は一生懸命敷いたけれども、国鉄は汽車を走らさない、現地住民は必要だと思っていろいろと要望したわけだろうし、ところが、いつまでたっても汽車は走らない、十億円もむだづかいになっておる、こういうケースが各所にあらわれてくると思うのです。こういう問題については、国鉄はどう考えているわけですか。
  122. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 基本的な考え方はいま運輸大臣がお述べになりました点につきると思いますが、いわゆる新線建設につきまして、その線が赤字であるかどうかという問題と、それからそれを国鉄の手で経営したときに発生する赤字をどう処理するかという問題と、これは問題は二つあると思っております。  それで前段の、赤字が必至である、赤字になるから国鉄として運営すべからざるものという、そういう考えはございません。大臣がその点について詳細にお述べになりましたように、やはり国土の総合開発という性格から、あるいは先行投資的な性格の線もございましょうし、あるいは将来その線が旅客あるいは貨物の誘発として主要幹線につながっていくという、その使命を発揮する線もあると思います。しかし、それを運営することによって生ずる赤字につきましては、これはいかに能率的な運営をしても、国鉄企業の範囲外、国鉄の努力以上の問題でありますので、その赤字の手当てについてはこれは別途お考え願いたい、こういう考えでおります。
  123. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 大臣にもう一つ伺って私は終わります。  まあ国鉄側に言わしてみても、これは大臣答弁と同じことを繰り返すと思うのです。鉄道建設公団に言っても同じだと思うのですが、これはやはり大臣鉄道の再建計画とあわせて、あるいはその前にこの問題をすっかり片づけなければ、これはやはり再建計画なんか私は成り立たないのじゃないかと思うのですね。これはほんとう国鉄の財政計画の抜本的な改正は急にはできないでしょうし、本年度の予算ではできないでしょうし、どういうふうな見通しで今後の国鉄を立て直していくのか、あるいは新線建設あるいはまた赤字線の問題、この問題にどう対処していくか、最後に大臣に伺って、私は質問を終わりたいと思います。
  124. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) これは大和委員あるいは瀬谷委員質問にも答えましたが、まず原則論として、やはり国鉄の使命というものを、われわれが国土開発の上に与える使命というものを考える必要がある。たとえば東海道新幹線は、大体それだけの計算から言うなれば四割くらいもうかっているでしょう。しかしながら、その他のいわゆる赤字線をその収入で一部分をカバーしている。こういうような全体的なもとにおいては、一部の利用者があるいは高い料金だと言うかもしれぬけれども、負担せざるを得ない。これは国土総合開発の上から見てやはり無理からざる措置だろうと思います。しかし問題は、そういう幹線ではなくして地方交通線、しかも国鉄としては、いまは使命が終わったという線はどうすべきかということは、先ほど来お話ししましたように、あるいは地方鉄道公社なり、どうしても道路のほうが便利だというものについては道路に変える、こういう措置も講じていかなければなりませんが、これらは考えようによっては枝葉末節だと。問題は、根本的に、国鉄の財政に対して国はどこまで考えるのだと。そして、独立採算制とはいうけれども、こういう程度の助成はするがそれ以上は独立採算制でやるべきだという歯どめにもちろん独立採算制は考えざるを得ない。そういう意味において、これはやはり考え方を新たにして、国鉄のいわゆる国土総合開発における使命と、それに対する国がバックアップすべき点をもう少し明確にして、その上において、新線等の建設については、これは整理するものは整理していく、こういうことは少なくとも本年度じゅうに明らかにすべきものであろうと考えておる次第であります。
  125. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。  大臣の話で、やるべきものはやる、やるべきでないものはやらない、これはあたりまえの話ですよ。問題は、三木委員指摘したのは、いま新線をつくっているわけでしょう、その中にじゃんじゃんもうかる線なり黒字線があるのでしょうか、一体。ないのでしょう。そうすると、その赤字はどこが引き受けるか。これはもう、使命は終わったのはどうとかこうとか言われておる、使命が終わったものだってなかなか切れない、いまつくっているのは、使命が終わったか終わらないかというより、これからでき上がるのだ。その赤字というのは一体国鉄にそのまましょわせるのか、それとも政府めんどうを見るのか、これはどっちかということになるのですよ。それは当然はっきりさせなければいかぬと思うのですが、その点はどうなんですか。
  126. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) かなり純粋といいますか、大部分が地方的な役割りを今後とも残してやっていかなくちゃならぬ、ただしこれは赤字である、そういう線があると思います。そういう線につきましては、もちろん、これは地方といえども国の一部でありますからして、国もめんどうを見なくちゃいけない。だが同時に、私は、やはり地方団体もめんどうを見るべきじゃなかろうか。たとえば官庁あるいは国会でもそうですが、これはいわゆる固定資産税がかかっておりません。ところが、国鉄は、御承知のようにこれが公社という形式に移ったために、かつて鉄道省時代にはこれはかからなかった固定資産税が、公社という形式に移ったために、固定資産税じゃありませんが、それに相当する金額を取られておる。こういうことを、これは政府も考えなくちゃならぬ。国会自身もひとつ考えてもらいたいと思うのですね。そうして、そういう問題が、やはりこれが国鉄運営に回されるならば、いわゆる地方交通線の赤字というものはそう膨大な赤字じゃないのです。極端に言うならば、去年の国鉄が示した数字で言うならば、二千六百キロですか、その間における運営上の赤字はわずかに百五十億にすぎない。ところが、いま国鉄が地方納付金として納めておる金は、やはり百五十億円前後の金を納めておるのです。こういう総合的な点をお互いに虚、心たんかいに考えれば、こんななわ張り根性で、もらった金は絶対に出さないのだ、こういうことをして、しかも国鉄がやっていける、こういう考え方を持っておったんじゃ解決のしようがない。したがって、われわれは、政治の原点に立って、そうしてやっぱり総合的にこれを見直していく、こういう姿勢をわれわれはとっていきたい。そのために、せんだっても、自治大臣とも数時間にわたって積極的な会談を進めて、なお事務的にはこれを進めつつありますが、私は、政府というのは、地方団体をも含めて、こういう問題については考慮すべきである、こういうふうに考えております。
  127. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 地方自治体にもしょわせる、こういうことですね。
  128. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) しょってもらいたいということです。
  129. 鬼丸勝之

    委員長鬼丸勝之君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会      —————・—————