運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-02-23 第65回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十三日(火曜日)     午前十時四分開議  出席分科員    主査 大野 市郎君       大村 襄治君    藤田 義光君       細田 吉藏君    阿部 助哉君       勝澤 芳雄君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    坂井 弘一君       多田 時子君    中野  明君       樋上 新一君    兼務 大原  亨君 兼務 久保 三郎君    兼務 瀬野栄次郎君 兼務 内海  清君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      播磨 雅雄君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設大臣官房会         計課長     大塩洋一郎君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省計画局宅         地部長     朝日 邦夫君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君        建設省道路局長 高橋 国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         消防庁次長   皆川 迪夫君  分科員外出席者         経済企画庁国民         生活局水質公害         課長      白井 和徳君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君     ————————————— 分科員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     内藤 良平君   坂井 弘一君     樋上 新一君 同日  辞任         補欠選任   内藤 良平君     阿部 助哉君   樋上 新一君     多田 時子君 同日  辞任         補欠選任   阿部 助哉君     勝澤 芳雄君   多田 時子君     中野  明君 同日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     安井 吉典君   中野  明君     坂井 弘一君 同日  第三分科員大原亨君、第四分科員久保三郎君、  瀬野栄次郎君及び内海清君が本分科兼務となつ  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十六年度一般会計予算建設省所管  昭和四十六年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村主査代理 これより予算委員会第五分科会を開きます。  大野主査は都合により少々おくれますので、その指名により暫時私が主査の職務を行ないます。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。
  3. 大村襄治

    大村主査代理 質疑に先立ち、念のため申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  4. 細谷治嘉

    細谷分科員 最初大臣にお尋ねしたいのでありますが、昭和四十五年の「国土建設現況」、いわゆる建設白書、これを読みまして、もっとも拾い読みでありますけれども、読んだ後の感想としまして、今日問題になっております、しかも四十六年から第三次五カ年計画、二兆六千億という規模でやる下水道位置づけというものがきわめて薄弱である、こういう印象を受けました。たとえば、読んでまいりまして、「豊かな環境の創造」という見出しを見ましても、下水道という字句はどこにも見当たらないのです。そして環境汚染問題というものについて、自動車の排ガス等による大気汚染という問題が例としてあげられておりまして、水の汚濁ということについても触れられておりますけれども、下水道のその中における位置づけというものはほとんど見当たりません。それから各論に入りましても、各論の冒頭、「都市と建築」と書いてございますが、この都市の中に「公害対策」とか、「都市環境整備」、こういう見出しはあるのでありますけれども、見出しの中には下水道ということばはありません。各論のページを開いてみますと、その中にちょびっと下水道というのが出てまいっております。これを見ますと、私は、建設省環境問題として非常に重要だといっております下水道位置づけというのが、道路なり住宅等と比べますと、あるいは都市問題の中における位置づけというものは、どうも軽視されておるのではないかという印象を受けました。大臣、どうお考えになるのか。あるいは担当の局長、どうお考えになるのか。
  5. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘の点は、確かにそういうきらいなしとしないと私は思います。実は、私はそのために、昨年一月就任して以来、これは他の委員会でも申し上げましたが、いままでの新全総の考え方に変更を要するものが出てきておるのではないか。これは主として従来の考え方に時代の趨勢に必ずしもそぐわないところの発想があったような、率直にいって私は政府自体も反省すべきだ、こういう前提のもとに、実は昨年この新しい社会経済発展計画実施のための経済企画庁中心としてまとめましたところの総投資額五十五兆円、そしてその中における一応の配分の状況、これは違いやしないか。しかし、私いま一人反対してもいけないからこれを了承するが、これは実施過程において変更すべきなんだ。その中に指摘したのが、実は下水道関係なんです。従来、下水道事業は、市町村固有事務というような形で市町村単位でやってきた。したがって、いわばこれは自治省あたり中心市町村がやるべきだという認識がありはしなかったかという気がするのです。しかしながら、いまやいま細谷さんが御指摘したように、私は環境整備のうちで最大の問題が実は水の問題だ、この水の環境改善をすることなくして都市生活はできません。それからまた、人間生活そのものがいま非常に重大な不安感に襲われておる。いまのカドミウムの問題等都市のいろいろの病気等も実はあげて水の汚染に原因するというふうに考えられておる。これは考え直さなければならないということを私は閣議で発言をいたしまして、付帯条件をつけて実は五十五兆円の総投資額に賛意を表しました。その意味において、経済企画庁が策定したところの、ただいま御指摘下水道投資は、六年間で二兆三千億としております。そうすると五カ年分にすると、これが二兆一千億になっております。これではいかぬというので、四十六年度予算編成にあたりましては、これはいままで異例のことでありますが、私は二兆六千億を要求しました。それは五十五兆円のうちの予備費一兆円の半分、これはどうしても下水対策にとらなければいかぬ、こう主張して、最初大蔵省も若干の抵抗がありましたが、大蔵大臣もよく事態を認識して、私の要求したとおりの二兆六千億円を出していただいた、こういうわけでございまして、いま細谷さんの指摘されたこと、私は一般論として確かにそうだと共鳴しているところでございます。したがって、今後もこの下水道政策については、より一そうの努力とくふうを重ねてまいりたいと思っている次第でございます。
  6. 細谷治嘉

    細谷分科員 いま大臣から、いわゆる産業投資よりも生活基盤のための社会資本投資というところに重点を置いていかなければならぬのだ、こういうお考えに立ったいままでの経過を述べられたわけでありまして、私もその点を申し上げたかったわけでありまして、実は一般論という大臣のおことばでありますけれども、私がこれから質問をいたしたいと思っております下水道の第三次計画そのものに、二兆一千億というのが二兆六千億になった、こういう点は了といたしますけれども、やはり随所にそういう残滓が依然として残っておる、こういうふうに私は思っております。したがって、四十六年度の国土建設現況建設白書を書かれる場合は、大臣のそういう考えに立って、生活環境施設整備、その重点として下水道が出ているのだという、そういう位置づけを明確にしていただきたいということを、まずお願いを申し上げておきたいと思います。  そこでお尋ねいたすのでありますが、第二次の下水道整備計画は五カ年計画でありますけれども、四十二年から四十五年の四カ年で終わりまして、二兆六千億の第三次の下水道計画に四十六年度から移っていくわけでありますが、第二次の計画に対する実績というものはどういうことになっておるのか、まずお尋ねいたします。
  7. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは計数に関することですから、事務当局から御答弁させます。
  8. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お尋ねの二次計画進捗率でございますが、四十五年度末現在で六八%の進捗率でございましたが、御案内最終年度の四十六年度が三次の計画初年度に切りかえられまして、これの四十六年度の投資額をかりに上積みいたしますと、二次計画ベースでいきますと九七%くらいまでの進捗率になっておるかと思います。
  9. 細谷治嘉

    細谷分科員 第三次のものを一応加えると九七%くらいになるだろう、こういうような推定でございますが、私がこの建設白書から拾ったとうろによりますと、四十五年度までの四カ年間で補助事業として三千五百二十億円、計画に対して六五%、地方単独事業が二千六百三十六億円、計画に対して七三%、トータルが六千百五十六億円でありますから、全体の計画九千三百億円に対して六六%、むろん予備費が三百億円あるわけでありますが、これは九千百億円といたしますとあるいは六八%くらいになるかもしれませんけれども、一応計画の九千三百億円ということになりますと六六%こういうことになります。先ほど大体六八%だ、こうおっしゃったわけでありますが、いま申し上げたので大体よろしいですか。
  10. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 端数の切り上げ等関係がございますが、大体先生お引きの数字でよろしいかと思います。
  11. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこでお尋ねしたいのでありますが、第二次計画初年度の四十二年度の進捗率は、どうなっておりますか。
  12. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 四十二年度は、第二次計画初年度でございます。したがいまして計画ベースでもって実績が出ておるものと思いますが、計画期間中の進捗率は一八%ということで二次計画はスタートしておったわけでございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷分科員 この建設白書で拾ってみますと、第二次計画初年度四十二年度というのは、補助事業が七百三億円、したがって計画に対して、一三%、単独事業が五百七十四億円、計画に対して十六%、全体として計画に対して初年度が一四%程度進捗率、私の計算ではこういうことになるのでありますが、大体確認してよろしいですか。——時間がありませんので、大体この白書で拾いますとそうなるわけですね。そこで、いま私が申し上げたのは間違いないと思うのです。この白書から拾った数字ですから。これと比べますと、第三次計画では四十六年度がこれは初年度でありますが、事業ベースで千五百九十億円、そうしますと、第三次の一兆五千八百七十億円という計画に対して一割なんですね。大臣から先ほど下水道に対しては非常に重点が置かれるのだ、こう言っておられましたけれども、第二次の初年度一三%と比べますと、この第三次の初年度というのは、ベースがダウンしておるのですね。これはお認めになりますか。
  14. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そういいふうな計算にもなりますけれども、御承知のように、去年の四十五年に比べて四〇%の増になっております。それで、御承知のようにいずれの長期計画におきましても、これをやる場合には、初年度が若干少なくて、ずっと上昇していくということが従来の予算——これは私のほうというよりも、大蔵省との関係で、常にそういうことになることは事実です。しかし、下水道の問題については、先般の国会でいわゆる公害国会といわれるほど重点を入れ、総理はじめ関係閣僚が非常に重大な内政問題の一つとして取り上げているものでございますし、今後十分にいま御指摘の点は配慮して、期間中に全計画が完成するように努力するつもりでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷分科員 お尋ねいたしますが、四十六年度の単独事業は、どの程度と見積もられておりますか。
  16. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 単独事業は約半数ございますが、一千億でございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこで、一千億といたしますと、大体一六対一〇、こういう割合になるわけでありますが、そこで少しこの計画について立ち入ってお尋ねしたいのでありますけれども、第二次計画の場合は、補助事業単独事業というのが、全体計画に対して補助事業がおおよそ五八%、地方単独事業が三九%、予備費が三%、こういうことになっております。今度の三次計画の全体でありますと、補助事業が六一%でありますから、第二次計画よりも補助事業がわずかに上がっておる。単独事業は三五%でありますから、逆に単独事業割合というのは、構成比というのは落ちております。したがって、ひとつ補助事業として主力でやっていこう、こういう姿に、やや前向きの姿勢が見られるのでありますけれども、この点は努力認めますけれども、これでは不十分だ。大まかにいいますと、これほど問題になっている、これほど重要性がある、しかも世界の国で一番おくれておる下水道に対して、補助事業が六割だ、そして地方単独事業が四割弱だ、こういう構成は、私は問題があると思うのであります。もっとやはり国は積極的に、一義的に国の責任において公害問題と取り組む、こうおっしゃっておるわけですから、もっとやはり積極的に取り組むべきではなかったかと私は思います。この点、大臣いかがですか。
  18. 根本龍太郎

    根本国務大臣 一般的に考えて、そのとおりと思います。ただし、御承知のように、先ほど申しましたように、従来下水道事業市町村固有の仕事にしておったのです。そのために、実は能率があがらないし、いろいろの隘路がありますから、そこで、先般下水道法を改正いたしまして、流域下水道、これを明定いたしまして、県単位あるいは県の連合によってやらせる、こういう道も開いてきたわけでございます。いわば初めて国家的な明確な指導をはっきりいたしたつもりでありまするが、従前この補助対象事業そのものが非常に少なかった。それを若干なりともまず伸ばしていった。実は私は、昨年中、下水道を推進しておられる都道府県並びに市町村長とも数次にわたって相当突っ込んで御相談をいたしました。そのときに、何としても事業量を増してもらわなければならぬ。それには国家財政上いろいろな問題があるだろうが、本来ならば補助率も、補助対象も大きくしてほしいが、何よりもまず事業量をふやしてほしい。そうしてそれには地方債起債を別ワクにしてやってくれ。とにかくこれだけでもやってもらわないと、住民の要望にこたえられない。一つ一つ補助率もあげてはしいし、補助対象も拡大してほしいと言いたいが、そうしておるとかえって事業量が減ってしまったんではどうにもならないというような御意見もありまして、今回は事業量を増すことをやって、いま御指摘の点は、漸次財政当局とも相談の上、改善してまいりたいと思っておる次第であります。
  19. 細谷治嘉

    細谷分科員 いまの大臣のおことばで、第三次計画は、二次計画と比べますと、総事業費においては二・八倍、流域下水道、これは重点を置かれたわけでありますが、第二次計画と比べますと六倍、その中で流域下水道地方単独事業というのは十八倍と、異常な増加をいたしております。この比率から見ますと非常な増加でありますけれども、全体としては二兆六千億の中で流域下水道というのは三千六百億でありますから、比率からいいきますとそう大きくなくて、何といっても下水道といえばやはり公共下水道というのが今日の柱であることは申すまでもないわけです。その流域下水道においては、一般公共事業が九〇%、地方単独事業が一〇%でありますから、補助事業として九〇%は採択していただける。一〇%が地方単独事業だ。ところが、この第三次五カ年計画では、公共下水道の場合には一般公共事業補助対象事業というのが五七%、地方単独事業は四三%、こういう数字なんであります。下水道の一番大きな大黒柱というのは、今日流域下水道重点を置くことは当然でありますけれども、何といってもウエートとしてはこの二兆六千億のうち二兆三百億円を占める公共下水道というのが重点であります。その公共下水道補助対象というのが五七%であって、地方単独に残りの四三%をやる。流域下水道はわずかに一〇%である。これは私はいささか安上がり下水道だ、あるいは地方団体にしわ寄せをした下水道計画だと申し上げてもよろしいんじゃないかと思うのでありますが、いかがですか。
  20. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど申し上げましたように、こういう従来非常におくれておるものを前進させるためには、住民側に立って望ましいことを全部要求して、そうして実質上今度は事業量を減らすほうがいいのか、事業量をふやすことによって改善をはかり、そうして実施過程でだんだんと内容整備する、どっちがいいか、いわばこれは一つ戦略だと私は思います。それで私は、これは私だけの考えではいけないので、都道府県知事、それから市町村と、数次にわたって去年相当熱意を込めて話し合いました。そこで先ほど申したように、くどいようでありまするが、どっちもほしいんだ。どっちもほしいけれども、しからばどっちを選択するかというところにきたならば、まず事業量をふやしてほしい、そうして場合によってはそれは起債でやらしてもらってもよろしい、そうしてそのやった結果に基づいて漸次内容を変えていくという一つ戦略をとるのも、これはやむを得ないじゃないかというので、実は大きい県の知事並びに首長の合意を得たわけなんです。そういうことでこれはやったのでございまして、あなたの言われること、よくわかるんです。わかるけれども、今度は事業量を減らして結局これでいくとなると、今度はやりたいところにやらせられない、中途はんぱな事業になるということもございますので、この点は今後のわれわれの努力市町村の協力によって漸次解決していかなければならないと思っている次第でございます。
  21. 細谷治嘉

    細谷分科員 ひとつ専門的にお尋ねしたいんですが、公共下水道は、大臣からお聞きしたんですけれども、六割弱というのが補助対象額、四割強というものが地方単独事業、こういうことになりますと、一応下水道の現在の補助率というのは十分の四ですね。実効補助率は一体幾らになっていると思いますか。——私の調べたところでは、補助率は四〇%ですけれども、この六〇%しか補助対象になりませんから、四、六、二十四なんですね、言ってみますと、補助率は四〇%でありますけれども、実効補助率計算でも二四%にしかならないんです。四十五年度の実績は、大体二二%だろうといわれております。大都市等では、実効補助率は一六%だ、こういうふうに大体いわれております。計算すると、大体そうなります。これでは、これだけ重点なのに、補助率は四〇%でございます、こう言っておりますけれども、実効補助率というのは二二%、計算でも二四%にしかならぬ。そうしてこの問題に真剣に取り組まなければならない、その必要性が叫ばれておる大都市等では、わずかに一六%の実効補助率にしかならぬというところが、私はたいへんな問題があろうと思うのであります。この点、いかがですか。
  22. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 下水道補助体系の根本問題についての御質問でございますが、先生の御指摘のような問題は、確かに私はいまの下水道事業のあり方についてあろうと思いますが、ただ、これは釈迦に説法のようなお答えになるかもわかりませんけれども、下水道事業といいますのは、他の河川とか道路事業に比べまして、ネットワークと申しますか、幹線的なもの、それから処理場を含めまして各家庭の地先までサービスする枝線、こういうものがネットワークをなして、一体をなした事業でございます。したがいまして、そういうもの全体を補助対象事業に取り上げるというところに、他の道路とか河川事業と違った性格を基本的に持っているのじゃないかと思います。しからば、じゃ、どこまで補助対象事業で、どこまでが単独事業かという議論が次にあろうかと思います。これは過去のいろいろな下水道事業を始めましてからの経緯がございまして、大臣からお答えがございましたように、下水道というのは、本来市町村固有事業であるということからスタートしてまいりました関係上、なかなか国の財政援助の率を上げてくるのに非常にわれわれ苦労してまいっておるわけでございます。やっと努力をいたしました結果、今日のようなところまで持ち上げてきたつもりでございますが、しかし、現状の国の助成の割合というものがこれで十分であるかということについては、私ども今後まだ十分検討すべき点はあろうかと思います。ことに事業量が今後非常に増大してまいるというようなこと等からいたしますと、地方財政負担との関係からも、そういう点はやはり慎重に考えていかなければならぬという問題が一つあろうかと思います。  それからもう一つは、下水道性格は、御案内のとおりでございますが、これは企業的な面も持っておりまして、使用料でもって償還をしていくというような一面を持っておりますので、そういう点もひとつ……
  23. 大村襄治

    大村主査代理 簡単に願います。
  24. 細谷治嘉

    細谷分科員 自治省大蔵省にお尋ねいたしますが、いま私が申し上げましたように、下水道実効補助率は二二%だ。大都市等では一六%にすぎぬ。この問題は、何といいましてもやはり補助対象額というのが六割というところからきているわけですよ。それから補助率が四〇%だというところからきているわけですよ。私はこの問題は大臣にもお尋ねしたいのでありますが、私はどっちが重要だとは申し上げませんけれども、区画整理街路事業というのは、かつては二分の一の補助率であったわけです。ところが、区画整理街路事業は、都市における道路前提である。道路は三分の二の補助をしているのに、道路をつくるための区画整理街路事業が二分の一の補助というのはおかしいじゃないかということで、三分の二に引き上げられたのですね。街路事業はいま三分の二なんですよ。数年前は二分の一だった。そういうことからいきますと、区画整理街路をやるその前提は、やはり下水道から始めていかなければならぬでしょう、町ができているわけですから。四〇%の補助率というのも、かっては三分の一であった。それが数年前に三三%から四〇%になったのでありますけれども、筋論としてはやはり三分の二の補助にもっていくのが妥当であろう。そしてもっと補助対象額を広げていくというのが当然であろう。私は、道路よりも下水道が重要だと言っているのじゃありません。少なくとも街路をやっていく場合には、この区画整理街路専業下水道都市づくり前提なんだ、少なくとも同列に置くべきだ、これが筋だと思う。それは補助率をイコールにすることによってそういうことを表現されると、私は思うのであります。   〔大村主査代理退席主査着席〕 それがなされていない。おそらく安上がりだろうと思う。  それからもう一つは、ずっと大臣答弁を通じての私の印象は、どうも建設行政というのは、部長を全部派遣しておる県には信用を置いているけれども、市町村ということについてはあまり重要性をお認めになっておらぬ。そういうことから、下水道市町村事業だということで、どうも扱いが道路なり街路よりも軽視されておる。こういう印象を受けるのでありますけれども、この点について自治省大蔵省、それからいまの点について大臣から、簡単明瞭なお答えをいただきたい、こう思うのです。
  25. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 ただいまの補助率の問題ですが、下水道は、御承知のとおり、雨水を排除する仕事、それから家庭汚水を処理する仕事、こういうふうになっておるわけであります。したがいまして、この補助対象補助率というのは相互に関連をしてくるだろうというふうに考えておるわけでございます。雨水排除の部分については、御指摘のとおり公共事業であるというふうな考え方がとれると思います。頭から補助対象卒事が六割であり、単独事業が四割であるというような考え方には、やや問題があるというふうに私は考えております。ただ現在の下水道事業につきましては、やはり補助対象事業をどうするかという問題がまだ技術的に地方団体には明確な形になっておらないという点で、私ども非常に問題があるというふうに考えております。まず、それを第一次的には明確にしていただいて、それからさらにその補助率等の問題について、現在のものが適正かどうかという点について検討を加えてまいる。こういうことで建設省のほうとも御相談いたしまして、本年度は何とか補助対象事業というものをいわば地方のほうにもはっきりできるような形で制度化していただきたいということを申し上げておるような次第であります。
  26. 藤井直樹

    ○藤井説明員 第三次五カ年計画の発足にあたりまして、公共下水道事業というものが下水道事業の非常に多くの部分を占めるということで、その面から地方負担軽減ということで、五四%という現行の補助対象率を五七%に上げるということにいたしたわけでございます。まあこれでも不足ではないかというお話でございますけれども、実際に地方団体のほうにおきましても、下水道の普及に伴う受益者負担の増加とか、今度新たに水質利用料という形で、事業者負担をそういう形でやってまいりますれば、実質的には軽減はその面でははかられるということになるかと思います。他方国費の側から見ますと、今回の計画は三四、五%の伸びになるということで、今後なかなかたいへんなんでございます。その上にさらに補助対象を引き上げるということになると、財政負担の面からも五七%の補助対象率を上げるということが限度ではないかと考えております。補助率の問題になりますと、これは道路とかその他河川、いろいろ専業によりまして性格が違いまして、下水道の場合には現在は利用者負担という道もあるわけでございますので、一がいにそれで高い低いということはいえないのではないか、こう思います。
  27. 根本龍太郎

    根本国務大臣 印象がそう受けると言うけれども、それはあなたの印象ですから、私はその印象がいいとか悪いとかということは申し上げる筋じゃないと思うのですが、何回も言ったように、こういう問題を、こうあるべきだという願望と現実が相当乖離することは事実です。しかし、現実の政治、行政というものは、やはりあるべき姿はこう考える、これと現実と離れているから一挙にそこまでいけといっても、これは一つの評論としては確かに傾聴すべきことだと思いますし、要求としてもそれ自身意味があると思いますけれども、現実にしからばそういうことをするほうが実際的かどうかということになると、私は問題があると思うのです。少なくとも私がこの下水道問題に取りかかっては、こう言ってはなはだ潜越でございますが、実は財政当局あるいは都道府県とも相当詰めて、これは出した案でございます。これについては、あるいは内心においてはまだ足らないとは思っているかもしらぬけれども、少なくともこの五カ年計画ができ、それに基づく本年度予算については、たいていの都道府県並びに市町村長は感謝してきています。これで満足だとは言いませんけれども、まあよかった、さらに一そうというのがほんとうのことでございますから、あなたの御激励もよくわかりますけれども、いまこれをすぐに改定して、補助率補助対象も一挙に引き受けたと言って胸をたたくほどの力がいま私はございませんですが、まあ漸次これは改善していくというふうに御理解していただきたいと思います。
  28. 細谷治嘉

    細谷分科員 大臣から心外なことばを聞いた。私の言っていることは評論だというのですがね。私は、大臣、あとで、私が地方財政というサイドからながめた場合には、今日の段階では不可能な財政的な内容を持っているということを明らかにしたいわけなんですよ。ですから、不可能ということになりますと——実際やっているじゃないかと言うけれども、今度の計画の上でも、五カ年計画の十分の一しかやってないのですから、その中においても私は、今日の地方財政では不可能だ——これは不可能というより、たいへんな重荷なんだ、何かに大きなしわ寄せをしなければならぬということを数字的に証明してまいります。ですから、私の言ったことを評論なんということでやるのは、大臣の誤認がありますから、ひとつこれは取り消していただきたい。
  29. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私は、あなたのことばを評論と言ったつもりじゃないのですよ。一般にこういう事業をやる場合に、かくあることが望ましいといって追及するところが多い。しかし、そうしたものはそれ自身としては一つの理由はあるけれども、現実にはなかなかいかぬということを言うたのでございまして、もしそういうふうにあなたおとりになったならば、それは私の本意でありませんから、それは取り消していいと思います。  ただ、私が言いたいことは、何事も政治、行政というものは、望ましい姿から見て、現実の矛盾、乖離、それだけを追及しただけでは、現実の政策にはならない。その乖離の間に、どうして現実的にこれを解決するか、それが政治だ、こう言いたいところでございます。それでそのために私も努力したつもりでございますが、まあここは見解の相違もあろうと思いますが、基本的には同じなんです。どうしてこれを実現していくかということで、スピードとその率の問題でございまして、方向づけは同じだと思うから、私は先ほど言ったとおりでございますから、今後お互いにこれは協力して解決してまいりたいという願望を、私は先ほどから申し上げている次第でございます。
  30. 細谷治嘉

    細谷分科員 私は、大臣考え、あるいはこの第三次五カ年計画にまっこうから基本的に違っているということを申し上げているわけじゃないのです。大臣努力を了としつつも、なお幾多の問題点がこの中にありますよということを申し上げているわけなんです。  そこで一つお尋ねしたいのであります。せんだっての六十四国会で、下水道法の一部を改正する法律案というのが公害関係十四法案のうちの一、つとして出されて、国会で成立したわけでありますが、その附帯決議にこういうことがあります。一つは「流域別下水道整備総合計画の策定を急ぎ、実施のための事業費を確保し、地方公共団体に対する補助対象範囲の拡大、」——私が申し上げている点です。「補助率の引上げ、起債の拡充等財政援助の強化に努めるとともに、受益者負担金制度を検討し、当面、一般需要者の大幅軽減に努めること。」こういうのが第一項に附帯決議されております。この点の国会決議、附帯決議に対してどうとったかといいますと、まあ五四というのを五七にしたのだ、わずかながらやはり補助対象も上がったじゃないか、補助率はまあ上がっていないけれども、とこうおっしゃるのでありましょうけれども、大臣、先ほどの言外に、これからも漸進的に、着実に、確実にこういう附帯決議を実践していくのだ、こういうふうにおっしゃると思うのでありますけれども、この点についてどうお考えか。  また、問題の受益者負担金制度、これがこの附帯決議に出ております。しばしば私どもの耳に入ってくるのは、私も経験しておりますが、ここに久保課長おりますけれども、そんなことで私はいじめられたことはありませんけれども、市町村長さんあたりから、使用料をとっていくのは、それはそれぞれの条例でいいでありましょうけれども、負担金を取らなければ補助金をやらぬぞとおどかされて困っているのだ、こういうことばすら聞くのであります。いま私が申し上げましたこの国会の附帯決議のこの補助対象範囲の拡大、補助率の引き上げあるいは受益者負担制度について、いま私が申し上げたような地方の悩みもあります。おそらく補助対象が少ない、補助率が少ないということで、建設省事業は進めなければいかぬ、それではひとつ苦しまぎれに負担金制度、という考えも浮かんでくる気持ちはわかりますけれども、やはり地方にとっては容易ならぬ問題でありますから、この点について大臣の所見を伺っておきたい。
  31. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この決議は私がおるところでちゃんと聞いておりますし、この問題については十分に質疑応答した結果出たところで、よく承知しております。しかし、これは一挙に四十六年度予算で全部解決せんとしても、それはできることでもございません。これは今後下水道事業を遂行するにあたって、こういうことの趣旨に基づいて漸次改善すべきことでありますから、私もそのつもりで、これについては誠意をもって改善につとめましょうということを申し上げておる次第でありまして、その心境は現在も変わっておりません。  受益者負担については、これは議論のあるところでございますけれども、地方自治体としてはできるだけその受益者負担をなくしてやりたいという気持ちもわかりますけれども、現実にやっているところもありますし、またこれも理由もあることでございますから、私は一がいに受益者負担制度はやめるということにはいかないと思います。
  32. 細谷治嘉

    細谷分科員 受益者負担制度をやめるわけにはいかぬ、これはまあいいですけれども、受益者負担をとらなければ、おまえのところは熱意がないから補助金をやらぬぞなんということがもしあるとすると、これは困ります。ひとつそんなことのないように、これはやはり地方の財政上の問題もあるわけでありますし、その土地土地のいろいろな下水道のおい立ちというのもあるわけでありますから、そういう印象を与えないように、みんな熱意をもってこれに取り組んでくる、その必要性が一そう叫ばれておるわけでありますから、今後そういう印象市町村に与えないように、大臣からもひとつ格別の御指導をしておいていただきたい、こう思います。  そこで、私がお聞きしたい点は、今度の二兆六千億の中で——政府の公害予算の中には全額、さっき申し上げました四十六年度の下水道費が公害対策費として織り込まれておるわけですね。それを除きますと、何のことはない、現実の公害対策費というのは三百億円を割るんだ、こういうふうにいわれておるわけでありますが、二兆六千億の中で公害関係に直接関係する事業費は、おおよそどのくらいか、お尋ねいたします。
  33. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 二兆六千億のうちのいわゆる水質環境基準対策下水道事業分といたしましては、一兆六千億程度のものを見ております。
  34. 細谷治嘉

    細谷分科員 そうしますと、二兆六千億のおおよそ六割強が直接公害関係のものだ、こういうふうに確認してよろしいわけですね。  そこで、公害といいますと、何といいましても内閣総理大臣が指定いたしました基本法十九条に基づく公害防止事業、これは内閣総理大臣が指定したわけでありますから、当然法律の中においても二十条で国の責任があるわけでありますが、すでに閣議で決定しております千葉、三重、岡山で、この公共下水道整備なり、特別都市下水路なり、都市下水路なりの総額はお幾らですか。
  35. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 これは精査いたしておりませんが、大体三百二、三十億程度のものになると思います。
  36. 細谷治嘉

    細谷分科員 公共下水道整備関係は三百三億円、特別都市下水路が十五億円、都市下水路が十六億円ですね。概算いたしますと三百三十四億円、間違いありませんか。
  37. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 大体その数字になるかと思います。
  38. 細谷治嘉

    細谷分科員 そうしますと、この事業費は千三百八十八億円でありますね、閣議決定のものは。千三百八十八億円の公害防止事業、地方公共団体が実施する事業、そのうちの三百三億円でありますから、これは二五%ぐらいになるわけですね。四分の一ぐらいがこの下水道関係事業だ、こう理解してよろしいですね。
  39. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 その通りだと思います。
  40. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこで、この下水道をやっていく場合に、国と県と市は大体どのくらいの負担額になりますか。建設省計算されておりますか。
  41. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいま手元にそういう計算した資料を持ち合わせておりませんが……。
  42. 細谷治嘉

    細谷分科員 私がこの計画に基づいて事業ごとに計算してみまして、現在の制度で当てはめた結果を申し上げたいのであります。この場合に、公害防止事業、そのうちの大体二五%を占めているわけでありますけれども、これに対してどういうかっこうになるかといいますと、国の負担が二五%、県の負担が三七%、市の負担が二八%、企業その他の負担がおおよそ一〇%、こういう形になっております。自治省計算されておりますか。間違いありませんか。
  43. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 まだ内容について詳しい計算はいたしておりません。大体傾向としては、そういう傾向だと思います。
  44. 細谷治嘉

    細谷分科員 そうしますと、大体負担額がこの公害防止事業をやるために、国のほうが三百四十二億円、県が五百十二億円、市が三寸八十九億円、これを五カ年間に負担しなければならぬということになるわけですね。言ってみますと、市の負担というのは三百八十八億円でありますから、べたで平年度で五で割りましても、一年間に八十億近い公害防止費を出さなければならぬ、こういうことになるわけですね。大体そうなりますか。参事官、いかがですか。
  45. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 事業の執行の状況によりまして各年度の数字は違うかと思いますけれども、単純に平均してみますと、そういう形になるかと思います。
  46. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこで大臣、いま二兆六千億をやっていく場合に、一兆六千億円、約六二%くらいというのが公害関係だ、そういうもので基本法十九条に基づいて公害防止事業というのはやっていくわけですね。やっていく場合に、自動的に全体の事業費の四分の一というのは下水道関係の費用なんです。そうして三つの市で八十億円近い金を公害防止事業だけにやらなければならぬ。市の場合三カ所でありますから——県は別ですよ。そうしますと、三カ所でありますから、おおよそ二十五億程度の金を一年間に負担をしなければならぬ、こういうかっこうになります。これは私があとで詳しく数字を追及したいのでありますけれども、もう時間がありませんからお尋ねいたすわけでありますが、これは政府が指定して閣議決定をした十九条の公害防止事業については、いままで議論として、十分の四というのは、補助率を上げるべきだ、それから補助対象範囲を広げるべきだ、私はこう言ってきましたけれども、これは二兆六千億の一般論として言いました。そのうちの六割というのは、公害防止事業として閣議決定、内閣総理大臣指定に基づいて人命尊重のための、生活環境を守るための公害防止事業をやっていくわけでありますけれども、何といいましてもその大宗、柱というのは、下水道関係なんです。ですから、この下水道二兆六千億の六〇%の中の補助率というのは、何らかの特例措置を講じてやらなければ、政府の責任で指定して地方公共団体、県や市町村にやらせる、こういうことでありますから、補助率を引き上げてやる特例が私は必要であろうと思うのであります。自治省等で近くそういうものについての法律案が出るというお話を承っておるのでありますけれども、その中における下水道補助率というものは、変わるのか、変わらないのか。これは建設省自治省大蔵省にお尋ねいたします。
  47. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは現在の五カ年計画においては、本年はそれをまだ現実には予定しておりません。しかし、御指摘のような点もありますし、地方自治体の能力、そういうこと等も十分に自治省とも検討の上、これは何らかの改善策を考える方向で研究しなければならぬと思います。
  48. 細谷治嘉

    細谷分科員 もう時間がありませんから、私はこの三つの地区のある市の、自治省から出されております名称の財政力のデータから拾ってみますと、こういう結果になるのです。ある市の事業でありますけれども、その中に占める公共下水道が、総事業費の二一%です。そして都市下水道が四・三%でありますから、二五%強になっております。この金額は幾らかといいますと、公共下水道が、補助対象額が五十八億でありますから七五%、六〇%よりもやや補助対象は上がるようであります。それから都市下水道も、大体計画どおり九割が補助対象になっております。こういうことで計算してまいりますと、大体において、ある市の負担というのは、下水道だけで計画の間に五十億近く要るのです。それに都市下水道を入れますと、六十億弱になると見込まれるのであります。そうしますと、下水道だけに単独費を一年間に十五億ぐらいつぎ込まなければならぬということになりますと、税金を相当部分——ほとんどいままでの公共事業を全部やめちゃって、道路とか何とかやめちゃって、全部下水道につぎ込んでも足らぬという数字になります。これはさっき言ったようにたいへんな問題であって、計画をやることはけっこうでありますけれども、財政措置を講じないでは、これはたいへんなことではないか。しかも、私が新聞等で伺っておると、自治省が最近出される基本法に基づく財政措置については、下水道だけは補助率を上げないわけですね。   〔主査退席、大村主査代理着席〕 ほかのほうは、大体において二分の一以下のところは二分の一にする、三分の二のものがあるところは三分の二にするということでありますけれども、一番大きな財政負担を伴う問題のところについては補助率を上げないようでありますが、これはなっちょらんと思うのですね。これでは不可能を強制するようなものだ。下水道をやろうとすると、ほかの住民福祉は一切放棄しなければならぬ。それでも足らぬという実態が数字的に出てまいっておる。たいへんな問題でありまして、ひとつこの問題について自治省はどう考えるか、大蔵省はとう考えるか、こういう実態に立って、建設省も仕事さえやればいいや、財政のことはおれは知らぬぞ、こういうふうにいまの大臣考えていらっしゃらぬようでありますから、大所高所に立ってどうするのか、その点を伺いたいと思います。
  49. 根本龍太郎

    根本国務大臣 大蔵省並びに自治省からそれぞれ御答弁があると思いますが、私がいま申し上げましたように、そうしたところの現実に実行不可能だということをしいることは、政府は考えておりません。したがいまして、そうした特別に内閣の指定によってやられるところについては、特別なる配慮をすべきだというような気が私はいたしておりますので、自治省並びに大蔵省とも協議の上、善処したいと思っております。
  50. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 下水道事業は、御指摘のとおり、公害防止対策の事業としていわば基本的な事業になるわけでございます。その点は、公害防止計画を策定している都市であろうとそうでなかろうと、同じような事業重要性はあるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、昭和四十六年度の下水道事業につきましては、起債の充当率の引き上げあるいは償還年限の延伸といったような全般的な措置を講じまして、各都市におきまして下水道事業が地方財政の面からも促進され得るような対策を講じたわけでございます。したがいまして、公害防止計画をつくっております地域におきましても、そうした財源措置を講じてまいりますれば、大体五カ年間の計画事業というものは実施可能であろうというふうに考えておりますけれども、ただ、こうした地域は、相当期間を短縮して事業量を消化しなければならないというような問題もございます。近く提案を予定しております財政措置の法律案につきましては、下水道事業の一部、主として終末処理等の事業につきましては、若干の補助率引き上げを織り込んで提案をいたしたい、こういうふうに考えております。
  51. 藤井直樹

    ○藤井説明員 公害防止地域の地方団体への下水道事業の財源措置につきましては、ただいま自治省のほうから御答弁ありましたように、全般的な補助率の引き上げの問題、起債関係につきましてのいろいろな制度上の改善、こういうものも全部適用されることになるわけでございます。また、そのように考えております。
  52. 細谷治嘉

    細谷分科員 時間がありませんので最後に。将を射んと欲せば馬を射よということばがあります。一番大切なところには、国も財政負担が必要、地方団体も必要であります。そういうところを避けて通れば、これは人命優先、生活優先、あるいは大臣が冒頭おっしゃった建設省のそういう姿勢を正しくしょう、あるいは新全総計画の改定の時期にきているという趣旨は、から念仏になるのではないかと私は思うのであります。ですから、やはり一番重要な点は避けて通らないで、小さなところでちょっとのしをつけるのじゃなくて、やはり一番柱に国も地方団体も取り組んで、そして無理なく——無理はするでしょうけれども、可能なような体制をつくってやるべきである。それがこの下水道に非常にシビアに出ておるのじゃないかと、私は思うのであります。  時間がまいりましたので、私は六次の道路計画の問題についても幾多の問題点を持っておりますし、あるいは、建設省関係ではありませんけれども、今度またやろうとする港湾の整備計画についても幾多の問題点が地方財政というサイドから見て提起されておるわけでありますけれども、ひとつこういう点についても建設大臣、十分にお考えいただいて、仕事さえすればいいんだということじゃなくて、無理がいかぬように、やはり生活基盤をつくっていく、そして国も地方も立っていく、こういう観点でひとつ推し進めていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  53. 大村襄治

  54. 内海清

    内海(清)分科員 私は、瞬間がたいしてございませんが、本州・四国の連絡架橋の問題について若干お尋ねいたしたいと思うのであります。  この問題は、御承知のように、昨年の七月一日に架橋公団が発走いたしました。現在、公団におきましては、建設省の調査の長期計画の指示に従いまして、実施調査、それから実施設計、技術開発、こういう段階でもって進めておるわけでございます。公団といたしましては、四十八年度に政府から工事の基本計画の指示がありますならば着工できる体制をつくり上げようということで進めておるのだと思うのであります。  ところが、先般参議院の建設委員会において、この問題について大臣に対して御質疑がありました。それに関連して、去る十九日の建設委員会でも問題が出たわけでございます。これは私どもから考えますると、実はたいへんに遺憾に思うのでありまして、現段階でそういう問題がまた出てくるということは残念に思うわけでありますが、特に公団としては、いまの段階で、さっき申しましたような四十八年度には政府の指示があるならば三ルートとも同時着工できる体制をつくり上げようということで進めておりまして、昨年来関係の府県の副知事あるいは関係の市の助役などを集めまして二回くらいやっておるようでありますけれども、いろいろな協調の問題につきまして協議をしておる。たとえば漁業補償の問題にいたしましても、あるいは工業の問題にいたしましても、あるいは地元負担の問題にいたしましても、できるだけいろいろ地元の陳情合戦なども起きないようにお互いに理解し合って進めていこうじゃないかという体制をつくることに努力しておるように思うのです。ことに漁業補償などの問題を見ますると、これは単に一ルートで見るべきものではなくて、いわば瀬戸内全体で見るものです。外洋から入ってくる魚もおりましょう。あるいはまた栽培漁業の問題も瀬戸内海にはある。それは単に一地域的な問題ではないはずである。全体でこれからやはり検討していかなければならない問題である、こういうふうに考えるのであります。あるいはまた地元負担の問題も同様でございましょう。そういう意味合いで、公団としてもずいぶん気を配ってこの問題に対処しておるように思うのであります。もちろん、これに関係ない地方から考えれば、あるいは現段階において中・四国に三木という架橋は、いわば政治的に片寄り、少しどうかというふうな考え方も出てくるかも一わからぬのであります。しかし、私はこの問題につきまして思い出しますのは、いまから十年も前になりますか、首都圏と中部圏あるいは近畿圏を結ぶ問題で、中央高速道路がきまりました。その後続いて東海道のいわゆる高速道の問題が起きて、ずいぶん議論が起きた。その後中央高速道路は一部路線変更になりましたけれども、いずれにしても中央に先立って東海道の高速自動車道路ができたということが、今日のわが国の産業経済の上にいかに大きく寄与しておるか。こういうことを考えますときに、確かに十年たちますならば、これらに対する価値判断というものは非常に変わってくるのであります。そういう意味からいえば、政治は十年なり十五年なりかなり将来を見越しての仕事をしていかなければ、これは政治ではないのではなかろうか、こういうふうに私は考えるわけでありまして、そういう意味から申しますと、さっきのような問題が出てくると、これはあまりにいわば感情的な議論であるというふうに考えるのであります。このルートも、着工しましても、少なくとも完成には十年以上かかるということであります。したがって、わが国の人口の四%を持ち、面積でいえば五%を持っておる四国というものが、十年先にいかに開発されて経済発展するか、こういう面を十分見越さなければならない。全総計画は、六十年にはその三本の架橋が必要だ、こういうことを決定いたしておりますのも、それらを見越し、推定いたしましての決定だ、私はかように考えておるのであります。むしろ私どもから考えますならば、この橋は六十年供用開始ということでなしに、できるだけ早く進めるべきである、かように考えるのであります。  そこでお尋ねいたしたい問題は、まず四十六年度の問題であります。これは予算の段階でいろいろございまして、公団の要求どおりにいっておりませんでしたが、幾分復活しましたけれども、なお公団の予定どおりではございません。しかし、この予算を見ますならば、河とかやっていけるのだろうと思いますが、四十六年度の調査というものは、これによってやらなければなりませんが、これにはおそらく陸上部と海上部調査、あるいはその他橋梁などの問題も出てくると思う。四十六年度でどの程度まで調査が進むのか、その点お伺いいたしたい。
  55. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず第一に申し上げますが、内海さんにはこの前も建設委員会で御説明したように、実は参議院の建設委員会で社会党の松本議員から、三本一緒にやるなんということは現実的ではないじゃないか、一本にしぼったらいいんじゃないか、一本にしぼってやれという実は御質問があったのです。それに対して、私も、現状では確かに四百万の人口の四国に膨大な金をかけて三本を架橋することは、いかにも地域的な一つの偏向というか、重点を入れ過ぎたという印象はあるかもしれないけれども、これが完成する大体昭和六十年度を見通しているのであるから、そのときになりますれば、いまからやっても決して私は非効率的な、地域的に偏向したということにならないと思う。それは御承知のように、六十年までには全国国土縦貫高速自動車道路、これを全面的にやるという前提に立っておるのである。それからもう一つは、いまの四国は、単に四国のみならず、近畿並びにいわゆる中国の総合的な開発に非常に大きく裨益する、こういう点から、やはり政府がとっておる方針、三本つくるというようなものは変わりない、こう申し上げた。それじゃしからば、完全に三本とも同時着工するか、そう言って質問がありましたので、それは三本同時にやるという方針であるが、しかし、厳密に百メートル競争みたいに、同じスタートラインでよーいドンで、何月何日何時何分からすぐに同時着工する、そういうようなことはあるいはできないかもしらぬ。これは幾らいろいろの諸調査ができておりましても、先ほども御指摘になりました漁業補償の問題とか、あるいは航路の安全に対する地元の合意の問題、あるいはまた地元が相当協力していただかなければならない、いわゆる開発資金の受け入体制等々がみんな一つの要件になっているのでありますから、それらのものができなければ、こっちが幾らやろうとしてもできない場合もあり得る。だから、同じ同時着工といっても、若干の時間のズレがあることもあり得るであろう、こういうふうにお答えしたのであります。そうしたら翌日は、時差出動と同じように時差着工とかなんとかという、なかなかわれわれの考えなかった表現をしてやって、そこで問題が出たようでありまするが、これは私は、従来の方針に何ら変わりないということを申し上げたことでございまして、さように御了承をしていただきたいと思います。  なおまた、四十六年度予算でどの程度の、いかなる調査をやるか、これは事務当局から説明いたさせます。
  56. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御案内のように、昭和四十五年度は九億五千万円で調査を実施いたしまして、昭和四十六年度につきましては、一応四十億円の調査費を予定しておるわけでございます。  その調査の内容でございますけれども、四十五年度に引き続きまして、経済調査それから自然条件調査、測量調査、地質・地盤調査、路線調査、上部工・下部工設計調査、施工調衣、用地補償調査などを実施する予定でございます。  なお、四十六年度の調査が完了しますと、調査報告書を建設、運輸両大臣に提出することになろうかと思います。それが義務づけられておりますので、その準備を集めております。
  57. 内海清

    内海(清)分科員 ただいまの大臣の御答弁で了解いたしまして、従来の方針と変わっていないということを確認いたしたいと思うのです。  いま調査の説明がありましたが、たとえば陸上部につきましては四十六年度で大体終わりとか、あるいは海上部についてはボーリングとかその他の実験をやるとか、そういうふうなある程度の具体的な調査のあれがあるんじゃないかと思いますが、その点、いかがでございますか。
  58. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 四十六年度も、四十五年度に引き続きまして、主として全般的な調査が主体になっております。したがいまして、陸上部の調査を完了するとか、そういうふうな具体的なものは四十七年度に持ち越すことになろうかと思います。
  59. 内海清

    内海(清)分科員 そうすると、具体的な調査はただいまので四十七年度ということでございますが、公団としては、そうすると四十七年度には大体すべての調査、実験等が終わる、こう理解してよろしゅうございますか。
  60. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 四十七年度の調査費の予算によって決定するかと思われますが、ただいまわれわれ事務当局考えておりますのは、四十七年度中に一切の調査を完了したいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 内海清

    内海(清)分科員 いまの局長答弁によりますと、四十七年度に一切の調査を完了する、こういうことでございますので、これは予算関係があると言われますけれども、これはもともとからの、大体そういうふうな調査の指示を公団にされましたときに、そういうことが大体きまっておると思います。予算の点につきましては、これが四十七年度ですべてが完了するような予算編成をしていただかなければならぬ。これは先のことでありますから、十分要望しておきたいと思います。  そういたしますと、四十七年度ですべての調査が終わりということになるならば、四十八年度には、政府としてはこの工事の基本計画を公団に指示され、着工という段階になるわけでありますが、さように承知してよろしゅうございますか。
  62. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 四十七年度中に調査が完了いたしまして、事務的には四十八年度から着工できる体制ができることになっております。
  63. 内海清

    内海(清)分科員 もちろん従来、大臣がいろいろお話しになっておりますように、すべての調査、開発が完了いたしましても、地元のいわば協力体制と申しますか、これが整わなければなかなか着工がむずかしいということは十分理解できるわけで、そういたしますと、公団のほうの調査は大体四十七年度で終わりということになりますから、四十八年度の着工には支障なくなる。そうすると、地元の協力体制の問題でありますが、これもさっき申しましたような、公団としても、関係地元の副知事、あるいは助役等の協議会的なものを設けて、お互いに理解し合ってこれを解決しよう、そうして三本とも同じい同時着工の線でいくような体制に現在進みつつあると思うのでありますが、そういたしますと、この地元の協力体制ができれば、四十八年度には同時着工がされるもの、かように解してよろしゅうございますか、大臣からひとつ。
  64. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そのとおりに考えております。  繰り返して申し上げまするが、事務的な準備は四十七年度で完了する方針でいきます。これが完了した段階で地元が、先ほども何回も申し上げましたように、漁業補償とか、土地の補償、それからいろいろの資金面における協力体制等現実に着工し得る条件を整えて、三本ともその条件が整えば、三本とも四十八年に着工させたい、こういう方針でいま進んでおる次第であります。
  65. 内海清

    内海(清)分科員 十分了解いたしました。  それで次にお伺いいたしたいと思いますことは、四十八年度から一応着工されるということになりますと、私は、問題は資金的な面に入ると思うのであります。調査の段階では、これは現在すでにそうでありますが、それほど大した問題ではないというふうにも考えるのでありますが、いよいよ工事に着工ということになりますと、かなり膨大な資金が要ることになるわけであります。この膨大な資金が要りますが、私はそれの中で一番問題になっておりますのは借り入れ金で、そのうち財投も、これは十分国のほうで考えられることであるが、縁故債の問題であると私は考えるのであります。大体大蔵省の方針では、従来財投、縁故債を半々くらいというふうに承っておるのでありますが、今日なおそういう考え方は変わっておりませんか。いかがです。
  66. 藤井直樹

    ○藤井説明員 私、主計局でございまして、いま財投関係は理財局のほうになりますけれども、ちょっと責任ある答弁はできないのであります。帰りましてよくお伝えいたしたいと思います。
  67. 内海清

    内海(清)分科員 これは私どもそういうふうに承っておりますので、大体その方針だと理解して申し上げたいと思いますが、そうするとこの縁故債が問題になるが、この縁故債というものは経済情勢に大きく左右されてくるだろうということを考えるわけであります。これが資金の面でいえば非常に重要なポイントになるであろう、縁故債がいかに消化されるかということが問題になるだろうと思うのであります。おそらく、各ルートとも何百億というふうな金額に上がってくるわけであります。そこで、そういう経済情勢に大きく左右されるようなものにつきましては、これはよほど国がはっきりした指導方針をもって、強い行政指導が行なわれなければならぬのじゃなかろうかというふうに考えるわけであります。この点について、何かお考えがありますならばひとつお伺いいたしたいと思います。
  68. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在のところは、私のほうでかくせいということの要請はいたしておりません。内海さん御承知のように、これは地元の受け入れ体制を整備するために、せっかくいまそれぞれのルートで、地元の自治体並びに産業界と申しますか、経済界も協力してやっておるようでありますから、そちらのほうから、自分のほうではこういう条件でやりたい、これについては政府は協力してほしいというふうな条件がもう出てくると思います。これをもとにして、現実的に必要とあれば行政指導もし、あるいはまた大蔵省理財局等ともお互いに協議しながらそうした問題を整備してまいりたいと思うのでございます。
  69. 内海清

    内海(清)分科員 結局は、地元の経済界が協力するについてはいろいろと条件が出てくると思うのでございます。いずれにしても、これにつきましては、国が十分バックアップする体制ができてこなければこれはむずかしいことは当然でありますから、その点について、今後だんだんと出てくると思いますけれども、国としてもひとつそれらに対する体制をできるだけ早く整えていただきたい、このことを要望しておきたいと思うのであります。  時間がありませんのでなにですが、それから同時着工ということになりますと、私は、特にこの各ルートによりまして、建設については橋に特性があると思うのです。一たん着工したならば、それ全体が完成しなければ効果の出てこないものと、あるいは、部分的にでもだんだん進んでいくに従いまして、投資に伴って効果の出てくるルートとあるわけであります。したがって、こういう面から考えましても、投資したならばそれに対する効果が部分的にでも出てくるもの、つまりいわば収入のあがってくるものが、おそらく公団としても非常に進めやすいのじゃなかろうかということを考えるわけでありまして、そういう点から考えましても、いろいろいままでも議論されてきましたけれども、私は、やはり同時着工もやっていく、そうして少なくとも六十年には三本とも供用開始できるというこの方向でこの仕事は進めるべきじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。この点もひとつ御勘案の上——地元の協力体制につきましては、それぞれ地元で十分責任をもってやらなければならぬ問題である。しかし、公団としても、さっき申しましたような副知事あるいは助役の会合によってこれらを進めておるものでありまして、これらにつきましても建設省でも十分関心を持たれましてさような指導をする、これを要望いたしたいと思うのであります。  それからいま一つ、この際私はお尋ねしておきたいのは、昨年の五月にできましたこれの経済効果の中間報告であります。これを見ますと、「まえがき」にいろいろありますけれども、「計測の中には1局地的な開発による交通需要が含まれていない点、2鉄道新幹線としては東北より九州に至る主軸ルート以外を算入していない点等未だ不完全な面があり、再計算を必要とするわけであるが、」というふうにいわれております。これは中間報告でありますから、もちろんそういうことでございましょう。しかし、この中間報告の数字が各方面においてはこのまま受け取られて議論されておる傾向が実に多いのであります。こういう点から考えまして、たとえばこれの七ページでございますが、「架橋条件別ルート別輸送量および採算性」というふうなところで、一日当たりの自動車の交通量、というものを見ますと、いろいろな問題があると思うのであります。ことに、この問題から考えますと、AルートとEルートは、いわゆる中間に相当の人口のある島があるが、これは含まれていないわけであります。Eルートで申し上げますと、たとえば私のおります因島市は四万三千ばかりでありますが、それでもって自動車が一万台以上ある。先般山口県の大島——今度これは橋がかかりますが、あそこを調べてみますと、あの島も四万三、四千のところですが、これも自動車が一万台以上あるようであります。したがって、各ルートの中にある、ことにEルートは島の開発ということも考えなければなりませんので、したがってこの連絡道路ができますならば、島内の自動車はみな乗らなければ島内の者は島外に出られぬということでありまして、これがすべてこの道路に乗るわけであります。そういう点から考えますならば、ここらの数字というものは今後相当変わりてこなければ経済効果ということに相ならぬだろうというふうに考えるのでありますが、それらにつきまして、数字が再計算されておればそれ、なければ今後そういうものを十分加味した数字によって進めていかれるかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  70. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの御指摘の、昭和四十五年五月に報告されました経済効果の中間報告でもありますが、先生指摘のように局地的な開発による交通需要が含まれておらない点と、それから鉄道新幹線として東北より九州に至る主軸ルート以外は算入していないという点が前提条件になっております。したがいまして、御指摘のように、自動車の交通量につきましては県間だけの移動の自動車交通量を予測しておりますので、局地的な開発の影響であるとか、あるいは島と島との間の交通等は含まれておりません。そのような点がございますので、現在このような点を補足するために、本州四国連絡橋公団におきましてもう一回再計算をさしておるところでございます。結果がわかり次第また御報告さしていただきたいと思います。
  71. 内海清

    内海(清)分科員 時間がきたようですからやめたいと思いますけれども、いまのは全部中間報告でありますからそういうことに相なると思いまするが、公団で再調査、再計算が行なわれますならば、これはひとつできるだけ早くお示しいただいて、それらに基づいて十分経済効果というものも勘案していただきたいということであります。しかし、いずれにいたしましても、この三ルートというものは中・四国はもちろんでありますが、あるいは近畿を含めまして、あるいは九州を含めまして、非常に関心の深い問題であります。いままで政治的にもこれが非常に論議されたわけであります。先ほど来私が伺いましたことの御答弁によりますならば、今後政治的に論議される余地はきわめて少ないであろう。そのためには地元も真に真剣になって、四十八年には同時着工できるような協力体制をつくり上げなければならぬ、同時に資金的にも十分の協力をする、こういうことでこれが四十八年に同時着工、六十年には三本とも供用開始という線にならなければならぬ、かように考えますので、ひとつ建設省におかれましても、その線に沿って十分今後指導していっていただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  72. 大村襄治

  73. 樋上新一

    樋上分科員 大臣にお伺いいたしますが、今回の予算編成において、いわゆる河川の水質汚濁の防止の上から、本年より始まる第三次下水道整備五カ年計画、総事業費が二兆五千億円、予備費が一千億、計二兆六千億の事業費が決定したことは、今日までの下水道事業費から見るとまことに頼もしく存じておる次第でございます。この計画達成のためには、総事業費として、本年度国庫補助額六百六十五億三千六百万、残る四十七年、四十八年、四十九年、五十年に毎年平均三六%ずつ事業費を伸ばさなくては達成しないのですが、建設大臣はその御確信がございますか。
  74. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、毎年三五、六%伸ばさなければならぬたいへんな大事業でございます。しかし、この前は公害国会というものが開かれたほど、日本の自然環境、人間生活あるいは都市生活の機能は著しく阻害されておる。これでは何のための経済成長かといわれるほどの社会的な問題にいまなり、政治的問題になってきましたので、総理をはじめ政府が重大なる決心をもってこの公害対策をやろうとしておる今日でございまするので、すでに樋上さんも御存じのように、従来にない予算編成を実はやりました。従来でありますれば、経済企画庁あたりがつくりました新全総の計画を上回る計画などは全然受け付けなかったのです。今回は、新全総に基づくいわゆる社会経済発展計画の総投資額五十五兆円の中で予定しておる下水道計画をさらに上回って事業計画を立て、これに対して大蔵省経済企画庁も賛意を表し、また、総理もこれを強く支持して新しく発足したわけでございますから、必ずこれは達成し得るものと確信し、また達成させなければならぬと思って、今後も皆さまの御協力を得て完全実施を達成いたしたいと考えている次第でございます。
  75. 樋上新一

    樋上分科員 ただいまの御答弁で、第三次下水道計画の建設大臣の確信あるお答えはわかりました。  国庫補助率の問題でございますが、国費の増大に伴い、地方公共団体の持ち出す事業費も非常に増大するわけでございます。たとえば公共下水道のことでございますが、国庫補助対象率は五七%、そして国庫補助率は十分の四、実質的には、たとえば一億円の公共下水道事業と一して行なう場合、国庫補助対象率は五七%ですから五千七百万円となります。その十分の西の国庫補助ですと、二千二百八十万円が国庫補助額となって、七千七百二十万というものは、これは地方公共団体の財政支出となるのですが、地方公共団体の苦しい財政の中で、この支出については相当な過負担になると思うのですが、建設大臣の御見解を伺いたい。
  76. 根本龍太郎

    根本国務大臣 その点は、実は建設委員県会でも非常に論蔵をし、また、他の党からも、先ほども議論があったところでございます。何しろ、御承知のように、従来下水道事業というものは、長い間いわゆる固有の仕事というような形にして、非常に微々たる仕事で来たのでございます。この下水道問題が、地方自治体においても、あるいは一般社会においても急に問題になったのは、特にこの四、五年前からでございます。これに対応しまして、建設省も一生懸命に自治省とも連携しながら努力して、ようやく今日に来たって、そうして現在のこの新しい五カ年計画というところまで来たのでありまして、歴史的な経緯があります。そう御指摘になりますとたいへん問題でありまするけれども、やはり仕事というものは一応の時間的な経過をとって漸次充実していかなければならない。実は、昨年中も、私は、下水道を大きくやらなければならぬということで、都道府県知事、それからおもなる市町村長ともずいぶんつとめて話をしました。どの自治体の人たちも、自分たちの率直なる要求を出すとするならば、まず事業量を多くし、補助対象を拡大し、補助率を上げてくれ、こう言いたいところだ。ところが、これは現状から見て、われわれ責任ある立場からすれば、要求は要求だけれども、それがまた急にそのままに通るとは思われない。ところで、共通して言うことは、まず第一に事業量を増大してほしいということ。そうでないと、もうあと回しになりますと、あとでたいへんな金がかかり、かつまた住民から非常な不満感を持たれる、その次には、補助率もほしいけれども、補助対象をまず少しでも拡大してほしい、そうして財源として国庫補助もほしいけれども、もしそれが急に間に合わないならば、まず起債のワクを広げていただいて、普通地方財政上許されておる従来のワクをはずして起債を出してほしい、まず仕事をさせてほしい、こういう要望が非常に強かったのです。それに基づいて大蔵省とやる場合にも、やはりこれは戦略戦術を考えなければならぬから、それで私は、まず第一に事業量を増すこと、補助対象を増すこと、そうして起債をとにかくふやしてもらうこと、これに実は重点を入れた次第でございます。したがいまして、先ほど来いろいろ議論しましたが、これは漸次補助対象並びに補助率をふやしていって目的を達成するという戦略戦術のほうがより現実的だということを、実は建設委員会でも野党の皆さんを含めて私がよくお話をして、それを受けて実は附帯決議までつくって下水道法の改正を通過させていただいた、こういう段階でございまして、あなたの言われることはよくわかります。よくわかりますが、なかなかこれは一挙にいかないので、漸次そうした方向に国家全体としての責任として進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  77. 樋上新一

    樋上分科員 くわかるのですが、この公共下水道の建設事業費は、全国一般都市と大都市の実質補助率について、大都市の実質補助率は四十五年には一五・八%でしょう。全国一般都市の実質補助率が二二・一%と大きく違うのですね。人口の集中した大都市公共下水道建設事業費はなぜ一般都市と同率にしないのか、こういう点について私はお伺いしたいと思うのです。
  78. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お尋ねの一般都市と大都市の取り扱いが異なっておるのはどういうわけかということでございますが、従来、確かに御指摘のとおり、大都市の園庭補助金の充当率は一般都市と比べまして非常に低かったのでございます。その理由は、申し上げるまでもございませんが、大都市下水道整備につきましては先発の都市である。戦前からかなり下水道実施してまいっておる。そういう意味から、施設のストックが一般都市に比較いたしましてかなりある。また、自治体といたしましての財政負担能力も非常に大きいというようなことから、一般都市に比べまして、補助事業よりは起債の充当率が高かったわけでございます。したがって、その逆に、一般都市よりも非常に低くなっておったというのが実情であったわけでございます。一般都市、中小都市におきましては、従来受益者負担金というようなものも徴収しておる都市が多うございまして、そういう都市計画的に下水道整備しなければならないというような要請に置かれた関係もありまして、従前は、非常に少ない国庫補助金の配分にあたりましては、そういう中小都市に優先的に回さなければならなかったという事情があったことは、これは御指摘のとおり事実でございます。しかしながら、第三次五カ年計画におきましては、事業量とともに国費も総額において非常に拡大がはかられましたこともあり、また、下水道整備が水質環境対策というものにかなり重点を置いて強力に実施しなければならないという要請下に置かれておることからいたしまして、今後は、新計画におきましては、大都市に対する国の助成も実情に応じまして漸次改善を加えてまいりたい、またその実現がはかられるというふうに私どもは思っております。
  79. 樋上新一

    樋上分科員 もう少しこの点詰めたいと思いますが、時間の関係上次の質問に移りたいと思うのです。  特に、近畿圏の経済成長に大きな重要性を持ってきた淀川は年々水質が汚濁されておるのです。私の住んでおる京都はその中流部にあります。京都市下水道整備はまことに急がねばならぬ状態になっておるのであります。淀川は、御存じのとおり、上水道の集水は大阪府、兵庫県一千万人の水道源になっておるわけでございます。そのような点から、上流の京都市下水道整備は緊急課題でありますが、京都市及び上流の滋賀県の下水道整備計画はどうなっているのでしょうか。
  80. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 京都府と滋賀県下の下水道整備状況でございますが、四十五年現在で公共下水道実施いたしておりますところの都市は、京都府下では、七市のうち京都、福知山、舞鶴、宇治の四市でございます。それから、滋賀県下におきましては市が六つございますが、そのうち公共下水道をやっておりますのは大津市のみでございます。  過去の経緯を申し上げますと、京都市公共下水道昭和五年、大津は三十七年から着手して、以後継続して事業を行なっております。宇治市は四十五年から新規事業として着手をいたしております。なお、滋賀県内の大津以外の地域につきましては、琵琶湖の湖南地域の汚濁の状況からいたしまして、四十六年から琵琶湖の流域下水道に新規に着手をする予定にいたしております。  事業実施状況は大体そういうことでございます。
  81. 樋上新一

    樋上分科員 京都市の最近の五カ年の下水道建設事業費を見てまいりますと、四十年に三十六億百万円、四十一年に四十六億五千三百万円、四十二年に五十四億円、四十三年に三十五億八千八百万円、四十四年に四十一億四千三百万円となっておるのですが、三十六年から四十四年の実績によると、国庫補助金の占める割合は二〇%にすぎないのです。残りの八〇%が京都市の負担になっておりますが、このうち市費の割合は一四%。そこで、京都市としては事業費の大部分を起債に求めてきたために、その未償還残高が四十四年末で百六十一億円という膨大な額になってきて、元利償還金も年々増加し、四十五年には十八億円に達する見込みであります。ですから、最近五カ年の下水道建設事業費を見ても、四十三年は前年より二十億近く落ちておるのです。新五カ年計画事業も、財政力の弱い京都市あたりはその執行に非常に困難をきわめておる。さらに詰めてまいりますと、現在京都市が処理している都市排水の量は、一日平均して四十九万立方メートル、四十万立方メートルはそのまま淀川に放流されている実情であるのですが、淀川の水を環境基準であるBODで三PPMにするためには、五十年には百十一万立方メートルになる予定の排水を全量処理しなければ、淀川はBODで三PPMにならぬ計算になる、こういうことになってくる。そこで、一方、水資源の確保、水質汚濁防止の見地から、公害対策基本法に基づいて水質汚濁にかかる環境基準が設定され、淀川にも目標水質がきめられ、五年以内に目標を達成しなければならないことになっているんです。また、新都市計画法の施行に伴い、基本的な都市の施策として市街化区域内の下水道整備が義務づけられておるのです。こういう状況にある京都市の実情を大臣はどうお考えになっておりますか。また、これに対して特別の配慮があってしかるべきだと思うのですが、大臣の御見解、御決意を承りたいと思うのです。
  82. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、これは京都市にとっては非常に大きな財政負担であり出して、この点については十分に自治省並びに大蔵省とも協議の上、どうしてこの問題を解決するか、今後十分に検討したいと思います。  当面の経緯並びにそれについての所見については事務当局から御説明いたさせます。
  83. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 京都市に限りませんで、大都市共通の面がかなりあろうかと思いますが、私どもは、常日ごろから、下水道事業実施にあたりましては、この財源確保の問題に一番頭を悩ましておるわけでございますが、特に、下水道専業の性格からいたしまして、いわゆる使用料を取って建設費用を償還していくということにかなりウエートを持っております。そういう点からいきますと、各都市においてもいろいろニュアンスはありますが、使用料の徴収という点においてなお努力していただかなければならないという面がかなりある。ことに京都市の場合は、他の大都市に比較いたしまして使用料が非常に安いということが現状でございます。そのことが、下水道会計を非常に財政的に圧迫している原因の一つになっているというふうに私ども承知いたしております。市の当局者の方が見えるたびに、その点なお一そう努力をして改善をはかっていただきたいというふうなことを私とも申し上げておりますので、そういう点の自治体としての努力も大いにひとつ期待をいたしたいと思います。  と同時に、これは大都市共通の問題として、この事業を推進していく上におきましての地方財政の今後の負担につきましての国としての援助、そういう面についても自治省ともよく協議をいたしまして、十分な配慮を今後払っていきたいと思っております。
  84. 樋上新一

    樋上分科員 先ほど議論になっておりましたのに逆に戻るんですけれども、受益者負担金制度について、もう少し京都市の場合と比較して御説明願いたいと思います。
  85. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 受益者負担金という制度は、現状を申し上げますと、大都市におきましてはこの制度を採用しておるところはほとんどございません。これはいろいろ理由があるのでございますが、戦前からずっと継続して事業をやってまいってきておりまして、したがいまして、戦前はそういう負担制度をとらずして下水道整備されている地域がかなりあるわけでありまして、戦後新しく整備する地域にそういう制度をとると、やはり同じ住民間において、負担のアンバランスという点から、住民の納得を得るという点で理事者としても非常にむずかしい点があるという事情もあるようでございます。したがいまして、大都市地域におきましては、そういったような事情等もございますので、私どもは負担金の制度につきましては十分配慮を払わなければならぬというふうに思っております。それにかわるものといたしまして、先ほど申し上げましたような適正な使用料を取るということについては一そうの努力をなさっていただきたいというようなことは、これは大都市共通でありまして、強く要請を申し上げている、こういうことでございます。
  86. 樋上新一

    樋上分科員 受益者負担金制度については、古い既成都市での実施は無理があるところもできているのです。たとえば、昔は取っておらなくて、いまさら取れない郷市もある、こう思うのですよ。  それはそれといたしまして、何回も申し上げますけれども、京都市は、河水の汚濁防止、都市環境整備のため必要な資金をまず建設に充てる。建設事業費を優先して進めてきたので、下水道財政はやむを得ず膨大な赤字になってきております。四十四年度末の累積赤字は四百四十六億円もかかえている。しかるに、四十四年度は国庫補助金は一四%、起債が六一%で、市費の負担が二五%と、ますます大きくなってきているのです。これら財政の悪化にもかかわらず、その必要性から飛躍的な下水道整備を行なわねばならない。相当の苦難があるのでございます。国としての国庫補助対象率のアップ等のてこ入れが私は必要だと思うのでございますが、大臣はこの点はどうお考えになっておりますか。
  87. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 新五カ年計画の発足にあたりまして、国庫補助対象率の改善について私どもは努力をいたしました結果、新計画では全体を通じまして五七%の国庫補助対象率を確保できたわけでございます。これによりますと、大都市と一般都市におきましては、先刻申し上げましたような事情がありまして、国費と起債との割合を少し差をつけておりますが、大都市補助対象も既往計画よりはかなり改善されるということが期待できます。それから国費そのものも、全体の国費の増に見合いまして、四十五年度では改善が大きく期待できるというふうに私とも思います。また具体的な各都市別の個所づけはいま作業中でございまして、京都は幾らということはいま申し上げる段階でございません。そういうことでございます。
  88. 樋上新一

    樋上分科員 私の質問はこれで終わりますが、いまいろいろ京都市の実情を申し上げました。大臣も聞いていただいたと思うのですが、これについて最後に大臣の御意見を承って終わりたいと思うのです。
  89. 根本龍太郎

    根本国務大臣 京都市の下水の整備が、京都市民のためのみならず、下流の広範な地域並びに住民の生活環境をよくするため非常に大きな役割りを演じておりますので、しかもまたいままでかなり無理をしても下水道政策をやってきた京都市に対しては、できるだけわれわれのほうでも協力をして改善の道を開きたい、こう思っておる次第でございます。
  90. 樋上新一

    樋上分科員 大臣のその力強い御答弁を承って、私は大いに期待しておる次第でございます。  以上で私の質問を終わりたいと思います。   〔大村主査代理退席主査着席
  91. 大野市郎

  92. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 大臣、いま住宅、物価、公害というものは国民の重大関心事でありまして、この問題を書けば大体国民はだれでも読む、こういわれておる、わけでありますが、特に住宅問題は、それにこたえたのでありましょうけれども、今度五カ年計画をお立てになった。総戸数九百五十万戸を政府施策で建てられる。そして来年度は六十四万四千戸でございますね、これを建てられる、こういうことでありますが、内訳を簡単に説明してください。
  93. 根本龍太郎

    根本国務大臣 実務的なことでございますから、住宅局長から説明いたさせます。
  94. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 御承知のように、第二期住宅建設五カ年計画を現在策定中でございますが、全体の建設戸数九百五十万戸、そのうち公的資金によります住宅の建設三百八十万戸ということで、残りの五百七十万戸を民間の自力建設ということで九百五十万戸の目標を達成したいという計画を策定中でございます。
  95. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 来年度六十四万四千戸の内訳は、公営で十二万五百でありますか、公庫で二十六万二千、公団で八万四千ですか、その他十七万八千、こう私聞き及んでおるのでありますけれども、公的資金によると御答弁でありますが、このうち公庫の場合には、公的資金も入るけれども、大半が民間資金じゃないですか。公的資金というのは少しオーバーじゃないですか。
  96. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 公庫の場合は、お話しのように民間で住宅をお建てになる方に対しまして低利資金を供給いたしまして、適正な住宅を適正な収入階層の方に供給するという目的で低利融資をしておるわけでございますので、公的資金だけという意味で公的資金住宅ということを申し上げたわけではございません。何らかの形で公的資金の援助を必要とする階層に公的資金を供給して建てていただくという意味の公的資金でございます。
  97. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 労働者の住宅に対する要求も、大体五カ年間で一千百万戸。それを労働者の側では何とか政府資金によってつくってくれ、こういうことなんであります。数の上では九百五十万戸、片一方は一千百万戸だから、まあいいところをいっているだろうと思うのでありますが、その内容はといえば、相当な開きがあると思うのであります。公営の場合でも家賃が非常に高いし、また、公庫の場合には、大体三分の二くらいが自己資金で建てなければいかぬ。しかも、いまの地価の値上がり、建設費の値上がりという中では、実際においてこれは実現がむずかしいのじゃないか。政府は計画を建てられたけれども、少し無責任な計画ではないだろうか、こう思うのですが、どうです。
  98. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 ただいまお話しのような面は確かに計画内容にございます。しかしながら、われわれとしましては無責任な計画を立てたということにはならないわけでございまして、そういったいろいろの条件を勘案いたしまして第二期計画をきめまして、これからの五カ年間にあらゆる施策を動員してこの計画が達成できるように——もちろん現在の条件のままでこの戸数が達成できるわけではございませんので、今後この計画を実際に達成するためのいろいろな努力が要るということは十分承知しておりまして、これからもその努力を続けたいということで考えておる次第でございます。
  99. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 そこで、政府の資金でもっとよけい資金を出して、そして住宅問題の解決に進んでもらいたいと思うのでありますが、それにしても、この住宅問題の場合、新聞等では欠陥住宅というような形でいろいろと問題が出されておるわけであります。昭和三十九年には、都下の清瀬町において、プレハブ工法による都営住宅に重大な欠陥があるというようなことでだいぶトラブルがあった。その当時は東都知事時代でありますが、都は住居者との話し合いでプレハブを採用しないという約束をさせられたということがあるやに聞いているのですが、御承知ですか。
  100. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 当時プレハブ工法についていろいろ問題がございまして、欠陥その他問題があったことはよく存じております。具体的に東京都のただいまお話の個所において、その後どういう約束で契約はしないという約束がされたかというような具体的な事実は存じておりませんけれども、ただ、われわれといたしましては、現在非常に遺憾に思いますのは、プレハブということばが、非常にお粗末な欠陥のある住宅というような感じで使われておるように感ずるわけでありまして、われわれといたしましてはプレハブというのは、工業化されたといいますか、現場施工の前に工場で出産されたパーツが多いという住宅を技術的には考えているわけでございます。実は、先般の子算委員会でも、プレハブ校舎ということばが非常に使われましたので、あの場合に使われておりますプレハブ校舎ということばは、われわれから見ますと仮設のプレハブ校舎ということで厳密に規定していただきたいということを文部省にもお願いいたしたわけでございますが、プレハブと申しますと、たとえば霞ヶ関のあの三十六階ですか、高層建築も実はプレハブ部分をできるだけ多く取り入れて、工費の低減化をはかるという意味のプレハブ化を進めているわけでありまして、一般的に欠陥プレハブとかいうことばで、今後のわれわれの住宅生産の工業化につきまして悪影響のないように、プレハブというようなことばにつきましては、仮設のプレハブと純粋の住宅生産の工業化の問題と、われわれとしては今後できるだけはっきり区別して住宅の生産の工業化を進めたいということを考えておるわけでございます。
  101. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 いまそのことばの定義を述べられても困るのでして、いわゆるプレハブということで論を進めないことにはこれは進まぬわけです。それならば、皆さんのほうで、こういう場合はこういうふうに呼んでくれというのをはっきりしてくれればいいが、いまここでそのことばの定義を論争してもしかたがありません。それで、いわゆるプレハブということで御質問をいたしますが、そういうことで御答弁を願いたい。  昨年二月に国会でも質問があって、プレハブの欠陥住宅について実態調査をやったということを聞いておるのですが、おやりになりましたか。
  102. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 ただいまお話のございましたように、昨年の国会で欠陥プレハブということで御指摘がありまして、そのときはいろいろ実例その他を委員会でお示しになりましたので、われわれとしても早急に調査をいたしますということでお答えいたしまして、その後、昨年四月、五月にわたりまして指摘されたような事項を含め、全プレハブ業界につきまして調査を実施いたしました。
  103. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 その結果はまだ公表していないようでありますが、その概要をここで説明を願いたいのです。
  104. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 調査のしかたから申し上げますと、それは都道府県の建築主管課を通じまして各プレハブ業界、それからそのプレハブ工法の実施に当たります現場施工に当たりまして調査をいたしたわけでございまして、数字的に申し上げますと、全体でプレハブの工場を調査いたしました件数が九十二、そのプレハブ工法でやっております現場を調査いたしました件数が百七ということで、相当力を入れて調査をしたつもりでございます。それでこの結果につきましては、それぞれ調査をいたしました都道府県から御報告を得まして、われわれのほうで分析をいたしておりますので、一応の結果は出ております。ただ、これは一般的に公表することが適当かどうかという点についてはまだ検討の余地があろうかと存じて、まだ対外的には公表はいたしておりません。
  105. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 だから、この集計をされたわけでしょう。皆さんのこの書類から見ると、工場については、昨年の五月十五日までに終われ、現場については五月三十日までと、こう期限を切って指示をしておられるわけでして、ずいぶん今日まで時間がたっておる。もう集計が終わっておると思うのですが、——集計は終わっておるのですね。
  106. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 集計が終わっているかという御質問でございますけれども、調査の目的を達成するためには、単なる数字の集計だけでは目的を達成しないわけでございまして、この内容の分析をいたしまして、その結果どういう今後の改善策を講ずればいいかということでございます。  そういうことで、ちょっと舌足らずかと存じますので、具体的な例で申し上げますと、いろいろな調査をいたしましたが、全体として、いわゆる当時御指摘を受けましたプレハブについての欠陥という問題でございますが、大きく分けて、そのプレハブの生産されます工場におけるいわゆる欠陥、それから現場施工のために、実際の住宅を建てた場合に欠陥としてあらわれてくるもの、この両者があると思います。したがいましてこれを、両方を分析いたしましていろいろ内容を検討いたしておりますが、非常に技術的な問題でありますので、簡単にここで御説明申し上げるわけには時間の関係でいかないと思いますけれども、一例を申し上げますと、たとえば工場生産の中におきまして、つり上げの金具の埋め込みが足りないではないかというような一例がございます。また、現場においては、基礎と実際のプレハブ住宅を建てる場合のズレが出てくる心配があるというような、非常に技術的にこまかい点がたくさんあるわけでございまして、これを量的に、こういう欠陥が幾つあるということを集計することは、現在の階段では、まあ無意味とまではいきませんけれども、ちょっと意味のないことになると思いますので、われわれとしては、こういう結果の分析をもとにいたしまして、それぞれの関係都道府県の建築担当部局あるいはそれぞれの協会等を通じまして、それぞれ業界を指導すれば足りる、あるいはそれによって是正の目的が達するというふうに現在の段階では考えておる次第でございます。
  107. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 私、その考え、ちょっと狂っておるんじゃないかと思うのですね。かりにある個人が家を建てるとすれば、皆さんが一々一軒一軒監督をしてくれるわけじゃないのであります。また、こういうことは建てる本人自体がやはりいろいろと知っておらにゃいかぬ。国民には知る権利があると思うのです。また、皆さんの、ある意味でいえばなれ合いのような形で業者と皆さんとが話し合えばそれで済むなんという、その考え方が大体狂ってるんじゃないですか。それはいわゆる役人天国の社会でそういうことが言えるのであって、なぜ国民にそれを知らせては悪いんですか。まあ、皆さんのところから御説明を願ったお話を、私的な場合かもわかりませんので、ここであまり私は申し上げたくないのですけれども、プレハブのことを発表すると、欠陥の問題を発表すると、これが悪い、ほかのものがいいんだ、こういうふうに誤解をされても困るとか、調査のしかたに主観的な問題があるのでこれができないんだとかおっしゃるけれども、皆さん、この調査要領はちゃんとここに実際に出しておるじゃないか。これを皆さんごらんなさい。「調査結果は、建設省において集計分析する。」こうなっている。集計、分析したら、それをやはり国民の前に出して、そして業者はそれに答えてやればいい。それを皆さんがなれ合いで、通知をしただけで事が済むなんという考えを持っておったら、これは大間違いだ、とんでもないことだ、こう思うのですが、大臣どうです。
  108. 根本龍太郎

    根本国務大臣 プレハブの問題は、いま御指摘になったように、従来、ほんとうの意味のプレハブではなく、仮設の……。
  109. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 ことばの解釈をやったらしようがない。
  110. 根本龍太郎

    根本国務大臣 それはそうだけれども、これは政策に重大な問題があるから申し上げるのです。現在のように労務者が非常に足らなくなって、特に大工さんとか左官とかだんだん少なくなるときに、プレハブ工作というものは政策としてやらなければならぬ。工業化しなければならぬ。そのために規格もやっておるのです。ただ、それは、いままでの欠陥があるプレハブと同一にされるというと非常に国民的な誤解が出てくるから、この点を明確にするということを言っておるわけです。  ところで、その欠陥のあるものについては、是正すべきものは是正させるということについては同意見です。したがいまして、単に、業界のほうに、おまえのところはここが欠陥があるから直せというふうに指導するしかたもありますけれども、これはどこそこの会社がどういうものだということを言えば、これはいろいろ問題があろうと思いますから、検査の結果、従来のいわゆる仮設プレハブの住宅ではどこそこに欠点がある、あるいは部品のどこに欠点がある、あるいは組み立てのどこに欠点がある、あるいは基礎とそことの関係で欠点があるというようなことは、分析した結果は公表して差しつかえないと思います。
  111. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 私も全く同感です。そういう中で当然業者のほうもその欠陥を直していく、趨勢としてはだんだん省力的なやり方をしていくということは当然であるし、皆さんのほうでも、今後二〇%ぐらいはプレハブにするという方針を立てられておればこそ、なおさらそういう問題をはっきり国民の前にも示して、その上で業者のほうも、工場のほうも真剣にそれに取り組んで、よりいいものをより安く供給するという体制を指導されるのが私は当然だと思う。それをいまのような、お役人さんだけが知っておって、国民には目をつぶらしておくという考え方に立つならば、これは大きな間近いじゃないか。いままでもよくあった。そういうことではいかぬのであって、それを公表されるなら、いつ公表されるのですか。もう時間的にはだいぶたっておるのです。いつ公表されるのですか。
  112. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 実は、お話しの趣旨、われわれも十分承知しておりまして、そういった面も確かにあると存じます。ただ、御承知のように、プレハブについての今回の調査の結果を見ますと、非常に技術的な問題が多いわけでございまして、これについてはたくさんございますので一々申し上げませんが、工場生産の面における欠陥につきましては、われわれの調査の結果、その場で改善の指導をすればすぐ直ってしまうという面がございます。また、現場についても同じような問題がございまして、たとえはアンカーボルトの締めつけが不良じゃないか、これは今後こういった締めつけ方でやっていかなければいかぬじゃないかということを指導すればその場で解決するような問題がたくさんございます。そういった問題は、これはその場の指導で解決できますが、やはりお話しのように、この調査の結果をそのまま数字的に公表して、何の会社のどこが悪かったというようなことを公表しても、その後の改善があまりすぐ行なわれた場合にはかえって企業にマイナスを与えますし、あまり意味がないのではないかという気もいたします。したがって、われわれといたしましては、プレハブ住宅を今後消費者が使う場合にはどういう点に着目して、どういうメーカーについては、そのプレハブ住宅を購入する場合にはこういう点に着目して、できるだけ安いいいものを買えるようにというような点で、プレハブの需要者に対する指導手引きのかてとして、何かそういったものを——消費者の方がそれを見れば、プレハブのこういう点があぶないんだな、あるいはこういう点は安心していいんだなということがはっきりわかって選択の目を開くといいますか、そういった面で努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  113. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 どうも私の質問に答えていないのでありまして、大臣がおっしゃるように、やはりとの工場がどうだなんということを私は言っていないのです。皆さんこれは都道府県に対する通達で、その要領の中で、やはり集計をして、そしてこれはどういう傾向にある、これならばこういうところを注意をし指導すれば直るとか、将来よりいいものをつくるための参考としてこれは調査を命じたのだろうと思う。その命じたものが、もうこれだけの期間たてば、それが分析をされ、ある程度の回答が出て、そして国民にも、こういう傾向があったが、こういう指導でこうなったと言うなら言うで発表されればいいのであって、皆さんの課長クラスのところで政治的な判断を加えないで、こうやれば業者が困るとか、いや庶民が困るとかいうような政治的判断は大臣のほうへおまかせになればいいことである。皆さんのところで、役人の段階でそう政治的判断をしてもらっちゃ国民が困るのでして、いつ発表なさるのです。
  114. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 われわれ決して政治的な判断をしているわけでございませんので、先ほど申し上げましたのがちょっと舌足らずだったかもしれませんが、もっぱら技術的な内容でございますので、その中では都道府県にその後の是正措置を命じて、都道府県を通じて是正措置の結果についてまたあらためて報告をもらうということで事足りる面が多分にございます。そういった面につきましては、都道府県にあらためて調査の結果についての指導の結果どうなったかということを報告を求めて、それによって全体の報告をまたあらためて分析していくということで考えている段階でございまして、プレハブについてのこういった全体的な調査というのは今回が初めてでございまして、まだ、この調査だけで個々のそういうものについて結論を出すのはわれわれとしても自信がございませんし、まだ早いのではないかという気持ちを持っているということでございます。
  115. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 私は、あなたの話を聞くとどうもますます疑惑を深めざるを得ないのでして、これは昨年の四十五年の四月九日に下におろしているわけです。それで、先ほど言ったように、五月十五日までに工場については報告しろ、こう言っておるのです。そしてこれをやる目的は、ここで書いてあるように、やはりいままでのいろいろな欠陥を見つけて、その傾向を見つけて、そしてそれを指導して、よりいいものをつくっていこうということだと思うのです。それを何かそういうことはマイナスになるみたいな——これだけのエネルギーを費やして各都道府県に命じて、これは国民のために何になるのです。しかも、次にまたそれを返して、何かまた再調査を命じたという話だが、それならその資料を出してください。皆さんのほうは、私のほうで調べてこれをやると言って、そういう資料があるだろうと言ってもなかなか出さない。これはついさっき、十分ばかり前に持ってきたばかりなんですよ。きのうから要求しておるのに、つい朝持ってきた。そのときに足らないで要求したら、私が始める十分ばかり前にこれだけを持ってくる。こういう形で、国会にまでこれだけ真実を知らせないように知らせないようにあなたたちがしておるとすれば、国民にこの欠陥の真実を知らせるなんという意思があるとはわれわれはとうてい思えない。大臣、そういう点、少し役人の態度に私は注意をしてもらいたいと思う。
  116. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま私問答を聞いておりまして、事務当局は何ら他意はないと思いますけれども、はっきり私申します。欠陥についてただ技術的にいろいろのこまかいことを言ってもわからないようなことを発表することはたいした意味がないとするならば、私からあらためて指示をいたします。調弦の結果、いわゆる仮説プレハブの従来の欠点、調査結果に基づく欠点はどこどこにあるか、それは工場内におけるやり方の欠点、あるいは工法上の組み立て上の問題だというふうに、一般の住宅需要者が関心を持たれる問題を調査の結果に基づいて集約して公表することと、それについて今度は、改善命令、改称のための指導をした結果どの程度改善されたか、これを概括的に資料をまとめて公表するように、少なくともあなたの手元にはっきり出すように指示いたします。それにどれだけの時間がかかるかちょっと私わかりませんが、それは出します。それと同時に、先ほど私が申し上げましたように、こうしたいわゆる簡易な仮設プレハブと、それから本格的にいま進んでおるプレハブとは混同しないように、明確にこの点も指示しておかないと誤解を招くから、その点をいたさせます。
  117. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 そこで局長、大体いつごろ集計できますか。
  118. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 ただいま大臣が申し上げました範囲の資料で、われわれ調製できます資料はできるだけ早く出しますが、大体本年度内にいま大臣の御指示になりました資料はそろえられるだろうということであります。
  119. 阿部助哉

    阿部(助)分科員 これは昨年二月の国会で問題が提起されまして、それから皆さんは調査を命じたわけですよ。本来なら、国会で問題になったのだから、せめて次の通常国会には、やむを得なければ中間報告でもいいから、ここに皆さんは報告するというのが当然のことだったと私は思うのですよ。それをいま大臣からお話しがありましたから、私はこれ以上言いませんけれども、いままでどうだこうだとか、いや影響が多いとか、これをやったら業者が困るとかみたいな心配ばかりが先に立ってこういうことをしておられないというあたりに私はより大きな問題があると思うのでして、これではかえって欠陥住宅——これは二月の九日ですよ。読売新聞をごらんになっておるでしょう。「多摩ニュータウンに欠陥住宅」こう大きく出ておる。しかも「工期急いだプレハブ工法」となっておる。そうすればなおさらそういうものを早く発表することによって——将来の動向は、大臣のおっしゃるように、安上がりに、しかもよりいいものを省力的にこれをやっていこうということですから、こういう方向をとっておればなおさらのこと、皆さんとしてはこれを努力をし、しかも都道府県にまでこれを命じて、たいへんなエネルギーを使ってやったものを、これをやれば影響があるみたいな皆さんの政治判断でこれをやらないなんということは、私は何としても承諾ができませんけれども、大臣のお話を信じて、ことし一ぱいなんということじゃなしに、もう庶民は住宅問題にほんとうに悩んでおるわけですから、もっともっと早く公表されることを私は期待して私の質問を終わります。
  120. 大野市郎

  121. 多田時子

    多田分科員 きょう私は建設大臣に、道路の問題と河川の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。  現在の道路行政といいますか、これは大きな問題ですが、簡単に建設大臣から御答弁をいただきたいと思うわけでございますけれども、御承知のとおり、国道はもちろんのこと、地方市町村道に至るまで最近の交通渋滞というのは目に余るものがございます。また、日々、月々、年々それが重なるばかりでして、交通事故等もふえております。ことしに入ってからもうすでに二千名を軽くオーバーする交通事故死者を出しておる、こういう実情でございます。そういう交通渋滞を解消し、あるいは交通災害をなくすために、いろいろ今日までも議論をされてきたわけでございますけれども、結論といたしましては、建設省当局の道路行政、そうしたことに大きな期待をかけなければならない。結局、適切な道路を設置して、その道路をいかに有効に使うかということで道路行政は住民の福祉に寄与するという結果になることだと思うわけでございます。  そこで、建設省としましても第六次道路五カ年計画ですか、こうしたりっぱな計画を立てられまして、しかも十兆三千五百億という多額の予算を組まれまして、鋭意これに対して努力をされておるということでございますけれども、巨額の予算を投入してこの道路行政が計画どおりに進んだと仮定いたしまして、今後の交通渋滞、あるいは交通災害、あるいは交通公害とも言われますけれども、こうした問題に対してどれだけ実効があるか、またどういう目途を持ってその計画を組まれたか、その計画とその実効、あるいは成果ということについて、建設大臣から、大まかな問題ですがお聞きしたい。
  122. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、日本の最近におけるモータリゼーションが非常にスピーディーであるために、道路計画が進んでまいりましても、依然として渋滞の状況、あるいは交通事故が多い。これはまことに遺憾でございます。これは道路整備ができたために交通災害その他がなくなるかというと、必ずしもそうじゃないのですね。むしろ大部分は、ドライバーのマナーと申しますか、姿勢と申しますか、他人のことを考え——ドライバーマナーがよくなれば相当程度これが整備されるのです。ところが、これは私のほうの所管じゃなくて、あるいは警察庁、あるいはまた最近では学校の教育からやらなければならぬとまでいわれておりまするけれども、しかしながら、それを言っておって他に責任があるというようなことを言ってはなりませんので、われわれのほうとしては、道路政策上できるだけそうした問題を解決するために努力しておるわけです。すなわち、都市周辺におきましては、ある場合においては鉄道を、これは私鉄も国鉄も含めて立体交差を整備していく、あるいはまた、道路自体の立体交差を進めていく、あるいはまた、都市の再開発をやりまして、この渋滞状況を整備する、こういうような方策。あるいはまた、地方におきましては、道路整備したために交通事故が非常に多くなってきておるということがございます。これは、先ほど申したように、まず第一にドライバーのマナーをよくすると同時に、今度は道路規格を従来以上に改善いたしまして、主要なところのものにはほとんど全面的に歩道をはっきりつける、かつガードレールも設備していく、そういうふうなことでこれは解決していきたいと思いまして、道路整備新五カ年計画のほかに、道路安全施設等の計画もこれに関連させ、あるいはまた、いまの立体交差、踏切の安全施設の整備というようなことを進めておるのでございます。ただ、これによって何%やるかとか、どれだけやるかということは計数的には申し上げかねますが、かなうの程度交通渋滞あるいは交遊災害を減らすことができると考えている次第でございます。
  123. 多田時子

    多田分科員 いま概略の御説明でございましたけれども、いままでの道路行政といいますと、もちろんいまお話があったわけですけれども、どちらかといえば道路をつくりさえすればいいというふうな傾向があった。これは極端な言い方かもしれませんけれども、やはり道路行政といえども、根本課題は何といっても住民の福祉または人間尊重だと思うのですが、公共性という名のもとにある程度住民が被害を受けていくというような場合もなきにしもあらずであったわけなんです。これは昨年私もその請願に御一緒いたしましたので、建設大臣よく御存じなわけでございます。そうした陳情とか請願がいろいろありまして、そうしたものをよくよく御検討の上で道路行政がなされている、あるいは予算も組まれている、こういうことだと思うわけでありますけれども、昨年の九月に建設大臣に請願をいたしました国道二四六号線、この二子橘付近はまた最近さらに悪化をいたしまして、どうしようもないというところに現在来ているわけでございます。この問題につきましては、その建設大臣に請願をいたしました際にも、たいへん前向きな御答弁をいただいておるわけでございますけれども、これに対して、二四六から途中分かれて神奈川に抜けるバイパスができるということでございますけれども、この問題の実施段階は、現在どのような計画でどのように実施計画が組まれているものか、その点についてお尋ねいたしたい。
  124. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは非常に実務的なことでございますから、道路局長から御説明いたします。——いま呼び出しがおくれたそうでございまして、来たらすぐに答弁させますから、もしできましたら、ここに河川局長がおりますから、河川関係からひとつ、たいへん恐縮ですが……。
  125. 多田時子

    多田分科員 河州問題は最後にと思っておりましたが、それでは……。  二子橋付近の多摩川の堤防に関することも、これも昨年請願をいたしているわけでございますけれども、いまだに私納得できませんことは、堤外地に多数の民家があるということ、しかも、民家どころか七、八階建てのビルができているということ、この問題は、河川保全区域に指定されているというふうに伺っているわけでございますけれども、これは不法占拠というふうにいえるのではないか、こんなふうに考えるわけでございます。この問題がどんなふうに許可をされてあれだけのビルが建ったのか、市街地としてぐんぐん発展していくわけでございますから、その辺についてどのようにお考えか、また許可されているとすれば、こういういきさつによって許可されたものか、その点についてお尋ねしたい。
  126. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先生のいまお話の地点は、多摩川の二子橋の上下流左岸にいろいろ民家あるいは鉄筋コンクリートの建物が建っておりますが、そのお話であろうと思います。この付近につきましては、実は、昭和の初めごろに現在の堤防を築造したわけでございます。その当時は川魚の料理等を営む方が相当ございまして、前に堤防ができると営業等に差しつかえるんだというようなことで、ぜひうしろ側に堤防を引いてくれろ、こういうような意見が非常に強くございまして、その結果現在のような堤防の法線をとっておるわけでございます。したがいまして、本来なれば現存のような問題がなくてすんだわけでございますが、そういったようないろいろな経緯がございましたので、この河川につきましては、四十一年に多摩川は一級河川に指定をいたしております。それまでは都が管理をいたしておったわけでございますが、いろいろ検討いたしまして四十四年の九月十七日に多摩川筋の河川区域の告示をいたしておりますが、そのときには、現在の民家のあります地域は河川区域からはずしております。したがって民地になっておるわけでございます。堤防の中に民地があるというような形になっておるわけでございます。ただし、旧法ともつながりがございますので、これにつきましては、河川の保全区域ということで、今後新築なり改築をするときには制限を加えるというような趣旨で現在臨んでおるわけでございます。あそこの二子橋の直上流に大きなビルが建っておるわけでございますが、これにつきましては、民地でございますので、河州の堤防等に直接影響のあるようなものはつくってはいけないというようなことで、堤防の護岸等につきまして、あの建物の周辺の堤防を補強させたり、そういった条件をつけまして許可をいたしておる、こういうようなことが実情でございます。
  127. 多田時子

    多田分科員 いまお話しのように、ずっと堤内地に堤防があるわけでございますね。考えてみますと、これはいろいろな角度から言えると思うのですけれども、一つは、たとえ民地といえども、堤防の河川保全区域として指定されている場所にあれだけの民家が密集しているということを考えれば、河川局の方々にお話を承りますと、いざ水害というようなときにはというふうにおっしゃいますが、この精神からいきますと、堤防の中側に民家があるということは、まず第一に人命問題、もし水害があったときにはそこの人たちはどうするだろうかということが考えられます。人命を守るという立場から考えますとたいへん危険であると思います。もう一つは公害の問題も考えられるわけです。といいますのは、いわゆる堤内地にあります堤防がずっと道路に面しているものですから、一車線でたいへん交通量が激しい。これは最近調べたところによりますと、一時間に一千台、一日に一万二、三千台、各一車線でたくさんの車が通行しているわけでございます。これが走っておりますと公害の心配はあまりございませんけれども、そこで停車をしておりますと、その付近一帯はたいへん排気ガスで悩まされている。最近はまた新たなぜんそくが起き始めたなんというふうな心配も住民はしているわけでして、こうしたいわゆる交通公害という面から考えても、その堤内に大きな堤防があるということはどうも納得ができない。また、もう一つの問題は、そこに交通事故がたいへん多いというような問題、その車が一車線ずつなものですから、歩きますときにはもう車とすれすれで歩かなければならない。こういう交通公害という、また交通災害という立場から見ても、この表といいますか、堤内地に張り出しました堤防は全く無意味ではないか。  そこでお尋ねしたいわけなんですけれども、以前から、いまの堤外地に堤防ができたら、それは無用の長物であるから撤去をすることも考えられるというふうなお話でございましたけれども、その点、現時点においてはとのようにお考えかをお尋ねしたいと思います。
  128. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほども申し上げましたように、いろいろな経緯をとりまして現在のような堤防の法線になったわけでございます。その後の河川管理の問題もあったろうかと思います。案外、家が建つ前にいろいろ処置するというようなことも当然考えられたんじゃなかろうかと思いますが、しかし、そういった既往のことは別といたしまして、現在の時点であの地域を見ますと、私ども河川を管理する立場かましても非常に不自然な形をとっております。ああいった例は全国でも非常に少ない例でございます。たまたま見ますと河積的にも余裕があるようでございます。これにつきましては、河川と申しますのはやはりできるだけ広いほうが水の遊ぶ量も多くなりますので、安全度からいけば際限のない話かもしれませんが、全般的な多摩川の現状を見ますと、あの人家の前にむしろ堤防を持っていってもいいんじゃないかというような気がいたします。したがいまして、これにつきましては、流量等の今後の増加に対するどういう点を計画すればいいかとか、いろいろ技術的な問題はございますけれども、現在の管理の状況よりははるかによくなるだろう、こういうような考えから、先般関東地方建設局が直接工事をやったり、管理をいたしておりますので、ひとつ堤防を前に申す方向で検討しなさいということを指示いたしました。この計画につきましては、現在五カ年計画にも入っておりませんので、いつからどうするかということにつきましては現在の時点では申し上げられませんし、なお堤防の線をとういうふうに入れるか、これによってまた郷側の人家等に多少また差しさわりのある面も若干は出てくるのではないか。まるまる瓶の外に出すというわけにもまいりませんので、そういった点がございますので、今後少し検討さしていただきたいと思います。方針とすれば前に出して、あの人家を大体堤防の中に囲うというような方法で進めていきたい、こういうふうに考えております。
  129. 多田時子

    多田分科員 そうしますと、気持ちはあっても時日はいつになるかわからないということ、いまの御答弁内容ですとそうなると思いますけれども、いまの五カ年計画にも入っておらないというお話でございますし、そうした場合に、先日もちょっとお伺いいたしましたけれども、堤防の形を若干でも下をすぼめるということですね。両方の出っぱりを切って形を整える、そうして幾らかでも現在の交通緩和に寄与するというようなこともちょっと伺っておりますが、その点はいかがでございますか。
  130. 川崎精一

    ○川崎政府委員 一度あの二子橋の上流等では電柱を撤去いたしましたり、堤防ののりじりを多少整備して石積みを積んだりというような軽微なことは極力しておるやに聞いております。ただ、全般的に、ただいま先生のおっしゃるようなことにつきましては、やはりできるだけ前の堤防を早く補強をしてからやりませんと、最近取水が非常に少ないので、あの高水敷が非常に商いものですから、そういった点では普通よりは安全度は商いわけでございますけれども、やはり万一のことを考えますと、いまのままでさらに堤防を少し縮小するというようなことがいいとは決して印せませんので、そういった対策と並行してやる必要があるのではないか、こういうふうに考えます。
  131. 多田時子

    多田分科員 そうしますと、いまの問題は直接は関東地建ですか、そこがおやりになっているということでございますか。
  132. 川崎精一

    ○川崎政府委員 堤防の管理並びに工事等につきましては、直轄で管理いたしておりますので、関東地方建設局が担当いたしております。ただ、お話のいまの堤防と多摩川の遊園地の間を走っておる道路だと思いますけれども、この道路との問題につきましては、河川だけの立場とか道路だけの立場ということも変でございますが、やはりあの辺の交通量をどういうふうにさばくか、それからそれぞれの公共事業の優先性をどういうふうにするか、いろいろ総合的な判断の上に立って検討する必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えます。
  133. 多田時子

    多田分科員 河川の問題は以上にしまして、道路の問題を伺いたいと思います。  先ほどもお尋ねしておりましたことですけれども、堤外地に多数の民家がある、ビルが建っておるという問題については、河川保全区域に指定されている区域のことですので、それが不法占拠にはならないかという問題と、また許可されているとすれば、そのいきさつ。これは先ほど伺ったかもしれませんが、その問題についてもう一度お聞きしたいと思います。
  134. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、これは純然たる民地でございますが、やはり河川の堤防内にございますので、旧法の精神を受け継ぎまして、河川の付近地の制限を課しておるわけでございます。
  135. 多田時子

    多田分科員 二四六国道の問題に移りますが、バイパスができることになっているようでございますけれども、この決定をされた時期と着工の時期、それから完成予定の時期、そしてまた、これに対して事業費を概略どのくらい見込まれているものか、その点についてお尋ねいたします。
  136. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 国道二四六号線の多摩川地区におきますバイパス計画でございますけれども、二子橋周辺がたいへん交通が混雑しておりますので、この交通混雑を解消するために、現在の二子橋の上流に新しい橋を架設いたしまして、川崎市内を含めまして四車線の道路をつくる計画でございます。これはすでに調査を完了いたしまして、四十五年度、今年度から月地質収に着手しております。四十六年度には橋の工事に着工いたしまして、昭和四十八年度に橋を完了したいというふうに考えております。ただ、橋を渡った向こうの川崎市内でございますが、これも高架橋で渡ることになりますけれども、この用地買収がなかなか難航しておりますので、これはちょっとおくれようかと思いますが、橋そのものは四十八年度に完了することになっております。
  137. 多田時子

    多田分科員 完成予定の大体の時期あるいは概略の事業費等がいま漏れていたようでございますが……。
  138. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 いま申し上げましたように、東京都側につきましては四十八年度末に完了するつもりで、現在、橋を含めまして計画中でございます。その事業費は、ちょっと調べさせていただきます。  それから、川崎側につきましては、いまほど申し上げましたように、密集地帯を通りますので、用地買収並びに補償等に相当手間どるのではないかと思いまして、現在のところは全力をあげてやっておりますけれども、この五カ年計画内、つまり四十九年度までの完了はむずかしかろうと考えております。——建設費は百三十五億円でございます。
  139. 多田時子

    多田分科員 御承知のようにたいへんな交通渋滞を来たしておりますけれども、二四六号線二子橋付近の一日の交通量、それからバイパスが完成しましたときの交通量、その点についてどの程度に見込んでおいでになるかお尋ねしたいと思います。
  140. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 二子橋付近におきます四十三年度の交通量が出ておりますが、一万五千台でございます。現在時点の資料の手持ちがございませんが、二万台近くになっております。完了します昭和四十八年度におきましては三万台近くになると思います。
  141. 多田時子

    多田分科員 この問題は以上にいたしまして、この地元の人たちが、この道路開通という告示を受けましてからいろいろ憶測を重ねたりしているわけでございます。確かに、いま南の玄関といわれるようなところで、土地への執着はたいへん強いものがあるようでございます。この用地買収の問題に対してはたいへん御苦労をしていらっしゃることだろうと思いますけれども、私どもにいろいろ問題を持ちかけてくるという方たは、むしろそうしたところを超越して協力したい、協力しようという態度の方のほうが多いわけです。一部反対の方もいるようでございますけれども。そこで問題になってくるのは補償の問題でございます。補償というものは、一体告示の時点でその価格が決定されるものか、あるいは立ちのく時点、その現在時点においてそれが考慮されるものか、その辺の補償価格の設定についてお尋ねしたいと思います。
  142. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 従来私たちが用地買収をいたしますときは、少なくも数人の土地鑑定員に土地の鑑定をしていただきまして、鑑定評価したものをもとにいたしまして建設省の用地価格とするわけでございます。その時点と申しますと、用地買収の発表を行ないます、つまり地元と用地の交渉を開始する時点の価格というふうに考えております。
  143. 多田時子

    多田分科員 土地収用法等によりますと、何か告示の時点というふうに考えられるように思っておりますが、いまのお話によりますと、立ちのく時点においてということでございますが、そのとおりでよろしゅうございますか、再度お尋ねしたいと思います。
  144. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 間違えましたので訂正いたします。土地収用をする場合は、事業認定を行なった時点における価格ということになります。
  145. 多田時子

    多田分科員 事業認定といいますと、告示の前になりますか、あとになりますか、その点いかがでございましょう。
  146. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの国道二四六号線の多摩川地区におきます件につきましては、都市計画決定はしておりますが、都市計画事業でございませんので、事業実施する時点、つまり予算が成立して審美を実施する時点における価格ということになっております。
  147. 多田時子

    多田分科員 そうしますと、告示という時点と前後するかどうかということなんですが……。
  148. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 どうも私、内容は詳しくないので失礼いたしましたが、事業認定の時点における価格であることは間違いございませんが、その道路につきましてはまだ事業認定を行なっておりませんので、予算のつきました現在時点では任意交渉に入っております。任意交渉の値段ということになりますと現在の価格ということになろうかと思います。
  149. 多田時子

    多田分科員 時間がありませんので先へ進みますが、いまの問題は、現在時点の、任意交渉の段階において行なわれるというふうに解釈をしたいと思います。  最後に、これも大事な問題なんですが、残地収用の補償の問題でございますけれども、土地も家屋も自分のものという場合もありますし、家屋だけ自分のもので土地は違うという場合もありますし、あるいは道路が横切りますと三角形の変な土地が両わきに残るという場合もございますし、この土地収用の問題はたいへんな問題をかかえているかと思われます。また、住民にとりましてもその問題は一番切実な問題ではないか。したがって、こういう問題は、計画がきまったら早く知らせてもらいたい、同時にまた金額も早く教えてもらいたい、それによっては自分のこれからの生活設計も立てなければならない、こういうふうに問題がたいへん入り組んでおりますし、切実な問題でございますし、住みなれたところを放して、なおかつそれでも協力をしようという態度で臨む人たちには、この点に対しては納得のいく補償が行なわれなければならない、このように考える一わけでございますけれども、この残地収用に対する補償が、いままでのいわゆる計画の中に入ります土地と同時に設定された価格で行なわれるものか、あるいは何%割り引くなどというふうに考えられるものか、この点についてお伺いしたいと思います。
  150. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 残地の補償につきましては、ケース・バイ・ケースによって取り扱っておるわけでございまして、たとえば残地が非常に小さくて、そのために価格が著しく落ちるというような場合に、買い取ってくれというような要求が多いのでございます。その場合には残地の補償を行ないまして——買い取らずに、補償を行なうことが多いわけでございますが、残地が非常に多くございまして、それが利用価値が高い場合に、主として公共の用地として使用できる場合には取得することもございます。ケース・バイ・ケースによってきまるわけでございます。いずれにしましても、御指摘のように、できるだけ早くお知らせいたしまして、そういう御要望があれば十分聞いて処理したいというふうに考えております。
  151. 多田時子

    多田分科員 時間ですので質問を終わりますけれども、土地収用の問題が最後に一番難問題として残る問題でないかと思います。残地補償の問題、それからどうしてもその土地を手放したくないという人も中にはおろうと思います。こういう場合には代替地を心配する等々——現在約六十、七十くらいの家族の方々がその点をたいへん心配をいたしまして、道路ができることはけっこうだけれどもその点がたいへん心配であるというふうに申しております。この点についての当局の懇切丁寧な個々折衝、そしてまた補償をよろしくお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  152. 大野市郎

    大野主査 午後四時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後四時二分開議
  153. 大野市郎

    大野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。勝沖芳雄君。
  154. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣、私は特にこの道路公団関係を聞きたかったわけでありますけれども、何か道路公団は参考人でなければ呼べない、分科会には出られないということになっているそうでありますから、むずかしい問題は、また問題もこまかくなるので、これはあとで道路公団のほうに聞くことにいたしまして、一応基本的な問題だけ、道路公団にこういう問題があるということだけお知り願いたいと思って御質疑させていただきたいと思います。  最初に、この東名高速道路の最近の交通量の実情なりあるいは料金の実績を見てみますと、相当当初の見込みよりも、予定よりも、計画よりも交通量の実績が上回っております。こういうふうにしてみますと、やはり私は、計画よりも早く収入があがるならば、当然有料を無料化にするとかという問題が出てまいりますし、あるいはそれはそれなりに計画どおりでいいというならば、料金をもっと下げるという問題が起きると思うのですが、そういう点について、最近の交通量の実情なり料金の実績等をお考えいただいて、どういうふうにこの問題をお考えになっているかという点をお聞かせ願いたいと思います。
  155. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、東名、名神を最初つくった当時には、いわゆる有料道路は償還ができたら無料公開するというたてまえでやっているわけでございます。ところが御承知のように、その後国会の動きから、いろいろ国民の要望に従いまして、全国に高速自動車網をつくれということで、現在七道だけが設定されて、大体昭和六十年までにこれが完成するという予定で進んでいるのでございます。ところで、工事費を一路線ずつにいわゆる採算ベースで一々償還していくというのは非常にアンバランスになってきまして、究極するところ、山陰とか北陸とかあるいは四国、北海道、東北、これは実質上この計画実施できないというような計算になるおそれがあるのでございます。そういうことからして、この数年来問題に出され、かつわれわれも研究しているのは、高速自動車道網が全部連結することによってその効果が発揮できるのであって、それが一つずつになるとこの構想がかえってくずれて、一つ一つの路線の償還期限が切れたら無料公開にするということが、かえって道路政策上大きな欠陥になるのではないか、こういう懸念が出てきました。そういうことからいま、これはもちろん最終的には国会の御了解を得てやらなければなりませんけれども、高速自動車道につきましては全国を一つのプール計算にして、そうしてそれが大体六十年までに全部できたあと償還したならば、それを全部今度は無料にする、こういうふうな構想がいいじゃないかという考えで、いま検討を進めているわけでございます。ただ、そのほかに県あたりでやっておる有料自動車道とか、そうした高速自動車道網にあらざる、一路線で一つの仕事をしておるのは、御指摘のように償還ができたならばこれは無料にする、そういう限りにおいては交通量、料金収入のあがり方によって、これは早く無料にするというようにしたいと考えております。  そういう点からすれば、東名を無料にするということは私はいま考えていませんが、御指摘のように交通量が非常に多くなってきて、前の考えからすれば相当償還期限を早く繰り上げてもいいということの考えも織り込みまして、料金を東名については若干軽減していくということは考えられるかと思いますが、これだけすぐに無料にするということは、いまはむしろ先ほども申し上げたようなことで修正したほうがいいんではないか。なぜならば東名だけあそこを無料にしますと、今度はどっとあそこは無料で便利がいいからということで殺到してしまいます。そうすると事実上高速道路の機能が停止してしまうというようなことも考えて、総合的にそういうふうに判断しておる次第でございます。
  156. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、現在の計画実績を見てみますと、乗用車というのがもう計画を大幅に上回っておるわけですね。それから貨物車というのが上回ってはおりますけれどもおおむね計画の線を行っているわけです。こうやってみますと、やはり高速道路をつくった意義というものが産業、経済の発展だ、そのために、とこう言っておりますけれども、むしろそれよりも乗用車というものはレジャーです、あるいはまた何といいますかこれのほうが早いからといってバスから転化するとか、いろいろな現象が起きておると思うのですね。ですから、私はそういう点を考えてみますと、最近問題になっておる国鉄なんかでも、まあ赤字の地方線はできるだけ地方にまかせようじゃないかという話を考えてみますと、やはり採算のとれないところはその負担を地方に重くするという考え方がそこに出てきておると思うのです。しかしそうはいっても、交通量の多いところというのはますます重点を置かなければならぬわけです。ですから、私はやはり第一の問題というのは、いま大臣がおっしゃいましたように、料金をただにするということは無理にしても、計画に沿った交通量というものがあるならば料金問題というのは下げたらいいではないか、いますぐということではなくて、ある時点まで来て五年なり十年なり見通しがあったならば、料金問題というのは、やはりその東名というものが計画に沿っておるならば下げていく、こういうことをいまお考えになっていますか、どうですか。
  157. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいまもお答えしたように、私はそれは考えてもいいと思っております。御承知のように、この東名の問題と相関連して、端的にいえば、近畿圏と首都圏を結ぶ路線は、私はやはりますます交通量が多くなるので、それに伴いまして、現在バイパスも相当つくっていますが、もう一つつくらなければならぬというような必要が強まっておる、こういうことを考えて、私は、無料にはしないが、しかしながら、一面において御指摘のような計画量以上の利用率があるならば、若干これを軽減していくということが研究されていいと思って、事務当局にはその方面でこれから検討させようと思っている次第でございます。
  158. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 それからもう一つの問題は、いま国鉄が新幹線をつくった、しかしもうここ数年を出すしてもう一つ新幹線をつくらにゃならない、こういう意見が出ているわけです。そうしますと、私はいまの東名、名神の現況を見てみますと、やはり交通量というのはますますふえるということになると、私はやはりいま東海道に沿ってバイパスをやっておりますけれども、もうそろそろもう一本の高速道路になりますか、何かをやはり計画をしていかないと、実際には用地の手当てなんというのはなかなかたいへんなことだと思うのです。ですから、そういう点で、とにもかくにも東京、名古屋、大阪というものは、ほんとうに五年なり十年、長期的なものの計画というものをしていかないと、それもやはり用地の問題というのは、最近は特にむずかしくなってきているわけでありますから、そういう点のお考えはどうなんでしょうか。
  159. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは御承知のように、本来最初に高速自動車道路の発想は、現在の中央道ですね、いわゆる日本のまん中を、山地を直結すべきであるという議論がそもそもの初めでありました。けれどもいろいろ経済上の観点でするならばということで、実は東名、名神にいって、あとから中央道を実行した。今度中央道も相当ピッチを上げまして、これが大体四十九年か五十年には、今度は全通するわけです。そうすると接続点は小牧になりますから、東名の自動車需要の相当部分が向こうのほうでも消化できる、こういうことになりますので、今度その上にさらに東名をもう一本やるとなると、全国的なバランスでこれはむずかしい問題です。でございますから、それをやるなら早くいまの中国縦黄道をやれ、四国は全然放置しているじゃないか、九州はおくれているという政治的な問題が出ますので、私はやはり東名と名神、それに中央道ができますれば、あとはやはりバイパスを整備していくということのほうが実際に適しているじゃないかというような考えを現在持っている次第であります。
  160. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 私も、この東名をつくるときに、二車線じゃ無理ですから三車線にしなさいと、当時河野建設大臣に話したことがあるのですけれども、厚木まではそうするけれども、厚木から同こうは、——それはいま言いましたように、大臣、それは全国的な道路予算の中からやっておるわけでありますから、どうしても総花的にどこもという悩みがあると思うのです。しかしこの問題は、私はやはり各路線別の問題は、交通量というものを十分把握しながら——もう道路が飽和状態で何ともならなくなってしまってから手がけるというのは、なかなかまたこれはたいへんでありますから、何はともかくも、道路というものは、道路をつくってくれ、道路をつくってくれというときに乗っかっていきさえすれば、用地の手当ては楽だと思うのですよ。しかし、そうでなくなってくると、なかなか話し合いというものはむずかしいと思いますので、特にその点は要望いたしておきます。  それから次の問題ですが、この高速道路ができますと、高架下というものができるわけでありまして、国鉄も新幹線をつくって、高架下というのは、最近国鉄自体が子会社的な高架下株式会社をつくって、そこで、自分のところで設計をし施工をして、そうして貸しているというやり方をしているわけであります。いま道路公団に聞いてみますと、道路公団のほうでも高架下の貸し付けについて一つの取り扱いがきめてあるようでありますが、貸し付けというよりも占用の許可ですか、こういう方法があるようですけれども、私は、いま実情を見てみますと、東海道の私の静岡、清水辺の実情を見てみますと、やはりもっと、消極的でなくて、あいているところは施設を公団なり公団の会社でつくるなりして、そしていま困っている駐車場の問題、子供の遊び場の問題というのは、もっと積極的に貸せるほうがいいのじゃないかと思うのです。担当者の話を聞いてみると、できるだけ貸せないように貸せないようにということを考えているようですけれども、私はやはりできるだけ貸せるようにする。貸せるについては、施設はちゃんと自分のほうでつくれば、何も道路に障害がないわけですから、そういう取り扱いで、こういう高架下というものはできるだけその地域住民に開放するような措置をとられたら、こう思うわけでありますが、いかがでしょう。
  161. 根本龍太郎

    根本国務大臣 原則としては、私もそれには同意です。それでその高架下をどう活用するかについては、まず何としても優先的に公共の用に供する。そしてその後、道路管理上あるいは安全性等を考えて、民間にも活用する道があるならばやはりやらせるという基本方針はとっているのでございますが、これは実務的なことになりますので、事務当局から一応御説明いたさせます。
  162. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 道路の高架下の利用につきましては道路法に定められておりますので、それを受けまして、高速道路の路面下の占用許可基準というものを定めまして、道路局長通達によって、各公団にも、ないしは地方建設局長に指示しているわけでございますが、その大体の方針を簡単に申し上げますと、警察、消防署等の施設、それから児童遊園地、公共的駐車場等の公共的性格を有するものについては優先的に利用させることというふうにしております。その他につきましても、周辺の状況等十分考慮の上、他に余地がなく必要やむを得ない場合で、かつ合理的な必要があると認められる場合に限り、特に倉庫であるとか駐車場、事務所等として許可しているわけでございます。そういうふうな基準に従ってやっているわけでございますが、都市内における高架下の利用はかなり進んでおるようでございますけれども、いま御指摘の東名高速道路をはじめとします都市間の高速道路につきましては、必ずしもまだ十分に利用されていないようでございます。
  163. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣あるいは局長のお話でよくわかりましたが、結局私は、いま地域の住民からいうと、道路の建設のときに応援をした。高架下があいている。あいているところにわざわざ網を張ってある。あの網を、橋脚のまわりだけ網を張れば、間と間が使えるのに、わざわざ全部張っちゃっている。あんな意心地悪せぬでも、あけておけばみんな使えるのになという話が出るわけです。われわれしろうとが見ても、橋脚を縦で張ってさえあれば別にそう支障がないではないかという個所が間々あるわけであります。そういう点を見てみますと、まあ支障のない限り、できるだけ貸していくということがある程度の収入になるわけでありますから、そういう点の指導というものをしていただきたいということだけ要望いたしておきます。いまたとえば静岡県あたり見てみますと、静岡で二カ所しか貸してないということです。もう開業して時間がたっているわけでありますから、そういう点は町に、こことここがあいているけれども、町に必要なら貸せますよ、町はなかなかそこまで言うに言えないという状態になっておりますが、そういう点を特に要望いたしておきます。  それから次の問題ですけれども、高速道路の料金の収集事務のことでありますけれども、やはり高速道路に入るところで待たされるというのは、待たされる時間も、実は高速道路をつくった価値を少しは減殺するわけです。ですから、高速道路のところに行ったらさっと入れるというぐらいの——料金収集所というのは実はできているわけですけれども、なかなか人手の関係あるいは収入などの関係もあるでしょう、全部あけておればいいところを全部あけてない、三つあけるやつが二つになっている、二つあけるやつが一つになっているというために出入りでわざわざ時間を食う。そのことは、一高速道路というものは入ってからとにかく高速であればいいのではなくして、やはり便利さから考えてみると、料金収集というものをもう少し——いつもたくさんおれというのは無理かもしれませんけれども、そういう点で考えてみますと、いろいろ聞いてみますと、名神の場合は公団職員がやっている。しかし東名の場合は請負に出している。こういうことがそういう問題になるのではないだろうかという実は気がするわけでありますけれども、これは名神は公団がやりながら東名は請負になっているという理由は何なんでしょうか。
  164. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘のとおり名神高速道路は日本道路公団直営の料金徴集事務を行なっておったわけでございますけれども、その後道路整備五カ年計画によりまして高速道路の件数が非常に大きくなってまいりまして、建設部門になお多くの人員を必要とするような状況になったために、この営業部門におきます事業量も増大はしておりますけれども、その上に手を、人をさくことは非常にむずかしくなってきた情勢から、そういう事情から効率的な公団の運営をはかるために、東名高速道路以後の道路、中央高速道路もそうでございますけれども、東名高速道路以後に供用開始しました道路につきましては、委託によって料金徴収事務を行なうようにさせているわけでございます。
  165. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 その場合、名神の料金収集事務の職員の人たちと委託をした職員の人たちとの労働条件といいますか、給与、こういう問題は、公団と同じような、並みになっているのですか。そういう点、実情はとうなっておりますか。
  166. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 委託の場合も、日本道路公団が直営でやっている場合と同様な考え方に立ちまして費用等は積算いたしまして、それで民間に委託しているというかっこうでございますが、実際、日本道路公団が直営でやっていると同じような給与ベース、手取りの給与ベースが同じくなっているか、あるいは人員も必ずしも日本道路公団と同じかどうかということは現在確認しておりませんが、民間に委託する場合における積算はそういうふうになっております。
  167. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 私も実は東名に乗っていて、収受員というのは公団の職員かと思っておったのですよ。あるとき偶然、職員ではない、請負の人と聞いて実は驚いたわけですけれども、これはやはりいろいろな問題があると思うのです。いろいろな問題があると思うのですけれども、ある程度委託の内容についても、ぜひ公団のほうで人の配置の問題のあるいは勤務の問題、労働条件の問題、この実情を見たら基準法に違反をしているということになったらこれは恥ずかしいことですから、そういうことのないように私はやはりぜひ注意をしていただきたいと存じます。  それから次に、あそこにおる人たちの排気ガスの問題、こういうものはどういうような対策をやられているのですか。
  168. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 排気ガスに対しましての配慮といたしましては、エアカーテンシステムをとろうということで現在検討中でございますが、現在の段階ではまだ実施されておりません。
  169. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 公害の問題がたいへんやかましくいわれておるわけでありまして、当然仕事の内容によって排気ガスによるところの健康の問題というのはたいへん気をつけねばならぬ問題だと思うのです。実はそういう問題も、考えてみると、公団の職員であれば労働組合もあって、そして話が出るわけでありますけれども、請負をされておる委託の会社の中には労働組合もないようですし、また一人一人の収受員の話を聞いてみても、なかなか言えない、労働時間もきびしいし、また逆にいえば、公団職員であればストライキをやるから、名神で失敗したから今度はこっちのほうは請負にした、そのほうがストライキがないからとこんなようなこともいわれておりますけれども、それはともかくとして、やはり何といっても高速道路に働く一番目につくところでありますから、そういう問題についてはやはりぜひ公団と相談をしながら十分なきめのこまかな配慮をしていただきたいと思うのです。
  170. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 おっしゃるとおりでございますので、公団とも相談いたしましてよく指導していきたいと考えております。
  171. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 それから次に、よくサービスエリアの食事が高くてますいという話が出るわけであります。私たちもときどき寄ってみるとそういう点を感ずるわけであります。聞いてみますと、この営業につきましてはいろいろあって、営業者の競争入札で営業者をきめた。それには営業料率が、場所によって二一%を取るのがあるし、二三・五%を取るのがあるということなんですけれども、これはどういう考え方でこういうやり方をしておるのですか。
  172. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 サービスエリアにおきます施設等によります利潤というものは、独占企業みたいになっておりますので、それを経営する人が不当に利潤を得ることはおかしいと思います。さりとて、営業をやっておる以上はある程度の利潤は必要だと思いますので、適正な利潤を計算することが最も望ましいと思います。したがいまして、日本道路公団におきましても適正な利潤のもとに営業ができるような率を定めまして、その率の範囲内における最高の率の方に営業をやってもらうというふうなシステムをとっているようでございます。
  173. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 きょうは道路公団がいらっしゃらないわけでありますから、そうこまかな内容はおわかりにならないと思いますけれども、私はいま起きている、最近あちらこちらでいわれている問題を取り上げてみたわけであります。ですから、ぜひいま局長もおっしゃられましたように、委託されている状態についてはできるだけやはり詳細に監督していただく。それから、とにかく公害問題というのもやかましいおりからでありますから、かりに請負会社の職員だといっても道路公団の仕事をしているわけでありますから、そういう点についての対策を早急にとってもらう。それから、いま申し上げましたサービスエリアの問題はこれは独占的な企業でありますから、とかく独占的な企業というのはいろいろ問題が起きやすいわけでありまして、国鉄のような、たとえば食堂車においても同じことがいえるわけであります。そういう点でぜひ十分な配慮をされ、道路公団の監督を十分していただきたいということを要望して私の質問を終わります。
  174. 大野市郎

  175. 中野明

    中野(明)分科員 たしか昭和四十三年だったかと思いましたが、高知県のあの浦戸湾にかかる予定の浦戸大橋のことについて、当時の建設大臣質問をいたしました。そのときに大体西十五年をめどにしてというようなお話でございましたが、その後いろいろな事情がありまして、計画が非常に大幅におくれているというのが現状でありますが、この浦戸大橋につきまして、その後の状況と今後の見通しについて最初にお尋ねしたいと思います。
  176. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは非常に実務的なことでございますから、局長からお答えさせたいと思います。
  177. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 浦戸大橋につきましては、日本道路公団が四十三年の十二月に許可を受けまして着手、四十四年度におきましては詳細な地質調査の結果、橋脚の位置を変更する必要が生じたわけでございます。地質が傾斜しておりましてりっぱな岩が出ないために、最初メーンスパンを二百十メートルの計画でございましたものを二百三十メートルに変更する必要が生じた。それともう一点は、土地利用の関係で、畑地と墓地との中間を通るようにルートを変更する必要が生じまして、なお県のほうからはループ線を希望されたりした例もございまして、そういうことからルートの一部を変更いたしまして、取りつけ道路の一部を変更いたしました。そういうことのために、当初四十六年三月に竣工を予定したわけでございますけれども、現在の見通しでは四十七年の七月ころには完了するのじゃないかと思います。昭和四十五年におきましては用地買収はすでに完了しておりまして、全面的に工事の発注にはかかっておりますけれども、現在の情勢からいいますと、四十七年の七月ころに完了になるかと思われます。
  178. 中野明

    中野(明)分科員 もう一点それに関連しまして。橋ができぬうちから、あの地方はよく御存じのとおり観光施設のあるところでして、非常に交通のひんぱんなところで、一日に大体一万台前後走っているようですが、非常に関連道路の幅が狭うございまして、交通渋滞で観光にも支障を来たしているというのが実情であります。この関連道路に対する予算というのが非常に少ないようでございますので、浦戸大橋の完成と呼応して、ぜひ関連道路を早急に整備しないと、橋ができ上がりますと、いまでも交通渋滞で困っております。ですから、橋ができ上がったらいよいよ収拾がつかぬようになるのじゃないかと、私ども地元で心配しております。この点についてぜひ検討を加えていただいて、この大橋の竣工と並行して関連道路の準備をぜひ実現していただきたい、このように思うのです。
  179. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 関連近路は、浦戸大橋の建設に合わせまして、できるだけ同時に完了するように配慮したいと思います。
  180. 中野明

    中野(明)分科員 それではせっかくの御答弁でございましたので、最初私どもも四十六年当初にというあれでしたが、今度目の予定が延びないように努力をするように、公団のほうにも督励をしていただきたいと思います。浦戸大橋に関しては、その程度にしておきます。  昨年災害対策委員会で、私も二、三大臣に要望を含めて御質問申し上げましたのでよく御存じの、例の土佐湾の昨年の台風でございます。ゼロメートル地帯をかかえまして、予想以上の大きな被害が出ました。現地のわれわれも驚いたわけですが、この土佐湾の台風というのが、いままでの長年の経験の常識を破りまして、あのような異常な災害をもたらしたわけです。これに関連をしまして、その後鋭意対策事業に取り組んでいただいていることにつきましては、私どもも非常に敬意を表しているわけですが、この機会に土佐湾に流入している河川の高潮対策というのを根本的に考え直す必要があるんじゃなかろうか、このように考えるわけです。いままでの予想ではどうすることもできないような最悪の条件でああいう被害が出たわけですから、この点建設省のほうでどこまで抜本的に検討を加えていただいて今後の醜業の対策の指針にしていただいているか、そこのところを……。
  181. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、非常に異常なあれで大きな損害が出て、これに対する抜本的な対策をやるべきだということで、現地において、高知県を中心に土佐湾の対策の技術会議を設置しまして、その具体的な技術的な検討をさしておるわけでございます。この結論に基づきまして、積極的に施策を講じたい、こう思っておるのでありまするが、実務に関することがほとんどでございますので、河川局長から御説明いたさせます。
  182. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいま大臣からお話しのように、高知県の当局が中心になりまして、土佐湾高潮対策技術会議というのを昨年災害時後直ちに設けまして、これにつきましては運輸省、それから私ども建設省関係機関が一緒になりまして、いろいろ審議を現在進めておるわけでございます。で、いろいろ予算上の手当て等の問題もございますので、あまり検討が長引いてもというようなことで、昨年に中間報告を一応いただきました。これで土佐湾の高潮に伴う潮位等に対する、暫定的にあまり手戻りのない範囲で、この程度で踏み切ればいいじゃないかというような技術的な基準等もその技術会議で一応結論を得ましたので、それを中心にいたしまして、特に湾内の潮位が上がったわけでございますので、流入しております国分川、あるいは下田川、舟入川、いろいろございますが、そういったところに今度は洪水と高潮が重なったときにはとうなるか、こういったこともやはり検討をいたしておきませんと、先般の災害のときはたまたま潮位が中心でございまして、流入する量は幸いにして比較的少なかったわけでございます。やはり将来を見詰めました抜本的な改修ということになりますと、そういうものも考慮の中に入れるべきじゃないかという議論も出まして、そういった水理的にも分科会を設けまして、現在検討を進めておるわけでございます。大体その線で、私どもこの機会に土佐湾に流入する河川につきまして、高潮並びに河川改修を含めてできるだけ抜本的な改修をいたしたいというふうに考えております。
  183. 中野明

    中野(明)分科員 特に先ほどからちょっと申し上げましたように、予想以上の災害でありまして、再びこういうことが起こらないようにということはだれしも願うところでありますし、いま現地におきましては、高知県全域にわたって非常に心配をしておるわけです。  いま一点お尋ねしたいことは、昨年の台風で決壊をした場所ですね、これはことしの台風時に完成しないようなことでは困りますが、その決壊した場所、並びに将来去年と同程度のものが来たときには決壊するかもしれない、そういうふうに心配されている場所に対する手当ての状況はどうなっておりますか。
  184. 川崎精一

    ○川崎政府委員 昨年被害を受けましてから、直ちに復旧の設計あるいは査定等を行ないまして、私どもも財政当局予備費等の手当てをお願いをいたしまして、現在復旧作業を進めておるわけでございます。昨年査定しましたところ、あるいはそういったおそれのある比較的脆弱な部分につきましては、国庫債務等の制度を活用いたしまして、本年の——本年というとちょっと誤解がございますが、四十六年度の出水期までに大体完成をする、こういう方針で現在仕事を進めておる状況でございます。
  185. 中野明

    中野(明)分科員 一応ことしの大体台風シーズンまでには心配ないような状態になる、こう理解してよろしいですね。
  186. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先般の程度の災害であれば、何とか持ちこたえられるだろう。ただ、先ほど申し上げましたような抜本的な改修につきましては、多少やはり時間をかけたい、こういうふうに思っております。
  187. 中野明

    中野(明)分科員 それから、この際もう一点大臣にもお願いをしなければならぬのですが、昨年の台風では浦戸湾を中心にして大体被害が大きかったのですが、県下全域を見てみますと、浦戸湾全体が心配がありまして、一番ひどかったのは浦戸湾でございますが、西のほうへ行きましても、東のほうへ行きましても、やはりそういう問題では海岸線の非常に脆弱というのですか、堤跡の不備というのが自立っているような感じを受けます。波を受けて一たまりもなく、せっかく用意された堤防が積み木を積み重ねたように倒れているという現状もありまして、非常に私どもも将来に対して不安を持ったわけですが、この特定海岸という区域を指定されているわけですが、やはり昨年の経緯にかんがみまして、この土佐湾全域を特定海津に指定する、そして今後の抜本的な対策を考えていく、そういうふうなことが一番望ましいのじゃないか、私、このように思うわけです。  というのは、御承知のとおり、もう台風といえば必ず土佐、高知というふうに、一つの台風の通路になっております。そういうところで、いままで昨年のようなとっぴな事故が起こらなかったというのもふしぎなくらいでございまして、必ず毎年何かの形でどこかで、四国といえば高知県が海に面しておりますので、台風の通路になっている、こういうことであります。そういう関係で、特定の海岸区域をぜひ土佐湾全域に指定をされて、そして今後の台風に対して、地域の住民の安心の上からも、生活を守る上からも、ぜひそういう対策を拡大して実施していただきたい、このように私どもは強い希望を持っております。この点、大臣のお考えを聞かせてください。
  188. 根本龍太郎

    根本国務大臣 地元としてはそういう願望を持つのは当然と思いますが、しかし、これは技術的にぜひ特定海岸地帯として全面的にやらなければならぬかどうか、これがまず判定されなければいかぬと思います。そういうふうに全体的にこれをやらなければいけないとなれば、これはそういうふうにしなければならぬと思いますけれども、いま私どもが聞いておる報告では、それはそのほうが望ましいとは思うけれども、そこまでしなくとも重要な場所について工事をはっきりとしておきますれば、全面的にしなくとも、かえってそれでいいじゃないかというような見解もあるようでございますので、これは技術的な問題に関連することですから、局長から答弁させます。
  189. 川崎精一

    ○川崎政府委員 現在、私どもの日本の海岸の総延長が約二万七千キロくらいでございます。その中で、特定海津に鑑定されておるのが約千四百ない七五百、約四、五%ぐらいの割合じゃなかろうかと思います。これは補助率等優遇の措置があるわけでございまして、そういった特定海岸に指定されるということは、財政的にも非常に地元にとっては有利なことは確かでございますけれども、やはり何と言いましても、全体の大きな事業をやっていく上につきまして、また財政上等の理由もございますので、あまりむやみに拡大するというのもどうかというようなことが当然出てくるわけでございます。現在、高知の土佐湾で指定しておるのが約二十キロぐらいじゃなかろうかと思いますが、そういった点で特にバランスを失しておるというような感じはしない、私どもは技術的にはしないわけでございます。  先般、十号台風で県庁所在地の高知市内等が非常にやられたわけでございますが、台風自身の規模としましては、私どもから見ればそう大きいものじゃなかった。むしろルートが土佐湾の西寄りに行きましたために、非常に台風の威力をわざわざ拡大したような形で入ってきた。土佐湾全体を見ますと、高知県というのは非常に台風銀座と言われるくらいで、在来土佐湾の束に上陸してくるような台風については、むしろかなり整備が進んでおるというふうなことも考えられるわけでございます。土佐湾全体を見ますと、中にはぽつぽつとやはり弱点的な個所もございますが、やはり特定海岸として指定しようと思いますと、中心の一連の重要な地域を控えて、一連でしかも計画的に施行しなければいけないというような基準で見ませんと、これはかなりそういう要望が強うございますので際限がないというようなこともございまして、一応現在のような範囲に区切ったわけでございます。しかし、今後いろいろ地域の発展の状況とか財政事情とかを見まして、全国的に見直すような時期がきましたら、その時点では十分御要望の御趣旨を考慮いたしたい、こういうふうに考えております。
  190. 中野明

    中野(明)委員 いま局長が言われましたように、束のほうは私も大体同じように感ずるわけですが、高知から西が、今度のような場合は特に荒れ方がひどいですし、私たちも心配なところが現在においてもまだたくさんあるように見受けております。そういうことも含めましていま御質問申し上げておるわけですが、いまの御答弁で一応了承できるわけですが、そういう特殊事情——いまおっしゃったように台風銀座といわれておるところで、去年よりも大きな台風はしょっちゅうあるのじゃないか。ただ、いまお話しのようにコースと条件が非常に最悪であったために、たいした台風じゃないと思っているのにああいう被害が出たわけですから、これより大きなのがきたらそれこそたいへんだというのが地域の住民の不安なんであります。そういう意味で、私は強い要望を含めて申し上げたわけですが、そういうことを含んで今後の対策に当たっていただきたい。強く要望申し上げておきます。  それから最後にもう一点だけ。これもまた御承知のとおり、四国にはいまだに循環鉄道というものがございませんので、地域住民の足ということになりますと、やはりどうしても道路整備、四国を循環する一級国道の整備ということが当面の一番大きな課題になってきております。いま十一号は完全に整備できました。あと五十五号と五十六号が整備できれば四国は循環する、こういうことになります。その五十五号、五十六号が早期完成の予定で鋭意努力をなさっていただいているのはわかるのですが、この工事が大幅に当初の予定よりもおくれております。このおくれておるおもな理由について述べていただいて、そして五十五号、五十六号の大体の完成の見通しの時期をお示しいただきたいのです。
  191. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘のように、国道五十五号、五十六号は現在一次改築の早期完成を目ざしまして鋭意促進中でございます。四十五年度末におきましては、改良率が九〇%、舗装率が八〇%となる見込みでございます。おくれました最大の理由は、やはり地形が急峻で非常に工事費が高くなっていることであります。たとえば昭和西十四年度、五年度等につきましても、五十五号につきましては約四十億、五十六号につきましては約六十億をこえる予算を見ております。五十五号については隣の徳島も含めておりますし、五十六号については隣の愛媛も含めておりますけれども、物理的にできる最大の努力を払っておるわけでございますが、そういうような事情で全力を尽くしておりますけれども、残事業が多いためになかなか完成していないというのが実情でございます。現在残っております個所は、もうすでに御承知と思いますけれども、五十五号につきましては室戸半島のほうに行きます一部の区間、それから五十六号につきましては、宿毛と隣の愛媛県境の区間だけでございまして、これも四十六年度には概成する予定になっております。
  192. 中野明

    中野(明)分科員 これが完成いたしますと、四国が一応循環しまして、地域の開発に威力を発揮することは論をまちません。ぜひこれは重点的に施策を行なっていただきたい、そういうことであります。  それからもう一点だけ、ちょっと疑問を持ちましたのでお尋ねしておくのですが、一級とか二級とか国道がありますが、この二級国道の場合に一つの例を見たのです。これは計画の上でのお考えなんでしょうけれども、たとえて申し上げますと、ダムなんかで非常に水がたまっておりまして、そのために従前の道が入り江になっております。それで目の前に向こう側の道路があるわけですね。だから、ダムで水がたまっておるものですから、道路としては一里ぐらい奥へ入ってまたもとのところへ出てくる。その間がほんとうに一またぎできるような場所がダムの場合だんだんあるわけです。そういうところを重点的に先に橋をかけるなり河なり、工事の計画の上での技術的な問題でしょうけれども、ほかのところはどんどん工事が進んでいるように思うのですけれども、そういうところはずいぶんあと回しになってしまっているような場所がだんだんあるように私は現地に行ってみて感じるわけです。そういうところは先に橋でもかけておくことによって、そこを利用する人がどんなに便利か。もう目の前に対洋が見えているわけですけれども、歩いていくと一里ぐらいぐるっと入り江を回らなければいけない。こういう場所があるんですが、工事の計画というのは地元の県の考えなんでしょうか、それとも計画内容によってそうなるものでしょうか、そこら辺よくわからぬものですからお尋ねしているのです。
  193. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの御指摘の個所がどこか存じませんが、一般的に申し上げますと、ダムによりまして道路が水没しそれがつけかえになる場合、非常に迂回路になるよりも橋をかけたほうが非常に短絡される場合が多うございますけれども、ただいまのは橋の架設の時期かと思いますが、この架設の時期をきめますのは、ダム事業者と道路管理者が相談いたしまして、年次計画を立てましてそれで決定するわけでございます。その場合はどうか存じませんが、非常に迂回する場合には橋をかけるほうが経済効果がまさるというふうに判断されれば当然橋をかけるわけでございますし、迂回がそう遠くない場合にはあるいは橋が一番最後になるケースがあるようでございます。橋というのは、御承知のように非常に多額の投資を必要といたしますので、経済効果とのバランスによっておそらく計画が決定されることになると思いますので、非常に一般的な御返事で恐縮でございますが、そういうことになって計画されていると思います。
  194. 中野明

    中野(明)分科員 では、そういう場合は常識的に考えていいわけですね。私、何か理由があるのかと思いまして、ちょっと何かそういうところがあとへ残っていくような気がしたのでお尋ねしてみたのです。  時間もありませんので、最後に大臣に要望だけ申し上げて終わりたいと思いますが、先ほどから申し上げていますように、鉄道もまだ循環してないような地域でもありますし、大臣もよく御存じのことと存じますが、ぜひこの一級国道の循環は最重点的に施行していただいて、そしてこの地域の開発、住民の福祉の基本的な基幹道路になっておりますので、強力に推進をしていただきたい、このことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  195. 根本龍太郎

    根本国務大臣 よくわかりました。
  196. 大野市郎

    大野主査 大原亨君。
  197. 大原亨

    大原分科員 二、三御質問いたしますが、第一は、国土縦貫自動車道はどのくらいの進捗状況ですか。
  198. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの御質問は全国の道路かと存じますが、全体のパーセンテージはちょっと手持ちの資料にございませんので、概略を申し上げますと、北海道の縦貫自動車道につきましては、総延長六百四十二キロのうち、施行命令が出ていますのは四十九キロでございます。東北縦貫道につきましては、七百五十三キロのうち、施行命令の出ておりますのは六百四十三キロでございます。中央自動車道につきましては、三百六十三キロのうち二百四十三キロ、北陸縦貫道につきましては、四百七十七キロのうち二百九十キロ等でございまして、全体で申しますと、七千六百九キロのうち整備計画の出ておりますのは二千七百九十九キロになっております。
  199. 大原亨

    大原分科員 これはいつが完成目標ですか。
  200. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 国土開発幹線国道全体で七千六百九キロでございますが、これの完成は昭和六十年度と予定されております。
  201. 大原亨

    大原分科員 中国縦貫道はどのくらい進んでおりますか。
  202. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 中国縦貫道は、全延長五百四十一キロのうち、整備計画が出ておりますのは四百三十八キロでございます。
  203. 大原亨

    大原分科員 岡山県の落合から広島県の千代田間の工事の進捗状況はどうですか。
  204. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 岡山県の落合から広島県の千代田の間につきましては、全線の路線発表が終わっておりまして、すでに中心ぐいの設置が始まっております。工専説明に入りましたのは落合の区間だけでございますけれども、大部分中心ぐいの設置を終わっております。
  205. 大原亨

    大原分科員 これはいつが完成目標ですか。
  206. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 この区間は第二次施行命令区間になっておりますので、現在の予定では五十一年か二年ということになろうかと思います。
  207. 大原亨

    大原分科員 千代田以西の山口県の鹿野までの整備計画は、いつ決定になりますか。
  208. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 千代田−鹿野間につきましては、中国縦貫道のうちで最も急峻なところでございまして、基本計画決定後、鋭意整備計画のための調査を進めておったわけでございますが、どうやら調査もほぼ完了いたしてきておりますので、次期審議会の際には整備計画を提案できるのじゃなかろうかと思っております。
  209. 大原亨

    大原分科員 長い間調査がかかったわけですが、調査が完了してきておるということですが、これは審議会はいつごろ開くのですか。
  210. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの見通しでは、ことしの六、七月ごろになろうかと思います。
  211. 大原亨

    大原分科員 ことしの六、七月ごろには審議会が開かれて整備計画が発表になる。着工はいつごろになりますか。
  212. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 整備計画が確定いたしますと、直ちに建設大臣から日本道路公団に対して施行命令が出ますので、整備計画後一週間以内には着工ということになろうかと思います。
  213. 大原亨

    大原分科員 これは落合からずっといきまして四車線なんですか。それとも二車線なんですか。
  214. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの計画では、山間部でございまして、将来とも土地の値上がりも予想されず、上り車線、下り車線がルートも全く別別になろうかと思います。そういう関係から、ただいまの計画では二車線の工事を行なうつもりでおります。
  215. 大原亨

    大原分科員 落合−千代田間は、用地買収は全部二車線でやっているのですか。
  216. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 落合−千代串間につきまし  ては、インターチェンジ周辺のみ四車線買収を行っております。
  217. 大原亨

    大原分科員 それでは、千代田以西についても、インターチェンジ周辺は四車線でいくわけですか。
  218. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 千代田−鹿野間につきましても同様になろうかと思います。
  219. 大原亨

    大原分科員 私は思うのですが、平地部はやはりインターチェンジを中心として内陸工業地帯になる可能性もあるわけです。たとえば横断道、縦貫道との関係を予想しまして、なるわけですから、百年の大計でやるわけですから、私は、平地部は四車線で用地の買収をすべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  220. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 おっしゃるとおりに、平地部につきまして、土地の値上がりが予想されたり、将来の開発計画がありまして、かなり進むような情勢になりましたら四車線で買収したいと思いますけれども、ただいまわれわれ計画しておりますのは、土地の値上がりが当分予想されず、しかも当座の交通量、でき上がった直後の交通量が非常に少なくて、二車線でも十分だと思われる個所については、たとえ平地部でも二車線で買収し、供用開始したいというふうに考えております。
  221. 大原亨

    大原分科員 自動車の流れを考えてみますと、山陽の国道やバイパスはふん詰まり状況ですね。広島市の周辺などというのは、国内においても非常に自動車が多い。だから、自動車の流れが山陰地方を通って回っているわけです。島根、鳥取のほうを回って阪神地方のほうに出てきている。それは山陰地方の道路がよくなったということもあるのですが、こういうふうな状況が今日もあるわけです。そこで、縦貫自動車道は、当初の計画は地図の上では大きな計画でしたが、しかし、だんだんやってみると、一キロが十五億も二十億もかかる、こういうようなことでやっかいもの扱いになっているわけです。しかし、百年の大計からいえば、私は、すみやかにこれを一緒に四車線でやるべきだ、こう思うわけです。たとえばトンネルとか橋というものはやはり二垂線でいくわけですか。
  222. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 トンネルにつきまして注、現在の技術上二車線で建設することになっておりまして、二車線以上の幅員では非常に多額の工費がかるために、世界どこでもやっておりませんので、二車線でございます。  橋につきましては、二車線ずつつくる場合と四車線一挙につくる場合がありますが、山間部にあります橋は上下線が完全に分離されることが多うございますので、二車線ずつつくることになろうかと思います。
  223. 大原亨

    大原分科員 側線というのですか、インターチェンジとの間、あるいはインターチェンジに入る区間の側道ですか、横側へ道路をつくる。平地等であれば、それはそういうことをやるわけですか。
  224. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 高速道路が通る場合には、従来の町村道とか、県道とか、あるいは農道等を分断して通過する場合が多うございます。したがいまして、それを高速道路の下を穴をあけて通すのが通常でございますが、横断する道路が非常に多い場合には、それを整理統合いたしまして、三木に一本くらい穴をあけて向こう側に通す場合がございますけれども、その区間に補償的な機能という意味で側道をつける場合が多うございまして、名神、東名なんかの実情を見ますと、そういう機能の補償ということから高速道路の両側に側道を設けている場合が多うございます。
  225. 大原亨

    大原分科員 千代田−鹿野間の完成目標はいつですか。これが中国縦貫自動車道としては最後の難関だということになりますが、大体いつが完成目標ですか。
  226. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 従来の経験から申しまして、名神、東名すべての現在の高速道路は、施行命令が出まして大体七、八年かかっております。それから推しまして、四十六年度に着工することになるといたします。と、五十二、三年ごろになろうかというふうに考えられます。
  227. 大原亨

    大原分科員 五十二、三年ごろですね。——まだおくれるのですか。
  228. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 五十三年でございます。
  229. 大原亨

    大原分科員 一ぺんに二、三年飛んでしまった。五十三、四年ですね。二、三年前に議論したときには五十一年と言っておった一わけですね。これがずいぶんおくれている。五十三、四年ごろには全通するということですがこれはあとでまた時間がございましたら、道路財源について若干の意見を申し上げたいと思います。  それから浜田−広島間、あるいは岡山から出ます横断道ですね。縦貫道と一緒に、中国地方の総合開発からいいますと、横断道に過疎地帯や南北関係についての関心が非常に多いわけです。横断道は、千代田以北あるいは落合以北につきましては、これはたしか基本計画の中に入っておると思います。そうですね。これからとういうふうな大体の目標で横断道が進んでいきますか。
  230. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘の横断道路のうち、落合から北の米子までと、それから千代田から北の浜田までの間は、昨年基本計画が策定されたわけでございますが、南の千代田から広島の間につきましては、現在基本計画策定のための調査中でございます。ただいまの段階ではルートがまだ完全にきまっておりませんで、基本計画を出せる段階になっておりません。同様に、落合−岡山間のほうもルートがまだ確定しておりませんので、もうしばらく調査してから基本計画を出したいというふうに考えます。
  231. 大原亨

    大原分科員 基本計画ができましたならば、調査をして整備計画の中へ入れる、こういうことになっておりますね。そこで、基本計画はなかなか——これは統一地方選挙その他がからまっていると思うのですね。ですが、関係者はそういう専門的なことについては、地元の要望は尊重しなければならぬが、しかしながらやっぱりこれは客観的に技術的に決定すべきである。国土の開発の観点でやるべきだ。私はそういう点は筋を通してもらいたいと思うのですね。いろいろいままで鉄道だ何だと議論がありましたけれども、そういう点はやっぱり一本筋が通っていないといけないのではないか。そういう面で技術的に調査が進んでまいりましたら、客観的に見て妥当なところに路線が決定されるように、すみやかに基本計画がされるように、特に要望いたしておきます。その点はあまり政治的にやってはだめだ。こういうことは混乱するばかりでありまして、そういう点のことについて建設大臣のほうから一言お答えいただきたいと思います。
  232. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりでございまして、道路のようなものは、やはり技術的に一番安全にしてかつ効率的なところということで進めてまいりたいと思います。
  233. 大原亨

    大原分科員 あまり大きな道路財源の質問をしても時間がありませんから、今度はひとつ河川の浄化の問題に関連をして、畜産公害で従来から問題になっておりますものについて、河川関係と水質汚濁の関係ですが、経済企画庁、こういうことであります。広島県の佐伯郡の五日市字石内というところは広島市に近いところでありますが、これが数年来議論してまいったのですが、山の上に団地をつくりまして、豚の集団飼育をやっております。これは韓国人の諸君がやっておるのでありますが、その豚の公害の問題は、現在は調査ができないような状況ではないのですが、実際上把握されていないが、大体三、四千頭いるわけですね。山の高いところの団地ですから、小川に流れて、そしてその川下には五日市という広島市の郊外の地域があります。それから、郊外地域があるだけでなしに、食品関係の工場もあるし、酒の工場もあるわけであります。飲料水としても使っておるわけです。豚が三千頭集団飼育をされますと、これは広島市に近いから残飯で飼育をいたしておりますが、大体人間の屎尿の六倍分ぐらい出すわけですから、最初三千頭といたしまして、一万八千人分の屎尿を出すということになります。これがたれ流しということになっておるわけであります。数年前ここで議論をいたしまして、そして農林省も非常に努力をされて、一千万円前後の金を使いまして、そして浄化槽をつくったわけですが、一週間たたぬうちにぱあになってしまいました。ふん詰まりというやつです。屎尿が詰まってしまって役に立たないようになってしまいました。私は、そのことを、技術的な見通しのなさとか、そういう問題について追及しようという気持ちはない。善意をもってやったことですから、そういう気持ちはないのでありますが、いずれにいたしましても、豚の死体を川に投げたり、死んだ子豚を投げたり、あるいは屎尿をたれ流すということになりますと、下流の水田や、あるいはどんどん住宅が建っておるわけですから、飲料水や食品工業の工業用水等が非常に長い間汚染をいたしておるわけですね。川にはそういう屎尿の残滓がたれ流しされておるということであります。私は一つ一つ質問はいたしませんが、水質汚濁防止法によりますと、この問題についてはどういう規制の方法をいつごろきちっとできるようになるのか、あるいは河川法上どういう取り締まりができるのか。畜産はある意味においては日本の農業政策でもあるわけですから、そういう面からいいまして、これは大体場所が悪い。場所を変更したりする、そういう面においての考え方があるかないかということについて、各サイドからひとつ責任ある明確な答弁をしていただきたい。
  234. 白井和徳

    ○白井説明員 経済企画庁でございます。  畜産排水につきましては、いま先生指摘のように、各地で、畜産公害ということで、特に水質汚濁問題をめぐりまして非常に問題になっております。ただ、現在の水質保全法の体系では、法的にはこれの規制措置がございません。と申しますのは、それを順守させる実際の規制がなかったわけであります。しかし、御承知のように、水質汚濁防止法という法律をつくりまして、この法律において、特定施設として畜産の施設を政令で指定した場合には、当該畜産の排水につきまして水質規制ができるようになっております。ただ、問題は、先ほど先生が御指摘になりましたように、豚一頭のBODの負荷量は人間の大体十倍から二十倍、しかも経営が零細経営が非常に多いということで、経済的、技術的に無理するという問題がなかなかむずかしい問題がありまして、この技術的な開発をまちまして、われわれとしては、水質汚濁防止法の特定施設として追加いたしまして規制を前向きに検討いたしたい、かように考えております。
  235. 大原亨

    大原分科員 いつごろですか。
  236. 白井和徳

    ○白井説明員 農林省で予算をつけまして、四十三年度からその処理技術について開発中なんであります。大体四十三、四十四、四十五年で一応の調査を終わるかと思います。その調査の結果、経済的に導入できる処理技術が開発されたら、われわれとしては特定施設として政令で追加していきたいと思っております。
  237. 大原亨

    大原分科員 これは河川局の関係ですが、どうなんですか。たとえば子豚の死肉とか死体を投げて、そうしてはげタカが群がっている。それからふんぷんたる悪臭がただよう。それから川にそういう屎尿を流し込むというようなことは、当初は別ですけれども、いまや許されるべきことじゃないと思うのです。だから、そういう点についての規制についていままで議論したのですか。結論的にはどうですか。
  238. 川崎精一

    ○川崎政府委員 河川の水質を汚濁したりするということは、やはり流水の正常な機能がなくなるということでありますし、生活環境保全上もこれはもちろん好ましいことではございません。したがいまして、昨年未制定でありました河川法の政令を制定いたしまして、河川の区域につきましては、汚物、廃物なんかを捨てることを禁止させるとか、あるいはきたない汚水を河川に直接流しておるものにつきましては、これを届け出をさせまして、その状態を把握するとか、あるいは河川が渇水等で異常な汚濁現象を呈しましたときには、緊急に関係方面に適切な処置を要請するとか、そういったような点で政令ができたわけでございます。  ただ、ただいまお話しの、これは広島市の西を流れております石内川かと思いますが、これは広島県知事の管理をしております二級河川でございまして、しかも、ただいまお話しの屎尿と申しますか、豚がいろいろ問題になっておりますのは、さらにそれに入っております普通河川のようでございます。したがいまして、現在の河川法の体系では少し取り締まりがしがたい。影響が非常に甚大でございましたら、あるいは河川区域を県で延長いたしまして、河川の区域に取り込みまして、そうしてその上でいろいろ不法投棄等がありましたら、これは河川法の立場から取り締まるということもできるかと思いますが、しかし、いずれにしましても、その汚染源である豚の飼育場に対する適切な指導とか、それから法体系としましては、先ほどお話がございましたような水質汚濁防止法の体系で当面取り締まるよりほかに手がないのじゃないか、こういうふうに思います。
  239. 大原亨

    大原分科員 水質汚濁防止法は、そういう段取りができて、実際に罰則の適用ができるというのはいつごろの見通しですか。具体的にひとつ……。
  240. 白井和徳

    ○白井説明員 水質汚濁法全体につきましては、御承知のように、法律を公布してから六カ月以内に政令をつくりまして、そのときに特定施設を政令で指定し、それから守るべき排水基準というものを総理府令でつくることになっておりますから、おそくとも本年の六月までにはできることになっております。ただ、特定施設として追加するものでございますが、このものにつきましては、どういうものをこの六月までに拾えるかということは現在検討中でございますが、畜産公害につきましては、従来から非常に問題になっておりますので、われわれとしては、できれば早くその政令指定をいたしまして、規制したいと思っておりますが、何ぶんにも、先ほど申し上げましたように、処理技術の問題と、それから零細な農業経営であるというところのかね合い。それから出てくる汚水の質が人間のふん尿よりか相当悪い。それを処理する技術がなかなか開発しがたいという面と、それから先ほど先生がおっしゃたように、たまって、結局処理施設が下痢を起こしているというような問題、これはスラッジの問題だろうと思いますが、その辺の技術開発の問題は農林省でいま調査中なんで、その調査の検討結果をまって、できるだけ早くわれわれとしては追加したいと思っておるわけであります。
  241. 大原亨

    大原分科員 最後に。いままで長い間そういう状況にあったのですが、それだったら、六月以降にはそういう解決のめどがつく、こういうように考えてよろしいですか。
  242. 白井和徳

    ○白井説明員 できるだけそういうふうに対処したいと思います。
  243. 大原亨

    大原分科員 終わります。
  244. 大野市郎

  245. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 九州縦貫自動車道について建設大臣にお伺いいたします。  申すまでもなく、九州縦貫自動車道は、北九州市を起点とし、熊本県を経由して鹿児島市及び宮崎市を終点とする総延長四百四十一キロとなっておるが、工事区間の進捗状況並びに基本計画区間、整備計画区間等の対処方針についてまずお伺いをいたしたいのでございます。
  246. 根本龍太郎

    根本国務大臣 非常に実務的なことでございますから、局長から答弁させます。
  247. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 九州縦貫自動車道につきましては、昭和四十一年に福岡−熊本、それから昭和四十三年に北九州−福岡、熊本−松橋、加治木−鹿児島、えびの−高原、下関−北九州、昭和四十四年度には松橋−八代の総計二百六十九キロメートルの区間につきまして整備計画が策定され、施行命令が出されているわけでございます。現在、福岡−熊本間の百三キロメートルを主体に工事を進めておりまして、特に熊本県下の南関−植木につきましては全面的に工事を発注いたしまして、本年の半ばごろには植木−熊本間の開通が予定されております。福岡県下につきましては、用地買収を進めておりますけれども、なかなか難航しておりまして、できるだけ早く用地を解決して工事に着手したいというふうに思っております。  なお、昭和四十三年以降の整備計画策定区間につきましては、現在調査を進めまして、おのおのの区間についておおむね路線発表を終わりまして、地元交渉にかかっておる次第でごいます。   〔主査退席、大村主査代理着席〕
  248. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 ただいま御答弁いただきましたが、熊本県側は、第一次区間、南関−熊本間の三十七・七キロのうち、植木−熊本間が十三・八キロございますが、四十六年七月に供用開始の予定であり、また南関−植木間二十三・九キロが四十七年十月に供用開始の予定の運びになっております。第二次区間の熊本−松橋間の二十五キロについても四十三年四月一日に施行命令が出ているように、熊本県側は全国五道のうちでも一番進んでいる、こういうふうにいわれておりますし、事突進んでおるわけでございますが、福岡県側がかなりおくれておるわけでございます。よって、福岡県側の今後の進捗見通しと、特に福岡県側で問題になっております筑紫野町二日市地区の問題及び瀬高町からの全面高架について、強い地元の要望等がありまして、これら構造問題が隘路となっておると思うのでありますが、この点、その後の地元との話し合いで解決のめどがついておるのか、お伺いしたいのであります。このことは、昨年の三月にも私はこの委員会質問いたしたわけでございますが、いまだに進展を見ていないようにも聞いておりますので、その見通し等について重ねてお伺いいたします。
  249. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま御指摘のように、九州縦貫道につきましては、福岡県内がたいへん用地買収に難航しております。そのうち、御指摘の一番問題の筑紫野町の二日市というところで、ルートについて長い年月を要しまして、ようやくルートは決定することになったわけでございますが、現在全面高架の高架橋を要求されておりまして、この点についてただいま折衝中でございます。まだ解決までには至っておりません。  それから、文化財でございます水城あとを横断することになりますが、この点につきまして、景観上の問題から、文化財擁護委員会のほうからもトンネルで通れというような意見が出ております。こちらの計画は高架橋で渡ることにしておったわけでございますけれども、トンネルにせよということで、このほうがまだ完全な話し合いがついておりません。  それから、その次の瀬高でございますけれども、これにつきましては高架を要求されておるわけでございますが、ようやく話し合いがつきましたので、近いうちに着工できるのではなかろうかと考えております。  以上でございます。
  250. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 ただいま御答弁いただきましたが、言うまでもなく、照本県側が完成いたしても、福岡県側がこれらの問題で解決がおくれるということになりますと、有効利用ができないわけでございます。ひとつ早急な解決と工事着工を強くお願いする次第であります。  次に、八代−人吉−宮崎県えびの間の問題でお尋ねしますが、この間は六十九キロございますが、四十二年十一月二十二日に基本計画区間として決定されておるわけでございますけれども、この区間には難所がございまして、建設省も十分検討されておることは私も承知しております。全国で三カ所ありまして、親知らず子知らずという難所があることもよく聞いておりますが、言うまでもなく、九州地方のおくれを取り返すためにも、開発を促進するためにも、ぜひ整備計画を出していただきたい。これが地元の強い要望であります。おそらく五月には、たしか下句ごろと思うのですが、国土開発幹線自動車道建設審議会が開かれるやに聞いておるのでございますが、このときにぜひ整備計画区間に入れていただきたい。この点建設省の御見解を承っておきたいのであります。
  251. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘の九州縦貫自動車道のうちの八代——えびの間につきましては、昭和四十二年十一月に基本計画が決定されましたあと、引き続きまして整備計画策定のための調査を進めておるわけでございますけれども、特に八代と人吉の間に、通称われわれは肥後峠と申しておりますが、急峻な地形がございまして、地質的にも中央構造線が通っておりますので、高速道路の路線選定に非常に苦慮しておるところでございます。先ほどお話しございましたように、日本で高速道路をつくるのに一番むずかしいところが親知らず子知らずで、それに次ぐ難関個所でございまして、非常に苦慮しておるところでございます。そういう事情から、現在二千五百分の一の詳細な図面を作成いたしまして、地質調査は入念に行なっている段階でございまして、ただいまのお話しのように、ことしの六、七月ごろ予定されます審議会に整備計画を提案できるような調査状況には至っておらないのが残念でございますが、そういう状況でございます。  なお人吉とえびのの間につきましては、御案内のように加久藤峠という峠がございまして、この区間は直轄でもって工事を行なっておりまして、すでにトンネルに着工し、間もなく開通するかと思います。当分の間、この間は直轄の国道として供用することになりますので、したがってこの区間の整備計画はおくれることとなろうかと思います。
  252. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 なかなか難所があってたいへんだということは十分承知しておりますが、ずいぶん九州の開発がおくれている面から、沖繩の復帰等もあわせまして、今後重大な路線にもなってまいりますので、ぜひひとつさらに御検討をいただいて、五月の審議会には整備計画を入れるような配慮をさらにお願いいたしたいことを強く申し上げておくわけでございます。  さらにもう一点関連してお伺いしておきたいのでありますが、城南インターチェンジの設置について地元からたいへんな要望が建設省にもなされておる一わけでございますが、このことについてあわせお伺いいたしたいのであります。  現在、熊本の託麻インター、熊本南の御船インターと松橋インター、この三つが計画に乗っております。熊本南と松橋インターの中間にぜひ城南インターを追加設定していただきたい、これが地元並びに県の強い要望で今日までまいっておるわけでございますが、この城南インターチェンジの設置について、理由といたしまして次のようなことがあげられます。御承知のように、さきに天草五橋のパールラインが架橋されまして、天草の経済圏の窓口に今後なってまいります。また雲仙、長崎観光ルートの窓口にもなっております。さらには国道三号線の混雑緩和という重大な影響があるわけでございまして、今後この地方は工業、住宅の地域開発の大いなる期待が持てるところでございます。地元ではあげてこの城南インターの設置を要望しておるわけでございますが、これらの理由から、ぜひ城南インターチェンジの設置を決定していただきたい、かようにお願いするわけでございますが、これに対する大臣の御見解を承りたいのでございます。
  253. 根本龍太郎

    根本国務大臣 実は、全国至るところから縦貫道路に対するインターチェンジの要望がございます。その地元からすれば、なるほどと思われる点はありまするけれども、全国の高速自動車道の全体的な効率を考えてみなければなりません。したがって、いま直ちにここであなたからの御要請に応じて、そういたしますというところまではまだいきません。要望の点を十分勘案し、今後事務当局をして検討さして善処いたしたいと思います。
  254. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣から答弁いただきましたが、今後十分勘案して善処していきたいということでございますので、特に九州の中枢都市として、また重要な位骨でございまして、先ほど申し上げました理由等がございますので、今後事務当局でも十分検討されまして、ぜひこれが設置に決定をしていただきますように重ねてお願いをいたす次第でございます。   〔大村主文代理退席、主査着席〕  次に、別な問題でございますが、河川総合開発事業について建設大臣にお伺いをいたしたいのでございます。  昨年三月十七日、当分科会で私が質問申し上げたのでございますが、多目的ダムとしてその構想が明らかになったところの一級河川白川上流の熊本県阿蘇郡長陽村字立野の立野ダムについては、熊本市を貫流する白州改修災害防止上等からまことに重要な意義を持つものでございます。その必要性は前回るる申し上げたところでございます。政府の答弁によると、その規模は多目的ダム法によるダムとして、重力式コンクリートダムで、ダムの高さ九十八メートル、総貯水量二千五百万立方メートル、事業費六十八億円、着工予定は昭和四十七年度または四十八年度と答弁で明らかにされたのでございますが、その後四十三年に県単で七十万円、四十四年に国が三百六十万、四十五年に同じく国が四百八十五万、四十六年は国において四百万の予算で調査が進められております。すでに三本のボーリングも終わり、地質調査もかなり進んでいるように聞いておるのでありますが、その後現在まで進めてきたところの調査結果について明らかにしていただきたいと思うのであります。
  255. 根本龍太郎

    根本国務大臣 実務に関することですから、河川局長からお答えいたさせます。
  256. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先生、ずいぶんよくお調べになっておりますので、おっしゃるとおりでございますが、御承知のように、この白川の上流は、単に白川だけではございませんで、阿蘇から発しております各河川とも、やはり阿蘇溶岩がときどき間隔を置いて噴出いたしておりますために、これが堆積をしております砂利層を中にはさんでおります。そういった関係で、技術的に見ますと、ダムの実施については相当慎重を要する地帯でございます。したがいまして、私ども現在の白川の状況を見ますと、これらは昭和四十二年にたしか一級水系になったと思いますけれども、それ以来特に熊本市を中心といたします県としては一番大事な河川でございますので、そういった意味でこの白川の改修計画の安全度等をずいぶん調費してまいりました。現在は、基準点で毎秒約二千五百トンくらいの改修計画をいたしております。これができますれば、かなり改修もできて安心ではございますけれども、さらに抜本的な改修ということになりますと、これはやはりダムによらざるを得ないのではないか。そういうような観点から考えまして、ひとつダムサイトを調査しようじゃないかということで、お話しのように調査を始めたわけであります。なお、最近の状況を児ますと、やはり熊本市を中心といたします都市加水の問題、それからいろいろ構造改善難にからみます今後の農業用水等の要望もあるようでございます。したがいまして、私どもとしまして多目的ダムというような姿でできるだけこのダムを実脱するようにいたしたいというようなことで現在調査を進めておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような地質上のいろいろな問題がございますので、すでに直上流、これは黒川との分かれたところから上流ですが、ひとつ調査いたしまして、外観的には非常に狭窄部でございましてダムサイトに適しておるような地形でございますので、一応そういったところから手をかけたわけでございますが、詳細に調べますと相当問題があるというようなことで、土木研究所の技術者等でもまだ意見が分かれておるところでございます。したがいまして、もう少し上流についても手を広げる必要があるのではないかというようなことで、四十五年度に引き続きまして六年度も、何とかどこかでいいダムサイトをさがしたいというような方向でさらに調査を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  257. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 阿蘇外輪山の広大な地域に降りました水が、結局立町の一角を破って熊本市へ流れているわけでございまして、君盤が弱いから立町のところは切れているんだということで、ダムサイトに適しないのじゃないかという問題等もありましたが、最近のダム工法からいけば、相当技術も進んでおりまして、現地に参りましていろいろ私たちが知っている学者等から聞きましても、十分ダムサイトに適すると思われる、こういうような意見を聞かされているわけです。いま答弁もございましたように、どうかひとつ慎重にまた検討して、早急に進めていただきたいと思うのですが、四十七年から四十八年に着工する見込みだということで昨年度は答弁をいただいておりますが、ことし四百万の調査費をつけておられる。ところが、この調査費以外にプラスアルファで多額の予算を別途組んで、いろいろ調査を抜本的に進めるということも伺っております。この席でいろいろと具体的に発表されることは差し控えられる点もあるかと思いますが、すでに建設省大蔵省ともレールが敷かれておることは間違いない事実でありますし、それらの問題を踏まえまして、さらに今後何年度を着工目標に大体の目算を立てておられるか、あらためてお伺いをいたしたいのでございます。
  258. 川崎精一

    ○川崎政府委員 四十六年度につきましては、白川ダムの調査について大体四十五年度と同様程度予算を計上をいたしたいと思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、ああいった地帯一体について、在来の常識の技術ではかなり建設の困難を予想されダムがかなりあるわけでございます。そういった全体の問題もあわせて調査いたしまして、かなり技術も進んできておりますし、地盤の改良の方法なども少しずつ土木研究所を中心に研究いたしておりますので、そういった全体的なああいう地帯に適するダムの技術の開発とあわせて、この白川ダムの促進というような意味も兼ねて来年度の予算を運用していきたい、こういうふうに考えております。
  259. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣にもう一点お伺いいたしたいのですが、この立野ダムは、旗本市を貫流する白川改修と相まって、この次に質問をいたすわけでございますが、重要な意味を持つものでございます。昭和二十八年六月二十六日の未曽有の大水害によって、阿蘇一円に降りましたところの火山灰土が熊本市に流出し、照本市がかってない大泥害となりましてすでに十八年、いつ再びあのような悲惨な災害に見舞われるか、予測できないのであります。また、熊本市内の白川改修も、拡幅がむずかしい点がございまして、この立野ダムの建設によって、現在建設中の新熊本空港の高遊原の台地をはじめ、右岸、左岸の約千五百ヘクタールに及ぶ農業果樹団地のかんがい用水をはじめ、熊本市の都市用水の確保並びに発電による農村地域の工場電力の確保なと、その効果ははかり知れないものがあるわけでございます。根本大臣も昨年私の質問に対する答弁の中で、多目的ダムとしてやることが国益に沿うゆえんだと思いますのでぜひそのように取り計いたいと思います、このように答弁をなさっておられますが、この立野ダム建設はぜひ促進していただきたい、このように思います。建設大臣の確固たる御見解を、さらにお伺いいたしたいのであります。
  260. 根本龍太郎

    根本国務大臣 昨年申し上げたことと、現在変わりありません。ただ、いま事務当局から御説明申し上げましたように、地盤の関係から、技術的に非常に不安定要素があります。しかも、あそこは、もしあのダムが決壊するというようなことになりますと、たいへんな災害になります。そこで、必要性認めるがゆえに、いいあらゆる方法を講じてやっておりますが、さりながら安全性というものを確保しなければこれまたたいへんあれなので、技術開発をし、かつだいじょうぶというところまで念を押して、そしてできるだけ早くこれは推進したいと思います。その意味であなたの心境と全く同じでございまして、今後とも誠意を込めて促進いたしたいと考えております。
  261. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣から、できるだけ早く誠意を込めて推進していくという答弁がございましたが、ぜひそのようにひとつ慎重な検討をされて、早期に実現できますようにお願いをいたしておきます。  次にただいまも申し上げましたが、熊本市を貫流している白川改修についてお伺いをいたしたいのであります。この白川改修は、全体の改修延長が十七キロ二百九十メートルございまして、改修費総額が二百五十七億一千七百万円、昭和四十五印までの執行額は五十四億一千九百万円となっておりまして、現在十六年度予算の大幅な要求をいたしておるところでございます。この改修がたいへんおくれているということが実情であります。熊本市の人命尊重という意味からも、かつまた災害防止上、さらには都市の美化あるいは衛生的見地からもこの白州改修は急がれておるところでございまして、現在工事の進捗状況等がどうなっているか、あらためてお伺いをいたしたいのでございます。
  262. 川崎精一

    ○川崎政府委員 白川につきましては、これは大昔から熊本県は治水事業がかなり手厚く進んできておったところでございますが、明治以降になりまして、その間かなり手当てがおくれておったのじゃないかという感じはいたします。ことに熊本の中心でございますので、私どもも、現在の第三次の治水五カ年計画の中におきましては、決して白川をおろそかにしておるわけじゃございませんで、ほぼ全国並みあるいは若干それを上回る程度の投資は続けておるわけでございます。現在の白川を見ますと、川の全体とすれば私どもから見てもある程度の安全度はございますけれども、特に中心部の不法占拠のある地区がございます。ああいったところの築堤を促進いたしますと、全国の水準に比べまして改修の程度も相当よくなるのじゃないかというふうに思いますので、そういったものを中心としてひとつ重点的に今後の予算を運用していきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  263. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 改修総工費が、先ほども申し上げましたように二百七十五億一千七百万円で、昭和四十五年度までの執行額が五十四億一千九百万円となっておりますが、これは全体から見ると約二〇%に当たるわけです。昭和四十六年度は大幅に要求をしておるにもかかわらず、輝くところによるとおおむね約七億くらいというふうに聞いておるのでありますが、これではたいへんな工事のおくれが憂慮されて、県・市民は不安を抱いておるわけでございます。その隘路としては、いまもちょっと話が出ましたように、都市河川で補償費が非常に多額を婆するということと、市街地で家屋が密集している関係等もあり、拡幅することが一部に限度がある。こういったことがありまして、これらの点については理解できないでもありませんが、このようなことからも、先ほど申しました白州ダムによって毎秒三百トンの水がカットされるということになると、このダム建設も大いに意義が深いわけでございます。こういったことにつきまして、今後の工事の見通しといったことを建設省はどういうようにお考えであるか、あわせお伺いをいたしたいのであります。
  264. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほども申し上げましたように、中流部の狭窄部でございます世安、対岸が二本木になっておりますが、この辺の地区の改修にまず重点を置きたい。ところが、御承知のように、不法占拠物件がかなりたくさんございます。これにつきましては、県並びに市とも十分相談をいたしまして、現在、不法占用の対策本部を設置いたしまして、これをどういうふうに円滑に解決するかということでいろいろ対策を考えておるところでございます。当面、改良住宅の建設事業を起こしまして、これによりて——上流地区に大江町というのがございますが、この河道を整備いたすことによって生まれてくる廃川敷を利用いたしまして、これに円満に移すのが一番の良策ではなかろうか、こういうような観点に立ちまして、まずこの移転先の河川改修を急ぐ必要がございます。これにつきましては、四十七年度でございますから、四十八年の三月までにはそういった住宅の受け入れ体制がほぼ整うのではないがと思います。整いました上で住宅の移転、それから追っかけて急いで改修というような順序で、私どもとしましては、ここ数年の間に重点的にそういった弱点部の解消ができるのではないかというふうに期待をしておるわけでございます。
  265. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 時間も参りましたので、最後に一点だけ簡単にお伺いします。  いまもおっしゃったように、白州改修の一つの大きな問題になっている右岸、左岸の不法建築の移転対策があるわけでございます。現在、五百八十三世帯、五百六十四戸がありますが、対策本部を設けて国、県、市で鋭意努力されておることも、十分承知しております。ただいま大江渡鹿に三百四十戸の建設計画ということになっておりますが、不足分二百数十戸に対する土地の獲得あるいは移転の問題が残されております。また、これらには多額の経費が必要なわけでございますし、特に建設、維持、管理に相当の経費を要しますので、特別予算補助等を配慮していただきたい、こういうことを地元では強く要望しているわけでございますが、これらについて簡単に答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  266. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お話しのように、五百六十四戸ばかりの家屋がございます。この家屋が、各人それぞれ移転地の希望等もあろうかと思います。そういった実態を踏まえまして——やはりこういう移転をやりますときは、集中的にやりませんと、ぽろぽろやりましたのではまたいろいろ問題も起こそうかと思います。そういった意味で、各人の事情につきましては県、市と共同で十分意見を聞きまして、支障のないように手当てをいたしたい、こういうふうに考えております。
  267. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 以上で終わります。
  268. 大野市郎

  269. 久保三郎

    久保分科員 建設関係で二つほどお聞きします。  一つは、骨材としての砂利採取の問題でございますが、最近、これは私の地元に近い、一級河川である久慈川の砂利採取が、言うならば乱掘ですね、そういうことでたいへんいろいろな問題が出ているわけです。これは決して私が申し上げる具体的なところだけではなくて、各所に現実に起こっていると思うのです。この具体的な例は、久慈川で乱掘がはなはだしくて、富岡橋という橋がまん中から折れた、そういう事故のあった近辺であります。この川の流域で砂利採取を許可されていた西社ほどの業者があるわけです。この四社は、去年の十一月一日からことしの三月三十一日まで、いまやっている場所の許可を受けたらしいのですが、どうもあと掘れなくなるというので、一月に入ってから、それはもう一切のものを無視して、たとえば禁止されている機械を入れてやったり、一メートル以上掘ってはいけないのを二メートルも掘ったり、それから契約を越えた砂利を採取しているということでありますので、一つ河川の管理というか保持、こういう観点からいっても、たいへんな問題が起きていると思うのです。これは、一つは、言うならば砂利採取法によるところの違反行為である。もう一つは、契約以上に砂利を取ったとするならば、これは窃盗だ。ところが、建設省の出先のほうは、行政措置しかできないので困りましたといって手をあげているそうだ、けしからぬ話だということが地元の大きな話題になっています。  そこでお尋ねしたいのは、いま申し上げたような事例が各所にあるんだが、こういう砂利の乱掘に対して、いわゆる河川管理者としての建設省はどういうふうな取り締まりと指導をしているのか、そのために特別に人員を配置しておられるのかどうか、これをひとつ聞きましょう。
  270. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お話しのように、最近、経済成長に伴いまして、建設活動が非常に活発になってまいっております。したがって、重要な資源であります砂利が、地域的にはかなり払底をしておるわけでございます。そういった関係で、お話しの久慈川等につきましても、先ほど来先生から御指摘のような事実が出ております。私どもといたしましても、まことに残念な事実だと思っておる次第でございます。ああいったものを放任しておくのが私どもの姿勢ではございませんで、ほうっておきますと、やはり河川の管理施設にも被害がございますし、河川を占用しております橋梁その他にもかつて被害があったわけでございますので、私どもできるだけ姿勢を正して厳重に監視をするように、関東地建を通じて指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  271. 久保三郎

    久保分科員 指導じゃなくて、これは必要な措置をとるのが当然だと思うのです。私がいまお聞きしたのに、あなたのほうでこういう契約に基づく砂利採取を許可している。これは当然対面を取っているわけです。立米当たり七十円くらいのようでありますが、そういうことをやっていると同時に、河川管理者としてそういう乱掘、あるいは乱掘でなくても、計画どおり採取しておるかどうか、こういうことを監視しなければ、これは河川の管理ができないと思うのです。ついては、そういうものをやっておられるかどうか、指導監督というのは、特定な人でも配置してやっておられるのかどうかということをお聞きしたわけであります。いかがですか。
  272. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どものほうでは、各出張所がそれぞれ河川管理のなわ張りをきめておるわけでございます。そこに監理員を置きまして、それぞれ、そういった採取なり占用なりに対する監視をいたしておるわけでございます。この久慈川につきましても、私とものところに入っております報告では、昨年の暮れに、違反の事実が目立ちましたので、久慈川の第二出張所の巡視員がこれを所長に報告いたしまして、所長が口頭で注意をいたしました。それから、本年に入りまして、特にこの四社の中の三社が行為が非常に悪質であるということで、出張所長からさらに文書で注意を喚起いたしております。  最近、一月の十一日に久慈川砂利協同組合の理事長の名前で許可されておりますので、この組合の理事長並びに本人に対してさらに文書で注意をいたしました。注意の内容は、違反行為を中止することと原形に復旧すること、こういったことの指示を与えたわけでございます。もしこれで聞かない場合には、告発をするなりあるいは緊急の改善命令を出すべく準備をいたしておりましたところ、現在は改善の方向に進んでおるということで、早晩の間にそういった違反の事実がなくなるのじゃないかというふうに私どもは聞いております。
  273. 久保三郎

    久保分科員 おっしゃることならば、違反の事実はありましたが、それをもとに戻してくれている、こういうことだそうですね。それは具体的にどういうことなんですか。たとえば、禁止されている機械は持ち去ったとか、あるいは深く掘ったところは埋め戻したとか——埋め戻しは当然砂利採取法によってやらなければいかぬわけですね。それからたくさん持ち出した砂利はどういうふうになったのですか。契約以上にとった砂利はどうしたのですか。
  274. 川崎精一

    ○川崎政府委員 許可にあたりましていろいろ条件をつけておろうかと思いますが、そういった点の一つ一つにつきまして、改善できるものは改善させ、はっきりと違反の事実がございましたものについては、それ相当の処置をいたすようにしたいと思っております。ただ詳細は、実はまだ関東地方建設局のほうから、具体的なすでに採取をした量等の確認した数量についての連絡が入っておりませんので、過分に採取した分があれば、ここでどうするかというようなことにつきましては、まだ私どものほうでも、その措置の方法については決定をいたしておりません。
  275. 久保三郎

    久保分科員 建設省の体質じゃないだろうけれども、言うならば非常に大まかでおおようなんですね。もっとも砂利なんか、一粒ずつ全部計算するわけじゃありませんから、そんなものなのかもしれませんが、しかし、たくさん契約以上に取ったものは、それぞれの手続をすべきがほんとうだろうと思うのですね。こういうものをやらぬから、結局、あとで何とかなろうということで甘く見てやるのじゃないですか。だから、告発でも何でもしてやるべきだし、やっていて、口頭で注意しても開かぬようなものは、登録業者としての資格を剥奪すべし、契約も破棄すべし、私はそう思うのですね。もっと厳重にやったらどうですかね。  先年、やはりこの分科会でお尋ねしたかと思うのですが、霞ケ浦という湖水があります。そこにいわゆる国立公園法に従って特定区域になっている浮島という地先があります。そこでサンドポンプによる砂利採取を建設省の出先が許可してしまったのですね。国立公園であることを知らないかというと、その地先にはちゃんと立て札が立っているのです。そういうものを無視してやって、今度、これはおかしいじゃないか、やめさせろという地元からの強い要求をしたところが、何と言ったかというと、関東地煙の河川部長だったと思うが、せっかく金をかけたのでありますから、すぐにやめろといっても無理でしょう、こういう話です。ずいぶんおうような話ですね。そういうところから橋がこわれてきたり水が出なくなってくる。そういう被害が大衆におおいかぶさってくることをよく考えてほしい。あらためて砂利採取については、砂利採取法の所管は通産省のようでありますが、少なくとも河川管理者としての——しかも建設省は骨材に関係がありますね。両方だから、痛しかゆしかと思うのでありますが、より問題は、河川を管理するということがいま一番大事だと思うのですよ。そういうところからあらためて、河川局か知りませんが、もう少し姿勢を正す方針をきちんと出して下部に徹底する必要があると思うのですが、いかがですか。
  276. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりです。実は他の委員からも、これは別の場所でややそれに似たようなことが出ましたので、私は事務局をして厳重に査察させ、いやしくも不法、不当なことをやってそのまま見のがすということは、これはよろしくない。姿勢を正させます。  それと同時に、私は実は、骨材の採取について去年から、はなはだことばが悪いけれども、砂利屋は自分の利益追及のためには何でもやるというようなものがどうも多いような気がしたのです。そこで単なる形式上の行政畑道ではこれはだめだ。そこで私は、重要な場所において都道府県がみずからやるという意思があるならば、採掘卒業を都道府県が公社みたいなものを持ってやらせて、採掘と自後の保管の責任を持ってやってもらう、砂利屋には販売だけさせたらどうかということを、実は勧奨したものもあります。一、二、県によってはそれをやっておるところもあります。  私は、いま御指摘のように、砂利の採掘に関する権限が通産省にあって——実は昨年例の房総、特に千葉県の災害のときに行ってみますと、山砂利をどんどん取ってきて、そのためにかなりの問題が出ている。ところが、これについて、向こうのほうで許可をしているけれども、監督するものは全然地元にないじゃないか。これは私は、権限争いではないのですが、もう少し考える必要があるということを、閣議の席上で実は通産大臣に申し入れたことがあるのです。こういうふうにいま公害が問題になっているときに、これも一つの公害です。しかも悪質な公害です。これを、従来ただありきたりのいま御指摘になったようなことで、まあしようがないとか、何とか改善する傾向があるからしばらく見るというようなことでは、国民が納得しないだろうと思う。今後事務当局をして、厳重に姿勢を正させ、責任追及すべきものは追及する、行政処分するものはするように指導いたさせます。
  277. 久保三郎

    久保分科員 大臣から適切なお話がありましたので、これ以上申し上げる必要はないかと思うのでありますが、ただ一つの方法として、こういう不正なことをやった、そしてその砂利を採取した業者からは、できるのなら建設省の力でそういう骨材は買わせない、それくらいの措置が私は必要だと思う。  それからもう一つは、いま県営でやったらどうかという。私も一つの方法だと思います。ただし、いまの値段は立米七十円だそうですよ。立米七十円で、大体その土場で立米が千七、八百円に売れるのだそうです。こういうばかばかしい値段も問題だと思うのですね。  それから外材全体で、建設大臣からお話がありましたが、言うなら、いま砕石というようなものも野放図にやられている現実は、これはやはり真剣に考えてもらう段階ですね。だから、骨材の確保と、いわゆる河州を含めた自然というか、そういうものの保護と、全体をひっくるめた国土利用計画というか、そういうものをやはり早急に立ててもらいたいと私は思っているのです。それは骨材も必要ですよ。しかし手近なところからどんどん安いものを追ってやれば、大臣のおっしゃるように、これはぼろいもうけがあるのですから、持っていきますよ。公害もへったくれもないですよ。そこをひとつ考えて、ぜひ閣議の席でお考えいただいて、通産にも関係ありますからお願いしたいと思います。河川関係については、大臣から言明があったようでありますから、これでひとつ措置してもらいたい。  では次の質問に移ります。次は建築関係の問題でありますが、建築とこの消防の関係であります。最近、てまえどもの地元でもそうでありますが、宇都宮、水戸、あるいは旅館では御承知のように新和歌浦でありますとか、最近ではたいへんビルあるいは旅館のでっかい火事がありまして、悲惨な事故が出てまいっております。しかもこれは、ある美容院かなんかの火事は、建築そのものが逃げられないような構造になっていて、とうとうはい出せなかった、逃げ出せなかったという悲惨な例もあるのですね。だからこれは、建築基準法だけで十全を期するということは非常にむずかしいかもしれませんけれども、建築基準法などというものは時々刻々に変わっていかなければならないと思うのですね。しかも過去にさかのぼって、またこれを是正するものは是正していかないと、これから建てるものはこうですよというだけでは、うまくいかないと私は思うのです。そういうくふうがこの基準法の中にはないように、てまえども見ているわけです。たとえば最近の新建材にいたしましても、いろいろ最近では制限をしていますが、古い建物についてはこれはそのままでよろしいかもしらぬ。あるいは火災の場合の避難の設備、あるいは消防の設備、そういうものも、前のものと、いまの基準法による、あるいは消防法によるものは、ずいぶん違うんじゃないかと思うのですよ。そういうものを直さぬでいったのでは、どんなに新しい法律を時代に即応してきめても、あまりきき目はないと思うのですね。こういう点はどうですか。
  278. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 実態はお話のとおりでございますが、お話の中にございました、法律を改正した以前に建っている建物については何にも施す手がないような構成になっているというお話でございますが、その点は、建築基準法のほうは、法律を改正いたしまして、その改正によりまして、改正されました新しい立法に適合しなくなった古い建物、その以前にある建物、これにつきましては、もちろん改正前に建っているわけでございますので、違法としてきめつけるわけにもいきませんが、不適格建築、既存不適格ということで、これにつきましては直ちに違法としての改善の措置はとれませんが、衛生上、保安上の見地から、非常に危険である、あるいは有害であるという著しい弊害が認められます場合には、これに対して改善命令ができるという規定で、従来の法改正以前から建っております建物についての措置はできるというたてえまえになっております。  ただ、御承知のように、法律を改正いたしまして、建築物は長い耐用年数がありますので、長年たっております建物が、法律の改正をしたとたんに違法であるときめつけて改善するということは、これは不可能でございますので、保安上、衛生上の見地から著しい危険があるというものについては、できるだけこの改善命令を活用して改善の措置をとらしたいということで、われわれも努力しているつもりでございますが、従来、お話のように、なかなかその措置がはかどらなかったという面は、確かに実態としてわれわれも十分認識しております。ただ、この前の改正の際は、そういった面を一番重視いたしまして非常に強い改正をいたしておりますので、今後この改善命令を十分生かして、そういった面の不備をできるだけ是正したいという面の努力を続けるつもりでおります。
  279. 久保三郎

    久保分科員 一部はそういうことになっているようですが、なかなかこれは徹底できないのですね。建築の確認とかあとの検査、そんなのも、言うならば、完全に実施できるほどの陣容じゃないのじゃないか。要員として人間の面で、そういうものを確認したり、あるいはあと検査したりするような人自体の問題が解決してないんじゃないですか。だから、新しい法律ができて、建物を全部さがし出してここを改善をしなさいという改善命令までは、とてもじゃないがいくほどの人間はあるのですか。ないのでしょう。
  280. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お話のように、確かに十分な人数を備えているということは現状では申し上げられません。ただ、われわれ現在一番努力しておりますのはその面でございまして、今回の改正後、特に特定行政庁の義務的な設置を二十五万以上の市に義務づけまして、それによって建築関係職員を充実する。したがって、市民に身近な機関がそういった職員を備えてこういった監視に従事させるということで、従来の特定行政につきましても、行政措置その他の方法を講じまして、できるだけこういった職員の充実をはかりたいということで、目下努力中というのが現状でございます。
  281. 久保三郎

    久保分科員 それともう一つは、私の地元であった火事ですね。これは七階のビルの火事でありまして、人も死にました。ここの消防署ははしご車を持っているのでございますが、三階までしか届かないはしご車なんですよ。そうすると、三階までのはしご車しかない都市に七階のビルが建つということについて、これはふしぎに思わないでしょうか。
  282. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 はしご車が三階までしか届かない都市に七階の建物が建つのはおかしいというお話でございますが、現状で申し上げますと、東京にたくさんあります高層ビル、これは全部はしご車は途中までしか届きません。したがいまして、はしご車の届く範囲までしか建築物を認めないということは考えておらないわけでございまして、はしご車がなくても、内部の防火、排煙設備がちゃんとできておって、避難通路がしっかりしておって、内部の人が十分に避難できるという体制をわれわれとしては目標としておるわけでございまして、必ずしもその町の消防機能、はしご車の高さそのものについては、建築物の高さを制限する場合には配慮していないわけでございます。ただ、できるだけ消防設備の体制を充実していただいて、できるだけ高いところまで消火設備ができるように、それは望ましいことではございますけれども、われわれとしては、それがなくても建物自体の避難という面から十全であればよろしいということで、そういう面で規定いたしておるということでございます。
  283. 久保三郎

    久保分科員 いや、私はわかりやすく言ったので、あなたもやはりまじめですね。それはそうでしょう。そんな天まで届くようなはしご車は、第一持って歩けないですね。言うならば、総合的な防災というか、防火というか、法律でいえば、建築基準法と消防法の二つがこん然一体となって防火が完全にいくようになっているのか、いないのかということなんです。いまの現実からいえば違うじゃないかということです。建物のほうはずいぶん進んでいます。だけれども、防火なり避難なりということは、残念ながらそれにマッチしていませんよということを言いたかったのですよ。消防関係があるからはしご車を出してきたのです。だから、これはどう思っていらっしゃるかわかりませんが、時間がありませんから、これはもうこういうふうなあれですね。だから問題は、いまの基準法で残念ながら完全だというふうにはならないわけですね。なりますか。
  284. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 前段の消防法と基準法がちぐはぐであるという点について、ちょっと釈明申し上げたいと思います。  基準法の制定につきましても、消防法の制定につきましても、十分両者と連絡をとりまして、ことに今度の改正につきましては、基準法の改正が防火の点に重点を置いておりますので、特に消防庁の意見は非常に大量に取り入れられまして、消防法との兼ね合い、消防活動の合理化についての建物の側のいろいろな規制という面で、十分消防の意見を取り入れて消防活動がしやすいようにしておるつもりでございます。
  285. 久保三郎

    久保分科員 法律的にちぐはぐだというのではなくて、能力が隔たりがあるということを申し上げているわけなんで、私のことばが悪かったせいかね。結局そういうわけで、なるほど建築基準法では、言うならば火事が起きないようにする。たとえば、火を扱う場所については特別な装置をつける、あるいは火事が起きたときの避難の設備をつけなければいけません、あるいは消火せんをつけろとかいうことで、そういうふうな設備があります。しかし、現実にいま火事が起きているわけでありますから、それで片方には消防法に基づく消防というものがあるのですね。ところが、起きちゃってからは、その建築基準法にいうところの建物の機能というのは、結果としていっでもあまり働かないのですね。非難しているわけではないからあまり気にしないでもいいのですが、機能としては働かないのです。働かないから、どうしても消防という外力によって救急したり消火したりということでしょう。だからこれは、やはり都市の消防能力と建築というものをある程度考え合わせながら持っていかなければ、ほんとうではないということを言いたいのです。しかしそう言ったって、建物を直ちにそれに合うようにしたらどうですかということは、なかなかむずかしいことでしょう。そこで私が言うのは、さっき言った、七階のビルを建てる場合にはもう少し消防能力をふやさなければいかぬということで、たとえば三階までしか届かない例を引いたのです。だから、せめて七階まで届くような、はしごとは言わないが、消防能力を備えなければいけないですね。これはどこの都市でもそうですが、消防庁から来ていますから聞きますが、消防能力というのは基準どおりにいっていますか。おそらくいっていないのが普通です。
  286. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 いまお話がありましたように、都市の実態に合わせた消防能力を考えなければならぬ、これは確かにお説のとおりであろうと思います。現在、全国的に見ますと必ずしもその点が十分ではない。特に高層の建物に対するはしご車の配置は確かに不十分でございます。今回、消防力の基準を改正して、同時に地方財政上の交付税上の措置もいたしまして、高層建築物の多いところはもっとそれにふさわしい消防力を持てるように配慮をしたい、かように考えていま検討中でございます。
  287. 久保三郎

    久保分科員 時間がありませんから先にいきますが、たとえば消防の財源ですね。これは中火からは交付税で見てますね。この交付税の計算基礎は人口によっているわけですよ。そうでしょう。人口だけでしょう。ところが消防で一番問題なのは、人口もさりながら、たくさんの人が寄ってくる大きい難物とか、旅館とか、観光地とか、デパートとか、そういうところですね。そうなると、単にそこに住んでいる人間の数だけで消防能力に応じた財源をということは、少しおかしくなってくるのじゃないですか。あなたのほうは、交付税の算定基礎の中に、そういう人口だけではなくてはかの要素を入れてもらいたいという要望は、いままでしてないのですか。これはどうです。
  288. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 この点は、いわゆる都市の対応性というものをつかみまして、郡部においても同じでございますけれども、その都市の状況に応じて若干の補正をするようにいたしております。ただ、それが現実にマッチしているかということは、まだ不十分であろうと思います。逐次努力を重ねてそういう点を考慮していきたいと思っております。
  289. 久保三郎

    久保分科員 もう時間がありませんからなにですが、ただ考慮するだけ、そういうものではないですよ。これは交付税なら交付税は、もっと科学的に土台を築いていかなければだめなんじゃないですか。あなたは少し遠慮しているのじゃないですか。責任を持つというならば、もう少し銭を出さなければだめですよ、はっきり言うと。  それともう一つ提案があるのですが、高層のビルや何か、あなたのおっしゃる消防の態様にマッチしないような建物を建てていくという場合には、さしあたっての金ですね。一般の税金はもちろんでありますが、いっときでいいですから、建築のときの消防税を取るくらいの考えはないのですか。私はそれがあってもいいと思うのです。そのかわり、それは完全に消防の能力をつけていくということが一つだと思うのですが、どうですか。
  290. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 消防にどういう形の目的税的な財源を与えるか、昔から議論があるわけでございますけれども、一般の固定資産税を負担しておる建物、特に高層の建物に対しては、独自に自主的な消防上の見地からいろいろな義務が負わされておるわけでございます。そういう義務を負わせながらまた特別の税を課するということは、税理論からいっても私はむずかしいだろうと思います。ただ、あるいは御承知かもしれませんけれども、温泉地等においては、よそから来るお客さんが大部分でありますから、その消防設備をその土地の住民だけの税金で負担する、これはいかにも無理があるのじゃないかということで、温泉地については、入湯税というものを今回から目的税として消防にも使わせていただくように法案を出しておるわけであります。
  291. 久保三郎

    久保分科員 次長、そういうことじゃ消防力はつきませんよ、これははっきり言って。もっとも東京の消防庁にいる限りは問題にないかもしれませんが、地方の都市などに行ったらたいへんですよ。大蔵省からおいでですけれども、私どもは消防の財源をもう少し考えらるべき時期だと思っているのです。というのは、消防庁の人間が査察に来たらすることがいまできないです、人手がなくて。給与の問題もあるでしょう。そうして新しい建物ができたときには、建築基準法あるいは消防法に基づいて三日以内に返事をしなければならぬ。三日以内あるいは長くても七日以内です。そんな人手ありませんよ。そういうものをもう少しふやす必要があると私は思う。  それからもう一つは、違法建築があっても、消防法に違反をしていても、これを押えることはできないと思うのですね。建築基準法では、違法な建築なり何なりは、使用禁止、制限はできるのです。消防法ではそれはできないですね。だからこれを直したらいいでしょう。この間、和歌山かどこかの旅館でも、そのうちにつくりますということでつくらなかったから、火事になって死んでしまったということじゃないですか。それはあなたのほうの責任ですよ、はっきりと。
  292. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 設備に違法がある場合には、消防法でも査察もできますし、是正命令を出すこともできます。お話にありました和歌山県の火災の場合は、これは、先ほどお話ございました、古い建物で新しい建物じゃないわけですが、古い建物に対してさかのぼって自動火災報知器をつけなさいという規定を置いたわけであります。さかのぼるために、ことしの三月まで猶予期間を法律に設けたわけです。その猶予期間内に、一月十日に全部工事しようと思っているうちに火事になったということでございまして、消防法にも、建築基準法と同じような査察なりあるいは命令が出せるようになっております。
  293. 久保三郎

    久保分科員 命令が出たといっても、命令を聞かなければそれまでの話ですよ。ですから、これは危険であるというなら、やはり使用を制限したり禁止するということをやらなければいかぬ。その裏側はやはり消防体制を十分に備えるということですよ。いずれにしても、大蔵省にあとから一言、財源についてどう思っているか、お答えいただきたいと思うのです。  大臣、建物と消防の問題ですね。これは消防ところじゃなくて、最近は大きい地震が来たらどうであろうかといって、火事のこともありまして、そのほうもたいへんであります。いつ来るかわかりませんけれども、毎日ある火事はいま防ぎようがないのです。だから、こういう建物と消防というものをもう少し一体として考えて、財源についても、それから計画というか、やり方についてももう少し一代したものをやってほしい、そうして十全を擬してもらいたいと思っているわけです。いかがでしょう。
  294. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘の点は、十分に関係各省庁とも連絡の上、人命保護、財産の保持、そういう観点から最善の努力をいたしたいと思います。
  295. 藤井直樹

    ○藤井説明員 担当が違いますので、的確な御答弁はいたしかねますが、現在消防施設につきましては、一定の基準に該当するものにつきまして補助制度がございます。しかし、もともと地域行政に非常に密着したものでございますし、現在の地方財政の状況から見ましても、やはり地方交付税のほうで適正な費用を分担していただくということが財源的には適当ではないかと考えております。
  296. 大野市郎

    大野主査 次回は、明二十四日午前十時より開会し、運輸省所管を審査することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十一分散会