運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-02-19 第65回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十六年二月十三日(土曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月十八日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       相川 勝六君    赤澤 正道君       登坂重次郎君    中野 四郎君       西村 直己君    松野 幸泰君       大原  亨君    西宮  弘君       渡部 一郎君    谷口善太郎君 二月十八日  登坂重次郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和四十六年二月十九日(金曜日)     午前十時五分開議  出席分科員    主査 登坂重次郎君       赤澤 正道君    中野 四郎君       松野 幸泰君    大原  亨君       中谷 鉄也君    西宮  弘君       山口 鶴労君    小川新一郎君       渡部 一郎君    兼務 田中 武夫君 兼務 細谷 治嘉君    兼務 安井 吉典君 兼務 沖本 泰幸君    兼務 貝沼 次郎君 兼務 栗山 礼行君    兼務 松本 善明君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         警察庁警務局長 浅沼清太郎君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         海上保安庁長官 手塚 良成君         自治政務次官  大石 八治君         自治大臣官房会         計課長     内山 鉄男君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         自治省行政局選         挙部長     中村 啓一君         自治省財政局長 長野 士郎君         自治省税務局長 鎌田 要人君         消防庁長官   降矢 敬義君         消防庁次長   皆川 迪夫君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    足立平太郎君         内閣総理大臣官         房参事官    黒川  弘君         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         警察庁交通局交         通企画課長   寺尾  繁君         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         国税庁直税部審         理課長     中村 平男君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       松浦泰次郎君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜寛君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         自治省行政局振         興課長     本江 滋二君     ————————————— 分科員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   西宮  弘君     山口 鶴男君   渡部 一郎君     小川新一郎君   谷口善太郎君     土橋 一吉君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     大出  俊君   小川新一郎君     古寺  宏君   土橋 一吉君     谷口善太郎君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     華山 親義君   古寺  宏君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   華山 親義君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     阿部喜男君 同日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     西宮  弘君 同日  第二分科員田中武夫君、貝沼次郎君、松本善明  君、第四分科員沖本泰幸君、栗山礼行君、第五  分科員細谷治嘉君及び安井吉典君が本分科兼務  となつた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算自治省所管  昭和四十六年度特別会計予算自治省所管      ————◇—————
  2. 登坂重次郎

    登坂主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  私が第三分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願いします。  昭和四十六年度一般会計予算中経済企画庁、厚生省及び自治省所管並びに昭和四十六年度特別会計予算中、厚生省及び自治省所管について審査を行なうことになっております。  本分科会審査日程につきましては、お手元配付いたしております日程表により審査を進めてまいりたいと存じます。御了承をお願い申し上げます。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、自治省所管を議題といたします。  この際、政府から説明を求められております。秋田自治大臣。  この際、大臣に申し上げます。予算説明につきましては、時間の都合もございますので、簡略にお願いいたします。
  3. 秋田大助

    秋田国務大臣 昭和四十六年度自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は、三千七百万円、歳出は、二兆九百六十一億七千八百万円を計上しております。  歳出予算額は、前年度の当初予算額一兆六千八百七十二億八千七百万円と比較し、四千八十八億九千百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省二兆九百三十一億一千六百万円、消防庁三十億六千二百万円となっております。  以下、主要な事項について、その概要を御説明申し上げるのでございますが、ただいま主査からもお話もあり、また委員各位のお手元に資料を配付をいたしてございますので、お許しを得て、以下省略させていただきたいと存じます。  よろしくお願い申し上げます。
  4. 登坂重次郎

    登坂主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十六年度自治省所管一般会計及び特別会計予算案概要につきましては、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 登坂重次郎

    登坂主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔秋田国務大臣説明を省略した部分〕  以下この歳出予算額のうち、おもな事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源繰り入れに必要な経費でありますが、二兆五百四十四億二千三百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十六年度所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額と、昭和四十四年度地方交付税相当する金額のうち未繰り入れ額百七十三億七千三百万円及び過年度特例措置にかかる昭和四十六年度加算額十億円を加えた金額交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるために必要な経費であります。  次に、公害防止対策の推進に必要な経費でありますが、三千三百万円であります。  この経費は、公害防止総合施設監視測定機器等設備整備に要する経費について都道府県に補助する等公害防止対策を推進するために必要な経費であります。  次に、過疎地域振興対策に必要な経費でありますが、二億四百万円を計上いたしております。  この経費は、過疎市町村における過疎地域振興計画に基づく集落整備事業実施に要する経費について補助する等過疎地域振興対策を推進するために必要な経費であります。  次に、広域市町村圏振興整備促進に必要な経費でありますが、その額は、十四億二千六百万円であります。  この経費は、広域市町村圏振興整備促進するため、広域市町村圏振興整備計画の策定に要する経費及び振興整備計画に基づく事業実施に要する経費について、補助するために必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、五億八千万円を計上いたしております。  この経費は、選挙が明るく正しく行なわれるよう選挙人政治常識の向上をはかるための選挙に関する常時啓発に要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。  次に、公立僻地病院等医師養成施設の設置に必要な経費でありますが、二億円となっております。  この経費は、公立僻地病院等に勤務する医師養成のための学校法人による医科大学施設整備費について補助するために必要な経費であります。  次に、奄美群島振興事業に必要な経費二十五億三千万円を計上いたしております。  この経費は、奄美群島における主要産業振興公共土木施設整備等振興事業に要する経費等について補助するために必要な経費及び奄美群島振興信用基金融資資金の増加に充てるための出資に必要な経費であります。  次に、小笠原諸島復興事業に必要な経費でありますが、十三億二百万円となっております。  この経費は、小笠原諸島復興をはかるため、同島の産業基盤施設教育施設保健衛生施設等整備事業に要する経費等について補助するために必要な経費であります。  次に、参議院議員通常選挙に必要な経費でありますが、七十六億四千百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十六年度執行を予定される参議院議員通常選挙執行に必要な経費通常選挙開票速報に必要な経費及び通常選挙が明るく正しく行なわれるよう選挙人に対する啓発を推進するために必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、百三十七億九百万円を計上いたしております。  この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入相当する金額道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。  次に、小災害地方債元利補給に必要な経費でありますが、七億六千三百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和三十六年以降昭和四十五年までに発生した公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債に対する昭和四十六年度分の元利償還金の一部に相当する金額地方公共団体に交付するために必要な経費であります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費につきましては、二十億七千六百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市工業整備特別地域等建設整備促進をはかるため、建設事業債特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、地方公営企業再建債利子補給に必要な経費でありますが、九億一千九百万円を計上いたしております。  これは、地方公営企業財政再建促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こす財政再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、三億五千百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫水道事業下水道事業工業用水道事業及び地下高速鉄道事業を除く交通事業に対する貸し付け利率の引き下げに関連し、同公庫に対し、補給金を交付するために必要な経費であります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費二億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、七億九千万円を計上しております。  これは、昭和四十三年度末における政府資金引き受け公営地下鉄道事業債にかかる支払い利子相当するものとして発行される企業債利子相当額について、助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、児童生徒急増市町村公立文教施設整備事業助成に必要な経費でありますが、十億円を計上いたしております。  これは、児童生徒急増市町村において昭和四十年度から昭和四十五年度までに公立の小学校及び中学校校地取得費に充当した地方債利子の一部に相当する額について、当該市町村に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費につきましては、三十五億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、四億円を計上いたしております。  この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い、税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁消防施設等整備費補助に必要な経費について申し上げます。二十四億五千八百万円を計上いたしております。  これは、消防ポンプ自動車小型動力ポンプ防火水槽等消防施設化学車、はしご車、消防艇等科学消防施設救急業務施設防災資機材施設及び消防吏員待機宿舎整備に要する経費の一部を、地方公共団体に対し、補助するために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計歳入歳出予定額は、歳入二兆一千八百九十八億九千五百万円、歳出二兆一千八百九十八億九千五百万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借り入れ金利子財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額地方道路税収入見込み額石油ガス税収入見込み額の二分の一に相当する額、自動車重量税収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金地方譲与税譲与金及び借り入れ金償還財源等国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  以上、昭和四十六年度自治省関係一般会計及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     —————————————
  6. 登坂重次郎

    登坂主査 以上で説明は終わりました。     —————————————
  7. 登坂重次郎

    登坂主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員となられる方には三十分程度にとどめ、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、答弁はできる限り簡素明瞭にお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 地方財政に対する不況対策並びに同和対策の問題にしぼりましてお尋ねをいたしたいと思います。  最初不況対策の問題でありますが、本年はかつての昭和四十年の不況のような事態が起きるのではないかということが巷間伝えられております。もちろん私どもといたしましては、国の財政政策経済政策等を通じまして深刻な不況の到来を防ぐように全力をあげていただくことを強く期待をいたしておりますが、しかし、あるいはそういう事態が起きるかもしれない。  本年度の国の一般会計予算を見ますと、予算総則におきまして、道路公団あるいは高速道路公団住宅公団鉄道建設公団等に対する政府保証債に対しましては、景気動向によって五〇%の範囲内において増額発行し得るという道を開いておるわけであります。しかるに地方財政については、そういった景気刺激というようなことは全く考えておられないように見受けるのであります。もちろん私どもは、地方が国の景気調整政策にそのまま追随することがはたしていいかということについては若干の疑問があります。たとえば国が、景気が過熱し過ぎたからといって事業を抑制する、だから地方も右へならえして事業を抑制せよといいましても、これは国の仕事地方仕事は違います。地方住民に直結した、いわば住民サービス仕事であります。ですから、国が景気抑制をする、だから地方も右へならえして学校の建築を途中でやめろなんということはできるはずがない。したがって、地方景気抑制について何も国に右へならえする必要はないと思いますけれども、しかし事不況という場合に、中央においては景気刺激方策予算の初めにおいて予算総則できめておる、地方は全くないということについてはやはり問題ではないかという気がいたすのであります。この点、地方財政においては一体どうなっておるのか。自治省としてはただいまの点についてはどうお考えでありますか。大臣の御所見を承りたいと思います。
  9. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいまもお話のありましたとおり、いわゆる景気調整作用地方財政に期待すべきものではないと思います。しかし景気予測はなかなか困難な面があります。本年度いかようなことになりますか、全体として安定的なカーブに行くのではなかろうかとは予測をいたしておりますけれども、しかしこれもまたなかなか予測困難な点がございます。  万が一、四十年のような事態になりました場合どうするか。これはやはり関係方面といろいろ連絡、御相談を申し上げまして地方債等特別措置を講じまして、そして住民の福祉かつ地方公共団体の安定的な発展・また公共事業執行に差しつかえのない最小限度措置を講じなければならないということは考えておりまして、適宜の措置をとるつもりでございます。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 公債発行等においてある程度考えなければならぬだろうという御答弁だったと思いますが、具体的には財政局長どうですか。結局財政投融資計画ワクのきまっておるものがあるわけですね。しかしワク外債といいますか、縁故債等、従来もある程度弾力的な運用をやってきました。そういう意味では、場合によってはことしは従来に増してワク外債等を発行して地方財政事情に対処するというお考えがある、こう了解してよろしゅうございますか。
  11. 長野士郎

    長野政府委員 ただいま大臣が申し上げたとおりでございまして、本年度あと景気状況がどういうふうに推移していくか、これは非常に流動的でございまして、後半には上向くという見通しに一応なっておりますけれども、また、必ずしもそうでないという意見も巷間にあるようでございます。そういう意味では非常に流動的でございますが、地方団体仕事というものは、先ほどもお話がございましたように景気の好況、不況にかかわらずゆるがせにすることのできない、住民と直結した仕事をしておるわけでございますから、そういう意味で、かりに不況というようなことになりまして当初予測したような歳入に欠陥を生ずるということになりました場合に、仕事をとめるわけにまいりませんので、それに相応した措置をとって事業執行確保をはからなければならぬ。そのためには、お話がございましたようにワク外債を増発するとか、いろいろ措置をとらなければいけないと思いますが、過去の例に徴しましても、そういう際に政府資金の多額の融資を受けまして事業確保をしたり、それからほかの財政措置も講じまして、総体的に落ち込みを防ぎながら事業実施につとめたという経験もあるわけでございまして、今回もかりにそのようなことになります場合には、当然そういう措置を講じて事業執行確保をはからなければならない、こういうふうに思っております。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 税務局長さんもお見えで十分御存じのわけですが、本年の地方税収入を見ますと、昨年よりもこの伸び率が落ち込んでいますですね。ですからそういう意味では、ことしの地方財政計画に盛り込まれた地方税収入を見ましてもすでに昨年のような伸びは期待できない。あるいは景気動向によってはさらにこれが落ち込む。特に当年度に直接影響のある法人事業税などは、景気動向によってはずばり減収になるということになるわけであります。四十年不況の際には、そのような状況に対処いたしまして国は公債発行をやりましたけれども地方はそういう手はない。したがいまして、国税が落ちれば交付税も当然落ち込む。その交付税落ち込みを一体どうするか。それからまた地方税減収になりますので、その補てんをどうするかというようなことが四十年不況の際に大きな問題になったわけであります。ことしはまだこれからの話でありますが、自治省としては当然そういう事態もいまから考えておく必要があるかと思うのです。もしかりに四十年不況のような事態が到来し、地方税法人事業税を中心にして大幅に落ち込む、また国税三税の落ち込みによって交付税が予定したとおり入らぬということになった場合、大臣として一体どのような方策をお考えでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  13. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、資金的にやはり関係方面連絡をいたしまして、事業執行に差しつかえない程度ワク外債なり事業債なりの手当てをいたして、事業落ち込みの欠を補うように措置をいたしたいと考えております。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 いま私が申し上げたような事態になったときにはワク外債その他で措置するということでは私はおさまらぬと思うのですね。当然交付税落ち込みの分については国がこれを見るということをさせなければならぬと思うのです。そういった落ち込みワク外債その他でもってやるということでは、私はこれは全く地方のために十分な措置とは言えない、きわめて不完全だといわざるを得ないと思うのです。まあ大蔵省主計官もおられますが、どうなんですか。大蔵省としては景気についてはこれはたってみなければわからぬということかもしれませんけれども、少なくとも四十年不況のような事態になった場合は、当然そのワク外債というようなことでなしに、少なくとも国税三税の落ち込みに伴うところの交付税減収については国が責任を持って見る、それから地方税減収についても、これまた国がこれは起債その他という方法になるかもしれませんけれども責任を持って見るというくらいの考えはあってしかるべきだと思うのです、いかがですか。
  15. 後藤正

    後藤説明員 来年の景気動向は先生御指摘のように非常にむずかしい問題でございます。ことしはああいう措置を講じておりますので、できるだけ落ち込みのないようにいろいろな財政施策を講じてまいるということは、これは国の責任として当然のことだろうと思います。それから国税三税の収入見込みが落ち込んだ場合どうするか。これは過去四十年の際でありますが、これはいわば法人税相当減収が見込まれたわけでございますが、地方のいろいろな諸事情の安定的な執行という見地から、四十年の際には当初予定どおり交付税というものを交付しております。御案内のように四百八十億ほど、これは国がいわば本来なら清算すべきようなものが残ったわけでございますが、その後のいきさつでこれはそのままになっておる、そういうふうな過去の諸事情もございますので、その時点において関係省庁とよく連絡をとりながら支障のないような措置を講じてまいりたい、そのように考えております。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ちょうど四十年不況の際の大蔵大臣福田さんでございました。現在の大蔵大臣福田さんでありまして、あるいはまあ参議院選挙後の内閣改造でかわるかどうかその辺は私もわかりませんけれども福田さんそういう意味では不況に縁のあるような気もいたすのでありまして、四十年不況のときにはこの四百八十二億出世払い云々ということもありましたが、これは一切帳消しにいたしたわけで、当然ことしまたそういうことになった場合に、今度は何が何でもしゃにむにそれをもぎ取るのだというようなばかなことはなさらぬと私は推察をするわけです。その場合自治大臣の断固たる姿勢も心要じゃないかと私は思いますので、あらかじめひとつ大臣の御決意を承っておきたいと思います。
  17. 秋田大助

    秋田国務大臣 地方財政の不利にならざるよう善処をいたしたいものでございます。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それでは次の同和問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昭和四十五年度におきましては、特別措置法に基づく前期五カ年計画の本格的な第二年目として予算を計上したと承っておるわけでありますが、その額は政府予算におきまして四十二億円、昭和四十四年度、前年度に比較をいたしまして、伸び率が五五・六%であります。特に本年度はこの額は一体幾らであって、昨年に比べましての伸び率は一体どの程度になっておりますか。——総理府のほうがいいでしょう。
  19. 黒川弘

    ○黒川説明員 四十六年度の同和関係予算の総額でありますが、六十二億九千九百九十六万三千円でございまして、これはいわば前年度の四十二億三千七百四十六万三千円に対比する額でございますが、この間で伸び率を計算いたしますと、四八・七%の伸びになっております。  ただしこの際つけ加えて申し上げますと、農林省関係で一般ワクの中で同和分として八億三千三百万円分を予定しておりまして、その分を加えますと、伸び率は前年度伸び率相当上回るというような状況でございます。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私どもは前々から同和事業を進めていくについての基礎資料は特別措置法が制定される以前の調査である、したがって法律が制定されまして補助率も引き上げられた、また起債に関しましても八〇%の元利償還を財政需要で見る、交付税で見るというような措置もとられたわけでありまして、そういった新たな財政措置が強化された時点において調査をやらなければいかぬのではないかということを繰り返し指摘をしてまいりました。山中総務長官もこの点については善処をされたいと言っておるわけでございます。その後私どもが主張したような趣旨での全国調査の実施をいたしました。また本年度予算につきましては、農林省関係の八億余を加えれば前年度伸び率を若干上回るという話であります。そういった基礎に立って本年度予算を組み立てられたのか、この点はいかがでありますか。
  21. 黒川弘

    ○黒川説明員 いま御指摘の調査でございますが、実は四十六年度実施を予定しております調査関係経費として三千七百十四万五千円を計上しておりまして、四十六年度のできれば比較的早い時点でこの調査を実施いたしたいというように考えております。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 さらに住宅関係でありますが、昭和四十五年度は国費が九十九億円、地方債が百二十四億円、その内訳が同和対策事業債七十億円を含んでそうなっておったと思うのですが、昭和四十六年度のそれは一体どのような数字になりますか。
  23. 長野士郎

    長野政府委員 同和関係の起債につきましては先ほど私が言いましたように地方債計画といたしまして百二十億円を今回は計上しておるのであります。そのほかに公営住宅その他住宅関係につきましては、これは住宅関係のほうの地方債からこれに充てるというものが相当額あるわけでございますけれども、この関係につきましては、実は建設省なり主管省の事業費の中でいわゆる同和関係分というようなものがまだ明確になっておりませんので、両方それに見合いまして地方債計画上用意いたしておりますものと調整をいたしまして、ワク確保につとめていく、こういうことに相なると思っておりますが、その関係の額が幾らになるか、いままだはっきりいたしておりません。
  24. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 総理府ではわかりませんか。私は、一応関係予算全体については総理府のほうである程度見ておられるはずだと思うのですが、昨年住宅関係、国費が九十九億、地方債が百二十四億で、内訳が同和対策事業債の七十億円とそれから公営企業債が五十四億円ですかで、百二十四億だったと思うのですが、それに相当する昭和四十六年度の額はわかっておられるはずだと思うのですが、どうですか。
  25. 黒川弘

    ○黒川説明員 ただいまのところ実は把握しておりませんので、申しわけございませんが……。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それはひとつ総理府のほうで取りまとめて資料として提示をいただきたいと思います。委員長、お願いいたします。  そこでお尋ねしたいのは、秋田自治大臣はこの特別措置法の制定にあたりましては、自民党内におきまして非常に御苦労をされたわけでございまして、その点の御努力につきましては、私ども心から敬意を表しているわけでございますが、問題になりますのは、住宅に関係するところの起債の問題であります。特別措置法の十条に、同和対策事業について起こしました起債、これにつきましては元利償還の八〇%を交付税の額に算定するということになっておるわけであります。ただしいろいろ経過はございまして、手数料収入のある住宅については、一応これは別だということに今日までなっておるわけであります。しかし現実に、先ほど私が申し上げた予算の額から見ましても、同和対策事業の目玉商品はいわばこの住宅の問題なんですね。不良住宅を改良する。結局住宅対策の予算がその他の予算に比べてはるかに多いわけなんでありますから、いわばこの住宅の問題を抜きにして、同和対策仕事というものはあり得ぬわけで、まさに目玉商品であります。これに対して地方が起こします起債に対して、元利償還を見ないということになりますと、現実には同和対策事業に充てるために地方公共団体が必要とした地方債というのはごく限られた部分でしかないということになりまして、この元利償還というものは全く関係ないということにならざるを得ない。これでは片手落ちではないか。また全国の解放同盟に結集する方々等も、この問題を一番重視をしておられるわけであります。大臣、この点については、非常に誠意ある前向きな御態度を従来から示してこられたわけでございまして、何とか善処をされたいと言ってこられました。聞くところによりますと、この用地については元利償還の対象にしたい、それも昭和四十五年度、これから配分をする特別交付税においてある程度考えたいという趣旨のことも言われてきたわけでありますが、現実に昭和四十五年度の特別交付税においてそれを見ますか。また昭和四十六年度においてはどういう形でそれを見ようとお考えでございますか、この点お尋ねをいたしたいと思います。
  27. 秋田大助

    秋田国務大臣 いろいろその点は従来問題がございましたいきさつもあったわけでありますが、いろいろ検討を加えまして、各党間の申し合わせの趣旨もそのまま現存いたしますので、それらとの関係を考えて、ただいまお話のありましたとおり、特交でこの用地の分を見ていこうじゃないかという特別の措置をいたしました。大体その方針で措置をいたすように命じておりますから、その措置ができておるものと確信をいたしております。詳細は事務当局から御説明いたします。
  28. 長野士郎

    長野政府委員 ただいま大臣が申し上げましたように、住宅関係につきましてはいろいろ関係の四党の申し合わせがございまして、そういう関係で、料金収入を持っているものについては元利償還ということはいたさないことになっておりますが、いろいろ実情もございますし、現に超過負担も非常に多いわけでございますし、特にお示しのように事業の中心の一つでもあるということで、いろいろ大臣の御指示もありまして、四十五年度事業に伴う元利償還分から、用地に関するものにつきまして一定のものを、用地分につきましての、用地費に伴う元利償還につきまして特別に財源的な措置といたしまして、特別交付税でその一定のものを措置してまいりたい、こういうことでいま検討を進めておるところでございます。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 おおよそどの程度の額を見るということになりますか。そしてその元利償還で見ます率は十条によるところの八〇%を見る、大体それを目標にして財源措置をするというふうに了解してよろしゅうございますか。さらに昭和四十六年度についてはどのような形でこの財政措置をなされるおつもりであるか、重ねてお答えをいただきたいと思います。
  30. 長野士郎

    長野政府委員 用地の関係で、四十五年度からということでいま検討を進めておりますが、その四十五年度につきましては、さしあたっては元金償還に入ってまいりませんから、利子の関係から入ってくるわけでございます。そこで全体としていま精査中でございますけれども、大体利子分としての四十五年度分を四十六年度以降に換算いたしました場合に、現在のところそういう関係の経費が約八千万程度のものになるのではないだろうかというふうにいま一応算定をされております。精査をいたしますからもう少し動くかもしれませんが、それでその関係の元利償還につきまして、おおむねそれについての算入を通常の普通交付税でやっておりますものを、その関係等も考えながら検討を進めておるわけでございます。現在のところ普通交付税をもって五〇%程度のものを考えていくべきではないだろうかというので、いま準備を進めておる段階でございます。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 来年度はどうしますか。
  32. 長野士郎

    長野政府委員 来年度以降も同じ考え方をとってまいりたいと思います。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間もありますので、あと一つだけ聞いて終わりにしたいと思いますが、昭和四十六年度におきましては、同和対策事業関係の経費として、特別交付税に三十二億円を算入した。内訳といたしましては、府県令が十一億五千万円、市町村分二十二億五千万円ということだったそうであります。昭和四十五年度の特別交付税はこれから計算をし、交付をすることになるわけです。二月末交付ですから、現在作業を進めておられると思うわけでありますが、ただいまお話のございましたこの住宅用地に対するところの利子の償還、五〇%程度を特別交付税で見たいというお話でございましたが、そういったものを入れまして、本年度昭和四十四年度の三十四億円に対しまして、ことしはどの程度になるお見通しでありますか、お答えをいただいて質問を終わっておきたいと思います。
  34. 長野士郎

    長野政府委員 いま作業をいたしておるところでございまして、確定的な見込みを全部つけておるわけではございませんが、本年度の場合におきましては、同和関係経費に対する特別交付税措置といたしまして、いまの見込み、まだ大体の見込みにしかなりませんけれども、大体四十五億前後くらいに相なるのではないだろうかというふうに考えております。府県分につきましては、十二億から十三億までの間になるのじゃないだろうか、それから市町村分につきましては、三十億から三十二億前後のところの間になるのではないだろうかというふうな見当でございます。
  35. 登坂重次郎

  36. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣に一言最初にお尋ねしたいことは、小笠原の復興の暫定措置法がことしの六月で時限立法で切れますが、一体これはどういうふうにお考えになっておりますか。——では、その問題はあとでけっこうです。時間がありませんから……。  都市計画法に規定する市街化区域内の農地に対する固定資産税及び都市計画税の適正化をはかることはいろいろと問題になっておりまして、土地対策問題上、市街化区域内における農地の固定資産税というものはどのように大臣はお考えになっているか。また、この問題は前国会の予算の総括質問に私が大臣に尋ねたときに、御検討を賜わる。——聞くところによりますと、私、当該委員会でございませんのでわからないのですが、法案も用意されているようであると聞いております。いま、市街化区域内の農地に対する固定資産税を宅地並みに引き上げろ、こういうことを言っております。また都市計画税につきましても当然上げなければならぬ。こういう問題についての大臣の所見をまず聞きたいと思います。
  37. 秋田大助

    秋田国務大臣 これは農業政策上の問題あるいは土地政策上の問題あるいは税制上の問題等がいろいろからみまして、デリケートな問題でございますが、しかし、市街化区域内におけるところの農地の課税、これを三十八年並みにそのまま据え置くということはどうも不合理である、しかし一ぺんに近傍付近の宅地並みに引き上げることも、これも激変を引き起こすという点で、御承知のとおり農地を三段階に分けまして、市街化区域内における都市化の進んでおる順序に応じまして、激変緩和の措置を講じながら一年ばかり据え置いて、漸次ひとつ近傍の宅地並みに引き上げていくという方向におきまして案をつくりまして、御提案申し上げておるわけであります。ひとつこの点を御了承願いたいと思う次第でございます。
  38. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 都市計画税は……。
  39. 秋田大助

    秋田国務大臣 これも同様にいたしております。
  40. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうしますと、一ぺんに引き上げることは問題なので、三段階に分けてやる。これは、新都市計画法によって市街化される十年間に三つに分ける。そして近傍類似の宅地並みよりも上に越えたものは五万円とか、いろいろな法案が用意されておりますが、私はこの評価のしかたですが、値段の評価のしかたが固定資産税の路線によるものなのか、大蔵省の相続税によるところの路線化によった値段なのか、また法務省の登記簿によるところの値段によったのか、建設省の地価公示制度によった値段によってきめるのか、またそれが六大都市の市街地価格によるのか、全国市街地価格統計指数によるものなのか、この辺のところが明確でありませんと困るという点が一点。  それからまた、市街化区域の線引きも終わっていないのにこういう法案を審議するということについてはどうなんですか。まだ線引きが完了しておらないのですけれども、それをこういうふうに法案が出てくるということはいかがお考えなのでしょうか。
  41. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 お答え申し上げます。  まず評価のしかたでございますが、これにつきましては、ただいまお述べになられました一番最初の固定資産税で、現在市町村が行なっております路線化を付設いたしまして、路線化は、評価法によるものでございますとその方式に準じて行なう。その路線化方式を採用しませんで、その一定の状況を類似するグループごとに宅地比準方式というものを用いておりますところでございますとその方式による。つまり、現実に市町村におきまして宅地についてとられておる評価方法と同じような評価で行なう、こういうことを基本に置いて考えております。  それから、線引きがまだ終わらないのにこういう措置をとることは早計ではないかという点につきましては、線引きの状況でございますけれども、御案内のとおり現在八百八市町村のうちの、二月十五日現在で六五%が線引きを終わっておるようでございます。おそらくことしの八月までには完了をさせたい、こういうことで建設省のほうも努力をしておられるようであります。  私ども今国会に提案をいたしまして、御審議をお願いいたしたいと存じておりますのは、この評価の実施並びにA、B、Cの三グループに分けるという作業を四十七年一月一日現在、つまり来年一月一日現在の賦課期日現在で行ないたい、こういうふうに考えておるのでございますから、そのための施行準備、こういった点を考えますと、どうしてもこの国会で法案を成立をさせませんと、事務的な課税手続、こういった面で制約がございますので、お願いをいたしておる次第でございます。
  42. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、それじゃ正確なA農地、B農地、C農地の面積とか、たとえばA農地において固定資産税がどれくらい、現在よりも農地が宅地化されていく場合にどれくらいの額が上がってくるかということが、いまの時点では、正確な数字はまだわかりませんね。まだ線引きがきまらないのだから……。三分の二しかまだきまっていないですね。これは昨年の十二月一ぱいに建設省では線引きが終わるという想定のもとに出された。私は何も四十七年一月から市街化区域内の農地を宅地並みのあれをしなくても、四十八年からやったにしても、要するに十カ年間の間に全部市街化区域内の農地を宅地並みの固定資産税の評価に変えるということはできると思うのです。可能であると思うのです。だから、もっと落ちついて、完全に線引きが終わって、一体どういう実態にあるのかということを把握した上でこれをつかまえていってもおそくはないと思うのです。こういう点がはっきりしませんと、総合農政の立場も確立していない立場から税が先行していくわけです。そうすると、A農地になった農家の方々の問題が残されてきますね。こういう点についても私は疑問がある。  この点は時間がありませんからここで審議するわけにいきませんが、第二点は、大臣、大事な点ですけれども、都市計画税ですが、都市計画税がいままでべたっと新都市計画法に基づく都市地域においてとられてきた。ところが、今度新しく線引きが引かれたわけです。そうしますと、私のうちの例をとりまして申しわけないのですが、私のうちの前から市街化調整区域になっている。市街化調整区域になっても都市計画税を払うのか、こういう疑問がたくさん出てまいりましたのですが、これはどうするのですか。払うのですか払わないのですか。これは大きな問題ですからね。
  43. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 今度御審議をお願いいたしております地方税法案の中にその条文があるわけでございますけれども、都市計画税は市街化区域内において徴収をする。いまお尋ねの市街化調整区域におきましては原則として取らない。原則として取らないと申しますのは、市街化調整区域内におきましても大規模の宅地開発ができることになっております、あるいは街路の築造を行なう、こういう特殊の例外的な場合に受益者に負担させるということが適当だと認められる場合には条例で定めるところによって例外的に課税をする、それ以外は原則として市街化調整区域内には都市計画税はかからない、こういうことにいたしたいと考えております。
  44. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうしますと現在取っている市街化調整区域も、線引きされて都市計画税を払っているものについては、いままで払ったのを返してくれるのですか。それとも、四十七年の一月一日から固定資産税、都市計画税については検討するという法案がございますが、四十六年から四十七年の一年間これはそのまま持続していくと取っていってしまうことと、もう一つはいままで都市計画税を納めてきた、しかし調整区域に入ってしまったために、自分のほうは公共投資が十カ年間市街化調整区域だから入らない。そこで下水道整備も道路整備学校教育施設も、環境設備というものが市街化区域から見れば調整区域のほうは段階をつけられる。当然住んでいる人たちはそれだけ市街化区域の人たちよりも不便な思いをしなければならない。しかし、いままで新都市計画法に基づく都市地域における都市計画税というものは自分たちは一生懸命払ってきた。それに対して、政府はいままで払ってきた問題についてはどうするのかという点が一つと、四十六年から四十七年の一年間、都道府県市町村が条例を定めなかったらこの問題はそのまま継続して取っていってしまうということになりますが、どうかという二点。
  45. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 制度の仕組みといたしましては、いまの市街化区域の農地に対する保有課税の適正化とうらはらをなすものだというふうに考えまして、四十七年度分の都市計画税からただいま申し上げましたような措置をとりたい、こういうふうに考えております。ただ四十六年度におきましてすでにそういう措置をとりたいというところがあります。そういうところにつきましては、この法案を国会に提案をいたしました段階におきまして、各府県それから府県を通じまして市町村にこの趣旨の連絡をいたしました。ところが当然議会の議決を要する問題でもございますので、四十六年度から取れるところはそういう措置をおとりになられるような連絡はいたしております。それから既往の分についてでございますが、これは法律の改正のときあるいは条例を改正いたしました後でございましてさかのぼってその分を返す云云、こういうことは考えておりません。
  46. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、お聞きになっておわかりになったと思うのですが、市街化区域に線引きがなることならないことでもめていますね、都道府県市町村が。もめているのはなぜかと申しますと、固定資産税の問題もさることながら、そこで家が建てられない。二十ヘクタール以上の大型開発に限ってはこれはできる、いまこちらでおっしゃったように。二十ヘクタール以上の大型開発なんというのは住宅公団か大型デベロッパーによる開発しか考えられない。普通の建て売り住宅でだっとできたやつは、とても二十ヘクタールなんてできないですから。  そこでいま都市計画税を取っているところ——この都市計画税については非常に不明朗なところが多々あるわけです。いままでだって取っているところもあれば取ってないところもあるわけですから、ばらばらなんです。ところが今度四十七年から一斉に取るということなんでしょう、これは。そうじゃないですか、そうじゃなければ、いままで取っていた、現在もこのまま川口なんかどんどんとっていくわけです。これはあなたのほうで通達をして、ただ通達だけで市町村の議会が例を定めなければ、そこの地域住民というものは市街化調整区域にあっても都市計画税の高い計画税を払っていかなければならないのですけれども、これに対する通達というものは相当きびしい通達をして、こういうものを取ってはならぬという趣旨のことを通達するのかどうか、それともその地域団体、公共団体の自主性にまかせるのかどうか、この辺は非常に大事なところですから私は聞きたいのですがね。
  47. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 事柄は基本といたしましては、この都市計画税それ自体が、ただいま先生のお話の中にもございましたけれども、これを起こすか起こさないかは市町村の自主にまかせる、こういうたてまえをとっておるものでございます。ただ、先ほども申し上げましたような改正というものを四十七年度以降行なう、こういうことで、それから先はこの条例で都市計画税を起こすわけでございますが、起こす場合には市街化区域内だけですよ、こういう改正にいたしたわけでございます。したがいまして問題は四十六年度どうするかという問題だろうかと思うわけでございます。四十六年度は現行の制度がそのまま働くわけでございますので、私どもといたしましては、そこは市町村の自主に基本的にはまかせたい。ただ四十七年度以降はそういう改正になりますから、すでにそういう改正にはずを合わして四十六年度からおやりになるところに対しては、私のほうでこういう改正になりますよということを知らせるということで、いまおっしゃいましたお尋ねに対しましては市町村の自主にあくまでもまかせたいというふうに考えております。
  48. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣のお考えをひとつ聞かしてください。
  49. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいま税務局長の申しましたとおりで大体よろしかろう、こう考えております。
  50. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私はちょっとそこのところが納得できないのは、いままで市街化にするということでその地域住民が都市計画税を払って協力してきたわけです。ところが今度政府の土地利用規制によって、私有財産制度の問題にまで触れてくるような問題に協力しなければならぬ。これは要するにスプロール問題とか過密問題に地域住民が協力するんだ、そういう新都市計画法の精神に従って、土地の問題だって今度は大幅に自分たちの自由にはならぬ、住宅も自由には建てられない、そういう規制を受け、なおかついままで自分たちが納めてきた都市計画税をしゃっぽかされちゃって、たな上げになっちゃって、なおかつ昭和四十六年−四十七年一年間をこの地域団体の自主性にだけまかせるというやり方は、これはあくまでも都市問題についての基本的精神がなってない、これが一つ。だからいろいろな農地問題や何かがいま起きてくると思うのですから、この辺は、ただ全然そういう問題がわからないで、小さな村や町などはわかませんよ、はっきりいうと。こういう問題がいま介在していますよ、国会で問題になっていますよということで十分にその地域住民の——そうでなくたって税金が上がるのですから。今度固定資産税も上がるんですね。それから都市計画税だって三倍ぐらい取らなければだめだなんという建設省の試案も出されているような状態でなおかつ無意味に金を払い込まされていく住民のことを考えたら、これはきびしい通達が出なければいかぬ。その点重ねてもう一ぺん私はお尋ねします。
  51. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 その点はあるいは議論にわたることになろうかと思うわけでございますが、いま私どもこの都市計画税の課税区域の問題、市街化区域におきます農地の保有課税の適正化という問題とうらはらと申しますか表裏一体のものとして実は考えておるわけでございます。したがいまして、四十七年度からいまのA、B、Cのグループに分かれまして、もちろんCグループでございますと昭和五十一年から離陸を始める、課税を始めるわけでございますけれども、そういう形で四十七年度から一方で保有課税の適正化がはかられていく、その基本にありますものはまさに先生のおっしゃいますような都市計画事業というものが市街化区域というものに重点的に行なわれていく、それとのうらはらということで都市計画税の課税区域の問題もいわゆるフォーマルな形としましては四十七年度から、ただ四十六年度におきましては、そういう実情もございますので、四十七年度からこういうことになりますよ、そこでひとつその市町村の実情に応じて、すでに四十六年度からおやりになられるところはそういうこともおやりになったらいかがですかと、この程度地方自治体に対する私どもの態度としては適当なところじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  52. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 片一方では納めているものもあるし、片一方では納めてないところもあった、非常に不公平だ。それといま言ったように納め過ぎちゃった。期待されていた都市計画区域に入るかと思ったら入らなかった、こういう不明朗な点はいま日本全国、新都市計画法の線引きがあるところ全部に起きてくる問題ですから、これはただいまの局長お話を聞きまして通達を出すということで私も了解をいたしますが、これをぜひ出してもらって——市町村の自主性にまかせることはもちろん大事でありますけれども地方議会の自主性にまかせると同時に、こういうことで行き過ぎた取り方をしてはならぬという通達をお願いしたい。その点、私の理解でよろしいですか。
  53. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 実は、私が先ほどから申しておりましたものはすでに出しておるわけでございます。それは固定資産税課長の内簡という形で各県を通じまして市町村長さん方のお手元に届くように実は出してございます。いま私がここでるる申し上げましたような内容のことを盛り込んだつもりでおりますが、重ねてここで通達ということになりますと、ちょっと法律の改正との関係もございますので、ひとついまの内簡の趣旨をさらに徹底をさせるということで進めさせていただきたいと思います。
  54. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それから私、先ほどのA農地、B農地、C農地の面積について、それからもう一点、改正によってA農地における固定資産税はどれくらいの額が上がってくるのか。この二点について資料要求をお願いしたいのです。なぜかと申しますと、まだ線引きが終わっておりませんので、いまここであなた方に正確な数字を求めても無理ですから、でき上がった時点でけっこうです。  次は、神奈川県の川崎と横浜はいま埋め立てが行なわれております。首都圏整備委員会で、大都市の工場立地規制に関する法律がございますが、当時の川崎はその法律の埋め立て地域に該当しておりませんで、工場立地の規制がはずされておりました。ところが最近東京湾に非常に公害が発生したので、これ以上工場誘致したのではたいへんだということで首都圏整備委員会——これは根本建設大臣責任でありますけれども、この委員会でいま工場立地規制の政令を改正するために準備を進めておりますが、自治省としてはこういう問題を聞き及んでおりますか。
  55. 立田清士

    ○立田説明員 ただいま御指摘の点でございますが、首都圏整備地区の既成市街地につきましての工場制限地域が政令で具体的にきまっておるわけでございまして、いまその改正をするというお話はまだ正式な話としてはわれわれは承知をいたしていない、そういう段階でございます。
  56. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは根本建設大臣の談話がちゃんと新聞に出ております。「自治体の説得は難航か」川崎は大反対をしておるのですね。なぜかというと、財源問題と、工場から前金を取っちゃった。こういう大きな問題を自治省がキャッチしてないということは私ちょっと遺憾に思うのですが、その点はどうなんですか。
  57. 立田清士

    ○立田説明員 いまも申し上げましたのは、首都圏整備委員会で現在いろいろ検討中で、まだ私らのほうには政令案としてのお話はございません。ただ事実問題といたしましてはいま御指摘のようなお話が地元にございまして、その点の地元のいろいろな御意向がいまそれぞれ県なり市、あるいはまた首都圏整備委員会のところにも来ておるわけで、その間において首都圏整備委員会がある程度中心になっていろいろ地元の意向等をお聞きになっている、こういう段階にあるようでございます。  そこで、いずれにしましてもその政令自身の案が首都圏整備委員会のほうにできましたらこれは当然また関係各省に御相談があるわけでございますが、そういう段階においても、また私たちのほうといたしましても地元の地方団体の御意見等も聞いていきたい、そういうつもりではおるわけでございます。したがいまして、事実としてはそういうお話があるということは承知をいたしております。
  58. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 こういう事態が方々に起きてくると自治体とのいろいろな問題が起きてきますので、——これは問い合わせたら、首都圏整備委員会で、実際にこういうふうな政令の改正を準備しておるのですね。それを神奈川県の川崎や横浜でトラブルが起きてからあわててもおそいので私はこういう問題を提起したのです。ひとつ早急に対策を練っていただきたい。  それから、これはあとでわが党の小濱委員が小笠原問題で詳しくお尋ねしますので、私は昭和四十六年六月で期限切れになります小笠原の暫定法、この問題だけにしぼってお尋ねいたしますが、この暫定措置法は時限立法ですから、このままやっていくとすっと通過してしまうのです。小笠原の土地利用問題については後ほど同僚議員が詳しく聞くとしましても、いま相当混乱状態にあり、このまま宅地建物取引業者や大型開発のデベロッパーが乗り込んでいって小笠原の土地利用を荒されることは困るということにおいて、また全島民を守るということにおいて、この暫定措置法の土地の形骸についている第三十五条が制定されたと思うのです。この三十五条をこのまま手を加えませんと、時限立法で六月に切れてしまいますが、これは大臣にお尋ねいたします。この問題は大きな問題でございますので、何らかの手を打つのか、それとも小笠原の問題はもうこれでよろしいのか。この暫定措置が切れても、三十五条の形骸の土地の問題でもうこれ以上規制を加える必要がない、全島民が入っていってそれぞれやってもかまわないということにわれわれが了解してよろしいのか、この点についてお尋ねして私、質問を終わらせていただきますが、どうかひとつ明快にお答えいただきたいと思うのです。
  59. 秋田大助

    秋田国務大臣 暫定措置法に基づく形質変更の制限を延長することは考えておりません。
  60. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると、もう小笠原はだれが行っても家が建てられるようになりますね。
  61. 秋田大助

    秋田国務大臣 そうでございます。
  62. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは大きな問題ですが、いま全国の宅地建物取引業者、不動産屋がウの目タカの目になっているのは、小笠原は六月以降は、土地利用区分ができてなくてもどんどん土地を買ってそこに住宅を建ててもかまわない、こういうふうに宣伝して、私のところにも去年の七月に勧誘のはがきがきている。小川先生、土地を買いませんか、小笠原は来年の六月になったら土地が幾らでも買えるし、家も建てられますよ、坪二万円でどうですかといってきていますが、こんなことをどんどんやったら、国立公園にするか国定公園にするかもまだきまらない、自治省がどう使われるのか、建設省はどう使われるのか、東京都はどう使うのかという土地利用区分もはっきりしてないのですから、あの楽園といわれている小笠原にそれこそ第二の混乱状態が起こってしまうじゃないですか。これはたいへんな問題だと思うのです。何らかの形で土地利用区分というものをはっきりした上で暫定措置法をはずすのが当然だと思うのですが、この点はいかがですか。どなたか専門的にお答えいただけたら……。
  63. 本江滋二

    ○本江説明員 お答えいたします。  小笠原諸島に現在かかっております暫定措置法の三十五条と申しますものは、制定の経過からいたしましても、小笠原諸島がほとんど無人の状態で返ってきたという状態について今後計画的に復興計画を進める、そのためにしばらくの間形質変更の制限を加えて、その計画に基づいて事業が軌道に乗っていくようにということを前提にして設けられたものでございます。  それで、小笠原諸島復興を今後進めていくわけでございますけれども、もちろん先生がおっしゃいますように、無秩序な開発によって小笠原諸島の自然環境その他が破壊されるということがあってはならないと考えております。そこで一昨年の暮れに成立いたしました小笠原諸島復興法によりまして、昨年の七月、復興計画というものを策定いたしております。その策定いたしました復興計画の中に土地利用計画というものがございます。この土地利用計画をもとにいたしまして総合的にあるいは計画的に復興を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  その一部になっております土地利用計画におきましては、集落地域というものと農業地域、自然保護区域、その他の地域の四つに分けております。その四つの地域の利用区分に従ってこれから仕事を進めてまいるわけでございますけれども、これらの利用区分というものを実際に効力あらしめるというための措置といたしましては、自然保護地域につきましては、自然公園法に基づきます公園の指定というものを行ないたいと思っております。これは遠からず、厚生省のほうと連絡をとっておりまして、指定ができる手はずに相なっております。それ以外の地域につきましては、東京都や小笠原諸島の公共施設の建設、あるいは公共事業実施、そういうものを適正に行ないまして、民有地——御懸念があるような民有地についての土地の利用が適正に行なわれるような誘導的な役割りを果たしてまいりたいと考えております。なお小笠原諸島の土地の約七割は、国有林その他の国有地でございます。この国有地の有効な活用をはかるということが、復興事業を進めてまいります上で非常に不可欠な条件であろうと思いますので、この国有地の有効適切な活用ということの面からも、土地利用計画を実効あらしめるように配意いたしたいと思います。  なお、先生、先ほどおっしゃいました民間の不動産業者が、買収をして、そして売り込みを相当やっているというお話でございます。ある特定の業者がそのようなことをいたしたことは、どうも事実のようでございます。御指摘の業者につきましては、さっそく東京都を通じて、小笠原諸島復興に協力をしてくれということを要請いたしまして、原則的な了解をしていただいております。今後、その他——一般に不動産業者はたくさんおるわけでございますけれども、その他の不動産業者あるいは一般の住民、あるいは現地に土地をお持ちの方、そういう方々に対しましても、小笠原諸島復興計画によります土地利用計画というものの趣旨の徹底をはかりまして、復興事業なり復興が適正に、あるいはきれいな自然を保護をするということの目的に合致して進められるように進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  64. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 以上、これで終わりますが、あと不動産業者の名前等は、同僚の小濱議員がきちっと指摘をいたします。私のところにこんないいかげんな宣伝が来ている。去年の七月に、私のところに案内状が来て、値段まで出ている。どのくらいで売られているか知らないから、そんなことを言っておる。土地利用の規制だのハチの頭だのと言っておるが、全然規制なんかありはしない。それをこの六月にはずす。このあと、こまかい事例は、小濱さんがおやりになるそうですから、私これで終わらしていただきます。
  65. 登坂重次郎

  66. 栗山礼行

    栗山分科員 私は、久しく地方行政から離れておりまして、きょうの分科会を通じまして、基本的な問題を別にいたしまして、二点の問題についてお尋ねを申し上げてまいりたい。  その一つは、御承知のとおり、急激に大都市周辺の、人口の急増いたしております市町村における義務教育施設整備による国公の財政の負担の問題について、一つは大きな問題でございます公害防止対策による地方権限の委譲に伴います財政処置のあり方について、この二点をひとつ簡略に御質問申し上げまして、お答えをいただきたい、このように考えているわけでございます。  申すまでもなく、近来の日本は高度成長経済というものが大きく発展をいたしまして、過密都市、過疎都市というような方向になっておるのでありますが、なかんずく大都市周辺の都市化という一つの変貌に伴いまして、関係周辺の市町村というものが非常に人口の急激な増加、こういうような事態に進んでおりますことは御承知のとおりでございます。そこで問題は、根本的には、私はわが国の都市政策の問題、なかんずく民主政治の基盤であるといわれております地方自治の問題について多くの問題を内蔵をいたしておると思うのでありますが、今日の都市周辺における都市化の人口増の問題につきましては、私は、国の都市政策の貧困と、地方自治体の方向づけによる大きな欠陥が今日の事態を招いておる、こういうふうに考えておるのでありますが、このようなとらえ方について、どのような所見を秋田自治大臣はお持ちになるか、こういうことが一点であります。  したがいまして、人口増を伴ってまいりました大都市周辺の市町村というものにつきましては、大きく行財政の要請が強まっておるのでございまして、これは私も申し上げる内容はございません。多くの行財政需要というものを困窮の中にどう進めていくか、大きな苦悩的な一つの条件だ、こういうふうに考えておるのでありますが、なかんずく私のきょうの中心でございます義務教育の学校の土地の取得の問題、整備に関する問題、施設に関する問題等につきましては、緊急を要する日本の大きな教育的な課題の一つだ、こういうふうに理解をいたしております。特に、従来の関係を勘案いたしますると、これが地方債及び交付公債、こういうものによって主としてまかなわれておる、こういうような状況のもとに推移をいたしてまいったのであろうか、こういうようなとらえ方を、不的確ではありますけれども、私は大筋としてそのように理解をいたしておるのです。  ここで問題は、やはり教育は、民族の国家の百年の計の重要な一つの問題でございまして、その中におきます義務教育の問題ということにつきましては、真剣にこの問題に対処いたしてまいらなくちゃならないときに、とにかく土地の取得にいたしましても、整備にいたしましても、施設の完備にいたしましても、何らかの緊急を要する財政処置をとってまいらなくちゃならないという痛感を私はいたしておるのでありますが、この点についての大臣のひとつ簡潔な御説明をちょうだいいたしたい、かように考えます。
  67. 秋田大助

    秋田国務大臣 確かに最近の社会経済の急激な変化に応じまして、過密、過疎の問題を非常に生じまして、これは地方公共団体自体の責任範囲外に問題が展開されておるという点もありまして、自治省といたしましては、過密、過疎、両問題を真剣に取り上げ、これが対策を考えております。  そこで、いま御指摘の過密の問題でありますが、いわゆる人口急増都市におきましては、社会資本の充実、住みよい生活環境の整備のために地方公共団体に一時に過大のいろいろの財政負担が要望されておることは事実であります。これに対しましては、どうしても、特にただいま御指摘の義務教育施設整備につきまして、財政上の援助を特別に考える必要をわれわれは痛感をいたしまして、そこで文部省とも御相談を申し上げまして、人口急増都市における中小学校の施設及び用地取得に関する財政上の特別援助の計画案を立てまして、これが実現をはかったのでありますが、用地に関しましてその考えの一部が実現を見たという状況でございます。従来用地に対しましては、大蔵省は、これはもう地方公共団体の自分のものになるんだからというような点から顧みられなかったのであります。これにつきまして、とにかく緊急の用務として配慮をされるに至りましたことは、一つの進歩であろうと思いますが、まだ十分ではございません。用地の点についてもその他の施設の問題につきましても、今後関係方面とお打ち合わせもさらに密にいたしまして、これが改善をさらに手がけてまいりたいと考えておりますが、まずその緒の一端にはついたというふうに考えておる次第でございます。
  68. 栗山礼行

    栗山分科員 特別の財政処置を不十分ながら文部省と協議をして、大蔵省から予算を取りつけた、こういうことにつきましては私も敬意を表し、了解をするところでございますが、財政局長、四十六年度のこの種の用地取得に対する予算は、四十六年度幾らおつけになっていますか。
  69. 長野士郎

    長野政府委員 これは、直接は文部省の所管でございますけれども、急増地域の関係での用地取得を必要とする義務教育整備事業という形で、来年度の分といたしましては六十億円国が措置した。ただしそれは三年分割ということで、来年度はさしあたって二十億円、こういうことでございます。
  70. 栗山礼行

    栗山分科員 確かに三年分割による六十億と承知をし、御答弁をいただいておる、こういうふうに解していいと思うのであります。私、文部省のほうでちょっと伺ってまいったのでありますが、自治省といろいろ相談されまして、相当自治省といたしましてはこの問題に多額の要請をされたと伺っておるのであります。何か二百十億でございますか、文部省の要求をされましたことについて、これがこういうふうに三年分割制度をもって六十億だ、こういうふうに相なったと承っておるのでありますが、簡潔にお答えいただきたい。
  71. 長野士郎

    長野政府委員 用地取得に関しましては、これは積算がいろいろあるわけでございます。来年度の問題といたしまして文部省が積算をいたされましたのは、用地取得費の見込み額が来年度に四百二十億という積算をされた。それに対するところの国の措置として二百十億というものを予算要求としてはなさったわけでございます。人口急増の関係では、いま申し上げましたように、そのことの中で六十億円ということで、予算措置は一応三年度にわたるわけでございますが、なされたということになります。  そこで、それを一体どういうふうに今度はあとづけていくんだという問題が起こるわけでございます。いろいろ検討をいたしておるところでございますが、一応その中の、全体として四百二十億円でございますから、国庫補助金として六十億円、地方債で百八十一億円、それから地方債の百八十一億円のほかに実は水田買い上げ債というのが、昨年から水田買い上げをいたしておるわけでございますが、これは公共用地の先行取得という形で行なわれておるわけでございます。その点で、すでに前年度で手当てをしたというものもあるわけでございますから、そういうものを含めて考えまして、さらにいろいろ財源的な措置考えてまいりますると、そういうもののほかにもなお財源の不足と申しますか、四百二十億から出発した計算でまいりますというと九十九億円、大体百億円近いものが、なお財源的な措置が必要だということになってまいるわけでございます。この点につきましては、一般財源分の措置といたしまして、地方交付税等におきまして、いわゆる人口急増の関係の補正をいたしておりますが、これは今後の問題にも相なりますけれども、人口急増の関係の交付税算入、それからそういう事業をいたしますために必要な財政需要があるわけでございますから、それの交付税算入というようなことを通じまして、そういう面についての措置考えてまいる、そういうことにいたしております。
  72. 栗山礼行

    栗山分科員 短い時間でございますので、私、要点だけで理解をはかってまいりたい、このように考えておりますが、二百十億文部省が予算要求をされまして、六十億を三年度にわたる分割制によって認められた、こういうことでございますね。そういたしますと、これの一つの算出基準というものは一体どういう基準によって算出されたか、こういう問題点が一つあるわけです。いま局長お話のようなことになりますと、そのあとの問題はすべからく、いわゆる借金によりまして、元利を含めて地方自治体が大きな負担を背負ってまいらなくちゃならぬ、こういうふうな当然な結果に相なってまいろうか、こう思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  73. 長野士郎

    長野政府委員 お話のとおりでございまして、いまのところはとりあえずの人口急増といいますか、児童生徒数が急増している、それについての学校整備ということでのとりあえずの措置考えるということの程度にすぎない。それも十分な措置とはいえない。そういたしますと、つまり今後における財政負担というものが残るではないか、おっしゃるとおりだと思っております。  そこで、そういう問題についてはなおなお、大臣が先ほど申しましたように、十分でない形ですが、とりあえず現在のところはその緒についたといいますか、というところに差しかかっておるということでございます。私どもは、これをさらに充実したものにしてまいりたいというふうに考えておりまして、文部省、大蔵省に御相談申し上げまして、そうしてその充実のために今後も努力をしてまいらなければならぬものだと思っております。
  74. 栗山礼行

    栗山分科員 もう一点、この問題に関連いたしましてお伺いいたすのでありますが、今年度の文部省の予算によりますと、学校用地対策の一環として、昭和四十四年度に創設されました新設校の整地工事費がなくなっておるように伺うので、これは一体どういうことかということであります。もし四十四年度に創設されました新設校の整地工事費がなくなっておるといたしますと、今年二十億の国庫負担金を創設を見たのでありますけれども、昨年度の新設校の整地工事費の四億五千万円をこれは削るということになるのでありますから、実質的には本年度予算においては十五億五千万円が今度の用地取得に対する特別措置の内容だ、こういうふうな姿になってまいろうかと思うのでありますが、この点についてひとつお答えをいただきたい。
  75. 長野士郎

    長野政府委員 私、直接詳しいことはよくわかりませんが、お話のように、人口急増対策としていまの用地の造成に対する助成でございます。これは数年前からできておったようでございます。私ども伺っておりますところでは、それが今度の用地の取得に必要とする義務教育整備の助成措置というものに吸収をされ、まあその措置が発展的にこちらのものになってきたというようなことで、予算的にはお話のような形になってきておるのではなかろうかと思っております。
  76. 栗山礼行

    栗山分科員 私が伺いましたところによりますと、そういう内容を持っておる、こういうことでありますから、私の理解としては、したがって、それを落とされますと、六十億の中で均等分割割りでございますから、四億五千万を引かれますと、十五億五千万円が今年度予算であるということを御確認いただけるかどうか。あるいは不十分でございますと、後日この問題を何らかの形で明らかにしていただくということをひとつ望みたい、かように考えております。
  77. 後藤正

    後藤説明員 先生のいまのお話でございますけれども、あくまでも国としては前向きの、学校施設については六十億なんでございますね。ただ、それをなかなか単年度で背負い切れませんということで、債務負担行為もとりまして三年分割をしておる。先生御指摘のことを私、文部とよく連絡をとっておりませんのでわかりませんが、六十億の中で四億五千万をのみ込んでおるかもしれません。だから二十億引く五億ではございませんで、やはり六十億。毎年度、四十六年度については四十六年度でまた金額をはじきますが、これがまた六十億になるか七十億になるかわかりません。これを三年に分けて交付していく。ですから、平年度化すると六十億の前向きの施策があったということと、過去の四十年から四十五年までの用地起債関係につきまして、新たに自治省で六分五厘をこえるものにつきましてのいわば利子補給ということを考えております。これが十億という予算になっておる。そのような処置が講ぜられておるわけであります。
  78. 栗山礼行

    栗山分科員 この問題は、私のとらえ方と、それから自治省大蔵省の御答弁との相違点が若干ございます。しかし、明らかに四十四年に新設されました新設校土地工事費というものが落とされておる。そういたしますと、落とされたら四十五年度の分はこれを削る、こういうことに相なってまいるというようなことにならざるを得ないのです。そうすると、六十億という一つの——二百十億を要求されて、三年間でたった六十億予算を認められて、その中で前年度の土地の整備費についてそれだけ落とされますと、それだけ減額される、こういうふうなことには当然相なるのでありまして、ここに問題点がある。だから六十億でないのだ、しかもことしは二十億の金額がそれだけ減額されるのがこの種の財政処置だ、こういう理解をいたすのでありまして、これはここで論争をいたすよりも、明らかにこの問題の表明を後日何らかの形において求めたい、こういうことでこの問題は終わってまいりたい、かように考えております。別に資料要求じゃございません。これは事実に基づく経過と真意、こういうことでけっこうだ、かように考えております。  公害問題でございますが、言うまでもなく公害問題の防止については当面の重要な課題の一つだ。しかもこれが地方自治体に政令によります権限委譲されまして、一線部隊としてのこれの取り組みをいたしてまいる、こういうことに相なってまいろうかと思うのでございますが、なかんずくこれに対する大きな国の特別財政処置の裏づけをいかにはかってまいるかということが、ほんとうの公害対策の方向づけをする重要な問題点になってまいろうか、かように考えるのであります。したがいまして、これは企業側もございましょう、あるいは地方自治体それ自身の負担の行為もございましょうが、なかんずくこういう国策的条項に基づきます国の負担というものがやはり一番大きなネックになってまいることは論ずるまでもないいことでござますが、私の伺いますところによりますと、現在、政府が検討されております公害防止事業のいわゆる国の財政上の特別処置法というものを検討されておるやにお伺いをいたすのでありますが、どのような一つの検討の中身をされておるか、こういうことについてお伺いを申し上げたい。
  79. 長野士郎

    長野政府委員 公害防止事業に対しますところの国の補助なり負担の制度につきまして、新しい特例措置と申しますか、かさ上げ措置考えておるというようなことは、昨年のあの公害国会等を通じましていろいろ御論議があったところでございます。それに基づきまして、そういう御趣旨もありますので、準備、検討を加えておったのでありますが、現在ほとんど成案を得るに近いところになっております。近日中に国会に御提案をいたしまして、御審議をわずらわしたいと考えております。  この内容は、主としてはいわゆる公害防止地区——公害対策基本法におきまして内閣総理大臣が指定しました公害防止区域というものについて、総合的な公害防止事業をいたしますために、公害防止計画をつくって総理大臣が承認しておるわけであります。この公害防止地区を中心にいたしまして、そこで行なわれますところの防止計画に基づいた公害防止事業についてそういう特別の助成を中心に考えていきたい、これが中心でございます。  この内容といたしますところは、現在のところ、いわゆる下水道につきましては終末処理の施設の整備、それから特別都市下水道、都市下水道というようなもので公害防止のために役立つ事業につきましてこの補助率のかさ上げをはかる。これがいままでは四割補助でございますものを五割補助にする。大体の考え方の中心としては、いま申し上げましたように、大体いままで補助率の低いものが多いわけでございますが、これを大体半分ずつの国と地方の持ち合いというかっこうにまで持っていくということを中心としております。したがいまして、緩衡緑地帯の整備事業でございますとか、そういうものもいままで四分の一くらいでございますのを二分の一にいたしますというようなことで考えておるわけでございます。それから廃棄物の処理事業、それから河川、港湾の浄化事業といいますか、河川、港湾が汚濁しておりますものを浄化する事業でございますが、これもそういうふうに整えてまいりたい。それから、公害防止について学校を移転するというような問題が起こるわけであります。学校移転につきましてもそういう特別な措置考えていきたい。それから土壌汚染、つまり最近新聞でよくいわれておりますカドミウム等によりまして土壌が汚染されますような事業につきましての、土壌汚染を食いとめますといいますか、なくしますために、客土事業等を中心にした土地改良事業があるわけであります。こういうようなものを、公害防止に関連をいたします事業を中心にいたしまして補助率の引き上げをはかってまいりたい。  ただ、防止地区以外にも、いま申し上げました中のいわゆる河川とか港湾の浄化事業、土壌改良事業、それから公害の防止のための観測施設の器具の整備という事業がございます。こういうものも、必要な地域については、防止地域以外でも補助率の引き上げが適用になるようにいたしたい、こういうことであります。それを中心にいたして考えております。
  80. 栗山礼行

    栗山分科員 あまり時間がございませんので、一括して残余の質問を申し上げてお答えをいただきたい、このように考えておりますが、六十四国会で建設委員会の附帯決議がなされておると承知をいたしております、その内容は、下水道の現在の補助率が御承知のとおり十分の四でございまして、それを四分の三に引き上げるべきであるという強い附帯決議がついておると承知をいたしております。ところが、特別処置において下水道の補助率の引き上げを行なっておらないというのが私の一つの問題点でございます。これについて、これの一つの理由をお伺いを申し上げたいということであります。  第二点の問題は、交付税法上の処置でありますが、実際は地方公共団体は、いわゆる公害に対しまする監視や測定等の事務を地方団体の義務として行ないつつある一つの状態でありまして、これに対する一つの財政負担というものがかなり高まっておる。いわんや、これだけじゃなくて、今後の一線部隊としての公害防止対策に進んでまいらなくちゃならぬ、こういうふうなことで、非常に大きな財政上の負担に発展をいたしつつあるという状況のもとにつきましては、これはもう御承知のことであろうかと思うのであります。何か、自治省の白書等伺いますと、プロパーの平均が、大都市及び特別都市においては、四十五年度より四十六年度が約二倍になるという一つの白書が示されておるように承知をいたしております。したがって、四十六年度以降における地方団体の財政負担というものが非常に膨大な負担を加えられる、こういうふうなことに発展をいたすと思うのであります。ところが、四十五年度交付税の処置におきましては、三十億円が基準財政需要として見込まれたにすぎないと思うのでありますが、大体四十六年度の基準の交付税をどの程度に見込まれて進められておるか、この点をお伺い申し上げたいということでございます。  時間が参りまして、二、三の質問を残しておるのでありますけれども、要約いたしますと、公害事業というものは、国が大きくこれを取り上げて、そして、公害防止の実を早急にあげてまいるという、いわゆる権限の委譲に基づく財政措置を急速にそれに対応する処置を講ずべきである。しかるに、いま申し上げましたような形において、不十分な地方行政の財政の中において、これだけの膨大な任務づけをされておることについての財政処置の貧困な一つの状態というもので、一体、臨時国会で、公害国会ということでいろいろ十四本の法律があがってまいったのでありますが、これが実施を迫られる一つの事態において、はたして真に公害対策の防止に対しまする政府のいわゆる行財政、なかんずく財政処置の方向づけが、あまりに私は不明確でないか、こういう点をお尋ね申し上げて、今後の一つの推進の方向づけをお伺いしたい、これが私の結論でございます。
  81. 秋田大助

    秋田国務大臣 公共土木事業に対する補助率をアップすることが非常に大事でございまして、われわれも極力そうしたいと思っておったのでございますが、いろいろ関係省庁との関係がございまして、必ずしもわれわれの主張どおりにいかなかったわけでございますが、下水に関しましては、そのかわり、終末処理の問題上の費用につきまして、五割の財源ということが認められましたので、ほぼこれらにある程度のバランスをとり得たと思っております。これらの問題につきましては、一応関係省との間に成案を得ましたので、不日提案をして御審議を願いたいと思いますが、今後これらにつきましても、十分検討を加え、将来の発展を期してまいりたいと考えております。
  82. 栗山礼行

    栗山分科員 いろいろ時間に制約されておりますから、足らざる質問に終わったかの感がございます。必ずしも御答弁の内容も明確にお答えをいただいたとも理解をいたしかねる諸点がございます。非常に問題点をはずされて自治大臣が御説明されておるやの感がございますけれども、最後に、何と申し上げましても、公害対策について、大きく国の国策として、この問題は国民的一つの大きな課題として解決すべきである。しかも政令による権限を自治体に委譲いたしまして、重い荷物をかかえておる中に、さらに大きな重い荷物について、それを背負って進んでいくというようなしわ寄せは、これは公害防止対策の方向として最もゆがむ内容じゃないか、こういうことを私は指摘をし、公害対策に真摯な地方自治体の効果があがるような方向づけを願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  83. 登坂重次郎

  84. 田中武夫

    田中(武)分科員 いろいろとお伺いしたいと思いますが、三十分ですから、答弁も要領よくお願いいたします。  まず最初に、交通反則金についてお伺いします。  この反則金というものの性格はどんなものですか。いわゆる罰金ではない。とが料でもない。反則金は反則金だと、こういうことなんですが、これの性格はどんなものなんですか。
  85. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 お答えいたします。  交通反則金は、従来、非常にたくさん罰金刑がありましたために、それ全部が……(田中(武)分科員「一口で言ってください」と呼ぶ)行政処分でもなし、罰金でもない、第三の範疇に入る警察処分的なものでございます。
  86. 田中武夫

    田中(武)分科員 なぜそれを伺ったかというと、これは他人がかわって代納してもいい性格のものかどうか。罰金だって、金はどこから出るのかわからないから、これはあれだろうけれども、それはやはり罰金刑に処せられた者が納めるということですね。反則金が他人によって納められてもいいのか、あるいは、かわって納めてもいいのかということに関連してくるわけなんです。実は、東京や大阪にもあるようですが、私は兵庫県ですが、姫路に互助会というか保証協会というのができまして、そしてその反則金を納めねばならない、いわゆる交通違反をやった場合には、入会金あるいは会費をかけておればそこがかわって納める、そういうのがあちこちにできているようであります。  そこでまず、反則金の性格からいって、そういう代納で、いわゆる本人とは違った人格——これは人格はないでしょうがね、この保証協会というのは。どうもそういうのがかわって納めていいのかどうか、こういうことなんですが、まあ一般のドライバー、加入者は、互助的で便利なものだと、こう言っておる。ところが、警察では、どうも法律的には違反とか問題はないとは思うけれども、いわゆる交通違反を助長さすようなことにならないか、こういうような疑問を持っておるというようなことが新聞に伝えられておるのですが、これはどうなんでしょう、こういうのに対してどういう見解をお持ちでしょうか。と同時に、一年間に反則金はどの程度、何人から納入せられておるのが実態なのか、あわせてお答え願います。
  87. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 私ども、その状態が全国的に蔓延しておりまして、いろいろ検討したのでございますが、いま先生仰せのとおり、法律的にぴしゃりと押える手はない。しかし、公序良俗の見地からしても好ましくないという考えで、第一線の本部長を通じまして、そうしたものにまず警告をする。それからまた、そういう会の中で詐欺横領にかかったものの事件もございまして、そういうようなことがないかどうかも警察的に監視をしておる。並びに一般の運転者に対しましても、これに広報するというような立場で、法的には非常にめんどうな問題でございますけれども、行政的な指導を通じて、そういうことが行なわれないように指導しているのが現状でございます。  今日まで約二十五団体が営業をやめておるというような実績もございます。(田中(武)分科員「全国で幾らぐらいある。」と呼ぶ)全国で、現在二十五団体で九十八の支部を持っております。  それから交通反則金でございますが、四十五年度はたしか三百万件で約二百億近くなる予定でございます。
  88. 田中武夫

    田中(武)分科員 これはいい悪いは別として、私は一つの時代の要請かと思うのです。西ドイツあたりでは一種の保険制度としてこれをやっているとも聞いております。  そこで問題は、やはり反則金の性格にさかのぼって論議をせねばならないと思うのです。たとえば金はどこから出ようとも罰金は本人が納めなければならぬですね。とが料またしかりだと思うのです。ところが反則金は、いままでのそういった罰金、過料、とが料等々の範疇から出た第三の形のものだ、こういうことであるだけに、そういったことについての議論が詰まっていないと思うのです。許されるなら反則金の性格とは何ぞや、こういうことで議論もしてみたいと思うのですが、いかがでしょうか、反則金の性格を明確に——それは法律にも出ておるだろうが、他人がかわって納めていいのかどうか、金はどこから出るかは別として、その点をまず追及する必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  89. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 確かにおっしゃいますとおり、他人が納めたのでは効果の全然ない性格のものだと思います。ただ日本の保険におきましても偶然的な要素による事故の賠償をする。この場合は違反をするという大体故意が中心になっておりまして、そういうものに対して保険をするという性質のものではないというふうに感じております。
  90. 田中武夫

    田中(武)分科員 保険は大蔵省の所管ですけれども、それを議論するつもりはないからきょうは大蔵省は来てもらっておりません。しかしこういう保証協会といったようなものができてくれば、商魂たくましいところの保険会社が何らかの方法でそこへ出てくるかもわからぬです。そのような場合に混乱が起きると思うのです。  私は必ずしもこの保証協会なるものを否定というまでも、まだわからぬのですが、一方またそのために、どうせ少々の違反をやっても会費をかけておけばいいんだというような安直な考え方が交通違反を増すのじゃなかろうか。そこで、きょうここで私は議論をして結論を求めるのも無理だし、時間もありません。どうでしょう。ひとつ場を改めて反則金とは何ぞやということを追及しようじゃありませんか。いかがでしょう。何か答えが出せますか。他人が立てかえていいのか悪いのか、あるいはそういった一つの保証制度というようなことで保険になじむのかなじまないのか、これはやはり反則金の性格いかんにかかわると思うのですが、いかがでしょうか。
  91. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 保険業法では第一条に……(田中(武)分科員「もう保険はいいです。反則金の性格……。」と呼ぶ)私どもは、そういう故意的な要素がございますので保険には当然なじみませんし、好ましくないという考えでございます。
  92. 田中武夫

    田中(武)分科員 と同時に、他の機関が代納はできない性格か。金はどこから出てもよろしい。窓口にはやはり本人が持っていく、これがたてまえでしょうね。その点実際はどうなっていますか。
  93. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 それを他人が納めてもとがめだてする法律がないということでございます。またこういうもののほかに、たとえばタクシー業者であるとかいうようなものでも、労働協約で結んでおるような案件もございまして、そうした面につきましてもやはり困ったことだというふうには考えております。
  94. 田中武夫

    田中(武)分科員 困ったことだではなくて、ひとつ交通整理しましょう、交通問題ですからね。私の意見が一つありますが、議論をやる時間がありませんから、次にいたします。  次に消防庁長官にお伺いをいたしたいのですが、最近、一々申し上げなくてもおわかりのように、火事が多い。何か八分間に一件ずつ起こっているというようなこともいわれておるわけですね。一体その原因はどこにあるのか。  さらに、最近の火事で特徴は、多くの人が犠牲になっておるということです。これは新建材等で、中には二呼吸したらそれだけでまいってしまうというようなガスというか煙を出す新建材等もあるようです。そういう点について、まず原因と対策を簡単にお願いします。
  95. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 最近の火災の多くなった原因としては、要するに一つは火を使う機会がかなり多くなってまいりました。石油ストーブあるいはガスこんろその他の器械器材というものがかなり普及してまいりました。と同時に、部屋が御案内のとおり戦前と違いましてかなり気密性の高いものになってまいりまして、そういうことで不完全燃焼を起こし、かつ死者の原因になってまいりました。と同時に、室内でわれわれの生活の便宜のためにいろいろな可燃物というものを相当多量に使っておるような生活態様になってきたわけでございます。そういう意味で器材がかなり多くなっているということはいえると思います。  それからその対策でございますが、御案内のとおり火災の約六割は建築建物火災でございます。したがいまして一般家庭につきましては、これはいろいろな防火運動その他を通じまして火のもとの用心をしてもらう、あるいは寝る前に火元を点検するというようないわゆる社会教育的な運動を展開しておるわけでございますが、不特定多数の者が集まる場所につきましては、火災が起きた場合、早く発見をし、早く通報をし、同時に避難するというたてまえのもとに、煙感知器とかあるいは誘導灯というものを設置させるほか、そういう建物の管理者につきまして避難訓練を中心にした訓練を現地の消防署と一緒になってやらせるというようなことで、こういう問題に対処していきたいと思っております。
  96. 田中武夫

    田中(武)分科員 そこで、新建材なんかは建設省が監督すると思うのですが、きょう建設省は来ていませんか。——その新建材に建設省がJISマークを与えるようなときに、消防庁としては何かものを言ったりそういうようなことはあるのですか。協議するのですか。
  97. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘のように建材の試験は、不燃、難燃あるいは準不燃というようなものについて試験をして、それを調べることになっております。  消防庁としてはこれは建築基準法並びにその政令の改正をしまして、四十四年の改正のときにわが消防庁としても、消防研究所の研究成果というものを持ち寄りまして、通産、建設、消防相寄って研究した結果、ああいう基準をつくっておるわけであります。したがって基準をつくるときにはわがほうも研究所の研究成果を持ち込んで基準に入れてまいるということをしております。
  98. 田中武夫

    田中(武)分科員 しかし具体的にこれを採用するときについての相談なり協議なりというものはないのですか。
  99. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 具体のしろものについて一々試験するわけでございますが、その試験の認定の基準をつくるときに、わがほうの意見を反映させております。
  100. 田中武夫

    田中(武)分科員 大臣、消防はあなたの所管になるわけなんですが、いまの消防長官の答弁では、基準をつくるときに協議はするけれども、実際具体的に採用するときには、基準があるからそれでと、こういうことなんですが、私は基準は基準で、具体的に採用する場合に、JISマークを与える場合に、消防庁のほうへ協議するとかあるいは何かものを言うような道をつくっておく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  101. 秋田大助

    秋田国務大臣 その間の連絡が、権限、権限で完全ではないようでございますが、こちらとしてはそういう点についても、こちらの発言権が将来十分いくようにしたいと思って、いろいろ打ち合わせばいたしておりますが、まだ思うにまかせない実情でございます。
  102. 田中武夫

    田中(武)分科員 役所同士のなわ張り争いというのはいまに始まったことではないのですが、そのために犠牲者が多く出る、そういうことであってはならぬと思うのです。これはぜひ閣議等で話をしてもらって、具体的にJISマークを与える場合には消防庁に協議をする、あるいはまた話し合いをする、こういったような道を開くように、これは閣僚として自治大臣、要求します。どうですか。
  103. 秋田大助

    秋田国務大臣 その点よく検討してみたいと思います。
  104. 田中武夫

    田中(武)分科員 次に参ります。  人手不足はどこでもですが、最近消防職員になり手が少ない。そこで婦人を集めたりあるいは消防署相互間でスカウトし合ったりいろいろなことがあるようであります。また、消防力の基準というのがありますね。その基準から見てそういう状態ですから、職員の数がそこまでいってない、あるいは、これは金の関係にもなりましょうが、装備がそこまでいってない。これは東京都を含め、首都圏といわず各地みなそうですよ。そういった問題について、どのように対策を考えられておるのか、あるいは給料等の問題もあろうと思います。このように火災が大きな問題を起こしておるときに、消防職員が足らぬとかいうことでは済まされないと思うのですが、いかがでしょうか。
  105. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘のように、消防力の問題、人の問題ともに不足をしておりまして、これの対策といたしまして、一つは器材の機械化をぜひはかっていかなければならぬ。たとえば最近では四十五メートルくらい届くスクァートという機械も開発されまして、三人くらいでそれを操作できるようなものもできております。そういうことで機械化によって人の力の足らざるところを補ってまいりたい。そのために国といたしましてもそれの促進のために財政援助をいたす、こういうことでございます。  それからもう一つは職員の訓練の問題を、やはりそういうものとあわせてやっていかなければならぬ、これが第二でございます。  第三は、いま給与の問題もありましたが、これは御案内のとおり、現場の実働の関係でございますので、一般の職員に比べましては、若干高くなっているわけでございますが、給与そのものよりも、もっと魅力ある職場ということで、いろいろな教養面においてもわれわれとしては力を入れていかなければならぬ、こういうような考え方を持っております。
  106. 田中武夫

    田中(武)分科員 いろいろとまだこっちも意見がありますが、時間の関係で、消防力の充実については十分配慮してもらう、それは給料等も含めてです。それだけ申し上げておきます。  そこで消防庁は、四十四年四月一日から消防法の施行令を改正して実施していますね。これはいろいろな大きな旅館等の火事ということで政令の改正をしたと思うのです。そしてこれは煙感知器というのですか、そういう装置つきの自動報知器とかあるいは旅館等では通路の誘導灯であるとか、非常ベルとか、放送施設とか、いろいろ改正をして入れていますね。これは政令を含めまして、法令の改正にあたっては経過規定を置くことが通常です。しかしこれで二年間の経過規定を置いたわけですね。それがいけなかったと私は思うのです。もしこの政令が改正せられたと同じ時点において実行させておれば、新和歌浦ですか、あの大火はなかった、あるいは火事のことだから、政令がどうであるとかいっても、起こらないとはいえないが、ああいう犠牲は出なかったのではないか、こう思うのです。これは過去の慣習というかにとらわれて、政令はせっかく直したが、二年間の経過規定を置いた。あるいはまた、現に存在するものはかまわない、これからのものはというようないろいろな経過規定があります。私もこれを持っておって調べておりますので時間の関係上条文をあげての議論はいたしません。しかしそういう経過規定を置いたことに犠牲者が出た原因があると思う。したがっていいことで、やらねばならぬということでやったならば、即日実施、しかも古いのもやりなさい、こういうことをすべきでなかったか。言うならばだれのための令改正であったのか。令改正で経過規定を置いたために死んだという事例が起こっておる、これについてどうです。
  107. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘のように、自動火災報知器、煙感知器その他につきまして、四十四年の四月から施行いたしましたが、その規定は古い既存の建物にも遡及適用いたしました。ただ、御指摘のように、その適用をしながらいつまでという最終期限を、ことしの三月三十一日までということで二年間の猶予期間を置いた。それは一つは煙感知器が新しく開発されまして、直ちに四十四年四月一日からということを規定いたしましても、それに器材というものが十分に対応しないという状況があったようでございます。  いずれにいたしましても、和歌浦の事件におきましても、自動火災報知器、煙感知器があれば、確かに専門家の意見でも犠牲者を少なくすることができたということでございまして、この点は猶予期間の置き方についていろいろ御議論あるところだと思いますけれども、現在ではことしの三月三十一日までということで、いま煙感知器の生産もずいぶん上がってまいりました。至急われわれとしても昨年以来督励をして設置させるようにいたしております。
  108. 田中武夫

    田中(武)分科員 いま申し上げた事例ではそうなっている。たとえば燃えないカーテンといいますか、あるいはどんちょう、そういったものは、法律的にはともかく不特定多数の人が集まる場所、旅館とかあるいはデパートとかそういうところにもそういう燃えないカーテン、こういうものをつけるようになっているのでしょう。ところがこれはさかのぼるというか、いまのやつはかまわないという私が言ったあの経過規定があるでしょう。そういうようなものも含めて私は申し上げたわけです。しかも消防では施行令では義務づけられていない国鉄の寝台車、これは全部そういった燃えないカーテンにしておるのですね。こういうのはどうなんです。せっかく法ないし令を改正するならば実効のあるようにしなければうそだと思うのです。先ほど申しました事例は二年の経過規定を置いた、いま申し上げておるのはこれからの分にと、こういうことです。もちろんいま直ちにこのカーテンを取りかえなさい、こういうことにはいかないと思うのです。そういうものにこそ経過規定が必要であって、前の令では経過規定など要らぬのですよ。もう公布と同時にといったってそれは即日にはできないでしょうが、そういうところに原因があると思うのです。大臣、どうでしょう。法改正あるいはそれに従う令の改正等、一体だれのために法を改正するのか、何がゆえに令を改正するのかということになれば、これは法制局あたりも来てもらっていないのですが、法制局あたりで、いままでの慣行上二年の経過規定はというようなこともあろうと思うのですが、今後こういった緊急を要する——ことに自治省の管轄が警察とか消防とか必要なものが多いのですよ。即日実施、公布と同時に実施、経過規定は最小限度というか、いま言った取りかえの必要な期間くらいにとどめてやるべきと思うのですが、どうでしょう。
  109. 秋田大助

    秋田国務大臣 御意見賛成で、またまさにそうあるべきだと思います。私、ことし初めの新和歌浦の火災の状況等のあとをたずねまして、その感を深くいたしました。したがいまして、ただいま消防庁長官からお答え申し上げましたとおり、器材の整備等の関係で万やむを得ずある種の経過期間を設けるといたしましても、規定は規定、同時に実施につきましては時を失さず実施をいたしまして、だれがための規定かという趣旨に合うように、今後実施においては厳重に実際に合うように規定を励行するというようにつとめたいと思います。
  110. 田中武夫

    田中(武)分科員 先ほど申しました煙感知器装置つき云々なんかは生産の関係もあってどうとかということですが、燃えない繊維、これはたくさんできておるのですよ。ですから、これは、いままでのように、古いのを取りかえるときかえたらよろしいというようなことを言わずに、私はさっそくやらすべきじゃないかと思います。いかがですか。
  111. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘の問題、私も承知しております。正直にいいまして、私も最近かわりましたわけですが、この規定につきましては先生と同じ考えを持っております。ところがいろいろ事情を聞きますと、これをつくるときも非常なすったもんだあったようでございまして、私は正直に申し上げて検討を命じました。しかしこの問題については、当時のいきさつがあってすぐにはいかないのだという話で、なかなか進みませんでした。しかしいませっかくの御示唆もありますので、再度検討いたしたいと思います。
  112. 田中武夫

    田中(武)分科員 御事情というのはどこの事情か知らぬけれども、やはり国民のため利用者のために法を改正し法を施行していくならば、当然その上に立って考えていかなければならないと思います。業者等々のそんなにすぐと言われてもできませんという事情はあるにしても、法の目的の上に立って経過規定等は考えるべきである、それだけ申し上げておきます。  次に移りますが、先ほど申しましたように、人が足りない、こういうことで、火災の場合における防火活動、ことに地方へ参りますと、その主力は消防団にあるわけです。ところが、あとで二、三お伺いしますが、新しい資料がないのですが、私の調べたところで、四十二年、消防団員は百二十五万五千人おるわけなんです。そして消防団員の任務とかあるいはそれぞれは消防組織法にきめられておるわけですね。この中で、職業別なども調べたのですが、はっきりしませんが、——これはまた午後の労働省のところでやりますので、労働省にも伺うつもりですけれども、百二十五万五千、百二十万程度の中で、労働基準法の適用を受ける工場、事業場につとめておる人は何人ぐらいか。これは消防庁じゃ無理ですか。
  113. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 わがほうでは、そういう資料を実は持ち合わせておりません。
  114. 田中武夫

    田中(武)分科員 それではお伺いしますけれども、労働省関係ですが、いまの百二十五万五千、四十二年度百三十万人近い消防団員のうち労働基準法の適用を受ける工場、事業場につとめておる人はどのくらいだと見ていますか。
  115. 吉本実

    ○吉本説明員 かなり数がおると思いますから、詳細につきましては私ども十分把握しておりません。
  116. 田中武夫

    田中(武)分科員 そこで消防団員の活動と労働基準法との関係を聞くのが順序ですけれども、これは午後労働省に移します。あなた帰って、午後三時半ごろに行きますから、十分にひとつ相談しておいてください。  次に自治大臣にお伺いしますが、この間本委員会のほうでもちょっと問題になっておりましたが、消防団員に対する手当、これはどういう性格ですか。
  117. 秋田大助

    秋田国務大臣 出動手当のことかと思いますが、これは実費弁償という性格を持つものと考えております。
  118. 田中武夫

    田中(武)分科員 給与じゃないのですね。
  119. 秋田大助

    秋田国務大臣 さようでございます。実費弁償という性格を持つわけでございます。
  120. 田中武夫

    田中(武)分科員 それでは国税庁にお伺いいたしますけれども、この手当は課税の対象になりますかなりませんか。
  121. 中村平男

    中村説明員 消防団員がもらっておられる給与等では、報酬と出動手当、訓練手当、そういうような手当と両方ございます。そこで、このうち報酬等につきましては、これは課税の対象にいたしておりますが、出動手当等の各手当につきましては、それが完全な実費弁償とそうでないようなものも含まれているものもところによってはあるかもしれないというようなところから、現在年額一万円までは課税対象にしない、こういう扱いでございます。
  122. 田中武夫

    田中(武)分科員 ところが実際課税をしておるのですよ。東北のある市が、給与とみなして、手当を渡す場合に源泉徴収をすべきであるのにそれをしていないということで、ものすごい追徴金が市へ要求せられた事例があるのです。何ならその市及び金額を申し上げます。ところが話し合って、時効にかかっておるというか、そういうこと等も考慮して、三年間にさかのぼって課税させておる実例があります。その金額は四万五千円程度ですが、これははっきりしなくてはいけないと思うのです。これは締めくくり総括かどこかで大蔵大臣に申し上げますが、一方では特別措置とかなんとかいって税金をまけておいて、こんなところに——少ない出動手当は実費弁償だと自治大臣は申しておる。それに税金をかける。しかもそれを現実に渡す市なり町なりが源泉徴収をしておらぬということはいかぬといって、追徴金を取るというようなことはどうかと思うがどうですか。課長さん、今後どうしますか。
  123. 中村平男

    中村説明員 先ほど申しましたように、現在一万円以内ならば課税しないということになっておりまして、全国的なケース、これは確たるものはつかんでおりませんが、大体一万円以内でまかなわれておるから課税にはなってないわけですが、その取り扱いは、昨年三千円から一万円に上げたものですが、前のほうに若干そういうものがあったというふうに聞いております。これらにつきましては早急に、一万円というような限度というよりも、手当そのものの性質から見まして、そして一回どうだというようなことでよく検討してみたい、こう考えております。
  124. 田中武夫

    田中(武)分科員 それではもう時間が来ましたので、これ一問で終わりますが、自治大臣、こういうものに税金をかけるというようなことはどうもおかしい。そうでなくても安過ぎるのですね。あなた予算委員会でももっと上げたいという答弁をしておった。これはひとつ閣議等で大蔵大臣とも話し合ってはっきりしてください。  それから具体的に申し上げようと思ったのですが、時間がないので警察庁に最後に一言だけ申し上げておきますが、最近警察官が酔っぱらい運転で事故を起こした、あるいはもっと破廉恥な行為、強盗事件等もある。これは警察官も人の子、私、警察官だけを責めようとは思いませんが、そのあと始末です。あと始末のときにいつも疑惑を国民なり市民に与えておる。というのは、できるだけ押えようとする、秘密に処理をしようとしておる、そういうことがあります。最近にもある署で、これは申し上げてもいいのですが時間がありません。内密に、こういうようなことでいろいろ手を打った例もあります。こういうことは、いわゆる警察であるだけによけい疑惑を受けるのです。そういう点について十分監督なり指導はしておられることであろうと思いますが、あらためて警察庁として通牒を出すとか、あるいは訓令を出すとか、何かの方法を一ぺんはっきりしたらどうです。そうでなければ、これはみんなどうも警察だから、あるいは事故を起こしたけれども頼みにこられて、しかもそれが署長さんなりあるいはそのかわりの人だということなら、泣き寝入りしようというようなことで押えてしまうとか、あるいはもっと破廉恥な行為を行なっても新聞等に書かれなければ押えてしまう。新聞が書いて初めてその懲戒処分にするとか、いろいろな手があります。やっております。事実をつかんでおりますが、これは申し上げませんけれども、どうです、あらためて姿勢を正せ、そういうことで本庁のほうから訓令なり警告を発する必要があると思いますが、いかがですか。
  125. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 ただいまお話しのようにきわめて例外的なと申しますか、悪質な警察官による非行事件が依然としてあとを断ちませんことはまことに遺憾であります。申しわけないと思っております。先般管区の局長会議が開かれました際にも、私から及び長官からも厳重に示達をいたしたところでございますけれども、私どもといたしましては事案の真相を十分に調査をいたしまして、本人の責任はもちろんのこと、監督署の責任に至るまで十分ひとつこれを正して規律を引き締めたい、このように考えております。そういうことによって、ただいまお話しのような国民の疑惑ということがないように信頼を確保したいというふうに考えておりまして、規律の引き締めにつきましてただいま全国の本部長に通達を用意しております。なお近く管区の部長会議をいたしまして、その際に十分それらの点を徹底をいたしたい、このように考えております。
  126. 田中武夫

    田中(武)分科員 自治大臣、いまの手当と税金の問題について大蔵省と……。
  127. 秋田大助

    秋田国務大臣 よく連絡をいたします。
  128. 登坂重次郎

    登坂主査 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後直ちに再開いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時五十六分開議
  129. 登坂重次郎

    登坂主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  自治省所管に関する質疑を続行いたします。沖本泰幸君。
  130. 沖本泰幸

    沖本分科員 自治大臣がお越しになっていらっしゃいますので、私は、同和対策特別措置法につきまして、持ち時間一ぱい御質問さしていただきたいと思うのです。  この同和対策特別措置法をつくります段階におきましては、大臣は一番この問題はお詳しくて、これを成立させるために非常な御尽力をいただいたお方でございます。そういう関係から、そういうものを特に考えながら、大臣に御質問したいと思いますが、ひるがえりまして、現在の段階からこの問題を考えてみますと、昨年の十二月の七日に部落解放同盟は台東体育館で全国大会を開いて、全国の市長さん方がずいぶんとこの大会に参加された。なぜこういうふうな大がかりなことになったかといいますと、年々おいおいに地方自治体にかかってきます負担が非常な額になってきて、黙視しかねる、差別をなくするためにとられた十年間の時限立法のこの特別措置法が、むしろ差別をもう一つ生むのじゃないかということは、地方自治体の一般財源をゆがめてしまって、結局は同和に金を使って、なぜそんなに使わなければならないかというふうなのが一般の地方住民の方々の疑惑になっていく、そして地方の役人はそれに乗ったような発言もなさっている。同和については金がかかるのです、こういうふうな話が出てきて、またそこに形の変わった差別が現在起きつつある、こういうことと、地方財源が大幅にこの同和対策費に食われてきておる。こういうことで、いま地方財政は、このことのために同和関係の地区を持っておる地方都市はピンチに陥っておる、こういうふうなことが、昨年の十二月のあれだけの大会に盛り上がってきたということも言えるわけでございます。  こういう点を考えてみますと、大臣もよく御存じのように、この同和対策特別措置法を制定いたしましたときに、十項目にわたる確認事項もついております。また十年間の時限立法です。ですから、年々そのはっきりした目標というものをつくって、これをやっていかなければ、十年間でこの問題は解決できない、こういうふうな内容でもあるということは、とくと大臣は御承知であると思うわけです。しかしながら、今年度予算要求は、百二十億から百二十二億というような要求がされたとも聞いておりますけれども、大阪府市で二百億の地方財源を使っております。こういうふうなところがありますと、政府自体の同和に関する全般の費用、出しておる金が大阪府市、二つ合わせても足りない、こういうふうなことではというようなことが、解放同盟あるいは同和の問題を解決していただこうとしておる人たちの一番の問題でもある。地方財源というものを非常に苦しめてきておるような内容になっているわけです。ですから、同和対策特別措置法を完全実施していく、あるいは具体化していく、こういう内容から見ていきますと、ここで本格的な、中身を充実しなければならないのじゃないか、こういう観点に立つわけでございますが、この法律の御制定にあたって一番お力をお入れになった大臣が、現在のこの同和対策特別措置法というものをお考えになり、これからこれを完全に遂行しなければならない、こういうふうな御観点にお立ちになり、また自治大臣として地方自治団体をおかかえになっていらっしゃるお立場から、現在どういうふうなお考えでいらっしゃるか。また、将来に向かってどういうふうな御見解をお持ちでございますか。その点についてお伺いしたいと思います。
  131. 秋田大助

    秋田国務大臣 私といたしましては、十年間に同和対策事業の目的とするところがほぼ完遂されることをこれ願うわけでございます。それには、何と申しましても、処置すべき事業の実態が十分把握されておることが必要であろうと思います。  この点につきまして、実態調査も相当されましたが、なお新しい見地においてさるべきことが残っておるので、その点、ことし数千万円予算がとられておるということはまことにけっこうなことであると思います。どうぞひとつ、おくれたりとはいえども、その予算を有効適切に使用されまして、実地調査に基づく適切なる対策を具体的に立てられまして、それによって着々と今後の事業が遂行されることを希望いたすものでございます。  個々の問題につきまして、いろいろ問題は多岐にわたっておりますが、何と申しましても、地域の道路、下水等の環境整備を中心に、住宅をしっかり建て直して、都市計画的な計画事業を行なっていくということが一番大切ではないか、こういうようなことを考えておる次第でございます。
  132. 沖本泰幸

    沖本分科員 それでは、質問がばらばらになるかもわかりませんが、一つ一つについてお伺いしたいと思います。  まず、地方自治団体がいま一番困っております、一般財源の中に食い込んでいく、あるいはその年度予算の中に同和対策事業費というものが大幅に食い込んできておるという点について、大臣として、この解決方法としてはどういう方法がおありか、またどういうふうに解決したらいいか、御所見のほどをお伺いしたいと思います。
  133. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいまも申し上げましたとおり、具体的な計画を立てまして、それに基づいてできるだけの予算措置を講ずるということによりまして、一般財源への食い込みをなるべく少なくしていくというような措置を、そういう気持ちでとっていくことが必要であろうと考えております。
  134. 沖本泰幸

    沖本分科員 どうも大臣の御答弁は抽象的でもう一つ納得できないわけですが、十年の時限立法ですから、現在の段階でこのまま十年間終えますと、大半がまだ残ってしまう、お金の面で。これは物質の面、精神の面両面から解決しなければならない問題が全部含まれておるわけですけれども、遅々としてお金の面で具体的にいかないわけですね。それで地方自治体は非常に困っておるわけです。  そういう立場から、具体的な計画を立てて、こう言いますけれども、法律ができて、その法律を地方自治体は実施しなければならない。また同和地域の方々は、法律があるのですから、法律を完全実施してください、具体的にやってくれということを地方自治体に要求なさいます。そうするとそれをやらざるを得なくなってきている。そういうことで、どうしても、国からの補助というものは御承知のとおりでございますから、自分の財源を持ち出さざるを得なくなってきている。これがだんだんしわ寄せがきているわけです。  そうすると、十年の時限が来たときに、大かたのものが残った場合は、またこれを延ばすということをお考えでしょうか。あるいは、これは十年の時限立法だから打ち切らなければならないとお考えなのでしょうか。その点はいかがでございますか。
  135. 秋田大助

    秋田国務大臣 十年の時限立法でございますから、できるだけ十年の間に始末をつくべきものと思います。したがいまして、やるべき仕事がこれだけだということを的確につかむことが私は一番大切だと思うのでございます。おくれたりといえども、それをつかんでいただいて、これだけやらなければいかぬというものがはっきり把握できますれば、年次計画を立ててそれに対する予算措置を講ずべきである。この部分は国の補助を盛ったこれだけの予算をやる、残余はこれは地方の一般財源でやるべきだ、こういう区分が立つと思うのでございまして、その計画に立たないで、ただやみくもに何を何々とこういうことを申しましても、なかなか計画性が立たない。計画性、具体性を立てるのには、やはり実地調査に基づく調査の確立をいたしまして、それが確立いたしますれば、それに基づいて国のとるべき予算措置というものが確立をいたします。おくれたりといえども、今後予算措置の確立を心がけまして、それに基づいて事業計画を行なう、こういうことに相なるべきではないか。そしてその歩度を早めまして、残った年限の中に仕上げる。万やむを得ずまた残ったときには考慮をさるべきでしょうが、一応十年間にこの事業を完遂する、こういう計画のもとに少し今後は予算措置の歩度を早めなければいかぬ、こう私は考えております。
  136. 沖本泰幸

    沖本分科員 そうしますと、地方自治体のほうが大臣のおっしゃるとおりに年次計画を立てて、それでこれだけが完全実施要項だというものを示して、大臣のほうにこれに基づく十分な補助をしていただきたい、こういう要求があった場合は、大臣はどういうふうに処置なさいますか。
  137. 秋田大助

    秋田国務大臣 どうも自治大臣が同和対策主務大臣でもないのでございまして、この点はっきりいたしておりません。これは総合行政で関連の各大臣相談をいたしまして、できるだけ実情に即して、なすべき事業の遂行に事欠かないように予算措置につとめたい、こう考えます。
  138. 沖本泰幸

    沖本分科員 こういうことを申し上げて突きつけるということは、非常に失礼な言い方かもわからないのですけれども、言いかえてみますと、大臣はこの法律の生みの親でございます。それで自治大臣でいらっしゃるわけです。  そうしますと、この法律ができて、この法律をかかえ込んで苦しんでいる自治体の実態というものは一番よく御存じなんですね。そういう観点からの補助金の樹立、あるいは自治省に関係のある十条を適用した場合の地方交付税の算定基礎、あるいは元利償還に対する経費、これは全部十条に当てはまるわけですけれども、その点についてはどういうふうにしようとお考えでございますか。これは確認事項どおりまだ実施されていないわけなんです。今後これを十分見合ったものにしてやろうとお考えのときはお答え願いたいと思います。
  139. 秋田大助

    秋田国務大臣 どうもお尋ねと答えとがしっかり歯車が合わないような感じがいたすかとも存じますが、確認事項についての処置をとるべく、われわれのほうはそのつもりでおりまして、それには違反をいたしておるとは思わないのでございます。要は、やはり国の補助対象事業の取り上げ方が少ない、それがためにその他のものが一般財源に食い込みまして、地方の各公共団体の財政を圧迫するということに相なっておるのではなかろうかと思うのでございまして、予算措置の範囲をできるだけ実情に即して拡大をすることが必要であろう。それが拡大のためにはやはり的確な実地調査に基づく計画というものが基本になる、こういう順序に相なろうかと存じます。私も自治行政の範囲における同和施策についていま責任を持つわけでございますが、関係もございますので、今後ますます同和予算の獲得につきましては及ばずながらひとつ多角的に努力をいたしたいと考えます。
  140. 沖本泰幸

    沖本分科員 やや前向きのお答えになりかかっておると思うのですが、そうしますと、府県や町村の単独事業についても、同和対策事業特別措置法の十条を適用して、来年度に向かって——ことしは前年より相当見込んでいただいているということはよくわかるわけですが、さらに来年度に向かってどういう御計画なりあるいはどうしてやろうというお考え、おつもりがあるのでしょうか。
  141. 秋田大助

    秋田国務大臣 そこで先ほどからも申し上げておりますとおり、ことしは実地調査の経費も総理府のほうで予算がとられておるそうでございますので、それをひとつ十分に活用していただきまして、同和部落というものは限定されておるものでございますから、大体これだけの仕事をするべきものであるということは私は実地に即してわかる一と思うのです。それを確立していただきますれば、それに基づきまして年次割りに割って、あと残りました七年でございますか、六年の範囲にやれば、これだけの仕事をしなければならぬということが具体的に数字的に論理的に私は出てくると思う。そういうものの詰め方をする必要があるのではないか。すなわち長期、具体的計画を確立するということが迂遠のようであって実際は一番早い道である。私はこの点をしっかり固められたらいかがか、それに基づいて予算要求をしていただく、それに基づいてまた政府予算要求をする、こういうことが必要じゃないかと思っておるのでございます。
  142. 沖本泰幸

    沖本分科員 実地調査をすることにしておりますが、この特別措置法をつくる際にも、その以前の実地調査あるいは同対審の答申案というものが基礎になって大体できたわけです。大臣もよく御存じでございますが、そういう段階から具体的な実地調査ができることにつきましても、さてそれの実地調査ができて、おっしゃるとおり具体的に年次計画ができてまいります。できてきた上で、いままでできなかった分が今度は越してしまうことになりますね。それを盛り込んであと残った年限の中に織り込んでいく。いままでだってできなかったわけですから、それを加えてあと残った年に全部完全実施ということになると、おそらく考えられないということになるわけです。そういう点になりますと、前にいわゆる残した分を加えていくものなのか、その分だけが、残ってきたのは打ち切りになるものなんでしょうか。大臣としてでなくてこれをおつくりになったお立場で、そういうことになった場合にはどうしなければいけないというふうにお考えでございましょうか。
  143. 秋田大助

    秋田国務大臣 いまから十年後のことを予測して申し上げますことはどうかと存じますが、年次は相当、二、三年経過いたしておりますので、残った年月の間にいままで空費した分を押し込めてやるということには相当の努力も要るし、無理もあろうと存じます。しかしながら、できるだけひとつ補助事業の中にこれを圧縮してやる方法を考慮すべきものである。万やむを得ずんば、またそのときの措置でまたそのとき考慮をすべきものであろうと思いますが、できるだけ十年間に大体の処置はできるようにひとつくふうをしてみたらどうかと存じます。
  144. 沖本泰幸

    沖本分科員 十年向こうの問題なんですけれども、この法律ができたときの精神は、いままで積もり積もった差別に対する問題というものを、この特別措置法を具体的に実施することによって完全に解決しよう、こういうものがこの措置法の中の精神に流れておった。総理もその方向で御発言になり、手をたたいて法律ができたということを喜んだわけでございます。そういうわけですから、この特別措置法によって部落というものに対するいろいろな差別というものがすべて解決しなければならないわけなんです。ところが大臣もよく御存じのとおりに、法律ができただけで、中身というものはなかなか向こうを見て進んでいない、こういうことになるわけですから、ずっと大臣をやっていただければ非常にありがたいことなんですけれども、これをおつくりになったお立場として、この法律が完全に実施される段階まで、お気持ちの上では全部責任をもってやろう、こういうお立場で、これが完全に施行されるように御努力をいただきたい、こういうことを私は念願するわけなんでございます。  それと、これは当時の野田自治大臣がおっしゃったのですが、公営企業、準公営企業など、事業収入を当該地方債元利償還金に充てることができる事業に対する地方債を除き、国庫負担または補助金を得て行なった事業に対して地方債を指定する考えだ、こういうふうな内容が出ておるわけですけれども、現在の段階では、こういうものはいまどういうふうに具体化されてきておりますのでしょうか。
  145. 長野士郎

    長野政府委員 いま野田大臣の御答弁をお読み上げになりましたが、大体その答弁の趣旨に従いまして、公営企業、準公営企業を除きまして、国の補助なり負担のおもな事業につきましての自治大臣の指定をいたしておりまして、それにつきましての元利償還については交付税算入の措置を講じております。
  146. 沖本泰幸

    沖本分科員 不交付団体についての財政援助というものはいまどういう形で実施されつつあるのでしょうか。特別交付税でめんどう見てやるということになっているわけですね。特別交付税がどういう形で出ておるかということです。
  147. 長野士郎

    長野政府委員 いまの交付税算入の問題は、交付団体については直ちに作用をいたしませんので、その点は別でございますけれども、不交付団体につきましても、同和関係の事業につきましては特別な財政需要を算入をするというような形での措置をいたしておるわけであります。
  148. 沖本泰幸

    沖本分科員 起債の限度額というものはいまどの辺まで認められておりますですか。
  149. 長野士郎

    長野政府委員 限度額は、同和関係事業全部合わせまして一市町村で八十万円を限度額にいたしております。
  150. 沖本泰幸

    沖本分科員 一つ一つやれば切りがないわけでございますが、どっちにいたしましても、大臣にまた重ねてお願いしたいということは、先ほど申し上げましたとおり、解放同盟が全国大会を開くと、与野党を問わず地方自治体の首長の方々が出て、一緒になって一生懸命この問題に取っ組んでおる。こういうことはいかに地方財政が苦しめられておるか、こういうことになるわけでございますから、総理大臣もこの法律ができたときには、完全にこの特別措置法によって同和に対する問題が解決するような御答弁があったわけでございますから、この問題についてどうぞ最後まで見守っていただいて、完全実施されるように御努力をしていただきたいことをお願いしたいわけでございますが、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  151. 秋田大助

    秋田国務大臣 私も因縁でございますか、この仕事に関係をいたしまして、自治大臣の職にあるときには自治大臣の職責におきまして、またその職を離れましょうとも、私が議員として席ある限りはこの問題にただいま先生お述べになりましたような趣旨において最善を尽くしたいと考えております。
  152. 沖本泰幸

    沖本分科員 以上で終わります。
  153. 登坂重次郎

    登坂主査 次、安井吉典君。
  154. 安井吉典

    安井分科員 大臣は、先ほどの本会議住民税を所得税の付加税にするという問題提起に対して、大蔵大臣はたいへん肯定的な答えをしたのに対し、私は大蔵大臣と意見を異にします、こうきっぱりおっしゃって、あの答弁には社会党のほうも拍手をしたようです。  それと問題は違いますけれども、私がきょうお聞きいたしたいのは、国鉄の財政再建について、運輸大臣から自治大臣はしばしば協力要請を受けているということについての自治省としての対応の問題です。ですから、先ほど本会議でおっしゃったようなそういうふうな態度でひとつお答えをいただければありがたいと思うのですが、新聞の記事によりますと、一月の八日橋本運輸大臣と磯崎国鉄総裁が自治大臣をたずねて、国鉄に対する財政再建の援助を要請した。これに対して自治省側は筋さえ通れば国鉄への協力はやぶさかではないと答え、今後両省の局長レベルで具体策を検討することになった。これに基づき橋本運輸大臣は七月までに国鉄に対する地方からの財政援助を盛り込んで国鉄財政再建計画を抜本的に手直しをすることにした、こういう記事であります。つまり橋本運輸大臣のほうは地方からの財政援助を盛り込んでの計画変更を七月までにやろうというところまで非常に大きな期待をかけているように思えるわけです。その点どうでしょうか。
  155. 秋田大助

    秋田国務大臣 大体ただいまの新聞記事のとおりで、赤字については地方にも関係があると思うので何とかしてくれというお話がありました。私どもも、国鉄の赤字が出た、地方にも関係があるから地方はある程度負担しなければいけない、こうストレートには考えてはおりません。しかし、国鉄の通るところ全部地方公共団体の地域を通っております。何らかの意味において関係なしとはしないと思いますが、いかにこれを概念構成し、いかに処置をするかということはなかなかむずかしい問題であります。概念構成もしっかりしなければいけません。またいかなる措置をとるかによりましてはいろいろ複雑な問題もありますので、当然慎重を期さなければならない。そこでひとつ国鉄の状況、赤字の内容等十分伺って向こうさまの考え方を一ぺん聞いてみよう、こういうことで第一回の会合をいたしたわけであります。いろいろ御説明がございました。しかしそれで全部納得をしたというわけにいかない。ただ向こうさまの御意見を聞いたという程度にとどまります。したがいましてさらに詳細に事務当局同士で話し合ってもう少し話を詰めてもらおうではないか、そういうことにしたほうがよかろうということにいたしまして別れました次第であります。いまだ第二回の会合は行なわれておりません。
  156. 安井吉典

    安井分科員 いま大臣もおっしゃったように、国鉄が自治体の住民に非常に関係があることはこれは当然でありますし、そのことは国鉄だけではなしに、電電公社にしてもみんなこれは電話のおかげをこうむっているし、郵政省の郵政事業もこれも住民の立場から一日もなくてはならない問題であろうと思います。専売公社だって、これはたばこが肺ガンの原因になるといわれながらも吸っている人もいるわけです。さらにたばこ消費税というかっこうで非常に関係があります。しかも専売公社も電電公社もそれから郵政事業もみんな残らず赤字で、年が明ければ値上げの問題も出ているわけです。だから単に住民に関係があるということだけで問題を処理するわけにはいかぬように思うわけです。なるほど赤字線が撤去されれば、これは重大問題ですよ。特に撤去されるというふうなところほどいわゆる過疎化現象の激しいところでありますから、駅を無人化したりそれを取っ払うということは、駅の無人化だけではなしにその村の無人化をはかることだということにさえなるのじゃないかと思うのです。そういうふうな重大な問題であるわけですけれども、だからといって自治体が大きな援助をしなければいけないというふうな筋でもないように思うわけであります。ただ私、この新聞記事からの印象でありますけれども、例の市町村納付金で国鉄側は非常に要求したけれども自治省が強い反対をして実現をしなかったというふうなことだとか、そういうふうな問題の反対給付を要求しているようにも思えるわけであります。そこで橋本運輸大臣の構想では、国と地方とで鉄道公社をつくり、赤字線の経営をその新しい公社に移管をする。また約六千キロの地方交通線の出す赤字に対しては地方から補助金を出す、国鉄が地方に支払っている市町村納付金は、いまも触れたわけでありますけれども、これはやめにしたい、こういうふうな提案であるというふうに伝えておりますが、どうでしょうか。
  157. 秋田大助

    秋田国務大臣 大体そういうようなお話がありましたが、明確にこうこうこういうふうな理由によって、地方的な線というものを大体分けて、そこから出てくる赤字については一部負担をしてくれというお話がありましたが、それの線は切り離して経営主体を別にするとか、あるいは費用何億円をどうしろとか、そう明確なお話はなかったわけでありまして、ばく然とこういうふうな点についてただいまお話しのような分類をして、これについて何か考えてもらいたい、こういうお話であったように記憶をいたしております。したがって、まだそれに対する可否、適否等をわれわれといたしましても論ずる段階になっておりません。なおもう少しいろいろ向こうさまの御説明を聞かなければなるまい、こういう気持ちでおります。
  158. 安井吉典

    安井分科員 今度自治省地方自治法の一部改正法案を提案をされ、その中に、いわゆる地方公社の規定を置こうとお考えになっておられるようでありますが、いま国鉄が提起している地方鉄道公社ですか、そういうようなものとのつながりはないのですか。
  159. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまおっしゃいましたように、地方自治法の改正の準備をいま進めております。その一つといたしまして地方公社に関する規定を入れるべく検討いたしております。これは御承知のように現在地方団体に民法法人で公社というものをいろいろつくって運営をいたしておるわけであります。さらに最近住宅供給公社、道路公社というようなものもできてまいりました。そういう公社と地方公共団体との関係と申しますか、あり方というものについてやはり地方自治法の中に基本的な規定を入れておく必要があろう、こういうことで検討をいたしておるわけであります。ただいまおっしゃいましたような地方鉄道公社というようなものとは関係なく検討をいたしておるような次第であります。
  160. 安井吉典

    安井分科員 いわゆる地方公社法案の中身の問題はあとでまた伺いたいと思うのですが、いま運輸省が、あるいは国鉄が言い出している地方鉄道公社というふうな考え方の制度的な入れものにいまの地方公社がそのままなるという可能性はありますか。もしそういうふうなことに地方鉄道公社なるものができるようなことになれば、もちろん別立法——そういうようなものを私は肯定するわけでは決してありませんけれども、別な立法措置ということになるのであって、いまの自治法改正案の中の地方公社なるものの形にそのままはめ込むということはできないというふうに理解してよろしいのですか。
  161. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 鉄道の関係の公社というものがもしできました場合にどういう中身のものになりますか、まだちょっと予測がつきませんものですから、片方がわかりませんので明確なお答えができない点がございますけれども、現在自治法改正で考えておりますのは主として、先ほども申しましたように、公共的な観点から地方公共団体が自分の仕事の一部を公社に移してやらしていく、それについての地方公共団体と公社との関係というものに基本的な規定を入れていこうということでございます。鉄道公社というものがもしできるといたしますれば、おそらくこれは国家全般の見地からいろいろな問題が出てまいります。当然それについての特別立法ということが考えられるのではないかと思います。
  162. 安井吉典

    安井分科員 その点ははっきりしたと思うわけですが、前提の問題は、やはり国鉄側の赤字という問題を自治体にころがして問題を解決しようとする態度そのものは私は明確にお門違いだ、こういうふうに言いたいわけであります。ですから、この会見のあと秋田自治大臣は、地方のほうもそれこそ赤字でにっちもさっちもいかない都市交通をかかえておるわけだし、その上に国鉄にも財政援助をするというのはよく理解できない。国鉄の財政再建への協力はやぶさかではないとして局長レベルで具体的な話し合いを進めることになったというのが、この結論として書かれているわけですが、いわゆる局長レベルでの具体的な話し合いというふうなのは、いま通常国会の最中ですからまだそこまではいっていないと思うのですけれども、その点どうなんですか。
  163. 長野士郎

    長野政府委員 いまお話がございましたように、国会中でもあるということでもありましょうが、まだ行なわれておりません。
  164. 安井吉典

    安井分科員 この問題については自治大臣の御意向もこの談話の中にも相当はっきりあらわれておるようには思うのですけれども、やはりさっき本会議場で大蔵大臣をきばつと一言でやったようなそういうお気持ちで臨んでいただくべきだと思うのでありますが、いかがですか。
  165. 秋田大助

    秋田国務大臣 これは相当むずかしい問題でございます。やはりいろいろ考え方が時代の推移とともに変わってまいりますからしかしいやしくも国有鉄道でございますから、それは地方に関係はございましょうとも、国全体という観点から経営をされておる鉄道でございます。したがってこれに赤字があるからといって直ちに地方でそれが赤字補てんを考えるという性質のものではないと思うのでございます。しかし筋が立ってやはりある程度のものをやるべきかというような論理が立たないこともないのではないか。これはよく検討を要するところでございますが、その上で最後の結論は出したいと思います。それにしてもやはり国鉄の事情、内容等を十分に承知いたさなければ結論は出ないわけであります。したがいましてことしになる前、昨年末の予算折衝におきましても、私といたしましては、いろいろの御提案がございましたが、十分検討がされていない段階において軽々の処置をするわけにはいきませんので、国鉄の問題については一応きっぱりとお断わりをいたしまして、国有鉄道でありますからとりあえずは国で御処置を願っておく。その上でさらに慎重に検討をしようじゃないか。しかしながら全然関係がないということは考えておりません。何らかの関係はありましょう。しかしながらその点については、繰り返し申しますが、慎重にしてまた緻密な検討の結果によるべきである。その作業を経まして十分地方団体一般においても納得を得た上でやるべきものである、こういうふうに考えております。
  166. 安井吉典

    安井分科員 国鉄のほうから言い寄られてどうもはっきりしないけれども、さりとてつれないそぶりはというふうな、何かちょっと歯切れがよくないのですけれども、ことし明確に国鉄との関係を処理されたと同じような態度でこれから臨むべきではないかと思います。その点もう時間もあれですから、地方自治体自体がみずから非常に多くの仕事をかかえていて、それが十分に処理できない現状にあるというその前提を踏まえてやはり問題は処理されなければならぬと思います。自治体そのものがお金がほんとうに余ってしようがないというふうなら、これはどういう道楽をやってもいいですけれども、自分自身がろくすっぽ道路の舗装も改良もできていないという現状の中では、やはりよけいなことを自治体にやらせるべきではない、こういう基本線をぜひ貫いていただきたいわけであります。  そこで、地方公社の問題は、いまの行政局長の御答弁でごく簡単に、地方鉄道公社がこの中に入り込むというふうなことはないのだ、それは特別立法の問題だという点だけは明確になったわけでありますが、法律案が出ない段階で論議するのはなんですけれども、二、三伺っておきたいわけでありますが、従来から地方公社なるものがあったわけですね。ただ、それは地方議会からの監視が十分に行き届かない形での存在でしかなかった。それをオーソライズしつつ、内容を議会の監視下に置いていこうというふうなお考えのように見受けられるわけでありますけれども、自治体自身があまり好ましくないと思いながらも地方開発公社というふうなものをつくっていかざるを得ないというのは、資金問題があるからなので、だから起債をもう少し自由化するとかそういうふうなことのほうが実は先なのじゃないか。そういう財政問題が片づけば、相当程度こういうふうな仕組みをつくらなくても処理できるのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  167. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 最初に、先ほど私国鉄のことについてお答えを申し上げたわけでございますが、国鉄の問題、中身も十分承知いたしておりません。ただ私の推測では、おそらくそういうことになれば当然特別立法が必要になるのではないかということで、決して断定的に申し上げたわけではございません。御了承を得ておきたいと思います。  ところで、地方公社の問題でございますが、お示しのように地方公社というものが十数年来地方公共団体でたくさんできてまいりまして、一つのそういう需要が生じましたのは、やはり資金の問題がポイントであったと思います。しかし、なお根本的にさかのぼってみますと、地方公共団体といたしましては、公共性ということを基本にして仕事をするわけでございますけれども、公共性をベースにいたしながら、同時に経済性を発揮するような機能というものもあるわけでございます。そういうものは、地方公共団体が直接やるよりも、やはり地方公社というふうな形でやったほうが能率的に行なえるという見地がおそらく基本にあったのであろうというふうに考えているわけでございます。
  168. 安井吉典

    安井分科員 それでは財政的な一いまのそれは、能率的な処理とかなんとかいうのはあるわけですね。それもわかりますけれども、しかし実際のところは、起債は自由にならないのだ、そういう公社のような入れものをつくれば、銀行からでもどこからでも借りられる。その手っ取り早さが今日まで自治体を公社を設けるという方向に追い込んできたように思うんですよ。その点はいかがですか。
  169. 長野士郎

    長野政府委員 確かに御指摘のような点は私もあると思います。そういう意味では、地方債扱いというものについての一つの示唆といいますか、そういうものも大いに受けて検討しなければいけないわけですが、しかしそれだからといって、現在資金事情から考えて、地方団体にも非常に差があるわけなんです。非常にそういう意味の信用力の高い地方団体もありますが、また中には、必ずしもそうでないところもあるわけです。そこで、地方債が自由になればそういう問題が直ちに解消するかということになりますと、むしろ逆に、ある場合には、有力な地方団体は幾らでも起債市場において資金の手当てができるけれども、そうでない地方団体については、むしろそういう資金の手当てというものができないというような形にもなるおそれがあるわけであります。この辺のかね合いというのが実にむずかしいことになっておるわけでございます。また片一方で、先ほど行政局長が申しましたように、公社といいますものは、同時に、確かにその点で広い意味での民間資金の活用というものがある程度自由な形でやりたいということで出発をしてくるわけでございますが、ただ、これが運用上すべての公社がそのようなうまい調子で運営されているかという実態になってまいりますと、必ずしもそうではない。やはりそれは、それぞれの公社を設立しました地方団体の信用力といいますか、財政力といいますか、そういうもののある程度の反映でございますから、初めに非常に大きな計画をやっておりましても、必ずしもそういうことにはならないというような点もあるわけで、また公社についてのいろいろな批判もその辺からも出てくるということでもあります。そういうこともありますが、同時に、最近公社がいろいろな面で活用されるという段階もまた一面否定できないようなことになってまいりましたので、両方あわせて、現在、制度的にもある程度根拠的なものを置いて、そうして形を整えていったほうがいいということに相なっております。これはしかし、厳密にいいますと、地方債との関係からいいますと、地方債をいまのように地方団体が起こせば、ある程度制限をしたり許可制度がある。ところが地方公社みたいになれば自由になるというようなことから問題がないかという点も確かにあるといえばあるわけでございますが、仕事の性質によりまして、そこはやはりそれぞれの向き向きを考えながらやっていくということでいけるのじゃなかろうかと考えております。
  170. 安井吉典

    安井分科員 法令上の地方公社と、そうじゃない、法令によらないものとが混在していくんじゃないかと思うのですよ、現実の問題としてですね、もしその制度ができても。そういうことになりませんか。
  171. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 お尋ねの点は、法令によらないとおっしゃいますのは民法法人のことでございますか。それから、法令によるものとは、住宅供給公社とか道路公社とか、そういう意味でございますか。
  172. 安井吉典

    安井分科員 つまり、法律ができないうちからの議論でおかしいんですけれども、自治法上の地方公社というものができるわけですね。しかし現実にあるというのは自治法によらないものなんでしょう。だから、いま民法上のものがたくさんあるものはそのままにして、全部ここに一本にしろったって、なかなかそうはいかぬでしょう。強制力もないんじゃないですか。その点どうなんですか。
  173. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 確かに、その点は一つの問題でございます。ただ、公社一本化の規定を整備いたそうと思いましたのは、現在ございます、非常にたくさんの財団法人なり何なりというものの運営につきましていろいろ問題も出ております。その点について整理をはかろうということでございます。したがいまして、もし法案が成立をいたしました、こういう場合におきましては、私どもは、現在ございます民法法人による公社というものを自治法に基づくものに乗り移るように、積極的に指導をしてまいりたい。しかしその場合におきましても、財団法人の、現在ありますような公社というものを今後つくってはならないということにはならないと思います。
  174. 安井吉典

    安井分科員 まだその姿をあらわさない制度の議論をしていて恐縮なんですけれども、その地方公社のオーソライズされたものとされないものとで、メリットの違いはどういうところに置いておられるのか。特に私、いろいろ制度的な監視の目が行き届くとか行き届かないとか、そういう問題じゃなしに、きょうは特に予算分科会ですから、財政的に、たとえば財政投融資の金はオーソライズされた地方公社には出すのだとか、何かそういうふうなメリット、つまり財政の側面からのなにがあるのかどうか、そういうお考えがあるのかどうか、それをひとつ伺います。
  175. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 まさに目下検討中の問題でございますけれども、おそらく、いまおっしゃいましたようなことにはなかなかならないと思います。財政と行政とをもし分けるといたしますれば、行政的な見地から公社制度について整理をするということが重点になろうかと思います。
  176. 安井吉典

    安井分科員 きょう、ほんとは地方財政計画の話を少しやろうかと思ったのですけれども、だんだん話がそちらのほうに行って、これで時間がなくなりましたが、いまの地方鉄道公社をつくる場合には単独立法というふうなものがどうしてもなければいかぬということでお尋ねをして、初め行政局長はそれを肯定されたようなお答えだったのが、あとでこれも少しゆるんでしまったわけですが、先ほどのお答えからすると、何かいまできる地方公社の中にそれも受け入れることができるのではないかというふうにとられるわけなんですが、そういう可能性があるのではないかというふうに逆にとられるわけですが、その点どうですか。
  177. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 先ほど申しましたように、いまの自治法の公社制度自身も検討しておりますし、さらに鉄道の問題は今後どうなりますか、中身はお聞きいたしませんので、明白なお答えはできませんけれども、私どもは基本的な自治体との関係、議会との関係というようなあり方は、それが自治法できめようとも、あるいはほかの法律できめようとも当然あるべき姿というものは一つであっていいのではないかと思っております。  ただ鉄道の問題につきましては、私先ほど御答弁をいたしましたのは、やはり特殊のいろいろの事情があると思います。そういうものにつきましての特別な制度というものが別に立法化されるのではないかという意味でお答えしたわけでございます。
  178. 安井吉典

    安井分科員 地方道路公社法案なんというものも私どもはあまり好ましくないと思ったのですが、かつて出た経過もあるのですね。ですから、いまのいわゆる地方公社なるものが、いま鉄道の問題が一つ出てきているものですから、みんなそれとの結びつきでちょっと心配になるのです。その点やはり慎重な御配慮を特にお願いを申し上げて終わりたいと思います。
  179. 登坂重次郎

    登坂主査 次に中谷鉄也君。
  180. 中谷鉄也

    中谷分科員 本年の一月二日、和歌山市の新和歌浦の寿司由楼という旅館が火災を発して死者十六名、ほか重傷者という非常な被害を起こしました。そういうようなことで、最近の火災に関するところの概況の報告を受けてみますと、一日の火災発生件数が百七十五件、死者が四・四人、二億二千万円が灰になっている。そういうような中で公害とともに防災対策ということが特に論議されなければならないと思います。特に大震災対策ということが新しい課題、そうして緊急な課題として浮かび上がってきていることは言うまでもない。しかし、あまりにもこの寿司由楼の事件というものはなまなましい事件でありますので、この問題にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  本年一月二日、和歌山県の寿司由楼で火災があった。多くの死傷者が出た。大惨事となった。この要因は一体何だろうか、この点について消防庁においては緊急に調査を始められておりますけれども、まずその点についてお伺いいたしたい。
  181. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘の寿司由楼の火災に伴う惨事でございますが、これは結局早期発見、早期通報がきわめておくれた。その一つの要因として自動火災警報器の未設置ということが考えられると思います。  それからもう一つは、非常に古い木造の三階建ての建物でございまして、火の回りが非常に早かったということでございます。  それから避難にあたりましても、出た場所が階段付近ということが推定されておりまして、火の回り方が非常に早く、したがってそのために避難の時期を失してああいう多くの死傷者を出したということでございます。  そのほか、たとえば夜間における防火管理体制というものについてもなお考えるべき点があるだろうと私たちは思っておるところでございます。
  182. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで要因、すなわちいろいろな社会的条件あるいはその他背景となっている原因についてお答えをいただきましたが、火災原因といわれているもの、すなわち立証を要する火災原因についてはどういうふうにお考えになっておられますか。現在どういうふうに御調査でしょうか。
  183. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 あの火災の現場におきまして、直ちに火災の原因についての調査を消防当局と警察当局で始めましたが、まだその結論を見出すに至っておらないという状況であります。
  184. 中谷鉄也

    中谷分科員 鋭意調査を続行中ということですけれども、お見通しとしては、大体いつごろまでに調査が完了するのか。あるいは原因不明ということで調査が終結せざるを得ないという状況なのか。何としてでもこの原因については究明するという決意、そうしてまたそういう見通しがあるのか、この点はいかがでしょうか。
  185. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 火災の原因につきましては、その後の防火体制あるいは予防体制ということを考えます上にもきわめて重要なことでございますので、われわれとしては現地の消防機関のほうに対しましては、ぜひ明らかになるようにつとめていただきたいということを、私も消防庁の本部長に直接お会いしたときにも申しております。
  186. 中谷鉄也

    中谷分科員 いつごろまでにということについて質問をいたしましたが、現在想定される火災原因は何でしょうか。
  187. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 火災原因の想定ということになりますときわめてむずかしい問題でありまして、その点は現地の消防当局のほうもまだ明らかにいたしておりませんし、私たちも承知いたしておりません。
  188. 中谷鉄也

    中谷分科員 そうすると原因が不明で調査が終結するということもあり得るわけでしょうか。
  189. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 鋭意努力してもわからない場合も火災の場合しばしばございますので、おそらく可能性としてはあるとお答えせざるを得ないと思います。
  190. 中谷鉄也

    中谷分科員 建設省にお尋ねをいたしたいと思います。  建設省も現地においでになりましたけれども建設省の立場から見て寿司由楼のような惨事、こういうふうな火災、これの要因はどのようなものとして調査されたのでしょうか。
  191. 前川喜寛

    ○前川説明員 原因ということよりも、これによってどういうふうに火事が燃えていって、そうしてどういうふうに逃げたかというふうなことを中心に避難施設その他、いわば建築的な施設についてのチェックをいたしたわけでございます。  原因についてはあるいは消防庁のほうからもお答えがあるかと思いますが、避難開始の時期が非常におくれている、いわばその中にいる人たちに対して警報といいますか、こういったものがうまく伝わっていないというふうなことが一番大きな原因じゃなかったかというふうなことをまず第一点に考えております。  そのほかに、ああいう木造の三階建ては、実は相当の手段を尽くしましてもある意味で危険な場合が非常に多いということでございます。現行法では今後建てるものについては許されなくなっておりますが、残念ながら従来からずっとあったものにつきましては、遺憾ながらすぐ直すということはなかなかむずかしいわけでございますが、いまの寿司由楼の火事にもかんがみまして、特に木造三階以上のものについて重点を置いて、近く一斉査察をもう一回やりたい、こういうふうに考えております。
  192. 中谷鉄也

    中谷分科員 ではこの機会に一つお尋ねをしておきたいと思いますけれども、ニクソンの公害白書の中では、公害防止については費用と創意と決意が要る、こういうようにいっておりますね。これは防災についても私はまさにそのとおりだと思う。  建設省にお尋ねいたしたいと思いますが、建設省は、最近続発する火災、ことに死亡原因の一つに新建材の使用があるというふうに、新建材による有毒ガスということを指摘しておる。これは当然もう数年前から指摘されておったことです。内装をした新建材を通産省のほうでチェックしていく、同時に建設省は、建築基準法その他の関係において、現に使用されておる新建材については、新しい災害を誘発しないようなものに変えていく、こういうふうな計画をお持ちになっている。これにはわれわれも大きく期待をいたしておりますが、そういうふうなことで、現在内装がえ——しろうとですから、そういうことばを使わせていただきますけれども、全国の旅館、ホテルに限って申し上げますと、そのためにどの程度の投資額が必要だと建設省は試算しておられますか。
  193. 前川喜寛

    ○前川説明員 新建材云々のお話でございますが、基準法なり何なりの規定の体系では、煙を出す材料、これが一番いけないということでございまして、認定制度等は、いまお話の出ましたように、法律とか告示とかいうことで改定をいたしまして、いまその体制で進んでおります。  御質問の中心は、旅館等についての内装材、これをやり直すとするならばどのくらいかかるかというふうに私受け取ったわけでありますが、環境衛生金融公庫にもお願いいたしまして、来年度からそういった旅館、ホテルの防災施設の整備改善ということで融資措置をお願いいたしております。それの重点は、内装ばかりでなしに、特に避難階段の設置の問題と、それから階段室その他の吹き抜けの問題でございます。ここが煙が煙道的に上がっていくところと、逃げ出す一番肝心のところでございます。この辺の防火、こういったものをひっくるめて、融資額としまして百数十億という見当をごく大ざっぱに試算しております。そのうちの内装材は、私の記憶でございますが、試算でございますけれども融資見込み額というのは大体数十億見当だったと思います。
  194. 中谷鉄也

    中谷分科員 私が聞いておるのはそうではないのです。創意と決意の前提として費用が要る。環衛庫においてある程度融資についての手当てをする、このことと関係があることですけれども、自己負担分というのは旅館、ホテルについては当然業者責任というものが優先しなければならない。トータルどの程度と試算しておられますかということをお聞きしている。重ねて私のほうから追加をいたしますと、内装、吹き抜け、避難階段、とにかく人命はあらゆるものに優先しなければならない。金が要ってもやらなければいかぬ。一体試算としてはどの程度のものが要りますか、こういうことをお聞きしている。
  195. 前川喜寛

    ○前川説明員 ちょっと私融資額のほうで記憶しているものでございますから……。事業費は実はあまり正確に出ておりませんが、大ざっぱに言いますと、融資率は大体二分の一程度というふうに承っております。したがいまして、その倍くらいじゃないかというふうに考えておりますけれども……。
  196. 中谷鉄也

    中谷分科員 全国の旅館、ホテルの数はもちろん御存じですね。何軒ですか。
  197. 前川喜寛

    ○前川説明員 七万くらいの見当でございます。それで、私申し落としましたが、大体三カ年計画くらいをもちまして、そのうち特に危険なものについて直させるという体制で考えておりまして、それが大体いまくらいの件数を考えておる、こういうことでございます。
  198. 中谷鉄也

    中谷分科員 大臣に御所見を承りたいと思うのです。私の質問は、費用と決意と創意が要るということ、まず消防庁が消防力の強化等について努力しておられる。建設省もこの問題についてはやっておる。だからどの程度の費用が要るのだろうかということの試算は早急にすべきだ。それが前提となって、政府関係金融機関がどの程度のめんどうを見るかということがそのあとに出てくる問題です。こういう試算は政府として当然早急におやりいただきたいと思いますが、簡単に御答弁をいただきたいと思います。
  199. 秋田大助

    秋田国務大臣 そうすべきだと思います。それで、現に旅館業者からそれらの費用がかかるので少し待ってもらいたいというような話があります。それはむちゃだ、こういうことはすぐやらなければいかぬ、いろいろ環衛金融公庫等も動員いたしましてやらせましょうということで、事務的にそのほうを消防庁に命じた記憶はございます。
  200. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、もう一度寿司由楼の問題にしぼりますけれども、これはもう地元和歌山市にとっては非常に衝撃的なできごとだった。同時に、この種事案というものがあとを絶たない、こういうような点で先ほど要因についてお聞きいたしましたけれども、こういうふうな事故を防止するための対策は一体いかにあるべきか、こういうふうな対策を立ててやったならば、あるいは立てることによって、今後事故の防止はできるんだということについて、消防庁長官の御答弁をいただきたい。
  201. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 火災による事故でございますから、まず第一点には火を出さないということについて、管理体制というものを旅館業者がとるということだろうと思います。この点につきましては、各家庭についても全く同様でございますが、特に不特定多数の人が出入りする場所でございますから、特に夜間の見回りとか、そういう消火器材等の準備も必要でございます。これが第一でございます。  第二は、要するに火事になった場合に早期避難通報ということをやりまして人命の事故を防止する、そのためには、先ほど申し上げましたような自動火災報知機等あるいは誘導灯等必要な器具、こういうものを整備するということであります。  第三は、公設消防自体の側において、そういうような火災に対処し得る消防力を充実するという三点だろうと私は思っております。
  202. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、昭和四十五年の消防白書によれば、あらゆる問題について、火災の実態、消防力の増強、予防行政の充実、災害防止対策の強化等々についてお書きになっている。しかし、国民が実際に期待し、国民が実際に消防庁に求め、政府に求めているのは、毎年毎年の死者の数が減少していくことだ。とにかく昭和四十六年には一件も火災を起こしませんよというわけにはいかぬでしょう。しかし毎年毎年物価が五・五%といっているのに七%上がっていくと同じように、前年度の一〇%を上回るような火災が出たのではお話にならない。消防庁のほうにおいていろいろなことをおやりになるけれども、それは年次計画の中において、昭和四十五年、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年、五十年と、火災の発生についてはこういうふうに減少させていくのだ、死者についてはこういうふうに減少させていくのだというふうな、そういう計画は一体お持ちなんでしょうか。その計画があって、そうして、とにかく消防力の増強のためにはどれだけの予算が要るというようなことが試算されなければならないと思っている。実態として実際これだけの人数が出てきましたということは、結果は、あとでずいぶんふえたなあということではどうにもならぬ。この点はどうですか。
  203. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 論理的にはまさにおっしゃるとおりだと思います。しかし、御存じのとおり火災の原因の八四%は失火でございます。しかも、御案内のとおり、たばこによる被害がその中の一三%、これは毎年一番多い。そこで、いまお話しのような事態を想定するにいたしましても、失火の問題というのは、これは過失でございまして、したがって私たちは、この予防運動なりあるいは定期の防火運動のはかに、あるいは家庭婦人クラブとか、少年クラブとかいうことで、火に対する注意というものを教育の中に織り込んで、あるいは社会の活動の中でこういうものを醸成していくというのが一番大事だ、こういうことで火災の減少をはかるということが大事だろうと思います。  第二は、御指摘のように死者の増加というのは建材、あるいは建材だけではない、こういう製品はほとんどガスを出すものでございますから、特に建材の問題について、内装制限その他の面で強化をやっていくというようなことを考えたいと思っております。
  204. 中谷鉄也

    中谷分科員 交通事故の防止について、とにかく毎年毎年交通事故がふえてくる。それについて、何とか年次計画を立てて交通事故を減少していくようなことをやろうじゃないかと、私はかつて総理に質問した。そういう年次計画を前提としてやろうじゃないか。交通事故はまさに過失ですよ。故意でやれば、火事で言えばこれは放火ですわ。そういうのは失火というのはあたりまえのことなんです。交通事故は、人を殺すつもりでひいたらこれは殺人罪ですよ。業務上過失致死じゃありません。そういう失火あるいは過失による交通事故死ということを前提として、それに対しては個人が注意をなさればよい。これはやはりいろいろな外的条件というものを整備しなければならぬ。私は大臣にひとつお答えいただきたいと思うのですけれども、とにかく計画としては毎年毎年減らしていくんだというそういう年次計画を、コンピューターその他でやって、そして予算等の要求も強力にやってもらうということでなければ、惨事は繰り返され、忘れないうちにまた惨事がやってくるということに私はなると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  205. 秋田大助

    秋田国務大臣 私も就任以来、消防、防災のことにつきましては非常に頭を痛めております。何とかひとつ、中谷先生お示しのとおり、年次計画を立てまして、これが事故発生の減少につとめたい、かように考えております。しかし、名案なしに今日に至っておりますが、コンピューター等の使用の御示唆もございましたが、ひとつさらに督励をいたしまして、各人の注意を促しつつ、かつ予防捜査、それから消火の機械設備の強化、整備、あらゆる手を尽くしまして、出火及び出火になりました場合の災害の減少につきまして努力をいたしたいと思います。現にテレビあるいはラジオ等を通じましていろいろ手を打っておりますが、最近ややその効果をあらわしつつあるかとも存じます。これらにつきましては、なおひとつ、むずかしいとは思いますが、検討をいたしまして具体的な案を立ててみたいと存じます。
  206. 中谷鉄也

    中谷分科員 先ほど消防庁長官は自動火災報知器の設置についての必要性を特に強調されたと私、お伺いをいたしました。これは設置義務が三月の末でもう猶予期間がありませんね。そういう状態の中で、現在この時点において何%達成しているかどうか、これをひとつお答えいただきたいことが一点。  それと、もう一点、続けて質問をいたします。自動火災報知器については、これは消防法の定めるところに従って、どうしても設置することが業者の責任であります。そういう中で、メーカー十七社といわれておると私きょう見ましたけれども、これは、たとえば占有率が、上位三社六〇%とか、上位四社七〇%とか、上位十社九〇%とかいうふうなことになってくると、これは管理価格の問題もあるし、業者がどうしても設置しなければならぬということになると、需要と供給のバランスの中において価格のつり上げというような問題も起こりかねないと思う。価格問題については、消防庁はぜひともひとつ、そういうふうな設置が義務づけられたときにおいて、メーカーがぼろもうけするというようなことのないように行政指導をしていただきたいということが一つの希望であり主張であります。なお、これが管理価格というようなことになってくると、これは消防庁のお仕事じゃない、価格協定ということになってくると。しかし、そういう疑いもあり得るんじゃないかと思う。これは公取と十分御連絡をとっていただいて、この問題についての適切な措置をひとつお取りいただきたい。  まとめて質問をいたしましたので、これはひとつ簡単にお答えをいただきたい。
  207. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 自動火災報知器の設置状況は、地域的には八割ぐらいやっているところもございますが、全国的には大体五割から六割ぐらいだろうというように考えております。  それから、第二の問題につきましては、これはいまのところそういう話は聞いておりませんけれども、業界を十分指導いたしていくつもりでおります。
  208. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで私は、重要文化財あるいは文化財の集中している地区、たとえば和歌山の高野山、これなんかのところで火事が起こったら一体どうなるのだろうか。比叡山だってそうだろうと思う。山の上にあるようなところ、こういうようなものについて、予防措置はどういうことになっておるのだろうか、こういうような問題について簡単にひとつお答えいただきたい。
  209. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 文化財につきましては、とにかく火を出して焼かないということでありますので、私ども考え方といたしましては、文化財の防火デーというようなものを特に設けまして、防災器具等の点検その他のことを常にやるという運動の展開、あるいはその設備として、先ほど申し上げましたが、自動火災報知器、消火設備の設置を励行させるということによって火災からこれを守るようなことを措置しておるつもりでございます。
  210. 中谷鉄也

    中谷分科員 それから、話を元に戻しますけれども、通報が非常におくれたという点が一点ありました。そういたしますと、いわゆる防火管理体制の強化、防火管理者というようなもの——われわれとにかくしろうとですから、寝ずの番、夜回りということを言っておりますけれども、なかなか管理者がイコール夜回りにはつながらないのだと思いますけれども、こういうような問題について、私はやはり体制というものが強化されていくことがイコール通報のおくれを来たさないということだろうと思う。ところが、最近の全体的な中小企業における労働者不足というようなものが旅館等に集中的にあらわれているので、ことに防火管理者というものになかなかなり手がないと私は思う。世間でいう夜回りというものになり手がないと思うのです。特にそういうことで労働省などとも相談されて、職安等において優先的に、そういうものについて、その仕事の持っておるところの社会的な意義というものを徹底させて、それらの措置を講じていただきたい。この点についての御所見を承りたいと思います。この点はいかがでしょうか。
  211. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 寿司由楼の火災を契機にして、さらにこの前業界がいろいろ相談されました中には、夜間の見回りということを取り上げております。結局人の問題に帰着するわけでありまして、いまお話がありましたような考え方は、まさに中高年齢層の問題としても考えていい問題であると私は思いますので、そういうことで労働省ともお話しすることにしたいと思っております。
  212. 中谷鉄也

    中谷分科員 次に、私は大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  寿司由楼でたいへんな火災を起こした。旅館の経営者は全財産をなげうって遺族補償しなければならない。これは社会的な責任としてはまさに当然であります。ところが、火災保険に入っていない。十六人の人についてとにかく遺族補償をする。これはばく大な金額であっても、人の命というものは金にかえられないというふうな状態の中で、遺族がこういうような被害を受けてきわめて悲惨な状態になる。もちろん業者としても再起不能でありましょう。こういうような状態の中において、業界の経営感覚の古さだと私は思いますけれども、賠償責任保険の制度がある。これはいわゆる青天だと私は聞いておる。要するに損害額についての制限もないと聞いておる。とにかく、いずれにいたしましてもそういうことを考えてみますと、これらの問題については、これは大臣の直接の御所管ではありませんけれども、賠償責任保険の制度があるわけですから、これらのものについてこれらを活用していくというような姿勢がなければならぬじゃないか。私は、こういうことについて御所見を承りたいということと、いま一つ、この際旅館等について総点検をする必要があるのではないか、こういう事故が忘れられないうちにくるということではたいへんだ。この点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  213. 秋田大助

    秋田国務大臣 賠償責任保険の制度、これに旅館等が入ることが望ましいと思いますが、強制するわけにまいりません。それらの点につきましても検討してみたいと思います。  有馬の温泉の火災がありました際に総点検を命じましたが、最近また旅館あるいは精神病院に火災が頻発をいたしておりますので、こういう問題は何回やってもいいわけでございまして、いろいろ労もありますけれども、この際目一ぱい特殊な施設についての総点検をやるべきである。それによってこそはじめて年次計画的に火災の発生を少なくしていくことができます。一般の火災対策には有効適切な方法というものはなかなかむずかしいと思いますが、こういう特殊な状況のものは特殊の点検をさしたいと思います。
  214. 中谷鉄也

    中谷分科員 最後の質問です。  厚生省、お待たせしました。お尋ねいたしますが、私がお尋ねいたしたいのは、環衛関係では六分五厘、そうして最長十年の償還期限、かなり私は優遇された措置が講ぜられていると思うのです。しかし、一つ具体的な問題を——私さっき高野山の問題を出しましたが、申し上げておきたいのですが、宿坊というのが高野山に多数ある。実態は大ぜいのかわいい子供さんが来て泊まっておる。これはとにかく環衛の対象にならない。しかし泊まっておるという社会的な事実は同じなんですから、これの防災の関係について環衛の対象として検討さるべきではないかというのが一点であります。  いま一点は、和歌山県においては今度国民体育大会、国体が行なわれる。そういうようなことで、とにかく多数の青少年諸君が旅館に宿泊をするのでありますが、防災を完全にやって、こういうふうな事故を二度と起こしてはならぬ。そういうような状態の中においては、防災についての環衛に対する資金需要も増大すると思う。これらについては国体開催との関連において和歌山に対するところの配慮をしていただきたい。この点について厚生省の御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  215. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先生御案内のとおりに、現行の環境衛生金融公庫法では融資の対象が会社または個人に限定されているところでございます。高里山の宿坊の実態につきましては、宗教法人ということで、現行法では融資の対象にすることはむずかしいということは御承知のとおりでございますが、御趣旨は十分に理解しておりますので、検討してまいりたいと思っております。  それから第二の点でございますが、来年度の環衛公庫融資ワクは七百六十五億円ということでお願いしてございます。これが成立いたしますれば、御趣旨に沿いまして和歌山県の防災施設、あるいは旅館の改善処置、それらの融資については格段の配慮を払ってまいりたいと考えております。
  216. 登坂重次郎

    登坂主査 次に、細谷治嘉君。
  217. 細谷治嘉

    細谷分科員 最初自治省にお尋ねいたしますが、地方財政法第二十七条の四、「市町村住民にその負担を転嫁してはならない経費」、こういう条文がございまして、それを受けまして施行令の第十六条の三に「法第二十七条の四に規定する経費で政令で定めるものは、次の各号に掲げるものとする。」と書いてありまして、一号が「市町村の職員の給与に要する経費」、二番目は「市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費」とある。二つ書いてあります。これ以外は寄付はどんどんもらってよろしいでしょうか。お尋ねします。
  218. 長野士郎

    長野政府委員 地方財政法の規定は住民に負担を転嫁してはならないということで、特にいまおあげになりましたような費用につきましては政令で明らかにしておるわけでございますけれども、だからといって、これ以外のものは転嫁してよろしいというふうに考えるべきものじゃなくて、全体としてもその負担を転嫁すべきものではないということの考え方が基礎にありまして、そしてこの市町村の当然負担に属するものという経費の中でも、行政上の見地あるいは負担の転嫁をしてはならないという見地、両方からいいまして、そういうものを明定したと思っております。
  219. 細谷治嘉

    細谷分科員 この一番目の市町村の職員の給与に要する経費をもらうというのは、これはもう常識的に当然ですけれども、これだって極端にいうと、なくはない。これはもう財政局長も御承知のとおり。     〔主査退席、松野(幸)主査代理着席〕 二の市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費でありまして、維持及び修繕ということでありますから、常識的に考えまして老朽校舎を建てかえるときはじゃんじゃん寄付をとってよろしいのですか。
  220. 長野士郎

    長野政府委員 いま申し上げたとおりでございまして、教員の給与とか学校の維持費というようなものは特に問題になりがちなものでございますからこういうことを書いたわけでございましょうが、建設についてはよろしいというような考え方ではございません。
  221. 細谷治嘉

    細谷分科員 文部省はどう解釈しますか。
  222. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 やはり地方負担分については、適切な方法による財源措置すべきものと思います。
  223. 細谷治嘉

    細谷分科員 ということは結局、維持修繕費ばかりじゃなくて、学校の改築等の場合には、適切な措置ということでありますから、いわゆる市町村民である住民に負担さしてはならぬということでございますね。御確認いただきます。
  224. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 任意の寄付というようなものは認められておるようでございますが、強制寄付とか、そういうやはり法令上認められないような財源によるべきではないというふうに考えます。
  225. 細谷治嘉

    細谷分科員 いみじくも地方財政法第四条の五に「地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。」、こう書いてあるわけですね。任意と強制というのはどういう違いがありますか。
  226. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 法理的には非常にむずかしい限界点もあろうかと思いますが、やはり本人の自発的な意思に基づかない寄付を何らかの方法で直接間接に強制するというようなものが任意でない寄付金というように考えております。
  227. 細谷治嘉

    細谷分科員 それでは私は次の例を読みますから、これは強制とお考えか、あるいは自由意思とお考えか、ひとつお答えいただきます。  昭和四十五年度に、ある県のある郡のある小学校が一億三千六十七万円の学校改築をしたわけですね。これは老朽改築であります。その際に、その学校建設促進協議会というものができまして、四千百万円の寄付をきめたのであります。そしてその学校区の千三百世帯に対して一万五千円から五万円の間で平均二万七千円の寄付を求めたのであります。むろん、そういうことでありますから、県の条例に基づいて寄付募集の申請が、寄付の行動が開始されてからなされたのでありますが、県は、高過ぎる、強制の疑いがある、こういうことで不許可になっております。部落で区長さんが中心になって千三百世帯で二万七千円平均の寄付をしたわけですね。学校の総額の一億三千万のうち四千百万円の寄付を引き受けたわけです。これは強制でしょうか、任意でしょうか。
  228. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 これは実際の事情を詳細に調査しませんとはっきりしたことは言えないと思いますが、先生のお話を伺いまして個人的に感じました感想といたしましては、やはりそういう相当たくさんの世帯に金額もきめて寄付が行なわれておるという点から考えますと、中には不本意ながら寄付をしたというような、やや強制寄付というような分類に入るかと思われるようなものも含まれておるんじゃないかというような感じがいたします。
  229. 細谷治嘉

    細谷分科員 これは常識的に考えまして、一つの町なり村で学校区単位で千三百世帯で平均二万七千円という寄付をやる、低いところで一万五千円、多いところで五万円ということをやりますと、とてもじゃないが、強制だとかなんとかということばを区長が使わぬでも、これは強制ですよ。村八分になっちゃうのですから、どうにもならぬのですね。ですから福岡県——ある県と言っておりましたが、福岡県ですが、これは不許可にしたわけです、高過ぎる、強制の疑いがあるということで。あなたはそういう中には任意の人もおったろうと言うけれども、事実強制じゃないですか。だから県は不許可にしたのですよ。どうですか。
  230. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 県の措置等から判断しますと、全体としてやはりそういうものが含まれておるということが言えるんじゃないかというふうに感じます。
  231. 細谷治嘉

    細谷分科員 全体としてはそういうものが含まれておるということは、少なくとも強制の疑いがあるということは御確認いただけますね。
  232. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 そのように感じます。
  233. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこで、昨年の十二月八日参議院の地方行政委員会におきまして、この問題が取り上げられまして、長野行政局長は、いろいろやはり問題がある、地方財政法第四条に違反する疑いもある、こういうことで、この問題について善処しようという御答弁をなさっておるわけでありますが、その後この問題はどういうふうに進んでおるのか、お尋ねいたします。
  234. 長野士郎

    長野政府委員 お話は八女郡立花町のある学区における問題だと思います。この点につきましては、県を通じまして、強制にわたるような寄付によって学校の改築に対してそういう金銭的な措置をするということは、財政法の趣旨からいっても適当でないということで、そのような措置を取りやめるように強く要請をしてもらいました。一たん、協議会という名前でやっておりましたようですが、そういういろいろな県当局の話もあるようなことから、一応はそれを取りやめたという形をとったようであります。     〔松野(幸)主査代理退席、主査着席〕 取りやめたといいながらも、その区長と称する人の手元からは、その集めたお金は個々の人に返すということをいたさないで、現実には当初の目的どおりのことを行なっていく、つまりそれはどういうことになったかといいますと、私の聞いたところでは、いまお話しのような金額学校建築に町当局としては歳入として予定しておりましたけれども、これはむずかしいということになりましたので、その分だけ落としまして、そして建築業者に対しまして町で契約する。それから地元で契約する。両方の契約をつくりまして、そうして一つの学校を両方の契約でつくっていく。つまり継ぎ足し分ということで両方一つの形になっているということでございましょうが、そういう形でどうしても事柄を強行するというような事態になっておるというふうに聞いております。私は全く遺憾だと思いますけれども、町及び学区の当局者等は、善意で行なう寄付について国や県からとやかく言われるいわれはないというようなことで問題を進めておるというふうに聞いております。
  235. 細谷治嘉

    細谷分科員 いま財政局長がおっしゃいましたように、県の、寄付募集申請が不許可になりましたので一これは昨年の九月であります。そこで四千百万円のうち、すでに集まっておりました千五百万円というものを町当局からいわゆる建設促進協議会に返したわけですね。そして四十五年の十一月に促進協議会は解散したわけです。解散してその千五百万はどこへやったかといいますと、その学校区の区長会というものに渡したわけです。区長会は四千百万円という目標額を三千六百万円に減らしまして、これもまた未許可のまま寄付集めを再開したわけですね。これも県条例違反であります。そしていま財政局長がおっしゃったように、町当局は工事契約の中で三千六百万円に減らして請負業者と再契約をした。そして三千六百万円の校舎の部分は、この区長会が契約したんでしょう。そして、それができたらば現物で町に寄付するか、無償貸与の形をとるんだ、こういうふうに一月二十九日の地元の新聞は詳細を報じております。いま財政局長がおっしゃったとおり、一月二十九日の新聞では書いてあります。このほかにいろいろまた問題の新聞が出ておりますけれども、私はきょうはこの問題にだけしか触れません。そういうことになると、いま善意の寄付だとこうおっしゃいましたが、地方財政法に違反しようが、県条例に違反しようが、かってにやってよろしいということになりますね。それでよろしいですか。これは無法地帯ですよ。
  236. 長野士郎

    長野政府委員 私は決してかってにやったらいいということを申しているのではありませんで、あくまでも行政指導の範囲の中で——強制にわたるということはなかなかできかねますけれども、行政指導の範囲の中でそういう措置はよろしくないということで説得につとめておるという状況でございますが、実態は、遺憾ながら、先ほど申し上げましたように事実が先行を始めておるという状況でございます。
  237. 細谷治嘉

    細谷分科員 ここの町長さんはいみじくも言っているのです。町の予算から寄付金は減額した。町内の人たちが子供によりよい教育環境をと善意で独自の工事契約を結んでやっていてくれることで、町は口をはさむ筋のことではない。せっかくの善意を法をたてに踏みにじっていいのか、こういうふうに言っております。ですから、これは善意でやったんだから、地方財政法がどうあろうと、県の条例がどうあろうと、そんなことを法をたてに国や県が口をはさむものじゃない、こういうふうに言い切ってしまっているわけですね。これは私はたいへんな問題点があろうかと思うのですが、文部省御存じですか。
  238. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 実は本日まで知らないでおりました。
  239. 細谷治嘉

    細谷分科員 大臣、いま私がいろいろと財政局長とやりとりしたことについて、これはたいへんなことだと私は思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  240. 秋田大助

    秋田国務大臣 よろしいこととは思いません。何とかこの事態を解消しなければならぬと思います。
  241. 細谷治嘉

    細谷分科員 やはり法は法でありますから、これはぜひやっていただかなければならぬと思うのでありますが、大臣からそういう言明をいただきまして、長野局長は十二月八日に、何とか質問者の意向に沿うてこの問題を解決したい、こう答えておりまして、それからすでにおおよそ二カ月たっております。ひとつ口だけじゃなくて具体的に善処をお願いしたいと思うのであります。  そこで私は、一体こういうことがどういうことから起こるのかということについて、責めるばかりじゃなくて、やはり国会も反省する点があるのではないか、政府も反省する点があるのではないかと思うのであります。さんざん強制しながら、いや強制でありません、善意であります、そういう善意でやったものを、法をたてにとやかく言う国や県がおかしい、こういうことになりますとたいへんであります。この議事録を拝見いたしますと、こういう問題が起こったのは、これは長野財政局長答弁でありますが、「国の補助単価の低さとか、あるいは基準の対象になる坪数その他につきまして、要求が非常に多いものでございますから、その予算を配当をする当局のほうで非常に分割をして、そういうようなことが地域に非常に迷惑を及ぼしているという原因があると思います。そういう意味で、その点につきましては、関係各省にはもう予算編成のたびごとに基準単価の適正化、超過負担の起こらないようにということを強く要請しておりますが、」こういうふうに長野さん言っております。私は正しいと思うのでありますが、いまも長野さんその心境は変わりませんか。
  242. 長野士郎

    長野政府委員 変わらないつもりでございます。
  243. 細谷治嘉

    細谷分科員 文部省にお尋ねいたしますが、これは自治省がお答えしたのであります。そういうのがやはり一つの背景にあるということについて御確認いただけますか。
  244. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 そのとおりだと思います。
  245. 細谷治嘉

    細谷分科員 そのとおりだ。要するに、今度の予算を拝見いたしますと、基準単価が九%から一〇%弱、鉄筋で九・七%、鉄骨で九・六%、木造で八・四%と単価の引き上げがあっております。この単価が超過負担を呼んでおるわけですね。  それからもう一つは、建てようとするけれども廊下が補助対象にならぬ。言ってみますと、面積がないわけでありますから、学校は建てるけれども廊下のない学校なんて建てられませんから、それはまるまる全部かぶらなければならぬ、こういうふうな事態が起こっておるわけですね。付属便所などはほとんど補助がついたことはないわけですから、言ってみますと、二分の一補助というのが実際は二〇%ぐらいしか、あるいは三〇%ぐらいしか補助はつかぬ。あとは全部手出し、こういうふうな実態にあると私は思うのでありますけれども、文部省はどうお考えですか。
  246. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 実は実際の単価が国の補助単価より上回っておる場合が多いのは事実でございます。ただ、国の補助の考え方といたしまして、単価につきましては、標準的な設計によるものについて考えていくというような考え方で積算を行なっておるわけでございます。それで、実は国として責任を負うべき超過負担というような問題もあったのでございますが、これにつきましては、四十二年度の調査に基づきまして、四十三年から三年計画でその標準設計に対して不足する単価については、一応三年計画で解消して現在に至っている状況でございます。  それから、建物につきましても、やはり現在の基準といたしましては、現在の基準に不足する学校も全国にあるような実情でございまして、当面は現在の基準で補助していっておるというような状況でございますが、実際にはその地域の施設者の独自の考え方から、基準以上に上回って施工する場合もあるのでございます。そのようなことで、単価と補助基準につきましては、なお現在必ずしも十分であるとは言えないと考えますので、私ども今後さらに努力してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  247. 細谷治嘉

    細谷分科員 財政局長さんにお尋ねいたしますが、四十二年に調査されました超過負担分、当時一千億あるとか九百億あるといわれておりましたが、三年計画、今度の地方財政計画等でも総額百九十億円ぐらいの超過負担を解消したというのでありますけれども、これは四十三年度になりますか、どうも地方の人たちは、超過負担を三年計画であるいは今度も解消したと言うけれども、一向超過負担が片づいておらぬと言っておりますけれども財政局長いかがお考えですか。
  248. 長野士郎

    長野政府委員 超過負担の解消につきましては、実態調査の結果に基づきまして逐次解消をはかってきましたことは、いまお話しいただいたとおりでございますけれども、なおその後のいろんな物価の上昇でございますとか、補助対象の取り方の問題とかいうものにつきましては、なおいろんな面で実態に即さない点が出てきております。私どもとしては、今後とも引き続いて超過負担の解消に努力をいたさなければならないし、ものによりましては、まだほとんど手がついておらないというようなのも施設関係でもございます。したがいまして、そういう点も含めまして今後とも解消をはかっていかなければなりませんが、ある面では、これはまあ尽きることのない一つの問題のようなものをかかえておるような印象を持っておりまして、これは不断にそういう努力を重ねて、実態に即するようなところに持っていくほかないだろうと思っております。したがいまして、現実にそれほど十分な成果があがっていないじゃないかというような御指摘もあるわけですが、そういう面での印象もおありかと思いますけれども、しかし、一面ひるがえって二、三年前から考えてみていただきますと、それは相当改善されておる。しかし、まだ十分でないという御批判がそういう声になってあらわれておるのではないかと思います。今後とも努力してまいりたいと思います。
  249. 細谷治嘉

    細谷分科員 私の体験なり印象からいきますと、かつて学校建築の補助が三分の一であった。それが二分の一に改められた。改められたからだいぶ超過負担が軽減されるかと思うと、事実上は三分の一も二分の一の補助率も、地方のほうにとっては財政的には変わらなかった、こういうのが実態だと私は思うのですね。ですからこれは、大臣にもあとでひとつ決意のほどを承りたいのでありますが、超過負担は三年計画で解消すると最初のことばを言ったのは当時の藤枝自治大臣、その後歴代の自治大臣が取り組んでまいったのでありますけれども、解消はしたのでありましょうけれども、新たなる超過負担が依然として起こってまいっておると私は思うのであります。そこで四十年か四十一年ぐらいに自治省が調査されましたこの超過負担の実態というものをひとつ再調査をしていただきたい、そしてそれに真剣に取り組んでいただきたい、こういうふうに要望して、あとで大臣のおことばを聞きたいのであります。  その前に、文部省も自治省も御存じと思うのでありますけれども、四十六年度の公共文教施設の地方財政計画を見ますと、公共文教施設は国庫補助金負担金が幾らあるかと申しますと、六百三十五億であります。そして地方負担は千四十億であります。四十五年度は幾らといいますと、国の補助負担金は五百六億、地方の負担は八百五億円であります。ずっとここ暦年の地方財政計画を見ましても、大体学校を建てるときには原則としては二分の一ということになっておりますけれども、実際は六割以上というのが地方の負担になっております。二分の一というのが行っていれば大体五〇%くらいで済むはずでございますけれども、大体みんな六割以上を地方負担をしいられておる。これが地方財政計画でもよく出ていると思う。これは地方財政計画でありまして、その決算額実績というのはもっと地方負担が上回っておるというのが遺憾ながらこれまた実績であります。  こういうことでありますので、いまはないと思うのでありますが、たとえば体育館を文部省が百なら百というものをとった。そしてある県に三つなら三つやった。そうしますと、県の教育委員会がその三つを、市町村からの要望がありますから、三つじゃいかぬとそれを五つに分けてやる。それを市町村が受けるものですから、いよいよ超過負担のどろ沼に国も県も市町村も入り込んでいっておるというのが今日までの実情じゃないかと思います。その点はある程度直されたようでありますけれども、まだいささか問題があるようであります。そういうことでいろいろ問題点があるわけでありますが、ひとつこの問題について自治省なり文部省がどう前向きで解消しようとするのか、超過負担の全体的な調査の問題も含めてお尋ねしたいと思う。  もう一つ、いまも話が出ましたが、立花町の場合は九千万円ばかりは町の財産ですよ。三千六百万円分というのは区長会の財産ですよ。こんな管理を一体どうしてやるのですか。これは県も指摘しておるのですが、これは公有財産、行政財産の管理としてはたいへん問題があろうと思うのですが、この点について一つ明解な御答弁を願いたい、こう思います。
  250. 秋田大助

    秋田国務大臣 超過負担の問題はまことに困った問題でありまして、過去におきましてある程度の努力をいたしたわけでございますが、依然として残っておるのが事実でございます。したがって、ここでもう一回、ひとつ過去にやりましたように、大蔵省とその他関係各省との関連におきましてひとつ超過負担を総洗いに洗いまして、これが解消につとめるべく、ひとつ計画的な解消案を立てて、これが解消へ努力をいたしてみたいと思います。
  251. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 公共文教施設の国庫補助負担事業量につきましては、文部省といたしましても、毎年やはり予算の最大重点事項の一つとしまして努力してまいっておるわけでございます。昭和四十四年度予算に対しまして四十五年度は三十万平方メートルの補助面積の増を行なったのでございますが、四十六年度予算案におきましても三十一万平方メートルの増を行ないまして、総事業量を三百六十九万平方メートルという予算案で計画をいたしております。ただしこれにつきましては、御存じのように最近社会増地域の不足教室をほうっておけないというような問題もございまして、その事業量の増加分をかなりそちらのほうに振り向けなければならぬというような実情がございます。したがいまして、危険校舎等の改築につきましても、四十四年度以来年次計画の一環に組み込んでやっておるのでございますが、なかなか十分な予算を伸ばしにくいというようなことでございます。四十五年度の危険校舎の改築の面積は九百九十九万九千六百平米という予算でございましたが、来年度はそれを二万平米ほどふやしまして百二万平米で計画をいたしております。ただしこの危険校舎につきましては、御存じのように木造校舎がまた順次老朽化していくというような問題もございまして、やはり全国的な要望には十分に沿えていない実情でございますので、私ども今後その面積の拡充増大につきましてできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  252. 細谷治嘉

    細谷分科員 時間が来ましたから終わります。
  253. 登坂重次郎

    登坂主査 次に、貝沼次郎君。
  254. 貝沼次郎

    貝沼分科員 最近日本の工業力の発達に伴いまして、各所に石油コンビナートなどがたくさんつくられているわけであります。これも先日行なわれた公害の問題についてはまた大きな役割りも果たしているわけでありますが、一方、私たちの生活に必要な製品をつくっているということもまた事実でございます。  そこで初めに、現在日本の石油コンビナートといわれるものがどれくらいあるのか、大きなものから順に、できれば出荷額等も添えて答弁をお願いしたいと思います。自治省お願いします。
  255. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 石油コンビナートという地域ははっきりいたしませんが、われわれとしては、石油化学工場所在地の市町村とか、あるいは石油精製工場の所在の市町村とか、こういうものを一体としてとらえた場合に、石油コンビナート地帯というようなこと、あるいは輸送基地とかいうものも考えてコンビナート地帯というふうにして今後の対策を考えていきたいと思っております。石油化学工業、いわゆる工場所在市町村は全部で十地区でありまして、それから石油精製工場所在市町村は全部で十六、そのほかに大規模輸送基地の所在市町村は八カ所でございまして、その出荷額その他につきましては、手元にいま資料がございませんので、御必要ならば後日調べて差し上げたいと思っています。
  256. 貝沼次郎

    貝沼分科員 詳しいことは後日でもけっこうですけれども、特に大きなものといわれるものはどの辺にございますか。
  257. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 川崎、四日市、堺、泉北、五井、市原、岩国、大竹、鶴崎、新居浜、水島、徳山、鹿島というところでございます。
  258. 貝沼次郎

    貝沼分科員 実は先般、私も瀬戸内海沿岸のコンビナートを見てまいりました。特に水島などは新しいコンビナートでありますけれども、そのわりに防災関係がないのではないか。ただいま答弁がありましたように、このコンビナートは私がちょっと調べたところでも何千億という大きな日本の財産です。この財産がひょっとすると一ぺんで吹っ飛んでしまうような非常に危険な体制にあるということを私は見ております。したがって、この限られた時間の中でコンビナートの防災関係について二、三質問したいと思うのであります。  まず初めに、このコンビナートに対して防災は完全に行なわれているとお思いになりますか、お聞きします。
  259. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 コンビナート地帯の防災ということになりますと、陸と海の問題がございまして、御案内のとおり海上の船舶火災、それから地上の危険物施設に伴う火災、こういうものをかかえるものだけでも想定いたしまして考えますと、現在の自営消防組織の企業側の問題あるいは海上保安庁の防災、防衛の器材、あるいは公設消防のそういうものに対処するいろいろな器材というものを考えますと、想定された以上の大きな火災に対してはまだまだ弱いという感じを持っております。
  260. 貝沼次郎

    貝沼分科員 まだまだ弱いというけれども、弱いといってもいろいろあるのです。ちょっと足りないとか、いろいろあるわけですけれども、これはちょっと足りない程度じゃない。ものすごく足りない。いわばほとんどないといっていいくらいなんです。そういってもまずいので、たとえば水島、あるいは岩国でもけっこうです。消火艇というのは何隻ございますか。
  261. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 水島地区を調べてみますと、倉敷及び海上保安庁、それに企業の側におけるものを含めますと五隻でございます。
  262. 貝沼次郎

    貝沼分科員 それであの水島の港湾に出入りする船、これは年間どれくらいございますか。
  263. 手塚良成

    ○手塚政府委員 四十二年の港湾統計によりますと、五万二千隻であります。
  264. 貝沼次郎

    貝沼分科員 五万二千も出入りしているわけです。それで五隻ぐらいの消火艇で、体制があると言えるのでしょうか。私はこれではどうしようもないんじゃないかと思うのです。これでどの程度のことができるとお考えですか。
  265. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 どの程度ということになりますと、われわれが最近経験した横浜の「ていむず丸」の爆発事故というものを考えますと、相当大きな消火艇というのは、「ひりゅう」とか「みやこどり」とかという百トン以上の消火艇でも、あのくらいの時間をかけてようやく鎮火するような程度でございます。したがいまして、相手方の船舶火災の様相にもよりますけれども、これではおそらく足りないと私は思っております。
  266. 貝沼次郎

    貝沼分科員 したがって、先ほど足りないという、防災は完備していないというお話でありますけれども、これは少々足りないということじゃないのです。あれだけ大きな工場が立ち並んでおりながら、しかもその工場が何かあった場合に引火する、爆発をする。そうするとガスタンクあるいは石油に燃え移って、いわば原子爆弾のような大きな爆発を起こして何キロ以内のものは吹っ飛んでしまう、こういう重大な問題をかかえておるのです。こういう場合に、ただ足りないじゃ済まないと私は思うのです。自治大臣、この点どのようにお考えですか。
  267. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 私たちはそういう意味で、従来の消防力基準あるいは自衛消防力につきましてもっと強化をする、消火艇の強化あるいは自衛消防組織におきましても従来の化学消防車の強化をする、あるいはいまの御指摘にありました港湾におきまして、重要港湾というようなものにつきましては消防艇の強化基準を考える。それに伴って、われわれとして財政的な援助としての補助を充実していく、こういうことで考えておるところでございます。
  268. 貝沼次郎

    貝沼分科員 財政的な補助という話がありましたけれども、これもことばだけじゃなく、率をうんとふやしてやらないとだめだと思うのです。よく政府答弁は、ちゃんと単語はあるのですね、しかしながら実質等は伴っていない。それで一般から批判を受けられるわけです。したがって、ちゃんと満足のいくような措置を私はやっていただきたい。ただいまもお話のありましたように、たとえば「ていむず丸」の事件の場合、日本のコンビナート関係をながめても、川崎あるいは横浜というふうに最も完備された地域です。そこにおいてすらあの事件なんです。そのために出動したたとえば消防艇にしても、横浜海上保安あるいは川崎、東京海上保安から救助艇の関係とかいろいろ出ていても、死者四名とか二十数名の重軽傷を出しておる。こういうふうに私はこの問題は非常に重大なものであると思っております。ところが水島のような場合は、どこからも応援するところがございません。したがってなおさらその港湾に対して設備をしておく必要がある、こう思うわけであります。  そこでこれに関連したことでありますが、こういうことがあるのです。昭和四十五年の十月二十八日に海上保安庁長官が水島を視察したそのときに、四十七年三月には水島港へ二百トンクラスの消防艇を回しましょうと公約をしてあるといいますが、これはその後どのようになったのでしょうか。
  269. 手塚良成

    ○手塚政府委員 中身をおとりになりましたのがどういう資料からかわかりませんが、先ほどもお話が出ておりますように、水島地区のその後の港勢の発展と重要さに対しまして、私どもで現在配置しております消防関係の艇はこれは一ぱいしかございません。非常に弱体であると自認いたしております。その強化をはかる意味におきまして、ここに消防艇の増強、増配置をしょう、そういう趣旨の考えを持っております。当時そのように御質問に答えたかと記憶をしております。
  270. 貝沼次郎

    貝沼分科員 結論的には消防艇はこれから配置するのでしょうか、その点をお伺いします。
  271. 手塚良成

    ○手塚政府委員 消防艇そのものにつきましては、実は四十一年から始めました五カ年計画が今回終了いたしますので、その後の五カ年計画を目下検討いたしておりますので、その中におきまして消防専用の艇あるいは船をいかにするかということを検討いたしたいと思っております。しかしいまの巡視艇にある程度の消防機能、化学消防機能を備えつけるために全船艇にいま改造工事を実施中でありますが、そういったものをつけましたものを現在の一隻に加えてさらに増強することは近々やりたいと存じております。
  272. 貝沼次郎

    貝沼分科員 くどいようでありますけれども、要するに長官のお話の内容から、当時その話を聞いた人は当然来るものだと思い込んでおるわけです。ところがその後いろいろ事情がおありだったのだと思いますけれども、五カ年計画だとかいろいろおっしゃっておる。そこでこれはひょっとするとかつがれたんじゃないか、こういう感じを持っておると思うのです。そこで何年までにはちゃんとやるとかあるいはできないとか、その辺をはっきりされたほうがいいんじゃないかと私は思いますが、この点はいかがでしょうか。
  273. 手塚良成

    ○手塚政府委員 先ほど先生御自身からもお話がありましたように、日本全体の石油コンビナートの伸長度というものは、予想を越えて非常に激しいものがございまして、数にいたしましても、先ほどお話しのようなもの以外にもわれわれで必要かと考えておる個所が非常に多い。先ほどお話に出ております、横浜における「ひりゅう」というようなクラスのもの、先般、毎年一隻ずつということで、三隻目がことし下津に配船になりますが、そういったものの配船個所は相当数が多いわけでございます。これらを含めまして入港船舶あるいは船舶の火災の蓋然性あるいは火災の態様その他を考慮いたしまして、やはり優先順位をつけながら、相当長期にわたった計画の中で実施をしていかざるを得ない。そういうことで、ただいま申し上げたような新五カ年計画を作成いたして進めていきたいと考えております。しかしその中で水島というのは非常にウエートの高いことは先ほど申し上げたとおりでございまして、できるだけその中で早急に配属ができるように努力をいたしたい、かように考えております。
  274. 貝沼次郎

    貝沼分科員 先ほど「ていむず丸」の事件から非常にたいへんだというお話をしたわけでありますけれども、これはほんとうはまだまだたいへんな部類にはほど遠いのです。というのは、この「ていむず丸」は、有名なことでありますけれども、石油は積んでいなかったわけですね。おろしたあとであった。あるいは海上も非常に広かったとかいろいろな理由から、実際にこれが石油を積んでいるような船であったらたいへんなことになるのです。それこそあれの何倍もの被害になっているはずであります。こういうようなことも考慮は当然されていると思いますけれども、その考慮をした上で、たとえば水島のような場合であれば満足できるくらいの消防艇というものは何隻ぐらいが必要なのか、この辺をお答え願いたいと思います。
  275. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私どもの持っております消防関係の船は大体A、B、Cという三クラスに分けて考えておりますが、その三クラスでまいりまして「ひりゅう」とか「しょうりゅう」といいます大型の船は現在三ばい、その次にそれより放水量、あわ放水量が劣りますのがBクラスと考えておりますが、これが現在七十一ぱいございます。その中の一ぱいにあたるのが現在水島にございます。それよりもさらに能力が落ちますCクラスというのがございまして、これは一部の極端なものは陸上のポンプを持ち込むというようなものもあります。これなどは早急に取りかえる必要があると思っていますが、以上のようなA、B、Cというランクをつけております。  これらの船を配属しますについては、入出港の船舶隻数、その態様、タンカーが多いか少ないか、その大きさがどうであるか、あるいはそれ以外に危険物の導入の内容、態様、そういったたくさんの型がございますが、そういうものを前提にいたしまして、どのクラスのものを何ばいつけるか、こういうことになるわけでございます。従来の五カ年計画におきましてはやや前提が古うございましたけれども、この水島においては中型、いまのAとBとの中間くらいの能力のものでありますが、そういったものを一ぱいと、それからB型のものを二はい、こういうのが前提でございまして、その関係からいきますと、その中型一ぱいというのが四十六年以降においてまだ不備であるということになります。しかしいまのような数の姿のものでは不適当であろうというふうに実は思いまして、ここであらためて新しい五カ年計画を検討いたしたい、かように考えておるわけであります。
  276. 貝沼次郎

    貝沼分科員 時間がどんどんたっておりますので、次の問題に移りますが、これはいまの話は、港の中でたとえば船が燃えた場合ですね。ところが爆発をする場合もある。この場合は陸にまで影響が及んでくる。それで燃えているような場合には、タグボートでもって引っぱり出すわけですね。ところがこのタグボートの従業員が、場合によってはその燃えている船が爆発するかもしれない、そうすると自分たちまでふっ飛んでしまう、そこで自分たちの生命というものに対してどれだけの保障がなされているか、こういう問題があるわけであります。どうも聞くところによりますと、それが非常に少ないので、いよいよあぶない場合は、それだけをたよりにしているということはむずかしい。こういうふうな意見もあるわけでありますが、この従業員に対してどれくらいの保障がなされているのか、その点をお伺いいたします。
  277. 手塚良成

    ○手塚政府委員 タグボートの乗り組み員に特殊なものというのは特にございませんが、これは船員であり、一般の労働者でもありますし、またタグボートの内容が官庁船であるというような場合もありまして、いろいろございます。私どもで、先生御指摘の内容がどういうことであるか具体的にはわかりませんが、先般水島近海においてタグボートを使用しての災害が起こりました。その災害にあたって、このタグボートの乗り組み員が負傷をした事実は聞いておりませんが、そういう事例の際に、タグボートの乗り組み員として海上保安官の救助に協力をしたので、これに対しての何らか災害補償的なことが考えられるかどうかという特殊な事態があるわけでございます。海上保安官に協力援助した者等の災害給付に関する法律というのがございまして、その法律の観点から、いま言ったような問題がどうなるかという特殊な問題が私どもにはございます。この法律によりましてたとえば遺族補償年金あるいは遺族の一時金、障害給付あるいは療養給付等々、この法律に書いてございますが、これらのものは国家公務員災害補償法の先般の改定に伴いまして、一部四月の一日からアップに改定をされる、特に遺族補償年金等につきましては約二割程度あるいは障害給付については約一六・五%程度のベースアップといいますか、内容が改定される、かような状態であります。
  278. 貝沼次郎

    貝沼分科員 時間がなくなってしまいましたので急ぎますが、消防庁のほうにちょっとお伺いいたします。  コンビナートの場合は大体あるのではないかと思うのでありますが、たとえばポリエチレンであるとかあるいはポリプロピレンとか合成ゴムとか、合成洗剤、こういうものを合成するときのキャタライザーとしてアルキルアルミを使っているわけですね。このアルキルアルミはどういう性質のものかということはもう御存じだと思いますが、たとえば空気と接触する、空気というのはどこにもあるわけですけれども、空気と接触すると白煙を発して自然発火をいたします。あるいはまた、これは水と接触すると爆発的に激しく反応して発火飛散をする、こういうものでありますが、これがコンビナートで使われておるということは、製造されているところから実は運んでおるわけであります。その運んでくる経路については私は今回取り上げませんけれども、要するにコンビナートにおいてそういう危険なものが実際使われておる。これがしかもパイプでもってコンビナートの中を送られているわけですね。そうして地震等があるといけないから、途中は弾力のいくようなものでつなぎながらやっている。先般、堺におきましてそこからこれがちょっと漏れた事件がありました。そうして左大腿部が大やけどしたという事件がありましたが、もしも港湾において、たとえば船が爆発をしたとか燃えたとか、いろいろなそういうことがあった場合にこれが漏れ出してそうして発火する、爆発するというふうなことになりますと、コンビナートは一瞬にして吹っ飛んでしまうという危険性があるわけでありますけれども、この点については消防庁としてはどのように対処されるわけですか。
  279. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 アルキルアルミニウムは、いま御指摘のように、空気に触れても水に触れても発火するものでございまして、したがって、これについては消防の危険物の規制ということで、現在、たとえばタンクローリーのあのタンクにつきましても、通常のものよりももっと厚いものによって装備をするというような特殊の規制をしてこれに対処しよう、そういう方法を講じておるところでございます。
  280. 貝沼次郎

    貝沼分科員 特殊の方法で講じているというのですが、要するに安全ですか。その点だけをお伺いします。
  281. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 これは少なくともいまの考えている基準においては、最大限のものを規制として要求しているところでございます。
  282. 貝沼次郎

    貝沼分科員 基準においてはということがありますので引っかかりますけれども、規制はそれでは妥当だとお考えですか。
  283. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 現在もう一つの規制の考え方といたしまして、今回消防法の一部改正を提案いたしておりますが、その中で、今度は第一石油類の部類から、特殊引火物という項目を設けまして、その項の中にアルキルアルミニウムを入れまして、そして指定数量、いわゆる危険物施設として規制をするための最低限度の数量の扱いを、現在の百リットルから五十リットルに規制を強化する、こういう方法を今回の御提案申し上げました消防法の別表改正で行なっております。
  284. 貝沼次郎

    貝沼分科員 次に、昭和三十九年に新潟地震で昭和石油が燃えた事件があったわけでありますが、これはもう皆さん御存じのとおりでありますが、そのときに——消火剤の備蓄の問題なんです。消火剤が百四十キロリットル要したと私は聞いております。ところが、現在、こういう水島あたりのコンビナートにはどれくらいの消火剤が備蓄されているのか。聞いたところによりますと、これはほんとうかうそかわかりませんが、三十五キロリットルぐらいしかないのではないかといわれておりますが、この辺はいかがですか。
  285. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 水島地区におきまして調べたところ、企業側におきまして百七十四キロリットル、それから公設のほうは十キロリットル、こういうことになっております。
  286. 貝沼次郎

    貝沼分科員 そうすると二百キロリットルありませんね。ところが新潟の場合は、これは昭和石油一つだけです。コンビナートはたくさんあるのです。そうすると、この消火剤の備蓄の問題も、これは備蓄してありますということばにはなりますけれども、結局は足りない。こういうようなところから、私は、結局、政府はかっこうだけしかやっていないというふうにいわれても、これはもうしかたがないのじゃないかと思います。ただ産業第一という考え方ではなくて、やはり人命第一という考え方からいくならば、あるいは財産を守るという立場からいくならば、これは当然私はやっておかなければならない問題だと思うわけであります。こういうようなところから、これは国としてもその体制というものをさらに完備させ、またそれに応援をするなりして、ぴしっとやっていかなければならないと思うわけでありますが、この点についていかがですか。
  287. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 御指摘のように、この化学、あわ消火剤というものは十分ではございません。そこで、先ほど申し上げましたように、自営消防のほうの基準の強化ということは、機械、化学車とともに、それを使用するに必要なあわ薬剤の充実が必要になってきます。現在一分間に五百リットルの基準で考えておりますのを、二千リットルの基準に直して、しかも火災に対処し得るというもの、三十分を約二時間くらいに延ばすということによって、自営消防関係の強化を考え、半面また先ほど申し上げましたように、公設消防の基準も引き上げますので、同様な考え方によって、消火薬剤の備蓄の強化をはかる。と同時に、この問題は一市町村の問題ではございませんので、今回の予算において初めて県に防災資機材センターというものを設けまして、県において必要な石油コンビナート地帯における災害に対処するための器材として、その中にあわ薬剤その他のものを備蓄するという制度をことしから始めるようにいたしました。
  288. 貝沼次郎

    貝沼分科員 時間が参りましたので、最後に総理府からお答え願いたいのでありますが、要するに災害の問題あるいは防災の問題というのは、一つの問題を取り上げてもあらゆるところに当たっているわけであります。その関係で、災害が起こった場合には、なかなかこれが処置できないと同時に、またそれを整えようとしても、あっちこっちの関係があって非常にむずかしい。消火艇一隻にしてもなかなかむずかしい。こういうようなところから、やはり総理府としてももっと積極的な姿勢をもってこの防災問題については対処していただきたい、こう思うのであります。  それからさらに自治大臣にお願いしたいのでありますが、要するに消防庁あるいは海上保安庁、いろいろなところでどうしてもこれだけはしなければならない、あるいは地方自治としてもどうしても必要だという問題がたくさんあるわけでありますが、やはりこれはうしろにつくものはお金であります。したがって、自治大臣としてもひとつ十分がんばっていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、おのおの答弁をお願いします。
  289. 秋田大助

    秋田国務大臣 消防、防災、陸上、海上、またこのごろは県においても資機材センターを設けてある程度これに対処しようという構想を取り入れまして、ひとつ具体的に計画を立てまして、年次計画的にも、また必要なものは年次計画なんというのんきなことも言っていられないと思いますが、従来着々やっておるつもりでございますが、さらに一そう力を入れてまいりたい。ただこららばかり力を入れましても、実際はこれに対応して地方公共団体にも力を入れていただかなければならない場合がございます。これもまた財政力等のいろいろの関連がございまして理屈どおりまいらないということでありますが、しかしながら、そうも言っておれませんから、いろいろくふうをいたしまして、ひとつできるだけ現実に即して具体的な計画を立てて、これに対処できるような予算措置をできるだけすべく努力をいたします。
  290. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答えいたします。  最近の災害は、自然災害のみならず、先生ただいま御質問の石油コンビナート火災といったような新しい産業災害というべきものが非常に盛んにあらわれておるわけでございますけれども、こうした事態に対処いたしまして、中央防災会議におきましても、現在各省の御協力を得ていろいろ検討しているところで、極力これの推進をはかってまいりたい、このように存じております。  また、石油コンビナートの具体案については、ただいま自治大臣申されましたように、個々にわたる具体的な対策ということで、都道府県地方防災計画、こういうものを通じて遺漏のないように拡充強化をはかっていくように極力努力してまいりたい、このように存じております。
  291. 貝沼次郎

    貝沼分科員 以上で終わります。
  292. 登坂重次郎

    登坂主査 次は、松本善明君。
  293. 松本善明

    松本(善)分科員 自治大臣にお伺いしたいのでありますが、御存じのように、沖繩返還についての協定締結が目の前に来ております。この準備作業がいろいろ進んでおるわけでありますが、沖繩県として本土と同じような状態になるという場合に、憲法九十五条との関係の問題が起こるかと思います。この点についてまずお伺いしたいと思うのであります。  この返還協定並びに復帰に伴う法律について、憲法九十五条との関係で自治省はどのようにお考えになっておるか、大臣のお考えをいただきたいと思います。
  294. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 やや法律的な問題もございますので、まず私から御答弁を申し上げたいと思います。  沖繩の復帰に伴いまして各種の法律上の措置が必要なわけでございますが、御質問が、その法律が憲法にいう特別法に該当するか、該当するとすればいろいろな調査が要るのではないか、こういうことであろうと思います。この点につきましては、私どもいまいろいろ検討をいたしております。法制局とも打ち合わせをいたしております。現在の考え方といたしましては、御承知のように憲法の規定は、特に特定の地方公共団体の権能等につきまして特別な措置をいたすということについて住民投票を要するという趣旨であろうと思うのでございます。今回の沖繩の復帰に伴います特例措置の立法の中身は、要するに本土の法秩序のもとに移行をさせるそのための経過的、暫定的な措置が中心になると思うのでございます。新しく生まれます沖繩県というものを本土の府県と異なる特別な府県というような考え方ではないのでございまして、いわば通常のケースに入りますための経過的、暫定的な措置であろうと思います。したがって、そういうことから申しますと、憲法第九十五条にいう特別法には該当しないというふうに考えているわけであります。
  295. 松本善明

    松本(善)分科員 この協定とそれから沖繩返還に伴う法律があるわけでありますが、この二つについて、これは別個の問題であろうかと思いますが、その点について憲法九十五条に該当するような、沖繩県にだけ適用されるというような特別法というのはあり得ないんだということでございましょうか。それを行政局長がお答えになる前に、大臣に、地方自治というのは民主主義の根本に関するものである。この九十五条にいたしましても、日本の民主主義にとっては非常に重要な条項であります。この問題については自治大臣としては検討をされていないのでありましょうか。
  296. 秋田大助

    秋田国務大臣 沖繩返還に関連いたしましては、いろいろな場合があろうかと思います。慎重に検討を要すべき問題だと考えております。
  297. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 同じ趣旨の御答弁を繰り返すことになろうかと思うのでございますが、沖繩の復帰に伴いまして各種の特例措置を必要とするということは、そのとおりであろうと思います。それが憲法九十五条にいう特別法に該当するかしないかということでございますけれども、私どもは、憲法第九十五条で申します特別法というのは、その地方公共団体だけを別個の取り扱いをするということについてその地方公共団体住民投票を必要とするという趣旨であろうと思うのでございます。先ほども申しましたように、今回沖繩について特別な措置をいたします趣旨は、本土の法秩序に移行をする前提といたしまして、その移行を円滑にするための各種の経過的な措置を規定をいたすものということが内容になろうかと思います。したがいまして、その趣旨から申しますと、憲法九十五条の特別法には該当しないのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
  298. 松本善明

    松本(善)分科員 私が伺いたいのは、その特例の法律が沖繩県についてだけ本土と違ったものができないのかということです。特例措置そのものは、それはあなたのおっしゃるように、本土と同じようにするという趣旨のように、それだけであるならば、場合によってはあなたの言うとおりであるかもしれません。しかしこの沖繩県に適用されるということになる法律、これは全部では非常にたくさんなものであろうと思います。六法全書全体にも及ぶような膨大な法律になろうかと思います。その中のすべてがこの沖繩県についてだけ適用されるというようなものじゃないのかどうか。本土と全く同じことだけで、本土の法律をそのまま適用するということになるだけなのか。私の聞いておるのは、ことばをかえていえば、そのような沖繩県についてだけ適用されるというよううな特別法は出てこない、準備をされていない、こういうことかどうかということであります。
  299. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 おっしゃいますように、各種の特別措置というのは非常にたくさんございまして、私、いま一々知悉をいたしているわけではございません。ございませんけれども、先ほども申しましたように、その中に経過的、暫定的な措置を講ずる必要のあるものがかなりあると思うのでございます。そういう意味合いにおきましては、経過的、暫定的には本土と違う規制なり何なりというもののもとにある期間があると思います。したがいまして、違うものがあり得るわけでございます。そこで、違うと申しました場合に、大別をいたしますと、地方公共団体自身に、ことにただいま御質問の趣旨に関連をして申し上げますなれば、九十五条は特定の地方公共団体に適用される法律でございます。地方公共団体について適用されるものと、地方公共団体以外の、たとえば特定の資格なり免許なり持っている人たちにつきまして、ある程度暫定的な、経過的な措置を講ずるというようなものは、地方公共団体に適用されるものではない。そういたしますと、御質問の問題は、地方公共団体に適用されるものに限ってお答えをすればいいと思うのでございますが、それにつきましては、先ほど私申し上げましたように、経過的、暫定的な措置を講ずるということがございましても、それは本土の法秩序の中に入っていくための措置でございますので、それを特別に、別に本土と違う法律体系をつくるという趣旨ではございませんので、私は、その点はこの憲法九十五条には該当しないのである、こういうふうに申し上げる次第でございます。
  300. 松本善明

    松本(善)分科員 もう少し詰めて聞いておきますが、経過的には本土と違うものがあり得るということを先ほど言われました。そうしますと、沖繩返還協定が発効すると同時にこれはもう憲法が適用されるわけでありますから、憲法九十五条は当然適用されるということになると、なぜこの沖繩県についてだけ適用が除外されるということになるのか、その理屈があなたのお話ではちょっとよくわかりませんが、どういうわけでこの憲法九十五条の適用が排除されることになりますか。あなたのお話では、明らかに経過的ではあるが本土と違うものはあり得るだろう、それがなぜ九十五条に該当しないことになるのか、その御説明をいただきたいと思います。
  301. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 先ほど申しましたように、憲法九十五条の趣旨は、本土におきます地方公共団体と違ったような権能なり何なりというものを与える場合におきまして、あるいは権能について別の規制を加えるということにつきましてこの地方団体住民投票を必要とする、こういう趣旨であろうと思うのでございます。今回のいろいろ各種の立法措置を講じました趣旨が、結局本土の法秩序に入れていく、その前提として経過的に措置を講じていくということでございますから、趣旨といたしまして憲法九十五条の適用はないだろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  302. 松本善明

    松本(善)分科員 どうもよくわかりませんけれども、あなたのお話では、経過的には違うものがあり得るとおっしゃったでしょう。それは確認されますね。
  303. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 私、先ほど申しましたように、まだどういう措置を講ずるか、具体的なものが全部そろっているわけではございません。また私自身それを知悉しているわけではございません。  しかし、たとえば先ほど申しましたように、免許なら免許、資格なら資格につきまして、一定の期間は本土並みの資格がなくてもそういう業態の仕事に従事できるというような特例措置というのは、まず普通考えられると思うのでございます。しかしそういうものは、いまここに御議論になっておられます特定の地方公共団体に適用されるという憲法の規定の問題とは、私は別の問題だと思うわけでございます。  そういたしますと、地方公共団体について特別のものができるかどうかということでございますが、それにつきましては、私まだ中身といたしましてこういう別なものができるであろうというようなことは、いまここで申し上げられる段階ではないと思います。しかし、もし違うものがあるといたしましても、先ほど来申し上げておりますように、憲法の九十五条の趣旨というものは、本土の法秩序と違ったものを、たとえば本土の府県なら府県、市町村なら市町村というものと違ったものをつくることについての住民投票の規定でございますが、今回の趣旨というものが本土並みの法律に入れていく経過措置でございますので、趣旨の上からいって、憲法の規定は適用にならないのではないか、こういうことを申し上げているのであります。
  304. 松本善明

    松本(善)分科員 あなたの答弁は今後いろいろ議論をされると思いますけれども、きょうはここではそれ以上聞きません。  沖繩・北方対策庁に伺いたいのですが、本土とは違った形で適用される法律、そういうものが準備をされておるかどうか、いま考えられるものはどういうものがあるか、それをお答えいただきたいと思います。
  305. 足立平太郎

    ○足立説明員 目下各省と協議をしまして暫定措置法の中身につきまして検討をし、詰めておる段階でございますが、確定的なお話は申せませんが、いま御質問になっております憲法九十五条との関連で地方公共団体の権能に関連して問題になりそうな中身というものを例示いたしますと、一つは沖繩県あるいは沖繩の市町村の設置、あるいは県知事あるいは市町村長、議員の地位をどうするかというような例がございます。これらにつきましては、さきに総務長官も答弁いたしておりますので、御承知だと思います。従来奄美大島あるいは小笠原の復帰いたしました際と同じ精神で扱うというように総務長官が答えられたように、私記憶いたしております。  それ以外には、特に県の権能あるいは県知事の権限につきまして本土の四十六県と違った形にするという趣旨のものは、ほとんどなかったというふうに記憶いたしております。  その暫定措置法の中身のうち主要なものは、昨年の十一月でございますか閣議決定いたしております第一次の復帰対策要綱の中身に入っておりまするし、さらにそこに落ちておりましたものにつきまして、この三月をめどに第二次分として復帰対策要綱を閣議決定いたしたいというつもりで目下作業をいたしております。
  306. 松本善明

    松本(善)分科員 別の問題を伺いたいと思いますが、東京都の自治権の拡充の問題であります。東京の二十三区の区長の公選という問題は、かなり前から問題になっておる問題であります。区長会も一致してこの区長の公選が必要であるということを言っています。各区議会も全会一致してきめております。それから東京都議会もきめております。知事ももちろんこれを主張しておられます。それから自由民主党が支持をした東前知事も、これを掲げて選挙に出られました。こういう状態になっておるということを自治大臣は御存じであるかどうかということを、まず伺いたいと思います。
  307. 秋田大助

    秋田国務大臣 区長の任命制につきましては、いろいろの論議があることは承知をいたしております。
  308. 松本善明

    松本(善)分科員 私の申しますのは、いま申しましたように、区長会でありますとか、区議会だとか、都議会、そういうものは一致して——地方議員でありますとか、地方の首長、こういうものが一致してこの区長の公選というものを要求しておるということを自治大臣が御存じかどうかということであります。
  309. 秋田大助

    秋田国務大臣 随時陳情等も受けておりまして、そういう御要望のあることは承知をいたしております。
  310. 松本善明

    松本(善)分科員 これは地方議員とか地方の首長がこういうふうに一致して、これは自由民主党も含めて、与野党一致して要求している。こういう要望を尊重するというのが地方自治の精神ではないかというふうに私どもは思うわけであります。なぜこの問題について自治省は積極的に解決をするという方向をとられないのか、自治大臣の御意見を伺いたいと思います。
  311. 秋田大助

    秋田国務大臣 都と区との権限の配分の問題等いろいろ問題もございますし、そういう問題とも関連をいたしまして、さらに慎重にこの点は検討をしてみたいと思っておる次第でございます。
  312. 松本善明

    松本(善)分科員 これはもう十年以上前からの問題であります。そういう地方自治体や地方議員、あるいは地方の首長の意見を尊重するというのが地方自治の精神ではないか、この点について伺いたいと思うのであります。そういうことを尊重するのが地方自治の精神ではないか、この点についてだけ自治大臣の御意見を伺いたいと思います。
  313. 秋田大助

    秋田国務大臣 そういう面もございますし、また区民各位の御意思も十分地方自治の執行につきまして考慮し、尊重していかなければならないと思いますが、とにかく管理機構の問題でございますので、いろいろ十分検討をさらに要するものがあろうかと存じておる次第でございます。
  314. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、そういうような要望、区長公選を要望する意見というのは尊重する、しかしさらに検討すると、こういうことでございますか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  315. 秋田大助

    秋田国務大臣 いろいろ多角的に検討を要する面があると思っております。
  316. 松本善明

    松本(善)分科員 いや、尊重されるかどうかということについて伺いたいのであります。
  317. 秋田大助

    秋田国務大臣 尊重の気持ちは、もちろん先ほど申し上げましたように持っておりますが、同時に、多角的にこれはさらに検討をされなければならぬ問題であると思っておるのであります。
  318. 松本善明

    松本(善)分科員 この問題につきましては、区長会の代表の台東区長が四十四年六月四日に、区長公選の早期復活を適当と考えるということを第十三次地方制度調査会に対する意見で述べております。また、十四次地方制度調査会の起草委員長の松隈さんは、去年の九月に、区長公選に反対する者は一人もないと、これは談話で発表されました。それから自由民主党の東京出身の代議士も、そういう趣旨のことを何べんも言われるわけです。たとえば岡崎英城さんも、特別区の自治権拡充大会というのがありまして、そこでのあいさつで、自由民主党としても皆さんの要望に沿うよう、区長公選それから事務委譲の完成、財政権の完成等の問題を理想的なものとして、特別区の問題を解決するために努力したいというようなことを言っておられるわけです。これは自由民主党としても実現をしなければ、都民に対してだましておるようなことになりかねない状態になっておる。自民党の区会議員、都会議員も全部区長公選は必要だというのです。この点については、自治大臣も自由民主党の党員でいらっしゃいましょう、そういう点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  319. 秋田大助

    秋田国務大臣 松本さんのお話でございますが、自由民主党内におきましても、この点について完全に意見が一致しておるという実情ではないのではなかろうかと私は思っております。また地方制度調査会におきましてもこの点いろいろ御意見がございまして、なお慎重に考慮するということになっておるのでございまして、お説のとおり完全に一致して一つの異論もないというわけではない。相当やはりそれぞれの部内において異論がございまして、検討を要する問題をかかえておる、こう心得えておる次第でございます。
  320. 松本善明

    松本(善)分科員 少なくも都会議員それから地方議員、これは全部区長公選を要望しております。そのことを御存じおき願いたいと思います。  さらにもっと実態に入りまして自治大臣に伺いたいのでありますが、都市では御存じのように、大気汚染でありますとか河川の汚濁でありますとか、騒音、交通災害、こういうものが急激に激増しまして、地方自治、地方政治をどういうふうに進めていくかということが非常に重要な問題になってきております。もちろんその公害とか交通輸送、上下水道、清掃とか、そういうことは東京二十三区の範囲だけでは処理できないようなものもありますけれども、しかし非常にこまかい身近な行政需要であります老人だとか幼児、婦人の生活環境に関する問題、あるいは教育あるいは社会教育施設、衛生行政、細い道路だとか民生福祉とか、そういうような身近な行政需要というものがふえてきております。そういう中で公園をつくってほしいとか、遊び場をつくってほしいとか、児童館をつくってほしいとか、あるいは保育園、敬老館、老人ホーム、集会所、体育館、図書館、保健所、病院、こういうような非常に身近な生活に密着したものをつくってほしいという要求が非常に出てきておる。そういう行政需要というものは陳情その他にも非常に大きく反映しております。こういう行政需要に対してどういうふうに対処をしていくつもりであるか、その点について自治大臣の御意見を伺いたいと思います。
  321. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 おっしゃいますように、東京の特別区の区域は都として一体的に処理しなければならないものでございますが、住民に身近な施設なり事業なり、各区において処理するのが適当なものもたくさんあるわけでございます。それにつきまして区自身にそういうものの処理をする権能を与えているものもございますけれども、まだ各種の法律、制度の上におきまして権能がおりていないものも少なくないわけでございます。そういう点で昨年の地方制度調査会におきましても、身近なものを区が処理できるような体制を整えることが必要であるという答申もあるわけでございまして、私どもも従前からそういう方向では努力はしておりますけれども、なお身近なものを区で処理できるような法律制度というものを整えていきたい、こういうふうに考えております。
  322. 松本善明

    松本(善)分科員 権限を区に移すことが必要だという趣旨の御答弁がありましたけれども、この権限のみならず財政も充実させる必要があるし、それから区というものをやはり完全な自治体にする、普通地方公共団体にする、そういうことがどうしても必要なんです。区長公選というのはそういう背景を持っておるものだと思います。権限強化の問題だけでなくて、財政の問題それから区長の公選というものを別の角度から見まして、どこに公園をつくるとか遊び場をつくるとか、あるいは児童館をつくるとか老人ホームをつくるとか、そういうような直接民意を反映するようなことを区にやらせる、こういう方向に進むべきだというふうに私どもは思うわけでありますが、この点についてさらに自治大臣の御意見を伺いたいと思います。
  323. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまのお話が区長公選という問題であるといたしますれば、先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりだと思います。
  324. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、これは自治大臣として、首都東京において地方自治がどれだけ発展をするかということは非常に大事な問題であると思うのです。事務官僚だけにまかせておいてもらったのでは、私ども非常に困ると思います。東京は人口の一割を占めております。首都東京で地方自治がどういうふうに発展をするかというのは、自治大臣としてはきわめて大きな関心事でなければならないはずであります。そこで私が申しましたように、老人ホームでありますとか、あるいは遊び場とか保育園というようなことは、一千万の東京都だけでやることはできないというのは、いまの行政局長お話でもそうであります。こういう背景を持っておるのだ。だから区長公選の問題については、そういう実質的な背景を持っておるということを自治大臣は御理解なのかどうかということを私は確かめてみたいわけです。そして財政についてもどうか。そのこまかい身近な行政需要にこたえるということについて、どう考えているかということについて自治大臣としてお考えがないとすれば、ことばを強くするならば、私はきわめて怠慢なんではないかというふうに思うわけです。この点について自治大臣のお考えを伺いたいわけであります。
  325. 秋田大助

    秋田国務大臣 身近な問題について、ある地域に即して、その住民の生活に即した要求がかなえられていくというような行政上の仕組みというものは、私は必要だと思うのです。同時に、しかしあまり細分割されていくことと全体との関係ということもまた考慮しなければならない問題があろうと思います。しかし前段のところは前段のところで私も必要だと思いますが、これらの問題につきまして全体との関連、都との関連ということもありますので、もう少しひとつ検討の時間を与えていただきたいと思います。
  326. 松本善明

    松本(善)分科員 自治大臣から、細分化してはというお話がありました。自治大臣の認識の中にあるかどうか私確かめたいのでありますが、東京二十三区というのは県庁所在地の都市よりも大きな人口を持っておるところが幾つもあるということは、自治大臣御存じでありますか、一応伺っておきたいと思います。
  327. 秋田大助

    秋田国務大臣 現実にあることを承知いたしております。
  328. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすれば、これは当然に東京都の範囲だけでこの身近なものを処理することはできない、これは私どもは自明の理であろうと思う。これはもう早急にそういう方向で実現をしていただかなければならないと思うわけでありますが、いまのお話に関係して大臣にひとつ伺っておきたいのは、この問題に関係をして都民の非常に多くの人たちや地方議員たちが区長公選というものを望んでおるわけですけれども、そうではなくて東京市制をつくるとかあるいは特別市構想、区を再編して特別市をつくるというような話も出てないことはない。この点について自治大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、伺いたいと思います。
  329. 秋田大助

    秋田国務大臣 そういう話も聞いておりますれども、まだいまそこまで格別にどうしようという具体的な、せっぱ詰まった見地に立ちましてこの問題を取り扱うまでには至っておりません。これらの問題をいろいろ含めまして、大都市問題といたしまして地方制度調査会において御検討願っておりますので、さらにいま地方制度調査会の権限が切れまして任期切れのままになっております。これらの問題を実際どう取り扱うかということで実は考慮中でございまして、ひとつこれらの問題について必要な解決をしなければならぬと思いますので、適当な時期に制度調査会の発足を願い、これらの場において御検討願ったらと、大体そういうようなことを考えております。
  330. 松本善明

    松本(善)分科員 そうしますと、いまのお話は、地方制度調査会を、任期切れになっているのをさらに新たに第十五次を発足させる、こういうお話でございますか。
  331. 秋田大助

    秋田国務大臣 まだ的確にそこまで至っておりませんが、そういうこともひとついろいろ考慮してみたい、こういうことでございます。
  332. 松本善明

    松本(善)分科員 それから、もう一つ最後に伺っておきますが、道州制の話が出ております。これについては大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  333. 秋田大助

    秋田国務大臣 この点も検討するということになっておるわけでございますが、直ちにこれを実現しかるべしというふうに、せっぱ詰まっては考えておりません。
  334. 松本善明

    松本(善)分科員 きょうの自治大臣のお話を伺っておりますと、結局、具体的に東京都の都民の要望を解決をするという方向の積極的なお話は一つもなかったというふうに思うわけであります。これはきわめて残念なことであります。都民が、自由民主党に所属する地方議員に至るまで一致して要望しておる、しかもずっと前から要望しておる、それについて積極的な話はないし、それから、ではどういうふうにするのだというお話も、積極的にお話しがないということになりますと、政権を担当しておる党といたしましては非常に正しくないのじゃないか、都民の要望にこたえていないのじゃないか、こういうことでは都民は非常に迷惑である。この点については自治大臣は、きょうの機会を聞きっぱなしにされませんで、そうしてこの都民の要望に早急にこたえられるべきである、そういうことを真剣に検討していただきたいということを要求して私の質問を終わりたいと思います。最後にその御決意のほどを伺いたいと思います。
  335. 秋田大助

    秋田国務大臣 その点につきましてはかねがね考えておることでございまして、真剣にこれから検討してみたいと思います。
  336. 松本善明

    松本(善)分科員 終わります。
  337. 登坂重次郎

    登坂主査 次回は明二十日土曜日午前十時から開会し、自治省所管について審査を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三分散会