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1971-02-24 第65回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十四日(水曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査 森田重次郎君       足立 篤郎君    小平 久雄君       笹山茂太郎君    藤尾 正行君       松浦周太郎君    渡辺 栄一君       後藤 俊男君    阪上安太郎君       内藤 良平君    原   茂君       相沢 武彦君    有島 重武君       近江巳記夫君 兼務 井野 正揮君    兼務 栗山 礼行君 兼務 塚本 三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         農林政務次官  渡辺美智雄君         通商産業大臣官         房長      高橋 淑郎君         通商産業大臣官         房会計課長   飯塚 史郎君         通商産業省企業         局長      両角 良彦君         通商産業省企業         局参事官    増田  実君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         通商産業省繊維         雑貨局長    楠岡  豪君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         通商産業省公益         事業局長    長橋  尚君         工業技術院長  太田 暢人君         中小企業庁長官 吉光  久君  分科員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     前田  宏君         大蔵大臣官房審         議官      中橋敬次郎君         大蔵省国際金融         局外資課長   道正 信彦君         国税庁税部所         得税課長    早田  肇君         国税庁調査査察         部調査課長   松本 久男君         文部省初等中等         教育局地方課長 別府  哲君         農林省農林経済         局国際部長   吉岡  裕君         農林省農政局植         物防疫課長   福田 秀夫君         農林省蚕糸園芸         局果樹課長   須賀  傳君         通商産業省通商         局次長     佐々木 敏君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         建設省河川局治         水課長     岡崎 忠郎君         建設省住宅局市         街地建築課長  高瀬 三郎君     ————————————— 分科員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   笹山茂太郎君     藤尾 正行君   阪上安太郎君     内藤 良平君   原   茂君     後藤 俊男君   相沢 武彦君     近江巳記夫君   竹本 孫一君     田畑 金光君 同日  辞任         補欠選任   藤尾 正行君     笹山茂太郎君   後藤 俊男君     山中 吾郎君   内藤 良平君     阪上安太郎君   近江巳記夫君     有島 重武君   田畑 金光君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   山中 吾郎君     原   茂君   有島 重武君     田中 昭二君 同日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     相沢 武彦君 同日  第一分科員井野正揮君栗山礼行君及び塚本三  郎君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算通商産業省所管  昭和四十六年度特別会計予算通商産業省所管      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算通商産業省所管を議題とし、説明を求めます。通商産業大臣宮澤喜一君。
  3. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昭和四十六年度の通商産業省関係予算案及び財政投融資計画説明は、お手元に差し上げてありますが要点のみ簡単に御説明申し上げます。  昭和四十六年度の通商産業省所管一般会計予定経費要求額は千百三十七億円でありまして、前年度予算に対して百六十九億円、一六・九%の増となっております。  次に重点事項別に内容を御説明申し上げます。  第一の柱として掲げました国民生活質的充実につきましては、まず公害防止対策といたしまして産業公害総合事前調査充実産業公害相談事業拡充等をはかるほか、新たに休廃止鉱山鉱害対策製革業公害防止対策等を実施することとしております。なお当省関係公害防止対策費は、電気自動車開発瀬戸内海大型水理模型建設等公害防止技術開発関係経費等を含めますと総額二十六億円でありまして、これは対前年度八八%の増でございます。  また消費者利益保護増進につきましては、商品テスト網の整備、消費者価格モニター設置等二億円を計上いたしております。  第二の経済国際的展開につきましては、まず経済協力推進をはかるため、発展途上国産品開発輸入促進事業資源開発協力基礎調査事業等拡充するとともに、新たに民間経済協力推進事業を実施する等三十八億円を計上しております。  また、貿易振興海外投資促進につきましては、ジェトロほか各種貿易振興機関拡充をはかるため七十八億円を計上しております。  第三に、経済発展基礎条件を確保するため、基礎資源開発総合エネルギー政策推進を行なうこととし、内外鉱物資源開発については、従来から行なっております各種調査探鉱事業を一そう強化拡充いたすほか、石油パイプライン建設調査地質調査船調査等を行なうこととし、三十六億円を計上しております。  また産業立地対策といたしましては、従来に引き続き大規模工業基地開発等積極化をはかるほか、新たに農村地域工業開発促進につとめるとともに、工業用水道事業を大幅に拡大することといたしまして、百二十九億円を計上しております。  第四に中小企業及び流通部門近代化促進するため、まず、中小企業対策といたしましては、中小企業振興事業団事業の大幅な拡大経営指導員待遇改善等による小規模事業対策拡充中小企業指導事業推進等のため、前年度予算に対して二二%増の四百五十三億円を計上しております。  次に、繊維工業構造改善推進につきましては、中小企業振興事業団繊維工業の設備の近代化に対して行なう融資につきまして、事業規模の大幅な拡大をはかることといたしております。  また、流通部門合理化につきましては、流通システム化中心として流通近代化対策推進するほか、新たに広告活動適正化等をも促進してまいることとしております。  第五に、技術開発力強化情報化推進等創造的発展への指向につきましては、まず技術開発力強化をはかる見地から、新たに公害防止のための電気自動車パターン情報処理システム及び航空機用ジェットエンジン開発大型プロジェクトとして取り上げるとともに、中国工業技術試験所新設瀬戸内海大型水理模型建設等を行なうこととし、また特許行政につきましてもその強化拡充をはかることとしておりまして、このため二百五十億円を計上しております。  次に情報化推進につきましては、情報処理振興事業協会に対する助成を拡充すること等により情報化社会の進展に対処することとしております。  また、次期民間輸送機開発につきましては、さしあたり四十六年度において予算を計上いたしておりませんが、今後開発具体的構想が固まった段階において、何らか所要の財政措置を講ずることとしたいと考えております。  以上の一般会計のほか、特別会計といたしまして、アルコール専売事業特別会計歳入百十六億円、歳出九十二億円、輸出保険特別会計歳入歳出とも三百五十一億円、機械類信用保険特別会計歳入歳出とも十七億円を計上しております。  また、石炭対策特別会計につきましては、歳入歳出とも千六十一億円を計上しており、このうち当省関係歳出は九百十三億円でありますが、これにより引き続き石炭鉱業合理化再建、保安の確保、終閉山円滑化鉱害処理促進産炭地域振興等の施策を推進することといたしております。  次に、当省関係財政投融資計画につきまして御説明申し上げます。  昭和四十六年度の当省関係財政投融資計画は、総額一兆三千八百九十七億円でありまして、前年度当初計画一兆一千八百五十四億円に比べ、一七・二%の増となっております。  以下おもな機関別にその概要を御説明いたします。  まず、日本輸出入銀行につきましては、資源開発の要請に対処して輸入投資分を重点的に増額する等によりまして、貸し出し規模を前年度計画に対し二四・四%増と大幅に拡大することといたしております。  次に中小企業金融機関につきましては、前年度当初計画比一八%増の普通貸し付け規模を確保するとともに、特恵転換貸し付け制度新設構造改善貸し付けワク公害防止貸し付けワクなどの特別貸し付け制度充実をはかっております。  また、中小企業振興事業団につきましても、構造改善を強力に推進するため必要な財政投融資を確保することとしております。  日本開発銀行につきましては、公害防止日本電子計算機株式会社の育成、国産技術振興等に対する融資拡充をはかるとともに、新たに住宅産業ワクを創設し、また特恵対策の一環として黄麻工業産業構造改善金融ワク対象に追加するほか、流通近代化に対する融資拡充するなどの措置を講ずることとしております。  公害防止事業団につきましては、貸し付け事業中心事業規模を二百七十八億円と飛躍的に増大させることとしております。資源開発につきましては、金属鉱物探鉱促進事業団について海外における鉱物資源探鉱開発に関し十七億円を出資するとともにボーキサイトを対象鉱種として追加する等その業務の拡充をはかっております。また石油開発公団についても百七十億円の出資を行ない、大陸棚開発を含めた石油資源開発をより一そう積極的に推進することとしております。  また、電源開発株式会社につきましては、既着手工事本格化新規地点の着工に伴い、事業規模を三百十七億円と大幅に拡大いたしております。  なお、日本航空機製造株式会社につきましては、YS11の量産事業つなぎ資金として短期市中借り入れに対する政府保証を行なうにとどめまして、航空機工業審議会における同社再建策の策定にまつことといたしております。  以上、通商産業省関係予算案及び財政投融資計画につきまして簡単に御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 森田重次郎

    森田主査 速記をとめて。     〔速記中止
  5. 森田重次郎

    森田主査 速記を始めて。  これにて説明は終わりました。     —————————————
  6. 森田重次郎

    森田主査 これより通商産業省所管について質疑に入ります。  質疑に先立ち、念のため申し上げます。質疑時間は、原則として本務員は一時間、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分にとどめていただき、また、政府においても、簡潔に御答弁いただくよう御協力をお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。藤尾正行君。
  7. 藤尾正行

    藤尾分科員 ただいま委員長から御注意がございまして、私の質問時間は三十分であります。したがいまして、答弁を長々とやられますと、私も非常に迷惑をいたしますので、答弁は、委員長の御指摘のとおり簡単明瞭にひとつお答えを願いたいと思います。  そこで私は、たくさんの問題がありますけれども自由化の問題、その自由化の問題の中で農業と関係をいたしております農産物自由化の問題について、以下二、三の点をお伺いをいたしたい、かように考えるのであります。  政府は、三十九年の五月に、ともかくもレモン自由化をされたわけであります。そこで、ひとつ最初にちょっとお伺いをいたしたいのですが、三十九年の五月に自由化をされましたときの国内輸入価格レモン幾らだったですか、それがいま幾らになっておるか、そのときの、つまり、自由化をするまでの平均輸入量はどれだけであったか、いまそれがどれだけになっておるかということだけをひとつ簡単にお答えを願いたい。
  8. 佐々木敏

    佐々木説明員 レモンは、三十九年の五月に輸入自由化を実施したわけでありますが、その直前までの輸入品東京中央卸売市場におきます卸売り価格につきましては、ほぼ一キログラムあたり四、五百円であったのでありますが、自由化直後百六十八円、自由化の翌月の三十九年六月でありますが、百六十八円に下がりました。なお、輸入量は三十八年が四千トンでございまして、自由化年次の三十九年は一万四千トンに上がりました。以上でございます。
  9. 藤尾正行

    藤尾分科員 ただいまの説明ではよくわかりませんから、私が言いますから、それで正しいか、正しくないかということだけをお答えいただきたいと思います。あなたのようなお答えをしておられますと、非常に迷惑ですから……。  三十九年の五月当時の自由化平均輸入価格は、これは一箱あたり千八百円です。それが現在大体三千円になっております。そして、この輸入量は、あなたが御指摘になられたとおり、平均輸入量は当時四千トンでありました。それが今日四万一千トンになっております。つまり、輸入量は十倍になっておるわけであります。価格は倍になっておる。こういう実勢にあるということでありますけれども、私の言っておることが間違っているか、間違っていないか、それだけお答え願いたいと思います。
  10. 佐々木敏

    佐々木説明員 先生のおっしゃいました輸入量は、まさにそのとおりであります。輸入価格につきましては、手元資料では、CIFの価格は、五月が一キログラム百三十四円であります。現在百五十七円。したがって、三割アップというような数字になっております。
  11. 藤尾正行

    藤尾分科員 あなたと私との数字とり方がまるっきり一段階違っているんです。私の言っているのは箱の値段です。あなたの言っているのは一キログラム当たり。だから、私が言っているように、箱の値段はこうだ、一カートン当たりこうだといって、私の言っているのがそうならそう、違うなら違うと、こう言ってくれればいいんです。それはそれでけっこうです、あなたにそんなことを言ってみてもしかたがありませんから……。  結局、自由化ということと物価との関連、これをひとつお伺いしたいのですが、自由化というものの一つの大きなねらいは、これはやはりできるだけ、いろいろな諸外国との貿易関係その他の複雑な関係がその背景にあるということは、これは別といたしまして、自由化をすれば価格が下がるということが、一つ自由化のねらいであろう、かように私は思うのであります。この点は大臣、いかがですか。これも否、応だけでけっこうです。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 自由にするほうが価格が下がるというのが原則であります。
  13. 藤尾正行

    藤尾分科員 ただいま大臣の言われたとおりでございまして、自由化をすれば価格は下がらなければならぬ。ところが、こういうレモンの場合には下がっていない。逆に上がっておる。輸入量は十倍になっておる。価格は、まあこれはとり方にもよりますけれども、いまの政府の御発言によりましても、三割ぐらい上がっておる。私の知っておる範囲では、私、資料を出せといえば出しますけれども、これは倍に上がっておるわけであります。こういうことは私は自由化ということの本旨におよそさからっておるんだ、目的に沿わないものだ、かように思うのであります。しかも、ここで農林省との関連が出てくるわけですけれども、このレモン自由化によりまして、国内レモン、つまり、果樹栽培ですね、果樹栽培の中のレモン淡路島とか、あるいは、これは宮沢大臣のほうも御関係がおありになるかもしれませんけれども、広島県とかというようなところのレモンは、ともかくこれで大打撃を受けまして、いまこれが産業として残っておるように私は思えない。これはひとつ渡辺政務次官、まことに申しわけありませんけれども、この点、私の言っていることが間違いか間違いでないか、お答えを願いたい。
  14. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 残念ながら、淡路島等におけるレモンはほとんどなくなっておるということであります。
  15. 藤尾正行

    藤尾分科員 こういうように、この農産物輸入自由化ということにつきましては、国内産業が壊滅的の打撃を受けるということは、このレモン一つとりましても、これは明らかであります。こういうのは一体なぜか。いろいろ理由はありましょう。ありましょうけれども、これは私は、いまアメリカ余剰農産物というものの輸出、つまり、われわれのほうから見れば輸入ですね、こういったものは、一般的に見て、むしろ非常にダンピングに近いほど値段が安く出されておるのではないかと思うのです。ところが、現実にレモン自由化してそのレモンはどうなっているかということになると、まるっきりそういう一般的傾向に反したものが出てきている。それはなぜか。これは結局カリフォルニアの一つの農協のような組織、サンキストというものが一番日本に近い。そこで、アメリカの中にもフロリダとかなんとかというところでもっと大きな産地はあるわけですけれども、そこから持ってくるとカリブ海を通ってパナマを通って太平洋を通ってこなければならぬ。その間の時間の差というもので結局自由化をしても持ってこられない。持ってこられるのはサンキストだけだ。つまり供給者が一人である。しかもそれはアメリカにおいても国内課税も納めていないというような特殊法人であるというようなことで、そういった寡占輸出者というものが全権を握って、そうして輸入をするから、つまり輸入国に対します価格の操作も自由になる。そこで十倍も出しても価格は上がっていくというような結果を私は来たしておるのだと思うのです。こういった寡占下自由化ということにつきましては一般自由化と違った考え方をしなければならぬ。特に農産物においてしかりだと私は思うのですが、この点は大臣いかがでございましょう。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのような議論がございます。
  17. 藤尾正行

    藤尾分科員 そこで、ただいま大臣もそのような議論があるということでございますけれども、そうなりますと、いま私どもが直面をいたしておりまする問題の中に、今度私ども自由化を大いに進めていくという国策の上に乗っかっております。私は非常にけっこうなことだと思う。そうしてそれを大いに進めてまた日本の国のために資していかなければならぬと思う。しかしながらその中で、たとえばグレープフルーツが四月から自由化する品目の中に載っかっておるわけですね。政府はいまこれを自由化されようとしておられる。これがレモンの轍を踏まないという保障は私はないと思うのです。特にグレープフルーツの場合にはナツカンあるいは甘ナツカン、これは日本農産物果樹部門の非常に大きなシェアを占めているものだと思いますけれども、先ほど渡辺次官が御指摘になられましたような非常な大きな打撃をこの産業に与えるのではないか、私はこれを非常に心配するわけです。そこで農林省におかれましても、このグレープフルーツ自由化品目の中に入れられるというときに、こういうこともあるからということで、逆におまえのほうのグレープフルーツは入れてやろう、自由化してもよろしい、そのかわりに日本温州ミカンアメリカに自由に入れてもらいたい、こういうことで、いま四州だけが植物防疫という立場日本温州ミカンを入れているわけですけれども、あとの四十六州は全部植物防疫検疫法というものと背馳する、日本のものを入れてはぐあいが悪いということでこれをとめておるわけです。そういう中でもまたその後これをふやしてもらうような努力政府はしておられるはずです。にもかかわらずこれがふえていない。こういう中でもなおあえてグレープフルーツ自由化を進められるおつもりであるかどうか。この点をお聞きしたい。これはまず通産大臣からお答えをいただきたい。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど何か自由化をしたから値段が上がった、そうおっしゃったのではないかと思いますけれども、いまレモン自由化していなければどのような値段になるかということはわかりませんので、なかなかそれははっきりしたことはいえないだろうと私は思います。一般自由化というのは、できるならば進めていきたいと考えておりますことは御承知のとおりであります。ミカンの場合シトラスキャンカーという病気があるというふうにいわれておりまして、これがアメリカのかんきつの産地に入りますと伝染をするということが従来長い間の議論でございます。そういう生産のない州だけが入れるということでありましたけれども、しかしこのシトラスキャンカーというのはいろいろ議論が御承知のとおりございまして、日本グレープフルーツを入れるのならばアメリカもなまのミカンを入れてもいいではないかということを長いこと両国の間で議論しておるということは承知しております。
  19. 藤尾正行

    藤尾分科員 それではこの問題について、これは農林省のほうにひとつお伺いをいたしたいのですけれども、いま私が申し上げましたように、温州ミカン日本から自由に買って入れてやろうというアメリカの州がふえていないことは私は事実だろうと思います。そういった環境の中でもしかりにグレープフルーツが入れば、ナツカンなり甘ナツカンというものが非常に大きな打撃を受ける。しかもこれはガットの品目からいいますと、グレープフルーツというのはグレープフルーツだけで一品目ではないのですね。これはオレンジと二つ合わさって一品目になっておる。だからグレープフルーツだけでやるということは一品目自由化にならないわけですから、私はたいして自由化としての効果もないだろう、かように思うのです、オレンジを入れなければ。それならオレンジ自由化するかというと、そういう意思はおそらくないだろうと私は思いますけれども農林省は一体こういう問題についてどのようなお考えなんですか、お伺いをいたしたいと思います。これはひとつ公開の場でございますから、私は新聞紙上では農林省のお立場伺いましたけれども、それに誤りがあってはいけませんから、これは政務次官からお願いをいたしたい。
  20. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 グレープフルーツ輸入自由化については、御承知のとおり四十四年度日米閣僚協議会の際に、日本側は米国が日本産の温州ミカン輸入解禁州を実質的に拡大する、こういう了解のもとに日本側としてはグレープフルーツを四十六年、つまりことしの十二月末までに自由化する考えだということを表明しておりますから、いままで国会で再々御質問がありましたが、それと同じようなことを答弁をしてきておるわけでございます。したがいまして、アメリカに対しましては、極力日本温州ミカン解禁拡大ということについて努力をしてまいってきておるところであります。
  21. 藤尾正行

    藤尾分科員 いま政務次官からのお答えがございましたように、農林省では現に努力はしておられるわけであります。しかしながら、その成果はまだあがっていないということはいま事実でございますね。そうなりますと、これは日程にあがっておるわけでありますけれども、四月に自由化するということはできましょうか。
  22. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 いま言ったように、四十六年の末までに自由化するということは表明しておりますが、その後四十四年の十月十七日の関係閣僚協議会でいま言ったようなことがきめられたわけでありますが、その後さらに内外の情勢を勘案をして、去年の九月十日関係閣僚協議会で、この自由化を早めて四月末を目途にその実現につとめるということで、両々相まって目下努力中というところです。
  23. 藤尾正行

    藤尾分科員 大いに努力をしていただいて、完全に自由化できるような状態をひとつ早くおつくりいただきたいと思いますけれども、実際は非常にむずかしい問題がそれにあるということを私はここに御指摘をさしていただきたい。  そこで、今度は問題が具体的な問題に入るわけでありますけれども自由化ということは一つのところから自由に入れるということでなくて、腹を大きくして世界じゅうどこからでも入れるということが私は自由化だと思うのです。そこでひとつ私はお伺いをいたしたいと思うのですけれども渡辺政務次官は先般ヨーロッパに行かれまして、政務次官みずからの目で実際各国の果実というものの良否というものをごらんになったということを伺っております。グレープフルーツでもオレンジでもけっこうでございますけれども、そういったものをごらんになられまして、南アのものはどうであったか、イスラエルのものはどうであったか、オーストラリアのものはどうであったか、アメリカのものと比べてどうだということを、ごらんになられたとおりひとつここでお教えいただきたい。
  24. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 実は私、国会中でありましたが、大臣の命によって先般ドイツのベルリンで行なわれたグリーンウイークに出席をして、三十数カ国が参加をして二十何カ国が出展をしておったわけでありますが、私は専門家でないので見づらだけしかよくわかりません。味もどこがうまいのかよくわかりませんが、見たところでは、イスラエル、南ア等のグレープフルーツ、その他のものも決してアメリカのものに劣らない、むしろ中にはもっといいものがあるように見受けられたことは事実であります。
  25. 藤尾正行

    藤尾分科員 ただいま渡辺政務次官からの、これはみずからごらんになったわけでありますから、私どもはそれを信じるということが非常に正しいと思いますけれども、そうなってまいりますと、せっかくの通産大臣の御努力によりまして、先年一部オレンジ等の割り当ての拡大でございましたか、していただいたわけでございます。私は非常にけっこうなことだと思っておりますけれども、もしこれを自由化をするというならば、できるだけ安いものを入れたほうがいいわけですから、できるだけいいものを入れたほうがいいわけですから、南アにもイスラエルにもあるいは豪州にも全部その恩典というものは均てんすべきである、私はかように思いますが、この点は大臣はいかがお考えですか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 自由化は無差別に行なうのが御指摘のように原則であります。ときとして相手国が対日貿易に差別をしておる、あるいはその他何か政治上の理由等によりまして、こちらがそれをやめさせるために、自由化をするしないということを、こちら側が切り札として用いることはございます。けれどもそれは例外でございます。
  27. 藤尾正行

    藤尾分科員 そういうことでございますから、この例外をできるだけミニマムにひとつおとどめをいただいて、できるだけ門戸を開くという方向で、もしどうしてもおやりにならなければならぬということであるなら、そういう方向でお願いをいたしたいと思います。  それでいよいよ結論に入りますけれども、私も実はこの前まで通産の政務次官をさしていただいておったわけでございます。その間にこの問題と直面をいたしまして、私もいろいろやったわけでありますけれども、受け入れ体制というものについて寡占体制をつくるということは、おもしろからざることだと思います、物価対策上も。やはり競争原理というものをここに導入をするということが必要である。いまのようにサンキストが、たとえば一つの総代理店というものをきめて、そうして事実上いままでの割り当て制度と同じように、国が割り当てていたものをサンキストなり、あるいは総代理店というものだけが割り当てをただ肩がわりをしておるというようなことは、私は自由化とおよそ背馳する実態である、かように思うのでありまして、そういった意味から実は私はいろいろな陳情も受けましたし、輸入業者が大いにわれわれにも輸入権を認めてくれということを言ってこられました。そこで、そういった輸入業者はどれだけあるのだといって聞いたけれども、かなりの数がある。その当時は百何十軒かでございましたけれども、——ここに書いてございますが、そのうちの三分の二以上。そういったものが輸入組合をつくっておやりになるなら、ひとつできるだけ産地から安く買うという意味で組合の活動をやったらいいじゃないかということにいたしまして、その後非常に努力をせられて三分の二以上にいまは達しておるようであります。こういったものに対しまして、特別の寡占というものを打破する意味で、こういった中小企業というものの競争原理、これをできるだけ助長さしていくということは、私がきめた政府の方針であります。それが内閣がかわりまして大臣がおかわりになったからといって政府の方針が変わるわけはない、私はかように思っておりますが、その精神をひとつお貫きをいただけるかどうか、これを大臣からお答えをいただきたい。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 自由化というのは、だれでも輸入ができるというのが自由化でありますから、原則として、組合をつくったりすることは私はあまり必要がないという考えであります。
  29. 藤尾正行

    藤尾分科員 そういたしますと、ひとり輸出者が非常に寡占を保っておるというときに、それが一つのソールエージェントをつくっていくということと、輸入組合が別個にできる、そうしてそれと競合をしていくということと、どちらが競争原理というものに従っておるか、この点はどう御判断になります。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこで先ほどレモンの場合、サンキストというやや供給独占の体制がある、そういう議論がございますと申し上げたのはそういう意味であったわけでございます。グレープフルーツなどにつきましてはそのような事態はありませんし、アメリカ以外にも供給者がたくさんございます。したがって、だれでも自由に輸入できるという体制のほうがいいのではないかと考えておるわけでございます。
  31. 藤尾正行

    藤尾分科員 だれでもどこからでも輸入できるという体制にしようということでありますから非常にけっこうなことであります。大いにこれを進めていただきたい。  そこで私ももう時間がありませんから結論に移りますけれども、私どもの国ではいま米の生産調整ということで、農業政策といたしましては大転換期に来ておるわけであります。おそらくこの問題は、政府が総がかりであらゆるエネルギーを集中いたしましてやりましても、はたしてこれができるかどうかわからぬというくらいにむずかしい問題だと私は思う。そういったときにこれを転換をしてもらうということを無理無理にお願いをしなければならぬ。これを一時的な野菜とかあるいは一年生のものにかえていくということも一つの方策です。しかしそれは一年たったらまた米に返るかもしれない、こういうおそれがあるわけであります。したがいまして生産奨励金の区別の中にもあらわしておられまするように、できるだけ永久転作物といったものに転換をしていただくほうがわれわれといたしましては非常にありがたいわけです。そういった点から考えましたならば、このかんきつと果樹というようなものは、私ども国の政策の大本といたしましていまはこれを圧迫してはいけないのです。少なくとも私どものこの米の転換という大農業政策が貫かれるまでは、これを軽々にやられてはみずからの首を絞める結果になる、私はそれを非常におそれます。そういった意味合いで、この問題を自由化という一つの、いまの貿易政策という観点からのみ取り上げるということでなく、やはり国全体の大きな問題といたしまして、農業政策全般の立場から、国策全般の立場からお取り上げを願わなければならぬ。特にそういった場合にこの自由化ということを慎重にお扱いを願いたいということはもちろんですけれども、これをいよいよせっぱ詰まって自由化しなければならないのだということになったならば、それ相当の理由というものを国民にわからしていただかなければいかぬ。この点はどう思っておられますか、最後にひとつお伺いをいたしたいと思います。これは両省からお伺いをいたしたい。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 酪農、果樹あるいはでん粉などにつきまして御指摘のような問題があるわけでありまして、生産農民の利益と消費者の利益とどのように調整するかということは非常にむずかしい問題だ、私も藤尾委員の御指摘のような問題意識を持っております。非常に慎重に扱わなければならない問題だというふうにかねて考えております。
  33. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 自由化の問題については、先ほど申し上げたように、ある程度しなければなりませんが、しかし、当面、総合農政の強力なる展開ということも、刻下の重要な政策であります。したがって、農林水産物の貿易自由化については、この重要な総合農政の展開に支障のないように十分に配慮しながら、慎重に事を進めていく必要がある、かように考えております。
  34. 藤尾正行

    藤尾分科員 非常にお力強い御答弁で、私もほんとうに満足でございます。  そこで、最後にお願いをいたしたいのでありますけれども自由化をしなければならぬというときに、日本に入れてくる場合の植物の防疫の問題がございます。アメリカの場合には、いまのレモンの場合を例にとりますと、入れてまいりまして、日本に上陸をいたしましてから、これはカイガラムシを殺しますために青酸カリ薫蒸を行なっておるわけであります。これは、扱いいかんによっては非常に危険である、かように私は思います。また、今度は、チチュウカイミバエというような小さいハエ、そういったものがやたらに入ってきては困るということで、現地で十二分の防疫体制をとっておられます。それは非常にけっこうなんですけれども、その取り扱いは、全部どこの国にも同じようにしてもらいたい。それがやはり自由化一つ考え方である。特別の国には特別の措置を許す、特別の国には特別の措置は許さないというような不公平があっては相ならぬ、かように考えるのであります。非常に技術的な問題でありますから、これはひとつ農林省植物防疫関係の方が来ておられるはずでありますから、その方から一言責任を持ってお答えを願いたい。
  35. 福田秀夫

    ○福田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、国によって取り扱いを変えるということがあってはならないと思いますので、そのようにいたしたいと思います。
  36. 藤尾正行

    藤尾分科員 私はこれで質問を終わるわけでありますけれども、先ほど来もう大臣からもお力強いお話がございましたような次第でございますから……。  グレープフルーツといいまするものは、自由化品目の上に載っかっておる。載っかっておるものをいまさらはずせと言ったって、これはなかなかむずかしい問題だと思います。しかしながら、幸いにいたしまして、オレンジというものは、この片割れでありますけれども、これはいまのところは載っかっておりません。このオレンジにつきましては、これはいまイスラエルとか南アとかアリゾナとかいうような砂漠地帯ですら生産をしております。ましてや、いま日本のこの広いたんぼをかえていくというような場合に、こういったものにかえていく、そうしてそれを非常に良質なものにしていって、逆に輸出のできるようなものにまで仕立て上げるということが、私は、政策的な配慮でなければならぬ、かように考えるのでございまして、ぜひひとつそのような御方針を、あたたかい目で農業というものにお与えをいただきますように、特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。これはひとつ最終的に両省から、全農民に向かってお答えを願いたい。
  37. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように非常にむずかしい問題でございますので、やはり慎重に考えていかなければならない、かねてそう思っておりますが、今後もそういうふうに考えていくべきだと思っております。
  38. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほど申し上げたとおり、グレープフルーツ等については、いままでの国会答弁のいきさつもありますから、これは十分にそういう趣旨で処置をするということでありますし、オレンジの問題については目下何も考えておりません。
  39. 藤尾正行

    藤尾分科員 それじゃ私の質問はこれで終わります。
  40. 森田重次郎

  41. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 きょう私は、通産省に二点について質問いたしたいと思っております。第一点はゴルフ場の適正化、これであります。それからいま一つは、公害対策とからんで、現地で、重油の精製化はもちろんでありますが、脱硫できない問題、こういった問題をひとつただしてみたいと思います。  まず、ゴルフ場の適正化でありますが、このことについて、私、昨年の分科会におきまして質問をいたしたわけであります。特にその中で、悪徳ゴルフ業に対する規制の問題を中心として質問したわけであります。その後、どうやら、ある程度自主規制が行なわれてきたようでありますけれども、依然として悪徳業者はあとを断たないというような状態であります。  そこで伺いまするが、現在ゴルフ人口はどのくらいになっておるか、それからゴルフ場の数はどのくらいか、こういった点について政府委員のほうからお答え願いたいと思います。
  42. 両角良彦

    ○両角政府委員 四十四年末の数字で申し上げますと、全国のコースの数は五百五十六、このコースのゴルフ場に所属されております会員の数は五十一万二千三百五十二名ということでございます。したがいまして、広い意味のゴルフ人口ということでございますと、この三倍ないし四倍くらいの方がゴルフを楽しまれておると考えます。
  43. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 昨年ようやく、通産省が、野放しになっておったゴルフ業に対して、監督指導官庁として位置づけられたわけであります。そして、いまお話がありましたような非常に多くのゴルフ場、それから会員五十一万とおっしゃいましたが、利用者はおそらくこれの十倍くらいあるのじゃないか。したがって、一般的にいわれるゴルフ人口というものは六百万をこえるのじゃないかというふうに考えております。世のスポーツの中で、やはりこれだけの利用者をもっているというものはそう数多くないのであって、国民のレジャー生活に与える影響というものは、このゴルフ場経営の運用のいかんによってたいへん大きなものを与えるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、いかがでしょうか。こういったゴルフ場建設について妥当な投資額というものはどの程度のものであるかということを通産省はお考えになったことがありますか。
  44. 両角良彦

    ○両角政府委員 ゴルフ場の妥当投資額と申しますか建設額といいますのは土地、地代のいかんによりましてたいへん異なると思います。非常に交通の便のよろしいところあるいはそうでないところ、いろいろ単価も異なってまいりますので、一がいにはなかなか判定もできないと存じますが、おおむね私どもの伺っている範囲では、一コース十億円という程度ではなかろうかと推定をいたしております。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そういたしますと、かりにあなたのおっしゃるとおりの一コース十億円程度ということになりますと、いままでこれにつぎ込まれた金は非常に大きなものになる。あなたのさっきのあの計算でどのくらいになりますか。
  46. 両角良彦

    ○両角政府委員 まず数千億円でございます。五百五十六コースございまして十億円単位でございますと、五千五百六十億円ということでございます。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そういった大きな投資が行なわれているわけでありますけれども、その中でそれと関連いたしまして不正が行なわれておる、こういうことなのであります。  そこで、昨年私宮澤大臣質問いたしまして、お答えをいただいている。その中で特に私取り上げたのは、これだけの大きな投資をしておるゴルフ業者の中で、建設にからんできわめて不正なことが行なわれている。たとえばゴルフ場をつくると称して会員から金を集めておいて全然つくらない、こういうことで全く泣き寝入りになってしまっておる。あのときの私が調べた資料だけによりましても、おそらく関東地域だけでもそういったものに該当するものが四十くらいあったと思っております。それからゴルフ場をつくったけれども、先ほど言いましたような妥当投資額を欠きまして、経営が困難になって倒産してしまったというようなことでゴルフ事業者が大きな迷惑を与えておるというのは、これまた関東地区だけでも四十くらい。それからつくったことはつくったけれども、非常に多くの、ゴルフ場が利用できないくらいの会員を集めて、金を取って、そしてゴルフ場をつくったけれども、残余の額は他に流用しているというようなものもある。そういうことでこの企業を何とか規制する必要があるのじゃないかということを実は大臣質問したわけであります。そのときの大臣答弁はまことにりっぱな答弁でありまして、憲法の保障する職業選択の自由、営業権を含めた自由というような観点に立ってみても、こういったものを一々規制していくことはあまり適当じゃないのだ、したがってできればこれを自主規制の方向へ持っていきたい、こういうことでありました。そこでいろいろとくふうなさったのでありましょうが、そういった自主規制の方途というものも、たとえばゴルフ場連盟というようなものを社団法人として認めて、これを使って何とか規制の方向へ持っていこう、こういうことであったと思うのであります。  ところがその後の状態を見ておりますと、必ずしもそれがうまく行なわれていない。依然としてやはりそういった悪徳の例が出てきておる、至るところで訴訟を起こしておるというようなことでありますが、このことにつきまして大臣は、こういった実態を現実に見ながら手をつかねておるということはどうかと思うので、何かこれに対して手を打たなければならぬというようなことでいろいろと検討されておりますかどうか。もしそういうことでありますならば、どういうような方向での検討をなさっておるか、それを伺いたいと思うのです。
  48. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ゴルフ場にまで国が干渉しなければならない、まことに情けないことでございますけれども、事実そういう詐欺のようなことが行なわれたりいたしておるのでありますから、御指摘のような社団法人が発足いたしまして、まあこれは詐欺でございますから、たまたまゴルフ場というものを一つの道具にした詐欺でございますし、またそういうときに発起人などといって相当な人の名前が出ておるので、それを信用したなんというケースがよくございますけれども、名前をお貸しになるほうも、これはお互い日本人というのはそういうことは比較的甘いほうでございますけれども、やはり名前を貸す以上もう少ししっかり責任を持つ、責任を持てないものは貸さないというようなものの考え方をしっかりしていかなければならないと思っておりますが、このごろは皆さんだんだん御用心をなさるようになられたようであります。結局とことんのところは、これは警察の問題、詐欺事件でございますから、そういうほうにゆだねるしかないと思っておりまして、私どもとしてこの社団法人をつくって、そしてそこに活動してもらう、自主的な方法でというのが妥当なところではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  49. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこで大臣、前回のときにそういう御意見を私承ったわけであります。しかし、そのときも申し上げたのでありますけれども、そういった連盟ができて自主的に規制をやっていこうという努力をする。けれども、できてないゴルフ場は連盟に加入するわけにいかないのですね。そこのところが私、問題じゃないかと思うのです。それからこれは刑法上の問題だから、それはそっちへまかしておけばいいんだというわけにもいかぬ問題じゃないか。そこはやはり行政監督官庁として、とるべき道を開いていかなければいけないのじゃないか。たいへんむずかしいでしょう。むずかしいですけれども、私はそう思うのでありまして、公共の福祉、これだけの大きな被害を受けている面が多いのでありますから、何かそういった見地に立ってある程度の規制というと少し誤解が出てきましょうが、免許とか登録とかいう形でものを考えていくという方法がないのでしょうか。大臣でなければ局長からでもけっこうです。
  50. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、ゴルフの大衆化ということに伴いまして、ゴルフ場の建設に伴ういろいろな不祥な事件というものも起こっておりますし、また一たん開場されましたゴルフ場につきましても、会員の方の権利の保護といったことも大衆化に伴っていろいろ必要になってくる面もあろうかと思います。さらに御承知のように、昨今のゴルフ場経営におきましては、かつての会員制度というもののほかに、新たに株式会社制度をとりますゴルフ場がたいへんふえてまいりました。したがいまして、営業面からする配慮というものがたいへん強調されるような経営も多くあるのも当然でございます。これらの点をいろいろ考えますと、スポーツとしてのゴルフを健全に多数のゴルフ愛好者の方が楽しんでいただくために、ゴルフ業界とされての何らかの自主的な健全化のルールというようなものが望ましいのではないかというふうに存じております。さような見地からゴルフ場連盟におきまして、全国ゴルフ場の実態調査あるいは規約の収集あるいは会員に対する保護あるいは会員権の保護といった見地からする諸措置を目下調査を進めておる次第でございます。そのほか、ゴルフに関連いたしまする識者の方々の御意見等も伺いまして、今後のゴルフ場の経営の健全化ということにつとめてまいりたいと考えます。
  51. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこで、この際はっきりしておきたいのですが、昭和三十八年以前のものはなかなかデータがありませんし、わかりにくいですが、四十年以降倒産したのはどのくらいありますか。
  52. 両角良彦

    ○両角政府委員 私ども正確な数字はなお判明いたしておりませんが、約五十社くらい倒産をいたしたと思っております。
  53. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 あるゴルフ雑誌なんでありますが、そこで詳細調べておるのを見ますと、おっしゃるとおり五十二くらいだろうというようなことをいっております。これが与えた利用者に対する損害というものは非常に大きなものだと思っておりますが、そのほかに、倒産以外に、ゴルフ場をつくるといって、つくらなくて食い逃げしたというものはどのくらいありますか。
  54. 両角良彦

    ○両角政府委員 昨今の数字で申しますと、いわゆるまぼろしのゴルフ場といいますか、計画を発表しておきながら実際にゴルフ場の開場に至らなかったというような例は、約十くらいと私どもとしては把握をしております。
  55. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 それらに対して、これはやはり刑事問題としてだけの措置しかとっておりませんでしょうか。
  56. 両角良彦

    ○両角政府委員 私どもとしましてはゴルフ場以前の問題と考えまして、刑事措置のほうにこの問題についての処理を期待をいたしている次第でございます。
  57. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 こういったゴルフ場に投資といいますか、会員という形で加盟してやっている人の中には、いろいろ特権階級といわれるような人もかなりおるわけでありますけれども、最近ではそうじゃなくして、一般のサラリーマンでもこういったものに会員権の形で投資しているというものがあるわけなんでありますが、それがいま日本では、ゴルフというと何か依然として一部特権階級の遊びであるというような考え方から、あまりこういったものをやかましく言って、刑事訴訟等の手段に訴えて争うというような空気が十分でないようなんですね。最近やかましく言われてまいりましたけれども……。こうして考えてみますると、依然としてやはりこういった悪徳業者があとを断たぬというような状態になっております。そこで、これは先ほどもちょっと触れましたように、事前に何らかの措置をしなければならぬ、こういうことになるのじゃないかと思うのでありますが、登録制度をとるか、あるいはその他の規制の方法をとるか、なかなかむずかしい点でありましょうけれども、これをこのままに放置しておったのでは、これはたいへんなことだと思います。政府としては、こういった情勢をにらみながら、先ほどもお話がありましたような方向へ持っていきたいという強い意思があるのでありましょうね。検討しておる、検討しておるで逃げてしまっておるということではいけないと私は思うのですが、どうでしょうか。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはやはりそのような意思を持っております。おそらくゴルフ場以前の問題になってしまうわけでございますので、比較的有効な方法としては、金を集めるわけでございますから、たいていそういう場合に金融機関を指定して、そこへ払い込むというようなことであろうと思いますから、それを受け持ちます金融機関の側において、いやしくもそういう募集を引き受けます以上は、実態について全く知らなかったというようなことでは適当でないのではなかろうかといったような観点、そういうあたりが比較的有効な被害を防ぐ方法ではないだろうかというような検討をしておるわけでございます。
  59. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 それから、そういった指導監督という面から見て、違った面からひとつやってみようというような考え方が出てこないだろうか。それは、最近の国土総合開発、そういった面から緑地として大きな役割りを果たさす。ほうっておけば宅地になってしまう。それを、いま非常にやかましく言われている緑地、あるいは国民生活の支出の非常に大きな部分を占めておりますレジャー、そういったものと関連して、レジャー施設というようなものと関連して、何かその中で、これだけのばく大な資本を投下していくのでありますから、役立たせるというようなものの考え方、これを持てませんか。そういう方面から、関係法規と関連してきびしく取り締まっていくというような行き方がないだろうか、こういうふうに私は思うわけであります。いかがでしょうか。
  60. 両角良彦

    ○両角政府委員 昨今の首都圏の近郊整備地帯というようなところにおきましては、ただいま御指摘をいただきましたような、いわゆる市民の健康確保のための緑地帯としての機能というものも、ゴルフ場の建設にあたりまして十分配慮をされて運営をされているものと考えまするが、現在国土の総面積の中でゴルフ場の占めます面積は〇・一%ということで、この〇・一%が緑地保全のために今後どのように活用されていくかは、私どもとしましても十分頭に置きまして対処してまいりたいと考えております。
  61. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 十分頭に置きましてではなくして、何かそういうものと関連した、たとえば都市計画法であるとかあるいは再開発法であるとかいったものと関連して、おそらくこれは市街化区域の中には出てこないでしょうから、そうすると、調整区域という中で考えられる問題でしょうから、そういった場合に、こういったものに何らかそういった法規と関連して間接的に規制していくというようなことが考えられないかどうか、これを言っているわけなんです。
  62. 両角良彦

    ○両角政府委員 御指摘のとおり、都市計画及び首都圏、近畿圏、中部圏等の地域計画の中で、緑地の保全ということが積極的に配慮をいたされておりますので、その一環といたしまして、ゴルフ場というものもその中に取り入れて考えていくという姿勢で運営をされておるはずであります。また、そうありたいと考えます。
  63. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 いずれにしましても、この問題につきましては昨年あたりから非常にやかましく言われておりますし、ぜひひとつ指導監督の衝に当たられている通産省として、もっと積極的にこの問題と取り組んでいく、こういうふうにお願いいたしたい、このように思います。  次に私お伺いしたいのは、原油の原産地における脱硫、これをやる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。このことは、もう前々からだれもが言っていることなんであります。しかし、これは非常にむずかしい事実上の問題もあり、経済的な問題もあり、いろいろな隘路があってなかなかできない。ことに公害の発生するものは、日本ではいけないから外国へ持っていけというようなお考え方に対する道徳的な批判も出てくるだろうと思うのであります。しかしこの間、今国会の劈頭この問題で野党側から質問があって、総理は、電力需要はどんどんと増大していく、そのために発電所を設けなければならぬが、発電所を設けるということになると地元民、国民が反対する、そしてことばはどうかと思いますが、これは少しかって過ぎやしないかという意味のことを言っている。しかし私は、これはかって過ぎるということではないのだと思うわけであります。そういう矛盾を持ったものを解決するのが政治じゃなかろうか。それに対してこうやるのだというような政治のやるべき分野というものは放置しておいて、ただそういうことに反対するのはかってだというような言い方をされたようであります。意味はそうでもなかったかもしれませんが、そういうように受け取られた。そこでいろいろなやり方があるでありましょうけれども、その中の一つとして低硫黄の油を輸入するという問題、輸入量を増大していこうという点もありましょうし、日本へ持ち込んでおいて排煙脱硫とか間接脱硫とかあるいは直接脱硫をやっていくというような考え方も出てくると思うのでありますが、現にそれは一部やっておる、こういうことなのであります。しかし同時に、これは学者がやっておりましてもあまり経済効果があがっていない、こういうことで問題が依然として残されているわけであります。この場合どうして現地脱硫ができないのか。またそういった努力をされたことがあるのかというようなことについて伺ってみたいと思います。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 現地脱硫あるいは現地精製というのは実はこれから大いに検討しなければならない問題だというふうに私ども考えております。そういう御指摘がございますことはむしろ当然であろうというふうに考えておりますが、ただいままでのところ、いろいろ言われておりますことは、電力でありますとかあるいは水の確保、それから脱硫がかなり高度な技術でございますから、それを運転する能力、それから現地といいましても、現地のどこへ置くか、つまりそこへあちこちから油を集めてくることになるのでございましょうけれども、消費地ほど自然に油が集まってくるという情勢ではございませんから、そういった問題、あるいはコストの問題等々ございまして、今日まで具体的に進んでいる場合が少ないわけでありますけれども、実は、御指摘のような事情からどうしても検討はしなければならない問題になりつつあると思いまして、いろいろに検討をいたしておるわけでございます。
  65. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 総合エネルギー調査会低硫黄対策部会答申、これは昭和四十四年の十二月に答申がありましたね。ここでいっていることは、結論としては低硫黄の原油輸入とかあるいはLNG輸入、こういったものが必要であるけれども、これは資源に限りがある。日本は資源的に非常に恵まれていない。そこで、結局重油脱硫あるいは排煙脱硫というものを主体として考えていかなければならぬ。ところが、こういった答申を見ましても、何か国民経済的に有利であるかどうかということに答申の考え方が大体きている。いま問題になっておるのは公害の問題なのです。それとの矛盾がこういった答申から見ましても出てくるわけでありますが、これらの点について大臣はどういうふうにお考えになるでしょうか。国民経済のたてまえから考えるのだという考え方それ自体が根本的に誤っておるのじゃないか。そんな考えでは内地における脱硫なんかも本腰が入らぬだろうし、まして原産地脱硫なんてことは考えも及ばないというような気がするのですが、どうでしょうかね。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは御指摘のとおりだと思います。公害というような問題の意識は比較的最近のことでございますから、おっしゃるように国民経済的にいわゆるペイするかしないかといったような計算だけをしてものを考えておった時代のことは、もう一ぺん実は考え直さなくてはいけない、そういうことになってまいっておることはおっしゃるとおりです。
  67. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこで、どうでしょうか。内地でかりにやるといたしましても、そういう脱硫装置というものの設備投資というものは、一バーレル当たりどのくらいかかるものなんでしょうか。
  68. 本田早苗

    ○本田政府委員 五万バーレルの脱硫装置に、設備投資資金として百億程度のものが要るというふうにいわれております。
  69. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 脱硫コストは。
  70. 本田早苗

    ○本田政府委員 いまのところは目標としては千七、八百円、現在までの実績はそれを若干上回っております。
  71. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そういたしますと、いまのは一キロリットル当たりですね。
  72. 本田早苗

    ○本田政府委員 そうでございます。
  73. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そうしますと、大体二千円程度、それを千八百円程度まで持っていくべきだというか、いきたいという考え方なんですね。
  74. 本田早苗

    ○本田政府委員 稼動率八〇%まで上がればその程度になるかというふうに見込んでおるわけであります。
  75. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 一体そういう規模の脱硫装置というものは、メリットはどうなんですか。
  76. 本田早苗

    ○本田政府委員 メリットという点がよくわかりませんが、一応その程度のコストで直硫でいきますと、一・二程度までに硫黄分を抜いていけるわけであります。
  77. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 その程度の小型のものはあっちこっち各石油会社がやっておるわけでございましょう。つくっておるわけなんでしょう。精製をやる段階でそういった——私もよくわからないのですが、そういった何か小さいものをたくさん各社ごとにばらばらにやっておるということではないのですか。
  78. 本田早苗

    ○本田政府委員 御指摘のとおりでございますが、十万バーレルの精製設備でやりましても、重油は半分しかとれませんから、五万バーレルしか出ないわけでございます。そこで精製設備との見合いで脱硫設備をつくるように、こういうことでございます。
  79. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そういったものをばらばらにやっておるということは、メリットが非常に低いのじゃないかということは、この答申にもそういうことがうたわれているわけですね。ですから、何とか集中した方式をとっていきたい。集中脱硫方式、これを考えなければいけないじゃないかということを言っておるようでありますが、この点はどうなんですか。
  80. 本田早苗

    ○本田政府委員 精製設備とのバランスが必要でございまして、脱硫設備だけを集中いたしましても、それに必要な水素その他の関係がございまして、精製設備とバランスをとって設置せざるを得ないというふうに考えております。
  81. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そういうことであるならば、いっそどっかで思い切ってということになると思うのです。しかし、それを日本が一たん原油を持ち込んでやりますると、精製との関係でもって、あちらこちらにばらまいてそういう装置が行なわれておる。だからメリットは非常に低い、こういうことがいえると思います。だからそれをどこかに集中すれば非常にいいんじゃないか。その場合、一たん国内まで持ち込んでおいて、それをどこかへ集中して、それをさらにばらまいていく、輸送するということになれば輸送費にも非常にコストがかかるということがいわれておる。だからいっそ思い切って現地で一括やっておいて持ち込んでくればいい、ことにアラビア石油のようなものについては。そういう意味で現地脱硫ということは非常に意義のあることじゃないか。そういった経済ベースでものを考えてもそういうことがいえるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、大臣どうなんですか。
  82. 本田早苗

    ○本田政府委員 先ほども大臣から現地脱硫についての問題点を申し上げましたが、実は電力につきましてもそれぞれの地点で発電設備を設ける必要があるし、それから現在の産油国の事情からいきますと、水をとるために純水装置が要るというようなことがございまして、これらを新設するということに伴うコストがかかる。また建設の資材等も外から持って入るということで、建設のコストも高くなっておりますし、特にいま問題になります点は、今後の技術協力との関係もあるわけでございますが、脱硫の技術、運転技術というのはかなり高度なものになっておりまして、それらの運転要員の確保というものも非常に大きな問題点になります。それから製品を運ぶ場合と原油を運ぶ場合とでは、どうしてもタンカーが小型になりましてフレートが割り高になるという点がございまして、これは御指摘のように集中して非常に大きなものをつくって、そうしてまとまったもので運ぶということになりますと、そのフレートの割り高性は消せるわけでございますが、持ってまいる際に、どうしても大きな二十万トン、三十万トンというようなものになりますと、製品タンクのほうが必ずしもまとまっていないというような実情もございまして、二個揚げ、三個揚げというような形で荷揚げのコストもかかるというようないろいろの点がございまして、実は四十四年度に集中脱硫の調査委員会というものを設けていろいろ検討したわけでございますが、その当時の意見としては、いま申し上げたような意見が出たわけでございますが、御指摘のような事情が出てまいっておりますので、今後、現地脱硫の導入の可能性につきましては、さらに検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 宮澤大臣がおつくりになったんでしょうが、新経済社会発展計画、これを見ましても、あれは五年計画ですから、いまから五カ年後にはおそらく重油の消費量というのは日本は二倍くらいになる、こういうふうに想定、推計されておりますね。それから発生する大気汚染というようなものについても非常に大きなものになってくるだろう。そこで、いま御答弁がありましたようなものの考え方でいく。だから輸入油を入れてからあとの問題ですよ、私が言っておるのは。油を入れたあとの問題で、それをあちらこちらに陸揚げし、いろいろ精製過程をたどっていく。そういう装置が集中されないで、ばらばらになっておるということは非常に非効率じゃないか。それがまた、そこからたとえば関電の重油燃焼炉のほうへ持っていったりあちらへ持っていったり、動かすわけでありましょう。同時にこうばらばらにあるものですから、先ほどおっしゃったように運転要員というものは非常に不経済に使われるわけでございましょう。だからあなたのおっしゃっていることを、いま言っておるように集中すれば非常にそういったものがメリットが高くなっていく。これは規模のメリットですね。そこでそういうことをやらないためにいっそ現地でやったらどうかということを言っているのですが、その点が何か私はよくわからぬのです。私もしろうとですから、ただ現地脱硫はやらなければいかぬいかぬという声が非常に強くなってきている。電力会社なんかもその点を非常にやかましく言っているようであります。だからどうして現地でおやりにならぬか、そういった問題を解消するためにも原産地でおやりにならぬかということを言っているわけであります。
  84. 本田早苗

    ○本田政府委員 現在各地に精製所があるのは御指摘のとおりでございますが、精製所の立地につきましては大量に使う電力あるいは石油化学、これはもう直接パイプで送れるという形で精製所の立地を実は考えておるわけでございまして、それでなお足らない分についてはタンカーで製品を電力会社のタンクに運ぶということでございますので、現在各地に電力会社の火力発電所がありますが、その大きな火力発電地点に隣接して石油精製所をつくりまして、そして重油は大量のものはパイプで運ぶ、こういう形で実はやっておるわけであります。現在電力会社等でおっしゃる問題は、国内で脱硫した際に価格が高くなる。それはたとえば間接脱硫でございますと、アスファルトと分離しまして、軽い重油の部分で脱硫いたしまして、アスファルトの利用が不十分でありますために、もう一度アスファルトとまぜ合わせまして燃やさざるを得ないという状況になっておりますが、現地でアスファルト等の利用が行なわれますと、間接脱硫による脱硫効果というのは非常に高いのでございますので、そういうものを使えるということによって、技術のまだ不安定な排煙脱硫技術その他の問題も解決し得るのではないか、こういう問題点もあるわけであります。実際の立地は大体電力会社の隣接に置きまして、大量に安く重油の供給ができるという体制で精製所の立地は考えております。
  85. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 伺いますが、それではやっぱり現地脱硫はだめだということなんですか。やらないということなんですか。これは大臣から……。
  86. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはこういうことだと思うのでございます。いままでのつまりコストがどうかという算術だけをしておりますと、なかなか水の点、電力の点あるいは運転要員等々、いまいろいろ局長から申し上げましたが、そういう点からいってコスト的には損であるということできておるわけでございますけれども、コストの話ばかりしておられないようにだんだんなってまいりますから、どうしても方向としてはいま言われましたようなことを考えていかざるを得ないのではないか。大きな流れとしては私はやはりそういう問題があるのではないかというふうに考えております。
  87. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 最近石油が売り手市場というのでございますか、事情が変わってまいりました。いまたいへんな問題を起こしておると思います。この場合やはり海外援助というような意味において、公害をそこで処理するんだという考えではなくて、現地でもって処理するということはそういった面からいっても非常に意義の深いことではないだろうか。そのことによって、そこに企業が立地しますれば、これらの発展途上国あたりはかえって喜ぶのではないか、こういうように思うのですが、どうでしょう。
  88. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう要素も確かにございますと思うのです。
  89. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこで大体わかりましたが、この際ひとつ、くしくもパイプラインの話が出ましたので伺っておきたいと思うのですが、パイプライン計画がございますね。この間予算委員会でもやっておりましたが、国鉄の考えておる、パイプライン、そのほかに通産省で考えておるパイプラインというものがあるんだそうでありますが、これはどっちがおやりになるのですか。通産省はどういうふうにお考えになっているのですか。
  90. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは結局両省の一致しておりますところは、早急にパイプライン輸送をしなければならぬという、この点だけは一致しておるわけでございますから、あまりつまらぬことでごたごた言い合っておってもしょうがないじゃないかというふうに私は思っておりますので、結局建設の主体がだれになるか、運営の主体をどうするか、そして経済的なメリットできめていくということで、関係省で相談をし合ってやろうではないかということなんでございますが、なか、なかまだ話がついておりませんで、できるだけこれは急ぐということだけは皆がわかっておることでございますので、話をつけたいと考えております。
  91. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 結局、パイプライン輸送をやらなければいけないということは、意見が一致している。ところが、通産省、建設省の考えと国鉄の考えとが、つくることには一致しているけれども、ごたごたしている。ごたごたしておるのはいけないから、そういう点でもうあまりごたごたしないで、何とかまとめていく、こういうふうにおっしゃっておる。質問者として聞きたいのは、なぜそういうごたごたする原因があるのか。おそらくメリットの問題で、国鉄が考えているものとあなた方が考えておられるものとのメリットで、どちらが高いか低いかというようなことになるわけなんだろうと思うのですが、その点どうなんですか。わからないから聞いているのですよ。よくわかって質問する人がありますが、ぼくはわからぬで聞いているのだから……。
  92. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、私も一ぺん、ずいぶん長引いておりますからと聞きまして、話をきめてしまいたいと思っておりますので、私の知識も不十分なんでございますけれども、結局国鉄は現在のところ横浜のほうから八王子のほうへ北へ上がる線というものを考えておるわけでございますし、石油業界は、そのための会社などつくりまして、できればどこかの河川敷を使いたいというようなことをいっておるわけでございます。両方が何も矛盾し合う、相排斥し合わなければならぬ関係では必ずしもないじゃないかというふうに思われるわけですが、国鉄の案そのものは、将来埼玉県から群馬でございますか、その辺へ八王子から上がりまして、東のほうへまた線を延ばしてこようという、そこらあたりで、かりに江戸川の河川敷を使いますと、その部分とが何か競合するとかいうようなことをいうわけでございます。運営そのものはかなり技術的なもので、一種の油を、しかも違う会社のものを次々に流していかなければならぬわけでございますから、運営はひとつくろうとにやらせてもらいたいというふうに業界はいっておりまして、その点は私なんかはそうではなかろうかというふうに思いますけれども、それと運営の主体、あるいは建設の主体、それからどういう線が最も経済的であるかというようなあたりで、なかなか関係者の話が合わずに、実は私どもの自民党の中でも党内で調整をしようということで委員会を設けてかかっておりますし、実業界でも、いわゆる財界でもそのような試みがなされつつございます。まあ何とか話をつけたいと思っておるわけでございます。
  93. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 わかったようでありますので、この話はその程度にとどめたいと思います。  そこで次に、やはり公害との関連でお伺いしたいのは、今度の予算の中で頭を出しております技術開発に関する関係予算の中で、電気自動車開発、これが頭を出しておるようでありますが、これはどんなふうにおやりになるのですか。
  94. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 その計画は五年計画でございまして、来年度から五十億円の予算でやらしていただくということになっております。来年度の予算は四億五千万円でございます。そして計画は、最初の三年におきましては、現在ございます鉛蓄電池の抜本的な改良を行ないまして、それをもとにしての第一次の実験車の試作を行なうことにしております。それから、初年度から並行的に新しい形の電池の研究を進めてまいりますが、最終年度の五年目におきましては、第一次実験車、それから並行的に進めております新型蓄電池、その他の研究の成果を全部総合いたしまして、第二次の実験車の試作完成というスケジュールにしたいと考えております。
  95. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 その内容を見ますと、一つは研究所に対して、開発プロジェクトですか、これをゆだねられておる。いま一つ関係業者といいますか、関係会社にこれをゆだねておる。これは委託補助というような関係になるのですか。
  96. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 国立の研究所に対します研究費は関発費と称しており、それから民間企業に対しましての委託は委託費でございまして、補助ではございません。
  97. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 その委託される民間企業というものを、どういうふうにして選択されるのですか。
  98. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 これは大型プロジェクトすべてに対して共通的にいえることでございますけれども、まず通産省におきます関係の原局、それから工業技術院、工業技術院の傘下の試験研究機関のそれぞれの職員によって構成されます大型工業技術委員会というのを設けまして、そこでいろいろな面から検討を加えまして最適の企業をきめるわけでございますが、最適の企業といたしましては、過去の実績が十分ある、それから現在の研究能力が十分ある、しかも大型プロジェクトの研究に熱意を持って参加していただけるという、その三つの条件を勘案してきめさしていただきます。
  99. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこで、大体どういうふうな形になってくるのですか。
  100. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 これはまだ予算が決定していただいておらないわけでございますので、しかし、この電気自動車は社会的要請が非常に切実な問題でございますので、予算を認めていただきましたら、四月早々からでも直ちに発足できますような手順で、現在研究会を設けまして電気自動車の最終の性能目標というようなものを策定いたしまして、それを関係業界に提示いたしまして、その性能にマッチするディバイスを持った各業界がこれに応募していただくという段階に入っております。
  101. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そうすると業界のほかにはどういう人が入るわけですか。
  102. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 実際に研究をやるというほうでございますか。
  103. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 メンバーです。
  104. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 大型プロジェクトの研究のメンバーでございますか、それとも決定するところでございますか。
  105. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこでこういうことをよくいわれるのですが、そういう場合に自動車メーカーは当然入りますね。
  106. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 はい。
  107. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 入った自動車メーカーが、系列化された、たとえば電池製造業者というものがおるわけで、何々自動車にはどことどこときまっておるようでありますが、その場合に、たとえば電池の開発ということになって、在来型と新しい型ということになっていく場合に、自動車メーカーの恣意によりあるいはイニシアチブによって、そういうものが簡単にきめられていくのじゃないか、あるいは委託費なんかもそういう形で配分されていくのじゃないか、そうなると非常に問題が出てくるのじゃないか、こういうことをいわれておりますが、その点についてはどうでしょうか。
  108. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 この研究開発を実際に委員会に委託いたします場合には、プロジェクトごとに、たとえば電池なら電池、車体なら車体というふうにプロジェクト別にいろいろなグループを編成いたしますので、先生のいま御指摘のような問題がなるべく起こらないようなかっこうで進めたいと思っております。
  109. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 これで終わりますが、いま一つ、この間の新聞を見ますと、何か牛乳配達をやる電気自動車というやつが出てきたわけですね。これは通産省ではないのでございますね。これは農林省なんですね。牛乳は農林省だからそういうことになったのだと思うのですが、その自動車に対して補助金を出すということをいっておるわけなのであります。私が聞きたいのは、せっかくこう大きく電気自動車開発プロジェクトを進めていこうというときに、何かいま言ったようなものにまで、牛乳が農林省だからといって、そのために使う自動車に対して一やはり製造、開発プロジェクトでしょう、これに対して補助金を出していくんだというような考え方で、行政がそういうふうにばらばらになっているということはおかしいと思うのですが、これはどうなんでしょうか。
  110. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 先ほどの農林省のほうでの補助制度でございますが、これは研究開発ではございませんで、購入をされます場合に購入費の一部を補助するというかっこうのようでございます。それで電気自動車は現在市場にいろいろな型のものが出ておるわけでございますけれども、これは実際の自動車のほうからいきますと、性能その他非常にまだ程度の低いものでございまして、私ども大型プロジェクトで目標にいたしておりますものは、それよりもはるかに飛躍的に高い性能のものをねらっているわけでございます。牛乳配達とかあるいは新聞配達とかいうことに最近かなり使われ始めておりますけれども、これはそういう大型プロジェクトができ上がりますまでの過程の段階において、技術は段階的に進歩いたしますので、その過程においていろいろそういうものが使われるということは大型プロジェクトの制度とは矛盾しないものであるというぐあいに考えております。
  111. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 それならば、これまたきのうの新聞に出ておりましたが、興味を持って私見ておったのでありますが、大阪交通局が関西電力と一緒になってバスを実際走らせてみたいということで、いよいよこれと取り組むのだということになっておるわけですね。かつて戦時中だったと思いますが、走らせたことがあるらしいのでありますけれども、そうするとこういったものはなんですか、かりに補助してやるということになれば、どこから補助するのですか、補助しないのですか。自治省から補助するのですか。
  112. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 これは補助ではございませんで、大阪市自体が関西電力と一緒になって共同研究をされるというふうに聞いております。
  113. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 いや、人ごとみたいに言わないで、牛乳配達でもそれくらい補助しようというのに、都市交通で、しかも一番問題になるバスを電化していこうというような非常な意欲を持っている。それはしかし交通局と関西電力でやるのだから知らないのだ、こういうわけですか。
  114. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 大型プロジェクトの中にもバスは一つのタイプとして取り上げているわけであります。それで先生の御指摘は、大型プロジェクトのバス対象の研究と大阪市で取り上げている問題とはかち合いはしないかというお話でございますけれども、これは私どものほうではまだ大阪市のほうでの計画その他あまり具体的なことを聞いておらないわけでございますけれども、性能その他の最終目的の上にかなり差があるのではないかということを私はつかんでおるわけでございます。研究自体は、かりに国の出さない研究であれば、かなりいろいろなところで研究するということ自体は、この電気自動車の社会的なニードから見ましてそう悪いことではないというぐあいに考えております。
  115. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 だから、私が言ったのは、あなた技術院だから技術のことばかり言っておられるが、ちょっと予算のことも考えてもらいたいと思うのだ。これはいいことなんですよ。もしほんとうに大都市が公害対策のたてまえから思い切ってそこと取り組んでいこうということになれば、これはかなり大きな犠牲が出ると私は思うのですけれども、そういったものに取り組むのに、農林省は牛乳配達というああいった部門ですら取り上げて、そこまでやっているのに、通産省としてこれを考えないのかということを言っているのです。これは技術院のほうでは無理ですね、これは大臣だな。どうでしょうか、一ぺん考えてやったらどうなんでしょうか。そういうことになると、これは全国的に取り組みますよ。
  116. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはよく私にわかりませんので、お返事を申し上げられないのでありますけれども、大阪市当局の財政と当然関係のあることでございましょうと思います。少し閣僚間でよく意見を聞いたり、相談をいたしたりいたします。
  117. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 いま道路交通、ことに都市交通は、はっきりいいましてたいへんな赤字で困っているわけですよ。関電あたりが出すのだろうと思いますけれども、しかしもしそれが成功すれば全国的にこの問題は起きてくると思います。それはたいへんな大きな役割りを果たすと思いますので、もう少し財政面から一ぺん考えてやっていただきたい、このことを申し上げまして質問を終わります。
  118. 森田重次郎

  119. 後藤俊男

    後藤分科員 昨年の国会でございますか、電気工事業の業務の適正化に関する法律、これが四十五年の十一月二十一日に施行されておるわけでございます。これに基づきまして各電気工事業者の証明の関係があるわけです。問題といたしましては、考え方によっては非常に小さい問題であるといえるかもわかりませんけれども、業者と通産省との政治姿勢の関係にも及ぼす問題ではなかろうかというふうにも思いますので、この点を明確にするために疑問な点をお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  昭和四十五年の十一月十九日に公益事業局長の名前で通達が出ておるわけなんです。この通達の中には、必要なことが順次書かれておるわけでございますけれども、その中の六ページの最後のほうにおいて、電気業者であるという証明書を出さなければいけない、その場合にはこうこうこういうふうにやりなさい。これがイ項とロ項に二つに分かれて通達が出ておるわけでございます。その中でも全国的に調べてみますと、ロ項よりはイ項を行政指導ということで強く指導をされた、これは実績が物語っております。その関係につきまして、通達を出されました公益事業局長おいでになりますか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  120. 長橋尚

    ○長橋政府委員 御指摘の昨年十一月十九日付の通達におきまして、法律の適切、厳正な運用を確保いたしますために、主任電気工事士についての資格要件、これは電気工事業者が登録申請をいたします際に、電気工事士試験に合格をして三年以上の実務経歴を有する者を雇っているということの証明書を登録申請書に添付させることにいたしまして、そのためにまず当該主任電気工事士が三年の実務経歴を有するということにつきまして、その者が雇われておりました事業主、電気工事業者の証明をつけさせますと同時に、今度はその電気工事事業者が、電気工事士が三年間の実務経歴を有します間、電気工事業を行なっていたという証明をさらに求めることにいたしたわけでございます。その場合に、通達におきましてまず「電気工事業に係る法人格を有する団体の発行する証明書」、「その他主任電気工事士等実務経験証明書を発行する者が電気工事を行なっておりまたは行なっていた者であることを証明するに足りる書面」という二本立てで、道を開いたわけでございます。この間の関係につきましては、全くの並列でございまして、特にイに重点を置く、そういうふうな考え方のもとに起案されたものではないわけでございます。御指摘の点につきましては、「電気工事業に係る法人格を有する団体」といたしまして中小企業団体法に基づきます工業組合ないしその連合会を組織しております全日電工連という団体がございます。これは全国で四万軒程度と推定されます電気工事業者のうち、約三万軒程度を組合員にかかえておる、こういった団体でございまして、その団体がかなり証明事務の中心になるという実勢を持っておるわけでございます。私どもといたしましては、その団体だけが唯一の証明団体である、あるいはまたそういう背景のもとでその団体がアウトサイダーに対しまして不当に加入を勧誘するというふうなことのないように、都道府県ないし各通産局に対しましても十分に指導につとめているところでございます。
  121. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われましたのは、ざあっと抽象的な御説明をされたわけですけれども、このイ項によりますと、各都道府県電気工事工業組合、さらにその他の電気工事業にかかわる法人格を有する団体の発行する証明書が必要である、こうなってまいりますと、時間がないのでしゃべりますけれども、日電工に、さらに全日本ネオン協会、東京電業協会、日本電接協会、これらが該当すると思うのです。この中でもいまあなたが触れましたように、日電工が一番大きいと思うのです。そこで、いま言われた四つの法人格を有する組合から証明書をもらってきなさい、それではその証明書を適用しましょう、こういうことになるわけです。その場合に、たとえば日電工に入っておらない、四つの法人に入っておらない電気業者はどうするのだ、それはロ項でございますと、あなたは答えるだろうと思うのですが、ロ項は事実行政指導しておらぬわけなのですよ。日電工に行きなさい、全国的に調べたらこういう指導をしておるのです。そうなりますと、この日電工で証明書をください、そうしますと、電気業者に、あなたは私のところの会員じゃないから証明書を出すわけにまいりません、茨城等におきまして、私のところの会員になるために十七万円金を持ってきなさい、そうすれば日電工の組合員にします、証明書を出します、あるいはその他のところにおきましてはその証明書を二百円要るとかあるいは十七万円がどうこうとか、問題が出てきたわけなのです。その問題が出てまいりましたものですから、いまあなたが説明されたように、そのあとにそういうふうなことをやらないようにという通達があとから出ておるわけなのです。行政上必要な証明なら、こういう業者にこういうことをやらせる——しかもいま私が申しましたように、この四つの団体なり、電気業者の団体の代表者会議でも開いて、こうこうこういう意味でありますという説明会でもしているのなら話はわかりますけれども、そういうことも一切やっておらない。これはうがったものの言い方をしますと、今度この法律に基づいてこの証明書が必要である、その証明書は日電工が中心になって証明書のめんどうを見る。そうしますと、日電工に入会を慫慂する、あなた方の出しておる通達そのものは、日電工の組織強化に通ずることになるのです。そういうことがはっきりいえるのです。先ほど言いましたように、これは二、三の例でございますけれども、日電工に入るために二十万お金を持っていらっしゃい、十七万お金を持っていらっしゃい、あなたは私のところの会員じゃないから証明を出すわけにまいらぬ、ところが、証明を出さぬことには、電気業者であるという証明を出して登録せぬことには、業者としてやれない。そうなりますと、結局日電工の組織強化と申しましょうか、日電工の組合員をふやすためにこの通達というのは十分利用されるし、そのことを考えた上の通達ではないか。これはうがったものの言い方ですけれども、そういうふうに曲解されてもやむを得ぬわけなんです。  そこで、御承知のように全国建設労働組合の総連合という組織がありますね。ここにおいてはその証明書を出すだけのことをあなた方の通達では認めておらぬわけなんです。こんなばかなことが一体どこにあるというので、東京都連等は直接団体交渉をして、全建総連の証明でよろしいということに今日はなっておるわけなんです。東京都自体がこの通達を見て、これはおかしいじゃないか、何ですかこの通達はというようなところまで団体交渉では話が進んだそうです。  だから、先ほど言われましたように、イ、ロと二つ項目がございますけれども、ロのほうは行政指導はせずに、イの方向で行政指導をして、しかも証明書は日電工からとる、これは四つの法人格がありますけれども、その中の大多数は日電工の組織になっておるわけなんです。そうしますと、一般の業者は、証明をとろうと思うと日電工に加入せねばいかぬ、加入するために十七万、二十万の金を取る、あるいはその金を取らなくても、二百円、三百円のお金がないことには証明を出しません、こういうようなことで問題が起きておることはあなたのほうも十分御承知だと思うのです。そのことを十分考えてこんな間違った通達を出されたのかどうか。私はこれは間違っていると思うのです。この証明を出す場合に、別に意図されておるわけでもないのでしょうが、ただこの通達一本で、個人個人の電気業者は知らぬわけなんです。たとえば、日電工に入っておらぬ組合の人が日電工に証明をくださいといった場合に、自分のところの会員ならば日電工でも電気業者であるという証明は出せると思いますけれども、自分の組合の会員でない人にどうして証明が出せるのですか。そんなことをやるくらいなら、市町村なり区長の証明が一番正しいと思うのです。しかも、これは行政上必要な証明書でございます。一体なぜこういうことをやったのですか。この証明が必要なら、市町村なり区長の証明でりっぱに通ずると思うのです。しかも行政上必要な証明なんでしょう。それを利用して十七万、二十万あるいは二百円、三百円ということで、そういうことをやられておる。結果的には日電工の組織の強化に通ずる。裏面で何か通産省と日電工といろいろ相談がしてあるのじゃないか、そういうところまで疑いたくなるわけなんです。いかがですか。
  122. 長橋尚

    ○長橋政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、ある特定の団体に対して特別な証明の立場を与えるというふうな考え方は、先ほどもお答え申し上げましたとおりに全く持っておらないわけでございます。そして各関係団体といたしましては、いよいよこの電気工事業の業務の適正化に関する法律もできたというところで、その団体の組織を強化しよう、こういうふうな動きがあることは事実でございますけれども、それに対しまして通産省といたしましては、特別なささえを特定の団体にするということはできない、そして、そういう団体の発展の必要性という点はわかるけれども、これは団体自体の努力によってなすべきである、かような立場で対処してまいっておるわけでございます。     〔主査退席、渡辺(栄)主査代理着席〕  ところで、証明の先ほどのイとロの二つのうちでございまして、こういう証明でございますから、国の行政処分の基礎になる証明でございますので、まずだれでも証明できるということにはできない、やはり公益法人であるとか、あるいは中小企業団体法に基づきます共同施設事業のできるような工業組合であるとか、そういうふうな公益性の高い法人を証明団体に取り上げなければならない、かような点。  もう一つは御指摘のようなアウトサイダーの立場も十分に考えまして、ロにおきましては、「その他主任電気工事士等実務経験証明書を発行するが電気工事を行なっておりまたは行なっていた者であることを証明するに足りる書面」という非常に範囲の広い表現をとりまして、その中では労働組合法に基づきます団体としての全建総連というふうなものも、その組合員の一部に電気工、電工というふうな者を擁しております。個人営業をやっておられる方というのが組合員の一部になっているわけでございます。そういう面についてはそういう方々の申請者の便宜という点も考えまして、ロに基づきます証明団体として取り扱う道を開いております。  またそういった団体に加入していないというふうな方々につきましては、たとえば納税証明書に加えて、工事契約書の写しとか、場合によりましては市町村長の営業証明というふうなものが得られます場合には、書面をもって適格とする、かような幅の広い道をここで開いておる次第でございます。
  123. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われたことは先ほども言われたことでわかるのですが、それなら率直にお尋ねしますけれども、イのほうの法人格を有する団体の証明ということは、そこの会員であろうとなかろうと、そこの証明を持ってくればいいということなのです。そうなりますと、そこの団体は、自分のところの会員でもない者を、これは電気業者でございますという証明書を出すだけの権利がありますか。自分の組合員ならいいです。自分の会員ならわかりますけれども、会員でも何でもない人を、行政上必要な証明書を出す場合に、市町村かどこかへ調べに行かぬことにはわからぬでしょう。同じ業者とはいいながら離れておればわからぬわけなのです。それともう一つは、四つの法人団体があるわけですけれども、この四つの中で八割方は日電工だと思うのです。行政上必要な証明書ならば、たとえばこの団体ならこの団体に委託して、この証明は一部五十円なら五十円で、こういうふうにきっちりやりなさいというふうな指導をしておるなら私は話はわかるというのです。全然そういうことをせずに、とにかく四つの法人団体から証明をもらってきなさい。そのほかにロ項はありますよ。ありますけれどもイ項がもう行政指導としてやられておるわけなのです。各県で指導をしておるのを見ますと、日電工に行ってきなさい、そこの組合へ行って証明をもらってきなさい。これ一本でやっておるわけです。そうなりますと、先ほど言うたように、十五万だ二十万だという話が出てくるわけなのです。行政上必要な証明ならばなぜそういうまずいことをやるのか、しかも日電工の組織強化のようなお手伝いを一官庁がなぜやらなければいけないのか、そういうことになる通達ですよ、中身ですよということを私は指摘しておるわけなのです。しかもいまあなたが言われましたように全国建設労働組合総連合というのがあるのですね。そこの証明はだめなのです。このイ項に入っておらぬわけなのです。ですからこの組合としてはそんなばかなことがないというので、東京なりあちこちで団体交渉をやって、ようやくそこの組合の証明も通用することに現在はしたわけでございますけれども、そうなりますと、この日電工とあなた方との関係でこれは何かあるのじゃないか、今度こういう法律ができてこういう証明が要るからおまえのところでやれ、おまえのところだけというわけにいかぬけれども、四つの法人があるから、大多数はおまえのところで握っておるから、これを通じてひとつ証明書を出すのだろう、こういう裏話が、座談会などをやりながら話が進められて、その結果としてこういう通達が出たのだと申し上げても過言じゃないような気もするわけなのです。これは言い過ぎかもわかりませんけれども、そこまで言いたくなるような通達の内容だと私はここで思うわけでございますが、いかがですか。
  124. 長橋尚

    ○長橋政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、通産省の行政姿勢といたしまして、特定の団体に特にこういうふうな通達の面でてこ入れをする、こういう考え方は全くとっておらないわけでございまして、先ほどのそういった状況下におきまして、会員の、組合員の拡充強化というふうな点は協会自体、組合自体がまず努力すべき問題である、かような基本姿勢をとっている次第でございます。全建総連につきまして、イ項の「その他電気工事業に係る法人格を有する団体」というふうな範疇に入れることは適当でないということでロ項の証明者の一つに扱っておりますゆえんは、先ほど申し上げましたように、電気工も大工、左官などと並んで組合員になっておりますけれども、そのウエートが非常に少ないわけでございまして、たとえば昭和四十三年九月現在におきます東京都の建設労働者の連合会の例で申しますと、全体の組合員のうち五・三%にとどまっているというふうな状況もございまして、こういう実態から判断いたしまして「電気工事業に係る法人格を有する団体」という中には読み込むのが適当でなかろう、かような判断に基づくものでございます。御指摘の点につきましては、かりにある特定の団体が、自分たちだけが唯一の証明団体であり、入らなければ証明を与えないというふうなことで加入を強制していくというふうな動きが今後ともございます場合におきましては、厳重にそういった点を矯正いたしまして、あくまでも登録申請をされる申請者の便宜に従って所要の証明書類が整えられるような指導を続けてまいりたい、かように考えております。
  125. 後藤俊男

    後藤分科員 時間の関係で、大臣に最後に一言を申し上げておくわけですが、具体的問題でございますので大臣としては十分御承知ないかもわかりませんけれども、この通達を一ぺん大臣もごらんになっていただくと、私が言わんとするところはわかると思うのです。別に日電工の組織がどうこうという、憎いのかわいいのという気持ちで私言っているわけじゃないのですけれども、政治姿勢の問題になってまいりまして、やはりいろいろと政治的に不信を思わせるような通達になるのじゃないだろうか、こういう点が十分うかがえるわけなのです。私も、この通達を読んだだけではなしに、かつ各県の行政指導その他のこともいろいろ調べてみました。やはり問題が起きておるわけなのです。なぜもう少し慎重な扱いができないんだろうか、なぜもう少しそういうような問題を起こさないような通達のもとにきちっと行政的にやれないのだろうか、こういう点もかなり問題がありますけれども、こまかいことを申し上げておる時間がございませんので、この通達の問題につきましては、先ほども局長も言われましたが、関係業者の団体もたくさんあるわけなんです。しかもこの法律が生まれるときにも、そういうふうな問題もいろいろからんでかなり難産した法律だろうということも十分御存じのことであろうと思いますので、今後の問題としては、こういうふうな疑いを持たれたり、問題を起こすというようなことのないようにやっていただきますようお願いをいたしたいと思います。  それからさらにもう一つの問題は、もう時間がなくなりましてまことにあれですが、同和対策事業特別措置法の実施の問題でございますが、大臣も御承知のように四十四年の七月十日に同和対策事業特別措置法が制定をされました。四十六年はこれで三年目でございます。これは十カ年計画でやってしまおう。大体自治省あたり考え方によりますと、四十二年に同和地区の実態調査をやった。同和関係のほうに言わせますとその実態調査は非常に形式的だという言い方をしておりますけれども、実態調査をやった。その結果として一年間に大体六、七十億の予算で、十年間六百億か七百億くらいで同和対策事業特別措置法に基づく部落解放の問題については完遂をしてしまおう。そこで四十六年度には要求額の半分にも達しない額で、そして六十二億にしぼられたわけなんです。その中で通産省関係といたしましては、要求額よりかは非常に減額されておるわけなんです。これではたして十カ年計画で長い間問題になりました同和対策事業特別措置法が完全に行なえるかどうであろうかというような不安があるわけでございます。大臣といたしましても、この同和対策事業特別措置法の経過その他につきましては、もう私が申し上げるまでもなく十分御承知のことであろうと思いますが、ぜひひとつ来年さらに再来年、順次年を追うごとに予算の増加に力を入れていただく。さらに通産省関係といたしましても、産業の指導その他多くの問題がございますけれども、こういう問題につきましても、あの措置法に基づいて十カ年間でりっぱになし遂げられる方向で全力を尽くしていただきますようにお願いをいたしたいと思うわけでございます。  前の問題と、この同和対策の問題につきまして、大臣からの最後の御見解をお聞きいたしまして、終わりたいと思います。
  126. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず前段の問題でございますが、私も詳しい実情を実は存じませんでしたので、よく調べまして弊害の起こりませんように措置をしてまいりたいと存じます。  後段の問題は、御指摘のように措置法、きわめて大事な法律でございますので、その目的を所定の年限内に達成することができますように、今後とも予算措置等々につきまして、最大の努力をいたしてまいる所存でございます。
  127. 後藤俊男

    後藤分科員 終わります。
  128. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 次は井野揮君
  129. 井野正揮

    井野分科員 大臣、私のお尋ねしようとすることはたった一つだけでございますから、また三十分では余すところなく説明することは私の能力ではとても不可能でございますので、資料をまず提出いたしておきましたから、このことについては後ほどお読みになって、私の質問をあとから理解していただくという方法しかない、こう考え資料を渡したわけでございますので、以下申し上げたいと思います。  御承知のように昨年の十一月に読売新聞が取り上げました外国資本による出版物の輸入販売の、いわゆる割賦セールスによる販売の問題であります。  いままで私どもの常識では、消費者とこれを販売する会社との間のトラブルというものは、自己の業績をあげるために非道な契約あるいは虚偽の契約等を行なったのがすべてセールスマンの責任になって、これが意図的に行なわれたりあるいはそういうことを行なうことを、経営者としては防止につとめておるものだという商業道徳の確立があるものだと実は理解しておったわけであります。  ところが約四カ月ほど前でございますが、たくさんの被害者の訴えの中から私の社会党が聞いてみて、たいへんややこしい仕事だし、なかなか追跡調査はむずかしいと思うが、おまえは一年生だしひまなんだからやれというふうに命ぜられまして、私も約四カ月、この人たちと一緒に実は日本じゅう調査をいたしました。私はたいへん英語に弱いわけですから、私もその一人の被害者であることを知ったわけでございますが、調べてみますと、国会議員の半分以上はこの本を買わされておるようであります。したがって以下私の申し上げます点は、まず第一にそこに杉山君という人の報告書を載せてございますが、いま外為法によって届け出をして、そうして通産省の認可をいただいてやっておる大手の会社は、そこにございます五社でございます。これらについては役所の皆さんのほうとよく打ち合わせをしておりますので御承知だと思いますが、この表に示してありますのが、大体私どもの掌握をした今日わが国において外国資本による図書、特に百科辞典でございますが、これを中心にするその他の教材を売っておる会社でありまして、その下にそういう系列で会社があるわけであります。これを全部調べるということになりますとたいへんでございますので、私はその中のユニバーシティー・ソサエティー、大学協会出版なるものについて詳しく突きとめてまいりました。  まずそこで概略を御説明申し上げますと、これらの資本は国内に資本を持ち込んで、国内法規に従ってきちっと届け出をしておるかどうか。あるいは届け出ないし許認可の手続が正しく踏まれておるかどうか。あるいはその後の事業において国内ルールを守っておるかどうか、これらの点について私の当たった感じでは、通産当局はたいへんこれらを信頼して保護の気持ちを持っておるようでございます。疑って調べてみるとまではいっておらぬようであります。そこに割賦販売法に基づく商法上の違法行為あるいはセールスマンと消費者と会社との契約関係の中における責任追及ができない仕組み、そして希望を持って大学を卒業してきた人たちが誇大の宣伝にひっかかって雇用されて、非合法な商法をあたかも正しいかのごとく教育されて、印鑑偽造の契約書にあたかも合意したかのごとく見えないところで判こを押すというやり方。さてその消費者が会社に持ち込んだときには、そういうセールスマンは当社にはおりせんという仕組み等々、その一件をとらえれば、裁判に持ち込むのには契約金額があまりにも少なくて、裁判の費用にはたえない。さて会社に持っていけば、そういうセールスマンは私のところにはおりません。法的に向こうが請求するときには、あなたは契約金を入れて合意した、契約書に判を押してこのとおり民法上の契約は成立しております、こういう巧みな仕組みになっておるわけであります。  まず一番先にわかりやすく申し上げますと、その会社が販売をしたいわゆる目玉商品、これはアメリカのものであります。この割賦販売法の第三条ですか第五条ですか、一番きつく規制しておるのは価格の表示でありますね。そして割賦による場合、二重価格になるわけでありますから、現価販売と割賦販売にする場合の価格の表示、これが契約の根拠になっております。ところが、これらの図書には、これは商社から提供願ったものでありますが、いずれも価格表示はございません。これは国会議員みな買わされておるのですよ。私もこの法律制定の経過をよく読ましていただいたら、わが党の田中武夫先生あるいは現在おられる多くの先生方が、すばらしい意見を述べられて附帯条件なんかがついた法律が通っておりますけれども、一番大切な商品の表示価格がない、これは法律によって罰則がございますね。  それから第二番目は、従業員、セールスマン、会社員と会社員でない会社の責任を持った販売員ですね。雇用契約は固定はしてないけれども、会社を代行して販売に当たるわけですから、大学協会の例をとってみますと、すばらしい宣伝文を出してこういうふうに職員の募集をやっております。この文章を読んでいたらとても長くなってだめですからやりませんが、ニューヨークにある本社の日本支社となっております。登記には、これは日本だけの会社であって、大使館を通じて調べてみたら、アメリカにもあるそうでございますが、関係はございません。明らかに広告にはこのように虚偽の広告を出しております。そして、これが大学協会出版と読みかえるのだと言っておりますが、この中には大学協会出版部となっております。私も最初は間違えました。国立大学協会に聞いたら、関係ありません。私立大学協会に聞いたら、関係ありません。そうしたところが、この社長さんが私のところへおいでくださって詳しく説明されたので、これが詐欺行為、うそだということがはっきりわかりました。大学協会自体は、今度はこの会社を廃止して、大学協会出版という会社に切りかえて麹町にあるということだ。調べてみると、今度新宿へ移った。新宿の登記を調べてみると社長さんの自宅になっている。居所を転々として登記を変えているわけです。そこにもこれは商法上の意味があると思います。こういう形で行なっておりますから、これもまた、この出版会社も、この割賦販売法の届け出その他の条項には合わないわけであります。届け出の虚偽が行なわれている、こういうことであります。  最も大切な点は、従業員の問題だと思うのでありますが、この表によりますと、届け出の数は、労働基準局で調べたものと通産省で調べたものと、もう一つこれは言いませんが、最も過酷に最も峻厳に公平に調査をする機関があるわけでありますが、ここは個人の財産にわたり、その後の事業にも差しつかえがあるから公表しないでほしいと言えば、もう鋭敏な大臣はおわかりだと思いますが、私どもも調べましたし、こちらでも調べてみたら——数字はわかっておりますから数字は言いません。言いませんが、あまりにも人員の数が違う。労働基準局で調べたのが一番少ない。通産局で調べたのはそれよりも多い。しかし、現在はその三倍ぐらいに当たる。これは意見が一致しました。なぜこういうことになるか、これは大臣、御想像がつくと思いますが、最初に、この誇大な宣伝によって、希望に胸をふくらまして大学出版に来た従業員は、杉山君の言うとおり、全然そういうことではなしに、別なところへ連れて行かれて、報償金による歩合制度の販売員に仕立てられ、そしてユニバーシティー・ソサエティーという会社にいながら、グロリアのIB事業部というところの商品として持ち歩くわけであります。そしてこの宣伝の内容は、これまた全英連、これは文部省が補助金を出してやらしております、学校教師の中における英語を担当する教師の研修グループであります。これの指導を受け、これの推奨を受けてやっておると言って歩くわけであります。またここの教師がたいへんなものであります。講演をして、文部省のやる教育では今日の世界に通用する英語の習熟をすることはできない。この本を買うことこそ初めて英語にたんのうになって、世界に通用するなどと言っておるのだから、たいへんな教師がいるものです。これはちゃんと文書に載っております。また国立大学の校長先生がこれを週刊誌で宣伝をしておる。そして、かわいそうに愛知先生まで元文部大臣として写真入りで推薦のことばを書いております。愛知先生おそらくそんなことしていないと思いますが、ここまでやっておる。こういうことは三つ問題があると思うのです。  一つは、わが国内法を守っていない。割賦法の法律に従っていない。もう一つは、若いこれから世の中の役に立つ人に、違法の商業行為を教育をし特訓をして、やり方によって自分の所得が多くなるという欲に結びつけて背徳行為を教育して、それを慢性化さしておる。第三は、家庭へ人と人とのつながりを利用して入り込んでいって、契約書を見せるときにはかばんを見せないようにして判を借りてすかさず押せというようなことが一つこの特訓の教科書に入っておるわけです。こういうやり方をする。そうして通産省がこの人たちを集合させて、解約ができないということをしてはいけないと指導なさったら、この五社は、さっそく会合して、契約書の安易に解約はできないという条項は消すけれども、解約は事実上できないような仕組みにするという申し合わせをしてやっておる英文のものがあります。これは通産省に差し上げますから、ごらんいただきたいと思うのです。  以上のことを私が説明をいたしまして、これからの措置についてお尋ねをいたします。  私は、警察官ではありませんし、検察当局でもありませんので、強制捜査するわけにもまいりませんけれども、明らかに消費者とそれからセールスをやる人たちによってこういう印鑑の偽造等の問題があります。認め印ですからきわめて簡単にやるわけです。  こういう点について、法務省の見解を伺っておきたいと思うのですが、契約金内容が十三万とかあるいは二十三万とか、十八万とか、いろいろございますけれども、その程度のものでも、それを積み重ねていけば、これは印鑑盗用、偽造等の犯罪として考えられると思います。そのまま、しようがない、そんなものまでやっておったら、これだけ犯罪の多い国だからしようがない、こうおっしゃられるか、この点一点お尋ねをしておきたいと思います。  一括全部言いますからあとで答えてください。  それから大蔵当局にお尋ねしたいのは、少なくともいままで突き合わせをしてみて、届け出その他にはかなりの遺漏があるようです。正しい行為をしているようには思えませんけれども、通産省と大蔵省の連絡が悪いということだけははっきりしました。アメリカ人だからといって信用するわけにいかない。実は好ましからざる行為をやっておる人は、アメリカ生まれの日本人、たとえばアメリカに長く役人としておられたような方で、非常に事情に詳しくて、日本人の弱いところを知っておる高名な人がうしろで指導しておられると私は思います。こういう形で、会社の所得をごまかし、個人の所得をごまかし、脱税行為があるような気がしてならない。しかし、これは私どもが調査してもあるともないともおっしゃらないので、最終的にきちっとならなければ、大蔵省がいろいろ言われるのは当然だと思いますが、そういう傾向をお認めになりますかどうか。あるいは今後十分の連絡をとれば、国内法に従わせて納税の義務についてはきちっとやるかどうか、この点についての感じをひとつお話しを願いたいと思います。  それからたいへん法律で定めた報告について報告漏れがあり、日銀の審査委員会ですかと大蔵当局の主務局との連絡も悪いように思います。  こういうことで、先進国家のやることだから間違いはないだろうというふうに考えておられると、たいへんな犯罪が犯されるのではないか、こういう気がいたしますので、この点をひとつお尋ねをいたしたいと思います。  その次に労働省のほうであります。第一労働基準監督署に報告すべき人員は一つも報告されていなかったという事実が明らかになりました。そういうことで、外国商社の支社とはいいながら、ここに働く労働者の権利というものをほんとうに保護ができるかどうか。そういうことで、基準監督署が任務を果たしておるかどうか私は疑うのであります。そこで、きちっと掌握してくれないと、私は二十四日にお尋ねしますよと言ったら数字が出てきたのですから、やる気になればやれるものだということは間違いありません。こういうような執務態度、これを一体どうお考えになるのか。また通産省で調べて得る数字と、労働省で調べる数字と、もう一つ調べる数字がございます、源泉徴収その他ありますから。この数字とでは三倍にも広がるということは一体行政機能はどうなっているのか。そこには固定雇用の者とセールスの者と、事業報告で三様も四様もの報告書がつくられなければならないからではないだろうか、こうも考えられますので、この辺、基準監督署のこれらの仕事に対する労働者保護あるいは雇用関係の指導等々についてはどうお考えになられるか。  それから次は通産省であります。通産省については、いま言ったように主管庁でございますから。すでに消費者連盟で問題になっておるブリタニカについては千五百通、二千通ぐらい消費者の訴えが出ております。その中には恐喝もありますよ。解約について恐喝した例もあります。契約について恐喝をした例もあります。グロリアは最近出てまいりまして、これもまた二百通近くになっております。大学協会だけは出てこないのです。出てこないはずなんです。大学協会の名前で人を集めてはグロリアの販売をさせておるわけですよ。だからグロリアのほうに問い合わせをしてもそのセールスマンはいない、こういう仕組みになっている。大体早いのでは二週間くらいで自己費用で歩いて、予納金を納めて、契約ができないときに引き戻しになってみんな取られるような仕組みになっておりますから、若い人は失望してやめたり、それとも猛烈セールスマンに仕上がったりしておるわけです。私の推定では、少なくとも今日までこれらの外国資本によって雇われたセールスマンは三十万人を下らないと思います。世の矛盾を感じてやめた人、猛烈な社員になっていま恐喝をやっている人も含めて三十万人は下らない。これらの被害者は、私は五百万人を下らないと思います。こういうような通産行政が平気で行なわれている。私はこれはきわめて重大だと思いましたので、あえてこの問題一間にしぼってお尋ねをする次第であります。  もう一つ、文部省のほうはたいへんいろいろな適切な措置をされた旨の報告はございましたけれども、現職の学校教頭、こういう人が、実は文部省の英語教育はだめなんだ、こんなことをやっていたら絶対大学まで卒業しても実用向きの英語の仕事のできる人はできない、こういう図書によって初めて世界的な仕事のできる学問になるんだ、こういうことを講演された教頭が、この間おります。ですから、全英連としてはやっていないというけれども、全英連の主軸の役員、たとえば会長、たとえば総務部長という人がやれば、それは人格二重論は通じないと私には思われる。社会通念として、全英連がやっておる人ということになると思いますが、おまえ懲戒までせぬでもいいじゃないかと私ども言ったのですが、ここまで病気が深刻だとすると、私は重大な決心をしていただかなければならぬと思うのです。これらの点についてそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  130. 前田宏

    ○前田説明員 お尋ねの事案の具体的な事実関係が相当複雑なようでございますので、決定的なものも申し上げかねるわけでございますけれども一般的に申し上げまして、直接本人が全く知らないうちに本人名義の書類がつくられたあるいは判こが押されたということでございますと、書類の偽造だとかあるいは印鑑盗用とかいう犯罪が成立するということはいえると思いますけれども、その契約者とこのセールスマンでございますか、その話し合い等によりまして、契約することは承知しておった、判はいまないから場合によったらあとでするというようなことがかりにございますと、一がいにはいえないということになろうかと思います。  なお、先生のおっしゃいました、金額いかんによって犯罪になるかならないかということはないのでございまして、十万円未満だから犯罪にならないということはありません。
  131. 松本久男

    ○松本説明員 外国の法人で日本に支店がございますものにつきましては、法人税法百四十一条一号に定めがございまして、そのすべての国内源泉所得というものを調査することになっておりますので、これに基づきましていま調査をいたしておる次第でございます。外国法人の子会社ということになりますと、やはり外国語の能力でございますとか、国際課税の面のいろいろな問題というものの研究を重ねた者でないと、これはなかなか調査ができませんので、そういう専担者を国税局で養成いたしまして調査につとめておるところでございます。  それからお話の出ました内国法人もあるかと思いますが、これはもちろん一般の法人税の原則に従いまして適正な課税につとめておるところでございます。  調査ということになりますと、当然その収入ないし経費というものを押えて調査をいたすわけでございまして、これは一般のお話、個別のお話というわけではございませんけれども、人件費その他につきましてもこれは経費という観点から当然調査をすることになっておりまして、適正な課税に従来からつとめているところでございますが、いま御指摘のようなことがありましたので、今後とも十分その点行き届きますように心がけてまいりたいと考えております。
  132. 吉本実

    ○吉本説明員 基準法に基づきます適用事業の報告は、法令に基づきまして当然しなければならぬことでございまして、まことに遺憾なことであります。外資系の企業につきましては以前に一部やったことがございますが、今回はこういったこともございますので十分調査してまいりたいと思います。一部につきましては、やってみましたところ、なかなか複雑な問題がありましてやっかいな問題かと思いますが、先生の御趣旨に沿いまして十分やってまいりたいと思います。
  133. 道正信彦

    ○道正説明員 外国の法人の支店が、実際設置されました時期と外為法上法定されております支店設置の報告書の提出の時期がかなり違っておるという御指摘の点でございますが、事実と違って報告書が出されておるということは、御指摘のとおりたいへん遺憾な点であるというふうに考えています。  ただ、私どもの報告書の趣旨でございますが、これはあとで外国の本店から送金されてまいります外貨、あるいは支店から本店に送金いたします利潤でございますか、そういうものをチェックする、許可する場合におきまして、そのときの参考資料として報告書を取るという性質のものでございます。したがいまして、その報告書に事実と違うようなことを書くという必然性は特にないわけでございまして、先ほど来検討しておりますと、どうも報告を出すということを知らないで時日が過ぎてしまっておる、したがってそれを糊塗するために、報告書の記載と実際の時日が食い違ってくるというようなことになっているのではなかろうかというふうに考えられます。しかしながら、こういうような食い違っておるということ自体望ましいことでございませんものですから、今後ともそういうことのないように十分何らか考えてまいりたいというふうに考えます。
  134. 別府哲

    ○別府説明員 お答え申し上げます。  全国の英語の教師がつくっております全国英語教育研究団体連合会、略して全英連と申しておりますが、この団体の名前が一部の業者に宣伝に使われているということにつきましては、御指摘を受けるまでこの団体のほうもその事実を知りません。御指摘を受けましてからさっそく対策を講じまして、昨日緊急理事会を開いて、この会社の責任者に対する抗議申し入れその他のようなことをきめた模様でございます。  なお、この団体に属します会員である数名の英語教師が、教材の編集等に個人の立場で参画しているということは事実でございます。これらの教師の教育者としてのモラルの問題、そういう点については、御指摘のとおりいろいろ問題もあろうかと思いますので、今後十分指導してまいりたい、このように考えております。
  135. 両角良彦

    ○両角政府委員 御指摘がございましたように、外国系の百科事典等の図書の販売にあたりましてかような遺憾な事実があったということは、私ども率直に認める次第でございます。当省といたしましても、はなはだ遺憾に存じております。  とりあえず、この問題につきましては昨年の十二月に、まずこの契約の解除をしないという条項はおかしいということで、その撤廃を指導いたした次第でございますが、しかしながら、なおそれにとどまらず、当省といたしましては、外国系のかような割賦販売の業者を集めまして、数次にわたりまして会合をいたしまして、行政指導を行なったのでございますが、その内容は、第一に、単に解約できるというだけではなくて、契約者の要望に応じて解約をできる条項を積極的に挿入をさせるということを通達をもって要請をいたしたわけであります。それとともに、ただいまお話しのございましたセールスマンのセールスの方法等につきましても改善をする必要がある。特にセールスマンに対する教育のあり方等については、抜本的に考え直してもらう必要がある。同時に、戸別訪問の販売にあたりまして、たとえば実物見本を提示するとか、あるいはお話しのございました価格の表示というようなことについて積極的にこれを行なうよう指導をしておる次第でございます。いずれにいたしましても、当省としましては、これら外国系の割賦販売の図書販売業者というものにつきまして十分実態を把握をいたしまして、またすでに把握をしておるつもりでありますが、その上で今後とも適正な割賦販売の行なわれますよう、割賦販売法に基づく割賦販売の適正な遂行を指導をしてまいるつもりでございます。
  136. 井野正揮

    井野分科員 何しろ幅が広いのと資料が多いのとで、時間がこなしにくいわけでありますが、局長のいまおっしゃった、正しいセールスのやり方を指導するというが、この教科書にちゃんと、横にすわって見えぬようにせいと書いてあるのです。犯罪的素質がちゃんとあるのです。また深夜行って契約をしてくれなければ帰るなとか、あるいはあなたがこれを買わなければあなたは子供に対して愛情がないのだ、いまこの機会をのがしたら、ほかにはないのですから買えませんよ、こういう調子なんですね。私、東京の人だけが人がよく、ひっかかっておるのだと思ったが、この間、東京でこんなことがはやっておると日曜日に私の選挙区に行って話ししたら、恥ずかしいけれども、三十人いる中で四人手をあげました。おそるべき浸透です。会社の名前もわかっておる、そのセールスマンは何といった、こういう人です、その会社へいったら、そんな者はおりません。それは大学協会のほうにおるんだから、こちらのグロリアにはおるわけがない。なるほどそうですが、こういうことなんです。  私は、今度は大臣にお尋ねをしますが、明らかに大学出版は宣伝広告において、あるいは雇用の契約において、あるいは販売費において、これは国内法にあらゆる角度から全部違反をいたしております。私はこの問題を不問に付して他の問題をただすことはできないと思います。私、一つの会社だけをあげるのはたいへん心苦しいのです。しかし糸口がなければ何にもやれませんからこの点指導の範囲にとどめるべきか、通産省としては事実をつかんだ限りは告発すべきものか、また検察当局や警察などは、すべて告発がなければ疑うに足りる証拠とならないのかどうか、この点はひとつ確とした考えをお聞かせ願いたいと思うのです。この法律は、かかる業者は営業停止させるということになっておるし、許可を取り消すことになっておる。また先ほど文部省からもお話がございましたけれども、団体は知らぬけれども、個人はわかっておる。その会長さんがやったらその団体がやったことになりますよ。総務部長がやったら、その団体がやったことになりますよ。ここの答弁ではしかたがないと思いますけれども、私はこういう業者の過保護のためにあるいは身内の過保護のためばかりの運営をして、至るところでそういう犯罪が拡大をしていって、政治も行政も信じません、ただ信ずるのは私とかみさんだけなんですということになって、今度はかみさんが悪いことをしだす。私は行政を正すということはこういうことだと思うのです。一懲百戒、この方針がなかったら国政の論議だって意味がないと思いますが、大臣、この点御決心だけ聞かしていただけばけっこうでございますし、法務省のほうも国会でいろいろ問題が出て国権が発動されたということはあまり聞かぬです。告発がなければ疑うに足りる証拠にならないのかどうか。論議の中からこれはたいへんだというものがあったらお調べになるのかどうか、この辺ひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
  137. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 何かたいへん複雑なもののようでありまして、十分のみ込むまでに私まだ至っていないのでございますけれども、どうもとかく外人に対して甘いところが一般にございますから、そういうことを許しておくわけにいきませんので、どういう販売形式でやっておるのかということを知っておく必要があります。それから販売方法の中に違法なことがあるかどうか、これらについてはありましたら当然改善の指導をしなければいけませんが、もう明らかに悪意を持って違法なことをしておるということがわかりましたら、これはもう法に従いまして断固処断をすべきものと思います。
  138. 前田宏

    ○前田説明員 いま御指摘の告発がなければ捜査をしないかということはないわけでございまして、いまおっしゃいましたように、犯罪があったという疑うに足りる証拠があれば、告発がなくても十分捜査を実施すべきだ、かように思います。
  139. 井野正揮

    井野分科員 これで終わりたいと思いますが、私の気持ちは、文書は出さないけれども、国会という厳粛な場所において告発しているつもりなんです。しかと受けとめておいていただきたいと思います。  また通産省も、いま大臣は外国人に甘いと言われたけれども、そうじゃないです。外国人に甘い行政の心理を巧みに利用して、アメリカ生まれの日本人、アメリカに経験の深い日本人等が日本でこの心理を巧みに利用して、教育ママだとか英語コンプレックスのこういう人たちに巧みに浸透している。ときには公立の高等学校に行って講演をやって、在籍学生の名簿をもらって、そして家庭に侵入をしていっている。そのときには全英連の名前を使ってやっている。こういうやり方なんです。まことに悪質きわまるものだといわなければならない。しかし一つ一つはみな微罪でありまして、ひっかかるかひっかからぬか、すれすれのところでやっております。積み重なれば総合的類似犯の刑事犯になると思いますので、そういう意味で、かかるものは膨大な利益を受けながら所得税をのがれるような手段もし、方法を使っております。この機会に各省が連絡を密にされて、この事犯について快刀乱麻の解決をしていただきたい、かく国民を代表して告発する次第であります。こういうことです。御答弁要りません。
  140. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 この際、午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  141. 森田重次郎

    森田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  142. 近江巳記夫

    ○近江分科員 最近、石油の値上げ問題とか非常に国際的な大きな問題が山積もしておるわけでございますが、私はきょうは足元の問題といいますか、中小企業の問題等につきまして重点的にひとつお伺いしたいと思います。  昨年の十月の下旬あるいは本年一月下旬と二度にわたって公定歩合が引き下げられて、一昨年から実施された金融引き締めの措置が解除されたわけですが、しかし、この状況、特に倒産の動向、これを見てまいりますと、東京商工興信所の調査等によりますと、十二月に約九百六十件、一月に入っても八百一件、依然このように高水準を維持している、そういう状態であります。そのほとんどが中小企業の倒産であると思われますし、中小企業の資金繰りというのは非常に逼迫しておるのじゃないか、このように考えられます。これら中小企業の最近の特に金融の動向について政府はいかにごらんになっていらっしゃるか、きょうは長官も来ていらっしゃいますから、まず中小企業長官から……。あと大臣にポイントをお聞きしますから。
  143. 吉光久

    ○吉光政府委員 お話にございましたように、金融引き締めの緩和の措置はとられたわけでございますが、まだこの緩和の効果が中小企業までには浸透していない、こういう状況ではないかと思うわけでございます。したがいまして、民間の金融機関の貸し出し余力もあまり多くございませんので、中小企業に対します貸し出しのシェアも大体横ばいで推移いたしておるというのが現状であろうかと思っております。  なお、私どものほうで下請業者からとりましたアンケート調査等によりましても、手形サイトはだんだん長期化の様相を示しておりますし、さらにまた、現金比率につきましてもやはり日を追って低下いたしております。あるいはまた、売り掛け債権の期間でございますけれども、これは少しずつ長期化しておるというふうな状況でございまして、中小企業の販売条件全体はやはり相当悪化いたしておる、そのためにまた中小企業の資金繰りもいまだ改善を見ていないというのが現状であろうかと思うわけでございます。  企業倒産につきましては、先ほどお話もございましたように、十二月、一月と相当の高水準を示しております。実は好況期であれ、あるいは不況期であれ、十二月ないし一月という月はいずれかと申しますと倒産件数の少ない月であったわけでございますけれども、本年度の場合には、そのいままでの例を破りまして、相当高い水準で推移いたしておるというのが現状でございます。  そういう点から考えましても、やはりここらの景気全体の動きについて相当慎重に見きわめていく必要があるのが現状ではないであろうか、このように考えております。
  144. 近江巳記夫

    ○近江分科員 ただいま長官から、二度にわたる公定歩合の引き下げも、あまり影響ないといいますか、むしろそれが悪化してきているような現状についてお話があったわけです。確かに業種別に見てきましても、たとえば造船とか出版関連等の一般の業種においてはかなり好調な面も見られるわけですが、ほとんどの業種で不況感というものが強まってきております。たとえば繊維等については、繊維交渉の成り行きの不安、あるいは国内需要の停滞等の面、あるいはスフ織物、絹・人絹織物等においても加工賃の低下あるいは受注量の減少等、深刻なそういう事態が見られるわけであります。特に合板等についても、米国における住宅建設のスローダウンによる輸出の減少等による不況が入っております。その他弱電関係あるいは自動車の部品等においても非常に苦しいそういう状態が見られておるわけであります。こういう不況業種、これはほとんどでございますが、今後どういう全般的な措置を講じていくかという問題があるわけです。こまかいことはあとまたお聞きしたいと思いますが、その辺の大要についてお聞きしたいと思います。長官でけっこうです。
  145. 吉光久

    ○吉光政府委員 御承知のとおり、昨年十一月に下期追加財投を行なったわけでございます。貸し出し規模にいたしまして千五百九十億円を年度当初に計画いたしたものにつけ加えて追加して出すというふうな方針がきまったわけでございまして、この下期追加財投をいたします際の判断要素の中に、いま御指摘のございました繊維でございますとか合板でございますとか、あるいはまたモザイクタイルでございますとか、金属洋食器とか、種々の生産調整あるいはまたそのために必要なうしろ向き資金と申しましょうか、そういうふうな運転資金等についての配慮をいたした上で、実は千五百九十億円の追加貸し出し規模措置をとったわけでございます。したがいまして、それを活用して現在までまいっておったところでございます。  さらにまた、信用補完の面におきましても、これは昨年の秋でございますけれども、信用保証協会に対する保証申し出は相当高くなってまいりました。したがいまして、当初計画いたしておりました保険公庫の引き受けワクにつきまして追加をするというふうな措置もとって資金需要に対処してまいっておったところでございます。  ところが、その後の状況を見てまいりますと、繊維産業をはじめといたしまして、先ほど御指摘になりましたようなそういう業種につきまして、やはり依然として不況色が強く、そのために資金需要、特に運転資金に対する需要というものが相当根強いものがあるという状況であるわけでございます。そういう状況でございますので、したがいまして、現在関係方面ともよく連絡を密にいたしまして、それらの実態の把握及び対策ということにつきまして適切な手段を講じ得るよう、現在準備を進めておる段階でございます。
  146. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それで、こういう不況業種を見てまいりますと、たとえば福井などは繊維なんですが、愛知とか岐阜なんかは陶磁器をやっております。こういう地場産業になってきますと、そこの不況というものがその地域全体に深刻な状態を招いてきておる。そういう状態が見られるわけです。実際、内容を見ていきますと、いろいろありますけれども、滞貨金融に困っておるとか、いろいろな問題があります。特に金融引き締めの緩和を政府としてもいろいろと調査、分析をされておられると思うのですけれども中小企業の資金繰りが好転しているという話はほとんどないわけです。それで、いよいよ年度末を控えるわけですけれども、先ほど申し上げました倒産がさらに今後増加してくるのじゃないか、こういう心配が見られるわけです。  そこで、先ほど長官もちょっと触れられましたが、非常にこの運転資金の需要というものが増大してきておるわけです。むしろ、設備資金の需要というものが鎮静化してきておる。そこで、中小企業者の不振に伴う滞貨資金、減産資金あるいは資金繰り資金等、うしろ向き資金が中心ではないか、このように思うのですが、その場合に一般市中銀行は、あまりうしろ向き資金については貸し出しをしたがらないわけです。私は、こういうときにこそ政府系の金融機関が全力を尽くすべきではないか、このように思うわけです。こうした中小企業者の当面特に必要とされる運転資金について、その円滑な供給をぜひともはかっていただかなくてはならないのではないか、このように思うわけですが、その辺のところをもう少し具体的にお答え願いたいと思うのです。
  147. 吉光久

    ○吉光政府委員 お示しのように、確かに特に運転資金面への資金需要が非常に強くなっておるわけでございます。先ほどもお答え申し上げましたように、本年度の下期、三機関に対します追加財投につきましては、そういう要素をも織り込んで千五百九十億円という貸し出し規模の追加を行なったわけでございますけれども、やはり昨今の状況から見まして、その追加を行なっただけでは済まされないものがあるのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。特に三機関におきましては、設備資金に対する需要が一応鎮静化し、運転資金需要がふえておりますので、したがいまして、当面運転資金のほうに——設備で余裕を生じた分につきまして、内部操作といたしまして、運転資金需要のほうに充当するというふうな措置を現在とっておるわけでございますけれども、ただ、三機関のとっておる措置だけでは十分であるかどうかというふうな問題が出てまいるわけでありまして、そういう部面につきまして、現在の三機関の現に手持ちいたしております案件その他とにらみ合わせまして、政府としてとるべき措置があれば積極的にその措置をとってまいりたい、このような考え方でおるわけでございます。
  148. 近江巳記夫

    ○近江分科員 三公庫についてのお話がいまあったわけですが、特に中小公庫等については、設備に重点が置かれておりまして、運転は従であるというふうな状態になっておりますし、従来もそういう方向でこられたと思うのですが、いよいよ年度末、さらに年度末から今度はまた四月、五月、六月とそういうようにずれ込みが見受けられるわけです。そういう点強力に、いま中小企業が一番望んでおるのは運転資金なものですから、やはり何といっても全体のワクをもっとふやす。年末は千五百九十億ですかされましたけれども、いろいろ大蔵省の関係があって、なかなかたいへんと思いますけれども、もっと財投なり何なりを入れて、ワクを大きくすることはできないか。さらに設備資金で余っている分を運転資金にもっと大幅にやっていく必要があるのではないか、このように思うわけです。この辺どうでしょうか、大蔵省も来られておるのですが……。
  149. 吉光久

    ○吉光政府委員 御指摘の点、私どもも全くそうだというふうな感じでいるわけでございまして、実はそういう意味で三機関をはじめ関係方面と折衝をすでに開始いたしておるわけでございまして、現実の資金需要の実態についての把握も相当程度煮詰まりつつございます。したがいまして、必要があれば、三機関に対します貸し出しワクの拡大でございますとか、あるいは先ほど申し上げましたような信用保完等につきましても、引き受け契約のワクにつきましてこれを増大してまいるとかいうことを中心にいたしまして、当面特に運転資金の拡充に全力をあげてまいりたいと考えております。
  150. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 最近までの経済情勢及び今後におきますところの中小企業金融の見通し等をいろいろ検討いたしまして、先ほど来中小企業庁長官のお話にもございましたように、中小三機関の貸し出しワクを広げる問題、あるいは保険公庫のワクを広げる問題、ないしは運転資金を中小公庫におきまして特に見る問題等々につきまして御相談がございます。私のほうでも、今後なお早急に中小企業庁と相談をいたしまして、しかるべき措置を講じたいということで目下検討中でございます。
  151. 近江巳記夫

    ○近江分科員 まあ検討中ですから、いま答えは出ないと思いますが、ひとつ強力にやっていただきたいと思うのです。  一方、中小企業者の中に非常に困っておるもう一つの問題は、それはすでに借り入れた資金について非常に返済が困難なものになってきておるわけです。ところが金融機関は、やはり回収をしなければ自分たちの責任を問われるということで、あなたたちは困っておるけれども、しかたがない、私らは私らのやはり立場があるのだということで、取り立てをきびしくやるわけですよ。そういう点で、非常に不況色の濃い中で設備資金等に借り入れたお金を返さなければならぬ。二重、三重の苦しみに、いま中小企業はもがいております。ですから、そういう点で非常に苦しい時期にいま来ておりますので、特に政府系の金融機関について返済条件の緩和等をぜひともやっていただく必要があるのじゃないか、そうして中小企業者の負担を軽減してあげる。これに全力をひとつあげていただきたいと思うのです。ただ、確かに出先の人はたいへんと思いますけれども、この点について長官としてどのように配慮しておられるか。私は、きめこまかい施策が一番大事じゃないか、このように思います。
  152. 吉光久

    ○吉光政府委員 確かにお話しのとおりでございまして、特に昨年の秋口からこういう中小企業者に対する金融逼迫状況が特に激しくなってまいったわけでございますけれども、実は従来とも三機関におきましては、そういう場合に、返済条件の緩和という点につきましては、極力実情に合うようにやってまいっておるところでございます。一例で申し上げますと、たとえば中小公庫のある支店につきまして、一昨年の十−十二月期で返済条件を緩和しましたのがわずか四件でございましたものが、昨年の——これはある支店だけの話でございます。十−十二月期にはこれが十五件とふえておるとか、あるいは国民金融公庫の、今度は大阪のある支店においての話でございますけれども、一昨年の十−十二月期におきまして百十五件の返済条件の緩和をやっておりましたけれども、昨年の十−十二月期におきましては、これが百九十二件というふうに相当大幅な条件緩和をやっておるわけでございます。  緩和の内容等について調べてみますと、いろいろございますけれども、返済期が到来したものをそのまま延ばすのもございますれば、あるいはまた一時半年ぐらいの据え置き期間を——要するに返済の途中におきまして、半年ぐらいの据え置き期間を置きまして、その間は返済を受けないでその後引き続く。ということは、返済期間全体を半年ぐらい延ばすとか、そういう措置をとっておるところもございます。あるいはまた返済で、最初きめておりました額を半分くらいに落として返済し、その後支払い能力ができましたときに積み増ししてこれを返済するとか、やり方はいろいろ考えておるようでございますけれども、その企業の実態に合ったような形での返済条件の緩和措置をとってまいっておるようでございます。もちろん、こういう時期でございますし、ますます深刻になってまいります。したがいまして、この際政府といたしましても、三機関に対しまして、これらの措置について十分現状を踏まえた上で返済条件の緩和等の措置をとっていくよう、さらに指導を強化してまいりたいと考えます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そうしていただければ非常に喜ぶわけです。あとで大臣からまとめて言っていただきます。  そこで、そういう先行きの見方等についても非常にいろいろな見方があるわけです。年度末からさらにずれ込みが見られるわけですが、四十六年度の特に第一・四半期が相当不況になるんじゃないか、こういう心配をする見方が強いわけです。そういう点について十分な備えがあるかどうかということです。もう時間もありませんので、その点について簡潔に要点のみお伺いしたいと思います。
  154. 吉光久

    ○吉光政府委員 四月以降になりますと、御承知のとおりいま御審議をいただいております来年度の予算、財投関係が全面的に出てまいるわけでございまして、財源的にも来年度の予算の手当てというふうなことになってまいるわけでございます。ただ、いまのお話のように、不況が第一・四半期にずれ込むというようなことになるといたしますれば、これはその現実に合ったように貸し出し計画につきまして上期に傾斜をさせて貸し出し計画を組んでまいるということが必要になってこようかと思うわけでございます。そういう意味の実際の財投計画の運用面におきまして、現実に合ったように傾斜すべきものは傾斜させるというふうな態度で臨んでまいりたいと思っております。
  155. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そこで、この中小企業の不況をどうにかここ数カ月、まだだいぶかかると思いますけれども、乗り越えができたとしても、これからまだ横たわる問題としては、人手不足がさらに進み、あるいは特恵関税問題あるいは公害対策、非常にそういう問題がたくさん出てきておるわけです。そういう点で中小企業の体質もおいおいに強化の手が打たれておると思いますけれども、非常にそういう点が心配です。特に資金調達の面においてまだわれわれとしては安心できないわけです。そういう点できょうは金融についてずっとお聞きしたわけですが、締めくくりとして今後の金融対策に十分万全な措置をひとつとっていただきたいということであります。中小企業の締めくくりとして、長官と大臣に簡潔にひとつお聞きしたいと思います。
  156. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 きわめて適切な問題の御指摘であると考えております。先ほど長官からも申し上げましたように、おそらく下期はいま大まかに考えましてあまりむずかしくないと考えますので、必要がございましたら上期にかなり傾斜をつけて資金の用意をいたしたいと思っております。ちょうど川上で金融緩和が起こりまして、川下まで行きますのにほぼ半年あとというふうにいつも考えられておりますから、加えて公共事業を中心にして年度が始まりますと、できるだけ早く財政支出をいたしたいと思っておりますので、五月ごろにはやや正常なほうに向かう足取りがとれるのではなかろうか、こう考えております。せっかくこれは注意をし、また努力をいたします。
  157. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいまの大臣お答えと同じでございまして、積極的に努力いたしたいと思います。
  158. 近江巳記夫

    ○近江分科員 きょうは時間が非常に短いものですから、次にYXの問題について私はちょっとお聞きしたいと思うのです。  このYXの問題については、ホーカー社あるいはボーイングあるいはBAC、そうしたところから提携の申し入れというものが行なわれておるわけですが、そういう背景ですね。なぜそういうように申し入れをしてきておるか。現在審議会でやっておられるわけですが、この審議会の答申待ちということもあるかもしれませんが、やはり通産省自体の考え方といいますか、姿勢ということが一番大事だと私は思うのです。このYS11の場合も自主開発ということで技術の波及とかいろいろなメリットもあったわけですし、そうした国際協調でやっていく場合、このメリット、デメリットという点から比重を考えた場合、どのようにお考えになっていらっしゃるか。また、それを前向きに考えていかれるのか。あくまで、いや、それはもう国際協力やらない、自主開発していくんだというお気持ちか。その辺のところをひとつ大臣にお聞きしたいと思います。
  159. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 先に私から、国際共同開発の方向につきまして、背景といういまお話がございましたので簡単にお答えいたします。  中型機とか大型の旅客機の開発生産におきまして、国際協調がいま盛んに行なわれております。現にヨーロッパではコンコルドでありますとかあるいはエアバスといったようなものが行なわれております。こういったような最近の趨勢の背景といたしましては、第一に、最近の機体規模が非常に大型化をいたしてまいりました結果、開発費が非常に膨大になってまいりまして、そういったことから各国とも、一国とか一企業によってその資金を負担しあるいは開発のリスクを負うということがきわめて困難になったということが第一点。  それから第二点といたしましては、販売面におきまして、やはり複数国で販売を行ないましたほうが、販売機数をより確実に確保できるといったようなことから、機数の増大、生産コストの引き下げといったことが可能になるという点。  さらに第三点といたしましては、同じような競合機種が出てまいります。そういったことから過当競争によりまして共倒れになる危険がある、それが防げる。  こういった点が共同開発のメリットとして考えられ、いま盛んに行なわれている点であろうと思います。しかし、同時にまた、共同開発と申しますと、各国のことばも違い、かつ技術的な標準作業的なやり方も違っておるといったいろいろな困難な面がございますので、こういった面を克服しながら、今後やはり大型機あるいは中型機といったような膨大な開発費を要するようなものについては共同開発でいくのが望ましいのではないか、かように考えております。  わが国といたしましては、こういったような、むしろデメリットの面をいかに防ぐか、また同時に、先ほど御指摘もございましたように、日本の自主性と申しますか、こういった面をいかに確保するかということに配慮をしながら、今後こういった飛行機を開発するにつきましては共同開発という方向に取り組んでいくのがいいのではないか、かように考えております。  あと大きな政策的な問題につきましては、あるいは大臣からお答えがあろうかと思います。
  160. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 と申しますような背景でございますから、いい相手がありましたら組みでいくのがいいと思っておりますが、実はこの問題は従来の経験から考えますと膨大な開発費がかかる、しかもそれは国が事実上まるがかえをするくらいの決心をいたしませんと、中途はんぱな悪い結果になると思います。したがって、やるかやらないかというためには、そういう基本的な一大決心を実は閣内でしなければならないというふうに考えておりまして、まだその時期ではございませんけれども、そういう問題がございます。
  161. 近江巳記夫

    ○近江分科員 通産省としては、いまこの審議会の答申待ちということでありますが、いろいろメリット、デメリットを考えた場合、確かに自主性という点の問題あるいは日本が下請化しないかというような問題もあろうかと思いますが、そういうことも是正しつつこの国際協調という線が進んでいけば、さらに審議会の答申がそういう方向に出れば、政府としてはそういう方向に行く、あるいはまた、その答申がまだ出ておらないという現時点ではありますけれども、しかし、大臣の腹としてはこの国際協調でやっていったほうがいい、そういう方向で考えておる、こういう腹でございますか。
  162. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 通産省全体として考えまして、資源開発にどのくらい金がかかるだろうかということを昨今しきりに考えておるわけでございますけれども、そういうコストの兼ね合いもまたこれございましょうと思います。むろんできればいろいろのことをいたしたいわけでございますけれども、その辺の見きわめも少しつけてみたいと実は思っております。
  163. 近江巳記夫

    ○近江分科員 大臣としても非常に慎重にお考えになっていらっしゃるということは、先ほどの答弁でよくわかるわけです。これだけ大きなプロジェクトですから、確かに閣議で決定を見なければならぬわけですが、大臣としては大所高所から判断して、そういう資金のめどさえつけば国際協調でやっていくべきである、こういう大臣としてのお気持ちを聞かしてもらいたいと思うのです。
  164. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 金さえできますようでしたら、やりたいと思います。
  165. 近江巳記夫

    ○近江分科員 金もなかなかたいへんと思います。いろいろな要るところがあるわけですけれども、重点的に資源の問題とかこのYX問題にも力を入れていきたい、このようにお考えでございますか。
  166. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さようでございます。
  167. 近江巳記夫

    ○近江分科員 これで、大臣としても国際協調の線でやっていこうという大体の腹がわかったわけです。自主技術の開発とか、あるいは下請化したいかという問題もあるわけですが、どうかひとつ十分その点はチェックをしながら、これがまた大きく実を結んでいけるように、また慎重に今後やっていただきたい、このように思います。  時間ですので、これで終わります。
  168. 森田重次郎

    森田主査 有島重武君
  169. 有島重武

    有島分科員 地盤沈下につきましては、自然的なものと人為的なものとありまして、この対策につきましても各省にわたっておりましてたいへんむずかしい問題でございます。きょうはおもに通産省関係中心といたしまして、この問題を少し質問させていただきたいと思っております。ここに資料といたしましては「地盤沈下の現況」四十四年三月、経済企画庁の総合開発局、これを大体参考にさせていただきましたが、宮澤大臣は前に経済企画庁長官をずっとやっていらっしゃいましたし、さらに大きい立場からお答えがいただけるんじゃないかと期待しております。  私の住んでおります江東地域でございますけれども、これは複合災害、水に対しても火に対しても地震に対しても非常に弱い、日本一の危険な地域だというところでございますけれども、この災害問題につきましては、先日、根本建設大臣に対していろいろと御質問いたしました。その際に根本さんは、近い将来に災害国会をやりたい、そのようなお話まで出ました。たとえば江東区の東砂町などにおきましては、内部河川の水面よりも住んでいるところが三メートルも低いところがございます。それから沈下は五年間で一メートル沈下するというようなたいへんなスピードで沈下しているわけであります。また、これはデルタ地帯じゃございませんけれども、千葉県の船橋市の海神南一丁目というところですが、新聞に報道されておりましたけれども、ここは沈下が激しいので市役所が一生懸命あっせんして床上げの工事をしてあげた。ところが、天井と床とが縮まって、もう洋服だんすも入らぬ、実質的には住めなくなってしまったというようなことがございます。一たび沈んでしまった大地というのは取り返しがつかない、再び戻らない。  こうした現在進行しております地盤沈下を食いとめていこう、こういったことは当然でございますけれども、地下水のくみ上げ、護岸工事、これも非常に不十分である。たよりとしている通産省や建設省がいわば受け身でもって右往左往しておって、沈んでしまった大地をもとに戻すということは一体どうしたらいいのか。たとえば先ほど申し上げました東砂町なんかも三メートルも低いわけでございますけれども、これをかさ上げするということになりますとたいへんなことだと思うのですね。それで通産省のほうでは、沈下の速度をくみ上げの規制によってゆるやかにしていくということだけは、いろいろな規制を設けてある成果をあげられておる。ところが、浅いところは禁止したけれども、深いところはまだ禁止しておらぬ。それで一時的にはある効果をあらわしたけれども、最近の地盤沈下はさらに深いところのくみ上げということが影響しているんじゃないかということをいわれております。それから補修については建設省がやっておる、あるいは運輸省が護岸工事をする。だけれども、こうしたことは地盤沈下という非常に大きい現象に対してはしごく小手先のことであると思うのですね。こうした復旧という問題、この沈下した地盤を復旧するのは一体だれがやってくれるのか、そのことをまず伺っておきたい。
  170. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいまお話ございましたように、特に江東あるいは城北地区におきまする地盤の沈下問題がたいへん重大な問題でございます。当省としましては、所管行政の立場上、工業用水の供給によりまして地下水のくみ上げを転換せしめるという方法で地盤沈下の阻止を行なうことを主たる任務として従来努力をしてきたところでございますが、ただいま御指摘の一たん沈んだ土地をどうやってかさ上げをするかということは、これはむしろ建設省御当局において御検討あるものと考えております。
  171. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 岡崎でございます。私、河川のほうを担当しておりまして、全般的な地盤のかさ上げがどうかという御質問は、私からはお答えできないのでありますが、海のほうからの水とかあるいは河川の流水に対する護岸を補強いたしまして、そういう面からの災害を防除するという点につきましては十分考えております。
  172. 高瀬三郎

    ○高瀬説明員 私、市街地建築課長でございますが、ビル用水関係の規制を担当しております。ただ私の所管を通じて申しますと、再開発関係をやっておりますので、その意味で再開発事業にかかわるものにつきましては、必要な盛り土あるいは人工地盤の造成というようなことを通じまして地盤の回復ということは進めたいと思っております。
  173. 有島重武

    有島分科員 通産大臣、こういうわけなんです。それでいま高瀬さんのほうから都市再開発のほうで多少は考えているということでございますけれども、正式には低い土地のかさ上げというようなことは再開発の問題の中には入ってないということをお聞きしたわけなんです。こういった問題についてはだれが心配してくれるのか、責任を持ってくれるのか、そういうことなんですけれども大臣、お考えはいかがですか。
  174. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはやはり建設大臣の御所管であろうと思いますが、ただ、あろうと申し上げておったのでは非常に無責任なことでございますから、少し私どものほうで確かめることにいたします。
  175. 有島重武

    有島分科員 先ほど近江さんの中小企業の問題でもって、長官は非常に膨大な費用がかかるというようなことでございましたけれども、この生活基盤をささえている地盤沈下の復旧をもしするということになれば、これはやはり膨大なことになると思います。そういうことから考えますと、復旧の費用のことを考えれば、沈下を防止する、くみ上げを全面規制する、そのための水源転換をする、水道工事する、そういった促進の費用というのははるかに効率的なものではないかと私は思うのですけれども、その点はいかがですか。
  176. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 仰せのとおりと思います。
  177. 有島重武

    有島分科員 そういうわけで、これは全面くみ上げ規制ということをどうしてもやるべきだと思うのでございます。大阪の沈下対策については、これは十年前に成功しておる。これは数字的に出ております。大阪が完全規制をした直前、大阪地方では一日三十三万トンの工業用水のくみ上げが行なわれておりました。東京はどうか。東京は四十四年の時点でもって三十三万六千トンである。特にこれは江東デルタ地区よりもやや北のほうでくんでおる。それからビル用水については、東京の場合いま三万二千トン一日にくんでおるわけですけれども、大阪の場合、あの規制をする直前にははるかに大きい十七万トンをくんでいたわけです。こういったことを考えまして、通産省では四十六年十二月までに工業用水は六十七万六千トン確保する、そういう計画と伺っておりますけれども、これでもって十分な量が供給されるわけでございますから、既存の、大体あのデルタ地区でいえば二百五十メートル以上のくみ上げならばいいということになっておるようでございますけれども、こういったものも含めて全面禁止をなさるお考えはないかどうか、これはぜひしていただきたいと思うわけでございます。大臣、お願いします。
  178. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 工業用水道の建設、すでにできましたものもございますし、まだ四十六年までかかるものもあるわけでございますけれども、そういうことを待ちまして強制転換を行なわせてもう水はくませない、こういうことでございますので、やはり工業用水道の完成ということが非常に大事な問題で、それに力を注いでおるわけでございます。
  179. 有島重武

    有島分科員 工業用水のくみ上げを規制する前に、そのための強制転換を行なう水道のほうの工事を急がしておるというお話でございますね。これも私承知しておりますけれども、大体地下水というものはやはり公共のものではないのですかね。それで、一度井戸をつくってしまうとあとはただであるというようなことになっておりますけれども、たとえば地上の河川であると、これは国なり地方なりが管理しておる。地下の水脈については管理しようがないようでありますけれども、くみ上げた量というものははっきりしているのであって、やはりそれは国なり地方なりがしっかりと管理するのが当然じゃないかと私は思います。  それで、全面禁止のことをもうちょっと伺いたいのですけれども、しばしば、くみ上げ規制の強化をさらに進めていくのだといわれていますけれども、現在の規制のしかたは、口径がどうであるとか深さがどうであるとか、どこの地域だとか、そういうことにとどまっているわけです。しかもそれが工業用水とビル用水、あるいはガス、そういう規制は確かに見受けられる。そのほかに農業用水がある。それから地下鉄の工事なんかもある。それから上水道のためのものもございますね。こういうものは規制しなくてもいいんだという理由があるわけなんでしょうか。これもちょっと通産からはずれるわけでございますけれども、そういった何か根拠があるのだろうか、私は非常にふしぎに思っておるわけです。
  180. 両角良彦

    ○両角政府委員 地下水は、ただいまお話ございましたように、単に工業用だけではございません。ビル用水にいたしましても、あるいは地下鉄工事に伴う出水等によるロスというものもございまして、御指摘のように総合的な地下水のくみ上げ規制ということを考えていく必要があろうかと存じます。同時に、その地盤沈下地帯だけでなくて、地下水脈全体を考えまして、広域的に地下水のくみ上げ規制というものは考えていく必要がある。二つの立場から、地盤沈下対策としての地下水のくみ上げ規制というものを考えていくことが適当であろうというように考えております。
  181. 有島重武

    有島分科員 上水のくみ上げ、それから農業用水のくみ上げ、これの規制ははっきりしておりますか。
  182. 両角良彦

    ○両角政府委員 普通農業用水につきましては、従来からの水利権の問題がございまして、その分につきましての河川の利用というものについては、農業用水は保護されておりますが、地下水によります農業用水というものは、それほど大きな影響を持っておるものとは考えません。ただし、この問題は農林省のほうでお取り扱いをいただいておりますので、私は一応通産省としての推測を申し上げたわけであります。
  183. 有島重武

    有島分科員 上水、飲料水のほうは……。
  184. 増田実

    ○増田(実)政府委員 ただいま先生の、地下水がどれくらい水道とかあるいはビル用水その他に使われているかということだと思いますが、東京都全体で申しますと、これは資料がちょっと古いのですが、いま手元にございませんので四十三年でございますが、大体の数字で申し上げますと、東京都全部で地下水をくみ上げましたのが、一日当たり百三十万トンのペースでくみ上げているわけでございます。その内訳を申し上げますと、工業用が六十七万トン、それから建築用、ビル用水でありますが、これが十八万トン、それから水道用が四十五万トンになっております。ですから、これだけを見ますと工業用水が一番大口でございますが、ただ、これも昭和三十九年からの比較をいたしますと、ただいま四十三年、工業用水の関係が六十七万トンの地下水のくみ上げと申し上げましたが、昭和三十九年には九十万トン、ですから九十万トンが六十七万トンに減っておる。他方水道のほうを申し上げますと、四十三年度におきましては四十五万トンでございます。それが三十九年は二十八万トンですから、水道のほうは相当ふえておる、工業用水のほうは相当減っておる、こういう形になるわけです。ただ、絶対量から申し上げますと、工業用水が一番大きい、こういうことになっております。
  185. 有島重武

    有島分科員 お聞きのとおりなんです。大臣、閣僚のお一人として御意見を承りたいと思うのですけれども、いま工業用水を規制するのは、そもそも地盤沈下の問題なわけなんです。じゃ地盤沈下が通産だけの規制でうまくいくか、そうはいかないわけなんです。いかないで四十五万トンも一日にくまれておる。それを自分のほうは知らぬ。そういうような状態でこれでいいのかどうか。これはまずいと思うのですけれども大臣いかがですか。
  186. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは確かに仰せのような問題がございまして、工業用水道はできたらひとつ強制転換をさせるということでいままで来ておるわけでございますけれども、地盤沈下そのものが公害ではないかという問題が確かにあるわけでございます。それでそこをいかにすべきかということで、経済企画庁の地盤沈下対策審議会でございますか、そこでどう考えるかということで実は審議しておりまして、環境庁ができますと、これは環境庁に仕事が移管されるわけでございます。そうなりますと、やはり少し考え方の転換があるいは必要になってくるんではないだろうか。つまり地盤沈下そのものを起こさせないような法的規制というものがどうもやはり必要になってくるのではないだろうか。水との関係は実に非常にいろいろむずかしい問題が出ましょうけれども、御指摘のような現象が起こっているものでございますから、何かその辺はやはり法的な規制が要るのではないかということをいまいろいろ審議しておるわけでございます。
  187. 有島重武

    有島分科員 大臣のせっかくのお答えですけれども、あるいは必要ではないかなんという、私は非常に心外であると思うのですよ。大体工業用水のくみ上げを規制なさったもとは、地盤沈下を防ぐことにあったと思うのです。規制するための規制でなかったはずなんです。それで工業用水としては、ただ工業のことだけ考えれば非常に良好な水なんでございますからいいはずなんだけれども、あえてこれを規制するというのは地盤沈下を防ぐ、それが目的だったわけでしょう。それが立法の精神でしょう。いま通産省のやっていらっしゃる仕事は徐々に実り出している。その占めるウエートはだんだん低くなっておる。ほかの影響もある。そのときにうちはいいんだから、これだけやってきたんだから知らないよというようなことでは、それは役所の中ではいいかもしれないけれども、閣僚のお一人として通産大臣がこれはうちのほうはこれだけ努力しておるんだけれどもそっちはどうなんだということで、もっと積極的に推進してくださってもよいんじゃないかと私は非常に希望をつなぐわけですよ。いかがでございましょうか。
  188. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはごもっともなお話だと思っておりますのです。工業用水が多うございますけれども、その他おっしゃるように飲料水もございますし、地下鉄の工事の場合もありますし、つまり工業用水道が使えるのですから、あなたはかってに井戸を掘ってはいけません、こういうことでいままで来ておるわけですが、それですと、工業用水道がないところはそれならくんでもいいんだということになっていきますから、地盤沈下というものは工業用水道ができなければ防げないのかという問題になってしまいますですね。そういう問題は私どもも意識しておりまして、地盤沈下そのものを防ぐための性的規制というのはやはり要るんではないか、こういうふうなことがいま審議され検討されておるわけです。やはり法律を必要とすると考えますが、これが環境庁のさしずめの仕事の一つにやはりなってくるのであろうと思っております。
  189. 有島重武

    有島分科員 土木技術研究所というところで、地盤沈下をなくすには全面禁止しかない、そうした警告を発しております。地盤沈下の著しい地域ではこれを直ちに全面禁止をすべきじゃないか。それでおっしゃったように、禁止はしても水道工事あるいは水源の手当てが伴わなければこれは実効を伴わない。だから、そちらのほうを急いで強制転換させるのだ、これも一つの論理でございますけれども、それだけの手当てをし、その工事を進めていくある時限が一年なり二年なり——先ほど四十六年十二月ということはありましたけれども、その時期を待ってから、十分に手当てができるようになってから規制をするというのも一つ考えでございましょうけれども、地盤沈下そのものが取り返しのつかない大きい影響を持つということはわかっているのですから、通産省がまず先駆を切ってここでもって全面規制をする。そういうことになりますとあとは、いまくまざるを得ないところは特別な措置になるわけですね。それで、くまないのがほんとうで、ゼロ地点を上げて、あとはマイナスの場所である。いまのですと、いまの規制のところを原点にしてだんだん進めていくという考えですけれども、こうしたことを推し進めていく上に、やはり国民的な意識といいますか、またはそれに応じたお役所のほうの仕事の進め方のぐあいよさといいますか、そういうことはやはり、客観的に突っ放してみれば同じ現象じゃないかといわれるのですけれども、その持っている意識、考え方、かまえ方、腹がまえが全く違ってくるんじゃないか。それでこの問題をほんとうに解決しようという腹がおありならば、これは即刻に全面禁止を御検討なさらないか、そう御提案申し上げたいわけです。いかがでございましょうか。
  190. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 下水道ができない間は川にものを捨ててもいいかという問題と似ておりまして、そういうふうに思われていた時代もありましたけれども、しかし、そうはいかない。川へものを捨てるということ自身が悪なのだというふうに意識が変わってまいりまして、同じような問題がここにあるのではないかと思っているわけです。  おっしゃいますように、穴掘って水をとるというのはそもそもいいのか悪いのかという話に世の中なってまいりますから、いままでは工業用水道ができておるのに穴を掘っちゃいけませんと、こう言っておったわけでございましょうけれども、どうもだんだんそれだけでは話がもてなくなる。地盤沈下そのものが工業用水があるなしにかかわらずいかぬではないかという意識になってまいりますから、どうしてもやはりその問題を片づけなければならぬのじゃなかろうか。そのときに水をどうするかという問題はあるわけですけれども、だからといって地盤沈下をさしてもいいということにはどうも相ならぬわけでございますから、そういう方向で審議会が検討しておるのでございましょう。
  191. 有島重武

    有島分科員 大阪のように大災害があってそれで被害を受けて、——まああれはやって成功したわけでございますけれども、いまのようにぐずぐずしておりますと災害が東京に押し寄せて水びたしになってからやっとやって、それで総理大臣は沈痛な顔をして、まことに遺憾なことであったということを言っておったのでは、まことに日本政府としては不名誉なことであると思うのです。そんな後手後手とやらないで、大臣おっしゃいましたけれども、この際、指定地域に限らず全面的に禁止をする、そういった方向でもって早急に検討していただきたい。  以上で終わります。
  192. 森田重次郎

    森田主査 栗山礼行君。     〔主査退席、渡辺(栄)主査代理着席〕
  193. 栗山礼行

    栗山分科員 限られました時間でございますから、要約を申し上げて、大臣及び中小企業庁長官の要点を得た簡潔なお答えを願えればと思っております。私の御質問を申し上げます点は、いわゆる通産省の中小企業対策経営指導員の運用に対します三、四の問題点を、若干御質問を申し上げてまいりたい、かように考えております。  通産省の中小企業対策の来年度の一般会計予算はたしか四百五十二億だと承知をいたしておりますが、その中で小規模事業対策費は四十七億七千二百万でございますか、こういうふうな私の調べべの計数が出るわけであります。その大部分というものが経営改善普及事業でございまして、その実体は指導員の給与というものが大半である。大体こういうふうな中身のものじゃなかろうかと理解をいたします。これの是非というものは別にいたしまして、現在の指導員の数からいきますと、五千二百二十六名でございますか、これを来年度は六十五名の増員をする、こういうふうに示されておるやに承知をいたします。そういたしますと、わずか一・二%の増員率である、こういうふうなパーセンテージになってまいります。もちろん限られました財政上の理由によりまして、昨年、ことしはベースアツプも行ないましたし、期末手当等の増加の内容ということもそれなりに了承いたしまして、十分承知をいたすのでありますけれども、ただ一・二%の六十五人の増員だということについて、まことにこれは遺憾しごくな数字を拝見する、こういうように解釈をいたします。  そこで、私は現在三百八十万戸の中小企業対象があると思います。これを計数にはかってみますと、五千二百九十一名の経営指導者で三百八十万の企業対象の指導をいたしてまいる、こういうことに相なってまいるのじゃないか。そういたしますと、指導員一人当たり約七百十八企業の分担と相なってまいります。もちろん商工会の性格なり沿革なり環境条件というものによっての問題点はいろいろございますけれども、一・二%、そしてこのような七百十八企業というようなものを一人の指導員によって諸活動をいたしてまいらなくちゃならぬ、こういうようなことになりますと、どれほど優秀な指導員の配置をいただくか、それはわかりませんけれども、結局あまりにも問題点と制約が多い、その中で限界がある、こういうふうに考えるのです。まことに春を求めて花を見ずというような感慨がわいてくるわけなんです。結局こういうふうな実態から見て、指導員の運営に対する政策目標というものを明らかに打ち立てていかなければならぬという考え方に立ちまして、大臣の所見を第一点としてお伺いしたいということでございます。
  194. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 中小企業、ことに零細企業にとりまして、やはり経営指導ということは、いま一番大事なのではないか。国がいろいろ金融措置などをいたしましても、帳簿を持ってきてちゃんと金を借りられるというところまで整備されている企業はなかなか多くございませんから、そこで国の親切もなかなかうまく使ってもらえないということになる場合が多うございます。それでありますから、指導員の強化ということは、私は非常に大切なことだ、仰せられるとおりだと思います。あるいは一番大切なことかもしれないと思っておりますので、昨年、ことし待遇の改善などを少しいたしましたのと、御指摘のように六十五人でございますか、増員をするのでございますが、いま一応の設置基準というものがございますようで、それに比べますと現在二百人余り不足だということになっております。基準そのものが満足かどうかは別といたしまして、一応基準になお二百人余り足りないのでございますから、まあことしのペースですと、三、四年で一応基準は充足するということかと思います。しかし、基準そのものがなおまだ十分でないということもございます。ですから、この辺はできるだけ充実をしてまいることが、ことに小企業にとっては一番親切な、また効果のある施策ではないかと思っております。
  195. 栗山礼行

    栗山分科員 第二点の問題は、指導員の質の向上の推進方策の問題でございます。お話しのように、いろいろ待遇の改善等もお運びをいただいておるということについては、申し上げましたようにそれなりに評価もし、了解をいたしておるのでありますけれども、非常に責任と役割りを多く持つ指導員の給与があまりに低いということを、資料を拝見しました中で痛感するわけであります。少なくとも国家公務員と対比いたしますときに、大きな隔たりがある、こういうことからいたしまして、私は改善をされる一つの内容はわかるのでありますけれども、少なくとも国家公務員並みにひとつ給与の改善をはかって、質の向上をはかっていくという基本条件が若干見落とされておりはしないか、こういう感がいたすのでありますが、これの所見をひとつお伺い申し上げたい。
  196. 吉光久

    ○吉光政府委員 指導員の待遇改善問題につきまして、実は先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、本年度から公務員並みの期末手当、これは多年の念願であったわけでありますが、やっと実現できました。あとは基礎ベースの問題というふうなことで、来年度以降そういう点に重点を注いでおるところでございまして、たとえば、いま御審議いただいております予算の中におきましても、指導員に対しますベースアップにつきましては一五・五%、これは、国家公務員につきましては御承知のとおり一二・六七%であったわけであります。それを大幅に上回ります一五・五%のベースアップというふうなことで、ベースを引き上げることを考えておるわけでございます。本年度におきましても、公務員のベースアップよりもより高いベースアップ率で指導員のベースアップをはかりましたが、と同時に、来年度におきましては、より大幅なベースアップをはかってまいりたい、こう考えておるところでございまして、現在月額四万六千五百円のものが、来年度からは五万三千七百円、こういうふうなところまで高められるというふうなことになっております。これは地方の指導員でございます。中央会、その他連合会におきます指導員につきましては、さらにこれより高いベースがすでに設定されておるわけであます。  ともあれ、直接一般職公務員の給与とそのまま横並びで比べるという点につきましては、年齢構成その他のいろいろな構成面から、すぐには比較できないものがあろうかと思いますけれども、しかし、やはり指導員の質が充実されるということが、この指導事業のかなめでございますので、そういう意味から待遇改善問題につきましても、さらに努力を積み重ねてまいりたいと考えます。
  197. 栗山礼行

    栗山分科員 私もいただきました資料と対比をいたしておるのでありまして、そういう中身の中から、なおひとつ努力を求めなければならぬという格差があるんじゃないか。現実の実態を踏まえつつ、これの改善というものは、お話しのように、質の向上と、それから専心してその企業の指導育成に当たるということが基本ではなかろうか、こういうことで申し上げたのでありまして、大臣の御答弁をちょうだいするということよりも、十分銘記を願って、この問題も中小企業対策として重要だ、こういう御理解をいただいておるのでありますから、将来の建設的な一つの方向を御推進をいただくということをお願い申し上げます。  関連いたしまして、もう一点は、私まだ十分調べておりませんけれども、農協職員については共済制度が設けられておると承知をいたしております。商工会議所、なかんずく商工会というものについては、私はどのような指導をされておるのか存じませんけれども、この内容がないと思うのです。したがって私は、安心して、定着して仕事をするということを考えてまいりますならば、ひとつ何らかの形において共済制度の問題と取り組んでもらわなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。私は、それを原則と踏まえつつ、当面の火急の問題は、厚生年金等についても、これに全員を加入せしめるということについての内容がないように考えるわけであります。この二点についてどういう御見解をお持ちであるか、大臣からお答えをいただきたい。
  198. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は、そのような要望を私も前から聞いておりまして、無理なことではない、実現させてあげたいという気持ちを持っておるのでございますが、いろいろ技術的に問題があるようでございまして、中小企業庁長官から補足してお聞き取りいただきたいと思います。
  199. 吉光久

    ○吉光政府委員 大臣お答えいたしましたように、基本的にはやはり経営指導員の身分安定をはかるということが、親身になって経営指導に専従できるということにもなるわけでございますので、そういう制度の樹立というものの必要性につきましては、実は私どもも痛感いたしておるところでございます。そういう意味から、実は各種団体等につきまして、いろいろとそこらのやり方につきまして御相談申し上げておるところでございます。  農協等の場合と違いまして、中小企業団体、特に指導事業に当たっております団体は非常に数多うございますし、また、その団体によりましていささか性格の異なっておるものもあるというふうなところから、やるといたしました場合に、どの範囲の職員についてやればいいかというふうな問題、あるいはまた、そういたしました場合の、共済としてどこまでくらいの広がりを持てば財政的に一つの安定的な基盤が確保できるか。あくまでも共済制度でございますので、共済としての安定のめどというふうな問題もございますし、また負担の能力等の関係もございますし、そういうふうな各種の面から、実はいまだ検討を続けておる段階でございまして、できますれば、できるだけ早くここらの意見をまとめまして、そういうふうな意味で身分安定の一環としての共済制度というものの樹立に努力いたしてまいりたいと思っております。  それから、厚生年金の御質問がございましたけれども、これは現状におきましては、それぞれの団体ごとに現状はまちまちでございまして、商工会等である程度進んでおるところもございますし、あるいはそうでないところもあるというふうな状況であるわけでございます。一応過渡的な問題といたしまして、やはり共済制度が確立されるまでの間は厚生年金保険に完全に加入するというふうなことも必要であろうかと思っておるわけでございまして、現在指導方針としては、全面的に完全にこれを利用するということを方針といたしておりまして、現在もう商工会関係の加入率は全体の七〇%という状況になっております。しかし究極の問題といたしましては、いま御指摘ございましたような方向で解決するよう努力いたしてまいりたいと思っております。
  200. 栗山礼行

    栗山分科員 詳しく数字をつかんでおらないのでありますが、私の選挙区周辺の商工会あたりでもこれの熱烈な声がございます。先生、厚生年金すらないんですよというような声も耳にいたすのであります。だから、これはやはり当面の措置として、目標は高く掲げつつ、当面の火急の措置として、全員が厚生年金制度に加入するという行政指導の方向をひとつ打ち立てでいただきたい、こういうふうに私は重ねて要望申し上げてまいりたいと考えております。  次の問題なんですが、経営指導員とは経営改善普及事業の充実者であるというだけでありまして、それ以外の何らの資格条件を与えておりません。御案内のとおり、中小企業診断士というような一定の資格条件もございます。私の承知いたします範囲内においては、指導員とは、ほんとうに講習会とか学習会というような形において、当面する問題、知識を体得する、こういうふうな形に終わっておる。これではいい意味におきます世話役としての問題に対処する指導の方向をどこかで見失う、こういうふうなことで推移すると思うのであります。私は、具体的な建設的な政策的な内容を提示する用意がございませんけれども、やはり質を高めていくような、何らかの資格条件を与えるという方向で検討がなされる、そうあるべきでないか、こういう考え方を持つのでありますが、御所見をお伺い申し上げたい。
  201. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来、地方の通産局と都道府県共催をいたしまして、研修会をやっております。そして指導員は年間四十時間講習を受けろということになっておりますのと、そのほかに、中小企業振興事業団で専門研修を一カ月及び三カ月おのおのやっております。  そういうことで質的な向上を考えておるわけでございますけれども、この指導員に資格を与えるかどうかということは、現在ありますいろいろな制度との関連もございますし、むずかしい問題もありますけれども中小企業診断士なんという資格を取るように奨励をしていきたいというふうには考えております。
  202. 栗山礼行

    栗山分科員 第四の問題は、小規模企業が圧倒的に多い各種産業団体の問題であります。  これとても高度化や構造改善近代化ということにいま一生懸命取り組んでおる、そういう必要に迫られて対処している、こういうふうな現状でなかろうかと思うのであります。この指導員を必要とするのは、単に商工会とかあるいは会議所というようなことではなくて、それらの団体の連合会に対しましても指導員を配置して、適正なる高度化あるいは近代化構造改善推進につとめていくということが一そう切実なものがあろうかと思うのであります。商店街振興組合連合会の一例を見ますと、若干の指導員に対する人件費の補助を出して進めておる、こういうふうな実例はたいへんいいことだと思うのでありますけれども、私は少なくともこの種の団体の連合会に商店街振興組合連合会と同様に、そういう指導員を育成する補助を出していくということが必要だと思う。理屈を申し上げますと、法の平等性から見ても、そういうような多くの零細産業団体を見落としている、あるいはこれに何らの対処をしないというところに、大いに問題点があろうか、こういう考え方を持つのでありますが、これは大臣いかがにお考えになりますか。
  203. 吉光久

    ○吉光政府委員 御承知のように現在構造改善をやっておりますその実施主体でございますけれども、これは商工組合が一番多うございます。それから事業協同組合というようなことでございまして、組合を中心にして構造改善を進めておるというのが現状でございます。  そこで、この組合関係の問題につきましては、これもまた御承知のとおり、各県に中小企業団体中央会が置かれておるわけでございまして、この中央会のほうには、国の補助を受けた指導員が現在置かれておるところでございます。大体、各県平均いたしまして十一人程度、現在各県の中央会のほうに置かれておるわけでございます。同時に、いまの構造改善が非常に重要であるというふうな点にも着目いたしまして、これも、御審議いただいております来年度予算関係では、この構造改善の指導を強化するという意味で、各都道府県に置かれております中央会の指導員の増員をはかってまいりたいということで、実は現在増員をお願いいたしておるところでございます。こういうふうな中央会事業というものを通じまして、そこらの組合の指導力を強化してまいるというふうな方向で考えておるわけでございまして、実施主体としての商工組合あるいは事協等につきましては、その実施主体が実施する事業についての助成を強化してまいる、こういうふうな指導の体制と、事業体自身の事業に対する助成強化の問題というふうに分けて考えておるわけでございまして、各種の、それぞれの下部の組合にまで一々指導員補助というふうなことをやってまいるのが効率的であるかどうかというふうなことで、その意味での判断を行なっておるわけでございます。むしろ、現在の機構、組織のもとにおきましては、やはり都道府県中央会等を中心にした指導事業の強化をはかってまいるというのが妥当ではないであろうかというふうな考え方に基づきまして、先ほどのような補助、特に中央会のほかに商工会に対する指導員の補助その他等も重点的にやってまいらなければならない段階ではないだろうか、こう考えておるわけでございます。
  204. 栗山礼行

    栗山分科員 長官と私がそこでちょっとかみ合っておるわけであります。中央会の問題、これはよく承知をいたすのでありますけれども、企業別事業協同組合の少なくとも単組までこの指導をはかっていくのに補助金を出せという、そこまでの考え方には私は到達いたしておりません。しかし、少なくとも、それの一つの連合会、協同組合連合会の範囲までは、いわゆる商店振興連合会に出されておるような、業種別の指導の育成といいますか、方向づけをするために補助金を出したらいいのじゃないか、また出してしかるべきじゃないか、こういうのが私のお尋ねする論点でございまして、長官は、そこは私とちょっと平行線といいますか、解釈上ちょっと……。お尋ね申し上げている点はそういうところにあるわけであります。少なくとも、そういう零細な、業種別企業組合の上部団体である連合会への指導員の補助政策をとっていく、そうして指導の徹底をはかってまいるということが現時点で最も必要ではないか、こういうことについて、重ねてお答えいただきたい。
  205. 吉光久

    ○吉光政府委員 御指摘の点は、私も十分よく了解できるわけでございますけれども、何ぶんにも、いまやっております指導事業の中核というものは、商工会あるいは協同組合中央会等を主軸にいたしまして現在展開いたしておるところでございます。したがいまして、先ほども指摘ございましたように、商工会その他につきましても、まだまだ指導員の充実強化という点につきまして、これでは十分ではないという状況であるわけでございまして、そういう意味から、いまの指導体制の重点の置き方を、先ほどお答え申し上げましたような方向に置かしていただいておるわけでございます。この構造改善事業のにない手でございますところの商工組合その他、あるいはその連合会というものの重要性を忘れておるわけではないわけでございます。そういう意味から、実はそういうふうな個別的な組合あるいは組合連合会等に対しまして、人員補助までいたしまして補助体系をつくってまいるというふうなことになりますと、従来の指導体制との関連をどのように位置づけてそれを推進さしていくかというふうな、既存の他の指導体制との関連性の問題等につきまして、やはりそこらを明確にいたしておきませんと、混雑が生ずる面もあるというふうなこともあり得るわけでございます。したがいまして、いまの御指摘の点、方向につきましては全く同じような気持ちでございますけれども、指導体制全体としてどう強化さしていくかという基本的な線に沿ってさらに勉強させていただきたいと思います。
  206. 栗山礼行

    栗山分科員 最後に、商工会館の建設について、今度は予算総額で一億二千万円と承知しておりますが、百五十万を限度額にして四分の一の補助だと何か計数であらわれておるように承知をいたすのでありますが、これはたいへんけっこうでございますけれども、大体年間に八十カ所しか会館建設ができないわけですね。そうすると、会館の建設の計画、方向として何年度ぐらいまでに商工会館の建設をしようという方向路線を打ち立てて今度のお運びになったのか、こういう点がはなはだ金額の面から申しても、商工会の数の問題から申し上げましても、非常に零細な数のような感を深めるのであります。  そこで、長期計画というものがどういうように策定されておるか、あるいはことしはこれだけであるけれども、四十七年度については、この種の会館建設の緊急性の必要から取り組んでいくのだ、こういうふうな御想定がございましたら、それもあわせてひとつ承りたい。
  207. 吉光久

    ○吉光政府委員 実は、御承知のように、この指導施設の建設につきましても、長年の懸案であったわけでございます。そこで、実はこの予算を要求いたします段階におきまして、各地の商工会で、これは現に施設を持っておるところもございますので、現に施設を持っていなくて、しかもこういう施設を持つことを強く希望しておる、あるいは他のどこかの会館を利用しておるというふうなところにつきましての実態調査を行なったわけでございます。そのときに、これは早急の間に調べましたものでございますので、また綿密な調査をその後いたしておりますけれども、そのときの段階におきます要建設数と申しましょうか、大体七百から八百の間程度の数字が出てまいったわけでございます。これらのものにつきまして、さらに指導施設を持つというふうなことからまいりますと、やはり独自ではなかなか指導施設は持ちにくい、そういうふうなところを補助対象にする必要があるであろうというふうな考え方、あるいはまた、これはあくまでも小規模事業者に対しますところの指導その他の施設でございますので、組織化率が相当進んでいるということが望ましいのじゃないか。将来の関係からいきましても、商工会等の組織化率が相当進んでまいるということが非常に重要でございますので、そういう点をも考慮いたしまして、あれこれ数字の算定を行ないまして、当初計画におきましては、五ケ年間で全体を充足させてみようというふうな構想を持ったわけでございます。ところが、その後さらに詳細にいろいろと現地のそれぞれの商工会のほうの御意見をお伺いしておりますと、私どもが当時想定いたしました以上に、たとえば現にある会館が老朽化している、したがってこれを建て直しをしたいとか、予想しなかったような事態もいまできつつあるわけでございます。したがいまして、いまこれを何カ年でというふうに最終的には申し上げにくい状況にあるわけでございますけれども、しかし、当初五カ年でというふうに考えておりますので、したがいまして、初年度ベースでは、あるいは低くなったかもしれませんけれども、次年度以降さらにこれを大幅な増額を行ないまして、当初意図いたしておりました五カ年間で少なくとも一巡はするというふうな決心で継続的に処理してまいりたいと考えておるところでございます。
  208. 栗山礼行

    栗山分科員 私は、その問題とそれから特恵関税の税制上の問題でありますが、特恵関税対象中小企業は明暗の岐路にございます。一つは前途悲観という状態になろうかと思いますし、いろいろこれらの企業を取り巻く一つの問題は、当面する七月一日を目の前にいたしまして、早くこの方向を明らかにして、そしてその政策的方向を強く推進していかなければならぬというところに論点をしぼりましてお伺いをいたしたかったのでありますが、国会に法案が出ておることでございますので、各論を避けまして、一つの基本の方向だけ私は言いっぱなしをしまして、それについてひとつお答えをちょうだいするということでお許しをいただきたい、かように考えております。  今度、中小企業特恵対策臨時措置法案が国会に出ております。この問題をながめます場合について、附則の二項で施行の日からこれは十年という年限を切っております。この年限内で臨時措置法は一切これらの措置が終わるというお考えなのか。あるいは東西交流の問題もございますし、また指定業種の品目の増加等もございますから、これらの問題を含めて、ひとつ十年の年限という時限で処理するという方向でお考えになっておるかどうかということが一点であります。これは少なくとも、この中身の問題は天井を進めるというところに重点があるのか、あるいは一つの高度化をして取り組ましていこう、よりいい商品をつくって、そしてその高度化の方向で取り組んでいこうという一つの問題もありましょう。もしくは合理化、省力化をやりまして、そしてそのコストダウンをして対応していこうという一つのとらえ方もありましょう。いま一つは、対応能力のないものについて転廃をどのように対処いたしてまいるのか、こういうふうな悲喜こもごもの問題をこの中に含んでおるというのが、七月一日を前にいたしまする特恵関税の対象関係中小企業の今日の苦悩である、こういうふうに私は理解をいたしておるわけです。  中身の問題は別といたしまして、そういうものについてどちらに重点を置かれて——高度化やあるいはコストダウンの方向もあわせて行なう、あるいは当然これが一つの転廃業という運命をたどるものもある、そうするとそれらの問題についてどういう対処をいたしてまいるか、こういう問題等がございます。そういたしますと、それの行政指導のスタッフの問題、あるいは財政措置の問題といういろいろな問題があろうかと思うのであります。もう一つ、特恵関税に当面する対象企業の、なかんずく中小企業対策の重要な一つの政策方向を大臣からひとつ所見を伺って、私の質問を終わることにいたしたい、かように考えます。
  209. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 特恵の品物を選びますときに、いわゆる中小企業等の関係はかなり配慮いたしまして、例外あるいは五〇%カットというような選び方をしたつもりでございます。しかし同時に、場合によって転業、あるいはむしろ転業を必要とすると自分で考えられることがあるかもしれないと思いましたので、措置法のほうもあわせて出したわけでございます。一般的に申しますと、近代化あるいは高度化ということは近代化促進法あるいは構造改善といった施策で進めていくことが大筋であろうと思っておりますが、たまたま特恵との関連で、もし転業というものを積極的に必要とすると考えられるような向きがあれば、特別友措置を設けておいたほうがよろしい、こう考えまして、御提案をいたしたようなわけでございます。  それからこの十年の問題でございますが、一応特恵は十年といったように考えられておりますのでそういたしておりますけれども、まあ特恵というものがはたして十年後どうなるかということはなかなか予測が困難で、理想といたしましては関税は低いほどよろしいわけでございますから、そういう秩序がもうできてしまいましたら実際上それが基本関税になるというふうに表ればよろしいものだが、しかし、各国との関連もございますから、一応十年ということにいたしております。
  210. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 足立篤郎君。
  211. 足立篤郎

    ○足立分科員 いま経営指導員の質的向上の問題が取り上げられましたけれども、実は私の地元で経営指導員の不詳事件が起きて、いま困り果てているものですから、中小企業庁の御見解も伺いながら、何とかひとつ救済について特別な御配慮をいただきたいと思って、お願いかたがた申し上げるわけです。  静岡県の袋井市の山梨商工会——これはどういうことかといいますと、袋井市に山梨町が合併になりましてもう数年になりますが、いろいろないきさつがございまして、まだ袋井商工会に合併せずに、地域的な単独商工会としてやっておるわけであります。この経営指導員制度ができてから、加藤という三十そこそこの若い経営指導員が着任をいたしました。非常に仕事ができる男でございましたので、役員の人たちもすっかり信用してしまいまして、もう会計課長か常務理事かわからぬような、一切の仕事をやらしておったわけでございますが、一月の中ごろ、バーのホステスとどろんをきめ込んでしまいまして、調べてみたら約二千万円近くの使い込みがある。警察ざたになりまして、全国指名手配をした結果、たしか神奈川県だったと思いますが、逮捕されて、地元の磐田の警察から犯人引取りに参りまして、手錠をはめて東名高速道路を護送中に、警察官もぬかっておったのですが、ドアをあけて飛びおりた。それで大けがをしまして、入院をさせ、十日ぐらい入院しましてとうとう死んでしまいました。死人に口なしで、手のつけようがないわけです。警察もこれは刑事事件ですから真剣に取り調べてくれておりますが、まだ損害額がはっきり確定できません。  いま申し上げたような経過で、山梨の商工会というのはきわめて弱小な商工会でございまして、業者も力がありません。いわば全部零細企業の集まりでございまして、その使い込んだ金の内容も調べておりますが、たとえば商工会が大売り出しをやって、芸能人を呼んでお祭りをやった、それに払うべき金を七十万ぐらい着服してしまったとか、あるいは商工会で街灯を立てる経費をみんなから集めておいて、まだ街灯をつくらぬうちに使い込まれてしまったというようなのがございます。これは商工会の役員の連中も相当責任を感じておりますから、十年ぐらいの間に何とか再建をやりたいというので、毎晩のように鳩首協議をしておりますが、当面困った問題は、実はこの山梨商工会が貯蓄共済で静岡銀行と取り組んで、御承知の、預けた金と見合った金を借りてそれぞれ運転資金等にしているわけでありますが、その金額が千二百五十万あるのです。ところが、商工会員でそれを実際に借りているのは三百万でございまして、あとの九百五十五万というのは、きょう午前中にお話のあった、三文判で組合員の名前は使っておるが、全部偽造です。借りたことにしておった。こういう形で、これはもうどんどん金利が積もってまいりますので、実は困り果てているわけなんです。県の商工会連合会でも実際に調査をしてくれるし、いろいろ指導してくれておりますし、現職の役員の人たちも監督不行き届きであったということは認めております。しかし、県の監査でも実はこれは見つからなかった。よくできる男だけに、きわめて巧妙に仕組んでおったということがわかるわけですが、いよいよぼろが出そうになったのでどろんをきめ込んだのじゃないかと思うのであります。しかも、その加藤の家のほうで何らかの補償ができるかというので、弁護士を仲に入れていま交渉しておりますが、これがたまたま婿さんでして、とんでも危い婿をもらった、そんなものはとても責任持てぬということで突っぱねられておるわけで、実家のほうはきわめて貧乏でどうにもならぬ、こういうことでどうも遺族から補償金を取るということがほとんど不可能のようであります。そうかといって、いま申し上げましたような金額のものを現在の役員の連中が直ちに責任を持つとすれば、それによって今度は倒産が起こってくるという騒ぎになりまして実は困っているわけでございます。  こういう場合の救済措置は何か制度があるか、あるいは特別に何かお考えいただけるかどうかという点が質問の第一点です。  第二点は、その加藤が生命保険に三百万入っておるそうですが、これは自動車から飛びおりたのですが、もともと逃げるつもりで飛びおりたので自殺するつもりじゃなかったと思うので、保険会社は払うんだろうと思いますが、それを払った場合に、それを商工会の損害の補てんとして押えられるかどうか。それから経営指導員としての退職金が出るはずでありますが、その退職金は商工会の判がなければとれないはずなんで、それはぜひ押えなければならぬ、こう思っておるのです。どのくらい出るかはっきりしませんが、少しでも損害を防ぎたい、こういう努力を実はいまいたしておるわけでございます。  これは質問というよりもお願いですが、まことにどうも異例なことだと思います。この経営指導員というのは、さっき大臣お答えになったとおり、零細企業を立て直すために非常に重要な役割りを果たすべきものだ。それだけにいなかの商工会の会員はまるで神さまが来たように思って全く信頼してしまった。それは監査その他監督が悪かったといえばそれっきりでありますが、そういういなかの人たちの気持ちもくんでいただいて、何とかこれは救済できるように——少なくとも十年計画でいろいろの商工会の行事等をやって穴埋めもだんだん考えていかなければいかぬと思うし、また一部は役員の人たちもある程度自腹を切って負担すると言っておりますが、とても全部はいま解決できませんので、せめて利子の補給なり何かの処置をお考えいただきたいと思うので、なるべく御好意のある御答弁をいただきたいと思って陳情するわけであります。どうかよろしくお願いします。一問だけです。
  212. 吉光久

    ○吉光政府委員 実はうかつでございまして、ただいま初めてこういう事実があることをお教えいただいたわけでございます。したがいまして、よく実情等につきましてさっそく調べてみたいと思っておりますが、ただ、いまお話しのようなことがそのまま事実だといたしますと、だれかが使い込んだ、その使い込んだということにすべての根元があることになるわけでございますけれども、その場合における役員あるいはその他の監督責任の関係はどうなっておるのかというふうな問題、いろいろ込み入った問題もあろうかと思います。そこらの実態認識がどういう上に立ってどうなんだということを一度よく調査いたしたいと思っておるわけでございます。その上で具体的にどういう措置が最も妥当であるか。いまの本人弁済というのは当然の原則でございます。使い込みということを前提にいたしますと、本人弁済は当然のことでございます。ただその場合に、いまお示しがございましたように、こういう金はその場合すぐに弁済金に強制的に充てられるかどうか、これは金の種類によってそれぞれまた違った問題もあろうかと思いますので、実はここですぐに御返事することを御遠慮させていただきまして、むしろ実態を早急に把握させていただきたいと思います。
  213. 足立篤郎

    ○足立分科員 使い込んだのは経営指導員が使い込んだ、酒と女にぼけた。ほかにだれも使っておりませんのでどうかよろしく……。
  214. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 内藤良平君。
  215. 内藤良平

    内藤分科員 私は主として石油あるいはガスの地下資源開発、特に国内の地下資源の開発につきまして若干質問したいと思います。  ペルシャ湾の六カ国を中心としました例のOPECの主導によります石油の騒動によりまして、わが日本も石油の自主開発が急務だという声が所々方々から出ておりますし、これは社会党としても四十四年に、当時は大平さんであったと思うのでありますが、大臣にもやはりこの自主的な開発をやるべきじゃないかということを申し入れをしておりますし、四十五年、四十六年になりまして社会党が言ったことが国際的にもOPECの問題を焦点にしてあらわれてきた、こういうぐあいに思っておりますが、そのことをいまかれこれ言うつもりはありません。  そこで、自主開発ということはおそらく政府、通産省の中で御論議になっておると思いますけれども、この自主開発の中で、いま国際的に新たな油田の権利を求めて開発をすることはなかなか至難じゃないか、日本はちょっと立ちおくれておる、こういうこともいわれておりますが、そういう点からも考えますと、やはりもう一ぺん国内に目を注いで、国内における石油、ガスの資源開発に極力政府としても——民間の力だけでなくして、政府として国策として主力を注ぐ時期に来たんじゃないか、こういう観点から御質問をしたいと思います。  そこで、国内の場合におきましても大陸だな、日本列島周辺にある浅い海、これには相当量のガス、石油資源がある。これはいろいろなデータが出ております。これに対して政府でも積極的に支援をする意向であると思います。しなくちゃならぬと思いますけれども、具体的にその施策があったらそれをお聞きしたい、こういうことです。  その内容も、時間もないですから具体的にどういうことかといいますと、第二日竜号というのがいまできつつあるはずです。あれが大陸だなの開発の第一線に出るわけですが、それもわれわれがこの国会の場におきましていろいろ声を大にしてからかれこれ足かけ三年になると思います。ところが、いままでより比較して深い海を相当な地底まで掘さくできるのはあの第二日竜号一台なんです。だから、あの一台だけでは私はおさまらないと思うわけです。あの種のものを急速に政府が力を入れてつくらなくちゃならぬと思うわけですよ。こういう点、第一どうなっているか。  それから、この石油なりガスの開発の場合に隘路は、一本一億円もばく大な金を投資しても、出なければ終わりなんですね。これはなかなか民間の経営という面から見ますと容易じゃないわけです。そこでぼくたちも前から言っていますけれども、いわゆる出世払いということばがありますが、出た場合にはお返しする、出なかったらかんべんしてくれ、簡単にいいますとこういうことですね。やはりこういうことももうやる時期じゃないか。これが第二点です。お考えがあるかないか。  それから、大陸だなの開発にはもう十社ぐらいが鉱区の出願を出しまして鉱区を持っておるのです。ところが、そのほとんどが外資と提携しておるのです、大臣。名前は一々あげませんけれども、いろいろな会社が、帝石さんも石油資源も出光さん、三菱さん、西日本石油、いろいろありますけれども、ほとんど外資と提携している。そこで自主開発、しかも国内資源開発ですね、これはなぜ外資と提携しなければならぬのか。これは簡単にいいますと金の問題だと思う。いまの出世払いに関係があります。結局言いかえますと、外資と提携せざるを得ないというのは、政府のてこ入れが実は少ないのじゃないか。そこら辺がこういうぐあいにあらわれているのじゃないか。このことについて、外資と提携してやることにつきまして、通産大臣としては世界の石油戦争の中で自主開発ということの意義からはたしていいことかどうか、そのお考え、これが三点目です。  それから、外資と提携してまいりますと、やはり外国の機械なり技術なり労働力も入るのじゃないか、技術という名のもとに労働力あるいは機械。そういうふうなことがありますると、国内にもせっかく、これは例の第二次大戦のとき南方まで行って鍛えた技術を持っておる技術者が国内におるんでありますから、技術もあり労働力もあるそういう方々の十二分な発揮ができぬじゃないか、こういう問題もあるわけです。  結局、私はいま四つ申し上げましたが、自主開発国内の大陸だなの開発、こういう面を世界の石油戦争の中で、日本のいわゆる自主的表面で石油を確保して国民生活を安定せしめるという面から見ると、その趣旨から若干はずれるような現象がもうすでに出ておる。こういう点につきまして、担当の大臣として、いまも四つぐらいあげましたが、ひとつ御所見を願いたい。——大臣から御所見を願います、それから局長なり……。
  216. 本田早苗

    ○本田政府委員 技術的主点でございますので先に申し上げまして、後ほど大臣から御意見を申し上げることにさせていただきたいと思います。  御指摘のように第二日竜号はこの五月に完成することになっておりまして、六月から秋田沖で掘さくに入るという態勢になっております。今後こういうものをさらにつくって引続き仕事があるかどうかという問題もございますので、これを稼働してよく検討さしていただきたいと思うわけでございます。  それから第二点の、ボーリングは御指摘のようにドライでありますと全く穴をあけたというだけになるわけで、資金の問題等があるわけでございますが、いままでは大陸だなについて石油開発公団が投融資対象にはしないということで運用してまいったわけでございますが、四十六年度からはケース・バイ・ケースで開発公団が投融資をするという形で運用してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、成功払いの問題でございますが、一つのプロジェクトを新しい会社をつくってやるということになりますと、従来ですと原則五〇%の投資を、国の資金を出すということになりますから、仕事の成否によって国も分担するという形になるわけでございますので、さしあたってそういう運用をやっておるわけでございます。  それから外資との提携につきましては、資金の問題もありますが、やはり新しい深い深度の掘さくということになりますので、技術の問題もございます。そこで外資との提携ということによって、できるだけ早く成功していくことも必要だと考えておるわけでございますが、ただその際、日本のエネルギー産業政策に沿うて事業を行なえ、また比率も五〇%以下だ、それから掘り当てた原油は日本国内で使うということ、それから機械とか資材とか技術、労働力については日本のものを優先的に使う、社長も日本人でやるのだ こういうふうに条件をつけてやっておる次第でございます。
  217. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来石油というものが概してバイヤーズマーケットであったということから、ここへまいりましてやはりあれこれ国内の体制がいろいろ不足でございます。いま御指摘のような点は、みんな私おのおのポイントをついておられると思うのでございますけれども、自分でやらなければならぬという体制についてあれこれ不十分なところがございますので、実は年が明けまして早々に、基本的にこれからどのような体制を整備して進むかということを、私ども省内あげてただいま検討しておるところでございます。できるならば昭和四十七年度の予算編成との関連で、所要の法律案あるいは予算措置等々も講じてまいりたい。もうそれも幾らも日がございませんから、夏までにはそういうものをつくり上げてしまいたいと考えております。  そういう中で、ただいま御指摘のようないろんな問題が出てきておるわけでございます。この際、体制の基本的な整備をやってしまいたいと思っております。そして御指摘ではありましたけれども一つは技術者が非常に不足でございまして、戦争中にいっときああいうときはございましたが、案外従来そういう実地の場といいますか、必要と申しますか、なかったために、意外に技術者も不足でございまして、このほうのことも心がけてまいらなければなりません。  いずれにしても、今度はだんだんセラーズマーケットになっていくかもしれないという状況において、抜本的に体制をつくり上げる必要があるというふうに考えております。
  218. 内藤良平

    内藤分科員 大臣のお話は建設的で、抜本的な法律なり予算なり四十七年に向かってお進め願うということで、私も非常に喜びます。ぜひやっていただきたい、かように思います。  そこで局長さん、あなたのお話の中でちょっとふに落ちないのは、外資問題心配がないと言われたが、なぜ外資が入ったかということをお考えになっておったか。外資でもいいからどんどん力があるものがやる、日本の大陸だなを開発すればいいというお考えもあるかもしれません。やはり提携した会社は、いまお話しのように一億円投入しても出なければ終わりでしょう、出ればあれだけれども。だから会社としてはたいへんな心配があるわけです。結局は金が不自由だから外資と提携せざるを得ない。言いかえると、政府が主導型のような、これに対する金の手当てというものが比較的少なかったのじゃないか。そういう面でみすみす国内の貴重な大陸だなの開発に外資と提携をせざるを得なかった状態に追い込んだんじゃないか、こういう考えを持っているのですが、これはいかがでありますか。そういうぼくの考え方は少しオーバーですか。それともそういうぐあいにお考えになった上でこれからのいろいろな対策をお考えになれるものかどうか、伺います。
  219. 本田早苗

    ○本田政府委員 御指摘の点、その点はあったと思います。あったと思いますので、今後——従来は大陸だの資源賦存状況につきまして必ずしも十分なデータがなかったというようなことから、むしろ外資がある程度のデータ、判断を持ちまして大陸だなの探鉱開発考えようというような経緯もあるわけでございます。資金の点もございます。少なくとも資金の点につきましては、四十六年度以降におきましては国内開発企業に対しまして石油開発公団から、業務の対象にケース・バイ・ケースで考えるということで、資金的な面についての助成を考える、こういうことにいたしております。
  220. 内藤良平

    内藤分科員 それともう一つ反省を含めてしなくちゃならぬじゃないか、そういう立場でお尋ねするわけですが、二、三年前から南方にわが国から各社が出てそれぞれの国と折衝してやりましたね。十何社出かけましたね。だけれども、ほとんど成功しない。各社が競ってやったわけです。これはなぜでしょう。それらを通産省では自由にやらせるということで十何社もやらしたと思いますし、石油開発公団から金を貸して、それで成功しないというのは、私はやはり各社争ってやるけれども、その中にロスがあったんじゃないか。お互いに無理をして、そして効率があがらないわけです。鉱区が隣合わせている場合に、こっちを掘ればわかるものをあっちも掘る、そういうかっこうになっているわけです。鉱区が違うし、会社が違うんだから。だからそこら辺も自由にやらせる、民間の意欲にまかせるといっても国際的な問題もありますし、ほとんど失敗の状態——失敗というのは当たらぬかもしれないが、まあ出ないですね。今度の大陸だなの場合もそれと同じような状態がまた出ているんじゃないか。ぼくらの資料では約七社が日本の周辺の鉱区をみんな重複して持っているんですね、七つの会社が外資と提携して。秋田県に対しても、一つの会社ともう一つの会社が重なって鉱区を——隣合わせてといいますか、こういうぐあいに乱立の形でいま鉱区を全部握っておる。そしてまた貴重な金をかけてお互いに競ってこれを掘り合っていく。そういう形の資源開発は、南方に行ったと同じような結果を来たすんじゃないか。そういう面を振り返ってみると、この関係では通産当局の行政指導は非常に私はまずかったんじゃないだろうかと思うのですが、その点いかがでありますか。
  221. 本田早苗

    ○本田政府委員 御指摘のように、海外の石油開発というのは大体一つのプロジェクトが出まして、それの開発のために会社をつくってそして掘るという体制でまいったために、一会社で一つ開発計画を実行するという形でやってきたわけですが、この点につきましては、御指摘のように企画力あるいは資料の分析力、あるいは相手国との交渉の能力というようなことで必ずしも十分でないということで、われわれとしても反省をいたしておりまして、今後開発体制についてはもう少しまとまった形でやるべきだというふうに考えております。  大陸だなのほうにつきまして、鉱区が非常に小さく分かれておるという点の御指摘を受けたわけですが、この点につきましては、鉱業法の関係で、鉱区の出願がありますと先願主義で鉱業権を認めていくという法制になっておりますので、鉱業権についてだれかにまとめてとらしめるということはなかなかむずかしい問題があろうと思いますが、御指摘のように実際に探鉱をやり成功すれば開発に入るというときに、ある程度まとまった区域の開発をやるという形でやることが望ましいと考えております。今回の大陸だなにおきましては、かなりの地域を一つの会社で探鉱して開発するという形で、秋田県につきましては二つの会社の鉱業権を共同で開発しよう、こういう形で始めるわけでございますが、われわれとしてもその点については今後も御指摘のような考え方で指導しなければならぬというふうに考えております。
  222. 内藤良平

    内藤分科員 そこで大臣、時間もあまりないのですが、局長のお話の中にも出たのであるが、資源開発は、ぼくらの秋田県の場合、金属鉱山などは金属のあの事業団の一つの包含した探鉱で黒鉱の開発ができたということで成功した例もあるわけですね。ですから各社がそれぞれの計画でやるというのじゃなくして、もう一段高い総合的な対策本部でもつくりまして、そして効率的に集中的にやる。大体データとしていろいろな資源の面でここら辺があるのじゃないかという点が出るわけでございます。ただ鉱区が違いますと、こっちのAの会社もそれをねらってやる、こっちもやる、そういうかっこうになって、思わざるロスになると思うわけです。結局会社自体もダウンしてしまう。  だから願わくは、ほんとうは一本になれば一番いいのですよ、国内開発の場合は。一本になる機会もあったのです。石油開発公団の事業本部というのがあって、それが三年後ですかまた民間の会社ということで石油資源開発会社ができてしまった。そして国内では専門の会社が二つあるわけですね。この二つがやはり同じような性格で競い合っているわけです。ああいう面ももう少しこれから、国内の地下資源開発、貴重な石油開発の場合には、政府ももう一歩突っ込んで思い切って、掘ってとるのとそれから精製するのと、そこら辺まで一貫した国策会社のようなものが私は必要じゃないかというぐあいに思うのです。そういうものをつくって、いま掘るほうの会社が二つあります。帝石とSKですね。これらをそちらに包含する。つくるほうは共同石油というのがありますね。こういうところの既存のものを考えながら、思い切って国策会社のようなものをつくって、そして能率のいい開発をやる。それで出たものは一貫して精製する。これは全部の国内の消費量の三%程度、一%ぐらいですかな。これは少ないのですけれども、やっていくと三%ぐらいやれるのじゃないか。それからいいことは大臣、例の公害の硫黄がないわけです、国内のものは。だから脱硫にかける金をそっちのほうにかけるような考え方でいくなら、公害防止という面で、低硫黄分の国内石油資源というものを、別の角度でいろいろ考えた場合には、相当国民生活にプラスになるのじゃないか。また石油戦争の場で幾らか強くなるのじゃないか。三割ぐらい自主的なものを持とうという計画は前々からあるようですけれども、これはそこまでいかないでしょう。しかし、大陸だなはうまく成功しますと相当あるといわれていますから、あるいは三割ぐらいは日本の勢力範囲、自分の力で握ることができるわけであります。そういう点は、先般のOPECの騒動を契機に、これはぜひひとつ先ほどの大臣のお考え、来年あたりまでいろいろ検討してみたい、具体的にやってみたい、そういう中にいまのような私の意見もお考えいただきたいと思うのですけれども大臣いかがでありましょうか。
  223. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実はそのようなこともあわせまして検討をいたしておるところでございますが、先般も学識経験者等ともいろいろお話をしてみておるわけですが、皆さんは一応やはり民間の創意とくふうというものを表に立てて、先に立てていくのがほんとうであろうという御意見をお持ちの方が多うございますが、私どもも、確かに民間がそういうふうにやっていただくことは、そのほうが望ましいわけでございますけれども、さりとて、先ほどもお話のございました一社一プロジェクトというようなことはどうも非常にまずいことでございますし、それからまた、かりに民間がやるにいたしましても、いろいろな情報でありますとかあるいは図面の見方でありますとか、相当専門的な部分がいろいろございますから、そこらあたりの調整あるいはコーディネーションといいますか、それは公団のようなものがやっていく必要があるだろう。政府が前面に立つというようなことも一つ考え方でございますけれども、私どもとしては、できれば民間の力をじょうずに使っていく、政府はそれをお助けしたり調整したりするということのほうが、私ども考えからは望ましいと思っております。しかし、そういう御意見も確かに一つの理由のあるお話でございますから、あわせまして夏までに検討をいたしまして結論を出させていただきたいと思います。
  224. 内藤良平

    内藤分科員 大臣、何もここで議論しようという考えじゃないのですけれども、いままでのあれを見ますと、いろいろ地下資源開発ということで石油開発公団もできました。期待もされておったわけであります。わが党でも、地下資源開発はやるべきだということで進めておりました。ところが、石油開発公団というものは、結局は金貸し公団になってしまったわけですね。ですからそこら辺は、公団が今度だいぶあちこちできておりますけれども、はたして公団というものがいいものかどうか、そういう意味で、民間のほうが能率的ではないかという御意見もあると思うのです。どうもこの種の開発関係は、採算ベースに乗せる場合には、よほど運のいい会社でなくてはなかなか乗らぬのじゃないかと思うのです。非鉄金属の場合は、同和鉱業は黒鉱にうまく当たりましたからだいぶ株価もいいようですけれども、一方の隣の鉱区の三菱は、探鉱しても、金はかかるけれどもさっぱりいいのに当たらないということで、こんなに違いが出ておる。ですからこれは一営利会社では——能率の面では営利会社がいいのですけれども、探鉱という経営の重圧ですね、これはなかなか営利会社としては乗り越えることができない。僥幸を当てにするような経営になってしまうのではないか。  そうしますと、そういう面はやはり半ば公共的といいますか、国のようなところで半分は肩入れして、そうして民間の持っているよさを生かしていくような、そういう組織のようなものが必要じゃないか。ぼくは国策会社と言いましたけれども、それは何もコンクリートした考えではありません。そういう地下資源の掘さくの特殊性といいますか、それをひとつ大臣、御検討を願わなければならないのではないか。これは省内でもいろいろ御議論があるところと思いますけれども、どうもいままでの例を見ますと、うまくいかないのではないですか。豊富な資源ならいいですよ。どこを掘っても出るというのならいいのですけれども日本のような場合にはこれはなかなかないのでございますから、しかも貴重な燃料ですから、どうぞひとつそういう点はもう少し私たちのこういう意見も御検討願いたい、こういうぐあいに思います。  次は、今度は少し話が具体的になりますが、国内生産の原油の値段の問題であります。これは現在はキロリットル当たり五千九百九十円です。昭和三十三年ごろは九千二百三十九円であったのです。ところが外油の関係で、貴重なわが国内の石油の価格がだんだん外油によってしわ寄せされまして、現状では五千九百九十円、こういう状態です。この価格のために、現在主として国内で掘っております会社の経営というものは非常に苦しくなりました。これは物価は上がっておりますし経費はかかります。価格はずっと据え置きのかっこうです。これはもう三十七年以来五千九百九十円です。これに何かの対策を持てないか。この価格に対する国のほうの対策はなかなかむずかしいことでしょうけれども、何らかの方法がないか。外国では直接の価格に対する政策ばかりではなく、いろいろな形で経営に対する援助といいますか、そういうものが行なわれておる、フランスの場合でもアメリカの場合でもこういうぐあいにいわれております。この価格の保障といいますか、こういうものを含めた積極的な助成策のようなものを考える必要があるのではないか。  特に、大臣、さっきも言ったのですが、国内の石油の場合は、公害問題から見ると、いわゆる硫黄分が少ない国内の石油を燃料にした場合に硫黄分が少ないという関係が出てきます。公害防止なり脱硫装置にかける金をかけなくてもいいような問題もありますし、そういう面ではこういう石油を火力発電のほうへ特に指定して使わせるようなこと、そして、脱硫装置もいろいろやっているけれども、硫黄分が少ないから亜硫酸ガスが多く出ない、そういうことで、特定の公害防止するために、国内産油をそっちの方面、公害防止の面に使わせて、そういう面で価格の低い面を、経営の苦しい面をカバーするような政策ができないものかどうか。量もあまり多くないのですけれども、そういうような公害問題、国民生活の安定あるいは必要な燃料措置として、いまのような考え方で何かひとつ考えてもらえないかということなんですが、大臣これはいかがでしょうか、お答え願いたいと思います。
  225. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前段のことでございますけれども、確かに国がリスクは相当しょいませんと、民間の企業ではなかなか石油資源開発はむずかしい、これはおっしゃいますとおりだと思います。先刻、航空機のお話がございましたときに、資源関係にどれくらい金がかかるだろうかと考えておりますという意味のことを申し上げましたのは、相当国が本腰でリスクをしょわないといかぬなということからああいうことを申し上げておったわけでございまして、御指摘のとおりと思います。  ただ、後段の国内産原油ですが、輸入原油との差額を埋めますために関税の還付をやっておるのだと思いますが、この点詳細なことでございますので、局長からお聞き取りいただきたいと思います。
  226. 本田早苗

    ○本田政府委員 国産原油が割り高だということと、したがいまして、引き取りが困難であるということとからみまして、差額を補てんする意味で原油関税をかけておりますが、関税から還付ということで、キロリットル当たり千百五十円還付して助成しておるという制度をとっております。
  227. 内藤良平

    内藤分科員 大臣、ちょっとくどいようですけれども、さっきの公害の、硫黄分の少ないという国内石油の性質を生かして、いまの国内の石油を掘っている企業に対するそういう意味からの政府の応援のしかたのようなものを検討してしかるべきと思うのでありますが、いかがでございますか。そういう点など新しいことですけれども……。
  228. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはごもっともなことで、低硫黄でございますから、一般的に国が低硫黄の原油を電力等々にある意味でお世話をしております。その中のやはり一つとして使わしていただいておるわけであります。
  229. 内藤良平

    内藤分科員 ですからそういう特性を生かして、国内の今日ある企業に対しましてもなお政府のあたたかい御支援と言うと何か選挙運動みたいになりますが、援助策を——基本的、抜本的なことは大臣いろいろお考えになっておると思いますが、いま二つばかり会社があって掘っておるわけです。この会社の現状は、一応貴重な石油を掘って国内資源開発に命脈を保ってやっておるわけですから、これに対しての御検討を私お願いしておきまして、これで終わります。
  230. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 塚本三郎君。
  231. 塚本三郎

    塚本分科員 私は、わずかな時間でありますけれども、航空機の問題についてお尋ねしてみようと思っております。  最近は、距離の問題よりも時間の問題だということがすべてに適用せられている時代でございます。そしてまた私どもは、経済的には対外貿易で自立する以外には道がないという条件の中で、将来に向かって最も大きく期待しなければならない問題の一つに航空機の問題があると思っております。自動車が後発ではありましたけれども、すでに先進のアメリカに追い打ちをかけておるようなたいへんな成績をあげておりますことは喜ばしいことでございます。しかしそれと並行して、やはり航空機の製造につきましても同じコースをたどるべきではないかというふうに実は見ておりますが、航空機の問題だけは、わが国としてはもはやすでに放棄したやにも見受けられるような状態にあると思っております。御存じのとおり最近の石油の値上げ問題、あるいはまたそのほかアメリカに対する鉄鋼の輸出制限、さらに化合繊等の制限の問題、こういうような問題等で見られるごとく、これらは相手方が買ってやらないと言われても困るけれども、もっともっとわれわれが心配しておりますのは、その原料を売ってやらないと言われたとき、もっと困るのではないか。そういう点からいきますと、資源の消費型産業とでもいいましょうか、そういうものはもはや限界に達したのではないか。それよりも、技術集約型あるいは機能集約型とでもいいましょうか、あるいは付加価値の高いもの、あまり原材料を食わなくて金額の増すもの、これこそが次の産業界をリードする最も重要な問題ではなかろうか。そういう意味からいきますと、航空機というものは最も重点的に検討されなければならないと、われわれしろうとから見ても判断されるわけです。飛行機一グラムの目方は金一キログラムに相当するのだと某政治家は言っております。それほどまでに重要な問題でありますけれども、本年度の予算におきましても、前年度の予算が残っておるとはいえYXに対する開発費等が削除されたことは、心理的にあるいはまた経済の指向する方向としては きわめて大きな障壁を政府みずからが築いてしまったのではないかというふうな感じがいたすわけでございます。これらの問題に対する大臣の御見解をまず伺いたいと思います。
  232. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 基本的には、塚本委員の言われましたようにきわめて付加価値の高い産業であり、かつ波及効果の大きい産業でございますから、幸いにして軍備らしい軍備をしないでいる国でございますから、金はこういうことなどに使いたいというふうに私なども考えておるわけでございます。が、実は御指摘のようにYS11の問題で日本航空機製造が思わない大きな赤字を背負うようになりましたこともございまして、抜本的にこれからYXに向かって進むといたしますと、よほどの決意を政府自身がいたしておりませんと、また前回のあやまちを繰り返さないでもない、そういうことを考えまして、一年立ちどまりまして、基本的にもう一ぺんそういう問題を考えてみたい。やるとすれば、これは政府が大決心をいたしませんと中途はんぱなことになってしまうわけでございますから、そういうことで検討をいたしますために、今回の予算ではああいう形をとったわけでございます。これもやがて政府の基本的な態度をいずれにすべきか打ち出さなければならない時期になっておると思っております。
  233. 塚本三郎

    塚本分科員 うしろ向きとかストップするつもりはおそらくないとは私たちも想定いたしております。しかし自動車と同じようにあまりにも安易な出発をされたのではないか、民間だけでできるのだというような考え方でいったのではなかろうか。客観的に見ますと、販売に対する不手ぎわがあったとか、一、二の問題があります。しかし予定数量の百四、五十機の販売をし、そしてなお許されるならば二百機くらいまでは売りたいし、また可能性はあるのだと当事者は言っております。予定どおり売ったのでございましょう。しかも若干、二、三の問題点の指摘はあったとしましても、世界的なエアラインの中ではきわめて効率の高い一つの輸送機として評価を与えられておると思います。非難の声は新聞紙上においてもあるいはまた政府の中でも高まっておりますけれども、しかし英仏共同で開発せられたコンコルドのごときものでも、開発費が予定の四倍をこえておるというような状態になってきておるんですね。それから見たら、初めから資本を開発費で食われてしまって、そうしておいて大量製造に対する資金は全くめんどうを見てやらないような形で、赤字けしからぬじゃないかというような追い打ちのしかたは、それは将来に向かっての航空機産業を知らざる者の言い方ではないかというふうにさえも考えられるわけで、もはや一国だけではどうしようもないというような状態にまで飛行機の製造は重要な問題になってきておる。だからこそ国際的な協力が叫ばれてきておるときに、一社の独立採算制における赤字を議論して、そして会社に対する考え方をきびしくしてやるならば、もはややめたというような気持ちになってしまうと思うのです。だからこれはこれで、多くの新聞紙上でも指摘せられ、あるいは会計検査院で指摘せられておる問題はやはり厳に監督もし、きびしくしていかなければなりません。しかし世界の国々の姿と比べてみたときに、やはりこれは決して失敗じゃなかった。政府あるいはまた四方から非難を浴びつつも、とにかくここまで売ってきたのだというふうに一面においてあたたかく見てやらなければ、航空機に対する将来への展望をふさいでしまうのではなかろうかというふうに考えられるわけです。その点どうでしょう。
  234. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 非常に御理解のあるおことばをいただきまして、ありがたいと思います。いろいろ不行き届きは不行き届きといたしまして、パイオニアとして、ともかく百数十機の飛行機を売ったという努力は私ども買ってやりたいというふうに実は考えておるわけでございます。私どもが思いますことは、御指摘のように日航製に無理なことをさせたと申しますか、政府がもう少し資金的に、開発費などの問題を含めまして政府自身の危険負担においてやらせる部分を多くすべきではなかったのか、非常に無理な経営体制で仕事をさせたということを反省いたしておるわけでございまして、YXの問題に取り組むといたしますと、そのような反省をフルに生かして、同じあやまちを繰り返してはならない、こういうことでただいま検討をいたしておるようなわけでございます。
  235. 塚本三郎

    塚本分科員 赤字になりましたおもなる原因、一口に言いまして、一、二大臣指摘していただきたいと思います。
  236. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 やはり一つは、初めての仕事でふなれであったということ、もう一つは、借り入れ金が非常に大きくなってその利子負担に悩んだ、ほかにもいろいろございますが、そのようなことではなかろうかと思います。
  237. 塚本三郎

    塚本分科員 そういたしますと、この問題をまずどう処理するかということをきめてからでないと、次のYXに対するいわゆる飛躍的な手が打てないというふうに見られるわけですけれども、そうであるとするなら、この赤字はどう始末しようとしてみえるのでしょうか。
  238. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いま経営改善委員会で検討をいたしておるわけでございますが、赤字は何かの形でやはり政府を含めて関係者が処置をしなければならない。まだこれからパーツも売らなければなりませんし、相当時間がかかることでございますから、その間で会社自身やはり再建策を考えなければならないと思っております。これとYXのスタートとは、これが全部始末がつかなければYXのことは考えられないというほどのことでもなかろう、少なくともここでおかしたような、ミステークをおかさないために、YXにどうやって取っかかればいいかというようなことは、私は並行して検討して差しつかえないものではないかと思っております。
  239. 塚本三郎

    塚本分科員 政府立場は確かにそうなんです。しかしメーカーの立場になってみたときに、私は大三菱に特に味方しようとは思っておりません。しかし三菱で航空機を製造しておるまじめな労働者、従業員の立場になると、三菱の中におけるところのその人員構成からいいますると、全従業員の七%ないし八%を航空機につぎ込んでおるのだ。にもかかわらず、売り上げ金額はわずかに二%なんだ。しかもたいへんな赤字をメーカーが、日航製がいわゆる背負い込んでおるだけじゃなくて、メーカー自身もそういう意味では負担させられておるのだ。彼らがなまけておるわけじゃないのです。にもかかわらず、いわゆる売り上げはきわめて少ない。一つの例ですけれども、主たる会社に三菱がありますから申し上げるのですけれども、従業員は七%の人員を占めておる、売り上げはたった二%なんだ、普通ならばもっと付加価値の高い航空機が、三菱ではいわゆる能率の悪い、一番損をさせられて、造船でもうけたものを航空機にみんな穴埋めさせられておるんだ、牧田社長のかんにんも限界にきたんだ、一体これでわれわれ労働組合はどうすべきかという形に悩んで、いっそのことそういうことを度外視して、軍需だけにまっしぐらに走るべきじゃないかというような声も出かねないと思うわけでございます。それはそれで私は一つの方針だと思いますけれども、しかし日本の国の将来への展望を考えてみたときに、やはり政府としてはYS、YX別々なものとして並行にいくのだというけれども、こしらえておる会社にしてみますると、その赤字をそのままにしておいて、さらに金をつぎ込めといっても、バックにあります各社の金融機関承知をしないという形にまで追い込まれてきておるんだという状態だと思います。したがって、この赤字をどう始末するのだということです。これをやはりはっきり見切りをつけてやることが一つ。  もう一つ、私が客観的に見まするならば、一体YS11をどこで打ち切るのだということです。私はこれは全くしろうとですけれども、二百機まで売る見通しがあるならば、一体売れる売れないにかかわらず、この際二百までの全部生産に追い込んでしまいなさい。それ自身は日本にとっても要らないはずはないのですから、初めから見切りでそれをやってしまいなさいという形にして、あと、いわゆる使い手がなければ困るというような問題じゃない性質のものだと思いますから、見通しのもとにはっきりそうして、単価を下げて、そうすると赤字はたいへん少なくなってくる。こういうことできちっと計画しないと、エンジンのごときもロールスロイスがもうあんな形になってしまったというようなことで、これからぼつぼつ注文するやつは何割高だぞというようにいわれてしまっておる。ますます赤字は強くなってしまう。いま打ち切るかあるいは百八十にするか、二百にするか、私はいろいろ関係者の話を聞いておりますと、いわゆるこれからの見通しからいくならば、またYSは二百機の伸びはあるという見通しが立つならば、やはり国家的に考えてみても、そういうふうにしてぱっと見切りをつけて、追い詰めてしまって、生産をさせてしまう。そして赤字はどれだけということで、この始末はこの始末というふうにきちっとやるほうが国家的に見てもいいんじゃないか。そのほうが、なまはんか国家的な問題であり、かつはまた独立採算の営業体であるというような、こういうなまはんかな指導のしかた、なまはんかなめんどうの見方というものがかえって相手方をしてふん切りを悪くさせておるんだというふうに思いますので、この際はっきりと、その点のいわゆる勇気ある指導と見切りをしてあげる必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  240. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま御指摘になりましたように、私もまことにごもっともな御指摘だと思います。先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、ただいま航空機工業審議会日本航空機製造の経営改善専門委員会というものをつくりまして、先月以来すでに数回の委員会が開かれております。この委員会で、私ども考えておりますことは、まずは経営内容というものをよく精査をしてみたい、こういうことでございます。ただいま大臣からも赤字の原因の一、二について御説明を申し上げましたが、実際問題として、そういったようなことが私どもいままでの資料からは想像されるわけでございますが、なお詳細にわたってひとつ経営の中身を第三者で洗い出してみようというような作業をまずやってみたいと考えております。  それから第二といたしましては、しからばそういったような経営内容の精査が行なわれた後におきまして、一体これを改善するにはどうすればいいかという改善対策というものをここで検討していただきたいと思っております。いまのお話しの、たとえば二百機まで生産をするのがいいのかどうか、あるいは百八十機で打ちどめにするほうがいいかどうか、こういった問題につきましては、当然海外あるいは国内からの需要の問題、それからそれをつくりますときのコスト、販売価格、こういった面からも当然詰めた議論が行われてしかるべきだと思います。もし百八十機以上需要があるということがほぼ確定をされ、かつ、それが経営的には赤字の解消、縮減に役立つということであれば、その段階で一体何機までが赤字解消といいますか、経営改善にとって一番適当であるか、こういう点につきましてもこの委員会で詰めていただきたい、こう思っております。  さらにいま御指摘の金利問題その他につきましても、政府あるいはその他の面でどういう対策を打っていけば、今後さらに拡充されると思われる金利負担というものが軽減されるであろうか、こういったことも当然この経営改善の方策の一つとして審議が行なわれるものと思っております。  こういったような経営改善対策の幾つかを、私どももできるだけの努力をいたしますが、やってみるという前提で、しからば最終的に赤字というものがどのくらいになるであろうか、ほぼ推定される最終赤字というものがそこから出てまいると思います。そこで、そういったものが出てまいりますれば、その赤字につきまして、どういう方針でこれを処理していくか。たとえばこれを全部政府がかぶるといいますか、政府のお金でこれを処理するというわけにもなかなかまいらないと思いまするし、官民合同の会社でもございますから、これは赤字の分は全部政府だということにも私はなりかねると思います。そういった点も踏まえまして、ほぼ改善対策を実施した後における赤字の見通しがつきますれば、それを一体どういうふうに負担をして解決をしていくか、こういった点についての基本的な方針、こういったものを最終的にはまとめていただきたいと思っております。現在、経営改善委員会は特に金融関係の専門家を中心に構成をされておりまして、金融、財務そういったことの専門委員がそれぞれ任命され、現在いろいろな角度から資料も精査をし、議論も続けられておりますので、ほぼ三月、来月一ぱいくらい、あるいは若干伸びるかもしれませんが、大体その辺のところを目途に、いま申しましたような諸点の検討結果が政府に報告されると思います。私どもはそれを受けまして、さらに私ども立場でなお議論もし、今後の方策を確定をしていきたいと考えております。
  241. 塚本三郎

    塚本分科員 三月一ぱいに審議会でその結論を出すというようなことでございます。そうすると、あなたのほうが大体腹をきめて、こうすべきだということの口の開けるのは一体いつごろになるのですか。
  242. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この審議会の答申を得ましたあと、おそらく私どもといたしましても、具体的にお金の問題に関係をいたしますから、所要の財政措置等を講じていくとするならば、四十七年度予算からということになろうかと思います。もしかりにそれまで待てない、早く手を打ったほうがより国としての負担も少なくなるということであれば、あるいはそれ以前におきましても財政当局との話し合いを進めてまいらなければならぬ、こういうこともあろうかと思います。いずれにしましても、三月一ぱいにそういった委員会の結論を得、それに基づいて日本航空機製造自体が、経営の方針として、その内容を受けて自分としての考えをきめていく、さらにそれを受けて通産省として関係の方面とも十分御相談の上、その後の対策を打ち出していきたい、こういうことになるかと思いますが、いずれにしてもそう長い時間は置かず、できるだけ早くこの問題については結論を出し、対策を講じていきたいと考えております。
  243. 塚本三郎

    塚本分科員 聞くところによりますと、YXの予算は実は削ったけれども、約十億ほど前からの使い残しがあるということ、あるいはまた必要があれば予備費の中からでも使っていいという、大蔵省はこの問題については他にないような、相当胸襟を聞いた立場でおってくれるやに私は聞いております。私はけっこうなことだと思います。しかし、いま局長の御意見を聞いていますと、日航製自身からの方針を受けてとおっしゃったのですけれども、私が判断いたしますならば、日航製はあれだけ新聞で非難を受けておる立場ですから、この際は無難にというふうに萎縮しておりはしないかと思うのです。したがって、やはりこの問題は政府みずから、大蔵省と、こういくべきなのだということを強く——特に審議会の諸君は銀行屋さんが多いようですから、どうしたって無難な、赤字を極力出さないような、細く、長くというふうな結論になりがちだと判断されるわけです。したがって、やはりこの問題は自動車と比べてみて、あまりにも立ちおくれがひど過ぎるというふうな判断から、やはりあなたのほうが、通産省のほうがリードして、大蔵省に、これくらいのことはいたしかたなかったのだ——とにかく英仏が共同で開発しながら、その開発費だけで最初の予定の四倍ですよ。私はこの数字が何よりもいわゆる航空機工業の将来の重大性と、そしてむずかしさを示しておると思うのですね。そういうときですから、こんなことで日航製が実は口には出せない問題だと思います。そうかといって、銀行屋さんだって、おれたちは政府からの無理やりの要請ならしかたがないけれどもという形にいくと思うのですね。私はいまさら航空機が国防に占める割合をここで力説しようとは思いません。しかしながら、将来の輸出産業としての目玉商品という立場から考えて、あのときに重工業局ががんばってくれた、それが布石になったのだということを、今年中に局長みずからがリードして、ラインを引いておいていただく必要があると思いますが、どうでしょう。
  244. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私が申し上げておりますのは、日航製を矢面に立ててという意味ではございませんで、もちろん通産省といたしましては、いまお話しのような、この問題について非常に強い意識を持っております。そういう意味からもやるわけでございますが、やはり日航製の赤字処理という問題でございますから、第一義的には日航製の社長以下の幹部が、みずからの責任体制をしいて、自分らとしてもいまの答申を受けてこうやりたい、こういうふうな態度で日本航空機製造というものを経営していきたいという、かたい決心を持って今後も経営していただく必要があると思います。そういったような面も受けて、もちろん私どもといたしましても、いまもお話しのように、将来の航空機工業の重要性を十分踏まえた上でこの問題に積極的に対処していきたい、こう考えておる次第でございます。
  245. 塚本三郎

    塚本分科員 ことばを返すようですけれども、社長も日航製をやめたいと言っておる。頼むぞ、おってくれといって、いわゆる朝野が一生懸命逃げ腰を押えている立場であり、宮本専務もついに辞任をしてしまって、責任体制どころか、前例のないような大きな責任をとり過ぎておるくらい、というように裏からいえば逃げ腰だということなんですね。そういう体制の中で、こんな重要な問題がある。だから私は、もうリードするのはあなた方以外にないぞということをはっきりときめつけたいわけです。  少しでも海外に出られた立場の人ならばおわかりいただけますように、もはやすべてが飛行機の時代になってきている。われわれ国会議員でさえも、列車ならただで行けるけれども、飛行機のほうがとにかくすべて時間的に早いということで、まるまる金を払ってでも、飛行機の便のあるところは、みんな国会議員は飛行機で走らざるを得ない。こういう時代になってしまっておるのですから、それを大部分外国から買わなければならないという状態です。ですから、これが全く軌道に乗ったとしても、それは五年後でございます。そうであるとするならば、いまから大幅に踏み切っていただくべきだ、強くその点希望を申し上げておきます。  次に、YXの問題とともに、世界各国から共同開発の申し出があるやに聞いております。この点も実は相当に検討なさっておられるようでありますし、新聞も各社におきまして、もはや一国単位での生産さえも、その開発費の増大性、いわゆる大きな開発費がかかることと、こしらえてみても市場的にいって一国だけでは、お互いに各国が競合してしまうから、共同開発に踏み切るべきではないか、幾多の注意しなければならぬ問題はあるとしても共同開発に踏み切るべきだというのが各新聞などの一致した論調のように私も判断をいたしております。その点どういうふうに判断してみえるでしょうか。
  246. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま御指摘のように、中型機あるいは大型機の開発生産ということになりますと、非常に膨大な開発費もかかりますし、かつリスクの負担も大きいということで、現在もうすでにヨーロッパでは、先生も御存じのように幾多の機会に共同開発が盛んに行なわれております。いわばこれは、一つの世界的な中、大型機開発の今後の大きな流れといいますか、趨勢であることは私ども間違いない事実だと思います。こういったようないろいろなメリットがあると申しますか、時代の趨勢の中で、日本として今後こういった中型機あるいは大型の旅客機の開発に進んでいくとするならば、私どもといたしましてもやはりそのメリットを十分受けるような形でこれを持っていくべきであると私は考えております。  ただ反面におきまして、共同開発と申しますものは、やはりいろいろなデメリットもないわけではございません。たとえばことばが違うとかあるいは標準作業、マニュアルが違うとか、いろいろな面もございます。こういった面はやはりヨーロッパにおきましても十分議論をされておりまして、ヨーロッパの中では、ヨーロッパ航空工業界と申しますか、そういったところですでにこういったデメリットをいかに防ぐかというような検討、議論がすでにいろいろの形で行なわれております。こういったことも参考にいたしまして、日本とヨーロッパあるいはアメリカということになってまいりますと、国情、ことば等も違いますから、私ども特にこういった点については十分慎重な検討を行なう必要があると思います。しかし、いずれにしても、今後日本において中型機以上の大きな飛行機を開発する場合には、やはり世界の流れに沿って共同開発を進めていくということが、日本の航空機工業の将来にとっても非常に有利な方向であるというふうに私ども考えております。
  247. 塚本三郎

    塚本分科員 英仏が共同で開発したコンコルドは、開発費だけで六千三百億だそうでありますね。その金額からいたしまするならば日航製がかかえておる赤字なんというのは——しかも英仏の経済力と日本経済力とはそんなに違っておらないはずですね。そういう点から考えてみたら、もうYSの問題は思い切りよくきちっと見通しをつけて、そして赤字はこういうふうにすべきだというふうにはっきりと見通しをつけて次の問題に移るべきであるというふうに考えられるわけです。  それから共同開発してまいった場合に、独自に進めておるYXとの問題はどういうふうになるか。この点はおそらく共同開発があるやも知れないということで足踏みしておるわけじゃないと思いますけれども、この関係はどうなるのでしょうか。
  248. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 YXと申します、いわばYS11に続きます次期旅客機ということで、四十二年に航空工業会を中心にORをいたしました。それ以後いろいろな形でこれが表面に出てまいっております。  その後の経緯を申し上げますと、最初、一昨年の夏に日本航空機製造はYXのプロジェクトといたしまして百十六人乗りをベースにした一つの構想を発表いたしました。その後この問題がいろいろな角度から、特にユーザーサイドからもいろいろな意見を取り入れまして、ひとつ百五十席から百八十席というところをめどにやろうということで、機体の大きさにつきましては大体その程度の大きさということでYXを考えてみたわけでありますが、そこで出てまいりましたのが実はエンジンの問題でございます。百五十ないし百八十というぐらいの大きさの飛行機に乗せますエンジンは、現用のエンジンでもございますが、ただ、いま特に公害問題、騒音の問題、こういった問題が非常に世界注目の的でございますので、無公害とは申しませんが、こういった面の非常にすぐれた新しい形のエンジンを使わなければ、五年後に出る飛行機としてはセールスポイントがないということであります。そういった観点からのエンジンをさがしてまいりますとなかなか見つからない、こういうところで実はいまの百五十、百八十の座席を持った次期のジェット旅客機の構想が一とんざをしておったのであります。そのやさきに、昨年の秋に至りましてアメリカのボーイング社が、いま日本で百五十席、百八十席のYXを考えておるようだが、実はボーイング社としては、もう一回り大きい飛行機ではあるが、世界的な需要の推定等をしてみると二百席から二百五十席程度、まあ中間をとりますと二百二十席ぐらいになろうかと思いますが、そのぐらいな飛行機を実は共同で開発をしたい、こういう申し入れがありました。同時にそれに合わせるようにイギリスの一番大きな航空機会社でありますBACという会社からも、もし日本とボーイング社とが共同でいま言ったような航空機を開発するとすれば、実はBAC社にも独自の計画があるけれども、無用な競争を避ける意味からこの二社の共同開発に参加をしたい、三社でこれを開発したい、世界の市場をひとつ三社でまかなっていきたい、こういう申し入れが昨年の暮れ近くに日本航空機製造にまいっております。こういったことから現在におきましては、航空機工業審議会の中におきまして、いまのような各種の申し入れを踏まえてこの問題を一体どう考えていけばいいのか。つまり百五十、百八十というふうに考えておりましたにもかかわらず、エンジン問題で適当なエンジンがなかなか見つからないという現状のもとに申し込みを受けたわけでありまするので、先ほどから先生のお話しのように、私どもとしても、また航空機工業審議会の委員としても、国際共同開発に向かうことには賛成であるが、それはそれなりにまたいろいろと問題もございますので、こういう問題を現在審議会で掘り下げて議論をしていただいておるというのが現状でございます。
  249. 塚本三郎

    塚本分科員 時間がまいったようですから、最後に大臣から決意だけ伺いたいと思います。  いずれにいたしましてもこの問題は、国家的仕事としてやっていただかなければならぬことは申し上げるまでもないと思っております。そういう点、世界の各国から共同開発の申し出があるということになりますれば、デメリットを考慮するとき、ますます政府の強力なバックアップがなければなりませんし、それさえあるならば、幸いにも日本の優秀な技術というものが、初発のYS11でもって高く評価できるものだという意味においても、これは国家的に非常に大きな意義があったのではないかというふうに見られますので、ぜひ日航製自身は、先ほどから申し上げておりまするように何かしら気おくれがちな一面があると思います。しかしそれは会社の経営の立場よりも、国家的立場として通産大臣が強力にリードしていただきますることを心から期待いたしまして、その御決意だけ伺いまして質問を終わります。
  250. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように相当膨大な開発費を必要とすることは疑いありませんが、それを中途はんぱな形でいたしますとたいへんなことになります。やるとすれば国としてしっかり決心をしていたさなければならないことでございますから、そのためには、各方面によほどそれだけの覚悟をしっかりさせた上でスタートをいたさなければなりません。ただいまそういういろいろなことを検討いたしておるところでございます。
  251. 塚本三郎

    塚本分科員 ありがとうございました。
  252. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 本日はこの程度にとどめ、次回は明二十五日午前十時より開会し、引き続き通商産業省所管について質疑を行なうこととし、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会