○
愛知国務大臣 琉球立法院のこの超党派の決議については、五項目とも私は非常にごもっともだと思っております。そういう線に沿うてできるだけの努力をいまわれわれとしていたしております。
したがいまして、その第五項目につきましても、私が、そこに掲げられたとおりでございます、
日本政府としてはこれが実現できるようにいたしておるつもりでありますと申したわけでございますけれども、まずよく政治的にも問題にされますのは、
アメリカの大企業が民
政府等の特別の許可とか、あるいは、そこに特権とメンションされているわけですが、そういうことに関連して特殊の権益をもうがっちりつくり上げた、そうしてそれが今後半永久的に続くのだということに対する御懸念は、これは米側あるいはその
関係の会社側その他を通じまして、われわれからいえば当然のことなんですけれども、復帰の時点において一切の、たとえば民
政府あるいは
米軍等から与えられた許可あるいは認可等のものは、一切根拠がなくなります。そこで、一切
日本の法令下に入りますから、特別の、
沖繩県民を不当に害するような特権を与えられるということはなくなるわけでございます。
そして、たとえば外国資本との
関係でありますと、企業に対する
本土の管理法といいますか実体法、それから外資法その他の関連法律が全部
本土並みに適用されるわけであります。それから、かけ込み訴えは絶対にいかぬぞという県民の御希望、これもすでに復帰話が始まりましてから、琉球
政府通商局と
本土の通産省との間に連携もかなりよく運んでおるように思います。
そういうわけで、これも申し上げると、
一つ一つまた問題になるのですけれども、私はざっくばらんに、大胆に申しますと、いわば大企業的なものについてはかえって処理がたやすいのではないか、こういう感じも持っております。
それから、中小企業等については、復帰話が始まるはるか前から、平穏無事に、たとえば米人として、あるいは
沖繩人でもない
日本人でもない第三国の人が商売をやっておられる、こういうものは、米人をも含めまして、
沖繩経済にも貢献された方々ですから、何とかこういう方々は、いわば公平の原則と申しましょうか、そういうことで、
沖繩に限りまして仕事を続けていかれるように、ある程度の保護をして差し上げてしかるべきではないだろうか。これは
沖繩県民の方々に話がわかっていただけば、琉球立法院決議第五項の趣旨に決して背馳するものではないと私は
考えます。
それからもう
一つ。もっとむずかしい問題は、たとえば自由職業の問題でございます。弁護士さんもおられれば、お医者さん、歯医者さん、獣医さん、その他資格を必要とする職業であって、現在まで
沖繩におきましてそういう仕事をやっておられた方々で、引き続き
沖繩に限って業務をしていきたいというような方々の処遇をどういうふうに
考えるかということについては、これは
沖繩の県民の方々はもちろんでございますが、
本土の御
関係の方々、その他のあたたかい御理解と御支援を得て処理していかなければならないのではなかろうか。その中に、もちろん米人もおれば、そのほかの外国の方もおられるわけですけれども、そういうことが、やはりほんとうに具体的な問題、そしてやりようによっては処理のむずかしい可能性のある問題でございます。
それから物資の扱い方。
日本はおそらく七二年の早い時期までには、
本土のいろいろの自由主義に基づく国際経済面への政策の転換はさらに広くなる、またそうしなければならぬと思いますから、その幅は実際問題として狭くなろうと思いますけれども、やはり輸入の管理の問題でありますとかいうようなことで、その商売をやっておられる方からいえば、死活問題です。しかし、全体から見れば、非常に具体的な、個別的な問題というものの処理などについても、これは十分配慮していかなければならぬ。
すでにこれらの問題につきましては、通産省も農林省も、もうそれぞれの担当の部局において琉政の意見を徴しながら、いかようにやっていったらいいかということについて、これらは必ずしも返還協定上の問題ではございませんが、これが
——私はよく申しますが、返還協定の調印をして国会で御審議を願うときには、協定の内容はもちろんですが、協定に関連するいろいろな行政的な
措置をも含め、そして
日本国内の凡百の立法を含めて、AからZまで全部そろえて御審議を願わなければならないと言っている中の、それらが問題でございます。
こういうようなわけでございますから、冒頭に申し上げましたように、私どもも協定を出せ出せとおっしゃられるお気持ちは非常によくわかりますけれども、これらを総合し、ワンパッケージにして、そして対米的に
条約としてはっきり約束を取りつけておかなければならないところに集結するわけでございますから、そう簡単にいかないことは重々御了察いただけることかと思います。