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1971-02-23 第65回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十三日(火曜日)     午前十時三分開議  出席分科員    主査 登坂重次郎君       相川 勝六君    松野 幸泰君       大原  亨君    西宮  弘君       堀  昌雄君    山口 鶴男君       山田 太郎君    兼務 久保 三郎君 兼務 小林 信一君    兼務 島本 虎三君 兼務 土井たか子君    兼務 楢崎弥之助君 兼務 近江巳記夫君    兼務 渡部 通子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 内田 常雄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         警察庁警備局長 山口 廣司君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         経済企画政務次         官       山口シヅエ君         経済企画庁審議         官       西川  喬君         経済企画庁長官         官房長     船後 正道君         経済企画庁長官         官房会計課長  岩田 幸基君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         計画局長    矢野 智雄君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         経済企画庁調査         局長      小島 英敏君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         厚生大臣官房長 高木  玄君         厚生大臣官房会         計課長     上村  一君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省薬務局長 武藤琦一郎君         厚生省社会局長 加藤 威二君         通商産業省公害         保安局長    莊   清君  分科員外出席者         公正取引委員会         取引部景品表示         課長      中村 雄一君         防衛庁防衛局運         用課長     福田 勝一君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政課長     三喜田龍次君         大蔵省主計局主         計官      相原 三郎君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宣正君         水産庁長官官房         調査官     竹原 幸吉君         通商産業省鉱山         石炭局金属課長 小川 利男君         海上保安庁警備         救難部長    貞広  豊君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   西宮  弘君     堀  昌雄君   渡部 一郎君     山田 太郎君   谷口善太郎君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   掘  昌雄君     山口 鶴男君   山田 太郎君     渡部 一郎君   山原健二郎君     谷口善太郎君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     井野 正揮君 同日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     西宮  弘君 同日  第二分科員楢崎弥之助君、近江巳記夫君、第四  分科員久保三郎君、小林信一君、島本虎三君、  土井たか子君及び渡部通子君が本分科兼務とな  った。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算経済企画庁及び  厚生省所管  昭和四十六年度特別会計予算厚生省所管      ――――◇―――――
  2. 登坂重次郎

    登坂主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、厚生省所管を議題といたします。  分科員各位には議事進行に御協力のほどをお願いいたします。  なお、政府当局におかれましても、答弁は簡潔にお願い申し上げます。   この際、昨日の堀昌雄君の質疑中、献血問題に対し政府答弁が留保されておりましたので、政府答弁を求めます。内田厚生大臣
  3. 内田常雄

    内田国務大臣 昨日当分科会でお話がございました堀昌雄議員からの保存血液価格改定時期につきましては、昭和四十六年、本年の四月一日ということにいたすことになりました。御了承ください。
  4. 堀昌雄

    堀分科員 いま御答弁をいただきまして四月一日実施ということになりましたが、御承知のようにすでに値上げが告示されておることでもありますので、末端における混乱を避けるために、十分な時間をおいて事務的処置を完了せられるように要望いたしておきます。ちょっとそれについての御答弁だけいただいて、これで終わります。
  5. 内田常雄

    内田国務大臣 保険給付の対象になっておることも御承知のとおりでございまして、それらの関係機関に徹底させますためには、四月一日という日が必要にしてまた一番近い時期でもございますので、御趣旨に沿いながらこのようなことにきめましたので、その間手配等遺漏なきを期してまいりたいと存じます。
  6. 堀昌雄

    堀分科員 終わります。
  7. 登坂重次郎

    登坂主査 それでは、山口鶴男君。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 与野党の議員超党派でつくっておりますハンセン病議員懇談会の私事務局長をいたしておりまして、毎年度予算編成に際しましては、ハンセン氏病の患者諸君処遇を改善したり、また国立療養所施設充実のために、微力でありますが、努力してまいった次第であります。そういう立場から本年度ハンセン病関係予算につきまして、二、三の点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、今年度国立らい療養所関係予算を拝見いたしますと、昭和四十五年に比較をいたしまして、昨年の五十三億から約六十億円、一一・三%ほど予算伸びております。しかし一般会計増加率は、御案内のように一八・四%、財投の伸び率は一九・五%でございまして、どうも国の  一般会計予算伸び率に比しまして一番底辺にあると申しますか、国民の中でも最も困難な立場に置かれておりますこのハンセン氏病の諸君のために、計上しております国立らい療養所関係予算伸びが低いということは非常に残念に思っておる次第でございます。大臣としましてもいろいろな面で努力をいただいたことは私もよく承知しておりますが、せめて国の予算伸びらいまで改善することができなかったのかという気持ちを持たざるを得ません。大臣の御所見をまず承りたいと思います。
  9. 内田常雄

    内田国務大臣 山口さんたいへんらい対策については御熱心であり、実は私も郷里にらい民間施設がございます。そういうところから選ばれた者でもございますので、あなたと同じように、この件につきましては関心を持っているものでございます。  ところで予算は、ただいまもお話しございましたように、昨年度の五十五億円余りの予算から、四十六年度は六十二億数千万円に絶対額では相当伸びますけれども、仰せのとおり、金額そのものを比較いたしますと、その増加率は国の一般会計予算伸び率を下回るわけでございます。ところが、これはもう山口さん十分御承知のように、らい患者は、幸いなことに毎年減少の一途をたどっておりまして、昨年とことしの患者数を対照いたしましても、一割近くは減少をしてまいりました。昭和三年あたりから比べますと、かなりの減少を毎年続けてまいってきております。そこで、これらの患者さん一人当たり予算伸びということで実質的に対比してみますと、四十六年度の一人当たり予算額は四十五年度に比べて二三・六%の増になる、こういうわけでございます。  また、中身につきましても、あとからお尋ねがあればお答えを申し上げたいと存じます。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 患者減少しつつありますから、患者一人当たりにすればそういう計算になる、その点はよくわかります。今後ともやはりらい対策を充実する中で、少なくとも文化国家であるためには、らい患者諸君ハンセン氏病の患者人たちがおるということは、そもそもお互い十分反省しなければならぬ点でございまして、すでに西ヨーロッパ各国におきましては、ハンセン病患者はほとんどおらない、ゼロないしはゼロに近い、こういう状態でございまして、そういったヨーロッパ並み状況実現するために、今後ともひとつ御努力をいただきたいと思います。そういう立場から若干の問題をお尋ねいたしたいと思います。  らい調査会答申が、昨年の八月六日、厚生大臣あてに出されております。内容が二つに分かれておりまして、後者はらい療養所入所者年金問題に関する報告でございまして、ここにらい療養所現状を考え、拠出制国民年金、それから福祉国民年金、同じような状態でありながらこの差別がある、こういう状況はやはり望ましくないということを、私も委員会のたびに申しておったわけでありますが、それを受けまして、拠出制国民年金障害一級に相当する額を、この自用費としてすべての患者諸君に支給することにしたらどうかということを、提案をいたしたわけであります。  本年度予算編成にあたりまして、いろいろ厚生省にも御努力をいただいたわけでありますが、結果的には、障害二級の月額八千円ということで予算に計上されるという結果になったわけであります。大臣も御案内だと思いますが、従来この拠出制障害一級の年金をもらっておりました諸君は、その上に月額千七百四十七円の上積みが実はあったわけであります。したがいまして、今回の措置によりますと、いわば既得権侵害されたといいますか、千七百四十七円従来よりも収入が減る。拠出制年金ばかりではありませんで、軍人恩給とかその他の年金をもらっておりました方も同じような状況になります。数は少ないわけでありますが、そういう状況が今回の措置によって残る。もちろん軽症者諸君が、昭和四十五年度月額四千二百四十七円から八千円に上がったわけでありますから、軽症者諸君にとってみれば非常な福音であったことは間違いない。しかも、これらの諸君が数が多いということもまた事実であります。しかし、一面、障害一級あるいは障害二級の拠出制年金をもらっておりました諸君、あるいは他の年金をもらっておりました諸君にしてみますと額は少ない。千七百四十七円といえば、一般人の常識からいえば少ないわけでありますけれども、しかし、療養所入所しておられます方々にとっては、これは非常に貴重な金だと思うのです。そういう面で、若干でありましても既得権侵害ということがあったことは、私ども非常に残念であります。もちろん、らい調査会答申の中にそういうことがうたわれておりますので、その点は了解いたしますが、そういう事情もございますので、今後やはりこの障害二級八千円で足れりということではなしに、より額を増額をしていくということに厚生省も御努力をいただきたいと、私は心から願っている次第であります。既得権侵害の問題とからみまして、将来の展望をひとつお示しいただきたいと思う次第であります。
  11. 内田常雄

    内田国務大臣 あとから政府委員に補足をいたさせますが、かねて山口さんからの、同じ病気状態入所しておる患者方々が、らいの発生の時期の相違により、あるいはまた国の制度の出発の時期の関係上、一部の人々と他の人々との年金受給上の著しい格差が生じておって、このことは、同じ病気で同じ家族のような関係入所されておる方々の間に非常に不愉快な状況を来たしておるので、何とかしてその山や谷をならすような、そういう方法を講ぜられたい旨の御発言を私は記憶いたすものでございます。谷にならしてしまったのでは低くなりますので、山にならしたい、こういう気持ちはせいぜい私も持つものでございますが、そういうことも頭に置きながら、今回とにもかくにも八千円というところまで参ったわけでございますが、これから先のことにつきましては、ただいまの御趣旨も十分体しまして、私どももこの処置を検討してまいりたいと、考えております。
  12. 松尾正雄

    松尾政府委員 ただいま大臣お答えで大体尽きると思うのでございますけれども先生御存じのとおり、今回の問題の根底にありますのが、いま大臣が言われましたようないろいろな年金の取り扱いという問題でございます。それが問題の発端でございます。同時にまた、軽症者不自由者の差というものにもいろいろ着目をいたしまして、そういったものを一応すべてフラットにするという考え方の基礎をつくるということが、こういうものの整理の第一歩ではないかということで、こういうふうにいたしたのでございます。しかしながら、あくまでそういう問題の発端というものは、障害年金というものが一つあったわけでございます。今後当然そういう方向として、そういうものを考慮しながら進めてまいりたいと思います。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 らい調査会答申を見ますと、拠出制国民年金障害一級一万円ですが、これを支給するようにしたらどうか、こういう提案がなされているわけです。今回、二級八千円ということにいたしましたが、これを明年度におきましては、このらい調査会答申にございます一級一万円という額を確保するように、実は御努力をいただきたいものだと思うわけです。この点、厚生省としては明年は一級一万円を実現したい、こういうお気持ちを持っているもの、こう理解をしてよろしゅうございますか。
  14. 松尾正雄

    松尾政府委員 調査会の中でもこういう考え方を非常に重点に置いておりましたし、したがって、その実施の時期についてはある程度段階的であるということも述べられております。しかし、先ほど申し上げましたように、問題の発端ということを十分承知いたしておりますので、御趣旨の線に沿った努力をしていきたいと思います。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大蔵省相原主計官お見えでございますのでお尋ねしたいと思いますが、主計官にも、予算編成過程でいろいろらい患者諸君実態につきましてお話しを申し上げ、要請もいたしたわけでありますが、大蔵省としては、結局このらい調査会答申をいたしました自用費、こういう考え方はお認めになった、自用費という形の給与金ですか、名前給与金というようになっておるようでありますが、この給与金は、らい調査会答申した、いわば自用費一万円ではなかったけれども障害二級ということで、とりあえずこの自用費という考え方は了解をされたというふうに理解してよろしゅうございますか。
  16. 相原三郎

    相原説明員 予算編成過程におきまして先生らいろいろお話しがございましたし、われわれも、らい患者実態を十分考慮しながら査定したわけでございます。このらい調査会答申も、その意味において十分その趣旨をくみ上げましていたしたわけであります。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ひとつ明年は障害一級を実現ができますように、大蔵省に対しましても強く要請をいたしておきたいと思いますが、ただそこで、従来の例を見ますと、三年くらい国民年金の掛け金も改定がある、それから拠出制年金についても支給額改定がある。本来、このように物価上昇しておりますとき、特に昭和四十五年暦年におきましては消費者物価上昇が七・七%という異常な率にのぼった、こういう時期におきまして、しかもヨーロッパ各国は、いずれも年金については公務員賃金スライドをするか、あるいは消費者物価上昇スライドをするか、ないしは両者を足して二で割ると申しますか平均にスライドをするか、そういう形をいずれもとっているわけでございます。わが党としては、今国会に各種年金についてスライド制実現すべきであるという趣旨単独立法提案したらどうかということで、いま政策審議会でも検討中でございますが、それはさておきまして、そういう状況がありますから、当然この各種年金も適当な機会には改定をしなければいかぬ。いままでの例では、およそ三年で改定が行なわれておる。そうなりますと、四十五年に改定されて四十六、四十七。四十八年には従来の状況らいうと改定される時期になるのではないか。そうしますと、四十六年は障害二級八千円、四十七年は障害一級一万円ということになれば、次は当然障害年金改定をされる。改定されれば当然それに右へならえしていく、障害一級に右へならえしていくということになっていかなければ理屈が通らぬという気がするのです。将来のことを言いますと、これはわからぬというお答えがあるいはくるかと思うのですが、従来の実績からいって、そういうことがいえるのではないか、この点はいかがですか。
  18. 松尾正雄

    松尾政府委員 将来の問題でございますので、いま直ちに確定的なお答えをする段階ではございませんけれども、先ほど来申し上げておりますような実態として考えますと、そういう将来におけるいろいろな年金等との関係における所得差というものが、特殊なああいう社会においては、非常に問題意識が強くあるということは事実でございますので、そういうことを私ども根底に置きながら、その段階に合った対処のしかたを考えていきたいと思っております。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 障害一級の年金改定されれば当然障害一級ということで措置されるわけですし、それに右へならえしていくという考え方、将来のことは明確には言えないとしても、そういうお気持ちだということで理解いたしておきたいと思うのであります。  次に、療養所状況であります。私も、すぐ近くに国立療養所が一つございますので状況はいつも見ておりますが、確かに患者皆さん方処遇というものは、これは患者諸君から見れば十分ではないと思いますが、逐次改善されてきた。しかし、本来療養所は、このハンセン氏病という病気をなおす、また他の病気を持っております患者諸君病気治療するのが本来の任務だろうと思うのでありますが、どうも医療施設という点から見ると、率直に言ってたいへん粗末だと、こう言わざるを得ない点が多いと思います。一つは医師定員の問題です。定員があっても、なかなかこれが現実には充足されていない。それから看護婦さんについても同様であります。それから医薬品費。それから建物等を見ましても、木造で非常に粗末なものが多いという状況であります。これからはやはり療養機関として内容施設を充実していく、また医師定員を完全に確保する中で、医療機関としての機能を充実さしていくということが大切ではないかと思います。この点に対するこれからの考え方をひとつお示しいただきたいと思います。
  20. 松尾正雄

    松尾政府委員 私ども先生のお考えと全くこの点は同感でございまして、従来、ややもいたしますとそういう点がやや抜かったのではないかという反省はするのでございます。しかし、医者の定員をふやして確保するということは、現実に非常に困難な問題でございます。しかしながら、医療中身としてはそれに対応したものを考えなければならぬ。特に御承知のように、患者さん方がたいへんに老齢化してまいりました。老齢化いたしますといろいろな併発症というものをたくさん持っておられまして、そういう意味では、従来以上にほかの科の先生方治療への参加ということが必要でございますので、そういう意味におけるいろいろな医師充足対策については、厚生省におきましても従来よりも高く伸ばしたつもりでございます。なお、特にそういう実態にも応じまして、医薬品費というものの単価がきわめて低い。したがって、そういう十分な治療体制がとれないということは私も感じておりましたので、この問題につきましても、二年計画医薬品単価を上げるという努力をしてまいっておるわけであります。  なお、今後の問題といたしましては、特殊なそういう疾病に対して特殊な機能をそれぞれの療養所において分担し、担当するような機能の整備ということに向かって、これから進まなければいかぬだろうと思っております。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 プロミンその他新薬が使われるようになりまして、病気としては完全に治癒するというケースが非常に多くなっているわけですが、残念ながら、何といいますか病気あとが残るわけでありまして、そういう意味では成形外科の要望というのが非常に強い、これは現実だと思います。なおっても顔の形や手足の形があのような状態では、一般社会に復帰して、ともに活動するということは非常に困難があるわけでございまして、これからはやはり、らいを治癒するということのほかに、一般社会人として活躍できるような、そのための医療機関医療施設というものをやはり充実していただかなければならぬと思います。  それから、ついでにお尋ねしておきますが、最近精神病院その他の火災が非常に多いわけですね。そして患者諸君がなくなるとか悲惨な事故が多いわけでありますが、国立療養所を見ますと木造の古い建物が非常に多い。一日も早く、何といいますか永久建築に改造する必要があると思います。同時に、防災施設というものが一体完備しておるのか。消防法改正によりまして、当然これらの施設には火災報知機なり煙の報知器なりというものを完全に整備する必要があると思うのです。こういった防災施設というものは完備されておりますかどうか。現状では非常におくれておるような感じがするのですが、この点はいかがでしょうか。
  22. 松尾正雄

    松尾政府委員 第一点のほうの、治療したあとのいろいろな成形外科あるいは成形外科的な治療の必要であるということはごもっとものとおりでありまして、将来ともこの関係のいわゆる専門医師というものはかなり制限されておりますので、各園同士の共同的な派遣体制というようなことで、そういうものをカバーしようという態勢もとっております。また、必要であれば外部からの専門家を招聘して治療するということをやっておりますので、今後の社会復帰に備えましても、そういう点についてはさらに努力をさせていただきたいと思います。  それから第二点の防災の問題はごもっともでありますが、特に消防法改正になりました以後、年次計画をもちましてそれらの設備を全部改めるということで、年次計画で進めております。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私、昨年沖繩に参りまして、沖繩の南部にあります愛楽園施設も見てまいりました。いよいよ一九七二年沖繩祖国復帰実現をするわけでありますが、当然その場合、沖繩ハンセン病患者諸君処遇をどうするか、また沖繩におけるハンセン病予防法、こういったものを本土の法律にどのような形で合わせるのか、またあの施設国立で引き継ぐのか、いろいろな問題があろうと思います。施設は二カ所ありますが、当然国立療養所として引き継ぐことになるだろうと思いますが、その点はどうなりますか。それから法律沖繩のほうが進んでおると私は思うのです。私どもは、らい予防法という名前は改めるべきだ、当然ハンセン病予防法という形で、名称を変更すべきだ。それから強制収容の規定がございます。知事が認めた場合、入所を勧奨し、応じない場合は入所命令を出すということになっておりますが、らい調査会答申を見ましても、らい外来診療をもっと強化する必要があるんだ、現在のような状態では無理に患者諸君入所させるという必要はないのだ、家庭生活あるいは福祉の面を考慮すれば、伝染のおそれのない患者医療外来診療施設において実施することはこれはもう当然であり、現在すでに実施されておる、さらにこの措置を強化すべきである、加えて入所者社会復帰意欲向上のためにも努力をしろというようなことをいっておるわけでありますが、私はむしろこの法律については、沖繩の場合はもう在宅患者というのが相当多いわけでありまして、何も無理に強制収容するということは必要ないんだという趣旨に立っているわけでございまして、私は、この法律は、名称も含めて本土のらい予防法沖繩ハンセン病予防法に近い形でむしろ変えることのほうが正しいんじゃないか。同時に、今日までいろいろ検討されておりまして改むべきところもあると思いますが、そういう形で沖繩復帰に際しましてはむしろ本土の法律沖繩のほうの法律に合わせる、こういう趣旨で手直しすることのほうが私は妥当だと思うのですが、この点の御見解も承っておきたいと思います。
  24. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 らい予防法を主管しておる公衆衛生局のほうからお答えいたしますが、第一点のハンセン病予防法らい予防法という名称の変更をするかという考え方でございますが、これにつきましては確かにアメリカ軍の指導等もございまして、また沖繩の県民のこの疾患に対する啓蒙的な意味もありまして、このらい疾患に関係の深いハンセン氏という人の名前をとりました名称を使うことは一つの考え方ではございましょうが、われわれといたしましては国際保健機構、WHOのレプロシー・プリペンション・ローという原語がございまして、これをやはりらい予防法制定のときにわが国も採用いたしましたので、名称につきましては以上のような考え方で検討いたしたいと思っております。  内容につきましては、御指摘の第六条についてはほとんど入所の問題は同じでございますが、御指摘の第七条に、沖繩ハンセン病予防法では、退所または退院することを命ずることができる。しかしこの問題は、これをかりにそちらのほうに内容を近づけますと、実はらい患者の反対がちょっと強いのでございまして、この問題はこの方向には少し無理じゃないか。せっかくここまできた日本のらい療養所を、なるべく円滑に社会復帰等を考えていきたい。感染のおそれがなくなれば、裏から読めば退所していただけることになるわけでございますので、そういう考え方で臨みたいと思います。  問題は、在宅治療あるいは予防措置の問題でございますが、沖繩は、確かにおっしゃるように外来で治療し、また社会になじみながら感染のおそれがない者は外来で治療できるということは国際的な一つの方法でございますので、これが具体的な実施等につきましては、われ一われは、沖繩復帰を控えた予算の編成の時期には十分考慮して検討しなければならないというふうに思っております。それは法を改正しなくとも、現在の法の解釈とただいま説明申し上げたような考え方に基づきまして可能であると思っておりますが、主体はやはり医師の確保その他の関係から、らい専門家という意味も含めまして、沖繩の場合にも本土からも援助すると同時に、らい療養所を中心とした外来的な患者管理を検討することが至当な方向ではなかろうかと考えております。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間がありませんのでこれでやめたいと思いますが、ハンセン病予防法という名前にしたほうがいいのではないかというので、私どもの議員懇談会の中にもずいぶん意見がございまして、先ほどWHOのお話もございましたが、これはひとつ御検討いただきたいと思います。  それから、本土の場合は、退所を命ずるということは実情に合わないことは私も同感であります。ひとつ本土と沖繩の制度を比較検討いたしまして、よきものはとるという形で対処をいただきたいと思います。  それから、沖繩の場合は医師が非常に少ない。本土の二分の一ないし三分の一、看護婦も同様であります。これはやはり祖国復帰前にできるだけ本土の水準に近づける努力をやっていただきたい。それから患者処遇についても、半分ないしは四割程度という非常に低い状況であります。これもひとつできる限り本土の水準に引き上げていただきたい。総理府の仕事だと思いますが、考えてひとつお答えをいただきたいと思います。  それから最後に、沖繩がすぐれておりますのは、就労助成金というので十万円出しております。本土は五万円であります。これはやはり、沖繩並みに就労助成金というものは強化する必要があるのじゃないかと思います。それに対する御見解も承り、特に大臣として今後このハンセン氏病対策についてはより真剣に取り組んでいただくことを強く要請いたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  26. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 環境衛生のおくれ等もございまして沖繩ハンセン氏病関係患者が非常に多い、先生承知のとおりでございまして、十万人当たりでまいりますと本土の二十倍程度になります。その原因はいろいろありまして、専門厚生省のほうでよく調べておられると思うのですが、感染源患者が相当隠れておるといってはなにですが、おるのではなかろうか。それに対する追跡と申しますか、実態の把握等につとめたいと思います。  それから、先生おっしゃいましたように、それはそれとして患者に対する医師の体制がどうしても不十分である。これはハンセン氏病の医師ばかりではなくて、全医師が那覇に集中しているという実態がございます。それで本土のほうから十七名ばかり検診等の要員の派遣をして、来年度も国がこういう面の強化拡充をはかる、これは全額本土負担ということで措置いたしております。その他内容の充実等につきましても、あるいは医薬品の整備でございますとか、これは従来昭和四十二年前後からやってきておりますが、医薬品等の充実については力を入れまして、全体として復帰対策費としましては、本年度と申しますか一九七〇年度の二千六百万円から、七一年度復帰前年度といたしましては三千六百万円というふうに拡充いたしまして、厚生省と協力いたしまして充実していきたいと思っております。
  27. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ただいまの就労金の問題につきましては、事情をよく承知いたしておりますので、努力いたします。
  28. 登坂重次郎

    登坂主査 次に、山田太郎君。
  29. 山田太郎

    山田(太)分科員 きょうは制限された時間内でございますので、スモン病を中心とした社会病について数点にわたって質問を行ないたいと思います。  そこでまず、このたびのスモン病の多額な治療費に対して国庫負担あるいは公費負担の特別措置ができるような運びになりましたことについては、六十三国会の予算委員会においての私の質問に対して、佐藤総理並びに厚生大臣等の答弁の約束の実現の第一歩でもありますし、また社会全般にも非常に好感をもって迎えられておることは御承知のとおりであります。また、患者やその家族はもちろんでございますが、私自身も、数年来の念願が実を結びつつあるということにつきましても、総理はもとより厚生大臣あるいは厚生当局あるいは大蔵当局に、よき意味でまず敬意を表しておきたいと思います。  そこで、順を追って質問してまいります。  まず第一点は、スモン患者の発生については近日来減少していると報道されております。現在厚生省において把握していらっしゃる数字はどのようになっておりますか、まずお伺いしておきたいと思います。
  30. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ただいま公式に把握をいたしておりますものは四十二年と四十三年の四千二百八十という数字でございまして、これは先生が前から御存じのことでございます。最近の調査といたしましては、四十四年の一月一日から四十六年の三月三十一日までを二期に分けて実態調査をいたしております。それの一期分の四十五年の六月三十日までの分を九月末日までに研究協議会が集めることになっておりまして、その公表が三月初旬の研究協議会でなされることになっております。これが公式なものでございますが、私の立場から最近の情報をとりましたものは、国立の呉病院は、昨年の九月までは大体月に四、五人程度の患者で、だんだん減少はしてきておったが入院しておる。ところが十月はなくて、十一、十二は一人ずつであった。それと全国の国立病院の共同研究班が九月以後の実態を大ざっぱにまとめたものをいまここで聞いただけでございますが、約二十人程度のスモン患者があるということでございまして、ゼロではございませんが、非常に減少しております。
  31. 山田太郎

    山田(太)分科員 これはもう御承知のことでございますが、このスモンに対しては三十年来の過去の経緯からいいましても、三年ないし四年の周期説もあります。また過去の事実もそのようになっております。最近の例で見てみましても、三十九年の戸田病あるいは四十二年、三年の岡山においての大量発生、それから予想いたしますと、そういう過去の周期でいえば、ことしあるいは明年これがまた発生するのではないかということもいわれております。また事実、その他の面をとってみましても、重度障害を受けている人とかあるいは中度障害方々は、現状においてはまず回復が非常に困難でございます。ことに歩行不能者あるいは全盲患者に至っては非常に気の毒なことではありますが、まず回復は困難だといわれております。といってガンなどの病気と違いまして死亡率は非常に低い病気でございまして、四%ないし五%です。したがって、苦しい期間が非常に長く続くのがこの患者の通例でございます。またもう一つには、家族も含めて経済的な困窮者や生活保護世帯転落寸前の人々も非常に多うございます。すでに自殺者も十数人出ておりますし、また先日、本省のある課長補佐クラスの方でございますが、家族の方にやはりスモン患者がいらっしゃって、いままでの貯金を三月で全部使い果たしてしまう、そのあとどうしようかということで、生活保護世帯になることもできないし、どんなにしたものかと非常に悩んでいらっしゃる人にも会っております。そこで、将来とも国庫負担なりあるいは公費負担なりというものを続けていくべきであると考えるわけでございますが、まずこの点について、厚生大臣あるいは厚生省当局とそれから大蔵省の御見解を聞いておきたいと思います。
  32. 内田常雄

    内田国務大臣 スモン病と二、三の新しい病気につきましては、御承知のように実態も必ずしも判明いたしておりません。したがって、診断法も治療法も確立をいたさないというような状況でございます半面、そういう病気におかされた方々は、ただいまお話しのように非常に物心ともに気の毒な状態に置かれている、こういうような状況にもかんがみまして、私ども厚生省といたしましては、その職責といたしましてこれらの病気実態を追求し、また治療法を確立いたしますために、科学者の動員あるいはそのための研究費の支出、また状況に応じて患者の方の物心両面の苦痛の緩和というようなことをやらねばならないということで取り組んでおるわけでございます。この点につきましては、山田さんはじめ国会におきましてもいろいろな方々から取り上げられたとおりでございます。そこで、スモンに対しましてはまず研究費から、実態の研究あるいは治療法の確立ということのための予算措置から出発をいたしまして、年々若干ずつその予算もふやしてまいったわけでございますが、明年度は研究費を主体といたしながら、単なる学問上の研究ばかりでなしに、臨床研究といいますか治療研究といいますか、患者さんの負担の面でも研究とあわせて一石二鳥の効果をあげられるようにいたしたい、こういうことで大蔵省からも四十五年度に倍する研究費をいただいておる、 こういうわけでございます。つまり五千万円を一億円にいたしました。したがいまして、これらにつきましては、いま申しましたような趣旨で私どもも最も有効なる予算の使い方をやってまいりますが、これは四十六年度で済んでしまうというものではもちろんございませんですから、お尋ねに対しましては、今後ともこのむずかしい病気が解明をされ、また物心両面における家族、患者方々の安心が得られる方向で対策を続けていく所存でございます。
  33. 相原三郎

    相原説明員 ただいまの大臣の御答弁で尽きておると思いますが、大蔵省としましては、将来の問題としましてはいろいろな施策との均衡もございますし、この特別研究費という趣旨実現される範囲内において措置してまいりたいと考えております。
  34. 山田太郎

    山田(太)分科員 いま相原主計官の御答弁がはっきり聞こえなかったのですが、来年度以降についても考えていきたいというふうな意味の御答弁だったのですか、来年はもう考えないという意味だったのですか、もう一ぺん答えていただきたい。
  35. 相原三郎

    相原説明員 この特別研究費の補助金という性格に照らしまして、その趣旨に即します範囲内において考えてまいりたい。もちろんいろいろな施策とのバランスもございますが、それも考慮しつつ考慮してまいりたいということでございます。
  36. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、この予算金額の面についてでございますが、この点について私自身多くの患者や家族の方数百人といってもいいくらい会ったり話したりしてきておりますが、ことに全国スモンの会の副会長さんですか川村さんという方が、これは読売新聞の記事でございますが、ちょっと読んでみます。「低く見積もっても入院患者の自己負担分は入院、治療費だけで五万円、さらに付き添い人の費用まで加えると月に十万円近くかかっており、」――自己負担分です。「厚生省の算定基礎がどうなっているのかわからない。しかし、額の問題は別としても、医療費の公費負担は患者の長年の念願であり、今回の措置はまったくありがたい。今後、通院患者にもワクを広げるなど内容の充実をはかってもらいたい」、このような話が出ておりますが、事実、私の知る範囲においても、非常に多額の金がかかっております。自己負担が七万とかあるいは十万とか、かかっておる自己負担の患者もいます。  そこで、この支給の方法でございますが、総理の御答弁はこのようになっております。一番のポイントは、研究は研究、それから治療に対する対策は対策、別に分けましてと、こういう御答弁になっております。そこで、いまの法制上なかなかむずかしいのは、これは承知はしております。しかし、その点についての治療費ですね。患者の多くが心配している点は、これが特別研究費という名目になっているために、治療費の国庫負担分あるいは公費負担分として回ってこないのじゃなかろうか、いままでと同じような危険性があるのではなかろうかという点について非常に心配しておるわけです。当然、当局としても、この点についてひとつ解明を与えてあげていただくのが責務だと思いますので、この点について御答弁願いたいと思います。
  37. 内田常雄

    内田国務大臣 病気に対しましては、一方におきましても、申し上げるまでもなく国民皆保険の制度で、保険でカバーをいたしますが、しかし、自己負担分も制度の中に残されておりますことはもちろんでございます。そこで、ある種の特殊の病気につきましては、社会的見地から、今日でも公費負担の対象といたしておるものが幾つかございます。たとえば精神衛生でありますとか、先ほどもここで問題になりました、らいの問題あるいは結核の問題、あるいはまた一部の老人性疾患の治療、あるいは小児等の育成医療など、公費医療制度の対象にいたしておるものもございますが、一般の病気はなかなかそういうわけにまいらぬわけでございます。  そこで、スモン病というのは一体何だろうか、心臓手術をするようなこと、あるいはじん臓手術をするようなことと同じような、そういう大がかりな処置を必要とする病気であるのか、あるいはまた、先般も厚生省自身が進んでその措置をとりましたが、ある種の薬の副作用的なものであって、全く病源を異にするものであるのか、あるいはビールス等の作用によるものであるのか、その原因、実態がわかりませんので、究明をいたすことに努力をいたしておりますので、これが究明されてくれば、公費医療の対象になるような種類の病気でないかもしれませんし、あるかもしれません。ある場合には、私どもは、それは公費医療の対象としてこれを取り上げていく方向で処置しなければなりませんし、また幸いにしてそういうことではなしに、病源体あるいは病気実態治療などの方法が明らかにされてきましたときにおいて、普通の健康保険でカバーできるような態様の病気でありますならば――それが一番望ましいことでありますけれども、そうした場合には、公費医療の問題ということとおのずからまたあり方が違う。われわれがいままで毎年使ってまいりました研究費が生きたということになるわけでありまして、そういうものは他にも――ここで名前は申しませんけれども、御承知の幾つかの病気がございますので、そういうほうにまた重点を注いでいく、こういうことになろうかと思います。ところで、しかし現状におきましては、総理の昨年の予算委員会における発言、これもきわめてはっきり入院中あるいは通院患者についても一部は公費で見ますという趣旨の御発言ではございませんけれども、私ども現状に即して見まするときに、研究費といってもいろいろあるわけでありまして、(山田(太)分科員「簡単にしてください」と呼ぶ)スモン研究協議会で研究する費用と、それからほんとうに患者の臨床の際に使われる研究費として、患者負担をカバーできるような研究費とあるわけでございますから、うしろに大蔵省がおりますからそれ以上のことは申しませんけれども、研究費でありますから、つまり生かした研究費、患者も助かる研究費に、私は、半分くらいは使う、あるいは半分以上は使う、こういうことを考えておるわけでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  38. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの大臣答弁で納得するわけにはいかないわけです。大蔵省の係官がおいでだからというおことばもありましたし、もう一点聞きたいこともありましたが、大蔵省の係官がおるとなかなか答弁しにくいなんという問題じゃないと思いますので、もう少し言ってもらいたいと思います。  そこで、今度は局長にお伺いします。この問題は、ただ法的な云々で真の人間性というものを見きわめない大蔵省ならば、これは大蔵省の存在価値というものが非常に低下してしまうのです。そういうような意味でなしに、総理の答弁の真意が那辺にあるかということを、また厚生省としての真意が那辺にあるかということを率直に答弁してほしいと思うのです。  そこで、この治療費の負担に対して、あるいはそのことばを研究ということばに置きかえてもいい。しかし、実際に患者の自己負担に対して、その公費負担をどのような支給方法でもってやろうとするかという点について非常に疑念を持っておるわけでありますので、局長からもう一度答弁してもらいたい。
  39. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 いま研究費という形で一億円いただきまして、従来五千万円研究協議会にお願いして研究を続けておるわけであります。今回の一億の処置そのものにつきましても、研究協議会に十分御相談の上その方針をきめたいと思いますので、したがって、その配分のワクについては、先ほど大臣からお答えしましたように、研究がある程度進んでいくならば患者のほうに、できるだけ治療研究のほうに回して、患者の負担軽減をはかっていきたい、こういう方針は同じでございますが、具体的に、お尋ね患者負担の軽減には二つの方法が考えられると思うのです。それぞれの人がそれぞれの月にかかった実額を、自己負担分をカバーしていくという方法もございましょうし、あるいはこのような制度でございますし、それから予算も限られておりますので、私はむしろ一定額でない、大ぜいの方にできるだけ回すようにする、そのことのほうがむしろ必要じゃないか。しかし、これはまだ研究協議会との関係もございまして、方針はきめておりません。  それから、研究協議会が医療機関、すなわち治療研究でございますから、どこでもここでもというような使い方は、私はできないと思います。したがって、特定のスモン病患者を取り扱い、研究内容治療内容ともよい病院を県と御相談の上、県にも御援助いただく。率直に申しますと、県にも御参加いただいて、できるだけ金を有効に使って、しかも大ぜいの人に恩恵の及ぶような方法を考えたい、そういうふうに私考えております。
  40. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの局長答弁、相当具体的な問題まで突っ込んだ答弁で、まず了承したいと思います。  そこでもう一点だけ、この点について、これは定額で支給するとか、あるいは負担の実額で支給するとか、その方法をスモン調査研究協議会に諮問し、あるいは聞く、これは当然だと思います。当然、患者立場に立った方策を考えられることをまず要望しておきまして、そうして県にも援助をお願いする。そうすると、その段階において各県に一つなら一つとか、あるいはスモンに対しての指定病院というようなもの、そういうようなものをつくるという考えはありませんか。どうですか。
  41. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先ほど御答弁した内容を裏づけいたしますと、当然先生おっしゃるような指定病院、しかもなるべく能力の十分ある病院を指定する、こういう方式をとる。その病院と研究等による契約を結んで、しっかりした予算の使い方と、その結果を十分把握しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  42. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこでもう一歩進めて、御承知のように、このスモンという病気は村八分的な処遇をいままで受けてきた。そのために入院をおもんぱかって自宅療養している、そういう重症患者もあるわけです。あるいは背負ってもらって、そうしてスモン患者の少ない病院に行って見てもらう、そういう配慮までしている人があるわけです。そういう人たちに対しての考慮というものも払われるかどうかという点について、もう一点お伺いしたい。
  43. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 その点は実態でございましょうが、この予算治療研究費でございますので、その研究協議会の御意見がそういう治療研究の対象なり経過の観察なり、そういう範囲に応じたことを御要望が強い場合、私は先生の御指摘のような、実行の上ではそういう問題が、入院と退院と、その一人の人間の追及という研究の立場らいえばあり得ると予測しておりますけれども、あくまで最終的には専門家の御意見を聞いてやりたい、こういうふうに考えております。
  44. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、まず先ほど申し上げた通院患者実態、あるいは自宅療養者の実態、その実態に即した対応策というものを十分考慮してもらいたいことを要望しまして、次の点に移りたいのでございますが、スモンと同じようにベーチェットとかあるいは筋ジストロフィーとかあるいはカシンベックであるとか、同じく原因不明でしかも治療法の確立されていない病名が多々あるはずです。その病名と、厚生省において把握されている数というものをお聞きしたいと思います。局長にお願いします。
  45. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ただいま御要望は、記憶に基づいて大ざっぱな申し上げようをするよりは、厚生省にそういう問題を資料として取りまとめたものがございますので、後ほど資料として提出させていただきます。
  46. 山田太郎

    山田(太)分科員 時間の節約の点から、いまの局長答弁、了承したいと思います。  そこで、これらの病気に対して、スモンと同様に原因が不明であり治療法も確立してない、しかも治療費は多額にかかる、こういうふうな他の病気に対して影響力をおもんぱかっての答弁も、いまの大臣やあるいは主計官答弁の中には含まれておったと思うのです。これは私の想像ですが、おそらく間違いないと思う。そこでこういう点から考えますと、ただ予算の金の面からという考慮だけでなくて、実情においてはそのような患者との不公平が出てくるという点を考慮しなければならないと思います。だから、スモン病患者をここまできたのを冷遇する、もっと落とすんだという意味ではなしに、他の患者に対しても十分考慮が払われるべきではないか。同じように原因不明であり、治療法の確立されていない、しかも多額の治療費を要し、転落家族になっていく、そのようなものに対しても、厚生大臣としましては当然考慮を払っていくべきではないかと思うのですが、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  47. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、厚生省国民の健康を守り、また病気を克服してまいるというのが厚生省の使命でございますので、他にいろいろな病気がありましても、このスモンに対するせっかくふやしつつある予算を減らしてしまうというような方向ではございません。ただし、いろいろな病気がありまして、ガンもあれば、脳卒中、心臓疾患等、一番死亡率が高うございますが、これらにつきましてみな公費医療というような問題ももちろんできないことでございますので、私どもは前向きの姿勢をとりながらも、それらのいろいろのことも考慮しながら、できる限り国民の病に苦しむ患者さん方の幸福をはかるような施策を進めてまいる方向でございます。
  48. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、いま奥歯にもののはさまったような答弁をせざるを得ないというその一番のもとは、現在の法律のもとにおいては全部を国庫負担とかあるいは公費負担とか社会保険等、これは別問題といたしまして、自己負担に対してのその負担を国なりあるいは地方公共団体によって――ことに国の問題を申し上げましょう。なかなかむずかしいという点があるからこそ、特別研究費という名前を使ってやる、また特別研究費は全部が治療対策の真の研究費であるといえばそれまでではございますが、そこに大きな問題点があるのではないかと思うのでございます。  そこで、かねがね私が念願しあるいは要請もしてきたことでございますが、スモンをはじめといたしまして、ベーチェットとか筋ジストロフィーとかあるいはカシンベック等々の、同じような原因不明、治療法の不確定なもの、こういう社会病といいますかあるいは難病といいますか、そのようなものを救済するための立法措置が要るのじゃなかろうかという点を常々要請もし、考えてもきたわけでございますが、この点について厚生大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  49. 内田常雄

    内田国務大臣 まあ一口に申しますと、そういう難病対策法と申しますか、難病救済基本法的なものは、私は究極においては考えられてしかるべきだと思います。これはライ予防法もあれば、精神病予防法ができたのと、わけは同じでございますが、しかし、いまのスモンにいたしましてもカシンベックにいたしましてもベーチェットにいたしましても、まだその法律をつくり得る実態の追い込みがかかっておりませんので、おおむね難病の実態というものがある程度まで法律内容に織り込めるような状態でないと、私どもそこに踏み出し得ないものもある点もございますので、これは継続検討ということにさしていただきたいと存じます。
  50. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの厚生大臣の御答弁は、難病対策あるいは社会病の救済対策の法律を検討していくと当然そういうときがくるが、いまの段階では検討さしてもらいたいということでございましょうか、もう一ぺん念を押しておきたい。
  51. 内田常雄

    内田国務大臣 そういうことでございます。
  52. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、現状実態の把握を早急にすることはもちろんですが、これに対する立法措置を強力に要請をしておきたいと思います。また要望しておきたいと思います。  そこで最後に一点、キノホルム説なりあるいは農薬説なり、このスモン病に対してはいろいろな原因が報道されておるし、専門家において称せられております。そこで、農薬説にしろあるいはキノホルム説が事実にしろ、それが原因ならば、これはいわゆる公害病とも言える問題になってくると思います。ことにキノホルムならば厚生省としてはこれを禁止してない。ただ使用停止、販売停止をやっているだけであって、禁止措置なりあるいは回収措置なりはしてないということを伺っておりますが、もしこのことによって事実キノホルムが使われ――いま通達だけですか、真の通達といっていいかどうかもわからない程度です。これによって、キノホルムを使用したりあるいは服用したりすることによって、もしスモン患者が発生し、キノホルムが真の原因だとなったときの厚生省の責任はどのようになるか。キノホルムをなぜ禁止しないのかということと同時に、その責任の所在ということもこの際、サリドマイド訴訟事件等もありますし、この点を明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  53. 内田常雄

    内田国務大臣 サリドマイドの問題はあまりいい連想ではございませんが、私は自分が厚生大臣の責任として、必ずしも明確ではございませんけれども、とにもかくにもキノホルムの使用、販売というものの停止を命じたわけでございます。それだけの責任を厚生大臣としてとっておる、こういう次第でございます。でありますから、まだ本籍簿には載っておるはずでございます。つまり、キノホルムは薬の台帳から抹殺をしてしまって、そして承認を取り消してしまったということではございませんけれども、しかしその住民台帳には載っていない、使われていない。ただ医家向けとして、医者がある種の疾患のためにどうしてもキノホルムが要るという場合には――薬はもろ刃のやいばでもございましょうし、ある意味においてはそれが有効な働きをする狭い分野もございましょうから、それは今日の医者の医療科学といいますか、医療技術の範囲内においてのみ、もろ刃のやいばの一方の剣を利用する道はあけておりますけれども、一般的には使われていない。こういうことをいち早く私どもは私どもの責任でやったわけでございます。
  54. 山田太郎

    山田(太)分科員 先ほど私の質問の点に一つ答えてないのですが、厚生省の責任という問題ですね。今度も局方に残っておるということも報道されております。またいまの大臣のおっしゃるとおりであったとしても、これによってスモン患者ができたというときのその責任の所在につきましては、どのようなお考えを持っていらっしゃるか、この点についてお聞きしておきたいために最後の一点をお聞きしているわけです。問いにかなった答えをしてもらわないと終わるわけにいかないのです。
  55. 内田常雄

    内田国務大臣 どこまでいっても同じでございますが、私はキノホルムの使用、販売を停止する処置をとることは厚生大臣の責任であると考えまして、そういう処置を実はとった次第でございます。まだ、一体そのキノホルムがスモンの原因であるかどうかは、あれだけのスモン対策協議会というものをつくりまして研究を進めておりますけれども、はっきりしませんけれども、しかし今日、薬とか食品とか添加物に対する国民の意識というものを考えます際に、早手回しというと語弊がありますけれども、とにかく押え込んでしまう。この段階が進みまして、さらにその危険が濃厚だというようなことになりますれば、これは本籍簿からも私は削ってしまう。何べんも申しますが、本籍はありますが住民台帳には載っておらぬというような表現を私はとるわけでありますが、私としてはそういう責任をもって対処をしていく、こういうことでいまの段階では御了承をいただきたいと思います。
  56. 山田太郎

    山田(太)分科員 以上で質問を終わりますが、ことにキノホルムの使用停止については、疑わしきを罰する。破廉恥罪の刑法等ならば、人権擁護のためから疑わしきは罰せず、これは当然ですが、しかし基本的人権を守るために、こういう薬においては疑わしきを罰するというその趣旨でなければならないと思います。と同時に、スモンをはじめといたしましても、先ほどの難病対策基本法とかあるいは難病救済基本法とか、いろいろな仮称が称せられると思いますが、それに対しての立法措置というものを早急に検討したもらうことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。
  57. 登坂重次郎

  58. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 警察のほうにお伺いをいたしますが、CNを浴びた学生のやけどについて、警察病院が診断の結果を発表いたしておりますが、御説明をいただきたい。
  59. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 警察病院の平山医師が診断をいたしまして、私どもの聞いておりますところでは、二度と三度の間ということで――御承知のとおり二度は水ぶくれができる程度、三度はただれるということだそうでありますが、その間の症状を呈しておった。これは化学剤によるものであるということで、たまたまガスなどを使ったというようなことをそのお医者さんは知っておりましたので、あるいはガスによるものであるかもしれないということであったようであります。まあ二度と三度の間でございますから、後遺症が残る、つまり皮膚のひっつれとかなんとか、そういうようなものが残るかもしれないというようなことで、本人なり両親なりに話しましたところが、移植手術をやってもらったほうがいいだろうということで、その移植手術をやったというふうに聞いております。いま申し上げましたとおり、化学剤ということは、催涙ガスもそうでございますけれども、硫酸ということも考えられます。御承知のとおり東大事件の際の列品館の警備の際には、学生たちは相当多量の硫酸を現場に持ち込んでおりましたので、そういうことも考えられる。要するに、化学剤によるものであるということが平山医師の証言であったようであります。
  60. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 エンタープライズが入ったときのあの佐世保の事件、このときには硫酸が持ち込まれておりましたか。
  61. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 そのときは、そういうことはなかったように聞いております。
  62. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのときにCNを浴びた患者と同じ症状を呈しております。とするならば、これは明らかにCNと思わざるを得ないじゃないですか、化学剤というのは。どうです。
  63. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 私いま、東大の列品館の際の平山医師の証言にいて先生お尋ねでございましたので、その際のことを申し上げたわけでございます。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今度は警察当局の御見解を聞きたいと思いますが、これは硫酸ではなしに、やはりCNによる傷だ、そのように思わざるを得ないのですけれども、どうでしょう。
  65. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 平山医師の証言は、そういうことで化学剤によるものである、それは必ずしも催涙ガスとは限らない、こういうことでございましたけれども、いまお尋ねのように、CNの場合でも、特殊な条件のもと、つまり何回もCNを浴びるとか、あるいはそのときの被害者が、何と申しますか、特異体質の場合、そういうようなときにはあのような症状が出ることも考えられると思います。
  66. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 すでに御説明でわかりますとおり、CNによる被害は二度から一二度以上のものもあります。それで厚生省としては、劇毒物指定との関係でどう思われますか。
  67. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 毒物の指定の一因としては、厚生省としてはマウスによる経口半数致死量が三百ミリグラム未満のものを考えております。CNについては、衛生試験所で行なった結果では四百四十四ミリグラムでありまして、現在の指定の基準ではそれに達していないという状態でございます。
  68. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それはだれが調査し、どこで発表されましたか。
  69. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 衛生試験所で実験をしたと私ども聞いております。
  70. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは薬学会で発表されたものでしょう。
  71. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 学会等には発表しておりませんが、厚生省で試験をしまして、一度たしか国会の委員会でも御説明したと思います。
  72. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは答弁が違います。私が指摘したとおりでございます。きょう私その資料を持ってきておりませんが、当然のことと思っているのです。つまりあの薬学会で発表されたとおりであるとするならば、そのとき私が指摘しましたとおり、その検査方法について疑義がある。すでにその疑義は、京都、大阪のCBR研究会に所属する医師からその意見が出されております。  そこで、私は現実の問題として、三度内外のやけどが起こっておる、これについてまだ劇物じゃないとおっしゃいますか、毒物じゃないとおっしゃいますか。現実の問題としてどうですか。
  73. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 私が先ほど御説明しました点につきましては、地方行政委員会に提出したものでございまして、先生の御指摘の点は薬理学会でのお話じゃないかと思います。
  74. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その点はもう論議済みですから言いません。それはそのとおりですとおっしゃった。厚生省には検査の結果はそれしかないのです。そしてそれは薬学会に発表しておるはずです。それはもうすでに論議済みですから、いまやりません。  いま私がお伺いしておるのは、現実に、お聞きのとおり三度内外のやけどが起こっておる、これについてもなお、マウスでだいじょうぶだったから劇毒物との関係はないとおっしゃるのですか。劇毒物というのは、マウスに対してけがを与えるためにつくったのじゃないでしょう。人間に対して劇性があるか毒性があるかという問題なんであって、現実に人間に対して三度内外のやけどが起こっておる、これについても、ネズミで検査したらだいじょうぶだから毒劇物とは関係ないという、このような見解をまだ持っておられますかと聞いておるのです。
  75. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 毒物の指定の基準は私が申したようなことでございまして、それには至っておらないということでございます。したがいまして、そういう点につきましてはもちろん外国でもいろいろの指定の基準がございますけれども厚生省としては私が御説明した点で指定をしておる、こういうことでございます。
  76. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大臣にお伺いしますが、この実験というのは、 マウスでやったりウサギでやったり、そしてアメリカやドイツでもまたその毒性の基準が違うのです。毒性徴数といいますかが違うのです。だから、ネズミとかウサギじゃなしに、現実に、いま私が言っておるとおり、三度内外の火傷を浴びておるのです。警察が証明しておるとおりです。これでもなお劇毒物に関係ない、何ぼでも使っていいとおっしゃいますか。そう考えられますか、大臣
  77. 内田常雄

    内田国務大臣 劇物、毒物の指定にはおそらく基準のようなものがあるわけだろうと思いますが、私はそういう特定の化学薬品等についての専門知識がございませんので何ともお答えできませんから、政府委員お答えのとおりと申し上げざるを得ません。  と同時に、私が承知をいたしておりますところによると、厚生省の劇物毒物取締法というのは、その対象になる品目が、たとえば工業薬品としてあるいは農薬として、一般の経済社会で取引の対象といいますか、授受の対象、そういう通常の状態のもとにおける移動の対象になるようなものを選定をしておるということでございますので、したがって、いまお話しのCNというものはどういうものか知らないことは申し上げたとおりでありますが、どうもそれは、一般には薬品として工業界、農業界等で流通してないという面があるのではないかということも一言申し上げにおきます。
  78. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのとおりなんでありまして、いま私がCNと言っておるのは警察が使っておる催涙液のことです。クロルアセトフェノン、おっしゃるとおりです。これは前の園田大臣ともやりとりをしたところです。劇毒物としての対象とするものは、工業用、医薬用、農業用。まさか人間にぶっかけるというようなことを想像してないから対象に何もしなかったというのが園田大臣答弁です。おそらく内田大臣もそう思っていらっしゃると思います。ところがこれが新しく出てきたのです。人間にぶっかけるというのですから……(内田国務大臣「通常の用法じゃない」と呼ぶ)そうです。ところが現実にやっておるのです。そうして学生だけじゃなしに、一般の人にもその影響を与えておるのですね。私は何ぼでも実症例をあげてもいいのです。だから私は、もう一ぺん厚生省で、あの警察の鑑定を参考にして、性あるいは劇毒物取締法との関係で御検討いただきたいと思いますが、どうでしょうか。現実に三度内外の火傷を浴びておるのですから。
  79. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 御意見は承っておきます。
  80. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 聞いておくだけという意味ですか。
  81. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 十分承っておきます。
  82. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 承っておきますという日本語はどういうことなんですか。検討しますということですか。
  83. 内田常雄

    内田国務大臣 厚生省には衛生試験所のようなものがございますから、その化学的な反応と申しますか、障害性とかいうようなものを検討し得るような仕組みがそこにございますならば、それは直ちに検討させましょう。しかし、かりにそれが毒性があるないの問題が、どちらか知りませんけれども、はっきりいたしましても、いま楢崎さんが御肯定になられましたように、それが社会取引上、経済取引上動くようなものでない限り、劇毒物の指定対象として指定をするかどうかということは別の問題になるかもしれませんと私は考えますが……。
  84. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は警察医の鑑定が出たというこの新しい事実を踏まえて、もう一度御検討いただきたい。もし劇毒物取締法との関係がないのだったら、法律は人間のためにあるのですから、法律をいじらなくちゃいけません。これはそういう観点でものを見なくちゃいけないと思うのです。人間のために法律はあるのです。法律のために人間があるのじゃないのですから。あたりまえのことでしょう。せんだっての旧地主の農地買い上げ問題と同じです。法律が悪いなら法律を変えなければいかぬ、この思想であるべきだと思うのです。それについて、大臣がいまもう一度検討してみようというお話ですから、ぜひやっていただきたいと思います。  そこで警察のほうにお伺いしますが、警察はこのCNの用法について、たとえばざんごう、穴蔵で使ったときの毒性について調査をされたことがございますか。その実験を検討されたことがありますか。
  85. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 ございません。
  86. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 念のために一つだけ例をあげておきます。これはアメリカがいまベトナムで使った毒ガスです。CN、CSあるいはDM。そのうちCN、いま私が取り上げているクロルアセトフェノンの一つの実例です。これは一九六六年一月十二日、サイゴン発ロイター電に載っております。日本の新聞ではその年の一月十三日、毎日新聞と読売新聞がこの記事を報道しております。内容はこうです。ベトコンゲリラを撃退するため地下道内で非致死性ガスと煙幕を使った、こうなっておる。この非致死性ガスとはCNのことです。逆にオーストラリア兵一名が死亡、六人が病院に収容される事件が十一日サイゴンの西北部で起こった。死亡した兵士の名はロバート・ボーテル伍長二十四歳。これは鉄の三角地帯で作戦中であった。催涙ガス弾を投げ込んだトンネルの中に確認のため防毒マスクをつけて入ったところ窒息した。マスクをつけた六人のオーストラリア兵がそのボーテル伍長を助けにおもむいたが、激しい中毒を起こした。トンネルが曲がりくねっていたためガスが十分に拡散しなかったからである。つまり、このCNは状況いかんによっては死亡するのは事実です。  そこで私はいま成田の問題を頭に置いておるわけです。御案内のとおりの地下ごうがつくられておる。警察はこの地下ごうの人たちに対してCNは絶対に使わないという確約ができますか。
  87. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 使いません。
  88. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 少なくとも地下ごうに対しては使わない。それだけは確認をしておきます。だが外で使っていいとは私は言っておらぬ。これは毒物劇物取締法に当然引っかかる劇性の化学剤ですから、人間に対してぶっかけるべきではないという立場で言っておるのですから、誤解のないようにお願いします。  そこでこのCNより毒性の強いCSというものを自衛隊はお持ちですね。
  89. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 CSは所持しております。
  90. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 CSの成分を御説明いただきたい。
  91. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 CSはオルソクロルベンジルマロノニトリルという化学名でありまして、分子量一八八・六、常温で固体のものでございます。
  92. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは化学剤ですか。
  93. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 化学剤でございます。
  94. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その毒性徴数はどのくらいありますか。
  95. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 WHOの分類で申し上げますと、死傷発生毒量致死または有効不能の問題でございますが、濃度一ないし五ミリグラム・パー立米でございます。
  96. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 CNと比べてどうですか。
  97. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 同じくWHOの分類によりますと、CNは五ないし十五ミリグラム・パー立米でございます。
  98. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私の調査と若干違いますが、これは論争に時間がかかりますから……。  そこでこのCSは自衛隊では武器化されたものを買っておられますか。それとも自衛隊の中で兵器化しておるわけですか。
  99. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 現在CSは催涙球、催涙筒、催涙剤というかっこうで持っておりますけれども、催涙球につきましては自身で球を買いまして詰めております。催涙筒は企業に詰めてもらっております。催涙剤はそのまま買っております。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 警察はCSはお持ちですか。
  101. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 装備としては持っておりません。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 装備としては持っていないというのはちょっとひっかかるのですが、実験はされておるのですか。
  103. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 私の知る限りでは実験もいたしておらないと思います。正確に申しますと、先生あるいは御承知かと思いますのであれですが、実は催涙弾を発射する装置としてランチャーというのがありますけれども、輸入いたしましたときに、それについてごく少量が見本として参っております。それは科警研で何か開披したことがあるとは聞いておりますが、現在は倉庫の中にちゃんと保管しておるというように聞いております。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 CSを装備される予定がありますか。
  105. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 ございません。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 自衛隊はおそらく当面治安対策の兵器として装備されておると思います。  そこでこのCSの実際の毒性についても、ひとつ厚生省で十分みずからの手で実験をしていただきたいと思いますが、どうですか。
  107. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 一般に使用されるものでありますれば、先生のおっしゃるようにいろいろな問題を含むものとしてやる必要があると思いますけれども、特殊のものでございますので、そういう点はなかなかむずかしかろうと思います。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もしその毒性について実験をしてもらいたいとわれわれが要求したときには、一体どこが担当の省になるのですか。私はこれは国民に使われる可能性があるから言っておるのですよ。CNと同様に全然たなの上にしまっておくのではないのですよ。
  109. 内田常雄

    内田国務大臣 化学合成品といいますか、化学薬品ですから、現在どこが担当の省かということになりますと、厚生省か通産省。しかしその下にどういう試験所があるか。厚生省では私どもは本省でできることではございませんので、それが結局衛生試験所がいいのか、あるいは工業技術院等の機構の中でこれらの薬品分析をするのがいいのか、どちらかだと思います。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それではこれはどこで実験をやるという具体的なお答えを、後刻でけっこうですから御連絡をいただきたいと思います。  それからCSは溶剤を使いますか。
  111. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 使います。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その成分は何でございますか。
  113. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 パークロルエチレンでございます。
  114. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 CNの溶剤と一緒ですね。
  115. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 そうでございます。
  116. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは有機溶剤の取り締まりに触れますね。
  117. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 パークロルエチレンはそのとおり中毒規則に入ります。
  118. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 使用に対してどのような規制をなさいますか。
  119. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 自衛隊におきましては、あくまでも専守防衛ということで、防護ということで、敵の侵入ないし謀略によりまして向こうが使った場合の防護という、あくまでも守るための研究といいますか、そういう立場でやっておりますし、また自衛隊といたしましては、そういう防毒マスクあるいは防毒衣、その他の防護衣というものをまといまして、それによって訓練をいたしておるというようなことで、常時そのような訓練を行なっておる次第でございます。
  120. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私がお伺いしておるのはそうではなしに、たとえそうであっても、火薬関係の法規あるいは銃砲関係の法規はこれを適用しないという、ちゃんと法律がなくては使えませんです。そうでしょう。したがって、この有機溶剤の取り締まりに触れるものを使う際に、それなりの法規的な裏づけがなくてはいけない。それはありますかと聞いておるのです。
  121. 福田勝一

    ○福田説明員 CN、CSにつきましては、これは一種の物理力というふうには理解いたしておりますが、武器というような理解はいたしておりません。したがいまして、使用につきまして法的な規制をやっておりません。しかしこの使用につきましては慎重の上にも慎重を期して使う、かようにいたしております。
  122. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 法規がなくてそんなものは使えませんですよ。ほかのたとえば大砲とか鉄砲とか、ちゃんと鉄砲あるいは火薬関係の法規から除外しておるじゃありませんか。自衛隊法でしてないのですか。
  123. 福田勝一

    ○福田説明員 先ほど申し上げましたように、一種の物理力というふうには理解いたしておりますけれども、武器というような解釈にはなっておらないわけです。
  124. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そんなことは通りませんですよ、あなた。やっぱり一種の兵器ですよ。手榴弾のような形をしてみたり、筒みたいな形をしているのですから、何が物理的なものですか。そんな答弁じゃ困りますよ。了承しませんですよ。だから法規がなくていいなんということは了承しません。だめですよ、それは。そういう見解ですか。
  125. 福田勝一

    ○福田説明員 先ほど申し上げましたように、いわゆる武器ということになれば、当然厳重な法的規制を受けるということになるわけでございますが、CN、CSにつきましては、現在のところ防衛庁の見解といたしましては武器でない、こういう見解をとっております。したがいまして、使用につきまして事実上慎重な考慮を加える、こういうことになろうかと思います。
  126. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 慎重な考慮を加えるのは、防衛庁はそれに限らず何についても慎重な考慮を加えなければいかぬのですよ。この点は、私は問題を残しておきたいと思います。  それで、ベトナムではいわゆる殺し尽くし、焼き尽くし、破壊し尽くすという表現の戦争が行なわれている。いまもインドシナで行なわれている。そのおもな兵器は、私もベトナムに行って知っておりますが、いわゆるボール爆弾、ナパーム弾、それに二四五丁などの枯れ葉剤、こういうものをまさか自衛隊はお持ちになっておらぬでしょうな。
  127. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 先ほどの答弁を、申しわけございませんが訂正さしていただきます。  私、CNの溶剤と誤解をいたしまして、CNにつきましての溶剤は、私が先ほど申しましたパークロルエチレンでございますが、CSは乾燥剤にシリカゲルを用いるだけでございまして、したがいまして粉状の形で投射するということに訂正さしていただきたいと思います。
  128. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 ナパーム弾は持っておりません。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は三つ聞いたんですよ。あなた、聞いてなければいかぬですよ、そこで話をしないで……。  ボール爆弾、ナパーム弾、枯れ葉剤の二四五丁などのものはお持ちじゃないでしょうねと聞いておるのです。
  130. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 いま御指摘のものは持っておりません。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは最後、一問だけにしておきます。  同和関係について、神奈川県のいろいろな報告があるわけです。神奈川県は、県が同和対策はしないでいいというような指示を各地区に流しておる。それからまた調査に対しては、民生部の次長はこういうことを言っておる、調査するつもりはない、寝た子は起こさないほうがいい。もしこういう指導をやっておるとしたら、われわれが同和対策事業特別措置法を成立せしめて、この部落解放なり同和対策に一生懸命になっているのが、下部ではこんなふうに取り扱われておるとすると、これはたいへんな問題だと思います。ひとつ厚生省の御見解を聞いておきたいと思います。
  132. 加藤威二

    ○加藤政府委員 同和対策につきましての調査は、先生承知のように昭和三十七年、これは同和対策審議会が実施した調査がございます。それから四十二年、これは総理府と各省が協力して調査をした、この二回やっておるわけでございますが、神奈川県につきましては、昭和三十七年の最初の調査はこれは実施しなかったという事実はございます。ところが四十二年の調査につきましては、調査を実施いたしまして、現実に神奈川県におきましては三地区が同和地区ということになっております。ただ、御指摘のように、まあ関東地方は関西以西に比べまして同和地区も少ないというようなことで、あるいはこの問題に対する取り組み方がやや熱意を欠いている場合もあるかもしれませんが、私どもといたしましては、数が少ないということで同和対策の重要性が減るわけではございませんので、先生御指摘のような事実がもしあるとすればまことに遺憾でございまして、そういうことのないように厚生省としては指導してまいりたいと思います。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは最後に要望しておきます。寝た子を起こすのは悪いというような思想を持っておるのですから調査に熱意が入るわけはないです。これは協力するように根本的に指導をし直していただかぬといけません。ぜひそのことを厳重にひとつ神奈川県に対して行政指導をしていただくようにお願いしておきます。御返答だけしておいてください。
  134. 加藤威二

    ○加藤政府委員 先生の御趣旨が神奈川県に徹底するように措置いたします。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ありがとうございました。
  136. 登坂重次郎

    登坂主査 次に、渡部通子君。
  137. 渡部通子

    渡部(通)分科員 私は、きょうは保健所の問題について若干質疑をしたいと思います。  私はかねがね、保健所というものがもう少しみんなに親しまれて、そして利用されてしかるべきだ、特に大事な働きを持つ、機能を持つ一つの焦点ではないか、こういう意見を持っておるわけでございますが、最近では、特に東京あたりでも人口構造も変ってきたし、社会構造等も変わってまいりまして、そこへもってきてまたいろいろな病気はふえております。また公害等もふえておりまして、保健所というものが非常に大事な時期にかかっているということは承知いたしております。したがって、保健所の業務の再配分とかあるいは設置の問題、こういったことが非常に過渡的な立場に置かれている。これは厚生省も御認識のとおりでございます。昨年末には厚生大臣の諮問機関として保健所問題懇談会、こういうところで抜本改正を考えていらっしゃる、いろいろな検討をされていらっしゃる、こう伺っているわけでございますが、この作業の進行内容あるいはそれがいつごろまでに結果が出るものであるか、その状況についてまずお伺いをしたいと思います。
  138. 内田常雄

    内田国務大臣 私は今日の非常に高密度社会、またその反面過疎社会、その両面におきまして、さらにまた人々の健康の管理というようなことに対する意識が非常に高揚をいたしてまいりました中におきまして、保健所の機能というものは昔に比べて非常に重要性を増してきていると思います。また事実非常に大多忙をきわめているようでございます。反面、なかなか人の充足なども、お医者さんをはじめパラメディカルな人々を必要といたしますので、この点にも難点がある。いろいろの事情から保健所の機能あるいは機構配置等を含めまして、正しい指導方針を得たいということで、昨年保健所問題懇談会というものをつくり、その道のべテランの方々にお集まりをいただいているわけでございますが、なかなかこれは複雑、広範な問題がございまして、何度もやっておりますが、にわかに最終結論が得られるような状況にもないと思います。しかしそれではいけませんので、何かひとつ、ことしの八月ごろが概算要求の時期になりますので、それまでの間に中間報告のようなものでもいただくように努力をして、そして保健所問題対策の一環を明年度と申しますか、昭和四十七年度予算の中にもその一翼をあらわすようなふうに進めたい、こういう熱意を持っております。
  139. 渡部通子

    渡部(通)分科員 いま八月に大体中間報告をということでございましたが、大体どういう方向で検討が行なわれつつあるのかという、その方向性だけでもひとつここで明らかにしていただきたいと思います。
  140. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ただいま懇談会は三回開催いたしておりますが、大体現在までのところは保健所というものの実態を把握していただくということになっておりまして、実は私のほうからある程度の討議をしていただく問題点を出すことを初め考えたわけでございますが、委員の方々はもうしばらくひとつ勉強させてくれ、従来の審議会のような形式で役所のペースでいろいろのことをきめられるような方向の審議では困る、なるべくもうしばらく自由討議をさせてくれ、こういうことでございますが、われわれとしては四十五年と四十六年、二年にわたる予算に基づく懇談会でございますので、一応御質問の具体的な内容については、懇談会等の関係もございまして、あまり具体的には申し上げられる段階ではございませんけれども、一応第四回の懇談会を三月中に迎えますので、そろそろ問題点を出したい。その問題点の一点といたしましては、従来人口の移動がたいへん激しい中で過密過疎等の問題が生じておりまして、当初十万をほぼ基準――これは全く基準でございます。二十二年に保健所法ができたときの基準としてそういうものでございますけれども、たいへんオーバーした二十万あるいは二十五万をかかえている保健所もあり、あるいはもちろん離島、僻地等で必要上、小さな、人口三万ないし五万程度の人口の保健所もございまして、このような機能とそういうような保健所の再編成と申しますか、機能をどういうふうにそれぞれに持たせ、それからまた人口に対応してどういう保健所の配置をするか、こういうような点は少なくともなるべく早い機会に御検討願いたい。大臣からもお話がございましたように、厚生省内に保健所と関係ない局がほとんどないくらい関係の深い仕事でございますので、その点については非常に慎重にかつ比較的時間をかけなければならないと思っておりますが、当面そういうような機能的な問題について最初に取り組みたい、こういう考え方でございます。
  141. 渡部通子

    渡部(通)分科員 そうしますと、この結論がもし出ました場合には、保健所法等の全面改正といいますか、そういったことはお考えでいらっしゃいますか。
  142. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 十万という人口を法律があくまで一つの標準として考えてございますので、そのことだけで法律改正ができるかどうかということは問題として残ると思いますけれどもあとは公害問題と業務の内容の再編成等に伴いまして、保健所法の二条に保健所の業務が書いてございます。その他公衆衛生に関することということで広く読めば読めますけれども、やはり厚生省の保健所の仕事の中に公害問題等をもし――これは最終決定的な段階でございませんけれども、そういう方向が強く打ち出されていくことが必要になってまいる。懇談会の結論等が出、また行政的な要請がそういうふうになってまいりますれば、場合によっては二条の保健所業務、ちょうど精神衛生法が改正のときに精神衛生の字句を挿入したように、何らかの法律改正にからんで保健所法の一部が改正されることは考えられる問題でございます。
  143. 渡部通子

    渡部(通)分科員 いま公害問題のお話が出ましたが、確かに、公害をめぐっての一つの住民の健康診査等においてはこれから保健所が大いに働いてもらわなければならない、こういうことになります。ですけれども、先ほど厚生大臣もいろいろおっしゃいましたが、確かに人手不足とかそういったことが大きなネックになって、はたしてそれが実現できるかどうかということは、私たちにとっても非常に疑問に思うことでございまして、そういったものが今後考えられてまいります場合に、その地域のボランティア活動等と連携をとって、そういったところと手を携えて進んでいくというような方向をあわせてお考えでございますか。
  144. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 全く御指摘のとおり、保健所はみずからの力だけで管内の保健衛生の問題を処理すべき性格のものではなくて、むしろ地域社会社会資源を十分活用し、その調整をはかりながら地域全体の健康の増進をはかっていくというのが保健所の本来の趣旨でございます。特に先生御指摘のボランティア、婦人会の活動その他、もろもろの福祉も含めた活動があると思いますけれども、そういう地域社会の団体あるいは医療機関、それから福祉関係施設、学校保健、管内の労働衛生の問題、こういういろいろの問題点を少なくとも全部把握して、そして保健所の運営に関する協議会の設置が法にうたわれておりますので、そういう協議会の場に出して、そして討議していく、こういう点が必要なのでございますが、従来その考え方が比較的はっきりしていないし、また現実の活動の中にそういうものが、全国的に見ましてりっぱにやっている保健所というのはむしろ少のうございまして、ややひとりよがりで自分の力だけでやろうというような欠点があることは、御指摘といいますか、そのボランティア活動を考えたらどうかという御指摘に、私はむしろそういうものを積極的に迎えていく方向こそ今後の保健所の重要な問題ではないか、こういうふうに考えております。
  145. 渡部通子

    渡部(通)分科員 いまいろいろな過渡期にあって御検討中だというお話でございますが、やはり一番問題になってくるのは医療スタッフの問題だと思うわけでございます。これは精神病院の問題を取り上げてみてもあるいは身体障害者の問題を取り上げてみても、つまるところは人の問題になってくるというので、私もいろいろな御質問を厚生大臣に申し上げるたびに、やはりこの人員増というものをどこで確保なさるのかということが、どの角度から見てもネックが一つやってくる、こういう現実でございます。これからの保健所の機能的な活動というものも、やはり医療スタッフをどうしたら増加してもらえるかということが大きな問題になってくると思うのです。私のほうでもちょっと当たってみましたけれどもあと何人ぐらいふえればいいのかということを調査、計画するひまがないというような所長さんのお話もございまして、その実態が計算しきれないほど現場は忙しいといえば忙しい。そこへ持ってきて現在看護婦も足りないし医者も足りないしというような国家的な現実でございますが、その辺の実質的な保健所の充実、特に医療スタッフの定員という問題についてどうお考えであり、どういう御計画をお持ちか。その辺、審議会の答申待ちということではなくして、当然着々と進められていなければならないと思うわけなんで、その点をひとつここではっきりしていただきたいと思います。
  146. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 保健所の一番中心になる医師が充足できているかどうか、こういう問題でございますが、実は保健所の定員という考え方は、保健所を都市型とか農村型とかいろいろの型に分けまして、そのときに一応われわれが念願する希望的な定員として、これは決して公に公認されてそれが法に基づく定員であるとかいうものじゃございませんけれども、そういうものを約三千五、六百考えておりまして、それに対していまの数は千六百人程度の医師しかおりませんからそういう点で四十何%、こういうことになります。  そこでわれわれとしては、公衆衛生に医師が来てくれないとかという問題は、単なる給与とかそういう問題ではなくて、こういう公衆衛生の仕事を自分の仕事として、ライフワークとして考えてくれる人が――ゼロではございません、現実に出てきてはおりますけれども、非常に少ない。ですから医科大学等ができて医師の数がふえても、その底辺、もとの数がふえればそういう希望者が若干ふえることは期待できますけれども、非常にむずかしい問題でございます。しかしながらわれわれはこれを放置するわけにはいきませんので、調査研究費とか保健所活動のための調査費、それから医師の外国への派遣旅費、それから学生時代から貸し付け金をいたしまして、そしてある年限つとめていただけば返済しなくてもいい、こういういわゆる公務員医師の、保健所につとめてくださる医師の確保、こういうものを具体的に対策としてやっております。  これが歩どまりは、実は年によって多少違いますが、いいときで三〇%ぐらいの歩どまりでございまして、数といたしましては、四十五年の継続してそういう貸与金を受けている方が七十名、それから新規にこれを希望される方が三十七名で、百七名という数字だけは一応持っておりますが、この方が実際に公衆衛生に入っていただく歩どまりがまたどのぐらいになるかという問題がございますけれども、大体三〇%程度は期待できるものと思いますとやはり三十名程度しか確保できない、こういうことになります。しかしながら若い医師ばかりではなくて、ある程度地域で開業、病院づとめ、あるいは特に最近目立って多いのは女医の万、御婦人のお医者さんが非常に公衆衛生に従事してくださる、これはわれわれの一つの希望でございまして、私の郷里の長野県などでは十七の保健所のうち四名の保健所長が女医さんでございます。その状態は各県に生まれてきておりまして、われわれとしては積極的な対策はまだまだ今後いろいろなことをやらぬといかぬと思いますけれども、そういう面から無理無理引っぱり込むわけにいきませんので、こういう保健所の機能をもう少し医師の興味の持てるようなものにすることも今後の保健所の再編成なり機能再検討の命題でもございますので、そういうものとあわせまして医師の確保が可能なように努力したい、こういうふうに考えております。
  147. 渡部通子

    渡部(通)分科員 厚生大臣、いまいろいろな御答弁がありましたけれども、やはり待遇が悪いと思うんですね。保健所長さんというのはお医者さんですけれども、普通の開業医と比べれば全然話にならないような待遇だと思うのです。ですからやはりここを改善していただかないと、どうしても集まってくるというふうにはいまの御時世ではいかないと思うのです。ひとつこの点の改善をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょう。
  148. 内田常雄

    内田国務大臣 まことにごもっとものことであると思います。しかし待遇ばかりでもない面もありますので、保健所というものの機能が充実して、そこに来られる方々が働くことについて非常に大きな意義を見出されるようにしむけ、そういうような環境をつくっていくことも私は一つの方法であると考えます。待遇問題についてはいろいろやっておるところでございます。
  149. 渡部通子

    渡部(通)分科員 それは早急にできる問題でないことは私もよくわかります。ただでもたいへんな中でございますから、厚生大臣もあっちもこっちも非常におたいへんであろうということは常々御同情申し上げているような次第ですが、私やはり申し上げたいのは、これから、先ほどおっしゃったように公衆衛生というか予防医学というか、その辺に、直接あらわれた問題ではなくても、よほど力を入れていっていただかないと今後の環境、生命の維持ということはできないのではないか。確かに治療も大事ですけれども、ここで一歩先手をとって予防医学に大いに力を入れていただきたい、これが私申し上げたい主眼でございまして、やはりそっちの方向に厚生省としても大いなる力点を置いてお金もつぎ込んでいただきたいし、人も集めていただきたいし、そういう方向で、長い目で見て国民の健康管理というものをいい方向へ引っぱっていっていただきたい、こうお願いするようなわけなんです。  ただいま最初のお話で、まだ抜本的に答申が出て再編成やら機能の再確立ができるまでにはかなりお時間がかかるようでございまして、その間現実に保健所を利用する奥さん方、住民の不便というものはそこらじゅうにあふれておりまして、私きょう一つだけ例を持って参りましたのです。  新宿区の例でございますが、これは都市型保健所に入る、人口型の分類からいえば私は2型に入るのだろうと思ったのですけれども、この新宿区を例にとりました場合に、最近たいへん人口もふえてまいりました。そこへ非常に交通の便もよくなってきたわけでございます。ですけれども保健所の数が新宿区の中に三つしかございませんで、これを人口の配分から申し上げますと牛込保健所と四ッ谷保健所と淀橋保健所、この三カ所になっておりまして、牛込保健所のほうではかかえております人口が十二万二千、これを地図で見ますと大体この地域になります。ここに十二万二千かかえている牛込保健所があります。それから四ッ谷保健所がこの地域でありまして、ここに四ッ谷保健所、五万四千なんです。ここはまあまあといたしましても、こちらの淀橋保健所のほうになりますと非常に地域が広くて、かかえております人口が二十二万八千、ちょっと二十三万という、こういう状況になってまいりまして、妊産婦の奥さん方でもここからここの保健所まで参りますのには、いまちょっと、今年度あと三カ月ほどはここに仮庁舎があって増築中だそうですけれども、乗りかえ乗りかえで一時間半ぐらいかかって毎月やってこなければならない、こういう状況にあるわけでございまして、こういう実態の中でまだ新しい方向が出ないわけですから、古い体制のまま参りますと、保健所の設置基準についていえば、先ほどおっしゃいましたように保健所法施行令第二条「人口おおむね十万を基準として設置する」――これは二十三万人までオーバーしてしまったような次第です。それから公衆衛生局長さんの通達によっても、新設は二十万以上を突破して一保健所区域の人口が七万五千になれば新設をしてもいいというような大体の基準が示されているようでございます。そういういろいろな従来の法律上の問題を考え合わせますと、当然ここにはもう一カ所ほしいなという、こういう状況にあるわけでございまして、この現実に対してやはり懇談会の結論が出てからというのじゃなくて、現状のままでこれを何とか改善策がないか、あるいは一つ新設はしていただけないか、こういう点について厚生省の御意見はいかがでございましょうか。
  150. 内田常雄

    内田国務大臣 何とも私は申せないのでございますが、私が頭に入れております数字は、全国で保健所が八百三十ぐらいあるのでございます。日本の人口が一億三百万人余りでございますので、つまり十万人に一人ではなしに十何万人に一人、こういう平均をいたしましても、一保健所が十二、三万人かかえておるという状況でございます。そこへ持ってきて、最近の社会的変動の激しい状況のもとにおきましては、いま御指摘のようなそういう場所ができていると思います。それで保健所問題懇談会の結論というものは、どこへ幾つふやすか、どこへ置くかということが主眼ではないわけでありまして、保健所の機能の問題、機構の問題あるいはそこで働かれる人々の充足やらというような広い問題でございますので、私は、これはあとで間違ったら違うと言ってもらうことにしますが、その二十万をこえているような場合には、いままでの基準の中でもございますし、これは国の補助予算の問題と、それから東京都の設置意欲の問題であると思います。通常は、厚生省は、御承知のとおり地方に自分の手足を持ちません。地方厚生局というようなものがございませんので、保健所のようなものにおいてすら厚生省の下部機関ではございませんで、地方の都道府県あるいは特定の市の施設でございます。それに対しまして国は補助金を出しており、したがって都道府県あるいは特定の市が設置を計画いたしましても、国からの補助金がつかないというようなことではなかなか単独ではやり切れない問題もございましょうし、国のほうでも補助金を出したいと思いましても、八百何十を基準としての予算しかないということでございますと全体に薄めた補助金にして数をふやすことがいいかどうかという問題はあるわけでありますが、保健所の御要請ということにかんがみますと、人間さえ確保される見込みが立ちますならば状況に応じてふやすという方向をとったほうが今日の国民生活の実態に即すると私は思います。大蔵省が何と言われますか知りませんが、幸い大蔵省がうしろにおりますので、私の発言がもっともだと思えば私も予算を取りやすくなる、こういうことでもあろうかと思いますので、そういう私の考え方、気持らを申し上げておきます。
  151. 渡部通子

    渡部(通)分科員 いま厚生大臣からたいへん前向きな御答弁をいただきまして、私この人口配分の問題だけではなくして、この地域に要望が強いということを重ねて申し添えたいわけです。  確かに人口がふえると保健所を利用するなどという――意識の低いところもあるかもしれませんけれども、この地域は相当要望が、住民の請願運動でもやろうかというような空気があるということをつけ加えまして、大蔵省の御意見はいかがでしょうか。
  152. 相原三郎

    相原説明員 私、かねがね保健所の問題につきましては根本から洗い直す必要があるというふうに考えておるわけです。したがいまして、四十五年度に懇談会の発足がおくれましたことは実は非常に心外なことでございまして、その懇談会の発足が十二月になったわけです。当然四月から予算がついているわけですから、早急にその時点で懇談会を発足する、それが四十六年度予算に反映されるということを期待していたわけですが、いまも申しましたように、十二月発足ということで、来年度の四十七年度予算案作成までに中間答申をというようないまのお話があったわけですが、私どもとしましては、どこに保健所をどういうふうにという問題よりも、根本的に保健所の機能をどうするか、新しく社会が変わってまいりますから、そういう変わっていく事態に合わせて保健所をどう考えるかということを、まず根本的に洗い直していただきたいということを考えております。
  153. 渡部通子

    渡部(通)分科員 いま大臣大蔵省の了承があればというお話、大蔵省のほうに言わせますと、心外なことは厚生省の出方がおそい、そういう食い違いを私はここで聞いたわけでございまして、それはわれわれが行政を見るときに常にそういう問題にぶつかるわけで、私はたいへんそれは残念でございます。したがって厚生省としてはいっときも早くそれを急いでいただきたいし、大蔵省としてもいまそういう御発言をなさった以上はそういう前向きのお金をつけていただきたい、こう要望いたします。  最後にもう一点。ことしは増設計画はございますか。今年度、来年度においてふやしていただける増設計画なりその見通しを伺いたいと思います。
  154. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ただいま先ほど来申し上げているような事情でございますので、ここ一、二年の過去の数字も新設というものは、八百三十二のワク内で全国的にどこか一カ所が統合されることが起こってまいりますと、それに見合ったところのよその地区で一カ所新設という程度で新設は行なっております。その他につきましては古い建物の増改築、それに対応する機能の改変、こういうことで予算の執行をいたしておりまして、なおかつ御要望に応じ切れないという状況でございます。
  155. 渡部通子

    渡部(通)分科員 それを補う道として相談所とかあるいは出張所とか、そういった点での御計画はございませんか。
  156. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ただいま相談所ということばが出ましたが、これは東京都が独自にお考えになっている。私は公衆衛生の立場からは非常にいい施策だと思っておりますが、私のほうの正式の補助対象の事業としては、保健所の支所という性格のものまでは保健所の一環として考えられますが、相談所は都独自の方針でおやりになっておりますので、先ほどの新宿区の問題等については私のほうに御相談があれば、東京都に予算の補助ではなしに行政指導としては積極的に、そういう相談所のようなものの新設をお考えになったらどうかというアドバイスはしたいという気持ちは率直に言ってございます。
  157. 渡部通子

    渡部(通)分科員 以上で終わりますが、中間答申の八月という厚生大臣の先ほどのお話、あれをひとつ積極的に進めていただきたい、これを要望して終わります。
  158. 登坂重次郎

    登坂主査 次は久保三郎君。
  159. 久保三郎

    久保分科員 私は食品関係の問題を中心に二、三お伺いしたいのであります。  最初に、けさの新聞にも出ましたが、ピーナツバターの汚染の問題でありますが、これは新聞記事によりますと、基準があって、その基準に合わないのでこれはということでありますけれども、食品衛生法ですか、そういうものによってこういう基準というかそういうものはほとんどの食品についてきめられておるのかどうか、それをお聞きしたい。
  160. 浦田純一

    ○浦田政府委員 けさほど新聞に報道されましたアフラトキシン、これはカビによって生成される猛毒でございますが、それの検出された食品につきましての取り扱いは、実は新聞に出ましたように昨日全国に向けて事実のあったことを報道し、取り扱いについての注意事項を指示したところでございます。中身はピーナツバターでございますが、ピーナツバターあるいはピーナツチョコレートなどの製品につきまして調査いたしましたところ、九社、百三十検体について検査いたしまして、その中から三社ほどアフラトキシンが発見されたという中身でございまして、この事例をさらに詳しく調べましたところ、ピーナツの輸入されたものにつきまして、その輸入先は北米あるいはインドネシア、中共などでございますが、その輸入されたピーナツの中からアフラトキシンの原因のカビがあり、そのアフラトキシンが発生しておる、こういうことでございます。   〔主査退席、松野(幸)主査代理着席〕  さて、アフラトキシンにつきましては、実は現在のところこれを取り締まるいわゆる安全基準というのはございませんが、安全基準のあるなしにかかわらず、いままですでにその毒性については国立衛生試験所の村田博士を中心といたしまして、十分に確認されているところでもございますので、直ちにこのようなものについては食用に供することは適当でないということで、その製品につきましての流通の禁止並びに至急にこれらを廃棄処分にするということについて、措置をとったところでございます。  さて、これにつきまして今後どうするかと申しますと、いま申し上げたとおりでございますが、さらにアフラトキシンの実態につきまして研究を続けますとともに、至急食品衛生調査会にもおはかりいたしまして、これらの安全基準と申しますか、それらについてどのように考えていったらいいかということについておはかりして、全般的に食品衛生上の問題が絶対に起こらないように措置してまいりたい考えでございます。
  161. 久保三郎

    久保分科員 お話わかりましたが、この食品衛生法によりまして、第七条によるいまの基準とか規格の設定でありますが、いまのお話を聞きますと、ピーナツバターについても、許容基準というのか安全基準というのかわかりませんが、これからそういう基準をきめていくんだというのでありますが、いままでに基準をきめてあるものはたくさんあるのですか。どうもわれわれが聞いている範囲では、そんなにたくさんのものはないようにも思うのですが、これはどうです。
  162. 浦田純一

    ○浦田政府委員 アフラトキシンのいわゆる安全基準と申しますのは、非常にごく微量になると思いますが、現在の考え方といたしましては、本来これは食品に含まれてはならないという態度でもってきびしく考えておるわけでございます。したがいまして、安全基準についてどのようにするかということについては、食品衛生調査会の御意見もはかりますけれども、そういったようなことでゼロとかあるいはPPMよりもさらにきびしい、これの千分の一といったようなきびしい、事実上ゼロに近いような量といったようなことに相なりますか、この辺のことにつきましては、専門家の御意見もよく聞いて定めてまいりたいと思っております。  それから食品全般のこういった基準でございますが、牛乳とかあるいは乳製品それから食肉製品、たとえばハム、ソーセージ、そういったものにつきましては基準があるわけでございます。それから今般、冷凍鮮魚介類、これらにつきましては、食品規格をいまつくるべく作業はしております。ただし先日、これらにつきましても一応の指導基準ということでもって、今後の衛生的な取り扱いに遺憾のないようにすでに指示しているところでございます。
  163. 久保三郎

    久保分科員 いまお聞きすると、私がお尋ねしたとあまり変わりがないようであります。そこで冷凍食品の問題はあとからお聞きしますが、一般的な食品ですね。これはまれに食べるようなものはなかなか手が回らぬにしても、常時国民の生活の中に入ってくる食品全体に、やはりある程度の基準というか規格というものが私は必要だと思うのです。ピーナツバターもあまり関心がなかったんでしょうが、たいへんなカビというか細菌というんですか、そういうものが出てきた。いまのお話ですと、一切こういうものを含まれたんでは困るというほどの、言うなら害のあるものだというんですね。そうなると、これはたまたまこういうものがそれぞれの衛生研究所ですか、そういうところで発見されたからこれもいいものの、それ以外大半残っているものはどうするかという不安があるのであります。こういうものは計画的に基準なり規格を進めていくと考えているのかどうか。それから四十六年度予算、いま審議中でございますが、そういうものの予算をずっと見ても、どうもそれらしきものは一つもないように思うのであります。これはどうしたことなのか、お答えをいただきたい。あまり時間がありませんから簡単でけっこうです。
  164. 内田常雄

    内田国務大臣 私が答えたほうがしろうとであるだけにわかりがいいかと思いますが、どうもこういうことになっているようであります。  食品に人為的に加えてはいけない、また加えてもよろしいというようなものがあるわけでございますが、六条の規定は加えてもよろしいというものが厚生大臣の許可主義でざっと三百何十か掲げてあります。いろいろな染料とか発色剤とかいうようなものはこの種類でございます。しかしこれも世評がございまして削るべきだ。そこで掲げてありますものは慢性善性のないものを掲げてあるはずでございますが、人知が進むに従って、科学が進むに従って、その中にもおかしいものがあるからとるべしというような意見がしばしばあることは御承知のとおりでございます。これは添加物。  もう一つは、いまおあげになりました七条の成分規格からいくのでございますが、食品の中はこういう構成でなければいけないということを詰めることになっておりまして、私どもが衛生的見地から見て気にいらないものが、たとえば農薬でありますとかあるいはある種の薬品でありますとか、いまのカビみたいなものでありますとか、そういうものが入ることは好ましくないものがあり得る状態になりますと成分規格としてこういうものが入ってはいかぬ、こういう規定を設けてまいる、それが食品ばかりでなしにその規定を広げまして、食品の容器とかいうようなものにまでも同じようなことをやっております。  そこで添加物のほうは、いま申しますように安全なものを載せているはずですが、それは今後どんどん整理して削るという方向であると同時に、成分規格のほうもわかる限り、気がつく限りのものはやかましく成分規格をつくって、公害物質のようなものは何PPM以上入ってはいかぬというようなことをできるだけきめていく、こういう政策をとっております。  予算でございますが、これはそのための予算ということではなしに、厚生省国立衛生試験所というものがございまして、その中に毒性部とかいろいろなものがございまして、そこに常時通常の予算が組んでありますことと、また調査研究委託費みたいなものがございまして、ある種のむずかしい問題で、政府だけの手に負えないというような場合には、いろいろその方面の専門家を動員して調査試験をお願いして結論を得る、こういうような予算になっておるわけでありまして、一つずつの物質ごとに予算を並べているということではございませんが、しかし全体として申しますと、やはり食品行政がいろいろ批判の対象になっておりますから、すべてのことをここ二、三年の間にほとんど網羅的にやってしまおう。これは急性毒性の問題ですときょう試験して一週間後には結論が出ますけれども、おおむね慢性薄性の物質が多うございますので、やはりいろいろな動物実験をしたりなんかするのに最低限二年くらいはかかる、こういうものが多うございますので、二、三年はかかる長期計画でいろいろやっておる、こういうのが全体の状況でございます。
  165. 久保三郎

    久保分科員 大臣からせっかくお話しいただきましたが、私が聞いているのはもっとはっきりした、大臣おっしゃるように、われわれも考えているように、これはたいへんな問題になってきているのでありますから、計画的に――二、三年のうちに、何か大ざっぱに、たやすくおっしゃいましたけれども、われわれ国民にすれば、二、三年のうらにというのは、そのうちと思っているのですが、政府のやることは、二、三年のうちというのはあまり積極的でないんで、何か何年計画とかそういうものが立たないとどうも動きが鈍い。厚生省は動きが鈍いというお話がさっきのお話にありましたけれども、私はそういうふうには思っていないけれども、えてしてそういうことだと思う。だから計面的に実施をしてきちんとすべきではないか、こういうふうに申し上げたのであります。  いずれにしても時間がないから、申し上げておくだけにしますが、次には、お話がありました冷凍食品の問題であけます。これはすでに東京都はこれの基準というか、あるいは最低基準というのか知りませんが、そういうのをつくってやっておるようでありますが、厚生省というか国のほうではこれからやるんだ、こういうことであります。その中身について、私は専門家ではありませんから、こまかく聞くつもりはありません。ただ、かなり冷凍食品というのはわれわれの家庭にも出回っているわけなんでありまして、こういうものに対して基準がなければたいへんいろんな問題が出てくると思う。これは聞くところによれば、マイナス十五度以下で流通販売されるものということが規格になっているそうでありますが、お互いの家庭にある冷蔵庫というのはマイナス十五度なんというのではないのですね。そうですね。そうしますと、買ってきてすぐこれは食べなければいかぬということだと思うのです。保存食でも何でもない。販売のほうの保存はきくが、消費者のほうの保存はきかないということでありますが、一般的に国民大衆は冷凍食品は保存がきくもの、こういうふうに考えている。氷が解けなければというが、氷が解けないのはマイナス十五度以下ならもちろん解けないですが、それ以上でも解けないのです。そうなった場合には変質はしないのかという問題が一つあると思うのです。  それから広告ですが、広告にはそういう消費者教育の広告は書いてないのです。これは二、三の広告をちぎって持ってきたのですが、これは日冷から出ている各種の冷凍食品の宣伝文句でありますが、ここにはどう書いてあるかというと「日冷ポークシューマイは、凍ったままお料理できる」云々とこう書いてある。それからもう一つの同じメーカーのあれですが、これにもやはり「凍ったまま十分蒸すだけ、おいしい味が」云々とこう書いてある。これははたして消費者に対して完全であるのかどうかという問題ですね。これはもちろん厚生省だけじゃなくて、いわゆる国民生活になれば企画庁かもしれませんが、こういうものについてもう少し的確に消費者保護の立場からやることが当然だと思うのですが、先ほどの局長のお話では、冷凍食品の規格というか基準というか、そういうものは近くきめますというがいつきめるのですか。  それからいま私が申し上げたマイナス十五度以下で流通販売されるものが云々ということになれば、家庭へ持って帰った場合には変質その他、そういう心配はないかどうか、これはいかがですか。
  166. 浦田純一

    ○浦田政府委員 冷凍食品全般については、近ごろの流通機構の改革あるいは生活様式の変化などに伴いましてかなり利用されてきておるという事実は、御指摘のとおりでございます。これらの安全かつ衛生的な取り扱いということは、したがって、今後非常に重大な問題になってくるわけでございまして、現在御指摘の冷凍食品全般につきましての規格基準というのは、これは若干時日をおかし願いたいと思いますが、とりあえず最も重大な問題であるなま食用の魚介類、これらにつきましては、今月中にも大臣の御決裁をいただきまして、規格基準を制定して、遺憾のないようにしたいと思っております。  その中身として考えておりますものは、まず付着しております雑菌類の菌数を一定量以下に押える、それから大腸菌につきましては陰性であるということ、それからマイナス十五度以下に保っておくということ、それからいまいろいろと御指摘ございました消費者に対する注意でございますが、これらは十分指導してまいりたいと思いますが、表示につきましては、製造の年月日あるいは製造メーカーの名前、そういったものを明記させることにいたしまして、なま食であるから、冷凍食品であるからといって不動の信頼を消費者に与え、いろいろと不測の事故を起こすといったことのないようにしてまいりたいと考えております。
  167. 久保三郎

    久保分科員 時間もありませんから詳しく触れられないけれども、一番最後にお答えになったことだけでは、消費者保護にならないと思うのですね。製造年月日書いても、そのものはいつまで有効なのか、これはわからない。何月何日の製品なら、きょうの製品ならはたしていいのかどうか。持って帰って、これを調理するまでの間の用いる方法が書かれていなければ、ほんとうでないのではないか。これは厚生省の管轄ではないのか、そこまでは厚生省ではなくて、店頭に並べられて販売されるまでの間が厚生省の行政の範囲なのか、そのあとはどうなのか、ちょっと簡単にお答えいただきたい。
  168. 浦田純一

    ○浦田政府委員 厳密に申しますと、食品衛生法は家庭内までは適用の対象とは考えていないわけでございます。したがいまして、主婦の方におかれますいろいろの問題については、同じ厚生省といたしましては、いわゆる衛生教育の問題というようなことであろうかと思います。また商品のいろいろな調理法なり衛生的の取り扱いということにつきましては、したがいまして、食品衛生法上といたしましては、これは業者の方に指導して協力いただくというのが筋であろうかと思います。
  169. 久保三郎

    久保分科員 大臣、これはやはり盲点なんですね。いま企画庁に聞きます。消費者行政課長さんおいででありますから聞きますが、商品を売るものはやはり消費者に対して責任を持つことが私は公正な道徳だと思っているのですよ。だから単に法律にきめればそこまでで、表示すれば、製造年月日を書けばいい、それだけではどうもだめなんです。そこで消費者行政を担当する企画庁としては、私の主張に対してどう考えますか。たとえばこの商品はマイナス十五度以下ならば保存できますが、それ以上は保存ができませんよというようなことをやっていくのがほんとうと思うのですね。もっともマイナス十五度以上でもそれは変質も何もしないということなら別ですけれども、大体マイナス十五度ときめているのですから、それ以上あたたかくなったらきっとぐあいが悪いでしょうね、その辺どうなんですか。
  170. 三喜田龍次

    ○三喜田説明員 いまお尋ねの保存方法でございますけれども、保存方法につきましては、公衆衛生の見地から必要であれば、その表示は食品衛生法で課することができるというふうに考えております。
  171. 久保三郎

    久保分科員 局長答弁おかしいのだ、私もそうだと思うのです。売るからにはやはり調理の方法まできちんときめなければうまくないし、消費者保護にならない。それから中身の衛生の問題になれば、これは厚生行政の中できちんとやはりきめるのがほんとうじゃないですか。これがマイナス十五度以上になったら変質しますよ。以上というかそれよりあたたかくなったら、そうだと思うのです。これは局長どうですか。
  172. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ことばが足りなかったと思いますが、調理上のいろいろな、いわゆる純粋に調理技術に限られているような問題につきましてはこの法では触れないと思いますが、たとえば有効年月日はいついつまでであるというようなことにつきましても、この点も多少問題があるかと思いますが、全般的に説明と申しますか、そういったようなものの中で、私どもがほかの表示とあわせましていろいろと要請するということは、これはできることであると思います。
  173. 久保三郎

    久保分科員 私はもどかしさを感じているのですが、製造年月日なんというのは書いてもらったってもらわなくたっていいのです。これは食べていいか悪いかだけ書いてもらえばいいのです。はっきり言うとそうじゃないですか。製造年月日を書いてあれば何かいいような考え方、これは悪口になりますが、役人の責任のがれみたいな話を聞いているみたいで、これは消費者行政はだれがやるのです。まず第一、これはだれがやる、だれが中心になってやるのです。
  174. 内田常雄

    内田国務大臣 私も同じ感じを持つのです。というのは食品衛生法と書いてありますが、家庭で食べる衛生のことではなしに、ほとんど各条に、厚生大臣は販売の用に供するとか、なんとかかんとかするものはこれは販売しまた営業の用に供してはならないとか、要するに食品衛生取引法という見地でこの法律はできております。たとえば毒物劇物取締法のことがさっきもここで議題になりましたが、それらも何が毒か何が劇物かということであると同時に、それらが工業用、農業用その他取引の対象になるものをいろいろ規制をいたしておりまして、毒物劇物取引法、こういうかっこうになっておる。ところが最近はそこの限界だけではだめで、消費者指導法的の行政をやるべきだ。それには厚生省も農林省も通産省も経済企画庁公正取引委員会ども、そういうものも必ず一緒になって、そして消費者行政の見地から行政の統一をやるべきだということで、しばしばそういう会合もやっておるようでありますし、また他方においては食品衛生法というものがあるならば、これは食品衛生の取引及び消費者指導法的なことも含めた総合改正をすべきではないかという論議も実はこの前から起こっておるのです。起こっておるのですが、法律改正にはなかなかむずかしい面がございまして、法律改正のほうはやや停滞状況であることを告白しなければなりません。しかし行政の担当といたしましてはこれはどこがあるというこういうお話ですが、それは経済企画庁あるいは公正取引委員会に責めを帰するつもりもありませんので、私ども国民病気にならないようにすべきでありますから、どこが主管庁であっても一緒に飛び込んでいってやる、私はこういう立場をとります。
  175. 久保三郎

    久保分科員 大臣答弁を了承はいたしますが、消費者保護会議というのがありますが、閣僚会議、これはいつやったのですか。去年はやりましたか。
  176. 三喜田龍次

    ○三喜田説明員 去年は十一月十七日に行ないました。
  177. 久保三郎

    久保分科員 何を議題にしましたか。
  178. 三喜田龍次

    ○三喜田説明員 消費者行政の推進についてでございます。
  179. 久保三郎

    久保分科員 具体的には何ですか。
  180. 三喜田龍次

    ○三喜田説明員 消費者行政の推進ということで、決定の分におきましては、危害の防止、それから農林物資規格表示制度による規格及び表示の適正化、不動産取引の適正化、消費者行政について消費生活協同組合の育成強化等、おもなものはそういうものでございますが、そのほか四十六年度中に実行いたします消費者行政推進の具体的対策約百項目を了承いたしております。
  181. 久保三郎

    久保分科員 年に一ぺんの閣僚会議でありますから中身は大ざっぱになっているのでしょうけれども、これは厚生大臣も閣僚会議のメンバーだと思うので要請しておきますが、これはやはり命を守るというのが何といっても一番先です。物価の問題もこれは当然あります。しかしながら命を守るというのはそれよりもう少し大事のようにも私は考えます。そういう意味でぜひ食べものについての消費者行政というかそういうものを取り上げてほしい、こういうように思っております。  時間がありませんからもう一つ先へ行きます。  ヤクルトとかヨーグルトとかそれからパルゲンとかいった乳製品というのですか乳酸菌飲料というのか知りませんが、こういう広告には、乳酸菌というものがこの製品にはたくさん含まれている――事実含まれているのでしょう。それが食べると腸に行って乳酸菌が増殖して、健康に非常にいい、雑菌を食って。こういう広告が中心なんですね。最近は巧妙になって、その中の間をつながないで、行をかえておくだけでつなぎはしてないのです。ところが私が聞いたところでは、乳酸菌というのは胃液か何かに合うとみんななくなってしまうか溶けてしまうということを聞くのですが、ほんとうですか。乳酸菌というのは食べると人間の腸まで行って活動するようになっているのですか。その点はどうですか。
  182. 浦田純一

    ○浦田政府委員 乳酸菌飲料につきましては、いま御指摘の腸内に入ってからどうなるかという点でございますが、古来メチニコフ学説といたしまして乳酸菌飲料が腸内に入りまして、サルモネラとかあるいはシゲラとかそういった病原菌を殺す作用あるいは発育を抑制する作用があるとされまして、かなりの支持者もございます。また古来世界各国で飲用されてきているということも事実でございます。品種によりまして、菌の株によりまして、腸内に入って必ずしも死滅するとは言えないと思います。FAOやWHOあたりでも特に乳酸菌飲料についての取り扱いについては専門委員会で取り上げているところでもございますので、まあ全部が全部腸内で死んでしまう、あるいは全然整腸作用がないといったようには考えておりません。しかしながら御指摘のようにそれを特に取り上げていかにも薬のごとき効果があるといったように宣伝する場合には、これは薬事法の規定にぶつかるものと思います。またそのような宣伝あるいは広告というものは私ども食品衛生の立場からも適当とは考えられませんので、これは法律上の根拠はそこまではございませんけれども、適宜そういったような場合には厳重に注意をし、撤回させるようにしてまいっておるところでございます。
  183. 久保三郎

    久保分科員 いままでそういう撤回の措置を何回かとられたのですか。このパルゲンというのは、これは去年の広告だろうと思うのですが、ことしのでないから多少違ってきているのかもしれませんが、こういうように書いてあるのですよ。  「パルゲンの乳酸菌は、おいしい乳酸菌です。数百種類もある、たくさんの乳酸菌のなかから選びだされました。小さなお子ざまも、よろこんで飲んでいる間に、腸が丈夫になる保健飲料です。」これは妥当でしょうか。いまのお話だと何かあやふやで、乳酸菌が入っていれば腸がじょうぶになるのですか。腸がじょうぶになるということは、大体薬と同じように日本人は考えるのでありますが、これは少し誇大広告というか、不当な表示というか、そういうものの疑いがある。これはヤクルトなども前に出した、去年の広告にもたいへん科学的みたいに書いてあるのがあります。時間がありませんから全部読みませんが、そういうもので広告というか、表示はどういうふうに措置されているのか。やはり消費者には正しく伝えて、正しく消費してもらう、そういうのが一番いいと私は思うのですけれども、そういう意味で、公取から来ていますからこの広告の問題についてはどうであるか。局長からもお答えいただきましょう。
  184. 中村雄一

    ○中村説明員 一般的に申しまして、最近健康食品でございますとか、健康に役立つというような効能をうたっておる表示が見られるようでございますが、こういった効能がはたしてあるのかどうか、消費者の商品選択を惑わすようなおそれもございますので、この辺はできるだけ早い機会に考え方を整理したいというふうに考えております。  それからただいま御指摘の食品につきましては、乳酸菌飲料業界で公正競争規約というものをつくりまして、表示の規準をきめる、それから誇大広告はやらないという申し合わせをすることになっておりますので、できるだけ早くその規約をつくらせるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  185. 浦田純一

    ○浦田政府委員 過去におきまして、御指摘の整腸作用をうたったチラシを配ったという事実がございましたが、それについては厳重に注意をいたしました。再びそういったことをする場合には、むしろ薬事法の問題として適切な措置をとるという意味の警告をいたしております。  また、ある種の練乳につきましては、頭がよくなるといったようなことばを引いておりました例もございまして、これらにつきましても適当ではないということで、自今再び繰り返すことのないように厳重に警告してございます。  ただいま御指摘の点につきましては、私どもとしても非常に問題が依然としてあるというふうに感じましたので、近くまた業者を呼びまして、関係の官庁とも十分に協議いたしまして、強力に指示し指導してまいりたいと考えております。
  186. 久保三郎

    久保分科員 最後に一言申し上げて終わりにします。   いずれにしても末端における監視というか、食品の衛生の監視ですね、あるいは指導というか、そういうものが政令や何かでもおも立ったものについては年間十二回やれの、一回やれのというふうに規定はされておりますが、これはおそらく規定どおり実行されていないだろうと思う。ましてやわれわれが要望するような、もっと積極的な監視なり指導というのはほとんどできない状態がいまの保健所機構ではなかろうかと思うのであります。来年度予算ではそういう食品衛生の指導なり監視の要員というものはたくさんつけてあるのかどうか。おそらく増員などはないのじゃなかろうかと私は見ているのでありますが、本省には多少あるかもしれませんが、保健所全体を見た場合にどうなのか。時間が過ぎておりますから簡単にお答えいただければと思うのですが、そういう監視指導は政令にきめられた規定どおりもできない、まさにほとんど不可能に近いのじゃなかろうかと思うのだが、そうではないかどうか。いかがです。
  187. 浦田純一

    ○浦田政府委員 監視体制につきましては、ただいま久保先生が御指摘のとおり、いまだ十分でない点が多々あるわけでございますが、私ども監視員の増員あるいは監視員のレベルアップということにつきましてはいろいろ対策を講じてきておりますが、毎年少しずつ――これは交付税交付金のほうで見ているわけでございますが、増員も認められまして、いまのところ来年度におきましては、標準団体におきまして五名の増員を見るということで予定されておるわけでございます。
  188. 久保三郎

    久保分科員 時間ですから、これで終わります。ありがとうございました。
  189. 松野幸泰

    ○松野(幸)主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。  午後は経済企画庁所管の審査を行なうこととし、暫時休憩いたします。  なお、本会議散会後直ちに再開することといたします。    午後零時五十六分休憩      ――――◇―――――    午後三時四十八分開議
  190. 登坂重次郎

    登坂主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  政府から発言を求められております。  この際、大臣に申し上げます。予算の説明につきましては、時間の都合もございますので、簡略にお願いいたします。佐藤経済企画庁長官
  191. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 昭和四十六年度経済企画庁関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十六年度の総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁予算の総額は五百二十一億八千四百六十四万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと八十四億三千三百万円の増額となっております。  これを予算の主要経費別に区分いたしますと、経済企画庁の一般経費では五十八億五千百四十三万円を計上しておりまして、前年度予算額に比較いたしますと十四億八千三百三十四万円の増額となっております。  公共事業関係費では四百六十三億三千三百二十一万円を計上しておりまして、前年度予算額に比較いたしますと六十九億四千九百六十六万円の増額となっております。  以下、主要な事項についてその概要を御説明申し上げるのでございますが、ただいま主査からお話もあり、また、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て以下の説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  192. 登坂重次郎

    登坂主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十六年度経済企画庁所管一般会計予算の概要につきましては、これを本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 登坂重次郎

    登坂主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔佐藤(一)国務大臣の説明を省略した部分〕  次に、特に重点として取り上げました事項について、その内容を御説明申し上げます。  まず、第一に、国民生活行政の推進に必要な経費であります。  国民生活の充実に関連する諸問題は、各省各庁の協力によってはじめて対処し得るものでありまして、当庁の経費は各省庁の施策が、総合的な効果を発揮し得るように、その調整を促進するため必要なものであります。  昭和四十六年度におきましては、昭和四十五年十月に発足させました特殊法人国民生活センターの充実をはかるとともに、地方消費生活センターを増設し、国民の直面する日常生活上の諸問題を中心に、政府国民との対話の場を確立するために必要な経費を計上しております。また生鮮食料品価格安定対策の再検討や、地方公共団体による物価行政の強化をはかるなど、物価安定のための調査調整機能の強化につとめるなど、国民生活行政の推進に必要な経費として、前年度予算額に比較し四億一千二百四十九万円増の九億五百二十七万円を計上しております。  第二は、公害対策の推進に必要な経費であります。  水質汚濁現象の全国的拡大に伴い水質汚濁防止法の施行による排水規制の強化、水質の監視測定体制の充実をはかるため、公害対策の推進に必要な経費として、前年度予算額に比較し一億二千二百八十万円増の二億七十七万円を計上しております。  第三は、国土開発調査の推進に必要な経費であります。  わが国の経済社会の発展とともに、その高密度化が一そう進展することを考えますと、国土の計画的、かつ、総合的な有効利用の必要性はますます高まるものと思われます。  このため地域開発計画調査につきましては、各種の地域開発計画に関連する調査の総合効果を確保するとともに、後進地域の開発に関する調査を行なうこととしております。  また、国土調査事業につきましては、新国土調査事業十カ年計画に基づいて、その促進をはかることといたしております。  これら国土開発調査の推進に必要な経費として、前年度予算額に比較いたしますと四億三千二百七十万円増の二十四億六千九百七万円を計上しております。  第四は、国土総合開発の推進に必要な経費であります。  新全国総合開発計画に基づく国土の総合的な開発は、各省庁の施策の進展にまたねばなりませんが、当庁といたしましては、国土の開発にかかる各種公共事業の調整を行なうとともに、総合的な水資源の開発、離島、山村地域、豪雪地帯の振興対策の促進をはかることとしております。  昭和四十六年度におきましては、公共事業関係費を中心に、これらに必要な経費として、前年度予算額に比較いたしますと六十九億七千八万円増の四百六十五億九千四百九十六万円を計上しております。  この経費の内訳は、国土総合開発事業調整費として七十八億円、水資源開発事業費として百三十三億五千一二百九万円、離島振興事業費等離島関係事業費として二百五十一億八千十三万円、また、豪雪地帯対策特別事業費として一億五千五百万円、振興山村開発総合特別事業費として一億六百七十五万円となっております。  以上、一般会計予算の概要を御説明申し上げましたが、次に、経済企画庁関係の財政投融資計画につきまして、簡単に御説明申し上げます。  まず、海外経済協力基金につきましては、わが国の国際的地位の著しい向上とその果たすべき国際的責務の増大に対応し、アジア諸国等に対する海外経済協力の大幅な拡充をはかるため、資金運用部資金四百億円及び一般会計出資金三百三十億円を含めた自己資金等四百九十億円を財源とし、事業規模として前年度に対し、百六十億円増の八百九十億円を予定しております。この内訳は、直接借款七百六十億円及び一般案件百三十億円でございます。  次に、水資源開発公団につきましては、利根川、淀川、筑後川、木曽川及び吉野川の各水系における開発事業の推進をはかるほか、すでに完成した施設管理等を行なうため、資金運用部資金百十五億円、公募債五十九億円、水資源開発事業費を含めた自己資金等三百二十億円を財源とし、総事業費として前年度に対し、八十六億円増の四百九十四億円を予定しております。  次に、東北開発株式会社につきましては、会社の経営基盤の整備強化をはかるとともに、新たに内陸工業団地の造成等、東北開発促進にとって必要な開発事業を実施することとし、産業投資特別会計出資金四億円、公募債十九億円を財源とし、事業資金として前年度に対し六億円増の二十三億円を予定しております。  最後に、北海道東北開発公庫につきましては、資金需要の増大に対処するため、産業投資特別会計出資金十億円、資金運用部資金等政府資金と公募債五百五億円、自己資金等百億円を財源とし、貸付規模として前年度に対し、九十五億円増の六百十五億円を予定しております。  以上をもちまして、経済企画庁予算並びに財政投融資計画についてその概略を御説明申し上げました。     ―――――――――――――
  194. 登坂重次郎

    登坂主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  195. 島本虎三

    島本分科員 この際、予算委員会に移りました一月二十九日壁頭の石橋委員がいろいろ質問いたしまして、そしてその質問が終わったあとで、一つの命題として三つの点にわたって内閣の意見を求められ、内閣ではその趣旨に沿って今後の行政を進める、善処するということでありました。  その一つは、あの石原産業の海の水やその他の水質の問題について、今後何としても監視体制、測定体制の重要性を申されまして、連続的な自動監視の促進をはかるべきである、こういうようなことをはっきり申したわけであります。  それともう一つは、企業内の公害防止監視体制を整える必要もある、その義務づけの必要もあるのだということをはっきり言っておったわけであります。  もう一つは、企画庁や建設省を含めて公害に取っ組むその行政の姿勢として、要員の科学的技術陣営の強化、再訓練の必要もある、こういうような点についてはっきり政府は今後の善処を約束したのでありますが、その具体的な方法について、水の点が主でありましたので、これはやはり経済企画庁の意見を伺って進めなければならないのでありますが、あるいははっきりした問題であり、世の一つの焦点になった問題でありますので、これは大事であります。ひとつこの問題についての大臣の御所見を賜わりたいと思います。
  196. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 御指摘のように、今日までの監視測定体制というものが不備であり、特に今後はますますこの方面の重要性が増してくるわけでございますから、政府といたしましても、この方面にぜひ力を入れてまいりたい、こういうふうに考えております。  あのときにも議論がございましたように、いわゆる自動測定器等の設備もできるだけこれを急速にふやしてまいる方向でもってひとつやっていかなければなりません。それからまた、今日各機関、政府あるいは地方団体を通じて、非常にばらばらに行なわれております監視測定の体制をもっと整備いたしますために、御存じのように、知事を中心にいたしまして、一つの測定体制をつくりあげまして、そしてそれに必要な測定計画というものをつくり、そして、その結果を各機関とも知事に送付して、一元的に知事のもとでもって集中する。そしてまた、その結果は公表する、こういうようなことになっておることは御存じのとおりであります。  これらの体制によりまして、農林省、厚生省、建設省等々に分かれておりますところの水質の測定というものをお互いに補完し合って一元的なものにやってまいる。そしてまた、それらに必要な予算も、今回は特に増額をいたしておるわけでございます。その中には、いわゆる自動機器の問題も入っておるようなわけでございます。  なお詳細、具体的な点がございましたら、政府委員から説明をさせたいと思います。
  197. 島本虎三

    島本分科員 時間が惜しうございますから、それではもう一つ具体的にお伺いいたします。  これから水の問題がなかなか重要視されます。その水の問題の環境は、すべてこれは現在のところ企画庁が中心になって行なうような体制にあるわけであります。たとえば川であります。川は河川法が施行されております。三年間にわたってその河川法の政令によって実施するいわゆる政令ができない。去年の八月過ぎにようやくこれが実施されて、その中には流量とあわせて水の清潔の問題を含めて向こうにはちゃんと監視員が置かれて監視する運びになって、現在運営されているのであります。  今後は、昨年暮れに、いわゆる公共用水域の水質保全に関する法律と、それから工場関係法律とあわせていまの水質汚濁防止法ができ上がりまして、それ以後においての体制は企画庁が一切これを行なうことになるわけであります。一元的に行なう水の問題一つでも、河川法によるところの監視機関をもうすでに建設省が持ってこれを行なう、その中に流量はもちろんですけれども、清潔というのが法律の中にちゃんとあるわけであります。それと、経済企画庁のほうでも、環境についての水の全責任を持ってこれを行ない、監視し、指導し、測定していかなければならないわけであります。測定の場合はさせなければないわけであります。そうすると、一元化して強化するというのが、また水の点、川の問題についても、現行法の中では二元化されることがはっきりしておるわけであります。私はやはり公害の立場からこういうような問題をはっきりさせて実施したほうがいいんだ、こういうように思うわけでございますが、まだまだありますから、簡単にひとつこの点お答え願いたい。二元化されるような要素があるぞ。そうでない以上、経済企画庁が中心になってやらなければならないのだ。しかし経済企画庁に足がない。足があるところが今後この衝に当たるようなことになるのじゃないか。それは水の点ではまず建設省がなるのではないか、二元化のおそれがないか、伺いたいと思います。
  198. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 一元化、一元化と申しますけれども、それはその行政が一つ集中的に行なわれることによって非常に能率的に行なわれるという場合でございますが、これは、私は必ずしも形式上の一元化というよりも、むしろ実を取るべきではないかと思うのであります。大体河川法のいわゆる二十九条の問題は、島本さんもよく御存じなわけでありまして、こちらはこちらのほうで、河川管理者の立場からできるだけ河川の清潔を保ち、水質の保全を保つ、これはまた当然そうした見地から行なわれてしかるべきものであろうと私は思います。  たとえば一級河川のようなものは、建設省が相当多く膨大な機構を持っておる際でありますから、現在の膨大な規模のものを活用する、私はそれでいいのではないだろうか。問題は、先ほど申し上げましたように、今後は県知事が中心になって行なわれてまいりますから、そうしたデータというものを県知事のところに集中する、そうして測定の計画等もそこを中心にしてつくられて、そのプログラムに従って各機関それぞれの立場からスタッフを使ってやってまいる、こういうところが一種の一元化になっておるのだろう、こう思っております。御指摘のように、企画庁自身は、自分自身で手足も持っておりませんし、それらの機関の現場というものを活用していく、これはこれでもって十分目的を達するであろう、こういうふうに考えております。
  199. 島本虎三

    島本分科員 水質のいわば環境の保全については、もうすでに二元化であったほうがよろしいという大臣の考えのようでありますが、これで強力な今後の水質行政が行なわれるのかどうか。私はそれをおもんばかるから言うのであります。その答えはその程度にして、私は、その行き方に対しては、今後の問題として問題を残すことを指摘しておきたいと思います。  それと同時に、今後水質基準、環境基準、排出基準、こういうようなものを具体的にきめて実施させる、その責任はどっちのほうで持つのでしょうか。この問題は事務当局でもいいのですから、はっきり答弁してもらいたいと思います。
  200. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御承知のように、水質汚濁防止法が昨年臨時国会で制定をせられました。これに基づきまして水質基準等がきめられることになるわけでございます。そこで、いまお尋ねの、排水基準と今度新しいことばで言っておりますが、これにつきましては全国一律の基準、これは経済企画庁長官が定めるという形になります。それからさらに、これよりもきびしい基準を水域によってきめることができるようになるのであります。これは御承知のように、都道府県知事がきめる、こういう形になります。  それから、環境基準でございますが、これは公害基本法に基づいてきめられるものでございまして、昨年の四月にこの基準の類型がきめられております。これをさらに当てはめをするという行為が行なわれますが、これはいままで国がやっておりました。つまり、作業は経済企画庁がやりまして、中央公害対策審議会の審議を経てきめる、閣議決定をいたしておりますが、今後はこの環境基準の当てはめ行為につきましては都道府県知事に原則として委任をしてまいりたい。これは公害基本法の改正によりましてこれができることになりましたので、そういうことでやってまいりたいと思っております。
  201. 島本虎三

    島本分科員 こういうようにして、国のほうの権限として経済企画庁の場合には足を持たないがために、わりあいにこれは強力なものではない。ただ学術的に基準をきめておろしてやるだけで、あとは皆さんまかせだ、こういうような状態のようであります。しかし現実的にそういうようなかまえの中では公害はだんだん進んでいくんじゃないか、こう思うわけですが、念のために聞きます。  北海道の洞爺湖、あの水質基準の点はどちらがきめているのですか。
  202. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 現在、水質保全法による水質基準をきめておりますが、これは御承知のように指定水域についてきめるわけでございます。洞爺湖はまだ指定水域にいたしておりませんので、現在の段階までにはきまっておりません。今度の新法になりますと、いわゆる一律基準というのがかかることになりまして、当然これが適用されることになります。さらに必要があれば今度は北海道の知事が上乗せ基準をきめる、こういうことになるわけでございます。
  203. 島本虎三

    島本分科員 洞爺湖は、あれは国定公園ですか、国立公園ですか。その範囲に入っていませんか。
  204. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 国立公園であると承知しております。
  205. 島本虎三

    島本分科員 国立公園の場合には、その水質や、そういうものまでそれを扱う厚生省なり、また水の点ではこれは経済企画庁がはっきりした権限を持たなくてもいいものですか。
  206. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 国立公園の地域は、当然非常に良好な環境が維持されなければならないわけでございます。したがいまして、こういった地域についての環境基準の当てはめをやります場合には、非常にきびしい基準がきめられておるというのが従来の実績でございます。したがいまして、こういう地域における排水基準等につきましても、こういったきびしい環境基準にあわせてやっていく、こういうことになると思います。
  207. 島本虎三

    島本分科員 あまりにも現状に対して、私が知らないと思ってでたらめを言い過ぎませんか。そんなのは、教科書に書いてある活字を読めばそんなことになるのですよ。私の場合、生きた行政を進めるために、具体的にこの環境保全のためにつとめなければならない、その責任ある一つの体制として、いまや水のことでは経済企画庁だ。したがってこういうような体制はしっかりしなければならないということを言っているのですよ。洞爺湖はやはり国立公園、その中の水、これについてはもう最高の基準で守られなければならない。あたりまえです。しかし現実はどうなんです。  昭和十四年洞爺発電所建設以来、強酸性の鉱山廃水を含んだ長流川の水が流れ込むようになってきて以来、洞爺湖の水は約この二十年間で発電所の放流水が流れ出るような状態になり、道立工業試験場の調査によると、鉱山廃水が湖に流れ始めてからの四年近くの経過としては、昭和四十一年には湖水はPHで中性に近い六・六から六・八、さほど悪くないような状態になっておった。それが四十二年にはPHで六・三、四十五年にはPHで六・〇、だんだん低下してきている。長い間に、湖水に含まれているアルカリ性そのものが、この流入する鉱山廃水の酸を中和する働きをしてきたけれども、最近中和能力がほとんどなくなった、こういうような報告があるのですよ。最高の状態を保たなければならない国立公園の中で、もうすでに水がこういうようになっている。それを、お経を読むようにして、小学校の教科書を読むようにして、そんなことで水質管理ができますか。冗談にもほどがありますよ。いまの答弁取り消しなさい。まじめにできないじゃないですか・そんなことを言っていたら。
  208. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 ちょっと、御質問の趣旨を取り違えた点があるかもしれません。私が補足しますが、つまり、島本さんの御質問のように、国立公園であるから特別のきめ方をするという仕組みにはなってないのです。その点が食い違っていると思います。そうではなくて、現在においては企画庁が地方の意見を聞いてきめておる体制になっておるわけです。それが地域の指定ということを前提にしているわけです。そういう状態では、御存じのような企画庁の世帯でございますし、これを全国どんどん汚濁が進んでおる状態のもとにおいて、企画庁の職員が行って一々全部調べていたのではたいへんな年数がかかる。そういうことでは新しい汚濁の進む状態に対処し切れない。そういうことであったればこそ、御存じのように制度を変えて、そして知事を中心にしてやっていく。まず一律基準はきめる。それで必要な場合には上乗せ基準を、地方の実情を一番知っておる知事がきめるのだ、こういう体制にして、現在指定されてない地域を急速にまず指定をしていかなければならぬ。しかし、この新法ができる、実施期日の間のしばらくの間は、できるだけ企画庁がこれを急いでやろう。現在ずいぶん注文がたまっています。そういうことによってやっていくわけでありまして、その際に、国立公園の部分のところは特に水がきれいであることを要求されておりますから、非常にきびしい環境基準が要求されておる、こういう点をさっき御説明をしたわけであります。それは百も知っている、こういうお話でありますが、われわれとしてはできるだけそういう新しい体制のもとに、従来指定地域でなかったようなもの、たとえばいまの洞爺湖のようなものを急速に指定をしていかなければならない。それで、いまお話しのように、早急にきびしい基準によるところの水質規制を実施しなければならない。率直に言いまして海と湖は非常におくれておったのであります。でありますから、いま御指摘のような点がほかにもずいぶんございます。こういう点を何とかできるだけ早い機会に水質規制を実施したい、こう考えているところであります。
  209. 島本虎三

    島本分科員 したがって、いま言っているように、もっとこれは環境を整備していかなければならない湖、その中でもこの湖の場合には、国立公園の場合は、特に今度は特別な環境基準、これさえもきめようとしているようなことになっているにもかかわらず、これがまた現在のところでは、法律ができているからだんだんよくなっているはずだとこう思っていたら、酸化が高まっている。魚が住めないような湖にもうなっているんだ、これがいままでの状態なんです。これを今度やるためには、具体的にどういうようにするのか、その計画を出してもらいたいと思います。このままでは、四十一年以降だんだん悪くなってきていますから、今度またよくするといっても、そのままはいそうですか、いままでだってちゃんとまかしてある。許可権だって向こうのほうにある程度持ってこれは管理しているはずです。ところが、やはりだんだん悪くなってきている。それならば、一つの計画を立ててもらわなければならないと思います。私は、具体的な計画がほしいと思うのです。これについて、委員長、これは出してもらえますか、もらえませんか。
  210. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 これは、いまお話ししましたように、今日までは水質規制の体制は一応形は整っておりましたけれども、非常に不十分な体制であったわけであります。そして、一々企画庁が全国の何万本とある河川を一つ一つ求めに応じて地元の要求の強いところから一年もしくは二年の調査をして、そうしてやっと基準をきめてきておった。であるから、なかなか指定地域というものも数がふえなかったのであります。ですから、いま御指摘のように、二年あるいは三年あるいは四年前から体制ができているのに、汚濁が進んで、改善のあとがちっとも見えないというのは、われわれに言わせますとごもっともなんでありまして、汚濁のほうが早く進んでおった、それに対して規制の体制があとを追っていけなかった、こういう形であったのが実情でございます。  したがって、一方において指定地域の数がなかなかふえない。それからまた、かりに基準をきめましても、その基準をきめたときからまた急速に汚濁負荷量がふえています。工場の数がどんどんふえてくる。でありますから、同じ地域の水質をきめましても、とても前の基準では合わなくなってきている。こういうものの見直しも必要である。こういうことで、能力に応じてその見直しも進めてきておるのであります。  しかし、とても現在のような体制では間に合わないから、先ほどから申し上げているように、まず地元を中心にして早急に水質をきめてしまう、その前に一律の基準をまず設定してしまう、こういうことでもって急速にやろう、こういっているのでありますから、何もこれをいま――それからまた、水質の汚濁の状況というものは刻々と変わってきております。でありますから、率直に言いまして、今日まだ問題にならないようなところが、来年は汚濁しているかもしれません。そういう意味においては、今日、ある意味において切りのないところがあるわけであります。そういう意味において、われわれはまず、一律基準をきめる、これがまず一番基本的な対策になると思っております。そうすればまず指定をしなければならぬということは、手が省けるわけですから、その上で必要なところはどんどん上乗せをしていくというわけでありますから、これについては、結局、地元の知事と相談して、そして結局、知事が主たる主導権を握ってそうしてやってまいるわけであります。まだ新しい体制でございますからして、いま具体的に計画といっても、そういう数字を持っているわけではありません。これからいよいよこの新しい法律ができまして地方に権限が移ってまいる。そのときに、県ごとにどういうふうにやっていくか、これはその地域の要望に応じてつくっていかなければならぬというふうにわれわれは考えております。
  211. 島本虎三

    島本分科員 これは、企画庁長官も、年末の公害国会の際に、企業は、排出基準を守っても、被害を出したような場合には、不法行為の責任は免れることはできないのだ。したがって、この問題点として、排出基準をつくった国または都道府県もその責任を免れることはできないのだ、しかし、そういうふうなことは、理論としては成り立つけれども、希有の事態だと思うのだ、こういうような答弁があったと思うのです。やはり責任は国と都道府県も持つのだ、まず第一番に、そういうような排出基準を守ってやっても害を与えた、そういうような場合には、企業はまず責任を免れることはできないのだ、これはあなたの答弁でした。そうですね。ところがもう、こういうようないい答弁がありながら、実質的には何らこれが行なわれていないのですよ。そんなものじゃ困るのです。  具体的な例をあげると、いま北海道では、依然としてあの十勝川の中では、まあこんなことを言うのはあまり好きではありませんけれども、BODについて見ると、三PPMが基準になっているのです。しかし、十月十六日は一〇・九PPM、十一月十九日は平均して四・三PPM、そうしてそれが下流のほうへずっと行ってみても、これは帯広の十勝大橋のあたりでも三・一二四PPM、池田町の大橋の付近でも三・二五PPM、豊頃河口のほうに行っても三・五PPMである。こういうようにして川がよごれておる。こういうような場合には、三PPMが基準だといわれても、実際上それ以上の数値のものが流れているのが実態なんです。これはもうでん粉とビートの工場の排出口から出るものです。ところが、知事権限で許可してあります。知事権限でいろいろ相談にも乗って、指導もしております。これはできないのです。そのままに最後よごれるのは川なんです。あすこには千代田堰堤があり、そこからサケをとって、そうしてふ化場に回して、それから稚魚をまた放っている。そこでだんだんのぼってこれなくなってきているのです。こういうようなところにそのままかしておいてもいいのかどうか。これは現実の問題です。ことしの問題です。いまの時点の問題です。この基準は再検討しないとだめだ。こういうようなことはあたりまえの話ですけれども、基準だけ守っていれば、もうよごれてもいいのか。こういうような考え方がもうすでに、そんなことはあり得ないんだ、希有の事態だといっても、あるのですから、これはすぐ検討しなければなりません。  もう一つは、こうやっていながらも、今度は苫小牧工業港の開発地帯の中に日軽金が進出してまいりました。そして日軽金の計画として今度、製造の過程で生ずる赤泥、この赤泥を海上投棄を決定して、いまやまた漁民との間にトラブルが始まっているのです。片や四日市でああいう事件が起き、片や愛媛でまたいろいろな問題が起こり、今度は北海道まで出ていって、日軽金のこのアルマイトを製造する過程において出る赤泥、こういうようなものをまた海洋投棄を決定したという、こういうようなことを次から次とやっていくようなやり方で、一体、監視はどこでしているんだ、一体、指導はどこでしているんだ、一体、許可はどこでやるんだ。どうもこういうような体制は一貫していない。今度の水の場合でも、これは海岸でも湖沼でも河川でも、みんな監視の対象に入り、それぞれが一貫した監視の中にこれはもう水の清浄を保たなければならないような状態になっているわけです。こういうようなことではたしていいものでしょうか。一つは十勝川の問題、現実の問題、一つはこれからいまやろうとしている苫小牧の日軽金の排出する赤泥の問題、こういうふうなことは重大な今後の問題になると思うのですが、現在そのままですけれども、これをどうするのか、ちょっと聞いておきたいのです、水の点に関して。
  212. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 十勝川につきましては、御指摘のように、四十五年二月に基準の設定をいたしまして、ただいまお話しのような基準を守るために水質の規制をやることにいたしたわけでございますが、現実のこの環境基準といいますか、環境が非常に悪化しておるという御指摘でございますけれども、そういった事態があれば、これはいままでの基準の内容を見直しをしなければならない事態があるかもしれません。私どもが一応資料としてとっておるところで見ますと、千代田ぜきのサケの捕獲場の地域でのBODは、規制前に比べて若干改善をしておるというような数字になっておりますけれども、ただいま御指摘のようなこともございますので、この辺はもう少し調査をいたしてみたいと思います。  それから、苫小牧の日軽金の問題でございますが、赤泥を海上投棄するという問題は、実は私、ただいま伺いまして初めて知ったような状況でございますので、どういう計画でどういうやり方をするのか、その投棄の場所はどこか、また、赤泥と申しますものがどういった物質であるのかというようなことを十分きわめませんと、なかなかどうするということも言えないわけでございます。いずれにしても、今度の臨時国会におきまして海洋汚染防止法もつくられたことでございます。当然現在の法律におきましても、工場の排水等についての規制ということが、これは通産省の仕事として、おそらくこれは知事に委任されておると思いますが、行なわれておるわけでございます。その辺の各省の御調査の結果なども見まして、この問題は、非常に重大なことであるならば、われわれとしては何か考えなければならぬと思います。
  213. 島本虎三

    島本分科員 どうも一世紀ずれたような答弁ではありませんか。重大なことであるならば考える一いままで言っていることは、大臣これは全部重大なことじゃないのですか。おもちゃみたいなことを言っているというような考えで答弁されているのですか。りっぱな日本語を使って答弁してもらいたい。もうそれならやらないという姿勢じゃありませんか。幸いにして厚生省、水産庁それから海上保安庁も来ているようでありますが、この赤泥は当然産業廃棄物として規制し、その対処をその事業そのものに求める性質のものじゃないかと思うのです。海洋投棄をそのまま許すようなことになってはいけないと思いますが、これは厚生省当局に意見を承ります。  それから、同時に水産庁竹原調査官も見えているようでありますけれども、これによって赤泥が直接魚のえらに付着することによって、これはもう窒息死のおそれがあり、また魚の通路並びに日光の遮断、こういうような回遊の状態を変えるような悪影響のおそれもあり、同時に、海中の光線遮断、これが海水の中で発生するプランクトンに対する影響も当然あると考えられるわけであります。こういうような状態にしておいて、水産庁はこの酸性値を許可なさるのかどうか。  同時に、海上保安庁、貞広警備救難部長も来ておるようでありますが、こういうような事実を知っていなさるかどうか。往々にして海上保安庁は、そういうような事実を知らないうちに行なわれ、あとからびっくりする、こういうようなこともあるようであります。しかし石原産業の場合にはよくやりました。今後はそういうふうにしなければなりませんので、赤泥の海洋投棄、この点十分知っていられるのかどうか。そういうような場合にはどういうように処置するのか、これを承りたいと思います。  通産省の小川金属課長も来ておりますが、こういうような点通産省は指導してこれを投げさせることについて許可することにしたのかどうか、これは重要でありますので、この四者の答弁を伺っておきたいと思います。
  214. 小川利男

    ○小川説明員 先生のおっしゃられました工場につきましては、本年の十二月から工場が竣工されまして海洋投棄がなされるわけでございます。それで、どういう方法をしているかと申し上げますと、一応ボーキサイトを南のほうから輸入をしておりまして、それをアルカリ性のものでアルミナにいたします。そして、そのアルミナができるときに同じ量ぐらいの赤泥ができるわけでございます。それで、その赤泥をこれから約百キロ以上離れたところに捨てようというような計画でいま慎重審議しているわけでございますが、一応よろしいということできめたわけではございません。
  215. 貞広豊

    ○貞広説明員 ただいま先生がお話ございました点につきましては、私どものほうには本年一月十一日会社側から説明がございました。それで、私どもといたしましては、本件については海洋に投棄できるものは厚生省所管の廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいてできるとなった場合には、今度は海洋汚染防止法によって、政令で定める海域で省令の定める方法によって捨てることになりますので、その海洋汚染防止法の政令は本年五月中にはこれができますが、会社の言い分である本年十二月までには十分間に合うと思われますので、もしそれが投棄できるというものとなって、また海洋汚染防止法の定める基準で投棄できるというふうになればそのようにしなさい、このように指導いたしてお帰しいたしました。
  216. 曾根田郁夫

    ○曽根田政府委員 ただいまお話ございましたように、その産業廃棄物につきましては、私どものほうで法律の施行までにまだ若干余裕がございますけれども、できるだけ早く処理処分等の基準を政令を作成いたしまして、海洋に投棄できるようなものについては具体的にどこまで無害化等の基準を要求するか、そういうことを検討いたしてまいりたいと思います。具体的にいまのお尋ねのものが海洋投棄に適当なものかどうかにつきましては、実態を私どもまだ必ずしも承知いたしておりませんので、実態を十分検討いたしました上で関係各省とも協議いたしたいというふうに考えております。
  217. 竹原幸吉

    ○竹原説明員 水産庁といたしましては、本年の一月初めころかと思いますが、やはり会社のほうから苫小牧におきますところの赤泥の海洋投棄の問題についての説明を受けております。なお、北海道の関係漁民並びに業者の全国団体等から、これに対する反対の陳情も受けておる次第であります。水産庁といたしましては、その赤泥そのものがどういうものであるか、そういう実態をまず知る必要がございますので、この同じ会社で静岡県の清水に同じ工場があります。そこの工場に係官を、本月の初めごろかと思っておりますけれども、派遣いたしまして、赤泥の実態を調べさしております。  いずれにいたしましても、簡単に申しますと赤土のうんとこまかな粒度のものでございます。そういうものが海中に投棄されますと、その海域におきますところの漁業の実態、それから回遊その他水深等いろいろと実態を調べてみなければわかりませんし、いずれにいたしましても濁りが生ずる。それから、そういうものが投棄されることによりまして魚が驚いて逃げる、いろいろな影響は十分調査しなければわからないというふうに考えております。
  218. 島本虎三

    島本分科員 時間がないのでこれで終わらざるを得ません。ただ、これで終わったんじゃありません。いままで昭和電工ではこれは全部埋め立てに使っておった。それが埋め立てる場所がなくなったので東京湾に投げておった、それが指摘されてやめてしまった。今度は三島の点でも同じような状態、北海道に行ったらまた海洋投棄、どうなんですか。要らないものは全部ただ投げればいいのなら、海はそのままよごれるのですよ。責任をもってこれを埋め立てに使うというのだったらほかに何か考えていいはずだ。産業廃棄物じゃないか。これは各省の横の連絡も悪いと思う。この点は十分閣議にはかって、こういうような点について万遺憾なきを期するように今後していただきたい。これを強く要請するとともに、いままでの質問の中に、それが重要なことであるならばやるとか、さもこれは重要でないような考え方を持ってやっておる間に、水質の汚濁は次から次へ進んでいく、こういうような体制ではだめであります。その姿勢の悪さは私は許すことができません。  これで終わります。
  219. 登坂重次郎

    登坂主査 次に、近江巳記夫君。
  220. 近江巳記夫

    ○近江分科員 私は、きょうは限られた時間でもございますので、物価の問題、そうした観点から質問したいと思います。  昭和四十二年の経済社会発展計画におきまして、そのスローガンの中で、消費者物価の年上昇率を次第に低め、ここ数年の年六%程度の上昇から、計画期間の終わりには三%程度にまで引き下げることを目標とする、こうしたことがありまして、その後全然計画どおりに行かない。さらに昭和四十五年に新経済社会発展計画にも同じようなことをおっしゃっておるわけです。ところが、初年度から七%をこしておる。いま公取等を中心として不当表示ということがいわれておりますが、不当表示の計画じゃないかと言われてもしかたがないと思うのです。その点、同じようなこういうことばかり続けておるならば、私はたいへんなことになると思うのです。そういう点で、何といってもこの物価の問題については経企庁長官が中心になられるわけでありますし、その長官の姿勢が一番問題になるし、またそれが大きく響いていくわけです。そういう点で、まず物価のそうした問題についてあらゆる物価上昇を押える方法については断固たる決意で臨まれるかどうか。その点についてまず初めにお聞きしたいと思います。
  221. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 経済成長と物価というむずかしい問題をわれわれもここで十分経験させられておるわけでありますが、しかしいずれにしましても、そうした経済成長があるから物価は多少高くてもいいんだという従来のものの考え方、そういう根本からやはりこの際、各方面の認識を得なければならないと私は思っております。それにつけましても、物価問題の重要性というものを徹底させまして、そして企画庁の立場としては当然のことでありますが、いま御指摘になったような心がまえをもって物価対策に臨んでいかなければならない、こういうふうに考えております。
  222. 近江巳記夫

    ○近江分科員 物価対策についての心がまえのお話があったわけであります。いろいろあるのですが、まず初めにお聞きしたい。国際石油業者と国内石油業者の例の交渉が始まっておりますが、非常に難航してきておる。御承知のように、この石油は、主張どおり上がるとすれば、一バーレル二十八セントとすると百一円の値上がり、日本がかぶるといたしますと千五百億円、昨年年末の値上げを入れますと約二千億、人口一億で割りますと、大体一人当たり二千円の負担をしなければならない。転嫁された場合重大な影響を今後与えていくことになるわけです。しかし日本の国内石油業者のそういう態度というものは非常に弱々しく、しまいにはこれは小売りのほうに、一般消費者に転嫁せざるを得ない。いまこう言ったって、それはやむを得ないだろう、何とかなるだろうというような姿勢が見えるわけです。こういう状態で、そういう弱腰のままでわれわれがぼおっと傍観しておっていいのかというにもなるわけです。この辺について、物価の総元締めである経企庁長官としては、現在のこういう推移をごらんになっておられて、それをどのように受けとめ、どういう対策を今後とられますか。
  223. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 単純に一人頭二千円ということはもちろんないわけでございまして、これがいわゆる卸値からだんだんと製品にいくわけであります。その過程においてできるだけこれを企業において吸収してもらう、これ以外に私は考え方はないと思っております。そういうことを前提にし、特にこれが公共料金なんかに関係を持つ場合には、われわれとしては従来の方針によってそれを理由とするところの引き上げは認めない、こういうような気持ちでおるところであります。
  224. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それでは、そのまま押し切られて、あと順繰りに卸なり小売りなりいろいろなところで吸収してもらって、一般消費者には負担を軽くしていく、そういう弱腰で要するに長官としては臨んでいらっしゃるわけですか。いまは国際石油資本と国内業者がそのことで交渉をやっておるわけです。いまの長官の御答弁では、そのままずるずると先方の言うことをうのみにして国内のあらゆる流通機構の面で消化していくよりしかたがないじゃないか、このようなお考えですか。
  225. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 あるいは御質問を私、誤解したかもしれませんが、もしどうしてもそういう場合にはという前提の御質問であると私は理解したからのお話であって、もちろん、通産大臣もしばしば予算委員会で述べていますように、業者に対してもできるだけ応援もし、そしてそうした弱腰にならないようにということで所管の通産大臣も言っておる際であります。企画庁としてはもちろん当然それを期待してはおりますけれども、いま企画庁自身としてどうするというわけではございません。当然そういう期待を持っております。
  226. 近江巳記夫

    ○近江分科員 その実施官庁は確かに通産省か知りませんけれども、要するに経済企画庁は単なる助言とか、そういうものを言っている機関であってはならないと思うのです。それでは、通産省とあらゆる相談もし、こういうふうにやっていきたいというような、何らかそういうものを持った取り組み方をしてもらいたいと思うんです。これは国民に重大な影響があるということはもうはっきりわかっているわけですから、そのことについては通産大臣と十分協議をなさったのですか。今回のこの交渉について当然こういうふうに取り組むべきではないか。大事な問題ですから、当然通産大臣ともよくお話しになっておられると思うのですが、その辺はどうですか。
  227. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 これは通産大臣に言わなくてもわかることでありますけれども、一応私のほうの立場というものをはっきりと向こうに伝え、そうしてひとつ極力がんばってほしい、こういうことは一回だけでなく、再三にわたって要求をしております。
  228. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そのことについては、あしたまた通産大臣にお聞きします。  そこで、次に公共料金の問題についてちょっとお聞きしたいと思うのですが、消費者物価指数に占める公共料金のウエートは大体二〇%くらいじゃないかということをいわれておるわけです。したがいまして、公共料金の値上げをストップすれば物価上昇率を五分の四くらいに押えられることになる、これは単純計算ですが。昨年末、経企庁長官は公共料金の一年間凍結を提案されて、郵便料金の一部を除いてほぼ認められたわけです。したがって、政府が発表した昭和四十六年度消費者物価上昇率五・五%については、もし公共料金の抑制がなかったとした場合、それが七%近くになるのじゃないかということにもなるわけなんですが、この点についてはどのようにお考えでございますか。
  229. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 別に公共料金の抑制をはずしたらというような特別な計算はありませんけれども、御存じのような成長と物価というような関係もありまして、いわゆるモデル計算というようなものもやっております。しかし、物価問題は御存じのような状況でありますから、単純な機械的な計算からだけで割り出すものではありません。同時に、一つの政策の目標であるわけであります。そこで、おそらくこのままの勢いでいきますと、七%はともかく、六%台になりかねないところでありましょう。そういうような点をできるだけひとつ、いまの公共料金の抑制もその一つでございますけれども、各般の施策を行ないまして、とにかくさしあたって五・五%くらいのところに持っていきたい、これが私たちの考え方でございます。
  230. 近江巳記夫

    ○近江分科員 五・五%に押える、それは単なる考え方であっては困るわけですよ。五・五%にしていくんだというそれだけの信念を持って実行してもらいたいと思うのです。その辺が、ただこれは掲げている単なる目標なんだということであってはもうどうしようもないと思うんです。したがって、今後封書なりはがきなり電話料金あるいは国鉄運賃の値上げ等が予想されていくわけですが、そうなりますと一斉に各公共料金もどんどん値上げが今度また予想されてくる。そうなってきますと、私はたいへんな問題になると思うのです。そこで一時公共料金をストップしても、またそれを徐々にはずしていけば今度はさらに上昇に拍車がかかってくるという問題になってくるわけですが、そういう点において公共料金を長期にわたって抑制して、そして全体の物価上昇を鎮静さしていく、こういうことを真剣に考えなければいけないのではないか、このように思うわけですが、その辺について長官としてはどのようにお考えでございますか。
  231. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 できるだけ公共料金を押えようという政府の方針は依然として変わっておるわけではありません。もちろんこれも価格の一部分でございますから、絶対に動かさない、どんなことがあっても動かさないといいましても、価格現象としての限界があるでしょう。しかしそれにもかかわらず極力それを押えていこう、こういうわけでございます。そこで万一どうしてもある特定のものについて上昇が問題になりますというようなときにはやはり上がり率を考えなければなりませんし、それからタイミングも大事でございます。私たちは昨年の秋の物価上昇というものを考えて公共料金の抑制に踏み切ったわけでございますが、今後一年たちましてから後も、その時点に立って、できるだけ押えられるものを押えていかなければならぬ、そういうつもりでおりまして、これは決して安易に考えておるわけではありません。そういう意味におきまして、今後国鉄料金その他いろいろと問題が起こってくるでしょう。全体の物価上昇というものを頭に置きながら、公共料金の取り扱いというものは厳に抑制していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  232. 近江巳記夫

    ○近江分科員 非常に抽象的なことばかり話されているわけですが、公共料金を長期にわたって抑制をしていく、それはいろいろな方法なりいろいろあろうかと私は思うのですけれども、一番のきめ手といいますか、こういう対策をすれば公共料金を押えられるんだというお考えはありませんか。
  233. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 御質問の趣旨がよくわかりませんが、長期にわたって、何年間か一切公共料金を抑制するという言い方は率直に言ってなかなかむずかしい点があると思います。これは要するにそれぞれの公共料金をかかえているそれぞれの立場を説得しなければならない問題であります。ただやみくもに押えてしまうといいましても、一体何年間のことかも明白でありませんが、やはりそのときの時点に立って、どうしてもこの際公共料金は抑制してもらわなければ困るんだ、こういう立場で説得をしていくわけであります。それだけにまたむずかしさもありますけれども、私たちはそういう意味において常時公共料金を原則として抑制する、こういう方針を常に掲げて、そしてそのときどきの情勢に対処していく、これ以外ないと思っています。
  234. 近江巳記夫

    ○近江分科員 先ほども公害の問題が出たわけですが、公害に便乗した値上げの問題なんですが、通産省が調査をしましたところが、民間企業の公害防止投資というのが昭和四十四年で大体千六十七億、全体投資の大体五%、このように聞いております。四十五年は千三百四十二億円、全体投資の大体五・八%にのぼっておる、このように聞いております。このようなものの投資を理由にして製品価格等値上げをすれば、基幹産業が多いだけに物価上昇をもたらすおそれというものが非常に大きいのじゃないか、このように思うわけです。もっともっとそこに企業努力といいますか、安易に製品の値上げに転嫁することは絶対に避けるべきだと思うのですが、この辺について長官としてはどのように思っておられますか。
  235. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 業者の立場らいたしますと値上げの理由に公害を使いたがる、これは非常に安易なやり方でありまして、それで世間が通ると思っておると間違いだと私は思うのであります。私のほうから見ればこれはいろいろなコストの上昇の一部であります。でありますから、これは特に公害のコストだから転嫁していいんだというふうにはまいりません。これは全体としてのコストの上昇の一部にしか当たらないのでありまして、そうした全体の立場に立って極力企業努力によって吸収さしていく。これを物価上昇の理由づけにすることは絶対に許せないことであります。
  236. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それを阻止するための具体的な施策、特に法令の運用等による阻止というものについては何かお考えでございますか。
  237. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いわゆる法令的なものが別にあるわけではございませんから、やはり今日までの全体のいわゆる価格対策、特にその中には最近では行政運営のできるもの――自由価格が大部分でございますけれども、行政指導のできるものはできるだけ行政指導も使ってまいる、そういう形のものでありまして、別にいわゆる統制的にやるというわけにはまいりません。あるいは許認可料金とかたまたま政府が介入するものがございましたら、もちろんそういう際にはお説のような立場から厳にこれを抑制していかなければならない、あとは全体としての価格政策による、こういうことになると思います。
  238. 近江巳記夫

    ○近江分科員 電力料金は公共料金であるわけですが、石油の問題がこうした問題になってきましたし、重油の六割ぐらいは電力会社が使用しておるわけです。そういうことで大口の使用という点からいま動きとしては上昇はできるだけ避けて、灯油とかガソリンで一般大衆に転嫁しようというような――そのまま値上げになった場合、そういう動きがあると聞いておりますけれども、しかし重油だって最悪の場合を考えたら値上がりもしてくる。そうなった場合、電力の値上げの大きな理由が持ち上がってくるのじゃないか、このように思うのですが、電力だけはどうしても値上げをさしてはならぬ、このように思うわけです。公共料金は全部ですけれども……。その点長官として特に電力料金問題についてどのようにお考えになっておられますか、ひとつその点を聞かしていただきたいと思うのです。
  239. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 電力料金は重要な公共料金ですから、私たちも上げる気はありません。原油の値上がりというような新しい問題が出ておりますけれども、そういう意味においてはいろいろなコストの上昇原因があるわけであります。それを一々議論しておったのではなかなか抑制は困難であります。そういう意味で原油の問題がかりにあったにいたしましても、それを料金の引き上げを認めるという理由には一切したくない、われわれはそういうふうに考えております。
  240. 近江巳記夫

    ○近江分科員 先ほどの公害防止ということに関連して、電力も、重油の値上げと同時にそういうことを含めてお聞きしたわけですが、特に鉄鋼の価格の問題にしてもじりじり上げてきておる。こういう点、そういう公害防止対策に要るのだからということを理由にして上げてくるという点等については、価格上昇の原因を調査分析して明らかにする必要があるのじゃないか。これは石油にしろ、セメントにしろ、紙パルプ等についても同様でありますけれども、そういう上昇の原因を調査分析してその追跡調査をする、それについて経企庁としては今後どのようにやっていかれますか。
  241. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 鉄鋼価格は御存じのように一方においてコストの上昇が人件費も含めてあるわけでございますけれども、それよりも何よりも今日まで需要供給によって動いてきておるわけです。ですから昨年よりも半分近く値段が落ちたようなものもあるわけでありまして、ですから特に特定の原因だけをトレースすることはいたしておりません。しかし御指摘のように今後独占的な傾向の強い分野でありますだけに、独占禁止法というような見地からいたしましても、今後の鉄鋼の価格運営につきましては、十分われわれとしても注意をしていかなければいけない、こういうふうに考えております。
  242. 近江巳記夫

    ○近江分科員 注意はわかるのですけれども、私が申し上げているのは、そういう目玉的なそういう基幹的なものについては、やはり常に上昇の原因の分析といいますか、それを絶えず心がけていく必要があるのじゃないか、そのように思うわけです。  それから、家庭電器の問題ですが、消費者に対する電器メーカーの態度が、カラーテレビのコスト発表を渋り、次には値下げ拒否のそういう姿勢がある。現在、過剰在庫対策によるそういう動きをやっておる。そこに良質、低価格の品物を提供する誠意というものが感じられないのじゃないか、こういうような声が非常に強くなってきているのですが、まず一つは、カラーテレビの国内価格の構成というものを、輸出用のものだけではなくして、国内に多く出回っているそういう種類についてメーカーに発表させる、そういう措置をすべきじゃないか、このように思うのですが、まずその一点、初めにお聞きしたいと思います。
  243. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 ちょっとその御質問の趣旨がよくわからぬのですが、原価の構成を発表しろ、こういうお話ですか。
  244. 近江巳記夫

    ○近江分科員 要するに、原価の――そうです。その辺がまだはっきり出ていないわけですね。それについてはどう思われますか。
  245. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 このいわゆる原価の秘密というものを、いまいわゆる法律的にこれを追及することはもちろんできませんが、特にああいうふうに社会問題にもなり、いろいろしておる問題については、行政指導をしていかなければならぬということで、通産省でもせっかく骨を折っておるところでございます。そういう際に、やはり社会的な要求もあり、行政指導の関係もあって、業界側から一応のものを出したのは御存じのとおりでございます。これが十分であるとか不十分である一とかいろいろ議論はあるわけでありますけれども、われわれとしては、とにかく全体としてできるだけ下げさせる。もし合理的な理由がなくて下げるべきものをことさら下げてないということがはっきりしておる、こういうような事態については、当然、今後行政指導によってできるだけ下げさしていくようにしなければならぬ。そういう意味で、現在の公坂と通産省の指導も行なわれておるわけでありますから、それらの行政指導にできるだけ期待をしたい、こういうふうに考えております。
  246. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そういう具体的なことになると、公取とか通産省ということになってくるわけですけれども、私がいまここでなぜあえてこれを申し上げているかといいますと、要するに、物価の総元締めの責任者としての長官でいらっしゃるわけですし、そういう点については実際はそれは通産省なり公取かもしれないけれども、私としては、こうしていきたいという具体的な力強い答弁を期待しながら、きょうは質問しているわけですよ。何でも公取とか通産省ということになってしまえば、別に長官に質問してもしかたがないわけです。ですから、私は、長官自身の御意見というものをお聞きしているわけです。  それから、電気製品の現金正価を引き下げてみても実売価格が下がる保証というものはないのじゃないか。たとえば正価を一五%引き下げて値引きなしで売れば、二〇%値引きで売る場合よりも高いことになるわけです。ですから、この点の指導というものは経企庁としてはどのようにお考えでございますか。
  247. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 もちろん、われわれが具体的に指導するのでないから、いまのお話しのような歯がゆさがおありだろうと思いますが、実際は、個々のものによりますけれども、各省から企画庁に十分相談があります。そういう際に強くわれわれの希望を打ち出しているというのが実情であります。これは役所間の交渉事でありますから、別に表に出ませんけれども、方針はもちろんあなたが御指摘になった方向でわれわれとしても極力やってまいりたい。それでいまの点も、具体的にどうというよりもやはりこの問題全体について、その点の分析、追及もして、その上で十分の行政指導をするように強く要望しておるのであります。特に企画庁として具体的にどうするということはありませんけれども、これは終始この問題について相談にあずかり、そしてできるだけ引き下げの方向で進むように――ただこの間も私予算委員会なんかで聞いておりまして、それについてだいぶ見方に食い違いがあるように感じました。通産省としては、相当実績をあげておる、こういうふうに見ておりますけれども、そうした点については、われわれは直接調査能力が残念ながらございませんけれども、なおやはり一般のそうした世論というものを十分加味して、なおその指導について強く要求しなければならぬ、こう思っております。
  248. 近江巳記夫

    ○近江分科員 だいぶ時間もないようですので、あと一問で終わりますが、電気製品、特にテレビ等、この過剰在庫対策に使った費用を後日消費者に転嫁するおそれというものはまた出てきておるのですが、それを防ぐためにどういう対策を今後とっていくのかということなんですが、これについては通産省とどういう話し合いをされておりますか。
  249. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 結局はこれは、現在においてはやはり流通機構というものに問題があるように考えられます。そこで、その流通機構があまりに複雑で、リベートがあったり値引きがあったり、それが表に出ないための移しかえがあったりいろいろいたしておるようでありますが、そうした――現在もちろん自由主義の体制のもとで許されておるとはいいながら、そこにあるいは実質上の再販的な要素があるのではないか、あるいはまたカルテル的なやみ的な行為があるのではないか。やはりそういうような角度からこれを取り上げる以外には現状としてはありません。そういう意味において、やはり十分調査をしてみなければならない。その上において、結局もう少し流通機構というものを簡素化し合理化する、そういう方向での行政指導をやっていってもらう、こういう方向で臨みたいと思っております。
  250. 近江巳記夫

    ○近江分科員 では時間がありませんので、終わりますが、どうかひとつ物価の問題――長官のところでは公害のそうした基準の問題とかいろいろあるわけですが、どうかひとつ、この問題は最も大きな問題の一つでもありますし、長官のところが柱になっておるわけですから、きょうは時間がありませんのでこれで終わりますが、どうぞこれからもひとつさらに決意を新たにしてがんばっていただきたいと思います。  以上、終わります。
  251. 登坂重次郎

  252. 小林信一

    小林(信)分科員 実は私は鉱山の休廃止した処理問題について適切な処置をしていかなければいけないという点を政府に申し上げて、それに対する御意見を承ろうとしたのですが、それなら通産省にお聞きすればいいのですが、帰するところはやはり水質汚濁防止法の問題にかかってくるわけでございますので、経済企画庁長官にお伺いして、いままで一つの問題と取り組んでまいりまして、通産省でも厚生省でもずいぶんその対策を練っていただきました。それを長官に聞いていただきながら、この水質汚濁防止の完全な実施というものをお願いをし、御意見を承ろうとするのですが、この法律の第一条を見ますと、これはたいへんな仕事だ。しかもこれをやってもらわなければ、ほんとうに国民の健康を保護したりあるいは生活環境を保全するということはできないわけだけれども、これは経済企画庁だけでなく、もちろん地方の自治体もその任務を担当しておりますし、それから工場であるとかあるいは事業所、そういうものはそれぞれ所轄の官庁が監督をするわけでございますが、よほどその統括をうまくやっていただかなければ、私がこれから申し上げるようなまことにむざんな状態に差しおかれることがあると思うのですよ。さらに、そういうものに対する対策費というようなものは、本年度予算を見ますときわめて微々たるものです。これを単に通産省だけにまかしておくのではなくて、そういうものを統括する責任が企画庁にあるならば、企画庁もこれに関心を持ってもっと多額の予算を要求しなければ、実際国民の健康というものは完備できないわけなんですから。私、しろうと考えでそういう結論を出したのですが、あらかじめそのことについて長官の御意見がありましたらお伺いしたいと思うのです。
  253. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 率直に言いまして、経済企画庁にその統括権がないのです。つまりこのないというのが、結局今日の公害問題がここまで来てしまった理由だと思います。経済企画庁は、全くただ水質をきめるだけの役所として今日まで公害にタッチしてきています。ですから、ごく小人数でもって水質の基準をきめて、各省からいろいろ要求があったり相談があってそれをやっておる。しかし、たとえば今日まで水質保全法とそれから工場排水の規制法と二本立てでやってきていますが、工排法の所管大臣にはなっていないのです。そういうようなざまでありますから、率直に言って水質をきめっぱなしというような行政で来たわけです。これがやはり今日までの行政をおくらせてきた原因だと思います。今後環境庁ができ、そして保全法と工排法というものを一本化して水質汚濁防止法という、ともかくも一本の法律にしたいということが非常に画期的な意味を持つというのは、私はそこにあると思います。こういうことになってまいりますと、今度はもちろん環境庁が扱うことになりましょうけれども、これはいままでにない統括的な力というものをそこに持ち得るということになってまいります。そういうことで、われわれは、残念ではありましたけれどもこれを規制する、監督する力が今日までなしに、ただ水質だけをきめてきた。そうしてそのあとの実行はすべて各省のあれにまかしてきた、こういう体制であります。そういうことでありますから、なかなか具体的な問題になりますと明快にお答えしにくい問題があります。しかし、やはり水質をきめるからにはその土地についての調査を行ない、当然のことでありますけれども、その汚濁状況について深い関心を持っております。でありますから、所管庁でないと言って別に逃げることではありませんので、できる限り御質問にこたえまして、そして結局これは各省に対して強く要求するものもありますし、それから水質自身の見直しを行なうというものも出てきますし、いろいろな角度でわれわれとしてなし得るだけのことをやっていかなければならない、こういうふうに考えております。
  254. 小林信一

    小林(信)分科員 そのことばを国民が聞いたら、まことに不安この上ないものだと思うのです。それは確かに法的にはそうかもしれませんけれども、それは同じ閣僚でございますね。個人的な意見も述べて各省の督励を促すとか、あるいは個々の問題を指摘してやる段においては、これは責任がないとは言えないと思うのです。いまの場合はそういうふうな法律がどうであっても、とにかくこの水質の問題を、保全をはかるという面においては、第一条から考えれば、とにかく防止をはかって、そうして健康の管理をしなければならぬ。そういう点がしなければならぬことなんですが、とかく官庁のやり方というのは、そういうお互いの場所だけを守って、連絡とかあるいはそれを統一するとかいうようなことに私は欠けていると思うのです。今回もそういう事実を私はよく見ました。   〔主査退席、松野(幸)主査代理着席〕 したがって、この公害をなくするというふうな問題はそれ以前の考え方で、法律、制度、そういうもの以前の考え方というものを十分に出さなければ、これは大臣だけじゃないと思うのですよ、各官庁の役人がそういう気持ちにならなければ、私は完全な公害防止はできないと思うのですね。いまのような長官のおことばというのは、制度のあり方を御説明になったものであって、ほんとうに公害を防止するという政府の一員としてのお考えを述べた点では、私は遺憾だと思います。  時間がございませんから、具体的な問題を申し上げてひとつ御善処願いたいと思うのです。  これは、はからずも厚生省は、鉱山の休廃止をした、しかも公害の出やすいところを幾つか全国的に指定をして、そうして調査に取りかかったらしいのですね。これは非常に厚生省の態度としてはいいほうだと私は思うのですよ。ところが、おれのところにはそういう責任がない、統括する権限がないといって長官自体がこの問題を放置すれば、やはりこれが統括のとれない中で放置されてしまうわけなんです。その一つは、山梨県の都留市の大畑というところにあります尾富鉱業という鉱山です。この鉱山の概歴を申しますと、もう七十年ぐらい。あるときには栄え、あるときには休止をするというふうなことを繰り返してきた。主として、銅、亜鉛を採掘してきた山なんです。これが昨年の十月休山になったわけです。そうしておいて先日、厚生省がその流域の被害というふうなものを点検したところ、はからずも米からカドミウムが出てきたのですよ。それは中央官庁が手を出すところまではいかなかったけれども、大畑川の川底に堆積しておるものは、神通川あたりの倍くらいあったのです。七十年間、かなり放置されたような対策できた原因だと私は思うのです。それから私もすぐ飛んでまいりまして、私自身で調査をしてきたのです。しかもそれは非常にしろうと考えでやったんですが、問題は、直接影響があるか、長年の影響がそのカドミウムを検出さしたのか知りませんが、もしこのまま放置しておったらもうたいへんだと思うようなことが、私の目にもたくさん見えてきたわけです。その鉱山の坑内から流れてくる水というものは、これは一応銅、亜鉛を対象にした鉱山ですからカドミウムのあることが十分わかっておりますから、これは一カ所へ集めて、そうしてそれを中和して沈でんをさしてという一応の施設をしなければならぬわけですね。してありました。その輸送管なんかはきわめて新しいものであって、おそらく最近やったような様子があるのですが、しかし、その取り入れ口の水が完全に集められておりません。意外に流れておるところがたくさんある。それから鉱床のようなものが露出しておるところがそのままになっておる。これは今後風化したりあるいは台風等があれば、いずれそういうところから相当なまのまま出てくるおそれがある。それから堆積をするのですが、堆積場というのが三つあるのです。それは一、二はもう古いのですよ。第三がいま使われておるのですが、第一、第二の堆積場が、ほんとうなら周囲は完全に壁がつくられておって、あるいは土手がつくられておって、その堆積したものが流れ出さないようになっていなければならぬのですが、がけがくずれて、そうして雨が降ったらもうその堆積物が流れ出すように水路までできておるのです。それが第一、第二。それから現在使っている第三ですね、これはおそらく認可を得たことでしょう。ところが、まるで沈でん物を堆積した砂漠みたいになっているわけです。風が吹けばぱっぱっと舞うし、雨が降ればどんどん流れ出すような状態なんです。会社側の責任で休止したのですから、そこに一人仕事を担当しておる人がおりました。その人に聞いたのです。これでいいですかと言ったら、指定は普通の土を盛ってそれに芝を植えて完全に中のものが流出しないようにしなければいけないのだが、まだそれはこれからの仕事であります。だから、長官、どれくらいほっておかれたかわからないのですよ。これは通産省の仕事ですね。通産省の監督が不行き届きであったということになるわけです。私がこっちへ帰ってきて通産省にそのことを申しましたら、通産省はすぐ出向きまして、実情を見ていただきまして、それに対する対策をとってきていただいたはずですから、これから説明をしていただこうと思うのですが、それは鉱山保安だから通産省の仕事だといっていていいのかどうか、おれには監督権がないのだからといってほっておいていいのかどうか、やはりそこは関係各省でいろんな相談をし合った中で対策を講じなければならぬと思うのですよ。厚生省と通産省、そこまでは今度私が実際を見てお話を申し上げて一応の対策をとっていただいたのですが、いまのように企画庁長官が、おれのところではそれを統括する権限はないのだというようなことで終わったのではたいへんだと思うのですが、私がそう説明しただけでは長官納得いかぬと思うので、通産省の方が来ておいでになると思いますから、参考にお聞き願いたいと思うのです。  私の聞いたところでは、本鉱の坑内の水の中にはカドミウムが〇・〇三八、銅が〇・七〇、鉛が〇・〇六、亜鉛においては一六・六〇。それから堆積場にはなっておるけれども、風が吹けば沈でん物はどんどん舞っていく、そこの包含されているカドミウムは〇・〇八です。もう〇・〇二あれば〇・一の排出基準を越えるわけですね。銅は一・九、鉛は〇・二八、亜鉛が二九・五三です。そういう検出結果が出ておるわけですよ。こういう点も、通産省の方、その後行かれましてお気づきになった点、対策した点、お願いします。
  255. 莊清

    ○莊政府委員 御指摘の宝鉱山でございますけれども、昨年十一月に閉山いたしまして、閉山の際には、鉱山保安法に基づきまして、すべて閉山後の鉱害防止工事を点検の上指示することにいたしております。一応その指示はいたしたのでございますけれども、今度県の御発表でカドミウム米の問題が、先生案内のように起こりまして、一PPMをこえたものは幸いなかったようでございますけれども、〇・四はこえたということで、二月の十日ごろさっそく監督官を山に派遣いたしまして、状況を調査させました。そのときにも鉱害防止工事の進捗状況をよく見さしたのでございますけれども、一部の工事は行なわれておりました。たとえば水を集めるために新しくパイプを引くというふうなことは一部行なわれておりましたけれども、これもまだ十分ではなかった。さらに堆積場関係は、土をかけるとかあるいは芝を植えるという関係も、御指摘のとおりまだ手がけておりませんでした。芝を植えるには五、六月ごろの時期が一番いいのだろうということはございましょうけれども、覆土をする、土をかけて飛散しないようにするということは特に時期を選ぶはずのものだとは思いません。したがいまして、全体的に休止に入ったあとの鉱害防止工事の進め方が少し、タイミングからいっても十分でないというふうに認めたわけでございます。それでその後十九日から二十一日まで、今度は本省からも人を出しましてもう一度よく見させまして、そして鉱山の責任者を呼びまして、どういう全体のスケジュールで具体的にどういう工事をするか、いま役所のほうも知恵を出しまして、具体的な命令をするための準備を大至急やっております。近日中に具体的な指示を、すべての工事を要する部分についてやりたいと考えております。従来とにかく休止鉱山一般にそういうきらいがあったかと思いますが、とかく目こぼしになりまして対策が後手後手になっておった点が確かにあろうと思いますので、本年度からは特にこういう面にも十分力を入れたいと考えておる次第でございます。
  256. 小林信一

    小林(信)分科員 厚生省が調査をされて一番先に手をつけたのですから、その後の経過を厚生省からひとつ私も聞かしてもらったり、長官に特に聞かしていただきたいと思います。
  257. 山本宣正

    ○山本説明員 私のほうも昨年九月に県のほうに指示をいたしまして、環境汚染のこれまた総点検ということで、厚生省直接ではございませんが、県が厚生省の委託を受けてやった調査でございます。その調査の結果を申し上げますと、これは山梨県の衛生研究所が試験をやっておりまして、河川水は最低が〇・〇〇〇二八PPMから〇・〇〇四六四PPM、平均が〇・〇〇一八九PPM、それから鉱山に直接関係のない河川水でございますが、これは〇・〇〇〇〇八PPMから〇・〇〇〇七六PPM、平均が〇・〇〇〇二一PPM、それから鉱山廃水が〇・〇〇〇〇四PPM、一応河川水のカドミウム量は非常に低いわけでございます。  それから米につきまして一〇%精米でとりましたものを見ますと、〇・〇九三PPMから〇・七七六PPM、平均が〇・三五六PPMというような答えが出ております。  土壌につきましては、水田土壌で〇・三九二PPMから二・八八PPM、平均が一・七二九PPM、それから川の底質を調べておりますが、一・四八二PPMから四・七四九PPMという数字が出ております。  米につきまして、従来要観察地域として調査を進めるためには、〇・四PPMをこえるものが多数あった場合にその指示をするわけでございますが、それほど著しい汚染ではないようでございますが、今後私どもといたしましても県を指導いたしまして、さらに調査を進め、かつ健康上に問題があるかどうかの健康調査の面でも調査を進めるように指導してまいりたい、そのように考えております。
  258. 小林信一

    小林(信)分科員 長官お聞きのとおりであって、危険度というものは少ないかもしれません。しかし、カドミウムがさっき申しましたような数字でもって堆積物にはあるのです。その堆積物が放置されているような状態です。通産省でお話がございましたように、一応施設はできております。いるけれども、いまのように、ある個所についてはまことにずさんな形でもって放置されておるわけであります。そういうところまで手が及ぶにはどういう機構で、どういう仕組みでこれに対処するかということが、私は今後大事だと思うのです。法律だけで公害なんというものはなくならないと私は思うのです。大臣をはじめ各官庁の当該職員が法律以上の何か人間的な責任を感ずる、そういうところに私は公害というものがなくなると思うのです。  自然を守るなんという問題も、参考だから申しますが、この法律の第二条に「「公共用水域」とは、」がありますね。その中に「河川、湖沼、」ということばがあります。すぐそばに、これは桂川の支流ですが、その桂川の上流、これは断絶しておりますが、河口湖という湖がありますよ。これなんか、もう観光客を相手にする周囲の旅館の排水というものはみなたれ流しです。周囲にある工場の用水もみんなたれ流しです。今度は国立公園なんとかという法律が出て、あるいはこの水質なんとかという、これも適用されるわけでしょうが、初めて河口湖の水が救われるか救われぬかというところに来ているわけです。もう現に去年の夏は、あの湖水のふちにヘラブナが累々たる死骸を並べたことがあるのです。まさに死滅寸前です。これが国立公園です。しかも日本の象徴であるというふうな富士山、その周囲をかたどっているものですね。それなんかも、法律というものだけをたてにとってはだめだと私は思う。それ以上の、もっと人間性というようなものが、この際、政治の中にしみてこなければそんなものは救われないと思うのですよ。  そのほか、この付近についても私はもっと申し上げたいことがあるのですが、したがって私は最初申しましたようにえらいことですね、しかし、そのえらいことをやってもらわなければならぬ。それにはいろいろな制度やその関係というふうなものがあるかもしらぬけれども、この際はもっとそれ以上のものを発揮していかなければいけないと思うのです。そこで、おそらくそういうことが、いまの長官のお考えのようでは企画庁には調べられてないと思うのですが、こういう川の上流に、休止したあるいは廃止した鉱山というものが、しかも鉱毒を持った鉱山というものがたくさんあると思うのですよ。そういう数だとか、休止の場合にはそれはその会社の所有者がずっとその管理はするのでしょうが、廃止になった場合には五年間はその会社に責任があるが、それ以後は国がやらなければならぬわけでしょう。そういうものが何カ所あって、それを重要地域として何カ所考えておるか、それに対する対策費をどれくらい持っているかということは、企画庁のほうでは御存じですか。
  259. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 小林さんに誤解があるといけませんから申し上げておきますが、最初権限の話について御質問がありましたから、私は事実をありのままに申し上げたわけです。別に、したがってわれわれがある意味において公害行政の片棒をかついでいるわけですから、公害そのものについて認識がないとか、そういう意味ではございません。それは現在の機構が残念ながらそうなっているということを、事実を端的に申し上げただけのことであります。でありますから、最後に申し上げましたように、しかしわれわれが水質基準をきめるという仕事を通じて、われわれの知り得る限りのものについては非常な深い関心を持っておるし、そしてまた、それを通じて関係各省には十分に連絡もとり、話もしておる、こういうことを申し上げたわけです。そこで、いまのようなことは企画庁の仕事ではないわけなんです。それは企画庁の仕事ではないわけなんです。ですから、それを正直に申し上げただけでありまして、企画庁が公害官庁としてあるいは鉱山保安の行政の責任であるわけではないというのが実際であるということを申し上げているわけです。したがって、私のほうがオリジナルなデータは持っておりません。みんな私たちいろいろやる仕事というのは、全部各省からデータをもらってやっておる。そして水質基準をきめるときにだけ現地に行って調査をする。その調査を一年もしくは二年やって、その調査に基づいて水質基準をきめる。その水質基準をきめることだけが企画庁の仕事としてまかされてきたわけです。でも水質基準をきめることを通じてわれわれは大いに公害行政の一端をになって、そこからいろいろとまた関連が出てきますから、そういう意味でこの水質基準を守るためには、たとえば下水道、河口湖の問題が出ましたけれども、私たちは下水道の行政がもっと進まなければいかぬ、こういうことで建設省に対しては強く下水道の整備を迫っておりますし、いずれにしてもそうした基準が守られねば意味がないのですから、いかにしたらこの基準が守られるかということについては深い関心を持っております。そういう意味においていろいろと政策的なことについてわれわれとしては建言もし、そして各省とも連絡をとってその実現を推進していく、こういう立場にあるわけでありますから、いまの休鉱山の状態については、われわれのところにはデータはございません。これはもう残念ながらそういう事情です。
  260. 小林信一

    小林(信)分科員 私もそのことについて知らぬわけじゃないのです。しかし、権限権限というようなことで、権限がないというふうなことで放置さるべきものじゃないと私は思うのです。水というものを、あなたが何らかの形でもって水質の問題、基準をきめる、これは総理府がきめるのですね。そういうふうなことをされるにしても、一応やはりそういうことを考えに置かなければ、ほんとうにそういう水質を保全するということはできないというような考え方で申し上げたわけで、おそらく一般国民がいまの大臣のようなお説を聞けば、権限がない、大臣はそれでいいのかというふうなことに私はなるのじゃないかと思うのです。やはり共通して同じ関心を持ったときに初めて、先ほど申しましたように公害というものが除去されるのだ。権限だとか法律だとかいうだけにとどまったら、これはいけないと思うのです。いまは厚生省でああいう調査をしている、通産省でああいう調査をしている、だけれども通産省と厚生省の間では、黙っていれば連絡がない、そういう機構では私はいけないと思う。大臣の一人だから私は言うわけで、あなたが担当であるとかないとかいうことでなくて申し上げているわけですが、まだ二、三分ありますから、通産省のほうからいまの問題についてお聞きいたします。
  261. 莊清

    ○莊政府委員 休廃止鉱山の内容でございますけれども、鉱業権が消滅しましてから五年以内は鉱害防止を鉱業権者みずからがやる義務を、お説のとおり持っております。五年たったものがどれくらい存在しておるか、概数で約八百程度、これは銅関係、鉛、亜鉛関係、水銀関係、俗に重金属関係の鉱山といいますけれども、そういう鉱毒水を出す危険の高い鉱種の山で鉱業権が放棄されてから五年以上というのがそういう状況でございまして、実は先ほどもちょっと申し上げましたが、従来こういうものに対します調査なり監督というものがきわめて不十分であるということを、私ども率直に反省いたしております。明年度からでございますけれども、四十六年度予算でとりあえず千三百万円くらいこのためだけの調査費を初年度計上いたしまして、非常に問題のあるようなものは、いままででも県当局等の連絡等で実はかなりわかっておるつもりでございます。そういうところを重点に調査を進めたり、そして鉱害防止工事でも、これは義務者がおりませんので、県がおやりになる場合には、国の予算措置をとりまして補助金を出すように四十六年度からすることにいたしたばかりでございます。
  262. 小林信一

    小林(信)分科員 数、それから予算ですね、お聞きできなかったのですが、八千七百何十万というように聞いておりますが、おそらくいまのようなたくさんの廃止鉱の責任を負うために、私はこれでは非常に金が少ないと思うのです。いまもお話がありました宝鉱山の問題でも、通産省で調べていただいただけでも、少なくとももう五、六百万円かけなければ完全な処置ができない。そうしたら、八千何百万では多くて二十かなんぼでしょう。とてもこの完全なものが処置できない。処置しなければ幾ら水質基準なんというものを、長官、出したってそれは水はよくなりませんよ。国民の健康は管理できないでしょう。私は、そういういまの尾富鉱山という問題だけでなく、こんなことでもって公害が完全に防止できるかどうか、もっと積極的な意欲を持っていただきたい。大臣は、企画庁長官の権限だけの問題でなく、閣僚の一人であるという点で、もう少し公害防止の問題について愛情というか至誠というのか、そういうふうなものを持たなければいけない、私はこう感じました。  時間が来ましたので、終わらしていただきます。
  263. 松野幸泰

    ○松野(幸)主査代理 次に、土井たか子君。
  264. 土井たか子

    ○土井分科員 経済企画庁長官お尋ねをいたします。  現在、公共用水域の水質の保全に関する法律に基づきまして水質審議会がございますが、この水質審議会議事運営規則というのは一体どなたがお定めになるのですか。その制定権はいずれにあるかという問題です。
  265. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいまの問題につきましては、水質保全法施行令第八条というのがございまして、この中に若干の規定がございますが、「第五条から前条までに定めるもののほか、議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会にはかって定める。」ということになっておりまして、ただいまの運営規則は、その規定に基づきまして会長が審議会にはかってきめたものでございます。
  266. 土井たか子

    ○土井分科員 それではこの運営規則制定権は会長にあるということでございますね。会長によって規則が現に定められて、水質審議会議事運営規則というのがあるわけでございますが、この審議会で審議された内容を記録した議事録は公開できることになっておりますか、いかがでございますか。
  267. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この運営規則第五条によりまして「審議会の会議は公開しない」ということで、「ただし会長は相当と認める者に傍聴を許すことができる。」、こうなっておりまして、したがって、この趣旨にのっとりまして会議の議事録は非公開を原則として運営いたしております。
  268. 土井たか子

    ○土井分科員 私お尋ねしているのは、あくまで議事録ということをまず御念頭におとどめいただきたいと思うのですが、いまおっしゃった問題は、議事運営規則の第五条を見ますと、会議の非公開を原則に考えているということなんでございますね。そこで、いまからお尋ねするのはその会議の非公開の問題なんです。なぜ会議は公開をしないということになっているのか。そうしてその根拠というものはどういうところにあるのかということをひとつ明らかにしていただきたいのです。
  269. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この審議会は、先ほどから議論が出ておりますように、個々の指定水域についての水質基準等を定めるのが主たる任務でございます。したがいまして、この水質基準の設定にあたりまして利害関係がいろいろあるわけでございますが、そういったことについて、この審議会の委員となっておる方々はそれぞれの学識経験のある方々で構成されておりますが、できるだけ自由に発言をしていただくというような趣旨で非公開にされたものと考えております。そういう趣旨もございますので、いままでのやり方としては議事録も公開しない、こういうことで運営しているわけでございます。
  270. 土井たか子

    ○土井分科員 元来、こういった種類の審議会というのは、水質審議会に限らず、ほかには公害対策基本法からくる公害対策審議会がございますし、さらには公害紛争処理法に基づく中央公害審査委員会というのがございますし、さらには、経済企画庁関係ですと地盤沈下対策審議会というのがございます。厚生省関係だと生活環境審議会というのがございます。御承知のとおりに、通産省では産業構造審議会というのがございます。ところが、それぞれの審議会の議事運営の内容を見てまいりますと、特に非公開ということを原則にしている規定はどこにもないのです。わざわざこの水質審議会において非公開ということを原則にしている趣旨というものは、ほかの審議会に比べまして特に特別の意味がなければならないと私は思いますが、ほかの審議会と比較した場合に、特に非公開を原則にするという根拠を再度お尋ねいたしたい。いかがでございますか。
  271. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いまおあげになりましたうちで、地盤沈下対策審議会は非公開ということが運営規則できめられておるようでございます。そのほか、生活環境審議会とか、中央公害対策審議会、あるいは河川審議会等ございますが、明文の規定はございませんけれども、慣例上非公開ということで運営しておる、こういうふうに伺っております。
  272. 土井たか子

    ○土井分科員 慣例上という問題と規則に明記してあるという問題は、次元が私は違うと思うのです。規則に明記してあるということから考えますと、やはり規則に明記があるということで、運営はそれに拘束されるということに当然なるでしょう。慣例上ということになってまいりますと、いわば便宜的措置ということもこれは考えられるわけでございまして、そういう点からいいますと、規則に明文の規定があるかないかということは、たいへん私は大きな問題だと思います。したがって、私は再度お尋ねしたいのは、他の審議会と比較した場合に、ことさら水質審議会においては非公開を原則にしなければならないといういわれがあるかどうか、そういう根拠があるかどうか、再度お尋ねいたします。
  273. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この運営規則は、先ほど申し上げましたように、審議会において会長が審議会にはかってきめる、こういうことでございますので、私どもがこれをとやかく申し上げるわけにはいかないわけでございますが、その規則をきめられたときの経緯等を聞きますと、先ほど言いましたように、自由に発言をし討議をしていくというためには非公開のほうがいい、こういうことできめられたように聞いておる、こういうことでございます。
  274. 土井たか子

    ○土井分科員 フリートーキングを本旨として自由に発言をするという環境をやはりつくっていかなければならないというのは、ただ単に水質審議会のみにとどまらず、どういう審議会でも私は同じことだと思うのです。  ところで、会長が規則に対して制定権をお持ちであるという場合、会長の専権で何をきめてもいいかというと、それはえてかってなことはきめられない、やはりこの規則をきめる前提になるのには、言うまでもなく政令がございます。現行政令としては、公共用水域の水質の保全に関する法律の施行令というのがございます。さらに、この政令の根拠には法律がございます。言うまでもございません、公共用水域の水質の保全に関する法律でございます。いまこの非公開を原則とするというのは、私はゆゆしいことだと思っているのです。本来、公害対策に対しては独立した機関が自主的に討議を進めて、さらにそれは公開性を原則にしてこそ、初めて一般の基準になり得るという根拠に対してみなが納得する、また説得性を持ち得るというふうに考えるわけでございますから、いまのこの申し上げました政令なり、さらに政令のもとにある法律なりに、ことさら非公開を原則とするという根拠になる規定がある場合はとにかく、そういう条文がない場合、こういう規則でもって非公開を原則とするということを条文化するには、それなりにさらに積極的な根拠が、私はなければならないと思うのです。  そこでお尋ねいたしますが、現行政令の中には、ことさら審議会運営に対して非公開にするということを問題にしている根拠がございますか。さらに、政令のもとになっております公共用水域の水質の保全に関する法律それ自体には、この非公開ということを裏づけているところの根拠がございますか。いかがでございますか。
  275. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 先ほど読み上げましたように、施行令におきましては、ここに規定がいろいろ書いてございますが、それ以外のことは「会長が審議会にはかつて定める。」こういうふうに書いてあるわけでございます。したがって、会長がきめるというわけじゃございません、会長が審議会にはかって、審議会の意向としてきめるわけでございます。そういうことでございまして、この法律なり施行令に、会議の運営について公開、非公開というようなことについての規定はございません。
  276. 土井たか子

    ○土井分科員 ならば、お尋ねいたしましょう。いまのこの五条の条文を見ますと、会議それ自身に対する非公開ということが問題にされていて、先ほど来の御答弁によりますと、会議の運営を妨げないということを趣旨とした条文であるという御説明でございました。ところで、会議の運営を妨げないという条文の趣旨らいたしますと、それはあくまでも会議そのことについての問題でございまして、議事録の非公開ということに対しては、この第五条の条文を、どこをどういうふうに押しても出てこないのです、条文それ自身を読んだ場合に。これは、どこまでも会議それ自身の問題でございます。会議録の問題じゃないということは一目瞭然、だれが読んでもおわかりになることでございます。さてそこで、会議の運営を妨げないという条文の趣旨を議事録についてまで拡張して解釈するということは、会長の職権乱用というぐあいにお思いになりませんか。
  277. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 そのようには考えておりません。
  278. 土井たか子

    ○土井分科員 いまの御答弁には私は納得しかねます。もっとはっきりおっしゃってください。
  279. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 先ほど申し上げましたように、審議会の会議は公開しないということが運営規則にきめてあるわけでございまして、この趣旨にのっとって議事録等についても非公開を原則としておる、こういうことでございます。別に、その点で乱用とかそういう問題はないのではないかと考えております。
  280. 土井たか子

    ○土井分科員 それではちょっとお尋ねいたしますが、会長が、この第五条によりますと、相当と認める場合については傍聴を許すことになっております。同じように、それをいまの御説明で演繹して考えますと、議事録についても、会長がおそらく相当とお認めになるときには、閲覧をしたりあるいはそれを公表をしたりする場合があり得ると考えられるのですが、いかがでございますか。
  281. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この規定でも、会長が相当と認める場合という傍聴の規定がございます。そういうことでございまして、特に特定の案件があって、これを公表したほうがいいというようなことがあれば、それは審議会の御判断でそういうことができることはもちろんあると思います。
  282. 土井たか子

    ○土井分科員 ではお尋ねいたしますが、会長が相当とお認めになるという場合、と言われをのには、やはり客観的な基準がなければならないと思うのです。議事運営に対しては、万事会長の胸三寸で恣意的判断にまかせっきりというのは、民主主義のルールから考えてもおかしゅうございますし、やはり会長自身、その議事運営をなさる場合には、一つの基準に乗っかっておやりになるということでなければならないはずです。したがって、相当と認められる場合という場合に、客観的基準と申しますか、その場合に相当と認められる判断の基準と申しますか、そういう問題については一体どういうふうにお考えになりますか。   〔松野(幸)主査代理退席、主査着席〕
  283. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 これは、御承知のように審議会の中に部会などをつくりまして、現地でいろいろ公聴会などを開く場合がございます。そういう際に、たとえば公共団体職員等が傍聴したいというようなことがありますると傍聴を許すということで運営をしておるようでございます。いずれにしましても、ただいまの御意見でございますけれども、これは審議会でございまして、あくまでこれは経済企画庁長官の諮問に応じて審議をしていただくわけでございます。その結果として、出てくる基準なり何なりは、これは告示という形で政府の決定になるわけでございますので、結果につきましては、十分われわれ行政として責任を負うわけでございます。ただ、この審議会の運営そのものは、これはむしろ審議会のほうの問題として御議論をいただく、こういうことで従来ともやっているわけでございます。
  284. 土井たか子

    ○土井分科員 そのお答えにはちょっと私は納得しかねます。と申しますのは、この公共用水域の水質の保全に関する法律、この法律の第四条を見ますと、御承知のとおりに、水質基準に対しては経済企画庁長官が「水質審議会の議を経て、これを決定する。」となっております。したがって、水質審議会の権限それ自身というのは、私はたいへんに重かつ大と思わなければならない。その審議会の運営自身が民主的であるかどうか、審議会の運営自身が適正に行なわれているかどうか、これは非常に重大な問題といわなければならないと思うのです。そのことに対しては、万事審議会にまかせっきりであるから私たちは知ったことではないというふうな態度で臨まれるというのは、私はどうも解しかねるのですが、経済企画庁長官、このことに対してどうお考えでいらっしゃるか。
  285. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 さっきからいろいろ御議論を伺っておりましたが、何かこの議事規則に特別の意味を付されるというか、そういう感じで私聞いておりましたが、先ほどもありましたように、ほかの審議会なんかでは、特に議事規則がなくて慣例でもって非公開にしているところもあるわけです。ですから、結局これらはその審議会の考え方、運営のしかたについての考え方で、別に規則がなくても非公開のところもある、このようにたまたま規定を設けているところもある。この規定があるかないかには、私はそんなに大きな比重、差は考えなくてもいいんじゃないかと思いますが、さらに、非公開であるから、おのずから議事録というものも公開しないままの取り扱いをしているんだろうと私は推測をいたします。そういうことで、これは審議会の考え方で、先ほど局長から話がありましたように、自由濶達にどんどん意見を述べる、こういうのにはかえって非公開のほうが濶達な議論ができる、こういうようなことも考えた結果ではなかろうか、こういうふうにも考えます。ですからこれについて、私は、そう特に何か意味を付するという必要はないんじゃないかと思っております。
  286. 土井たか子

    ○土井分科員 おっしゃるとおり濶達な審議、全くけっこうなんです。濶達な審議でなければならないと思いますが、一体しかし、濶達な審議は何のためになされるかというところが重要じゃございませんか。適正な水質基準を設けることのための審議でございましょう。そうなってまいりますと、私は、その会議自身がどこに出してもかまわない会議でなければならないと思うのです。本来非公開を原則にするというのはむしろその点から考えると逆でありまして、公開を原則にして、ただ特定の場合に限って非公開にするということでなければならないはずです。これは本来公害対策というものを特に強力に進めるということを考えましたら、私は、なおざりにして済む問題じゃないと思っております。そういう点から私は先ほど来お尋ねを進めているわけでございまして、特に昨年のあの臨時国会で水質汚濁防止法がつくられまして、そして先ほど長官御説明をなすっておりましたけれども、私たち、あの水質汚濁防止法が制定されるときに、現在ここで問題にしております公共用水域の水質の保全に関する法律と、もう一つ、工場排水等の規制に関する法律を一本にまとめたというところにたいへん意義があるし、さらにその内容を見ていったら、自治体による規制を強化すること、直罰主義で臨むこと、指定水域制をとらないこと、そういうところで前進があるというふうに私たち見ていたんです。そういうことを考えてまいりますと、このたびの水質汚濁防止法が施行されてから後、さらに一そう私はこの水質審議会の果たす役割りというものは大きいと見なければならないと思うのです。いままでと同じように、非公開制というのを原則にし、そうしてさらに、会議自身のみならず、規定の上では会議だけを問題にしているにかかわらず、会議録についてまで非公開を原則にするということになってまいりますと、せっかくの水質汚濁防止法に対しての立法趣旨というものが十分に生きてまいりません。この点についてはいかがお考えでいらっしゃるか、その点をお伺いしたいと思います。
  287. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 まあ、議事録を公開しないのは、やはり会議自身が非公開であることの一連の結果であろうと私は想像しています。しかしこれは、今日までこういうふうに会議が運営されてきまして、先ほど説明ありましたように、まあ非公開のほうがほんとうは好きなことを、言いたいことをどんどん言えるという利点もあるんじゃないかと私は思いますけれども、そこらは考え方の相違でしょうが、私は、むしろ言いたいことが言えるんじゃないかと思っています。
  288. 土井たか子

    ○土井分科員 言いたいことを、何をえてかってに言ってもいいという、それはしかし、何のために審議会をわざわざここで構成して審議を進めるかということをはき違えて、えてかってに何でも言っていいということじゃないと私は思うのです。やはりあくまでフリーに、フランクに思うことを遠慮しないで言うことは大事でございますけれども、しかしあくまで、この審議会が設置された趣旨というものを忘れて、討議は私はないと思っております。そういう点から考えますと、再度長官にお尋ねしますけれども、今度水質汚濁防止法というものが制定されて、それが施行される段階においても相変わらずいまのままの審議会規則、審議会の運営のありさまでけっこうだとお考えになっていらっしゃいますか。
  289. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 私はあなたほどにここにあまり比重をかけておりませんから、審議会自体の考え方でどっちでもいいと思っています。ですから、今度新しい法律体系ができますと、今度は全然質が違ってきます。委員も全部違ってくるでしょう。そういうあなたのような御意見も当然耳に入ることと思いますが、これはそれぞれ一長一短があるのじゃないでしょうか。そういう意味においては、今度の新しい体制になったときにそこでもって新しく考えてもいい。しかし、これはやはり審議会の委員がどういう考え方で審議をするかということにかかっているわけでありますから、その審議会の判断にまかせていいのじゃないかと思っています。
  290. 土井たか子

    ○土井分科員 審議会の運営がどうあるかということは、さほど重きを置いてお考えにならないらしい御発言がございました。審議会はどっちでもいいというふうな御趣旨でございますか。
  291. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 審議会の考え方でおきめ願ったらいいということであります。審議会規則というものは、どこの審議会でも自分が一番審議のしやすいように考えてきまっているわけでありますから、今日まで私はこれでもってやってきました。そこで自由濶達な議論ができ、そしてまた一番根本、大事なのは、この結果としてきめられた水質基準というものが妥当であるかどうかということでありまして、これは当然世の批判にさらされるわけでありますから、そういうことによって、また適当でないものであれば変えなければならなくなってくるわけであります。そういう意味で、水質基準というものが適当であるかということが基本的に大事なので、それは十分世間の批判を受けることでありますから、私は、審議の過程が全部出なければならぬかどうか――たしかこれは必要に応じて公表していることでもありますからして、今日までの体制はこれで来ましたし、今度の新しいものもやはりどうしたら一番審議がうまくいくか、こういう考え方によってきめられるものと思います。
  292. 土井たか子

    ○土井分科員 審議の結果考えられた水質基準というものが大事だということをおっしゃいましたが、その結果もたらされた水質基準の内容が適正かどうかということは、単に結果として出た数値そのものではなく、それももちろん大事ですけれども、それに至る過程がどういうぐあいであったかということによって初めて私たちとしては判断できると考えているのです。  そうなってまいりますと、この際議事録については公開主義ということを原則とする、そして特定の場合に限って議事録については非公開、それも会長の専権ではなく特定の場合に限る。さらに理想型からいいますと、規則の中で、こういう場合については非公開とするというふうなことを明記すること、そのところまでが私は大事だと思うのです。それくらいに考えておいていいと思っているのです。  今回、私、この水質審議会について、ある特定の日時を指定いたしまして、その日行なわれた審議の議事録について閲覧をしたいがいかがでしょうとお尋ねしたら、議事録についてお見せするわけにいかないと突っぱねられましたけれども、私は、国会議員は言うまでもなく、各級の議員について審議のために必要であると認められた会議の会議録については、その議事録を求めたときには本来、当然お見せ願えるものと思っていたわけです。この点からすると、公開制という原則から考え、あるいは公害問題に対しては民主的に対策を講ずるというたてまえから考えると、これはちょっとおかしいのじゃないかと思っているわけなんです。したがって、今回の水質汚濁防止法というものが制定されましてそれが施行されるようになりましたら、この点は考えを改めていただいて、私はこの会議の公開制 さらに会議録の公開制ということに対する再吟味をぜひお願いしたいと思うわけでございます。いかがでございますか。
  293. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 まあいま申し上げたようなことですが、プロセスが大事か結論が大事か、これはいろいろ議論があるところでしょう。私は、その水質のきめ方自身がしっかりしておればいいと思っています。そしていずれも学識経験者が集まって自由に論議をなさることでございますし、会長専決ということではなく、先ほど話がありましたように結局会議がきめることでございますから、会議全体の意見としてどっちがいいかという判断によることであろうと私は思います。しかし、率直に申し上げまして、今度新しい体制になりまして環境庁に移って新しく出直すときには、またどうせその議論も行なわれることでありましょう。私は特に公開でなければならぬと思っておりませんけれども、しかしあなたのような有力な御意見もあるということを十分に伝えておくことはやぶさかでございません。
  294. 土井たか子

    ○土井分科員 さらに追い打ちをかけるようなことを申しますが、このたびの予算案を見ましたら、一般会計の公害対策費の中で七割を占めているのが、御承知のとおり下水道整備の費用でございます。六百六十五億円という内容になっておりますが、七割も占めているわけですから、下水道整備費としてこれだけ使われるということについては、やはり水質の基準というものについても、お日ごろしかとした適正な基準を求めるということを側面的におやりいただかないと、国民は納得しないと思うのです。そういう点から考えても、これから水質審議会の行く手というものはより一そう注目をされる、そういう読みをお持ちいただかなければならないんじゃないかと私は考えておりますから、先ほど来申しますように、ぜひとも会議の公開制と議事録の公開制――これはゆゆしい問題です。そうそう軽々しく見過ごしていただいていいこととは私は考えておりません。これを機会に改めていただきたいと思うのです。  さらに、時間がもうあと三分ぐらいしかございませんが、新たに発足する審議会については、委員構成メンバーが交代するということを先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、いまの水質審議会の委員の名簿を私ちょうだいして見てみました。そうすると、委員の中には経団連の方だとかあるいは合成ゴム会社の社長の方だとか、いわゆる企業者側の方々の顔がずらりと並んでいます。こういう委員構成ではどうも企業優先、産業ベースじゃないかということは一般の国民の中ではすぐ気がつくところでございまして、やはり被害者の立場に立ってものを見なければならない。特に住民運動の経験のある者を加えるということが、今後公害を取り締まり、公害の予防対策を講ずるという点から非常に大事だと私は思っております。そこで、新しく交代されるという委員の顔ぶれに対して、その点の配慮がおありになるかどうかということをお答えいただきたいと思います。
  295. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 これは今度地方にも水質審議会ができますし、実際は地方の水質審議会が具体的な審議をすることになろうと思いますけれども、中央ももちろんその大きな方針をきめるわけでありますから、お説のような点は十分考えてしかるべきことであります。ただ、現在においてもこの二人以外は全部学識経験者のようであります。企業のことだけ考えて水質を審議するようなことは絶対ないように、これは、もちろんわれわれもそのつもりでいるのですから御安心を願いたい、こう思います。
  296. 土井たか子

    ○土井分科員 御承知のとおり六十四臨時国会では、公害対策基本法の一条二項の経済との調和条項が削除されました。そのいきさつからいたしましても、企業と政府との癒着とか、あるいは企業ベースで公害に臨むとか、産業優先で公害対策を講ずるということには、いいかげん私は見切りをつけていただきたいと思っておるのです。したがって、そういう点からいいまして、今度の新しい構成メンバーになる審議会、この委員の構成ぶりというのを私たちはとくと見せていただきます。その点、十分の配慮をして委員の構成についてはお考えいただくように要求を出しまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
  297. 登坂重次郎

    登坂主査 次回は、明二十四日水曜日午前十時から開会し、厚生省所管について審議を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時散会